明 細 書
コーティング剤及びガスバリアフィルム
技術分野
[0001] 本発明は、高湿度下での酸素バリア性と耐屈曲疲労性 (ゲルボ特性)と接着性を満 足し、更に、レトルト試験 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理)後においても高湿 度下での酸素ノ リア性と接着性を両立させたガスノ リアフィルムとそれに用いることの できるコーティング剤に関するものである。
背景技術
[0002] 従来より、ポリオレフイン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート 、ポリアミドなどの熱可塑性榭脂よりなるフィルム、特に配向されたポリプロピレン、ポリ エチレンテレフタレート、ポリアミド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透 明性などを有し広く包装材料として用いられている。しかし、これらフィルムを食品包 装用として用いる場合には、その気体透過性が大きすぎることから酸素ノ リア性が不 十分であり、酸素や好気性微生物などによる影響を受けて内容物の変質を招き易い ため、他のガスノ リア性の良い膜層を積層するなどの方法を採ることが多い。
[0003] その最も代表的な手段としては、上記フィルムにアルミニウムなどの金属箔をラミネ ートしたり蒸着したりする方法である。それら積層体は優れたガスノ リア性、特に優れ た酸素バリア性を発揮することから有効に活用されている。
し力し、アルミニウムをラミネートしたフィルムや蒸着したフィルムは不透明であるため 、これらを用いて食品の包装を行った場合に内容物を視認することができな 、欠点 がある。また、内容物の異物検査を行う際、金属探知機を使用できないという欠点が ある。そこで近年の包装形態の多様化傾向に伴い、透明でガスノ リア性に優れたフィ ルムの要求がますます高まって 、る。
[0004] 一方、従来から、気体透過性の小さな透明プラスチックフィルム素材も種々知られ ており、例えばポリビュルアルコール、ポリエチレンビュルアルコールおよびポリ塩化 ビ -リデン系榭脂が挙げられる。しかし、これらの榭脂を使用したフィルムはポリプロピ レン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムに比べて、強度、伸度、耐水性、耐熱性な
どの物性が不十分であり、特にポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール は非常に吸湿性が大きぐそのフィルムロールの端面が吸湿によって花びら状になる ため取り扱いが困難になりやすぐまたガスノ リア性も吸湿によって大幅に低下してし まつ。
[0005] よって、ポリビュルアルコール、ポリエチレンビュルアルコールのフィルムは、包装材 料用として到底単独で用い得るものではない。そこで通常 20— 40 m程度のこれら のフィルムは、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムなどと積層 することによって包装材料用として用いられている。し力もポリビュルアルコール、ポリ エチレンビュルアルコールのフィルムは高価格であり、複層化することによって更に 高価格なものとなるば力りでなくトータルのフィルム厚みが厚くなる、高度の透明性が 得られ難いなどの問題点がある。
[0006] また、これら積層フィルムによって得られるガスノ リア性は、アルミニウムをラミネート したフィルムや蒸着したフィルムに比べると未だ十分とは言えな 、ことから、高透明で 高度のガスノ リア性を有し、し力も低価格のフィルムが強く求められているのが現状 である。
[0007] これらの問題を解決すベぐ配向されたポリプロピレンやポリエステル、ポリアミドの フィルムに前記ポリビュルアルコール、ポリエチレンビュルアルコール、ポリ塩化ビ-リ デン等のバリア性榭脂を塗布して包装材料として用いる方法も検討されており、特に ポリ塩ィ匕ビユリデン塗布フィルムについては多量に用いられている。しかし、ポリビ- ルアルコールゃポリエチレンビュルアルコール塗布フィルムの場合、塗布層の剥離 強度が不十分であるという問題がある。一方、ポリ塩ィ匕ビユリデン塗布フィルムは塩素 を含有することから、燃焼の際地球環境を汚染する可能性も指摘されている。そこで 、塩素を使わない素材による酸素ガスバリア性フィルムが強く要望されており、開発 検討がなされている。
[0008] 以上のような事情に鑑み、例えば、 日本国公告特許公報昭 53— 12953号には酸 化珪素を基材の表面に蒸着したフィルム力 日本国公開特許公報昭 62— 179935 号には酸ィ匕アルミニウムを基材の表面に蒸着したフィルムが開示されて 、る。これら の蒸着フィルムは燃焼により有害物の発生がなぐ透明性も良好であるが、フィルム
の形成には蒸着工程が加わるのでコストが非常に高くなると共に、無機皮膜の可とう 性に欠けるためクラックが発生し、それによりバリア性が低下するという問題がある。ま た、日本国公開特許公報平 7—102083号にはポリビニルアルコールとポリアクリル酸 の部分中和物力 なるバリアフィルムが提案されている力 高温での熱処理を必要と し、生産性が低下する問題やフィルム物性を低下させる問題がある。また、 日本国公 開特許公報 2003— 128808号にはレトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間 処理)に適用可能なノリアフィルムとして、アクリル酸とアクリルアミドを共重合した榭 脂から形成されるノリアフィルムが提案されているが、該フィルムを製造する際に高 温での熱処理を必要とするため、生産性が低下する。また該フィルムの物性が低下 する問題や、十分な酸素バリア性が得らないという問題がある。また、 日本国公開特 許公報平 9 316236号には、荷電粒子とポリビュルアルコールからなる分散液をコ 一ティングしたバリアフィルムが開示されて 、るが、当該フィルムはポリビュルアルコ ールのガラス転移温度以上のレトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理) を行うと、ポリビュルアルコールが溶解するため、レトルト処理に適応できないという問 題がある。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明は従来技術の課題を解決するためになされたもので、高湿度下の酸素バリ ァ性を有し、耐屈曲疲労性 (ゲルボ特性)、透明性、基材との接着性に優れ、更に、 レトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理)後も高湿度下での酸素バリア 性と接着性を維持することのできるガスノリアフィルムとそれに用いるコーティング剤 に関するものである。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意、研究検討した結果、遂に本発明を 完成するに到った。以下に本発明を詳細に述べる。
[0011] 第 1の発明は、モノマー成分として一般式 (I)で表されるアクリルアミドを 50重量%以 上含んでなるアクリル榭脂、水溶性高分子および無機系層状ィ匕合物を含むコーティ ング剤である。
[化 1]
H
(但し、式中 R1は水素またはメチル基、 R2および R3は水素、メチロール基またはアル コキシメチル基を示す。 R2と R3は同一でも異なっていても良いが、 R2と R3の両方が水 素ではない。)
[0012] 第 2の発明は、一般式 (I)力 N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロールメタ クリルアミドである第 1の発明に記載のコーティング剤。
[0013] 第 3の発明は、水溶性高分子がポリビュルアルコールである第 1の発明に記載のコ 一ティング剤。
[0014] 第 4の発明は、無機系層状化合物の平均粒子径が 3 μ m以下、アスペクト比が 100 以上 4000以下である第 1の発明に記載のコーティング剤。
[0015] 第 5の発明は、コーティング剤中の全固形分を 100重量%としたときに、無機系層 状ィ匕合物が 6— 45重量%含まれる第 1の発明に記載のコーティング剤。
[0016] 第 6の発明は、アクリル榭脂における N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロー ルメタクリルアミド以外のモノマーが水溶性である第 2の発明に記載のコーティング剤
[0017] 第 7の発明は、アクリル榭脂における N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロー ルメタクリルアミド以外のモノマー力 水酸基あるいはアミド基を有する第 6の発明に 記載のコーティング剤。
[0018] 第 8の発明は、溶媒として、水およびアルコールを用いた第 1の発明に記載のコー ティング剤。
[0019] 第 9の発明は、アルコールがイソプロピルアルコールである第 8の発明に記載のコ 一ティング剤。
[0020] 第 10の発明は、モノマー成分として一般式 (I)で表されるアクリルアミドを 50%重量 部以上含んでなるアクリル榭脂、水溶性高分子および無機系層状ィ匕合物からなる榭 脂組成物層を熱可塑性榭脂基材の少なくとも片面上に形成したガスノ リアフィルム。
[化 2]
(但し、式中 R1は水素またはメチル基、 R2および R3は水素、メチロール基またはアル コキシメチル基を示す。 R2と R3は同一でも異なっていても良いが、 R2と R3の両方が水 素ではない。)
[0021] 第 11の発明は、一般式 (I)力 N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロールメタ クリルアミドである第 10の発明に記載のガスバリアフィルム。
[0022] 第 12の発明は、水溶性高分子がポリビュルアルコールである第 10の発明に記載 のガスバリアフィルム。
[0023] 第 13の発明は、無機系層状ィ匕合物の平均粒子径が 3 m以下、アスペクト比が 10
0以上 4000以下である第 10の発明に記載のガスバリアフィルム。
[0024] 第 14の発明は、榭脂組成物層における無機系層状ィ匕合物が 6— 45重量%含まれ る第 10の発明に記載のガスノ リアフィルム。
[0025] 第 15の発明は、アクリル榭脂における N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロ ールメタクリルアミド以外のアクリルモノマーが水溶性である第 11の発明に記載のガ スバリアフィルム。
[0026] 第 16の発明は、アクリル榭脂における N—メチロールアクリルアミドまたは N—メチロ ールメタクリルアミド以外のアクリルモノマーが水酸基あるいはアミド基を有する第 15 の発明に記載のガスバリアフィルム。
[0027] 第 17の発明は、熱可塑性榭脂基材がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンお
よびポリアミドのうち、いずれ力 1種である第 10の発明に記載のガスバリアフィルム。
[0028] 第 18の発明は、 23°C、 85%相対湿度の条件下で測定した榭脂組成物層の酸素 透過度が 10ccZm2' 24hr'atm以下である第 10の発明に記載のガスバリアフィルム 発明の効果
[0029] 本発明により得られるガスバリアフィルムは、透明性、基材との密着性、透明性、酸 素バリア性、ゲルボ特性に優れる。当該ガスノ リアフィルムは単独で、あるいは各種 高分子フィルム等との積層体にして、食品、医薬品、 日用雑貨、工業製品の包装材 料として好適に使用することができる。更に、本発明のガスノ リアフィルムはレトルト処 理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理)により殺菌する食品用途にも好適に使用 することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるアクリル榭脂に使用されるモノマーとしては、一般式 (I)で表されるァ クリルアミドを 50重量%以上含むことが必要である。
[化 3]
H
(但し、式中 R1は水素またはメチル基、 R2および R3は水素、メチロール基またはアル コキシメチル基を示す。 R2と R3は同一でも異なっていても良いが、 R2と R3の両方が水 素ではない。)
[0031] 一般式 (I)で表されるアクリルアミドのうち、 R1は水素のものが好ましい。また R2および
R3はメチロール基のものが硬化性の観点から好ましい。
[0032] 一般式 (I)の具体例としては、 N—メチロールアクリルアミド、 N—メチロールメタクリルァ
ミド、 N, N—ジメチロールアクリルアミド、 N, N—ジメチロールメタクリルアミド、 N—メト キシメチルアクリルアミド、 N—メトキシメチルメタクリルアミド、 N—メトキシェチルアタリ ルアミド、 N—メトキシェチルメタクリルアミド等が挙げられる力 N—メチロールアクリル アミドを使用することが好まし 、。これらモノマー成分はアクリル榭脂全体を 100重量 %としたときに 50重量%以上含まれることが必要であり、 75重量%以上含まれること が好ましぐ 80重量%以上含まれることがより好ましぐ 90重量%以上含まれることが さらに好ましい。上限は特に限定されず 100重量%であっても良い。
[0033] 本発明に用いるアクリル榭脂には必要に応じて、その他の重合性不飽和二重結合を 有するモノマーを共重合することも可能である。また、水酸基を有し重合性不飽和二 重結合を有するモノマー、アクリルアミドモノマーまたはカルボキシル基を有し重合性 不飽和二重結合を有するモノマーを共重合することもできる。
[0034] 水酸基を有し重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、 2—ヒドロキシェチ ルアタリレート、 2—ヒドロキシェチルメタタリレート、 2—ヒドロキシアルキルアタリレート、 2—ヒドロキシアルキルメタタリレート等が挙げられる。
[0035] また、アクリルアミドモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、 N—メチルァク リルアミド、 N—メチルメタクリルアミド、 N—メトキシメチルアクリルアミド、 N—メトキシメチ ルメタクリルアミド、 N—フエ-ルアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが挙げられる
[0036] また、カルボキシル基を有し重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例 えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル 酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ィタコン酸、無水ィタコン酸、不飽和脂肪酸等が 挙げられる。
[0037] さらにその他のモノマーとしては、例えば、アルキルアタリレート、アルキルメタクリレ ート、グリセリンアタリレート、グリセリンメタタリレート、ポリエチレングリコールモノアタリ レート、ポリエチレングリコールメタアタリレート、ポリ力プロラタトン変性ヒドロキシェチ ルアタリレート、ポリ力プロラタトン変性ヒドロキシェチルメタタリレート、エポキシアタリレ ート、エポキシメタタリレート、ビュルピロリドン、アクリルアミドスチレン、メタクリルアミド スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、ァリルアルコール、アルキルビニルエーテ
ル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、 α—ォレフイン、アクリロニトリル等 が挙げられる。
[0038] これら共重合することのできるモノマーは、製造工程における利便性の観点力 水 溶性であるものが好ましい。
[0039] 本発明に用いるアクリル榭脂の製造は、例えば水および溶剤中において、上記モノ マーと開始剤の存在下、不活性ガス気流中、好ましくは 40— 95°Cで、 1一 24時間か けて行われる。用いる溶剤は水溶性のものが好ましぐ例えばメタノール、エタノール 、イソプロピルアルコール、 n プロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、 エチレングリコーノレモノアノレキノレエーテノレ、エチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、 ジエチレングリコール、ジエチレングリコーノレモノァノレキノレエ一テル、ジエチレングリコ ールジアルキルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノアルキ ノレエーテノレ、トリエチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、プロピレングリコーノレ、グリ セリン等が挙げられる。これらのうち、用いる溶媒としては乾燥性や汎用性の観点より 水およびアルコールが好ましぐ特に水およびイソプロピルアルコールを用いることが 好ましい。上記溶剤は、単独で使用してもよぐ 2種類以上を併用してもよい。
[0040] アクリル榭脂の製造に使用される開始剤としては、水溶性ラジカル開始剤が好ましい 力 特に限定されない。開始剤としては、例えば、過硫酸アンモ-ゥム、過硫酸ナトリ ゥム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、 2, 2'—ァゾビス 2—メチルプロピ オンアミジン塩酸塩等のァゾアミジン化合物、 2, 2,ーァゾビスー2—( 2—イミダゾリン 2 ィル)プロパン塩酸塩等の環状ァゾアミジン化合物、 2—力ルバモイルァゾイソブチロ 二トリル等のァゾ-トリルイ匕合物等のァゾィ匕合物等が使用される。この際、亜硫酸水 素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モー ル塩等の Fe (II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミ ン塩酸塩、チォ尿素、 L—ァスコルビン酸、 Lーァスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリ ソルビン酸塩等の促進剤を併用することもできる。これら開始剤は室温下で反応系中 に初期から混合、溶解してもよぐ数時間かけて反応系中に滴下してもよい。
[0041] 本発明に用いる水溶性高分子としては、常温で水に完全に溶解もしくは微分散可 能な高分子が好ましぐ例えば、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシェチルセルロースなどのセルロース誘導体、酸化でん ぷん、エーテル化でんぷん、デキストリンなどのでんぷん類、ポリビュルピロリドン、ス ルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル、ポリヒドロキシェチルメ タクリレートおよびその共重合体などのビニル系重合体、アクリル系重合体、ウレタン 系重合体、エーテル系重合体あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、ァミノ 基などによる変性重合体などが挙げられる。これらのうち少なくとも 1種類がポリビ- ルアルコール重合体およびその誘導体であることが好ましぐ特に好ましくは、けん化 度 75モル%以上のポリビュルアルコールである。また全水酸基の 40モル%以下が ァセタール化して 、るポリビュルアルコールも好ましぐビュルアルコール単位力 ½0 モル0 /0以上である共重合ポリビュルアルコールも好まし!/、。ポリビュルアルコールお よびその誘導体の重合度 ίま、 100— 5000力好ましく、 200— 3000力更に好まし!/、。
[0042] 本発明に用いる無機系層状ィ匕合物とは極薄の単位結晶層が重なって一つの層状 粒子を形成している無機化合物のことであり、溶媒に膨潤またはへき開するものが好 まし 、。無機層状ィ匕合物としては特に溶媒への膨潤性を有する粘土ィ匕合物が好まし く用いられる。該粘土ィ匕合物は天然のものであっても合成されたものでも良い。代表 的な粘土ィ匕合物としては、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、バーキュライト 、デイツカイト、ナクライト、アンチゴライト、ノイロフィライト、ヘクトライト、パイデライト、 マーガライト、タルク、テトラシリリックマイ力、白雲母、金雲母、緑泥石等が挙げられる
[0043] 無機層状化合物は、ガスバリア性を発現する観点、またコストに与える影響等から、 平均粒径 3 μ m以下でアスペクト比が 100— 4000のものが好ましく用いられる。ガス ノ リア性の点からは、このアスペクト比は 100以上が好ましぐ 200以上がより好ましく 、 500以上であることが特に好ましい。アスペクト比が 4000を越える無機層状ィ匕合物 を得ることは技術的に難しぐまたそのような無機層状ィ匕合物は高価なものとなる。製 造容易性の点からは、このアスペクト比が 2000以下のものが入手し易ぐ特に 1500 以下のものがより入手し易い。アスペクト比は、レーザー回折式粒度分布測定装置( LMS— 30 ;セイシン企業製)による 50%平均粒子径 (L)を求め、また透過型電子顕 微鏡による面間隔の平均厚さ(a)を求めることにより決定することが出来る。平均ァス
ぺクト比 (X)は、 X=LZaとして算出することが出来る。
[0044] 無機層状化合物の平均粒子径は、製膜性な!/、し成形性の点から、 3 μ m以下であ ることが好ましい。ここで言う平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計 (LMS— 3 0、セイシン企業製)の 50%メジアン径を求め、それを平均粒子径とする。透明性の 点からは、この平均粒子径は 2 m以下であることが更に好ましい。透明性が重視さ れる用途 (例えば、食品の包装用途)に用いる場合には、この平均粒子径は 1 μ m以 下であることが、特に好ましい。下限は特に限定されないが、ガスノ リア性の観点から 平均粒子径は 0. 01 μ m以上が好ましい。
[0045] 本発明に用いる無機系層状ィ匕合物はコーティング剤の全固形分を 100重量%とし たときに 6— 45重量%含まれることが望ましい。 6重量%未満であると、充分なバリア 性が得られないことがあり、 45重量%を超えると剥離試験においてノ リア層凝集破壊 を生じ十分な接着強度が得られないことがある。また、耐屈曲疲労性 (ゲルボ特性) が十分でないという問題を生じる場合もある。無機系層状ィ匕合物は、 7— 45重量% 含まれることが好ましぐ 10— 40重量%含まれることがさらに好ましい。
[0046] 本発明のガスバリアフィルムは、水溶性高分子と、該水溶性高分子の水酸基と化学 結合を生成することの出来る N—メチロール基または N—アルコキシメチル基を有する アクリル榭脂と、無機層状ィ匕合物を混合してなるコーティング剤を基材に塗布、乾燥 、熱処理することで得ることができる。榭脂成分(固形分)を 100重量%としたときに、 アクリル榭脂は 10— 90重量%、水溶性高分子は 90— 10重量%の範囲にあることが 好ましぐアクリル榭脂 20— 80重量%、水溶性高分子 80— 20重量%の範囲にある ことがさらに好ましい。
[0047] 本発明のコーティング剤を塗布 '乾燥して得られるガスノ リア性コート層の厚みは、 フィルムが十分なガスノ リア性を発現するためには少なくとも 0. 2 mより厚くすること が好ましい。好ましくは 0. 以上である。上限は特に限定されないが生産性、密 着性ゃ耐屈曲疲労性の点から 10 /z m未満であることが好ましい。また、コーティング 剤の固形分濃度は 3— 20重量%の範囲であることが好ましい。あまりに希薄な溶液 では、十分なガスノ リア性を発現するのに必要な厚みをコートすることが困難となり、 また加熱による塗膜形成工程において水や溶剤を蒸発させるために多量の熱量を
要するという問題を生じることがある。一方、溶液の固形分濃度が高すぎると溶液粘 度が高くなり、混合、塗工時などにおける生産性の悪ィ匕を招く問題が生じる。
[0048] 本発明のコーティング剤には、榭脂固形分 100重量部に対して濡れ性改良剤が 0 . 01— 5重量部配合されていることが好ましい。濡れ性改良剤の配合量が 0. 01重量 部未満であると、熱可塑性榭脂基材フィルムへの濡れ性が不十分であり、コート欠点 が多いフィルムになることがある。一方、濡れ性改良剤の配合量が 5重量部を越える 場合には、剥離強度が悪くなるおそれがある。
[0049] このような濡れ性改良剤としては、コーティング剤の表面張力を低下させるものであ ればよぐ各種界面活性剤、水溶性溶剤、水性榭脂などを用いることができる。
[0050] 界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫 酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸ィヒォレフインなどの硫酸エス テル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などのス ルホン酸塩、リン酸塩、石鹼などのカルボン酸塩、高級アルコールエチレンォキサイ ド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレ ンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエ チレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコー ルエチレンオキサイド付加物などポリエチレングリコール型ノ-オン系界面活性剤、グ リセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール の脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価ァ ルコールのアルキルエーテル、アルカノールァミン類の脂肪酸アミドなど多価アルコ 一ル型ノユオン系界面活性剤、アミノ塩型や第 4級アンモ-ゥム塩型のカチオン系界 面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エス テル塩型の両性界面活性剤などが挙げられる。
[0051] また水溶性溶剤としては、混和性に問題がなければ様々なものを使用することがで き、例えばメタノール、エタノール、 n—プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、 エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンなどを用いる ことができる。
[0052] 本発明のコーティング剤を用いてガスノ リアフィルムを製造する場合には、コーティ
ング剤を熱可塑性榭脂基材フィルムに塗布、乾燥後、さらに加熱処理することによつ て、特に高湿度下での酸素ガスノ リア性や耐水性が良好になる。フィルムは 110°C 以上の温度で熱処理されることが好ましい。更には、 120°C以上で熱処理されること 力 り好ましぐ 135°C以上で熱処理されることが特に好ましい。上限は 170°C以下で 熱処理されることが好ましい。加熱処理の温度が低すぎると、フィルムの酸素ガスバリ ァ性と接着性に劣ることがある。また、 170°Cを超える高温で加熱処理を行うと、フィ ルム物性の低下を起こす場合がある。
[0053] 該コーティング剤を熱可塑性榭脂基材フィルムに塗布して乾燥、熱処理する際に、 アクリル榭脂のメチロール基 (またはアルコキシメチル基)が水溶性高分子の水酸基 等と縮合反応するので、本発明のガスノ リアフィルムは優れた耐屈曲疲労性や接着 性を発揮するものと考えられる。縮合反応が進行して ヽるか否かは当該フィルムの水 浸漬テストを実施することにより判断することが出来る。
また、本発明のガスノ リアフィルムは、上記縮合反応により耐熱性と耐水性に優れ たノ リア層を形成することが出来るため、例えレトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理)を行ったとしても、高湿度下での酸素ノ リア性と接着性を維持すること ができる。
[0054] 本発明のガスバリア性フィルムを製造する際にコーティング剤を塗布する熱可塑性 榭月旨基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ リブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル榭脂からなるフィ ルム、ナイロン 6、ナイロン 66,ナイロン 46等のポリアミド榭脂からなるフィルム、ポリエ チレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン榭脂からなるフィルム等が挙げられる。前記 榭脂の混合物力もなるフィルム、またはそれらの積層体であってもよい。また、基材フ イルムの表面は、接着性向上などのために、コロナ処理など物理的な表面改質、カツ プリング剤処理などの化学的処理がなされて ヽてもよ 、。
[0055] ガスノ リア性フィルムを製造する際に、熱可塑性榭脂基材フィルム上にポリエステ ル榭脂またはポリウレタン榭脂とポリイソシァネートを含んで成るプライマー層を積層 した上に、本発明のコーティング剤を塗布した後、加熱処理しても構わない。該プライ マー層は、ガスノ リア層と基材フィルムとの密着性をより向上させる効果がある。
[0056] 上記プライマー層を形成するポリエステル榭脂としては、多価カルボン酸またはそ れらのジアルキルエステルと、グリコールを反応させて得られるポリエステルポリオ一 ルを用いることが出来る。ポリウレタン榭脂はポリエステルポリオール、場合によって は 2官能ダリコールを、 2官能イソシァネートと反応させたものが好適に使用できる。
[0057] これらのポリエステル榭脂またはポリウレタン榭脂のガラス転移温度は、 50— 100 °Cが好ましぐ 40— 90°Cがより好ましぐ 20— 80°Cがさらに好ましい。また、これ らのポリエステル榭脂またはポリウレタン榭脂の重量平均分子量は 1000— 10万のも のが好ましぐ 3000— 5万のもの力より好ましく、 1万一 4万のものがさらに好ましい。
[0058] 上記プライマー層を形成するポリウレタン榭脂におけるポリイソシァネート成分として は、例えば、 2, 4—トリレンジイソシァネート、 2, 6—トリレンジイソシァネート、 m フエ -レンジイソシァネート、 p フエ-レンジイソシァネート、 4, 4,ージフエ-ルメタンジィ ソシァネート、 2, 4'ージフエ-ルメタンジイソシァネート、 2, 2'—ジフエ-ルメタンジィ ソシァネート、 3, 3しジメチル— 4, 4,—ビフエ-レンジイソシァネート、 3, 3しジメトキ シー 4, 4,一ビフエ-レンジイソシァネート、 3, 3,一ジクロロー 4, 4,一ビフエ-レンジイソ シァネート、 1, 5 ナフタレンジイソシァネート、 1, 5—テトラヒドロナフタレンジイソシァ ネート、キシリレンジイソシァネート、テトラメチルキシリレンジイソシァネートなどの芳 香族ポリイソシァネート、テトラメチレンジイソシァネート、 1, 6—へキサメチレンジイソ シァネート、ドデカメチレンジイソシァネート、トリメチルへキサメチレンジイソシァネー ト、 1, 3—シクロへキシレンジイソシァネート、 1, 4ーシクロへキシレンジイソシァネート 、水素添カ卩キシリレンジイソシァネート、リジンジイソシァネート、イソホロンジイソシァ ネート、 4, 4,ージシクロへキシルメタンジイソシァネート、 3, 3,一ジメチルー 4, 4,ージ シクロへキシルメタンジイソシァネート等の脂肪族ポリイソシァネートが挙げられる。ま た上記ポリイソシァネート単量体力 誘導されたイソシァヌレート、ビューレット、ァロフ ァネート等の多官能ポリイソシァネートイ匕合物、あるいはトリメチロールプロパン、ダリ セリン等の 3官能以上のポリオ一ルイ匕合物との反応により得られる末端イソシァネート 基含有の多官能ポリイソシァネートイ匕合物等も用いることができる。
[0059] 本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリアコーティング剤層の上にシーラントと呼 ばれるヒートシール性榭脂層を形成することができる。ヒートシール性榭脂層の形成
は、通常、押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。
[0060] ヒートシール性榭脂層を形成する熱可塑性重合体としては、接着性が十分に発現 できるものであればよぐ高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ リエチレンなどのポリエチレン榭脂類、ポリプロピレン榭脂、エチレン 酢酸ビニル共 重含体、エチレン ひーォレフィンランダム共重合体、アイオノマー榭脂などを使用で きる。通常、ヒートシール性榭脂は塩素原子を含有しないものが、焼却処理時の環境 問題の点力も好ましい。
[0061] 本発明のコーティング剤を塗布したガスバリアフィルムは、 23°C、 85%相対湿度の 条件下で測定したバリア性榭脂組成物層の酸素透過度が、 10cc/m2- 24hr-atm 以下であることが好ましい。より好ましくは 9ccZm2' 24hr'atm以下、最も好ましくは 7ccZm2' 24hr'atm以下である。 10ccZm2' 24hr'atmを超えると目的とするガス ノ リアの効果を得られないことがある。尚ここで言う酸素透過度は MODERN CON TROLS INC社製 OX-TRAN 10Z50Aを用いて lOcm X 10cmのサンプルを 測定器にセッティングして、酸素ガスを流し (全流量 100ccZmin、各セル流量は 10 cc/min)、 8時間の測定時間で測定した値とする。
[0062] 上記ガスバリアフィルムにおいて、レトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間 処理)を行ったフィルムの 23°C、 85%相対湿度の条件下で測定したノ リア性榭脂組 成物層の酸素透過度が、 10ccZm2' 24hr'atm以下であることが好ましい。より好ま しくは 9ccZm2' 24hr'atm以下、最も好ましくは 7ccZm2' 24hr'atm以下である。
[0063] 上記ガスバリアフィルムは、レトルト処理 (加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理)前 後のラミネート強度が共に 0. 2kgfZl5mm以上であることが好ましい。より好ましく は 0. 25gfZl5mm以上、最も好ましくは 0. 3kgfZl5mm以上である。
[0064] 本発明のガスノ リアフィルムは、酸素ガスノ リア性を必要とする様々な分野に適用 することが出来る。ガスノ リアフィルムは単独で、あるいは各種高分子フィルムとの積 層体として、食品、医薬品、 日用雑貨、工業製品の包装材料の分野で好適に使用さ れる。
[0065] 本発明のガスノ リアフィルムは、熱可塑性榭脂基材フィルムとして透明なものを用 いる場合は、ガスノ リアフィルム全体としても透明性を有することが好ましい。この透
明性は、波長 500nmの全光線透過率が 80%以上であることが好ましぐ 85%以上 であることがより好ましぐ 90%以上であることが特に好ましい。このような透明性は、 例えば、市販の分光光度計(日立製作所製、自記分光光度計 330型)で測定するこ とが可能である。また、ガスバリアフィルムの曇度(HAZE)については 25%以下が好 ましぐさらには 20%以下が好ましぐ特に 15%以下が好ましい。測定には市販のへ ーズメーターを用いる。
実施例
[0066] 次に本発明を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明する。実施例中およ び比較例中に単に部とあるのは重量部を示す。特性値評価は以下の方法により行な つた o
[0067] 酸素透過度の測定
測定機器 MODERN CONTROLS INC社製 OX— TRAN 10/50Aを用いて 10cm X 10cmのサンプルを測定器にセッティングして、 23°C、 65%相対湿度の条 件において、酸素ガスを流し(全流量 100ccZmin、各セル流量は lOccZmin)、 8 時間の測定時間で測定した。ガスバリア性フィルムにおける樹脂組成物層の酸素透 過度は以下の計算式により求めた。
1/P = 1/P + 1/P
t 1 2
但し、
P:ヒートシール性榭脂層とガスバリア榭脂組成物層を有するフィルム全体の酸素透 過度
P:ガスバリア榭脂組成物層の酸素透過度
P
2:基材フィルム層とヒートシール性榭脂層のみカゝらなる積層体の酸素透過度 酸素透過度の単位は、 ccZm2' 24hr'atmで示した。
[0068] ラミネート強度の測定
基材フィルムにコーティング剤を塗布、乾燥、熱処理したフィルムのコート面側に、接 着剤としてポリエステル系榭脂 (東洋モートン社製、商品名: AD590)とポリイソシァ ネート (東洋モートン社製、商品名: CAT— 56)の混合液を、膜厚が 3 μ mになるよう に塗布、乾燥し、さらに無延伸ポリプロピレンフィルム (厚み 40 m、東洋紡績社製:
PI 128)のコロナ放電処理面と貼り合わせ、 40°Cで 72時間エージングを行い、ラミネ 一トフイルムを得た。このラミネートフィルム(15mm幅)を用いて、引張試験機 UTM2 (東洋測器社製)により、剥離速度 lOcmZ分で 23°C、相対湿度 65%において基材 フィルムとポリプロピレンフィルムの間を 90°剥離したときの剥離強度を測定した。
[0069] 耐屈曲疲労性 (ゲルボ特性)のテスト方法
ゲルボフレックステスター MIL— B131H (理学工業社製)を用いて評価した。 112inc h X 8inchのサンプルフィルムを直径 3inchの円筒状とし、 23°C、相対湿度 65%の 条件下で、ストロークの 3inchで 400度ひねりをカ卩えた。この動作の繰り返し往復運 動を 40回 Zminの速度で 100回行なった後、酸素透過度の測定を、上述の方法に より行った。
[0070] レトルト処理後の酸素透過度
TOMY社製 ES—3151を用いて、密閉加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理した後 、冷却してサンプルを取り出した。次いで 80°C、 2時間乾燥させた後、上述と同等の 方法により酸素透過度を測定した。
[0071] レトルト処理後のラミネート強度
TOMY社製 ES—3151を用いて、密閉加圧下 120°Cの熱水中で 30分間処理した後 、冷却してサンプルを取り出した。次いで 80°C、 2時間乾燥させた後、上述と同等の 方法によりラミネート強度を測定した。
[0072] 〔製造例 1〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコール 210部、 N—メ チロールアクリルアミド (綜研ィ匕学社製、 N-MAM) 150部を仕込み溶解させた。さら に、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナトリウム 0. 06部、無水酢酸ナトリウム 1. 5 部を仕込み溶解させた。ついで、反応容器を窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで 昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成物は室温まで冷却し、ろ過して、取り出 した。アクリル榭脂溶液粘度の測定を、 BL粘度計 (TOKIMEC INK社製)を用い、 25°Cで行った。溶液粘度は 2. 98dPa' sであり、固形分濃度 20重量%であった。
[0073] 〔製造例 2〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコール 210部、 N—メ
チロールアクリルアミド(綜研化学社製、 N-MAM) 120部、 2—ヒドロキシェチルァク リレート 30部を仕込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナトリ ゥム 0. 06部、無水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。ついで、反応容器を 窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成 物を室温まで冷却し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 1. 28dPa' s、固形分濃度 20 重量%のアクリル榭脂溶液を得た。
[0074] 〔製造例 3〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコールを 210部、 N— メチロールアクリルアミド(綜研化学社製、 N— MAM) 120部、 2—ヒドロキシェチルメタ アタリレート 30部を仕込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナ トリウム 0. 06部、無水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。次いで、反応容器 を窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成 物を室温まで冷却し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 4. 34dPa' s、固形分濃度 20 重量%のアクリル榭脂溶液を得た。
[0075] 〔製造例 4〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコールを 210部、 N— メチロールアクリルアミド(綜研化学社製、 N— MAM) 195部、 2—ヒドロキシェチルァ タリレート 55部を仕込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナト リウム 0. 06部、無水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。次いで、反応容器を 窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成 物を室温まで冷却し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 1. 3dPa' s、固形分濃度 20重 量0 /0のアクリル榭脂溶液を得た。
[0076] 〔製造例 5〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコール 210部、 N—メ チロールアクリルアミド(綜研ィ匕学社製、 N-MAM) 120部、アクリルアミド 30部を仕 込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナトリウム 0. 06部、無 水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。次いで、反応容器を窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成物は室温まで冷却
し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 2. 86dPa' s、固形分濃度 20重量%のアクリル 榭脂溶液を得た。
[0077] 〔製造例 6〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、イオン交換水 90部を仕込み、室温で撹拌しながら、ポリビニルアルコー ル (クラレ社製、商品名: PVA105) 10部を投入し、 98°C、 2時間で溶解した後室温 まで冷却し、ろ過して、水溶性高分子溶液を得た。
[0078] 〔製造例 7〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、イオン交換水 92. 5部を仕込み、室温で撹拌しながら、ポリビュルアルコ ール (クラレネ土製、商品名: PVA117) 7. 5部を投入し、 98°C、 2時間で溶解した後室 温まで冷却し、ろ過して、水溶性高分子溶液を得た。
[0079] 〔製造例 8〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、イオン交換水 97部とモンモリロナイト (クニミネ工業社製、商品名:クニピ ァー F、粒子径 100— 2000nm、平均アスペクト比 320)を 3部仕込み、攪拌しながら 、 80°C、 4時間で分散させ、室温まで冷却し、ろ過して、無機層状化合物の分散体を 製造した。
[0080] 〔実施例 1〕延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム (厚み 25 μ m、東洋紡績社製: E 5100)のコロナ処理面に、ポリエステル榭脂 15部 (東洋モートン社製、商品名: AD- 335AE)とポリイソシァネート 1. 5部 (東洋モートン社製、商品名: CAT10)を混合し た溶液を、膜厚が 0. 3 mになるように塗布して、乾燥を行ない、プライマー層を有 するポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 7部と製造例 6で溶解したポリビニルアルコール水溶液 120部と製造例 8で製造した 無機層状ィ匕合物の分散体 200部を室温で混合し、ペイントシエイカ一 (TOYOSEIK I社製、 PAINT SHAKER)で 2時間分散させた。得られた混合液にポリアルキレン グリコール系界面活性剤 (第一工業製薬社製、商品名:ノィゲン 110) 0. 2部を配合 し、 100 /z mギャップのアプリケーターを用いて、アンカーコート面に塗布し、熱風乾 燥機で 75°C、 2分間乾燥させた。さらに、熱風乾燥機で 140°C、 2分間熱処理を行つ た。榭脂塗膜厚みは 2. 2 mであった。次に、このフィルムのコート面側に、ラミ接着 剤としてポリエステル系榭脂 100部 (東洋モートン社製、商品名、 AD590)とポリイソ
シァネート 16部 (東洋モートン社製、商品名: CAT— 56)を混合した溶液を、膜厚が 3 μ mになるように塗布、乾燥し、無延伸ポリプロピレンフィルム (厚み 40 m、東洋紡 績社製、 P1128)のコロナ放電処理面と貼り合わせ、 40°Cで 72時間エージングを行 い、ラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムにっき、酸素透過率、ゲルボテス ト後の酸素透過率、ラミネート強度を評価した。得られたフィルム特性を表 1に示す。
[0081] 〔実施例 2〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 14部と製造例 6のポリビュルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 6 mであった。得られたフィルム特性を表 1に示す。
〔実施例 3〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビニルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 6 mであった。得られたフィルム特性を表 1に示す。
[0082] 〔実施例 4〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビュルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いた以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った。榭脂塗 膜厚みは 1. 3 mであった。得られたフィルム特性を表 1に示す。
[0083] 〔実施例 5〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6の製造例 1で重合し たアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビニルアルコール水溶液 257部と製造例8 で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液を用いて、熱風乾燥機で 160 °C、 1分間熱処理を行った以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価 を行った。榭脂塗膜厚みは 2. 6 mであった。得られたフィルム特性を表 1に示す。
[0084] 〔実施例 6〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 60部と製造例 7のポリビュルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 7 mであった。得られたフィルム特性を表 1に示す。
[0085] 〔実施例 7〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 33部と製造例 7のポリビュルアルコ ール水溶液 267部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液
を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 5 mであった。得られたフィルム特性を表 2に示す。
[0086] 〔実施例 8〕製造例 3で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビュルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 5 mであった。得られたフィルム特性を表 2に示す。
[0087] 〔実施例 9〕製造例 4で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビュルアルコ ール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液 を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った 。榭脂塗膜厚みは 2. 7 mであった。得られたフィルム特性を表 2に示す。
[0088] 〔実施例 10〕製造例 2で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 7のポリビニルアル コール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合 液を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行 つた。榭脂塗膜厚みは 2. 4 mであった。得られたフィルム特性を表 2に示す。
[0089] 〔実施例 11〕製造例 5で重合したアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビュルアル コール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合 液を用いて、実施例 1の延伸ポリエステルの代わりに、延伸ナイロンフィルム (厚み 25 ^ m,東洋紡績社製: N2100)を用いた以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプル を製造し評価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. 5 mであった。得られたフィルム特性を 表 2に示す。
[0090] [表 1]
実施例 1 実施例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5 実施例 6 酸素透過度
4.2 2.8 2.3 5.7 4.5 3.8
(ccノ m - 24hr- atm)
ゲルポ亍スト 1 00回後の酸素透過度
4.5 3.0 2.5 6.1 4.6 4.2
(ccノ m2 - 24hr- atm)
ラミネート強度 0.43 0.62 0.67 0.61 0.58 0.43
(kgf/1 5mm)
レトルト処理後の酸素透過度
4.5 3.1 2.5 5.9 4.7 4.1
Ccc/m^ - 24hr- atm)
レトルト処理後のラミネート強度 0.41 0.54 0.62 0.57 0.55 0.41
(kgfZl 5mm)
[0091] [表 2]
[0092] 〔比較例 1〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコール 210部、 N—メ チロールアクリルアミド(綜研化学社製、 N-MAM) 120部、 2—ヒドロキシェチルァク リレート 180部を仕込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナト リウム 0. 06部、無水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。次いで、反応容器を 窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成 物は室温まで冷却し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 3. 67dPa' s、固形分濃度 34 重量0 /0のアクリル榭脂溶液を得た。このアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビ- ルアルコール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部 の混合液を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評 価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. 5 mであった。得られたフィルム特性を表 3に示す
[0093] 〔比較例 2〕セパラブル 4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を 取り付けて、室温にて、イオン交換水 390部、イソプロピルアルコール 210部、 N—メ チロールアクリルアミド(綜研化学社製、 N-MAM) 120部、アクリルアミド 180部を仕 込み溶解させた。さらに、過硫酸カリウム 1. 5部、亜硫酸水素ナトリウム 0. 06部、無 水酢酸ナトリウム 1. 5部を仕込み溶解させた。次いで、反応容器を窒素置換した後、 30分間で 65°Cまで昇温し、 65°Cで 3時間反応させた。反応生成物は室温まで冷却 し、ろ過して、取り出した。溶液粘度 45. 8dPa' s、固形分濃度 34重量%のアクリル 榭脂溶液を得た。このアクリル榭脂溶液 43部と製造例 6のポリビニルアルコール水溶
液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液を用いて 塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った。榭脂塗 膜厚みは 2. 7 mであった。得られたフィルム特性を表 3に示す。
[0094] 〔比較例 3〕アクリル酸 90部、アクリルアミド 10部力もなるアクリル榭脂 (住友化学社製 、Sumirez Resin 7200A)の 20重量%水溶液 43部と製造例 6のポリビュルアル コール水溶液 257部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合 液を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行 つた。榭脂塗膜厚みは 2. 1 μ mであった。得られたフィルム特性を表 3に示す。
[0095] 〔比較例 4〕ポリアクリル酸榭脂(和光純薬社製、数平均分子量 25000)の 10重量% 水溶液 43部と製造例 6のポリビニルアルコール水溶液 257部の混合液と製造例 8で 分散した無機層状ィ匕合物の分散体 200部の混合液を用いて塗布した以外は、実施 例 1と同様の方法で、サンプルを製造し評価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. 3 mで あった。得られたフィルム特性を表 3に示す。
[0096] 〔比較例 5〕ポリビュルアルコール榭脂(クラレネ土製、商品名: PVA105)の 10重量0 /0 水溶液を使用し、アクリル榭脂と無機層状ィ匕合物を混合しなカゝつた以外は、実施例 1 と同様の方法で、サンプルを製造し、評価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. であ つた。得られたフィルム特性を表 4に示す。
[0097] 〔比較例 6〕共重合ポリエステル榭脂水分散体 (東洋紡績社製、商品名:バイロナール MD1400)の 15重量%水溶液 250部と製造例 8で分散した無機層状ィ匕合物の分散 体 200部の混合液を用いて塗布した以外は、実施例 1と同様の方法で、サンプルを 製造し、評価を行った。榭脂塗膜厚みは 3. 6 mであった。得られたフィルム特性を 表 4に示す。
[0098] 〔比較例 7〕製造例 6のポリビュルアルコール榭脂水溶液 257部と製造例 8で分散した 無機層状ィ匕合物の分散体 200部を使用し、アクリル榭脂を混合しな力 た以外は実 施例 1と同様の方法で、サンプルを製造し、評価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. 4 μ ηι であった。得られたフィルム特性を表 4に示す。
[0099] 〔比較例 8〕製造例 1で重合したアクリル榭脂溶液 60部と製造例 8で分散した無機層 状化合物の分散体 200部を使用し、水溶性高分子を混合しなカゝつた以外は実施例 1
と同様の方法で、サンプルを製造し、評価を行った。榭脂塗膜厚みは 2. であ つた。得られたフィルム特性を表 4に示す。
[0100] [表 3]
[0101] [表 4]
産業上の利用可能性
[0102] 本発明のガスノ リアフィルムは、透明性、接着性、透明性、酸素ノ リア性、耐屈曲疲 労性 (ゲルボ特性)に優れる。このガスノリアフィルムは単独で、あるいは各種高分子 フィルムとの積層体として、食品、医薬品、 日用雑貨、工業製品の包装材料として好 適に使用することができる。