明 細 書
居眠り防止装置、居眠り防止プログラムおよび記憶媒体
技術分野
[0001] 本発明は、作業中の居眠りを防止する居眠り防止装置に関し、より詳しくは、作業 中の居眠り防止機能を有するナビゲーシヨン装置などに関するものである。
背景技術
[0002] 従来の居眠り防止装置として、利用者が発話する音声を入力するマイクと、このマイ クから入力された音声を認識して認識された音声を記号列に変換する音声認識処理 部と、この音声認識処理部で変換された記号列に基づき利用者との会話を制御し利 用者に合った記号列を出力する会話パターン処理部と、この会話パターン処理部か らの記号列を音声に変換する音声合成処理部と、この音声合成処理部からの音声を 出力して発話するスピーカとを備えることによって、退屈な状態を解消し居眠りを事前 に防止する双方向知的対話システムが知られている (例えば、特許文献 1を参照)。 特許文献 1 :特開 2001-125900号公報 (段落 0049、第 1図)
発明の開示
[0003] し力しながら、従来の居眠り防止装置は利用者の態度に応じて会話を制御し利用 者の居眠りを事前に防止しているので、利用者が居眠りをして発話しなくなれば、会 話は最終的に途切れてしまう。すなわち、利用者の居眠り状態は放置され続け、利 用者の居眠りを解消することはできな 、と 、う問題があった。
[0004] 本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、作業中の居眠りを解消 することができる居眠り防止装置を提供することを目的とする。
[0005] 本発明に係る居眠り防止装置は、音を出力する出力部と、音を入力する入力部と、 前記出力部によって音が出力された後に前記入力部によって音が入力されない場 合に警告する警告部とを備えることを特徴とする構成を有している。
[0006] この構成によれば、警告が出力音に応答しない作業者に対して行われるので、作 業中の居眠りを解消することができる。
[0007] 本発明は、音が出力された後に音が入力されない場合に警告する警告部を設ける
ことによって、作業中の居眠りを解消することができるという効果を有する居眠り防止 装置を提供することができるものである。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]本発明に係る居眠り防止装置を実施するための最良の形態としてのナビゲーシ ヨン装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
[図 2]本実施の形態におけるナビゲーシヨン装置の居眠り防止処理開始判定処理を 示すフローチャートである。
[図 3]地図データにおける道路データフラグの概念を説明する図である。
[図 4]本実施の形態におけるナビゲーシヨン装置の居眠り防止処理を示すフローチヤ ートである。
[図 5]マイク入力音量と質問との対応を示す質問テーブルを説明する図である。
[図 6]質問と回答との対応を示す回答テーブルを説明する図である。
符号の説明
[0009] 1 ナビゲーシヨン装置 (居眠り防止装置)
2 スピーカ(出力部)
3 マイク (入力部)
4 警告ユニット (警告部)
12 アラームスピーカ(警告部)
13 バイブレータ (警告部)
発明を実施するための最良の形態
[0010] 以下、本発明に係る居眠り防止装置を実施するための最良の形態としてのナビゲ ーシヨン装置にっ 、て、図 1な 、し図 6を参照しながら説明する。
[0011] 図 1に示すように、ナビゲーシヨン装置 1は、音を出力する出力部としての機能を有 するスピーカ 2と、音を入力する入力部としての機能を有するマイク 3と、警告部として の機能を有しスピーカ 2によって音が出力された後にマイク 3によって音が入力されな V、場合に警告する警告ユニット 4と、各種センサ類力 の信号を入力する入力ポート 5と、ナビゲーシヨン用のプログラムや居眠り防止プログラムなどの各種プログラムを 格納するリードオンリーメモリ(以下、 ROMという) 6と、 ROM6に格納された各種プロ
グラムを実行して各種処理を行う中央演算処理装置(以下、 CPUという) 7と、 CPU7 の処理結果や入力信号などを記憶するランダムアクセスメモリ(以下、 RAMという) 8 と、会話データや地図データなどの各種データを記憶するハードディスクドライブ (以 下、 HDDという) 9と、 CPU7の処理結果などを出力するディスプレイ 10と、通信回線 に接続された通信機 11とを備える構成である。
[0012] 警告ユニット 4は、覚醒を促すメッセージ音やサイレン音などの警告用の音を出力 するアラームスピーカ 12と、警告用の振動を発生する可動型のバイブレータ 13とを 備える。ここで、アラームスピーカ 12は、スピーカ 2と兼用してもよい。また、バイブレ ータ 13は、車両のハンドルや車両のシートなどに一体化されて 、てもよ 、。
[0013] 入力ポート 5は、位置データや時刻データなどを GPS衛星力も受信する GPS受信 機 14と、車両の速度を検知する車速センサ 15と、車両の進行方位を検知する方位 センサ 16とに接続され、各種センサ類力ものデータを RAM8の所定の記憶領域に 入力する。
[0014] ROM6には、ナビゲーシヨン用のプログラムに加えて、コンピュータを、音データが 出力された後に音データが入力されない場合に警告信号を生成する生成部と、入力 された音データの振幅に応じて出力される音データを選択する選択部と、現在位置 が所定の道路上にある場合に音データの出力を指示する指示部として機能させるた めの居眠り防止プログラムが格納されている。本実施の形態では、指示部は、居眠り 防止処理の自動開始がユーザによって要求された場合に、所定の道路上での走行 が所定の速度以上で所定の時間以上継続しているときに、音データの出力を指示す るようになっている。
[0015] なお、居眠り防止プログラムは、通信回線を通じて取得された後に読み書き可能な 記憶媒体に格納されてもよい。また、居眠り防止プログラムは、携帯型メモリに格納さ れ、この携帯型メモリから読み出されてもよい。
[0016] HDD9には、ナビゲーシヨンに用いられる地図データ、居眠り防止処理を自動開始 するための条件を示す開始条件データ、音データの入力音データの振幅値 (音量) と質問データとの対応を示す質問テーブル、質問データと回答データとの対応を示 す回答テーブル、サイレン音を示すサイレン音データ、メッセージ音を示すメッセ一
ジ音データや振動パターンを示す振動パターンデータなどが記憶されて 、る。ここで 、開始条件データには、居眠り防止処理を実行すべき道路に対して所定のフラグを 設定したフラグデータと、居眠り防止プログラムを実行すべき車速のしきい値および 走行時間のしきい値を示すしきい値データとが含まれている。そして、本実施の形態 では、速度のしきい値および走行時間のしきい値は、それぞれ時速 80キロメートル( 以下、 80kmZhと!、う)および 60分として設定されて!、る。
[0017] なお、これらの HDD9に記憶されたデータやテーブルなどは、それぞれ通信機 11 を介して外部から取得され、随時最新のデータに更新されることが好ま 、。
[0018] ディスプレイ 10は、押圧によってユーザからの要求を要求データとして RAM8の所 定の記憶領域に入力する図示しない複数のスィッチを有している。居眠り防止処理 の実行要求や居眠り防止処理の自動開始要求などを示す要求データは、ユーザが ディスプレイ 10に設けられたスィッチを用いて予め入力した場合に、 RAM8に記憶さ れる。
[0019] 以上のように構成されたナビゲーシヨン装置 1の動作について、図 2ないし図 6を参 照しながら説明する。まず、図 2および図 3を参照しながらナビゲーシヨン装置 1の基 本的な動作を説明する。
[0020] 図 2に示すように、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行し、 RAM8に 記憶された要求データを参照して、居眠り防止モードが選択されている力否かを判 定する (ステップ Sl)。ここで、居眠り防止モードが選択されていないとの判定がなさ れると (ステップ S1の No)、居眠り防止に関係する処理は終了する。
[0021] 居眠り防止モードが選択されているとの判定がなされると (ステップ S1の Yes)、 CP U7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行し、 RAM8に記憶された要求データを 参照し、居眠り防止処理を自動で開始する力否かを判定する (ステップ S2)。
[0022] 居眠り防止処理を自動で開始するとの判定がなされると (ステップ S2の Yes)、 CP U7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行して、 RAM8に記憶された GPSデー タゃ車速データなどを参照しながら、 HDD9に記憶された地図データを読み出す (ス テツプ S3)。
[0023] GPSデータや地図データなどが読み出されると、 CPU7は、 ROM6に格納された
プログラムを実行し、 GPSデータおよび地図データを用いて、現在位置が高速自動 車道上に存在するか否かを判定する (ステップ S4)。ここで、 HDD9に記憶された地 図データには、各道路データにフラグが設定されている。具体的には、図 3に示すよ うに、高速自動車道にはフラグ「10」が設定され、その他の一般道ならフラグ「5」が設 定されて!/ヽる。これらのフラグによって現在位置が高速自動車道上に存在するかそ の他一般道路上に存在するかが判定される。このとき、現在位置が高速自動車道上 に存在しないとの判定がなされると (ステップ S4の No)、ステップ SIの処理が開始さ れる。
[0024] 他方、現在位置が高速自動車道上に存在するとの判定がなされると (ステップ S4の Yes)、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行し、 RAM8に記憶された車 速データおよび時刻データを用いて、所定の速度以上での走行が所定の時間以上 継続している力否かを判定する (ステップ S5)。具体的には、時速 80Km以上の走行 力 Sが 60分以上継続している力否かが判定される。このとき、所定の速度以上での走 行が所定の時間以上継続していないとの判定がなされると (ステップ S5の No)ステツ プ S1の処理が再び実行される。
[0025] 他方、ステップ S5において、所定の速度以上での走行が所定の時間以上 «I続して いるとの判定がなされると(ステップ S5の Yes)、 CPU7は、 ROM6に格納されたプロ グラムを実行して、居眠り防止処理を行う(ステップ S6)。
[0026] 次に、図 4ないし図 5を参照しながらナビゲーシヨン装置 1の特徴的な動作である居 眠り防止処理を説明する。図 4に示すように、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログ ラムを実行して、 HDD9に記憶された質問テーブルに接続して、質問データを読み 出す (ステップ S7)。
[0027] 図 5に示すように、質問テーブルには、マイク 3によって入力された入力音データの 振幅値に対応して複数の質問データが用意されている。ここで、初回である第 1回目 の質問では、低位の振幅値に対応する「ねむい?」という質問データが選択され音声 出力される。第 2回目以降では、質問データが入力音データの振幅値に応じて選択 され読み出される。
[0028] 質問データが読み出されると、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行し
て、質問データをスピーカ 2を通じて音声出力する (ステップ S8)。
[0029] 次に、質問データが音声出力されるとき、 CPU7は、 ROM6に格納されたプロダラ ムを実行して、質問がスピーカ 2から出力された時刻を基準時刻「0」として計時を開 始する (ステップ S 9)。
[0030] 計時が開始されると、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行して、 RAM 8に接続して、入力音を示す入力音データの有無を監視する。すなわち、マイク 3に 対する音の入力状況が監視される (ステップ S 10)。
[0031] 入力状況が監視されている間、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラムを実行し て、マイク 3がステップ 10の基準時刻から所定の時間内に入力音データを入力した か否かを判定する (ステップ S 11)。ここで、所定の時間は、数秒から十数秒に設定さ れていることが好ましい。
[0032] ステップ S11において、マイク 3がステップ 10の基準時刻力も所定の時間内に入力 音データを入力していないとの判定がなされると (ステップ 11の No)、 CPU7は、 RO M6に格納されたプログラムを実行して、 HDD9に記憶されたサイレン音データや振 動パターンデータなどを読み出す (ステップ S 12)。
[0033] ステップ S12において、サイレン音データなどが読み出されると、 CPU7は、 ROM 6に格納されたプログラムを実行して、サイレン音データをアラームスピーカ 12を通じ て音声出力する。また、振動パターンデータが読み出されていれば、 CPU7は、 RO M6に格納されたプログラムを実行して、振動パターンデータが示す振動パターンに 従ってバイブレータ 14を振動させる(ステップ S13)。
[0034] さて、ステップ S11において、マイク 3がステップ 10の基準時刻力も所定の時間内 に入力音データを入力したとの判定がなされると、 CPU7は、 ROM6に格納されたプ ログラムを実行して、 HDD9に記憶された回答テーブルに接続し、ステップ S9での 質問データに対応する回答データを読み出す (ステップ S 14)。回答テーブルの具体 例としては、図 6に示すように、「ねむい?」という質問データに対しては、「はい」「うん 」など複数の回答データが存在する。
[0035] ステップ S14において、回答データが読み出されると、 CPU7は、 ROM6に格納さ れたプログラムを実行して、入力音データが質問データに対応する回答データの何
れカ 1つに該当する力否かを判定する (ステップ S15)。すなわち、入力された音デー タが出力された音データと所定の条件を満たすか否力が判定される。具体的には、 入力音データの信号列と回答データの信号列とが所定の範囲内で符合する力否か が判定される。この判定では、認識精度の高い音声認識ソフトなどが用いられること が好ましい。
[0036] ステップ S 15において、入力音データが質問データに対応する回答データの何れ 力 1つに該当するとの判定がなされると、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログラム を実行して、入力音データの振幅値に対応する質問データを選択し、ステップ S6の 処理に戻る(ステップ S16)。
[0037] 他方、ステップ S15において、入力音データが質問データに対応する回答データ の何れにも該当しないとの判定がなされると、 CPU7は、 ROM6に格納されたプログ ラムを実行して、ステップ S 14の処理に移行し、サイレン音の出力や振動の発生など を行う。
[0038] 以上、本実施の形態によれば、スピーカ 2によって質問が出力されて力 所定の時 間以内にマイク 3によって回答が入力されない場合にサイレン音の出力や振動の発 生などを行う警告ユニット 4を設けることによって、眠っている作業者または眠りそうな 作業者を覚醒させることができる。
[0039] また、本実施の形態によれば、警告ユニット 4は、スピーカ 2によって質問が出力さ れた後にマイク 3によって回答が入力されない場合であっても、スピーカ 2によって出 力された質問とマイク 3によって入力された回答とが所定の条件を満たさなければサ ィレン質問の出力や振動の発生などを行う。その結果、スピーカ 2によって出力され た質問がマイク 3によって回答として入力されるなどの誤入力が防止され、眠っている 作業者または眠りそうな作業者をより確実に覚醒させることができる。
[0040] また、本実施の形態によれば、スピーカ 2がマイク 3によって入力された回答の音量 に対応させて質問を出力するので、様々な質問によって作業者を楽しませることがで きる。
[0041] さらに、本実施の形態によれば、自動モードの場合、スピーカ 2は現在位置が高速 自動車道などの眠気を誘う道路でのみ警告が行われ、眠って 、る作業者または眠り
そうな作業者をより効率的に覚醒させることができる。
[0042] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
本出願は、 2004年 3月 18日出願の日本特許出願 (特願 2004— 077465)に基づくもの であり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0043] 以上のように、本発明に係る居眠り防止装置は、作業中の居眠りを解消することが できるという効果を有し、作業中の居眠り防止機能を有するナビゲーシヨン装置などと して有用である。