明 細 書
レジスト組成物およびレジストパターン形成方法
技術分野
[0001] 本発明は、イマ一ジョン (immersion)リソグラフィー(浸漬露光)工程を含むレジスト パターン形成方法に用いられるレジスト組成物、および該レジスト組成物を用いるレ ジストパターン形成方法に関する。
本願は、 2004年 07月 15日に日本国特許庁に出願された特願 2004— 208488 号に基づく優先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスにおける微細構造の製造に は、リソグラフィ一法が多用されている。
現在、リソグラフィ一法においては、たとえば ArFエキシマレーザーを用いた最先端 の領域では、線幅が 90nm程度の微細なレジストパターンを形成することが可能とな つているが、今後のデバイス構造のさらなる微細化のために、レジストパターンのさら なる微細化が要求されて 、る。
レジストパターンの微細化を達成するための微細化手段としては、より短波長の光 源、たとえば Fレーザー、 EUV (極端紫外光)、 EB (電子線)、 X線等を用いる光源
2
波長の短波長化や、露光装置のレンズの開口数 (NA)の大口径ィ匕(高 NA化)等が 一般的である。
しかし、光源波長の短波長化は、高額な新たな露光装置が必要となる。また、高 N Aィ匕は、 NAと焦点深度幅とがトレードオフの関係にあるため限界があり、焦点深度幅 を低下させることなく解像性を達成することは困難である。
[0003] そのような中、イマ一ジョンリソグラフィ一という方法が報告されている(例えば、非特 許文献 1〜3参照)。この方法は、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満 たされているレンズとゥエーハ上のレジスト層との間の部分を、空気の屈折率よりも大 きい屈折率を有する溶媒、たとえば純水、フッ素系不活性液体等の溶媒で満たした 状態で露光 (浸漬露光)を行う方法である。
このようなイマ一ジョンリソグラフィーによれば、同じ露光波長の光源を用いても、より 短波長の光源を用いた場合や高 NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成 でき、し力も焦点深度幅の低下もないといわれている。また、イマ一ジョンリソグラフィ 一は、既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、イマ一ジョンリソグラフィ 一は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成 を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において 、コスト的にも、解像度等のリソグラフィ特性的にも、半導体産業に多大な効果を与え るものとして大変注目されて 、る。
非特許文献 1 :ジャーナルォブバキュームサイエンステクノロジー (Journal of Vac uum Science & Technology B) (米国)、 1999年、第 17卷、 6号、 3306— 3 309頁
非特許文献 2 :ジャーナルォブバキュームサイエンステクノロジー (Journal of Vac uum Science & Technology B) (米国)、 2001年、第 19卷、 6号、 2353— 2 356頁
非特許文献 3 :プロシーデイングスォブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE) (米 国) 2002年、第 4691卷、 459— 465頁
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
しかし、イマ一ジョンリソグラフィ一により従来の通常露光プロセスと同程度に良好な レジストパターンが形成されるかどうかは、まだまだ未知な点が多 、。
たとえば、イマ一ジョンリソグラフィ一においては、上述のように、露光時にレジスト層 やレンズに溶媒が接触する。そのため、レジストに含まれる物質が溶媒中へ溶出する 等によりレジスト層が変質してその性能が低下したり、溶出した物質によって溶媒の 屈折率を局所的に変化したり、溶出した物質がレンズ表面を汚染する等により、レジ ストパターン形成に悪影響を与えることが考えられる。すなわち、感度が劣化したり、 得られるレジストパターンが T トップ形状となったり、レジストパターンの表面荒れや 膨潤が生じる等の問題が予想される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、イマ一ジョンリソグラフィーェ
程において用いられる溶媒中への物質溶出を低減できるレジスト組成物、および該 レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段
[0005] 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、 2—へプタノンおよび 乳酸ェチルカゝらなる群カゝら選択される少なくとも 1種の溶剤 (cl)を主成分とする有機 溶剤(C)が、イマ一ジョンリソグラフィー工程において用いられる溶媒中への溶出が 少ない溶剤であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様 (aspect)は、浸漬露光する工程を含むレジストバタ ーン形成方法に用いられるレジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ可溶性 が変化する榭脂成分 (A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分 (B)と、 2—ヘプ タノンおよび乳酸ェチルカ なる群力 選択される少なくとも 1種の溶剤 (cl)を主成 分とする有機溶剤 (C)とを含有するレジスト組成物である。
また、本発明の第二の態様 (aspect)は、前記第一の態様のレジスト組成物を用いる レジストパターン形成方法であって、浸漬露光する工程を含むことを特徴とするレジ ストパターン形成方法である。
発明の効果
[0006] 本発明のレジスト組成物およびレジストパターン形成方法により、イマ一ジョンリソグ ラフィー工程において用いられる溶媒 (以下、液浸媒体ということがある)中への物質 溶出を低減できる。
発明を実施するための最良の形態
[0007] 以下、本発明をより詳細に説明する。
《レジスト組成物》
本発明のレジスト組成物は、浸漬露光する工程を含むレジストパターン形成方法に 用いられるレジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する榭脂 成分 (A) (以下、(A)成分ということがある)と、露光により酸を発生する酸発生剤成 分 (B) (以下、(B)成分ということがある)と、 2—ヘプタノンおよび乳酸ェチルカもなる 群から選択される少なくとも 1種の溶剤 (cl)を主成分とする有機溶剤 (C) (以下、 (C )成分と ヽぅことがある)とを含有する。
[0008] < (八)成分>
(A)成分としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース榭脂 として提案されて ヽる、一種または二種以上のアルカリ可溶性榭脂またはアルカリ可 溶性となり得る榭脂を使用することができる。前者の場合はいわゆるネガ型、後者の 場合は 、わゆるポジ型のレジスト組成物である。
[0009] ネガ型の場合、レジスト組成物には、アルカリ可溶性榭脂および (B)成分とともに架 橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が 発生すると、力かる酸が作用し、アルカリ可溶性榭脂と架橋剤との間で架橋が起こり、 アルカリ不溶性へ変化する。
[0010] 前記アルカリ可溶性榭脂としては、 α - (ヒドロキシアルキル)アクリル酸、または α (ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステル力 選ばれる少なくとも一 つから誘導される単位を有する榭脂が浸漬露光において、膨潤の少ない良好なレジ ストパターンが形成でき、好ましい。
また、前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル 基、特にはブトキシメチル基を有するグリコールゥリルなどの浸漬露光の溶媒に対し て難溶性のアミノ系架橋剤を用いると浸漬露光にぉ 、て、膨潤の少ない良好なレジ ストパターンが形成でき、好ましい。前記架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性榭脂 10
0質量部に対し、 1〜50質量部の範囲が好ましい。
[0011] ポジ型の場合は、(Α)成分は、いわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不 溶性のものであり、露光により(Β)成分から酸が発生すると、力かる酸が前記酸解離 性溶解抑制基を解離させることにより、(Α)成分がアルカリ可溶性となる。
そのため、レジストパターンの形成において、基板上に塗布されたレジスト組成物に 対して選択的に露光すると、露光部のアルカリ可溶性が増大し、アルカリ現像するこ とがでさる。
[0012] (Α)成分は、ポジ型、ネガ型の 、ずれの場合にも、 ( a—低級アルキル)アクリル酸 エステル力も誘導される構成単位を含有することが好ましい。
なお、本発明において、「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位 (単量体 単位)を意味する。
また、「 低級アルキル)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルと、メタク リル酸エステル等の α 低級アルキルアクリル酸エステルの一方あるいは両方を意 味する。
また、「( α—低級アルキル)アクリル酸エステル」の α—位の置換基としての低級ァ ルキル基は、炭素原子数 1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、ェチル 基、プロピル基、イソプロピル基、 η ブチル基、イソブチル基、 tert ブチル基、ぺ ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のァ ルキル基が挙げられる。
「( a—低級アルキル)アクリル酸エステル力 誘導される構成単位」とは、( a—低 級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単 位を意味する。
本発明においては、(A)成分中、 —低級アルキル)アクリル酸エステル力も誘導 される構成単位を、好ましくは 20モル%以上、より好ましくは 50モル%以上含むと好 適なレジスト組成物が得られるので、望ましい。
[0013] ·構成単位 (al)
本発明のレジスト組成物がポジ型の場合、(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有 する( ex 低級アルキル)アクリル酸エステルカゝら誘導される構成単位 (al)を有する ことが好ましい。
構成単位 (al)における酸解離性溶解抑制基は、露光前は (A)成分全体をアル力 リ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光後は (B)成分力 発生した酸 の作用により解離し、この (A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば 特に限定せずに用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシル 基と、環状または鎖状の第 3級アルキルエステルを形成する基、第 3級アルコキシ力 ルポ二ル基、または鎖状アルコキシアルキル基などが広く知られている。なお、「(メタ )アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルと、メタクリル酸エステルの一方あるい は両方を意味する。
[0014] 構成単位 (al)における酸解離性抑制基としては、例えば、脂肪族環式基を含有す る酸解離性溶解抑制基を好適に用いることができる。
本発明における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性 を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性 を持たな!、単環式基または多環式基 (脂環式基)であることを意味し、このとき「脂肪 族環式基」は、炭素および水素からなる基 (炭化水素基)であることに限定はされない
1S 炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のい ずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。好ましくは多環式基 (脂環式基) である。
このような脂肪族環式基の具体例としては、例えば、フッ素原子またはフッ素化アル キル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロ アルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどから 1個の水素原子を除いた 基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロへキサン等のモノシクロア ルカンや、ァダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロド デカンなどのポリシクロアルカンから 1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。こ の様な単環または多環式基は、 ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中 力も適宜選択して用いることができる。これらの中でも、工業上、シクロペンチル基、 シクロへキシル基、ァダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好 ましぐ特にァダマンチル基が好ましい。
[0015] 構成単位 (al)として、より具体的には、下記一般式 (al— l)〜(al— 9)で表される 構成単位が挙げられる。
[0016] [化 1]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基、 R1は低級アルキル基である。 )
[0017] [化 2]
(式中、 Rは水素原子または a—低級アルキル基、 R2および R3はそれぞれ独立して 低級アルキル基である。 )
[化 3]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基、 R4は第 3級アルキル基である。 ) [0019] [化 4]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基である。 )
[0020] [化 5]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基、 R5はメチル基である。 )
[0021] [化 6]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基、 R6は低級アルキル基である。 ) [0022] [化 7]
(式中、 Rは水素原子または α—低級アルキル基である。 )
[0023] [化 8]
[0024]
(式中、 Rは水素原子または α 低級アルキル基、 R7は低級アルキル基である。 ) [0025] 上記 〜 および R6〜R7はそれぞれ、炭素数 1〜5の低級の直鎖または分岐状 アルキル基が好ましぐメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル 基、イソブチル基、 tert ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基 などが挙げられる。工業的にはメチル基またはェチル基が好ま U、。
また、 R4は、 tert ブチル基や tert—ァミル基のような第 3級アルキル基であり、 ter t ブチル基である場合が工業的に好まし!/、。
[0026] 構成単位 (al)としては、上記に挙げた中でも、特に一般式 (al— l)、(al— 2)、 (a 1— 3)、(al— 6)で表される構成単位は、イマ一ジョンリソグラフィー工程において使 用される溶媒に対する耐溶解性に優れ、高解像性に優れるパターンが形成できるた め、より好ましい。
[0027] 構成単位 (al)としては、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
(A)成分中の構成単位 (a l)の割合は、(A)成分の全構成単位の合計に対して、 5 〜60モル%が好ましぐ 5〜50モル%がより好ましい。下限値以上とすることによって 、レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他 の構成単位とのバランスをとることができる。
[0028] ·構成単位 (a2)
(A)成分は、前記構成単位 (al)の他に、ラタトン含有単環または多環式基を有す る( ex—低級アルキル)アクリル酸エステルカゝら誘導される構成単位 (a2)を有すること が好ましい。
構成単位 (a2)のラタトン含有単環または多環式基は、 (A)成分をフォトレジスト膜 の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水 性を高めたりするうえで有効なものである。
なお、ここでのラタトンとは、 -o-c(o)—構造を含むひとつの環を示し、これをひ とつの目の環として数える。したがって、ラタトン環のみの場合は単環式基、さらに他 の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
[0029] 構成単位 (a2)としては、このようなラタトンの構造(一0— C (O)―)と環基とを共に 持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラタトン 含有単環式基としては、 y—プチ口ラタトン力 水素原子 1つを除いた基が挙げられ 、また、ラタトン含有多環式基としては、ラタトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロ アルカン、テトラシクロアルカン力も水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以 下のような構造式 (IV)、または構造式 (V)を有するラタトン含有トリシクロアルカンか ら水素原子を 1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
[0030] [化 10]
[0031] 構成単位 (a2)の例としては、ラタトン含有モノシクロアルキル基またはトリシクロアル キル基を含む( α—低級アルキル基)アクリル酸エステルカゝら誘導される構成単位等 が挙げられる。
構成単位 (a2)の例として、より具体的には、下記一般式 (a2— l)〜(a2— 5)で表 される構成単位が挙げられる。
[0032] [化 11]
(式中、 R'は水素原子または低級アルキル基である。 )
[化 12]
(式中、 R'は水素原子または低級アルキル基である。 )
この構成単位は、結合位置が 5位又は 6位の異性体の混合物として存在する。
[化 13]
(式中、 R,は水素原子または低級アルキル基であり、 R8、 R9は、それぞれ独立に、水 素原子または低級アルキル基である。 )
[0035] [化 14]
(式中、 R'は水素原子または低級アルキル基であり、 oは 0または 1である。 )
[0036] [化 15]
(式中、 R'は水素原子または低級アルキル基である)
[0037] 一般式 (a2— 1)〜(a2— 5)における R'の低級アルキル基としては、前記構成単位
(al)における Rの低級アルキル基と同じである。
一般式 (a2— 3)中、 R8および R9は、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキ ル基であり、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
[0038] また、このような一般式(a2— l)〜(a2— 5)で表される構成単位の中では、レジスト 組成物に用いた場合に近接効果の抑制'低減についての効果が優れる等の点で、 ラタトン骨格上の ex炭素にエステル結合を有する一般式 (a2— 3)で表される 低 級アルキル)アクリル酸の γ ブチロラタトンエステル、すなわち γ ブチロラタトンの ( a—低級アルキル)アクリル酸エステル力も誘導される構成単位が好ましい。
また、一般式 (a2—l)、 (a2— 2)で表される —低級アルキル)アクリル酸のノル ボルナンラタトンエステル、すなわちノルボルナンラタトンの( a 低級アルキル)ァク リル酸エステルカゝら誘導される構成単位は、レジスト組成物に用いた場合に得られる レジストパターンの形状、例えば矩形性がさらに良好であるため、好ましい。特に、一 般式 (a2— 2)で表される構成単位はその効果が極めて高ぐ好ましい。これらのなか でも一般式 (a2— 3)で表される構成単位が最も好ま ヽ。
[0039] (A)成分において、構成単位 (a2)は、 1種だけを用いてもよいし、相互に異なる 2 種以上を組み合わせて用いることも可能である。(A)成分の骨格中に、相互に異なる 2種以上のラタトン骨格を導入することにより、フォトレジスト膜の基板への密着性ゃァ ルカリ現像液親和性およびエッチング耐性が更に向上するため好ましい。
[0040] 構成単位 (a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、 5〜80 モル%が好ましぐ 5〜60モル%がより好ましい。下限値以上とすることにより構成単 位 (a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他 の構成単位とのバランスをとることができる。
[0041] ·構成単位 (a3)
(A)成分は、前記構成単位 (al)に加えて、または前記構成単位 (al)および (a2) に加えて、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含有する(α 低級アルキル)ァク リル酸エステルカゝら誘導される構成単位 (a3)を有することが好ま ヽ。構成単位 (a3 )を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露 光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シァノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。 脂肪族炭化水素基としては、炭素数 1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基( アルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基 (多環式基)が挙げられる。該多環式
基としては、例えば ArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の榭脂において、多数 提案されて 、るものの中力 適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シァノ基またはカルボキシル基含有脂肪族多環式基を含み、 かつ (メタ)アクリル酸エステル力も誘導される構成単位がより好ま 、。該多環式基と しては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから 1個以上 の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、ァダマンタン、ノルボルナン 、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから 1 個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、 ArFエキシ マレーザー用レジスト組成物用のポリマー (榭脂成分)において、多数提案されてい るものの中力 適宜選択して用いることができる。これらの多環式基の中でもァダマン チル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
[0042] 構成単位 (a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭 素数 1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基のときは、 —低級アルキル)ァク リル酸のヒドロキシェチルエステル力 誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素 基が多環式基のときは、下記式 (a3— l)、 (a3— 2)で表される構成単位が好ましい ものとして挙げられる。
[0043] [化 16]
(式中、 R'は前記に同じであり、 nは 1〜3の整数である。 )
[0044] これらの中でも、 nが 1であり、水酸基がァダマンチル基の 3位に結合しているものが 好ましい。
(式中、 R'は前記に同じであり、 kは 1〜3の整数である。 )
[0046] これらの中でも、 kが 1であるものが好ましい。これらは異性体の混合物として存在す る(シァノ基がノルボルナニル基の 4位または 5位に結合して ヽる化合物の混合物)。
[0047] 構成単位 (a3)は (A)成分の必須成分ではな!/ヽが、これを (A)成分に含有させる際 には、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、 5〜50モル0 /0、好ましくは 1
0〜40モル%含まれていると好ましい。下限値以上とすることにより、 LER (ラインエツ ジラフネス)の向上効果が良好となり、上限値をこえると他の構成単位のバランスの点 等からレジストパターン形状が劣化するおそれがある。
[0048] ·構成単位 (a4)
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の構成単位 (al)ないし (a3
)に分類されない他の構成単位 (a4)、すなわち酸解離性溶解抑制基、ラタトン官能 基、極性基を含有しない構成単位を有していてもよい。
構成単位 (a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含み、かつ — 低級アルキル)アクリル酸エステルカゝら誘導される構成単位などが好まし ヽ。この様な 構成単位を用いると、ポジ型レジスト組成物用として用いたときに、孤立パターンから セミデンスパターン(ライン幅 1に対してスペース幅が 1. 2〜2のラインアンドスペース パターン)の解像性に優れ、好ましい。
[0049] 該多環式基は、例えば、前記の構成単位 (a3)の場合に例示したものと同様のもの を例示することができ、 ArFポジレジスト材料として従来から知られて!/、る多数のもの 力 適宜選択して使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、ァダマンチル基、テトラシクロドデ力-ル基力 選ばれる
少なくとも 1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。 特に下記一般式 (a4— 1)〜(a4— 3)であることが好ま 、。
[0050] [化 18]
(式中、 R'は前記と同じである。 )
[0051] [化 19]
(式中、 R'は前記と同じである。 )
[0052] [化 20]
(a4-3)
(式中、 R'は前記と同じである。 )
[0053] 力かる構成単位 (a4)は、(A)成分の必須成分ではないが、これを (A)成分に含有 させる際には、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位 (a4)を 1 〜30モル0 /0、好ましくは 10〜20モル0 /0含有させると、孤立パターン力もセミデンスパ ターンの解像性にぉ 、て良好な向上効果が得られるので好ま 、。
[0054] (A)成分は、各構成単位にそれぞれ相当するモノマーを、ァゾビスイソプチ口-トリ ル (AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって共 重合させることにより、容易に製造することかできる。
[0055] また、(A)成分の質量平均分子量 (ポリスチレン換算、以下同様)は、特に限定する ちので ίまな!、力 2000〜30000力好ましく、 ガ型の場合 ίま 2000〜20000力より 好ましく、 4000〜15000力 Sさらに好ましく、ポジ型の場合 ίま 5000〜30000力 Sより好 ましぐ 8000〜20000力 Sさらに好ましい。この範囲よりも大きいとレジスト溶剤への溶 解性が悪くなり、小さ!/、と耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が悪くなる おそれがある。
[0056] < (Β)成分 >
(Β)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物にお 、て使用されて 、る公知の酸 発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ョードニゥム塩やスルホ -ゥム塩などのォ-ゥ ム塩系酸発生剤、ォキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスァリー ルスルホ -ルジァゾメタン類、ポリ(ビススルホ -ル)ジァゾメタン類などのジァゾメタン 系酸発生剤、ニトロべンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤 、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られて 、る。
[0057] ォ-ゥム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフエ-ルョードニゥムのトリフルォロメタ ンスルホネートまたはノナフルォロブタンスルホネート、ビス(4— tert ブチルフエ- ル)ョードニゥムのトリフルォロメタンスルホネートまたはノナフルォロブタンスルホネー ト、トリフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプ 口パンスルホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、トリ(4 メチルフエ- ル)スノレホニゥムのトリフノレオロメタンスノレホネート、そのヘプタフノレォロプロパンスノレ
ホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、ジメチル(4ーヒドロキシナフチ ル)スノレホニゥムのトリフノレオロメタンスノレホネート、そのヘプタフノレォロプロパンスノレ ホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、モノフエ-ルジメチルスルホ -ゥ ムのトリフルォロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたは そのノナフルォロブタンスルホネート、ジフエ-ルモノメチルスルホ-ゥムのトリフルォ ロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォ ロブタンスルホネート、(4 メチルフエ-ル)ジフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタ ンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブ タンスルホネート、(4—メトキシフエ-ル)ジフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタン スルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブタ ンスルホネート、トリ(4— tert—ブチル)フエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタンスル ホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブタンス ルホネートなどが挙げられる。
前記ォキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、 α - (ρ -トルエンスルホ- ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド、 α - (ρ -クロ口ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) - ベンジルシア-ド、 α - (4 -二トロベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド 、 α - (4-ニトロ- 2-トリフルォロメチルベンゼンスルホニルォキシィミノ) -ベンジルシア -ド、 α - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-クロ口べンジルシア-ド、 α - (ベンゼ ンスルホ -ルォキシィミノ) - 2, 4-ジクロロべンジルシア-ド、 α - (ベンゼンスルホ-ル ォキシィミノ) - 2, 6 -ジクロロべンジルシア-ド、 α - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシベンジルシア-ド、 α - (2-クロ口ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メト キシベンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -チェン- 2-ィルァセト 二トリル、 at - (4-ドデシルベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド、 α - [ ( ρ -トルエンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシフエ-ル]ァセトニトリル、 at - [ (ドデシ ルベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシフエ-ル]ァセトニトリル、 α - (トシルォ キシィミノ) -4-チェ-ルシア-ド、 a - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペン テュルァセトニトリル、 OC - (メチルスルホ -ルォキシィミノ)- 1 -シクロへキセ-ルァセト -トリル、 α - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロヘプテュルァセトニトリル、 α -
(メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロオタテュルァセトニトリル、 α - (トリフルォロ メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 α - (トリフルォロメ チルスルホ -ルォキシィミノ) -シクロへキシルァセトニトリル、 α - (ェチルスルホ -ル ォキシィミノ) -ェチルァセトニトリル、 OC - (プロピルスルホ -ルォキシィミノ) -プロピル ァセトニトリル、 OC - (シクロへキシルスルホニルォキシィミノ) -シクロペンチルァセトニト リル、 α - (シクロへキシルスルホ -ルォキシィミノ) -シクロへキシルァセトニトリル、 α - (シクロへキシルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 α - (ェ チルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 α - (イソプロピルス ルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 α - (η-ブチルスルホ -ル ォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 (X - (ェチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロへキセ-ルァセトニトリル、 at - (イソプロピルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シ クロへキセニルァセトニトリル、 α - (η-ブチルスルホニルォキシィミノ) - 1 -シクロへキ セ-ルァセトニトリル、 OC - (メチルスルホ -ルォキシィミノ)—フエ-ルァセトニトリル、 a - (メチルスルホ -ルォキシィミノ)—p—メトキシフエ-ルァセトニトリル、 α - (トリフ ルォロメチルスルホ -ルォキシィミノ) フエ-ルァセトニトリル、 α—(トリフルォロメチ ルスルホ -ルォキシィミノ)—ρ—メトキシフエ-ルァセトニトリル、 α - (ェチルスルホ -ルォキシィミノ)—ρ—メトキシフエ-ルァセトニトリル、 α - (プロピルスルホ -ルォ キシィミノ)—ρ—メチルフエ-ルァセトニトリル、 (X - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) —ρ ブロモフエ-ルァセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、 α - (メチルス ルホ -ルォキシィミノ)— ρ—メトキシフエ-ルァセトニトリルが好ましい。
前記ジァゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスァリールスルホ -ルジ ァゾメタン類の具体例としては、ビス (イソプロピルスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス(ρ— トルエンスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス( 1 , 1—ジメチルェチルスルホ -ル)ジァゾメタ ン、ビス(シクロへキシルスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス(2, 4 ジメチルフエ-ルスル ホニル)ジァゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジァゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ 1 , 3 ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)プロパン(ィ匕合物 Α、分解 点 135°C)、 1 , 4 ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)ブタン(化合物
B、分解点 147°C)、 1, 6—ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)へキサ ン(化合物 C、融点 132°C、分解点 145°C)、 1, 10—ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾ メチルスルホ -ル)デカン(ィ匕合物 D、分解点 147°C)、 1 , 2—ビス(シクロへキシルス ルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)ェタン(ィ匕合物 E、分解点 149°C)、 1, 3—ビス(シ クロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)プロパン(ィ匕合物 F、分解点 153°C )、 1, 6—ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)へキサン(ィ匕合物 G、融点 109°C、分解点 122°C)、 1, 10—ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチ ルスルホニル)デカン (ィ匕合物 H、分解点 116°C)などを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を 1種単独で用いてもよいし、 2種以上を組み 合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、高分子化合物 (A) 100質量部に対し、 0. 5〜30質量部が 好ましぐ 1〜 10質量部がより好ましい。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に 行われないおそれがあり、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくぐ保存安定
性が低下する原因となるおそれがある。
[0062] < (C)成分 >
本発明においては、(C)成分が、 2—ヘプタノンおよび乳酸ェチルカ なる群から 選択される少なくとも 1種の溶剤 (cl)を主成分とすることが必要である。溶剤 (cl)を 含むレジスト組成物を用いたレジスト層にお!/、ては、イマ一ジョンリソグラフィー工程 において用いられる液浸媒体中に溶剤(cl)が溶出しにくぐこれにより、イマ一ジョン リソグラフィー工程において用いられる液浸媒体中への物質溶出を低減できる。
(C)成分中における主成分としての溶剤(cl)の含有割合は、 50〜: LOO質量%が 好ましぐ 80〜: LOO質量%がより好ましぐ 90〜: LOO質量%がさらに好ましい。最も好 ましくは 100質量%、すなわち(C)成分が溶剤 (cl)のみ力もなることが好ま 、。 溶剤 (cl)としては、 2—へプタノンおよび乳酸ェチルのいずれか一方を単独で用 いてもよぐ両方を併用してもよい。
これらのなかでも、 2—ヘプタノンカ 特に液浸媒体中に溶出しにくぐ好ましい。
[0063] 本発明において、(C)成分は、上記溶剤(cl)以外の溶剤(c2)を含有してもよい。
溶剤 (c2)としては、本発明の効果を損なわず、使用する各成分を溶解し、均一な溶 液とすることができるものであればよぐ従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知 のものの中から任意のものを 1種または 2種以上適宜選択して用いることができる。 溶剤(c2)としては、例えば、 γ—ブチ口ラタトン、アセトン、メチルェチルケトン、シク 口へキサノン、メチルイソアミルケトンなどの、 2—へプタノン以外のケトン類や、ェチレ ングリコール、エチレングリコーノレモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレン グリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート 、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチル エーテル、モノェチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたは モノフエ-ルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジォキサンのよ うな環式エーテル類や、乳酸メチル、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸ブチル、ピルビ ン酸メチル、ピルビン酸ェチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸ェ チルなどの、乳酸ェチル以外のエステル類などを挙げることができる。
これらの溶剤(c2)は単独で用いてもよぐ 2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
[0064] (C)成分の使用量は、特に限定されず、基板等の支持体に塗布可能な濃度で、塗 布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分 濃度が 2〜20質量%、好ましくは 5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
[0065] < (D)成分 >
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性 などを向上させるために、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物 (D) (以下、 (D)成分と 、う)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意 に用いれば良いが、ァミン、特に第 2級低級脂肪族アミンゃ第 3級低級脂肪族ァミン が好ましい。
ここで、低級脂肪族ァミンとは炭素数 12以下のアルキルまたはアルキルアルコール のァミンを言い、この第 2級や第 3級ァミンの例としては、トリメチルァミン、ジェチルァ ミン、トリエチノレアミン、ジ プロピルァミン、トリ一 n—プロピルァミン、トリ一 n—ぺ ンチルァミン、トリ一 n—ドデシルァミン、トリ一 n—ォクチルァミン、ジエタノールァミン 、トリエタノールァミン、トリイソプロパノールなどが挙げられる。特に炭素数 5〜 12のァ ルキル基を有する脂肪族第 3級ァミンが好ましぐ特にはトリー n—才クチルァミンが 好ましい。
また、下記一般式 (VI)で表される含窒素有機化合物も好ましく用いることができる [0066] [化 22]
N ~<~ R11— 0—— Rt2—— 0—— R13 )3 " (VI)
(式中、 R11 R12は、それぞれ独立して低級アルキレン基、 R13は低級アルキル基を 示す。)
[0067] 尺11、 R12、 R13は直鎖、分岐鎖、環状であってもよいが、直鎖、分岐鎖状であること が好ましい。
1、 R12、 R13の炭素数は、分子量調整の観点から、それぞれ 1〜5、好ましくは 1〜 3である。 1、 R12、 R13の炭素数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。尺11、
R の構造は同じであってもよ 、し、異なって 、てもよ 、。
一般式 (VI)で表される化合物としては、例えばトリス-(2—メトキシメトキシェチル) ァミン、トリスー 2—(2—メトキシ (エトキシ))ェチルァミン、トリス-(2—(2—メトキシエト キシ)メトキシェチル)ァミン等が挙げられる。中でもトリス一 2— (2—メトキシ (エトキシ ) )ェチルァミンが好ましい。
これらの(D)成分の中では、とくに上記一般式 (VI)で表される化合物が好ましぐ 特にトリスー 2—(2—メトキシ (エトキシ))ェチルァミン力 液浸媒体に対する溶解性 力 S小さく好ましい。
これらは単独で用いてもょ 、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。 これらの(D)成分は、(A)成分に対して、通常 0. 01〜5. 0質量%の範囲で用いら れる。
[0068] < (E)成分 >
また、本発明のポジ型レジスト組成物には、前記 (D)成分の配合による感度劣化を 防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の 成分として、有機カルボン酸またはリンのォキソ酸若しくはその誘導体 (E) (以下、(E )成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と (E)成分は併用することも できるし、いずれか 1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クェン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香 酸、サリチル酸などが好適である。
リンのォキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ -n-ブチルエステル、リ ン酸ジフエ-ルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルのような誘導体、ホスホ ン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸-ジ -n-ブチルエステル、フエニルホス ホン酸、ホスホン酸ジフエ-ルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホ ン酸およびそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フエ-ルホスフィン酸など のホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特 にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分 100質量部当り 0. 01〜5. 0質量部の割合で用いられる。
[0069] <その他の任意成分 >
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例え ばレジスト膜の性能を改良するための付加的榭脂、塗布性を向上させるための界面 活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添 カロ含有させることができる。
[0070] 本発明のレジスト組成物は、上記 (A)成分および (B)成分、並びにその他の任意 の成分を、(C)成分に溶解させて製造することができる。例えば、上述する各成分を 通常の方法で混合、攪拌するだけでよぐ必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー 、 3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、 さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
[0071] 《レジストパターン形成方法》
次に、本発明に力かるレジストパターン形成方法について説明する。
まずシリコンゥエーハ等の基板上に、本発明に力かるレジスト組成物をスピンナ一な どで塗布した後、プレベータ (PAB処理)を行う。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止 膜を設けた 2層積層体とすることもできる。
また、レジスト組成物の塗布層上に有機系の反射防止膜を設けた 2層積層体とする こともでき、さらにこれに下層の反射防止膜を設けた 3層積層体とすることもできる。 ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用する レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
[0072] 次 、で、上記で得られたレジスト組成物の塗膜であるレジスト層に対して、所望のマ スクパターンを介して選択的に浸漬露光(Liquid Immersion Lithography)を行 このとき、予め、レジスト層と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率より も大きい屈折率を有する溶媒で満たすが、さらに、空気の屈折率よりも大きくかつ前 記レジスト層の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒で満たした状態で露光 を行うことが好ましい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、 ArFエキシマレーザー、 KrFエキシマレー ザ一、 Fレーザー、 EUV (極紫外線)、 VUV (真空紫外線)、電子線、 X線、軟 X線な
どの放射線を用いて行うことができる。本発明に力かるレジスト組成物は、 KrFまたは ArFエキシマレーザー、特に ArFエキシマレーザーに対して有効である。
[0073] 上記のように、本発明のレジストパターン形成方法においては、露光時に、レジスト 層と露光装置の最下位置のレンズ間に、空気の屈折率よりも大きい溶媒で満たすこ とが好ましい。
空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不 活性液体等が挙げられる。
[0074] 該フッ素系不活性液体の具体例としては、 C HC1 F、 C F OCH、 C F OC H
3 2 5 4 9 3 4 9 2 5
、 C H F等のフッ素系化合物を主成分とする液体や、パーフロォ口アルキル化合物
5 3 7
のような、沸点が好ましくは 70〜180°C、より好ましくは 80〜160°Cのものを挙げるこ とができる。このパーフロォ口アルキル化合物としては、具体的には、パーフルォロア ルキルエーテル化合物やパーフルォロアルキルアミン化合物を挙げることができる。 さらに、具体的には、前記パーフルォロアルキルエーテル化合物としては、パーフル ォロ(2—ブチル一テトラヒドロフラン)(沸点 102°C)を挙げることができ、前記パーフ ルォロアルキルアミン化合物としては、パーフルォロトリブチルァミン(沸点 174°C)を 挙げることができる。フッ素系不活性液体の中では、上記範囲の沸点を有するものが 、露光終了後に行う液浸媒体の除去が簡便な方法で行えることから、好ましい。
[0075] 本発明においては、本発明のレジスト組成物が特に水に対する悪影響を受けに《 、感度、レジストパターンプロファイル形状に優れることから、液浸媒体が水であること が好ましい。また、水は、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好まし い。
[0076] 次 、で、露光工程を終えた後、 PEB (露光後加熱)を行 、、続、て、アルカリ性水 溶液カゝらなるアルカリ現像液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用い て水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下ま たは噴霧して、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を 洗い流す。そして、乾燥を行うことにより、レジスト組成物の塗膜がマスクパターンに応 じた形状にパターユングされた、レジストパターンが得られる。
[0077] 上記本発明のレジスト組成物およびレジストパターン形成方法においては、液浸媒
体中への(c)成分の溶出量が少ないことから、イマ一ジョンリソグラフィー工程におい て用いられる液浸媒体中への物質溶出を低減できる。そのため、液浸媒体の汚染が 低減され、それによつて、液浸媒体の性質の変化、たとえば屈折率の局所的変化を 軽減できる。また、露光装置のレンズの汚染も低減される。さらに、 (C)成分の溶出が 軽減され、レジスト組成の変化が軽減されるため、レジスト層の性能の変ィ匕も抑制さ れると推測される。
そのため、形成されるレジストパターンの解像性や形状等の劣化につ!ヽても抑制で きると期待される。
また、液浸媒体や露光装置のレンズの汚染が低減されるため、これらに対する保護 対策を行わなくてもよぐプロセスや露光装置の簡便化に貢献することが期待される。 実施例
[0078] 以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され るものではない。
[実施例 1]
下記の (A)成分、(B)成分、および (D)成分を (C)成分に均一に溶解し、ポジ型レ ジスト組成物 1を調製した。
(A)成分としては、下記式(1)に示した 3種の構成単位力 なるメタクリル酸エステ ル 'アクリル酸エステルの共重合体 100質量部を用いた。 (A)成分の調製に用いた 各構成単位 p、 q、 rの比は、 p = 50モル0 /0、 q = 30モル0 /0、 r = 20モル0 /0とした。調製 した (A)成分の質量平均分子量は 10000であった。
[0079] [化 23]
[0080] (B)成分としては、トリフエ-ルスルホ-ゥムノナフルォロブタンスルホネート 9. 0質
量部を用いた。
(C)成分としては、乳酸ェチル (以下、「EL」と略記する。) 1250質量部を用いた。
(D)成分としては、トリ— n—ォクチルァミン 1. 0質量部を用いた。
[0081] 次に、上記で得られたポジ型レジスト組成物 1を用いて、レジストパターンの形成を 行った。
まず、ポジ型レジスト組成物 1を、スピンナーを用いて直径 8インチのシリコンゥエー ハ上に塗布し、ホットプレート上で 130°C、 90秒間プレベータして、乾燥させることに より、膜厚 200nmのレジスト層を形成した。
[0082] このようにして形成されたレジスト層上に、直径 130mmの円内抽出用の器具を設 けた後、 23°Cの純水を 30mL滴下し、常温で 5分間放置した。次に該純水を GC— MS (ガスクロマトグラフ Z質量分析計) 5973型 (Agilent Technologies社製)にて 分析して (C)成分の濃度を測定し、露光前のレジスト層 1平方センチメートルあたりの (C)成分の溶出量 (モル Zcm2)を求めた。その結果を表 1に示す。
[0083] また、上記と同様にしてレジスト層を形成し、簡易型露光装置 VUVES4500 (リソテ ックジャパン株式会社製)を用いて、 ArFエキシマレーザー(193nm)で、 30iujZc m2の露光量でオープンフレーム露光(マスクを介さな 、で露光)を行った。
次に、露光されたレジスト層上に直径 130mmの円内抽出用の器具を設けた後、 23 °Cの純水を 30mL滴下し、常温で 5分間放置した。該純水を GC— MS (ガスクロマト グラフ Z質量分析計) 5973型 (Agilent Technologies社製)にて分析して (C)成 分の濃度を測定し、露光後のレジスト層 1平方センチメートルあたりの(C)成分の溶 出量 (モル Zcm2)を求めた。その結果を表 1に示す。
[0084] [実施例 2]
実施例 1にお 、て (C)成分として 2—ヘプタノン (以下、「HP」と略記する) 1250質 量部を用いた以外は実施例 1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、同様の評 価を行った。その結果を表 1に示す。
[0085] [比較例 1]
実施例 1にお 、て (C)成分としてプロピレングリコールモノメチルエーテルァセテ一 ト(以下、「PM」と略記する) 1250質量部を用いた以外は実施例 1と同様にしてポジ
型レジスト組成物を調製し、同様の評価を行った。その結果を表 1に示す。
[0086] [比較例 2]
実施例 1にお 、て (C)成分として、 EL: PM = 4: 6 (質量比)の混合溶剤 1250質量 部を用いた以外は実施例 1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、同様の評価 を行った。その結果を表 1に示す。
[0087] [比較例 3]
実施例 1にお 、て (C)成分として、 PM:プロピレングリコールモノメチルエーテル( 以下、「PE」と略記する) =6 :4 (質量比)の混合溶剤 1250質量部を用いた以外は実 施例 1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、同様の評価を行った。その結果 を表 1に示す。
[0088] [表 1]
上記結果から、実施例 1および実施例 2のレジスト組成物を用いた場合、露光処理 前後の液浸媒体 (水)中の(C)成分の濃度はいずれも 1 X 10_
12モル Zcm
2未満(lp pb未満)と非常に低 、ものであった。
これに対し、比較例 1 3のレジスト組成物を用いた場合、露光処理前後の液浸媒 体 (水)中の(C)成分の濃度は、いずれも 1. 6 X 10—12モル Zcm2を越えており、実 施例のほぼ 10倍以上であった。
上記実施例および比較例において、露光前の溶出量は、選択的露光を施してレジ ストパターンを形成する際の未露光部における溶出量を評価するためのものであり、
露光後の溶出量は、露光部における溶出量を評価するためのものである。したがつ て、実施例 1, 2においては、露光前と露光後の両方において、液浸媒体 (水)に対し て(C)成分の溶出量が少なカゝつたことから、実施例 1および実施例 2のレジスト組成 物が、浸漬露光する工程を含むレジストパターン形成方法に好適に使用できることは 明らかである。