WO2004054643A1

WO2004054643A1 - 医療用針体および導液具

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Publication number: WO2004054643A1
Application number: PCT/JP2003/015789
Authority: WO
Inventors: Tetsuya Ooyauchi; Takao Matsuno
Original assignee: Terumo Kabushiki Kaisha
Priority date: 2002-12-13
Filing date: 2003-12-10
Publication date: 2004-07-01
Also published as: JPWO2004054643A1; AU2003289010A1

Description

医療用針体および導液具

技術分野

明

本発明は、医療用針体および導液具に関するものである。

田背景技術医療用のピン、注射針等に使用される針体（医療用針体）は、その先端部に鋭利な針先を有している。この針先は、一般に、管状部材を斜めにカットしたような形状をなし、さらに、その先端面に刃面が形成されたものもある。このような針体でゴム栓を刺通すると、栓体の針先による刺通部分は、針先の全周で円柱状に切り取られ、この切り取られた部分が針先の内腔部に詰まってしまう（コアリングが生じる）恐れがある。また、ゴム栓からゴム屑が発生し易いという問題もある。また、釙体の中には、その中心軸が針先において湾曲したもの、すなわち、針先が釙本体に対して湾曲したものがある（例えば、特開平 0 3— 2 7 5 0 7 3号公報、特開 2 0 0 1— 7 9 0 8 8号公報（図 2 ) 参照。）。特開平 0 3— 2 7 5 0 7 3号公報に記載の針体は、針先を針本体に対して湾曲させることにより、コアリングの発生を防止したものである。したがって、この類の釙体では、針先の先端面が、特開平 0 3— 2 7 5 0 7 3号公報のように平坦であろうと、特開 2 0 0 1— 7 9 0 8 8号公報（図 2 ) のように波形状をなしていようと、コアリングの発生の防止効果に影響を与えない。

特に、特開 2 0 0 1— 7 9 0 8 8号公報（図 2 ) に記載の針体は、硬膜外用麻酔針の外針であり、硬膜外に麻酔針やカテーテルを穿刺する際に、これらをガイドする機能を有するものである。すなわち、この針体は、生体に対して使用されるものであり、この針体においては、本来、コアリングの発生を防止するという概念すら存在しない。また、例え、この針体をゴム栓の剌通用に適用しようとしても、その刺通抵抗が極めて大きくなつてしまい、実使用に適さないであろうことが推察される。発明の開示

本発明の目的は、剌通抵抗の増大を防止しつつ、コアリングの発生を防止することができる医療用針体およびこの医療用針体を備える導液具を提供することにあ- &。

このような目的は、下記（1 ) 〜（1 7 ) の本発明により達成される。

( 1 ) 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された釙先を備える中空の医療用釙体であって、

前記先端面は、その根元部付近に、前記医療用針体の中心軸側に凹没する凹曲を有し、

前記針先を下記の被穿刺体に、穿刺角度 9 0 ° 、穿刺速度 1 O mmZm i nで剌通したときの刺通抵抗の最大荷重が、 3 5 g f以下であることを特徴とする医療用針体。

[被穿刺体：厚さ 0 . 5 mmのシリコーンゴムシ一ト ] (2) 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された針先を備え、該針先を弹性材料で構成される栓体に刺通して使用される中空の医療用針体であって、前記先端面は、その根元部付近に、前記医療用針体の中心軸側に凹没する凹曲面を有することを特徴とする医療用針体。

(3) 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された釙先を備え、中心軸が前記針先まで一直線となっている中空の医療用針体であって、

前記先端面は、その根元部付近に、前記医療用針体の中心軸側に凹没する凹曲面を有することを特徴とする医療用針体。

(4) 前記凹曲面の曲率半径（平均）は、 0. 05〜0. 3mmである上記 (1) ないし（3) のいずれかに記載の医療用針体。

(5) 前記針先の側面視で、前記針先の根元部付近にある凹曲面の基端における接線と、前記医療用針体の中心軸とのなす角度は、 45〜90° である上記

(1) ないし（4) のいずれかに記載の医療用針体。

(6) 前記先端面は、前記凹曲面より先端側に、前記医療用針体の根元部付近から中心軸側へ向かう方向に凹没する第 2の凹曲面を有する上記（1) ないし

(5) のいずれかに記載の医療用針体。

(7) 前記第 2の凹曲面の曲率半径（平均）は、 0. 05〜0. 3 mmである上記（6) に記載の医療用針体。

(8) 前記先端面は、前記凹曲面と前記第 2の凹曲面との間に、前記医療用針体の中心軸と反対側に突出する凸曲面を有する上記（6) または（7) に記載の医療用針体。

(9) 前記凸曲面の曲率半径（平均）は、 0. 05〜0. 3mmである上記 (8) に記載の医療用針体。

(10) 前記先端面は、前記凸曲面と前記凹曲面および/または前記第 2の凹曲面との間に平坦面を有する上記（8) または（9) に記載の医療用針体。

(11) 前記凸曲面と前記第 2の凹曲面との間に位置する平坦面と、前記医療用針体の中心軸とのなす角度は、 10〜60° である上記（10) に記載の医療用針体。

(12) 前記先端面は、その先端部に、平坦面を有し、

該先端部の平坦面と前記医療用釙体の中心軸とのなす角度は、前記凸曲面と前記第 2の凹曲面との間に位置する平坦面と、前記医療用針体の中心軸とのなす角度とほぼ等しい上記（10) または（11) に記載の医療用針体。

(13) 前記先端面は、その先端部に、平坦面を有する上記（1) ないし (1 1) のいずれかに記載の医療用針体。

(14) 前記先端部の平坦面と、前記医療用釙体の中心軸とのなす角度は、 30° 以下である上記（12) または（13) に記載の医療用針体。

(15) 前記先端面は、ワイヤ一カット加工により形成されたものである上記（1) ないし（14) のいずれかに記載の医療用針体。

(16) 前記針先の根元部は、該根元部より基端側直近の前記医療用針体の外周面より外側に突出していない上記（1) ないし（15) のいずれかに記載の医療用針体。

(17) 上記（1) ないし（16) のいずれかに記載の医療用針体を備える導液具であって、

前記医療用針体の前記針先と反対側の端部に、生体に穿刺して使用される第 2 の針先が設けられていることを特徴とする導液具。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の医療用針体を導液具に適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。

図 2は、図 1に示す導液具を装着して使用するプレフィルドシリンジの構成を示す縦断面図である。

図 3は、図 1に示す医療用針体の第 1の釙先を拡大して示す側面図である。図 4は、他の構成例の第 1の針先を拡大して示す側面図である。

図 5は、他の構成例の第 1の針先を拡大して示す側面図である。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の医療用釙体および導液具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。

図 1は、本発明の医療用針体を導液具に適用した場合の実施形態を示す縦断面図、図 2は、図 1に示す導液具を装着して使用するプレフィルドシリンジの構成を示す縦断面図、図 3は、図 1に示す医療用針体の第 1の針先を拡大して示す側面図である。なお、以下の説明では、図 1〜図 3中の左側を「先端」、右側を「基端」と言う。

図 1に示す導液具（液体注入具） 1は、キャップホルダ 2と、本発明の医療用針体 3とを有している。

この導液具 1は、例えば、図 2に示すようなプレフィルドシリンジ（薬液収納器具） 1 0 0の先端部に、'着脱自在に装着して使用される。

このプレフィルドシリンジ 1 0 0は、外筒（シリンジ外筒） 2 0 0と、外筒 2 0 0内で摺動可能に設けられたガスケット 3 0 0と、ガスケット 3 0 0に連結され、ガスケット 3 0 0を移動操作するプランジャ 4 0 0とを有している。また、外筒 2 0 0とガスケット 3 0 0とで囲まれる空間に薬液 5 0 0が収納（収容）されている。

薬液 5 0 0としては、例えば、インスリン、ビタミン剤（総合ビタミン剤）、各種アミノ酸、へパリンのような抗血栓剤、抗生物質、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、.静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質等が挙げられる。

外筒 2 0 0の先端部には、その胴部より縮径した口部（縮径部） 2 0 1が突出形成されている。

この口部 2 0 1の外面には、後述する導液具 1のキャップホルダ 2の内面に形成されたネジ山 2 1に螺合するネジ溝 2 0 2が形成されている。

また、口部 2 0 1の内部には、弾性材料で構成される栓体 2 0 3が嵌入され、プレフィルドシリンジ 1 0 0の内部が液密に封止されている。

この栓体 2 0 3を構成する弹性材料としては、例えば、天然ゴム、プチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン一ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ォレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマ一、あるいは、それらの混合物等が挙げられる。また、栓体 2 0 3は、複数層の積層体で構成されたものであってもよい。口部 2 0 1にキャップホルダ 2を螺合させることにより、導液具 1がプレフィ 0 0の先端部に装着される。

導液具 1をプレフィルドシリンジ 1 0 0に装着した状態では、医療用針体 3の基端部（第 1の針先 5 ) が栓体 2 0 3を刺通する。これにより、プレフィルドシリンジ 1 0 0の内部と外部とが、医療用針体 3の内腔部を介して連通する。そして、プレフィルド.シリンジ 1 0 0のプランジャ 4 0 0を先端方向に向かって押圧する操作を行うことにより、薬液 5 0 0をプレフィルドシリンジ 1 0 0内から排出することができる。

導液具 1のキャップホルダ 2は、有底筒状をなす部材で構成され、その内面には、前記口部 2 0 1のネジ溝 2 0 2に螺合するネジ山 2 1が形成されている。また、キャップホルダ 2の底部には、そのほぼ中心に貫通孔 2 2が形成されている。

この貫通孔 2 2の内腔部には、医療用針体 3が揷通され、キャップホルダ 2に対して、例えば、融着（熱融着、超音波融着、高周波融着）、接着剤による接着、カシメ等の方法により固着（固定）されている。

キャップホルダ 2の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ力一ポネート、アクリル樹脂のような各種樹脂が挙げられる。

図 1に示す医療用針体（両頭針） 3は、中空針であり、針本体 4と、針本体 4 の基端部に設けられた鋭利な第 1の針先 5と、針本体 4の先端部（第 1の針先 5 と反対側の端部）に設けられた鋭利な第 2の針先 6とを有し、これらが一体的に形成されてなるものである。 ·

第 1の針先 5には、医療用針体 3の中心軸〇に対して傾斜する先端面 5 1が形成され、また、第 2の針先 6には、医療用針体 3の中心軸 Oに対して傾斜する先端面 6 1が形成されている。換言すれば、医療用針体 3のうち、先端面 5 1が形成されている部分（図 1中、長さで示される部分）が第 1の針先 5を構成し、先端面 6 1が形成されている部分（図 1中、長さ L ₂ で示される部分）が第 2の針先 6を構成し、それ以外の部分が針本体 4を構成する。

また、先端面 5 1 (第 1の釙先 5 ) の根元部および先端面 6 1 (第 2の針先 6 ) の根元部とは、それぞれ、先端面 5 1 (第 1の釙先 5 ) および先端面 6 1 (第 2の針先 6 ) の針本体 4側の端部のことを言う。

第 1の針先 5は、キャップホルダ 2の内側に突出し、第 2の針先 6は、キヤップホルダ 2の外側に突出している。

第 1の針先 5は、前述したプレフィルドシリンジ 1 0 0の栓体 2 0 3に刺通して使用され、一方、第 2の針先 6は、生体（例えば、血管、皮下等）に穿刺して使用される。

また、この医療用針体 3では、その中心軸 Oが、第 1の針先 5および第 2の針先 6まで、すなわち、先端から基端まで、一直線となっている。これにより、第 1の針先 5および第 2の針先 6の双方における刺通抵抗の増大を防止することができる。

針本体 4は、その内径および外径が中央部付近から基端にかけてほぼ一定であり、先端側において漸減している。これにより、医療用針体 3は、第 2の釙先 6 側の内径および外径が、第 1の針先 5側の内径および外径より小さくなつている。

このような構成により、医療用針体 3の内部流路（内腔部）の容積を十分に確保しつつ、生体に穿刺される第 2の針先の外径が増大するのを防止することができる。このため、医療用針体 3では、薬液 500の通過抵抗が増大するのを防止しつつ、患者に対する痛みを低減させることができるという優れた効果が発揮される。

かかる観点からは、医療用針体 3の各部の寸法は、例えば、次のように設定される。

針本体 4の第 1の針先 5側の外径、すなわち、第 1の針先 5の根元部外径（図 1中、直径 ) は、 0. 3〜0. 6 mm程度であるのが好ましく、 0. 35〜 0. 6 mm程度であるのがより好ましい。

針本体 4の第 1の針先 5側の内径、すなわち、第 1の針先 5の根元部内径（図 1中、直径 φ₂ ) は、 0. 2〜0. 5 mm程度であるのが好ましく、 0. 25〜 0. 5 mm程度であるのがより好ましい。

第 1の針先 5の長さ（図 1中、長さ ) は、 0. 5〜1. 5 mm程度であるのが好ましく、 0. 5〜1. 2 mm程度であるのがより好ましい。

一方、針本体 4の第 2の釙先 6側の外径、すなわち、第 2の針先 6の根元部外径（図 1中、直径 φ₃ ) は、 0. 254mm以下であるのが好ましく、 0. 1〜 0. 25mm程度であるのがより好ましく、 0. 1〜0. 22 mm程度であるのがさらに好ましい。

針本体 4の第 2の釙先 6側の内径、すなわち、第 2の針先 6の根元部内径（図 1中、直径 φ₄ ) は、 0. 05〜0. 15 mm程度であるのが好ましく、 0. 0 5〜0. 1mm程度であるのがより好ましい。

第 2の針先 6の長さ（図 1中、長さ L₂ ) は、 0. 2〜2. 0mm程度であるのが好ましく、 0 . 5〜1 . 5 mm程度であるのがより好ましい。

また、第 2の針先 6は、管状部材を斜めにカットしたような形状をなしており、生体に穿刺して使用することから、その先端面 6 1には、刃面が形成されているのが好ましい。これにより、患者の苦痛をより低減させることができる。なお、第 2の釙先 6の先端面 6 1に、後述する第 1の針先 5の先端面 5 1の形状を適用するようにしてもよい。

このような医療用針体 3の構成材料としては、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料等が挙げられる。

さて、本発明では、第 1の釙先 5の先端面 5 1の形状に特徴を有している。以下、この点（特徴）について、図 3を参照しつつ説明する。なお、図 3は、図 1 と左右反対に示されている。

図 3に示す第 1の針先 5は、その先端面 5 1が、その根元部（ァゴ部）付近に中心軸 O側に凹没する凹曲面 5 1 1と、その先端部に凹曲面 5 1 1に連続する平坦面 5 1 2とを有している。

ここで、先端面がこのような凹曲面を有さない場合、すなわち、針先の形状が管状部材を斜めにカットしたような形状（例えば、第 2の針先 6と同様の形状）をなす場合、かかる針先により、例えば、栓体 2 0 3のような弾性材料で構成される栓体（以下、単に「栓体」と言う。）を刺通すると、栓体の針先による剌通部分は、針先の全周で円柱状に切り取られ、この切り取られた部分が針先の内腔部に詰まってしまう (コアリングが生じる) 恐れがある。

これに対し、本発明では、先端面 5 1が凹曲面 5 1 1を有することにより、前記の針先に比較して、先端面 5 1の基端における立ち上がり、すなわち、第 1の針先 5の側面視で、凹曲面 5 1 1の基端における接線と中心軸〇とのなす角度 (図 3中、角度 0 : ) を大きくすることができる。このため、第 1の針先 5により栓体を剌通した場合でも、第 1の針先 5は、その根元部（基端部）付近で栓体を切り取ってしまうことが好適に防止される。これにより、本発明の医療用釙体 3では、コアリングの発生を防止することができる。

前記角度 0 ! は、特に限定されないが、 4 5〜9 0 ° であるのが好ましく、 6 0〜9 0 ° であるのがより好ましい。角度 0 , が小さ過ぎると、コアリングの発生を防止する効果が十分に発揮されない場合があり、一方、角度 0 が大き過ぎると、第 1の針先 5で栓体を刺通する際に、その; ίδ元部付近における栓体への引つかかりが生じ、刺通抵抗が増大する場合がある。

凹曲面 5 1 1の曲率半径（平均）は、特に限定されないが、 0 . 0 5〜0 . 3 mm程度であるのが好ましく、 0 . 0 5〜0 . 2 mm程であるのがより好ましレ^ 凹曲面 5 1 1の曲率半径（平均）が小さ過ぎると、コアリング防止効果が低くなり、一方、凹曲面 5 1 1の曲率半径（平均）が大き過ぎると、前記角度を大きくすることが困難となり、コアリングの発生を防止する効果が十分に発揮されない場合がある。

平坦面 5 1 2は、中心軸 0に対して傾斜しており、その基端が凹曲面 5 1 1に連続している。先端面 5 1がこのような平坦面 5 1 2を有することにより、第 1 の針先 5の剌通抵抗をより低減させることができ、また、前記凹曲面 5 1 1の機能を好適に発揮し得るように、凹曲面 5 1 1を形成することが容易となる。この平坦面 5 1 2と中心軸 Oとのなす角度（図 3中、角度 6> ₂ ) は、特に限定されないが、 3 0 ° 以下であるのが好ましく、 1 0〜3 0 ° 程度であるのがより好ましい。角度 S ₂ を前記範囲とすることにより、前述したような効果をより向上させることができる。なお、角度 0 ₂ が大き過ぎると、第 1の針先 5の刺通抵抗の増大を招き好ましくない。

なお、先端面 5 1の先端側の部分（例えば、平坦面 5 1 2や凹曲面 5 1 1の先端側部分等）には、刃面を形成するようにしてもよい。これにより、第 1の針先 5の剌通抵抗をより低減させることができる。

第 1の針先 5の剌通抵抗は、できるだけ小さいのが好ましく、具体的には、次のようなものであるのが好ましい。

すなわち、被穿刺体として、厚さ 0 . 5 mmのシリコーンゴムシートを用意し、かかる被穿刺体に対して、穿刺角度 9 0 ° 、穿刺速度 1 O mmZm i nで第 1の針先 5を刺通する。このときの第 1の針先 5の被穿刺体に対する刺通抵抗の最大荷重が、 3 5 g f以下であるのが好ましく、 5〜3 0 g f程度であるのがより好ましく、 2 0〜3 0 g f程度であるのがさらに好ましい。第 1の釙先 5の刺通抵抗の最大荷重が前記範囲であれば、第 1の針先 5により、栓体を良好に刺通することができる。

このような先端面 5 1の形成方法としては、例えば、ワイヤーカット放電加工のようなワイヤーカット加工、研削加工、切削加工、放電加工等が挙げられるが、これらの中でも、ワイヤーカット加工（特に、ワイヤ一カット放電加工）が好ましい。かかる形成方法によれば、所望の形状の先端面 5 1を容易かつ確実に形成することができる。

また、第 1の針先 5の根元部は、この根元部より基端側直近の医療用針体 3 (釙本体 4 ) の外周面より外側に突出しないよう構成されている。これにより、第 1の針先 5で栓体を剌通する際に、その根元部付近における栓体への引つかかりが生じ、剌通抵抗が増大するのを防止することができる。

次に、第 1の針先 5の他の構成例について説明する。

図 ·4および図 5は、それぞれ、他の構成例の第 1の針先を拡大して示す側面図である。なお、以下の説明では、図 4および図 5中の左側を「先端」、右側を「基端」と言う。

以下、図 4および図 5に示す第 1の針先 5について、それぞれ説明するが、図 3に示す第 1の針先 5との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。

まず、図 4に示す第 1の針先 5について説明する。

図 4に示す第 1の針先 5は、その先端面 5 1が、前記と同様の凹曲面 5 1 1と平坦面 5 1 2とを有し、さらに、凹曲面 5 1 1より先端側に、根元部付近から中心軸 Ο側へ向かう方向に凹没する凹曲面（第 2の凹曲面） 5 1 3と、凹曲面 5 1 1と凹曲面 5 1 3との間に、中心軸〇と反対側に突出する凸曲面 5 1 4と、凹曲面 5 1 3と凸曲面 5 1 4との間に位置する平坦面 5 1 5とを有している。

そして、各面 5 1 1〜5 1 5は、隣接する面同士が連続しており、これにより先端面 5 1は、波形状をなしている。

先端面 5 1が凹曲面 5 1 3を有することにより、平坦面 5 1 2と中心軸 0とのなす角度をより小さく設定することができ、特に、第 1の針先 5の先端部での剌通抵抗をより低減させることができる。

凹曲面 5 1 3の曲率半径（平均）は、特に限定されないが、 0 . 0 5〜0 . 3 mm程度であるのが好ましく、 0 . 0 5 ~ 0 . 2 mm程度であるのがより好ましい。凹曲面 5 1 3の曲率半径（平均）が小さ過ぎると、凹曲面 5 1 3の基端付近における剌通抵抗の増大を招く恐れがあり、一方、凹曲面 5 1 3の曲率半径（平均）が大き過ぎると、前記角度 Θ ₂ を小さくすることが困難となる場合がある。また、先端面 5 1が凸曲面 5 1 4を有することにより、第 1の針先 5により栓体を刺通する際には、第 1の針先 5の凹曲面 5 1 3部分から凹曲面 5 1 1部分への移行がより円滑になされるようになる。

凸曲面 5 1 4の曲率半径（平均）は、 0 . 0 5〜0 . 3 mm程度であるのが好ましく、 0 . 0 5〜0 . 1 5 mm程度であるのがより好ましい。凸曲面 5 1 4の曲率半径（平均）を前記範囲とすることにより、前記効果をより向上させることができる。

特に、凹曲面 5 1 3と凸曲面 5 1 4との間に平坦面 5 1 5が存在することにより、第 1の針先 5により栓体を剌通する際には、第 1の針先 5の凹曲面 5 1 3部 '分から凹曲面 5 1 1部分への移行がさらに円滑になされるようになる。

この平坦面 5 1 5と中心軸 Oとのなす角度（図 4中、角度 0 ₃ ) は、 1 0〜6 0 ° 程度であるのが好ましく、 2 0〜4 5 ° 程度であるのがより好ましい。角度 Θ , を前記範囲とすることにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。

また、図示の構成では、先端面 5 1と針本体 4との境界部が丸みを帯びた形状となっている。これにより、第 1の針先 5と針本体 4との境界部（第 1の針先 5 の根元部付近）における刺通抵抗の低減がなされる。

以上のような構成により、図 4に示す第 1の釙先 5では、その全体における刺通抵抗をより低減させることができる。

また、図 4に示す第 1の針先 5においても、図 3に示す第 1の針先 5と同様にコアリングの発生が好適に防止される。

なお、先端面 5 1の先端側の部分（例えば、平坦面 5 1 2、凹曲面 5 1 3、平坦面 5 1 5、凸曲面 5 1 4や凹曲面 5 1 1の先端側部分等）には、刃面を形成するようにしてもよい。これにより、第 1の針先 5の剌通抵抗をより低減させることができる。

また、先端面 5 1は、凸曲面 5 1 4と凹曲面 5 1 1との間にも平坦面を有する形状とすることもできる。

次に、図 5に示す第 1の針先 5について説明する。

図 5に示す第 1の針先 5は、その先端面 5 1が、平坦面 5 1 2と中心軸 Oとのなす角度 θ ₂ と、平坦面 5 1 5と中心軸 0とのなす角度 0 ₃ とがほぼ等しくなるよう設定されており、それ以外は、図 4に示す第 1の針先 5と同様である。このような構成により、第 1の針先 5による栓体の剌通操作を行う際には、第 1の釙先 5の先端部から基端部への移行がより円滑になされるようになる。このため、図 5に示す第 1の針先 5では、その全体における刺通抵抗をより低減させることができる。

また、図 5に示す第 1の針先 5においても、図 3および図 5に示す第 1の針先 5と同様にコアリングの発生が好適に防止される。

以上、本発明の医療用針体および導液具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定させるものではなく、医療用針体および導液具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。

前記実施形態では、第 2の釙先は、生体に穿刺して使用されるものとして説明したが、第 2の針先は、栓体に刺通して使用させるものであってもよい。特に、この場合、第 2の釙先の先端面には、第 1の針先の先端面の形状を適用するのが好ましい。

また、本発明の医療用針体は、両頭針への適用に限定されるものではなく、針先を一端部にのみ有する医療用釙体に適用してもよいことは、言うまでもない。以下、本発明の具体的実施例について説明する。

(実施例 1 )

まず、ステンレス鋼製のパイプの一端部に研削加工を、他端部にワイヤーカツト放電加工を施し、図 1および図 3に示すような医療用針体を 2本作製した。次に、得られた医療用針体のうちの 1本を、キャップホルダに接着剤により固定して、図 1に示すような導液具を作製した。

この導液具の仕様は、次の通りである。

1 . キャップホルダ

構成材料：ポリプロピレン

サイズ：外径 1 0 mm、内径 9 . 6 mm

2 . 医療用針体

構成材料：ステンレス鋼

サイズ：全長 1 6 mm

2 a . 第 1の針先

サイズ：根元部外径 Φ , 0 . 3 5 mm, 根元部内径 φ ₂ 0 . 2 5 m m、長さ 0. 78 mm

•凹曲面（511)

曲率半径（平均）： 0. 25mm

角度 6^ : 90°

·平坦面（512)

角度 0₂ : 12°

2 b . 第 2の釙先

サイズ：根元部外径 φ₃ 0. 20 mm、根元部内径 φ₄ 0. 10m m、長さ; L₂ 1. 2mm

先端面と中心軸 Oとのなす角度： 8°

(実施例 2)

第 1の釙先を、以下のような仕様に変更し、それ以外は、前記実施例 1と同様にして、図 1および図 4に示すような医療用釙体を 2本作製し、得られた医療用針体のうちの 1本をキャップホルダに接着剤により固定して、図 1に示すような導液具を作製した。

2 a. 第 1の針先

サイズ：根元部外径 0. 35 mm、根元部内径 φ ₂ 0. 25m m、長さ 0. 79 mm

•凹曲面（51 1)

曲率半径（平均）： 0. 15mm

角度 0 i : 76°

•平坦面（512) 角度 θ 0°

•凹曲面（513)

曲率半径（平均）： 0. 15 mm

•凸曲面（514)

曲率半径（平均）： 0. 1mm

•平坦面（515)

角度 0₃ : 45°

(実施例 3)

第 1の針先を、以下のような仕様に変更し、それ以外は、前記実施例 1と同様にして、図 1および図 5に示すような医療用針体を 2本作製し、得られた医療用釙体のうちの 1本をキャップホルダに接着剤により固定して、図 1に示すような導液具を作製した。

2 a . 第 1の釙先

サイズ：根元部外径 0. 35mm, 根元部内径 φ₂ 0. 25m m、長さ L! 0. 78 mm

凹曲面（51 1)

曲率半径（平均）： 0. 15 mm

角度 0! : 68°

平坦面（512)

角度 S 30

凹曲面（513)

曲率半径（平均）： 0. 2mm 凸曲面（514)

曲率半径（平均）： 0. 15mm

平坦面（515)

角度 0₃ : 30°

(比較例）

第 1の針先の形状を、以下のような仕様で第 2の針先と同様の形状とし、それ以外は、前記実施例 1と同様にして、図 1に示すような医療用針体を 2本作製し、得られた医療用針体のうちの 1本をキャップホルダに接着剤により固定して、図 1に示すような導液具を作製した。

2 a. 第 1の針先

サイズ：根元部外径 Ψ i 0.. 35 mm、根元部内径 φ ₂ 0. 25m m、長 L 1 0. 75 mm

先端面と中心軸 0とのなす角度： 25

[評価]

実施例 1〜 3および比較例の医療用針体および導液具に対して、それぞれ、以下の評価試験 I〜111 を行つた。

[評価試験 I (刺通抵抗評価試験） ]

実施例 1〜3の医療用針体（本発明の医療用針体）および比較例の医療用針体に対して、それぞれ、その第 1の釙先側を被穿刺体に刺通する操作を行い、このときの剌通抵抗をオートグラフ（島津製作所製の AGS— 1 kNG) を用いて測定した。

なお、被穿刺体には、厚さ 0. 5 mmのシリコ一ンゴムシート（デュロメ一夕硬度 A50 : J I S K 6253) を用いた。

また、被穿刺体には、第 1の針先を、穿刺角度 90° 、穿刺速度 10mm/m i nで刺通し、このときの最大荷重を測定した。

この最大荷重は、第 1の針先の先端が被穿刺体を貫通するまで、医療用針体を押し進めたときに測定される荷重の最大値とした。

この結果を、表 1に示す。表 1

表 1に示すように、実施例 1〜3の医療用針体（本発明の医療用針体）の剌通抵抗は、いずれも、比較例の医療用針体の剌通抵抗とほぼ同等であり、低いものであった。

[評価試験 II (穿刺痕評価試験） ]

各被穿刺体の表面に円弧状に残る穿刺痕のサイズ（円弧の長さ）を測定し、第 1の針先の外周長に対する割合を求めた。

この結果を、表 2に示す。表 2

表 2に示すように、実施例 1〜3の医療用針体（本発明の医療用針体）の穿刺痕は、いずれも、比較例の医療用釙体の穿刺痕に比べ、小さくなることが明らかとなった。

この結果は、本発明の医療用針体が、コアリングの発生を防止し得るものであることを示唆するものである。

[評価試験 Ι Π (コアリング評価試験） ]

図 2に示すようなプレフィルドシリンジを用意した。プレフィルドシリンジの口部に、実施例 1の導液具（本発明の導液具）を装着して、プレフィルドシリンジ内から、所定量の薬液を排出した後、プレフィルドシリンジの口部から、実施例 1の導液具を取り外す操作を行った。この一連の操作を 1回として、同一のプレフィルドシリンジに対して、この操作を 7 5回繰り返し行った。なお、排出した薬液は、容器に回収した。

また、新たなプレフィルドシリンジを 3本用意し、実施例 2、 3の導液具（本発明の導液具）および比較例の導液具を用いて、前記と同様の操作を行った。そして、前記操作を 7 5回繰り返す間に生じる薬液の排出が不能となる回数 (すなわち、コアリングの発生回数）、および、回収された薬液中に存在する被穿刺体から生じたゴム屑の数を確認したこの結果を、表 3に示す。

表 3

表 3に示すように、実施例 1〜3の導液具（本発明の導液具）では、いずれも、コアリングが発生せず、また、被穿刺体からのゴム屑の発生も防止されていた。これに対し、比較例の導液具は、コアリングが発生し、被穿刺体からのゴム屑も発生するものであった。

産業上の利用可能性以上述べたように、本発明によれば、刺通抵抗の増大を防止しつつ、コアリングの発生を防止することができるため有用である。また、栓体等に刺通する場合には、かかる栓体からの屑の発生も防止することができるため有用である。

Claims

請求の範囲

1 . 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された針先を備える中空の医療用針体であって、

前記先端面は、その根元部付近に、前記医療用針体の中心軸側に凹没する凹曲面を有し、

前記針先を下記の被穿刺体に、穿刺角度 9 0 ° 、穿刺速度 1 O mmZm i nで刺通したときの刺通抵抗の最大荷重が、 3 5 g f以下であることを特徴とする医療用針体。

[被穿刺体：厚さ 0. 5 mmのシリコーンゴムシート]

2 . 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された針先を備え、該針先を弾性材料で構成される栓体に剌通して使用される中空の医療用針体であって、

3 . 中心軸に対して傾斜する先端面が形成された針先を備え、中心軸が前記釙先まで一直線となっている中空の医療用針体であって、

4. 前記先端面は、前記凹曲面より先端側に、前記医療用針体の根元部付近から中心軸側へ向かう方向に凹没する第 2の凹曲面を有する請求項 1ないし 3のいずれかに記載の医療用針体。

5 . 前記先端面は、前記凹曲面と前記第 2の凹曲面との間に、前記医療用針体の中心軸と反対側に突出する凸曲面を有する請求項 4に記載の医療用針体。

6 . 前記先端面は、前記凸曲面と前記凹曲面および Zまたは前記第 2の凹曲面との間に平坦面を有する請求項 5に記載の医療用針体。

7 . 請求項 1ないし 6のいずれかに記載の医療用針体を備える導液具であつて、

前記医療用針体の前記針先と反対側の端部に、生体に穿刺して使用される第 2 の針先が設けられていることを特徴とする導液具。