明細書
液晶配向剤 技術分野
本発明は液晶配向膜を作製するための液晶配向剤に関するものであ り、 更に詳しくは、 可溶性ポリイミドとポリアミック酸を含有し、 かつ 吸湿による凝集や析出の起こりにくい液晶配向剤に関するものである。 背景技術
現在、 液晶表示素子などに用いられている液晶配向膜は、 主にポリア ミック酸や溶媒可溶性ポリイミドなどのポリマーを有機溶媒に溶解さ せた液晶配向剤を、 塗布 ·焼成することにより作製されている。
液晶配向膜の特性は、 用いるポリマーの構造に大きく影響を受けるこ とが知られており、 これまで、 種々の検討がなされてきた。 中でも、 T F T (Thin F i lm Trans i s tor) 表示方式に用いられる液晶配向膜は、 液 晶分子のプレチルト角、 電圧保持率、 直流電圧による電荷蓄積特性など の特性を同時に満足するものが求められている。 これを解決するため、 長鎖アルキル基を有する可溶性ポリイミドと ポリアミック酸を混合し た液晶配向剤が提案されている (例えば、 特開平 0 8— 2 2 0 5 4 1号 公報参照。 ) 。
その一方で、 液晶配向剤は、 液晶配向膜としたときの特性だけではな く、 塗布液としての特性も重要となる。
塗布液の特性として代表的なのは、 液晶配向剤を塗布した際に、 ピン ホールなどの欠陥が無く、 かつ塗布面全体で均一な厚みの薄膜を形成で きることが挙げられる。 この点に関しては、 ポリマ一を溶解させるため の主溶媒に加えて、 塗布性改善のための溶媒を混合したり、 液晶配向剤 に界面活性剤を添加するなどの手法により改善が行われている。
また、 工業生産的には、 このような均一な薄膜を長時間連続して形成 する必要があり、 液晶配向剤には長時間の使用に対する安定性も要求さ
れる。 例えば、 現在、 液晶配向剤の塗布はフレキソ印刷で行うことが主 流であるが、 印刷機を長時間稼働させていると、 印刷機上に滞留してい る液晶配向剤が吸湿し、 吸湿量が多い場合は、 液晶配向剤中のポリマー 成分が溶媒中に溶けきれなくなって、 凝集や析出を起こしてしまうこと がある。 液晶配向剤の凝集や析出が印刷機上で発生すると、 液晶配向剤 を均一に印刷することが困難となり、 液晶パネルの製造工程における歩 留まりを低下させる原因となる。
詳細な原因は解明されていないが、 ポリアミック酸のみ、 又は可溶性 ポリイミドのみをポリマー成分する液晶配向剤に比べ、 従来の可溶性ポ リイミド—ポリアミック酸混合系の液晶配向剤は、 開放系に放置した際 に凝集や析出が発生するまでの時間が短かった。 この現象は、 アミド系 溶媒のように吸湿性の大きい溶媒を主成分とした場合に顕著となる傾 向にある。 即ち、 可溶性ボリイミ ドーポリアミック酸混合系の液晶配向 剤は、 優れた液晶配向膜を得ることができ、 従来以上に優れた特性の液 晶素子を得ることができるものではあるが、 液晶配向剤自体の耐吸湿性 に関しては、 必ずしも満足のいくものではなかった。
ポリマー溶液の吸湿性を抑える手段としては、 ラク卜ン系溶媒などの 吸湿性の低い溶媒を用いることが提案されている (例えば、 特開昭 6 1 - 2 7 5 3 5 2号公報参照。 ) 。 また、 ボリマ一溶液が吸湿した際の凝 集や析出の発生には、 ポリマー自体の溶解性も影響を及ぼすので、 ポリ マーの溶解性を高くさせる方法も考えられるが、 液晶配向膜の耐液晶性 の観点からはあまり好ましくない。 発明の開示
本発明は、 上記の事情に鑑みてなされたものであって、 可溶性ポリイ ミドとポリアミック酸を含有し、 なおかつ、 吸湿による凝集や析出の起 こりにくい液晶配向剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、 可溶 性ポリイミ ドを構成するジァミン成分に、 特定構造のジァミンを含有さ
せることにより、 可溶性ポリイミ ドの溶解性を高くしなくとも、 可溶性 ポリイミド—ポリアミック酸混合系の液晶配向剤の吸湿時の安定性が 向上することを見いだし、 本発明を完成させるに至った。 即ち、 本発明 は、 以下の特徴を要旨とするものである。
1 . 有機溶媒と、 可溶性ポリイミドと、 ポリアミック酸とを含有し、 該可溶性ポリイミ ドが、 一般式 ( 1 ) で表される化合物を含有するジ ァミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させることによつ て得られる可溶性ポリイミドであることを特徴とする液晶配向剤。
(式中 R R 2はそれぞれ炭素数 1〜 5のアルキル基又はアルコキシ基 であり、 m、 nは 0〜 4の整数を表す。 )
2 . 可溶性ポリイミドとボリアミック酸との含有量が, 0 . 1〜 3 0 重量%である上記 1に記載の液晶配向剤。
3 . 可溶性ポリイミ ドとポリアミック酸とが、 可溶性ポリイミド Zポ リアミック酸 (重量部比)が ( 0 . 0 1〜 9 9 ) / 1になるように含有 されている上記 1又は 2に記載の液晶配向剤。
4 . ジァミン成分が、 一般式 ( 1 ) で表される化合物と、 側鎖部に炭 素数 6〜 2 0の、 アルキル基又はフルォロアルキル基を有するジアミ ンと、 を含有する上記 1〜 3のいずれかに記載の液晶配向剤。
5 . ジァミン成分が、 一般式 ( 1 ) で表される化合物 5〜4 0モル% と、 側鎖部に炭素数 6〜 2 0の、 アルキル基又はフルォロアルキル基 を有するジアミン 5〜 3 0モル%と、 その他のジァミン 3 0〜 9 0モ ル%と、 を含有する上記 1〜 3のいずれかに記載の液晶配向剤。
6 . —般式 (1 ) で表される化合物が 4, 4 ' —ジァミノ— 3, 3 ' 一ジメチルビフエニルである上記 1〜 5のいずれかに記載の液晶配 向剤。
7 . 側鎖部に炭素数 6〜2 0の、 アルキル基又はフルォロアルキル基 を有するジァミンが、 一般式 (2 ) で表されるジァミノベンゼン誘導 体である上記 4〜 6のいずれかに記載の液晶配向剤。
( R 3は、 炭素数 6〜 2 0のアルキル基又はフルォロアルキル基を有 する 1価の有機基を表す。 )
8 . テトラカルボン酸二無水物が、 3 , 4ージカルポキシー 1 , 2 , 3 , 4—テトラヒドロ— 1 一ナフ夕レンコハク酸二無水物を含有する 上記 1〜 7のいずれかに記載の液晶配向剤。
9 . 可溶性ポリイミ ドのイミド化率が 1〜 9 0 %である上記 1〜 8の いずれかに記載の液晶配向剤。
1 0 . 有機溶媒の 5 5〜 9 0重量%がアミ ド系溶媒である上記 1〜 9 のいずれかに記載の液晶配向剤。 発明を実施するための最良の形態
本発明の液晶配向剤に含有される可溶性ポリイミドは、 一般式 ( 1 ) で表される化合物を含有するジァミン成分とテトラカルボン酸二無水 物とを反応させることによって得られるものである。
一般式 ( 1 ) 中、 R 1 , R 2はそれぞれ炭素数 1〜 5のアルキル基又は アルコキシ基であり、 互いに同じであっても異なってもよい。 なかでも 、 炭素数 1〜4のアルキル基、 又は炭素数 1〜4のアルコキシ基が好ま
しく、 特にメチル基、 ェチル基、 メトキシ基、 又はエトキシ基が好まし い。 重合性の観点からはメチル基が好ましい。 式中、 m、 nは 0〜4の 整数を表し、 互いに同じであっても異なっても良いが、 0又は 1が好ま しく、 m、 nともに 1であることが特に好ましい。 また、 式中 2つのァ ミノ基の結合位置は、 ビフエニル構造の 3 , 3 ' —又は、 4, 4 ' 一の 位置が好ましいが、 液晶の配向性の観点から 4, 4 ' 一の位置が特に好 ましい。
これら一般式 (1 ) で示される化合物の好ましい具体例としては、 4 , 4 ' ージアミノビフエニル、 4 , 4 ' —ジアミノー 3, 3 ' —ジメチ ルビフエニル、 4 , 4 ' ージアミノー 2 , 2 ' —ジメチルビフエニル、 4 , 4, ージァミノ一 3, 3, 一ジメトキシビフエニル、 4, 4 ' —ジ アミノー 3, 3 ' 一ジェチルビフエニル、 4 , 4 ' ージァミノ一 3 , 3 ' —ジエトキシビフエニルなどが例示される。 中でも 4 , 4 ' —ジアミ ノ一 3 , 3 ' —ジメチルビフエニルを用いると液晶の配向性が良く、 可 溶性ポリイミ ドーポリアミック酸混合系の液晶配向剤とした際に、 吸湿 時の液晶配向剤の安定性を改善する効果に優れるので、 特に好ましい。 本発明の液晶配向剤に含有される可溶性ポリィミドを得るためのジ ァミン成分は、 一般式 ( 1 ) で表される化合物のみであっても良いが、 他のジァミンと併用することも可能である。 特に、 炭素数 6以上の長鎖 アルキル基又は含フッ素アルキル基を有するジァミンと併用すること により、 本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜に、 高いプレチル 卜角特性を付与できるので好ましい。 「炭素数 6以上の長鎖アルキル基 又は含フッ素アルキル基を有するジァミンを 1モル%以上用いた可溶 性ポリイミ ドを、 ポリアミック酸と混合した液晶配向剤によって、 液晶 のプレチルト角が高く、 電圧保持率、 蓄積電荷特性にも優れる液晶配向 膜が得られる。 」 ということが、 特開平 8 - 2 2 0 5 4 1号公報に記載 されている。 本発明では、 この可溶性ポリイミドを得るためのジァミン 成分として、 一般式 ( 1 ) で表される化合物を必須とすることにより、 液晶配向膜としたときの特性を維持し、 液晶配向剤の吸湿時の安定性が
向上される。
'一般式 (1 ) で表される化合物と併用される、 炭素数 6以上の長鎖の アルキル基又はフルォロアルキル基 (以下では、 単に、 長鎖のアルキル 基又はフルォロアルキル基ともいう) を有するジァミンとしては、 側鎖 部に炭素数が好ましくは 6〜 2 0、 特に好ましくは 1 6〜 1 8の、 アル キル基又はフルォロアルキル基を有しているジァミンが好適である。 特 に、 下記式 (2 ) で表されるジァミノベンゼン誘導体が、 液晶のプレチ ルト角を高める効率が高いので好ましい。
( R 3は、 炭素数 6〜 2 0のアルキル基又はフルォロアルキル基を有す る 1価の有機基を表す。 )
式 (2 ) で表されるジァミノベンゼン誘導体の好ましい具体例として は、 1—ドデシルォキシ— 2 , 4ージアミノベンゼン、 1一へキサデシ ルォキシー 2, 4—ジァミノベンゼン、 1—ォクタデシルォキシ— 2 , 4—ジアミノベンゼン、 1 , 3—ジァミノー 4— { 4 - ( t rans- 4一へ プチルシクロへキシル) フエノキシ } ベンゼン、 これらのジアミンの-長 鎖アルキル基の一部がフッ素化された構造のジァミンを挙げることが 出来る。
これら、 長鎖のアルキル基又はフルォロアルキル基を側鎖部に有する ジァミンの使用割合は、 目的とするプレチルト角に応じて任意に調整す ることができるが、 高いプレチルト角を安定して発現させるためには、 使用するジァミン成分全体の好ましくは 5モル%以上、 特に好ましくは 1 0〜3 0モル%が好適である。 この使用割合が多くなるほど液晶のプ レチルト角は高くなり、 液晶を垂直配向させることも可能である。 可溶性ポリイミ ドに使用されるジァミン成分としては、 一般式 ( 1 )
で表される化合物、 及び長鎖のアルキル基又はフルォロアルキル基を側 鎖部に有するジァミン以外のジァミンを含んでいても良い。 特に P—フ ェニレンジアミンを共重合したポリイミ ドは、 液晶配向膜としたときの 電気特性に優れ、 液晶のプレチルト角を安定にする効果もあるので好ま しい。 一般式 ( 1 ) で表される化合物と併用可能なその他のジァミンを 以下に示すがこれらに限定されるものではない。
脂環式ジァミンの例として、 1 , 4ージアミノシクロへキサン、 1, 3—ジアミノシクロへキサン、 4 , 4 ' —ジアミノジシクロへキシルメ タン、 4, 4 ' —ジァミノ— 3, 3 ' —ジメチルジシクロへキシルアミ ン、 イソホロンジアミンが挙げられる。 また芳香族ジアミン類の例とし て、 o —フエ二レンジァミン、 m—フエ二レンジァミン、 ジァミノ トル ェン類 (例えば、 2 , 4ージァミノ トルエン) 、 1 , 4—ジァミノ _ 2 ーメ トキシベンゼン、 2 , 5—ジアミノキシレン類、 1 , 3 -ジァミノ — 4—クロ口ベンゼン、 1, 4—ジァミノ一 2 , 5—ジクロロベンゼン 、 1 , 4ージアミノー 3—イソプロピルベンゼン、 4 , 4 ' ージァミノ ジフエ二ルー 2, 2, —プロパン、 4, 4 ' —ジアミノジフエニルメタ ン、 2 , 2, ージァミノスチルベン、 4, 4, —ジアミノスチルベン、 4, 4, ージァミノジフエニルエーテル、 4, 4 ' -ジフエ二ルチオェ 一テル、 4, 4 ' —ジァミノジフエニルスルホン、 3, 3, —ジァミノ ジフエニルスルホン、 4 , 4 ' ージアミノ安息香酸フエニルエステル、 2 , 2 ' ージァミノべンゾフエノン、 4 , 4, ージアミノベンジル、 ビ ス (4ーァミノフエニル) メチルホスフィンォキシド、 ビス (3—アミ ノフエニル) スルホキシド、 ビス ( 4ーァミノフエニル) フエニルホス フィンォキシド、 ビス ( 4ーァミノフエニル) シクロへキシルホスフィ ンォキシド、 4, 4 ' ージァミノジフエ二ル尿素、 1 , 8—ジアミノナ フタレン、 1, 5—ジァミノナフタレン、 1 , 5—ジァミノアントラキ ノン、 ジアミノフルオレン類、 ビス ( 4一アミノフエニル) ジェチルシ ラン、 ビス (4—ァミノフエ二ル) ジメチルシラン、 ビス (4ーァミノ フエニル) テトラメチルジシロキサン、 3, 4 ' ージアミノジフエニル
エーテル、 2 , 2—ビス [4— (4—アミノフエノキシ) フエニル] プ 口パン、 ビス [4一 (4一アミノフエノキシ) フエニル] スルホン、 4 , 4 ' 一ビス (4一アミノフエノキシ) ビフエ二ル、 2 , 2—ビス [4 ― (4—アミノフエノキシ) フエニル] へキサフルォロプロパン、 1 , 4—ビス (4一アミノフエノキシ) ベンゼン、 1, 3—ビス (4—アミ ノフエノキシ) ベンゼン、 4, 4 ' —ジアミノジフエニルァミンなどが 挙げられる。
更に複素環式ジァミン類としては、 2, 6—ジァミノピリジン、 2, 4—ジァミノピリジン、 2, 4—ジァミノー s —卜リアジン、 2, 7 - ジアミノジベンゾフラン、 2, 7—ジアミノカルバゾ一ル、 3, 7—ジ アミノフエノチアジン、 2, 5—ジァミノー 1, 3 , 4—チアジアゾー ル、 2, 4—ジァミノ一 6—フエ二ルー s —卜リアジンなどが挙げられ る。 脂肪族ジァミンの例として、 1 , 2—ジアミノエタン、 1, 3—ジ ァミノプロパン、 1 , 4ージァミノブタン、 1 , 5—ジァミノペンタン 、 1 , 6—ジァミノへキサン、 1 , 7—ジァミノヘプタン、 1 , 8—ジ ァミノオクタン、 1, 9ージアミノノナン、 1, 1 0—ジァミノデカン 、 1 , 3—ジアミノー 2 , 2—ジメチルプロパン、 1, 6—ジァミノー 2, 5—ジメチルへキサン、 1 , 7—ジアミノー 2 , 5—ジメチルヘプ タン、 1 , 7—ジァミノ一 4, 4—ジメチルヘプタン、 1 , 7—ジアミ ノ一 3—メチルヘプ夕ン、 1 , 9ージアミノー 5—メチルノナン、 2, 1 1ージァミノ ドデカン、 1, 1 2—ジアミノォク夕デカン、 1, 2 - ビス (3—ァミノプロボキシ) ェ夕ン等が挙げられる。
複数種のジァミンを併用し、 本発明の液晶配向剤に含有される可溶性 ポリイミ ドを得る場合、 一般式 ( 1 ) で表される化合物は、 ジァミン成 分全体の 5モル%以上が好ましく、 より好ましくは 1 0モル%以上、 更 に好ましくは 1 5モル%以上である。 一般式 ( 1 ) で表される化合物が 、 ジァミン成分全体の 5モル%未満であると、 液晶配向剤が吸湿したと きに析出や凝集の発生を抑制する効果が不十分となる。 また、 液晶配向 膜に様々な特性を付与するためには、 一般式 ( 1 ) で表される化合物以
外のジァミン成分を使用することが好ましい。 その場合には、 一般式 (
1 ) で表される化合物の使用割合の上限を、 好ましくは 4 0モル%、 特 に 3 0モル%とすることが好ましい。
プレチルト角の大きさを制御するための、 長鎖のアルキル基又はフル ォロアルキル基を側鎖部に有するジァミンの使用割合は、 目的とするプ レチル卜角の大きさ、 一般式 ( 1 ) で表される化合物の使用量、 及び、 他のジァミンなどの使用量、 更には、 可溶性ポリイミドーポリアミック 酸混合系となることを考慮する必要がある。 例えば、 現在需要の多い T N— T F T用途等では、 必要とされるプレチルト角は 4〜 7度程度であ る。 この場合の長鎖のアルキル基又はフルォロアルキル基を側鎖部に有 するジァミンの使用割合は、 可溶性ポリイミドに使用する全ジァミン中 の好ましくは 5〜 3 0モル%、 特に好ましくは 1 0〜 2 0モル%とする ことにより、 他の特性に影響を与えずに適切な大きさのプレチルト角を 得ることができる。
一般式 ( 1 ) で表される化合物、 及び長鎖の 7ルキル基又はフルォ口 アルキル基を側鎖部に有するジァミン以外のジァミン成分は、 液晶の配 向性制御、 プレチルト角の安定化、 電気特性の制御など様々な目的で導 入することができ、 その使用量も任意である。 例えば、 その使用量とし て好ましくは 3 0〜 9 0モル%、 特に好ましくは 5 0〜 7 5モル%など を例示することができる。
以上のように、 [a]—般式 ( 1 ) で表される化合物、 [b]炭素数 6以上 の長鎖アルキル基又は含フッ素アルキル基を有するジァミン、 及び [c] p —フエ二レンジアミンなどのその他のジアミン、 の 3者を併用する場 合の、 ジァミン成分の好ましい比率 (モル%) としては、 [a] : [b] : [c] = [5〜40]: [5〜30]: [30〜90]、 [a]: [b]: [c] = [ 10〜30]: [5〜20]: [50〜85] 、 [a]: [b]: [c] = [15〜30]: [ 10〜20]: [50〜75]などを例示することができ る。 本発明に含有される可溶性ポリイミ ドのジァミン成分を、 このよう な構成にすることによって、 本発明の液晶配向剤は吸湿による凝集ゃ析 出の起こりにくい液晶配向剤となり、 かつ、 適度なプレチルト角を有し
、 液晶配向性及びプレチルト角の熱安定性に優れる液晶配向膜を得るこ とが出来る。
本発明の液晶配向剤に含有される可溶性ポリイミ ドを得るのに用い ることができるテトラカルボン酸二無水物を以下に示すが、 これらに限 定されるものではない。
芳香族酸二無水物としてピロメリッ ト酸二無水物、 3 , 3 ' , 4 , 4 ' —ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、 2 , 2 ' , 3, 3 ' —ビフ ェニルテトラカルボン酸二無水物、 2 , 3 , 3, , 4, —ビフエニルテ トラカルボン酸二無水物、 3, 3 ' , 4 , 4 ' —ベンゾフエノンテトラ カルボン酸二無水物、 2 , 3 , 3 ' , 4, —ベンゾフエノンテトラカル ボン酸二無水物、 ビス (3 , 4—ジカルポキシフエニル) エーテル二無 水物、 ビス (3, 4ージカルポキシフエニル) スルホン二無水物、 1 , 2, 5 , 6—ナフ夕レンテトラカルボン酸二無水物、 2 , 3 , 6 , 7 - ナフ夕レンテトラ力ルボン酸二無水物等が挙げられる。 また脂環式酸二 無水物としては 1 , 2 , 3, 4—シクロブタンテトラカルボン酸二無水 物、 1, 2, 3, 4 _シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、 2, 3, 4 , 5—テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、 1, 2 , 4 , 5ーシクロへキサンテ卜ラカルボン酸二無水物、 2 , 3, 5—トリ カルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、 3 , 4—ジカルポキシー 1, 2 , 3 , 4 _テトラヒドロー 1 一ナフ夕レンコハク酸二無水物などが例 示される。 そのなかでも、 得られた可溶性ポリイミ ドの溶解性に優れ、 液晶配向膜としたときの液晶の配向性、 電圧保持率などが高いことから 、 3 , 4一ジカルボキシー 1, 2 , 3, 4—テトラヒドロ一 1 一ナフ夕 レンコハク酸二無水物が好ましい。 また、 該化合物と、 その他のテトラ カルボン酸二無水物と、 を併用することももちろん好ましい。
一般式 ( 1 ) で表される化合物を含有するジァミン成分とテトラカル ボン酸二無水物との反応により、 可溶性ポリイミ ドを得るには、 一般的 な手法を用いることができる。 通常は、 一般式 ( 1 ) で表される化合物 を含有するジァミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中
で反応させてポリアミック酸を合成し、 このポリアミック酸をイミド化 (脱水閉環) させて可溶性ポリイミドとするのが簡便である。
ポリアミック酸はジァミンと酸二無水物とを有機溶剤の存在下で一
2 0 °C~ 1 5 0 °C、 好ましくは 0〜 8 0 °Cにおいて 3 0分〜 24時間、 好ましくは 1〜 1 0時間反応させることによって合成する事が出来る。 反応の際に用いるジァミンと酸二無水物のモル比は、 ジァミンが多くな り過ぎると分子量が上がらず、 また少なすぎると酸無水物が残存して保 存安定性が悪くなることのために、 ジァミン Z酸二無水物 = 0. 5〜 3 . 0/ 1. 0 (モル比) であると好ましく、 ジァミン //酸二無水物 = 0 . 8〜 2. 0/ 1. 0 (モル比) であるとより好ましく、 中でもジアミ ン/酸二無水物 = 1. 0〜 1. 2/ 1. 0であるととりわけ好ましい。 ポリアミック酸の合成の際に用いる溶媒については特に限定されな いが、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミ ド 、 N—メチルー 2—ピロリ ドン、 N—メチルカプロラクタム、 ジメチル スルホキシド、 テトラメチル尿素、 ピリジン及びプチロラクトン類を用 いると生成したポリマ一の溶解性が高いことのために好ましい。 合成時 のボリアミック酸の濃度は高すぎるとワニスの取扱い性が悪くなり、 低 すぎると分子量が上がらないので、 好ましくは 1〜 5 0重量%が、 より 好ましくは 5〜 3 0重量%が、 とりわけ好ましくは 8〜 2 0重量%がよ い。 また、 ボリマーが溶解する範囲内でプチルセルソルブゃトルエン、 メタノールなどの貧溶媒を加えても構わない。 更にポリマーの分子量が 上がり易いので、 反応系内を窒素雰囲気下にするのが好ましく、 反応系 中の溶媒に窒素をパブリングしながら反応を行うと更に好ましい。 最終 的な溶液の還元粘度は高いとワニスの取扱いが難しく、 低いと配向膜と した際に特性が安定しないので、 0. 0 5〜 3. O d l /gが好ましく 、 0. 1〜 2. 5 d 1 /gがより好ましい (温度 3 0での N—メチル— 2—ピロリ ドン中、 濃度 0. 5 gZd l ) 。
ポリアミック酸をイミ ド化させる方法については特に制限されず、 加 熱によってィミド化を進行させる方法や、 触媒を用いて化学的にィミド
化を行う方法などが例示できる。 なかでも、 容易に反応が進行し副反応 が起こりにくいため触媒によって化学的にィミド化して得られる可溶 性ポリイミドを用いることが好ましい。 化学的イミド化は、 ポリアミツ ク酸の溶液に、 ァミック酸基の 2〜 2 0モル倍の塩基触媒とァミック酸 基の 3〜 3 0モル倍の酸無水物を添加し、 — 2 0〜 3 0 0 °C、 好ましく は 0〜 2 5 0 °Cの温度において、 1〜 1 0 0時間反応させると好ましい 。 この際、 塩基触媒や酸無水物の量が少ないと反応が十分に進行せず、 また多すぎると反応終了後に塩基触媒や酸無水物を完全に除去するこ とが困難となる。 塩基触媒としてはピリジン、 トリェチルァミン、 トリ メチルァミン、 トリプチルアミン、 トリォクチルァミン等が例示できる 。 中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持っために好 ましい。 また、 酸無水物としては無水酢酸、 無水トリメリット酸、 無水 ピロメリット酸などが例示でき、 なかでも無水酢酸を用いると反応終了 後の精製が容易となるので好ましい。
本発明における可溶性ポリイミ ドとは、 全てのァミック酸基がイミ ド 化している完全なポリイミドだけを指すものではなく、 溶媒に対する溶 解性が保てる程度に、 部分的にイミ ド化されたポリアミック酸も、 可溶 性ポリイミドとする。 ポリアミック酸からポリイミ ドへのイミ ド化率 ( 閉環率) が低すぎると、 液晶配向膜とした際の電圧保持特性が悪くなり 、 高すぎると溶媒に対する溶解性が低下し、 場合によっては液晶配向剤 中に含有させることも困難になる。 このため、 イミ ド率は、 1〜 9 9 · 9 %が好ましく、 5 0〜 9 9 . 5 %がより好ましく、 7 0〜 8 5 %がと りわけ好ましい。
また、 可溶性ポリイミ ド自体は液晶配向剤中に含有させることが可能 な溶解性を持っている場合でも、 可溶性ポリイミド—ポリアミック酸混 合系の液晶配向剤とした際には、 可溶性ポリイミドのイミド化率が高す ぎると液晶配向剤の吸湿による凝集や析出の発生が起こりやすくなる ため、 このイミド化率は 9 0 %以下とすることが好ましい。 よって、 本 発明の液晶配向剤に含有させる可溶性ポリイミ ドのイミ ド化率は、 1〜
9 0 %が好ましく、 5 0〜9 0 %がより好ましく、 7 0〜8 5 %が特に より好ましい。
このようにして得られた可溶性ポリイミ ドの溶液は、 よく攪拌させな がら貧溶媒に注入し、 再沈殿させることによって精製することが出来る
。 この際に用いる貧溶媒としては特に限定されないが、 メタノール、 ァ セトン、 へキサン、 ブチルセルソルブ、 ヘプタン、 メチルェチルケトン 、 メチルイソブチルケトン、 エタノール、 トルエン、 ベンゼンなどが例 示できる。 再沈殿によって得られたポリイミ ド樹脂は濾過して回収した 後、 常圧あるいは減圧下で、 常温あるいは加熱乾燥してパウダーとする ことが出来る。 このパウダーを更に良溶媒に溶解して、 再沈殿する操作 を 2〜 1 0回繰り返すと、 ポリマー中の不純物が少なくなり、 液晶配向 膜とした際の電気特性が優れるために好ましい。 また、 この際貧溶媒と して例えばアルコール類、 ケトン類、 炭化水素など 3種類以上の貧溶媒 を用いると、 より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明の液晶配向剤に用いる可溶性ポリイミドの分子量は、 G P Cで 測定した重量平均分子量 (ポリエチレングリコール、 ポリエチレンォキ サイ ド換算) で、 2 0 0 ひ〜 1 0 0 0 0 0が好ましく、 より好ましくは 40 0 0〜 500 0 0である。
本発明の液晶配向剤に上記可溶性ポリイミ ドとともに含有される、 も う一つの成分であるポリアミック酸は、 ジアミンとテトラカルボン酸二 無水物とを反応させて得ることが出来る。 このジアミンの具体例とじて は以下のものが挙げられる。
脂環式ジァミンの例として、 1, 4ージアミノシクロへキサン、 1 , 3—ジァミノシクロへキサン、 4, 4 ' ージアミノジシクロへキシルメ タン、 4, 4, ージアミノー 3, 3 ' ージメチルジシク口へキシルァ ミン、 又はイソホロンジァミンが挙げられる。 また、 炭素環式芳香族ジ ァミン類の例として、 o _フエ二レンジァミン、 m—フエ二レンジアミ ン、 p—フエ二レンジァミン、 ジァミノ トルエン類 (例えば、 2, 4— ジァミノ トルエン) 、 1 , 4—ジァミノー 2—メトキシベンゼン、 2 ,
5—ジアミノキシレン類、 1, 3 —ジァミノー 4一クロ口ベンゼン、 1 , 4—ジァミノー 2, 5—ジクロロベンゼン、 1, 4ージアミノー 3— イソプロピルベンゼン、 4, 4 ' —ジアミノジフエニル— 2 , 2, 一プ 口パン、 4 , 4 ' —ジアミノジフエニルメタン、 2 , 2 ' —ジアミノス チルベン、 4 , 4 ' —ジアミノスチルベン、 4 , 4 ' ージアミノジフエ ニルエーテル、 4, 4, —ジフエ二ルチオエーテル、 4, 4 ' —ジアミ ノジフエニルスルホン、 3 , 3 ' ージァミノジフエニルスルホン、 4, 4, —ジァミノ安息香酸フエニルエステル、 2, 2 ' ージァミノべンゾ フエノン、 4 , 4, ージアミノベンジル、 ビス ( 4 _アミノフエニル) メチルホスフィンォキシド、 ビス ( 3—ァミノフエニル) スルホキシド 、 ビス (4—ァミノフエ二ル) フエニルホスフィンォキシド、 ビス (4 ーァミノフエニル) シクロへキシルホスフィンォキシド、 4, 4 ' ージ ァミノジフエ二ル尿素、 1 , 8—ジァミノナフ夕レン、 1 , 5—ジアミ ノナフ夕レン、 1, 5—ジァミノアントラキノン、 ジァミノフルオレン 類、 ビス (4ーァミノフエニル) ジェチルシラン、 ビス (4一アミノフ ェニル) ジメチルシラン、 ビス (4—ァミノフエニル) テトラメチルジ シロキサン、 3, 4 ' ージァミノジフエ二ルエーテル、 2 , 2 一ビス [ 4一 ( 4一アミノフエノキシ) フエニル] プロパン、 ビス [ 4― ( 4 - アミノフエノキシ) フエニル] スルホン、 4 , 4, —ビス (4—ァミノ フエノキシ) ビフエニル、 2, 2 -ビス [ 4 - ( 4ーァミノフエノキシ ) フエニル] へキサフルォロプロパン、 1, 4一ビス ( 4—ァミノフエ ノキシ) ベンゼン、 1 , 3 -ビス ( 4—アミノフエノキシ) ベンゼン、 4 , 4, ージァミノジフエニルァミンなどが挙げられる。
更に、 複素環式ジァミン類として、 2 , 6—ジァミノピリジン、 2, 4ージァミノピリジン、 2 , 4—ジァミノー s —卜リアジン、 2 , 7— ジアミノジベンゾフラン、 2, 7 —ジァミノカルバゾール、 3, 7—ジ アミノフエノチアジン、 2, 5—ジアミノー 1 , 3 , 4—チアジアゾー ル、 2, 4ージアミノー 6 —フエ二ルー s — トリアジンなどが挙げられ る。 脂肪族ジァミンの例として、 1 , 2—ジアミノエタン、 1 , 3—ジ
ァミノプロパン、 1, 4—ジァミノブタン、 1, 5—ジァミノペンタン 、 1 , 6—ジァミノへキサン、 1, 7—ジァミノヘプタン、 1, 8—ジ ァミノオクタン、 1 , 9—ジァミノノナン、 1 , 1 0—ジァミノデカン 、 1 , 3—ジアミノー 2, 2—ジメチルプロパン、 1, 6—ジァミノー 2, 5—ジメチルへキサン、 1, 7—ジァミノ _ 2, 5—ジメチルヘプ タン、 1, 7—ジァミノ一 4, 4ージメチルヘプタン、 1 , 7—ジアミ ノー 3—メチルヘプ夕ン、 1 , 9—ジァミノ一 5—メチルノナン、 2, 1 1—ジアミノ ドデカン、 1 , 1 2—ジアミノォクタデカン、 1 , 2— ビス ( 3—ァミノプロボキシ) ェ夕ン等が挙げられる。 更に、 側鎖に長 鎖アルキル基を有するジァミンとして、 1 -ドデシルォキシ— 2, 4― ジアミノベンゼン、 1—へキサデシルォキシ— 2, 4—ジァミノべンゼ ン、 1—ォク夕デシルォキシー 2 , 4ージアミノベンゼン、 1 , 3—ジ アミノー 4— (trans - 4一へプチルシクロへキシル) フエノキシベンゼ ン等が挙げられる。 これらのジァミンはそれぞれ単独で、 あるいは組み 合わせて用いることが出来ることは当然である。
また、 本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を得るための テトラカルボン酸二無水物としては以下のものが挙げられる。
芳香族酸二無水物としてピロメリッ ト酸二無水物、 3, 3 ' , 4, 4 , 一ビフエ二ルテトラカルボン酸二無水物、 2, 2, , 3 , 3, —ビフ ェニルテトラカルボン酸二無水物、 2, 3 , 3, , 4, ービフエニルテ トラカルボン酸二無水物、 3, 3, , 4 , 4, —ベンゾフエノンテトラ カルボン酸二無水物、 2, 3 , 3, , 4, —ベンゾフエノンテトラカル ボン酸二無水物、 ビス (3 , 4—ジカルポキシフエニル) エーテル二無 水物、 ビス (3, 4—ジカルボキシフエニル) スルホン二無水物、 1 , 2 , 5 , 6—ナフ夕レンテトラ力ルポン酸ニ無水物、 2 , 3, 6 , 7— ナフ夕レンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。 また、 脂環式酸 二無水物としては 1, 2 , 3 , 4—シクロブ夕.ンテ卜ラカルボン酸二無 水物、 1, 2 , 3, 4—シクロペン夕ンテトラ力ルポン酸ニ無水物、 2 , 3 , 4, 5—テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、 1 , 2
, 4, 5—シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物、 2, 3, 5—ト リカルポキシシクロペンチル酢酸二無水物、 3, 4ージカルポキシ— 1 , 2 , 3, 4—テトラヒドロー 1—ナフ夕レンコハク酸二無水物などが 例示される。 これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも組み合わせ ても用いることが出来るが、 耐熱性向上の観点から、 ピロメリット酸二 無水物を含むテトラカルボン酸二無水物であると好ましい。
ジァミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて、 本発明の液晶 配向剤に含有されるポリアミック酸を得るには、 可溶性ポリイミ ドを得 る方法で記載した、 有機溶媒中で反応させてポリアミック酸を合成する 方法を用いることができる。 得られたポリアミック酸の溶液は、 可溶性 ポリイミ ドと同様に、 貧溶媒に注入し、 再沈殿させることによって精製 することが出来る。
本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸の分子量は、 G P Cで測 定した重量平均分子量 (ポリエチレングリコール、 ポリエチレンォキサ ィド換算) で、 2 0 0 0〜 2 0 0 0 0 0が好ましく、 より好ましくは 4 0 0 0〜 1 0 00 0 0である。
本発明の液晶配向剤は、 上記のようにして得られる可溶性ポリイミド とポリアミック酸とを含有するものであり、 これらポリマー成分が有機 溶媒に均一に溶解している、 液晶配向膜形成用の塗布液である。 この有 機溶媒としては、 含有する成分を均一に溶解させるものであれば特に限 定されないが、 その一例としては Ν, Ν—ジメチルホルムアミ ド、 Ν, Ν—ジメチルァセトアミド、 Ν—メチルー 2 _ピロリ ドン、 Ν—メチル 力プロラクタム、 ジメチルスルホキシド、 テトラメチル尿素、 ピリジン 、 及びプチロラクトン類などの良溶媒が挙げられる。 これらの溶媒は二 種類以上を混合して用いてもよい。 良溶媒の中でも、 アミド系溶媒は、 ポリマーの溶解性が高いので好ましく、 とりわけ、 Ν, Ν—ジメチルァ セトアミドゃ Ν—メチルー 2—ピロリ ドンを含むと、 液晶配向剤の印刷 性が向上するので好ましい。 アミ ド系溶媒を含有させることにより、 液 晶配向剤を基板に塗布する際、 基板上の汚染物に由来する塗膜のピンホ
ールが発生しにくくなり、 アミ ド系溶媒の含有量が多いほど、 このピン ホールは発生しにくくなる。 よって、 本発明の液晶配向剤に含有される 有機溶媒は、 アミド系溶媒を主成分とすることが好ましい。 具体的には 、 アミド系溶媒を有機溶媒全体の好ましくは 5 5重量%以上とすること が好ましく、 更には 6 0重量%以上、 特には 7 0重量%以上であるとよ り好ましい。 一方、 アミド系溶媒は吸湿性が高いため、 有機溶媒全体の 9 0重量%以下とすることが好ましく、 より好ましくは 8 5重量%以下 、 特に好ましくは 8 0重量%以下である。 更には、 液晶配向剤の吸湿性 を下げるために、 ァ—プチロラクトンなどのラクトン系溶媒を、 有機溶 媒全体の 1 0〜4 0重量%含有させることは好ましい。
また、 ブチルセ口ソルブゃプロピレンダリコールモノブチルエーテル 等のアルキレンダリコールモノアルキルエーテル類、 ェチルカルピトー ルゃジプロピレンダリコールモノメチルエーテル等のジアルキレング リコールモノアルキルエーテル類、 ジグライムゃジエチレングリコール ジェチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル類 乳酸ブチルのようなアルキルラクテート類、 メタノールやエタノール等 のアルコール類などは、 ポリイミ ドゃポリアミック酸の溶解性は低いも のの、 液晶配向剤に含有させることにより印刷時の塗膜均一性や平滑性 を改善する効果があるので、 ポリマー成分が析出しない範囲でこれらの 貧溶媒を混合することが好ましい。 また、 これらの貧溶媒は二種類以上 を併用してもよい。 これら貧溶媒の具体的な混合量としては、 有機溶媒 全体の 5〜 3 5重量%を例示することができる。
本発明の液晶配向剤に含有される有機溶媒を、 アミ ド系溶媒、 ラクト ン系溶媒、 印刷性改良のための貧溶媒の混合系とする場合の配合例とし ては、 アミド系溶媒 5 5〜 8 5重量%、 ラクトン系溶媒 1 0〜4 0重量 %、 印刷性改良のための貧溶媒 5 ~ 3 5重量%を例示することができる 本発明の液晶配向剤におけるボリマーである、 可溶性ポリイミ ドとポ リアミック酸の含有量は、 低過ぎると液晶配向膜が薄くなつて液晶表示
素子とした際の信頼性が悪くなることがあり、 高すぎると基板に塗布す る際の膜厚均一性が損なわれるため、 0 . 1〜 3 0重量%が好ましく、 より好ましくは 1〜 1 0重量%である。 また、 可溶性ポリイミドとポリ ァミック酸との含有割合は特に制限されないが、 可溶性ポリイミド /ポ リアミック酸 (重量部比) が、 好ましくは (0 . 0 1〜 9 9 ) ノ 1、 特 に好ましくは (0 . 1〜 9 5 ) / 1、 とりわけ好ましくは ( 0 . 2〜 1 ) Z 1とすると、 液晶表示素子とした際の電気特性に優れた配向膜が得 られる。
本発明の液晶配向剤を調製する際、 各成分の配合順序や方法は特に制 限されない。 一例を示すならば、 可溶性ポリイミドとポリアミック酸を それぞれ同一濃度の溶液とし、 任意の比率で混合する方法が挙げられる 。 また、 可溶性ポリイミ ドの溶液とポリアミック酸の溶液を混合した後 、 良溶媒や貧溶媒を加えて濃度調節しても良い。
本発明ではこのようにして得られた液晶配向剤をそのまま用いるこ とも出来るが、 更にカツプリング剤を添加すると液晶配向膜と基板との 密着性が向上するため好ましい。 ここで本発明におけるカップリング剤 とは、 ケィ素及び 1〜 3族に属するすべての典型金属元素ならびにすべ ての遷移金属元素から選ばれる少なくとも 1つ以上の元素と、 酸素原子 との共有結合を有する化合物を示すが、 アルコキシシラン、 アルコキシ アルミニウム、 アルコキシジルコニウム、 アルコキシチタン構造を有す るカツプリング剤は入手が容易でコフヽト的にも優れているために好ま しい。 なかでも、 3—ァミノプロビルトリメトキシシラン、 3—ァミノ プロピルトリエトキシシラン、 3—ァミノプロピルジェトキシメチルシ ランなどのアミノアルキルアルコキシシランは液晶表示素子とした際 の電気特性が向上するためにとりわけ好ましい。 カツプリング剤の添加 量は、 多いと配向膜の強度が弱くなり、 少ないと密着性向上の効果が少 なくなるため、 液晶配向剤中の固形分の好ましくは 0 . 0 1〜 3 0重量 %、 より好ましくは 0 . 1〜 2 0重量%、 とりわけ好ましくは 0 . 5〜 1 0重量%である。
上記のカツプリング剤を配合するにあたって、 あらかじめカツプリン グ剤を溶媒で希釈した後、 それらを一 5〜 8 0 °Cの温度で液晶配向剤中 に少しずつ注入すると、 得られる液晶配向剤の増粘や樹脂の不溶化が起 こりにくく、 均一な液晶配向剤となるために好ましい。 また、 この時力 ップリング剤を希釈する溶媒と濃度は特に制限されないが、 例えば N— メチルー 2—ピロリ ドン、 ジメチルァセトアミド、 ジメチルホルムアミ ド、 トルエン、 へキサン、 ァ—プチロラクトンなどの溶媒を用いて 1〜 5 0重量%、 より好ましくは 3〜 3 0重量%の濃度に希釈してから用い ることが好ましい。
本発明の液晶配向剤に、 更に架橋剤などの各種添加剤を加えて使用し てもかまわないことは言うまでもない。
このようにして得られた液晶配向剤は、 吸湿による析出や凝集が起こ りにくく、 液晶パネル製造工程における歩留まりを向上させることが可 能となる。 また、 本発明の液晶配向剤は、 吸湿性の大きいアミ ド系溶媒 を有機溶媒の主成分とした場合にも、 吸湿による析出や凝集が起こりに くく、 更には、 アミド系溶媒を有機溶媒の主成分とすることにより、 液 晶配向剤を基板に塗布する際、 基板上の汚染物に由来する塗膜のピンホ ールが発生しにくくなる。
本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する方法は、 ボリイミ ドワニスを用いて行われる通常の液晶配向膜の形成方法を用いること が出来る。 即ち、 スピンコート法やフレキソ印刷法、 インクジェット法 等により基板に塗布した後、 乾燥 ·焼成工程を経て樹脂膜を形成させ、 ラビングや紫外線照射などによって樹脂膜の配向処理をする方法であ る。 本発明の液晶配向剤は、 フレキソ印刷法のように工程中で吸湿の起 こりやすい塗布方法に対して特に有用である。 また、 本発明の液晶配向 剤から得られた樹脂膜が、 液晶を垂直に配向させることができ、 これを 一部の垂直配向用途に用いるときは、 樹脂膜の配向処理を行わない場合 もある。
本発明の液晶配向剤を塗布した後の、 乾燥 ·焼成工程は、 任意の温度
と時間を選択することが出来る。 通常は、 液晶配向剤に含有される有機 溶媒を十分に除去するために 5 0〜 1 2 0°C 1〜 1 0分乾燥させ、 そ の後 1 5 0〜 3 0 0 °Cで 5〜 1 2 0分焼成される。 焼成温度は、 その後 の液晶素子製造工程で必要とされる温度よりも 1 以上高いことが 好ましい。
実施例
以下に実施例を挙げ、 本発明を更に詳しく説明するが、 本発明はこれ らに限定されるものではない。
なお、 以下に示す実施例及び比較例において、 可溶性ポリイミドのィ ミド化率は次に示す方法により求めた。
くイミ ド化率の算出方法 >
ポリイミド樹脂粉末 2 Omgを NMRサンプル管 (草野科学社製 N M Rサンプリングチューブ 「スタンダード Φ 5」 ) に入れ、 重水素化ジ メチルスルホキシド (DM S O— d 6、 0. 0 5 %TMS混合品) 5 3 0 1 を添加し、 超音波中で完全に溶解させた。 この溶液を日本電子デ 一タム㈱製 NMR測定器 (J NM— E CA 5 0 0、 型番 NM 1 0 3 5 0 7 - 0 0 0 7 ) にて 5 0 0 MH zのプロトン NMRを測定した。 この際 、 2 · 5 p pm付近の DMS Oのピークが 5重線になっていることを確 認した。 イミ ド化率の算出は、 ァミック酸の NH基に由来するピーク積 分強度の減少量を、 ィミド化前後で変化しない構造に由来するピーク積 分強度を基準として求めることにより行うことができる。 今回の実施例 及び比較例においては、 9. 5〜 1 0 · 0 p pmに現れるアミック酸の NH基に由来するピーク積分強度の減少量を、 0. 7 6〜 0. 9 0 p p mに現れるメチル基のピーク積分強度を基準として求めた。 ぐ実施例 1 >
4, 4, 一ジアミノジフエニルメタン 20.02g (0. lOlmol) を N, N ージメチルァセトアミド (以下、 DMA cと略す) 115g、 ァープチ口 ラクトン (以下、 ァ一 B Lと略す) 115gに溶解し、 これにシクロブ夕
ンテトラカルボン酸二無水物 9· 60g (0.049mol) 、 ピロメリット酸二無 水物 10.90g (0.050mol) を添加し、 室温で 4時間反応させ、 ポリアミ ック酸溶液を得た。
この溶液 100gに DMAc 93g、 3—ァミノプロピルトリエトキシシ ラン (LS-3150:信越化学工業社製) の 2 %DMAc溶液 7.5g (ポリア ミック酸に対して LS- 3150が 1重量%) を加えて攪拌し、 ポリアミック 酸溶液 (A— 1 ) とした。
3 , 4—ジカルポキシ— 1, 2 , 3 , 4—テトラヒドロー 1—ナフ夕 レンコハク酸二無水物 (以下 TD Aと略す) 30.03g (0. lOOmol) 、 , 4, —ジァミノ一 3 , 3, —ジメチルビフエニル 4.24g (0.020mol) 、 p—フエ二レンジァミン 7.03g (0.065mol) 、 1—ォク夕デシルォキ シ一 2 , 4—ジァミノベンゼン 5.65g (0.015mol) を N—メチル一 2— ピロリ ドン (以下、 NMPと略す) 235g中、 5 0 で 2 4時間反応さ せ、 ポリアミック酸溶液を調製した。
このポリアミック酸溶液 50gに、 イミ ド化触媒として無水酢酸 10.8g 、 ピリジン 5.0gを加え、 3 5°Cで 3時間反応させ、 ポリイミド樹脂溶 液を調製した。 この溶液を 5 0 0 m l のメタノール中に投入し、 得られ た白色沈澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末を得た。 この ポリイミ ドのイミ ド化率は 8 4 %であった。
この粉末 0.6gをァ— B L 7.5gに溶解し、 固形分濃度 8 %の溶媒可溶 性ポリイミ ド樹脂溶液を得た。 これに 3—ァミノプロピルジェトキシメ チルシラン (LS-2450:信越化学工業社製) の 2 %ァ— B L溶液 1.50g (ポリイミ ドに対し、 LS- 2450が 5重量%) を混合し、 更にァー B Lで 希釈して、 樹脂濃度 6 %の溶媒可溶性ポリイミド溶液 (B— 1 ) とした 上記のようにして調製したポリアミック酸溶液 (A— 1 ) と可溶性ポ リイミ ド溶液 (B— 1 ) を重量比で (A— 1 ) / (B— 1 ) = 4/ 1と なるように混合し、 充分撹拌して、 本発明の液晶配向剤である溶液 (C 一 1 ) を得た。
<比較例 1 >
TD A 30.03g(0. lOOmol)、 ρ—フエ二レンジァミン 9.72g(0.090mol ) 、 1ーォクタデシルォキシー 2 , 4—ジァミノベンゼン 3.77g ( 0. OlOmol) を NMP 246g中、 室温で 1 0時間反応させポリアミック酸 溶液を調製した。
このポリアミック酸溶液 50gに、 イミ ド化触媒として無水酢酸 10.8g 、 ピリジン 5.0gを加え、 5 0°Cで 3時間反応させ、 ポリイミド樹脂溶 液を調製した。 この溶液を 5 0 Om 1のメタノール中に投入し、 得られ た白色沈澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末を得た。 この ポリイミ ドのイミド化率は 8 2 %であった。
この粉末 0.6gをァー BL 7.5gに溶解し、 固形分濃度 8 %の溶媒可溶 性ポリイミド樹脂溶液を得た。 これに 3—ァミノプロピルジェトキシメ チルシラン (LS-2450:信越化学工業社製) の 2 %ァー BL溶液 1.50g (ポリイミドに対し、 LS-2450が 5重量%) を混合し、 更にァ _ B Lで 希釈して、 樹脂濃度 6 %の溶媒可溶性ボリイミド溶液 (B— 2) とした 次いでポリアミック酸溶液 (A— 1 ) と可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 2 ) を重量比で (A— 1) / (B - 2 ) = 4/ 1となるように混合し、 充分撹拌して、 比較のための液晶配向剤である溶液 (C一 2) を得た。 ぐ吸湿安定性評価 >
本発明の液晶配向剤である溶液 (C一 1 ) と、 比較のための液晶配向 剤である溶液 (C一 2) をクロム蒸着したガラス基板上にそれぞれ約 0 . 5m 1滴下し、 温度 2 3T:、 湿度 5 0 %の環境に放置した。 この液滴 を 1時間ごとに顕微鏡 (倍率 50倍) で観察した。 その結果、 溶液 C一 2は、 3時間後の観察で液滴の端に凝集物が認められた。 一方、 溶液 C 一 1は、 7時間後の観察においても液滴に凝集物は見られず、 本発明の 液晶配向剤は安定性に優れるものであった。
<液晶配向膜の評価 1 >
本発明の液晶配向剤である溶液 (C一 1 ) を透明電極付きガラス基板 にスピンコートし、 2 0 0 °C/3 0分焼成して膜厚 7 Onmのポリイミド 膜を得た。
次にこの塗膜をレーヨン布でラビング (押し込み量 0. 5腿、 ローラ 一回転数 3 0 0 r pm、 ローラー送り速度 2 0匪/ s ) した後、 超純水 中において超音波をかけて 1分間洗浄を行った。 乾燥後の一対の基板に 対し、 6 zmのスぺーサーを膜面に散布した後ラビング方向をほぼ直行 させ、 液晶 (メルク社製 MLC- 2003) を注入して 9 0° ツイスト液晶セル を作製した。 この液晶セルの配向状態を偏光顕微鏡で観察したところ欠 陥のない均一な配向をしていることが確認された。
この液晶セルについて電圧保持率を測定したところ、 2 3° Cで 9 9 %、 9 0 °Cで 9 2 %と高い値を示した。 また、 このセルに直流 3 Vを重 畳した 3 0 H z ± 3 Vの矩形波を 2 3。 Cで 6 0分印加し、 6 0分後 直流 3 Vを切った直後の液晶セル内に残る残留電圧を光学的フリッカ 一消去法で残留電圧を測定したところ、 0 Vであり、 電荷蓄積が小さい ものであった。
ぐ液晶配向膜の評価 2 >
本発明の液晶配向剤である溶液 (C一 1 ) を透明電極付きガラス基板 にスピンコートし、 2 0 0 V 3 0分焼成して膜厚 7 0 nmのポリイミド 膜を得た。
この塗膜をレーヨン布でラビング (押し込み量 0. 3I I、 ローラー回 転数 3 0 0 r pm、 ローラー送り速度 40 mm/ s ) した後、 超純水中に おいて超音波をかけて 1分間洗浄を行った。 乾燥後の一対の基板に対し 、 5 0 /imのスぺーサ一を挟んでラビング方向を反平行にして組み立て 、 液晶 (メルク社製 MLC— 2003) を注入して液晶セルを作製した。 この 液晶セルの配向状態を偏光顕微鏡で観察したところ欠陥のない均一な 配向をしていることが確認された。 更にこのセルについて、 結晶回転法 により液晶のプレチルト角を測定したところ 6. 5度であった。
<参考例>
比較のための液晶配向剤である溶液 (C_ 2) を用い、 溶液 (C— 1 ) と同様に液晶配向膜としての評価を行った。 その結果、 液晶は欠陥の ない均一な配向をしていることが確認され、 電圧保持率は 2 3° Cで 9 9 %、 9 0。(:で 9 2 %であり、 残留電圧は 0 Vであり、 プレチルト角は 5. 7度であった。 即ち、 本発明の液晶配向剤である溶液 (C一 1 ) 及 び、 比較のための液晶配向剤である溶液 (C— 2) は、 ともに優れた特 性を持った液晶配向膜を得られる液晶配向剤であるが、 本発明の液晶配 向剤である溶液 (C— 1 ) は、 更に液晶配向剤として安定性に優れるも のである。
ぐ実施例 2 >
ポリアミック酸溶液 (A— 2) の調製:
4 , 4 ' ージアミノジフエニルメタン 19.83g (0. lOOmol) を NMP 112g、 r - B L 112gに溶解し、 これにシクロブタンテトラカルボン酸 二無水物 9.80g(0.050mol)、ピロメリット酸二無水物 10.03g(0.046mol ) を添加し、 室温で 4時間反応させ、 ポリアミック酸溶液を得た。 この ボリアミック酸の分子量 (ポリエチレングリコール、 ポリエチレン才キ サイド換算) を GP Cで確認したところ、 数平均分子量 12000、 重量平 均分子量 28000、 Z平均分子量 52000であった。 この溶液 100gに、 N MP 105g、 3—ァミノプロピルトリエトキシシラン (LS-3150:信越化 学工業株式会社) の 2 %NMP溶液 7.5g (ポリアミック酸に対して LS - 3150が 1重量%) 、 プチルセ口ソルフ" 37.5gを加えて攪拌し、 樹脂 濃度 6 %のポリアミック酸溶液 (A— 2) とした。
可溶性ポリイミド溶液 (B— 3 ) の調製:
TDA 30.03g (0. lOOmol) , 4, 4 ' —ジアミノー 3 , 3, 一ジメ チルビフエニル 4.24g (0.020mol) 、 p—フエ二レンジァミン 7.03g ( 0.065niol)、 1—ォク夕デシルォキシー 2 , 4—ジァミノベンゼン 5· 65g (0.015mol) を NMP 235g中、 5 0 で 2 4時間反応させ、 ポリアミ ック酸溶液 (b— 3) を調製した。 この (b— 3 ) 50gに、 NMP 50g
、 無水酢酸 10.8g、 ピリジン 5.0gを加え、 3 5Tで 3時間イミド化反 応させた。 この反応液を 5 0 Om 1のメタノール中に投入し、 得られた 白色沈澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末 (P— 3) を得 た。 このポリイミドのイミド化率は 8 4 %であった。 また、 このポリィ ミドの分子量 (ポリエチレングリコール、 ポリエチレンォキサイド換算 ) を GP Cで確認したところ、 数平均分子量 8500、 重量平均分子量 18700、 Z平均分子量 33900であった。
上記 (P— 3) 0.6gを NMP 7.5gに溶解し、 固形分濃度 8 %の溶媒 可溶性ポリイミド樹脂溶液を得た。 これに 3—ァミノプロピルジェトキ シメチルシラン (LS-2450:信越化学工業社製) の 2 %NMP溶液 1.50g (ポリイミドに対し、 LS-2450が 5重量%) を混合し、 更に NMPで希 釈して、 樹脂濃度 6 %の溶媒可溶性ポリイミド溶液 (B— 3) とした。 液晶配向剤 (C— 3 ) の調製:
上記で調製したポリアミック酸溶液 (A- 2 ) と可溶性ポリイミ ド溶 液 (B - 3 ) とを重量比で ( A - 2 ) / (B— 3 ) =4/ 1となるよう に混合し、 充分撹拌して、 本発明の液晶配向剤である溶液 (C— 3) を 得た。
ぐ実施例 3 >
可溶性ポリイミド溶液 (B— 4) の調製:
実施例 2において、 ポリアミック酸溶液 (b - 3) をイミ ド化反応さ せる条件を、 3 5 /3時間から 40°C/3時間変更し、 イミ ド化率 8 9 %のポリイミド樹脂粉末 (p _ 4) を得た。
実施例 2で (p _ 3) から (B - 3 ) を調製したのと同様の操作を行 い、 (P— 4) から溶媒可溶性ポリイミ ド溶液 (B_ 4) を調製した。 液晶配向剤 (C一 4) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と、 上記で調製し た可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 4) とを、 重量比で (A— 2) / (B— 4) = 4Z 1となるように混合し、 充分撹拌して、 本発明の液晶配向剤 である溶液 (C一 4) を得た。
<実施例 4>
可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 5) の調製:
TD A 30.03g (0. lOOmol) 、 4, 4 ' —ジァミノ _ 3 , 3 ' —ジメ チルビフエニル 3.18g (0.015mol) 、 p—フエ二レンジァミン 7.57g ( 0.070mol) 、 1一才クタデシルォキシー 2 , 4ージァミノベンゼン 5.65g (0.015mol) を NMP 263g中、 5 0 °Cで 2 4時間反応させ、 ポリアミ ック酸溶液 (b— 5) を調製した。 この (b— 5) 50gに、 NMP 50g 、 無水酢酸 10.8g、 ピリジン 5. Ogを加え、 3 5 °Cで 3時間イミド化反 応させた。 この反応液を 5 0 Om 1のメタノール中に投入し、 得られた 白色沈澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミ ド樹脂粉末 (P— 5) を得 た。 このポリイミ ドのイミ ド化率は 8 4 %であった。
実施例 2で (p - 3) から (B— 3) を調製したのと同様の操作を行 い、 (p— 5) から溶媒可溶性ボリイミド溶液 (B - 5) を調製した。 液晶配向剤 (C一 5) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と可溶性ポリイ ミド溶液 (B— 5) を重量比で (A— 2) / (B - 5) =4/ 1となる ように混合し、 充分撹拌して、 本発明の液晶配向剤である溶液 (C- 5 ) を得た。
<実施例 5>
可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 6) の調製:
TDA 30.03g (0. lOOmol) 、 4, 4, —ジァミノ一 3 , 3 ' —ジメ チルビフエニル 6.37g (0.030mol) 、 p—フエ二レンジァミン 5.95g ( 0.055mol)、 1一ォク夕デシルォキシ一 2, 4ージアミノベンゼン 5.65g (0.015mol) を NMP 114g中、 5 0 °Cで 2 4時間反応させ、 ポリアミ ック酸溶液 (b— 6 ) を調製した。 この (b— 6) 30gに、 NMP 70g 、 無水酢酸 10.8g、 ピリジン 5.0gを加え、 3 5でで 3時間イミド化反 応させた。 この反応液を 5 0 Om 1のメタノール中に投入し、 得られた 白色沈澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミ ド樹脂粉末 (P— 6) を得 た。 このポリイミ ドのイミド化率は 8 4 %であった。
実施例 2で (p— 3) から (B— 3 ) を調製したのと同様の操作を行 い、 (p - 6) から溶媒可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 6) を調製した。 液晶配向剤 (C一 6) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と上記で調製した 可溶性ポリイミド溶液 (B— 6) を重量比で (A— 2) / (B- 6) = 4Z 1となるように混合し、 充分撹拌して、 本発明の液晶配向剤である 溶液 (C— 6) を得た。
ぐ比較例 2 >
可溶性ポリイミド溶液 (B— 7) の調製:
TDA 30.03g(0. lOOmol)、 p—フエ二レンジァミン 9.19g(0.085mol ) 、 1一才クタデシルォキシ— 2 , 4—ジァミノベンゼン 5.65g ( 0.015mol) を NMP 254g中、 室温で 1 0時間反応させポリアミック酸 溶液 (b— 7 ) を調製した。 この (b - 7 ) 50gに、 NMP 50g、 無水 酢酸 10.8g、 ピリジン 5. Ogを加え、 3 5 Xで 3時間イミド化反応させ た。 この反応液を 5 0 0 m l のメタノール中に投入し、 得られた白色沈 澱をろ別し、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末 (p— 7) を得た。 こ のポリイミ ドのイミ ド化率は 8 4 %であった。
実施例 2で (p— 3) から (B— 3 ) を調製したのと同様の操作を行 い、 (P— 7) から溶媒可溶性ポリイミ ド溶液 (B - 7) を調製した。 液晶配向剤 (C— 7) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と上記で調製した 可溶性ポリイミド溶液 (B— 7 ) を重量比で (A— 2) / (B - 7 ) = 4/ 1となるように混合し、 充分撹拌して、 比較のための液晶配向剤で ある溶液 (C一 7 ) を得た。
ぐ比較例 3 >
可溶性ポリイミ ド溶液 (B_ 8) の調製:
TD A 30.03g (0. lOOmol) , 4 , 4 ' ージアミノジフエニルメタン 3.97g (0. O2O10I) 、 p—フエ二レンジァミン 7.03g (0.065mol) 、 1 一ォク夕デシルォキシ一 2 , 4—ジァミノベンゼン 5.65g (0.015mol)
を NMP 187g中、 室温で 1.0時間反応させポリアミック酸溶液 (b—
8 )を調製した。この(b— 8 ) 37.5gに、 NMP 62.5g、無水酢酸 10.8g 、 ピリジン 5.0gを加え、 3 で 3時間イミド化反応させた。 この反 応液を 5 0 0 m l のメタノール中に投入し、 得られた白色沈澱をろ別し 、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末 (p— 8) を得た。 このポリイミ ドのィミド化率は 8 4 %であった。
実施例 2で (p— 3) から (B— 3) を調製したのと同様の操作を行 レ (p— 8) から溶媒可溶性ポリイミド溶液 (B— 8) を調製した。 液晶配向剤 (C— 8) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と上記で調製した 可溶性ポリイミ ド溶液 (B— 8) を重量比で (A— 2) / (B- 8) = 4Z 1となるように混合し、 充分撹拌して、 比較のための液晶配向剤で ある溶液 (C— 8 ) を得た。
<比較例 4>
可溶性ボリイミ ド溶液 ( B— 9 ) の調製:
TDA 30.03g (0. lOOmol) 、 4 , 4 ' —ジアミノジフエニルァミン 3.99g (0.020mol) 、 p—フエ二レンジァミン 7.03g (0.065mol) 、 1 —ォク夕デシルォキシー 2 , 4—ジアミノベンゼン 5.65g (0.015ηιο 1) を NMP 187g中、 室温で 1 0時間反応させポリアミック酸溶液 (b—
9 )を調製した。この(b— 9 ) 37.5gに、 NMP 62.5g、無水酢酸 10.8g 、 ピリジン 5. Ogを加え、 3 5°Cで 3時間イミ ド化反応させた。 この反 応液を 5 0 0 m l のメタノール中に投入し、 得られた白色沈澱をろ別し 、 乾燥し、 白色のポリイミド樹脂粉末 (p— 9) を得た。 このポリイミ ドのィミド化率は 8 4 %であった。
実施例 2で (p— 3) から (B— 3) を調製したのと同様の操作を行 レ (P— 9) から溶媒可溶性ポリイミド溶液 (B— 9) を調製した。 液晶配向剤 (C一 9 ) の調製:
実施例 2で調製したポリアミック酸溶液 (A— 2) と上記で調製した 可溶性ポリイミド溶液 (B— 9) を重量比で (A— 2) / (B- 9) =
4Z1となるように混合し、 充分撹拌して、 比較のための液晶配向剤で ある溶液 (C_ 9) を得た。
<実施例 2〜 5及び比較例 2〜 4で得られた液晶配向剤の吸湿安定性 評価 >
実施例 2〜 5で得られた液晶配向剤 (C— 3) 〜 (C一 6) 、 及び比 較例 2〜4で得られた液晶配向剤 (C_ 7) 〜 (C一 9) を用い、 前記 と同様に吸湿安定性の評価を行った。 その結果、 実施例 2の液晶配向剤 (C- 3) と、 実施例 5の液晶配向剤 (C一 6) は共に、 7時間後の観 察においても液滴に凝集物は見られなかった。 また、 実施例 3の液晶酡 向剤 (C一 4) と、 実施例 4の液晶配向剤 (C一 5) は、 共に 4時間後 の観察までは液滴に凝集物は見られず、 5時間後の観察で液滴の端に凝 集物が認められた。 —方、 比較例 2〜 4の液晶配向剤 (C - 7 ) 〜 (C 一 9) は、 いずれも 3時間後までの観察で液滴の端に凝集物が認められ た。
ぐ可溶性ポリイミ ド樹脂の溶解性比較 >
実施例 2で得られたポリイミ ド樹脂粉末 ( p— 3 ) 1.8gを NMP 28 .2gに溶解させた。 このポリイミ ド溶液をピーカー中にて攪拌しながら 純水を滴下していったところ、 純水を 4.8g添加したところで溶液の白 濁を確認した。 次に、 比較例 2で得られたポリイミド樹脂粉末 (p— 7 ) 1.8gを NMP 28.2gに溶解させ、 同様の実験を行った。 その結果、 ポリイミ ド樹脂粉末 (P - 3) の場合と同様に、 純水を 4.8g添加した ところで溶液の白濁を確認した。 即ち、 ポリイミ ド樹脂粉末 (P— 3) とポリイミド樹脂粉末 (P— 7) とでは溶解性に差がないことが確認さ れた。
以上のように、 可溶性ポリイミドーポリアミック酸混合系の液晶配向 剤における吸湿時の安定性は、 単に可溶性ポリイミ ドの溶解性のみが影 響するのではないことが判る。 我々は、 本発明の効果は可溶性ポリイミ ドとポリアミック酸の相互作用を増大させることにより得られたもの
と考えている。 産業上の利用可能性
本発明の液晶配向剤は、 可溶性ポリイミドとポリアミック酸とを含有 する液晶配向剤でありながら吸湿による析出や凝集が起こりにくく、 品 質の高い液晶パネルを歩留まりょく製造することが可能となる。