ペプチドの定量方法
技術分野
[0001] 本発明は、ペプチドの非競合的な検出および定量方法に関する。
背景技術
[0002] 従来の免疫測定法を改良し、簡便かつ迅速な測定方法として、単一のモノクローナ ル抗体の重鎖可変領域 (本発明ではこれを VH領域と呼ぶ)、軽鎖可変領域 (本発明 ではこれを VL領域と呼ぶ)をそれぞれ別のポリペプチド (本発明ではこれらをそれぞ れ VHポリペプチド、 VLポリペプチドと呼ぶ)として発現し、両分子を利用したオーブ ンサンドイッチ法が考案されている。オープンサンドイッチ法としては、 -ヮトリ卵白リ ゾチーム(以下、 HELと省略する)に対するモノクローナル抗体 HyHEL— 10由来の VHポリペプチド、 VLポリペプチドを利用した 2種の測定方法が開示されている。 1つ は、 VLポリペプチドを固相へ固定ィ匕し、 VHポリペプチドを酵素または蛍光物質など で標識し、サンドイッチ法によって抗原を捕捉、定量する方法であり、他の 1種類は、 VHポリペプチド、 VLポリペプチドを蛍光波長と励起波長の異なる 2種の蛍光物質で 標識し、抗原補足によって起きる蛍光共鳴エネルギー移動を検出、定量する方法で ある(特開平 10— 78436号公報参照)。 2種類の測定方法のうち、前者はオープン サンドイッチ ELISA (Enzyme— linked immunosorbent assay)法と呼ばれている。ォー プンサンドイッチ ELISA法は抗体と抗原の反応が 1回で済むので測定操作が従来 法に比べて簡便かつ迅速となるメリットを有する(「ジャーナル ·ォブ ·ィムノロジカル · メソッズ(Journal of immunological methods)」、(オランダ)、 1999年、第 224卷、 p. 1 71— 184参照)。また、後者はホモジ-ァスオープンサンドイッチ法と呼ばれている。 ホモジ-ァスオープンサンドイッチ法は、 BZF分離 (抗原と結合した抗体と、同一液 相中の抗原に結合して!/、な!、抗体とを分離すること)を行わな 、ため、洗浄操作が不 要となり、測定時間が短縮される、自動測定装置の簡素化などのメリットを有する(「ァ ナリティカル 'ケミストリー(Analytical Chemistry)」、(米国)、 2002年、第 74卷、第 11 号、 p. 2500— 2504参照)。
[0003] 上記のようにオープンサンドイッチ法は従来の免疫測定法と比べて優れた測定方 法である力 ペプチド性分子に対する測定例は、 HyHEL— 10のみしか知られてい ない。すなわち、 HEL以外のペプチド性分子の抗原をオープンサンドイッチ法で測 定できることを示す測定例はなぐ実際に測定できるかどうかは不明であった。
[0004] HyHEL- 10と HELとの複合体の X線結晶構造解析の結果から、 HyHEL— 10と HELの特異的結合に関与する HEL内のアミノ酸は、 15番目のヒスチジン、 16番目 のグリシン、 19番目のァスパラギン、 20番目のチロシン、 21番目のアルギニン、 63番 目の卜ジプ卜ファン、 73番目のアルギニン、 75番目のロイシン、 89番目のスレオ-ン、 93#目のァスノ ラギン、 96#目の!;ジン、 97#目の!;ジン、 100#目のセジン、 101 番目のァスパラギン酸、 102番目のグリシン、 103番目のァスパラギンであると報告さ れている(「ジャーナル'ォブ 'バイオロジカル 'ケミストリー(Journal of Biological Chem istry)」、(米国)、 1999年、第 274卷、第 39号、 p. 27623— 27631参照)。このこと から、 HyHEL— 10は HELの連続するアミノ酸配列をェピトープとするのではなぐ HELの 3次構造を認識しているといえる。したがって、ある抗原ペプチドの連続する アミノ酸の配列をェピトープとするモノクローナル抗体由来の VHポリペプチド、 VLポ リペプチドを利用したオープンサンドイッチ法で前記抗原ペプチドを測定できることを 示す測定例はなぐ実際に測定できるかどうかは不明であった。
[0005] 低分子化合物のように分子量的に抗原を 2つの抗体で同時にサンドイッチできない 場合には、通常のサンドイッチ ELISA法での測定はできないため、競合阻害法によ る測定が行われて 、たが、オープンサンドイッチ法は 1種類の抗体の VHポリべプチ ドと VLポリペプチドで同時にサンドイッチできるため、非競合的に測定することが可 能である。低分子化合物 4 ヒドロキシ 3— -トロフエ-ル酢酸に対してオープンサ ンドイッチ ELISA法による測定が可能で、し力も競合法よりも感度がよ!、ことが報告さ れている (「ジャーナノレ 'ォブ'ィムノロジカノレ'メソッズ (Journal of immunological meth ods)」、(オランダ)、 1999年、第 224卷、 p. 171— 184参照)。
[0006] ペプチドに対するモノクローナル抗体を製造しょうとするとき、ペプチドェピトープは 最低 6から 10数個のアミノ酸残基が必要であると一般に知られて 、る。異なるェピト ープを認識する 2種類以上の抗体を作製するのに、最低必要なペプチドの長さとし
ては 20個以上のァミノ残基が必要であると考えられる。したがって、アミノ残基数が 1 9個以下のペプチドの測定も通常は競合法で行われて 、た。オープンサンドイッチ法 力 このようなアミノ残基数が 19個以下のペプチドの測定に用いることができるかどう かは、測定例がなく不明であった。
[0007] 他方、ォステオカルシンは、ボーン'グラ'プロテイン(bone Gla protein, BGP)また はビタミン K依存性カルシウム結合蛋白質とも称され、骨芽細胞によって生合成され る 49〜50個のアミノ酸力もなる非コラ一ゲン性蛋白質 (分子量約 6, 000 ;ヒトおよび ゥシは 49個、ラットは 50個のアミノ酸力もそれぞれ構成される)であり、骨の蛋白質中 に 1〜2%程度存在する。ォステオカルシンの分子中には、 3つの γ カルボキシグ ルタミン酸残基 (Gla残基; Ν末端力も数えて 17位、 21位および 24位に存在する)と 1 つの S— S結合が存在し、この 3つの Gla残基がハイドロキシアパタイトとの結合に重 要な役割を演じているものと考えられている。ォステオカルシンは、骨形成の指標と なるマーカーペプチドであり、骨粗鬆症や癌の骨転移等の診断にも用いられる。
[0008] 検体中のォステオカルシンを測定する方法としては、ヒトォステオカルシンの C末端 部(37位〜 49位)に対する抗体を用いる方法(「ボーン (Bone)」、(米国)、 1985年、 第 6卷、第 1号、 p. 9— 13参照)、ゥシとヒトのォステオカルシンの共通アミノ酸配列を 利用し、 2種類の抗ゥシォステオカルシンモノクロ ナル抗体を用 、たサンドイッチ E LISA法 (特許 2613067号明細書参照)などが報告されている。しかし、ヒトォステオ カルシンのオープンサンドイッチ法はこれまで報告されて 、な 、。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の目的は、ペプチドの非競合的な検出または定量方法、および該方法に使 用する VHポリペプチドまたは VLポリペプチドを提供することにある。
課題を解決するための手段
[0010] すなわち本発明は、(1)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドの アミノ酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域 を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド (VHポリペプチド)と、前記モノク ローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まな 、ポリペプチド(
VLポリペプチド)を用いることを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出ま たは定量方法や、(2) VHポリペプチドまたは VLポリペプチドのいずれか一方を固相 に固定ィ匕して固定ィ匕ポリペプチドとし、他方を標識物質で標識して標識化ポリべプチ ドとし、測定すべきペプチドを含有する検体および標識化ポリペプチドを固定化ポリ ペプチドと接触させ、固定化ポリペプチド、測定すべきペプチドおよび標識化ポリべ プチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識物質を検出ま たは定量することを特徴とする上記(1)に記載の方法や、(3) VHポリペプチドまたは VLポリペプチドの 、ずれか一方を標識物質で標識して標識ィ匕ポリペプチドとし、他 方のポリペプチドおよび標識ィ匕ポリペプチドを、固相の存在下で測定すべきペプチド を含有する検体に接触させ、固相、他方のポリペプチド、測定すべきペプチドおよび 標識化ポリペプチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識 物質を検出または定量することを特徴とする上記(1)に記載の方法や、(4)標識物質 が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはピオチンである上記(2)または(3)に記載 の方法や、(5) VHポリペプチドまたは VLポリペプチド力 VHポリペプチドおよび VL ポリペプチドと免疫学的に区別されるペプチド (タグペプチド)が付加したポリべプチ ドであって、 VHポリペプチドまたは VLポリペプチドの固相への固定化力 VHポリべ プチドまたは VLペプチドに付加した該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結 合する固相に固定ィ匕した抗体との結合を介した固定ィ匕である上記(2)〜 (4)のいず れカ 1項に記載の方法や、(6)固相に固定ィ匕する VHポリペプチドまたは VLポリぺプ チドが、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである上記(2)に記載の方法 や、(7) VHポリペプチドを標識物質 1で標識して標識化 VHポリペプチドとし、 VLポ リペプチドを異なる標識物質 2で標識して標識化 VLポリペプチドとし、測定すべきぺ プチドを含有する検体を標識化 VHポリペプチドおよび標識化 VLポリペプチドへ接 触させ、標識物質 1と標識物質 2の相互作用の変化量を検出することを特徴とする上 記(1)に記載の方法や、(8) VHポリペプチドおよび VLポリペプチドが遺伝子組換え 産物である上記(1)〜(7)の 、ずれか 1項に記載の方法や、 (9)測定すべきペプチド に特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をェピトープとす るモノクローナル抗体力 該ペプチドのアミノ酸配列の連続する 6以上 19以下のアミ
ノ酸の配列力 なるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクロ ーナル抗体である、上記 (1)〜(8)のいずれか 1項に記載の方法 y、(10)モノクロ一 ナル抗体力 配列番号 3のアミノ酸配列の連続する 6以上 19以下のアミノ酸の配列 力もなるペプチドに特異的に結合する抗体である、上記(1)〜(9)のいずれか 1項に 記載の方法や、(11)モノクローナル抗体力 配列番号 1または 2のアミノ酸配列から なるペプチドに特異的に結合する抗体である上記 (1)〜(9)のいずれか 1項に記載の 方法に関する。
また本発明は、(12)測定すべきペプチドが、ヒトォステオカルシンである上記(1) 〜(9)のいずれか 1項に記載の方法や、(13)測定すべきペプチド力 配列番号 1ま たは 2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシンであって、モノクロ一 ナル抗体力 配列番号 1または 2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を 免疫することにより得られるモノクローナル抗体である上記(1)〜(9)の 、ずれか 1項 に記載の方法や、(14)測定すべきペプチドが、配列番号 1のアミノ酸配列を含むぺ プチドまたはヒトォステオカルシンであって、モノクローナル抗体力 以下の [1]〜[3] の!ヽずれかのモノクローナル抗体である上記(1)〜(9)の!、ずれ力 1項に記載の方 法
[1]重鎖可変領域の相補性決定領域 (CDR) 1、 2および 3が、それぞれ配列番号 8、 9および 10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[2]軽鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 11、 12および 13のアミ ノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[3]重鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 8、 9および 10のァミノ 酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 11、 12および 13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
や、(15)モノクローナル抗体力 以下の [1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体 である上記(14)に記載の方法
[1]配列番号 5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[2]配列番号 7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[3]配列番号 5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号 7のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
や、(16)測定すべきペプチド力 配列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒ トォステオカルシンであって、 VHポリペプチドが、配列番号 5のアミノ酸配列を含む ポリペプチドである上記(1)〜(9)の 、ずれか 1項に記載の方法や、 (17)測定すベ きペプチドが、配列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシン であって、 VLポリペプチドが、配列番号 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上 記(1)〜(9)のいずれか 1項に記載の方法や、(18)測定すべきペプチド力 配列番 号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシンであって、 VHポリぺプ チドが、配列番号 5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつ VLポリペプチドが 、配列番号 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(1)〜(9)の 、ずれか 1項 に記載の方法や、(19)配列番号 5または 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドや、(2 0)配列番号 5または 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする DNAや、(21) 配列番号 4または 6の塩基配列を含む上記(20)に記載の DNAや、 (22)上記(20) または (21)に記載の DNAをベクターに挿入して得られる組換えベクターや、(23)上 記(22)に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換体や、 (2 4)上記(23)に記載の形質転換体を培養液中に培養して、配列番号 5または 7のアミ ノ酸配列を含むポリペプチドを生成 ·蓄積させ、培養液力 該ポリペプチドを採取す ることを特徴とする、ポリペプチドの製造方法に関する。
さらに本発明は、(25)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドの アミノ酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域 を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド (VHポリペプチド)と、該モノクロ ーナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まな 、ポリペプチド (V Lポリペプチド)とを含有することを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出 または定量用の試薬や、(26) VHポリペプチドまたは VLポリペプチドのいずれか一 方が、標識物質で標識された標識ィ匕ポリペプチドであり、他方が固相に固定化され た固定化ポリペプチドである上記(25)に記載の試薬や、 (27)固定化ポリペプチドが タグペプチドを付加したポリペプチドであって、固定化ポリペプチドの固相への固相 ィ匕が、該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定ィ匕した抗体と
の結合を介した固定ィ匕である上記(26)に記載の試薬や、 (28)固定化ポリペプチド が、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである上記(26)に記載の試薬や 、(29) VHポリペプチドまたは VLポリペプチドのいずれか一方力 標識物質で標識 された標識化ポリペプチドであり、他方がタグペプチドを付加したポリペプチドであり、 さらに該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定ィ匕した抗体を含有する上記(2 6)に記載の試薬や、(30)標識物質が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはピオ チンである上記(26)〜(29)の!、ずれか 1項に記載の試薬や、(31) VHポリペプチド が標識物質 1で標識された標識化 VHポリペプチドであり、 VLポリペプチドが異なる 標識物質 2で標識された標識化 VLポリペプチドであることを特徴とする上記 (25)に 記載の試薬や、 (32) VHポリペプチドおよび VLポリペプチドが遺伝子組換え産物で ある上記(25)〜(31)の 、ずれか 1項に記載の試薬や、 (33)測定すべきペプチドに 特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をェピトープとする モノクローナル抗体力 S、該ペプチドのアミノ酸配列の連続する 6以上 19以下のァミノ 酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナ ル抗体である、上記(25)〜(32)のいずれ力 1項に記載の試薬や、(34)モノクロ一 ナル抗体力 配列番号 3のアミノ酸配列の連続する 6以上 19以下のアミノ酸の配列 力もなるペプチドに特異的に結合する抗体である、上記(25)〜(33)の 、ずれか 1項 に記載の試薬や、(35)モノクローナル抗体力 配列番号 1または 2のアミノ酸配列か らなるペプチドに特異的に結合する抗体である上記(25)〜(33)の 、ずれか 1項に 記載の試薬や、(36)測定すべきペプチド力 ヒトォステオカルシンである上記(25) 〜(33)のいずれか 1項に記載の試薬や、(37)測定すべきペプチド力 配列番号 1 または 2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシンであって、モノクロ ーナル抗体力 S、配列番号 1または 2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物 を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である上記(25)〜(33)の 、ずれ か 1項に記載の試薬や、(38)測定すべきペプチド力 配列番号 1のアミノ酸配列を 含むペプチドまたはヒトォステオカルシンであって、モノクローナル抗体力 以下の [1 ]〜[3]の!、ずれかのモノクローナル抗体である上記(25)〜(33)の!、ずれか 1項に 記載の試薬
[1]重鎖可変領域の相補性決定領域 (CDR) 1、 2および 3が、それぞれ配列番号 8、 9および 10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[2]軽鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 11、 12および 13のアミ ノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[3]重鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 8、 9および 10のァミノ 酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域の CDR1、 2および 3が、それぞれ配列番号 11、 12および 13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
や、(39)モノクローナル抗体力 以下の [1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体 である上記(38)に記載の試薬
[1]配列番号 5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[2]配列番号 7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[3]配列番号 5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号 7のアミノ酸配列 を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
や、(40)測定すべきペプチド力 配列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒ トォステオカルシンであって、 VHポリペプチドが、配列番号 5のアミノ酸配列を含む ポリペプチドである上記(25)〜(33)の 、ずれか 1項に記載の試薬や、(41)測定す べきペプチドが、配列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシ ンであって、 VLポリペプチドが、配列番号 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである 上記(25)〜(33)のいずれか 1項に記載の試薬や、(42)測定すべきペプチド力 配 列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトォステオカルシンであって、 VHポリ ペプチドが、配列番号 5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつ VLポリべプチ ドカ 配列番号 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(25)〜(33)の!ヽず れカ 1項に記載の試薬に関する。
図面の簡単な説明
[図 1]組換え spFvファージミドベクター pKST2ZKTM219のプロモーターの下流の 構造を示す。
[図 2]KTM— 219由来の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを提示したファージ を用いた ELISAによるォステオカルシンの検量線である。
[図 3]KTM— 219由来の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを用いたオープン サンドイッチ ELISAによるォステオカルシンの検量線である。
[図 4]KTM— 219由来の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを用いたオープン サンドイッチ ELISAによる OC— 1ペプチドの検量線である。
[図 5]KTM— 219を用 、た競合阻害 ELISAによる OC - 1ペプチドの検量線である
[図 6]固定ィ匕した KTM— 219および標識ィ匕した KTM— 223を用いたサンドイッチ E LISAによるォステオカルシンの検量線である。
[図 7]結合性した KTM— 223および標識ィ匕した KTM— 219を用いたサンドイッチ E LISAによるォステオカルシンの検量線である。
[図 8]VH—AP融合蛋白質発現プラスミド pET—VH219—APのプロモーターの下 流の構造を示す。
[図 9]MBP— VL融合蛋白質発現プラスミド pMAL— VL219のプロモーターの下流 の構造を示す。
[図 10]KTM— 219の VH— AP融合蛋白質および MBP— VL融合蛋白質を用 、た オープンサンドイッチ ELISAによるォステオカルシン(國)および OC— 1ペプチド(參 )の検量線である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量方法としては、測定す べきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列を ェピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を 含まないポリペプチド (VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領 域を含んでかつ重鎖可変領域を含まな 、ポリペプチド (VLポリペプチド)を用いる方 法であれば特に制限されるものではなぐまた、本発明の測定すべきペプチドの非競 合的な検出または定量用のキットとしては、測定すべきペプチドに特異的に結合し、 かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗 体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まな 、ポリペプチド (VHポリぺプ チド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含
まな 、ポリペプチド (VLポリペプチド)を有するキットであれば特に制限されるもので はなぐ本発明において「ペプチド」とは、 2以上のアミノ酸がペプチド結合で連結した 物質を意味し、力かるペプチドには数十個以上のアミノ酸がペプチド結合で連結した ポリペプチドも含まれる。以下、上記モノクローナル抗体の作製、 VHポリペプチドお よび VLポリペプチドの調製、ペプチドの検出または定量方法や検出または定量用の 試薬について順次説明する。
[0015] 1.測定すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクロ一 ナル抗体の作製
本発明のペプチドの非競合的な検出または定量方法を完成させるためには、測定 すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗 体を作製することが必要である。ェピトープとなる連続する配列は、好ましくは 6以上 1 9以下のアミノ酸の配列である。
本発明に用いる測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸 配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗体は、例えば以下のように してハイプリドーマより産生される抗体として作製することができる。
[0016] (1)免疫原の調製
本発明に用いる測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸 配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗体は、例えば、測定すべき ペプチドを直接免疫原として用いて調製することができるが、測定対象とすべきぺプ チドの部分配列、好ましくは測定すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する 5以上 30 以下、より好ましくは 5以上 20以下、特に好ましくは 6以上 19以下のアミノ酸の配列を 含むペプチドを免疫原として調製される。また、測定すべきペプチドのアミノ酸配列の N末端または C末端の領域の、連続する 6以上、好ましくは 6以上 19以下の配列を含 むペプチドを免疫原とすることにより、調製されたモノクローナル抗体力 測定すべき ペプチドと特異的に結合する可能性を高くすることができる。
[0017] 免疫原となるペプチドの製造法としては、化学合成法、酵素法、遺伝子組換え法など 力 Sあげられる (例えば、「ペプチドと蛋白工学、藤野政彦編、講談社サイェンティフイツ ク」参照)が、化学合成法が好適に用いられる。ペプチドの化学合成法は、官能基の
保護されたアミノ酸を順次反応させてペプチドを合成する方法であるが、一般に液相 合成法と固相合成法とが知られている。特に固相合成法では自動ペプチド合成機に よる合成が可能である。酵素法は、蛋白質分解酵素の逆反応を利用してペプチド結 合形成を行わせる方法である。酵素法はペプチドの末端の数個のアミノ酸を変更し た 、ときに有効な方法である。
[0018] 遺伝子組換え法では、免疫原となるペプチドをコードする cDNAを含む発現べクタ 一を大腸菌(Escherichia coli、以下 E.colと表記する)、酵母、昆虫細胞、動物細胞な どに導入してリコンビナントペプチドを得る方法があげられる。免疫原となるペプチド をコードする cDNAを得る方法としては、該ペプチドをコードする塩基配列を含むプ ライマーを用いて PCRを行うなどの方法があげられる。
[0019] また、ヒトォステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号 3)の連続する 6〜 19アミノ酸 の配列(以下、 OCェピトープ配列とよぶ)、例えば配列番号 1または 2のアミノ酸配列 力もなるペプチドを免疫原とした場合、ォステオカルシンおよび免疫原としたペプチド の OCェピトープ配列を含むペプチドに特異的に結合し、免疫原としたペプチドの O Cェピトープ配列をェピトープとするモノクローナル抗体を得ることができる。このモノ クローナル抗体の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを利用して、本発明の方法 による、ォステオカルシンおよび免疫原としたペプチドの OCェピトープ配列を含むぺ プチドの非競合的な検出または定量を行うことができる。
[0020] 免疫原となるペプチド自体を動物に免疫する方法も可能であるが、該ペプチドをキ ャリア蛋白質とコンジュゲートしたものを免疫原として利用するのがより好ましい態様 である。キャリア蛋白質としては、例えばゥシ血清アルブミン(以下、 BSAと略す)ゃキ 一ホール'リンペット'へモシァニン(以下、 KLHと略す)などが用いられる。
[0021] ペプチドとキャリア蛋白質とのコンジュゲートの方法は、それぞれの官能基の間で、 リンカ一を介してまたは介さず共有結合を生じる反応によって行うことが可能である。 官能基としては、例えばカルボキシル基ゃァミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸 基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシサクシニルエステル基、マレイミド基などがあげられ るが、この官能基同士の間で縮合反応を行わすことが可能である。
[0022] リンカ一を介さない結合方法としては、例えば 1ーェチルー 3—(3—ジメチルァミノ
プロピル)カルポジイミド塩酸塩(以下、 EDCと略す)などのカルポジイミド化合物を使 う方法があげられる。反応を増強する物質として N—ヒドロキシサクシイミド (以下、 N HSと略す)またはその誘導体を使用することも可能である。
[0023] リンカ一としては、例えば、キャリア蛋白質とペプチドの側鎖の官能基をお互いに結 び付け合う分子であればどのようなものでもよい。好ましいリンカ一としては、例えば、 キャリア蛋白質のアミノ酸残基と反応することができる第 1の反応活性基と、ペプチド の側鎖の官能基と反応することができる第 2の反応活性基とを同時に持つ分子であり 、第 1の反応活性基と第 2の反応活性基が異なる基であることが好ましい。反応活性 基としては例えば、ァリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィ ン、イミドエステル、イソシァネート、マレイミド、 NHS—エステル、ペンタフルオロフェ -ル(PFP)—エステル、ソラレン、ピリジルジスルフイド、ビュルスルフォンなどの各反 応基が挙げられる。
[0024] キャリア蛋白質とのコンジュゲートを効率よく行わせるために、ペプチドの N末端ま たは C末端の 、ずれか一方にシスティンを有するペプチドを使用することも好ま ヽ 。末端にシスティンを有するペプチドの合成方法は、上記の化学合成法、酵素法、 遺伝子組換え法などを利用することが可能である。
[0025] この様にして得られたペプチドおよびペプチドのコンジュゲート蛋白質は、以下の 抗体産生細胞を作製する際の免疫原として使用されるが、また、抗体産生細胞のス クリーニング、抗体産生細胞が産生するモノクローナル抗体の確認、あるいは測定す べきペプチドの検出方法または定量方法において、標準物質として使用することもで きる。
[0026] (2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
動物、例えば 3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターに上記(1)に記載の方法 で調製した免疫原を投与し免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産 生細胞を採取する。
[0027] 免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバントととも に免疫原を投与することにより行う。アジュバントとしては、例えば、フロイントの完全 アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、水酸化アルミニウムゲル、百日咳菌ヮ
クチンなどがあげられる。
[0028] 免疫原の投与は、例えば 1回目の投与の後 1〜2週間おきに 5〜10回行う。各投与 後、例えば 3〜7日目に眼底静脈叢より採血して血清を調製し、その血清に含まれる 抗原ペプチドに特異的に結合する抗体の量を以下の(3)に示す酵素免疫測定法な どで調べる。免疫に用いた免疫原に対しその血清が十分な抗体価を示したマウス、 ラットまたはハムスターを、抗体産生細胞の供給源とする。
[0029] 免疫原の最終投与後例えば 3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスター より脾臓などを摘出し、脾細胞を採取する。脾臓を培地、例えば MEM (minimum ess ential medium)あるいは RPMI— 1640などの培地中で細断し、ピンセットでほぐし、 遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨て、緩衝液、例えばトリス一塩ィ匕アンモ- ゥム緩衝液 (pH7. 65)または市販の赤血球溶解緩衝液などで 1〜2分間処理し赤 血球を除去し、上記培地で洗浄して抗体産生細胞として提供する。
[0030] (3)酵素免疫測定法
免疫原となるペプチドとキャリア蛋白質のコンジュゲート蛋白質の 1〜50 gZmL の濃度の溶液を 96ゥエルの EIA用プレートに 50〜100 μ LZゥエルずつ分注し、 4 °Cで一晩ないしは室温で 30分以上放置してプレートにコートする。次いで、 1%BSA を含む PBS溶液(以下、 BSA— PBSと記す)などを 100〜200 μ L/ゥエルずつ分 注し、室温 1〜2時間または、 4°Cで一晩以上放置して、プレート上に残った蛋白質と の結合残基をブロッキングする。その後、 BSA— PBSを捨て、 PBSでよく洗浄した後 、第一抗体として被免疫動物血清、抗ペプチドモノクローナル抗体のノ、イブリドーマ 培養上清もしくは精製抗体 1〜10 g/mLを 50〜: LOO /z L/ゥエルに分注し、 4°C で一晩ないしは室温で 30分以上放置する。 PBSまたはツイーン (Tween) 20などの 界面活性剤を含む PBS (以下、 Tween— PBSと記す)で、よく洗浄した後、第二抗体 としてペルォキシダーゼやアルカリフォスファターゼ等の酵素で標識した抗ィムノグロ ブリン抗体 1〜50 μ gZmLを 50〜: LOO μ LZゥエルずつ分注し、室温で 1〜2時間 または、 4°Cで一晩以上放置する。 Tween— PBSでよく洗浄した後、第二抗体の標 識酵素により発色する基質を加えて反応を行ない、プレートリーダーにより吸光度を 測定して発色量を測定し、抗体量の指標とする。
[0031] (4)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。例えば、 8—ァザグ ァニン耐性マウス(BALBZc由来)骨髄腫細胞株 P3— X63— Ag8— Ul (Curr. To p. Microbiol. Immunol, 81, 1-7, 1978)、 NSlZl—Ag4—l (Eur. J. Immunol, 6, 5 11-519, 1976)、 SP2/0— Agl4 (Nature, 276, 269-270, 1978)、 P3— X63— Ag8 . 653 (j.Immunol., 123, 1548—1550, 1979)、 P3—X63— Ag8 (Nature, 256, 495-49 7, 1975)などが用いられる。これらの細胞株は、 8 ァザグァニン培地〔正常培地 (R PMI— 1640培地に 1. 5mmol/Lグルタミン、 50 mol/L2—メルカプトエタノー ル、 10 μ gZmLゲンタマイシンおよびゥシ胎児血清(FCS)をカ卩えた培地)に、 15 gZmL8—ァザグァニンをカ卩えた培地〕などで継代する力 細胞融合の数日前に正 常培地に継代し、融合当日 7 X 106個以上の細胞数を確保するのが好ましい。
[0032] (5)細胞融合とハイプリドーマの選択
上記(2)で免疫した抗体産生細胞と上記 (4)で得られた骨髄腫細胞を、 PBS (phos phate buffered saline, 1. 83gZLリン酸ニナトリウム、 0. 21g/Lリン酸一カリウム、 7 . 65gZL塩ィ匕ナトリウム、 pH7. 2)などでよく洗浄し、細胞数力 抗体産生細胞:骨 髄腫細胞 = 5〜10 : 1になるよう混合し、遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨 て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、 37°Cで、ポリエチレングリコール 1000 (以下、 PEG— 1000と略す)、 MEMまたは RPMI— 1640培地、およびジメ チルスルホキシドの混液を 108個の抗体産生細胞当たり 0. 2〜lmLを加え、 MEM または RPMI— 1640培地を徐々に数回に分けて全量がおよそ 50mLになるように滴 下する。遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後 、 HAT培地(正常培地に 100 μ mmolZLヒポキサンチン、 15 molZLチミジンお よび 0. 4 /z molZLアミノプテリンをカ卩えた培地)およそ lOOmL中に、メスピペットによ る吐出吸引でゆるやかに細胞を懸濁する。この懸濁液を 96ゥエル培養用プレートに およそ 100 LZゥエルずつ分注し、 5%COインキュベータ一中、 37°Cで 7〜14日
2
間程度培養する。
[0033] 培養後、培養上清の一部をとり、前述 (3)の酵素免疫測定法または後述 (6)の競 合阻害法などにより、抗原ペプチドに特異的に結合する抗体が含まれる培養上清を
スクリーニングする。ついで、選択された培養上清に対応するハイブリドーマを、限界 希釈法によりクローユングを 2〜3回繰り返し〔1回目は、 HT培地 (HAT培地力もアミ ノプテリンを除いた培地)、 2回目以降は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体 価の認められたものを抗ペプチドモノクローナル抗体産生ノ、イブリドーマ株として選 択する。
[0034] (6)競合阻害法
上記(3)の酵素免疫測定法において、第 1抗体を 25〜50 /z LZゥエルで分注する 前あるいは同時に、抗原ペプチド 5〜50 μ gZmLを 25〜50 μ LZゥエルで分注し、 混和したものを 4°Cで一晩な 、しは室温で 30分以上放置する。以降の操作は前述( 3)の酵素免疫測定法と同一である。陰性対照ゥエルとしては、ペプチドをコンジュゲ ートしたキャリア蛋白質をコートしないゥエルを作製し、陽性対照ゥエルとして、抗原べ プチド溶液ではなぐ抗原ペプチドを含まない溶液を分注したゥエルを作製する。ノ、 イブリドーマの培養上清を測定試料としたとき、陰性対照ゥエルで発色がみられず、 陽性対照ゥエルで発色がみられ、しカゝも抗原ペプチドを分注したゥエルでは陽性対 照ゥエルの発色が阻害されるような培養上清には、抗原ペプチドに特異的に結合す る抗体が含まれることが確認できる。
[0035] (7)モノクローナル抗体の調製
0. 5mLのプリスタン(pristane、 2, 6, 10, 14ーテトラメチルペンタデカン)を腹腔内 に投与し、 2週間飼育した 8〜: LO週令のマウスまたはヌードマウスに、(5)で得られた 抗ペプチドモノクローナル抗体産生ノ、イブリドーマ細胞を腹腔内注射する。 10-21 日程度でハイプリドーマは腹水癌化する。このマウス力も腹水を採取し、遠心分離し て固形分を除去後、 40〜50%硫酸アンモ-ゥムによる塩析、力プリル酸沈殿法、 D EAE—セファロースカラム、プロテイン A—カラム、ゲル濾過カラム等による精製を行 なう。
[0036] 抗体のサブクラスの決定は、例えばサブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測 定法により行うことができる。蛋白質量の定量は、例えばローリー法または 280nmで の吸光度より算出することができる。
[0037] 測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する
配列をェピトープとするモノクローナル抗体として、例えば、ヒトォステオカルシンの C 末端 12アミノ酸配列 (配列番号 1)力もなる部分ペプチド (OC— 1ペプチド)を抗原と して得られたマウスモノクローナル抗体 KTM— 219、ヒトォステオカルシンの N末端 1 3アミノ酸の配列の C末にシスティンを付加した配列(配列番号 2)からなるペプチド( OC— 2ペプチド)を免疫原として得られたマウスモノクローナル抗体 KTM— 223を あげることができる。 KTM— 219はヒトォステオカルシンおよび配列番号 1のアミノ酸 配列を含むペプチドに特異的に結合し、配列番号 3の 38— 49位の連続したアミノ酸 配列をェピトープに有し、 KTM— 223はヒトォステオカルシンおよび配列番号 2のァ ミノ酸配列を含むペプチドに特異的に結合し、配列番号 3の 1 13位の連続したアミ ノ酸配列をェピトープに有する。
また、モノクローナル抗体の抗原ペプチドとの結合性は、 VH領域および VL領域の アミノ酸配列で決定され、特に相補性決定領域 (CDR) 1、 CDR2および CDR3のァ ミノ酸配列が重要であるので、 VH領域のアミノ酸配列力 KTM— 219の VH領域の アミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、 VL領域のアミノ酸配列力 KTM- 2 19の VL領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、 VH領域の CDR1、 C DR2および CDR3のアミノ酸配列が、 KTM— 219の VH領域の CDR1、 CDR2およ び CDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、 VL領域の CDR1、 CDR2 および CDR3のアミノ酸配列が、 KTM— 219の VL領域の CDR1、 CDR2および C DR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体は、 KTM— 219と同様に、本発 明の OC—1ペプチドおよびォステオカルシンを検出または定量する方法に用いる V Hポリペプチドおよび VLポリペプチドの調製に用いることができる。また、 VH領域の アミノ酸配列力 KTM— 223の VH領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル 抗体、 VL領域のアミノ酸配列力 KTM— 223の VL領域のアミノ酸配列と同じである モノクローナル抗体、 VH領域の CDR1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列力 KT M— 223の VH領域の CDR1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列と同じであるモノ クローナル抗体、 VL領域の CDR1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列力 KTM — 223の VL領域の CDR1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクロ ーナル抗体は、 KTM— 223と同様に、本発明の OC— 2ペプチドおよびォステオ力
ルシンを検出または定量する方法に用いる VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの 調製に用いることができる。
[0039] 2. VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの調製
本発明において VHポリペプチドとは、抗体の VH領域を含み、 VL領域を含まない ポリペプチドを意味し、 VLポリペプチドとは抗体の VL領域を含み、 VH領域を含まな いポリペプチドを意味する。
[0040] 本発明で用いることのできる VHポリペプチドとしては、 VH領域を有しかつ VL領域 を有さないポリペプチドであればどのようなものでもよぐまた、本発明で用いることの できる VLポリペプチドとしては、 VL領域を有しかつ VH領域を有さな 、ポリペプチド であればどのようなものでもよい。すなわち、 VHポリペプチドまたは VLポリペプチド は抗体の一部であってもよぐ可変領域以外の部分である定常領域の全部または一 部を含んでいてもよい。ただし、可変領域以外の部分を含む場合は、後述する方法 で重鎖 (H鎖)と軽鎖 (L鎖)間のジスルフイド結合を形成するシスティン残基を別のァ ミノ酸に変換することが好ましい。また、 VH領域または VL領域に VHポリペプチド、 VLポリペプチドとは免疫学的に区別されるペプチド(以下タグペプチドとよぶ)を付 加した VHポリペプチドまたは VLポリペプチドであってもよい。なお、 VH領域または VL領域は抗体の可変領域部分であることから、本発明では、 VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを総称して可変領域ポリペプチドと呼ぶこともある。
[0041] 本発明のペプチドの検出または定量方法に適した、 VHポリペプチドおよび VLポリ ペプチドの組み合わせは、例えばモノクローナル抗体 KTM— 219由来の VHポリべ プチドおよび VLポリペプチドの組み合わせをあげることができる。また、(i)KTM— 2 19の VH領域のアミノ酸配列である配列番号 5のアミノ酸配列を含むポリペプチドま たは KTM— 219の VH領域の CDR1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列である、 配列番号 8、 9および 10のアミノ酸配列をその VH領域の CDR1、 CDR2および CD R3の配列として含むモノクローナル抗体由来の VHポリペプチドと(ii) KTM— 219 の VL領域のアミノ酸配列である配列番号 7のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは 1 1^— 219の¥1^領域のじ01^1、 CDR2および CDR3のアミノ酸配列である、配列 番号 11、 12および 13のアミノ酸配列をその VL領域の CDR1、 CDR2および CDR3
の配列として含むモノクローナル抗体由来の VLポリペプチドの組み合わせをあげる ことができる。これらの VHポリペプチドおよひ ポリペプチドは、ヒトォステオカルシ ンまたは配列番号 1のアミノ酸配列を含むペプチドを検出または定量する本発明の 方法に用いることができる。
[0042] KTM— 219由来の VHポリペプチドおよひ Lポリペプチドは、後述するように遺伝 子組換え技術によって得ることができる。 KTM— 219由来の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの原核生物発現用 spFvファージミドベクター PKST2/KTM219は 平成 16 (2004)年 9月 14日付でブダペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総 合研究所 特許生物寄託センター(T305— 8566 本国茨城県つくば巿東 1丁 目 1番地 1 中央第 6)に FERM BP— 10120として寄託されている。
[0043] 可変領域ポリペプチドはモノクローナル抗体から作製することができる。 VHポリべ プチドと VLポリペプチドを分離するための適切なプロテアーゼを用いることによって 可変領域ポリペプチドを製造することが可能である。プロテアーゼとしてはエンドぺプ チダーゼが好適である。あるいは、 VHポリペプチドと VLポリペプチドを分離するため に還元剤で処理することによって、ジスルフイド結合を開裂することも可能である。還 元剤としては、 2—メルカプトエタノールゃジチオスレィトールなどがあげられる。
[0044] VHポリペプチドと VLポリペプチドを分離する別の態様としては、 H鎖と L鎖の間の ジスルフイド結合を形成する、 H鎖または L鎖内の!/、ずれか一方または両方のシステ イン残基を別の適当なアミノ酸残基に変換することがあげられる。別のアミノ酸として は例えばセリン、グリシン、ァラニンなどの中性アミノ酸が好適である力 Sこれには限ら ない。
[0045] システィン残基を別のアミノ酸残基に変換する方法としては、ペプチド特異的モノク ローナル抗体を生産するハイブリドーマから、 mRNAを取得し、次いで該 mRNAか ら VH領域または VL領域を含む抗体または抗体の一部をコードする cDNAを調製し 、H鎖と L鎖の間のジスルフイド結合を形成するシスティンのコドンを別の適当なァミノ 酸のコドンに公知の方法で変換し、この変換した VH領域または VL領域を含む抗体 または抗体の一部をコードする cDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発 現ベクターにそれぞれ導入し、発現させることにより製造することができる。変換の方
され ¾ 紙 (規則 91)·
法としては、所望のコドンに正確に塩基置換を導入できる方法であればどのような方 法でもよ 、が、 PCRを使用する方法が好適である。
[0046] 本発明の可変領域ポリペプチドを製造するより好ましい態様としては、遺伝子組み 換え産物として製造する方法があげられる。まず、ペプチド特異的モノクローナル抗 体を生産するハイブリドーマから、 mRNAを取得し、次いで該 mRNAから H鎖をコー ドする cDNAの VH領域を含む断片、および L鎖をコードする cDNAの VL領域を含 む断片をクローニングし、これを原核生物発現ベクターある 、は真核生物発現べクタ 一にそれぞれ挿入して、組換えベクターを作製し、該組換えベクターで宿主細胞を 形質転換し、得られた形質転換体を培養して、 VHポリペプチドまたは VLポリべプチ ドを発現させて培養物中に生成 ·蓄積させ、該培養物中カゝら蓄積したる VHポリぺプ チドまたは VLポリペプチドを採取することにより製造することができる。
[0047] 上記 cDNAをクローユングする方法としては PCRが好適である。 VH領域および V L領域の N末の領域はフレームワーク領域 (FR)なので、同じ動物種の同じクラスで あれば、その cDNAの配列が比較的保存されている。したがってフォワードプライマ 一として、保存された 17〜30ヌクレオチドの配列に基づく縮重プライマーを設計でき る。このような縮重プライマーとしては、マウス IgGの FR1の配列に対応する配列番号 14または 15の塩基配列からなる DNA、マウス κ鎖の FR1の配列に対応する配列番 号 17または 20の塩基配列からなる DNAがあげられる。また、 VH領域および VL領 域それぞれの直後にある定常領域をコードする cDNAの配列は、動物種と抗体のク ラスが同じであれば保存されているので、この保存された 17〜30ヌクレオチドの定常 領域の配列に基づくリバースプライマーを設計できる。このようなリバースプライマーと しては、マウス IgGlの定常領域の配列に対応する配列番号 16の塩基配列力もなる DNA、マウス κ鎖の定常領域の配列に対応する配列番号 18の塩基配列からなる D NAがあげられる。 cDNA断片の増幅のためには、ペプチド特異的モノクローナル抗 体を生産するハイブリドーマ力も RNAを取得し、この RNAから逆転写酵素を用いて cDNAを合成し、得られた cDNAを铸型とする逆転写 PCR (RT— PCR)を、上記の フォワードプライマーとリバースプライマーを用いて行う。ノヽイブリドーマからの RNA の単離 fま、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, し old Spring Harbo
r Laboratory Press, 2001等の実験書の記載に基づいて行うことができる。 RT— PCR ίま Molecularし loning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold bpnng Haroor Labora tory Press, 2001等の実験書の記載に基づいて行うことができる。また、キアゲン'ワン ステップ RT—PCRキット(QIAGEN OneStep RT- PCR Kit)等のキットを用いて行うこ とちでさる。
PCRの方法としては、 NASBA法(カイノス社)、 TMA法(バイエルメディカル社)、 S DA (strand displacement amplification)法(ベタトン'ディキンソン社)、 ICAN法(宝酒 造社)、 LAMP (Loop- mediated Isothermal Amplification)法(栄研化学社)などの等 温 PCRと呼ばれる一連の方法あるいはこれらの方法の変法を用いてもょ 、。以下に 、組換えベクターと形質転換体の作製および形質転換体の培養、ポリペプチドの単 離について記載する。
[0048] (1)形質転換体の作製
発現ベクターとしては、宿主細胞において自律複製可能ないしは染色体中への組 込が可能で、宿主細胞中で可変領域ポリペプチドをコードする DNA力 mRNAを 転写できるプロモーターを含有して 、るものが用いられる。
[0049] 宿主細胞としては、原核生物、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等、可変領 域ポリペプチドを発現できるものであれば!/ヽずれも用いることができる。
[0050] 細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、発現ベクターは宿主原核生物 中で自律複製可能であり、プロモーターおよびその下流にリボソーム結合配列およ び可変領域ポリペプチドをコードする DNAを挿入するクローユングサイトを有するも のを用いる。必ずしも必要ではないが、該クローニングサイトの直後に転写終結配列 を配置する方が好ましい。また、形質転換体の選択のため、薬剤耐性遺伝子等のマ 一力一となる遺伝子を発現する配列を含むようにする。リボソーム結合配列の下流の クロー-ングサイトに可変領域ポリペプチドをコードする DNAを挿入する。リボソーム 結合配列と開始コドンとの間は適当な距離 (例えば、 E.coli宿主のベクターの場合 6 〜18塩基)に調節されていることが好ましい。
[0051] プロモーターとしては、宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい 。例えば E.coliを宿主とした場合は、 trpプロモーター、 lacプロモーター、 PLプロモー
ター、 T7プロモーター、 PRプロモーター等の、 E.coliやファージ等に由来するプロモ 一ター等をあげることができる。また trpプロモーターを 2つ直列させたプロモーター、 tacプロモーター、 T71acプロモーター、 letlプロモーターのように人為的に設計改変 されたプロモーター等も用いることができる。枯草菌を宿主とした場合は、枯草菌のフ ァージである SPOlや SP02のプロモーター、 PenPプロモーター等をあげることがで きる。
[0052] 発現ベクターとしては、例えば、 pGEMEX—l (プロメガ社製)、pQE— 30 (キァゲ ン社製)、 PKYP200〔Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)〕、 pLSAl [Agric. Biol. Che m" 53, 277 (1989)〕、 pGELl〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)〕、 pTrS 30 [E.coli JM109/pTrS30(FERM BP- 5407)より調製〕、 pGEX—5X—3 (アマシャム' バイオサイェンシズ社製)、 ρΕΤ14 (ノバジェン社製)、 pPROTet. E (クロンテック社 製) pRSET A (インビトロジェン社製)等を例示することができる。
[0053] 宿主細胞としては、ェシエリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、 コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シユードモナス属等に属する微生物、例 えば、 E.coli XLl— Blueゝ E.coli XL2— Blueゝ E.coli DH1、 E.coli MC1000、 E.coli KY327 6、 E.coli W1485、 E.coli JM109、 E.coli HB101、 E.coli No.49、 E.coli W3110、 E.coli N Y49、 E.coli BL21 (DE3) pLysS、 Serratiaficaria、 Serratia fonticola、 Serratia liquefacie ns、 Serratiamarcescens、 Bacillus subtilis、 Bacillus amyloliquefaciens、 Brevibacterium ammoniagenes、 Brevibacterium immariophilum ATCC14068、 Brevibacteriumsacchar olyticum ATCC14066、 Corynebacterium glutamicumATCC 13032、 Corynebacterium glutamicum ATCC14067、 Corynebacteriumglutamicum ATCC13869、 Corynebacteri um acetoacidophilumATCC13870、 Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、 Ps eudomonassp. D- 0110等をあげることができる。
[0054] 組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へ DNAを導入する方法であ ればいずれも用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法 [Nucleic Acids Res ., 16, 6127 (1988)〕、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69 , 2110 (1972); Gene, 17, 107 (1982)〕、プロトプラスト法〔特開昭 63- 248394; Mol. Gen . Genet., 168, 111 (1979)〕等をあげることができる。
[0055] また、発現ベクターとして、 M13ファージゃ flファージ等の繊維状バタテリオファー ジの DNA複製基点を有するファージミドベクターを用いることもできる。ファージミド ベクターを用いる場合は、 F因子を有する E.coliを宿主として糸且換えベクターを導入 する。また、組換えベクターの作製の際に、可変領域ポリペプチドをコードする DNA にファージのコート蛋白質をコードする DNAを連結させて、可変領域ポリペプチドと コート蛋白質との融合蛋白質を発現する構造にして、宿主に導入した後、ヘルパー ファージを感染させることにより、培養液中に、表面に可変領域ポリペプチドを提示し たファージ粒子を放出させることもできる。この場合、ファージ粒子自体を、ファージ で標識された可変領域ポリペプチドとして、 3.に後述するペプチドのオープンサンド イッチ法による検出または定量に用いることができる。
[0056] 酵母を宿主細胞として用いる場合の発現ベクターとしては、宿主酵母で転写を行な うプロモーター、転写の終止配列および酵母での形質転換マーカーとなる遺伝子、 たとえば薬剤耐性遺伝子や TRP1、 HIS3、 LEU2等のアミノ酸合成系の遺伝子を発 現できる配列を含有しているものが用いられる。また、発現ベクターの作製や維持を 容易にするため、 E.coli内でも自律複製と遺伝子導入マーカーとなる薬剤耐性遺伝 子を発現できるものが好ま U、。
[0057] プロモーターとしては、酵母中で転写を行なえるものであればいずれのものを用い てもよく、例えば Saccharomyces cerevisiaeのァノレコーノレデヒドロゲナーゼ遺伝子 AD Hl、ガラクトース代謝系遺伝子 GAL1や GAL10等のプロモーター、酸性フォスファ ターゼ遺伝子 PH05プロモーター、フォスフォグリセレートキナーゼ遺伝子 PGKプロ モーター、グリセルアルデヒド 3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子 GAPプロモーター、ヒ ートショック蛋白質遺伝子プロモーター、 α接合因子遺伝子 MF a 1プロモーター、 銅メタ口チォネイン遺伝子 CUP1プロモーター、 Pichiapastorisのアルコールォキシダ ーゼ遺伝子 AOX1のプロモーター等が用いられる。
[0058] 宿主細胞としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ピヒア属等に属す る酵母菌株をあげることができ、具体的には、 Saccharomyces cerevisiae^ Schizosacch aromycespombe、 Pichia pastoris等をあけること力 21 eさる。
[0059] 組換えベクターの導入方法としては、酵母に DNAを導入する方法であればいずれ
も用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法 [Methods EnzymoL, 194, 182 ( 1991)〕、スフエロプラスト法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 4889 (1984)]、酢酸リチ ゥム法〔J. BacterioL, 153, 163 (1983)〕等をあげることができる。
[0060] 動物細胞を宿主として用いる場合の発現ベクターとしては、宿主動物細胞で転写を 行なうプロモーター、転写の終止と転写物のポリアデュル化のシグナルの配列を含 有しているものが用いられる。またベクターの作製や維持を容易にするため、 E.coli 内でも自律複製と遺伝子導入マーカーとなる薬剤耐性遺伝子を発現できるものが望 ましい。プロモーターとしては、動物細胞中で転写を行なえるものであればいずれも 用いることができるが、 SV40の初期プロモーター、ヒトサイトメガロウィルスの IE (imm ediate early)遺伝子のプロモーターおよびェンハンサー、ラウス肉腫ゥイノレス、ヒト T 細胞白血病ウィルス I、モロ-一マウス白血病ウィルス等のレトロウイルスの LTR等の ウィルス由来の配列、あるいはメタ口チォネイン遺伝子や |8—ァクチン遺伝子、伸長 因子 1などの動物細胞由来の遺伝子のプロモーター等をあげることができる。また SV40の初期プロモーターとヒト T細胞白血病ウィルス Iの LTRを組み合わせた SR a プロモーター等これらのプロモーターを人為的に糸且み合わせたプロモーターも用いら れる。
[0061] 宿主染色体 DNAに可変領域ポリペプチドをコードする DNAが組み込まれた恒常 的な可変領域ポリペプチド発現細胞は、 G418、ハイグロマイシン等の薬剤に対する 耐性遺伝子を発現できる配列を含む可変領域ポリペプチド発現ベクターを宿主細胞 に導入し、薬剤の存在下で培養することにより選択することができる。また、宿主細胞 中での可変領域ポリペプチドの生産量を上昇させるために、ジヒドロ葉酸レダクタ一 ゼ (dhfr)遺伝子を発現できるような配列を含む可変領域ポリペプチドの恒常的発現 ベクターを宿主細胞に導入し、 dhfr阻害剤であるメトトレキセート(methotrexate)の濃 度を段階的に上げながら培養することにより、 dhfr遺伝子とともに可変領域ポリぺプ チドをコードする DNAのコピー数を増幅させることもできる。この dhfr遺伝子を用い た遺伝子増幅を行なう場合の宿主細胞としては、 dhfr遺伝子が機能して ヽな 、細胞 、例えば CHOZdhfr— (ATCC:CRL- 9096)などを用いる。
[0062] 具体的な発現ベクターとして、例えば、 pEGFP-C2 (クロンテック社)、 Autographa
californica核多角体病ウィルス、カイコ核多角体病ウィルス等が用いられる。昆虫細 胞としては Spodopterafrugiperdaの細胞である Sf 9および Sf 21〔Baculovirus Expressi on Vectors: A Laboratory Manual, W. H. Freeman and company, New York (1992)] 、 Trichoplusia niの細胞である High5 (インビトロジェン社製)等を用いることができる。 トランスファーベクターには、ポリヘドリンプロモーターおよび相同組換えを起こさせる ためのバキュロウィルス由来の配列、ベクターの維持 ·増殖や外来遺伝子の組み込 み等の遺伝子操作を E.coli内で行なうための配列(E.coliでの自律複製可能な配列 および薬剤而性遺伝子 PAGE107〔特開平 3- 22979; CytotechnoL, 3, 133, (1990)〕 、 pAS3- 3 (特開平 2- 227075)、 pCDM8〔Nature, 329, 840, (1987)〕、 pCMV—Tagl (ストラタジーン社製) pcDNA3. 1 ( + ) (インビトロジェン社)、 pREP4 (インビトロジェ ン社製)、 pMSG (アマシャム'バイオサイェンシズ社製)、 pAMo〔J. Biol. Chem., 26 8, 22782 (1993)〕等があげられる。
[0063] 宿主細胞としては、ヒト細胞である HeLa、ナマルバ (Namalwa)、 293、アフリカミド リザル腎臓細胞である COS— 1や COS— 7、ハムスターの細胞である CHOや BHK 、マウス胎児細胞である NHI3T3、マウス'ミエローマ細胞である SP2Z0や NS0、ラ ット ·ミエローマ細胞である YB2Z0等の細胞株をあげることができる。
[0064] 組換えベクターの導入方法としては、動物細胞に DNAを導入する方法であればい ずれも用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法〔Cytotechnol., 3, 133 (19 90)〕、リン酸カルシウム法(特開平 2- 227075)、リボフヱクシヨン法〔Proc. Natl. Acad.S ci. USA, 84, 7413 (1987)〕等をあげることができる。
[0065] 昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合は、バキュロウィルス発現系〔Baculovirus Ex pression Vectors: A Laboratory Manual, W.H. Freeman and Company, New York (1 992); Bio/Technology, 6, 47 (1988)〕が用いられる。即ち、トランスファーベクターに可 変領域ポリペプチドをコードする DNAを挿入した後、該ベクターとバキュロウィルスを 昆虫細胞に同時に導入し、強力なプロモーターであるポリヘドリン遺伝子プロモータ 一下に可変領域ポリペプチドをコードする DNAが挿入された組換えバキュ口ウィル スを相同組換えによって作製した後、この組換えバキュロウィルスを再度昆虫細胞に 感染させることにより、可変領域ポリペプチドを発現することができる。
[0066] バキュロウィルスとしては Autographa californica核多角体病ウィルス、カイコ核多角 体病ウィルス等が用いられる。昆虫細胞としては Spodoptera frugiperdaの細胞である S19および S12l LBaculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual, W. H. Freem an and Company, New York (1992)]、 Trichoplusia niの細胞である High5 (インビトロジ ェン社製)等を用いることができる。トランスファーベクターには、ポリヘドリンプロモー ターおよび相同組換えを起こさせるためのバキュロウィルス由来の配列、ベクターの 維持 ·増殖や外来遺伝子の組み込み等の遺伝子操作を大腸菌内で行なうための配 列 (大腸菌での自律複製可能な配列および薬剤耐性遺伝子)が含まれており、具体 的には pVL1392、 pVL1393、 pBlueBac4. 5 (ともにインビトロジェン社製)、 pBac PAK9 (クロンテック社製)等があげられる。
[0067] 可変領域ポリペプチドが、免疫原とした抗原ペプチドに対する特異的な結合性を保 持するためには、可変領域ポリペプチドの N末に分泌蛋白質のシグナルペプチドが 付加したポリペプチドをコードするように、プロモーターと可変領域ポリペプチドをコー ドする配列の間にシグナルペプチドをコードする配列を挿入して組換え発現ベクター を構築するのが好まし 、。このような組換え発現ベクターを導入した形質転換体は、 培養液中に、シグナルペプチドが切断され除かれた可変領域ポリペプチドを分泌す る。また、下記に記載した可変領域ポリペプチドと抗体以外のポリペプチドとの融合 蛋白質を発現させる場合に、抗体以外のポリペプチドが細胞膜上の蛋白質やファー ジのコート蛋白質であれば、融合蛋白質の N末にシグナルペプチドが付カ卩したポリべ プチドをコードするように組換え発現ベクターを構築することにより、形質転換体ある いは形質転換体力 放出されたファージ粒子の細胞表面に融合蛋白質が提示され る。シグナルペプチドとしては、宿主が原核生物の場合は原核生物の分泌蛋白質や 膜蛋白質、宿主が真核生物の場合は真核生物の分泌蛋白質や膜蛋白質のシグナ ルペプチドを用いるのが好まし 、。
[0068] VH領域または VL領域にタグペプチドを付加した可変領域ポリペプチド、すなわち タグペプチドと可変領域ポリペプチドとの融合蛋白質を製造する方法としては、上記 可変領域ポリペプチドをコードする cDNA断片に抗体以外のポリペプチドをコードす る cDNAを付加して発現させる方法が好適である。
[0069] タグペプチドは所望のペプチドを選ぶことが可能であり、本発明の態様の性能を向 上させるためにポリペプチドを選ぶことが好ましい。性能とは例えば、本発明の測定 方法の感度を向上させること、安定性を向上させること、再現性を向上させること、本 発明に使われる操作を簡便にすること、操作時間を短縮すること、必要とする実験器 具を簡易なものに変えることを容易にすること、該融合蛋白質の回収,精製を容易に すること、固相への固定ィ匕を可能とすることなどがあげられる。また、 3.に後述するよ うに可変領域ポリペプチドの標識物質がポリペプチドである場合も、同様に可変領域 ポリペプチドと標識用のポリペプチドとの融合蛋白質を製造することができ、得られた 融合蛋白質を標識ィ匕した可変領域ポリペプチドとして用いることができる。
[0070] 具体的には例えば、該融合蛋白質を精製する操作を簡便かつ迅速に行うことを可 能にするために、マルトース結合蛋白質 (MBP)、ダルタチオン S トランスフェラ ーゼ (GST)、精製抗体の認識する蛋白質などと VHポリペプチドまたは VLポリぺプ チドの融合蛋白質、あるいは、ヒスチジンの繰り返し構造(一般にはヒスチジンのへキ サマーが用いられる)、精製抗体のェピトープペプチドなどを付加した VHポリべプチ ドまたは VLポリペプチドがあげられる。その他市販の融合蛋白質発現システムを用 いる方法として、例えば、ピオチンタグ融合蛋白質発現システムを用いる PinPointTM Xa Protein Purification System (プロメガ社)、特定のリジン残基がビォチン化される 配列を利用したバイオイーズ発現システム (インビトロジェン社)、キチン結合蛋白質と の融合蛋白質として発現させるインパクト CNシステムまたはインパクト TWINシステム (第一化学社)などがあげられる。
[0071] また例えば、ファージ表面蛋白質との融合蛋白質として発現することで、該融合蛋 白質を精製することなく本発明の検出または定量法を構築することが可能である。フ ァージコート蛋白質との融合蛋白質として発現させるためには、 VHポリペプチドまた は VLポリペプチドを含む遺伝子をクローユングし、これを任意のファージミドベクター に組換えることで可能である。あるいは、 VHポリペプチドまたは VLポリペプチドを含 む遺伝子とファージ表面蛋白質との間にアンバーコドンを配置し、これを非サプレツ サー株の E.coliへ形質転換することで可溶性蛋白質として発現させることも可能であ る。
[0072] (2)形質転換体の培養
可変領域ポリペプチドをコードする DNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有す る微生物、動物細胞由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養し、可変 領域ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より可変領域ポリペプチドを採取するこ とにより、可変領域ポリペプチドを製造することができる。
[0073] 動物細胞を宿主とした形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されている RPMI 1640培地〔J. Am. Med. Assoc., 199, 519 (1967)〕、イーグル(Eagle)の ME M (Mimimum Essential Medium) [Science, 122, 501 (1952)〕、ダノレべッコ (Dalbecco) 改変イーグル培地 [Virology, 8, 396 (1959)〕、 199培地〔Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 73, 1 (1950)〕またはこれら培地にゥシ胎児血清等を添加した培地等を用いることがで きる。必要に応じてペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加しても よい。培養は、通常 pH6〜8、 30〜40°C、 5%CO存在下等の条件下で 1〜7日間
2
行う。
[0074] 昆虫細胞を宿主細胞として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に 使用されている TNM—FH培地〔ファーミンジェン(Pharmingen)社製〕、 Sf—900 II SFM培地(インビトロジェン社製)、 ExCell400、 ExCell405〔いずれも JRHバイオサ イエンシズ (JRH Biosciences)社製〕、 Graceの昆虫培地 [Nature, 195, 788 (1962)] 等を用いることができる。培養条件は、 pH6〜7、培養温度 25〜30°Cがよぐ培養時 間は、通常 1〜5日間である。また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物 質を培地に添加してもよい。
[0075] E. coli等の原核生物ある 、は酵母等の真核微生物を宿主として得られた形質転換 体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含 有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のい ずれを用いてもよい。
[0076] 炭素源としては、該生物が資化し得るものであればよぐグルコース、フラクトース、 スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水 化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール 類等を用いることができる。
[0077] 窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ-ゥム、硫酸アンモ-ゥム、酢酸アンモ- ゥム、リン酸アンモ-ゥム等の無機酸もしくは有機酸のアンモ-ゥム塩、その他の含窒 素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼィ ン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化 物等を用いることができる。
[0078] 無機塩としては、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、 硫酸マグネシウム、塩ィ匕ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシ ゥム等を用いることができる。
[0079] 培養は通常、振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度 は 15〜40°Cがよぐ培養期間は、通常 16〜96時間である。培養中 pHは 3. 0〜9. 0に保持する。 pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシ ゥム、アンモニア水などを用いて行う。必要に応じて、培養期間中にアンピシリンゃテ トラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよ 、。
[0080] 誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養すると きには、培養中に必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。インデュー サ一としては、例えば、 lacプロモーターを誘導するイソプロピルガラクトシド、 trpプロ モーターを誘導するインドールアクリル酸等があげられる。
[0081] (3)発現させたポリペプチドの単離精製
上記形質転換体の培養物中に蓄積した可変領域ポリペプチドを単離精製するには 、以下のような通常の蛋白質の単離精製法を用いればょ 、。
[0082] 可変領域ポリペプチドが細胞外に分泌される場合には、培地中に可変領域ポリべ プチドが蓄積する。従って培養終了後、遠心分離等の手法により細胞を含まない培 地のみを回収する。該培地から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、 硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、 DEAEセファロース、 DIAI ON HP A- 75 (三菱化学社製)、モノ Q (Mono Q、アマシャム'バイオサイェンシズ 社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 SPセファロース (アマシ ャム 'バイオサイェンシズ社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法 、ブチルセファロース、フエ-ルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフ
ィ一法、分子篩を用いたゲルろ過法、ァフィユティークロマトグラフィー法、クロマトフォ 一力シング法、および等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独ある!/ヽは組 み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
[0083] 可変領域ポリペプチドが、形質転換体の細胞内に蓄積する場合には、培養終了後 の培養物から、形質転換体の細胞を遠心分離等の手法により回収し、緩衝液にけん 濁後、超音波破砕機、フレンチプレス等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。 可変領域ポリペプチドが細胞内で溶解状態で存在する場合には、該無細胞抽出液 を遠心分離することにより得られた上清から、上記の培地からの精製単離と同様にし て精製標品を得ることができる。また、可変領域ポリペプチドが細胞内に不溶体を形 成して存在する場合は、該無細胞抽出液を遠心分離後、沈殿画分として可変領域ポ リペプチドの不溶体を回収する。この可変領域ポリペプチドの不溶体を蛋白質変性 剤で可溶化した後、該可溶化液を、蛋白質変性剤の濃度を蛋白質が変性しない程 度まで希釈するか、あるいは、蛋白質変性剤を含まないかまたは蛋白質変性剤の濃 度が蛋白質が変性しない程度まで希薄な溶液に透析し、可変領域ポリペプチドを正 常な立体構造に復元させた後、上記と同様の単離精製法により精製標品を得ること ができる。
[0084] また、公知の方法〔J. Biomol. NMR, 6, 129 (1998); Science, 242, 1162 (1988); J.Bi ochem., 110, 166 (1991)〕に準じて、インビトロ転写 ·翻訳系を用いて可変領域ポリべ プチドを生産することができる。すなわち、可変領域ポリペプチドをコードする DNAを SP6、 T7、 Τ3等のプロモーターの下流につなげ、それぞれのプロモーター特異的 な RNAポリメラーゼを反応させることにより大量の可変領域ポリペプチドをコードする RNAをインビトロで合成した後、無細胞系の翻訳系例えばゥサギ網状赤血球ライセ ートゃコムギ胚芽抽出液を用いた翻訳系を利用して、可変領域ポリペプチドを生産 することができる。
[0085] 精製した可変領域ポリペプチドの構造解析は、蛋白質ィ匕学で通常用いられる方法 、例えば「遺伝子クローユングのための蛋白質構造解析」(平野久著、東京化学同人 発行、 1993年)に記載の方法により実施可能である。
[0086] 3.ペプチドの検出または定量方法、及び検出または定量用のキット
本発明のペプチドの検出または定量方法や、ペプチドの検出または定量用のキッ トは、前記のとおり、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのァミノ 酸配列の連続する配列をェピトープとするモノクローナル抗体の VHポリペプチドと、 該モノクローナル抗体の VLポリペプチドを用いる測定すべきペプチドの非競合的な 検出または定量方法や、上記 VHポリペプチドと VLポリペプチドを備えた測定すべき ペプチドの非競合的な検出または定量用のキットであれば特に制限はな 、が、例え ばオープンサンドイッチ ELISA法、 2種類の標識物質を用いるホモジ-ァスオープン サンドイッチ法などの方法や、そのためのキットがあげられる。
(A)オープンサンドイッチ ELISA法
本発明のペプチドの検出または定量方法として、測定すべきペプチドを固相へ捕 捉するために VHポリペプチドまたは VLポリペプチドのいずれか一方(以下、第 1の 可変領域ポリペプチドという)を固相へ固定ィ匕し、他方 (以下、第 2の可変領域ポリべ プチドという)を測定すべきペプチドを検出するために標識することを特徴とする方法 力 Sあげられる。この方法では、測定すべきペプチドを、固相に固定化された第 1の可 変領域ポリペプチド(固定ィ匕ポリペプチド)および標識された第 2の可変領域ポリぺプ チド (標識ィ匕ポリペプチド)に接触させて結合させ、測定すべきペプチドを介して固定 化ポリペプチドと結合した標識ィ匕ポリペプチドの標識物質を検出または定量すること により、測定すべきペプチドを検出または定量することが可能である。固定化ポリぺプ チドへの測定すべきペプチドの接触と、標識化ポリペプチドの測定すべきペプチドへ の接触は同時ではなく順次行なうこともできる。また、本発明のペプチドの検出または 定量方法として、第 1の可変領域ポリペプチドと標識された第 2の可変領域ポリぺプ チド (標識化ポリペプチド)を、固相の存在下で測定すべきペプチドと接触させること によって、固相、第 1の可変領域ポリペプチド、標識化ポリペプチドおよび測定すべき ペプチドからなる複合体を形成せしめ、同時に第 1の可変領域ポリペプチドを同相に 固相化させ、固相に結合した、該複合体の標識物質を検出または定量することにより 、測定すべきペプチドの検出または定量をする方法もあげられる。第 1の可変領域ポ リペプチドを固相に固定ィヒさせる方法としては、例えば、第 1の可変領域ポリペプチド として、タグペプチドが付加した可変領域ポリペプチドを用い、固相として、該タグべ
プチドに特異的に結合する抗体を固定ィ匕した固相を用いる方法や、第 1の可変領域 ポリペプチドとして、マルトース結合蛋白質 (MBP)が付加した可変領域ポリペプチド (MBPと融合させた可変領域ポリペプチド)を用いて固定ィ匕した固相を用いる方法が あげられる。
[0088] オープンサンドイッチ ELISA法は次の手順によって行うことが可能である。固相に 第 1の可変領域ポリペプチドを固定ィ匕した後、ブロッキング剤によりブロッキングする。 ブロッキング剤を捨て洗净液でよく洗净した後、濃度既知のペプチド標品あるいは濃 度未知の被験サンプルを加え反応させる。洗浄液でよく洗浄した後、標識物質で標 識された第 2の可変領域ポリペプチドを反応させる。洗浄液で再び洗浄した後、該標 識物質に応じた反応を行なう。濃度既知のペプチド標準物質を段階的に希釈して作 成した検量線より、被験サンプルの濃度を算出することができる。
[0089] オープンサンドイッチ ELISA法を用いた検出試薬または定量試薬の構成要素とし ては、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続 する配列をェピトープとするモノクローナル抗体由来の VHポリペプチド、該モノクロ ーナル抗体由来の VLポリペプチド、第 1の可変領域ポリペプチドを固定ィ匕するため の固相となる担体、第 1の可変領域ポリペプチドが固定化された固相(固相に固定さ れている第 1の可変領域ポリペプチド)、検出に用いる標識された第 2の可変領域ポリ ペプチドや、標識物質 1で標識された標識化 VHポリペプチドと標識物質 2で標識さ れた標識化 VLポリペプチドなどがあげられ、また必要に応じ、ブロッキング剤、生体 試料の希釈液、反応緩衝液、洗浄液、標識物質の検出用試薬または該ペプチドの 標準物質などを含む、キットの形態であっても良い。
[0090] (1)可変領域ポリペプチドの標識
標識物質としては酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素、ピオチン、ジゴキ シゲニン、繊維状ファージ、タグ配列を含むポリペプチドなどがあげられる。
[0091] 酵素としては、任意の公知 (石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素標 識を用いることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルォキシダーゼ、ガラ クトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼなどを用いることができる。
[0092] 蛍光物質としては、任意の公知 (川生明著、蛍光抗体法、ソフトサイエンス社)の蛍
光物質を用いることができる。例えば、 FITC標識、 RITC標識などを用いることがで きる。その他の蛍光物質として、例えば quantum dot (Science, 281,2016-2018, 19 98)があげられる。または、フィコエリスリンなどのフィコピリ蛋白質、 GFP (Green fluor escent Protein)、 RFP (Red fluorescent Protein)、 YFP (Yellow fluorescent Protein; 、 BFP (Blue fluorescent Protein)あるいはこれの類縁蛋白質のように蛍光を発する蛋 白質であってもよい。
[0093] 発光物質としては、任意の公知 [今井一洋編、生物発光と化学発光、廣川書店;臨 床検査 42(1998)]の発光体標識を用いることができる。例えば、アタリジ-ゥムおよび その誘導体標識、ルテニウム錯体ィ匕合物標識、口フィン標識などを用いることができ る。またルテニウム錯体化合物は Clin.Chem.37,9,1534-1539(1991)に示されたものが 好ましく本化合物は電子供与体と共に電気化学的に発光する。
[0094] 放射性同位元素としては、任意の公知の物質を用いることができる。例えば、 、 14 C、 35S、 32P、 33P、 125I、 51Crなどがあげられる。
[0095] 低分子化合物としては、ピオチン、ジゴキシゲニンなどが、繊維状ファージとしては 、 M13ファージゃ flファージなど力 タグ配列を含むポリペプチドとしては FLAGぺ プチド(FLAGタグ、 Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys)、ポリヒスチジン( Hisタグ、 His His His His His His)、 mycェピトープペプチド(mycタグ、 Glu Gin Lys Leu lie Ser Glu Glu Asp Leu)、へマグルチニンェピトープぺ プチド(HAタグ、 Tyr Pro Tyr Asp Val Pro Asp Tyr Ala)などがあげられ る。
[0096] 可変領域ポリペプチドを上記の標識物質により標識化する方法としては、遺伝子ェ 学的に結合させる方法や、化学的に結合させる方法が用いられる。遺伝子工学的に 結合させる方法は、文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 974, 1996; Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA, 93, 7826, 1996)記載の方法に従って行うことができる。化学的に結合 させる方法は、文献(Science, 261, 212, 1993)記載の方法に従って行うことができる 。また、放射性同位元素をィ匕学的に結合させる方法は、文献 (Antibody Immunoconj. Radiopharm., 3, 60, 1990; )記載の方法に従って行うことができる。
[0097] 標識物質がポリペプチドの場合には、公知の遺伝子組換え技術 (Molecular Clonin
g: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001) および上記 2.の記載にしたがって、標識物質と可変領域ポリペプチドの融合蛋白質 として製造することができる。このような態様に適した標識物質としては、例えば、フィ コエリスリンなどのフィコビリ蛋白質、 GFP (Green fluorescent Protein)、 RFP (Red flu orescent Protein)、 YFP (Yellow fluorescent Protein)、 BFP (Blue fluorescent Protei n)あるいはこれの類縁蛋白質のように蛍光を発する蛋白質あるいは、アルカリフォス ファターゼ、ペルォキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ などの酵素、アビジン、抗体の定常領域、タグ配列を含むポリペプチドなどがあげら れる。遺伝子組換え技術を用いて融合蛋白質をコードする DNAを作製するには、本 発明の可変領域ポリペプチドおよび標識物質をそれぞれコードする DNAを PCRな どでクロー-ングし、それぞれの DNAをリガーゼ反応で連結する。あるいは、それぞ れの DNAの PCR断片にのりしろの部分を設けるようプライマーを設計し、このプライ マーによって 1回目の PCRを行い、続いて得られた PCR断片をのりしろ部分でァ- 一リングさせ、 2回目の PCRを行う方法も好適である。 2回目の PCRの時に、融合遺 伝子が増幅しやすくなるよう、融合遺伝子の両端または外側に設計されたプライマー を添加する場合もある。
[0098] ペプチドと標識物質とのコンジュゲートの方法は、それぞれの官能基の間で、リンカ 一を介してまたは介さず共有結合を生じる反応によって行うことが可能である。官能 基としては、カルボキシル基ゃァミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸基、アミド基 、イミノ基、ヒドロキシサクシ-ルエステル基、マレイミド基、イソチオシァネート基など 力 Sあげられるが、この官能基同士の間で縮合反応を行わすことが可能である。
[0099] リンカ一を介さない結合方法としては例えば、 EDCなどのカルポジイミドィ匕合物を 使う方法があげられる。反応を増強する物質として NHSまたはその誘導体が使用す ることも可能である。イソチオシァネート基とアミノ基の間の縮合反応は、他の試薬を 必要とせず、中性〜弱アルカリ性の条件で混合するだけで結合できる。
[0100] リンカ一としては、例えば、キャリア蛋白質とペプチドの側鎖の官能基をお互いに結 び付け合う分子であればどのようなものでもよい。好ましい態様は、例えば、キャリア 蛋白質のアミノ酸残基と反応することができる第 1の反応活性基と、ペプチドの側鎖
の官能基と反応することができる第 2の反応活性基を同時に持つ分子であり、第 1の 反応活性基と第 2の反応活性基が異なる基であることが好ま 、。反応活性基として は例えば、ァリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミド エステル、イソシァネート、マレイミド、 NHS—エステル、 PFP—エステル、ソラレン、 ピリジルジスルフイド、ビュルスルフォン、イソチオシァネートなどの各反応基が挙げら れる。
[0101] 標識物質の検出手段としては、標識物質に応じて適切なものを選ぶことができる。
すなわち、標識物質が発色物質すなわちある波長の光を吸収する物質の場合には、 分光光度計やマルチウエルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が 蛍光物質の場合には、蛍光光度計や蛍光マルチウエルプレートリーダーなどを用い ることができる。標識物質が発光物質の場合には、発光光度計や発光マルチウエル プレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が放射性同位元素である場合 、放射性同位元素の量は、放射活性をシンチレーシヨンカウンターなどにより測定す ること〖こより決定することができる。
[0102] 標識が酵素である場合、酵素の基質を当該酵素と反応させ、生成した物質を測定 することにより、標識量を測定することができる。
[0103] 酵素がペルォキシダーゼである場合には、例えば吸光度法、蛍光法などによりべ ルォキシダーゼ量を測定することができる。吸光度法によりペルォキシダーゼ量を測 定する方法としては、例えばペルォキシダーゼとその基質である過酸ィヒ水素および 酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマ ルチウエルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。酸化発色型色原 体としては、例えばロイコ型色原体、酸ィ匕カップリング発色型色原体などがあげられる
[0104] ロイコ型色原体は、過酸ィヒ水素およびペルォキシダーゼなどの過酸ィヒ活性物質の 存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、。―フエ-レンジァミン、 10— N—カルボキシメチルカルバモイルー 3, 7—ビス(ジメチルァミノ)— 10H—フエ ノチアジン(CCAP)、 10— N—メチルカルバモイル— 3, 7—ビス(ジメチルァミノ)— 10H—フエノチアジン(MCDP)、 N— (カルボキシメチルァミノカルボ-ル)—4, 4,
—ビス(ジメチルァミノ)ジフエ-ルァミン ナトリウム塩(DA— 64)、 4, 4,—ビス(ジメ チルァミノ)ジフエ-ルァミン、ビス〔3—ビス(4—クロ口フエ-ル)メチル—4—ジメチル ァミノフエ-ル〕ァミン(BCMA)などがあげられる。
[0105] 酸化カップリング発色型色原体は、過酸ィヒ水素およびペルォキシダーゼなどの過 酸化活性物質の存在下、 2つの化合物が酸ィ匕的カップリングして色素を生成する物 質である。 2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとァ-リン類(トリンダー試薬 )との組み合わせ、カプラーとフエノール類との組み合わせなどがあげられる。カプラ 一としては、例えば 4ーァミノアンチピリン (4— AA)、 3—メチルー 2 べンゾチアゾリ ノンヒドラジンなどがあげられる。ァ-リン類としては、 N— (3—スルホプロピル)ァ-リ ン、 N ェチル N— (2—ヒドロキシ一 3—スルホプロピル) 3—メチルァ-リン(T OOS)、 N—ェチルー N— (2—ヒドロキシ— 3—スルホプロピル)—3, 5—ジメチルァ -リン(MAOS)、 N—ェチルー N— (2—ヒドロキシ一 3—スルホプロピル) 3, 5— ジメトキシァ-リン(DAOS)、 N—ェチルー N— (3—スルホプロピル)—3—メチルァ 二リン(TOPS)、 N— (2—ヒドロキシ一 3—スルホプロピル) 3, 5—ジメトキシァユリ ン(HDAOS)、 N, N ジメチルー 3—メチルァ-リン、 N, N ジ(3—スルホプロピ ル)—3, 5—ジメトキシァ-リン、 N—ェチル N— (3—スルホプロピル)—3—メトキ シァ-リン、 N ェチル N— (3—スルホプロピル)ァ-リン、 N ェチル N— (3— スルホプロピル)一 3, 5—ジメトキシァ-リン、 N— (3—スルホプロピル)一 3, 5—ジメ トキシァ-リン、 N ェチル N— (3—スルホプロピル)—3, 5—ジメチルァ-リン、 N —ェチルー N— (2—ヒドロキシ一 3—スルホプロピル) 3—メトキシァ-リン、 N ェ チル一 N— (2 ヒドロキシ一 3—スルホプロピル)ァ-リン、 N ェチル N— (3—メ チルフエ-ル) N,—サクシ-ルエチレンジァミン(EMSE)、 N ェチル N— (3 —メチルフエ-ル) N,一ァセチルエチレンジァミン、 N ェチル N— (2—ヒドロ キシ— 3—スルホプロピル)—4—フルオロー 3, 5—ジメトキシァ-リン(F— DAOS) などがあげられる。フエノール類としては、フエノール、 4—クロ口フエノール、 3—メチ ルフヱノール、 3 ヒドロキシ—2, 4, 6 トリョード安息香酸(HTIB)などがあげられ る。
[0106] 蛍光法によりペルォキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルォキシダー
ゼとその基質である過酸化水素および蛍光物質の組み合わせとを反応させ、蛍光光 度計や蛍光マルチウエルプレートリーダーなどで生成した蛍光の強度を測定する方 法などがあげられる。当該蛍光物質としては、例えば 4ーヒドロキシフエニル酢酸、 3 一(4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸、クマリンなどがあげられる。
[0107] 発光法によるペルォキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルォキシダー ゼとその基質である過酸ィ匕水素および発光物質の組み合わせとを反応させ、発光強 度計や発光マルチウエルプレートリーダーなどで生成した発光の強度を測定する方 法などがあげられる。当該発光物質としては、例えばルミノール化合物、ルシゲニン 化合物などがあげられる。
[0108] 酵素がアルカリフォスファターゼである場合には、例えば発光法などによりアルカリ フォスファタ一ゼ量を測定することができる。発光法によりアルカリフォスファターゼ量 を測定する方法としては、例えばアルカリフォスファターゼとその基質とを反応させ、 生成した発光の発光強度を発光強度計や発光マルチウエルプレートリーダーなどで 測定する方法などがあげられる。アルカリフォスファタ一ゼの基質としては、例えば 3 - (2'—スピロアダマンタン) 4—メトキシ一 4— (3'—ホスホリルォキシ)フエ-ルー 1 , 2 ジォキセタン'ニナトリウム塩 (AMPPD)、 2 クロ口一 5— {4—メトキシスピロ [1 , 2 ジォキセタン一 3, 2'— (5'—クロ口)トリシクロ [3. 3. 1. I3' 7]デカン]— 4—ィル }フエ-ルホスフェート 'ニナトリウム塩(CDP— Star™)、 3— {4—メトキシスピロ [1, 2 —ジォキセタン一 3, 2'— (5'—クロ口)トリシクロ [3. 3. 1. I3' 7]デカン]— 4—ィル }フ ェ-ルホスフェート 'ニナトリウム塩(CSPD™)、 [10—メチル—9 (10H)—アタリジ- ルイデン]フエノキシメチルリン酸'ニナトリウム塩 (Lumigen™ APS - 5)などがあげ られる。
[0109] 酵素が β D ガラクトシダーゼである場合には、例えば吸光度法 (比色法)、発 光法または蛍光法などにより β D ガラクトシダーゼ量を測定することができる。吸 光度法 (比色法)により β D ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えば σ—ニトロフェル j8—D—ガラクトピラノシドなどがあげられる。発光法により j8 -D- ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えば j8— D ガラクトシダーゼとその 基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光マルチウエルプレートリー
ダーなどで測定する方法などがあげられる。 j8— D ガラクトシダーゼの基質として は、例えば Galacton-Plus (アプライドバイオシステムズ社)またはその類似化合物など があげられる。蛍光法により j8— D—ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例 えば β D ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の蛍光度を蛍光光度 計や蛍光マルチウエルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。 β― D—ガラクトシダーゼの基質としては、例えば 4ーメチルゥンベリフェル 13 D—ガラク トピラノシドなどがあげられる。
[0110] 酵素がルシフェラーゼである場合には、例えば発光法などによりルシフェラーゼ量 を測定することができる。発光法によりルシフェラーゼ量を測定する方法としては、例 えばルシフェラーゼとその基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光 マルチウエルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。ルシフェラーゼ の基質としては、例えばルシフェリン、セレンテラジンなどがあげられる。
[0111] 標識物質が蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素および酵素以外の 場合は、標識物質に特異的に結合する物質を蛍光物質、発色物質、発光物質、放 射性同位元素または酵素等で標識したものと第 2の可変領域ポリペプチドを標識す る標識物質を結合させ、標識物質に特異的に結合する物質を標識している蛍光物 質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素を用いて、上記の記載と同様 にして検出を行う。標識物質をに特異的に結合する物質としては、標識物質を特異 的に結合する抗体、また標識物質がピオチンの場合は、アビジンやストレブトァビジ ンをあげることができる。また、標識物質に特異的に結合する抗体、アビジンまたはス トレブトアビジンを標識せずに、第 2の可変領域ポリペプチドを標識する標識物質と 結合させた後、抗体の定常領域に特異的に結合する抗体またはアビジンまたはスト レプトアビジンに特異的に結合する抗体を蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性 同位元素または酵素で標識したものを結合させ、これらの抗体を標識して 、る蛍光 物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素を用いて、上記の記載と同 様にして検出を行うこともできる。
[0112] これらの検出に用いる抗体、アビジンまたはストレプトアビジンや標識物質に特異的 に結合する抗体、抗体の定常領域に特異的に結合する抗体、アビジンまたはストレ
ブトアビジンに特異的に結合する抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナ ル抗体であってもよく、あるいは Fab, Fab,ゝ F (ab),ゝ F (ab,) 、 scFv、 dsFv、 Diab
2
ody、および CDRを含むペプチドなどを用いることができる。
[0113] (2)可変領域ポリペプチドの固定ィ匕
抗ペプチドモノクローナル抗体由来可変領域ポリペプチドを固定ィヒするための担 体としては、抗体を結合させて保持できるものであればいかなるものも包含されるが、 各種高分子素材を用途に合うように成形した素材が用いられる。
[0114] 可変領域ポリペプチドを固定ィ匕させる担体の形状としてはチューブ、ビーズ、プレ ート、ラテックスなどの微粒子、スティックなど力 素材としてはポリスチレン、ポリカー ボネート、ポリビュルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビュル、ナイ口 ン、ポリメタタリレート、ゼラチン、ァガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレート などの高分子素材、ガラス、セラミックス、磁性粒子や金属などがあげられる。
[0115] 可変領域ポリペプチドの固定ィ匕の方法としては物理学的結合を利用した方法とィ匕 学的結合を利用した方法またはこれらの併用など、公知の方法が用いられる。物理 学的結合としては、例えば物理吸着、静電的結合、水素結合、疎水結合などがあげ られる。化学的結合としては、例えば共有結合、配位結合などがあげられる。例えば 、ポリスチレン製免疫測定用マイクロタープレートに可変領域ポリペプチドを疎水固 定ィ匕したものがあげられる。
[0116] 可変領域ポリペプチドは、直接、固相に固定ィ匕してもよいし、可変領域ポリペプチド をピオチン一アビジンなどを介してから、固相に固定ィ匕してもよい。また、可変領域ポ リペプチドにタグペプチドが付加されて 、る可変領域ポリペプチドにお 、ては、タグ ペプチドに対する抗体を固相に固定ィ匕し、次いで可変領域ポリペプチドを固定ィ匕す ることが可能である。
[0117] あるいは、可変領域ポリペプチドは、リンカ一を介して固相に固定ィ匕してもよい。リン カーとしては、例えば、蛋白質と固相の側鎖の官能基をお互いに結び付け合う分子 であればどのようなものでもよい。好ましい態様は、例えば、蛋白質のアミノ酸残基と 反応することができる第 1の反応活性基と、固相の側鎖の官能基と反応することがで きる第 2の反応活性基を同時に持つ分子であり、第 1の反応活性基と第 2の反応活性
基が異なる基であることが好ましい。反応活性基としては例えば、ァリルアジド、カル ボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシァネート、マレ イミド、 NHS—エステル、 PFP—エステル、ソラレン、ピリジルジスルフイド、ビ-ルス ルフォンなどの各反応基が挙げられる。
[0118] 共有結合によって固定ィ匕することに適した固相の側鎖の官能基としては、カルボキ シル基ゃァミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシ サクシニルエステル基、マレイミド基、など、反応して化学的に結合できる基があるも のが望ましい。
[0119] (3)キットのその他の構成要素
上記の可変領域ポリペプチドを固定ィ匕させた固相は、ブロッキングにより、担体上 に残存する官能基を保護する。免疫学的測定法のブロッキングに用いられる物質と しては、通常蛋白質、界面活性剤およびブロックエース (大日本製薬株式会社製)等 の市販のブロッキング試薬などが用いられる。ブロッキングに用いることができる蛋白 質としては、正常動物血清、ゥシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶液などが 好適である力 これには限らない。正常動物血清に用いられる動物としては、ヒトまた はマウス以外ではすべての動物種が使用できる力 ャギ、ヒッジ、ゥサギ、ブタなどが 好適である。血清濃度は 0. 1〜20%の範囲で任意に選ぶことが可能である力 1〜 5%が最も好適である。ゥシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶液などの濃度は 0. 1〜20%の範囲で任意に選ぶことが可能である力 1〜5%が最も好適である。ブ ロッキングに用いることができる界面活性剤の種類としては、トライトン X— 100、ツイ ーン 20などを用いることができる。ブロッキング温度は 4°C〜37°Cの範囲で自由に設 定できる。ブロッキング時間は反応温度にしたがって適切に設定可能である力 室温 の場合には 10分以上 1時間以内などの条件が好ましい。
[0120] 生体試料の希釈液としては、界面活性剤、緩衝剤などに安定化剤を含む水溶液な どがあげられる。検体として全血を用いる場合には、水性溶液は、赤血球などの血球 の膨張や収縮による血清中の成分濃度の変化を防止する目的で、塩類、糖類など、 緩衝剤などにより等張液に調製されたものであることが好ましい。塩類としては、特に 制限はないが、例えば塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩
などがあげられる。糖類としては、特に制限はないが、例えば、マン-トール、ソルビト ールなどの糖アルコールなどがあげられる。
[0121] 反応緩衝液としては、可変領域ポリペプチドと生体試料中の抗原とが結合反応を することができればいかなるものであってもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、 防腐剤、安定化剤、反応促進剤あるいは酵素活性調節剤などを添加してもよい。
[0122] 洗浄液としては、通常未反応の物質を除去、洗浄でき、抗原と可変領域ポリべプチ ドの反応に影響を与えなければ、いかなるものも使用することができる。また、必要に 応じて、緩衝剤、界面活性剤、蛋白質、防腐剤あるいは安定化剤などを添加してもよ い。蛋白質としては、正常動物血清、ゥシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶 液などが好適であるが、これには限らない。これらの蛋白質の濃度は、 0. 1〜20% の範囲で任意に選ぶことが可能である力 1〜5%が最も好適である。界面活性剤の 種類としては、トライトン X— 100、ツイーン 20などが用いることができる。界面活性剤 の濃度 ίま 0. 005-0. 50/0力好ましく、 0. 01〜0. 20/0力より好まし!/ヽ。
[0123] 生体試料の希釈液、反応緩衝液あるいは洗浄液などに用いられる緩衝液としては 、緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、 ρΗ1〜 11の例えば乳酸緩衝剤、クェン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸 緩衝剤、リン酸緩衝剤 (但し、標識がアルカリフォスファターゼである場合を除く)、トリ エタノールァミン緩衝剤、ジエタノールァミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩 衝剤、トリス (ヒドロキシメチル)ァミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝 剤、シユウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、 グッド緩衝剤などがあげられる。グッド緩衝剤としては、例えば MES (2—モノレホリノエ タンスルホン酸)緩衝剤、ビス トリス [ビス(2—ヒドロキシェチル)イミノトリス(ヒドロキ シメチル)メタン]緩衝剤、 ADA[N— (2—ァセトアミド)イミノニ酢酸]緩衝剤、 PIPES [ピペラジン一 N, N,一ビス(2—エタンスノレホン酸)]緩衝剤、 ACES {2- [N— (2— ァセトアミド)ァミノ]エタンスルホン酸 }緩衝剤、 MOPSO (3 モルホリノ 2 ヒドロ キシプロパンスルホン酸)緩衝剤、 BES { 2— [N, N ビス(2—ヒドロキシェチル)アミ ノ]エタンスルホン酸 }緩衝剤、 MOPS (3—モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝剤、 T ES〈2— {N— [トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸〉緩衝剤、 HE
PES [N- (2—ヒドロキシェチル) N, - (2—スルホェチル)ピぺラジン]緩衝剤、 D IPSO{3- [N, N ビス(2 ヒドロキシェチル)ァミノ]— 2 ヒドロキシプロパンスル ホン酸 }緩衝剤、 TAPSO〈2 ヒドロキシ— 3— { [N トリス(ヒドロキシメチル)メチル] アミノ}プロパンスルホン酸〉緩衝剤、 POPSO [ピペラジン— N, N,—ビス(2—ヒドロ キシプロパン— 3—スルホン酸)]緩衝剤、 HEPPSO [N- (2—ヒドロキシェチル) N, - (2 ヒドロキシ一 3—スルホプロピル)ピぺラジン]緩衝剤、 EPPS [N—(2 ヒド 口キシェチル) -N' - (3—スルホプロピル)ピぺラジン]緩衝剤、トリシン [N トリス( ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン [N, N ビス(2—ヒドロキシェチル) グリシン]緩衝剤、 TAPS { 3— [N トリス(ヒドロキシメチル)メチル]ァミノプロパンス ルホン酸 }緩衝剤、 CHES [2- (N シクロへキシルァミノ)エタンスルホン酸]緩衝剤 、 CAPSO [3- (N シクロへキシルァミノ)—2 ヒドロキシプロパンスルホン酸]緩衝 剤、 CAPS [3—(N シクロへキシルァミノ)プロパンスルホン酸]緩衝剤などがあげら れる。
[0124] 酵素活性調節剤、酵素安定化剤としては、例えばマグネシウムイオン、マンガンィ オン、亜鉛イオンなどの金属イオンがあげられる。試薬中のこれらの金属イオンの含 量としては、測定において、酵素が安定ィ匕される含量であれば特に制限はない。
[0125] 防腐剤としては、例えばアジィ匕ナトリウム、抗生物質などがあげられる。試薬中のこ れらの防腐剤の含量としては、測定において、検体中の被測定物質が適切に測定さ れるような含量であれば特に制限はな 、。
[0126] ペプチドの標準物質としては、化学合成、酵素合成、遺伝子組換え技術により取得 された、あるいは生体試料力 取得された該ペプチドや、該ペプチドが発現している 細胞、該ペプチドの部分ペプチドまたは該ペプチドを一部に有するポリペプチドなど があげられる。あるいは、化学合成、酵素合成によって、該ペプチド、または該ぺプ チドの部分ペプチド、該ペプチドを一部に有するポリペプチドをペプチド性以外の分 子で修飾を施した物質であってもよ 、。
[0127] (4)測定系の工夫
また、本発明の検出または定量方法はすなわち、抗原ペプチドが存在するときに抗 原ペプチドを介して VHポリペプチドと VLポリペプチドが会合することを特徴とする測
定系であるが、該測定系をより性能のよいものにするためには、抗原ペプチドが存在 しな 、ときに、抗原ペプチドを介さず VHポリペプチドと VLポリペプチドが会合するこ とはバックグランドの値を上昇することになるため避けるような工夫が施されることがよ り好ましい。このような工夫としては、例えば抗原ペプチドを介さず VHポリペプチドと VLポリペプチドが会合することを妨げる凝集阻害剤の添加が考えられる。凝集阻害 剤としては例えば、界面活性剤があげられる。本発明に好適な界面活性剤としては、 蛋白質の溶解性を増すィ匕合物であれば何でもよぐ例えば、カルボン酸型、スルホン 酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型の陰イオン界面活性剤、あるいはエステル 型、エーテル型、エステルエーテル型、アル力ノールアミド型の非イオン界面活性剤
、あるいはアルキルアミン塩型、第 4級アンモ-ゥム塩型の陽イオン界面活性剤、力 ルポキシベタイン型、 2—アルキルイミダゾリンの誘導型、グリシン型の両性界面活性 剤があげられる。
[0128] また本発明に好適な上記工夫としては、例えば、反応緩衝液の塩濃度あるいは pH を適切に調製することによる方法も可能である。反応緩衝液の種類としては、例えば 、(A)オープンサンドイッチ ELISAの項に記載の反応緩衝液の態様があげられる。 p Hは 4. 0-10. 0の間力も好適な pHを見出すことができ、塩濃度は 0. Olmmol/L 〜: LOOmmolZLの間から好適な塩濃度を見出すことが可能である。塩濃度を調節 するために、無機塩を添加することも好ましい。無機塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩 、マグネシウム塩など 1価イオンまたは 2価イオンの塩などがあげられる。
[0129] さらに本発明に好適な上記工夫としては、 VHポリペプチドまたは VLポリペプチド のどちらか一方または両方のァミノ残基において、抗原ペプチドを介さず VHポリべ プチドと VLポリペプチドが会合することに関与するァミノ残基を別のアミノ残基に変 更することであってもよい。 VHまたは VLのフレームワーク領域(FR)は、 CDRを抗 原に結合することを可能とする立体形成に関与するとともに、 VHポリペプチドと VLポ リペプチドの結合にも関与することが明ら力となっている。例えば、 Masudaら(14th An nual International Antibody Engineering Conference, 2003)および ¾asajimaり (14th A nnual International Antibody Engineering Conference, 2003)の報告【こ基づ ヽて、 FR 2に存在する VHポリペプチドと VLポリペプチドの結合に重要であると特定されたアミ
ノ酸残基に変異を入れることで、抗原が存在しな ヽときの VHポリペプチドと VLポリべ プチドが会合することを抑制することができる。
[0130] (5)測定対象となる物質
本発明のオープンサンドイッチ法はモノクローナル抗体を得るために抗原として用 いられたペプチドを検出、定量するばかりでなぐ該ペプチドを一部に有する分子で あればどのようなものも検出、定量するために適した方法である。該分子としては、該 ペプチドを含むペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合物、無機化合物、 高分子ポリマーなど天然に存在、または人工的に創製可能な物質であれば何であつ てもよい。
[0131] 該分子と該ペプチドを人工的に結合させる方法としては、遺伝子工学的に結合さ せる方法、物理学的方法または化学的方法など、公知の方法が用いられる。遺伝子 工学的に結合させる方法としては、公知の遺伝子組換え技術 (Sambrook, Fritsch, M aniatis; Molecularし loning, A Laboratory Manual, し old bpnng Harboi 用 、る力法 があげられる。
物理学的結合としては、例えば物理吸着、静電的結合、水素結合、疎水結合などが あげられる。化学的結合としては、例えば共有結合、配位結合などがあげられる。
[0132] また本発明は、ペプチドを有する細胞または組織を検出、定量するためにも適した 方法である。細胞または組織は、動物、昆虫、微生物力 得られた細胞または組織、 あるいはこれらの生物力 樹立された培養細胞などを含む。ペプチドを有する細胞ま たは組織とは、該ペプチドを含むペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合 物を発現して!/ヽる細胞または組織が含まれる。あるいは細胞または組織が発現して いるペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合物を人工的に該ペプチドに 結合させたものを検出または定量することにも用いることができる。人工的に該ぺプ チドを結合する方法は、上述と同様に、遺伝子工学的に結合させる方法、物理的方 法または化学的方法など、公知の方法が用いられる。
[0133] 本発明のペプチドまたは該ペプチドを一部に有する分子の検出試薬または定量試 薬は、本発明の検出方法または定量方法を実施するために用いられ、該方法が実 施できる構成要素を含むペプチドの検出試薬または定量試薬の各構成要素と実質
的に同一、またはその一部と実質的に同一な物質が含まれていれば、構成または形 態が異なっていても、本発明の試薬に包含される。
[0134] (B) 2種類の標識物質を用いるホモジ-ァスオープンサンドイッチ法
本発明のホモジ-ァスオープンサンドイッチ法としては、 VHポリペプチドに標識物 質 1を、 VLポリペプチドに標識物質 1とは異なる標識物質 2をそれぞれ結合し、標識 物質 1と標識物質 2の相互作用の変化量を検出する方法によっても可能である。該 標識物質の好適な態様としては例えば、蛍光物質があげられる。励起光を受光する ことによって生じた蛍光エネルギー力 近接する異なる蛍光物質の蛍光エネルギーと して利用される。この現象は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescence resonan ce energy transfer)と呼ばれ、 2種類の蛍光物質が l〜10nmまで近接することにより 起こる現象である。 FRETが起きる蛍光物質の組み合わせとしては、一方の蛍光波 長のスペクトル力 他方の励起波長のスペクトルと重なりがあることが必要である。物 質としては、低分子有機蛍光色素、無機化合物、ポリペプチドなどがあげられる。低 分子有機蛍光色素としては、例えば Cy3と Cy5の組み合わせがあげられる。無機化 合物としては例えば quantum dot (Science, 281,2016-2018, 1998)があげられる。 ポリペプチドとしては、蛍光蛋白質があげられ、例えばクラゲの発光蛋白質あるいは これらの改変蛋白質があげられる。
[0135] また、該標識物質の組み合わせの態様として、化学発光を生じる酵素と蛍光物質 の糸且み合わせをめけること力でき 。 BRET (bioluminescence resonance energy tran sfer)はこれに相当する態様である。例えば、ゥミシィタケルシフェラーゼ (Rluc)が基 質を分解して生じる発光のスペクトルが、蛍光物質の励起スペクトルと重なる場合に 可能である。基質として例えば DeepBlueC (パッカードバイオサイエンス社)を使用 すると、 Rlucの分解によって 395nmの光を生じ、これが Green Fluorescence Protein (GFP)に近接する場合エネルギー移動し、 510nmの波長の光として検出することが 可能である。
[0136] また、該標識物質の組み合わせの態様としては、標識物質 1と標識物質 2が近接し て、ある配向性をもって結合したときに酵素活性を生じる物質の組み合わせであって もよい。これは例えば、標識物質の組み合わせとして j8ガラクトシダーゼのサブュ-ッ
トの組み合わせ (Yokozeki, Tら、 Anal. Chem., 74, 2500-2504, 2002)をあげることが できる。好適な態様としては、 VHポリペプチドまたは VLポリペプチドの一方を |8ガラ クトシダーゼの Δ aサブユニットの融合蛋白質とし、他方を βガラクトシダーゼの Δ ω サブユニットの融合蛋白質とする態様があげられる。別の態様として、 Rlucを 2つのド メイン (N末端側ドメインと C末端側ドメイン)に分割し、各々を VHポリペプチドまたは VLポリペプチドの融合蛋白質とする態様でも可能である(Anal. Chem. , 75, 4176-41 81 , 2003) o
[0137] 2種類の標識物質を用いるホモジ-ァスオープンサンドイッチ法を用いた検出試薬 または定量試薬の構成要素としては、標識化された抗ペプチドモノクローナル抗体 由来の VHポリペプチド、標識化された抗ペプチドモノクローナル抗体由来の VLポリ ペプチドなどがあげられ、また必要に応じ、生体試料の希釈液、反応緩衝液、該ぺプ チドの標準物質、非特異的反応阻害剤などを含む、キットの形態であっても良い。標 識物質が酵素の場合には、酵素の基質などが追加される。
[0138] 本発明の測定キットの最良の態様としては例えば、標識化 VHポリペプチド含有液 と、標識化 VLポリペプチド含有液と、被験サンプルと 2種の標識ィ匕ポリペプチドの反 応場である反応緩衝液との 3つの液剤で構成されて 、てもよ 、が、前記 2種の標識化 ポリペプチド含有液があらカゝじめ混合された混合液であってもよぐまた、前記 3つの 液剤が混合された混合液であってもよい。非特異的反応阻害剤は、前記 2種の含有 液に添加されて ヽてもよく、あるいは測定キットを構成する他の試薬 (前記 2種の含有 液および前記反応緩衝液以外の試薬)に添加されていてもよい。測定キットを構成す るそれぞれの試薬は容器等に収容され、本発明の実施に供されるときに適宜希釈し て使用される。
[0139] 生体試料の希釈液、反応緩衝液、洗浄液、該ペプチドの標準物質に好適な態様 は、(1)オープンサンドイッチ ELISA法で述べた態様を適応することが可能である。
[0140] 非特異的反応阻害剤としては、蛋白質の凝集抑制効果のあるものであれば何であ つてもよく、例えば、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質;グリコール類;ポリア-オン類; N, N—ジアルキルアミド;低級アルキルスルホキシド、界面活性剤、キレート剤、還元 剤などを挙げることができる。界面活性剤としては、任意の化合物が使用可能である
力 例えばツイーン一 20、トライトン X— 100などがあげられる。キレート剤としては任 意の化合物が使用可能である力 例えば EGTA, EDTAあるいはこれらの類縁体が あげられる。還元剤は、ダルタチオン、メルカプトエタノール、ジチォスライトールなど の SH化合物があげられる。
[0141] 酵素の基質としては、酵素の種類によって(1)オープンサンドイッチ ELISA法で述 ベた態様の中から任意の態様を選ぶことができる。例えば、酵素が j8—D—ガラタト シダーゼである場合には、 σ—-トロフエ-ル D—ガラクトピラノシドなどを基質と して吸光度を測定する態様、 4ーメチルゥンベリフェリル |8— D—ガラクトピラノシドな どを基質として蛍光を測定する態様があげられる。あるいは、酵素が Rlucである場合 には、セレンテラジンまたはその類似化合物などを基質として発光度を測定する態様 があげられる。
[0142] 標識物質の検出手段としては、標識物質に応じて適切なものを選ぶことができる。
すなわち、標識物質が発色物質すなわちある波長の光を吸収する物質の場合には、 分光光度計やマルチウエルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が 蛍光物質の場合には、蛍光光度計や蛍光マルチウエルプレートリーダーなどを用い ることができる。標識物質が発光物質の場合には、発光光度計や発光マルチウエル プレートリーダーなどを用いることができる。
[0143] 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこ れらの例示に限定されるものではない。
実施例 1
[0144] 抗ヒトォステオカルシンペプチド抗体の作製
(1)免疫原の調製
ヒトォステオカルシンの部分ペプチドとして、配列番号 1および 2それぞれのアミノ酸 配列からなるペプチド(以下、それぞれ OC— 1ペプチド、 OC— 2ペプチドとする。ま た、両者をまとめて OCペプチドと表記する)を株式会社ペプチド研究所にて委託合 成をした。配列番号 1は、ヒトォステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号 3)の C末端 部分 38〜49位のアミノ酸 12残基力もなる配列、配列番号 2は、ヒトォステオカルシン のアミノ酸配列の N末端部分 1〜13位の配列の C末端にシスティンを付加したァミノ
酸 14残基からなる配列にそれぞれ相当する。 OC— 1ペプチドおよび OC— 2ぺプチ ドをそれぞれ以下の方法で KLHにコンジュゲートした。 OCペプチド 4. 8mgを lmlの 0. ImolZLリン酸バッファー(pH7. 0)に溶解し、ここに 0. ImolZLリン酸バッファ 一(pH 7. 0)に KLHを 20mgZmLになるよう溶解した溶解液を lmL添カ卩し、攪拌 した。 60mgの EDCと、 11. 5mg/mLになるよう NHSを N, N—ジメチルフオルムァ ミドに溶解した液 150 Lを順次添加し、室温で 8時間転倒混和した後、 PBSで、 4 °Cで 3回透析した。得られた OCペプチドコンジュゲート KLHの濃度は、 280nmの吸 光度で測定した。
[0145] (2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
実施例 1 (1)で得られた 2種類の OCペプチドコンジュゲート KLHそれぞれを PBS lmLに溶解し、フロイントの完全アジュバンド〔MPバイオメディカルズ(MP Biomedica Is)社製〕とともに、 1匹あたり 0. 4mgの OCペプチドコンジュゲート KLHを 5週令雌マ ウス (BalbZc)の腹腔内に投与した。 3週間後に最終免疫として再び、フロイントの不 完全アジュバンド(MPバイオメディカルズ社製)ととも〖こ 1匹あたり 0. 5mgの OCぺプ チドコンジュゲート KLHを腹腔内に投与した。上記の免疫マウスより採血し、その血 清抗体価を以下 (3)に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な抗体価を示したマウス 力も最終免疫の 3日後に脾臓を摘出した。
[0146] 脾臓を MEM (日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐした後、遠心分離(12 00rpm、 5分間)して細胞を沈降させた。上清を捨て、細胞をトリス—塩ィ匕アンモ-ゥ ム緩衝液 (PH7. 65)で 1〜2分間処理して赤血球を除去した後、 MEMで 3回洗浄し 、(5)の細胞融合に用いた。
[0147] (3)酵素免疫測定法
アツセィ用の抗原として、実施例 1 (1)の OCペプチドコンジュゲート KLHの作製と 同様な方法で、 BSAを KLHの代わりに用いて、 OCペプチドコンジュゲート BSAを 作製した。 96ゥエルの酵素免疫測定法 (EIA)用プレートに、 PBSに溶解した 10 g ZmLの OCペプチドコンジュゲート BSAを 50 μ LZゥエルずつ分注し、 4°Cでー晚 放置して吸着させた。洗浄後、 1%の BSA含有 PBSを 100 /z LZゥエルずつ加え、 室温 1時間反応させた。 BSA含有 PBSを捨て、 0. 1%の BSA含有 PBSにて適宜希
釈した被免疫マウス抗血清を 50 LZゥエルずつ分注し室温で 1時間反応させた。 0 . 1%のツイーン 20含有 PBSで洗浄後、ペルォキシダーゼ標識ゥサギ抗マウスィムノ グロブリン (ダコ社)を 50 LZゥエルずつ加えて室温で 1時間反応させた。ツイーン 2 0含有 PBSで洗浄後、過酸ィ匕水素含有 o—フエ-レンジアミン基質液 (シグマ社製) を 50 μ LZゥヱルずつ加えて発色させ、次いで 2. 5molZL硫酸を 50 μ LZゥエル ずつ加えて反応を停止させた。 492nmの吸光度(以下、 OD492などと表記する)を プレートリーダー(MTP— 120 ;コロナ電機社製)にて測定した。対照波長は 660nm とした。
[0148] (4)マウス骨髄腫細胞の調製
8—ァザグァニン耐性マウス骨髄腫細胞株 P3— X63— Ag8— Ul (Curr. Top. Mic robiol. Immunol, 81, 1-7, 1978)を正常培地で培養し、細胞融合時に 7 X 106以上の 細胞を確保し、細胞融合に供した。
[0149] (5)ハイブリドーマの作製
実施例 1 (2)で得られたマウス脾細胞と (4)で得られた骨髄腫細胞とを 10: 1になる よう混合し、 1200rpmで 5分間遠心分離した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよく ほぐした後、攪拌しながら、 37°Cで、 PEG— 1000 2g、 MEM 2mLおよびジメチ ルスルホキシド 0. 7mLの混液を 1 X 108個マウス脾細胞当たり 0. 2〜lmLを加え、 1〜2分間毎に MEM l〜2mLを数回加えた後、 MEMをカ卩えて全量が 50mLにな るようにした。 900rpmで 5分間遠心分離した後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐ した後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞を HAT培地 lOOmL中 に懸濁した。
[0150] この懸濁液を 96ゥエル培養用プレートに 100 μ LZゥエルずつ分注し、 5%CO
2ィ ンキュベータ一中、 37°Cで 10〜14日間培養した。この培養上清を下記(6)に記載し た競合阻害法で調べ、 OCペプチドによって OCペプチドコンジュゲート BSAとの反 応が阻害されるゥエルの細胞を選び、さらに HT培地、続いて正常培地を用いる 2回 クロー-ングを行って、抗 OCペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを確立 した。
[0151] 以上の方法により、 OC— 1ペプチド、 OC— 2ペプチドそれぞれを抗原ペプチドとし
て免疫したマウスから、 OC— 1ペプチドに特異的に結合する抗体を産生するハイブ リドーマおよび OC— 2ペプチドに特異的に結合する抗体を産生するノ、イブリドーマ 1 株ずつが確立され、それぞれ KTM— 219株、 KTM— 223株と名付けた。以下、ハ イブリドーマ KTM - 219株が産生する OC— 1ペプチドに特異的に結合するモノクロ ーナル抗体を KTM— 219と、ハイプリドーマ KTM— 223株が産生する OC— 2ぺプ チドに特異的に結合するモノクローナル抗体を KTM— 223と表記する。また、 KTM 219および KTM— 223は、ヒトォステオカルシンに特異的に結合するモノクロ一 ナル抗体であり、 KTM— 219は、ヒトォステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号 3) の 38〜49位の連続するアミノ酸の配列、 KTM— 223は、ヒトォステオカルシンのアミ ノ酸配列(配列番号 3)の 1〜 13位の連続するアミノ酸の配列にそれぞれェピトープ を有する。
(6)競合阻害法
96ゥエルの EIA用プレートに、 PBSに溶解した 10 μ g/mLの OCペプチドコンジュ ゲート BSAを 50 /z LZゥエルで分注し、 4°Cで一晩放置して吸着させた。陰性対照ゥ エルとして、 OCペプチドコンジュゲート BSAを吸着させないゥエルを作製した。洗浄 後、 1%の BSA含有 PBSを 100 /z L/ゥエルでカ卩え、室温 1時間反応させた。 BSA 含有 PBSを捨て、 0. 1%BSA含有 PBSにて適宜希釈した OCペプチド含有液(25 /z LZゥエル)と、 0. 1%BSA含有 PBSにて適宜希釈した抗 OCペプチドモノクロ一 ナル抗体の培養上清もしくは精製モノクローナル抗体(50 μ LZゥエル)を分注し室 温で 1時間反応させた。陽性対照ゥエルとして、 OCペプチドを含有しない 0. 1%BS A含有 PBS (25 μ LZゥエル)と、 0. 1%BSA含有 PBSにて適宜希釈した抗 OCぺ プチドモノクローナル抗体の培養上清もしくは精製モノクローナル抗体(50 μ LZゥ エル)を分注し室温で 1時間反応させた。 Tween— 20含有 PBSで洗浄後、ペルォキ シダーゼ標識ゥサギ抗マウスィムノグロブリン (ダコ社)を 50 μ LZゥエルでカ卩えて室 温、 1時間反応させ、 Tween— 20含有 PBSで洗浄後過酸化水素含有 o フエ-レ ンジァミン基質液(シグマ社)を 50 μ LZゥエルでカ卩えて発色させ、次いで 2. 5mol/ L硫酸を 50 LZゥエルでカ卩えて反応を停止させた。 492nmの吸光度(以下、 OD4 92などと表記する)をプレートリーダー(MTP— 120 ;コロナ電機社)にて測定した。
対照波長は 660nmとした。
[0153] (6)モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した 8週令ヌード雌マウス(BalbZc)に実施例 1 (5)で得られたノヽィ プリドーマ株を 5〜20 X 106細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。 10〜21日後に、ハ イブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマウスから、腹水を採取(l〜8mLZ匹 )し、遠心分離 (3000rpm、 5分)して固形分を除去した。得られた腹水は、力プリル 酸沈殿法 [Antibodies - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (198 8) ]により精製し、精製モノクローナル抗体とした。
[0154] 抗体のサブクラスはサブクラスタイピングキット(ZYMED社)を用いて酵素免疫測 定法により行な ヽ決定した。 KTM— 219および KTM— 223はともに抗体サブクラス は H鎖が IgGlでかつ L鎖が κであった。
実施例 2
[0155] VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの調製
( 1) KTM— 219の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドをそれぞれコードする DN Aの調製
KTM— 219の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドをそれぞれコードする DNA を、以下のようにして調製した。まず、 KTM— 219を産生するハイブリドーマ KTM— 219株より常法に基づき、 RNAを抽出精製した。この RNAを铸型とし、下記のプライ マーを用いて、キアゲン'ワンステップ RT—PCRキット(QIAGEN OneStep RT- PCR Kit)〖こより、添付のプロトコルに従って逆転写 PCR (RT—PCR)を行った。
フォワードプライマーとしてマウスィムノグロブリン重鎖のフレームワーク 1 (FR1)領域 に対する縮重プライマー MHlBack (配列番号 14)および MH2Back (配列番号 15 )の等量混合物を、リバースプライマーとしてマウス IgG重鎖定常領域に対するプライ マーであるマウス IgG VH3' 2 (配列番号 16、 Novagen- Merck社製、マウス Igプラ イマ一セット)を用いて、マウス IgGの重鎖定常領域の一部を含む VHポリペプチドを コードする DNAを増幅した。またフォワードプライマーとしてマウスィムノグロブリン κ 鎖の FR1領域に対する縮重プライマーである Vk4BkFL2 (配列番号 17)を、リバ一 スプライマーとしてマウスィムノグロブリン κ鎖定常領域に対するプライマーである M
KCFor (配列番号 18)を用いて、マウスィムノグロブリン κ鎖定常領域の一部を含む VLポリペプチドをコードする DNAを増幅した。プライマーは、それぞれの配列番号 の配列力もなる DNAをィ匕学合成したものを用いた。なお RT— PCRの反応条件は 5 0°Cで 30分間の逆転写反応の後、 94°Cで 15分間の変性反応を行い、その後 94°C で 30秒間、 56°Cで 30秒間、 72°Cで 1分間を 1サイクルとする反応を 30サイクル行い 、最後に 72°Cで 6分間の伸張反応を行った。そして、それぞれの RT— PCRで増幅 された約 450bpの cDNA断片を 1. 5%ァガロースゲル電気泳動で分離し、ウイザ一 ド SVゲル'アンド PCRクリーンアップ 'システム(Wizard SV gel and PCR Clean- Up Sy stem,プロメガ社製)を用いて精製した。
[0156] 得られた cDNA断片の塩基配列を決定したところ、 KTM— 219の VHをコードする 領域は配列番号 4の塩基配列を有し、配列番号 5のアミノ酸配列をコードすること、 V Lをコードする領域は配列番号 6の塩基配列を有し、配列番号 7のアミノ酸配列をコ ードすることが明らかになった。また、 KTM— 219の VH領域の CDR1、 2および 3は 、それぞれ配列番号 5のアミノ酸配列の 31〜35位、 50〜66位および 99〜105位の 領域であり、 VL領域の CDR1、 2および 3は、それぞれ配列番号 7のアミノ酸配列の 2 4〜39位、 55〜61位および 94〜102位の領域であった。 KTM— 219の VH領域 の CDR1、 2および 3ならびに VL領域の CDR1、 2および 3のアミノ酸配列を、それぞ れ配列番号 8〜 13に示した。
[0157] (2) spFvファージミドベクターへのクロー-ング
KTM— 219の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを M 13ファージを禾 IJ用して 発現させるため、以下のようにして spFvファージミドベクター pKST2 (Anal. Chem., 7 5, 4057-4064, 2003)にサブクローユングした。 pKST2は、プロモーターの下流に、リ ボゾーム結合配列、シグナルペプチドをコードする配列、 Sfilサイト、 Notlサイト、 Hi s— mycタグをコードする配列、アンバー終止コドン、 M13ファージコート蛋白質 p7を コードする配列を有する。 pKST2の sfilと Notl間に VHポリペプチドをコードする配 列、 M13ファージコート蛋白質 p9をコードする配列、リボゾーム結合配列、シグナル ペプチドをコードする配列、 VLポリペプチドをコードする配列を挿入することにより、 プロモーターの下流に(A)リボゾーム結合配列 シグナルペプチド ZVHポリべプチ
ド Zp9融合蛋白質をコードする配列および (B)リボゾーム結合配列 シグナルぺプ チド ZVLポリペプチド ZHis— mycタグをコードする配列 アンバー終止コドン p7 をコードする配列を有するファージミドが構築できる。得られたファージミドで E.coliを 形質転換した後、ヘルパーファージ感染により、ファージ粒子を得ることができる。 E.c oliがアンバーサプレッサー株の場合、アンバー終止コドンが一定の割合でグルタミン に翻訳されるため、 VHポリペプチド Zp9の融合蛋白質と共に、 VLポリペプチド ZH is— mycタグ Zp7の融合蛋白質がファージ粒子上に提示される。一方、非サブレツ サー株の場合は、 VHポリペプチド Zp9の融合蛋白質はファージ粒子上に提示され る力 VLポリペプチド ZHis— mycタグは p7との融合蛋白質にはならないため、ファ ージ粒子上には提示されず、培地中に分泌される。
[0158] まず(1)で得られた、 KTM— 219の VHポリペプチドコードする DNAを铸型にして フォワードプライマー MH2Back (配列番号 15)およびリバースプライマー VHlFor — 2X(配列番号 19、 Anal. Chem., 75, 4057-4064, 2003)を用いて、 VHポリペプチド をコードする DNAを、また(1)で得られた、 KTM— 219の VLポリペプチドコードする DNAを铸型にしてフォワードプライマー MkBack (配列番号 20)およびリバースプラ イマ一 MJK2FONX (配列番号 21、 Antibody Engineering: a Practical Approach, IR L Press, 1996)を用いて VLポリペプチドをコードする DNAをそれぞれ Ex— Taq D NAポリメラーゼ (宝バイオ社)を用いた PCRにより増幅した。 PCRの反応条件は, 94 °Cで 3分間の変性反応の後、 94°Cで 30秒間、 56°Cで 30秒間、 72°Cで 1分間を 1サ イタルとする反応を 30サイクル行い、最後に 72°Cで 6分間伸張反応を行った。またこ れと同時に、 ρ9をコードする配列、リボゾーム結合配列および OmpAシグナルぺプ チドをコードする配列を含むリンカ一 DNAを、フォワードプライマー 01inkBack2 (配 列番号 22)およびリバースプライマー OlinkFor (配列番号 23)、ならびに铸型として pKST2(HyHEL10) (Anal. Chem., 75, 4057-4064, 2003)を用いて同様に増幅した。 (1)と同様に、増幅断片をァガロースゲル電気泳動で分離後、精製した。
[0159] 得られた VHポリペプチドをコードする DNA、 VLポリペプチドをコードする DNAお よびリンカ一 DNAを、プライスオーバーラップ伸張 PCR法(Biotechniques, 8, 528-53 5, 1990)によりリンカ一 DNAの末端の共通する配列を介して VH—リンカ VLの
順に結合した構造の 0. 9kbの断片に一本ィ匕した。具体的には、 VHポリペプチドをコ ードする DNA VLポリペプチドをコードする DNAおよびリンカ DNAを混合し、プ ライマーを添加せずに PCRを、 94°Cで 3分間の変性反応の後、 94°Cで 30秒間、 56 °Cで 45秒間、 72°Cで 90秒間を 1サイクルとする反応を 8サイクル行い、最後に 72°C で 8分間の伸張反応という条件で行い、 3つの DNA断片が VH—リンカ VLの順 に結合した構造の DNA断片を増幅させた。さらに、プライマー MH2Backsfi (配列 番号 24)および JK2NotlO (配列番号 25)を添加し、上記と同様の条件で 30サイク ルの反応の PCRを行い、 5,端に Sfilサイトおよび 3,端に Notlサイトを付カ卩した。増 幅断片をァガロースゲル電気泳動で分離した後、精製した。精製した増幅断片は制 限酵素 Sfilおよび Notlで切断し,再度ァガロースゲル電気泳動で分離した後、精製 した。この増幅断片と同様に Sfilおよび Notlで切断した pKST2とライゲーシヨンさせ KTM— 219の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを発現するための spFvファ ジミドベクター PKST2ZKTM219を作製した。図 1に pKST2ZKTM219のプロ モーターの下流の構造を示した。実施例 2で用いられたプライマーを表 1に示した。
[表 1]
(3) VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの調製
前項で得た spFvファージミドベクター pKST2ZKTM219を、アンバーサプレッサ 株である E. coliTGl株(supE, hsd A 5, thi, Δ (lac- proAB), /F' [traD36, proAB+, laclq, lacZ A M15])あるいは非サプレッサー株である HB2151株(ara, Δ (lac-proAB ), thi/F'proAB+, laclq, lacZ A M15) (アマシャム'バイオサイェンシズ社)に形質転換 した。形質転換細胞を 2 XTYAG (16gZLトリプトン、 lOgZLイーストエキス、 5gZ
L塩化ナトリウム、 100 gZmLアンピシリン、 1%グルコース、 pH7. 0)ァガープレ 一ト(1. 5%寒天を含む 2 XTYAG)で 37°Cでー晚培養したのち、シングルコロニー のいくつかをそれぞれ 4mLの 2 XTYAG培地で 37°Cでー晚培養した。この一部を 新鮮な 2 XTYAG培地に移して、 37°Cで 600nmの吸光度(OD )が約 0. 5になる
600
まで振盪培養した。ここでヘルパーファージ M13K07を m. o. i (multiplicity of infe ction)が 20になるように加え、 37°Cで 30分間静置した。その後菌体を 2, 000gで 15 分遠心して回収し、 2 XTYAK培地(16gZLトリプトン、 10gZLイーストエキス、 5g ZL塩化ナトリウム、 100 gZmLアンピシリン、 50 gZmLカナマイシン)に再懸濁 して 250rpmで 30°C、 16時間振盪培養した。
[0162] TG1株を宿主とした場合は、培養液を 10, 800gで 10分間遠心分離し、 VHポリべ プチドおよび VLポリペプチドを提示する M13ファージを含む上清を回収した。この 上清に 1Z5容の 20%ポリエチレングリコール Z2. 5mol/L NaClをカ卩えてファー ジを沈殿させた。 4°Cで 1時間放置した後、 11, 500gで 15分間遠心分離し、ペレット を PBSに再懸濁させ 4°Cで保存した。 HB2151株を宿主とした場合は、培養液を 1 0, 800gで 10分間遠心分離し、 VHポリペプチドを提示する M13ファージおよび His —mycタグが付加した VLポリペプチドを含む上清を 4°Cで保存した。
実施例 3
[0163] オープンサンドイッチ ELISA法によるヒトォステオカルシンおよび OC— 1ペプチドの 測定
(1)VHポリペプチドと VLポリペプチドの結合性の確認
実施例 2 (3)で、 E. coli TGI株を宿主として得られた VHポリペプチドおよび VLポ リペプチドを提示する M13ファージ (以下、 VHZVL提示ファージと表記する)を用 Vヽて、 VHポリペプチドおよび VLポリペプチドのヒトォステオカルシンに対する特異的 な結合性が保持されて 、ることを、以下の ELISAで確認した。
[0164] 96ウェルマイク口プレート(ファルコン 3914、ベタトン'ディキンソン社製)に 1ゥエル あたり 100 μ Lの PBSに溶解した各濃度のヒトォステオカルシン(プリンストン 'バイオ モレキュールズ社製)を入れ、 37°Cで 1時間静置してこれを吸着させた。次いで、 PB Sで 25%に希釈したブロックエース(Block Ace、大日本製薬社製)(以下、 25%BPB
Sと表記する)で 37°Cで 1時間、非特異吸着サイトのブロッキングを行った。その後マ イク口プレートを 0. 1%ツイーン— 20を含む PBS (以下 PBSTと略す)で 3回洗浄し、 各ゥエルに 10%BPBSで 100倍に希釈した VHZVL提示ファージを 100 μ L加え、 25°Cで 90分間反応させた。次に PBSTによる 3回洗浄のあと各ゥエルに 10%BPBS で 5000倍希釈したペルォキシダーゼ標識マウス抗 M 13抗体 (アマシャム'バイオサ イエンシズ社製)を 100 L加え、 25°Cで 90分間反応させた。最後に PBSTでマイク 口プレートを 6回洗浄し、各ゥエルあたり 100 μ Lの基質溶液(lOOmM酢酸ナトリウム 、 100 μ g/mL3, 3,, 5, 5,一テトラメチルベンジジン(以下 TMBと略す、シグマ'ァ ルドリッチ社製)、 0. 04
0)を加えて 10〜30分おい た。そして反応をゥエルあたり 50 Lの ImolZL硫酸で停止し,モデル 680マイクロ プレートリーダー(バイオラッド社)で 655nmを対照として 450nmの吸光度を測定し た。結果を図 2に示した。その結果、ヒトォステオカルシンの濃度依存的に吸光度の 上昇が見られ、 KTM— 219の VHポリペプチドおよび VLポリペプチドは、ヒトォステ ォカルシンに対する特異的な結合性を有していることが確認された。
[0165] (2)オープンサンドイッチ ELISAによる OC— 1ペプチドおよびヒトォステオカルシン の測定
実施例 2 (3)で、 pKST2ZKTM219で形質添カ卩した E. coli HB2151株力ら得ら れた、 KTM— 219の VHポリペプチドを提示する M13ファージ、すなわち M13ファ ージで標識した VHポリペプチドおよび His— mycタグが付カ卩した KTM— 219の VL ポリペプチド含む培養上清を用いて、ヒトォステオカルシンおよび OC— 1ペプチドの オープンサンドイッチ ELISAによる測定を、以下のようにして行った。
[0166] ファルコン 3914マイクロプレートに、 1ゥエルあたり 100 Lの PBSに溶解した 0. 5 μ gZmL抗 Hisタグ抗体 Penta—His (キアゲン社)を分注し, 4°Cでー晚静置して吸 着させた後、 25%BPBSで 25°C2時間ブロッキングした。 PBSTによる 3回洗浄のあ と各ゥエルに測定試料として、 10%BPBSで各濃度になるよう希釈したヒトォステオ力 ルシンある!/、は OC— 1ペプチド(キアゲン社)を 100 μ Lずつ加えたのち、実施例 2 ( 3)で調製した pKST2ZKTM219で形質添カ卩した E. coli HB2151株の培養上清 を 10 Lずつ加えてゆるやかに振盪させて混合し、室温で 2時間反応させた。この反
応にお 、て、抗 Hisタグ抗体を介して His— mycタグ付加 VLポリペプチドがゥエルに 固定ィ匕され、固定ィ匕された VLポリペプチドに添カ卩したヒトォステオカルシンある ヽは OC— 1ペプチドが結合し、さらにこのヒトォステオカルシンあるいは OC— 1ペプチド に M13ファージで標識された VHポリペプチドが結合する。 PBST〖こより 3回洗浄し、 各 100 μ Lの 10%BPBS中で 5000倍希釈したペルォキシダーゼ標識抗 M13抗体 をカロえ 25°C90分反応させた。 6回の PBSTによる洗浄の後、実施例 3の(1)と同様に 、各ゥエルあたり 100 Lの TMBを含む基質溶液をカ卩えて 10〜30分おいた。そして 反応をゥエルあたり 50 μ Lの ImolZL硫酸で停止し、モデル 680マイクロプレートリ ーダ一で 655nmを対照波長として 450nmの吸光度を測定した。ヒトォステオカルシ ンの測定結果を図 3に、 OC— 1ペプチドの測定結果を図 4に示した。測定試料中に 測定対象のペプチドが存在しないときの吸光度の値はそれぞれヒトォステオカルシン が 0. 278、 OC— 1ペプチドが 0. 143であった。 OC— 1ペプチドおよびヒトォステオ カルシンともに、測定試料中の濃度依存的に吸光度の上昇がみられ、オープンサン ドイッチ ELISA法により測定できることが確認された。図 3よりォステオカルシンの測 定範囲は l〜500ngZmLであり、図 4より OC— 1ペプチドの測定範囲は 0. l〜50n gZmLであった。また、濃度が不明なヒトォステオカルシンまたは OC—1ペプチドを 含む試料を測定する場合は、上記の方法で、ヒトォステオカルシンあるいは OC— 1 ペプチドの代わりに試料を添加して測定を行 ヽ、得られた吸光度と上記で得られた 検量線力も濃度を求めることができる。
(3)競合阻害 ELISAによる OC— 1ペプチドの測定
ファルコン 3914マイクロプレートに 1ゥエルあたり 100 μ Lの PBSで希釈した 2 μ gZ mLヒトォステオカルシンをカ卩え、 37°Cで 1時間おいた後、 25%BPBSで 37°C1時間 ブロッキングし、 PBSTにより 1回洗浄した。測定試料として 10%BPBSで段階希釈し た OC— 1ペプチドと、 0. 5 iu gZmLのKTM— 219溶液を混合させた後,混合液各 100 Lをマイクロプレートに 2ゥエルずつアプライし,室温で 2時間反応させた。 PBS Tにより 3回洗浄し, 10%BPBS中 0. 2 g/mLに希釈したペルォキシダーゼ標識 抗マウス IgG抗体 100 /z Lをカ卩ぇ 25°C90分間反応させた。 6回の PBSTによる洗浄 の後、実施例 3の(1)と同様に酵素反応と吸光度測定を行った。実験結果を図 5に示
した。図 5の実験において測定試料中に OC— 1ペプチドが存在しないときの吸光度 の値はそれぞれ 2. 28であった。図 5より OC—1ペプチドの測定範囲は 5〜2000ng Z mLであつ 7こ。
[0168] 以上より、オープンサンドイッチ ELISA法は、競合阻害 ELISA法に比較して、最小 検出感度が低値にまで及び、測定範囲が広がることが確認された。
[0169] (4)サンドイッチ ELISAによるォステオカルシンの測定
実施例 1で得られた、ェピトープの異なるヒトォステオカルシンと特異的に反応する モノクローナル抗体 KTM - 219および KTM - 223を利用して、ヒトォステオカルシ ンのサンドイッチ ELISAを行 、、オープンサンドイッチ ELISAと比較した。
[0170] ファルコン 3914マイクロプレートに、 1ゥエルあたり 0. 5 gZmLのモノクローナル 抗体 KTM— 219を分注し、 37°Cで 1時間静置して吸着させた後、 25% BPBSで 3 7°C1時間ブロッキングした。 PBSTによる 1回洗浄の後、各ゥエルに測定試料として、 10%BPBSで各濃度になるよう希釈したヒトォステオカルシンを 100 μ Lずつ加え、 室温で 1. 5時間反応させた。 PBSTにより 3回洗浄した後、 10%BPBSで 0. 3 ^ g/ mLの濃度に調製したピオチン標識したモノクローナル抗体 KTM— 223を 100 μ L を加え、室温で 1時間反応させた。 PBSTにより 3回洗浄した後、 10%BPBSで 2000 倍希釈したペルォキシダーゼ標識アビジンを加え室温で 1時間反応させた。 3回の P BSTによる洗浄の後、実施例 3の(1)と同様に酵素反応と吸光度測定を行った。実 験結果を図 6に示した。また、上記と同様の方法で、プレートに固定ィ匕するモノクロ一 ナル抗体を KTM— 223〖こし、ピオチン標識したモノクローナル抗体 KTM— 219を 添カロした場合の結果を図 7に示した。図 6より、 KTM— 219を固定ィ匕し、標識 KTM 223を用いた場合のサンドイッチ ELISAの測定範囲は 0. 01〜5ngZmLであり、 図 7より、 KTM— 223を固定化し、標識 KTM— 219を用いた場合のサンドイッチ EL ISAの測定範囲は 0. 05〜5ngZmLであった。
[0171] オープンサンドイッチ ELISAは、サンドイッチ ELISAと比較して測定範囲の上限の 濃度が高ぐまたその測定範囲の幅は同程度もしくは広いものであった。実際の血中 のォステオカルシンを測定する場合の基準値は 2. 5ngZmL程度であり、病的な状 態では、血中ォステオカルシンの濃度はさらに高くなることが予想される。オープンサ
ンドイッチ ELISA法は、通常のサンドイッチ ELISA法と比較して測定の工程が少なく て簡易なうえ、血中のォステオカルシンの濃度と測定範囲が合っているため、試料の 希釈が不要で、より適していると考えられた。
実施例 4
[0172] MBPが付カ卩した VHポリペプチドおよび VLポリペプチドの調製
VLポリペプチドとして、 VLに MBPが付カ卩した MBP—VL融合蛋白質を用いること により、 VLポリペプチドを抗 Hisタグ抗体を介さずに、物理的に直接プレートに固定 化できると考えられる。また、標識した VHポリペプチドとして、アルカリフォスファタ一 ゼと融合させた VH—アルカリフォスファターゼ融合蛋白質(以下、 VH— AP融合蛋 白質と省略する)を用いることにより、 VHポリペプチドと結合する酵素標識した抗 Ml 3抗体の反応が不要となると考えられる。したがって、両者を用いることでオープンサ ンドイッチ法の工程を簡略ィ匕することができると考えられる。このようなオープンサンド イッチ法によるォステオカルシンの測定を目的として、以下のように、 VH—AP融合 蛋白質および MBP— VL融合蛋白質の調製を行った。
[0173] (1)VH— AP融合蛋白質の調製
以下のようにして、 VH—AP融合蛋白質発現プラスミド pET—VH219—APを作 製した。実施例 3で作製した spFvファージミドベクター pKST2ZKTM219を铸型に して、プライマー MH2Back— EcoRV (配列番号 26)および VHlFor2— HindIII ( 配列番号 27)を用いた PCRにより、 KTM— 219の VHポリペプチドをコードする DN Aを増幅した。増幅断片を EcoRVと Hindlllで切断し、ァガロースゲル電気泳動で分 離後、精製し、同じく EcoRVと Hindlllで切断したプラスミド pPhoA(J. Immunol. Met hods, 224, 171-84, 1999)の断片とライゲーシヨンした。 pPhoAは、 E. coliアルカリフ ォスファターゼをコードする 1450bp断片をベクター pET— 20b (ノバジェン、 EMDバ ィォサイエンシズ社製)の Notlサイトに挿入して作製されたプラスミドである。ライゲー シヨン産物を E. coli XL10— Gold (ストラタジーン社製)に形質転換し、 LBAG寒天 培地(lOgZLトリプトン、 5gZLイーストエキス、 lOgZL塩化ナトリウム、 lOgZLグル コース、 100 g/mLアンピシリン、 pH7. 2、 1. 5%寒天)にて 37°C—晚培養した。 得られた数個のコロニーよりプラスミドを調製し,正しい配列を持つものを選択して、 p
ET— VH219— APと名付けた。 pET— VH219— APはプロモーターの下流に図 8 に示す構造を有し、宿主のペリプラズムに、 KTM— 219の VHポリペプチド Zアル力 リフォスファターゼ ZHisタグ力 なる VH—AP融合蛋白質を発現するためのプラスミ ドである。
[0174] このプラスミド pET— VH219— APで E. coli BL21 (DE3) pLysS株を形質転換し , 37°Cでー晚 LBAG寒天培地で培養したのち、シングルコロニーを 4mLの LBAC 液体培地(lOgZLトリプトン、 5gZLイーストエキス、 lOgZL塩化ナトリウム、 100 gZmLアンピシリン、 34 gZmLクロラムフエ-コール、 pH7. 2)で 30°C—晚培養 し、この培養液 3mLを 2本の 150mLの LBAC液体培地に移し、 30°Cで OD600が 0 . 6〜0. 8になるまで培養した。培養液に終濃度 0. 2mmol/Lの IPTGを添カ卩して、 VH— AP融合蛋白質の発現を誘導した後、さらに 18〜24時間 20°Cで培養した。
[0175] 培養終了後の培養液を、 6000rpm、 4°Cで 10分間遠心分離し、菌体を回収した。
得られた菌体を 40mLの浸透圧ショック液(30mmolZL Tris—HCl、 20%スクロ ース、 ImmolZL EDTA、 pH8. 0)に再懸濁し室温で 10分間ゆるやかに混合した のち、 8000g、 4°Cで 10分間遠心分離した。上清を捨て、菌体に氷冷した 5mmolZ L MgS04 10mLをカ卩え、直ちに再懸濁し、ペリプラズム画分の VH— AP融合蛋 白質を細胞外に放出させた。懸濁液を氷上で 20分間時々混ぜながら置いたのち、 8 000g、 4°Cで 15分間遠心分離し、 VH— AP融合蛋白質を含む上清を回収した。こ の上清を 1Lのカラム緩衝液(10mmol/L Tris-HCl, 50mmol/L NaH2P04 、 lOOmmol/L NaCl、 pH7. 4)に対して 4°Cでー晚透析したのち、 ImL の Talo n金属キレートカラム (クロンテック製)を用いてメーカーのマニュアルに従 ヽ精製を行 つた。溶出緩衝液(200mmolZLイミダゾールを含むカラム緩衝液)を用いて得られ た各 0. 5mLの画分を回収し、 10%SDS— PAGEにより、 VH— AP融合蛋白質を 含む画分を確認した。 VH—AP融合蛋白質を含む画分を集めてトリス緩衝塩溶液 T BS (25mmol/L Tris— HC1、 137mmol/L NaCl、 2. 68mmol/L KC1、 pH 7. 4)で平衡化した PD— 10カラム(アマシャム'バイオサイエンス社製)を用いて、 V H— AP融合蛋白質溶液の溶媒を TBSに交換した。以上のようにして精製された VH —AP融合蛋白質は、蛋白質濃度をブラッドフォード (Bradford)試薬 (バイオラッド社
製)を用いて決定し、小分けして— 80°Cで保存した。精製 VH— AP融合蛋白質は、 SDS— PAGEでは推定分子量である 61. 9kDa付近に単一バンドが認められ、その 収量は培養液 300mL培養から約 1. 5mgであった。
[0176] (2) MBP— VL融合蛋白質の調製
以下のようにして、 MBP— VL融合蛋白質発現プラスミド pMAL— VL219を作製 した。 spFvファージミドベクター pKST2/KTM219を铸型にして、プライマー MkB ackES (配列番号 28)および MycForHd (配列番号 29)を用いた PCRにより、 KTM — 219の VLポリペプチドおよび His— Mycタグをコードする DNAを増幅した。増幅 断片を EcoRIと Hindlllで切断し、ァガロースゲル電気泳動で分離後、精製し、同じ く EcoRIと Hindlllで切断した MBP融合蛋白質発現プラスミド pMAL— p2 (-ュ一 · イングランド 'バイオラブズ社製)の断片とライゲーシヨンした。ライゲーシヨン産物を E. coli XLIO— Goldに形質転換し、 LBAG寒天培地にて 37°C—晚培養した。得られ た数個のコロニーよりプラスミドを調製し,正しい配列を持つものを選択して、 pMAL VL219と名付けた。 pMAL -VL219はプロモーターの下流に図 9に示す構造を 有し、宿主のペリプラズムに MBPZKTM— 219の VLポリペプチド ZHis— Mycタ ダカもなる MBP—VL融合蛋白質を発現するためのプラスミドである。
このプラスミド pMAL— VL219で E. coli TGI株を形質転換し、 37°Cでー晚 LBA G寒天培地で培養した後、シングルコロニーを 4mLの LBAG液体培地(lOgZLトリ プトン、 5gZLイーストエキス、 lOgZL塩化ナトリウム、 lOgZLグルコース、 100 /z g /mLアンピシリン、 pH7. 2)で 30°C—晚培養した。この培養液を 2本の 250mLの 0 . 2%グルコースを含む LBA培地(lOgZLトリプトン、 5gZLイーストエキス、 lOgZL 塩ィ匕ナ卜リウム、 100 /z g/mLアンピシリン、 pH7. 2)に添カロし、 30。Cで OD600力^). 6〜0. 8になるまで培養した。培養液に終濃度 ImmolZLの IPTGを添カ卩して、 MB P—VL融合蛋白質の発現を誘導した後、さらに 5時間 27°Cで培養した。
[0177] 培養を終了した培養液を、 6000rpm、 4°Cで 10分間遠心分離し、菌体を回収した 。得られた菌体を 50mLの浸透圧ショック液に再懸濁し、室温で 10分間ゆるやかに 混合したのち、 8000g、 4°Cで 10分間遠心分離した。上清を捨て、菌体に氷冷した 5 mmol/L MgS04 15mLを加え、直ちに再懸濁し、ペリプラズム画分の MBP—V
L融合蛋白質を細胞外に放出させた。懸濁液を氷上で 20分間時々混ぜながら置い たのち、 8000g、 4°Cで 15分間遠心分離し、 MBP— VL融合蛋白質を含む上清を回 収した。この上清を 1Lのカラム緩衝液に対して 4°Cでー晚透析したのち、(1)の VH AP融合蛋白質と同様にして、 Talon金属キレートカラムを用いて、 MBP—VL融 合蛋白質の精製を行った。精製 MBP—VL融合蛋白質は、 SDS— PAGEでは推定 分子量である 56. 5kDa付近に単一バンドが認められ、その収量は培養液 500mL 培養から約 0. 7mgであった。
実施例 5
[0178] VH— AP融合蛋白質および MBP— VL融合蛋白質を用いたオープンサンドイッチ ELISA法によるヒトォステオカルシンおよび OC— 1ペプチドの測定
実施例 4 (2)で得られた精製 MBP—VL融合蛋白質の 5 μ gZmL溶液 (溶媒 TBS )を調製し、 96ウェルマイク口プレートに、 1ゥエルあたり 100 Lずつ分注した。 4°Cで ー晚静置して、 MBP—VL融合蛋白質を吸着させた後、溶液を捨て、 TBSで 25% に希釈したブロックエース(以下、 X%のブロックエースを含む TBSを X%BTBSとよ ぶ)で、室温で 2時間ブロッキングした。 0. 05%ツイーン 20を含む TBS (以下、 TB STとよぶ)により 1回洗浄した後、各ゥエルに測定試料として、 10%BTBSで 0. 01、 0. 05、 0. 1、 0. 5、 1、 5、 10、 100、 500、 lOOOngZmLの各濃度になるよう希釈し たヒトォステオカルシンあるいは OC— 1ペプチド(キアゲン社)を 100 μ Lずつ加えた 。さらに、実施例 4 (1)で調製した精製 VH— ΑΡ融合蛋白質の 250 /z gZmL溶液 2 Lを加えて混合し、室温で 2時間反応させた。 TBSTにより 3回洗浄し、 100 /z Lの アルカリフォスファタ一ゼ基質溶液(ImmolZL p -トロフエ-ルリン酸、 ImolZL
Tris-HCU 10mmol/L MgC12, 50 μ mol/L ZnC12、 pH9. 5)を各ゥエル に加え,室温で 30分間反応させた後、 405nmの吸光度(OD405)を測定した。
[0179] 測定結果を図 10に示した。 OC— 1ペプチドおよびヒトォステオカルシンともに、測 定試料中の濃度依存的に吸光度の上昇がみられ、オープンサンドイッチ ELISA法 により測定できることが確認された。測定範囲は実施例 3 (2)のファージを用いたォー プンサンドイッチ ELISA法と同程度であった。本実施例のオープンサンドイッチ法で は、実施例 3 (4)に示した従来のサンドイッチ ELISA法、実施例 3 (2)に示したォー
プンサンドイッチ ELISA法によるォステオカルシンの測定方法と比較して、測定工程 を簡略ィ匕することができた。
産業上の利用可能性
本発明により、ペプチドの非競合的な検出または定量方法、そのための試薬、およ び該方法に使用する VHポリペプチドまたは VLポリペプチドが提供される。そして、 前記 HyHEL— 10のように、測定すべきペプチドの 3次構造を認識しているモノクロ ーナル抗体に由来する VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを用いた場合、測定 すべきペプチドが測定試料中で正常な 3次元構造を保持していることが要求される 力 測定すべきペプチドの連続するアミノ酸配列をェピトープとするモノクローナル抗 体に由来する VHポリペプチドおよび VLポリペプチドを用いることにより、測定すべき ペプチドが測定試料中で変性状態であっても測定することができる。また、本発明の オープンサンドイッチ ELISAによると、サンドイッチ ELISAと比較して測定範囲の上 限の濃度が高ぐまたその測定範囲の幅は同程度もしくは広くなることから、本発明 は特に血中のォステオカルシンの濃度測定に適している。