明細書 インクジェット記録用紙 技術分野
本発明は、新規のインクジヱット記録用紙に関し、詳しくはインク吸収性、長期 保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後の濃度変動が小さ い高品位なィンクジヱット記録用紙に関する。 背景技術
近年、 インクジエツト記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫 りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジエツト記録で達成するため に、 インクジェット記録用紙 (以下、 単に記録用紙ともいう) の面からもその改良 が進んでおり、高平滑性の支持体上に無機微粒子と親水性ポリマーから形成される 微小な空隙構造を有する多孔質層を設けた空隙型のィンクジェット記録用紙は、高 い光沢を有し、鮮やかな発色を呈し、インク吸収性及ぴ乾燥性に優れていることか ら、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。 特に、非吸水性支持体を使用 した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる 「しわ」 の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、 より高品位なプリントを 得ることができる。
インク吸収層としては、例えば、高平滑性を有する支持体上に、インク吸収層と してゼラチンや P V Aなどの親水性バインダーを塗布してインク吸収層とする記 録用紙が考案されている。 このタイプの記録用紙は、バインダーの膨潤性を利用し
てインクを吸収する方法で、膨潤型インクジェット記録用紙と呼ばれている。 この 膨潤型のィンク吸収層は、構成するパインダ一が水溶性樹脂であるが故に、皮膜透 明性が高く、 高発色性が得られるという利点がある。 しかしながら、 プリント後の ィンク乾燥性に難があり、形成画像や皮膜が水分に対して弱いため耐水性に乏しい。 特に、昨今のインクジェットプリンタにおいては印画速度が速いため、膨潤型イン クジェット記録用紙ではバインダ一の膨潤によるインク吸収性がィンクの吐出量 や吐出速度に追いつかず、ィンク溢れやまだらが発生するため高速プリント適性と いう点で課題を抱えている。
一方、微小な空隙を有する多孔質層をインク吸収層として設けた空隙型の記録用 紙では、高インク吸収性と高速乾燥性を有している反面、無機微粒子の持つ屈折率 の関係で膨潤型の記録用紙に比較し、皮膜透明性は低く、 その結果、発色性が低い という課題を有している。空隙型の記録用紙において、発色性を向上させる方法と しては、皮膜の透明性を向上させる手段の導入と、インク中の染料をより上部に定 着させる手段の導入が重要であるが、前者は無機微粒子の持つ屈折率の関係で自ず と限界があるため、後者の方法に従って改良を試みることがより重要となっている。 空隙型記録用紙の上記課題に対し、従来より様々な検討がなされており、主には、 カチオン性物質を多孔質層中に添加し、ァニオン性の染料と結合させることにより、 強固に染料を不動化する方法が一般的に行われている。代表的なカチオン性物質と しては、 4級アンモニゥム塩のポリマー等が挙げられ、 例えば、 「インクジェット プリンター材料と技術」 (株式会社シーエム一シー発行 1 9 9 8年 7月)、あるい は特開平 1 0— 2 1 7 6 0 1号公報にその詳細が記載されている。 し力 しながら、 カチオン性物質を単に多孔質層中に添加した方法では、カチオンポリマーがィンク 吸収層全体に存在するため、染料を上部で固定化することが困難であり、満足でき
る発色性を得るまでには至っていないのが現状である。
これに対し、シリカ微粒子、ポリ.ビュルアルコールを含むインク吸収層塗布液を 塗布した後、インク吸収層上に媒染剤を含んだ溶液の塗布を行う方法が開示されて いる (例えば、 特許文献 1参照。)。 特許文献 1に記載の方法によれば、 媒染剤をィ ンク吸収層のより上部領域に存在させることにより、着弾したインク液滴中の染料 をインク吸収層の上部で定着させ、得られるプリント濃度を高めることを目的とし ているが、このような方法を用いてもより高いプリント濃度を得るには不十分であ つた。 その理由としては、 以下の様に推測している。 すなわち、親水性バインダー であるポリビュルアルコールの架橋剤としてホウ酸が用いられ、ホウ酸は媒染剤と 同時に塗布している。 ところが、 この方法では媒染剤とホウ酸が塗布された時点か らポリビュルアルコールのホウ酸による架橋が開始されるため、媒染剤ばインク吸 収層の内部にかなり浸透してしまい、その結果、プリント濃度が不十分になってし まうと推測している。
また、水溶性の有機物質を、インク吸収層の表面近傍により多く含浸させる方法 が開示されている (例えば、 特許文献 2参照。)。 し力 しながら、 特許文献 2で開示 されている方法で用いる化合物は、本発明に係る水溶性多価金属化合物とは異なり、 この有機物質はィンク吸収時に膨潤するため、インク吸収速度を阻害するという課 題を抱えている。
また、最表層のインク吸収層中に、アルミニウム塩等の水溶性金属塩を含有させ る方法が開示されている (例えば、 特許文献 3参照。)。 し力 しながら、 特許文献 3 においては、染料インクに対する適性に関しては言及されておらず、 また、水溶性 金属塩と無機微粒子との比率を特定の範囲に規定する効果に関しては、何ら示唆や 言及がなされていない。
また、 インク吸収層中に塩基性ポリ水酸化アルミニゥム化合物を含有する方法 (例えば、特許文献 4参照。)、インク吸収層に無機媒染剤とベタイン型界面活性剤 を含有する方法 (例えば、 特許文献 5参照。) がそれぞれ開示されているが、 いず れの方法もインク吸収層としては単層構成であり、また、塩基性ポリ水酸ィ匕アルミ 二ゥム化合物あるレ、は無機媒染剤の含有方法として、オーバーコートによる付与を 目的としたものである。 上記の特許文献 3, 4, 5は、本発明にある水溶性多価金 属化合物由来の二次イオン強度の最大値が最表面から深さ方向で 1 0 μ m以内に 存在することは記載されておらず、 本発明と技術思想が異なると考えられる。 また、水溶性多価金属化合物を、支持体から離れた領域により多く分布させる方 法が開示している (例えば、 特許文献 6参照。) 、 最表層にインク中の染料をよ り定着させるには不十分であり、 発色性については未だ不十分である。
一方、水溶性アルミニゥム化合物及ぴ気相法シリ力を用いて分散した分散液を用 いたインクジェット記録用紙が提案されている (例えば、 特許文献 7、 8参照。) ヽいずれも単層構成からなるインク吸収層であるため、水溶性アルミニウム化合 物はインク吸収層全体に分布することになり、十分な発色性を得るまでには至って いないのが現状である。
【特許文献 1】 特開 200 1— 1 6 32号公報
【特許文献 2】 特開 2002— 144700号公報
【特許文献 3】 特開 200 1— 28 745 1号公報
【特許文献 4】 特公平 3— 2490 7号公報
【特許文献 5】 特開 2004— 1 225 20号公報
【特許文献 6】 特開 200 2— 1 6 0442号公報
【特許文献 7】 特表 200 2— 5 26 5 64号公報
【特許文献 8】 特開 2002— 320842号公報 発明の開示
本発明は、 上記課題に鑑みなされたものであり、 その目的は、 インク吸収性、長 期保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後の濃度変動が小 さ 1、高品位なィンクジェット記録用紙を提供することにある。 本発明の上記目的は、 以下の構成により達成される。
( 1 ) 支持体上に、少なくともシリ力微粒子、親水性バインダー及び水溶性多価 金属化合物を含有する 2層以上のインク吸収層を積層したインクジエツト記録用 紙において、該積層したインク吸収層群の深さ方向における飛行時間型二次イオン 質量分析法(TOF— S IMS)で得られる該水溶性多価金属化合物由来の二次ィ オン強度の最大値が、最表面から深さ方向で 1 0 / m以内にあることを特徴とする インクジエツト記録用紙。
(2) 前記積層した 2層以上のインク吸収層のうち、最表部に位置するインク吸 収層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率力 それぞれの酸化 物に換算した時の質量比が下式(1)で規定する条件を満たすことを特^:とする前 記 1に記載のィンクジヱット記録用紙。
式 (1)
S i 02/MOx/2≤ 1 0
〔式中、 Mは水溶性多価金属化合物に含まれる 2価以上の金属原子を表し、 Xは 2 価以上の金属原子 Mの価数を表す。〕
(3) 前記積層した 2層以上のインク吸収層のうち、最表部に位置するインク吸
収層の乾燥膜厚が、全ィンク吸収層の総乾燥膜厚の 2〜 2 0 %であることを特徴と する前記 1または前記 2に記載のィンクジェット記録用紙。
( 4 ) .前記積層した 2層以上のインク吸収層のうち、最表部に位置するインク吸 収層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量を Aとし、該最表 部に位置するィンク吸収層を除く全てのィンク吸収層が含有する総水溶性多価金 属化合物を酸化物換算した時の質量を Bとした時、 その質量比 [A/ (A + B )〕 が 0 . 5 0以上であることを特徴とする前記 1〜 3のいずれか 1項に記載のインク ジェット記録用紙。
( 5 ) 前記水溶性多価金属化合物が、水溶性アルミニゥム化合物または水溶性ジ ルコ -ゥム化合物であることを特徴とする前記 1〜4のいずれか 1項に記載のィ ンクジエツト記録用紙。 図面の簡単な説明
第 1図は飛行時間型二次イオン質量分析法(T O F— S I M S )で測定した水 溶性多価金属化合物由来の二次ィオン強度ピークの一例を示すグラフである。
第 2図は比較例である記録用紙 2の T O F _ S I M S測定により求めたアル ミニゥムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チヤートである。
第 3図は本発明の記録用紙 4の T O F— S I M S測定により求めたアルミ二 ゥムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チヤートである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、少なくとも
シリカ微粒子、親水性パインダー及び水溶性多価金属化合物を含有する 2層以上の ィンク吸収層を積層したィンクジェット記録用紙において、該積層したィンク吸収 層群の深さ方向における飛行時間型二次イオン質量分析法(T O F— S I M S )で 得られる該水溶性多価金属化合物由来の二次イオン強度の最大値が、最表面から深 さ方向で 1 0 / m以内にあることを特徴とするインクジエツト記録用紙により、ィ ンク吸収性、長期保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後 の濃度変動が小さい高品位なィンクジェット記録用紙を実現できることを見出し、 本発明に至った次第である。 '
すなわち、水溶性多価金属化合物を最表面領域に高密度に局在化させることによ つて、空隙型記録用紙特有の問題である画像濃度を大幅に向上でき、かつ印字後の 濃度変動を抑制できることに想到した。
また、水溶性多価金属化合物が最表面に高密度に局在化しているか否かを検証す るため、本発明においては T O F _ S I M Sによる分析が有効であり、本発明者ら が検討を行った結果、驚くべきことに、水溶性多価金属化合物含有液を含浸あるい はオーバーコートにより付与させた場合には、水溶性多価金属化合物が必ずしも最 表面領域に局在しないことが判明した。 また、最表層であるインク吸収層と他のィ ンク吸収層との膜厚バランスも発色性、ィンク吸収性に対して重要であることが判 明した。
以下、 本発明の詳細について説明する。
本発明の記録用紙は、支持体上に、少なくともシリ力微粒子、親水性パインダー 及び水溶性多価金属化合物を含有する 2層以上のインク吸収層を積層した構成を とる。
本発明に係るシリカ微粒子としては、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル
法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカであることが好ましい。
例えば、湿式シリカとしては沈降法による作製された (株) トクャマのファイン シール等、 ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業 (株) の N I P G E L等が 市販されている。沈降法シリ力は概ね 1 0〜 6 0 n m、ゲル法シリ力は概ね 3〜 1 O n mの一次粒子が二次凝集体を形成したシリ力粒子として特徴づけられる。 湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安 定性の観点から 3 n m以上であり、皮膜の透明性の観点から 5 0 n m以下であるこ とが好ましい。一般的には、 ゲル法により合成される湿式シリカの方力 沈降法に 対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましレ、。
気相法シリカとは、四塩化ケィ素と水素を原料にして燃焼法により合成されるも のであり、例えば、 日本ァエロジル株式会社製のァエロジルシリーズが市販されて いる。
本発明においては、 シリカ微粒子としては、高い空隙率が得られ、 かつカチオン 性複合微粒子分散液を製造する場合に粗大凝集体が形成されにくいという観点か ら、 気相法シリカが、 特に好ましい。 また、 気相法シリカは、 二次凝集体が湿式シ リ力に対して比較的弱!/、相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して 低エネルギーで分散できるという特徴を有している。
気相法シリ力微粒子は、その一次粒子の平均粒径は 3〜 5 0 n mのものが好まし レ、。一次粒子の平均粒径が 5 0 n m以下であれば、記録用紙の高光沢性を達成する ことができ、 また表面での乱反射による最高濃度の低下を低減できるという点で、 鮮明でかつ高濃度の画像を得ることができる。
本発明でレ、うシリ力微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは形成したィンク 吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、数 1 0 0個の任意のシリ力粒子の粒径
を求め、 その単純平均値 (個数平均) として求められる。 ここで個々の粒径はその 投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
特に好ましい態様として、二次粒子以上の粒子を形成して多孔質ィンク吸収層を 形成する場合、 その平均粒径は、 2 0〜 2 0 0 n mであることが、 高インク吸収性 及ぴ高光沢を達成した記録用紙を得るという観点において好ましい。
前記気相法シリ力を湿度 2 0〜 6 0 %で 3日以上保存して気相法シリ力の含水 率を調整することも好ましい。
.シリカ微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、親水性 バインダーの種類に大きく依存する力 一般には記録用紙 l m 2当たり 5〜3 0 g、 好ましくは 1 0〜2 5 gである。インク吸収層に用いられるシリカ微粒子と親水性 バインダーの比率は、 質量比で概ね 2 : 1〜2 0 : 1であり、 特に 3 : 1〜1 0 : 1であることが好ましい。
シリ力微粒子の添加量の増加に従いィンク吸収容量も増加するが、カールやひび 割れといった性能の低下を招く恐れがあり、空隙率によって容量を増加させる方法 が好ましい。 好ましい空隙率は 4 0〜7 5 %である。
空隙率は、選択するシリカ微粒子の種類、親水性バインダーの種類に,よって、 あ るいはそれらの混合比によって、またはその他の添加剤の量によつて所望の条件に 適宜調節することができる。本発明でいう空隙率とは、空隙層の体積における空隙 の総体積の比率であり、その層の構成物の総体積と層の厚さから計算で求められる。 また、 空隙部の総体積は、 吸水量測定によって容易に求められる。
次いで、本発明のィンクジェット記録用紙で用いる親水性バインダ一について説 明する。
本発明の親水性バインダーとしては、例えば、ポリビュルアルコール、ゼラチン、
ポリエチレンォキサイド、 ポリビュルピロリ ドン、 カゼイン、 澱粉、 寒天、 カラギ 一ナン、 ポリアクリル酸、 ポリメタタリル酸、 ポリアクリルアミ ド、 ポリメタタリ ノレアミ ド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒ ドロキシルェチルセノレロース、 力ノレボキシノレメチノレセルロース、 ヒ ドロキシ /レエチ/レセ/レロース、 デキストラン、 デキストリン、 プルラン、 水溶性ポリビニルブチラール等が挙げられる。 これらの 親水性バインダ一は、 2種以上併用することも可能である。
本発明で好ましく用いられる親水性パインダ一は、ポリビニルアルコールであり、 ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビュルアルコールの他に、末端 をカチオン変性したポリビニルアルコールゃァニオン性基を有するァニオン変性 ポリビエルアルコール、紫外線架橋型変性ポリビュルアルコール等の変性ポリビニ ノレアルコールも含まれる。
酢酸ビエルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が 1 0 0◦以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が 1 5 0 0〜 5 0 0 0のも のが好ましく、 更に、 ケン化度が 7 0〜1 0 0 %のものが好ましく、 8 0〜9 9 . 5 %のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビエルアルコールとしては、例えば、特開昭 6 1 - 1 0 4 8 3 号に記載されているような、第 1〜 3級アミノ基ゃ第 4級アンモニゥム基を上記ポ リビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビュルアルコールであり、力 チオン性基を有するェチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化 することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、 トリメチルー ( 2—アクリルアミ ドー 2 , 2—ジメチルェチル) アンモユウムクロライド、 トリ メチル一 (3—アクリルアミ ドー 3 , 3—ジメチルプロピル) アンモニゥムクロラ
イド、 N—ビニルイミダゾール、 N—ビエル一 2—メチルイミダゾール、 N— (3 一ジメチルァミノプロピル) メタタリルァミ ド、 ヒ ドロキシルェチルトリメチルァ ンモニゥムクロライ ド、 トリメチルー ( 2—メタクリルアミ ドプロピル) アンモニ ゥムクロライ ド、 N— ( 1 , 1 _ジメチルー 3—ジメチルァミノプロピル) アタリ ルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸 ビニルに対して 0 . 1〜 1 0モル0 /0、 好ましくは 0 . 2〜 5モル0 /0である。
ァニオン変性ポリビュルアルコールとしては、例えば、特開平 1 _ 2 0 6 0 8 8 号に記載されているようなァニオン性基を有するポリビュルアルコール、特開昭 6 1 - 2 3 7 6 8 1号及び同 6 3 - 3 0 7 9 7 9号に記載されているような、ビュル アルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平 7— 2 8 5 2 6 5号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビュルアルコールが 挙げられる。
また、 ノニオン変性ポリビュルアルコールとしては、例えば、特開平 7— 9 7 5 8号に記載されているようなポリアルキレンォキサイド基をビニルアルコールの 一部に付カ卩したポリビュルアルコール誘導体、特開平 8— 2 5 7 9 5号に記載され た疎水性基を有するビュル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が 挙げられる。
紫外線架橋型変性ポリビュルアルコールとしては、例えば、特開 2 0 0 4— 2 6 2 2 3 6号に記載されているような光反応' f生側鎖を有する変性ポリビュルアルコ ールが挙げられる。
また、ポリビニルアルコールは、上記説明した重合度や変性等の種類違いのもの を 2種類以上併用してもよい。
本発明のィンクジェット記録用紙は、光沢性に優れ、高い空隙率を皮膜の脆弱性 を劣化することなく実現するためには、ポリビュルアルコールが硬膜剤により硬膜 されていることが好ましい。
本発明において用いることのできる硬膜剤としては、一般的には、ポリビニルァ ルコールと反応し得る基を有する化合物、あるいはポリビニルアルコールが有する 異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、例えば、エポキシ系硬膜剤(例 えば、 ジグリシジノレエチノレエ一テル、 エチレングリコーノレジグリシジルエーテノレ、 1 , 4—プタンジオールジグリシジルエーテル、 1, 6—ジグリシジルシク口へキ サン、 N, N—ジグリシジル一 4—グリシジルォキシァ二リン、 ソルビトールポリ グリシジルエーテル、 グリセ口一ルポリグリシジルエーテル等)、 アルデヒド系硬 膜剤(例えば、 ホルムアルデヒド、 ダリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例 えば、 2 , 4—ジクロロー 4ーヒドロキシー 1, 3 , 5— s—トリアジン等)、 活 性ビニル系化合物 (例えば、 1, 3 , 5—トリスアタリロイルーへキサヒドロー s ートリアジン、 ビスビニルスルホ-ルメチルエーテル等)、 ホウ酸及ぴその塩、 ホ ゥ砂、 アルミ明礬、 イソシァネート化合物等が挙げられる。 これらの中でも、 ホウ 酸及びその塩、 エポキシ系硬膜剤及ぴィソシァネート化合物が好ましい。
ホウ酸及びその塩としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のこ とを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、 八ほう酸及びそれらの塩が含まれる。
硬膜剤の使用量は、 ポリビ-ルアルコールの種類、硬膜剤の種類、 シリカ微粒子 の種類やポリビニルアルコールに対する比率等により変化する力 通常、ポリビニ ルァノレコール 1 g当たり 5〜5 0 O m g、 好ましくは 1 0〜3 0 O m gである。 上記硬膜剤は、 本発明に係るインク吸収層形成用の水溶性塗布液を塗布する際、
該塗布液中に直接添加してもよく、 あるいはィンク吸収層形成用の水溶性塗布液 (硬膜剤非含有) を塗布、乾燥した後、硬膜剤を含む溶液をオーバーコートするな どして供給することができる。
本発明のィンクジェット記録用紙においては、水溶性多価金属化合物を含有する ことを特徴とする。
本発明に係る水溶性多価金属化合物としては、 アルミニウム、 カルシウム、 マグ ネシゥム、 亜鉛、 鉄、 ストロンチウム、 バリウム、 ニッケル、 銅、 スカンジウム、 ガリウム、 インジウム、 チタン、 ジルコニウム、 スズ、 鉛などの金属の塩酸塩、 硫 酸塩、 硝酸塩、 酢酸塩、 ギ酸塩、 コハク酸塩、 マロン酸塩、 クロ口酢酸塩等が挙げ られる。 中でもアルミニウム、 カルシウム、マグネシウム、 亜鉛、 ジルコニウムか らなる水溶性塩はその金属イオンが無色のため好ましい。更に、水溶性アルミニゥ ム化合物、水溶性ジルコニウム化合物が長期保存時の滲み耐性に優れると言う点で 特に好ましい。
水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム (塩基性塩 化アルミニウム)、 硫酸アルミニウム、 塩基性硫酸アルミニウム、 硫酸アルミユウ ムカリウム (ミヨウバン)、 硫酸アンモニゥムアルミニウム (アンモニゥムミヨウ パン)、 硫酸ナトリウムアルミニウム、 硝酸アルミニウム、 リン酸アルミニウム、 炭酸アルミニウム、 ポリ硫酸ケィ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸 アルミニウム等を挙げることができる。 ここで、水溶性多価金属化合物における水 溶性とは、 2 0 °Cの水に 1質量%以上、 より好ましくは 3質量%以上溶解すること を意味する。
最も好ましい水溶性アルミニウム化合物は、ィンク吸収性の観点から塩基度が 8 0 %以上の塩基性塩ィヒアルミニウムであり、 次の分子式で表すことができる。
[A 1 2 (OH) nC 16— n〕 m
(ただし、 0<n<6、 m≤ 10)
塩基度は nZ6 X 100 (%) で表される。
水溶性ジルコ-ゥム化合物の具体例としては、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニル アンモニゥム、 酢酸ジルコニル、 硝酸ジルコニル、 酸塩ィヒジルコニウム、 乳酸ジル コニル、 クェン酸ジルコ -ルが好ましい。炭酸ジルコ二ルアンモニゥム、酢酸ジル コ-ルは特に好ましい。特に酸塩ィヒジルコニウム、酢酸ジルコニルが長期保存時の 滲み耐性の点から好ましい。
本発明のインクジエツト記録用紙においては、 2層以上から構成されるインク吸 収層群における上記水溶性多価金属化合物の分布状態を特定の条件、すなわち積層 したインク吸収層群の深さ方向における飛行時間型二次イオン質量分析法(TO F 一 S I MS)で得られる該水溶性多価金属化合物由来の二次イオン強度の最大値が、 最表面から深さ方向で 10 μπι以内にあることを特徴とする。
また、積層したインク吸収層群において、最表部に位置するインク吸収層(以下、 最表層ともいう) に含まれる水溶性多価金属化合物は、多価金属化合物の酸化物換 算での質量として、 0. 1〜1. 0 gZm2であることが本発明の課題を解決する 上で好ましい。 0. 1 g/m2以下では画像濃度の点で、 また 1. O gZm2以上 ではインク吸収性の点で性能に差が生じる。 なお、本発明においては、本発明で規 定する条件を満たす範囲で、最表磨以外のインク吸収層に水溶性多価金属を含有さ せることもできる。 この場合、積層した 2層以上のインク吸収層のうち、最表部に 位置するインク吸収層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質 量を Aとし、該最表部に位置するィンク吸収層を除く全てのィンク吸収層が含有す る総水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量を Bとした時、 その質量比
〔A/ (A + B )〕 が 0 . 5 0以上であることが好ましく、 より好ましくは◦. 6 0以上である。上記のいずれの場合においても、最表面から 1 0 μ πι以内に明確な ィォン強度ピーク有することが必要である。
第 1図は、飛行時間型二次イオン質量分析法 (T O F— S I M S ) で測定した水 溶性多価金属化合物由来の二次イオン強度のプロファイルの一例を示すグラフで ある。
第 1図において、 横軸に最表面から深さ方向への測定距離 (/ m) を、 縦軸にそ れぞれの深さ位置で、飛行時間型二次ィオン質量分析法(T O F _ S I M S ) で測 定した多価金属化合物由来の二次イオン強度値をプロットした。プロファイル Bは 1 0 μ m以内に明確なイオン強度の最大値を有する状態を示す典型的な例である。 破線で表示した従来型のィンク吸収層塗布液に多価金属化合物を添加して形成し たインク吸収層におけるプロファイル Aでは、多価金属化合物に由来の二次イオン 強度の最大値は、 インク吸収層の内部 (第 1図においては、深さ約 1 5 m) に存 在しているため、最表部に着弾したインクの固定化が、 よりインク吸収層内部で行 われることとなり、 その結果、 高い画像濃度を得ることができない。
これに対し、 2層以上のインク吸収層から構成され、最表層により高濃度の多価 金属化合物を添カ卩して構成される実践で示す本発明に係るインク吸収層のプロフ アイル Bは、多価金属化合物に由来の二次イオン強度の最大値が、最表面から深さ 1 Ο μ ιη以内 (第 1図では、深さ約 6 μ πιの位置) に存在しているため、最表部に 着弾したインクの固定化が、 よりインク吸収層表面領域で行われることとなり、そ の結果、 高い画像濃度を得ることができた。
また、本発明においては、積層した 2層以上のインク吸収層のうち、最表部に位 置するィンク吸収層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率力
それぞれの酸ィヒ物に換算した時の質量比が下式(1)で規定する条件を満たすこと が好ましい。
式 (1)
S i 02/MOx/2≤ 10
式(1) において、 Mは水溶性多価金属化合物に含まれる 2価以上の金属原子を 表し、 Xは 2価以上の金属原子 Mの価数を表す。
ここでいう水溶性多価金属化合物の酸化物は、 上記式 (1) の M〇x/2で表示さ れ、 2価の金属酸化物としては、 例えば、 CaO、 MgO、 ZnOが挙げられ、 3 価の金属酸化物としては、 例えば、 A 1203が挙げられる。 また、 4価の金属酸 化物としては、例えば、 Z r〇2が挙げられる。 式(1) に係る MOx/2に従えば、 奇数の価数を持つ金属原子では酸素原子数の表示が端数となるが、 この場合には、 慣例に従い整数になるように表示する。 例えば、 酸ィ匕アルミニウムは式 (1) の表 示方法に従えば、 A I OL 5となるが、 この場合には、 A 1203として表示する。 本発明で規定するインク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物含有 量の測定は、ィンクジェット記録用紙の側面をミクロトームなどでトリミングした 試料について、エレクトロンプロープマイクロアナライザー (EPMA)や飛行時 間型二次イオン質量分析計(TO F— S IMS) を用いてインク吸収層の厚み方向 における多価金属特有の元素あるいは特有の二次イオンフラグメントの分布を求 めることにより測定することができる。
特に、化学構造情報が得られる飛行時間型二次イオン質量分析計を用いて多価金 属化合物特有の二次ィオンフラグメントの分布を測定し、多価金属原子の存在部分 の厚みを求める方法が好ましい。 二次イオン質量分析法については、例えば、 J o h n C. V i c k e rma n a n d Da v i d B r i g g s編 To F— S
IMS : Su r f a c e An a l y s i s b y Ma s s S p e c t r om e t r y (Su r f a c e S p e c t r a社)、 日本表面科学会 「二次イオン質 量分析法 (表面分析技術選書)」 (丸善) 等を参考にすることが出来る。
測定の具体的方法としてはミク口トームなどで平滑なィンク吸収層断面を露出 させ、 このインク吸収層について、 TOF— S IMS測定を行う。 TOF— S IM S測定時の一次イオンとして好ましいイオン種は A u+、 I nT、 C s +、 G a + などの金属イオン種であるが、 このうち I n+、 Ga+が好ましい。 なお、 検出す べき好ましい二次イオンとしては、事前に測定した多価金属の二次イオン質量スぺ クトルから選択する。
一次イオンの加速電圧は 20 k V〜30 kVが好ましく、ナイフエッジ法により 測定されるビーム直径が 0. 25 m以下となるように各種の調整を実施すること が好ましい。 ビーム電流等照射条件および照射時間は任意である。典型的な例とし ては一次ィオンビーム電流 0. 9 n A、照射時間 20分などが好ましい測定条件と して挙げられる。 なお、インクジエツト記録用紙あるいはインク吸収層は、導電个生 に乏しいので中和電子銃を用いるなど帯電中和を適宜施すことが好ましい。
測定の際、一次イオンビームは、インク吸収層全域を測定できる範囲で走査する。 典型的には、 40 / m角の領域を走査する。一次イオンビームの走査位置と検出さ れる二次イオンから、インク吸収層に存在する化学種のイメージを得ることが可能 である。好ましくは上記走査領域内で 256 X 256点での 2次ィオン質量スぺク トルを得て、その質量スペクトルから目的の二次イオンピークの強度を記録するこ とにより、化学種のイメージを得る。更にこのイメージから同一厚み部分のピーク 強度を積分することにより、特定の二次イオンの厚さ方向のプロファイルを得るこ とができる。二次イオンのイメージの作成、プロファイルの作成は通常二次イオン
質量分析計のデータ処理用のソフトウェアに付属の機能であり、本発明においても、 この機能を用いることが可能である。
本発明においては、上記厚さ方向の多価金属のプロファイルにおいて、インク吸 収層における多価金属由来の二次イオンの強度の最低値の 1. 5倍以上の部分を、 多価金属存在部分と規定する。 また、インク吸収層の位置、 インク吸収層の厚みは 多価金属と同様、インク吸収層に存在するシリカ微粒子に含有される金属イオンが 検出される領域とする。 尚、各層の位置は厚さ方向のプロファイルにおける積分ィ オン強度の 50%位置とする。
本発明では、具体的には、 Py s i c a l E l e c t r o n i c s社製の TR I FT— II を使用して、 イオン種: I n、 加速電圧: 25 kVの条件で深さ方向 における多価金属化合物分布量を測定した。
本発明のィンクジヱット記録用紙においては、本発明に係る最表層の乾燥膜厚が 全ィンク吸収層の総乾燥膜厚の 2〜 20 %であることが好ましく、更に好ましくは 5〜15%である。すなわち、 2'層以上のインク吸収層を積層し、 かつインク吸収 層の最表層中に上記水溶性多価金属化合物を高濃度に含有させることにより、第 1 図に記载のようなより表面領域に多価金属化合物に由来の二次イオン強度の最大 値が出現するインク吸収層を実現することができる。
本発明に係るィンク吸収層の最表層には、界面活性剤を含有することが好ましい。 インク吸収層で用いることのできる界面活性剤としては、カチオン系、ベタイン系 及びノニオン系の炭化水素系、 フッ素系、シリコン系界面活性剤等のいずれも使用 可能である。その中でも、塗布故障耐性などの塗膜品質と多層同時塗布適性の観点 から、特開 2003— 312134号公報に記載のカチオン系、ベタイン系界面活 性剤が好ましい。界面活性剤の使用量は 0. 0001〜1. 0 g "m2が好ましく、
より好ましくは 0. 001〜0. 5 gZm2である。
本発明に係るィンク吸収層の具体的な構成としては、例えば、特開平 1 1— 32 1079号、特開 2000— 158807号公報などに記載の方法で、 シリカ微粒 子と親水性バインダー及びカチオン性ポリマーを含有する多孔質のィンク吸収層 を用いることができる。
.カチオン性ポリマーは、 ポリマー主鎖または側鎖に第 1〜 3級ァミン、第 4級ァ ンモニゥム塩基、 または第 4級ホスホニゥム塩基などを有するポリマーであり、ィ ンクジエツト記録用紙で公知の化合物が用いられる。製造の容易性から、実質的に 水溶性であるものが好まし 、。
カチオン性ポリマーの例としては、 ポリエチレンィミン、 ポリアリルァミン、 ポ リビエルァミン、 ジシアンジァミ ドポリアルキレンポリアミン縮合物、 ポリアルキ レンポリアミンジシアンジアミ ドアンモニゥム塩縮合物、ジシアンジアミ ドホルマ リン縮合物、ェピクロルヒドリンージアルキルァミン付加重合物、 ジァリルジメチ ルアンモニゥムクロライド重合物、 ジァリルジメチルアンモニゥムクロライドヽ S O 2共重合物、 ポリビニルイミダゾール、 ビニルピロリ ドン · ビニルイミダゾール 共重合物、 ポリビュルピリジン、 ポリアミジン、 キトサン、 カチオン化澱粉、 ビ- ルベンジルトリメチルアンモニゥムクロライド重合物、 (2—メタクロィルォキシ ェチル) トリメチルアンモニゥムクロライド重合物、 ジメチルアミノエチルメタク リレート重合物、 などが挙げられる。
または、化学工業時報平成 10年 8月 15日及ぴ 25日に記載されるカチオン性 ポリマー、 「高分子薬剤入門」 (三洋化成工業株式会社発行、 p 787、 1992年) に記載される高分子染料固着剤が例として挙げられる。
カチオン性ポリマーの平均分子量としては 2000〜 50万の範囲であること
が好ましく、 更に好ましくは 1万〜 1 0万の範囲である。
本発明でいう平均分子量とは数平均分子量のことであり、ゲルパーミユエーショ ンクロマトグラフィ一から求めたポリエチレングリコール換算値を言う。
また、カチオン性ポリマーを塗布液にあらかじめ添加する場合、均一に塗布液に 添加するのみならず、無機微粒子とともに複合粒子を形成する形で添カ卩してもよい。 無機微粒子と力チオン性ポリマーによつて複合粒子を調製する方法としては、無機 微粒子にカチオン性ポリマーを混合して吸着被覆させる方法、その被覆粒子を凝集 させてより高次の複合粒子を得る方法、さらには混合して得られる粗大粒子を分散 機によってより均一な複合粒子にする方法などが挙げられる。
カチオン性ポリマーは概ね水溶性基を有するために水溶性を示す力 例えば、共 重合成分の組成によって水に溶解しないことがある。製造の容易性から水溶性であ ることが好ましいが、水に難溶であっても水混和性有機溶媒を用いて溶解し使用す ることも可能である。
ここでいう水混和性有機溶媒とは、メタノール、ェタノール、イソプロパノール、 n—プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、 ジエチレングリコー ル、 グリセリンなどのグリコール類、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル等のエステル類、 アセトン、 メチルェチルケトン等のケトン類、 N, N—ジメチルホルムアミ ド等の アミド類など、 水に対して概ね 1 0 %以上溶解し得る有機溶媒を言う。 この場合、 有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
カチオン性ポリマーは、 インクジェット記録用紙 l m 2当たり、 通常 0 . 1〜 1 O g、 好ましくは 0 . 2〜 5 gの範囲で用いられる。
本発明のィンクジェト記録用紙のィンク吸収層おょぴ必要に応じて設けられる その他の層には、 前記した以外に各種の添加剤を添加することができるが、 特に、
紫外線吸剤、酸化防止剤、 -ジミ防止剤等の画像保存性向上剤を含有することが好 ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、 -ジミ防止剤としては、 アルキル化フエノール 化合物 (ヒンダードフエノール化合物を含む)、 アルキルチオメチルフヱノール化 合物、 ヒ ドロキノン化合物、 アルキル化ヒ ドロキノン化合物、 トコフヱロール化合 物、チォジフェニルエーテル化合物、 2個以上のチォエーテル結合を有する化合物、 ビスフエノール化合物、 O—, N— , S—べンジル化合物、 ヒ ドロキシベンジル化 合物、 トリァジン化合物、 ホスホネート化合物、 ァシルァミノフエノール化合物、 エステル化合物、 アミド化合物、 ァスコルビン酸、 アミン系抗酸化剤、 2— ( 2— ヒ ドロキシフエ二ノレ) ベンゾトリァゾーノレ化合物、 2—ヒ ドロキシベンゾフエノン 化合物、 アタリレート、 水溶性又は疎水性の金属塩、 有機金属化合物、 金属錯体、 ヒンダードァミン化合物 (所謂 T EM P O化合物を含む。)、 2— ( 2—ヒ ドロキシ フエニル) 1, 3, 5, 一トリアジン化合物、 金属不活性化剤、 ホスフィッ ト化合 物、 ホスホナイ ト化合物、 ヒ ドロキシァミン化合物、 二トロン化合物、過酸化物ス 力ベンジャー、ポリアミ ド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、 ベンゾフラノン化合物、 インドリノン化合物、 ホスフィン化合物、 ポリアミン化合 物、チォ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、 ヒドロキシ安息香酸化合物、 ジヒドロキシ安息香酸化合物、 トリヒドロキシ安息香 酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フエノール化合物、 2個以上のチォエーテル結合を 有する化合物、 ビスフエノールイ匕合物、 ァスコルビン酸、 アミン系抗酸化剤、水溶 性又は疎水性の金属塩、 有機金属化合物、 金属錯体、 ヒンダードアミン化合物、 ヒ ドロキシァミン化合物、 ポリアミン化合物、 チォ尿素化合物、尿素化合物、 ヒドラ
ジド化合物、 ヒドロキシ安息香酸化合物、 ジヒドロキシ安息香酸ィ匕合物、 トリヒド 口キシ安息香酸化合物等が好ましい。
また、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、 ポリアクリルアミド類、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリ塩ィ匕ビュル、 ポリ塩 ィ匕ビニリデン、 またはこれらの共重合体、尿素樹脂、 またはメラミン樹脂等の有機 ラテックス微粒子、流動パラフィン、 ジォクチルフタレート、 トリクレジノレホスフ エート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性 剤、特開昭 57— 74193号公報、 同 57— 87988号公報及び同 62— 26 1476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭 57— 74192号、同 57— 87 989号公報、 同 60— 72785号公報、 同 61— 146591号公報、特開平 1 - 95091号公報及ぴ同 3— 13376号公報等に記載されている退色防止 剤、 特開昭 59— 42993号公報、 同 59— 52689号公報、 同 62 _ 280 069号公報、同 61— 242871号公報おょぴ特開平 4 -219266号公報 等に記載されている蛍光増白剤、 硫酸、 リン酸、 クェン酸、 水酸ィヒナトリウム、 水 酸化カリウム、 炭酸カリウム等の pH調整剤、 消泡剤、 P方腐剤、 増粘剤、 帯電防止 剤、 マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明の記録用紙に用いられる支持体について説明する。本発明で使用すること のできる支持体としては特に制限はなレ、が、紙のような吸水性支持体を用いた場合 には、プリント後および記録用紙に水がかかった場合、支持体の平滑性が低下して コックリングを生じやすい。 また、支持体中に染料やジルコニウム化合物またはァ ルミニゥム化合物が拡散して耐水性、滲み、画像濃度の低下を起こす場合が有ると いう問題を抱えている。従って、支持体として非吸水性支持体を用いる方力 本発 明の効果を顕著に奏するという点において好ましい。
本発明で用いる支持体は従来ィンクジ ット記録用紙に公知のものを適宜使用 できる。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材 等からなるシートゃ板等を挙げることができる力 特に紙は基材自身の吸水性に優 れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、 L B K P、 N B K P等の化学パルプ、 G P、 C G P、 RM P、 TM P、 C TMP、 CM P、 P G W等の機械パルプ、 D I P等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使 用可能である。 また、 必要に応じて合成パルプ、合成繊維、 無機繊維等の各種繊維 状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、 サイズ剤、顔料、 紙力増強剤、 定着剤等、 蛍 光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することが できる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙 機、 円網抄紙機、 ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。 また、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビュルアルコール等でサ ィズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることも できる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、プラスチック樹脂フ ィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が 挙げられる。
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビ -ルフィルム、 ポリプロピレンフィルム、 セルローストリアセテートフィルム、 ポ リスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。こ
れらのプラスチック樹脂フィルムは透明、 または半透明なものも使用できる。
本発明で特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体 であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフイン樹脂で被覆した支持体である。 以下、最も好ましいポリオレフィン樹脂の代表であるポリエチレンでラミネート した非吸水性の紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パル プにポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合 成繊維を加えて抄紙される。 木材パルプとしては、 例えば、 LBKP、 LBS P、 NBKP、 NB S P、 LDP, NDP、 LUKP、 N'UKPのいずれも用いること ができるが、 短繊維分の多い LBKP、 NB S P、 LBSP、 NDP、 LDPをよ り多く用いることが好ましい。但し、 LB S Pまたは LDPの比率は 10質量%以 上、 70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ) が 好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。 原紙中には、高級脂肪酸、 アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシゥ ム、 タノレク、 酸化チタンなどの白色顔料、 スターチ、 ポリアクリルアミド、 ポリビ ニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分 保持剤、分散剤、 4級ァンモ-ゥム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。 抄紙に使用するパルプの濾水度は、 C S Fの規定で 200〜 500mlであるこ とが好ましく、 また、叩解後の繊維長が J I S— P— 8207に規定される 24メ ッシュ残分質量%と、 42メッシュ残分の質量%との和が 30〜 70質量%が好ま しい。 なお、 4メッシュ残分の質量%は、 20質量%以下であることが好ましい。 原紙の坪量は 50〜 250 gが好ましく、特に 70〜200 gが好ましい。原紙
の厚さは 50〜210 μπιが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダ 一処理を施して、 高平滑"生を与えることもできる。 原紙密度は 0. 7〜1. 2 g/ cm3 (J I S-P-81 18に規定の方法に準ずる) が一般的である。 更に、 原 紙剛度は J I S— P— 8143に規定される条件で 20〜 200 gが好ましレ、。原 紙表面には表面サイズ'剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前述の原紙中 に添カ卩できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙の pHは、 J I S-P-81 13で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、 5〜 9であるこ とが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、 主として低密度のポリエチレン (LDPE) または高密度のポリエチレン (HDPE) であるが、他の LLDPE やポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、インク吸収層を塗布する面側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行 われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添 加し、不透明度及ぴ白色度を改良したものが好ましい。 酸化チタン含有量は、 ポリ エチレンに対して 1〜20質量0 /0、 好ましくは 2〜1 5質量%である。
ポリオレフイン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高レ、顔科や蛍光増白 剤を添加することができる。 着色顔料としては、 群青、 紺青、 コバルトブルー、 フ タロシアニンプノレー、 マンガンブノレー、 セノレリアン、 タングステンプノレー、 モリブ デンプルー、 アンスラキノンブル一等が挙げられる。 蛍光増白剤としては、 ジアル キルアミノクマリン、 ビスジメチルアミノスチルベン、 ビスメチルアミノスチルべ ン、 4一アルコキシ一 1, 8—ナフタレンジカルボン酸一 N—アルキルイミ ド、 ビ スベンズォキサゾリルエチレン、 ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、ィンク吸収層の膜厚やパック層を設けた後
で低湿及び高湿化での力^ "ルを最適化するように選択される力 一般にはポリェチ レン層の厚さはインク吸収層側で 1 5 50; um、パック層側で 1 0 40 μταの 範囲である。表裏のポリエチレンの比率はインク吸収層の種類や厚さ、 中紙の厚み 等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏の ポリエチレンの比率は厚みで概ね 3/1 1/3である。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好まし レ、。
1) 引っ張り強さ: J I S— Ρ— 8 1 1 3で規定される強度で、縦方向が 20 3 0 ON, 横方向が 1 0 20 ONであることが好ましい
2) 引き裂き強度: J I S— P— 8 1 1 6による規定方法で、縦方向が 0. 1 2N、 横方向が 0. 2 2Nが好ましい
3 ) 圧縮弾性率: 9. 8 kN/cm2
4)表面ベック平滑度: J I S-P-8 1 1 9に規定される条件で、 500秒以 上が光沢面としては好ましいが、 いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い 5)裏面ベック平滑度: J I S— P— 8 1 1 9に規定される条件で、 1 00 8 00秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、 可視域の光線での透 過率が 20 %以下、 特に 1 5 %以下が好ましい
7) 白さ: J I S— P— 8 1 23に規定されるハンター白色度で、 9 0 %以上が 好ましい。 また、 J I S— Z— 8 722 (非蛍光)、 J I S— Z— 8 7 1 7 (蛍光 剤含有) により測定し、 J I S— Z— 8 730に規定された色の表示方法で表示し たときの、 L*= 90 9 8 a """=— 5〜十 5 b 1 0〜十 5が好ましい。 上記支持体のィンク吸収層面側には、ィンク吸収層との接着性を改良する目的で、
下引き層を設けることができる。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリ ビュルアルコール等の親水性ポリマーや T gが一 30〜60°Cのラテックスポリ マーなどが好ましい。 これらバインダーは、 記録媒体 lm2当たり 0. 001〜2 gの範囲で用いられる。 下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン 性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のィンク吸収層面側とは反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善す る目的でパック層を設けることもできる。パック層のパインダ一としては、ゼラチ ンゃポリビュルアルコール等の親水性ポリマーや Tgがー 30〜60。Cのラテツ タスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の 界面活性剤、更には平均粒径が 0. 5〜 20 ^ m程度のマット剤を添加することも できる。 バック層の厚みは、概ね 0. 1〜1 imであるが、 バック層がカール防止 のために設けられる場合には、概ね 1〜20 Aimの範囲である。 また、バック層は 2層以上から構成されていても良い。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、 インク吸収層を含む各構成層を、 各々単独にあるいは同時に、 公知の塗布方式から適宜選択して、 支持体上に塗布、 乾燥して製造することができる。 塗布方式としては、例えば、 ロールコーティング 法、 ロッドバーコーティング法、 エアナイフコーティング法、 スプレーコーティン グ法、 カーテン塗布方法、 あるいは米国特許第 2, 761, 419号、 同第 2, 7 61, 791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、ェクス トルージョンコート法等が好ましく用いられる。
2層以上の構成層を同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライド ビード塗布方式を用いる場合には、 5〜100mP a · sの範囲が好ましく、 さら に好ましくは 10〜5 OmP a · sの範囲である。 また、 カーテン塗布方式を用い
る場合には、 5〜1200mP a * sの範囲が好ましく、 さらに好ましくは 25〜 50 OmP a · sの範囲である。
また、塗布液の 15°Cにおける粘度としては、 10 OmP a · s以上が好ましく、 100〜 30, 00 OmP a · sがより好ましく、 さらに好ましくは 3, 000〜 30, 00 OmP a · sであり、 最も好ましいのは 10, 000〜 30, 000m P a ' sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を 30°C以上に加温して、 同時重層塗布を 行った後、形成した塗膜の温度を 1〜15 °Cに一且冷却し、 10°C以上で乾燥する ことが好ましい。塗布液調製時、塗布時及ぴ乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑 性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂の T g以下の温度で塗布液の調製、塗 布、 乾燥することが好ましい。 より好ましくは、 乾燥条件として、 湿球温度 5〜 5 0°C、膜面温度 10〜50°Cの範囲の条件で行うことである。 また、塗布直後の冷 却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが 好ましい。
また、 その製造過程で 35°C以上、 70°C以下の条件で 24時間以上、 60日以 下保存する工程を有することが好ましい。
加温条件は、 35°C以上、 70°C以下の条件で 24時間以上、 60日以下保存す る条件であれば特に制限はないが、好ましい例としては、 例えば、 36°Cで 3日〜
4週間、 40°Cで 2日〜 2週間、 あるいは 55°Cで 1〜7日間である。 この熱処理 を施すことにより、水溶性パインダ一の硬化反応の促進、 あるいは水溶性バインダ 一の結晶化を促進することができ、 その結果、好ましいインク吸収性を達成するこ とができる。
実施例
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する力 本発明はこれらに限定され るものではない。 尚、 実施例中で 「%」 は、 特に断りのない限り質量。/。を表す。 実施例 1
《記録用紙の作製》
〔記録用紙 1の作製〕
(シリカ分散液 D— 1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約 0. 007 μπιの気相法シリ 力 (日本ァエロジル社製、 ァエロジル 300) を 25%と、 ァユオン性蛍光増白剤 (チバスぺシャリティーケミカルズ社製、 UV I TEXNFW L I QU I D) を 0. 6 L含むシリカ分散液 B— 1 (pH=2. 6、 エタノール 0. 5 %含有) の 4 00 Lを、カチオン性ポリマー P— 1を 12%、 n—プロパノールを 10%および エタノールを 2%含有する水溶液 C_ 1 (pH=2. 5、サンノブコネ土製の消泡剤 SN381を 2 g含有)の 1 10 Lに、室温で 3000 r p mで攪拌しながら添カロ した。 次いで、 ホウ酸とほう砂の 1 : 1質量比の混合水溶液 A 1 (各々 3質量%の 濃度) の 54 Lを攪拌しながら徐々に添カ卩した。
次いで、 三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、 3 kN/ cm2の圧力で 分散し、全量を純水で 630 Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液 D—1を得た。 カチオン性ポリマー (HP— 1)
上記シリカ分散液 D— 1の調製において、ァ-オン性蛍光增白剤を除いた以外は 同様にして、 シリカ分散液 D— 2を調製した。
(シリカ分散液 D— 3の調製)
上記シリカ分散液 D— 2の調製において、 カチオン性ポリマー P— 1に代えて、 塩基性塩ィ匕アルミニウム水溶液 (多木化学製:タキバイン # 1 500、 A 1203 として 23. 75 %含有、 塩基度 83. 5 %) を使用した以外は同様にして、 シリ 力分散液 D— 3を調製した。
上記調製したシリカ分散液 D_l、 D_2、 D— 3について、特開平 1 1— 32 1079号公報に記載の方法に従ってシリカ粒子の分散状態を観察した結果、極め て安定な力チオン変換された複合粒子になっていることを確認することができた。 また、 上記調製したシリカ分散液 D— 1、 D—2、 D—3は、 30 μπιの濾過精 度を有するァドバンテック東洋社製の TCP— 30タイプのフィルターを用いて 濾過を行った。
(ィンク吸収層塗布液の調製)
上記調製した各シリ力分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、 多孔質層用の各インク吸収層塗布液を調製した。 なお、各添加量は塗布液 1 L当り の量で表示した。
〈第 1層用インク吸収層塗布液:最下層)
シリカ分散液 D— 1 650ml ポリビニルアルコール (平均重合度: 3800 ケン化度 88%) の 8. 0%水 溶液 250ml 界面活性剤 (ネオス社製;フタージェント 400 S) の 4%水溶液
2. 0ml 純水で全量を 1000mlに仕上げた
〈第 2層用ィンク吸収層塗布液)
シリカ分散液 D_l 670ml ポリビニルアルコール (平均重合度 : 3800 ケン化度 88 %) の 8. 0 %水 溶液 240ml アクリル共重合ェマルジョン樹脂 (大同化成工業製; ビニゾール 1083.)
30ml 純水で全量を 1000mlに仕上げた
〈第 3層用インク吸収層塗布液)
シリカ分散液 D— 2 630ml ポリビニルアルコーノレ (平均重合度 : 3800 ケン化度 88 %) の 8. 0 %水 溶液 250ml 純水で全量を 1000mlに仕上げた
〈第 4層用インク吸収層塗布液:最表層〉
シリカ分散液 D— 2 630ml ポリビニルアルコール (平均重合度: 3800 ケン化度 88 %) の 8. 0 %水 溶液 - 250ml 界面活性剤 (花王製; コータミン 24P) の 6 %水溶液 3. Oml 界面活性剤 (ネォス社製;フタージヱント 400 S) の 4 %水溶液
1. Oml 純水で全量を 1000mlに仕上げた
以上に様にして調製した各インク吸収層塗布液を、 20 μπιの濾過精度を持つァ
ドバンテック東洋社製の TC P D— 3 0フィルターで濾過した後、 TC PD— 1 0 フィルターで濾過した。
〔記録用紙の作製〕 .
次に、上記調製した各ィンク吸収層塗布液を、下記に記載の湿潤膜厚となるよう、 4 0°Cで両面にポリエチレンを被覆した紙支持体(RC紙) 上に、 スライドホッパ 一型コーターを用いて、 4層同時塗布した。
麵膜厚〉
丄 ノ曰 · 4 2 ju m (S i ο2付量: 4 . 3 3 g/m2)
第 2層: 4 2 μ χα (S i 02付量: 4. 5 7 g/m2)
第 3層: 40 μ.Ώΐ (S i 02付量: 4. 4 0 g/m2)
第 4層: 40 μ ηί (S i 02付量: 4 • 4 0 g/m2)
なお、上記 RC紙は幅が約 1. 5m、長さが約 4 0 0 Omのロール上に巻かれた 下記の支持体を用いた。
使用した R C紙は、含水率が 8 %で、坪量が 1 7 0 gの写真用原紙表面を、 アナ ターゼ型酸化チタンを 6 %含有するポリエチレンを厚さ 3 5 mで押し出し溶融 ■ 塗布し、裏面には厚さ 4 0 zmのポリエチレンを厚さ 3 5 μηιで押し出し溶融塗布 した。表面側はコロナ放電した後、 ポリビエルアルコール(クラレ社製 PVA2 3 5) を RC紙 l m2当り 0. 0 5 gになるように下引き層を塗布し、 裏面側には コロナ放電した後、 T gが約 8 0°Cのスチレン一ァクリル酸エステル系ラテックス バインダーを約 0. 4 g、 帯電防止剤 (カチオン性ポリマー) を 0. l gおよび約 2 111のシリカ0. 1 gをマツト剤として含有するバック層を塗布した。
ィンク吸収層塗布液を塗布した後の乾燥は、 5 °Cに保つた冷却ゾーンを 1 5秒間 通過させて膜面の温度を 1 3 °Cにまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度
を適宜設定して乾燥を行った後、 ロール状に卷き取って記録用紙 1を得た。 このよ うにして形成したィンク吸収層の総乾燥莫厚は 4 2. 5 μπι、 第 4層 (最表層) の 乾燥膜厚は 1 1. 5 μ mであった。 また、記録用紙 1は全層とも水溶性多価金属化 合物は含有していない。
〔記録用紙 2の作製〕
上記作製した記録用紙 1の第 4層上に、塩基性塩化アルミニゥム水溶液(多木化 学製:タキパイン # 1 5 0 0、 Α 1 2Ο3として 2 3. 7 5 %含有、 塩基度 8 3. 5%) を A 1 203換算付量で 0. 5 g/m2になるようにオーバーコートして、 記 録用紙 2を作製した。
〔記録用紙 3の作製〕
記録用紙 1の作製において、第 4層のシリカ分散液 D— 2をシリカ分散液 D— 3 に変更した以外は同様にして、 記録用紙 3を作製した。
なお、 第 4層の S i〇2付量は 4. 4 0 g/m2、 A 1 203付量は 0. 5 g/m2 (S i〇2/A 1 203= 8. 8 )、 乾燥膜厚は 1 1. 5 μ m (全乾燥膜厚の 2 7 %) であった。 記録用紙 3の AZ (A+B) は 1. 0である。
〔記録用紙 4の作製〕
上記記録用紙 3の作製において、 第 4層に用いたシリカ分散液 D— 3を S i〇2 /A 1 203 = 4にしたシリカ分散液に変更した。 更に第 4層の S i 02付量を 2. 0 g/m2, 1 203付量を0. 5 gZm2、 乾燥膜厚を 4. 0 μ χα (全乾燥膜厚 の 9. 4%) に変更した以外は同様にして、 記録用紙 4を作製した。 なお、 2. 4 0 gZm2分のシリカ微粒子は第 1層〜第 3層に等配分し、 全 S i 02付量を同じ にした。 記録用紙 4の A (A + B) は 1. 0である。
〔記録用紙 5の作製〕
記録用紙 1の作製において、第 3層のシリカ分散液 D— 2をシリカ分散液 D_ 3 に変更した以外は同様にして、 記録用紙 5を作製した。
なお、 第 3層の S i〇2付量は 4. 4 gZm2、 A 12〇3付量は 0. 5 g/m2 (S i 02/A 1203= 8. 8)、 乾燥膜厚は 11. 5 μ m (全乾燥膜厚の 27 %) であった。 記録用紙 5の AZ (A+B) は 0である。
〔記録用紙 6の作製〕
上記記録用紙 5の作製において、記録用紙 4で用いたシリ力分散液で第 3層の S i〇2付量を 2. 0 g/m2、 A 1203付量を 0. 5 g/m2 (S i 02/A 1203 = 4)、 乾燥膜厚を 4. 0 πι (全乾燥膜厚の 9 · 4%) に変更した以外は同様に して、記録用紙 6を作製した。なお、 2. 40 g/m2分のシリカ微粒子は第 1層、 第 2層、 第 4層に等配分し、 全 S i〇2付量を同じにした。 記録用紙 6の AZ (A + B) は 0である。
〔記録用紙 7の作製〕
上記記録用紙 4の作製において、第 3層用ィンク吸収層塗布液に塩基性塩ィヒアル ミニゥム水溶液 (多木化学製:タキバイン # 1500、 A 1203として 23. 7 5%含有、 塩基度 83. 5%) を A 1203換算付量で 0. O S gZm2になるよう に添加した以外は同様にして、記録用紙 7を作製した。記録用紙 7の AZ (A+ B ) は 0. 9である。
〔記録用紙 8の作製〕
上記記録用紙 4の作製において、第 3層用ィンク吸収層塗布液に塩基性塩ィ匕アル ミニゥム水溶液 (多木化学製:タキバイン # 1500、 A 12〇3として 23. 7 5%含有、 塩基度 83. 5%) を Al 203換算付量で 0. 75gZm2になるよう に添カ卩した以外は同様にして、記録用紙 8を作製した。記録用紙 8の AZ (A + B)
は 0. 4である。
〔記録用紙 9の作製〕
上記記録用紙 1の作製において、第 4層用インク吸収層塗布液に塩基性塩ィ匕アル ミニゥム水溶液 (多木化学製:タキバイン # 1500、 Α 12Ο3として 23. 7 5%含有、 塩基度 83. 5%) を A 12〇3換算付量で 0. 5 g/m2になるように 添加し、 S i〇2付量を 2. 0 g/m2、 乾燥膜厚を 4. O /zmとした以外は同様 にして、 記録用紙 9を作製した。 なお、 2. 4.0 g/m2分のシリカ微粒子は第 1 層〜第 3層に等配分し、全 S i〇2付量を同じにした。記録用紙 9の AZ (A+B) は 1. 0である。
〔記録用紙 10の作製〕
上記記録用紙 1の作製において、第 4層に塩基性塩ィヒアルミニウム水溶液(多木 化学製:タキバイン # 1500、 A 1203として 23. 75 %含有、塩基度 83. 5%) を A 1203換算付量で 0. 5 gZm2になるように塗布直前にインライン添 加した以外は同様にして、 記録用紙 10を作製した。 なお、 第 4層の S i〇2付量 を 2. 0 g/m2、 乾燥膜厚を 4. O imとし、 2. 40 g /m2分のシリカ微粒 子は第 1層〜第 3層に等配分し、 全 S i 02付量を同じにした。 記録用紙 10の A / (A+B) は 1. 0である。
〔記録用紙 11の作製〕
上記記録用紙 4の作製において、第 3層に酢酸ジルコニル(第一稀元素化学工業 製:ジルコゾール Z A) を Z r 02換算付量で 0. 08 g Zm2になるよう塗布直 前にインライン添加した以外は同様にして、記録用紙 11を作製した。記録用紙 1 1の AZ (A+B) は 0. 86である。
〔記録用紙 12の作製〕
上記記録用紙 4の作製において、 S i 02/A 1203=20にしたシリカ分散液 を用い、 更に第 4層の S i 02付量を 2. 0 gZm2 A 1203付量を 0. 1 gZ m2、 乾燥膜厚を 4. 0 (全乾燥膜厚の 9. 4%) に変更した以外は同様にし て、 記録用紙 12を作製した。 なお、 2. 40 gZm2分のシリカ微粒子は第 1層 〜第 3層に等配分し、全 S i 02付量を同じにした。記録用紙 12の AZ (A+B) は 1. 0である。
《記録用紙の特性評価》
〔ィンク吸収層内の多価金属化合物分布の測定〕
上記作製した各記録用紙の断面を、 ミクロトームを用いてトリミングした後、そ のインク吸収層断面部を、 P y s i c a 1 E 1 e c t r o n i c s社製の T R I FT— II を使用して、 イオン種: I n、 加速電圧: 25 k Vの条件で TOF— S I MS測定によりアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布を求めた。 その結果、本発明の記録用紙は、アルミニウムイオン由来の二次イオン強度の最大 値が、 最表面から深さ方向で 10 /zm以内にあることを確認することができた。 多価金属化合物分布の測定の代表例として、比較の記録用紙 2及び本発明の記録 用紙 4の多価金属化合物の分布測 チャートを、 第 2図、 第 3図に示す。
第 2図に、比較例である記録用紙 2の TOF— S IMS測定により求めたアルミ ニゥムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チヤートを示す。第 2図におレ、 て、最表層部はチャートの右端であり、 Le n g t h O C^m)が支持体面を表す。 第 2図においては、アルミニゥムィオン由来の二次ィオンシグナルの分布が、イン ク吸収層内部に多く存在し、塩基性塩化アルミニゥムがより内部に分布しているこ とが分かる。
第 3図は、本発明の記録用紙 4の TO F— S IMS測定により求めたアルミニゥ
ムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チャートを示す。第 3図においても 同様に、最表層部はチャートの右端であり、 L e n g t h O (,am) が支持体面を 表す。
本発明の記録用紙 4においては、アルミニゥムィオン由来の二次ィオンシグナル ヽ最表部から深さ 10 mまでの領域に極めて多く発現し、塩基性塩化アルミ二 ゥムが表面領域に分布していることが分かる。
〔発色性の評価〕
セイコーエプソン社製のインクジエツトプリンタ PM— 950 Cを用いて、純正 インクにより黒のベタ画像を印字し、 3時間自然乾燥した後、得られた黒の濃度を 反射濃度計を用いて測定し、 これを発色性の尺度とした。
〔長期保存後の滲み耐性の評価〕
23°C、 55%RHの環境下で、セイコーエプソン社製のインクジエツトプリン ター PM—950 Cを用いて、純正インクによりプル一のベタ画像を背景にした線 幅が約 0. 3 mmのブラックラインをプリントし、 1時間自然乾燥した後、透明ク リアファイルに揷入した。 これをクリアファイルのまま、 40°C、 80%RHの環 境下で 1週間放置して、保存前後のでブラックラインの線幅をマイク口デンシトメ 一ターで測定(反射濃度が最大濃度の 50%の部分の幅を線幅とした) し、 下式で 表される線幅変化率を求め、 この値を長期保存後の滲み耐性の尺度とした。 この値 が小さいほど滲み耐性が良好であることを示し、実用上問題がないレベルは 130 以下である。
線幅変化率二 (保存後のブラックラインの線幅/保存前のブラックラインの線 幅) X 100
〔インク吸収 1·生の評価〕
23°C、 80%RHの環境下で、セィコーエプソン社製のインクジエツトプリン ター PM— 950 Cでプル一のベタ画像を印字し、印字直後のベタ画像表面を指で こすつて画像の乱れを目視観察し、 下記の基準に従つてィンク吸収性を評価した。
A:指で擦つてもほとんど画像の乱れが全くなし
B :指で擦った部分に、 やや画像の汚れが認められる
C :指で擦った画像で、 激しい汚れが発生している
〔印字後の濃度安定性の評価)
セイコーエプソン社製のインクジエツトプリンタ PM— 950 Cを用いて、純正 インクにより、イェロー、マゼンタ及びシアンのベタ画像を印字し、印字後 23°C、 55 %RHの環境下で 0. 5時間と 24時間放置した。 それぞれのィエロー、 マゼ ンタ、 シアンの濃度を反射濃度計にて、 0. 5時間後のそれぞれの色濃度 D (0. 5) と 24時間後のそれぞれの色濃度 D (24) を測定した。 次いで、 それぞれの 色画像について D (24) /D (0. 5) X I 00を求め、 濃度低下率とした。 ィ エロー、 マゼンタ、 シアンの平均濃度低下率 D (a v e) を求め、 これを印字後の 濃度安定性の尺度とした。 D (Av e) が 100に近いほど、 印字後の濃度変動は 小さく、 濃度安定性に優れていることを表す。
以上により得られたインク吸収層内の多価金属化合物分布の測定を除く各評価 結果について、 表 1に示す。
【表 1】
表 1に記載の結果より明らかなように、積層したインク吸収層群の深さ方向にお ける飛行時間型二次ィォン質量分析法( T O F _ S I M S ) で得られるアルミユウ ムイオンに由来の二次イオン強度の最大値が、最表面から深さ方向で 10 t m以内 にある本発明の記録用紙は、比較例に対し、 高い発色性が得られ、長期保存後の滲 み耐性、 ィンク吸収性及び印字後の濃度安定性に優れていることが分かる。
実施例 2
実施例 1で作製した記録用紙 4において、水溶性多価金属化合物である塩基性塩 化アルミニウム水溶液 (多木化学製:タキパイン # 1 500 A 1203として 2 3. 75%含有、 塩基度 83. 5%) に代えて、 塩基性乳酸アルミニウム (多木化 学製:タキセラム G—1 7 L ;塩基度 72%)、 酢酸ジルコ-ル (第一稀元素化学 工業製:ジルコゾール ZA)、 酸塩化ジルコニウム (第一稀元素化学工業製:ジル コゾール ZC— 2)、 塩ィ匕マグネシウムを用いた以外は同様にして記録用紙 13
1 6を作製し、実施例 1に記載の方法と同様にして各評価を行った。記録用紙 1 3 〜 1 5いずれの記録用紙も、表 1に記載の記録用紙 4と同等の良好な結果を得るこ とができた。水溶性多価金属として塩化マグネシゥムを用いた記録用紙 1 6は発色 性と滲み耐性は記録用紙 3と同レベルであつたが、インク吸収性と濃度安定性は記 録用紙 4と同等の結果を得た。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 インク吸収性、長期保存時の滲み耐性に優れ、 高い画像濃度が 得られると共に印字後の濃度変動が小さい高品位なインクジエツト記録用紙を提 供することができる。