JPWO2006033413A1 - ペプチドの定量方法 - Google Patents

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Abstract

ペプチドの非競合的な検出または定量方法、そのためのキット、および該方法に使用するVHポリペプチドまたはVLポリペプチドを提供するものである。測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)を用い、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方を固相に固定化して固定化ポリペプチドとし、他方を標識物質で標識して標識化ポリペプチドとし、測定すべきペプチドを含有する検体および標識化ポリペプチドを固定化ポリペプチドと接触させ、固相に結合した標識物質を検出または定量する。

Description

本発明は、ペプチドの非競合的な検出および定量方法に関する。
従来の免疫測定法を改良し、簡便かつ迅速な測定方法として、単一のモノクローナル抗体の重鎖可変領域(本発明ではこれをVH領域と呼ぶ)、軽鎖可変領域(本発明ではこれをVL領域と呼ぶ)をそれぞれ別のポリペプチド(本発明ではこれらをそれぞれVHポリペプチド、VLポリペプチドと呼ぶ)として発現し、両分子を利用したオープンサンドイッチ法が考案されている。オープンサンドイッチ法としては、ニワトリ卵白リゾチーム(以下、HELと省略する)に対するモノクローナル抗体HyHEL−10由来のVHポリペプチド、VLポリペプチドを利用した2種の測定方法が開示されている。1つは、VLポリペプチドを固相へ固定化し、VHポリペプチドを酵素または蛍光物質などで標識し、サンドイッチ法によって抗原を捕捉、定量する方法であり、他の1種類は、VHポリペプチド、VLポリペプチドを蛍光波長と励起波長の異なる2種の蛍光物質で標識し、抗原補足によって起きる蛍光共鳴エネルギー移動を検出、定量する方法である(特開平10−78436号公報参照)。2種類の測定方法のうち、前者はオープンサンドイッチELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法と呼ばれている。オープンサンドイッチELISA法は抗体と抗原の反応が1回で済むので測定操作が従来法に比べて簡便かつ迅速となるメリットを有する(「ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(Journal of immunological methods)」、(オランダ)、1999年、第224巻、p.171−184参照)。また、後者はホモジニアスオープンサンドイッチ法と呼ばれている。
ホモジニアスオープンサンドイッチ法は、B/F分離(抗原と結合した抗体と、同一液相中の抗原に結合していない抗体とを分離すること)を行わないため、洗浄操作が不要となり、測定時間が短縮される、自動測定装置の簡素化などのメリットを有する(「アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)」、(米国)、2002年、第74巻、第11号、p.2500−2504参照)。
上記のようにオープンサンドイッチ法は従来の免疫測定法と比べて優れた測定方法であるが、ペプチド性分子に対する測定例は、HyHEL−10のみしか知られていない。すなわち、HEL以外のペプチド性分子の抗原をオープンサンドイッチ法で測定できることを示す測定例はなく、実際に測定できるかどうかは不明であった。
HyHEL−10とHELとの複合体のX線結晶構造解析の結果から、HyHEL−10とHELの特異的結合に関与するHEL内のアミノ酸は、15番目のヒスチジン、16番目のグリシン、19番目のアスパラギン、20番目のチロシン、21番目のアルギニン、63番目のトリプトファン、73番目のアルギニン、75番目のロイシン、89番目のスレオニン、93番目のアスパラギン、96番目のリジン、97番目のリジン、100番目のセリン、101番目のアスパラギン酸、102番目のグリシン、103番目のアスパラギンであると報告されている(「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)」、(米国)、1999年、第274巻、第39号、p.27623−27631参照)。このことから、HyHEL−10はHELの連続するアミノ酸配列をエピトープとするのではなく、HELの3次構造を認識しているといえる。したがって、ある抗原ペプチドの連続するアミノ酸の配列をエピトープとするモノクローナル抗体由来のVHポリペプチド、VLポリペプチドを利用したオープンサンドイッチ法で前記抗原ペプチドを測定できることを示す測定例はなく、実際に測定できるかどうかは不明であった。
低分子化合物のように分子量的に抗原を2つの抗体で同時にサンドイッチできない場合には、通常のサンドイッチELISA法での測定はできないため、競合阻害法による測定が行われていたが、オープンサンドイッチ法は1種類の抗体のVHポリペプチドとVLポリペプチドで同時にサンドイッチできるため、非競合的に測定することが可能である。低分子化合物4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル酢酸に対してオープンサンドイッチELISA法による測定が可能で、しかも競合法よりも感度がよいことが報告されている(「ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(Journal of immunological methods)」、(オランダ)、1999年、第224巻、p.171−184参照)。
ペプチドに対するモノクローナル抗体を製造しようとするとき、ペプチドエピトープは最低6から10数個のアミノ酸残基が必要であると一般に知られている。異なるエピトープを認識する2種類以上の抗体を作製するのに、最低必要なペプチドの長さとしては20個以上のアミノ残基が必要であると考えられる。したがって、アミノ残基数が19個以下のペプチドの測定も通常は競合法で行われていた。オープンサンドイッチ法が、このようなアミノ残基数が19個以下のペプチドの測定に用いることができるかどうかは、測定例がなく不明であった。
他方、オステオカルシンは、ボ−ン・グラ・プロテイン(bone Gla protein、BGP)またはビタミンK依存性カルシウム結合蛋白質とも称され、骨芽細胞によって生合成される49〜50個のアミノ酸からなる非コラ−ゲン性蛋白質(分子量約6,000;ヒトおよびウシは49個、ラットは50個のアミノ酸からそれぞれ構成される)であり、骨の蛋白質中に1〜2%程度存在する。オステオカルシンの分子中には、3つのγ−カルボキシグルタミン酸残基(Gla残基;N末端から数えて17位、21位および24位に存在する)と1つのS−S結合が存在し、この3つのGla残基がハイドロキシアパタイトとの結合に重要な役割を演じているものと考えられている。オステオカルシンは、骨形成の指標となるマーカーペプチドであり、骨粗鬆症や癌の骨転移等の診断にも用いられる。
検体中のオステオカルシンを測定する方法としては、ヒトオステオカルシンのC末端部(37位〜49位)に対する抗体を用いる方法(「ボーン(Bone)」、(米国)、1985年、第6巻、第1号、p.9−13参照)、ウシとヒトのオステオカルシンの共通アミノ酸配列を利用し、2種類の抗ウシオステオカルシンモノクロ−ナル抗体を用いたサンドイッチELISA法(特許2613067号明細書参照)などが報告されている。しかし、ヒトオステオカルシンのオープンサンドイッチ法はこれまで報告されていない。
本発明の目的は、ペプチドの非競合的な検出または定量方法、および該方法に使用するVHポリペプチドまたはVLポリペプチドを提供することにある。
すなわち本発明は、(1)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)を用いることを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量方法や、(2)VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方を固相に固定化して固定化ポリペプチドとし、他方を標識物質で標識して標識化ポリペプチドとし、測定すべきペプチドを含有する検体および標識化ポリペプチドを固定化ポリペプチドと接触させ、固定化ポリペプチド、測定すべきペプチドおよび標識化ポリペプチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識物質を検出または定量することを特徴とする上記(1)に記載の方法や、(3)VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方を標識物質で標識して標識化ポリペプチドとし、他方のポリペプチドおよび標識化ポリペプチドを、固相の存在下で測定すべきペプチドを含有する検体に接触させ、固相、他方のポリペプチド、測定すべきペプチドおよび標識化ポリペプチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識物質を検出または定量することを特徴とする上記(1)に記載の方法や、(4)標識物質が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはビオチンである上記(2)または(3)に記載の方法や、(5)VHポリペプチドまたはVLポリペプチドが、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドと免疫学的に区別されるペプチド(タグペプチド)が付加したポリペプチドであって、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドの固相への固定化が、VHポリペプチドまたはVLペプチドに付加した該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体との結合を介した固定化である上記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の方法や、(6)固相に固定化するVHポリペプチドまたはVLポリペプチドが、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである上記(2)に記載の方法や、(7)VHポリペプチドを標識物質1で標識して標識化VHポリペプチドとし、VLポリペプチドを異なる標識物質2で標識して標識化VLポリペプチドとし、測定すべきペプチドを含有する検体を標識化VHポリペプチドおよび標識化VLポリペプチドへ接触させ、標識物質1と標識物質2の相互作用の変化量を検出することを特徴とする上記(1)に記載の方法や、(8)VHポリペプチドおよびVLポリペプチドが遺伝子組換え産物である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法や、(9)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体が、該ペプチドのアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法y、(10)モノクローナル抗体が、配列番号3のアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(11)モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法に関する。
また本発明は、(12)測定すべきペプチドが、ヒトオステオカルシンである上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(13)測定すべきペプチドが、配列番号1または2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(14)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、以下の[1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体である上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法
[1]重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[2]軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[3]重鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
や、(15)モノクローナル抗体が、以下の[1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体である上記(14)に記載の方法
[1]配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[2]配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[3]配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
や、(16)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(17)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(18)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつVLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法や、(19)配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドや、(20)配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAや、(21)配列番号4または6の塩基配列を含む上記(20)に記載のDNAや、(22)上記(20)または(21)に記載のDNAをベクターに挿入して得られる組換えベクターや、(23)上記(22)に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換体や、(24)上記(23)に記載の形質転換体を培養液中に培養して、配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドを生成・蓄積させ、培養液から該ポリペプチドを採取することを特徴とする、ポリペプチドの製造方法に関する。
さらに本発明は、(25)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、該モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)とを含有することを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量用の試薬や、(26)VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方が、標識物質で標識された標識化ポリペプチドであり、他方が固相に固定化された固定化ポリペプチドである上記(25)に記載の試薬や、(27)固定化ポリペプチドがタグペプチドを付加したポリペプチドであって、固定化ポリペプチドの固相への固相化が、該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体との結合を介した固定化である上記(26)に記載の試薬や、(28)固定化ポリペプチドが、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである上記(26)に記載の試薬や、(29)VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方が、標識物質で標識された標識化ポリペプチドであり、他方がタグペプチドを付加したポリペプチドであり、さらに該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体を含有する上記(26)に記載の試薬や、(30)標識物質が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはビオチンである上記(26)〜(29)のいずれか1項に記載の試薬や、(31)VHポリペプチドが標識物質1で標識された標識化VHポリペプチドであり、VLポリペプチドが異なる標識物質2で標識された標識化VLポリペプチドであることを特徴とする上記(25)に記載の試薬や、(32)VHポリペプチドおよびVLポリペプチドが遺伝子組換え産物である上記(25)〜(31)のいずれか1項に記載の試薬や、(33)測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体が、該ペプチドのアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である、上記(25)〜(32)のいずれか1項に記載の試薬や、(34)モノクローナル抗体が、配列番号3のアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である、上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(35)モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(36)測定すべきペプチドが、ヒトオステオカルシンである上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(37)測定すべきペプチドが、配列番号1または2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(38)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、以下の[1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体である上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬
[1]重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[2]軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
[3]重鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
や、(39)モノクローナル抗体が、以下の[1]〜[3]のいずれかのモノクローナル抗体である上記(38)に記載の試薬
[1]配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[2]配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
[3]配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
や、(40)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(41)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬や、(42)測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつVLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである上記(25)〜(33)のいずれか1項に記載の試薬に関する。
組換えspFvファージミドベクターpKST2/KTM219のプロモーターの下流の構造を示す。 KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを提示したファージを用いたELISAによるオステオカルシンの検量線である。 KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを用いたオープンサンドイッチELISAによるオステオカルシンの検量線である。 KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを用いたオープンサンドイッチELISAによるOC−1ペプチドの検量線である。 KTM−219を用いた競合阻害ELISAによるOC−1ペプチドの検量線である。 固定化したKTM−219および標識化したKTM−223を用いたサンドイッチELISAによるオステオカルシンの検量線である。 結合性したKTM−223および標識化したKTM−219を用いたサンドイッチELISAによるオステオカルシンの検量線である。 VH−AP融合蛋白質発現プラスミドpET−VH219−APのプロモーターの下流の構造を示す。 MBP−VL融合蛋白質発現プラスミドpMAL−VL219のプロモーターの下流の構造を示す。 KTM−219のVH−AP融合蛋白質およびMBP−VL融合蛋白質を用いたオープンサンドイッチELISAによるオステオカルシン(■)およびOC−1ペプチド(●)の検量線である。
本発明の測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量方法としては、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)を用いる方法であれば特に制限されるものではなく、また、本発明の測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量用のキットとしては、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)を有するキットであれば特に制限されるものではなく、本発明において「ペプチド」とは、2以上のアミノ酸がペプチド結合で連結した物質を意味し、かかるペプチドには数十個以上のアミノ酸がペプチド結合で連結したポリペプチドも含まれる。以下、上記モノクローナル抗体の作製、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製、ペプチドの検出または定量方法や検出または定量用の試薬について順次説明する。
1.測定すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の作製
本発明のペプチドの非競合的な検出または定量方法を完成させるためには、測定すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体を作製することが必要である。エピトープとなる連続する配列は、好ましくは6以上19以下のアミノ酸の配列である。
本発明に用いる測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体は、例えば以下のようにしてハイブリドーマより産生される抗体として作製することができる。
(1)免疫原の調製
本発明に用いる測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体は、例えば、測定すべきペプチドを直接免疫原として用いて調製することができるが、測定対象とすべきペプチドの部分配列、好ましくは測定すべきペプチドのアミノ酸配列の連続する5以上30以下、より好ましくは5以上20以下、特に好ましくは6以上19以下のアミノ酸の配列を含むペプチドを免疫原として調製される。また、測定すべきペプチドのアミノ酸配列のN末端またはC末端の領域の、連続する6以上、好ましくは6以上19以下の配列を含むペプチドを免疫原とすることにより、調製されたモノクローナル抗体が、測定すべきペプチドと特異的に結合する可能性を高くすることができる。
免疫原となるペプチドの製造法としては、化学合成法、酵素法、遺伝子組換え法などがあげられる(例えば、「ペプチドと蛋白工学、藤野政彦編、講談社サイエンティフィック」参照)が、化学合成法が好適に用いられる。ペプチドの化学合成法は、官能基の保護されたアミノ酸を順次反応させてペプチドを合成する方法であるが、一般に液相合成法と固相合成法とが知られている。特に固相合成法では自動ペプチド合成機による合成が可能である。酵素法は、蛋白質分解酵素の逆反応を利用してペプチド結合形成を行わせる方法である。酵素法はペプチドの末端の数個のアミノ酸を変更したいときに有効な方法である。
遺伝子組換え法では、免疫原となるペプチドをコードするcDNAを含む発現ベクターを大腸菌(Escherichia coli、以下E.colと表記する)、酵母、昆虫細胞、動物細胞などに導入してリコンビナントペプチドを得る方法があげられる。免疫原となるペプチドをコードするcDNAを得る方法としては、該ペプチドをコードする塩基配列を含むプライマーを用いてPCRを行うなどの方法があげられる。
また、ヒトオステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号3)の連続する6〜19アミノ酸の配列(以下、OCエピトープ配列とよぶ)、例えば配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原とした場合、オステオカルシンおよび免疫原としたペプチドのOCエピトープ配列を含むペプチドに特異的に結合し、免疫原としたペプチドのOCエピトープ配列をエピトープとするモノクローナル抗体を得ることができる。このモノクローナル抗体のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを利用して、本発明の方法による、オステオカルシンおよび免疫原としたペプチドのOCエピトープ配列を含むペプチドの非競合的な検出または定量を行うことができる。
免疫原となるペプチド自体を動物に免疫する方法も可能であるが、該ペプチドをキャリア蛋白質とコンジュゲートしたものを免疫原として利用するのがより好ましい態様である。キャリア蛋白質としては、例えばウシ血清アルブミン(以下、BSAと略す)やキーホール・リンペット・ヘモシアニン(以下、KLHと略す)などが用いられる。
ペプチドとキャリア蛋白質とのコンジュゲートの方法は、それぞれの官能基の間で、リンカーを介してまたは介さず共有結合を生じる反応によって行うことが可能である。官能基としては、例えばカルボキシル基やアミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシサクシニルエステル基、マレイミド基などがあげられるが、この官能基同士の間で縮合反応を行わすことが可能である。
リンカーを介さない結合方法としては、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、EDCと略す)などのカルボジイミド化合物を使う方法があげられる。反応を増強する物質としてN−ヒドロキシサクシイミド(以下、NHSと略す)またはその誘導体を使用することも可能である。
リンカーとしては、例えば、キャリア蛋白質とペプチドの側鎖の官能基をお互いに結び付け合う分子であればどのようなものでもよい。好ましいリンカーとしては、例えば、キャリア蛋白質のアミノ酸残基と反応することができる第1の反応活性基と、ペプチドの側鎖の官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同時に持つ分子であり、第1の反応活性基と第2の反応活性基が異なる基であることが好ましい。反応活性基としては例えば、アリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、マレイミド、NHS−エステル、ペンタフルオロフェニル(PFP)−エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルフォンなどの各反応基が挙げられる。
キャリア蛋白質とのコンジュゲートを効率よく行わせるために、ペプチドのN末端またはC末端のいずれか一方にシステインを有するペプチドを使用することも好ましい。末端にシステインを有するペプチドの合成方法は、上記の化学合成法、酵素法、遺伝子組換え法などを利用することが可能である。
この様にして得られたペプチドおよびペプチドのコンジュゲート蛋白質は、以下の抗体産生細胞を作製する際の免疫原として使用されるが、また、抗体産生細胞のスクリーニング、抗体産生細胞が産生するモノクローナル抗体の確認、あるいは測定すべきペプチドの検出方法または定量方法において、標準物質として使用することもできる。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
動物、例えば3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターに上記(1)に記載の方法で調製した免疫原を投与し免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。
免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバントとともに免疫原を投与することにより行う。アジュバントとしては、例えば、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、水酸化アルミニウムゲル、百日咳菌ワクチンなどがあげられる。
免疫原の投与は、例えば1回目の投与の後1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後、例えば3〜7日目に眼底静脈叢より採血して血清を調製し、その血清に含まれる抗原ペプチドに特異的に結合する抗体の量を以下の(3)に示す酵素免疫測定法などで調べる。免疫に用いた免疫原に対しその血清が十分な抗体価を示したマウス、ラットまたはハムスターを、抗体産生細胞の供給源とする。
免疫原の最終投与後例えば3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスターより脾臓などを摘出し、脾細胞を採取する。脾臓を培地、例えばMEM(minimum essential medium)あるいはRPMI−1640などの培地中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨て、緩衝液、例えばトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)または市販の赤血球溶解緩衝液などで1〜2分間処理し赤血球を除去し、上記培地で洗浄して抗体産生細胞として提供する。
(3)酵素免疫測定法
免疫原となるペプチドとキャリア蛋白質のコンジュゲート蛋白質の1〜50μg/mLの濃度の溶液を96ウェルのEIA用プレートに50〜100μL/ウェルずつ分注し、4℃で一晩ないしは室温で30分以上放置してプレートにコートする。次いで、1%BSAを含むPBS溶液(以下、BSA−PBSと記す)などを100〜200μL/ウェルずつ分注し、室温1〜2時間または、4℃で一晩以上放置して、プレート上に残った蛋白質との結合残基をブロッキングする。その後、BSA−PBSを捨て、PBSでよく洗浄した後、第一抗体として被免疫動物血清、抗ペプチドモノクローナル抗体のハイブリドーマ培養上清もしくは精製抗体1〜10μg/mLを50〜100μL/ウェルに分注し、4℃で一晩ないしは室温で30分以上放置する。PBSまたはツイーン(Tween)20などの界面活性剤を含むPBS(以下、Tween−PBSと記す)で、よく洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼ等の酵素で標識した抗イムノグロブリン抗体1〜50μg/mLを50〜100μL/ウェルずつ分注し、室温で1〜2時間または、4℃で一晩以上放置する。Tween−PBSでよく洗浄した後、第二抗体の標識酵素により発色する基質を加えて反応を行ない、プレートリーダーにより吸光度を測定して発色量を測定し、抗体量の指標とする。
(4)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3−X63−Ag8−U1(Curr. Top. Microbiol. Immunol., 81, 1-7, 1978)、NS1/1−Ag4−1(Eur. J. Immunol., 6, 511-519, 1976)、SP2/O−Ag14(Nature, 276, 269-270, 1978)、P3−X63−Ag8.653(J.Immunol., 123, 1548-1550, 1979)、P3−X63−Ag8(Nature, 256, 495-497, 1975)などが用いられる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔正常培地(RPMI−1640培地に1.5mmol/Lグルタミン、50μmol/L2−メルカプトエタノール、10μg/mLゲンタマイシンおよびウシ胎児血清(FCS)を加えた培地)に、15μg/mL8−アザグアニンを加えた培地〕などで継代するが、細胞融合の数日前に正常培地に継代し、融合当日7×106個以上の細胞数を確保するのが好ましい。
(5)細胞融合とハイブリドーマの選択
上記(2)で免疫した抗体産生細胞と上記(4)で得られた骨髄腫細胞を、PBS(phosphate buffered saline、1.83g/Lリン酸二ナトリウム、0.21g/Lリン酸一カリウム、7.65g/L塩化ナトリウム、pH7.2)などでよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングリコール−1000(以下、PEG−1000と略す)、MEMまたはRPMI−1640培地、およびジメチルスルホキシドの混液を108個の抗体産生細胞当たり0.2〜1mLを加え、MEMまたはRPMI−1640培地を徐々に数回に分けて全量がおよそ50mLになるように滴下する。遠心分離して細胞を沈降した後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、HAT培地(正常培地に100μmmol/Lヒポキサンチン、15μmol/Lチミジンおよび0.4μmol/Lアミノプテリンを加えた培地)およそ100mL中に、メスピペットによる吐出吸引でゆるやかに細胞を懸濁する。この懸濁液を96ウェル培養用プレートにおよそ100μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間程度培養する。
培養後、培養上清の一部をとり、前述(3)の酵素免疫測定法または後述(6)の競合阻害法などにより、抗原ペプチドに特異的に結合する抗体が含まれる培養上清をスクリーニングする。ついで、選択された培養上清に対応するハイブリドーマを、限界希釈法によりクローニングを2〜3回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目以降は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものを抗ペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
(6)競合阻害法
上記(3)の酵素免疫測定法において、第1抗体を25〜50μL/ウェルで分注する前あるいは同時に、抗原ペプチド5〜50μg/mLを25〜50μL/ウェルで分注し、混和したものを4℃で一晩ないしは室温で30分以上放置する。以降の操作は前述(3)の酵素免疫測定法と同一である。陰性対照ウェルとしては、ペプチドをコンジュゲートしたキャリア蛋白質をコートしないウェルを作製し、陽性対照ウェルとして、抗原ペプチド溶液ではなく、抗原ペプチドを含まない溶液を分注したウェルを作製する。ハイブリドーマの培養上清を測定試料としたとき、陰性対照ウェルで発色がみられず、陽性対照ウェルで発色がみられ、しかも抗原ペプチドを分注したウェルでは陽性対照ウェルの発色が阻害されるような培養上清には、抗原ペプチドに特異的に結合する抗体が含まれることが確認できる。
(7)モノクローナル抗体の調製
0.5mLのプリスタン(pristane、2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)を腹腔内に投与し、2週間飼育した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(5)で得られた抗ペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞を腹腔内注射する。10〜21日程度でハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムによる塩析、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラム、ゲル濾過カラム等による精製を行なう。
抗体のサブクラスの決定は、例えばサブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行うことができる。蛋白質量の定量は、例えばローリー法または280nmでの吸光度より算出することができる。
測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体として、例えば、ヒトオステオカルシンのC末端12アミノ酸配列(配列番号1)からなる部分ペプチド(OC−1ペプチド)を抗原として得られたマウスモノクローナル抗体KTM−219、ヒトオステオカルシンのN末端13アミノ酸の配列のC末にシステインを付加した配列(配列番号2)からなるペプチド(OC−2ペプチド)を免疫原として得られたマウスモノクローナル抗体KTM−223をあげることができる。KTM−219はヒトオステオカルシンおよび配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに特異的に結合し、配列番号3の38−49位の連続したアミノ酸配列をエピトープに有し、KTM−223はヒトオステオカルシンおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに特異的に結合し、配列番号3の1−13位の連続したアミノ酸配列をエピトープに有する。
また、モノクローナル抗体の抗原ペプチドとの結合性は、VH領域およびVL領域のアミノ酸配列で決定され、特に相補性決定領域(CDR)1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が重要であるので、VH領域のアミノ酸配列が、KTM−219のVH領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VL領域のアミノ酸配列が、KTM−219のVL領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VH領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が、KTM−219のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VL領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が、KTM−219のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体は、KTM−219と同様に、本発明のOC−1ペプチドおよびオステオカルシンを検出または定量する方法に用いるVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製に用いることができる。また、VH領域のアミノ酸配列が、KTM−223のVH領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VL領域のアミノ酸配列が、KTM−223のVL領域のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VH領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が、KTM−223のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体、VL領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が、KTM−223のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列と同じであるモノクローナル抗体は、KTM−223と同様に、本発明のOC−2ペプチドおよびオステオカルシンを検出または定量する方法に用いるVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製に用いることができる。
2.VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製
本発明においてVHポリペプチドとは、抗体のVH領域を含み、VL領域を含まないポリペプチドを意味し、VLポリペプチドとは抗体のVL領域を含み、VH領域を含まないポリペプチドを意味する。
本発明で用いることのできるVHポリペプチドとしては、VH領域を有しかつVL領域を有さないポリペプチドであればどのようなものでもよく、また、本発明で用いることのできるVLポリペプチドとしては、VL領域を有しかつVH領域を有さないポリペプチドであればどのようなものでもよい。すなわち、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドは抗体の一部であってもよく、可変領域以外の部分である定常領域の全部または一部を含んでいてもよい。ただし、可変領域以外の部分を含む場合は、後述する方法で重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)間のジスルフィド結合を形成するシステイン残基を別のアミノ酸に変換することが好ましい。また、VH領域またはVL領域にVHポリペプチド、VLポリペプチドとは免疫学的に区別されるペプチド(以下タグペプチドとよぶ)を付加したVHポリペプチドまたはVLポリペプチドであってもよい。なお、VH領域またはVL領域は抗体の可変領域部分であることから、本発明では、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを総称して可変領域ポリペプチドと呼ぶこともある。
本発明のペプチドの検出または定量方法に適した、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの組み合わせは、例えばモノクローナル抗体KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの組み合わせをあげることができる。また、(i)KTM−219のVH領域のアミノ酸配列である配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはKTM−219のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列である、配列番号8、9および10のアミノ酸配列をそのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列として含むモノクローナル抗体由来のVHポリペプチドと(ii)KTM−219のVL領域のアミノ酸配列である配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはKTM−219のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列である、配列番号11、12および13のアミノ酸配列をそのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列として含むモノクローナル抗体由来のVLポリペプチドの組み合わせをあげることができる。これらのVHポリペプチドおよびVLポリペプチドは、ヒトオステオカルシンまたは配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを検出または定量する本発明の方法に用いることができる。
KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドは、後述するように遺伝子組換え技術によって得ることができる。KTM−219由来のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの原核生物発現用spFvファージミドベクターpKST2/KTM219は平成16(2004)年9月14日付でブダペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にFERM BP−10120として寄託されている。
可変領域ポリペプチドはモノクローナル抗体から作製することができる。VHポリペプチドとVLポリペプチドを分離するための適切なプロテアーゼを用いることによって可変領域ポリペプチドを製造することが可能である。プロテアーゼとしてはエンドペプチダーゼが好適である。あるいは、VHポリペプチドとVLポリペプチドを分離するために還元剤で処理することによって、ジスルフィド結合を開裂することも可能である。還元剤としては、2−メルカプトエタノールやジチオスレイトールなどがあげられる。
VHポリペプチドとVLポリペプチドを分離する別の態様としては、H鎖とL鎖の間のジスルフィド結合を形成する、H鎖またはL鎖内のいずれか一方または両方のシステイン残基を別の適当なアミノ酸残基に変換することがあげられる。別のアミノ酸としては例えばセリン、グリシン、アラニンなどの中性アミノ酸が好適であるがこれには限らない。
システイン残基を別のアミノ酸残基に変換する方法としては、ペプチド特異的モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマから、mRNAを取得し、次いで該mRNAからVH領域またはVL領域を含む抗体または抗体の一部をコードするcDNAを調製し、H鎖とL鎖の間のジスルフィド結合を形成するシステインのコドンを別の適当なアミノ酸のコドンに公知の方法で変換し、この変換したVH領域またはVL領域を含む抗体または抗体の一部をコードするcDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターにそれぞれ導入し、発現させることにより製造することができる。変換の方法としては、所望のコドンに正確に塩基置換を導入できる方法であればどのような方法でもよいが、PCRを使用する方法が好適である。
本発明の可変領域ポリペプチドを製造するより好ましい態様としては、遺伝子組み換え産物として製造する方法があげられる。まず、ペプチド特異的モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマから、mRNAを取得し、次いで該mRNAからH鎖をコードするcDNAのVH領域を含む断片、およびL鎖をコードするcDNAのVL領域を含む断片をクローニングし、これを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターにそれぞれ挿入して、組換えベクターを作製し、該組換えベクターで宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養して、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドを発現させて培養物中に生成・蓄積させ、該培養物中から蓄積したるVHポリペプチドまたはVLポリペプチドを採取することにより製造することができる。
上記cDNAをクローニングする方法としてはPCRが好適である。VH領域およびVL領域のN末の領域はフレームワーク領域(FR)なので、同じ動物種の同じクラスであれば、そのcDNAの配列が比較的保存されている。したがってフォワードプライマーとして、保存された17〜30ヌクレオチドの配列に基づく縮重プライマーを設計できる。このような縮重プライマーとしては、マウスIgGのFR1の配列に対応する配列番号14または15の塩基配列からなるDNA、マウスκ鎖のFR1の配列に対応する配列番号17または20の塩基配列からなるDNAがあげられる。また、VH領域およびVL領域それぞれの直後にある定常領域をコードするcDNAの配列は、動物種と抗体のクラスが同じであれば保存されているので、この保存された17〜30ヌクレオチドの定常領域の配列に基づくリバースプライマーを設計できる。このようなリバースプライマーとしては、マウスIgG1の定常領域の配列に対応する配列番号16の塩基配列からなるDNA、マウスκ鎖の定常領域の配列に対応する配列番号18の塩基配列からなるDNAがあげられる。cDNA断片の増幅のためには、ペプチド特異的モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマからRNAを取得し、このRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、得られたcDNAを鋳型とする逆転写PCR(RT−PCR)を、上記のフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて行う。ハイブリドーマからのRNAの単離は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001等の実験書の記載に基づいて行うことができる。RT−PCRはMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001等の実験書の記載に基づいて行うことができる。また、キアゲン・ワンステップRT−PCRキット(QIAGEN OneStep RT-PCR Kit)等のキットを用いて行うこともできる。
PCRの方法としては、NASBA法(カイノス社)、TMA法(バイエルメディカル社)、SDA(strand displacement amplification)法(ベクトン・ディキンソン社)、ICAN法(宝酒造社)、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法(栄研化学社)などの等温PCRと呼ばれる一連の方法あるいはこれらの方法の変法を用いてもよい。以下に、組換えベクターと形質転換体の作製および形質転換体の培養、ポリペプチドの単離について記載する。
(1)形質転換体の作製
発現ベクターとしては、宿主細胞において自律複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、宿主細胞中で可変領域ポリペプチドをコードするDNAからmRNAを転写できるプロモーターを含有しているものが用いられる。
宿主細胞としては、原核生物、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等、可変領域ポリペプチドを発現できるものであればいずれも用いることができる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、発現ベクターは宿主原核生物中で自律複製可能であり、プロモーターおよびその下流にリボソーム結合配列および可変領域ポリペプチドをコードするDNAを挿入するクローニングサイトを有するものを用いる。必ずしも必要ではないが、該クローニングサイトの直後に転写終結配列を配置する方が好ましい。また、形質転換体の選択のため、薬剤耐性遺伝子等のマーカーとなる遺伝子を発現する配列を含むようにする。リボソーム結合配列の下流のクローニングサイトに可変領域ポリペプチドをコードするDNAを挿入する。リボソーム結合配列と開始コドンとの間は適当な距離(例えば、E.coli 宿主のベクターの場合6〜18塩基)に調節されていることが好ましい。
プロモーターとしては、宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えばE.coliを宿主とした場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、T7プロモーター、PRプロモーター等の、E.coliやファージ等に由来するプロモーター等をあげることができる。またtrpプロモーターを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、T7lacプロモーター、letIプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。枯草菌を宿主とした場合は、枯草菌のファージであるSPO1やSPO2のプロモーター、PenPプロモーター等をあげることができる。
発現ベクターとしては、例えば、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−30(キアゲン社製)、pKYP200〔Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)〕、pTrS30〔E.coli JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製〕、pGEX−5X−3(アマシャム・バイオサイエンシズ社製)、pET14(ノバジェン社製)、pPROTet.E(クロンテック社製)pRSET A(インビトロジェン社製)等を例示することができる。
宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス属等に属する微生物、例えば、E.coli XL1-Blue、E.coli XL2-Blue、E.coli DH1、E.coli MC1000、E.coli KY3276、E.coli W1485、E.coli JM109、E.coli HB101、E.coli No.49、E.coli W3110、E.coli NY49、E.coli BL21 (DE3) pLysS、Serratiaficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratiamarcescens、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Brevibacteriumammoniagenes、Brevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacteriumsaccharolyticum ATCC14066、Corynebacterium glutamicumATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC14067、Corynebacteriumglutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilumATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonassp. D-0110等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)〕、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972); Gene, 17, 107 (1982)〕、プロトプラスト法〔特開昭63-248394; Mol. Gen. Genet., 168, 111 (1979)〕等をあげることができる。
また、発現ベクターとして、M13ファージやf1ファージ等の繊維状バクテリオファージのDNA複製基点を有するファージミドベクターを用いることもできる。ファージミドベクターを用いる場合は、F因子を有するE.coliを宿主として組換えベクターを導入する。また、組換えベクターの作製の際に、可変領域ポリペプチドをコードするDNAにファージのコート蛋白質をコードするDNAを連結させて、可変領域ポリペプチドとコート蛋白質との融合蛋白質を発現する構造にして、宿主に導入した後、ヘルパーファージを感染させることにより、培養液中に、表面に可変領域ポリペプチドを提示したファージ粒子を放出させることもできる。この場合、ファージ粒子自体を、ファージで標識された可変領域ポリペプチドとして、3.に後述するペプチドのオープンサンドイッチ法による検出または定量に用いることができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合の発現ベクターとしては、宿主酵母で転写を行なうプロモーター、転写の終止配列および酵母での形質転換マーカーとなる遺伝子、たとえば薬剤耐性遺伝子やTRP1、HIS3、LEU2等のアミノ酸合成系の遺伝子を発現できる配列を含有しているものが用いられる。また、発現ベクターの作製や維持を容易にするため、E.coli内でも自律複製と遺伝子導入マーカーとなる薬剤耐性遺伝子を発現できるものが好ましい。
プロモーターとしては、酵母中で転写を行なえるものであればいずれのものを用いてもよく、例えばSaccharomyces cerevisiaeのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子ADH1、ガラクトース代謝系遺伝子GAL1やGAL10等のプロモーター、酸性フォスファターゼ遺伝子PHO5プロモーター、フォスフォグリセレートキナーゼ遺伝子PGKプロモーター、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子GAPプロモーター、ヒートショック蛋白質遺伝子プロモーター、α接合因子遺伝子MFα1プロモーター、銅メタロチオネイン遺伝子CUP1プロモーター、Pichiapastorisのアルコールオキシダーゼ遺伝子AOX1のプロモーター等が用いられる。
宿主細胞としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ピヒア属等に属する酵母菌株をあげることができ、具体的には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomycespombe、Pichia pastoris等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods Enzymol., 194, 182 (1991)〕、スフェロプラスト法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 4889 (1984)〕、酢酸リチウム法〔J. Bacteriol., 153, 163 (1983)〕等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合の発現ベクターとしては、宿主動物細胞で転写を行なうプロモーター、転写の終止と転写物のポリアデニル化のシグナルの配列を含有しているものが用いられる。またベクターの作製や維持を容易にするため、E.coli 内でも自律複製と遺伝子導入マーカーとなる薬剤耐性遺伝子を発現できるものが望ましい。プロモーターとしては、動物細胞中で転写を行なえるものであればいずれも用いることができるが、SV40の初期プロモーター、ヒトサイトメガロウイルスのIE(immediate early)遺伝子のプロモーターおよびエンハンサー、ラウス肉腫ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスI、モロニーマウス白血病ウイルス等のレトロウイルスのLTR等のウイルス由来の配列、あるいはメタロチオネイン遺伝子やβ−アクチン遺伝子、伸長因子−1などの動物細胞由来の遺伝子のプロモーター等をあげることができる。またSV40の初期プロモーターとヒトT細胞白血病ウイルスIのLTRを組み合わせたSRαプロモーター等これらのプロモーターを人為的に組み合わせたプロモーターも用いられる。
宿主染色体DNAに可変領域ポリペプチドをコードするDNAが組み込まれた恒常的な可変領域ポリペプチド発現細胞は、G418、ハイグロマイシン等の薬剤に対する耐性遺伝子を発現できる配列を含む可変領域ポリペプチド発現ベクターを宿主細胞に導入し、薬剤の存在下で培養することにより選択することができる。また、宿主細胞中での可変領域ポリペプチドの生産量を上昇させるために、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子を発現できるような配列を含む可変領域ポリペプチドの恒常的発現ベクターを宿主細胞に導入し、dhfr阻害剤であるメトトレキセート(methotrexate)の濃度を段階的に上げながら培養することにより、dhfr遺伝子とともに可変領域ポリペプチドをコードするDNAのコピー数を増幅させることもできる。このdhfr遺伝子を用いた遺伝子増幅を行なう場合の宿主細胞としては、dhfr遺伝子が機能していない細胞、例えばCHO/dhfr−(ATCC:CRL-9096)などを用いる。
具体的な発現ベクターとして、例えば、pEGFP−C2(クロンテック社)、Autographa californica 核多角体病ウイルス、カイコ核多角体病ウイルス等が用いられる。昆虫細胞としてはSpodopterafrugiperdaの細胞であるSf9およびSf21〔Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992)〕、Trichoplusia niの細胞であるHigh5(インビトロジェン社製)等を用いることができる。トランスファーベクターには、ポリヘドリンプロモーターおよび相同組換えを起こさせるためのバキュロウイルス由来の配列、ベクターの維持・増殖や外来遺伝子の組み込み等の遺伝子操作をE.coli内で行なうための配列(E.coliでの自律複製可能な配列および薬剤耐性遺伝子pAGE107〔特開平3-22979; Cytotechnol., 3, 133, (1990)〕、pAS3-3(特開平2-227075)、pCDM8〔Nature, 329, 840, (1987)〕、pCMV−Tag1(ストラタジーン社製)pcDNA3.1(+)(インビトロジェン社)、pREP4(インビトロジェン社製)、pMSG(アマシャム・バイオサイエンシズ社製)、pAMo〔J. Biol. Chem., 268, 22782 (1993)〕等があげられる。
宿主細胞としては、ヒト細胞であるHeLa、ナマルバ(Namalwa)、293、アフリカミドリザル腎臓細胞であるCOS−1やCOS−7、ハムスターの細胞であるCHOやBHK、マウス胎児細胞であるNHI3T3、マウス・ミエローマ細胞であるSP2/0やNS0、ラット・ミエローマ細胞であるYB2/0等の細胞株をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytotechnol., 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕等をあげることができる。
昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合は、バキュロウイルス発現系〔Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual, W.H. Freeman and Company, New York (1992); Bio/Technology, 6, 47 (1988)〕が用いられる。即ち、トランスファーベクターに可変領域ポリペプチドをコードするDNAを挿入した後、該ベクターとバキュロウイルスを昆虫細胞に同時に導入し、強力なプロモーターであるポリヘドリン遺伝子プロモーター下に可変領域ポリペプチドをコードするDNAが挿入された組換えバキュロウイルスを相同組換えによって作製した後、この組換えバキュロウイルスを再度昆虫細胞に感染させることにより、可変領域ポリペプチドを発現することができる。
バキュロウイルスとしてはAutographa californica 核多角体病ウイルス、カイコ核多角体病ウイルス等が用いられる。昆虫細胞としてはSpodoptera frugiperdaの細胞であるSf9およびSf21〔Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992)〕、Trichoplusia niの細胞であるHigh5(インビトロジェン社製)等を用いることができる。トランスファーベクターには、ポリヘドリンプロモーターおよび相同組換えを起こさせるためのバキュロウイルス由来の配列、ベクターの維持・増殖や外来遺伝子の組み込み等の遺伝子操作を大腸菌内で行なうための配列(大腸菌での自律複製可能な配列および薬剤耐性遺伝子)が含まれており、具体的にはpVL1392、pVL1393、pBlueBac4.5(ともにインビトロジェン社製)、pBacPAK9(クロンテック社製)等があげられる。
可変領域ポリペプチドが、免疫原とした抗原ペプチドに対する特異的な結合性を保持するためには、可変領域ポリペプチドのN末に分泌蛋白質のシグナルペプチドが付加したポリペプチドをコードするように、プロモーターと可変領域ポリペプチドをコードする配列の間にシグナルペプチドをコードする配列を挿入して組換え発現ベクターを構築するのが好ましい。このような組換え発現ベクターを導入した形質転換体は、培養液中に、シグナルペプチドが切断され除かれた可変領域ポリペプチドを分泌する。また、下記に記載した可変領域ポリペプチドと抗体以外のポリペプチドとの融合蛋白質を発現させる場合に、抗体以外のポリペプチドが細胞膜上の蛋白質やファージのコート蛋白質であれば、融合蛋白質のN末にシグナルペプチドが付加したポリペプチドをコードするように組換え発現ベクターを構築することにより、形質転換体あるいは形質転換体から放出されたファージ粒子の細胞表面に融合蛋白質が提示される。シグナルペプチドとしては、宿主が原核生物の場合は原核生物の分泌蛋白質や膜蛋白質、宿主が真核生物の場合は真核生物の分泌蛋白質や膜蛋白質のシグナルペプチドを用いるのが好ましい。
VH領域またはVL領域にタグペプチドを付加した可変領域ポリペプチド、すなわちタグペプチドと可変領域ポリペプチドとの融合蛋白質を製造する方法としては、上記可変領域ポリペプチドをコードするcDNA断片に抗体以外のポリペプチドをコードするcDNAを付加して発現させる方法が好適である。
タグペプチドは所望のペプチドを選ぶことが可能であり、本発明の態様の性能を向上させるためにポリペプチドを選ぶことが好ましい。性能とは例えば、本発明の測定方法の感度を向上させること、安定性を向上させること、再現性を向上させること、本発明に使われる操作を簡便にすること、操作時間を短縮すること、必要とする実験器具を簡易なものに変えることを容易にすること、該融合蛋白質の回収・精製を容易にすること、固相への固定化を可能とすることなどがあげられる。また、3.に後述するように可変領域ポリペプチドの標識物質がポリペプチドである場合も、同様に可変領域ポリペプチドと標識用のポリペプチドとの融合蛋白質を製造することができ、得られた融合蛋白質を標識化した可変領域ポリペプチドとして用いることができる。
具体的には例えば、該融合蛋白質を精製する操作を簡便かつ迅速に行うことを可能にするために、マルトース結合蛋白質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、精製抗体の認識する蛋白質などとVHポリペプチドまたはVLポリペプチドの融合蛋白質、あるいは、ヒスチジンの繰り返し構造(一般にはヒスチジンのヘキサマーが用いられる)、精製抗体のエピトープペプチドなどを付加したVHポリペプチドまたはVLポリペプチドがあげられる。その他市販の融合蛋白質発現システムを用いる方法として、例えば、ビオチンタグ融合蛋白質発現システムを用いるPinPointTM Xa Protein Purification System(プロメガ社)、特定のリジン残基がビオチン化される配列を利用したバイオイーズ発現システム(インビトロジェン社)、キチン結合蛋白質との融合蛋白質として発現させるインパクトCNシステムまたはインパクトTWINシステム(第一化学社)などがあげられる。
また例えば、ファージ表面蛋白質との融合蛋白質として発現することで、該融合蛋白質を精製することなく本発明の検出または定量法を構築することが可能である。ファージコート蛋白質との融合蛋白質として発現させるためには、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドを含む遺伝子をクローニングし、これを任意のファージミドベクターに組換えることで可能である。あるいは、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドを含む遺伝子とファージ表面蛋白質との間にアンバーコドンを配置し、これを非サプレッサー株のE.coliへ形質転換することで可溶性蛋白質として発現させることも可能である。
(2)形質転換体の培養
可変領域ポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する微生物、動物細胞由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養し、可変領域ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より可変領域ポリペプチドを採取することにより、可変領域ポリペプチドを製造することができる。
動物細胞を宿主とした形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI 1640培地〔J. Am. Med. Assoc., 199, 519 (1967)〕、イーグル(Eagle)のMEM(Mimimum Essential Medium)〔Science, 122, 501 (1952)〕、ダルベッコ(Dalbecco)改変イーグル培地〔Virology, 8, 396 (1959)〕、199培地〔Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 73, 1 (1950)〕またはこれら培地にウシ胎児血清等を添加した培地等を用いることができる。必要に応じてペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下等の条件下で1〜7日間行う。
昆虫細胞を宿主細胞として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているTNM−FH培地〔ファーミンジェン(Pharmingen)社製〕、Sf−900 II SFM培地(インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405〔いずれもJRHバイオサイエンシズ(JRH Biosciences)社製〕、Graceの昆虫培地〔Nature, 195, 788 (1962)〕等を用いることができる。培養条件は、pH6〜7、培養温度25〜30℃がよく、培養時間は、通常1〜5日間である。また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
E. coli等の原核生物あるいは酵母等の真核微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、該生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は通常、振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養期間は、通常16〜96時間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア水などを用いて行う。必要に応じて、培養期間中にアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、培養中に必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。インデューサーとしては、例えば、lacプロモーターを誘導するイソプロピルガラクトシド、trpプロモーターを誘導するインドールアクリル酸等があげられる。
(3)発現させたポリぺプチドの単離精製
上記形質転換体の培養物中に蓄積した可変領域ポリペプチドを単離精製するには、以下のような通常の蛋白質の単離精製法を用いればよい。
可変領域ポリペプチドが細胞外に分泌される場合には、培地中に可変領域ポリペプチドが蓄積する。従って培養終了後、遠心分離等の手法により細胞を含まない培地のみを回収する。該培地から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、DEAEセファロース、DIAION HPA−75(三菱化学社製)、モノQ(Mono Q、アマシャム・バイオサイエンシズ社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、SPセファロース(アマシャム・バイオサイエンシズ社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、および等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
可変領域ポリペプチドが、形質転換体の細胞内に蓄積する場合には、培養終了後の培養物から、形質転換体の細胞を遠心分離等の手法により回収し、緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレンチプレス等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。可変領域ポリペプチドが細胞内で溶解状態で存在する場合には、該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、上記の培地からの精製単離と同様にして精製標品を得ることができる。また、可変領域ポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して存在する場合は、該無細胞抽出液を遠心分離後、沈殿画分として可変領域ポリペプチドの不溶体を回収する。この可変領域ポリペプチドの不溶体を蛋白質変性剤で可溶化した後、該可溶化液を、蛋白質変性剤の濃度を蛋白質が変性しない程度まで希釈するか、あるいは、蛋白質変性剤を含まないかまたは蛋白質変性剤の濃度が蛋白質が変性しない程度まで希薄な溶液に透析し、可変領域ポリペプチドを正常な立体構造に復元させた後、上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。
また、公知の方法〔J. Biomol. NMR, 6, 129 (1998); Science, 242, 1162 (1988); J.Biochem., 110, 166 (1991)〕に準じて、インビトロ転写・翻訳系を用いて可変領域ポリペプチドを生産することができる。すなわち、可変領域ポリペプチドをコードするDNAをSP6、T7、T3等のプロモーターの下流につなげ、それぞれのプロモーター特異的なRNAポリメラーゼを反応させることにより大量の可変領域ポリペプチドをコードするRNAをインビトロで合成した後、無細胞系の翻訳系例えばウサギ網状赤血球ライセートやコムギ胚芽抽出液を用いた翻訳系を利用して、可変領域ポリペプチドを生産することができる。
精製した可変領域ポリペプチドの構造解析は、蛋白質化学で通常用いられる方法、例えば「遺伝子クローニングのための蛋白質構造解析」(平野久著、東京化学同人発行、1993年)に記載の方法により実施可能である。
3.ペプチドの検出または定量方法、及び検出または定量用のキット
本発明のペプチドの検出または定量方法や、ペプチドの検出または定量用のキットは、前記のとおり、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体のVHポリペプチドと、該モノクローナル抗体のVLポリペプチドを用いる測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量方法や、上記VHポリペプチドとVLポリペプチドを備えた測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量用のキットであれば特に制限はないが、例えばオープンサンドイッチELISA法、2種類の標識物質を用いるホモジニアスオープンサンドイッチ法などの方法や、そのためのキットがあげられる。
(A)オープンサンドイッチELISA法
本発明のペプチドの検出または定量方法として、測定すべきペプチドを固相へ捕捉するためにVHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方(以下、第1の可変領域ポリペプチドという)を固相へ固定化し、他方(以下、第2の可変領域ポリペプチドという)を測定すべきペプチドを検出するために標識することを特徴とする方法があげられる。この方法では、測定すべきペプチドを、固相に固定化された第1の可変領域ポリペプチド(固定化ポリペプチド)および標識された第2の可変領域ポリペプチド(標識化ポリペプチド)に接触させて結合させ、測定すべきペプチドを介して固定化ポリペプチドと結合した標識化ポリペプチドの標識物質を検出または定量することにより、測定すべきペプチドを検出または定量することが可能である。固定化ポリペプチドへの測定すべきペプチドの接触と、標識化ポリペプチドの測定すべきペプチドへの接触は同時ではなく順次行なうこともできる。また、本発明のペプチドの検出または定量方法として、第1の可変領域ポリペプチドと標識された第2の可変領域ポリペプチド(標識化ポリペプチド)を、固相の存在下で測定すべきペプチドと接触させることによって、固相、第1の可変領域ポリペプチド、標識化ポリペプチドおよび測定すべきペプチドからなる複合体を形成せしめ、同時に第1の可変領域ポリペプチドを同相に固相化させ、固相に結合した、該複合体の標識物質を検出または定量することにより、測定すべきペプチドの検出または定量をする方法もあげられる。第1の可変領域ポリペプチドを固相に固定化させる方法としては、例えば、第1の可変領域ポリペプチドとして、タグペプチドが付加した可変領域ポリペプチドを用い、固相として、該タグペプチドに特異的に結合する抗体を固定化した固相を用いる方法や、第1の可変領域ポリペプチドとして、マルトース結合蛋白質(MBP)が付加した可変領域ポリペプチド(MBPと融合させた可変領域ポリペプチド)を用いて固定化した固相を用いる方法があげられる。
オープンサンドイッチELISA法は次の手順によって行うことが可能である。固相に第1の可変領域ポリペプチドを固定化した後、ブロッキング剤によりブロッキングする。ブロッキング剤を捨て洗浄液でよく洗浄した後、濃度既知のペプチド標品あるいは濃度未知の被験サンプルを加え反応させる。洗浄液でよく洗浄した後、標識物質で標識された第2の可変領域ポリペプチドを反応させる。洗浄液で再び洗浄した後、該標識物質に応じた反応を行なう。濃度既知のペプチド標準物質を段階的に希釈して作成した検量線より、被験サンプルの濃度を算出することができる。
オープンサンドイッチELISA法を用いた検出試薬または定量試薬の構成要素としては、測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体由来のVHポリペプチド、該モノクローナル抗体由来のVLポリペプチド、第1の可変領域ポリペプチドを固定化するための固相となる担体、第1の可変領域ポリペプチドが固定化された固相(固相に固定されている第1の可変領域ポリペプチド)、検出に用いる標識された第2の可変領域ポリペプチドや、標識物質1で標識された標識化VHポリペプチドと標識物質2で標識された標識化VLポリペプチドなどがあげられ、また必要に応じ、ブロッキング剤、生体試料の希釈液、反応緩衝液、洗浄液、標識物質の検出用試薬または該ペプチドの標準物質などを含む、キットの形態であっても良い。
(1)可変領域ポリペプチドの標識
標識物質としては酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素、ビオチン、ジゴキシゲニン、繊維状ファージ、タグ配列を含むポリペプチドなどがあげられる。
酵素としては、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素標識を用いることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼなどを用いることができる。
蛍光物質としては、任意の公知(川生明著、蛍光抗体法、ソフトサイエンス社)の蛍光物質を用いることができる。例えば、FITC標識、RITC標識などを用いることができる。その他の蛍光物質として、例えばquantum dot(Science, 281,2016-2018, 1998)があげられる。または、フィコエリスリンなどのフィコビリ蛋白質、GFP(Green fluorescent Protein)、RFP(Red fluorescent Protein)、YFP(Yellow fluorescent Protein)、BFP(Blue fluorescent Protein)あるいはこれの類縁蛋白質のように蛍光を発する蛋白質であってもよい。
発光物質としては、任意の公知[今井一洋編、生物発光と化学発光、廣川書店;臨床検査42(1998)]の発光体標識を用いることができる。例えば、アクリジニウムおよびその誘導体標識、ルテニウム錯体化合物標識、ロフィン標識などを用いることができる。またルテニウム錯体化合物はClin.Chem.37,9,1534-1539(1991)に示されたものが好ましく本化合物は電子供与体と共に電気化学的に発光する。
放射性同位元素としては、任意の公知の物質を用いることができる。例えば、H、14C、35S、32P、33P、125I、51Crなどがあげられる。
低分子化合物としては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが、繊維状ファージとしては、M13ファージやf1ファージなどが、タグ配列を含むポリペプチドとしてはFLAGペプチド(FLAGタグ、Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys)、ポリヒスチジン(Hisタグ、His His His His His His)、mycエピトープペプチド(mycタグ、Glu Gln Lys Leu Ile Ser Glu Glu Asp Leu)、ヘマグルチニンエピトープペプチド(HAタグ、Tyr Pro Tyr Asp Val Pro Asp Tyr Ala)などがあげられる。
可変領域ポリペプチドを上記の標識物質により標識化する方法としては、遺伝子工学的に結合させる方法や、化学的に結合させる方法が用いられる。遺伝子工学的に結合させる方法は、文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 974, 1996; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 7826, 1996)記載の方法に従って行うことができる。化学的に結合させる方法は、文献 (Science, 261, 212, 1993)記載の方法に従って行うことができる。また、放射性同位元素を化学的に結合させる方法は、文献(Antibody Immunoconj. Radiopharm., 3, 60, 1990; )記載の方法に従って行うことができる。
標識物質がポリペプチドの場合には、公知の遺伝子組換え技術(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)および上記2.の記載にしたがって、標識物質と可変領域ポリペプチドの融合蛋白質として製造することができる。このような態様に適した標識物質としては、例えば、フィコエリスリンなどのフィコビリ蛋白質、GFP(Green fluorescent Protein)、RFP(Red fluorescent Protein)、YFP(Yellow fluorescent Protein)、BFP(Blue fluorescent Protein)あるいはこれの類縁蛋白質のように蛍光を発する蛋白質あるいは、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素、アビジン、抗体の定常領域、タグ配列を含むポリペプチドなどがあげられる。遺伝子組換え技術を用いて融合蛋白質をコードするDNAを作製するには、本発明の可変領域ポリペプチドおよび標識物質をそれぞれコードするDNAをPCRなどでクローニングし、それぞれのDNAをリガーゼ反応で連結する。あるいは、それぞれのDNAのPCR断片にのりしろの部分を設けるようプライマーを設計し、このプライマーによって1回目のPCRを行い、続いて得られたPCR断片をのりしろ部分でアニーリングさせ、2回目のPCRを行う方法も好適である。2回目のPCRの時に、融合遺伝子が増幅しやすくなるよう、融合遺伝子の両端または外側に設計されたプライマーを添加する場合もある。
ペプチドと標識物質とのコンジュゲートの方法は、それぞれの官能基の間で、リンカーを介してまたは介さず共有結合を生じる反応によって行うことが可能である。官能基としては、カルボキシル基やアミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシサクシニルエステル基、マレイミド基、イソチオシアネート基などがあげられるが、この官能基同士の間で縮合反応を行わすことが可能である。
リンカーを介さない結合方法としては例えば、EDCなどのカルボジイミド化合物を使う方法があげられる。反応を増強する物質としてNHSまたはその誘導体が使用することも可能である。イソチオシアネート基とアミノ基の間の縮合反応は、他の試薬を必要とせず、中性〜弱アルカリ性の条件で混合するだけで結合できる。
リンカーとしては、例えば、キャリア蛋白質とペプチドの側鎖の官能基をお互いに結び付け合う分子であればどのようなものでもよい。好ましい態様は、例えば、キャリア蛋白質のアミノ酸残基と反応することができる第1の反応活性基と、ペプチドの側鎖の官能基と反応することができる第2の反応活性基を同時に持つ分子であり、第1の反応活性基と第2の反応活性基が異なる基であることが好ましい。反応活性基としては例えば、アリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、マレイミド、NHS−エステル、PFP−エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルフォン、イソチオシアネートなどの各反応基が挙げられる。
標識物質の検出手段としては、標識物質に応じて適切なものを選ぶことができる。すなわち、標識物質が発色物質すなわちある波長の光を吸収する物質の場合には、分光光度計やマルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が蛍光物質の場合には、蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が発光物質の場合には、発光光度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が放射性同位元素である場合、放射性同位元素の量は、放射活性をシンチレーションカウンターなどにより測定することにより決定することができる。
標識が酵素である場合、酵素の基質を当該酵素と反応させ、生成した物質を測定することにより、標識量を測定することができる。
酵素がペルオキシダーゼである場合には、例えば吸光度法、蛍光法などによりペルオキシダーゼ量を測定することができる。吸光度法によりペルオキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマルチウェルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体などがあげられる。
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、o−フェニレンジアミン、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMA)などがあげられる。
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する物質である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類(トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせなどがあげられる。カプラーとしては、例えば4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラジンなどがあげられる。アニリン類としては、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOPS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N−ジメチル−3−メチルアニリン、N,N−ジ(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−フルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(F−DAOS)などがあげられる。フェノール類としては、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)などがあげられる。
蛍光法によりペルオキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および蛍光物質の組み合わせとを反応させ、蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダーなどで生成した蛍光の強度を測定する方法などがあげられる。当該蛍光物質としては、例えば4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリンなどがあげられる。
発光法によるペルオキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および発光物質の組み合わせとを反応させ、発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどで生成した発光の強度を測定する方法などがあげられる。当該発光物質としては、例えばルミノール化合物、ルシゲニン化合物などがあげられる。
酵素がアルカリフォスファターゼである場合には、例えば発光法などによりアルカリフォスファターゼ量を測定することができる。発光法によりアルカリフォスファターゼ量を測定する方法としては、例えばアルカリフォスファターゼとその基質とを反応させ、生成した発光の発光強度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。アルカリフォスファターゼの基質としては、例えば3−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3'−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・二ナトリウム塩(AMPPD)、2−クロロ−5−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2'−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CDP−StarTM)、3−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2'−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CSPDTM)、[10−メチル−9(10H)−アクリジニルイデン]フェノキシメチルリン酸・二ナトリウム塩(LumigenTM APS−5)などがあげられる。
酵素がβ−D−ガラクトシダーゼである場合には、例えば吸光度法(比色法)、発光法または蛍光法などによりβ−D−ガラクトシダーゼ量を測定することができる。吸光度法(比色法)によりβ−D−ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えばσ−ニトロフェルβ−D−ガラクトピラノシドなどがあげられる。発光法によりβ−D−ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えばβ−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えばGalacton-Plus(アプライドバイオシステムズ社)またはその類似化合物などがあげられる。蛍光法によりβ―D−ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えばβ―D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の蛍光度を蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。β―D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えば4−メチルウンベリフェルβ―D−ガラクトピラノシドなどがあげられる。
酵素がルシフェラーゼである場合には、例えば発光法などによりルシフェラーゼ量を測定することができる。発光法によりルシフェラーゼ量を測定する方法としては、例えばルシフェラーゼとその基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどで測定する方法などがあげられる。ルシフェラーゼの基質としては、例えばルシフェリン、セレンテラジンなどがあげられる。
標識物質が蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素および酵素以外の場合は、標識物質に特異的に結合する物質を蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素等で標識したものと第2の可変領域ポリペプチドを標識する標識物質を結合させ、標識物質に特異的に結合する物質を標識している蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素を用いて、上記の記載と同様にして検出を行う。標識物質をに特異的に結合する物質としては、標識物質を特異的に結合する抗体、また標識物質がビオチンの場合は、アビジンやストレプトアビジンをあげることができる。また、標識物質に特異的に結合する抗体、アビジンまたはストレプトアビジンを標識せずに、第2の可変領域ポリペプチドを標識する標識物質と結合させた後、抗体の定常領域に特異的に結合する抗体またはアビジンまたはストレプトアビジンに特異的に結合する抗体を蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素で標識したものを結合させ、これらの抗体を標識している蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素または酵素を用いて、上記の記載と同様にして検出を行うこともできる。
これらの検出に用いる抗体、アビジンまたはストレプトアビジンや標識物質に特異的に結合する抗体、抗体の定常領域に特異的に結合する抗体、アビジンまたはストレプトアビジンに特異的に結合する抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、あるいはFab,Fab’、F(ab)’、F(ab’)、scFv、dsFv、Diabody、およびCDRを含むペプチドなどを用いることができる。
(2)可変領域ポリペプチドの固定化
抗ペプチドモノクローナル抗体由来可変領域ポリペプチドを固定化するための担体としては、抗体を結合させて保持できるものであればいかなるものも包含されるが、各種高分子素材を用途に合うように成形した素材が用いられる。
可変領域ポリペプチドを固定化させる担体の形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックスなどの微粒子、スティックなどが、素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子素材、ガラス、セラミックス、磁性粒子や金属などがあげられる。
可変領域ポリペプチドの固定化の方法としては物理学的結合を利用した方法と化学的結合を利用した方法またはこれらの併用など、公知の方法が用いられる。物理学的結合としては、例えば物理吸着、静電的結合、水素結合、疎水結合などがあげられる。化学的結合としては、例えば共有結合、配位結合などがあげられる。例えば、ポリスチレン製免疫測定用マイクロタープレートに可変領域ポリペプチドを疎水固定化したものがあげられる。
可変領域ポリペプチドは、直接、固相に固定化してもよいし、可変領域ポリペプチドをビオチン−アビジンなどを介してから、固相に固定化してもよい。また、可変領域ポリペプチドにタグペプチドが付加されている可変領域ポリペプチドにおいては、タグペプチドに対する抗体を固相に固定化し、次いで可変領域ポリペプチドを固定化することが可能である。
あるいは、可変領域ポリペプチドは、リンカーを介して固相に固定化してもよい。リンカーとしては、例えば、蛋白質と固相の側鎖の官能基をお互いに結び付け合う分子であればどのようなものでもよい。好ましい態様は、例えば、蛋白質のアミノ酸残基と反応することができる第1の反応活性基と、固相の側鎖の官能基と反応することができる第2の反応活性基を同時に持つ分子であり、第1の反応活性基と第2の反応活性基が異なる基であることが好ましい。反応活性基としては例えば、アリルアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、マレイミド、NHS−エステル、PFP−エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルフォンなどの各反応基が挙げられる。
共有結合によって固定化することに適した固相の側鎖の官能基としては、カルボキシル基やアミノ基、グリシジル基、チオール基、水酸基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシサクシニルエステル基、マレイミド基、など、反応して化学的に結合できる基があるものが望ましい。
(3)キットのその他の構成要素
上記の可変領域ポリペプチドを固定化させた固相は、ブロッキングにより、担体上に残存する官能基を保護する。免疫学的測定法のブロッキングに用いられる物質としては、通常蛋白質、界面活性剤およびブロックエース(大日本製薬株式会社製)等の市販のブロッキング試薬などが用いられる。ブロッキングに用いることができる蛋白質としては、正常動物血清、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶液などが好適であるが、これには限らない。正常動物血清に用いられる動物としては、ヒトまたはマウス以外ではすべての動物種が使用できるが、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ブタなどが好適である。血清濃度は0.1〜20%の範囲で任意に選ぶことが可能であるが、1〜5%が最も好適である。ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶液などの濃度は0.1〜20%の範囲で任意に選ぶことが可能であるが、1〜5%が最も好適である。ブロッキングに用いることができる界面活性剤の種類としては、トライトンX−100、ツイーン20などを用いることができる。ブロッキング温度は4℃〜37℃の範囲で自由に設定できる。ブロッキング時間は反応温度にしたがって適切に設定可能であるが、室温の場合には10分以上1時間以内などの条件が好ましい。
生体試料の希釈液としては、界面活性剤、緩衝剤などに安定化剤を含む水溶液などがあげられる。検体として全血を用いる場合には、水性溶液は、赤血球などの血球の膨張や収縮による血清中の成分濃度の変化を防止する目的で、塩類、糖類など、緩衝剤などにより等張液に調製されたものであることが好ましい。塩類としては、特に制限はないが、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩などがあげられる。糖類としては、特に制限はないが、例えば、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコールなどがあげられる。
反応緩衝液としては、可変領域ポリペプチドと生体試料中の抗原とが結合反応をすることができればいかなるものであってもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、防腐剤、安定化剤、反応促進剤あるいは酵素活性調節剤などを添加してもよい。
洗浄液としては、通常未反応の物質を除去、洗浄でき、抗原と可変領域ポリペプチドの反応に影響を与えなければ、いかなるものも使用することができる。また、必要に応じて、緩衝剤、界面活性剤、蛋白質、防腐剤あるいは安定化剤などを添加してもよい。蛋白質としては、正常動物血清、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン溶液などが好適であるが、これには限らない。これらの蛋白質の濃度は、0.1〜20%の範囲で任意に選ぶことが可能であるが、1〜5%が最も好適である。界面活性剤の種類としては、トライトンX−100、ツイーン20などが用いることができる。界面活性剤の濃度は0.005〜0.5%が好ましく、0.01〜0.2%がより好ましい。
生体試料の希釈液、反応緩衝液あるいは洗浄液などに用いられる緩衝液としては、緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤(但し、標識がアルカリフォスファターゼである場合を除く)、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤などがあげられる。グッド緩衝剤としては、例えばMES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝剤、ビス−トリス[ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン]緩衝剤、ADA[N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸]緩衝剤、PIPES[ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)]緩衝剤、ACES{2−[N−(2−アセトアミド)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、BES{2−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝剤、TES〈2−{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸〉緩衝剤、HEPES[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−スルホエチル)ピペラジン]緩衝剤、DIPSO{3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸}緩衝剤、TAPSO〈2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸〉緩衝剤、POPSO[ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)]緩衝剤、HEPPSO[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、EPPS[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、TAPS{3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸}緩衝剤、CHES[2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸]緩衝剤、CAPSO[3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸]緩衝剤、CAPS[3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸]緩衝剤などがあげられる。
酵素活性調節剤、酵素安定化剤としては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオンなどの金属イオンがあげられる。試薬中のこれらの金属イオンの含量としては、測定において、酵素が安定化される含量であれば特に制限はない。
防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質などがあげられる。試薬中のこれらの防腐剤の含量としては、測定において、検体中の被測定物質が適切に測定されるような含量であれば特に制限はない。
ペプチドの標準物質としては、化学合成、酵素合成、遺伝子組換え技術により取得された、あるいは生体試料から取得された該ペプチドや、該ペプチドが発現している細胞、該ペプチドの部分ペプチドまたは該ペプチドを一部に有するポリペプチドなどがあげられる。あるいは、化学合成、酵素合成によって、該ペプチド、または該ペプチドの部分ペプチド、該ペプチドを一部に有するポリペプチドをペプチド性以外の分子で修飾を施した物質であってもよい。
(4)測定系の工夫
また、本発明の検出または定量方法はすなわち、抗原ペプチドが存在するときに抗原ペプチドを介してVHポリペプチドとVLポリペプチドが会合することを特徴とする測定系であるが、該測定系をより性能のよいものにするためには、抗原ペプチドが存在しないときに、抗原ペプチドを介さずVHポリペプチドとVLポリペプチドが会合することはバックグランドの値を上昇することになるため避けるような工夫が施されることがより好ましい。このような工夫としては、例えば抗原ペプチドを介さずVHポリペプチドとVLポリペプチドが会合することを妨げる凝集阻害剤の添加が考えられる。凝集阻害剤としては例えば、界面活性剤があげられる。本発明に好適な界面活性剤としては、蛋白質の溶解性を増す化合物であれば何でもよく、例えば、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型の陰イオン界面活性剤、あるいはエステル型、エーテル型、エステルエーテル型、アルカノールアミド型の非イオン界面活性剤、あるいはアルキルアミン塩型、第4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、カルボキシベタイン型、2−アルキルイミダゾリンの誘導型、グリシン型の両性界面活性剤があげられる。
また本発明に好適な上記工夫としては、例えば、反応緩衝液の塩濃度あるいはpHを適切に調製することによる方法も可能である。反応緩衝液の種類としては、例えば、(A)オープンサンドイッチELISAの項に記載の反応緩衝液の態様があげられる。pHは4.0〜10.0の間から好適なpHを見出すことができ、塩濃度は0.01mmol/L〜100mmol/Lの間から好適な塩濃度を見出すことが可能である。塩濃度を調節するために、無機塩を添加することも好ましい。無機塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など1価イオンまたは2価イオンの塩などがあげられる。
さらに本発明に好適な上記工夫としては、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのどちらか一方または両方のアミノ残基において、抗原ペプチドを介さずVHポリペプチドとVLポリペプチドが会合することに関与するアミノ残基を別のアミノ残基に変更することであってもよい。VHまたはVLのフレームワーク領域(FR)は、CDRを抗原に結合することを可能とする立体形成に関与するとともに、VHポリペプチドとVLポリペプチドの結合にも関与することが明らかとなっている。例えば、Masudaら(14th Annual International Antibody Engineering Conference, 2003)およびSasajimaら(14th Annual International Antibody Engineering Conference, 2003)の報告に基づいて、FR2に存在するVHポリペプチドとVLポリペプチドの結合に重要であると特定されたアミノ酸残基に変異を入れることで、抗原が存在しないときのVHポリペプチドとVLポリペプチドが会合することを抑制することができる。
(5)測定対象となる物質
本発明のオープンサンドイッチ法はモノクローナル抗体を得るために抗原として用いられたペプチドを検出、定量するばかりでなく、該ペプチドを一部に有する分子であればどのようなものも検出、定量するために適した方法である。該分子としては、該ペプチドを含むペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合物、無機化合物、高分子ポリマーなど天然に存在、または人工的に創製可能な物質であれば何であってもよい。
該分子と該ペプチドを人工的に結合させる方法としては、遺伝子工学的に結合させる方法、物理学的方法または化学的方法など、公知の方法が用いられる。遺伝子工学的に結合させる方法としては、公知の遺伝子組換え技術(Sambrook, Fritsch, Maniatis; Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor)を用いる方法があげられる。
物理学的結合としては、例えば物理吸着、静電的結合、水素結合、疎水結合などがあげられる。化学的結合としては、例えば共有結合、配位結合などがあげられる。
また本発明は、ペプチドを有する細胞または組織を検出、定量するためにも適した方法である。細胞または組織は、動物、昆虫、微生物から得られた細胞または組織、あるいはこれらの生物から樹立された培養細胞などを含む。ペプチドを有する細胞または組織とは、該ペプチドを含むペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合物を発現している細胞または組織が含まれる。あるいは細胞または組織が発現しているペプチド、ポリペプチド、糖、脂質、核酸、有機化合物を人工的に該ペプチドに結合させたものを検出または定量することにも用いることができる。人工的に該ペプチドを結合する方法は、上述と同様に、遺伝子工学的に結合させる方法、物理的方法または化学的方法など、公知の方法が用いられる。
本発明のペプチドまたは該ペプチドを一部に有する分子の検出試薬または定量試薬は、本発明の検出方法または定量方法を実施するために用いられ、該方法が実施できる構成要素を含むペプチドの検出試薬または定量試薬の各構成要素と実質的に同一、またはその一部と実質的に同一な物質が含まれていれば、構成または形態が異なっていても、本発明の試薬に包含される。
(B)2種類の標識物質を用いるホモジニアスオープンサンドイッチ法
本発明のホモジニアスオープンサンドイッチ法としては、VHポリペプチドに標識物質1を、VLポリペプチドに標識物質1とは異なる標識物質2をそれぞれ結合し、標識物質1と標識物質2の相互作用の変化量を検出する方法によっても可能である。該標識物質の好適な態様としては例えば、蛍光物質があげられる。励起光を受光することによって生じた蛍光エネルギーが、近接する異なる蛍光物質の蛍光エネルギーとして利用される。この現象は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescence resonance energy transfer)と呼ばれ、2種類の蛍光物質が1〜10nmまで近接することにより起こる現象である。FRETが起きる蛍光物質の組み合わせとしては、一方の蛍光波長のスペクトルが、他方の励起波長のスペクトルと重なりがあることが必要である。物質としては、低分子有機蛍光色素、無機化合物、ポリペプチドなどがあげられる。低分子有機蛍光色素としては、例えばCy3とCy5の組み合わせがあげられる。無機化合物としては例えばquantum dot(Science, 281,2016-2018, 1998)があげられる。ポリペプチドとしては、蛍光蛋白質があげられ、例えばクラゲの発光蛋白質あるいはこれらの改変蛋白質があげられる。
また、該標識物質の組み合わせの態様として、化学発光を生じる酵素と蛍光物質の組み合わせをあげることができる。BRET(bioluminescence resonance energy transfer)はこれに相当する態様である。例えば、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)が基質を分解して生じる発光のスペクトルが、蛍光物質の励起スペクトルと重なる場合に可能である。基質として例えばDeepBlueC(パッカードバイオサイエンス社)を使用すると、Rlucの分解によって395nmの光を生じ、これがGreen Fluorescence Protein(GFP)に近接する場合エネルギー移動し、510nmの波長の光として検出することが可能である。
また、該標識物質の組み合わせの態様としては、標識物質1と標識物質2が近接して、ある配向性をもって結合したときに酵素活性を生じる物質の組み合わせであってもよい。これは例えば、標識物質の組み合わせとしてβガラクトシダーゼのサブユニットの組み合わせ(Yokozeki, Tら、Anal. Chem., 74, 2500-2504, 2002)をあげることができる。好適な態様としては、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドの一方をβガラクトシダーゼのΔαサブユニットの融合蛋白質とし、他方をβガラクトシダーゼのΔωサブユニットの融合蛋白質とする態様があげられる。別の態様として、Rlucを2つのドメイン(N末端側ドメインとC末端側ドメイン)に分割し、各々をVHポリペプチドまたはVLポリペプチドの融合蛋白質とする態様でも可能である(Anal. Chem., 75, 4176-4181, 2003)。
2種類の標識物質を用いるホモジニアスオープンサンドイッチ法を用いた検出試薬または定量試薬の構成要素としては、標識化された抗ペプチドモノクローナル抗体由来のVHポリペプチド、標識化された抗ペプチドモノクローナル抗体由来のVLポリペプチドなどがあげられ、また必要に応じ、生体試料の希釈液、反応緩衝液、該ペプチドの標準物質、非特異的反応阻害剤などを含む、キットの形態であっても良い。標識物質が酵素の場合には、酵素の基質などが追加される。
本発明の測定キットの最良の態様としては例えば、標識化VHポリペプチド含有液と、標識化VLポリペプチド含有液と、被験サンプルと2種の標識化ポリペプチドの反応場である反応緩衝液との3つの液剤で構成されていてもよいが、前記2種の標識化ポリペプチド含有液があらかじめ混合された混合液であってもよく、また、前記3つの液剤が混合された混合液であってもよい。非特異的反応阻害剤は、前記2種の含有液に添加されていてもよく、あるいは測定キットを構成する他の試薬(前記2種の含有液および前記反応緩衝液以外の試薬)に添加されていてもよい。測定キットを構成するそれぞれの試薬は容器等に収容され、本発明の実施に供されるときに適宜希釈して使用される。
生体試料の希釈液、反応緩衝液、洗浄液、該ペプチドの標準物質に好適な態様は、(1)オープンサンドイッチELISA法で述べた態様を適応することが可能である。
非特異的反応阻害剤としては、蛋白質の凝集抑制効果のあるものであれば何であってもよく、例えば、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質;グリコール類;ポリアニオン類;N,N−ジアルキルアミド;低級アルキルスルホキシド、界面活性剤、キレート剤、還元剤などを挙げることができる。界面活性剤としては、任意の化合物が使用可能であるが、例えばツイーン−20、トライトンX−100などがあげられる。キレート剤としては任意の化合物が使用可能であるが、例えばEGTA,EDTAあるいはこれらの類縁体があげられる。還元剤は、グルタチオン、メルカプトエタノール、ジチオスライトールなどのSH化合物があげられる。
酵素の基質としては、酵素の種類によって(1)オープンサンドイッチELISA法で述べた態様の中から任意の態様を選ぶことができる。例えば、酵素がβ−D−ガラクトシダーゼである場合には、σ−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシドなどを基質として吸光度を測定する態様、4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシドなどを基質として蛍光を測定する態様があげられる。あるいは、酵素がRlucである場合には、セレンテラジンまたはその類似化合物などを基質として発光度を測定する態様があげられる。
標識物質の検出手段としては、標識物質に応じて適切なものを選ぶことができる。すなわち、標識物質が発色物質すなわちある波長の光を吸収する物質の場合には、分光光度計やマルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が蛍光物質の場合には、蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。標識物質が発光物質の場合には、発光光度計や発光マルチウェルプレートリーダーなどを用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
抗ヒトオステオカルシンペプチド抗体の作製
(1)免疫原の調製
ヒトオステオカルシンの部分ペプチドとして、配列番号1および2それぞれのアミノ酸配列からなるペプチド(以下、それぞれOC−1ペプチド、OC−2ペプチドとする。また、両者をまとめてOCペプチドと表記する)を株式会社ペプチド研究所にて委託合成をした。配列番号1は、ヒトオステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号3)のC末端部分38〜49位のアミノ酸12残基からなる配列、配列番号2は、ヒトオステオカルシンのアミノ酸配列のN末端部分1〜13位の配列のC末端にシステインを付加したアミノ酸14残基からなる配列にそれぞれ相当する。OC−1ペプチドおよびOC−2ペプチドをそれぞれ以下の方法でKLHにコンジュゲートした。OCペプチド4.8mgを1mlの0.1mol/Lリン酸バッファー(pH7.0)に溶解し、ここに0.1mol/Lリン酸バッファー(pH 7.0)にKLHを20mg/mLになるよう溶解した溶解液を1mL添加し、攪拌した。60mgのEDCと、11.5mg/mLになるようNHSをN,N−ジメチルフォルムアミドに溶解した液150μLを順次添加し、室温で8時間転倒混和した後、PBSで、4℃で3回透析した。得られたOCペプチドコンジュゲートKLHの濃度は、280nmの吸光度で測定した。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
実施例1(1)で得られた2種類のOCペプチドコンジュゲートKLHそれぞれをPBS 1mLに溶解し、フロイントの完全アジュバンド〔MPバイオメディカルズ(MP Biomedicals)社製〕とともに、1匹あたり0.4mgのOCペプチドコンジュゲートKLHを5週令雌マウス(Balb/c)の腹腔内に投与した。3週間後に最終免疫として再び、フロイントの不完全アジュバンド(MPバイオメディカルズ社製)とともに1匹あたり0.5mgのOCペプチドコンジュゲートKLHを腹腔内に投与した。上記の免疫マウスより採血し、その血清抗体価を以下(3)に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫の3日後に脾臓を摘出した。
脾臓をMEM(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐした後、遠心分離(1200rpm、5分間)して細胞を沈降させた。上清を捨て、細胞をトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理して赤血球を除去した後、MEMで3回洗浄し、(5)の細胞融合に用いた。
(3)酵素免疫測定法
アッセイ用の抗原として、実施例1(1)のOCペプチドコンジュゲートKLHの作製と同様な方法で、BSAをKLHの代わりに用いて、OCペプチドコンジュゲートBSAを作製した。96ウェルの酵素免疫測定法(EIA)用プレートに、PBSに溶解した10μg/mLのOCペプチドコンジュゲートBSAを50μL/ウェルずつ分注し、4℃で一晩放置して吸着させた。洗浄後、1%のBSA含有PBSを100μL/ウェルずつ加え、室温1時間反応させた。BSA含有PBSを捨て、0.1%のBSA含有PBSにて適宜希釈した被免疫マウス抗血清を50μL/ウェルずつ分注し室温で1時間反応させた。0.1%のツイーン20含有PBSで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスイムノグロブリン(ダコ社)を50μL/ウェルずつ加えて室温で1時間反応させた。ツイーン20含有PBSで洗浄後、過酸化水素含有o−フェニレンジアミン基質液(シグマ社製)を50μL/ウェルずつ加えて発色させ、次いで2.5mol/L硫酸を50μL/ウェルずつ加えて反応を停止させた。492nmの吸光度(以下、OD492などと表記する)をプレートリーダー(MTP−120;コロナ電機社製)にて測定した。対照波長は660nmとした。
(4)マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3−X63−Ag8−U1(Curr. Top. Microbiol. Immunol., 81, 1-7, 1978)を正常培地で培養し、細胞融合時に7×10以上の細胞を確保し、細胞融合に供した。
(5)ハイブリドーマの作製
実施例1(2)で得られたマウス脾細胞と(4)で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、1200rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、PEG−1000 2g、MEM 2mLおよびジメチルスルホキシド 0.7mLの混液を1×10個マウス脾細胞当たり0.2〜1mLを加え、1〜2分間毎にMEM 1〜2mLを数回加えた後、MEMを加えて全量が50mLになるようにした。900rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞をHAT培地100mL中に懸濁した。
この懸濁液を96ウェル培養用プレートに100μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。この培養上清を下記(6)に記載した競合阻害法で調べ、OCペプチドによってOCペプチドコンジュゲートBSAとの反応が阻害されるウェルの細胞を選び、さらにHT培地、続いて正常培地を用いる2回クローニングを行って、抗OCペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを確立した。
以上の方法により、OC−1ペプチド、OC−2ペプチドそれぞれを抗原ペプチドとして免疫したマウスから、OC−1ペプチドに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマおよびOC−2ペプチドに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ1株ずつが確立され、それぞれKTM−219株、KTM−223株と名付けた。以下、ハイブリドーマKTM−219株が産生するOC−1ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体をKTM−219と、ハイブリドーマKTM−223株が産生するOC−2ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体をKTM−223と表記する。また、KTM−219およびKTM−223は、ヒトオステオカルシンに特異的に結合するモノクローナル抗体であり、KTM−219は、ヒトオステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号3)の38〜49位の連続するアミノ酸の配列、KTM−223は、ヒトオステオカルシンのアミノ酸配列(配列番号3)の1〜13位の連続するアミノ酸の配列にそれぞれエピトープを有する。
(6)競合阻害法
96ウェルのEIA用プレートに、PBSに溶解した10μg/mLのOCペプチドコンジュゲートBSAを50μL/ウェルで分注し、4℃で一晩放置して吸着させた。陰性対照ウェルとして、OCペプチドコンジュゲートBSAを吸着させないウェルを作製した。洗浄後、1%のBSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、室温1時間反応させた。BSA含有PBSを捨て、0.1%BSA含有PBSにて適宜希釈したOCペプチド含有液(25μL/ウェル)と、0.1%BSA含有PBSにて適宜希釈した抗OCペプチドモノクローナル抗体の培養上清もしくは精製モノクローナル抗体(50μL/ウェル)を分注し室温で1時間反応させた。陽性対照ウェルとして、OCペプチドを含有しない0.1%BSA含有PBS(25μL/ウェル)と、0.1%BSA含有PBSにて適宜希釈した抗OCペプチドモノクローナル抗体の培養上清もしくは精製モノクローナル抗体(50μL/ウェル)を分注し室温で1時間反応させた。Tween−20含有PBSで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスイムノグロブリン(ダコ社)を50μL/ウェルで加えて室温、1時間反応させ、Tween−20含有PBSで洗浄後過酸化水素含有o−フェニレンジアミン基質液(シグマ社)を50μL/ウェルで加えて発色させ、次いで2.5mol/L硫酸を50μL/ウェルで加えて反応を停止させた。492nmの吸光度(以下、OD492などと表記する)をプレートリーダー(MTP−120;コロナ電機社)にて測定した。対照波長は660nmとした。
(6)モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(Balb/c)に実施例1(5)で得られたハイブリドーマ株を5〜20×10細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後に、ハイブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8mL/匹)し、遠心分離(3000rpm、5分)して固形分を除去した。得られた腹水は、カプリル酸沈殿法[Antibodies - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)]により精製し、精製モノクローナル抗体とした。
抗体のサブクラスはサブクラスタイピングキット(ZYMED社)を用いて酵素免疫測定法により行ない決定した。KTM−219およびKTM−223はともに抗体サブクラスはH鎖がIgG1でかつL鎖がκであった。
VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製
(1)KTM−219のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドをそれぞれコードするDNAの調製
KTM−219のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドをそれぞれコードするDNAを、以下のようにして調製した。まず、KTM−219を産生するハイブリドーマKTM−219株より常法に基づき、RNAを抽出精製した。このRNAを鋳型とし、下記のプライマーを用いて、キアゲン・ワンステップRT−PCRキット(QIAGEN OneStep RT-PCR Kit)により、添付のプロトコルに従って逆転写PCR(RT−PCR)を行った。
フォワードプライマーとしてマウスイムノグロブリン重鎖のフレームワーク1(FR1)領域に対する縮重プライマーMH1Back(配列番号14)およびMH2Back(配列番号15)の等量混合物を、リバースプライマーとしてマウスIgG重鎖定常領域に対するプライマーであるマウスIgG VH3’−2(配列番号16、Novagen-Merck社製、マウスIgプライマーセット)を用いて、マウスIgGの重鎖定常領域の一部を含むVHポリペプチドをコードするDNAを増幅した。またフォワードプライマーとしてマウスイムノグロブリンκ鎖のFR1領域に対する縮重プライマーであるVk4BkFL2(配列番号17)を、リバースプライマーとしてマウスイムノグロブリンκ鎖定常領域に対するプライマーであるMKCFor(配列番号18)を用いて、マウスイムノグロブリンκ鎖定常領域の一部を含むVLポリペプチドをコードするDNAを増幅した。プライマーは、それぞれの配列番号の配列からなるDNAを化学合成したものを用いた。なおRT−PCRの反応条件は50℃で30分間の逆転写反応の後、94℃で15分間の変性反応を行い、その後94℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を1サイクルとする反応を30サイクル行い、最後に72℃で6分間の伸張反応を行った。そして、それぞれのRT−PCRで増幅された約450bpのcDNA断片を1.5%アガロースゲル電気泳動で分離し、ウィザードSVゲル・アンドPCRクリーンアップ・システム(Wizard SV gel and PCR Clean-Up System、プロメガ社製)を用いて精製した。
得られたcDNA断片の塩基配列を決定したところ、KTM−219のVHをコードする領域は配列番号4の塩基配列を有し、配列番号5のアミノ酸配列をコードすること、VLをコードする領域は配列番号6の塩基配列を有し、配列番号7のアミノ酸配列をコードすることが明らかになった。また、KTM−219のVH領域のCDR1、2および3は、それぞれ配列番号5のアミノ酸配列の31〜35位、50〜66位および99〜105位の領域であり、VL領域のCDR1、2および3は、それぞれ配列番号7のアミノ酸配列の24〜39位、55〜61位および94〜102位の領域であった。KTM−219のVH領域のCDR1、2および3ならびにVL領域のCDR1、2および3のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号8〜13に示した。
(2)spFvファージミドベクターへのクローニング
KTM−219のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドをM13ファージを利用して発現させるため、以下のようにしてspFvファージミドベクターpKST2(Anal. Chem., 75, 4057-4064, 2003)にサブクローニングした。pKST2は、プロモーターの下流に、リボゾーム結合配列、シグナルペプチドをコードする配列、SfiIサイト、NotIサイト、His−mycタグをコードする配列、アンバー終止コドン、M13ファージコート蛋白質p7をコードする配列を有する。pKST2のsfiIとNotI間にVHポリペプチドをコードする配列、M13ファージコート蛋白質p9をコードする配列、リボゾーム結合配列、シグナルペプチドをコードする配列、VLポリペプチドをコードする配列を挿入することにより、プロモーターの下流に(A)リボゾーム結合配列−シグナルペプチド/VHポリペプチド/p9融合蛋白質をコードする配列および(B)リボゾーム結合配列−シグナルペプチド/VLポリペプチド/His−mycタグをコードする配列−アンバー終止コドン−p7をコードする配列を有するファージミドが構築できる。得られたファージミドでE.coliを形質転換した後、ヘルパーファージ感染により、ファージ粒子を得ることができる。E.coliがアンバーサプレッサー株の場合、アンバー終止コドンが一定の割合でグルタミンに翻訳されるため、VHポリペプチド/p9の融合蛋白質と共に、VLポリペプチド/His−mycタグ/p7の融合蛋白質がファージ粒子上に提示される。一方、非サプレッサー株の場合は、VHポリペプチド/p9の融合蛋白質はファージ粒子上に提示されるが、VLポリペプチド/His−mycタグはp7との融合蛋白質にはならないため、ファージ粒子上には提示されず、培地中に分泌される。
まず(1)で得られた、KTM−219のVHポリペプチドコードするDNAを鋳型にしてフォワードプライマーMH2Back(配列番号15)およびリバースプライマーVH1For−2X(配列番号19、Anal. Chem., 75, 4057-4064, 2003)を用いて、VHポリペプチドをコードするDNAを、また(1)で得られた、KTM−219のVLポリペプチドコードするDNAを鋳型にしてフォワードプライマーMkBack(配列番号20)およびリバースプライマーMJK2FONX(配列番号21、Antibody Engineering: a Practical Approach, IRL Press, 1996)を用いてVLポリペプチドをコードするDNAをそれぞれEx−Taq DNAポリメラーゼ(宝バイオ社)を用いたPCRにより増幅した。PCRの反応条件は,94℃で3分間の変性反応の後、94℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を1サイクルとする反応を30サイクル行い、最後に72℃で6分間伸張反応を行った。またこれと同時に、p9をコードする配列、リボゾーム結合配列およびOmpAシグナルペプチドをコードする配列を含むリンカーDNAを、フォワードプライマーOlinkBack2(配列番号22)およびリバースプライマーOlinkFor(配列番号23)、ならびに鋳型としてpKST2(HyHEL10)(Anal. Chem., 75, 4057-4064, 2003)を用いて同様に増幅した。(1)と同様に、増幅断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、精製した。
得られたVHポリペプチドをコードするDNA、VLポリペプチドをコードするDNAおよびリンカーDNAを、プライスオーバーラップ伸張PCR法(Biotechniques, 8, 528-535, 1990)によりリンカーDNAの末端の共通する配列を介してVH−リンカー−VLの順に結合した構造の0.9kbの断片に一本化した。具体的には、VHポリペプチドをコードするDNA、VLポリペプチドをコードするDNAおよびリンカーDNAを混合し、プライマーを添加せずにPCRを、94℃で3分間の変性反応の後、94℃で30秒間、56℃で45秒間、72℃で90秒間を1サイクルとする反応を8サイクル行い、最後に72℃で8分間の伸張反応という条件で行い、3つのDNA断片がVH−リンカー−VLの順に結合した構造のDNA断片を増幅させた。さらに、プライマーMH2Backsfi(配列番号24)およびJK2Not10(配列番号25)を添加し、上記と同様の条件で30サイクルの反応のPCRを行い、5’端にSfiIサイトおよび3’端にNotIサイトを付加した。増幅断片をアガロースゲル電気泳動で分離した後、精製した。精製した増幅断片は制限酵素SfiIおよびNotIで切断し,再度アガロースゲル電気泳動で分離した後、精製した。この増幅断片と同様にSfiIおよびNotIで切断したpKST2とライゲーションさせ、KTM−219のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを発現するためのspFvファージミドベクターpKST2/KTM219を作製した。図1にpKST2/KTM219のプロモーターの下流の構造を示した。実施例2で用いられたプライマーを表1に示した。
(3)VHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製
前項で得たspFvファージミドベクターpKST2/KTM219を、アンバーサプレッサー株であるE. coliTG1株(supE, hsdΔ5, thi, Δ(lac-proAB),/F’[traD36, proAB+, lacIq, lacZΔM15])あるいは非サプレッサー株であるHB2151株(ara, Δ(lac-proAB), thi/F'proAB+, lacIq, lacZΔM15)(アマシャム・バイオサイエンシズ社)に形質転換した。形質転換細胞を2×TYAG(16g/Lトリプトン、10g/Lイーストエキス、5g/L塩化ナトリウム、100μg/mLアンピシリン、1%グルコース、pH7.0)アガープレート(1.5%寒天を含む2×TYAG)で37℃で一晩培養したのち、シングルコロニーのいくつかをそれぞれ4mLの2×TYAG培地で37℃で一晩培養した。この一部を新鮮な2×TYAG培地に移して、37℃で600nmの吸光度(OD600)が約0.5になるまで振盪培養した。ここでヘルパーファージM13KO7をm.o.i (multiplicity of infection)が20になるように加え、37℃で30分間静置した。その後菌体を2,000gで15分遠心して回収し、2×TYAK培地(16g/Lトリプトン、10g/Lイーストエキス、5g/L塩化ナトリウム、100μg/mLアンピシリン、50μg/mLカナマイシン)に再懸濁して250rpmで30℃、16時間振盪培養した。
TG1株を宿主とした場合は、培養液を10,800gで10分間遠心分離し、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを提示するM13ファージを含む上清を回収した。この上清に1/5容の20%ポリエチレングリコール/2.5mol/L NaClを加えてファージを沈殿させた。4℃で1時間放置した後、11,500gで15分間遠心分離し、ペレットをPBSに再懸濁させ4℃で保存した。HB2151株を宿主とした場合は、培養液を 10,800gで10分間遠心分離し、VHポリペプチドを提示するM13ファージおよびHis−mycタグが付加したVLポリペプチドを含む上清を4℃で保存した。
オープンサンドイッチELISA法によるヒトオステオカルシンおよびOC−1ペプチドの測定
(1)VHポリペプチドとVLポリペプチドの結合性の確認
実施例2(3)で、E. coli TG1株を宿主として得られたVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを提示するM13ファージ(以下、VH/VL提示ファージと表記する)を用いて、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドのヒトオステオカルシンに対する特異的な結合性が保持されていることを、以下のELISAで確認した。
96ウェルマイクロプレート(ファルコン3914、ベクトン・ディキンソン社製)に1ウェルあたり100μLのPBSに溶解した各濃度のヒトオステオカルシン(プリンストン・バイオモレキュールズ社製)を入れ、37℃で1時間静置してこれを吸着させた。次いで、PBSで25%に希釈したブロックエース(Block Ace、大日本製薬社製)(以下、25%BPBSと表記する)で37℃で1時間、非特異吸着サイトのブロッキングを行った。その後マイクロプレートを0.1%ツイーン−20を含むPBS(以下PBSTと略す)で3回洗浄し、各ウェルに10%BPBSで100倍に希釈したVH/VL提示ファージを100μL加え、25℃で90分間反応させた。次にPBSTによる3回洗浄のあと各ウェルに10%BPBSで5000倍希釈したペルオキシダーゼ標識マウス抗M13抗体(アマシャム・バイオサイエンシズ社製)を100μL加え、25℃で90分間反応させた。最後にPBSTでマイクロプレートを6回洗浄し、各ウェルあたり100μLの基質溶液(100mM酢酸ナトリウム、100μg/mL3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(以下TMBと略す、シグマ・アルドリッチ社製)、0.04μL/ml過酸化水素水、pH6.0)を加えて10〜30分おいた。そして反応をウェルあたり50μLの1mol/L硫酸で停止し,モデル680マイクロプレートリーダー(バイオラッド社)で655nmを対照として 450nmの吸光度を測定した。結果を図2に示した。その結果、ヒトオステオカルシンの濃度依存的に吸光度の上昇が見られ、KTM−219のVHポリペプチドおよびVLポリペプチドは、ヒトオステオカルシンに対する特異的な結合性を有していることが確認された。
(2)オープンサンドイッチELISAによるOC−1ペプチドおよびヒトオステオカルシンの測定
実施例2(3)で、pKST2/KTM219で形質添加したE. coli HB2151株から得られた、KTM−219のVHポリペプチドを提示するM13ファージ、すなわちM13ファージで標識したVHポリペプチドおよびHis−mycタグが付加したKTM−219のVLポリペプチド含む培養上清を用いて、ヒトオステオカルシンおよびOC−1ペプチドのオープンサンドイッチELISAによる測定を、以下のようにして行った。
ファルコン3914マイクロプレートに、1ウェルあたり100μLのPBSに溶解した0.5μg/mL抗Hisタグ抗体Penta−His(キアゲン社)を分注し,4℃で一晩静置して吸着させた後、25%BPBSで25℃2時間ブロッキングした。PBSTによる3回洗浄のあと各ウェルに測定試料として、10%BPBSで各濃度になるよう希釈したヒトオステオカルシンあるいはOC−1ペプチド(キアゲン社)を100μLずつ加えたのち、実施例2(3)で調製したpKST2/KTM219で形質添加したE. coli HB2151株の培養上清を10μLずつ加えてゆるやかに振盪させて混合し、室温で2時間反応させた。この反応において、抗Hisタグ抗体を介してHis−mycタグ付加VLポリペプチドがウェルに固定化され、固定化されたVLポリペプチドに添加したヒトオステオカルシンあるいはOC−1ペプチドが結合し、さらにこのヒトオステオカルシンあるいはOC−1ペプチドにM13ファージで標識されたVHポリペプチドが結合する。PBSTにより3回洗浄し、各100μLの10%BPBS中で5000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗M13抗体を加え25℃90分反応させた。6回のPBSTによる洗浄の後、実施例3の(1)と同様に、各ウェルあたり100μLのTMBを含む基質溶液を加えて10〜30分おいた。そして反応をウェルあたり50μLの1mol/L硫酸で停止し、モデル680マイクロプレートリーダーで655nmを対照波長として450nmの吸光度を測定した。ヒトオステオカルシンの測定結果を図3に、OC−1ペプチドの測定結果を図4に示した。測定試料中に測定対象のペプチドが存在しないときの吸光度の値はそれぞれヒトオステオカルシンが0.278、OC−1ペプチドが0.143であった。OC−1ペプチドおよびヒトオステオカルシンともに、測定試料中の濃度依存的に吸光度の上昇がみられ、オープンサンドイッチELISA法により測定できることが確認された。図3よりオステオカルシンの測定範囲は1〜500ng/mLであり、図4よりOC−1ペプチドの測定範囲は0.1〜50ng/mLであった。また、濃度が不明なヒトオステオカルシンまたはOC−1ペプチドを含む試料を測定する場合は、上記の方法で、ヒトオステオカルシンあるいはOC−1ペプチドの代わりに試料を添加して測定を行い、得られた吸光度と上記で得られた検量線から濃度を求めることができる。
(3)競合阻害ELISAによるOC−1ペプチドの測定
ファルコン3914マイクロプレートに1ウェルあたり100μLのPBSで希釈した2μg/mLヒトオステオカルシンを加え、37℃で1時間おいた後、25%BPBSで37℃1時間ブロッキングし、PBSTにより1回洗浄した。測定試料として10%BPBSで段階希釈したOC−1ペプチドと、0.5μg/mLのKTM−219溶液を混合させた後,混合液各100μLをマイクロプレートに2ウェルずつアプライし,室温で2時間反応させた。PBSTにより3回洗浄し,10%BPBS中0.2μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体100μLを加え25℃90分間反応させた。6回のPBSTによる洗浄の後、実施例3の(1)と同様に酵素反応と吸光度測定を行った。実験結果を図5に示した。図5の実験において測定試料中にOC−1ペプチドが存在しないときの吸光度の値はそれぞれ2.28であった。図5よりOC−1ぺプチドの測定範囲は5〜2000ng/mLであった。
以上より、オープンサンドイッチELISA法は、競合阻害ELISA法に比較して、最小検出感度が低値にまで及び、測定範囲が広がることが確認された。
(4)サンドイッチELISAによるオステオカルシンの測定
実施例1で得られた、エピトープの異なるヒトオステオカルシンと特異的に反応するモノクローナル抗体KTM−219およびKTM−223を利用して、ヒトオステオカルシンのサンドイッチELISAを行い、オープンサンドイッチELISAと比較した。
ファルコン3914マイクロプレートに、1ウェルあたり0.5μg/mLのモノクローナル抗体KTM−219を分注し、37℃で1時間静置して吸着させた後、25% BPBSで37℃1時間ブロッキングした。PBSTによる1回洗浄の後、各ウェルに測定試料として、10%BPBSで各濃度になるよう希釈したヒトオステオカルシンを100μLずつ加え、室温で1.5時間反応させた。PBSTにより3回洗浄した後、10%BPBSで0.3μg/mLの濃度に調製したビオチン標識したモノクローナル抗体KTM−223を100μLを加え、室温で1時間反応させた。PBSTにより3回洗浄した後、10%BPBSで2000倍希釈したペルオキシダーゼ標識アビジンを加え室温で1時間反応させた。3回のPBSTによる洗浄の後、実施例3の(1)と同様に酵素反応と吸光度測定を行った。実験結果を図6に示した。また、上記と同様の方法で、プレートに固定化するモノクローナル抗体をKTM−223にし、ビオチン標識したモノクローナル抗体KTM−219を添加した場合の結果を図7に示した。図6より、KTM−219を固定化し、標識KTM−223を用いた場合のサンドイッチELISAの測定範囲は0.01〜5ng/mLであり、図7より、KTM−223を固定化し、標識KTM−219を用いた場合のサンドイッチELISAの測定範囲は0.05〜5ng/mLであった。
オープンサンドイッチELISAは、サンドイッチELISAと比較して測定範囲の上限の濃度が高く、またその測定範囲の幅は同程度もしくは広いものであった。実際の血中のオステオカルシンを測定する場合の基準値は2.5ng/mL程度であり、病的な状態では、血中オステオカルシンの濃度はさらに高くなることが予想される。オープンサンドイッチELISA法は、通常のサンドイッチELISA法と比較して測定の工程が少なくて簡易なうえ、血中のオステオカルシンの濃度と測定範囲が合っているため、試料の希釈が不要で、より適していると考えられた。
MBPが付加したVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの調製
VLポリペプチドとして、VLにMBPが付加したMBP−VL融合蛋白質を用いることにより、VLポリペプチドを抗Hisタグ抗体を介さずに、物理的に直接プレートに固定化できると考えられる。また、標識したVHポリペプチドとして、アルカリフォスファターゼと融合させたVH−アルカリフォスファターゼ融合蛋白質(以下、VH−AP融合蛋白質と省略する)を用いることにより、VHポリペプチドと結合する酵素標識した抗M13抗体の反応が不要となると考えられる。したがって、両者を用いることでオープンサンドイッチ法の工程を簡略化することができると考えられる。このようなオープンサンドイッチ法によるオステオカルシンの測定を目的として、以下のように、VH−AP融合蛋白質およびMBP−VL融合蛋白質の調製を行った。
(1)VH−AP融合蛋白質の調製
以下のようにして、VH−AP融合蛋白質発現プラスミドpET−VH219−APを作製した。実施例3で作製したspFvファージミドベクターpKST2/KTM219を鋳型にして、プライマーMH2Back−EcoRV(配列番号26)およびVH1For2−HindIII(配列番号27)を用いたPCRにより、KTM−219のVHポリペプチドをコードするDNAを増幅した。増幅断片をEcoRVとHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で分離後、精製し、同じくEcoRVとHindIIIで切断したプラスミドpPhoA(J. Immunol. Methods, 224, 171-84, 1999)の断片とライゲーションした。pPhoAは、E. coliアルカリフォスファターゼをコードする1450bp断片をベクターpET−20b(ノバジェン、EMDバイオサイエンシズ社製)のNotIサイトに挿入して作製されたプラスミドである。ライゲーション産物をE. coli XL10−Gold(ストラタジーン社製)に形質転換し、LBAG寒天培地(10g/Lトリプトン、5g/Lイーストエキス、10g/L塩化ナトリウム、10g/Lグルコース、100μg/mLアンピシリン、pH7.2、1.5%寒天)にて37℃一晩培養した。得られた数個のコロニーよりプラスミドを調製し,正しい配列を持つものを選択して、pET−VH219−APと名付けた。pET−VH219−APはプロモーターの下流に図8に示す構造を有し、宿主のペリプラズムに、KTM−219のVHポリペプチド/アルカリフォスファターゼ/HisタグからなるVH−AP融合蛋白質を発現するためのプラスミドである。
このプラスミドpET−VH219−APでE. coli BL21(DE3)pLysS株を形質転換し,37℃で一晩LBAG寒天培地で培養したのち、シングルコロニーを4mLのLBAC液体培地(10g/Lトリプトン、5g/Lイーストエキス、10g/L塩化ナトリウム、100μg/mLアンピシリン、34μg/mLクロラムフェニコール、pH7.2)で30℃一晩培養し、この培養液3mLを2本の150mLのLBAC液体培地に移し、30℃でOD600が0.6〜0.8になるまで培養した。培養液に終濃度0.2mmol/LのIPTGを添加して、VH−AP融合蛋白質の発現を誘導した後、さらに18〜24時間20℃で培養した。
培養終了後の培養液を、6000rpm、4℃で10分間遠心分離し、菌体を回収した。得られた菌体を40mLの浸透圧ショック液(30mmol/L Tris−HCl、20%スクロース、1mmol/L EDTA、pH8.0)に再懸濁し室温で10分間ゆるやかに混合したのち、8000g、4℃で10分間遠心分離した。上清を捨て、菌体に氷冷した5mmol/L MgSO4 10mLを加え、直ちに再懸濁し、ペリプラズム画分のVH−AP融合蛋白質を細胞外に放出させた。懸濁液を氷上で20分間時々混ぜながら置いたのち、8000g、4℃で15分間遠心分離し、VH−AP融合蛋白質を含む上清を回収した。この上清を1Lのカラム緩衝液(10mmol/L Tris−HCl、50mmol/L NaH2PO4、100mmol/L NaCl、pH7.4)に対して4℃で一晩透析したのち、1mL のTalon金属キレートカラム(クロンテック製)を用いてメーカーのマニュアルに従い精製を行った。溶出緩衝液(200mmol/Lイミダゾールを含むカラム緩衝液)を用いて得られた各0.5mLの画分を回収し、10%SDS−PAGEにより、VH−AP融合蛋白質を含む画分を確認した。VH−AP融合蛋白質を含む画分を集めてトリス緩衝塩溶液TBS(25mmol/L Tris−HCl、137mmol/L NaCl、2.68mmol/L KCl、pH7.4)で平衡化したPD−10カラム(アマシャム・バイオサイエンス社製)を用いて、VH−AP融合蛋白質溶液の溶媒をTBSに交換した。以上のようにして精製されたVH−AP融合蛋白質は、蛋白質濃度をブラッドフォード(Bradford)試薬(バイオラッド社製)を用いて決定し、小分けして−80℃で保存した。精製VH−AP融合蛋白質は、SDS−PAGEでは推定分子量である61.9kDa付近に単一バンドが認められ、その収量は培養液300mL培養から約1.5mgであった。
(2)MBP−VL融合蛋白質の調製
以下のようにして、MBP−VL融合蛋白質発現プラスミドpMAL−VL219を作製した。spFvファージミドベクターpKST2/KTM219を鋳型にして、プライマーMkBackES(配列番号28)およびMycForHd(配列番号29)を用いたPCRにより、KTM−219のVLポリペプチドおよびHis−MycタグをコードするDNAを増幅した。増幅断片をEcoRIとHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で分離後、精製し、同じくEcoRIとHindIIIで切断したMBP融合蛋白質発現プラスミドpMAL−p2(ニュー・イングランド・バイオラブズ社製)の断片とライゲーションした。ライゲーション産物をE. coli XL10−Goldに形質転換し、LBAG寒天培地にて37℃一晩培養した。得られた数個のコロニーよりプラスミドを調製し,正しい配列を持つものを選択して、pMAL−VL219と名付けた。pMAL−VL219はプロモーターの下流に図9に示す構造を有し、宿主のペリプラズムにMBP/KTM−219のVLポリペプチド/His−MycタグからなるMBP−VL融合蛋白質を発現するためのプラスミドである。
このプラスミドpMAL−VL219でE. coli TG1株を形質転換し、37℃で一晩LBAG寒天培地で培養した後、シングルコロニーを4mLのLBAG液体培地(10g/Lトリプトン、5g/Lイーストエキス、10g/L塩化ナトリウム、10g/Lグルコース、100μg/mLアンピシリン、pH7.2)で30℃一晩培養した。この培養液を2本の250mLの0.2%グルコースを含むLBA培地(10g/Lトリプトン、5g/Lイーストエキス、10g/L塩化ナトリウム、100μg/mLアンピシリン、pH7.2)に添加し、30℃でOD600が0.6〜0.8になるまで培養した。培養液に終濃度1mmol/LのIPTGを添加して、MBP−VL融合蛋白質の発現を誘導した後、さらに5時間27℃で培養した。
培養を終了した培養液を、6000rpm、4℃で10分間遠心分離し、菌体を回収した。得られた菌体を50mLの浸透圧ショック液に再懸濁し、室温で10分間ゆるやかに混合したのち、8000g、4℃で10分間遠心分離した。上清を捨て、菌体に氷冷した5mmol/L MgSO4 15mLを加え、直ちに再懸濁し、ペリプラズム画分のMBP−VL融合蛋白質を細胞外に放出させた。懸濁液を氷上で20分間時々混ぜながら置いたのち、8000g、4℃で15分間遠心分離し、MBP−VL融合蛋白質を含む上清を回収した。この上清を1Lのカラム緩衝液に対して4℃で一晩透析したのち、(1)のVH−AP融合蛋白質と同様にして、Talon金属キレートカラムを用いて、MBP−VL融合蛋白質の精製を行った。精製MBP−VL融合蛋白質は、SDS−PAGEでは推定分子量である56.5kDa付近に単一バンドが認められ、その収量は培養液500mL培養から約0.7mgであった。
VH−AP融合蛋白質およびMBP−VL融合蛋白質を用いたオープンサンドイッチELISA法によるヒトオステオカルシンおよびOC−1ペプチドの測定
実施例4(2)で得られた精製MBP−VL融合蛋白質の5μg/mL溶液(溶媒TBS)を調製し、96ウェルマイクロプレートに、1ウェルあたり100μLずつ分注した。4℃で一晩静置して、MBP−VL融合蛋白質を吸着させた後、溶液を捨て、TBSで25%に希釈したブロックエース(以下、X%のブロックエースを含むTBSをX%BTBSとよぶ)で、室温で2時間ブロッキングした。0.05%ツイーン−20を含むTBS(以下、TBSTとよぶ)により1回洗浄した後、各ウェルに測定試料として、10%BTBSで0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、100、500、1000ng/mLの各濃度になるよう希釈したヒトオステオカルシンあるいはOC−1ペプチド(キアゲン社)を100μLずつ加えた。さらに、実施例4(1)で調製した精製VH−AP融合蛋白質の250μg/mL溶液2μLを加えて混合し、室温で2時間反応させた。TBSTにより3回洗浄し、100μLのアルカリフォスファターゼ基質溶液(1mmol/L p−ニトロフェニルリン酸、1mol/L Tris−HCl、10mmol/L MgCl2、50μmol/L ZnCl2、pH9.5)を各ウェルに加え,室温で30分間反応させた後、405nmの吸光度(OD405)を測定した。
測定結果を図10に示した。OC−1ペプチドおよびヒトオステオカルシンともに、測定試料中の濃度依存的に吸光度の上昇がみられ、オープンサンドイッチELISA法により測定できることが確認された。測定範囲は実施例3(2)のファージを用いたオープンサンドイッチELISA法と同程度であった。本実施例のオープンサンドイッチ法では、実施例3(4)に示した従来のサンドイッチELISA法、実施例3(2)に示したオープンサンドイッチELISA法によるオステオカルシンの測定方法と比較して、測定工程を簡略化することができた。
本発明により、ペプチドの非競合的な検出または定量方法、そのための試薬、および該方法に使用するVHポリペプチドまたはVLポリペプチドが提供される。そして、前記HyHEL−10のように、測定すべきペプチドの3次構造を認識しているモノクローナル抗体に由来するVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを用いた場合、測定すべきペプチドが測定試料中で正常な3次元構造を保持していることが要求されるが、測定すべきペプチドの連続するアミノ酸配列をエピトープとするモノクローナル抗体に由来するVHポリペプチドおよびVLポリペプチドを用いることにより、測定すべきペプチドが測定試料中で変性状態であっても測定することができる。また、本発明のオープンサンドイッチELISAによると、サンドイッチELISAと比較して測定範囲の上限の濃度が高く、またその測定範囲の幅は同程度もしくは広くなることから、本発明は特に血中のオステオカルシンの濃度測定に適している。

Claims (42)

  1. 測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、前記モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)を用いることを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量方法。
  2. VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方を固相に固定化して固定化ポリペプチドとし、他方を標識物質で標識して標識化ポリペプチドとし、測定すべきペプチドを含有する検体および標識化ポリペプチドを固定化ポリペプチドと接触させ、固定化ポリペプチド、測定すべきペプチドおよび標識化ポリペプチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識物質を検出または定量することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方を標識物質で標識して標識化ポリペプチドとし、他方のポリペプチドおよび標識化ポリペプチドを、固相の存在下で測定すべきペプチドを含有する検体に接触させ、固相、他方のポリペプチド、測定すべきペプチドおよび標識化ポリペプチドからなる複合体を形成せしめ、固相に結合した該複合体の標識物質を検出または定量することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 標識物質が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはビオチンである請求項2または3に記載の方法。
  5. VHポリペプチドまたはVLポリペプチドが、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドと免疫学的に区別されるペプチド(タグペプチド)が付加したポリペプチドであって、VHポリペプチドまたはVLポリペプチドの固相への固定化が、VHポリペプチドまたはVLペプチドに付加した該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体との結合を介した固定化である請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 固相に固定化するVHポリペプチドまたはVLポリペプチドが、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである請求項2に記載の方法。
  7. VHポリペプチドを標識物質1で標識して標識化VHポリペプチドとし、VLポリペプチドを異なる標識物質2で標識して標識化VLポリペプチドとし、測定すべきペプチドを含有する検体を標識化VHポリペプチドおよび標識化VLポリペプチドへ接触させ、標識物質1と標識物質2の相互作用の変化量を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. VHポリペプチドおよびVLポリペプチドが遺伝子組換え産物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体が、該ペプチドのアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. モノクローナル抗体が、配列番号3のアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 測定すべきペプチドが、ヒトオステオカルシンである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  13. 測定すべきペプチドが、配列番号1または2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  14. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、以下の(1)〜(3)のいずれかのモノクローナル抗体である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
    (1)重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
    (2)軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
    (3)重鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
  15. モノクローナル抗体が、以下の(1)〜(3)のいずれかのモノクローナル抗体である請求項14に記載の方法。
    (1)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
    (2)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
    (3)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
  16. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  17. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  18. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつVLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  19. 配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  20. 配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA。
  21. 配列番号4または6の塩基配列を含む請求項20に記載のDNA。
  22. 請求項20または21に記載のDNAをベクターに挿入して得られる組換えベクター。
  23. 請求項22に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換体。
  24. 請求項23に記載の形質転換体を培養液中に培養して、配列番号5または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドを生成・蓄積させ、培養液から該ポリペプチドを採取することを特徴とする、ポリペプチドの製造方法。
  25. 測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含んでかつ軽鎖可変領域を含まないポリペプチド(VHポリペプチド)と、該モノクローナル抗体の軽鎖可変領域を含んでかつ重鎖可変領域を含まないポリペプチド(VLポリペプチド)とを含有することを特徴とする測定すべきペプチドの非競合的な検出または定量用の試薬。
  26. VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方が、標識物質で標識された標識化ポリペプチドであり、他方が固相に固定化された固定化ポリペプチドである請求項25に記載の試薬。
  27. 固定化ポリペプチドがタグペプチドを付加したポリペプチドであって、固定化ポリペプチドの固相への固相化が、該タグペプチドと該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体との結合を介した固定化である請求項26に記載の試薬。
  28. 固定化ポリペプチドが、マルトース結合蛋白質が付加したポリペプチドである請求項26に記載の試薬。
  29. VHポリペプチドまたはVLポリペプチドのいずれか一方が、標識物質で標識された標識化ポリペプチドであり、他方がタグペプチドを付加したポリペプチドであり、さらに該タグペプチドに特異的に結合する固相に固定化した抗体を含有する請求項26に記載の試薬。
  30. 標識物質が繊維状ファージ、酵素、蛍光物質またはビオチンである請求項26〜29のいずれか1項に記載の試薬。
  31. VHポリペプチドが標識物質1で標識された標識化VHポリペプチドであり、VLポリペプチドが異なる標識物質2で標識された標識化VLポリペプチドであることを特徴とする請求項25に記載の試薬。
  32. VHポリペプチドおよびVLポリペプチドが遺伝子組換え産物である請求項25〜31のいずれか1項に記載の試薬。
  33. 測定すべきペプチドに特異的に結合し、かつ該ペプチドのアミノ酸配列の連続する配列をエピトープとするモノクローナル抗体が、該ペプチドのアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である、請求項25〜32のいずれか1項に記載の試薬。
  34. モノクローナル抗体が、配列番号3のアミノ酸配列の連続する6以上19以下のアミノ酸の配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である、請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  35. モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体である請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  36. 測定すべきペプチドが、ヒトオステオカルシンである請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  37. 測定すべきペプチドが、配列番号1または2のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、配列番号1または2のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として動物を免疫することにより得られるモノクローナル抗体である請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  38. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、モノクローナル抗体が、以下の(1)〜(3)のいずれかのモノクローナル抗体である請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
    (1)重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
    (2)軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
    (3)重鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号8、9および10のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体
  39. モノクローナル抗体が、以下の(1)〜(3)のいずれかのモノクローナル抗体である請求項38に記載の試薬。
    (1)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
    (2)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
    (3)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体
  40. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  41. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
  42. 測定すべきペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドまたはヒトオステオカルシンであって、VHポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、かつVLポリペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求項25〜33のいずれか1項に記載の試薬。
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