JP6407990B2 - アウグリン免疫学的検定 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫学的検定の分野に入るものである。本発明は具体的には、対象の体液または組織に由来する試料中に含まれるアウグリン(augurin)またはその前駆体もしくは断片のレベルを決定する方法に関する。
近年同定された分泌ペプチドであるアウグリンは、食道がん関連遺伝子4(ECRG4)によってコードされており、脊椎動物で保存されている(ミラビュー(Mirabeau)ら、2007、ゲノム研究(Genome Research)17:320〜327)。ヒトECRG4は148アミノ酸のタンパク質をコードしており、そのうち、1〜30番目の残基はリーダーペプチドである。ECRG4によってコードされているこのタンパク質のプロセシングされた一形態はアウグリン(残基31〜148)と呼ばれているが、68〜71番目の残基の位置にホルモン前駆体切断部位が1箇所あるため、1つの推定ホルモン前駆体から、ECRG4のEC部分に続くエシリン(残基31〜70)と、ECRG4のRG部分に続くアルジリン(71〜148)と呼ばれる断片の、2つの推定ペプチドホルモンが生成される(ゴンザレス(Gonzalez)ら、2011、中枢神経系の分泌液と障壁(Fluids and Barriers of the CNS)8:6)。トロンビンと一緒にインキュベートすると、保存されている第二推定タンパク質切断部位がトロンビンによって切断され、C末端Δ16配列(134〜148番目のアミノ酸残基)が生じる。加えて、2量体アウグリンについても記載されている(ゴンザレスら、2011、中枢神経系の分泌液と障壁 8:6)。
マウス下垂体腺腫とヒト結腸悪性腫瘍細胞を使ったアウグリンの翻訳後修飾に関する試験から、アウグリンが酵素であるフリンによって切断され、構成的分泌経路を通じて分泌されることが明らかにされた(オザワ(Ozawa)ら、2011、分子内分泌学(Molecular Endocrinology)25(5)、776−784)。加えて、アウグリンが輸送中に硫酸化されること、およびアウグリンの翻訳後修飾に必須のタンパク質切断(R4142 および/またはR7071での切断)が細胞増殖を抑制することが明らかになっている。
ダング(Dang)らは2012年、ECRG4がヒト細胞の上皮表面に局在することを発見し(ダングら、2012. 細胞組織研究(Cell Tissue Research )348(3): 505−514)、ECRG4の放出は細胞特異的であり、種々の組織におけるそれぞれのECRG4活性が組織特異的な過程によって制御されている可能性があると推測した。
ECRG4はヒトの心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓において組織特異的な発現を示し、心臓と肝臓での発現が最も高かった(ステック(Steck)ら、2002、生化学と生物物理研究速報(Biochemical and Biophysical Research Communications)299:109〜115)。脳領域では、ECGR4は主に視床下部と脈絡膜叢上皮細胞で見いだされた(タッドロス(Tadross)ら、2010、英国薬理学誌(British Journal of Pharmacology)159: 1663〜1671; ドナフエ(Donahue)ら、2010. 脳脊髄分泌液研究(Cerebrospinal Fluid Research)7(紀要1):S32;ゴンザレスら、2011、中枢神経系の分泌液と障壁 8:6)。ラットの中枢神経系(CNS)が損傷を受けると、脈絡膜叢上皮においてアウグリンとECRG4遺伝子の発現が急速に低下することが検出された。同時に、アウグリンはCNS負傷直後に動態化され、脳脊髄液(CSF)に放出されたと推測された(ポドビン(Podvin)ら、2011、プロスワン(PLoS One)6(9): e24609)。ヒトのCSFでは、アウグリン前駆体は内因性ペプチドとして同定された(ホエルタエ(Hoelttae)ら、2012、プロスワン7(8):e42555)。
アウグリンは視床下部CRFの放出によってACTHの放出を刺激し、視床下部下垂体を制御するための治療用標的となり得ることが示されている(タッドロスら、2010、英国薬理学誌 159:1663〜1671)。さらにECRG4は特に軟骨細胞と軟骨において発現量が多く、発現量は軟骨細胞が分化している最中に劇的に増加し、骨関節炎を起こしている軟骨では低下した。このことから、ECRG4が分化している関節軟骨細胞と軟骨破壊のマーカーとなることが示唆されている(フー(Huh)ら、2009、遺伝子(Gene)448:7〜15)。
成体マウスの脳では、ECRG4は神経細胞の老化や加齢に関与していると考えられている(クジロ(Kujuro)ら、2010、PNAS 107(18):8259〜8264)。
ECRG4遺伝子は種々の癌(たとえば、食道扁平上皮癌(ESCC)、前立腺癌、結腸直腸癌、悪性神経膠腫、胃癌)では過剰メチル化を介して下方制御されている。このことは、エピジェネティックな制御が正常な細胞から癌細胞への転換に関与していることを示唆している(ユエ(Yue)ら、2003、世界消化器病学誌(World Journal of Gastroenterology)9(6):1174−1178;バナジャ(Vanaja)ら、2009、癌調査(Cancer Investigation)27(5):549〜560; ゴエズ(Goetze)ら、2009、BMCキャンサー(BMC Cancer)9:447;ワング(Wang)ら、2012、肝消化器病学(Hepatogastroenterology)59(118):1696〜1698)。ECRG4遺伝子の過剰メチル化は前立腺癌の再発予測と関連づけられており(バナジャら、2009、癌調査27(5):549〜560)、初期胃癌のモニタリングおよび病気の重症度(ステージ)の予測に利用できる可能性がある(ワングら、2012、肝消化器病学59(118):1696〜1698)。さらに、ECRG4のmRNAの発現レベルが限局的な侵襲性、病気のステージ、および予後と関連しているので、ESCC患者用の独立した予後因子の候補となり得ることが示されている(モリ(Mori)ら、腫瘍学レポート(Oncology Reports)18:981〜985;リー(Li)ら、2009、国際対がん連合雑誌(International Journal of Cancer):125、1505〜1513)。モリと共同研究者らはさらに、手術の恩恵を受けられる患者だけを手術に選択することも重要であるだろうと仮定した。ECRG4のmRNAの発現は、侵襲的な乳癌試料では減少しており、このことは癌のステージおよびサイズと関連があった(サバティエ(Sabatier)ら、2011、プロスワン6(11): e27656)。さらに、ECRG4のmRNAの発現は、無病生存率および乳癌患者の全生存率と関連があったため、癌の予後因子であると示唆されている。
ECRG4のmRNAはヒト末梢血液細胞内でも上昇していたが、リポ多糖(LPS)と共にインキュベートすると、多型核細胞と単球の細胞表面におけるECRG4は顕著に減少した(バイラード(Baird)ら、2012、白血球生物学雑誌(Journal of Leucocyte Biology)91(5):773〜781)。LPSを処理した白血球の馴化培地から、14KDaと8KDaの(ECRG4の71〜148に相当する)ECRG4が検出された(バイラードら、2012、白血球生物学誌91(5):773〜781)。白血球におけるECRG4の比較的低い発現レベルは、TBSAやけどを負った患者の外傷、全身性炎症反応症候群(SIRS)や損傷を負った鈍的外傷患者に関連している可能性があり、このことは、傷害の生物学にECRG4が臨床的に関連していること、およびECRG4が炎症反応に関与していることを示唆している。しかしながら、ECRG4の発現は血中では検出されていない(バイラ−ドら、2012、白血球生物学誌91(5):773〜781)。さらに、ラットの実験中耳炎では、ラットの粘膜組織に感染させた後3〜48時間の間に、ECRG4の発現が急激に減少したことが示されている(クラビ(Kurabi)ら、2013、プロスワン8(4):e61394)。
ヒトのプレプロアウグリン(71〜107番目)を検出する競合酵素免疫学的検定がフェニックス・ファーマシューティカルズ社(バーリンゲム、カリフォルニア、米国)から入手可能である。しかしながら、アウグリンならびにその断片および前駆体を検出するための、高感度かつ高選択性で、同時に再現性が高く、検定間でのばらつきが小さい改良された検定が必要とされている。本発明は、例えば、低濃度のアウグリンを高い選択性で検出するための研究用ツールとして使用することができる、そのような測定法を提供する。
本発明の対象は、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法である。一側面においてこの方法は、
(a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体が、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と結合可能な条件であり、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片との三元複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
ここで前記第1と第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、
前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、別個の重複していない複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、および、
(b)2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片との結合を検出する工程、を含む。
本発明はまた、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法に関し、この方法は、
(a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とが複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
(b)前記試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体とが三元複合体を形成可能な条件で接触させる工程、
ここで、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、
前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、別個の、重複していない複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、および、
(c)前記三元複合体を検出する工程、を含む。
本発明はまた、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するためのキットに関し、このキットは、
(i)配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目、より好ましくは71〜83番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープ(an epitope)に特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、
(ii)配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目、より好ましくは79〜88番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープ(an epitope)に特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、
を含んでいる。
本発明はさらに、抗アウグリン抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体を対象とし、ここで、抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目、より好ましくは71〜83番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープ(an epitope)に特異的であるか、または配列番号1のプレアウグリンの79〜88番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープ(an epitope)に特異的である。
本発明はさらに、DSM ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、DSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、DSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9、から選択されるハイブリドーマ細胞株に関する。
好ましい方法の変異形態を従属請求項に記載している。
プレアウグリンと、プロセシングを受けて生成され得るペプチドの構造。 ペプチドPQW14(配列番号9)を免疫化して得られたモノクローナル抗体であるAK439/F4およびAK439/H10のエピトープマッピングの結果。 ペプチドAUG−EL10(配列番号10)を免疫化して得られたモノクローナル抗体であるAK482/H7、AK482/H2、AK482/G9およびAK482/H10のエピトープマッピングの結果。 分析物の安定性。表示された期間、22℃で保存した後の、各材料に由来する10試料の平均値(SEM)。モノクローナル免疫学的検定によって測定し、保存しなかった試料と比較した平均値(回復率、%)を示している。 モノクローナル免疫学的検定によって測定した組換えプレアウグリンの用量反応曲線。 モノクローナル免疫学的検定によって測定した、健常者集団(n=100)におけるアウグリン免疫活性の度数分布。 種々の標準物質の測定。フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)競合酵素免疫学的検定による測定。 種々の標準物質の測定。ポリクロ−ナル抗体を用いた参照サンドイッチ式免疫学的検定による測定。 種々の標準物質の測定。モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ式免疫学的検定による測定。 分析物検出の精度に関して生じ得る差に関する試験結果。8つの混合試料を 、実施例2および3で説明したポリクロ−ナル抗体およびモノクローナル抗体を使った免疫学的検定、ならびにフェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)検定を使用して測定。
本発明はアウグリンタンパク質またはその前駆体ペプチドもしくはペプチド断片を検出するための免疫学的検定に関する。特にこの免疫学的検定では、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目のアミノ酸、好ましくは71〜88番目のアミノ酸を含んでいる複数のエピトープ(epitopes)を検出する。したがって、本発明で提供する免疫学的検定では、プレアウグリンの71〜107番目のアミノ酸、好ましくは71〜88番目のアミノ酸を包含しているアウグリンの断片および前駆体を検出することができる。これらの断片には以下に概要を示すように、アルジリン、Δ16−アウグリン、およびΔ16−アルジリンが含まれる(例えば図1を参照のこと)。本発明の免疫学的検定法は、プレアウグリンの71〜107番目にわたるアミノ酸配列中の複数のエピトープ(epitopes)に特異的に結合することが可能な2つの抗アウグリン抗体を組み合わせると、アウグリン(または、複数のエピトープ(epitopes)を含んでいるその断片もしくは前駆体)の検出能力が向上するという驚くべき結果に基づくものである。本発明の免疫学的検定法では、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは、71〜88番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的に結合することが可能な2つの別個の抗アウグリン抗体を用いる。本発明の免疫学的検定によると、2つの抗体が、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に結合することで、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を定性的におよび/または定量的に検出することができる。両方の抗体がアウグリンまたはその前駆体もしくは断片に結合すれば、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片が存在するとして検出される。言い換えると、本発明は、試料中のアウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定に関し、この方法は、前記試料を、第1の抗アウグリン抗体(またはその抗原結合断片もしくは誘導体)および第2の抗アウグリン抗体(またはその抗原結合断片もしくは誘導体)と接触させる工程、および、前記抗体とアウグリンまたはその前駆体もしくは断片との三元免疫複合体の有無を検出する工程を含む。免疫複合体は前記抗体と前記試料との間の免疫反応が可能な条件で形成される。
一側面において本発明は、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定に関し、この方法は、
(a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体が、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と結合可能な条件であり、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片との三元複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
ここで前記第1と第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、
前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、別個の重複していない複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、および、
(b)2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片との結合を検出する工程、を含む。2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体の特異的な結合が、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片が存在することの指標となる。
本発明はまた、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法にも関し、この方法は、
(a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とが複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
(b)前記試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体とが三元複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
ここで、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目にかけてのアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、
前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、別個の、重複していない複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、および、
(c)前記三元複合体を検出する工程、を含む。試料中に三元複合体が含まれていると検出されることが、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片が存在することの指標となる。
本発明による免疫学的検定法では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜95番目、より好ましくは71〜90番目、最も好ましくは71〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的である。2つの抗体のエピトープは重複している複数のエピトープ(epitopes)であってもよく、または重複していない複数のエピトープ(epitopes)であってもよい。たとえば、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間は好ましくはアミノ酸6個分以上離れていない。つまり、アウグリン配列内の2つのエピトープの間には、アミノ酸残基が6個以上は存在しない。このエピトープ間は、アミノ酸残基6個分以上、または、5個分以上、4個分以上、3個分以上、2個分以上、もしくは1個分以上離れていない。2つのエピトープは、互いが直接隣接していても、つまり、2つのエピトープの間にアミノ酸残基が全くなくてもよい。
場合によっては、第1および第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、71〜107番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、かつ、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間はアミノ酸6、5、4、3、2、1または0個分以上離れていない。第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体はまた、71〜100番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であってもよく、かつ、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間はアミノ酸6、5、4、3、2、1または0個分以上離れていない。第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体はまた、71〜95番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であってもよく、かつ、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間はアミノ酸6、5、4、3、2、1または0個分以上離れていない。第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体はまた、71〜90番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であってもよく、かつ、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間はアミノ酸6、5、4、3、2、1または0個分以上離れていない。第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体はまた、71〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であってもよく、かつ、2つの抗体の前記複数のエピトープ(epitopes)間はアミノ酸6、5、4、3、2、1または0個分以上離れていない。
前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1の71〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる複数のエピトープ(epitopes)に特異的であり、かつ、前記複数のエピトープ(epitopes)がアミノ酸3個分以上離れていないことが特に好ましい。たとえば、第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの71〜83番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的であり、2番目の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1のプレアウグリンの79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的である。
本明細書の以降でより詳細に議論するように、本明細書に記載の免疫学的検定法の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、例えば、ポリクロ−ナル抗体、モノクローナル抗体または遺伝子操作されたモノクローナル抗体であってよい。両方の抗体がモノクローナル抗体であることが好ましい。例えば、第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、DSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9から選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される。第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、例えば、DSM ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、DSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10から選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される。本明細書の免疫学的検定法や本発明を使用したキットの本要件では、好ましくは、第1の抗体はハイブリドーマ細胞株482/H7によって生成された抗体であり、第2の抗体はハイブリドーマ細胞株439/F4によって生成された抗体である。
これまでに概要を述べたように、本発明の免疫学的検定では、プレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目のアミノ酸残基を包含するアウグリンの断片および前駆体を検出することが可能である。従って本発明は、アルジリンを検出するための免疫学的検定法、Δ16−アウグリンを検出するため免疫学的検定法、およびΔ16−アルジリンを検出するための免疫学的検定法を提供する。
抗体とアウグリン(またはその前駆体もしくは断片)との結合は適切な条件(つまり、免疫反応を起こすこと、すなわち、免疫複合体を形成する上での抗体とアウグリンとの結合を起こすことが可能である条件)で行われる。そのような条件は当業者に知られており、また、以下に記載するような免疫学的検定に関する標準的な形式を使用することができる。そのような条件とは、好ましくは、生理学的な温度、pH、およびイオン強度のもとでということであり、培地、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で行ってもよい。
好ましい検出法としては、例えば、放射標識免疫測定(RIA)、化学発光免疫学的検定および蛍光免疫法、酵素免疫学的検定(ELISA)、ルミネクス(Luminex)に基づくビーズ測定法、タンパク質マイクロアレイ測定法のような様々な形式の免疫学的検定、ならびに、例えば、免疫クロマトグラフストリップ試験のような迅速な試験形式が挙げられる。
検定は、均一なまたは不均一な検定、競合的なおよび非競合的な検定である可能性がある。特に好ましい態様において検定は、非競合的な免疫学的検定であるサンドイッチ式検定の形式であり、この方法では、第1の抗体および第2の抗体に結合している分析物が検出および/または定量される。例えば、第1の抗体は固相(例えば、ビーズ、ウェルもしくは他の容器の表面、チップまたはストリップ)に結合させたものであってもよく、第2の抗体は標識した抗体、例えば色素、放射性同位体、または反応性もしくは触媒活性をもつ部分で標識した抗体である。次いで適した方法によって、分析物に結合した、標識されている抗体の量を測定する。「サンドイッチ式検定」に関連する一般的な組成や手順は確立されており、当業者に知られている。(免疫学的検定ハンドブック(The Immunoassay Handbook)、デビッド・ワイルド編、エルゼビア有限責任会社、オックスフォード、第3版(2005年5月)、ISBN−13: 978〜0080445267;ハルツチグ(Hultschig)Cら、化学生物学最新見解(Curr Opin Chem Biol.)2006年2月;10(1):4〜10。PMID:16376134。参照することにより本明細書に組み入れられる)。サンドイッチ式免疫学的検定は、例えば、1段階測定、または2段階測定として設計することができる。
特に好ましい態様においてこの検定は、2つの抗体分子(つまり、抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体)、好ましくは抗体を含み、この2つの抗体分子はいずれも液体反応混合液中に分散して存在し、ここで、第1の標識成分が第1の抗体に結合しており、前記第1の標識成分は蛍光または化学発光の消光または増幅に基づく標識システムの一部であり、かつ、前記標識システムの第2の標識成分は第2の抗体分子に結合しており、よって、両方の抗体分子が分析物に結合すると測定可能なシグナルが生じ、試料を含んでいる溶液中に形成されたサンドイッチ複合体の検出が可能となる。
さらにより好ましくは、前記標識システムは、希土クリプテートまたは希土キレートと蛍光色素または化学発光色素(特にシアニン型の色素)との組み合わせを含む。本発明では、蛍光に基づく測定方法では色素を使用し、色素は例えば、FAM(5−もしくは6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオロセインイソチオシアネート(FITC),IRD−700/800、シアニン色素(例えばCY3、CY5、CY5.5、CY3.5、CY7)、キサンテン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4’,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET,6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(dimethodyfluorescein)(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6R5)、6−カルボキシルローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、ボディピー(BODIPY)色素(例えばボディピーTMR)、オレゴングリーン、クマリン(例えばウンベリフェロン)、ベンズイミド(Benzimides)(例えばヘキスト(Hoechst)33258)、フェナントリジン(Phenanthridines)(例えばテキサス・レッド、ヤキマ・イエロー、アレクサフルオロ)、PET、臭化エチジウム、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素などからなる群から選択され得る。
本発明において化学発光に基づく検定では、カーク−オスマー著、化学工学の百科事典(Encyclopedia of chemical technology)、第4版、編集局長クロスウィッツ;編集ハウ−グラント、ジョン・ウィリーアンドサンズ、1993年、15巻、518〜562頁で記載されている化学発光物質についての物理的原理に基づいて、色素を使用する。この文献は、551〜562頁に記載の引用文献と共に、参照することにより本明細書に組み入れられる。好ましい化学発光色素はアクリジニウムエステルである。
本明細書中で言及している通り、「検定」は免疫学的検定の分野で使用されているどのような種類の検定であってもよい。そのような検定は、特定の親和性にのっとった、検出される分析物と1つまたは複数の補足プローブ(ここでは、抗体分子、つまり、抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体)との結合に基づくものであってよい。抗体分子と標的分子または目的の分子(つまりアウグリンやその前駆体もしくは断片)との間での相互作用を考慮すると、その親和定数は108〜1011/Mの範囲であり、好ましくは109/Mより高い値である。
検定の「感度」とは、実際に陽性であるもののうち、正しく陽性と同定されたものの割合、つまり、陽性の結果を同定する能力(実際に陽性の結果/陽性の数)に関する。したがって、検定によって検出できる分析物の濃度が低ければ低いほど、その検定の感度は高い。検定の「特異性」とは、実際に陰性であるもののうち、正しく陰性と同定されたものの割合、つまり、陰性の結果を同定する能力(実際の陰性/陰性の数)に関する。抗体の「特異性」は、個々の抗原結合部位がたった1つの抗原エピトープと反応する能力として定義される。抗体の結合挙動は、その親和性(アフィニティ)とその結合活性(アビディディ)で表すことができる。抗体の「親和性」とは、単一の抗原エピトープと単一の抗原結合部位との間の反応強度の尺度である。抗体の「結合活性」とは、多くのエピトープを有する抗原と多価抗体との間の、総体的なの強度の尺度である。
本発明において抗体分子(本明細書では「補足分子」とも呼ばれる)は、試料に由来する標的分子および/または目的の分子、つまり分析物(すなわち本発明ではアウグリン)またはその前駆体もしくは断片に結合させるのに使用することができる分子である。したがって補足分子は、標的分子および/または目的の分子に特異的に結合するように、空間的な特徴と表面の特徴との両面において適切な形状でなければならず、そのような特徴には、表面の電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体または受容体の有無などがある。そのため結合は、補足分子と標的分子または目的の分子との間の、例えば、イオン結合、ファン・デル・ワールス結合、パイ−パイ結合、シグマ−パイ結合、疎水結合もしくは水素結合による相互作用で、または2つ以上の前述の相互作用の組み合わせによるものであり得る。本発明では、補足分子は抗体分子である。好ましくは、抗体分子は、標的または目的の分子に対して十分な親和性のある抗体断片を含む抗体であり、組換え抗体または組換え抗体断片、ならびに前記抗体を化学的におよび/または生化学的に改変した誘導体、あるいはそれらの少なくとも12個分の長さのアミノ酸を有する変異鎖に由来する断片を含む。
本明細書で使用する場合「抗体」という用語は、そうでないことが記載されていない限り、広く、抗体分子および様々な抗体由来の分子の両方を指す。そのような抗体由来の分子は、少なくとも1つの可変領域(重鎖もしくは軽鎖可変領域のいずれか)、ならびに個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖と他の分子との間のキメラ融合体などを含む。本発明による機能的な免疫グロブリン断片は、Fv、scFv、ジスルフィド結合しているFv、FabとF(ab’)2である可能性がある。本発明の抗体またはその断片は、アウグリンおよびその断片を検出するための免疫学的検定法を確立するために使用することができる。抗体は、例えば、IgM、IgD、IgE、IgA、またはIgGであってよく、好ましくは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であり、最も好ましくはIgG1抗体である。「抗体」という用語はさらに、ポリクロ−ナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、好ましくはIgG1抗体;キメラモノクローナル抗体;ヒト化抗体、遺伝子操作されたモノクローナル抗体も包含する。
抗体は、例えば、試料から得られた目的の分子に特異的に結合するファージディスプレイなどの技術によって選択される。本明細書において「特異的結合」という用語は、目的の分子またはその断片に対して作成された抗体を指す。抗体は、その目的の分子またはその前述したような断片に対する親和性が、目的の分子を含んでいる試料中に存在する他の分子に対する親和性よりも、少なくとも好ましくは50倍を上回る、より好ましくは100倍を上回る、最も好ましくはすなくとも1000を上回る場合に、特異的であると見なされる。抗体の作成方法および所与の親和性を所有する抗体の選択方法は当該分野においてはよく知られている。本発明の抗体/抗体分子は、組換え的に容易に構築・発現させることができる。十分量の本発明の抗体分子は、とりわけ当該分野で知られている組換え法によって容易に産生できる。例えば、ベントリイ、ハイブリドーマ(Hybridoma)17、1998年、559〜567:ラシェール(Racher)、応用微生物および生物学(Appl.Microbiol.Biotechnol.)40(1994)、851〜856;サミュエルソン(Samuelsson)、欧州免疫学雑誌(Eur.J.Immunol.)26(1996)、3029〜3034)を参照のこと。
本明細書において抗体分子は、好ましくは、完全な抗体(IgG1、IgG2、IgG2b、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgD、IgEなどの免疫グロブリン)、F(ab)−、Fabc−、Fv−、Fab’−、F(ab’)2−断片、単鎖抗体、キメラ抗体、CDR接木抗体、2価の抗体構築物、抗体融合タンパク質または合成タンパク質である。モノクローナル抗体が好ましい。
本発明はまた、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するためのキットに関し、このキットは、
(i)配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目、より好ましくは、71〜83番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および
(ii)配列番号1のプレアウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜88番目、より好ましくは、79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、を含む。このキットは、好ましくは、
(i)配列番号1のプレアウグリンの71〜83番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および
(ii)配列番号1のプレアウグリンの79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、を含む。抗体は好ましくは、モノクローナル抗体である。
本発明はさらに、体液由来の生体試料に含まれているアウグリンまたはその断片を検出および/または定量するためのサンドイッチ形式の免疫学的検定における本発明のキットの使用に関する。そのような断片は、2つの抗体が標的とする、少なくとも2つのエピトープにわたる配列を含む。例えばこのキットを使用して、アウグリン、アルジリン、Δ16−アウグリンおよびΔ16−アルジリンを検出および/または定量することができる。
本明細書で言及しているように、「断片」という用語はより大きなタンパク質またはペプチドから誘導可能なより小さいタンパク質またはペプチドを指す。従って「断片」は、より大きなタンパク質またはペプチドの部分配列を含む。前記断片は、より大きなタンパク質またはペプチドから、それらの1つまたは複数のペプチド結合を鹸化することで誘導できる。
「試料」という用語は、好ましくは、生体試料である。本明細書で使用する場合、「試料」とは、診断、予後または評価の目的で目的の対象から、例えば患者から、得た体液または組織の試料を指す。本発明の目的に関する「患者」または「対象」には、ヒトおよび他の動物(特に哺乳動物)の両方、ならびに他の生物が含まれる。従って本方法は、ヒトの診断および獣医学的な使用に応用することが可能である。好ましい態様では、患者は哺乳動物であり、最も好ましい態様では、患者または対象はヒトである。
好ましい被験試料としては、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、ならびに胸水が上げられる。加えて当業者であれば、被験試料によっては、分取または精製の手順を追うことで、例えば、全血を血清または血漿成分に分離することで、より迅速に分析できることが理解できるだろう。
従って本発明の好ましい態様では、試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、脳脊髄液試料、唾液試料および尿試料または前述したすべての試料の抽出物を含む群から選択される。試料は、好ましくは血液試料であり、より好ましくは血清試料または血漿試料である。
血清または血漿試料は、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含む可能性がある血液細胞を、定量的に血清または血漿から分離するという手段によって得ておくことが好ましい。このことは例えば、血液試料を少なくとも2000〜3000gで少なくとも15分間遠心分離することによって、達成することができる。
本発明で使用する前に試料を、必要に応じて、均質化するか、または溶媒を使って抽出して液体試料とする必要がある場合がある。そのため液体試料は、溶液または懸濁液であり得る。本発明で使用する前に、液体試料を1つ以上の前処理にかけてもよい。そのような前処理には、これらに限定されるものではないが、希釈、ろ過、遠心分離、濃縮、沈降、沈殿、透析が挙げられる。前処理は、化学的または生化学的な物質、例えば酸、塩基、緩衝剤、塩、溶媒、反応性色素、界面活性剤、乳化剤、キレート剤を溶液に加えることを含んでいてもよい。
本発明における「血漿」とは、遠心分離後に得られる、抗凝血剤を含むが細胞を実質的に含んでいない、血液の上清のことである。抗凝血剤の例としては、EDTAまたはクエン酸などのカルシウムイオン結合化合物、およびヘパリナート(heparinate)またはヒルジンなどのトロンビン阻害剤が挙げられる。細胞を含まない血漿は、抗凝血剤処置した血液(例えば、クエン酸、EDTA化またはヘパリンで処置した血液)を少なくとも15分間、2000〜3000gで遠心分離することによって、得ることができる。
これまでに概要を述べたように、本発明はまた、プレアウグリン(配列番号1)の71〜107番目、好ましくは71〜100番目、より好ましくは71〜95番目、さらに好ましくは71〜90番目、さらにより好ましくは71〜88番目、最も好ましくは71〜83番目および79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープを標的とする抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体に関する。好ましい抗体は本明細書で後述する。本発明はさらに、体液由来の生体試料に含まれているアウグリンまたはその断片を検出および/または定量するためのサンドイッチ形式の免疫学的検定における、本明細書で記載の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体の使用に関する。そのような断片は、2つの抗体が標的とする、少なくとも2つのエピトープにわたる配列を含む。例えばこのキットを使用して、アウグリン、アルジリン、Δ16−アウグリンおよびΔ16−アルジリンを検出および/または定量することができる。
本発明の抗体、キットおよび免疫学的検定において、プレアウグリン(配列番号1)の71〜107番目、好ましくは71〜100番目、より好ましくは71〜95番目、さらにより好ましくは71〜90番目、さらにより好ましくは71〜88番目、最も好ましくは71〜83番目および79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープを標的とする抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体または遺伝子操作されたモノクローナル抗体である。抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。
アウグリンの71〜107番目、好ましくは71〜100番目、より好ましくは71〜95番目、さらにより好ましくは71〜90番目、さらにより好ましくは71〜88番目、最も好ましくは71〜83番目および79〜88番目にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープを標的とする抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、IgGであるか、またはIgGから誘導されることが好ましい。
本発明によるモノクローナル抗体は、好ましくは、受託番号DSM ACC3206、DSM ACC3207、DSM ACC3208、DSM ACC3209、DSM ACC3210またはDSM ACC3211にてDSMZに寄託されているハイブリドーマ細胞株から産生したものであってもよい。これらの細胞株は、本発明のプレアウグリンの71〜88番目の残基にわたるアミノ酸配列に含まれる1つのエピトープを標的とする特定のモノクローナル抗体を産生する。モノクローナル抗体AK482/H7を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3210として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。モノクローナル抗体AK482/H2を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3208として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。モノクローナル抗体AK482/G9を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3211として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。モノクローナル抗体AK482/H10を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3209として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。モノクローナル抗体AK439/F4を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3206として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。モノクローナル抗体AK439/H10を産生するハイブリドーマ細胞株は、2013年7月3日、受託番号DSM ACC3207として、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。全てのハイブリドーマ細胞株は、本明細書で前述し、実施例1で詳細を記載する原則に従って作成した。
最後に、本発明はまた、受託番号DSM ACC3206、DSM ACC3207、DSM ACC3208、DSM ACC3209、DSM ACC3210およびDSM ACC3211としてDSMZに寄託したハイブリドーマ細胞株にも関する。これらのハイブリドーマ細胞株は、プレアウグリンの71〜88番目のアミノ酸、特にプレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸および79〜88番目のアミノ酸を標的とする、本発明の好ましい抗体を産生する。
前述のハイブリドーマ細胞株から産生された抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、本発明の免疫学的検定法の中で使用することが、または、本発明によるキットに含めることが可能である。
本発明の免疫学的検定またはキットの具体的な側面において、第1の抗体はプレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸を標的とするモノクローナル抗体であり、第2の抗体はプレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸を標的とするモノクローナル抗体である。例えば、抗AUG−EL10抗体であるAK482/H7と抗PQW14抗体であるAK439/F4の組み合わせが好ましい。例えばサンドイッチ式ELISA測定法では、抗PQW14抗体であるAK439/F4をトレーサー抗体として、抗AUG−EL10抗体であるAK482/H7を固相抗体として使用することができる。
PQW14ペプチド(配列番号9)(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸)を標的とするモノクローナル抗体には、本明細書で記載のAK439/F4およびAK439/H10抗体が含まれる。AUG−EL10ペプチド(配列番号10)(プレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸に対応)を標的とするモノクローナル抗体には、本明細書で記載のAK482/H7、AK482/H2、AK482/G9および抗体AK482/H10が含まれる。
具体的な態様において本発明は、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法に関し、この方法は、
(a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体を、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とが複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
(b)前記試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体とが三元複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
ここで、前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、プレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸を標的とするモノクローナル抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体であり、第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸を標的とするモノクローナル抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体であり、および
(C)三元複合体を検出する工程、を含む。この態様における免疫学的検定は、好ましくはサンドイッチ式ELISA測定法であり、より好ましくは、抗PQW14抗体であるAK439/F4をトレーサー抗体(「第2の抗体」)として、抗AUG−EL10抗体であるAK482/H7を固相抗体(「第1の抗体」)として使用する。しかしながら、前述した抗体の他の組み合わせも用いることができる。例えば、抗AUG−EL10抗体であるAK482/H7をトレーサー抗体として(「第2の抗体」)、かつ、抗PQW14抗体であるAK439/F4を固相抗体(「第1の抗体」)として使用することができる。
[配列]
アウグリンの前駆体ペプチド(プレアウグリン)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。N端末シグナルペプチド(30アミノ酸)が切断されると、アウグリンのプレアウグリン配列の31〜148番目のアミノ酸残基に関する部分が放出される。アウグリンのアミノ酸配列を配列番号2に示す。エシリンはプレアウグリンの31〜68番目のアミノ酸残基に関する。エリシンのアミノ酸配列を配列番号3に示す。アルジリンはプレアウグリンの71〜148番目のアミノ酸残基に関する。アルジリンのアミノ酸配列を配列番号4に示す。アウグリンはまた、切断されるとΔ16(配列番号5)というC末端断片とΔ16−アウグリン(配列番号6)を生成し、Δl6はプレアウグリンの134〜148番目のアミノ酸配列に関し、Δ16−アウグリンはプレアウグリンの31〜130番目のアミノ酸配列に関する。Δl6−アウグリンをさらにΔ16−アルジリンへと切断することが可能であり、Δ16−アルジリンはプレアウグリンの71〜130番目のアミノ酸配列に関する(配列番号7)。
免疫ペプチドであるPKE14の配列(プレアウグリンの48〜60番目のアミノ酸)を配列番号8にて提供する。免疫ペプチドPQW14(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸)を配列番号9に示す。免疫ペプチドAUG−EL10(プレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸)を配列番号9に示す。免疫ペプチドPGY14(プレアウグリンの91〜103番目のアミノ酸)を配列番号11に示す。免疫ペプチドPDI14(プレアウグリンの117〜129番目のアミノ酸)を配列番号12に示す。モノクローナル抗体AK439/F4とAK439/H10の結合エピトープのアミノ酸配列を配列番号13に示す。モノクローナル抗体AK482/H7とAK482/H2の結合エピトープのアミノ酸配列を配列番号14に示す。モノクローナル抗体AK482/G9とAK482/H10の結合エピトープのアミノ酸配列を配列番号15に示す。合成ペプチドPQP−61(プレアウグリンの71〜131番目のアミノ酸を含む)ならびAUG−WF15(プレアウグリンの73〜87番目のアミノ酸を含む)のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号16と17に示す。
モノクローナル抗体(表1に記載の)のエピトープマッピングに使用したペプチドの配列を配列番号18から配列番号37に示す。
配列番号1(プレアウグリンのアミノ酸配列):
MAASPARPAV LALTGLALLL LLCWGPGGIS GNKLKLMLQK REAPVPTKTK VAVDENKAKE FLGSLKRQKR QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG PRSPYGFRHG ASVNYDDY
配列番号2(アウグリンのアミノ酸配列):
GNKLKLMLQK REAPVPTKTK VAVDENKAKE FLGSLKRQKR QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG PRSPYGFRHG ASVNYDDY
配列番号3(エシリンのアミノ酸配列):
GNKLKLMLQK REAPVPTKTK VAVDENKAKE FLGSLKRQ
配列番号4(アルジニンのアミノ酸配列):
QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG PRSPYGFRHG ASVNYDDY
配列番号5(Δ16のアミノ酸配列):
PYGFRHGASV NYDDY
配列番号6(Δ16−アウグリンのアミノ酸配列):
GNKLKLMLQK REAPVPTKTK VAVDENKAKE FLGSLKRQKR QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG PRS
配列番号7(Δ16−アルジリンのアミノ酸配列):
QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG PRS
配列番号8(PKE14のアミノ酸配列):
KTKVAVDENK AKE
配列番号9(PQW14のアミノ酸配列):
QLWDRTRPEV QQW
配列番号10(AUG−EL10のアミノ酸配列):
EVQQWYQQFL
配列番号11(PGY14のアミノ酸配列):
GFDEAKFEDD ITY
配列番号12(PDI14のアミノ酸配列):
DYYQRHYDED SAI
配列番号13(プレアウグリンの73〜78番目のアミノ酸配列):
WDRTRP
配列番号14(プレアウグリンの82〜87番目のアミノ酸配列):
QWYQQF
配列番号15(プレアウグリンの83〜87番目のアミノ酸配列):
WYQQF
配列番号16(PQD−61のアミノ酸配列):
QLWDRTRPEV QQWYQQFLYM GFDEAKFEDD ITYWLNRDRN GHEYYGDYYQ RHYDEDSAIG P
配列番号17(AUG−WF15のアミノ酸配列):
WDRTRPEVQQ WYQQF
配列番号18(プレアウグリンの71〜86番目):
QLWDRTRPEV QQWYQQ
配列番号19(プレアウグリンの73〜86番目のアミノ酸配列):
WDRTRPEVQQ WYQQ
配列番号20(プレアウグリンの74〜86番目のアミノ酸配列):
DRTRPEVQQW YQQ
配列番号21(プレアウグリンの75〜86番目のアミノ酸配列):
RTRPEVQQWY QQ
配列番号22(プレアウグリンの76〜86番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQWYQ Q
配列番号23(プレアウグリンの68〜82番目のアミノ酸配列):
QKRQLWDRTR PEVQQ
配列番号24(プレアウグリンの68〜81番目のアミノ酸配列):
QKRQLWDRTR PEVQ
配列番号25(プレアウグリンの68〜80番目のアミノ酸配列):
QKRQLWDRTR PEV
配列番号26(プレアウグリンの68〜79番目のアミノ酸配列):
QKRQLWDRTR PE
配列番号27(プレアウグリンの76〜88番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQWYQ QFL
配列番号28(プレアウグリンの76〜87番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQWYQ QF
配列番号29(プレアウグリンの76〜85番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQWYQ
配列番号30(プレアウグリンの76〜84番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQWY
配列番号31(プレアウグリンの76〜83番目のアミノ酸配列):
TRPEVQQW
配列番号32(プレアウグリンの79〜91番目のアミノ酸配列):
EVQQWYQQFL YMG
配列番号33(プレアウグリンの80〜91番目のアミノ酸配列):
VQQWYQQFLY MG
配列番号34(プレアウグリンの81〜91番目のアミノ酸配列):
QQWYQQFLYM G
配列番号35(プレアウグリンの82〜91番目のアミノ酸配列):
QWYQQFLYMG
配列番号36(プレアウグリンの83〜91番目のアミノ酸配列):
WYQQFLYMG
配列番号37(プレアウグリンの84〜91番目のアミノ酸配列):
YQQFLYMG
実施例1:抗体の生成
ペプチド
ヒトプレアウグリンの既知のアミノ酸配列(配列番号1を参照のこと)から、5つの領域を選択し、それらを標準的な手法によって化学合成した(JPT有限責任会社、ベルリン、ドイツ)。これらのペプチドを、PKE14(プレアウグリンの48〜60番目のアミノ酸、配列番号8)、PQW14(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸、配列番号9)、AUG−EL10(プレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸、配列番号10)、PGY14(プレアウグリンの91〜103番目のアミノ酸、配列番号11)、PDI14(合成されたプレアウグリンの117〜129番目のアミノ酸、配列番号12)とした。
ポリクロ−ナル抗体の開発
PKE14(プレアウグリンの48〜60番目のアミノ酸、配列番号8)、PQW14(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸、配列番号9)、PGY14(プレアウグリンの91〜103番目のアミノ酸、配列番号11)、PDI14(プレアウグリンの117〜129番目のアミノ酸、配列番号12)を標的とするポリクロ−ナル抗体を、標準手法によって生成した(欧州特許出願第1488209号A1、欧州特許出願第1738178号A1を参照のこと)。簡単に説明すると、MBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を使って、ペプチドを担体タンパク質のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(ピアス、ロックフォード、イリノイ、米国)と連結させた。この抱合体を用い、以下の様式でヒツジを免疫化した:最初、ヒツジに100μgの抱合体(重量は抱合体のペプチド部分を指す)を接種し、その後、4週間ごとに2回、各回50μgずつの抱合体を用いて追加免疫した。初回接種から4か月後、ヒツジから300mlの抗血清を得た。それぞれの抗血清から、抗原特異的抗体を以下のように精製した:各ペプチド5mgを5mLのスルフォリンク(SulfoLink)−ゲル(ピアス、ロックフォード、イリノイ、米国)に結合させた。抗血清50mLはバッチ式ゲルと共に、室温で4時間培養した。これらの材料をカラム(空のNAP25カラム、ファルマシア)に移した。素通り画分を捨て、ゲルを100mlの洗浄緩衝液(100mM リン酸カリウム、0.1%ツイーン20、pH6.8)で洗浄し、特異的に結合した抗体を50mMのクエン酸(pH2.7)で溶出した。溶出物を50mM リン酸ナトリウム、100mL 塩化ナトリウム、pH8.0で透析した。
モノクローナル抗体の開発
PQW14(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸、配列番号9)とAUG−EL10(プレアウグリンの79〜88番目のアミノ酸、配列番号10)を標的とするモノクローナル抗体を標準的な手法で生成した(ハーロウE、レーンD、抗体−研究室マニュアル。コールドスプリングハーバー、コールドスプリング研究室、1988、Lane、1985、免疫学的手法雑誌(Journal of Immunology Methods)、81:223−228)。簡単に説明すると、スルホ−MBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)使って、ペプチドをBSAに抱合させた。これらの抱合体でBalb/cマウスを免疫化し、追加免疫を行い、膵臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマ細胞株を生成した。細胞株を、ポリスチレン固相の表面にコーティングしておいた免疫ペプチドと結合する抗体を分泌する能力を指標にスクリーニングした。この方法から、モノクローナル抗体であるAK439/F4およびAK439/H10(PQW14を標的とする抗体)、AK482/H7、AK482/H2、AK482/G9、AK482/H10(AUG−EL10を標的とする抗体)を分泌する細胞株を生成した。さらなる実験用に、プロテインGアフィニティクロマトグラフィによって、モノクローナル抗体を培養上清から精製した。
抗体の標識化
抗体を標準的な手法に従って標識化した(欧州特許出願第1488209号A1、欧州特許出願第1738178号A1)。精製したそれぞれの抗体の濃度を1g/Lに調整し、この抗体を1対5のモル比で化学発光標識であるMACN−アクリジニウム−NHS−エステル(1g/L;インベント有限責任会社,へニッヒスドルフ、ドイツ)と室温で20分間培養することで標識化した。容積比で10分の1量の50mmol/Lのグリシンを室温で10分間追加することで、反応を停止させた。NAP−5カラム(GEヘルスケア、フライブルク、ドイツ)とBio−Sil(登録商標)SEC−400−5HPLCカラム(バイオラッド)を用いたサイズ排除クロマトグラフィによって、標識化された抗体と結合していない標識を分離した。
抗体のコーティング
抗体を標準的な手法に従ってコーティングした(欧州特許出願第1488209号A1、欧州特許出願第1738178号A1)。ポリスチレン製のスターチューブ(グライナー)を22℃で一晩かけて、精製した抗体でコーティングした(チューブ1本当たり、300μLの10mmol/Lトリス、100mmol/Lの塩化ナトリウム、pH7.8に抗体2μgを溶解したものを使用した)。次いで、10mmol/Lのリン酸ナトリウム(30g/LのカリオンFP(メルク)、プロテアーゼを含んでいない5g/Lの血清アルブミンを含む、pH6.5)でチューブをブロッキングし、凍結乾燥した。
実施例2:ポリクロ−ナル抗体を使用した基準となるアウグリンの検定
前述したポリクローナル成分を使用して、複数のサンドイッチ式免疫学的検定を準備した。抗PKE14抗体を用いたすべてのサンドイッチ式検定では、供血者の血漿プールでシグナルは認められなかったが、抗PQW14、抗PGY14および抗PDI14抗体を使ったサンドイッチ式検定ではシグナルが検出された。抗PQW14(プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸を標的とする、配列番号9)をトレーサー抗体とし、抗PDI14(プレアウグリンの117〜129番目のアミノ酸を標的とする、配列番号12)を固相抗体として使用したときに最も高いシグナルが検出された。以降の実験は、これらポリクローナル抗体の組み合わせを使って実施した。
100μLの標準物質(1〜148番目のアミノ酸を含む組換えヒトプレアウグリン、配列番号1、インビボ・バイオテックサービス有限責任会社、ヘニヒスドルフ)または試料と、200μLのMACN標識化抗体を含む緩衝液を、ピペットを使い、コーティングしたチューブの中で混合した(300mMのリン酸カリウム、pH7.0、50mMの塩化ナトリウム、10mMのEDTA、0.09%のアジ化ナトリウム、0.1%のBSA、0.1%の非特異的ウシIgG、0.1%非特異的ヒツジIgG、0.01%の非特異的マウスIgGおよび200μLごとに0.5×106の相対発光量のMACN標識化抗体を含む)。そのチューブを室温で20時間、撹拌しながら培養した。次にチューブを、1mLのB.R.A.H.M.S洗浄溶液(サーモフィッシャーサイエンティフィック、臨床検査製品部門、B・R・A・H・M・S有限責任会社、ヘニヒスドルフ、ドイツ)を使って4回洗浄し、結合した化学発光物質をLB952T(ベルトール)を使って、チューブ1本につき1秒間測定した。マルチカルク(MultiCalc)ソフトウェア(スピリン・フィット)を使って、試料の濃度を計算した。
実施例3:モノクローナル抗体を使用したアウグリン検定の開発
前述したモノクローナル抗体を使って、複数のサンドイッチ式免疫学的検定を準備した。抗PQW14抗体および抗AUG−EL10抗体、ならびに供血者の血漿プールを使用したすべてのサンドイッチ式検定でシグナルが得られた。抗PQW14抗体であるAK439/F4をトレーサー抗体として、抗AUG−EL10抗体であるAK482/H7を固相抗体として使用したときに、よりも高いシグナルが得られた。以降の実験は、これらモノクローナル抗体の組み合わせを使って実施した。
50μLの標準物質(1〜148番目のアミノ酸を含む組換えヒトプレアウグリン、配列番号1、インビボ・バイオテックサービス有限責任会社、ヘニヒスドルフ)または試料と、200μLのMACN標識化抗体を含む緩衝液を、ピペットを使い、コーティングしたチューブの中で混合した(300mMのリン酸カリウム、pH7.0、50mMの塩化ナトリウム、10mMのEDTA、0.09%のアジ化ナトリウム、0.1%のBSA、0.1%の非特異的ウシIgG、0.1%非特異的ヒツジIgG、0.01%の非特異的マウスIgGおよび200μLごとに0.5×106の相対発光量のMACN標識化抗体を含む)。そのチューブを室温で3時間、撹拌しながら培養した。次にチューブを、1mLのB.R.A.H.M.S洗浄溶液(サーモフィッシャーサイエンティフィック、臨床検査製品部門、B・R・A・H・M・S有限責任会社、ヘニヒスドルフ、ドイツ)を使って4回洗浄し、結合した化学発光物質をLB952T(ベルトール)を使って、チューブ1本につき1秒間測定した。マルチカルク(MultiCalc)ソフトウェア(スピリン・フィット)を使って、試料の濃度を計算した。
実施例4:モノクローナル抗体のエピトープマッピング
6つのモノクローナル抗体であるAK439/F4、AK439/H10、AK482/H7、AK482/H2、AK482/G9ならびにAK482/H10が標的とするプレアウグリンのエピトープの位置を、プレアウグリン配列中に含まれている種々のペプチドを使用して決定した。用いた種々のペプチドは、スペーサーを加え、N末端かC末端のいずれかをビオチン化して合成した。チューブ1本当たり2μgのニュートラアビジン(ビオチン結合タンパク質:サーモサイエンティフィック、ピアスプロテインバイオロジー製品)を使い、前述したようにチューブをコーティングした。ピペットを使って、各ペプチド50ngを含む300μLのペプチド溶液をチューブに入れ、室温で撹拌しながら3時間培養した。その後、チューブを1mLのB.R.A.H.M.S洗浄溶液で4回洗浄した。各抗体50ngを含む200μLの抗体溶液を、室温で撹拌しながら16時間培養し、再度前述したように4回洗浄した。モノクローナル抗体と種々のペプチドとの結合能を検出するために、200μLのトレーサー溶液(化学発光物質であるMACN−アクリジニウム−NHS−エステルを使用して前述したように標識化したヤギ抗マウス抗体を含む)をチューブに入れ、室温で撹拌しながら2時間培養した。その後、再び4回洗浄し、結合した化学発光物質をLB952T照度計(ベルトール)を使用して、チューブ1本につき1秒間測定した。
表1にエピトープマッピングの結果を示す。図2から分かるように、モノクローナル抗体であるAK439/F4とAK439/H10は、プレアウグリン配列の73〜78番目にある6つのアミノ酸からなる同じエピトープ(WDRTRP、配列番号13)に結合する。図3からは、モノクローナル抗体のAK482/H7およびAK482/H2は、プレアウグリン配列の82〜87番目にある6つのアミノ酸からなる同じエピトープ(QWYQQF、配列番号14)に結合するが、モノクローナル抗体のAK482/G9およびAK482/H10は、プレアウグリン配列の83〜87番目の5つのアミノ酸からなる同じエピトープ(WYQQF、配列番号15)に結合することが分かる。
実施例5:分析物の安定性
4種類の材料(血清、EDTA化血漿、クエン酸化血漿およびヘパリン化血漿)を10の試料に分け、それぞれを22℃で、様々な期間保存した。その後、モノクローナル抗体を使った免疫学的検定を使用してバッチごとに測定した。0時点、つまり22℃で保存しなかった試料を、基準として100%に設定した。図4に示すように、血清は室温で6時間安定しており、23時間保存後には10%減少し、31.5時間保存した後には20%減少している。EDTA化、クエン酸化およびヘパリン化した血漿中の分析物は、22℃で少なくとも31.5時間安定していた。
さらに、凍結融解を何回か繰り返し後の分析物の安定性も試験した。健康な供血者から得られた血漿をEDTA化して10試料に分け、これらを7回、凍結融解した。凍結融解を7回繰り返した後もEDTA化血漿中に含まれていた分析物は非常に安定で、アウグリンを用いた免疫学的検定では、顕著な減少も増加も見られなかった。
実施例6:用量反応曲線
前述したモノクローナル免疫学的検定では、組換えプレアウグリン(配列番号1)を標準物質として使用することで用量反応曲線を作成することが可能である。典型的な用量反応曲線を図5に示す。
実施例7:健常人集団におけるアウグリンの免疫活性
健常人対象から得た100のEDTA化血漿試料を、モノクローナル免疫学的検定を使って測定した。これらの試料で見られたアウグリンの免疫活性の度数分布を図6に示す。アウグリンの免疫活性は全試料で測定可能で、中間値が1119pmol/L(95%CIが1071〜1195)、最小値が385pmol/Lそして最大値が1880pmol/Lであった。75番目と97.5番目の値はそれぞれ、1333と1744pmol/Lであった。女性におけるアウグリンの免疫活性(n=64;中間値1073pmol/L)は、男性の免疫活性(n=36;中間値1328pmol/L)と比べて、有意に低かった(p<0.01)。アウグリンの免疫活性と年齢との間に相関はなかった(スピアマンの相関係数、r=0.076、p>0.05)。
実施例8:本発明のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ式免疫学的検定およびフェニックスから購入したペプチド由来の競合的プレプロアウグリン(71〜107番目)免疫学的検定、ならびに例2で示した基準となるサンドイッチ式免疫学的検定の比較。
複数の標準ペプチドを、実施例2および3のサンドイッチ式免疫学的検定ならびにフェニックス・ファーマシューティカルズ(バーリンゲム、米国)の競合的ヒトプレプロアウグリン(71〜107番目)免疫学的検定(EK−012−22)を使用して測定した。以下の4種類の標準ペプチドを使用した:組換えヒトプレアウグリン(1〜148番目のアミノ酸、配列番号1)、フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリンペプチド(71〜107番目)、合成ペプチドであるPQP−61(プレアウグリンの71〜131番目のアミノ酸を含む、配列番号16)およびAUG−WF15(プレアウグリンの73〜87番目のアミノ酸を含む、配列番号17)。結果を図7A、BおよびCに示す。フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン競合的酵素免疫学的検定を使用した場合、標準ペプチドであるプリプロアウグリン(71〜107番目)は検出されたが、組換えプレアウグリンやペプチドであるPQP−61およびAUG−WF15はいずれも検出されなかった(図7A)。この検定はプレプロアウグリン(71−107番目)検出用として開発されたものであるため、少なくとも組換えプレアウグリン(1〜148番目)とペプチドPQP−61は、その両方が71〜107番目のアミノ酸配列を含んでいるので検出されると予想していた。
組換えプレアウグリン(1〜148番目)とペプチドPQP−61は、プレアウグリンの71〜83番目のアミノ酸および117〜129番目のアミノ酸のそれぞれを標的とする抗体の組み合わせを使用した、基準となるポリクロ−ナル抗体のサンドイッチ式免疫学的検定によって検出されたが(実施例2、図7B)、フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)とペプチドAUG−WF15は検出されなかった。この免疫学的検定で使用した固相抗体は、プレアウグリンの117〜129番目のアミノ酸を標的とするペプチドPDI14を標的とする抗体として産生されたもので、フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)およびAUG−WF15はこのエピトープを含んでいない。したがって、このポリクロ−ナル免疫学的検定はこれら2つのペプチドを検出することができないと思われる。対照的に、組換えプレアウグリン(1〜148番目)とペプチドPQP−61は、2つのポリクローナル抗体を産生するために使用された2つのペプチドPQW14とPDI14を標的とする両方のエピトープを含んでいるため、この検定によって検出可能であると考えられる。
4種類全ての標準ペプチドが、本出願に記載の2つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ式免疫学的検定によって検出された(図7C、実施例3)。4種類全ての標準ペプチドがこの2つのモノクローナル抗体のエピトープを含んでいたので、この結果は予想通りであった。
分析物検出の精度に関して生じ得る差を、健康な供血者から得られたEDTA化血漿試料を使用して試験した。16のEDTA化血漿試料を、それぞれ個別に、また、2つの試料を1対1の割合で混合して測定した。16のEDTA化血漿試料と8つの混合試料を、実施例2および3で説明したポリクロ−ナル抗体およびモノクローナル抗体を使った免疫学的検定、ならびにフェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)検定を使用して測定した。試料と混合試料の測定値および混合試料について計算した値、ならびに測定値と計算値との間の差を表2に示す。結果の差は図8にも示した。フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71〜107番目)検定では混合試料に関し、−85.5から最大737.3%という偏差が見られた。8つの混合試料の内、計算値と測定値との間の偏差が20%未満だったのは2試料だけであった。実施例2に記載した基準となる免疫学的検定を用いた場合、8つ全ての試料の値が、それぞれについて計算した値よりも顕著に低かった(65.1〜100.0%の範囲)。対照的に、本発明による実施例3のモノクローナル免疫学的検定では計算値と測定値との間の偏差が小さく(−1.0〜35.8%の範囲)、偏差が20%を上回ったのは1試料だけであった。
全ての試料(標準ペプチド試料、患者の試料、混合試料)を2つ組で測定し、その平均値を結果として示している。変動係数が10%よりも大きかった試料は、実施例3のモノクローナル抗体免疫学的検定では1つもなく、実施例2のポリクロ−ナル抗体免疫学的検定を使用して測定した試料のうちの20%のみであった。その一方で、フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71−107)検定で測定した24の試料のうちの80%が10%より大きな変動係数を示した。従って、フェニックス・ファーマシューティカルズのプレプロアウグリン(71−107)検定では、試料を正確に測定することができない。
これらの結果は全体として、プレアウグリンの71〜107番目の残基にあるエプトープを標的とする2つの抗体を使用する本発明による免疫学的検定を用いることでのみ、アウグリンの免疫活性を正確に測定できることをはっきりと示している。

Claims (15)

  1. アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法であって、
    (a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体を、2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体が、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と結合可能な条件で、接触させる工程、
    ここで第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸71〜83番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的であり、第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸79〜88番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的であり、並びに
    (b)2つの抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片との結合を検出する工程、を含む。
  2. アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するための免疫学的検定法であって、
    (a)アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を含むことが疑われる試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とが複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
    (b)前記試料と、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片に特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体とを、アウグリンまたはその前駆体もしくは断片と、前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体との三元複合体を形成可能な条件で、接触させる工程、
    ここで第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は、配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸71〜83番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的であり、第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体は配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸79〜88番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的であり、並びに
    前記第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体は、別個の、重複していない複数のエピトープに特異的であり、および、
    (c)前記三元複合体を検出する工程、を含む。
  3. 前記エピトープ間がアミノ酸6個分より多く離れていない、請求項1または2に記載の免疫学的検定法。
  4. 前記エピトープ間がアミノ酸3個分より多く離れていない、請求項3に記載の免疫学的検定法。
  5. 前記抗体またはそれらの抗原結合断片もしくは誘導体が、ポリクロ−ナル抗体、モノクローナル抗体または遺伝子操作されたモノクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫学的検定法。
  6. 前記抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体がモノクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫学的検定法。
  7. 前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体が、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、または、DSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9から選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される、請求項6に記載の免疫学的検定法。
  8. 前記第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体が、DSM ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、またはDSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10、から選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される、請求項6に記載の免疫学的検定法。
  9. 前記試料が、対象の体液または組織に由来するものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫学的検定法。
  10. アウグリンまたはその前駆体もしくは断片を検出するためのキットあって、
    (i)配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸71〜83番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、および
    (ii)配列番号1に記載のプレアウグリンのアミノ酸79〜88番目にまたがる配列に含まれる一つのエピトープに特異的な抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、
    を含んでいるキット。
  11. (i)前記第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体が、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、または、DSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9によって産生されるものであり、および、
    (ii)前記第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体が、ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、またはDSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10によって生成されるものである、
    請求項10に記載のキット。
  12. 抗アウグリン抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体であって、抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体が、プレアウグリン配列の6アミノ酸WDRTRP(配列番号13)を含む一つのエピトープに特異的であるか、またはプレアウグリン配列の6アミノ酸QWYQQF(配列番号14)もしくは5アミノ酸WYQQF(配列番号15)を含む一つのエピトープに特異的である、抗アウグリン抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体。
  13. DSM ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、DSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、またはDSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9、から選択されるハイブリドーマ細胞株によって産生される、モノクローナル抗体。
  14. 請求項13の抗体と同じエピトープに結合する抗体。
  15. DSM ACC3206として寄託されている細胞株439/F4、DSM ACC3207として寄託されている細胞株439/H10、DSM ACC3208として寄託されている細胞株482/H2、DSM ACC3209として寄託されている細胞株482/H10、DSM ACC3210として寄託されている細胞株482/H7、またはDSM ACC3211として寄託されている細胞株482/G9、から選択されるハイブリドーマ細胞株。
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