明 細 書
植物精油成分を有効成分とする睡眠誘発用組成物、その組成物を含有 する経皮吸収型睡眠誘発剤、及びこれらの製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、植物から得られる精油成分を有効成分とする睡眠誘発作用を有する組 成物、その組成物を含有する睡眠誘発剤、及びこれらの製造方法に関する。より詳 細には、経皮吸収型の上記睡眠誘発作用を有する組成物、この組成物を含有する 経皮吸収型睡眠誘発剤、及びこれらの製造方法に関する。
背景技術
[0002] 植物精油は一般に芳香性を有する力 それらの中には多くのテルペン類、アルコ ール類等の化合物が含まれている。こうしたィ匕合物が複合した植物精油の香り成分 には、緊張をやわらげ、気分を落ち着かせるといった効果を有するものも知られてお り、古来より、種々の儀式や治療等に使用されてきた。
[0003] 植物精油の原料となる植物は多数に上るが、それらの中でも酢酸ゲラ -ル系ユー カリは、その香りのよさから古くから香料の原料として使用されてきた。また、ョ一口ッ パでは、古くから植物精油が治療に使用されてきたが、 1930年代以降、内服'皮膚 への塗布等によるァロマテラピーが 1つの療法として確立された。酢酸ゲラニル系ュ 一カリの精油(以下、「酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油」という。)は、こういったァロマテラビ 一においても汎用される精油の 1つである。
[0004] 一方、現代においては、ストレスから睡眠障害を起こす患者数が増加しつつあり、 そうした症状を改善するために、睡眠薬や睡眠導入剤が処方されることも多 、。
[0005] こうした睡眠薬の代表的な薬物としてはべンゾジァゼピン類がよく知られており、トリ ァゾラム、テマゼパム、ロルメタゼパム等の短時間用のもの、及びフル-トラゼパム、 フルラゼパム等の長時間用のものが挙げられる。ベンソジァゼピン類ではな 、睡眠薬 としては、バルビッレート、抱水クロラール、クロルメチアゾール等が挙げられる。また
、睡眠導入剤としては、ハルシオン等が挙げられる。
[0006] ベンソジァゼピン類は、中枢神経系の γ—ァミノ酪酸(GABA)受容体への GABA
の親和性を高め、受容体結合率を上昇させることによって、神経細胞の興奮性を低 下させる。一方、経口投与で活性であり、大部分は肝の酵素で代謝されるが、肝酵素 系を誘導しないこと、また、中枢抑制薬である力 ベンソジァゼピン類ではない睡眠 薬とは異なって、最大用量でも致死性はなぐ治療域の間隔は 100以上であり、バル ビツール酸類や他の鎮静薬の 10倍以上大きぐ中毒によって呼吸抑制が力かる危険 性は低いことから、安全性の高い薬物として使用されてきた (以下、従来例 1という。 非特許文献 1参照)。
[0007] また、従来、睡眠導入剤は、有効成分が経皮吸収に適さないために、経口剤として 開発され、使用されてきた。この場合、薬物の投与を中断しても、患者に投与された 薬物が代謝物として又は未変化体として排泄されるまでは、薬物の効果は残存する 。すなわち、速やかに投与を中断することはできな力つた。
[0008] 薬物の投与を速やかに中断でき、投与量を経口剤よりも少なくすることができる経 皮吸収製剤としては、植物精油を炭素カプセル内に閉じ込めて経皮吸収製剤とした もの(以下、従来例 2という。特許文献 1参照。)がある。
[0009] 非特許文献 1 :薬理学アトラス 208頁 文光堂
特許文献 1:特許公開平 8— 109137号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 従来例 1のべンゾジァゼピン類は他の薬物に比べれば安全性が高いが、こうしたベ ンソジァゼピン類であっても、外界からの刺激に対する反応が鈍り、迅速かつ適切な 反応ができなくなるという副作用がある。
[0011] また、適合性のよいべンソジァゼピン類を急速に投与すると無関心化等の人格変 化を起こすこともあり、また、長期間の服用では、依存症となることもある。このため、よ り安全性の高い治療薬の開発に対する強い要請がある。
[0012] また、従来例 2は、薬物の投与を速やかに中断でき、投与量を経口剤よりも少なく することができるという点では、優れたものである。しかし、従来例 2で用いられた精油 は、抗菌効果、抗炎症効果を得るために、 L メントール、チモール、ヒノキチオール 、シトラール及びラベンダーを植物精油として使用しており、睡眠導入効果は得られ
ない。
課題を解決するための手段
[0013] 本発明の発明者らは、以上のような状況の下で、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を経皮 吸収製剤とすると、極めて低い濃度であっても睡眠誘発効果が発揮されることを見出 し、本発明を完成したものである。
[0014] すなわち、本発明は、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を有効成分とする睡眠誘発用組 成物である。この経皮吸収型睡眠誘発剤は、植物由来の精油を有効成分として含有 するものであるため、上述したような従来の睡眠誘発剤で問題とされている副作用が 発現することもなぐまた、依存性の問題もない。
[0015] 後述する酢酸ゲラニル系ユーカリからは、水蒸気蒸留によって芳香性の高い精油 を得ることができる。ここで、前記組成物は、前記酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油で親水性 榭脂を被覆して精油被覆榭脂とし、前記精油被覆榭脂を精油脱着調節剤である炭 素微粉末で被覆した炭素被覆粒子を含有することが好ましい。
[0016] また、本発明は、酢酸ゲラニル系ユーカリ油と、精油吸着材と、遊離水分除去剤と、 精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シート形成用基剤と 、圧着用シートとを含む経皮吸収型睡眠誘発剤である。このような構成の経皮吸収製 剤とすることによって、薬効成分を含有する酢酸ゲラニル系ユーカリ油を徐放させるこ とが可能となる。
[0017] また、このような構成とすることによって、薬効成分が均一に分布したシート状の経 皮吸収型睡眠誘発剤用組成物を得ることができ、これを所望の大きさに切断すること によって、患者の身体的条件に応じた量の薬効成分を含有する組成物を、容易に製 造することが可能となる。
[0018] ここで、前記精油吸着材は、ケン化価が 98. 0〜98. 5のポリビュルアルコール系 親水性榭脂であることが好ましぐ前記遊離水分除去剤は、アクリル系親水性樹脂で あることが好ましい。また、前記アクリル系吸水榭脂は、吸水容量が乾燥榭脂体積の 400〜800倍の範囲にあるものであることが好ましい。
[0019] さらに、前記精油脱着調節剤は、表面積が 200〜800m2Zgの多孔性炭素物質で あることが好ましぐ前記発熱剤は、孔径が 0. 1〜0. 8nmの人工ゼォライトであること
が好ましい。また、前記熱伝導防止剤は、多糖類ィ匕合物であることが好ましい。
[0020] さらにまた、前記吸収促進剤は、モノテルペンィ匕合物であることが好ましぐ前記モ ノテルペン化合物は、 L—メントール又はリモネンであることが好ましい。カロえて、前記 シート形成用基剤は、ケン化価が約 88. 0である熱可塑性榭脂であることが好ましい
[0021] 本発明はまた、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を所定量秤量し、精油吸着材と混合して 前記精油吸着材の表面に酢酸ゲラニル系ユーカリ油によって表面膜を形成させる精 油被膜形成工程と;精油被膜が形成された後に、精油脱着調節剤である多孔性炭 素物質を加えて精油膜の表面を覆 ヽ、炭素被覆粒子を形成する炭素被覆粒子形成 工程と;所定量の炭素被覆粒子と、発熱剤と、熱伝導防止剤とを均一に混合し、シー ト形成用基剤上に均一な厚みの層を形成させ、加熱して睡眠誘発剤用組成物を形 成する睡眠誘発剤用組成物形成工程と;前記経皮吸収型睡眠誘発剤用組成物を所 定の大きさに切断し、 2枚のシート状素材で挟み、前記シート状素材の四辺を熱圧着 する熱圧着工程と;を備えることを特徴とする、経皮吸収型睡眠誘発剤の製造方法で ある。
[0022] また、この方法を使用することによって、所望量の薬効成分を含有する所望の大き さのシート状の経皮吸収型睡眠誘発剤用組成物を得ることができる。
[0023] さらに、この方法を使用することによって、精油吸着材の表面に吸着されて表面膜 を形成した酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油は精油脱着調節剤である炭素粒子によって被 覆され、これらの炭素被覆粒子は、さらに、シート状素材で覆われる。このような構成 とすることによって、薬効成分を含有する酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油が皮膚と直接接 触することがなぐまた、長時間にわたって酢酸ゲラニル系ユーカリ油の放散が継続 される、経皮吸収製剤を製造することができる。この経皮吸収型睡眠誘発剤には、従 来の睡眠誘発剤や睡眠薬のような副作用がなぐまた、適用部位力 はずすことによ つて容易に投与を中止することができると 、う利点もある。
発明の効果
[0024] 以上説明したように、本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤及び硬膏剤は、安全性が高 ぐ特別な副作用を発現することなく使用することが可能である。また、適用部位も広
いという利点がある。
[0025] また、本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤の製造方法によれば、簡便に、経皮吸収型 の睡眠誘発剤を製造することができる。特に、炭素被覆粒子として、精油の脱着剤を 用いることにより、徐放化効果が高い。
[0026] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤の製造方法によれば、適切な大きさに切断するこ とにより、投与される個々の患者に適切な用量の製剤を製造することができる。
[0027] さらに、本発明の経皮吸収型睡眠誘発用硬膏剤の製造方法によれば、炭素被覆 粒子の含有量を変化させることによって、所望量の薬効成分を含有する経皮吸収型 睡眠誘発用硬膏剤を製造することができる。
図面の簡単な説明
[0028] [図 1]図 1は、各種の精油を含有する貼付剤を使用した場合の、睡眠延長作用の有 無を示す図である。
[図 2]図 2は、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を含有する貼付剤を使用した場合における、 酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油の含有量と睡眠延長時間との関係を示す図である。
[図 3A]図 3Aは、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を含有する貼付剤を健常皮膚に使用し た場合における、経時変化の結果を示す図面である。
[図 3B]図 3Bは、酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油を含有する貼付剤を損傷皮膚に使用した 場合における、経時変化の結果を示す図面である。
[図 4A]図 4Aは、経皮毒性試験期間中におけるラット (雄)の体重の変化を示した図 である。
[図 4B]図 4Bは、経皮毒性試験期間中におけるラット (雌)の体重の変化を示した図で ある。
[図 5A]図 5Aは、経皮毒性試験期間中におけるラット (雄)の摂食量の変化を示す図 である。
[図 5B]図 5Bは、経皮毒性試験期間中におけるラット (雌)の摂食量の変化を示す図 である。
発明を実施するための最良の形態
[0029] 以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において使用する酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油は、オーストラリアの-ユーサゥ スウェールズの南部地方が主産地である、 Eucalyptus macarthuri H. Deane et J. H. Maidenの小枝及び葉を水蒸気蒸留して得た精油である。 Eucalyptus macarthuri H. Deane et J. H. Maidenの小枝及び葉からは、 0.15〜0.5%の収油率で酢酸ゲラ -ル 系ユーカリ油が得られる。
[0030] 本発明で使用する酢酸ゲラニル系ユーカリ油は、酢酸ゲラニル (約 70%前後)、ゲ ラ-オール(約 3%)、オイデスモール(約 16%)、その他に、イソバレルアルデヒド、 p- シメン、カンフェン、ジペンテン等の脂肪族アルデヒド等を含有する。
[0031] こうした酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油は、小川香料 (株)等の香料メーカーから巿販さ れて 、るものを使用することができる。
[0032] 本発明の睡眠誘発剤との比較のために、ホップ油、サンダルウッド油、シネオール 系ユーカリ油、及びローズマリー油をそれぞれ使用した経皮吸収製剤を製造した。
[0033] ホップ油は、ヨーロッパ大陸から西アジアにかけての地域を原産地とする、クヮ科に 属するホップ(Humulus lupulus L.)力ら得られる。ホップには、 日本各地に自生し、薬 用とするカナムダラ(Humulus japonicus Sieb. et Zuc )と、米国で栽培されており同 様に使用される Humulus americanus Nutt.とがある。
[0034] 受精前の雌花穂を収穫し、乾燥したものをホップという力 エーテルやベンゼン等 の有機溶剤で溶剤抽出をすると、ワックス状の固体であるホップコンクリートが得られ る。コンクリートをアルコールで抽出し、アルコールを減圧蒸留により回収して得られ る残部をホップアブソリュートと 、う。
[0035] また、ホップを水蒸気蒸留することによってホップ油が得られる。成分としては、 a酸
(フムロン類)、 j8酸 (ルブロン酸)となるソフトレジンがホップの有効成分である。香気 成分としては、ミルセン(50%)、フムレン(15〜25%)、カリオフィレン、フアルネセン、 リナロール、ゲラ-オール、ミルセノールおよびそのエステル類、メチルノ-ルケトン、 ルパロール、ルパレノール等が含まれる。
[0036] サンダルウッド油は、東インド、南インド、マレー、セレべス等を原産地とするギヤク ダン科のビヤクダンの材、根部を水蒸気蒸留して得られる精油である。成分としては、 a サンタロール、 β サンタロール(特有成分、 90%)、サンタレン、サンテノン、サ
ンテノール、テレサンタロール、サンタロン等が含まれる。
[0037] シネオール系ユーカリ油は、タスマニア原産で、北米、メキシコ、アフリカ、および南 部スペインなどを主産地とするシネオール系ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill.)の 葉を水蒸気蒸留して得ることができ、成分としては、シネオール (70〜80%)、 aーピ ネン、カンフェン、ピノカルべオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルべノン、カル ボン、オイデスモール、および C〜Cの脂肪族アルデヒドなどが含まれる。
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[0038] ローズマリー油は、スペイン、ユーゴスラビア、チュニジア、フランス、イタリアなどを 産地とするマンネンロウ (Rosmarinus officinalis L.)の花、葉または全草の水蒸気蒸留 によって得られる。成分としては、ボルネオール、酢酸ボル-ル、カンファー、シネオ ール、その他のテルペン化合物などが含まれる。
[0039] 上述したホップ油、サンダルウッド油、シネオール系ユーカリ油、及びローズマリー 油等の精油は、小川香料 (株)をはじめとする香料メーカー力も市販されているものを 使用してちょい。
[0040] 1 メントール(5—メチルー 2—(1ーメチルェチル)シクロへキサノール)は、通常、 メントール (ハツ力脳)といわれるものである。化学的には 12種類の異性体があるが、 ノ、ッカ特有の冷涼な香味を有しているものは、天然及び合成の 1—メントールである。 1 メントールは、無色柱状又は針状の結晶で、エタノールには可溶である力 水に は難溶である。室温で徐々に昇華する。
[0041] 天然物を得るには、ハツ力油を冷却し、析出する結晶を遠心分離してハツ力脳を得 る。合成品は、シトロネラ油を分留して得られる d—シトロネラールを 1—イソプレゴール とし、水素添加して得ることができる。また、ピネン力も得られるミルセンを原料とし、特 殊は触媒によって光学活性はシトロネラールを製造し、光学分割を行うことなくメント ールを不斉合成する方法や、チモールに水素添加して得られるメントール混合物か ら、光学分害 IJ〖こよっても得ることができる。
[0042] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する精油吸着材とは、上述した酢 酸ゲラ -ル系ユーカリ油の吸着担体となるものをいい、ケン化価が 98. 0〜98. 5の ポリビュルアルコール (PVA)系親水性榭脂であることが好まし 、。ケン化価が 98.0 未満では担体表面がゲル化し、吸着担体としての機能を失うが、ケン化価が 98.0〜
98.5であればゲルィ匕せずに安定した吸着担体としての機能を維持できることによる。
[0043] 具体的には、信越ポバール C—17GPゃポバール (A) (信越ィ匕学工業 (株)製)など を挙げることができ、信越ポバール C— 17GPまたはポバール (A)を使用することが好 ましい。
[0044] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する遊離水分除去剤とは、適用し た部位の皮膚表面に存在する水分を除去するものを 、 、、アクリル系親水性樹脂で あることが好ましい。こうしたアクリル系親水性榭脂は吸水能の高いものが多ぐまた、 後述する組成物製造の際に熱をかけたときに接着性がよいことによる。
[0045] こうしたアクリル系吸水榭脂は、適用部位に製剤を適用している間に、適用部位の 皮膚表面で生じる水分を十分に吸収できるものであればよぐその吸水容量は、乾燥 榭脂体積の 400〜800倍にあるものが好ましい。 400倍未満では、吸水しきれない 場合があり、 800倍を越える吸水能は必要でないことによる。具体的には、サンフレツ シュ (三洋化成工業 (株) )やアクアキープ (登録商標、住友精化 (株)製)などを挙げ ることができる。球状粒子であるアクアキープよりも、破砕状のサンフレッシュの方が 接着性が良いことから、サンフレッシュを使用することが好ましい。
[0046] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する精油脱着調節剤とは、上述し た各精油を吸着して表面に膜が形成された精油吸着材の表面を覆い、吸着された 精油組成物の脱着を調節する多孔性炭素物質をいう。具体的には、種々の分子を 吸着する各種の活性炭を挙げることができる。表面積が 200〜1, OOOm2Zgの活性 炭を使用すると、活性炭に吸着される精油量が少なくなり脱着がされやすいことから 好ましぐ 400〜800m2Zgのものを使用することがさらに好ましい。
[0047] この範囲の表面積を有する活性炭であれば、各種の市販品を使用することができ、 具体的には、白鷺 P (武田薬品工業 (株))などを挙げることができる。吸着面積が小さ いこと、およびコストの面から、白鷺 Pを使用することが好ましい。
[0048] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する発熱剤は、空気中の水分を吸 着して吸着熱を出す物質をいう。このときに発生する熱エネルギーを利用して、吸着 担体に吸着された精油組成物の脱着が行われる。具体的には、ゼォライトを挙げるこ とがでさる。
[0049] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する発熱剤であるゼォライトは、金 属を含まない人工ゼォライトで、孔径が 0. l〜0.8nmのものを用いることが精油の脱 着能のためのエネルギーを供給する上で好ましぐ 0. 3〜0. 4nmのものを用いるこ とがさらに好ましい。このような孔径のゼオライトであれば市販品を使用することができ 、具体的には、ゼオラム (東ソ一 (株))等を挙げることができる。
[0050] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する前記熱伝導防止剤とは、上記 の遊離水分吸着剤に吸着された遊離水分によって急激に発生する熱の伝導を防止 することができる化合物をいう。具体的には、キトサン、セルロースその他の多糖類ィ匕 合物を挙げることができる。
[0051] キトサンを使用すると、製剤中に色素を含有する場合には、キトサンをこうした色素 の担体とすることができるという利点がある。キトサンに代えて、上述のような熱の伝導 を防止するために、セルロース等を使用することもできる。
[0052] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用する吸収促進剤とは、この製剤中 の精油の吸収を促進するように作用するモノテルペンィ匕合物をいう。具体的には、 L —メントール等を挙げることができ、市販品を使用してもよい。これらのうち、 L—メント ールを使用すると、皮膚表面に存在する残存遊離水分を気化させて除き、皮膚を乾 燥させて精油が吸収されやすい環境がつくられるという利点がある。
[0053] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤において使用するシート形成用基剤とは、上記 の睡眠誘発剤用組成物をシート状にする基剤となるものをいい、ケン化価が約 88. 0 である熱可塑性榭脂であることが好ましい。本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤は、熱 をかけてシート状に形成する必要がある。このとき、上述した炭素被覆粒子から酢酸 ゲラ -ル系ユーカリ油を必要以上に放散させることなぐ約 180°C程度の低温で榭脂 間の隙間を塞ぐことなく接着するシートを形成できるものを使用することが好ましい。
[0054] 具体的には、ゴーセラン L 0301 (登録商標、日本合成化学 (株))などを使用する ことが、約 180°C前後と!/、う低温における接着性が良 、ことから好ま 、。
[0055] 本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤は、上述のようにして製造した各精油被覆粒子を 混合した後に、これらの炭素被覆粒子と日本薬局方に規定される基剤のうち、軟膏 及び坐剤の基剤として使用される疎水性の油脂性基剤、又は軟膏剤の基剤として用
いられ、極めて水に溶け易い水溶性基剤とを用いて、硬膏剤とすることもできる。
[0056] 油脂性基剤としては、豚脂、牛脂、脂肪油、炭化水素、高級アルコール、高級脂肪 酸、高級脂肪酸エステル、グリコール類、植物油、動物油等を挙げることができる。
[0057] これらのうち、炭化水素としては、例えば、種々の炭化水素の混合物である流動パ ラフィン、分枝状パラフィン (商品名ァイソパー、ェクソン モービル (社)製、登録商標 )、固形パラフィン、白色ワセリンなどを挙げることができる。
[0058] また、高級脂肪酸としては、例えば、カブロン酸、ェナント酸、力プリル酸、ペラルゴ ン酸、ゥンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミ チン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ォレイン酸などを挙げることができる。
[0059] 高級脂肪酸エステルとしては、例えば、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステア リル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン酸セリルなどの脂肪酸エステル、ラノリン、後 述する各種のろう、グリセリルラウレート、グリセリルモノミリスチレート、グリセリルモノォ レエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジミリスチレ一 ト、グリセリルジステアレート、グリセリルトリラウレート、グリセリルトリミリスチレート、ダリ セリルトリステアレートなどを挙げることができる。
[0060] 脂肪油としては、ダイズ油、ツバキ油、ナタネ油、ラッカセィ油、ゴマ油、サフラワー 油等の植物油、ミンク油、卵黄油、スクヮラン、ラノリン、魚油、鯨油、および肝油など の動物油を挙げることができ、これらの脂肪油に水素を添加した硬化油も含まれる。
[0061] ろうとしては、カルナウパロウ、ミツロウ、サラシミツロウなどを挙げることができる。ヮ セリンとしては、黄色ワセリン、白色ワセリン等を挙げることができる。
これらの基剤のうち、ほとんどすべての薬物を変化させることなく配合することができ る白色ワセリンを好適に使用することができ、 日本薬局方の記載に従ってサラシミッロ ゥとセスキォレイン酸ソルビタンと白色ワセリンを配合することにより、白色軟膏を調製 し、これに適宜吸収促進剤を加えて硬膏剤とすることができる。
[0062] また、水溶性基剤としては、カルボキシビュルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロー ス(以下、「HPC」ともいう)、マクロゴール、メチルセルロースなどを挙げることができる 。市販品であるハイビスヮコー (登録商標、和光純薬工業 (株)製)を使用してもよぐ ポリェチエレングリコール 400とポリェチエレングリコール 4000を半量ずつ加えてマ
クロゴール軟膏とし、これを水溶性の軟膏基剤として用いてもよぐプロピレングリコー ルなどとの相溶性に優れる HPCを用いることもできる。
[0063] なお、酸性の基剤用水溶性高分子を使用した場合には、少なくとも、ジイソプロピル エタノールァミンとアジピン酸ジイソプロピルとを中和剤として、適宜添加すると皮膚 に対する刺激を抑制することができる。
[0064] 本発明の主剤は、脂溶性の植物精油であるため、油脂性の基剤とを組み合わせる 場合には、必要に応じて、例えば、 1 メントール又はリモネンなどを好適に使用する ことができる。水溶性基剤と組み合わせる場合には、特に吸収促進剤を加える必要 はな 、が、メントールを上述した量で用いることもできる。
[0065] 本発明の経皮吸収製型睡眠誘発剤は、上記の精油と、上記の精油吸着材と、遊離 水分除去剤と、精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シー ト形成用基剤とを以下のように混合して製造することができる。以下に、製造方法に ついて説明する。
[0066] まず、精油を所定量秤量する。っ 、で秤量した精油を PVAと混合し、 PVAの表面 に精油によって表面膜を形成させる。ここに、所定量の上述した活性炭を加えて精油 膜の表面を覆い、炭素被覆粒子 Aを形成する。
[0067] つ!、で、メントールを秤量する。メントールは固体であるため、これを粒子 Bとする。
[0068] これら 2種類の粒子 Aと Bとを混合し、さらに上記の熱伝導防止剤、シート形成用基 剤等と混合、攪拌して、均一な混合物とする。ついで、この混合物を圧着用シートの 上にのせ、さらに別の圧着用シートをその上に載せ、熱をかけてシート状の本発明の 経皮吸収型睡眠誘発剤用組成物を製造する。
[0069] 圧着用シートで上記の混合物を挟み、熱をかけるに際しては、約 160〜200°C、好 ましくは約 180°Cで行うことが好ましい。この範囲の温度で熱圧着を行うと、シート形 成用基剤である榭脂間の隙間が残った状態となるので、炭素被覆粒子から放散され る精油の分子はこうした隙間を通って適用部位力も経皮吸収される。一方、約 230°C 以上という高温で接着すると、榭脂が溶融して榭脂間の隙間が塞がれてしまうため、 上述の精油の分子は組成物外へ放散されなくなるためである。
[0070] 圧着用シートとしては、化繊紙 (坪量 18〜20g)を使用することが好ましぐ化繊紙
を使用すると上述した炭素被覆粒子の圧着率力 いという利点がある。
[0071] このシートを、例えば、適当な大きさに裁断した不織布等の 2枚のシート状素材では さみ、これらシート状素材の 4辺をヒートシールし、本発明の経皮吸収型睡眠誘発剤 1ピースを調製する。
[0072] また、上記のシート状素材は、紙、織布または不織布力もなる群力も選ばれるもの であることが好ましぐ上記の経皮吸収型睡眠誘発剤用組成物に含まれる精油成分 が気体分子として放散され、シート形成基剤粒子の隙間を通ってきたときに、これら が透過しやすいものである点で、不織布であることがさらに好ましい。
[0073] 硬膏剤の場合は、以下のようにして製造する。まず、精油を所定量秤量し、っ、で 秤量した精油を PVAと混合し、 PVAの表面に精油によって表面膜を形成させる。こ こに、所定量の上述した活性炭を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子 Aを形 成する。ついで、メントールを秤量し、粒子 Bとする。
[0074] これら 2種類の粒子 Aと Bとを混合し、これらの混合物を上述した油脂性基剤、又は 水溶性基剤と混合し、紙又はプラスチックフィルム等に延ばして製造することができる
[0075] 以上のようにして、本発明の睡眠誘発剤用組成物及び睡眠誘発剤を製造すること ができる。
実施例
[0076] 以下に、本発明を実施例に従って具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例 に何ら限定されるものではな 、。
[0077] (実施例 1)
(1)試薬
本発明の経皮吸収製型睡眠誘発剤用組成物、経皮吸収型睡眠誘発剤、対照製剤 、及びプラセボの製造には、以下の試薬を使用した。
(1 1)精油
酢酸ゲラニル系ユーカリ油及び L—メントールは、小川香料 (株)より購入した。また 、ホップ油、サンダルウッド油、シネオール系ユーカリ油、及びローズマリー油も小川 香料 (株)より購入した。
[0078] (1 2)その他
PVAとしては、信越ポバール C— 17GPを信越ィ匕学 (株)より、また、ゴーセラン L— 3031を日本合成化学 (株)よりそれぞれ購入した。アクリル系吸水榭脂としてサンフ レッシュ (登録商標)を三洋化成工業 (株)より購入した。活性炭として白鷺 Pを武田薬 品工業 (株)より、また、ゼォライトとしてゼオラム (登録商標)を東ソー (株)から購入し た。キトサンとしてはコーョ一キトサンを甲陽ケミカル (株)よりそれぞれ購入した。
[0079] 化繊紙は、日本板紙大昭和 (株)より購入し、不織布は日清紡 (株)より購入した。
[0080] (実施例 2)経皮吸収型睡眠誘発剤用組成物及び経皮吸収型睡眠誘発剤の製造
(2— 1)炭素被覆粒子の製造
炭素被覆粒子は、下記表 1に示す処方に従って調製した。なお、本発明の医薬用 組製剤 (製剤名: SD— A、 SD— B、 SD— C、及び SD— K)の製造に当たっては、表 1に示した使用量で調整した各炭素被覆粒子 1. lgが 1ピース当たりに含まれるように 調製した。
[0081] [表 1] rtj¾t f请鲁 ( mo\ \ 灰素被覆粒子
¾ W 、H¾ lllgノノ
1 2 3 4 製剤番号 SD- A SD-B SD-C SD-K ホップ油 1, 500
酢酸ゲラニル系ュ一力リ油 1, 00
サンダルゥッド油 L 500 シネオ一ル系ュ一力リ油 1, 500
ラベンダー Mi
P V A (信越ポバール) 100 100 100 100
活性炭 2, 000 2, 000 2, 000 2, 000 a RT 3, 600 3, 600 3, 600 3, 600
[0082] SD— Bの場合を例に挙げると、酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油を上記表 1に示す量で 秤量し、 500mLの透明のガラス密閉容器中において、 PVA (信越ポバール C— 17 GP)と室温で混合して、 PVAの表面を酢酸ゲラニル系ユーカリ油で被覆し、精油被 覆粒子を形成させた。次いで、この容器中に上記表 1に示す量の活性炭を加えて混 合し、炭素被覆粒子を形成させた。調製した炭素被覆粒子は、気密性の高い容器、 例えば、蓋のっ 、たすり付きガラス容器に入れて室温で保存した。
[0083] (2- 2)経皮吸収型抗睡眠誘発剤用組成物の製造
上記 (2— 1)で調製した 4種類の炭素被覆粒子を、表 2に示す量の基剤と混合して 経皮吸収型抗睡眠誘発剤用組成物を製造した。
[0084] [表 2]
[0085] これらの基剤成分と、上記炭素被覆粒子とを以下のようにして混合した。
まず、サンフレッシュ (三洋化成工業 (株)製)、ゼオラム (ゼオライト、東ソー (株)製) 、 L-メントール (小川香料 (株)製)、甲陽キトサン(甲陽ケミカル (株)製)をこの順番で 1種類ずつ混合して攪拌し、基剤を調製した。
ついで、上記(2—1)で調製した炭素被覆粒子 1〜3を、表 2に示す量で秤量し、上 記の基剤と混合し、さらに表 2に示す甲陽キトサン、白鷺 P及びゴーセランと混合した 。なお、後述する熱圧着の際の精油のロス率は 15%として計算している。
[0086] ここで、上記の基剤と主剤となる炭素被覆粒子との混合物を圧着用シートの上に均 一の厚さになるように広げ、その上にさらに別の圧着用シートのせた。これを熱圧着し 、シート状の抗睡眠誘発剤用組成物を得た。このシート状の抗睡眠誘発剤用組成物 を、例えば、適当な大きさに裁断し、同様に適当な大きさに裁断した不織布等のシー ト状素材によってはさみ、このシート状素材の 4辺をヒートシールし、本発明の経皮吸 収型抗睡眠誘発剤を調製した。各処方を、番号順に、 SD—A、 SD-B、 SD-C, S D— Kと命名した。
[0087] プラセボは、上記の酢酸ゲラニル系ユーカリ油に代えて、黒色上質紙を使用した以 外は、上記と同様にして製造した。
[0088] (実施例 3)各精油成分含有経皮吸収製剤による睡眠誘発作用の評価
各精油成分含有経皮吸収製剤による睡眠誘発作用の評価は、ペントバルビタール 誘発正向反射消失作用の持続時間を指標として検討した。
(3— 1)試験動物等
試験動物は、 5週齢の ICR系マウスを (株)東京実験動物より購入した。 1週間の順 ィ匕飼育を行った後、 1群 10匹として使用した。ベントバルピタールは、大日本製薬 (株 )より購入した。
[0089] (3— 2)試験方法及び効果
マウスにペントバルビタールを投与した際に誘発される正向反射消失作用(LORR )の持続時間を計測し、睡眠時間として評価した。
試験前日に、マウスをペントバルビタール(70mg/kg, i. p.)により麻酔し、上記実施 例 2で製造した被験薬の貼付部位を確保するために、背部を剃毛した。
試験は、室温を 24°Cに維持した個室で、 9時〜 15時の間に行った。
試験当日に、各製剤を貼付し、その 3時間後に、マウスにペントバルビタール (50mg /kg, i.v.)を投与し、正向反射が消失したマウスを V字台の上に仰向けに置いた。 正向反射の評価は、マウスが V字台の上で 30秒以内に 3回起き上がったときに、正 向反射を回復したものとした。マウスの麻酔後、正向反射が消失してから回復するま での時間を正向反射消失作用の持続時間とした。
[0090] 上述した表に示す SD—A、 SD— B、 SD— C、 SD—K及びプラセボを、マウスの剃 毛した背部に貼付し、正向反射消失作用を検討した。プラセボは、上記の各精油に 代えて、黒色上質紙とした以外は、上記の製剤と同様にして製造した。
[0091] 上記各製剤及びプラセボを貼付した結果を図 1に示す。図 1に示すように、 SD-B
(酢酸ゲラニル系ユーカリ油使用)で有意な睡眠延長作用が観察された (図 1中に、 *で示す。 p< 0. 05)。これによつて、酢酸ゲラニル系ユーカリ油に睡眠誘発効果が あることが示された。
[0092] (3— 3) SD— Bの用量と睡眠誘発効果の関係
上記(3— 2)で示したように、酢酸ゲラニル系ユーカリ油を使用した製剤にお!、ては 、有意な睡眠誘発作用が見られた。このため、酢酸ゲラニル系ユーカリ油の使用量を 1/2量、等量、 2倍量にそれぞれ変えて、睡眠延長作用との関係を調べた。これらの
量の酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油を含む製剤を、それぞれ、 SD-B1/2, SD— B1及 び SD— B2と命名した。
[0093] SD-B1/2, SD— B1及び SD— B2のシートの大きさは、それぞれ 2cm X 2cmの 大きさとした。 1ピース当たりの酢酸ゲラ -ル系ユーカリ油の量は、 SD—B1Z2で 0.5 5mg、 SD—Blではl.lmg、 SD— B2では 2.2mgであった。
マウス試験用は、それぞれ 2cm X 2cmを 2等分にし、 0.275mg、 0.55mg、 l.lmgとし た。
[0094] 上記(3— 2)と同様に、ペントバルビタールを投与したマウスの剃毛した背部に、 S
D-B1/2, 30— 81及び30— 2を貼付し、マウスの正向反射消失時間の延長を 観察した。結果を図 2に示す。
[0095] SD B1Z2ではプラセボ群に対して、有意な正向反射消失時間の延長は認めら れなかった(図 2中に、 *で示す。 p< 0. 05。)が、 SD— B1及び SD— B2では用量 依存的に有意な正向反射消失時間の延長が認められた。
[0096] (実施例 4) SD— Bの皮膚一次刺激性試験
GLP省令としては「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する 省令 (平成 9年 3月 26日厚生労働省令第 21号)を準用した。また、ガイドラインとしては
、化粧品 ·医薬部外品製造申請ガイドブック第 4版及びィヒ粧品の安全性に関する指 針 2001に準拠して行った。
[0097] (4 1)試験動物等
(1)試験動物
日本白色種ゥサギ、コンベンショナルの雄 3匹(2.16〜2.36kg、 11週齢)を、(株)埼 玉実験動物供給所から購入した。これらのゥサギは、入荷後 7日間の馴化飼育を行 つた後に、試験に供した。
[0098] (2)被験物質
製剤としては、上述した SD— Bを使用した。対照には、本発明の組成物を含有しな V、点以外は、 SD Bと同様にして製造した Contを使用した。
[0099] (3— 2)試験方法及び効果
(1)被験部位の形成
ゥサギの左右背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 600 OAD,大東電気工業 (株)製)にて除毛した。一方をそのまま健常皮膚とし、他方を 18G の注射針で真皮までは傷つけないように角層を井型状に擦傷して、 3箇所を損傷皮 膚として形成した。
[0100] (2)被験物質の投与方法
上述したように製造した SD— Bと Contとは、被験部位にそれぞれ直接貼付し、無 浸透性絆創膏 (プレンダーム (登録商標)、スリーェム社製)を用いて、 24時間、閉塞 貼付とした。
[0101] また、密着性を向上させるため、プレンダームの外側を、粘着性スポンジ絆創膏 (商 品名:マイクロフォーム、スリーェム社製)と伸縮性絆創膏 (商品名:シルキーテックス 、アルケア (株)製)で固定した。
[0102] (3)刺激の強さの判定方法及び基準
貼付後、 1時間、 24時間、 48時間の 3時点において、紅斑、痂皮及び浮腫の形成を 判断した。この判断は、下記表 3に示すドレーズ (Draize)の判定に基準に従って行つ た。
[0103] [表 3] 判定 紅斑と痂皮形成 浮腫形成
0 紅斑なし 浮腫なし
1 ごく軽度の紅斑 ごく軽度の浮腫
(かすかに認められる程度) (かすかに認めらる程度)
2■·■'—' 明らかな 斑 ^の (周 ωと mらかに κ分 能)
3 中等度から強い紅斑 中等度の浮腫
( 1職程度盛り上がつている)
4 深紅色の強い紅斑に軽い痂皮 強い浮腫
形成 (傷害は深部に及ぶ) ( 1腿以上盛り上がり、 周 Ηにも広がる)
[0104] 以上の判断基準に基づき、貼付 1時間後、及び 48時間後の両時点における、健常 皮膚及び損傷皮膚での紅斑及び痂皮の形成、並びに浮腫の形成を判定した。反応 強度を点数ィ匕し、その平均を一次刺激インデックス (Ρ丄 I.)とした。
一次刺激性は、 Ρ丄 I.が下記表 4のどの評点となるかによつて判断した。
[0105] [表 4]
評点 評価区分
0 無刺激物
0 <P. I, I.ぐ 2 弱い刺激物
2 <P. I. I. < 5 中等度刺激物
強い刺激物
[0106] (4)判定結果 A
以上のようにして判定した一次刺激インデックスを表 5に、個体別の刺激性の評点 を表 6に示す。また、貼付した被験物質を除去した 1時間後の皮膚反応を撮影した写 真を図 3A及び図 3Bに示す。
[0107] [表 5]
P. I. I.
[0108] [表 6] 動物 健常皮膚 損傷皮膚
判定項目
No ihr 24hr 48hr lhr 24hr 48hr 紅斑 ·痂皮 0 0 0 0 0 0
1
浮腫 0 0 0 0 0 0 紅斑 ·痂皮 0 0 0 0 0 0
2
浮腫 0 0 0 0 0 0 紅 ¾ · 0 0 0 0 0 0
3
ri1" 0 0 0 0 0 0
[0109] 表 5に示すように、被験製剤では健常皮膚、損傷皮膚のいずれに貼付した場合で あっても、貼付後 48時間までの間に、紅斑 '痂皮は全く見られず、浮腫も見られなか つた o
[0110] また、各個体別にも貼付後の経時変化を観察したが、 1時間、 24時間、 48時間のい
ずれの時点でも、変化は認められず、紅斑'痂皮,浮腫ともに見られなカゝつた。
[0111] (実施例 5) SD— Bのラットにおける 21日間反復投与経皮毒性試験
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成 9年 3月 26 日厚生労働省令第 21号)、医薬品の製造 (輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイ ドラインについて (平成元年 9月 11日薬審 1第 24号)、化粧品'医薬部外品製造申請 ガイドブック第 4版及びィ匕粧品の安全性に関する指針 2001、及び OECD化学品テスト (TG410、 1981年 5月 12日採択)を準用して行った。
[0112] (4 1)試験動物等
(1)試験動物
日本エスエルシー(株)より、 S1 Wister系の SPFラット(8週齢)、雄雌 16匹を購入し、 入荷後 6日間のの馴化飼育を行った後、試験に供した。入手時の体重は、雄が 170 〜188g、雌が 120〜139gであった。また、投与開始時の体重は、対照群を除いて、雄 力 214〜229g、雌が 145〜163gであった。
雌雄別に 1ケージ当り 2〜3匹を収容し、水(水道水)と飼料(固形飼料 MF、オリエン タル酵母工業 (株)製)は、自由に摂取させた。
[0113] (2)被験物質
製剤としては、上述した SD— Bを使用した。対照には、シート状の本発明の組成物 を含有しない点以外は、 SD—Bと同様にして製造した Contを使用した。
上記のラットを、雌雄別に対照群 (n= 5)と被験物質投与群 (n= 5)とに分け、下記 のようにして経皮投与を 21日間行った。
[0114] (3)試験方法
( 1)被験部位の形成及び被験物質の投与
ラットの背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 6000AD, 大東電気工業 (株)製)にて除毛し、その後 2〜3日おきに除毛した。
被験物質は投与部位に直接貼付し、粘着性包帯 (デルマボア:アルケア (株)製)を 用いて、 24時間閉塞貼付を行った。 Contについても、同様に投与部位に直接貼付 し、デルマボアで 24時間閉塞貼付を行った。
[0115] (2)検査項目
上記のように 21日間被験物質を投与した投与群と対照群について、(A)体重測定 、(B)摂食量測定、(C)病理学的検査、(D)血液学的検査、凝固時間検査、及び生 化学的検査を行った。
[0116] (A)体重測定
体重は、全例について、投与開始日と、その後週 2回、電子天秤 (PB3001、メトラー •トレド (株)製)を用いて午前中(8: 30〜10: 06)に測定した。
[0117] (B)摂食量測定
摂食量は、全ケージについて、週 1回、電子天秤 (PB3001、メトラー 'トレド (株)製) を用いて午前中(9: 19〜10: 06)に測定した。
[0118] (C)病理学的検査
ラットは、最終投与日の翌日(16時間絶食後)に、ペントバルビタールナトリウム (ダ イナボット (株)製、 30mg/kg、 i.p.)による、麻酔下で放血死させた。
この後、全例について、体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔とその内容の観察を肉 眼で行った。また、肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を摘出し、上記の電子天秤にて秤量 した。これらのうち、副腎、卵巣、精巣については左右を一括して秤量した。
病理組織学的検査は、全例について、摘出した肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を、常 法に従ってパラフィン包埋して切片を作製し、へマトェォシン (H · E)染色を行って鏡 検した。
[0119] (D)血液学的検査、凝固時間検査、及び生化学的検査
上記 (C)の放血の際に、血液学的検査用及び生化学的検査用に採血を行った。 上記のベントバルピタール麻酔下に開腹し、シリコンチューブ付採血針を腹大動脈 へ挿入し、自然流出により採血し、表 7〜8に示す項目について検査を行った。
[0120] [表 7]
検査項目 略 称 検査方法 赤血球数 RBC DC検出法
血色素量 Hgb SLSヘモグロビン法 へマ卜クリット値 Hct 赤血球パルス波高値検出法 平均赤血球容積 MCV 計算法
平均赤血球色素濃度 MCHC 計算法
血小板 p t DC検出法
白血球数 WBC DC検出法
網状赤血球 Ret i Brec er法
白血球百分率 ライ 卜一ギムザ染色法 プロ卜ロンビン時間 PT 粘度変化感知方式 活性化部分トロンボプラスチン時間 APTT 粘度感知方式
[0121] [表 8] 検査項目 : 略 称 検査方法
総ビリルビン T-B i l ;酵素法
GOT : JSCC对応法
GPT JSC 対応法
r ^ GTP IFCC対応法
コリンエステラーゼ CM BTC 'DTNB法
ALP p-二卜口フエ二ルリン酸基質法 総夕ンパク TP ■ B iure t法
A/G比 H† tj
アルブミン Alb BCG法
グロプリン Gib S† -ΰ
総コレステロール T-cho CH0/DA0S法
トリグリセライド TG GP0/P0D法
血糖 Gl u へキソキナーゼ * G-6-PDF法 尿素窒素 BUN Urease- GLDH法
クレアチニン Crea 酵素法
ナトリウム Na 電極法
力リゥム K 電極法
塩素 CI 電極法
カルシウム Ca 0-CPC法
無機リン IP 酵素法
[0122] (4)結果
(A)体重測定
被験物質投与群及び対照群の体重の変化を、雌雄別に図 4A及び図 4Bに示す。 性別に関係なぐ投与群における体重の減少は認められな力つた。また、表 9に示す ように、 21日間の試験期間中、いずれの群においても、一般状態の変化も認められ 一投対投
なかった。 与照与一
[0123] [表 9] 一 性別 群別 動物数 症状 一般状態 (東予語日数)
ト 6 ?〜 13 14〜2 ] 対 異異異異ー
常常 ¾ ¾™
なななな
雌
*表中の数字は、 異常が認められなかった動物の数を示す。
[0124] (B)摂食量測定
結果を雌雄に分けて、図 5に示す。図 5A及び図 5Bに示すように、被験物質投与群 の摂食量は、対照群に比べても低下は認められな力つた。
[0125] (C)病理学的検査
対照群及び被験物質投与群の体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔とその内容の観 察結果を、表 10に示す。
[0126] [表 10] 群 別
観察項目 所見 雄 雌
対照 被験物質 対照 被験物質 外観 異常なし 5/5 δ/5 5/5 5/5 頭蓋腔内 異常なし 5/5 5/5 5/5 5/5
胸腔内 異常なし 5/5 5/5 5/5 5/5 腹腔内 異常なし 5/5 5/5 5/5 5/5 リンパ節 異常なし 5/5 5/5 5/5 5/5
*表中の数字は、 異常が認められなかった動物の数を示す。
[0127] 表 10に示すように、体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔及びリンパ節を肉眼で観察 した結果、異常は認められなカゝつた。
[0128] 次に、対照群と被験物質投与群の各動物から、肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を摘 出して肉眼で変化を観察するとともに、上記の電子天秤にて秤量し、重量の変化を
調べた。結果を表 11及び表 12に示す。
[0129] [表 11] 群 别
所見 雄 雌
対照 被験 ¾質 対照 被験物質 肝 著変なし 3/5 4/5 5/5 5/5 小内芽巣 + 2/5 1/5 0/5 0/S 罾 著変なし 0/5 0/5 5/5 5/5 近位尿細管上皮内 + 5/5 5/5 0/5 0/5 の好酸性小体
好塩基性尿細管 土 5/2 0/5 0/5 0/5
+ 1/5 0/5 0/5 0/5 副 腎 著変なし 5/5 5Λ 5/5 5/5 精 巣 著変なし 5/5 5/5 ― ― 卵 巣 著変なし ― ― 5/5 5/5
[0130] [表 12] 群 別
雄 雌
対 照 被験物質 对 照 被験物質
6.612±0.706 6.800 ±0.763 4.394 ±0.157 4.318±0.242 肝
(100.0} (102.8} (100.0) (98.3)
1.792±0.137 ■Ϊ.736 ±0: 763 1.246±0.017 1.218土 0.025
(100.0) (96.9) (100.0) (97.7)
38.6 土 1.9 39.2 ±2.4 50.8 ±0.4 51.6 土 2.1 副 腎
(100.0) (101.5) (100.0) (101.6)
2.674±0.079 2.690±0.120 ― 一
相 ^
(100.0) {100.6) ―
― ― 54.2 ±3.4 56.6 土 2.9 卵 巣 ― ― (100.0) (104.4)
[0131] 表 11に示すように、被験物質投与群に対照群と比較して病的な変化を示したもの は、雌雄いずれにおいても認められな力つた。また、表 12に示すように、摘出した肝、 腎、副腎、卵巣又は精巣の重量に、有意な変化は認められな力つた。
[0132] 対照群及び被験物質投与群の血液学的検査及び生化学的検査の結果を、雌雄 別に表 13〜16に示す。
[0133] [表 13]
雄 用 量
対 照 SD B
動物数 ( 5 ) ( 5 )
RBC (X 104/ ill) 934.6 土 36. 2 934.8 土 52.9
Hgb (g 1 dL) 16.66 士 0. 83 16.42 土 0.64
Hct < ¾ ) 48.90 士 2. 25 48.82 土 2.64
MCV ( fL ) 52.30 土 0. 45 52.22 土 0.34
MCH ( pg ) 17.82 土 0. 22 17.60 士 0.33
MCHC ( % ) 34.06 土 0. 40 33.64 土 0, 61
PLT (X104 / ul) 9462 士 5. 35 93.16 土 15.94
WBC (X30z / ul) 56.6 土 14. 2 49.2 土
11.0
STAB ( % ) 0.0 土 0. 0 0.0 土 0.0
SEG ( % ) 27.2 土 5. 8 25.6 土 7.2
LYMPH ( 1 ) 72.8 士 5. 8 ?4.4 土 7.2
MONO ( % ) 0, 0 士 0. 0 0.0 土 0.0
BASO ( % ) 0, 0 土 0. 0 0.0 土 0.0
EOSINO ( % ) 0.0 土 0. 0 0.0 土 0.0
Reti (¾, } 18.0 士 2. 4 21.0 土 3.1
PT (sec) 16.78 土 1. 16 16.50 土 0.92
APTT (sec) 13.74 土 1. 21 13.68 土 0.9? 平均値 土 S. D. 14]
雌 用 量
対 BS SD-B
動物数 ( 5 ) ί 5 )
RBC (X104 / ill) 838.8 士 17.8 868.0 土 30.9
Hgb (g / dL) 15.46 土 0.22 15.98 土 0.61
Hct ( ¾ ) 44.64 士 1.00 46.22 土 1.98
MCV ( fL ) 53.20 士 0.20 53.24 土 0.50
MCH ( pg ) 18.42 土 0.18 18.40 土 0.19
MCilC ( % ) 34.64 士 0.38 34.60 土 0.50
PLT (xlO / n ) 土 4.69 85.92 土 3.66
WBC (X / ul) 4 39.2 土 8.7
; oo2.2 土 5.4
STAB ( % ) 0.0 土 0.0 0.0 土 0.0
SEG ( ¾ ) 25.6 土 3.0 22.8 土 2.6
LYMPH ( % ) 74.4 土 3.0 77.1 土 2.6
MONO ( % ) 0.0 土 0.0 0.0 士 0.0
BASO ( % ) 0.0 土 0.0 0.0 土 0.0
EOSINO ( % ) 0.0 土 0.0 0.0 土 0.0
Reti (%o ) 19.6 土 2.2 17.2 土 1.9
PT (sec) 16.10 土 0.89 15.18 土 0.29
APTT (sec) 11.82 土 0.43 12.32 土 0.73
平均値 士 S. D.
[0135] 表 13及び表 14に示すように、血液学的検査の結果、対照群と被験物質投与群の間 には、有意な差異は認められな力つた。
[0136] [表 15]
Ό 'S + 翳 gfafc
-0 + 'ί SS '0 0 •i ΠΡ / sra) ί\
81 ■0 99 '01 9 Ό QI ΌΪ (IP / sui) BO s •0 + 1 •10 ί ε Ί + 1 •901 (Ί 1 ί謹) 13
SI τ Π 1 s '0 8S 1 Π 1 阔
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雌 用 量
封 照 SD B
動物数 ( 5 ) ( 5 )
T-Bi l (nig /dl) 0. 072 土 0. 019 0. 064 士 0. 017
GOT (IU 1 L) 92. 0 土 6. 2 97. 4 土 2. 7
GPT (IU 1 LS 63. 4 土 6. 7 59. 6 土 4. 2 r -GTP (IU 1 L) 0. 6 土 0. 5 0. 4 土 0. 5
817. 8 土 78. 8 821. 4 士 105. 7
351. 0 土 35. 7 313. 8 土 32. 0
TP (g 1 dL) 5. 50 ± 0. 14 5. 54 士 0. 1 1
A / G 1. 570 士 0. 014 1. 504 土 0. 120
Al b (g 1 dL) 3. 36 土 0. 09 3. 34 土 0. 09
Gib (g / dL) 2. 14 0. 05 2. 20 土 0. 14
T-cho (mg / dL) 68. 6 土 4. 6 63. 6 土 8. 2
TG (ig 1 dL) 31. 土 5. 4 28. 0 土 9. 6
Glu img / dL) 146. 2 ± 13. 1 135. 0 土 20. 5
BUN (rag 1 dL) 29. 16 土 2. 17 28. 04 土 3. 15
Crea (mg / dl) 0. 30 土 0. 00 0. 30 士 0. 00
Na (mniol 1 L) 142. 6 0. 5 141. 8 土 1. I
K (丽 ol 1 L) 4. 20 士 0. 23 4. 32 土 0. 25
C I (隱 1 / L) 108. 6 土 0. 9 108. 2 土 1. 1
Ca (mg 1 dL) 10. 28 土 0. 15 10. 50 土 0. 25
IP (mg 1 dL) 7. 28 土 0. 56 7. 54 ± 0. 62 平均値 ± S. D.
[0138] 血液学的検査、生化学的検査のいずれにおいても、被験物質投与群において、対 照群と有意な差異は認められなかった。
したがって、本発明の睡眠誘発剤は、皮膚に対する刺激性も極めて低ぐまた、経 皮毒性も認められな力つたことから、安全性の高いものであることが実証された。 産業上の利用可能性
[0139] 以上より、本発明の睡眠誘発剤は、マウスの正向反射消失時間を指標としたときに 、睡眠延長作用を示し、不眠症の治療等、医薬の分野において有用である。