明 細 書
可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置
技術分野
[0001] 本発明は可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置に係り、特に電動 モータと液圧シリンダとを併用してプレス機械のスライドや各種の推力を要する産業 機械や建設機械等の可動盤を駆動する技術に関する。
背景技術
[0002] (a)電動サーボモータ駆動のプレスのスライド駆動装置
特許文献 1には、電動モータ (電動サーボモータ)のみで直接又は間接的に (減速 機等を介して)スライドを駆動する電動プレスが開示されている。この電動プレスは、 スライドの高 、制御性は得られるものの、プレス機械や成形機の重要な能力要素とな る仕事能力(エネルギ能力)が確保できな ヽ (不十分となる)。これは電動モータによ る駆動において、エネルギを貯える機能を有さないため、及びモータ内部の発熱によ り大きな出力の連続放出が不能なためであり、成形時にモータ力 得られるエネルギ 量が限られて 、る力 である。
[0003] これを解決するためには、力なり出力(W)の大き 、電動モータを準備する必要があ り、それに対応する使用者側の受電容量 (設備)が莫大になる。また、スライドの加減 速、成形を伴わない等速動作時には、電動モータは極めて低い負荷トルクに伴う小 さい仕事量にとどまり、電動モータの剰余トルク(エネルギ)を有効に活用できない。
[0004] (b)可変吐出容量ポンプ + (複数の)油圧モータ(の閉回路接続) +スクリュウで駆 動されるプレス機械のスライド駆動装置
特許文献 2には、可変吐出容量油圧ポンプ +油圧モータ +スクリュウでスライドを駆 動するプレス機械のスライド駆動装置が開示されて 、る。このプレス機械のスライド駆 動装置によってスライドを駆動する場合は、スライドの制御性 (応答性や静的な [速度 や位置の]精度)に問題を有する。
[0005] 即ち、スライドを駆動するために必要な力は、可変吐出容量ポンプが吐出する単位 時間当たりに流れる油量が負荷発生に伴い油圧モータに接続される管路内で圧縮
されて発生する圧力(負荷圧)に比例するため、その圧縮に伴う応答遅れによりスライ ドの動特性が低下する (応答性や速度、位置のフィードバックゲインが低下する)。ま た、前記負荷圧に比例した圧油の漏れが可変吐出容量油圧ポンプや油圧モータ、 弁類で発生し、特に負荷圧が高くなる成形中の速度、位置精度を大きく低下させる。 し力も、可変容量ポンプモータによる油量制御を基幹とした駆動のため、単位時間内 に流れる油量が大量に必要となり、設備が増大化する危惧がある。
[0006] 反面、電動モータと可変容量ポンプ Zモータの間にフライホイールを有すことが可 能であり、エネルギの蓄積機能を有すため、エネルギ的な制約は受けない。また、同 様な油圧回路で、機械プレスのクランク軸を駆動するタイプの装置 (特許文献 3等)も あるが、前記の問題の他に、油圧モータによる駆動軸力 スライドに至る特性が非線 型であり、スライド加圧力値に制約が加わる等、更に制御上の問題が加わる。
[0007] (c) 特許文献 4には、電動モータで固定吐出容量ポンプを回転駆動し、ポンプに接 続された油圧シリンダや油圧モータによって可動盤を駆動する液圧駆動式塑性加工 装置が開示されている。この装置は、油圧媒体を駆動部の途中に介在させることで( 作動油の圧縮性、圧油の漏れの影響で)、電動モータの持つ制御性を著しく低下さ せる問題点を有する。更に電動モータ制御特有の問題であるエネルギの蓄積機能を 有さない点やコイル発熱の問題をそのまま引き継いでいる。そのため、プレス加圧力 及びプレス成形に伴う必要仕事量は、電動モータの最大瞬間出力で制限される。利 点は、簡単にシステムを構成可能なところに限られる。
[0008] (d)特許文献 5には、電動モータと固定容量式油圧ポンプ Zモータの並列駆動によ りスクリュ ·ナット機構を介してスライドを駆動するスライド駆動装置が開示されて 、る。 この装置は、電動モータと固定容量式油圧ポンプ Zモータとの両者の回転力を複合 してスクリュ ·ナット機構に伝達するようにして 、る。
[0009] (e)特許文献 6には、サーボモータで駆動されるねじ加圧装置の直動駆動力と、可 変容量ポンプ又は定吐出ポンプを動力源とする油圧シリンダ (油圧装置)の直動駆 動力とをそれぞれスライドに伝達可能した板材加工機におけるラム駆動装置が開示 されている。このラム駆動装置は、ラム往復駆動時の位置決めを主にねじ加圧装置 で行い、板材加工時の加圧を主に油圧装置で行うことにより、位置決め精度が高精
度で、大なる加圧力で板材加工を行うことができるようにしている(特許文献 6の段落 [0056])。
特許文献 1:特許第 2506657号明細書
特許文献 2:米国特許第 4563889号明細書
特許文献 3:特開平 1― 309797号公報
特許文献 4:特開平 10— 166199号公報
特許文献 5:特開 2002— 172499号公報
特許文献 6:特開平 7 - 266086号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 特許文献 5に記載のプレス機械のスライド駆動装置は、以下の問題点がある。
[0011] (1)エネルギ効率
一定圧力源によって駆動される油圧モータは、油圧モータ内での作動油の漏れ量 が多ぐまた摩擦損失も大きいため、エネルギ効率が悪い。
[0012] (2)制御性
電動モータと固定容量式油圧ポンプ Zモータとの両者の回転力を複合してスクリュ
•ナット機構に伝達するため、スクリュ 'ナット機構及び駆動軸の剛性増加を伴い、電 動モータ軸換算の慣性モーメントが増大し、制御性の低下 (応答性低下やフィードバ ック制御における比例ゲイン確保の制約)を伴う。
[0013] (3)コスト
固定容量式油圧ポンプ Zモータは、市場性や部品点数の観点力も高価である。
[0014] (4)騒音
固定容量式油圧ポンプ Zモータは、回転数に比例した高圧 低圧切換の脈動音 が発生し、騒音源となる。
[0015] 一方、特許文献 6に記載の板材加工機におけるラム駆動装置は、油圧シリンダを使 用しているため、上記 (1)〜(4)の問題点はない。この駆動装置では、前述したように 板材加工時の圧力制御を油圧装置で行っているが、当該油圧装置は、可変容量ポ ンプ又は定吐出ポンプ力も直接作動油を油圧シリンダの上室に供給している。このた
め、加圧力やエネルギを自在に確保可能となるが、作動油の圧縮や圧油の漏れによ り著しく制御性を損ない、また、加圧力を高精度にかつ応答性よく制御することが難 しいという問題がある。
[0016] 更に、特許文献 6に記載の油圧装置は、板材加工時に加圧可変容量ポンプ又は 定吐出ポンプを駆動して作動油を油圧シリンダに供給する必要があり、ポンプを駆動 するモータも出力の大きなものが必要になる。
[0017] 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電動モータと液圧シリンダとを併 用して大きな加圧能力を有するとともに、全体として電動モータの特性で高精度に可 動盤を駆動することができ、またエネルギ効率に優れた可動盤の駆動装置及びプレ ス機械のスライド駆動装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0018] 前記目的を達成するために、本発明の第一の態様に係る可動盤の駆動装置は、 電動モータと、前記電動モータの出力トルクを可動盤を移動させるための推力として 該可動盤に伝達させるスクリュ 'ナット機構と、略一定圧力の作動液を発生する定高 圧力源と低圧力源に弁を介して接続された単数又は複数の液圧シリンダと、前記液 圧シリンダの推力を前記可動盤に伝達する推力伝達手段であって、前記スクリュ 'ナ ット機構の任意のストローク位置で随時推力が伝達可能なように連結する推力伝達 手段と、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ 'ナット機構ま でのいずれかの回転部の角速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段に よって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制 御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記可動盤の負荷が小さくなる所定 の期間に前記液圧シリンダの少なくとも 1つの液圧シリンダをポンプとして作用させ、 前記電動モータから前記スクリュ'ナット機構、可動盤及び推力伝達手段を介して前 記液圧シリンダに伝達される推力により前記低圧力源力 前記定高圧力源に作動液 をチャージさせることを特徴として 、る。
[0019] 即ち、電動モータの出力トルクは、スクリュ 'ナット機構を介して直線駆動力として可 動盤に加わる。また、定高圧力源と低圧力源に弁を介して接続された単数又は複数 の液圧シリンダの推力は、推力伝達手段を介して前記スクリュ'ナット機構の任意のス
トローク位置で前記可動盤に随時伝達可能になっており、出力トルクとシリンダの圧 力は力次元で複合される。そして、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸 からスクリュ 'ナット機構までのいずれかの回転部の角速度に基づいて前記電動モー タ及び液圧シリンダを制御することにより、可動盤の動作を電動モータの制御性に依 存させて高精度な制御を可能にしている。一方、電動モータによる加圧力の不足分 は、液圧シリンダの圧力により行うことでアシストするようにしている。また、液圧シリン ダをポンプとして作用させることにより、電動モータの剰余トルクを圧液エネルギとして 定高圧力源にチャージし、更に可動盤の減速時の可動盤の運動エネルギを圧液ェ ネルギとして定高圧力源にチャージ(回生)することができる。
[0020] 本発明の第二の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記定 高圧力源、低圧力源及び液圧シリンダを含んで構成される作動液が循環する液圧装 置は、大気と遮断されていることを特徴としている。これにより、作動液に不純物が混 入することを防止できるようにして 、る。
[0021] 本発明の第三の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記定 高圧力源は、作動液を略一定高圧に保持するアキュムレータを含んで構成されるこ とを特徴として 、る。前記液圧シリンダをポンプとして作用させたときに吐出される圧 液は、前記アキュムレータにチャージされる。
[0022] 本発明の第四の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記低 圧力源は、作動液を大気圧のタンク又は略一定低圧に保持するアキュムレータを含 んで構成されることを特徴として 、る。
[0023] 本発明の第五の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記定 高圧力源は、略一定圧力の作動液を供給する作動液補助供給手段が接続されるこ とを特徴として 、る。前記液圧シリンダをポンプとして作用させることにより作動液を定 高圧力源にチャージすることができるが、前記作動液補助供給手段は、運転開始時 や可動盤の加圧に使用する作動液の液量が不足する場合に作動液を定高圧力源 に供給する。
[0024] 本発明の第六の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記電 動モータは、少なくとも 1つのサーボモータを含む複数の電動モータを含むことを特
徴としている。
[0025] 本発明の第七の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記電 動モータの出力トルクは、減速機を介して前記スクリュ 'ナット機構に伝達されることを 特徴としている。
[0026] 本発明の第八の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記液 圧シリンダは、シリンダ径の異なる 2種類以上のシリンダが用いられていることを特徴 としている。
[0027] 本発明の第九の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記液 圧シリンダは、シリンダ径の同一な一対の液圧シリンダを含み、前記一対の液圧シリ ンダは前記可動盤の中心に対して対称の位置に配置されるとともに、前記一対の液 圧シリンダの圧液接続ポート間は、作動液が同時に供給可能に接続されていることを 特徴として ヽる。前記一対の液圧シリンダによって可動盤をバランスよく加圧すること ができるとともに、一対の液圧シリンダの制御系を 1つにすることができる。
[0028] 本発明の第十の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記液 圧シリンダは、少なくとも 1つの液圧シリンダのピストロッド側の圧液接続ポートが前記 低圧力源に常時通じるように接続されて!ヽることを特徴として!/ヽる。
[0029] 本発明の第十一の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤は鉛直方向に移動可能に案内され、前記液圧シリンダはシリンダ下室側の圧 液接続ポートにパイロット操作逆止弁が接続され、非駆動時に前記可動盤の自重を 支えることを特徴として 、る。
[0030] 本発明の第十二の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤の目標速度又は前記回転部の目標角速度を指令する速度指令手段を備え、 前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度 、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動 モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴としている。即ち、前記電動モータ及 び液圧シリンダは、速度フィードバックによる制御が行われて!/、る。
[0031] 本発明の第十三の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可
動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手 段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検 出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出さ れた速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することを 特徴としている。即ち、前記電動モータ及び液圧シリンダは、速度マイナーループフ イードバック付き位置フィードバックによる制御が行われている。
[0032] 本発明の第十四の態様は、第十三の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前 記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によつ て検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モ 一タトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータト ルク指令信号に基づ 、て前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有するこ とを特徴としている。
[0033] 本発明の第十五の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可 動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手 段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検 出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出さ れた速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベー ス信号を演算するモーションベース演算手段と、前記モーションベース信号に基づ V、て前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴として 、る
[0034] 本発明の第十六の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可 動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手 段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検 出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出さ れた速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベー
ス信号を演算するモーションベース演算手段と、前記位置指令手段によって指令さ れた目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度 、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動 モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令 演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記速度検出手段によって検出 された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該 外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する外乱トルク推定手段と、前記モーシ ヨンベース信号及び前記外乱トルク推定信号に基づいて前記液圧シリンダを制御す るシリンダ制御手段と、を有することを特徴として 、る。
[0035] 本発明の第十七の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可 動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手 段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検 出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出さ れた速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク 指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令 信号、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記 可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を 演算する外乱トルク推定手段と、前記複合モータトルク指令信号及び前記外乱トルク 推定信号に基づ 、て前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを 特徴としている。
[0036] 第十六及び第十七の態様に示すように、複合モータトルク指令信号、及び検出さ れた可動盤の速度又は回転部の角速度に基づいて可動盤の駆動に伴う外乱トルク を推定している。そして、前記シリンダ制御手段は、前記モーションベース信号及び 外乱トルク推定信号に基づ 、て液圧シリンダを制御し、同様にモータ制御手段は、 前記複合モータトルク指令信号及び外乱トルク推定信号に基づいて電動モータを制 御するようにしている。
[0037] 本発明の第十八の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記
制御手段は、前記弁の開口量を制御することにより前記液圧シリンダを制御すること を特徴としている。
[0038] 本発明の第十九の態様は、第十八の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記制御手段は、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリン ダの圧力が所定値に達するまでの応答性に基づいて前記電動モータを制御すること を特徴としている。
[0039] 前記液圧シリンダには、定高圧力源から略一定圧力の作動液が加えられるため、 前記弁を開く指令が与えられると、前記液圧シリンダの圧力は、所要の応答遅れをも つて所定値に達する。前記制御手段は、前記液圧シリンダの応答性を考慮して電動 モータを制御し、これにより連続的に変化する推力指令に対して連続的な推力を発 生させることができる。
[0040] 本発明の第二十の態様は、第十八の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段を備え、 前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、 前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によ つて検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合 モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータ トルク指令信号、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリン ダの圧力が所定値に達するまでの第 1の応答性、及び前記電動モータへのトルク指 令又は電流指令力 前記指令されたトルク又は電流に達するまでの第 2の応答性に 基づ!/、て前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴として ヽ る。前記制御手段は、前記液圧シリンダの第 1の応答性とともに、電動モータの第 2の 応答性の両方を考慮して前記電動モータを制御するようにして!/、る。
[0041] 本発明の第二十一の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記 液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置 指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって 検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角
速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算 する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記圧 力検出手段によって検出された圧力に基づいて前記電動モータを制御するモータ 制御手段と、を有することを特徴としている。
[0042] 前記制御手段は、前記液圧シリンダの応答性を考慮して電動モータを制御するが 、前記圧力検出手段が検出した液圧シリンダの圧力 (圧力応答)に合わせて電動モ ータを制御するようにして 、る。
[0043] 本発明の第二十二の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段と、前記弁の開口量を検出する開口 量検出手段とを備え、前記制御手段は、前記速度検出手段によって検出された速度 又は角速度に基づ 、て前記液圧シリンダを制御するための液圧シリンダ制御信号を 演算する演算手段と、前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出 された圧力、及び前記開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記 液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴として ヽる。
[0044] 前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出される圧力が、前記液圧シリン ダ制御信号 (圧力指令)に追従するように前記液圧シリンダ (弁の開口量)を制御する ようにしている。
[0045] 本発明の第二十三の態様は、第二十一の態様に係る可動盤の駆動装置において 、前記演算手段は、略一定低圧状態と略一定高圧状態の 2つの定常状態の間で変 化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出し、前記シリンダ制御手段は 、前記液圧シリンダが 2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力の過渡期に限り、 前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出された圧力、及び前記 開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記液圧シリンダを制御する ことを特徴としている。
[0046] 前記シリンダ制御手段は、前記液圧シリンダの圧力を所定の圧力(定高圧力源の 略一定高圧力、又は低圧力源の略一定低圧力)に昇圧又は減圧させるまでの過渡 応答期間だけ前記液圧シリンダ (弁の開口量)を制御する。
[0047] 本発明の第二十四の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前
記弁は、前記定高圧力源と前記液圧シリンダとの間に介在する第 1の弁と、前記低圧 源と前記液圧シリンダとの間に介在する第 2の弁とからなり、前記制御手段は、前記 第 1の弁を遮断した後に前記第 2の弁を開き、又は前記第 2の弁を遮断した後に前 記第 1の弁を開くように前記第 1の弁及び第 2の弁を制御することを特徴としている。
[0048] 本発明の第二十五の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記制御手段は、略一定低圧状態 (P0)と略一定高圧状態 (P1)の 2つの定常状態の間 で変化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出する演算手段と、前記 液圧シリンダ制御信号に基づ!/、て前記弁を制御する弁制御手段とを有し、前記弁は 、前記液圧シリンダ制御信号の変化時点から遅くとも 60ms以内に 2つの定常状態の 間で少なくとも I P1 -P0 Iの 50%以上の変化が可能な開口量及び応答性を有する ものであることを特徴としている。即ち、液圧シリンダの圧力の立ち上がりは、弁を介し て供給される作動液の液量に比例し、この液量を大きくするためには、弁の応答性を 高めることと、弁の開口量を大きくすることが必要である。
[0049] 本発明の第二十六の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記可動盤の加速度又は前記回転部の角加速度を検出する加速度検出手段を備え、 前記制御手段は、前記加速度検出手段によって検出された角速度又は角加速度に 基づ ヽて前記液圧シリンダの少なくとも 1つの液圧シリンダをポンプとして作用させる ことを特徴としている。即ち、前記加速度検出手段の検出出力に基づいて比較的大 きなトルクを要する可動盤の加速領域でない期間 (前記可動盤の駆動負荷が小さく なる期間)を検知し、この期間に液圧シリンダをポンプとして作用させ、電動モータの 剰余トルクを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージさせる。
[0050] 本発明の第二十七の態様は、第二十六の態様に係る可動盤の駆動装置において 、前記加速度検出手段は、前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度 に基づいて前記加速度又は角加速度を算出することを特徴としている。
[0051] 本発明の第二十八の態様は、第十二の態様に係る可動盤の駆動装置において、 前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度 に基づいて角速度又は角加速度を算出する加速度演算手段を有し、前記算出した 角速度又は角加速度に基づいて前記液圧シリンダの少なくとも 1つの液圧シリンダを
ポンプとして作用させことを特徴として!/、る。
[0052] 本発明の第二十九の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記電動モータは、 1つのスクリュ 'ナット駆動機構に 2個以上接続されることを特徴とし ている。
[0053] 本発明の第三十の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前記 スクリュ 'ナット駆動機構は 1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モータは 各スクリュ ·ナット駆動機構別に設けられて 、ることを特徴として!/、る。
[0054] 本発明の第三十一の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置において、前 記液圧シリンダは、同一方向に動作可能な独立した複数の受圧面を有することを特 徴としている。
[0055] 本発明の第三十二の態様は、第三十の態様に係る可動盤の駆動装置において、 前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前 記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する第 1の位置検出手段と、前記可 動盤の前記第 1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記 可動盤に配設された複数のスクリュ 'ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスク リュ 'ナット駆動機構に係わる回転部の角速度を検出する第 2の位置検出手段と、を 備え、前記速度検出手段は、前記可動盤の位置の速度又は前記電動モータの駆動 軸からスクリュ'ナット機構までの!/ヽずれかの回転部の角速度を検出する第 1の速度 検出手段と、前記可動盤の前記第 1の速度検出手段によって速度検出される位置と は異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ 'ナット駆動機構 のうちの前記回転部と異なるスクリュ 'ナット駆動機構に係わる回転部の角加速度を 検出する第 2の速度検出手段とを有し、前記制御手段は、前記位置指令手段によつ て指令された目標位置又は目標角度、前記第 1及び第 2の位置検出手段によって検 出された位置又は角度、及び前記第 1及び第 2の速度検出手段によって検出された 速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータ及び液圧シリンダを制御すること を特徴としている。
[0056] 本発明の第三十三の態様は、第三十二の態様に係る可動盤の駆動装置において 、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度
、前記第 1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第 1の速度 検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータの うちの第 1の電動モータを制御するための第 1の複合モータトルク指令信号を演算す る第 1の複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目 標位置又は目標角度、前記第 2の位置検出手段によって検出された位置又は角度 、及び前記第 2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前 記第 1の電動モータとは異なるスクリュ 'ナット駆動機構を駆動する第 2の電動モータ を制御するための第 2の複合モータトルク指令信号を演算する第 2の複合モータトル ク指令演算手段と、前記第 1の複合モータトルク指令信号、及び前記第 1の速度検出 手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第 1 の外乱トルクを推定して該第 1の外乱トルクを示す第 1の外乱トルク推定信号を演算 する第 1の外乱トルク推定手段と、前記第 2の複合モータトルク指令信号、及び前記 第 2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の 駆動に伴う第 2の外乱トルクを推定して該第 2の外乱トルクを示す第 2の外乱トルク推 定信号を演算する第 2の外乱トルク推定手段と、前記第 1の複合モータトルク指令信 号、及び前記第 1の外乱トルク推定信号に基づいて前記第 1の電動モータを制御す る第 1のモータ制御手段と、前記第 2の複合モータトルク指令信号、及び前記第 2の 外乱トルク推定信号に基づいて前記第 2の電動モータを制御する第 2のモータ制御 手段と、を有することを特徴としている。
[0057] 第三十二又は第三十三の態様に係る制御手段は、各スクリュ 'ナット駆動機構別に 設けられた電動モータをそれぞれ個別に制御するため、可動盤に偏心した外部負荷 や外乱が加わっても、それに対応した電動モータの推力制御を行うことができる。
[0058] 本発明の第三十四の態様は、第一の態様に係る可動盤の駆動装置は、前記可動 盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤 の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記液圧シリンダ は 1つの可動盤に対して複数配設され、前記速度検出手段は、前記可動盤の速度 又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ 'ナット機構までのいずれかの回転部の角 速度を検出する第 1の速度検出手段と、前記可動盤の前記第 1の速度検出手段によ
つて速度検出される位置とは異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数 のスクリュ 'ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ 'ナット駆動機構に係 わる回転部の角加速度を検出する第 2の速度検出手段とを有し、前記制御手段は、 前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段 によって検出された位置又は角度、及び前記第 1及び第 2の速度検出手段によって それぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なくとも一方の速度又は角速度に基 づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合 モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は 目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第 1及 び第 2の速度検出手段によってそれぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なく とも一方の速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーショ ンベース信号を演算するモーションベース演算手段と、前記複合モータトルク指令信 号、及び前記第 1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて 前記可動盤の駆動に伴う第 1の外乱トルクを推定して該第 1の外乱トルクを示す外乱 トルク推定信号を演算する第 1の外乱トルク推定手段と、前記複合モータトルク指令 信号、及び前記第 2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づい て前記可動盤の駆動に伴う第 2の外乱トルクを推定して該第 2の外乱トルクを示す外 乱トルク推定信号を演算する第 2の外乱トルク推定手段と、前記モーションベース信 号、及び前記第 1の外乱トルク推定信号に基づ 、て前記複数の液圧シリンダのうち の第 1の液圧シリンダを制御する第 1のシリンダ制御手段と、前記モーションベース信 号、及び前記第 2の外乱トルク推定信号に基づ 、て前記複数の液圧シリンダのうち の第 2の液圧シリンダを制御する第 2のシリンダ制御手段と、を有することを特徴とし ている。
本発明の第三十五の態様は、第三十四の態様に係る可動盤の駆動装置において 、前記スクリュ 'ナット駆動機構は 1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モー タは各スクリュ'ナット駆動機構別に設けられ、前記位置検出手段は、前記可動盤の 位置又は前記回転部の角度を検出する第 1の位置検出手段と、前記可動盤の前記 第 1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記可動盤に配
設された複数のスクリュ 'ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ 'ナット駆 動機構に係わる回転部の角速度を検出する第 2の位置検出手段とを有し、前記複合 モータトルク指令信号演算手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置 又は目標角度、前記第 1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び 前記第 1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて複数の電 動モータのうちの第 1の電動モータを制御するための第 1の複合モータトルク指令信 号を演算する第 1の複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって 指令された目標位置又は目標角度、前記第 2の位置検出手段によって検出された 位置又は角度、及び前記第 2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度 に基づいて複数の電動モータのうちの第 2の電動モータを制御するための第 2の複 合モータトルク指令信号を演算する第 2の複合モータトルク指令演算手段とを有し、 前記第 1の外乱トルク推定手段は、前記第 1の複合モータトルク指令信号、及び前記 第 1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づ!/、て前記可動盤の 駆動に伴う第 1の外乱トルクを推定して該第 1の外乱トルクを示す外乱トルク推定信 号を演算し、前記第 2の外乱トルク推定手段は、前記第 2の複合モータトルク指令信 号、及び前記第 2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて 前記可動盤の駆動に伴う第 2の外乱トルクを推定して該第 2の外乱トルクを示す外乱 トルク推定信号を演算することを特徴として 、る。
[0060] 第三十四又は第三十五の態様に係る制御手段は、 1つの可動盤に対して複数配 設された液圧シリンダをそれぞれ個別に制御するため、可動盤に偏心した外部負荷 や外乱が加わっても、それに対応した液圧シリンダの推力制御を行うことができる。
[0061] 本発明の第三十六の態様に係るプレス機械のスライド駆動装置は、本発明の第一 乃至第三十五の態様のいずれかに係る可動盤の駆動装置を含み、前記可動盤はプ レス機械のスライドであることを特徴として 、る。
発明の効果
[0062] 本発明では、電動モータの駆動トルクをスクリュ 'ナット機構を介して直線駆動力とし て可動盤 (スライド)に伝達し、また、液圧シリンダの推力を前記可動盤に伝達可能に して力次元で複合し、更に電動モータ及び液圧シリンダを少なくとも速度制御するよ
うにしている。このため、大きな加圧能力を有するとともに、全体として電動モータの 特性で高精度に可動盤を駆動することができる。また、液圧シリンダは作動液の漏れ 量が少なぐ摩擦損失も少ないためエネルギ効率がよぐ更に電動モータの剰余トル クを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージし、可動盤の減速時の可動盤の運動 エネルギを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージ(回生)することができる。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1は、本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 1の実施の形態の全 体構成を示す概略図であり;
[図 2]図 2は、電動モータに対する大小の油圧シリンダの静的なアシスト作用を説明 するために用いた図であり;
[図 3]図 3は、電動モータ及び油圧シリンダに指令を出力する制御器の概略図であり; [図 4]図 4A及び図 4Bは、電動モータ推力と大小の油圧シリンダ推力と、これらの推 力を複合させた複合推力との関係を示すグラフであり;
[図 5]図 5は、図 1に示した油圧シリンダ駆動装置及び補助圧油供給装置の内部構成 を示す油圧回路図であり;
[図 6]図 6は、図 1に示した自重落下防止装置及びチャージ駆動装置の内部構成を 示す油圧回路図であり;
[図 7]図 7は、図 1に示したスライド制御装置の内部構成を示すブロック図であり; [図 8]図 8は、図 7に示したスライド位置制御器の内部構成を示すブロック図であり; [図 9]図 9A乃至図 9Cは、図 7に示した油圧シリンダ制御器における油圧シリンダのァ シスト ON時の各指令の出力タイミングを示す図であり;
[図 10]図 10は、油圧シリンダのアシスト ON時における図 7に示した油圧シリンダ制御 器の一部を示す回路図であり;
[図 11]図 11A乃至図 11Cは、図 7に示した油圧シリンダ制御器における油圧シリンダ のアシスト OFF時の各指令の出力タイミングを示す図であり;
[図 12]図 12は、油圧シリンダのアシスト OFF時における図 7に示した油圧シリンダ制 御器の一部を示す回路図であり;
[図 13]図 13Aは、油圧シリンダをアシスト ONする CYL1JDN指令が与えられたときの
油圧シリンダの圧力応答を示すグラフであり、図 13Bは電動モータに対してステップ 状のトルク指令が与えられたときのトルク応答を示すグラフであり;
[図 14]図 14Aは、 CYL1_0N指令力も油圧シリンダの圧力応答に至るまでの伝達関数 を示す図であり、図 14Bはトルク指令力も電動モータのトルク応答に至るまでの伝達 関数を示す図であり;
[図 15]図 15は、 CYL1JDN調整信号及び CYL2JDN調整信号を演算する図 7に示した 油圧シリンダ制御器及びトルク調整を行う複合モータ制御器を説明するために用い た図であり;
[図 16]図 16は、 CYL1JDN調整信号及び CYL2_ON調整信号を演算する他の実施の 形態の油圧シリンダ制御器及びトルク調整を行う複合モータ制御器を説明するため に用いた図であり;
[図 17]図 17は、 1サイクルのスライド目標位置及びスライド位置を示すグラフであり;
[図 18]図 18は、 1サイクルの電動モータのモータ角速度を示すグラフであり;
[図 19]図 19は、 1サイクルの電動モータによる推力を示すグラフであり;
[図 20]図 20は、 1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側圧、ロッド側圧、及び大油圧シ リンダのヘッド側圧を示すグラフであり;
[図 21]図 21は、 1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側推力、ロッド側推力、及び大油 圧シリンダのヘッド側推力を示すグラフであり;
[図 22]図 22は、 1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側油量、ロッド側油量、及び大油 圧シリンダのヘッド側油量を示すグラフであり;
[図 23]図 23は、 1サイクルの定高圧力源の圧力を示すグラフであり;
[図 24]図 24は、 1サイクルの定高圧力源の油量を示すグラフであり;
[図 25]図 25は 1サイクルのプレス荷重を示すグラフである。
[図 26]図 26は、 1サイクルのスライド加速度指令を示すグラフであり;
[図 27]図 27は、本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 2の実施の形態の 全体構成を示す概略図であり;
[図 28]図 28は、図 27に示したスライド制御装置の内部構成を示すブロック図であり; [図 29]図 29は、本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 3の実施の形態の
要部構成を示す概略図である。
符号の説明
100、 100'、 100,,···プレス機械
110· "スライド
120、 120a, 120b…駆動スクリュウ 122、 122a, 122b…従動ナツ卜
130, 130a, 130b…スライド位置検出器 132、 132a, 132b…駆動軸角速度検出器
200、 200'…油圧シリンダ制御器
202, 206···アキュムレータ
204·' '·定高圧力源
208·· '·低圧力源
210·· •弁駆動装置
200a …第 1の油圧シリンダ制御器
200b …第 2の油圧シリンダ制御器
230·· •補助圧油供給装置
231·· '電動機
232·· '油圧ポンプ
234、 253、 254···電磁方向切換弁
235、 271···逆止弁
250·· -自重落下防止装置
251、 252、 272…ノィロット操作逆止弁
270·· -チャージ駆動装置
300、 300'…スライド制御装置
310·· 'スライド統括制御器
320、 320'···スライド位置制御器
322·· '微分器
323·· '積分器
324…チャージ信号生成器
325…制御演算器
326…加速度演算器
330、 330,· ··速度制御器
340…圧油チャージ制御器
350、 350,· ··油圧シリンダ制御器
360、 360,· ··複合モータ制御器
370、 370a, 370b…外舌 L卜ルク推定器
380、 380a, 380b…モータ制御器
390、 390a, 390b…モータ駆動装置
SM、 SMlaゝ SM2a、 SMlbゝ SM2b、 SMaゝ SMb…電動モータ
SYL、 SYL1、 SYL2、 SYLla、 SYLlb、 SYL2a、 SYL2b…油圧シリンダ
P_H、 P_1_D、 P_2_D…圧力検出器
V1_D_H、 V1_D丄、 V2_D_H、 2_0丄…の弁
S1_D丄、 S1_D_H、 S2_D丄、 S2_D_…スプール位置検出器
発明を実施するための最良の形態
[0065] 以下、添付図面に従って本発明に係る可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライ ド駆動装置の好ま 、実施の形態にっ 、て詳説する。
[0066] 〈第 1の実施の形態〉
図 1は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 1の実施の形態の全体構 成を示す概略図である。同図に示すように、このプレス機械のスライド駆動装置は、 主としてプレス機械 100と、油圧シリンダ駆動装置 200と、補助圧油供給装置 230と、 自重落下防止装置 250と、チャージ駆動装置 270と、スライド制御装置 300と、モー タ駆動装置 390とから構成されて 、る。
[0067] [プレス機械の構成]
このプレス機械 100は、ベッド 102、コラム 104及びクラウン 106でフレームが構成さ れ、スライド (可動盤) 110は、コラム 104に設けられたガイド部 108により鉛直方向に 移動自在に案内されている。
[0068] スライド 110を駆動する駆動手段として、大小 2本ずつの油圧シリンダ SYLl(SYLla , SYLlb)、 SYL2(SYL2a, SYL2b)と、電動(サーボ)モータ SMの出力トルクが伝達さ れるスクリュ ·ナット機構とが設けられて 、る。
[0069] 油圧シリンダ SYLl(SYLla,SYLlb)は、シリンダ径の小さな一対の油圧シリンダであり 、スライド 110の中心に対して対称の位置に配設されている。同様に油圧シリンダ SY L2(SYL2a, SYL2b)は、シリンダ径の大きな一対の油圧シリンダであり、スライド 110の 中心に対して対称の位置に配設されている。これらの油圧シリンダ SYL1、 SYL2は、シ リンダ本体がクラウン 106に固定され、ピストンロッドがスライド 110に固定されており、 スライド 110の全ストロークにわたって推力をスライド 110に伝達できるようになって!/ヽ る。
[0070] スクリュ 'ナット機構は、軸受け 112を介してクラウン 106に回転自在に固定された駆 動スクリュウ 120と、スライド 110に固定されるとともに前記駆動スクリュウ 120と螺合す る従動ナット 122とから構成されており、駆動スクリュウ 120には減速機 124を介して 電動モータ SMの出力トルクが伝達されるようになって!/、る。
[0071] 尚、プレス機械 100のベース 102側には、スライド 110の位置を検出するスライド位 置検出器 130が設けられ、電動モータ SMには駆動軸の角速度を検出する駆動軸 角速度検出器 132が設けられている。スライド位置検出器 130は、インクリメンタル型 又はアブソリュート型のリニアエンコーダ、ポテンショメータ、マグネスケール等の種々 のセンサによって構成することができ、また、駆動軸角速度検出器 132は、インクリメ ンタル型又はアブソリュート型のロータリエンコーダや、タコジェネレータによって構成 することができる。
[0072] [電動モータと油圧シリンダの力次元における複合化]
〔複合化を可能にする基本原理〕
次に、上記油圧シリンダ SYL1、 SYL2の推力と、電動モータ SM (からスクリュ'ナット 機構を介した)推力とを複合化させる基本原理につ ヽて説明する。
[0073] まず、油圧シリンダの推力 F は、次式で表すことができる。
CYL
[0074] [数 1]
F =S ·Ρ - S ·Ρ · ·· (!)
ただし、 F :油圧シリンダ推力 [N]
CYL
S :シリンダヘッド側断面積 [m2 ]
H
S :シリンダロッド側断面積 [m2 ]
R
P :油圧シリンダの
A ヘッド側に作用する圧力 [Pa]
P :油圧シリンダのロッド側に作用する圧力 [Pa] =0
T
油圧は、弁を介して供給される油量 Q が圧縮されて発生するため、前記圧力 P
A A
は、次式で表すことができる。
[0075] [数 2]
P = J K(Q /V ) dt …(2)
A A A
ただし、 K:油の体積弾性係数 [Pa]
Q :油圧シリンダに供給される油量 [m3 Zs]
A
V :油圧シリンダのヘッド側管路体積 [m3 ]
A
油圧シリンダのヘッド側に作用する圧力 P の立ち上がりは、弁を介して供給される
A
油量 Q
Aに比例し、油量 Q
Aを大きくとるためには、弁の応答性を高めることと、弁の 開口量を大きくすること (流量係数を大きくとる =流れやすくすること)、及び弁差圧が 高いこと (定高圧力源を有すること)が重要になる。また、高圧力源から供給される作 動油の圧力を略一定にすることにより、推力応答の変動を抑える(一定ィ匕する)意義 も有する。
[0076] 具体的には、弁への指令力も所望のシリンダ推力が発生までに要す時間を、 30ms 程度以下にすることが充分に可能である。
[0077] 一方、電動(サーボ)モータの出力トルク TEは、次式で表すことができる。
[0078] [数 3]
T =k ·Ι - -- (3)
Ε Ε
ただし、 k :トルク定数 [NmZA]
E
I:電流 [A]
また、スクリュ 'ナット機構を介してスライドに伝達される推力 F は、次式で表すこと
E
ができる。
[0079] [数 4]
F = k ·Τ - -- (4)
E S E
ただし、 T:電動(サーボ)モータトルク [Nm]
E
k:スクリュ 'ナット機構に依存する比例定義 [m
S
推力 F の応答は、電流 Iの応答に比例する。電動モータへの指令から駆動電流に
E
至る応答性 (電流応答)は良好であり、全体として指令に対する電動モータによる推 力発生の応答遅れは少な 、。
[0080] このように、油圧シリンダ推力と電動モータ (からスクリュ 'ナット機構を介した)推力を 複合させるには、 2者の推力の応答性 (動的特性)が良いことが非常に重要である。
[0081] 〔静的な複合〕
スライド制御装置は、全体の (加減速、成形、粘性、摩擦等に要す)推力を自動認 識し、電動サーボモータによる推力では不足する時に油圧シリンダ単数または複数 のシリンダの推力を複合させる。
[0082] 図 1に示したように、大小 2個(又は 2系統:ただし、配管で結合されているものは同 系統とする)の油圧シリンダ SYL1、 SYL2のうちのシリンダ小の油圧シリンダ SYL1が、 電動モータ SM (からスクリュ 'ナット機構を介して伝達される)サーボ制御用の推力の うちの最大推力と同等の推力を有し、シリンダ大の油圧シリンダ SYL2が、電動モータ SMの最大推力の 2倍の推力を有するものとした場合、これらの電動モータ SM、及 び油圧シリンダ SYL1、 SYL2の各推力、及び複合した総推力は、図 2に示すように複 合される。ただし、図 2の原理図には、油圧シリンダを両方向に駆動した場合の各推 力が示されているが、後述の実施の形態の油圧シリンダは、 1方向のみ推力が発生 するように駆動するようにして 、る。
[0083] 即ち、電動モータ SMのみの最大推力の 4倍を複合モータの総推力の最大推力(1 00%)と考え、総推力が 0〜+ 25%までは電動モータ単体の推力で賄う。総推力が + 25%〜+ 50%の範囲ではシリンダ小の油圧シリンダ3丫1^1を0?^にし、電動モー タ SMは 25%分 (シリンダ小の油圧シリンダ SYL1の推力分)オフセット駆動する。
[0084] 総推力が + 50%〜+ 75%の範囲ではシリンダ小の油圧シリンダ SYL1を OFFにし 、シリンダ大の油圧シリンダ SYL2を ONにし、電動モータ SMが 25%分(シリンダ大の 油圧シリンダ SYL2の推力とシリンダ小の油圧シリンダ SYL1の推力の差分)オフセット
駆動する。
[0085] 総推力が + 75%を超える範囲ではシリンダ大の油圧シリンダ SYL2に加えてシリン ダ小の油圧シリンダ SYL1を再度 ONにし、電動モータ SMは 25%分オフセット駆動す る。結局、各油圧シリンダ SYL1、 SYL2は ONZOFF動作することにより推力の大きさ を確保し、電動モータ SMが複合推力指令に対して推力が連続作用するように調整 作用し、全体として複合モータの静的な推力特性を機能させる。
[0086] 〔動的な複合〕
図 3は電動モータ SM及び油圧シリンダ SYL (SYL1、 SYL2)に指令を出力する制御 器の概略図である。
[0087] 前記のように電動モータ SMの推力に対して油圧シリンダ SYLの推力を複合させる 場合に、図 3に示すように油圧シリンダ SYLの応答性を考慮した制御器を構成する。
[0088] 即ち、電動モータ SMの応答性と油圧シリンダ SYLの応答性とは差異があるため、 図 3に示す制御器では、複合時は動的 (過度的に)に (各々の推力の立ち上がり時定 数に合わせて)釣り合 、がとれるように、電動モータ SM (+スクリュ機構)とシリンダ推 力の立ち上がり応答差フィルタ (伝達関数)を利用し、応答性の高い電動モータ SM を油圧シリンダ SYLの応答に合わせるようにして 、る。
[0089] 尚、図 3上で、 GCYL(S)は、油圧シリンダ SYLへの制御指令から油圧シリンダ SYLの 圧力発生に至るまでの伝達関数を示し、 GMOT(S)は、電動モータ SMへのトルク指 令又は電流指令力 電動モータ SMのトルク出力又は駆動電流に至るまでの伝達関 数を示している。
[0090] また、油圧シリンダ SYLは、高応答性 (デッドバンド 10ms以内程度、立ち上がり 20 ms以内程度)が要求されるが、動力(粘性)損失を避けるために開口量の大きな弁を ONZOFF駆動し、略一定高圧源下で駆動される弁の (スプールゃポペットの)応答 性のよいものを使用することで、供給油量による油の圧縮 (油圧の発生)時間を考慮 した理論上及び実験上の確認においても要求値を満足させることができる。
[0091] 図 4A及び図 4Bはそれぞれ電動モータ及び油圧シリンダの各推力と、これらの推 力を複合させた複合推力との関係を示すグラフである。
[0092] 図 4Aには、ランプ状に推力指令を増減させた場合に、静的のみ考慮した推力複合
が示されているが、動的に考慮しない場合の複合推力は不連続性を有すことが判る
[0093] 一方、図 4Bには、ランプ状に推力指令を増減させた場合に、静的及び動的に考慮 した推力複合が示されている力 この場合には複合推力は油圧シリンダの ONZOF Fにかかわらず連続的に変化することが判る。
[0094] 即ち、推力指令に対して推力が連続的に応答可能な複合モータを構成するために は、昇圧に伴うシリンダ推力発生の動特性と、サーボモータ(+スクリュ 'ナット機構) による推力発生の動特性とを基にした動的な考慮が不可欠である。
[0095] 〔油圧シリンダ駆動装置及び補助圧油供給装置〕
次に、図 1に示した油圧シリンダ駆動装置 200及び補助圧油供給装置 230につい て、図 5を参照しながら説明する。
[0096] この油圧シリンダ駆動装置 200は、主として略一定高圧の作動油を保持するアキュ ムレータ 202を含んで構成される定高圧力源 204と、略一定低圧の作動油を保持す るアキュムレータ 206を含んで構成される低圧力源 208と、弁駆動装置 210と、油圧 シリンダ SYL1駆動用の一対の弁 V1_D(V1_D_H,V1_D丄)と、油圧シリンダ SYL2駆動用 の一対の弁 V2_D(V2_D_H,V2_D丄)と、アキュムレータ 202に接続された高圧側の管 路 Pとアキュムレータ 206に接続された低圧側の管路 Tとの間に配設された高圧用リ リーフ弁 220と、アキュムレータ 202に蓄圧された作動油の圧力を検出する圧力検出 器 P_Hと、油圧シリンダ SYL1のシリンダ上室側に接続された管路 222の回路圧を検 出する圧力検出器 P丄 Dと、油圧シリンダ SYL2のシリンダ上室側に接続された管路 2 24の回路圧を検出する圧力検出器 P_2_Dと、弁 V1_D_H,V1_D丄, V2_D_H,及び V2_D 丄のスプール位置をそれぞれ検出するスプール位置検出器 S1_D丄, S1_D_H,S2_D丄, 及び S2_D_Hと力 構成されている。尚、低圧力源 208は、大気圧のタンクであっても よい。
[0097] 高圧側の管路 Pは、弁 V1_D_H及び V2_D_Hを介してそれぞれ管路 222、 224に接 続され、低圧側の管路 Tは、弁 1_0丄及び V2_D を介してそれぞれ管路 222、 224 に接続されている。
[0098] また、高圧側の管路 P及び低圧側の管路 Tは、それぞれチャージ駆動装置 250に
接続され、低圧側の管路 Tは、油圧シリンダ SYL2(SYL2a,SYL2b)のシリンダ下室に 直接接続されて ヽる(図 1参照)。
[0099] 弁駆動装置 210は、後述するスライド制御装置 300内の油圧シリンダ制御器 350か ら加えられる弁指令信号 LLL_SLV,Ll_H_SLV,L2 _SLV,及び L2_H_SLVに基づ!/、て 4つの弁 1_0_!"[,¥1_0丄,¥2_0_1"[,及び ¥2_0丄を駆動する。
[0100] 補助圧油供給装置 230は、電動機 231と、油圧ポンプ 232と、フィルタ 233と、電磁 方向切換弁 234と、逆止弁 235とから構成されている。
[0101] 圧力検出器 P_Hは、アキュムレータ 202に蓄圧された作動油の圧力を示す略一定 高圧信号をスライド制御装置 300に出力し、スライド制御装置 300は、入力する略一 定高圧信号が動作時蓄圧下限設定圧 (例えば 21.5MPa)以下になると、補助圧油供 給装置 230に圧油供給信号を出力する(図 1参照)。
[0102] 前記圧油供給信号によって補助圧油供給装置 230の電磁方向切換弁 234が切り 替えられ、電動機 231で駆動される油圧ポンプ 232の吐出ライン (逆止弁 235の保持 側)がオンロードすることにより、定高圧力源 204に圧油が蓄積される。尚、動作中は 所定の圧力(動作時蓄圧上限設定圧:例えば 22.5MPa)に達するとアンロードする。
[0103] 〔自重落下防止装置及びチャージ駆動装置〕
次に、図 1に示した自重落下防止装置 250及びチャージ駆動装置 270につ 、て、 図 6を参照しながら説明する。
[0104] 自重落下防止装置 250は、スライド 110が自重によって落下しないようにするもので 、油圧シリンダ CYLla,CYLlbのシリンダ下室側の圧液接続ポートに接続された 2系統 の管路に配設されたパイロット操作逆止弁 251、 252と、電磁方向切換弁 253、 254 と、リリーフ弁 255、 256とから構成されている。
[0105] プレス機械 100を運転していない非駆動時には、スライド制御装置 300は、電磁方 向切換弁 253、 254にブレーキ OFF信号 Bl, B2を出力せず、その結果、電磁方向 切換弁 253、 254は、図 6に示す位置に切り替えられており、電磁方向切換弁 253、 254からはパイロット操作逆止弁 251、 252にパイロット圧が出力されない。図 1に示 すように、スライド 110の自重により油圧シリンダ SYLla,SYLlbのピストンロッドが下方 に引っ張られ、油圧シリンダ SYLla,SYLlbのシリンダ下室の圧力が上昇する力 CYL
la,CYLlbのシリンダ下室側の圧油接続ポートに接続された 2系統の管路に配設され たパイロット操作逆止弁 251、 252によって管路が遮断されるため、スライド 110の自 重による下降は阻止される。
[0106] 一方、プレス機械 100を運転する場合には、スライド制御装置 300から電磁方向切 換弁 253、 254にブレーキ OFF信号 Bl, B2を出力し、電磁方向切換弁 253、 254 を、図 6に示す位置力も切り替える。これにより、電磁方向切換弁 253、 254からパイ ロット操作逆止弁 251、 252にパイロット圧が加えられ、パイロット操作逆止弁 251、 2 52での逆方向の圧油の流れを可能にする。
[0107] チャージ駆動装置 270は、油圧シリンダ SYLla,SYLlbをポンプとして作用させ、定 高圧力源 204に圧油をチャージさせるもので、逆止弁 271と、パイロット操作逆止弁 2 72と、電磁方向切換弁 (チャージ弁) 273とから構成されて 、る。
[0108] スライド制御装置 300は、チャージを行う所定の期間、チャージ用弁指令信号をチ ヤージ弁 273に出力し、チャージ弁 273を図 6に示す位置力も切り替える。これにより 、パイロット操作逆止弁 272にはパイロット圧が加わらなくなり、油圧シリンダ SYLla,S YLlbのシリンダ下室側から自重落下防止装置 250を経由して低圧側の管路 Tに流 れる流路が遮断され、スライド 110の下降時に油圧シリンダ SYLla,SYLlbのシリンダ 下室から吐出される圧油は、逆止弁 271を介して高圧側の管路 Pを経由して定高圧 力源 204にチャージされる。尚、圧油のチャージを行う所定の期間の詳細について は後述する。
[0109] 〔スライド制御〕
次に、図 1に示したスライド制御装置 300について、図 7を参照しながら説明する。
[0110] スライド制御装置 300は、スライド統括制御器 310と、スライド位置制御器 320と、速 度制御器 330と、圧油チャージ制御器 340と、油圧シリンダ制御器 350と、複合モー タ制御器 360と、外乱トルク推定器 370と、モータ制御器 380とから構成されている。
[0111] スライド統括制御器 310は、プレス機械 100の運転を統括するもので、プレス機械 1 00の運転中にスライド統括制御信号、及びブレーキ OFF信号 Bl, B2を出力する。 スライド統括制御器 310には、油圧シリンダ駆動装置 200内の圧力検出器 P_Hから 定高圧力源 204の圧力を示す略一定高圧信号が加えられており、スライド統括制御
器 310は、入力する略一定高圧信号が動作時蓄圧下限設定圧 (例えば 21MPa)以 下になると、補助圧油供給装置 230を駆動するための圧油供給信号を出力する。
[0112] また、スライド統括制御器 310は、ブレーキ OFF信号 Bl, B2を自重落下防止装置 250に出力することにより、運転停止時のスライド 110の自重落下機能 (ブレーキ機 能)を解除する。
[0113] スライド統括制御器 310から出力されるスライド統括制御信号は、スライド位置制御 器 320にカ卩えられる。スライド位置制御器 320の他の入力には、スライド 110の位置 を検出するスライド位置検出器 130から位置信号処理装置 131を介してスライド 110 の位置を示すスライド位置信号が加えられて 、る。
[0114] 図 8はスライド位置制御器 320の内部構成を示す図であり、このスライド位置制御器 320は、フィルタ 321、積分器 322、チャージ信号生成器 323、積分器 324及び制御 演算器 325から構成されて 、る。
[0115] スライド統括制御器 310から入力するスライド統括制御信号は、ステップ的に変化 するスライド速度信号であり、このスライド速度信号はフィルタ 321を介してフィルタリ ングされた後、微分器 322及び積分器 323に加えられる。
[0116] 微分器 322によって時間微分されたスライド速度信号は、スライド加速度指令量とし てチャージ信号生成器 324にカ卩えられる。チャージ信号生成器 324は、スライド加速 度指令量カゝら比較的大きなトルクを必要とするスライド加速領域を過ぎた時点を判断 し、チャージ駆動装置 270を制御するための基礎となるチャージベース信号を出力 する。尚、チャージ信号生成器 324が、実際の加速度信号等を使用せずに、演算に よって算出した加速度指令信号力 チャージベース信号を生成しているのは、高周 波成分を多く含むノイズによるチャタリングを防止するためであるが、実際の加速度 信号や実際の速度を微分処理したもの、あるいは実際のモータトルク信号からチヤ一 ジベース信号を生成することも可能である。
[0117] 一方、積分器 323によって時間積分されたスライド速度信号は、スライド目標位置 指令信号として制御演算器 325に加えられる。制御演算器 325の他の入力にはスラ イド位置信号が加えられており、制御演算器 325は 2入力信号の偏差を求め、その 偏差信号に基づ 、て操作量信号 (速度指令信号)を決定し、この速度指令信号を出
力する。
[0118] 図 7に戻って、速度制御器 330の一方の入力には、前記スライド位置制御器 320か ら速度指令信号が加えられており、速度制御器 330の他の入力には、駆動軸角速度 検出器 132からモータ駆動装置 390を介してモータ角速度信号が加えられている。 速度制御器 330は、これらの 2入力信号に基づいて位置、速度の制御を司るモーシ ヨンベース信号と複合モータトルク指令信号とを演算する。前記モーションベース信 号は、油圧シリンダ制御器 350に出力され、複合モータトルク指令信号は複合モータ 制御器 360及び外乱トルク推定器 370に出力される。
[0119] 尚、モーションベース信号は、複合モータトルク指令信号が基幹にあって、油圧シリ ンダを安定かつ高応答に制御するために、位置、速度のフィードバック量を基にした (実質的にモーションを司る)複合モータトルク指令信号に、ある種 (複数)の処理を 行うことによって算出される。例えば、複合モータトルク指令信号に一次フィルタを介 してモーションベース信号にしたり、複合モータトルク指令信号に定数を乗じ、ある上 下限値で飽和させる飽和要素を介してモーションベース信号にしたりする。尚、定数 や飽和要素によっては、複合モータトルク指令信号とモーションベース信号とが同じ 場合も含む。
[0120] 外乱トルク推定器 370には、前記複合モータトルク指令信号の他に、モータ駆動装 置 390から電動モータ SMのトルク(電流)を検出するトルク検出器力もモータトルク 信号 (有効電流信号)と、モータ角速度信号とが加えられており、外乱トルク推定器 3 70は、モータ角速度信号等を基にプレス荷重等を含む外乱トルクを演算推定する。 即ち、外乱トルク推定器は、モータ速度信号の微分演算処理信号と複合モータトルク 信号に遅れ要素等のフィルタを乗じた演算量との差や前記モータ速度信号の微分 演算処理信号と複合モータトルク信号に遅れ要素等のフィルタを乗じた演算量との 差とモータトルク信号を基にした補正演算量との和に基づいて外乱トルクを演算推定 する。この推定された外乱トルクを示す外乱トルク推定信号は、油圧シリンダ制御器 3 50及び複合モータ制御器 360に出力される。
[0121] 油圧チャージ制御器 340は、下降中に加速領域から等速領域に入ったことを示す チャージベース信号を受けて、チャージ用弁指令信号等をチャージ駆動装置 270に
出力するもので、スライド位置制御器 320からチャージベース信号を入力するととも に、圧力検出器 P_Hから略一定高圧信号を入力している。油圧チャージ制御器 340 は、スライド位置制御器 320からチャージベース信号を入力すると、チャージ駆動装 置 270内のチャージ弁 273を ONさせるためのチャージ用弁指令信号を出力し、一 方、油圧シリンダ制御器 350から油圧シリンダ SYL1がアシスト用に駆動されたことを 示す信号が加えられると、チャージ用弁指令信号の出力を停止する。また、圧力検 出器 P_Hから入力する略一定高圧信号が、蓄圧上限設定圧 (例えば 22.5MPa)に 達する場合もチャージ用弁指令信号の出力を停止する。
[0122] このとき(下降中にチャージ駆動装置を駆動する場合)は、圧油チャージ制御器 34 0力もチャージ駆動装置 270を介してチャージ用弁 273により CYL1 (ロッド側 =上昇 側)が駆動されたことと同期して、その予め予測される圧力応答に比例する推力応答 と予め予測されるサーボモータ SMのトルク応答差を補正するようなシリンダ 1上昇 O N調整信号(図 7)が出力され、複合モータ制御器 360では SMトルク指令量に本調 整信号を加算することによって、サーボモータ +スクリュ 'ナット機構を介した推力と油 圧シリンダ推力が、動的においても (複合の過度状態においても)、滑らかに複合す る。
[0123] また、油圧チャージ制御器 340は、スライド 110下降時と同様にスライドの上昇時に も加速領域力も等速領域に入ったことを示すチャージベース信号を受けて、略一定 高圧信号が所定の範囲内であるとき、油圧シリンダ制御器 350に上昇中チャージ O N信号を出力する。尚、油圧シリンダ制御器 350は、上昇中チャージ ON信号を受入 すると、油圧シリンダ SYL1が下降する方向に圧油が加わるように弁 ¥1_0_!"1,¥1_0丄 を制御する。これにより、スライド 110の上昇中に油圧シリンダ SYL1をポンプとして作 用させ、圧油を定高圧力源 204にチャージさせることができる。
[0124] 次に、油圧シリンダ制御器 350について説明する。
[0125] 油圧シリンダ制御器 350は、 4つの弁 1_0_!"[,¥1_0丄,¥2_0_1"[,及び ¥2_0丄を駆動( 開閉)するための弁指令信号 LLL_SLV,Ll_H_SLV,L2 _SLV,及び L2_H_SLVを出力 するとともに、油圧シリンダ SYL1,SYL2の発生推力に相当する SYL1JDN調整信号, SY L2_ON調整信号を複合モータ制御器 360に出力するもので、速度制御器 330からモ
ーシヨンベース信号が加えられ、外乱トルク推定器 370から外乱トルク推定信号が加 えられている。
[0126] また、油圧シリンダ制御器 350には、圧力検出器 P丄 D及び P_2_Dによって検出さ れた圧力信号 L1_P及び L2_Pと、スプール位置検出器 S1_D丄, S1_D_H,S2_D丄,及び S2_ D_I" [によって検出されたスプール位置信号 LLL_POS,Ll_H_POS,L2 _POS,及び L2— H_POSとが加えられて!/、る。
[0127] 油圧シリンダ制御器 350は、入力するモーションベース信号と外乱トルク推定信号 との総和力も電動モータ SM単体の推力で賄うことができるかどうか、また、油圧シリ ンダのアシストが必要な場合には、油圧シリンダ SYL1, SYL2のうちのいずれか一方、 又は両方のアシストが必要かを判断し、油圧シリンダ SYL1をアシスト ON、アシスト OF Fさせるための CYL1JDFF指令、及び油圧シリンダ SYL2をアシスト ON、アシスト OF Fさせるための CYL2JDN指令、 CYL2JDFF指令を発生する。
[0128] また、 CYL1JDN指令、 CYL1JDFF指令には、上昇時に必要に応じて圧油チャージ 制御器 340から上昇 ONチャージ信号が加算される。
[0129] いま、図 9Aに示すように油圧シリンダ SYL1をアシスト ONする CYL1JDN指令(0→1 )を発生する場合、 CYL1_0N指令の立ち上がりに同期して低圧力源 208に通じる弁 Vl_D を全閉させる弁指令信号 LLL_SLVを出力し (図 9C)、続いて所定の遅延時間 後に定高圧力源 204に通じる弁 V1_D_Hを開くための、後述のアシスト時昇圧ァルゴ リズムにしたがった弁指令信号 L1_H_SLVを出力する (図 9B)。尚、アシスト時昇圧ァ ルゴリズムは、所定のアシスト時昇圧制御時間(数 m〜数 10msec間)(シリンダ圧力の 過渡期)だけ行われる。
[0130] 図 10は前記弁指令信号 L1_H_SLVを出力する油圧シリンダ制御器 350の一部を示 す回路図である。同図に示すように、アシスト時昇圧制御時間に昇圧時 CYL1圧力指 令 CYL1REFを出力する。油圧シリンダ制御器 350は、前記圧力指令 CYL1REFと圧 力検出器 P_1_Dによって検出された圧力信号 L1_Pとの偏差に基づいて弁 V1_D_Hのス プール位置指令を演算し、このスプール位置指令とスプール位置検出器 S 1_D_Hによ つて検出されたスプール位置信号 Ll_H_POSとの偏差に基づいて前記弁指令信号 L1 _H_SLVを演算し、この弁指令信号 L1_H_SLVによって弁 V1_D_Hのスプール位置 (開口
量)を制御する。
[0131] 上記アシスト時昇圧アルゴリズムにしたがって演算された弁指令信号 L1_H_SLVによ つて弁 V1_D_Hを制御することにより、油圧シリンダ SYL1の圧力は圧力指令 CYL1REF に追従するようになる。
[0132] また、このアシスト時昇圧アルゴリズムによる昇圧後、弁 V1_D_Hは、定常 ON用の一 定量 (略全開の開口量)になるように制御される。これは、昇圧工程が終了したら油流 が絞られな 、ように弁開度を大きくし、エネルギ効率を低下させな 、ようにするためで ある。
[0133] 油圧シリンダ制御器 350は、油圧シリンダをアシスト OFFする場合にもアシスト ON 時と同様な制御を行う。
[0134] 即ち、図 11Aに示すように油圧シリンダ SYL2をアシスト OFFする CYL2JDFF指令(1 →0)を発生する場合、 CYL2_OFF指令の立ち下がりに同期して定高圧力源 204に 通じる弁 V2_D_Hを全閉させる弁指令信号 L2_H_SLVを出力し (図 11C)、続いて所定 の遅延時間後に低圧力源 208に通じる弁 2_0丄を開くための、アシスト時脱圧アル ゴリズムにしたがった弁指令信号 L2 _SLVを出力する (図 11B)。尚、アシスト時脱圧 アルゴリズムは、所定のアシスト時脱圧制御時間(数 m〜数 10msec間)(シリンダ圧力 の過渡期)だけ行われる。
[0135] 図 12は前記弁指令信号 L2 _SLVを出力する油圧シリンダ制御器 350の一部を示 す回路図である。同図に示すように、アシスト時脱圧制御時間に脱圧時 CYL2圧力指 令 CYL2REFを出力する。油圧シリンダ制御器 350は、前記圧力指令 CYL2REFと圧 力検出器 P_2_Dによって検出された圧力信号 L2_Pとの偏差に基づいて弁 V2_D丄のス プール位置指令を演算し、このスプール位置指令とスプール位置検出器 S2_D によ つて検出されたスプール位置信号 L2 _POSとの偏差に基づいて前記弁指令信号 L2 _SLVを演算し、この弁指令信号し2丄_31^によって弁 2_0丄のスプール位置 (開口 量)を制御する。
[0136] 上記アシスト時脱圧アルゴリズムにしたがって演算された弁指令信号 L2 _SLVによ つて弁 2_0丄を制御することにより、油圧シリンダ SYL2の圧力は圧力指令 CYL2REF に追従するようになる。
[0137] また、このアシスト時脱圧アルゴリズムによる脱圧後、弁 2_0丄は、定常 OFF用の 一定量 (略全開の開口量)になるように制御される。これは、脱圧工程が終了したら油 流が絞られな 、ように弁開度を大きくし、エネルギ効率を低下させな 、ようにするため である。
[0138] 尚、上記のようにして制御される前記弁 1_0_!"[,¥1_0丄,¥2_0_1"[,及び ¥2_0丄は、弁 指令信号群の変化時点から遅くとも 60ms以内に 2つの定常状態 (略一定低圧状態( P0)と略一定高圧状態 (P1))の間で、少なくとも I P1 -P0 Iの 50%以上の変化が可 能な開口量及び応答性を有するものが適用される。
[0139] 更に、油圧シリンダ制御器 350は、油圧チャージ制御器 340から上昇中チャージ O N信号を入力した場合には、油圧シリンダ SYL1をポンプとして作用させるための弁指 令信号を上記と同様にして演算して出力する。
[0140] また、油圧シリンダ制御器 350は、油圧シリンダ SYL1や CYL2が駆動された時、予め 予測される圧力応答に比例する推力応答と、予め予測される電動モータ SMのトルク 応答の差を補正するような調整信号 (CYL1_0N調整信号、 CYL2_ON調整信号)を演 算し、この調整信号を複合モータ制御器 360に出力する。
[0141] 図 13Aは油圧シリンダ SYL1をアシスト ONする CYL1JDN指令が与えられたときの油 圧シリンダ SYL1の圧力応答を示すグラフであり、図 13Bは電動モータ SMに対してス テツプ状のトルク指令が与えられたときのトルク応答を示すグラフである。
[0142] 図 14Aは CYL1JDN指令力 油圧シリンダ SYL1の圧力応答に至るまでの伝達関数 を示し、図 14Bはトルク指令力も電動モータ SMのトルク応答に至るまでの伝達関数 を示している。
[0143] 油圧シリンダ制御器 350は、図 15に示すように図 14A及び図 14Bに示した伝達関 数を用いて、 CYL1— ON指令や CYL2— ON指令が発生した場合、その CYL1— ON指令 や CYL2_ON指令に基づくシリンダ推力がスライド 110に加算される分に相応する調 整信号 (CYL1_0N調整信号、 CYL2_ON調整信号)を複合モータ制御器 360に出力 する。複合モータ制御器 360では、複合モータトルク指令信号から CYL1_0N調整信 号、 CYL2JDN調整信号を減算して、電動モータ SMへのモータトルク指令信号を演 算しているが、このモータトルク指令信号は、過度的にも整合した信号となる。
[0144] 図 16は、より簡易的に動的な整合をとるための CYLl_ON調整信号、 CYL2JDN調整 信号を演算する油圧シリンダ制御器の他の実施の形態を示している。
[0145] 図 16に示す油圧シリンダ制御器 350'は、電動モータ SMのトルク応答より十分に 遅い油圧シリンダ SYL1,SYL2の圧力応答に合わせて、シリンダ推力に相応するトル クを減算するため、油圧シリンダ SYL1,SYL2の圧力を示す圧力信号 L1_P, L2_P (圧 力応答)に電動モータ SM応答分の遅れを位相改善させる伝達関数 GPC1(S)、 GPC 2(S)を乗じたものを調整信号 (CYL1_0N調整信号、 CYL2_ON調整信号)として複合 モータ制御器 360に出力している。
[0146] 次に、複合モータ制御器 360について説明する。
[0147] 図 7に示すように複合モータ制御器 360には、速度制御器 33から複合モータトルク 指令信号が加えられ、外乱トルク推定器 370から外乱トルク推定信号が加えられ、圧 油チャージ制御器 340からシリンダ上昇 ON調整信号が加えられ、油圧シリンダ制御 器 350から SYL1JDN調整信号及び SYL2JDN調整信号が加えられている。
[0148] 複合モータ制御器 360は、入力する複合モータトルク指令信号と外乱トルク推定信 号とを加算してプレス荷重等を含む外乱トルクを考慮した複合モータトルク指令信号 を得、この複合モータトルク指令信号力 図 15及び図 16に示したように調整信号 (C YLl_ON調整信号、 CYL2_ON調整信号)を減算し、その減算結果をモータトルク指令 信号として出力する。
[0149] モータ制御器 380には、複合モータ制御器 360からモータトルク指令信号が加えら れ、モータ駆動装置 390からモータトルク信号及びモータ角速度信号が加えられて いる。モータ制御器 380はこれらの信号力もモータ駆動信号を演算し、このモータ駆 動信号をモータ駆動装置 390に出力する。本例におけるモータ制御器 380へ入力 するモータ角速度信号は、逆起電力による指令電圧低下に伴うモータトルク低下を 補正するためのものである。即ち、モータ角速度信号は、速度に比例して生じる逆起 電力分の電圧をモータ制御器 380内の指令電圧の PWM (パルス幅変調制御部)で 補正 (加算)操作するために使用される。尚、モータ制御器にはいろいろな形態が知 られており、本例には限らない。
[0150] モータ駆動装置 390(図 1)は、スライド制御装置 300から入力するモータ駆動信号
に基づ!/、て電動モータ SMを駆動する。
[0151] 次に、上記構成のプレス機械のスライド駆動装置の動作について説明する。
[0152] 〔作用説明〕
<状態波形 >
図 17乃至図 26はそれぞれスライド 110を駆動させる場合の 1サイクルにおける各 種の状態波形 (スライド位置、モータ角速度、モータによる(減速器、スクリュ、ナット機 構を介した)推力、各油圧シリンダ圧力、各油圧シリンダ推力、定高圧力源から各油 圧シリンダに流入出する油量、定高圧力源圧力、定高圧力源油量、プレス荷重及び スライド加速度指令)を示すグラフである。
[0153] 図 17の実線及び点線は、それぞれスライド目標位置指令及びスライド位置を示し ている。スライド目標位置指令の上限位置指令は 300mm、下限位置指令は Ommで ある(上方向を正方向としている)。図 8で説明したようにスライド目標位置指令は、ス ライド位置制御器 320内の積分器 323がスライド速度指令を時間積分して生成して おり、この実施の形態では、 200mmZsのスライド速度指令を時間積分したものであ る。
<スライド動作開始前 =スライド停止中 >
プレス機械 100の運転開始時 (運転開始前)には、定高圧力源 204にシリンダ駆動 用の圧油が蓄積されていない。スライド制御装置 300のスライド統括制御器 310 (図 7 )は、圧力検出器 P_H力も入力する略一定高圧力信号に基づいて圧油の圧力が、停 止時蓄圧下限設定圧 (例えば 21MPa)以下であることを検知すると、圧油供給信号 を補助圧油供給装置 230に出力する。補助圧油供給装置 230は、圧油供給信号の 入力により圧油を定高圧力源 204にチャージし、定高圧力源 204内の初期圧油を確 保する。
[0154] 図 23は定高圧力源 204の圧力を示しており、時間 Osにおける圧力が動作前に補 助圧油供給装置 230によりチャージされた圧油の圧力である。
[0155] <スライド下降開始 下方加速→一定速 (等速)、波形図の 0〜1.15秒 >
スライド制御装置 300のスライド統括制御器 310からはブレーキ OFF信号 Bl, B2 が自重落下防止装置 250に出力され、運転停止時のスライド 110の自重落下機能(
ブレーキ機能)が解除される。
[0156] 一方、スライド位置制御器 320の積分器 322 (図 8)では、スライド加速度指令を演 算している。図 26はスライド加速度指令を示している。チャージ信号生成器 324は、 スライド加速度指令力も比較的大きなトルクを必要とするスライド加速領域を過ぎた時 点 (図 26に示す 0秒近傍の負側のトルク絶対値が小さくなつた時点)を判断して、チヤ ージベース信号をチャージ駆動装置 270に出力する。
[0157] チャージベース信号を受けた圧油チャージ制御器 340は、油圧シリンダ SYL1がァ シスト用に駆動されたことを示す信号が加えられるまで、チャージ駆動装置 270内の チャージ弁 273を ONさせるためのチャージ用弁指令信号を出力する。チャージ用 弁指令信号受けたチャージ駆動装置 270(図 6)は、チャージ弁 273を ONさせてパイ ロット操作逆止弁 272により低圧側の管路 Tを遮断させ、スライド 110の下降時に油 圧シリンダ SYLla,SYLlbのシリンダ下室から吐出される圧油を、逆止弁 271を介して 高圧側の管路 Pを経由して定高圧力源 204にチャージさせる。
[0158] 図 23及び図 24はそれぞれ定高圧力源 204内の圧油の圧力、及び油量を示してお り、図 23及び図 24に示す 0.4s〜l.15s間の圧力上昇部及び油量上昇部は、スライド 下降時のチャージによるものである。
[0159] <スライド下降後半 成形力負荷、アシスト作用 下死点停留 波形図の 1.1〜2.5 秒 >
スライド位置 100mm (経過時間 1.1s)力もスライド下死点位置(0mm)に至る期間 は、図 25に示すような成形力が作用する。
[0160] 図 18には、電動モータ SMのモータ角速度 (駆動軸角速度)を示す。成形力(プレス 荷重)が作用した瞬間の過度時を除いて、荷重作用によらず安定した速度曲線を示 していることが分かる。これは、図 7に示すスライド制御装置 300内の外乱トルク推定 器 370により、プレス荷重等を含む外乱トルクを、速度信号等を基に演算推定し、複 合モータ制御器 360に外乱トルクを相殺すべく出力することによる作用が大きい。
[0161] 成形力が作用した時、油圧シリンダ制御器 350では、位置、速度の制御を司るモー シヨンベース信号と外乱トルク推定信号 (これら総和 (アシスト判断量》に基づき、その 量の大小によって、油圧シリンダ SYL1 (シリンダ小)、油圧シリンダ SYL2(シリンダ大)を
駆動させるベく弁指令信号群を出力し、電動モータ SM (からスクリュ 'ナット機構を介 した)推力の不足分をシリンダ推力で補うようにして 、る。
[0162] 油圧シリンダ制御器 350は、油圧シリンダ CYL1や CYL2を駆動する時には、予め予 測される圧力応答に比例する推力応答と予め予測される電動モータ SMのトルク応 答差を補正するような調整信号 (CYL1_0N調整信号、 CYL2_ON調整信号)を複合モ ータ制御器 360に出力し、複合モータ制御器 360は複合モータトルク指令信号に調 整信号を加算することによって、電動モータ SMカもスクリュ 'ナット機構を介した推力 と油圧シリンダ推力とを、動的においても (複合の過度状態においても)滑らかに複合 させる。
[0163] また、この時は圧油が成形に消費され、略一定高圧信号が動作時蓄圧下限設定 圧 (例えば 21MPa)以下になると、補助圧油供給装置 230が動作して定高圧力源 2 04に圧油が蓄積される。尚、プレス機械 100の動作中は所定の圧力(動作時蓄圧上 限設定圧 (例えば 22.5MPa))に達すると、補助圧油供給装置 230による圧油の供給 は停止する。
[0164] <スライド上昇初期 (加速) 成形カ徐荷 アシスト解除 波形図の 2.5〜2.8秒 > 図 17に示すように下降時と同様に、スライド 110は、スライド制御装置 300に基づき スライド位置制御器 320で生成されたスライド目標位置指令にスライド位置が追従す るように制御される。
[0165] この時、上昇開始初期に成形力が解除され、位置、速度の制御を司るモーションべ ース信号と外乱トルク推定信号 (これら総和 (アシスト判断量》が小さくなるため、油圧 シリンダ制御器 350は、油圧シリンダ SYL1 (シリンダ小)、油圧シリンダ SYL2(シリンダ大 )を順次アシスト OFFさせる弁指令信号群を出力する。
[0166] また、油圧シリンダ制御器 350は、油圧シリンダ CYL1や CYL2をアシスト OFFする 時には、アシスト ON時と同様に調整信号を複合モータ制御器 360に出力し、複合モ ータ制御器 360は複合モータトルク指令信号に調整信号を加算することによって、電 動モータ SMカもスクリュ 'ナット機構を介した推力と油圧シリンダ推力とを、動的にお V、ても(複合の過度状態にぉ 、ても)滑らかに複合させる。
[0167] <スライド上昇中期(等速) 上昇中の圧油チャージ 波形図の 2.8〜4.0秒 >
スライド下降時と同様に、スライド位置制御器 320の積分器 322 (図 8)では、スライ ド加速度指令を演算しており、チャージ信号生成器 324は、スライド加速度指令から 比較的大きなトルクを必要とする上昇時のスライド加速領域を過ぎた時点 (図 26に示 す 2.5秒近傍の正側のトルク絶対値が小さくなつた時点)を判断して、チャージベース 信号をチャージ駆動装置 270に出力する。
[0168] チャージベース信号を受けた圧油チャージ制御器 340は、スライド上昇工程におい ては、油圧シリンダ制御器 350に上昇中チャージ ON信号を出力する。油圧シリンダ 制御器 350は、上昇中チャージ ON信号を入力すると、油圧シリンダ SYL1を駆動す ベぐ弁指令信号郡を出力して油圧シリンダ SYL1を駆動し、その圧力はアシスト時と 同様に予め設定された応答性に基づいて制御される。
[0169] このときの油圧シリンダ SYL1推力は下方向であり、電動モータ SMの動作方向と反 対であるため、電動モータ SMは油圧シリンダ SYL1の推力に相当するトルクを余計に 担う。この油圧シリンダ SYL1の推力に相当するトルク増加分のモータトルク指令は、 アシスト作用時と同様に CYLl_ON調整信号や外乱トルク推定信号に基づいて演算さ れる。結局、油圧シリンダ SYL1はポンプ作用を行い、電動モータ SMのスライド上昇 時の余剰動力で、低圧力源 208から定高圧力源 204へ圧油をチャージする。尚、上 昇チャージは、上昇開始時の所定の時点で、略一定高圧信号が上昇チャージ起動 設定圧 (例えば 21.8MPa)以下に限り許可される。
[0170] <スライド上昇後期(減速) 制動時エネルギ回生 波形図の 4.0〜4.2秒 >
スライド 110は、スライド制御装置 330によりスライド目標位置指令にスライド位置を 追従させるように制御される結果、上死点位置に近づくと減速させられる。この時、電 動モータ SMのトルクは、本来減速側(下降側)に生じるが、上昇チャージ時のポンプ として油圧シリンダ SYL1を (継続して)駆動する(下降側に推力が発生している)ため 、加速側(上昇側)に生じている。即ち、油圧シリンダ SYL1による低圧力源 208から定 高圧力源 204にポンプ作用(圧油チャージ)を行う際の下降側の力からサーボモータ (+スクリュ機構)による上昇側の力を減じた力が制動力となり、結局、スライド 110の 保有している運動エネルギと電動モータ SMによる上昇側動力で圧油をチャージす ることになり、少なくても、スライド 110の保有する運動エネルギは全て、圧油として定
高圧力源 208に回生される。
[0171] 〈第 2の実施の形態〉
図 27は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 2の実施の形態の全体構 成を示す概略図である。尚、図 1に示した第 1の実施の形態と共通する部分には同 一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
[0172] 図 27に示す第 2の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、図 1に示した第
1の実施の形態のものとは、主としてプレス機械 100'及びスライド制御装置 300'が 異なる。
[0173] [プレス機械の構成]
このプレス機械 100,は、ベッド 102、コラム 104及びクラウン 106でフレームが構成 され、スライド (可動盤) 110は、コラム 104に設けられたガイド部 108により鉛直方向 に移動自在に案内されて 、る。
[0174] スライド 110を駆動する駆動手段として、二重油圧シリンダ SYLと、電動モータ SM1 a,SM2a及び SMlb,SM2bの出力トルクが伝達される一対のスクリュ 'ナット機構とが設け られている。
[0175] 二重油圧シリンダ SYLは、受圧面積の小さい油室 140を含む油圧シリンダ SYL1と、 受圧面積の大きい油室 141、 142を含む油圧シリンダ SYL2と力もなり、この二重油圧 シリンダ SYLのシリンダ本体がクラウン 106に固定され、ピストンロッドがスライド 110 に固定されており、スライド 110の全ストロークにわたって推力をスライド 110に伝達で きるようになつている。尚、油室 140、 141は、それぞれ管路 222、 224に接続され、 油室 142は自重落下防止装置 250に接続されて 、る。
[0176] 一対のスクリュ 'ナット機構は、それぞれ軸受け 112a, 112bを介してクラウン 106に 回転自在に固定された駆動スクリュウ 120a, 120bと、スライド 110に固定されるととも に前記駆動スクリュウ 120a, 120bと螺合する従動ナット 122a, 122bとから構成され ており、駆動スクリュウ 120a, 120bbには減速機 124a, 124bを介して電動モータ S Mla,SM2a及び SMlb,SM2bの出力トルクが伝達されるようになっている。尚、一対のス クリュ ·ナット機構は、スライド 110の中心に対して対称の位置に配設されて 、る。
[0177] また、プレス機械 100,のベース 102側には、スライド 110の左右のスライド位置をそ
れぞれ検出するスライド位置検出器 130a, 130bが設けられ、電動モータ SMla,SM2 aと、電動モータ SMlb,SM2bには、各駆動軸の角速度を検出する駆動軸角速度検出 器 132a, 132b力設けられている。
[0178] スライド位置検出器 130a, 130bからは、位置信号処理装置 131a, 131bを介して スライド 110の左右のスライド位置を示すスライド位置信号 a, bがスライド制御装置 30 0'に出力され、駆動軸角速度検出器 132a, 132bからは、モータ駆動装置 390a, 3 90bを介して各駆動軸の角速度信号 (モータ角速度信号 a, b)がスライド制御装置 3 00 'に出力されている。また、モータ駆動装置 390a, 390bからはそれぞれモータト ルク信号 a, bがスライド制御装置 300'に出力されている。
[0179] 〔スライド制御〕
次に、図 27に示したスライド制御装置 300'について、図 28を参照しながら説明す る。尚、図 7に示したスライド制御装置 300と共通する部分には同一の符号を付し、そ の詳細な説明は省略する。
[0180] 図 28に示すようにスライド制御装置 300'は、スライド統括制御器 310と、スライド位 置制御器 320'と、速度制御器 330'と、圧油チャージ制御器 340と、油圧シリンダ制 御器 350と、複合モータ制御器 360'と、外乱トルク推定器 370a, 370bと、モータ制 御器 380a、 380bと力ら構成されて!/、る。
[0181] スライド位置制御器 320'は、図 8に示したスライド位置制御器 320と同様な構成を 有する力 スライド位置検出器 130a, 130b力も位置信号処理装置 131a, 131bを 介してスライド 110の左右のスライド位置を示すスライド位置信号 a, bを入力して 、る ため、スライド 110の左右の速度指令信号 a, bを個別に演算して出力する。また、こ のスライド位置制御器 320'からはチャージベース信号は出力せず、モータ角速度信 号 a, bを入力して 、る加速度演算器 326からチャージベース信号を圧油チャージ制 御器 340に出力している。この加速度演算器 326は、モータ角速度信号 a, bからスラ イド 110の左右平均の加速度を演算し、その加速度に基づ 、てチャージベース信号 を生成して圧油チャージ制御器 340に出力している。
[0182] 速度制御器 330'には、速度指令信号 a, bと、モータ角速度信号 a, bとが加えられ ており、速度制御器 330'は、これらの入力信号に基づいて位置、速度の制御を司る
モーションベース信号と、複合モータトルク指令信号 a, bとを演算する。前記モーショ ンベース信号は、油圧シリンダ制御器 350に出力され、複合モータトルク指令信号 a , bは複合モータ制御器 360'及び外乱トルク推定器 370a, 370bに出力される。
[0183] 外乱トルク推定器 370aには、前記複合モータトルク指令信号 aの他に、モータトル ク信号 (有効電流信号) aと、モータ角速度信号 aが加えられており、外乱トルク推定 器 370aは、モータ角速度信号 a等を基にプレス荷重等を含む外乱トルクを演算推定 する。同様に、外乱トルク推定器 370bには、前記複合モータトルク指令信号 bの他に 、モータトルク信号 (有効電流信号) bと、モータ角速度信号 bが加えられており、外乱 トルク推定器 370bは、モータ角速度信号 b等を基にプレス荷重等を含む外乱トルク を演算推定する。これらの外乱トルク推定器 370a, bは、それぞれ演算した外乱トル クを示す外乱トルク推定信号 a, bを、油圧シリンダ制御器 350及び複合モータ制御 器 360'に出力する。
[0184] 複合モータ制御器 360'は、入力する複合モータトルク指令信号 aと外乱トルク推定 信号 aとを加算してプレス荷重等を含む外乱トルクを考慮した複合モータトルク指令 信号を得、この複合モータトルク指令信号から調整信号 (CYL1_0N調整信号、 CYL2 —ON調整信号)を減算し、その減算結果をモータトルク指令信号 aとして出力するとと もに、入力する複合モータトルク指令信号 bと外乱トルク推定信号 bとを加算して複合 モータトルク指令信号を得、この複合モータトルク指令信号から調整信号を減算し、 その減算結果をモータトルク指令信号 bとして出力する。
[0185] モータ制御器 380a, 380bには、それぞれ複合モータ制御器 360からモータトルク 指令信号 a、 bが加えられ、モータ駆動装置 390a, bからモータトルク信号 a,b及びモ ータ角速度信号 a, bが加えられており、モータ制御器 380a、 bはこれらの信号カもモ ータ駆動信号 a, bを演算し、このモータ駆動信号 a, bをモータ駆動装置 390a, bに 出力する。モータ駆動装置 390a, 390b (図 27)は、スライド制御装置 300'から入力 するモータ駆動信号 a, bに基づいて電動モータ SMla,SM2aと、電動モータ SMlb,SM 2bとを駆動する。
[0186] 即ち、第 2の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、電動モータ SMla,SM 2aと、電動モータ SMlb,SM2bとを個別に駆動し、左右一対のスクリュ 'ナット機構を介
してスライド 110の左右に個別に推力を加えることができ、これによりスライド 110に対 して偏心したプレス荷重が力かる場合でも、その偏心したプレス荷重に対応した推力 を加えることができ、スライド 110の平行度を高精度に維持することができる。
[0187] 〈第 3の実施の形態〉
図 29は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第 3の実施の形態の要部構 成を示す概略図である。尚、図 1及び図 27に示した第 1及び第 2の実施の形態と共 通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
[0188] 図 29に示す第 3の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、図 1及び図 27 に示した第 1及び第 2の実施の形態のものとは、主としてプレス機械 100"及び油圧 シリンダ駆動装置 200'が異なる。
[0189] [プレス機械の構成]
このプレス機械 100"は、図 1に示したプレス機械 100と同様に大小 2本ずつの油圧 シリンダ SYLl(SYLla, SYLlb)、 SYL2(SYL2a, SYL2b)が設けられ、また、図 27に示し たプレス機械 100'と同様に電動モータの出力トルクが伝達される一対のスクリュ 'ナ ット機構が設けられている。
[0190] 尚、一対のスクリュ*ナット機構を駆動する電動モータ SMa, SMbは、図 28に示し た第 2の実施の形態のスライド制御装置 300 'と同様のスライド制御装置により個別に 駆動制御される。
[0191] 〔油圧シリンダ駆動装置〕
第 3の実施の形態の油圧シリンダ駆動装置 200'は、第 1の油圧シリンダ駆動装置 2 00aと、第 2の油圧シリンダ駆動装置 200bとから構成され、各油圧シリンダ駆動装置 は、図 5に示した油圧シリンダ駆動装置 200と同様に構成されている。第 1の油圧シリ ンダ駆動装置 200a〖こは、管路 222a, 224aを介して図 29上で左側の油圧シリンダ S YLla, SYL2aが接続され、第 2の油圧シリンダ駆動装置 200bには、管路 222b, 224 bを介して図 29上で右側の油圧シリンダ SYLlb, SYL2bが接続されている。
[0192] 一方、第 1の油圧シリンダ駆動装置 200aには、弁指令信号 L1丄— SLVa,Ll— H— SLVa, L2 _SLVa,及び L2_H_SLVaが加えられ、第 2の油圧シリンダ駆動装置 200bには、弁 指令信号 LLL_SLVb,Ll_H_SLVb,L2 _SLVb,及び L2_H_SLVbが加えられる。これらの
弁指令信号 LI— L— SLVa,Ll— H— SLVa,L2— L— SLVa,及び L2— H— SLVaと、弁指令信号 LI— L— SLVb,Ll— H— SLVb,L2丄— SLVb,及び L2— H— SLVbとは、図示しな!、スライド制御装置内 の油圧シリンダ制御器により個別に生成されている。
[0193] 即ち、この油圧シリンダ駆動装置 200'は、第 1の油圧シリンダ駆動装置 200aと、第 2の油圧シリンダ駆動装置 200bとにより、左側の油圧シリンダ SYLla, SYL2aと、右側 の油圧シリンダ SYLlb, SYL2bとを個別に駆動している。
[0194] 従って、第 3の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、プレス機械 100"の 左右の電動モータ SMaと電動モータ SMbとを個別に駆動制御するとともに、左右の 油圧シリンダ SYLla, SYL2aと油圧シリンダ SYLlb, SYL2bとを個別に制御しており、こ れによりスライド 110に対して偏心したプレス荷重が力かる場合でも、その偏心したプ レス荷重に対応した推力を加えることができ、スライド 110の平行度を高精度に維持 することができる。
[0195] 尚、この実施の形態では、スライド 110の位置を示すスライド位置信号を使用して ヽ るが、駆動軸角度信号を使用してもよぐまた、速度信号として駆動軸角速度を使用 しているが、スライド速度を使用してもよい。また、速度マイナーループフィードバック 付き位置フィードバックによる制御を行っている力 速度フィードバックのみによる制 御でもよい。更に、この実施の形態では、作動液として油を使用した場合について説 明したが、これに限らず、水やその他の液体を使用してもよい。また、本発明は、プレ ス機械のスライド (可動盤)に限らず、射出成形機のダイプレートなどの各種の推力を 要する産業機械や建設機械等の可動盤の駆動装置としても適用することができる。 産業上の利用の可能性
[0196] 本発明は可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置に適用できる。特 に、電動モータと液圧シリンダとを併用してプレス機械のスライドや各種の推力を要 する産業機械や建設機械等の可動盤を駆動する技術に適用できる。