WO2005010258A1

WO2005010258A1 - 湿潤により空隙率が低下する二異種糸条含有織編布帛

Info

Publication number: WO2005010258A1
Application number: PCT/JP2004/010590
Authority: WO
Inventors: Satoshi Yasui; Seiji Mizohata; Takeshi Yamaguchi
Original assignee: Teijin Fibers Limited
Priority date: 2003-07-29
Filing date: 2004-07-20
Publication date: 2005-02-03
Also published as: EP1650335A4; EP1650335A1; CA2518786A1; KR20060038916A; TW200510589A; US20060270293A1; CN1759212A

Abstract

吸水による自己伸長率において互に異る２種の糸条から形成された織編布帛であって、この布帛は、吸水による自己伸長率が高く、かつ平均糸長Ａを有する糸条（１）と、前記糸条（１）と同一方向に配置され、糸条（１）よりも低い自己伸長性を有しかつ平均糸長Ｂを有する糸条（２）から構成され、糸足長比Ａ／Ｂが0.9より大きく、それによって、湿潤により、乾燥時よりも増大した空隙率を示すものである。

Description

湿潤により空隙率が低下する二異種糸条含有織編布帛

技術分野

本発明は、二異種糸条を含み、湿潤により織編組織内の空隙率が低下し、乾燥によって織編組織内の空隙率が向上する織編布帛に関明

するものである。書

背景技術

湿潤時と乾燥時とで、布帛の空隙率が可逆的に変化する布帛は、感湿布帛とも称され、近年種々のタイプの感湿布帛が提案されている。

例えば、特開平 10— 77544号公報（特許文献 1 ) には、吸湿性ポリマーから形成された糸条に加撚を施し、この糸条を用いて構成された織編布帛が提案されている。このような織編布帛においては、吸湿時に撚りトルクが発生し、織編布帛の平面的な組織形状が立体的な組織形状に変化し、それによつて空隙率が向上して、通気量が大きくなるものである。また、本発明者らは、先に、吸水自己伸長糸と非自己伸長糸とを用いて、湿潤時に空隙率が向上し、乾燥時には空隙率が低下する織編布帛を提案した。

一方、合成繊維及び/又は天然繊維などからなる通常の織編物を、スィミンダウエアー、スポーツウェアーなどとして使用すると、雨などの湿潤により光透過性が高くなり、透視性が高くなるという問題があり、この問題の解消が求められていた。また、湿潤時には防水性が向上し、乾燥時には通気性が向上して着用快適性に優れている布帛の提供が望まれていた。しかしながら、前記の感湿布帛は、いずれも湿潤時に空隙率が向上し、乾燥時に空隙率が低下するものであり、前記の用途に対しては逆の効果を奏するものであり、湿潤時に空隙率が低下し、乾燥時には空隙率が可逆的に向上する織編物の提案が望まれていた。

【特許文献 1】特開平 10— 77544号公報発明の開示

本発明の目的は、湿潤により空隙率が低下し、乾燥により空隙率が向上するが、しかし、湿潤乾燥による寸法 · 形状の変動が少ない織編布帛を提供することにある。

本発明の発明者らは、上記目的の達成のために鋭意研究を続けた結果、吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条を用いて、織編布帛を製織編するときに、前記二異種糸条に、特定の糸足差を設けることにより、得られた織編布帛の、湿潤及び乾燥による寸法の変化を少なくし、しかも、湿潤（吸水又は吸湿）により織編布帛の空隙率が減少し、通気性を低下させることができ、かつ乾燥時に織編布帛の空隙率が増大し、通気性を向上させ得ることを見出し、この知見に基いて本発明を完成した。

本発明の二異種糸条含有織編布帛は吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条を含む編織布帛であって、

前記編織布帛を、 20°Cの温度及び 65%の相対湿度を有する雰囲気中において、寸法安定化させ、かつ経糸又はゥエール方向 30cm、及び緯糸又はコース方向 30cmの寸法をもつて採取された試験片において、前記吸水 · 自己伸長性が高い糸条（ 1 ) および吸水 · 自己伸長性が低い糸条（ 2 ) が、下記式：

A / B〉0. 9 ( 1 )

〔伹し、式（ 1 ) 中、 Aは前記縞織物試験片から採取された前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) の平均長さを表し、 Bは前記編織物試験片から採取され、かつ前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) と同一方向に配置されていた吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) の平均長さを表し、前記各糸条の長さは、その糸条が、 200%以下の破断伸度を示す非弹性糸条であるときは、 1.76mN/dtexの荷重下において測定され、その糸条が、 200%より高い破断伸度をしめす弾性糸条であるときは、 0. OOSSmNZdtexの荷重下において測定される〕

により表される要件を満たし、かつ湿潤によって空隙率が低下することを特徴とするものである。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の各々を、下記吸水 · 自己伸長率の測定、

すなわち、前記糸条の各々を、枠周： 1.125mのかせ枠に、荷重 0 .88mNZdtexを力、けなカら卷きつけて、卷き数 10のかせを形成し、このかせ糸を前記かせ枠から取り外して、温度 20°C、相対湿度 65% の空気環境中に 24時間放置して乾燥し、この乾燥かせ糸に、それが 200%以下の破断伸度を有する非弾性糸であるときは、それに 1.76m N/dtexの荷重をかけ、またそれが 200%より高い破断伸度を有する弾性糸であるときは、 0.0088mNZdtexの荷重をかけて、その乾燥糸長（Ld， mm) を測定し、このかせ糸を、水温 20°Cの水中に 5分間浸漬した後に、水中より引き上げ、この湿潤かせ糸に、その破断伸度に応じて、前記と同様の荷重をかけて、その湿潤糸長（Lw， mm) を測定し、下記式：

糸条の自己伸長率（％) = (Lw-Ld) / (Ld) X100

により各糸条の自己伸長率を測定したとき、

前記 2種の糸条のうちの一方の糸条（ 1 ) が、 + 5 %以上の平均自己伸長率を示す吸水 · 自己伸長性の高い糸条であり、他方の糸条

( 2 ) 力 + 5 %未満の自己伸長率を示す吸水，自己伸長性の低い糸条であることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記糸条（ 1 ) の吸水 · 自己伸長率（E_{( 1 )}) と前記糸条（ 2 ) の自己伸長率（E(_{2 )}) との差（E_{( 1})— E_{( 2 )}) が、 5〜 35%の範囲内にあることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記二異種糸条含有織編布帛が丸編組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられていて、前記丸編組織中において、複合糸ループを形成していることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記二異種糸条含有織編布帛が織物組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられて、前記織物組織の経糸及び緯糸の少なくとも一方を構成していることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の複合糸又は引揃え糸と、前記糸条 ( 2 ) とが、前記二異種糸条含有織編布帛の織物組織の経方向及び緯方向の少なくとも 1方向に、又は編物組織のゥエール方向及びコース方向の少なくとも 1方向に、少なくとも 1本宛、交互に配置されていることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の各々の少なくとも 1本が互に合糸されて複合糸条を構成していることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) を構成する繊維が、ポリプチレンテレフタレートブロックからなるハードセグメントと、ポリオキシエチレングリコールブロックカゝらなるソフトセグメントとを含むポリエーテノレエステルエラストマーから形成されたポリエーテルエステル繊維から選ばれることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) を構成する繊維が、ポリエステル繊維から選ばれることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、前記二異種糸条含有織編布帛の試料を、温度 20°C、相対湿度 65 %の空気中に 24時間放置して、複数の乾燥試料を調製し、また前記二異種糸条含有織編布帛の別の試料を、温度 20°Cの水中に 5分間浸漬し、これを水中から引き上げ、 1対の濾紙の間にはさみ、 490N Z m ²の圧力を 1分間かけて、試料內繊維間に存在する水を除去して、複数の湿潤試料を調製し、前記乾燥試料及ぴ湿潤試料の各々について、その表面を、光学顕微鏡により倍率 20に拡大して観察し、下記式により求められる空隙率：

空隙率（％) = (糸条の間の空隙の合計面積）/ (観察面積） X 100 の平均値を求め、下記式：

空隙変化率（％) = 〔（乾燥試料の平均空隙率）一（湿潤試料の平均空隙率）〕 Z (乾燥試料の平均空隙率） X 100 により、前記湿潤試料の平均空隙率及び乾燥試料の平均空隙率から、空隙変化率（％) を算出したとき、前記空隙変化率が少なくとも 10%であることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛は、乾燥時と湿潤時における寸法、形状の変動が少なく、吸水湿潤により布帛の空隙率が低下し、乾燥時には、空隙率が可逆的に向上する。本発明の織編布帛をスィミングウェアーやスポーツウェアーなどに使用すると、湿潤により織編布帛の空隙率が低下するため、湿潤による光透過性及び透視性の増大がなく、かつ防水性が向上するなどの効果を発揮する。図面の簡単な説明

図 1 において、図 1 一（A) は、本発明の二異種糸条含有織編布帛の一例として、二異種糸条からなる引揃え糸により形成された乾燥時の丸編組織（ループ）形状を示す平面説明図であり、

図 1 一（B) は、図 1 — (A) に示された引揃え糸丸編組織（ループ）の、吸水湿潤時の形状を示す平面説明図であり、

図 2において、図 2— (A) は、本発明の二異種糸条含有織編布帛の他の例として、二異種糸条からなる引揃え糸により形成された乾燥時の平織組織の形状を示す平面説明図であり、図 2— (B) は、図 2— (A) に示された引揃え糸の吸水湿潤時の平織組織の形状を示す平面説明図であり、

図 3において、図 3— (A) は本発明の二異種糸条含有織編布帛の他の例として、二異種糸条を、交互に配置して形成された丸編組織の表層と、吸水 · 自己伸長性の低い糸条のみで構成された裏層とからなる二重丸編布帛の、表層の、乾燥時の丸編組織（ループ）の形状を示す平面説明図であり、図 3— (B) は図 3— (A) の表層丸編組織（ループ）の吸水湿潤時の形状を示す平面説明図であり、図 4において、図 4一 (A) は、本発明の二異種糸条含有織編布帛の他の例として、二異種糸条を、それぞれ経糸及び緯糸として形成された平編組織の乾燥時の形状を示す平面説明図であり、図 4一 (B) は、図 4一 (A) の平織組織の吸水湿潤時の形状を示す平面説明図である。発明を実施するための最良の形態

本発明の二異種糸条含有織編布帛は、吸水，自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条を含むものである。

本発明の編織布帛は、それを 20°Cの温度及び 65%の相対湿度を有する雰囲気中において、寸法安定化させ、かつ経糸又はゥエール方向 30cm、及び緯糸又はコース方向 30cmの寸法を有する試験片を採取したとき、この試験片中の前記吸水 · 自己伸長性が高い糸条（ 1 ) および吸水 · 自己伸長性が低い糸条（2) 力下記式：

A/B > 0.9 ( 1 )

〔但し、式（ 1 ) 中、 Aは前記編織物試験片から採取された前記吸水 . 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) の平均長さを表し、 Bは前記編織物試験片から揉取され、かつ前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) と同一方向に配置されていた吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) の平均長さを表し、前記各糸条の長さは、その糸条が、 200%以下の破断伸度を示す非弾性糸条であるときは、 1.76mNZdtexの荷重下において測定され、その糸条が、 200%より高い破断伸度をしめす弾性糸条であるときは、 0.0088mNZdtexの荷重下において測定される〕

により表される要件を満たしているものであって、それによつて、前記織編布帛は、吸水湿潤したとき、布帛の空隙率が低下し、従つて通気性が低下し、乾燥したとき、布帛の空隙率が増大し、通気性が向上するという特性を発揮する。前記平均長さの測定に用いる糸条の試料数 nは 5〜20であることが好ましい。

本発明の織編布帛において、吸水 · 自己伸長性の高い糸条（1 ) 及び吸水 · 自己伸長性の低い糸条（2) の平均長さ比 A/Bは上記のように 0.9より大きいことが必要であり 1.0〜2.0であることが好ましく、 1.0〜 1.5であることがより好ましい。比 AZBの値が 0.9 以下であると、織編布帛の吸水湿潤時の空隙率及び通気率の低下が不十分になる。本発明に用いられる吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) は、弾性繊維からなるものであってもよく、或は非弾性繊維からなるものであってもよいが、弾性伸長及び収縮を示す繊維であることが好ましい。弾性繊維よりなる弾性糸条は 200%より高い破断伸度を有するものであることが好ましい。非弾性繊維からなる糸条の破断伸度には格別の制限はないが、 200%以下の破断伸度を有していてもよい本発明の二異種糸条含有織編布帛において、吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) は、下記要件を満たすものであることが好ましい。

前記吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の各々を、下記吸水 · 自己伸長率の測定に供し、すなわち、前記糸条の各々を、枠周： 1.125mのかせ枠に、荷重 0.88mNZdte Xをかけながら巻きつけて、卷き数 10のかせを形成し、このかせ糸を前記かせ枠から取り外して、温度 20°C、相対湿度 65%の空気環境中に 24時間放置して乾燥し、この乾燥かせ糸に、それが 200%以下の破断伸度を有する非弾性糸であるときは、それに 1.76mNZdtexの荷重をかけ、またそれが 200%より高い破断伸度を有する弾性糸であるときは、 0, 0088mN/dtexの荷重をかけて、その乾燥糸長（Ld， mm) を測定し、このかせ糸を、水温 20°Cの水中に 5分間浸漬した後に、水中より引き上げ、この湿潤かせ糸に、その破断伸度に応じて、前記と同様の荷重をかけて、その湿潤糸長（Lw, mm) を測定し、

~ H己：

糸条の自己伸長率（％) = (Lw-Ld) / (Ld) X100

により各糸条の自己伸長率を測定したとき、

前記 2種の糸条のうちの一方の糸条（ 1 ) が、 + 5 %以上の平均自己伸長率を示す吸水 · 自己伸長性の高い糸条であり、他方の糸条 ( 2 ) 力 s、 + 5 %未満の自己伸長率を示す吸水 · 自己伸長性の低い糸条であることが好ましい。

糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の平均自己伸長率は、それぞれ + 6 %以上及び + 4 %以下であることがより好ましく、それぞれ + 8〜十 30% 及び 0〜+ 3 %であることがさらに好ましい。前記測定に用いられる試料数 nは 5〜 20であることが好ましい。

前記異種糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の自己伸長率（E_{u )}) 及び（E₍ _{2 )}) の差（E_{( u}— E_{( 2 )}) が、 5〜35%の範囲内にあることが好ましく、 7〜 30%の範囲内にあることがより好ましく、 10〜 30%の範囲内にあることがさらに好ましい。前記自己伸長率の差（E_{( 1 )}― E_{( 2 )}) 力 5 %未満であると、得られる二異種糸条含有織編布帛の-乾燥時と吸水湿潤時との空隙率の差が不十分になり、乾燥時の通気度が不十分になることがあり、またそれが 35%を超えると、吸水湿潤時の通気度が過小になることがあり、或は乾燥時の通気度が過大になることがある。

本発明の織縞布帛において、吸水 · 自己伸長性が高い糸条（ 1 ) と、それが低い糸条（ 2 ) との含有質量比は、織成布帛の場合、 10 ： 90-70： 30であることが好ましく、 15： 85-50： 50であることがさらに好ましく、編成布帛の場合 10： 90〜60： 40であることが好ましく、より好ましくは 20： 80〜50： 50である。

本発明の二異種糸条含有織編布帛の一例において、前記二異種糸条含有織編布帛が丸編組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられていて、前記丸編組織中において、複合糸ループを形成している。

また、本発明の二異種糸条含有織編布帛の他の例において、前記二異種糸条含有織編布帛が織物組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられて、前記織物組織の経糸及び緯糸の少なくとも一方を構成している。

図 1 (図 1 一（A) 、図 1 一（B ))に示された本発明の二異種糸条含有織編布帛の一実施態様において、それが編成組織、例えば丸編組織、を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が、互に引き揃えられた引揃え糸として用いられている。図 1において、 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が乾燥状態で引き揃えられ、この引揃え糸条が編成工程に供される。得られた編布帛において、引揃え糸条のループにより多数の空隙部 3が形成される。このとき、糸条（ 1 ) と糸条（ 2 ) の平均長さ比 A/Bは、 0.9を超える値を示す。この編成布帛を吸水 · 湿潤させると、吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) は、伸長してその糸足が糸条（ 2 ) の糸足よりも長くなり、伸長した糸条（ 2 ) が糸条（ 1 ) のまわりにまとわりつく状態になり、湿潤した引揃え糸のみかけ太さが増大する。このため、湿潤後の編成布帛全表面積に占める空隙 3の面積の比は、乾燥した編成布帛の場合よりも低くなり、従って、布帛の通気度も低下する。

図 2 (図 2— (A) 、図 2— （B ))に示されている本発明のニ異種糸条含有織編布帛の他の実施態様は織成組織、例えば図 2に示されているような平織組織を有しており、その経糸及び緯糸は、それぞれ、吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) 1 と、それが低い糸条（ 2 ) 2 との引き揃え糸により構成されている。このような引き揃え糸を経糸及び緯糸として、糸足比 A/Bが 0.9を超えるようにコント口ールして織成すると、経糸及び緯糸の間に空隙 3が形成される。この織成布帛を吸水 · 湿潤すると、吸水 · 自己伸長性の高い糸条 ( 1 ) 1の糸足が、吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) 2の糸足よりも長くなる。このため、図 2— ( B ) に示されているように、糸足の長い糸条（ 2 ) 2は糸足の短い糸条（ 1 ) 1のまわりで捲縮した状態になり、引揃え糸のみかけ太さが増大する。このため、得られた湿潤状織成布帛における糸条間空隙は乾燥時よりも小さくなる本発明の二異種糸条含有織編布帛において、乾燥状態及び湿潤状態における空隙率及び乾燥状態から湿潤状態に変化することによる布帛の空隙率の変化率は下記の測定方法により求めることができる供試織編布帛の試料を、温度 20 C、相対湿度 65%の空気中に 24時間放置して、複数の乾燥試料を調製し、また前記織編布帛の別の試料を、温度 20°Cの水中に 5分間浸漬し、これを水中から引き上げ、 1対の濾紙の間にはさみ、 490N Z m ²の圧力を 1分間かけて、試料内繊維間に存在する水を除去して、複数の湿潤試料を調製し、前記乾-燥試料及び湿潤試料の各々について、その表面を、光学顕微鏡により倍率 20に拡大して観察し、下記式により求められる空隙率：空隙率（％) = (糸条の間の空隙の合計面積） Z (観察面積）メ 100 の平均値を求め、下記式：

空隙変化率（％) = 〔（乾燥試料の平均空隙率）一（湿潤試料の平均空隙率）〕 / (乾燥試料の平均空隙率） X 100 により、前記湿潤試料の平均空隙率及び乾燥試料の平均空隙率から、空隙変化率を算出する。前記測定試料数 nは、 5〜20であることが好ましい。

本発明の二異種糸条含有織編布帛の乾燥及び湿潤状態間の空隙変化率は少なくとも 10%であることが好ましく、 15〜 200%であることが好ましく、より好ましくは 18〜50%である。空隙変化率が 10% 未満のときは、織編布帛の乾燥状態における空隙率が不十分になることがある。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) として用いられる繊維には、格別の制限はないが、例えば、ポリブチレンテレフタレートブロックからなるハードセグメントと、ポリオキシエチレングリコーノレプロック力、らなるソフトセグメントとを含むポリエーテルエステルエラストマ一から形成されたポリエーテルエステル繊維から選ばれることが好ましい。

その他の糸条（ 1 ) 用繊維としては、ポリエステルポリマーにポリアクリル酸金属塩、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタアタリル酸およびその共重合体、ポリビュルアルコールおよびその共重合体、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリオキシエチレン系ポリマーなどを配合したポリエステル組成物からなるポリエステル繊維、 5 —スルホイソフタル酸成分を共重合したポリェステル繊維などが例示される。なかでも、かかる吸水自己伸長性の高い弾性繊維として、ポリプチレンテレフタレートブロックをハードセグメン卜とし、ポリォキシエチレングリコールプロックをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマ一からなるポリエーテルエステル繊維を用いることが好ましい。

上記ハードセグメント用ポリブチレンテレフタレートは、ブチレンテレフタレート単位を少なくとも 70モル％以上含有することが好ましい。ブチレンテレフタレートセグメントの含有率は、より好ましくは 80モル％以上、さらに好ましくは 90モル％以上である。ハードセグメント構成ポリマー用酸成分は、テレフタル酸を主成分として含むものであるが、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またグリコール成分は、テトラメチレングリコールを主成分として含むものであり、他のグリコール成分を共重合成分として含んでいてもよい。

ハードセグメント用ポリマー形成に用いられるテレフタル酸以外のジカルボン酸としては、例えばナフタレンジカルボン酸、イソフタノレ酸、ジフエニノレジカノレポン酸、ジフエ二ルキシエタンジカノレポン酸、）3 —ヒドロキシエトキシ安息香酸、 p —ォキシ安息香酸、ァジピン酸、セパシン酸、 1 ， 4ーシクロへキサンジカルボン酸のような芳香族、脂肪族のジカルボン酸成分を挙げることができる。さらに、本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、トリメリット酸、ピロメリット酸のような三官能性以上のポリ力ルポン酸を共重合成分として用いてもよい。

また、ハードセグメント用ポリマーの形成に用いられるテトラメチレンダリコール以外のジオール成分としては、例えばトリメチレングリコーノレ、エチレングリコ一ノレ、シクロへキサン一 1 , 4—ジメタノール、ネオペンチルダリコールのような脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物を挙げることができる。更に、本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのような三官能性以上のポリオールを共重合成分として用いてもよい。

一方、ソフトセグメント用ポリオキシエチレングリコールは、ォキシエチレンダリコール単位を少なくとも 70モル％以上含有することが好ましい。ォキシエチレングリコールの含有量は、より好ましくは 80モル％以上、さらに好ましくは 90モル％以上である。本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、ォキシエチレングリコール以外にプロピレンダリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどを共重合させてもよい。

ソフトセグメント用ポリオキシエチレングリコールの数平均分子量は、 400〜 8000であることが好ましく、なかでも 1000〜 6000であることがより好ましい。

前記のポリエーテルエステルエラストマ一は、たとえば、テレフタル酸ジメチルと、テトラメチレングリコールとおよびポリオキシエチレンダリコールとを含む原料を、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させてビス ( ω—ヒドロキシブチル) テレフタレ一トモノマー及び/又はオリゴマ一を形成させ、その後、このモノマー又はオリゴマーを重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下にて溶融重縮合を行うことにより製造することができる。

前記ポリエーテルエステルエラストマ一におけるハードセグメント /ソフトセグメントの質量比率は、 30Ζ70〜 70/30であることが好ましい。

このような糸条（ 1 ) 用ポリエーテルエステルポリマーに、有機スルホン酸金属塩が共重合されていると、さらに優れた吸水自己伸長性能が得られる。

糸条（ 1 ) 用ポリエーテルエステル繊維は、前記ポリエーテルエステルを、通常の溶融紡糸口金から溶融して押し出し、引取速度 30 0〜1200mZ分（好ましくは 400〜980m/分）で引取り、卷敢ドラフト率をさらに該引取速度の 1.0〜1.2 (好ましくは 1.0〜： I.1) で卷取ることにより製造することができる。

本発明の二異種糸条含有織編布帛に用いられる吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) に用いられる繊維は、木綿、麻などの天然繊維やレーヨン、アセテートなどのセルロース系化学繊維、さらにはポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル二トリル、ポリプロピレンなどの合成繊維を包含する。これらのなかでも、通常（非弾性）のポリエステル繊維が好ましく用いられる。

本発明の織編布帛に用いられる糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) を構成する繊維には、必要に応じて艷消し剤（二酸化チタン）、微細孔形成剤 (有機スルホン酸金属塩）、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤（三酸化二アンチモン）、蛍光増白剤、着色顔料、制電剤（スルホン酸金属塩）、吸湿剤（ポリオキシアルキレングリコール）、抗菌剤、その他の無機粒子の 1種以上を含有させてもよい。

糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) を構成する繊維の形態には限定はなく、長繊維（マルチフィラメント）及び、短繊維のいずれであってもよいが、柔軟な風合いを得るためには長繊維を用いることが好ましい。本発明の二異種糸条含有織編布帛に用いられる糸条（ 1 ) 及び（

2 ) の形態には限定はなく、短繊維紡績糸でもよいし、マルチフィラメント糸条であってもよい。繊維の断面形状にも限定はなく、円形、三角形、扁平形、十字形、六葉形、中空など従来の断面形状が採用できる。糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の各々の総繊度、単繊維繊度、フイラメント数も特に限定はないが、風合いや生産性の点で総繊度 30〜300dtex、単繊維繊度 0. l〜50dtex、好ましくは 0.6〜 3 dtex、フィラメント数 1〜300本、好ましくは 20〜 150本の範囲内にあることが好ましい。

本発明の織編布帛を構成する糸条（ 1 ) の、糸条（ 2 ) に対する質量比（ 1 ) / ( 2 ) は、本発明の主目的である、湿潤時の空隙率低下を効果的に得るために、 10： 90〜60 ： 40の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは 20 ： 80〜50 ： 50である。

本発明の織編布帛の組織にも限定はない。例えば、織成布帛の織組織としては、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。編成布帛の種類は、よこ編物たて編物及び丸編物のいずれであってもよく、天竺、スムース、フライス、鹿の子、デンビ一、トリコットなどの編組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。

織編組織は、それぞれ 2重織編以上の多重織編組織を包含する。本発明の織編布帛における糸条（ 1 ) 及び糸条（ 2 ) の糸配列には、糸足比 A/B〉0.9が満足される限り格別の制限はなく図 1及び図 2に示した織編組織の他に、例えば下記の糸配列を用いることができる。

本発明の二異種糸条含有織、編布帛の他の一例において、前記 2 種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) 力前記二異種糸条含有織編布帛の織物組織の経方向及び緯方向の少なくとも 1方向に、又は編物組織のゥエール方向及びコース方向の少なくとも 1方向に、少なくとも 1本宛交互に配置されている。

また前記 2種の糸条 ( 1 ) 及び ( 2 ) の各々の少なくとも 1本が、互に合糸されて複合糸条を構成していてもよい。

糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の複合糸又は引き揃え糸、と糸条 ( 2 ) との前記各方向における配列本数比は 1 ： 1であってもよく 1 ： ( 1 〜 5 ) ， 2 : 1 , 2 ： ( 2〜 5 ) ， 3 : 1 , 3 ： ( 2〜 5 ) ， ( 4 〜 5 ) ： ( 1〜 5 ) などであってもよい。

図 3 (図 3— ( A) 、図 3— (B ))において糸条 ( 1 ) と（ 2 ) とが表層の丸編組織を形成し、糸条（ 2 ) のみが、裏層の丸編組織を形成している二重組織丸編布帛の表層のみが記載されている。図 3— ( A) において、表層組織を構成する糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) は、コース方向に伸び、ゥエール方向に 1本宛交互に（ 1 : 1 ) 配置されている。この二重編成布帛が乾燥しているときは図 3— ( A) に示す丸編組織を形成し、このときの表層における糸足比 AZBは、 0.9を超える値である。この二重編成布帛が吸水湿潤すると、糸条（ 2 ) のみからなる裏層は寸法変化しないが、表層において、図 3 - (B) に示されているように糸条（ 2 ) は吸水 ' 自己伸長して、糸足が長くなるが、表層全体の面積は、糸条（ 2 ) のみからなる裏層に拘束されて変化できないから、表層の糸条（ 1 ) は、組織中において屈曲して、ループ内空隙を小さくする。このため表層の糸条（ 1 )，（ 2 ) 間の空隙率は低下し、布帛全体の通気度は低下する図 4 (図 4一 (A) 、図 4一（B))において、糸条（ 1 )，（2) はそれぞれ経糸及び緯糸として 1本宛に交互に配置（ 1 ： 1 ) されて平織組織を形成している。この織成布帛が乾燥しているときは図 4一 (A) に示す組織を有し、糸条（ 1 )，（2) の糸足比 AZBは 0.9を超えている。これを吸水 · 湿潤させると、図 4— (B ) に示されているように吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 2 ) は自己伸長してその糸足が高くなつて、組織中において屈曲し、糸条間空隙が小さくなり、空隙率が低下する。

本発明の二異種糸条含有織編布帛において、吸水 · 自己伸長性が高い糸条（ 1 ) と、それが低い糸条（2) とが、混繊糸、複合仮撚捲縮加工糸、合撚糸、及びカバリング糸などの複合糸を形成していてもよい。

前述のように、織成布帛中で（例えば図 1及び 2に示されているように) 糸条（ 1 ) と糸条（2) との糸足に差を生じさせるには、例えば下記の織成方法（ 1 )，（2) 及び（3) が用いられる。

糸足差のある布帛の織成方法 ( 1 )

糸条（ 1 ) として、前記伸長弾性の高いポリエーテルエステル繊維を使用し、このポリエーテルエステル繊維糸条（ 1 ) と、吸水自己伸長性の低い糸条（2) と引き揃え、同一の給糸口に同一の給糸速度が給糸して、織成又は編成する。このとき、糸足比 AZBを所望値にコントロールするため、ポリエーテルエステル繊維糸条（1 ) に若干のドラフトをかけてもよい。

糸足差のある布帛の織編成方法（2)

糸条（1 ) 及び糸条（2) を用いて、二異種糸条含有織編布帛を織編成するとき、吸水 ' 自己伸長率の低い糸条（2) として、その沸水収縮率が、吸水 · 自己伸長率の高い糸条（ 1 ) の沸水収縮率と同一か、或は大きなものを用いる。このような糸条（ 1 ) 及び糸条 ( 2 ) を含む織編布帛は、通常の染色加工に供すると、布帛内の糸条（ 2 ) が糸条（ 1 ) よりも大きく収縮して糸足差のある織編布帛が得られる。

糸足差のある布帛の織編成方法（ 3 )

糸条（ 1 ) と糸条（ 2 ) との引揃え糸を作製するとき、糸条 ( 1 ) をオーバーフィードしてこれを糸条（ 2 ) と引き揃え、この引揃え糸を、空気混繊工程、撚糸工程、又はカバリング工程を施して複合糸を調製する。この複合糸中において、糸条（ 1 ) と糸条（ 2 ) との間に糸足差があり、糸条（ 1 ) の糸足が糸条（ 2 ) の糸足よりも長い。このようにして糸足差のある複合'糸が得られる。この複合糸と、糸条（ 2 ) とを、用いて所望の布帛に織編成する。

本発明の織編布帛には染色加工及び仕上げ加工が施されていてもよい。染色加工は浸染加工及び捺染加工を包含する。仕上げ加工は、布帛の片面に施されてもよく或は両面に施されてもよく撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽加工、抗菌加工、消臭加工、防虫加工、蓄光剤加工、再帰反射剤加工、マイナスイオン発生剤加工などの各種機能付与加工を包含する。実施例

本発明を下記実施例によりさらに説明する。但し、下記実施例は本願発明の範囲を限定するものではない。下記実施例において、下記測定が行われた。

( 1 ) 織編布帛中の糸条の乾燥時及び湿潤時の長さ（糸足）

前述の方法により測定した。

( 2 ) 糸条の自己伸長率の測定

前述の方法により測定した。 ( 3 ) 糸条の沸水収縮率

JIS L 1013-1998, 7· 15の方法により測定した。測定試験片数 nは 3であった。

( 4 ) 織編布帛の乾燥時及び湿潤時の空隙率及び空隙変化率の測定前述の方法により測定した。

( 5 ) 織編布帛の乾燥時及び湿潤時の通気度及び通気度変化率の測定

前述の方法により測定した。

実施例 1

ハードセグメントとしてポリブチレンテレフタレートを 49.8重量部、ソフトセグメントとして数平均分子量 4000のポリオキシェチレングリコール 50.2重量部からなるポリエーテルエステルポリマーを、 230°Cで溶融し、モノフィラメント用紡糸口金より吐出量 3.05g /分で押出した。このポリマーを 2個のゴデットロールを介して 70 5m/分で引取り、さらに 750m/分（卷取りドラフト 1.06) で卷取り、ヤーンカウントが 44dtexZ 1 フィラメントの、高弾性吸水自己伸長性糸条（ 1 ) を得た。この糸条（ 1 ) の吸水湿潤時の繊維軸方向の自己伸長率は 10%であり、沸水収縮率は 8 %であった。

一方、自己伸長率の低い糸条（ 2 ) として、沸水収縮率が 10%であり、湿潤時の自己伸長率が 1 %以下である、通常のポリエチレンテレフタレートマノレチフィラメント糸 ( 84dtex/ 24フィラメント）を用いた。

28ゲージのシングル丸編機を用いて、上記糸条（ 1 ) と上記糸条 ( 2 ) とを同一給糸速度で引き揃えて丸編機に給糸して、 47コース /2.54cm, 40ゥエール /2.54cmの編密度にて天竺組織の丸編布帛を編成した。この丸編物に染色及び仕上げを施した。得られた丸編布帛において、図 1 _ (A) に示されているように、糸条（ 1 ) と糸条（ 2 ) とによる丸編複合ループが形成され、糸足比 AZBは 1.0 であった。また得られた丸編布帛の空隙率は、乾燥時： 30°/。、湿潤時： 25%であり、空隙変化率は 17%であり、その通気度は、乾燥時： 210ml/cm² . sec, 湿潤時： 380ml/ cm² . secであり、吸水湿潤により空隙率が低下し、乾燥により、その空隙率が増大し、通気性が向上することが確認された。

比較例 1

実施例 1 と同様にして、前記糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) から丸編組織の布帛を編成し、染色仕上げを行った。但し、引き揃え工程において、糸条 ( 1 ) に 50%のドラフトを付与しながら、糸条 ( 1 ) と引き揃え、この引揃え糸を丸編機に供給した。得られた丸編布帛は、乾燥状態において、糸足比 AZB ： 0.7であり、空隙率： 15%を示したが、吸水湿潤状態では、空隙率： 23%であり、この空隙率は、乾燥時のそれよりも高かった。産業上の利用可能性

本発明によれば、乾燥状態から吸水 · 湿潤状態に移行するとき寸法、形状の変化が少なく、その空隙率が可逆的に低下する織編布帛が得られる。このような織編布帛をインナーウェァーゃスポーツゥエアーなどとして使用すると、湿潤時に織編布帛の空隙が小さくなるため、雨などにより湿潤されても、光透過率の増大、すなわち透視性の増大がなく、かつ防水性が向上するという効果が得られる。他方、乾燥時には、織編布帛内の空隙が大きくなり、通気性が向上する。このような効果を有する織編布帛の工業的価値は極めて犬である。

Claims

1 . 吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条を含む編織布帛であつて、

前記編織布帛を、 20°Cの温度及び 65%の相対湿度を有する雰囲気中において、寸法安定化させ、かつ経糸又はゥエール方向 30cm、及き P青

び緯糸又はコース方向 30cmの寸法をもつて採取された試験片において、前記吸水 · 自己伸長性が高い糸条（ 1 ) および吸水 · 自己伸長の

性が低い糸条（ 2 ) 力下記式：

A/B〉0.9 ( 1 )

〔但し、式（ 1 ) 中、 Aは前記編織物試験囲片から採取された前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) の平均長さを表し、 Bは前記編織物試験片から採取され、かつ前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) と同一方向に配置されていた吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) の平均長さを表し、前記各糸条の長さは、その糸条が、 200%以下の破断伸度を示す非弾性糸条であるときは、 1.76mNZdtexの荷重下において測定され、その糸条が、 200%より高い破断伸度をしめす弾性糸条であるときは、 0.0088mN/dtexの荷重下において測定される〕

により表される要件を満たし、かつ湿潤によつて空隙率が低下することを特徴とする二異種糸条含有織縞布帛。

2. 前記吸水 · 自己伸長性において、互に異なる 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) の各々を、下記吸水 · 自己伸長率の測定、

すなわち、前記糸条の各々を、枠周： 1.125mのかせ枠に、荷重 0 .SSmNZdtexをかけながら卷きつけて、巻き数 10のかせを形成し、このかせ糸を前記かせ枠から取り外して、温度 20°C、相対湿度 65% の空気環境中に 24時間放置して乾燥し、この乾燥かせ糸に、それが 200%以下の破断伸度を有する非弾性糸であるときは、それに 1.76m N/dtexの荷重をかけ、またそれが 200%より高い破断伸度を有する弾性糸であるときは、 0.0088mN/dtexの荷重をかけて、その乾燥糸長（Ld, mm) を測定し、このかせ糸を、水温 20°Cの水中に 5分間浸漬した後に、水中より引き上げ、この湿潤かせ糸に、その破断伸度に応じて、前記と同様の荷重をかけて、その湿潤糸長（Lw， mm) を測定し、下記式：

糸条の自己伸長率（％) = (Lw-Ld) / (Ld) X100

により各糸条の自己伸長率を測定したとき、

前記 2種の糸条のうちの一方の糸条（ 1 ) が、 + 5 %以上の平均自己伸長率を示す吸水 · 自己伸長性の高い糸条であり、他方の糸条 ( 2 ) が、 + 5 %未満の自己伸長率を示す吸水 · 自己伸長性の低い糸条である、請求の範囲第 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

3. 前記糸条（ 1 ) の吸水 · 自己伸長率（E(_u) と前記糸条（ 2 ) の自己伸長率（E_{( 2 )}) との差（E_{( 1})— E_{( 2 )}) が、 5〜35% の範囲内にある、請求の範囲第 2項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

4. 前記二異種糸条含有織編布帛が丸編組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられていて、前記丸編組織中において、複合糸ループを形成している、請求の範囲第 1〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

5. 前記二異種糸条含有織編布帛が織物組織を有し、前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) が引き揃えられて、前記織物組織の経糸及び緯糸の少なくとも一方を構成している、請求の範囲第 1〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

6. 前記 2種の糸条（ 1 ) 及び（ 2 ) 力 S、前記二異種糸条含有織編布帛の織物組織の経方向及び緯方向の少なくとも 1方向に、又は編物組織のゥエール方向及びコース方向の少なくとも 1方向に、少なくとも 1本宛交互に配置されている、請求の範囲第 1 〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

7 . 前記 2種の糸条（ 1 ) 及び ( 2 ) の各々の少なくとも 1本が互に合糸されて複合糸条を構成している、請求の範囲第 1〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

8 . 前記吸水 · 自己伸長性の高い糸条（ 1 ) を構成する繊維が、ポリブチレンテレフタレートブロックからなるハードセグメントと、ポリオキシエチレングリコールブロックカゝらなるソフトセグメントとを含むポリエーテルエステルエラストマ一から形成されたポリエーテルエステル繊維から選ばれる、請求の範囲第 1〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

9 . 前記吸水 · 自己伸長性の低い糸条（ 2 ) を構成する繊維が、ポリエステル繊維から選ばれる、請求の範囲第 1〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。

10. 前記二異種糸条含有織編布帛の試料を、温度 20°C、相対湿度 65%の空気中に 24時間放置して、複数の乾燥試料を調製し、また前記二異種糸条含有織編布帛の別の試料を、温度 20°Cの水中に 5分間浸漬し、これを水中から引き上げ、 1対の濾紙の間にはさみ、 490 N / m ²の圧力を 1分間かけて、試料内繊維間に存在する水を除去して、複数の湿潤試料を調製し、前記乾燥試料及び湿潤試料の各々について、その表面を、光学顕微鏡により倍率 20に拡大して観察し、下記式により求められる空隙率：

空隙率（。/。）= (糸条の間の空隙の合計面積）/ (観察面積） X 100 の平均値を求め、下記式：

空隙変化率（％) = 〔（乾燥試料の平均空隙率）一（湿潤試料の平均空隙率）〕 / (乾燥試料の平均空隙率） X 100 により、前記湿潤試料の平均空隙率及び乾燥試料の平均空隙率から、空隙変化率（％) を算出したとき、前記空隙変化率が少なくとも

10%である、請求の範囲第 1 〜 3項のいずれか 1項に記載の二異種糸条含有織編布帛。