明 細 書 燃料電池システム、 燃料電池システムの停止方法 技術分野
本発明は、 燃料電池システムおよびその停止方法に関する。 背景技術
従来の一般的な固体高分子電解質型燃料電池の構成および動作について図
1、 2および 7を参照しながら説明する。 図 1においては、 従来の燃料電池 の中でも高分子電解質型燃料電池 (以降、 P E F Cと称する) の基本構成を 示している。 燃料電池は、 水素などの燃料ガスと空気などの酸素含有ガスを ガス拡散電極によって電気化学的に反応させるもので、 電気と熱とを同時に 発生させるものである。 電解質 1は水素イオンを選択的に輸送する高分子電 解質膜等が利用される。 電解質 1の両面には、 白金系の金属触媒を担持した カーボン粉末を主成分とする触媒反応層 2を密着して配置してある。 この触 媒反応層で (化学式 1 ) と (化学式 2 ) に示す反応が発生し、 燃料電池全体 としては (化学式 3 ) に示す反応が発生する。
(化 1 )
H2→2 H++ 2 e ~
(化 2 )
1 / 2 02+ 2 H++ 2 e "→H20
(化 3 ) .
H2+ 1 / 2 O2→H2O
少なくとも水素を含む燃料ガス (以降、 アノードガスと称する) は (化学 式 1 ) に示す反応 (以降、 アノード反応と称する) し、 電解質 1を介して移 動した水素イオンは、 酸素含有ガス (以降、 力ソードガスと称する) と触媒 反応層 2で (化学式 2) に示す反応 (以降、 力ソード反応と称する) により 、 水を生成し、 このとき電気と熱を生ずる。 燃料電池全体としては (式 3) に示すように、 水素と酸素が反応し水が発生する際に、 電気と熱が利用でき るのである。 水素などの燃料ガスの関与する側をアノードと呼び、 図では aを 付け表し、 空気などの酸素含有ガスの関与する側を力ソードと呼び、 図では c を付け表した。 さらに触媒反応層 2aと 2cの外面には、 ガス通気性と導電性 を兼ね備えた拡散層 3 aと 3 cをこれに密着して配置する。 この拡散層 3aと 3 cと触媒反応層 2a、 2cにより電極 4 aと 4 cを構成する。 5は電極電解質接合 体 (以降、 MEAと称する) であり、 電極 4と電解質 1とで形成している。 ME A 5は、 ME A 5を機械的に固定するとともに、 隣接する ME A 5同士 を互いに電気的に直列に接続し、 さらに電極に反応ガスを供給し、 かつ反応 により発生したガスや余剰のガスを運び去るためのガス流路 6 aと 6 cを ME A 5に接する面に形成した一対の導電性セパレータ 7 aと 7 cを配置する。 電 解質 1と、 1対の触媒反応層 2 aと 2 cと、 一対の拡散層 3 aと 3 cと、 一対の 電極 4 aと 4 c、 一対のセパレータ 7 aと 7 cで基本の燃料電池単位 (以降、 セ ルと称する) を形成する。 セパレータ 7aと 7cには ME A 5とは反対の面に 、 隣のセルのセパレータ 7 cと 7 aが接する。 冷却水通路 8はセパレータ 7 aと 7cが接する側に設けられ、 ここに冷却水 9が流れる。 冷却水 9はセパレータ 7 aと 7 cを介して ME A 5の温度を調整するように熱を移動させる。 ME A ガスケット 1 0は MEA 5とセパレータ 7aまたは 7cの封止をおこない、 セ パレータガスケット 1 1はセパレータ 7 aと 7 cを封止する。
電解質 1には固定電荷を有しており、 固定電荷の対イオンとして水素ィォ ンが存在している。 電解質 1には水素イオンを選択的に透過させる機能が求
められるが、 そのためには電解質 1が水分を保持していることが必要である。 電解質 1は水分を含むことにより、 電解質 1内に固定されている固定電荷が 電離し、 固定電荷の対イオンである水素がイオン化し、 移動できるようにな るからである。
図 2でセルを積層したものでスタックについて説明する。 燃料電池セルの 電圧は通常 0. 75v程度と低いために、 セルを直列に複数個積層し、 高電圧とな るようにしている。 集電板 2 1はスタックから外部に電流を取り出すための であり、 絶縁板 2 2はセルと外部を電気的に絶縁する。 端板 2 3はセルを積 層したスタックを締結し、 機械的に保持する。
図 3 8を参照して従来の燃料電池システムを説明する。 外筐体 3 1に燃料 電池システムが納められている。 ガス清浄部 3 2は燃料ガスから燃料電池に 悪影響を与える物質を除去し、 原料ガス配管 3 3を介して外部から燃料ガス を導く。 弁 3 4は原料ガスの流れを制御する。 燃料生成器 3 5は原料ガスか ら少なくとも水素を含む燃料ガスを生成する。 燃料生成器 3 5から燃料ガス 配管 3 7を介してスタック 3 8に燃料ガスを導ぴく。 ブロワ一 3 9は酸化剤 ガスを吸気管 4 0を通してスタック 3 8に導く。 排気管 4 2はスタック 3 8 から排出された酸化剤ガスを燃料電池システムの外に排出する。 スタック 3 8で利用されなかった燃料ガスはオフガス管 4 8により再び、 燃料生成器 3 5に流れ込む。 オフガス管 4 8からのガスは燃焼などに用いられ、 原料ガス から燃料ガスを生成するための吸熱反応等に利用される。 電力回路部 4 3は 燃料電池スタック 3 8から電力を取り出し、 制御部 4 4はガスや電力回路部 などを制御する。 ポンプ 4 5は冷却水入り口配管 4 6から燃料電池スタック 3 8の水経路に水を流す。 燃料電池スタック 3 8を流れた水は冷却水出口配 管 4 7から外部に水が運ばれる。 燃料電池のスタック 3 8を水が流れること により、 発熱したスタック 3 8を一定の温度に保ちながら、 発生した熱を燃 料電池システム外部で利用できるようになるのである。 燃料電池システムは
燃料電池からなるスタック 3 8と、 ガス清浄部 3 2と、 燃料生成器 3 5と、 電力回路部 4 3と、 制御部 4 4とより構成されている。
家庭用の燃料電池システムは、 燃料電池スタック 3 8と燃料生成器 3 5で 構成される。 燃料電池システムの性能低下が少なく、 性能を長期間維持でき るようにすることが必要である。 また、 家庭用としてメタンを主成分とする 都市ガスなどの原料ガスを用いた場合、 光熱費メリットおよび C 0 2の削減効 果を大きくするために、 電気と熱の消費量の少ない時間帯は停止し、 電気と 熱の消費量の多い時間帯に運転する運転方法が有効である。
一般に、 昼間は運転して深夜は運転を停止する D S S (Daily Start & Sto p or Daily Start-up & Shut- down ) 運転は光熱費メリットと C 0 2の削減効 果を大きくすることができ、 燃料電池システムは、 起動と停止を含む運転パ ターンに柔軟に対応できることが望ましい。 これまでいくつかの報告がなさ れている。
例えば、 これらの課題を解決方法として起動時に、 システムの外部負荷接 続を開始するまで別途システム内に電力消費する手段を接続し、 開回路電位 になるのを防いでいた (特開平 5— 2 5 1 1 0 1号公報参照) 。 また、 シス テム内に開回路電圧の抑制のための放電手段を設置していた (特開平 8— 2 2 2 2 5 8号公報参照) 。 また、 保管時にも電解質であるイオン交換膜を保 水状態に保っため加湿された不活性ガスを封入して停止 ·保管していた (特 開平 6— 2 5 1 7 8 8号公報参照) 。 酸素極の酸化または不純物付着を防止 するため、 酸素含有ガスの供給を停止した状態で発電し、 酸素消費操作を行 い耐久性の向上を図っていた (特開 2 0 0 2— 9 3 4 4 8号公報参照) 。 ま た、 アノードから力ソードにリークする水素を用い、 力ソード電極の性能を 向上させていた (特開 2 0 0 0— 2 6 0 4 5 4号公報参照) 。
上述のような燃料電池の電極における発電反応が長期にわたり安定して行 われるためには、 電解質と電極の界面が長期に安定に保持されていることが
必要である。 水素と酸素を反応種とする高分子電解質型の燃料電池の開回路 電圧は理論的には 1. 23Vとされている。 しかし、 実際の開回路電圧は、 水素極および酸素極のそれぞれの極における不純物や、 吸着種との混成電位 を示し、 約 0. 9 3V〜1. I Vの電圧を示す。 また、 若干の電解質中の水 素および酸素の拡散による電圧低下も起こる。 水素極の電位は極端な金属種 などの不純物の溶解がないとするとその電位は空気極の吸着種による影響が 大きく、 (化学式 4) から (化学式 8) に示されるような化学反応の混成電 位によると考えられている (参考文献として H. Wroblowa, et al. , J. Elect roanal. Chem. , 15, pl39 - 150 (1967), "Adosorption and Kinetics at Pla tinum Electrodes in The Presence of Oxygen at Zero Net Current〃参照) 0 このように、 電圧が 0. 88Vを超えると (化学式 7) に示されるように、 P tの酸化が発生し、 Ptの触媒としての活性が低下するだけでなく、 水への 溶解が発生し、 流れだしてしまう問題がある。
(化 4)
(化 5)
P t 02+ 2 H + + 2 e "= P t (OH) 2 1 V
(化 6)
P t (OH) 2+ 2 H + + 2 e _= P t + 2 H20 0. 9 8 V
(化 7 )
P t O2 + 2 H + + 2 e~= 2H20+P t 0. 8 8 V
• (化 8)
02+ 2 H + + 2 e— = H202 0. 6 8 V
'よって、 従来の技術では開回路を防ぐ手法は開示されているが、 電圧を 0. 88 V以下にすることは記載されていない。
また、 前記従来の水や加湿された不活性ガスをァノードまたはカソードに
パージする方法では、 各電極の電位を一定以下に保とうとすることは示され ていないので、 セル内部が不活性ガスで満たされた時、 アノードおよびカソ ードの電位が定まらず、 外部より徐々に浸入してく酸素により、 両極とも約
0 . 9 3 V〜1 . 1 Vの電圧を示すため、 電極が酸化または溶出してしまい 性能を低下させてしまう課題がある。
また、 前記従来の水や加湿された不活性ガスをパージする方法では、 停止 時に燃料電池のスタック 3 8の温度が低下し、 燃料電池のスタック 3 8内部 で結露が発生し、 体積の減少が生じ、 負圧となるため、 外部の酸素が流入し たり、 電解質 1が破損したり、 電極 4 aと 4 cが短絡するなどといった課題 がある。
また、 前記従来の酸化剤ガスの供給を停止した状態でセルを発電させ、 ガ ス流路 6 cの酸素を消費させてからガス流路 6 aに不活性ガスをパージする 方法では、 ガス流路 6 cに消費しきれず残留した酸素や、 拡散やリークなど により混入する空気の影響により、 電極 4 cが酸化され、 劣化するという課 題があった。 また、 発電して強制的に酸素を消費させるので電極 4 cの電位 がー様でなく、 停止させる毎に力ソードの活性化状況が異なり、 起動時の電 池電圧がばらつくといった課題があった。
また、 アノードより空気が存在するカソードにリークする水素によりカソ 一ド電極の性能を向上させようとするものは、 酸素と水素の混合により電位 が不安定となり、 カソードの性能の向上にばらつくと言った課題がある。 また、 カソードに水素を流すことによりカソード.電極の性能を向上させよ うとするものは、 発電に使用しない水素の割合が増加し、 エネルギー当たり の発電効率が低下する課題がある。 発明の開示
また、 パージを行う不活性ガスとして窒素ガスを用いるものは窒素ガスポ ンべなど、 特別な装置が必要となる課題がある。
本発明は、 前記従来の課題を解決するもので、 電極の酸化または溶解を防 ぎ、 長期間寿命を維持できる燃料電池システムおよびその停止方法を提供す ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、 第 1の本発明は、 燃料ガスと酸化剤ガ スとから電力を発生させる燃料電池と、
前記燃料 スを、 前記燃料電池のアノード側へ供給する燃料ガス供給 手段と、
前記酸化剤ガスを、 前記燃料電池のカソード側へ供給する酸化剤ガス 供給手段と、
前記燃料ガスの原料ガスを、 前記燃料電池へ供給する原料ガス供給手 段と、 ,
前記燃料ガスの供給、 前記酸化剤ガスの供給および前記原料ガスの供 給を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段の制御により、
前記燃料電池の電力出力をオフにした後、
前記燃料ガス供給手段は、 前記燃料ガスの前記燃料電池のアノード側 への供給を停止し、
前記酸化剤ガス供給手段は、 前記酸化剤ガスの前記燃料電池のカソー ド側への供給を停止し、
前記原料ガス供給手段は、 前記原料ガスを前記燃料電池の前記カソー ドの入力側から供給し、 前記燃料電池のカソード側をパージする、 燃料電池システムである。
また、 第 2の本発明は、 前記燃料ガス供給手段は、 前記燃料電池のァ ノード側に設けられた燃料ガス配管と、 前記燃料ガス配管の途中に設け
られた燃料ガス開閉弁とを有し、
前記酸化剤ガス供給手段は、 前記燃料電池のカソード側に設けられた 酸化剤ガス配管と、 前記酸化剤ガス配管の途中に設けられた酸化剤ガス 開閉弁とを有し、
前記原料ガス供給手段は、 前記酸化剤ガス開閉弁と前記燃料電池の力 ソード側との間の前記酸化剤ガス配管の一部分に接続された原料ガス配 管と、 前記原料ガス配管の途中に設けられた原料ガス開閉弁とを有する
, 第 1の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 3の本発明は、 前記燃料電池の力ソード側から排出されるォ フガスを排出するカソード側排出配管と、
前記力ソード側排出配管の途中に設けられた力ソード側オフガス開閉 弁と、 ·
前記燃料電池のアノード側から排出されるオフガスを排出するァノー ド側排出配管と、
前記アノード側排出配管の途中に設けられたアノード側オフガス開閉 弁とを備え、
前記パージは、
前記燃料ガス開閉弁を閉じ、
前記燃料ガス開閉弁が閉じられた後に前記力ソ一ド側オフガス開閉弁 を閉め、
前記酸化剤ガス開閉弁を閉じ、
前記酸化剤ガス開閉弁が閉じられた後に、 前記原料ガス開閉弁を所定 の期間開けた後閉じ、
前記原料ガス開閉弁が閉じられた後に、 前記アノード側オフガス開閉 弁を閉じる、
ことにより行う、
第 2の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 4の本発明は、 前記所定の期間とは、
前記原料ガスの前記燃料電池への供給量を測定したときの、 その測定 値が予め定めた値以上となるまでの期間である、 第 3の本発明の燃料電 池システムである。
また、 第 5の本発明は、 前記パージが完了した後、 前記燃料電池の前 記力ソード側の内部が、 予め定めた圧力以上であるかどうかを判断し、 その圧力より下であるときは、 前記原料ガスを前記燃料電池の前記力ソ 一ドの入力側から供給し、 前記内部を前記予め定めた圧力以上に保持す る、 第 3の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 6の本発明は、 前記燃料ガス開閉弁と前記燃料電池のァノー ド側の間の前記燃料ガス配管の一部分に接続された付加原料ガス配管と 前記原料ガス配管の途中に設けられた付加原料ガス開閉弁とをさらに 備え、
前記パージが完了した後、 前記燃料電池の前記アノード側の内部が、 予め定めた圧力以上であるかどうかを判断し、 その圧力より下であると きは、 前記負か原料ガス開閉弁を開け、 前記原料ガスを前記付加原料ガ ス配管を介して前記燃料電池の前記アノードの入力側から供給すること により、 前記内部を前記予め定めた圧力以上に保持する、 第 5の本発明 の燃料電池システムである。
また、 第 7の本発明は、 前記圧力を、 前記燃料電池の前記力ソード側 の内部の温度から求める、 第 5または第 6の本発明の燃料電池システム である。
また、 第 8の本発明は、 前記燃料電池内が予め定めた圧力以上に維持
された状態で所定時間が経過した場合、 システム全体の電源をオフにす るか、 前記燃料電池をオンにするための運転を開始する、 第 5または第 6の本発明の燃科電池システムである。
また、 第 9の本発明は、 前記燃料ガスを生成する燃料生成器と、 前記燃料生成器を加熱する燃焼器と、
前記燃料ガス供給手段から出力された燃料が前記燃料ガス開閉弁に達 するまでに前記燃焼器へ導くパイパス手段とを備え、
前記燃料電池をオンにするための運転を開始する場合、 前記制御手段 は、 前記燃料ガス開閉弁および前記ァノ一ド側開閉弁を開け、
前記燃焼器は、 前記原料ガスと、 前記燃料電池の前記アノードから排 出されるオフガス、 前記燃料ガス供給手段から前記バイパス手段を経由 して供給される燃料の少なくとも一つを燃焼して、 前記燃料生成器を加 熱する、 第 8の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 1 0の本発明は、 前記原料ガス供給手段が前記原料ガスによ る前記パージを停止した後に、 前記燃料電池への冷却水を停止する、 第 1の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 1 1の本発明は、 前記燃料生成器に冷却水を供給する水供糸 1 手段をさらに備えた、 第 9の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 1 2の本発明は、 前記燃料電池の電力出力を前記オフにした 後、 遅くとも前記燃料電池の電圧が開回路電圧に達する以前に、 前記燃 料ガスの前記燃料電池のアノード側への供給を停止する動作を開始する
、 第 1の本発明の燃料電池システムである。
また、 第 1 3の本発明は、 燃料ガスと酸化剤ガスとから電力を発生さ せる燃料電池と、 前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス
手段と、 前記燃料電池に前記燃料ガスを供給する燃料供給手段とを備え た燃料電池システムの停止方法であって、
前記燃料電池の電力出力をオフにする第 1工程と、
前記燃料ガスの前記燃料電池のァノ一ド側への供給を停止する第 2ェ 程と、
前記前記酸化剤ガスの前記燃料電池へカソード側への供給を停止する 第 3工程と、
前記燃料ガスを生成するのに用いる原料ガスを前記燃料電池の前記力 ソードの入力側から供給し、 前記燃料電池のカソード側をパージする第 4工程とを備えた、
燃料電池システムの運転停止方法である。
また、 第 1 4の本発明は、 前記第 4工程が完了した後、 前記燃料電池 の前記カソード側の内部が、 予め定めた圧力以上であるかどうかを判断 し、 その圧力より下であるときは、 前記原料ガスを前記燃料電池の前記 力ソードの入力側から供給し、 前記内部を前記予め定めた圧力以上に保 持する第 5工程を備えた、 第 1 3の本発明の燃料電池システムの運転停 止方法である。
また、 第 1 5の本発明は、 第 1 3の本発明の燃料電池システムの停止 方法の、 前記燃料電池の電力出力をオフにする第 1工程と、 前記燃料ガ スの前記燃料電池のアノード側への供給を停止する第 2工程と、 前記前 記酸化剤ガスの前記燃料電池へ力ソード側への供給を停止する第 3工程 と、 前記燃料ガスを生成するのに用いる原料ガスを前記燃料電池の前記 カソードの入力側から供給し、 前記燃料電池の力ソード側をパージする 第 4工程とを、 コンピュータにより制御するためのプログラム。
また、 第 1 6の本発明は、 第 1 5の本発明のプログラムを担持した記 録媒体であって、 コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
本発明によれば、 起動と停止を行っても、 電極の酸化または溶解による 劣化を抑制することができ、 燃料電池システムの長寿命化を図ることができ
る。 図面め簡単な説明
図 1は、 本発明の実施の形態 1〜3と従来例における高分子電解質型燃料 電池の単電池の一部の構造を示す。
図 2は、 本発明の実施の形態 1〜 3と従来例における高分子電解質型燃料 電池を積層したスタックの構造を示す。
図 3は、 本発明の実施の形態 1〜 3における高分子電解質型燃料電池シス テムを示す構成図である。
図 4は、 本発明の実施の形態 1における高分子電解質型燃料電池システム の動作を説明するためのフローチヤ一トを示す図である。
図 5は、 本発明の実施の形態 2における高分子電解質型燃料電池システム の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
図 6は、 本発明の実施の形態 3における高分子電解霄型燃料電池システム の動作を説明するためのフローチヤ一トを示す図である。
図 7は、 本発明の実施の形態 1における高分子電解質型燃料電池システム の停止工程 1の詳細を説明するためのフローチヤ一トを示す図である。
図 8は、 本発明の実施の形態 4における燃料電池システムを示す構成図で ある。
図 9は、 本発明の実施の形態 5における燃料電池システムを示す構成図で ある。
図 1 0は、 電解質接合体 (M E A; Membrane- Electrode Assembly) を備え た固体高分子電解質形の燃料電池の断面図である。
図 1 1は、 燃料電池発電装置の基本構成を示したプロック図である。
図 1 2は、 本発明の実施の形態 6に係る燃料電池発電装置の構成を示した
プロック図である。
図 1 3は、 本発明の実施の形態 6に係るガス供給動作を説明'するフローチ ヤートの前半部分の図である。
図 1 4は、 本発明の実施の形態 6に係るガス供給動作を説明するフローチ ヤートの後半部分の図である。
図 1 5は、 燃料電池に対する印加周波数を 0 . l H z〜l k H zの範囲で 可変させて測定した燃料電池の交流インピーダンスプロファイル図である。 図 1 6は、 電解質膜の相対湿度と導電率の関係を示す図である。
図 1 7は、 本発明の実施の形態 7に係る燃料電池発電装置の構成を示した プロック図である。
図 1 8は、 本発明の実施の形態 7に係るガス供給動作を説明するブローチ ヤートの前半部分の図である。
図 1 9は、 本発明の実施の形態 7に係るガス供給動作を説明するフローチ ヤートの後半部分の図である。 ,
図 2 0は、' 本発明の実施の形態 8に係る燃料電池発電装置の構成を示した プロック図である。
図 2 1は、 本発明の実施の形態 8に係るガス供給動作を説明するフローチ ヤートの前半部分の図である。
図 2 2は、 本発明の実施の形態 8に係るガス供給動作を説明するフローチ ヤートの後半部分の図である。
図 2 3は、 起動停止回数に基づく M E A電圧の特性評価結果の図である。 図 2 4は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムの構成を示す図であ る。
図 2 5は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムの運転方法における 単電池の内部抵抗の平均値の推移を示す図である。
図 2 6は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムの運転方法における
電池温度の推移を示す図である。
図 2 7は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムの運転方法における 発電竃力量の推移を示す図である。
図 2 8は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムの蓮転方法における 単電池の電圧の平均値の推移を示す図である。
図 2 9は、 本発明の実施の形態 9の燃料電池システムにおける燃料電池ス タックの一部を示す概略縦断面図である。
図 3 0は、 本発明の実施の形態 1 0における高分子電解質型燃料電池の単 電池の一部の構造を説明するための概略断面図である。
図 3 1は、 本発明の実施の形態 1 0における高分子電解質型燃料電池を積 層したスタックの構造を説明するための概略図である。
図 3 2は、 本発明の実施の形態 1 0における燃料電池発電装置の概略図で あ θ。
図 3 3は、 本発明の実施の形態 1 1における燃料電 発電装置の概略図で あ 。
図 3 4は、 本発明の実施の形態 1 0における燃料電池発電装置の起動停止 運転における電圧変化と酸素濃度の関係を示した説明図である。
図 3 5は、 本発明の実施の形態 1 1における燃料電池発電装置の起動停止 運転における電圧変化とァノードとカソードの両極間の電位変化の関係を示 した説明図である。
図 3 6は、 本発明の比較例における燃料電池発電装置の起動停止運転にお ける電圧変化を示した説明図である。
図 3 7は、 本発明の実施の形態 1 0、 実施の形態 1 1および比較例におけ る燃料電池発電装置の起動停止回数と耐久性の関係を示した説明図である。 図 3 8は、 従来の技術による燃料電池システムの構成図である。 (符号の説明)
電解質
a 触媒反応層 (アノード側) c 触媒反応層 (力ソード側) a 拡散層 (アノード側)
c 拡散層 (カソ一ド側)
a 電極 (ァノード側)
c 電極 (カソ一ド側)
a セパレータ (アノード側) c セパレータ (力ソード側) 2 清浄部
5 燃料生成器
1 加湿器
3 電力回路部
4 制御部
2 電圧測定部
4 9、 5 1、 5 7、 5 8 開閉弁 9 , 6 0 圧力測定部
1 . 燃料電池
2 燃焼生成器
3 水供給手段
燃焼器
5 ブロア
パージ用空気供給手段
7 パイパス管
流路切換手段
開閉弁
0 原料力ソード供給手段
1 カソード閉止手段
2 アノード閉止手段
1 電解質膜 -2 a アノードの触媒反応層
2 c カソードの触媒反応層
3 a アノードのガス拡散層
3 c カソードのガス拡散層
4 a アノード
4 c 力ソード
5 a アノードの側の ME Aガスケット
5 c 力ソードの側の ME Aガスケット
6 a アノードに対する導電性セパレータ板6 c 力ソードに対する導電性セパレータ板7 ME A
8 a 燃料ガス流路
8 c 酸化剤ガス流路
9 a 導電性セパレータ板 1 1 6 aに形成された溝9 c 導電性セパレータ板 1 1 6 cに形成された溝 0 燃料電池セル
1 燃料電池 ' 2 原料ガス供給手段
2 p ガス清浄部
3 燃料生成器
3 e 改質部
3 f 1変成部
3 g C O除去部 4 加湿部
5 回路部
6 測定部
7 制御部
8 ブロア
9 第一の切り替え弁 0 第一の遮断弁1 第二の遮断弁 2 第三の遮断弁 3 水除去部
4 全熱交換加湿器 5 温水加湿器1 第一の逆止弁 2 第二の切り替え弁 3 第三の切り替え弁 4 第四の切り替え弁 5 第一の循環配管 6 第二の循環配管 7 ァノード排気配管 8 第二の逆止弁 1 原料ガス分岐配管 2 第五の切り替え弁 3 第二の連結配管 4 第六の切り替え弁 5 分流弁
1 6 0 カソード排気配管
1 6 1 燃料ガス供給配管
1 6 2 酸化剤ガス供給配管
1 6 3 原料ガス供給配管
1 6 4 第一の連結配管
1 7 0 a アノードのマスフローメータ 1 7 0 c 力ソードのマスフローメータ 1 7 1 温度検知手段
1 7 2 a アノードの出力端子
1 7 2 c カソードの出力端子
1 7 3 インピーダンス測定器
1 74 第一の水供給手段
1 7 5 第二の水供給手段
2 0 1 燃料電池スタック
2 0 2 酸化剤ガス制御装置
2 0 3 燃料生成器
2 0 3 b パイパス
2 04 電圧検知装置
2 0 5 制御部
2 0 6 電力回路部
2 0 7 1 - 7 9 電磁弁
2 0 8 ガス清浄部
2 0 9 全熱交換式加湿器
2 0 1 0 温水式加湿器
2 0 1 1 高周波抵抗計
2 0 1 2 燃料ガス供給配.管
2 0 1 2 a 連結管
2 0 1 3 酸化剤ガス供給配管
2 0 2 1 水素イオン伝導性高分子電解質膜
2 0 2 2 a、 2 2 b 触媒層
2 0 2 3 a、 2 3 b ガス拡散層
2 0 2 4 a アノード
2 0 2 4 b 力ソード
2 0 2 5 ガスケッ ト
2 0 2 6 a ァノード側セパレータ板
2 0 2 6 b カソード側セパレータ板
2 0 2 7 膜 ·電極接合体
2 0 2 8 a、 2 8 b ガス流路
2 0 2 9 冷却水流路
2 0 3 0 シール部
3 0 1 電解質膜
3 0 2 a、 3 0 2 c 触媒反応層
3 0 3 a、 3 0 3 c 拡散層
3 0 7 a、 3 0 7 c セパレータ
3 0 2 1 集電板
3 0 2 2 絶縁板
3 0 3 1 外筐体
3 0 3 2 清浄部
3 0 3 4 燃料生成器
3 0 3 6 燃料電池スタック
3 0 4 0 加湿器
3 044 電力回路部
3 0 4 5 制御部
3 0 5 0、 3 0 5 1 酸素濃度検知器
3 0 5 2 電圧検知器 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を、 図面を参照して説明する。
(実施の形態 1 )
図 1は、 本発明の実施の形態 1における燃料電池の例として、 高分子電解 質型燃料電池の基本構成を示している。 燃料電池は、 少なくとも水素を含む 燃料ガスと空気などの酸素を含む酸化剤ガスをガス拡散電極によって電気化 学的に反応させるもので、 電気と熱とを同時に発生させるものである。 電解 質 1は水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜等が利用させる。 電解 質 1の両面には、 白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする 触媒反応層 2を密着して配置してある。 この触媒反応樗 2 aと 2 cで (化学 式 1 ) と (化学式 2 ) に示す反応が発生する。 少なくとも水素を含む燃料ガ スは (式 1 ) に示す反応 (以降、 アノード反応と称する) し、 電解質 1を介 して移動した水素イオンは、 酸化剤ガスと触媒反応層 2で (式 2 ) に示す反 応 (以降、 カソード反応と称する) により、 水を生成し、 このとき電気と熱 を生ずる。 水素などの燃料ガスの関与する側をアノードと呼ぴ、 図では aを 付け表し、 空気などの酸化剤ガスの関与する側を力ソードと呼び、 図では C を付け表した。 さらに触媒反応層 2 aと 2 cの外面には、 ガス通気性と導電 性を兼ね備えた拡散層 3 aと 3 cをそれぞれこれに密着して配置する。 この 拡散層 3 aと触媒反応層 2 aにより電極 4 aを、 拡散層 3 cと触媒反応層 2 cにより電極 4 cを構成する。 膜電極接合体 (以降、 M E Aと称する) 5は 、 電極 4 aと 4 cと電解質 1とで形成している。 M E A 5は、 M E A 5を機
械的に固定するとともに、 隣接する M E A 5同士を互いに電気的に直列に接 続し、 さらに電極に反応ガスを供給し、 かつ反応により発生したガスや余剰 のガスを運び去るためのガス流路 6 aと 6 cを M E A 5に接する面に形成し た一対の導電性セパレータ 7 aと 7 cを配置する。 電解質 1と、 1対の触媒 反応層 2 aと 2 cと、 一対の拡散層 3 aと 3 cと、 一対の電極 4 aと 4 cと 、 一対のセパレータ 7 aと 7 cで基本の燃料電池 (以降、 セルと称する) を 形成する。 セパレータ 7 aと 7 cには M E A 5とは反対の面に、 隣のセルの セパレータ 7 cと 7 aが接する。 セパレータ 7 aと 7 cが接する側には冷却 水通路 8が設けられており、 ここに冷却水 9が流れる。 冷却水 9はセパレー タ 7 aと 7 cを介して M E A 5の温度を調整するように熱を移動させる。 M E A 5とセパレータ 7 aまたは 7 cは M E Aガスケット 1 0で封止され、 セ ノヽ"レ一タ 7 aと 7 cはセパレータガスケット 1 1で封止される。
電解質 1は固定電荷を有しており、 固定電荷の対イオンとして水素イオン が存在している。 電解質 1には水素イオンを選択的に透過させる機能が求め られるが、 そのためには電解質 1が水分を保持していることが必要である。 電解質 1は水分を含むことにより、 電解質 1内に固定されている固定電荷が 電離し、 固定電荷の対イオンである水素がイオン化し、 移動できるようにな るからである。
図 2はセルを積層したものでスタックと呼ばれる。 燃料電池セルの電圧は 通常 0 . 7 5 V程度と低いために、 セルを直列に複数個積層し、 高電圧と成 るようにしている。 スタックから外部には一対の集電板 2 1から電流が取り 出され、 一対の絶縁板 2 2によりセルと外部を電気的に絶縁され、 一対の端 板 2 3により、 セルを積層したスタックは締結され、 機械的に保持される。 図 3は、 本発明の実施の形態の燃料電池システムの構成図である。 燃料電 池システムは外筐体 3 1に納められている。 外部から原料ガス配管 3 3から 取り入れられた原料ガスは、 燃料電池に悪影響を与える物質を除去するガス
清浄部 3 2で清浄化された後、 清浄ガス配管 3 6を介して燃料生成器 3 5に 導かれる。 原料ガス配管 3 3の経路中には開閉弁 3 4が設けられており、 原 料ガスの流れを制御する。 燃料生成器 3 5は、 原料ガスから少なくとも水素 を含む燃料ガスを生成する。 3 8はスタックであり、 図 1およぴ図 2で詳細 が示される燃料電池お'ょぴスタックである。 燃料生成器 3 5からスタック 3 8のアノード側には燃料ガス配管 3 7を介して燃料ガスが導かれる。
酸化剤ガスとしての空気はブロワ一 3 9により、 外部から吸気管 4 0を通 して、 分配弁 5 6を介して吸気管 4 0と接続された酸化剤ガス配管 4 0 aを 介してスタック 3 8の力ソード側に導かれる。 スタック 3 8で使用されなか つた酸化剤ガスは排気管 4 2から燃料電池システムの外に排出される。 燃料 電池は水分が必要なため、 スタック 3 8に流れ込む酸化剤ガスは、 加湿器 4 1で加湿される。 スタック 3 8で使用されなかった燃料ガスはオフガス管 4 8により再び、 燃料生成器 3 5に流れ込む。 オフガス管 4 8からのガスは燃 焼などに用いられ、 原料ガスから燃料ガスを生成するための吸熱反応等に利 用される。 清浄ガス配管 3 6には分配弁 6 0が設けられ、 吸気管 4 0中にも 分配弁 5 6が設けられている。 分配弁 6 0と分配弁 5 6はバイパス管 5 5に つながつている。 またパイパス管 5 5と、 燃料ガス配管の、 スタック 3 8と 分配弁 6 0 との間には、 バイパス管 6 1が設けられ、 バイパス管 6 1には開 閉弁 6 2が設けられている。 分配弁 6 0はガス清浄部 3 2で浄化された後の 原料ガスを燃料生成器 3 5側に流すガス量と、 バイパス管 5 5の側に流すガ ス量とを調節し、 分配弁 5 6はブロワ一 3 9から送り込まれた酸化剤ガスと 、 バイパス管 5 5から送られてきた浄化された後の原料ガスを任意の比率で 混合しスタック 3 8に送ることができる。 燃料ガス配管 3 7には開閉弁 4 9 が設けられており、 スタック 3 8の燃料ガスの供給経路のガスの流れを遮断 または流量の制御をする。 オフガス管 4 8には開閉弁 5 4が設けられており 、 スタック 3 8の燃料ガスの排出経路のガスの流れを遮断する。 開閉弁 5 7
は加湿器 4 1からスタック 3 8への酸化剤ガスの供給経路に設けられており 、 スタック 3 8の酸化剤ガスの供給経路のガスの流れを遮断または流量の制 御をする。 開閉弁 5 8はスタック 3 8から酸化剤ガスの排出経路に設けられ ており、 スタック 3 8の酸化剤ガスの排出経路のガスの流れを遮断または流 量の制御をする。 開閉弁 4 9とスタック 3 8の燃料ガス供給経路中には圧力 計 5 9 aが設けられており、 燃料ガス供給経路およびスタック 3 8中の燃料 ガス経路の圧力が計測される。 開閉弁 5 7とスタック 3 8の酸化剤ガス供給 経路中には圧力計 5 9 bが設けられており、 酸化剤ガス供給経路およぴスタ ック 3 8中の酸化剤ガス経路の圧力が計測される。 燃料電池スタック 3.8の 電圧は電圧測定部 5 2で計測され、 電力は電力回路部 4 3により取り出され 、 原料ガス、 燃料ガス、 酸化剤ガス、 オフガス、 冷却水の各配管に設けられ た弁、 各開閉弁や電力回路部などは制御部 4 4で制御される。 ポンプ 4 5よ り、 冷却水入り口配管 4 6から燃料電池スタック 3 8の水経路に水が流され 、 燃料電池 3 8を流れた水は冷却水出口配管 4 7から外部に水が運ばれる。 燃料電池のスタック 3 8を水が流れることにより、 発熱したスタック 3 8を 一定の温度に保ちながら、 発生した熱を燃料電池システム外部で利用できる ようになるのである。
燃科電池システムは燃料電池からなるスタック 3 8と、 ガス清浄部 3 2と 、 燃料生成器 3 5と、 電力回路部 4 3と、 制御部 4 4とより構成されている c 以上のような構成を有する燃料電池システムの基本動作を説明する。 図 3 おいて、 弁 3 4が開となり、 原料ガス配管 3 3から原料ガスがガス清浄部 3 2に流れ込む。 原料ガスとしては天然ガス、 プロパンガスなど炭化水素系 のガスを使用することが出来るが、 本実施の形態としてはメタン、 -ェタン、 プロ'パン、 ブタンガスの混合ガスである都市ガスの 1 3 Aを用いた。 ガス清 浄部 3 2としては、 特に T B M (ターシヤリブチルメルカプタン) 、 D M S (ジメチルサルフアイ ド) 、 T H T (テトラヒ ドロチオフィン) 等のガス付
臭剤の除去の除去を行う部材を用いている。 付臭剤などの硫黄化合物は燃料 電池の触媒に吸着し、 触媒毒となり反応を阻害するためである。 燃料生成器 3 5では (化学式 9) に示す反応等により、 水素が生成される。 同時に発生 する一酸化炭素は、 (化学式 1 0) に示されるようなシフ トか反応と (化学 式 1 1) に示されるような一酸化炭素選択酸化反応により、 l O p pm以下 となるように除去される。
(化 9)
CH3 + H20→3 H2+CO (- 203. 0 K J /m o 1 )
(化 1 0 )
C 0+ n H20→k C O 2 + (n - k) CO
(化 11 )
co + o2→co2
ここで、 水を反応に必要な最低限量以上を入れると、 水素と水分を含む燃 料ガスが作成し、 燃料ガス配管 3 7を介して燃料電池のスタック 38に流れ 込む。 酸化剤ガスはブロワ一 3 9により加湿器 4 1を通った後、 スタック 3 8に流れ込む。 酸化剤ガスの排ガスは排気管 42により外部に排出される。 加湿器 4 1として、 温水に酸化剤ガスを流すものや、 酸化剤ガス中に水を吹 き込むもの等が使用できるが、 本実施の形態では全熱交換型を使用した。 こ れは、 排ガス中の水と熱が加湿器 41を通過する際に、 吸気管 40から運ば れ原料となる酸化剤ガス中に移動させるものである。 冷却水は、 ポンプ 45 より冷却水入り口配管 46から燃料電池スタック 3 8の水経路に流された後 、 冷却水出口配管 47から外部に水が運ばれる。
本図では図示されていないが、 冷却水入り口配管 45や冷却水出口配管 4 7には、 通常給湯器などの熱を溜めるまたは利用する機器などが接続されて いる。 燃料電池のスタック 38で発生する熱を取りだし、 給湯等に利用でき るようになるのセある。 スタック 38での発電は、 電圧測定部 5 2で電圧が
測定され、 十分発電が行われていると制御部 4 4が判断すると、 電力回路部 4 3により電力が取り出される。 電力回路部 4 3ではスタック 3 8から取り 出した直流の電力を、 交流へと変換し、 家庭等で利用されている電力線にい わゆる系統連係で接続される。
スタック 3 8内での燃料電池の動作を図 1を用いて説明する。 ガス流路 6 Cに空気などの酸素含有ガスが流れ、 ガス流路 6 aに水素を含む燃料ガスが 流れる。 燃料ガス中の水素は拡散層 3 aを拡散し、 触媒反応層 2 aに達する c 触媒反応層 2 aで水素は水素イオンと電子に分けられる。 電子は外部回路を 通じて力ソード側に移動される。 水素イオンは電解質 1を透過し力ソード側 に移動し触媒反応層 2 Cに達する。 空気などの酸化剤ガス中の酸素は拡散層 3 Cを拡散し、 触媒反応層 2 Cに達する。 触媒反応層 2 Cでは酸素が電子と 反応し酸素イオンとなり、 さらに酸素イオンは水素イオンと反応し水が生成 される。 つまり M E A 5の周囲で酸素含有ガスと燃料ガスが反応し水が生成 され、 電子が流れる。 さらに反応時に熱が生成し、 M E A 5の温度が上昇す る。 そのため冷却水経路 8 a、 8 cに水などを流すことにより反応で発生し た熱を水で外部に運び出す。 つまり、 熱と電流 (電気) が発生するのである このとき、 導入されるガスの湿度と反応で発生する水の量の管理が重要であ る。 水分が少ないと電解質 1が乾燥し、 固定電荷の電離が少なくなるために 水素の移動が減少するので、 熱や電気の発生が小さくなる。 一方水分が多す ぎると、 M E A 5の周りまたは触媒反応層 2 a、 2 cの周囲に水が溜まって しまい、 ガスの供給が阻害され反応が抑制されるため、 熱と電気の発生が減 少してしまう。 (以降、 この状態をフラッティングと称する。 )
燃料電池のセルで反応した後の動作について図 3を用いて説明する。 スタ ック 3 8内で使用されなかった酸化剤ガスである排ガスは加湿器 4 1を介し 、 熱と水分をプロワ一 3 9から送られてきた酸化剤ガスに移動させた後、 外 部へ排出される。 スタック 3 8内で使用されなかった燃料ガスであるオフガ
スはオフガス管 48により再び、 燃料生成器 35に流れ込む。 オフガス管 4 8からのガスは燃料生成器 35中では燃焼などに用いられる。 原料ガスから 燃料ガスを生成するための反応は (化学式 6) で示されるように吸熱反応で あるため、 反応に必要な熱として利用されるのである。 電力回路 43は燃料 電池が発電を開始した後スタック 38から直流の電力を引き出す役割をする。 制御部 44は燃料電池システムの他の部分の制御を最適に保つよう制御する ものである。 燃料電池の運転を停止したい場合は、 分配弁 56と分配弁 60 を動作させ、 ガス浄化部 32で浄化した後の原料ガスをスタック 38へ流し 込むのである。
なお、 本実施の形態では図 1において、 ME A 5は以下のように作成した。 すなわち、 炭素粉末であるアセチレンブラック (電気化学工業 (株) 製のデ ンカブラック、 粒径 35 nm) を、 ポリテトラフルォロエチレン (PTFE ) の水性ディスパージヨン (ダイキン工業 (株) 製の D 1) と混合し、 乾燥 重量として PTFEを 20重量0 /0含む撥水インクを調舉した。 このインクを 、 ガス拡散層の基材となるカーボンペーパー (東レ (株) 製の TGPH06 0 H) の上に塗布して含浸させ、 熱風乾燥機を用いて 300°Cで熱処理し、 ガス拡散層 (約 200 /xm) を形成した。
一方、 炭素粉末であるケッチェンブラック (ケッチェンブラックインター ナショナル (株) 製の e t j e n B l a c k EC、 粒径 30 nm) 上 に P t触媒を担持させて得られた触媒体 (50重量%が t ) 66重量部を 、 水素イオン伝導材かつ結着剤であるパーフルォロカーボンスルホン酸アイ オノマー (米国 A 1 d r i c h社製の 5重量。 /oN a f i o n分散液) 33重 量部 (高分子乾燥重量) と混合し、 得られた混合物を成形して触媒層 (10 ~ 20 μ m) を形成した。
上述のようにして得たガス拡散層と触媒層とを、 高分子電解質膜 (米国 D u P o n t社の N a f i o n 1 1 2膜) の両面に接合し、 ME A 5を作製し
た。
つぎに、 以上のように作製した M E A 5の電解質 1の外周部にゴム製のガ スケット板を接合し、 冷却水、 燃料ガスおよび酸化剤ガス流通用のマ-ホー ルド穴を形成した。
一方、 2 0 c m X 3 2 c m X 1 . 3 mmの外寸を有し、 かつ深さ 0 . 5 m mのガス流路および冷却水流路を有する、 フエノール樹脂を含浸させた黒鉛 板からなる導電性のセパレータ板 7を用いた。
以上のような構成を有する本実施の形態の燃料電池システムの動作を以下 に説明するとともに、 これにより、 本発明の燃料電池システムの停止方法の 一実施の形態について、 図 4に示すフローチャートを用い説明する。 本実施 の形態では不活性ガスとして、 ガス清浄部 3 2により清浄化された原料ガス を用いた。 原料ガスの主成分はメタンガスであるので、 本実施の形態中で使 用する高分子電解質型の燃料電池にとつては反応性がほとんどないため不活 性ガスとして扱えるのである。
まず、 図 3の燃料電池システムで発電と発熱を行う (運転工程) を実行し た。 (運転工程) では、 原料ガスは都市ガスの 1 3 Aガス、 酸化剤ガスとし ては空気をそれぞれ用いた。 燃料電池スタック 3 8の温度は 7 0 °C、 燃料ガ ス利用率 (U f ) は 7 0 °/。、 酸素利用率 (U o ) は 4 0 %の条件とした。 燃 料ガスおょぴ空気は、 それぞれ 6 5 °Cおよび 7 0 °Cの露点を有するように加 湿し、 電力回路部 4 3から電力としてある電圧の電流を取り出した。 電流は 電極の見かけ面積に対して、 0 . 2 AZ c m 2の電流密度となるように調整し た。 冷却水入り口配管 4 6および冷却水出口配管 4 7には図示されていない 力 貯湯タンクが取り付けてある、 冷却水入り口配管 4 6中の水の温度は 7 0 °C、 冷却水出口配管 4 7中の水の温度は 7 5 °Cとなるようにポンプ 4 5を 調節した。
他のそれぞれの条件は以下のようにした。 (運転工程) の次は (停止工程
1) を行った。
(停止工程 1) では、 まずスタック 38の発電を停止した後、 開閉弁 49を 閉じスタック 38へ燃料ガスの供給を停止させるか、 または燃料ガスのスタ ックへの供給の停止と同時にプロヮー 39を停止させ、 分配弁 60で浄化後 の燃料ガスをすベてパイパス管 55に流れるようにし、 分配弁 57でスタツ ク 38に流れ込むガスはバイパス管 55からのガスがすべてになるように調 節する。 これにより酸化剤ガスは不活性ガスとしての原料ガスに置換される のである。
次に図 7に (停止工程 1) のさらに具体的なフローチャートを示す。
図 7に示すように、 まずスタック 3 8からの電力が図示しない外部付 加へ供給されなくなるよう制御を行った後 (S 1) 、 これ以上燃料ガス がスタック 3 8へ供給されないように開閉弁 49を閉める (S 2) 。 開 閉弁 49が閉められた後に、 開閉弁 5 1を閉める (S 3) 。 次いでプロ ヮー 3 9の停止の前に、 酸化剤ガスがこれ以上スタック 3 8へ供給され ないように開閉弁 5 7を閉める (S 4) 。
次に分配弁 6 0および 5 6を切り替え、 原料ガス配管 3 3が清浄ガス 配管 36側からパイパス管 5 5および酸化剤ガス配管 40 aに接続する よう切り替えてから、 開閉弁 5 7を開ける (S 5) 。 これにより、 ガス 清浄部 3 2を通過した原料ガスが、 スタック 3 8の力ソード側へ供給さ れ、 この原料ガスによりスタック 38内の酸化剤ガスがパージされる。 ここで、 制御部 44は、 供給される原料ガスの供給量を測定し (S 6') 、 予め定めた値以上になるかどうかを判定する (S 7) 。 この値に達す るまで原料ガスの供給は続けられ、 値以上であると判定されたら、 開閉 弁 5 7を閉じ (S 8) 、 その後に開閉弁 5 8を閉じる (S 9) 。 次いで ポンプ 45を停止させてスタック 38への冷却水循環を停止する (S 10) 。 なお、 上記の S 7の動作において、 所定の値として、 置換する原料ガスの
供給量は、 置換すべき体積に対して 2〜 5倍とした。 これは以下の計算によ る。
置換すべき体積を V (L) 、 置換するガスの流量を V (L/m i n) 、 酸 化剤ガスの目的成分の初期濃度を c。、 t (m i n) 時間後の濃度を c とする と、 (計算式 1) で表されるように微小時間 d tの間に体積 V中の濃度変化 d cは、 微小時間 d tの間に置換ガスによって押し出される目的成分の量と 等しくなる。
(数 1)
— dc = cvdt 両辺に一 1をかけた後、 両辺の対数をとると、 (計算式 2) となる,
(数 2)
Vdcニ ー c, V · dt
整理すると (計算式 3) となり、 積分を行うと (計算式 4) となる, で Xは積分定数である。
(数 4) logcニ ー t+X
(計算式 4) は (計算式 5) のように、 書き換えられる。
(数 5)
ここで、 t = 0のとき、 c = c。となるので、 (計算式 5) に代入すると ( 計算式 6) となる。
(数 6)
c0 = exp よって、 (計算式 6) を (計算式 5) に代入し、 (計算式 7) となる,
(計算式 7) で、 V · tZV は置換するガスの体積は置換すべき体積の 何倍となるかをあらわす。 2倍で 86 %以上が置換され、 5倍で 99. 3 % 以上が置換されることになる。 置換ガスの体積が 2倍以下では、 酸化剤ガス の残る量が多くなり、 5倍より多くなると置換ガスが無駄になるからである。
(停止工程 1) では燃料ガスの供給を酸化剤ガスの供給停止よりも早く、 ま たは同時に停止させるの 、 燃料ガスを無駄にすることなくより燃料エネル ギーあたりの発電効率を高くすることができるのである。
以上の (停止工程 1 ) が終了した後、 (停止工程 2) へ移行する。 つま り、 弁 34を閉じ、 原料ガスの供給を停止するのである。 なお、 スタック 3 8からの電流の引き抜きはすでに述べたように (停止工程 1) のブロワ一 3 9の停止と同じでも良いが、 所定電圧で電力回路部 43を制御するようにし ても良い。
本実施の形態ではスタック 38の単セルあたりの電圧が 0. 5 V以上の時
は電力回路部 4 3で電流を引き抜き、 0 . 5 V未満の時は電流を引き抜かな いように制御した。 (停止工程 2 ) で停止させておくと、 触媒反応層 2 aは 水素を含むガスで満たされるので電位は (水素電極比) 0 Vとなる。 触媒反 応層 2 cには不活性ガスである原料ガスが満たされているが、 電解質 1を介 して水素が拡散してくるので電位は (水素電極比) 0 Vとなる。 よって、 両 極とも酸化や溶解の発生する高電位になることなく、 停止ができるので、 劣 化が少なく、 長期間性能を維持できるのである。
さらに、 (停止工程 3 ) へ移行する。 すなわち、 以上の (運転工程) 〜 (停止工程 2 ) までは閉状態にあった開閉弁 6 2を開け、 さらに開閉 弁 5 1を開けるとともに、 分配弁 6 0および 5 7を、 バイパス管 5 5お よび酸化剤ガス配管 4 0 a側へ連通するように切り替える。 これにより 原料ガスがスタック 3 8のカソード側に供給されるとともに、 バイパス 管 6 1を介することによりアノード側にも供給するされる。 次に開閉弁 5 1を再ぴ閉じ、 弁 3 4を閉じる。 これにより、 スタック 3 8内全体の 内部に原料ガスが封止される。
(停止工程 3 ) では圧力計 5 9 a と 5 9 bの変化をモニタリングして いる。 開閉弁 4 9、 5 1、 5 7と 5 8が閉じているため、 スタック 3 8 の温度が低下するなどで、 封入されているガス中の湿度成分が結露など を起こすと封入ざれている原料ガスの体積が減少し、 スタック 3 8の内 部が負圧になる。 スタック 3 8の内部の圧力が負圧になると、 空気等の ガスが侵入しやすくなるだけでなく、 電解質 1や様々なガスケットが破 損してしまう可能性がある。 そこで、 圧力計 5 9 a と 5 9 bで計測され る値が一定以上変化すると、 弁 3 4を開き原料ガスを追加する。 本実施 の形態では圧力が 5 K P a変化したとき動作するようにした。 スタック 3 8の内部の圧力が所定値以下となると開閉弁 3 4を開き、 再ぴ原料ガ スを封入するのである。 燃料ガスに原料ガスを追加すると水素濃度は減
少するが、 酸素等の高電位を示すガスの侵入を排除しているため、 電極
4 aおよび 4 cの電位は低いまま維持できる。 これにより、 電極酸化や 溶解による劣化を抑えるだけでなく、 圧力変化によるスタック 3 8の構 成材料の破損も防ぐことができるので、 高性能を長期間維持できるので あ 。
なお、 上記の説明においては、 圧力計 5 9 a と 5 9 bによりスタック 3 8内の圧力を直接測定するものとして説明を行ったが、 ス ック 3 8 内の温度を測定する温度計などの手段を設け、 これにより得られた測定 値に基づき、 スタック 3 8の内部圧力を間接的に求めるようにしてもよ い。 すなわち、 力ソード側のパージが完了した後の温度 T 1から測定時 の温度 T 2が差 Δ Tが 5 °C程度低くなつた場合、 圧力が下がったとみな して、 開閉弁 3 4を開き、 再ぴ原料ガスをスタック 3 8内へ封入する。 最後に、 (停止工程 3 ) が所定時間続いた後に、 運転を再開するかど うかの判断を行う。 D S S運転のサイクルにしたがって運転を再開する 場合は、 再び (運転工程) へ復帰するが、 長期間利用しないなどの理由 により再開しない場合はシステムの主電源を切断する。
なお、 本実施の形態では、 不活性ガスとして、 ガス清浄部 3 2で清浄化し た原料ガスを用いた。 これは、 原料ガスを用いるため、 特別な装置がなくと も作り出せることができるので便利であるが、 窒素ガスボンベ等を搭載し、 窒素ガスなどの不活性ガスを用いても、 同じ効果が得られる。 また、 本実施 の形態では、 酸化剤ガスおよび燃料ガスの通過経路に設けた加湿器 4 1で、 不活性ガスとしての原料ガスを加湿した。 酸化剤ガスおょぴ燃料ガスの共通 の通過経路に加湿器 4 1を設けたことで、 一つの加湿器で異なるガスの加湿 ができ、 より効果的である。 また、 不活性ガスとしての原料ガスは加湿をし た。 無加湿でもスタック 3 8に供給する体積が比較的少なければ影響はわず かであるが、 供給する体積が大きいと電解質 1を乾燥させ、 水素イオンの透
過性を減少させてしまうので、 本実施の形態では加湿した。 したがって供給 する体積が比較的少なければ、 加湿は省略してもよい。
また、 上記の構成において、 バイパス管 6 1および開閉弁 6 2は省略した 構成として、 停止工程 3を省く、 停止工程 3を力ソード側のみに原料ガスを 封止するものとして実施してもよい。
(実施の形態 2 )
実施の形態 2の燃料電池システムの動作を以下に説明するとともに、 これ により、 本発明の燃料電池システムの停止方法の一実施の形態について、 図 5に示すフローチャートを用い説明する。 基本的な構成や動作は実施の形態 1と同じである。 詳細な運転方法を以下に示す。 (運転工程) は実施の形態 1と同じである。
次に (停止工程 1 ) を行った。 (停止工程 1 ) では、 まずブロワ一 3 9を 停止させるとともに、 分配弁 6 0で浄化後の燃料ガスをパイパス管 5 5と清 浄ガス配管 3 6のいずれにも流れるようにし、 分配弁 5 7の切り替えにより スタック 3 8に流れ込むガスは、 バイパス管 5 5からのガスがのみになるよ うに調節する。
これにより燃料ガスはスタック 3 8に流れたまま、 スタック 3 8内の酸化 剤ガスは不活性ガスとしての原料ガスに置換されるのである。 所定時間後 ( 停止工程 2 ) にうつる。
(停止工程 2 ) では、 開閉弁 5 7と 5 8を閉じ、 スタック 3 8内部に不活 性ガスとしての原料ガスを封入する。 (停止工程 2 ) では、 燃料ガスは供給 されているので水素も供給されている。 原料ガスは封入されているので、 燃 料ガスから電解質 1を拡散して原料ガス側に移動した水素は触媒反応層 2 c 付近で滞留する。 これにより、 電極 4 cの電位はより早く、 確実に下げるこ とができるので、 より確実に電極の劣化を抑えることができる。 (停止工程 2 ) はあらかじめ定められた時間行っても良いが、 本実施の形態ではスタツ
クの単セルあたりの電圧が 0 . I V以下となったあと、 (停止工程 3 ) にう つることとした。 本実施の形態の (停止工程 2 ) では電極 4 aは常に 0 Vで あるので、 セルの電圧が電極 4 cの電位に等しい。 電極 4 cが 0 . I Vとな ると、 拡散した水素で電極 4 cの電位は確実に下がったと言えるからで、 燃 料ガスを過不足なく利用できるので、 エネルギーあたりの発電効率が高くな るのである。
次の (停止工程 3 ) では開閉弁 4 9と 5 1を閉じスタック 3 8内に燃料ガ スを封入する。 本実施の形態では、 燃料ガスおよび原料ガスは開閉弁 4 9お よび 5 1の閉止によりスタック 3 8内に封入されているため、 (停止工程 3 ) の状態では対流等によりガスの出入りがないので、 電極 4 aと 4 cの電位 を低いまま保持できるため、 より酸化や溶解による劣化が少ないので、 より 長期間性能を維持することができるのである。
さらに (停止工程 4 ) にうつる。 開閉弁 4 9、 5 1、 5 7および 5 8によ りスタック 3 8は外部とガスの対流等による出入りは無いが、 わずかに酸素 等が外部から拡散してくる。 そこで、 一定時間ごとに、 ガス清浄部 3 2によ り清浄化した原料ガスを、 分配弁 6 0により、 パイパス管 5 5と清浄ガス配 管 3 6のいずれにも流す。 ここで、 開閉弁 5 7と 5 8をわずかに開き、 バイ パス館 5 5を通過した原料ガスをスタック 3 8に送り込み、 封入してあるガ スとわずかに入れ替える。 清浄ガス配管 3 6を通過した原料ガスは燃料生成 器 3 5に送り込まれるが、 燃料生成器 3 5で反応が起きない構成または温度 になるよう一定時間を選択することにより、 原料ガスのまま燃料生成器 3 5 を通過させることができる。 ここで、 開閉弁 4 9と 5 1をわずかに開き、 封 入してある燃料ガスを原料ガスでわずかに置き換える。 これにより、 封入中 に外部から拡散等で侵入してきた酸素等のガス濃度を低減させることができ 、 電極 4 aと 4 cの電位上昇を長期間抑えることができるので、 長期停止中 でも電極 4 aと 4 cの酸化または溶解による劣化を抑制でき、 長期間性能が
維持することができるのである。 また、 上記の構成において、 パイパス管 6 1および開閉弁 6 2は省略した構成としてもよい。
(実施の形態 3 )
実施の形態 3の燃料電池システムの動作を以下に説明するとともに、 これ により、 本発明の燃料電池システムの停止方法の一実施の形態について、 図 6に示すフローチャートを用い説明する。 基本的な構成や動作は実施の形態 1または 2と同じであるが、 バイパス管 6 1および開閉弁 6 2は省略した構 成であるものとする。
詳細な運転方法を以下に示す。 発電および発熱を行う (運転工程) の基本 条件は実施の形態 1と同じである。 ここで、 電力回路部 4 3でスタック 3 8 から引き抜かれる電流は、 家庭等での電力の消費の大小に従って、 制御部 4 4で制御される。 燃料電池システムから発電される電力を消費しなくなると 、 スタック 3 8から引き抜かれる電流が減少するため、 電圧が上昇する。 電 圧が開回路電圧 0 . 8 8 Vを超えると電極 4 cの酸化や溶解が発生してしま うので、 (停止工程 1 ) にうつる。 つまり電圧が開回路電圧 0 . 8 8 Vを超 える状態での運転を無くすことができるので、 長期間性能を維持できるので ある。 .
(停止工程 1 ) は実施の形態 1と同様であり、 まずプロヮー 3 9を停止さ せるとともに、 分配弁 6 0で浄化後の燃料ガスをバイパス管 5 5と清浄ガス 配管 3 6のいずれにも流れるようにし、 分配弁 5 7でスタック 3 8に流れ込 むガスはバイパス管 5 5からのガスがすべてになるように調節する。 これに より燃料ガスはスタック 3 8に流れたまま、 スタック 3 8内の酸化剤ガスは 不活性ガスとしての原料ガスに置換されるのである。
所定時間後 (停止工程 2 ) にうつる。 (停止工程 2 ) では、 パージ完了後 も原料ガスを流したまま、 開閉弁 4 9と 5 1を閉じ、 スタック 3 8に燃料ガ スを封止する。 これにより、 燃料ガスの使用を少なくすることができる。 さ
らに (停止工程 3 ) にうつる。 開閉弁 5 7と 5 8を閉じ、 スタック 3 8内部 に不活性ガスとしての原料ガスを封入する。 スタック 3 8内において燃料ガ スから電解質 1を拡散して原料ガス側に移動した水素は触媒反応層 2 c付近 で滞留する。 これにより、 電極 4 cの電位を確実に下げることができるので 、 確実に電極の劣化を抑えることができる。 (停止工程 3 ) の状態では対流 等によりガスの出入りがないので、 電極 4 a と 4 cの電位を低いまま保持で きるため、 酸化や溶解による劣化が少ないので、 長期間性能を維持すること ができるのである。 さらに (停止工程 4 ) にうつる。
(停止工程 4 ) では圧力計 5 9 aと 5 9 bの変化をモニタリングしている c 開閉弁 4 9、 5 1、 5 7と 5 8が閉じているため、 スタック 3 8の温度が低 下するなどで、 封入されているガス中の湿度成分が結露などを起こすと封入 されている原料ガスの体積が減少し、 スタック 3 8の内部が負圧になる。 ス タック 3 8の内部の圧力が負圧になると、 空気等のガスが侵入しやすくなる だけでなく、 電解質 1や様々なガスケットが破損してしまう可能性がある。 そこで、 圧力計 5 9 aと 5 9 bで計測される値が一定以上変化すると、 開閉 弁 4 9または 5 7を開き原料ガスを追加する。 本実施の形態では圧力が 5 K P a変化したとき動作するようにした。 停止中スタック 3 8に原料ガスを流 す動作は実施の形態 2と同じである。 スタック 3 8の内部の圧力が所定値と なると開閉弁 4 9または 5 7を開き、 再びガスを封入するのである。 燃料ガ スに原料ガスを追加すると水素濃度は減少するが、 酸素等の高電位を示すガ スの侵入を排除しているため、 電極 4 aおよび 4 cの電位は低いまま維持で きる。 これにより、 電極酸化や溶解による劣化を抑えるだけでなく、 圧力変 化によるスタック 3 8の構成材料の破損も防ぐことができるので、 高性能を 長期間維持できるのである。
なお、 上記の説明においては、 圧力計 5 9 a と 5 9 bによりスタック 3 8 内の圧力を直接測定するものとして説明を行ったが、 スタック 3 8内の温度
を測定する温度計などの手段を設け、 これにより得られた測定値に基づき、 スタック 3 8の内部圧力を間接的に求めるようにしてもよい。 すなわち、 力 ソード側のパージが完了した後の温度 T 1から測定時の温度 T 2が差 Δ丁が 5 °C程度低くなつた場合、 圧力が下がったとみなして、 開閉弁 4 9または 5 7を開き、 再び原料ガスをスタック 3 8内へ封入する。
なお、 以上の実施の形態 1〜3において、 スタック 3 8は本発明の燃 料電池に相当し、 燃料ガス配管 3 7は本発明の燃料ガス配管に相当し、 開閉弁 4 9は本発明の燃料ガス開閉弁に相当し、 これらが本発明の燃料 ガス供給手段を構成する。 また酸化剤ガス配管 4 0 aは本発'明の酸化ガ ス配管に相当し、 開閉弁 5 7は本発明の酸化剤開閉弁に相当し、 これら が本発明の酸化剤ガス供給手段を構成する。 また原料ガス配管 3 3, パ ィパス管 5 5は本発明の原料ガス配管に相当し、 分配弁 5 6, 6 0は本 発明の原料ガス開閉弁に相当し、 これらが本発明の原料ガス供給手段に 相当する。 また制御部 4 4は本発明の制御手段に相当する。
また、 オフガス管 4 8は本発明のアノード側排出配管に相当し、 開閉 弁 5 1は本発明のアノード側オフガス開閉弁に相当し、 排気管 4 2は本 発明の力ソード側排出配管に相当し、 開閉弁 5 8は本発明のァノード側 オフガス開閉弁に相当する。 また、 バイパス管 6 1は本発明の付加原料ガ ス配管に相当し、 開閉弁 6 2は本発明の付加原料ガス開閉弁に相当する。 また、 以上の実施の形態 1〜3は、 以下のような発明の実施の形態にも相 当するものとしてもよい。 すなわち、 第 1の発明として、 高分子電解質膜 と、 高分子電解質膜を挟む一対の電極と、 電極の一方に少なく とも水素 を含む燃料ガスを供給 ·排出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供 給 ·排出するガス流路を有する一対のセパレータとを具備した燃料電池 と、 原料ガスから燃料電池に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器と 、 燃料電池に悪影響を与える成分を原料ガスから除去するガス清浄部と
、 燃料電池から電力を取り出す電力回路部と、 燃料電池の電圧を測定す る電圧測定部と、 ガスや電力回路部などを制御する制御部とを有する燃 料電池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 燃料ガスと酸化剤ガス の供給を停止し、 燃料電池内部の酸化剤ガスを燃料電池に対し不活性な ガスで一部または全部を置き換える燃料電池システムとすることにより 、 停止中の燃料電池の内部には酸素が存在しない、 または酸素が少ない 状態になるので、 アノード電極は水素の電位 (水素電極基準約 O V) 、 カソード極もアノードから拡散してくる水素により水素の電位となり、 両極とも電位を低く保つことができるので、 停止による性能低下を抑制 することができるのである。
また、 第 2の発明として、 特に、 第 1の発明の燃料電池システムを、 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給経路おょぴ排出経路に遮断弁を備え、 燃料電池の停止時に燃料ガスと酸化剤ガスの供給を停止し、 燃料電池内 部の酸化剤ガスを燃料電池に対し不活性なガスで一部または全部を置換 して、 遮断弁を閉じ、 燃料ガスおよび燃料電池に対して不活性なガスを 燃料電池内に封入できる燃料電池システムとすることにより、 停止中は 燃料電池内部と外部のガスの流れが遮断されているため、 長期間停止さ せても燃料電池の電極の電位は低く保たれるので、 停止による性能低下 を抑制することができるのである。
第 3の発明として、 特に、 第 1の発明または第 2の発明の燃料電池シ ステムを酸化剤ガスおよび原料ガスの通過経路に加湿器を設け、 加湿し た酸化剤ガスおよび原料ガスを燃料電池に供給することができる燃料電 池システムとすることにより、 酸化剤ガスを一部または全部を置き換え る不活性ガスとして、 ガス清浄部で燃料電池に悪影響を与える成分を除 去した原料ガスを使用する場合に、 加湿した原料ガスを燃料電池内部に 流すことができ、 高分子電解質膜の乾燥を防ぐことができるので、 停止
中に発生する高分子電解質膜の乾燥による性能の低下を抑制することが できるのである。
また、 第 4の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 .排 出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータとを具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池 に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料亀池に悪影響を与え る成分を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り 出す電力回路部と、 燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、 ガスゃ電 力回路部などを制御する制御部とを有する燃料電池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 燃料電池の電圧が 0 . 8 8 Vを超えると燃料ガス と酸化剤ガスの供給を停止し、 燃料電池内部の酸化剤ガスを燃料電池に 対し不活性なガスで一部または全部を置き換える燃料電池システムの運 転方法とすることにより、 燃料電池の各電極の電位を必ず (水素電極基 準で) 0 . 8 8 V以下とすることができるので、 P tなどの触媒の酸化 および溶解を防ぐことができるので、 性能を長期間維持することができ るのである。
また、 第 5の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 -排 出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータとを具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池 に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料電池に悪影響を与え る成分を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り 出す電力回路部と、 燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、 ガスゃ電 力回路部などを制御する制御部とを有する燃料電池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 燃料ガスと酸化剤ガスの供給を同時または燃料ガ
スを停止した後酸化剤ガスを停止し、 燃料電池内部の酸化剤ガスを燃料 電池に対し不活性なガスで一部または全部を置き換える燃料電池システ ムの運転方法とすることにより、 ァノード電極は水素が満たされている ので (水素電極基準) 約 0 Vの電位となり、 力ソード電極は経路の圧力 を低下させるまたはブロワ一の慣性による酸化剤ガス供給があっても、 不活性ガスで置き換えた後は、 アノードから拡散してくる水素により力 ソード電極の電位は (水素電極基準で) 約 0 Vとなりので、 停止を行つ ても性能の低下を抑制できるのである。 また、 燃料ガスを酸化剤ガスよ りも先に停止することにより、 発電に使用しない水素の使用量を最小化 できるので、 よりエネルギー当たりの発電効率の高い燃料電池システム が実現できるのである。
また、 第 6の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 ·排 出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータとを具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池 に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料電池に悪影響を与え る成分を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り 出す電力回路部と、 燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、 ガスゃ電 力回路部などを制御する制御部とを有する燃料電池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 酸化剤ガスの供給を停止した後、 燃料ガスの供給 を停止し、 燃料電池内部の酸化剤ガスは燃料電池に対し不活性なガスで 一部または全部を置き換える燃料電池システムの運転方法とすることに より、 カソードが不活性ガスで酸化剤ガスを置き換えている少なくとも 最初の間はァノードに水素が流れているので、 カソードから酸素がァノ 一ドに拡散してもアノード電極の電位はまったく変化を受けず (水素電 極基準) 約 0 Vを維持し、 力ソードには十分な量の水素が拡散するので
、 力ソード電極の電位をすばやく確実に (水素電極基準) 約 O Vに低下 させることができるので、 カソード電極の性能向上を確実に起こすこと ができるので、 停止を行っても性能の低下を抑制できるのである。
また、 第 7の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 ·排 出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータと、 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給経路おょぴ 排出経路に遮断弁を具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池に供給 する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料電池に悪影響を与える成分 を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り出す電 力回路部と、 燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、 ガスや電力回路 部などを制御する制御部とを有する燃料電池システムにおいて、 燃料電 池の停止時に、 燃料ガスは供給を停止した後、 遮断弁で燃料電池内部に 燃料ガスを封入し、 酸化剤ガスは供給を停止し、 燃料電池.内部の酸化剤 ガスは燃料電池に対し不活性なガスで一部または全部を置き換えた後、 遮断弁で不活性なガスを封入し、 一定時間後に、 燃料ガス封入部および 不活性ガス封入部に不活性ガスを注入する燃料電池システムの運転方法 とすることにより、 停止中に燃料電池内部のガスが結露や収縮または残 留している酸素と水素の反応により体積が減少して内部の圧力が負圧ま たは、 アノードと力ソードの圧力に差が発生しても、 燃料ガス封入部や 不活性ガス封入部に不活性ガスを注入することにより、 内部の圧力が負 圧またはアノードとカソードの圧力差を解消することができるので、 高 分子電解質膜等にかかる応力をなくすことができるので、 停止を行って も性能の低下を抑制できるのである。 さらに、 不活性ガスの注入時に、 燃料ガスまたは酸化剤ガスの排出経路の遮断弁を開けることにより、 封 入ガスを不活性ガスにより入れ替えることができる。 燃料電池の停止中
に、 ガスケットゃセパレーター材を介して空気中の酸素が徐々に侵入し てきても、 燃料電池の外部に排出することができるのである。
また、 第 8の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 ·排 出し、 他方に酸素を含有す.る酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータと、 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給経路および 排出経路に遮断弁を具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池に供給 する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料電池に悪影響を与える成分 を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り出す電 力回路部と、 燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、 燃料電池の内部 の圧力を測定する圧力測定部と、 ガスや電力回路部などを制御する制御 部とを有する燃料電池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 燃料ガ スは供給を停止した後、 遮断弁で燃料電池内部に燃料ガスを封入し、 酸 化剤ガスは供給を停止し、 燃料電池内部の酸化剤ガスは燃料電池に対し 不活性なガスで一部または全部を aき換えた後、 遮断弁で不活性なガス を封入し、 燃料電池の内部の圧力が一定以上変化した時は、 燃料ガス封 入部および不活性ガス封入部に不活性ガスを注入または遮断弁を開け燃 料電池内部の空間を外部に開放する燃料電池システムの運転方法とする ことにより、 停止中に燃料電池内部のガスが結露や収縮または残留して いる酸素と水素の反応により体積が減少して内部の圧力が負圧または、 アノードとカソードの圧力に差が発生しても、 燃料ガス封入部や不活性 ガス封入部に不活性ガスを注入することにより、 内部の圧力が負圧また はアノードとカソードの圧力差を確実に解消することができるので、 高 分子電解質膜等にかかる応力をなくすことができるので、 停止を行って も性能の低下を抑制できるのである。 さらに、 不活性ガスの注入時に、 燃料ガスまたは酸化剤ガスの排出経路の遮断弁を開けることにより、 封
入ガスを不活性ガスにより入れ替えることができ、 燃料電池の停止中に 、 ガスケットゃセパレーター材を介して空気中の酸素が徐々に侵入して きても、 燃料電池の外部に排出することができるのである。
また、 第 9の発明として、 高分子電解質膜と、 高分子電解質膜を挟む 一対の電極と、 電極の一方に少なくとも水素を含む燃料ガスを供給 ·排 出し、 他方に酸素を含有する酸化剤ガスを供給 ·排出するガス流路を有 する一対のセパレータと、 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給経路おょぴ 排出経路に遮断弁を具備した燃料電池と、 原料ガスから燃料電池に供給 する燃料ガスを生成する燃料生成器と、 燃料電池に悪影響を与える成分 を原料ガスから除去するガス清浄部と、 燃料電池から電力を取り出す電 力回路部と、 ガスや電力回路部などを制御する制御部とを有する燃料電 池システムにおいて、 燃料電池の停止時に、 燃料ガスは供給を停止した 後、 遮断弁で燃料電池内部に燃料ガスを封入し、 酸化剤ガスは供給を停 止し、 燃料電池内部の酸化剤ガス経路には燃料電池に対し不活性なガス を流し、 燃料電池の電圧が所定の電圧になった後、 遮断弁で不活性なガ スを封入する燃料電池システムの運転方法とすることで、 アノード電極 は確実に (水素電極基準で) 約 0 Vに保つことができ、 電圧は力ソード の電位を検出することができ、 力ソードの電位を所定の電位になるまで 確実に不活性ガスで置き換えることができるので、 停止を行っても性能 の低下を抑制できるのである。
また、 第 1 0の発明によれは、 特に、 第 1〜 9のいずれかの発明を、 燃料電池に対して不活性なガスとして、 燃料電池に悪影響を与える成分 ガス清浄部で除去した原料ガスを用いる燃料電池システムまたは燃料電 池システムの運転方法とすることにより、 ボンベなど特別な装置を持つ ことなく、 簡単に不活性ガスで酸化剤ガスを置換することができるので 、 簡単な構成で停止を行っても性能の低下を抑制できるのである。
(実施の形態 4 )
図 8は本発明の実施の形態 4における燃料電池システムの構成図である。 本発明の第 4の実施の形態における燃料電池システムは、 燃料ガスと酸化 剤ガスを用いて発電を行う固体高分子形の燃料電池 8 1と、 原料ガスに水を 添加して改質し水素に富んだ燃料ガスを生成する燃焼生成器 8 2と、 燃料生 成器 8 2に水を供給する水供給手段 8 3と、 燃料電池 8 1からの排出燃料ガ スを燃焼する燃焼器 8 4と、 酸化剤ガスとしての空気を燃料電池 8 1のカソ ードに供給するブロア 8 5と、 パージ用空気供給手段 8 6と、 燃料生成器 8 2から送出される流体を燃料電池 8 1のアノードへ供給する燃料ガス供給流 路と、 燃料生成器 8 2から送出される流体を燃料電池をパイパスして排出燃 焼ガスを燃焼器へ供給するための経路へ導くためのバイパス管 8 7への切り 換えを行なう流路切換手段 8 8と、 燃料電池 8 1から残余燃料ガスが排出さ れる経路上の開閉弁 8 9と、 原料を燃料電池 8 1のカソードへ供給する原料 カソード供給手段 8 1 0と、 ブロア 8 5から燃料電池 8 1への空気の入口側 と燃料電池 1から排出される空気の出口側を開閉する開閉弁を有するカソー ド閉止手段 8 1 1とを備える。 なお、 ここで上記原料は、 天然ガスに限定さ れるものでなく、 都市ガス、 メタン、 プロパン等の炭化水素、 メタン、 エタ ノール等のアルコールに例示される少なくとも炭素及ぴ水素から構成される 化合物を含むものであればいずれの材料でも構わない。 ただし、 アルコール 等の液体原料は気化された原料ガスが好ましい。
また、 流路切換手段 8 8がバイパス流路を形成し、 燃料生成器 8 2から送 出される流体をパイパス管 8 7へ供給するように設定された場合は燃料電池 8 1への燃料ガスの入口側が閉止状態となるため、 流路切換手段 8 8と開閉 弁 8 9とからアノード閉止手段 8 1 2が構成される。 また、 燃料電池 8 1の 内部構成は、 図 1, 2に示すものと同様である。
以上のような構成を有する本実施の形態の燃料電池システムの動作を以下
に説明するとともに、 これにより、 本発明の燃料電池システムの停止方法の 一実施の形態について説明する。
燃料電池システムの運転時は、 燃料生成器 8 2は約 6 4 0 °C程度の温度に 維持されて天然ガスと水から水素に富んだ燃料ガスを生成し、 燃料ガスは供 給流路を形成した流路切換手段 8 8を経由して燃料電池 8 1へ送られる。 燃 料電池 8 1では燃料ガス中の水素とブロア 8 5から開放状態のカソード閉止 手段を経由して供給される空気中の酸素とを用いて発電が行われ、 発電で消 費されなかった残余燃料ガスは開放状態の開閉弁 8 9を経由して燃焼器 8 4 へ送られ燃焼され燃料生成器 8 2の温度維持を行うための熱源に用いられる c 燃料電池システムが発電を停止する際には、 ブロア 8 5を停止して燃料電 池 8 1の力ソードへの空気供給を停止し、 燃料電池 8 1の電圧が開回路電圧 になる前に、 原料力ソード供給手段 8 1 0は原料を燃料電池 8 1の力ソード へ供給を開始する。 原料が燃料電池 8 .1のカソード内の空気をほぼ全量追い 出したときに力ソード閉止手段 8 1 1を閉止状態にし、 原料力ソード供給手 段 8 1 0は原料を燃料電池 8 1のカソードへ供給するのを停止する。
また、 流路切換手段 8 8はバイパス管 8 7側へ切り替えられ、 バイパス流 路を形成するとともに開閉弁 8 9を閉止状態にすることにより、 燃料電池 8 1のアノードに存在する燃料ガスを封入し、 燃料生成器 8 2への原料の供給 を停止する。
—方、 水供給手段 8 3による燃料生成器 8 2への水の供給は継続させる。 燃料生成器 8 2へ供給された水は燃料生成器 8 2の熱で水蒸気となり、 燃料 生成器 8 2内に残っている水素に富んだ燃料ガスを押し出し流路切換手段 8 8、 パイパス管 8 7を経由して燃焼器 8 4で燃焼させる。 その後、 次第に水 素に富んだ燃料ガスの量が減少してくため燃焼器 8 4での燃焼は停止するが 、 燃料生成器 8 2の余熱で水蒸気の生成は継続される。
燃料生成器 8 2で生成された水蒸気の量が燃料生成器 8 2内の水素に富ん
だ燃料ガスを十分追い出す量に達し、 かつ、 燃料生成器 8 2の温度が 4 0 0 °C程度まで低下した時、 水供給手段 8 3による水の供給を停止してパージ用 空気供給手段 8 6により空気を供給することにより燃料生成器 8 2の中の水 蒸気を押し出し流路切換手段 8 8、 バイパス管 8 7を経由して燃焼器 8 4か ら排出する。 燃料生成器 8 2や各部配管内部の水蒸気を追い出し切ったとき パージ用空気供給手段 8 6は空気の供給を停止し、 燃料電池システムの停止 処理を完了する。
前記の 4 0 0 °Cという温度は燃料生成器 8 2に用いられる触媒がルテユウ ムを主成分としている場合を想定しており、 触媒が高温時に空気に触れて酸 化することにより性能劣化を引き起こさないためにある程度の安全率を見込 んで設定した温度である。 そのため安全率の設定によっては温度は変化する ことは当然であり、 また、 触媒の種類が異なればおのずと違った温度に設定 されるべきである。 · .
次に、 燃料電池システムを起動する場合は、 流路切換手段 8 8はバイパス 流路を形成したまま原料を燃料生成器 8 2、 流路切換手段 8 8、 パイパス管 8 7を経由して燃焼器 8 4 へ供給し燃焼を行なう。 と同時に、 水供給手段 3 は燃料生成器 8 2 へ水の供給を行なう。 そして、 燃焼器 8 4により燃料生成 器 8 2が約 6 4 0 °Cに加熱され、 原料から水素に富んだ燃料ガスに変換され る。 燃料生成器 8 2に含まれる一酸化炭素除去部 (図示せず) の温度が安定 し、 燃料ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度が燃料電池 8 1のアノード電極 を劣化させない程度 (約 2 0 p p m) まで低下した時点で、 開閉弁 8 9を開 き、 流路切換手段 8 8は燃料ガス供給流路側へ切替えられ、 燃料ガスを流路 切換手段 8 8、 燃料電池 8 1、 開閉弁 8 9を経由して燃焼器 8 4 へ供給する c 同時にカソード閉止手段 8 1 1を開放状態にし、 ブロア 8 5は燃料電池 8 1の力ソードへ空気の供給を開始し、 燃料電池 8 1での発電を開始する。 以上のように、 本実施の形態によれば、 燃料電池システムの停止時におい
て、 実施の形態 1〜3と同様、 流路切換手段 8 8はパイパス流路を形成し開 閉弁 8 9を閉止状態にして燃料電池 1のアノードに燃料ガスを封入すること により、 窒素を用いない場合でも燃料電池 1のカソードへ空気を流入させる 事無く安全に停止できるので、 燃料電池 8 1のァノードを酸素の存在する酸 化雰囲気に晒す事はない。 さらに、 原料力ソード供給手段 8 1 0は原料を燃 料電池 1のカソードへ供給しカソードの空気を追い出してから停止するため 、 燃料電池 8 1において、 高分子電解質膜を介して力ソードからアノードへ のガス拡散が発生しても、 アノードに空気が混入しないため、 アノード電位 が低く維持され、 アノード触媒の溶出がなくなり、 燃料電池システムの耐久 性低下を招く事はない。
かつ、 上記の原料による力ソードの空気排出動作を燃料電池 8 1が開回路 電圧に到達する以前に開始するため、 力ソード高電位による力ソード触媒の 溶出も発生せず、 燃料電池システムの耐久性低下を招かない。
また、 力ソード閉止手段 8 1 1を閉止状態にすることにより、 原料カソー ド供給手段 8 1 0により燃料電池 8 1の力ソードへ供給した原料は封入され るため、 停止期間が長くなつても外部から空気が燃料電池 8 1へ到達する事 は無く、 長期停止時を含めて燃料電池システムの耐久性の低下を招く心配は ない。
一方、 燃料生成器 8 2は最初に水蒸気で内部の燃料ガスを押し出し、 温度 が十分低下してから空気で水蒸気を追い出すため、 高温状況下で可燃性ガス を内部に滞留させる危険性もなく、 停止時に内部に水を潴留させないため、 次回起動時に配管中に水がたまり燃料ガスの供給を不安定にすることもない c そして起動時には、 燃焼器 8 4での燃焼を開始した後に流路切換手段 8 8 を燃料ガス供給流路側に切り替え、 開閉弁 8 9を開いて、 燃料電池 1に封入 されていた燃料ガスを燃焼器 8 4で燃焼させる事により、 燃料電池 8 1に封 入されていた燃料ガスを外部へ放出する事がなく、 燃料ガスが外部に排出さ
れる危険性は生じない。
(実施の形態 5 )
図 9は本発明の実施の形態 5における燃料電池システムの構成図である。 従来例もしくは本発明の実施の形態 4と同じ構成要素には同じ番号を付与し ている。
本発明の実施の形態 5における燃料電池システムは、 原料を燃料電池 1の アノードへ供給する原料アノード供給手段 8 1 3をさらに備えた点が実施の 形態 4と異なる。
以上のような構成を有する本実施の形態の燃料システムの動作を以下に説 明するとともに、 これにより、 本 明の燃料電池システムの停止方法の一実 施の形態について説明する。
燃料電池システムの運転時は、 燃料生成器 8 2は約 6 4 0 °C程度の温度に 維持されて天然ガスと水から水素に富んだ燃料ガスを生成し、 燃料ガスは供 給流路を形成した流路切換手段 8 8を経由して燃料電池 8 1へ送られる。 燃 料電池 8 1では燃料ガス中の水素とブロア 8 5から開放状態の力ソード閉止 手段を経由して供給される空気中の酸素とを用いて発電が行われ、 発電で消 費されなかった残余燃料ガスは開放状態の開閉弁 8 9を経由して燃焼器 8 4 へ送られ燃焼され燃料生成器 8 2の温度維持を行うための熱源に用いられる c 燃料電池システムが発電を停止する際には、 まず、 ブロア 8 5を停止して 燃料電池 8 1の力ソードへの空気供給を停止し、 燃料電池 8 1の電圧が開回 路電圧になる前に、 原料力ソード供給手段 8 1 0は原料を燃料電池 8 1の力 ソードへ供給を開始する。 原料が燃料電池 8 1の力ソード内の空気をほぼ全 量追い出したときに力ソード閉止手段 8 1 1を閉止状態にし、 原料力ソード 供給手段 8 1 0は原料を燃料電池 8 1の力ソードへ供給するのを停止する。 次に、 流路切換手段 8 8はバイパス管 8 7側へ切替えられ、 バイパス流路 を形成するとともに開閉弁 8 9を開放状態のまま維持し、 アノード閉止手段
8 1 2は原料を燃料電池 1のアノードへ供給する。 原料が燃料電池 8 1のァ ノード内の燃料ガスをほぼ全量追い出したときに開閉弁 8 9を閉止状態にし 、 原料アノード供給手段 8 1 3は原料を燃料電池 8 1のアノードへ供給する のを停止する。
一方、 燃料生成器 8 2への原料の供給を停止し、 水供給手段 8 3による燃 料生成器 8 2への水の供給は継続させる。 燃料生成器 8 2へ供給された水は 燃料生成器 8 2の熱で水蒸気となり、 燃料生成器 8 2内に残っている水素に 富んだ燃料ガスを押し出し流路切換手段 8 8、 パイパス管 8 7を経由して燃 焼器 8 4で燃焼させる。 その後次第に水素に富んだ燃料ガスの量が減少して くため燃焼器 8 4での燃焼は停止するが、 燃料生成器 8 2の余熱で水蒸気の 生成は継続される。
燃料生成器 8 2で生成された水蒸気の量が燃料生成器 2内の水素に富んだ 燃料ガスを十分追い出す量に達し、 かつ、 燃料生成器 8 2の温度が 4 0 0 °C 程度まで低下した時、 水供給手段 8 3による水の供給を停止してパージ用空 気供給手段 8 6により空気を供給することにより燃料生成器 8 2の中の水蒸 気を押し出し流路切換手段 8 8、 パイパス管 8 7を経由して燃焼器 8 4から 排出する。 燃料生成器 8 2や各部配管内部の水蒸気を追い出し切ったときパ ージ用空気^給手段 8 6は空気の供給を停止し、 燃料電池システムの停止生 成を完了する。
前記の 4 0 0 °Cという温度は燃料生成器 8 2に用いられる触媒がルテニゥ ムを主成分としている場合を想定しており、 触媒が高温時に空気に触れて酸 化することにより性能劣化を引き起こさないためにある程度の安全率を見込 んで設定した温度である。 そのため安全率の設定によっては温度は変化する ことは当然であり、 また、 触媒の種類が異なればおのずと違った温度に設定 されるべきである。
次に燃料電池システムを起動する場合は、 流路切換手段 8 8はパイパス流
路を形成したまま原料を燃料生成器 8 2、 流路切換手段 8 8、 パイパス管 8 7を経由して燃焼器 8 4へ供給し燃焼を行なう。 と同時に、 水供給手段 8 3 は燃料生成器 8 2へ水の供給を行なう。 そして、 燃焼器 8 4により燃料生成 器 8 2が約 6 4 0 °Cに加熱され、 原料から水素に富んだ燃料ガスに変換され る。 燃料生成器 8 2に含まれる一酸化炭素除去部 (図示せず) の温度が安定 し、 燃料ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度が燃料電池 1のアノード電を劣 化させない程度 (約 2 0 p p m) まで低下した時点で、 開閉弁 8 9を開き、 流路切換手段 8は燃料ガス供給流路側へ切替えられ、 燃料ガスを流路切換手 段 8 8、 燃料電池 8 1、 開閉弁 8 9を経由して燃焼器 8 4へ供給する。 同時に力ソード閉止手段 8 1 1を開放状態にし、 ブロア 8 5は燃料電池 8 1のカソードへ空気の供給を開始し、 燃料電池 8 1での発電を開始する。 以上のように、 燃料電池システムの停止時において、 アノード閉止手段 8 1 2は原料を燃料電池 8 1のアノードへ供給し、 原料が燃料電池 8 1のァノ 一ド内の燃料ガスをほぼ全量追い出したときに開閉弁 8 9を閉止状態にして 原料を封入する事により、 窒素を用いない場合でも燃料電池 1のカソードへ 空気を流入させる事無く安全に停止できるので、 燃料電池 1のアノードを酸 素の存在する酸化雰囲気に晒す事はない。
さらに、 発電停止時の最初に原料力ソード供給手段 8 1 0は原料を燃料電 池 8 1のカソードへ供給しカソードの空気を追い出してから停止するため、 燃料電池 8 1が固体高分子形であり固体高分子からなる電膜を介してカソー ドからァノードへのガス拡散が発生しても、 ァノードに空気が混入しないた め、 燃料電池システムの耐久性低下を招く事はない。 かつ、 上記の原料によ るカソードの空気排出動作を燃料電池 8 1が開回路電圧に到達する以前に開 始するため、 燃料電池 1の力ソード、 アノード間に高い電位差が発生し、 微 弱電流がながれることによる電極の溶出も発生せず、 燃料電池システムの耐 久性低下を招かない。
また、 カソード閉止手段 8 1 1を閉止状態にすることにより、 原料カソー ド供給手段 8 1 0により燃料電池 3 1のカソードへ供給した原料は封入され るため、 停止期間が長くなつても外部から空気が燃料電池 8 1 へ到達する事 は無く、 長期停止時を含めて燃料電池システムの耐久性の低下を招く心配は ない。
一方、 燃料生成器 8 2は最初に水蒸気で内部の燃料ガスを押し出し、 温度 が十分低下してから空気で水蒸気を追い出すため、 高温状況下で可燃性ガス を内部に滞留させる危険性もなく、 停止時に内部に水を滞留させないため、 次回起動時に配管中に水がたまり燃料ガスの供給を不安定にすることもない。 そして起動時には、 燃焼器 8 4での燃焼を開始した後に流路切換手段 8 8 は燃料ガス供給流路を形成し開閉弁 8 9を開いて、 燃料電池 1に封入されて いた燃料ガスを燃焼器 8 4で燃焼させる事により、 燃料電池 8 1に封入され ていた燃料ガスを外部へ放出する事がなく、 燃料ガスが外部に排出される危 険性は生じない。
なお、 以上の実施の形態 4 〜 5において、 燃料電池 8 1は本発明の燃 料電池に相当し、 燃料生成器 8 2は本発明の燃料生成器に相当する。 ま た燃料生成器 8 2と燃料電池 8 1 とを接続する配管は本発明の燃料ガス 配管に相当し、 流路切替手段は本発明の燃料ガス開閉弁に相当し、 これ らが本発明の燃料ガス供給手段を構成する。 また力ソード閉止手段 8 1 1の空気の入口側の開閉弁は本発明の酸化剤ガス開閉弁に相当し、 これ と燃料電池とを接続する配管は本発明の酸化剤ガス配管に相当し、 これ らが本発明の酸化剤ガス供給手段を構成する。,
また原料カソード供給手段は本発明の原料ガス開閉弁に相当し、 これ と燃料電池 8 1 とを接続する配管は本発明の原料ガス配管に相当し、 こ れらは本発明の原料ガス供給手段を構成する。
また、 アノード閉止手段 8 1 2の燃料ガスの出口側の開閉弁 8 9は本
発明のアノード側オフガス開閉弁に相当し、 これと燃料電池とを接続す る配管は本発明のアノード側排出配管に相当する。 また力ソード閉止手 段 8 1 1の空気の出口側の開閉弁 8 9は本発明の力ソード側オフガス開 閉弁に相当し、 これと燃料電池とを接続する配管は本発明のカソード側 排出配管に相当する。
またバイパス管 8 7は本発明のパイパス手段に相当し、 燃焼器 8 4は 本発明の燃焼器に相当する。
なお、 原料アノード供給手段 8 1 3を本発明の付加原料ガス開閉弁と して、 原料アノード供給手段 8 1 3と燃料電池 8 1 どを接続する配管を 本発明の付加原料ガス配管として用いることにより、 実施の形態 4, 5 の構成において実施の形態 1の停止工程 3を行わせるようにしていもよ レ、。
また、 以上の実施の形態 4および 5.は、 以下のような発明の実施の形態に も相当するものである。 すなわち、 第 1の発明として、 水素を含む燃料ガス と酸化剤ガスとから電力を発生させる燃料電池と、 原料から前記燃料ガスを 生成する燃料生成器と、 前記燃料生成器に空気を供給するパージ空気供給手 段と、 前記燃料電池のカソードに原料を供給する原料カソード供給手段と、 前記燃料生成手段から前記燃料電池までの燃料ガス経路上に前記燃料電池を パイパスするバイパス手段と、 前記燃料生成器から排出されるガスの経路を 前記燃料ガス経路またはパイパス手段にいずれかに切替える切替手段と、 前 記燃料電池のアノードの入口及び出口を閉止するアノード閉止手段とを備え 、 前記燃料電池の発電を停止する際に前記原料カソード供給手段は前記燃料 電池のカソードに原料を供給し、 前記アノード閉止手段はアノードの入口及 ぴ出口を閉止し、 かつ前記切替手段によりパイパス手段側に切替え、 前記水 供給手段により水を供給した後、 前記パージ空気供給手段により空気を供給 することを特徴とする燃料電池システムであってもよい。
また、 第 2の発明として、 水素を含む燃料ガスと酸化剤ガスとから電力を 発生させる燃料電池と、 原料から前記燃料ガスを生成する燃料生成器と、 前 記燃料生成器に水を供給する水供給手段と、 前記燃料生成器に空気を供給す るパージ空気供給手段と、 前記燃料電池のカソードに原料を供給する原料力 ソード供給手段と、 前記燃料電池のアノードに原料を供給する原料アノード 供給手段と、 前記燃料生成手段から前記燃料電池までの燃料ガス経路上に前 記燃料電池をパイパスするパイパス手段と、 前記燃料生成器から排出される ガスの経路を前記燃料ガス経路またはパイパス手段にいずれかに切替える切 替手段とを備え、 前記燃料電池の発電を停止する際に、 前記原料力ソード供 給手段は前記燃料電池のカソードに原料を供給し、 前記原料アノード供給手 段が前記燃料電池のアノードに原料を供給し、 かつ前記切替手段によりバイ パス手段側に切替え、 前記水供給手段により水を供給した後、 前記パージ空 気供給手段により空気を供給することを特徴とする燃料電池システムとして もよい。
また、 第 3の発明として、 遅くとも前記燃料電池の電圧が開回路電圧に到 達する以前に、 前記燃料電池の停止動作を開始することを特徴とする第 1ま たは第 2の発明の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 4の発明として、 前記原料アノード供給手段は、 前記原料カソー ド供給手段が前記燃料電池の力ソードに原料の供給を開始した後に、 前記燃 料電池のアノードに原料の供給を開始することを特徴とする第 2の発明の燃 料電池システムと してもよい。
また、 第 5の発明として、 前記燃料電池のアノードの入口及び出口を閉止 するアノード閉止手段を備え、 前記アノード閉止手段は前記原料アノード供 給手段が前記燃料電池のアノードに原料を供給した後、 前記燃料電池のァノ 一ドの入口及ぴ出口を閉止することを特徴とする第 2から第 4のいずれかの 発明の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 6の発明として、 前記燃料電池の力ソードの入口及び出口を閉止 するカソード閉止手段を備え、 前記カソード閉止手段は記原料カソード供給 手段が前記燃料電池のカソードに原料を供給した後、 前記燃料電池のカソー ドの入口及ぴ出口を閉止することを特徴とする第 1から第 5のいずれかの発 明の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 7の本発明として、 原料と、 前記燃料電池のアノードから排出さ れる残余燃料と、 前記燃料生成器から前記バイパス手段を経由して供給され る燃料との少なくとも 1つを燃焼する燃焼器を備え、 装置の起動時に、 前記 燃焼器にて燃焼が開始された後に、 前記アノード閉止手段は前記燃料電池の アノードの入口及び出口を開放することを特徴とする第 1、 第 5または第 6 のいずれかの発明の燃料電池システムとしてもよい。
(実施の形態 6 )
本発明の燃料電池システムおよびその停止方法の説明に先だって、 改 めて、 固体高分子電解質形の燃料電池の基本的な発電原理を概説すると共に 、 加湿原料ガスによって電解質膜の乾燥を防止する目的を理解するため、 電 解質膜の保水管理の必要性を説明する。
燃料電池は、 水素ガス等の燃料ガスをアノードに、 空気等の酸化剤ガスを カソードに供
給することによりこれらを電気化学的に反応させて電気と熱を同時に生成す るものである。
電解質膜としては水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜が利用さ れ、 この電解質膜の両面に配置された多孔質の触媒反応層は、 白金系の金属 触媒を担持したカーボン粉末を主成分としており、 ァノードの触媒反応層に おいて下記の (1 2 ) 式の反応が発生し、 力ソードの触媒反応層において下 記の (1 3 ) 式の反応が発生し、 燃料電池全体として下記の (1 4 ) 式の反 応が発生する。
(化 1 2 )
H2→ 2 H+ 2 e—
(化 1 3 )
1 / 202+ 2 H + + 2 e "→H20
(化 1 4 )
H2+ 1 / 202→H20
即ち、 (1 2) 式の反応で生成した水素イオンを、 電解質膜を介してァノ 一.ドから力ソードに輸送させると共に、 外部回路を介してアノードからカソ 一ドに電子を移動させ、 力ソードでは酸素ガスおょぴ水素イオン並びに電子 力 S (1 3) 式のように反応して水を生成すると共に、 触媒反応による反応熱 を得ることができる。
このように電解質膜には水素イオンを選択的に輸送する機能が必要であり 、 電解質膜に保水させることによって、 電解質膜に含まれる水を移動経路と して、 アノードからカソードに水素イオンを輸送できるイオン伝導性が発現 すると考えられている。
従って、 水素イオン輸送能確保のため、 電解質膜を保水させることが必須 であり、 電解質膜の乾燥化を防止して電解質膜の保水管理を適切に行うこと は、 電解質膜の基本性能にかかわる重要な技術事項である。
次に、 既存の高分子電解質形の燃料電池の構成につき図面を参照して説明 する。
図 1 0に電解質接合体 (ME A; Membrane- Electrode Assembly) を備えた 固体高分子電
解質形の燃料電池の断面図が示されている。
水素イオン伝導性を備えたパーフルォロカーポンスルフォン酸からなる高 分子電解質膜 1 1 1の両面に、 この電解質膜 1 1 1を挟むようにアノード 1 1 4 aおよび力ソード 1 1 4 cが配置されている。 なお、 参照番号の添え字
aは水素ガス等の燃料ガス関与側のアノード 1 1 4 aに関連するものを示し ており、 添え字 cは空気等の酸化剤ガス関与側の力ソード 1 1 4 cに関連す るものを示している。
アノード 1 1 4 aおよび力ソード 1 1 4 cは共に二層膜構造を有しており 、 電解質膜 1 1 1と接触する第一層膜は、 多孔質カーボンに白金等の貴金属 を担持した触媒と水素イオン伝導性を有する高分子電解質との混合物からな るアノード 1 1 4 aの触媒反応層 1 1 2 a (以下、 触媒反応層 1 1 2 aとい う) およぴカソード 1 1 4 cの触媒反応層 1 1 2 c (以下、 触媒反応層 1 1 2 cとレ、う) であり、 これらの触媒反応層 1 1 2 a、 1 1 2 cの外面に密着 して積層する第二層膜は、 通気性と電気伝導性を兼ね備えたアノード 1 1 4 aのガス拡散層 1 1 3 a (以下、 ガス拡散層 1 1 3 a.という) およぴカソ一 ド 1 1 4 cのガス拡散層 1 1 3 c (以下、 ガス拡散層 1 1 3 cという) であ る。
なお、 ME A 1 1 7は、 電解質膜 1 1 1およぴァノード 1 1 4 a並びに力 ソード 1 1 4 cで構成されており、 この ME A 1 1 7は機械的に固定される と共に、 互いに隣接する ME A 1 1 7同士が電気的に直列に接続される。 また、 アノード 1 1 4 aの外面に接触してアノード 1 1 4 aに対する導電 性セパレータ板 1 1 6 a (以下、 導電性セパレータ板 1 1 6 aという) が配 置され、 力ソード 1 1 4 cの外面に接触して力ソード 1 1 4 cに対する導電 性セパレータ板 1 i 6 c (以下、 導電性セパレータ板 1 1 6 cという) が配 置されている。
また、 アノード 1 1 4 aおよぴカソード 1 1.4 cに反応ガスを供給して、 反応後の反応生成ガスや反応に寄与しなかった余剰の反応ガスを運び去る溝 (深さ : 0. 5 mm) からなるアノード 1 1 4 aに対する燃料ガス流路 1 8 a (以下、 ガス流路 1 8 aという) および力ソード 1 1 4 cに対する酸化剤 ガス流路 1 8 c (以下、 ガス流路 1 8 cという) が導電性セパレータ板 1 1
6 a、 1 1 6 cの ME A 1 1 7との接触面に形成されている。
こうして ME A 1 1 7とセパレータ板 1 1 6 aと 1 1 6 cからなる燃料電 池セル (単セル) 20が形成される。
なお、 燃料電池 1 2 1の内部には、 例えば燃料電池セル 1 20が 1 60セ ル程度積層されており、 より具体的には、 一方の燃料電池セル 1 20の導電 性セパレータ板 1 1 6 aの外面と、 他方の燃料電池セル 1 20の導電性セパ レータ板 1 1 6 cの外面とが互いに向き合って接触して隣接するように燃料 電池セル 1 20は積層される。
また、 導電性セパレータ板 1 1 6 aとこれに隣接する導電性セパレータ 1 1 6 cの接触面には、 導電性セパレータ板 1 1 6 aに形成された溝 (深さ : 0. 5 mm) 1 1 9 aと、 導電性セパレータ板 1 1 6 cに形成された溝 (深 さ : 0. 5 mm) 1 1 9 cとからなる冷却水通路 1 9が設けられている。 こうして冷却水通路 1 1 9の内部を流れる冷却水によって導電性セパレー タ板 1 1 6 a、 1 1 6 cの温度調整を行い、 これらの導電性セパレータ 1 1 6 a、 1 1 6 cを介して ME A 1 1 7の温度調整を可能にしている。
なお、 導電性セパレータ板 1 1 6 a、 1 1 6 cとしては、 例えば、 20 c mX 3 2 cmX l . 3 mmの外寸で、 フエノール榭脂を含浸させた黒鉛板が 用いられる。
また一方、 MEA1 1 7の外周部のアノード側主面おょぴカソード側主面 にそれぞれ、 環状のゴム製のァノード 1 1 4 aの側の ME Aガスケット 1 1 5 a (以下、 ME Aガスケット 1 1 5 aという) およびカソード 1 14 cの 側の ME Aガスケット 1 1 5 c (以下、 ME Aガスケット 1 1 5 cという) が設けられ、 導電性セパレータ板 1 1 6 a、 1 1 6 cと MEA 1 1 7の間を 、 ME Aガスケッ ト 1 1 5 a、 1 1 5 cによって封止させる。 こうして、 M EAガスケット 1 1 5 a、 1 1 5 cによってガス流路 1 1 8 a、 1 1 8 cを 流れるガスのガス混合やガスリークが防止される。 更には、 ME Aガスケッ
ト 1 1 5 a、 1 1 5 cの外側には冷却水通流用および燃料ガス通流用並びに 酸化剤ガス通流用のマユホールド穴 (図示せず) が形成されている。
以上のような燃料電池を使用した燃料電池発電装置のガス供給系の構成お よび動作について図面を参照しながら説明する。 図 1 1は、 燃料電池発電装 置の基本構成を示すプロック図である。
最初に、 図 1 1およぴ図 1 2を用いて、 本発明の実施の形態 6の燃料電池 発電装置 1 1 0 0の基本構成を説明する。
燃料電池発電装置 1 1 0 0は主として、 燃料生成器 1 2 3に原料ガスを供 給するための原料ガス供給手段 1 2 2、 燃料生成器 1 2 3に水を供給するた めの第二の水供給手段 1 7 5、 原料ガス供給手段 1 2 2から供給された原料 ガスおよび第二の水供給手段 1 7 5から供給された水から改質反応によって 水素リツチな燃料ガスを生成する燃料生成器 1 2 3、 加湿器 1 2 3に酸化剤 ガス (空気) を供給するための空気供給手段としてのブロア 1 2 8、 加湿器 1 24に水を供給するための第一の水供給手段 1 74、 ブロア 1 2 8から供 給された空気を、 燃料生成器 1 2 3から供給された熱および第一の水供給手 段 1 7 4から供給された水によつて加湿させる加湿器 1 3 4、 燃料生成器 1 2 3からァノード 1 1 4 aに供給された燃料ガスおょぴ加湿器 1 2 4から力 ソード 1 1 4 cに供給された加湿酸化剤ガスを使って発電し、 およぴ熱を生 成する燃料電池 1 2 1、 原料ガス供給手段 1 2 2および第一、 第二の水供給 手段 1 74、 1 7 5並びに燃料生成器 1 2 3並びにブロア 1 2 8並びに燃料 電池 1 2 1の適切な制御を制御する制御部 1 2 7、 燃料電池 1 2 1で生成さ れた電力を取り出す回路部 1 2 5およびこの回路部 1 2 5の電圧 (発電電圧 ) を測定する測定部 1 2 6等から構成されている。
更に、 燃料電池発電装置 1 1 0 0には、 後ほど詳しく説明する第一の切り 替え弁 1 2 9および第一、 第二、 第三の遮断弁 1 3 0、 1 3 1、 1 3 2が設 けられ、 制御部 1 2 7によって制御されている。 なお、 図 1 1中の点線は制
御信号を示している。
次に、 燃料電池発電装置の通常運転時 (発電時) のガス供給の動作につい て説明する。
原料ガス供給手段 1 2 2のガス清浄部 1 2 2 pにおいて原料ガスに含有す る燃料電池の性能劣化物質を除去して原料ガスを清浄化させたうえで、 原料 ガス供給配管 1 6 3を介して清浄化原料ガスが燃料生成器 1 2 3に供給され る。 なおここでは、 原料ガスにメタンガス、 ェタンガス、 プロパンガスおよ ぴブタンガスを含有する都市ガス 1 3 Aを使用するため、 ガス清浄部 2 2 p で都市ガス 1 3 Aに含まれる付臭剤のターシヤリブチルメルカブタン (T B M) およぴジメチルサルファイド (DM S ) 並びにテトラヒ ドロチオフイン ( T H T ) 等の不純物が吸着除去される。
また一方、 第二の水供給手段 1 7 5 (例えば、 水供給ポンプ) から燃料生 成器 2 3の内部に水が供給される。
こうして原料ガスと水蒸気から燃料生成器 1 2 3の改質部 1 2 3 eにおい て改質反応によって水素ガスリッチな燃料ガス (改質ガス) が生成ざれる。 燃料生成器 1 2 3から送出される燃料ガスは、 第一の切り替え弁 1 2 9によ つて燃料ガス供給配管 1 6 1とアノード側入口 1 2 1 aを連通させたうえで 、 燃料ガス供給配管 1 6 1を介して燃料電池 1 2 1のアノード側入口 1 2 1 aに供給され、,アノード 1 1 4 aにおいて (1 ) 式の反応に利用される。 な お、 第一の切り替え弁 1 2 9は、 アノード側入口 1 2 1 aと燃料生成器 1 2 3の間の燃料ガス供給配管 1 6 1の途中に配置されている。
また、 燃料電池 1 2 1に供給された燃料ガスのうち、 燃料電池 1 2 1で発 電反応に利用されなかったものはァノード側出口 1 2 1 bから送出されァノ ード排気配管 1 4 7を介して開栓状態の第一の遮断弁 1 3 0を通って燃料電 池 1 2 1の外部に導かれる。 '
なお、 第一の遮断弁 1 3 0は、 ァノード側出口 1 2 1 bと水除去部 1 3 3
の間のアノード排気配管 1 4 7の途中に配置されている。 外部に導かれた残 余の燃料ガスは、 アノード排気配管 1 4 7の途中の第二の逆止弁 1 4 8 (第 二の逆止弁 1 4 8は流れを許す方向) を通過すると共に、 第一の逆止弁 1 4 1によって第一の連結配管 1 6 4の方向への逆流を防止される。 そして、 残 余の燃料ガスは、 アノード排気配管 1 4 7に配置された水除去部 1 3 3によ つて水を除去された後、 燃料生成器 1 2 3の燃焼部 (図示せず) に送られて 、 燃焼部の内部で燃焼される。 なお、 この燃焼によって発生する熱は、 改質 反応のような吸熱反応用の熱として利用される。
一方、 酸化剤ガス供給手段としてのブロア 1 2 8から酸化剤ガス供給配管 1 6 2を介して加湿器 1 2 4に供給された酸化剤ガス (空気) は、 加湿器 1 2 4において加湿処理された後、 開拴状態の第二の遮断弁 1 3 1を通って酸 化剤ガス供給配管 1 6 2を介して燃料電池 1 2 1のカソード側入口 1 2 1 c に供給され、 力ソード 1 1 4 cにおい.て (2 ) 式の反応に利用される。 なお 、 第二の遮断弁 1 3 1は、 加湿器 1 2 4とカソード側入口 1 2 1 cの間の酸 化剤ガス供給配管 1 6 2の途中に配置されている。
加湿に必要な水は、 第一の水供給手段 1 7 4 (例えば、 水供給ポンプ) か ら加湿器 1 2 4の内部に捕給され、 加湿に必要な熱は、 図 1 1中に二重線で 示された燃料生成器 1 2 3から加湿器 1 2 4に供給されている。 燃料電池 1 2 1に供給された加湿酸化剤ガスのうち、 燃料電池 1 2 1で発電反応に利用 ざれなかったものは力ソード側出口 1 2 1 dから開栓状態の第三の遮断弁 1 3 2を通って燃料電池 1 2 1の外部に導かれ、 残余の酸化剤ガスは力ソード 排気配管 1 6 0を介して再ぴ加湿器 1 2 4へ還流されて、 還流酸化剤ガス中 に含まれる水および熱を加湿器 1 2 4の内部においてブロア 1 2 8から送ら れる新気の酸化剤ガスに与える。 なお、 第三の遮断弁 1 3 2は、 力ソード側 出口 1 2 1 dと加湿器 1 2 4の間の力ソード排気配管 1 6 0の途中に配置さ れている。 また加湿部 1 2 4として、 イオン交換膜を用いた全熱交換加湿器
1 34と温水加湿器 1 3 5が併用されている。
なおここで、 原料ガス供給手段 1 22およぴプロア 1 28並びに第一、 第 二の水供給手段 1 74、 1 75並びに燃料生成器 1 23並びに燃料電池 1 2 1の動作並びに第一の切り替え弁 1 29の切り替え動作並びに第一、 第二、 第三の遮断弁 1 30、 1 3 1、 1 3 2の開閉動作は、 各種機器の検知信号 ( 例えば、 温度信号) に基づいて制御部 1 27によって制御されて、 適切な D S S運転が実施されている。
こうして、 アノード 1 14 aの出力端子 1 7 2 a (以下、 出力端子 1 7 '2 aとレヽう) およぴカソ一ド 1 1 4 cの出力端子 1 72 c (以下、 出力端子 1 72 cという) に回路部 1 25が接続されて、 回路部 1 25に燃料電池 1 2 1の内部で生成された電力が取り出されて、 回路部 1 25の発電電圧が測定 部 1 26にてモニタされている。
ここで、 燃料生成器 1 23の内部には、 メタンガス等の原料ガスを、 水蒸 気を用いて改質する改質部 1 2 3 eの他、 改質部 1 23 eから送出された燃 料ガス中に含有される一酸化炭素ガス (COガス) の一部を変成反応によつ て除去する CO変成部 1 23 f と、 C〇変成部 1 23 f から送出された燃料 ガス中の COガス濃度を 1 0 p p m以下に低下させ得る CO除去部 1 23 g が備えられている。 CO,ガス濃度を所定濃度レベル以下に低減させて、 燃料 電池 1 2 1の動作温度域において COガスによってァノード 1 14 aに含ま れる白金の被毒を防ぎ、 その触媒活性の劣化が回避され得る。 勿論、 ァノー ド 1 14 aに白金一ルテニウム等、 耐 COガス性を有する触媒を使用して触 媒材料の面でも COガス被毒の対策を講じている。
メタンガスを原料ガスの例として燃料生成器 1 23の内部の反応変遷をよ り具体的に説明すると、 次のような反応が行われる。
改質部 1 23 eにおいて、 (4) 式に示した水蒸気改質反応によって水素 ガス (約 90%) と COガス (約 1 0%) が生成される。
CH4 + H20→CO+ 3 H2 (4)
続いて CO変成部 1 23 f において、 この COガスは二酸化炭素に酸化さ れ、 その濃度が約 5000 p pmまで減少させられる ( (5) ^参照) 。 変 成部 1 23 f の下流側の CO除去部 1 23 gにおいても COガスを酸化によ つて排除できるが、 CO除去部 1 2 3 gは、 COガスの他、 有用な水素ガス までも酸化させるため、 CO変成部 1 23 f において可能な限り COガス濃 度を低下させる方が望ましい。
CO + H20→C02 + H 2 ( 5 )
変成部 1 2 3 f で除去しきれなかった残留する COガスは、 CO除去部 1 23 gで酸化して除去されその濃度を約 1 0 p p m以下まで低下させられる ( (6) 式参照) 。 こうして、 燃料電池 1 2 1に用いられる燃料ガスとして 使用に耐え得る COガス濃度レベルに到達できる。 因みに、 燃料生成器 1 2 3の全反応式を (7) 式に示しておく.。
CO+ 1 / 2 O2→C〇2 (6 )
次に、 燃料電池発電装置 1 00の起動開始時の動作について説明する。 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度が 640°C以下であれば、 燃 料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) において (4) 式の改質反応が発生され ない。 このため起動開始時においては、 燃料ガスから送出されるガスはァノ ード側入口 1 2 1 aに導かれることなく、 第一の切り替え弁 1 29の切り替 え動作によって燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 147に、 第一 の連結配管 1 64とこの途中に設けられた第一の逆止弁 1 4 1を介して連通 させて、 燃料生成器 1 23から送出されたガスを第一の逆止弁 14 1 (第一 の逆止弁は流れを許す方向) を通してアノード排気配管 14 7に導く。 その 後、 このガスは第二の逆止弁 1 48によってアノード側出口 1 2 1 bの方向 への逆流を防止されて、 水除去部 1 3 3にて水除去された後、 燃料生成器 1
2 3の燃焼器に供給されて燃焼器の内部で燃焼させられる。 これによつて、 燃料生成器 1 2 3 (改質部 1 2 3 e ) の昇温を速やかに行えて、 起動開始か ら発電までの時間を短縮できる。 '
更に、 燃料電池発電装置 1 1 0 0の起動停止時の動作について説明する。 燃料電池発電装置 1 1 0 0の起動停止時には、 第一の切り替え弁 1 2 9を 動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7に連通させ、 燃料ガス供給配管 1 6 1とアノード側入口 1 2 1 aを遮断する。 また、 第一 、 第二、 第三の遮断弁 1 3 0、 1 3 1、 1 3 2をそれぞれ閉じる。 これによ つて起動停止後、 燃料ガスを燃料電池 1 2 1のアノード 1 1 4 aに封入でき 、 かつ酸化剤ガスを燃料電池 1 2 1の力ソード 1 4 cに封入できる。
以上、 通常運転時 (発電時) および起動開始時並びに運転停止時について 燃料電池発電装置の基本構成のガス供給系の動作を概説したが、 停止期間お よび発電期間を有して停止と発電を頻繁に交互に反復する燃料電池発電装置 (例えば、 家庭用の燃料電池発電装置) においては、 燃料電池の停止期間か ら発電期間までの間の移行期間に燃料電池の内部を加湿した原料ガスの雰囲 気に曝すことによって、 燃料電池の停止時における電解質膜の乾燥化や長期 保管でもたらされる酸素ガス混入に起因する燃料電池の局所燃焼という燃料 電池の起動および停止の反復動作に関する技術的な課題を解消することがで さる。
なおここで、 原料ガスの加湿とは、 原料ガスの露点を燃料電池の稼働温度 以上になるように、 原料ガスの雰囲気を維持させることをいう。
以下、 燃料電池の内部を、 上記の移行期間に加湿原料ガスで曝すことを特 徴とする燃料電池発電装置のガス供給系の構成例および動作例を説明すると ともに、 これにより、 本発明の燃料電池システムの起動方法の一実施の形態 について説明を行う。
図 1 2は、 実施の形態 1に係る燃料電池発電装置の構成を示したプロック
図であり、 図 1 3および図 1 4は、 図 1 2の燃料電池発電装置のガス供給動 作を説明するフローチャート図である。
燃料電池 1 2 1、 第一の水供給手段 1 74、 第二の水供給手段 1 7 5、 原 料ガス供給手段 1 2 2、 燃料生成器 1 2 3、 加湿器 1 2 4、 インピーダンス 測定器 1 7 3、 回路部 1 2 5、 測定部 1 2 6および制御部 1 2 7の構成につ いては基本構成 (図 1 0よび図 1 1参照) にて説明したものと同様である。 但し、 以下に説明する燃料電池発電装置は、 加湿原料ガスの燃料電池 1 2 1への導入配管および切り替え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータ等の 制御部 1 2 7の入力センサを以下のようにした点で基本構成と相違しており 、 ここでは配管おょぴ切り替え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータ等の 入力センサの変更点を中心に説明する。
図 1 2において、 燃料生成器 1 2 3の出口直後の燃料ガス供給配管 1 6 1 の途中にガス流量を測定するためのァノード 1 1 4 aのマスフローメータ 1 7 0 a (以下、 マスフローメータ 1 7 0 aとレ、う) が配置されている。 なお 、 マスフローメータ 1 7 0 aの下流側であって燃料電池 1 2 1のァノード側 入口 1 2 1 aの上流側の第一の切り替え弁 1 2 9は、 燃料生成器 1 2 3から 延びてアノード側入口 1 2 1 aに連通する燃料ガス供給配管 1 6 1の途中に 配置される。
また、 第一の切り替え弁 1 2 9は、 図 1 1と同様に第一の逆止弁 1 4 1を 配置された第一の連結配管 1 6 4を介してァノード排気配管 1 4 7と連通さ れる。 なお、 第一の連結配管 1 6 4およびアノード排気配管 1 4 7の接続部 位の位置は、 水除去部 1 3 3と第二の逆止弁 1 4 8の間にある。
アノード出口側 1 2 1 bから燃料生成器 1 2 3に延びるァノ一ド排気配管 1 4 7の途中に第二の切り替え弁 1 4 2が配置され、 この第二の切り替え弁 1 4 2の下流側であって水除去部 1 3 3の上流側には、 第一の遮断弁 1 3 0 および第二の逆止弁 1 4 8がこの順番に、 アノード排気配管 1 4 7の途中に
配置されている。
更に、 加湿器 1 24からカソード側入口 1 2 1 cに延びる酸化剤ガス供給 配管 1 6 2の途中には、 第二の遮断弁 1 3 1および第三の切り替え弁 1 4 3 がこの順番に設けられ、 力ソード側出口 1 2 1 dから加湿器 1 2 1に延びる カソード排気配管 1 6 0の途中には 第四の切り替え弁 1 4 4および第三の 遮断弁 1 3 2がこの順番に設けられている。
加えて、 第三の切り替え弁 1 4 3は、 第一の循環配管 1 4 5を介してァノ 一ド排気配管 1 4 7の途中と連結され、 第四の切り替え弁 1 44は、 第二の 循環配管 1 4 6を介して第二の切り替え弁 1 4 2と連結されている。 なお、 第一の循環配管 1 4 5およびアノード排気配管 1 4 7の接続部位の位置は、 水除去部 1 3 3と第二の逆止弁 1 4 8の間にある。
また、 燃料電池 1 2 1の内部の温度を検知する温度検知手段 (P t抵抗体 の熱電対が望ましい) 1 7 1は、 図 1 2に示すように燃料電池 2 1のほぼ中 央付近に配置され、 燃料電池セル 1 2 0中の力ソード 1 1 4 cの導電性セパ レータ板 1 1 6 cの内部に埋め込まれている (図 1 0参照) 。
また、 後ほど詳しく説明する燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の膜抵抗 ( 導電率) を求めるため、 出力端子 1 7 2 a、 1 7 2 cに接続するインピーダ ンス測定器 1 7 3が設けられている。
なお、 出力端子 1 7 2 a、 1 7 2 cに回路部 1 2 5が接続されて、 回路部 1 2 5において燃料電池 1 2 1の内部で生成された電力が.取り出されて、 回 路部 1 2 5の電圧 (発電電圧) が測定部 1 2 6でモニタされる。
ここで、 マスフローメータ 1 7 0 aの出力信号、 温度検知手段 1 7 1の出 力信号 (測定部 1 2 6を介して) および出力端子 1 7 2 a、 1 7 2 cの出力 信号 (インピーダンス測定器 1 7 3を介して) は、 制御部 1 2 7に入力され る。 こう して、 マスフローメータ 1 7 0 aの出力信号に基づき原料ガスの流 量が制御部 1 2 7によってモニタされ、 温度検知手段 1 7 1の出力信号を測
定部 1 2 6で処理された処理信号に基づき燃料電池 1 2 1の内部温度が制御 部 1 2 7によってモニタされ、 出力端子 1 7 2 a、 1 7 2 cの出力信号をィ ンピーダンス測定器 1 7 3で処理された処理信号に基づき電解質膜 1 1 1の 膜抵抗が制御部 1 2 7によってモニタされている。 また、 制御部 1 2 7によ つて以下に説明する第一、 第二、 第三、 第四の切り替え弁 1 2 9、 1 4 2、 1 4 3、 1 44の切り替え動作および第一、 第二、 第三の遮蔽弁 1 3 0、 1 3 1、 1 3 2の開閉動作は制御されている。
以下、 燃料電池発電装置の停止保管動作および起動開始動作並びに発電開 始可否の確認動作並びに発電動作に分けて、 燃料ガスおよぴ酸化剤ガスの供 給の動作を、 図 1 2のブロック図おょぴ図 1 3、 図 1 4のフローチャート図 を参照しながら詳細に説明する。
〔燃料電池発電装置の停止保管動作〕
燃料電池発電装置 1 1 0 0の停止後、 燃料電池 1 2 1の内部を原料ガスに よって充填封止の状態に保って燃料電池発電装置 1 1 0 0を長期保管させる。 ここで、 燃料電池発電装置 1 1 0 0の停止保管のため、 切り替え弁おょぴ遮 断弁を次のように動作させる (ステップ S 4 0 1 ) 。
第二の切り替え弁 1 4 2に接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 1 44 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を ァノード側入口 1 2 1 aと难断させる。 また、 第二の切り替え弁 1 4 2を動 作させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 3 0と連通させる一方、 アノード側出口 1 2 1 bを第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。 更に、 第三 の切り替え弁 1 4 3を動作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 力ソード側入口 1 2 1 cを第一の循環配管 1 4 5と
遮断させる。 更にまた、 第四の切り替え弁 1 4 4を動作させて力ソード側出 口 1 2 1 dを第三の遮断弁 1 3 2と連通させる一方、 カソード側出口 1 2 1 dを第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。
こうして燃料電池 2 1の内部に燃料ガスおょぴ酸化剤ガスを確実に封入す ることができる。 なお、 燃料電池 2 1の内部は燃料電池稼働温度 (7 0 °C) 以下で維持されており、 通常は室温 (約 2 0 ° (〜 3 0 °C) 近くに保たれてい る。
〔燃料電池発電装置の起動開始動作〕
後ほど説明する加湿原料ガスによって燃料電池 1 2 1の内部をパージ処理 させるため、 最初に燃料電池 1 2 1の触媒に悪影響を及ぼさないような原料 ガスの選定おょぴ原料ガスの清浄化処置を行う (ステップ S 4 0 2 ) 。 具体的には、 燃料電池 1 2 1の白金触媒を表面に吸着して、 水素過電圧を 上昇させることを防止する目的で、 原料ガス中の不純物の除去、 とりわけィ ォゥ成分の除去は必要不可欠な清浄化処理である。 また原料ガス自体の選択 として、 燃料電池 1 2 1の白金触媒の活性阻害等をもたらさないガスを選定 することが必要であり、 この観点からメタンガス、 プロパンガス、 ブタンガ スおよびェタンガス (またはこれらの混合ガス) の何れかのガスを使用する ことが望ましい。
次に、 燃料電池 1 2 1の内部を、 稼働温度 ( 7 0 °C) まで昇温する (ステ ップ S 4 0 3 ) 。
具体的な昇温方法として、 例えば、 ヒータ (図示せず) または燃料電池発 電装置 1 1 0 0のコージエネレーション給湯器 (図示せず) の貯蔵温水を使 用する。 なお、 燃料電池 1 2 1の内部温度は、 温度検知手段 1 7 1の検知信 号に基づいて制御部 2 7によってモニタされ、 燃料電池 1 2 1の適切な昇温 動作が制御される。
ここで、 燃料電池 1 2 1の内部温度が稼働温度 (7 0 °C) 以上に達してい
る否かを判定して (ステップ S 404) 、 昇温不足であれば (S 404にお いて No) 、 S 403の昇温動作を継続させ、 70°C以上に到達すれば (S 404において Y e s ) 、 次のステップに進む。
続いて、 燃料生成器 1 23の内部を予備加熱させるため、 切り替え弁およ ぴ遮断弁を以下のように動作させる (ステップ S 40 5) 。
第二の切り替え弁 142に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 144 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 147と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を アノード側入口 1 21 aと遮断させる。 また、 第二の切り替え弁 142を動 作させてアノード側出口 1 21 bを第一の遮断弁 1 30と連通させる一方、 アノード側出口 1 21 bを第二の循環配管 146と遮断させる。 更に、 第三 の切り替え弁 143を動作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを第一の循環配管 145と 遮断させる。 更にまた、 第四の切り替え弁 144を動作させて力ソード側出 口 1 21 dを第三の遮断弁 1 3 2と連通させる一方、 力ノ、 ード側出口 1 2 1 dを第二の循環配管 1 46と遮断させる。
こうして燃料生成器 1 2 3から送出され燃料ガス供給配管 1 6 1を流れる ガスを、 第一の連結配管 1 64 (第一の逆止弁 14 1は流れを許す方向) お よびアノード排気配管 14 7を通って燃料生成器 1 2 3の燃焼部に還流させ 燃焼部の内部で燃焼させる。
これによつて、 所定温度範囲 (燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) にお いて原料ガスおょぴ水蒸気から COガスを発生させることなく、 しかも原料 ガスの炭素析出をさせない温度範囲) まで燃料生成器 1 23を予備加熱させ る (ステップ S 406) 。
具体的な燃料生成器 1 23の昇温温度の範囲として、 次のような理由によ つて 300°C以下である。 もっとも効率的に原料ガスを加熱して加湿させる 点から昇温温度の範囲は、 好ましくは 2 50°C以上である。
燃料生成器 23の温度が 640°Cを超えると、 燃料生成器 1 2 3 (改質部 1 23 e) の改質反応によって原料ガスと水蒸気から水素ガスが生成し、 こ のような水素ガスによって燃料電池 2 1の内部をパージ処理した場合、 発電 開始とともに水素ガスによって燃料電池 21の内部で局所燃焼が発生する可 能性がある。
燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度が 640°C以下では、 改質反 応によって水素ガスは発生しないものの、 500°C以上、 640°C以下の温 度の範囲内では燃料生成器 1 23 (改質部 1 2 3 e) において原料ガスを炭 化させて原料ガスから炭素析出させる可能性があり、 燃料生成器 1 23 (改 質部 1 23 e) の温度を 500°C以上の温度に保っておくことも好ましくな い。 加えて、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度が 300°C以下で あれば、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) において ME A 1 1 7の触媒 毒作用を有する一酸化炭素ガスが原料ガスおよび水蒸気から発生することが ない。 t
以上の理由により燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度を 300°C 以下に保って、 この温度範囲で加湿させた原料ガスをパージ処理用ガスとし て使用することが好適である。
なお、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度は、 改質温度測定部 ( 図示せず) の検知信号に基づいて制御部 1 27によってモニタされて、 燃料 生成器 1 23 (改質部 1 2 3 e) の適切な昇温動作が図られる。
ここで、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e ) の温度が 2 50 °C〜 300 °Cの範囲まで昇温したか否かを判定して (ステップ S 40 7) 、 昇温不足で あれば (S 407において No) 、 S 406の燃料生成器 1 23の予備加熱
動作を継続させ、 250°C〜300。Cの範囲まで昇温したら (S 407にお いて Ye s ) 、 次のステップに進む。
燃料生成器 1 23の予備加熱の後、 燃料生成器 1 23の内部を、 原料ガス 供給手段 122から供給される原料ガスの露点を燃料電池 1 21の稼働温度 (70°C) 以上に維持できるよう原料ガスを加湿処理できる状態に移行させ る (ステップ S 408) 。 既に燃料生成器 1 23は 300°C近傍まで昇温さ れており、 加湿に要する水は第二の水供給手段 1 75から燃料生成器 1 23 に供給できるため、 これらの熱と水によって燃料生成器 1 23の内部で原料 ガスを加湿させることが可能である。
続いて、 加湿原料ガス供給のため、 切り替え弁および遮断弁を以下のよう に動作させる (ステップ S 409) 。
第二の切り替え弁 142に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 144 に接続する第三の遮断弁 1 32をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 129を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 147と遮断させる一方、 燃料ガス供給配管 1 61を アノード側入口 1 21 aと連通させる。 また、 第二の切り替え弁 142を動 作させてアノード側出口 1 21 bを第一の遮断弁 1 30と遮断させる一方、 アノード側出口 1 21 bを第二の循環配管 146と連通させる。 更には、 第 三の切り替え弁 143を動作させてカソード側入口 1 21 cを第二の遮断弁 1 31と遮断させる一方、 カソード側入口 1 21 cを第一の循環配管 145' と連通させる。 更にまた、 第四の切り替え弁 144を動作させて力ソード側 出口 121 dを第三の遮断弁 1 32と遮断させる一方、 カソード側出口 1 2 1 dを第二の循環配管 146と連通させる。
上記の弁動作を行った後、 燃料生成器 1 23から送出された加湿原料ガス は次のようにして燃料電池 1 21の内部を加湿させて外部に導かれて、 燃料
電池 1 2 1の内部を加湿原料ガスの雰囲気に置換するというパージ処理が行 われる (ステップ S 4 1 0 ) 。
原料ガス供給手段 1 2 2から供給される原料ガスはガス清浄部 1 2 2 pに おいて清浄化された後、 原料ガス供給配管 1 6 3を介して燃料生成器 1 2 3 に送られて、 燃料生成器 1 2 3の内部で加湿される。 その後、 加湿原料ガス は、 燃料生成器 1 2 3から送出され、 燃料ガス供給配管 1 6 1を介して燃料 電池 1 2 1のァノード側入口 1 2 1 aから燃料電池 1 2 1の内部に流入して 、 アノード 1 1 4 aが加湿原料ガスの雰囲気に曝された後、 加湿原料ガスは アノード側出口 1 2 1 dから送出されて燃料電池 1 2 1の外部に流出する。 続いて加湿原料ガスは、 第二の切り替え弁 1 4 2によって第二の循環配管 1 4 6の方向に向きを切り替えて、 この第二の循環配管 1 4 6を通過し、 第四 の切り替え弁 1 4 4によって燃料電池カソード側出口 1 2 1 dの方向に向き を切り替えて再ぴ燃料電池 1 2 1の内部に再流入する。 こうして力ソード 1 1 4 cが加湿原料ガスの雰囲気に曝されて、 原料ガスは力ソード側入口 1 2 1 cから送出されて燃料電池 1 2 1の外部に再流出する。
その後、 原料ガスは、 第三の切り替え弁 1 4 3によって向きを切り替えて 第一の循環配管 1 4 5の方向に流れて、 アノード排気配管 1 4 7に到達する c アノード排気配管 1 4 7に到達した原料ガスは、 第一、 第二の逆止弁 1 4 1 、 1 4 8によって逆流を防止されて、 水除去部 1 3 3の方向に導かれてこの 水除去部 1 3 3において加湿原料ガスから水除去された後、 燃料生成器 1 2 3の燃焼部に送られる。
すなわち加湿原料ガスは、 図 1 2中の太い点線のように燃料電池 1 2 1の ァノード側入口 1 2 1 aおよびァノード側出口 1 2 1 b並びに力ソード側出 口 1 2 1 d並びに力ソード側入口 1 2 1 cの順番に通過して燃料電池 1 2 1 の周囲を環状に流れてアノード排気配管 1 4 7に至る。 燃焼部に供給された 燃料ガスは、 燃焼部の内部で燃焼され、 この燃焼で生成した熱は燃料生成器
1 2 3の加熱に利用される。
加湿原料ガスのトータル供給量は、 燃料電池 1 2 1の内部空間のガス充填 可能容積の少なくとも 3倍以上必要であり、 例えば、 ガス充填可能容積が約 1. 0 Lであれば、 加湿原料ガスの流量 1. 5 L/分でもって約 5分間、 こ れを燃料電池 1 2 1の内部に供給すれば良く、 このトータル供給量はマスフ ローメータ i 7 0 aの出力信号に基づいて制御部 1 2 7によってモニタされ ている。
こうして燃料電池 1 2 1の停止期間から発電期間までの間の移行期間に燃 料電池 1 2 1の内部を加湿原料ガスに曝すことができ、 停止保管中に乾燥し た燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1を加湿できると共に、 仮に停止保管中に 燃料電池 1 2 1の内部に酸素ガスが混入した場合、 この酸素ガスによっても たらされる燃料ガスとの局所燃焼を未然に防止できる。
更に、 燃料電池 1 2 1の停止期間から発電期間までの間の移行期間に、 燃 料電池 1 2 1の内部に加湿原料ガスを導くようにしたため、 燃料電池 1 2 1 の内部を長期間、 加湿原料ガスの雰囲気で曝すことがなく、 燃料電池の電極 の撥水性が損なわれない。
加えて、 アノード 1 1 4 aに燃料電池 1 2 1の停止保管中に混入した酸素 ガスが万一残留すると、 ルテニウム溶出をきたして触媒機能が失われるため 、 アノード 1 1 4 aを経てからカソード 1 1 4 cに導くという加湿原料ガス の導入経路を採用して酸化劣化され易いアノード 1 1 4 aの酸素ガスを優先 的に排除する原料ガスの供給法は、 触媒劣化防止の観点から理にかなつてい る。
また、 図 1 2の太い点線を付して示した単一の加湿原料ガス供給経路によ つてァノード 1 1 4 aと力ソード 1 1 4 cの両方を加湿処理させることがで き、 ガス供給配管を簡素化できる。
燃料電池 1 2 1の内部に充分、 加湿原料ガスを供給した後、 切り替え弁お
よび遮断弁を以下のように動作させて (ステップ S 41 1) 、 燃料電池発電 装置 1 100の燃料生成器 1 23の加熱促進を図って、 燃料生成器 123 ( 改質部 123 e) の内部温度を (4) 式の改質反応可能な温度 (約 640°C 以上) まで速やかに昇温させる。
第二の切り替え弁 142に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 131並びに第四の切り替え弁 144 に接続する第三の遮断弁 1 32をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 129を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 147と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 161を アノード側入口 1 21 aと遮断させる。 また、 第二の切り替え弁 142を動 作させてアノード側出口 1 21 bを第一の遮断弁 1 30と連通させる一方、 アノード側出口 1 21 bを第二の循環配管 146と遮断させる。 更に、 第三 の切り替え弁 143を動作させてカソード側入口 1 21 cを第二の遮断弁 1 31と連通させる一方、 力ソード側入口 1 21 cを第一の循環配管 145と 遮断させる。 更にまた、 第四の切り替え弁 144を動作させて力ソード側出 口 1 21 dを第三の遮断弁 1 32と連通させる一方、 力ソード側出口 1 21 dを第二の循環配管 146と遮断させる。
こうして燃料生成器 1 23から燃料ガス供給配管 1 6 1に送出されるガス を、 第一の連結配管 1 64 (第一の逆止弁 141は流れを許す方向) および アノード排気配管 147を通って燃料生成器 123の燃焼部に還流させ燃焼 部の内部で燃焼させる。 これによつて、 所定温度範囲 (改質反応によって原 料ガスと水蒸気から水素ガスが生成する温度範囲; 640°C以上) まで燃料 生成器 123を加熱させる (ステップ S 41 2) 。
ここで、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の温度が 640°C以上に昇 温したか否かを判定して (ステップ S 413) 、 昇温不足であれば (S 41 3において No) 、 S 41 2の加熱動作を継続させ、 640°C以上に到達し
たら (S 4 1 3において Y e s ) , 次のステップに進む。
〔燃料電池発電装置の発電開始可否の確認動作〕
燃料生成器 1 2 3の内部を 640°C以上に昇温させた後、 燃料電池 1 2 1 の内部温度の確認および燃料電池 2 1の電解質膜 1 1の導電率の確認を行つ て、 燃料電池発電装置 1 1 00の発電を開始して良いか否かを判定する。 第一の確認動作として、 燃料電池 1 21の内部温度が稼働温度 (70°C) 以上であるか否かを判定して (ステップ S 4 1 4) 、 昇温不足であれば (S 4 14において N o) 、 S 404の昇温動作を再実行させて、 70°C以上に 昇温したら (S 4 14において Y e s ) 、 次にステップに進む。
第二の確認動作として、 燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の導電率を求め てこの導電率: σ = 1. 9 3 X 1 0— 2 S c m一1以上か否かを判定して (ステ ップ S 4 1 6) 、 σ = 1. 93 X 1 0— 2 S c m一1未満であれば (S 4 1 6に おいて No) 、 電解質膜 1 1の加湿不足であると判断して S 40 9および S 4 1 0の動作を再実行させ (ステップ S 4 1 7) 、 σ = 1. 9 3 X 1 0— 2S c m— 1以上であれば (S 4 1 6において Y e s ) 、 次のステップに進む。 ここで、 図面を参照して電解質膜の導電率の算出法および電解質膜の導電 率と相対湿度の関係を説明する。
図 1 5において、 横軸に実抵抗成分 Z' をとり、 縦軸にリアクタンス成分 Z" をとつて、 燃料電池 1 2 1 (電極面積: 1 44 cm2) に印加する交流電 流の周波数を 0. l H z〜l kH zの範囲で可変させて測定した燃料電池 1 2 1の交流インピーダンスプロファイル図が示されている (交流法によるィ ンピーダンス測定) 。 図 1 5によれば、 交流インピーダンスプロファイルは 周波数 1 kH Zの交流電流において横軸 (Ζ' ) と交差するため、 周波数 1 kH zの交流電流におけるインピーダンスが電解質膜 1 1 1の抵抗 R sを示 すと推定される。 即ち、 図 1 5は、 交流インピーダンスを測定した所謂コー ルコーノレプロット (C o l e— C o l e l o t ) の模式図であり、 この
場合、 半円と横軸の交点のうちの抵抗値の小さいもの (図 1 5に示された R s) が電解質膜 1 1の膜抵抗を意味する。
制御部 1 2 7によって制御されるインピーダンス測定器 1 73 (図 1 2参 照) に接続された燃料電池 1 2 1の出力端子 1 72 a、 1 72 cに対して、 インピーダンス測定器 1 7 3から測定用交流電圧 (1 kH z) を印加する。 これによつて得られる燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の交流インピーダン スに基づいて電解質膜 1 1 1の導電率は推定され得る。 具体的には、 燃料電 池セル 1 20を、 例えば 1 1 0セル毎に交流電圧 (1 kH z) を印加して交 流インピーダンスを測定して、 この測定値と電解質膜 1 1 1の膜厚および面 積から電解質膜 1 1の導電率を算出している。
このような算出法で得られた導電率が σ = 1. 9 3 X 1 0— 2S cm一1以上 であれば、 図 1 6に基づいて次のような理由で燃料電池 1 2 1は、 発電開始 可能な状態であると判定できる。
図 1 6は、 電解質膜 1 1の温度を 80°Cに保った場合、 横軸に高分子電解 質膜 (米国 D u P o n t社の N a f i o n 1 1 2の電解質膜であって膜厚は 50 μπι) の相対湿度をとり、 縦軸に電解質膜の導電率をとつて両者の相関 関係を示すものであって、 電解質膜の相対湿度に電解質膜の導電率がどのよ うに依存するかを説明するためのものである。
図 1 6によれば、 電解質膜を乾燥させるに伴って電解質膜の導電率がゼロ に漸近する一方 (相対湿度: 20%近傍) 、 電解質膜の湿度が増せば、 導電 率も単調に増加するという傾向が観察される。 ここで、 電解質膜の性能上、 充分に保水された相対湿度を 50%以上とみなすと、 この相対湿度に対応す る導電率は、 σ = 1. 93 X 1 0— 2S c m一1である。
よって、 このように電解質膜の導電率 (例えば、 N a f i o n 1 1 2の電 解質膜においては σ = 1. 93 X 1 0~2S cm-1) を電解質膜の保水状態を 求める簡易的な指標として使用することができ、 導電率に基づいて燃料電池
1 2 1の発電開始の可否を予測し得ると言える。
こうして停止期間および発電期間を有する燃料電池の発電開始時期を燃料 電池の温度に基づく判定に加え、 燃料電池セルの電解質膜の導電率に基づく 判定を実施するため、 電解質膜の保水状態を的確に予測できて燃料電池発電 装置の発電開始時期の判断の信頼性が向上させることができる。
〔燃料電池発電装置の発電動作〕
上記の確認動作の数値が所定値に到達した後 (具体的には燃料電池 1 2 1 の温度が 7 0 °C以上、 電解質膜の導電率 σ = 1. 9 3 X 1 0— 2S c m 1以上 ) 、 切り替え弁および遮断弁を以下のように動作させて燃料電池 2 1を発電 させる (ステップ S 4 1 8およびステップ S 4 1 9) 。
第二の切り替え弁 1 4 2に接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 1 44 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をすベて開栓する。
この状態で第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1 をアノード排気配管 1 4 7と遮断させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1をァ ノード側入口 1 2 1 aと連通させる。 また、 第二の切り替え弁 1 4 2を動作 させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 3 0と連通させる一方、 ァ ノード側出口 1 2 1 bを第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。 そして、 第三 の切り替え弁 1 4 3を動作させて力ソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを第一の循環配管 1 4 5と 遮断させる。 更に、 第四の切り替え弁 1 44を動作させて力ソード側出口 1 2 1 dを第三の遮断弁 1 3 2と連通させる一方、 カソード側出口 1 2 1 dを 第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。
このような切り替え弁おょぴ遮断弁の動作によって燃料ガス供給配管 1 6 1を介して燃料生成器 1 2 3から送出される水素ガスリツチな燃料ガスを燃 料電池 1 2 1のァノード側入口 1 2 1 aに導入すると共に、 ァノード側出口
1 2 1 bから送出され、 アノード 1 1 4 aで消費されなかった残余の燃料ガ スを、 ァノード排気配管 1 4 7を介して燃料電池 1 2 1の燃料生成器 1 2 3 に: iS流さ "k 。
一方、 酸化剤ガス供給配管 1 6 2を介して加湿器 1 2 3から送出される加 湿空気 (加湿酸化剤ガス) を燃料電池 1 2 1のカソード側入口 1 2 1 cに導 入すると共に、 力ソード側出口 1 2 1 dから送出され、 力ソード 1 1 4 cで 消費されなかった残余の酸化剤ガスを、 力ソード排気配管 1 6 0を介して燃 料電池 1 2 1の加湿器 1 24に還流させる。
こうして燃料ガスをァノード 1 1 4 aに供給し、 酸化剤ガスをカソード 1 1 4 cに供給して、 燃料電池 1 2 1の内部にて水素イオンと電子を生成させ て、 出力端子 1 7 2 a、 1 7 2 cを介して回路部 1 2 5に電流を取り出すこ とができ、 測定部 1 2 6において発電電圧がモニタされる。
(実施の形態 7)
以下、 燃料電池 1 2 1の内部を、 停止期間から発電期間までの間の移行期 間に加湿原料ガスで曝すようにした燃料電池発電装置 1 1 0 0のガス供給系 の他の構成例を説明するとともに、 これにより、 本発明の燃料電池の起動方 法の一実施の形態について説明を行う。
図 1 7は、 実施の形態 7に係る燃料電池発電装置の構成を示したブロック 図である。
燃料電池 1 2 1、 第一の水供給手段 1 7 4、 第二の水供給手段 1 7 5、 原 料ガス供給手段 1 2 2、 燃料生成器 1 2 3、 加湿器 1 24、 インピーダンス 測定器 1 7 3、 回路部 1 2 5、 測定部 1 2 6および制御部 1 2 7の構成につ いては実施の形態 6にて説明したものと同様である。
但し、 実施の形態 7は、 加湿原料ガスの燃料電池 1 2 1への導入配管およ び切り替え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータの配置を以下のように変 更した点で実施の形態 6 (図 1 2) と相違しており、 ここでは配管および切
り替え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータの変更点を中心に説明する。 図 1 2に示された第三の切り替え弁 1 4 3とアノード排気配管 1 4 7を繋 ぐ第一の循環配管 1 4 5を取り除く。 また、 ガス清浄部 1 2 2 pの出口直後 に第六の切り替え弁 1 5 4を配置して、 これによつて清浄化原料ガスを加湿 器 1 2 4 (原料ガス分岐配管 1 5 1 ) に送出する場合と燃料生成器 1 2 3に 送出する場合の切り替え動作を行う。 加えて、 加湿部 1 2 4の内部を通って 、 第三の切り替え弁 1 4 3と第六の切り替え弁 1 5 4とを連通させる原料ガ ス分岐配管 1 5 1が設けられている。 更に、 第一の切り替え弁 1 2 9の下流 側であって燃料電池 1 2 1のアノード側入口 1 2 1 aの上流側を繋ぐ燃料ガ ス供給配管 1 6 1の途中に、 第五の切り替え弁 1 5 2を追加すると共に、 こ の第五の切り替え弁 1 5 2とアノード排気配管 1 4 7を繋ぐ第二の連結配管 1 5 3を設けている。 なお、 第二の連結配管 1 5 3とアノード排気配管 1 4 7との接続部位の位置は、 第二の逆止弁 1 4 8と水除去部 1 3 3の間にある c また、 マスフローメータ 1 7 0 a (図 1 2参照) を取り除いて、 ガス流量を 測定するための力ソード 1 1 4 cのマスフローメータ 1 7 0 c (以下、 マス フローメータ 1 7 0 cという) を加湿器 1 2 4と第三の切り替え弁 1 4 3の 間であって原料ガス分岐配管 1 5 1の途中に配置する。
以下、 停止保管動作および起動開始動作並びに発電開始可否の確認動作並 びに発電動作に分けて、 燃料ガスおょぴ酸化剤ガスの供給動作を図 1 7のブ 口ック図おょぴ図 1 8、 図 1 9のフローチヤ一ト図を参照しながら詳細に説 明する。
〔燃料電池発電装置の停止保管動作〕
燃料電池発電装置の停止後、 燃料電池 1 2 1の内部を原料ガスによって充 填封止の状態に保って長期保管する。 ここで、 燃料電池発電装置 1 1 0 0の 停止保管のため、 切り替え弁および遮断弁を次のように動作させる (ステツ プ S 8 0 1 ) 。
第二の切り替え弁 142に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 1 44 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 29を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1を第 5の切り替え弁 1 5 2と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を アノード排気配管 14 7と遮断させる。 また、 第二の切り替え弁 142を動 作させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 30と連通させる一方、 アノード側出口 1 2 1 bを第二の循環配管 146と遮断させる。 更に、 第三 の切り替え弁 14 3を動作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1 と遮断させる。 また、 第四の切り替え弁 144を動作させて力ソード側出口 1 2 1 dと第三の遮断弁 1 3 2を連通させる一方、 力ソード側出口 1 2 1 d と第二の循環配管 146を遮断させる。 加えて、 第 5の切り替え弁 1 5 2を 動作させてアノード側入口 1 2 1 aを第一の切り替え弁 1 2 9と連通させる 一方、 アノード側入口 1 2 1 aをアノード排気配管 1 27と遮断させる。 こうして燃料電池 1 2 1の内部に燃料ガスおよび酸化剤ガスを確実に封入 することができる。 なお、 燃料電池 1 2 1の内部の温度は通常、 室温 (約 2 0°C〜30°C) 近くになっており、 これは燃料電池稼働温度 (70°C) より も低く保たれる。
〔燃料電池発電装置の起動開始動作〕
最初に、 燃料電池 1 2 1の触媒に悪影響を及ぼさないような原料ガスの選 定および原料ガスの清浄化の処置を行う (ステップ S 802) 。 原料ガス清 浄化の方法および原料ガス選択の内容は実施の形態 6と同様である。
次に、 燃料電池 1 2 1の内部を、 稼働温度 (70°C) まで昇温する (ステ ップ S 8 03) 。 なお、 燃料電池 1 2 1の内部の昇温方法は、 実施の形態 6 で説明したものと同じである。
ここで、 燃料電池 1 2 1の內部温度が稼働温度 (70°C) 以上にまで到達 しているか否かを判定して (ステップ S 804) 、 昇温不足であれば (S 8 04において No) 、 S 803の昇温動作を継続させ、 70°C以上に到達す れば (S 804において Y e s ) , 次のステップに進む。
続いて、 第一の水供給手段 1 74から加湿器 1 24に供給される水おょぴ 燃料生成器 1 2 3から加湿器 1 24に供与される熱を使用して、 原料ガスを 加湿器 1 24の内部で加湿処理できる状態に移行させる (ステップ S 80 5
) o
具体的には、 原料ガスの加湿に温水が必要であるが、 加湿器 1 24におい ては熱源としての燃焼器がないため、 加湿器 1 24の外部から適宜、 熱を受 け取ることを要する。 実施の形態 7においては、 図 1 7に二重線によって燃 料生成器 1 2 3から加湿器 1 24の熱供給ラインが示されているように、 燃 料生成器 1 23の燃焼器で発生する熱を加湿器 1 24に与えることで加湿器 1 24の昇温を図っている。
続いて、 加湿原料ガスを燃料電池 1 2 1の内部に供給するため、 各種の遮 断弁および切り替え弁を以下のように動作させる (ステップ S 806) 。 第二の切り替え弁 1 42に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 144 に接続する第三の遮断弁 1 32をそれぞれ閉める。
この状態で、 第二の切り替え弁 142を動作させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 30と遮断させる一方、 アノード側出口 1 2 1 bと第二 の循環配管 146を連通させる。 また、 第三の切り替え弁 143を動作させ て力ソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と連通させる一方、 力 ソード側入口 2 1 cを遮断弁 1 3 1と遮断させる。 更に、 第四の切り替え弁 144を動作させてカソード側出口 1 21 dを第二の遮断弁 1 3 1と遮断さ せる一方、 力ソード側出口 1 21 dを第二の循環配管 14.6と連通させる。
加えて、 第五の切り替え弁 1 5 2を動作させてアノード側入口 1 2 1 aを第 一の切り替え弁 1 2 9と遮断させる一方、 ァノード側入口 1 2 1 aをァノー ド排気配管 1 4 7と連通させる。 更には、 第六の切り替え弁 1 5 4を動作さ せてガス清浄部 1 2 2 pと原料ガス分岐配管 1 5 1を連通させる一方、 ガス 清浄部 1 2 2 pを燃料生成器 1 2 3と遮断させる。
こうして清浄化原料ガスは、 以下のような経路で燃料電池 1 2 1の内部に 供給され (ステップ S 8 0 7 ) 、 燃料電池 1 2 1の内部を加湿原料ガスの雰 囲気に置換するというパージ処理が行われる。
原料ガス供給手段 1 2 2から供給され、 ガス清浄部 1 2 2 pで清浄化され た原料ガスは、 原料ガス供給配管 1 6 3を通って第六の切り替え弁 1 5 4に よって原料ガス分岐配管 1 5 1の方向に向けられ、 原料ガス分岐配管 1 5 1 を介して加湿器 1 2 4に流入して、 加湿器 1 2 4の内部 (正確には温水加湿 器) で加湿される。
続いて加湿原料ガスは、 第三の切り替え弁 1 4 3によって燃料電池 1 2 1 のカソード側入口 1 2 1 cの方向に向きを切り替えて燃料電池 1 2 1の内部 に流入する。 こうして力ソード 1 1 4 cを加湿原料ガスの雰囲気に曝して、 この加湿原料ガスは力ソード側出口 1 2 1 dから外部に流出する。
加湿原料ガスはその後、 第四の切り替え弁 1 4 4によって第二の循環配管 1 4 6の方向に向きを切り替えて燃料電池 1 2 1の一辺に沿って原料ガスは 第二の循環配管 1 4 6を通過して、 第二の切り替え弁 1 4 2によって燃料電 池 1 2 1のアノード側出口 1 2 1 bの方向に向きを切り替えて燃料電池 1 2 1の内部に再流入する。 こうしてアノード 1 1 4 aを加湿原料ガスの雰囲気 に曝して、 この加湿原料ガスはアノード側入口 1 2 1 aから外部に再流出す る。
再流出後の加湿原料ガスは、 第五の切り替え弁 1 5 2によって第二の連結 配管 1 5 3の方向に向きを切り替えて、 この第二の連結配管 1 5 3を通って
アノード排気配管 1 4 7に到達する。 アノード排気配管 1 4 7に到達した原 料ガスは、 第一、 第二の逆止弁 1 4 1、 1 4 8によって逆流を防止されて、 水除去部 1 3 3の方向に導かれてこの水除去部 1 3 3において加湿原料ガス から水除去された後、 燃料生成器 1 2 3の燃焼部に送られ、 燃焼器の内部で 燃焼させられる。
すなわち加湿原料ガスは、 図 1 7中の太い点線のように燃料電池 1 2 1の 力ソード側入口 1 2 1 cおよび力ソード側出口 1 2 1 d並びにアノード側出 口 1 2 1 b並びにアノード側入口 1 2 1 aの順番に通過して燃料電池 1 2 1 の周囲をコノ字状に流れてアノード排気配管 4 7 1に至る。 加湿原料ガスの トータル供給量は、 燃料電池 1 2 1の内部空間のガス充填可能容積の少なく とも 3倍以上必要であり、 例えば、 ガス充填可能容積が約 1 . 0 Lであれば 、 加湿原料ガスの流量 1 . 5 L /分でもって約 5分間、 これを燃料電池 1 2 1の内部に供給すれば良く、 このトータル供給量はマスフローメータ 7 0 c の出力信号に基づいて制御部 1 2 7によってモニタされる。
こうして燃料電池 1 2 1の停止期間から発電期間までの間の移行期間に燃 料電池 1 2 1の内部を加湿原料ガスで曝すことができて、 停止保管中に乾燥 した燃料電池 2 1の電解質膜 1 1 1を加湿できると共に、 仮に停止保管中に 燃料電池 1 2 1の内部に酸素ガスが混入した場合、 この酸素ガスによっても たらされる燃料ガスとの局所燃焼を未然に防止できる。
また、 燃料電池 1 2 1の停止期間から発電期間までの間の移行期間に、 燃 料電池 1 2 1の内部に加湿原料ガスを導くようにしたため、 燃料電池 1. 2 1 の内部を長期間、 加湿原料ガスの雰囲気で曝すことがなく、 燃料電池 1 2 1 の電極の撥水性が損なわれない。
加えて、 図 1 7の太い点線で示すように単一の経路によって 1ァノード 1 4 aと力ソード 1 1 4 cの両方を加湿処理させることができ、 ガス供給配管 を簡素化できる。
燃料電池 1 2 1の内部に充分、 加湿原料ガスを供給した後、 燃料生成器 1 2 3の加熱のため、 切り替え弁および遮断弁を次のように動作させる (ステ ップ S 8 0 8 ) 。
第二の切り替え弁 1 4 2に接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 1 4 4 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7. と連通させる一方、 燃料ガ 供給配管 1 6 1を 第五の切り替え弁 1 5 2と遮断させる。 また、 第二の切り替え弁 1 4 2を動 作させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 .3 0と連通させる一方、 アノード側出口 1 2 1 bを第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。 更に、 第三 の切り替え弁 1 4 3を動作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1 と遮断させる。 加えて、 第四の切り替え弁 1 4 4を動作させて力ソード側出 口 1 2 1 dを第三の遮断弁 1 3 2と連通させる一方、 カソード側出口 1 2 1 dを第二の循環配管 1 4 6と遮断させる。 また、 第五の切り替え弁 1 5 2を 動作させてァノード側入口 1 2 1 aを第一の切り替え弁 1 2 9と連通させる 一方、 アノード側入口 1 2 1 aをアノード排気配管 1 4 7と遮断させる。 更に、 第六の切り替え弁 1 5 4を動作させてガス清浄部 1 2 2 pを燃料生 成器 1 2 3と連通させる一方、 ガス清浄部 1 2 2 pを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮断させる。
上記の弁動作を行った後、 燃料生成器 1 2 3から送出されるガスを、 第一 の切り替え弁 1 2 9で切り替えられて、 第一の連結配管 1 6 4およぴァノー ド排気配管 1 4 7を通って (第一の逆止弁 1 4 1は流れを許す方向) 、 水除 去部 1 3 3で水除去された後、 燃料生成器 1 2 3に還流させてこの燃料生成 器 1 2 3の燃焼部で燃焼できるため、 燃料生成器 1 2 3の速やかに加熱でき
て (ステップ S 809) 、 燃料生成器 1 23 (改質部 1 23 e) の内部温度 を (4) 式の改質反応可能な温度 (約 640°C以上) まで昇温させることが できる。
ここで、 燃料生成器 1 23の温度が 640°C以上に昇温したか否かを判定 して (ステップ S 8 1 0) 、 昇温不足であれば (S 8 1 0において N o) 、 S 809の加熱動作を継続させ、 640°C以上に到達したら (S 8 1 0にお いて Y e s ) 、 次のステップに進む。
〔燃料電池発電装置の発電開始可否の確認動作〕
燃料生成器 1 2 3を 640°C以上に昇温させた後、 燃料電池 1 2 1の内部 温度の確認および燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の導電率の確認を行って 、 燃料電池発電装置 1 1 00の発電を開始して良いか否かを判定する。
第一の確認動作として、 燃料電池 1 21の内部温度が稼働温度 (70°C) 以上であるか否かを判定して (ステップ S 8 1 1) 、 昇温不足であれば (S 8 1 1において No) 、 S 80 3の昇温動作を再実行させて (ステップ S 8 1 2) 、 70°C以上に昇温したら (S 8 1 1において Y e s ) 、 次にステツ プに進む。
第二の確認動作として、 燃料電池 1 21の電解質膜 1 1 1の導電率を求め てこの導電率: σ = 1. 9 3 X 1 0— 2S c m一1以上か否かを判定して (ステ ップ S 8 1 3) 、 σ = 1. 93 X 1 0— 2 S c m一1未満であれば (S 8 1 3に おいて No) 、 電解質膜 1 1 1の加湿不足であると判断して S 806および S 80 7の動作を再実行させ (ステップ S 8 1 4) 、 σ = 1. 9 3 X 1 0一2 S c m—1以上であれば (S 8 1 3において Y e s ) 、 次のステップに進む。 なお、 電解質膜の導電率の測定法および電解質膜の導電率と相対湿度の関係 については、 実施の形態 6において説明したものと同様である。
こうして停止期間および発電期間を有する燃料電池の発電開始時期を燃料 電池の温度に基づく判定に加え、 燃料電池セルの電解質膜の導電率に基づく
判定を実施するため、 電解質膜の保水状態を的確に予測できて燃料電池発電 装置の発電開始時期の判断の信頼性が向上させることができる。
〔燃料電池発電装置の発電動作〕
上記の確認動作の数値が所定値に到達した後 (具体的には燃科電池 1 2 1 の温度が 70°C以上、 電解質膜の導電率 σ = 1. 9 3 X 1 0— 2 S c m— 1以上 ) 、 切り替え弁および遮断弁を以下のように動作させて燃料電池 1 2 1を発 電させる (ステップ S 8 1 5およびステップ S 8 1 6) 。
第二の切り替え弁 142に接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに第四の切り替え弁 1 44 に接続する第三の遮断弁 1 3 2をすベて開栓する。
この状態で第一の切り替え弁 1 29を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1 をアノード排気配管 147と遮断させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を第 五の切り替え弁 1 5 2と連通させる。.また、 第二の切り替え弁 142を動作 させてアノード側出口 1 2 1 bを第一の遮断弁 1 30と連通させる一方、 ァ ノード側出口 1 2 1 bを第二の循環配管 146と遮断させる。 また、 第三の 切り替え弁 143を動作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3
1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と 遮断させる。 更に、 第四の切り替え弁 144を動作させて力ソード側出口 1
2 1 dを第三の遮断弁 1 32と連通させる一方、 力ソード側出口 1 2 1 dを 第二の循環配管 1 46と遮断させる。 加えて、 第五の切り替え弁 1 5 2を動 作させてァノード側入口 1 2 1 aを第一の切り替え弁 1 29と連通させる一 方、 アノード側入口 1 2 1 aをアノード排気配管 147と遮断させる。 更に 、 第六の切り替え弁 1 54を動作させてガス清浄部 1 2 2 pを燃料生成器 1
23と連通させる一方、 ガス清浄部 1 22 pを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮 断させる。
こうして切り替え弁および遮断弁の動作によって燃料ガス供給配管 1 6 1
を介して燃料生成器 1 2 3から水素ガスリツチな燃料ガスを燃料電池 1 2 1 のァノード側入口 1 2 1 aに導入すると共に、 ァノード側出口 1 2 1 bから 送出され、 アノード 1 1 4 aで消費されなかった残余の燃料ガスを、 ァノー ド排気配管 1 4 7を介して燃料電池 1 2 1の燃料生成器 1 2 3に還流させる。 一方、 酸化剤ガス供給配管 1 6 2を介して加湿器 1 2 3から送出された加 湿空気 (酸化剤ガス) を燃料電池 1 2 1のカソード側入口 1 2 1 cに導入す ると共に、 力ソード側出口 1 2 1 dから送出され、 力ソード 1 1 4 cで消費 されなかった残余の酸化剤ガスを、 力ソード排気配管 1 6 0を介して燃料電 池 1 2 1の加湿器 1 2 4に還流させる。
これによつて燃料ガスをアノード 1 1 4 aに供給し、 酸化剤ガスをカソー ド 1 1 4 cに供給して、 燃料電池 1 2 1の内部にて水素イオンと電子を生成 させて、 出力端子 1 7 2 a、 7 2 cを介して回路部 1 2 5に電流を取り出す ことができ、 測定部 1 2 6において発電電圧がモニタされる。
(実施の形態 8)
以下、 燃料電池 1 2 1の内部を、 停止期間から発電期間までの間の移行期 間に加湿原料ガスで曝すことを特徴とする燃料電池発電装置のガス供給系の 他の構成例を説明する。
図 2 0は、 実施の形態 3に係る燃料電池発電装置の構成を示したプロック 図である。 燃料電池 1 2 1、 第一の水供給手段 1 7 4、 第二の水供給手段 1 7 5、 原料ガス供給手段 1 2 2、 燃料生成器 1 2 3、 加湿器 1 2 4、 インピ 一ダンス測定器 1 7 3、 回路部 1 2 5、 測定部 1 2 6および制御部 1 2 7の 構成については実施の形態 6にて説明したものと同様である。
実施の形態 8は、 加湿原料ガスの燃料電池 1 2 1への導入配管および切り 替え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータの配置を変更した点で実施の形 態 6と相違しており、 ここでは実施の形態 6に対して導入配管おょぴ切り替 え弁並びに遮断弁並びにマスフローメータの変更点を中心に説明する。
実施の形態 6 (図 1 2) において使用された第二、 第四の切り替え弁 1 4 2、 1 4 4および第一、 第二の循環配管 1 4 5、 1 4 6を取り除く。 また、 ガス清浄部 1 2 2 pの出口直後に分流弁 1 5 5が配置され、 この分流弁 1 5 5によって加湿器 1 2 3の方向に流れる原料ガスの流量と燃料生成器 1 2 3 の方向に流れる原料ガスの流量の比率を決めることができる。 加えて、 加湿 部 1 24の内部を通って、 第三の切り替え弁 1 4 3と分流弁 1 5 5とを連通 させる原料ガス分岐配管 1 5 1が設けられている。 更に、 またマスフローメ ータ 1 7 0 aに加えて、 マスフローメータ 1 7 0 cが加湿器 1 24と第三の 切り替え弁 1 4 3の間であって原料ガス分岐配管 1 5 1の途中に設けられて いる。
以下、 停止保管動作および起動開始動作並びに発電開始可否の確認動作並 びに発電動作に分けて、 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給動作を図 2 0のブ 口ック図および図 2 1、 図 2 2のフローチヤ一ト図を参照しながら詳細に説 明していく。
〔燃料電池発電装置の停止保管動作〕
燃料電池発電装置 1 1 0 0の停止後、 燃料電池 1 2 1の内部を原料ガスに よって充填封止の状態に保って長期保管する。 ここで、 燃料電池発電装置 1 1 0 0の停止保管のため、 切り替え弁おょぴ遮断弁を次のように動作させる (ステップ S 1 0 0 1 ) 。
アノード側出口 1 2 1 bに接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びに力ソード側出口 1 2 1 d に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を ァノード側入口 1 2 1 aと遮断させる。 また、 第三の切り替え弁 1 4 3を動 作させてカソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、
力ノ、 ード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮断させる。
こうして燃料電池 1 2 1の内部に燃料ガスおよび酸化剤ガスを確実に封入 することができる。 なお、 燃料電池 1 2 1の内部は燃料電池稼働温度 (70 °C) 以下で維持されており、 室温 (約 20°C〜30°C) 近くに保たれている c 〔燃料電池発電装置の起動開始動作〕
燃料電池 1 2 1の触媒に悪影響を及ぼさないような原料ガスの選定および 原料ガスの清浄化処置を行う (ステップ S 1 002) 。 原料ガス清浄化の方 法および原料ガス選択の内容は実施の形態 6と同様である。
続いて、 燃料電池 1 2 1の内部を稼働温度 (70°C) まで昇温する (ステ ップ S 1 00 3) 。 なお、 燃料電池 1 2 1の内部の昇温方法は、 実施の形態 6で説明したものと同じである。
ここで、 燃料電池 1 2 1の内部温度が稼働温度 (70°C) 以上にまで到達 しているか否かを判定して (ステップ S 1 004) 、 昇温不足であれば (S 1 004において No) 、 S 1 003の昇温動作を継続させ、 70°C以上に 到達すれば (S 1 004において Y e s ) 、 次のステップに進む。
次に、 燃料生成器 1 23の内部を予備加熱させるため、 切り替え弁および 遮断弁を以下のように動作させる (ステップ S 1 00 5) 。
アノード側出口 1 2 1 bに接続する第一の遮断弁 1 30および第三の切り 替え弁 143に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びにカソード側出口 1 2 1 d に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 147と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を アノード側入口 1 2 1 aと遮断させる。 また、 第三の切り替え弁 143を動 作させて力ソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 カソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮断させる。 更に、 分 流弁 1 55を動作させて原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガスを全量、
燃料生成器 1 23に導くように、 原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガス 流量に対する燃料ガス供給配管 1 6 1を流れる原料ガス流量の分流比率を 1 に設定する。 ,
こうして燃料生成器 1 23から送出されるガスを、 第一の切り替え弁 1 2 9の切り替え動作によって第一の連結配管 1 64を通過させ (第一の逆止弁 14 1は流れを許す方向) 、 アノード排気配管 14 7を介して、 第二の逆止 弁 148によって逆流を防いで燃料生成器 23の燃焼部に還流させて燃焼部 で燃焼させて、 燃料生成器 1 23を予備加熱させる (ステップ S 1 006) c 燃料生成器 1 2 3の予備加熱の昇温温度範囲については、 実施の形態 6で 説明したものと同じ (燃料生成器 1 2 3 (改質部 1 23 e) の温度を 2 50 °C〜 300°Cの範囲に昇温) である。
ここで、 燃料生成器 1 2 3 (改質部 1 23 e ) の温度が 250 °C〜 300 °Cの範囲まで昇温したか否かを判定して (ステップ S 1 00 7) 、 昇温不足 であれば (S 1 0 0 7において N o) 、 S 1 006の燃料生成器 1 23の予 備加熱動作を継続させ、 2 50°C〜300°Cの範囲まで昇温したら (S 1 0 07において Y e s) 、 次のステップに進む。
燃料生成器 1 2 3の予備加熱の後、 燃料生成器 1 23および加湿器 1 24 において原料ガス供給手段 1 22から供給される原料ガスの露点を燃料電池 1 2 1の稼働温度 ( 70 °C) 以上に維持できるよう原料ガスを加湿処理でき る状態に移行させる (ステップ S 1 008) 。 燃料生成器 1 23は 300°C 近傍まで昇温されており、 加湿に必要な水は第二の水供給手段 1 75から燃 料生成器 1 23に供給され、 これによつて原料ガスを燃料生成器 1 23の内 部で加湿できる。 同時に、 第一の水供給手段 1 74から加湿器 1 24の内部 に供給される水および燃料生成器 1 2 3から加湿器 1 24に供給される熱に よって原料ガスを加湿器 1 24の内部で加湿できる。
続いて、 加湿原料ガス供給のため、 切り替え弁および遮断弁を以下のよう
に動作させる
(ステップ S 1 0 0 9) 。
第二の切り替え弁 1 4 2に接続する第一の遮断弁 1 3 0および第四の切り 替え弁 1 44に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ開く。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させてアノード側入口 1 2 1 aを燃料ガス供給配管 1 6 1と連通させる一方、 ァノード側入口 1 2 1 aを アノード排気配管 1 4 7と遮断させる。 また、 第三の切り替え弁 1 4 3を動 作させて力ソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と連通させる一 方、 カソード側入口 1 2 1 cを遮断弁 1 3 1と遮断させる。 更に、 分流弁 1
5 5を動作させて、 ガス清浄部 1 2 2 pから送出される清浄化原料ガスを加 湿器 1 2 3と燃料生成器 1 2 3の両方にほぼ均等に導き得るように分流比率 を 0. 5に設定する。
こうして、 ガス清浄部 1 2 2 pから.送出された加湿原料ガスは以下のよう にして燃料電池 1 2 1の内部を加湿させて外部に導かれて、 燃料電池 1 2 1 の内部を加湿原料ガスの雰囲気に置換するというパージ処理が行われる (ス テツプ S 1 0 1 0) 。
ガス清浄部 1 2 2 pで清浄化され原料ガス供給配管 1 6 3を介して送出さ れる原料ガスは、 原料ガス分岐配管 1 5 1を流れる第一の原料ガスと燃料ガ ス供給配管 1 6 1を流れる第二の原料ガスにほぼ均等 (分流比率: 0. 5) に分流される。
第一の原料ガスにおいては、 ガス清浄部 1 2 2 pから原料ガス供給配管 1
6 3を介して送出される淸浄化原料ガスは、 分流弁 1 5 5で分流され、 原料 ガス分岐配管 1 5 1を通って加湿器 1 2 4に導かれ、 加湿器 1 24において 加湿される。 その後、 加湿原料ガスは、 第三の切り替え弁.1 4 3によって燃 料電池 1 2 1のカソード側入口 1 2 1 cに向きを切り替えて原料ガス分岐配 管 1 5 1を介してカソード 1 1 4 cに供給される。 これによつて燃料電池 1
2 1の力ソード 1 1 4 cを加湿原料ガスの雰囲気に曝した後、 加湿原料ガス は力ソード側出口 1 2 1 dから外部に流出する。 流出後の加湿原料ガスは、 力ソード排気配管 1 6 0を通って加湿部 1 2 4に戻り、 この加湿部 1 2 4に て処理された後、 適宜希釈されて大気に排出される。
第二の原料ガスにおいては、 ガス清浄部 1 2 2 pから原料ガス供給配管 1 6 3を介して送出される清浄化原料ガスが分流弁 1 5 5で分流されて、 燃料 生成器 1 2 3に導かれ、 燃料生成器 1 2 3の内部で加湿される。 その後、 燃 料生成器 1 2 3から送出される加湿原料ガスは、 第一の切り替え弁 1 2 9に よって燃料電池のアノード側入口 1 2 1 aに向きを切り替えて燃料ガス供給 配管 1 6 1を介して燃料電池 1 2 1のアノード 1 1 4 aに供給される。 これ によってアノード 1 1 4 aを加湿原料ガスの雰囲気に曝した後、 加湿原料ガ スはアノード出口 1 2 1 bから燃料電池 1 2 1の外部に流出する。 流出後の 加湿原料ガスは、 アノード排気配管 1 4 7を通って水除去部 1 3 3にて水除 去された後、 燃料生成器 1 2 3の燃焼部に戻され燃焼部で燃焼されて燃料生 成器 1 2 3の加熱に利用される。
ここで、 加湿原料ガスのトータル供給量は、 燃料電池 1 2 1の内部空間の ガス充填可能容積の少なくとも 3倍以上必要であり、 例えば、 ガス充填可能 容積が約 1 . 0 Lであれば、 加湿原料ガスの流量 1 . 5 L /分でもって約 5 分間、 これを燃料電池 1 2 1の内部に供給すれば良く、 このトータル供給量 はマスフローメータ 1 7 0 aおよびマスフローメータ 1 7 0 cの出力信号に 基づいて制御部 1 2 7でモニタされる。
こうして燃料電池 1 2 1の停止期間から発電期間までの間の移行期間に燃 料電池 1 2 1の内部を加湿原料ガスで曝すことができて、 停止保管中に乾燥 した燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1を加湿できると共に、 仮に停止保管中 に燃料電池の内部に酸素ガスが混入した場合、 この酸素ガスによってもたら される燃料ガスとの局所燃焼を未然に防止できる。 また、 燃料電池 1 2 1の
停止期間から発電期間までの間の移行期間に、 燃料電池 1 2 1の内部に加湿 原料ガスを導くようにしたため、 燃料電池 1 2 1の内部を長期間、 加湿原料 ガスの雰囲気で曝すことがなく、 燃料電池の電極の撥水性が損なわれない。 加えて、 第一の原料ガスと第二の原料ガスは互いに混合することなく別個独 立して、 燃料電池 1 2 1の力ソード 1 1 4 cに第一の原料ガスを通過させ、 燃料電池 1 2 1のアノード 1 1 4 aに第二の原料ガスを通過させるように構 成したため、 アノード 1 1 4 aおよび力ソード 1 1 4 cの両方を確実に加湿 処理できる。
燃料電池 1 2 1の内部に充分、 加湿原料ガスを供給した後、 燃料生成器 1 2 3を加熱させるため、 切り替え弁および遮断弁を次のように動作させる ( ステップ S 1 0 1 1) 。
アノード側出口 1 2 1 bに接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接^する第二の遮断弁 1 3 1並びにカソード側出口 1 2 1 d に接続する第三の遮断弁 1 3 2をそれぞれ閉める。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7と連通させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を アノード側入口 1 2 1 aと遮断させる。 また、 第三の切り替え弁 1 4 3を動 作させて力ソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 力ソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮断させる。 分流弁 1 5 5を動作させて原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガスを全量、 燃料生 成器 1 2 3に導くように、 原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガス流量に 対する燃料ガス供給配管 1 6 1を流れる原料ガス流量の分流比率を 1に設定 する。
こうして燃料生成器 1 2 3から送出されるガスを、 第一の切り替え弁 1 2 9の切り替え動作によって第一の連結配管 1 6 4を通過させ (第一の逆止弁 1 4 1は流れを許す方向) 、 アノード排気配管 1 4 7を介して、 第二の逆止
弁 1 4 8によってァノード側出口 1 2 1 bの方向への逆流を防いで燃料生成 器 1 2 3の燃焼部に還流させて燃焼部で燃焼させて、 燃料生成器 1 2 3を加 熱させる (ステップ S 1 0 1 2) 。
ここで、 燃料生成器 1 2 3の温度が 6 4 0°C以上に昇温したか否かを判定 して (ステップ S 1 0 1 3) 、 昇温不足であれば (S 1 0 1 3において N o ) 、 S 1 0 1 2の加熱動作を継続させ、 6 4 0°C以上に到達したら (S 1 0 1 3において Y e s ) 、 次のステップに進む。
〔燃料電池発電装置の発電開始可否の確認動作〕
燃料生成器 1 2 3の昇温完了の後、 燃料電池 1 2 1の内部温度の確認およ び燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の導電率の確認を行って、 燃料電池発電 装置 1 1 0 0の発電を開始して良いか否かを判定する。
第一の確認動作として、 燃料電池 1 2 1の内部温度が稼働温度 (7 0°C) 以上であるか否かを判定して (ステップ S 1 0 1 4) 、 昇温不足であれば ( S 1 0 1 4において N o) 、 ステップ S 1 0 0 3の昇温動作を再実行させて (ステップ S 1 0 1 5) 、 7 0°C以上に昇温したら (S 1 0 1 4において Y e s ) 、 次にステップに進む。
第二の確認動作として、 燃料電池 1 2 1の電解質膜 1 1 1の導電率を測定 してこの導電率: σ = 1. 9 3 X 1 0— 2S c m—1以上か否かを判定して (ス テツプ S 1 0 1 6) 、 σ = 1. 9 3 X 1 0— 2 S c m一1未満であれば (S 1 0 1 6において N o) 、 電解質膜 1 1 1の加湿不足であると判断して S 1 0 0 9および S 1 0 1 0の動作を再実行させ (ステップ S 1 0 1 7) 、 σ - 1. 9 3 X 1 0—2 S c m—1以上であれば (S 1 0 1 7において Y e s ) 、 次のス テツプに進む。
なお、 電解質膜の導電率の測定法および電解質膜の導電率と相対湿度の関 係については、 実施の形態 6において説明したものと同様である。
こうして停止期間および発電期間を有する燃料電池の発電開始時期を燃料
電池の温度に基づく判定に加え、 燃料電池セルの電解質膜の導電率に基づく 判定を実施するため、 電解質膜の保水状態を的確に^?測できて燃料電池発電 装置の発電開始時期の判断の信頼性が向上させることができる。
〔燃料電池発電装置の発電動作〕
上記の確認動作が所定値に到達した後 (具体的には燃料電池 1 2 1の内部 温度が 7 0°C以上、 電解質膜の導電率 σ = 1. 9 3 X 1 0— 2 S c m— 1以上) 、 切り替え弁および遮断弁を以下のように動作させて燃料電池 2 1を発電さ せる (ステップ S 1 0 1 8 よびステップ S 1 0 1 9)
ァノード側出口 1 2 1 bに接続する第一の遮断弁 1 3 0および第三の切り 替え弁 1 4 3に接続する第二の遮断弁 1 3 1並びにカソード側出口 1 2 1 d に接続する第三の遮断弁 1 3 2をすベて開栓する。
この状態で、 第一の切り替え弁 1 2 9を動作させて燃料ガス供給配管 1 6 1をアノード排気配管 1 4 7と遮断させる一方、 燃料ガス供給配管 1 6 1を ァノード側入口 1 2 1 aと連通させる。 また、 第三の切り替え弁 1 4 3を動 作させて力ソード側入口 1 2 1 cを第二の遮断弁 1 3 1と連通させる一方、 力ソード側入口 1 2 1 cを原料ガス分岐配管 1 5 1と遮断させる。 加えて、 分流弁 1 5 5を動作させて原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガスを全量 、 燃料生成器 1 2 3に導くように、 原料ガス供給配管 1 6 3を流れる原料ガ ス流量に対する燃料ガス供給配管 1 6 1を流れる原料ガス流量の分流比率を 1に設定する。
こうした切り替え弁および遮断弁の動作によって燃料ガス供給配管 1 6 1 を介して燃料生成器 1 2 3から送出された水素ガスリツチな燃料ガスを燃料 電池 1 2 1のアノード側入 HI 1 2 1 aに導入すると共に、 アノード側出口 1 2 1 bから送出され、 アノード 1 1 4 aで消費されなかった残余の燃料ガス を、 アノード排気配管 1 4 7を介して燃料電池 1 2 1の燃料生成器 1 2 3に 還流させる。 また、 酸化剤ガス供給配管 1 6 2を介して加湿器 1 2 3カゝらカロ
湿空気 (酸化剤ガス) を燃料電池 1 21のカソード側入口 1 21 cに導入す ると共に、 力ソード側出口 1 2 1 dから送出され、 力ソード 1 14 cで消費 されなかった残余の酸化剤ガスを、 力ソード排気配管 1 60を介して燃料電 池 1 2 1の加湿器 1 24に還流させる。
これによつて燃料ガスをアノード 1 14 aに供給し、 酸化剤ガスをカソー ド 1 14 cに供給して、 燃料電池 1 21の内部にて水素イオンと電子を生成 させて、 出力端子 1 7 2 a、 7 2 cを介して回路部 1 25に電流を取り出す ことができ、 測定部 1 26において発電電圧がモニタされる。
(実施例)
実施の形態 6〜実施の形態 8に記載の加湿原料ガスのパージ処理によって もたらされる燃料電池の性能安定化の効果を以下のような燃料電池 1 2 1の 特性評価 (MEA1 7の電圧評価) によって検証した。 なお、 この燃料電池 1 2 1の特性評価においては、 燃料電池発電装置 1 1 00の触媒材料として 次のようなものを使用する。
脱硫触媒体の材質例としてはゼォライトを使用し、 改質部 23 eの改質触 媒体例としては Ru/A 1203を使用し、 変成部 23 f の変成触媒体例とし ては P t /C e Z r Ox (P t = 2w t %、 C e : Z r = l : l、 x = 3ま たは 4) を使用し、 および CO除去部 23 gの CO除去触媒体例としては P t /A 1 2 O 3および R u/ゼォライ トをハニカム
にして 1:/ 1203 (上流側) と Ru/ゼォライ トを 1 : 1で使用する。 また、 燃料電池 1 2 1の ME A 1 1 7は、 次のような製法で作ったものを 使用する。
炭素粉末であるケッチヱンプラック (ケツチエンプラックインターナショ ナル株式会社製の K e t j e n B l a c k E C、 粒径 30 n m) 上に P t触媒を担持させて得られる触媒体 (50重量%の 1:) 6 6重量部を、 水 素イオン伝導材であって結着剤のパーフルォロカーボンスルフォン酸アイォ
ノマー (米国 A 1 d r i c h社製の 5重量%の a f i o n分散液) 33重 量部 (高分子乾燥重量) と混合して得られる混合物を成形して触媒反応層 1 2 a、 12 c (10〜20 μπι) が形成される。
炭素粉末であるアセチレンブラック (電気化学工業株式会社製のデンカブ ラック、 粒径 35 nm) を、 ポリテトラフルォロエチレン (PTFE) の水 性デイスパージヨン (ダイキン工業株式会社製の D 1) と混合し、 乾燥重量 として PTFEを 20重量%含む撥水インクを調製する。 このィンクを、 ガ ス拡散層 1 1 3 a、 1 1 3 cの基材となるカーボンペーパー (柬レ株式会社 製の TGPH060H) の上に塗布して含浸させ、 熱風乾燥機を用いて 30 0°Cで熱処理してガス拡散層 1 3 a、 13 c (約 200 /im) を形成する。 こうして製作したガス拡散層 13 a、 1 3 cと触媒反応層 12 a、 1 2 c とを、 高分子電解質膜 1 1 1 (米国 D u P o n t社の N a f i o n 1 1 2の 電解質膜) の両面に接合し、 MEA1 1 7を完成させる。
このような燃料電池発電装置 1 100の触媒材料系において燃料電池 1 2 1の起動 (発電) 停止の回数を 4000回まで行い、 加湿原料ガスのパージ 処理を行わない比較例と共に実施の形態 6〜 8に記載の加湿原料ガスのパー ジ処理例の ME A電圧の変化を以下の表に纏めて示している。 なお、 図 23 に、 横軸に燃料電池の起動停止回数をとり、 縦軸に ME A 1 17の電圧をと つて、 加湿原料パージ処理例 (実施の形態 8) と比較例における ME A 1 7 の電圧変化の様子が示されている。
実施の形態 6 ~ 8.の加湿原料ガスによるパージ処理によれば、 発電および 停止の反復動作に基づく局所燃焼等が防止できるため、 MEA1 1 7の劣化 が抑制されて起動停止回数に依存することなく長期間、 燃料電池 1 21の電 圧が安定して維持される。
これに対して比較例においては、 局所燃焼等によって ME A 1 1 7の触媒 劣化が進行して、 起動停止回数が 1000回以降において ME A 1 1 7の電
圧の僅かの低下が観察され、 更には、 3 0 0 0回以降において ME A 1 1 7 が破壊 (穴あき) されて M E A 1 1 7の電圧が急峻に減少している。
' (表 1 )
なお、 上記の各実施の形態において、 燃料電池発電装置 1 1 0 0は本 発明の燃料電池システムに相当し、 燃料電池 1 2 1は本発明の燃料電池 に相当し、 燃料ガス供給配管 1 6 1は本発明の燃料ガス配管に相当し、 第一の切替弁 1 2 9は本発明の燃料ガス開閉弁に相当し、 これらは本発 明の燃料ガス供給手段を構成する。
また、 酸化ガス供給配管 1 6 2'は本発明の酸化剤ガス配管に相当し、 第二の遮断弁 1 3 1は本発明の酸化剤ガス開閉弁,に相当し、 これらは本 発明の酸化剤ガス供給手段を構成する。
また、 原料ガス供給配管 1 5 1 と、 第三の切り替え弁 1 4 3と燃料電 池 1 2 1のカソー 側入口との間を接続する配管とは、 本発明の原料ガ ス配管に相当し、 第三の切り替え弁 1 4 3は本発明の原料ガス開閉弁に 相当し、 これらは本発明の原料ガス供給手段を構成する。
また、 第二の切替弁 1 5 2は本発明のアノード側オフガス開閉弁に相 当し、 第二の連結配管 1 5 3は本発明のアノード側排出配管に相当する c また第四の切替弁 1 4 4は本発明の力ソード側オフガス開閉弁に相当し 、 第二の循環配管 1 4 6は本発明の力ソード側排出配管に相当する。
さらに第二の循環配管 1 4 6は本発明の付加原料ガス配管に相当し、 第四の切替弁 1 4 4および第二の切替弁 1 4 2は本発明の付加原料ガス 開閉弁に相当する。 また制御部 1 2 7は本発明の制御手段に相当する。
また、 以上の実施の形態 6〜 8は、 以下のような発明の実施の形態にも相 当するものとしてもよい。 すなわち、 第 1の発明として、 燃料ガス流路を 有する燃料電池と、 原料ガスを供給する原料ガス供給手段とを備え、 前記燃 料電池の発電期間には、 前記燃料ガス流路に前記原料ガスから生成される燃 料ガスを供給することによつて前記燃料電池を発電させ、 停止と発電を交互 に反復する燃料電池における停止期間から発電期間までの間の前記燃料電池 の移行期間には、 前記原料ガス供給手段から送出された原料ガスを加湿して 、 この加湿された原料ガスの雰囲気に前記燃料電池の内部を曝す燃料電池発 電装置としてもよい。
また、 第 2の発明として、 前記燃料ガス流路に前記原料ガスを流通させる ことによって前記燃料電池の内部の電解質膜を前記原料ガスの雰囲気に曝す 第 1の発明の燃料電池発電装置としてもよい。
また、 第 3の発明として、 前記原料^ スの露点を前記燃料電池の稼働温度 以上に維持できるように、 前記原料ガスを加湿する第 2の発明の燃料電池発 また、 第 4の発明として、 前記原料ガス供給手段はガス清浄部を備え、 前 記ガス清浄部によって前記原料ガス中のィォゥ成分を除去した後、 前記原料 ガスの雰囲気に前記燃料電池の内部を曝す第 1から第 3のいずれかの発明の 燃料電池発電装置としてもよい。
また、 第 5の発明として、 前記原料ガスは、 メタンガス、 プロパンガス、 ブタンガスおょぴェタンガスのうちの何れかのガスである第 4の発明の燃料 電池発電装置としてもよい。
また、 第 6の発明として、 前記原料ガス供給手段から供給される前記原料 ガスと水蒸気とから前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器 を備え、 前記移行期間に前記原料ガス供給手段から送出された原料ガスを、 前記燃料生成器の内部で加湿する際に、 前記燃料生成器において前記原料ガ
スを炭化させる下限温度よりも低く、 前記燃料生成器の温度を維持する第 1 の発明の燃料電池発電装置としてもよい。
また、 第 7の発明として、 前記燃料生成器の温度を 3 0 0 °C以下に維持す る第 6の発明の燃料電池発電装置としてもよい。
また、 第 8の発明として、 前記燃料電池の内部に電解質膜を挟むアノード とカソードが配置され、 前記アノードを前記原料ガスの雰囲気に曝した後、 前記力ソードを前記原料ガスの雰囲気に曝す第 1の発明の燃料電池発電装置 としてもよい。
また、 第 9の発明として、 前記原料ガス供給手段から供給される前記原料 ガスと水蒸気とから前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する燃料生成器 を備え、 前記原料ガスを前記燃料生成器の内部で加湿する第 8の発明の燃料 電池発電装置としてもよい。
また、 第 1 0の発明として、 前記燃料電池の内部に電解質膜を挟むァノー ドとカソードが配置され、 前記カソードを前記原料ガスの雰囲気に曝した後 、 前記アノードを前記原料ガスの雰囲気に曝す第 1の発明の燃料電池発電装 置としてもよい。
また、 第 1 1の発明として、 前記力ソードに供給する、 前記燃料ガスとの 発電反応用の酸化剤ガスを加湿する加湿器を備え、 前記原料ガスを前記加湿 器で加湿する第 1 0の発明の燃料電池発電装置としてもよい。
また、 第 1 2の発明として、 前記燃料電池の内部に電解質膜を挟むァノー ドとカソードが配置され、 前記カソードを前記原料ガスから分流する前記第 一の原料ガスの雰囲気に曝すと共に、 前記アノードを前記原料ガスから分流 する前記第二の原料ガスの雰囲気に曝す第 1の発明の燃料電池発電装置とし てもよい。
また、 第 1 3の発明として、 前記原料ガス供給手段から供給される前記原 料ガスと水蒸気とから前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する燃料生成
器および前記カソードに供給する酸化剤ガスを加湿する加湿器を備え、 前記 第一の原料ガスを前記加湿器の内部で加湿し、 前記第二の原料ガスを前記燃 料生成器の内部で加湿する第 1 2の発明の燃料電池発電装置としてもよい。 また、 第 1 4の発明として、 前記燃料電池の内部に電解質膜を備え、 前記 電解質膜の導電率に基づいて前記発電期間を開始させる第 1の発明の燃料電 池発電装置としてもよい。
また、 第 1 5の発明として、 前記燃料電池の内部における所定の相対湿度 に対応する前記電解質膜の導電率に基づいて前記発電期間を開始させる第 1
4の発明の燃料電池発電装置としてもよい。
(実施の形態 9 )
本発明の実施の形態 9の燃料電池システムを、 図 2 4を参照しながら説明 する。 図 2 4は、 本実施の形態の燃料電池システムの構成図である。
燃料電池スタック 2 0 1は、 単電池 (C l〜C n ) を複数個 (n個) 積層 して構成されている。 単電池は、 水素イオン伝導性高分子電解質膜、 前記電 解質膜を挟む一対の電極、 及び前記一対の電極にそれぞれ燃料ガスおよび酸 化剤ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板からなる。
燃料電池スタックにおける空気極側には、 燃料電池スタックの電圧おょぴ 内部抵抗に基づき酸化剤ガスの供給量を制御する酸化剤ガス制御装置 2 0 2 、 酸化剤ガスを加湿する加湿部として全熱交換式加湿器 2 0 9およぴ温水式 加湿器 2 0 1 0を設置した酸化剤ガス供給配管 2 0 1 3が接続されている。 一方、 燃料極側には、 原料ガスから燃料ガスを生成する燃料生成器 2 0 3 および原料ガスを清浄化するガス清浄部 2 0 8を設置した燃料ガス供給配管 2 0 1 2が接続されている。
また、 燃料ガス供給配管 2 0 1 2および酸化剤ガス供給配管 2 0 1 3には 、 ガスの流路を切り換える電磁弁 2 0 7 1〜2 0 7 9が設置されている。 燃 料電池スタック 1の集電板 (図示せず) には電力回路部 6が接続され、 各単
電池 (C l〜Cn) の電圧は電圧検知装置 204により検知され、 単電池の 内部抵抗は高周波抵抗計 201 1などの測定部により測定される。 制御部 2 05は、 燃料電池スタック、 燃料生成器、 ガス清浄部、 加湿部、 電力回路部 、 および測定部を制御し、 特に、 検出された電圧おょぴ内部抵抗に基づいて 電力回路部 206において出力される電力量、 燃料生成器 203で生成する 燃料ガス量、 電磁弁 2071〜2079における弁の開閉を制御する。
次に、 上述した本実施の形態の燃料電池システムの運転方法を表 2および 図 25〜28を参照しながら説明する。 表 2は、 本実施の形態の燃料電池シ ステムの運転方法の工程 (シーケンス) を示し、 図 25〜28は、 それぞれ 表 2の各ステップにおける単電池の内部抵抗の平均値、 燃料電池スタックの 温度、 発電電力、 および単電池の電圧の平均値の推移を示す。 なお、 ここで は、 単電池を 70個積層した場合 (n = 70の場合) を示す。
(表 2) '
まず、 通常運転時 (ステップ 1) では、 空気極に加湿空気が供給され、 燃 料極に加湿改質ガス (SRG) が供給されて、 発電が行われる。 このとき、 電池温度は 70°Cであり、 各単電池の平均電圧は約 0. 75 Vであり、 発電 電力は 1 kWである。
この燃料電池システムの運転を停止する場合には、 停止前に乾燥した不活 性ガスを燃料電池スタックに供給し、 単電池の内部抵抗を 1. Ο Ω · cm2以
上とする工程 (1) を含む操作を行う。
この操作により、 停止時において、 電極内における局部電池の形成を抑制 することができる。 また、 停止中に外部より酸素が混入した場合でも高分子 電解質膜のプロトン伝導性が小さく反応性が低いため、 空気極の酸化、 空気 極への不純物の吸着、 および燃料極における触媒成分の溶出による電極の劣 化を抑制することができる。
工程 (1) における単電池の内部抵抗は、 1. 0~3. O Q . cm2である のが好ましい。 3. Ο Ω · cm2を超えると、 停止時の乾燥と起動時の加湿と を繰り返した場合に、 水分量の変化が大きくなり、 高分子電解質膜の膨潤と 収縮の繰り返しによる体積変化が大きくなり、 電極が破損しやすくなる。 まず、 ステップ 2では、 空気極に供給するガスを乾燥した不活性ガスに切 り替え、 外部出力を停止する。 このとき、 電池電圧は徐々に低下し、 単電池 の平均電圧は約 0. 10〜0. 1 5Vとなる。 これは、 空気極内部が不活性 ガスに置換され、 燃料極の水素が空気極に自然拡散することにより両極の電 位が近づくためである。 なお、 通常の燃料電池の構成では空気極の流路体積 と燃料極の流路体積はほぼ同じであり、 水素と酸素が拡散し反応すると水素 の方が過剰に存在するため、 両極の電位は標準水素電極に対して 0 Vに近づ <。
次に、 ステップ 3では、 燃料電池スタックにおける単電池の内部抵抗が 1. 0 Ω · c m2以上になるまで両極に乾燥した不活性ガスを供給する。 ステップ 2および 3では、 燃料電池スタックの温度は 70°Cに維持されている。
すなわち、 表 1では、 上述した工程 (1) は、 ステップ 3に相当する。 燃料電池スタックにおける単電池の内部抵抗が 1. Ο Ω · cm2以上である ステップ 4では、 燃料極および空気極のガス流路を封止し、 ガスの流通を止 め、 電池温度を低下させ、 運転を停止する。
燃料電池システムの運転を開始する場合は、 発電開始前に燃料電池スタツ
クに加湿した不活性ガスを供給し、 単電池の内部抵抗を 0. 3 Ω · cm2以下 とする工程 (2) を含む操作を行う。 この操作により、 起動時において、 熱 の発生による内部抵抗の增大を抑制できる。
工程 (2) における単電池の内部抵抗は 0. 1〜0. 3 Q * cm2であるの が好ましい。 運転時における単電池の内部抵抗は 0. 1 Ω · cm2程度である c ステップ 5では、 燃料電池スタックを昇温しながら燃料電池スタックにお ける単電池の内部抵抗が 0. 3 Ω · cm2以下になるまで、 加湿した不活性ガ スを空気極おょぴ燃料極に供給する。 このステップ 5により、 停止中に乾燥 状態であった高分子電解質膜が加湿され燃料電池スタックが発電可能な状態 に戻る。
すなわち、 表 1では、 上述した工程 (2) は、 ステップ 5に相当する。
ステップ 6では、 燃料極に供給するガスを加湿した改質ガス (SRG) に 切り替え、 単電池の平均電圧が約 0. .10〜0. 15Vの状態でしばらく運 転する。 このとき、 自然拡散により水素が燃料極から空気極に移動すること により、 電極触媒が還元 ·清浄化される。
そして、 ステップ 7では、 空気極に供給するガスを加湿空気に切り替え、 1 kWの発電を行う。
上記の方法で運転した場合、 運転の起動 ·停止の繰り返しによる燃料電池 スタックの劣化を抑制することができる。
上記で用いられる不活性ガスとして、 ガス清浄部 208で清浄化された原 料ガスを用いることができる。 例えば、 原料ガスとしてメタンやプロパンな どを含む都市ガスを用いる場合は、 不純物として都市ガス中に含まれる付臭 剤 (S成分) を除去し、 清浄化したものが不活性ガスとして用いられる。 な お、 この不純物の除去は、 触媒層中に含まれる P tの被毒を防止するために 行われる。
ステップ 2および 3で用いられる乾燥した不活性ガスとしては、 例えば、
ガス清浄部 2 0 8を経由し、 燃料生成器 2 0 3の間に設けられたパイパス 2 0 3 bを通過した原料ガスが用いられる。
また、 ステップ 5および 6で用いられる加湿した不活性ガスには、 例えば 、 ガス清浄部 2 0 8を経由し、 3 0 0 °C以下の燃料生成器 2 0 3を通過した 原料ガスが用いられる。 燃料生成器 2 0 3の温度が 3 0 0 °C以下の場合は、 原料ガスは水素含有ガスに改質されずに、 原料ガスの加湿のみが行われる。 また、 加湿した不活性ガスには、 例えば、 ガス清浄部 2 0 8を経由した後 、 燃料ガス供給管と空気供給管とを連結する連結管 2 0 1 2 aを通過した原 料ガスが、 燃料生成器 2 0 3で発生した熱と水を用いて、 温水式加湿器 2 0 1 0にて加湿されたものを用いることができる。
また、 不活性ガスとして燃料電池スタック 2 0 1に供給された上記の原料 ガスは、 燃料生成器 2 0 3の燃焼用燃料として再利用することができる。 このように原料ガスを不活性ガスとして利用することができるため、 窒素 ガスボンベ等の不活性ガスを供給する装置を別途設ける必要がなくてすむ。 したがって、 燃料電池システムを複雑にすることなくコストをかけずに、 容 易に燃料電池スタックの劣化を抑制することができる。
以下に、 本発明の実施例を具体的に説明するが、 本発明はそれらのみに限 定されない。
(実施例)
以下に示す方法により図 2 9に示す構成の燃料電池スタックを作製した。 図 2 9は、 燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。
( 1 )膜 ·電極接合体の作製
炭素粉末としてアセチレンブラック (電気化学工業 (株) 製のデンカブラ ック、 粒径 3 5 n m) を、 ポリテトラフルォロエチレン (P T F E ) の水性 デイスパージヨン (ダイキン工業 (株) 製の D 1 ) と混合し、 乾燥重量とし て P T F Eを 2 0重量0 /0含む撥水インクを得た。 このインクを、 ガス拡散層
用基材としてカーボンペーパー (東レ (株) 製の TGPH060H) の上に 塗布して含浸させた後、 熱風乾燥機により 300°Cで熱処理し、 厚さ約 20 0 μ mのガス拡散層 2023 a、 2023 bを得た。
一方、 炭素粉末としてケツチエンプラック (ケッチェンブラックインター ナショナル (株) 製の K e t j e n B l a c k EC、 粒径 30 n m) 上 に触媒として P tを担持し、 50重量 °/0の P tを含む触媒粉末を得た。 この 触媒粉末と、 水素イオン伝導性高分子電解質かつ結着剤であるパーフルォロ カーポンスルホン酸アイオノマー (米国 A 1 d r i c h社製、 5重量0 /0N a f i o n分散液) とを乾燥重量で重量比 2 : 1の割合で混合し、 この混合物 を成形して厚さ 1 0〜20 /zmの触媒層 20 22 a、 202 2 bを形成した c 上記で得られた触媒層 202 2 a、 202 2 bおよびガス拡散層 202 3 a、 202 3 bを、 水素イオン伝導性高分子電解質膜 2 1 (米国 D u P o n t社製、 N a f i o n l l 2膜) の両面に接合した。 そして、 高分子電解質 膜 21と、 高分子電解質膜 2 1を挟む、 触媒層 2022 aおよびガス拡散層 2023 aからなるアノード 2024 a、 ならぴに触媒層 2022 bおよび ガス拡散層 202 3 bからなる力ソード 20 24 bとで構成される膜 ·電極 接合体 (以下、 MEAと表す) 20 2 7を得た。
このとき、 ME A 20 2 7における高分子電解質膜 202 1の外周縁部に 、 ゴム製のガスケット 202 5を接合した。 ガスケット 20 25には、 燃料 ガス、 酸化剤ガス、 および冷却水が流通するマ二ホールド穴を形成した。 (2)燃料電池スタックの組み立て
アノード 2024 aに燃料ガスを供給する深さ 0. 5 mmのガス流路 20 28 aを有するァノ一ド側セパレータ板 20 2 6 aと、 力ソード 20 24 b に酸化剤ガスを供給する深さ 0. 5 mmのガス流路 2028 bを有するカソ 一ド側セパレータ板 2026 bとを準備した。 セパレータ板 2026 aおよ ぴ 2026 bには、 いずれも外寸 20 c m X 3 2 c mX 1. 3 mmの、 フエ
ノール樹脂を含浸させた黒鉛板を用いた。 また、 ガス流路を有する面と反対 側の面には、 深さ 0 . 5 mmの冷却水流路 2 0 2 9が形成されている。
ァノード側セパレータ板 2 0 2 6 aのガス流路 2 0 2 8 aを有する面を M E A 2 0 2 7におけるァノード 2 0 2 4 aの面に重ね合わせ、 さらにカソー ド側セパレータ板 2 0 2 6 bのガス流路 2 0 2 8 bを有する面を M E A 2 0 2 7の力ソード 2 0 2 4 bの面に重ね合わせ、 単電池を得た。 この単電池を 7 0個積層し、 電池積層体を得た。 この時、 セパレータ 2 0 2 6 aの冷却水 流路 2 0 2 9を有する面と、 セパレータ 2 0 2 6 bの冷却水流路 2 0 2 9を 有する面とが重ね合わせられることにより、 単セル毎に冷却部が形成された。 また、 セパレータ板の冷却部を有する面には、 冷却水の外部への流出を防止 するため、 冷却水流路の周りを囲むようにゴム製のシール部 2 0 3 0が設け られた。
そして、 この電池積層体の両端に、 .ステンレス鋼製の集電板と、 電気絶縁 材料からなる絶縁板および端板とを配.し、 全体を締結ロッドで固定し、 燃料 電池スタックを作製した。 この時の、 締結圧はセパレータ板の面積当たり 1 5 k g f / c m 2とした。
[燃料電池システムの評価]
そして、 上記で得られた燃料電池スタック 2 0 1を上述した図 2 4と同様 の構成の燃料電池システムに接続し、 上述した表 2と同様の工程で以下に示 すような運転試験を行った。
ステップ 1として、 上記で得られた燃料電池システムにおける燃料ガス供 給管および酸化剤ガス供給管に、 それぞれ原料ガスとしての 1 3 Aガスおよ び酸化剤ガスとしての空気を供給した。 このとき、 燃料電池スタックにおけ る電池温度を 7 0 °C、 燃料ガス利用率 (U f ) を 7 0 %、 空気利用率 (U o ) を 4 0 %とした。 なお、 燃料ガスおよび空気は、 それぞれ 6 5 °Cおよび 7 0 °Cの露点を有するように加湿した。 パージ用のガスとしてはガス清浄部 8
を通過した 1 3 Aガスを用いた。
そして、 上述した表 2におけるステップ 1〜 6の時間を、 それぞれステツ プ 1 : 8 0分、 ステップ 2 : 2 0分、 ステップ 3 : 3 0分、 ステップ 4 : 4 8時間、 ステップ 5 : 3 0分、 およびステップ 6 : 2 0分として、 ステップ 1〜6を 1 0 0サイクル行った。 なお、 運転試験は室温 (2 7 °C) で行った (実験番号 1 ) 。
なお、 乾燥した不活性ガスには、 ガス清浄部で清浄化された原料ガスを用 いた。 また、 加湿した不活性ガスには、 3 0 0 °C以下の燃料生成器を通過し た原料ガスを用いた。
ステップ 1〜 6の時間を表 3に示す条件に変えた以外は、 上記実験番号 1 と同様にして運転試験を行った。
(表 3 ) ·
通常運転時 (ステップ 1 ) では、 実施番号 1〜1 2のいずれの場合も、 単 電池の内部抵抗は、 0 . 1 Ω · c m
2であった。
まず、 ステップ 3の時間を変えた実施番号 1、 2、 6〜8における運転試 験の結果を表 3に示す。 なお、 表 4中の内部抵抗は、 ステップ 3および 5の
終了時点における各単電池の内部抵抗の平均値を示す。 また、 劣化率は、 起 動と停止を交互に繰り返したときの 1サイクル (ステップ 1〜6 ) 当たりの 各単電池の電圧の低下分の平均値を示す。
(表 4 )
ステップ 3の時間が異なるこれらの条件では、 運転停止中の内部抵抗が異 なる結果が得られた。
ここで、 燃料電池スタックの発電電力が、 一般の大型発電所の電力に対し てランニングコストとしてメリットを有するには、 起動停止の繰り返しに伴 う劣化、 すなわち電圧低下が約 4 0 0 0サイクルで 8 O mV以下、 すなわち 2 0 μ VZサイクル以下であることが許容範囲とされている。 停止時の内部 抵抗が 1. 0〜3. 0 Ω · c m2である実施番号 1および 2では、 燃料電池ス タックの電圧低下が抑制された。
これに対して、 停止時の内部抵抗が 1. Ο Ω · c m2以下である実験番号 6 および 7では、 電圧低下が大きくなつた。 これは、 停止時の乾燥状態が不十 分なため、 電極内部での加湿水による細孔閉塞が起こり、 局部電池が形成さ れ、 電極が劣化したためと考えられる。 また、 停止時の内部抵抗が 1 0 Ω · c πι2の実験番号 8では、 大幅に電圧が低下した。
これは、 停止時の乾燥と起動時の加湿との繰り返しによる水分量の変化が 大きすぎるため、 高分子電解質膜の膨潤と収縮の繰り返しによる体積変化が
大きくなり、 電極が破損したためであると考えられる。
次に、 実施番号 1、 3、 9および 1 0の運転試験の結果を表 5に示す。
' (表 5 )
ステップ 5での昇温 ·湿潤時間が異なるこれらの条件では、 起動時の内部 抵抗値が異なる結果が得られた。 起動時の内部抵抗が 0. 3 Ω · c m2以下で ある実施番号 1および 3では、 電圧の低下が抑制された。
これに対して、 起動時の内部抵抗が 0. 3を超える実験番号 9および 1 0 では、 電圧低下が大きかった。 これは、 起動時の内部抵抗が高い状態で発電 を開始することにより、 高分子電解質膜のプロ トン伝,導性が低く、 反応抵抗 が大きくなり、 高分子電解質膜が劣化したためと考えられる。
次に、 実施番号 1、 2、 4〜8、 1 1、 および 1 2の運転試験の結果を表 6に示す。
(表 6 )
実験 内部抵抗 (Ω · cm2) 劣化率 番号 ステップ 3 ステップ 5 (μ V /cycle)
1 1. 0 0. 3 20
2 3. 0 0. 3 2 0
4 1. 0 0. 3 2 0
5 3. 0 0. 3 20
6 0. 3 0. 3 40
7 0. 6 0. 3 3 0
1 1 0. 3 0. 3 8 0
1 2 0. 6 0. 3 6 0
実施番号 1および 4、 ならびに実験番号 2および 5は、 ステップ 4の停止 時間が異なる
力 停止時間の長さにかかわらず、 電圧低下が小さく、 燃料電池スタックの 劣化が抑制された。
これに対して、 実験番号 6および 1 1、 ならびに実験番号 7および 1 2で は、 停止時間が長く、 実験番号 1 1および 1 2の方が電圧低下が大きくなつ た。 これは、 これらのステップ 3の乾燥条件では、 停止前の乾燥が不十分で あり、 電極内部で局部電池が形成され、 停止時間が長いほど電極の劣化が進 行したためと考えられる。
なお、 本実施例では、 高分子電解質膜として N a f i' o n 1 1 2を用いた 力 高分子電解質膜として用いられる他の材料においても同様の効果が得ら れた。 また、 本実施例では、 試験温度を 2 7°Cの室温としたが、 これ以外の 温度でも、 例えば参考文献 1 (H a n d b o o k o f F u e l C e l l v o l . 3, p 5 6 ί , f u n d a m e n t a 1 s , e c h n o l o g y a n d A p p l i c a t i o n s ) 記載の N a f i o n 1 1 2の導電性 のァレニウスプロットより本発明に係る有効な内部抵抗の範囲は算出するこ とができる。 . また、 以上の実施の形態 9は、 以下のような発明の実施の形態にも相当す るものとしてもよい。 すなわち、 第 1の発明として、 水素イオン伝導性高 分子電解質膜、 前記電解質膜を挟む一対の電極、 および前記一対の電極にそ れぞれ燃料ガスと酸化剤ガスとを供給する流路を有する一対のセパレータ板 からなる単電池を複数個積層した燃料電池スタック ;
原料ガスから前記燃料ガスを生成する燃料生成器;
前記原料ガスを清浄化するガス清浄部;
前記酸化剤ガスを加湿する加湿部;
前記燃料電池スタックから電力を取り出す電力回路部;
前記単電池の電圧および抵抗を測定する測定部;ならびに 前記燃料電池スタック、 燃料生成器、 ガス清浄部、 加湿部、 電力回路部お よぴ測定部を制御する制御部を具備し、
前記燃料電池システムの運転停止時における前記単電池の内部抵抗が 1 . 0 Ω · c m 2以上であることを特徴とする燃料電池システムとしてもよい。 また、 第 2の発明として、 前記測定部が高周波抵抗計を備えた第 1記載の 燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 3の発明として、 前記制御部が、 前記燃料電池システムの運転を 停止する前に、 前記運転の温度を維持した状態で、 乾燥した不活性ガスを前 記燃料電池スタックに供給することにより、 前記単電池の内部抵抗を 1 . 0 Ω · c m 2以上に制御する第 1の発明の燃料電池システムとしてもよい。 また、 第 4の発明として、 前記制御部が、 前記運転の温度を維持した状態 で、 乾燥した不活性ガスを前記燃料電池スタックに供給する第 3の発明の燃 料電池システムとしてもよい。
また、 第 5の発明として、 前記制御部が、 前記燃料電池システムの運転を 開始する前に、 前記燃料電池スタックに加湿した不活性ガスを供給すること により、 前記単電池の内部抵抗を 0 . 3 Ω · c m 2以下に制御する第 1の発明 の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 6の発明として、 前記不活性ガスが、 前記ガス清浄部で浄化され た原料ガスである第 3〜 5のいずれかの発明の燃料電池システムとしてもよ い。
また、 第 7の発明として、 前記不活性ガスが、 起動時の前記燃料生成器に おいて 3 0 0 °C以下の温度下で発生する加湿した原料ガスである第 5の発明 の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 8の発明として、 前記不活性ガスが、 起動時の前記燃料生成器で 発生する熱と水を用いて、 前記加湿部において加湿した原料ガスである第 5
の発明の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 9の発明として、 前記原料ガスが、 前記燃料電池スタックに供給 された後、 前記燃料生成器の燃焼用燃料として利用される第 6〜 8のいずれ かの発明の燃料電池システムとしてもよい。
また、 第 1 0の発明として、 水素イオン伝導性高分子電解質膜、 前記電解 質膜を挟む一対の電極、 および前記一対の電極にそれぞれ燃料ガスと酸化剤 ガスとを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板からなる単電池を複 数個積層した燃料電池スタックを具備した燃料電池システムの運転方法であ つて、
前記燃料電池システムの運転を停止する前に、 乾燥した不活性ガスを前記 燃料電池スタックに供給し、 前記単電池の内部抵抗を 1. 0 Ω · cm2以上と する工程 (1) を含むことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
また、 第 1 1の発明として、 前記工程 (1) において、 前記燃料電池スタ ックを運転温度に維持する第 1 0の発明の燃料電池システムの運転方法とし てもよい。
また、 第 1 2の発明として、 前記燃料電池システムの運転を開始する前に 、 前記燃料電池スタックに加湿した不活性ガスを供給し、 前記単電池の内部 抵抗を 0. 3 Ω · c m2以下とする工程 (2) を含む第 1 0の発明の燃料電池 システムの運転方法としてもよい。 '
また、 第 1 3の発明として、 原料ガスを清浄化する工程 (3) を含み、 前 記工程 (1) および (2) において、 前記浄化された原料ガスを前記不活性 ガスとして用いる第 1 0または 1 2の発明の燃料電池システムの運転方法と してもよい。
また、 第 14の発明として、 原料ガスから前記燃料ガスを生成する工程 ( 4) および原料ガスを加湿する工程 (5) を含み、 前記工程 (2) において 、 前記加湿した原料ガスを前記不活性ガスとして用いる第 1 2の発明の燃料
電池システムの運転方法としてもよい。
また、 第 1 5の発明として、 前記工程 (4 ) において発生する熱と水を用 いて、 '前記工程 (5 ) において原料ガスを加湿する第 1 4の発明の燃料電池 システムの運転方法としてもよい。
(実施の形態 1 0 )
はじめに、 図 3 0〜 3 2を主として参照しながら、 本実施の形態の燃料電 池発電装置の構成について説明する。
図 3 0は、 本発明の実施の形態 1 0における燃料電池の中でも高分子電解 質型燃料電池 (以降、 P E F Cと称する) の基本構成を示している。
燃料電池は、 水素などの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスをガス拡散電極 によって電気化学的に反応させるもので、 電気と熱とを同時に発生させるも のである。
水素などの燃料ガスの関与する側をアノードと呼び、 関連する手段の符号 に aを付け、 空気などの酸化剤ガスの関与する側を力ソードと呼ぴ、 関連す る手段の符号に cを付けた。
3 0 1は電解質であり、 水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜等 が利用させる。 電解質 1 (以降、 膜と称することもある) の両面には、 白金 系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層 3 0 2 a , 3 0 2 cを密着して配置してある。 この触媒反応層で前述の (化 1 ) と (化 2 ) に示す反応が発生する。
少なくとも水素を含む燃料ガス (以降、 アノードガスと称する) は (化 1 ) に示す反応 (以降、 アノード反応と称する) を行う。
電解質 1を介して移動した水素イオンは、 酸化剤ガス (以降、 力ソードガ スと称する) と触媒反応層 3 0 2 cで (化 2 ) に示す反応 (以降、 力ソード 反応と称する) を行い、 水を生成し、 このとき電気と熱を生ずる。
さらに触媒反応層 3 0 2 a、 3 0 2 cの外面には、 ガス通気性と導電性を
兼ね備えた拡散層 3 0 3 a、 3 0 3 cをこれに密着して配置する。 この拡散 層 3 0 3 a、 3 0 3 cと触媒反応層 3 0 2 a、 3 0 2 cにより電極 3 04 a , 3 0 4 cを構成する。 .
3 0 5は膜電極接合体 (以降、 ME Aと称する) であり、 電極 3 0 4 a、 3 0 4 cと電解質 3 0 1とで形成している。
ME A 3 0 5を機械的に固定するとともに、 隣接する ME A 3 0 5同士を 互いに電気的に直列に接続し、 さらに電極に反応ガスを供給し、 かつ反応に より発生したガスや余剰のガスを運び去るためのガス流路 3 0 6 a、 3 0 6 cを ME A 5に接する面に形成した一対の導電性のセパレータ 3 0 7 a、 3 0 7 cを、 配置する。
膜 3 0 1と、 1対の触媒反応層 3 0 2 a、 3 0 2 cと、 一対の拡散層 3 0 3 a、 3 0 3 cと、 一対の電極 3 0 4 a、 3 0 4 cと、 一対のセパレータ 3 0 7 a , 3 0 7 cで基本の燃料電池 (以降、 セルと称する) を形成する。 セパレータ 3 0 7 a、 3 0 7 cには ME A 3 0 5とは反対の面に、 隣のセ ルのセパレータ 3 0 7 cまたはセパレータ 3 0 7 aが接する。
3 0 8 a , 3 0 8 cはセパレータ 3 0 7 a、 3 0 7 c同士が接する側に設 けられた冷却水通路であり、 ここに冷却水が流れる。 冷却水はセパレータ 3· 0 7 a、 3 0 7 cを介して ME A 3 0 5の温度を調整するように熱を移動さ せる。
3 0 9は ME A 3 0 5とセパレータ 3 0 7 a、 3 0 7 cを封止する ME A ガスケッ 1、である。
膜 3 0 1は固定電荷を有しており、 固定電荷の対イオンとして水素イオン が存在している。 膜 3 0 1には水素イオンを選択的に透過させる機能が求め られるが、 そのためには膜 3 0 1が水分を保持していることが必要である。 膜 3 0 1が水分を含むことにより、 膜 3 0 1内に固定されている固定電荷が 電離し、 固定電荷の対イオンである水素がイオン化し、 移動できるようにな
るからである。
図 3 1は、 セルを積層したスタックの斜視図である。
燃料電池セルの電圧は通常 0 . 7 5 V程度と低いた 'めに、 セルを直列に複 数個積層し、 高電圧と成るようにしている。
3 0 2 1はスタックから外部に電流を取り出すための集電板であり、 3 0 2 2はセルと外部を電気的に絶縁するための絶縁板である。 3 0 2 3はセル を積層したスタックを締結し、 機械的に保持する端板である。
図 3 2は、 本発明の実施の形態 1の燃料電池発電装置を表す図である。
3 0 3 1は燃料電池システムの外筐体である。
3 0 3 2は燃料ガスから燃料電池に悪影響を与える物質を除去する清浄部 であり、 原料ガス配管から燃料ガスを導く。
3 0 3 3は仕切弁であり、 原料ガスの流れを制御する。
3 0 3 4は燃料生成器であり、 原料.ガスから少なくとも水素を含む燃料ガ スを生成する。
燃料電池の運転時は燃料生成器 3 0 3 4には原料ガス配管と仕切弁 3 0 3 5を介して原料ガスが導かれる。
3 0 3 6はスタックであり、 図 3 0および図 3 1で詳細を示したものであ る。 燃料ガス配管を通じ、 燃料生成器 3 0 3 4から燃料電池スタック 3 0 3 6に燃料ガスが導かれる。
3 0 3 7は仕切弁であり、 燃料ガスの燃料電池スタック 3 0 3 6への流れ を制御する。 また、 停止保管時には仕切弁 3 0 3 7はスタック内に不活性ガ スをパージおょぴ封止する働きを行う。 また、 停止保管時には仕切弁 3 0 3 7はスタック内に不活性ガスをパージおよび封止する働きを行う。
なお、 不活性ガスとは、 必ずしもヘリゥム、 ネオンなどのいわゆる希ガス や窒素のこととは限らず、 ガス清浄部で清浄化された原料ガスなどのように 燃料電池に対し不活性なガスであればよく、 要するに所定のパージ用ガスの
ことである (以下同様) 。
3 0 3 9はブロアであり、 酸化剤ガスは吸気管を通して燃料電池スタック 3 0 3 6に導入される。
3 0 4 1は仕切弁であり、 燃料ガスの燃料電池スタック 3 0 3 6への流れ を制御する。
燃料電池スタック 3 0 3 6で利用されなかった酸化剤ガスは仕切弁 3 0 4 2を介して排気される。 また、 停止保管時には仕切弁 3 0 4 2はスタック内 に不活性ガスをパージおょぴ封止する働きを行う。
3 0 4 0は加湿器である。 燃料電池は水分が必要なため、 燃料電池スタツ ク 3 0 3 6に流れ込む酸化剤ガスはここで加湿される。
燃料電池スタック 3 0 3 6で利用されなかった燃料ガスはオフガス管によ り再び、 燃料生成器 3 0 3 4に流れ込む。 オフガス管からのガスは燃焼など に用いられ、 原料ガスから燃料ガスを生成するための吸熱反応等に利用され る。
停止保管時には仕切弁 3 0 4 2はスタック内に不活性ガスをパージおょぴ 封止する働きを行う。
3 0 4 3は仕切弁であり、 燃料電池スタック 3 0 3 6から燃料生成器 3 0 3 4へ流れるオフガスを制御する。
3 0 4 4は燃料電池スタック 3 0 3 6から電力を取り出す電力回路部であ り、 3 0 4 5はガスや電力回路部、 仕切弁などを制御する制御部である。
3 0 4 6はポンプであり、 冷却水入り口配管から燃料電池スタック 3 0 3 6の水経路に水を流す。 燃料電池スタック 3 0 3 6を流れた水は冷却水出口 配管から外部に水が運ばれる。 燃料電池スタック 3 0 3 6を水が流れること により、 発熱した燃料電池スタック 3 0 3 0 3 6を一定の温度に保ちながら 、 発生した熱を燃料電池システム外部で利用できるようになるのである。 酸素濃度検知器 3 0 5 0、 3 0 5 1は燃料電池スタック 3 0 3 6内を満た
した不活性ガスの酸素濃度変化を検知し、 所定濃度以上の酸素濃度を検知し た場合、 制御部 3 0 4 5 へ信号発信し、 仕切弁の動作を行う。
実施の形態 1 0の燃料電池発電装置は、 燃料電池からなる燃料電池スタツ ク 3 0 3 6と、 ガス清浄部 3 0 3 2と、 燃料生成器 3 0 3 4と、 電力回路部 3 0 4 4と、 制御部 3 0 4 5と、 酸素濃度検知器より構成されている。 なお、 酸素濃度検知器 3 0 5 0 、 3 0 5 1を含む手段は本発明の酸素濃度 検知手段に対応し、 制御部 3 0 4 5は本発明のパージ用ガス注入手段に対応 し、 本実施の形態の燃料電池発電装置は本発明の燃料電池運転装置に対応す る。
また、 ガス清浄部 3 0 3 2は、 本発明の燃料ガス清浄化手段に対応する。 また、 仕切弁 3 0 4 1は本発明の酸化剤ガス流路上流弁に対応し、 仕切弁 3 0 4 2は本発明の酸化剤ガス流路下流弁に対応し、 仕切弁 3 0 3 7は本発 明の燃料ガス流路上流弁に対応し、 仕切弁 3 0 4 3は本発明の燃料ガス流路 下流弁に対応する。
つぎに、 本実施の形態の燃料電池発電装置の動作について説明する。 なお 、 本実施の形態の燃料電池発電装置の動作について説明しながら、 本発明の 燃料電池運転方法の一実施の形態についても説明する (以下同様) 。
まず、 基本動作を説明し、 本実施の形態の燃料電池発電装置のポイントと なる保管に関する動作については後述する。
図 3 2において、 弁 3 0 3 3が開となり、 原料ガス配管から原料ガスがガ ス清浄部 3 0 3 2に流れ込む。
原料ガスとしては、 天然ガス、 プロパンガスなど炭化水素系のガスを使用 することが出来るが、 本実施の形態ではメタン、 ェタン、 プロパン、 ブタン ガスの混合ガスである 1 3 Aを用いた。
ガス淸浄部 3 2としては、 特に T B M (ターシャリブチルメルカプタン) 、 D M S (ジメチルサルフアイ ド) 、 T H T (テトラヒ ドロチオフィン) 等
のガス付臭剤の除去の除去を行う部材を用いている。 付臭剤などの硫黄化合 物は燃料電池の触媒に吸着し、 触媒毒となり反応を阻害するためである。 燃料生成器 3 4では (化 9 ) に示す反応等により、 水素が生成される。
(化 9 )
C H s + H 2 0→ 3 H 2 + C O ( - 2 0 3 . 0 K J / m o 1 )
ここで水素と水分を含む燃料ガスが作成し、 燃料ガス配管を介して燃料電 池の燃料電池スタック 3 0 3 6に流れ込む。
酸化剤ガスはプロア 3 0 3 9により加湿器 3 0 4 0を通った後、 燃料電池 スタック 3 0 3 6に流れ込む。 酸化剤ガスの排ガスは排気管より外部に排出 される。
加湿器 3 0 4 0として、 温水に酸化剤ガスを流すものや、 酸化剤ガス中に 水を吹き込むもの等が使用できるが、 本実施の形態では全熱交換型を使用し た。 これは、 排ガス中の水と熱とを加湿器 3 0 4 0を通過する際に、 吸気管 から運ばれる原料となる酸化剤ガス中に移動させるものである。
冷却水は、 ポンプ 3 0 4 6より冷却水入り口配管から燃料電池スタック 3 0 3 6の水経路に流された後、 冷却水出口配管から外部に水が運ばれる。 図 3 2では図示が省略されているが、 冷却水入り口配管や冷却水出口配管には 、 通常給湯器などが配管されている。 燃料電池の燃料電池スタック 3 0 3 6 で発生する熱を取りだし、 給湯等に利用できるようになるのである。
燃料電池スタック 3 0 3 6内での燃料電池の動作について図 3 0を用いて 説明する。
ガス流路 3 0 6 cに空気などの酸化剤ガスを流し、 ガス流路 3 0 6 aに水 素を含む燃料ガスを流す。
燃料ガス中の水素は拡散層 3 0 3 aを拡散し、 触媒反応層 3 0 2 aに達す る。 触媒反応層 3 0 2 aで水素は水素イオンと電子に分けられる。 電子は外 部回路を通じて力ソード側に移動される。 水素イオンは膜 3 0 1を透過し力
ソード側に移動し触媒反応層 3 0 2 cに達する。
空気などの酸化剤ガス中の酸素は拡散層 3 0 3 cを拡散し、 触媒反応層 3 0 2 cに達する。 触媒反応層 3 0 2 cでは酸素が電子と反応し酸素イオンと なり、 さらに酸素イオンは水素イオンと反応し水が生成される。 つまり M E A 3 0 5の周囲で酸化剤ガスと燃料ガスが反応し水が生成され、 電子が流れ る。
さらに反応時に熱が生成し、 M E A 3 0 5の温度が上昇する。
そのため冷却水経路 3 0 8 a、 3 0 8 cに水などを流すことにより反応で 発生した熱を水で外部に運び出す。 つまり、 熱と電流 (電気) が発生するの である。 ■
このとき、 導入されるガスの湿度と反応で発生する水の量の管理が重要で ある。 水分が少ないと膜 3 0 1が乾燥し、 固定電化の電離が少なくなるため に水素の移動が減少するので、 熱や電気の発生が小さくなる。 一方水分が多 すぎると、 M E A 3 0 5の周りまたは触媒反応層 3 0 2 a、 3 0 2 cの周囲 に水が溜まってしまい、 ガスの供給が阻害され反応が抑制されるため、 熱と 電気の発生が減少してしまう。 (以降、 この状態をフラッティングと称する
)
燃料電池のセルで反応した後の動作について図 3 2を用いて説明する。 酸化剤ガスの使用されなかった排ガスは加湿器 3 0 4 0を介し、 熱と水分 をブロア 3 0 3 9から送られてきた酸化剤ガスに渡した後、 外部へ排出され る。
燃料ガスの使用されなかったオフガスはオフガス管により再び、 燃料生成 器 3 0 3 4に流れ込む。 オフガス管からのガスは燃料生成器 3 0 3 4中では 燃焼などに用いられる。 原料ガスから燃料ガスを生成するための反応は (化 4 ) で示されるように吸熱反応であるため、 反応に必要な熱として利用され るのである。
電力回路部 4 4は燃料電池が発電を開始した後、 燃料電池スタック 3 6か ら直流の電力を引き出す役割をする。
制御部 3 0 4 5は燃料電池システムの他の部分の制御を最適に保つよう制 御するものである。
つぎに、 本実施の形態の燃料電池発電装置のボイントとなる保管に関する 動作についてより具体的に説明する。
原料ガスは都市ガスの 1 3 Aガス、 酸化剤ガスとしては空気をそれぞれ用 いた。
燃料電池の温度は 7 0 °C、 燃料ガス利用率 (U f ) は 7 0 °/。、 酸素利用率 (U o ) は 4 0 %の条件とした。
燃料ガスおよび空気は、 それぞれ 7 0 °Cの露点を有するように加湿した。 電力回路部 3 0 4 4から電流を取り出した。 電流は電極の見かけ面積あた りで、 0 . 2 A/ c m 2となるように調整した。
冷却水入り口配管および冷却水出口配管には、 貯湯タンク (図示されてい ない) が取り付けてある。
冷却水入り口配管中の水の温度は 7 0 °C、 冷却水出口配管中の水の温度は
7 5 °Cとなるようにポンプ 3 0 4 6を調節した。
起動停止および保管の条件は以下のようにした。
なお、 図 3 4にスタックの電圧変化と酸素濃度変化を示した。
運転条件 Aでは、 定常運転工程を行った後、 停止工程 1に移った。
なお、 スタックからの電流は電力回路部 3 0 4 4により取り出されるが、 燃料電池スタック 3 0 3 6の代表的な単セルの電圧が 0 . 5 Vを切ると電流 の取り出しを停止し、 0 . 7 Vを超えると再び電流を取り出すように制御部
3 0 4 5により制御した。
停止工程 1では、 ブロア 3 0 3 9を停止させ燃料電池スタック 3 0 3 6へ の空気の供給を停止し、 仕切弁 3 0 4 8を開け、 ガス清浄部 3 0 3 2で付臭
剤などの硫黄化合物、 アンモニアゃァミン物質などの窒素化合物、 一酸化炭 素などの燃料電池に悪影響を与える物質を取り除いた原料ガスをポンプ 3 0 4 9より流し込んだ。
次に、 停止工程 2を行った。
仕切弁 3 0 3 5を閉め、 燃料生成器 3 0 3 4から燃料電池スタック 3 0 3 6への燃料ガスの供給を停止し、 仕切弁 3 0 4 7を開け、 ガス清浄部 3 0 3 2で付臭剤などの硫黄化合物、 アンモニアゃァミン物質などの窒素化合物、 一酸化炭素などの燃料電池に悪影響を与える物質を取り除いた原料ガスを燃 料電池スタック 3 0 3 6へ流し込んだ。 燃料電池スタック 3 0 3 6から原料 ガスにより燃料電池スタック 3 0 3 6から押し出された燃料ガスをオフガス 管から燃料生成器 3 0 3 4へ戻し、 燃料電池スタック 3 0 3 6内の燃料ガス を原料ガスにより入れ替えた。
次に、 停止工程 3を行った。 、- 停止工程 3では、 ァノード側にある仕切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3を閉 じ、 カソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を閉じ燃料電池スタ ック 3 0 3 6内を原料ガスで満たし封止し、 ポンプ 3 0 4 9を停止した。 ま た、 ポンプ 3 0 4 6は停止し、 外部との冷却水移動を無く した。
次に保管工程 1となる。 保管工程 1は高温になっている燃料生成器 3 0 3 4や燃料電池スタック 3 0 3 6の温度が徐々に下がり、 最終的には外部の温 度と同じとなる。
保管工程 2では、 酸素濃度検知器 3 0 5 0、 3 0 5 1がともに l O p p m (通常の測定方法で検出可能な酸素濃度の下限値におよそ相当する) の酸素 濃度を検知したため、 制御部 3 0 4 5からの信号により、 アノード側にある 仕切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3を開け、 また、 力ソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を開け、 ポンプ 3 0 4 9を作動し、 再度燃料電池ス タック 3 0 3 6へ原料ガスを再注入し、 ァノード側にある仕切弁 3 0 3 7と
仕切弁 3 0 4 3とカソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を閉め 封止した。
要するに、 酸化剤ガスおよぴ燃料ガス供給路の酸化剤極および燃料極の上 下流に仕切弁を設置し、 両極と下流の仕切弁の間に酸素濃度検知器を配置し 、 酸素濃度検知器が所定濃度を検知することで両極の上下流に配置された仕 切弁を開閉し再度不活性ガスを再注入するわけである。
より具体的には、 酸素濃度検知器が仕切弁を作動させる酸素濃度を 1 O p p m以上とすることで酸素による触媒劣化を生じない耐久性に優れた燃料電 池発電装置を実現できる。
次に起動工程 1となる。
起動工程 1では、 仕切弁 3 0 3 5を開け、 燃料生成器 3 0 3 4に原料ガス が流され、 水素を含み一酸化炭素などの燃料ではない物質の濃度が一定以下 となるように処理を行い、 次いで仕切弁 3 0 4 7を閉め、 ポンプ 3 0 4 9を 停止し、 アノード側にある仕切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3を開け、 燃料電 池スタック 3 0 3 6に原料ガスを供給した。
燃料電池スタック 3 0 3 6は、 ポンプ 3 0 4 6を動作させ、 燃料電池スタ ック 3 0 3 6よりも温度の高い水を循環させ、 温度を上昇させても良い。 次に起動工程 2に入る。
起動工程 2では、 ブロア 3 0 3 9を動作させ、 力ソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2とを開け、 空気を燃料電池スタック 3 0 3 6に送り 込んだ。
次いで燃料や電流を制御し、 定常運転工程の条件になった後は、 定常運転 工程として運転する。 '
本実施の形態では、 原料ガスの再注入が 1回である例を示したが、 これに 限らず酸素濃度検知器が所定濃度を検知した場合同様の動作を数回行っても 同様の効果が得られた。
かくして、 燃料電池発電装置の燃料極および酸化剤極を不活性ガスでパー · ジし封止する停止方法により、 酸素による触媒劣化を防止し、 保管中に両極 の酸素濃度を測定し、 所定以上の濃度を検出した場合、 再度不活性ガスを再 注入することで触媒劣化を抑制し、 長期間の保管においても触媒劣化を生じ ない耐久性に優れた燃料電池発電装置を実現することができる。
ここに、 燃料電池に対し不活性なガスとしてガス清浄部で清浄化された原 料ガスを用いることにより、 簡便に起動停止および保管による劣化を少なく できる。
なお、 上述した本実施の形態においては、 仕切弁 3 0 1と仕切弁 3 0 4 2 との間の部分における酸化剤ガス流路酸素濃度の検知、 および (b ) 仕切 弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3 との間の部分における燃料ガス流路酸素濃度の 検知の両方が行われた。 しかし、 これに限らず、 仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2との間の部分における酸化剤ガス流路酸素濃度の検知、 または (b ) 仕切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3との間の部分における,燃料ガス流路酸素濃 度の検知の一方が行われてもよい。
また、 上述した本実施の形態においては、 (a ) 仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入、 および (b ) 仕 切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3 との間の部分に対する所定のパージ用ガスの 注入の両方が行われた。 しかし、 これに限らず、 (a ) 仕切弁 3 0 4 1と仕 切弁 3 0 4 2との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入、 または (b ) 仕切弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3との間の部分に対する所定のパージ用ガ スの注入の一方が行われてもよい。
なお、 このような所定のパージ用ガスの注入は、 上述した本実施の形態に おいては、 検知された酸化剤ガス流路酸素濃度おょぴ検知された燃料ガス流 路酸素濃度の両方が所定値以上である場合に行われた。 しかし、 これに限ら ず、 このような所定のパージ用ガスの注入は、 検知された酸化剤ガス流路酸
素濃度または検知された燃料ガス流路酸素濃度の一方が所定値以上である場 合に行われてもよい。
(実施の形態 1 1)
はじめに、 図 3 3を主として参照しながら、 本実施の形態の燃料電池発電 装置の構成について説明する。
図 3 3は、 本発明の実施の形態 1 1の燃料電池発電装置を表す図である。 本実施の形態の燃料電池発電装置は、 図 3 2に示した実施の形態 1 0の燃 料電池発電装置と基本的に同様であるが、 酸素濃度検知器の変わりに、 燃料 電池スタック 30 36のアノードとカソードの電位変化を観察する電圧検知 器 305 2を配置した燃料電池発電装置である。 要するに、 本実施の形態の 原理は、 酸素の電極への吸着により生じる吸着電位に起因した電位上昇を観 測する点にある。
なお、 本実施の形態では、 ME A 30 5 (図 30参照) を以下のようにし て作成した。 ,
炭素粉末であるアセチレンブラック (電気化学工業 (株) 製のデンカブラ ック、 粒径 3 5 nm) を、 ポリテトラフルォロエチレン (PTFE) の水性 デイスパージヨン (ダイキン工業 (株) 製の D 1) と混合し、 乾燥重量とし て PTFEを 20重量%含む撥水インクを調製した。
このインクを、 ガス拡散層の基材となるカーボンペーパー (東レ (株) 製 の TGPH0 6 0 H) の上に塗布して含浸させ、 熱風乾燥機を用いて 300 °Cで熱処理し、 ガス拡散層 (約 200 / m) を形成した。
一方、 炭素粉末であるケッチェンブラック (ケッチェンブラックインター ナショナル (株) 製の e t j e n B l a c k EC、 粒径 30 n m) 上 に P t触媒を担持させて得られた触媒体 (50重量%が? 1; ) 66重量部を 、 水素イオン伝導材かつ結着剤であるパ
一フルォロカーボンスルホン酸アイオノマー (米国 A 1 d r i c h社製の 5
重量%N a f i o n分散液) 3 3重量部 (高分子乾燥重量) と混合し、 得ら れた混合物を成形して触媒層 (1 0〜2 0 μ πι) を形成した。
上述のようにして得たガス拡散層と触媒層とを、 高分子電解質膜 (米国 D u P o n t社の N a f i o n 1 1 2膜) の両面に接合し、 M E A 3 0 5を作 製した。
つぎに、 以上のように作製した M E A 3 0 5の膜 3 0 1の外周部にゴム製 のガスケット板を接合し、 冷却水、 燃料ガスおよび酸化剤ガス流通用のマユ ホールド穴を形成した。
一方、 2 0 c m X 3 2 c m X 1 . 3 m mの外寸を有し、 かつ深さ 0 . 5 m mのガス流路ぉよび冷却水流路を有する、 フエノール樹脂を含浸させた黒鉛 板からなる導電性のセパレータ 3 0 7 a、 3 0 7 cを用いた。
なお、 制御部 3 0 4 5は本発明の第一のパージ用ガス注入手段および第二 のパージ用ガス注入手段を含む手段に対応し、 電圧検知器 5 2は本発明の電 位差検知手段に対応し、 本実施の形態の燃料電池発電装,置は本発明の燃料電 池運転装置に対応する。
また、 ガス清浄部 3 0 3 2は、 本発明の燃料ガス清浄化手段に対応する。 つぎに、 本実施の形態の燃料電池発電装置の動作について説明する。
燃料電池スタック 3 0 3 6の保管工程 2以外の基本動作は、 実施の形態 1 0と同様である。
実施の形態 1 1の保管工程 2は、 保管工程 1の後、 力ソード側にある仕切 弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を一時的に開け、 原料ガスをカソードのみに注 入する。
このとき電圧検知器 3 0 5 2がァノードとカソードの両極の電位差が原料 ガスを一時注入する前の値に対し 1 O m V (通常の測定方法で検出可能な酸 素濃度の下限値におよそ相当する前述の 1 0 p p mに対応する) 以上の変化 を検知したとき、 制御部 3 0 4 5からの信号により、 アノード側にある仕切
弁 3 0 3 7と仕切弁 3 0 4 3を開ける。 そして、 力ソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を開け、 ポンプ 3 0 4 9を作動し、 再度燃料電池ス タック 3 0 3 6 へ原料ガスを再注入し、 ァノード側にある仕切弁 3 0 3 7と 仕切弁 3 0 4 3とカソード側にある仕切弁 3 0 4 1と仕切弁 3 0 4 2を閉め 封止した。
図 3 5にスタックの電圧変化と原料ガスが注入されたカソードとは異なる ァノードの電位変化を示した。
本実施の形態では力ソード側について一時原料ガス注入を行ったがこれに 限られたものではなく、 アノード側で一時注入の動作を行っても同様の結果 が得られた。
なお、 このように力ソードまたはァノードの一方にのみまず原料ガス注入 を行うのは、 酸素が燃料電池スタック 3 0 3 6のシーリング部分などから燃 料電池スタック 3 0 3 6の全体にわたって侵入するために、 両極の電位がほ ぼ同等に変化する場合が多いからである。 , .
このようにして、 停止保管中に不活性ガスを燃料極あるいは酸化剤極の一 方に一時追加パージし、 両極間の電位差変化を検知し、 再度不活性ガスを再 注入することで触媒劣化を抑制し、 長期間の保管においても触媒劣化を生じ ない耐久性に優れた燃料電池発電装置を実現することができる。
要するに、 酸化剤ガスおよび燃料ガス供給路の酸化剤極およぴ燃料極の上 下流に仕切弁を設置し、 酸化剤極と燃料極の電位差を検知する電圧検知装置 を配置し、 不活性ガスを一部追加パージした際の両極の電位差が所定の値以 上を示したとき、 両極の上下流に配置された仕切弁を開閉し再度不活性ガス を再注入するわけである。
より具体的には、 電圧検知器が仕切弁を作動させ、 不活性ガスを再注入さ せる両極の電位差変化を 1 O m V以上にすることで外部からの侵入ガスある いは微量ガスリークによる触媒劣化を生じない耐久性に優れた燃料電池発電
装置を実現できる。
(比較例)
比較例は、 実施の形態 1 0および実施の形態 1 1と類似しているが、 酸素 濃度検知器およぴ電圧検知器は具備されておらず、 保管工程 2における原料 ガスの再注入を所定の電位差を検知したときにのみ行う起動停止および保管 方法である。
図 3 6に比較例のスタックの電圧変化とアノードの電位変化を示した。 図 3 4に示したスタック電圧の変化より、 保管工程中、 燃料電池スタック 3 6に酸素が侵入して来ていても燃料電池スタック 3 0 3 6の電圧に変化は 見られない (前述したように、 酸素は燃料電池スタック 3 0 3 6の全体にわ たって侵入するために、 両極の電位がほぼ同等に変化し、 これらの電位差で ある燃料電池スタック 3 6の電圧は変化しないのである) 。 そこで外筐体 3 0 3 1に酸素濃度検知器 3 0 5 0、 3 0 5 1を具備することで燃料電池スタ ック 3 6内の酸素による影響を観察することができる。.
すなわち実施の形態 1 0の操作を行うことで触媒劣化を防止することがで き、 起動停止運転を行っても耐久性に優れた燃料電池発電装置を提供するこ とができる。
図 3 5に示したスタック電圧の変化より、 カソードないしァノードに一時 的に原料ガスを注入することで両極間の電位差に変化が観察される。 これは 、 外部から酸素が侵入していたことに起因する電位変化と考えられる。 両極間の電位差がゼロでも電位そのものは上昇している場合が多い (前述 の理由により、 酸素が燃料電池スタック 3 0 3 6に侵入していても両極間の 電位差はゼロが観察される) 。 その電位上昇の影響をアノードが受けると R u溶出が発生する。 実施の形態 1 1は、 この電位上昇の変化を、 一方の電極 側へ一時的に原料ガスを流した時の各セルの電位変化を利用して、 電圧検知 器で観察することができる。
すなわち実施の形態 1 1の操作を行うことで、 酸素による触媒劣化だけで なく電位上昇による触媒劣化を防止することができ、 起動停止運転を行って も耐久性に優れた燃料電池発電装置を提供することができる。
図 3 7に実施の形態 1 0、 実施の形態 1 1および比較例の起動停止方法を 行ったスタックの耐久性の結果を示す。
図 3 7に示すように、 保管工程において原料ガスの再注入を行った実施の 形態 1 0および実施の形態 1 1は、 比較例と比較して、 起動停止回数 1 0 0 0 0回における耐久劣化率を非常に低い値を維持することが可能である。 これは、 前述したように、 保管停止時に原料ガスを再注入することで酸素 による触媒劣化および電位上昇による触媒劣化を防止することができたこと を示している。
本実施の形態によれば、 長期間燃料電池発電装置を停止保管した場合でも 触媒の劣化を生じず高い耐久性能を発揮できる燃料電池発電装置を提供する ことができる。 ,
また、 以上の実施の形態 1 0および 1 1は、 以下のような発明の実施の形 態にも相当するものとしてもよい。 すなわち、 第 1の発明として、 燃料電 池の保管期間において、 (1 ) 前記燃料電池の酸化剤極に対して所定の酸化 剤ガスを供給し排出するための酸化剤ガス流路において前記酸化剤極よりも 上流に設けられた酸化剤ガス流路上流弁と、 前記酸化剤ガス流路において前 記酸化剤極よりも下流に設けられた酸化剤ガス流路下流弁との間の部分にお ける酸化剤ガス流路酸素濃度の検知、 および/または (2 ) 前記燃料電池の 燃料極に対して所定の燃料ガスを供給し排出するため燃料ガス流路において 前記燃料極よりも上流に設けられた燃料ガス流路上流弁と、 前記燃料ガス供 給流路におレ、て前記燃料極よりも下流に設けられた燃料ガス流路下流弁との 間の部分における燃料ガス流路酸素濃度の検知を行う酸素濃度検知手段) と
前記検知された酸化剤ガス流路酸素濃度および/または前記検知された燃 料ガス流路酸素濃度が所定値以上である場合に、 (a ) 前記酸化剤ガス流路 上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガ スの注入、 および/または (b ) 前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料ガス流 路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を行うパージ用ガ ス注入手段とを備えた、 燃料電池運転装置としてもよい。
また、 第 2の発明として、 前記所定の燃料ガスを清浄化する燃料ガス清浄 化手段をさらに備え、
前記所定のパージ用ガスは、 前記清浄化された燃料ガスである第 1の発明 の燃料電池運転装置としてもよい。
また、 第 3の発明として、 前記所定値は、 1 0 p p mである第 1の発明の 燃料電池運転装置としてもよい。
また、 第 4の発明として、 燃料電池の保管期間において、 (1 ) 前記燃料 電池の酸化剤極に対して所定の酸化剤ガスを供給し排 mするための酸化剤ガ ス流路において前記酸化剤極よりも上流に設けられた酸化剤ガス流路上流弁 と、 前記酸化剤ガス流路において前記酸化剤極よりも下流に設けられた酸化 剤ガス流路下流弁との間の部分における酸化剤ガス流路酸素濃度の検知、 お よび/または (2 ) 前記燃料電池の燃料極に対して所定の燃料ガスを供給し 排出するため燃料ガス流路において前記燃料極よりも上流に設けられた燃料 ガス流路上流弁と、 前記燃料ガス供給流路において前記燃料極よりも下流に 設けられた燃料ガス流路下流弁との間の部分における燃料ガス流路酸素濃度 の検知を行う酸素濃度検知ステップと、
前記検知された酸化剤ガス流路酸素濃度および/または前記検知された燃 料ガス流路酸素濃度が所定値以上である場合に、 (a ) 前記酸化剤ガス流路 上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガ スの注入、 および/または (b ) 前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料ガス流
路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を行うパージ用ガ ス注入ステップとを備えた、 燃料電池運転方法としてもよい。
また、 第 5の発明として、 第 4の発明の燃料電池運転方法の、 前記検知さ れた酸化剤ガス流路酸素濃度および Zまたは前記検知された燃料ガス流路酸 素濃度が所定値以上である場合に、 (a ) 前記酸化剤ガス流路上流弁と前記 酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入、 お よびノまたは (b ) 前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料ガス流路下流弁との 間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を行うパージ用ガス注入ステッ プをコンピュータに実行させるためのプログラムとしてもよい。
また、 第 6の発明として、 燃料電池の保管期間において、 (1 ) 前記燃料 電池の酸化剤極に対して所定の酸化剤ガスを供給し排出するための酸化剤ガ ス流路において前記酸化剤極よりも上流に設けられた酸化剤ガス流路上流弁 と、 前記酸化剤ガス流路において前記酸化剤極よりも下流に設けられた酸化 剤ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入、 または ( 2 ) 前記燃料電池の燃料極に対して所定の燃料ガスを供給し排出するため 燃料ガス流路において前記燃料極よりも上流に設けられた燃料ガス流路上流 弁と、 前記燃料ガス供給流路において前記燃料極よりも下流に設けられた燃 料ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を行う第 一のパージ用ガス注入手段と、
また、 前記酸化剤極の電位と前記燃料極の電位との電位差の検知を行う電 位差検知手段と、
前記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対 する所定のパージ用ガスの注入、 または前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料 ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入が行われる 前後における前記検知が行われた電位差の変化が所定値以上である場合に、 ( a ) 前記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分
に対する所定のパージ用ガスの注入、 および (b ) 前記燃料ガス流路上流弁 と前記燃料ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入 を再び行う第二のパージ用ガス注入手段とを備えた、 燃料電池運転装置とし てもよい。
また、 第 7の発明として、 前記所定の燃料ガスを清浄化する燃料ガス清浄 化手段をさらに備え、
前記所定のパージ用ガスは、 前記清浄化された燃料ガスである第 6の発明 の燃料電池運転装置としてもよい。
また、 第 8の発明として、 前記所定値は、 1 O m Vである第 6の発明の燃 料電池運転装置としてもよい。
また、 第 9の発明として、 燃料電池の保管期間において、 (1 ) 前記燃料 電池の酸化剤極に対して所定の酸化剤ガスを供給し排出するための酸化剤ガ ス流路において前記酸化剤極よりも上流に設けられた酸化剤ガス流路上流弁 と、 前記酸化剤ガス流路において前記酸化剤極よりも下流に設けられた酸化 剤ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入、 または ( 2 ) 前記燃料電池の燃料極に対して所定の燃料ガスを供給し排出するため 燃料ガス流路において前記燃料極よりも上流に設けられた燃料ガス流路上流 弁と、 前記燃料ガス供給流路において前記燃料極よりも下流に設けられた燃 料ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を行う第 一のパージ用ガス注入ステップと、
前記酸化剤極の電位と前記燃料極の電位との電位差の検知を行う電位差検 知ステップと、
前記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対 する所定のパージ用ガスの注入、 または前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料 ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入が行われる 前後における前記検知が行われた電位差の変化が所定値以上である場合に、
( a ) 前記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分 に対する所定のパージ用ガスの注入、 および (b ) 前記燃料ガス流路上流弁 と前記燃料ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入 を再び行う第二のパージ用ガス注入ステップ を備えた、 燃料電池運転方法 としてもよ!/、。
また、 第 1 0の発明として、 第 9の発明の燃料電池運転方法の、 燃料電池 の保管期間において、 (1 ) 前記燃料電池の酸化剤極に対して所定の酸化剤 ガスを供給し排出するための酸化剤ガス流路において前記酸化剤極よりも上 流に設けられた酸化剤ガス流路上流弁と、 前記酸化剤ガス流路において前記 酸化剤極よりも下流に設けられた酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対す る所定のパージ用ガスの注入、 または (2 ) 前記燃料電池の燃料極に対して 所定の燃料ガスを供給し排出するため燃料ガス流路において前記燃料極より も上流に設けられた燃料ガス流路上流弁と、 前記燃料ガス供給流路において 前記燃料極よりも下流に設けられた燃料ガス流路下流弁との間の部分に対す る所定のパージ用ガスの注入を行う第一のパージ用ガス注入ステップと、 前 記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対する 所定のパージ用ガスの注入、 または前記燃料ガス流路上流弁と前記燃料ガス 流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入が行われる前後 における前記検知が行われた電位差の変化が所定値以上である場合に、 (a ) 前記酸化剤ガス流路上流弁と前記酸化剤ガス流路下流弁との間の部分に対 する所定のパージ用ガスの注入、 および (b ) 前記燃料ガス流路上流弁と前 記燃料ガス流路下流弁との間の部分に対する所定のパージ用ガスの注入を再 ぴ行う第二のパージ用ガス注入ステップとをコンピュータに実行させるため のプログラムとしてもよい。 ' また、 第 1 1の発明として、 第 5または第 1 0の発明のプログラムを担持 した記録媒体であって、 コンピュータにより処理可能な記録媒体としてもよ
レ、
なお、 本発明にかかるプログラムは、 上述した本発明の燃料電池シス テムの全部または一部の手段 (または、 装置、 素子、 回路、 部等) の機 能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、 コンビ ユータと協働して動作するプログラムであってもよい。
また、 本発明は、 上述した本発明の燃料電池発電システムの全部また は一部の手段の全部または一部の機能をコンピュータにより実行させる ためのプログラムを担持した媒体であり、 コンピュータにより読み取り 可能且つ、 読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して 前記機能を実行する媒体であってもよい。
なお、 本発明の上記 「一部の手段 (または、 装置、 素子、 回路、 部等 ) 」 、 本発明の上記 「一部のステップ (または、 工程、 動作、 作用等) 」 とは、 それらの複数の手段またはステップの内の、 幾つかの手段また はステップを意味し、 あるいは、 一つの手段また ステップの内の、 一 部の機能または一部の動作を意味するものである。
また、 本発明の一部の装置 (または、 素子、 回路、 部等) とは、 それ らの複数の装置の内の、 幾つかの装置を意味し、 あるいは、 一つの装置 の内の、 一部の手段 (または、 素子、 回路、 部等) を意味し、 あるいは 、 一つの手段の内の、 一部の機能を意味するものである。
また、 本発明のプログラムを記録した、 コンピュータに読みとり可能 な記録媒体も本発明に含まれる。
また、 本発明のプログラムの一利用形態は、 コンピュータにより読み 取り可能な記録媒体に記録され、 コンピュータと協働して動作する態様 であっても良い。
また、 本発明のプログラムの一利用形態は、 伝送媒体中を伝送し、 コ ンピュータにより読みとられ、 コンピュータと協働して動作する態様で
あっても良い。
また、 本発明のデータ構造としては、 データベース、 データフォーマ ット、 データテーブル、 データリス ト、 データの種類などを含む。
また、 記録媒体としては、 R O M等が含まれ、 伝送媒体としては、 ィ ンターネット等の伝送機構、 光 ·電波 ·音波等が含まれる。
また、 上述した本発明のコンピュータは、 C P U等の純然たるハード ウェアに限らず、 ファームウェアや、 O S、 更に周辺機器を含むもので めっても良い。
なお、 以上説明した様に、 本発明の構成は、 ソフトウェア的に実現し ても良いし、 ハードウェア的に実現しても良い。 産業上の利用可能性
本発明に係る燃料電池システムは、 燃料電池の停止および発電を反復 しても電極の酸化または溶解による劣化を抑制することができ、 燃料電 池の性能安定化が図れて、 例えばポータブル電源、 携帯機器用電源、 電 気自動車用電源、 家庭用の燃料電池システムとして有用である。