作業状態検知装置
技術分野
[0001] 本発明は、作業者が人または物品に対して行う作業を検知する作業状態検知装置 に関する。
背景技術
[0002] 従来より、家屋の施錠機構などの物品とその使用者の腕などとにそれぞれデータ通 信手段を設けておき、使用者が施錠機構の一部 (例えばドアノブなど)に触れること で、使用者及び施錠機構を通る接触経路が形成された場合、上記データ通信手段 間でデータ通信を行うことが考えられている。このような、いわゆる接触通信を利用す ることにより、施錠機構のセキュリティを向上させることも可能である(例えば、特許文 献 1, 2, 3参照)。
特許文献 1:特開 2001— 77735号公報
特許文献 2:特開 2001— 223649号公報
特許文献 3:特開 2002— 246987号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] ところが、上記接触通信に関しては、現在のところ使用者の特定に応用してセキユリ ティを向上させる程度のことしか具体的な応用分野が考えられていない。一方、医療
、つた人為ミスは、多数の死亡事 故も引き起こしており、社会的な問題となっている。また、製造業や商業の分野でも、 人為ミスの発生は収益の低下につながる。
[0004] 本願出願人は、実際に接触が起こらなければ通信がなされない接触通信は、無線 タグによる無線通信などに比べて、作業者が人または物品に対して行う作業を検知 するのに極めて好都合であることに着目した。このように作業を検知することにより、 人為ミスの防止はもちろんのこと、その他にも種々の応用が可能となる。そこで、本発 明は、作業者が人または物品に対して行う作業を良好に検知することのできる作業
状態検知装置を提供することを目的としてなされた。
課題を解決するための手段
[0005] 上記目的を達するためになされた本発明は、作業者並びにその作業対象となる人 または物品にそれぞれ取り付けられ、上記作業者が上記人または物品に触れること で、上記作業者並びに上記人または物品を通る経路が構成された場合、互いにデ ータ通信を行うデータ通信手段と、上記データ通信手段間で行われるデータ通信を 検知する検知手段と、を備えたことを特徴とする作業状態検知装置を要旨としている
[0006] このように構成された本発明では、作業者並びにその作業対象となる人または物品 に、データ通信手段がそれぞれ取り付けられている。これらのデータ通信手段は、上 記作業者が上記人または物品に触れることで、その作業者並びに人または物品を通 る経路が構成された場合、互いにデータ通信を行う。すると、検知手段は、データ通 信手段間で行われるデータ通信を検知する。このため、検知手段が検知したデータ 通信に基づいて、作業者がどの人または物品に接触したかを極めて正確に把握する ことができる。
[0007] 無線タグなどを利用して、作業者や人または物品の位置をある程度把握する技術 は確立されつつある力 この場合、互いに異なる物品が並べて配置されているときな どには、作業者がどの物品に対して接触している (すなわち作業をしている)のか特 定するのが困難である。これに対して、本発明では、実際に接触が起こらなければ通 信がなされな ヽゎゆる接触通信を利用して作業者の作業状態を検知して ヽるので 、作業者が人または物品に対して行う作業を極めて良好に検知することができる。
[0008] なお、ここでいう経路とは、必ずしも定常的に電流が流れる経路に限定されず、例 えば、床や地面を共通のアース電極とした静電結合的な経路であってもよい。また、 接触通信を行う接触経路は、上記のような閉回路に限らず、例えば、いわゆる導波管 型の人体通信などを応用してもよ 、。
[0009] また、検知手段によって検知したデータは種々の形態で利用可能である力 例え ば、次のように利用することが考えられる。すなわち、上記検知手段によって検知され たデータ通信に対応する上記作業者並びに上記人または物品の組み合わせが、正
規の組み合わせに対応しない場合、警告を行う第 1警告手段を、更に備えた形態が それである。
[0010] 前述のように、本発明では、作業者とその作業対象となる人または物品との接触状 態が良好に検知できるので、作業者が人または物品を取り違えていないか否かを、 その検知された情報力も良好に監視することができる。そこで、第 1警告手段は、上 記検知手段によって検知されたデータ通信に対応する作業者並びに人または物品 の組み合わせを正規の組み合わせと比較し、両者が対応していない場合、警告を行 うのである。従って、この場合、作業者が人または物品を取り違えるといった人為ミス の発生を良好に防止することができる。
[0011] なお、ここでいう作業者並びに人または物品の組み合わせとは、一人の作業者と一 人の人、若しくは、一人の作業者と 1つの物品といった、一対一の関係でなくてもよい
。すなわち、例えば、作業者と作業対象となる人と作業対象となる物品の組み合わせ と力、作業者と作業対象となる複数の物品の組み合わせとかいったように、 3つ以上 の要素の組み合わせであってもよ 、。
[0012] また、上記検知手段よつて検知したデータは、次のように利用することも考えられる 。すなわち、上記検知手段によって検知されたデータ通信に対応する上記人または 物品の中に、誤りを生じ易い人または物品が存在する場合、警告を行う第 2警告手 段を、更に備えた形態がそれである。
[0013] 人為ミスが起こり易い事例は、ある程度リストアップしておくことができる。例えば、薬 剤のタキソテール (商標登録第 2690514号)と同じく薬剤のタキソール (商標登録第 3368432号)とを取り違えると力、鈴木次郎という人と鈴木ニ郎という人とを取り違え るとかいった事例は、予め人為ミスを予想して注意を払う必要がある。そこで、第 2警 告手段は、検知手段によって検知されたデータ通信に対応する人または物品の中に 、誤りを生じ易い人または物品が存在する場合、警告を行うのである。従って、この場 合も、作業者が人または物品を取り違えるといった人為ミスの発生を良好に防止する ことができる。
[0014] また、時刻を計時する時計手段を、更に備え、上記検知手段が、上記データ通信 手段間で行われるデータ通信を、その通信が行われた時刻と共に検知する場合、次
のような更なる効果が生じる。この場合、作業者が上記人または物品に接触した時刻 も把握できるので、作業者が複数の人または物品に順次接触したとき、その接触の 順序や時間的な間隔も容易に把握することができる。従って、この場合、検知された データに基づく人為ミス防止等の各種処理を一層正確に実行することが可能となる。
[0015] また更に、上記作業者若しくは上記人または物品の位置を、無線通信を介して検 出する位置検出手段を、更に備え、上記検知手段が、上記データ通信手段間で行 われるデータ通信を、その通信が行われた位置と共に検知する場合、次のような更な る効果が生じる。この場合、作業者が上記人または物品に接触した場所も把握するこ とができる。従って、この場合、検知されたデータに基づく人為ミス防止等の各種処 理を一層正確に実行することが可能となる。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1]本発明が適用された接触タグの構成を表す側面図及び下面図である。
[図 2]その接触タグの内部構造を概略的に表すブロック図である。
[図 3]その接触タグの電源の一例を表すブロック図である。
[図 4]その電源に係る処理を表すフローチャートである。
[図 5]その接触タグの電圧検出部及び電圧印加部の構成を詳細に表すブロック図で ある。
[図 6]その接触タグの動作を表す説明図である。
[図 7]その接触タグの動作を CPUとの関係で表す説明図である。
[図 8]接触タグの電圧検出部及び電圧印加部の他の構成例を表すブロック図である
[図 9]本発明の医療への応用例における接触通信装置の構成を表す斜視図及び正 面図である。
[図 10]その応用例における表示装置の構成を表す正面図及び A— A線断面図であ る。
[図 11]その応用例における患者用の接触通信装置の全体構成を表す斜視図である [図 12]その接触通信装置の内部構成を概略的に表すブロック図である。
[図 13]上記医療への応用例における注射器の構成を表す説明図である。
圆 14]その応用例における注射器袋及び注射器箱の構成を表す説明図である。 圆 15]その注射器袋及び注射器箱を経由する接触経路を例示する説明図である。
[図 16]その接触経路の等価経路を表す説明図である。
[図 17]上記医療への応用例におけるシステムの全体構成を表す説明図である。
[図 18]そのシステムのカルテコンピュータの構成を表すブロック図である。
[図 19]上記医療への応用例における薬液ビンの構成を表す縦断面図,斜視図, B-
B線断面図, C C線断面図,及び動作説明図である。
圆 20]その薬液ビンの動作を縦断面で表す説明図である。
圆 21]その薬液ビンを経由する接触経路を例示する説明図である。
圆 22]上記注射器及び上記薬液ビンを経由する接触経路を例示する説明図である。 圆 23]上記注射器及び患者を経由する接触経路を例示する説明図である。
[図 24]表示装置の使用方法を例示する説明図である。
[図 25]上記医療への応用例における錠剤ビン及び計量器の構成を表す説明図であ る。
圆 26]その錠剤ビンを経由する接触経路を例示する説明図である。
[図 27]上記医療への応用例における点滴に関わる各種構成を表す説明図である。 圆 28]その構成を経由する接触経路の等価経路を例示する説明図である。
圆 29]通信リストの作成処理及びその記憶例を表す説明図である。
[図 30]通信リストの他の記憶例を表す説明図である。
[図 31]通信リストの更に他の記憶例を表す説明図である。
[図 32]上記カルテコンピュータのメモリの構成を表すブロック図である。
[図 33]上記カルテコンピュータの CPUが実行する人為ミスチェック処理を表すフロー チャートである。
[図 34]その CPUが実行する疑義照会処理を表すフローチャートである。
圆 35]接触通信の種々のパターンを例示する説明図である。
圆 36]本発明の薬局への応用例を表す説明図であり、(A)は全体構成を、(B)は粉 薬ビン及び計量器の構成を、(C)は薬ケースの構成を、それぞれ表す。
圆 37]その応用例で構成される接触経路を概略的に表す説明図である。
圆 38]その粉薬ビン及び計量器を経由する接触経路を例示する説明図である。 圆 39]その接触経路を概略的に表す説明図である。
圆 40]上記薬局への応用例における薬袋の構成を表す説明図である。
[図 41]その応用例における処方箋コンピュータが実行する取り出し薬検知処理を表 すフローチャートである。
[図 42]その処方箋コンピュータが実行する表示器制御処理を表すフローチャートで ある。
圆 43]薬剤師の行動に応じた処方箋及び表示器の変化を例示する説明図である。
[図 44]上記計量器のマイクロコンピュータが実行する計量処理を表すフローチャート である。
[図 45]上記処方箋コンピュータが実行する処方終了処理を表すフローチャートである 圆 46]本発明の工場への応用例を表す説明図であり、(A)は全体構成を、(B)は部 品棚の敷板の構成を表す。
圆 47]その応用例における接触経路を概略的に表す説明図である。
[図 48]その応用例における指示コンピュータが実行する表示制御処理を表すフロー チャートである。
[図 49]その指示コンピュータが実行する取り出し検知処理を表すフローチャートであ る。
[図 50]その指示コンピュータが実行する取り付け検知処理を表すフローチャートであ る。
圆 51]作業者の行動に応じた生産カルテ及び棚ランプの変化を例示する説明図で ある。
[図 52]その指示コンピュータが実行するコンベア停止処理を表すフローチャートであ る。
[図 53]本発明のスーパーマーケットへの応用例における買物カートの構成を表す説 明図である。
[図 54]その応用例におけるショーケースの構成を表す説明図である。
[図 55]その応用例における計り売りに関する構成を表す説明図である。
[図 56]その応用例における衣類の販売に関する構成を表す説明図である。
[図 57]その応用例における無線タグの構成を表す説明図である。
[図 58]その応用例における商品券の構成を表す説明図である。
[図 59]接触通信で車の衝突を検知する場合の車の説明図である。
[図 60]接触通信で車の衝突を検知する場合の車の構成図である。
[図 61]車の記憶装置が、衝突等の接触を起こした時のデータの記憶する処理を表す フローチャートである。
[図 62]接触通信を利用したガソリンスタンドの説明図である。
符号の説明
11……接接触触タタググ 20, 40···接触通信装置 21···接触タグ部
22…電波時計部 23···無線通信部 25···音声スピーカ
26…表示部 30···表示装置 50·· '注射器
55···注射器袋 55c, 273, 415, 522···絶縁部
56…注射器箱 61···無線局 62···中央コンピュータ
64···カルテコンビュ タ 70···薬液ビン 80···淀剤ビン
85, 260, 450···計 器 88···棚 91…点滴ビン
93…点滴装置 210…調剤テーブル 220…処方箋コンピュータ 230…薬棚 240···薬ケース 250···粉薬ビン
270…薬袋 300···ベル卜コンベア 310···コンベアプレー卜
311, 331…無線タグ受信機 320···冷蔵庫
322, 422, 455, 530···無線タグ 330…作業ブース
340…部品棚 341, 421···敷板 342···導電板
344···絶縁板 350…指示コンピュータ 410···買物カート
420· "ショーケース 500···衣類 510···ノヽンガ
520···ノヽンガ掛
発明を実施するための最良の形態
[0018] 次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。先ず、データ通信手段としての 接触タグ 1の構成を、図 1 (A)の側面図、図 1 (B)の下面図、及び図 2のブロック図を 用いて説明する。
[0019] 図 1 (A) , (B)に示すように、接触タグ 1は略直方体状に構成され、その長手方向一 端の下面に基準電極 2が、他端の下面に受信電極 3及び送信電極 4が、それぞれ露 出して設けられている。なお、接触タグ 1の外形や各電極 2〜4の露出位置は、用途 に応じて適宜設計変更可能である。
[0020] 図 2は、接触タグ 1の内部構造を概略的に表すブロック図である。接触タグ 1は、制 御部及び演算部を内蔵した CPU7を備え、更に、 CPU7による演算結果等を記憶す るメモリ 8や、乱数を発生して CPU7に入力する乱数発生部 9を備えて 、る。
[0021] また、前述の基準電極 2及び受信電極 3は、電圧検出部 11に接続され、基準電極 2及び送信電極 4は電圧印加部 12に接続されている。電圧検出部 11は、基準電極 2 と受信電極 3との間に印加される電圧を検出電圧値として CPU7に入力する。すると 、 CPU7は、この検出電圧値に応じた増幅命令を増幅部 13及び電圧印加部 12に入 力する。
[0022] すなわち、人体等の接触経路のインピーダンスが高い (若しくは低い)と、電圧検出 部 11によって検出した電圧値力 データが復調できない場合がある。そこで、電圧 検出部 11が検出した電圧信号を、過去数秒間に検出された電圧値に応じた増幅命 令に基づいて増幅するために、電圧検出部 11には増幅部 13が接続されている。増 幅後の電圧信号は、復調部 14によって復調され、デジタルデータとして CPU7に入 力される。
[0023] また、接触通信で送信するデータが CPU7から出力され、変調部 16において、そ の送信するデータを発信部 15が発生する発信信号に載せて変調し、電圧印加部 12 によって、前述のように接触経路のインピーダンス等に合わせて、適正値に増幅した 上で基準電極 2と送信電極 4との間に印加する。
[0024] 更に、 CPU7は、電圧検出部 11及び電圧印加部 12にモード切替命令を入力して いる。モード切替命令とは、接触タグ 1の動作モードを、電圧検出部 11での電圧検出 を休止する送信モード、電圧印加部 12での電圧印加を休止する受信モード、または
、電圧検出部 11での電圧検出と電圧印加部 12での電圧印加とを休止する休止モー ドに切り換える命令である。 CPU7は、乱数発生部 9から入力される乱数に基づき、 例えば次のようにモード切替命令を出力する。すなわち、乱数発生部 9から入力され た乱数を例えば 3で割った余りが 0の場合は休止モードを選択し、余りが 1であれば 送信モードを選択し、余りが 2であれば受信モードを選択すると 、つたようにモードを 切り換えるのである。
[0025] これは、接触通信を行う 1つの接触経路上に沢山の接触タグ 1が存在し、それらの 間で接触通信される場合、複数の接触タグが同時に送信モードとなると、送信するデ ータが混合されてしまう虞があるが、本実施の形態では、このようにモードを切り換え ているため、データの混合を良好に回避することができる。さらに、 3で割った時の余 りが 0の時も休止モードではなく受信モードを選択するようにして、 2Z3の確率で受 信モードが選択され、 1Z3の確率で送信モードが選択されるようにして、接触通信を 向上させる事も可能である。なぜなら、多数の接触タグ間で接触通信する場合、同時 に複数の接触タグが送信してしまうと、接触通信が難しいだけでなぐ送信モードの 接触タグは、受信できない為、接触通信を完了するまでに時間が掛つてしまう。これ に対して、 1つだけ接触タグが送信モードとすれば、受信モードである他の接触タグ は、全て受信できるため、接触通信がより早く完了する。それゆえ、送信モードよりも 受信モードが選択される確率を上げておくのが良い。
[0026] また、図示省略したが接触タグ 1はそれぞれ電源を備えている。 1つの接触経路上 に電源の種類の異なる接触タグ 1が存在する場合は、各モード (送信 ·受信 ·休止)へ の時間配分を次のように設定するとよい。すなわち、 AC電源等の外部電源を持つ設 備用の接触タグ 1は、電力消費の多い送信モードへの時間配分を多くし、バッテリし か持たない携帯型の接触タグ 1では、電力消費の多い送信モードへの時間配分を少 なくするとよい。また、ノ ッテリしか持たない携帯型の接触タグ 1では、通常は、受信モ ードとし、データを受信した後、送信モードが選択されるようにすれば、節電する事が できる。ところで、受信モードが送信モードに比較して節電できるのは、受信モードで は、相手の接触タグ力もの電圧を受信電極で検知してさえいればいいため、送信の ための電圧を常に送信電極に印加しておく必要を無くせるためである。
[0027] また、自動改札で利用されるスイカのように、通信が必要の時のみ電波にて電気を 供給される外部電源を持つ接触タグ 1では、送受信モードを半分ずつに設定してお くとよい。なお、外部電源としては、 AC電源や一部の髭剃機のようなインダクティブ電 源や無線タグのようにマイクロ波や電磁誘導を用いたものなど種々のタイプがある。
[0028] また、複数の電源 (AC電源などの外部電源と、ノ ッテリなど)を持つ接触タグ 1につ いては、外部力 電源供給を受けているか否力、ノ ッテリ残容量は充分力否かなどと Vヽつたそれぞれの電源状態を検出し、最適な電源から接触タグ 1へ電源供給する電 源制御器を設けるのが望ましい。この構成により、どの電源を利用しているかに応じ て各モード (送信 ·受信 ·休止)への時間配分を変更することができる。
[0029] 例えば、図 3に示すように、外部の 1次コイル 17aと内蔵された 2次コイル 17bとの間 の電磁誘導で充電がなされる無線電源 17と、プラグ 18aを介して 100Vの交流電源 に接続可能な AC電源 18と、ノ ッテリ 19とを備えている場合、それらの電源 17〜19 を電源制御器 10に接続して CPU7に電源情報を送ることにより、次のような制御が実 行できる。
[0030] すなわち、図 4に示すように、処理を開始すると CPU7は、 S101 (Sはステップを表 す:以下同様)にて、電源制御器 10から送られる電源情報に応じた電源状態から各 モード (送信 ·受信 '休止)への時間配分を変更する。続く S102では、電源がシャット ダウンするなどして ENDとなったか否かを判断し、 ENDとなって!/、なければ(S 102: NO)、 S101の処理を繰り返し実行する。そして、 ENDとなると(S102 :YES)、ー且 処理を終了する。この処理により、電源消費量を少なくする必要がある場合は、省電 力モードである受信や休止の時間配分を多くし、電力が充分な場合は、送信モード の時間配分を多くすることが可能となる。
[0031] 次に、図 5は、電圧検出部 11及び電圧印加部 12の構成の 1例を詳細に表すブロッ ク図である。図 5に示すように、電圧印加部 12は、絶縁抵抗器 121と電圧印加経路 1 22とを介して基準電極 2と送信電極 4とを結ぶ経路と、絶縁抵抗器 123を介して基準 電極 2と送信電極 4とを結ぶ経路との 2経路を備えている。一方、電圧検出部 11は、 絶縁抵抗器 111と電圧検出経路 112とを介して基準電極 2と受信電極 3とを結ぶ 1経 路のみを備えている。そして、次のように、これらの合計 3経路のうちの 1経路のみ力
上記モードに応じてアクティブになる。
[0032] 送信モードでは、図 6 (A)に示すように、絶縁抵抗器 121のみを ONにして他の絶 縁抵抗器を OFFにすることによって、絶縁抵抗器 121と電圧印加経路 122とを介し て基準電極 2と送信電極 4とを結ぶ経路のみをアクティブにする。なお、図 6では、ァ クティブな経路を太線で表している。すると、基準電極 2と送信電極 4との間に、電圧 印加経路 122によって電圧を印加することができる。
[0033] 休止モードでは、図 6 (B)に示すように、絶縁抵抗器 123のみを ONにして他の絶 縁抵抗器を OFFにすることによって、絶縁抵抗器 123を介して基準電極 2と送信電 極 4とを結ぶ経路のみをアクティブにする。すると、接触タグ 1は実質的に絶縁抵抗器 123と同一視することができるようになり、接触経路を流れるデータを素通りさせること ができる。こうする事で、例えば、 1つの接触経路上で 3つの接触タグが接触通信する 場合、 1つの接触タグが休止モードになっていても、他の 2つの接触タグの接触経路 が途切れないようになる。
[0034] 更に、受信モードでは、図 6 (C)に示すように、絶縁抵抗器 111のみを ONにして他 の絶縁抵抗器を OFFにすることによって、絶縁抵抗器 111と電圧検出経路 112とを 介して基準電極 2と受信電極 3とを結ぶ経路のみをアクティブにする。すると、基準電 極 2と受信電極 3との間に印加される電圧を、電圧検出経路 112によって検出するこ とがでさる。
[0035] 接触タグ 1では、このようにして上記モードを切り換えて 、る。従って、 CPU7から電 圧検出部 11,電圧印加部 12に入力されるモード切替命令は、図 7に示すように、絶 縁抵抗器 111, 121, 123に対する CPU7からの絶縁抵抗調整命令である。なお、 送信モードまたは受信モードにおいても、絶縁抵抗器 123を ONにすることによって バイパス経路を形成し、絶縁抵抗器 123の抵抗値を調整してもよい。更に、バイパス 経路は、電圧検出部 11に設けてもよぐ電圧検出部 11,電圧印加部 12の両方に設 けてもよく、どこに設けてもよい。例えば、図 8 (A)に太線で示すようなバイパス経路を 設けてもよぐこの場合、 CPUからのモード切替命令や絶縁抵抗調整命令は、図 8 ( B)に示すように入力される。
[0036] ちなみ、本例は、電圧検出部 11及び電圧印加部 12の構成の 1例であり、もっとシ
ンプルに絶縁抵抗器 121と絶縁抵抗器 123と絶縁抵抗器 111は無くても良 、。この 場合、電圧印加経路 122が直接、基準電極 2と送信電極に接続され、電圧検出経路 112も直接、基準電極 2と送信電極に接続される。また、この場合、休止モードが選 択された場合、この接触タグが絶縁される事によって接触経路を絶縁し、これによつ て、他の接触タグが接触通信できなくなってしまわな 、ようにしておくのが好ま U、。 その手法としては、図 6 (B)のような休止モード時でも絶縁しな 、経路を設けてお!ヽ たり、自己の接触タグの接触通信の送受信を妨げない程度に導電性を持つように、 基準電極と送受信電極の間の接触タグの表面の塗料等の絶縁抵抗値を調整しても よい。また、休止モード時であっても、電圧印加経路 122や電圧検出経路 112が絶 縁しな 、ような構成にしてお 、ても良 、。
[0037] ところで、接触タグ 1のメモリ 8には、自己の IDを記憶すると共に、図 32に示すような 記憶領域に、以下のような情報を記憶しており、後述する処理(図 33,図 34)で 利用される。その記憶している情報を以下で説明する。また、カルテコンピュータ 64 は、紙のカルテの代わりに、医師が診察時に記録するコンピュータである力 これも 接触タグ 1を備えている 1種の接触通信装置であり、 CPU64aは、接触タグ 1の CPU 7の機能も備え、メモリ 64bは、接触タグ 1のメモリ 8の機能も備えている。
[0038] IDリスト記憶領域:ここには、 IDとその IDが表す内容とを対応付けた IDリストが記憶 されている。この IDリストを参照する事によって、通信によって受信した IDが何を示す かやどう 、う状態かを認識する事ができる。
[0039] 例えば、接触通信装置 20または 40の接触タグ laまたは lbの IDには、その接触通 信装置 20または 40を使用する医師,看護師,または患者の氏名が記憶されている。 薬液ビン 70の接触タグ Ifの IDには、「薬液ビン 70」、「キシロカイン 10%」などといつ たその薬液ビン 70の保存形態や内容物の名称、注射,点滴などといったその薬液の 使用目的、前述のように検出されたその薬液ビン 70の開栓,未開栓等の状態を表す フラグ、など多様な情報が記憶されている。ところで、薬液ビン 70のようにその IDが 表すものが多い場合は、薬液ビン 70や薬液ビン(開封) 70というように、簡略して説 明する。
[0040] 通信リスト記憶領域:ここには、自己の接触通信装置が通信した内容を記録した通
信リストが記憶される。例えば、図 15の例では、看護師 Aの通信リストとして、
1.接触受信フラグ,受信時刻,注射器 Cの ID
2.接触受信フラグ,受信時刻,注射器箱 Dの ID
3.接触受信フラグ,受信時刻,棚 Eの ID
4.接触送信フラグ,時刻,看護師 Aの ID
といった通信内容が記憶される。
[0041] また、自己の接触タグ 1が通信した内容を記録した通信リストの他、他の接触タグ 1 の通信リストも記憶しても良い。この場合、接触通信や無線 LANや有線 LANによつ て、他の接触タグ 1や中央コンピュータと通信した際に、 自己の通信リストを送信し、 他の接触タグ 1の通信リストを受信する事によって、他の接触タグ 1の通信リストを得 ている。
[0042] 関連性判定基準リスト記憶領域:ここには、通信リスト内の各送受信データが、それ ぞれどういう場合に関連性が強いと判定するかの関連性判定基準としての関連性判 定基準リストが記憶されており、通信リストを分析する際に用いられる。例えば、関連 性が強 、と判定するものの例として、下記のような基準がある。
[0043] (1)同時接触のデータ、
(2) 5分未満の間で接触通信した接触データ
(3)関連性が強いとして抽出した複数の関連データ組合せ間で、同じデータを 2つ 以上含む場合、
などがある。
[0044] (1)の同時接触のデータとは、接触して離れるまでの 1度の接触で接触通信した時 に得た通信リストのデータである。たとえば、図 30 (B)左側の看護師 Aの通信リストで は、図 30 (A)の 5で接触終了した後、図 30 (B)左側の 8で接触終了している事から、 図 30 (B)左側の 6〜7までは、 1度の接触通信である事が判る。ところで、同時接触と は、厳密には、多少の時間差があるが、接触してから離れるまでの接触を同時接触と しており、これらは、上記のように通信リストの接触終了 FGを区切りとして、 1度の同 時接触として扱う事ができる。
[0045] なお、関連性判定基準としては、上記(1)〜(3)の全条件が成立した場合、関連性
が高いと判定しても良いし、 1つでも条件が成立した場合、関連性が高いと判定して も良い。
[0046] チェックリスト記憶領域:ここには、医療ミスであるかどうかを判定するチェックリストと して、次に説明する薬リスト、カルテ、及びヒューマンエラーリストが記憶されている。 •薬リスト:抗癌剤などのように薬毎の使用制限 (量や回数)や禁忌 (薬の飲み合せ不 可)など、薬の基本情報が入力されており、それを OKの場合のキーワードの組合せ や NGの場合のキーワードの組合せとして記憶して!/、る。 OKのキーワード例としては 、キシロカイン 2%と注射、キシロカイン 10%と点滴、などを挙げることができ、 NGの キーワード例としては、キシロカイン 2%と点滴、キシロカイン 10%と注射、などを挙げ ることがでさる。
•カルテ:患者毎にこれから行なわれる医療処置や手順などが記憶されると共に、実 際に行った処置の詳細データが記憶できる欄が設けられている。し力も、看護師など が医療処置を行うと、看護師が装着している接触通信装置 20や持っている注射器な どとの間で接触経路が形成されて接触通信し、医療処置の内容や実際に医療が行 われた瞬間の時刻などが看護師の接触通信装置 20などのカルテに正確に記憶され る。
[0047] 例えば、点滴や注射や薬の飲み方や薬の処方箋などの各種医療処置方法や過去 の経過 (病状や処置)が記憶されている。その処置毎に作業を行った医療スタッフの I Dや時刻など記載欄がカルテに設けられており、該当欄に記憶される。それゆえ、処 置や薬を飲んだ時刻なども記憶される。更に、医療処置はカルテに基いて行われる ため、このカルテに記憶されたデータは、今行われようとしている医療行為がこの力 ルテに合致しているかどうかを、後述の処理において判定するためにも利用される。 •ヒューマンエラーリスト:ヒューマンエラーの起き易 、場合をチェックするために、 OK のキーワードの組合せや NGのキーワードの組合せが記憶されて!、る。このヒユーマ ンエラーリストは、薬リストやカルテでもチェックできな 、ようなヒューマンエラーがチェ ックできるリストであり、このリストの記載形式は、薬リストと同様にヒューマンエラーを起 こす場合のキーワードの組合せが NGのキーワードの組合せとして、リスト化されて!/ヽ る。また、正常な行動の場合のキーワードの組合せも、 OKのキーワードの組合せとし
て、リストイ匕されている。
[0048] チェック結果リスト記憶領域:後述の人為ミスチェック処理によって、警告が実施され たときのキーワードが、チェック結果リストとして記憶されて 、る。
疑義照会リスト記憶領域:ミスかどうかの判定はできな 、が、ミスの可能性が高 、 (疑 義)ケースを検知して、ミスでな 、か確認を求める必要があるケースのキーワードが、 疑義照会リストとして記憶されている。これら間違い易いケースのキーワードは、チェ ックリストなど力も近似語などの紛らわしいものの組合せが自動抽出され、本リストに 記憶されたり、人間が入力して記憶される。
[0049] 例えば、前述の注射用の「キシロカイン 2%」と点滴用の「キシロカイン 10%」の他に も、薬の「テオロング」と「テオドール」、「タキソテール」と「タキノール」や患者名の「鈴 木ニ郎」と「鈴木次郎」などの近似語や間違 、易 、行動をキーワードの組合せなどと して記'隐している。
[0050] 疑義照会結果リスト記憶領域:後述の疑義照会処理によって、警告が実施された時 のキーワードが疑義照会結果リストとして記憶されている。
病院内の標準移動時間リスト記憶領域:人間の病院の部屋間での標準移動時間が、 病院内の標準移動時間リストとして記憶されている。
[0051] 次に、このように構成された接触タグ 1の、医療における人為ミス防止への応用例を 説明する。本例では、看護師は図 9に示す接触通信装置 20を利き腕 (以下右腕とし て説明するが左右逆であってもよい)に、図 10に示す表示装置 30を左腕に、それぞ れ装着し、患者は図 11に示す接触通信装置 40を主として注射や点滴を受ける側の 腕に装着する。
[0052] 図 9 (A)は、接触通信装置 20の全体構成を表す斜視図であり、図 9 (B)は、その主 要部の構成を表す正面図である。接触通信装置 20は、接触タグ 1 (以下、他の接触 タグ 1と区別するため添え字 aを付す:後述する他の接触タグ 1も同様に添え字を付し て区別する)を内蔵した接触タグ部 21と、周知の電波時計を内蔵した電波時計部 22 (時計手段に相当)と、病院内 LAN60 (図 17参照)との無線通信を行うための無線 通信部 23とを備え、更に、それらを看護師の腕に固定するためのバンド 24を備えて いる。接触タグ部 21に設けられた接触タグ laの各電極 2〜4は看護師の腕に密着可
能な位置に露出している。無線通信部 23の表面には、送受信完了を知らせる音声ス ピー力 25が設けられ、接触タグ部 21の表面には、通信内容等を表示する表示部 26 が設けられている。また、バンド 24は絶縁性の素材で構成されている。
[0053] 図 10 (A)は、接触通信装置の 1種である表示装置 30の主要部の構成を表す正面 図であり、図 10 (B)はその A— A線断面図である。なお、図 10 (B)では、導電性の部 分を太線で表した。この表示装置 30は、後述の図 23に示すように絶縁性のバンド 31 を介して腕に装着して使用してもよぐバンド 31を利用することなく手で持って使用し てもよい。たとえば、図 24 (B)のように、表示装置 30の両端に設けられた左手把持部 32,右手把持部 33を看護師がつかむなどして、左手把持部 32と右手把持部 33とが 接触通信装置 20を通る接触経路によって導通されると、接触通信装置 20と表示装 置 30の間で接触通信が行われ、これよつて、接触通信装置 20が記憶しているデー タ等に基づく情報が表面の表示部 34に表示される。また、表示部 34の表面は、右手 把持部 33と導通した導電性の部材で構成されている。このため、左手把持部 32をつ かんだ手が表示部 34に触れて短絡することなどを防止するため、表示部 34と左手 把持部 32との間には絶縁性の突起 35が形成されている。
[0054] ところで、看護師は、通常、利き腕で注射をしたり、薬をとつたりするので、利き腕で 接触経路が形成され易い。この為、接触通信装置 20は、利き腕に装着するのが好ま しい。また、表示装置 30を装着する場合は、非利き腕に装着すると、利き腕で表示装 置 30を操作でき使用し易い。
[0055] 図 11は、患者用の接触通信装置 40の全体構成を表す斜視図である。この接触通 信装置 40は、患者の血圧や心拍数を測定する測定部 29を備えた点で看護師用の 接触通信装置 20と異なり、他の構成は一致している。そこで、図 9と同様に構成され た部分には図 9で用いた符号を付して、構成の詳細な説明を省略する。また、この接 触通信装置 40に用いられた接触タグ 1を接触タグ lbとする。
[0056] 図 12は、患者用の接触通信装置 40の内部構造を概略的に表すブロック図である 。看護師用の接触通信装置 20は、測定部 29を有さない点を除いてこれとほぼ同様 に構成されている。
[0057] 図 12に示すように、測定部 29が検出した血圧及び心拍数、並びに、電波時計部 2
2が計時した時刻は接触タグ lbの CPU7に入力される。また、 CPU7と無線通信部 2 3との間では通信用のデータが入出力され、 CPU7と表示部 26との間では表示用の データが入出力される。ところで、後述する図 13の注射器などのような小型の器具に は、接触タグだけを装着し、人間が装着する場合などのように、比較的に大きくても構 わな ヽ場合は、接触タグに各種の機器が付加した接触通信装置を用いるのが望まし い。
[0058] 次に、図 13は、この応用例で使用される注射器 50の構成を表す説明図である。注 射器 50は針 51及びキャップ 52を含めてほぼ全体が導電性の材料によって構成され 、ピストン 53の取っ手近傍が所定幅に亘つて絶縁部 53aとなっている。また、シリンダ 54の外表面も絶縁塗料により絶縁処理されている。更に、ピストン 53の内部には、絶 縁部 53aを跨いで接触タグ lcが埋設されている。このため、看護師が注射をする際 には、看護師の右手→ピストン 53の取っ手→接触タグ lc→ピストン 53の内部→シリ ンダ 54の内部→針 51、 t 、つた経路で通電が可能となる。
[0059] 図 14は、この注射器 50が収納された注射器袋 55及び注射器箱 56の構成を表す 説明図である。注射器袋 55は、ほぼ全体が導電性の材料によって構成されているが 、針 51の外周を被覆する下部 55aとピストン 53の外周を被覆する上部 55bとが絶縁 部 55cを介して絶縁されて 、る。
[0060] 注射器箱 56は、未使用の注射器 50が入った注射器袋 55を 9つ収納できるように 9 区画に区画されており、側壁は絶縁性の材料で、底板は導電性の材料で、それぞれ 構成されている。各区画の底面には、絶縁性の材料で扁平な直方体状に構成され た支持板 57が配設され、この支持板 57によって接触タグ Idが次のように支持されて いる。
[0061] すなわち、支持板 57の上面 57aには全面に導電性塗料が塗布され、その上面 57a に接触タグ Idの一方の電極 (例えば、基準電極 2)が配設されている。また、接触タグ Idのもう一方の電極 (例えば、受信電極 3及び送信電極 4)は、支持板 57の下面に 配設され、注射器箱 56の底板と導通している。
[0062] 更に、図 15に示すように、注射器箱 56が載置される棚(図示せず)の、注射器箱 5 6から床面(図示せず)に到る接触経路には、その棚に対応した接触タグ leが配設さ
れている。また、床面や看護師の靴,看護師の衣服も、導電性の材料で構成されて いる。
[0063] このため、図 15に示すように、注射器箱 56に収納された注射器 50を取ろうとして看 護師が注射器袋 55の上部 55bに触れると、看護師の体を通る次のような接触経路が 構成される。すなわち、看護師の胴体→看護師の右腕→注射器袋 55の上部 55b→ ピストン 53の取っ手→接触タグ lc→ピストン 53の内部→シリンダ 54の内部→針 51 →キャップ 52→注射器袋 55の下部 55a→支持板 57の上面 57a→接触タグ ld→注 射器箱 56の底板→上記棚の上部→接触タグ le→上記棚の下部→床→看護師の足 →看護師の胴体、と ヽつた経路を通る接触経路が構成される。
[0064] また、看護師の体はある程度のインピーダンスを有して 、る。そこで、看護師の右腕 の接触通信装置 20の接触タグ laが当接する部分のインピーダンスを Z1、接触通信 装置 20から指先に到る部分のインピーダンスを Z2、接触通信装置 20から看護師の 胴を経て足に到る部分のインピーダンスを Z3とすると、図 16に示すような等価経路を 考えることができる。この経路を介して接触タグ la, lc, Id, leが前述のように接触 通信を行う。この時、接触タグ laは、接触通信相手である接触タグ lc, Id, leと接触 通信した通信内容を接触タグ laのメモリ 8内の自己の通信リストに記憶する。また、他 の接触タグも同様に通信内容を自己のメモリの通信リストに記憶する。
[0065] 図 17に示すように、病院内の各ナース室及び病室や薬局には、それぞれ無線局 6 1が設けられ、この無線局 61は接触通信装置 20や表示装置 30や接触通信装置 40 や薬局の計量器 260などの無線を備えた各種接触通信装置と無線通信可能となつ ている。各無線局 61は病院内 LAN60によって接続されている。また、病院内 LAN6 0には、中央コンピュータ 62、事務用パーソナルコンピュータ(事務 PC) 63、及び、力 ルテコンピュータ 64が接続されている。そして、この病院内 LAN60に接続されてい る各機器は、中央コンピュータ 62を介して、自己のメモリ内のデータを交換して常に 最新データに更新している。これによつて、患者の状態や処置方法などを記載した力 ルテが最新に更新されたり、他の接触タグの通信リストを得る事ができる。
[0066] また、通常、接触通信では、短時間で通信が完了するように、膨大なデータの通信 は行わないが、上記のようにカルテ情報を更新したり、他の接触タグの通信リストを得
るために接触通信を利用しても良い。こうする事によって、無線が届き難い場所や、 停電等によって無線 LANが働かないような状態であっても、接触通信装置同士が接 触するたびに情報を交換できる。そして、伝言ゲームのように、次々に、新たな接触 通信装置と接触通信して情報を交換して 、く事で、情報を伝達と更新ができる。
[0067] カルテコンピュータ 64は、図 18に示すように、制御部及び演算部を内蔵した CPU 64a、各種データを記憶するメモリ 64b、各種画像を表示するディスプレイ 64c、各種 入力のためのキーボード 64d、及び、病院内 LAN60と通信するための LAN通信装 置 64eを備えている。ところで、カルテコンピュータ 64は、接触通信装置としての機能 も備えており、 CPU64aは、接触タグ 1の CPU7の機能も備え、メモリ 64bは、接触タ グ 1のメモリ 8の機能も備えている。
[0068] このカルテコンピュータ 64や接触タグ 1での処理につ!、ては後述することとし、続!ヽ て、注射器 50以外の器具における接触タグ 1につ 、て説明する。
図 19 (A)は、薬液ビン 70の構成を表す縦断面図であり、図 19 (B)はその薬液ビン 70の蓋 71の構成を表す斜視図、図 19 (C)及び (D)は図 19 (A)の B— B線切断端 面図及び C— C線切断端面図である。なお、各図では、蓋 71を容器本体 72に固定 するためのネジ部を省略した。また、図 19 (B)では導電部をハッチングで表し、他図 では導電部を太線で表した。
[0069] 図 19 (A)〜(C)に示すように、蓋 71は、大径部 71aの外周面及び上面、並びに小 径部 71bの外周面の周方向に半分弱が導電部 71cとなっており、この導電部 71cは 大径部 71aの下面の一部にも形成されて全体的に導通している。容器本体 72には、 外周面のほぼ全体に導電部 72aが、内壁面のほぼ全体に導電部 72bが、それぞれ 形成されている。但し、密栓時に小径部 71bの導電部 71cと対向する部分には少し 余裕を持って導電部 72bが形成されておらず、更に、大径部 71aと対向する上端面 や大径部 71aの外周と隣接する外周上端にも導電部 72aは形成されていない。この ため、容器本体 72の内壁面の導電部 72bと小径部 71bの外周面の導電部 71cとは 、図 19 (E)に示すように、密栓時には導通しない。なお、図 19では、説明の便宜上、 小径部 71bの外周面と容器本体 72の内周面との間に隙間を設けている力 実際に は両者は密着している。
[0070] また、蓋 71の小径部 71bの下端には、絶縁性の密封ゴム 73が設けられ、薬液 79 ( 図 22参照)が導電性の場合でも、密栓時に導電部 72bと導電部 71cとが導通しない ようにされている。更に、この密封ゴム 73は、薬液ビン 70を一且開栓してしまうと膨張 し、 2度と密栓できないように構成されている。また、容器本体 72の導電部 72a, 72b の間には、接触タグ Ifが埋設されている。
[0071] このように構成された薬液ビン 70では、密栓状態では図 20 (A)に示すように、導電 部 71cと導電部 72bとは完全に絶縁されている。このため、導電部 72bは外部とは完 全に絶縁され、看護師が薬液ビン 70をどのように触っても接触タグ Ifを通る経路は 形成されない。
[0072] 看護師が薬液ビン 70を開栓しょうとして蓋 71を回すと、図 20 (B)に示すように導電 部 71cと導電部 72bとが導通する。このとき、通常、看護師は、図 21に示すようにして 薬液ビン 70を持っている。すなわち、蓋 71の大径部 71aの外周を右手で持ち、容器 本体 72の外周を左手で持っている。すると、看護師の胴体→看護師の右腕→導電 部 71c→導電部 72b→接触タグ lf→導電部 72a→看護師の左腕→看護師の胴体、 といった経路を通る接触経路が構成される。従って、前述のように、接触通信装置 20 の接触タグ 1 aと接触タグ 1 fの間で接触通信される。
[0073] また、図 22のように、薬液ビン 70の開栓後、看護師が薬液ビン 70の薬液 79を注射 器 50に入れようとして、容器本体 72の内面または薬液 79と注射器 50の針 51とが接 触したときは、次のような接触経路が構成される。看護師の胴体→看護師の右腕→ピ ストン 53の取っ手→接触タグ lc→ピストン 53の内部→シリンダ 54の内部→針 51→ 導電部 72b→接触タグ lf→導電部 72a→看護師の左腕→看護師の胴体、と ヽつた 経路を通る接触経路が構成される。従って、前述のように、接触通信装置 20の接触 タグ laと接触タグ lcと接触タグ Ifの間で接触通信される。
[0074] なお、前述のように、密封ゴム 73の膨張によって、薬液ビン 70は一且開栓すると 2 度と密栓できないようになっている。このため、接触タグ Ifの IDが初めて検出されたと きは薬液ビン 70が開栓されたものと判断し、検出が 2回目以降である場合は、既に開 封済であると判断することも可能である。
[0075] 続いて、薬液 79を看護師が患者に注射するときは、次のような接触経路が構成さ
れる。但し、患者の衣服も導電性であるものとし、患者が座る椅子(図示せず)にも、 前述の注射器箱 56の棚と同様に接触タグ lgが設けられているものとする。この場合 、図 23に示すように、看護師の胴体→看護師の右腕→ピストン 53の取っ手→接触タ グ lc→ピストン 53の内部→シリンダ 54の内部→針 51→患者の腕→患者の胴体→接 触タグ 18→床→看護師の足→看護師の胴体、といった接触経路が構成される。こう して、接触タグ la、 lb、 lc、 lgの間で接触通信される。
[0076] また、看護師が注射等を行うときは、看護師の接触通信装置 20の接触タグ laが記 憶して!/、るデータを表示装置 30に送って詳細情報を表示させ、処置内容等を確認 することができる。この方法としては、主として次の 3通りが考えられる。
[0077] 最も簡単な方法は、図 24 (A)に示すように、表示装置 30を看護師の左腕に装着し たままで、看護師の右手と左手を接触させる方法である。この場合、接触タグ la→看 護師の右手→看護師の左手→表示装置 30の右手把持部 33→表示装置 30の左手 把持部 32→看護師の左腕→看護師の胴体→看護師の右腕→接触タグ la、と 、つ た経路を通って接触タグ laから表示装置 30へデータが送信される。この場合、右手 に注射器 50を持ったままで上記表示を行うことができる。
[0078] また、図 24 (B)に示すように、表示装置 30を左腕から外してその左手把持部 32を 左手で把持し、表示部 34または右手把持部 33に右手を接触させてもよい。更に、図 24 (C)に示すように、表示装置 30を左腕に装着したまま、表示部 34に右手で触れ てもよい。
[0079] 次に、図 25 (A)は、錠剤ビン 80の構成を表す説明図である。図 25 (A)に示すよう に、錠剤ビン 80は蓋 81と容器本体 82とから構成され、ほぼ全体が導電性の材料で 構成されている力 容器本体 82の側壁部 82aと底板部 82bとは絶縁部 82cによって 絶縁されている。そして、絶縁部 82cを挟んで、接触タグ lhが側壁部 82a,底板部 8 2bに跨って埋設されて 、る。
[0080] 図 25 (B)は、計量器 85の構成を表しており、この計量器 85は、本体 86の上に、錠 剤ビン 80を載置可能な計量皿 86aを備えて 、る。本体 86を支持する 4本の足 87は、 その内の 3本までが絶縁性材料で構成され、 1本の足 87aが絶縁材の付け根 87bを 除いて導電性の材料で構成されている。すなわち、足 87aの先端は、絶縁材の付け
根 87bを挟んで導電性の計量皿 86a及び本体 86と絶縁されている。そして、この絶 縁材の付け根 87bを挟んで、接触タグ liが足 87aの先端,本体 86に跨って埋設され ている。
[0081] 錠剤ビン 80または計量器 85が載置される棚 88も同様で、図 26 (A) , (B)に示すよ うに、 4本の足 89の内の 3本までが、先端に絶縁部 89aを有し、 1本の足 89bが中間 部に絶縁部 89cを有している。棚 88のその他の部分は導電性材料で構成されてい る。そして、絶縁部 89cを挟んで、接触タグ ljが足 89bの導電部に跨って埋設されて いる。
[0082] このため、看護師が棚 88の上に載置された錠剤ビン 80に触れると、図 26 (A)に示 すように、看護師の胴体→看護師の右腕→蓋 81→側壁部 82a→接触タグ lh→底板 部 82b→棚 88の上部→足 89bの上部→接触タグ lj→足 89bの先端→床→看護師 の足→看護師の胴体、といった接触経路が構成される。こうして、接触タグ la、 lh, 1 jの間で接触通信される。
[0083] また、棚 88の上に載置された計量器 85に錠剤ビン 80を乗せると、図 26 (B)に示す ように、看護師の胴体→看護師の右腕→蓋 81→側壁部 82a→接触タグ lh→底板部 82b→計量皿 86a→本体 86→接触タグ li→足 87aの先端→棚 88の上部→足 89b の上部→接触タグ lj→足 89bの先端→床→看護師の足→看護師の胴体、 、つた 接触経路が構成される。こうして、接触タグ la、 lh, li, ljの間で接触通信される。
[0084] なお、病院内には、接触タグ ljを有さない一般の棚 (但し、全体が導電性)も存在す る。このような棚に錠剤ビン 80または計量器 85が置かれた場合は、上記接触経路の 内、「→棚 88の上部→足 89bの上部→接触タグ lj→足 89bの先端→」の部分が単に 「→棚→」となり、接触タグ ljを除いた接触タグ la、 lh, liの間で接触通信される。
[0085] ところで、図 25のような錠剤ビン 80を用いると患者の薬の飲み忘れや禁忌や飲み 過ぎなどのチェックもできる。図 25 (A)のような錠剤ビン 80の蓋 81を患者が開けるた び、たとえば、蓋 81を患者の右手で持ち、容器本体 82を左手で持って蓋 81を開け ようとして、患者と錠剤ビン 80の間で接触経路が形成される。こうして、錠剤ビン 80の 接触タグ lhが接触通信を行って、蓋 81を開けた事が検知される。そして、錠剤ビン 8 0に時計を備えておけば、いつ錠剤ビン 80を開けたかが記録され、薬の飲み忘れチ
エックに利用できる。ところで、その患者は、接触通信装置 20を必ずしも備えている 必要はない。患者が接触通信装置 20を備えていれば、錠剤ビン 80の接触タグ lhは 、誰が蓋 81を開けた力検知できる力 通常、飲む人は決まっている為、蓋 81を開け たかだけを検知すればよぐ錠剤ビン 80の接触タグ lhが、自分で送信したデータを 受信する同時送受信タイプの接触タグであれば可能となる。(同時送受信タイプの接 触タグについては、他で説明)。
[0086] また、図 25 (B)のような計量器 85を一体ィ匕させた錠剤ビン 80を作って、飲む度に 薬の量を検知できるようにしてもよい。この場合、患者→錠剤ビン 80の蓋 81→錠剤ビ ン 80の容器本体 82→接触タグ lh→計量皿 86a→接触タグ li→計量器 85足 87a→ 床→患者までの接触経路が形成される事によって、接触通信によって検知できる。こ の場合、単に薬の飲み忘れがチェックできるだけでなぐ薬の取出し重量を検知して いる為、 1回の飲み量毎に事前に小分けしていなくても、必要量を取り出した時をブ ザ一等で知らせるよう〖こする事もできる。
[0087] 図 27は、点滴に関わる各種機器の構成を表す説明図である。この場合も、構成の 大部分が導電性材料で構成されて ヽるが、スタンド 90に点滴ビン 91を吊り下げるた めの吊り下げ穴 91 aと点滴ビン本体 9 lbとの間に絶縁部 91 cが、点滴ビン 91の下部 にチューブ 92を接続するためのチューブ口 91dと点滴ビン本体 91bとの間に絶縁部 91e力 点滴装置 93の本体 93aとその本体 93aをスタンド 90に固定する固定部 93b との間に絶縁部 93cが、それぞれ形成されている。
[0088] そして、絶縁部 91cを挟んで吊り下げ穴 91a近傍と点滴ビン本体 91bとに跨って接 触タグ lk力 絶縁部 91eを挟んで点滴ビン本体 91bとチューブ口 91dとに跨って接 触タグ lm力 絶縁部 93cを挟んで本体 93aと固定部 93bとに跨って接触タグ Inが、 それぞれ配設されている。
[0089] なお、点滴装置 93とは、図示しない赤外線センサを備え、赤外線によって検出した 薬液 79の滴下量が設定された量になるように、押圧棒 94によるチューブ 95の押圧 量を制御する装置である。チューブ口 9 Idに接続されたチューブ 92は点滴装置 93 の上部に接続され、チューブ 95の先端には点滴針 96が接続されて患者の腕に接続 されている。また、点滴装置 93はアンテナ 97及び無線部 98を有し、無線通信によつ
て病院内 LANに接続されている。
[0090] この場合、点滴ビン 91の注入口 91fから看護師が注射器 50によって薬液 79を注 入しょうとすると、図 28に示すような複雑な経路が構成される。なお、図 28では、患 者の腕の、接触通信装置 40の接触タグ lbが当接する部分のインピーダンスも Z1とし た。こうして、接触タグ la, lb, lc, lk, lm, Inの間で接触通信される。
[0091] 次に、上記 ID等のデータを用いた接触通信方法について説明する。なお、これま で説明してきたように、各 IDは接触タグ 1または部屋けース室,病室等)に直接対応 するものであるが、以下、説明の便宜上、接触タグ laの ID,接触タグ lbの ID,接触 タグ Ifの ID等を、看護師 Aの ID,患者 Bの ID,薬液ビン Fの IDといったように、その I Dが実質的に対応するもので表す場合がある。
[0092] 先ず、各接触タグ 1は、上記のような IDの送受信結果を自己の通信リストに次のよう に記憶する。たとえば、図 35の(C)には、共に時計を持たない 2つの接触タグの間で 接触通信した時の通信リストを説明しており、これにて説明する。
[0093] まず、接触タグ Bは、接触通信にてデータ(自己の ID =接触タグ Bの ID)を送信す ると、送信したデータ (接触タグ Bの ID)に接触通信にて送信した事を示す接触送信 FGを添えて、自己(接触タグ B)の通信リストの 1に記憶する。次に、接触タグ Aが、接 触タグ Bから送信されて来たデータ (接触タグ Bの ID)を接触通信にて受信すると、受 信したデータ (接触タグ Bの ID)を接触通信にて受信した事を示す接触受信 FGを添 えて、自己(接触タグ A)の通信リストの 1に記憶する。
[0094] 次に、接触タグ Aからの接触タグ Bにデータ (接触タグ Aの ID)が送信されると、同様 な記憶方法で、接触タグ Aの通信リストの 2と接触タグ Bの通信リストの 2に記憶する。
[0095] 次に、非接触になって接触通信ができなくなると、両者の通信リストの 3に、接触通 信の終了を示す接触終了 FGを記憶する。ところで、複数の接触タグの相手と接触通 信するため、送受信モードを幾度か切替えて、連続して数回受信できな力つた時、接 触通信完了と判定して、ランプやブザーを作動させる。さらに、接触通信した相手の 接触タグの数に応じて、ブザーを数回鳴らす、または、ランプの数を点灯するように すると、本当に接触経路上の全ての接触経路と接触通信したかを人間が確認するの に役立てる事ができる。
[0096] 上記の図 35 (C)の場合を基本に、例えば、図 35の(A)のように、共に時計を備え る接触タグ Aと接触タグ B間で接触通信を行った時の通信リストの記憶例を説明する 。まず、接触タグ Bは、自己の ID (接触タグ Bの ID)と現在時刻を送信する。この時、 接触タグ Bでは、送信したデータ(時刻と自己の ID)に、接触送信 FGを添えて、自己 の通信リストの 1に記憶する。この時、送信されて来たデータ(時刻と接触タグ Bの ID) を接触タグ Aが受信して、接触タグ Aでは、送信されて来たデータ(時刻と接触タグ B の ID)に、接触タグ Aが備える時計力もの現在時刻と接触受信 FGを添えて、自己の 通信リストの 1に記憶する。
[0097] 次に、接触タグ Aからの接触タグ Bにデータを送信する場合も同様な手法で両者の 通信リストの 2に記憶する。
次に、非接触になって接触通信ができなくなると、両者の通信リストの 3に、接触通 信の終了を示す接触終了 FGを記憶する。
[0098] 次に、図 35 (B)では、一方の接触タグにしか時計を備えていない場合の接触通信 を説明する。これも基本的には、図 35 (A)と同様の通信であるが、接触タグ Bは、時 計を備えないため、時刻を送信したり、接触通信にて受信した時刻を添えて記憶する 事ができない。しかし、接触タグ Aが、接触送信時に、送信時刻を送ってくれるため、 接触タグ Bの通信リストの 2のように受信データとして時刻を記憶する事ができる。この ようにして、接触通信する相手から時刻を得られるようにしておく事で、接触通信した 時刻が判り、後述する制御フローを用いた各種の判断で利用できるようになる。
[0099] ところで、図 35の(C)のように、共に時計を備えない接触タグ同士で接触通信する 場合は、時刻を送信する事も受信する事もできず、通信リストに時刻を記憶する事は できない。しかし、時計を持たない接触タグ同士間での接触通信であっても、図 29の ように、一方の接触タグが無線通信部 23や有線による LAN通信装置を備えて ヽれ ば、これによつて、時刻を得る事ができる。つまり、接触通信をしている間、または、接 触通信の直後に無線通信によって、無線局から時刻を受信するようにする。これによ つて、接触通信が行われた時刻力 判るようになる。
[0100] たとえば、図 29 (A)のように、接触通信の間、無線付接触タグ Aが無線局 61から時 刻と無線局 61の IDを受信データとして無線受信し、その受信データに、無線受信し
た事を示す無線受信 FGを添えて、自己(接触タグ A)の通信リストの 2に記憶する。
[0101] さらに、無線受信した時刻を他の接触タグにも接触通信で送信する場合は、その無 線局から受け取った時刻と、その時刻が無線によって得た時刻である事を示す無線 FGと自己の ID (接触タグ Aの ID)を送信データとして接触送信し、その送信データ に接触 S送信 FGを添えて、自己(接触タグ A)の通信リストの 3に記憶する。このデー タを受信した接触タグ Bでは、受信したデータ (無線 FG,時刻,接触タグ Aの ID)に 接触受信 FGを添えて、自己(接触タグ B)の通信リストの 2に記憶する。
[0102] こうする事によって、時計も無線有線 LANも持たない接触タグ Bも時刻を得る事が できる。ところで、無線受信した時刻を送信する場合は、正確な現在時刻とは言えな いので、本例では、無線フラグ (無線 FG)をその時刻のデータに添付して送信するよ うにしている。また、接触タグ Aの通信リストの 2のように、無線受信 FGや無線局 IDが 添えられて 、る場合の時刻は、無線によって得た時刻であると判定されるようになつ ている。また、無線通信によって送信する場合は、自己の通信リストに無線送信 FGを 添えて、送信したデータを記憶するようにしている。これらの FGによって、接触通信 によって得たデータであるか無線によるデータであるかを判別できるようにしてある。
[0103] ところで、前述した動作モード (送信モード'休止モード'受信モード)の選択につい ては、時計を有する接触タグでは、送信モードが選択される確率が高くなるように設 定すると良い。これによつて、時刻データが送信される機会が増え、時計を持たない 接触タグは、時刻データを得る機会を得易くなる。
[0104] 図 29 (A)では、無線を用いて接触通信の時刻を得る手法を説明した力 図 29 (B) のように、通信リストに記載されている場所データから、接触通信した時刻を推定する ようにしても良い。図 29 (B)のような通信リストの記載がある場合、ナース室の棚 Eの I Dから、そのナース室を認識し、病室の椅子 Gの ID力もその病室を認識する。そこで 、接触タグのメモリに記憶している病院内の標準移動時間リストに基づいて、そのナ ース室と病室の標準移動時間を得る。その移動時間を通信リストの 1の時刻に加算し て、通信リストの 3の接触通信した時刻を推定する事ができる。
[0105] ところで、看護師の位置は、上記のように、位置を特定できる接触タグ IDカも検知し ても良いが、無線通信した時の無線局 61の IDや GPSを利用したり、各種機器に付
けられた無線タグと無線通信し、その相手の機器の IDなど力 場所を推定するなどし てもよい。
[0106] また、床全面を導電性にするのではなぐ例えばタイルの継ぎ目などを部分的に導 電性にしてそこに接触タグ 1を配設すれば、その接触タグ 1の IDを接触通信装置 20 などに受信させることも可能となる。すなわち、前述の接触経路が床の特定部分のみ を通って構成され、その特定部分に接触タグ 1が配設されているので、その接触タグ 1の IDを接触通信装置 20などで受信して看護師等の位置を検出することも可能とな る。
[0107] ここで、図 15と図 21〜図 23で表したような看護師 Aが患者 Bに注射を打つまでの 一連の医療処置を連続して行った時の通信リストの記憶例である図 30, 31で説明す る。図 30 (A)は、図 15のように、看護師 Aがナース室の棚 Eの注射器箱 Dから注射 器 Cを取出した時の看護師 Aの通信リストと、その 1つの通信相手である注射器じの 通信リストである。図 30 (B)は、図 21のように、看護師 Aが病室へ移動後、薬液ビン F を開封した時の看護師 Aの通信リストと、その 1つの通信相手であるの薬液ビン Fの 通信リストである。図 31 (A)は、図 22のように、看護師 Aが病室で、薬液ビン Fの薬液 を注射器 Cに注入する時の看護師 Aの通信リストと、その 1つの通信相手である注射 器 Cの通信リストである。図 31 (B)は、図 23のように、看護師 Aが、椅子 Gに座った患 者 Bの腕に注射器 Cを接触させた時の看護師 Aの通信リストと、その 1つの通信相手 である患者 Bの通信リストである。
[0108] このように、図 30, 31はでは、左側に看護師 Aの通信リストを記載し、右側には、そ の 1つの通信相手の通信リストを記載して説明する。なお、他にも看護師 Aの通信相 手は存在するが、省略する。また、図 30 (A)の通信リストの各下線部は、送信データ や受信データを示し、送信側の接触タグから受信側の接触タグへ矢印を付けて送信 の方向を説明している。また、他の通信リストでも同様に用いて説明している。たとえ ば、図 30 (A)の上の 2つの下線部と矢印は、注射器 Cの接触タグ力も看護師 Aの接 触タグへ、注射器 Cの IDが送信データとして送信された事を示して ヽる。
[0109] ここで、接触タグ 1で行われる判断処理につ!、て、詳細に説明する。
接触タグ 1は、通信リストについて、人為ミスチェック処理及び疑義照会処理を時分
割で並行して実行する。通信リストには、看護師等が医療処置をした際、即座にその 医療処置をデータとして記憶している為、医療ミスチェックや疑義チェックを、医療処 置とほぼ同時に行う事ができる。
[0110] ところで、接触通信装置の 1種であるカルテコンピュータ 64は、さらに、医者による キーボード 64dへの入力につ 、ても同様な処置(人為ミスチェック処理及び疑義照会 処理)を行う。前述したように、カルテコンピュータ 64は、接触タグ 1を備える 1種の接 触通信装置となっており、カルテコンピュータ 64の CPU64aは、接触タグ 1の CPU7 の機能も備え、メモリ 64bは、接触タグ 1のメモリ 8の機能も備えているため、カルテコ ンピュータ 64の CPU64aが、人為ミスチェック処理及び疑義照会処理を実行する。
[0111] 図 33は、接触タグ 1の CPU7が実行する人為ミスチェック処理を表すフローチャート である。処理を開始すると、接触タグ 1の CPU7は、先ず、 S1にて、メモリ 8に記憶さ れた通信リストを読込む。その際、各 IDは、 IDリストを参照して各 IDが示すものに変 換して読込む。すなわち、接触タグ laの ID,接触タグ lcの ID等を、看護師 A,注射 器 C等に変換して読み込む。ところで、 IDリストの説明でしたように、 IDが多様な情報 を表す場合がある。たとえば、薬液ビンの IDは、その薬液ビン自体やその保存形態 や内容物の名称、注射,点滴などといったその薬液の使用目的、薬液ビンの開栓, 未開栓等の状態を表すフラグ、など多様な情報を表す。そうした場合、 IDが表す全 ての情報を記載して説明すると判り難くなってしまう事から、薬液ビンや薬液ビン (開 封)などのように簡略して説明する事にする。
[0112] 続く S3では、前述の関連性判定基準リストの関連性判定基準に基づいて、通信リ ストのデータで関連の強いものを抽出し、関連データ組合せを作成する。これによつ て、通信リストのデータの中から関連性の高 、データが抽出される。
たとえば、詳細後述するが、図 15と図 21〜図 23で表したように、看護師 Aが患者 B に注射を打とうとして、注射器 Cを注射器箱 56から取り出した後、注射器 Cの針を患 者 Bに接触させるまでの一連の医療処置を連続して行った時の看護師 Aの通信リスト 図 30 (A)〜図 31 (B)につ!/、て考えてみる。
[0113] その時の看護師 Aの通信リストには、図 30 (A)〜図 31 (B)の各左側のように記載さ れているが、この通信リストを前述の関連性判定基準(1) (2) (3)の全条件が成立し
た場合、関連性の高いデータ組み合せとして抽出すると、関連性の高いデータの組 み合せとして、「看護師 Aと患者 Bと注射器 Cと薬液ビン F (開栓)と椅子 G」が抽出さ れる。(詳細、後述)
更に、続く S5では、上記関連データ組合せを前述のチェックリストにそれぞれ照会 して、ミスをチェックする。例えば、上記の「看護師 Aと患者 Bと注射器 Cと薬液ビン F ( 開栓)と椅子 G」の組合せに対しては、次のようなチェックがなされる。
[0114] 例えば、薬液ビン Fが「キシロカイン 10%」が充填された薬液ビン 70であった場合、 S1の IDリスト参照時に、薬液ビン Fの中身は「キシロカイン 10%」である事が既に認 識されている。「キシロカイン 10%」は点滴用であって注射用ではないため、チェック リストの 1つである薬リストには、 NGキーワード組合せとして「注射一キシロカイン 10 %」が記載されており、これに合致するとして、 NGと判定される。
[0115] また、チェックリストの 1つでもあるカルテを照会しても、「キシロカイン 2%」は指示が 記載されているものの「キシロカイン 10%」は指示記載されていないため、 NGと判定 される。更に、チェックリストの 1つのヒューマンエラーリストを照会すると、「キシ口カイ ン 10%と注射との組合せが NGの例として登録されており、ヒューマンエラーリストに 基づいても NGが判定される。なお、上記チェックリストにおけるキーワードの該当判 定は、同義語を含めるようにしてあり、例えば、「注射器」はカルテに記憶の「注射」に 該当するとしている。
[0116] S5に続く S7では、上記のような S5におけるチェック結果を受けて、報知及び記録 が行われる。上記の NGキーワード組合せに該当する場合、警告が報知されるように なる。なお、判定結果 (OKや NGや不明)は音声や表示等で報知され、チェック結果 リストに記憶される。例えば、上記の例では、薬液ビン Fの中身が「キシロカイン 10%」 であった場合、 NGとの判定を受けるため、警告が報知される。このように、図 23のよ うに、看護師 Aが患者 Bに注射器 Cを当てた瞬間に、警告を発して医療ミスを防止す る事ができる。更に、より危険度が高い場合は、 NGのレベルが高いと判定して、その 判定結果が他の装置にも報知するようにすれば、他の医師などにも迅速に緊急連絡 でさるよう〖こなる。
[0117] 続く S9では、 ENDであるか否かを判断し、 ENDでない場合は(S 9: NO)、再び上
記 SIから処理を繰り返す。そして、 ENDが入力されている時は、(S9 :YES)、処理 を終了する。
[0118] ところで、ここで、前述の S3での関連データ糸且合せの抽出方法をより具体的に説明 する。図 30 (A)〜図 31 (B)の各左側に記載の看護師 Aの接触通信装置の通信リス トについて説明していく。
[0119] 関連性判定基準(1)の同時接触した時のデータは、接触状態力も非接触状態にな つた時点で接触終了 FGが記載される為、接触終了 FGを区切りにして判断できる。 つまり、 1つの接触終了 FGの後の接触通信のデータから次の接触終了 FGの前ま での接触通信のデータが同時接触したデータとして判断できる。それゆえ、看護師 A の接触通信装置の通信リストから関連性判定基準(1)を用いて抽出すると、図 30 (A )の 1〜4と図 30 (B)の 6〜7と図 31 (A)の 9〜: L 1と図 31 (B)の 13〜16のそれぞれが 、同時接触データと判断できる。すなわち、 1〜4の「看護師 Aと注射器 Cと注射器箱 Dと棚 E」の組合せ Aと 6〜7の「看護師 Aと薬液ビン F (開栓)」の組合せ Bと 9〜11「 看護師 Aと注射器 Cと薬液ビン F (開栓)」の組合せ Cと 13〜16「看護師 Aと注射器 C と患者 Bと椅子 G」の組合せ Dが抽出され、その各組合せ内のデータは同時接触の データとして判断される。
[0120] 次に、関連性判定基準(2)を用いて、上記で抽出された 4つの組合せから、さらに、 関連性が高い組合せ同士を抽出する。ここで、仮に、看護師 Aが病室 Aへの移動に 6分掛かり、病室 Aで薬液ビン Fを開封した時から患者 Bに注射をしょうとする時まで 力 分未満だとする。そうすると、看護師 Aの通信リストの 4と 6の間では、 5分以上経 過している事となり、 5分未満の接触通信のデータの組合せとして、組合せ Aを除い た組合せ Bと組合せ Cと組合せ Dが抽出され、より強い関連があるデータの組合せと して判定される。
[0121] さらに、関連性判定基準(3)を用いて、上記 3つの組合せ間の関連性力 次のよう に判定される。組合せ Bと組合せ Cの中には、同じデータとして看護師 Aと薬液ビン F が含まれる事から、関連性が強いと判定され、組合せ Cと組合せ Dの中には、同じデ ータとして看護師 Aと注射器 Cが含まれる事から、関連性が強いと判定される。組合 せ Bと組合せ Cは、関連性が高ぐまた、組合せ Cと組合せ Dも関連性が高いと判定さ
れる事から、これを総合して、組合せ Bと組合せ Cと組合せ Dが関連性が強いと最終 的に判定される。こうして、組合せ Bと組合せ Cと組合せ Dのデータである「看護師 Aと 患者 Bと注射器 Cと薬液ビン F (開栓)と椅子 G」が関連性の高 ヽデータの組み合せと して最終的に抽出される事になる。
[0122] なお、上記 S3では、時間の近接など、比較的物理的な要素に基づいて関連データ 組合せを作成している力 関連判定基準としては、 IDが付けられたものの特性に応 じて変える事もできる。例えば、関連判定基準の対象としては、医療スタッフや医療 機器や薬などの直接医療に関わるものだけを取上げるように設定すると、棚 Eや注射 器箱 Dの IDは無視することもできる。また、点滴用の「キシロカイン 10%」は、注射器 50や点滴ビン 91などのような特定の器具に入れられることから、そうした器具をより強 い関連性のあるデータとして関連付けるように設定してぉ 、てもよ 、。
[0123] 次に、図 34は、接触タグ 1の CPU7が、上記人為ミスチェック処理と並行して実行 する疑義照会処理を表すフローチャートである。このフローでは、前述のように人為ミ スチェック処理のように人為ミスかどうかの判定はできないが、ミスである可能性がな いかその疑義をチェックできる。処理を開始すると、接触タグ 1の CPU7は、先ず、 S1 1にて、接触通信などによって入力された通信リストを読み込んで、現在作業中の項 目を検知する。例えば、看護師が「タキノール」の入った薬液ビン 70を開栓した時に は、接触通信によってその薬液ビン 70の接触タグ Ifの IDを検知して通信リストに記 憶されており、この通信リストを読み込んで現在作業中の項目の IDを検知する。因み に、通信リストの過去のデータの IDを読み込んで、これについて処理を行うようにして も構わない。
[0124] また、医師がカルテコンピュータ 64のキーボード 64dから「鈴木次郎」と入力した時 には、カルテコンピュータ 64の CPU力 その入力データを検知する。
続く S13では、上記検知された作業中項目の内、 IDで検知されたものをその IDが 示すものに変換して認識する。ちなみに、医師がカルテコンピュータ 64のキーボード 64dから患者名などを直接入力した場合は、患者 IDカゝらその患者を認識する本処置 は不要であるため、次のステップ S 15へ進む。そして、 S15では、 S 11で検知または S13で認識したものを、疑義照会リストに照会する。そして、続く S17で、その疑義照
会結果を音声や表示で報知し、更に疑義照会結果リストに記憶する。
[0125] 続く S19では、 ENDであるか否かを判断し、 ENDでない場合は(S 19 : NO)、再び 上記 S 11から処理を繰り返す。そして、 ENDが入力されている場合は(S19 : YES) 、処理を終了する。
[0126] 例えば、看護師が「タキノール」の入った薬液ビン 70を開栓すると、接触通信によつ て、看護師の接触通信装置 20が薬液ビン 70の IDを検知して通信リストのデータに 既に記憶しており、この看護師の接触通信装置 20が、この通信リストから薬液ビン 70 の IDを S 11にて検知する。次に、 S13にて薬液ビン 70の IDから薬液ビン 70の中身 が「タキノール」である事を認識する。さらに、 S15で「タキノール」を疑義照会すると、 疑義照会リストに間違 、易 、薬品として記載されて 、る「タキノールとタキソテール」 の組合せリストに合致し、 S 17で「タキソールではなぐタキソテールの間違いでない か?」と 、つた注意が報知される。
[0127] また、医師がカルテコンピュータ 64のキーボード 64dから「鈴木次郎」と入力した時 も同様な処理が行われる。つまり、 S11でカルテコンピュータ 64がキーボード 64dで 入力された「鈴木次郎」を検知する。そして、「鈴木次郎」を既に認知している為、 ID 認識は不要の為、次の S 15へ進む。 S15では、間違い易い患者として疑義照会リスト に記載されている「鈴木次郎、鈴木ニ郎」に合致する為、「鈴木次郎ではなぐ鈴木 ニ郎の間違 、でな 、か?」と 、つた注意の報知が行われる。
[0128] この処理では、間違い易いキーワードが組み合わせになっている場合の他に、重 要な薬品がリストに記載されており、それを検知した場合は、注意が報知されるように なっている。このように、本例では、医療現場における人為ミスが起きる可能性が高い 場合、それを事前チェックすることができる。
[0129] なお、人為ミスチェック処理及び疑義照会処理をカルテコンピュータ 64などで一括 して行っても良いが、前述のように各接触タグ 1のメモリ 8に、前述の IDリスト、通信リ スト、関連性判定基準リスト、薬リスト,カルテ,ヒューマンエラーリストを含むチェックリ スト、チ ック結果リスト、疑義照会リスト、疑義照会結果リスト、病院内の標準移動時 間リスト等を記憶して、各接触タグ 1において上記処理を実行している。こうする事で
、看護師や医師などが装着して ヽる接触通信装置や接触タグ 1を備えた医療器具自
体が警告を発し、よって、迅速に医療ミスを防止できる。また、 LAN通信に掛かる時 間や通信障害が無くせるため、より早いチェックが可能となる。
[0130] 次に、薬局への応用例を説明する。この薬局は、前述の病院内の薬局であり、前述 した病院 LANなどと、この薬局の例で説明する接触通信装置は無線等によって通信 できるものとする。また、接触通信装置には、種々の物があり、たとえば、計量器 260 や処方箋コンピュータ 220などがある。
[0131] 図 36〜図 40が、薬局への応用例を表す説明図である。図 36 (A)に示すように、こ の薬局には、絶縁性の台 200の上に、調剤テーブル 210,処方箋コンピュータ 220, 及び薬棚 230が載置されている。なお、この例でも、薬剤師は前述と同様の接触通 信装置 20を装着して 、るものとする。
[0132] 調剤テーブル 210,処方箋コンピュータ 220,及び薬棚 230は、いずれも表面が導 電性材料で構成され、処方箋コンピュータ 220を中心にして互いに接触して配置さ れている。そして、処方箋コンピュータ 220の表面と導電性の床との間には、台 200 を跨いで接触タグ loが配設されている。なお、処方箋コンピュータ 220は、本体 221 の上に表示部 222を備え、この表示部 222はタツチパネル式になっている。
[0133] 薬棚 230は、薬ケース 240を収納する薬ケース収納部 231を上方に 2段備え、粉薬 ビン 250を収納する粉薬ビン収納部 232を下方に 1段備えている。また、薬ケース収 納部 231及び粉薬ビン収納部 232には、各部に収納されている薬の情報を表示する ための表示器 233が設けられている。一方、調剤テーブル 210は、上面で粉薬 259 を調合可能に構成されており、調剤テーブル 210の上には、計量器 260が載置され ている。
[0134] 図 36 (B)は、粉薬ビン 250及び計量器 260の構成を詳細に表す説明図である。こ の粉薬ビン 250及び計量器 260は、前述の錠剤ビン 80及び計量器 85と同様に構成 されている。すなわち、粉薬ビン 250は蓋 251と容器本体 252とから構成され、ほぼ 全体が導電性の材料で構成されて ヽるが、容器本体 252の側壁部 252aと底板部 2 52bとは絶縁部 252cによって絶縁されている。そして、絶縁部 252cを挟んで、接触 タグ lpが側壁部 252a,底板部 252bに跨って埋設されている。
[0135] 計量器 260は、本体 261の上に、粉薬ビン 250を載置可能な計量皿 262を備えて
いる。本体 261を支持する 4本の足 263は、その内の 3本までが絶縁性材料で構成さ れ、 1本の足 263aが付け根 263bを除いて導電性の材料で構成されている。そして、 この付け根 263bを挟んで、接触タグ lqが足 263aの先端,本体 261に跨って埋設さ れている。
[0136] 図 36 (C)は、薬ケース 240の構成を詳細に表す説明図である。なお、図 36 (C)で は、導電性の部分にハッチングを施した。この薬ケース 240は、長方形の底板 241の 周囲に前板 242,後板 243,及び一対の側板 244を立設してなる周知の箱形状を有 しており、底板 241に接触タグ lrが埋設されている。そして、薬ケース 240の内面と 前板 242の外面とは、互いに導通して接触タグ lrの一方の電極に導通しており、底 板 241,後板 243,及び側板 244の外面は、互いに導通して接触タグ lrのもう一方 の電極に導通している。
[0137] このため、次のような、種々の接触経路が構成されてその経路を通じて接触通信が なされる。なお、図 37には、各接触経路を概略的に示したので参照されたい。すな わち、薬剤師が処方箋コンピュータ 220の表示部 222に触れると、薬剤師の体→表 示部 222→本体 221→接触タグ 10→床→薬剤師の体、と ヽつた接触経路が構成さ れる。薬棚 230に収納してある薬ケース 240に薬剤師が触れると、薬剤師の体→前 板 242→底板 241の内面→接触タグ lr→底板 241または側板 244の外面→薬棚 2 30→処方箋コンピュータ 220の本体 221→接触タグ 1〇→床→薬剤師の体、といった 接触経路が構成される。薬棚 230に収納してある粉薬ビン 250に薬剤師が触れると、 薬剤師の体→側壁部 252a→接触タグ lp→底板部 252b→薬棚 230→処方箋コン ピュータ 220の本体 221→接触タグ 10→床→薬剤師の体、と 、つた接触経路が構成 される。更に、薬剤師が粉薬ビン 250を計量器 260に乗せると、薬剤師の体→側壁 部 252a→接触タグ 1 p→底板部 252b→計量皿 262→本体 261→接触タグ 1 q→足 2 63aの先端→調剤テーブル 210→処方箋コンピュータ 220の本体 221→接触タグ 1 〇→床→薬剤師の体、といった接触経路が構成される。
[0138] 更に、調剤用のスプーン 265も導電性材料で構成されており、図 38, 39に示すよう に、計量器 260に乗せた粉薬ビン 250の側壁部 252aにスプーン 265が触れると、薬 剤師の体→スプーン 265→側壁部 252a→接触タグ lp→底板部 252b→計量皿 26
2→本体 261→接触タグ lq→足 263aの先端→調剤テーブル 210→処方箋コンビュ ータ 220の本体 221→接触タグ 10→床→薬剤師の体、といった接触経路が構成さ れる。なお、図 38〖こ示すよう〖こ、計量器 260の本体 261〖こは、その正面にリセットボタ ン 26 la及び表示部 26 lbが設けられている。
[0139] また、薬を入れて患者に渡すための薬袋 270は、周知の薬袋と同様、図 40に示す ように一端 271が開口し、他端 272が閉じているが、これらは導電性材料で構成され 、その間に絶縁部 273が設けられている。そして、この絶縁部 273を挟んで、接触タ グ Isがー端 271,他端 272に跨って配設されている。このため、薬剤師が薬袋 270 の両端に触れると、薬剤師の体→一端 271→接触タグ ls→他端 272→薬剤師の体 、といった接触経路が構成される。
[0140] 次に、この薬局で行われる各処理について説明する。
薬剤師が処方箋コンピュータ 220を ONにすると、中央コンピュータ 62と通信してこ れカも処方すべき患者の処方箋が表示部 222に表示されると共に、薬剤師が装着し ている接触通信装置 20にその処方箋を送信する。また、必要に応じて計量器 260へ も送信する。これら送信については、薬剤師が処方箋コンピュータ 220や計量器 260 に接触して接触通信によってでもよいし、無線通信によってでもよい。
[0141] そして、薬剤師の接触通信装置 20や処方箋コンピュータ 220は、図 41で表したよう な処置をして行い、処方箋コンピュータ 220は、図 42で表したような処置を行い、計 量器 260は、図 44で表したような処置を行い、それらが、並行して処理されると共に、 常に情報を交換する事で、一人の患者に処方する薬を間違いなく揃える事ができる 。そして、揃えられた薬を、図 40の薬袋 270に入れる時に、薬剤師の接触通信装置 20が図 45の処置を行って、一人の患者の薬の処方を終了し、次の患者の薬の処方 に移って行く。
[0142] ところで、薬剤師の接触通信装置 20や処方箋コンピュータ 220や後述する計量器 260は、無線や接触通信で交信し、処方中の処方箋を常に最新状態に更新してい る。また、病院内 LANを介して中央コンピュータ 62とも通信して、最新状態に更新し ている。
[0143] 図 41は、薬棚 230から取り出された薬を検知するための取り出し薬検知処理を表
すフローチャートであり、薬剤師の接触通信装置 20や処方箋コンピュータ 220が行う 。処理を開始すると、 S31にて、薬棚 230に収納された薬ケース 240または粉薬ビン 250の内、薬剤師が触れたものがあるかを接触通信によって検知し、接触通信によ つて取り出した薬ケース 240または粉薬ビン 250の IDを取得する。これには、前述し たように、薬棚 230が薬剤師の接触通信装置 20と接触通信して取り出した薬を検知 できるように構成した事が利用されて可能となる。
[0144] 続く S32では、その IDに対応する薬を認識する。薬が認識されると、 S33にて上記 I Dが接触通信した時刻をその薬の取り出し時刻として、処方中の処方箋に記憶する。 また、この時、この薬剤師名も処方箋に記憶する。
[0145] 更に、続く S34では、薬剤師の接触通信装置 20や処方箋コンピュータ 220がシャツ トダウンされるなどして ENDとなったか否かを判断し、 ENDとなって!/ヽな 、場合は(S 34: NO)、 S31へ移行して上記処理を繰り返す。また、 ENDとなった場合は(S34 : YES)、そのままー且処理を終了する。
[0146] 次に、図 42は、薬棚 230の表示器 233を制御するための表示器制御処理を表す フローチャートであり、処方箋コンピュータ 220が行う。 S35では、処方中の処方箋で 、薬棚 230より未だ取り出していない未取り出しの薬を抽出する。このステップでは、 最初は処方箋に記載された全ての薬を抽出することになるが、前述の取り出し薬検 知処理(図 41)によって薬棚 230から取り出された薬が検知される毎に、このステップ で抽出される薬の種類も減少する。なお、未取り出し薬であるか否かは、処方箋の薬 の取り出し時刻が空欄となっている力否かによって判断することができる(S33参照)
[0147] 続く S36では、未取り出し薬のある棚区画に設けられた表示器 333を点灯する。こ のステップでは、処方箋に薬の個数が指示されている場合は、表示器 333にその個 数を表示する。更に続く S37では、処方箋コンピュータ 220がシャットダウンされるな どして ENDとなったか否かを判断し、 ENDとなっていない場合は(S37 :NO)、 S35 へ移行して上記処理を繰り返す。また、 ENDとなった場合は(S37 : YES)、そのまま ー且処理を終了する。
[0148] この図 41, 42処理〖こより、例えば、棚区画ィ,口に収納された薬ィ,口をそれぞれ 2
1個, 7個取り出す必要がある場合、薬剤師の行動に応じて、処方箋への記憶や表 示器 33の表示は図 43に示すように変化する。
[0149] 次に、粉薬のように、計量が必要な場合について説明する。粉薬が入った粉薬ビン を取り出して、図 38のような計量器 260に載せて計量する場合を図 44の計量フロー チャートで説明する。
[0150] 図 44は、薬剤師が計量器 260の計量皿 262に粉薬ビン 250を乗せて秤量しながら 調剤する際に、計量器 260の CPUが実行する計量処理を表す計量フローチャート であり、計量器 260の CPUは、計量器 260の電源が ONされるとこの処理を開始し、 電源が OFFされるとこの処理を終了する。ところで、計量器 260は接触通信装置の 1 種でもある為、計量器 260の CPUは、接触タグの CPU7としての機能を備え、また、 計量器 260のメモリは、接触タグのメモリ 8としての機能も備えている。
[0151] 先ず S41にて粉薬ビン 250が計量皿 262に乗せられた (積載された)か否かを判断 する。これは、図 38のように、粉薬ビン 250を薬剤師が計量皿 262に乗せた時、薬剤 師を介して接触経路が形成され、その接触経路を通じて計量器 260の接触タグ lqと 粉薬ビン 250の接触タグ lpと薬剤師の接触通信装置が接触通信を行うことによって 検知できる。
[0152] 粉薬ビン 250が計量皿 262に乗せられていない場合は(S41 :NO)、そのまま S41 にて待機し、粉薬ビン 250が計量皿 262に乗せられていると判断される場合 (S41: YES)は、 S42へ移行する。
[0153] S42では、接触タグ lpとの接触通信によって得られる粉薬ビン 250の IDから、計量 中の薬を認識し、続く S43では、処方箋を参照してその薬の必要量を認識する。 続く S44では、取出重量を 0gにセットし、表示部 261bにも次のような表示を行う。 すなわち、計量器 260にて計量される重量が安定するまでは表示部 261bに「取出 禁止」と表示し、安定した後に、その時点の取出重量を 0gにセットすると共に、表示 部 26 lbの表示も「取出重量 0g」とする。つまり、粉薬ビン 250を計量器 260に載せた 時点では、粉薬の取出重量が 0gにセットされる。
[0154] 続いて、 S45にて計量タイマをリセットすると共にその計量タイマを再スタートし、こ のとき同時に、粉薬の取り出し力OKである旨音声と表示で告知する。
続く S46では、薬剤師による粉薬取り出し後に重量が安定する度に取り出し重量を 計量し、取出重量や S43で認識した必要量から過不足重量を計算し、表示部 261b に表示する。また、取出重量が必要量とピッタリー致した場合でも、音声と表示にてそ の旨告知する。
[0155] 更に続く S47, S48, S49では、リセットボタン 261aが押下されたか否力 計量タイ マが所定時間を計時して終了したか否か、粉薬ビン 250等の重量を検出し続けてい るか否か、を順次判断する。リセットボタン 261aも押下されず (S47 :NO)、計量タイ マも終了せず (S48: NO)、粉薬ビン 250等の重量は継続して検出して 、る場合は( S49 :YES)、 S46へ戻り、 S46〜S49の処理を繰り返すことによって引き続き取り出 し重量の計量を続ける。
[0156] このように S46〜S49の処理を繰り返して!/、る内にリセットボタン 26 laが押下された ときは(S47 :YES)、同じ薬を上記必要量ずつ複数に小分けする場合であるので、こ の場合、 S44から前述の処理を繰り返す。
[0157] 一方、 S46〜S49の処理を繰り返している内に、粉薬ビン 250が計量皿 262から撤 去されてその重量が検出されなくなった場合や (S49 : NO)、計量タイマが終了して しまった場合は(S48 : YES)、その薬に対する処理を終了し、前述の S41へ移行し て再び粉薬ビン 250が積載されるまで待機する。
[0158] 次に、図 45は、処方箋コンピュータ 220が表示部 222に表示する処方箋を順次切 り替えるための、処方終了処理を表すフローチャートである。処方箋コンピュータ 220 は、この処理を開始すると S51にて、前述の S35と同様の方法で、その処方箋に関 する全ての薬が取り出されたか否かを判断する。全ての薬が取り出されて!/ヽな 、場 合は(S51 :NO)、そのまま待機し、全ての薬が取り出されると(S51 :YES)、続く S5 2へ移行する。 S52では、薬袋 270の接触タグ Isを通る前述の接触経路が形成され 、その接触タグ Isが接触通信を行ったか否かを判断する。
[0159] すなわち、処方が完了すると薬剤師は薬を薬袋 270に詰める。そこで、 S52では、 薬を薬袋 270に詰める動作が行われるまで待機するのである。薬が薬袋 270に詰め られ、薬袋 270の接触タグ Isが接触通信を行うと(S52 : YES)、処理は S53へ移行 し、カルテの処方箋をその薬袋 270の接触タグ Isに送信する。なお、このとき、処方
箋に記載された薬の飲み方や、禁忌情報なども接触タグ Isに送信される。続く S54 では、それまで表示部 222に表示して 、た処方箋が記憶されて 、るカルテを図示し ない中央コンピュータに返信し、 S55にて、次の患者のカルテを読み込んでその処 方箋を表示部 222に表示する。
[0160] 更に続く S56では、処方箋コンピュータ 220がシャットダウンされるなどして ENDと なったか否かを判断し、 ENDとなっていない場合は(S56 :NO)、 S51へ移行して上 記処理を繰り返す。また、 ENDとなった場合は(S56 : YES)、そのままー且処理を終 了する。
[0161] このようにして、薬の処方の間違い (種類 ·量)がないように指示がなされ、また、たと え、間違えそうになってもチェックされる。さらには、薬剤師以外が触れた時、チェック され、薬の盗難'不正使用の防止などもできる。
[0162] 次に、図 46は工場への応用例を表す説明図である。図 46 (A)に示すように、工場 内にはベルトコンベア 300が配設され、その上に配設されたコンベアプレート 310上 に、生産中の冷蔵庫 320が積載される。また、ベルトコンベア 300は、工程毎に区画 された複数の作業ブース 330を順次通過するように配設され、各作業ブース 330の 片隅には、作業を指示する指示コンピュータ 350と、工具や部品を収納する部品棚 3 40とが配設されている。なお、この例でも、各作業ブース 330の床は導電性で、工場 の作業者は前述と同様の接触通信装置 20を装着しているものとする。
[0163] 部品棚 340は全体が導電性材料で構成されている力 底板下面と各区画の両側 面内面と天井面とには、絶縁材が塗布されている。各区画の底面に敷設される敷板 341は、図 46 (B)に示すように、導電板 342, 343で絶縁板 344を挟んだサンドイツ チ状の構造を有し、導電板 342, 343に跨って接触タグ Itが配設されている。また、 部品棚 340の各区画上部には、表示器 345及び棚ランプ 346が設けられている。
[0164] 指示コンピュータ 350は、表示部 352と本体 351とから構成され、全体が導電性材 料で構成されると共に、絶縁性の台 353を介して作業ブース 330に設けられている。 そして、作業ブース 330の床と本体 351との間に跨って接触タグ luが配設されてい る。このため、前述の薬局の場合と同様に、部品棚 340に収納された工具または部 品に作業者が触れると、接触タグ It及び luを介して接触通信がなされる。なお、接
触タグ luは、指示コンピュータ 350の CPUとも接続されている。
[0165] 図 47 (A)には、この接触通信がなされる接触経路を概略的に示した。なお、図 47 ( A)では、部品棚 340の各区画に収納された部品を Pa, Pb, Pc,…として表し、各区 画を構成する敷板 341等にも同様の添え字 (以下同様)を付した。
[0166] 冷蔵庫 320の 4本の足 321はいずれも絶縁性の材料で構成され、その内の 1本を 跨いで、導電性の冷蔵庫 320本体とコンベアプレート 310との間に、接触タグ lvが配 設されている。なお、コンベアプレート 310は、単なる鉄板でもよいが、敷板 341と同 様に接触タグ 1を埋設した絶縁材を導電材プレートで挟んだ構造であってもよ ヽ。 Vヽ ずれの場合でも、作業者が冷蔵庫 320に部品等を装着する際に接触タグ lvを介し た接触通信がなされるが、後者の場合、上記接触通信がコンベアプレート 310に埋 設された接触タグ 1をも経由したものとなる。なお、この接触通信がなされる接触経路 も、図 47 (B)に概略的に示した。
[0167] 更に、冷蔵庫 320の正面には無線タグ 322が固定され、各作業ブース 330におけ るベルトコンベア 300との隣接位置には、その無線タグ 322と通信する無線タグ受信 機 331が設けられている。この無線タグ受信機 331は、常時、作業ブース 330内にあ るベルトコンベア 300上の冷蔵庫 320の無線タグ 322を検知している。そして、無線 タグ受信機 311は、無線タグ 322から検知した冷蔵庫 320の IDを、その作業ブース 3 30の指示コンピュータ 350に通信ノ ス 332を介して、作業者の接触通信装置 20に 無線で、それぞれ常時送信している。
[0168] 次に、このように構成された各作業ブース 330における指示コンピュータ 350の処 理について説明する。先ず、指示コンピュータ 350は、自己のメモリに、生産カルテと 棚部品リストとを記憶することができる。
[0169] 生産カルテには、生産する商品毎に仕様や部品の取り付け順序などの生産手順が 記憶されている。取り付け部品の順番の指示が詳細に記憶されると共に、実際に生 産を行った時の詳細データが記憶できる欄が設けられている。例えば、生産される冷 蔵庫 320毎に生産カルテが作成されており、取り付けるべき部品や塗装や検査項目 などの各種処置方法が記憶されている。そして、その取り付け予定の部品毎に、作業 者 IDや作業者が部品を部品棚 340から取り出した時刻や取り付けた時刻を記載す
る欄 (取り出し時刻欄や取り付け時刻欄)などが詳細に設けられており、随時、該当欄 に記憶できるようになつている。
[0170] 指示コンピュータ 350は、無線タグ受信機 311を介して受信した冷蔵庫 320の IDに 応じて、図示しない LANを介して中央コンピュータ力もその冷蔵庫 320に応じた生 産カルテを受信する。そして、その冷蔵庫 320に対する当該作業ブース 330での作 業が終了したら、指示コンピュータ 350は生産カルテを中央コンピュータに返信する
[0171] また、棚部品リストは、各作業ブース 330にある部品棚 340の各区画に入っている 部品と敷板 341をリストイ匕したもので、敷板 341とそこにある部品とが対応付けて記憶 されている。このため、作業者が部品に触れて、その部品の下の敷板 341に埋設さ れた接触タグ Itを経由した接触通信が行われると、この棚部品リストを参照することで 、部品を認識することができる。
[0172] なお、同じ作業ブース 330にある指示コンピュータ 350と作業者の接触通信装置 2 0とは、検知した情報や生産カルテなどの記憶して!/、る情報を常時相互に無線交信 して最新状態に更新して 、る。
[0173] 次に、図 48は、指示コンピュータ 350が表示器 345及び棚ランプ 346の制御を行う 表示制御処理を表すフローチャートである。この処理を開始すると、先ず S61にて指 示コンピュータ 350は、前述のように受信した生産カルテ中の部品から、未だ取り付 けられておらず、かつ、その作業ブース 330の棚部品リストにリストアップされている 部品を抽出する。なお、部品が取り付け後であるか否かは、後述の処理により生産力 ルテに記憶されている。
[0174] 続く S62では、 S61で抽出した部品のある区画の棚ランプ 346及び表示器 345を 次のように制御する。すなわち、このステップでは、取り付け順の最も若い番号の部 品が入つて 、る区画の棚ランプ 346を青色に点灯させ、次に若 、番号の部品の入つ ている区画の棚ランプ 346を黄色に点灯させる。また、取り付け順序が決まっていな い場合は、 S61で抽出した部品のある区画の棚ランプ 346を全て青色に点灯させる 。更に、同じ部品を複数取り付ける必要がある場合は、表示器 345で個数を表示す る。
[0175] 続く S63では、指示コンピュータ 350がシャットダウンされるなどして ENDとなったか 否かを判断し、 ENDとなっていない場合は(S63 :NO)、 S61へ移行して上記処理 を繰り返す。また、 ENDとなった場合は(S63 : YES)、そのままー且処理を終了する
[0176] 図 49は、作業者による部品の取り出し状態を検知する取り出し検知処理を表すフ ローチャートであり、指示コンピュータ 350や作業者の接触通信装置 20で行われる。 この処理を開始すると、作業者が部品を取り出すなどして、部品のある棚の敷板 341 と作業者の接触通信装置 20と指示コンピュータ 350の間で接触経路が形成され、敷 板 341の接触タグ Itと作業者の接触通信装置 20と指示コンピュータ 350の接触タグ luを経由した接触通信が行われる。こうして、敷板 341の IDを検知する(S65)。続く S66では、その敷板 341を棚部品リストに照らし合わせることで、作業者が取り出した 部品を認識する。
[0177] 更に、続く S67では、上記接触通信が行われた通信時刻を、作業者が部品を部品 棚 340から取り出した時刻とみなし、生産カルテにおける上記認識した部品の取り出 し時刻欄に記憶する。また、生産カルテにおける当該部品の取り出し者欄に作業者 の IDを記憶する。続く S68では、指示コンピュータ 350や作業者の接触通信装置 20 がシャットダウンされるなどして ENDとなったか否かを判断し、 ENDとなって!/ヽな!ヽ場 合は(S68 :NO)、 S65へ移行して上記処理を繰り返す。また、 ENDとなった場合は (S68 : YES)、そのままー且処理を終了する。
[0178] 図 50は、作業者による部品の取り付け状態を検知する取り付け検知処理を表すフ ローチャートである。この処理を開始すると指示コンピュータ 350は、先ず S71にて、 作業者の接触通信装置 20と冷蔵庫 320の接触タグ lvとが接触通信を行うまで待機 する。作業者の接触通信装置 20と冷蔵庫 320の接触タグ lvが接触通信を行うと (S7 1: YES)、その直前に作業者が部品棚 340から取り出した部品を冷蔵庫 320に取り 付けたとみなして、次のような処理を実行する。すなわち、生産カルテから、前述の取 り出し検知処理(図 49)によって記憶されて 、る取り出し時刻欄の時刻が最新のもの を抽出して、その部品を認識する(S72)。
[0179] 続く S73では、作業者の接触通信装置 20と冷蔵庫 320の接触タグ lvとの接触通
信が行われた通信時刻を、作業者が部品を冷蔵庫 320に取り付けた時刻とみなし、 生産カルテにおける上記認識した部品の取り付け時刻欄に記憶する。また、生産力 ルテにおける当該部品の取り付け者欄に作業者の IDを記憶する。続く S74では、指 示コンピュータ 350や作業者の接触通信装置 20がシャットダウンされるなどして EN Dとなったか否かを判断し、 ENDとなっていない場合は(S74 :NO)、 S71へ移行し て上記処理を繰り返す。また、 ENDとなった場合は(S74 : YES)、そのままー且処理 を終了する。
[0180] なお、 S72における部品の検索は、取り出し時刻欄が記憶済みで、取り付け時刻欄 が空欄の部品を検索してもよぐ或いは、直前に部品棚 340と接触通信したときの部 品を記憶しておくことで生産カルテを参照せずに行ってもよい。また、前述の S36で は、部品が取り付け済みである力否か(S73参照)に基づいて棚ランプ 346等を制御 すべき部品を抽出した力 前述の S67によって生産カルテに記憶される取り出し時 刻欄が記載済みである力否かに基づいて部品を抽出してもよい。
[0181] この図 48〜図 50の処理により、例えば、部品棚 340から部品 Pa, Pc, Pbを順次取 り出して冷蔵庫 320に取り付ける必要がある場合、作業者の行動に応じて生産カル テへの記憶や棚ランプ 346の制御状態は図 51に示すように変化する。
[0182] このようなシステムを採用した工場では、冷蔵庫 320がベルトコンベア 300によって 作業ブース 330に搬送されると、無線タグ受信機 331が冷蔵庫 320の無線タグ 322 を検知し、その冷蔵庫 320の生産カルテを指示コンピュータ 350や作業者の接触通 信装置 20が受信する。続いて、図 48〜図 50の上記処理により、作業者が部品棚 34 0から部品を取り出したことやその部品を冷蔵庫 320に取り付けたことが検知され、そ の検知に応じて表示器 345及び棚ランプ 346が制御される。そして、全ての部品の 取り付けが終了すると、棚ランプ 346が全て消灯し、指示コンピュータ 350や作業者 の接触通信装置 20は生産カルテを中央コンピュータに返信する。
[0183] し力しながら、作業の途中で冷蔵庫 320が他の作業ブース 330へ搬送されようとし たり、作業の途中で作業者が作業ブース 330を離れたりした場合、ベルトコンベア 30 0を停止する必要がある。そこで、指示コンピュータ 350は、次に示すコンベア停止処 理によってコンベア停止フラグ FGを 1にセットまたは 0にリセットする。中央コンビユー
タは、各作業ブース 330の指示コンピュータ 350におけるコンベア停止フラグの状態 を観察し、いずれかの作業ブース 330でコンベア停止フラグ FGがセットされるとベル トコンベア 300を停止する。
[0184] 図 52は、指示コンピュータ 350が実行するコンベア停止処理を表すフローチャート である。処理を開始すると、指示コンピュータ 350は、コンベア停止フラグ FGがセット されているカゝ否かを判断する(S75)。セットされていない場合は(S75 : NO)、作業者 及び冷蔵庫 320が作業ブース 330内に検知できるか否かを、接触通信装置 20との 通信状態及び無線タグ受信機 331の受信状態に基づいて判断する。
[0185] 作業者及び冷蔵庫 320が共に検知できる場合は(S76 : YES)、そのまま前述の S 75へ移行して、 S75, S76の処理を繰り返し実行する。作業者または冷蔵庫 320の いずれか一方が検知できなくなると(S76 : NO)、 S77にてコンベア停止フラグ FGを セットした後、前述の S75へ移行する。
[0186] コンベア停止フラグ FGがセットされた後は(S75 :YES)、 S75から S78へ移行し、 指示コンピュータ 350が前述の各処理により全ての部品の取り付けを検知し、生産力 ルテを中央コンピュータに返信したカゝ否かを判断する。生産カルテが返信済みでな い場合は(S78 :NO)、そのまま S75へ移行する。一方、生産カルテが返信済みとな ると(S78 :YES)、 S79にてコンベア停止フラグ FGをリセットした後、前述の S75へ 移行する。
[0187] すなわち、コンベア停止フラグ FGがー且セット(S77)された後は、全ての部品が取 り付けられたことを指示コンピュータ 350が検知するまで S75, S78の処理を繰り返し ながら待機し、取り付けが終了して生産カルテが返信されると(S78 : YES)、コンペ ァ停止フラグ FGをリセット(S79)するのである。この処理により、全ての部品が取り付 けられるまでベルトコンベア 300を停止して、取り付け後は自動的にベルトコンベア 3 00を再稼動させることができる。
[0188] また、コンベアは、通常は、一定速度で常に流れており、部品の取り付けが終了す る前に、作業ブース力も出て行ってしまいそうな場合を検知して、部品の取付けが終 了するまで、一時的にコンベアを停止するようにもできる。
[0189] 更に、この例でも、医療ミスの検出と同様に、作業者が冷蔵庫 320に取り付ける部
品を間違えたり部品の取り付け順序を間違えたりした場合には、ブザー等によって報 知することができる。更に、こうした情報を生産カルテの記憶欄に記憶し、後で検証す ることち可會である。
[0190] 更に、本発明は、単に作業ミスの防止に止まらず、各種作業状態を検知してそれを 有効利用するのに応用することができる。例えば、図 53〜図 58はスーパーマーケッ トへの応用例を表す説明図である。
[0191] 図 53は、買物カート 410の構成を表している。図 53に示すように、買物カート 410 の骨格 411は、取っ手 411aも含めて導電性材料で構成され、買物カゴ(図示せず) を受け入れる枠 412は、後述の無線タグ 422等力もの電波を受信するためのアンテ ナとして機能する。取っ手 41 laの付け根には、枠 412を介して上記電波を受信する 受信機本体 413が設けられて 、る。
[0192] また、買物カート 410の 4つの車輪 414はその内 3つまでが絶縁性材料で構成され 、 1つの車輪 414aのみが導電性材料で構成されている。骨格 411における車輪 414 aの支持部 411bは、絶縁部 415を介して他の骨格 411と絶縁され、その絶縁部 415 を跨いで接触タグ laaが配設されている。このため、取っ手 41 laを持って客が店内 を歩くと、客の体→取つ手 411 a→骨格 411→接触タグ 1 aa→支持部 41 lb→車輪 41 4&→床→客の体、といった接触経路が構成される。
[0193] 図 54は、そのスーパーマーケットにおけるショーケース 420の構成を表す説明図で ある。図 54に示すように、ショーケース 420には、表面が導電性材料で構成された牛 乳 430などの商品が陳列される。ショーケース 420は、前述の部品棚 340とほぼ同様 に構成されている。すなわち、敷板 421は 2つの導電板で絶縁板を挟んだ構成を有 し、その 2つの導電板に跨って接触タグ lbbが配設されている。このため、客が牛乳 4 30に触れると接触経路が構成され、接触タグ lbbが接触通信を行う。
[0194] また、ショーケース 420の正面には無線タグ 422が設けられ、信号線 423を介して 接触タグ lbbと接続されている。このため、接触タグ lbbが上記接触通信を行ったとき 、無線タグ 422から買物カート 410に向けて商品価格等のデータを送信することがで きる。なお、 1つの区画には同一種類の牛乳 430が陳列されており、接触タグ lbbの I Dにより牛乳 430の種類や価格を特定することができる。
[0195] 図 55は、惣菜等の商品の計り売りに関する構成を表している。導電性の台 440の 上には、前述の計量器 260と同様に構成された計量器 450が載置されている。すな わち、この計量器 450は、本体 451の上〖こ計量皿 452を備え、本体 451を支持する 4 本の足 453は、その内の 3本までが絶縁性材料で構成され、 1本の足 453aが付け根 453bを除いて導電性の材料で構成されている。そして、この付け根 453bを跨いで 接触タグ lccが配設されている。更に、本体 451の正面には、信号線 454を介して接 触タグ lccと接続された無線タグ 455が設けられている。
[0196] このため、客が計量皿 452に盛り付けられた白飯 461を導電性の杓文字 463です くったり、計量皿 452に盛り付けられたハンバーグ 462を導電性の箸 464で取ったり すれば、接触タグ lccを通る接触経路が構成され、重量減少分に応じた商品価格等 のデータが無線タグ 455より送信される。なお、この場合も、計量皿 452の振動が安 定して力もデータを送信するようにしてもよい。また、白飯 461等は重量減少分をダラ ム単位で、ハンバーグ 462等は重量減少分を個数に変換した数値として、それに対 応した価格が演算される。ところで、このハンバーグ 462を取り出した後でないと計量 できないが、その取り出したノヽンバーグ 462の個数を客の接触通信装置 20に送信す る必要がある。しかし、ハンバーグ 462を取り出した後では、接触経路が形成されて いないため、接触通信ができない。そこで、無線通信してハンバーグ 462の個数を客 の接触通信装置に送信できるように、計量器 450と客の接触通信装置 20に無線タグ を設けた。このように、接触タグは、触れたものだけを正確に検知する事ができるが、 逆に、接触していない相手とは通信できないという欠点がある。そこで、無線タグを共 に用いている。つまり、接触タグによって、正確に触れた相手を特定し、その特定した 相手に無線を利用して通信する事で、購入した客に間違いなぐ送信できるようにし ている。また、無線タグでは、触れた相手を特定できないという欠点を接触タグを利用 する事で、接触した相手を特定できるようにして ヽると ヽぅ事もできる。
例えば、計量器に載った皿から、客が必要量の白飯を取り出す例で詳細に説明する 無線を備えない場合、白飯を正確に計量するには、客力 白飯を皿力 取り出した後 、計量値が安定するまで計量器の前で待っていて、安定後、客力 Sもう一度計量器に
触れて計量値を客の接触通信装置で受信する必要がある。
その為、計量値が安定するまで、計量器の前で待つ必要があるだけでなぐ受信の 為に計量器に触れた時、計量誤差が生じる可能性がある。
しかし、無線を備えていれば、白飯を皿から取り出した際に、接触通信装置で客が特 定できる為、客は、その場を離れても、白飯を取り出して計量値が安定した後、その 特定された客に無線で計量値を接触通信装置で受信できる。こうして計量の待時間 を無くすと共に、計量誤差を無くす事ができる。
このように、接触通信装置は、触れた客を特定する事はできるが、離れた所へは通信 できないという性質がある。また、無線は、近くにいる他の客との区別がつかないが、 離れた客へも通信できるという特性がある。また、計量器は、正確に計量するのに時 間が掛カるという性質と、振動を嫌うという性質がある。
つまり、接触しないと客が特定できないが、計量の為には、接触という行為は、良くな い。無線では、離れた客と通信できるが、客を特定する事ができない。接触通信では 、客を特定する事ができるが、離れた所にいる客には通信できないというメリットとデメ リットがある。しかし、計量器と無線と接触通信の 3者を組み合わせると、それぞれが 相互に相反するデメリットを旨く相殺して、このように 3者の持つメリットだけを引き出す 事ができる。
[0197] 図 56は、衣類の販売に関する構成を表している。図 56 (A)に示すように、衣類 50 0、その衣類 500を吊るすためのハンガ 510、及びそのハンガ 510を掛けるためのハ ンガ掛 520は、いずれもほぼ全体が導電性材料で構成されている。但し、ハンガ 510 の首部 511の付け根には絶縁部 512力 ハンガ掛 520の両方の足 521, 521の付け 根には絶縁部 522, 522が形成されている。そして、ハンガ 510の絶縁部 512を跨い で接触タグ lddが、ハンガ掛 520の一方の絶縁部 522を跨いで接触タグ leeが、そ れぞれ配設されている。
[0198] このため、客が衣類 500を手に取ると、接触タグ ldd, leeを通る接触経路が形成さ れ、客の接触通信装置 20と接触タグ ldd, leeが接触通信を行う。また、衣類 500に は、糸 540を介して無線タグ 530が取り付けられている。無線タグ 530と接触タグ ldd にもその商品に関する価格等のデータが同じように記憶されているため、一方のタグ
のデータを受信すれば、本来問題はない。しかし、無線タグにおいては、手に取って いない商品の無線タグ 530のデータをも受信してしまったり、逆に、手に取った商品 の無線タグ 530のデータを受信できな力つたりする欠点があり、接触タグにおいては 、接触している間においてだけしか通信できないという欠点がある。その為、無線タグ と接触タグを用いる事によって、商品とそれを手にした客を特定し、また、客が手にし た商品を正確に確実に判断できるようにしてあり、接触通信できなくなった場合にで も無線通信によって、接触通信で特定した客に手にした商品の情報を送信できるよう にしてある。
[0199] なお、衣類 500に無線タグを取り付ける場合、その無線タグが平面状のものである と、無線タグのアンテナ面も衣類 500と平行に並んでしまう。すると衣類 500の平面に 直交する方向(例えば、図 56 (A)に示す矢印 Aの方向)からしかデータを検知できな い。この場合、ハンガ掛 520が店舗の角にあったり衣類 500が多数掛けてあったりす ると受信できるような場所に無線タグ受信機を挿入できず、よって、衣類 500のデー タを検知できない可能性が高くなる。
[0200] そこで、本実施の形態では、図 56 (B)に示すように、無線タグ 530を互いに直交す る 3つの平面 (第 1面 531,第 2面 532,第 3面 533)によって構成し、各面にチップ及 びアンテナを設けた。このため、衣類 500の面に沿った方向(例えば、図 56 (A)に示 す矢印 Bの方向)からもデータを検知することが可能となる。また、通常、水平配置さ れる第 3面 533にもチップ及びアンテナを設けたので、無線タグ 530がひつくり返って もデータを検知することができる。但し、このように無線タグ 530がひつくり返る可能性 は低 、ので、第 3面 533からはチップ及びアンテナを省略してもよ 、。
[0201] なお、図 56 (B)の例では、一辺を揃えて互いに直交するように配置された第 1面 53 1,第 2面 532の中央に、第 3面 533を設けており、第 3面 533を第 1面 531,第 2面 5 32の中央に配置する事で、第 1面 531,第 2面 532が直交状態を維持し易いにょう 【こしてある。また、図 56 (C)【こ示すよう【こ、第 3面533を第 1面531,第 2面532の一 端に設け、第 1面 531,第 2面 532,第 3面 533で直方体の箱の一角を構成するよう に配置してもよい。この場合、第 3面 533が第 1面 531及び第 2面 532の通信の邪魔 になるのを良好に防止することができる。また、このように 3面力もなる無線タグ 530を
使用する場合、各面の IDを 123456a, 123456b, 123456cと!/、つたように関連付 けておくと、その IDを用いた処理が容易になる。
[0202] ここで、第 1面 531の構成について、図 57 (A)を用いて更に詳細に説明する。なお 、第 2面 532及び第 3面 533も同様に構成されている。図 57 (A)に示すように、第 1 面 533は、チップ 551及びアンテナ 552を備えた平面状のタグ部 531a, 531bを備 え、その間に電波遮断層 531cを積層状に配設して構成されている。本実施の形態 では、このような構成により、次のように検知ミスを防止している。
[0203] すなわち、無線タグは、無線であるが故に、検知が楽な反面、検知できないというミ スゃ逆に、検知して欲しくないときに検知してしまう検知ミスが起きてしまう。そこで、 検知したときの方向によって、検知ミスかどうか判断できるようにすることが考えられる
[0204] 通常の無線タグは、前述のタグ部 53 laまたは 53 lbのみで構成され、アンテナ 552 と正対する面であれば、表側でも裏側力 でもデータ等を受信できる。これに対して、 裏面に無線遮断するための電波遮断層 531cを貼れば、表面方向の感度は向上す るが裏面方向ではデータの受信が不能となる。そこで、図 57 (A)に示したように、 2 枚のタグ部 53 la, 53 lbの間に電波遮断層 531cを挟んで貼り付ければ、表裏面両 方向に良好な通信が可能となる。更に、本実施の形態では、互いに直交する第 1面 5 31,第 2面 532,第 3面 533をこのように構成したので、どんな向き力もも無線タグ 53 0からの電波を受信でき、検知したときの方向によって、検知ミス力どうか判断すること が可能となる。
[0205] なお、図 56 (C)に例示したような無線タグ 530を製造する場合は、図 57 (B)に示す ように、互いに直交する第 1面 561,第 2面 562,第 3面 563を備えた台紙 560を予め 製作しておき、その表面に無線タグを貼り付けてもよい。更には、上記台紙 560として 、無線を遮断できる電波遮断材を用い、その 3面の表裏の各面に無線タグを貼っても よい。こうすることでも、どんな向き力もでも無線タグ受信器にて受信できると共に、受 信した方向から、誤検知によって検知したもの力、正当に検知できたものかの判断に 利用でき、また、その商品の向きも検知できる。
[0206] 更に、商品には、見せたい面がある。例えば、図 57 (C) , (D)に示すオレンジジュ
ース 600であれば、美味しそうなオレンジの絵のある面 600aを正面に配置したい。そ こで、この場合は、貼合型の無線タグ 601を図 57 (C)に示すように貼り付けたり、立 体型の無線タグ 602を図 57 (D)に示すように添付する。なお、貼付型の無線タグ 60 1は、図 57 (A)に示す電波遮断層 531c,タグ部 531aを順次積層したものと同様の 構成を有し、立体型の無線タグ 602は、図 56 (C)に示した無線タグ 530と同様の構 成を有する。
[0207] 更に、本発明は、商品券などに対しても応用することができる。例えば、図 58に示 すように商品券 700の一端 701及び他端 702を導電性部材で構成し、その間に絶縁 部 703を設けると共に、絶縁部 703を跨いで接触タグ Iffを配設する構成が考えられ る。この場合、接触通信装置 20を装着した店員が商品券 700の両端 701, 702を摘 んだときに、接触タグ Iffを通る接触経路が形成されるので、その商品券 700に対す るレジでの処理を自動で実行できるようにすることが可能である。
[0208] また、接触通信装置 20に、上記接触経路が形成されたとき金種等を音声で告知す る装置を設ければ、盲人が商品券 700の金種を知る手助けとなる。このような構成は 、商品券の他、各種切符、入場券、或いは政府が発行する紙幣などにも適用するこ とができる。更に、このような発声機能を備えた接触通信装置 20を指輪型に構成し、 ゲームセンターのコインや政府が発行する硬貨を前述の敷板 341と同様に構成すれ ば、その接触通信装置 20を備えた指 (親指以外とする)と親指でそのコイン等を摘む ことにより、金種等を発声させることが可能となる。
[0209] 次に、接触通信の車への適用例を説明する。
まず、歩行者等との衝突検知の例を図 59〜図 60で説明する。
現在、運転席のエアバッグでは、衝突時の衝突 Gを検知して作動させるなどしてい る力 衝突時以外の誤作動を防止するためなどの必要から、単純に衝突 Gを検知し て作動させればいいというものではなぐ種々のセンサーや複雑なアルゴリズムを用 いて、衝突を検知している。その為、衝突して力も衝突を検知して、運転席エアバッ グが作動するまでには、ある程度の時間が必要である。たとえば、速度だけではなく 、衝突物の堅さに応じて様々な衝突波が発生する為、これを、 Gセンサで捉えて分析 する為にも、分析時間が必要である。このように、速度(高速 '中速'低速)や衝突物
の堅さや衝突部位 (前面 ·側面 ·後部 ·オフセット衝突)など様々な衝突状況に応じた エアバッグの作動が必要である力 その為に、多種のセンサーを取り付けて分析して も、衝突推定アルゴリズムの処理に時間が必要となってしまい、エアバッグの作動に 間に合わない惧れがある。また、 Gセンサは、柔らかなバンパーで衝撃が吸収されて いる時間、衝撃波が伝わってこな力つたり、取付ける車の部位ゃ部材に応じて、衝突 波が変わってしまうという問題もある。
[0210] そこで、接触タグを衝突検知センサーとして利用すると、衝撃波の伝達所要時間が 不要であり、取付位置の制約も小さぐまた、図 59の例では、前バンパー左部での接 触を検知する例としたが、前バンパー右部でも同様に設置して、前バンパー右部で の衝突を検知するようにしたりするなど、衝突を検知する箇所毎に、同様の接触タグ を設置して車の衝突部位を簡単に特定する事ができる。また、衝突する相手にも接 触タグを備えている事で、物であるのか人間なのか、さらには、子供なのか大人なの 力まで検知して、最適な対応が可能になる。
[0211] たとえば、最近、衝突した歩行者用のケガを防止する為のフロントガラス外面で開く 歩行者用エアバッグなどもあるが、この作動には、従来の運転席エアバッグに増して すばやい作動が要求され、また、より詳細な衝突状況の検知が必要とされるが、前述 の接触タグを用いる事で、これらが可能となる。
[0212] ところで、無線タグをこうした衝突検知に利用しょうとした場合、これだけでは衝突を 正確に検知するのは、難しい。なぜなら、無線タグでは、近くにあれば、無線通信し てしまう為に、接触しない対象と接触する対象を識別できないからである。そこで、無 線タグを利用する場合は、本例のように、接触通信を利用した衝突検知を基本としな がら、衝突の前に衝突の準備するのに無線タグを利用するのが好ましい。たとえば、 無線タグを持って ヽる歩行者を車載の無線タグ受信器で受信して衝突を検知しょうと した場合、接触していない状態であっても、接触している場合であっても通信してしま うため、衝突した力どうかを検知する事は不能であり、また、無線タグを持っている歩 行者などが複数居た場合、衝突相手を特定する事もできないが、接触通信装置と無 線タグと併用する事で、無線タグからの情報に基いて、衝突相手を予測して歩行者 用エアバッグ等を準備し、接触通信装置によって衝突を検知すると、すぐに歩行者
用エアバッグ等させると 、つた事に利用できる。
ところで、無線タグの他、非接触で検知する技術として、レーダーで距離を検知して 車の衝突を予測する技術があるが、これだけでも、正確に接触を検知する事ができ ない。なぜなら、レーダーでは、接触したかどうかという微妙な距離を検知する事がで きない事や、車の表面からの距離ではなぐレーダーアンテナからの距離しか検知で きない事による。それに対して、接触通信は、接触通信装置からの距離ではなぐ正 確に車表面力もの距離が検知でき、し力も、接触経路さえ設けておけば、接触通信 装置が 1つで可能となる。
[0213] 図 59は、そうした衝突を検知する接触タグをバンパーに備えた車 800を表したもの である。バンパーは、絶縁材でできており、上部表面と前表面には、導電材が塗布さ れているが、バンパー中央部の表面 850だけは、絶縁材が塗布されている。これによ つて、バンパーの左部と右部は、絶縁されている。さらに、バンパーと車体も絶縁され ている。バンパー左部 810と車体の接続部は、接触タグ 811が設けられ、その一方の 電極が車体側に、他方が、バンパー左部表面 (導電部)に接続されている。こうして、 例えば、人間の足 900がバンパー左部 810に触れると、
人間の足 900→バンパー左部 810→接触タグ 811→車体→タイヤ→地面→人間 の足の靴の接触タグ 911→人間の足 900 という接触経路を形成する。こうして、衝 突した人を検知する事ができる。
[0214] また、衝突した時、バンパーが車体と接触して接触経路を形成して、衝突を検知す るようにしても良い。
たとえば、バンパー左部に突部 812を設けておく。すると、衝突時には、バンパーが 押されて、バンパー左部突部 812が車体に接触する。こうして、バンパー左部突部 8 12→車体→接触タグ 811→バンパー左部突部 812 t 、う接触経路し、衝突を検知 する事もできる。この場合、接触タグ 811は、送信と受信を同時に行っており、自己の 接触タグが送信した信号を受信する事で、バンパー左部突部 812で接触が起きたこ とを検知する。もし、 1つの接触タグで同時に送信と受信が困難であれば、送信専用 の接触タグと受信専用の接触タグの 2つの接触タグで接触タグ 811を構成してもよ ヽ
[0215] 図 60は、この接触通信を利用した衝突検知の構成図である。車の ECU890からは 、速度など車の状態量と、無線タグ受信機 880からは、近くに居る人などが持ってい る無線タグ(図示せず)との通信情報と、時計 870からは時刻と、各種センサー 862か らは、衝突 Gデータや衝突音などの音声と、接触タグからは、前述の接触タグ 811な どを含む車の各所での接触を検知する複数の接触タグタグからの接触通信データが 、歩行者用エアバッグ CPU861や記憶装置に送られる。こうした情報を基に歩行者 用エアバッグ(図示せず)の作動が判断される。
[0216] また、図 61には、こうした衝突事故を記憶する場合のアルゴリズムを例示した。
図 60の記憶装置 840のメモリは、たとえば、 2時間のエンドレステープのように、常 に 2時間前の記憶データの上に、最新の情報を上書きして記憶し続ける 2時間のェ ンドレスメモリ領域を複数持っている。そして、事故などが疑われる時毎に、その前後 の計 2時間を記憶するように構成されている。
[0217] 図 61 (A) (B)は、その記憶が行なわれる場合のアルゴリズムを示したもので、図 60 の記憶装置 840で行なわれ、車が生産された以後、常時、並行して作動している。 例えば、図 61 (A)では、図 59のように、人間の足 900が車に接触した事を S81で 検知した時、さらに、 S82で車の ECU890の速度データから走行中と判断されると、 S83でタイマーを始動させる。図 61 (B)では、記憶装置 840のメモリの 1つのエンドレ スメモリ領域には、常に、記憶装置 840の CPUに入力されてくるデータの内、最新の 2時間が記憶されている力 タイマーは、 1時間タイマーだとすると、図 61 (B)では、 図 61 (A)の S83で始動したタイマーについて、 S86で 1時間タイマーが満了と判断さ れると、 S87で作動中のエンドレスメモリ領域の記憶を中止し、別のエンドレスメモリ領 域への記憶を開始させる。このようにして、事故など等の重要時の前後 2時間のデー タを記憶する事ができる。また、 S82を無くせば、停止中でもエンドレスメモリ領域の 記憶を残す事ができ、車上荒しなどが発生した時の前後 2時間のデータが保存でき る。
[0218] 次に、ガソリンスタンドへの適用例を図 62で説明する。
ガソリンスタンドの給油機 1100の前には、給油口に最も近いタイヤだけが入るよう な導電域 1202が設けてある。そして、給油機 1100には、接触タグ 1102が設けられ
ており、その下部の電極は、給油機 1100とは絶縁された状態で、導電域 1200と導 電接続し、上部の電極は、給油機 1100と導電接続するようになっている。これは、た とえば、図 46 (A)の接触タグ luと同様にしてできる。
[0219] 車 1000の給油口 1010には、接触タグ 1014が設けられている。給油の為に、給油 ガン 1101を給油口 1010に挿入すると、給油ガン 1101の先端が給油口 1010の上 部導電部 1011と接触する。こうして、
給油機 1100の接触タグ 1102→給油機 1100→給油ガン 1101→給油口の上部導 電部 1011→給油口の接触タグ 1014→給油口の下部導電部 1013→車体→タイヤ →導電域 1200→給油機 1100の接触タグ 1102
まで、接触経路が形成される。この接触経路によって、給油機 1100の接触タグ 11 02と給油口の接触タグ 1014が通信し、給油判断され給油が開始する事ができる。
[0220] 仮に、車に給油口付近に無線タグを設けて、その無線タグと給油機の間で通信し て、給油判断しょうとした場合、無線タグでは、アンテナの向きが合わないと通信でき なかったり、電波が反射して、思わぬところで通信できてしまうなどの問題が発生する 。そこで、通信不能を減らそうとして、電波を強くしたり、また、電波が広範囲に届くよ うな周波数を選択したり、アンテナを大きくするなどして、通信できる範囲を広くしょう とすると、情報の盗難が生じ易くなるというトレードオフの関係がある。また、どんな車 でも通信不良を起こさないように、アンテナの設置位置や方向などを精密に設置し、 また、それをすベて車で統一して設置する必要がある。このように、無線タグのアンテ ナを精密に設置されるようにしたり、規格を揃える事で通信不能を減らす事はできる 力 通信不能を減らそうとすれば、電波漏れは増え、電波漏れを減らそうとすれば、 通信不能が増えるといったトレードオフの関係にあって、通信良好性と電波漏れ無し を両立するのは困難であり、どうしても、通信漏れが発生してしまう。
[0221] これに対して、接触通信を用いると、仮に、車体に触れても接触経路が形成されな いので、情報が漏れない。また、仮に車体に広がった接触通信電流を取ろうとしても 、もともと 500 A以下の微少電流が車体全体に分散してしまっている為、検出でき ない。また、この例では、接触経路となる導電域 1202が、給油機 1100の近くで、タイ ャ 1本だけが入るような狭い領域で設定してあるため、接触経路が給油者の近くにだ
けしか存在せず、この接触経路力 情報を盗難する事が防止し易くなつている。 このように、通信不能をおこさず、し力も、第 3者への情報漏れを起さないという、通 信の確実性と安全性を両立した通信が可能となる。
[実施例の追加]
ところで、本発明は、上記以外にも種々の用途が考えられる。すなわち、本発明は上 記各実施の形態に何ら限定されるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しない範囲で 種々の形態で実施することができる。また、本発明でいう接触経路とは、必ずしも定 常的に電流が流れる経路に限定されず、例えば、床や地面を共通のアース電極とし た静電結合的な経路であってもよ 、。
また、本発明における導電材とは、接触通信が可能な材質を言い、絶縁とは、接触 通信を遮断する事を言うものであり、一般に言う絶縁や導電とは、少し異なるものであ る。
また、接触通信は、基本的には、接触した時に通信する技術である力 厳密には、 接触する直前の微小距離の離れた状態でも、静電結合によって通信可能であり、こ れは、接触通信の印加電圧等を調整して、非接触における通信距離を調節する事 ができる。よって、本発明での接触検知とは、接触した時を検知するだけでなぐ接触 の直前や直後の検知も含める事ができる。
また、接触通信を行う接触経路は、実施例の閉回路に限らず、例えば、いわゆる導 波管型の人体通信などを応用してもよい。導波管型と呼ばれる接触通信では、閉回 路を形成しなくても導電材で二つの接触タグが結ばれれば通信でき、たとえば、バレ 一ボールの選手への接触に利用できる。この場合、選手は、導波管型の接触タグを 装着し、ボールも導電材で作成した上に導波管型の接触タグを内蔵させる。選手の 靴、または、コートの床を絶縁材で作成しておけば、ボールが選手に接触した時、選 手の接触タグとボールの接触タグ力 接触通信する為、ボールが選手に接触したか を検知できる。
また、本実施例のおける時計とは、全て電波時計を意味し、時刻とは、全て電波時 計が発する時刻としている。ただし、接触の前後関係が判るようなものであれば、電 波時計に限らなくても良い。たとえば、電波時計でなくても LAN等を介して、 1つの時
計の時刻を基準時刻として、その基準時刻による時刻を記録するようにしてもよい。ま た、時計でなくても、前後関係が判るような 1つのカウンタのようなものを用いて、その カウンタのカウンタ数を用いて、接触通信した前後の関係を捉えるようにする事もでき る。
[0223] また、接触通信を利用すると、薬ビンの開封検知のように、種々のものの開封検知 ができ、例えば、ソフトウェア CDの開封検知をしてもよい。そして、ソフトウェア CDの 開封検知した場合は、ノ ソコンとの通信などの何らかの通信手段でソフトメーカーに 連絡が行くようにするのである。
[0224] また、上記各実施の形態の処理における SI, Sl l, S31, S41, S42, S65, S66 , S71の処理が検知手段に、 S7が第 1警告手段に、 S17が第 2警告手段に、それぞ れ相当する。また、無線局 61が位置検出手段に相当する。
[0225] また、接触通信を行う接触経路は、上記のような閉回路に限らず、例えば、いわゆ る導波管型の人体通信などを応用してもよい。導波管型と呼ばれる接触通信では、 閉回路を形成しなくても導電材で二つの接触タグが結ばれれば通信できるため、た とえば、バレーボールの選手への接触に利用できる。この場合、選手は、導波管型の 接触タグを装着し、ボールも導電材で作成した上に導波管型の接触タグを内臓させ る。選手の靴、または、コートの床を絶縁材で作成しておけば、ボールが選手に接触 した時、選手の接触タグとボールの接触タグ力 接触通信する為、ボールが選手に 接触したかを検知できる。
[0226] 最後に、本発明の効果について記載する。
接触通信は、接触通信している間だけ、し力も、近くにあっても、接触しない限り通 信しないという特殊な通信である。そこで、接触通信による通信記録を取る事によつ て、この接触通信の通信記録からは、接触した対象だけを特定できる。さら〖こは、接 触した瞬間をも精密に捉える事ができる。これによつて、何力も順番に接触した力 そ の接触した物の順番まで捉える事ができる。
[0227] また、接触した瞬間をも精密に捉える事ができる力もこそ、電波時計からの正確な 時刻とあわせる事で、紛れもなく実際に行った際のデータ (以後、リアルデータと記載 )が捉えられる。
[0228] たとえば、人間が、時刻を見ながらある作業を行!、、作業した時刻を完全に記憶す る事が、仮に可能であり、その作業やその時刻を作業の後、コンピュータなどで入力 するとした場合であっても、人間には、作業をしながらその作業の瞬間の時刻を見る 事自体、不可能である為、実際に作業を行った瞬間瞬間のデータを捉える事は不可 能である。もちろん、そうした実際に作業した時の作業内容やその時刻のデータを漏 れなく入力する事は、手間がかかる為、不可能でもある。また、そのデータを細かく取 ろうとすれば、作業を行った時と同じだけの時間が入力にも必要になり、これも不可 能である。このように、接触通信以外では、リアルデータを取得する事はできない。
[0229] また、無線タグを用いた場合で考えてみる事とする。
無線というものは、本質的な性質として、通信できる範囲が明確にできるものではな ぐ時と場合によって通信範囲も変わってしまうものである。こうした事から、通信でき るエリアを厳密に特定できるものではない。たとえば、ナース室全体を通信エリアとす る無線タグ受信機と、これと通信できる無線タグを付けた看護師が、ナース室にいる 場合、無線通信によっては、厳密にナース室の何処にいるの力判らない。無線エリア 力 時と状況によって変わる為、本当は、ナース室の近くの廊下に居ても検知してし まったり、逆に、ナース室に居ても電波障害物などの為に、看護師 Bを検知できたり できな力つたりするなど、検知エリアが不安定である。また、さらには、看護師が、ある 重要な薬ビンに触れたか触れな力つたまでは、当然、検知する事はできない。たとえ ば、ある重要な薬ビンと全看護師には、それぞれ無線通信できる無線タグを取り付け た場合、その重要な薬ビンの無線タグは、近くに居る看護師を検知する事はできるが 、近くに複数の看護師が居れば複数の看護師を検知してしまい、触れた看護師を特 定して検知する事はできない。このように、無線タグによっては、厳密に位置を特定し て検知する事もできないし、位置が厳密に特定できないから、その場所に居る時刻が いっからいつまでなのか、たとえ電波時計を持ってしても、時刻を特定する事はでき ない。
[0230] それに対して、接触通信を利用する事で、位置が厳密に特定できるだけではなぐ 看護師が薬ビンに触れたどうかという動作までも捉える事ができる。そして、電波時計 の時刻を利用する事で、それらの事 (位置や動作)の実際のデータを捉える事が可
能になる。こうしたリアルデータが取得できるからこそ、おこなった作業の順序や場所 が厳密に特定でき、ミスの判定が可能となり、さらに、リアルデータだ力もこそ、ミスを 起こす前にミスを防止する事ができる。このように、いつ、どこで、誰力 何を、どうした 力が、精密に、し力も、リアルデータで捉える事ができ、その接触したタイミングなどか ら、何をどのように組合せて使っている力 また、誰が何をどうしょうとしている力、その 状態や動作までも捉える事ができる。また、リアルデータが取得できるからこそ、こうし た各種の判定ができるようになる。
[0231] 病院の実施例では、他の人の今やっている作業の最新状況まで確認できるため、 現在の状況 (緊急手術があるなど)に応じた指示も可能となる。
作業した時刻などについて、手入力などが必要だと面倒で時間ロスになり、急がれ る医療処置ができない。さらに、手入力データとリアルデータとのアンマッチや未入力 などが発生し、信頼したデータでないために、これに基づいたミスチェックができない
[0232] これに対して、接触通信であれば、各医療処置の瞬間瞬間がその前後関係も含め て精密に捉えられるので、単に入力が不要となるだけではなぐ実際に行われた医療 処置の順序 (手順)まで精密に捉える事ができる。そして、看護師が、医療としての正 しい手順さえを守っていれば、コンピュータへの手入力無しに、自然に実際の行動経 過が精密に入力され、また、それは同時に、医療としての正しい手順であるかどうか のチェックまでなされる。
[0233] さらに、車の衝突検知の例のように、どこに接触した力、その部位も正確に検知する 事もできる。病院での例をあげれば、細かく接触タグを設置すると、細かな作業手順 まで捉える事ができる。たとえば、真空ビンを利用した採血法では、注射器が腕に刺 さっている間、ゴムバンドの外すタイミングが悪いと真空ビンの中の血が逆流して、真 空ビンの細菌が体内に入ってしまうなどの問題がある力 接触タグを注射器やゴムバ ンド等に取りつける事で、そうした手順までが記録でき、チェックする事ができる。
[0234] さらに、接触した時の人体等のインピーダンスを検出記録しておくと、過去の手順 ( 接触のし方、部位)などが推定でき、医療ミスが起きた時、検証に利用できる。また、 院内感染が発生した場合、接触通信装置によって記憶された人や物の接触の記録
から、原因調査もできる。
工場での生産例に関しては、ベルトコンベアによる生産だけではなぐ屋台式 (セル )生産にも利用できる。特に、工場ラインや薬局のように狭い所で、部品の取り出しな どを検知しょうとして無線タグを設置すると、近くの無線タグが誤検知して取り出した 部品を正確に検知する事ができない。他の手段で部品などの取り出しを検知しょうと すると、そうした検知装置を 1つ 1つの棚の区画に設置するのは、スペース的にも困 難であるし、これも、隣の部品などを取り出す時、誤作動を起こし易くなつてしまう。
[0235] それに対して、接触通信であれば、接触経路さえ形成すれば!/、 、ので、部品の所 に部品を検知するセンサーを設置する必要がない。つまり、接触タグ自体は、接触経 路の途中の何処に置いても構わないので、部品棚の各区画には、接触経路を形成 するように導電材だけを配すれば良い。よって、どんな狭い所でも設置でき、しかも、 近くで作業しても、その部品に接触しなければ作動しない為、極めて誤作動のない 正確な検知が可能とできる。
また、普通のボタンなどのスィッチや取出し部品検知センサーは、限られた個所でし か検知できないが、接触通信ならば、接触経路上のどこでも検知でき、工場などのよ うに限られたスペースでの自由度が上げられる。
[0236] また、ラインのどこの作業が遅れているの力、律速管理できたり、生産手順の教育が 不要となり、また、多種多様仕様の冷蔵庫がラインに流れて来ても、指示コンピュータ の指示によって、間違なく部品を取り付けられるし、冷蔵庫の生産を臨機応変に変更 しても、指示コンピュータがその生産変更に基づいて指示する為、作業者が間違い なく作業できる。
さらには、リアルタイムで作業手順を検知記録できる事を利用して、熟練者や初心者 の作業タイミングを記録して比較し、作業習熟に利用する事もできる。
[0237] また、薬局の例では、接触通信を用いると、薬剤師の状況や薬の状況などを、リア ルタイムで検知できるため、計量器が自動的に現在の状況に合わせてくれるため、 普通の計量器のように、スィッチを入れたり設定する必要もない。また、だからこそ、 そうした入力時に起き易いヒューマンエラーを防止する事ができる。
また、図 36からの薬局での処方の例や図 46での工場での生産方法の例は、お店
でも応用できる。たとえば、今のコンビ-エンスストアは、複雑で多様な業務を行われ ているが、未習熟なアルバイト店員で運営されている。その為、よく判らない事も多い 。そこで、例えば、客がレジカウンタに来て、「葉書をください」と言うと、レジカウンタに 設置されたマイクで葉書という言葉を検知して、レジカウンタ内の葉書棚のランプを点 灯させる。それを見た店員が、葉書の収納棚に触れると、その棚と店員がそれぞれ備 える接触通信装置が接触通信して、店員が葉書棚に触れた事を検知して、葉書棚の ランプを消灯するように制御して、店員をナビゲートするようにもできる。
また、現在の立小便器の自動水洗では、人が便器の前に居るかどうかしか検知で きない為、過剰な水で洗い流したり、逆に、効果的に尿臭を抑えられな力つたりする。 そこで、人体側と小便器にそれぞれ接触通信装置を設けておいて、オシッコをしてい る間に尿を介して、接触通信する時間を計測して水洗を制御すれば、最適な水洗が 可能となる。さらに、現在の自動水洗では、立小便器の前に人が立っているだけで水 洗してしまうが、こうした無駄な水洗も防止できる。
その他、トレーニングジムにあるトレーニング機器とその使用者のそれぞれに、接触 通信装置を備えておけば、使用者がトレーニング機器を使用する為に接触すれば、 使用者毎にトレーニング機器が自動設定する事もできる。その際、無線通信のように 、近くの他のトレーニング機器や他の人との混信も無くす事もできる。
また、手荷物と所有者のそれぞれに、接触通信装置を備えておけば、手荷物を離 した時に検知して、忘れ物防止ができる。
また、廊下の床や手すりと老人のそれぞれに、接触通信装置を備えておけば、老 人徘徊検知もできる。