JP4627664B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は空気入りラジアルタイヤに係り、特に、航空機に適し、特に卓越した高速耐久性を有することで安全性に優れ、かつ優れた耐摩耗性を有することで経済性との両立を図ることができる空気入りラジアルタイヤに関する。
ラジアルタイヤ、特に航空機用空気入りタイヤにおいては、高い使用内圧、高速回転中の遠心力の作用によってトレッド面の径方向の迫り出しが大きく、使用時にトレッドが周に大きく引き伸ばされた状態となる。
このような状態下では、タイヤが異物を踏みつけた場合のトレッドゴムの抵抗力が弱く、異物がトレッドゴム内に進入し易いという問題があった。
例えば、特許文献1に開示されている従来の航空機用ラジアルタイヤの構造は、ベルト構造体にナイロン等の比較的低弾性率の有機繊維を使用しており、かつベルト層を構成する各々のベルト幅がトレッド幅と略同等であるため、タイヤの径成長に対して支配的なクラウンセンター部のベルト強度が、あまり支配的でないクラウンショルダー部のベルト強度に対して相対的に小さいため、タイヤの径成長抑制には効果が少なかった。
WO 03/061991
本発明は上記事実を考慮し、高速耐久性と、優れた耐摩耗特性が得られる航空機用空気入りタイヤを提供することが目的である。
請求項1に記載の発明は、一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアに向けてトロイド状に延びる少なくとも1枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されタイヤ周方向に延びる複数本の有機繊維コードを含む主ベルト層と、を備えた空気入りラジアルタイヤであって、タイヤをリム組みし、TRAに定める規定内圧を充填した後に規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅をTW、前記主ベルト層の幅をBWとしたときに、0.8TW<BW<1.2TWを満足し、前記主ベルト層の枚数がクラウンセンター部P0からショルダー部にかけて漸減し、かつ前記主ベルト層のクラウンセンター部P0における周方向剛性をM0、前記主ベルト層の幅の2/3位置P2における周方向剛性をM2、ベルト剛性比をM2/M0としたときに、0.2<M2/M0<0.8を満足し、前記主ベルト層の幅の95%位置P3における前記主ベルト層の周方向剛性をM3としたときに、M3/M2>1.1満足し、前記規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上前記規定内圧の5%以下の範囲内に低下させたときのタイヤ赤道面でのタイヤ径をD0、踏面における前記接地プリントの幅TWの84%に相当する位置を84%TW、タイヤ赤道面における踏面から前記位置84%TWにおける踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd84、7.5×2d84/D0+0.33×M2/M0を接地制御指数Fとしたときに、0.2<F<0.45を満足し、前記接地プリントの幅TWの73%位置をD73、タイヤ赤道面における踏面から前記位置D73における踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd73としたときに、0.69<d73/d84<0.78を満足し、前記タイヤ接地プリントにおいて、クラウンセンター部P0に対応する部分の接地長さをL0、接地幅の84%位置に対応する部分の接地長さをL 84 、前記接地プリントの幅TWの73%位置に対応する部分の接地長さをL 73 としたときに、0.85<L 84 /L0<1.1を満足すると共に、0.95<L 84 /L 73 <1.03を満足し、前記クラウンセンター部P0での前記主ベルト層上のトレッドゲージをt 0 、前記接地プリントの幅TWの84%位置に対応する部分P 84 での前記主ベルト層上でのトレッドゲージをt 84 としたときに、0.85<t 84 /t 0 <1.05を満足する、ことを特徴としている。
次に、請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤの作用を説明する。
請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤでは、接地プリントの幅TWと主ベルト層の幅BWとが0.8TW<BW<1.2TWを満足しているので、高速耐久性を確保しつつ、必要なベルト部材を低減することができる。
なお、0.8TW≧BWになると、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため、タイヤの耐久性を著しく損なる。
一方、BW≧1.2TWになると、必要以上のベルト部材を配置することにより重量増が避けられない。
また、主要強度メンバーである主ベルト層の枚数が、クラウンセンター部P0からショルダー部にかけて実質的に連続的に減少し、かつ前記主ベルト層のクラウンセンター部P0、及び前記主ベルト層の幅の2/3位置P2での主ベルト層の周方向剛性をそれぞれM0、M2としたときに、両者の比M2/M0が0.2より大、かつ0.8より小としたので、結果として、主ベルト層の材料使用量を最小限に抑えつつ、規定内圧充填時、及び高速回転時にトレッド中央域でのトレッドゴム周方向伸張量を効率的に抑制し、タイヤの径成長を抑制することができる。
トレッドゴムの周方向伸張量が抑制されることでトレッドゴムの緊張度合いが低下するので、異物の進入に対する抵抗力が増大し、また、万一異物が刺さりこんだ場合であっても亀裂の成長を抑えることができる。
ここで、M2/M0が0.8より大きい場合には、タイヤ径成長抑制にそれほど支配的でないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることにより、タイヤの軽量化に効果が薄い。
一方、M2/M0が0.2より小さい場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため好ましくない。
ここで、スタンディングウェーブ発生抑制に最も効果の大きいベルト最外端位置に相当する主ベルト層の幅の95%位置P3での周方向剛性M3と、主ベルト層の幅の2/3位置P2での主ベルト層の周方向剛性M2との剛性比M3/M2が1.1よりも小さくなると、ベルト剛性を高めるためにベルト幅方向全幅にわたり大幅な補強が必要となり、重量増を招くこととなり、好ましくない。
また、タイヤベルト剛性比、タイヤクラウン形状、接地形状との相関関係の詳細な検討により、タイヤ接地形状を代表する、接地制御指数をF=7.5×2d84/D0+0.33×M2/M0と定め、0.2<F<0.45となるように設定することで、高速耐久性、耐摩耗性に優れたタイヤを容易に設計することができるようになった。
ここで、Fが0.2以下の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなるため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
一方、Fが0.45以上の場合には、ショルダー部において、回転時に路面との引きずり摩耗が発生するため、経済性に劣る。
ここで、d73/d84が0.69以下の場合には、ショルダー側の接地形状がタイヤ幅方向外側に向かって漸減する形状となり、タイヤが転動した際にタイヤ接地面内での大きな剪断力を伴う事となり、ショルダー付近での局所的な摩耗特性を著しく低下させる。
一方、d73/d84が0.78を超える場合には、ショルダー側の接地長がタイヤ幅方向外側に向かって長くなる傾向となり、これが該部分の接地圧力の増大、即ち、高速耐久性の低下を引き起こすこととなる。
なお、ここでいう主ベルト層の周方向剛性とは、主ベルト層の周方向の弾性率を指しており、タイヤをリムに組まない状態でのセンター径から、タイヤをリム組みしてTRAに定める規定内圧を充填した際のセンター径への成長率をR(%)としたときに、伸び率0〜R(%)にて定められるコードの弾性率(図17参照)に単位幅(ここでは10mm)当たりのコード本数(打ち込み数)を掛けて算出したものである。
なお、コードが周方向に対して角度θで傾斜している場合の周方向剛性は、上記単位幅当たりの剛性にcosθを掛けて算出するものとする。
また、タイヤ内のコードがタイヤ周方向に波状(ジグザグ状)に延びている場合は、真っ直ぐに伸ばして剛性を計算するのではなく、タイヤに埋設されている状態、即ち、波状に型付けされたものを周方向に延ばしたときの弾性率を算出する。
84/L0が1.1以上の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなるため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
一方、L84/L0が0.85以下の場合は、ショルダー部において回転時と路面との間で引きずり摩耗が発生するため経済性に劣る。
したがって、0.85<L84/L0<1.1を満足することが好ましい。
次に、L84/L73が0.95以下の場合には、トレッドのショルダー側の接地形状がタイヤ幅方向外側に向かって漸減する形状となり、タイヤが転動した時にタイヤ接地面内での大きな剪断力を伴う事となり、ショルダー側での局所的な摩耗特性を著しく低下させる。
また、L84/L73が1.03以上の場合、該ショルダー側の接地長さがタイヤ幅方向外側に向かって長くなる傾向となり、これが該部分の接地圧の増大、即ち、高速耐久性の低下を引き起こすこととなり好ましくない。
したがって、0.95<L84/L73<1.03を満足することが好ましい。
トレッドゲージ比t84/t0が0.85<t84/t0<1.05を満足することにより、タイヤの耐久性と経済性の両立を図ることができる。
即ち、t84/t0が0.85以下になるとトレッドの摩耗末期において、ショルダー側の踏面にベルト等の構造部材が露出する。
一方、t84/t0が1.05以上になると、センター部対比でショルダー側のゴムゲージが厚くなるため、高速走行中のショルダー側の発熱が大きくなり耐久性に悪影響を及ぼす。
したがって、0.85<t84/t0<1.05を満足することが好ましい。
以上説明したように、本発明の空気入りラジアルタイヤは上記の構成としたので、高速耐久性と、優れた耐摩耗特性が得られるという効果がある。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態を図1乃至図6にしたがって説明する。
図1、及び図2(A)に示すように、本実施形態の航空機用の空気入りラジアルタイヤ10(タイヤサイズ:1270×455R22 32PR)は、ビード部12に丸型断面を有するビードコア14備えていて、ゴム被覆された有機繊維コードがラジアル方向に配列された6枚のカーカスプライ(図示せず)よりなるカーカス層16がこのビードコア14に係留されている。
なお、フリッパーやチェーファーなどの他の構造部材は従来通りであり、図示を省略してある。
カーカス層16のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周面には、ベルト層20、ベルト層20のタイヤ径方向外側にはトレッド部23を構成するトレッドゴム層24が設けられている。
また、カーカス層のタイヤ幅方向外側には、サイドウォール部25を構成するサイドゴム層27が設けられている。
なお、本実施形態では、ベルト層20は、タイヤ径方向内側の主ベルト層26と、主ベルト層26のタイヤ径方向外側に設けられる保護ベルト層22とから構成されている。
(カーカス層)
カーカス層16を構成するカーカスプライに用いる有機繊維コードは、引張破断強度が6.3cN/dtex以上、伸張方向に0.2cN/dtex荷重時の伸び率が0.2〜1.8%、伸張方向に1.9cN/dtex荷重時の伸び率が1.4〜6.4%、伸張方向に2.9cN/dtex荷重時の伸び率が2.1〜8.6%であることが好ましい。
カーカス層16には、芳香族ポリアミド系の繊維から構成された有機繊維コードを用いることができる。
この場合、下撚り係数が0.12〜0.85、より好ましくは0.17〜0.51、上撚り係数が0.4〜0.85とされた有機繊維コードが好ましい。
また、カーカス層16には、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維とを含む有機繊維コード(所謂ハイブリッドコード)を用いることもできる。
この場合、芳香族ポリアミド系の繊維と脂肪族ポリアミド系の繊維との重量比が、100:27〜255とされた有機繊維コードが好ましい。
さらに、カーカス層16には、芳香族ポリアミド系の有機繊維コードと脂肪族ポリアミド系の有機繊維コードとを撚り合わせ、かつポリアミド系の有機繊維コードの下撚り係数N1が0.12〜0.85、より好ましくは0.17〜0.51とされた有機繊維コード(所謂ハイブリッドコード)を用いることもできる。
本実施形態のカーカス層16には、ナイロンコードが用いられている。
(主ベルト層)
図3に示すように、主ベルト層26は、複数枚のベルトプライ、本実施形態では、タイヤ径方向内側から第1ベルトプライ26A、第2ベルトプライ26B、第3ベルトプライ26C、第4ベルトプライ26D、第5ベルトプライ26E、第6ベルトプライ26F、第7ベルトプライ26G、第8ベルトプライ26H、第9ベルトプライ26I、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kの合計11種類のベルトプライから構成されている。
本実施形態では、第1ベルトプライ26Aと第2ベルトプライ26Bは同じ幅に設定され、第3ベルトプライ26Cと第4ベルトプライ26Dは同じ幅に設定され、第5ベルトプライ26Eと第6ベルトプライ26Fは同じ幅に設定され、また、第7ベルトプライ26Gと第8ベルトプライ26Hは同じ幅に設定されている。
さらに、第1ベルトプライ26A及び第2ベルトプライ26Bよりも第3ベルトプライ26C及び第4ベルトプライ26Dのベルト幅が広く、第3ベルトプライ26C及び第4ベルトプライ26Dよりも第5ベルトプライ26E及び第6ベルトプライ26Fのベルト幅が広く、第5ベルトプライ26E及び第6ベルトプライ26Fよりも第7ベルトプライ26G及び第8ベルトプライ26Hのベルト幅が広く設定されている。
したがって、主ベルト層26のタイヤ幅方向端部では、第7ベルトプライ26G、第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kの4枚のベルトプライが積層されている。
主ベルト層26を構成するこれら第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kは、複数本の有機繊維コードをゴム被覆することにより形成されている。
これら第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kの有機繊維コードは、引張破断強度を6.3cN/dtex以上とすることが好ましく、伸張方向に0.3cN/dtex荷重時の伸び率が0.2〜2.0%、伸張方向に2.1cN/dtex荷重時の伸び率が1.5〜7.0%、伸張方向に3.2cN/dtex荷重時の伸び率が2.2〜9.3%であることが好ましい。
本実施形態の有機繊維コードは、芳香族ポリアミド系の繊維から構成されている。
有機繊維コードを芳香族ポリアミド系の繊維から構成した場合、下撚り係数は0.12〜0.85、好ましくは0.17〜0.51、上撚り係数は0.40〜0.80に設定することが好ましい。
本実施形態では、第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kに、芳香族ポリアミド系の繊維、具体的にはデュポン社製ポリアミド繊維(商品タイプ名:KEVLAR(R)29、公称繊度3000デニール。以後、適宜ケブラーと呼ぶ。)からなる有機繊維コードを用いている。
芳香族ポリアミド系の有機繊維コードの製造方法を以下に説明する。
ケブラー(3000デニール=3340dtex)3本を、撚り機を用いて、下撚り係数が0.34になるように下撚り加工を行った。
その後、下撚り糸3本を引き揃え、下撚りとは反対方向に上撚り係数が0.48になるように上撚り(S撚り)し、撚りコード加工した。
撚りコードを株式会社市金工業社製コード処理機でディップ処理し製造した。
25±2°Cの室温中、株式会社島津製作所製オートグラフを用いてディップコードの引張破断強度を測定したところ、14cN/dtexの値を得た。
この時、ディップコードの引張り方向への応力が、0.3cN/dtex、2.1cN/dtex、及び3.2cN/dtexを示した時のディップコードの伸び率を測定したところ、それぞれ0.3%、2.2%。、及び3.2%の値を得た。
ちなみに、第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kに用いた有機繊維コード(ケブラー)の強力は、1400Nである。
主ベルト層26を構成する第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kは、本実施形態では、図4に示すように複数本の有機繊維コードをゴム被覆して構成した帯状の細長体32を準備し、この細長体32を隙間が生じないよう螺旋状に巻回することで形成した、いわゆるスパイラルベルトである。
なお、本実施形態では、有機繊維コードの傾斜角度はタイヤ赤道面CLに対して略0°である。
なお、第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kにおいて、有機繊維コードの打込み数は、4〜10本/10mmの範囲内が好ましい。
本実施形態では、第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kにおいて、有機繊維コードの打込み数が6.3本/10mmである。
図5に示すように、本実施形態の第9ベルトプライ26Iは、1または複数本の有機繊維コードをゴム被覆して構成した帯状の細長体34を準備し、この細長体34をほぼ1周する毎に両プライ端間を1度だけ往復させながらタイヤ赤道面CLに対して2〜25°の角度で傾斜させて周方向に巻き付けると共に、このような巻付けを細長体34間に隙間が生じないよう周方向にほぼ細長体34の幅だけずらして多数回巻回することで形成している(以後、適宜無端ジグザグ巻きベルトと呼ぶ。)。
この結果、第9ベルトプライ26I内には両プライ端において折り曲げ方向を変えることによりジグザグしながらほぼ周方向に延びる有機繊維コードが、該第9ベルトプライ26Iの全領域においてほぼ均一に埋設されることになる。
なお、このようにして形成された第9ベルトプライ26IAは、断面で見ると、右上がりの有機繊維コード部分と、左上がりのコード部分とが互いに重なりあった形態となるので、右上がりのコードのみからなるベルトプライと左上がりのコードのみからなるベルトプライとを重ねた、いわゆる交差ベルトに相当する構成となり、実際には1枚のプライではあるが、本実施形態では、プライ数としては2枚としてカウントすることとする。
この第9ベルトプライ26Iには、第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H 、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kに含まれる有機繊維コードに対して弾性率が同等、あるいは小さい有機繊維コード(第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hの有機繊維コードに対して2.1cN/dtex荷重時の伸び率が略同等以上である有機繊維コード)を用いることが好ましい。
第9ベルトプライ26Iに用いる有機繊維コードとしては、ナイロン等の脂肪族ポリアミド系の繊維からなるコード、アラミド等の芳香族ポリアミド系の繊維とナイロン等の脂肪族ポリアミド系の繊維とを含むコード等が好ましく、本実施形態では、ナイロンコード(撚り数:1260D//2/3。打込み数6.9本/10mm)を用いている。
また、無端ジグザグ巻きベルトである本実施形態の第9ベルトプライ26Iにおいて、その有機繊維コードの傾斜角度はタイヤ赤道面CLに対して2〜25°の範囲内が好ましく、本実施形態では8°に設定されている。
(ベルト保護層)
図2(A)に示すように、主ベルト層26のタイヤ半径方向外側には、ゴム層30を介してベルト保護層22が設けられている。
ゴム層30の厚さは、1.5〜4.5mmの範囲内が好ましく、本実施形態では2.5mmに設定している。
ベルト保護層22は、図2(A)に示すように、タイヤ周方向に波状に延びる複数本の有機繊維コード36を互いに平行に並べてゴムコーティング(ゴムは図示せず)した1枚の波状コードプライ38から構成されている。
図2(B)に示すように、ベルト保護層22の有機繊維コード36は、振幅Aを5〜25mm、波長Bを振幅Aの200〜700%に設定することが好ましい。
有機繊維コード36は、高強力で高い耐切創性を有し、接着を確保した上でなるべく密に配置することが好ましい。
本実施形態では、ベルト保護層22の有機繊維コード36にケブラー(3000D/3、打込み数:3.6本/10mm)を用いている。
(主ベルト層の周方向剛性)
次に、空気入りラジアルタイヤ10は、リム組みし、TRAに定める規定内圧を充填した後にTRAに定める規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅をTW、主ベルト層26のの幅をBWとしたときに、0.8TW<BW<1.2TWを満足している。
また、空気入りラジアルタイヤ10は、クラウンセンター部P0における主ベルト層26の周方向剛性をM0、タイヤ赤道面CLを中心として主ベルト層26の最大幅BWの2/3の幅の位置P2での単位幅当りにおける主ベルト層26の周方向剛性をM2としたときに、0.2<M2/M0<0.8を満足している。
また、主ベルト層26の最大幅BWの95%位置P3での単位幅当りにおける主ベルト層26の周方向剛性をM3としたときに、M3/M2>1.1満足している。
以下に主ベルト層26の周方向剛性の算出方法を説明する。
本実施形態のように、主ベルト層26がケブラーコードとナイロンコードとから構成されている場合、強力を与える伸びの算出方法は、この場合、ケブラーコード1本の破断時の伸び10%をコードに与える伸びとする(なお、複数種のコードより構成される場合、それらのうちで最も破断時伸びの小さいコードの破断時伸びを基準として算出する。)。
10%伸ばしたときの各コードの強力は、ケブラーコードが1400N、ナイロンコードが205Nである。
第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hでは、単位幅10mm当りのコード打込み本数は6.2本、第9ベルトプライ26Iでは、単位幅10mm当りのコード打込み本数は6.9本、ベルト保護層22では、単位幅10mm当りのコード打込み本数は3.6本である。
本実施形態の主ベルト層26は、クラウンセンター部P0では、ケブラーコードが8本積層(第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H)され、ナイロンコードは2本積層(第9ベルトプライ26I)されている。
主ベルト層26の最大幅BWの2/3の幅の位置P2では、ケブラーコードが4本積層され、ナイロンコードは2本積層されている。
なお、本実施形態のように、有機繊維コードが波状である場合、有機繊維コードを真っ直ぐに伸ばして強力を算出するのでは無く、タイヤに埋設されている形状、即ち、波状に型付けされたものを10%伸ばしたときの強力を算出する。
また、有機繊維コードがタイヤ周方向に対して角度θで傾斜している場合は、コード強力にcosθを掛けてコード周方向の強力を算出する。
ここでは、第9ベルトプライ26Iのナイロンコードのタイヤ周方向に対する角度θが10°なので、ナイロンのコード強力にcos10°=0.98を掛けてコード周方向の強力を算出する。
また、TRAに定める規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上前記規定内圧の5%以下の範囲内に低下させたときのタイヤ赤道面CLでのタイヤ径をD0、踏面における前記接地プリントの幅TWの84%に相当する位置をD84、タイヤ赤道面CLにおける踏面から前記位置D84における踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd84、7.5×2d84/D0+0.33×M2/M0を接地制御指数Fとしたときに、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ10は0.2<F<0.45を満足している。
さらに、主ベルト層26において、クラウンセンター部P0での有機繊維コードの積層厚みをG0、主ベルト層26の最大幅BWの2/3の幅の位置P2での有機繊維コードの積層厚みをG2としたときに、0.35≦G2/G0≦0.85を満足することが好ましい。
ちなみに、本実施形態では、G2/G0=0.63に設定されている。
さらに、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ10は、図6に示すように、接地プリントの幅TWの73%位置をD73、タイヤ赤道面CLにおける踏面から前記位置D73における踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd73としたときに、0.69<d73/d84<0.78を満足している。
なお、トレッド部23には、周方向溝29が複数本形成されている。
(矩形率)
空気入りラジアルタイヤ10は、リムに組み付け、TRAに定める規定内圧を充填後、TRAに定める規定荷重を負荷した際のタイヤ接地プリント(例えば、図7参照。なお、図7は、後述する比較例のタイヤのタイヤ接地プリントである。)において、クラウンセンター部P0に対応する部分の接地長さをL0、接地幅の84%位置に対応する部分の接地長さをL84としたときに、本実施形態ではL0とL84との比L84/L0を矩形率と呼ぶ。
ここで、空気入りラジアルタイヤ10の矩形率L84/L0は、0.85<L2/L0<1.1を満足することが好ましく、本実施形態では、矩形率L84/L0が0.9に設定されている。
また、クラウンセンター部P0での主ベルト層上のトレッドゲージをt0、接地プリントの幅TWの84%位置に対応する部分P84での主ベルト層上でのトレッドゲージをt84としたときに、トレッドゲージ比t84/t0は0.85<t84/t0<1.05を満足することが好ましい。
(作用)
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ10では、接地プリントの幅TWと主ベルト層26の幅BWとが0.8TW<BW<1.2TWを満足しているので、高速耐久性を確保しつつ、必要なベルト部材を低減することができる。
なお、0.8TW≧BWになると、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため、タイヤの耐久性を著しく損なる。
一方、BW≧1.2TWになると、必要以上のベルト部材を配置することにより重量増が避けられない。
また、主要強度メンバーである主ベルト層26の枚数が、クラウンセンター部P0からショルダー部にかけて連続的に減少し、かつ主ベルト層26のクラウンセンター部P0での周方向剛性M0と主ベルト層26の幅の2/3位置P2での主ベルト層26の周方向剛性M2との比M2/M0を0.2より大、かつ0.8より小に設定しているので、主ベルト層26の材料使用量を最小限に抑えつつ、規定内圧充填時、及び高速回転時にトレッド中央域でのトレッドゴム周方向伸張量を効率的に抑制し、タイヤの径成長を抑制することができた。
トレッドゴム層24の周方向伸張量が抑制されることでトレッドゴム層24の緊張度合いが低下するので、異物の進入に対する抵抗力が増大し、また、万一異物が刺さりこんだ場合であっても亀裂の成長を抑えることができる。
ここで、M2/M0が0.8より大きい場合には、タイヤ径成長抑制にそれほど支配的でないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることにより、タイヤの軽量化に効果が薄い。
一方、M2/M0が0.2より小さい場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなるため好ましくない。
なお、主ベルト層の幅の周方向剛性M3と周方向剛性M2との剛性比M3/M2が1.1よりも小さくなると、ベルト剛性を高めるためにベルト幅方向全幅にわたり大幅な補強が必要となり、重量増を招くこととなり、好ましくない。
また、タイヤ接地形状を代表する、接地制御指数Fを0.2<F<0.45となるように設定することで、高速耐久性、耐摩耗性に優れたタイヤを容易に設計することができるようになった。
ここで、Fが0.2以下の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなるため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
一方、Fが0.45以上の場合には、ショルダー部において、回転時に路面との引きずり摩耗が発生するため、経済性に劣る。
また、接地プリントの矩形率L84/L0が1.1以上の場合は、ショルダー部において接地長さが極端に長くなるため、高速走行時に該部分の発熱が大となり、タイヤ耐久性が著しく損なわれる。
次に、L84/L73が0.95以下の場合には、トレッドのショルダー側の接地形状がタイヤ幅方向外側に向かって漸減する形状となり、タイヤが転動した時にタイヤ接地面内での大きな剪断力を伴う事となり、ショルダー側での局所的な摩耗特性を著しく低下させる。
また、L84/L73が1.03より大きい場合、該ショルダー側の接地長さがタイヤ幅方向外側に向かって長くなる傾向となり、これが該部分の接地圧の増大、即ち、高速耐久性の低下を引き起こすこととなり好ましくない。
したがって、0.95<L84/L73<1.03を満足することが好ましい。
次に、ここで、タイヤ径落ち高の比d73/d84が0.69以下の場合には、ショルダー側の接地形状がタイヤ幅方向外側に向かって漸減する形状となり、タイヤが転動した際にタイヤ接地面内での大きな剪断力を伴う事となり、ショルダー付近での局所的な摩耗特性を著しく低下させる。
一方、タイヤ径落ち高の比d73/d84が0.78を超える場合には、ショルダー側の接地長がタイヤ幅方向外側に向かって長くなる傾向となり、これが該部分の接地圧力の増大、即ち、高速耐久性の低下を引き起こすこととなる。
また、トレッドゲージ比t84/t0が0.85<t84/t0<1.05を満足することにより、タイヤの耐久性と経済性の両立を図ることができる。
即ち、t84/t0が0.85以下になるとトレッド部23の摩耗末期において、ショルダー側の踏面にベルト等の構造部材が露出する。
一方、t84/t0が1.05以上になると、センター部対比でショルダー側のゴムゲージが厚くなるため、高速走行中のショルダー側の発熱が大きくなり耐久性に悪影響を及ぼす。
したがって、0.85<t84/t0<1.05を満足することが好ましい。
また、接地プリントの矩形率L84/L0が0.85以下の場合は、ショルダー部において回転時と路面との間で引きずり摩耗が発生するため経済性に劣る。
したがって、接地プリントの矩形率L84/L0が0.85<L84/L0<1.1を満足することが好ましい。
また、主ベルト層26を構成する第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hにおいて、螺旋状に芳香族ポリアミド系の有機繊維コードを巻回してコード方向を周方向に対して0°に近づけているので、主ベルト層26の周方向剛性を確保するために使用する有機繊維コードの強力を最大限に活用でき、ラジアルタイヤのタガ効果を最大限に発揮することが可能となり、軽量化を図りつつ少ない部材の量にて目標の安全率を達成することができる。
また、ショルダー部に最も近い第9ベルトプライ26Iにおいては、有機繊維コードにタイヤ赤道面CLに対して2〜25°の範囲内の角度(本実施形態では8°)を付与することにより、ベルトのタガ効果を大きく損なうことなく、タイヤ幅方向にも剛性を得ることが可能となり、転動時のショルダー部の引きずり摩耗の低減に効果がある。
主ベルト層26の最外のベルとプライである第9ベルトプライ26Iの有機繊維コードをタイヤ赤道面CLに対して2〜25°で傾斜させることで、第9ベルトプライ26Iに対するカットを受け、万一亀裂が進展する場合にも、亀裂はコードに沿う形でベルト端部に達し、それ以上の周方向への進展を防ぐことができる。
なお、第9ベルトプライ26Iの有機繊維コードのタイヤ赤道面CLに対する傾斜角度が2°を下回ると、タイヤがカットによる損傷を受け、万一亀裂が進展するような場合において、亀裂の周方向への進展を防止する効果が薄くなる。また、タイヤ幅方向剛性が確保でないため、引きずり摩耗が発生し易くなる。
一方、第9ベルトプライ26Iの有機繊維コードのタイヤ赤道面CLに対する傾斜角度が25°を上回ると、ベルトプライの周方向剛性が低下し、径成長の抑制のためにはベルトプライの層数の増加が必要になるため、タイヤ重量増につながる。
有機繊維コードをそれぞれのプライ端で反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲されてタイヤ周方向にジグザグ状に延ばす構成とした第9ベルトプライ26Iは、幅方向のプライ端において有機繊維コードの切断端を有しない構成となるため、タイヤに幅方向の負荷が作用した場合などプライ端部分に大きな歪みが発生する時にも、第9ベルトプライ26Iのセパレーション(コード切断端とカバーゴムとの間)を起こしにくい。
また、本実施形態では、第9ベルトプライ26Iのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に波状に延びる有機繊維コード36を含むベルト保護層22を、2.5mmのゴム層30を介して配置したので、異物等のトレッドゴム層24への刺し込みに対し、有機繊維コード36の波形を消失する方向へ変形をもって緊張を緩和し、その異物等を包み込むことで、異物等の主ベルト層26への進入を阻止することができた。
なお、ゴム層30の厚さが1.5mmを下回ると、タイヤ更生時に、径方向内側に存在する主ベルト層26を損傷することなく該ゴム層30を除去することが困難となる。
一方、ゴム層30の厚さが4.5mmを上回ると、タイヤ重量が増加するばかりかトレッド発熱が増大し、耐久性に不利となる。
ベルト保護層22の有機繊維コード36の振幅Aが5mm未満の場合、及び波長Bが振幅Aの700%を越える場合は、空気入りラジアルタイヤ10への内圧充填、及びそこへの荷重の作用によって、有機繊維コード36が周方向に殆ど伸張した状態となるため、異物の進入時の包み込み効果が小さくなる。
一方、有機繊維コード36の振幅Aが25mmを越える場合、及び波長Bが振幅Aの200%未満の場合は、隣接する有機繊維コード36との間に十分な間隔を確保することが困難になって、コード間に十分なゴム層(有機繊維コード36を被覆するコーティングゴム)を確保することができなくなるめ、ベルト保護層22のゴム層とトレッドゴム層24との接触部分が少なくなって、有機繊維コード36とトレッドゴム層24との間の接着強度が低下してセパレーションを生じ易くなる。
なお、本実施形態では、最外層に有機繊維コード36を含むベルト保護層22を設けているので、万一トレッドゴム層24が摩耗してベルト保護層22が踏面に現れても、金属コードの場合と違って火花を散らすことは無い。
クラウンセンター部P0での主ベルト層26の有機繊維コードの積層厚みG0と、主ベルト層26の最大幅の2/3の幅の位置P2における主ベルト層26の有機繊維コードの積層厚みG2との比G2/G0が、0.35≦G2/G0≦0.85を満足することにより、タイヤ径成長抑制に最も効果の大きいタイヤセンター部に高いベルト剛性を確保することが出来、耐FOD(異物損傷)性向上が得られる。
ここで、G2/G0が0.85を越える場合には、タイヤ径成長にそれほど支配的ではないタイヤショルダー部に多くのベルトが配置されることになり、タイヤ軽量化に効果が薄い。
一方、G2/G0が0.35を下回る場合には、ショルダー部に十分なベルト剛性が確保できなくなるため、高速走行時にスタンディングウェーブが発生し易くなり、耐久上好ましくない。
本実施形態では、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの引張破断強度を6.3cN/dtex以上としたので、必要な耐圧性能を満足することができ、軽量化も達成できた。
また、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードにおいて、0.3cN/dtex荷重時の伸び率を0.2〜2.0%、伸張方向に2.1cN/dtex荷重時の伸び率を1.5〜7.0%、伸張方向に3.2cN/dtex荷重時の伸び率を2.2〜9.3%にしたので、目標の径成長の抑制を容易に達成することができた。これにより、異物の刺さり込みに対する性能を確保し、かつ主ベルト層26によるタガ効果を最適にできた。
なお、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの伸び率が上記範囲を上回る場合、タイヤ内圧充填時においてタイヤ径方向の膨出を効果的に抑えられず、異物の刺さり込みに対する性能を期待できななくる。
一方、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの伸び率が上記範囲を下回る場合、各ベルトプライのタガ効果が大き過ぎるため、カーカス層16が必要以上にタイヤ幅方向に膨出する結果となり好ましくない。
さらに、本実施形態では、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの0.3cN/dtex荷重時の伸び率を0.2〜2.0%にしたので、加硫時に生タイヤ内部より負荷される圧力によって空気入りラジアルタイヤ10を均等に伸張せしめることができ、これによって有機繊維コードの方向を揃え、コード打込みのばらつきを是正することができた。
なお、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの0.3cN/dtex荷重時の伸び率が2.0%より大きいと、加硫時のコード性状是正の効果が薄くなり好ましくない。
一方、主ベルト層26の第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26Hを構成する有機繊維コードの伸び率が0.2%より小さい場合には、加硫時のタイヤ膨張の際にコード張力が大となり、該有機繊維コードがタイヤ径方向内側のゴムに食い込むなどの不都合が生じるため好ましくない。
本実施形態では、主ベルト層26のタイヤ幅方向端部において、第7ベルトプライ26Gと第8ベルトプライ26Hとの2枚のベルトプライが積層され、更に第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kが積層されているので、タイヤ走行時、特に、タイヤ幅方向に外力が作用する場合のように、タイヤ接地面幅方向両端付近の有機繊維コードに激しい張力変動を伴うような条件下においても、その弾力性を持って衝撃を効果的に分散することが可能となり、苛酷な使用条件下における空気入りラジアルタイヤ10の信頼性が向上した。
主ベルト層26を構成する第1ベルトプライ26A〜第8ベルトプライ26H、第10ベルトプライ26J、及び第11ベルトプライ26Kの有機繊維コードを芳香族ポリアミド系の繊維から構成し、下撚り係数を0.12〜0.85の範囲内、上撚り係数を0.40〜0.80の範囲内としたので、有機繊維コードの引張破断強度を6.3cN/dtex以上、0.3cN/dtex荷重時の伸び率を0.2〜2.0%、伸張方向に2.1cN/dtex荷重時の伸び率を1.5〜7.0%、伸張方向に3.2cN/dtex荷重時の伸び率を2.2〜9.3%に設定することができた。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、比較例のタイヤ4種、及び本発明の適用された実施例のタイヤ2種を用意し、耐摩耗性、耐偏摩耗性、及び高速耐久性の比較を行なった。
タイヤサイズは、何れも1270×455R22 32PRである。
・耐摩耗性:摩耗特性試験機において、タイヤ/路面の接触面にて両社間の接触圧力、及び相対滑りを測定。摩耗仕事量(=接触圧×滑り量)を踏面全体に渡って積分した値を元に、耐摩耗性の指数を算出したもの(比較例1を100とする。数値大ほど性能良。)。
・耐偏摩耗性:上記耐摩耗性評価において、トレッド幅の70〜100%位置にわたって摩耗仕事量を積分した値を元にショルダー部偏摩耗性の指数を算出したもの(比較例1を100とする。数値大ほど性能良。)。
・高速耐久性:TRAの規定内圧、規定荷重条件にて公的規格に定める離陸試験を実施。タイヤ故障発生するまでの試験回数を指数化したもの(比較例1を100とする。数値大ほど性能良。)。
実施例1のタイヤ:実施形態で説明した構造の空気入りラジアルタイヤ。諸元は表1参照。
実施例2のタイヤ:実施形態で説明した構造の空気入りラジアルタイヤ。諸元は表1参照。
比較例1〜4のタイヤ:諸元は表1、2参照。
Figure 0004627664
Figure 0004627664
*1 ベルト材質/構造
Ny/EB:ナイロン/無端ジグザグベルト巻(打ち込み6.9本/10mm、コード角 度10°、図5参照。)
Ny/KB:ナイロン/切り離しベルト(打ち込み8.3本/10mm、コード角度16 °)
Ny/SB:ケブラー(デュポン社商標名)/螺旋ベルト巻(打ち込み6.2本/10m m、コード角度0°。図4参照。)
Hy/SB:ケブラーとナイロンの混撚り糸/螺旋ベルト巻(打ち込み6.2本/10m m、コード角度0°。)
*2 ベルト剛性比
周方向弾性率は以下の方法にて算出
弾性率=(各コードの0〜R%伸びの弾性率)×(10mm当たりコード打ち込み数)
×cos(周方向に対する角度)。
(試験結果)
比較例2は、比較例1に対して高速耐久性が向上しているが、実際の走行においてタイヤ接地端付近の摩耗が促進され、図15(B)(点線は新品時、実線が使用後を示す。)に示す様な、いわゆるショルダー肩落ち摩耗になる。このような状態となると、トレッドセンター部が完全に摩耗するより以前にショルダー部分のトレッドゴムが摩滅してしまい、経済性が損なわれることになる。
一方、実施例のタイヤは、高速耐久性が向上し、また、図15(A)に示すように、トレッド幅全体にわたって均一に摩耗し、良好な摩耗特性が得られることが分かった。
また、比較例3,4のタイヤは、トレッドゲージ比t84/t0が1.05を超えている関係でショルダー側の発熱が大きく、高速耐久性が悪化した。
なお、実際の供試タイヤにおけるL84/L73とd73/d84との関係を図16に示すようにプロットしたところ、両者の間には高い相関関係があることが分かり、0.69<d73/d84<0.78の範囲にタイヤ形状を設定することで、前述した0.95<L84/L73<1.03の条件を容易に満たすことが可能となることが分かる。
本発明の一実施形態に係る空気入りラジアルタイヤの断面図である。 (A)は図1に示す空気入りラジアルタイヤの分解斜視図であり、(B)は保護層のコードの平面図である。 図1に示す空気入りラジアルタイヤのトレッドの拡大断面図である。 スパイラルベルトの平面図である。 無端ジグザグ巻きベルトの平面図である。 トレッドの輪郭を示す断面図である。 従来例1の空気入りラジアルタイヤの断面図である。 図7に示す従来例1の空気入りラジアルタイヤの分解斜視図である。 比較例1の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 比較例2の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 実施例1の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 実施例2の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 比較例3の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 比較例4の空気入りラジアルタイヤのフットプリントである。 (A)は実施形態の空気入りラジアルタイヤのトレッドの摩耗状態を示すトレッドの断面図であり、(B)は比較例2のトレッドの摩耗状態を示すトレッドの断面図である。 84/L73とd73/d84との関係を示すグラフである。 弾性率の計算方法を説明するグラフである。
符号の説明
10 空気入りラジアルタイヤ
14 ビードコア
16 カーカス層
26 主ベルト層

Claims (1)

  1. 一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアに向けてトロイド状に延びる少なくとも1枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、
    前記カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されタイヤ周方向に延びる複数本の有機繊維コードを含む主ベルト層と、を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
    タイヤをリム組みし、TRAに定める規定内圧を充填した後に規定荷重を負荷した際の接地プリントの幅をTW、前記主ベルト層の幅をBWとしたときに、0.8TW<BW<1.2TWを満足し、
    前記主ベルト層の枚数がクラウンセンター部P0からショルダー部にかけて漸減し、かつ前記主ベルト層のクラウンセンター部P0における周方向剛性をM0、前記主ベルト層の幅の2/3位置P2における周方向剛性をM2、ベルト剛性比をM2/M0としたときに、0.2<M2/M0<0.8を満足し、
    前記主ベルト層の幅の95%位置P3における前記主ベルト層の周方向剛性をM3としたときに、M3/M2>1.1満足し、
    前記規定内圧を充填後に内圧を大気圧以上前記規定内圧の5%以下の範囲内に低下させたときのタイヤ赤道面でのタイヤ径をD0、踏面における前記接地プリントの幅TWの84%に相当する位置を84%TW、タイヤ赤道面における踏面から前記位置84%TWにおける踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd84、7.5×2d84/D0+0.33×M2/M0を接地制御指数Fとしたときに、0.2<F<0.45を満足し、
    前記接地プリントの幅TWの73%位置をD73、タイヤ赤道面における踏面から前記位置D73における踏面までのタイヤ径方向に測定したタイヤ径落ち高をd73としたときに、0.69<d73/d84<0.78を満足し、
    前記タイヤ接地プリントにおいて、クラウンセンター部P0に対応する部分の接地長さをL0、接地幅の84%位置に対応する部分の接地長さをL 84 、前記接地プリントの幅TWの73%位置に対応する部分の接地長さをL 73 としたときに、0.85<L 84 /L0<1.1を満足すると共に、0.95<L 84 /L 73 <1.03を満足し、
    前記クラウンセンター部P0での前記主ベルト層上のトレッドゲージをt 0 、前記接地プリントの幅TWの84%位置に対応する部分P 84 での前記主ベルト層上でのトレッドゲージをt 84 としたときに、0.85<t 84 /t 0 <1.05を満足する、ことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
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