明 細 書
農薬乳剤
技術分野
[0001] 本発明は、水分吸湿を抑えることで室温での長期保存安定性及び良好な乳化状 態が得られ、尚かつ昆虫成長制御(以下、 IGRという)薬剤の基礎活性を上げ、 IGR 系薬剤抵抗性害虫に対し効果を増強させる昆虫成長制御系農薬製剤に関する。 背景技術
[0002] 従来から、動植物油及び/または鉱物油を農薬の製剤に加え、殺虫、除草効果を 高める製剤が幅広く検討されている。薬剤抵抗性害虫への効力増強剤については、 一般名クロマフエノジド(ィ匕学名: N'— tert—ブチルー N' _ (3, 5—ジメチルベンゾィル )_5—メチルー 6—クロマンカルボヒドラジド)を有効成分とする農薬製剤(特開 2003— 63908号公報;特許文献 1)や、クロマフエノジド以外の薬剤を有効成分とする農薬 乳剤(特開 2003-63901号公報;特許文献 2)が知られている。
特許文献 1 :特開 2003-63908号公報(第 1-15頁及び実施例 10、実施例 11) 特許文献 2 :特開 2003 - 63901号公報 (第 1 - 12頁)
発明の開示
[0003] しかしながら、特許文献 1及び特許文献 2に記載の乳剤では、長期間の室温保存 時 (例えば 3年間保存)に結晶析出がみられ、保存安定性に問題があることが、本発 明者らによって見出された。
[0004] また、有効成分のクロマフエノジドは疎水性が強ぐ水に約 1. 12ppmしか溶解せず 、またキシレン等の乳剤によく使用される溶剤にも不溶であることから、上記の結晶析 出等のリスクを回避するためには、非プロトン性極性溶媒を使用する必要があり、安 定した乳剤を作製するのは容易ではなかった。
[0005] また、クロマフエノジドに対して力かる非プロトン性極性溶媒を利用する場合には、 非プロトン性極性溶媒にっレ、て一般に推奨されてレ、るポリエチレン製の容器の使用 では、液漏れ等の不具合を生ずることも見いだされた。
[0006] 本発明者らは、前記した課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、農薬有効
成分として IGR系農薬有効成分 1に対して、 1 , 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノンを重 量で 2. 5— 4という特定の比率で使用することにより、室温での長期保存安定性及び 良好な乳化状態が得られ、尚かつ薬剤抵抗性害虫に対しても良好な効果を奏する 農薬乳剤を見出し、本発明を完成させるに至った。
[0007] 即ち、本発明は、
(1)昆虫成長制御(IGR)系農薬有効成分と 1, 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノンとを 重量比 1 : 2. 5— 1 : 4で含む農薬乳剤、
(2)さらに乳化分散用界面活性剤、イミダゾリン系界面活性剤及びヒマシ油を含有す る前項(1)に記載の農薬乳剤、
(3) IGR系農薬有効成分が 1. 25— 12重量%、 1, 3_ジメチルー 2—イミダゾリジノン が 3. 125 48重量%、乳化分散用界面活性剤が 4. 5 15. 5重量%、イミダゾリン 系界面活性剤を 2 8重量%、ヒマシ油を 30— 80重量%含有する前項(2)に記載の 農薬乳剤、
(4)乳化分散用界面活性剤がノニオン系界面活性剤である前項(2)又は(3)に記載 の農薬乳剤、
(5)昆虫成長制御薬剤抵抗性害虫用である前項(1)乃至 (4)の何れか一項に記載 の農薬乳剤、
(6) IGR系農薬有効成分がクロマフエノジドである前項(1)乃至(5)の何れか一項に 記載の農薬乳剤、
(7)炭酸カルシウムを含有する高密度ポリエチレンからなる外層ならびにナイロンから なる内層を有する多層ナイロンボトルに充填されてレ、る前項(1)乃至(6)の何れか一 項に記載の農薬乳剤、
(8)前項(1)乃至(6)の何れか一項に記載の農薬乳剤を充填した容器、
(9)容器が炭酸カルシウムを含有する高密度ポリエチレンからなる外層ならびにナイ ロンからなる内層を有する多層ナイロンボトルである前項(8)に記載の容器、 に関する。
発明を実施するための最良の形態
[0008] 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の農薬製剤 (農薬乳剤)の各成分について説明を行うが、これにより本発明が 限定されるものではない。
[0009] 本発明の農薬乳剤は、 IGR系農薬有効成分と 1, 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノンと を重量比 1 : 2. 5— 1 : 4で含む農薬乳剤である。
[0010] 本発明で用いる IGR系農薬有効成分はエタダイソンァゴニストとして鱗翅目系の幼 虫に対して作用し、脱皮を適齢期以外で強制的に促すことで駆除する、安全性の高 い農薬殺虫成分である。 IGR系農薬有効成分としては、例えば、 N'-tert-プチル- N' _ (3, 5—ジメチルベンゾィル)_5_メチル _6_クロマンカルボヒドラジド(一般名:ク ロマフエノジド)、 Ν—tert—ブチノレ一 N' _(4_ェチルベンゾィノレ)_3, 5—ジメチルベン ゾヒドラジド(一般名:テブフヱノジド)、 N_tert_ブチル _N,_ (3—メトキシ _o_トルォ ィル)一 3, 5—キシロヒドラジド(一般名:メトキシフエノジド)等の脱皮ホルモン様活性化 合物、 2— tert—ブチルイミノ—3—イソプロピル— 5—フエニル _3、 4、 5、 6—テトラヒドロ— 2H— 1、 3、 5—チアジアジン一 4_オン(一般名:ブプロフエジン)、 N—シクロプロピル一 1 , 3, 5-トリアジン=トリアミン又は 2-シクロプロピルアミノー 4, 6-ジァミノ- s—トリアジ ン(一般名:シロマジン)、(RS)_1_[2, 5—ジクロ口 _4_ (1 , 1 , 2, 3, 3, 3—へキサフ ルォロプロポキシ)—フエニル] _3_ (2, 7—ジフルォ口べンゾィル)—ゥレア(一般名: ルフェヌロン)等の昆虫の表皮形成を阻害するキチン合成阻害剤、 2— (4一フエノキシ フエノキシ)ェチルカルバミン酸ェチルインセガー(一般名:フエノキシカルプ)、 2_[1 —メチル 1—2— (4—フエノキシフエノキシ)エトキシ]ピリジン(一般名:ピリプロキシフェン )等の幼若ホルモン様活性化合物等が挙げられる。このなかでも N'— tert—プチルー N' _ (3, 5—ジメチルベンゾィル)_5—メチルー 6_クロマンカルボヒドラジド(一般名:ク ロマフエノジド)、 Ν—tert—ブチノレ一 N' _(4_ェチルベンゾィノレ)_3, 5—ジメチルベン ゾヒドラジド(一般名:テブフヱノジド)、 N_tert_ブチル _N,_ (3—メトキシ _o_トルォ ィル)一 3, 5—キシロヒドラジド(一般名:メトキシフエノジド)等の脱皮ホルモン様活性化 合物が好ましぐ ^^' _セ6 _ブチル_^^' _ (3, 5—ジメチルベンゾィル)_5_メチル _6 —クロマンカルボヒドラジド(一般名:クロマフエノジド)がさらに好ましい。
[0011] 有効成分は適当な含量を設定することができるが、その中でも通常 1. 25 12重 量%の含有量が好ましい。 1. 25重量%以下では投下薬量が一定であると仮定する
と経済的な理由から好ましくなぐまた 12重量%以上では水で希釈した際に、凝集や 著しい沈降がみられる。
[0012] 本発明の農薬乳剤には、 IGR系農薬有効成分以外の有効成分であっても、長期 室温保存安定性、低温安定性、乳化性、薬剤基礎効力増強、 IGR系薬剤抵抗性害 虫、薬害等に悪影響がなければ混合することができる。これらの具体例として以下の ものが挙げられるがこれに限定されるものではない。
[0013] 殺虫,殺ダニ剤有効成分としては、 1-ナフチル -N-メチルカーバメート(一般名: N AC)、 2_ (ェチルチオメチル)フエ二ル=メチルカルバマート(一般名:ェチォフェン カルプ)、 S—4—フエノキシブチル =ジメチルチオ力ルバマート(一般名:フエノチォ力 ルブ)等のカーバメート系有効成分、〇,〇_ジェチルー 0—3, 5, 6_トリクロ口— 2_ピリ ジルホスホロチォエート(一般名:クロルピリホス)、 3—ジエトキシホスホリルチオメチル —6—クロ口べンズォキサゾロン(一般名:ホサロン)、 2—メトキシ— 4H— 1 , 3, 2—ベンゾ ジォキサホスホリン 2—スルフイド(一般名:サリチオン)等の有機リン系有効成分、(R , S) α—シァノ 3—フエノキシブチル(IRS, 3RS)- (1RS, 3SR)— 3— (2, 2—ジク 口ロビニル)— 2, 2—ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名:シペルメトリン) 、 α _シァノ _3_(2, 2—ジクロロビニル)— 2, 2—ジメチルシクロプロパンカルボキシレ ート(一般名: α—シペルメトリン)、 (S) _ ct _シァノ _3—フエノキシベンジル = (1R, 3 S)— 2, 2_ジメチルー 3_ (1 , 2, 2, 2—テトラブロモェチル)シクロプロパンカルボキシ ラート(一般名:トラロメトリン)、(RS) α—シァノ 3—フエノキシベンジル = (RS) -2- (4ークロロフヱニル) _3—メチルブタノアート(一般名:フェンバレレート)、 2_ (4 エト キシフエ二ノレ)_2 メチルプロピル = 3—フエノキシベンジル =エーテル(一般名:エト フェンプロックス)等のピレスロイド系有効成分; trans_5_ (4—クロロフヱ二ノレ)—N—シ クロへキシル _4_メチル _2_ォキソチアゾリジン— 3_カルボキサミド(一般名:へキシ チアゾタス)、 1_ (4—クロロフヱ二ル)— 3_ (2, 6—ジフルォロベンゾィル)ゥレア(一般 名:ジフルべンズロン)、 1—〔3, 5—ジクロロ一 4— (3—クロ口一 5—トリフルォロメチル一2— ピリジルォキシ)フエ二ル〕— 3_ (2, 6—ジフルォロベンゾィル)ゥレア(一般名:クロルフ ルァズロン)等の尿素系有効成分; 1_ (6—クロ口— 3_ピリジルメチル)—N—ニトロイミダ ゾリン— 2—イリデンァミン (一般名:イミダクロプリド)等のネオニコチノイド系有効成分
が挙げられる。このなかでもシペルメトリン、 α—シペルメトリン、イミダクロプリドとの組 合せが好ましい。
[0014] 殺菌剤有効成分としては、 0-2, 6-ジクロロ- Ρ-トリル =〇,〇-ジメチルホスホロチ ォアート(一般名:トルク口ホスメチル)、 3,_イソプロポキシ _2_メチルベンズァニリド( 一般名:メプロニル)、 ひ, ひ, ひ—トリフルォロ— 3 '—イソプロポキシ—〇—トルァニリド( 一般名:フルトラニル)、 1_ (4—クロ口べンジル)_1—シクロペンチノレ— 3—フエニル尿 素(一般名:ペンシクロン)、 Ν_トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(一般名:キ ャプタン)、 3— (3, 5—ジクロロフエ二ル)— Ν—イソプロピル— 2, 4—ジォキソイミダゾリジ ン _1_カルボキサミド(一般名:ィプロジオン)、ジンタエチレンビスジチォカーバメート (一般名:ジネブ)、ビス(ジメチルチオ力ルバモイル)ジスノレフイド(一般名:チウラム) 、テトラクロ口イソフタロニトリル(一般名: ΤΡΝ)、 4, 5, 6, 7—テトラクロロフタリド(一般 名:フサライド)、 3, 4, 5, 6—テトラクロ口一 Ν— (2, 3—ジクロロフエニル)フタルアミド酸 (一般名:テク口フタラム)、〇—ェチルー S, S—ジフエ二ルジチォホスフェート(一般名: EDDP)、 N—(3, 5—ジクロ口フエ二ル)— 1 , 2—ジメチルシクロプロパン 1 , 2—ジカル ボキシミド(一般名:プロシミドン)、 (E)— 4—クロ口— a , a , α—トリフルォロ— N— (1— イミダゾールー 1ーィルー 2_プロポキシェチリデン ) _0—トルイジン(一般名:トリフルミゾ ール)、 6_ (3, 5—ジクロ口 _4 メチルフエ二ル)— 3 (2H)—ピリダジノン(一般名:ジク ロメジン)、 3—ァリルォキシ _1 , 2—べンゾイソチアゾールー 1 , 1,ージオキサイド(一般 名:プロべナゾール)等が挙げられる。そのなかでもプロべナゾールが好ましい。
[0015] 本発明の農薬製剤においては、 1 , 3—ジメチルー 2 イミダゾリジノン (以下、 DMIと いう)を使用する。 DMIの使用量は、 IGR系農薬有効成分の溶解性を考慮すると、 該有効成分 1に対して重量で少なくとも 2. 5倍量以上が必要であり、乳化、効力、容 器への影響等の観点から 4倍量以下であることが必要である。
[0016] また、本発明の農薬製剤においては、 DMI以外にも、 IGR系農薬有効成分を効率 よく溶解し、尚かつ結晶析出や相分離の原因となる水分吸湿を抑える溶剤であれば 併用可能であるが、一般に溶解性が高い非プロトン性極性溶剤が適している。具体 的には例えば、 N メチルホルムアミド、 N メチルピロリドン等が挙げられる。
[0017] 本発明において、ヒマシ油は、製剤の水分吸湿抑制及び IGR系薬剤抵抗性害虫
に効果的に作用する為、好適な成分である。その含有量は、好ましくは 30— 80重量 %、さらに好ましくは 60— 78重量%である。 80重量%以上の場合では乳化させる界 面活性剤の不足等で製剤の乳化が不良になり、希釈時には上層部に油が遊離しや すぐ均一散布の面で不利である。また、 30重量%以下では水分吸湿抑制及び IGR 系薬剤抵抗性害虫に対する効果が不足する為、好ましくない。本発明において用い られるヒマシ油のグレードは特に問わないが、結晶析出の原因となる浮遊物は極力 除かれてレ、るものが好ましレ、。
[0018] 本発明において用いられる乳化分散用界面活性剤としては、乳化分散が希釈時に 問題となるほど油滴が浮かない程度であればよぐその具体例としては、例えばポリ ォキシエチレン化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンスチリルフエニルエーテル、ポリカルボン酸塩、ジアルキルスルホ コハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホ ン酸塩、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリル エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルァリー ルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステ ノレ、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、グリセ リン脂肪酸エステル、ソルビタンモノォレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ ート、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテルポリオキシエチレンアルキルァリール エーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルァリール燐酸エステル塩、これらの混 合物などが挙げられる。そのなかでもノニオン系界面活性剤が好ましぐ特にポリオキ シエチレンヒマシ油エーテルの使用が好ましい。乳化分散用界面活性剤の農薬乳剤 中に含まれる割合は適宜調整が可能であるが、あまり微細な乳化粒子にすると IGR 系薬剤抵抗性害虫に対する効果が不足するため、 4. 5 15. 5重量%が好ましい。
[0019] 本発明において、イミダゾリン系界面活性剤は、 IGR系農薬有効成分の効力増強 のためにヒマシ油とともに寄与しているため特に重要である。イミダゾリン系界面活性 剤は、油中での粒子の会合を抑制する分散剤としての作用が認められているが、一 方で IGR系薬剤抵抗性害虫に有効であることがわかった。
[0020] イミダゾリン系の界面活性剤としては、ノィォニン C一 159— ES (商品名、竹本油脂
社製)やホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製)が挙げられるが、これに限定される ものではない。本発明の農薬製剤において、イミダゾリン系界面活性剤の含有量は 2 一 8重量%が好ましい。
[0021] 本発明の農薬製剤の好ましい形態は、 IGR系農薬有効成分を 1. 25 12重量%、
1 , 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノンを 3. 125 48重量%、乳化分散用界面活性剤 が 4. 5- 15. 5重量%、イミダゾリン系界面活性剤を 2— 8重量%、ヒマシ油を 30 8 0重量%含有する農薬乳剤である。
[0022] 本発明の農薬製剤は、基本的には凍結防止剤であるポリエチレングリコール等を 必要としない。また、ヒマシ油の酸化を防止する BHT等の安定化剤(酸化防止剤等) 、ピぺロニルブトキサイド等の協力剤, 1, 2—べンズイソチアゾリン一 3—オン等の防黴 剤,着色剤、芳香剤などを適宜添加することもできる。
[0023] 本発明の農薬製剤は、 IGR系農薬有効成分を安定に保つ為、非プロトン性極性溶 剤である DMIを利用しているため、ボトル等の容器の材質の劣化が問題となりやす レ、。特開 2003 - 89603号公報では、保存安定性に優れた溶液状農薬組成物として 、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び/または 1, 3_ジメチルー 2—イミダゾリジノン( DMI)と凍結防止剤との混合物が開示され、またポリエチレン製の容器の使用が推 奨されている。
[0024] し力 ながら、ポリエチレン製の容器であっても、高密度ポリエチレン、高密度ポリエ チレン +シーラー(変性ナイロン)の練り込みで構成されるシーラーボトルあるいは高 密度ポリエチレン (炭酸カルシウム入り)/ェバールで構成される多層エバールボトル (いずれも北酸 (株)製)などは、ボトル試験において破損、液漏れの発生が認められ る場合もある。
[0025] 本発明の農薬乳剤を長期間に渡って、破損や漏れの恐れが無く保存可能な容器と しては、多層ナイロンボトルの使用が好適である。特に、炭酸カルシウムを含む高密 度ポリエチレンからなる外層と、ナイロンからなる内層で構成されるナイロンボトルが、 本発明の農薬乳剤を長期に保存するのに特に適した耐久性を備えている点で、本 発明の農薬乳剤用の保存容器として有利である。
[0026] 力、かる容器に保存される本発明の農薬乳剤は、保存中に結晶の析出がなぐまた
液漏れ等も発生せずに、安定且つ安全に長期保存する事が出来る。また、本発明の 農薬乳剤は、 - 5°CX 72時間の低温保存試験条件下においても、固結、結晶析出 等の問題を生じない。この長期保存安定性は、本発明の各成分のバランスにより、 IG R系農薬有効成分の水分吸湿が抑えられたことによるものと考えられる。
[0027] 本発明の農薬製剤の製造方法としては、例えば、 IGR系農薬有効成分、必要によ り固体の安定剤等を DMIに溶解し、次いでヒマシ油、界面活性剤を添加して得る方 法が挙げられる。必要により適時濾過工程を含めることも可能である。これらの方法 は、特許文献 1または特許文献 2の記載、あるいはその他の一般的な農薬製剤の調 製方法に基づいて行うことが出来る。
[0028] また、本発明の農薬乳剤は、一般的な農薬製剤と同様の手法により散布することが できる。
実施例
[0029] 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではなレ、。
[0030] (実施例 1)
(1)クロマフエノジド (純度 95%)··· 5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·69.0重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·7.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 15.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び (6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明 の乳剤を得た。
[0031] (実施例 2)
(1)クロマフエノジド (純度 95%)··· 5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·61· 0重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ
一テル) ·'·15.0重量部
(4)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 15.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び (6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明 の乳剤を得た。
[0032] (実施例 3)
(1)クロマフエノジド(純度 95%) · · · 10.0重量部
(2)ヒマシ油 ·'·46.5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) "'10.0重量部
(4)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノン(DMI) · · ·30· 0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び(6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明 の乳剤を得た。
[0033] (実施例 4)
(1)クロマフエノジド (純度 95%) 3重量部
(2)ヒマシ油 ·'·77· 8重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム · · · 5.0重量部
(5)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 7.0重 量部
(6) 1, 3_ジメチルー 2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·3.9重量部
(6)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明の乳剤を
得た。
[0034] (実施例 5)
(1)クロマフエノジド (純度 95%)··· 2· 6重量部
(2)ヒマシ油 ·'·77.6重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·9.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·7.8重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明の乳剤を 得た。
[0035] (実施例 6)
実施例 1で調製した乳剤を、高密度ポリエチレン (炭酸カルシウム入り)(外層)/ナ ィロン(内層)で構成される多層ナイロンボトル (北酸株式会社製)に充填し、封印キヤ ップ (本体がポリプロピレン製、中栓が低密度ポリエチレン製)で密栓し、本発明品を 得た。
[0036] (実施例 7)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) ·'·5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·69· 0重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·7.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 15.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び (6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明 の乳剤を得た。
[0037] (実施例 8)
(1)メトキシフエノジド(合成品:純度約 95%) · · ·5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·61· 0重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·15.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 15.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び (6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明 の乳剤を得た。
[0038] (実施例 9)
(1)ルフェヌロン (製剤抽出品:純度約 95%) 3重量部
(2)ヒマシ油 ·'·77· 8重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム · · · 5.0重量部
(5)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 7· 0重 量部
(6) 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノン(DMI) · · ·3· 9重量部
(6)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、本発明の乳剤を 得た。
[0039] (実施例 10)
実施例 7で調製した乳剤を高密度ポリエチレン (炭酸カルシウム入り)(外層) Zナイ ロン(内層)で構成される多層ナイロンボトル(北酸 (株)製)に充填し、封印キャップ( 本体 ポリプロピレン (PP)、中栓 (低密度ポリエチレン))で密栓し、本発明品を得た。
[0040] (比較例 1 (特許文献 1;実施例 10) )
(1)クロマフエノジド(純度 95%)·· ·5.5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·80.5重量部
(3)ニューカルゲン D_212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·6.0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0041] (比較例 2 (特許文献 1;実施例 11相当))
(1)クロマフエノジド(純度 95%)·· ·5.5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·35.5重量部
(3)大豆油 ·'·40.0重量部
(4)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·10.0重量部
(5)パイォニン C 159— ES (商品名、竹本油脂社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3.0重量部
(6) 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノン(DMI) · · ·6· 0重量部
(6)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0042] (比較例 3)
(1)クロマフエノジド (純度 95%)··· 5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·76· 5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 10.0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0043] (比較例 4)
(1)クロマフエノジド (純度 95%)··· 5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·66· 5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5)ジメチルスルホキシド' · · 20.0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0044] (比較例 5)
(1)クロマフエノジド(純度 95%)·· ·5.5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·56· 5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5)ジメチルスルホキシド' · · 30.0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0045] (比較例 6)
(1)クロマフエノジド(純度 95%)·· ·5.5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·41.0重量部
(3) 03075ΤΧ (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·30.0重量部
(4)日石ハイゾール SAS—296 (商品名、日本石油社製、溶剤) · · · 14.0重量部
(5)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(6) 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノン(DMI) · · ·6· 0重量部
(7) SL— ΒΗΤ— Ρ···0· 5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(6)に(1)及び(7)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。平均粒子径は約 1一 2 μ mであった。
[0046] (比較例 7)
(1)クロマフエノジド(純度 95%) · · · 15.0重量部
(2)ヒマシ油 ·'·26.5重量部
(3) 03075ΤΧ (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·20.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) ---35.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び(6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。
[0047] (比較例 8)
(1)クロマフエノジド(純度 95%) · · · 20· 0重量部
(2)ヒマシ油'.'16.5重量部
(3) 03075TX (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·20· 0重量部
(4)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·40.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び(6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。
[0048] (比較例 9)
(1)クロマフエノジド(純度 95%)·· ·5.5重量部
(2)ジメチルスルホキシド' · · 20. 0重量部
(3)ソルべッソ # 200 (商品名、ェクソン社製、芳香族高沸点溶剤) · · · 64. 5重量部
(4)ニューカルゲン 155LL (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンアルキルフ ェニルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩) · · · 10. 0重量部
(1)一(4)を均一に混合溶解し、比較用の乳剤を得た。
[0049] (比較例 10)
(1)クロマフエノジド(純度 95%) · · · 5. 5重量部
(2)ニューカルゲン PS—P (商品名、竹本油脂社製、ナフタレン縮合型ァニオン界面 活性剤) · ' · 7. 0重量部
(3) KF— 96—lOOcp (商品名、信越化学工業製、メチルシリコーン) · · ·0. 05重量部
(4)水道水 · ' · 86. 85重量部
(5)キサンタンガム · ' · 0. 05重量部
(6)クニピア F (商品名、クニミネ工業製、有機ベントナイト) · · · 0· 5重量部
(7) PROXEL GXL (商品名、ゼネカ社製、防腐剤) · · · 0· 05重量部
(1)一 (7)を均一に混合し、サンドグラインダーミル 1800rpmで 50分間湿式粉碎を 行レ、、平均粒径 1. 0 /i mのフロアブル剤を得た。
[0050] (比較例 11)
実施例 1で調製した乳剤を、高密度ポリエチレンボトル (北酸株式会社製)に充填し 、封印キャップ (本体がプリプロピレン製、中栓が低密度ポリエチレン製)で密栓し、比 較品を作成した。
[0051] (比較例 12)
実施例 1で調製した乳剤を、高密度ポリエチレン +シーラー(変性ナイロン)の練り 込みで構成されるシーラーボトルに充填し、封印キャップ (本体がプリプロピレン製、 中栓が低密度ポリエチレン製)で密栓し、比較品を得た。
[0052] (比較例 13)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) · · · 5. 5重量部
(2)ヒマシ油 · ' · 76. 5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ
一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · · 10.0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0053] (比較例 14)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) · · · 5.5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·66.5重量部
(3)ニューカルゲン D—212 (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油ェ 一テル) ·'·5.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5)ジメチルスルホキシド(DMSO) · · · 20· 0重量部
(5)に(1)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用の乳剤を 得た。
[0054] (比較例 15)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) ·'·5· 5重量部
(2)ヒマシ油 ·'·41· 0重量部
(3) 03075ΤΧ (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·30· 0重量部
(4)日石ハイゾール SAS—296 (商品名、日本石油社製、溶剤) · · · 14.0重量部
(5)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(6) 1, 3_ジメチルー 2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·6.0重量部
(7) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(6)に(1)及び(7)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。
[0055] (比較例 16)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) · · · 15· 0重量部
(2)ヒマシ油 ·'·26· 5重量部
(3) 03075ΤΧ (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·20.0重量部
(4)ホモゲノール L一 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) . · · 3.0重 量部
(5) 1, 3—ジメチル _2_イミダゾリジノン(DMI) · · ·35.0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び(6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。
[0056] (比較例 17)
(1)テブフエノジド(合成品:純度約 95%) ·'·20· 0重量部
(2)ヒマシ油'.'16.5重量部
(3) 03075ΤΧ (商品名、竹本油脂社製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、アル キルベンゼンスルホン酸カルシウム) · · ·20· 0重量部
(4)ホモゲノール L 95 (商品名、花王社製、イミダゾリン系界面活性剤) · · · 3· 0重 量部
(5) 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノン(DMI) · · ·40· 0重量部
(6) SL— ΒΗΤ— Ρ···0.5重量部(商品名、共同薬品、酸化防止剤)
(5)に(1)及び(6)を入れ、 40°C湯槽で溶解し、その後残りの成分を入れ、比較用 の乳剤を得た。
[0057] (比較例 18)
(1)テブフエノジド (合成品:純度約 95%) · · · 5.5重量部
(2)ニューカルゲン PS—P (商品名、竹本油脂社製、ナフタレン縮合型ァニオン界面 活性剤) ·'·7.0重量部
(3) KF— 96—lOOcp (商品名、信越化学工業製、メチルシリコーン) ·· ·0.05重量部
(4)水道水 ·'·86.85重量部
(5)キサンタンガム · · · ()· 05重量部
(6)クニピア F (商品名、クニミネ工業製、有機ベントナイト) · · · 0· 5重量部
(7) PROXEL GXL (商品名、ゼネカ社製、防腐剤) · · · 0· 05重量部
(1)一 (7)を均一に混合し、サンドグラインダーミル 1800rpmで 50分間湿式粉砕を 行レ、、比較用のフロアブル剤を得た。
[0058] (比較例 19)
(1)メトキシフエノジド(合成品:純度約 95%) · · · 5. 5重量部
(2)ニューカルゲン PS—P (商品名、竹本油脂社製、ナフタレン縮合型ァニオン界面 活性剤) · ' · 7. 0重量部
(3) KF— 96—lOOcp (商品名、信越化学工業製、メチルシリコーン) · · ·0. 05重量部
(4)水道水 · ' · 86. 85重量部
(5)キサンタンガム · ' · 0. 05重量部
(6)クニピア F (商品名、クニミネ工業製、有機ベントナイト) · · · 0· 5重量部
(7) PROXEL GXL (商品名、ゼネカ社製、防腐剤) · · · 0· 05重量部
(1)一 (7)を均一に混合し、サンドグラインダーミル 1800rpmで 50分間湿式粉碎を 行レ、、比較用のフロアブル剤を得た。
[0059] (試験例 1 (長期室温保存安定性試験) )
供試製剤を JISガラス瓶に入れ、内蓋及び外蓋で密封し、室温にて 3年間保管した 。保管終了後、肉眼で達観調査を行い結晶析出及び相分離等を調査した。その結 果を第 1表に示す。
[0060] [表 1] 第 1表: 保管 後の状態観察
3年保管後の状態
実施例 1 結晶析出や相分離は認められず
実施例 2 結晶析出や相分離は認められず
比較 1 結晶析出
J:瞻 2 結晶析出
比較 3 結晶析出
比較 4 結晶析出
比棚 5 結晶析出
[0061] 第 1表の結果より、本発明の農薬乳剤は、長期間保存安定性が良好であることがわ かった。
[0062] (試験例 2 (開放試験))
供試製剤を JISガラス瓶に入れ、内蓋及び外蓋をせず開放形で温度 25°C、湿度 6 5%の恒温槽に入れ、 3週間後に肉眼で達観調査を行い結晶析出及び相分離等を 調査した。また水分をカールフィッシャー測定法で測定した。その結果を第 2表に示 す。
[0063] [表 2] 第 2表: Mi ^の状態観察と水分量
3週間後の状態 含水分量 実施例 1 結晶析出や相分離は認められず 1 . 2% 実施例 2 結晶析出や相分離は認められず 1 . 2%
3. 5% 比較 $1日日 ΤΪΓίϋ 未測定 比 fi日日 Ϋ/Γ出 4. 0% 比較 日日析出 1 4. 0% 比糊 5 結日 B¾T出 1 7. 0% 比翻9 1 2時間後に相分離し、 3日後に結晶析出 1 5. 0 %
[0064] 第 2表より、初期水分含有量が 0. 5%以下であった比較用の製剤のいずれも、 3週 間の開放試験において水分を吸収し、結晶析出や相分離等の問題が生じたが、本 発明の農薬乳剤はそのような問題は起きず、結晶析出抑制に優れていることがわか つた。
[0065] (試験例 3 (薬剤抵抗性チヤハマキに対する圃場試験) )
供試製剤を有効成分であるクロマフエノジドが 50ppm及び 25ppmになる濃度に水 で希釈し、該希釈液に新グラミン(商品名、展着液)を 3000倍水希釈量で加え、茶畑 (5. 5 X 16mを 1区: 2連制)に散布した。散布後 2週間後にチヤハマキの死虫率を調 查した。茶畑のチヤハマキは感受性検定の結果、 IGR系薬剤抵抗性チヤハマキであ つた。その結果を第 3表に示す。
[0066] [表 3]
第 3表:薬剤抵抗性チヤハマキに対する圃場試験結果
チヤハマキ死虫率
(クロマフエノジド; mm) 5 0 p p m 2 5 p p m
例 1 6 7. 6 % 4 7. 1 %
比糊 6 5 2. 9 % 1 7. 6%
比翻 1 0 1 4. 7 % 3 %以下
[0067] 第 3表の結果より、本発明の農薬乳剤は、比較例に比べ、低濃度に希釈した場合 でも安定した防除価を示してレ、ることがわかった。
[0068] (試験例 4 (乳化性試験))
供試製剤を 100mlの蒸留水の入つ ISガラス瓶に 100 μ 1添加し、乳化状態を肉 眼で達観調査した。乳化直後及び 2時間後に調査した。その結果を第 4表に示す。
[0069] [表 4] 第 4表 乳化の状^ m察
乳化状態
直後 2時間後
実施例 1 良好な "匕 良好な分散乳化 実施例 3 良好な L化 良好な分散 化 実施例 4 良好な分散乳化 良好な分散乳化 実施例 5 良好な分散乳化 良好な^ ϋ乳化 比較 17 分散不良 底部に沈殿し、乳化崩壊 比 分散不良 底部に沈殿し、乳化崩壊
[0070] 第 4表の結果より、本発明品は良好な乳化をすることが示された。
[0071] (試験例 5 (ボトル試験))
本試験は、農業用プラスチックボトル試験法(昭和 53年 6月:農業用プラスチック容 器共同開発研究会)に準じて行った。
[0072] 供試品(η= 3)に対して、 -15°C3日間、室温 1日、 40°C30日間を 1サイクルとする 虐待試験を 3サイクル実施し、 1. 2mの高さより供試品をコンクリート底水平面上に垂 直落下させて、破壊するまでの回数を常温で測定した。この結果を、第 5表に示す。
[0073] [表 5]
第 5表:落下 lilt結果
破裂するまでの回数
¾ί¾例 6 n 1 3 0回以上でも破裂せず 雄例 6 n 2 3 0回以上でも破裂せず 実施例 6 n 3 3 0回以上でも破裂せず 比較 1 1 n 1 1 4回で底部に亀裂、 漏れ
i麵 1 1 n 2 1 0回で底部に亀裂、漏れ
比較 1 1 n 3 1 2回で底部に亀裂、漏れ
比 2 n 1 3回で底部に亀裂、 漏れ
tt¾i^J 1 2 n 2 6回で底部に亀裂、漏れ
比 1 2 n 3 1 2回で低部に亀裂、漏れ
[0074] 第 5表の結果より、本発明品は、高密度ポリエチレン (炭酸カルシウム入り)/ナイ口 ンで構成される多層ナイロンボトルの使用が最適であることがあきらかになった。
(試験例 6 (開放試験))
供試製剤を JISガラス瓶に入れ、内蓋及び外蓋をせず開放形で温度 25°C、湿度 6 5%の恒温槽に入れ、 3週間後に肉眼で達観調査を行い、結晶析出及び相分離等 を調査した。また水分を力ールフィッシャー測定器で測定した。
[0075] [表 6] 第 6表:開 の状態観察と水分量
3週間後の状態 含水分量
a 7 結晶析出や相分離は認められず 5 %
実施例 8 結晶析出や相分離は認められず 1 . 6 %
義 1 結晶析出 3. 5 %
tbM 2 結晶析出 未測定
1 3 結晶析出 4 · 0 %
[0076] 第 6表より初期水分含有量が 0. 5%以下であったいずれの製剤も、 3週間の開放 試験において水分を吸収し、結晶析出や相分離等の問題が生じたが、本発明の実 施例はそのような問題は起きず、結晶析出抑制に優れていることがわかった。
[0077] (試験例 7)
(IGR系薬剤抵抗性チヤハマキに対する基礎活性試験)
供試薬剤を水を用いて農薬有効成分が 200, 100, 50, 25, 12. 5ppmとなる濃
度に希釈し、それぞれ希釈液を作製した。その希釈液に茶葉を浸潰し、薬剤抵抗性 チヤハマキ(静岡県牧ノ原系飼育 3代目チヤハマキ;以下 Rチヤハマキ)を放虫し、 5 日後死虫数を調査した。
[表 7] 第 7表:薬剤抵抗性チヤハマキに対する試験結果
チヤハマキ死虫率
供試薬剤濃度 ( p p m)
200 100 50 25 12. 5
実施例 7 100% 100% 100% 100% 90¾ 実施例 8 100% 腿 歸 腾 95% jt in 5 鶴 80¾ 60% 30% 10% 比咖 6 画 80¾ 25% 10% 比較 1 7 麵 75% 50¾ 30% % 比 1 8 55¾ 10¾ 0¾
t瞻 1 1 9 100% 100¾ 90% 75% 45%
[0079] 第 7表の結果より、本発明の農薬乳剤は比較例に比べ低濃度でも安定した防除価 を示していることがわかった。
[0080] (試験例 8 (乳化性試験) )
供試製剤を 100mlの蒸留水の入つ ISガラス瓶に 100 μ 1添加し、乳化状態を肉 眼で達観調査した。乳化直後及び 2時間後に調査した。
[0081] [表 8] 第 8表:乳化の状態観察
乳化状態
直後 2時間後
mi 良好な分散乳化 良好な分散乳化 例 8 良好な分散乳化 良好な分散乳化 例 9 良好な分散乳化 良好な分散乳化 比 1 6 分散不良 底部に し、乳化崩壊
比糊 1 7 分散不良 底部に沈殿し、 乳化崩壊 第 8表の結果より、本発明品は良好な乳化をすることが示された。
産業上の利用の可能性
本発明の農薬乳剤は、長期室温保存安定性、低温安定性、薬害に対する効力増
強、乳化性に優れ、なおかつ、 IGR系農薬有効成分に対して抵抗性を有した害虫へ の効力増強が付与される農薬乳剤を提供する。
本発明の農薬製剤は、通常の適用害虫に用いられるものであるが、特に IGR系農 薬有効成分に抵抗性を獲得した虫に対して特に有効である。通常、薬剤に対して抵 抗性を獲得した害虫は、その薬剤に対する半数致死量濃度が約 10 100倍以上に なるため、従来の 10倍量、場合によってはそれ以上散布しないと効果が得られなくな つてしまうが、本発明の農薬製剤を使用すると、通常通りの散布濃度で十分駆除でき る。