JP5191544B2 - 皮膚筋炎の検出方法および診断キット - Google Patents

皮膚筋炎の検出方法および診断キット Download PDF

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Description

本発明は、皮膚筋炎の診断方法および診断キット、並びに皮膚筋炎の診断のための抗原タンパク質の使用に関する。
膠原病を自己免疫疾患とする基本的特徴は、種々の細胞成分に対する自己抗体の産生である。これら自己抗体の対応抗原の多くは、生命現象に必須な酵素や調節因子であることが知られており、自己抗体とその対応抗原(自己抗原)の分子構造と生物学的機能の追究は膠原病の病因解明につながることが期待される。
多発性筋炎/皮膚筋炎 (Polymyositis/ Dermatomyositis: PM/DM)は、骨格筋の炎症にともなう近位筋の筋力低下・筋痛を主症状とする炎症性筋疾患であり、特にヘリオトロープ疹やゴットロン徴候などの典型的な皮膚症状を呈する場合にはDMと診断される。本疾患は、自己免疫疾患のひとつで、様々な自己抗体が、出現することが知られている。これまで、PM/DM患者血清中には、抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体)、抗SRP抗体や抗Mi-2抗体などの筋炎に特異的に検出される抗体や抗U1RNP抗体や抗SS-A抗体など筋炎と関連するとされる自己抗体が報告されている。これら同一筋炎特異自己抗体陽性症例は、同様の臨床的特徴を有していることが知られており、臨床的に、診断、病型分類、治療法の選択、予後の推定などに有用である。
一方、PM/DMのサブタイプである臨床的に筋炎症状に乏しいDM (Clinically amyopathic DM: C-ADM)症例では、自己抗体陰性がひとつの特徴とされ、特異的な自己抗体の存在は明らかではなかった。また、C-ADM症例は、臨床上、治療抵抗性で予後不良の急速進行性間質性肺炎(Rapidly progressive Interstitial Lung Disease: RP-ILD) を合併することが知られている。RP-ILDを併発したC-ADM症例に対しては、救命のため、早期から大量ステロイド療法に免疫抑制剤を併用する強力な治療の有効性が報告され、推奨されている。かかる点で、RP-ILD併発ADMの早期診断は臨床的に重要であり、早期診断に有用な新たな指標の確立が望まれている。
以上のような背景をふまえ、本発明者は、C-ADMを含む膠原病、 特発性間質性肺炎および健常人の血清を、免疫沈降法 (Immunoprecipitation: IPP) で検討し、C-ADM患者血清に140kDa蛋白を認識する新たな自己抗体の存在を見出し、この新規自己抗体を抗CADM-140抗体と命名した(非特許文献1)。
抗CADM-140抗体は、C-ADM 以外の膠原病、IPF(特発性肺線維症)および健常人では認められず、臨床的には、抗CADM-140抗体陽性例はRP-ILD併発が有意に高頻度で、同抗体とRP-ILDとの関連が示唆された(非特許文献2)。
この事実は、極めて予後不良とされるRP-ILD併発C-ADMの早期診断・治療法の選択に有用と考えられ、その予後の改善につながることが期待されている。
MAD5はSNPを有し((http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/snp_ref.cgi?locusId=64135))、そのアミノ酸配列および塩基配列はNCBIアクセッション番号NM_022168に記載され、癌との関連が特許文献1に開示されている。
本発明者らは、本発明の関連技術を非特許文献3に発表した。
特表2003-531581
Arthritis Rheum. 46(9): S398, 2003 Arthritis Rheum. 52(5): 1571-1576, 2005 Arthritis Rheum. 60(7): 2193-2200, 2009
これまで、抗CADM-140抗体の測定は、S35で標識した白血病細胞由来K562細胞抽出物あるいはHeLa細胞を用いたIPP法で測定を行ってきた。この方法は、感度、特異度ともに高い、信頼性の高い測定法であるが、アイソトープを使用すること、操作が煩雑なことなどから、一部の限られた研究室でしか測定できないのが現状であった。
抗CADM-140抗体測定を実際の臨床診療に応用するためには、大量の検体を簡便に測定する測定系を確立することが必要になる。そのためには、抗CADM-140抗体の対応抗原の同定、リコンビナント蛋白の作製およびELISAなどによる測定系の確立が重要な課題となる。
本発明者は、HeLa細胞cDNAライブラリーを使用して、抗CADM-140抗体の対応抗原遺伝子のクローニングを行い、対応抗原蛋白の分子配列を検討したところ、抗CADM-140抗体の対応抗原がMDA5 (Melanoma Differentiation Associated Gene 5) であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の皮膚筋炎の診断キットおよび皮膚筋炎の診断方法を提供するものである。
項1.配列番号4で示されるMDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片を含む、皮膚筋炎の診断キット。
項2.配列番号2で示されるMDA5タンパク質のC末端側の断片または抗CADM-140抗体により認識されるその断片を含む、項1に記載の皮膚筋炎の診断キット。
項3.皮膚筋炎が、急速進行性間質性肺炎を発症する可能性が高いタイプの筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)である、項1に記載の診断キット。
項4.Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法により測定するための項1に記載の診断キット。
項5.
(i)MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドからなる抗原
(ii)被験体のサンプルと(i)の抗原との反応に適した媒体、
(iii)抗CADM-140抗体と(i)の抗原との複合体を検出するための試薬
(iv)必要に応じて、抗CADM-140抗体を含まない基準となるサンプル
を含む、項1に記載の診断キット。
項6.被験者のサンプルをMDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片と反応させる工程、サンプル中の抗CADM-140抗体が検出された場合に皮膚筋炎と診断することを特徴とする、皮膚筋炎の診断方法。
項7.前記サンプルが、血液、血清または血漿サンプルである項5に記載の診断方法。
項8.サンプル中の抗CADM-140抗体をELISA法により検出する、項6に記載の診断方法。
項9.以下の工程を含む、項6に記載の診断方法:
(i)所定量の本発明ペプチド組成物をマイクロタイタープレートの複数のウェルに沈着させる工程、
(ii)皮膚筋炎の可能性がある被験体由来のサンプルを希釈してウェルに導入する工程、
(iii)マイクロタイタープレートをインキュベーション後に洗浄する工程、
(iv)標識されたヒト免疫グロブリンに対する抗体をマイクロタイタープレートのウェルに導入する工程、および
(v)結合したヒト免疫グロブリンの標識量を対照と比較して検出する工程。
項10.MDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片の皮膚筋炎の診断のための使用。
本発明によれば、極めて予後不良とされる急速進行性間質性肺炎併発のリスクの高い筋炎症状に乏しい皮膚筋炎を高い確率で見出すことができる。
本発明は、抗CADM-140抗体を多くの症例で迅速に測定することを可能とする。このことは、治療法が確立されていない極めて予後不良とされるRP-ILD併発C-ADMの早期診断・治療法の選択に有用で、予後の改善につながることが期待される。また、同抗体陽性症例を集積することによって、特異自己抗体の標的となるウイルスなどの外来抗原の分析を可能とし、RP-ILD併発C-ADMの病因解明への手がかりとなるものと考えられる。
In vitro transcription/ translation systemを用いて、クローン#8 (MDA5) の蛋白を精製し、発現を確認した後、その蛋白を抗原として、免疫沈降法でC-ADM患者血清との反応を検討した結果。クローン#8 (MDA5) は、抗CADM-140抗体陽性血清全例で反応したが、健常人血清では、反応しなかった。 In vitro transcription/ translation systemを用いて、クローン#8 (MDA5) の蛋白を精製し、発現を確認した後、その(リコンビナント蛋白)を抗原として、免疫沈降法で抗CADM-140抗体陽性C-ADM、他の膠原病および健常者血清との反応を検討した結果。抗CADM-140抗体陽性C-ADM患者血清以外の膠原病および健常人血清とは反応しなかった。 IPP-IB 法での検討。抗CADM-140抗体陽性血清とMDA5 を発現させたアフリカミドリザル腎臓細胞由来COS7細胞抽出物を反応させて生成した140kDa免疫沈降物はヤギ抗MDA5抗体と反応した。 リコンビナントRIG-I、MDA5、LGP-2を抗原とした抗CADM-140抗体陽性および健常人血清の免疫ブロット法での検討。抗CADM-140抗体陽性患者血清は、リコンビナントMDA5とのみ反応したが、健常人(Normal Healthy Control; NHC)では反応しなかった。 MDA5を抗原基質としたELISA測定系による抗CADM-140抗体陽性および陰性C-ADM、PM/DM、強皮症(SSc)。全身性エリテマトーデス(SLE)、ILDおよび健常人血清の検討結果。カットオフ値は、横線で示す。このELISA測定系によるanalytical sensitivityは85%、analytical specificityは100%であった。
本発明は、抗CADM-140抗体により特異的に認識される抗原(MAD5)を見出した点に特徴を有する。MAD5は、RIG-Iファミリータンパク質の1種であり、RIG-Iファミリータンパク質はインターフェロンI型の産生を含む固有の免疫応答に関与する。RIG-Iファミリータンパク質は相同性が高く、DexD/H-boxヘリカーゼドメインを有するものであり、MDA5の他にRIG-I、LPG-2などが知られている。これらは配列および構造が非常に類似したタンパク質である。そのため,これらの蛋白が交差反応を示す可能性が十分に考えられたため、抗CADM-140抗体とRIG-Iファミリー蛋白との反応性についても、検討を行った。また、抗CADM-140抗体のMDA5との結合は抗原の高次構造に依存し、nativeな構造より部分的に変性したMAD5と優先的に反応する。これらが、抗CADM-140抗体がMAD5に対する抗体であることを突き止めることを困難にした。
また,抗CADM-140抗体を同定するにあたり,対応抗原蛋白を精製して,質量分析法を用いて,その抗原蛋白同定を試みたが,十分量の抗原蛋白を精製できず,同定は困難であった.これは,血清中の抗原量が少ないあるいは,抗原抗体反応のアフィニティが原因であったと推測された。
さらに、C-ADMは診断することが難しい疾患であり、筋症状の有無を慎重に判断するため経過観察が必要なため、病初期に他のタイプの皮膚筋炎と区別して診断することが難しい疾患である。
ところが、本発明で抗CADM-140抗体により特異的に認識されるMAD5を特定したために、ELISA測定によって皮膚筋炎(C-ADM)の臨床的感度(clinical sensitivity)は69%、臨床的特異度(clinical specificity)は99.6%であることが明らかとなった。抗CADM-140抗体陰性C-ADMの患者は従来、診断困難あるいは診断まで時間がかかる場合があったが、本発明により、迅速な診断が可能になった。
本明細書において、「皮膚筋炎」は、いわゆるDMと、そのサブタイプである臨床的に筋炎症状のない皮膚筋炎 C-ADMを包含するが、多発性筋炎PMは包含しない。従って本発明は、DMまたはC-ADMであるのか、それ以外であるのかを診断するための診断方法および診断キットを提供するものである。DMは、特徴的な皮膚症状(ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候など)と骨格筋の炎症による近位筋の筋力低下・筋痛を主症状とする炎症性筋疾患であり、一般的にBohan & Peterの診断基準を用いて診断される(Bohan A、 Peter JB. Polymyositis and dermatomyositis. N Engl J Med 1975; 292: 344.)。しかしながら、 DMに典型的な皮疹を有しながら、臨床的に筋症状がない症例であるC-ADMは、Bohan & Peterの診断基準を満たさず、これまで診断不能であった。2002年、Sontheimerは、典型的な皮疹を有しながら、臨床的に筋症状がない症例をC-ADMとして、DMのサブタイプとする分類基準を提唱した(Sontheimer RD: Would a new name hasten the acceptance of amyopathic dermatomyositis (dermatomyositis sine myositis) as a distinctive subset within the idiopathic inflammatory dermatomyopathies spectrum of clinical illness? J Am Acad Dermatol 2002; 46: 626-36.)。本発明における診断対象のDMは、Bohan & Peterの診断基準あるいはSontheimerの分類基準をみたすものである。
本発明の診断キットおよび診断方法では、抗CADM-140抗体を検出するために、MDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片を使用する(以下、「抗CADM-140抗体により認識されるMDA5タンパク質の断片」を「免疫原性ペプチド」と略記することがある)。配列番号4で示されるMDA5タンパク質は、そのC末端側の523個のアミノ酸配列(配列番号2)を有する断片が抗CADM-140抗体と結合するため、このC末端側に抗CADM-140抗体により認識されるエピトープが存在する。MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドは、このエピトープが保存される限り、非エピトープ部分において、1または2以上のアミノ酸が欠失、置換、付加または挿入された改変体であってもよい。エピトープは、通常5〜10個程度、特に5〜8個程度のアミノ酸からなり、例えば配列番号2のMDA5断片のC末端側の断片において、N末端から一定の数(例えば5個)ずつずらして一定の数(例えば10個)ずつのペプチド(例えば1〜10、6〜15、11〜20、16〜25、・・・・)を合成し、そのペプチド断片と抗CADM-140抗体との反応性を見ることで、MDA5のエピトープを決定することができる。エピトープを決定あるいは狭い範囲に特定した場合、抗CADM-140抗体により認識されるMDA5タンパク質の断片(免疫原性ペプチド)は短くすることができる。免疫原性ペプチドは、短い方が製造の容易性から好ましく、40個以下、30個以下、20個以下、特に5〜10個程度が好ましい。MDA5によりコードされるのは、RNAヘリカーゼである。
なお、MDA5は、SNPを有することが知られており、本発明で使用するMDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドは、どのタイプのSNPに対応するMDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドであってもよい。配列番号3は、MDA5の塩基配列を示し、配列番号1は、配列番号2のMDA5断片のC末端側の断片をコードする塩基配列を示すが、これらとSNPの関係にある他のアミノ酸配列/塩基配列のMDA5、あるいはMDA5の対立遺伝子も、本明細書における「MDA5」の概念に包含される。
本発明のMDA5またはその免疫原性ペプチドは、遺伝子工学的に組換えタンパク質として発現させて製造することもでき、化学合成により製造してもよい。特に免疫原性ペプチドが好ましくは50個以下、より好ましくは30個以下、さらに好ましくは20個以下、特に5〜10個のような短い配列を有する場合、化学合成(固相または液相)により好適に製造される。MDA5またはその免疫原性ペプチドは、モノマーで使用してもよく、例えばグルタルアルデヒドなどの多官能性架橋剤を用いて架橋したり、免疫原性ペプチドをタンデムに連結したペプチドをコードするDNAを用いて遺伝子工学的に製造してもよい。
抗CADM-140抗体は、被験体の血液、血清、血漿、脳脊髄液、リンパ液などのいずれのサンプルに含まれているものでもよいが、血液、血清または血漿、特に血清サンプルが好ましく使用される。
本発明の皮膚筋炎の診断キットは、MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドを含む。このキットは、MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドと抗CADM-140抗体との抗原抗体複合体を検出するための物質を含み得る。このような物質としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼなどの酵素標識、FITC(fluorescein isothiocyanate)、RITC(tetramethylrhodamin isothiocyanate)などの蛍光標識などの任意の標識により標識された抗ヒト免疫グロブリン抗体、特に抗ヒトIgG抗体が挙げられる。
本発明の診断キット、診断方法には、免疫学的測定法が好適に用いられる。免疫学的測定法としては、例えば酵素免疫検定法(EIA)、ELISA、蛍光免疫測定法(FIA)、化学発光免疫測定法、イムノブロット法 (Immunoblotting: IB)、ウエスタンブロット法、免疫染色法などが挙げられる。
本発明で使用するMDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドは、好ましくは固相に結合される。固相としてはアガロース、マイクロタイタープレートのウェル、ラテックス粒子等が利用できる。ELISA法として具体的には競合イムノアッセイやサンドイッチイムノアッセイなどが挙げられる。
本発明の皮膚筋炎の診断方法は、被験体からのサンプルをMDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドと接触させ、物理学的又は化学的方法によりMDA5もしくは免疫原性ペプチド-抗CADM-140抗体複合体が存在するか否かを検出する。
本発明の皮膚筋炎の診断方法は、例えば下記の工程を含む:
(i)所定量の本発明ペプチド組成物をマイクロタイタープレートの複数のウェルに沈着させ、
(ii)皮膚筋炎の可能性がある被験体由来の血液サンプル(血清ないし血漿)を希釈してウェルに導入し、
(iii)マイクロタイタープレートをインキュベーション後に洗浄し、
(iv)酵素標識、蛍光標識などにより標識されたヒト免疫グロブリン(例えばIgG)に対する抗体をマイクロタイタープレートのウェルに導入し、
(v) 結合したヒト免疫グロブリンの標識(酵素標識の場合には酵素によって反応された基質)の量を対照と比較して検出する。
1つの好ましい実施形態において、本発明の診断キットは、
(i)MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドからなる抗原(マイクロタイタープレートのウェルなどに付着されていてもよく、また、bovine serum albumin (BSA)、HSAなどのアルブミン、スキムミルクなどのブロッキング剤でさらにブロッキングされていてもよい)
(ii)被験体のサンプルと(i)の抗原との反応に適した媒体(例えば、PBSなどのバッファー(buffer))、
(iii)抗CADM-140抗体と(i)の抗原との複合体を検出するための試薬(例えば抗CADM-140抗体と結合する標識された抗ヒト免疫グロブリン抗体)
(iv)必要に応じて、抗CADM-140抗体を含まない基準となるサンプル
などが含まれ得る。
「抗CADM-140抗体を含まない基準となるサンプル」としては、健常者の血液、血清または血漿サンプルなどが挙げられる。
抗ヒト免疫グロブリン抗体がペルオキシダーゼで標識されている場合、テトラメチルベンジジンなどの発色剤を添加し、H2SO4で反応を停止し、プレートリーダーを用いて吸光度 (450 nm: OD450) で測定することにより、抗CADM-140抗体を検出することができる。
抗CADM-140抗体の測定値により、DMであるか否かの判定の基準は、多くのサンプルを本発明の診断キットで検出し、他の臨床的所見と比較することにより、より高精度の基準とすることができる。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1:C-ADMの早期診断法
大腸菌(XL1-Blue MRF)発現λZAPファージを用いて作製したHeLa細胞cDNAライブラリーを使用し、大腸菌に抗原蛋白質を発現させた。発現蛋白をニトロセルロース膜に転写し、抗CADM-140抗体陽性血清と反応させ、陽性クローンを単離した。次に、得られた陽性クローンにそれぞれと抗CADM-140抗体陽性C-ADM患者10血清と抗CADM-140抗体陰性14血清(C-ADM 2例、PM 2例、全身性エリテマトーデス、強皮症、間質性肺炎各1例、健常人7例)との反応性を検討した。得られた9つのクローンのうち、クローン#8は、抗CADM-140抗体陽性血清10例中9例と、抗CADM-140抗体陽性血清と高頻度に反応した。そこで、In vitro transcription/ translation assayを用いて、蛋白を精製し、発現を確認した後、その蛋白を抗原として、免疫沈降法でC-ADM患者血清と反応を検討した。クローン#8は、抗CADM-140抗体陽性血清全例で反応したが、健常人血清とは反応しなかった(図1)。さらに、クローン#8は、抗CADM-140抗体陽性C-ADM血清以外の膠原病とも反応しなかった(図2)。さらに、クローン#8の塩基配列を決定するために、同クローンの得られたファージDNAからプラスミドDNAの切り出しを行い、プラスミドDNAを精製して塩基配列を決定した。最後に得られた塩基配列について、ホモロジーサーチを行ったところ、MDA5のC末端部分の配列と完全に一致した。
IPP- IB法で、抗CADM-140抗体陽性血清とMDA5 を発現させたアフリカミドリザル腎臓細胞由来COS7細胞抽出物を反応させて生成した140kDa免疫沈降物とヤギ抗MDA5抗体の反応性を検討したところ、MDA5を発現させた場合には、ヤギ抗MDA5抗体との反応が認められた(図3).さらに、RIG-IファミリーであるRIG-I、MDA5、LGP-2のリコンビナント精製蛋白を抗原とした抗CADM-140抗体陽性および健常人血清の免疫ブロット法で検討したが、抗CADM-140抗体陽性患者血清は、リコンビナントMDA5とのみ反応したが、健常人では反応しなかった(図4)。以上の結果から、抗CADM-140抗体の対応抗原がMDA5であることが明らかになった。
さらに、本発明者は、精製したリコンビナントMDA5を抗原として96穴プレートにコーティングして、抗ACDM-140抗体測定のELISAを確立し、作成した抗CADM-140抗体測定法の診断感度および診断特異度を検討した。
具体的には、リコンビナント MDA5を0.05μg/wellの割合で、96穴ELISAプレートに固相化し、3 % BSAでブロッキングを行った。測定する血清(250倍希釈)100μlずつをプレートに分注し、室温2時間で反応させ、2次抗体として、5.000倍希釈のPeroxidase conjugated goat anti-human-IgGを用いた。Tetramethylbenzidine (1mg/ml) を発色剤として添加し、H2SO4 で反応を停止し、プレートリーダーで吸光度 (450 nm: OD450) を測定した。この測定系を用いて、C-ADM含有膠原病、間質性肺炎 (ILD)および健常人の血清を用いて測定を行った。抗CADM-140抗体陽性PM/DM患者血清は、抗CADM-140抗体陰性PM/DM患者、強皮症(SSc)患者、全身性エリテマトーデス(SLE)患者、 ILD患者および健常人と比較して、より大きな反応性を示した(図5)。健常人血清の平均値+標準偏差の10倍までを正常のカットオフ値とすると、このELISA測定系による分析感度(analytical sensitivity)は85%、分析特異度(analytical specificity)は100%となり、感度・特異度ともにきわめて優れた抗CADM-140抗体の検出法であることが明らかになった。

Claims (10)

  1. 配列番号4で示されるMDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片を含む、筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)の診断キット。
  2. 配列番号2で示されるMDA5タンパク質のC末端側の断片または抗CADM-140抗体により認識されるその断片を含む、請求項1に記載の筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)の診断キット。
  3. 皮膚筋炎が、急速進行性間質性肺炎を発症する可能性が高い筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)である、請求項1または2に記載の診断キット。
  4. Enzyme-linked immunosorbentassay (ELISA) 法により測定するための請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断キット。
  5. (i)MDA5タンパク質またはその免疫原性ペプチドからなる抗原
    (ii)被験体のサンプルと(i)の抗原との反応に適した媒体、
    (iii)抗CADM-140抗体と(i)の抗原との複合体を検出するための試薬
    (iv)必要に応じて、抗CADM-140抗体を含まない基準となるサンプル
    を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の診断キット。
  6. 被験者のサンプルをMDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片と反応させる工程、およびサンプル中の抗CADM-140抗体が検出された場合に筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)と決定する工程を含むことを特徴とする、筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)の検出方法。
  7. 前記サンプルが、血液、血清または血漿サンプルである請求項6に記載の検出方法。
  8. サンプル中の抗CADM-140抗体をELISA法により検出する、請求項6または7に記載の検出方法。
  9. 以下の工程を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の検出方法:
    (i)所定量の本発明ペプチド組成物をマイクロタイタープレートの複数のウェルに沈着させる工程、
    (ii)皮膚筋炎の可能性がある被験体由来のサンプルを希釈してウェルに導入する工程、
    (iii)マイクロタイタープレートをインキュベーション後に洗浄する工程、
    (iv)標識されたヒト免疫グロブリンに対する抗体をマイクロタイタープレートのウェルに導入する工程、および
    (v)結合したヒト免疫グロブリンの標識量を対照と比較して検出する工程。
  10. MDA5タンパク質または抗CADM-140抗体により認識されるその断片の筋炎症状の軽微なタイプの皮膚筋炎(C-ADM)の診断のための使用。
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