- - 明 細 書 .
眼疾患処置用点眼剤及ぴキット 技術分野
本発明は、 経口又は経皮投与製剤と点眼製剤とを含み、 両製剤を併用する眼疾 患処置用キットであって、 経口又は経皮投与製剤が脂質代謝異常改善薬を含有し、 点眼製剤が環状デキストリンにより包接された性ステロイドホルモン、 環状デキ ストリンにより包接されたセレクティブエストロゲンレセプターモジュレーター、 環状デキストリンにより包接されたノンフエミナイジングエストロゲン (ノンホ ルモナールエス トロゲン)、 環状デキス トリンにより包接されたその他のェス ト ロゲン作用を有する物質、 環状デキストリンにより包接された高脂血症改善薬及 ぴ環状デキストリンにより包接された植物脂肪等から選択した 1種又は 2種以上 の成分を含有する眼疾患処置用キットに関する。
本発明は、 さらに、 眼疾患処置用点眼剤であって、 環状デキストリンにより包 接された性ステロイ ドホルモン、 環状デキストリンにより包接されたセレクティ ブエストロゲンレセプターモジュレーター、 環状デキストリンにより包接された ノンフエミナイジングエス トロゲン (ノンホルモナールエス トロゲン)、 環状デ キストリンにより包接されたその他のエストロゲン作用を有する物質、 環状デキ ストリンにより包接された高脂血症改善薬及び環状デキストリンにより包接され た植物脂肪等から選択した 1種又は 2種以上の成分を含有する眼疾患処置用点眼 剤に関する。 背景技術
世界的、特に日本等は高齢化社会を迎え緑内障、 白内障、 網膜疾患等の各種眼 疾患が増加傾向にあり、 これらの疾患に対する適切な治療法を提供することが急 務である。
緑内障は、 高眼圧の緑内障及ぴ正常眼圧の緑内障のいずれであっても、 眼圧降 下剤を点眼又は内服するか、 あるいは手術を行なって眼圧を下げても、視野狭窄 が進行するため、 今まで視野狭窄を改善する適切な方法はなかつた。
また、 網膜色素変性症による視野狭窄、糖尿病性網膜症、 網膜中心静脈閉塞症、 ' 黄班変性症の薬による適切な治療法はなかった。
最近、 特開 2 0 0 4— 1 4 9 4 8 0号公報において、 女性ホルモン、 カルニチ ン、 タウリン、 高脂血症治療剤、植物脂肪等の脂質代謝異常改善薬の経口又は経 皮投与用の治療剤により緑内障、 網膜色素変性症、 糖尿病性網膜症、 網膜中心静 脈閉塞症、 黄班変性症を治療できることが報告されている。
しかしながら、 上記した脂質代謝異常改善薬の経口又は経皮投与用の眼疾患治 療剤よりも治療効果をさらに改善することや副作用を低減することが求められて いる。
したがって、 本発明の目的は、 従来の脂質代謝異常改善薬の経口又は経皮投与 用の眼疾患治療剤よりも優れた治療効果や少ない副作用を有する眼疾患治療用の ツールを提供することである。 発明の開示
本発明者は、 上記の目的を達成するために種々の検討を行なった結果、 点眼剤 を工夫して、これと脂質代謝異常改善薬の経口又は経皮投与用製剤とを併用する と優れた治療効果が得られることを知見して、 本発明を達成した。
また、 脂質代謝異常改善薬は内服投与が一般的であるが、 この場合には有効成 分の眼内移行率があまり高くないので、 脂質代謝異常改善薬を各種環状デキスト リンで包接し眼に直接点眼することにより眼内移行率を高くし高濃度で眼内目的 部位に送達することができ優れた治療効果が得られ、 副作用が少ないことを知見 し、 本発明を達成した。
すなわち、 本発明は、 (1 ) 経口又は経皮投与製剤と (2 ) 点眼製剤とを含み、 両製剤を併用する眼疾患処置用キットであって、 (1 ) の経口又は経皮投与製剤 が脂質代謝異常改善薬を含有し、 (2 ) の点眼製剤が環状デキストリンで包接さ れた性ステロイドホルモン、 環状デキストリンで包接されたセレクティブエスト ロゲンレセプターモジュレーター、 環状デキストリンで包接されたノンフエミナ イジングエストロゲン (ノンホルモナールエストロゲン)、 環状デキストリンで 包接されたその他のエストロゲン作用を有する物質、 環状デキストリンで包接さ
れた高脂血症治療薬及ぴ環状デキストリンで包接された植物脂肪、 並びに 1ml - 中に塩化ナトリウム約 7mg、 塩化カリウム約 0. 4mg、 塩化カルシウム約 0. 2mg、 塩化マグネシウム約 0. 2mg、 リン酸水素ナトリウム約 1 mg、 炭酸水 素ナトリウム約 2mg、 プドウ糖約 0. 9mg及びォキシグルタチオン約 0. 2mg を含む水溶液 (この水溶液は、 神経栄養因子、 環状デキス トリンを含んでもよ い) からなる群から選択した 1種又は 2種以上の成分を含有する眼疾患処置用 キット (以下、 「本発明 1」 という) に関する。
さらに本発明は、 眼疾患処置用点眼剤であって、 環状デキストリンで包接され た性ステロイ ドホルモン、 環状デキストリンで包接されたセレクティブエストロ ゲンレセプターモジュレーター、 環状デキストリンで包接されたノンフヱミナイ ジングエストロゲン (ノンホルモ"^ "一ルエス トロゲン)、 環状デキス トリンで包 接されたその他のエストロゲン作用を有する物質、 環状デキストリンで包接され た高脂血症治療剤及び環状デキストリンで包接された植物脂肪、 並びに lml 中 に塩化ナトリウム約 7mg、 塩化カリウム約 0. 4mg、 塩化カルシウム 0. 2mg、 塩化マグネシウム約 0. 2mg、 リン酸水素ナトリウム約 lmg、 炭酸水素ナトリウ ム約 2mg、 ブドウ糖約 0. 9 mg及ぴォキシグルタチオン 0. 2 mg を含む水溶液 (この水溶液は、 神経栄養因子、 環状デキストリンを含んでもよい) からなる群 から選択した 1種又は 2種以上の成分を含む眼疾患処置用点眼剤 (以下、 「本発 明 2」 という) に関する。 本発明 2の点眼剤は、 好ましくは、 環状デキス トリン で包接された性ステロイドホルモン、 環状デキストリンで包接されたセレクティ ブエストロゲンレセプターモジュレーター、 環状デキストリンで包接されたノン フエミナイジングエス トロゲン (ノンホルモ ~ "一ルエストロゲン)、 環状デキス トリンで包接されたその他のエストロゲン作用を有する物質、 環状デキストリン で包接された高脂血症治療剤及び環状デキス トリンで包接された植物脂肪及び lml 中に塩化ナトリウム約 7mg、 塩化カリウム約 0. 4mg、 塩化カルシウム
0. 2 mg、 塩化マグネシウム約 0. 2mg、 リン酸水素ナトリウム約 1 mg、 炭酸水 素ナトリウム約 2mg、 プドウ糖約 0. 9mg及ぴォキシグルタチオン 0. 2mg を 含む水溶液 (この水溶液は、 神経栄養因子、 環状デキストリンを含んでもよい) からなる群から選択した 2種以上の成分、 特適には、 環状デキストリンで包接さ
れた性ステロイ ドホルモン (例えばエストロゲン) 又は環状デキストリンで包接- されたセレクティブエストロゲンレセプターモジュレーターと環状デキストリン で包接された高脂血症治療剤 (例えば、 HMG— C o A還元酵素阻害剤、 スタチ ン系の高脂血症治療剤) とを含む。 前記 2種以上の成分は、 別々の点眼剤として 併用して点眼 (例えば環状デキストリンで包接されたエストロゲンを含む点眼剤 と環状デキストリンで包接された高脂血症治療剤を含む点眼剤を併用して点眼) してもよいし、 混合して 1つの点眼剤として点眼 (例えば環状デキストリンで包 接されたエストロゲンと環状デキストリンで包接されたスタチン系の高脂血症治 療剤の両方を混合して含む点眼剤を点眼) してもよい。'
本発明 1により、 従来の脂質代謝改善薬の経口又は経皮投与用の眼疾患治療剤 よりも極めて優れた治療効果を有する眼疾患治療用キットを提供できる。 本発明
1の眼疾患処置用キットは、 経口又は経皮投与と点眼投与とを併用することによ り相乗的な治療効果がある。
本発明 2の眼疾患治療用点眼剤は、 眼糸纖に有効成分を点眼により直接投与す るので、 従来の循環系を通して治療する HRTで生じる全身の血液中の性ステロイ ドホルモン等の濃度が高まることによる副作用を起こす心配がなく、 効果の持続 期間が長いため、 少ない点眼回数で疾患を効果的に治療できる。
また、 本発明 1及び 2によれば、 特に、 従来の治療法では不可能であった視野 狭窄を顕著に改善することができるので、 高眼圧の緑内障の治療だけでなく、 今 まで治療法がなかった正常眼圧緑内障の治療も視野改善効果があるので特に効果 的に行なえる。 特に、 環状デキストリンで包接された性ステロイドホルモン (例 えばエストロゲン) と環状デキストリンで包接された高脂血症治療剤 (例えば、 スタチン系の高脂血症治療剤であるメパロチン) とを含む場合には、 スタチン系 化合物等の高脂血症治療薬を高濃度に眼内に投与できるので特に高い治療効果及 び予防効果 (例えば、 網膜中心静脈 (分岐) 閉塞症などの合併症の予防治療効 果) を発揮できる。 図面の簡単な説明 .
図 1は、 実施例 1における治療後のマウスの前眼部の写真である。 (a ) はコ
ントロール点眼群、 (t) は懸濁液点眼群、 (c) は環状デキストリン包接物点眼' 群を示す。
図 2は、 実施例 2における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOPUS 1_2— 3静的視野計による)。
図 3は、 実施例 2における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOPUS
1 _ 2— 3静的視野計による)。
図 4は、 実施例 2における点眼開始約 40日後の右眼の視野を示す (OCTO PUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 5は、 実施例 2における点眼開始約 40日後の左眼の視野を示す (OCTO PUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 6は、 実施例 3における点眼開始直前の右眼の視野を示す (ゴールドマン動 的視野計による)。
図 7は、 実施例 3·における点眼開始直前の左眼の視野を示す (ゴールドマン動 的視野計による)。
図 8は、 実施例 3における点眼開始約 100日後の右眼の視野を示す (ゴール ドマン動的視野計による)。
図 9は、 実施例 3における点眼開始約 100日後の左眼の視野を示す (ゴール ドマン動的視野計による)。
図 10は、 実施例 4における点眼開始直前の眼底写真を示す (キャノン製無散 瞳眼底カメラによる)。
図 1 1は、 実施例 4における点眼開始約 4ヶ月後の眼底写真を示す (キャノン 製無散瞳眼底カメラによる)。
図 12は、 実施例 5における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOPU
S 1一 2— 3静的視野計による)。
図 13は、 実施例 5における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOPU
S 1-2-3静的視野計による)。
図 14は、 実施例 5における点眼開始 8日後の右眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 15は、 実施例 5における点眼開始 8日後の左眼の視野を示す (OCTOP
S 1一 -2— 3静的視野計による)。
図 1 6は、 実施例 6における治療期間中の右眼の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n De f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 1 7は、 実施例 6における治療期間中の左眼の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n D e f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 18は、 実施例 7における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOPU S 1一 2— 3静的視野計による)。
図 1 9は、 実施例 7における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOPU S 1一 2— 3静的視野計による)。
図 20は、 実施例 7における点眼開始 10日後の右眼の視野を示す (OCTO
PUS 1 _ 2— 3静的視野計による)。
図 21は、 実施例 7における点眼開始 10日後の左眼の視野を示す (OCTO PUS 1— 2— 3静的視野計による)。
図 22は、 実施例 8における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOPU S 1一 2— 3静的視野計による)。
図 23は、 実施例 8における点眼開始 8日後の左眼の視野を示す (OCTOP S 1 -2-3静的視野計による)。
図 24は、 実施例 9における治療期間中の右眼の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n De f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 25は、 実施例 9における治療期間中の左眼の OCTOPUS 1— 2—
3静的視野計による Me a n De f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 26は、 実施例 9における治療期間中の右眼の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n D e f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 27は、 実施例 9における治療期間中の左眼の OCTO PUS 1 - 2- 3静的視野計による Me a n De f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 28は、 実施例 1 1における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOP S 1— 2— 3静的視野計による)。
図 29は、 実施例 1 1における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOP S 1一 2— 3静的視野計による)。
図 30は-、 実施例 1 1における点眼 10日後の右眼の視野を示す (O C T O P ' US 1 -2-3静的視野計による)。
図 31は、 実施例 11における点眼 10日後の左眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 32は、 実施例 1 2における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOP
US 1 -2-3静的視野計による)。
図 33は、 実施例 12における点眼開始 8日後の右眼の視野を示す (OCTO PUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 34は、 実施例 13における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 35は、 実施例 13における点眼開始 13日後の左眼の視野を示す (OCT OPUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 36は、 実施例 14における治療期間中の右眼の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n De f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 37は、 実施例 14における治療期間中の左眼の OCTOPUS 1— 2—
3静的視野計による Me a n D e f e c t値 (MD値) の変化を示す。
図 38は、 実施例 15における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 39は、 実施例 15における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 40は、 実施例 15における点眼開始 49日後の右眼の視野を示す (OCT OPUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 41は、 実施例 15における点眼開始 49日後の左眼の視野を示す (OCT
OPUS 1— 2— 3静的視野計による)。
図 42は、 実施例 16における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOP
US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 43は、 実施例 16における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOP US 1一 2— 3静的視野計による)。
図 44は、 実施例 16における点眼開始 1 5日後の右眼の視野を示す (OCT
OPUS 1一 2— 3静的視野計による)。
図 45は、 実施例 16における点眼開始 15日後の左眼の視野を示す (OCT OPUS 1 -2-3静的視野計による)。
図 46は、 実施例 17における点眼開始直前の右眼の視野を示す (OCTOP US 1— 2— 3静的視野計による)。
図 47は、 実施例 17における点眼開始直前の左眼の視野を示す (OCTOP US 1 -2— 3静的視野計による)。
図 48は、 実施例 17における点眼開始 7日後の右眼の視野を示す (OCTO PUS 1—2— 3静的視野計による)。
図 49は、 実施例 17における点眼開始 7日後の左眼の視野を示す (OCTO
PUS 1— 2— 3静的視野計による)。
図 50は、 実施例 18における点眼開始直前の眼底写真である。
図 51は、 実施例 18における点眼約 1年 1ヶ月後の眼底写真である。 発明を実施するための最良の形態
(本発明 1 )
本発明 1は、 (1) 経口又は経皮投与製剤と (2) 点眼製剤とを含む眼疾患処 置用のキットであり、 両製剤は併用される。
本発明 1のキットの経口又は経皮投与製剤における脂質代謝異常改善薬は、 脂 質の代謝を改善する薬剤であれば特に限定されないが、 例えば、 女性ホルモン、 カルニチン、 タウリン、 高脂血症治療剤、 植物脂肪、 セレクティブエス卜ロゲン レセプターモジュレーター等が含まれる。
女性ホルモンとしては、 特に限定されないが、 後述するエストロゲン、 ェスト ロゲン作用を有する物質、 ゲスターゲン (プロゲステロン) 及びそれらの誘導体 又は代謝体が例示でき、 特にエストロゲン及びその誘導体が好ましい。 SERM、 ノンフエミナイジングエストロゲンも含む。
タウリン及びカルニチンにはそれらの誘導体が含まれるが、 タウリン及び L一 カルチニン及び塩化カルニチンが好ましい。
高脂血症治療剤としては、 スタチン系化合物、 例えばメバロチン (プラバス夕
チンナトリウム)、 口パスタチン、 リ ピトール (アトルバスタチン)、 リポバス
(シンパスタチン)、 HMG— C o A還元酵素阻害剤、 ェパデール (E P A) 等 が例示され、 特にメパロチン、 リピトールが好ましい。
植物脂肪としては、 ロレンツォオイル (ォレイン酸:エル力酸 = 4 : 1 )、 ォ レイン酸、 ォリーブ油、 ヤシ油、 ゴマ油、 中鎖脂肪酸等が例示でき、 特にロレン ッォオイルが好ましい。
本発明 1の点眼製剤に含有される性ステロイ ドホルモンは、 おもに卵巣、 精巣 などの生殖腺や胎盤で合成、 分泌されるホルモンであり、 本発明においては、 そ の作用を持つ合成物質や誘導体及び代謝物も含まれる。' 性ステロイドホルモンは、 アンドロゲン、 エス トロゲン、 ゲスターゲンに大別される。 炭素数 1 8〜2 1の 性ステロイ ドホルモンが好ましい。
アンドロゲンとして、 例えば、 テス トステロン、 アンドロステンジオン、 デヒ ドロェピアンドロステロン、 アンドロステロン、 アンドロスタンジ才ン、 メチノレ テス トステロンおよびその誘導体、 代謝体又は構造類似体が例示され、 テス トス テロンおよびその誘導体、 代謝体又は構造類似体が好ましい。
エストロゲンとして、 1 7 β一エストラジオール、 エストロン、 エストリォー ノレ、 ェキリン、 ェキレニン、 ェチニノレエス トラジオ一ノレ等おょぴその誘導体、 代 謝物などが例示され、 1 7 一エストラジオールおよびその誘導体、 代謝物が好 ましい。
その他のエストロゲン作用を有する物質として、 植物性エストロゲン等おょぴ その誘導体、 代謝物が例示される。
ノンフエミナイジングエストロゲンとしては、 例えば、 U S Ρ第 5, 521, 168 に記載されている下式:
(式中、 は H, O H, O R 2又は R 2であり、 R 2は、 C i C sアルキルであ
り、 R3は、 OH, =0又は であり、 R4は、 R , C≡CH又は C = CH2で ある) の化合物、 特に 2—メ トキシエストラジオール、 2—ヒドロキシエストラ ジオール、 4—メ トキシエストラジオ一ノレ、 2—メ トキシエストラジオール 3— メチルエーテル、 2—メ トキシエストロン及ぴ 2—ヒ ドロキシエストロンなどが 挙げられる。 また、 W002/40032 A2に記載されている下式:
(式中、 炭素 6と 7、 8と 9、 又は 9と 11の間で芳香環 Aと共役する 1以上の 二重結合を有し得、 その場合 R8及ぴ1 9の一方又は両方は存在せず、 nは、 1〜4であり、 尺8及ぴ1^9は, 存在する場合、 水素又はアルキルであり、 R 13は、 水素、 置換又は非置換ヒ ドロカルビル、 ハロゲン、 アミ ド、 スルフエ一 ト又はニトレートであり、 R14は、 水素又はアルキルであり、 Rzは、 置換又は 非置換のシクロアルキル、 シクロアルケニル、 ヘテロシクロアルキル又はへテロ シクロアルヱニルである) の化合物、 特に ZYC化合物 (例えば ZYC— 1, 2, 4, 9, 1 0, 1 1 , 1 2 , 1 3, 2 7及ぴ 2 8等) が挙げられる。 また、 Neurobiology of Disease 9, 282-293 (2002) に記載の Z Y C— 5が挙げられる。 ゲスターゲンとして、 プロゲステロンおょぴその誘導体又は構造類似体が好ま しい。
性ステロイドホルモンは、 エストロゲン、 テストステロン、 プロゲステロンお よぴァンドロゲン並びにこれらの誘導体、 代謝物及ぴ構造類似体からなる群から 選択される 1種以上が好ましい。
性ステロイ ドホルモンとして特に好ましいのは、 ί 7 ]3—エストラジオールお よびその誘導体、 代謝物、 構造類似体である。
本発明 1の点眼剤に含有されるセレクティブエストロゲンレセプターモジュ レーター (SERM) には、 例えば、 ラロキシフェン、 アルゾキシフェンなどが
ある。 · ' 本発明 1の点眼製剤に含有される高脂血症治療剤及ぴ植物脂肪は、 本発明 1の 経口又は経皮投与製剤におけるのと同様である。
本発明 1の点眼製剤の 1つの実施態様は、 1ml 中に塩化ナトリゥム約 7mg、 塩化カリウム約 0. 4mg、 塩化カルシウム約 0. 2mg、 塩化マグネシウム約 0. 2mg、 リン酸水素ナトリウム約 lmg、 炭酸水素ナトリウム約 2 mg、 ブドウ糖, 約 0. 9 mg及ぴォキシグルタチオン約 0. 2mg を含有する水溶液を含むもので ある。 水溶液としては、 1ml 中に塩化ナトリウム 7. 1 4mg、 塩化カリウム 0. 3 8mg、 塩化カルシウム 0 · 1 5 4mg、 塩化マグネシウム 0. 2mg、 リン酸 水素ナトリウム 1 . 0 4 8 mg、 炭酸水素ナトリ ウム 2 . l mg、 ブドウ糖 0. 9 2mg及びォキシダルタチオン 0. 1 8 4mg を含む水溶液が好ましい。 こ の水溶液は、 神経栄養因子 (例えば、 B DN F, NG F, CNT F, NT— 3, NT— 4/5, NT- 6、 GDNF、 AF— 1, GGF 2など) 及び/又は 環状デキストリン (詳しくは後述する) を、 好ましくは 1 μ§〜1 0 Omg/1 の濃 度で含んでもよい。
1 7 β一エストラジオールなどの性ステロイドホルモン等の疎水性物質は、 水 に混合すると懸濁液となる。 したがって、 本発明の疾患治療剤においては、 1 7 β—エストラジオールなどの性ステロイドホルモンを環状デキストリンで包 接して水溶性化する。
1 7 —エストラジオールは、 疎水性で水に対して溶解性が低いため、 蒸留水 で溶いても大小不同の凝集塊を作り、 粒子径が大きくなり、 保存安定性が悪く、 目的とする濃度の設定が困難となる。 したがって、 1 7 β—エストラジオール等 の水に難溶性の物質から目的の濃度設定が出来て安定した点眼剤を作るには何ら かの工夫が必要である。 薬剤の安定性を確保して、 角膜及び結膜の生理化学的及 ぴ生物学的特性を傷害しない安全で有益な方法が必要である。 又、 使用時に刺激 ゃ不快感を与えたりしない必要がある。
従来、 難溶性の物質から点眼剤を作るには、 添加物、 油、 アルコール等を加え たり、 点眼剤の粘性を上げるなどの方法が試みられているが、 点眼時に不快感が 生じるなどの欠点があった。
これに対 'して、 本発明においては、 環状デキストリン (シクロデキストリン) — を用いて薬剤を包接化し、 これを水溶化して用いる方法を取るので点眼時に不快 感が生じることが極めて少ない。 シクロデキストリンは、 グルコースのオリゴ サッカライドで、 外側が親水性で內側 (cavity) が疎水性であり、 疎水性の薬剤 たとえば 1 7 β—エストラジオールとの包接物を作ることにより水溶性化し安定 化でき、 使用時不快感がないものも得られるので、 点眼剤を作るのに適している。 シクロデキストリンには一般的に a;、 β yの 3種類があることが知られている。 シクロデキストリンの中で、 ーシクロデキストリンは、 溶血性の問題や水溶 性の低さから腎毒性などの問題があるので、 下記のような J3—シクロデキストリ ンの誘導体を用いることが賢明である。
β—シクロデキストリン誘導体には、 親水性シクロデキストリンと疎水性シク ロデキストリンがあるが、 点眼剤には親水性のものが適している。 親水性シクロ デキストリンには、 メチル化シクロデキストリンとヒ ドロキシアルキル化シク口 デキストリンがあるが、 メチル化シクロデキストリンは、 1 7 一エストラジ オールとの包接物の水溶液を家兎に点眼したところ、 目に対する刺激性、 角膜潰 瘍の形成や充血などが出現したので、 角膜や結膜に対する障害や溶血性の問題か ら適切ではないことが分かった。 これに対して、 ヒ ドロキシアルキル化シクロデ キストリンは、 安全性が高く、 目に対する刺激性もなく角膜上皮障害もなく点眼 剤作製に優れている。
ヒ ドロキシアルキル化シクロデキストリンには、 ヒドロキシェチルシクロデキ ストリン、 ヒ ドロキシプロビルシクロデキストリンなどが含まれ、 特に 2—ヒ ド ロキシプロピル一 βーシクロデキストリンが、 包接物の水溶性や薬剤安定性に優 れ、 刺激性や生体毒性も少ない点から、 最も好ましい。
γ—シクロデキストリン及ぴその誘導体も好ましく使用できる。 α—シクロデ キストリンは、 1 7 _エストラジオールの包接による水溶性化はあまり高くな いことが分かったので、 γ—シクロデキストリンの方が好ましい。
ヒ ドロキシプロピノレー yーシクロデキストリン、 スノレホニノレ一 βーシクロデキ ストリン、 スルホブチルエーテル一 一シクロデキストリン、 δ—シクロデキス トリンも用いる事が出来る。
上記したシクロデキストリンは、 2種以上を組み合わせて用いることもできる。 例えば、 ヒドロキシプロビルシクロデキストリン (特に 2—ヒ ドロキシプロピル 一 /3—シクロデキストリン) とその他のシクロデキストリンとの組み合わせ、 γ —シクロデキストリンとその他のシクロデキストリンとの組み合わせ、 好ましく はヒ ドロキシプロビルシクロデキストリン (特に 2—ヒ ドロキシプロピル一 ]3— シクロデキストリン) と γ—シクロデキストリンの組み合わせがあげられる。
1 7 β—エストラジオールなどの性ステロイドホルモンの環状デキストリンによる 包接化は、 例えば、 常法により、 性ステロイドホルモンをゲスト化合物として、 α—、 β—または γ—シクロデキストリンなどの環状化合物またはその誘導体等のホスト 化合物に包接することによって行なうことができる。 包接化された性ステロイド ホルモンは、 水に対する溶解性が良好であり、 角膜に容易に接触し角膜 ·結膜表 面で環状デキストリンから疎水性の' I:生ステロイドホルモン等の有効物質をリリー スするので、 角膜や結膜を通過しやすい疎水性の有効成分を容易に眼内に入れる ことができ、 点眼により眼内組織 (特に、 水晶体、 眼底 (網膜、 脈絡膜など) に 有効成分を効果的に移行、 浸透させるため、 治療効果が高く、 全身の血中濃度を 低く抑えることができるので副作用が少なく、 また、 使用感がよく異物感がない ので、 特に点眼剤に適している。
環状デキストリンで包接された 1 7 β—エストラジオールは、 点眼により眼内 の目的部位に移行し、 細胞を活性化することを以下の 2つの動物実験で確認した。 すなわち、 点眼剤 Α (環状デキストリンを使用しないで調製した 1 7 ーェスト ラジオールの懸濁点眼剤)、 点眼剤 B ( 2—ヒ ドロキシプロピル一 β—シクロデ キストリンと 1 7 j3—エストラジオールとの包接物の点眼剤) の効果を見るため、 点眼後の 1 7 β一エストラジオールの前房'内移行濃度の測定を家兎眼 (ダッチウ サギ:メス) を用いてブラインドで実験を行ったところ、 いずれの点眼剤も前房 内の 1 7 j3—エストラジオール濃度は、 点眼後 3 0分値が 1番高く、 以後減少し たが、 2—ヒドロキシプロピル一 /3—シクロデキストリンで包接した点眼剤 Bの 1 7 —エストラジオール前房内濃度は、 点眼剤 Α (懸濁液) の前房内移行濃度 の数十倍高かった。 また、 2—ヒドロキシプロピル一 /3—シクロデキストリンと 1 7 β一エストラジオールとの包接物の点眼剤をマウスに点眼し、 網膜外顆粒層
(視細胞) -のエストロゲン受容体の核内移行を調べる動物実験をしたところ、 · 2—ヒドロキシプロピル一) 3—シクロデキストリンと 1 7 β一エス卜ラジオ一ル との包接物の点眼は、 P B S点眼 (コントロール) に比べ、 網膜外顆粒層 (視細 胞) のエストロゲン受容体の核内移行が有意に認められ、 その移行は点眼した 1 7 /3—エストラジオールの濃度 (0 . 1〜: L 0 0 g/ml) に依存していた。 こ の結果から、 眼疾患 (網膜、 脈絡膜、 視神経疾患、 白内障など) の予防治療に役 立つことが想定される。
1 7 β一エストラジオール以外のエストロゲンの構造類似体、 代謝体、 誘導体、 セレクティブエストロゲンレセプ夕一モジュレーター、 ノンフエミナイジングェ ストロゲン (ノンホルモナールエストロゲン)、 その他のエストロゲン作用を有 する物質、 高脂血症改善薬 (例えばス夕チン系化合物)、 植物脂肪も環状デキス トリンにより包接化することにより、 環状デキストリンにより包接化された 1 7 ]3—エストラジオールと同様に、 眼内目的組織への移行を高め、 治療目的部 位の疾患治療に有効と考えられる。
本発明 1においては、 HM G— C o Α還元酵素阻害剤、 ス夕チン系の高脂血症 改善薬 (メバロチンゃリピトールなど) を含む経口又は経皮投与製剤と環状デキ ストリンで包接された性ステロイドホルモン (例えばエストロゲン) 又は環状デ キストリンで包接されたセレクティブエストロゲンレセプ夕一モジユレ一夕一 (ラロキシフェンなど) を含む点眼製剤を併用する (又は環状デキストリンで包 接された HM G— C o A還元酵素阻害剤と環状デキストリンで包接されたエスト ロゲン又は S E RMの併用 眼も) と、 副作用として危惧される網膜中心静脈閉 塞症や深部静脈血栓症などの合併症の予防効果及び治療効果を発揮できる。
本発明 1において、 カルニチンを含む経口又は経皮投与製剤と環状デキストリ ンで包接された HM G— C o A還元酵素阻害剤、 ス夕チン系の高脂血症改善薬 (メパロチンゃリピトールなど) 又は環状デキストリンにより包接されたェスト ロゲン (例えば 1 7 )3—エストラジオール)、 又は S E R Mを含む点眼製剤の併 用は、 緑内障の視野改善効果の点で特に好ましい。
本発明 1における経口又は経皮投与製剤は、 一般の経口又は経皮治療剤と同様 にして製造することができ、 その形態も一般の経口又は経皮治療剤が有する形態、
例えば、 液剤、 錠剤、 シロップ剤、 軟膏、 ハツプ剤等の形態とすることができる。 本発明 1における点眼製剤は、 例えば、 環状デキストリンにより包接化された 性ステロイ ドホルモン、 環状デキストリンにより包接化されたセレクティブエス トロゲンレセプターモジュレーター、 ノンフエミナイジングエストロゲン (ノン ホルモナールエストロゲン)、 環状デキストリンにより包接化されたその他のェ ストロゲン作用を有する物質、 環状デキストリンにより包接化された高脂血症改 善剤、 環状デキストリンにより包接化された植物脂肪を滅菌蒸留水、 B S Sブラ ス、 生理食塩水などに所定の濃度で溶解させることにより製造できる。
本発明 1における経口又は経皮投与製剤において、 脂質代謝異常改善薬は、 治 療に有効な量含まれる必要がある。 治療有効量は、 患者の症状、 年齢、 体重、 性 別などによって変化する。 例えば、 メバロチン等のスタチン系化合物は、 5〜
1 O mg/日が好ましく、 カルチュンの場合、 5 mg/kg体重〜 1 5 O mg/kg体重が 好ましい。
本発明 1の点眼製剤において、 性ステロイ ドホルモン、 セレクティブエストロ ゲンレセプターモジュレーター、 ノンフエミナイジングエス トロゲン (ノンホノレ モナールエストロゲン)、 その他のエストロゲン作用を有する物質、 高脂血症改 善剤、 植物脂肪は、 治療に有効な量含まれる必要がある。 治療に有効な量は、 液 剤の場合、 例えば 0 . 1 t g〜l 0 0 g/l、 好ましくは 0 . 5 z g〜l g/l、 特に好 ましくは 1 / g〜5 0 O mg/1 の濃度であり得る。 エストロゲン及ぴスタチン系化 合物の場合、 1 0 ;i g〜 1 0 O mg/ 1が特に好ましい。
本発明 1の経口又は経皮投与用製剤において、 カルニチンを含む場合、 活性酸 素が増加することがあるので、 エストロゲン又は HMG— C o A還元酵素阻害剤、 スタチン系化合物を含む点眼製剤と併用して投与する力、 あるいはトコフェロー ル (ュベラソフ ト) 1カプセル 2 0 O mg を 3回/日、 ァスコルビン酸 (ハイ シー) 1 gを 3回//日経口投与することにより、 またはトコフェロールもしくは ァスコルビン酸を、 併用する点眼製剤に混合して投与することにより、 活性酸素 を低下させることができる。
本発明 1の経口又は経皮投与用製剤及び点眼製剤には、 必要により、 慣用の添 加剤、 たとえば、 賦形剤、 担体、 p H調整剤、 等張剤、 保存剤、 ダルタチオン、
グルコース; 各種の塩、 安定剤、 清涼化剤、 抗酸化剤、 防腐剤などを添加しても' よい。 また、 ヒ ドロキシプロピ /レメチノレセノレロース、 力/レポキシメチノレセノレロー ス又はそのナトリゥム塩、 ポリピロリ ドン、 ポリビュルピロリ ドン (これを加え 加熱する) 等を加えても良い。
(本発明 2 )
本発明 2は、 点眼剤である。
本発明 2においては、 環状デキストリンで包接された性ステロイドホルモン、 環状デキストリンで包接されたセレクティブエストロゲンレセプターモジユレ一 ター、 環状デキストリンで包接されたノンフエミナイジングエストロゲン (ノン ホルモ ^ "一ルエス トロゲン)、 環状デキス トリンで包接されたその他のエストロ ゲン作用を有する物質、 環状デキストリンで包接された高脂血症治療剤及び環状 デキストリンで包接された植物脂 及ぴ l ml 中に塩化ナトリウム約 7 mg、 塩化 カリウム約 0 . 4 mg、 塩化カルシウム 0 . 2 mg、 塩化マグネシウム約 0 . 2 mg、 リン酸水素ナトリウム約 l mg、 炭酸水素ナトリウム約 2 mg、 ブドウ糖約 0 . 9 mg 及ぴォキシグルタチオン 0 . 2 mgを含む水溶液 (この水溶液は、 神経栄養因子、 環状デキストリンを含んでもよい) からなる群から選択した 1種又は 2種以上を 含む。
本発明 2の点眼剤における環状デキストリン、 性ステロイドホルモン、 セレク ティブエストロゲンレセプターモジュレーター、 ノンフエミナイジングエスト口 ゲン (ノンホルモ^ "一ルエストロゲン)、 その他のエストロゲン作用を有する物 質、 高脂血症治療剤及び植物脂肪並びに水溶液及び神経栄養因子は、 本発明 1に おけるのと同様であり、 各種有効成分の環状デキストリンによる包接又は混合も 本発明 1におけるのと同様に行なうことができる。
本発明 2においては、 上記した成分の 1種を単独で用いることもできるが、 2種以上を用いる場合が治療効果の点で特に好ましい場合がある。 特に、 環状デ キストリンで包接された高脂血症治療剤 (例えば、 HMG— C o A還元酵素阻害 剤、 スタチン系の高脂血症治療剤であるメパロチン、 リピトールなど) と環状デ キストリンで包接された性ステロイドホルモン (例えばェズトロゲン) 又は環状 デキストリンで包接されたセレクティブエストロゲンレセプターモジュレーター
(ラロキシフェンなど〉 とを併用又は混合して含む場合には、 性ステロイドホル' モン及びセレクティブエストロゲンレセプターモジユレータに加え、 スタチン系 の高脂血症治療薬も高濃度に眼内に投与できるので内服にくらべ各種眼疾患の特 に高い治療効果及び予防効果 (例えば網膜中心静脈 (分岐) 閉塞症や深部静脈血 栓症などの合併症の予防効果) を発揮できる。 2種以上の成分は、 それぞれ別々 の点眼剤として処方し併用してもよいし、 一緒に混合して 1つの点眼剤として処 方してもよい。
本発明 2の点眼剤は、 剤中の性ステロイドホルモン、 セレクティブエストロゲ ンレセプターモジュレーター、 ノンフエミナイジングエストロゲン (ノンホノレモ i "一ルエストロゲン)、 その他のエストロゲン作用を有する物質、 高脂血症改善 剤、 植物脂肪の濃度や薬剤の投与回数、 投与量を変えることにより、 効果の現れ る時間や効果の持続時間を調節することができる。
本発明 2の点眼剤には、 必要により、 慣用の添加剤、 たとえば、 賦形剤、 担体、 p H調整剤、 等張剤、 保存剤、 グルタチオン、 グルコース、 各種の塩、 安定剤、 清涼化剤、 抗酸化剤、 防腐剤などを添加してもよい。 各種環状デキストリンを添 加してもよい。 これにより薬物動態が変わり、 眼内への薬剤の移行がよくなり、 目に対する刺激も少なくなる。 また、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 力 ルポキシメチルセルロース又はそのナトリゥム塩、 ポリピロリ ドン、 ポリビュル ピロリ ドン (これを加え加熱してもよい) 等を加えても良い。
(本発明 1及び 2の適用眼疾患)
本発明 1又は 2により治療可能な疾患は、 特に限定されないが、 例えば、 緑内 障、 高眼圧の緑内障、 正常眼圧緑内障、 血管新生老人性黄斑変性症、 老人性黄斑 病変、 中心性網脈絡膜炎、 黄斑変性症、 老人性黄斑変性症、 黄斑円孔、 白内障、 老人性白内障、 眼底出血、 網膜中心動脈閉塞症、 眼底動脈硬化症、 光視症、 糖尿 病性網膜症、 網脈絡膜萎縮、 近視による眼底病変、 網膜および脈絡膜の血管新生 病変、 卵巣除去による白内障、 T G F による白内障、 黄斑線維増殖症 (黄斑上 膜)、 網膜中心静脈 (分枝)閉塞症、 網膜裂孔, 網膜剥離、 増殖性網膜症、 網膜色 素変性症、 角膜炎、 角膜混濁、 角膜ピラン、 角膜上皮剥離、 '角膜潰瘍、 モーレン ズ (モーレンの) 角膜潰瘍、 角膜内皮細胞変性や脱落、 角膜変性症、 流行性角結
膜炎、 霰粒腫、 虹彩炎、 ·ぶどう膜炎、 自己免疫疾患、 網脈絡膜炎、 虹彩毛様体炎、' 眼精疲労、 各種疾患による視野狭窄、 視神経萎縮、 視神経炎、 虚血性視神経症、 動体視力低下、 色覚異常、 老眼、 近視、 遠視、 乱視などの屈折異常が含まれる。 緑内障には、 ポスナーシュロスマン症候群が含まれ、 角膜変性症には、 角膜内皮 細胞変性及ぴ脱落、 角膜顆粒状変性症 (ダレノウタイプ 1、 ダレノウタイプ 2 )、 角膜帯状変性症が含まれる。
本発明 1又は 2により、 '白内障による視力低下及ぴ水晶体の混濁、 緑内障 (高 眼圧の緑内障及び正常眼圧緑内障) の視野狭窄、 網膜色素変性症の視野狭窄、 糖 尿病性網膜症の出血、 黄斑変性症の視力等も良好に改善できる。
HMG— C o A還元酵素阻害剤、 スタチン系の高脂血症改善薬 (例えばリピ トールゃメパロチン) の内服と環状デキストリンにより包接されたエストロゲン (例えば 1 7 β—エストラジオール) 又は環状デキストリンにより包接されたセ レクティブエス トロゲンレセプターモジュレーター (例えばラロキシフェン) の 点眼との併用により優れた治療効果が発揮されるが、 内服した薬剤の眼内移行率 はあまり高くないので、 HMG— C ο Α還元酵素阻害剤、 スタチン系の高脂血症 改善薬 (例えばリピトールゃメバロチン) を環状デキストリンで包接し 点眼す るとさらにすぐれた治療効果を発揮する。 すなわち、 環状デキストリンで包接し た HMG— C o A還元酵素阻害剤、 スタチン系の高脂血症改善薬を含む点眼剤と 環状デキストリンで包接したエストロゲン又は環状シクロデキストリンで包接さ れたセレクティブエストロゲンレセプターモジュレーターを含む点眼剤を併用し て投与するか、 又は環状デキストリンで包接した HMG— C o A還元酵素阻害剤、 スタチン系の高脂血症改善薬と環状デキストリンで包接されたエストロゲンもし くは環状デキストリンで包接されたセレクティブエストロゲンレセプターモジュ レーターを混合して含む点眼剤を投与すると効果的である。
環状デキストリンにより包接されたラロキシフェンの点眼剤は、 眼圧降下作用 はないが、 視野 (狭窄、 欠損) の改善効果があることが臨床的に確認された。 実施例
次に実施例により本発明を説明するが、 本発明は、 これらの実施例に限定され
るものではない。 - ·
実施例 1 白内障の点眼治療 (動物実験)
(点眼剤の調製)
ラロキシフェン 60mg を蒸留水 1 Lと混合し黄色の懸濁液を得た。 この懸濁 液をラロキシフェン懸濁液の点眼剤として使用した。 この懸濁液に 2—ヒドロキ シプロピル一 j3—シクロデキストリン lg を加えたが、 懸濁性が残っていた。 さ らに、 γ—シクロデキストリン lg を加えてほぼ透明な水溶液を得た。 この水溶 液をラロキシフェン一シクロデキストリン包接物 (透明) の点眼剤として用いた。
(動物実験)
ラロキシフェン懸濁液の点眼剤、 ラロキシフェン一シクロデキストリン包接物 の点眼剤及び PBSを用いて、 以下に記載のように、 白内障の治療効果を見る動 物実験を行った。
(1) 白色マウス (系列 Balb/c、 ォス、 4週齢) 右眼に UV— A、 UV— Bを 同時にそれぞれ約 0. 72 Jの紫外線を 1週間に 4回 (第 1、 3、 5、 7日目) 照射した。
(2) UV照射日には、 照射前に PBSを点眼し、 かつ照射後に PBS (コント ロール)、 ラロキシフェン懸濁液の点眼剤又はラロキシフェン一シクロデキスト リン包接物の点眼剤を点眼した。 非照射日には、 PB S (コントロール)、 ラロ キシフェン懸濁液の点眼剤又はラロキシフェン一シクロデキストリン包接物の点 眼剤を 1日 1回点眼した。
群 n 照射前点眼 照射後点眼 非照射日点眼
(a) 6 PB S PBS PBS
(b) 6 PBS 懸濁液 懸濁液
(c) 6 PB S 透明液 透明液
(3) 点眼開始後 10日目に前眼部の写真をとつた (図 1)。
図 1から分かるように、 (a) (コントロール) 群では、 水晶体が激しく混濁し 白内障が発生し、 (b) 群 (懸濁液) でも、 水晶体が混濁し白内障が発生してい るのに対して、 (c) 群 (透明液 =包接物液) では、 水晶体の混濁がほとんどな かった。
よって、 ラロキシフェンのシクロデキストリン包接物を点眼することにより、 懸濁液の場合よりも、 より多量のラロキシフェンが角膜、 結膜から眼内に移行し、 白内障の予防及び治療効果を発揮することが確認された。 また、 強い紫外線照射 による角膜血管新生、 結膜浮腫、 充血も抑制され、 抗炎症作用、 抗血管新生作用、 抗酸化作用のあることが確認された。 実施例 2 狭隅角緑内障の点眼治療 (臨床試験)
5 9歳の狭隅角緑内障の女性患者に、 実施例 1で調製したラロキシフェン—シ クロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 2回、 約 4 0日点眼した。 その結果、 両眼とも視野狭窄の改善が見られ、 緑内障の治療効果が確認された。 O C T O P U S 1—2— 3静的視野計で測定した点眼開始直前の視野を図 2 (右眼) 及び 図 3 (左眼) に、 点眼開始約 4 0日 の視野を図 4 (右眼) 及び図 5 (左眼) に 示した。 実施例 3 網膜色素変性症の点眼治療 (臨床試験)
4 2歳の膜色素変性症の男性患者に、 実施例 1で調製したラロキシフェンーシ クロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 2回、 約 1 0 0日点眼した。 その結 果、 視野狭窄の改善が見られ、 網膜色素変性症の治療効果が確認された。 ゴール ドマン動的視野計 (ィナミ社製) で測定した点眼開始直前の視野を図 6 (右眼) 及び図 7 (左眼) に、 点眼開始約 1 0 0日後の視野を図 8 (右眼) 及び図 9 (左 眼) に示した。 実施例 4 糖尿病性網膜症の点眼治療 (臨床試験)
4 3歳の糖尿病性網膜症の女性患者に、 実施例 1で調製したラロキシフェン一 シクロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 2回、 約 4ヶ月点眼した。 その結 果、 眼底出血及び白斑の減少が見られ、 糖尿病性網膜症の治療効果が確認された。 点眼開始直前の眼底写真を図 1 0に、 点眼開始約 4ヶ月後の眼底写真を図 1 1に 示した。
実施例 5 正常眼圧緑内障の点眼治療 (臨床試験)
(点眼剤の調製)
スタチン系化合物であるリピトール 2 Omg を蒸留水 1 Lと混合し懸濁液を得 た。 この懸濁液に 2—ヒ ドロキシプロピル一 —シクロデキストリン lg、 さら に γ—シクロデキストリン lg を加えてほぼ透明な水溶液を得た。 この水溶液を リピトールーシクロデキストリン包接物の点眼剤として用いた。
1 7 一エストラジオール 1 Omg を蒸留水 1 Lと混合し懸濁液を得た。 この 懸濁液に 2—ヒドロキシプロピル一 ーシクロデキストリン 2g を加えると透明 な水溶液が得られたが、 これには目に対する刺激性がややある.ため、 さらに γ _ シクロデキストリン 1 g を加えて点眼剤 ( 1 7 β—エス トラジオール濃度 1 Omg/L) を調製した。 これを 1 7 j3—エストラジオールーシクロデキストリ ン包接物の点眼剤として用いた。
(fe床試 ¾¾J
74歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、 リピトールーシクロデキストリン包接 物の点眼剤を 1滴ずつ 1日 4回及ぴ 1 7 β一エストラジオール一シクロデキスト リン包接物の点眼剤を 1滴ずつ 1日 2回、 8日間点眼した。 その結果、 視野狭窄 の改善が見られ、 治療効果が確認された。 点眼開始直前の OCTOPUS 1 - 2— 3静的視野計による視野を図 1 2 (右眼) 及び図 1 3 (左眼) に、 点眼開始 8日後の視野を図 14 (右眼) 及び図 1 5 (左眼) に示した。 実施例 6 正常眼圧緑内障の点眼治療 (臨床試験)
(点眼剤の調製)
各成分を蒸留水に溶解して、 1ml 中に塩化ナトリウム 7. 1 4mg、 塩ィ匕カリ ゥム 0. 38mg、 塩化カルシウム 0. 1 54ml、 塩化マグネシウム 0. 2mg、 リ ン酸水素ナトリウム 1. 0 4 8mg、 炭酸水素ナトリウム 2. lmg、 ブドウ糖 0. 9 2mg及ぴォキシグルタチオン 0. 1 84mg を含む水溶液を調製した。 こ の水溶液をォキシダルタチオンとブドウ糖を含む各種塩溶液点眼剤として使用し た。
(臨床試験)
43歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、 上記で調製した各種塩溶液点眼剤 1滴' を 1日 3回、 約 2年半点眼した。 その結果、 しだいに視野狭窄の改善が見られ、 治療効果が確認された。 治療期間中の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計に よる Me a n D e f e c t値 (MD値) を図 1 6 (右眼) 及ぴ図 1 7 (左眼) に示した。 実施例 7 正常眼圧緑内障の点眼治療 (臨床試験)
5 7歳の正常眼圧緑内障の男性患者に、 実施例 5で調製したリピトールーシク ロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 4回、 1 0日間点眼した。 その結果、 視野の改善が見られ、 治療効果が確認された (特に MD値改善)。 点眼開始直前 の OCTOPUS 1— 2— 3による静的視野を図 1 8 (右眼) 及ぴ図 1 9 (左 眼) に、 点眼開始 1 5日後の視野を 020 (右眼) 及び図 2 1 (左眼) に示した。 実施例 8 正常眼圧緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
(点眼剤の調製)
メパロチン 2 0mg を蒸留水 1 Lと混合し懸濁液を得、 この懸濁液に 2—ヒ ド ロキシプロピル一 /3—シクロデキストリン 1 g を加え、 さらに、 γ—シクロデキ ストリン lg を加えてほぼ透明な水溶液を得た。 この水溶液をメパロチンーシク ロデキストリン包接物の点眼剤として用いた。
(臨床試験)
リピトール 1 Omg を 1 日 1回内服投与し、 実施例 5と同様にして作った 1 0 Omg/1 濃度の 1 7 β一エストラジオールーシクロデキストリン包接物の点 眼剤を 1日 2回点眼投与して 6ヶ月間治療中の 54歳の正常眼圧緑内障の女性患 者に、 さらに上記のメパロチンーシクロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 4回、 8日間投与したところ、 顕著な視野改善効果が見られた。 メバロチン一シ クロデキストリン包接物の点眼剤による点眼開始直前の OCTOPUS 1― 2— 3静的視野計による視野を図 2 2 (左眼) に、 点眼開始 8日後の視野を図 2 3 (左眼) に示した。 この結果から、 スタチン系化合物 (メパロチン、 リピ トール) は、 内服よりも、 環状デキストリンにより包接して点眼投与するほうが
さらに効果的であることが判明した。 実施例 9 高眼圧の開放隅角緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
60歳の高眼圧の開放隅角緑内障、 人口水晶体眼の女性患者に、 1日 1回、 リ ピトール l Omg を内服投与し、 実施例 6のォキシダルタチオン及びブドウ糖を 含む各種塩溶液点眼剤を 1滴 1日 3回点眼投与した。 投与を約 22ヶ月間継続し た。 その結果、 視野狭窄の改善が見られ、 治療効果が確認された。 治療期間中の OCTOPUS 1 _ 2— 3静的視野計による Me a n D e. f e c t値 (MD 値) を図 24 (右眼) 及び図 25 (左眼) に示した。 これらの図から、 リピトー ル内服とォキシグルタチオン及ぴプドウ糖を含む各種塩類溶液の点眼を長期に併 用投与することにより、 実施例 6に記載のォキシダルタチオン及ぴプドウ糖を含 む各種塩類溶液点眼のみの単独長期 与に比べ、 視野の改善効果がより強く現れ たことがわかる。 実施例 10 正常眼圧緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
74歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、 メバン (プラバスタチンナトリウム) 1 Omg を 1日 1回内服投与と、 実施例 5の 1 7 β—エストラジオールーシク口 デキストリン包接物の点眼剤を 1滴ずつ 1日 2回点眼投与とを約 6ヶ月間併用し たところ、 視野の改善が見られ、 治療効果が確認された。 治療期間中の OCTO PUS 1— 2— 3静的視野計による Me a n D e f e c t値 (MD値) を図
26 (右眼) 及び図 27 (左眼) に示した。 実施例 1 1
47歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、 実施例 10のメパロチンーシクロデキ ストリン包接物の点眼剤 ( 20mg/l) を 1日 4回点眼し、 実施例 5の 1 7 jS—ェ ストラジオール一シクロデキストリン包接物の点眼剤 ( 1 Omg/1) を 1日 2回点 眼したところ、 視野の改善が見られた。 2つの点眼剤の併用により効果的に治療 が行えることが分かった。 点眼開始直前の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野 計による視野を図 28 (右眼) 及び図 29 (左眼) に、 点眼 10日後の視野を図
30 (右眼) 及び図 31 (左眼) に示した。 実施例 12 狭隅角緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
59歳の狭隅角緑内障、 眼底動脈硬化症の女性患者に、 1日 1回メパロチン (プラバス夕チンナトリウム) 1 Offlg を内服投与し、 実施例 1のラロキシフエ ンーシクロデキストリン包接物の点眼剤 1滴を 1日 2回点眼投与した。 投与を 8日間継続した。 その結果、 視野の改善が見られ、 治療効果が確認された。 点眼 開始直前の OCTOPUS 1— 2— 3静的視野計による視野を図 32 (右眼) に、 点眼開始 8日後の視野を园 33 (右眼) に示した。 実施例 13 高眼圧の開放隅角緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
46歳の高眼圧の開放隅角緑内障.、 眼底動脈硬化症の女性患者に、 1日 1回リ ピトール 10mg を内服投与し、 実施例 1のラロキシフェン—シクロデキストリ ン包接物の点眼剤 1滴を 1日 2回点眼投与した。 投与を 13日間継続した。 その 結果、 視野の改善が見られ、 治療効果が確認された。 点眼開始直前の〇C TOP US 1一 2— 3静的視野計による視野を図 34 (左眼) に、 点眼開始 13日後 の視野を図 35 (左眼) に示した。 実施例 14 高眼圧の開放隅角緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験) (点眼剤の調製)
蒸留水 lml 中に塩化ナトリウム 7. 14mg、 塩化カリウム 0. 38mg、 塩化 カルシウム 1 54mg、 塩化マグネシウム 0. 2nig、 リン酸水素ナトリウム 1. 048 nig, 炭酸水素ナトリウム 2. lmg、 ブドウ糖 0. 92 mg及びォキシ ダルタチオン 0. 184mg を含むように各成分を溶解し、 さらに神経栄養因子 (BDNF) を 5 gZ 500mlの濃度で加えて、 点眼製剤を調製した。
(臨床試験) '
72歳の高眼圧の開放隅角緑内障の女性患者に、 (リポパス) シンパス夕チン 1 Omg を内服投与し、 上記点眼製剤 1滴を 1日 3回点眼投与した。 投与を 1年 3ヶ月継続した。 その結果、 視野改善効果がみられ、 治療効果が確認された。 治
療期間中の OCTOPUS 1—2— 3静的視野計による Me an D e f e c t値 (MD値) を図 36 (右眼) 及び図 37 (左眼) に示した。 実施例 1 5 正常眼圧緑内障の内服治療 (臨床試験)
74歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、 メバロチン 1 Onig を 1日 1回、 アベ ダイン (カルニチン) 200mg を 1日 3回、 それぞれを 49日間内服投与した ところ、 視野の改善が見られた。 点眼開始直前の OCTOPUS 1— 2— 3静 的視野計による視野を図 38 (右眼) 及び図 39 (左眼) に、 点眼開始 49日後 の静的視野を図 40 (右眼) 及び図 41 (左眼) に示した。 カルニチン内服とメ バロチン (ス夕チン系化合物) 内服の併用投与で、 緑内障の視野の改善効果が確 認された。 実施例 1 6 正常眼圧緑内障の点眼治療 (臨床試験)
(点眼剤の調製)
蒸留水 lml 中に塩化ナトリウム 7. 14mg、 塩化カリウム 0. 38mg、 塩ィ匕 カルシウム 1 54mg、 塩化マグネシウム 0. 2mg、 リン酸水素ナトリウム 1. 048mg、 炭酸水素ナトリウム 2. lmg、 プドウ糖 0. 92 mg及びォキシ ダル夕チオン 0. 1 84mg を含むように各成分を溶解し、 さらに 2—ヒドロキ シ— β—シクロデキストリン 2 g/1 の濃度で加えて混合し、 点眼製剤を調製し た。
(臨床試験)
9歳の正常眼圧緑内障の男児患者に、 上記の点眼剤 1滴を 1日 3回、 1 5日間 点眼した。 その結果、 視野の改善が見られ、 緑内障の治療に効果があった。 サイ クロデキストリンを混合することで、 薬剤動態が変化し、 薬剤の眼内移行が高ま るようだ。 点眼開始直前の OCTOPUS 1— 2— 3による静的視野を図
42 (右眼) 及び図 43 (左眼) に、 点眼開始 1 5日後の静的視野を図 52 (右 眼) 及び図 45 (左眼) に示した。 実施例 1 7 正常眼圧緑内障の内服及び点眼の併用治療 (臨床試験)
7 8歳の正常眼圧緑内障の男性患者に、 メパロチン 1 O mg を 1日 1回内服投' 与し、 実施例 5の 1 7 ;3—エストラジオールーシクロデキストリン包接物の点眼 剤 1滴を 1日 2回及び実施例 1 0のメバロチンーシクロデキストリン包接物の点 眼剤 1滴を 1日 4回それぞれ点眼投与した。投与を 7日間継続したところ、 視野 の改善が見られ、 緑内障の治療に効果があった。 1 7 i3—エストラジオールの点 眼とともにスタチン系 (メバロチン) の内服と点眼とを同時に併用して行うと、 よい治療効果のあることが分かった。点眼開始直前の O C T O P U S 1— 2— 3による静的視野を図 4 6 (右眼) 及び図 4 7 (左眼) に、 点眼開始 7日後の視 野を図 4 8 (右眼) 及び図 4 9 (左眼) に示した。 実施例 1 8
5 6歳の黄斑変性症の男性患者に > 1 7 β一エストラジオール一シクロデキス トリン包接物の点眼剤 ( 1 O mg/1) を 1日 1回約 1年 1ヶ月点眼投与した。 その 結果、 網膜の浸出物が減少し矯正視力が 1 . 2から 1 . 5に改善された。 投与直 前の眼底写真を図 5 0に、 投与約 1年 1ヶ月後の眼底写真を図 5 1に示す。