明 細 書
(メタ)アクリル化合物およびその用途
技術分野
[0001] 本発明は、歯科用材料、歯科用組成物、ならびに、歯科用材料などに用いられる 重合性化合物として有用な (メタ)アクリルィ匕合物に関する。
背景技術
[0002] 天然歯のう蝕(虫歯)によって失われた歯牙または歯冠部分を補うための人工歯や歯 冠材料、う蝕(虫歯)等によって生じた歯の欠陥部分を充填し補修するためのコンポ ジットレジンやボンディング材などのコンポジットレジンシステム材料、人工の歯冠を 天然歯に装着する際などに使用するレジンセメント等の接着材料として、(メタ)アタリ ル酸エステル化合物などのラジカル重合性を有する化合物(以下、重合性化合物と 称する)を用いて得られる有機系材料を主成分とする歯科用材料、歯科用組成物が 実用化されている。
[0003] 従来、歯科用接着材において歯質への十分な接着力を得るには、酸性化合物 (例え ば、リン酸、クェン酸など)力もなるエッチング剤を用いて象牙質などの歯質へ前処理 をする必要があった。し力しながら、このような前処理によって歯髄に対する刺激が生 じてしまったり、あるいは、接着強度の面で未だ十分な性能を有しているとは言えな い問題点などを有していた。また、エッチング剤による前処理を行なわない場合には 、歯質への十分な接着力を得ることが困難である等の問題点があった。
[0004] これら問題点を解決するために、特許文献 1には、重合性化合物として、 4 メタタリ ロイルォキシェチルォキシカルボ-ルフタル酸無水物(トリメリット酸 4ーメタクリロイル ォキシェチルエステル)、ならびに、重合開始剤としてトリブチルボラン部分酸ィ匕物を 含有する接着性組成物が提案されており、歯質に対して良好な接着性を有すること 力も歯科用接着材として用いられている。しかし、現在では必ずしも十分な性能を有 しているとはいえない。
[0005] また、特許文献 2には、酸性モノマーと特定分子構造のサリチル酸の重合性ィ匕合物 を組み合わせた組成物が提案されているが、該分子構造の重合性化合物では、他
の組み合わせる重合性ィ匕合物との共重合性や耐水性などに問題があり、期待した性 能が十分に出ない場合が多いことが判明した。
[0006] 現在では、歯質と種々の修復材料 (例えば、金属、陶質またはコンポジットレジンな ど)をより簡便により確実に接着するために、操作が簡便で、かつ、さらに高い接着性 および接着耐久性を有する歯科用接着材が求められており、開発が行われている。 特許文献 1:特開昭 54— 11149号公報
特許文献 2:特開昭 64-90277号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明の目的は、歯科用材料または歯科用組成物における上記の問題点を解決 した、接着性、接着耐久性に優れたボンディング材、接着材 '合着材、根管充填用シ 一ラーなどの歯科用材料および歯科用組成物を提供することにある。さらに詳細に は、歯質、金属、榭脂、セラミックスなどと隙間なぐ強固に接着する歯科用材料およ び歯科用組成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
[0009] すなわち、本発明は、
(i)式 (a)で表される (メタ)アクリル酸から誘導される基、ならびに、式 (b)で表される サリチル酸構造を有する基をそれぞれ分子内に少なくとも 1個有し、かつ、これらの基 が脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる二価または 三価以上の連結基で結合して 、る (メタ)アクリルィ匕合物を含有してなる歯科用材料、
[0010] [化 1]
(b)
[0012] 〔式中、 R1は水素原子またはアルキル基を表し、
R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいァ ラルキル基、置換基を有して 、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 nは
l/n
金属原子の価数を表し、
R3、 R4および R5は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル 基またはァリール基を表し、
XIは、 O—基、 S—基または NR6—基を表し、
該ー NR6—基中の R6は水素原子またはアルキル基を表し、
X2は、炭素 炭素単結合、 O—基、
[0013] [化 3]
— N—
基または NR7—基、
— CO— O—基、 O— CO— O—基、 NH— CO— O—基、
— CO— NH—基、 O— CO— NH—基、 NH— CO— NH—基を表し、
該ー NR7—基中の R7は水素原子またはアルキル基を表す〕
[0014] (ii)二価または三価以上の連結基が、さらに活性水素を含有する X3H基 (基中、 X 3は Oまたは S原子を表す)を含むことを特徴とする前記 (i)記載の歯科用材料、 (iii)重合性ィ匕合物および重合開始剤を含有する歯科用組成物であって、該重合性 化合物が式 (a)で表される (メタ)アクリル酸から誘導される基、ならびに、式 (b)で表 されるサリチル酸構造を有する基をそれぞれ分子内に少なくとも 1個有し、かつ、これ ら
の基が脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる二価ま たは三価以上の連結基で結合して 、る (メタ)アクリルィ匕合物であることを特徴とする 歯科用組成物、
[0015] (iv)二価または三価以上の連結基が、活性水素を含有する X3H基 (基中、 X3は O または s原子を表す)を含むことを特徴とする前記 (m)記載の歯科用組成物、
(V)—般式 (1)で表される (メタ)アクリル化合物を含有してなる歯科用材料、
[0016] [化 4]
[0017] 〔式中、 R11は水素原子またはアルキル基を表し、
R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
R13、 R14および R15は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラル キル基またはァリール基を表し、
XIIは、 O—基、 S—基または NR16—基を表し、該 XII基における R16は水素原 子またはアルキル基を表し、
Y11は、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連結基を表し、
X12は、 O—基、 NR17—基または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR17—基中の R17は水素原子、アルキル基または下記式 (c)で表される基
[0018] [化 5]
[0019] (式中、 Rll、 XII、 X12および Y11は上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0020] (vi)重合性ィ匕合物および重合開始剤を含有する歯科用組成物であって、該重合性 化合物が前記一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物であることを特徴とする歯 科用組成物、に関する。
さらには、
(vii)一般式(2)で表される (メタ)アクリル化合物、
[0021] [化 6]
[0022] 〔式中、 R21は水素原子またはアルキル基を表し、
R22は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
X21は、 -0-基、 S-基または- NR23-基を表し、該 -NR23-基における R23は水 素原子またはアルキル基を表し、
Y21は、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連結基を表し、
X22は、 O—基、 NR24—基または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR24—基中の R24はアルキル基または下記式(d)で表される基
[0023] [化 7]
(d)
[0024] (式中、 R21、 X21および Y21は上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0025] (viii)一般式(2)で表される化合物力 式(2— A)である前記 (メタ)アクリルィ匕合物、 [0026] [化 8]
(2— A)
[0027] 〔式中、 R21は水素原子またはアルキル基を表し、
R22は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ!/、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
R25は水素原子またはメチル基を表し、
X22は— O—基、 NR24—基または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR24—基中の R24は、アルキル基または下記式(e)で表される基
[0028] [化 9]
[0029] (式中、 R21、R25は上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0030] (ix)前記一般式(2)または一般式(2— A)で表される (メタ)アクリル化合物を含有する 重合性組成物、
ならびに、
(X)前記重合性組成物を重合して得られる硬化物、
さらには、
(xi)前記重合性組成物が、重合性化合物、重合開始剤を含有し、さらにフィラー、色 素、顔料、染料、安定剤、水、有機溶媒から選択される少なくとも 1種を含有する重合 性組成物、
に関する。
発明の効果
[0031] 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物を用いることにより、共重合性、 保存安定性、操作性、接着性の良好な歯科用材料、歯科用組成物を提供することが 可能となった。
また、当該歯科用材料、歯科用組成物により、操作性、重合性、接着性または接着 耐久性の良好な歯科用材料を提供することが可能となった。
図面の簡単な説明
[0032] [図 1]根管内象牙質とファイバーポストレジンとの微小引張接着強さの試験試料作製 手順を模式的に記載した図である。
発明を実施するための最良の形態
[0033] 以下、本発明につ 、てより詳しく説明する。
まず、本発明の歯科用材料および歯科用組成物について説明する。
[0034] 本発明における歯科用材料とは、下記の歯科用組成物を含む広く歯科分野におい て使用される材料全般である。
本発明の歯科用組成物とは、重合性化合物の他に必要に応じて重合開始剤、充 填材等を混合したものを ヽ、これには硬化前の重合性組成物と該重合性組成物を 重合して得られる硬化物が包含される。
[0035] 本発明の歯科材料は、式 (a)で表される (メタ)アクリル酸から誘導される基、ならび に、式 (b)で表されるサリチル酸構造を有する基をそれぞれ分子内に少なくとも 1個 有し、かつ、これらの基が脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらを組み合わせ て得られる二価または三価以上の連結基で結合して 、る (メタ)アクリル化合物を含 有してなることを特徴とする。
[0036] [化 10]
[0037] [化 11]
(b)
〔式中、 R1は水素原子またはアルキル基を表し、
R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいァ ラルキル基、置換基を有して 、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 nは
l/n
金属原子の価数を表し、
R3、 R4および R5は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル 基またはァリール基を表し、
XIは、 O—基、 S—基または NR6—基を表し、
該ー NR6—基中の R6は水素原子またはアルキル基を表し、
X2は、炭素 炭素単結合、 O—基、
[0038] [化 12]
基または NR7—基、
— CO— O—基、 O— CO— O—基、 NH— CO— O—基、
— CO— NH—基、 O— CO— NH—基、 NH— CO— NH—基を表し、
該ー NR7—基中の R7は水素原子またはアルキル基を表す〕
[0039] 本発明の歯科用組成物は、重合性化合物および重合開始剤を必須構成成分とし て含有してなる歯科用組成物であって、該重合性ィ匕合物として上で説明したメタタリ ル化合物を含有することを特徴とする。歯科用組成物は後で詳しく述べるように、所 望に応じて充填材などを含有してもよ!/、。
[0040] 以下、本発明の歯科材料および歯科用組成物に含まれる、式 (a)で表される (メタ) アクリル酸から誘導される基、ならびに、式 (b)で表されるサリチル酸構造を有する基 をそれぞれ分子内に少なくとも 1個有し、かつ、これらの基が脂肪族基、脂環族基、 芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる二価または三価以上の連結基で結 合して 、る (メタ)アクリル化合物につ!、て説明する。
[0041] 式(a)にお!/、て、 R1は水素原子またはアルキル基を表す。
R1がアルキル基の場合、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 n プロピル基 イソプロピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へキシル基 、ォクチル基、シクロへキシル基などが挙げられる。
R1として、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
[0042] 式(a)にお!/、て、 XIは O—基、 S—基または NR6—基を表し、該基に中の R6は 水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル基の具体例としては前記の通り である。
該 XI基として、好ましくは、 O—基または NR6—基であり、 R6として、好ましくは、 水素原子またはメチル基である。
[0043] 式 (b)にお 、て、 R2は水素原子、置換基を有して!/、てもよ 、アルキル基、置換基を
有して 、てもよ 、ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原 子 M を表し、 nは金属原子の価数を表す。
l/n
[0044] 該 R2基として、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピ ル基、 n ブチル基、イソブチル基、 tert ブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へキ シル基、ォクチル基、ベンジル基、 4 メチルベンジル基、 4—クロ口べンジル基、フエ -ル基、 4 メチルフエ-ル基、 2 メチルフエ-ル基、 4 クロ口フエ-ル基、 2 クロ口 フエ-ル基、 4 フエ-ルフエ-ル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
[0045] R2基として、好ましくは、水素原子、炭素数 1一 4のアルキル基、炭素数 5— 20のァ ラルキル基または炭素数 5— 20のァリール基であり、より好ましくは、水素原子、メチ ル基、ベンジル基、フエニル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
1価または 2価以上の多価金属原子としては、具体的には、 Li、 Na、 K、 Cu、 Ag、 Mg、 Ca、 Sr、 Zn、 Ba、 Al、 Ti、 Zr、 Sn、 Fe、 Ni、 Coなどの金属原子が挙げられる。 nは金属原子の価数を表し、金属原子の種類により 1一 4の整数である。
R2基として、より好ましくは、水素原子、 Na、 K、 Ca、 Ag、 Zn、 Ba、 Aほたは Ti原 子であり、さらに好ましくは、水素原子または Ca原子である。
[0046] 式(b)において、 R3、 R4および R5は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキ ル基、ァラルキル基またはァリール基を表す。
[0047] ここで、ハロゲン原子としては、具体的には例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原 子が挙げられる。またアルキル基、ァラルキル基またはァリール基としては、具体的に は例えば、メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル基、イソブ チル基、 tert ブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へキシル基、ォクチル基、シクロ へキシル基、ベンジル基、 4 メチルベンジル基、 4 クロ口ベンジル基フエ-ル基、 4 ーメチルフヱ-ル基、 2—メチルフヱ-ル基、 4ークロロフヱ-ル基、 2—クロロフヱ-ル基 、 4 フエ-ルフエ-ル基、 1 ナフチル基、 2 ナフチル基などが挙げられる。
[0048] 力かる置換基として、好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、ベン ジル基またはフエニル基であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基またはベン ジル基である。
置換基 R3、 R4および R5として、水素原子は特に好ましい。
[0049] 式 (b)において、 X2は、炭素 炭素単結合、 O—基、
基または—NR7—基、—CO—O—基、 O— CO— O—基、 NH—CO— O—基、—CO— N
H—基、 O— CO— NH—基、 NH— CO— NH—基を表し、
該ー NR7—基中の R7は水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル基の具 体例としては前記の通りである。
[0051] 該 X2基として、好ましくは、 O—基、
基または NR7—基、
である。該ー NR7—基中の R7として、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
[0053] 本発明に係る上記 (メタ)アクリルィ匕合物において、式 (a)と式 (b)を結合させる、脂 肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる二価または三価 以上の連結基としては、炭素数 1一 20の脂肪族基、炭素数 5— 20の脂環族基、炭素 数 5— 20の芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる総炭素数 1一 30の二価ま たは三価以上の連結基である。
[0054] 該連結基として、好ましくは、炭素数 1一 16の脂肪族基、炭素数 5— 15の脂環族基 または炭素数 5— 15の芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる総炭素数 1一
20の二価または三価の連結基であり、
より好ましくは、炭素数 1一 12の脂肪族基、シクロへキサン環、ノルボルナン環、トリ シクロデカン環またはテトラシクロドデカン環を含む脂環族基、ベンゼン環またはナフ タレン環を含む芳香族基またはこれらを組み合わせて得られる総炭素数 1一 20の二 価または三価の連結基である。
[0055] 該連結基として、さらに好ましくは、
かかる二価または三価以上の連結基は、基中に O S—などのへテロ原子を含
んでいてもよい。
[0056] 本発明の所望の効果を高めるために、該化合物における二価または三価以上の連 結基中に、さらに活性水素を含有する- X3H基 (基中、 X3は Oまたは S原子を表す) が含まれることが好ましい。
[0057] 上述したィ匕合物の中で、本発明の歯科材料に使用される化合物の、好ましい態様 として、一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物が示される。
[0058] [化 15]
[0059] 〔式中、 R11は水素原子またはアルキル基を表し、
R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
R13、 R14および R15は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラル キル基またはァリール基を表し、
XIIは、 O—基、 S—基または NR16—基を表し、該 XII基における R16は水素原 子またはアルキル基を表し、
Y11は、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連結基を表し、
X12は、 O—基、 NR17 または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR17—基中の R17は水素原子、アルキル基または下記式 (c)で表される基
[0060] [化 16]
(c)
[0061] (式中、 Rll、 XII、 X12および Yllは上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0062] 一般式(1)において、 R11は水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル 基の具体例としては前記の通りである。
R11として、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
[0063] 一般式(1)において、 R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置 換基を有して 、てもよ 、ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または 金属原子 M を表し、 nは金属原子の価数を表す。
l/n
[0064] 該 R12基として、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロ ピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 tert ブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へ キシル基、ォクチル基、ベンジル基、 4 メチルベンジル基、 4 クロ口べンジル基、フ ェ-ル基、 4 メチルフエ-ル基、 2 メチルフエ-ル基、 4 クロ口フエ-ル基、 2—クロ 口フエ-ル基、 4 フエ-ルフエ-ル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
[0065] R12基として、好ましくは、水素原子、炭素数 1一 4のアルキル基、炭素数 5— 20の ァラルキル基または炭素数 5— 20のァリール基であり、より好ましくは、水素原子、メ チル基、ベンジル基、フエニル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
1価または 2価以上の多価金属原子としては、具体的には、 Li、 Na、 K、 Cu、 Ag、 Mg、 Ca、 Sr、 Zn、 Ba、 Al、 Ti、 Zr、 Sn、 Fe、 Ni、 Coなどの金属原子が挙げられる。 nは金属原子の価数を表し、金属原子の種類により 1一 4の整数である。
R12基として、より好ましくは、水素原子、 Na、 K、 Ca、 Ag、 Zn、 Ba、 Aほたは Ti原 子であり、さらに好ましくは、水素原子または Ca原子である。
[0066] 一般式(1)において、 R13、 R14および R15は各々独立に水素原子、ハロゲン原子
、アルキル基、ァラルキル基またはァリール基を表す。
[0067] ここで、ハロゲン原子としては、具体的には例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原 子が挙げられる。またアルキル基、ァラルキル基またはァリール基としては、具体的に は例えば、メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル基、イソブ チル基、 tert ブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へキシル基、ォクチル基、シクロ へキシル基、ベンジル基、 4 メチルベンジル基、 4 クロ口ベンジル基フエ-ル基、 4 ーメチルフヱ-ル基、 2—メチルフヱ-ル基、 4ークロロフヱ-ル基、 2—クロロフヱ-ル基 、 4 フエ-ルフエ-ル基、 1 ナフチル基、 2 ナフチル基などが挙げられる。
[0068] 力かる置換基として、好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、ベン ジル基またはフエニル基であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基またはベン ジル基である。
置換基 R13、 R14および R15として、水素原子は特に好ましい。
[0069] 一般式(1)において、 XIIは O—基、 S—基または NR16—基を表し、該基に中 の R6は水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル基の具体例としては前 記の通りである。
該 XII基として、好ましくは、 O—基または NR16—基であり、 R16として、好ましく は、水素原子またはメチル基である。
[0070] 一般式(1)において、 Y11はアルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連 結基を表す。
[0071] 該 Y11基として、好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1 一 20の脂肪族基、炭素数 5— 20の脂環族基、炭素数 5— 20の芳香族基またはこれ らを組み合わせて得られる総炭素数 1一 30の二価の連結基であり、
より好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1一 16の脂肪 族基、炭素数 5— 15の脂環族基または炭素数 5— 15の芳香族基またはこれらを組 み合わせて得られる総炭素数 1一 20の二価の連結基であり、
さらに好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1一 12の脂 肪族基、シクロへキサン環、ノルボルナン環、トリシクロデカン環またはテトラシクロド デカン環を含む脂環族基、ベンゼン環またはナフタレン環を含む芳香族基またはこ
れらを組み合わせて得られる総炭素数 1一 20の二価の連結基である。
[0072] 一般式(1)にお 、て、 X12は、 O—基、 NR17—基または O— CO— NH—基を表 す。該 X12基として、好ましくは、 O—基、 -NR17-基である。
[0073] 該ー NR17—基中の R17は水素原子、アルキル基または下記式(c)で表される基 [0074] [化 17]
(式中、 Rll、 XII、 X12および Y11は上記と同じ意味を表す)
を表す。ここで、アルキル基の具体例としては前記の通りである。
R17基として、好ましくは、メチル基または式 (C)で表される基である。 式(c)中の、 Rll、 XII、 X12および Y11は上記に同じ意味を表す。
[0075] さらに、一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物の中でも、より好ましい態様とし て、一般式(1 i)または一般式(1 ii)の化合物が挙げられる。
[0076] [化 18]
( 1-i)
[0077] [化 19]
(1-ii)
[0078] 上記一般式(1 i)または一般式(1 ii)において、 Rll、 R12、 XIIおよび Y11は上 記と同じ意味を表す。
[0079] 次に、本発明の一般式(2)で表される (メタ)アクリルィ匕合物について説明する。か 力る (メタ)アクリル化合物は、分子内にサリチル酸構造ならびに (メタ)アタリロイル基 を有し、かつ、両者が特定の連結基によって結合していることを構造上の特徴とする 新規化合物である。
[0080] [化 20]
〔式中、 R21は水素原子またはアルキル基を表し、
R22は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
X21は、 -0-基、 S-基または- NR23-基を表し、該 -NR23-基における R23は水 素原子またはアルキル基を表し、
Y21は、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連結基を表し、
X22は、 O—基、 NR24—基または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR24—基中の R24はアルキル基または下記式(d)で表される基
[0081] [化 21]
[0082] (式中、 R21、 X21および Y21は上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0083] 一般式(2)において、 R21は水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル 基の具体例としては前記の通りである。
R21として、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
[0084] 一般式(2)にお!/、て、 R22は水素原子、置換基を有して!/、てもよ!/、アルキル基、置 換基を有して 、てもよ 、ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または 金属原子 M を表し、 nは金属原子の価数を表す。
l/n
[0085] 該 R22基として、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロ ピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 tert ブチル基、 n—ァミル基、イソアミル基、へ キシル基、ォクチル基、ベンジル基、 4 メチルベンジル基、 4 クロ口べンジル基、フ ェ-ル基、 4 メチルフエ-ル基、 2 メチルフエ-ル基、 4 クロ口フエ-ル基、 2—クロ 口フエ-ル基、 4 フエ-ルフエ-ル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
[0086] R22基として、好ましくは、水素原子、炭素数 1一 4のアルキル基、炭素数 5— 20の ァラルキル基または炭素数 5— 20のァリール基であり、より好ましくは、水素原子、メ チル基、ベンジル基、フエニル基または 1価または 2価以上の金属原子である。
1価または 2価以上の多価金属原子としては、具体的には、 Li、 Na、 K、 Cu、 Ag、 Mg、 Ca、 Sr、 Zn、 Ba、 Al、 Ti、 Zr、 Sn、 Fe、 Niゝ Coなどの
金属原子が挙げられる。 nは金属原子の価数を表し、金属原子の種類により 1一 4の 整数である。
R22基として、より好ましくは、水素原子、 Na、 K、 Ca、 Ag、 Zn、 Ba、 Aほたは Ti原
子であり、さらに好ましくは、水素原子または Ca原子である。
[0087] 一般式(2)にお!/、て、 X21は O—基、 S—基または NR23—基を表し、該ー NR23 一基中の R23は水素原子またはアルキル基を表す。ここで、アルキル基の具体例とし ては前記の通りである。
該 X21基として、好ましくは、 O—基または NR23—基であり、 R23として、好ましく は、水素原子またはメチル基である。
[0088] 一般式(2)において、 Y21はアルコール性水酸基を少なくとも 1個有する二価の連 結基を表す。
[0089] 該 Y21基として、好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1 一 20の脂肪族基、炭素数 5— 20の脂環族基、炭素数 5— 20の芳香族基またはこれ らを組み合わせて得られる総炭素数 1一 30の二価の連結基であり、
より好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1一 16の脂肪 族基、炭素数 5— 15の脂環族基または炭素数 5— 15の芳香族基またはこれらを組 み合わせて得られる総炭素数 1一 20の二価の連結基であり、
さらに好ましくは、アルコール性水酸基を少なくとも 1個有する、炭素数 1一 12の脂 肪族基、シクロへキサン環、ノルボルナン環、トリシクロデカン環またはテトラシクロド デカン環を含む脂環族基、ベンゼン環またはナフタレン環を含む芳香族基またはこ れらを組み合わせて得られる総炭素数 1一 20の二価の連結基である。
[0090] 一般式(2)にお!/、て、 X22は、 O—基、 NR24—基または O— CO— NH—基を表 す。該 X22基として、好ましくは、 O—基、 -NR24-基である。
[0091] 該ー NR24—基中の、 R24はアルキル基または下記式(d)で表される基
[0092] [化 22]
(d)
[0093] (式中、 R21、 X21および Y21は上記と同じ意味を表す)
を表す。ここで、アルキル基の具体例としては前記の通りである。
該 R24基として、好ましくは、メチル基または式 (d)で表される基である。 式(d)中の、 R21、 X21および Y21は上記に同じ意味を表す。
[0094] 本発明の一般式 (2)で表される化合物の中でも、一般式 (2— A)である (メタ)アタリ ル化合物が、好ましい態様として例示される。
[0095] [化 23]
(2-A)
[0096] 〔式中、 R21は水素原子またはアルキル基を表し、
R22は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい ァラルキル基、置換基を有して!/、てもよ 、ァリール基または金属原子 M を表し、 n
l/n
は金属原子の価数を表し、
R25は水素原子またはメチル基を表し、
X22は— O—基、 NR24—基または O— CO— NH—基を表し、
該ー NR24—基中の R24は、アルキル基または下記式(e)で表される基
[0097] [化 24]
[0098] (式中、 R21、R25は上記と同じ意味を表す)
を表す〕
[0099] 一般式(2— A)において、 R21および R22は前記と同じ意味を表す。
[0100] 一般式(2— A)において、 R25は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは、水素
原子である。
[0101] 一般式(2— A)にお!/、て、 X22は O—基、 NR24—基または— O— CO— NH—基を 表す。該 X22基として、好ましくは、 O—基、 -NR24-基である。
[0102] 該ー NR24—基中の R24は、アルキル基または下記式(e)で表される基
[0103] [化 25]
[0104] (式中、 R21、R25は上記と同じ意味を表す)
を表す。ここで、アルキル基の具体例としては前記の通りである。
該 R24基として、好ましくは、メチル基または式 (e)で表される基である。 式(e)中の、 R21および R25は上記に同じ意味を表す。
[0105] 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリル酸エステルイ匕合物の具体例としては
《メタクリノレ》
4 (3 メタアタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
4 N— (3 メタアタリロイルォキシ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、 4 N, N
—ビス(3 メタアタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5—(3 メタアタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
5 N— (3 メタアタリロイルォキシ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、 5 N, N
—ビス(3 メタアタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
《メタクリルアミド》
4— (3—メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
4 N— (3—メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、 4 N, N— ビス(3 メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5— (3—メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
5— N— (3—メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、 5— N, N— ビス(3 メタアタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
《アクリル》
4 (3 アタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
4 N— (3—アタリロイルォキシ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
4 N, N ビス(3 アタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5—(3 アタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
5 N— (3—アタリロイルォキシ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5-N, N ビス(3 アタリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
《アクリルアミド》
4— (3—アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
4 N— (3—アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
4 N, N ビス(3 アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5— (3—アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピルォキシ)サリチル酸、
5— N— (3—アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、
5-N, N ビス(3 アタリロイルァミノ— 2—ヒドロキシプロピル)ァミノサリチル酸、 ならびに、該サリチル酸化合物の Li塩、 Na塩、 K塩、 Cu塩、 Ag塩、 Mg塩、 Ca塩、 Sr塩、 Zn塩、 Ba塩、 A1塩、 Ti塩、 Zr塩、 Sn塩、 Fe塩、 Ni塩、 Co塩などが挙げられ る力 S、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0106] 本発明における、一般式(1)または一般式 (2)で表される (メタ)アクリルィ匕合物は、 反応それ自体は公知の方法 (例えば、米国特許第 3066112号公報など)を用いるこ とにより合成される。
以下、本発明の一般式(2— A)で表される (メタ)アクリルィ匕合物に関していくつかの 具体例で説明する。
[0107] すなわち、一般式(2— A)にお!/、て、 X22がー O—基または NR24—基であり、 R24が アルキル基である化合物は、例えば、一般式(3)で表される化合物と一般式 (4)で表 されるサリチル酸誘導体とを作用させて反応させることにより、好適に製造される。
[0108] [化 26]
(3)
[0109] (式中、 R21および R25は前記に同じ)
[0110] [化 27]
(4)
[0111] (式中、 R22は前記に同じであり、 X22は—O—基または NR24—基であり、 R24はアル キル基を表す)
[0112] 反応は無溶媒で行ってもよぐあるいは、反応に不活性な有機溶媒の存在下に行 つてもよい。力かる有機溶媒としては、反応に不活性な有機溶媒であれば特に限定 するものではなぐ石油エーテル、へキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレ ンなどの炭化水素系溶媒、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコー ルジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソ ブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸ェチル、酢酸ブチル、酢酸ァミルなどのエステ ル系溶媒、塩化メチレン、クロ口ホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの含 塩素系溶媒、 N, N -ジメチルホルムアミド、 N, N -ジメチルァセトアミド、 N, N—ジメ チルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなど非プロトン性極性溶媒などが例示され る。
[0113] 反応温度は、特に制限するものではないが、通常、 78°C— 200°Cの範囲であり、 好ましくは、 78°C— 100°Cである。
反応時間は反応温度により影響されるが、通常、数分から 100時間である。
[0114] 反応における、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物の使用
量は、特に限定するものではないが、通常、一般式(2)で表される化合物 1モルに対 して、一般式(3)で表される化合物の使用量は、 0. 01— 100モルである。
好ましくは、 0. 1モルー 50モルであり、より好ましくは、 0. 5モルー 20モルである。
[0115] ヒドロキシ基またはアミノ基などの活性水素基をグリシジル基に対して開環付加反応 させる方法それ自体は公知の方法、例えば、 ChemicalPharmaceutical
Bulletin. , 19卷(10) , 2003— 2008頁(1971年)などに
記載されている方法などに従って実施される。反応は無触媒で行われてもよいが、反 応を促進する等の目的で、必要に応じて酸性化合物または塩基性化合物などの触 媒の存在下に行なっても差し支えない。
[0116] 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物を製造する際に、反応中ある いは反応後にお 、て生成物の重合を防止するために、重合禁止剤を使用することは 好ましいことである。力かる重合禁止剤としては、例えば、 4-メトキシフエノール、ハイ ドロキノン、フエノチアジン等の公知の各種ィ匕合物を例示することができる。重合禁止 剤の使用量は特に制限はないが、反応系中の原料混合物あるいは反応生成物に対 して、通常、 0. 01— 5重量%であり、好ましくは、 0. 05— 3重量%である。
[0117] 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物は上記反応終了後、公知の 操作、処理方法 (例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去など)によって後 処理されて単離される。さらに所望に応じて、(メタ)アクリル酸エステルイ匕合物は公知 の方法 (例えば、クロマトグラフィー、活性炭や各種吸着剤による処理など)等により 分離、精製されて、より高純度の化合物として単離される。
[0118] さらに、溶液時に濾過など不溶物、不溶性粒子、塵、粉塵、異物などの不純物の含 有量が少なく高い透明性を有していることは好ましぐ例えば、一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物を、例えば、クリーンルームなどの施設内でフィルターを用いて 濾過する方法により、前記不純物を除去することが可能である。
[0119] また必要に応じて、一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物を製造する際に、製 造中間体において前記操作、処理方法を行なうことにより純度を高めることもできる。
[0120] 分子内に (メタ)アクリル基とサリチル酸構造を有するいくつかの化合物が既知化合 物として知られている。すなわち、例えば、特開昭 61— 167644号公報には、特定の
構造を有するサリチル酸構造を有するメタクリル酸エステルとその重合体、ならびに、 それらの金属表面へのコート材への利用が開示されている。また、特開平 1 21635 3号公報には、同様にサリチル酸構造を有するメタクリル酸エステルイ匕合物を用いた ノ、ロゲンィ匕銀カラー写真感光材料が開示されている。さらに特開平 8— 319255号公 報には、ビュル基を有するァセチルサリチル酸誘導体が血液凝固抑制効果のある高 分子材料の原料モノマーとして有用であることが記載されている。
[0121] し力しながら、これら先願に記載されている化合物は、本発明の (メタ)アクリル化合 物とは化学構造的に異なることに加え、本発明の歯科用材料で得られる効果等につ V、て何ら開示もなく示唆もされて 、な!/、。
[0122] 一方、特開平 5— 286821公報、特開昭 64— 90277号公報、特開昭 62— 240620 号公報には、 4 メタクロィルォキシサリチル酸、 4ーメタクリロイルァミノサリチル酸また はその誘導体を用いた歯科用接着剤が開示されている。
[0123] し力しながら、これら先願に記載されている化合物も、本発明の (メタ)アクリル化合 物とは化学構造的に異なる上、本発明の歯科用材料で得られる効果 (操作性、保存 安定性、接着性など)等にっ 、ても何ら開示もなく示唆もされて 、な!、。
[0124] 本発明の、同一分子内にサリチル酸構造とメタクリロイル基を必須構造として有する 、特定構造の (メタ)アクリル化合物を含有してなる歯科用材料が、操作性、重合性、 接着性または接着耐久性に好適な性能を有することは、まさに予想し得な 、驚くべき 結果であり、これによつて、従来では到底考えられない有用な歯科用材料を提供す ることが可會と
なる。
[0125] 以下、本発明の歯科用材料および歯科用組成物について、さらに詳しく説明する。
[0126] 本発明の歯科用材料とは、下記の歯科用組成物を含む広く歯科治療において使 用される有機系材料を主成分とする歯科材料全般を包含するものであり、例えば、歯 冠用レジン、人工歯などの歯冠用材料、コンポジットレジン、根管充填材などの歯科 充填用材料、レジンセメント、矯正用接着材、ボンディング材などの歯科用接着材' 合着材、フィッシャーシーラント、コーティング材、クラウン 'ブリッジ 'インレー用レジン 、支台築造材、義歯床用レジン、義歯床補修用レジンなどが包含される。
[0127] 本発明の歯科用組成物とは、必須構成成分として重合性化合物の他に、重合開始 剤を含有してなるものであり、これには重合、硬化を行なう前の重合性組成物と該重 合性組成物を重合、硬化して得られる硬化物が包含される。
[0128] 本発明の歯科用組成物は、重合性化合物および重合開始剤を必須構成成分として 含有してなる重合性組成物であって、該重合性ィ匕合物として、一般式(1)で表される
(メタ)アクリルィ匕合物を含有することを特徴として 、る。
[0129] 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物を含有する歯科用材料または 歯科用組成物において、一般式(1)で表される化合物は単独で用いられてもよぐあ るいは、一般式(1)で表される化合物であって互 ヽに異なる複数が併用されても差し 支えない。
[0130] 本発明の歯科用材料または歯科用組成物において使用される重合開始剤として は、特に限定されるものではなぐ公知の各種重合開始剤 (例えば、熱重合開始剤、 常温重合開始剤または光重合開始剤など)が好適に使用される。
[0131] 該熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、ジァゾ系化合物などが挙げられる 。これらの熱重合開始剤の中で有機過酸ィ匕物として、例えば、
ジァセチルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、ジデカノィルパーオキサイド 、ベンゾィルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイドなどのジァシルバーォキサイ ド類;
ジイソプロピルパーォキシジカーボネート、ジー 2—ェチルへキシルバーォキシジカ一 ボネート、ジァリノレパーォキシジカーボネートなどのパーォキシジカーボネート類; te rt ブチルパーォキシイソブチレート、 tert ブチルネオデカネート、クメンバーォキシ ネオデカネートなどのパーォキシエステル類;
ァセチルシクロへキシルスルホ -ルパーォキシドなどの過酸化スルホネート類等が挙 げられる。
[0132] またジァゾ系化合物としては、 2, 2'—ァゾビスイソブチ口-トリル、 4, 4'ーァゾビス( 4—シァノ吉草酸)、 2, 2,ーァゾビス(4ーメトキシ— 2, 4—ジメトキシバレロ-トリル)、 2, 2,ーァゾビス(2—シクロプロピルプロピオ-トリル)などを挙げることができる。
[0133] 重合を短時間で行うことができる等の利点から、 80°Cでの分解半減期が 10時間以
下である化合物は好ましぐ上記化合物の中でも、ベンゾィルパーオキサイド、 2, 2'- ァゾビスイソブチ口-トリルは、より好まし 、ィ匕合物である。
[0134] 常温重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤と還元性化合物を組み合せて作 用させることによって常温で重合を開始する、いわゆるレドックス系重合開始剤、なら びに、単
独で重合可能なトリアルキルホウ素誘導体などが具体例として挙げられる。
[0135] 力かるレドックス系重合開始剤としては、特に限定はなぐ公知の熱重合開始剤と還 元性化合物が使用される。すなわち、該レドックス系重合開始剤として使用される還 元性化合物として、例えば、 N, N ジメチルァ-リン、 p— N, N—ジヒドロキシェチルァ 二リン、 N, N—ジベンジルァ二リン、 N, N ジメチルー p—トルイジン、 N, N ジェチノレ —p—トルイジン、 N, N—ジヒドロキシー p—トルイジン、 N, N—ジメチルー p— tert—ブチ ルァ-リン、 N, N—ジメチルァ-シジン、 N, N—ジェチルー p—クロルァ-リン、 p— N, N—ジメチルァミノ安息香酸、 p— N, N—ジメチルァミノ安息香酸メチル、 p— N, N—ジェチルァミノ安息香酸メチル、 p— N, N—ジェチルァミノ安息香酸、 p— N, N—ジ メチルァミノ安息香酸ェチル、 p— N, N—ジェチルァミノ安息香酸ェチル、 p— N, N— ジメチルァミノ安息香酸 2— n ブトキシェチル、 p— N, N—ジェチルァミノ安息香酸 2— n ブトキシェチノレ、
p— N, N—ジメチルァミノべンズアルデヒド、 p— N, N—ジメチルァミノべンゾ-トリル、 p N, N—ジェチルァミノべンゾ-トリル、 p—ジメチルァミノフエネチルアルコール、 N, N—ジメチルアミノエチルメタタリレート、トリエチルァミン、トリブチルァミン、トリプロ ピルァミン、 N ェチルエタノールァミン、
N—フエ-ルグリシン、 N トリルグリシン、 N—( 3 メタアタリロイルォキシー 2—ヒドロキシ プロピル)フエ-ルグリシンなどのアミン化合物;
ベンゼンスルフィン酸、 o—トルエンスルフィン酸、 p—トルエンスルフィン酸、ェチルベ ンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、ク ロルベンゼンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸またはその塩類;
5—ブチルアミノバルビツール酸、 1—ベンジルー 5 フエ-ルバルビツール酸などのバ ルビツール酸誘導体;
亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チォ硫酸、 1亜 2チオン 酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩類 (例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、 水素ナトリウム塩、水素カリウム塩など);等の有機または無機化合物が例示される。
[0136] また、前述の単独で重合可能な常温重合開始剤としては、例えば、トリプロピルホウ 素、トリイソプロピルホウ素、トリー n ブチルホウ素、トリー n—ァミルホウ素、トリイソアミル ホウ素、トリー sec—ァミルホウ素またはこれらの一部が部分酸ィ匕されたトリアルキルホウ 素酸ィ匕物などが挙げられる。
[0137] 光重合開始剤は、可視光あるいは紫外線光の照射で励起されて重合を開始するィ匕 合物であり、例えば、ベンジル、カンファーキノン、 α—ナフチル、 ρ, ρ,一ジメトキシべ ンジル、ペンタジオン、 1, 4 フエナントレンキノン、ナフトキノン、トリメチルベンゾィル ジフエニルフォスフィンォキシドなどのひージケトンィ匕合物類またはリン原子含有ィ匕合 物などが例示される。
[0138] これらの化合物は単独で使用してもよぐあるいは、 2種類以上を混合して使用しても 差し支えない。
[0139] 重合開始剤として光重合型開始剤を使用する場合に重合性を向上させる目的で光 重合促進剤と組み合わせて使用することは好ましいことである。
[0140] 力かる光重合促進剤としては、前述したようなレドックス系重合開始剤で用いられる 還元性ィ匕合物(例えば、アミンィ匕合物、芳香族スルフィン酸またはその塩類、バルビ ツール酸誘導体など)が使用される。
[0141] これらの化合物を光重合促進剤として使用する際には、単独で使用してもよぐある いは、 2種類以上を混合して使用しても差し支えない。
[0142] これら化合物の中でも光重合促進剤として、 ρ— Ν, Ν—ジメチルァミノ安息香酸ェチ ル、 ρ— Ν, Ν—ジメチルァミノ安息香酸メチル、 ρ— Ν, Ν—ジメチルァミノ安息香酸 2— η
—ブトキシェチル、 Ν, Ν—ジメチルアミノエチルメタタリレートなどは、好ましい化合物 である。
[0143] 光重合開始剤と光重合促進剤を併用する組み合わせの中でも、例えば、光重合開 始剤として、カンファーキノンまたはトリメチルベンゾィルジフエニルフォスフィンォキシ ドを使用し、光重合促進剤として、 p-N, Ν—ジメチルァミノ安息香酸ェチルまたは ρ—
N, N—ジメチルァミノ安息香酸 2— n ブトキシェチルを使用する組み合わせは、さら に好ましい。
[0144] これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、重合性ィ匕 合物 100質量部に対して、 0. 001— 10質量部であり、好ましくは 0. 001— 5質量部 であり、より好ましくは、 0. 005— 2質量部である。
[0145] 本発明の歯科用組成物はさらに必要に応じて、機械的強度の確保、 X線造影性の 付与などの目的で、充填材が添加されてよい。
[0146] 本発明に使用される充填材としては、特に限定するものではなぐ通常、公知の無機 または有機充填材が使用される。
[0147] 力かる無機充填材として、例えば、周期律表第 I、 II、 III、 IV族、遷移金属またはこれら の酸化物、塩化物、亜硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ケィ酸、あるいは、これらの混合物 が挙げられる。より具体的には、例えば、二酸化ケイ素、ランタンガラス、ノ リウムガラ ス、ストロンチウムガラスなどのガラス粉末;石英粉末;硫酸バリウム、酸ィ匕アルミニウム 、酸化チタン、ノ リウム塩、ガラスビーズ、ガラス繊維、フッ化バリウム、鈴塩、タルクを 含有するガラスフィラー;シリカゲル、コロイダルシリカ、ジルコニウム酸化物、スズ酸 化物、炭素繊維、その他セラミックス粉末などが挙げられる。また無機充填材の中で も、カチオン溶出性の充填材として、例えば、水酸ィ匕カルシウム、水酸化ストロンチウ ムなどの水酸化物;
酸化亜鉛、ケィ酸塩ガラス、フルォロアルミノシリケートガラス等の酸ィ匕物などの無機 化合物が挙げられる。
[0148] 有機充填材として、例えば、ポリメチルメタアタリレート、ポリェチルメタアタリレート、ポ リメチルメタアタリレート ポリェチルメタアタリレート共重合体、架橋型ポリメチルメタァ タリレート、架橋型ポリェチルメタアタリレート、エチレン 酢酸ビュル共重合体、スチレ ンーブタジエン共重合体、アクリロニトリル スチレン共重合体、アクリロニトリルースチレ ンーブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、単独で使用されてもよぐまたは 、二種類以上を併用してもよい。
[0149] これらのほかに本発明に使用される充填材として、前記無機充填材に重合性ィ匕合物 を添加してペースト状にした後、重合された後で粉砕して得られる有機 無機複合充
填材が挙げられ、好適に使用される。
[0150] これらの充填材の中でも、無機充填材は好ましぐ前述したような各種ガラスを微粉 砕して得られるガラス粉末は、より好ましい。
[0151] 本発明において使用される充填材は、一般に、臨床治療においては充填物の存 在が X線写真で明瞭に確認できることが重要であるため、 X線造影性を有することが 好ましい。ガラス粉末に X線造影性を付与するためには、ガラス構成元素として、通 常ノ リウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ビスマス、タングステン、ゲノレマ-ゥム、モリ ブデン、ランタ-ド等の X線造影性を有する元素 (重金属元素)が添加される。
[0152] 充填材の粒径、形状に、特に制限はなぐ充填材の平均粒子径は、通常、 0. 01— 1
00 /z mであり、好ましく ίま、 0. 01— 50 mであり、より好ましく ίま、 0. 01— 10 mで あり、さら〖こ好ましくは、 0. 1一 3 μ mである。
[0153] また、充填材の屈折率は 1. 53-1. 67であり、より好ましくは、 1. 54-1. 65である
[0154] 本発明で使用される充填材としては、重合性化合物の硬化物(レジンマトリックス)の 屈折率との屈折率の差が 0. 05以下である充填材が好ましぐ該屈折率の差が 0. 0 2以下である充填材がより好ま 、。
[0155] 本発明の歯科用材料または歯科用組成物にぉ 、て含まれる充填材の含有量は、 重合性ィ匕合物 100質量部に対して、通常、 5— 2000質量部であり、好ましくは、 100 一 1000質量部であり、より好ましくは、 100— 700質量部である。
[0156] 本発明の歯科用材料または歯科用組成物は、必須構成成分の一つである重合性 化合物として、一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物を含有する他に、本発明 の所望の効果を損なわな!/、程度で、一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物以外 の他の重合性化合物を含有してもよ 、。
[0157] 力かる重合性ィ匕合物としては、特に限定されるものではなぐ歯科用材料分野で使用 されて ヽる各種公知の重合性化合物(重合性モノマーまたは重合性オリゴマーなど) が使用される。
[0158] 一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物以外の他の重合性ィ匕合物として、重合 性、硬化性などを考慮すると、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルイ匕合物または (メ
タ)アクリル酸アミドィ匕合物である。
[0159] 低毒性で重合が速やかに達成され、加水分解を受けにくぐ製造が比較的容易であ る (メタ)アクリル酸エステルイ匕合物は、より好ましい化合物である。
[0160] かかる (メタ)アクリル酸エステルイ匕合物としては、例えば、
メチル (メタ)アタリレート、ェチル (メタ)アタリレート、ブチル (メタ)アタリレート、へキシ ル (メタ)アタリレート、 2—ェチルへキシル (メタ)アタリレート、ドデシル(メタ)アタリレー ト、ラウリル (メタ)アタリレート、シクロへキシル (メタ)アタリレート、ベンジル (メタ)アタリ レート、イソボル-ル (メタ)アタリレート、ァダマンチル (メタ)アタリレート等のアルキル (メタ)アタリレートイ匕合物;
2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 2—または 3—ヒドロキシプロピル (メタ)アタリレ ート、 4—ヒドロキシブチル (メタ)アタリレート、 5—ヒドロキシペンチル (メタ)アタリレート 、 6—ヒドロキシへキシル (メタ)アタリレート、 1, 2—または 1, 3—ジヒドロキシプロビルモ ノ (メタ)アタリレート、エリスリトールモノ (メタ)アタリレート等のヒドロキシアルキル (メタ) アタリレート化合物;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレ ート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリ
コールモノ (メタ)アタリレート等のポリエチレングリコールモノ (メタ)アタリレートイ匕合物
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、エチレングリコールモノエ チルエーテル (メタ)アタリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル (メタ)ァク リレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、ポリエチレング リコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキル エーテル (メタ)アタリレート等の(ポリ)グリコールモノアルキルエーテル (メタ)アタリレ ート;
パーフルォロォクチル (メタ)アタリレート、へキサフルォロブチル (メタ)アタリレート等 の(メタ)アクリル酸フルォロアルキルエステル化合物;
γ— (メタ)アタリロキシプロピルトリメトキシシラン、 γ— (メタ)アタリロキシプロピルトリ(ト リメチルシ口キシ)シラン等の(メタ)アタリロキシアルキル基を有するシランィ匕合物;
βーメタクリロイルォキシェチルハイドロジェンフタレート、 βーメタクリロイルォキシェチ ルハイドロジェンサクシネート、 βーメタクリロイルォキシェチルマレエート等のカルボ ン酸含有 (メタ)アタリレート化合物;
3—クロ口— 2—ヒドロキシプロピルメタタリレートなどのハロゲン含有 (メタ)アタリレート、 ならびに、テトラフルフリル (メタ)アタリレート等の複素環を有する (メタ)アタリレートイ匕 合物;
エチレングリコールジ (メタ)アタリレート、プロピレングリコールジ (メタ)アタリレート、ブ チレングリコールジ (メタ)アタリレート、ネオペンチルグリコールジ (メタ)アタリレート、 へキシレングリコールジ (メタ)アタリレート、トリメチロープロパントリ(メタ)アタリレート、 ペンタエリスリトールテトラ (メタ)アタリレート等のアルカンポリオールのポリ(メタ)アタリ レート化合物;
ジエチレングリコールジ (メタ)アタリレート、トリエチレングリコールジ (メタ)アタリレート 、ポリエチレングリコールジ (メタ)アタリレート、ジプロピレングリコールジ (メタ)アタリレ ート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アタリレート、ジブチレングリコールジ (メタ)ァク リレート、ジペンタエリスリトールへキサ (メタ)アタリレート等のポリオキシアルカンポリ オールのポリ(メタ)アタリレートイ匕合物;
[0161] 下記一般式 (5)で表わされる脂肪族、脂環族または芳香族の (メタ)アタリレートイ匕 合物;
[0162] [化 28]
(5)
[0163] (ただし、上記式において、 R は水素原子またはメチル基を示し、 mおよび ηは 0また
11
は正の整数を示し、 R は二価の有機連結基である。 )
12
[0164] 下記一般式 (6)で表される脂環族または芳香族エポキシジ (メタ)アタリレート;
[0165] [化 29]
[0166] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を示し、 nは 0または正の数を示し
13
R は二価の有機連結基である)
14
[0167] さらに、下記一般式(7)で表される分子内にウレタン結合を有する (メタ)アタリレート 化合物;
[0168] [化 30]
(7)
[0169] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を表し、 R は二価の有機連結基
15 16
を表す)
などの単官能もしくは多官能 (メタ)アクリル酸エステルイ匕合物が例示される。
[0170] 上記一般式(5)または(6)における、二価の有機連結基 R または R はそれぞれ、
12 14
- (CH2) 2 - (CH2) 4 - (CH2) 6—
また前記一般式 (7)における、二価の有機連結基 R - (CH2) 2 - (CH2) 4 - (CH2) 6—
[0173] [化 32]
[0174] を表す。
[0175] 上記重合性化合物の例示中、メチルメタタリレート、ェチルメタアタリレート、 2—ヒドロ キシェチルメタタリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレー ト、テトラエチレンダリコールモノメチルエーテルメタタリレート、エチレングリコールジメ タクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートまたは下記一般式(8)、 (9)または 一般式(10)で表される化合物は、さらに好ましい。
[0176] [化 33]
[0177] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を表す)
[0178] [化 34]
(9)
[0179] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を表し、 m+nは平均 2. 6である)
17
[0180] [化 35]
[0181] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を表す)
17
[0182] このような一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物以外の他の重合性化合物は 、本発明の歯科用組成物中の全ての重合性ィ匕合物 100質量部中、通常、 5— 80質 量%の範囲で使用され、好ましくは、 5— 70質量%、より好ましくは、 5— 50質量%部 、さらに好ましくは、 10— 30質量%の範囲内の量で使用される。
[0183] さらに本発明の歯科用材料または歯科用組成物は、さらに所望に応じて、一般式( 1)で表される (メタ)アクリル化合物以外の、公知の他の酸性基含有モノマーなどを含 有してもよい。前記の酸性基としては、具体的には例えば、カルボキシル基、リン酸 基、スルホン酸基等が好ましいものとして挙げられる。
[0184] 力かる酸性基含有の重合性モノマーとしては、 1分子中に少なくとも 1個のカルボキ シル基を有するモノマーとしては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およ び
テトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。
[0185] 例えば (メタ)アクリル酸、マレイン酸、 p ビニル安息香酸、 11— (メタ)アタリロイルォキ シ— 1,1—ゥンデカンジカルボン酸(MAC— 10)、 1,4ージ (メタ)アタリロイルォキシェチ ルビロメリット酸、 6— (メタ)アタリロイルォキシェチルナフタレン 1,2,6—トリカルボン
酸、 4 (メタ)アタリロイルォキシメチルトリメリット酸およびその無水物、 4 (メタ)アタリ ロイルォキシェチルトリメリット酸およびその無水物、 4 (メタ)アタリロイルォキシブチ ルトリメリット酸およびその無水物、 4— [2—ヒドロキシー 3— (メタ)アタリロイルォキシ]ブ チルトリメリット酸およびその無水物、 2, 3 ビス(3, 4—ジカルボキシベンゾィルォキ シ)プロピル (メタ)アタリレート、 N-0-ジ (メタ)アタリロイルォキシチロシン、 0- (メタ)ァ クリロイルォキシチロシン、 N— (メタ)アタリロイルォキシチロシン、 N— (メタ)アタリロイ ルォキシフエ-ルァラニン、 N- (メタ)アタリロイルー P-ァミノ安息香酸、 N- (メタ)ァク リロイルー。一ァミノ安息香酸、 N- (メタ)アタリロイル 5—ァミノサリチル酸、 N- (メタ)ァク リロイル 4ーァミノサリチル酸、 2または 3または 4 (メタ)アタリロイルォキシ安息香酸、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレートとピロメリット酸二無水物の付カ卩生成物(PMD M)、 2—ヒドロキシェチル(メタ)アタリレートと無水マレイン酸または 3, 3',4,4'—べンゾ フエノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または 3,3',4,4'—ビフエ-ルテトラカルボ ン酸ニ無水物の付加反応物、 2—(3, 4—ジカルボキシベンゾィルォキシ)1,3—ジ (メ タ)アタリロイルォキシプロパン、 N—フエニルグリシンまたは N—トリルグリシンとグリシ ジル (メタ)アタリレートとの付加物、 4 [ (2—ヒドロキシ -3— (メタ)アタリロイルォキシプ 口ピル)ァミノ]フタル酸、 3または 4— [N メチル -N— (2—ヒドロキシー 3— (メタ)アタリ口 ィルォキシプロピル)ァミノ]フタル酸などを挙げることができる。
また、 1分子中に少なくとも 1個のリン酸基を有するモノマーとしては、例えば 2— (メ タ)アタリロイルォキシェチルァシドホスフェート、 2および 3— (メタ)アタリロイルォキシ プロピルァシドホスフェート、 4— (メタ)アタリロイルォキシブチルァシドホスフェート、 6 —(メタ)アタリロイルォキシへキシルァシドホスフェート、 8— (メタ)アタリロイルォキシォ クチルァシドホスフェート、 10— (メタ)アタリロイルォキシデシルァシドホスフェート、 12 - (メタ)アタリロイルォキシドデシルァシドホスフェート、ビス { 2- (メタ)アタリロイルォキ シェチル}ァシドホスフェート、ビス {2または 3— (メタ)アタリロイルォキシプロピル }ァ シドホスフェート、 2— (メタ)アタリロイルォキシェチルフエ-ルァシドホスフェート、 2— ( メタ)アタリロイルォキシェチル p—メトキシフエ-ルァシドホスフェートなどを挙げること ができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チォリン酸基に置き換えることができ る。
[0187] また、 1分子中に少なくとも 1個のスルホン酸基を有するモノマーとして、例えば 2— スルホェチル (メタ)アタリレート、 2-スルホ—1-プロピル (メタ)アタリレートまたは 1-ス ルホ— 2-プロピル (メタ)アタリレート、 1-スルホ—2-ブチル (メタ)アタリレート、または 3 スルホ—2 ブチル (メタ)アタリレート、 3—ブロモ—2 スルホ—2 プロピル (メタ)ァク リレート、 3—メトキシー1 スルホ—2 プロピル (メタ)アタリレート、 1, 1 ジメチルー 2—ス ルホェチル (メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
[0188] このような酸性基含有モノマーは、本発明の歯科用材料または歯科用組成物中の 重合性ィ匕合物 100質量部に対して、通常は 0. 01— 100質量部の範囲で使用され、 好ましくは、 0. 1— 50質量部、より好ましくは、 0. 5— 20質量部、さらに好ましくは、 1 一 10質量部の範囲内の量で使用される。
[0189] 本発明の歯科用組成物においては、一般式(1)で表される (メタ)アクリルィ匕合物と前 記の公知の重合性化合物との混合物を重合、硬化させて得られる硬化体の屈折率と 、充填材の屈折率との差が、通常、 0. 05以下になるよう調製して使用するが、好まし くは、該屈折率差が 0— 0. 02の範囲内であり、より好ましくは、 0-0. 02の範囲であ る。
[0190] 一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物、ならびに、一般式(1)で表される (メタ) アクリル化合物以外の他の重合性化合物から調製される重合性化合物全体の粘度 としては、特に制限するものではないが、通常、 100— lOOOOOOcps (mPa' s)であり 、好ましくは、 1000— 100000cps (mPa* s)である。
[0191] 本発明の歯科用組成物中における必須構成成分である重合性化合物の含有量は 、歯科用組成物の総重量中、 5— 50重量%の範囲内にあることが好ましぐより好ま しくは、 10— 30重量0 /0の範囲内である。
[0192] 本発明の歯科用組成物は、必須構成成分として一般式(1)で表される (メタ)アタリ ルイ匕合物などの重合性ィ匕合物、充填材、ならびに、重合開始剤を含有しているが、 所望の効果を損なわな 、限りにお 、て、公知の各種添加剤を含有して 、てもよ 、。 力かる添加剤として、例えば、色素、顔料、染料、安定剤、ポリマー粉末、紫外線吸 収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、溶媒 (例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、トル ェン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、酢酸ェチル等の有機溶媒、水など)、増
粘剤(例えば、ポリビュルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビュルアルコ ールなど)、殺菌剤、消毒剤、安定化剤、保存剤等が挙げられる。
[0193] 本発明の歯科用組成物の製造方法としては、特に制限されるものではなぐ従来か ら公知の方法により好適に実施される。すなわち、例えば、歯科修復用のコンポジッ トレジンの場合では、重合性化合物、重合開始剤、充填材 (フイラ一)、さらに所望に 応じて各種添加剤を所定量秤り取り、これらを混合、混鍊してペースト状の組成物を 調製する方法などが挙げられる。
[0194] 重合性ィ匕合物を使用する際に不溶物または異物を除去するために、重合前に濾過 などの操作によって精製することは好ましい。また、硬化物中での気泡の生成を防止 する目的で、該組成物を減圧下で充分に脱気、脱泡することは好ましい。
[0195] 本発明の歯科用組成物の使用法として、例えば、歯科修復用のコンポジットレジンで は、上記の方法で製造されたペースト状の組成物を、直接患者の窩洞内に充填して 歯科治療に用いられる照射光を照射することにより硬化される方法、成形されるべき 歯冠力 ンレーやクラウンの場合には、患者の口腔内印象力も作成された窩洞歯、 支台歯の模型上に、上記ワンペースト状の組成物を、歯冠形態を再現するように築 盛した後、同様に活性光線を照射することにより硬化する方法が例示される。
[0196] 本発明の歯科用組成物の重合、硬化は、紫外線または可視光線などの活性光線 の照射により、好適に実施される。活性光線の光源として、例えば、蛍光灯、各種水 銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプまたは太陽光などが使用さ れる。
[0197] 活性光線の照射時間は、活性光線の波長、強度、充填時の歯科用組成物の形状な どにも影響されるので、特に限定するものではないが、通常、 1秒一 5分である。重合 、硬化の際の温度は、通常 0— 100°C、好ましくは 5— 60°Cの範囲である。重合、硬 化は、歯科治療面での都合および患者への影響、負担など考慮して、常温付近 (20 一 40°C)で、なるべく短時間で完了するのが好ましぐ特に 1一 30分間で終了させる ように、組成
を調整してもよい。
[0198] また、例えば、硬質メタクリルレジン系人工歯の製造方法としては、重合性化合物、
重合開始剤および充填材の各々所定量を秤り取り、必要に応じて、着色剤、顔料な どを添加して均一になるまで混鍊してペースト状の組成物を調製する。次いで、該組 成物を人工歯金型に挿入して加圧成形する。すなわち、例えば、該組成物を金型内 で加圧したまま金型を加熱することにより重合成形させる。重合触媒としては、前述し たような熱重合開始剤が好適に用いられる。重合終了後、該金型より成形物を取り出 して人工歯が得られる。
[0199] 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。
[0200] く本発明の (メタ)アクリルィ匕合物の製造〉
[製造例 1]
攪拌装置、温度計および冷却管をとりつけたガラス製反応器に 4ーヒドロキシサリチル 酸 154. 12g (l. 00モノレ)、 96%水酸ィ匕ナ卜リウム 1. 54g (4—ヒドロキシサリチノレ酸に 対して 1重量%)、ならびに、 N, N-ジメチルァセトアミド 300gを秤り取り、攪拌して 溶解させた。 60°Cに昇温した後、該混合物に対してグリシジルメタタリレート 142. 15 g (l. 00モル)を 1時間かけて滴下した。
[0201] さらに同温度で 8時間を反応した後、高速液体クロマトグラフィー (HPLC分析)にて 原料が消失していることを確認して、その後、反応液を水に排出して、酢酸ェチルで 有機層を抽出した。有機層を 1%塩酸水で洗浄した後、水層が中性になるまで水洗 を繰返した。分液して有機層を取出した後、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0. 5gを有機層へ添加して、その後、減圧下に酢酸ェチルを留去して、微黄色粉末 状結晶の粗生成物 171. 60gを得た。さらに、該粗生成物をメタノール 30mLに溶解 させた後、水 lOOmLを加えて晶析させ、無色粉末状結晶として目的物である式(1 1)の化合物 59. 26gを得た。
[0202] 収率 20%、純度 (HPLC面積法)≥ 95%
融点 105— 107°C
FD-MS; 296 (M+)
元素分析結果 (C H O )
14 16 7
理論値(%) C 56.76、 H 5.44
分析値 (%)
[0203] [化 36]
(1-1)
[0204] 以下、本発明の (メタ)アクリルィ匕合物を用いた歯科用材料の製造および該歯科用 材料の性能評価試験を説明する。実施例で用いられたィ匕合物またはその略称は、 以下に記す通りである。
[0205] HEMA: 2—ヒドロキシェチルメタタリレート
VR-90 : ポリビスフエノールのジアタリレート
4 MET: 4 (2 ' メタクロィルォキシェチルォキシカルボ-ル)フタル酸 2. 6E : ポリオキシエチレン化された 2, 2 ビス(4ーヒドロキシフエ-ル)プロパン( ォキシエチレン基の平均付加数 = 2. 6)
TEGDMA: トリエチレングリコールジメタタリレート
GDMA: 1, 3—メタクリロイルォキシー 2—プロパノール
A— 9300 : エトキシ化イソシァヌル酸トリアタリレート
CQ : dl カンファーキノン(1, 7, 7—トリメチルービシクロ [2. 2. 1]ヘプタン 2, 3— ジオン)
DMTPO: ジフエ-ル(2, 4, 6—トリメチルベンゾィル)ホスフィンォキシド MMA: メチルメタタリレート
[0206] <本発明の歯科用材料の操作性、重合性および接着性の評価 >
以下に示す方法により、本発明の (メタ)アクリル酸ィ匕合物を用いてそれぞれ歯科用 材料を調製して、操作性、重合性および接着性の評価試験を行なう。
[0207] [接着試験用被着体の作製]
ゥシ下顎前歯を抜去し、新鮮なうちに水中で凍結'保存したものを試験直前に解凍 して歯質サンプルとして使用した。解凍したゥシ歯冠部を象牙質が露出するように回
転式研磨機 ECOMET— ΠΙ (BUEHLER製)で注水しながら、指圧下で耐水エメリー 紙 # 180番で研削し、平滑な面を得た。研削した牛歯の平滑面を一度気銃にて水分 を除去して、直ちに接着面積を規定するための直径 4. 8mmの円孔のあいた両面テ ープを張り付けた。
[0208] [レジンセメントとして使用した場合の接着強さ評価]
予め、硬質レジン (インフィス、ペーストボディー(A3— B):サンメディカル社製)を直 径 5mm、厚さ 1mmの円盤状にした硬化物を作製した。
[0209] 接着試験用被着体の接着面積規定部分に、本発明の組成物を約 15 L塗布して 20秒間静置後に硬質レジン硬化物を軽く圧接して、 37°C飽和水蒸気の雰囲気下で 約 30分間静置し硬化させた。その後、硬質レジン硬化物にスーパーボンド C&B (サ ンメディカル社製)を用いて直径 5mm、長さ 20mmのアクリル棒を固定し、室温で 30 分間経過後に 37°C水中に 24時間浸漬後、弓 I張り試験をクロスヘッドスピード 2mm Zminで行った。
[0210] [コンポジットレジン用として使用した場合の接着強さ評価 (1) ]
接着試験用被着体の接着面積規定部分に、本発明の組成物 (可視光重合型)を 約 15 μ L塗布して 20秒間静置後にエアブローによって薄く広げた後、可視光照射 器 (TransluxCL、 Kulzer製)にて 10秒間光照射して本発明の硬化性組成物を硬 化させた。直径 5mm厚さ 0. 8mmの穴の開いたモールドを接着面に設定し、コンポ ジットレジン (メタフィル C (A3):サンメディカル社製)を填塞して同じ可視光照射器で 20秒間光照射した。コンポジットレジン硬化物にスーパーボンド C&B (サンメデイカ ル社製)を用いて直径 5mm長さ 20mmのアクリル棒を固定し、室温で 30分間経過後 に 37°C水中に 24時間浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード 2mmZminで行つ た。
[0211] [コンポジットレジン用として使用した場合の接着強さ評価 (II) ]
接着試験用被着体の接着面積規定部分に、本発明の組成物 (可視光重合型)を 約 15 μ L塗布して 20秒間静置後にエアブローによって薄く広げた後、直径 5mm厚 さ 0. 8m
mの穴の開 、たモールドを接着面に設定し、化学重合型コンポジットレジン (Build-i
tFRレジン: Pentron Japan社製)を填塞して表面をポリエステルフィルム(約 50 μ m 厚さ)で覆って 10分間静置して硬化させた。ポリエステルフィルムを除去して硬化した 化学重合型コンポジットレジンにスーパーボンド C&B (サンメディカル社製)を用いて 直径 5mm長さ 20mmのアクリル棒を固定し、 30分間経過後に 37°C水中に 24時間 浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード 2mmZminで行った。
[0212] [根管充填用シーラーとして使用した場合の接着強さ評価]
ゥシ下顎前歯を抜去し、新鮮なうちに水中で凍結'保存したものを試験直前に解凍 して歯質サンプルとして使用した。解凍したゥシ歯牙の歯冠部と歯根部の間で切断し 、歯根内部にある歯髄を除去した。歯根切断部から直径 3mmのステンレスドリルにて 根管内に深さ約 15mmまで円筒状のホールを注水下で形成した。形成した根管内 部に本発明の組成物を隙間なく充填し、 37°C飽和水蒸気の雰囲気下で 1時間静置 し硬化させた。別紙の手順で引っ張り試験用試料を作成し、 37°C水中に 24時間浸 漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード ImmZminで行った。なお、図中において、 AQPを本発明の組成物、 CRをメタフィル C (A3) (サンメディカル社製)、ファイバー を直径 2mm、長さ 15mmのメタフィル C (A3) (サンメディカル社製)の硬化物とそれ ぞれ読み替える。
[0213] 作製した歯根試料を別紙(下図 1)に記載するように、 AQボンドプラス (セットならび に表面処理材)、メタフィル Cを使用して微小引張接着試験にて根管内壁とシーラー との間の接着強さを測定した。なお、下図中のファイバーの変わりに、直径 2mm長さ 15mmのメタフィル Cの硬化物を使用した。
実施例 1
[0214] 本発明の硬化性組成物として、液材と粉材を使用直前に混合して使用するもので、 液材成分として 59重量部の HEMA、 30重量部の VR90 (昭和高分子)、 5重量部の 4 MET、 5重量部の実施例 1で得られた式(1 1)で表される化合物(以下、 SA— 1 00と記す)および 1重量部の過酸ィ匕ベンゾィル (以下、 BPOと記す)からなり、粉材成 分として 58重量部の酸化ジルコニウム(ZrO、平均粒径 2 m)、 20重量部の球形シ
2
リカ(SiO 平均粒径 5 μ m)、平均粒径 0.04 μ mのシリカフィラーをトリメチロールプ
2、
口パントリメタクリレート(以下、 TMPTと記す)で予め重合被覆して粉砕した有機複合
フィラー(平均粒径 20 m; 以下、 TMPT'fと記す)を 20重量部、および、 2重量部 の N-フエニルダリシンナトリウム塩 (以下、 NPG'Naと記す)からなる混合物を使用し た。練和紙上で 0.09重量部の液材と 0.13重量部の粉材を混ぜ合わせて練和し、練 和開始から 30秒間経過したものを本発明の組成物として使用した。レジンセメントと して使用した場合の接着強さを測定した結果、象牙質に対する接着強さは 6. 7MPa であった。
実施例 2
[0215] 本発明の接着性組成物として、 5重量部の SA— 100、 10重量部の 4 MET、 24重 量部の HEMA、 20重量部の GDMA、 30重量部の A— 9300および 0. 5重量部の力 ンファーキノン(以下、 CQと記す)からなる液材 0. 03重量部と、 0. 4mgの p—トルェ ンスルフィン酸ナトリウムおよび 0. 4mgの NPG'Naを使用直前に混合したものを使 用した。コンポジットレジン用として使用した場合の接着強さ評価 (I)の方法で接着強 度を測定した結果、象牙質への接着強さは lOMPaであった。
実施例 3
[0216] 本発明の接着性組成物として、 10重量部の SA— 100、 3重量部の 4 MET、 24重 量部の HEMA、 20重量部の GDMA、 30重量部の A— 9300および 1重量部の BP Oからなる液材 0. 03重量部と、 0. 4mgの p—トルエンスルフィン酸ナトリ
ゥムおよび 0. 4mgの NPG'Naを使用直前に混合したものを使用した。コンポジットレ ジン用として使用した場合の接着強さ評価 (II)の方法で接着強度を測定した結果、 象牙質への接着強さは 6MPaであった。
実施例 4
[0217] 本発明の接着性組成物として、液材と粉材を使用直前に混合して使用するもので、 液材として 10重量部の SA— 100、 20重量部の 4 MET、 40重量部の HEMA、 15 重量部の 2. 6E、 5重量部の TEGDMAおよび 0. 3重量部の BPOからなる組成物を 0. 04重量部採取して、粉材成分として 80重量部の酸ィ匕ジルコニウム (ZrO、平均
2 粒径 2 μ m)、 12重量部の球形シリカ(SiO 平均粒径 5 μ m)、 7重量部の NPG'Na
2、
および 0. 5重量部の p—トルエンスルフィン酸ナトリウムからなる組成物を 0. 05重量 部を別に採取しておく。使用直前に液材と粉材を混合し、混合開始から 30秒経過後
のものを使用した。根管充填用シーラーとして使用した場合の接着強さ評価によって 測定した結果、接着強さは lOMPaであった。
[0218] 上記実施例に示すように、本発明の歯科用材料は操作性、重合性および接着性が 良好である。
[0219] く本発明の歯科用材料の耐加水分解性試験 >
以下に示す方法により、本発明の (メタ)アクリルィ匕合物を用いてそれぞれ歯科用材 料を調製して、耐加水分解性の評価試験を行なった。
実施例 5
[0220] 32. 5重量部の水、 40. 8重量部のアセトン、 1重量部の HEMA、 12. 5重量部の MMA、 0. 1重量部の CQならびに 0. 1重量部の DMTPOを混合、溶解して溶液を 調製した。得られた溶液 87重量部に対して、本発明の (メタ)アクリルィ匕合物である S A - 100 13重量部を溶解させて試験液を調製した。該試験液を 55°Cで保管して経 時的にサンプリングして、液体クロマトグラフィを用いて SA— 100の加水分解による生 成物を定量した。 55°Cで 12日間保管した後、加水分解による生成物の量力も求め た SA— 100の加水分解率は 10%であった。
[0221] [比較例 1]
実施例 5にお 、て、本発明のメタ(アクリル)化合物 SA-100を使用する代わりに、 下記式に示される公知化合物である 11 メタアタリロイルォキシゥンデカン 1, 1ージ カルボン酸 (通称、 MAC— 10)を使用する以外は実施例 5と同様にして試験を行なつ た。 55°Cで 12日間保管した後の加水分解による生成物の量力 求めた 11 メタァク リロイルォキシゥンデカン 1, 1ージカルボン酸の加水分解率は 22%であった。
[0222] [化 37]
[比較例 2]
実施例 5にお 、て、本発明のメタ(アクリル)化合物 SA-100を使用する代わりに、
下記式に示される公知化合物である 10—メタアタリロイルォキシデカニルリン酸モノエ ステル (通称、 MDP)を使用する以外は実施例 5と同様にして試験を行なった。 55 °Cで 12日間保管した後の加水分解による生成物の量から求めた 10—メタアタリロイ ルォキシデカ二ルリン酸モノエステル加水分解率は 33 %であつた。
[0224] [化 38]
[0225] 上記実施例および比較例にお!ヽて示すように、本発明の (メタ)アクリル化合物を含 有してなる歯科用材料は加水分解による生成物が少なく耐加水分解性が良好である ことから、保存安定性に優れている。
実施例 6
[0226] (重合性組成物の調製)
製造例 1で製造した本発明の式(1—1)の (メタ)アクリルィ匕合物 5重量部、 2, 4, 4ート リメチルー 1, 6—( 2—メタクリロイルォキシェチルォキシカルボ-ルァミノ)へキサン [ UDMA;新中村化学工業 (株)製] 80重量部、ネオペンチルダリコールジメタクリレー ト [NPG ;新中村ィ匕学工業 (株)製] 20重量部、微粉末シリカ [RM— 50 ;日本エアロジ ル (株)製] 80重量部およびメトキシノ、イドロキノン
0. 01重量部をそれぞれ秤取して、めのう製乳鉢で均一なペースト状になるまでよく 混合した。こうして無色半透明ペースト状の重合性組成物を得た。
実施例 7
[0227] (重合性組成物の硬化、ならびに、硬化物の物性評価)
文献記載の公知の方法 (特開平 2— 1179065号公報など)に従って接着性試験を行 なった。すなわち、ステンレス鋼板(SUS304、 10mm X 10mm X 3mm)の表面をェ メリーペーパー # 600にて研磨した後、超音波洗浄器を用いてアセトン中で 10分間 超音波洗浄した。その表面に直径 5mmの穴を有する厚さ 2mmのポリテトラフルォロ エチレン力もなるモールドを両面テープにて接着した。
[0228] 実施例 2で調製した重合性組成物を該モールド内に充填して、窒素雰囲気のイナ ートオーブン中で、 50°CZ3時間→ 60°CZ3時間→ 70°CZl時間→ 80°CZl 時間
→ 90°CZ3時間の条件で加熱して、重合、硬化を行なった。
硬化終了後、試料力もポリテトラフルォロエチレンモールドを取り外して、ステンレス 鋼板と榭脂硬化物との接着力を調べたところ、良好な接着力を示しており実用上何ら 問題ない物'性であった。
産業上の利用可能性
[0229] 本発明の式(1)で表される (メタ)アクリル化合物を含有してなる歯科用材料または 歯科用組成物により、操作性、重合性、接着性または接着耐久性の良好な歯科用材 料を提供することが可能となった。
[0230] 本発明の歯科用材料としては、例えば、歯冠用レジン、人工歯などの歯冠用材料、 コンポジットレジン、根管充填材などの歯科充填用材料、レジンセメント、矯正用接着 材、ボンディング材などの歯科用接着材 '合着材、フィッシャーシーラント、コーティン グ材、クラウン 'ブリッジ 'インレー用レジン、支台築造材、義歯床用レジン、義歯床補 修用レジンなどが挙げられ、歯科治療において使用される有機材料を用いた歯科材 料全般である 本発明の一般式(1)で表される (メタ)アクリル化合物は (メタ)アクリル系榭脂の改 質剤として有用であり、歯科用材料以外の各種コーティング材料、接着材料、成型材 料などにも使用される。