明 細 書
インバータ駆動回路、及びそれを備えた CMOS出力回路並びにスィッチ ングレギユレータ
技術分野
[0001] 本発明は、 CMOS出力インバータ回路を駆動するインバータ駆動回路に関し、特 に駆動信号レベルがハイからロー又はロー力 ハイに遷移するときに、 CMOS出力 インバータ回路の pチャネル MOSトランジスタ及び nチャネル MOSトランジスタが同 時にオンになることを防止する回路に関する。
背景技術
[0002] スイッチングレギユレータのスイッチング素子を制御するコントローラでは、その出力 段は CMOS (Complementary Metal
Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)インバータ回路を用いたプッシュ プル型にすることが広く行われている。出力段の CMOSインバータ回路(CMOS出 力インバータ回路)は、周知のように、 pチャネル MOSトランジスタ(以下、 pMOSトラ ンジスタと言う)及び nチャネル MOSトランジスタ(以下、 nMOSトランジスタと言う)の ドレイン同士及びゲート同士を共通に接続し、かつ pMOSトランジスタのソースを電 源に接続し、 nMOSトランジスタのソースをグラウンド (GND)に接続した構成を有す る。この CMOS出力インバータ回路では、共通に接続されたゲートに入力信号を供 給し、共通に接続されたドレイン力 出力信号を取り出す。
[0003] CMOS出力インバータ回路では、入力信号のレベルがハイ(以下、 "H"と言う)の 時には、 nMOSトランジスタがオン、 pMOSトランジスタがオフとなり、入力信号のレ ベルがロー(以下、 "L"と言う)の時には、 pMOSトランジスタがオン、 nMOSトランジ スタがオフとなるので、入力信号のレベルが" H"ど' L"との間を交互に遷移すると、 p
MOSトランジスタと nMOSトランジスタとが交互にオン Zオフを繰り返すので、理論 上は pMOSトランジスタと nMOSトランジスタとは同時にオンにならない。
[0004] し力し、実際には pMOSトランジスタ及び nMOSトランジスタは瞬時にオン又はオフ に切りかわらないので、入力信号のレベルが遷移する時に両チャネルの MOSトラン
ジスタが同時にオンになり、電源力 グラウンドへ貫通電流が流れ、消費電力の増大 を招いてしまう。
[0005] そこで、このような貫通電流の発生を防止する技術として特許文献 1に開示された 回路がある。図 5に示すように、この回路では、 CMOS出力インバータ回路を構成す る pMOSトランジスタ 101及び nMOSトランジスタ 102の各々と直列に同一導電型の MOSトランジスタ、即ち pMOSトランジスタ 101に対しては pMOSトランジスタ 103を直 列に接続し、 nMOSトランジスタ 102に対しては nMOSトランジスタ 104を直列に接続 する。また、 MOSトランジスタ 103及び 104ゲートに対して遅延回路 105を介して入力 信号を供給する。 MOSトランジスタ 103及び 104は、それぞれ MOSトランジスタ 101及 び 102に一定時間遅れで追従する動作を行うので、 MOSトランジスタ 101及び 102が 同時にオンなる期間においても MOSトランジスタ 103又は 104が必ずオフになるように することで、貫通電流を防止することができるとされる。
[0006] 特許文献 1 :特開平 7— 283717号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] し力しながら、特許文献 1に開示された貫通電流防止回路では、 CMOS出力イン バータ回路の貫通電流を防止するために、 CMOS出力インバータ回路を駆動するィ ンバータ駆動回路とは別に遅延回路及び CMOS出力インバータ回路を構成する M
OSトランジスタと同程度のサイズである 2個の MOSトランジスタが必要であるため、 回路規模が増大するという問題点があった。
[0008] 本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、 CMOS出カイ ンバータ回路を駆動するインバータ駆動回路において、回路規模を増大することなく 貫通電流を防止することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明の望ましい実施形態に係るインバータ駆動回路は、 CMOS出力インバータ 回路を駆動するインバータ駆動回路であって、ハイレベルとローレベルとの間を交互 に遷移する第 1の駆動信号を前記 CMOS出力インバータ回路の pMOSトランジスタ のゲートに供給する第 1の CMOS回路と、前記第 1の駆動信号と実質的に同相の第
2の駆動信号を前記 CMOS出力インバータ回路の nMOSトランジスタのゲートに供 給する第 2の CMOS回路と、を備え、前記 CMOS出力インバータ回路の各々の MO Sトランジスタのゲート入力容量と前記第 1の CMOS回路及び第 2の CMOS回路の 各 MOSトランジスタのオン抵抗との設定に従い、前記第 1の駆動信号及び第 2の駆 動信号の各々によって前記 CMOS出力インバータ回路の一方の MOSトランジスタ がオフ力 オンになるタイミング力 他方の MOSトランジスタがオン力 オフになるタ イミングより遅れる。
[0010] このインバータ駆動回路は、望ましくは、前記第 1の CMOS回路は第 1の CMOS駆 動インバータ回路カゝら構成され、前記第 2の CMOS回路は第 2の CMOS駆動インバ ータ回路力 構成され、前記第 2の CMOS駆動インバータ回路の nMOSトランジスタ のオン抵抗と前記 CMOS出力インバータ回路の nMOSトランジスタのゲート入力容 量とによる第 2の時定数が、前記第 1の CMOS駆動インバータ回路の nMOSトランジ スタのオン抵抗と前記 CMOS出力インバータ回路の pMOSトランジスタのゲート入 力容量とによる第 1の時定数よりも短ぐかつ、前記第 1の CMOS駆動インバータ回 路の pMOSトランジスタのオン抵抗と前記 CMOS出力インバータ回路の pMOSトラ ンジスタのゲート入力容量とによる第 3の時定数力 前記第 2の CMOS駆動インバー タ回路の pMOSトランジスタのオン抵抗と前記 CMOS出力インバータ回路の nMOS トランジスタのゲート入力容量とによる第 4の時定数よりも短い。
[0011] このインバータ駆動回路は、更に望ましくは、前記 CMOS出力インバータ回路の p MOSトランジスタのゲート入力容量は前記 CMOS出力インバータ回路の nMOSトラ ンジスタのゲート入力容量の m倍であり、前記第 1の CMOS駆動インバータ回路の p MOSトランジスタのオン抵抗、前記第 1の CMOS駆動インバータ回路の nMOSトラ ンジスタのオン抵抗、及び前記第 2の CMOS駆動インバータ回路の pMOSトランジ スタのオン抵抗は前記第 2の CMOS駆動インバータ回路の nMOSトランジスタのォ ン抵抗のそれぞれ( lZm)倍、(kZm)倍、及び k倍である (k > 1)。
[0012] 本発明の望ましい実施形態に係る CMOS出力回路は、 CMOS出力インバータ回 路と、その CMOS出力インバータ回路を駆動するインバータ駆動回路と、を備えた C MOS出力回路であって、前記インバータ駆動回路は、ハイレベルとローレベルとの
間を交互に遷移する第 1の駆動信号を前記 CMOS出力インバータ回路の pMOSト ランジスタのゲートに供給する第 1の CMOS回路と、前記第 1の駆動信号と実質的に 同相の第 2の駆動信号を前記 CMOS出力インバータ回路の nMOSトランジスタのゲ ートに供給する第 2の CMOS回路と、を備え、前記 CMOS出力インバータ回路の各 々の MOSトランジスタのゲート入力容量と前記第 1の CMOS回路及び第 2の CMO S回路の各 MOSトランジスタのオン抵抗との設定に従い、前記第 1の駆動信号及び 第 2の駆動信号の各々によって前記 CMOS出力インバータ回路の一方の MOSトラ ンジスタがオフ力 オンになるタイミング力 他方の MOSトランジスタがオン力 オフ になるタイミングより遅れる。
[0013] 本発明の望ましい実施形態に係るスイッチングレギユレータは、上述の CMOS出力 回路と、その CMOS出力回路により制御されるスイッチング素子と、を備えてなる。 発明の効果
[0014] 本発明によれば、 CMOS出力インバータ回路の一対の MOSトランジスタの各々の ゲート入力容量、及び第 1の CMOS回路及び第 2の CMOS回路の各 MOSトランジ スタのオン抵抗を設定するのみで、 CMOS出力インバータ回路の一方の MOSトラン ジスタがオフ力もオンに遷移するタイミング力 他方の MOSトランジスタがオン力らォ フに遷移するタイミングより遅れるように、 CMOS出力インバータ回路へ駆動信号を 供給することができる。したがって、回路規模を拡大することなぐ CMOS出力インバ ータ回路の貫通電流を防止することができる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]本発明の望ましい実施形態に係る CMOS出力回路の回路図である。
[図 2]本発明の望ましい実施形態に係る CMOS出力回路の動作タイミングチャートで ある。
[図 3]本発明の望ましい実施形態に係る CMOS出力回路における CMOS駆動イン バータ回路の MOSトランジスタの縦構造を示す断面図である。
[図 4]本発明の望ましい実施形態に係るスイッチングレギユレータの回路図である。
[図 5]従来の貫通電流防止回路の回路図である。
符号の説明
[0016] 1 CMOS出力インバータ回路
2 インバータ駆動回路
2A 第 1の CMOS回路(第 1の CMOS駆動インバータ回路)
2B 第 2の CMOS回路(第 2の CMOS駆動インバータ回路)
Mil, M12、 M21、 M22、 M31、 M32 MOSトランジスタ
C11、C12 ゲート入力容量
R21、R22、R31、R32 オン抵抗。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下、図面を参照しながら本発明の望ましい実施形態について説明する。図 1は本 発明の望ましい実施形態に係る CMOS出力回路の回路図、図 2はその動作タイミン グチャート、図 3はその CMOS出力回路における CMOS駆動インバータ回路の nM OSトランジスタの縦構造を示す断面図である。
[0018] 図 1に示す CMOS出力回路は、 CMOS出力インバータ回路 1と、インバータ駆動 回路 2とから構成されている。 CMOS出力インバータ回路 1は、互いに直列接続され た pMOSトランジスタ Milと、 nMOSトランジスタ M12とからなる。 pMOSトランジスタ Milのソースには電源電圧 V が印加され、 nMOSトランジスタ M12のソースは接地
DD
されている。また、これら一対の MOSトランジスタ Mil, M12のドレイン同士が接続さ れており、その接続点には出力端子 (OUT)が接続されている。さらに、 pMOSトラン ジスタ Milのゲートは後述する第 1の CMOS回路 2Aの出力側に接続されており、 n MOSトランジスタ M12のゲートには後述する第 2の CMOS回路 2Bの出力側に接続 されている。 MOSトランジスタ Mil, M12の入力側であるゲート側には、それぞれ入 力容量 Cll, C12が存在する。
[0019] インバータ駆動回路 2は、第 1の CMOS回路 2Aと、第 2の CMOS回路 2Bとから構 成されている。第 1の CMOS回路 2Aは、互いに直列接続された pMOSトランジスタ M21と nMOSトランジスタ M22とからなる CMOSインバータ回路 (第 1の CMOS駆動 インバータ回路)で構成されている。また、第 2の CMOS回路 2Bは、互いに直列接続 された pMOSトランジスタ M31と nMOSトランジスタ M32とからなる CMOSインバータ 回路 (第 2の CMOS駆動インバータ回路)で構成されて!、る。 pMOSトランジスタ M21
及び M31の各々のソースには電源電圧 V が印加され、 nMOSトランジスタ M22及
DD
び M32の各々のソースは接地されている。さらに、一対の MOSトランジスタ M21, M 22のドレイン同士が接続されており、その接続点は pMOSトランジスタ Milのゲート に接続されている。また、一対の MOSトランジスタ M31, M32のドレイン同士が接続 されており、その接続点は nMOSトランジスタ M12のゲートに接続されている。さらに 、第 1の CMOS回路 2Aの一対の MOSトランジスタ M21, M22のゲート同士が接続さ れており、その接続点には入力端子 (IN)が接続されている。また、第 2の CMOS回 路 2Bの一対の MOSトランジスタ M31, M32のゲート同士が接続されており、その接 続点には入力端子 (IN)が接続されている。
[0020] pMOSトランジスタ M21, M31はそれぞれのゲートに印加される電圧のレベルが" H"のときにオフとなり、 "L"のときにオンになる。逆に、 nMOSトランジスタ M22, M32 はそれぞれのゲートに印加される電圧のレベルが" L"のときにオフとなり、 "H"のとき にオンになる。 MOSトランジスタ M21, M22, M31, M32のそれぞれのオン抵抗を R 21, R22, R31, R32とすると、 R21, R22, R31, R32が下記 [1]、 [2]を満たすように設 定されている。
[0021] R32 -C12<R22 -C11 …式 [1]
R21 -C1KR31 -C12 …式 [2]
[0022] ここで、式 [1]の左辺は MOSトランジスタ M32のオン抵抗と MOSトランジスタ M12 の入力容量とからなる第 2の時定数 T2であり、右辺は MOSトランジスタ M22のオン抵 抗と MOSトランジスタ Milの入力容量と力もなる第 1の時定数 T1である。また、式 [2 ]の左辺は MOSトランジスタ M21のオン抵抗と MOSトランジスタ Milの入力容量とか らなる第 3の時定数 T3であり、右辺は MOSトランジスタ M31のオン抵抗と MOSトラン ジスタ M12の入力容量とからなる第 4の時定数 T4である。
[0023] 以上のように構成された CMOS出力回路の動作を図 2のタイミングチャートを参照 しながら説明する。この図において、(a)は入力端子 (IN)に入力されるインバータ駆 動回路 2の入力電圧、(b)は MOSトランジスタ Milのゲート電圧、(c)は MOSトラン ジスタ M12のゲート電圧、(d)は出力端子 (OUT)から出力される CMOS出力インバ ータ回路 1の出力電圧である。また、各電圧波形において、 "H"は V 、 "L"は 0であ
る。
[0024] まず時刻 tOでは入力電圧は" L"であるため、 pMOSトランジスタ M21, M31はオン 、 nMOSトランジスタ M22, M32はオフである。したがって、 pMOSトランジスタ M21 のドレイン電圧は" H"であり、その電圧力 ¾MOSトランジスタ Milのゲートに印加され る。同様に、 pMOSトランジスタ M31のドレイン電圧は" H"であり、その電圧力 MOS トランジスタ M12のゲートに印加される。このため、 pMOSトランジスタ Milはオフ、 n MOSトランジスタ M12はオンとなり、 CMOS出力インバータ回路 1の出力電圧は" L" である。このとき、 MOSトランジスタ Mil, M12の入力容量 Cll, C12の各々には" H" の電圧に対応する電荷が蓄積されている。
[0025] 次に時刻 tlで入力電圧が" H"に遷移すると、 pMOSトランジスタ M21, M31はオフ 、 nMOSトランジスタ M22, M32はオンとなる。したがって、 pMOSトランジスタ Milの ゲートは nMOSトランジスタ M22を介して接地され、 nMOSトランジスタ M12のゲート は nMOSトランジスタ M32を介して接地される。このため、 pMOSトランジスタ Milの ゲート電圧は図 2 (b)に示すょぅに、第2の時定数丁2 (=!¾2 'じ11)に従って下降し、 pMOSトランジスタ Milの閾値電圧(例えば V
DD Z2のレベル)に達した時点 t3で pM
OSトランジスタ Milはオンになる。同様に、 nMOSトランジスタ M12のゲート電圧は 図 2 (c)に示すように、第 1の時定数 Tl (=R32 'C12)に従って下降し、 nMOSトラン ジスタ M12の閾値電圧(例えば V Z2のレベル)に達した時点 t2で nMOSトランジス
DD
タ M12はオフになる。ここで、第 1の時定数 T1の方が第 2の時定数 T2より短いので、 nMOSトランジスタ M12がオフになった後に pMOSトランジスタ Milがオンになる。 つまり、 pMOSトランジスタ Milと nMOSトランジスタ M12とが同時にオンになること はない。 pMOSトランジスタ Milがオンになると、 CMOS出力インバータ回路 1の出 力電圧は" H"となる。
[0026] 次に時刻 t4で入力電圧が" L"に遷移すると、 pMOSトランジスタ M21, M31はオン 、 nMOSトランジスタ M22, M32はオフとなる。したがって、 pMOSトランジスタ Milの ゲートは pMOSトランジスタ M21を介して電源に接続され、 nMOSトランジスタ M 12 のゲートは pMOSトランジスタ M31を介して電源に接続される。このため、 pMOSトラ ンジスタ Milのゲート電圧は図 2 (b)〖こ示すように、第3の時定数丁3 (=!¾1 'じ11)に
従って上昇し、 pMOSトランジスタ Milの閾値電圧(例えば V /2のレベル)に達し
DD
た時点 t5で pMOSトランジスタ Milはオフになる。同様に、 nMOSトランジスタ M12 のゲート電圧は図 2 (c)に示すように、第 4の時定数 T4 (=R31 'C12)に従って上昇し 、 nMOSトランジスタ M12の閾値電圧(例えば V /2のレベル)に達した時点 t6で n
DD
MOSトランジスタ M12はオンになる。ここで、第 3の時定数 T3の方が第 4の時定数 T 4より短いので、 pMOSトランジスタ Milがオフになった後に nMOSトランジスタ M12 がオンになる。つまり、 pMOSトランジスタ Milと nMOSトランジスタ M12とが同時に 才ンになることはない。 nMOSトランジスタ M12がオンになると、 CMOS出力インバー タ回路 1の出力電圧は" L"となる。
[0027] 以上説明したように、 CMOS出力インバータ回路 1及びインバータ駆動回路 2を含 む CMOS出力回路は、入力信号のレベル (入力端子 (IN)に入力される入力電圧) 力 S"L"から" H"に遷移する時は、第 1の駆動信号 (MOSトランジスタ Milのゲート電 圧)及びそれと実質的に同相の第 2の駆動信号 (MOSトランジスタ M12のゲート電圧 )の双方のレベルが H"から" L"に遷移する。この時、 CMOS出力インバータ回路 1の 一対の MOSトランジスタ Mil, M12の一方がオフ力 オンになるタイミングが、一対 の MOSトランジスタ Mil, M12の他方がオンからオフになるタイミングより遅れる。ま た、入力信号のレベル力 "H"から" L"に遷移する時は、第 1の駆動信号及び第 2の 駆動信号の双方のレベル力 S"L"から" H"に遷移する。この時、 CMOS出力インバー タ回路 1の一対の MOSトランジスタ Mil, M12の前記他方がオフからオンになるタイ ミングが、一対の MOSトランジスタ Mil, M12の前記一方がオンからオフになるタイミ ングより遅れる。
[0028] より具体的には、インバータ駆動回路 2において、入力信号のレベルが" L"から" H "に遷移するときは、第 1の CMOS回路 2Aを構成する第 1の CMOS駆動インバータ 回路の nMOSトランジスタ M22がオンになり、 CMOS出力インバータ回路 1の pMOS トランジスタ Milのゲートに供給される第 1の駆動信号のレベルが" H"から" L"に遷 移する。また、第 2の CMOS回路 2Bを構成する第 2の CMOS駆動インバータ回路の nMOSトランジスタ M32がオンになり、 CMOS出力インバータ回路 1の nMOSトラン ジスタ M12のゲートに供給される第 2の駆動信号のレベルが" H"から" L"に遷移する
[0029] このとき、 CMOS出力インバータ回路 1の pMOSトランジスタ Milのゲート電圧は 第 1の時定数 T1に従って下降し、所定のレベルまで下降した時点で、その pMOSト ランジスタ Milがオフ力もオンに遷移する。また、 CMOS出力インバータ回路 1の n MOSトランジスタ M12のゲート電圧は第 2の時定数 T2に従って下降し、所定のレべ ルまで下降した時点で、その nMOSトランジスタ M12がオン力もオフに遷移する。ここ で、第 2の時定数 T2が第 1の時定数 Tはりも短いので、 CMOS出力インバータ回路 1の nMOSトランジスタ M12がオンからオフに遷移した後、 pMOSトランジスタ Milが オフ力 オンに遷移する。
[0030] 一方、入力信号のレベルが" H"から" L"に遷移するときは、第 1の CMOS駆動イン バータ回路の pMOSトランジスタ M21がオンになり、 CMOS出力インバータ回路 1の pMOSトランジスタ Milのゲートに供給される第 1の駆動信号のレベル力 "L"から" H "に遷移する。また、第 2の CMOS駆動インバータ回路の pMOSトランジスタ M31が オンになり、 CMOS出力インバータ回路 1の nMOSトランジスタ M12のゲートに供給 される第 2の駆動信号のレベルが" L"から" H"に遷移する。
[0031] このとき、 CMOS出力インバータ回路 1の pMOSトランジスタ Milのゲート電圧は 第 3の時定数 T3に従って上昇し、所定のレベルまで上昇した時点で、その pMOSト ランジスタ Milがオン力もオフに遷移する。また、 CMOS出力インバータ回路 1の n MOSトランジスタ M12のゲート電圧は第 4の時定数 T4に従って上昇し、所定のレべ ルまで上昇した時点で、 nMOSトランジスタ M12がオフ力もオンに遷移する。ここで、 第 3の時定数 T3が第 4の時定数 T4よりも短いので、 CMOS出力インバータ回路 1の pMOSトランジスタ Milがオンからオフに遷移した後、 nMOSトランジスタ M12がオフ からオンに遷移する。
[0032] こうして、 CMOS出力インバータ回路 1の各々の MOSトランジスタ M11,M12のゲー ト入力容量と第 1の CMOS回路 2A及び第 2の CMOS回路 2Bの各 MOSトランジスタ のオン抵抗との設定に従い、第 1の駆動信号及び第 2の駆動信号の各々によって C MOS出力インバータ回路 1の一方の MOSトランジスタがオフ力 オンになるタイミン ダカ 他方の MOSトランジスタがオン力 オフになるタイミングより遅れる。したがって
、 CMOS出力インバータ回路 1に貫通電流が流れるのを防止することができる。また 、この構成では回路規模がさほど拡大することもない。
[0033] 次に、具体的な容量、オン抵抗の値について説明する。前述した MOSトランジスタ Mil, M12の入力容量 Cll, C12は、 pMOSトランジスタ及び nMOSトランジスタの 製造プロセスの関係で、通常、
C11≥C12 …式 [3]
となる。そこで、
C12 = C …式 [4]
とお <と、
Cll =m-C (m≥l) …式 [5]
となる。
[0034] さらに、
R32=R …式 [6]
とおく。
[0035] 第 1の CMOS回路 2Aの時定数と第 2の CMOS回路 2Bの時定数とのバランスを取 るため、
R31 =k-R32 (k> l) =k-R …式 [7]
R21 = (1/m) -R32= (1/m) -R …式 [8]
R22= (1/m) -R31 = (k/m) -R …式 [9]
のように設定することが好適である。
[0036] 式 [4]一 [9]を式 [1]、 [2]に代入すると、それぞれ
R-C< (k/m) -R-m-C=k-R-C …式 [10]
(1/m) -R-m-C=R-C<k-R-C …式 [11]
となる。
[0037] つまり、
第 1の時定数 T1 =第 4の時定数 T4 = k X第 2の時定数 T2 = k X第 3の時定数 T3 である。
[0038] 次に、図 3を参照しながら、 nMOSトランジスタ M22, M32のオン抵抗を設定する方
法について説明する。図 3に示すように、この nMOSトランジスタは、 p型シリコン基板 11上に形成された nェピタキシャル層 12と、 nェピタキシャル層 12内に形成された p+埋 込層 13とを備えている。 p+埋込層 13上には pゥエル領域 14が形成されている。また、 p ゥエル領域 14内の左上端付近および中央上端付近には、 nのソース領域 15及びドレ イン領域 16が形成され、 pゥエル領域 14内の右上端付近には p+領域 17が形成されて いる。さらに、 pゥエル領域 14の左端、ドレイン領域 16と p+領域 17との間、及び pゥエル 領域 14の右端には、それぞれアイソレーション用の p+領域 18、 19、及び 20が形成され ている。また、ソース領域 15、ドレイン領域 16、 p+領域 17、 p+領域 18、 19、及び 20の上 面には、酸化膜 21が形成されている。酸ィ匕膜 21は、ソース領域 15、ドレイン領域 16、 p +領域 17の上面の厚みがその他の部分よりも薄く構成されている。さらに、酸化膜 21の 上面には層間絶縁膜 22が形成されている。また、層間絶縁膜 22内でソース領域 15と ドレイン領域 16とを跨ぎ、かつ酸ィ匕膜 21の上面に接触するようにポリシリコンゲート 24 が形成されている。さら〖こ、ソース領域 15、ドレイン領域 16、及び p+領域 17の上側の 酸ィ匕膜 21及び層間絶縁膜 22には、コンタクトホールが空けられ、それらの内部にソー ス電極 23、ドレイン電極 25、及びバックゲート電極 26が形成されている。
[0039] 以上の構成を有する nMOSトランジスタにおけるオン抵抗 Ronは下記の式 [12]で 表される。
Ron= l/{ (W/L) · -Cox- (V— V ) } …式 [12]
G T
[0040] 式 [12]において、 Wはチャネル幅(ポリシリコンゲート 24の図 3の紙面に垂直な方 向の長さ)、 Lはチャネル長である。また、 μ sはキャリアの表面移動度、 Coxは単位 面積当たりのゲート容量、 Vはゲート電圧、 Vは閾値電圧である。したがって、例え
G T
ばチャネル幅を変えることにより、オン抵抗 Ronを変化させることができる。
[0041] 以上、 nMOSトランジスタについて説明した。 pMOSトランジスタについては、 nM
OSトランジスタの構成から明らかであるから、図示及びその説明は省略する。
[0042] なお、本実施形態のように、 MOSトランジスタ M21, M22, M31, M32のオン抵抗 R 21, R22, R31, R32を異なる値に設定する代わりに、 MOSトランジスタ M21, M22, M31, M32のオン抵抗は同じ値とし、別に抵抗素子を付加することにより、同様な作 用を行うように構成することが考えられる。しかし、その構成の場合、本実施形態と比
較すると、付加する抵抗素子の抵抗値の分だけ MOSトランジスタのオン抵抗が小さ いため、 MOSトランジスタの面積が大きくなる。つまり、(l) MOSトランジスタの面積 が小さい、(2)抵抗素子を付加する必要がない、という 2点で本実施形態の方が優れ ている。
[0043] 図 4は本発明の望ましい実施形態に係るスイッチングレギユレータの回路図である。
この図において、図 1と同一の回路には図 1で使用した符号を付した。このスィッチン グレギユレータは、 CMOS出力インバータ回路 1及びインバータ駆動回路 2を含む上 述の CMOS出力回路と、その CMOS出力回路により制御されるスイッチング素子と 、備えたスイッチングレギユレータである。
[0044] このスイッチングレギユレータは、 CMOS出力インバータ回路 1と、 CMOS出力イン バータ回路 1にレベル力 "H"ど' L"との間を交互に遷移する駆動信号 (ほぼ矩形波) を供給するインバータ駆動回路 2と、 CMOS出力インバータ回路 1の出力によりオン Zオフされるスイッチング素子である pMOSトランジスタ Mlと、 pMOSトランジスタ M 1の出力を平滑し、このスイッチングレギユレータの出力電圧 Voutを生成するする平 滑回路 3とを備えている。また、このスイッチングレギユレータは、平滑回路 3の出力電 圧 Voutの分圧電圧を取り出す抵抗分圧回路 4と、抵抗分圧回路 4の出力電圧と基準 電源 Vrefの電圧とを比較し、それらの差電圧を増幅する誤差電圧増幅回路 5と、三 角波発生回路を有し、三角波発生回路の出力電圧を誤差電圧増幅回路 5の出力電 圧でスライスすることにより PWM波を生成し、インバータ駆動回路 2に供給する比較 回路 6とを備えている。
[0045] このスイッチングレギユレータの出力電圧 Voutは抵抗分圧回路 4により取り出され、 誤差電圧増幅回路 5により基準電圧との誤差電圧が増幅され、比較回路 6において 、誤差電圧に応じたデューティー比を有する PWM波に変換され、インバータ駆動回 路 2に供給される。インバータ駆動回路 2は、比較回路 6から供給された PWM波力も 同様な PWM波を生成し、駆動信号として CMOS出力インバータ回路 1に供給する。 CMOS出力インバータ回路 1は、この駆動信号により動作し、その出力電圧が pMO Sトランジスタ Mlをオン Zオフする。平滑回路 3の入力には、 pMOSトランジスタ Ml のオン時に電源電圧 V が入力され、オフ時に遮断されるので、平滑回路 3の出力
電圧 Voutは、電源電圧 V を前記デューティー比に応じて平滑したレベルとなる。こ
DD
の結果、平滑回路 3の出力電圧 Voutが一定になるようにフィードバック制御される。
[0046] このスイッチングレギユレータによれば、常時所定周期で" H"ど' L"の出力電圧を繰 り返して出力する CMOS出力インバータ回路 1に貫通電流が流れないため、消費電 力の低減に対する効果が大き 、。
[0047] また、本発明は、上述した実施形態に限られることなぐ請求の範囲に記載した事 項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。