JP2002067474A - インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録方法

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JP2002067474A
JP2002067474A JP2000262969A JP2000262969A JP2002067474A JP 2002067474 A JP2002067474 A JP 2002067474A JP 2000262969 A JP2000262969 A JP 2000262969A JP 2000262969 A JP2000262969 A JP 2000262969A JP 2002067474 A JP2002067474 A JP 2002067474A
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Japan
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ink
paper
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ink receiving
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JP2000262969A
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English (en)
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Takahiko Nojima
隆彦 野島
Keiji Obayashi
啓治 大林
Koji Yamamoto
浩司 山本
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク受容層の膜厚を不要に増大させること
なく、高いインク吸収性が得られ、コックリング耐性、
平滑性に優れ、安価で高画質特性を有する記録用紙のイ
ンクジェットの記録方法の提供。 【解決手段】 紙基材上にインク受容層を有する記録用
紙、水性インクを用いるインクジェット記録方法におい
て、紙基材が重量平均繊維長0.4〜1.2mmである
パルプ繊維を含み、インク受容層が平均粒径3〜200
nmである無機微粒子及び親水性バインダーを含み、且
つX/Y=7〜15であることを特徴とするインクジェ
ット記録方法。但し、Xは紙基材の厚さ(μm)を、Y
はインク液の最大吐出量(ml/m2)を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真画質のプリン
トを形成するインクジェット記録用紙を用いたインクジ
ェット記録方法に関し、詳しくは高いインク吸収速度と
吸収容量を有し、コックリング耐性、平滑性に優れ、画
像濃度が高く、安価で高画質なインクジェット記録用紙
を用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法(以下、単に記
録方法ともいう)は、インクの微小液滴を種々の作動原
理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画
像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、
低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。こ
の方式で従来から問題となっていたノズルの目詰まりと
メンテナンスについては、インクおよび装置の両面から
改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、
コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及し
ている。
【0003】インクジェット記録方法で使用されるイン
クジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)と
しては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やか
であること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった
場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこ
と、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくな
く、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には
要求されている。
【0004】特に、インクジェット記録用紙において、
インク吸収速度が遅い場合には、2色以上のインク液滴
が重なって記録される際に、記録用紙上で液滴がハジキ
現象を起こしてムラになったり、また、異なる色の境界
領域でお互いの色が滲んだりして画質を大きく低下させ
やすいために、記録用紙としては高いインク吸収性を持
たせるようにすることが必要である。
【0005】これらの問題を解決するために、従来から
非常に多くの技術が提案されている。
【0006】例えば、特開昭52−53012号公報に
記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤
させた記録用紙、特開昭55−5830号公報に記載さ
れている支持体表面にインク受容性の塗層を設けた記録
用紙、特開昭56−157号公報に記載されている被覆
層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用
紙、特開昭57−107878号公報に記載されている
無機顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−
110287号公報に記載されている2つの空孔分布ピ
ークを有する記録用紙、特開昭62−111782号公
報に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録用
紙、特開昭59−68292号公報、同59−1236
96号公報及び同60−18383号公報などに記載さ
れている不定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−1
35786号公報、同61−148092号公報及び同
62−149475号公報等に記載されている微粉末層
を有する記録用紙、特開昭63−252779号公報、
特開平1−108083号公報、同2−136279号
公報、同3−65376号公報及び同3−27976号
公報等に記載されている特定の物性値を有する顔料や微
粒子シリカを含有する記録用紙、特開昭57−1409
1号公報、同60−219083号公報、同60−21
0984号公報、同61−20797号公報、同61−
188183号公報、特開平5−278324号公報、
同6−92011号公報、同6−183134号公報、
同7−137431号公報及び同7−276789号公
報等に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリ
カを含有する記録用紙、特開平2−276671号公
報、同3−67684号公報、同3−215082号公
報、同3−251488号公報、同4−67986号公
報、同4−263983号公報及び同5−16517号
公報等に記載されているアルミナ水和物微粒子を含有す
る記録用紙等多数の技術が知られている。
【0007】インクジェット記録用紙としては従来から
種々の記録用紙が用いられている。例えば、普通紙、紙
支持体上に親水性バインダーと無機顔料から成る層を塗
設した各種の塗工紙(アート紙、コート紙、キャストコ
ート紙等)、更にはこれらの紙、透明または不透明の各
種のプラスチックフィルム支持体あるいは紙の両面をプ
ラスチック樹脂で被覆した各種の支持体上に記録層とし
てインク受容層を塗設した記録用紙が用いられている。
【0008】上記インク受容層としては、親水性バイン
ダーを主体に構成されるいわゆる膨潤型のインク受容層
と、空隙層を記録層中に持つ空隙型のインク受容層に大
きく分けられる。
【0009】膨潤型インク受容層の利点はインク溶媒
(水及び高沸点有機溶媒)が完全に蒸発した後では非常
に高い光沢性と高い最高濃度が得られる点にあるが、反
面、インク吸収速度が後述する空隙型記録用紙に比べて
遅く、高インク領域でビーディング等を起こしてザラツ
キの発生による画質が低下しやすい問題があり、更にイ
ンク溶媒、特に高沸点有機溶媒の蒸発が極めて遅いため
に印字後しばらくは親水性バインダー中に高沸点有機溶
媒が残存して親水性バインダーが膨潤した湿潤状態に長
期間置かれることに伴う問題がある。
【0010】具体的には印字後数時間、場合により数日
間は印字表面を強く擦ったり紙などを重ねることができ
ない状況にある。
【0011】一方、空隙型のインク受容層は、記録層中
に空隙を有するために高いインク吸収性を示す。このた
め、膨潤型に比較して高インク領域における画像のビー
ディングが起こりにくく高濃度域において画質の劣化が
少ない。
【0012】また、空隙型のインク受容層は空隙容量が
インク量に対して十分あれば、空隙構造中に有機溶媒が
残存していたとしても、少なくとも表面は印字直後に見
かけ上乾いた状態になり、表面に触れたりプリント同士
を重ね合わせること等も一応可能となる。
【0013】この種のインク受容層としては、比較的透
明性の高い層が形成される点から低屈折率(特に約1.
6以下の屈折率が好ましい)でしかも粒径の小さな微粒
子(特に200nm以下が好ましい)が好ましく用いら
れ、中でもかかる条件を満たすシリカ微粒子が空隙を効
率良く形成し、しかも比較的高い光沢性が得られ、高い
最高濃度の画像が得られることなどから特に好ましく用
いられる。
【0014】上記空隙型のインク受容層を支持体上に有
する記録用紙は、特に高い光沢性、高空隙率、高い最高
濃度が得られる点で優れており、しかも比較的高い平面
性の支持体を使用した場合に高い光沢面を持つ記録用紙
が得られる。
【0015】これら技術の中でも、インク受容層がイン
クを吸収したり保持するための空隙を多く有する層であ
る記録用紙は、インクの吸収性が良好で境界部の滲みが
少なく、高品位な画像が期待できる。
【0016】しかし、空隙構造を有するインク受容層に
おいては元々の皮膜の乾燥容量よりインク吸収量が少な
い。例えば、乾燥膜厚が40μmである皮膜において、
固形分が均一な容積として22μmである皮膜を形成す
るものである場合、空隙量はインクジェット記録用紙1
2当たり0.0001×(40−22)(cm)×1
0000(cm2)=18mlしか有さないことにな
り、記録方式にもよるが最大インク量付近でインク吸収
容量が不足しかねない場合が生じ得る。インク吸収容量
が不足する場合にはインクが溢れ、画像品質を大幅に劣
化させる。
【0017】このような空隙構造を有するインク受容層
を非吸水性の支持体上に設けた場合には、高い濃度の鮮
明な画像が得られるが、多量のインクを十分吸収するた
めには、インク受容層の乾燥膜厚を十分に厚くする必要
が生じる。この場合、皮膜の特性から皮膜の脆弱性(特
に、低湿下のひび割れ)がもたらされる。また、コスト
的にも不利となる。
【0018】また、空隙層を有するインク受容層は、保
存中、特に、高温高湿下での保存中にその空隙容量が変
わったりすることがあるために、空隙層内に空隙が変化
しないような微粒子を含んでいることが好ましい。空隙
層内に微粒子を含有させて空隙を形成させた場合には、
親水性バインダーを含有させることにより皮膜の安定化
を図ることができるが、これらのインク受容層は、親水
性バインダーの膨潤性でインクを受容するようなインク
受容層に比べて皮膜が固くなる。
【0019】しかしこのような記録用紙は、近年特に注
目されているインクジェット記録の利用分野である写真
に近い高品位の画像記録に適していると考えられる。カ
ラーインクジェット記録で得られる画質を写真に近づけ
ようとする試みが近年数多く行われている。
【0020】その中でドットに関する画質向上の最大の
ポイントはドット1個1個が肉眼で識別できないように
することであり、そのためにインクを小液滴化するこ
と、あるいは特にハイライト部でドットの反射濃度を低
くしドットの識別を困難にするため、低染料濃度のイン
クを併用すること等がポイントとなる。
【0021】このために打たれるインクの量は増加の傾
向にあり、インクの吸収容量が不足し溢れることによ
る、画質や乾燥性の低下が見られるようになってきた。
しかし、そのため空隙型のインク受容層を厚くすると、
その皮膜の特性からクラックが発生しやすくなったり、
乾燥能力から塗布スピードを低下したりして、製造コス
トが増大する等の課題が発生した。
【0022】一方、空隙構造を有するインク受容層を吸
水性支持体上に設けた場合には、支持体自身が高い吸収
容量とインク吸収性を持っており、インクの吸収という
観点からは好ましいものであるため、非吸水性の支持体
上に設けた場合に比べて、インク受容層の乾燥膜厚を薄
くすることができる。
【0023】記録用紙として普通紙、上質紙、あるいは
コート紙やキャストコート紙等を使うと支持体中にイン
クが浸透するため、インクの吸収容量としては満足する
ものもあるが、印字部分にインクの吸収・乾燥に起因す
るうねりが発生して印字品質が大きく低下したり、光沢
が低下したり、染料の支持体への浸透で最高濃度が出に
くく鮮明な画像が得にくいという欠点があった。特に、
被記録材料が印字されたインクにより収縮を起こして歪
むコックリングとインク吸収性を両立させることはなか
なか困難である。
【0024】吸水性支持体を用いた記録用紙は、記録時
に支持体にインクが浸透しその後乾燥すると、支持体が
波打ち状になってシワが生じやすい。空隙層を有するイ
ンク受容層を吸水性支持体上に設けた記録用紙では、印
字されたインクにより収縮を起こして歪むコックリング
現象が生じやすく、印字された部分と印字されていない
部分との平滑性が異なることで画質として好ましくな
い。また、紙基材の凹凸に起因して塗工されたインク受
容層の平滑性は劣化しやすい。インク吸収性とコックリ
ング耐性、平滑性を両立させることはなかなか困難であ
る。
【0025】印字されたインクが支持体に浸透しないよ
うに支持体表面にバリヤ層を設けたり、特開平10−4
6498号公報のように、インクが浸透しても支持体が
伸縮しないように耐水化を施す方法が開示されている。
しかし、これらの手法では被記録材料のインク吸収容量
が低下し、インクの溢れや滲みが生じてしまい、良好な
画質を得ることはできない。
【0026】特開平5−51470号公報では、基材と
インク受容層との間に吸油量≧1ml/m2の多孔質層
を設け、インク受容層が数珠状コロイダルシリカ、特定
のグラフトコポリマーと水分散性ポリマーからなること
で、基材との密着性、耐水性、印字品質の改良提案がな
されているが、本発明の紙基材を用いた場合の効果に関
しては提案がなされていない。
【0027】特開平5−85035号公報では、普通紙
基材とインク受容層との間にガラス転移点が30〜60
℃の接着剤と顔料からなる中間層を設けることでボコツ
キが改良されること、特開平8−300806号公報で
は木材パルプから支持体とインク受容層の間に自己接着
性顔料からなるアンカー層を設けることでプリンター搬
送時の擦過性、インク吸収性が改良されることが提案さ
れているが、本発明の効果を得るためには未だ十分なも
のではなかった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実態に
鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、インク
受容層の膜厚を不要に増大させることなく、高いインク
吸収性が得られ、コックリング耐性、平滑性に優れ、安
価で高画質特性を有する記録用紙の記録方法を提供する
ことにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の構成により達成される。
【0030】1.紙基材上にインク受容層を有する記録
用紙、水性インクを用いるインクジェット記録方法にお
いて、紙基材が重量平均繊維長0.4〜1.2mmであ
るパルプ繊維を含み、インク受容層が平均粒径3〜20
0nmである無機微粒子及び親水性バインダーを含み、
且つX/Y=7〜15であることを特徴とするインクジ
ェット記録方法。
【0031】但し、Xは紙基材の厚さ(μm)を、Yは
インク液の最大吐出量(ml/m2)を表す。
【0032】2.インク受容層の塗工量が7〜30g/
2であることを特徴とする前記1に記載のインクジェ
ット記録方法。
【0033】3.インク受容層がカチオン性ポリマー又
はカチオン性微粒子から選ばれる少なくとも1種の化合
物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載のイ
ンクジェット記録方法。
【0034】4.紙基材がインク受容層を形成する塗工
液をゲル化させることができるゲル化剤が付与された紙
基材であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項
に記載のインクジェット記録方法。
【0035】5.紙基材とインク受容層との間に、親水
性バインダーを主成分として0.01〜5g/m2含有
する非多孔質の中間層を有するインクジェット記録用紙
を用いることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に
記載のインクジェット記録方法。
【0036】6.紙基材上に平均粒径10〜1000n
mの微粒子を含有する多孔質性中間層を形成した後に、
平均粒径3〜200nmである無機微粒子及び親水性バ
インダーを有するインク受容層を設けることを特徴とす
る前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記
録方法。
【0037】7.中間層にインク受容層を形成する塗工
液をゲル化させることができるゲル化剤を付与させるこ
とを特徴とする前記5又は6に記載のインクジェット記
録方法。
【0038】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明のインクジェット記録用紙の紙基材について説明す
る。
【0039】本発明の重量平均繊維長は、JAPAN
TAPPI紙パルプ試験方法No.52に準拠して測定
した値である。
【0040】本発明のインクジェット記録用紙の多孔質
基材は、重量平均繊維長が0.4〜1.2mmであるパ
ルプから構成された原紙であることが特徴であり、好ま
しくは重量平均繊維長が0.5〜0.9mmであり、よ
り好ましくは0.55〜0.65mmである。重量平均
繊維長が0.4mm未満の場合にはコックリングの劣化
が大きく、1.2mmを超えると平滑性が劣化するため
好ましくない。
【0041】後の重量平均繊維長を調整する方法として
は、本発明範囲内の繊維長の樹種から製造したパルプを
用いる方法と、叩解で繊維長を調整する方法があるが、
後者の方が実用的である。叩解に使用される設備として
は、ビーター、コニカルリファイナー、ディスクリファ
イナー等をカッティング叩解が起こりやすい条件に設定
して使用することができる。
【0042】多孔質基材の原料としては、LBKP、N
BKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TM
P、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP
等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが
使用可能であるが、広葉樹パルプを使用するのが好まし
い。広葉樹パルプとしてはクラフトパルプ、サルファイ
トパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、ケミメカニカ
ルパルプ等を単独あるいは数種類併用しても良い。ま
た、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の
各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来
る。
【0043】また、白色度の向上の点から、原料である
パルプに過酸化物等による漂白処理が施されるのが好ま
しい。漂白処理は、パルプを蒸解後、塩素処理、アルカ
リ処理もしくは抽出あるいは精製、次亜塩素酸塩漂白、
二酸化塩素漂白及びそれらの組み合わせ多段漂白処理、
さらに必要に応じてハイドロサルファイト、水素化ホウ
素ナトリウムなどによる還元漂白の後に、施されるのが
好ましい。更に好ましくは、アルカリ性での過酸化物漂
白処理は、パルプを蒸解後、従来公知のパルプ漂白処理
後に最後のパルプ漂白処理として施されるのがよいが、
アルカリ処理もしくは抽出あるいは精製を更に施しても
よい。
【0044】紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔
料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、
カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加すること
ができる。サイズ剤としては必要に応じて高級脂肪酸、
アルキルケテンダイマー、ロジン、パラフィンワック
ス、アルケニルコハク酸、石油樹脂エマルジョン等のサ
イズ剤を添加することができる。顔料としては炭酸カル
シウム、タルク、酸化チタン、尿素樹脂微粒子等が、紙
力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カ
チオン性高分子電解質等が挙げられるがこれに限定され
るものではない。
【0045】紙基材は前記の木材パルプなどの繊維物質
と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツイ
ンワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができ
る。
【0046】また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後
にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処
理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理
したりすることも出来る。
【0047】紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS
−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJI
S−P−8143に規定される条件で20〜200gが
好ましい。
【0048】紙のpHはJIS−P−8113で規定さ
れた熱水抽出法ににより測定された場合、5〜9である
ことが好ましい。
【0049】支持体の厚さは種々検討した結果、写真の
風合いを出すためには160μm以上が好ましく、より
好ましくは180μm以上であり、特に好ましくは20
0μm以上である。160μmより薄いと印字部分がう
ねり状になりやすく印字品質が低下することがある。特
に上限はないが、取り扱いの点から300μm以下が好
ましい。
【0050】本発明においては、多孔質基材上に3〜2
00nmである無機微粒子と親水性バインダーを含有す
る空隙層をインク受容層として少なくとも1層有する。
【0051】インク受容層の付量は一般に被膜の空隙率
や要求される空隙量により決まるが、本発明のインクジ
ェット記録用紙では乾燥時の固形分塗工量が7g/m2
以上、30g/m2以下であることが好ましい。インク
受容層の乾燥時の固形分塗工量が7〜30g/m2なら
ば、コックリング、光沢性が好ましく、最高濃度が高く
なり、空隙層の塗布後の乾燥時に皮膜が収縮する過程
で、発生し得る皮膜のクラック発生が抑制しやすくな
る。また、乾燥負荷が小さく生産性がよくなったり、製
造コストが下がるというメリットがある。
【0052】用いることができる微粒子の例としては、
例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸
化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪
酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マ
グネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ア
ルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化ア
ルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウ
ム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0053】無機微粒子は、1次粒子のままでも、ま
た、2次凝集粒子を形成した状態でも使用することがで
きるが、高い光沢性を得る観点からすると、インク受容
層中における平均粒径が100nm以下の無機微粒子を
用いることが必要であり、好ましい平均粒径は40nm
以下である。
【0054】ここで平均粒径は、無機微粒子分散液その
ものを希釈してまたはインク受容層中の無機微粒子を電
子顕微鏡写真で撮影し、任意の100個の粒子の面積を
測定し、その面積に等しい円を想定し、その円の直径で
表した粒径を用いて得ることができる。
【0055】表面がアニオン性の無機微粒子にカチオン
性ポリマーを添加した場合、カチオン性ポリマーが無機
微粒子表面に留まって不動化し、その不動化されたカチ
オン性ポリマーに定着されて染料が不動化するものと推
定される。
【0056】無機微粒子としては、表面がアニオン性で
染料に対して定着性を有しない無機微粒子および染料に
対して定着性を有する表面がカチオン性の無機微粒子の
いずれも使用することができる。
【0057】本発明においては、低コストであることや
高い反射濃度が得られる低屈折率の微粒子であること等
から、表面がアニオン性の無機微粒子としては気相法で
合成されたシリカまたはコロイダルシリカが好ましい。
【0058】上記表面がカチオン性の無機微粒子には、
特開平8−34160号公報に記載されているような、
第4級アンモニウム塩基を有するシランカップリング剤
を無機微粒子の表面にカップリングさせて表面電荷をカ
チオン性に変換した無機微粒子も含まれる。
【0059】上記微粒子としては、低屈折率で粒径の小
さな微粒子が好ましく、例えば、シリカ、コロイダルシ
リカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ベーマイト水
酸化アルミニウムまたはその水和物等の微粒子が挙げら
れるが、好ましくはシリカ微粒子である。
【0060】シリカ微粒子としては、気相法により合成
されたシリカ微粒子を用いることが本発明の目的を特に
効果的に達成するために好ましい。気相法により合成さ
れたシリカ微粒子とは、ハロゲン化珪素を高温で気相法
加水分解によって得られるもの、ケイ砂とコークスを電
気炉でアーク法により加熱還元気化しこれを空気酸化し
て得られるもの等が知られている。本発明においては、
気相法により合成されたシリカであればいかなる製造方
法のものを用いてもよい。
【0061】本発明で用いる微粒子の平均粒径は、3n
m〜200nmであることが本発明の目的を達成するた
めに必要であり、100nm以下が好ましい。また、該
微粒子は、1次粒子のままでバインダー中に均一に分散
された状態で用いられることも、また2次凝集粒子を形
成してバインダー中に分散された状態で用いられてもよ
いが後者がより好ましい。
【0062】なお、該微粒子が気相法により合成された
シリカ微粒子である場合には、その一次平均粒径が、3
〜100nmであることが好ましく、更には特に6〜2
0nmであることが好ましい。
【0063】上記において微粒子の平均粒径は、粒子そ
のものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察
し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均
値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径は
その投影面積に等しい円を仮定したときのその直径で表
したものである。
【0064】インク受容層に用いる親水性バインダーの
例としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエ
チレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラ
ン、デキストリン、カラーギーナン(λ、ι等)、寒
天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が
挙げられる。
【0065】これらの親水性バインダーは2種以上併用
することも可能である。本発明で好ましく用いられる親
水性バインダーはポリビニルアルコールである。
【0066】本発明で好ましく用いられるポリビリルア
ルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる
通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変
性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するア
ニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルア
ルコールも含まれる。
【0067】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは平均重合度が1000以上のものが好
ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜500
0のものが好ましく用いられる。
【0068】ケン化度は70〜100%のものが好まし
く、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0069】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号公報に記載され
ているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウ
ム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールが挙げられ、これらはカチオン
性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの
共重合体をケン化することにより得ることができる。
【0070】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルア
ミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、N,N,N−トリメチル−(3−メタクリルアミド
プロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジ
メチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド
等が挙げられる。
【0071】カチオン変性ポリビニルアルコールにおけ
るカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対
して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%
である。
【0072】アニオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開平1−206088号公報に記載され
ているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコー
ル、特開昭61−237681号公報および同63−3
07979号公報に記載されているようなビニルアルコ
ールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び
特開平7−285265号公報に記載されているような
水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられ
る。
【0073】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0074】ポリビニルアルコールは重合度や変性の種
類などが違う2種類以上を併用することもできる。
【0075】本発明の記録用紙の空隙層の親水性バイン
ダーに対する無機微粒子の比率は高い空隙率と高い皮膜
強度を得ることができるという点から、質量比で3倍以
上であることが好ましい。3倍以上であれば十分なイン
ク吸収容量が得られる高空隙率が達成でき、また、イン
クジェット記録後の十分な皮膜強度が得られる。この点
から、更に好ましくは、無機微粒子の親水性バインダー
に対する質量比は6以上である。
【0076】一方、空隙層の塗布後の乾燥時に皮膜が収
縮する過程で、皮膜の剛性が高すぎるために、支持体表
面の微少なうねりや凹凸により局所的に皮膜に微小なク
ラックが入ることがあり、本発明インクジェット記録用
紙の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率の上限
は、概ね8以下であることが好ましい。
【0077】本発明に用いられる硬膜剤としては、ホウ
酸及びその塩が好ましいが、公知のものが使用でき、一
般的には親水性バインダーと反応し得る基を有する化合
物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反
応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの
種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0078】硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキ
シ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロ
ヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキ
シアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グ
リセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系
硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性
ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ
−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合
物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−
s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル
等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0079】ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心
原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的に
は、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、
五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられ
る。
【0080】硬膜剤としてのホウ素原子を有するホウ酸
およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を
混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホ
ウ砂の混合水溶液である。
【0081】ホウ酸とホウ砂の水溶液はそれぞれは比較
的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混
合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を
濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを
比較的自由にコントロールすることが出来る利点があ
る。
【0082】上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダ
ー1g当たり1〜200mg、好ましくは2〜100m
gである。
【0083】本発明の記録用紙のインク受容層中に表面
がアニオン性である微粒子を使用する場合には、画像の
耐水性や耐滲み性を改良する点から染料に定着性を有す
る第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有する
カチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。
【0084】また、インク受容層以外に支持体もインク
吸収が可能で、かつ、支持体の厚みの大きい本発明の場
合、インク中の染料をインク受容層に媒染するという点
から見ても好ましい。
【0085】カチオン性ポリマーとしては公知のポリマ
ーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミ
ン、ポリアリルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレ
ンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリン
の縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポ
リビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム
塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙
げられるが、特に、特開平10−193776号公報、
同10−217601号公報、同11−20300号公
報および特願平10−178126号明細書等に記載さ
れているものが好ましい。
【0086】本発明においては、カチオン性ポリマーは
特に限定なく使用可能であるが、特に好ましいものは、
重量平均分子量が2000〜10万のものである。
【0087】ポリマー媒染剤としては第1級〜第3級ア
ミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するカチオン
性ポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光
性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことな
どから、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポ
リマー媒染剤が好ましい。
【0088】本発明のカチオン性ポリマーは好ましくは
第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に
好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの
単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモ
ノマーとの共重合体である。
【0089】第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
の例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0090】
【化1】
【0091】
【化2】
【0092】上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得
るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であ
り、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0093】
【化3】
【0094】次に本発明のカチオン性ポリマーの具体例
を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
【化4】
【0096】
【化5】
【0097】
【化6】
【0098】
【化7】
【0099】特に第4級アンモニウム塩基を有するカチ
オン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノ
マーの比率は通常10モル%以上、好ましくは20モル
%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0100】第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
は単一でも2種類以上であっても良い。
【0101】上記第4級アンモニウム塩基を有するカチ
オン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶
性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基
を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に
溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混
合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば
本発明には使用できる。
【0102】ここで水混和性有機溶媒とは、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール
などのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し
得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水
の使用量以下であることが好ましい。
【0103】ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーから求められたポリエチレン
グリコール値に換算した値である。
【0104】カチオン性ポリマーの溶液を、表面アニオ
ン性の微粒子含有分散液に添加する際、凝集物が激しく
発生してしまうことがあり得るが、カチオン性ポリマー
の質量平均分子量が10万以下の場合にはこのような現
象が起こりにくく、従って、粗大粒子をあまり含まな
い、ほぼ均一な分散液が得られ易い。このような分散液
を使用して作製したインクジェット記録用紙には、優れ
た光沢性が期待できるのである。同様の観点から、上記
重量平均分子量は5万以下であると更に好ましい。
【0105】重量平均分子量の下限は染料の耐水性の点
から通常2000以上である。上記微粒子とカチオン性
ポリマーの比率は、微粒子の種類や粒径、あるいはカチ
オン性ポリマーの種類や重量平均分子量で変わり得る。
【0106】本発明においては、上記比率は微粒子の表
面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要がある
ことから、通常1:0.01〜1:1であることが好ま
しい。
【0107】上記の範囲であれば、微粒子のアニオン成
分がカチオン成分によって完全に被覆されるので、微粒
子のアニオン部分とカチオン性ポリマーのカチオン部分
とがイオン結合して粗大な粒子を形成するようなおそれ
も生じない。
【0108】このカチオン性ポリマーの添加量は無機微
粒子1に対して質量比で概ね0.01〜0.3であり、
特に、0.05〜0.2が好ましい。
【0109】無機微粒子としては、表面がカチオン性で
あり染料定着性を有する無機微粒子が好ましい。表面が
カチオン性である無機微粒子としては、カチオン表面処
理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイ
ダルシリカ、およびアルミナ、コロイダルアルミナ、擬
ベーマイト等を用いることができる。
【0110】上記表面がカチオン性の無機微粒子には、
特開平8−34160号公報に記載されているような、
第4級アンモニウム塩基を有するシランカップリング剤
を無機微粒子の表面にカップリングさせて表面電荷をカ
チオン性に変換した無機微粒子も含まれる。
【0111】本発明のインクジェット記録用紙のインク
受容層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添加剤
を含有させることが出来る。
【0112】例えば、特開昭57−74193号公報、
同57−87988号公報及び同62−261476号
公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号
公報、同57−87989号公報、同60−72785
号公報、同61−146591号公報、特開平1−95
091号公報及び同3−13376号公報等に記載され
ている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオン
の各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同
59−52689号公報、同62−280069号公
報、同61−242871号公報および特開平4−21
9266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、
リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチ
レングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止
剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることも
できる。
【0113】空隙容量とは、空隙層の乾燥膜厚から空隙
層中のバインダーや各種の充填剤等の固形分の容量の総
量を差し引いた値である。例えば、無機微粒子(比重
2.0)6g/m2と親水性バインダー(比重1.0)
1g/m2、カチオン性ポリマー媒染剤(比重1.0)
1g/m2からなる空隙層が、乾燥膜厚10μmである
ときその空隙容量は下式の様にして5ml/m2と求め
られる。
【0114】10−(6/2.0)−(1/1.0)−
(1/1.0)=5 本発明の記録用紙は、前記した空隙層を有する記録層を
2層以上有していても良く、この場合、2層以上の空隙
層の無機微粒子の親水性バインダーに対する比率はお互
いに異なっていてもよい。
【0115】また、上記空隙層以外に、空隙を有さず、
インクに対して膨潤性の層を有していても良い。
【0116】このような膨潤層は空隙層の下層(支持体
に近い側)あるいは空隙層の上層(支持体から離ゲル化
手段れた側)に設けても良く、更には空隙層が2層以上
有る場合には空隙層の間に設けられても良い。かかる膨
潤性層には通常親水性バインダーが用いられ、ここに用
いられる親水性バインダーの例としては、前記空隙層に
用いられる親水性バインダーが挙げられる。
【0117】次に、本発明のインク受容層塗工時に多孔
質基材表面でインク受容層をゲル化させるゲル化剤、及
びゲル化剤の付与方法について説明する。
【0118】本発明のゲル化剤、及びゲル化剤の付与方
法とは、基材表面、非多孔質の中間層、又は多孔質性中
間層にインク受容層が塗工される際、インク受容層が基
材表面でゲル化し、基材内部へのインク受容層塗工液の
浸透を抑制することにより、本発明の効果を発現させる
ものである。
【0119】基材表面、非多孔質の中間層の表面又は多
孔質性中間層の表面でインク受容層をゲル化させる手段
としては、 金属塩の付与による基材の膜面pH調整;膜面pH≧
8.0、または膜面pH≦3.0に調整する、 40℃、15℃での各々の粘度の比が(η15/η4
0)≧100、η40≧100cpとなるような組成の
インク受容層塗工液を使用する、 ホウ酸及び/又はホウ砂の付量が0.1g/m2以上
になるように基材表面にプレコートする、 インク受容層に使用されている親水性バインダーをゲ
ル化するゲル化剤を付与する、 基材表面にカルボキシメチルセルロース、アクリル酸
グラフト化デンプン等の水溶性のアニオン性ポリマーを
予備コートした後、カチオン性成分を含有するインク受
容層塗工液を塗工する、などの手段を挙げることができ
る。
【0120】基材表面の膜面pH≧8.0に調整する手
段としては、基材表面にアルカリ性金属塩を付与させる
方法等が挙げられる。
【0121】アルカリ金属塩の具体例としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;ケイ
酸ナトリウム等のケイ酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム等の炭酸塩及び炭酸水素塩;リン酸ナトリウ
ム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩;ホウ酸ナト
リウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;アルミン酸ナト
リウム、アルミン酸カリウム等のアルミン酸塩、炭酸ジ
ルコニウムアンモニウム等を挙げることができる。これ
らのアルカリ金属塩を基材に付与させるには、該アルカ
リ金属塩を水に溶解した水溶液を基材表面に塗布するこ
とにより付与できる。
【0122】アルカリ金属塩の水溶液としては、グリシ
ン/水酸化ナトリウム、塩化カリウム/水酸化ナトリウ
ム等のバッファー溶液として付与することは好ましい。
【0123】基材表面の膜面pH≦3.0に調整する手
段としては、基材表面に酸性金属塩を付与させる方法等
が挙げられる。酸性金属塩の具体例としては、例えばオ
キシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等を挙げるこ
とができる。酸性金属塩を基材に付与させるには、アル
カリ金属塩の場合と同様に、水に溶解した水溶液を基材
表面に塗布することにより付与できる。
【0124】金属塩を基材に付与させる場合には、金属
塩の付量が0.1〜5g/m2になることが好ましい。
【0125】また、インク受容層の親水性バインダーの
ゲル化剤を付与する場合にも、付量が0.1〜5g/m
2になることが好ましい。例えば、インク受容層のバイ
ンダーとしてポリビニルアルコール、及び/又は各種の
変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ホウ酸
塩を基材に付与させておくことが好ましい。
【0126】次に、本発明の紙基材とインク受容層の間
に設けられる、主として親水性バインダーから形成され
る非多孔質の中間層について説明する。
【0127】本発明の非多孔質の中間層は、インクを吸
収して膨潤する層であるが、この層が無制限に膨潤する
様な層である場合には、インクジェット記録時に画像部
に小さなシワが寄ったりあるいはひび割れが生じやす
い。このため、本発明のインクジェット記録用紙におい
ては、塗工量が0.01〜5g/m2である必要があ
る。
【0128】非多孔質の中間層に用いられる親水性バイ
ンダーとしては、例えば、ゼラチンまたはゼラチン誘導
体、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上
が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたは
その誘導体(平均分子量が約2万以上が好ましい)、ポ
リエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ま
しい)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアク
リル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カ
ラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ロー
カストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、プルラ
ン、特開平7−195826号および同7−9757号
に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマ
ー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭6
2−245260号に記載のカルボキシル基やスルホン
酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニ
ルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを
挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独
で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0129】好ましい親水性バインダーはゼラチンまた
はその誘導体である。ゼラチンは酸処理ゼラチンやアル
カリ処理ゼラチンのいずれも用いることができる。
【0130】ゼラチン誘導体は、ゼラチンを無水フタル
酸などの酸無水物やフェニルイソシアネートなどのイソ
シアネート類で処理してゼラチンのアミノ基を封鎖して
得られるゼラチン誘導体が好ましく用いられる。
【0131】特に後述するカチオン性媒染剤を使用する
場合にはゼラチンおよびゼラチン誘導体の中でも酸処理
ゼラチンを使用するのが好ましく、特に等電点が6以上
の酸処理ゼラチンが好ましく用いられる。
【0132】非多孔質の中間層が含有する親水性バイン
ダーに対する上記ゼラチンおよびゼラチン誘導体の比率
は30〜100質量%が好ましく、特に50〜100質
量%用いるのが好ましい。
【0133】非多孔質の中間層が含有する親水性バイン
ダーの量はインクジェット記録用紙1m2あたり0.0
1〜5gであることが好ましく、0.01g未満の場
合、本発明の効果であるコックリング、平滑性、光沢を
良化させる効果が小さくなる。
【0134】また、5gを越える場合には印字部分にシ
ワやひび割れが発生しやすくなる。非多孔質の中間層に
は硬膜剤と反応して架橋し得る親水性バインダーが好ま
しく用いられる。そのような親水性バインダーは硬膜剤
の種類により変わるが、非多孔質の中間層が含有する親
水性バインダーの総量の30質量%以上は硬膜剤と架橋
し得る親水性バインダーであるのが好ましい。
【0135】親水性バインダーと反応し得る硬膜剤とし
ては、親水性バインダーが有する水酸基やアミノ基など
と反応し得る化合物が用いられる。そのような硬膜剤と
しては、クロム化合物、アルミニウム化合物、ホウ酸な
どの無機化合物、エポキシ基、エチレンイミノ基、ビニ
ルスルホン基、アクリロイル基、ホルミル基などを有す
る有機硬膜剤が用いられる。
【0136】前述のカチオン性のポリマー媒染剤または
非ポリマー媒染剤を含有する場合には媒染剤との凝集防
止や媒染剤の媒染能力を低下させないために、無機硬膜
剤あるいはノニオン性またはカチオン性の有機硬膜剤を
使用することが好ましい。
【0137】上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーや
硬膜剤の種類により異なるが、一般には架橋し得る親水
性ポリマー1gに対して通常1〜200mg、好ましく
は5〜100mgである。
【0138】硬膜剤の添加量の目安は一般には上記の量
であるが、非多孔質の中間層の硬膜度が以下に従って求
められる方法で測定した場合に通常0.5〜5の範囲に
なるように決められるのが好ましい。
【0139】すなわち、非吸水性支持体上に第1層のみ
を塗布乾燥し、硬膜させた試料を30℃の純水中に1分
間浸漬した時の吸水質量を皮膜の親水性バインダーの質
量で割った値を硬膜度と言う。
【0140】硬膜度は好ましくは5以下であるが、0.
5未満の場合にはインク吸収量の増大効果が小さく、5
を越える場合にはインクジェット記録時にシワやひび割
れが発生しやすくなる。より好ましい硬膜度は0.7〜
3である。
【0141】非多孔質の中間層は実質的に空隙を有して
いないことが必要である。ここで実質的に空隙を有して
いないと言うことは、硬膜されている膨潤性中間層の最
大吸水量に対する膨潤性中間層が有している空隙容量が
20%以下であることを本発明では言う。
【0142】具体的には膨潤性中間層には2次凝集した
微粒子シリカ等の無機微粒子を添加することにより空隙
が形成されることがあるが、これらの空隙容量が小さい
場合には親水性バインダーの膨潤作用により封鎖される
ために本来の空隙であるインク吸収速度にはほとんど影
響を与えない。
【0143】非多孔質の中間層の空隙容量が増大してく
ると記録用紙全体の膜厚が増大してくるためにこれに伴
う皮膜の脆弱性が低下するようになる。
【0144】非多孔質の中間層は親水性バインダーの組
成や添加剤の種類の異なる2以上の親水性バインダーを
有しても良い。
【0145】多孔質性中間層を積層させたものも含まれ
る。この場合、硬膜度や親水性バインダーの量はこれら
複数の親水性バインダー層全体について設定される。
【0146】次に、本発明の紙基材とインク受容層の間
に設けられる多孔質性中間層について説明する。
【0147】本発明の多孔質性中間層は、平均粒径3〜
1000nmの微粒子を含有することを特徴とする。
【0148】さらに、詳しくは、多孔質性中間層に含有
される添加剤は、(1)無機微粒子と親水性バインダ
ー、(2)有機微粒子と親水性バインダー、(3)有機
微粒子と疎水性バインダー、(4)自己架橋性樹脂と微
粒子、(5)自己架橋性樹脂と微粒子とコロイダルシリ
カ複合体エマルジョン、(6)微粒子とコロイダルシリ
カ複合体エマルジョン、(7)コロイダルシリカ複合体
エマルジョンを含むことが好ましく、架橋剤、もしくは
架橋反応により耐水化されているものがより好ましい。
【0149】微粒子としては、公知の微粒子を1種以上
用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重
質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸
化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸ア
ルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネ
シウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミ
ナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミ
ニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水
酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラ
スチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメン
ト、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂などの有機顔料などが挙げられる。
【0150】特に、インク吸収容量を確保する点からは
多孔質の微粒子が好ましい。インク吸収性を生じさせる
ためはコロイダルシリカが好ましく、下記に示す形状の
コロイダルシリカがより好ましい。
【0151】より好ましいコロイダルシリカとは、球状
のコロイダルシリカが数珠状に連結(複数の球状コロイ
ダルシリカが連鎖状につながった形状)した長鎖の構造
を有するもの、および連結したシリカが分岐したものお
よび/または屈曲したものであり、表面にうねり構造を
有するものを得ることができる。
【0152】上記コロイダルシリカは球状シリカの1次
粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子ー粒子間を
連結させたもので、少なくとも3個以上、好ましくは5
個以上、更に好ましくは7個以上連結したものをいい、
更には数珠状に連結した粒子が分岐したものおよび/ま
たは屈曲したものも包含する。
【0153】また、コロイダルシリカと他の無機粒子、
例えばアルミナ、セリア、チタニアなどとの複合あるい
は混合粒子であっても良く、これらを介在させて連結し
たものでも良い。介在させる金属イオンとしては2価以
上の金属イオンが好ましく、例えばCa2+、Zn2+、M
2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などである。特にCa 2+
とした場合には、数珠状に連結および分岐したコロイダ
ルシリカを作製するのに好適である。
【0154】またコロイダルシリカの1次粒子は5nm
〜100nm、好ましくは7nm〜50nm、更に好ま
しくは8nm〜30nmである場合、インク吸収性の点
で好ましい。
【0155】さらにうねり構造はシリカ粒子が数珠状に
連結および分岐している場合に発現するものであり、連
結したシリカの1次粒子数が多いほど好ましいが通常は
3個以上100個未満、好ましくは5個以上50個未
満、更に好ましくは7個以上30個未満であるのが望ま
しい。2個以下ではうねりの発現が不十分であり、10
0個以上の場合には数珠状に連結および/又は分岐した
シリカ粒子が増粘しやすく水分散性が悪くなる傾向にあ
る。
【0156】数珠状に連結および/又は分岐したシリカ
粒子の中間層中での含有率は3〜80質量部、好ましく
は10〜70質量部、更に好ましくは20〜60質量部
であるのが良い。含有率が3質量部未満ではうねりの発
現がないためインク吸収性が遅くなる傾向に有る。80
質量部を越えて含有させた場合には塗膜強度が低下する
などの欠点を生じやすくなる。
【0157】尚、上記数珠状に連結したコロイダルシリ
カの場合には電子顕微鏡で観察される連結粒子の中間層
バインダーの短軸方向の長さを粒子径とし、測定長10
0点の平均値を平均粒子径とする。
【0158】本発明の中間層には本発明の効果を損なわ
ない範囲でバインダーを用いることができ、ここに用い
られる水溶性バインダーの一例としは、前記インク受容
層に用いられるバインダーが挙げられる。
【0159】また、本発明のインクジェット記録用紙に
おいて、多孔性の疎水性樹脂層は、記録時にインク受容
層から支持体へのインク吸収を妨げることのないよう
に、層内に、インク受容層側の界面から支持体側の界面
に至る多数の連続孔を有している。多孔性の疎水性樹脂
層を形成する疎水性樹脂としては、ポリオレフィン樹
脂、アセテート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビ
ニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、
アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ナイロン等や、これらの混合物等の、公知の疎
水性樹脂を用いることができる。
【0160】疎水性樹脂層を多孔性にする方法として
は、樹脂成分を発泡剤やガスなどにより発泡させて孔を
形成する方法(発泡法)、樹脂フィルムを延伸処理する
ことにより孔を形成する方法(延伸法)、樹脂の良溶媒
と貧溶媒を用いて樹脂成分をミクロ相分離させて孔を形
成する方法(相分離法)、樹脂フィルムに放射線を照射
して孔を形成する方法(放射線照射法)、樹脂粒子をそ
の粒子間に間隙が生じるように部分融着したりバインダ
ーなどで固めて孔を形成する方法(焼結法)、溶剤に可
溶な成分と前記溶剤に不溶な樹脂成分からフィルムを形
成し前記溶剤により可溶成分を溶出除去して孔を形成す
る方法(溶出法)等を用いることができる。
【0161】本発明において、多孔性の疎水性樹脂層
は、疎水性樹脂成分を支持体上に設置し、それと同時に
またはその後に支持体上で孔を形成させてもよいし、疎
水性樹脂成分から多孔性のフィルムを形成した後、支持
体上に設置してもよい。前者の場合、疎水性樹脂成分を
支持体上ヘ設置する方法としては、疎水性樹脂成分を支
持体上に押し出しコーティングする方法、疎水性樹脂成
分を含有する塗布液を塗布する方法等を用いることがで
きる。また、後者の場合、多孔性フィルムを支持体上に
設置する方法としては公知のラミネーション法を用いる
ことができる。
【0162】本発明において、多孔性の疎水性樹脂層の
膜厚は5〜30g/m2であることが好ましい。5g/
2未満の場合、記録により生じる画像状のシワの発生
の抑制効果が低下し、インク受容層のひび割れが生じや
すくなる。また、30g/m 2を越えると記録用紙にカ
ールが生じやすくなる。
【0163】本発明の多孔性の疎水性樹脂層には、必要
に応じて、各種の添加剤を添加することができる。例え
ば、ルチル型やアナターゼ型の酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナなどの白色顔
料や、先に、インク受容層用の添加剤として挙げたもの
を添加することができる。
【0164】また、本発明においては、多孔性の疎水性
樹脂層とその上に設ける層の接着強度を大きくする等の
目的で、多孔性の疎水性樹脂層上にコロナ放電処理や下
引処理等を行うことができる。
【0165】本発明のインクジェット記録用紙は、2層
以上のインク受容層を有していてもよく、また、インク
(自己架橋型樹脂)吸収と多孔性の疎水性樹脂層以外の
層を有することもできるが、そのうちの少なくとも1層
は微粒子を含有する空隙層であることが必要であり、ま
た、そのうちの少なくとも1層は多孔性の疎水性樹脂層
であることが必要ある。
【0166】次に、本発明の中間層に用いられる自己架
橋型樹脂について説明する。自己架橋型樹脂としては、
自己架橋型の合成高分子ラテックスが好ましく、例え
ば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレ
ート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラ
テックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステ
ルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合ラテック
ス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル重合体ラテ
ックス、或いはこれら各種重合体のカルボキシル基等の
官能基含有単量体による官能基変性重合ラテックスであ
り、例えばアミノ基とエポキシ基を有し水揮発後に耐水
性を有する膜を形成するエマルジョンが挙げられる。
【0167】自己架橋型を有するエマルジョンの具体例
としては、例えばクラリアントポリマー社製のアクリル
共重合エマルジョンであるモビニール747、モビニー
ル760H、モビニール4700、モビニール761
H、モビニール718、モビニール2000、モビニー
ル3410、酢酸ビニル共重合エマルジョンであるモビ
ニール771H、モビニール78H、酢酸ビニル・アク
リル共重合エマルジョンであるアプレタン2200等が
挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0168】自己架橋型樹脂の配合量としては、顔料1
00質量部に対して、3〜70質量部、好ましくコロイ
ダルシリカ複合エマルジョンは、5〜50質量部であ
り、3質量部未満はインク受理層の塗層強度不足するし
70質量部を越えるとイク収性が低下する場合がある。
【0169】次に、中間層には好ましく用いられるコロ
イダルシリカ複合エマルジョンについて説明する。
【0170】本発明に好ましく用いられるコロイダルシ
リカ複合エマルジョンとは、粒子の中心部が上記重合体
或いは共重合体等を主成分としてなり、特開昭59−7
1316号公報、特開昭60−127371号公報にて
公開されたコロイダルシリカの存在下でエチレン性不飽
和結合を有するモノマーを従来公知の乳化重合法で重合
して得られる。該複合体エマルジョンに適用されるコロ
イダルシリカの粒子径としては40nm未満のものが好
ましい。
【0171】因みに、ガラス転移点が30℃を超えるも
のは光沢を有する造膜性、ジエチレングリコール/トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル/水の混合溶液
の吸収性が本発明の効果を損なう場合があり、また、−
30℃未満のものは耐ブロッキング適性の面で好ましく
ない。
【0172】この複合エマルジョンの調製に用いられる
コロイダルシリカとしては、通常2〜100μmの一次
粒子のものが挙げられる。エチレン性モノマーとして
は、例えば炭素数が1〜18個のアルキル基、アリール
基、或いはアリル基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、エチレン、ブタジエン等のラ
テックス業界で公知の材料が挙げられ、必要に応じて更
にコロイダルシリカとの相溶性をより良くするためにビ
ニルトリメトオキシシラン、ビニルトリエトオキシシラ
ン、γ−メタクリロオキシプロピルトリメトオキシシラ
ン等の如きビニルシランが、また、エマルジョンの分散
安定に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、クロトン酸等のアニオン性モノマーが助
剤的に使われる。なお、エチレン性モノマーは必要に応
じて2種類以上を併用することができる。
【0173】また、乳化重合におけるエチレン性モノマ
ー/コロイダルシリカの比率は固形分比率で100/1
〜200であることが好ましい。
【0174】本発明に使用されるコロイダルシリカ複合
体エマルジョンの中でより好ましいものとしては、ガラ
ス転移点が−30〜30℃の範囲のものが挙げられる。
また、組成的に好ましいものとしては、アクリル酸エス
テル、或いはメタクリル酸エステルをエチレン性モノマ
ーとして選択したものが挙げられ、特に好ましいものと
しては(メタ)アクリル酸エステルとスチレンの共重合
体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)ア
クリル酸アラルキルエステルの共重合体、(メタ)アク
リル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アリール
エステル共重合体が挙げられる。
【0175】乳化重合で使われる乳化剤としては、例え
ばアルキルアリルポリエーテルスルホン酸ソーダ塩、ラ
ウリルスルホン酸ソーダ塩、アルキルベンゼンスルホン
酸ソーダ塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル硝酸ソーダ塩、アルキルアリルスルホサクシネートソ
ーダ塩、スルホプロピルマレイン酸モノアルキルエステ
ルソーダ塩等が挙げられる。
【0176】自己架橋型エマルジョン/コロイダルシリ
カの平均粒子径比は2/1〜1000/1、好ましくは
5/1〜500/1、更に好ましくは10/1〜200
/1であるのがインク吸収性の点で特に好ましい。
【0177】本発明の記録用紙のインク受容層を有する
側と支持体に対して反対側には、カール防止や印字直後
に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上さ
せるために種々の種類のバック層を設けてもよい。
【0178】以上の構成を有する本発明の記録用紙は例
えば以下の方法によって得ることが出来る。まず、前記
の空隙層形成用の材料を適当な溶媒、例えば水、アルコ
ールあるいは各種有機溶媒に添加して塗布液を調製し、
これを前記吸水性支持体に塗布し、乾燥させて空隙層と
する。
【0179】インク受容層、中間層を支持体上に塗布す
る方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来
る。塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッド
バーコーティング法、エアナイフコーティング法、ブレ
ードコーター法、スプレーコーティング法、カーテン塗
布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報記
載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が
好ましく用いられる。
【0180】インク受容層の塗布後の乾燥は、いったん
冷却して塗布液の粘度を増大させるか、ゲル化させてか
ら温風を吹き付けて乾燥させるのが好ましい。
【0181】インク受容層の塗布液温度は通常25〜6
0℃であり、30〜50℃が好ましい。冷却は塗布後の
膜面温度が20℃以下、更には5〜15℃になるように
するのが好ましく、その後の乾燥は20〜60℃の風を
吹き付けて乾燥するのが均一な膜面を得る点から好まし
い。
【0182】インク受容層を塗布する湿潤膜厚は目的と
する乾燥膜厚によって変わるが、概ね50〜300μ
m、好ましくは70〜250μm、塗布速度は乾燥能力
に大きく依存するが、通常20〜200m/分である。
乾燥時間は概ね2〜10分である。
【0183】本発明のインクジェット記録用紙における
インク記録面側のインク受容層、中間層の各々の塗布固
形分の量は通常5〜40g/m2が好ましく、10〜3
0g/m2がより好ましい。
【0184】次に本発明の記録用紙をインクジェット記
録用紙として使用する場合の水性インクについて以下に
説明する。
【0185】水性インクは、通常は水溶性染料及び液媒
体、その他の添加剤から成る記録液体である。水溶性染
料としてはインクジェットで公知の直接染料、酸性染
料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水
溶性染料が使用できるが直接染料、または酸性染料が好
ましい。
【0186】水性インクの溶媒は水を主体としてなる
が、インク液が乾燥した際に染料が析出してノズル先端
やインク供給経路での目詰まりを防止するために、通常
沸点が約120℃以上で室温で液状の高沸点有機溶媒が
使用される。高沸点有機溶媒は水が蒸発した際に染料な
どの固形成分が析出して粗大析出物の発生を防止する作
用を持つために水よりはるかに低い蒸気圧を有すること
が要求される一方、水に対して混和性が高い必要があ
る。
【0187】そのような目的では高沸点の有機溶媒が通
常多く使用されるが、具体例としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−
ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、
1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサ
ントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミ
ン、ポリエチレングリコール(平均分子量が約300以
下)等のアルコール類が挙げられる。また、上記した以
外にも、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン
等も使用できる。
【0188】これらの多くの高沸点有機溶媒の中でも、
ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセ
リン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類、ト
リエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコ
ールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0189】水性インクが含有するその他の添加剤とし
ては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度
調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防
錆剤、等が挙げられる。
【0190】水性インク液は記録用紙に対する濡れ性を
良好にするため及びインクジェットノズルからの吐出を
安定化させる目的で、25℃において、25〜50×1
-5N/cm、好ましくは28〜40×10-5N/cm
の範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0191】また、水性インクの粘度は通常25℃にお
いて2〜8cp、好ましくは2.5〜5cpである。
【0192】水性インクのpHは通常4〜10の範囲で
ある。インクノズルから吐出される最小インク液滴とし
ては1〜30×10-3nlの容量の場合、記録紙上で約
20〜60μmの直径の最小ドット径が得られるので好
ましい。このようなドット径で印字されたカラープリン
トは高画質画像を与える。好ましくは2〜20×10-3
nlの容積を有する液滴が最小液滴として吐出される場
合である。
【0193】また、前記水性インクが、少なくともマゼ
ンタおよびシアンについて、各々濃度が2倍以上異なる
2種類のインクで記録する方式において、ハイライト部
では低濃度のインクが使用されるためにドットの識別が
しにくくなるが、本発明はかかる記録方式を採用した場
合も適用できる。
【0194】本発明のインクジェット記録用紙の多孔質
基材は、重量平均繊維長が0.4〜1.2mmであるパ
ルプから構成された原紙であることが特徴であり、好ま
しくは重量平均繊維長が0.5〜0.9mmであり、よ
り好ましくは0.55〜0.65mmである。重量平均
繊維長が0.4mm未満の場合にはコックリングの劣化
が大きく、1.2mmを超えると平滑性が劣化するため
好ましくない。
【0195】叩解後の重量平均繊維長を調整する方法と
しては、本発明範囲内の繊維長の樹種から製造したパル
プを用いる方法と、叩解で繊維長を調整する方法がある
が、後者の方が実用的である。叩解に使用される設備と
しては、ビーター、コニカルリファイナー、ディスクリ
ファイナー等をカッティング叩解が起こりやすい条件に
設定して使用することができる。
【0196】本発明のインクジェット記録方法あ、Xは
紙基材の厚さ(μm)を、Yはインク液の最大吐出量
(ml/m2)を表した時、X/Y=7〜15であるこ
とを特徴としている。
【0197】X/Yを7〜15にすると、本発明の効果
であるインク吸収性、コックリング耐性、平滑性に優
れ、画質濃度が良好で、高画質のインクジェット記録用
紙を安定して得られるインクジェット記録方法を提供す
ることができる。
【0198】本発明の効果をより奏する点から、Xは1
50〜350μmが、Yは15〜30ml/m2である
ことが好ましい。
【0199】多孔質基材の原料としては、LBKP、N
BKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TM
P、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP
等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが
使用可能であるが、広葉樹パルプを使用するのが好まし
い。広葉樹パルプとしてはクラフトパルプ、サルファイ
トパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、ケミメカニカ
ルパルプ等を単独あるいは数種類併用しても良い。ま
た、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の
各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来
る。
【0200】また、白色度の向上の点から、原料である
パルプに過酸化物等による漂白処理が施されるのが好ま
しい。漂白処理は、パルプを蒸解後、塩素処理、アルカ
リ処理もしくは抽出あるいは精製、次亜塩素酸塩漂白、
二酸化塩素漂白、及びそれらの組み合わせ多段漂白処
理、さらに必要に応じてハイドロサルファイト、水素化
ホウ素ナトリウムなどによる還元漂白の後に、施される
のが好ましい。更に好ましくは、アルカリ性での過酸化
物漂白処理は、パルプを蒸解後、従来公知のパルプ漂白
処理後に最後のパルプ漂白処理として施されるのがよい
が、アルカリ処理もしくは抽出あるいは精製を更に施し
てもよい。
【0201】紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔
料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、
カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加すること
ができる。サイズ剤としては必要に応じて高級脂肪酸、
アルキルケテンダイマー、ロジン、パラフィンワック
ス、アルケニルコハク酸、石油樹脂エマルジョン等のサ
イズ剤を添加することができる。顔料としては炭酸カル
シウム、タルク、酸化チタン、尿素樹脂微粒子等が、紙
力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カ
チオン性高分子電解質等が挙げられるがこれに限定され
るものではない。
【0202】紙基材は前記の木材パルプなどの繊維物質
と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツイ
ンワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができ
る。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後にスター
チ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をした
り、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりす
ることも出来る。
【0203】インクジェット記録方法において、記録方
法としては、従来公知の各種の方式を用いることがで
き、その詳細はたとえば、インクジェット記録技術の動
向(中村孝一編,平成7年3月31日,日本科学情報株
式会社発行)に記載されている。
【0204】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるもので
はない。
【0205】なお、実施例中で「%」は特に断りのない
限り絶乾質量%を示す。 実施例1 「シリカ分散液−1の調製」1次粒子の平均粒径が約
0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株
式会社製:アエロジル300)125kgを、三田村理
研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクター
ミキサーTDSを用い、硝酸でpH=3.0に調整した
620Lの純水中に室温で吸引分散した後、Uvite
xNFWliquid(チバスペシャリティーケミカ
ル)1.5Lを撹拌分散しながら添加した後、全量を6
94Lに純水で仕上げた。この分散液を希釈して粒子の
電子顕微鏡写真を撮影したところ殆どの粒子が0.01
μm以下のサイズであり1次粒子まで分散されているこ
とを確認した。
【0206】「シリカ分散液−2の調製」カチオン性ポ
リマー(P−9)を1.63kg、エタノール2.2
L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH
=3.0)18Lに、シリカ分散液−1の69.4Lを
攪拌しながら添加し、次いで、消泡剤SN381(サン
ノプコ株式会社製)を1g添加した。
【0207】この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモ
ジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシ
リカ分散液−2を調製した。
【0208】このシリカ分散液を希釈して透明な支持体
上に塗布し、電子顕微鏡で観察した結果、平均粒径が約
50nm(2次粒子)のサイズであった。
【0209】「塗布液−1の調製」次いで、上記のよう
にして得られたシリカ分散液−2を使用して、下記の塗
布液を調製した。
【0210】シリカ分散液−2の650mlに40℃で
攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0211】 (1)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10 %水溶液; 6ml (2)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5% 水溶液: 190ml (3)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5% 水溶液: 70ml (4)界面活性剤(S−1)30%溶液; 4ml (5)アニオン性蛍光増白剤(チバスペシャリティーケミカルズ製;UVIT EX NFW LIQUID9)の10%液; 10ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。塗布液のpHは
4.5であった。
【0212】
【化8】
【0213】「原紙の作製」カナダ標準濾水度が330
mlまで叩解した広葉樹晒亜硫酸パルプ(LBKP)7
0質量部、カナダ標準濾水度が280mlまで叩解した
針葉樹晒亜硫酸パルプ(LBSP)25質量部及びカナ
ダ標準濾水度が280mlまで叩解した針葉樹グラフト
パルプ(NBKP)5質量部を混合し、ダブルディスク
リファイナーの回転数を変化させて、重量平均繊維長が
0.30mm、0.40mm、0.65mm、1.20
mm、1.50mmと異なるパルプを得た。叩解パルプ
それぞれ100部に対し、カチオン化澱粉を2.0部、
サイズ剤としてアルキルケテンダイマー樹脂を0.4
部、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂0.1部、ポリ
アミドポリアミンエピクロールヒドリン樹脂0.7部を
添加し、苛性ソーダでpH7.5に調整した後、長網抄
紙機で坪量212g、厚さ200μmの原紙、坪量10
6g、厚さ100μmの原紙、坪量312g、厚さ30
0μmの原紙を表1に示すように作製した。
【0214】「記録用紙101の作製」原紙1に、上記
塗布液−1を湿潤膜厚が155μmになるように塗布
し、約7℃に一度冷却した後に20〜65℃の風を吹き
付けて乾燥し、記録用紙101を作製した。このように
して形成される空隙層の乾燥膜厚は36μm、乾燥時の
固形分塗工量は22g/m2であった。
【0215】「記録用紙102〜111の作製」次に記
録用紙101と同様にして、表1に示すように原紙を替
えた以外は同様にして、インク受容層を塗布して記録用
紙102〜111とした。
【0216】「記録用紙112の作製」坪量170g/
2の原紙の両面をポリエチレンで被覆した写真用支持
体であるポリエチレンコート紙(色材受容層側のポリエ
チレン中には8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;
色材受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き
層、反対側にTgが約80℃のラテックスポリマーを
0.2g/m2含有するバック層;以下、これを「RC
原紙」ということがある)に、上記塗布液を湿潤膜厚が
155μmになるように塗布し、約7℃に一度冷却した
後に20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、記録用紙1
12を作製した。このようにして形成される空隙層の乾
燥膜厚は36μmであった。
【0217】得られた記録用紙について以下の項目につ
いて評価した。 (1)光沢度 日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−101D
P)で60度鏡面光沢を測定した。
【0218】(2)コックリング うねりは印字後のシート面を肉眼により下記基準で判定
した。実用上問題にならないのはA及びBである。
【0219】 A:うねりは判らず、美観を損なわない B:うねりは小さく、美観を損なうことはない C:うねりは大きく、美観を損なう。 (3)平滑性 未印字のシート面をJIS B 0601に規定される
方法で測定し、中心線表面粗さ(いずれも基準長2.5
mm、カットオフ値0.8mmで測定した)を求め、下
記基準で判定した。品質上問題にならないのはA及びB
である。 A:中心線表面粗さRaが1.0μm未満であり、美観
を損なわない B:中心線表面粗さRaが1.0〜1.5μmであり、
美観を損なうことはない C:中心線表面粗さRaが1.5μmよりも大きく、美
観を損なう。
【0220】(4)最高濃度 セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター
・PM800Cを用い、イエロー、マゼンタおよびシア
ンのベタ印字を行い、反射濃度をそれぞれ青、緑、赤の
単色光にて測定した。
【0221】(5)画質 インク吸収速度による印字後の画質について、シート面
を肉眼により下記基準で判定した。
【0222】 A:画質にムラがない B:画質に目立たない程度のムラが生ずる C:画質にムラが生じて、美観を損なう。
【0223】評価結果を表1に示す。なお、インクの最
大吐出量は20ml/m2であった。
【0224】
【表1】
【0225】表1から明らかなように写真用支持体であ
るRC原紙を用いた記録用紙112は光沢度、コックリ
ング、平滑性は良好であるものの、インク受容層のイン
ク吸収容量が不足しており、印字ムラが生じた。
【0226】次に、重量平均繊維長、(紙基材の厚さ)
/(インク最大吐出量)の比が本発明の範囲外にある原
紙にインク受容層を塗布した記録用紙101、105〜
108、111はいずれもコックリング、平滑性を両立
できるものはない。また、写真画質としては、当該記録
用紙の画質は望ましくない。
【0227】重量平均繊維長が0.4〜1.2であり、
紙基材の厚さ/インク最大吐出量の比が7〜15の範囲
内にある本発明の試料102〜104、109、110
はいずれもコックリング、平滑性も改良される。また、
写真画質としては光沢度が20%以上であることが望ま
しく、光沢度は良好であり、最高濃度、画質が改良され
ることが分かった。特に画像濃度に関しては、高濃度で
メリハリのある画像が得られ、好ましいことが分かっ
た。
【0228】実施例2 アルミン酸ナトリウム及び表2の「ゲル化剤」の欄で示
した物質の0.1M水溶液1mlを、実施例1で使用し
た塗布液−1、10mlに添加したところ、塗布液がゲ
ル化を起こすことが確認された。
【0229】「記録用紙201の作製」次に、実施例1
で使用した原紙を用いて、アルミン酸ナトリウムを原紙
1m2当たり1.0gになるように水溶液として塗布、
乾燥した後、記録用紙101と同様にして塗布液−1を
塗布、乾燥して記録用紙201を得た。
【0230】「記録用紙202〜206の作製」次に、
表2で示すように、インク受容層塗布液のゲル化効果が
確認されたゲル化剤を1m2当たり1.0gになるよう
に水溶液として塗布、乾燥した後、記録用紙101と同
様にして塗布液−1を塗布、乾燥して、記録用紙202
〜206を得た。
【0231】なお、記録用紙201〜203の作製にお
いて、原紙3にゲル化剤を付与させたときの紙基材表面
の膜面pHは8以上であった。実施例1と同様にして評
価を行い、表2に示す結果を得た。
【0232】
【表2】
【0233】表2から明らかなように、重量平均繊維
長、(紙基材の厚さ)/(インク最大吐出量)の比が本
発明の範囲外にある原紙にインク受容層を塗布した記録
用紙205、206では、インク受容層を形成する塗工
液をゲル化させるゲル化剤を紙基材に付与しても、光沢
度は改良がみられるものの、コックリング、平滑性を両
立できるものはない。
【0234】重量平均繊維長、(紙基材の厚さ)/(イ
ンク最大吐出量)の比が本発明の範囲内にある原紙を用
いた本発明の記録用紙201〜204は、インク受容層
を形成する塗工液をゲル化させるゲル化剤を紙基材に付
与することにより、本発明の効果が得られるばかりでな
く、光沢、平滑性が改良され、最高濃度も高く、より優
れた画質が得られることが分かる。
【0235】実施例3 以下の組成の塗布液を調製した(いずれも塗布液1Lあ
たりの量で示す)。
【0236】 〔塗布液−2〕 酸処理ゼラチン(等電点=7.8) 42g サポニン(5%水溶液) 25ml DIDP分散液(1) 40ml 酸化チタン分散液(2) 40ml DIDP分散液(1);ジイソデシルフタレート(3
g)と蛍光増白剤−1(0.15g)を酢酸エチル8m
lに加熱溶解し、酸処理ゼラチンを8%とサポニンを2
%含有する水溶液20mlに混合し乳化分散してから全
量を40mlに純水で仕上げる。
【0237】酸化チタン分散液(2);チタン工業株式
会社製KR310の12gを純水30ml加えて高速ホ
モジナイザーを用いて10,000回転で5分間分散し
た後全量を純水で40mlに仕上げた。
【0238】「記録用紙301の作製」塗布液−2を4
0℃で原紙2の上に固形分付量が5g/m2となるよう
に塗布後、乾燥した。次にこの上に〔塗布液−1〕を湿
潤膜厚が155μmになるようにし、約7℃に一度冷却
した後に20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、記録用
紙301を作製した。このようにして形成される空隙層
の乾燥膜厚は36μmであった。
【0239】「記録用紙302の作製」塗布液−2を4
0℃で原紙2の上に固形分付量が20g/m2となるよ
うに塗布後、乾燥した。次にこの上に〔塗布液−1〕を
湿潤膜厚が155μmになるようにし、約7℃に一度冷
却した後に20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、記録
用紙302を作製した。
【0240】「記録用紙303の作製」塗布液−2を4
0℃で原紙2の上に固形分付量が5g/m2となるよう
に塗布後、乾燥した。次にこの上に塗布液−1のゲル化
剤であるアルミン酸ナトリウムを1m2当たり1.0g
になるように水溶液として塗布、乾燥した。更に、この
上に〔塗布液−1〕を湿潤膜厚が155μmになるよう
にし、約7℃に一度冷却した後に20〜65℃の風を吹
き付けて乾燥し、記録用紙303を作製した。実施例1
と同様にして評価を行い、表3に示す結果を得た。
【0241】
【表3】
【0242】表3で示すように、記録用紙301〜30
3はいずれも本発明の効果が得られるが、特に記録用紙
301、303は、本発明の効果が顕著であり、更に光
沢、平滑性及び画質の点で記録用紙302よりも優れた
ものとなることが確認された。
【0243】実施例4 「記録用紙401の作製」原紙2の上に、多孔質性中間
層としてコロイダルシリカ複合粒子アクリル系エマルジ
ョン(モビニール8020;クラリアントポリマー製)
100質量部、数珠状コロイダルシリカ(スノーテック
スPS−L;日産化学)25質量部を配合したものを乾
燥時の固形分塗工量が30g/m2になるようにして塗
布、乾燥した。次に、記録用紙103と同様にしてイン
ク受容層として塗布液−1を塗布して得られたものを記
録用紙401とした。
【0244】「記録用紙402の作製」原紙2の上に、
多孔質性中間層として自己架橋型アクリル系エマルジョ
ン(モビニール747;クラリアントポリマー製)50
質量部、数珠状コロイダルシリカ(スノーテックスPS
−L;日産化学)25質量部、珠状コロイダルシリカ
(スノーテックスXL;日産化学)25質量部を配合し
たものを乾燥時の固形分塗工量が20g/m2になるよ
うにして塗布、乾燥した以外は記録用紙401と同様に
して記録用紙402とした。
【0245】「記録用紙403の作製」原紙2の上に、
多孔質性中間層としてコロイダルシリカ複合粒子アクリ
ル系エマルジョン(モビニール8020;クラリアント
ポリマー製)100質量部、数珠状コロイダルシリカ
(スノーテックスPS−L;日産化学)25質量部、シ
リル変性PVA(R−1130クラレ製)25質量部を
配合したものを乾燥時の固形分塗工量が5g/m2にな
るようにして塗布、乾燥した以外は記録用紙401と同
様にして記録用紙403とした。
【0246】「記録用紙404の作製」原紙1に替えた
以外は記録用紙403と同様にして記録用紙404を得
た。
【0247】「記録用紙405の作製」原紙5に替えた
以外は記録用紙403と同様にして記録用紙405を得
た。実施例1と同様にして評価を行い、表4に示す結果
を得た。
【0248】
【表4】
【0249】表4から明らかなように、記録用紙40
4、405は重量平均繊維長、紙基材の厚さ/インク最
大吐出量の比が本発明の範囲外である原紙を用いた場合
には、多孔質性中間層を塗布、乾燥後にインク受容層を
塗工したとしても本発明の効果は得られないことが分か
る。
【0250】重量平均繊維長が0.4〜1.2であり、
紙基材の厚さ/インク最大吐出量の比が7〜15の範囲
内にあり、多孔質性中間層を塗布、乾燥後にインク受容
層を塗工した本発明の試料401〜403はいずれも本
発明の効果が得られるばかりでなく、光沢、平滑性が改
良され、画質もより優れていることが分かる。
【0251】以上、本発明により、高いインク吸収速度
と吸収容量を有し、コックリング耐性、平滑性に優れ、
画像濃度が高く、安価で高画質なインクジェット記録用
紙の処理方法を得られた。
【0252】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明によるイ
ンクジェット記録用紙のインクジェットの記録方法は、
インク受容層の膜厚を不要に増大させることなく、高い
インク吸収性が得られ、コックリング耐性、平滑性に優
れ、安価で高画質特性を有し、優れた効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA03 BA12 BA15 BA21 BA33 BA34 BA41 BA45

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基材上にインク受容層を有する記録用
    紙、水性インクを用いるインクジェット記録方法におい
    て、紙基材が重量平均繊維長0.4〜1.2mmである
    パルプ繊維を含み、インク受容層が平均粒径3〜200
    nmである無機微粒子及び親水性バインダーを含み、且
    つX/Y=7〜15であることを特徴とするインクジェ
    ット記録方法。但し、Xは紙基材の厚さ(μm)を、Y
    はインク液の最大吐出量(ml/m2)を表す。
  2. 【請求項2】 インク受容層の塗工量が7〜30g/m
    2であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録方法。
  3. 【請求項3】 インク受容層がカチオン性ポリマー又は
    カチオン性微粒子から選ばれる少なくとも1種の化合物
    を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 紙基材がインク受容層を形成する塗工液
    をゲル化させることができるゲル化剤が付与された紙基
    材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 紙基材とインク受容層との間に、親水性
    バインダーを主成分として0.01〜5g/m2含有す
    る非多孔質の中間層を有するインクジェット記録用紙を
    用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 紙基材上に平均粒径10〜1000nm
    の微粒子を含有する多孔質性中間層を形成した後に、平
    均粒径3〜200nmである無機微粒子及び親水性バイ
    ンダーを有するインク受容層を設けることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記
    録方法。
  7. 【請求項7】 中間層にインク受容層を形成する塗工液
    をゲル化させることができるゲル化剤を付与させること
    を特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット記
    録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007520642A (ja) * 2003-06-17 2007-07-26 ニューページ コーポレーション 規格外繊維からなる平滑基材
JP2015127504A (ja) * 2013-11-29 2015-07-09 理想科学工業株式会社 加飾物品の製造方法及び製造装置、並びに加飾物品

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