WO2006075658A1

WO2006075658A1 - カムフォロア装置

Info

Publication number: WO2006075658A1
Application number: PCT/JP2006/300287
Authority: WO
Inventors: Makoto Watanabe; Satoshi Kadokawa
Original assignee: Nsk Ltd.
Priority date: 2005-01-13
Filing date: 2006-01-12
Publication date: 2006-07-20
Also published as: US20090050091A1

Abstract

このラジアルニードル軸受７ｃとして、保持器１０ｂを備えたものを使用する。この保持器１０ｂを構成する各柱部１２、１２を、各ニードル８、８のピッチ円よりも内径側に配置する。そして、円周方向に隣り合うニードル８、８同士を近づけ、このニードル８、８の数を確保できる様にする。この結果、上記タペットローラ６の肉厚を特に大きくしなくても、このタペットローラ６に大きな曲げ応力が作用しない。

Description

カムフォロア装置

技術分野

[0001] この発明に係るカムフォロア装置は、カムシャフトの回転をロッカーアームの往復摇動運動に変換する、エンジンの吸排気弁用駆動装置の構成部品として使用する。背景技術

[0002] エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換する部分に、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置を利用する事が一般的に行われている。図 18〜20は、特許文献 1に記載された、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置の 1例を示している。

[0003] エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト 1に固定された（一般的には一体に形成された)カム 2に対向して、このカム 2の動きを受けて往復揺動する摇動部材であるロッカーアーム 3が設けられている。このロッカーアーム 3の端部（中間部の場合もある）には 1対の支持壁部 4、 4が、互いに間隔を開けて設けられている。そして、この 1対の支持壁部 4、 4の間に、鋼製で中空又は中実の支持軸 5を掛け渡している。この支持軸 5は、タペットローラ 6をラジアル-一ドル軸受 7を介して回転自在に支承すベぐその両端部を上記 1対の支持壁部 4、 4に固定している。又、上記タペットローラ 6の外周面を、上記カム 2の外周面に当接させている。この様に構成されるタペットローラ 6を組み込んだエンジンの動弁機構によれば、ロッカーアーム 3とカム 2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。

[0004] 上述の様なカムフォロア装置に組み込むラジアル-一ドル軸受 7として従来は、図 2 1〜22に示す様に、支持軸 5の外周面とタペットローラ 6の内周面との間に-一ドル 8 、 8のみを配置した (保持器ゃセパレータを配置していない）、所謂総-一ドル型のものを使用していた。ところが、この様な総-一ドル型のラジアル-一ドル軸受 7は、図 22に記載した、上記各ニードル 8、 8の回転方向を表す矢印から明らかな通り、運転時に円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士が、大きな相対速度で摩擦し合う事が避けられない。この結果、上記ラジアル-一ドル軸受 7の回転抵抗 (動トルク）が大きくなり、上記タペットローラ 6の回転抵抗を必ずしも十分に低くできない。

[0005] 上述の様な原因による、ラジアル-一ドル軸受の回転抵抗の増大を抑える為には、このラジアル-一ドル軸受として、保持器或いはセパレータを備えたものを使用する事が考えられる。支持軸の周囲にタペットローラの如きローラ状部材を回転自在に支持する為に、保持器付のラジアル-一ドル軸受を設ける構造として従来から、特許文献 2、 3に記載されたものが知られている。

図 23は、このうちの特許文献 2に記載された構造を示している。この図 23に示した構造は、事務機等のカム機構部分に組み込むもので、支持軸 5aの先端部周囲に円筒状のローラ 9を、含油合成樹脂製の保持器 10を備えたラジアル-一ドル軸受 7aにより、回転自在に支持している。

又、図 24は、上記特許文献 3に記載された構造を示している。この図 24に示した構造は、電動自動車や電動車椅子等に組み込む摩擦ローラ式変速機を構成するローラ 9aを支持軸 5bの周囲に、保持器 10aを備えたラジアル-一ドル軸受 7bにより、回転自在に支持している。

更に、ラジアル-一ドル軸受用の金属製保持器を造る方法として従来から、特許文献 4〜6等、各種文献に記載された、各種方法が知られている。

[0006] 上述した図 23、 24に示した従来構造の場合、ラジアル-一ドル軸受 7a、 7bの回転抵抗 (動トルク）の低減を図れる反面、負荷容量の確保に就、ては特に考慮して、ない。即ち、上記従来構造に組み込むラジアル-一ドル軸受 7a、 7bの場合、単に複数本の-一ドル 8、 8を保持器 10、 10aにより保持する事のみを考慮している為、上記ラジアル-一ドル軸受 7a、 7bを構成する-一ドル 8、 8の本数が過度に少なくなる。例えば、一般的な乗用車用エンジンに組み込むカムフォロア装置を考えた場合、前述の図 22に示した総-一ドル型のラジアル-一ドル軸受 7によれば、ニードル 8、 8の本数を、 15本程度確保できる。従って、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔も短く抑えられる。これに対して、上記従来構造の保持器付ラジアル-一ドル軸受 7a、 7bの場合、図 25に示す様に、ニードル 8、 8の本数力 10本程度にまで、大幅に少なくなる。この結果、円周方向に隣り合うニードル 8、 8同士の間隔も大幅に広くなる,

[0007] 図 23、 24に示した従来構造の場合、ラジアル-一ドル軸受 7a、 7bにより支承されたローラ 9、 9aの外周面に、局部的に大きなラジアル荷重が加わる事はない。この為、上述の様に円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔が広くても、耐久性確保の面力も特に問題を生じる事はない。これに対して、本発明が対象とするカムフォロァ装置の場合、カムシャフトの回転をロッカーアームの往復揺動運動に変換する、ェンジンの吸排気弁用駆動装置の構成部品として使用する為、エンジンの運転時にはタペットローラの外周面に、局部的に大きなラジアル荷重が加わる。この為、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔が広いと、上記タペットローラに、繰り返し大きな曲げ応力が加わり易くなつて、このタペットローラの軽量ィ匕と耐久性確保との両立が難しくなる。

[0008] 即ち、このタペットローラの耐久性を、上記曲げ応力に拘らず確保する為には、このタペットローラの径方向に関する厚さ寸法を大きくせざるを得なくなる。このタペット口ーラは、エンジンの運転時に高速で往復移動する部材であり、エンジンの性能向上の為には、少しでも軽量化をする必要がある。この為、ラジアル-一ドル軸受の回転抵抗の低減の為とは言え、上記タペットローラの厚さ寸法を大きくする事は好ましくない。

[0009] 特許文献 1 :特開平 3— 78507号公報

特許文献 2 :特開 2000— 145791号公報

特許文献 3：特開 2002— 70972号公報

特許文献 4：特開平 8— 270658号公報

特許文献 5：特開平 7 - 151153号公報

特許文献 6：特開 2000— 257638号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0010] 本発明は、上述の様な事情に鑑みて、タペットローラの厚さ寸法を大きくする事なく、支持軸に対してこのタペットローラを支持するラジアル-一ドル軸受の回転抵抗の低減を図るべく発明したものである。

課題を解決するための手段

[0011] 本発明のカムフォロア装置は、前述した従来のカムフォロア装置と同様に、支持軸と、タペットローラとを備える。

上記支持軸は、エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフトに固定されたカムに対向して設けられ、該カムの動きを受けて揺動変位する揺動部材にその端部を支持されている。

更に、上記タペットローラは、上記支持軸の周囲に、ラジアル-一ドル軸受を介して、回転自在に支持されている。

[0012] 特に、本発明のカムフォロア装置に於いては、上記ラジアル-一ドル軸受を構成する複数本の-一ドルは、円周方向に隣り合う-一ドル同士の間に上記支持軸の中心軸と平行に配置された、離隔素子により互いの転動面同士が接触しない状態に離隔されている。又、上記支持軸及びタペットローラの径方向に関する、上記各離隔素子の厚さ寸法は、上記各ニードルの直径よりも小さい。且つ、上記各離隔素子の内外両側面のうちの一方の側面が上記タペットローラの内周面と上記支持軸の外周面とのうちの一方の周面に摺接若しくは近接対向して上記径方向に関する位置決めを図られている。そして、上記各離隔素子の内外両側面のうちの他方の側面と上記タぺットローラの内周面と上記支持軸の外周面とのうちの他方の周面との間には、上記一方の側面と上記一方の周面との間に存在する隙間よりも大きな隙間が存在する。

[0013] また、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項 2に記載した様に、上記各離隔素子を、籠形保持器を構成する柱部とする。そして、上記各柱部の両端部が連結された 1対のリム部を、各ニードルの軸方向両端面と、揺動部材に設けられて支持軸の両端部を支持固定した、 1対の支持壁部の内側面との間に配置する。

この様に構成すれば、上記各ニードルの軸方向端面が、支持軸の端部を支持した揺動部材の一部側面に突き当たる事を防止して、この一部側面の摩耗を抑えられる。即ち、ロッカーアームの如き、高速で往復運動する上記揺動部材は、軽量化の為にアルミニウム合金等の比較的軟らカゝ、軽金属製とする場合がある。この様な軽金属製の揺動部材の一部側面に、軸受鋼等の硬質金属製 (或いはセラミック製)の各ニードルの軸方向端面が (スキューに基づく軸方向移動等により）突き当たった状態で、これら各ニードルが公転運動すると、上記一部側面に著しい摩耗が発生する可能性がある。

これに対して、上述の請求項 2に記載した様な構造を採用すれば、上記一部側面に著、摩耗が発生する事を確実に防止できる。

[0014] 又、上述の請求項 2に記載した様な構造を実施する場合に好ましくは、請求項 3に記載した様に、それぞれが円周方向に隣り合う柱部と 1対のリム部とにより四周を囲まれる各ポケットの内面に、これら各ポケット内に保持された-一ドルが当該ポケットから脱落する事を防止する為の係止部を設ける。

この様な係止部としては、上記各柱部の円周方向両側面から、或いは上記両リム部の互いに対向する側面から、上記各ポケットの内側に向け突出する小突起を形成する事が考えられる。これら各ポケット内に上記各-一ドルを保持させる際には、上記各小突起を弾性変位させつつ、これら各ポケット内に押し込む。押し込んだ後は、互いに対向する小突起の先端同士の間隔が上記各-一ドルの直径よりも小さくなるので、これら各ニードルが上記各ポケット内から不用意に脱落する事はなくなる。この様な構造を採用すれば、上記保持器と、この保持器に保持される複数本の- 一ドルとを不離に結合した、所謂ケージ &ローラとして取り扱える為、部品管理の簡略ィ匕ゃカムフォロア装置の組立性の向上を図れる。

[0015] 又、本発明を実施する場合に、例えば請求項 4に記載した様に、各離隔素子を、互いに独立した棒状のセパレータとする事もできる。

この様なセパレータを使用する構造の場合、各ニードルの軸方向端面が揺動部材の一部側面に突き当たる事を防止できないが、その代わりに、（リム部を備えた保持器を使用する場合に比べてリム部の厚さ寸法分)各ニードルの軸方向寸法を大きくできる。各ニードルの軸方向端面が揺動部材の一部側面に突き当たる事は、この揺動部材が鋼等の硬質金属製である場合、或いはこの一部側面で上記各-一ドルの軸方向端面に対向する部分に硬質金属製或いは合成樹脂製のヮッシャを設ける場合には、特に問題とならない。上記各ニードルの軸方向寸法を大きくする事は、ラジアルニードル軸受の負荷容量の増大に結び付き、カムフォロア装置の耐久性向上に繋がる。又、負荷容量が同じで良ければ、上記ラジアル-一ドル軸受及びタペットローラの軸方向寸法を (上記リム部の軸方向寸法分)小さくして、カムフォロア装置の小型 •軽量ィ匕を図れる。

[0016] 又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項 5に記載した様に、支持軸の外周面と各ニードルの転動面とのうちの少なくとも一方の面に、浸炭窒化層を形成する。この様な構成を採用すれば、上記支持軸の外周面及び上記各ニードルの転動面に損傷が発生する事を防止して、優れた耐久性を有するカムフォロア装置を実現できる。

[0017] 又、上記各隔離素子 (保持器或いはセパレータ)を合成樹脂製とすると、これらの各離隔素子の円周方向側面と、金属製或いはセラミック製 (一般的には軸受鋼等の鋼製)の-一ドルの転動面との摺接部の摩擦係数は、ニードルの転動面同士が擦れ合つた場合の摩擦係数に比べて低く抑えられる。又、合成樹脂製の各離隔素子は、成形が容易で安価に得られる他、軽量である為、本発明のカムフォロア装置を組み込んだエンジンの低コスト化、高性能化の面力も有利である。

[0018] 又、上記各離隔素子 (保持器或!ヽはセパレータ）を、マグネシウム合金の如き軽合金等のメタルインジェクション成形により造る事も、好ましい実施の形態である。この様な、軽量な金属材料の粉末冶金により上記各離隔素子を造れば、重量軽減と、複雑な形状の各離隔素子の製造作業の能率化とを図れる。

発明の効果

[0019] 上述の様に構成する本発明のカムフォロア装置の場合、円周方向に隣り合うニードルの転動面同士が擦れ合う事がない。これら各ニードルの転動面と各離隔素子の円周方向側面とは擦れ合うが、擦れ合い速度は円周方向に隣り合うニードルの転動面同士が擦れ合う場合に比べて遅い（1Z2に抑えられる）。この為、ラジアル-一ドル軸受の動トルクを低く抑えて、タペットローラの回転抵抗を低く抑えられる。

[0020] 更に、上記各離隔素子の厚さ寸法は、上記各ニードルの直径よりも小さぐしかも、径方向に関する位置をこれら各ニードルの径方向位置に対して偏らせて、る（各二一ドルのピッチ円直径と各離隔素子のピッチ円直径とを異ならせている）。この為、円周方向に隣り合うニードルの転動面同士の距離を、上記各離隔素子の円周方向に関する幅寸法よりも近づける事ができて、支持軸の外周面とタペットローラの内周面との間に配置する-一ドルの数を確保できる。この結果、タペットローラの厚さ寸法を特に大きくしなくても、エンジンの運転時にこのタペットローラに生じる曲げ応力を小さく抑えて、このタペットローラの損傷防止を図れる。

図面の簡単な説明

[図 1]本発明の実施例 1を示す、要部斜視図。

[図 2]図 1の A— A断面図。

[図 3]本発明の実施例 2を示す、要部斜視図。

[図 4]図 3の B— B断面図。

[図 5]ポケットからのニードルの抜け止め構造の別例を示す部分断面図。

[図 6]本発明の実施例 3を示す、要部斜視図。

[図 7]図 6の C C断面図。

[図 8]本発明の実施例 4を示す、要部斜視図。

[図 9]図 8の D— D断面図。

[図 10]本発明の実施例 5を示す要部断面図。

[図 11]本発明の実施例 6を示す要部断面図。

[図 12]保持器を取り出して示す斜視図。

[図 13]図 12の E— E断面図。

[図 14]中間素材を示す平面図。

[図 15]本発明の実施例 7を示す要部断面図。

[図 16]支持軸の外周面と各ニードルの転動面とに浸炭窒化層を形成する事による効果を確認する為の実験に使用した装置の断面図。

[図 17]実験結果を示す線図。

[図 18]カムフォロア装置を備えるエンジンの動弁機構の 1例を示す部分側面図。

[図 19]図 18の F— F断面図。

[図 20]同 G— G断面図。

[図 21]ロッカーアームを省略した状態で示す斜視図。

[図 22]図 21の H— H断面図。圆 23]保持器を備えた従来構造の第 1例を示す断面図。

圆 24]同第 2例を示す断面図。

[図 25]これら従来構造の 2例の場合に就いて示す、図 22と同様の図符号の説明

1 カムシャフト

2 カム

3 ロッカーアーム

4 支持壁部

5、 5a, 5b 支持軸

6 タぺッ卜ローラ

7、 , a、 c b^ 7c 7α、 7e

8 二一ドル

9、 9a ローラ

10、 10a、 10b、 10c、 10d

11、 11a, l ib, l lc、 l id

12、 12a, 12b、 12c、 12d

13 ポケット

14 ヘッド、

15 リング

16 潤滑油

17a, 17b 係止突片

18 内径側円筒部

19 外径側円筒部

20 傾斜部

21 中間素材

22 係止突部

23 内径側係止部

30 セノレータ発明を実施するための最良の形態

[0023] (実施例 1)

図 1〜2は、本発明の実施例 1を示している。尚、本実施例の特徴は、支持軸 5の周囲にタペットローラ 6を回転自在に支持する為のラジアル-一ドル軸受 7cの構造に関する。上記支持軸 5の両端部をロッカーアーム 3の支持壁部 4、 4 (図 18〜20参照）に支持固定する部分等、上記ラジアルニードル軸受 7c以外の部分の構造及び作用は、前述の図 18〜20に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。

[0024] 本実施例の場合、上記ラジアル-一ドル軸受 7cを構成する 12本の-一ドル 8、 8を、籠形の保持器 10bにより、転動自在に保持している。この保持器 10bは、合成樹脂を射出成形する事により一体に造られたもので、それぞれが円環状で互!ヽに平行に且つ同心に配置された 1対のリム部 11、 11と、上記支持軸 5と平行に配置された状態で、これら両リム部 11、 11の内側面同士の間に掛け渡された、保持すべきニードル 8、 8と同数（12本)の柱部 12、 12とから成る。尚、上記合成樹脂の種類に就いては特に限定しない。ポリアミド榭脂、ポリフエ-レンサルファイド榭脂等、一般的に保持器を造る場合に使用している各種合成樹脂を採用できる。例えば、補強材としてガラス繊維を 20〜30重量％ (好ましくは 25重量％)含有するポリアミド 46は、 150°C程度まで使用可能な耐熱性を有する為、エンジンの動弁機構に使用するカムフォロア装置に組み込むのに適している。一方、ポリアミド 66は、安価でしかも優れた成形性を有する為、低コストィ匕の面力有利である。但し、上記範囲のガラス繊維を補強材として含有させたとしても、 120°C程度の耐熱性し力得られないので、使用条件を考慮する必要がある。

[0025] 本実施例の場合、上記両リム部 11、 11の内径 R を上記支持軸 5の外径 D よりも

11 5 僅かに大きく（R >D )している。又、これら両リム部 11、 11の外径 D を、上記タぺ

11 5 11

ットローラ 6の内径 R よりも十分に小さく（D 《R )、上記各ニードル 8

6 11 6 、 8のピッチ円直径 D と同じ力、このピッチ円直径 D よりも僅かに大きい程度 (D ≥D )にしてい

P8 P8 11 P8 る。更に、上記各柱部 12、 12の外周側面と上記両リム部 11、 11の外周縁とは単一円筒面上に、これら各柱部 12、 12の内周側面とこれら両リム部 11、 11の内周縁とは単一円筒面上に、それぞれ位置させている。従って、上記保持器 10bの径方向に関する、上記各柱部 12、 12厚さ寸法 T は、上記両リム部 11、 11の厚さ寸法 W と等し

12 11 い（T =W ；)。

12 11

[0026] 又、上記各柱部 12、 12の外径側端部で、上記各-一ドル 8、 8のピッチ円 P上に位置し、円周方向に隣り合うニードル 8、 8同士の間に位置する部分の円周方向に関する幅寸法 w は、内径寄り部分の幅寸法 W よりも小さく（w <W )している。この構

12 12 12 12 成により、上記各柱部 12、 12の断面積を確保し、これら各柱部 12、 12の強度及び剛性を確保しつつ、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8の転動面同士を近づけられる様にしている。更に、上記両リム部 11、 11の内周縁及び上記各柱部 12、 12の内周側面を、上記支持軸 5の外周面に近接対向させる事により、上記保持器 10bの径方向に関する位置決めを (所謂内輪案内により）図っている。

[0027] 本実施例は、上述の様な構成により、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合う事を防止しつつ、これら各-一ドル 8、 8の本数が過度に少なくならない様にしている。即ち、前述の図 22に示す様に総-一ドル構造で 15本程度のニードル 8、 8を組み込める部分を考えた場合、前述の図 25に示した様に、従来から一般的に使用されている保持器 10、 10aを使用すると、 10本程度の-一ドル 8、 8し力組み込めな力つた。これに対して本実施例の場合には、上述した通り、 12本程度のニードル 8、 8を組み込める。又、上記両リム部 11、 11を設ける事により、前記支持壁部 4、 4 の内側面の摩耗を抑えられる様にして、る。

[0028] 上述の様に構成する本実施例のカムフォロア装置の場合、円周方向に隣り合う- 一ドル 8、 8同士の間に、上記保持器 10bの柱部 12、 12が存在する為、これら各-一ドル 8、 8の転動面同士が擦れ合う事がない。これら各-一ドル 8、 8の転動面と各柱部 12、 12の円周方向側面とは擦れ合うが、これら各柱部 12、 12は、上記各-一ドル 8、 8の様な自転運動をする事はない為、擦れ合い速度は、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合う場合に比べて遅い（1Z2に抑えられる）。又、合成榭脂製の保持器 10bを構成する、上記各柱部 12、 12の円周方向側面と、上記各二一ドル 8、 8の転動面との摺接部の摩擦係数は、ニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合った場合の摩擦係数に比べて低く抑えられる。この為、前記ラジアル-一ドル軸受 7cの動トルクを低く抑えて、前記タペットローラ 6の回転抵抗を低く抑えられる。この結果、本実施例のカムフォロア装置を組み込んだエンジンの燃料消費量を低減する等、このエンジンの性能向上を図れる。

[0029] 更に、上記各柱部 12、 12の厚さ寸法 T は、上記各- 8

12 一ドル、 8の直径 D よりも

8 小さく、しかも、径方向に関する位置をこれら各-一ドル 8、 8のピッチ円直径に対して径方向内側に偏らせている為、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士の距離を、上記各柱部 12、 12の円周方向に関する幅寸法よりも近づける事ができる。そして、前記支持軸 5の外周面と上記タペットローラ 6の内周面との間に配置するニードル 8、 8の数（12本）を確保できる。この結果、このタペットローラ 6の厚さ寸法 T を特

6 に大きくしなくても、エンジンの運転時にこのタペットローラ 6に生じる曲げ応力を小さく抑えて、このタペットローラ 6の損傷防止を図れる。又、合成樹脂製の保持器 10bは、成形が容易で安価に得られる他、軽量である為、本実施例のカムフォロア装置を組み込んだエンジンの低コスト化、高性能化の面力も有利である。

(実施例 2)

[0030] 図 3〜4は、本発明の実施例 2を示している。本実施例の場合、保持器 10cを構成する 1対のリム部 l la、 11a及びこれら両リム部 l la、 1 la同士の間に設けられた柱部 12a、 12aを、各-一ドル 8、 8のピッチ円 Pに対しし、径方向外側に配置している。これら各柱部 12a、 12aの径方向外端部の幅寸法は内径寄り部分の幅寸法よりも大きくして、円周方向に隣り合う柱部 12a、 12aの外径側端部の円周方向端縁同士の距離を、上記各-一ドル 8、 8の外径よりも十分に小さくしている。そして、上記両リム部 1 la、 11aの外周縁及び上記各柱部 12a、 12aの外周側面をタペットローラ 6の内周面に近接対向させて、上記保持器 10cの径方向位置を (所謂外輪案内により)規制している。又、上記各柱部 12a、 12aの径方向内端部を上記ピッチ円 Pよりも少しだけ径方向内方に位置させると共に、円周方向に隣り合う柱部 12a、 12aの内径側端部の円周方向端縁同士の距離を、上記各-一ドル 8、 8の外径よりも少しだけ小さくしている。

[0031] この様な本実施例の場合、上記保持器 10cのポケット 13、 13内に上記各-一ドル 8、 8を、この保持器 10cの径方向内側力も組み込む。この際、円周方向に隣り合う上記各柱部 12a、 12aを弾性変形させて、これら各柱部 12a、 12aの内径側端部同士の円周方向に関する間隔を広げる。上記各ポケット 13、 13内に上記各-一ドル 8、 8 を組み込んだ後の状態では、上記各柱部 12a、 12aの内径側端部同士の円周方向に関する間隔が縮まって、上記各-一ドル 8、 8が上記各ポケット 13、 13内から不用意に脱落する事がなくなる。この為、上記保持器 10cと、この保持器 10cに保持される複数本の-一ドル 8、 8とを不離に結合した、所謂ケージ &ローラとして取り扱える為、部品管理の簡略ィ匕ゃカムフォロア装置の組立性の向上を図れる。又、上記保持器 10cの径方向位置を外輪案内により規制している為、この保持器 10cの外周面と上記タペットローラ 6の内周面との擦れ合い部に十分量の潤滑油を介在させる事ができる。即ち、カムフォロア装置の運転時に潤滑油は、遠心力によって上記タペット口ーラ 6の内周面に集まる。この為、上記保持器 10cの外周面と上記タペットローラ 6の内周面との擦れ合い部の摩擦を低減して、これら両周面の摩耗を抑えられる。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例 1と同様である。

[0032] 尚、本実施例の変形として、上記各柱部 12a、 12aの内周側面位置を、図 4に示した位置よりも少し径方向外側（ピッチ円 Pよりも外径側）に位置させる事もできる。この様な構成を採用した場合には、各ポケット内に組み込んだ-一ドル 8、 8が、支持軸 5 の組み付け前に径方向内方に抜け出る事を防止する事はできないが、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔を縮めて、上記支持軸 5の外周面とタペットローラ 6 の内周面との間に組み込める-一ドル 8、 8の数を増やす事が可能になる。この様な構造は、前述の実施例 1に対し、ニードル 8、 8のピッチ円 Pに関して、ニードル 8、 8 及び保持器を径方向反対側に移した如き構造になる。ニードル 8、 8の数及びピッチ円直径が同じである場合、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間に存在する隙間は、ピッチ円 Pの内径側よりも外径側が大きい。従って、上述の様な構造は、柱部の断面積を確保する面からは有利である。

[0033] 又、本実施例の変形として、図 5に示す様に、ポケット 13の外径側開口部と内径側開口部とに係止突片 17a、 17bを、このポケット 13側に突出する状態で形成し、これら各係止突片 17a、 17bにより、このポケット 13内からの-一ドル 8の脱落防止を図る事もできる。このポケット 13内にこの-一ドル 8を組み込む際には、何れかの係止突片 17a ( 17b)を円周方向に弾性変形させつつ、上記ポケット 13内に上記-一ドル 8 を押し込む。

(実施例 3)

[0034] 図 6〜7は、本発明の実施例 3を示している。尚、本実施例の特徴は、支持軸 5の周囲にタペットローラ 6を回転自在に支持する為のラジアルニードル軸受 7dの構造に関する。上記支持軸 5の両端部をロッカーアーム 3の支持壁部 4、 4 (図 18〜20参照 )に支持固定する部分等、上記ラジアルニードル軸受 7d以外の部分の構造及び作用は、前述の図 18〜20に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。

[0035] 本実施例の場合、上記ラジアル-一ドル軸受 7dを構成する 12本の-一ドル 8、 8を、籠形の保持器 lOdにより、転動自在に保持している。この保持器 10dは、ステンレス鋼等の鉄系合金製、或いは真鍮等の銅系合金製の板材に打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により造られたもので、それぞれが円環状で互いに平行に且つ同心に配置された 1対のリム部 l lb、 l ibと、上記支持軸 5と平行に配置された状態で、これら両リム部 l lb、 l ibの内側面同士の間に掛け渡された、保持すべき-一ドル 8、 8と同数（12本）の柱部 12b、 12bと力ら成る。

[0036] 本実施例の場合、上記両リム部 l lb、 l ibの内径 R 及び上記各柱部 12b

l ib 、 12b の内接円の直径を上記支持軸 5の外径 D よりも僅かに大きく（R >D )している。

5 lib 5 又、これら両リム部 l lb、 l ibの外径 D 及び上記各柱部 12b

lib 、 12bの外接円の直径

(=D )を、上記タペットローラ 6の内径 R及び上記各ニードル 8、 8のピッチ円直径 lib 6

D よりも十分に小さく（D 《D 《R )している。更に、上記各柱部 12b、 12bの外

P8 lib P8 6

周側面と上記両リム部 l lb、 l ibの外周面とは単一円筒面上に、これら各柱部 12b、 12bの内周側面とこれら両リム部 l lb、 l ibの内周面とは単一円筒面上に、それぞれ位置させている。要するに、上記各柱部 12b、 12bを含む上記保持器 10d全体を、上記各-一ドル 8、 8のピッチ円 Pよりも十分に内径寄り部分に位置させる事により、上記各柱部 12b、 12bの円周方向に関する幅寸法 W を確保してこれら各柱部 12b

12b 、

12bの剛性を確保しつつ、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士を近づけられる様にしている。更に、上記両リム部 l lb、 l ibの内周縁及び上記各柱部 12b、 12bの内周側面を、上記支持軸 5の外周面に近接対向させる事により、上記保持器 10dの径方向に関する位置決めを (所謂内輪案内により）図って、る。

[0037] 本実施例は、上述の様な構成により、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合う事を防止しつつ、これら各-一ドル 8、 8の本数が過度に少なくならない様にしている。即ち、前述の図 22に示す様に総-一ドル構造で 15本程度のニードル 8、 8を組み込める部分を考えた場合、前述の図 25に示した様に、従来から一般的に使用されている保持器 10、 10aを使用すると、 10本程度の-一ドル 8、 8し力組み込めな力つた。これに対して本実施例の場合には、上述した通り、 12本程度のニードル 8、 8を組み込める。又、上記両リム部 l lb、 l ibを設ける事により、前記支持壁部 4 、 4の内側面の摩耗を抑えられる様にしている。

[0038] 上述の様に構成する本実施例のカムフォロア装置の場合、円周方向に隣り合う- 一ドル 8、 8同士の間に、上記保持器 10dの柱部 12b、 12bが存在する為、これら各ニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合う事がない。これら各-一ドル 8、 8の転動面と各柱部 12b、 12bの円周方向側面とは擦れ合うが、これら各柱部 12b、 12bは、上記各ニードル 8、 8の様な自転運動をする事はない為、擦れ合い速度は、円周方向に隣り合うニードル 8、 8の転動面同士が擦れ合う場合に比べて遅い（1Z2に抑えられる）。この為、前記ラジアル-一ドル軸受 7dの動トルクを低く抑えて、前記タペットローラ 6の回転抵抗を低く抑えられる。この結果、本実施例のカムフォロア装置を組み込んだエンジンの燃料消費量を低減する等、このエンジンの性能向上を図れる。

[0039] 更に、上記各柱部 12b、 12bの厚さ寸法 T は、上記各-

12b 一ドル 8、 8の直径 D よ

8 りも十分に小さく（T 《D )、し力も、径方向に関する位置をこれら各-

12b 8 一ドル 8、 8 のピッチ円直径に対して内側に偏らせている為、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8の転動面同士の距離を、上記各柱部 12b、 12bの円周方向に関する幅寸法 W よりも

12b 近づける事ができる。そして、前記支持軸 5の外周面と上記タペットローラ 6の内周面との間に配置する-一ドル 8、 8の数（12本）を確保できる。この結果、このタペット口ーラ 6の厚さ寸法 T を特に大きくしなくても、エンジンの運転時にこのタペットローラ 6

6

に生じる曲げ応力を小さく抑えて、このタペットローラ 6の損傷防止を図れる。 (実施例 4)

[0040] 図 8〜9も、本発明の実施例 4を示している。本実施例の場合、保持器 lOgを構成する 1対のリム部 l lc、 11c及びこれら両リム部 l lc、 11c同士の間に設けられた柱部 12c、 12cを、各-一ドル 8、 8のピッチ円 Pに対しし、十分に径方向外側に配置している。本実施例の保持器 10gも、ステンレス鋼等の鉄系合金製、或いは真鍮等の銅系合金製の板材に打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により造られたもので、上記各柱部 12c、 12cの外周側面と上記両リム部 l lc、 11cの外周面とは単一円筒面上に、これら各柱部 12c、 12cの内周側面とこれら両リム部 l lc、 11cの内周面とは単一円筒面上に、それぞれ位置させている。そして、これら両リム部 l lc、 11cの外周面及び上記各柱部 12c、 12cの外周側面をタペットローラ 6の内周面に近接対向させて、上記保持器 10gの径方向位置を (所謂外輪案内により)規制している。又、上記各柱部 12c、 12cの内周面を上記ピッチ円 Pよりも十分に径方向外方に位置させて、円周方向に隣り合う各ニードル 8、 8の転動面同士の間隔 D を、上記各柱部 12c

8a 、 12c の円周方向に関する幅寸法 W よりも十分に短く（D 《W )している。

12c 8a 12c

[0041] 上述の様な構成を採用した場合には、前述した実施例 3の場合以上に、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔を縮めて、上記支持軸 5の外周面とタペットローラ 6の内周面との間に組み込める-一ドル 8、 8の数を増やす事が可能になる。即ち、本実施例の構造は、上記実施例 3に対し、ニードル 8、 8のピッチ円 Pに関して、上記各柱部 12c、 12cを径方向反対側に移した如き構造になる。ニードル 8、 8の数及びピッチ円直径が同じである場合、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間に存在する隙間は、ピッチ円 Pの内径側よりも外径側が大きい。従って、本実施例の様な構造は、柱部の断面積を確保しつつ円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間隔を短くする（ニードルの数を増やす)面からは有利である。

[0042] 又、本実施例の場合には、上記保持器 10gの径方向位置を外輪案内により規制している為、この保持器 10gの外周面と上記タペットローラ 6の内周面との擦れ合い部に十分量の潤滑油を介在させる事ができる。即ち、カムフォロア装置の運転時に潤滑油は、遠心力によって上記タペットローラ 6の内周面に集まる。この為、上記保持器 10gの外周面と上記タペットローラ 6の内周面との擦れ合い部の摩擦を低減して、これら両周面の摩耗を抑えられる。尚、この擦れ合い部に存在する潤滑油をより十分に確保する為には、上記各柱部 12c、 12cの外周面の円周方向両端縁寄り部分に、端縁に向力程径方向内方に向力方向に傾斜した傾斜面を形成する事が好ましい。この様な傾斜面を形成する事により、上記各柱部 12c、 12cの外周面の円周方向両端縁が上記タペットローラ 6の内周面に付着した油を過度に搔き取る事を防止して、上記擦れ合い部に存在する潤滑油を確保できる。尚、この様な傾斜面を形成する技術は、前述した実施例 3 (径方向に関する内外が逆になる）や、次述する実施例 5、 6 に就いても適用できる。

(実施例 5)

[0043] 図 10は、本発明の実施例 5を示している。本実施例の場合には、保持器 10fとして、幅方向中間部の断面形状が台形に屈曲したものを使用している。即ち、長方向中央部に形成した内径側円筒部 18と、幅方向両端部に形成した外径側円筒部 19、 1 9とを、傾斜部 20、 20により連続させている。このうちの内径側円筒部 18は、ニードル 8のピッチ円 Pよりも内径側に、外径側円筒部 19、 19はこのピッチ円 Pよりも外径側に、それぞれ存在する。又、上記-一ドル 8を転動自在に保持する為のポケットは、上記両外径側円筒部 19、 19の内半部同士の間に掛け渡す状態で設けられて!/、る。これら両外径側円筒部 19、 19の円周方向両端縁、及び、上記内径側円筒部 18の円周方向両端縁で円周方向に互いに整合する位置には、それぞれ係止突片を、上記ポケット内に突出する状態で形成している。同一のポケット内に突出する係止突片の先端縁同士の自由状態での間隔は、上記-一ドル 8の外径よりも僅かに小さくしている。

[0044] この様な本実施例の場合、上記保持器 10fのポケット内に上記-一ドル 8を径方向から組み込む際、上記各係止突片を弾性変形させて、円周方向に互いに対向する係止突片の先端縁同士の間隔を広げる。上記ポケット内に上記-一ドル 8を組み込んだ後の状態では、上記各係止突片の先端縁同士の円周方向に関する間隔が縮まつて、上記-一ドル 8が上記ポケット内から不用意に脱落する事がなくなる。この為、上記保持器 10fと、この保持器 10fに保持される複数本の-一ドル 8とを不離に結合した、所謂ケージ &ローラとして取り扱える為、部品管理の簡略ィ匕ゃカムフォロア装置の組立性の向上を図れる。この様な本実施例の場合、上記保持器 10fの径方向に関する位置決めを、上記各係止突片と上記ニードル 8の転動面との係合による、所謂転動体案内により図っている。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例 3、 4と同様である。

(実施例 6)

[0045] 図 11〜14も、本発明の実施例⁶を示している。本実施例に使用する保持器 10gは、図 12〜13に詳示する様に、軸方向（図 11〜13の左右方向）に互いに間隔をあけて配置した、それぞれが円輪状である 1対のリム部 l ld、 l idと、複数本の柱部 12d、 12dとを備える。これら各柱部 12d、 12dは、円周方向に亙って間欠的に配置され、それぞれの両端部を上記両リム部 1 ld、 1 Idの互いに対向する内側面の外径寄り部分に連続させている。又、上記各柱部 12d、 12dは、軸方向中間部が径方向内方に向け台形状に折れ曲がった形状を有する。そして、円周方向に隣り合うこれら各柱部 12d、 12dの円周方向両側縁と上記両リム部 l ld、 l idの互いに対向する内側面とにより囲まれる空間部分を、それぞれポケット 13、 13とし、これら各ポケット 13、 13に各-一ドル 8、 8を、転動自在に保持している。

[0046] この様に構成する上記保持器 10gは、前述した特許文献 4等に記載されて従来から周知の様に、帯状の金属板 (一般的には鋼板若しくはステンレス鋼板)を円筒状に丸めて成る。即ち、図示は省略するが、帯状の金属板にプレス加工を施す事により保持器として基本的な断面形状を有する第一段階の中間素材とした後、この第一段階の中間素材に剪断加工を施す事により上記各ニードル 8、 8を転動自在に保持する為のポケット 13、 13を打ち抜き成形し、第二段階の中間素材とする。更に、この第二段階の中間素材を所定長さに切断し、図 14に示す様な第三段階の中間素材 21とする。

[0047] そして、この第三段階の中間素材 21を円筒状に丸め、両端部を突き合わせ溶接して、図 12に示す様な保持器 10gとする。本実施例の場合には、上記保持器 10gの径方向位置を規制する為に、この保持器 10gの外周面をタペットローラ 6 (図 11参照）の内周面に近接対向させている。そして、運転時には、この様に近接対向させた保持器 10gの外周面を上記タペットローラ 6の内周面に案内（外輪案内）させる事で、この保持器 lOgの径方向に関する位置決めを図り、振動や異音が発生する事を防止する様にしている。

[0048] 又、上記保持器 lOgは、上記各柱部 12d、 12dの両端部両側縁のうちの円周方向に関して互いに整合する位置に係止突部 22、 22を、これら各側面から円周方向に突出する状態で設けている。これら各係止突部 22、 22は、上記各ポケット 13、 13内に転動自在に保持する上記各-一ドル 8、 8が、当該ポケット 13、 13から径方向外方に抜け出る事を防止する為のものである。即ち、上記各-一ドル 8、 8を上記保持器 1 Ogと共に、支持軸 5の外周面と上記タペットローラ 6の内周面との間に組み付ける際に、これら各-一ドル 8、 8を上記各ポケット 13、 13内に、径方向に抜け出るのを阻止した状態で保持する為に設けている。

[0049] この為に、上記各ポケット 13、 13の開口部で上記各-一ドル 8、 8のピッチ円よりも外径側部分に上記各係止突部 22、 22を、互いに対向する状態で設けると共に、これら各係止突部 22、 22の先端縁同士の間隔 D (図 12参照）を、上記各-

22 一ドル 8、

8の外径 D (図 11参照）よりも小さくしている（D >D )。又、これと共に、上記各柱

8 8 22

部 12d、 12dの中間部で上記各-一ドル 8、 8のピッチ円よりも内径側に位置する内径側係止部 23、 23の互いに対向する側縁同士の間隔 D (図 12参照)も、上記各二

23

一ドル 8、 8の外径 D よりも小さくしている（D >D ；)。

8 8 23

[0050] 上記各-一ドル 8、 8を上記各ポケット 13、 13に保持するには、これら各-一ドル 8 、 8をこれら各ポケット 13、 13に、上記保持器 10gの内径側から押し込む。この際、上記各-一ドル 8、 8により上記内径側係止部 23、 23の側縁同士の間隔 D を弹性的

23 に広げて、これら各-一ドル 8、 8をこれら側縁同士の間を通過させる。この様にしてこれら各-一ドル 8、 8を上記各ポケット 13、 13に保持した状態で、これら各-一ドル 8 、 8は、上記各係止突部 22、 22により前記保持器 10gの径方向外方に、上記各柱部 12d、 12dの内径側係止部 23、 23の側縁により同じく径方向内方に、それぞれ抜け出る事を防止される。この点で本実施例の構造は、前述の実施例 5の場合と同様である。本実施例の場合、前記両リム部 l ld、 l idを円輪状にした事に伴い、これら両リム部 l ld、 l idの軸方向寸法を小さく抑えつつ、上記保持器 10gの剛性を確保している。従って本実施例の場合には、前述の実施例 5の場合と保持器 10gの剛性を同じとした場合に、上記各ポケット 13、 13の軸方向長さを大きくして、これら各ポケット 1 3、 13内に保持する上記各-一ドル 8、 8の長さ寸法を大きくできる。その他の構成及び作用は、上記実施例 5の場合と同様である。

(実施例 7)

[0051] 図 15も、本発明の実施例 7を示している。本実施例のラジアル-一ドル軸受 7eは、離隔素子としての互いに独立した棒状のセパレータ 30が、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間に支持軸 5の中心軸と平行に配置されている。本実施例の各セパレータ 30は、合成樹脂製であり、実施例 1の柱部 12と同等の断面形状を有する。即ち、内径 R が上記支持軸 5の外径 D よりも僅かに大きく（R >D )している。又、外

30 5 30 5 径 D を、上記タペットローラ 6の内径 R よりも十分に小さく（D 《R )、上記各-

30 6 30 6 一ドル 8、 8のピッチ円直径 D と同じ力、このピッチ円直径 D よりも僅かに大きい程度（

P8 P8

D ≥D )にしている。又、各セパレータ 30、 30の外径側端部で、上記各-一ドル 8

30 P8

、 8のピッチ円 P上に位置し、円周方向に隣り合う-一ドル 8、 8同士の間に位置する部分の円周方向に関する幅寸法 w は、内径寄り部分の幅寸法 W よりも小さく（w

30 30 30

<w )している。

30

[0052] この様なセパレータ 30、 30を使用する構造の場合、各-一ドル 8、 8の軸方向端面が揺動部材の一部側面に突き当たる事を防止できないが、その代わりに、（リム部を備えた保持器を使用する場合に比べてリム部の厚さ寸法分)各-一ドル 8, 8の軸方向寸法を大きくできる。各ニードル 8、 8の軸方向端面が揺動部材の一部側面に突き当たる事は、この揺動部材が鋼等の硬質金属製である場合、或いはこの一部側面で上記各ニードル 8、 8の軸方向端面に対向する部分に硬質金属製或いは合成樹脂製のヮッシャを設ける場合には、特に問題とならない。上記各-一ドル 8、 8の軸方向寸法を大きくする事は、ラジアル-一ドル軸受 7eの負荷容量の増大に結び付き、力ムフォロア装置の耐久性向上に繋がる。又、負荷容量が同じで良ければ、上記ラジアルニードル軸受 7e及びタペットローラの軸方向寸法を (上記リム部の軸方向寸法分）小さくして、カムフォロア装置の小型 ·軽量ィ匕を図れる。

[0053] その他の構成及び作用については、実施例 1のものと同様である。また、セパレータの材質は、金属製であってもよぐその断面形状は、材質に応じて上記実施例の保持器の柱部のように適宜変更可能である。

[0054] 尚、本発明を実施する場合に、支持軸 5の外周面と各ニードル 8、 8の転動面とのうちの少なくとも一方の面に、浸炭窒化層を形成する事は、これら外周面及び転動面の損傷を防止して、カムフォロア装置の耐久性向上を図る面力も有効である。図 16 は、この様な浸炭窒化層を形成する事による効果を確認する為の実験に使用した装置を示している。この実験装置では、ヘッド 14に支持した支持軸 5の周囲にラジアルニードル軸受 7により回転自在に支持したタペットローラ 6を、カムに対応するリング 1 5の外周面に、所望の荷重により押圧自在としている。又、このリング 15の下端部は、装置の下部に貯溜された潤滑油 16中に浸漬している。実験を行なう際には、上記タペットローラ 6を上記リング 15の外周面に所定の押圧力により押圧しつつ、このリング 15を所望の回転速度で回転させる。そして、上記ラジアル-一ドル軸受 7に、剥離に基づく損傷が発生し、その結果、著しい振動が発生する迄の時間 (寿命)を測定した

[0055] この様にして行なった実験の結果を、図 17に示す。この図 17の横軸は上記ラジアルニードル軸受 7の寿命を、竪軸は複数の試料のうちで寿命に達した試料の割合を、それぞれ表している。この様な図 17にその結果を示した実験には、前述の図 21〜 22に示す様な、総-一ドル型のラジアル-一ドル軸受 7を使用した。又、上記リング 1 5の回転速度は 5000min— ¹、付加荷重は 0. 3C、使用した潤滑油 16は 5W— 20のェンジンオイル、この潤滑油 16の温度は 100°Cとした。この様な条件で行なった実験の結果を示す図 17中、実線 aは、上記支持軸 5と上記各-一ドル 8、 8とに、標準的な熱処理 (所謂ズブ焼きによる焼き入れ)を施した場合を、破線 bは、これら支持軸 5と各ニードル 8、 8とに、浸炭窒化処理を施した (表面及び転動面に浸炭窒化層を形成した)場合を、それぞれ示している。

[0056] この様な実験結果から明らかな通り、上記支持軸 5と上記各ニードル 8、 8とに浸炭窒化処理を施す事で、標準的な熱処理を施した場合に比べて、寿命を凡そ 7倍に延長できる。この様に寿命を延長できる為、仮に、保持器或いはセパレータを設けて- 一ドルの数が少なくなる事に伴って耐久性が低下する傾向になっても、上記支持軸 5 と上記各ニードル 8、 8とに浸炭窒化処理を施す事により、この耐久性低下を十分に補える。尚、浸炭窒化処理は、上記支持軸 5と上記各ニードル 8、 8との両方に施す事が好ましいが、片方にのみ施すだけでも、或る程度の効果を得られる。従って、コストと、必要とされる耐久性とを考慮しつつ、浸炭窒化処理を施すか否か、施すとすれば、何れの部分に施すかを決定する。尚、前記タペットローラ 6に就いては、必ずしも浸炭窒化処理を施す必要はないが、より優れた耐久性を得る為に、施す事は自由である。

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなぐ適宜、変形、改良等が可能である。また、本出願は、 2005年 1月 13日出願の日本特許出願 (特願 2005— 005909 )及び 2005年 1月 20日出願の日本特許出願 (特願 2005-012831)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims

請求の範囲

[1] エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフトに固定されたカムに対向して設けられ、該カムの動きを受けて揺動変位する揺動部材にその端部を支持された支持軸と、該支持軸の周囲にラジアルニードル軸受を介して回転自在に支持されたタペットローラとを備えたカムフォロア装置に於いて、上記ラジアル-一ドル軸受を構成する複数本の-一ドルは、円周方向に隣り合う-一ドル同士の間に上記支持軸の中心軸と平行に配置された、離隔素子により互いの転動面同士が接触しない状態に離隔されており、上記支持軸及びタペットローラの径方向に関する、上記各離隔素子の厚さ寸法は、上記各ニードルの直径よりも小さぐ且つ、上記各離隔素子の内外両側面のうちの一方の側面が上記タペットローラの内周面と上記支持軸の外周面とのうちの一方の周面に摺接若しくは近接対向して上記径方向に関する位置決めを図られており、上記各離隔素子の内外両側面のうちの他方の側面と上記タペットローラの内周面と上記支持軸の外周面とのうちの他方の周面との間には、上記一方の側面と上記一方の周面との間に存在する隙間よりも大きな隙間が存在する事を特徴とするカムフォロア装置。

[2] 上記各離隔素子は、籠形保持器を構成する柱部であり、上記各柱部の両端部が連結された 1対のリム部が、各ニードルの軸方向両端面と、揺動部材に設けられて支持軸の両端部を支持固定した、 1対の支持壁部の内側面との間に配置されている、請求項 1に記載したカムフォロア装置。

[3] それぞれが円周方向に隣り合う柱部と 1対のリム部とにより四周を囲まれる各ポケットの内面に、上記各ポケット内に保持されたニードルが当該ポケットから脱落する事を防止する為の係止部が設けられている、請求項 2に記載したカムフォロア装置。

[4] 各離隔素子が、互いに独立した棒状のセパレータである、請求項 1に記載したカムフォロア装置。

[5] 支持軸の外周面と各ニードルの転動面とのうちの少なくとも一方の面に、浸炭窒化層を形成した、請求項 1〜4の何れか 1項に記載したカムフォロア装置。