空気入りラジアルタイヤ
技術分野
[0001] 本発明は空気入りラジアルタイヤに係り、特に、航空機に適し、優れた耐摩耗性を 有することで経済性を有し、同時に軽量化も達成することのできる空気入りラジアルタ ィャに関する。 背景技術
[0002] 従来のラジアルタイヤ、特に航空機用空気入りタイヤにおいては、高い使用内圧、 高速回転中の遠心力の作用によってトレッド面の径方向の迫り出しが大きぐ使用時 にトレッドが周に大きく弓 Iき伸ばされた状態となる。
[0003] このような状態下では、タイヤが異物を踏みつけた場合のトレッドゴムの抵抗力が弱 ぐ異物がトレッドゴム内に進入し易いという問題があった。
[0004] 従来の航空機用ラジアルタイヤの構造は、ベルト構造体にナイロン等の比較的低 弾性率の有機繊維を使用しており、かつベルト層を構成する各々のベルト幅がトレツ ド幅と略同等であるため、タイヤの径成長に対して支配的なクラウンセンター部のベ ルト強度力 あまり支配的でな 、クラウンショルダー部のベルト強度に対して相対的 に小さいため、タイヤの径成長抑制には効果が少な力つた。
[0005] 上記従来タイヤに対して、特許文献 1にお ヽて提案されて ヽるラジアルタイヤは、ト レッドゴムの周方向伸び、言い換えれば内圧充填時タイヤの直径方向への成長を抑 制するために、ベルトセンター部にショルダー部対比より多くのベルト層を配置するこ とで、異物の進入に対し飛躍的な性能向上が可能となっている。
特許文献 l :WO 03/061991
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、従来構造のベルトがタイヤクラウン領域の全域に渡ってほぼ均一な 周方向剛性を有して 、るのに対し、特許文献 1にお 、て提案されて 、るラジアルタイ ャは、トレッド幅方向に対して異なるベルトの周方向剛性分布を有しているため、従
来構造品と類似形状のタイヤモールドにて製造した場合、タイヤに内圧充填後、路 面に対して垂直に荷重を負荷した場合のタイヤ接地形状が従来構造のタイヤと異な ることが分かった。
[0007] 具体的には、クラウンセンター部における接地長に対し、ショルダー位置での接地 長の大きな形状が得られた (図 8参照。)が、このような場合、タイヤと路面の間の接触 圧力が、クラウンセンター部に比してクラウンショルダー部にて非常に大きくなり、この ことが即ち、荷重下におけると歪みの増大に直結する結果となった。
[0008] 実際にこのようなタイヤにて官庁の定める離陸試験 (FAA TSO— C62d試験)を 実施し、高速走行時の耐久評価を行なった場合、従来構造のタイヤは 50サイクルを 問題なく完走するのに対し、同様のタイヤをモールドにて製造した特許文献 1のタイ ャ試作品は、 32サイクル目においてトレッドゴム発熱大のため、故障に至っている。
[0009] 一般に、従来のラジアルタイヤの開発より得られている知見として、タイヤの荷重時 の接地形状は、高速耐久性、及び摩耗特性と密接な関係があることが知られている。
[0010] はじめに、高速耐久性に関しては、接地面の中で局所的に路面との接地圧が高い 部分があると、その部分のトレッドゴムの荷重時の歪み量が増し、繰り返し回転時のゴ ムの発熱量が大きくなる。
[0011] 特に、航空機用空気入りタイヤにおいては、高内圧、高荷重の条件下で使用される ため、接地面内でこのような高接触圧の領域が存在すると、トレッドゴムの発熱大の 領域がクラウン幅方向に偏在する原因となり、タイヤの高速耐久性を著しく損なうこと が分かっている。
[0012] 以上のような理由により、高速耐久性を考慮すると、接地形状はクラウンセンター部 力 ショルダー部にかけて周方向接地長さが同等、あるいはショルダー部にかけて緩 やかに減少する形状が望ま 、ことが分かる。
[0013] 一方、摩耗特性に関しては、タイヤ転動時に接地面内にてタイヤ表面との路面との 間に生じる相対的な滑りの有無がタイヤ摩耗率を左右する。
[0014] 即ち、タイヤと路面とが接触する領域において、タイヤと路面とが終始相対的な滑り を起こさない場合には、トレッドゴムの摩耗率は無視し得る範囲であるのに対し、両者 の間に相対的な滑りがある場合は、その箇所の接触圧に応じてゴムの摩耗が進む。
[0015] 接地形状との関係としては、クラウンセンター部とショルダー部の接地長が同等であ る場合には、転動中のタイヤの特に蹴り出し部分において、ゴムの摩耗が促進される という結果が得られている。
[0016] 特に、航空機用ラジアルタイヤのように、高内圧、高荷重下の条件下では、タイヤと 路面の接触圧が非常に高くなるため、両者の間のわず力な相対運動がタイヤの摩耗 を促進し、経済的に大きな影響を与える。
[0017] 以上、高速耐久性と耐摩耗性の 2つの性能と接地形状との関係を考慮した時、理 想的な接地形状とは、クラウンセンター部とショルダー部の周方向長さが同等となるタ ィャにお 、て、前記 2つの性能を両立することが出来ることが分かる。
[0018] 本発明は上記事実を考慮し、異物に対する優れた耐久性を損なわずに、良好な高 速耐久性、及び摩耗特性が得られる航空機用空気入りタイヤを提供することが目的 である。
課題を解決するための手段
[0019] 発明者が、(1)クラウン幅方向のベルト周方向剛性分布(ベルト剛性比 M2ZM0) と、 (2)内圧を充填しない状態でのクラウンセンター部〜ショルダー間の径減少率 (径 落ち高比 2dZD0)、及び(3)接地プリント上における接地長さ比 (A=L2ZL0、以 後「矩形率」と表現)、の間の関係を詳細に検討した結果、 3者の間に密接な相関関 係が存在することを見出した。
MO:主ベルト層のクラウンセンター部 POにおける周方向剛性を MO。
M2:主ベルト層の幅の 2Z3位置 P2における周方向剛性。
DO:規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上規定内圧の 5%以下の範囲内に低下さ せたときのタイヤ赤道面でのタイヤ径。
d:タイヤ赤道面における踏面から 84%TW (TRAに定める規定内圧を充填した後に 規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅 TWの 84%に相当する位置。)における踏 面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高。
[0020] 即ち、従来の空気入りラジアルタイヤに見られるように、ベルトの周方向剛性の分布 がタイヤクラウンの軸方向センター部からショノレダ一部に至るまで略同等である(M2 ZMOが 1に近い。)タイヤについては、タイヤクラウンの形状が平滑 (直線)に近い(2
dZDOが 0に近い。)ほど、接地形状矩形率 (L2ZL0)が 1に近づくため、良好なタイ ャ性能が得られる。
[0021] 一方、特許文献 1にて提案されている、異物の進入に対する耐久性に優れたタイヤ 構造については、前記関係が成り立たな力つた。このため、発明者が前記(1)〜(3) の各要素の関係を、タイヤ試作により数多くのケースについて検討した結果、ベルト 剛性比が様々に変化した場合にも、タイヤ矩形率に関して下記の近似式が成立する ことが分力つた。
[0022] A= l. 3- 5. 0 X 2d/D0-0. 33 X M2/MO
ここで、
A:接地形状矩形率 (L2ZL0)
2dZD0 :タイヤ径落ち高比
M2ZM0 :ベルト剛性比
(ベルト周方向剛性の定義)
ここでいうベルト周方向剛性とは、ベルト層の周方向の弾性率を指しており、タイヤ をリムに組まない状態でのセンタ一径から、リム組みして規定内圧を充填した際のセ ンタ一径の成長率を R(%)とした時に、伸び率 0〜R (%)にて定められるコードの弹 性率(図 12参照。)に単位幅 (ここでは 10mm)当たりのコード本数 (コード打ち込み) を掛けて算出したものである。
[0023] なお、コードが周方向に対して角度 Θで傾斜している場合のベルト周方向剛性は、 上記単位当たりの剛性に cos Θを掛けて算出するものとする。
[0024] また、タイヤ内のコードがタイヤ周方向に波状 (ジグザグ状)に延びている場合は、 真っ直ぐに伸ばして剛性を計算するのではなぐタイヤに埋設されている状態、即ち
、波状に型付けされたものを周方向に伸ばした時の弾性率を算出する。
[0025] 図 10は、試作タイヤの実際の接地形状矩形率 (シンボル菱形)と、ベルト剛性比 Z タイヤ落ち高から上式によって導出した矩形率の予想ライン (M2ZM0 = 0. 28、 0.
52、 0. 88の 3水準)とをプロットしたものである。
[0026] 両者は良く符合しており、設計要因であるベルト剛性比 Zタイヤ落ち高からタイヤ における矩形率を精度良く予測することが可能であることが分かる。
[0027] ここで、新たに、接地制御指数を F= 5. 0 X 2d/D0 + 0. 33 X M2ZM0と定めた 場合、 0. 2< F< 0. 45と設定することにより、予想される矩形率が 0. 85<A ( = 1. 3 -F) < l . 1となる、高速耐久性、耐摩耗性に優れたタイヤを得ることが可能となる。
[0028] 請求項 1に記載の発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、一対のビードコ ァと、一方のビードコア力 他方のビードコアに向けてトロイド状に延びる少なくとも 1 枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ半径方向外 側に配置されタイヤ周方向に延びる複数本の有機繊維コードを含む主ベルト層と、 を備えた空気入りラジアルタイヤであって、タイヤをリム糸且みし、 TRAに定める規定内 圧を充填した後に規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅を TW、前記主ベルト層 の幅を BWとしたときに、 0. 8TW< BW< 1. 2TWを満足し、前記主ベルト層の枚数 力 Sクラウンセンター部 POからショルダー部にかけて漸減し、かつ前記主ベルト層のク ラウンセンター部 POにおける周方向剛性を MO、前記主ベルト層の幅の 2Z3位置 P 2における周方向剛性を M2、ベルト剛性比を M2ZM0としたときに、 0. 2< M2/ MO< 0. 8を満足し、前記規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上前記規定内圧の 5%以下の範囲内に低下させたときのタイヤ赤道面でのタイヤ径を DO、踏面におけ る前記接地プリントの幅 TWの 84%に相当する位置を 84%TW、タイヤ赤道面にお ける踏面力 前記位置 84%TWにおける踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ 径落ち高を d、 5. 0 X 2d/D0 + 0. 33 X M2ZMOを接地制御指数 Fとしたときに、 0 . 2< F< 0. 45を満足する、ことを特徴としている。
[0029] 次に、請求項 1に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0030] 請求項 1に記載の空気入りラジアルタイヤでは、接地プリントの幅 TWと主ベルト層 の幅 BWとが 0. 8TW< BW< 1. 2TWを満足しているので、高速耐久性を確保しつ つ必要な部材を低減することが可能である。
[0031] なお、 0. 8TW≥BWになると、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易く なるため、タイヤの耐久性を著しく損ねる。
[0032] 一方、 BW≥1. 2TWになると、必要以上の部材を配置することにより、重量増が避 けられない。
[0033] また、主要強度メンバーである主ベルト層の枚数力 クラウンセンター部 POからショ
ルダ一部にかけて実質的に連続的に減少し、かつ前記主ベルト層のクラウンセンタ 一部 P0、及び前記主ベルト層の幅の 2Z3位置 P2での主ベルト層の周方向剛性を それぞれ M0、 M2としたときに、両者の比 M2ZM0が 0. 2より大、かつ 0. 8より小と したので、結果として、主ベルト層の材料使用量を最小限に抑えつつ、規定内圧充 填時、及び高速回転時にトレッド中央域でのトレッドゴム周方向伸張量を効率的に抑 制し、タイヤの径成長を抑制することができる。
[0034] トレッドゴムの周方向伸張量が抑制されることでトレッドゴムの緊張度合いが低下す るので、異物の進入に対する抵抗力が増大し、また、万一異物が刺さりこんだ場合で あっても亀裂の成長を抑えることができる。
[0035] ここで、 M2ZM0が 0. 8より大きい場合には、タイヤ径成長抑制にそれほど支配的 でないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることにより、タイヤの軽量化に 効果が薄い。
[0036] 一方、 M2ZM0が 0. 2より小さい場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確 保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため好ま しくない。
[0037] また、タイヤベルト剛性比、タイヤクラウン形状、接地形状との相関関係の詳細な検 討により、タイヤ接地形状を代表する、接地制御指数を F = 5. 0 X 2d/D0 + 0. 33 X M2ZM0と定め、 0. 2<F< 0. 45となるように設定することで、高速耐久性、耐摩 耗性に優れたタイヤを容易に設計することができるようになった。
[0038] ここで、 Fが 0. 2以下の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなる ため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
[0039] 一方、 Fが 0. 45以上の場合には、ショルダー部において、回転時に路面との引き ずり摩耗が発生するため、経済性に劣る。
[0040] 請求項 2に記載の発明は、請求項 1に記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、リム に組付け、 TRAに定める規定内圧を充填後、 TRAに定める規定荷重を負荷した際 のタイヤ接地プリントにおいて、クラウンセンター部 POに対応する部分の接地長さを L 0、接地幅の 84%位置に対応する部分の接地長さを L2としたときに、 0. 85<L2/ L0< 1. 1を満足する、ことを特徴としている。
[0041] 次に、請求項 2に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0042] L2ZL0が 1. 1以上の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなるた め、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
[0043] 一方、 L2ZL0が 0. 85以下の場合は、ショルダー部において回転時と路面との間 で引きずり摩耗が発生するため経済性に劣る。
[0044] したがって、 0. 85<L2/L0< 1. 1を満足することが好ましい。
[0045] 請求項 3に記載の発明は、請求項 1または請求項 2に記載の空気入りラジアルタイ ャにおいて、前記主ベルト層は、タイヤ赤道面に対して略 0° の角度で螺旋状に卷 回した有機繊維コードを含むベルトプライを 2枚以上含む、ことを特徴として 、る。
[0046] 次に、請求項 3に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0047] 螺旋状に有機繊維コードを卷回することで、コード方向を周方向に対して 0° に近 づけ、ラジアルタイヤのタガ効果を最大限に発揮することが可能となり、少ない部材 の量にて目標の安全率を達成することが可能となる。
[0048] なお、ここでいう略 0° とは、 2. 0° 以下を含むものとする。
[0049] 請求項 4に記載の発明は、請求項 1または請求項 2に記載の空気入りラジアルタイ ャにおいて、前記主ベルト層は、タイヤ赤道面に対して 2〜25° の角度で傾斜し、そ れぞれのプライ端で反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲されてタイヤ周方向 にジグザグ状に延びる有機繊維コードを含むベルトプライを 2枚以上含む、ことを特 徴としている。
[0050] 次に、請求項 4に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0051] タイヤ赤道面に対して 2〜25° の角度を付与することにより、ベルトのタガ効果を大 きく損なうことなぐタイヤ幅方向にも剛性を得ることが可能となり、転動時のショルダ 一部の引きずり摩耗の低減に効果がある。
[0052] 請求項 5に記載の発明は、請求項 1乃至請求項 4の何れか 1項に記載の空気入りラ ジアルタイヤにおいて、前記主ベルト層において、前記有機繊維コードの積層厚み を前記クラウンセンター部 POで最も厚くし、前記クラウンセンター部 POでの前記有機 繊維コードの積層厚みを GO、前記主ベルト層の最大幅の 2Z3の幅位置 P2におけ る前記有機繊維コードの積層厚みを G2としたときに、 0. 35≤G2/GO≤0. 85を満
足する、ことを特徴としている。
[0053] 次に、請求項 5に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0054] ベルト積層厚みを上記の範囲に設定することで、タイヤ径成長抑制に最も効果の 大き 、タイヤセンター部に高 、ベルト剛性を確保することが出来、耐 FOD (異物損傷
)性向上が得られる。
[0055] ここで、 G2ZG0が 0. 85を越える場合には、タイヤ径成長にそれほど支配的では ないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることになり、タイヤ軽量ィ匕に効果 が薄い。
[0056] 一方、 G2ZG0が 0. 35を下回る場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確 保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなり、耐久上 好ましくない。
[0057] 請求項 6に記載の発明は、請求項 1乃至請求項 5の何れか 1項に記載の空気入りラ ジアルタイヤにおいて、前記主ベルト層は、引張破断強度が 6. 3cNZdtex以上、伸 張方向に 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率が 0. 2〜2. 0%、伸張方向に 2. lcN/dt ex荷重時の伸び率が 1. 5〜7. 0%、伸張方向に 3. 2cNZdtex荷重時の伸び率が 2. 2〜9. 3%とされた有機繊維コードを含むベルトプライの少なくとも 2枚以上で構 成されている、ことを特徴としている。
[0058] 次に、請求項 6に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0059] 本発明の空気入りラジアルタイヤは、ベルトの枚数をクラウンセンター部 POからショ ルダ一部にかけて実質的に減少するように設定して 、るので、クラウンセンター部 PO でのタイヤ径成長を抑制することが可能となった力 請求項 6では、ベルトに、より高 弾性の有機繊維コードを使用することによって、タイヤ径成長をより効果的に抑制す ることが出来る。
[0060] これにより、タイヤ内圧充填時のトレッドゴムの周方向伸びがより小さくなるため、異 物に対して非常に良好な耐久性が得られる。
[0061] 本発明のように、ベルト層の強度分布を規定することで、径成長抑制と重量減の両 立を達成できる。なお、ナイロンのような低弾性の有機繊維コードを用いると、径成長 を抑えるために多層にする必要があり、タイヤの重量増につながる。
[0062] 請求項 6に記載の空気入りラジアルタイヤでは、主ベルト層を、引張破断強度が 6.
3cNZdtex以上とされた高弾性の有機繊維コードを含む少なくとも 2枚以上のベルト プライで構成することにより、必要な耐圧性能を満足することができる。
[0063] ここで、有機繊維コードの伸張方向に 2. lcNZdtex荷重時の伸び率を 1. 5〜7.
0%、伸張方向に 3. 2cNZdtex荷重時の伸び率を 2. 2〜9. 3%とすることにより、 目標の径成長の抑制を容易に達成することができた。
[0064] その理由は、航空機用の空気入りラジアルタイヤでは、標準状態の内圧負荷時に およそ 2. lcNZdtexのコード張力が加わり、高速走行時におよそ 3. 2cNZdtexの コード張力が加わるが、有機繊維コードの伸び率が上記範囲を上回る場合、タイヤ 内圧充填時においてタイヤ径方向の膨出を効果的に抑えられず、異物の刺さり込み に対する性能を期待できなくなる力 である。
[0065] 一方、有機繊維コードの伸び率が上記範囲を下回る場合、ベルトプライのタガ効果 が大き過ぎるため、カーカスプライが必要以上にタイヤ幅方向に膨出する結果となり 好ましくない。
[0066] さらに、有機繊維コードの伸張方向に 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率を 0. 2〜2.
0%とした理由は、以下に述べる通りである。
[0067] 先ず、空気入りラジアルタイヤを加硫するに当り、航空機用空気入りラジアルタイヤ の場合、通常タイヤモールド内にて生タイヤが 0. 2〜2. 0%ほど伸張する様にタイヤ 外径が設定される。
[0068] これは、加硫時に生タイヤ内部より負荷される圧力によってタイヤを均等に伸張せ しめることによって有機繊維コードの方向を揃え、コード打込みのばらつきを是正す るためのものである。
[0069] 然る該工程においては、 0. 3cNZdtex程度の比較的小さい張力が有機繊維コー ドに作用する力 このときの有機繊維コードの伸び率が 2. 0%より大きいと、コード性 状是正の効果が薄ぐまた、伸び率が 0. 2%より小さい場合には、加硫時の膨張時 にコード張力が大となり、有機繊維コードがタイヤ径方向内側のゴムに食い込むなど の不都合が生じるからである。
[0070] (標準状態の内圧負荷時の定義)
なお、ここでの内圧、及び荷重は、 TRA YEAR BOOKの 2004年度版に規定さ れている内圧、及び荷重を採用している。
[0071] 例えば、航空機用ラジアルタイヤ 1270 X 455R22 32PRの場合、規定内圧は 16 20kPa、規定荷重は 24860kgである。
[0072] なお、有機繊維コードは、伸張方向に 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率が 0. 2〜1.
5%、伸張方向に 2. lcNZdtex荷重時の伸び率が 1. 5〜6. 5%、伸張方向に 3. 2 cNZdtex荷重時の伸び率が 2. 2〜8. 3%のものがより好ましい。
[0073] 請求項 7に記載の発明は、請求項 1乃至請求項 6の何れか 1項に記載の空気入りラ ジアルタイヤにおいて、前記主ベルト層は、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリア ミド系の繊維とを含み、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維との重 量比が 100 : 10〜170とされた有機繊維コードを含むベルトプライを有する、ことを特 徴としている。
[0074] 次に、請求項 7に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
[0075] 主ベルト層の有機繊維コードが、高弾性率の芳香族ポリアミド繊維と、大きな破断 時コード伸びを有する脂肪族ポリアミド繊維とを含むことにより、タイヤ径成長抑制と、 大きなコード伸びを生じるタイヤへの異常入力時の安全'性確保との両立を図ることが できる。
[0076] ここで、両者の重量比が 100 : 10を下回ると、脂肪族ポリアミド繊維による破断時コ ード伸び改善の効果が薄くなる。
[0077] 一方、両者の重量比が 100 : 170を越えると、芳香族ポリアミドの高弾性率が発揮さ れな ヽため好ましくな!/ヽ。
[0078] したがって、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維との重量比が 10
0 : 10〜170とすることが好ましい。
[0079] ここで、脂肪族ポリアミド系の繊維とは、例えば、 6—ナイロン、 6, 6—ナイロン、 4, 6
—ナイロン繊維等である。
[0080] ここで、有機繊維コードは、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維と 力も構成されていれば良ぐ芳香族ポリアミド系有機繊維コードと脂肪族ポリアミド系 有機繊維コードとを撚り合わせても良ぐ芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド
系の繊維とを合わせてから撚りをかけても良い。
[0081] また、芳香族ポリアミド系有機繊維コードを A、脂肪族ポリアミド系有機繊維コードを Bとした場合、 Aまたは Bを下撚り (Z撚り)後、引き揃えて、下撚りと逆方向に上撚り(S 撚り)をかけることで主ベルト層を構成する有機繊維コードを得ることができる。
[0082] なお、下撚り時は、 Aまたは Bをそれぞれ単独で撚つても良 ヽし、 Aと Bを併せた後 撚つても良い。
[0083] 下撚りまたは上撚り時の A、 Bまたは AB (合糸)の本数は 1本ずつでも複数本ずつ でも良い。
[0084] Aまたは B原糸の太さは同じでも良!、し異なって!/ヽても良!、。
[0085] 混撚糸の形態は、芯となる糸の回りにループを作ったものなどでも良!、。
発明の効果
[0086] 以上説明したように本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、異物に対する優れ た耐久性を損なわずに、良好な高速耐久性、及び摩耗特性が得られる、という優れ た効果を有する。
図面の簡単な説明
[0087] [図 1]第 1の実施形態に係る空気入りラジアルタイヤの断面図である。
[図 2A]図 1に示す空気入りラジアルタイヤの分解斜視図である。
[図 2B]保護層のコードの平面図である。
[図 3]図 1に示す空気入りラジアルタイヤのトレッドの拡大断面図である。
[図 4]スパイラルベルトの平面図である。
[図 5]無端ジグザグ巻きベルトの平面図である。
[図 6]従来例 1の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
[図 7]比較例 1の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
[図 8]比較例 2の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
[図 9]実施例の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
[図 10]試作タイヤの実際の接地形状矩形率 (シンボル菱形)と、ベルト剛性比 Zタイ ャ落ち高力 導出した矩形率の予想ラインとの比較を示すグラフである。
[図 11 A]従来例 1、及び比較例 1に係る空気入りラジアルタイヤの断面図である。
[図 1 IB]図 11Aに示す空気入りラジアルタイヤの分解斜視図である。
[図 12]弾性率の計算方法を説明するグラフである。
[図 13]実施例 1の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
[図 14]実施例 3の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。
発明を実施するための最良の形態
[0088] [第 1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
[0089] 本発明の空気入りラジアルタイヤの第 1の実施形態を図 1乃至図 5にしたがって説 明する。
[0090] 図 1、及び図 2 (A)に示すように、本実施形態の航空機用の空気入りラジアルタイヤ 10 (タイヤサイズ: 1270 X 455R22 32PR)は、ビード部 12に丸型断面を有するビ ードコア 14備えて ヽて、ゴム被覆された有機繊維コードがラジアル方向に配列された 6枚のカーカスプライ(図示せず)よりなるカーカス層 16がこのビードコア 14に係留さ れている。
[0091] なお、フリッパーやチェ一ファーなどの他の構造部材は従来通りであり、図示を省 略してある。
[0092] カーカス層 16のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周面には、ベルト層 20、ベルト 層 20のタイヤ径方向外側にはトレッド部 23を構成するトレッドゴム層 24が設けられて いる。
[0093] また、カーカス層のタイヤ幅方向外側には、サイドウォール部 25を構成するサイドゴ ム層 27が設けられている。
[0094] なお、本実施形態では、ベルト層 20は、タイヤ径方向内側の主ベルト層 26と、主べ ルト層 26のタイヤ径方向外側に設けられる保護ベルト層 22とから構成されて ヽる。
(カーカス層)
カーカス層 16を構成するカーカスプライに用いる有機繊維コードは、引張破断強 度が 6. 3cNZdtex以上、伸張方向に 0. 2cNZdtex荷重時の伸び率が 0. 2〜1. 8%、伸張方向に 1. 9cNZdtex荷重時の伸び率が 1. 4〜6. 4%、伸張方向に 2. 9 cNZdtex荷重時の伸び率が 2. 1〜8. 6%であることが好ましい(図 14参照)。
[0095] カーカス層 16には、芳香族ポリアミド系の繊維力も構成された有機繊維コードを用 いることがでさる。
[0096] この場合、下撚り係数が 0. 12-0. 85、より好ましくは 0. 17-0. 51、上撚り係数 が 0. 4〜0. 85とされた有機繊維コードが好ましい。
[0097] また、カーカス層 16には、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維と を含む有機繊維コード (所謂ハイブリッドコード)を用いることもできる。
[0098] この場合、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維との重量比が、 10
0: 27〜255とされた有機繊維コードが好ま 、。
[0099] さらに、カーカス層 16には、芳香族ポリアミド系の有機繊維コードと脂肪族ポリアミド 系の有機繊維コードとを撚り合わせ、かつポリアミド系の有機繊維コードの下撚り係 数 N1が 0. 12〜0. 85、より好ましくは 0. 17〜0. 51とされた有機繊維コード(所謂 ハイブリッドコード)を用いることもできる。
[0100] 本実施形態のカーカス層 16には、ナイロンコードが用いられている。
(主ベルト層)
図 3に示すように、主ベルト層 26は、複数枚のベルトプライ、本実施形態では、タイ ャ径方向内側力ゝら第 1ベルトプライ 26A、第 2ベルトプライ 26B、第 3ベルトプライ 26 C、第 4ベルトプライ 26D、第 5ベルトプライ 26E、第 6ベルトプライ 26F、第 7ベルトプ ライ 26G、第 8ベルトプライ 26H、及び第 9ベルトプライ 261の合計 9枚のベルトプライ から構成されている。
[0101] 本実施形態では、第 1ベルトプライ 26Aと第 2ベルトプライ 26Bは同じ幅に設定され 、第 3ベルトプライ 26Cと第 4ベルトプライ 26Dは同じ幅に設定され、第 5ベルトプライ 26Eと第 6ベルトプライ 26Fは同じ幅に設定され、また、第 7ベルトプライ 26Gと第 8ベ ルトプライ 26Hは同じ幅に設定されている。
[0102] さらに、第 1ベルトプライ 26A及び第 2ベルトプライ 26Bよりも第 3ベルトプライ 26C 及び第 4ベルトプライ 26Dのベルト幅が広く、第 3ベルトプライ 26C及び第 4ベルトプ ライ 26Dよりも第 5ベルトプライ 26E及び第 6ベルトプライ 26Fのベルト幅が広ぐ第 5 ベルトプライ 26E及び第 6ベルトプライ 26Fよりも第 7ベルトプライ 26G及び第 8ベルト プライ 26Hのベルト幅が広く設定されて!、る。
[0103] したがって、主ベルト層 26のタイヤ幅方向端部では、第 7ベルトプライ 26Gと第 8ベ ルトプライ 26Hとの 2枚のベルトプライが積層されている。
[0104] 主ベルト層 26を構成するこれら第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hは、複 数本の有機繊維コードをゴム被覆することにより形成されている。
[0105] これら第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hの有機繊維コードは、引張破断 強度を 6. 3cNZdtex以上とすることが好ましぐ伸張方向に 0. 3cNZdtex荷重時 の伸び率が 0. 2〜2. 0%、伸張方向に 2. lcNZdtex荷重時の伸び率が 1. 5〜7.
0%、伸張方向に 3. 2cNZdtex荷重時の伸び率が 2. 2〜9. 3%であることが好まし い。
[0106] 本実施形態の有機繊維コードは、芳香族ポリアミド系の繊維カゝら構成されている。
[0107] 有機繊維コードを芳香族ポリアミド系の繊維力も構成した場合、下撚り係数は 0. 12
〜0. 85、好ましくは 0. 17-0. 51、上撚り係数は 0. 40-0. 80に設定すること力 子 ましい。
[0108] 本実施形態では、第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Gに、芳香族ポリアミ ド系の繊維、具体的にはデュポン社製ポリアミド繊維(商品タイプ名: KEVLAR (R) 2 9、公称繊度 3000デニール。以後、適宜ケプラーと呼ぶ。)からなる有機繊維コード を用いている。
[0109] 芳香族ポリアミド系の有機繊維コードの製造方法を以下に説明する。
[0110] ケブラー(3000デニール = 3340dtex) 3本を、撚り機を用いて、下撚り係数が 0. 3
4になるように下撚り加工を行った。
[0111] その後、下撚り糸 3本を引き揃え、下撚りとは反対方向に上撚り係数が 0. 48になる ように上撚り(S撚り)し、撚りコード加工した。
[0112] 撚りコードを株式会社巿金工業社製コード処理機でディップ処理し製造した。
[0113] 25± 2° Cの室温中、株式会社島津製作所製オートグラフを用いてディップコード の弓 I張破断強度を測定したところ、 14cNZdtexの値を得た。
[0114] この時、ディップコードの引張り方向への応力力 0. 3cNZdtex、 2. lcN/dtex
、及び 3. 2cNZdtexを示した時のディップコードの伸び率を測定したところ、それぞ れ 0. 3%、 2. 2%。、及び 3. 2%の値を得た。
[0115] ちなみに、第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Gに用いた有機繊維コード( ケブラー)の強力は、 1400Nである。
[0116] 主ベルト層 26を構成する第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hは、本実施 形態では、図 4に示すように複数本の有機繊維コードをゴム被覆して構成した帯状の 細長体 32を準備し、この細長体 32を隙間が生じないよう螺旋状に卷回することで形 成した、いわゆるスパイラルベルトである。
[0117] なお、本実施形態では、有機繊維コードの傾斜角度はタイヤ赤道面 CLに対して略
0° である。
[0118] なお、第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hにおいて、有機繊維コードの打 込み数は、 4〜10本 ZlOmmの範囲内が好ましい。
[0119] 本実施形態では、第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hにおいて、有機繊 維コードの打込み数が 6. 3本 ZlOmmである。
[0120] 図 5に示すように、本実施形態の第 9ベルトプライ 261は、 1または複数本の有機繊 維コードをゴム被覆して構成した帯状の細長体 34を準備し、この細長体 34をほぼ 1 周する毎に両プライ端間を 1度だけ往復させながらタイヤ赤道面 CLに対して 2〜25 ° の角度で傾斜させて周方向に巻き付けると共に、このような卷付けを細長体 34間 に隙間が生じないよう周方向にほぼ細長体 34の幅だけずらして多数回卷回すること で形成している(以後、適宜無端ジグザグ巻きベルトと呼ぶ。 ) o
[0121] この結果、第 9ベルトプライ 261内には両プライ端において折り曲げ方向を変えるこ とによりジグザグしながらほぼ周方向に延びる有機繊維コード力 該第 9ベルトプライ 261の全領域においてほぼ均一に埋設されることになる。
[0122] なお、このようにして形成された第 9ベルトプライ 26IAは、断面で見ると、右上がりの 有機繊維コード部分と、左上がりのコード部分とが互いに重なりあった形態となるので 、右上がりのコードのみからなるベルトプライと左上がりのコードのみ力 なるベルトプ ライとを重ねた、いわゆる交差ベルトに相当する構成となり、実際には 1枚のプライで はあるが、本実施形態では、プライ数としては 2枚としてカウントすることとする。
[0123] この第 9ベルトプライ 261には、第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26H
に含まれる有機繊維コードに対して弾性率が同等、あるいは小さい有機繊維コード(
第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hの有機繊維コードに対して 2. lcN/dt ex荷重時の伸び率が略同等以上である有機繊維コード)を用いることが好ましい。
[0124] 第 9ベルトプライ 261に用いる有機繊維コードとしては、ナイロン等の脂肪族ポリアミ ド系の繊維力もなるコード、ァラミド等の芳香族ポリアミド系の繊維とナイロン等の脂肪 族ポリアミド系の繊維とを含むコード等が好ましぐ本実施形態では、ナイロンコード( 撚り数: 1260DZZ2Z3。打込み数 6. 9本 ZlOmm)を用いている。
[0125] また、無端ジグザグ巻きベルトである本実施形態の第 9ベルトプライ 261において、 その有機繊維コードの傾斜角度はタイヤ赤道面 CLに対して 2〜25° の範囲内が好 ましぐ本実施形態では 8° に設定されている。
(ベルト保護層)
図 2 (A)に示すように、主ベルト層 26のタイヤ半径方向外側には、ゴム層 30を介し てベルト保護層 22が設けられている。
[0126] ゴム層 30の厚さは、 1. 5〜4. 5mmの範囲内が好ましぐ本実施形態では 2. 5mm に設定している。
[0127] ベルト保護層 22は、図 2 (A)に示すように、タイヤ周方向に波状に延びる複数本の 有機繊維コード 36を互いに平行に並べてゴムコーティング (ゴムは図示せず)した 1 枚の波状コードプライ 38から構成されて 、る。
[0128] 図 2 (B)に示すように、ベルト保護層 22の有機繊維コード 36は、振幅 Aを 5〜25m m、波長 Bを振幅 Aの 200〜700%に設定することが好ましい。
[0129] 有機繊維コード 36は、高強力で高!、耐切創性を有し、接着を確保した上でなるベ く密に配置することが好ま 、。
[0130] 本実施形態では、ベルト保護層 22の有機繊維コード 36にケプラー(3000DZ3、 打込み数: 3. 6本 Z 10mm)を用いている。
(主ベルト層の周方向剛性)
次に、空気入りラジアルタイヤ 10は、リム組みし、 TRAに定める規定内圧を充填し た後に TRAに定める規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅を TW、主ベルト層 2
6のの幅を BWとしたときに、 0. 8TW< BW< 1. 2TWを満足している。
[0131] また、空気入りラジアルタイヤ 10は、クラウンセンター部 POにおける主ベルト層 26
の周方向剛性を M0、タイヤ赤道面 CLを中心として主ベルト層 26の最大幅 BWの 2 Z3の幅位置 P2での単位幅当りにおける主ベルト層 26の周方向剛性を M2としたと き【こ、 0. 2< M2/M0< 0. 8を満足して!/ヽる。
[0132] 以下に主ベルト層 26の周方向剛性の算出方法を説明する。
[0133] 本実施形態のように、主ベルト層 26がケプラーコードとナイロンコードとから構成さ れている場合、強力を与える伸びの算出方法は、この場合、ケプラーコード 1本の破 断時の伸び 10%をコードに与える伸びとする(なお、複数種のコードより構成される 場合、それらのうちで最も破断時伸びの小さいコードの破断時伸びを基準として算出 する。)。
[0134] 10%伸ばしたときの各コードの強力は、ケブラーコードが 1400N、ナイロンコード が 205Nである。
[0135] 第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hでは、単位幅 10mm当りのコード打込 み本数は 6. 2本、第 9ベルトプライ 261では、単位幅 10mm当りのコード打込み本数 は 6. 9本、ベルト保護層 22では、単位幅 10mm当りのコード打込み本数は 3. 6本で ある。
[0136] 本実施形態の主ベルト層 26は、クラウンセンター部 POでは、ケブラーコードが 8本 積層(第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26H)され、ナイロンコードは 2本積層 ( 第 9ベルトプライ 261)されて!/、る。
[0137] 主ベルト層 26の最大幅 BWの 2Z3の幅位置 P2では、ケブラーコード力 本積層さ れ、ナイロンコードは 2本積層されている。
[0138] なお、本実施形態のように、有機繊維コードが波状である場合、有機繊維コードを 真っ直ぐに伸ばして強力を算出するのでは無ぐタイヤに埋設されている形状、即ち
、波状に型付けされたものを 10%伸ばしたときの強力を算出する。
[0139] また、有機繊維コードがタイヤ周方向に対して角度 Θで傾斜している場合は、コー ド強力に cos Θを掛けてコード周方向の強力を算出する。
[0140] ここでは、第 9ベルトプライ 261のナイロンコードのタイヤ周方向に対する角度 Θが 1
0° なので、ナイロンのコード強力に coslO° =0. 98を掛けてコード周方向の強力 を算出する。
[0141] また、 TRAに定める規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上前記規定内圧の 5% 以下の範囲内に低下させたときのタイヤ赤道面 CLでのタイヤ径を DO、踏面における 前記接地プリントの幅 TWの 84%に相当する位置を 84%TW、タイヤ赤道面 CLにお ける踏面力 前記位置 84%TWにおける踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ 径落ち高を d、 5. 0 X 2d/D0 + 0. 33 X M2ZMOを接地制御指数 Fとしたときに、 本実施形態の空気入りラジアルタイヤ 10は 0. 2<F< 0. 45を満足している。
[0142] さらに、主ベルト層 26において、クラウンセンター部 POでの有機繊維コードの積層 厚みを GO、主ベルト層 26の最大幅 BWの 2Z3の幅位置 P2での有機繊維コードの 積層厚みを G2としたとき〖こ、 0. 35≤G2ZGO≤0. 85を満足することが好ましい。
[0143] ちなみに、本実施形態では、 G2ZG0 = 0. 63に設定されている。
[0144] なお、トレッド部 23には、周方向溝 29が複数本形成されている。
(矩形率)
空気入りラジアルタイヤ 10は、リムに組み付け、 TRAに定める規定内圧を充填後、 TRAに定める規定荷重を負荷した際のタイヤ接地プリント(図 6参照。)において、ク ラウンセンター部 POに対応する部分の接地長さを LO、接地幅の 84%位置に対応す る部分の接地長さを L2としたときに、本実施形態では LOと L2との比 L2ZL0を矩形 率と呼ぶ。
[0145] ここで、空気入りラジアルタイヤ 10の矩形率 L2ZL0は、 0. 85<L2/L0< 1. 1を 満足することが好ましぐ本実施形態では、矩形率 L2ZL0が 0. 9に設定されている
(作用)
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ 10では、接地プリントの幅 TWと主ベルト層 2
6の幅 BWとが 0. 8TW< BW< 1. 2TWを満足しているので、高速耐久性を確保し つつ必要な部材を低減することが可能である。
[0146] なお、 0. 8TW≥BWになると、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易く なるため、タイヤの耐久性を著しく損ねる。
[0147] 一方、 BW≥1. 2TWになると、必要以上の部材を配置することにより、重量増が避 けられない。
[0148] また、主要強度メンバーである主ベルト層 26の枚数力 クラウンセンター部 POから ショルダー部にかけて連続的に減少し、かつ主ベルト層 26のクラウンセンター部 PO での周方向剛性 MOと主ベルト層 26の幅の 2Z3位置 P2での主ベルト層 26の周方 向剛性 M2との比 M2ZM0を 0. 2より大、かつ 0. 8より小に設定しているので、主べ ルト層 26の材料使用量を最小限に抑えつつ、規定内圧充填時、及び高速回転時に トレッド中央域でのトレッドゴム周方向伸張量を効率的に抑制し、タイヤの径成長を抑 制することができた。
[0149] トレッドゴム層 24の周方向伸張量が抑制されることでトレッドゴム層 24の緊張度合 いが低下するので、異物の進入に対する抵抗力が増大し、また、万一異物が刺さりこ んだ場合であっても亀裂の成長を抑えることができる。
[0150] ここで、 M2ZM0が 0. 8より大きい場合には、タイヤ径成長抑制にそれほど支配的 でないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることにより、タイヤの軽量化に 効果が薄い。
[0151] 一方、 M2ZM0が 0. 2より小さい場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確 保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため好ま しくない。
[0152] また、タイヤ接地形状を代表する、接地制御指数 Fを 0. 2<F<0. 45となるように 設定することで、高速耐久性、耐摩耗性に優れたタイヤを容易に設計することができ るよつになった。
[0153] ここで、 Fが 0. 2以下の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなる ため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
[0154] 一方、 Fが 0. 45以上の場合には、ショルダー部において、回転時に路面との引き ずり摩耗が発生するため、経済性に劣る。
[0155] また、接地プリントの矩形率 L2ZL0が 1. 1以上の場合は、ショルダー部において 接地長さが極端に長くなるため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久 性が著しく損なわれる。
[0156] 一方、接地プリントの矩形率 L2ZL0が 0. 85以下の場合は、ショルダー部におい て回転時と路面との間で引きずり摩耗が発生するため経済性に劣る。
[0157] したがって、接地プリントの矩形率 L2ZL0が 0. 85<L2/L0< 1. 1を満足するこ とが好ましい。
[0158] また、主ベルト層 26を構成する第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hにおい て、螺旋状に芳香族ポリアミド系の有機繊維コードを卷回してコード方向を周方向に 対して 0° に近づけているので、主ベルト層 26の周方向剛性を確保するために使用 する有機繊維コードの強力を最大限に活用でき、ラジアルタイヤのタガ効果を最大 限に発揮することが可能となり、軽量ィヒを図りつつ少ない部材の量にて目標の安全 率を達成することができる。
[0159] また、ショルダー部に最も近い第 9ベルトプライ 261においては、有機繊維コードに タイヤ赤道面 CLに対して 2〜25° の範囲内の角度 (本実施形態では 8° )を付与す ることにより、ベルトのタガ効果を大きく損なうことなぐタイヤ幅方向にも剛性を得るこ とが可能となり、転動時のショルダー部の引きずり摩耗の低減に効果がある。
[0160] 主ベルト層 26の最外のベルとプライである第 9ベルトプライ 261の有機繊維コードを タイヤ赤道面 CLに対して 2〜25° で傾斜させることで、第 9ベルトプライ 261に対す るカットを受け、万一亀裂が進展する場合にも、亀裂はコードに沿う形でベルト端部 に達し、それ以上の周方向への進展を防ぐことができる。
[0161] なお、第 9ベルトプライ 261の有機繊維コードのタイヤ赤道面 CLに対する傾斜角度 が 2° を下回ると、タイヤがカットによる損傷を受け、万一亀裂が進展するような場合 において、亀裂の周方向への進展を防止する効果が薄くなる。また、タイヤ幅方向剛 性が確保でな 、ため、引きずり摩耗が発生し易くなる。
[0162] 一方、第 9ベルトプライ 261の有機繊維コードのタイヤ赤道面 CLに対する傾斜角度 力 S25° を上回ると、ベルトプライの周方向剛性が低下し、径成長の抑制のためには ベルトプライの層数の増加が必要になるため、タイヤ重量増につながる。
[0163] 有機繊維コードをそれぞれのプライ端で反対方向に傾斜するように同一面内で屈 曲されてタイヤ周方向にジグザグ状に延ばす構成とした第 9ベルトプライ 261は、幅方 向のプライ端において有機繊維コードの切断端を有しない構成となるため、タイヤに 幅方向の負荷が作用した場合などプライ端部分に大きな歪みが発生する時にも、第 9ベルトプライ 261のセパレーシヨン(コード切断端とカバーゴムとの間)を起こしにくい
[0164] また、本実施形態では、第 9ベルトプライ 261のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方 向に波状に延びる有機繊維コード 36を含むベルト保護層 22を、 2. 5mmのゴム層 3 0を介して配置したので、異物等のトレッドゴム層 24への刺し込みに対し、有機繊維 コード 36の波形を消失する方向へ変形をもって緊張を緩和し、その異物等を包み込 むことで、異物等の主ベルト層 26への進入を阻止することができた。
[0165] なお、ゴム層 30の厚さが 1. 5mmを下回ると、タイヤ更生時に、径方向内側に存在 する主ベルト層 26を損傷することなく該ゴム層 30を除去することが困難となる。
[0166] 一方、ゴム層 30の厚さが 4. 5mmを上回ると、タイヤ重量が増加するばかりかトレツ ド発熱が増大し、耐久性に不利となる。
[0167] ベルト保護層 22の有機繊維コード 36の振幅 Aが 5mm未満の場合、及び波長 Bが 振幅 Aの 700%を越える場合は、空気入りラジアルタイヤ 10への内圧充填、及びそ こへの荷重の作用によって、有機繊維コード 36が周方向に殆ど伸張した状態となる ため、異物の進入時の包み込み効果が小さくなる。
[0168] 一方、有機繊維コード 36の振幅 Aが 25mmを越える場合、及び波長 Bが振幅 Aの 200%未満の場合は、隣接する有機繊維コード 36との間に十分な間隔を確保するこ とが困難になって、コード間に十分なゴム層(有機繊維コード 36を被覆するコーティ ングゴム)を確保することができなくなるめ、ベルト保護層 22のゴム層とトレッドゴム層 24との接触部分が少なくなつて、有機繊維コード 36とトレッドゴム層 24との間の接着 強度が低下してセパレーシヨンを生じ易くなる。
[0169] なお、本実施形態では、最外層に有機繊維コード 36を含むベルト保護層 22を設け ているので、万一トレッドゴム層 24が摩耗してベルト保護層 22が踏面に現れても、金 属コードの場合と違って火花を散らすことは無い。
[0170] クラウンセンター部 P0での主ベルト層 26の有機繊維コードの積層厚み GOと、主べ ルト層 26の最大幅の 2Z3の幅位置 P2における主ベルト層 26の有機繊維コードの 積層厚み G2との比 G2/G0力 0. 35≤G2/G0≤0. 85を満足することにより、タ ィャ径成長抑制に最も効果の大き 、タイヤセンター部に高 、ベルト剛性を確保する ことが出来、耐 FOD (異物損傷)性向上が得られる。
[0171] ここで、 G2ZG0が 0. 85を越える場合には、タイヤ径成長にそれほど支配的では ないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることになり、タイヤ軽量ィ匕に効果 が薄い。
[0172] 一方、 G2ZG0が 0. 35を下回る場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確 保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなり、耐久上 好ましくない。
[0173] 本実施形態では、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを 構成する有機繊維コードの引張破断強度を 6. 3cN/dtex以上としたので、必要な 耐圧性能を満足することができ、軽量化も達成できた。
[0174] また、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有 機繊維コードにおいて、 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率を 0. 2〜2. 0%、伸張方向 に 2. lcNZdtex荷重時の伸び率を 1. 5〜7. 0%、伸張方向に 3. 2cNZdtex荷重 時の伸び率を 2. 2〜9. 3%にしたので、 目標の径成長の抑制を容易に達成すること ができた。これにより、異物の刺さり込みに対する性能を確保し、かつ主ベルト層 26 によるタガ効果を最適にできた。
[0175] なお、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有 機繊維コードの伸び率が上記範囲を上回る場合、タイヤ内圧充填時においてタイヤ 径方向の膨出を効果的に抑えられず、異物の刺さり込みに対する性能を期待できな なくる。
[0176] 一方、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有 機繊維コードの伸び率が上記範囲を下回る場合、各ベルトプライのタガ効果が大き 過ぎるため、カーカス層 16が必要以上にタイヤ幅方向に膨出する結果となり好ましく ない。
[0177] さらに、本実施形態では、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有機繊維コードの 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率を 0. 2〜2. 0% にしたので、加硫時に生タイヤ内部より負荷される圧力によって空気入りラジアルタイ ャ 10を均等に伸張せしめることができ、これによつて有機繊維コードの方向を揃え、 コード打込みのばらつきを是正することができた。
[0178] なお、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有 機繊維コードの 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率が 2. 0%より大きいと、加硫時のコー ド性状是正の効果が薄くなり好ましくな 、。
[0179] 一方、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hを構成する有 機繊維コードの伸び率が 0. 2%より小さい場合には、加硫時のタイヤ膨張の際にコ ード張力が大となり、該有機繊維コードがタイヤ径方向内側のゴムに食い込むなどの 不都合が生じるため好ましくない。
[0180] 本実施形態では、主ベルト層 26のタイヤ幅方向端部において、第 7ベルトプライ 26
Gと第 8ベルトプライ 26Hとの 2枚のベルトプライが積層されているので、タイヤ走行時
、特に、タイヤ幅方向に外力が作用する場合のように、タイヤ接地面幅方向両端付近 の有機繊維コードに激しい張力変動を伴うような条件下においても、その弾力性を持 つて衝撃を効果的に分散することが可能となり、苛酷な使用条件下における空気入り ラジアルタイヤ 10の信頼性が向上した。
[0181] 主ベルト層 26を構成する第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hの有機繊維 コードを芳香族ポリアミド系の繊維力も構成し、下撚り係数を 0. 12〜0. 85の範囲内
、上撚り係数を 0. 40-0. 80の範囲内としたので、有機繊維コードの引張破断強度 を 6. 3cNZdtex以上、 0. 3cNZdtex荷重時の伸び率を 0. 2〜2. 0%、伸張方向 に 2. lcNZdtex荷重時の伸び率を 1. 5〜7. 0%、伸張方向に 3. 2cNZdtex荷重 時の伸び率を 2. 2〜9. 3%に設定することができた。
[第 2の実施形態]
次に、本発明の第 2の実施形態に係る空気入りラジアルタイヤ 10を説明する。なお 、第 1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
[0182] 本実施形態の空気入りラジアルタイヤ 10では、主ベルト層 26の第 1ベルトプライ 26 A〜第 8ベルトプライ 26Hの有機繊維コードの材質が第 1の実施形態の空気入りラジ アルタイヤ 10と異なっており、本実施形態の第 1ベルトプライ 26A〜第 8ベルトプライ 26Hに用いた有機繊維コードは、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の 繊維とを含む、 V、わゆるハイブリッドコードである。
[0183] ここで、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維との重量比は 100 : 1
0〜 170とすること力好ましく、 100 : 17〜86とすること力より好まし!/ヽ。
[0184] これにより、引張破断強度を 6. 3cNZdtex以上、伸張方向に 0. 3cNZdtex荷重 時の伸び率が 0. 2〜2. 0%、 2. lCNZdtex荷重時の伸び率を 1. 5%以上 7. 0% 以下、 3. 2cNZdtex荷重時の伸び率を 2. 2%以上 9. 3%以下に設定することがで きる。
[0185] なお、芳香族ポリアミド系の有機繊維コードと脂肪族ポリアミド系の有機繊維コード とを撚り合わせる場合、芳香族ポリアミド系の有機繊維コードの下撚り係数を 0. 12〜 0. 85とすること力好まし!/ヽ。
[0186] 次に、このような有機繊維コードの製造方法を説明する。
[0187] 先ず、ケブラー(3000デニール = 3340dtex) 2本と、 66ナイロン(1260デニール
= 1400dtex) 2本を併せた糸 1本を作り、撚り機を用いて、ケブラーの下撚り係数が
0. 34、ナイロン 66の下撚り係数が 0. 18になるように下撚り加工を行った。
[0188] その後、ケプラーの下撚り糸 2本と、 66ナイロンの下撚り糸 1本を引き揃え、下撚りと は反対方向に上撚り(S撚り)し、撚りコードを加工した。
[0189] 撚りコードを株式会社巿金工業社製コード処理機でディップ処理し製造した。
[0190] 25 ± 2° Cの室温中、株式会社島津製作所製オートグラフを用いてディップコード の引張破断強度を測定したところ、 1 lcNZdtexの値を得た。
[0191] この時、ディップコードの引張り方向への応力力 0. 3cNZdtex、 2. lcN/dtex
、及び 3. 2cNZdtexを示した時のディップコードの伸び率を測定したところ、それぞ れ 1. 1%、 5. 6%。、及び 6. 6%の値を得た。
[0192] ちなみに、この有機繊維コードの破断強力は、 1100Nである。
[0193] 本実施形態では、上述したように、主ベルト層 26の有機繊維コードの材質を第 1の 実施形態の空気入りラジアルタイヤ 10とは変えたが、第 1の実施形態の空気入りラジ アルタイヤ 10と同様の作用効果が得られる。
[0194] また、タイヤ幅方向の剛性が得られるため、ショルダー部の引きずり摩耗に効果が ある。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例のタイヤ 1種、比較例のタイヤ 2種、及び
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本発明の適用された実施例のタイヤ 3種を用意し、摩耗特性、高速耐久性、タイヤ重 量、及び耐 FOD性能の比較を行なった。
[0195] タイヤサイズは、何れも 1270 X455R22 32PRである。
[0196] [表 1]
Ny/EB :ナイロン Z無端ジグザグベルト卷(打ち込み 6. 9本 Zl0mm、コード角 度 10° 、図 5参照。)
Ny/KB :ナイロン 切り離しベルト(打ち込み 8. 3本 10mm、コード角度 16
° )
Ny/SB:ケプラー (デュポン社商標名) Z螺旋ベルト卷 (打ち込み 6. 2本/ 10m m、コード角度 0° 。図 4参照。)
Hy/SB :ケプラーとナイロンの混撚り糸 Z螺旋ベルト卷 (打ち込み 6. 2本 ZlOm m、コード角度 0° 。)
*2 ベルト剛性比
周方向弾性率は以下の方法にて算出
弾性率 = (各コードの 0〜R%伸びの弾性率) X (10mm当たりコード打ち込み数 ) X cos (周方向に対する角度)。
*3 耐摩耗性
摩耗特性試験機において、タイヤ Z路面の接触面にて両社間の接触圧力、及び 相対滑 りを測定。摩耗仕事量(=接触圧 X滑り量)を踏面全体に渡って積分した 値を元に、
耐摩耗性の指数を算出したもの (従来品 1を 100とする。数値大ほど性能良。 ) *4 高速耐久'性
TRAの規定内圧、規定荷重条件にて公的規格に定める離陸試験を実施。タイヤ 故障
発生するまでの試験回数を指数化したもの(従来品 1を 100とする。数値大ほど性 能良。)
*5 タイヤ重量
従来品を 100として指数ィ匕した。数値小ほど性能良 (軽量)。
*6 FOD耐久性
厚さ 3mm、幅 500mmの先端鋭利な刃を、長手方向がタイヤ幅方向に重なるよう にトレッドにあてカ^、、 TRAの規定内圧充填後に規定荷重の 3%の垂直荷重を負 荷
した後、除荷したときのタイヤのカット深さを指数ィ匕したもの(従来品を 100とす る。数値大ほど性能良。 )
産業上の利用可能性
[0198] 優れた耐摩耗性を有すると同時に軽量化も達成することができ、経済性、及び軽量 化を必要とする航空機に適用できる。
符号の説明
[0199] 10 空気入りラジアルタイヤ
14 ビードコア
カーカス層 主べノレト層