明 細 書
ガスケット及びその製造方法及びガスケットの取り付け方法
技術分野
[0001] 本発明は、ガスケット及びその製造方法及びガスケットの取り付け方法に関する。
特に、ハードディスク(HDD)装置の蓋と本体の間をシールするガスケット、燃料電池 のセパレータ間のシール用ガスケットを始めとして、携帯電話などの通信機器、 OA 機器、 自動車に搭載の電子回路ボックスなどの湿気、排ガス、煤塵を嫌う各種電子 製品の保護に必要なシールを目的としたガスケット及びその製造方法及びガスケット の取り付け方法に関する。
背景技術
[0002] 電子機器の小型化、高性能化の要求に伴って、各構成部品の薄型化が希求され ている。このような要求に応じるために電子機器のケーシング本体や蓋体など薄型化 されており、その結果、各構成部材の剛性も低下傾向にあり、その剛性低下に対応し 、シール用ガスケットも薄く細くかつ柔らかさのあるものが求められるに至っている。
[0003] 各種電子機器に用いられるようなガスケットは、当初より輪ゴムのように細いものであ つため、更に柔らかさを求められると、その取扱性が悪くなる。例えば、 HDDの蓋に ガスケットを貼り付ける場合において、位置決めが困難になり、作業性が極めて悪い ものとなる。これに対する改善策が、以下に説明するように、幾つか提案されている。
[0004] 特許文献 1には、「剛性付与樹脂層のフィルムまたはシートからなる中央層と、該中 央層の一面に一体化され、これより硬さが小さい低剛性の非発泡ゴムまたは非発泡 弾性プラスチックのフィルムまたはシートからなる密着層と、上記中央層の他面に一 体化され、上記密着層よりも硬さが小さいゴムまたは弾性プラスチックフォームからな る弾性層とからなり、全体をリング状に打ち抜いてパッキン材とする」構成が開示され ている。
[0005] この特許文献 1では、剛性に富む中央層が設けられているため、パッキンの形状を 維持しやすぐ取り付け対象である被シール部位への取り付け作業が容易になって いる。また、中央層の両面にゴム状物があるためシール性にも優れている。
[0006] 特許文献 2には、「発泡合成樹脂やスポンジなどの多孔体からなるシール層と、シ ール層に積層された接着層と、接着層に積層されたセパレータとをもつ電気機器の シール材において、シール層が、接着層との間に配置され、シール層および接着層 に接着された合成樹脂のシートあるいはフィルムからなる補強層を具備してなることを 特徴とする電気機器のシール材」が開示されている。
[0007] この特許文献 2に開示のシール材は、シール層(発泡体) Z接着層 Z補強フィルム 層 Z接着層 Zセパレータという構成を有しており、中間層として補強フィルムが用い られている。この特許文献 2においても、剛性のある中間層によりシール材の形状を 維持しやすぐそれによつて取り付け対象である被シール部位へのシール材の取り付 け作業が容易になっている。
[0008] 特許文献 3には、「穴開きのフィルムの片面から流動状態の樹脂を供給し、前記穴 力 他面に樹脂を漏出させて、フィルムの両面にパッキンを形成するシール材の製 造方法」とそれによって得られる「シール材」が開示されてレ、る。
[0009] この特許文献 3においても、シール材の中間層が剛性のあるフィルムから構成され ているため、シール材の形状を維持しやすぐそれによつて取り付け対象である被シ ール部位へのシール材の取り付け作業が容易になっている。
[0010] 特許文献 4には、「弾性体で形成されるガスケット基体の片面にシート状物が設けら れ、被シール部位に対しガスケット基体側を取付け面として接着、その後、シート状 物を剥離する」構成のシート材が開示されている。
[0011] この特許文献 4では、ガスケット基体が被シール部位に接着されるまで、剛性に富 むフィルムにより支持されるので、取り付け対象である被シール部位への取り付け作 業が容易になっている。
[0012] 特許文献 5には、「メタ口セン触媒を用いたポリプロピレンを枠体に、熱可塑性エラス トマ一の射出成形で得たガスケットを融着してなる枠体一体型ガスケット」が開示され ている。
[0013] 特許文献 6には、「結晶化度 60〜85。/0のポリプロピレンを枠体にし、この枠体に熱 可塑性エラストマ一の射出成形で得たガスケット基体を融着した枠体一体型ガスケッ ト」が開示されている。
[0014] これらの特許文献 5及び特許文献 6は、枠付ガスケットに関するもので、枠体を採用 することによりガスケットに剛性を持たせ、取り付け対象である被シール部位への装着 性を改良することが開示されている。また、これらの特許文献 5及び特許文献 6の製 造方法によると、枠体とガスケットの一体化は、二色成形法、又は所定形状の枠体を 作製し、この枠体を金型に載置した後、枠体に熱可塑性エラストマ一を射出成形する インサート成形法が開示されている。
[0015] 特許文献 1 :特開平 9一 189362号公報
特許文献 2 :特開平 10— 173364号公報
特許文献 3:特許第 3022804号公報
特許文献 4 :特開 2003— 120816号公報
特許文献 5 :特開 2000— 240801号公報
特許文献 6:特開 2000— 240802号公幸艮
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0016] 前記特許文献 1では、被シール部位への取り付け性はある程度改善されているが、 さらなる改善が望まれている。特に、取り付け性の改善と、使用材料の低減および製 造工程の簡略化とを同時に実現することが、望まれている。また、積層品から打ち抜 くため、ロスが出てごみが増大する。また、ロスは再生が出来ないため焼却せざるを 得ない。また、積層構造を製造するのに複雑な生産工程が必要となり、価格が高いと レ、つた欠点がある。
[0017] また、前記特許文献 2では、最終製品が打抜き品であるため、使用材料の低減化 が課題である。また、合成樹脂のシートあるいはフィルムからなる補強層を介して、発 泡合成樹脂などのシール層を接着したシート材を打抜く為、打抜きロスは異種材料 が混在するので、焼却か埋め立てなどで処分せざるを得なレ、。また、シール層と補強 層 14との接着は、公知の両面接着テープを使用しており、これらを接着するために 付カ卩的な工程が必要となる。
[0018] また、前記特許文献 3の構成では、フィルムの穴を通してフィルムの片面から他面 に樹脂を漏出させて他面のシール部分を形成するので、使用する樹脂が低粘度で
あっても、穴近辺にボイドが残りやすぐボイドが生じると、その部分のシール性は必 然的に劣化してしまう。また、この構成では、熱可塑性樹脂を用いた射出成形による 成形は不可能である。
[0019] また、前記特許文献 4では、支持フィルムをガスケット基材から剥離できるようにフィ ルムには離型処理が必要である。この離型処理に、通常使用されるシリコーン材を用 レ、ると、取り付け対象が HDDである場合、シリコーン成分がハードディスク表面に付 着してハードディスク特性を阻害する虞がある。そこで、この特許文献 4では、支持フ イルムには、シリコーン材を用いた離型処理を施す必要のなレ、、すなわちフィルムそ のものが高い離型性を有する特殊なフィルムを用いている。また、この特許文献 4で は、支持フィルムとガスケット基体からなる積層シートを作った後、所定形状に打抜い て用いるため、打抜きロスが生じる。
[0020] また、ガスケット断面形状としてドーム型などは出来ず四角形しか作れないため、断 面形状を調整して圧縮面積を低減化することによってガスケットの低硬度化を図るこ とは不可能である。そこで、ガスケットの低硬度化は素材自体の硬度を低下すること によって対応せざるを得ず、低硬度化の困難度が高い。このように、特許文献 4に開 示のガスケットでは、被シール部位への取り付け性はある程度改善されている力 そ のような性能を維持しつつ、使用材料の低減および製造工程の簡略化を実現するこ とが課題として指摘されてレ、る。
[0021] また、前記特許文献 5の枠付ガスケットは、 HDDに組み付ける場合に、 HDD本体 のハウジングにガスケット施工位置がずれなレ、様に溝が必要で、その溝にガスケット がおさまるような構造が必要であり、そのためハウジングに追カ卩の加工が必要で非常 にコストアップになる。また、枠体を作りインサート成形ないし 2色成形でガスケットを 一体化させるため、枠体を作るために別工程と別の金型が必要となる。従って、成形 サイクルが長くなり、そのためコストアップとなる欠点がある。
[0022] また、前記特許文献 6の枠付ガスケットと、前記特許文献 5の枠付ガスケットとは、枠 体となるポリプロピレンの組成が異なるだけであり、枠体が一体化されている点では、 前記特許文献 5と同様な欠点を有する。
[0023] 以上のように、前記特許文献 1、 2、 4は異種材料の打抜き品であり、前記特許文献
3はモールド成形品、前記特許文献 5、 6は枠付品である。これら従来技術のガスケッ トは一つ一つばらばらな製品であり、各ガスケットを個別に製造しなければならず、搬 送や組付けを自動化し難レ、ため、 自動化のし易い製品形態が望まれてレ、た。
[0024] 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、以下の特徴を有 するガスケット及びその製造方法及びガスケットの取り付け方法を提供することにある 。すなわち、
(1)生産性の良い射出成形で生産でき、極めて柔らかいガスケットも提供できる。
(2)被シール部位に取り付ける際に、変形が起こりにくぐ取り付け作業性の良好な ガスケットを提供する。
(3)支持フィルムとして、特殊なフィルムを使わず、ごく汎用で安価なフィルムを用い たフィルム一体のガスケットを提供し、製造コストの低減化を実現する。
(4)ガスケットを柔らかい発泡体力 構成した場合でも、射出成形による成形後の取 出し性がよいガスケットを提供する。
(5)ガスケットを被シール部位に取り付ける方法として、簡易かつ合理的な取り付け 方法を提供する。
(6)ごく汎用で安価な材料を用レ、、できる限りロスを少なくし、低コストを実現したガス ケットを提供する。
(7)ガスケットの生産、搬送、及び組み付けを自動化できるガスケットを提供する。 課題を解決するための手段
[0025] 前記課題を解決するために、本発明にかかるガスケットは、樹脂フィルムと、該樹脂 フィルムに射出成形によって成形され熱可塑性エラストマ一からなる弾性体とを有す ることを特徴とする。
ここで、本発明によるガスケットは、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固 定されていてもよぐ或いは、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されていてもよぐ これら両者のガスケットを含むことに留意されたレ、。
[0026] また、前記弾性体は、インサート成形により前記樹脂フィルムの片面に一体成形さ れたものであることが、好ましい。
なお、ここでいう「インサート成形」とは、予めつくられたフィルムの片面に樹脂が成
形される成形法を意味する。
[0027] 弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットは、前記樹脂フィルムが 前記弾性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿って切断されているのが望ま しい。
本発明のガスケットにおいて、樹脂フィルムはォレフイン系の樹脂フィルムからなり、 且つ弾性体はォレフイン系エラストマ一又はスチレン系エラストマ一力 なることが好 ましい。
[0028] 弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されているガスケットの製造方法 は、前記樹脂フィルムが前記弾性体に融着しない条件で、表面離型処理されていな い前記樹脂フィルムの片面に前記弾性体を射出成形にて剥離可能に固定させること により、ガスケットを得る。
[0029] 前記融着しない条件は、例えば、前記樹脂フィルムの表面温度を前記樹脂フィル ムの融点以下に低く設定することにより実現することが可能である。すなわち、ガスケ ットを樹脂フィルム状に成型したときの樹脂フィルムの温度上昇をフィルムに接触する 金型により抑えることによって、ガスケットと樹脂フィルムは全体が融着せずに極めて 小部分が軽く固定する程度に接着を抑えることができる。その結果、弾性体は、極軽 度な引っ張り力によって、樹脂フィルムから剥離することが可能となる。しかし、剥離 は容易となるが、ガスケットを被シール部に位置決めし、固着するまでは、特段の引き はがし力を加えなければ、剥離してしまうことはない。
[0030] これに対して、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットの製造方 法は、樹脂フィルムが前記弾性体に融着する条件で、表面離型処理されていない前 記樹脂フィルムの片面に前記弾性体を射出成形にて融着させ、前記弾性体が融着 された前記樹脂フィルムを、前記弾性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿 つて切断することにより、ガスケットを得る。
[0031] また、樹脂フィルムとして、枚葉のフィルムを使用することができ、枚葉のフィルムで はなくロール状の樹脂フィルムを使用することもできる。
[0032] 弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されているガスケットを連続的に製 造するには、ロール状又は枚葉の樹脂フィルムを連続的に射出金型に供給し、前記
樹脂フィルムが熱可塑性エラストマ一からなる弾性体に融着しなレ、条件で、前記樹脂 フィルムに前記弾性体を射出成形によって連続的に形成することにより、前記弾性体 を前記樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定させた後、前記弾性体が固定された 前記樹脂フィルムをロール状に巻き取らずに、所定の寸法に切断して、枚葉の製品 を製造しても良い。
[0033] 弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットを連続的に製造するには 、ロール状又は枚葉の樹脂フィルムを連続的に射出金型に供給し、前記樹脂フィル ムが熱可塑性エラストマ一からなる弾性体に融着する条件で、前記樹脂フィルムに前 記弾性体を射出成形によって連続的に形成することにより、前記弾性体を前記樹脂 フィルムの片面に融着させ、前記弾性体が融着された前記樹脂フィルムを、前記弹 性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿って切断することにより、ガスケットを 得る。
[0034] 次に、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されているガスケットの取り 付け方法は、樹脂フィルムの片面に、射出成形によって成形され熱可塑性エラストマ 一からなる弾性体を剥離可能に固定させ、前記樹脂フィルムに固定された弾性体の 露出面を被シール部位に固定させ、前記被シール部位に固定された弾性体から前 記樹脂フィルムを剥離することを特徴とする。
[0035] 前記弾性体の被シール部位への固定は、前記弾性体の前記樹脂フィルムへの固 定よりも強く設定することが重要である。
[0036] 前記弾性体の前記被シール部位への固定を、接着剤を用レ、て行うことができる。接 着剤としては、ォレフィン系接着剤又はォレフィン系ウレタン反応性型接着剤を使用 できる。
或いは、前記弾性体の被シール部位への固定を、熱融着により行っても良い。
[0037] また、本発明に係る他のガスケットの取り付け方法は、樹脂フィルムの片面に、射出 成形によって成形され熱可塑性エラストマ一からなる弾性体を剥離可能に固定させ、 前記弾性体をその形状を維持したまま固定治具により保持し、その後、前記樹脂フィ ルムを前記弾性体から剥離し、その露出した弾性体の剥離面を被シール部位に固 定させ、前記被シール部位に固定された弾性体から前記固定治具を取り外すことを
特徴とする。
[0038] この場合、前記固定治具の弾性体への固定は、前記弾性体の前記樹脂フィルムへ の固定よりも強く設定するとともに、前記弾性体の被シール部位への固定は、前記固 定治具の前記弾性体の固定よりも強い設定されていることが重要となる。
[0039] 前記弾性体の被シール部位への固定は、接着剤を用いて行ってもよいし、熱融着 により行ってもよレヽ。
[0040] 次に、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットの取り付け方法は、 樹脂フィルムの片面に、射出成形によって成形され熱可塑性エラストマ一からなる弾 性体が融着され、且つ前記弾性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿って前 記樹脂フィルムが切断されているガスケットの前記樹脂フィルム面の少なくとも前記弹 性体に沿った全周部に接着剤を塗布し、被シール部位に貼り付けることを特徴とする
[0041] ここで、前記樹脂フィルムの前記被シール部位への貼り付けは、上述と同様に接着 剤を用いて行うことができ、接着剤としては、上述と同様なォレフィン系接着剤又はォ レフイン系ウレタン反応性型接着剤を使用できる。
[0042] また、他の取り付け方法は、ロール状又は枚葉の樹脂フィルムを連続的に射出金 型に供給し、前記樹脂フィルムが熱可塑性エラストマ一からなる弾性体に融着する条 件で、前記樹脂フィルムに前記弾性体を射出成形によって連続的に形成することに より、前記弾性体を前記樹脂フィルムの片面に融着させ、前記弾性体が融着された 前記樹脂フィルムを、前記弾性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿って切 断し、前記樹脂フィルム面の少なくとも前記弾性体に沿った全周部に接着剤を塗布 し、被シール部位に貼り付けることを特徴とする。
[0043] 或いは、前記樹脂フィルムの被シール部位への固定を、熱融着により行っても良い すなわち、本発明のガスケットの取り付け方法は、樹脂フィルムの片面に、射出成 形によって成形され熱可塑性エラストマ一からなる弾性体が融着され、且つ前記弾 性体の形状又は前記弾性体の外側の形状に沿って前記樹脂フィルムが切断されて レ、るガスケットの前記樹脂フィルムを被シール部位に接触させ、加熱することにより被
シール部位に貼り付けることを特徴とする
[0044] 本発明のガスケットの他の取り付け方法は、ロール状又は枚葉の樹脂フィルムを連 続的に射出金型に供給し、前記樹脂フィルムが熱可塑性エラストマ一からなる弾性 体に融着する条件で、前記樹脂フィルムに前記弾性体を射出成形によって連続的に 形成することにより、前記弾性体を前記樹脂フィルムの片面に融着させ、前記弾性体 が融着された前記樹脂フィルムを、前記弾性体の形状又は前記弾性体の外側の形 状に沿って切断し、前記樹脂フィルムを被シール部位に接触させ、加熱することによ り被シール部位に貼り付けることを特徴とする。
発明の効果
[0045] 本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。まず、本発明のガスケットは 、フィルムを備えていることにより、取り扱い易さが向上すると共に、ロール卷に収納し たり、所定の寸法に裁断することが可能となる。また、搬送や組み付けの自動化がし 易くなるとレ、う効果が得られる。
[0046] 次に、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されているガスケットでは、 次のような効果が得られる。
(i)射出成形によりでフィルム一体ガスケットが生産でき、型からの脱型性も良好で極 めて生産性が良い。
(ii)フィルム一体ガスケットであるため、ガスケットは取り付け時に変形せず作業性も 良ぐ取り付けコストが低く抑えられる。
(iii)樹脂フィルム一体ガスケットをそのままの状態で被シール部位に位置決めし、被 シール部位に固定した後、樹脂フィルムを剥離して除去するカ あるいはガスケットを 固定治具にて保持し、支持フィルムを剥離した状態で、ガスケットの露出面を被シー ル部位に位置決めし、被シール部位に固定した後、固定治具を取り外すので、被シ ール部位には弾性体のみが取り付けられ、被シール部位の対向するレ、ずれの面に 対しても弾性体が直接に接触することになる。従って、本発明によりガスケットによりシ ールされた部位のシール性は極めて良好である。
(iv)ガスケットを支持する樹脂フィルムとして用いるフィルムは、安価なォレフィン系フ イルムが適用できるので、経済的であり、し力も再使用も可能である。さらに再使用に
適さなくなった場合に廃棄後焼却しても、有害ガスが発生しない。
(V)柔らかい発泡ガスケットをフィルム一体で成形することができるので、生産性、取 出レ性も良好である。
(vi)熱可塑性エラストマ一を用いたガスケットであるため、熱融着による施工が可能 で接着剤を使用しないで済み、生産性が高ぐしかも有機溶剤など発ガスの心配が ないクリーンなシーリングが可能となる。
(vii)連続的にフィルムを供給し、連続的にガスケットを製造することができ、さらに搬 送及び組み付けの自動化ができ、極めて効率的である。
[0047] 次に、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットでは、次のような効 果が得られる。
(i)弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されているガスケットでは、取り付け時にガス ケットの変形が無ぐ作業性も良いため取り付けコストを低く抑えることができる。
(ii)射出成形により樹脂フィルムを一体として備えたガスケットを生産でき、型からの 脱型性も良好で極めて生産性が良いガスケットを提供することができる。
(iii)連続的に樹脂フィルムを供給し、連続的にガスケットを製造することができ、ライ ンの無人化運転を実現でき、極めて効率的である。
また、本発明によると、樹脂フィルムを一体として備えたガスケットの樹脂フィルム面 を被シール部位に接着施工するので極めて良好なシール性を実現できる。
(iv)樹脂フィルムには、ォレフィン系フィルム等安価な樹脂フィルムを用いることがで き、経済的で、且つ樹脂フィルムと弾性体ガスケットが同種樹脂である為、再溶融し て利用してもよいし、更に廃棄後焼却しても有害ガスを発生しない。
(V)樹脂フィルムが熱可塑性樹脂であることを利用し、熱融着による取り付けが可能 であり、接着剤を使用しないで済み、生産性が高く且つ有機溶剤など発ガスの心配 がないクリーンなガスケットを提供することができる。
(vi)連続的にフィルムを供給し、連続的にガスケットを製造することができ、さらに搬 送及び組み付けの自動化ができ、極めて効率的である。
図面の簡単な説明
[0048] [図 1]図 1は、本発明のガスケットの射出成型法を説明する概念図である。
園 2]図 2は、本発明のガスケットの連続製造方法を説明する概念図である。
園 3]図 3は、本発明においてガスケットの連続製造方法によって得られる連続ガスケ ットの斜視図である。
園 4-1]図 4_ 1は、本発明のガスケットの製造方法の一実施形態を示す図である。 園 4-2]図 4_ 2は、本発明のガスケットの製造方法の一実施形態を示す図である。 園 5]図 5は、本発明のガスケットの製造方法の一実施形態を示す図である。
[図 6-1]図 6 _ 1は、本発明のガスケットの製造に係る樹脂フィルムの打ち抜き処理の 様子を示した図である。
[図 6-2]図 6— 2は、本発明のガスケットの製造に係る樹脂フィルムの打ち抜き処理の 様子を示した図である。
[図 6-3]図 6— 3は、本発明のガスケットの製造に係る樹脂フィルムの打ち抜き処理の 様子を示した図である。
[図 6-4]図 6— 4は、本発明のガスケットの製造に係る樹脂フィルムの打ち抜き処理の 様子を示した図である。
[図 7]図 7は、本発明のガスケットの HDDの蓋への施工の様子を示した図である。
[図 8]図 8は、本発明の実施例 1を説明するもので、ガスケットを成型するための金型 の一例の断面構成図である。
園 9]図 9は、本発明の実施例 3を説明するもので、使用するガスケットの模式的断面 図である。
[図 10]図 10は、本発明の実施例 3を説明するもので、ガスケットを HDDの蓋に取り付 けている状態の模式的断面図である。
園 11]図 11は、本発明の実施例 3を説明するもので、ガスケットを HDDの蓋に取り付 け完了した状態の模式的断面図である。
[図 12]図 12は、本発明の実施例 4を説明するもので、ガスケットを一時的にガスケット 固定用治具に固定した状態の模式的断面図である。
[図 13]図 13は、本発明の実施例 4を説明するもので、ガスケットを一時的にガスケット 固定用治具に固定した後、ガスケット表面に接着層を形成した状態の模式的断面図 である。
[図 14]図 14は、本発明の実施例 4を説明するもので、ガスケット固定用治具に固定し たままガスケット表面の接着層を HDDの蓋に接着させた状態の模式的断面図である
[図 15]図 15は、本発明の実施例 4を説明するもので、ガスケット固定用治具を取り去 つて、ガスケットを HDDの蓋に取り付け完了した状態の模式的断面図である。
[図 16]図 16は、本発明の実施例 5を説明するもので、ガスケットを一時的にガスケット 固定用治具に固定した状態の模式的断面図である。
[図 17]図 17は、本発明の実施例 5を説明するもので、ガスケット固定用治具に固定し たままガスケット表面を HDDの蓋の加熱部(シール部位)に融着させた後、ガスケット 固定用治具を取り去って、ガスケットを HDDの蓋に取り付け完了した状態の模式的 断面図である。
[図 18]図 18は、本発明のガスケットの製造方法の実施例 6における金型の断面図で ある。
[図 19-1]図 19— 1は、本発明のガスケットの製造に係る実施例 6における樹脂フィノレ ムの打ち抜き処理の様子を示した図である。
[図 19-2]図 19— 2は、本発明のガスケットの製造に係る実施例 6における樹脂フィノレ ムの打ち抜き処理の様子を示した図である。
[図 19-3]図 19— 3は、本発明のガスケットの製造に係る実施例 6における樹脂フィノレ ムの打ち抜き処理の様子を示した図である。
[図 19-4]図 19— 4は、本発明のガスケットの製造に係る実施例 6における樹脂フィノレ ムの打ち抜き処理の様子を示した図である。
[図 20]図 20は、本発明のガスケットの HDDの蓋への施工の実施例 6における様子を 示した図である。
符号の説明
1 固定側金型
2 可動側金型
3 (支持)樹脂フィルム
4 弾性体
5 スぺーサ
6 キヤビティ
7 空隙
8 HDDの蓋
8a シール部位 (加熱部)
10 ガスケット固定用治具
11, 12 キヤビティ
13 接着剤
20 ガスケット
30 樹脂フィルムのロール卷き
31 ガスケットのロール卷き
100 射出成形機
101 連続射出成形装置
102 フィルム切断装置
発明を実施するための最良の形態
[0050] 以下、本発明によるガスケット及びその製造方法及びガスケットの取り付け方法を、 さらに詳細に説明する。
なお、特に記載しない限り、以下の説明は、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可 能に固定されたガスケット、及び弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケッ トの両者に適用できるものとする。
[0051] (弾性体の射出成形)
図 1は、本発明のガスケットを製造する射出成型法を説明する概念図である。 図 1において、本発明に力かるガスケット 20は、樹脂フィルム 3と、射出成形によつ て成形され熱可塑性エラストマ一からなる弾性体 4とを有する。
[0052] まず、弾性体 4が樹脂フィルム 3の片面に剥離可能に固定されているガスケット 20 を製造する場合について説明する。
[0053] 図 1に示すように、予め準備した所定形状の熱可塑性樹脂フィルム 3を、固定側金 型 1と可動側金型 2とからなる金型内に載置する。次いで、このフィルム 3に、ガスケッ
ト原料である熱可塑性エラストマ一を射出成形機 100によりインサート成形により、弾 性体 4を形成する。成形後、金型 1 , 2よりフィルム一体ガスケットを脱型する。
[0054] フィルム 3が溶融樹脂で溶融しないように、フィルム 3の接する金型は比較的低温に 設定しておくことで、ガスケットとフィルムは弱く固定し、し力も剥離容易となる。フィノレ ムとしてポリプロピレンを用いる場合は、型温は 10°C〜60°C程度で、熱可塑性エラス トマ一はシリンダー温度で 180。C〜230。Cが好ましい。
[0055] 次に、弾性体 4が樹脂フィルム 3の片面に融着されているガスケット 20を製造する場 合について説明する。
まず、予め準備した熱可塑性樹脂フィルム 3を、固定側金型 1と可動側金型 2とでな る金型内に載置する。続いて、この樹脂フィルム 3の片面に、弾性体 4の原料である 熱可塑性エラストマ一を射出成形機 100によりに融着してインサート成形する。成形 後、金型 1及び 2から樹脂フィルム 3に弾性体 4が融着された、樹脂フィルム一体型ガ スケット 20を脱型する。なお、ここでは、射出成形された弾性体をガスケットという場合 力 Sある。
[0056] 溶融した熱可塑性エラストマ一樹脂によって樹脂フィルム 3が溶融するように、フィ ルム 3に接する金型を比較的高温に設定しておくことにより、弾性体 4とフィルム 3は 融着する。フィルム 3として例えばポリプロピレンを用いる場合は、型温は 40°C程度以 上が望ましぐ熱可塑性エラストマ一はシリンダー温度で 180〜230°Cが好ましい。な お、射出成形を行う際の型温は、弾性体 4の熱容量や形状、フィルム 3や弾性体 4の 原料の組合せ等により変動する。
[0057] 以上の弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガスケット及び弾性 体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットを製造する場合において、金型内に 載置したフィルム 3に対し、弾性体 4は 2個なレ、し 4個の複数取りが可能である。
[0058] 射出成形によりガスケット 20を成形する場合に、ウエルドラインが生じにくいようにガ スベントなどのエアー抜きの工夫をすることが好ましい。
[0059] 弾性体 4の原料となる熱可塑性エラストマ一に発泡剤を配合することにより、発泡し た弾性体 (発泡体)を製造することができる。例えば、熱分解してガスを発生する熱分 解型発泡剤を熱可塑性エラストマ一に配合することができる。射出成形で発泡体を
成形するには、製品の肉厚により発泡に適した組成と発泡剤を選択する必要がある 。一般的に、肉厚が lmm程度に薄くなる場合は、窒素系の発泡剤を使うのが良ぐ それより厚くなる場合では、炭酸ガス系の発泡剤が適用できる。
[0060] また、射出成形時に射出速度を遅くすることや、金型温度を低くすることにより、スキ ンが厚い発泡体を作ることができる。スキン層が厚い方がガスケット自体のシール性 能は高くなる。金型内に樹脂を射出した後、型締め圧を低下する方法、あるいは射 出後あるいは射出中に金型キヤビティのクリアランスを広げることは、発泡を促進する 方法として好ましい。なお、発泡剤の具体例は、後述する。
[0061] また、フィルム 3への射出成形を、図 2に示すように、ロール卷きのフィルム 30に対し て連続的に射出成形可能な連続射出成形装置 101を用いて、連続したフィルム 6上 に弾性体 4を連続的に形成することも可能である。この連続成形法によれば、ガスケ ットを大量に生産することができる。さらに、フィルム 3及び弾性体 4からなるガスケット を、図 3に示すように、ロール卷き 31にして収納することができる。
[0062] そして、このロール卷き 31を巻き戻しながら、 HDDの蓋などの被シール部位へ連 続的に位置決めし、ガスケットを取り付けることができる。また、図 3のように連続したフ イルム 3上に弾性体 4を連続的に形成したロール卷き 31は、ガスケットを高速で大量 に連続成形でき、且つ搬送、保管にも非常に都合がよい。
[0063] なお、前記ロール卷きのフィルムに連続的に射出成形した後、連続フィルムを卷き 取らずに、次の取り付け工程に合わせた所定の寸法に切断しても良レ、。その場合、 製品の卷きじわを防止することができる。
[0064] さらに、ロール卷きの樹脂フィルム 30を予め所定の寸法に切断しておき、切断され た各フィルムを次々に連続射出成形機 101に供給し、各フィルムに弾性体 4をインサ ート成形により次々と成形することにより、枚葉のガスケット一体樹脂フィルムを連続 的に製造することが可能となる。
[0065] これらロール状の樹脂フィルム 30や枚葉フィルムを用いたガスケット連続成形方法 によって、極めて高い生産性でガスケットを製造することが可能となる。
[0066] 図 4_ 1及び図 4_ 2には、それぞれ、ガスケット連続成形システムの連続射出成形 装置 101の射出部並びに金型 1及び 2の側面から見た図、上面から見た図が示され
ている。金型 1及び 2は、それぞれの四隅に配置された 4つのスぺーサ 5を介して組 み合わされている。このスぺーサ 5は、フィルム 3の厚さとほぼ同じである。図 2、図 4 _ 1及び図 4— 2に示す本実施形態によるガスケットの製造方法においては、フィル ム 3に対して一度に 4個の弾性体 4が射出成形により形成されるようにしている。なお 、一度に形成する弾性体 4の数は、金型 1及び 2の設計変更によって、適時変更する こと力 Sできる。
[0067] ここで、図 5を参照する。図 5には、図 2に示すガスケット連続成形システムにフィノレ ム切断装置 102を設けた例である。図 5に示すように、ロール卷きのフィルム 30に弹 性体 4を連続形成した後、フィルム 3を卷き取らずに、フィルム切断装置 102によって 所定の寸法に切断してもよい。この場合、連続フィルムの卷きじわを防止することがで きる。
[0068] 次に、本発明によるガスケットを製造する場合において、使用する材料等について 説明する。
[0069] (樹脂フィルムの種類)
本発明で使用する樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなるもので、ポリオレフイン系
、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマ一系、ポリカーボ ネート系、ポリイミド系などが例示でき、用いるガスケット原料との相性で選択する。
[0070] まず、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガスケットの場合、フ イルムの融点は、 150°C以上が、射出成形時に変形や融着を防止出来る点で好まし レ、。
[0071] 弾性体を支持する樹脂フィルムとガスケットとの間の接着力(見方を変えると、剥離 容易性)は、被シール部位とガスケットとの間の接着力と比べて低い必要がある。この 付着力は、金型からのガスケットを脱型する時や、ガスケットを被シール部位へ位置 決めする作業中に、ガスケットが支持フィルムから剥離してしまわない程度は必要で ある。この接着力(剥離容易性)の制御は、フィルムの種類と熱可塑性エラストマ一の 相性、射出条件を適切に選ぶことにより調整できる。
[0072] 例えば、ガスケット原料がォレフィン系エラストマ一またはォレフィン成分を含有する スチレン系エラストマ一の場合は、支持フィルムとしてォレフィン系フィルムを選定す
るのが良い。弾性体原料に、特に融点が 150°C以上の樹脂としてポリプロピレン系や ポリメチルペンテン系樹脂を選定すると、射出成形での条件も広い範囲で設定でき、 それによつて適切な付着力をコントロールすることができる。
[0073] 一方、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットの場合、射出成形時の フィルムの変形を防止するためには、フィルム 3の融点又は軟化点は、 100°C以上で あることが好ましい。
[0074] フィルム 3と弾性体 4の付着力はフィルムの種類と熱可塑性エラストマ一の相性、射 出条件を適切に選べば制御することができる。例えば、弾性体 4の原料がォレフィン 系エラストマ一又はスチレン系エラストマ一の場合は、フィルム 3にはォレフイン系フィ ルムを選定するのが良レ、。特に融点が 100°C以上の樹脂として、ポリプロピレン系、 ポリエチレン系やポリメチルペンテン系を選定すると、射出成形での条件も広い範囲 で適切な付着力を制御することができる。
[0075] 次に、樹脂フィルムの厚みについて説明する。
まず、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガスケットの場合、支 持フィルムの厚みは、剛性の面では厚いほうが好ましレ、が、コストの点も含めて選択 すればょレ、。 100〜400 μ m程度が最も好ましレ、。
[0076] フィルムの剥離性を制御するため、フィルムは 2層以上のものを用いてもよぐフィル ム表面にコーティングなど剥離力調整の処理をしても良レ、が、これらは必須ではない
。また、ガスケットに対する樹脂フィルムの剥離性を剥離しにくい方向に制御したい場 合には、樹脂フィルムの表面をコロナ放電処理や紫外線照射処理等によって表面処 理しても良い。
[0077] 使い終わったフィルムは、平滑であれば、そのまま再度使うことができる。平滑性が 低下している場合には、熱的処理により平滑性を回復させることができるので、その 後に再使用してもよい。
[0078] 一方、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットの場合、樹脂フィルム 3 の厚みは、その剛性と作業性、コストを含めて適時選択すればよぐ 50〜200 z m程 度が最も好ましい。
[0079] 樹脂フィルム 3の融着性と剛性を制御するため、樹脂フィルム 3には 2層以上からな
るものを用いてもよぐ樹脂フィルム 3の表面にコーティングなど剥離力調整の処理を してもょレ、が、これらの条件は必須ではなレ、。また、樹脂フィルム 3の表面にコロナ放 電処理や紫外線照射処理等の表面処理を施してもょレ、。
[0080] (熱可塑性エラストマ一)
次に、弾性体 4の原料である熱可塑性エラストマ一について説明する。熱可塑性ェ ラストマーとして、ォレフィン系エラストマ一、スチレン系エラストマ一(ォレフイン成分 を含有)、ウレタン系エラストマ一、エステノレ系エラストマ一、ポリアミド系エラストマ一、 フッ素ゴム系エラストマ一が挙げられる。これらの中で水分の低透過性、耐酸性、耐 アルカリ性、液体の透過性の低いことなどの特性を有していることからォレフィン系ェ ラストマーとスチレン系エラストマ一が好ましレ、。
[0081] 前記ォレフィン系熱可塑性エラストマ一は、透湿性が低ぐ分子中の大部分がォレ フィン系炭化水素から成る樹脂で、ォレフィン系共重合ゴムと結晶性ォレフイン系ブラ スチックの混練反応によって得られるものや、ォレフィン系モノマーの合成反応で得 られるものが例示できる。
[0082] 前記ォレフィン系共重合ゴムとしては、エチレンと α—ォレフイン(例えば、プロピレ ン)との共重合体や、それに非共役ジェン成分を共重合したものが好適に使用される
[0083] 前記結晶性ォレフインプラスチックとしては、プロピレンなどのひ一ォレフインの重合 体または Ζおよび共重合体が用いられる。この場合の混練反応は架橋剤や架橋助 剤の存在下で行うことも出来る。
[0084] 前記ォレフィン系熱可塑性エラストマ一は、低レ、透湿性と復元性、射出成形での成 形性がよくガスケット材料として好適である。
[0085] 前記スチレン系熱可塑性エラストマ一は、水素添加したスチレン一ブタジエン共重 合体やスチレン一イソプレン共重合体とォレフィン系樹脂などとを混練反応させて得 られた樹脂である。前記スチレン一ブタジエンまたはスチレン一イソプレン共重合体と しては、いわゆる SBSまたは SISブロック共重合体として市販されているものが例示 できる。また、前記ォレフィン系熱可塑性エラストマ一は、高温時の復元性がよぐス チレン系熱可塑性エラストマ一は室温近辺の復元性が良いので、これらを組合せて
用いても良い。
[0086] 本発明に用いるエラストマ一材料が発ガス分の多い材料の場合には、ベーキングと レ、つて高温にて熱処理する工程を設けて発ガス分を飛散しておく処置をとり得る。こ のべ一キング工程は、原料の段階かガスケットを成形した後の段階で行うことが出来 る。この場合、真空状態を併用してもよい。
[0087] 熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤を、熱可塑性エラストマ一に配合するこ とで、発泡体を製造できる。このような発泡剤としては、具体的には、ァゾジカーボン アミド(ADCA)、ジェチルァゾカルボキレート、ァゾジカルボン酸バリウム、 4, 4ーォ キシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、 3, 3—ジスルホンヒドラジドフエニルスルホ ン酸、 N, N'—ジニトロソペンタメテトラミン、 p—トルエンスルホニルヒドラジド、トリヒド ラジノトリアジンなどの有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニゥム、炭 酸アンモニゥムなどの無機発泡剤等が挙げられる。
[0088] 特に有機発泡剤としては、ァゾジカルボンアミド(ADCA)、 N, N'—ジニトロソペン タメテトラミン、トリヒドラジノトリアジンが好ましぐ無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリ ゥムが好ましい。また、炭酸水素ナトリウムとクェン酸や、クェン酸モノナトリウム及び 炭酸水素ナトリウムとクェン酸モノナトリウムおよびグリセリン脂肪酸エステルを混合さ せて用いてもよい。これらの発泡剤は、単独または複数の組合せ、またいわゆる分解 助剤を併用して用いることができる。
[0089] 本発明においては、熱分解型発泡剤による発泡に代えて、揮発性溶剤としてブタ ン類、ペンタン類や水等によって樹脂を発泡させることもできる。また、ガスそのものを 発泡樹脂基材に分散あるいは含浸させることもでき、この場合、二酸化炭素ガスゃ窒 素ガスが発泡剤として挙げられる。
[0090] 炭酸水素ナトリウムと酸の反応で発生する炭酸ガスや、イソシアナ一トイヒ合物と水に より発生する炭酸ガスを利用することも出来る。硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム などの含水塩の高温での水分を発泡剤として利用する方法もある。
[0091] 炭酸ガスを用いること、あるいは反応や分解して炭酸ガスを放出するような発泡剤 は、厚めのスキンを形成しやすい傾向があり、窒素系発泡剤は、スキンが形成しにく い傾向がある。これらの発泡剤は、製品肉厚や求める発泡倍率、組成に応じて使い
分けることが出来る。
[0092] 弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットの場合、ガスケットを樹脂フィ ルム毎に切断(打ち抜き、加工)する処理を行う。
[0093] 図 6— 1、図 6— 2を参照する。図 6— 1、図 6— 2には、本発明のガスケットの製造に 係る樹脂フィルムの切断処理が示されている。本実施の形態においては、弾性体 4 の形状に沿って樹脂フィルム 3が切断される(打ち抜かれる、加工される)。なお、ここ では、弾性体 4の形状に沿って樹脂フィルム 3を切断することは、弾性体 4の形状と寸 分違わず樹脂フィルム 3を切断する場合だけではなぐ弾性体 4の形状に一定のマー ジンをカ卩えて樹脂フィルム 3を切断する場合も含む。また、樹脂フィルム 3の切断には 、金型による打ち抜き、ナイフ又は鋏による切断、ウォータージェットによる切断その 他樹脂フィルムを切断する方法が含まれる。
[0094] 図 6— 1は、樹脂フィルム 4に弾性体 4が形成されている状態を示す。ここで、弾性 体 4の形状に沿って樹脂フィルム 3を切断し (打ち抜き、加工し)、図 6— 2に示すとお り、不要な樹脂フィルム 3を切り離し、図 6— 3に示すとおりフィルム 3と弾性体 4とが一 体化されたガスケット 20が完成する。なお、図 6— 4は、図 6— 3における x—x'部の 断面図である。
[0095] (ガスケットの被シール部位への取り付け)
次に、ガスケットを被シール部位に取り付ける方法について説明する。
まず、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットを被シール部位に取り 付ける場合について説明する。
[0096] 図 7に示すように、本発明のガスケット 20の樹脂フィルム 3面の少なくとも弾性体 4に 沿った全周部に接着剤を塗布し、被シール部位 (被シール部) 8に接触させ、固着さ せる。この被シール部位は、例えば、 HDDの蓋の内面部である。本発明のガスケット は、樹脂フィルム 3の部分であって弾性体 4に沿った全周部と被シール部位とが接着 剤を介して接触しているので、シール性がきわめて良好である。
[0097] 接着剤の種類は、樹脂フィルム 3の種類に応じて選択するが、樹脂フィルム 3として ォレフィン系フィルムを用いる場合、ォレフィン系接着剤を用いるのが好ましい。その ような例としては、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリ酢酸ビニルに無水マレイン酸な
どの酸変性や、エポキシ変性、水酸基変性など極性基変性した樹脂が好ましい。ォ レフイン系接着剤の中では、水添ブタジエンや水添イソプレン系ポリオールのような ォレフィン系ポリオールをジイソシアナートで高分子量化したォレフィン系ウレタン接 着剤、更にォレフィン系ポリオールをジイソシアナートでオリゴマー化し末端イソシァ ナートにし水分で硬化させるォレフィン系ウレタン反応性接着剤を用いるのも好まし レ、。また、シァノアクリレート系の反応性接着剤も用いることができる。
[0098] 中でもォレフイン系ウレタン反応性接着剤のような反応性接着剤が無溶剤タイプと しては好ましい。ォレフィン系フィルムは本質的に接着性が悪レ、が、例えば、本発明 のガスケットを HDDの蓋や燃料電池に用いる場合は、接着後はビス等で固定する為 、接着力は高い必要は無い。ガスケットに樹脂フィルムがしつ力りと付着していて、且 つ接着力が適度である方が使用後剥がしやすレ、ので好ましレ、。
[0099] なお、上述した接着剤は、弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットを 被シール部位に取り付ける場合について適用できることを説明したが、弾性体が樹 脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガスケットを被シール部位に取り付ける場 合についても、同様に適用できる。
[0100] また、樹脂フィルム 3と被シール部位 (被シール部)との接着には、接着剤の代わり に、被シール部位への熱による融着を用いることが好ましい。これは、樹脂フィルム 3 が熱可塑性樹脂であることを利用し、樹脂フィルム 3と被シール部位とを接着するもの である。融着法によって接着するためには、被シール部を加熱しておくか、又は本発 明のガスケットの樹脂フィルム 3の表面を加熱するようにしても良レ、。この融着法によ れば、あえて接着剤を用いないで済み、簡便であり、発ガスの心配のないクリーンな ガスケットを提供することができる。
[0101] 次に、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガスケットを被シール 部位に取り付ける場合にっレ、て説明する。
得られたフィルム一体ガスケットのガスケットを被シール部位に取り付けるには、フィ ルム面の他面に接着剤を適用して貼り付け、その後フィルムを剥離する。また、一旦 ガスケットを固定治具により形状を維持しつつ保持し、支持フィルムを剥離し、その剥 離面に接着剤を塗布し、被シール部位にガスケットを固定し、その後、固定治具を外
す。
[0102] この固定治具を用いたガスケット取り付け方法も可能である。これらのいずれにおい ても、接着剤は、ガスケットの露出面全面に塗布する必要はな ガスケットが被シー ル面に確実に固定できる範囲で、可能な限り少量で済ますことが、好ましい。接着剤 の種類はホットメルト系や反応型ホットメルト系が溶剤を含んでいないため好ましい。
[0103] 接着剤の代わりに、ガスケット素材が熱可塑性エラストマ一であることを利用し、被 シール部位に熱による融着法を適用することが好ましい。融着法は被シール部位を 加熱しておくか、ガスケット表面を加熱しても良レ、。この方法によれば、接着剤を用い ないで済むので簡便であり、発ガスの心配のないクリーンなガスケットを提供できる。
[0104] 上述のとおり、本実施形態における本発明のガスケットによると、樹脂フィルムを一 体として備えたガスケットが提供されるので、取り付け時にガスケットの変形が無ぐ作 業性も良いため施工コストを低く抑えることができる。また、本実施形態における本発 明のガスケットによると、射出成形により樹脂フィルムを一体として備えたガスケットを 生産でき、型からの脱型性も良好で極めて生産性が良いガスケットを提供することが できる。また、本実施形態における本発明のガスケットの製造方法によると、連続的に 樹脂フィルムを供給し、連続的にガスケットを製造することができ、ラインの無人化運 転を実現でき、極めて効率的である。
[0105] 本発明によるガスケットは、 HDD用カバーのボルト穴に相当する樹脂フィルムの位 置に穴をあけ、その穴を利用して組付けを自動化することが可能である。樹脂フィル ムの穴開けは、射出金型に打抜き型を設けることで、樹脂フィルムの穴開けと、樹脂 フィルムへの弾性体の成形とを射出成形時に同時に行うことができる。これにより、ガ スケットの組付け工程は非常に合理化され、ガスケットの施工位置のばらつきもなくな る。なお、樹脂フィルムに穴を開ける位置は、必ずしもボルト位置だけでな フイノレタ 一穴など利用できるものは多い。このような穴開け工程は、樹脂フィルムの切断工程 で行っても良い。また、適用できる製品は HDD用のガスケットだけでな 燃料電池 や携帯電話なども含まれることは当然である。
[0106] また、本発明によるガスケットは、射出成形で連続ロール卷の形状で得る力、所定 長さの短冊形状で得ることができる。次にガスケットは、洗浄工程や接着工程など次
工程に運ばれる力 樹脂フィルムに弾性体が成形されて一体化されているため、ロー ル製品の巻き出し搬送や、短冊状製品では真空で吸着して搬送することも容易であ るなど、ガスケット製品の搬送の自動化がし易い。
[0107] さらに、本発明によるガスケットは、樹脂フィルムに弾性体が成形されて一体化され ているため、接着工程で接着剤を塗工する時や熱融着時に、樹脂フィルム面を真空 で吸着する等ガスケットを固定し易いので、位置決めが正確且つ容易となり、その後 の HDDカバーの自動組付けが行い易レ、。
[0108] また、本発明により弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケットを取り付け る方法によると、樹脂フィルムを融着して一体として備えたガスケットの樹脂フィルム 面を被シール部位に接着するので、極めて良好なシール性を実現できる。また、本 発明では、樹脂フィルムとしてォレフィン系フィルム等安価な樹脂フィルムを用いるこ とができ、経済的で、且つ樹脂フィルムと弾性体ガスケットが同種樹脂である為、再溶 融して利用してもよいし、更に廃棄後焼却しても有害ガスを発生しない。さらに、本発 明の取り付け方法によると、樹脂フィルムが熱可塑性樹脂であることを利用し、加熱 による熱融着で被シール部位に取り付けることが可能であり、接着剤を使用しないで 済み、生産性が高く且つ有機溶剤など発ガスの心配がないクリーンなガスケットを提 供すること力 Sできる。
[0109] 上述の実施形態、及び後述する実施例においては、 HDDの蓋に本発明のガスケ ットを取り付ける例について説明する力 本発明のガスケット及びその取り付け方法 は、これに限定されるわけではな ランプのパッキン、 自動車用ランプ類のパッキン 、携帯電話の表示部のガスケット、パソコンや携帯電話の液晶表示分のガスケット、 燃料電池のガスケットその他シール目的に用いるガスケットとして用いることができる 。また、本発明のガスケット及びその取り付け方法は、自動車のエアコンのダンパー にも用レ、ることができる。
[0110] 以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実 施例は本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではな レ、。
また、実施例:!〜 5は、弾性体が樹脂フィルムの片面に剥離可能に固定されたガス
ケット、その製造方法及び取り付け方法についての実施例であり、実施例 6〜9は、 弾性体が樹脂フィルムの片面に融着されたガスケット、その製造方法及び取り付け方 法についての実施例である。
実施例
[0111] (実施例 1)
(フィルム一体ガスケットの生産工程)
図 8は、本発明のガスケットを成型するための金型の断面構成図である。図中の符 号 1は固定側金型、 2は可動側金型、 11 , 12はキヤビティであり、キヤビティ 11は榭 脂フルム揷入部であり、キヤビティ 12はガスケット射出部である。
[0112] 前記キヤビティ 11に PPフィルム(110mm (縦) X 80mm (横) X 200 /i m (厚))を揷 入し、固定側金型 1と可動側金型 2とを型締めし、キヤビティ 12に、ガスケット成形用 材料として、弾性体であるォレフィン系熱可塑性エラストマ一(MFR :ASTM 1238 、 190°C、 2. 16kg荷重) 10gZl0分)を、 200°Cのシリンダー設定温度にて、射出し て、ガスケットを成形した (射出条件は、射出スピード: 200mm/s、金型温度: 30°C
[0113] 金型から成形品を取り出したところ、脱型が容易であり、成型されたガスケットは、 P Pフィルムに弱く貼着した(剥離容易な)状態で弾性体とフィルムとが一体になつたガ スケット成形品(ガスケット)が作製できた。得られたフィルム上の弾性体の成形状態 は良好であった。また、弾性体を人手により支持フィルムから剥離したところ、容易に 剥離できることがわかった。
[0114] (実施例 2)
(ガスケットが発泡体である場合のガスケットの製造工程)
成型金型として、実施例 1と同様に、図 1の金型を用いた。この金型のキヤビティ 11 に PPフィルム(110mm (縦) X 80mm (横) X 200 /i m (厚))を挿入し、固定側金型 1 と可動側金型 2とを型締めし、キヤビティ 12に、ガスケット成形用材料として、弾性体 であるォレフィン系熱可塑性エラストマ一(MFR :ASTM 1238、 190°C、 2. 16kg 荷重) lOg/10分)に無機系発泡剤 4重量部を混練りしたマスターバッチを作成し、 これを、 200°Cのシリンダー設定温度にて射出し、弾性体を発泡させて、発泡ガスケ
ットを成形した (射出条件は、射出スピード: 200mm/s、金型温度: 30°C)。
[0115] 金型から成形品を取り出したところ、脱型が容易であり、成型されたガスケットは、 P Pフィルムに弱く貼着した(剥離容易な)状態でフィルムと一体になつた発泡ガスケット 成形品(発泡ガスケット (発泡倍率: 1. 5倍))が作製できた。得られたフィルム上の発 泡ガスケットの成形状態は良好であった。また、発泡ガスケットの弾性体を人手により 支持フィルムから剥離したところ、容易に剥離できることがわかった。
[0116] (実施例 3)
(フィルム一体ガスケットによるガスケットの取り付け(1) )
取り付け対象は HDDの蓋であり、使用するガスケットは、前記実施例 1および実施 例 2で作成したフィルム一体ガスケットである。
[0117] ガスケットの取り付け方法を、図 9, 10, 11を用いて説明する。これらの図において
、符号 3は支持フィルム、 4は弾性体、 13は接着剤、 8は HDDの蓋である。
[0118] 図 9に示すように、ガスケットの支持フィルム 3に固定されている弾性体 4の露出面 にォレフイン系の接着剤 13を塗布する。次に、図 10に示すように、前記接着剤 13を 塗布した面を HDDの蓋 8の内側面に接着固定し、支持フィルム 3を剥がして、図 11 に示すように、 HDDの蓋 8に弾性体 4に装着した。
[0119] 実施例 1および 2のいずれのガスケットを用いた場合でも、弾性体 4は安定に装着 できた。この弾性体 4のシール性はきわめて良好であった。
[0120] (実施例 4)
(フィルム一体ガスケットによるガスケットの取り付け(2) )
取り付け対象は前記実施例 3と同様の HDDの蓋であり、使用するガスケットは、前 記実施例 1および実施例 2で作成したフィルム一体ガスケットである。
[0121] 取り付け方法を図 12〜: 15を用いて説明する。これらの図において、符号 3は支持 フィルム、 4は弾性体、 13は接着剤、 8は HDDの蓋、 10はガスケット固定用治具であ る。
[0122] まず、図 12に示すように、実施例 1および実施例 2で作成したフィルム一体ガスケッ トの弾性体 4をガスケット固定治具 10にセットした。次に、支持フィルム 3を剥がし、図 13に示すように、剥がしたガスケット面にォレフィン系の接着剤 13を塗布した。この
接着剤 13の塗布面を、図 14に示すように、 HDDの蓋 8の内側面に押しつけて接着 固定した。その後、図 15に示すように、治具 10を取り外したところ、 HDDの蓋 8に弾 性体 4が装着された。
[0123] 実施例 1および 2のいずれのガスケットを用いた場合でも、弾性体 4は安定に装着 できた。この弾性体 4のシール性はきわめて良好であった。
[0124] (実施例 5)
(熱融着によるガスケットの取り付け)
取り付け対象は前記実施例 3、 4と同様の HDDの蓋であり、使用するガスケットは、 前記実施例 1および実施例 2で作成したフィルム一体ガスケットである。
[0125] 取り付け方法を、図 16, 17を用いて説明する。これらの図において、符号 3は支持 フイノレム、 4は弾性体、 13は接着斉 IJ、 8は HDDの蓋、 8aは蓋 8のシール部位を加熱 した場合の加熱部を示す。
[0126] まず、図 16に示すように、実施例 1および実施例 2で作成したフィルム一体ガスケッ トの弾性体 4をガスケット固定治具 10にセットし、支持フィルム(3)を剥離して除去し た。一方、 HDDの蓋 8のシール部位を電熱器で加熱し、その後、図 17に示すように 、固定治具 10に固定した弾性体 4を HDDの蓋 8の加熱部(シール部位) 8aに接触さ せ、弾性体 4を蓋 8に熱融着させて固定した。この蓋 8を不図示の HDD本体に取り付 け、 HDD装置のシール性を確認したところ、良好であった。
[0127] (実施例 6)
本実施例においては、本発明のガスケットを製造する例について説明する。
図 18を参照する。図 18には、本実施例で用いた金型の断面構成が示されている。 金型 1及び 2は、それぞれの四隅に配置された 4つのスぺーサ 5を介して組み合わさ れている。このスぺーサ 5は、フィルムの厚さとほぼ同じである。符号 6で示すのは、キ ャビティである。 7は空隙であり、空隙 7は樹脂フィルム揷入口の役割を果たす。キヤ ビティ 6は弾性体弾性体 4の射出部である。
[0128] 図 2に示す連続射出成形システムの金型に図 18に示すものを用レ、、 PPフィルムを 間欠的に挿入し弾性体 4を射出成形した。成形は極めて短時間サイクルで連続的に 行えた。本実施例で用いた弾性体 4用の樹脂は、ォレフィン系熱可塑性エラストマ一
(MFR :ASTM 1238、 190。C、 2. 16kg荷重) 10g/l0分)であり、 200°Cのシリ ンダー設定温度にて、固定側と可動側金型を型締めした金型に射出成形した (射出 条件は、射出スピード: 200mm/s、金型温度: 40。C)。
[0129] 金型から成形品を取り出したところ、脱型しやすぐ熱可塑性エラストマ一が PPフィ ルムに融着した状態で一体になつた、成形状態良好なガスケット成形品を作製でき た。成形された樹脂フィルムを備えたガスケットは、そのままロール状に卷きとることも 出来るし、図 5に示すようにフィルム切断装置で所定の長さで切断することも出来る。
[0130] 次に、得られた樹脂フィルムを弾性体に備えたガスケットを被シール部位に施工す るには、ガスケットを樹脂フィルム毎に切断し (打ち抜き)、樹脂フィルム面に接着剤を 塗布し貼り付ける。
[0131] 図 19 1〜図 19 4を参照する。図 19 1〜図 19 4には、本実施例における本 発明のガスケットの形成に係る樹脂フィルムの切断処理が示されている。本実施例に おいては、弾性体 4の外側の形状に沿って樹脂フィルム 3が切断される。なお、ここで は、弾性体 4の外側の形状に沿って樹脂フィルム 3を切断することは、弾性体 4の外 側の形状と寸分違わず樹脂フィルム 3を切断する場合だけではなぐ弾性体 4の外側 の形状に一定のマージンを加えて樹脂フィルム 3を切断する場合も含む。
[0132] また、樹脂フィルム 3の切断には、金型による打ち抜き、ナイフ又は鋏による切断、 ウォータージェットによる切断その他樹脂フィルムを切断する方法が含まれる。図 19 一 1は、樹脂フィルム 4に弾性体 4が形成されている状態を示す。ここで、弾性体弾性 体 4の外側の形状に沿って樹脂フィルム 3を切断し(打ち抜き、加工し)、図 19— 2に 示すとおり、不要な樹脂フィルム 3を切り離し、図 19— 3に示すとおりフィルム 3と弾性 体弾性体 4とが一体化されたガスケットが完成する。なお、図 19— 4は、図 19— 3に おける X— x '部の断面図である。
[0133] 次に、ガスケットを被シール部位に固定する。図 20を参照する。図 20に示すように 、本発明のガスケットの樹脂フィルム 3の面の少なくとも弾性体 4に沿った全周部に接 着剤を塗布し、被シール部位 (被シール部) 8に接触させ、固着させる。この被シール 部位は、本実施例においては、 HDDの蓋の内面部である。本発明のガスケットは、 樹脂フィルム 3の面の少なくとも弾性体 4に沿った全周部の部分と被シール部位とが
接着剤を介して接触しているので、シール性がきわめて良好であった。
[0134] また、本実施例においては、弾性体 4の外側の形状に沿って樹脂フィルム 3を切断 し、フィルム 3と弾性体 4が一体化されたガスケットを用いた。このことにより、樹脂フィ ルムのロスを少なくすることができ、また HDDの内部音が外部に漏れに《なり、防音 効果が得られた。
[0135] (実施例 7)
本実施例においては、発泡ガスケットの製造工程について説明する。
熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤を、熱可塑性エラストマ一に配合するこ とで発泡体を製造することができる。
[0136] 本実施例においては、 TPO :ォレフィン系熱可塑性エラストマ一(MFR :ASTM
1238、 190°C、 2. 16kg荷重) lOg/10分)に無機系発泡剤を 4重量部を混練りし たマスターバッチを作製し、これを 200°Cのシリンダー設定温度で、金型に PPフィル ムを挿入し、固定側と可動側金型を型締めした金型に射出発泡成形した (射出条件 は、射出スピード: 200mm/s、金型温度: 40°C)。金型から発泡成形品を取り出し た所、脱型しやすぐ PPフィルムに融着した状態で一体になつた成形状態良好な発 泡ガスケット成形品 (発泡倍率: 1. 5倍)を作製した。
[0137] (実施例 8)
本実施例においては、 HDD用蓋に本発明のガスケットを取り付ける工程について 説明する。
[0138] 上述の実施形態、実施例 6又は実施例 7で作製したフィルム一体ガスケットをガスケ ット形状にトムソン刃で打抜き、製品のフィルム面にォレフィン系ウレタン反応性接着 剤を塗布し、この接着剤塗布面を HDD用蓋の内側面に接着固定した。このガスケッ トは空気中の水分で反応固化し、無溶剤タイプのためクリーン度も高ぐシーノレ性もき わめて良好であった。
[0139] (実施例 9)
本実施例においては、上述の実施形態、実施例 6又は実施例 7で作製したフィルム 一体ガスケットをガスケット固定治具にセットした後、 PPフィルムを HDD用蓋の表面 部を電熱器で過熱した後、固定治具に固定されているガスケットを加熱された HDD
の蓋に接触させ、熱融着で固定した。得られたガスケットを装着した HDD用蓋のシ 一ル性は良好であった。
産業上の利用可能性
以上詳述したとおり、本発明のガスケット及びその製造方法及びガスケットの取り付 け方法によれば、以下のような効果が得られる。
(1)生産性の良い射出成形法で生産でき、型からの取り出レ性も良好なガスケット を提供することができる。
(2)被シール部に取り付ける際の作業性の良いガスケットを提供することができる。
(3)ごく汎用で安価な材料を用い、できる限りロスを少なくし、低コストを実現したガ スケットを提供することができる。
(4)ガスケットを柔らかい発泡体によって構成した場合であっても、射出成形による 成形後の取り出レ性がよいガスケットを提供することができる。
(5)ガスケットを被シール部に取り付ける際の合理的な取り付け方法を提供すること ができる。
従って、ガスケットに関連する産業において非常に有用である。