WO2006098297A1

WO2006098297A1 - 検体採取液容器

Info

Publication number: WO2006098297A1
Application number: PCT/JP2006/304954
Authority: WO
Inventors: Mitsuru Hasegawa; Toshinori Abe; Masakatsu Tomita; Tadashi Ohtani; Atsushi Ishikawa
Original assignee: Nipro Corporation
Priority date: 2005-03-14
Filing date: 2006-03-14
Publication date: 2006-09-21
Also published as: EP1867972A4; TW200643396A; AU2006223987A1; EP1867972A1

Abstract

　検査者のウイルスによる汚染や感染リスク、あるいは煩雑な作業性という欠点を解消した検体採取液容器を提供する。　上端及び下端が開口した筒状容器と、該筒状容器内に液密性の溶解液室を設けるために、筒状容器内に摺動自在に挿入されたストッパーと該筒状容器の上端に着脱自在に取り付けられるキャップとを有し、かつ、該筒状容器の下端に液密に取り付けられたアダプタを有する検体採取液容器であって、筒状容器は下端の内径がストッパーの外径よりも若干大きく、アダプタは、筒状容器の溶解液室を圧迫したときに押し下げられたストッパーを収容し、筒状容器の下端内壁とストッパーの外面との間に空隙が形成され、さらに、下端に滴下口を備えたことを特徴とする検体採取液容器である。

Description

明細書

検体採取液容器

技術分野

[0001] 本発明はウィルスなどの細菌検査のための検体採取液容器に関する。より詳しくはインフルエンザなどのウィルスを検出するための反応試薬容器へ滴下する検体採取液を調製するときに、検查者がウィルスによる汚染や感染におけるリスクを防止しうる構造を備えた検体採取液容器に関する。

背景技術

[0002] インフルエンザ等のウィルス抗原検査の 1つとして、近年、ベッドサイドで検査ができるインフルエンザ抗原検査キットが使用されてきている。さらに、該検出キットによりインフルエンザの A型 · Β型の判定も迅速に検出可能となってきている。このような検查キットは、一般にィムノクロマトグラフィー法、フロースルー法、 ΕΙΑ法などが利用されている。いずれの方法においても、予め患者から採取した検体から調製した検体採取液を反応試薬容器、例えば反応試薬カセットに滴下することにより実施される。具体的には、患者の鼻腔や咽頭から粘液を吸引装置により吸引する力、あるいは綿棒で拭い取った後に、溶解液にて溶解して検体採取液を調製し、反応試薬容器へ滴下する。

[0003] このような検体採取液を調製する容器としては、予め溶解液が充填されたキャップ付き容器のキャップを滴下口キャップに付け替えて滴下するものを挙げることが出来る（特開 2004— 109015号公報）。例えば、スクイズチューブ内に検体処理液をまず調製し、次いで検体を採取した綿棒を検体処理液に浸して検体を処理し、検体採取液を調製する。さらに、スクイズチューブに滴下口キャップ (滴下チップ)をはめ込み、スクイズチューブを反転させて、滴下口キャップ (滴下チップ)から反応試薬容器の検体滴下部へ試料を滴下する。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] 上記タイプの容器では、検体採取液容器をそのまま滴下用容器とすることができ、 1 滴目から検体毎のばらつきの少ない均一に抽出された液を反応試薬に滴下することができる。また、滴下口キャップ (滴下チップ）にフィルターを取り付けておけば、粘性の高い膿汁や固形物が含まれていても目詰まりすることがない。し力しながら、この場合、滴下口キャップ (滴下チップ）を取り付けるのに、検体採取液が周辺に飛び散るなどして付着した場合や滴下口キャップが小さい場合などには、検查者がウィルスに感染するリスクが著しく高まる。

[0005] また、滴下口に取り付ける専用のキャップがない場合には、滴下後の容器を廃棄する際に、廃棄容器内に検体採取液が拡がり、廃棄物処理の際にも感染のリスクが高まってしまう。さらには、滴下口キャップを検体の数だけ別途予め準備しておかなければならない等、煩雑な作業が伴う。そこで、本発明の課題は検査者のウィルスによる汚染や感染リスク、あるいは煩雑な作業性という欠点を解消した検体採取液容器を提供することにある。

[0006] 本発明の他の課題は、容器のスタンドラックからの取り出しを容易にした上記検体採取液容器を提供することにある。

[0007] また、本発明の別の課題は、試料液の調製を簡単に行うことができる上記検体採取液容器を提供することにある。

[0008] さらに、本発明の他の課題は、検体採取液の飛散を防ぐことができる上記検体採取液容器を提供する。

課題を解決するための手段

[0009] すなわち、本発明は、上端及び下端が開口した筒状容器と、該筒状容器内に液密性の溶解液室を設けるために、筒状容器内に摺動自在に挿入されたストッパーと該筒状容器の上端に着脱自在に取り付けられる開口用キャップとを有し、かつ、該筒状容器の下端に液密に取り付けられたアダプタを有する検体採取液容器であって、筒状容器は下端の内径がストッパーの外径よりも若干大きぐアダプタは筒状容器の溶解液室を圧迫したときに押し下げられたストッパーを収容し、筒状容器の下端内壁とストッパーの外面との間に空隙が形成され、さらに、下端に滴下口を備えたことを特徴とする検体採取液容器である。

[0010] また、本発明の検体採取液容器は滴下口に隣接して上方に高粘度液をトラップするためのフィルターが設けられている。さらに、本発明の検体採取液容器は滴下口に着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップが設けられてレ、る。

[0011] 本発明の検体採取液容器は摺動自在にストッパーを挿入し、さらに滴下口を有することにより反応試薬容器への滴下液を調製する際に、検査者がウィルスによる汚染や感染などのリスクを防止することが可能である。また、操作の煩雑さを低減させることも可能である。

[0012] 通常、このような検体採取液容器は、試験管立てのような紙製のスタンドラックに、立てた状態で並べられており、これが上方に開口する外箱（包装箱）に収納されている。これを操作者は、検查を行う際に、同容器のスタンドラックから露出した上方の側部をつまんで取り出している。

[0013] このとき、同容器は外箱内に複数本がパッキング良く収納されるように略近接した状態で規則正しく立てて並べられており、操作者は上方部をつまもうとしても容器の側部に指を挿し入れにくいという課題があった。これに対し、各メーカーでは、容器をスタンドラックに収納したときに側部に若干の余裕が出来るよう、スタンドラックの開口が容器胴部の外形より若干大きくなつているようにしたり、容器の側部に鍔を設けることで容器を浮き上がらせるようにスタンドラックに収納したりして、容器の整列に自由度を与える工夫がなされてレ、る。

[0014] し力ながら、検体を採取した後に検査精度を高めるために再びスタンドラックに容器を所定時間立てて置いたり、同じ容器で 2種以上の検査を実施するために、同容器を使用する場合や再検査待ちのために再びスタンドラックに容器を立てた場合などには、操作者の指が触れ易いキャップの下端付近に検体採取液や検体などの飛散、浸みだした液滴が残っている虞があり、操作者の感染のリスクが高くなるという問題があった。

[0015] また、検体試料を導入するために容器のキャップを着脱する際には、片手で容器の胴部をつまみ、片手でキャップの側方をつまんでおり、同じく操作者は感染のリスクを有していた。

[0016] そこで本発明者は、上記課題を解決するため種々鋭意検討を行った結果、上記筒状容器において、容器のスタンドラックからの取り出しを容易にし、キャップと容器本体の装着時の側部の境界 (キャップ下端）と開口するために必要な把持部分を離れた位置にして、キャップを着脱することにより、感染のリスクを回避することを想到し、そして、天面につまみ部を有するキャップを検体採取液容器に設けることを見出し、本発明に到達した。

[0017] すなわち、本発明は、上端に検体試料を溶解液に導入するための開口部を有する筒状容器と、筒状容器の開口部に着脱自在に取り付けられた開口用キャップとを有する検体採取液容器であって、検体採取液容器の上端および zまたは下端に延出する該容器を取り出す補助手段を設けたことを特徴とする検体採取液容器である。

[0018] 本発明では、検体採取液容器の上端および Zまたは下端に延出する該容器を取り出す補助手段を設けたことにより、検査者が収納箱から検体採取液容器を簡単に取り出せると共にウィルスによる汚染や感染におけるリスクを防止しうる。

[0019] このような検体採取液容器では、試料液を作製するには、検体を採取した綿棒を片手で検体処理液 (溶解液）に浸し、筒状容器の周りから綿球部分を他の手の指で挟み押さえながら、数回綿棒を回転させ検体を抽出する。次に筒状容器の首部より下であって、液面より上の部分で綿球部分を強く押さえて液体を搾り出しながら綿棒を取り出し、試料液とする。

[0020] し力しながら、検体には粘液性物質が含まれていて、綿棒にそれらが貼着していることから、筒状容器の周りから綿球部分を他の手の指で挟み押さえながら、数回綿棒を回転させるだけで、容易に検体を検体処理液で抽出することが困難である。

[0021] 本発明の別の課題は、試料液の調製を簡単に行うことができる検体採取液容器を提供することにある。

[0022] すなわち、本発明は上端及び下端が開口した筒状容器と、該筒状容器内に液密性の溶解液室を設けるために該筒状容器内に摺動自在に揷入されたストッパーと、該筒状容器の上端に着脱自在に取り付けられる開口用キャップと、かつ、上端が筒状容器の下端に液密に取り付けられ、かつ、下端にフィルターおよび滴下口を備えたアダプタを有し、かつ、筒状容器は、下端の内径がストッパーの外径よりも若干大きぐアダプタは、筒状容器の溶解液室を外部から圧迫したときに押し下げられたストツパーを収容し、かつ、筒状容器の下端内壁とストッパーの外面との間に空隙が形成される検体採取液容器において、前記筒状容器の内部に、前記溶解液室内で検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段を設けたことを特徴とする検体採取液容器である。

[0023] 本発明では、前記溶解液室内で検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段を設けたことにより、試料液の調製を簡単に行うことが可能である。

[0024] 上記検体採取液容器では、前記アダプタの内筒部の中に、滴下口に隣接してフィルターが設けられていて、該フィルタ一は検体採取液中の挟雑物を除き、かつ、粘稠物を除く。し力、しながら、前記ストッパーは通常、ゴムやエラストマ一といつた素材により形成されているために、検体採取液容器の保管中にブロッキング、即ち素材間に粘着が生じているため、液体連通のために筒状容器の側部をスクイズし、容器内圧を急激に上昇させたときに、急にブロッキングが解除され、その勢いでストッパーが摺動して、反応試薬へ試料を滴下するために連通操作を行う際に検体採取液が水鉄砲のように飛散することが生じるといった問題がある。

[0025] 本発明者らは、検体採取液の飛散を防ぐために種々、鋭意検討した結果、フィルタ一の空孔径および厚さ、ならびに滴下口の空孔径などを適宜、選択することにより、このような問題を回避することが可能となった。

[0026] すなわち、本発明は上端および下端が開口した筒状容器と、該筒状容器内に液密性の溶解液室を設けるために、筒状容器内に摺動自在に挿入されたストッパーと筒状容器の上端に着脱自在に取り付けられた開口用キャップとを有し、かつ、該筒状容器の下端に液密に取り付けられたアダプタを有し、さらに、該筒状容器は下端の内径がストッパーの外径よりも若干大きぐ該アダプタは筒状容器の溶解液室を圧迫したときに押し下げられたストッパーを収容し、かつ、筒状容器の下端内壁とストッパーの外面との間に空隙が形成され、さらに下端に滴下口を備える検体採取液容器において、該アダプタの内筒部の中に、滴下口に隣接してフィルターが設けられていて、該フィルタ一は、空孔径が約 0. 1 z m〜約 20 z mであり、かつ、厚みが約 1. Omm 〜約 6. Ommである連続多孔質体であることを特徴とする検体採取液容器である。

[0027] また、前記滴下口は、口径約 0. 5mm〜約 2mm、長さ約 6mm〜約 15mmの中空溝を有することが好ましぐさらに、溶解液室に充填される液体の量は、約 0.：!〜 2. OmLであることが好ましい。さらに、前記滴下口に着脱自在に滴下口用キャップが設けられていることが好ましい。

[0028] 本発明では、前記フィルターの空孔径および厚さ、滴下口の口径および長さ、ならびに液体充填量を選択することにより、反応試薬へ試料を滴下する際に、検体採取液が水鉄砲のように飛散するなどの問題を解消することができる。

発明の効果

[0029] 本発明の検体採取液容器は摺動自在にストッパーを挿入し、さらに滴下口を有することにより反応試薬容器への滴下液を調製する際に、検査者がウィルスによる汚染や感染などのリスクを防止することが可能である。また、操作の煩雑さを低減させることも可能である。また、本発明の検体採取液容器は検体採取液容器の上端および/ または下端に延出する該容器を取り出す補助手段を設けたことにより、容器のスタンドラックからの取り出しを容易にし、キャップと容器本体の装着時の側部の境界 (キヤップ下端）と開口するために必要な把持部分を離れた位置にして、キャップを着脱することにより、感染のリスクを回避することができる。さらに、本発明では、前記溶解液室内で検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段を設けたことにより、試料液の調製を簡単に行うことが可能である。また、本発明では、前記フィルターの空孔径および厚さ、滴下口の口径および長さ、ならびに液体充填量を選択することにより、反応試薬へ試料を滴下する際に、検体採取液が水鉄砲のように飛散するなどの問題を解消することができる。

図面の簡単な説明

[0030] [図 1]本発明の検体採取液容器の一例の使用前の状態を示す縦断面図である。

[図 2]図 1に示す検体採取液容器の溶解調整時の状態を示す縦断面図である。

[図 3]図 1に示す検体採取液容器の滴下時の状態を示す概略図である。

[図 4]本発明の検体採取液容器の一例を示す縦断面図である。

[図 5]図 4に示す検体採取液容器の正面図である。

[図 6]図 4に示す検体採取液容器の側面図である。

[図 7]図 4に示す検体採取液容器のつまみ部の上面図である。

[図 8]本発明の検体採取液容器を収納箱から手でもって取り出す概略図である。園 9]本発明の他の検体採取液容器の使用前の状態を示す縦断面図である。

[図 10]図 9における A— A断面図である。

園 11]図 9に示す検体採取液容器の溶解調製時の状態を示す縦断面図である。園 12]図 9に示す検体採取液容器の滴下時の状態を示す概略図である。

園 13]本発明の検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段の他の実施態様を示す縦断面図である。

園 14]図 4に示す検体採取液容器の溶解液調製時の状態を示す縦断面図である。園 15]図 4に示す検体採取液容器の滴下時の状態を示す概略図である。

符号の説明

1 検体採取液容器

2 筒状容器

3 ストッパー

4 開口用キャップ

41 開口用キャップのつまみ

5 アダプタ

6 フイノレター

7 溶解液室

8 滴下口

9 滴下口キャップ

91 滴下口キャップのつまみ

発明を実施するための最良の形態

[0032] 本発明に係る検体採取液容器を図面を用いて具体的に説明する。図 1は本発明の検体採取液容器の縦断面図であり、図 2は本発明の検体採取液容器に開口部から検体を採取した綿棒を挿入した状態を示す縦断面図である。図 3は図 1の検体採取液容器の筒状容器の溶解液室を外部から圧迫し、ストッパーが押し下げられ、検体採取液が筒状容器の内面とストッパーの外面との空隙を通り、滴下ロカ滴下する状態を示す概略図である。

[0033] 本発明の検体採取液容器 1は図 1に示すように、上端及び下端が開口した筒状容器 2と、該筒状容器内に液密性の溶解液室 7を設けるために、筒状容器 2内に摺動自在に挿入されたストッパー 3と該筒状容器 2の上端に着脱自在に取り付けられる開口用キャップ 4とを有し、かつ、該筒状容器 2の下端に液密に取り付けられたアダプタ 5を有する。

[0034] 筒状容器 2は上端に開口用キャップ 4を通常、螺合可能な開口部を有し、下端には内径がストッパー 3の外径よりも若干大きい部分を有する。また、該下端部分にはァダプタ 5を内揷することができる。

[0035] 筒状容器 2は、その下端近くに摺動自在なストッパー 3が揷入され、かつ、上端に着脱自在にキャップ 4が取り付けられている。ストッパー 3とキャップ 4が取り付けられることにより、筒状容器 2内に溶解液室 7が形成される。溶解液室 7には検体 (鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液など）を溶解する液が充填されている。通常、溶解液は水であって、反応試薬に滴下した際の検体との反応性を高めるために、界面活性剤が添加されている。さらに防腐剤として、アジ化ナトリウムなどが添加されている。

[0036] 筒状容器 2内で処理された検体採取液を押し出すためには、筒状容器 2を外部から圧迫し、筒状容器 2の筒部を変形させて溶解液量に対して相対的に溶解液室の容積を小さくすることに限らず、他の物理的手段により押し出すカ溶解液室にある気体を圧縮して内圧を上昇させるなどの操作を行なってもよい。

[0037] したがって、筒状容器 2は容器内の状態が確認でき、かつ繰り返し圧迫しても白化しない透明性と可撓性を有することが好ましぐこのような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビュル樹脂などが好適に用いられる。

[0038] ストッパー 3およびキャップ 4は、筒状容器 2の溶解液室の液密性を保持して組み立てられているので、溶解液が筒状容器 2から外部に漏出する危険性はない。

[0039] ストッパー 3は一般に製造時や長期保存時において傾いて液密性を損なわない程度の形状、好ましくは長さ（寸法）が小さい円筒形状を有し、検体を添加する前は上記筒状容器 2の内壁に密接している。しかし、ストッパー 3が摺動して筒状容器 2の下端方向へ移動すると、内壁との間に空隙を形成する。この空隙は筒状容器の溶解液室の変形を解除したときでも塞がらないようになつている。

[0040] ストッパー 3の素材としては、ノルマルブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ブタジェンゴム、イソプレンゴム、イソブチレンゴム、熱可塑性エラストマ一などの弾性材料が挙げられる力通常、熱可塑性エラストマ一が用いられる。

[0041] また、摺動を円滑にする目的でストッパー 3には環状リブが設けられていても良い。

[0042] 開口用キャップ 4は、筒状容器 2に着脱自在に取り付けられており、通常、螺合される。また、液密性を保持するために筒状容器の開口端内壁と接合するスリーブが通常、設けられている。

[0043] アダプタ 5は、筒状容器 2の下端に接続される筒状部材であり、筒状容器 2の溶解液室 7を圧迫したときに押し下げられたストッパー 3を収容し、筒状容器 2の下端内壁とストッパー 3の外面との間に空隙を形成し、さらに、下端に滴下口 8を備える。検体採取液を調製する前、アダプタ 5内には通常、空気のみが存在している。

[0044] アダプタ 5は筒状容器 2に液密性を保持して取り付けられていれば、溶着されていても、あるいは溶剤で接着されていても、さらには圧入される状態で接合されていても良レ、。このような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、 ABS樹脂、ポリスチレン、 BS樹脂、ポリカーボネート樹脂等が用いられる。

[0045] アダプタ 5の内腔に、滴下口 8に隣接して上方にフィルター 6が設けられている。フィルター 6は患者から採取された検体が高い粘性のものであったり、固形物を含んでいたりする場合に、滴下口が目詰まりしなレ、ようにトラップされる程度の口径を有するものである。ろ過有効面積と目の粗さは自由に選択することができる。このような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、ナイロン樹脂等の他、無機材料等が用いられる力通常、ポリエチレン焼結体が用いられる。

[0046] 滴下口 8には着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップ 9が設けられている。滴下口用キャップ 9は、滴下口 8に着脱自在に取り付けられていても良ぐ素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩ィ匕ビュル樹脂等が用いられる。また、アダプタ 5と一体に形成されてレ、ても良い。さらに検体採取液容器を専用の容器立てに複数立てておくことが出来るように、専用の容器立ての直径を筒状容器 2の胴径と略同じ大きさとしてもよい。

[0047] 検体採取液の調製に際しては、図 2に示すように、まず開口部のキャップ 4を上に向けた状態で開放し、患者より採取した検体の付着した綿棒などの採取棒を、上端開口部力筒状容器 2の溶解室中に挿し入れて、検体を溶解液により溶解抽出し、検体採取液を調製する。

[0048] 次に、図 3に示すように再度、筒状容器 2の開口部にキャップ 4を取り付け、容器 2 の反対側に位置する滴下口 8を反応試薬容器に向けてから、筒状容器 2の溶解液室のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧力上昇により、ストッパー 3が下方へ前進し、アダプタ 5内に移動し収容される。収容されたストッパー 4の外面とァダプタ 5の内壁の間には、溶解液室 7内の検体採取液がその間を通って滴下出来る空隙が設けられている。したがって、検体採取液はこの空隙を通り、滴下口 8から外部に導かれ、反応試薬容器に滴下することが出来る。

[0049] 本発明に係る他の検体採取液容器を、図面を用いて具体的に説明する。

[0050] 図 4は本発明の検体採取液容器の一例の使用前の状態を示す縦断面図であり、図 5は図 4の検体採取液容器を示す正面図であり、図 6は側面図である。図 7はつまみ部の上面図である。図 8は複数の検体採取液容器を収容した収納箱から操作者が手でもって該容器を取り出そうとしてレ、る概略図である。

[0051] 本発明の検体採取液容器 1は、図 4に示すように上端及び下端が開口した筒状容器 2と、該筒状容器内に液密性の溶解液室 7を設けるために、筒状容器 2内に摺動自在に挿入されたストッパー（シール部材） 3aと該筒状容器 2の上端に着脱自在に取り付けられる開口用キャップ 4とを有し、かつ、該筒状容器 2の下端に液密に取り付けられたアダプタ 5aを有する。

[0052] 筒状容器 2は上端に開口用キャップ 4と通常、螺合可能な開口部を有し、下端には内径がストッパー _3aの外径よりも若干大きい部分を有する。また、該下端部分にはァダプタ 5aを内揷することができる。

[0053] 筒状容器 2は、その下端近くに摺動自在なストッパー 3aが挿入され、かつ、上端に着脱自在に開口用キャップ 4が取り付けられてレ、る。ストッパー 3aと開口用キャップ 4 が取り付けられることにより、筒状容器 2内に溶解液室 7が形成される。溶解液室 7には検体（鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液など）を溶解する液が充填されている。通常、溶解液は水であって、反応試薬に滴下した際の検体との反応性を高めるために、界面活性剤が添加されている。さらに防腐剤として、アジ化ナトリウムなどが添加されている。

[0054] 筒状容器 2内で処理された検体採取液を押し出すためには、筒状容器 2を外部から圧迫し、筒状容器 2の筒部を変形させて溶解液量に対して相対的に溶解液室の容積を小さくすることに限らず、他の物理的手段により押し出すカ溶解液室にある気体を圧縮して内圧を上昇させるなどの操作を行なってもよい。

[0055] したがって、筒状容器 2は容器内の状態が確認でき、かつ繰り返し圧迫しても白化しない透明性と可撓性を有することが好ましぐこのような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などが好適に用いられる。

[0056] ストッパー 3aおよび開口用キャップ 4は、筒状容器 2の溶解液室の液密性を保持して組み立てられているので、溶解液が筒状容器 2から外部に漏出する危険性はない

[0057] ストッパー 3aは一般に製造時や長期保存時において傾いて液密性を損なわない程度の形状、好ましくは長さ（寸法）が小さい円筒形状を有し、検体を添加する前は上記筒状容器 2の内壁に密接している。しかし、ストッパー 3aが摺動して筒状容器 2 の下端方向へ移動すると、内壁との間に空隙を形成する。この空隙は筒状容器の溶解液室の変形を解除したときでも塞がらないようになつている。

[0058] ストッパー 3aの素材としては、ノルマルブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ブタジェンゴム、イソプレンゴム、イソブチレンゴム、熱可塑性エラストマ一などの弾性材料が挙げられるが、通常、熱可塑性エラストマ一が用いられる。

[0059] また、摺動を円滑にする目的で内壁との接触面積を減らすようにストッパー 3には環状リブが設けられていても良い。

[0060] 開口用キャップ 4は、筒状容器 2に着脱自在に取り付けられており、通常、螺合される。また、液密性を保持するために筒状容器の開口端内壁と接合するスリーブが通常、設けられている。

[0061] アダプタ 5aは、筒状容器 2の下端に接続される筒状部材であり、筒状容器 2の溶解液室 7を圧迫したときに押し下げられたストッパー 3を収容し、筒状容器 2の下端内壁とストッパー 3の外面との間に空隙を形成し、さらに、下端に滴下口 8を備える。検体採取液を調製する前、アダプタ 5a内には通常、空気のみが存在している。 [0062] アダプタ 5aは筒状容器 2に液密性を保持して取り付けられていれば、溶着されていても、あるいは溶剤で接着されていても、さらには圧入される状態で接合されていても良い。このような素材としては、筒状容器よりも相対的に硬度の高い（あるいは曲げ弾性率の高い）ポリプロピレン、 ABS樹脂、ポリスチレン、 BS樹脂、ポリカーボネート樹脂等が用いられる。

[0063] アダプタ 5aの内腔に滴下口 8に隣接して上方にフィルター 6aが設けられている。フィルター 6aは患者力も採取された検体が高い粘性のものであったり、固形物を含んでいたりする場合に、滴下口が目詰まりしないようにトラップされる程度の口径を有するものである。ろ過有効面積と目の粗さは自由に選択することができる。このような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、ナイロン樹脂等の他、無機材料等が用いられるが、通常、ポリエチレン焼結体が用いられる。

[0064] 滴下口 8aには着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップ 9が設けられている。滴下口用キャップ 9は、滴下口 8aに着脱自在に取り付けられていても良ぐ素材としては、アダプタに用いられる素材よりも軟質な素材が選択され、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビエル樹脂等が用いられる。また、アダプタ 5aと一体に形成されていても良い。さらに検体採取液容器を専用の容器立てに複数立てておくことが出来るように、専用の容器立ての直径を筒状容器 2の胴径と略同じ大きさとしてもよい。

[0065] 前記開口用キャップ 4および/または滴下口用キャップ 9は、天面に天板と該天板に連続して垂設される周壁とを有し、該周壁の外周面にはキャップ (4, 9)を回動させた際の滑り防止用の凹凸を補助的に設けているのが好ましい。

[0066] 本発明では、前記開口用キャップ 4の天面に設けられた外周面から外方向へ突出しないつまみ部 41を有することを特徴とする。また、本発明では、前記滴下口キヤップ 9にもつまみ部 91を有する。つまみ部 41および 91は、筒状容器 2およびアダプタ 5 との着脱をスムーズに行うために、特に引き抜き方向や回転方向にトルクなどの力を加えやすいような長さおよび幅を有する。つまみ部の大きさは、ともに梱包する試薬容器や綿棒との組み合わせや、収納箱のサイズに合わせて自由に設定することが出来る。また、つまみ部 41および 91は、指が滑るのを防ぎ、かつ操作性を改善させるために、着脱方向に垂直方向に凹溝または凸リブが設けていても良レ、。あるいは、シボ加工が施されていても良レ、。これらの加工の他にも、補助手段が十字に交叉するよう延出していたりするなどして、どの方向力もも指を掛けやすくするために工夫されていても良い。このようなつまみ部 41が設けられている開口用キャップ 4の素材としては、通常、筒状容器よりも相対的に硬度の高い（あるいは曲げ弾性率の高い）ポリプロピレンや ABS樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフイン、 BS樹脂などが好適に用いられる。

[0067] 本発明では、検体採取液容器の上端および Zまたは下端に延出する該容器を取り出す補助手段を設けたことにより、検査者が収納箱から検体採取液容器を簡単に取り出せると共にウィルスによる汚染や感染におけるリスクを防止しうる（図 8参照）。

[0068] 検体採取液の調製に際しては、まず開口部の開口用キャップ 4を上に向けた状態で開放し、患者より採取した検体の付着した綿棒などの採取棒を、上端開口部から筒状容器 2の溶解液室中に挿し入れて、検体を溶解液により溶解抽出し、検体採取液を調製する。

[0069] 次に、再度、筒状容器 2の開口部に開口用キャップ 4を取り付け、筒状容器 2の反対側に位置する滴下口 8を反応試薬容器に向けてから、筒状容器 2の溶解液室のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧力上昇により、ストッパー 3aが下方へ前進し、アダプタ 5a内に移動し収容される。収容されたストッパー 3aの外面とァダプタ 5aの内壁の間には、溶解液室 7内の検体採取液がその間を通って滴下出来る空隙が設けられている。したがって、検体採取液はこの空隙を通り、滴下口 8から外部に導かれ、反応試薬容器に滴下することが出来る。

[0070] 本発明に係る他の検体採取液容器を、図面を用いて具体的に説明する。図 9は本発明の検体採取液容器の縦断面図であり、図 10は図 9における A_Aの断面図である。図 11は図 9の検体採取液容器に開口部から検体を採取した綿棒を揷入した状態を示す縦断面図である。図 12は図 9の検体採取液容器の筒状容器の溶解液室 7 を外部から圧迫し、ストッパーが押し下げられ、検体採取液が筒状容器の内面とストッパーの外面との空隙を通り、滴下口から滴下する状態を示す概略図である。図 13 ( a)〜（c)は、本発明の検体採取液容器における検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段の他の実施例を示す縦断面図である。 [0071] 本発明の検体採取液容器 1は、図 11に示すように上端及び下端が開口した筒状容器 2と、該筒状容器内に液密性の溶解液室 7を設けるために、筒状容器 2内に摺動自在に挿入されたストッパー 3aと、該筒状容器 2の上端に着脱自在に取り付けられるキャップ 4とを有し、かつ、該筒状容器 2の下端に液密に取り付けられたアダプタ 5aを有する。

[0072] 筒状容器 2は上端にキャップ 4を通常、螺合可能な開口部を有し、下端には内径がストッパー 3aの外径よりも若干大きい部分を有する。また、該下端部分にはアダプタ 5 aを内揷することができる。筒状容器 2は、その下端近くに摺動自在なストッパー 3aが揷入され、かつ、上端に着脱自在にキャップ 4が取り付けられている。ストッパー 3aとキャップ 4が取り付けられることにより、筒状容器 2内に溶解液室 7が形成される。溶解液室 7には検体 (鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液など）を溶解する液が充填されている。通常、溶解液は水であって、反応試薬に滴下した際の検体との反応性を高めるために、界面活性剤が添加されている。さらに防腐斉 IJとして、アジィ匕ナトリゥムなどが添加されている。

[0073] 筒状容器 2内で処理された検体採取液を押し出すためには、筒状容器 2を外部から圧迫し、筒状容器 2の筒部を変形させて溶解液量に対して相対的に溶解液室 7の容積を小さくすることに限らず、他の物理的手段により押し出すカ溶解液室 7にある気体を圧縮して内圧を上昇させるなどの操作を行なってもよい。したがって、筒状容器 2は容器内の状態が確認でき、かつ繰り返し圧迫しても白化しない透明性と可撓性を有することが好ましぐこのような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩ィ匕ビュル樹脂などが好適に用いられる。

[0074] ここでの綿棒とは、医療用捲綿子を指し、具体的には、プラスチック製もしくは紙製の棒状軸の先端に不織布などがついた器具であって、体液試料を採取するためのものであり、不織布の素材としては、レーヨン、紙、ポリ乳酸、綿花等が用いられている。

[0075] 本発明では、前記溶解液室 7内で検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段 21が設けられていることが特徴であり、該補助手段 21としては、筒状容器 2を内側に突出させ、かつ中央部に綿棒を揷入する貫通孔 24を設けて形成された分離壁力 Sある。このような分離壁としては、具体的には、前記筒状容器 2の内壁上に設けられた軸方向に連設された環状突起 121 (図 9、図 10)、あるいは前記筒状容器 2の内壁上に設けられた螺旋状の突起 221 (図 13 (a) )、記筒状容器 2の内壁上に所定間隔をもって隔てられた突起 321 (図 13 (b) )がある。

[0076] 軸方向に連設された環状突起 121は、図 9に示されるように、内壁の全面に設けるよりも複数の環状突起を内壁面上に設けて、各突起間には筒状容器をスクイズしたときのごわつき感を緩和する部分を残すことが好ましい。図 9に示す環状突起は 4つの突起からなるが、これらに限られない。この環状突起は通常、綿球からぬぐい液を刮ぎ易いように、綿球が液面を跨いで上下する動作に合わせ、液面を上下にまたぐ位置に配置されていることが好ましい。さらに、綿棒の先でストッパーを押して不用意に連通しない距離を隔てることが好ましい。突起の高さは、スクイズしたときの内圧上昇を得やすい様に出来るだけ低い方が望ましい。これは具体的には、通常 0.：!〜 0. 3 mm程度が好ましいが、ぬぐい液を刮ぎ取ることが出来さえすれば、綿球の大きさや形状に応じて自由に選択できる。

[0077] また、螺旋状の突起 221は、図 13 (a)に示されるように、内壁の全面に設けるよりも 2〜5条程度の螺旋状突起を内壁面上に設けることが好ましい。この螺旋状突起もまた、通常、綿球からぬぐい液を刮ぎ易いように、綿球が液面を跨いで上下する動作に合わせ、液面を上下にまたぐ位置に配置されていることが好ましい。さらに、綿棒の先でストッパーを押して不用意に連通しない距離を隔てることが好ましい。螺旋の山の高さは、スクイズしたときの内圧上昇を得やすい様に出来るだけ低い方が望ましい。これは具体的には、通常 0.：!〜 0. 3mm程度が好ましいが、ぬぐい液を刮ぎ取る事が出来さえすれば、綿球の大きさや形状に応じて自由に選択できる。

[0078] さらに、内壁上に所定間隔をもって隔てられた突起 321は、図 13 (b)に示されるように、筒状容器を立てたときに液面をまたぐ範囲の内壁面上に設け、各突起はスクイズしたときにごわつき感がなく中身を外から目視確認出来る程度の高さと間隔であることが好ましい。この所定間隔に隔てられた突起は、通常、綿球からぬぐい液を刮ぎ易いように、綿球が液面を跨いで上下する動作に合わせ、液面を上下にまたぐ位置に配置されていることが好ましい。さらに、綿棒の先でストッパーを押して不用意に連通しない距離を隔てることが好ましい。突起の高さは、スクイズしたときの内圧上昇を得やすい様に出来るだけ低い方が望ましい。これは具体的には、通常 0.：!〜 0. 3mm 程度が好ましいが、ぬぐい液を刮ぎ取る事が出来さえすれば、綿球の大きさや形状に応じて自由に選択できる。

[0079] また、前記補助手段 21は、図 13 (c)に示されるように、前記筒状容器 2の下端であつて、かつ、ストッパー 3を保持する部分の上端に、前記筒状容器 2の下端から上端方向へ延出した複数の柱部 22を有し、該柱部 22の頂上部には径方向に梁 23を備えた突起 421であってもよい。梁 23に綿棒をこすりつけることにより、綿棒に貼着した粘液性物質を刮ぐことが可能となり、ストッパー 3の落下後に、柱部 22あるいは梁 23 の隙間を検体採取液が流れて、フィルター 6に向かう。この梁は通常、綿球からぬぐい液を刮ぎ易いように、綿球が液面を跨いで上下する動作に合わせ、略液面上に配置されている。また、綿棒の先でストッパーを押して不用意に連通しない距離を隔てることが好ましい。さらに、綿球の側部が当たるように、梁の側部は綿球と略同じかそれよりも若干大きな空間があるようになっている。梁の数や方向は、ぬぐい液を刮ぎ取る事が出来さえすれば、綿球の大きさや形状に応じて自由に選択できる。

[0080] 前記補助手段 21は通常、筒状容器に一体に形成されているが、別体であって組み付けられていても良い。この場合の、前記補助手段 21の材質は、弾性体、例えばエラストマ一から形成されることが好ましい。この時の前記補助手段 21の長さは、筒状容器 2をスクイズしたときに傾いて外れない程度の長さがあり、中身を目視にて確認するのに障害とならなければ自由に設定しても良い。前記補助手段 21の突起は、筒状容器 2の中に綿棒の挿入を可能とし、かつ、その自由な動きをもたらす貫通孔 2 4を有することが必要である。

[0081] 検体採取液の調製に際しては、図 11に示すように、まず開口部のキャップ 4を上に向けた状態で開放し、患者より採取した検体の付着した綿棒などの採取棒を、上端開口部力筒状容器 2の溶解液室中に揷し入れて、補助手段 21の上で上下させて検体を刮ぎ、溶解液により溶解抽出し、検体採取液を調製する。

[0082] 次に、図 12に示すように再度、筒状容器 2の開口部にキャップ 4を取り付け、筒状容器 2の反対側に位置する滴下口 8aを反応試薬容器に向けてから、筒状容器 2の溶解液室 7のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧力上昇により、ストツバ一 3aが下方へ前進し、アダプタ 5a内に移動し収容される。収容されたストッパー 3a の外面とアダプタ 5aの内壁の間には、溶解液室 7内の検体採取液がその間を通って滴下出来る空隙が設けられている。したがって、検体採取液はこの空隙を通り、滴下口 8aから外部に導かれ、反応試薬容器に滴下することが出来る。

[0083] 本発明では、フィルタ一としては、焼結体、発泡成形体、不織布または繊維積層体などがある。このような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、ナイロン樹脂等の他、無機材料等が用レ、られるが、通常、ポリエチレン焼結体が用レ、られる。

[0084] 本発明では、フィルター 6は、空孔径が約 0. 1 μ m〜約 20 μ m、好ましくは約 1. 0 z m〜約 10 x mであり、かつ、厚みが約 1. Omm〜約 6. Omm、好ましくは、約 1. 5 mm〜約 4. 5mmである連続多孔質体である。フィルター 6は、 1枚であっても、複数枚であってもよい。フィルターの空孔径が約 0. l x m未満であると、患者から採取された検体が高い粘性のものであったり、固形物を含んでいたりする場合に、滴下口が目詰まりする場合が生じる。また約 20 μ ΐηを超えると、検体採取液がフィルターを通過しやすくなり水鉄砲のように飛散し易くなる。厚みが約 1. Omm未満であると、溶解液室内にあった検体採取液とアダプタの内腔にあった気体が混合した状態でフィノレターを通過しやすくなり、滴下口から検体採取液が水鉄砲のように飛散し易くなる。約 7· 5mmを超えると、フィルターが通液するための経路が長く複雑になりすぎるあまり、検体採取液に含まれる界面活性剤と気体とが混合して泡立ちを生じ易くなり、滴下口の先からは泡の混入が目立つようになる。

[0085] 前記滴下口 8は、口径約 0. 5mm〜約 3. 5mm、好ましくは、約 1. Omm〜約 3. 3 mm、長さ約 6mm〜約 15mm、好ましくは約 6mm〜約 12mmの中空溝を有することが好ましい。さらに、アダプタ 5に充填される液体の量は、通常、約 0. lmL〜約 2. 0 mL、好ましくは、約 0. 4mL〜約 1. 5mLである。

[0086] 図 4では、滴下口 8aには着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップ 9が設けられている。滴下口用キャップ 9は、滴下口 8aに着脱自在に取り付けられていても良ぐ素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビュル樹脂等が用いられる。また、ァダプタ 5aと一体に形成されていても良レ、。さらに検体採取液容器 1を専用の容器立てに複数立てておくことが出来るように、専用の容器立ての直径を筒状容器 2の胴径と略同じ大きさとしてもよい。滴下口用キャップ 9には、つまみ部 91が設けられていてあよい。

[0087] 検体採取液の調製に際しては、図 14に示すように、まず開口部のキャップ 4を上に向けた状態で開放し、患者より採取した検体の付着した綿棒などの採取棒を、上端開口部力筒状容器 2の溶解液室中に挿し入れて、補助手段 21 (図示されず)の上で上下させて検体を刮ぎ、溶解液により溶解抽出し、検体採取液を調製する。

[0088] 次に、図 15に示すように再度、筒状容器 2の開口部にキャップ 4を取り付け、筒状容器 2の反対側に位置する滴下口 8aを反応試薬容器に向けてから、筒状容器 2の溶解液室 7のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧力上昇により、ストツバ一 3aが下方へ前進し、アダプタ 5a内に移動し収容される。収容されたストッパー 3a の外面とアダプタ 5aの内壁の間には、溶解液室 7内の検体採取液がその間を通って滴下出来る空隙が設けられている。したがって、検体採取液はこの空隙を通り、フィルター 6を通り、滴下口 8aから外部に導かれ、反応試薬容器に滴下することが出来る

[0089] 以下に、本発明を実施例により、より詳細に説明する。

実施例 1

[0090] 表 1に示される表面空孔径が相違する 3種の焼結フィルター（フィルターレン社製、高密度ポリエチレン)を備えた検体採取液容器（図 1)を準備した。溶解液室の充填液量（0. 4〜： 1. OmL)およびフィルターの表面空孔径（2. 0〜30 μ m)、厚み（1. 5 〜6. Omm X 5枚）を種々、変化させて（表 2〜4)、筒状容器の外部を手でもってスクィズし、液体連通時の水鉄砲現象の有無を確認した。

[0091] [表 1]

焼結フィルター

[0092] [表 2] 試料フィルタ種空孔径（ m) 厚み (隱) 枚数充填量（mL) 膽

A"l XHDPE 2 1. 5 1 1. 0 5

A~2 XHDPE 2 3. 0 2 1. 0 5

A - 3 XHDPE 2 4. 5 3 1. 0 5

B l UHDPE 1 0 1. 5 1 1. 0 5

B - 2 UHDPE 1 0 3. 0 2 1. 0 5

B-3 UHDPE 1 0 4. 5 3 1. 0 5

B - 4 UHDPE 1 0 6. 0 4 1. 0 5

C-l XUHDPE 30 1. 5 1 1. 0 5

C-2 XU匿 E 30 3. 0 2 1. 0 5

C-3 XUHDPE 30 4. 5 3 1. 0 5

[0093] [表 3]

[0094] [表 4]

水鉄砲現象を確認した結果を表 5に示す。表 5において、液体連通時に滴下口から先の水鉄砲現象が見られなかった場合を〇印、液体連通時に滴下口先からの水鉄砲現象はないが、スクイズ状態を保持すると遅れて数滴、出てくる場合を△印、液体連通時に滴下ロカ ^液体が水鉄砲のように出た場合を X印として表示した。

[0096] [表 5]

[0097] 表 5から明らかなように、空孔径 2/ m、厚み（1.5mmX5枚 =7· 5mm)のフィルタ一（試料 A)を選択すると、充填液量に関わらず、水鉄砲現象を防止できる。また空孔径 10 / m (試料 B)となると、充填液量は少なくとも 1. OmL以上とする必要がある。さらに、空孔径 30 zm (試料 C)では、充填液量にかかわらず、水鉄砲現象が生じた。

[0098] 本発明の検体採取液容器は、インフルエンザウイルスなどのウィルス検査に限ることなく、他の病原体を含む一般的な生体検査に利用することが可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 上端及び下端が開口した筒状容器と、該筒状容器内に液密性の溶解液室を設けるために、筒状容器内に摺動自在に挿入されたストッパーと該筒状容器の上端に着脱自在に取り付けられる開口用キャップとを有し、かつ、該筒状容器の下端に液密に取り付けられたアダプタを有する検体採取液容器であって、筒状容器は下端の内径力 Sストッパーの外径よりも若干大きぐアダプタは筒状容器の溶解液室を圧迫したときに押し下げられたストッパーを収容し、筒状容器の下端内壁とストッパーの外面との間に空隙が形成され、さらに、下端に滴下口を備えたことを特徴とする検体採取液容口口

[2] 前記アダプタの内腔に滴下口に隣接して上方にフィルタが設けられている、請求項

1記載の検体採取液容器。

[3] 前記滴下口に着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップが設けられている、請求項 1または 2記載の検体採取液容器。

[4] さらに、検体採取液容器の上端および/または下端に該容器を取り出す補助手段を設けられてなる、請求項 1記載の検体採取液容器。

[5] 前記容器を取り出す補助手段が、検体採取液容器の外周面から外方向へ突出しなレ、つまみ部である、請求項 4記載の検体採取液容器。

[6] 前記容器を取り出す補助手段が、前記開口用キャップの天面に設けられてなる、請求項 4または 5記載の検体採取液容器。

[7] 前記滴下口は、下端に検体試料を溶解液に導入した検体採取液を排出するための滴下口である、請求項 4記載の検体採取液容器。

[8] 前記滴下口は、筒状容器の下端部に取付けられたアダプタに設けられてなる、請求項 7記載の検体採取液容器。

[9] 前記滴下口に滴下口用キャップが設けられ、該滴下口用キャップに前記容器を取り出す補助手段を設けられてなる、請求項 7記載の検体採取液容器。

[10] 前記開口用キャップおよび/または滴下口用キャップは、天面に天板と該天板に連続して垂設される周壁とを有し、該周壁の外周面には滑り防止用の凹凸を設けられてなる、請求項 9記載の検体採取液容器。

[11] さらに、前記筒状容器の内部に、前記溶解液室内で検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段を設けられてなる、請求項 1記載の検体採取液容器。

[12] 前記検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段は、筒状容器を内側に突出させ、かつ中央部に綿棒を揷入する貫通孔を設けて形成された分離壁である、請求項 11記載の検体採取液容器。

[13] 前記分離壁は、前記筒状容器の内壁上に設けられた軸方向に連設された環状突起である、請求項 12記載の検体採取液容器。

[14] 前記分離壁は、前記筒状容器の内壁上に設けられた螺旋状の突起である、請求項 12記載の検体採取液容器。

[15] 前記分離壁は、前記筒状容器の内壁上に所定間隔をもって隔てられた突起である

、請求項 12記載の検体採取液容器。

[16] 前記検体試料の溶解または抽出を促すための補助手段は、前記筒状容器の下端力上端方向へ延出した複数の柱部を有し、該柱部の頂上部には径方向に梁を備えた突起である、請求項 11記載の検体採取液容器。

[17] 前記アダプタの内筒部の中に、滴下口に隣接してフィルターが設けられていて、該フィルタ一は、空孔径が約 0· 1 /1 111〜約20 /1 111でぁり、かつ、厚みが約 1 · 0mm〜約 6. 0mmである連続多孔質体である、請求項 1記載の検体採取液容器。

[18] 前記滴下口は、口径約 0. 5mm〜約 2mm、長さ約 6mm〜約 15mmの中空溝を有する、請求項 1記載の検体採取液容器。

[19] 前記溶解液室に充填される溶解液の量は、約 0.：!〜 2. OmLである、請求項 1記載の検体採取液容器。

[20] 前記フィルタ一は、焼結体、発泡成形体、不織布または繊維積層体である、請求項 1記載の検体採取液容器。