JP2006150927A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インク吸収性、長期保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後の濃度変動が小さい高品位なインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも2層からなる、シリカ微粒子、親水性バインダー及び水溶性多価金属化合物を含有するインク吸収層を有し、該インク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物の含有量分布のピークが、最表面から深さ方向で10μm以内に有り、インク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率と乾燥膜厚が、特定の条件を満たすインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット記録用紙に関し、詳しくはインク吸収性、長期保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後の濃度変動が小さい高品位なインクジェット記録用紙に関する。
近年、インクジェット記録は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつあり、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)の面からもその改良が進んでいる。
例えば、高平滑性を有する支持体上に、ゼラチンやPVAなどの親水性バインダーを塗布してインク吸収層とする記録用紙が考案されている。このタイプの記録用紙は、バインダーの膨潤性を利用してインクを吸収するもので、膨潤型インクジェット記録用紙と呼ばれている。この膨潤型のインク吸収層は、構成するバインダーが水溶性樹脂であるが故に、皮膜透明性が高く、高発色性が得られるという利点があるが、プリント後のインク乾燥性に難があり、形成画像や皮膜が水分に対して弱いため耐水性に乏しい。特に、昨今のインクジェットプリンタにおいては印画速度が速いため、膨潤型インクジェット記録用紙ではバインダーの膨潤によるインク吸収性がインクの吐出量や吐出速度に追いつかず、インク溢れやまだらが発生するため高速プリント適性という点で課題を抱えている。
一方、高平滑性の支持体上に無機微粒子と親水性ポリマーから形成される微小な空隙構造を有する多孔質層を設けた空隙型のインクジェット記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を呈し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる「しわ」の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。
空隙型の記録用紙では、高インク吸収性と高速乾燥性を有している反面、無機微粒子の持つ屈折率の関係で膨潤型の記録用紙に比較し、皮膜透明性は低く、その結果、発色性が低いという課題を有している。空隙型の記録用紙において、発色性を向上させる方法としては、皮膜の透明性を向上させる手段の導入と、インク中の染料をより上部に定着させる手段の導入が重要であるが、前者は無機微粒子の持つ屈折率の関係で自ずと限界があるため、後者の方法に従って改良を試みることがより重要となっている。
空隙型記録用紙の上記課題に対し、従来より様々な検討がなされており、主には、カチオン性物質を多孔質層中に添加し、アニオン性の染料と結合させることにより、強固に染料を不動化する方法が一般的に行われている。しかしながら、カチオン性物質を単に多孔質層中に添加しても、カチオン性物質が多孔質層全体に存在するため、染料を上部で固定化することが困難であり、満足できる発色性を得るまでには至っていない。
特許文献1には、最表層のインク受容層にアルミニウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩及び亜鉛塩から選択される水溶性塩を含有させて、顔料インクの着色成分をインク受容層の表層部に定着させて高濃度と良好な色再現性を得ることが記載されている。
また特許文献2には、支持体に近い部分にはジルコニウム化合物又はアルミニウム化合物の含有量が少ない塗布液を用い、支持体から遠い部分にはジルコニウム化合物又はアルミニウム化合物の含有量が多い塗布液を用いて、2層以上の多層塗布を行うことにより、又は、既に形成されたインク吸収層上に、ジルコニウム化合物又はアルミニウム化合物をオーバーコートによりインク吸収層中に含浸させて添加することにより、ジルコニウム化合物又はアルミニウム化合物をインク吸収層の支持体から離れた部分により多く存在させて、滲みの発生を抑え、高い画像濃度を得ることが記載される。
なお、特許文献3には、ベーマイトを含む多孔質インク受容層上に、平均粒子径が10〜200nmであるアルミナ粒子または表面をアルミニウム塩で処理したシリカ粒子の様な酸化物粒子を含み、かつpH3〜11である塗工液から形成される層を積層して顔料インクの吸収性と定着性を良好にすることが、特許文献4には、色剤受容層に2価以上の水溶性金属塩を含有せしめ、耐水性と耐光性を向上させることが、特許文献5には、インク受容層上に位置し、かつ支持体から最も遠い位置に、表面がカチオン性に修飾されたコロイダルシリカを主体に含有する層を設けて、顔料インクを用いて、印字画像の発色性、保存性、乾燥性及び耐擦性を得ることが記載される。
特開2001−287451号公報 特開2002−160442号公報 特開2000−351267号公報 特開2001−328340号公報 特開2004−114459号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェット記録用紙は、インク吸収性等の観点から水溶性金属塩をシリカ等の顔料100質量部に対して0.5〜10質量部で用いるものであり、後述の実施例で示す様に、これによっては高いインク吸収性と染料の定着性を得ることができない。
また上記特許文献2に記載の記録用紙は、同様に後述の実施例で示す如く、染料定着による効果を得るのに有効となる充分な表面にジルコニウム化合物又はアルミニウム化合物が多く存在しないと推定される理由により、滲み耐性、高濃度及び濃度の経時安定性を得られない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性に優れ、染料の定着性に優れて長期保存時の滲み耐性、高い画像濃度を得、更に印字後の濃度変動が小さい高品位なインクジェット記録用紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、
1)支持体上に、少なくとも2層からなる、シリカ微粒子、親水性バインダー及び水溶性多価金属化合物を含有するインク吸収層を有し、該インク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物の含有量分布のピークが、最表面から深さ方向で10μm以内に有り、インク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率が、それぞれの酸化物に換算した時の質量比で下式(1)で規定する条件を満たし、且つ該インク吸収層の最表層の乾燥膜厚が、インク吸収層の総乾燥膜厚の2〜20%であるインクジェット記録用紙、
式(1)
3≦SiO2/MOx/2≦7
〔式中、Mは水溶性多価金属化合物に含まれる2価以上の金属原子を表し、xは2価以上の金属原子Mの価数を表す。〕
2)前記インク吸収層の最表層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量をAとし、該最表層を除くインク吸収層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量をBとした時、その質量比〔A/(A+B)〕が0.50以上である1)のインクジェット記録用紙、
3)前記水溶性多価金属化合物が、水溶性アルミニウム化合物または水溶性ジルコニウム化合物である1)又は2)のインクジェット記録用紙、
によって達成される。
すなわち本発明者は、水溶性多価金属化合物を最表面領域に高密度に局在化させることによって、空隙型記録用紙特有の問題である画像濃度を大幅に向上でき、かつ印字後の濃度変動を抑制しようと考え、支持体から最も遠い位置にあるインク吸収層の最表層を、例えば、水溶性多価金属化合物の存在下で気相法シリカ微粒子を分散し、分散時にpHを変化させて得られたカチオン性微粒子分散液で形成することで、最表面から10μm以内に局在化させることが可能で且つ高い画像濃度が得られることを見出し、本発明に至った。
そして飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)による分析を行ったところ、水溶性多価金属化合物が最表面に高密度に局在化していることを検証することができた。
なおインク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率が、それぞれの酸化物に換算した時の質量比で上式(1)で規定して、7より大きい場合には、濃度向上効果が得られなく、3未満の場合には、層間凝集が発生して塗布性が劣化して筋等が発生する。
また最表層用塗布液にMOx/2比率を多くしてインク吸収層の総乾燥膜厚の2〜20%とすると10μm以内とすることができ、上記質量比〔A/(A+B)〕を0.50以上とすることで好ましい水溶性多価金属化合物の含有量分布とできることも見出した。
なお水溶性多価金属化合物含有液を含浸あるいはオーバーコートにより付与した場合には、水溶性多価金属化合物が最表面領域に局在しないことが判明した。
本発明によれば、インク吸収性、長期保存時の滲み耐性に優れ、高い画像濃度が得られると共に印字後の濃度変動が小さい高品位なインクジェット記録用紙を提供することができる。
本発明は、インク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物の含有量分布のピークが、最表面から深さ方向で10μm以内に有り、インク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の酸化物に換算した時の質量比が上式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする。
本発明で規定するインク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物含有量の測定は、インクジェット記録用紙の側面をミクロトームなどでトリミングした試料について、エレクトロンプローブマイクロアナライザー(EPMA)や飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)を用いてインク吸収層の厚み方向における多価金属特有の元素あるいは特有の二次イオンフラグメントの分布を求めることにより測定することができる。
水溶性多価金属化合物が最表面に高密度に局在化しているか否かの検証は、本発明においては飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)による分析が有効である。二次イオン質量分析法については、例えば、John C.Vickerman and David Briggs編ToF−SIMS:Surface Analysis by Mass Spectrometry(Surface Spectra社)、日本表面科学会「二次イオン質量分析法(表面分析技術選書)」(丸善)等を参考にすることが出来る。
測定の具体的方法としてはミクロトームなどで平滑なインク吸収層断面を露出させ、このインク吸収層について、TOF−SIMS測定を行う。TOF−SIMS測定時の一次イオンとして好ましいイオン種はAu+、In+、Cs+、Ga+などの金属イオン種であるが、このうちIn+、Ga+が好ましい。なお、検出すべき好ましい二次イオンとしては、事前に測定した多価金属の二次イオン質量スペクトルから選択する。
一次イオンの加速電圧は20kV〜30kVが好ましく、ナイフエッジ法により測定されるビーム直径が0.25μm以下となるように各種の調整を実施することが好ましい。ビーム電流等照射条件および照射時間は任意である。典型的な例としては一次イオンビーム電流0.9nA、照射時間20分などが好ましい測定条件として挙げられる。なお、インクジェット記録用紙あるいはインク吸収層は、導電性に乏しいので中和電子銃を用いるなど帯電中和を適宜施すことが好ましい。
測定の際、一次イオンビームは、インク吸収層全域を測定できる範囲で走査する。典型的には、40μm角の領域を走査する。一次イオンビームの走査位置と検出される二次イオンから、インク吸収層に存在する化学種のイメージを得ることが可能である。好ましくは上記走査領域内で256×256点での2次イオン質量スペクトルを得て、その質量スペクトルから目的の二次イオンピークの強度を記録することにより、化学種のイメージを得る。更にこのイメージから同一厚み部分のピーク強度を積分することにより、特定の二次イオンの厚さ方向のプロファイルを得ることができる。二次イオンのイメージの作成、プロファイルの作成は通常二次イオン質量分析計のデータ処理用のソフトウエアに付属の機能であり、本発明においても、この機能を用いることが可能である。
本発明においては、上記厚さ方向の多価金属のプロファイルにおいて、インク吸収層における多価金属由来の二次イオンの強度の最低値の1.5倍以上の部分を、多価金属存在部分と規定する。また、インク吸収層の位置、インク吸収層の厚みは多価金属と同様、インク吸収層に存在するシリカ微粒子に含有される金属イオンが検出される領域とする。尚、各層の位置は厚さ方向のプロファイルにおける積分イオン強度の50%位置とする。
本発明では、具体的には、Pysical Electronics社製のTRIFT−IIを使用して、イオン種:In、加速電圧:25kVの条件で深さ方向における多価金属化合物分布量を測定した。
図1は、TOF−SIMSで測定した水溶性多価金属化合物由来の二次イオン強度のプロファイルの一例を示すグラフである。
図1において、横軸に最表面から深さ方向への測定距離(μm)を、縦軸にそれぞれの深さ位置で、TOF−SIMSで測定した多価金属化合物由来の二次イオン強度値をプロットした。プロファイルBは10μm以内に明確なイオン強度の最大値を有する状態を示す典型的な例である。破線で表示した従来型のインク吸収層塗布液に多価金属化合物を添加して形成したインク吸収層におけるプロファイルAでは、多価金属化合物に由来の二次イオン強度の最大値は、インク吸収層の内部(図1においては、深さ約15μm)に存在しているため、最表部に着弾したインクの固定化が、よりインク吸収層内部で行われることとなり、その結果、高い画像濃度を得ることができない。
これに対し、2層以上のインク吸収層から構成され、最表層により高濃度の多価金属化合物を含有して構成される本発明に係るインク吸収層のプロファイルBは、多価金属化合物に由来の二次イオン強度の最大値が、最表面から深さ10μm以内(図1では、深さ約6μmの位置)に存在しているため、最表部に着弾したインクの固定化が、よりインク吸収層表面領域で行われることとなり、その結果、高い画像濃度を得ることができる。
水溶性多価金属化合物としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩等が挙げられる。中でもアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウムからなる水溶性塩はその金属イオンが無色のため好ましい。更に、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物が長期保存時の滲み耐性に優れると言う点で特に好ましい。
水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等を挙げることができる。ここで、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1質量%以上、より好ましくは3質量%以上溶解することを意味する。
最も好ましい水溶性アルミニウム化合物は、インク吸収性の観点から塩基度80%以上の塩基性塩化アルミニウムであり、次の分子式で表すことができる。
〔Al2(OH)nCl6-nm
(ただし、0<n<6、m≦10)
塩基度はn/6×100(%)で表される。
水溶性ジルコニウム化合物の具体例としては、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましい。炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルは特に好ましい。特に酸塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニルが長期保存時の滲み耐性の観点から好ましい。
本発明に係るシリカ微粒子としては、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカであることが好ましい。
例えば、湿式シリカとしては沈降法による(株)トクヤマのファインシール等、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業(株)のNIPGEL等が市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的には、ゲル法により合成される湿式シリカの方が、沈降法によるものに対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料にして燃焼法により合成されるものであり、例えば、日本アエロジル株式会社製のアエロジルシリーズが市販されている。
本発明においては、シリカ微粒子としては、高い空隙率が得られ、かつカチオン性微粒子分散液を製造する場合に粗大凝集体が形成されにくいという観点から、気相法シリカが、特に好ましい。また、気相法シリカは、二次凝集体が湿式シリカに対して比較的弱い相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して低エネルギーで分散できるという特徴を有している。
気相法シリカ微粒子は、その一次粒子の平均粒径が3〜50nmのものが好ましい。より好ましくは20nm以下である。一次粒子の平均粒径が50nm以下であれば、記録用紙の高光沢性を達成することができ、また表面での乱反射による最高濃度の低下を防いで鮮明な画像をえることができる。上記においての微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは多孔質のインク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
特に好ましい態様として、二次粒子以上の粒子を形成して多孔質インク吸収層を形成する場合、その平均粒径は、20〜200nmであることが高インク吸収性及び高光沢を達成した記録用紙を得るという観点において好ましい
また、気相法シリカ微粒子を、湿度20〜60%の環境下で3日以上保存して気相法シリカの含水率を調整することも好ましい。
シリカ微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、多孔質のインク吸収層の空隙率、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。インク吸収層に用いられる気相法シリカ微粒子と親水性バインダーの比率は、質量比で概ね2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
シリカ微粒子の添加量増加に従いインク吸収容量も増加するが、カールやひび割れといった性能の低下を招く恐れが有り、空隙率によって容量を増加させる方法が好ましい。好ましい空隙率は40〜75%である。空隙率は、選択するシリカ微粒子、バインダーの種類によって、あるいはそれらの混合比によって、またはその他の添加剤の量によって調節することができる。
ここでいう空隙率とは、空隙層の体積における空隙の総体積の比率であり、その層の構成物の総体積と層の厚さから計算で求められる。また、空隙の総体積は、吸水量測定によって簡易に求められる。
前述のカチオン性微粒子分散液は、具体的には、水溶性多価金属化合物を含有する水溶液に、表面がアニオン性である気相法シリカ微粒子を添加して分散(一次分散)を行い、得られた一次分散液にpH調整剤を添加し、その混合物を分散(二次分散)して得られるものでもよく、また当該気相法シリカ微粒子を水に分散した一次分散液を水溶性多価金属化合物を含有する水溶液と混合してpH調整剤を添加し、その混合物を二次分散して得られるものでもよい。
一次分散方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサー等により、水溶性多価化合物と水を主体とする分散媒中に気相法シリカ微粒子を吸引分散することで一次分散液を得ることができる。続いて、該一次分散液にpH調整剤を加えて、その混合物を分散、細粒化することでここで言うカチオン性微粒子分散液を調製することできる。
二次分散方法としては、例えば、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成される凝集状態の気相法シリカ微粒子の分散を効率的に行うという点から、超音波分散機または高圧分散機が好ましく用いられる。
超音波分散機は、通常、20〜25kHzの超音波を照射することで固液界面にエネルギーを集中させることで分散するものであり、非常に効率的に分散され、少量の分散液を調製する場合に特に適している。一方、高圧分散機は、3本または5本のピストンを持った高圧ポンプの出口に、ねじまたは油圧によってその間隙を調整できるようになっている均質バルブが1個または2個備えられたものであり、高圧ポンプにより送液された液媒体が均質バルブによりその流れが絞られて圧力がかかり、この均質バルブを通過される瞬間に微小なダマ物質が粉砕される。この方式は連続的に多量の液を分散できるために、多量の分散液を調製する場合に特に好ましい方式である。均質バルブに加えられる圧力は通常5〜100MPaであり、分散は1回のパスで済ますことも多数回繰り返して行うこともできる。
なお水性媒体中に気相法シリカ微粒子を添加し、混合撹拌して得られるシリカスラリーに水溶性多価金属化合物を添加後、分散して得られるカチオン性微粒子分散液では、後に親水性バインダーなどを添加してインク吸収層塗布液を調製する際に、粘度上昇やゲル化が発生し目的の塗布液が得られない。
カチオン性微粒子分散液は一次分散状態からpH調整剤によりpHを変化させて得られることが好ましい。これにより均質なカチオン変換されたシリカ微粒子の分散液が得られ、且つその後のインク吸収層塗布液の調製過程で、濁度変化や粘度変化のない安定な塗布液が得られることになる。より好ましくは分散時にpHを上昇させてカチオン性微粒子分散液を得ることであり、この結果、インク吸収性とインク定着性が向上できる。pH変化巾としては0.20以上1.0以下が好ましい。ここで、分散時とは一次分散時、すなわち一次分散終了後から二次分散終了まで期間をいう。
pH調整剤の酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、及びスベリン酸等の有機酸や、塩酸、硝酸、硼酸及び燐酸等の無機酸などを挙げることができる。またアルカリとして水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。また、これら各種酸類、またはアルカリ類を添加する量は、分散進行性や分散液安定性により各種酸類の酸性の程度またはアルカリ性の程度を考慮して決める必要がある。
上記pH調整剤の中で好ましいのは硼素化合物である。硼素化合物とは硼酸及びその塩を意味し、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55))等を挙げることができる。硼素化合物水溶液として、単独の水溶液でも2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのは硼砂と硼酸の混合液である。硼酸と硼砂の水溶液は、それぞれは比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、分散液を濃縮化することができる。また、硼砂と硼酸の混合比率によりpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
上記の分散は、インク吸収性、皮膜強度などの観点で、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを併用することも可能である。特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合しうる1または2以上のモノマーとの共重合体である。併用する場合には二次分散時に硼素化合物と併用することが好ましい。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーとしては、例えば、特開平11−301096号公報の段落番号〔0028〕、同〔0029〕に記載の化合物例を挙げることができる。上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、特開平11−301096号公報の段落番号〔0031〕に記載の化合物例を挙げることができる。
特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
本発明に好ましく用いられる第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例は、特開平11−301096号公報の段落番号〔0035〕〜同〔0038〕に記載の化合物を挙げることができる。
カチオン性微粒子分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することができる。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類など必要に応じて適宜使用することができる。
特に、水混和性有機溶媒は、表面がアニオン性である気相法シリカ微粒子と水溶性多価金属化合物とを含有する水溶液に混合した際、微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は、分散液中に0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の範囲で使用される。
本発明においては、インク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率が、それぞれの酸化物に換算した時の質量比で、下式(1)で規定する条件を満たす。
式(1)
3≦SiO2/MOx/2≦7
式(1)において、Mは水溶性多価金属化合物に含まれる2価以上の金属原子を表し、xは2価以上の金属原子Mの価数を表す。
ここでいう水溶性多価金属化合物の酸化物は、上記式(1)のMOx/2で表示され、2価の金属酸化物としては、例えば、CaO、MgO、ZnOが挙げられ、3価の金属酸化物としては、例えば、Al23が挙げられる。また、4価の金属酸化物としては、例えば、ZrO2が挙げられる。式(1)に係るMOx/2に従えば、奇数の価数を持つ金属原子では酸素原子数の表示が端数となるが、この場合には、慣例に従い整数になるように表示する。例えば、酸化アルミニウムは式(1)の表示方法に従えば、AlO1.5となるが、この場合には、Al23として表示する。
本発明で用いる親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらの親水性バインダーは、2種以上併用することも可能である。
本発明で好ましく用いられる親水性バインダーは、ポリビニルアルコールであり、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、紫外線架橋型変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜5000のものが好ましく、更に、ケン化度が70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
紫外線架橋型変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開2004−262236号に記載されているような光反応性側鎖を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ポリビニルアルコールは、上記説明した重合度や変性等の種類違いのものを2種類以上併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用紙は、優れた光沢性と高い空隙率を、皮膜の脆弱性を招くことなく実現するためには、ポリビニルアルコールが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
本発明において用いることのできる硬膜剤としては、一般的には、ポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物、あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、例えば、エポキシ系硬膜剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ホウ酸及びその塩、ホウ砂、アルミ明礬、イソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも、ホウ酸及びその塩、エポキシ系硬膜剤及びイソシアネート化合物が好ましい。
ホウ酸及びその塩としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸及びそれらの塩が含まれる。
硬膜剤の使用量は、ポリビニルアルコールの種類、硬膜剤の種類、シリカ微粒子の種類やポリビニルアルコールに対する比率等により変化するが、通常、ポリビニルアルコール1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
上記硬膜剤は、本発明に係るインク吸収層形成用の水溶性塗布液を塗布する際、該塗布液中に直接添加してもよく、あるいはインク吸収層形成用の水溶性塗布液(硬膜剤非含有)を塗布、乾燥した後、硬膜剤を含む溶液をオーバーコートするなどして供給することができる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、本発明に係る最表層の乾燥膜厚が全インク吸収層の総乾燥膜厚の2〜20%であることが好ましく、更に好ましくは5〜15%である。すなわち、2層以上のインク吸収層を積層し、かつインク吸収層の最表層中に上記水溶性多価金属化合物を高濃度に含有させることにより、図1に記載のようなより表面領域に多価金属化合物に由来の二次イオン強度の最大値が出現するインク吸収層を実現することができる。
本発明に係るインク吸収層の最表層には、界面活性剤を含有することが好ましい。インク吸収層で用いることのできる界面活性剤としては、カチオン系、ベタイン系及びノニオン系の炭化水素系、フッ素系、シリコン系界面活性剤等のいずれも使用可能である。その中でも、塗布故障耐性などの塗膜品質と多層同時塗布適性の観点から、特開2003−312134号公報に記載のカチオン系、ベタイン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の使用量は0.0001〜1.0g/m2が好ましく、より好ましくは0.001〜0.5g/m2である。
本発明に係るインク吸収層には、カチオン性ポリマーを含有することができる。
カチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖または側鎖に第1〜3級アミン、第4級アンモニウム塩基、または第4級ホスホニウム塩基などを有するポリマーであり、インクジェット記録用紙で公知の化合物が用いられる。製造の容易性から、実質的に水溶性であるものが好ましい。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
または、化学工業時報平成10年8月15日及び25日に記載されるカチオン性ポリマー、「高分子薬剤入門」(三洋化成工業株式会社発行、p787、1992年)に記載される高分子染料固着剤が例として挙げられる。
カチオン性ポリマーの平均分子量としては2000〜50万の範囲であることが好ましく、更に好ましくは1万〜10万の範囲である。
本発明でいう平均分子量とは数平均分子量のことであり、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーから求めたポリエチレングリコール換算値を言う。
また、カチオン性ポリマーを塗布液にあらかじめ添加する場合、均一に塗布液に添加するのみならず、シリカ微粒子とともに複合粒子を形成する形で添加してもよい。シリカ微粒子とカチオン性ポリマーによって複合粒子を調製する方法としては、シリカ微粒子にカチオン性ポリマーを混合して吸着被覆させる方法、その被覆粒子を凝集させてより高次の複合粒子を得る方法、さらには混合して得られる粗大粒子を分散機によってより均一な複合粒子にする方法などが挙げられる。
カチオン性ポリマーは概ね水溶性基を有するために水溶性を示すが、例えば、共重合成分の組成によって水に溶解しないことがある。製造の容易性から水溶性であることが好ましいが、水に難溶であっても水混和性有機溶媒を用いて溶解し使用することも可能である。
ここでいう水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して概ね10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
カチオン性ポリマーは、インクジェット記録用紙1m2当たり、通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
本発明のインクジェト記録用紙のインク吸収層および必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができるが、特に、紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤等の画像保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−,S−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(所謂TEMPO化合物を含む。)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
また、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明で使用することのできる支持体としては特に制限はないが、紙のような吸水性支持体を用いた場合には、プリント後および記録用紙に水がかかった場合、支持体の平滑性が低下してコックリングを生じやすい。また、支持体中に染料やジルコニウム化合物またはアルミニウム化合物が拡散して耐水性、滲み、画像濃度の低下を起こす場合が有るという問題を抱えている。従って、支持体として非吸水性支持体を用いる方が、本発明の効果を顕著に奏するという点において好ましい。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等からなるシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは透明、または半透明なものも使用できる。
本発明で特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
2層以上の構成層を同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
また、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限はないが、好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
上記支持体のインク吸収層面側には、インク吸収層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることができる。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録媒体1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク吸収層面側とは反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1の作製〕
(シリカ分散液D−1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、アエロジル300)を25%と、アニオン性蛍光増白剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、UVITEXNFW LIQUID)を0.6L含むシリカ分散液B−1(pH=2.6、エタノール0.5%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH=2.5、サンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)の110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液A1(各々3質量%の濃度)の54Lを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
Figure 2006150927
(シリカ分散液D−2の調製)
上記シリカ分散液D−1の調製において、アニオン性蛍光増白剤を除いた以外は同様にして、シリカ分散液D−2を調製した。
(シリカ分散液D−3の調製)
上記シリカ分散液D−2の調製において、カチオン性ポリマーP−1に代えて、塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)を使用した以外は同様にして、シリカ分散液D−3を調製した。
上記調製したシリカ分散液D−1、D−2、D−3について、特開平11−321079号公報に記載の方法に従ってシリカ粒子の分散状態を観察した結果、極めて安定なカチオン変換された複合粒子になっていることを確認することができた。
また、上記調製したシリカ分散液D−1、D−2、D−3は、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
(インク吸収層塗布液の調製)
上記調製した各シリカ分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、多孔質層用の各インク吸収層塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当りの量で表示した。
〈第1層用インク吸収層塗布液:最下層〉
シリカ分散液D−1 650ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)の8.0%水溶液
250ml
界面活性剤(ネオス社製;フタージェント400S)の4%水溶液 2.0ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第2層用インク吸収層塗布液〉
シリカ分散液D−1 670ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)の8.0%水溶液
240ml
アクリル共重合エマルジョン樹脂(大同化成工業製;ビニゾール1083)30ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第3層用インク吸収層塗布液〉
シリカ分散液D−2 630ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)の8.0%水溶液
250ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第4層用インク吸収層塗布液:最表層〉
シリカ分散液D−2 630ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)の8.0%水溶液
250ml
界面活性剤(花王製;コータミン24P)の6%水溶液 3.0ml
界面活性剤(ネオス社製;フタージェント400S)の4%水溶液 1.0ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
以上に様にして調製した各インク吸収層塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
〔記録用紙の作製〕
次に、上記調製した各インク吸収層塗布液を、下記に記載の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体(RC紙)上に、スライドホッパー型コーターを用いて、4層同時塗布した。
〈湿潤膜厚〉
第1層:42μm(SiO2付量:4.33g/m2
第2層:42μm(SiO2付量:4.57g/m2
第3層:40μm(SiO2付量:4.40g/m2
第4層:40μm(SiO2付量:4.40g/m2
なお、上記RC紙は幅が約1.5m、長さが約4000mのロール上に巻かれた下記の支持体を用いた。
使用したRC紙は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布した。表面側はコロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)をRC紙1m2当り0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電した後、Tgが約80℃のスチレン−アクリル酸エステル系ラテックスバインダーを約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)を0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
インク吸収層塗布液を塗布した後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度を適宜設定して乾燥を行った後、ロール状に巻き取って記録用紙1を得た。このようにして形成したインク吸収層の総乾燥膜厚は42.5μm、第4層(最表層)の乾燥膜厚は11.5μmであった。また、記録用紙1は全層とも水溶性多価金属化合物は含有していない。
〔記録用紙2の作製〕
上記作製した記録用紙1の第4層上に、塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)をAl23換算付量で0.5g/m2になるようにオーバーコートして、記録用紙2を作製した。特許文献2のオーバーコートによる水溶性多価金属化合物の付与に相当する。
〔記録用紙3の作製〕
記録用紙1の作製において、第4層のシリカ分散液D−2をシリカ分散液D−3に変更した以外は同様にして、記録用紙3を作製した。なお、第4層のSiO2付量は4.40g/m2、Al23付量は0.5g/m2(SiO2/Al23=8.8)、乾燥膜厚は11.5μm(全乾燥膜厚の27%)であった。記録用紙3のA/(A+B)は1.0である。特許文献2に記載の多層記録材料に対応する。
〔記録用紙4の作製〕
上記記録用紙3の作製において、第4層に用いたシリカ分散液D−3をSiO2/Al23=4にしたシリカ分散液に変更した。更に第4層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.5g/m2、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙4を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙4のA/(A+B)は1.0である。
〔記録用紙5の作製〕
記録用紙1の作製において、第3層のシリカ分散液D−2をシリカ分散液D−3に変更した以外は同様にして、記録用紙5を作製した。なお、第3層のSiO2付量は4.4g/m2、Al23付量は0.5g/m2(SiO2/Al23=8.8)、乾燥膜厚は11.5μm(全乾燥膜厚の27%)であった。記録用紙5のA/(A+B)は0である。
〔記録用紙6の作製〕
上記記録用紙5の作製において、記録用紙4で用いたシリカ分散液で第3層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.5g/m2(SiO2/Al23=4)、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙6を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層、第2層、第4層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙6のA/(A+B)は0である。
〔記録用紙7の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第3層用インク吸収層塗布液に塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)をAl23換算付量で0.05g/m2になるように添加した以外は同様にして、記録用紙7を作製した。記録用紙7のA/(A+B)は0.9である。
〔記録用紙8の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第3層用インク吸収層塗布液に塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)をAl23換算付量で0.75g/m2になるように添加した以外は同様にして、記録用紙8を作製した。記録用紙8のA/(A+B)は0.4である。
〔記録用紙9の作製〕
上記記録用紙1の作製において、第4層用インク吸収層塗布液に塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)をAl23換算付量で0.5g/m2になるように添加し、SiO2付量を2.0g/m2、乾燥膜厚を4.0μmとした以外は同様にして、記録用紙9を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙9のA/(A+B)は1.0である。
〔記録用紙10の作製〕
上記記録用紙1の作製において、第4層に塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)をAl23換算付量で0.5g/m2になるように塗布直前にインライン添加した以外は同様にして、記録用紙10を作製した。なお、第4層のSiO2付量を2.0g/m2、乾燥膜厚を4.0μmとし、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙10のA/(A+B)は1.0である。
〔記録用紙11の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第3層に酢酸ジルコニル(第一稀元素化学工業製:ジルコゾールZA)をZrO2換算付量で0.08g/m2になるよう塗布直前にインライン添加した以外は同様にして、記録用紙11を作製した。記録用紙11のA/(A+B)は0.86である。
〔記録用紙12の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第4層にSiO2/Al23=20にしたシリカ分散液を用い、更に第4層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.1g/m2、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙12を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙12のA/(A+B)は1.0である。特許文献1に記載の記録用紙に相当する。
〔記録用紙13の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第4層にSiO2/Al23=2.5にしたシリカ分散液を用い、更に第4層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.8g/m2、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙13を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙13のA/(A+B)は1.0である。
〔記録用紙14の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第4層にSiO2/Al23=6.5にしたシリカ分散液を用い、更に第4層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.308g/m2、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙14を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙14のA/(A+B)は1.0である。
〔記録用紙15の作製〕
上記記録用紙4の作製において、第4層にSiO2/Al23=7.5にしたシリカ分散液を用い、更に第4層のSiO2付量を2.0g/m2、Al23付量を0.267g/m2、乾燥膜厚を4.0μm(全乾燥膜厚の9.4%)に変更した以外は同様にして、記録用紙14を作製した。なお、2.40g/m2分のシリカ微粒子は第1層〜第3層に等配分し、全SiO2付量を同じにした。記録用紙15のA/(A+B)は1.0である。本発明の記録用紙よりやや水溶性多価金属化合物の含有量が少ないものに相当する。
《記録用紙の特性評価》
〔インク吸収層内の多価金属化合物分布の測定〕
上記作製した各記録用紙の断面を、ミクロトームを用いてトリミングした後、そのインク吸収層断面部を、Pysical Electronics社製のTRIFT−IIを使用して、イオン種:In、加速電圧:25kVの条件でTOF−SIMS測定によりアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布を求めた。その結果、本発明の記録用紙は、アルミニウムイオン由来の二次イオン強度の最大値が、最表面から深さ方向で10μm以内にあることを確認することができた。
多価金属化合物分布の測定の代表例として、比較の記録用紙2及び本発明の記録用紙4の多価金属化合物の分布測定チャートを、図2、図3に示す。
図2に、比較例である記録用紙2のTOF−SIMS測定により求めたアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チャートを示す。図2において、最表層部はチャートの右端であり、Length0(μm)が支持体面を表す。図2においては、アルミニウムイオン由来の二次イオンシグナルの分布が、インク吸収層内部に多く存在し、塩基性塩化アルミニウムがより内部に分布していることが分かる。
図3は、本発明の記録用紙4のTOF−SIMS測定により求めたアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チャートを示す。図3においても同様に、最表層部はチャートの右端であり、Length0(μm)が支持体面を表す。
本発明の記録用紙4においては、アルミニウムイオン由来の二次イオンシグナルが、最表部から深さ10μmまでの領域に極めて多く発現し、塩基性塩化アルミニウムが表面領域に分布していることが分かる。
〔発色性の評価〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンタPM−950Cを用いて、純正インクにより黒のベタ画像を印字し、3時間自然乾燥した後、得られた黒の濃度を反射濃度計を用いて測定し、これを発色性の尺度とした。
〔長期保存後の滲み耐性の評価〕
23℃、55%RHの環境下で、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−950Cを用いて、純正インクによりブルーのベタ画像を背景にした線幅が約0.3mmのブラックラインをプリントし、1時間自然乾燥した後、透明クリアファイルに挿入した。これをクリアファイルのまま、40℃、80%RHの環境下で1週間放置して、保存前後のでブラックラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定(反射濃度が最大濃度の50%の部分の幅を線幅とした)し、下式で表される線幅変化率を求め、この値を長期保存後の滲み耐性の尺度とした。この値が小さいほど滲み耐性が良好であることを示し、実用上問題がないレベルは130以下である。
線幅変化率=(保存後のブラックラインの線幅/保存前のブラックラインの線幅)×100
〔インク吸収性の評価〕
23℃、80%RHの環境下で、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−950Cでブルーのベタ画像を印字し、印字直後のベタ画像表面を指でこすって画像の乱れを目視観察し、下記の基準に従ってインク吸収性を評価した。
A:指で擦っても画像の乱れが全くなし
B:指で擦った部分に、やや画像の汚れが認められる
C:指で擦った画像で、激しい汚れが発生している
〔印字後の濃度安定性の評価〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンタPM−950Cを用いて、純正インクにより、イエロー、マゼンタ及びシアンのベタ画像を印字し、印字後23℃、55%RHの環境下で0.5時間と24時間放置した。それぞれのイエロー、マゼンタ、シアンの濃度を反射濃度計にて、0.5時間後のそれぞれの色濃度D(0.5)と24時間後のそれぞれの色濃度D(24)を測定した。次いで、それぞれの色画像についてD(24)/D(0.5)×100を求め、濃度低下率とした。イエロー、マゼンタ、シアンの平均濃度低下率D(ave)を求め、これを印字後の濃度安定性の尺度とした。D(Ave)が100に近いほど、印字後の濃度変動は小さく、濃度安定性に優れていることを表す。
以上により得られたインク吸収層内の多価金属化合物分布の測定を除く各評価結果について、表1に示す。
Figure 2006150927
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の記録用紙は、発色性、長期保存後の滲み耐性、インク吸収性及び印字後の濃度安定性の全てに優れていることが分かる。
実施例2
実施例1で作製した記録用紙4において、水溶性多価金属化合物である塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学製:タキバイン#1500、Al23として23.75%含有、塩基度83.5%)に代えて、塩基性乳酸アルミニウム(多木化学製:タキセラムG−17L;塩基度72%)、酢酸ジルコニル(第一稀元素化学工業製:ジルコゾールZA)、酸塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業製:ジルコゾールZC−2)、塩化マグネシウムを用いた以外は同様にして記録用紙13〜16を作製し、実施例1に記載の方法と同様にして各評価を行った。記録用紙13〜15いずれの記録用紙も、表1に記載の記録用紙4と同等の良好な結果を得ることができた。水溶性多価金属として塩化マグネシウムを用いた記録用紙16は発色性と滲み耐性は記録用紙3と同レベルであったが、インク吸収性と濃度安定性は記録用紙4と同等の結果を得た。
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で測定した水溶性多価金属化合物由来の二次イオン強度のプロファイルの一例を示すグラフである。 比較例である記録用紙2のTOF−SIMS測定により求めたアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チャートである。 本発明の記録用紙4のTOF−SIMS測定により求めたアルミニウムイオンのインク吸収層の深さ方向の分布測定チャートである。
符号の説明
A 比較例の多価金属化合物分布プロファイル
B 本発明の多価金属化合物分布プロファイル

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくとも2層からなる、シリカ微粒子、親水性バインダー及び水溶性多価金属化合物を含有するインク吸収層を有し、該インク吸収層の深さ方向における水溶性多価金属化合物の含有量分布のピークが、最表面から深さ方向で10μm以内に有り、インク吸収層の最表層に含有される水溶性多価金属化合物とシリカ微粒子の比率が、それぞれの酸化物に換算した時の質量比で下式(1)で規定する条件を満たし、且つ該インク吸収層の最表層の乾燥膜厚が、インク吸収層の総乾燥膜厚の2〜20%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
    式(1)
    3≦SiO2/MOx/2≦7
    〔式中、Mは水溶性多価金属化合物に含まれる2価以上の金属原子を表し、xは2価以上の金属原子Mの価数を表す。〕
  2. 前記インク吸収層の最表層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量をAとし、該最表層を除くインク吸収層が含有する水溶性多価金属化合物を酸化物換算した時の質量をBとした時、その質量比〔A/(A+B)〕が0.50以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記水溶性多価金属化合物が、水溶性アルミニウム化合物または水溶性ジルコニウム化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用紙。
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