WO2006051660A1 - L-アミノ酸の製造法 - Google Patents

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Hiroshi Izui
Yoshihiko Hara
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Ajinomoto Co., Inc.
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/04Alpha- or beta- amino acids

Abstract

L―アミノ酸生産能を有し、かつ、prpC遺伝子の発現が増強されるように改変された微生物を作製し、得られた微生物を培地中で培養し、該培地中にL―アミノ酸を生成蓄積させ、同培地中L−アミノ酸を回収することにより、L−アミノ酸を製造する。

Description

明細書
L—アミノ酸の製造法
技術分野
本発明は、 L—アミノ酸、 特に L一グルタミン酸や L一グルタミン酸を中間体とする生 合成経路を経て生成するアミノ酸 (L—アルギニン、 L一グルタミン、 L—プロリン、 L 一オル二チン、 Lーシトルリン) の製造法に関する。
背景技術
L—グルタミン酸を中心とする L一アミノ酸は、 主としてブレビバクテリウム属、 コリ ネバクテリゥム属、 ミクロパクテリゥム属に属するいわゆるコリネ型 L—グルタミン酸生 産菌またはそれらの変異株を用いた発酵法により製造されている。 また、 バチルス属、 ス トレプトミセス属、 ぺニシリウム属、 シユードモナス属、 アースロバクター属、 セラチア 属、 キャンディダ属、 セラチア属に属する微生物、 ァエロパクター ·ァエロゲネス (現ェ ンテロバクタ一 ·ァエロゲネス)、 及びェシエリヒア ·コリの変異株を用いる方法等が知ら れている。 また、 本発明者らは、 クレブシエラ属、 エルビニァ属又はパントエア属に属す る腸内細菌科の微生物を用いた L—アミノ酸の製造法 (米国特許第 6 , 1 9 7 , 5 5 9号 明細書)、及びェンテロパクター属細菌を用いた L一グルタミン酸の製造法(米国特許第 6 , 3 3 1 , 4 1 9号明細書) を提案している。
また、 組換え DN A技術により L一アミノ酸の生合成酵素の活性を増強することによつ て、 L—アミノ酸の生産能を増加させる種々の技術が開示されている。 例えば、 L一ダル 夕ミン酸生産菌の開発においては、 コリネパクテリゥム属またはブレビパクテリゥム属細 菌において、 ェシエリヒア ·コリ又はコリネパクテリゥム ·ダルタミクム由来のクェン酸 シンターゼをコードする遺伝子の導入が、 L一グルタミン酸生産能の増強に効果的であつ たことが報告されている (特公平 7— 1 2 1 2 2 8号公報)。 また、 コリネパクテリゥム属 細菌由来のグル夕ミン酸デヒド口ゲナーゼ遺伝子を含む組換え体 D Aを保有した細胞 (特開昭 6 1 - 2 6 8 1 8 5号公報) を用いた L一グルタミン酸製造方法、 グルタミン酸 デヒドロゲナ一ゼ遺伝子、 イソクェン酸デヒドロゲナ一ゼ遣伝子、 アコニット酸ヒドラ夕 ーゼ遺伝子、 及びクェン酸シンターゼ遺伝子を増幅することによって、 L—グルタミン酸 の生産能を増加させる技術 (特開昭 6 3 - 2 1 4 1 8 9号公報) が開示されている。
これまでに発明者らは、 コリネ型細菌由来のクェン酸シン夕ーゼ遺伝子を導入したェン テロパクター属の L一グルタミン酸生産菌 (欧州特許出願公開第 0999282 号明細書) また ェシエリヒア属細菌のクェン酸シンターゼ遺伝子とグルタミン酸デヒドロゲナーゼ、 及び フォスフォェノールピルピン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入したェンテロパクター属ぁ るいはセラチア属細菌の L—グルタミン酸生産菌の開発を行ってきた。 (欧州特許出願公開 第 0952221号明細書)
上記のような微生物の育種や製造法の改良により、 L一ダル夕ミン酸ゃ L一アミノ酸の 生産性はかなり高まってはいるが、 今後の需要の一層の増大に応えるためには、 さらに安 価かつ効率的な L—アミノ酸酸生産能を有する菌株の開発が望まれていた。 発明の開示
本発明の課題は、 L一アミノ酸を効率よく生産することのできる腸内細菌科に属する微 生物を提供すること、 及び該菌株を用いて L一アミノ酸を効率よく生産する方法を提供す ることにある。
本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、 L一アミノ酸生産能 腸内細菌科に属する微生物に prpC遺伝子を導入することにより、 Lーァミノ酸の発酵収率 を向上させることを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、 以下の発明が提供される。
(1) L一アミノ酸生産能を有し、 かつ、 prpC遺伝子の発現が増強されるように改変さ れた腸内細菌科に属する微生物を培地で培養して、 L—アミノ酸を該培地中に生成蓄積さ せ、 該培地より L—アミノ酸を採取する、 L—アミノ酸の製造法。
(2) prpC遺伝子のコピー数を高めること、 又は該遺伝子の発現調節配列を改変するこ とにより prpC遺伝子の発現が増強された、 ( 1 ) に記載の製造法。
(3) 前記 prpC遺伝子が、 下記 (a) 又は (b) に記載の DNAである、 (1) または (2) に記載の製造法:
(a) 配列番号 5に示す塩基配列を含む DNA、
(b) 配列番号 5に示す塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリン ジェントな条件下でハイブリダィズし、 かつメチルクェン酸シン夕一ゼ活性を有するタン パク質をコードする DNA。
(4) 前記腸内細菌科に属する微生物が、 パントエア属、 ェンテロバクター属、 クレブ シエラ属、 セラチア属、 エルビニァ属、 ェシエリヒア属よりなる群から選択される (1) 〜 (3) に記載の製造法。
( 5 ) 前記腸内細菌科に属する微生物がパントエア ·アナナティス FERM BP— 6 614株あるいは FERM BP- 7207株由来の微生物である、 (1) 〜 (4) のいずれか一項に 記載の製造法。
(6) 前記アミノ酸が L一グルタミン酸、 L一アルギニン、 L一グルタミン、 L—プロ リン、 L—オル二チン、 Lーシトルリンよりなる群から選択される請求項 1〜4のいずれ か一項に記載の製造法。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
< 1 >本発明の微生物
.本発明の微生物は、 L—アミノ酸酸生産能を有し、 かつ prpC遺伝子の発現が増強される ように改変されたことを特徴とする腸内細菌科に属する微生物である。 「 L一アミノ酸生産 能」 とは、 本発明の腸内細菌科 (Entrobacteriaciae) に属する微生物を培地中で培養した ときに、 L—アミノ酸を細胞又は培地から回収できる程度に、 細胞又は培地中に生成、 蓄 積する能力をいう。 L一アミノ酸生産能を有する微生物としては、 本来的に L一アミノ酸 生産能を有するものであってもよいが、 以下に示すような微生物を、 変異法や組換え DNA 技術を利用して L—ァミノ酸酸生産能を有するように改変したものや、 本発明の遺伝子を 導入すること.によって L一アミノ酸酸生産能が付与された腸内細菌科に属する微生物であ つてもよい。
ここで L—アミノ酸とは、 L一リジン、 L—グルタミン酸、 Lースレオニン、 L—バリ ン、 L一口イシン、 L—イソロイシン、 L—セリン、 Lーァスパラギン酸、 L—ァスパラ ギン、 L—グルタミン、 L—アルギニン、 L一システィン (シスチン)、 L—メチォニン、 L—フエ二ルァラニン、 L—トリプトファン、 L—チロシン、 L—グリシン、 L—ァラニ ン、 L一プロリン、 L一オル二チン、 L—シトルリン、 L一ホモセリンが挙げられる力^ 特に L一グルタミン酸や L一グルタミン酸を中間体とする生合成経路を経て生成するアミ ノ酸、 L—アルギニン、 L—グルタミン、 L—プロリン、 L一オル二チン、 Lーシトルリ ンが望ましい。
本発明に用いる微生物としては、 ェシエリヒア属、 ェンテロパクター属、パントエア属、 クレブシエラ属、 セラチア属、 エルビニァ属、 サルモネラ属、 モルガネラ属など、 腸内細 菌科に属する微生物であって、 L一アミノ酸を生産する能力を有するものであれば、 特に 限定されない。 具体的には NCBI (Nat ional Center for Biotechnology Informat ion) デー 夕ベースに記載されている分類により腸内細菌科に属するものが利用できる。
(ht tp ://www. ncbi. nlm. ni . gov/htbin - post/Taxo醒 y/wgetorg?mode=Tree&id=1236&lvl= 3&keep=l&srclimode=l&unlock)。 改変に用いる腸内細菌科の親株としては、 中でもェシェリ ヒア属細菌、 ェンテロパクタ一属細菌、 パントエア属細菌を用いることが望ましい。
本発明のェシエリヒア属細菌を得るために用いるェシエリヒア属細菌の親株としては、 特に限定されないが、 具体的にはナイ トハルト らの著書 (Neidhardt, F. C. et al. , Escherichi a col i and Salmone l l a Typhi murium, Amer ican Soc iety for Microbiology, Washington D. C. , 1029 table 1) に挙げられるものが利用できる。 その中では、 例えば ェシエリヒア .コリが挙げられる。 ェシエリヒア ·コリとしては具体的には、 プロト夕ィ プの野生株 K 1 2株由来のェシエリヒア ·コリ W3110 (ATCC ' 27325)、 ェシエリヒア ·コ リ MG1655 (ATCC 47076)等が挙げられる。
これらを入手するには、 例えばアメリカン ·タイプ ·カルチャー ·コレクション (住所 12301 Parkl wn Drive, Rockvi l le, Maryland 20852, Uni ted States of Amer ica) より 分譲を受けることが出来る。 すなわち各菌株に対応する登録番号が付与されており、 この 登録番号を利用して分讓を受けることが出来る (ht tp:〃 www. atcc. org/参照)。 各菌株に対 応する登録番号は、 アメリカン ·タイプ,カルチヤ一 ·コレクションのカタログに記載さ れている。
ェンテロパクター属細菌としては、 ェンテロパク夕一'アグロメランス (Enterobacter agglomerans), ェンテロバクタ一 ·ァエロゲネス(Enterobacter aerogenes)等、 パントェ ァ属細菌としてはパントエア ·アナナティス (Pantoea ananatis) が挙げられる。 尚、 近 年、 ェンテロバクタ一 -ァグロメランスは、 16 S r RNAの塩基配列解析などにより、 パントエア 'アグロメランス(Pantoea agglomerans)又はパントエア'アナナティス(Pantoea ananatis), パントエア ·スチューアルティ (Pantoea stewartii) アグロメランス等に再 分類されているものがある。 本発明においては、 腸内細菌科に属する微生物に分類される ものであれば、 ェンテロバクタ一属又はパントエア属のいずれに属するものであってもよ い。 パントエア ·アナナティスを遺伝子工学的手法を用いて育種する場合には、 パントェ ァ ·アナナティス A J 13355株 (FERM BP— 6614)、 AJ 13356株 (F ERM BP— 6615)、 A J 13601株 (FERM B P— 7207) 及びそれらの 誘導体を用いることができる。 これらの株は、 分離された当時はェンテロパクター ·ァグ ロメランスと同定され、 ェンテロパクター 'アグロメランスとして寄託されたが、 上記の とおり、 16S rRNAの塩基配列解析などにより、 パントエア ·アナナティスに再分類されて いる。
L一アミノ酸生産能を付与するには、 栄養要求性変異株、 アナログ耐性株又は代謝制御 変異株の取得や、 L一アミノ酸の生合成系酵素の発現が増強された組換え株の創製等、 従 来、 コリネ型細菌又はェシエリヒア属細菌等の育種に採用されてきた方法を適用すること ができる (アミノ酸発酵、 (株) 学会出版センター、 1986年 5月 30日初版発行、 第 77〜 100頁参照)。 ここで、 L一アミノ酸生産菌の育種において、 付与される栄養要求性、 ァ ナログ耐性、代謝制御変異等の性質は、単独でもよく、 2種又は 3種以上であってもよい。 また、 発現が増強される L一アミノ酸生合成系酵素も、 単独であっても、 2種又は 3種以 上であってもよい。 さらに、 栄養要求性、 アナログ耐性、 代謝制御変異等の性質の付与と、 生合成系酵素の増強が組み合わされてもよい。
L—アミノ酸生産能を有する栄養要求性変異株、 L一アミノ酸のアナログ耐性株、 又は 代謝制御変異株を取得するには、 親株 は野生株を通常の変異処理、 すなわち X線や紫外 線の照射、 または N—メチル一N' —二トロー N—ニトロソグァ二ジン等の変異剤処理な どによって処理し、 得られた変異株の中から、 栄養要求性、 アナログ耐性、 又は代謝制御 変異を示し、 かつ Lーァミノ酸生産能を有するものを選択することによつて得ることがで きる。 また L一アミノ酸生産菌は、 遺伝子組換えによって、 L—アミノ酸生合成系酵素の 酵素活性を増強することによつても行うことが出来る。
例えば、 L一ダル夕ミン生産菌の育種は次のようにして行うことができる。
L—グルタミン酸生合成に関与する酵素としては、 例えば、 グルタミン酸デヒドロゲナ ーゼ (以下、 「GDH」 ともいう)、 グルタミンシンテ夕ーゼ、 グルタミン酸シンターゼ、 イソクェン酸デヒドロゲナーゼ、 アコニット酸ヒドラターゼ、 クェン酸シン夕一ゼ(以下、 「CS」 ともいう)、 ホスホェノールピルビン酸カルボキシラーゼ (以下、 「PEPCJ と もいう)、 ピルビン酸カルポキシラーゼ、 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、 ピルビン酸キナー ゼ、 ホスホェノールピルビン酸シンターゼ、 エノラーゼ、 ホスホダリセルム夕一ゼ、 ホス ホグリセリン酸キナーゼ、 ダリセルアルデヒド一 3—リン酸デヒドロゲナ一ゼ、 卜リオ一 スリン酸イソメラーゼ、 フルトースビスリン酸アルドラーゼ、 ホスホフルクトキナーゼ、 グルコースリン酸イソメラ一ゼなどをが挙げられる。 これらの酵素の中では、 C S、 P E P Cおよび G D Hのいずれか 1種以上が好ましく、 3種全ての増強がより好ましい。 また CS に関しては本発明のメチルクェン酸シン夕一ゼ (以下 PRPC) を代替しても、 また CS と PRPCと同時に増強してもよい。
例えば、 以下のようにして、 L一グルタミン酸生合成系の酵素をコードする遺伝子を宿 主に導入することによって、 L—グルタミン酸生産能を付与することができる。すなわち、 L一グルタミン酸生合成系遺伝子をコ一ドする遺伝子断片を、 L―グルタミン酸の製造に 用いる宿主微生物で機能するベクター、 好ましくはマルチコピー型べクタ一と連結して組 み換え D NAを作製し、 これで宿主を形質転換する。 形質転換により宿主細胞内の Lーグ ル夕ミン酸系酵素コードする遺伝子のコピー数が上昇し発現量が増強する結果、 これらの 酵素の活性が増強される。
L一グルタミン酸生合成系酵素をコードする遺伝子としては、 宿主微生物中で発現する ことができる遺伝子であれば、 特に限定されないが、 例えば、 ェシエリヒア,コリ由来の 遺伝子、 パントエア属由来の遺伝子が挙げられる。 ェシエリヒア 'コリに関しては、 全ゲ ノム配列が明らかにされているので (Sci ence 277 (5331) , 1453-1474 (1997) )、 これらの 遺伝子の塩基配列に基づいてプライマーを合成し、 ェシエリヒア ·コリ K- 12等の微生物の 染色体 D N Aを鎵型とする P C R法により、 これらの遺伝子を取得することが可能である。 遺伝子のクロ一ニングに使用されるプラスミドとしては、 腸内細菌科において自律複製 可能なものであればよく、 具体的には、 pBR322、 PTWV228 (宝バイオ社)、 MW119 (二ッポ ンジーン社)、 pUC 19、 pSTV29 (宝バイオ社製), RSF 1010 (Gene vol. 75 (2) , p271-288, 1989) , 等が挙げられる。 他にもファージ D NAのベクターも利用できる。
目的遺伝子を上記べクタ一に連結して組み換え D N Aを調製するには、 目的遺伝子を含 む D NA断片の末端に合うような制限酵素でベクターを切断する。 連結は、 T 4 D NAリガーゼ等のリガーゼを用いて行うのが普通である。 目的遺伝子は、 それぞれ別個の ベクターに搭載してもよく、 同一のベクターに搭載してもよい。 D NAの切断、 連結、 そ の他、 染色体 DNAの調製、 P C R、 プラスミド D NAの調製、 形質転換、 プライマーと して用いるオリゴヌクレオチドの設定等の方法は、 当業者によく知られている通常の方法 を採用することができる。 これらの方法は、 Sambrook, L , Fri tsch, E. F. , and Mani at is, T. , "Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edi t ion", Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989)等に記載されている。 上記のようにして調製した組換え D NA を微生物に導入するには、 十分な形質転換効率が得られる方法ならば、 いかなる方法を用 いてもよいが、 例えば、 エレクト口ポレーシヨン法 (Canadian Journal of Microbiology, 43. 197 (1997) ) が挙げられる。 また、 L—グルタミン酸生合成系酵素をコードする遺伝子の発現増強は、 目的遺伝子を 微生物の染色体 D N A上に多コピー導入することによつても達成できる。 微生物の染色体 D N A上に目的遺伝子を多コピーで導入するには、 染色体 D N A上に多コピー存在する配 列を標的に利用して相同組換えにより行う。 このような相同組換えを利用した遺伝子置換 による部位特異的変異導入は既に確立しており、 直鎖上 D NAを用いる方法や温度感受性 複製起点を含むプラスミドを用いる方法などがある (米国特許第 6303383号、 又は特開平 05- 007491号公報)。 染色体 D NA上に多コピー存在する配列としては、 レペティティブ D NA、 転移因子の端部に存在するインバ一ティッド · リピー卜が利用できる。 あるいは、 特開平 2-109985号公報に開示されているように、 目的遺伝子をトランスポゾンに搭載して これを転移させて染色体 D N A上に多コピー導入することも可能である。 いずれの方法に よつても形質転換株内の目的遺伝子のコピー数が上昇する結果、 L一ダル夕ミン酸生合成 系の酵素活性が増強される。
L—グルタミン酸生合成系酵素の活性増強は、 上記の遺伝子増幅による以外に、 目的遺 伝子のプロモーター等の発現調節配列を強力なものに置換することによつても達成される (特開平 1-215280 号公報参照)。 たとえば、 1 a cプロモーター、 t r pプロモーター、 t r cプロモータ一、 t a。プロモーター、 ラムダファージの P Rプロモーター、 P Lプ 口モータ—、 t e tプロモーター等が強力なプロモー夕一として知られている。 これらの プロモーターへの置換により、 目的遺伝子の発現が強化されることによって酵素活性が増 幅される。 プロモー夕一の強度の評価法および強力なプロモーターの例は、 G o 1 d s t e i nらの論文 (Prokaryot ic promoters in biotechnology. Biotechnol. A匪. Rev. , 1995, 1, 105-128) 等に記載されている。
また、 目的遺伝子の発現調節に関与する因子、 例えばオペレーターやリブレッサーを改 変する こ と に よ つ て も達成さ れる (Haffli l ton et al,; J Bacteriol. 1989 Sep ; 171 (9) : 4617- 22. )。 国際公開 WO 0 0 / 1 8 9 3 5に開示されているように、 目的 遺伝子のプロモータ一領域に数塩基の塩基置換を導入し、 より強力なものに改変すること も可能である。 さらに、 リポソ一ム結合部位 (R B S ) と開始コドンとの間のスぺーサ、 特に開始コドンのすぐ上流の配列における数個のヌクレオチドの置換が m R N Aの翻訳効 率に非常に影響を及ぼすことが知られており、 これらを改変することも可能である。 目的 遺伝子のプロモーター等の発現調節領域は、 プロモーター検索ベクターや GENETYX等の遺 伝子解析ソフトを用いて決定することが出来る。 発現調節配列の置換は、 例えば、 上述の 温度感受性プラスミドを用いた遺伝子置換と同様にして行うことができる。
以上のような方法により、 L一グルタミン酸生合成系酵素の活性を増強した微生物は、 欧州特許出願公開第 1078989号公報、 欧州特許 0952221号公報、 米国特許 6,682,912号公 報に記載された微生物が例示できる。
L -ダル夕ミン酸生産能を付与するための改変は、 L -ダル夕ミン酸の生合成経路から 分岐して他の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性を低下または欠損させることに より行ってもよい。 L _グルタミン酸の生合成経路から分岐して L—グルタミン酸以外の 化合物を生成する反応を触媒する酵素としては、 2—ォキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ ( α—ケトグルタル酸でヒドロゲナーゼ)、 イソクェン酸リア一ゼ、 リン酸ァセチルトラン スフエラーゼ、 酢酸キナーゼ、 ァセトヒドロキシ酸シンターゼ、 ァセト乳酸シン夕一ゼ、 ギ酸ァセチルトランスフェラーゼ、 乳酸デヒドロゲナーゼ、 グルタミン酸デカルポキシラ ーゼ、 1—ピロリンデヒドロゲナーゼなどが挙げられる。 この中では特に、 2—ォキソグ ルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を低下又は欠損させることが好ましい。
これらの酵素活性を低下あるいは欠損させる方法としては、 通常の変異処理法によって、 染色体上の上記酵素の遺伝子に、 細胞中の当該酵素の活性が低下または欠損するような変 異を導入すればよい。 例えば、 遺伝子組換えによって、 染色体上の酵素をコードする遺伝 子を欠損させたり、 プロモーターやシャインダルガルノ (SD) 配列等の発現調節配列を改 変したりすることなどによって達成される。 また、 染色体上の酵素をコードする領域にァ ミノ酸置換 (ミスセンス変異) を導入すること、 また終始コドンを導入すること (ナンセ ンス変異)、 一〜二塩基付加 ·欠失するフレームシフト変異を導入すること、 遺伝子の一部 分 を 欠失 さ せる こ と に よ つ て も達成 出来 る ( Journal of biological C emi stry272 : 8611-8617 (1997)。 また、 コード領域が欠失したような変異酵素をコードす る遺伝子を構築し、 相同組換えなどによって、 該遺伝子で染色体上の正常遺伝子を置換す ること、 トランスポゾン、 IS 因子を該遺伝子に導入することによつても酵素活性を低下ま たは欠損させることができる。
細胞中の目的酵素の活性が低下または欠損していること、 および活性の低下の程度は、 候補株の菌体抽出液または精製画分の酵素活性を測定し、 野生株と比較することによって 確認することができる。 例えば、 2—ォキソダルタル酸デヒドロゲナーゼ活性は、 Reed ら の方法 (L J. Reed and B. B. Mukherj ee, Methods in Enzymology 1969, 13, p. 55-61) に従 つて測定することができる。
腸内細菌科に属する微生物の 2—ォキソダルタル酸デヒド口ゲナ一ゼ活性を欠損もしく は低下させる方法は、 特開 2000- 106869、 2000-189169に記載されている。 2—ォキソダル タル酸デヒドロゲナーゼ活性が欠損もしくは低下した腸内細菌科に属する微生物としては、 具体的には
パン卜エア ·アナナティス AJ13601 (FERM BP-7207)
クレブシエラ ·プランティコーラ AJ 13410株 (FERM BP-6617)
パントエア ·アナナティス AJ13355 (FERM BP- 6614)
等が挙げられる。
L—アルギニン生産菌としては、 α—メチルメチォニン、 ρ—フルオロフェニルァラニ ン、 D—アルギニン、 アルギニンヒドロキサム酸、 S— ( 2—アミノエチル) 一システィ ン、 α—メチルセリン、 )3— 2—チェ二ルァラニン、 又はスルファグァニジンに耐性を有 するェシェリヒア ·コリ変異株(特開昭 5 6— 1 0 6 5 9 8号公報参照)等が挙げられる。 また、 L—アルギニンによるフィードバック阻害に耐性な変異を有し、 つ、 高い活性を 有する N—ァセチルグルタミン酸シンターゼ及び同酵素を保持する L—アルギニン生産菌 である、 ェシエリヒア .コリ 2 3 7株 (ロシア特許出願第 2 0 0 0 1 1 7 6 7 7号) も、 好適な L—アルギニン生産株である。 同株は、 2000年 4月 10日にロシアン 'ナショナル' コレクション .ォブ ·ィンダストリアル ·マイクロオーガニズム (Russ ian Nat ional Col l ect ion of Indus t rial Microorganisms (VKPM) , GNU Genet ika ) に誦 B-7925 © 番号で寄託され、 2001年 5月 18 日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された。 237 株の誘導体で、 酢酸資化能を向上させた L一アルギニン生産菌である、 ェシエリヒア ·コ リ 3 8 2株 (特開 2002-017342 号公報) を用いることもできる。 ェシエリヒア 'コリ 3 8 2株は、 2000年 4月 10日に Russ ian Nat ional Col l ect ion of Industri al Microorganisms (VKPM) に VKPM B - 7926の番号で寄託されている。
また L—アルギニン生産能を有する微生物として、 L一アルギニン生合成に関与する酵 素をコードする遺伝子の発現量を向上させた微生物を用いることが出来る。 例えば、 L一 アルギニン生合成系酵素しては、 N—ァセチルグルタミン酸シン夕ーゼ (argA)、 N—ァセ チルダル夕ミルリン酸レダクターゼ (argC;)、 オル二チンァセチルトランスフェラ一ゼ
(argJ)、 N-ァセチルグルタミン酸キナーゼ (argB)、 ァセチルオル二チントランスァミナ ーゼ (argD)、 ァセチルオル二チンデァセチラーゼ (argE) オル二チン力ルバモイルトラン スフエラ一ゼ (argF)、 アルギニノコハク酸シン夕ーゼ (argG)、 アルギニノコハク酸リア —ゼ (argH) 力ルバモイルリン酸シンターゼ (carAB) から選ばれる 1種又は 2種以上が挙 げられる。 これらの酵素名の後のカツコ内は、 各酵素をコードする遺伝子名である。 N -ァ セチルグルタミン酸シン夕ーゼ (argA) は、 野生型の 1 5位〜 1 9位に相当するアミノ酸 配列が置換された L一アルギニンによるフィードバック阻害が解除された変異型の遺伝子 を用いるとより好適である。 (欧州出願公開 1170361号明細書)
Lーシトルリン、 L一オルニチンも L一アルギニンと生合成経路が共通しており、 N—ァセチルグルタミン酸シン夕一ゼ (argA)、 N—ァセチルダルタミルリン酸レダク夕一 ゼ (argC)、 オル二チンァセチルトランスフェラーゼ (argJ)、 N-ァセチルグルタミン酸キ ナーゼ (argB)、 ァセチルオルニチントランスアミナ一ゼ (argD)、 ァセチルオル二チンデ ァセチラーゼ (argE) の酵素活性を上昇させていることが好ましい。
本発明の L—プロリン生産菌として好ましいものは、 3, 4-デヒドロキシプロリン、 ァザ チジン一 2—カルポキシレート耐性株であるェシエリヒア ·コリ 702株(VKPMB- 8011)や、 702の i lvA欠損株である 702i lvA株 (VKPMB- 8012株) や、 b2862および b2683、 又は 2 もしくは b3434遺伝子にコードされるタンパク質の活性を増強した E. col iが挙げられる。
(特開 2002— 300874号公報)。 .
本発明の L—グルタミン生産菌として好ましいものは、 グルタミンシンセタ一ゼ (glnA) を強化した細菌、 グルタミナ一ゼを破壊した腸内細菌科に属する微生物である。 (欧州特許 出願公開 1424398号明細書) また、 ェシエリヒア属に属し、 グルタミンシンセターゼの 397 番目のチロシン残基が他のアミノ酸残基に置換された変異型グルタミンシンセターゼを有 する菌株も好適な L一グルタミン生産菌として例示できる。 (米国特許出願公開第 2003- 0148474号明細書)
また、 L—アルギニン、 L—オル二チン、 Lーシトルリン、 L—プロリン、 L一グルタ ミンは全て L一ダル夕ミン酸を中間体とする生合成経路を経て生成するアミノ酸である。 従って、 上述の L—グルタミン酸生産菌の育種方法は、 L—アルギニン、 L—オル二チン、 L—シトルリン、 L—プロリン、 L—グルタミン生産菌の育種にも適用できる。
本発明の微生物は、 L-アミノ酸生産能を有し、 かつ、 prpC遺伝子の発現が増加されるよ うに改変された腸内細菌科に属する微生物である。ここで、「prpC遺伝子の発現が増強した」 ことは、 野生株又は prpC非改変株と比較して、 親株、 あるいは野生株に対して細胞当たり の PrpC産物分子の数が増加した場合や Pn)C産物分子当たりの活性が上昇した場合が該当 する。 また、 比較対象となる野生型の腸内細菌科に属する微生物とは、 例えばェシエリヒ ァ 'コリ MG1655 や、 パントエア ·アナナティス A J 1 3 3 5 5が該当する。 また、 「prpC 遺伝子の発現が増強した」 とは、 親株が本来 prpC遺伝子を有しておりさらに prpC遺伝子 の発現量を増強するように改変したた微生物だけでなく、 親株が本来 prpC遺伝子を有して いないが prpC遺伝子の導入により、 メチルクェン酸シン夕ーゼ活性が付与された微生物も 含む。
ここで prpC遺伝子の発現量が上昇したことの確認は、 prpCの m-RNAの量を野生型、 ある いは非改変株と比較することによって確認出来る。 発現量の確認方法としては、 ノーザン ハイブリダィゼーシヨン、 RT- PCRが挙げられる (Molecular cloning (Cold spring Harbor Laboratory Press, Cold spring Harbor (USA) , 2り 01) )。 発現量については、 野生株あるいは 非改変株と比較して、 上昇していればいずれでもよいが、 例えば野生株、 非改変株と比べ て 1 . 5倍以上、 より好ましくは 2倍以上、 さらに好ましくは 3倍以上上昇していること が望ましい。
本発明の prpC遺伝子がコードするタンパク質とは、 メチルクェン酸シン夕一ゼであり、 prpC遺伝子の発現量が向上することにより、 メチルクェン酸シン夕ーゼが上昇する。 メチ ルクェン酸シン夕一ゼ活性は、 プロピニル CoAと水とォキサ口酢酸から 2—メチルクェン 酸と CoAを生成する反応を触媒する活性であり [EC 2. 3. 3. 5 ] , メチルクェン酸シンターゼ 活性は Horswi l l らの方法 (J Bacteriol. 1999 Sep; 181 (18) : 5615- 23. ) の方法で測定でき る。
また、 本発明の prpC遺伝子がコードするタンパク質は、 メチルクェン酸シンターゼとと もにクェン酸シン夕ーゼの活性を有していてもよい。 クェン酸シン夕ーゼ活性とは、 ァセ チル CoA と水とォキサ口酢酸からクェン酸と CoA を生成する反応を触媒する活性 [EC : 2. 3. 3· 1]であり、 クェン酸シンターゼ活性は、 2—ォキソダルタル酸、 NADH によって 阻害を受けないことが好ましい。クェン酸シンターゼ活性は、 Biochem. , Vol. 8, No. 11, 4497 に記載の方法で測定出来る。 ここで、 2—ォキソダルタル酸、 NADH によって阻害を受けないとは、 培地中或いは細胞 内に存在する 2—ォキソダルタル酸、 NADHによって、 prpC遺伝子がコードするクェン酸シ ンターゼ活性が低下しないことを意味し、 上記記載の方法で 2—ォキソダルタル酸、 NADH 存在下で活性を測定した際に、 2mM の 2—ォキソダルタル酸添加下で活性が 95%以上、 望 ましくは 98%以上、 さらに望ましくは 99%以上、 0. 2mMの NADH添加下で活性が 70 %以上、 望ましくは 80 %以上、 さらに望ましくは 90 %以上残存していることを意味する。
本発明の腸内細菌科に属する微生物は、 上述したような L一アミノ酸生産能を有する腸 内細菌科に属する微生物を P卬 C遺伝子の発現が増強するように改変することによつて得る ことができる。 ただし、 先に prpC遺伝子の発現が増強するように改変を行った後に、 L— アミノ酸生産能を付与してもよい。 ここで親株の微生物は、 2—ォキソダルタル酸、 NADH によって阻害を受けるクェン酸シン夕ーゼ活性を有していることが好ましい。 例えば、 親 株がェシエリヒア ·コリの場合、 親株の有するクェン酸シンターゼをコードする遺伝子は NPJ15248. Report s c i trate syn thase . . . [gi: 16128695]で登録されている gl tA遺伝子 である。
本発明による「prpC遺伝子」とは、ェシエリヒア'コリの prpC遺伝子 (配列番号 5 Genebank access ion No. AAC73436) , 及びそのホモログであり、 コードするタンパクがメチルクェン 酸シンターゼ活性を有するものをいい、 yzzD, yahS と名づけられている場合もある。 ェシ エリヒア ·コリの prpC遺伝子としては、 配列番号 6に示すアミノ酸配列を有するタンパク 質をコードする遺伝子を例示することができる。 さらに、 prpC 遺伝子は、 上記で例示され た遺伝子との相同性に基づいて、 パントエア属、 ェンテロバク夕ー属、 クレブシエラ属、 セラチア属、 エルピニァ属、 エルシニア属等の腸内細菌科に属する微生物からクロ一ニン グされるものであってもよい。 本発明に用いることが出来る prpC遺伝子は、 既に配列が明 らかにされている腸内細菌科に属する微生物の塩基配列に基づいて作製したプライマー、 例えば配列番号 1及び に示すプライマーを用いて、 腸内細菌科に属する微生物の染色体 DNAを鍩型とする PCR法 (PC : po lymerase chain reac t ion; Whi te, T. J. et al. , Trends Genet. 5, 185 (1989)参照) によって、 prpCと prpCの制御領域を含む、 その隣接領域を取 得することができる。 他の微生物の prpCのホモログも、 同様にして取得され得る。
prpC遺伝子ホモログとは、 他の微生物由来で、 ェシエリヒア 'コリの prpC遺伝子と高い 類似性を示し、かつメチルクェン酸シン夕一ゼを持つ遺伝子をいう。他の微生物由来の prpC 遺伝子は、 配列番号 6のアミノ酸配列全体の 8 0 %以上、 好ましくは 9 0 %以上、 より好 ましくは 9 5 %以上、 特に好ましくは 9 7 %以上の相同性を有し、 かつ、 クェン酸シン夕 ーゼ活性を有するタンパク質をコードするものを意味する。
prpC 遺伝子は、 コードされるタンパク質の活性、 すなわち、 メチルクェン酸シン夕一ゼ 活性が損なわれない限り、 配列番号 6のアミノ酸配列において、 1若しくは数個の位置で 1若しくは数個のアミノ酸が置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を有する夕 ンパク質をコードするものであってもよい。 ここで、 数個とは、 アミノ酸残基のタンパク 質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、 好ましくは 2〜2 0個、 より好ま しくは 2〜1 0個特に好ましくは 2〜5個である。 また、 このようなアミノ酸の置換、 欠 失、 挿入、 付加、 または逆位等には、 rpC遺伝子を保持する微生物の個体差、 種の違いに 基づく場合などの天然に生じる変異 (mutant 又は variant) によって生じるものも含まれ る。
上記置換は機能的に変化しない中性変異である保存的置換が好ましい。 保 存的変異とは、 置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、 plie, t rp, tyr 間 で、 置換部位が疎水性アミノ酸である場合には、 l eu, i l e, va l 間で、 極性ァ ミノ酸である場合には、 gi n, asn間で、 塩基性アミノ酸である場合には、 I ys, arg, h i s間で、 酸性アミノ酸である場合には、 asp, gl u間で、 ヒ ドロキシル基 を持つアミノ酸である場合には、 se r, thr間でお互いに置換する変異である。 より具体的には、 保存的置換としては、 alaから ser又は thrへの置換、 argから gln、 his又は lysへの置換、 asnから glu、 gin, lys、 hi s又は aspへの置換、 aspから asn、 gl u又は ginへの置換、 cysから ser又は alaへの置換、 ginから asn、 glu, lys、 his、 asp 又は argへの置換、 gluから gly、 asn, gln、 lys又は aspへの置換、 glyから proへの置 換、 hisから asn、 lys、 gin, arg又は tyrへの置換、 i leから leu、 met, val又は pheへ の置換、 leuから i le、 met, val又は pheへの置換、 lysから asn、 glu> gin, his又は ar gへの置換、 metから i le、 leu、 val又は pheへの置換、 pheから trp、 tyr, met, i le又は leuへの置換、 serから thr又は alaへの置換、 thrから ser又は alaへの置換、 trpから p he又は tyrへの置換, tyrから his、 phe又は trpへの置換、 及び、 valから met、 i le又は leuへの置換が挙げられる。
さらに、 prpC遺伝子は、 配列番号 6のアミノ酸配列全体に対して、 8 0 %以上、 好まし くは 9 0 %以上、 より好ましくは 9 5 %以上、 特に好ましくは 9 7 %以上の相同性を有す るタンパク質をコードし、 かつ、 クェン酸シンターゼ及び/またはメチルクェン酸シン夕一 ゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を利用することができる。 また、 それぞれ 導入する宿主により、 遺伝子の縮重性が異なるので、 それぞれ prpC遺伝子が導入される宿 主で使用しやすいコドンに置換したものでもよい。 同様に prpC遺伝子は、 増幅することに より L一アミノ酸の生産を向上させることができる限り、 N末端側、 C末端側が延長したも のあるいは削られているものでもよい。 例えば延長 '削除する長さは、 アミノ酸残基で 50 以下、 好ましくは 20以下、 より好ましくは 10以下、 特に好ましくは 5以下である。 より 具体的には、 配列番号 6のアミノ酸配列の N末端側 50アミノ酸から 5アミノ酸、 C末端側 50アミノ酸から 5アミノ酸延長 ·削除したでもよい。
prpC遺伝子は、 さらに、 配列番号 5の塩基番号からなる塩基配列を有する DNAまたはこ れらの塩基配列を有する DNA から調製され得るプローブと、 ストリンジェン卜な条件下で ハイブリダィズし、 力、つクェン酸シンタ一ゼ活性を有するタンパク質をコードする DNAで あってもよい。 ここでいう 「ストリンジェントな条件」 とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、 非特異的なハイプリッドが形成されない条件をいう。 この条件を明確に数値化することは 困難であるが、 一例を示せば、 相同性が高い DNA 同士、 例えば 7 0 %以上、 好ましくは 8 0 %以上、 より好ましく 9 0 %以上、 特に好ましくは 9 5 %以上の相同性を有する DM 同 士がハイブリダィズし、 それより相同性が低い DNA 同士がハイブリダィズしない条件、 あ るいは、通常のサザンハイプリダイゼ一シヨンの洗いの条件である 60 :、l xSSC, 0. 1¾SDS, 好ましくは 0. 1 XSSC, 0. 1%SDSに相当する塩濃度でハイプリダイズする条件が挙げられる。 プローブは、 prpC遺伝子の一部の配列を有するものであってもよい。 そのようなプロ一 ブは、 当業者によく知られた方法により、 各遺伝子の塩基配列に基づいて作製したオリゴ ヌクレオチドをプライマ一とし、 各遺伝子を含む DNA断片を鎵型とする PCR反応により作 製することができる。 なお、 プローブに 300bp程度の長さの DNA断片を用いる場合には、 上記の条件でハイブリダィズさせた後の洗いの条件としては、 50:、 2 X SSC, 0. SDSで 1 回または 2〜 3回洗浄する条件が挙げられる。
このような prpC遺伝子と相同な遺伝子は、 例えば、 部位特異的変異法によって、 コード されるタンパク質の特定の部位のアミノ酸残基が置換、 欠失、 挿入または付加を含むよう に配列番号 5の塩基配列を改変することによって取得することができる。 また、 以下のよ うな従来知られている変異処理によっても取得され得る。 変異処理としては、 配列番号 5 に示す塩基配列をヒドロキシルアミン等でインビト口処理する方法、 および該遺伝子を保 持する微生物、 例えばコリネ型細菌を、 紫外線または N-メチル -ニトロ- N-ニトロソグ ァニジン (NTG)もしくはェチルメタンスルフォネート (EMS) 等の通常変異処理に用いられ ている変異剤によって処理する方法、 エラーブローン PCR 、 DNA shuf f l ing, S P— PCRに よって、 遺伝子組換えにより人工的に prpCに変異を導入して活性の高い fasR遺伝子を取 得することが出来る。 (Firth AE, Patrick丽; Bioinformat ics. 2005 Jun 2 ; Stat ist ics of protein l ibrary construct ion. ) これらの prpC の相同遺伝子がメチルクェン酸シンター ゼをコードしているか否かは、 例えば、 これらの遺伝子を L—アミノ酸生産能を有する腸 内細菌科に属する微生物に導入し、 L一アミノ酸の生産能が向上するかどうか、 また上述 の方法でメチルクェン酸シン夕一ゼ活性を測定することにより、 確かめることができる。 次に、 prpC遺伝子の発現が増強するように腸内細菌科に属する微生物を改変する方法に ついて説明する。 1つ目の方法は、 prpC遺伝子を適当なベクター上にクローニングし、 得 られたベクターを用いて腸内細菌科に属する微生物を形質転換することにより、 該遺伝子 のコピ一数を高める方法である。 例えば、 ェシェリヒア ·コリの塩基配列は既に明らかで あることから (GENBANK AAC73436 NP_414867. Reports methylci trate
syn. . . [gi : 161283181 ) 、 それぞれの塩基配列に基づいてプライマーを合成し、 染色体 D N Aを铸型にして P C R法により取得することが可能である。
形質転換に用いるベクタ一は、 腸内細菌科に属する微生物に属する微生物の中で自律複 製可能なプラスミドを用いることが出来、 pUC19、 pUC18、 PB 322, SF1010 HSG299, pHSG298、 PHSG399, pHSG398、 pS而、 STV29 (pHSG、 pSTVは夕カラバイオ社より入手可)、 pMW1 19、 pMW1 18、 p蕭 219、 p匿 218 (pMWは二ツボンジーン社より入手可) 等が挙げられる。 なお、 プ ラスミドの代わりにファージ D N Aやトランスポゾン DNAをべクタ一として用いてもよい。 形質転換法としては、 例えば、 ェシエリヒア 'コリ K— 1 2について報告されている ような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理して D N Aの透過性を増す方法(Mandel, M. and Higa, A. , J. Mol. Biol. , 53, 159 (1970) )、 バチルス ·ズプチリスについて報告されてい るような増殖段階の細胞からコンビテントセルを調製して D N Aを導入する方法
( Duncan, C. H. , Wi l son, G. A. and Young, F. E. , Gene, 1, 153 (1977) ) などが挙げられる。 あるいは、 バチルス *ズプチリス、 放線菌類及び酵母について知られているような、 D N A受容菌の細胞を、 組換え D NAを容易に取り込むプロトプラストまたはスフエロプラス 卜の状態にして組換え D NAを D NA受容菌に導入する方法 ( Chang, S. and
Choen, S. N. , Molec. Gen. Genet. , 168, 111 (1979); B ibb, M. J. , Ward, J. M. and
Hopwood, 0. A. . Nature, 274, 398 (1978); Hinnen, A. , Hicks, J. B. and Fink, G. . , Proc. Nat l. Acad. Sci. USA, 75 1929 (1978) ) も応用できる。 また、 電気パルス法 (特開平 2-207791 号公報) によっても、 微生物の形質転換を行うこともできる。
遺伝子のコピ一数を高めることは、 目的遺伝子を微生物の染色体 MA上に多コピー導入 することによつても達成できる。 微生物の染色体 DNA上に遺伝子を多コピ一で導入するに は、染色体 DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して、相同組換え法(Experimentsin Mol ecular Genet ics, Cold Spring Harbor Lab. (1972) ) により行うことができる。 染色 体 DNA上に多コピー存在する配列としては、 レペティティブ DNA、 転移因子の端部に存在す るィンバーテツド · リピー卜が利用できる。 あるいは、 特開平 2-109985号公報に開示され ているように、 目的遺伝子をトランスポゾンに搭載してこれを転移させて染色体 DNA上に 多コピ一導入することも可能である。 さらに、 Muファージを用いる方法 (特開平 2-109985 号) で宿主染色体に目的遺伝子を組み込むこともできる。
2つ目の方法は、 染色体 DNA上またはプラスミド上において、 目的遺伝子のプロモータ 一等の発現調節配列を強力なものに置換することによって目的遺伝子の発現を増強させる 方法である。 例えば、 lacプロモーター、 trpプロモーター、 trcプロモー夕一、 tacプロ モーター等が強力なプロモーターとして知られている。 また、 国際公開 W000/18935に開示 されているように、 遺伝子のプロモー夕一領域に数塩基の塩基置換を導入し、 より強力な ものに改変することも可能である。 発現調節配列の置換は、 例えば、 温度感受性プラスミ ドを用いた遺伝子置換と同様にして行うことができる。 本発明の腸内細菌科に属する微生 物に用いることが出来る、 温度感受性複製起点を有するベクターとしては、 例えば!) 99/03988号国際公開パンフレットに記載のプラスミド PMAN997等が挙げられる。 また、 λ ファージのレッド · リコンビナーゼ (Red recombinase) を利用した方法 (Datsenko, K. A. , PNAS (2000) 97 (12) , 6640-6645) によっても、 発現調節配列の置換を行うことができる。 なお、 発現調節配列の改変は、 上述したような遺伝子のコピー数を高める方法と組み合わ せてもよい。
本発明の腸内細菌科に属する微生物は、 酸性条件下で培養したときに液体培地中に L一 グルタミン酸の飽和濃度を越える量の L—グルタミン酸を蓄積する能力 (以下、 酸性条件 下での L一グルタミン酸蓄積能ということがある) を有する微生物であってもよい。 この ような微生物は、 prpC遺伝子の発現が増強することによって、 酸性条件下での L一ダル夕 ミン酸蓄積能を有するようになったものであってもよいし、 本来的に酸性条件下での — グルタミン酸蓄積能を有するものであってもよい。
本来的に酸性条件下での L一グルタミン酸蓄積能を有する微生物として具体的には、 パ ントエア.アナナティス ΑΠ3355株(FERM BP— 66 14)、 AJ13356株(FERM B P— 66 15)、 及び AJ13601 株 (FERM BP- 7207) (以上、 特開 200 1— 333769号 公報参照)、 クレブシエラ -プランティコーラ AJ13399株 (FERM BP- 6616) などが挙げられ る。 パントエア ·アナナティス A J 1 3355は、 平成 1 0年 2月 1 9日に、 通産省工業 技術院生命工学工業技術研究所 (現名称、 産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所) に、 受託番号 FERM P-16644として寄託され、 平成 1 1年 1月 1 1日にプダぺ スト条約に基づく国際寄託に移管され、 受託番号 FERM BP— 66 14が付与されて いる。 尚、 同株は、 分離された当時はェンテロバクタ一 'アグロメランス (Enterobacter agglomerans) と同定され、 ェンテロパクター 'アグロメランス A J 13355として寄託 されたが、 近年 1 6 S r RN Aの塩基配列解析などにより、 パントエア ·アナナティス (Pantoea ananatis) に再分類されている (後記実施例参照)。 また、 A J 13355から 誘導された菌株 A J 13356、 及び A J 1 3601も、 同様にェンテロパクター 'ァグ ロメランスとして前記寄託機関に寄託されているが、 本明細書ではパントエア ·アナナテ イスと記述する。 AJ13601は、 1999年 8月 18日に経済産業省工業技術院生命工学工業 技術研究所 (郵便番号 305 - 8566 茨城県つくば市東 1丁目 1番 3号) に受託番号 FE MP17156 として寄託され、 2000年 7月 6日にブタペスト条約に基づく国際寄託に移 管され、 受託番号 FERM BP-7207が付与されている。 く 2 >本発明の Lーァミノ酸の製造方法
L -アミノ酸生産能を有し、 かつ、 prpC遺伝子の発現が増加されるように改変された腸内 細菌科に属する微生物を培地で培養して、 L一アミノ酸を該培地中に生成蓄積させ、 該培 地から L—アミノ酸を採取する L一アミノ酸の製造法である。 従って、 く 1>に記載した 本発明の微生物を培地に培養し、 培地中に L一アミノ酸を生成蓄積せしめ、 L一アミノ酸 を該培地から採取することにより、 Lーァミノ酸を製造することが出来る。
培養に用いる培地は、 炭素源、 窒素源、 無機塩類、 その他必要に応じてアミノ酸、 ビタ ミン等の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いることができる。 合成培地または天 然培地のいずれも使用可能である。 培地に使用される炭素源および窒素源は培養する菌株 が利用可能であるものならばいずれの種類を用いてもよい。 炭素源としては、 グルコース、 グリセロール、 フラク 1 ^一ス、 スクロース、 マル] ^一ス、 マンノース、 ガラク卜ース、 澱粉加水分解物、 糖蜜等の糖類が使用でき、 その他、 酢酸、 クェン酸等の有機酸、 エタノール等のアルコール類も単独あるいは他の炭素源と併用して 用いることができる。 窒素源としては、 アンモニア、 硫酸アンモニゥム、 炭酸アンモニゥ ム、 塩化アンモニゥム、 リン酸アンモニゥム、 酢酸アンモニゥム等のアンモニゥム塩また は硝酸塩等が使用することができる。 有機微量栄養素としては、 アミノ酸、 ビタミン、 脂 肪酸、 核酸、 更にこれらのものを含有するペプトン、 カザミノ酸、 酵母エキス、 大豆たん 白分解物等が使用でき、 生育にアミノ酸などを要求する栄養要求性変異株を使用する場合 には要求される栄養素を捕添することが好ましい。 無機塩類としてはりん酸塩、 マグネシ ゥム塩、 カルシウム塩、 鉄塩、 マンガン塩等が使用できる。
培養は、 好ましくは、 発酵温度 2 0〜4 5 °C> p Hを 3〜9に制御し、 通気培養を行う。 培養中に p Hが下がる場合には、 例えば、 炭酸カルシウムを加えるか、 アンモニアガス等 のアル力リで中和する。 このような条件下で、 好ましくは 1 0時間〜 1 2 0時間程度培養 することにより、 培養液中に著量の L―グルタミン酸が蓄積される。
また、 L—グルタミン酸が析出するような条件に調整された液体培地を用いて、 培地中 に 一グル夕ミン酸を析出させながら培養を行うことも出来る。 L—グルタミン酸が析出 する条件としては、 例えば、 p H 5 . 0〜4. 0、 好ましくは p H 4 . 5〜4 . 0、 さら に好ましくは p H 4. 3〜4 . 0、 特に好ましくは p H 4 . 0を挙げることができる。 培養終了後の培養液から L一グルタミン酸を採取する方法は、 公知の回収方法に従って 行えばよい。 例えば、 培養液から菌体を除去した後に濃縮晶析する方法あるいはイオン交 換クロマトグラフィ一等によつて採取される。 L -ダル夕ミン酸が析出するような条件下 で培養した場合、 培養液中に析出した L—グルタミン酸は、 遠心分離又は濾過等により採 取することができる。 この場合、培地中に溶解している L—グルタミン酸を晶析した後に、 併せて単離してもよい。
[実施例]
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明は以下の実施例に限定 されるものではない。
実施例 1 prpC遺伝子のパントエア属細菌への導入効果
< 1 - 1 >prpC (メチルクェン酸シンターゼをコードする遺伝子)、 gl tA (クェン酸シン ターゼをコードする遺伝子) のクローニング
prpC 遺伝子は PCRにより増幅、 クローン化を行った。 PCRプライマーの設計は GenBank access ion No. AAC73436に記載の塩基配列に従った。 プライマーとしては配列番号 1に示す ォリゴヌクレオチド GLTEZS0と配列番号 2に示す GLTEEZA1、铸型 DNAとしては E. col i W31 10 株 (国立遺伝研究所より分譲) の染色体 DNAを用い、 夕カラバイオ製の LA- TaQポリメラー ゼを用いてその標準条件にて DNA断片の増幅を行つた。
増幅した DNA断片を Promega社製のプラスミドベクター pGEM- Teasyに連結し、 prpC遺伝 子を搭載したプラスミド pGEMprpCを作成した。 さらに、 プラスミド pGEMprpC を制限酵素 Smalと HindlEにて処理し、 夕カラバイオ社製の pSTV28の同サイ卜に挿入することで、 prpC 遺伝子増幅プラスミド pSTVprpCを作成した。
—方、 比較対象として野生型のクェン酸シンターゼをコードする gl tA断片のクローニン グを同時に行った。 ェシエリヒアの野生型の gl tA遺伝子は、 2—ォキソダルタル酸、 NADH によって阻害を受けるクェン酸シン夕一ゼをコードしている。
PCRプライマーとしてオリゴヌクレオチド GLTES2 (配列番号 3 ) と GLTEA2 (配列番号 4 ) を用い、 铸型 DNAとしては E. col i W3110株のクロモゾーム DNAを用い、 夕カラバイオ社製 の LA - TaQポリメラ一ゼを用いてその標準条件にて DNA断片の増幅を行った。 増幅した DNA 断片を Promega社製のプラスミドベクター pGEM- Teasyに連結し、野生型 gl tA遺伝子を搭載 したプラスミド pGEMgl tAWを作成した。 さらに、 プラスミド pGEMgl tAWを制限酵素 Smalと HindlEにて処理し、 夕カラバイオ社製の pSTV28 の同サイトに挿入することで、 pSTVgl tAW を作成した。
< 1 - 2 > prpC増幅プラスミド、 gl tA増幅プラスミドのパントエア属 L -グルタミン酸生 産菌への導入
パントエア ·アナナティス AJ13601株を親株として、 prpC遺伝子の導入効果を検証する 菌株の構築を行った。 なお、 パントエア ·アナナティス ΑΠ3601 株は経済産業省工業技術 院生命工学工業技術研究所 (郵便番号 3 0 5— 8 5 6 6 茨城県つくば巿東 1丁目 1番 3 号) に受託番号 FEEM P- 17516として 1999年 8月 18日に寄託され、 2 0 0.0年 7月 6日に ブ夕ぺスト条約に基づく国際寄託に移管され、 受託番号 FERM BP- 7207が付与されている 。 パントエア · 'アナナティス AJ 13601 株にはコリネ型細菌由来のクェン酸シンターゼの遺 伝子を搭載したプラスミド pSTVCBと、 ェシェリヒア ·コリ由来のグルタミン酸デヒドロゲ ナーゼ、 ホスホェノールピルビン酸デヒドロゲナ一ゼ、 クェン酸シン夕一ゼを搭載したプ ラスミド RSFCPGが既に導入されている (特開 2001-333769)。 そこで、 pSTVCBを脱落した 菌株の取得を行った。 具体的には、 pSTVCB にはクロラムフエ二コール耐性遺伝子が搭載さ れているため、 クロラムフエ二コール耐性の消失を指標に目的株を取得し、 STVCB が脱落 したパントエア ·アナナティス G106S株と命名した。
続いて G106S株をプラスミド pSTVprpC もしくは pSTVgl tAW もしくはベクタ一である PSTV28 にてエレクトロボレ一シヨン法にて形質転換を行い、 それぞれパントエア ·ァナナ テイス G106S/ pSTVprpC株、 パントエア ·アナナティス pSTVgl tAW株、 パントエア .アナ ナティス G106S/ PSTV28株を取得した。
く 1一 3 > prpC遺伝子増幅の L -ダル夕ミン酸生産の効果
パントエア ·アナナティス G106S/ pSTVprpC 株、 パントエア .アナナティス pSTVgl tAW 株、 パントエア ·アナナティス G106S/ pSTV28株を下記に示す組成の培地 300mLを注入し た 1L溶のジャーフアーメンターに植菌し、 34で、 pH6. 0にて糖が枯渴するまで 12時間〜 14 時間培養を行つた。培養 Hの制御は培地にアンモニアガスを注入することによつて行つた。 その結果、 パントエア ·アナナティス G106S/ PSTV28株では 17. 5g/Lの L-グルタミン酸蓄 積が得られ、 パントエア ·アナナティス pSTVgl tAW株では 21. 3g/Lの L-グルタミン酸蓄積 であった。 一方、 パントエア ·アナナティス G106S/ pSTYprpC株では 24 5g/Lの L-グルタ ミン酸蓄積が得られ、 rpC遺伝子を導入することにより g】t A遺伝子を導入したときよりさ らに高い L-グルタミン酸生産量の向上が確認された。
〔培養培地組成〕
シュ一クロース 50g/L
MgS04 - 7H20 0. 4g/L
(NH4) 2S04 4. Og/L
K¾P04 2. Og/L
酵母エキス 4. Og/L
FeS04 - 7¾0 0. O lg/L
MnSO4 - 5H20 0. O l g/L
L—リジン塩酸塩 0. 4g/L
DL-メチォニン 0. 4g/L
ε—ジアミノピメリン酸 0. 4g/L
テ卜ラサイクリン塩酸塩 25mg/L
クロラムフエ二コール 25mg/L
続いて、 以上のようにして得られた培養液 60mLを加えることで下記に示す組成となるよ うに調整した培地 300mLを注入した 1L溶のジャーフアーメン夕一に植菌し、 34°C、 pH4. 5 にて 32時間培養を行った。 培養 pHの制御は培地にアンモニアガスを注入することによつ て行った。 また、 最初に加えたグルコースの枯渴に伴い 700g/Lのグルコース溶液を連続的 に添加した。
以上のようにして得られた培養液中の L -グルタミン酸生産量を表 1に示す。 なお、 パン トエア ·アナナティス G106S/pSTVprpC株を用いた培養ではグルタミン酸の結晶の析出が観 察されたため、 培養終了後に培養液にアンモニアガスを注入し pH6. 0 に調整することによ り結晶ダル夕ミン酸をすベて溶解して測定した。
〔培養培地組成〕
グルコース 5 Og/L
MgS04 - 7¾0 0. 4g/L
4) 2S04 5. Og/L
KH2P04 6. Og/L
酵母エキス 6. Og/L
FeSO, - 7H20 0. 02g/L MnS04-5¾0 0.02g/L
L一リジン塩酸塩 0.6g/L
DL-メチォニン 0.6g/L
ε—ジアミノピメリン酸 0.6g/L
CaCl2 0.75g/L
テトラサイクリン塩酸塩 25mg/L
クロラムフエ二コール 25mg/L
【表 1】
Figure imgf000019_0001
その結果、 パントエア ·アナナティス G106S/ PSTV28株では 24.8 g/Lの L-グルタミン酸蓄 積が得られ、 パントエア ·アナナティス pSTVgltAW株では 30, 8/Lの L -グルタミン酸蓄積で あった。 一方、 パントエア ·アナナティス G106S/ pSTVprpC株では 105.3/Lの L -ダルタミ ン酸蓄積が得られ、 prpC遺伝子を導入することにより大幅に L -グルタミン酸生産量が向上 した。
【オリゴヌクレオチド配列】
配列番号 名称 配列
配列番号 1 GLTEZS0 5 gagcgacacaacgatcctgcaaaa 3'
配列番号 2 GLTEZA1 5 aaaagcttcatgggctttgatcattgcggtc 3
配列番号 3 GLTES2 5 cccccgggatttccttcctccggtctgctt 3'
配列番号 4 GLTEA2 5 gaaagcttcatcagcagcataaacaggtg 3'

Claims

請求の範囲
[1] L一アミノ酸生産能を有し、 かつ、 prpC遺伝子の発現が増強されるように改変され た腸内細菌科に属する微生物を培地で培養して、 L—アミノ酸を該培地中に生成蓄積させ、 該培地より L一アミノ酸を採取する、 L一アミノ酸の製造法。
[2]prpC遺伝子のコピー数を高めること、 又は該遺伝子の発現調節配列を改変すること により prpC遺伝子の発現が増強された、 請求項 1に記載の製造法。
[3]前記 prpC遺伝子が、 下記 (a) 又は (b) に記載の DNAである、 請求項 1または 2に記載の製造法:
( a ) 配列番号 5に示す塩基配列を含む D N A、
(b) 配列番号 5に示す塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプロ一ブとストリン ジェントな条件下でハイブリダイズし、 かつメチルクェン酸シン夕ーゼ活性を有するタン パク質をコードする DNA。
[4]前記腸内細菌科に属する微生物が、 パントエア属、 ェンテロバクター属、 クレブシ エラ属、 セラチア属、 エルビニァ属、 ェシエリヒア属よりなる群から選択される請求項 1 〜 3のいずれか一項に記載の製造法。
[ 5]前記腸内細菌科に属する微生物がパントエア ·アナナティス FERM BP— 66 14株あるいは FERM BP-7207株由来の微生物である、 請求項 1〜4のいずれか一項に記載 の製造法。
[6]前記アミノ酸が L一グルタミン酸、 L—アルギニン、 L—グルタミン、 L—プロリ ン、 L—オル二チン、 Lーシトルリンよりなる群から選択される一種または二種以上のァ ミノ酸である、 請求項 1〜 5のいずれか一項に記載の製造法。
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