JP7116399B2 - 抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンg抗体 - Google Patents
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Description
本願は、2016年9月14日に、日本に出願された特願2016-179944号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[2] コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、フコースが還元末端GlcNAcとα1-6結合しているN結合型糖鎖である、[1]に記載の抗体又は該抗体断片。
[3] コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、下記一般式(I)で表される糖鎖を含むN結合型糖鎖である、[1]又は[2]に記載の抗体又は該抗体断片。
[5] 抗体が、モノクローナル抗体である、[1]~[4]のいずれかに記載の抗体又は該抗体断片。
[6] 受託番号NITE BP-02342として寄託されているハイブリドーマにより産生される、[5]に記載の抗体又は該抗体断片。
[7] [5]に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
[8] 受託番号NITEBP-02342として寄託されているハイブリドーマ。
[9] 以下の工程を含有することを特徴とする、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体の製造方法。
(1)コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgG又はそのFc領域断片を免疫原として用いて、非ヒト動物に免疫する工程;
(2)工程(1)で免疫した非ヒト動物より得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合し、ハイブリドーマを得る工程;
(3)工程(2)で得られるハイブリドーマを培養する工程;
(4)工程(3)で得られた培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程;
(5)工程(4)で選択されたハイブリドーマを培養し、該培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を採取する工程。
[10] 非ヒト動物が、α1-6フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が欠損した非ヒト動物である、[9]に記載の製造方法。
[11] コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、フコースが還元末端GlcNAcとα1-6結合しているN結合型糖鎖である、[9]又は[10]に記載の製造方法。
[12] コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、下記一般式(I)で表される糖鎖を含むN結合型糖鎖である、[9]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[14] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料と、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒトIgG、及び、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。
[15] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。
[16] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料を、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識が結合した標識化競合物質、及び、不溶性担体上に固定化された[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と反応させ、該不溶性担体上に、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質との免疫複合体、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒトIgGとの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で該不溶性担体上に生成した、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質との免疫複合体における標識化競合物質を測定する工程。
[17] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料を、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、不溶性担体上に固定化されたコアフコシル化ヒトIgGの競合物質と反応させ、該不溶性担体上に、競合物質と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で該不溶性担体上に生成した免疫複合体を測定する工程。
[18] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原とを反応させて、抗原とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗原、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。
[19] 以下の工程を含有する、[13]に記載の測定方法。
(1)試料と、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒトIgGとの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗原の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。
[20] コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原が、自己抗原、同種抗原、ウイルス由来抗原、及び、細菌由来抗原からなる群より選ばれる少なくとも一種の抗原である、[18]又は[19]に記載の測定方法。
[21] [1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
[22] さらに、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含む、[21]に記載の測定試薬。
[23] 不溶性担体上に固定化された[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識が結合した標識化競合物質を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
[24] 不溶性担体上に固定化されたコアフコシル化ヒトIgGの競合物質、及び、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
[25] さらに、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含む、[21]に記載の測定試薬。
[26] コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原が、自己抗原、同種抗原、ウイルス由来抗原、及び、細菌由来抗原からなる群より選ばれる少なくとも一種の抗原である、[25]に記載の測定試薬。
[27] [1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を用いることを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの精製方法。
[28] 以下の工程を含む、[27]に記載の精製方法。
(1)試料と、[1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、コアフコシル化ヒトIgGと抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体から、コアフコシル化ヒトIgGを遊離させる工程;
(3)工程(2)で遊離したコアフコシル化ヒトIgGを回収する工程。
[29] 抗コアフコシル化ヒトIgG抗体が不溶性担体上に固定化されている、[27]又は[28]に記載の精製方法。
[30] [1]~[6]のいずれかに記載の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体とは、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない抗体である。
[i] コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgG又はそのFc領域断片を免疫原として用いて、非ヒト動物に免疫する工程;
[ii] 工程[i]で免疫した非ヒト動物より得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合し、ハイブリドーマを得る工程;
[iii] 工程[ii]で得られるハイブリドーマを培養する工程;
[iv] 工程[iii]で得られた培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程;
[v] 工程[iv]で選択されたハイブリドーマを培養し、該培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を採取する工程。
工程[i]は、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgG又はそのFc領域断片を免疫原として用いて、非ヒト動物に免疫する工程であり、非ヒト動物に免疫する方法としては、調製した免疫原を、例えば、非ヒト動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバントとともに抗原を投与する方法等が挙げられる。
コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片は、例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載された方法等に従い、ヒトIgG又はそのFc領域断片をコードするcDNAを挿入した発現ベクター(以下、組換えベクターという)を作製した後、該組換えベクターを宿主細胞に導入することで形質転換体を作製し、該形質転換体にヒトIgG又はそのFc領域断片を発現させることにより、製造することができる。具体的には以下の(a‐1)~(a‐3)の手順で行うことができる。
ヒトIgG又はそのFc領域断片を発現させるための組換えベクターは、ヒトIgG又はそのFc領域断片をコードするcDNA断片を、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより作製することができる。
ヒト末梢血から単離した白血球から全RNAを調製し、該全RNAからmRNAを抽出した後、該mRNAからcDNAを合成する。該cDNAを鋳型として、ヒトIgG又はそのFc領域断片をコードするcDNAを増幅するように設計したプライマーを用いてpolymerase chain reaction(PCR)を行い、ヒトIgG又はそのFc領域断片をコードするcDNAを増幅する。cDNA断片がコードするヒトIgG又はそのFc領域断片のサブクラスは、IgG1~4のいずれでもよい。また該cDNA断片に必要に応じてHis、Myc、FLAG等のエピトープタグをコードする配列を付加してもよい。
(a‐1)で作製した組換えベクターを、発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ヒトIgG又はそのFc領域断片を生産する形質転換体を得ることができる。
組換えベクターの宿主細胞への導入方法としては、宿主細胞にDNAを導入し得る方法であれば特に制限はなく、例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,vol.3,p.133(1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2-227075号公報)、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.,vol.84,p.7413 (1987)]などが挙げられる。
(a‐2)で得られる形質転換体を培地で培養し、培養物中にコアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を生産させ、該培養物から採取することにより、コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を製造することができる。
培養は、通常pH6~8、30~40℃、5%CO2存在下等の条件下で1~7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片が細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常のタンパク質の単離精製法、すなわち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)-セファロース、DIAION HPA-75(三菱化学社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(GEヘルスケア・ジャパン社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独又は組み合わせて用い、精製品を得ることができる。
ヒト血液試料等からコアフコシル化ヒトIgGを調製する方法としては、例えば、ヒトから採取した血液を遠心分離することによって得られる血清から、前述の(a‐3)に記載の通常のタンパク質の単離精製法を用いて、コアフコシル化ヒトIgGを調製する方法等が挙げられる。
ヒト血液試料等から調製したコアフコシル化ヒトIgGをプロテアーゼ処理することによりコアフコシル化ヒトIgGのFc領域断片を得る方法としては、例えば、前述(b)記載の方法により調製したコアフコシル化ヒトIgGを、プロテアーゼにより可変領域とFc領域とに切断した後、前述の(a‐3)に記載の通常のタンパク質の単離精製法を用いて、該Fc領域断片を調製する方法等が挙げられる。プロテアーゼとしては、例えばペプシン、パパイン等が挙げられる。コアフコシル化ヒトIgGをプロテアーゼ処理する時間としては、コアフコシル化ヒトIgGのFc領域断片を得ることができる時間であれば特に制限はなく、通常、1~48時間であり、2~24時間が好ましい。コアフコシル化ヒトIgGをプロテアーゼ処理する温度は、コアフコシル化ヒトIgGのFc領域断片を得ることができる温度であれば特に制限はなく、通常、0~50℃であり、5~45℃が好ましく、20~40℃が特に好ましい。
試験管内でコアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を人工的に合成する方法としては、例えば、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が結合したアスパラギンを用いたペプチドの固相合成法[J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1,vol.3,p.549 (1998)]等により作製したコアフコースが結合したN結合型糖鎖が結合したヒトIgG又はそのFc領域のペプチド断片と、それ以外の部分のヒトIgG又はそのFc領域のペプチド断片とをネイティブケミカルライゲーション法[Science,vol.226,p.5186 (1994)]等を用いて連結する方法等が挙げられる。
工程[ii]は、工程[i]で免疫した非ヒト動物より得られる抗体産生細胞と、ミエローマ細胞とを融合し、ハイブリドーマを作製する工程である。
工程[iii]は、工程[ii]で作製したハイブリドーマを培養する工程であり、ハイブリドーマを培養する方法としては、例えば、選択培地[10%(v/v) BM-condimed H1、2%(v/v) HAT supplementを含むGIT培地(和光純薬工業社製)]を用い、37℃、5% CO2インキュベーター内で培養する方法等が挙げられる。
工程[iv]は、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGには結合しない、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を産生するハイブリドーマのみを選択する工程であり、当該ハイブリドーマのみを選択する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
非コアフコシル化ヒトIgGは、例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載された方法等に従い、非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を発現させるための組換えベクターを作製した後、該組換えベクターを宿主細胞に導入した形質転換体を作製し、該形質転換体に非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を発現させることにより、製造することができる。具体的には、以下の(e‐1)~(e‐3)の手順で行うことができる。
非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を発現させるための組換えベクターは、前述の(a‐1)の方法により作製することができる。
(e‐1)で得られた組換えベクターを、発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を生産する形質転換体を得ることができる。
(e‐2)で得られる形質転換体を培地で培養し、培養物中に非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を生産させ、該培養物から採取することにより、非コアフコシル化ヒトIgG又はそのFc領域断片を製造することができる。
非コアフコシル化ヒトIgGの化学合成法としては、例えば、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖が結合したアスパラギンを用いたペプチドの固相合成法[J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1,vol.3,p.549 (1998)]等により作製したコアフコースが結合していないN結合型糖鎖が結合したヒトIgG又はそのFc領域のペプチド断片と、それ以外の部分のヒトIgG又はそのFc領域のペプチド断片とをネイティブケミカルライゲーション法[Science,vol.226,p.5186 (1994)]等を用いて連結する方法等が挙げられる。
工程[v]は、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を採取する工程である。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体を採取する方法としては、例えば、前述の工程[iv]の方法で選択されたハイブリドーマを工程[iii]の方法で培養し、得られる培養上清中から、抗体に結合する分子を用いて、該抗体を採取する方法等が挙げられる。
本発明のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法は、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を用いるコアフコシル化ヒトIgGの測定方法である。本発明の測定方法の具体的態様を以下に示す。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体1を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体1と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒトIgG、及び、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体の免疫複合体2を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体2を測定する工程;
(4)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(3)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と免疫複合体2の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(5)工程(4)で作成された検量線と、工程(3)で測定された免疫複合体2の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン;
・抗コアフコシル化ヒトIgG抗体のFc領域-Fc領域と結合する抗体。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体3を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体3と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体4を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体4を測定する工程;
(4)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(3)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と免疫複合体4の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(5)工程(4)で作成された検量線と、工程(3)で測定された免疫複合体4の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等;
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン;
・N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体のFc領域-N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体のFc領域と結合する抗体。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料と、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識物質が結合した標識化競合物質、及び、不溶性担体上に固定化された本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させ、不溶性担体上に、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質の免疫複合体5、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体6を生成させる工程;
(2)工程(1)で不溶性担体上に生成した、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質の免疫複合体5における標識物質を測定する工程;
(3)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(2)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と標識物質の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(4)工程(3)で作成された検量線と、工程(2)で測定された標識物質の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
工程(1)において、試料と、不溶性担体上に固定化された抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させた後、該反応の反応液に該標識化競合物質を添加してもよい。また、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は抗原抗体反応の反応液中で生成されてもよく、この場合、一組の親和性物質の片方(C)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(c)が結合した不溶性担体とを抗原抗体反応の反応液中で反応させることにより、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体を抗原抗体反応の反応液中で生成させることができる。C-cの組み合わせとしては、例えば以下の組み合わせ等が挙げられる。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン;
・抗コアフコシル化ヒトIgG抗体のFc領域-抗コアフコシル化ヒトIgG抗体のFc領域と結合する抗体。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料を、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、不溶性担体上に固定化された、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質と反応させ、不溶性担体上に、競合物質と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体7を生成させる工程;
(2)工程(1)で不溶性担体上に生成した免疫複合体7を測定する工程;
(3)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(2)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と免疫複合体7の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(4)工程(3)で作成された検量線と、工程(2)で測定された免疫複合体7の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原とを反応させて、抗原と試料中のコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体8を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体8と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗原、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体9を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体9を測定する工程;
(4)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(3)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と免疫複合体9の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(5)工程(4)で作成された検量線と、工程(3)で測定された免疫複合体9の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン。
以下の工程を含有する、試料中のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法。
(1)試料と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と試料中のコアフコシル化ヒトIgGの免疫複合体10を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体10と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原とを反応させて、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒトIgG、及び、抗原の免疫複合体11を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体11を測定する工程;
(4)試料の代わりに既知濃度のコアフコシル化ヒトIgGを用いて前記工程(1)~(3)を行い、コアフコシル化ヒトIgG濃度と免疫複合体11の測定値との関係を表す検量線を作成する工程;
(5)工程(4)で作成された検量線と、工程(3)で測定された免疫複合体11の測定値とから、試料中のコアフコシル化ヒトIgG濃度を決定する工程。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン;
・抗コアフコシル化ヒトIgG抗体のFc領域-Fc領域と結合する抗体。
本発明のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬は、本発明のコアフコシル化ヒトIgGの測定方法に用いられる試薬であり、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有することを特徴とする試薬である。本発明の測定試薬の具体的態様を以下に示す。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
不溶性担体に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(G)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(g)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Gとgの組み合わせとしては、例えば以下の組み合わせ等が挙げられる。
・ビオチン-アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等);
・アビジン類(アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン等)-ビオチン;
・抗コアフコシル化ヒトIgG抗体のFc領域-Fc領域と結合する抗体。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
不溶性担体に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体は、標識物質により標識化されていることが好ましい。また、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(A)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(a)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Aとaの組み合わせとしては、例えば前述のAとaの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体に固定化された、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体、及び、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質により標識化されていることが好ましい。また、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体が固定化された不溶性担体は、試料と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(B)が結合した、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体と、一組の親和性物質のもう一方(b)が結合した不溶性担体とが含まれる。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Bとbの組み合わせとしては、例えば前述のBとbの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体上に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識物質が結合した標識化競合物質を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(C)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(c)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Cとcの組み合わせとしては、例えば前述のCとcの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体上に固定化された、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質、及び、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質により標識化されていてもよい。また、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質が固定化された不溶性担体は、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(D)が結合したコアフコシル化ヒトIgGの競合物質と、一組の親和性物質のもう一方(d)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Dとdの組み合わせとしては、例えば前述のDとdの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
不溶性担体上に固定化された、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原、及び、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質で標識化されていることが好ましい。また、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原が固定化された不溶性担体は、試料と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(E)が結合した、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原と、一組の親和性物質のもう一方(e)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Eとeの組み合わせとしては、例えば前述のEとeの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体上に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、及び、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含む、試料中のコアフコシル化ヒトIgG測定試薬。
コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原は、標識物質で標識化されていることが好ましい。また、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定試薬には、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体の代わりに、一組の親和性物質の片方(F)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(f)が結合した不溶性担体とが含まれる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Fとfの組み合わせとしては、例えば前述のFとfの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含有する第2試薬とを含むキット。
不溶性担体に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含有する第2試薬とを含むキット。
N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体は、標識物質により標識化されていることが好ましい。抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(A)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(a)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット3の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Aとaの組み合わせとしては、例えば前述のAとaの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(A)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(a)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Aとaの組み合わせとしては、例えば前述のAとaの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体に固定化された、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含有する第1試薬と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第2試薬とを含むキット。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質により標識化されていることが好ましい。N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体が固定化された不溶性担体は、試料と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(B)が結合した、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体と、一組の親和性物質のもう一方(b)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット5の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Bとbの組み合わせとしては、例えば前述のBとbの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(B)が結合した、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(b)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Bとbの組み合わせとしては、例えば前述のBとbの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識物質が結合した標識化競合物質を含む第2試薬とを含有するキット。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(C)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(c)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット7の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Cとcの組み合わせとしては、例えば前述のCとcの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(C)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(c)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質に標識物質が結合した標識化競合物質を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Cとcの組み合わせとしては、例えば前述のCとcの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体に固定化された、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質を含有する第1試薬と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第2試薬とを含むキット。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質により標識化されていてもよい。また、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質が固定化された不溶性担体は、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(D)が結合したコアフコシル化ヒトIgGの競合物質と、一組の親和性物質のもう一方(d)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット9の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Dとdの組み合わせとしては、例えば前述のDとdの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(D)が結合した、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(d)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Dとdの組み合わせとしては、例えば前述のDとdの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含有する第2試薬とを含むキット。
不溶性担体上に固定化された、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含有する第1試薬と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第2試薬とを含むキット。
抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片は、標識物質で標識化されていることが好ましい。また、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原が固定化された不溶性担体は、試料とコアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(E)が結合した、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原と、一組の親和性物質のもう一方(e)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット12の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Eとeの組み合わせとしては、例えば前述のEとeの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(E)が結合した、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(e)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Eとeの組み合わせとしては、例えば前述のEとeの組み合わせ等が挙げられる。
不溶性担体上に固定化された、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含有する第2試薬とを含有するキット。
コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原は、標識物質で標識化されていることが好ましい。また、抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体は、試料と抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片との反応の反応液中で生成されてもよい。この場合、本発明の測定キットには、一組の親和性物質の片方(F)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片と、一組の親和性物質のもう一方(f)が結合した不溶性担体とがそれぞれ別の試薬に含まれることが好ましく、例えば測定キット14の態様が挙げられる。一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Fとfの組み合わせとしては、例えば前述のFとfの組み合わせ等が挙げられる。
一組の親和性物質の片方(F)が結合した抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を含有する第1試薬と、一組の親和性物質のもう一方(f)が結合した不溶性担体を含有する第2試薬と、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原を含有する第3試薬とを含むキット。
一組の親和性物質の組み合わせ、すなわち、Fとfの組み合わせとしては、例えば前述のFとfの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の測定試薬及び測定キットにおける抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質、標識物質、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原、不溶性担体としては、例えば前述の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒトIgGに結合する抗体、コアフコシル化ヒトIgGの競合物質、標識物質、コアフコシル化ヒトIgGが反応する抗原、不溶性担体がそれぞれ挙げられる。
本発明のコアフコシル化ヒトIgGの精製方法は、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を用いる精製方法である。本発明のコアフコシル化ヒトIgGの精製方法は、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片を用いて、試料中のコアフコシル化ヒトIgGを精製できれば特に制限はなく、例えば以下の工程を含む精製方法等が挙げられる。
(1)試料と、本発明の抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片とを反応させて、試料中のコアフコシル化ヒトIgGと抗コアフコシル化ヒトIgG抗体又は該抗体断片の免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体から、コアフコシル化ヒトIgGを遊離させる工程;
(3)工程(2)で遊離したコアフコシル化ヒトIgGを回収する工程。
(1)抗原発現ベクターの調製
(1-1)変異型ヒトIgG4Fc領域を有するベクターpBShCγ4SPの構築
国際公開第1997/10354号に記載の野生型ヒトIgG4サブクラスの定常領域をコードするcDNAを有するプラスミドpBShCγ4を用いて、野生型ヒトIgG4サブクラスの定常領域(ヒンジ領域)の108番目のSerがProに置換された変異型ヒトIgG4サブクラスの定常領域を有するプラスミドpBShCγ4SPを構築した。
本改変を行うことによりIgGヒンジ領域を介した2量体形成が安定化することが知られている(モレキュラー・イムノロジー、30,105,1993)。
以下に示すPCRを行うことにより、5’末端に制限酵素NotIサイト、3’末端にBamHI制限酵素サイトを有するヒトIgG4Fc領域をコードするDNA断片を増幅した。0.2mmol/L dNTPs、1mmol/L塩化マグネシウムを含む反応液に、前記(1-1)で構築したpBShCγ4SP 25 ng、1μmol/L 前記の制限酵素サイトを有するヒトIgG4Fc領域をコードするDNA断片を特異的に増幅する2種類のプライマー、及び2.5単位のKOD polymerase(東洋紡社製)を用いて、合計50μLとし、PCRを行った。
5’末端に制限酵素BamHIサイト、3’末端にSalI制限酵素サイトを有するFLAGタグをコードするDNA断片を、固相合成法により合成した。
国際公開第1997/10354号に記載されているヒト化抗体発現ベクターpKANTEX93を制限酵素XhoI(タカラバイオ社製)及び制限酵素SalI(タカラバイオ社製)で消化後、0.8%アガロースゲル電気泳動で分離後、Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて約9.8 kbpのプラスミド断片を回収した。回収したDNA断片の5’及び3’末端をDNA Ligation Kit(タカラバイオ社製)を用いて連結し、得られた組換えプラスミドDNAを用いて大腸菌DH5α株(東洋紡社製)を形質転換した。
前記(1-2)で作製したpCRIgG4FcNotIBamHIを、NotI及びBamHIを用いて消化することにより得られる断片、及び、前記(1-3)で作製した、5’末端に制限酵素BamHIサイト、3’末端にSalI制限酵素サイトを有するFLAGタグをコードするDNA断片を、前記(1-4)で得られたpKANTEX XhoI/SalIをNotI及びSalI消化して得られる約8.8kbpのDNA断片に連結することにより、ヒトIgG4のFc領域に、該ヒトIgG4のFc領域のC末端にFLAGタグを付加した融合蛋白質を発現するためのプラスミドpKANTEX hIgG4Fc-FLAGを得た(図2)。
BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING,87,614(2004)に記載の方法に従い、CHO細胞のゲノム上のすべてのFut8をコードする遺伝子をすべて破壊したFut8ノックアウトCHO細胞(以下、Fut8KO CHO細胞と記載する)を樹立した。樹立したFut8KO CHO細胞及びその親株であるCHO細胞に、エレクトポレーション法により(1)で調製した抗原発現ベクター、すなわち、線状化プラスミドDNA pKANTEX hIgG4Fc-FLAGを導入した。エレクトロポレーション法による遺伝子導入は以下の手順で行った。基本培地[10%(v/v) ウシ胎児血清(インビトロジェン社製)、50μg/mL Gentamycin(ナカライテスク社製)を添加したIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(インビトロジェン社製)]で継代した各CHO細胞を、K-PBS緩衝液[137mmol/L 塩化カリウム、2.7 mmol/L 塩化ナトリウム、8.1 mmol/L リン酸水素二ナトリウム、1.5mmol/L リン酸二水素カリウム、4mmol/L 塩化マグネシウム]に懸濁して8×106個/mLとし、細胞懸濁液を調製した。調製した細胞懸濁液200μL(1.8×106個)を前記(1)で調製した線状化プラスミドDNA pKANTEX hIgG4Fc-FLAG 10μgと混合した。この細胞-DNA混合液を電極間距離が2mmであるGene Pulser Cuvette(バイオラッド社製)へ移した後、遺伝子導入装置Gene Pulser II(バイオラッド社製)を用いて、パルス電圧0.35kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。この細胞懸濁液を基本培地10mLに混和し、75cm2接着細胞用フラスコ(グライナー社製)に播種し、37℃、5% CO2インキュベーター内で培養を行った。3日間培養した後、G418(シグマアルドリッチ社製)を最終濃度が0.5mg/mLになるように添加して、さらに10日間培養した。10日後、182cm2接着細胞用フラスコ(グライナー社製)に継代し、コンフルエントになるまで培養を続けた。コンフルエントになった時点で、CHO細胞用無血清培地Hyclone CDM4CHO(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に培地交換を行い、1週間培養後に培養上清を回収した。
(2)で培養を行った培養上清を、3000rpm、4℃の条件で10分間遠心分離し、上清を回収した後、0.22μm孔径セルロースアセテートメンブレン(コーニング社製)を用いて上清を濾過した。rProtein A GraviTrapカラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)をPBS緩衝液[150mmol/L 塩化ナトリウムを含有する、10mmol/L リン酸緩衝液(pH7.4)]で平衡化後、濾過済み培養上清をカラムに通塔し、PBS緩衝液で洗浄後、rProtein Aに結合したhIgG4Fc-FLAGを0.1mol/L グリシン-HCl溶液(pH2.7)で溶出した。hIgG4Fc-FLAGを含む溶出液の溶媒を、PD-10カラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)でPBS緩衝液に置換後、280nmの吸光度を測定し、hIgG4Fc-FLAGのアミノ酸配列から導かれるモル吸光係数を用いてhIgG4Fc-FLAG濃度を算出した。CHO細胞及びFut8KO CHO細胞の約300mLの培養上清から、それぞれ約5mgのhIgG4Fc-FLAGを得た。精製したhIgG4Fc-FLAG 2.5μgをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動し、クマシー・ブリリアント・ブルーで染色した結果を図3に示す。いずれの細胞由来のhIgG4Fc-FLAGも、還元条件下においては分子量約30kDaの位置にバンドが観察された。また非還元条件においては、還元条件でみられたバンドの約2倍の分子量を示す位置にバンドが観察されたことから、hIgG4Fc-FLAGは2量体として存在していることがわかった。
前記(3)で精製した、CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAG及びFut8KO CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGにおけるN結合型糖鎖及びコアフコースの有無を確認するため、hIgG4Fc-FLAGに対する各種レクチンの反応性を解析した。それぞれのhIgG4Fc-FLAGをPBS緩衝液で5μg/mLに調製し、96ウェルのEIA用プレート(ヌンク社製)に該hIgG4Fc-FLAGを50μL/ウェルずつ分注し、25℃で12時間静置し、CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGが固相化されたウェル、又はFut8KO CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGが固相化されたウェルを作製した。この際、PBS緩衝液のみを50μL分注したウェルを用意し、ブランク用ウェルとした。ついで、各ウェルにブロッキング液[1%(w/v) BSA、0.05%(v/v) Tween20、150mmol/L 塩化ナトリウムを含有する、10mmol/L リン酸緩衝液(pH7.4)]を200μL/ウェル分注し、25℃で2時間静置してプレートをブロッキングした。その後ブロッキング液を捨て、350μLの洗浄液[0.05%(v/v) Tween20、150mmol/L 塩化ナトリウムを含有する、10mmol/L リン酸緩衝液(pH7.4)]で3回洗浄した後、試料希釈液[ブロッキング液を洗浄液で10倍に希釈した溶液]で5,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識レンズマメレクチン(以下、LCAレクチンと記載する。J-オイルミルズ社製)、又は5,000倍希釈したビオチン標識ヒイロチャワンタケレクチン(以下、AALレクチンと記載する。J-オイルミルズ社製)、又は2,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識コンカナバリンAレクチン(以下、ConAレクチンと記載する。J-オイルミルズ社製)、又は1,000倍に希釈したぺルオキシダーゼ標識抗FLAG抗体(シグマアルドリッチ社製)を50μL/ウェルずつ分注し、25℃で1時間静置した。ビオチン標識AALレクチンを分注したウェルについてのみ、350μLの洗浄液で3回洗浄した後、試料希釈液で10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を50μL/ウェルずつ分注し、25℃で1時間静置した。その後、全てのウェルを350μLの洗浄液で3回洗浄した後、TMB-ONEを50μL/ウェルで添加し、25℃で20分間静置した。停止液として0.5mol/L 硫酸を50μL/ウェル添加し、プレートリーダー(Emax、モレキュラーデバイス社製)を用いて反応の吸光度を主波長450nm、副波長650nmで測定した。結果を図4に示す。本実験で使用したLCAレクチン及びAALレクチンはコアフコースが結合しているN結合型糖鎖に結合する性質を有し、ConAレクチンはコアフコースの有無に関わらずN結合型糖鎖に結合する性質を有する。図4において、ConAレクチンはいずれのhIgG4Fc-FLAGにも反応し、LCAレクチン、AALレクチンはCHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGにのみ反応したことから、いずれのhIgG4Fc-FLAGにもN結合型糖鎖は存在するが、コアフコースはCHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGにのみ存在し、Fut8KO CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGには存在しない事がわかった。すなわち、CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGは、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖を持ち、Fut8KO CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGはコアフコースが結合していないN結合型糖鎖を持つことが判明した。以下、CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGをコアフコシル化hIgG4Fc-FLAG、Fut8KO CHO細胞由来のhIgG4Fc-FLAGを非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGと称する。
(1)動物への免疫と抗体産生細胞の調製
Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.,vol.102,p.15791 (2005)に記載の方法に従い、ゲノム上のすべてのFut8をコードする遺伝子を破壊したFut8KOマウスを作出し、このFut8KOマウスを免疫対象動物として使用した。参考例1で調製したコアフコシル化hIgG4Fc-FLAG 50μgを、2mgのアルミニウムゲル(コスモ・バイオ社製)及び百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×109細胞とともに、作出した6週齢のFut8KOマウスに投与し、さらに2週間後、3週間後、4週間後に50μgのコアフコシル化hIgG4Fc-FLAGを1回ずつ投与した(計4回投与)。免疫を終了したマウスから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。脾臓をRPMI培地(ギブコ社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、1200rpm、5分間、25℃で遠心分離した後、上清を捨て、赤血球溶解バッファー(シグマアルドリッチ社製)で1~2分間処理して赤血球を除去し、RPMI培地で3回洗浄して脾臓細胞を取得し、細胞融合に用いた。
マウス骨髄腫細胞として8-アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3-U1を用意し、GIT培地(和光純薬工業社製)を用いて2×107個以上の細胞が得られるまで培養した。
前記(1)で得られた脾臓細胞と前記(2)で得られた骨髄腫細胞とを、10:1の細胞数の比になるよう混合した後、該細胞混合液を1200rpm、5分間、25℃で遠心分離した。該細胞混合液から上清を除去し、沈澱した細胞群をよくほぐした。この細胞混合液を25℃で攪拌しながら、該細胞混合液に1mLのPEG1500(ロシュ社製)を1分間かけて添加した。その後、1分間毎にRPMI培地1~2mLを4回加えた後、全量が50mLになるようにRPMI培地を加えた。該細胞液を900rpm、5分間、25℃で遠心分離した後、上清を捨て、細胞を37℃に温めた選択培地[10%(v/v) BM-condimed H1(ロシュ社製)、2%(v/v) HAT supplement(50×、ギブコ社製)を含むGIT培地(和光純薬工業社製)]100mL中で穏やかに懸濁した。この懸濁液を96ウェル培養用プレートに100μL/ウェルずつ分注し、5% CO2インキュベーター中、37℃ で10~14日間培養した。
参考例1で取得したコアフコシル化hIgG4Fc-FLAG及び非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGを参考例1(3)記載のPBS緩衝液で 各5μg/mLに調製し、96ウェルEIA用プレートに50μL/ウェルずつ分注した。25℃で12時間静置し、コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGが固相化されたウェル、及び非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGが固相されたウェルを作製した。この際、PBS緩衝液のみを50μL分注したウェルを用意し、ブランク用ウェルとした。抗原溶液を除去した後、参考例1(4)記載のブロッキング液を200μL/ウェルで分注し、25℃で2時間静置してプレートをブロッキングした。ブロッキング液を除去した後、参考例1(4)記載の試料希釈液で100倍に希釈したハイブリドーマ培養上清を50μL/ウェルで分注し、25℃で1時間静置した。希釈ハイブリドーマ培養上清を除去し、350μLの参考例1(4)記載の洗浄液で3回洗浄した後、試料希釈液で10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を50μL/ウェルで分注し、25℃で1時間静置した。標識抗体希釈液を除去し、350μLの洗浄液で3回洗浄した後、TMB-ONEを50μL/ウェルで添加し、25℃で20分間静置した。停止液として0.5mol/L 硫酸を50μL/ウェル添加した後、プレートリーダーを用いて反応液の吸光度を主波長450nm、副波長650nmで測定した。コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGを固相したウェルで強く発色し、非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGを固相したウェルで弱く、あるいは発色しないハイブリドーマ株を選択し、限界希釈法により2回のクローニングを繰り返した。その結果、ハイブリドーマ株18-2D3、18-3D11、18-4E11、18-4F11、18-6A7、18-6D4、18-6F9、18-9E10、18-10G1、18-11E5、18-12F7、25-4F5、25-4H7、25-4H8の14株を得た。ハイブリドーマ株18-3D11は、2016年8月30日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受領番号NITE AP-02342として寄託され、2017年8月4日付で受託番号NITE BP-02342として受託されている。プレートに固相したコアフコシル化hIgG4Fc-FLAG、非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGに対する各ハイブリドーマ株培養上清の反応性を図5に示す。なお、図5に示した「抗FLAG抗体」のグラフは、ハイブリドーマ株上清及びペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体の代わりに、ペルオキシダーゼ標識抗FLAG抗体を用いた結果を示したグラフであり、コアフコシル化hIgG4Fc-FLAG、非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGがほぼ同量プレートに固相されていることを示している。
(4)で取得したハイブリドーマ株の培養上清を用いて、各ハイブリドーマ株が産出する抗体の抗体クラス(アイソタイプ)、サブクラス、軽鎖タイプを、IsoQuickモノクローナル抗体アイソタイプ判定キット マウス用(シグマアルドリッチ社製)を用いて判定した。判定結果を表1に示す。
(1)ビアコアによるhIgG4Fc-FLAGに対する反応性解析
蛋白質は、プレートに固相することで変性し、特殊な立体構造をとることが一般的に知られている。そのため、プレートに固相した抗原には反応するものの、非固相状態の抗原(すなわち、プレートに固相化せずに、溶液中に存在する抗原)には反応しない抗体を取得してしまうことが度々生じる。実施例1で取得したハイブリドーマ株が産生する抗体が、非固相状態のコアフコシル化hIgG4Fc-FLAGにも反応するか、加えて非固相状態においてもコアフコシル化hIgG4Fc-FLAGと非コアフコシル化hIgG4Fc-FLAGを明確に区別する抗体であるか、Biacore 2000 (GEヘルスケア・ジャパン社製)を使用し、表面プラズモン共鳴法(SPR法)により解析した。
実施例1で取得したハイブリドーマ株の培養上清を用いて、各ハイブリドーマ株が産生する抗体の、天然コアフコシル化抗原に対する反応性を抗原固相ELISAで評価した。
天然コアフコシル化抗原として、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖で修飾されていることが公知である、ヒト母乳由来ラクトフェリン(シグマアルドリッチ社製)、ウシ血液由来サイログロブリン(シグマアルドリッチ社製)、ヒト血液由来IgG(イノベーティブリサーチ社製)を用いた。該天然コアフコシル化抗原を、参考例1(3)記載のPBS緩衝液で5μg/mLに調製し、参考例1と同様の方法で、各抗原が固相化されたウェルを作製した。参考例1(4)記載の試料希釈液で100倍希釈したハイブリドーマ株の培養上清を50μL/ウェル分注し、25℃で1時間静置した。希釈されたハイブリドーマ培養上清を除去し、350μLの参考例1(4)記載の洗浄液で3回洗浄した後、試料希釈液で10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を50μL/ウェル分注し、25℃で1時間静置した。標識抗体希釈液を除去し、350μLの洗浄液で3回洗浄した後、TMB-ONEを50μL/ウェルで添加し、25℃で20分間静置した。停止液として0.5mol/L 硫酸を50μL/ウェルで添加し、プレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を主波長450nm、副波長650nmで測定した。結果を図7に示す。取得したハイブリドーマ株が生産する抗体は、天然ヒトIgGのコアフコースには反応するが、ヒトラクトフェリン、ウシサイログロブリンのコアフコースには反応しないことが判明した。なお、図7に示した「LCAレクチン」のグラフは、ペルオキシダーゼ標識LCAレクチンをハイブリドーマ培養上清及びペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体の代わりに用いた結果を示す。
ヒトの抗体クラス(アイソタイプ)、ウサギIgGに対する反応性を抗原固相ELISAで評価した。ヒトIgG(イノベーティブリサーチ社製)、ヒト免疫グロブリンA(リーバイオソリューションズ社製)、ヒト免疫グロブリンM(イムノリージェント社製)、ウサギIgG(ダコ社製)を参考例1(3)記載のPBS緩衝液で5μg/mLに調整した。この各抗原溶液を96ウェルのEIA用プレートに50μL/ウェルずつ分注し、25℃で12時間静置して抗原をプレートに固相した。抗原溶液を除去し、次いで参考例1(4)記載のブロッキング液を200μL/ウェル分注し、25℃で2時間静置してプレートをブロッキングした。ブロッキング液を除去した後、参考例1(4)記載の試料希釈液で10倍希釈したハイブリドーマ株18-2D3、18-3D11、18-12F7の培養上清を50μL/ウェル分注し、25℃で1時間静置した。希釈したハイブリドーマ培養上清を除去し、350μLの参考例1(4)記載の洗浄液で3回洗浄した後、試料希釈液で10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を50μL/ウェル分注し、25℃で1時間静置した。標識抗体希釈液を除去し、350μLの洗浄液で3回洗浄した後、TMB-ONEを50μL/ウェルで添加し、25℃で20分間静置した。停止液として0.5mol/L 硫酸を50μL/ウェル添加し、プレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を主波長450nm、副波長650nmで測定した。結果を図8に示す。評価したハイブリドーマ株が生産する抗体は、ヒトIgGのコアフコースには反応するが、ヒト免疫グロブリンA、ヒト免疫グロブリンM、ウサギIgGのコアフコースには反応しないことが判明した。なお、図8に示した「LCAレクチン」のグラフは、ペルオキシダーゼ標識LCAレクチンをハイブリドーマ培養上清及びペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体の代わりに用いた結果を示す。
ヒトIgGの各サブクラスに対する反応性を、Biacore 2000を使用し、表面プラズモン共鳴法にて解析した。Human Antibody Capture Kitに同封のAnti-human IgG(Fc) antibodyを添付プロトコールに従い、アミンカップリング法によりCM5センサーチップに固定化した。ヒトIgG1(フィッツジェラルド社製)、ヒトIgG2(フィッツジェラルド社製)、ヒトIgG3(フィッツジェラルド社製)、ヒトIgG4(フィッツジェラルド社製)をセンサーチップ上に固定化したマウス抗ヒトIgG(Fc)モノクローナル抗体に捕捉させた後、ハイブリドーマ株18-2D3、18-3D11、18-12F7の培養上清をセンサーチップ上に流し、各ヒトIgGサブクラスに対する反応性を評価した。結果を図9に示す。いずれのハイブリドーマ株由来の抗体も、すべてのヒトIgGサブクラスに結合することが判明した。なお、図9に示した「抗ヒトIgG抗体と各サブクラスヒトIgGとの反応」のグラフは、センサーチップ上に固定化したヒトIgGのFc領域に対する抗体に捕捉された各ヒトIgGサブクラス抗原量を示している。
前記(2)、(3)、(4)で明らかになった、天然ヒトIgGに対する反応性が、コアフコースに依存したものであるかを確認するため、以下のようにして過ヨウ素酸ナトリウム処理によりコアフコースのジオール構造を酸化開裂し、コアフコースを変性させたヒトIgGを調製した。
前記(5)で調製した過ヨウ素酸ナトリウム処理した各ヒトIgG各サブクラス抗原、すなわちコアフコースが変性したヒトIgGを用いて、実施例1で取得したハイブリドーマ株が産生する抗体のヒトIgGに対する反応性が、コアフコース依存的であるかを、Biacore 2000を使用し、表面プラズモン共鳴法により解析した。Human Antibody Capture Kitに同封のマウス抗ヒトIgG(Fc)モノクローナル抗体を添付プロトコールに従い、アミンカップリング法によりCM5センサーチップに固定化した。過ヨウ素酸ナトリウム処理した、あるいは処理していないヒトIgG1、ヒトIgG3、ヒトIgG4を、センサーチップ上に固定化したマウス抗ヒトIgG(Fc)モノクローナル抗体に捕捉させた後、ハイブリドーマ株18-2D3、18-3D11、18-12F7の培養上清をセンサーチップ上に流し、過ヨウ素酸ナトリウム処理された、あるいはされていない各ヒトIgGサブクラス抗原に対する反応性を評価した。結果を図11に示す。いずれのハイブリドーマ株由来の抗体においても、コアフコースが変性したヒトIgGに対する反応性はほぼ消失、あるいは大きく減衰した。なお、図11の最下段に示した「抗ヒトIgG抗体と各サブクラスヒトIgGとの反応」のグラフは、センサーチップ上に固定化したヒトIgGのFc領域に対する抗体に捕捉された、過ヨウ素酸ナトリウム処理された各サブクラスのヒトIgG、及び、過ヨウ素酸ナトリウム処理されていない各サブクラスのヒトIgGの量を示す。これにより、実施例1で取得したハイブリドーマ株が産生するモノクローナル抗体が、コアフコース依存的にヒトIgGに反応する抗体であることが確認された。
(1)抗コアフコシル化ヒトIgG抗体の精製
実施例1で取得したハイブリドーマ株の内、18-3D11株を520mLのハイブリドーマ用無血清培地Hyclone SFM4MAb-Utility(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で培養し、培養上清を回収した。3000rpm、10分間、25℃で遠心分離を行い、上清を回収した後、0.22μm孔径セルロースアセテートメンブレンを用いて上清を濾過し、最終濃度3mol/Lとなる様に塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)を添加し、pH8.9に調整した。rProtein A GraviTrapカラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)を参考例1(3)記載のPBS緩衝液で平衡化した後、濾過済みの前記上清をカラムに通塔した。その後、PBS緩衝液でカラムを洗浄し、rProtein Aに結合した18-3D11株由来の抗体(以下、18-3D11抗体と記載する)を、0.1mol/L グリシン-HCl溶液(pH2.7)を通過させることによりで溶出した。その後、PD-10カラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて、18-3D11抗体を含む溶出液の溶媒をPBS緩衝液に置換した後、PBS緩衝液に置換された18-3D11抗体溶液の280nmの吸光度を吸光光度計(U-3000、日立製作所社製)で測定し、モル吸光係数1.4として18-3D11抗体濃度を算出し、約2.5mgの18-3D11抗体を得た。
コアフコシル化ヒトIgG測定系の標準物質として用いるコアフコシル化ヒトIgGを精製するための親和性カラムを以下のようにして調製した。前記(1)で精製した18-3D11抗体2mgを、PD-10カラムを用いてカップリング溶液[0.2mol/L 炭酸水素ナトリウム、0.5mol/L 塩化ナトリウム、pH8.3]に置換し、1.68mg/mLの抗体溶液を調製した。「はじめてのリガンドカップリングハンドブック」(GEヘルスケア・ジャパン社製)に記載の方法に従い、この抗体溶液1mLをHiTrap NHS-activated HPカラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)にカップリングした。算出したカップリング効率は90.3%であった。
前記(2)で調製したアフィニティーカラムを用いて、ヒト血液から精製されたヒトIgG(イノベーティブリサーチ社製)から、以下のようにしてコアフコシル化ヒトIgGを精製した。アフィニティーカラムを10mLの参考例1(3)記載のPBS緩衝液で平衡化し、PBS緩衝液で1.5mg/mLの濃度に調整したヒトIgG6mLをカラムに添加した。10mLのPBS緩衝液でカラムを洗浄後、5mLのクエン酸緩衝液[0.1mol/L クエン酸(和光純薬工業社製)溶液と0.1mol/L クエン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)溶液をpH3.7になる様に混合した緩衝液]をカラムに添加し、カラムに結合したコアフコシル化ヒトIgGを溶出した。この操作を複数回繰り返し、最終的に約280μgのコアフコシル化ヒトIgGを精製した。
(1)コアフコシル化ヒトIgGからのN結合型糖鎖の分離
実施例3で精製したコアフコシル化ヒトIgGの溶媒を、PD-10カラムを用いて参考例1(3)記載のPBS緩衝液に置換した後、限外濾過により濃縮して2.1mg/mLのコアフコシル化ヒトIgG溶液を調製した。このコアフコシル化ヒトIgG試料50μLに、5μLの1mol/L 重炭酸アンモニウム水溶液、5μLの120mmol/L DTT水溶液を添加してよく撹拌した後、60℃で30分間インキュベートした。その後、10μLの123mmol/L ヨードアセトアミド水溶液を添加し、遮光下、25℃で1時間インキュベートした。その後、1mmol/L 塩酸で40ユニット/μLに調整した蛋白質分解酵素トリプシン(シグマアルドリッチ社製)を10μL添加し、37℃、1時間反応させ、コアフコシル化ヒトIgGをペプチドに消化した。反応終了後、90℃、5分間の熱処理によりトリプシンを失活させた後、N結合型糖鎖の還元末端を切断するN-グリコシダーゼF(ロシュ社製)を5ユニット添加し、37℃、12時間反応させることでペプチドからN結合型糖鎖を遊離させた。
糖鎖精製標識化キットBlotGlyco(住友ベークライト社製)を用い、キットに付属の糖鎖結合性ポリマービーズに純水500μLを加え、よく撹拌した後、50μLのポリマービーズ分散液を分取し、キットに付属の反応用チューブの底部に注入した。卓上遠心機で数秒間遠心分離して水を排出し、白色に乾いたポリマービーズに180μLの2% 酢酸/アセトニトリル溶液[2%(v/v) 酢酸、98%(v/v) アセトニトリル]と、前記(1)の反応液20μLを添加し、チューブの蓋をあけた状態で80℃、1時間インキュベートし、N結合型糖鎖をポリマービーズに結合させた。溶媒が完全に蒸発し、ポリマービーズが乾燥していることを確認後、200μLの2mol/L グアニジンで2回、200μLの純水で2回、200μLの1% トリエチルアミン/メタノール溶液[1%(v/v) トリエチルアミン、99%(v/v) メタノール]で2回、ポリマービーズを洗浄した。次に100μLの10% 無水酢酸/メタノール溶液[10%(v/v) 無水酢酸、90%(v/v) メタノール]を加え、25℃で30分間インキュベートして、ポリマービーズ上の官能基をキャッピングした。卓上遠心機で数秒間遠心分離して10% 無水酢酸/メタノール溶液を排出した後、200μLの10 mmol/L 塩酸で2回、200μLのメタノールで2回、200μLのDMSOで2回洗浄した。次に100μLのMTT/DMSO溶液[MTT 74.6mgを1mLのDMSOで溶解]を添加し、チューブの蓋をあけた状態で60℃、1時間インキュベートし、N結合型糖鎖に存在するシアル酸をメチルエステル化して保護した。卓上遠心機で数秒間遠心分離してMTT/ジメチルスルホキシド溶液を排出した後、200μLのメタノールで2回、200μLの純水で2回、ポリマービーズを洗浄した。
次に、前記(2)で得られたポリマービーズに、20μLのMALDI-TOF MS用標識化合物溶液[20mmol/L Labeling reagent for MALDI-TOF MS(住友ベークライト社製、BlotGlycoキットに付属)]を添加し、続いて180μLの2% 酢酸/アセトニトリル溶液を添加して、チューブの蓋をあけた状態で80℃、1時間インキュベートした。これによりポリマービーズから糖鎖を遊離させ、その還元末端をMALDI-TOF MS用標識化合物で標識化した。溶媒が完全に蒸発し、ポリマービーズが乾燥していることを確認後、50μLの純水を加え、卓上遠心機で数秒間遠心分離して標識化N結合型糖鎖を回収した。
キットに付属のクリーンアップカラム(未反応のMALDI-TOF MS用標識化合物除去用カラム)を200μLの純水で1回、200μLのアセトニトリルで2回洗浄後、回収した標識化N結合型糖鎖溶液50μLに950μLのアセトニトリルを加えた試料を全量添加し、10分間自然落下によりクリーンアップカラムを通過させた。卓上遠心機で数秒間遠心分離して残りの溶液を通過させた後、300μLのアセトニトリルで2回クリーンアップカラムを洗浄した。卓上遠心機で数秒間遠心分離し、クリーンアップカラムからアセトニトリルを完全に除去した後、純水50μLを添加し、さらに数秒間遠心分離して標識化N結合型糖鎖溶液を回収した。
MALDIマトリックスグレードの2,5-ジヒドロキシ安息香酸(和光純薬工業社製)10mgに、300μLのアセトニトリル、700μLの純水を加えて溶解し、マトリックス溶液を調製した。このマトリックス溶液1μLに、(4)で回収した標識化N結合型糖鎖溶液1μLを混合した。MALDIターゲットプレートにこの混合液1μLをスポットし、静置して乾燥させた後、MALDI-TOF MS Autoflex III smartbeam(ブルカー・ダルトニクス社製)でMALDI-TOF MS解析を行った。得られたMSスペクトルを図12に示す。また糖鎖構造推定ソフトGlycoMod Tool[Proteomics,vol.1,p.340 (2001)]を用いて各質量ピークに推定された糖鎖構造を表2に示す。一方、比較対象として同様に分析した、実施例1で得られた抗コアフコシル化IgG抗体(18-3D11)で精製する前のヒトIgG(イノベーティブリサーチ社製)から得られたMSスペクトルを図13に、推定されたN結合型糖鎖構造を表3に示す。表中、質量電荷比(m/z)はピーク毎の実測イオン質量、「dmass」は推定されたN結合型糖鎖構造の理論イオン質量と実測イオン質量の差を示す。また推定糖鎖構造において、「GlcNAc」はN-アセチルグルコサミン、「Man」はマンノース、「NeuAc」はN-アセチルノイラミン酸、「Deoxyhexose」はフコース、「HexNAc」はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン、「Hex」はマンノース又はガラクトースを示す。抗コアフコシル化IgG抗体(18-3D11)で精製する前のヒトIgG(イノベーティブリサーチ社製)においては、実測イオン質量(m/z)1746.692、1908.756、2070.818、2375.940、2681.026にフコース(Deoxyhexose)を含まないN結合型糖鎖構造による微小ピークが検出されたのに対し、抗コアフコシル化IgG抗体(18-3D11)で精製した後のヒトIgGではこれらのピークが消失し、推定されたN結合型糖鎖構造すべてがフコース(Deoxyhexose)を持つことが判明した。このことから、抗コアフコシル化IgG抗体(18-3D11)を用いた精製により取得したヒトIgGは、ほぼ100%コアフコシル化ヒトIgGであり、コアフコシル化ヒトIgG測定系の標準物質として適当であることが判明した。
(1)抗ヒトIgGポリクローナル抗体固相化プレートの調製
96ウェルのEIA用プレートに、参考例1(3)記載のPBS緩衝液で5μg/mLに希釈した抗ヒトIgGポリクローナル抗体(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を50μL/ウェルずつ分注し、25℃で12時間静置して抗体をプレートに固相した。抗体溶液を除去後、参考例1(4)記載のブロッキング液を200μL/ウェルで分注し、25℃で2時間静置してプレートをブロッキングした。ブロッキング液を除去後、コアフコシル化ヒトIgGの測定に使用した。
実施例3(1)で精製した200μgの18-3D11抗体を、Peroxidase Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所社製)を用いて、添付マニュアルに従いぺルオキシダーゼで標識した。キットに付属のStorage Bufferでぺルオキシダーゼ標識18-3D11抗体を懸濁し、これをぺルオキシダーゼ標識抗コアフコシル化ヒトIgG抗体溶液とした。
実施例3(3)で精製したコアフコシル化ヒトIgGを、参考例1(4)記載の試料希釈液で725.5ng/mL、362.8ng/mL、181.4ng/mL、90.7ng/mL、45.4ng/mL、22.7ng/mL、11.3ng/mLの各濃度に調整した。この2倍希釈系列を標準曲線を得るための標準物質とし、コアフコシル化ヒトIgGの測定に使用した。
前記(1)で調製した抗ヒトIgGポリクローナル抗体固相化プレートに、前記(3)で調製した標準物質、あるいは参考例1(4)記載の試料希釈液で100,000倍あるいは200,000倍に希釈したヒト血清検体を50μL/ウェルずつ分注した。25℃で1時間静置した後、試料を除去し、350μLの参考例1(4)記載の洗浄液で3回ウェルを洗浄した。次に(2)で調製したペルオキシダーゼ標識抗コアフコシル化ヒトIgG抗体溶液を試料希釈液で10,000倍に希釈し、この溶液を50μL/ウェルずつ分注した。25℃で1時間静置した後、標識抗体溶液を除去し、350μLの洗浄液で3回ウェルを洗浄した。TMB-ONEを50μL/ウェルで添加し、25℃で20分間静置した。停止液として0.5mol/L 硫酸を50μL/ウェル添加し、プレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を主波長450nm、副波長650nmで測定した。得られた標準曲線を図14に示す。ヒト血清検体中のコアフコシル化ヒトIgG濃度は、得られた吸光度を標準曲線で換算し、検体希釈液による希釈率を補正して算出した。
(1)希釈直線性試験
実施例5で構築したコアフコシル化ヒトIgG測定系の希釈直線性試験を実施した。3種類の健常人血清検体(検体I~III)(アリエス社製)を準備し、各々を参考例1(4)記載の試料希釈液で100,000倍希釈した。この希釈検体と試料希釈液を、その混合比が10容:0容(希釈率:10/10)、9容:1容希釈率:9/10)、8容:2容希釈率:8/10)、7容:3容(希釈率:7/10)、6容:4容(希釈率:6/10)、5容:5容(希釈率:5/10)、4容:6容(希釈率:4/10)、3容:7容(希釈率:3/10)、2容:8容(希釈率:2/10)、1容:9容(希釈率:1/10)となるように混合し、10段階希釈系列を調製した。これらのコアフコシル化ヒトIgG濃度を実施例5(4)記載の方法で測定し、100,000倍希釈検体のコアフコシル化ヒトIgG濃度の実測値と、希釈倍率から理論的に算出される理論濃度とから対理論率[対理論率(%)=実測値(ng/mL)/理論値(ng/mL)×100]を算出した。結果を表4に示す。いずれの検体、いずれの希釈率においても対理論率は90~110%の範囲内であり、本測定系は良好な希釈直線性を示した。希釈直線性は、検体中のコアフコシル化ヒトIgG以外の物質を非特異的に測り込む等により不良となることから本測定系はコアフコシル化ヒトIgGを特異的に測定することができることが判明した。
実施例5で構築したコアフコシル化ヒトIgG測定系の添加回収率を評価するため、3種類の検体に、それぞれ2種類の標準物質(標準物質a、標準物質b)を添加した検体を調製し、該検体を用いて添加回収試験を実施した。本試験において、標準物質(a)として725.5ng/mLのコアフコシル化ヒトIgG溶液、標準物質(b)として181.4ng/mLのコアフコシル化ヒトIgG溶液を用いた。
Claims (29)
- コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGには結合しないことを特徴とする、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片。
- コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、フコースが還元末端GlcNAcとα1-6結合しているN結合型糖鎖である、請求項1に記載の抗体又は該抗体断片。
- コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGが、自己抗原、同種抗原、ウイルス由来抗原、及び、細菌由来抗原からなる群より選ばれる少なくとも一種の抗原と結合するヒト免疫グロブリンGである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又は該抗体断片。
- 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又は該抗体断片。
- 受託番号NITE BP-02342として寄託されているハイブリドーマにより産生される、請求項5に記載の抗体又は該抗体断片。
- 請求項5に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
- 受託番号NITE BP-02342として寄託されているハイブリドーマ。
- 以下の工程を含有することを特徴とする、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体の製造方法。
(1)コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンG又はそのFc領域断片を免疫原として用いて、α1-6フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が欠損した非ヒト動物に免疫する工程;
(2)工程(1)で免疫した非ヒト動物より得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合し、ハイブリドーマを得る工程;
(3)工程(2)で得られるハイブリドーマを培養する工程;
(4)工程(3)で得られた培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGには結合しない、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程;
(5)工程(4)で選択されたハイブリドーマを培養し、当該培養物から、コアフコースが結合しているN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合し、コアフコースが結合していないN結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGには結合しない、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体を採取する工程。 - コアフコースが結合しているN結合型糖鎖が、フコースが還元末端GlcNAcとα1-6結合しているN結合型糖鎖である、請求項9に記載の製造方法。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片を用いることを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの測定方法。
- 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料と、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体とを反応させて、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG、及び、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。 - 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料と、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体とコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とを反応させて、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG、及び、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。 - 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料を、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの競合物質に標識が結合した標識化競合物質、及び、不溶性担体上に固定化された請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片と反応させ、該不溶性担体上に、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質との免疫複合体、及び、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGとの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で該不溶性担体上に生成した、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片と標識化競合物質の免疫複合体における標識化競合物質を測定する工程。 - 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料を、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体、又は該抗体断片及び、不溶性担体上に固定化された、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの競合物質と反応させ、該不溶性担体上に、競合物質と抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片との免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で該不溶性担体上に生成した免疫複合体を測定する工程。 - 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料と、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGが反応する抗原とを反応させて、抗原とコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗原、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG、及び、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。 - 以下の工程を含有する、請求項12に記載の測定方法。
(1)試料と、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とを反応させて、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGとの免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体と、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGが反応する抗原とを反応させて、抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG、及び、抗原の免疫複合体を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した免疫複合体を測定する工程。 - コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGが反応する抗原が、自己抗原、同種抗原、ウイルス由来抗原、及び、細菌由来抗原からなる群より選ばれる少なくとも一種の抗原である、請求項17又は18に記載の測定方法。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体または該抗体断片を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒト免疫グロブリンG測定試薬。
- さらに、N結合型糖鎖をFc領域に含むヒト免疫グロブリンGに結合する抗体を含む、請求項20に記載の測定試薬。
- 不溶性担体上に固定化された請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片、及び、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの競合物質に標識が結合した標識化競合物質を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒト免疫グロブリンG測定試薬。
- 不溶性担体上に固定化されたコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの競合物質、及び、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片を含むことを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒト免疫グロブリンG測定試薬。
- さらに、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGが反応する抗原を含む、請求項20に記載の測定試薬。
- コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGが反応する抗原が、自己抗原、同種抗原、ウイルス由来抗原、及び、細菌由来抗原からなる群より選ばれる少なくとも一種の抗原である、請求項24に記載の測定試薬。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片を用いることを特徴とする、試料中のコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGの精製方法。
- 以下の工程を含む、請求項26に記載の精製方法。
(1)試料と、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片とを反応させて、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGと抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片との免疫複合体を生成させる工程;
(2)工程(1)で生成した免疫複合体から、コアフコシル化ヒト免疫グロブリンGを遊離させる工程;
(3)工程(2)で遊離したコアフコシル化ヒト免疫グロブリンGを回収する工程。 - 抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片が不溶性担体上に固定化されている、請求項26又は27に記載の精製方法。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗コアフコシル化ヒト免疫グロブリンG抗体又は該抗体断片が固定化された不溶性担体。
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