明 細 書
含フッ素エラストマ一塗料組成物
技術分野
[0001] 本発明は、架橋可能な含フッ素エラストマ一、架橋剤および溶剤からなる含フッ素 エラストマ一塗料組成物に関する。また、前記塗料組成物からなる塗膜およびその塗 膜を有する塗装物品に関する。
背景技術
[0002] テトラフルォロエチレン(TFE)—パーフルォロビュルエーテル系のパーフルォロェ ラストマーは、その卓抜した耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性を示すことから、自動車ェ 業、半導体工業、化学工業などの分野において広く用いられており、その用途の一 つとして、塗料として用いることが知られている。
[0003] フッ素含有量の高 、パーフルォロエラストマ一は、ポリオール架橋ゃァミン架橋など では、架橋させることができないため、パーフルォロゴムを架橋することができるパー オキサイド架橋剤を用いた塗料組成物が開発されている。たとえば、塗料用の組成 物として、パーフルォロゴムおよびパーオキサイド系架橋剤力もなるコーティング用組 成物が開示されている(例えば、特開昭 61— 201078号公報または特開昭 64-755 73号公報参照)。しかし、これらのコーティング用組成物は、酸素が存在する条件下 では、架橋阻害がおこり、架橋できないため、スチーム加硫缶中によるスチーム架橋 等、酸素を排除した条件下での架橋が必要であった。また、架橋部位の耐熱性が劣 つて 、ると!/、う問題もあった。
[0004] 架橋部位の耐熱性に優れるパーフルォロゴムの有効な架橋手段として、イミダゾー ル系架橋剤が開示されている(例えば、国際公開 WO01Z32773号パンフレット参 照)。しかし、該イミダゾール系架橋剤を含む含フッ素エラストマ一組成物は、シール 材として好適に用いられるものであって、塗料としては知られていないのが現状であ る。
[0005] 従って、パーフルォロエラストマ一を用いて、有効かつ実用的な架橋が可能である 塗料は、存在しなカゝつた。
発明の開示
[0006] 本発明は、架橋可能な含フッ素エラストマ一、架橋剤および溶剤からなる、溶液安 定性に優れた含フッ素エラストマ一塗料組成物を提供する。また、前記塗料組成物 カゝらなり、熱安定性および架橋安定性に優れた塗膜およびその塗膜を有する塗装物 品を提供する。
[0007] すなわち本発明は、(A)—般式(1):
[0009] (式中、 Υ1は、 -NHR1, -ΝΗ 、 一 ΟΗまたは— SHであり、 R1は、フッ素原子または 1
2
価の有機基である)で示される架橋性反応基を少なくとも 2個含む化合物、(Β)—般 式(1)で示される架橋性反応基と反応可能な架橋部位を有する含フッ素エラストマ 一、および (C)溶剤力もなる含フッ素エラストマ一塗料組成物に関する。
[0010] 含フッ素エラストマ一力 パーフルォロエラストマ一であることが好ましい。
[0011] 架橋部位力 シァノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基力 なる群 力も選択される少なくとも 1つの基力もなることが好ましい。
[0012] 溶剤が、水素濃度 3%以下のフッ素系溶剤であることが好ましい。
[0013] また、本発明は、前記含フッ素エラストマ一塗料組成物を空気中で架橋することに より得られる塗膜に関する。
[0014] さらに、本発明は、金属、榭脂、ゴムまたはそれらの複合体力もなる物品の一部また は全面に、前記塗料組成物力もなる塗膜を有する塗装物品に関する。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 本発明は、(Α)—般式(1):
[0016] [化 2]
[0017] (式中、 Y1は、 -NHR1, NH 、 一 OHまたは— SHであり、 R1は、フッ素原子または 1
2
価の有機基である)で示される架橋性反応基を少なくとも 2個含む化合物、(B)—般 式(1)で示される架橋性反応基と反応可能な架橋部位を有する含フッ素エラストマ 一、および (C)溶剤力もなる含フッ素エラストマ一塗料組成物に関する。
[0018] く化合物 (A) >
化合物 (A)は、架橋構造を形成するために一般式(1):
[0020] (式中、 Y1は、 -NHR1, -NH 、 一 OHまたは— SHであり、 R1は、フッ素原子または 1
2
価の有機基であり、好ましくは NHR1である)で示される架橋性反応基を少なくとも 2 個、好ましくは 2— 3個、より好ましくは 2個有する。一般式(1)で示される架橋性反応 基が、 2個未満であると、架橋することができないため、塗膜を形成することができな い。
[0021] 一般式(1)で示される架橋性反応基における置換基 R1は、水素原子以外の 1価の 有機基またはフッ素原子である。 N— R1結合は、 N— H結合よりも耐酸ィ匕性が高いた め好ましい。
[0022] 1価の有機基としては、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フ ニル 基またはべンジル基があげられる。具体的には、たとえば、 R1の少なくとも 1つが C H 、 一 C H 、 一 C Hなどの炭素数 1一 10、特に 1一 6の低級アルキル基;一 CF 、 一 C
2 5 3 7 3 2
F、 -CH Fゝ -CH CF 特に 1一 6のフッ素原子
2 3、 -CH C Fなどの炭素数: 1
5 2 2 2 5 一 10、
含有低級アルキル基;フエ-ル基;ベンジル基; C F 、 一 CH C Fなどのフッ素原子
6 5 2 6 5
で 1一 5個の水素原子が置換されたフエ-ル基またはべンジル基; C H (CF )
6 5-n 3 n、
CH C H (CF ) (nは 1一 5の整数)などの CFで 1一 5個の水素原子が置換さ
2 6 5-n 3 n 3
れたフエ-ル基またはべンジル基などがあげられる。
[0023] これらのうち、耐熱性が特に優れており、架橋反応性が良好であり、さらに合成が比 較的容易である点から、フエ-ル基、 CHが好ましい。
3
[0024] 化合物 (A)として、一般式 (1)で示される架橋性反応基を 2個有する一般式 (2): [0025] [化 4]
[0028] または単結合手である。)で示される化合物が合成が容易な点力も好ましい。
[0029] 炭素数 1一 10のアルキレン基の好ましい具体例としては、たとえば炭素数 1一 6の 非置換アルキレン基、または炭素数 1一 10のパーフルォロアルキレン基などがあげら れるが、パーフルォロアルキレン基としては、
[0030] [化 6]
C F 3
I
I
C F 3
[0031] などがあげられる。なお、これらの化合物は、特公平 2— 59177号公報、特開平 8— 1 20146号公報などで、ビスジァミノフエ-ル化合物の例示として知られて!/、るもので める。
[0032] これらの中でもより好ましい化合物 (A)としては、一般式(3):
[0033] [化 7]
[0034] (式中、 R3は、同じかまたは異なり、いずれも炭素数 1一 10のアルキル基;フッ素原子 を含有する炭素数 1一 10のアルキル基;フエ-ル基;ベンジル基;フッ素原子および Zまたは CFで 1
3 一 5個の水素原子が置換されたフエ-ル基またはべンジル基であ る)で示される化合物である。
[0035] 具体例としては、限定的ではないが、たとえば 2, 2 ビス [3 アミノー 4 (N メチル ァミノ)フエ-ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N—ェチルァミノ )フエ-ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N プロピルァミノ)フ ェ -ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N フエ-ルァミノ)フエ- ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N パーフルオロフェ-ルアミ ノ)フエ-ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4—(N ベンジルァミノ) フエ-ル]へキサフルォロプロパンなどがあげられる。これらの中でも、架橋物の耐熱 性の点から、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N フエ-ルァミノ)フエ-ル]へキサフルォロ プロパンがさらに好ましい。
[0036] 以上に説明したィ匕合物 (A)は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に優れ、特に耐熱 性と耐薬品性にバランスよく優れた架橋物を与えるものである。
[0037] なお、 2, 2—ビス— [3 アミノー 4— (N フエ-ルァミノ)フエ-ル]へキサフルォロプロ パンは、ジャーナノレ'ォブ'ポリマ^ ~ ·サイエンスのポリマ^ ~ ·ケミストリー編、 Vol. 20、 2381— 2393頁(1982)でモノマーとして合成されて!ヽる。
[0038] 化合物(A)の添加量は、含フッ素エラストマ一(B) 100重量部に対して、 0. 1— 20 重量部であることが好ましぐ 0. 5— 10重量部であることがより好ましい。化合物 (A) 力 0. 1重量部未満であると、実用上充分な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が得ら れない傾向があり、 20重量部をこえると、架橋に多大な時間がかかる上、架橋物が 硬く柔軟性がなくなる傾向がある。
[0039] <含フッ素エラストマ一(B) >
含フッ素エラストマ一 (B)は、一般式(1)で示される架橋性反応基と反応可能な架 橋部位を有するものであればよぐ特に限定されるものではな 、。
[0040] 一般式(1)で示される架橋性反応基と反応可能な架橋部位としては、シァノ基 (- C
N基)、カルボキシル基 (一 COOH基)、アルコキシカルボ-ル基 (一 COOR4基。 R4は 炭素数 1一 3のアルキル基)があげられるが、これらの中でも、架橋物の耐熱性の点 から、シァノ基であることが好ましい。
[0041] 含フッ素エラストマ一(B)としては、架橋可能なものであれば、とくに制限はないが、 耐熱性、耐薬品性の点力もパーフルォロエラストマ一であることが好ま 、。
[0042] 含フッ素エラストマ一(B)としては、とくに制限はなぐ例えば、フッ素ゴム(a)、熱可 塑性フッ素ゴム (b)、およびこれらのフッ素ゴム力 なるゴム組成物などがあげられる
[0043] フッ素ゴム(a)としては、非パーフルオロフッ素ゴム(a— 1)およびパーフルオロフッ 素ゴム (a— 2)があげられる。また、熱可塑性フッ素ゴム (b)としては、エラストマ一性含 フッ素ポリマー鎖セグメントと非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントからなるも のがあげられ、エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントおよび非エラストマ一性 含フッ素ポリマー鎖セグメントのそれぞれの構成単位の 90モル%以上がパーハロォ レフインである含フッ素多元セグメント化ポリマー(b— 1)、エラストマ一性含フッ素ポリ マー鎖セグメントの構成単位の 90モル0 /0以上がパーハロォレフインであり、かつ非ェ ラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントが構成単位として 90モル0 /0未満のパーハ ロォレフインを含む含フッ素多元セグメント化ポリマー(b— 2)、およびエラストマ一性 含フッ素ポリマー鎖セグメントが構成単位として 90モル0 /0未満のパーハロォレフイン を含み、かつ非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの構成単位の 90モル0 /0 以上がパーハロォレフインである力または構成単位として 90モル%未満のパーハロ ォレフィンを含む含フッ素多元セグメント化ポリマー(b— 3)があげられる。
[0044] 非パーフルオロフッ素ゴム(a— 1)としては、ビ-リデンフルオライド(VdF)系フッ素 ゴム、テトラフルォロエチレン (TFE)Zプロピレン系フッ素ゴム、テトラフルォロェチレ
'二リデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン Zへ
キサフルォロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン Zへキサフルォロプロピレン( HFP) Zビ-リデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン Zへキサフルォロプロ ピレン(HFP)Zテトラフルォロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルォロシリコーン系フ ッ素ゴム、またはフルォロホスファゼン系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ 単独で、または本発明の効果を損なわな 、範囲で任意に組合わせて用いることがで きる。
[0045] ビ-リデンフルオライド系フッ素ゴムとは、ビ-リデンフルオライド 45— 85モル0 /0と、 ビ-リデンフルオライドと共重合可能な少なくとも 1種の他の単量体 55— 15モル%と 力 なる含フッ素エラストマ一性共重合体をいう。好ましくは、ビ-リデンフルオライド 5 0— 80モル%と、ビ-リデンフルオライドと共重合可能な少なくとも 1種の他の単量体 50— 20モル%と力 なる含フッ素エラストマ一性共重合体をいう。
[0046] ビ-リデンフルオライドと共重合可能な少なくとも 1種の他の単量体としては、たとえ ばテトラフルォロエチレン(TFE)、クロ口トリフルォロエチレン(CTFE)、トリフルォロ エチレン、へキサフルォロプロピレン(HFP)、トリフルォロプロピレン、テトラフルォロ プロピレン、ペンタフルォロプロピレン、トリフルォロブテン、テトラフルォロイソブテン、 パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)(PAVE)、フッ化ビュルなどの含フッ素単 量体、エチレン、プロピレン、アルキルビュルエーテルなどの非フッ素単量体があげ られる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。 これらのなかでも、テトラフルォロエチレン、へキサフルォロプロピレン、パーフルォロ (アルキルビュルエーテル)が好まし!/、。
[0047] 具体的なゴムとしては、 VdF— HFP系ゴム、 VdF— HFP— TFE系ゴム、 VdF— CTF E系ゴム、 VdF— CTFE— TFE系ゴムなどがある。
[0048] テトラフルォロエチレン Zプロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルォロエチレン 45— 70モル0 /0、プロピレン 55— 30モル0 /0力らなり、さらにテトラフルォロエチレンとプロピ レンの合計量に対して、架橋部位を与える単量体 0— 5モル%含有する含フッ素共 重合体をいう。
[0049] 架橋部位を与える単量体としては、たとえば特開平 4 505345号公報、特開平 5— 500070号公報に記載されて ヽるようなシァノ基含有単量体、カルボキシル基含有
単量体、アルコキシカルボ-ル基含有単量体などがあげられる。
[0050] パーフルオロフッ素ゴム(a— 2)としては、テトラフルォロエチレン Zパーフルォロ(ァ ルキルビニルエーテル) z架橋部位を与える単量体力 なるものなどがあげられる。 テトラフルォロエチレン/パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)の組成は、 50— 9 0/10— 50モノレ0 /0であること力 S好ましく、より好ましくは、 50— 80/20— 50モノレ0 /0 であり、さらに好ましくは、 55— 70Z30— 45モル%である。また、架橋部位を与える 単量体は、テトラフルォロエチレンとパーフルォロ(アルキルビュルエーテル)の合計 量に対して、 0— 5モル%であることが好ましぐ 0— 2モル%であることがより好ましい
[0051] この場合のパーフルォロ(アルキルビュルエーテル)としては、たとえばパーフルォ 口(メチルビ-ルエーテル)、パーフルォロ(プロピルビュルエーテル)などがあげられ 、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
[0052] 架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式 (4):
CF = CFO (CF CF (CF ) O) (CF )— X1 (4)
2 2 3 m 2 n
(式中、 mは、 0— 5の整数、 nは、 1一 3の整数、 X1は、シァノ基、カルボキシル基、ァ ルコキシカルボニル基)で表される単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で
、または任意に組合わせて用いることができる。
[0053] このシァノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ-ル基力 架橋部位となり、化合 物 (A)と架橋反応が進行する。
[0054] つぎに、熱可塑性フッ素ゴム (b)である、含フッ素多元セグメントィ匕ポリマー(b—l) について説明する。
[0055] まず、エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントについて説明する。エラストマ一 性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、重合体に柔軟性を付与し、ガラス転移点が 25°C 以下、好ましくは 0°C以下である。その構成単位の 90モル%以上を構成するパーハ ロォレフインとしては、たとえば、テトラフルォロエチレン、クロ口トリフルォロエチレン、 へキサフルォロプロピレン、一般式(5):
CF =CFO (CF CFY20)— (CF CF CF O)— R1 (5)
2 2 p 2 2 2 q f
(式中、 Y2は、 Fまたは CF、 R 1は、炭素数 1一 5のパーフルォロアルキル基、 pは、 0
3 f
一 5の整数、 qは、 0— 5の整数)で表されるパーフルォロビニルエーテルなどがあげ られる。
[0056] エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハロォレフイン以外の 構成単位としては、たとえばビ-リデンフルオライド、トリフルォロエチレン、トリフルォ 口プロピレン、テトラフノレォロプロピレン、ペンタフノレォロプロピレン、トリフノレオロブテ ン、テトラフルォロイソブテン、フッ化ビュルなどの含フッ素単量体、エチレン、プロピ レン、アルキルビュルエーテルなどの非フッ素単量体などであればよ!、。
[0057] エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの好まし 、例としては、テトラフルォロェ チレン zパーフルォロ(アルキルビュルエーテル) z架橋部位を与える単量体からな るエラストマ一性ポリマー鎖があげられる。テトラフルォロエチレン zパーフルォロ(ァ ルキルビュルエーテル)の組成は、 50— 85Z50— 15モル%であり、架橋部位を与 える単量体が、テトラフルォロエチレンとパーフルォロ(アルキルビュルエーテル)の 合計量に対して、 0— 5モル%であることが好ましい。
[0058] 架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式 (4)、一般式 (5)で表されるよ うな単量体などがあげられる。
[0059] つぎに、非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントについて説明する。非エラ ストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの構成単位の 90モル0 /0以上を構成するパ 一ハロォレフインとしては、たとえばテトラフルォロエチレン、クロ口トリフルォロェチレ ン、パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)、へキサフルォロプロピレン、一般式(6)
CF =CF (CF ) X2 (6)
2 2 r
(式中、 rは、 1一 10の整数、 X2は、フッ素原子または塩素原子)で表される化合物、 パーフルオロー 2—ブテンなどのパーハロォレフインなどがあげられる。
[0060] 非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハロォレフイン以外 の構成単位としては、エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハ ロォレフイン以外の構成単位と同様のものがあげられる。
[0061] 非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの好まし 、例としては、テトラフルォ 口エチレン 85— 100モル%、および一般式(7):
CF =CF-R (7)
2 f
(式中、 R2は、 R3または OR 3であり、 R3は、炭素数 1一 5のパーフルォロアルキル基 f f f f
)で表される化合物 0— 15モル%カもなる非エラストマ一性ポリマー鎖があげられる。
[0062] つぎに、含フッ素多元セグメントィ匕ポリマー (b— 2)について説明する。
[0063] この場合のエラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、前記含フッ素多元セグ メント化ポリマー (b—1)について説明したものと同じでよい。
[0064] 非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの構成単位としては、ビ-リデンフル オライド、フッ化ビュル、トリフルォロエチレン、一般式(8):
CH =CX -(CF )—X3 (8)
2 2 s
(式中、 X3は、水素原子またはフッ素原子、 sは、 1一 10の整数)で表される化合物、 CH =C (CF )などの部分フッ素化ォレフインなどがあげられる。
2 3 2
[0065] また、これらの単量体と共重合可能なエチレン、プロピレン、塩化ビニル、ビュルェ 一テル、カルボン酸ビニルエステル、アクリル酸などの単量体も共重合成分として用 いることがでさる。
[0066] つぎに、含フッ素多元セグメントィ匕ポリマー (b— 3)について説明する。
[0067] 含フッ素多元セグメント化ポリマー(b— 3)におけるエラストマ一性含フッ素ポリマー 鎖セグメントはガラス転移点が 25°C以下、好ましくは 0°C以下のポリマー鎖である。
[0068] また、エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、構成単位として 90モル0 /0未 満のパーハロォレフインを含む。この場合のパーハロォレフイン以外の構成単位とし ては、前記含フッ素多元セグメント化ポリマー(b—l)のパーハロォレフイン以外の構 成単位と同じものがあげられる。
[0069] 含フッ素多元セグメント化ポリマー(b— 3)における非エラストマ一性含フッ素ポリマ 一鎖セグメントは、前述した含フッ素多元セグメント化ポリマー (b—l)または (b— 2)に おける非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントと同じでよい。
[0070] 熱可塑性フッ素ゴム (b)は、 1分子中にエラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメント と非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントがブロックゃグラフトの形態で結合し た含フッ素多元セグメント化ポリマーであることが重要である。
[0071] エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの数平均分子量は、得られる含フッ素
多元セグメント化ポリマー全体へ柔軟性の付与、弾性の付与、機械的物性の付与の 点から、 5, 000— 750, 000であること力 S好ましく、 20, 000— 400, 000であること 力 り好ましい。
[0072] 非エラストマ一性セグメントの数平均分子量は、 1, 000— 1, 200, 000であること 力 子ましぐより好まし <は 3, 000— 600, 000である。
[0073] また、熱可塑性パーフルォロゴム (b) (含フッ素多元セグメント化ポリマー)の耐熱性 という点から、非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの結晶融点は、 150°C 以上であることが好ましぐ 200— 360°Cであることがより好ましい。
[0074] 熱可塑性パーフルォロゴム(b)は、 1分子中にエラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セ グメントと非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントがブロックゃグラフトの形態で 結合した含フッ素多元セグメント化ポリマーであることが重要であり、エラストマ一性含 フッ素ポリマー鎖セグメントの両側に非エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントが 結合したポリマー分子、エラストマ一性含フッ素ポリマー鎖セグメントの片側に非エラ ストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントが結合したポリマー分子を主体とするもので める。
[0075] 本発明にお 、ては、前述のようなフッ素ゴム(a)と熱可塑性フッ素ゴム (b)とからなる 組成物を用いることもできる。
[0076] <含フッ素エラストマ一(B)の製造方法 >
本発明に使用される含フッ素エラストマ一 (B)は、常法により製造することができ、 乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの重合法により製造することができる。重 合時の温度、時間などの重合条件としては、モノマーの種類や目的とするエラストマ 一により適宜決定すればよい。
[0077] 重合開始剤としては、好ましくはカルボキシル基またはカルボキシル基を生成し得 る基 (たとえば、酸フルオライド、酸クロライド、 CF OHなどがあげられる。これらはい
2
ずれも水の存在下にカルボキシル基を生ずる)をエラストマ一末端に存在させ得るも のが好ましい。具体例としては、たとえば過硫酸アンモ-ゥム (APS)、過硫酸カリウム (KPS)などがあげられる。
[0078] 重合反応混合物から重合生成物を単離方法としては、酸処理により凝析する方法
iS 工程の簡略ィ匕の点力も好ましい。または、重合混合物を酸処理し、その後凍結 乾燥などの手段で重合生成物を単離してもよい。さらに超音波などによる凝析ゃ機 械カによる凝析などの方法も採用できる。
[0079] 本発明で用いる含フッ素エラストマ一(B)は、重合生成物を酸処理することにより、 重合生成物に存在して 、るカルボン酸の金属塩やアンモ-ゥム塩などの基をカルボ キシル基に変換することができる。酸処理法としては、たとえば塩酸、硫酸、硝酸など により洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系を pH3以下にする方法が 適当である。
[0080] また、ヨウ素や臭素を含有する架橋性エラストマ一を発煙硝酸により酸化してカルボ キシル基を導入することもできる。
[0081] さらに、シァノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ-ル基の導入方法としては、 国際公開 OOZ05959号パンフレットに記載の方法も用いることができる。
[0082] く溶剤(C) >
本発明に使用できる溶剤としては、特に限定されず、含フッ素エラストマ一を充分に とかすことができるものであればよい。また、含フッ素エラストマ一として、パーフルォ 口エラストマ一を使用する場合は、パーフルォロエラストマ一を充分にとかすことがで きる点で、化学構造力 計算される水素濃度が 3%以下のフッ素系溶剤が好ましぐ 水素濃度が 0%である完全フッ素化溶剤がより好ましい。水素濃度が 3%をこえる溶 剤であると、パーフォロエラストマ一の溶解性に乏しい傾向がある。
[0083] さらに、化合物 (A)中のフエ-ルァミン骨格は、一部の低級ケトン系などの溶剤で は、変質してしまう傾向があり、長期の溶液安定性を損なうため、変質しない溶剤を 使うことが好ましい。
[0084] フエ-ルァミン骨格を変質させな 、、フッ素系溶剤としては、パーフロ 3級ァミン (例 えば、パーフルォロトリー n—ブチルァミン、パーフルォロトリエチルァミン)、 CFC (完 全ノヽロゲン化クロ口フルォロカーボン)、 HFC (ハイド口フルォロカーボン)、 HCFC ( ハイド口クロ口フルォロカーボン)、フロリナート FC— 77 (登録商標、住友スリーェム株 式会社製、主成分 F O)などがあげられる。また、フッ素系溶剤以外の溶剤として
8 16
は、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソペンチ
ルなどのエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、トル ェン、キシレンなどの炭化水素類、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルー 2—ピロリ ドンなどのアミド類があげられる。これらは、単独もしくは 2種類以上の溶剤を併用して 用!/、ることができる。
[0085] また、溶剤 (C)は、塗料組成物全体の重量を基準にして、 40— 95重量%用いるこ と力 S好ましく、 70— 90重量%用いることがより好ましい。溶剤が 40重量%未満である と、組成物の溶液粘度が高く加工が困難になる傾向があり、 95重量%をこえると、一 度の塗布で得られる膜厚が非常に薄くなる傾向がある。
[0086] <含フッ素エラストマ一塗料組成物 >
本発明の塗料組成物は、溶剤以外の各成分を、通常のゴム用加工機械、たとえば 、オープンロール、バンバリ一ミキサー、エーダーなどを用いて混合し、コンパウンドと した後、溶剤に溶解または分散させることにより調製することができる。この他、ボー ルミル等の密閉式混合機を用い、各成分を混合する方法によっても調製することが できる。
[0087] また、必要に応じて架橋性エラストマ一組成物に配合される通常の添加物、たとえ ば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤などの各種添加剤を配合 することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を 1種またはそれ 以上配合してもよい。
[0088] 充填剤としては、カーボンブラック、金属酸ィ匕物などの無機フィラー、エンジニアリン グ榭脂粉末などの有機フィラーなどがあげられ、具体的には、金属酸化物としては、 酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕マグネシウムなどがあげられ、有機フイラ一としては、ポリイミド 、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのイミド構造を有するイミド系フイラ一;ポリアリ レート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフエ二レンスルフイド、ポリエーテノレ エーテルケトン、ポリオキシベンゾエートなどをあげることができる。
[0089] 本発明の塗料組成物により被覆する物質基材 (被塗物)としては、鉄、ステンレス鋼 、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布および不織布な どのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリス ルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および而熱
性榭脂の成形品および被覆物; SBR、ブチルゴム、 NBR、 EPDMなどの汎用ゴム、 およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊 維および合成繊維の織布および不織布などを使用することができる力 本発明の組 成物は特にイミド系榭脂やフッ素ゴムの成形品への接着性に優れる。
[0090] 得られた塗料組成物のコーティング方法としては、例えば、ディップコーティング、 流延、スプレーコーティング、刷毛塗り、カーテンフローコーティングなどにより行うこと ができる。また、塗布が可能な基材としては、金属、榭脂、ゴムまたはそれらの複合体 などがあげられる。
[0091] 塗布されたコーティング膜は、塗布後、溶剤を蒸発させ、さらに塗料組成物の架橋 を行うことが好ましい。溶剤を蒸発させる方法としては、風乾、オーブンによる乾燥等 、通常用いられている方法であれば、特に限定はされない。
[0092] 架橋条件としては、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、 150— 300°Cの温度で、 1分一 24時間焼成を行う。
[0093] また、架橋方法としては、スチーム架橋など通常用いられている方法はもちろんのこ と、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、どのような条件下にお V、ても架橋反応を行うことができる。
[0094] 従来のパーオキサイド架橋では、酸素が存在する条件下では、架橋阻害がおこる ため、スチーム加硫缶中によるスチーム架橋や不活性ガス中での架橋等、架橋に大 掛カゝりな設備を必要としたが、本発明の塗膜組成物は、空気中で架橋することが可 能であるため、塗膜が簡便に得ることができることに加え、得られた塗膜は、熱安定 性および耐薬品性に優れて 、る。
[0095] 本発明の塗料組成物から形成された被膜は、耐薬品性に優れ、高温長期圧縮時 の表面へタリ性も改善されているので、メタルガスケットに適する。また、前記他の基 材上へ被膜を形成することにより、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、被粘着性が要求され る分野で使用でき、具体的な用途としては、以下に示す分野で好適に用いることが できる。
[0096] 半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマァドレ ス液晶パネル、フィールドェミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体
関連分野では、 o (角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、 ライニング、ガスケット、ダイァフラム、ホース等があげられ、これらは CVD装置、ドライ エッチング装置、ウエットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アツシ ング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いること ができる。具体的には、ゲートバルブの Oリング、シール材として、クォーツウィンドウ の Oリング、シール材として、チャンバ一の Oリング、シール材として、ゲートの Oリング
、シール材として、ベルジャーの oリング、シール材として、カップリングの oリング、シ ール材として、ポンプの oリング、シール材、ダイァフラムとして、半導体用ガス制御装 置の oリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用の oリング、シール材として 、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジ スト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライ ニング、コーティングとしてまたはウエットエッチング槽のライニング、コーティングとし て用いることができる。さらに、封止材 'シーリング剤、光ファイバ一の石英の被覆材、 絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティン グ、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、タリ ーンルーム.クリーン設備用シーラント等として用いられる。
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およ びホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材は AT装置に用いることができ、 0 (角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース 、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。 具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クラン クシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マ-ホールドパッキン、 オイルホース、酸素センサー用シール、 ATFホース、インジェクター Oリング、インジ エタターパッキン、燃料ポンプ Oリング、ダイァフラム、燃料ホース、クランクシャフトシ ール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシーノレ、ノ ルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リア一アクスルビ-オンシ ール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フー トブレーキのピストンカップ、トルク伝達の O—リング、オイルシール、排ガス再燃焼装
置のシーノレ、ベアリングシーノレ、 EGRチューブ、ツインキヤブチューブ、キャブレター のセンサー用ダイァフラム、防振ゴム (エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用 ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
[0098] 航空機分野、ロケット分野および船舶分野では、ダイァフラム、 O (角)リング、バル ブ、チューブ、ノ ッキン、ホース、シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いる ことができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステムシール、 燃料供給用ホース、ガスケットおよび O—リング、ローテ一ティングシャフトシール、油 圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロ ペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタ フライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
[0099] プラント等の化学品分野では、ライニング、バルブ、ノ ッキン、ロール、ホース、ダイ ァフラム、 o (角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等があげられ、こ れらは医薬、農薬、塗料、榭脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には 、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置の ガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシー ル、メツキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃 料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール (繊維染色用)、耐酸 ホース (濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、 pHメーターのチューブ結合部のパッキン 、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理ィ匕 学機器のシール、チューブ、ダイァフラム、弁部品等として用いることができる。
[0100] 医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
[0101] 現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野および塗装設備等の塗装分野では 、ロール等があげられ、それぞれフィルム現像機 ·Χ線フィルム現像機、印刷ロールお よび塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機 ·Χ線フィルム現 像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装口 ールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインの ガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。さらに、乾式複写 機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装
設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、 ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用い ることがでさる。
[0102] またチューブを分析 ·理ィ匕学機分野に用いることができる。
[0103] 食品プラント機器分野では、ライニング、バルブ、ノ ッキン、ロール、ホース、ダイァ フラム、 o(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等があげられ、食品製造工程に用 いることができる。具体的には、プレート式熱交^^のシール、自動販売機の電磁弁 シール等として用いることができる。
[0104] 原子力プラント機器分野では、パッキン、 Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム
、ノ レブ、ロール、チューブ等があげられる。
[0105] 鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等があげられ、鉄板加工ロール等に用い ることがでさる。
[0106] 一般工業分野では、パッキング、 Oリング、ホース、シール材、ダイァフラム、バルブ 、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴ ム板、ウエザーストリップ、 PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等があげら れる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング 機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシ ール (真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用 ポンプのダイアフラム (公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール 等に用いられる。
[0107] 電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチン ダシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
[0108] 燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材ゃ水素 '酸素' 生成水配管のシール等として用いられる。
[0109] 電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ 等のプリント配線板プリプレダ榭脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューター のハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
[0110] 現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、たとえば、
自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケ ット、複写機'プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケ ット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング 剤、電気'電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等の オーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、 CRTゥ エッジおよびネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地 シール等があげられる。
実施例
[0111] つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明は力かる実施例のみに限定さ れるものではない。
[0112] 製造例 1(シァノ基含有エラストマ一の合成)
着火源をもたない内容積 3mLのステンレススチール製オートクレーブに、純水 1L および乳化剤として
[0113] [化 8]
CF3 CF3
C3F7OC FCF2OCFCOONH4
[0114] 10g、 pH調整剤としてリン酸水素ニナトリウム · 12水塩 0.09gを仕込み、系内を窒素 ガスで充分に置換し脱気したのち、 600rpmで撹拌しながら、 50°Cに昇温し、テトラ フルォロエチレン(TFE)とパーフルォロ(メチルビ-ルエーテル)(PMVE)の混合ガ ス(TFEZPMVE = 25Z75モル比)を、内圧が 0.78MPa'Gになるように仕込んだ 。ついで、過硫酸アンモ-ゥム(APS)の 527mgZmLの濃度の水溶液 10mLを窒 素圧で圧入して反応を開始した。
[0115] 重合の進行により内圧力 0.69MPa'Gまで降下した時点で、 CF =CFOCF CF
2 2
(CF)OCF CF CN(CNVE)3gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が 0.78MPa
3 2 2
•Gになるように、 TFEを 4.7gおよび PMVE5.3gをそれぞれ自圧にて圧入した。以 後、反応の進行にともない同様に TFE、 PMVEを圧入し、 0.69—0.78MPa'Gの あいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、 TFEと PMVEの合計量が 70g、 130g、 19 Ogおよび 250gとなった時点でそれぞれ CNVE3gを窒素圧で圧入した。
[0116] 重合反応の開始から 19時間後、 TFEおよび PMVEの合計仕込み量が、 300gに なった時点で、オートクレープを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度 21. 2重量%の水性分散体 1330gを得た。
[0117] この水性分散体のうち 1196gを水 3588gで希釈し、 3. 5重量%塩酸水溶液 2800 g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後 5分間撹拌した後、凝析物をろ別し、 得られたポリマーをさらに 2kgの HCFC— 141b中にあけ、 5分間撹拌し、再びろ別し た。この後この HCFC— 141bによる洗浄、ろ別の操作をさらに 4回繰り返したのち、 6 0°Cで 72時間真空乾燥させ、 240gのシァノ基含有エラストマ一を得た。
[0118] 19F— NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、 TFEZPMVEZCN VE = 56. 6/42. 3/1. 1モル0 /。であった。
[0119] 製造例 2 (ヨウ素含有エラストマ一の合成)
内容積 1Lの電磁攪拌式ガラスオートクレープに、純水 500ミリリットルおよび乳化剤 として
[0120] [化 9]
C F 3 C F 3
I I
C 3 F 7 O C F C F 2 O C F C O ON H4
[0121] 50g、 NaCl 1. 634gを仕込んで溶解し、ついで、 Na SO 0. 880gを仕込んだ。ォ
2 3
一トクレーブを脱気し、窒素ガスで内部空間を置換した後、 C F 0[ (CF ) O] CF =
3 7 2 3 2
CF 150gを仕込み、再びオートクレーブで脱気し、テトラフルォロエチレンで内部空
2
間を置換した後、 15°Cでテトラフルォロエチレンを圧入して 2. 04kg/cm2Gまでカロ 圧し、その後、へキサフルォロプロピレンで 3. OkgZcm2Gまで加圧した。この時、ォ 一トクレーブの空間部のガス組成は、へキサフルォロプロピレン約 35モル0 /。であった
[0122] オートクレーブ内容物を 720rpmで攪拌しながら、これに過硫酸アンモ-ゥム (APS ) 5mgの純水 5mL溶液をテトラフルォロエチレンガスで圧入した。重合が開始されて 、圧力が 2. 8kgZcm2Gまで低下したところで、 I (CF ) I 1. Ogをテトラフルォロェチ
2 4
レンガスで圧入して仕込んだ。その後、圧力が 2. OkgZcm2Gまで低下した時点で、 テトラフルォロエチレンを圧入して圧力を 3. OkgZcm2Gに回復した。温度を 15°Cに
保ちつつ、上記圧力の低下および回復を繰り返して、重合を 9時間行った。その後、 ヒドロキノン lOOmgの純水溶液をテトラフルォロエチレンガスで圧入して重合を停止 した。オートクレープ内の気体を放出した後、透明な分散液 780. 7gを回収した。こ の分散液に純水 430gとアセトン 450mLを、さらに塩酸 150mLをカ卩えて攪拌し、生 成物を凝析させ、凝析物をアセトンで 2回洗浄した後、 100°Cで減圧乾燥して、エラ ストマー状重合体 145. 9gを得た。
[0123] 実施例 1
製造例 1で得られたシァノ基含有する含フッ素エラストマ一とジャーナル ·ォブ ·ポリ マ一 ·サイエンスのポリマ一-ケミストリー編、 Vol. 20、 2381— 2393頁(1982)に記 載の方法で合成した架橋剤である 2, 2 ビス [3 アミノー 4 (N フエ-ルァミノ)フエ -ル]へキサフルォロプロパン(AFTA— Ph)とカーボンブラック(Cancarb社製 The rmax N— 990)とを重量比 ΙΟθΖθ. 8 20 (重量部)で、オープンロールにて混合 した後に、パーフロ溶剤であるフロリナート FC— 77 (登録商標、住友スリーェム株式 会社製、主成分: C F O)に溶解させ、固形分濃度が 10重量%の塗料組成物を調
8 16
整した。
[0124] 次に、塗料組成物を SUS 304板上に、バーコ一ターを用いて塗布し、 30分の風乾 した後、 80— 100°Cに設定したオーブンで 30分間乾燥し、厚さ約 10 mの塗膜を 形成した。さらに、その後、 200°Cで 10分間焼成を行った。
[0125] 得られた塗装板について、以下の評価を行った結果を表 1に示す。
[0126] (表面状態)
得られた塗装膜をフロリナート FC— 77 (登録商標、住友スリーェム株式会社製、主 成分 F O)に 40°Cで 24時間浸漬し、表面状態を目視で観察し、以下の基準によ
8 16
り評価した。
〇:溶解しなかった。
△:塗膜の表面部分が溶解した。
X:塗膜がほぼ完全に溶解した。
[0127] (浸漬後の液の状態)
得られた塗装膜をフロリナート FC— 77 (登録商標、住友スリーェム株式会社製、主
成分: C F O)に 40°Cで 24時間浸漬した後の液の状態 (色、にごり具合)を目視で
8 16
観察し、以下の基準により評価した。
〇:無色透明であり、変化はな力つた (塗膜の溶解、カーボンブラックの脱落はない)
△:黒 、浮遊物があった (塗膜の溶解によるカーボンブラックの脱落が少な 、)。
X:液が真っ黒になった (塗膜の溶解によるカーボンブラックの脱落が多 、)。
[0128] 比較例 1
製造例 2で得られた末端にヨウ素を含有する含フッ素エラストマ一と、パーへキサ 2 5B (日本油脂 (株)製)とトリアリルイソシァヌレート (TAIC) (日本ィ匕成 (株)製)とカー ボンブラック(Cancarb社製 Thermax N— 990)とを重量比 100ZlZ3Z20(重 量部)で、オープンロールにて混合した後に、パーフロ溶剤であるフロリナート FC— 7 7 (登録商標、住友スリーェム株式会社製、主成分 F O)に溶解させ、固形分濃
8 16
度を 10重量%の塗料組成物を調整した以外は、実施例 1と同様にして、塗装板を得 た。
[0129] 得られた塗装板について、塗膜の表面状態および浸漬後の液の状態について評 価を行った結果を表 1に示す。
[0130] 比較例 2
200°Cで 10分間焼成を行うかわりに、スチーム加硫缶中にて 150°Cで 60分間加熱 した以外は、比較例 1と同様にして、塗装板を得た。
[0131] 得られた塗装板について、塗膜の表面状態および浸漬後の液の状態について評 価を行った結果を表 1に示す。
[0132] [表 1] 表 1
[0133] 表 1の比較例 1および 2で得られる塗膜は、フロリナート FC-77に浸漬した際に、塗
膜が溶解すること、および塗料組成物に含有されているカーボンブラックが脱落する ことによる浸漬液の黒色化により、架橋反応が充分に進行していないことが分力る。 それに対し、実施例 1で得られる塗膜は、塗膜の溶解も、液のにごりもないことから、 空気中で充分に架橋反応が進行していることが分かる。
[0134] 比較例 3
ポリオール系架橋剤含有の含フッ素エラストマ一 (ダイエル G— 701、ダイキン工業 株式会社製)、酸ィ匕マグネシウム (MA— 150、協和化学工業株式会社製)、水酸ィ匕 カルシウム(CALDIC # 2000、近江化学工業株式会社製)、 MTカーボンブラック( N990、 Cancarb LTD.製)とを重量比 10θΖ3Ζ6Ζ20(重量部)で、オープン口 ールにて混練し、架橋可能なフッ素ゴム組成物を得た。
[0135] 得られたフッ素ゴム組成物を 170°Cで 10分間プレス架橋を行った後、さらに、 230 °Cのエアーオーブン中で 24時間かけてオーブン架橋し、厚みが 2mmである 20mm X 30mmのフッ素ゴムシートを得た。
[0136] 得られたフッ素ゴムシートをアセトン中に 40°Cで 5時間浸漬し、浸漬前後の体積増 加率を測定した結果を表 2に示す。
[0137] 実施例 2
比較例 3で得られたフッ素ゴムシートの表面に、実施例 1で作製した塗料組成物を 刷毛で塗布し、 30分風乾した後、 80— 100°Cに設定したオーブンで 30分間乾燥し 、さらに、その後、 200°Cで 10分間焼成を行った。この操作を 3回繰り返した後、さら に、 230°Cで 5時間の焼成を行い、表面が完全に塗膜で覆われたフッ素ゴムシートを 得た。
[0138] 得られたフッ素ゴムシートをアセトン中に 40°Cで 5時間浸漬し、浸漬前後の体積増 加率を測定した結果を表 2に示す。
[0139] [表 2] 表 2
1体積増加率 (%)
実施例 2 ! 0 . 2
比較例 3 1 8 5 . 5
産業上の利用可能性
本発明の含フッ素エラストマ一塗料組成物は、架橋可能な含フッ素エラストマ一、 架橋剤および溶剤カゝらなることにより、溶液安定性に優れており、さらに、熱安定性お よび架橋安定性に優れた塗膜、およびその塗膜を有する塗装物品を提供することが できる。