WO2005087027A1

WO2005087027A1 - くつ下及びその製造方法

Info

Publication number: WO2005087027A1
Application number: PCT/JP2005/004631
Authority: WO
Inventors: Osamu Hirao; Noriyoshi Yoshimura
Original assignee: Cooma Co., Ltd.
Priority date: 2004-03-16
Filing date: 2005-03-16
Publication date: 2005-09-22
Also published as: CN1953673A; US7437896B2; EP1731046A4; EP1731046A1; DE602005017019D1; CN100518554C; EP1731046B1; JP2005264352A; US20080034802A1; JP3780354B2

Abstract

　本発明は、つま先を収容したときに窮屈感や圧迫感を生じさせず、連結部を有さず、また編地自体の引きつれも生じず、外観的体裁の良好なくつ下を提供する。そのための手段として、くつ下編機により、足裏側部分（１１）と甲側部分（１２）を形成する筒編部（１０）に連続して、親指側に偏った左右非対称の平面略台形状をなすつま先収容部（２０）を設け、このつま先収容部（２０）において、平面略台形状に反転編したの表側部（２２）と裏側部（２１）の間に、その外形に沿って正転編による厚み増加用の編立て部（２５）を設ける。

Description

明細書

くつ下及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、くつ下編機により編立てられて製造されるくつ下及びその製造方法に関するものである。

背景技術

[0002] 一般に、図 8に示すようなくつ下 101は、複数本の編針が周囲に配された針釜を正転及び逆転可能に設けた丸編機を利用したくつ下編機により製編される。このくつ下 101の製編では、図 9A—図 9Cに示すように、足裏側部分 111と甲側部分 112を形成する筒編部 110に連続して、つま先を収容するつま先収容部 120を編成する。

[0003] このつま先収容部 120の編成においては、通常、先ず、図 9Cのように、前記筒編部 110の足裏側部分 111の端部 (AB位置）に連続して、前記つま先収容部 120の裏側部 121を編成する。この際、くつ下編機の正回転、逆回転を交互に繰り返す反転編を行い、最大編幅の編針領域から目的最小編幅の編針領域に向カゝつて、両側反転位置で編成に寄与する編針を、例えば 1編コース毎に 1針（ 1ゥエール)ずつ減少させて、編幅を漸次減少させながら編立てる。そして、最小編幅の編針領域 (CD 位置）に達すれば、これに連続して、図 9Aのように、前記とは逆に最大編幅の編針領域に向かって反転編を行い、両側反転位置で編成に寄与する編針を、前記とは逆に例えば 1編コース毎に 1針（ 1ゥエール)ずつ増加させて編幅を漸次増加させながら、前記つま先収容部 120の表側部 122を編立てる。このとき、前記裏側部 121と表側部 122の両側端同士が連結編されて繋がれる。図 9Bにおける符号 124, 124 は前記両側の連結部（ゴァ線)を示す。また前記表側部 122の端部は最終的に筒編部 110の甲側部分 112の開口端に連結編されて閉じ合わされる。 115はその閉じ合わせ部を示す。

[0004] ところで、前記のように製編される従来のくつ下 101にあっては、そのつま先収容部 120は、左右対称形をなし、左右どちらの足にも履くことができるものである力このつま先収容部 120の裏側部 121と表側部 122とが先端部で連続して折り返された状態であって、かつその両側端部において直接連結編されて繋がれているため、つま先収容部 120としての厚み (膨らみ）はそれほど大きくはない。そのため、該つま先収容部 120につま先を収容した場合に、つま先の先端部で窮屈感、圧迫感が感じられる。特には、足の指の中で大きくかつ突出している親指の側でくつ下編地が引っぱられることになつてより大きな圧迫感を生じる。

[0005] このような問題を解決するものとして、下記の特許文献 1に開示のくつ下の製造方法が提案されている。

[0006] この提案のくつ下の製造方法では、基本的に従来と同様にくつ下編機により製編するものであって、その製編におけるつま先収容部の編立ての際、該つま先収容部の裏側部と表側部とを反転編により連続して編立てる途中（裏側部と表側部との間）において、左右両側の反転位置での編成に寄与する編針の増減を変化させて、親指側に厚み増加のための編地部分を追加すると同時に、この追加の編地部分の編み方を利用して厚み増加の編立て方向を親指側にシフトさせるように編成している。すなわち、反転編の中で、前記厚み増加のための編地部分を親指側に偏倚させるように追加して編成して、編地自体を親指側に引つ張った状態にしてシフトさせて!/、る。また、前記追加の編地部分についても反転編のために、親指側において該編地部分がつま先収容部の裏側部と表側部の双方に編目を変化させながら連結編されており、その連結部（ゴァ線）が枝分かれ状になっている。

[0007] この提案のくつ下は、つま先収容部の全体が前記追加の編地部分により親指側にシフトしてかつ親指側の厚みが増加しかつ経方向にも膨らみが増して、ることで、つま先を収容した状態において、前記の親指側での窮屈感ゃ圧迫感が抑制されるものの、前記追加の編地部分とつま先収容部の裏側部と表側部との間の枝分かれ状の連結部 (ゴァ線)が、共に編目を変化させながら連結された状態で目立ち易ぐ連結状態もそれほど綺麗ではなぐ外観的に不体裁である上、親指側へのシフト形状のために編地自体が親指側で引きつれ状態になっており、これが商品価値を低下させることになつている。し力も、前記追加の編立て部分については、親指側の厚みを増加する以外の機能は期待できな、ものである。

特許文献 1：特許第 2895473号公報発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 本発明は、上記に鑑みてなしたもので、つま先収容部全体の厚み (膨らみ）を増加させるだけでなく種々の機能を持たせることができ、窮屈感ゃ圧迫感なく履くことができるとともに、つま先収容部の側面に枝分かれ状の目立つ連結部（ゴァ線)を有さず、また編地自体の引きつれなどが生じることもなぐ外観的体裁の良好なくつ下、さらには、つま先収容部の外形部分に他の種々の機能を持たせることができるくつ下を提供するものであり、またこのようなくつ下を容易に得ることができる製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0009] 上記の課題を解決する本発明のくつ下は、くつ下編機で一体に編成され、足裏側部分と甲側部分を形成する筒編部に連続してつま先収容部が設けられたくつ下であつて、前記つま先収容部は、平面略台形状をなすように反転編された表側部と裏側部の間に、その外形に沿って正転編による編立て部が設けられてなることを特徴とする。

[0010] このくつ下は、つま先収容部の外形部つまり先端部及び両側部の外形部において裏側部と表側部との間に正転編による編立て部が設けられているため、該つま先収容部の全体の厚みが従来品よりも大きく立体的な膨らみを有ることになり、つま先を収容した状態において指先に窮屈感ゃ圧迫感を生じることがない。

[0011] そればかりか、前記の正転編による編立て部の編成組織を利用して、前記つま先収容部の外形部分に通気性を持たせたり、柄を編成したり、強度アップを図る等、他の種々の機能を持たせることができる。

[0012] また、つま先収容部の外形部全体に厚み増加用の編立て部が正転編により形成されているため、該つま先収容部の両側部においては、前記厚み増加用の編立て部と前記つま先収容部の裏側部と表側部との 2本の連結部 (ゴァ線)が平行に現れるだけで目立たず、シンプルでかつ綺麗であり、し力も編地自体に引きつれが生じることもなぐ外観的な体裁も良好なものとなっている。

[0013] 前記のくつ下において、前記つま先収容部が親指側に偏った左右非対称の平面略台形状をなしているものが好ましい。この場合、足の指の中で最も大きく突出する親指の側においても、編地自体が局部的に引っ張られたり圧迫感を生じるおそれがなぐ該くつ下を体裁良ぐ！¹夬適に履くことができる。

[0014] 前記のくつ下において、前記つま先収容部の前記正転編の編立て部の一部に、該編立て部に連続して平面略台形状をなすように突出する小形つま先部が設けられてなるものとすることができる。この場合、足の指の中で最も大きく突出する親指の先端部を前記小形つま先部に収容でき、窮屈感なく体裁良く快適に履くことができる。

[0015] 特に、前記小形つま先部が親指側に偏って前記編立て部の一部に設けられていると、前記親指の先端部を具合良く収容でき、編地に過度の引っ張り等を生じさせることもない。さらに、前記小形つま先部の表側と裏側との間に、その外形に沿って正転編部分が設けられていると、該小形つま先部の厚みが大きくなり、前記親指の先端部をさらに一層窮屈感なく収容でき、きわめて快適に履くことでき、外観的な体裁も良好なものとなる。

[0016] また、本発明の他の一つは、前記のくつ下の製造方法であり、くつ下編機により、足裏側部分と甲側部分とを一体に筒編するとともに、該筒編部に連続してつま先を収容するつま先収容部を編成して、前記のくつ下を製編する方法において、前記つま先収容部を編成する際、該つま先収容部の表側部と裏側部の双方を、それぞれ編み幅を変化させつつ反転編して、くつ下先端側ほど編み幅の狭い平面略台形状をなすように編成するとともに、該表側部の反転編と裏側部の反転編との間で、該表側部と裏側部の外形に沿う編立て部を正転編して、前記表側部と裏側部の間に該厚み増加用の編立て部を介設させるように製編することを特徴とする。これにより、上記した特徴を有するくつ下を製編できる。

[0017] 前記のくつ下の製造方法において、前記つま先収容部の裏側部と表側部の一方を反転編により編み立てるときは、くつ下編機の正転と逆転の一方の反転位置と他方の反転位置とにおヽて、編成に関与する編針数をそれぞれ所定割合で漸次減少させ、また前記つま先収容部の裏側部と表側部の他方を反転編により編み立てるときは、くつ下編機の正転と逆転の一方の反転位置と他方の反転位置とにおいて、編成に関与する編針数をそれぞれ所定割合で漸次増加させる。これにより、先端ほど編幅の狭い平面略台形状をなしかつその外形に沿って裏側部と表側部との間に正転編の編立て部を設けたつま先収容部を問題なく製編でき、前記した特徴あるくつ下を容易に得ることができる。

[0018] また、前記つま先収容部の裏側部又は表側部の反転編における両側反転位置での編成に関与する編針数の減少率又は増加率を異にして、一方の反転位置の側に偏った平面略台形状又は平面略逆台形状に編成することにより、つま先収容部が親指側に通った平面略台形状をなすくつ下を製造できる。

[0019] さらに、前記のようにくつ下編機の正転により、前記つま先収容部の外形部に沿う前記正転編の編立て部を編立てる途中において、くつ下編機におけるつま先収容部を編成する編針領域で、小形つま先部の裏側と表側をそれぞれ編幅を変化させつつ反転編して、くつ下先端側ほど編幅の狭い平面略台形状をなすように編成することができる。

[0020] これにより、前記つま先収容部の厚み増加用の前記編立て部の一部に、該編立て部に連続して平面略台形状をなすように突出する小形つま先部を設けたくつ下を製編することができる。

発明の効果

[0021] 上記したように、本発明のくつ下によれば、つま先収容部の外形部に沿う正転編の編立て部の存在により、つま先収容部全体の厚みを増加させることができ、つま先を収容した状態にぉ、て親指側のみならず指先部全体にお、て窮屈感ゃ圧迫感を生じさせずに、快適に履くことができる。し力も、つま先収容部の側面に枝分かれ状の目立つ連結部 (ゴァ線)を有さず、また編地自体の引きつれなどが生じることもなぐ外観的体裁がきわめて良好なものである。そればかりか、前記の正転編による編立て部の編成組織を利用して、前記つま先収容部の外形部分に通気性を持たせたり、柄を編成したり、強度アップを図る等、前記厚み増加以外の種々の機能を持たせることができる。

[0022] また、本発明のくつ下の製造方法によれは、前記の効果を有するくつ下を従来同様のくつ下編機を用いて容易に効率よく製編、製造できる。

発明を実施するための最良の形態 [0023] 次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。

[0024] 図 1は本発明の第 1実施例のくつ下を示す斜視図、図 2は同くつ下の製編状態を説明するための略示図である。

[0025] 図 1および図 2の第 1実施例のくつ下 1Aは、従来同様のくつ下編機により一体に編成され、足裏側部分 11と甲側部分 12を形成する筒編部 10に連続してつま先収容部 20が設けられてなるものにおいて、前記つま先収容部 20は、先端ほど編幅の狭い平面略台形状をなすように反転編された表側部 22と裏側部 21との間に、その外形部に沿って正転編による機能増加のための編立て部 25が設けられてなるものである

[0026] 前記のくつ下 1Aの前記つま先収容部 20は、左右が対称の平面略台形状をなすものでもよいが、実施上は、図のように親指側に偏った左右非対称の平面略台形状をなしているものが好ましい。

[0027] 前記のくつ下 1Aは、前記くつ下編機により、足裏側部分 11と甲側部分 12とを一体に筒編するとともに、該筒編部 10に連続して、つま先を収容するつま先収容部 20を編成するもので、この編成の際、該つま先収容部 20の表側部 22と裏側部 21との双方を、それぞれ編幅を変化させつつ反転編して、図 2A及び図 2Cのようにくつ下先端側ほど編幅の狭、平面略台形状をなすように編成するとともに、前記表側部 22の反転編と裏側部 21の反転編との間で、該表側部 22と裏側部 21の外形部に沿う編立て部 25を正転編して、図 2B及び図 2Dのように、前記表側部 22と裏側部 21の間に前記正転編の編立て部 25を介設させるように製編する。

[0028] 具体的には、前記筒編部 10における足裏側部分 11と甲側部分 12の一方、例えば、足裏側部分 11の端部（図 2の AB位置)から連続して前記つま先収容部 20の裏側部 21を、その編幅を漸次減少させながら平面略台形状をなすようにくつ下編機の正回転、逆回転を交互に繰り返す反転編により編み立てる。すなわち、編機における最大編幅の編針領域から目的最小編幅の編針領域に向かって、くつ下編機の一方の反転位置と、他方の反転位置とにおいて、編成に関与する編針数をそれぞれ所要の編コース数 (例えば、 1もしくは複数コース）にっき 1針（1ゥエール)ずつ減少させるようにして編成する。 [0029] 次に、前記裏側部 21に連続して前記の機能増加のための編立て部 25を正転編により編み立てる。すなわち、前記裏側部 21が最小編幅位置（図 2の CD位置）に達したとき、一気に元の最大編幅の編針領域に戻して、前記裏側部 21の外形に沿ってこれに連続させるように正転編を行い、必要コース数に渡って編立てる（図 2B)。この正転編は、前記つま先収容部 20の裏側部 21の外形端部から前記筒編部 10の甲側部分 12の開口端部 14を回る筒状に編成するもので、これにより、前記編立て部 25を正転編により問題なく編成することができる。符号 23は、前記編立て部 25と前記裏側部 21との連結部（ゴァ線)を示す。

[0030] さらに、前記編立て部 25に連続して、前記つま先収容部 20の表側部 22を、前記裏側部 21とは逆に編幅を漸次増加させながら、前記裏側部 21に対応した平面略逆台形状をなすように反転編により編立てる。すなわち、前記編立て部 25の所定コース分が編立てられたとき、編機における前記表側側部 22の最小編幅位置〔図 2Aの C D'位置〕の編針領域の部分に一気に戻し、この状態力も最大編幅位置〔図 2Aの A' B'位置〕の編針領域に向力つて、両側反転位置における編成に関与する編針数を、それぞれ前記とは逆に所要の編コース数につき 1針（1ゥエール)ずつ増カロさせるようにして編成する。またこのとき、前記表側部 22の両側端部を前記正転編の編立て部 25の対応する部分に連続させるように編成する。これにより、前記編立て部 25 は、前記裏側部 21と前記表側部 22の間にその外形に沿って介設された状態になる。符号 24は前記編立て部 25と前記表側部 22との連結部（ゴァ線)を示す。

[0031] こうして最大編幅位置（A' B'位置)まで編成した後、最終的に、前記表側部 22の端部を筒編部 10の甲側部分 12の開口端部 14に沿って正転編された前記編立て部 25の表側部分 25aに連結編など手段により閉じ合わせることにより、上記した構成のくつ下 1A、すなわち、つま先収容部 20の外形部に沿って正転編の編立て部 25を設けたくつ下 1Aの製編が完了する。符号 15は前記甲側部分 12とつま先収容部 20との閉じ合わせ部を示す。

[0032] なお、図 2A—図 2Dでは、つま先収容部 20の裏側部 21と表側部 22の外形形状や連結部 23、 24等を便宜的に直線的に図示しているが、実際には、使用糸や編組織により編地特有の丸みを有するものであり、図 1のようなくつ下 1Aを得ることができる。さらに、上記実施例では、つま先収容部 20の裏側部 21の側から編成する場合を示したが、これとは逆に、表側部 22の側から上記と同様にして編成することも可能である。

[0033] また、前記のくつ下 1Aの製編において、前記つま先収容部 20の裏側部 21及び表側部 22それぞれの反転編における両側反転位置での編成に寄与する編針の減少率及び増加率つまり減少及び増加の割合は、編成しょうとするつま先収容部 20の形状、特に両側端の傾斜形状等に応じて適宜設定できる。

[0034] すなわち、つま先収容部 20を左右対称の平面略台形状に編成する場合は、両側反転位置での編針の減少率又は増加率を同じにすればよぐまた左右が非対称の平面略台形状に編成する場合は、両側反転位置での編針の減少率または増加率を異にすればよい。

[0035] 例えば、両側反転位置を共に、 1編コースにつき 1針（1ゥエール)ずつ減少又は増カロさせることにより、左右対称の平面略台形状に編成できる。また、両側反転位置の一方側 (親指側）では複数コースにつき 1針（1ゥエール)の割合で減少又は増加させ、他方側（小指側）では 1編コース毎に 1針（1ゥエール)ずつ減少又は増加させることにより、図のように親指側になる一方側に偏った平面略台形状をなすように編成することができる。

[0036] 前記の両側反転位置において、編成に寄与する編針数の減少率又は増加率が、複数コースにつき 1針（1ゥエール)の割合で、目減らし又は目増やしの程度が比較的小さい場合 (例えば、 3コース以上の単位コース毎に、 1針ずつ減少又は増加させる場合）、前記のコース数毎に 1針（1ゥエール)減少又は増力 tlさせると、その変化が大きくなつて、正転編による編立て部 25との連結編の間隔が大きくなり、製品において隙間が生じることになる。

[0037] そのため、通常は、例えば図 3に例示するように、 3コース単位で、毎コースにつき 1 ゥエール減少又は増加させて編成し、次ヽで反転位置におヽて 2ゥエールかつ 2コース戻して前に形成した編目の上に重ねて編目形成してから次続のコースを編成し、こうして前記同様に 3コース単位で毎コースにっき 1ゥエール減少又は増加させた後、前記のように 2ゥエール、 2コース戻して編目形成する編成を繰り返して、側端部の編目数を減らして編成することにより、前記正転編の編立て部 25と比較的小さな間隔で略均等に連結編できるようにして、該連結部分の隙間が大きくならないようにするのが望ましい。

[0038] 図 3は、 3コース単位の両側反転位置での変化状態を説明するもので、各編コースを 3コース毎に太い実線と細い実線であらわし、左右の両端部の数値は編コースの順番を示している。この図 3の場合、図の左側の反転部では、 1編コースにつき 1針（ 1ゥエール)減少させ、図の右側の反転部では、 3コース単位で、毎コースにつき 1ゥエール減少させた後、 2ゥエール、 2コース戻して前に形成された編目の上に重ねて編目形成する編成を繰り返している。このように編成されることで、右側の反転位置（側端)では、中間部のコースで三つの編目が重ねて形成されることになり、図 3のようにゥエール方向及びコース方向の編目の段数が左側の反転位置の約 1Z3に減少している。従って、この各段の編目部分において、正転編の編立て部 25と連結編されることにより、反転編の編地部分 (つま先収容部の裏側部又は表側部）が右側に引き寄せられ、結果として該編地が左右非対称の平面略台形状になる。また、編幅を増加させる場合は、前記とは逆の変化で編成される。

[0039] 上記のようにして編成されたくつ下 1Aは、つま先収容部 20の外形部つまり先端部及び両側部の外形部において裏側部 21と表側部 22との間に正転編の編立て部 25 が設けられているため、該つま先収容部 20の全体の厚みが大きく立体的になり、つま先を収容した状態において指先に窮屈感ゃ圧迫感を生じることがない。特に、前記外形部の編立て部 25のために、つま先部分の丸みのある形状にも沿い易ぐ気持ち良く履くことができることになる。

[0040] し力も、前記つま先収容部 20の外形部全体に前記編立て部 25が正転編により形成されているため、該つま先収容部 20の両側部においては、前記編立て部 25と前記つま先収容部 20の裏側部 21と表側部 22との 2本の連結部（ゴァ線） 23, 24が平行に現れるだけで目立たず、シンプルでかつ綺麗であり、し力も編地自体に引きつれが生じることもなぐ外観的な体裁も良好なものとなっている。

[0041] この点について、本発明品の前記連結部に相当する編糸且織図を示す図 6と、従来品（図 8及び図 9)の連結部に相当する編組織図を示す図 7に基づいて説明する。 [0042] 図 6において、細線の編目部分がつま先収容部の裏側部 21、太線の編目部分が正転編の編立て部 25を示し、さらに同図における Yaは裏側部 21の正転側コースの糸、 Ybは逆転側コースの糸を示し、また、 Ycは正転編の編立て部 25の各コースの糸を示し、 23は前記裏側部 21と正転編の編立て部 25との連結部を示す。また、図 7 において、細線の編目部分がつま先収容部の裏側部 121、太線の編目部分が表側部 122を示し、さらに同図における Yaは裏側部 121の正転側コースの糸、 Ybは逆転側コースの糸を示し、また、 Y_a，は表側部 122の正転側コースの糸、 Yb'は逆転側コ一スの糸を示し、 124は前記裏側部 121と表側部 122の連結部を示す。

[0043] 図 7から明らかなように、従来品の場合は、裏側部 121の各コースの糸 Ya、 Ybは、正転と逆転との反転位置となる側端部において順次目減らしされて編成され、この部分で 2つのゥエール Wl, W1に渡って掛けられた状態になり、この目減らしの部分で各ゥエール Wl, W1間の編目空間（斜線部）が比較的大きくなる。また、これに連結される表側部 122の各コースの糸 Ya'、 Yb'は、前記とは逆に側端部で順次目増やしされて編成され、この部分で 2つのゥエール W2, W2に渡って掛けられるとともに、前記の目減らしされた裏側部 121の各ゥエール W1に対して連結編される。この表側部の Ya'、 Yb'目増やしの部分でも、各ゥエール W2, W2間の編目空間（斜線部）が比較的大きくなるため、双方のゥエール Wl, W2が連結されることになる連結部 124 では、前記の編目空間がさらに大きく開くことになり、特に編地が張った状態になるほど外観的に目立つ大きな隙間が生じることになり、不体裁なものになる。

[0044] これに対して、本発明の場合は、図 6から明らかなように、裏側部 21の各コースの糸 Ya、 Ybは、正転と逆転との反転位置となる側端部において順次目減らしされて編成され、この部分で 2つのゥエールに渡って掛けられた状態で、ゥエール間の編目空間（斜線部）が比較的大きくなるが、前記正転編の編立て部 25の前記糸 Ycは、前記のように目減らしされた裏側部 21の各ゥエールに対して、正転編による編目を形成しながら連結されるために、この連結部 23における前記ゥエール間の編目空間の目開きが抑制され、着用時にも大きな隙間を生じることがなぐまた引きつれも生じず、外観的な体裁が良好なものとなる。

[0045] そればかりか、上記の正転編による編立て部 25の編成組織を利用して、つま先収容部 20の外形部に種々の機能を持たせることができる。例えば、この編立て部 25を、メッシュ調の組織で編成することにより、つま先収容部 20の外形部に通気性を持たせることができ、蒸れ防止に効果のあるくつ下を得ることができる。また、前記編立て部 25の組織の変化により柄を編成したり、強度アップを図る等、一般の正転編に適用できる種々の機能を付与することが容易に可能になる。

[0046] 図 4は本発明の第 2実施例のくつ下を示す斜視図、図 5は同くつ下の製編状態の説明図である。

[0047] この図 4及び図 5A—図 5Dの実施例のくつ下 1Bについても、基本的に、上記した第 1実施例と同様に、くつ下編機により一体に編成され、足裏側部分 11と甲側部分 1 2を形成する筒編部 10に連続してつま先収容部 20が設けられてなるものにおいて、前記つま先収容部 20は、先端ほど編幅の狭!、平面略台形状をなすように反転編された表側部 22と裏側部 21との間に、その外形に沿って正転編による機能増加のための編立て部 25が設けられてなるものである。

[0048] そして、この第 2実施例のくつ下 1Bの場合の特徴として、前記の構成に追加して、前記つま先収容部 20の正転編による前記編立て部 25の一部には、該編立て部 25 に連続して平面略台形状をなすように突出する親指用の小形つま先部 30が、図のように親指側に偏った位置に設けられている。この小形つま先部 30は、その裏側 31とこれに連続する表側 32とからなるものであってもよいが、図示する実施例の場合には、該小形つま先部 30の表側 32と裏側 31との間に、その外形に沿って正転編部分 35 が設けられている。特に、前記正転編部分 35は、前記つま先収容部 20の編立て部 2 5と一体に正転編されて!、る。

[0049] この実施例のくつ下 1Bについても、くつ下編機により、足裏側部分 11と甲側部分 1 2とを一体に筒編するとともに、この筒編部 10に連続して、つま先収容部 20を一体に編成するもので、この編成において、前記つま先収容部 20の表側部 22と裏側部 21 との双方を、それぞれ編幅を変化させつつ反転編して、図 5A及び図 5Cのように、くつ下先端側ほど編幅の狭い平面略台形状をなすように編成する点、またそのために、編機の両側反転位置で編成に寄与する編針数を減少又は増加させるようにして編成する点、及び前記表側部 22の反転編と裏側部 21の反転編との間で、該表側部 2 2と裏側部 21の外形に沿う編立て部 25を正転編して編立てる点は、上記した第 1実施例の場合と基本的に同様の方法で製編する。

[0050] そして、この第 2実施例のくつ下 1Bの場合は、特に、前記の正転編の編立て部 25 の編立て途中において、くつ下編機におけるつま先収容部 20を編成する編針領域で、小形つま先部 30の裏側 31と表側 32をそれぞれ編幅を変化させつつ反転編して、くつ下先端側ほど編み幅の狭い平面略台形状をなすように編成する。特に、図示する実施例の場合は、該小形つま先部 30の表側 32と裏側 31の外形に沿う正転編部分 35を、前記編立て部 25と共に正転編して、前記表側 32と裏側 31の間に該正転編部分 35を介設させるように製編する。

[0051] 具体的には、図 5Cのように、例えば前記筒編部 10の足裏側部分 11の端部 (AB位置)力も連続して前記つま先収容部 20の裏側部 21を、その編幅を漸次減少させな力平面略台形状をなすように反転編により編み立てる。すなわち、編機における最大編幅 (AB位置）の編針領域から目的最小編幅の編針領域に向かって、くつ下編機の両側反転位置において、編成に関与する編針数をそれぞれ所要の編コース数 ( 例えば、 1もしくは複数コース）にっき 1針（1ゥエール)ずつ減少させるように編成する

[0052] そして、前記裏側部 21が目標最小編幅位置 (CD位置）に達したとき、一気に元の最大編幅の編針領域に戻して、前記裏側部 21に連続して前記編立て部 25を正転編により編立てる。この正転編が数コース進んだ時、設定される小形つま先部 30を編成するための最大編幅の位置 (HI位置）の編針領域から目的最小編幅の編針領域に向かって反転編を行!ヽ、両側反転位置で編成に関与する編針数をそれぞれ所要の編コース数 (例えば、 1もしくは複数コース）にっき 1針ずつに減少させるようにして、該小形つま先部 30の裏側 31を編立てる。

[0053] また、前記裏側 31がその最小編幅位置 (EF位置）に達したとき、元の小形つま先部 30の最大編幅の編針領域に一気に戻して、前記裏側 31の外形に沿ってこれに連続させるように前記つま先収容部 20の編立て部 25と共に正転編を行、、正転編部分 35を必要コース数に渡って編立てる。

[0054] さらに、前記正転編部分 35が所要コースに渡って編立てられたとき、これに連続して前記小形つま先部 30の表側 32を反転編により編幅を漸次増カロさせながら編立てる。すなわち、前記厚み増加部分 35の編立て後、編機における前記裏側 31の最小編幅位置 (E' F'位置）の編針領域の部分に一気に戻し、この状態から小形つま先部 30の最大編幅の編針領域に向力つて、両側反転位置における編成に関与する編針数を、それぞれ前記とは逆に所要の編コース数につき 1針（1ゥエール)ずつ増加させるようにして、該小形つま先部 30の表側 32を編立てる。またこのとき、前記表側 32 の両側端部を前記正転編部分 35の対応する部分に連続させるように編成する。これにより、前記正転編部分 35は、前記裏側 31と前記表側 32の間にその外形に沿って介設された状態になる。図中の 33, 34は前記正転編部分 35と前記裏側 31及び表側 32との連結部（ゴァ線)を示す。

[0055] こうして、小形つま先部 30の編成が終わった時点で、一気につま先収容部 20の最大編幅の編針領域に戻して正転編を行い、正転編の編立て部 25を数コースに渡り編立てる。

[0056] その後、前記編立て部 25に連続して、前記つま先収容部 20の表側部 22を、前記裏側部 21とは逆に編幅を漸次増加させながら、前記裏側部 21に対応した平面略逆台形状をなすように反転編により編立てる。すなわち、編立て部 25の編立てが終了した時点で、編機における前記表側部 22の最小編幅位置 (C' D'位置）の編針領域の部分に一気に戻し、この状態力も最大編幅位置 (Α' Β'位置）の編針領域に向かつて、両側反転位置における編成に関与する編針数を、それぞれ前記とは逆に所要の編コース数につき 1針（1ゥエール)ずつ増加させるようにして編成する。またこのとき、前記表側部 22の両側端部を前記正転編の編立て部 25の対応する部分に連続させるように編成する。

[0057] この後、最終的に、前記表側部 22の端部を筒編部 10の甲側部分 12の開口端部 1 4に沿って編成された前記編立て部 25の表側部分 25aに連結編して閉じ合わせることにより、上記した構成のくつ下 1B、すなわち、つま先収容部 20の外形に沿って正転編の編立て部 25を設け、さらにこの編立て部 25の中の一部においてさらに突出状をなす小形つま先部 30を設けたくつ下 1Bを得ることができる。

[0058] この実施例のくつ下 1Bの場合、前記つま先収容部 20の平面形状は、必ずしも左右対称の平面略台形状をなすものには限らず、第 1実施例と同様の親指側に偏った左右非対称の平面略台形状とすることもでき、また両側外形の傾斜の程度も、編成に寄与する編針の減少率及び増加率によって適宜設定できる。

[0059] また、前記小形つま先部 30の平面形状や形成位置さらには大きさについても、それぞれ任意に設定できる。例えば、前記小形つま先部 30を、図 5Cにおける AC間の中間位置力形成することも、また中央寄りにずらして形成することもできる。

[0060] さらに、前記小形つま先部 30の裏側部 21及び表側部 22それぞれの反転編における両側反転位置での編成に寄与する編針の減少率及び増加率つまり減少及び増加の割合についても、前記つま先収容部 20の裏側部 21及び表側部 22の場合と同様に手法で、編成しょうとする小形つま先部の形状に応じて適宜設定できる。例えば、小形つま先部 30を左右対称の平面略台形状に編成する場合は、両側反転位置での編針の減少率又は増加率を同じにし、また左右が非対称の平面略台形状に編成する場合は、両側反転位置での編針の減少率または増加率を異ならせばよい。いずれにしても、小形つま先部 30は、足の指の中で最も大きく突出する親指の先端部を収容するのに好適なように形成される。

[0061] このように編成されたくつ下 1Bは、つま先収容部 20の裏側部 21と表側部 22との間に正転編の編立て部 25が設けられているため、該つま先収容部 20の全体の厚みが大きく立体的になり、つま先を収容した状態において指先に窮屈感ゃ圧迫感を生じることがないばかりか、特に前記編立て部 25の一部に、親指の先端部を収容できる小形つま先部 30が設けられているため、この親指の側を窮屈感なく収容でき、一層体裁良く快適に履くことができる。特に、前記小形つま先部 30が、親指側に偏って前記編立て部 25の一部に設けられていると、前記親指の先端部を具合良く収容でき、編地に過度の引っ張り等を生じさせることもない。

産業上の利用可能性

[0062] 本発明は、くつ下編機により編立てられて製造される各種のくつ下に適用できる。

図面の簡単な説明

[0063] [図 1]本発明の第 1実施例のくつ下を示す斜視図である。

[図 2A]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、甲側の略示図である。 [図 2B]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、つま先収容部の先端側から見た略示図である。

[図 2C]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、足裏側の略示図である。

[図 2D]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、略示側面図である。

[図 3]反転位置での変化状態の説明図である。

[図 4]本発明の第 2実施例のくつ下を示す斜視図である。

[図 5A]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、甲側の略示図である。

[図 5B]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、つま先収容部の先端側から見た略示図である。

[図 5C]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、足裏側の略示図である。

[図 5D]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、略示側面図である。

[図 6]本発明品の前記連結部の部分を説明するための編組織図である。

[図 7]従来品の連結部の部分を説明するための編組織図である。

[図 8]従来のくつ下を示す斜視図である。

[図 9A]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、甲側の略示図である。

[図 9B]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、つま先収容部の先端側から見た略示図である。

[図 9C]同上のくつ下の製編状態の説明図であり、足裏側の略示図である。

符号の説明

1A, 1B…くつ下、 10…筒編部、 11…足裏側部分、 12· ··甲側部分、 15…閉じ合わせ部、 20· ··つま先収容部、 21· ··裏側部、 22· ··表側部、 23, 24…連結部（ゴァ線 ) , 25…正転編の編立て部、 25a"' 表側部分、 30…小形つま先部、 31· ··裏側、 32 …表側、 33, 34…連結部（ゴァ線）、 35· ··正転編部分。

Claims

請求の範囲

[1] くつ下編機で一体に編成され、足裏側部分と甲側部分を形成する筒編部に連続してつま先収容部が設けられたくつ下であって、

前記つま先収容部は、平面略台形状をなすように反転編された表側部と裏側部の間に、その外形に沿って正転編による編立て部が設けられてなることを特徴とするくつ下。

[2] 前記つま先収容部が親指側に偏った左右非対称の平面略台形状をなしている請求項 1に記載のくつ下。

[3] 前記つま先収容部の前記正転編の編立て部の一部に、該編立て部に連続して平面略台形状をなすように突出する小形つま先部が設けられてなることを特徴とする請求項 1または 2に記載のくつ下。

[4] くつ下編機により、足裏側部分と甲側部分とを一体に筒編するとともに、該筒編部に連続してつま先を収容するつま先収容部を編成して、くつ下を製編する方法において、

前記つま先収容部を編成する際、該つま先収容部の表側部と裏側部の双方を、それぞれ編み幅を変化させつつ反転編して、くつ下先端側ほど編み幅の狭、平面略台形状をなすように編成するとともに、該表側部の反転編と裏側部の反転編との間で、該表側部と裏側部の外形に沿う編立て部を正転編して、前記表側部と裏側部の間に正転編の編立て部を介設させるように製編することを特徴とするくつ下の製造方法

[5] くつ下編機の正転により、前記つま先収容部の外形部に沿う前記正転編の編立て部を編み立てる途中において、くつ下編機におけるつま先収容部を編成する編針領域で、小形つま先部の裏側と表側をそれぞれ編み幅を変化させつつ反転編して、くつ下先端側ほど編み幅の狭、平面略台形状をなすように編成することを特徴とする請求項 4に記載のくつ下の製造方法。