WO2005072901A1

WO2005072901A1 - 発電機用アウタロータと他部材との溶接方法

Info

Publication number: WO2005072901A1
Application number: PCT/JP2005/001191
Authority: WO
Inventors: Kikumi Ogata; Yusuke Sonoda
Original assignee: Kyushu Musashi Seimitsu Kabushiki Kaisha; Musashi Seimitsu Industry Co., Ltd.
Priority date: 2004-01-30
Filing date: 2005-01-28
Publication date: 2005-08-11
Also published as: JP2005211967A

Abstract

　発電機用アウタロータと他部材との溶接方法であって，発電機（４）の，内周面に環状配列の複数の永久磁石（５ｃ，５ｃ…）を配設したアウタロータ（５）に，その内側で他部材（９）を溶接（２２）するに当たり，前記アウタロータ（５）及び他部材（９）の溶接部と前記永久磁石（５ｃ，５ｃ…）との間に磁気シールドリング（２３，２４）を設置して，溶接トーチ（Ｔ）の発射ビーム又はアークに永久磁石（５ｃ，５ｃ…）の磁束が影響しないようにする。これにより、アウタロータ内周面の永久磁石の磁束の影響を受けずに，アウタロータに，その内側で他部材を確実に溶接することができる。

Description

明細書

発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法

技術分野

[0001] 本発明は，発電機の，内周面に環状配列の複数の永久磁石を配設したァゥタロータに，その内側で他部材を溶接する，発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法に関する。

背景技術

[0002] 従来，発電機の，内周面に環状配列の複数の永久磁石を配設したァウタロータの側壁部に他部材を固着する際には，下記特許文献 1に開示されるように，ボルトゃリベット等の固着部材を用いてレ、た。

特許文献 1 :日本特公平 6 - 65899号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] ところで，本発明者は，製造コストの低減を図るベぐ発電機のァウタロータの側壁部に他部材を溶接により固着することを試みたところ，溶接ビードの形成位置に狂いが生じて，溶接不良が多く発生した。そして，発明者は，その溶接不良の原因として ,溶接トーチから発射されるビーム又はアーク等が，ァウタロータの内周面に配設された永久磁石の磁束の影響を受けて永久磁石側に引き寄せられ，上記ビーム又はアークのワークに対する照射位置が狂うことを究明した。

[0004] そこで本発明は，ァウタロータ内周面の永久磁石の磁束の影響を受けずに，ァウタロータに，その内側で他部材を確実に溶接することを可能にする，発電機用ァウタ口ータと他部材との溶接方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005] 上記目的を達成するために，本発明は，発電機の，内周面に環状配列の複数の永久磁石を配設したァウタロータに，その内側で他部材を溶接するに当たり，前記ァゥタロータ及び他部材の溶接部と前記永久磁石との間に，該永久磁石の磁束の通過を阻止する磁気シールド部材を配置することを第 1の特徴とする。 [0006] 尚，前記他部材は，後述する本発明の実施例中のクラッチァウタ 9に対応する。

[0007] また本発明は，第 1の特徴に加えて，前記磁気シールド部材を，前記溶接部を囲むように前記永久磁石群の内周面に沿って配置される磁気シールドリングで構成したことを第 2の特徴とする。

[0008] さらに本発明は，第 1の特徴に加えて，前記磁気シールド部材を，前記溶接に使用する溶接トーチに，それのビーム又はアーク発生部を囲繞するように装着される磁気シールド筒で構成したことを第 3の特徴とする。

発明の効果

[0009] 本発明の第 1の特徴によれば，ァウタロータ内周面の永久磁石の磁束は，磁気シ一ルド部材により溶接部への影響を遮断されるので，溶接時，溶接トーチから発射されたビーム又はアーク等が前記永久磁石側に引き寄せられてワークに対する照射位置が狂うことを防止でき，これによりァウタロータと他部材との溶接を確実に行い得て ,溶接不良の発生を効果的に防ぐことができる。

[0010] また本発明の第 2の特徴によれば，ァウタロータの内側に，永久磁石の磁束が及ばない比較的広い領域を形成することができ，ァウタロータと他部材との溶接を確実に行うことができる。

[0011] さらに本発明の第 3の特徴によれば，磁気シールド筒を溶接トーチに一旦装着するだけで，多数のァウタロータと他部材との溶接を確実に行うことができ，作業性が良好である。

図面の簡単な説明

[0012] [図 1]図 1は本発明溶接方法の実施対象であるクラッチァウタ及びァウタロータを備えたエンジンの要部縦断面図である。（実施例 1)

[図 2]図 2は本発明の第 1実施例に係るクラッチァウタ及びァウタロータの溶接方法説明図である。（実施例 1)

[図 3]図 3は本発明の第 2実施例を示す，図 2との対応図である。（実施例 2)

[図 4]図 4はクラッチァウタ及びァウタロータの溶接継手構造の変形例を示す，図 1との対応図である。（実施例 2)

符号の説明 4 · · "発電機

5 · · ' .ァウタロータ

5c - • '永久磁石

8 · · · ·クラッチインナ

9 · · · ·他き ^ネ才 (クラッチァウタ）

22 · · ·溶接

23 · • ·磁気シールド部材（磁気シールドリン

24 · • ·磁気シールド部材（磁気シールド筒)

発明を実施するための最良の形態

[0014] 本発明の実施の形態を，添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。

実施例 1

[0015] 図 1において，符号 Eは自動二輪車や自動車に搭載されるエンジンを示し，そのクランクケース 1に支承されるクランク軸 2の一端部には，始動モータ（図示せず）の駆動力をクランク軸 2に伝達する一方向クラッチ 3と，クランク軸 2により駆動される発電機 4のァウタロータ 5とが取り付けられる。

[0016] 一方向クラッチ 3は，クランク軸 2の外周にニードルベアリング 7を介して相対回転自在に支承されるクラッチインナ 8と，このクラッチインナ 8を囲繞するように同心配置されてクランク軸 2に固着されるクラッチァウタ 9と，これらクラッチインナ 8及びクラッチァウタ 9間に介装され，クラッチインナ 8からクラッチァウタ 9への一方向のみの伝動を可能にする，複数のローラゃスプラグ等の一方向伝動駒 10, 10…とから構成され，クラツチインナ 8の一端部には，始動モータの出力軸に連結したピニオン（図示せず）により減速駆動される始動ギヤ 12がー体に形成される。その際，クラッチインナ 8及び始動ギヤ 12は鍛造により一体に成形される。

[0017] またクラッチァウタ 9は，クラッチインナ 8を囲繞する環状部 9aと，この環状部 9aの，始動ギヤ 12と反対側の一端部に一体に形成されて半径方向内方に延び，クラッチィンナ 8及び一方向伝動駒 10, 10…の一端面を覆う側壁部 9bと，この側壁部 9bの内周端に一体に形成されて，クランク軸 2の軸方向に沿って始動ギヤ 12と反対方向に延びるボス 9cとで構成されるもので，このクラッチァウタ 9も鍛造により一体に成形される。上記環状部 9aには，側壁部 9bと共同して一方向伝動駒 10， 10…の側方移動を抑えるリテーナ 11がカシメにより固着される。

[0018] 上記ボス 9cは，クランク軸 2にテーパ嵌合されると共に，キー 13を介して結合され，更にそのテーパ嵌合部が，クランク軸 2に螺着されるナット 14又はボルトにより緊締される。

[0019] 発電機 4は，クラッチァウタ 9に同心結合されて前記ボス 9cを囲繞する前記ァウタ口ータ 5と，クランクケース 1の一側面に位置決めしてボルト接合されるサイドカバー 15 の内壁に位置決め固定されてァウタロータ 5内に同心配置されるステータ 16とで構成される。

[0020] 上記ァウタロータ 5は，ステータ 16を囲繞する円筒部 5aと，この円筒部 5aの一端から半径方向内方に屈曲する側壁部 5bと，円筒部 5aの内周面に固設される環状配列の複数の永久磁石 5c, 5c…とからなっており，円筒部 5a及び側壁部 5bは，鋼板を素材として一体にプレス成形される。

[0021] またステータ 16は，サイドカバー 15の内壁にボルト 18で固着されるステータコア 16 aと，このステータコア 16a外周部の複数のポールに卷装される複数のステータコイル 16bと力なっており，これらァウタロータ 5及びステータ 16の対向周面間には一定の間隙が設けられる。

[0022] 上記ァウタロータ 5は，クラッチァウタ 9に次のようにして結合される。

[0023] 先ず，クラッチァウタ 9において，その側壁部 9bの外周部に，側壁部 9bの外側面より凹入した環状の凹部 20が形成され，この凹部 20は，深さがァウタロータ 5の側壁部 5bの板厚と略同寸法で，且つクラッチァウタ 9の環状部 9aの半径方向最小肉厚部 9a aの側方投影面 21内に収まる大きさになっている。この凹部 20は，クラッチァウタ 9の鍛造時に成形され，若しくは鍛造後，切削により形成される。この凹部 20に，ァウタ口ータ 5の側壁部 9bが嵌合され，望ましく圧入される。その際，クラッチァウタ 9及びァゥタロータ 5の両側壁部 5b, 9bの，ァウタロータ 5内に臨む面は略面一とされ，両側壁部 5b， 9bの嵌合境界部が全周に亙り突き合わせ溶接 22される。こうしてクラッチァゥタ 9及びァウタロータ 5は相互に一体化される。 [0024] 而して，エンジン Eの始動時，図示しないスタータモータを起動して始動ギヤ 12を駆動すれば，その駆動トノレクにより一方向クラッチ 3が接続状態となるので，始動ギヤ 12の駆動トノレクがクラッチインナ 8から一方向伝動駒 10, 10…及びクラッチァウタ 9を経てクランク軸 2に伝達して，それをクランキングするので，エンジン Eを始動することができ，その始動に伴ないクラッチインナ 8がクラッチァウタ 9より高速で回転すると，一方向クラッチ 3は遮断状態となり，クラッチインナ 8はクラッチァウタ 9に対して空転状態となり，始動モータの作動を停止しても，始動モータへの逆負荷の伝達は生じなレ、。

[0025] そして，エンジン Eの作動中，クランク軸 2からァウタロータ 5を介して回転駆動されるァウタロータ 5と，サイドカバー 15に固定されたステータ 16との協働により発電が行われる。

[0026] ところで，クラッチァウタ 9は，クラッチインナ 8を囲繞する環状部 9aから，クランク軸 2 にキー結合されるボス 9cまでの全体が鍛造により一体に成形され，その環状部 9a及びボス 9c間を一体に連結する側壁部 9bの外周部に設けられた凹部 20にァウタロータ 5の内周端部を嵌合し，それらの嵌合部に溶接 22を施すので，孔あけやリベット止めを必要とした従来のものよりも工数を削減しながら，クラッチァウタ 9及びァゥタロータ 5を一体化することができ，コストの低減に寄与し得る。

[0027] し力もクラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の，凹部 20での嵌合により，両者の同心精度を高めることができるから，クラッチァウタ 9のボス 9cをクランク軸 2に固着し，ステータ 16を定位置に固定したサイドカバー 15をクランクケース 1の定位置に接合したときの，ァウタロータ 5及びステータ 16間の同心誤差を少なくすることができ，したがってァウタロータ 5及びステータ 16の対向周面間の間隙を狭めて発電機 4の発電効率の向上を図ることができる。

[0028] 特に，クラッチァウタ 9の凹部 20にァウタロータ 5を圧入する場合には，クラッチァゥタ 9及びァウタロータ 5を高い同心精度で仮止めすることができ，その後の溶接工程でも，同心精度の狂いを効果的に防ぐことができる。

[0029] また上記凹部 20は，クラッチァウタ 9の環状部 9aの半径方向最小肉厚部 9aaの側方投影面 21内に配置されるので，環状部 9a及び側壁部 9bの軸方向に沿う総合肉厚の大なる部分が，凹部 20の分だけ肉抜きされることになり，したがって側壁部 9bの単独部分の肉厚を減少させることなぐ即ち側壁部 9bの強度を損じることなぐクラッチアウタ 9の軽量ィ匕を図ることができる。

[0030] さて，図 2により，上記クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5を溶接する本発明第 1実施例の方法について説明する。

[0031] クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の両側壁部 5b, 9bの突き合わせ溶接 22には，プラズマ溶接法や TIG溶接法が適当である。その溶接に際しては，先ず，永久磁石 5c, 5c…の磁束の通過を阻止する，磁性材 (例えば電磁軟鉄)からなる磁気シールドリング 23をァウタロータ 5の永久磁石 5c, 5c…群の内周面に沿って設置する。そして，この磁気シールドリング 23の内側で，溶接トーチ Tから前記両側壁部 5b, 9bの突き合わせ部に向けてビーム又はアークを照射しながら，クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5をその軸線周りに回転するか，若しくは溶接トーチ Tをクラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の軸線周りに回転することにより，上記突き合わせ部に溶接 22を施す。

[0032] 而して，永久磁石 5c, 5c…の磁束は，磁気シールドリング 23により上記溶接部への影響を遮断されるので，溶接時，溶接トーチ T力発射されたビーム又はアーク等が永久磁石 5c, 5c…側に引き寄せられることを防止でき，したがって上記ビーム又はアークのワークに対する照射位置の狂いを防ぐことができるので，クラッチァウタ 9 及びァウタロータ 5相互の溶接を確実に行い得て，溶接不良の発生を効果的に防ぐこと力 Sできる。

[0033] 特に，永久磁石 5c, 5c…群の内周面に沿って配置される磁気シールドリング 23によれば，ァウタロータ 9の内側に永久磁石 5c, 5c…の磁束が及ばない比較的広い領域を形成することができ，クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5相互の溶接を確実に行うこと力 Sできる。

実施例 2

[0034] 次に，図 3に示す本発明の第 2実施例の溶接方法について説明する。

[0035] この第 2実施例は，クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の溶接時，前実施例の磁気シールドリング 23に代えて，溶接トーチ丁に，そのビーム又はアーク発生部を囲繞する磁気シールド筒 24を装着したもので，その他の構成は前実施例と同様であるので ,図 3中，前実施例と対応する部分は同一の参照符号を付して，その説明を省略する。

[0036] この第 2実施例においても，前実施例と同様に，永久磁石 5c, 5c…の磁束の，溶接トーチ Tの発射ビーム又はアーク等に対する影響を磁気シールド筒 24により遮断して，クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5相互の溶接を確実に行うことができる。

[0037] 特に，磁気シールド筒 24は，これを溶接トーチ Tに一旦装着するだけで，多数のクラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の溶接を確実に行うことができ，作業性が良好である。

[0038] また他の実施例として，前記磁気シールドリング 23及び磁気シールド筒 24を併用すれば，永久磁石 5c, 5c…の磁束の，溶接トーチ Tの発射ビーム又はアーク等に対する影響を，より確実に防ぐことができる。

[0039] 次に，図 4により，前記クラッチァウタ及びァウタロータの溶接継手構造の変形例について説明する。

[0040] この変形例は，クラッチァウタ 9及びァウタロータ 5の両側壁部 5b, 9bの，ァゥタロータ 5内に臨む側面間に段差 26を設け，この段差 26によって両側壁部 5b, 9b間に形成された環状隅部 27に溶接 22を施して，両側壁部 5b, 9bを一体化したものであり，その他の構成は図 1のものと同一であるので，図 4中，図 1のものと対応する部分には同一の参照符号を付して，その説明を省略する。

[0041] この変形例によれば，突き合わせ溶接時のように，両側壁部 5b, 9b間に開先溝を形成する必要がなぐ工数の更なる削減を図ることができる。そして，この場合の隅肉溶接 22にも，本発明の溶接方法が実施可能である。

[0042] 尚，本発明は，上記実施例に限定されるものではなぐその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 発電機 (4)の，内周面に環状配列の複数の永久磁石（5c， 5c' を配設したァウタロータ（5)に，その内側で他部材（9)を溶接（22)するに当たり，前記ァウタロータ（5) 及び他部材（9)の溶接部と前記永久磁石（5c, 5c…）との間に，該永久磁石（5c， 5 c- - ')の磁束の通過を阻止する磁気シールド部材（23, 24)を配置することを特徴とする，発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法。

[2] 請求項 1記載の発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法において，

前記磁気シールド部材を，前記溶接部を囲むように前記永久磁石（5c, 5c ')群の内周面に沿って配置される磁気シールドリング（23)で構成したことを特徴とする，発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法。

[3] 請求項 1記載の発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法において，

前記磁気シールド部材を，前記溶接に使用する溶接トーチ (T)に，それのビーム又はアーク発生部を囲繞するように装着される磁気シールド筒（24)で構成したことを特徴とする，発電機用ァウタロータと他部材との溶接方法。