WO2005085488A1 - 耐熱鋳鉄及びそれからなる排気系部品 - Google Patents

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Masahiro Miyake
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Abstract

 800°Cを超える温度で使用する排気系部品に用いる黒鉛含有耐熱鋳鉄であって、重量基準でSi:3.5~5.6%及びW:1.2~15%を含有し、黒鉛と基地組織との境界にW及びSiが濃化した中間層を有する耐熱鋳鉄。この耐熱鋳鉄からなる排気系部品は、30°Cから3°C/分の速度で昇温したときのAC1変態点が840°C以上であり、かつ上限温度840°C、温度振幅690°C及び拘束率0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿命が780サイクル以上である。

Description

明 細 書
耐熱铸鉄及びそれ力 なる排気系部品
技術分野
[0001] 本発明は、高い耐酸化性及び耐熱亀裂性を有する耐熱铸鉄に関し、特に自動車 エンジン用のェキゾ一ストマ-ホルド、ターボチャージヤーハウジング、触媒ケース等 の排気系部品に好適な耐熱铸鉄に関する。
背景技術
[0002] 例えば、ェキゾ一ストマ-ホルド、ターボチャージヤーハウジング、触媒ケース、ター ボチャージヤーハウジング一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、触媒ケース一体型ェキゾ 一ストマ-ホルド、ェキゾ一ストアウトレット等の自動車エンジン用排気系部品は、ェン ジン力もの高温の排気ガスに繰り返し曝されるととにも、排気ガス中の硫黄酸ィ匕物、 窒素酸化物等に直接曝される過酷な条件で使用されるので、耐酸化性及び耐熱亀 裂性等の耐熱性を向上して、高い耐久性と長寿命を確保することが要求される。その ため、排気系部品は従来力ゝら铸鉄の中でも比較的耐熱性が良好で、铸造性や被削 性が良い安価な高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄 (Siを約 4重量%含有する)により形成 されている。
[0003] 近年、自動車エンジンの高性能化及び燃費向上、並びに排気ガス規制の強化にと もない、排気ガスの温度が上昇する傾向にある。そのため、排気系部品の温度が 800 °Cを超えることも珍しくなぐ排気系部品には一層の耐酸ィ匕性、耐熱亀裂性等の耐熱 性が要求されてきて 、る。そこで高温での球状黒鉛铸鉄の物性を改善するための種 々の改良が検討されている。
[0004] 従来の高 Siフ ライト系球状黒鉛铸鉄は铸造性及び被削性に優れ、製造コストが低 いという利点を有するが、耐酸化性、耐熱亀裂性等の耐熱性に限界がある。そのた め、高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄カゝらなる排気系部品は 800°Cを超える温度で使用 することができない。
[0005] 特開平 9- 87796号は、重量基準で C : 2.7— 3.2%、 Si :4.4— 5.0%、 Mn: 0.6%以下、 Cr: 0.5— 1.0%、 Ni: 0.1— 1.0%、 Mo : 1.0%以下、黒鉛球状化剤: 0.1%以下、 Fe :実 質的に残部からなる組成を有する基地組織がフェライト相主体の耐熱球状黒鉛铸鉄 を開示している。この耐熱球状黒鉛铸鉄は、比較的多い Si及び少量の Cr及び Niの添 加効果により、 150— 800°Cでの繰り返し熱負荷を受ける環境下で高い耐酸化性及び 耐熱亀裂性を示し、自動車エンジン用のターボチャージヤーハウジング、ェキゾース トマ-ホルド等の排気系部品に好適である。しかしながら、この耐熱球状黒鉛铸鉄は Wを含有していないので、耐酸化性及び耐熱亀裂性が必ずしも十分ではなぐ特に 常温から 800°Cを超える温度まで繰り返し加熱冷却される排気系部品に使用した場 合、満足な熱亀裂寿命が得られない。
[0006] 特開 2002- 339033号は、重量基準で C : 3.1— 4.0%、 Si : 3.6—4.6%, Mo : 0.3— 1.0 %、 V: 0.1— 1.0%、 Mn: 0.15— 1.6%、 Mg: 0.02— 0.10%、 Fe及び不可避不純物:残 部からなる組成を有する高温物性が改善されたフェライト系球状黒鉛铸鉄を開示して いる。 Si及び Moをベースに V及び Mnの添カ卩により、高温強度、耐熱変形性及び耐熱 疲労性が向上して 、るとともに、室温から高温領域 (約 800— 900°C)までの引張強さ 及び耐カも向上し、もって初期クラックまでの寿命が増大し、耐熱疲労性が向上して いる。これは、 Vにより共晶セル粒界付近に高融点の微細炭化物が析出し、粒界ポテ ンシャルの向上と高温時でのパーライト組織の分解を阻止するとともに、 Mnによりパ 一ライト組織の析出が促進され、引張強さ及び耐力が向上するからである。しかしな がら、このフェライト系球状黒鉛铸鉄は Wを含有していないので、耐酸化性及び耐熱 亀裂性が必ずしも十分ではな ヽ。
[0007] 特開平 10- 195587号は、重量基準で C : 2.7%— 4.2%、 Si : 3.5%— 5.2%, Mn: 1.0% 以下、 S : 0.03%以下、 Mg、 Ca及び希土類元素の少なくとも 1種: 0.02— 0.15% (Mgを 少なくとも 0.02%含む)、 As : 0.03— 0.20%、 Fe及び不可避不純物:残部からなる組成 を有し、 400°C付近の中温域における脆化が抑制された球状黒鉛铸鉄を開示して ヽ る。この球状黒鉛铸鉄はさらに基地強化成分として Cr、 Mo、 W、 Ti及び Vの少なくとも 1種を 1重量%以下含有することにより、高温強度が改善され、また黒鉛化促進元素 である Ni又は Cuを 3重量%以下含有することにより炭化物を抑制して延性が改善され る。中温域における脆ィ匕抑制のメカニズムはまだ明らかではないが、黒鉛球状化後 に余った Mg (結晶粒界へ偏祈して中温脆ィ匕を発現すると考えられる)が Asと結合して Mgの脆ィ匕作用が阻止されるとともに、 Mgとの結合後に余った Asにより結晶粒同士の 結合状態が改善されて、中温脆性が緩和ないし抑制されるためであると考えられる。
[0008] しかしこの球状黒鉛铸鉄では、 Cr、 Mo、 W、 Ti及び Vの含有量が 1重量%以下と少 ないので、繰り返し加熱冷却される排気系部品に使用した場合、耐酸化性及び耐熱 亀裂性が必ずしも十分ではない。また Asを含有させると、球状黒鉛铸鉄の 700°C以上 での耐酸ィ匕性が損なわれる。その上、 Asは微量でも猛毒で人体や環境に対して極め て有害な物質であるため、溶解力も铸込み工程において作業者の被毒を防止するた めの設備が必要であり、また設備の修理やメンテナンスにお ヽても被毒防止対策が 必要である。さらに製品のリサイクルの際に環境汚染の問題がある。このように Asを含 有する球状黒鉛铸鉄は実用性がな ヽ。
[0009] 従来の高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄では、フェライト相とパーライト相からなる基地 組織がオーステナイト相へ変化するフ ライト オーステナイト変態温度 (A 変態点)
C1 力 oo°c前後と低い。またオーステナイトの線膨張係数はフェライトのそれより大きい。 従って、排気系部品の一部が約 800°C又はそれ以上に昇温すると、 A 変態点を超え
C1
てオーステナイト相に変化するため、急激に膨張し、膨張率の差によるひずみが生じ る。またエンジン停止等で排気系部品が降温する場合にも、オーステナイト フェライ ト変態温度 (A変態点)を通過するので、膨張率の差によりひずみが生じる。このよう rl
に、高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄カもなる排気系部品は、ボルト締結等で他の部材 に拘束された状態で相変態による膨張収縮により大きく変形する。また A
C1変態点及 び A変態点を繰り返し通過することにより二次黒鉛の析出が起こり、不可逆的な膨張 rl
を生じるので、大きな変形が生じる。
[0010] その上、排気系部品は硫黄酸化物、窒素酸化物等を含む高温の排気ガスや高温 域で大気中の酸素等 (以下「酸化性ガス」という)に曝され、表面に酸化膜が形成され る。酸化膜が A 変態点近傍又はそれを超える温度までの加熱冷却を受けると、酸化
C1
膜と基地組織との熱膨張差に起因して変形や内部ひずみが発生し、酸化膜に微小 亀裂が発生する。亀裂を通って侵入した酸化性ガスは排気系部品内部を酸化(内部 酸化)させ、さらに亀裂が進展する。このように高温での排気系部品の酸化と亀裂に は密接な関係があり、両者は排気系部品の耐熱性、耐久性、寿命等に大きな影響を 及ぼす。 Siを約 4%含有する高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄は普通の球状黒鉛铸鉄に 較べて A 変態点が高ぐ高い耐酸ィ匕性を有するが、 A 変態点である 800°C以上に
CI C1
昇温すると、耐酸化性及び耐熱亀裂性が不十分になって、寿命が短くなるという問題 かあつた。
[0011] このため、約 800°Cを超える排気系部品には現在、耐酸化性、耐熱亀裂性等の耐 熱性に限界がある従来の高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄の代わりに、より耐熱性に優 れた約 18— 35重量0 /0の Niを含有する FCDA-NiCr20 2 (二レジスト D2)、
FCDA-NiSiCr35 5 2 (二レジスト D5S)等のオーステナイト系球状黒鉛铸鉄や、 18重量 %以上の Crを含有するフェライト系ステンレス铸鋼、又は 18重量0 /0以上の Cr及び 8重 量0 /0以上の Niを含有するオーステナイト系ステンレス铸鋼を用いて 、る。
[0012] しかし、オーステナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス铸鋼は、高価な Niや Crを含有 するために高コストである。またオーステナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス铸鋼は、 高融点であるために湯流れ性が低く铸造性が悪いので、铸造時に引け巣や湯廻り不 良等の铸造欠陥が発生しやすぐ铸造時の歩留りが低い。そのため高歩留りで排気 系部品を製造するには高度の铸造技術や特別な生産設備が必要となる。カロえて、多 量に含有する Cr等の粗大な炭化物により被削性が劣り、高度の加工技術が必要で ある。このような問題のため、オーステナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス铸鋼カゝらな る排気系部品は著しく高価なものにならざるを得な 、。
[0013] ねずみ铸鉄 (片状黒鉛铸鉄)の高温酸化性雰囲気中での内部酸化は、酸化性ガス が三次元的に繋がっている片状黒鉛に沿って内部に侵入し、黒鉛の脱炭と同時に 基地組織に酸化物を形成し、それにより生じた隙間や亀裂により酸ィ匕性ガスの侵入 力 M足進されること〖こより起こると考えられる。内部酸ィ匕を抑制するために、以下の提案 がされた。
(1)連続性を有する片状黒鉛の球状化、黒鉛の微細化、黒鉛面積率の減少等により
、黒鉛を分離して、酸化性ガスの侵入を抑制する。
(2) Siを 4一 5%含有させて基地組織をシリコフェライトとし、 A 変態点を上昇させる。
C1
(3)炭化物安定元素である Cr、 Mn、 Mo、 V等を添加して、基地組織を固溶強化すると ともに、パーライトやセメンタイトを安定ィ匕する。 [0014] し力しいずれの提案も、約 800°C又はそれを超える環境下での排気系部品の内部 酸化や熱亀裂の抑制につ!ヽては、片状黒鉛铸鉄ゃ黒鉛形状を球状としただけの球 状黒鉛铸鉄では満足できるものではな力つた。
[0015] なお球状黒鉛铸鉄自体は古くから知られた素材で、排気系部品以外の用途に用 いるために種々の組成のものが提案されている。例えば、特開昭 61-157655号は、 C : 3.0— 7.0%、 Si : 5.0%以下、 Mn: 3.0%以下、 Ni: 0.5— 40.0%,及び Cr: 0.5— 20.0% に加えて、 Cu: 0.5— 30.0%, Co : 0.1— 30.0%, Mo : 0.1— 10.0%、 W: 0.1— 10.0%、 V : 0.05— 5.0%、 Nb : 0.01— 3.0%, Zr: 0.01— 3.0%及び Ti: 0.01— 3.0%の 1種以上を 含有し、残部が実質的に Feからなり、黒鉛の面積率が 5.0%以上、晶出した炭化物又 は炭窒化物の面積率が 1.0%以上の合金铸鉄カもなる铸造工具を開示している。こ の合金铸鉄の耐摩耗性は、主として铸造時に晶出する Crの炭化物又は炭窒化物で ある硬質粒子により得られる。し力し Crの炭化物は靭性及び延性を低下させるため、 この合金铸鉄は排気系部品に必要な靭性及び延性を有さない。また炭化物又は炭 窒化物の硬質粒子は被削性を悪化させるので、機械加工効率が低くなつて製造コス トが増加するために、排気系部品が高価となる。さらに 0.5— 40.0%と多量の Niを含有 しているために、フェライトを主相とした铸鉄 (フェライト系铸鉄)の A 変態点や耐酸
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化性が低下し、 800°Cを超える環境下で使用すると十分な耐久性や寿命を確保でき ない。従って、特開昭 61-157655号に記載の铸造工具から、 800°Cを超える環境下で 使用する排気系部品に適する耐熱铸鉄に想到することはできない。
[0016] また特開平 11-71628号は、外側リング部を炭化タングステン基超硬合金で構成し、 外側リング部に铸込み接合された内側リング部を球状黒鉛铸鉄で構成した複合圧延 ロールであって、内側リング部は、重量基準で C : 3— 4.5%、 Si: 1.5— 4.5%、 Mn: 0.1 一 2%、 Mg: 0.02— 0.2%を含有し、さらに Mo、 Cu、 Cr、 V、 W、 Sn及び Sbの 1種以上: 0.1— 5%を含有し、残りが Feと不可避不純物力もなる組成を有し、パーライト相、べィ ナイト相及びマルテンサイト相のいずれ力とフェライト相との混合相を主体とする素地 に、有芯構造の球状黒鉛が分散し、前記有芯構造の球状黒鉛は、铸造時に生成し た芯部と、熱処理時に析出した周辺部からなる組織を有する球状黒鉛铸鉄で構成し たことを特徴とする耐熱衝撃性のすぐれた複合圧延ロールを開示して ヽる。この球状 黒鉛铸鉄の混合相を得るためには、铸放しでパーライト相を主体とする素地を形成し た後、 450°C以上固相線以下の温度範囲内で加熱と冷却を繰り返す熱処理を施して フェライト相を形成させ、素地をパーライト相とフェライト相を主体とした混合相として いる。
[0017] しかし、特開平 11-71628号の球状黒鉛铸鉄を 800°Cを超える環境下で使用する排 気系部品に使用すると、パーライト相、ベイナイト相及びマルテンサイト相が分解して 二次黒鉛が析出し、不可逆的な膨張により耐久性を確保できない。また Mo、 Cu、 Cr 、 V、 W、 Sn及び Sbのうち、 Vは 800°Cを超える温度では耐酸化性を劣化させ、また Sn 及び Sbは過剰になると共晶セル境界に燐片状の異常黒鉛が生成したり、基地糸且織 にセメンタイトが生成して、靱性及び延性の低下、特に常温伸びの低下を招くという 欠点がある。従って、 Mo、 Cu、 Cr、 V、 W、 Sn及び Sbの中から、合金化する元素とその 含有量を適正に選択しなければ、 800°Cを超える環境下で使用する排気系部品用材 料として、十分な A 変態点、耐酸化性、耐熱亀裂性、靭性及び延性を確保できない
C1
。従って、特開平 11-71628号に記載の複合圧延ロールから、 800°Cを超える環境下 で使用する排気系部品に適する耐熱铸鉄に想到することはできない。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0018] 従って、本発明の目的は、耐酸化性及び耐熱亀裂性に優れ、例えば自動車ェンジ ン用の高耐熱性排気系部品を安価に製造することができる耐熱铸鉄を提供すること である。
課題を解決するための手段
[0019] 高い耐熱性が要求される铸鉄部品には、高い耐酸ィ匕性及び耐熱亀裂性のみなら ず、良好な常温伸び及び高温強度も必要である。中でも耐酸ィ匕性は、高温での酸化 と密接に関係する耐熱亀裂性に大きく影響するので、重要な特性である。
[0020] 铸鉄の耐酸化性及び耐熱亀裂性を改善するには、内部酸化と亀裂の起点となる黒 鉛及びその周囲の基地組織が酸ィ匕されるのを抑制する必要がある。しかし、かかる 酸化を抑制するのに、前述した片状黒鉛铸鉄での内部酸ィヒの抑制提案のように、黒 鉛の形状や分布状態を改善するだけでは不十分である。というのは、酸化性ガスが 黒鉛に沿って铸鉄内部に侵入すると、黒鉛及びその周辺の基地組織の酸ィ匕が発生 するカゝらである。鋭意研究の結果、本発明者等は、黒鉛及びその周囲の基地組織の 酸化を防止するには、黒鉛と基地との間である境界に W及び Siが濃化した中間層を 生成させるのが有効であることを見出した。
[0021] すなわち、黒鉛を含有する本発明の耐熱铸鉄は、重量基準で Si: 3.5— 5.6%及び W: 1.2— 15%を含有し、黒鉛と基地組織との境界に W及び Siが濃化した中間層を有 することを特徴とする。
[0022] 本発明の耐熱铸鉄は、黒鉛を含有する耐熱铸鉄であって、 W及び Siを所定量含有 し、黒鉛と基地との境界部に W及び が濃化した中間層を生成させている。この中間 層が保護皮膜 (バリア)となり、外部からの酸ィ匕性ガスの黒鉛への侵入と黒鉛力 の C の拡散が抑制され、黒鉛及びその周辺の基地組織の酸ィ匕を防止して、耐熱铸鉄の 耐酸化性及び耐熱亀裂性が向上する。
[0023] 本発明の耐熱铸鉄は、 FE-TEM-EDS (エネルギー分散型 X線分析法)により測定し た基地中の Wの重量割合 Xmに対する中間層中の Wの重量割合 Xiの比(Xi/Xm)が 5 以上であるのが好ましぐ 10以上であるのがより好ましい。また FE-TEM-EDSにより測 定した基地中の Siの重量割合 Ymに対する中間層中の Siの重量割合 Yiの比 (Yi/Ym) は 1.5以上であるのが好ましぐ 2.0以上であるのがより好ましい。
[0024] 黒鉛球状化元素として、 0.005— 0.2重量%の Mgを含有するのが好ましい。
[0025] Si及び Wは重量基準で Si + (2/7) W≤ 8の条件を満たすのが好まし!/、。
[0026] 本発明の耐熱铸鉄は、黒鉛及び Wを含有し、黒鉛は基地との境界近傍に W含有炭 化物を有する。 W含有炭化物が黒鉛と基地との境界近傍に存在すると、外部からの 酸ィ匕性ガスの侵入と黒鉛からの Cの拡散を一層抑制し、耐酸化性が向上する。また 酸化性ガスや Cの拡散が優先的に発生すると考えられる黒鉛に接する粒界にも W含 有炭化物が生成しているため、酸ィ匕性ガスや Cの拡散を効果的に防止する。
[0027] 基地との境界近傍に W含有炭化物を有する黒鉛の数は、黒鉛総数の 75%以上で あるのが好ま 、。また黒鉛と基地との境界近傍における W含有炭化物の数 (エッチ ングにより現れた黒鉛表面上の W含有炭化物の数により表す)は、黒鉛の単位面積 当り 3 X 105個/ mm2以上であるのが好ましい。さらに W含有炭化物の面積率 (エッチ ングにより現れた黒鉛表面上の W含有炭化物に対して求めた)は 1.8%以上であるの が好ましい。 W含有炭化物の面積率は 2%以上がより好ましい。炭化物の数及び面 積率の算出方法は後述する。
[0028] 本発明の耐熱铸鉄は、 30°Cから 3°CZ分の速度で昇温したときの A 変態点が 840
C1
°C以上であるのが好ましい。 800°Cの大気中に 200時間保持したときの酸化減量は 60 mg/cm2以下であるのが好ましく、また 700°Cと 850°Cの間を 100回繰返し加熱冷却し たときの酸ィ匕減量は 70 mg/cm2以下であるのが好ましい。さらに上限温度 840°C、温 度振幅 690°C及び拘束率 0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿 命は 780サイクル以上であるのが好まし 、。さらに本発明の耐熱铸鉄の常温伸びは 1.8%以上であるのが好ましぐ 2.0%以上であるのがより好ましい。
[0029] 本発明の耐熱铸鉄は、重量基準で C : 1.5— 4.5%、 Si: 3.5— 5.6%、 Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr: 0.3%以下、黒鉛球状化元素: 1.0%以下、残部実 質的に Fe及び不可避的不純物からなる組成を有するのが好ましい。
[0030] 本発明の耐熱铸鉄は、重量基準で C : 1.8— 4.2%、 Si: 3.8— 5.3%、 Mn: 1.5%以下、 W: 1.5— 10%、 Ni: 0.3%以下、 Cr: 0.3%以下、黒鉛球状化元素: 0.01— 0.2%、 Si + (2/7) W≤8、残部実質的に Fe及び不可避的不純物力 なる組成を有するのがより好 ましい。
[0031] 本発明の耐熱铸鉄は、上記元素の他に、 5.5重量%以下の Mo、 6.5重量%以下の Cu、及び 5重量%以下の Coを単独又は 2種以上組合せて含有してもよい。本発明の 耐熱铸鉄はさらに、 1.0重量%以下の Nb及び Z又は 0.05重量%以下の Bを含有して もよい。本発明の耐熱铸鉄はさらに、 0.003— 0.02重量%の3及び 0.05重量%以下の 希土類元素を含有してもよ ヽ。
[0032] 本発明の排気系部品は上記耐熱铸鉄カもなる。排気系部品としては、ェキゾ一スト マニホノレド、ターボチャージヤーノ、ウジング、ターボチャージヤーノ、ゥジングー体型ェ キゾーストマ-ホルド、触媒ケース、触媒ケース一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、及び ェキゾ一ストアウトレットが挙げられる。
[0033] 本発明の好ましい実施態様による排気系部品は、 800°Cを超える温度で使用するも ので、重量基準で C : 1.5— 4.5%、 Si: 3.5— 5.6%、 Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr: 0.3%以下、黒鉛球状化元素: 1.0%以下、 Si + (2/7) W≤8、残部実 質的に Fe及び不可避的不純物からなる組成を有し、かつ铸放しでフェライトを主相と した基地に黒鉛が晶出しているとともに、前記黒鉛と前記基地との境界に W及び Siが 濃化した中間層を有する組織を有する耐熱铸鉄力 なり、もって 30°Cから 3°CZ分の 速度で昇温したときの A 変態点が 840°C以上であり、かつ上限温度 840°C、温度振
C1
幅 690°C及び拘束率 0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿命が
780サイクル以上である。
[0034] 本発明のさらに好ましい実施態様による排気系部品は、重量基準で C : 1.8— 4.2%
、 Si : 3.8— 5.3%, Mn: 1.5%以下、 W: 1.5— 10%、 Ni: 0.3%以下、 Cr: 0.3%以下、黒 鉛球状ィ匕元素: 0.01— 0.2%、 Si + (2/7) W≤8、残部実質的に Fe及び不可避的不純 物からなる組成を有する。
[0035] 本発明の排気系部品は、 800°Cの大気中に 200時間保持したときの酸ィ匕減量が 60 mg/cm2以下であるのが好ましい。また本発明の排気系部品は、 700°Cと 850°Cの間を
100回繰返し加熱冷却したときの酸ィ匕減量が 70 mg/cm2以下であるのが好ま 、。 発明の効果
[0036] 以上詳細に説明したように、本発明の耐熱铸鉄は黒鉛の酸ィ匕及び脱炭とその周囲 の基地組織の酸ィ匕を抑制して 、るので、従来の高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄より耐 酸化性及び耐熱亀裂性に優れるだけでなぐ常温伸び、高温強度、高温耐カ等の 性能もノ《ランスよく向上している。そのため、例えば自動車エンジン用排気系部品等 の耐熱性が要求される部品に好適である。
図面の簡単な説明
[0037] [図 1]本発明の耐熱铸鉄の黒鉛とその周囲の組織を示す概略図である。
[図 2]従来の铸鉄の黒鉛とその周囲の組織を示す概略図である。
[図 3]実施例 8の耐熱铸鉄のミクロ組織を示す光学顕微鏡写真である。
[図 4]従来例 3の耐熱铸鉄のミクロ組織を示す光学顕微鏡写真である。
[図 5]実施例 8の黒鉛と基地との境界近傍のミクロ組織を示す FE-SEM写真である。
[図 6]従来例 3の黒鉛と基地との境界近傍のミクロ組織を示す FE-SEM写真である。
[図 7]実施例 8の黒鉛と基地との境界近傍のミクロ組織を示す FE-TEM高分解能写真 である。
[図 8]実施例 8の X線回折結果を示すグラフである。
[図 9]実施例 8の黒鉛と基地との境界近傍の Si、 W、 Mo及び Feの濃度分布を示すダラ フである。
[図 10]従来例 3の黒鉛と基地との境界近傍の Si、 W、 Mo及び Feの濃度分布を示すグ ラフである。
[図 11(a)]実施例 8における黒鉛、炭化物等が露出した耐熱铸鉄の FE-SEM写真であ る。
[図 11(b)]図 11(a)の炭化物測定領域 S2の FE-SEM写真である。
[図 12]黒鉛の単位面積当りの W含有炭化物の数及び面積率を求める方法を示し、
(a)は概略平面図であり、 (b)は概略断面図である。
[図 13(a)]実施例 8の耐熱铸鉄の表面酸化の初期状態を示す FE-SEM写真である。
[図 13(b)]図 13(a)の拡大写真である。
[図 14(a)]従来例 3の耐熱铸鉄の表面酸化の初期状態を示す FE-SEM写真である。
[図 14(b)]図 14(a)の拡大写真である。
[図 15]A 変態点の読み取り方法を示す図である。
C1
[図 16]ェキゾ一ストマ-ホルド、ターボチャージヤーハウジング及び触媒ケースを含む 排気系部品を示す斜視図である。
[図 17]実施例 75のェキゾ一ストマ-ホルドの耐久試験後の状態を示す概略平面図で ある。
[図 18]従来例 7のェキゾ一ストマニホルドの耐久試験後の状態を示す概略平面図で ある。
[図 19]従来例 8のェキゾ一ストマニホルドの耐久試験後の状態を示す概略平面図で ある。
発明を実施するための最良の形態
[1] Wの作用
図 1は本発明の耐熱铸鉄の黒鉛とその周囲の組織を示す概略図であり、図 2は従 来の铸鉄の黒鉛とその周囲の組織を示す概略図である。従来の铸鉄では、硫黄酸 化物、窒素酸化物等を含む排気ガスや、高温下で酸素、二酸化炭素、 H 0ガス等の
2 酸素を含むガス (まとめて「酸ィ匕性ガス」という) Gが铸鉄の表面 Fから内部に侵入して 拡散することにより、铸鉄の内部酸化が進行する。黒鉛 21中の炭素 Cは拡散が容易 なため、表面 Fに拡散し、酸ィ匕性ガス G中の酸素と結合して CO又は COとなる(脱炭)
2
。すなわち、酸ィ匕性ガス Gの表面 Fから内部への拡散と、 Cの黒鉛 21から外部への拡 散により、酸化と脱炭が同時に進行する。黒鉛 21中の Cの拡散で脱炭が進行すると、 黒鉛 21の内部に空洞ができ、そこに酸ィ匕性ガス Gが容易に侵入するため、益々酸ィ匕 が進行する。従って、外部力も黒鉛 21への酸ィ匕性ガス Gの侵入と、黒鉛 21から外部 への Cの拡散を抑制できれば、铸鉄の酸化は抑制される。
[0039] これに対して、本発明の耐熱铸鉄では、図 1に示すように、黒鉛 11と基地 13の境界 に W及び Siが濃化した中間層 12が生成している。この中間層 12が保護皮膜 (バリア) となり、黒鉛 11への酸ィ匕性ガスの侵入と黒鉛 11からの Cの拡散が抑制され、耐熱铸鉄 の耐酸ィ匕性 (従って、耐熱亀裂性)が向上する。 W及び Siが濃化した中間層 12は铸 造時の凝固冷却過程で生成するが、さらに熱処理工程及び Z又は高温での使用中 にも生成すると考えられる。 W及び Siは黒鉛 11と基地 13の境界に生成するのがエネ ルギー的に安定であるという理由で黒鉛 11と基地 13の境界に中間層 12を生成すると 考えられる。
[0040] また Wは黒鉛 11と基地 13との境界に中間層 12を生成するのみならず、両者の境界 近傍に W含有炭化物 14を形成 (析出)し、 Cの酸化と拡散を一層抑制して耐酸化性( 従って、耐熱亀裂性)を向上する。これは、黒鉛 11から拡散しょうとする Cが、黒鉛 11 と基地 13との境界近傍で Wと化合して W含有炭化物 14を形成することで、基地 13の オーステナイト化に必要な Cが基地 13中に拡散することが抑制されるためと考えられ る。なお本明細書において、黒鉛と基地との境界近傍とは、黒鉛と基地との境界又は 中間層を挟んで、黒鉛側約 1 μ m、基地側約 1 μ mの範囲をいう。
[0041] また酸ィ匕性ガスや Cの拡散及びそれに伴うオーステナイトイ匕変態は、基地組織の結 晶粒内よりもフェライト粒界又は旧オーステナイト粒界で優先的に発生すると考えら れるが、粒界にも W含有炭化物が生成するため、酸ィ匕性ガスや Cの拡散が効果的に 防止される。粒界を介しての黒鉛からの Cの拡散は、図 1に示すように、黒鉛 11と接す る粒界 17に W含有炭化物 16を形成することでより効果的に抑制される。
[0042] また基地 13中に Cが拡散しても、基地 13中に Wが固溶しているので、拡散した ま 微細な W含有炭化物 15を形成し、 Cの酸ィ匕及び外気への拡散を防止するだけでなく 、基地 13のオーステナイト化に必要な Cを固定してオーステナイト変態を抑制する。
[0043] Wは A 変態点を上昇させるので、排気ガス温度が上昇しても排気系部品のオース
C1
テナイト変態を起こりに《し、耐熱性を向上させる。これは、図 1に示すように、黒鉛 11から基地 13への Cの拡散が中間層 12及び W含有炭化物 14、 16により抑制されるこ とと、基地 13へ Cが拡散しても、 W含有炭化物 15を形成し、基地 13のオーステナイトィ匕 に必要な Cが基地 13中に拡散しにくいためオーステナイト変態が抑制され、その結果 として A 変態点が上昇すると考えられる。一般に A 変態点を上昇させるためには、
CI C1
Siを多量に含有させ、常温の延性を犠牲にせざるを得な力つた力 wを含有させるこ とで、常温延性をさほど低下させずに A 変態点を高くすることができる。
C1
[0044] Wは共晶セル境界に濃化して W含有炭化物を形成し、耐熱铸鉄の高温耐カを向 上させる。また Wの含有により共晶凝固温度が低下するので、湯流れ性 (铸造性)が 良好となる上に、溶解温度を下げるので、溶解コストを抑制できる。
[0045] [2]耐熱铸鉄の組成
本発明の耐熱铸鉄は、 Wの他に、 C、 Si及び黒鉛球状化元素を必須元素とする。
[0046] (1) W: 1.2— 15重量%
本発明の耐熱铸鉄は 1.2— 15重量%の\^を含有する必要がある。 Wは、黒鉛と基地 との境界に濃化して中間層を生成する。さらに黒鉛と基地との境界近傍に W含有炭 化物を形成する。中間層と W含有炭化物は、黒鉛への酸ィ匕性ガスの侵入と黒鉛から の Cの拡散とを抑制して、黒鉛及びその周辺の基地組織の酸ィ匕を防止して、耐酸ィ匕 性 (従って、耐熱亀裂性)を効果的に向上させる。特に Cの拡散は、粒界で優先的に 進行すると考えられるが、黒鉛と接する粒界に生成した W含有炭化物により効果的に 抑制される。 Wが濃化した中間層は铸造時の凝固冷却過程、熱処理工程及び Z又 は高温での使用中に生成すると考えられる。 Wは黒鉛と基地の境界に生成するのが エネルギー的に安定であるため、境界に生成する。
[0047] Wが 15重量%を超えても上記効果のさらなる向上が得られないばかりか、黒鉛球状 化率及び常温伸びが低下し、原料コストが上昇するだけである。一方、 Wが 1.2重量 %未満であると、中間層の生成量 (厚さ)や中間層における Wの濃化が不十分であり 、耐酸化性及び耐熱亀裂性を十分に改善することができない。 Wの含有量は好ましく は 1.5— 10重量%であり、より好ましくは 2— 5重量%である。
[0048] Wはオーステナイト系球状黒鉛铸鉄に用いられる Niと同様に比較的高価な合金元 素であるが、本発明の耐熱铸鉄は Wの含有量力 1.2— 15重量%であるので、 18— 35 重量%の Niを含有するオーステナイト系球状黒鉛铸鉄より材料コストを低く抑えられ る。その上、 Wを含有させても耐熱铸鉄の湯流れ性及び引け性等の铸造性は良好で あり、耐熱铸鉄の製造歩留りも低下しない。さらに本発明の耐熱铸鉄は、铸放しでフ エライトを主相とした非オーステナイト系基地組織を有するため、線膨張係数が低ぐ 加熱時の膨張量を低く抑えられる。
[0049] (2) C : 1.5— 4.5重量0 /0
Cは Siと同様に溶湯の流動性を向上させるとともに、铸造時に黒鉛を晶出させる元 素である。 Cが 1.5重量%未満では溶湯の流動性が低い。一方、 Cが 4.5重量%を超 えると粗大黒鉛が増加し、カーボンドロスとなり、引け巣も発生しやすくなる。従って、 Cの含有量は 1.5— 4.5重量%であり、好ましくは 1.8— 4.2重量%であり、より好ましくは 2.5— 4.0重量%である。
[0050] (3) Si: 3.5— 5.6重量0 /0
Siは铸造時の黒鉛の晶出に寄与し、基地をフェライトイ匕し、 A
C1変態点を上昇させる 作用を有する。さらに Siの含有により、铸鉄が高温の酸ィ匕性ガス中に置かれたときに 表面に緻密な酸ィ匕膜が形成され易くなり、耐酸化性が向上する。 Siは Wとともに黒鉛 と基地との境界の中間層に濃化して、外部から侵入した酸化性ガスと反応して、黒鉛 と基地との境界に保護皮膜を生成し、黒鉛への酸化性ガスの侵入による黒鉛及びそ の周囲の基地の酸ィ匕と、黒鉛力もの Cの拡散を抑制する機能を高める。 Siが濃化した 中間層は铸造時の凝固冷却過程、熱処理工程及び Z又は高温での使用中に生成 すると考えられる。 Siは黒鉛と基地の境界に生成するのがエネルギー的に安定である ため、境界に生成する。このような作用を効果的に発揮するために、 Siの含有量は 3.5重量%以上である必要がある。し力し Siが 5.6重量%を超えると、铸鉄の靭性及び 延性が極端に低下し、被削性も劣化する。従って、 Siの含有量は 3.5— 5.6重量%で あり、好ましくは 3.8— 5.3重量%であり、より好ましくは 4.0— 5.0重量%である。
[0051] (4) Mn: 3重量%以下
Mnは酸化性雰囲気において铸鉄の表面に緻密な酸化膜を形成する作用を有する 。 Mnの含有量が 3重量%を超えると、铸鉄の靭性、延性及び A 変態点が低下するの
C1
で、 3重量%以下とし、好ましくは 1.5重量%以下とする。
[0052] (5)黒鉛球状化元素: 1.0重量%以下
本発明の耐熱铸鉄では、黒鉛の形状そのものは特に限定されないが、一層高い耐 酸化性が要求される場合や、常温伸び、高温耐カ等の特性を向上させるためには、 黒鉛は芋虫状、球状等であるのが好ましい。铸放しで芋虫状及び Z又は球状の黒 鉛を晶出させるには、 Mg、 Ca、希土類元素等の黒鉛球状化元素を 1.0重量%以下、 好ましくは 0.01— 0.2重量%、より好ましくは 0.02— 0.1重量%含有させる。芋虫状黒鉛 を有するバーミキユラ铸鉄を得るには、黒鉛球状化元素のうち Mgを 0.005— 0.02重量 %含有させるのが好ましい。また球状黒鉛铸鉄を得るには、黒鉛球状化元素のうち Mgを 0.02— 0.08重量%含有させるのが好ましい。
[0053] (6) Si + (2/7) W: 8以下 (重量基準)
Si及び Wの両方が増加すると、耐熱铸鉄の延性は低下する。排気系部品のような 铸物部品は、生産工程、エンジンへの組み付け工程、自動車の運転中等において 機械的な振動、衝撃及び静的荷重を受ける。従って排気系部品には、機械的な振 動、衝撃及び静的荷重により亀裂や割れが発生しないように、充分な延性が要求さ れる。特に金属材料の靭性及び延性は低温になるほど低いので、常温での延性は 耐酸化性及び耐熱亀裂性等の耐熱性とともに重要な特性である。一般に常温での 延性は常温伸びで代表される。 Si + (2/7) W≤ 8の条件を満たすように Siと Wの含有 量を調整することにより、排気系部品として必要な常温伸びを確保できる。
[0054] (7) Ni: 0.5重量%未満
Niはフ ライト系铸鉄の A 変態点を低下させる作用を有する。 A 変態点が低下し
CI C1
た铸鉄を高環境温度で使用すると、常温から A 変態点付近又はそれ以上まで加熱
C1
冷却が繰り返され、基地中に二次黒鉛が析出して不可逆的な膨張を生じ、大きな変 形が発生する。その結果、铸鉄の耐熱亀裂性は低下する。またフェライト系铸鉄への Niの含有は内部酸ィ匕を助長し、耐酸化性を低下させる。このような悪影響は Niの含 有量が 0.5重量%以上で顕著となるので、 Niは 0.5重量%未満、好ましくは 0.3重量% 以下とする。
[0055] (8) Cr: 0.3重量%以下
Crは A 変態点を低下させるのみならず、フェライト基地を著しく脆化させ、常温伸
C1
びを低下させる作用を有する。排気系部品は、高温域のみならず常温域でも、铸造 や組立て等の製造過程及び使用中に加わる機械的な振動、衝撃及び静的荷重によ り亀裂や割れが生じないように、実用上十分な延性を有することが必要である。 A 変
C1 態点の低下と脆ィ匕を抑制するには、 Crは 0.3重量%以下に抑制するのが好ましい。
[0056] (9) S : 0.003— 0.02重量%、及び希土類元素: 0.05重量%以下
球状黒鉛铸鉄を得る場合には、 0.02— 0.08重量%の Mgを含有するとともに、希土 類元素(RE)及び Sの含有量を制御するのが好ま U、。 Mgが Sと化合して球状黒鉛の 核となる MgSを生成するのと同様に、希土類元素も Sと化合して球状黒鉛の核となる RESを生成する。希土類元素は少量でも黒鉛球状ィ匕効果を発揮する有効な元素で ある。しかし、 RESは MgSより黒鉛球状ィ匕能の減衰 (フエイデイング)が早ぐフェイディ ングすると球状黒鉛铸鉄の黒鉛球状化率は低下する。 RESのフエイデイング傾向は、 特に凝固の遅い厚肉部で顕著である。従って、 RESのフエイデイングによる黒鉛球状 化率の低下を抑制するために、希土類元素の含有量を抑制するのが好ましい。具体 的には、希土類元素を 0.05重量%以下とするのが好ましい。
[0057] 良好な黒鉛球状化率を確保するために、 RESよりフエイデイングの遅 、MgSを生成さ せる必要がある。 MgSを生成するためには、 RESに消費される Sの量を考慮して、 Sを 0.003重量%以上含有させるのが好ましい。ところ力 は過剰に含有させると黒鉛球状 化を阻害するため、通常忌避される元素であり、 0.02重量%を超えると黒鉛形状が芋 虫状又は片状となり、黒鉛球状ィ匕率の低下を招いて、常温伸び、耐酸化性及び耐熱 亀裂性を低下させる。従って、本発明の耐熱铸鉄においては、 0.02— 0.08重量%の Mgの他に、希土類元素を 0.05重量%以下とするとともに、 Sを 0.003— 0.02重量%とす るのが好ましい。より良好な黒鉛球状ィ匕率を確保するには、希土類元素を 0.025重量 %以下、 Sを 0.005— 0.018重量%とするのがより好ましい。
[0058] 本発明の耐熱铸鉄は、上記元素の他に、耐酸化性及び耐熱亀裂性をさらに改善 する目的、あるいはこれらの特性を損なうことなく常温伸び、高温強度、高温耐カ、耐 熱変形性等の特性を改善する目的で、必要に応じて Mo、 Cu、 Co、 Nb及び Bを単独 又は組合せて含有してもよ!/、。
[0059] (10) Mo : 5.5重量%以下
Moは基地中で Cとィ匕合して炭化物を晶出及び析出させ、また平均熱膨張係数を小 さくして高温域における熱ひずみ (熱応力)を小さくし、铸鉄の高温強度を向上させる 。しかし Moが 5.5重量%を超えると、 A 変態点が低下して铸鉄の耐熱亀裂性が低下
C1
し、また炭化物が増カロして铸鉄の被削性が低下し、さらに引け性が増大して铸鉄の 铸造性が悪ィ匕する。従って、 Moは 5.5重量%以下であり、好ましくは 4.5重量%以下 である。
[0060] (11) Cu: 6.5重量%以下
Cuは铸鉄の高温耐カを向上させる。 Cuが 6.5重量%を超えると、基地組織が脆くな り、割れ等の問題が起こる。従って、 Cuは 6.5重量%以下であり、好ましくは 3.5重量% 以下である。
[0061] (12) Co : 5重量%以下
Coは比較的高価な元素であるが、フ ライト基地に固溶して高温耐カを改善する。 耐熱変形性を改善する目的で、 Coを 5重量%以下含有させるのが好ましい。 5重量 %を超えても効果は飽和し、材料コストが上昇するだけである。
[0062] (13) Nb : 1.0重量%以下、 B : 0.05重量%以下
Nb及び Bは ヽずれも耐熱铸鉄の常温伸び、特にフェライトイ匕焼鈍による常温伸びを 改善する。 Nbが 1.0重量%超であると、铸造時の湯流れ性が悪くなる他、ガス欠陥を 助長する。また Bが 0.05重量%超であると、黒鉛球状化率が低下する。従って、必要 に応じて 1.0重量%以下の Nb及び Z又は 0.05重量%以下の Bを含有させるのが好ま しい。
[0063] (14)その他の元素
上記元素の他に、必要に応じて、高温耐力の改善のため Ti、 V、 Zr及び Taの少なく とも 1種を 1重量%以下 (铸造性及び切削性を損なわない範囲)、 Alを 0.2重量%以下 、また黒鉛球状ィ匕率を向上させるため Sn及び Sbを (2Sn+Sb)として 0.5重量%以下含 有させてもよい。
[0064] 上記付カ卩的元素のなかには V及び Sb等のように耐酸ィ匕性を悪ィ匕させる元素もある 力 Wを含有する本発明の耐熱铸鉄では黒鉛及びその周囲の基地組織の酸ィ匕が抑 制されているので、上記組成範囲内である限り、耐酸化性は実質的に損なわれない
[0065] (15)組成例
本発明の耐熱铸鉄の組成の具体例(重量基準)として、以下のものが挙げられる。
(a)一般的組成範囲
C : 1.5— 4.5%、 Si : 3.5— 5.6%, Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr:
0.3%以下、黒鉛球状化元素: 1.0%以下、残部:実質的に Fe及び不可避不純物。
[0066] (b)好ましい組成範囲
C : 1.8— 4.2%、 Si : 3.8— 5.3%, Mn: 1.5%以下、 W: 1.5— 10%、 Ni: 0.3%以下、 Cr:
0.3%以下、黒鉛球状ィ匕元素: 0.01— 0.2%、残部:実質的に Fe及び不可避不純物。
[0067] (c)より好ましい組成範囲
C : 2.5— 4.0%、 Si :4.0— 5.0%、 Mn: 1.5%以下、 W: 2—5%、 Ni: 0.3%以下、 Cr: 0.3
%以下、黒鉛球状ィ匕元素:0.02— 0.1%、残部:実質的に Fe及び不可避不純物。
[0068] 本発明の耐熱铸鉄は Si + (2/7) W≤ 8の条件を満たすのが好ましい。本発明の耐 熱铸鉄は、必要に応じて 0.003— 0.02%、好ましくは 0.005— 0.018%の S、及び 0.05% 以下、好ましくは 0.025%以下の希土類元素を含有しても良い。黒鉛球状化元素とし ての Mgは 0.02— 0.08%が好ましい。
[0069] 本発明の耐熱铸鉄はまた必要に応じて、 5.5%以下、好ましくは 4.5%以下の Mo、
6.5%以下、好ましくは 3.5%以下の Cu、 5%以下の Co、 1.0%以下の Nb及び Z又は
0.05%以下の Bを含有しても良い。本発明の耐熱铸鉄はさらに必要に応じて、 Ti、 V、
Zr及び Taの少なくとも 1種: 1%以下、 Al: 0.2%以下、及び Sn及び Z又は Sb : 0.5%以 下(2Sn + Sbとして)を含有しても良!、。
[0070] [3]耐熱铸鉄の組織及び特性 本発明の耐熱铸鉄は、 FE-TEM-EDS (エネルギー分散型 X線分析法)により測定し た基地中の Wの重量割合 Xmに対する中間層中の Wの重量割合 Xiの比(Xi/Xm)が 5 以上であるのが望ましい。比(Xi/Xm)は中間層における Wの濃化度を表し、 Wの濃 化度力 ^倍以上であれば、酸ィ匕性ガスの侵入と Cの拡散を効果的に防ぐことができる 。ここで、 Wの重量割合 Xiは中間層内の任意の位置で測定した値である。 Xi/Xmは 10以上であるのがより好ましい。
[0071] FE-TEM-EDSにより測定した基地中の Siの重量割合 Ymに対する中間層中の Siの 重量割合 Yiの比 (Yi/Ym)は 1.5以上であるのが望ましい。比 (Yi/Ym)は中間層にお ける Siの濃化度を表し、 Siの濃化度が 1.5倍以上であると、酸ィ匕性ガスの侵入と Cの拡 散とを効果的に防ぐことができる。ここで、 Siの重量割合 Yiは中間層内の任意の位置 で測定した値である。 Yi/Ymは 2.0以上であるのが好まし!/、。
[0072] 基地との境界近傍に W含有炭化物を有する黒鉛の数は、黒鉛総数の 75%以上で あるのが好ましい。これにより、酸ィ匕性ガスの侵入と Cの拡散が抑制されて、耐熱铸鉄 の耐酸化性 (従って、耐熱亀裂性)が向上する。 W含有炭化物は铸造時の凝固冷却 過程で析出するが、熱処理工程及び Z又は高温での使用中にも析出すると考えら れる。 W含有炭化物はエネルギー的に黒鉛と基地の境界近傍に生成すると考えられ る。
[0073] 黒鉛と基地との境界近傍に存在する W含有炭化物の数及び面積率が大き ヽと、酸 化性ガスの侵入と Cの拡散を抑制する効果が大きい。具体的には、黒鉛と基地との 境界近傍にぉ ヽて、黒鉛が有する W含有炭化物の数 (エッチングにより現れた黒鉛 表面上の W含有炭化物の数により表す)は、黒鉛の単位面積当り 3 X 105個/ mm2以 上であるのが好ましぐまた W含有炭化物の面積率 (エッチングにより現れた黒鉛表 面上の W含有炭化物に対して求めた)は 1.8%以上であるのが好ましぐ 2%以上であ るのがより好ましい。
[0074] 本発明の耐熱铸鉄は、 30°Cから 3°CZ分の速度で昇温したときの A 変態点が 840
C1
°c以上であるのが好ましい。耐酸ィ匕性及び耐熱亀裂性を向上させるためには、排気 系部品が受ける最高温度が 800°C以上でも A 変態点を超えな 、ことが必要である。
C1
高価なオーステナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス铸鋼等の代替品として使用する には、 A 変態点力 40°C以上であるのが好ましい。排気系部品が受ける加熱冷却サ
C1
イタルにおける昇温速度はほとんどの場合 3°CZ分超である。一般に昇温速度が大 きいほど、 A 変態点は高く測定されると言われている。従って 3°CZ分の昇温速度で
C1
測定された A 変態点力 40°C以上であれば、実際の排気系部品等の耐熱部品に対
C1
して十分な耐熱性及び耐久性を確保できる。本発明の耐熱铸鉄は、室温として 30°C から 3°CZ分の速度で昇温したときの A 変態点が 840°C以上であるので、耐酸化性
C1
及び耐熱亀裂性に優れ、排気ガスにより常温から 800°Cを超える温度に繰り返し加熱 冷却される排気系部品に使用した場合に、高い耐久性と長い寿命が確保できる。
[0075] 本発明の耐熱铸鉄は、 800°Cの大気中に 200時間保持したときの酸ィ匕減量が 60 mg/cm2以下であるのが好ましい。排気系部品は酸化性ガスに曝されて酸化され、生 成した酸化膜を起点に亀裂が入り、その亀裂がさらに酸ィ匕を助長して、部品内部ま で進展し、最終的に貫通する。铸鉄を 700°C以上、特に 900°C付近の温度の排気ガス に曝される排気系部品に使用する場合、排気系部品の温度は 800°C以上となる。従 つて、 800°Cの大気中に 200時間保持して铸鉄の温度を 800°Cとしたときの酸化減量 が 60 mg/cm2を超えると、亀裂の起点となる酸ィ匕膜の生成が多くなり、耐酸ィ匕性が不 十分となる。 800°Cの大気中に 200時間保持したときの酸化減量が 60 mg/cm2以下で あると、酸化膜の生成及び亀裂の発生が抑制されるので、耐酸化性及び耐熱亀裂 性に優れ、高い耐熱性及び耐久性と長い寿命を有する耐熱铸鉄が得られる。本発 明の耐熱铸鉄の酸化減量は 50 mg/cm2以下であるのがより好ましぐ 36 mg/cm2以下 であるのが最も好ましい。
[0076] 本発明の耐熱铸鉄は、 700°Cと 850°Cの間を 100回繰返し加熱冷却したときの酸ィ匕 減量が 70 mg/cm2以下であるのが好ましい。酸化性ガスに曝された排気系部品は酸 化され、表面に酸化膜が生成する。この酸ィ匕膜が高温の排気ガスとの接触により繰 返し加熱されると、酸化膜と基地との熱膨張差により亀裂や酸化膜の剥がれが生じる 。剥がれた酸ィ匕膜は他の部品を汚染し、故障の原因となる等、エンジンの信頼性を 損ねるおそれがある。従って、排気系部品には繰返し加熱を受けても酸化膜が生成 しにくぐ亀裂や酸化膜の剥がれが発生しにくい優れた耐酸化性が要求される。铸鉄 を 700°C以上、特に 900°C付近の温度の排気ガスに曝される排気系部品に使用する 場合、排気系部品の温度は 800°C以上となる。铸鉄の温度を 700°Cと 850°Cの間を 100 回繰返し加熱冷却したときの酸ィ匕減量が 70 mg/cm2を超えると、酸化膜の生成が多く なるとともに酸ィ匕膜が剥がれやすくなり、耐酸ィ匕性が不十分となる。 700°Cと 850°Cの 間を 100回繰返し加熱冷却したときの酸ィ匕減量が 70 mg/cm2以下であると、酸化膜の 生成及び亀裂と酸化膜のはがれの発生が抑制されるので、耐酸化性及び耐熱亀裂 性に優れ、高い耐熱性及び耐久性と長い寿命を有する耐熱铸鉄が得られる。本発 明の耐熱铸鉄の加熱冷却したときの酸ィ匕減量は 60 mg/cm2以下であるのがより好ま しい。
[0077] 本発明の耐熱铸鉄は、大気中で、上限温度 840°C、温度振幅 690°C及び拘束率
0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験での熱亀裂寿命が 780サイクル以上であるの が好ましい。排気系部品には、耐酸化性及び耐熱亀裂性に加えて、エンジンの運転 (加熱)と停止 (冷却)の繰り返しに対する熱亀裂寿命が長!ヽことが要求される。熱亀 裂寿命は、耐熱性の優劣を表す指標の 1つであり、熱疲労試験での加熱冷却の繰り 返しで生じる亀裂により熱疲労破壊に至るまでのサイクル数で表される。 700°C以上、 特に 900°C付近の排気ガスに曝される排気系部品の温度は 800°C以上となる。上記 条件での熱亀裂寿命力 S780サイクル未満では、排気系部品に使用した時に熱疲労破 壊に至るまでの寿命が十分でな!ヽ。 780サイクル以上の熱亀裂寿命を有する本発明 の耐熱铸鉄カゝらなる排気系部品等の耐熱部品は長い寿命を有する。本発明の耐熱 铸鉄の熱亀裂寿命は 800サイクル以上であるのがより好ましい。
[0078] 本発明の耐熱铸鉄は、常温伸びが 1.8%以上であるのが好ましい。本発明の耐熱 铸鉄を自動車エンジン用排気系部品として使用する場合、常温から 800°Cを超える 温度まで繰り返し加熱冷却される排気系部品には、加熱時の膨張と冷却時の収縮と の繰り返しにより熱応力が発生する。従って耐熱铸鉄には、高温域から常温域への 冷却時に生ずる収縮による引張応力に抗しうる常温での延性 (常温伸び)が必要で、 常温伸びが不足すると亀裂や割れが発生しやすくなり熱亀裂寿命が不十分となる。 また常温域での排気系部品の生産中、エンジンへの組み付け中、自動車の運転中 等における機械的な振動、衝撃及び静的荷重により、排気系部品に亀裂や割れが 発生するおそれがある。 [0079] 耐熱铸鉄の常温伸びが 1.8%未満であると、熱応力に起因する亀裂や割れが発生 しゃすく熱亀裂寿命が不十分であり、また常温域での機械的な振動、衝撃及び静的 荷重による亀裂や割れを防止する実用上十分な延性を確保できない。常温伸びが 1.8%以上であれば、亀裂や割れの発生が抑制されるので、耐熱亀裂性 (熱亀裂寿 命)に優れ、また実用上十分な延性が確保された耐熱铸鉄が得られる。本発明の耐 熱铸鉄の常温伸びは、 2.0%以上であるのがより好ましい。
[0080] 常温伸びを向上するためには、黒鉛球状化率を増加することが有効で、バーミキュ ラ铸鉄の場合は黒鉛球状化率を 30%以上、球状黒鉛铸鉄の場合は黒鉛球状化率 を 70%以上とすることが望ま U、。
[0081] 本発明の耐熱铸鉄は铸放しでも上記特性を発揮するが、铸造時の残留応力を除 去したり、基地組織を均一化したりする目的で熱処理を施すのが望ましい。具体的に は、 600°C以上に保持した後、炉冷又は空冷するフェライト化焼鈍を施せば、铸造時 の残留応力を除去できる。また基地組織の均一化や硬度を調整する場合は 700°C以 上に保持するのが好ましい。熱処理を施す場合、 Nb及び Z又は Bを含有させると常 温伸びを改善するのに効果的である。铸放しで黒鉛と基地との境界に W及び Siが濃 化した中間層をさらに厚く形成したり、黒鉛と接する粒界等を含め黒鉛と基地組織の 境界近傍に形成された W含有炭化物の数及び面積率を増加させたりする目的でも、 上記熱処理は有効である。熱処理時間は排気系部品のサイズにより適宜選択すれ ばよい。
[0082] [4]排気系部品
本発明の排気系部品は、 800°Cを超える温度で使用し得るもので、重量基準で C : 1.5— 4.5%、 Si: 3.5— 5.6%、 Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr: 0.3% 以下、黒鉛球状化元素:1.0%以下、 Si + (2/7) W≤8、残部実質的に Fe及び不可避 的不純物からなる組成を有し、かつ铸放しでフェライトを主相とした基地に黒鉛が晶 出して 、るとともに、前記黒鉛と前記基地との境界に W及び Siが濃化した中間層を有 する組織を有する耐熱铸鉄力 なり、もって 30°Cから 3°CZ分の速度で昇温したとき の A 変態点が 840°C以上であり、かつ上限温度 840°C、温度振幅 690°C及び拘束率
C1
0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿命力 780サイクル以上であ る。
[0083] このような排気系部品としては、ェキゾ一ストマ-ホルド、ターボチャージヤーハウジ ング、ターボチャージヤーハウジング一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、触媒ケース、触 媒ケース一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、ェキゾ一ストアウトレット等が挙げられる。本 発明の排気系部品は、従来の高 Si球状黒鉛铸鉄では対応できないほど高温の排気 ガスに対しても使用可能である。具体的には、本発明の耐熱铸鉄からなる排気系部 品は、 700°C以上、特に 900°C付近の排気ガスに曝されて、常温から 800°Cを超える温 度まで繰り返し加熱冷却されても、長寿命である。
[0084] 図 16は、ェキゾ一ストマ-ホルド 151、ターボチャージヤーハウジング 152、及び触媒 ケース 154を含む排気系部品を示す。この排気系部品は、エンジンシリンダ(図示せ ず)からの排気ガス (矢印 Aで示す)をェキゾ一ストマ-ホルド 151で集合させ、排気ガ スの運動エネルギーでターボチャージヤーハウジング 152内のタービン(図示せず)を 回転させるとともに、タービンと同軸の圧縮機を駆動して、吸入した空気 (矢印 Bで示 す)を圧縮し、高密度の空気をエンジンに供給する(矢印 Cで示す)ことにより、ェンジ ンの出力を高めるものである。ターボチャージヤーハウジング 152から来る排気ガスは 接続部 153を経由して触媒ケース 154に入り、その中で有害物質が触媒により除去さ れた後、消音マフラー 155を経由して大気中に放出(矢印 Dで示す)される。各部品の 主要部の肉厚は、ェキゾ一ストマ-ホルド 151が 2.0— 4.5 mmであり、ターボチャージ ヤーハウジング 152が 2.5— 5.5 mmであり、接続部 153が 2.5— 3.5 mmであり、触媒ケー ス 154が 2.0— 2.5 mmである。
[0085] これらの部品は铸造可能であれば、例えばターボチャージヤーハウジング一体型 ェキゾ一ストマ-ホルドゃ、触媒ケース一体型ェキゾ一ストマ-ホルドのように、一体 ィ匕することがでさる。
[0086] 本発明の耐熱铸鉄は Wを含有するが、オーステナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス 铸鋼のような高級材より材料コストが低ぐまた铸造性及び被削性が良い。従って、本 発明の耐熱铸鉄力 なる排気系部品は、高度な製造技術を必要とせずに製造歩留 りが高いので、製造コストが低い。
[0087] 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例 により限定されるものではない。
[0088] 実施例 1一 74、比較例 1一 16、従来例 1一 6
表 1に示す化学組成 (重量%)を有する铸鉄を SiOライニングの 100 kg高周波炉で
2
大気溶解し、 1450°C以上で出湯し、市販の Fe-Si-Mgを用いたサンドイッチ法により球 状化処理を行った。その後直ちに 1300°C以上で Yブロック型に注湯した。型ばらし後 、各供試材にショットブラストを行い、表 2に示すように 600°C— 940°Cの温度で 3時間 保持後、炉冷するフェライト化焼鈍を行った。なお、実施例 9、比較例 1及び 9、及び従 来例 1、 2及び 4の供試材には熱処理を行わず、また比較例 2の供試材には炉冷では なく空冷するフェライトイ匕焼鈍を行った。従来例 5及び 6の供試材に対しては、球状ィ匕 処理を市販の Ni-Mgを用いたサンドイッチ法により行!、、熱処理として 910°Cで 4時間 保持後、空冷する処理を行った。実施例 8及び 9並びに比較例 8及び 9の供試材は、 熱処理の有無以外は同じ条件で、同一の溶湯を用いて铸造した。比較例 1一 10の供 試材は Wの含有量力 1.2重量%未満であり、比較例 11一 13の供試材は Wの含有量が 15重量%超である。また比較例 14及び 15は Siの含有量が 3.5重量%未満であり、比 較例 16は Siの含有量力 .6重量%超である。なお表 1に示す化学組成以外の残部は 、実質的に Fe及び不可避的不純物である。
[0089] 従来例 1一 6の供試材の材質は以下の通りである。
従来例 1 :JISの FCD450。
従来例 2: Moを含有する高 Si球状黒鉛铸鉄 (Hi-SiMo)。
従来例 3:特開平 9-87796号に記載の耐熱球状黒鉛铸鉄。
従来例 4:特開 2002-339033号に記載のフェライト系球状黒鉛铸鉄。
従来例 5:二レジスト D2 (オーステナイト系球状黒鉛铸鉄)。
従来例 6:二レジスト D5S (オーステナイト系球状黒鉛铸鉄)。
[0090] [表 1] fi成 (重量%)
例 No.
c Si Mn W Ni Cr Si+(2/7) W S 黒鉛球状 化元素 実施例 1 3.33 3.60 0.51 1.26 - - 3.96 0.006 0.051 実施例 2 3.23 3.50 0.55 1.50 - - 3.93 0.006 0.052 実施例 3 3.06 3.54 0.44 2.10 - 4.14 0.007 0.048 実施例 4 3.37 3.83 0.58 1.52 - 4.26 0.006 0.064 実施例 5 3.42 3.81 0.52 2.08 - 4.40 0.009 0.058 実施例 6 3.33 4.11 0.50 1.55 - 4.55 0.009 0.065 実施例 7 3.06 4.08 0.41 2.20 - 4.71 0.011 0.055 実施例 8 2.90 4.59 0.45 2.95 - 5.43 0.010 0.051 実施例 9 2.90 4.59 0.45 2.95 - 5.43 0.010 0.051 実施例 10 3.00 4.71 0.46 3.06 - 5.58 0.008 0.055 実施例 11 2.90 4.62 0.45 4.83 - 6.00 0.016 0.056 実施例 12 3.04 4.66 0.44 4.98 - 6.08 0.008 0.070 実施例 13 3.20 4.65 0.55 9.56 - 7.38 0.012 0.053 実施例 14 3.00 4.56 0.45 14.7 - 8.76 0.010 0.061 実施例 15 2.78 5.60 0.89 1.50 - 6.03 0.010 0.059 実施例 16 3.52 3.58 0.49 1.23 0.29 - 3.93 0.009 0.06 実施例 17 3.60 3.55 0.51 1.21 0.48 - 3.90 0.011 0.056 実施例 18 3.33 3.56 0.46 1.24 0.59 - 3.91 0.008 0.061 実施例 19 2.55 5.54 0.43 14.7 0.55 - 9.74 0.006 0.059 実施例 20 2.94 3.56 0.41 1.26 - 0.29 3.92 0.012 0.056 実施例 21 2.87 3.52 0.39 1.24 - 0.36 3.87 0.007 0.053 実施例 22 3.05 3.57 0.45 1.22 0.30 0.27 3.92 0.009 0.061 実施例 23 3.11 3.54 0.43 1.21 0.49 0.30 3.89 0.010 0.063 実施例 24 3.50 4.01 0.11 2.41 - 4.70 0.008 0.059 実施例 25 2.90 5.30 1.10 1.48 - 5.72 0.010 0.049 実施例 26 3.11 4.57 0.55 2.89 5.40 0.011 0.033 実施例 27 3.40 4.50 0.45 1.21 4.85 0.008 0.054 実施例 28 3.30 4.51 0.70 1.60 4.97 0.007 0.060 実施例 29 3.35 4.66 0.65 1.54 5.10 0.010 0.047 実施例 30 3.00 4.51 0.45 2.87 5.33 0.008 0.059 実施例 31 3.10 4.34 0.45 2.92 5.17 0.007 0.053 実施例 32 3.30 4.36 0.45 2.64 5.11 0.006 0.055 実施例 33 3.24 4.42 0.49 2.70 5.19 0.011 0.057 実施例 34 3.00 4.69 0.45 3.12 5.58 0.011 0.063 実施例 35 3.00 4.61 0.45 3.33 5.56 0.010 0.058 実施例 36 3.10 4.61 0.71 1.23 4.96 0.011 0.064 実施例 37 3.06 4.67 0.45 1.21 5.02 0.009 0.055 実施例 38 2.99 4.66 0.44 1.66 5.13 0.012 0.082 実施例 39 3.04 4.59 0.42 1.54 5.03 0.012 0.080 注:(1) Mg + Ca+REM0
表 1続き 組成 (重量%)
例 No.
Mg Ca REM Mo Cu Co Nb B その他 実施例 1 0.036 0,0010 0.014 - - - - - - 実施例 2 0.037 0.0011 0.014 0.9 - - - - - 実施例 3 0.036 0,0011 0.011 - - - - - - 実施例 4 0.041 0.0011 0.022 - - - - - - 実施例 5 0.038 0.0024 0,018 - - - - - - 実施例 6 0.042 0.0012 0.022 - - - - - - 実施例 7 0.036 0.0012 0.018 1.0 - - - - - 実施例 8 0.040 0.0010 0.010 0.5 - - - - - 実施例 9 0.040 0.0010 0.010 0.5 - - - - - 実施例 10 0.039 0.0010 0.015 - - - - - - 実施例 11 0.042 0.0012 0.013 0,5 - - - - - 実施例 12 0.049 0.0011 0.020 - - - - - - 実施例 13 0.038 0.0012 0.014 0.4 - - - - - 実施例 14 0.039 0.0012 0.021 0.5 - - - - - 実施例 15 0.039 0.0021 0.018 0.4 - - - - - 実施例 16 0.048 0.0010 0.011 - - - - - - 実施例 17 0.041 0.0013 0.014 - - - - - - 実施例 18 0.045 0.0014 0.015 - - - - - - 実施例 19 0.044 0.0023 0.013 - - - - - - 実施例 20 0.041 0.0024 0.013 - - - - - - 実施例 21 0.039 0.0025 0.011 - - - - - - 実施例 22 0.042 0.0033 0.016 - - - - - - 実施例 23 0.046 0.0033 0.014 - - - - - - 実施例 24 0.045 0.0033 0.011 - - - - - - 実施例 25 0.038 0.0016 0.010 0.4 - - - - - 実施例 26 0.014 0.0011 0.018 - - - - - - 実施例 27 0.041 0.0010 0.012 4.4 - - - - - 実施例 28 0.048 0.0010 0.011 5.2 - - - - - 実施例 29 0.033 0.0010 0.013 5.6 - - - - - 実施例 30 0.040 0.0010 0.018 - 0.13 - - - - 実施例 31 0.033 0.0021 0.018 - 3.5 - - - - 実施例 32 0.036 0.0015 0.017 - 6.1 - - - - 実施例 33 0.037 0.0020 0.018 - 6.8 - - - - 実施例 34 0.045 0.0012 0.017 0.3 0.1 2.85 - - - 実施例 35 0.041 0.0010 0.016 - - 4.98 - - - 実施例 36 0.047 0.0010 0.016 - - - 0.760 - - 実施例 37 0.040 0.0010 0.014 - - - - 0.02 - 実施例 38 0.066 0.0010 0.015 - - - 0.100 0.01 実施例 39 0.065 0.0012 0.014 0.5 0.25 - - 0.02 続き 組成 (重量%)
例 No.
C Si Mn W Ni Cr Si+(2/7) W S 黒鈴球状 化元素 (1) 比較例 1 3.20 2.03 0.15 0.09 - - 2.06 0.006 0.056 比較例 2 3.30 3.53 0.36 0.20 - - 3.59 0.007 0.052 比較例 3 3.30 4.61 0.33 0.51 - - 4.76 0.008 0.053 比較例 4 3.00 4.78 0.44 0.78 - - 5.00 0.012 0.068 比較例 5 3.21 3.54 0.48 1.12 - - 3.86 0.008 0.052 比較例 6 2.55 5.55 0.46 0.90 - - 5.81 0.012 0.053 比較例 7 3.20 4.66 0.35 1.02 - - 4.95 0.010 0.064 比較例 8 3.01 4.65 0.51 1.06 - - 4.95 0.011 0.053 比較例 9 3.01 4.65 0.51 1.06 - - 4.95 0.011 0.053 比較例 10 3.40 4.56 0.75 1.10 - 4.87 0.011 0.057 比較例 11 3.00 4.51 0.45 15.22 - 8.86 0.011 0.060 比較例 12 3.22 3.55 0.48 15.41 - 7.95 0.007 0.053 比較例 13 2.66 5.56 0.55 15.36 - 9.95 0.009 0.057 比較例 14 3.54 3.27 0.50 1.22 - 3.62 0.006 0.056 比較例 15 3.35 3.34 0.45 14.90 - 7.60 0.006 0.045 比較例 16 3.01 5.72 0.48 1.23 - 6.07 0.007 0.035 従来例 1 3.70 2.30 0.35 <0.001 - 2.30 0.008 0.067 従来例 2 3.20 4.01 0.50 <0.001 - 4.01 0.008 0.057 従来例 3 2.90 4.65 0.48 <0.001 0.30 0.52 4.65 0.007 0.058 従来例 4 3.20 4.30 0.50 <0.001 - - 4.30 0.011 0.058 従来例 5 3.20 2.90 0.75 <0.001 19.40 1.80 2.90 0.008 0.044 従来例 6 2.00 5.06 0.51 <0.001 35.1 1.74 5.06 0.008 0.062 注:(1) Mg + Ca+REM0
表 1続き
組成 (重量%)
例 No.
Mg Ca REM Mo Cu Co Nb B その他 比較例 1 0.041 0.0011 0.014 0.6 - - - - - 比較例 2 0.036 0崖 2 0.015 0.3 - - - - - 比較例 3 0.036 0.0013 0.016 0.4 - - - - - 比較例 4 0.049 0.0011 0.018 0.4 - - - - - 比較例 5 0.029 0.0012 0.022 - - - - - - 比較例 6 0.033 0.0015 0.018 - - - - - - 比較例 7 0.046 0.0025 0.015 - - - - - - 比較例 8 0.031 0.0023 0.020 0.4 - - - - - 比較例 9 0.031 0.0023 0.020 0.4 - - - - - 比較例 10 0*041 0.0012 0.015 2.5 - - - - - 比較例 11 0.039 0.0012 0.020 0.5 - - - - - 比較例 12 0.035 0.0023 0.016 - - - - - - 比較例 13 0.038 0.0013 0.018 - - - - - - 比較例 14 0.041 0.0013 0.014 - - - - - - 比較例 15 0.028 0.0014 0.016 - - - - - - 比較例 16 0.020 0.0030 0.012 - - - - - - 従来例 1 0.038 0.0010 0.028 - 0.19 - - - - 従来例 2 0.042 0.0010 0.014 0.5 - - - - - 従来例 3 0.038 0.0015 0.018 0.7 - - - - - 従来例 4 0.038 0崖 5 0.018 0.5 - - - - V: 0.41 従来例 5 0.040 0,0012 0.003 - - - - - - 従来例 6 0.058 0.0012 0.003 - - - - - - 続き
組成 (重量%)
例 No.
黒鉛球状
C Si Mn W Ni Cr Si+(2/7) W S
化元素 (1) 実施例 40 3.02 4.67 0.51 2.75 5.46 0.001 0.045 実施例 41 3.36 4.43 0.50 2.86 5.25 0.002 0.052 実施例 42 3.22 4.70 0.46 3.01 5.56 0.003 0.041 実施例 43 2.88 4.51 0.48 3.03 5.38 0.005 0.040 実施例 44 2.99 4.49 0.51 2.93 5.33 0.017 0.042 実施例 45 3.01 4.64 0.55 2.87 5.46 0.020 0.048 実施例 46 3.24 4.56 0.54 2.74 5.34 0.028 0.042 実施例 47 3.05 4.51 0.55 2.90 5.34 0.001 0.064 実施例 48 3.13 4.47 0.52 3.13 5.36 0.002 0.060 実施例 49 2.99 4.62 0.49 3.04 5.49 0.003 0.062 実施例 50 3.01 4.66 0.53 3.21 5.58 0.006 0.067 実施例 51 3.00 4.71 0.54 2.50 5.42 0.018 0.066 実施例 52 3.22 4.39 0.55 3.10 5.28 0.020 0.071 実施例 53 2.84 4.55 0.64 2.95 5.39 0.028 0.052 実施例 54 3.11 4.63 0.45 2.88 5.45 0.001 0.087 実施例 55 3.09 4.52 0.53 3.05 5.39 0.002 0.083 実施例 56 3.15 4.66 0.44 2.77 5.45 0.003 0.093 実施例 57 3.31 4.58 0.51 3.10 5.47 0.006 0.089 実施例 58 3.14 4.62 0.45 2.67 5.38 0.017 0.091 実施例 59 3.02 4.47 0.56 2.99 5.32 0.020 0.088 実施例 60 3.08 4.65 0.66 3.04 5.52 0.027 0.082 実施例 61 2.99 4.47 0.61 2.78 5.26 0.001 0.090 実施例 62 3.12 4.53 0.54 2.86 5.35 0.002 0.112 実施例 63 3.01 4.65 0.62 2.98 5.50 0.003 0.100 実施例 64 3.15 4.66 0.46 2.78 5.45 0.006 0.101 実施例 65 2.99 4.62 0.49 2.65 5.38 0.017 0.092 実施例 66 3.03 4.47 0.51 2.78 5.26 0.020 0.119 実施例 67 3.01 4.76 0.50 2.89 5.59 0.027 0.099 実施例 68 2.91 4.55 0.49 14.92 8.81 0.005 0.040 実施例 69 3.03 4.60 0.57 14.89 8.85 0.020 0.045 実施例 70 3.04 4.52 0.52 14.51 8.67 0.002 0.083 実施例 71 3.28 4.55 0.53 14.78 8.77 0.005 0.087 実施例 72 2.99 4.48 0.57 14.85 8.72 0.020 0.091 実施例 73 3.10 4.68 0.68 14.43 8.80 0.025 0.085 実施例 74 3.03 4.64 0.51 14.82 8.87 0.018 0.098 注:(1) Mg + Ca+REM0
表 1続き 組成 (重量%)
例 No.
Mg Ca REM Mo Cu Co Nb B その他 実施例 40 0.041 0.0010 0.003 - - 実施例 41 0.045 0.0025 0.004 - - 実施例 42 0.036 0.0023 0.003 - 実施例 43 0.038 0.0014 0.001 - 実施例 44 0.039 0.0014 0.002 - 実施例 45 0.044 0.0014 0.003 - 実施例 46 0.036 0.0015 0.005 - 実施例 47 0.045 0.0011 0.018 - 実施例 48 0.042 0.0010 0.017 - 実施例 49 0.041 0.0011 0.020 - 実施例 50 0.044 0.0015 0.022 - 実施例 51 0.046 0.0015 0.019 - 実施例 52 0.047 0.0010 0.023 - 実施例 53 0.034 0.0011 0.017 - 実施例 54 0.039 0.0010 0.047 - 実施例 55 0.037 0.0011 0.045 - 実施例 56 0.046 0.0011 0.046 - 実施例 57 0.041 0.0015 0.046 - 実施例 58 0.041 0.0015 0.048 - 実施例 59 0.038 0.0012 0.049 - 実施例 60 0.041 0.0011 0.040 - 実施例 61 0.036 0.0016 0.052 - 実施例 62 0.057 0.0010 0.054 - 実施例 63 0.034 0.0011 0.065 - 実施例 64 0.036 0.0013 0.064 - 実施例 65 0.033 0.0016 0.057 - 実施例 66 0.065 0.0012 0.053 - 実施例 67 0.046 0.0022 0.051 - 実施例 68 0.037 0.0016 0.001 - 実施例 69 0.041 0.0015 0.002 - 実施例 70 0.035 0.0016 0.046 - 実施例 71 0.039 0.0010 0.047 - 実施例 72 0.042 0.0012 0.048 - 実施例 73 0.040 0.0011 0.044 - - 実施例 74 0.035 0.0011 0.062 - - 2]
熱処理 例 No.
保持温度 (°C) 冷却方法 実施例 1 850 炉冷 実施例 2 850 炉冷 実施例 3 850 炉冷 実施例 4 880 炉冷 実施例 5 880 炉冷 実施例 6 900 炉冷 実施例 7 900 炉冷 実施例 8 900 炉冷 実施例 9 - - 実施例 10 940 炉冷 実施例 11 910 炉冷 実施例 12 940 炉冷 実施例 13 940 炉冷 実施例 14 940 炉冷 実施例 15 940 炉冷 実施例 16 850 炉冷 実施例 17 850 炉冷 実施例 18 850 炉冷 実施例 19 940 炉冷 実施例 20 900 炉冷 実施例 21 900 炉冷 実施例 22 900 炉冷 実施例 23 900 炉冷 実施例 24 850 炉冷 実施例 25 940 炉冷 実施例 26 850 炉冷 実施例 27 940 炉冷 実施例 28 940 炉冷 実施例 29 940 炉冷 実施例 30 900 炉冷 実施例 31 940 炉冷 実施例 32 940 炉冷 実施例 33 940 炉冷 実施例 34 940 炉冷 実施例 35 940 炉冷 実施例 36 900 炉冷 実施例 37 900 炉冷 実施例 38 900 炉冷 実施例 39 900 炉冷 続き 熱処理 例 No.
保持温度 (°C) 冷却方法 比較例 1 - - 比較例 2 600 空冷 比較例 3 850 炉冷 比較例 4 850 炉冷 比較例 5 880 炉冷 比較例 6 940 炉冷 比較例 7 940 炉冷 比較例 8 850 炉冷 比較例 9 - - 比較例 10 940 炉冷 比較例 11 940 炉冷 比較例 12 850 炉冷 比較例 13 940 炉冷 比較例 14 850 炉冷 比較例 15 850 炉冷 比較例 16 940 炉冷 従来例 1 - - 従来例 2 - - 従来例 3 940 炉冷 従来例 4 - - 従来例 5 910 空冷 従来例 6 910 空冷 続き
熱処理
例 No.
保持温度 0C) 冷却方法
実施例 40 900 炉冷
実施例 41 900 炉冷
実施例 42 900 炉冷
実施例 43 900 炉冷
実施例 44 900 炉冷
実施例 45 900 炉冷
実施例 46 900 炉冷
実施例 47 900 炉冷
実施例 48 900 炉冷
実施例 49 900 炉冷
実施例 50 900 炉冷
実施例 51 900 炉冷
実施例 52 900 炉冷
実施例 53 900 炉冷
実施例 54 900 炉冷
実施例 55 900 炉冷
実施例 56 900 炉冷
実施例 57 900 炉冷
実施例 58 900 炉冷
実施例 59 900 炉冷
実施例 60 900 炉冷
実施例 61 900 炉冷
実施例 62 900 炉冷
実施例 63 900 炉冷
実施例 64 900 炉冷
実施例 65 900 炉冷
実施例 66 900 炉冷
実施例 67 900 炉冷
実施例 68 940 炉冷
実施例 69 940 炉冷
実施例 70 940 炉冷
実施例 71 940 炉冷
実施例 72 940 炉冷
実施例 73 940 炉冷
実施例 74 940 炉冷
(1)中間層及びその近傍における元素の濃度分布及びミクロ組織
実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6の各铸鉄に対して、電界放出型走査 電子顕微鏡 (FE-SEM)及びそれに装着されたエネルギー分散型 X線分析装置( FE-SEM EDS, (株)日立製作所製 S-4000)、並びに電界放出型透過電子顕微鏡( FE-TEM)及びそれに装着されたエネルギー分散型 X線分析装置 (FE-TEM EDS、 ( 株)日立製作所製 HF-2100)を用いて、以下の観察を行った。
[0100] まず各铸鉄の 10 mm角の試料を直径 30 mmの榭脂に埋め込み、鏡面研磨した後、 光学顕微鏡 (400倍)でミクロ組織を観察した。次いで、 FE-SEM (1万倍)を用いて黒 鉛と基地との境界における中間層の有無を観察した。
[0101] さらに集束イオンビーム加工観察装置( (株)日立製作所製 FB-2000A)を用いた集 束イオンビームカ卩ェ (FIB)によるマイクロサンプリング法により、中間層及びその近傍 領域を厚さ 4 m X長さ 10 m X幅 15 μ mのサイズで切り出し、 0.1 μ mの厚さまで薄 片化した。得られた各供試材における黒鉛と基地組織の境界近傍を FE-TEMにより 観察するとともに、エネルギー分散型 X線分析法 (EDS)により元素分析した。
[0102] 実施例 8及び従来例 3の供試材につ ヽて、ミクロ組織の光学顕微鏡写真をそれぞれ 図 3及び図 4に示し、黒鉛と基地との境界近傍におけるミクロ組織の FE-SEM写真をそ れぞれ図 5及び図 6に示す。また実施例 8の黒鉛と基地との境界近傍におけるミクロ組 織の FE-TEM高分解能写真 (200万倍)を図 7に示す。
[0103] 図 3及び図 4の光学顕微鏡写真から、実施例 8は従来例 3と共晶セル境界に存在す る共晶炭化物 38の形態が異なり、フ ライト相からなる基地 33中 (粒内)〖こも微細な炭 化物 39が存在することが分かる。しかし、倍率 400倍の光学顕微鏡観察では、黒鉛 31 と基地 33との境界における中間層及び炭化物の有無を判別することができな力つた 。なお図 4における 41は黒鉛を示し、 43は基地(白色コントラストはフェライト相、黒色 コントラストはパーライト相)を示し、 48は共晶炭化物を示す。
[0104] 1万倍の FE-SEM写真である図 5から、実施例 8では黒鉛 51と基地 53との境界に中間 層 52が見られ、 W含有炭化物粒子 54が形成されていることが確認できる。 W含有炭 化物は、境界近傍の他、基地 53中(55)、及び黒鉛 51と接する粒界 57 (56)にも形成さ れている。炭化物が Wを含むことの確認方法については後述する。また 1万倍の FE-SEM写真である図 6から、従来例 3では黒鉛 61と基地 63との境界や両者の境界近 傍に中間層や W含有炭化物粒子がないことが確認できる。
[0105] 実施例 8の供試材における炭化物の結晶構造を確認した。まず実施例 8の供試材 力 20 mm角の試料を切り出し、エメリー紙による研磨で表面の酸ィ匕層を除去した後 、残渣抽出法(10%硝酸アルコール溶液中で超音波加振しながら試料をィ匕学腐食し た後、残渣をフィルターで濾過抽出する方法)により黒鉛と炭化物を抽出した。得ら れた抽出物に対して、 X線回折装置((株)リガク製 RINT 1500型)を用いて、 X線回折 (Coターゲット、 50 kV、 200 mA)による解析を行った。結果を図 8に示す。図 8より、実 施例 8の供試材は、 Wを含む M C (ASTMカードで 41- 1351に合致)と M C (ASTMカー
6 12
ドで 23-1127に合致)の両方の炭化物を含有することが分力つた。
[0106] 実施例 8の試料の FE-TEM高分解能写真(200万倍)である図 7には、約 10 nmの厚 さの中間層 72が認められた。中間層 72の結晶方位は、隣り合う黒鉛 71及び基地 73の 結晶方位と相違しているので、中間層 72は黒鉛 71及び基地 73のいずれとも異なる相 であることが分かる。同じ試料の数力所の中間層 72を観察した結果、中間層 72の幅 は最大 20 nm程度であった。
[0107] さらに FE-TEM-EDSを用いた元素分析により、黒鉛と基地との境界近傍における Si 、 W、 Mo及び Feの濃度分布を調べた。図 9及び図 10はそれぞれ実施例 8及び従来例 3の供試材における Si、 W、 Mo及び Feの濃度分布を示す。 Siの分析値は、ガウシアン 法によるピーク分離法により求めた。ただし、このピーク分離法では、 Siの Kひ線と W の Μ α線とに重なりがあるため、 Siの分析値が大きめの値になることが想定された。そ こで Siの分析値を補正するため、校正を目的に Siを含有しない WC超硬合金につい て分析を行い、 Siが存在すると仮定してピーク分離し、このときの Siと Wの分析値の比 (Si/W比)を求めたところ、 Si/W比は 0.3であった。そこで、 Siの分析値から、 Wの分析 値に 0.3を乗じた値を差し引いて、補正後の S載を求めた。本発明においては、基地 中の Siの重量割合 Ymと中間層における Siの重量割合 として、ピーク分離法での Si の a線と Wの M a線との重なりを考慮した補正値を用いた。なお、 Wの分析値は L a線から求めたもので、このようなピーク分離の必要はな!/、。
[0108] 実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6について、黒鉛形状、黒鉛球状化率 、中間層の厚さ、 W及び Siの濃化、及び Xi/Xm及び Yi/Ymを測定した。黒鉛形状は、 黒鉛球状化率が 70%以上の場合を「球状」とし、 70%未満の場合を「芋虫状」とした。 黒鉛球状化率は JIS G5502 10.7.4の黒鉛球状ィ匕率判定試験法により測定した。また 3個の黒鉛の各々にお 、て中間層及び基地の任意の位置 2箇所で Xi/Xm及び Yi/Ymを計測し、平均値を求めた。結果を表 3に示す。なお、 W及び Siの濃化の評価 基準は下記の通りである。
〇:中間層が認められ、 Xi/Xm又は Yi/Ymが好ましい範囲にあった。
△:中間層が認められ、 Xi/Xm又は Yi/Ymが好ましい範囲外にあった。
X:中間層が認められな力つた。
[0109] 図 9から明らかなように、実施例 8の供試材では、基地 93力 黒鉛 91にかけて W及び Siの濃度が徐々に増加し、中間層 92では基地 93より W及び Siが濃化していた。これに 対応して Feは低下した。実施例 8の供試材では、基地中の Wの重量割合 Xmに対する 中間層中の Wの重量割合 Xiの比(Xi/Xm)は 15.80 (平均値)であった。また基地中の Siの重量割合 Ymに対する中間層中の Siの重量割合 Yiの比 (Yi/Ym)は 2.29 (平均値) であった。また従来例 3では、図 10に示すように、中間層の生成が確認されず、 Si及 び Wの濃化は認められなかった。
[0110] 表 3から明らかなように、実施例 1一 74ではいずれも中間層が認められ、 W及び Siの 濃化が認められた。実施例 1一 74では、実施例 18を除き Xi/Xmが 5以上であり、また 実施例 1一 17及び 20— 74では Yi/Ym力 1.5以上であった。これに対して、比較例 1一 5 ではいずれも中間層での W及び Siの濃化が不十分であり、 Xi/Xmは 3.85以下であり、 Yi/Ymは 1.38以下であった。比較例 6— 9では、中間層における Siの濃化は十分であ つたが(Yi/Ym: 1.60— 1.80)、 Wの濃化は不十分であった(Xi/Xm : 3.07— 4.98)。また 比較例 10— 13では、中間層における W及び Siの濃化は十分であった力 Wの含有量 が本発明の範囲外であったために、後述する熱亀裂寿命が 780サイクル未満と不十 分であった。さらに比較例 14一 16では、 Siの含有量が本発明の範囲外であるために 、中間層における W及び Siの濃化に関係なぐ熱亀裂寿命が 780サイクル未満であつ た。
[0111] 実施例 8及び 9を比較すると、熱処理を施していない実施例 9では、中間層の厚さが 1一 8 nmと小さいのに対し、熱処理を行った実施例 8では、中間層の厚さが 10— 20 應と大きぐ熱処理により中間層が厚くなることが確認された。これは、熱処理により 中間層の生成が安定ィ匕することを示す。
[0112] Wの含有量力 1.2重量%未満の比較例 1一 10では中間層の厚さがほとんど 0— 10 nmで一部中間層のない部位があるのに対し、 Wの含有量力 重量%以上の実施例 1一 74では中間層の厚さはほとんど 5 nm以上であった。これから、 1.2重量%以上の Wを含有すれば、厚 ヽ中間層が安定して生成されることが分かる。
[0113] 実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6における鏡面研磨仕上げした各試料 を超音波洗浄装置内の 10%ナイタールエッチング液に入れて約 1一 5分間エッチング し、さらに腐食生成物を除去するため 10%塩酸で洗浄した後、有機溶剤で洗浄した 。このエッチング処理により、基地が優先的にエッチングされ、黒鉛表面上の炭化物 が立体的に現われた。黒鉛表面上の W含有炭化物の数は黒鉛と基地との境界近傍 に存在する W含有炭化物の数と比例すると考えられるので、ここでは黒鉛と基地との 境界近傍に存在する炭化物の数を表すパラメータとして、エッチングにより現れた黒 鉛表面上の W含有炭化物の数を用いた。また W含有炭化物の面積率は、エッチング により現れた黒鉛表面上の W含有炭化物について求めた。
[0114] 実施例 8の試料の黒鉛と基地との境界近傍に存在する炭化物を FE-SEMで観察し た。また黒鉛表面の炭化物の成分を調べるため 1万倍の倍率で EDS分析を行ったとこ ろ、 64.7重量%の W、 10.0重量%の\10、 23.6重量%の Fe及び 1.7重量%のじが検出 された。この結果から、黒鉛と基地との境界近傍に存在する炭化物 (黒鉛表面の炭化 物)は Wを含むことが分力つた。実施例 8の試料の FE-SEM写真を図 11(a)に示す。黒 鉛 111の表面に多数の W含有炭化物 114が形成されていることが分かる。
[0115] 試料の 1 mm2の面積に相当する FE-SEM写真の任意の 3視野内で、黒鉛の総数 Nc と W含有炭化物を有する黒鉛の数 Newをカウントし、黒鉛総数に対する W含有炭化物 を有する黒鉛の数の割合 (Ncw/Nc)を算出した。黒鉛と基地との境界近傍に W含有 炭化物が存在するか否かは、 1万倍以上の倍率での黒鉛の観察及び EDS分析により 判断した。実施例 8は、観察した視野内で全ての黒鉛表面に W含有炭化物が存在し ており(Ncw/Nc)は 100%であった。
[0116] 黒鉛表面における W含有炭化物の数及び面積率の算出方法は以下の通りである。
図 12(a)及び (b)に概略的に示すように、上述のエッチング処理により露出した黒鉛 111の表面 11 laの FE-SEM写真を試料面に対して垂直に撮り、黒鉛表面 11 laの投影 二次元画像 S1を得た(図 12(a) )。投影二次元画像 S1の重心位置 Gr (ほぼ中央)を含 む領域において、黒鉛投影面積の 10— 15%に相当する部分を炭化物測定領域 S2と して抽出して、 FE-SEM写真を撮影した。得られた FE-SEM写真から W含有炭化物の 輪郭をトレーシングぺーパ上にトレースし、画像解析装置 (旭化成 (株)製 IP1000型) で W含有炭化物の数及び面積を測定した。得られた測定値を炭化物測定領域 S2の 面積で除して、単位面積当りの W含有炭化物の数及び面積率を算出した。上記測定 を、 W含有炭化物を有する黒鉛の中から、無作為に選出した 15個の黒鉛について行 い、その平均値を求めた。
[0117] 黒鉛投影面積の 10— 15%を炭化物測定領域 S2として抽出したのは、 10%未満で は黒鉛の全投影面積に対して測定領域が小さすぎるため、全体を反映して ヽな 、お それがあり、また 15%を超えると、露出した黒鉛の曲率のため特に黒鉛外縁部におけ る炭化物が二次元的に重なり、判別不能になるからである。
[0118] 図 11(b)は炭化物測定領域 S2 (黒鉛投影面積の 13%の面積)の拡大写真である。
黒鉛 111の表面に粒状に白く見えるのが W含有炭化物 114である。実施例 8の試料は 、 W含有炭化物を有する黒鉛の 15個の平均値で黒鉛の単位面積当りの W含有炭化 物の数は 7.84 X 105個/ mm2であり、 W含有炭化物の面積率は 6.7%であった。また W 含有炭化物 114の平均粒子径は 0.34 μ mであった。
[0119] このようにして、 W含有炭化物を表面に有する黒鉛の割合、黒鉛の単位面積当りの W含有炭化物の数 (個 Zmm2)、及び黒鉛表面における W含有炭化物の面積率を求 めた。結果を表 4に示す。
[0120] 表 4から明らかなように、実施例 1一 74ではいずれも表面に W含有炭化物を有する 黒鉛の数は黒鉛総数の 61%以上であった。特に実施例 2— 19及び 24— 74では表面 に W含有炭化物を有する黒鉛の数は黒鉛総数の 75%以上であった。一方、比較例 1 一 6、 9及び 14では表面に W含有炭化物を有する黒鉛の数は黒鉛総数の 75%未満で あった。黒鉛の単位面積当りの W含有炭化物の数については、実施例 1一 35及び 40 一 74は 3 X 105個/ mm2以上であった力 比較例 1一 10では 3 X 105個/ mm2未満であ つた。さらに黒鉛表面における W含有炭化物の面積率については、実施例 1一 74は ほとんど 1.8%以上であった力 比較例 1一 10は 1.8%未満であった。なお従来例 1一 6 では、黒鉛表面上に W含有炭化物は認められなカゝった。
[0121] 実施例 8及び 9を比較すると、基地との境界近傍に存在する W含有炭化物を有する 黒鉛の数は 、ずれも黒鉛総数の 100%であった力 熱処理を行った実施例 8では熱 処理を行わなカゝつた実施例 9より黒鉛の単位面積当りの W含有炭化物の数及び面積 率が多いことが分力ゝつた。これから、熱処理により黒鉛と基地との境界近傍に W含有 炭化物を安定して生成できることが分力る。
[表 3] 黒鉛球状 中間層の厚 Wの澳 Siの濃 例 No. 黒船形状 XiyXm Yi/Ym
化率 (%) e(nm) 化 化
実施例 1 球状 80 5〜: 10 〇 〇 6.9 2.9 実施例 2 球状 81 5〜: 15 〇 〇 7.4 3.2 実施例 3 球状 82 8〜: 15 〇 〇 9.7 3.4 実施例 4 球状 83 5〜15 〇 〇 8.3 3.1 実施例 5 球状 81 5〜15 〇 〇 10.8 3.6 実施例 6 球状 80 5〜: 15 〇 〇 10.0 3.4 実施例 7 球状 84 8〜15 〇 〇 12.1 3.8 実施例 8 球状 86 10〜20 〇 〇 15.80 2.29 実施例 9 球状 84 1〜8 〇 〇 15.20 2.20 実施例 10 球状 81 10〜20 〇 〇 14.88 2.00 実施例 11 球状 71 10〜25 〇 〇 16.70 2.50 実施例 12 球状 75 10〜25 〇 〇 17.10 2.40 実施例 13 芋虫状 65 10〜30 〇 〇 18.80 2.50 実施例 14 芋虫状 55 10〜35 〇 O 17.80 2.50 実施例 15 球状 88 5〜10 〇 〇 5.80 2.30 実施例 16 球状 87 5〜10 〇 〇 6.76 2.03 実施例 17 球状 85 1〜5 〇 〇 5.20 1.76 実施例 18 球状 78 0〜3 Δ Δ 4.72 1.08 実施例 19 芋虫状 57 0〜5 O Δ 12.87 1.31 実施例 20 球状 82 5〜15 〇 〇 6.92 2.56 実施例 21 球状 85 5〜15 O 〇 6.81 2.42 実施例 22 球状 83 5〜10 O 〇 6.62 1.88 実施例 23 球状 80 1〜5 O 〇 5.08 1.65 実施例 24 球状 80 5〜: L5 〇 〇 11.80 1.56 実施例 25 球状 82 5〜: 10 〇 O 6.12 2.10 実施例 26 芋虫状 38 10〜20 〇 O 14.60 2.28 実施例 27 球状 89 5〜: L0 〇 〇 14.70 2.20 実施例 28 球状 87 5〜: 15 〇 〇 16.10 2.21 実施例 29 球状 87 5〜: 15 〇 〇 15.50 2.00 実施例 30 球状 82 10〜20 〇 O 14.60 2.30 実施例 31 球状 83 10〜20 〇 O 13.20 2.50 実施例 32 球状 85 10〜20 〇 O 13.30 2.40 実施例 33 球状 85 10〜20 〇 〇 14.30 2.20 実施例 34 球状 85 10〜20 〇 〇 16.20 2.50 実施例 35 球状 88 10〜20 〇 〇 15.40 2.60 実施例 36 球状 90 5〜: 15 〇 〇 5.01 2.20 実施例 37 球状 84 5〜: 10 〇 〇 6.33 2.10 実施例 38 球状 87 5〜: 10 〇 〇 5.21 1.80 実施例 39 球状 87 5〜: 10 〇 〇 6.03 1.70 [0123] 表 3続き
Figure imgf000041_0001
[0124] 表 3続き
黒鉛球状 中間層の厚 Wの濃 Siの濃
例 No. 黒鉛形状 Xi/Xm Yi/Ym
化率 (%) s (nm) 化 化 実施例 40 芋虫状 41 5〜20 〇 O 13.2 4.0 実施例 41 芋虫状 58 5〜20 o 〇 14.1 4.1 実施例 42 球状 72 5〜20 〇 〇 13.5 4.2 実施例 43 球状 91 5〜20 〇 〇 12.3 4.3 実施例 44 球状 95 5〜20 〇 〇 13.6 4.2 実施例 45 球状 88 5〜20 〇 O 13.4 4.1 実施例 46 芋虫状 38 5〜20 〇 〇 14.7 4.0 実施例 47 芋虫状 34 5〜20 〇 〇 13.0 4.1 実施例 48 芋虫状 48 5〜20 〇 〇 12.7 4.4 実施例 49 芋虫状 62 5〜20 〇 〇 15.5 4.2 実施例 50 球状 83 5〜20 〇 〇 14.0 4.3 実施例 51 球状 86 5〜20 〇 〇 13.0 3.8 実施例 52 球状 80 5〜20 〇 〇 14.5 4.2 実施例 53 芋虫状 35 5〜20 〇 〇 14.1 4.2 実施例 54 芋虫状 31 5〜20 〇 〇 13.8 4.1 実施例 55 芋虫状 36 5〜20 〇 〇 14.6 4.2 実施例 56 芋虫状 45 5〜20 〇 〇 13.6 4.0 実施例 57 芋虫状 63 5〜20 〇 〇 15.0 4.2 実施例 58 球状 71 5〜20 〇 〇 13.8 3.9 実施例 59 芋虫状 64 5〜20 〇 〇 15.2 4.2 実施例 60 芋虫状 32 5〜20 o 〇 16.0 4.1 実施例 61 芋虫状 22 5〜20 〇 〇 14.4 4.0 実施例 62 芋虫状 24 5〜20 〇 〇 13.8 4.1 実施例 63 芋虫状 25 5〜20 〇 〇 14.3 4.2 実施例 64 芋虫状 27 5〜20 〇 〇 13.6 4.0 実施例 65 芋虫状 28 5〜20 〇 〇 13.5 3.9 実施例 66 芋虫状 26 5〜20 〇 〇 14.0 3.8 実施例 67 芋虫状 20 5〜20 〇 〇 14.9 4.2 実施例 68 球状 81 10〜35 〇 〇 16.7 4.4 実施例 69 球状 82 10〜35 〇 〇 16.0 4.4 実施例 70 芋虫状 31 10〜30 〇 〇 15.9 4.0 実施例 71 芋虫状 42 10〜35 〇 〇 16.3 4.3 実施例 72 芋虫状 44 10〜35 〇 〇 16.8 4.2 実施例 73 芋虫状 32 10〜30 〇 〇 16.0 4.1 実施例 74 芋虫状 25 10〜35 〇 〇 16.4 4.3 4] 表面に W含有炭化 黒鉛表面の W含有 黒鉛表面の W含有 例 No. 物を有する黒鉛粒 炭化物の数 炭化物の面積率 子の割合 (%)(1) (個/ mm2) (%) 実施例 1 66 4.75 X 105 2.10 実施例 2 100 5.17 X 105 2.63 実施例 3 100 6.08 X 105 4.10 実施例 4 100 5.22 X 10B 2.7 実施例 5 100 6.35 x 105 3.9 実施例 6 100 5.33 x 105 2.34 実施例 7 100 6.40 x 10B 4.22 実施例 8 100 7.84 x 10B 6.7 実施例 9 100 3.46 x 105 3.26 実施例 10 100 6.74 x 105 5.6 実施例 11 100 6.27 x 10B 7.1 実施例 12 100 6.01 x 105 7.6 実施例 13 100 5.78 x 105 15.7 実施例 14 100 5.47 x 105 16.4 実施例 15 75 3.51 x 105 1.23 実施例 16 78 4.35 x 105 2.2 実施例 17 80 4.22 x 10B 1.8 実施例 18 80 4.29 x 105 2.2 実施例 19 100 5.71 x 105 16.4 実施例 20 71 4.16 x 105 2.1 実施例 21 65 3.54 x 10B 2.3 実施例 22 68 3.89 x 105 1.7 実施例 23 61 3.23 x 105 1.4 実施例 24 100 4.99 x 105 1.8 実施例 25 75 3.45 x 10B 1.22 実施例 26 100 6.99 x 105 5.78 実施例 27 100 8.46 x 105 4.3 実施例 28 100 6.82 x 105 7.4 実施例 29 100 6.74 x 105 7.6 実施例 30 100 8.75 x 10B 4.6 実施例 31 100 7.55 x 10B 10.1 実施例 32 100 4.59 x 10B 4.6 実施例 33 100 4.87 x 105 4.1 実施例 34 100 7.12 x 105 5.8 実施例 35 100 7.74 x 10B 7.4 実施例 36 100 2.33 105 1.2 実施例 37 100 2.55 x 10B 1.1 実施例 38 100 2.14 x 10B 1.3 実施例 39 100 2.22 x 105 1.2 注: (1)表面に w含有炭化物を有する黒鉛の数 Z全黒鉛の数の比 (%) 表 4続き 表面に W含有炭化 黒鉛表面の W含有 黒鉛表面の W含有 例 No. 物を有する黒鉛粒 炭化物の数 炭化物の面積率 子の割合 (%)« (個/ mm2) (%) 比較例 1 2 3.65 X 103 0.20 比較例 2 5 9.56 X 103 0.36 比較例 3 10 1.10 X 104 0.8 比較例 4 16 5.20 X 104 0.9 比較例 5 70 2.92 X 105 0.9 比較例 6 68 1.67 105 0.8 比較例 7 100 2.89 X 105 1.0 比較例 8 75 2.83 X 105 1.2 比較例 9 67 2.15 X 105 1.0 比較例 10 100 2.25 X 105 1.3 比較例 11 100 5.58 X 105 16.8 比較例 12 100 5.26 X 105 18.4 比較例 13 100 5.31 105 17.2 比較例 14 72 3.37 X 105 1.1 比較例 15 100 5.60 X 105 16.2 比較例 16 75 4.13 X 105 2.2 従来例 1 0 0.00 0 従来例 2 0 0.00 0 従来例 3 0 0.00 0 従来例 4 0 0.00 0 従来例 5 0 0.00 0 従来例 6 0 0.00 0 注: (1)表面に w含有炭化物を有する黒鉛の数 Z全黒鉛の数の比 (%) 表 4続き
表面に W含有炭化 黒鉛表面の W含有 黒鉛表面の W含有
例 No. 物を有する黒鉛粒 炭化物の数 炭化物の面積率
子の割合 (%)(1) (個 Zmm2) (%)
実施例 40 100 7.01 X 105 5.06
実施例 41 100 6.92 X 105 5.07
実施例 42 100 7.13 X 105 5.32
実施例 43 100 7.15 X 105 5.33
実施例 44 100 6.83 X 105 5.12
実施例 45 100 7.00 X 105 5.00
実施例 46 100 6.34 X 105 4.99
実施例 47 100 6.99 105 5.01
実施例 48 100 6.84 X 105 5.24
実施例 49 100 7.12 X 105 5.32
実施例 50 100 6.75 X 105 5.66
実施例 51 100 6.88 X 10δ 4.35
実施例 52 100 7.15 105 5.44
実施例 53 100 7.12 x 105 5.40
実施例 54 100 6.90 x 105 5.00
実施例 55 100 7.12 x 105 5.66
実施例 56 100 6.87 x 105 5.06
実施例 57 100 7.00 x 105 5.05
実施例 58 100 6.33 x 105 4.70
実施例 59 100 6.75 x 10s 5.20
実施例 60 100 7.03 x 105 5.24
実施例 61 100 6.95 x 105 4.78
実施例 62 100 7.01 x 105 4.99
実施例 63 100 7.03 x 105 5.20
実施例 64 100 6.87 x 105 4.88
実施例 65 100 7.04 x 10B 4.67
実施例 66 100 6.46 x 105 4.99
実施例 67 100 7.00 x 105 5.08
実施例 68 100 5.75 x 105 17.70
実施例 69 100 5.62 x 105 16.7
実施例 70 100 6.12 x 105 14.58
実施例 71 100 5.41 x 10B 13.50
実施例 72 100 5.64 x 10B 16.7
実施例 73 100 5.72 10B 16.80
実施例 74 100 5.66 x 105 16.44 注: (1)表面に w含有炭化物を有する黒鉛の数 Z全黒鉛の数の比 (%)。
(2)耐酸化性 (酸化減量)
実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6の各丸棒状試験片(直径: 10 mm,長 さ: 20 mm)に対して、以下の二つの酸ィ匕試験を実施した。両試験とも、酸化前の試験 片の重量 Wと、酸ィ匕処理後にガラスビーズによるショットブラスト処理を施して酸化ス
0
ケールを除去した後の重量 Wを測定し、(W— W )から単位面積当りの酸ィ匕減量( mg/cm2)を求めた。
[0129] (a)定温保持における耐酸ィ匕性試験
各丸棒状試験片を 800°Cの一定温度に 200時間保持して酸化減量を求めた。結果 を表 5に示す。表 5から明らかなように、 W以外の成分の含有量がほぼ同程度の実施 例 1一 14では、 Wの含有量が 1.26重量%から 14.7重量%に増加するにつれて酸ィ匕減 量が低下する傾向がみられた。これから、 Wの含有量力 1.2— 15重量%であれば、耐 熱铸鉄は高い耐酸ィ匕性を有することが分かる。 Wの含有量は 1.5— 10重量%が好ま しぐ 2— 5重量%がより好ましい。
[0130] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Niの含有量が異なる実施例 1と実施例 18とを 比較すると、 Niの含有量が 0.5重量%を超える実施例 18では、 Niを含有しない実施例 1より酸ィ匕減量が多いことが分かる。 Niの含有量が 0.29重量%の実施例 16では酸ィ匕 減量が 75 mg/cm2であり、 Niを含有しない実施例 1より耐酸化性がやや劣るが、問題 ない範囲である。従って、 Niを 0.5重量%未満とするのが好ましぐ 0.3重量%以下とす るのがより好ましい。
[0131] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、希土類元素の含有量が異なる実施例 40— 60 と実施例 61— 67とを比較すると、希土類元素が 0.05重量%を超える実施例 61— 67で は、 Sのどの含有量レベルでも、黒鉛球状ィ匕率が 20— 28%と低ぐ酸化減量が 71 mg/cm2以下と比較的多力つた。これに対して、希土類元素が 0.05重量%以下で、 S の含有量が 0.003— 0.02重量%の範囲内の実施例 42— 45、 49一 52及び 56— 59では 、黒鉛球状ィ匕率が 45— 95%と高ぐ酸化減量が 22 mg/cm2以下と比較的少な力つた 。希土類元素が 0.05重量%以下であっても、 Sの含有量が 0.003重量%未満又は 0.02 重量%超の実施例 40、 41、 46— 48、 53— 55及び 60では、黒鉛球状化率が 31— 58% と低ぐこれに伴って酸ィ匕減量も 28 mg/cm2以下と比較的多力つた。従って、本発明 の組成範囲内でも、希土類元素を 0.05重量%以下とするのが好ましぐ Sを 0.003— 0.02重量%とするの好ましい。
[0132] (b)加熱冷却における耐酸化性試験
昇温'降温速度を 3°CZ分として、 700°Cと 850°Cの間を 100回繰返し加熱冷却する 条件で、各試験片の耐酸化性を評価した。結果を表 5に示す。加熱冷却における酸 化減量については、実施例 1一 74の試験片の酸化減量は 98 mg/cm2以下であった。 表 5から明らかなように、 W以外の成分の含有量がほぼ同程度の実施例 1一 14では、 Wの含有量が 1.26重量%から 14.7重量%に増加するにつれて酸化減量が低下する 傾向がみられた。比較例 1、 2、 14及び 15の試験片の酸化減量は 101— 172 mg/cm2と 実施例 1一 74よりも酸ィ匕減量が多力つた。比較例 3— 13及び 16は酸ィ匕減量が
91mg/cm2以下であるが、後述する熱亀裂寿命が実施例 1一 74より劣っていた。従来 例 1、 2、 4及び 5は酸化減量が 150— 289 mg/cm2と実施例 1一 74より著しく多ぐ耐酸 化性は大幅に劣っていた。従来例 3及び 6は酸ィ匕減量がそれぞれ、 97及び 88 mg/cm 2であるが、後述する熱亀裂寿命が実施例 1一 74より劣っていた。
[0133] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Niの含有量が異なる実施例 1及び 16— 18を比 較すると、 Niの含有量が 0.48%までは酸化減量が 77— 79mg/cm2と変化が小さいのに 対し、 Niが 0.5重量 %を超えた実施例 18では酸ィ匕減量が 98mg/cm2と急激に増加して いる。従って、 Niは 0.5重量 %未満とするのが好ましい。
[0134] 本発明の耐熱铸鉄の組織のうちどの部分が優先的に酸化されるのか、初期酸ィ匕の 挙動を調べるために、耐熱铸鉄の試料をダイヤモンド砥粒で鏡面研磨し、有機溶剤 で洗浄した後、大気中で 10°C/分で常温から 1000°Cまで昇温させ、 10分保持した後、 同じく 10°C/分で降温させ、試料の表面に形成された酸ィ匕物を FE-SEMで観察した。 図 13は実施例 8の FE-SEM写真であり、図 14は従来例 3の FE-SEM写真である。
[0135] 図 13から、実施例 8の試料では試験前に黒鉛 131のあった部位及びその周囲の基 地 133の酸ィ匕が抑制されており、凸状を呈する酸ィ匕物がほとんど生じていないことが 分かる。共晶セル境界 138が優先的に酸ィ匕しているが、その程度は小さかった。黒鉛 131には脱炭による凹みが見られる力 これは研磨により試料の表面に露出した黒鉛 131が燃焼により焼失したためである。注目すべきことは試験前に黒鉛 131のあった部 位が空洞となり、又は燃焼による残渣を残しているものの、凸状を呈する酸化物がほ とんど見られず、黒鉛 131のあった部位を起点として周囲の基地への酸ィ匕が進行して いない点である。以上のことから、実施例 8では、仮に外部の酸ィ匕性ガスが黒鉛へ侵 入しても、黒鉛と基地の境界や両者の境界近傍に W及び Siが濃化した中間層と W含 有炭化物が存在するために、酸化性ガスがそれ以上内部に侵入することが妨げられ て、黒鉛周辺の基地の酸ィ匕が抑制されると考えられる。これに対して、図 14から明ら かなように、従来例 3の試料は高 Siで、 Cr及び Moを含有しているにも関わらず、試験 前に黒鉛のあった部位が優先的に酸化(141)されており、生成した酸ィ匕物も大き力つ た。
[0136] このように実施例 8と従来例 3の耐熱铸鉄では、初期酸ィ匕の挙動が全く異なっている 。実施例 8の耐熱铸鉄では黒鉛を起点とする酸化の進行が抑制されており、耐酸ィ匕 性及び耐熱亀裂性が大幅に改善されて ヽる。
[0137] [表 5]
酸化減量 (mg/cm2)
AC1変態点 熱亀裂寿命 常温伸び 例 No. 800¾ 700 < 850
(で) (サイクル) (%) X 200 hrs 繰返し
実施例 1 72 77 815 810 16.3 実施例 2 66 69 817 822 16.0 実施例 3 64 65 820 831 15.7 実施例 4 58 62 842 824 16.9 実施例 5 52 54 845 835 15.5 実施例 6 45 50 840 835 13.5 実施例 7 43 45 855 850 12.0 実施例 8 19 21 881 863 8.0 実施例 9 21 27 881 850 2.6 実施例 10 23 25 883 841 7.7 実施例 11 20 26 879 877 2.5 実施例 12 22 25 877 850 2.4 実施例 13 20 26 880 880 1.8 実施例 14 19 22 882 818 1.4 実施例 15 15 23 901 799 1.8 実施例 16 75 77 813 805 16.0 実施例 17 77 79 810 801 16.2 実施例 18 86 98 802 780 16.0 実施例 19 35 47 897 785 1.0 実施例 20 68 69 810 808 15.9 実施例 21 64 66 807 786 6.5 実施例 22 74 76 810 801 15.5 実施例 23 76 79 807 800 12.8 実施例 24 36 40 840 862 12.9 実施例 25 17 22 891 782 2.1 実施例 26 22 28 879 785 4.2 実施例 27 28 35 856 861 7.6 実施例 28 24 30 855 842 6.0 実施例 29 40 52 805 794 4.2 実施例 30 26 32 863 864 5.5 実施例 31 24 30 862 870 3.3 実施例 32 26 32 852 850 2.8 実施例 33 54 68 835 788 1.6 実施例 34 22 27 871 889 3.1 実施例 35 23 29 866 901 2.2 実施例 36 27 33 860 786 14.9 実施例 37 28 35 860 792 14.6 実施例 38 33 38 856 782 13.2 実施例 39 36 38 859 783 13.9 続き 酸化減量 (mg/cm2)
AC1変態点 熱亀裂寿命 常温伸び 例 No. 800°C 700°C^850°C
(。c) (サイクル) (%) X 200 hrs 繰返し
比較例 1 101 172 769 700 18.9 比較例 2 85 136 825 720 14.1 比較例 3 45 49 866 740 11.2 比較例 4 40 45 869 745 10.0 比較例 5 82 91 833 736 12.1 比較例 6 32 43 930 748 5.9 比較例 7 25 44 871 755 8.7 比較例 8 24 42 870 771 9.4 比較例 9 28 44 870 769 5.0 比較例 10 26 42 860 775 8.8 比較例 11 33 35 879 718 0.8 比較例 12 65 88 843 724 0.9 比較例 13 28 35 927 711 0.7 比較例 14 92 110 796 742 19.5 比較例 15 89 101 805 708 2.8 比較例 16 27 34 933 737 1.2 従来例 1 150 220 725 285 17.4 従来例 2 91 150 804 421 18.2 従来例 3 74 97 842 671 4.8 従来例 4 117 155 856 669 7.0 従来例 5 220 289 - 508 16.6 従来例 6 65 88 - 588 11.5 続き
酸化減量 (mg/cm2)
AC1変態点 熱亀裂寿命 常温伸び 例 No. 800°C 700ΐ; 850ΐ;
(°C) (サイクル) (%) X 200 hrs 繰返し
実施例 40 20 24 886 815 5.0 実施例 41 19 22 877 830 6.0 実施例 42 18 21 888 862 7.0 実施例 43 16 19 877 906 9.4 実施例 44 15 17 876 921 10.6 実施例 45 17 20 884 899 10.0 実施例 46 22 27 885 820 4.9 実施例 47 26 32 876 813 3.7 実施例 48 19 23 876 825 4.0 実施例 49 18 21 884 847 5.0 実施例 50 17 20 885 872 7.6 実施例 51 16 19 887 881 8.6 実施例 52 17 21 870 868 7.6 実施例 53 22 28 874 814 4.3 実施例 54 28 35 887 808 3.3 実施例 55 24 29 877 814 3.7 実施例 56 22 26 889 831 4.2 実施例 57 18 22 881 842 6.0 実施例 58 18 21 886 859 6.2 実施例 59 19 23 874 840 4.6 実施例 60 26 33 878 813 3.5 実施例 61 63 78 872 799 2.8 実施例 62 51 63 877 804 3.0 実施例 63 46 56 878 805 3.5 実施例 64 40 48 884 804 3.6 実施例 65 38 46 884 808 3.4 実施例 66 42 52 875 804 3.5 実施例 67 71 90 891 798 3.0 実施例 68 22 26 881 880 2.8 実施例 69 23 26 879 885 3 実施例 70 35 42 878 800 1.4 実施例 71 25 29 879 810 1.8 実施例 72 26 30 874 814 1.8 実施例 73 36 45 877 801 1.3 実施例 74 52 65 881 785 0.7 (3)耐熱亀裂性
耐熱亀裂性 (熱亀裂寿命)を評価するため、実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来 例 1一 6の各丸棒状試験片 (標点間距離 : 20 mm,標点間の直径 : 10 mm)を、拘束率 0.25の条件で電気 油圧サーボ方式の熱疲労試験機にセットし、大気中で各 7分の 加熱冷却サイクル (下限温度: 150°C、上限温度 : 840°C、温度振幅 : 690°Cで、下限温 度力 上限温度まで 2分で昇温→上限温度で 1分保持→上限温度力 下限温度まで 4分で降温)を繰り返し、熱疲労破壊を起こさせた。拘束率は加熱冷却に伴う試験片 の伸縮を機械的に拘束する割合で、(自由熱膨張伸び 機械的拘束下の熱膨張伸 び) Z (自由熱膨張伸び)により求めた。例えば拘束率 1.0は、試験片が加熱されたと きに全く伸びを許さない機械的拘束条件である。また拘束率 0.5は、自由熱膨張伸び が例えば 2 mmの場合に 1 mmの熱膨張伸びし力許さない機械的拘束条件である。実 際の自動車エンジン用排気系部品の拘束率は、加熱冷却に伴う伸びをある程度許 容する 0.1— 0.5程度であるので、熱疲労試験では拘束率を 0.25と設定した。
[0141] 耐熱亀裂性 (熱亀裂寿命)の試験結果を表 5に示す。熱亀裂寿命は実施例 1一 74 では 780— 921サイクルと長いが、従来例 1一 6では 285— 671サイクルと短かった。
[0142] 表 5から明らかなように、 W及び Siが濃化した中間層を有する実施例 1一 74の試験片 では、熱亀裂寿命は 780サイクル以上と長力つた。また基地中の Wの割合 Xmに対す る中間層における Wの割合 Xiの重量比(Xi/Xm)が 4.72の実施例 18では熱亀裂寿命 力 S 780サイクルであつたのに対し、 Xi/Xmが 5以上の他の実施例ではほとんど 800サイ クル以上と長力つた。さらに基地中の Siの割合 Ymに対する中間層における Siの割合 Yiの重量比(Yi/Ym)が 1.31の実施例 19では熱亀裂寿命が 785サイクルであつたのに 対し、 Yi/Ym力 1.5以上の他の実施例では熱亀裂寿命はほとんど 800サイクル以上と 長かった。
[0143] 基地との境界近傍に W含有炭化物を有する黒鉛の数が黒鉛総数の 75%以上であ る実施例 2— 19、 24— 39及び 40— 74を見ると、実施例 2— 19の熱亀裂寿命は 780— 880サイクル、実施例 24— 39の熱亀裂寿命は 782— 901サイクル、実施例 40— 74の熱 亀裂寿命は 785— 921サイクルと、いずれも長力つた。また黒鉛の単位面積当りの W 含有炭化物の数が 3 X 105個/ mm2以上である実施例 1一 35及び 40— 74の試験片は 、熱亀裂寿命力 S780— 921サイクルと長寿命であった。また黒鉛表面の W含有炭化物 の面積率力 以上である実施例 1一 14、 16、 18— 21、 26— 35及び 40— 74の試験片 は、熱亀裂寿命が 780— 921サイクルと長寿命であった。
[0144] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Niの含有量が異なる実施例 1と実施例 18とを 比較すると、 Niの含有量が 0.5重量%を超える実施例 18の熱亀裂寿命は 780サイクル で、 Niを含有しない実施例 1の熱亀裂寿命(810サイクル)より短いことが分かる。また Niの含有量が 0.29重量%の実施例 16は、熱亀裂寿命が 805サイクルであり、 Niを含 有しない実施例 1より熱亀裂寿命がやや劣るが、問題ない範囲である。従って、 Niを 0.5重量%未満とするのが好ましぐ 0.3重量%以下とするのがより好ましい。
[0145] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Crの含有量が異なる実施例 1と実施例 21とを 比較すると、 Crの含有量が 0.3重量%を超える実施例 21は、 Crを含有しない実施例 1 より熱亀裂寿命が低 、(786サイクル)ことが分かる。 Crの含有量が 0.29重量%の実施 例 20の熱亀裂寿命は 808サイクルであり、 Crを含有しな 、実施例 1の熱亀裂寿命より やや劣るが、問題ない範囲である。従って、 Crを 0.3重量%以下とするのが好ましい。
[0146] Wの含有量が 1.21— 1.50%とほぼ同等で、 Moの含有量カ^ー 4.4重量%の範囲に ある実施例 1、 2及び 27の試験片を比較すると、 Moの含有量の増加により熱亀裂寿命 力 10サイクル力も 861サイクルまで改善されることが分かる。しかし、 Moが 5.5重量% を超えた実施例 29では、熱亀裂寿命は 794サイクルと低カゝつた。これから、 Moの含有 量は 5.5重量%以下が好ましぐ 4.5重量%以下がより好ましい。
[0147] Wの含有量が 2.64— 2.92重量%の範囲で、 Cuの含有量が異なる実施例 30— 32を 比較すると、 0.13— 6.1重量0 /0の Cuの含有により熱亀裂寿命が 850— 870サイクルと長 いことが分かる。しかし 6.1重量%の Cuを含有する実施例 32の試験片は、 3.5重量% の Cuを含有する実施例 31の試験片より熱亀裂寿命が僅かに低下した。また実施例 33のように Cuの含有量が 6.8重量%になると、熱亀裂寿命は 788サイクルと低下した。 従って、 Cuの含有量は 6.5重量%以下であるのが好ましぐ 3.5重量%以下であるの 力 り好ましい。
[0148] Wの含有量が 3.12— 3.33重量%の実施例 34及び 35では、 Coの含有により熱亀裂 寿命が 889— 901サイクルと、 Coを含有しな!、実施例 8の 863サイクルより良好であった 。従って、 Coを含有させるのが好ましいが、 Coは高価な元素であるため、コスト面から 5重量%以下とするのが好ましい。
[0149] (4) A 変態点
C1
実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6の各円柱状試験片(直径: 5 mm,長さ : 20 mm)を、熱機械分析計 (マックサイエンス製 TMA-4000S)により、窒素雰囲気中 で 30°Cから 3°C/分の速度で加熱し、 A 変態点を測定した。図 15に示すように、 A 変 態点は、温度一変位曲線 81の変曲部に接線 82を引き、交点の温度を A 変態点 83と
C1
する交線法により求めた。結果を表 5に示す。なお従来例 5及び 6のオーステナイト系 球状黒鉛铸鉄は、フェライト系球状黒鉛铸鉄と異なり、 A
C1変態を起こさない。
[0150] 実施例 1一 74の試験片のうち、 A 変態点が 840°C以上の試験片は 782サイクル以上
C1
と高い熱亀裂寿命を有していた。しかし、従来例 4の試験片は、 A 変態点が 840°Cよ
C1
り高くても、 Wの含有量が 0.001重量%未満のために黒鉛が優先的に酸ィ匕され、耐酸 化性及び耐熱亀裂性が低カゝつた。
[0151] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Niの含有量が異なる実施例 1と実施例 18とを 比較すると、 Niの含有量が 0.5重量%を超える実施例 18は、 Niを含有しない実施例 1 より A 変態点が低力つた。 Niの含有量が 0.29重量%の実施例 16では A 変態点が
CI C1
813°Cであり、 Niを含有しない実施例はりやや低いが、問題ない範囲である。従って 、 Niを 0.5重量%未満とするのが好ましぐ 0.3重量%以下とするのがより好ましい。
[0152] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Crの含有量が異なる実施例 1と実施例 21とを 比較すると、 Crの含有量が 0.3重量%を超える実施例 21は、 Crを含有しない実施例 1 より A 変態点が低力つた。 Crの含有量が 0.29重量%の実施例 20では、 A 変態点は
CI C1
810°Cであり、 Crを含有しない実施例はりやや低いが、問題ない範囲である。従って 、 Crを 0.3重量%以下とするのが好ましい。
[0153] (5)常温伸び
実施例 1一 74、比較例 1一 16及び従来例 1一 6の各 4号試験片 (JIS Z 2201)に対して 、ァムスラー引張試験機で 25°Cにおける常温伸び(%)を測定した。結果を表 5に示 す。
[0154] Wの含有量力 15.22重量%の比較例 11の試験片は常温伸びが 0.8%と低ぐ Wの含 有量が 14.7重量%の実施例 19の試験片は常温伸び力 l.0%であり、 Wの含有量が 9.56重量%の実施例 13の試験片は常温伸び力 l.8%であり、 Wの含有量が 4.83重量 %の実施例 11の試験片は常温伸び力 ¾.5%であった。このように Wの含有量が 10重 量%以下、特に 5重量%以下の場合、 1.8%以上の常温伸びを確保できる。常温伸 びは 2%以上であるのが好まし 、。
[0155] Nb及び Bの含有による伸びの増大を調べるために、 Nb及び/又は Bを含有する実 施例 36— 39 (Wの含有量は 1.21— 1.66重量%とほぼ同程度)の常温伸びに注目した 。 Nbのみを含有する実施例 36の試験片は常温伸びが 14.9%であり、 Bのみを含有す る実施例 37及び 39の試験片は常温伸びがそれぞれ 14.6%及び 13.9%であり、 Nbと B を両方含有する実施例 38の試験片は常温伸びが 13.2%であり、いずれも良好であつ た。
[0156] Si + (2/7) Wが 8.76である実施例 14の常温伸びは 1.4%であり、 Si + (2/7) Wが 7.38 である実施例 13の常温伸びは 1.8%であり、 Si + (2/7) Wが 6.03である実施例 15の常 温伸びは 1.8%であり、 Si + (2/7) Wが 6.00である実施例 11の常温伸びは 2.5%であつ た。これらのことから、 Si + (2/7) W力 以下であれば常温伸び力 l.8%以上となり、ま た Si + (2/7) \^カ¾以下であれば常温伸び力 0%以上となることが分かる。
[0157] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、 Crの含有量が異なる実施例 1と実施例 21とを 比較すると、 Crの含有量が 0.3重量%を超える実施例 21は、 Crを含有しない実施例 1 より常温伸びが低力つた。 Crの含有量が 0.29重量%の実施例 20では常温伸びが 15.9%であり、 Crを含有しない実施例はり低いが、問題ない範囲である。従って、 Cr を 0.3重量%以下とするのが好ましい。
[0158] Si及び Wの含有量がほぼ同程度で、希土類元素の含有量が異なる実施例 40— 60 と実施例 61— 67とを比較すると、希土類元素が 0.05重量%を超える実施例 61— 67で は、 Sのどの含有量レベルでも、黒鉛球状ィ匕率が 20— 28%と低ぐ常温伸びが 2.8— 3.6%と比較的低力つた。これに対して、希土類元素が 0.05重量%以下で、 Sの含有 量が 0.003— 0.02重量%の範囲内の実施例 42— 45、 49一 52及び 56— 59では、黒鉛 球状ィ匕率が 45— 95%と高ぐ常温伸び力 — 10.6%と比較的高力つた。希土類元 素が 0.05重量%以下であっても、 Sの含有量が 0.003重量%未満又は 0.02重量%超 の実施例 40、 41、 46— 48、 53— 55及び 60では、黒鉛球状化率が 31— 58%と低ぐこ れに伴って常温伸びも 3.3— 6.0%と比較的低力つた。従って、本発明の組成範囲内 でも、希土類元素を 0.05重量%以下とするのが好ましぐ Sを 0.003— 0.02重量%とす るの好ましい。
[0159] 実施例 8の試験片に対して 400°Cにおける引張試験を行い、中温脆化を調べた。そ の結果、 400°Cでの伸びは 7.0%であり、 8.0%の常温伸びよりやや低いものの、実用 上全く問題な 、レベルであった。
[0160] 実施例 75
図 17に概略的に示すェキゾ一ストマ-ホルド 151を実施例 9の耐熱铸鉄を用 、て铸 造した後、铸放しのまま機械加工した。得られたェキゾ一ストマ-ホルド 151には引け 巣、湯廻り不良、ガス欠陥等の铸造欠陥がなぐまた機械加工時に切削不具合等の 問題は全く起こらなかった。なお図 17において、 151aは取付フランジを示し、 151bは 枝管を示し、 151cは集合部を示す。
[0161] 直列 4気筒で排気量 2000 ccの高性能ガソリンエンジンを模した排気シミュレータに 、実施例 75のェキゾ一ストマ-ホルド 151を組み付け、耐久試験を行い、亀裂発生ま での寿命と亀裂の発生状況を調べた。試験条件は、 10分間の加熱及び 10分間の冷 却力 なる加熱冷却サイクルを繰り返し、ェキゾ一ストマ-ホルド 151に貫通する亀裂 が発生するまでのサイクル数をカウントした。耐久試験での全負荷時の排気ガス温度 は、ェキゾ一ストマ-ホルド 151の出口で 920°Cであった。この条件下でのェキゾ一スト マ-ホルド 151の表面温度は、集合部 151cで約 840°Cであった。
[0162] 図 17に示すように、実施例 75のェキゾ一ストマ-ホルド 151には、 890サイクルで枝 管 151bと取付フランジ部 151aの境界部にごく微小の亀裂 17が発生した。しかし、特に 高温の排気ガスが通過する集合部 151cでは亀裂が発生せず、部品全体の酸化も少 なかった。これから、実施例 75のェキゾ一ストマ-ホルド 151は優れた耐久性及び信 頼性を有することが確認された。
[0163] 実施例 76
900°Cで 3時間保持後炉冷するフェライトイヒ焼鈍処理を施した以外は実施例 75と同 様にして、実施例 8の耐熱铸鉄によりェキゾ一ストマ-ホルド 151を製造した。得られ たェキゾ一ストマ-ホルド 151には铸造欠陥はなぐ熱処理による変形等の不具合や 機械カ卩ェでの不具合もな力つた。実施例 76のェキゾ一ストマ-ホルド 151を排気シミ ユレータに組み付け、実施例 75と同一条件で耐久試験を実施した。ェキゾ一ストマ- ホルド 151の表面温度は実施例 75と同じであった。耐久試験の結果、実施例 76のェ キゾーストマ-ホルド 151には 952サイクルで実施例 75と同じ部位に、同程度の極微小 な亀裂が発生した。し力し高温の排気ガスが通過する集合部には亀裂は発生せず、 部品全体での酸化もほとんどなぐ優れた耐久性と信頼性を有することが確認された
[0164] 従来例 7
従来例 3の球状黒鉛铸鉄を用い、熱処理温度を 940°Cとした以外は実施例 75と同 様にして、ェキゾ一ストマ-ホルド 151を作製した。このェキゾ一ストマ-ホルド 151を 排気シミュレータに組み付け、実施例 75と同一条件で耐久試験を実施した。ェキゾ 一ストマ-ホルド 151には、铸造欠陥や、熱処理及び機械カ卩ェでの不具合はなかつ た。耐久試験でのェキゾ一ストマ-ホルド 151の表面温度は実施例 75と同じであつた 。耐久試験の結果、図 18に示すように、従来例 7のェキゾ一ストマ-ホルド 151には、 435サイクルで、集合部 151cと、枝管 151bと取付フランジ部 151aの境界部に大きな亀 裂 18が発生した。また集合部 151cの他、部品全体に酸化が発生した。
[0165] 従来例 8
従来例 6の-レジスト D5Sを用い、 910°Cで 4時間保持後空冷する熱処理を施した以 外は実施例 75と同様にして、ェキゾ一ストマ-ホルド 151を作製した。このェキゾ一スト マ-ホルド 151を排気シミュレータに組み付け、実施例 75と同一条件で耐久試験を実 施した。ェキゾ一ストマ-ホルド 151には、铸造欠陥や、熱処理及び機械加工での不 具合はな力つた。耐久試験でのェキゾ一ストマ-ホルド 151の表面温度は実施例 75と 同じであった。耐久試験の結果、図 19に示すように、従来例 8のェキゾ一ストマ-ホル ド 151には、 558サイクルで、枝管 151bと取付フランジ部 151aの境界部に大きな亀裂 19が発生した。部品全体で酸ィ匕が起こり、酸ィ匕の程度は従来例 7より僅かだが、実施 例 75及び 76と同等力若干多力つた。
[0166] 従来例 9、 10
従来例 2と同じ Hi-SiMo球状黒鉛铸鉄及び熱処理条件を用いた以外実施例 75と同 様にして、ェキゾ一ストマ-ホルド 151を作製し、耐久試験を実施した (従来例 9)。ま た従来例 5と同じ-レジスト D2及び熱処理条件を用いた以外実施例 75と同様にして、 ェキゾ一ストマ-ホルド 151を作製し、耐久試験を実施した (従来例 10)。いずれのェ キゾーストマ-ホルド 151にも、铸造欠陥や、熱処理及び機械カ卩ェでの不具合はなか つた。耐久試験でのェキゾ一ストマ-ホルド 151の表面温度は、実施例 75と同じであ つた o
[0167] 表 6は、実施例 75及び 76、並びに従来例 7— 10のェキゾ一ストマ-ホルドの亀裂発 生までの寿命を示す。実施例 75及び 76のェキゾ一ストマ-ホルドは従来例 7— 10の ェキゾ一ストマ-ホルドより約 1.5倍一 5倍も亀裂発生までの寿命が長力つた。
[0168] [表 6] ェキゾーストマニホルドの耐久試験結果
Figure imgf000058_0001
[0169] 上記の通り、本発明の耐熱铸鉄カゝらなるェキゾ一ストマ-ホルドは、耐酸化性及び 耐熱亀裂性に優れ、従来の高 Siフェライト系球状黒鉛铸鉄カゝらなるェキゾ一ストマ- ホルドより格段に長寿命で、さらにオーステナイト系球状黒鉛铸鉄カもなるェキゾース トマ-ホルドを上回る寿命を有する。従って、本発明の耐熱铸鉄は、従来のオーステ ナイト系球状黒鉛铸鉄ゃステンレス铸鋼等の高級材料の代替品として、耐熱性が要 求される自動車エンジン用排気系部品を低コストで製造することが可能である。
[0170] 以上自動車エンジン用の排気系部品について説明したが、耐酸ィ匕性及び耐熱亀 裂性に優れた本発明の耐熱铸鉄は、それら以外にも、シリンダブロック、シリンダへッ ド、ピストン、ピストンリング等のエンジン部品、焼却炉用や熱処理炉用の炉床や台車 等の燃焼炉用部品、さらにディスクブレーキロータ等の摺動部品等にも使用可能で ある。

Claims

請求の範囲
[I] 黒鉛を含有する耐熱铸鉄であって、重量基準で Si: 3.5— 5.6%及び W: 1.2— 15%を 含有し、黒鉛と基地組織との境界に W及び Siが濃化した中間層を有することを特徴と する耐熱铸鉄。
[2] 請求項 1に記載の耐熱铸鉄にお 、て、前記基地中の Wの重量割合 Xmに対する前 記中間層中の Wの重量割合 Xiの比 (Xi/Xm)が 5以上であることを特徴とする耐熱铸 鉄。
[3] 請求項 1又は 2に記載の耐熱铸鉄において、前記基地中の Siの重量割合 Ymに対す る前記中間層中の Siの重量割合 Yiの比 (Yi/Ym)が 1.5以上であることを特徴とする耐 熱铸鉄。
[4] 請求項 1一 3のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、重量基準で C : 1.5— 4.5%、
Si: 3.5— 5.6%、 Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr: 0.3%以下、黒鉛球 状化元素: 1.0%以下、残部実質的に Fe及び不可避的不純物力 なる組成を有する ことを特徴とする耐熱铸鉄。
[5] 請求項 1一 4のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、さらに 0.003— 0.02重量%の3 及び 0.05重量%以下の希土類元素を含有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[6] 請求項 1一 5のいずれか〖こ記載の耐熱铸鉄において、黒鉛球状化元素として 0.005 一 0.2重量%の Mgを含有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[7] 請求項 1一 6のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、重量基準で Si + (2/7) W≤8 であることを特徴とする耐熱铸鉄。
[8] 請求項 1一 7のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、さらに 5.5重量%以下の Moを 含有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[9] 請求項 1一 8のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、さらに 6.5重量%以下の Cuを 含有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[10] 請求項 1一 9のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、さらに 5重量%以下の Coを含 有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[II] 請求項 1一 10のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、さらに 1.0重量%以下の Nb 及び Z又は 0.05重量%以下の Bを含有することを特徴とする耐熱铸鉄。
[12] 請求項 1一 11のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、前記基地との境界近傍に W 含有炭化物を有する黒鉛の数が黒鉛総数の 75%以上であることを特徴とする耐熱铸 鉄。
[13] 請求項 1一 12のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、エッチングにより露出した黒 鉛表面上の W含有炭化物の数が黒鉛の単位面積当り 3 X 105個/ mm2以上、及び/ 又は前記 W含有炭化物の面積率が 1.8%以上であることを特徴とする耐熱铸鉄。
[14] 請求項 1一 13のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、 30°Cから 3°CZ分の速度で 昇温したときの A 変態点が 840°C以上であることを特徴とする耐熱铸鉄。
C1
[15] 請求項 1一 14のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、 800°Cの大気中に 200時間 保持したときの酸ィ匕減量が 60 mg/cm2以下であることを特徴とする耐熱铸鉄。
[16] 請求項 1一 15のいずれかに記載の耐熱铸鉄において、上限温度 840°C、温度振幅
690°C及び拘束率 0.25の条件で加熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿命が
780サイクル以上であることを特徴とする耐熱铸鉄。
[17] 前記請求項 1一 16のいずれかに記載の耐熱铸鉄からなることを特徴とする排気系 部品。
[18] 請求項 17に記載の排気系部品において、ェキゾ一ストマ-ホルド、ターボチャージ ヤーハウジング、ターボチャージヤーハウジング一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、触媒 ケース、触媒ケース一体型ェキゾ一ストマ-ホルド、又はェキゾ一ストアウトレットであ ることを特徴とする排気系部品。
[19] 800°Cを超える温度で使用する排気系部品であって、重量基準で C: 1.5— 4.5%、 Si
: 3.5— 5.6%、 Mn: 3%以下、 W: 1.2— 15%、 Ni: 0.5%未満、 Cr: 0.3%以下、黒鉛球 状化元素: 1.0%以下、 Si + (2/7) W≤8、残部実質的に Fe及び不可避的不純物から なる組成を有し、かつ铸放しでフェライトを主相とした基地に黒鉛が晶出しているとと もに、前記黒鉛と前記基地との境界に W及び Siが濃化した中間層を有する組織を有 する耐熱铸鉄からなり、もって 30°Cから 3°CZ分の速度で昇温したときの A 変態点が
C1
840°C以上であり、かつ上限温度 840°C、温度振幅 690°C及び拘束率 0.25の条件で加 熱冷却する熱疲労試験における熱亀裂寿命力 S780サイクル以上であることを特徴と する排気系部品。
[20] 請求項 19に記載の排気系部品において、前記基地中の Wの重量割合 Xmに対する 前記中間層中の Wの重量割合 Xiの比 (Xi/Xm)が 5以上であることを特徴とする排気 系部品。
[21] 請求項 20に記載の排気系部品において、前記 Xi/Xmが 10以上であることを特徴と する排気系部品。
[22] 請求項 19一 21のいずれかに記載の排気系部品において、前記基地中の Siの重量 割合 Ymに対する前記中間層中の Siの重量割合 Yiの比 (Yi/Ym)が 1.5以上であること を特徴とする排気系部品。
[23] 請求項 22に記載の排気系部品において、前記 Yi/Ym力 ^.0以上であることを特徴と する排気系部品。
[24] 請求項 19一 23のいずれかに記載の排気系部品において、 800°Cの大気中に 200時 間保持したときの酸ィ匕減量が 60 mg/cm2以下であることを特徴とする排気系部品。
[25] 請求項 19一 24のいずれかに記載の排気系部品において、重量基準で C : 1.8— 4.2 %、 Si : 3.8— 5.3%, Mn: 1.5%以下、 W: 1.5— 10%、 Ni: 0.3%以下、 Cr: 0.3%以下、 黒鉛球状ィ匕元素: 0.01— 0.2%、 Si + (2/7) W≤8、残部実質的に Fe及び不可避的不 純物からなる組成を有することを特徴とする排気系部品。
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