WO2004039525A1 - ドリルビット - Google Patents

Abstract

刃先部を改良してドリル孔の切削面中央部からの切り屑の排出性を良くして切削能率の向上が図られるドリルビットを提供することを目的とし、超硬合金製のブロック体からなる切刃チップ３に、周方向に等配的に複数の切刃部３ａ、３ｂ、３ｃを形設し、各切刃部に形成した切削面６と逃げ面７の接合綾線を切刃４とし、各切刃４の延長線が刃先中心で接合するドリルビットにおいて、刃先中心部に切込み溝８を削成してカットされた各切刃内端に尖端部９を形成した。

Description

明 ド リ ルビッ ト

〔技術分野〕

本発明は、 ビッ ト本体に超硬合金製の切刃チップをろ う付けや 溶接等で固着した ド リ ルビッ トに関するものであ り 、 さ らに詳し く は、 コ ンク リ ー トや石材等に糸穿孔するのに好適な ドリ ルビッ ト 田

に関する。

〔技術背景〕

コ ンク リ ー トゃ石材等に対する穿孔には、 回転ハンマー ド リ ル に専用の ドリルビッ トを取着し、 ドリ ルビッ トに対して軸心方向 の振動的な打擊力 と 回転 トルク の両作用を同時に与えての穿孔 が行われる。 そして、 穿孔作業の高能率化に対する要求に応える ために、 この種の穿孔に使用する ドリ ルビッ トの刃先部分には、 ビッ ト本体に耐摩耗性に優れた超硬合金製の切刃チップをろ う 付けや溶接等で固着した形態の ドリ ルビッ トが多用 されている。

この種の ドリルビッ トで、 コンク リ ー トや石材等に穿孔する専 用の ドリルビッ ト と して、 ビッ ト本体下端に固着した切刃チップ に複数の切刃部を形設し、 各切刃部に形成した切削面と逃げ面と の接合綾線を切刃と し 各切刃部の切刃内端を刃先中心で接合さ せてチゼルポイ ン トをなく して刃先中心を尖端形状にし、 各切刃 部間に形成した凹部を、 ビッ ト本体の外周に設けた切り屑排出溝 に連続させた構成の ドリ ルビッ トが、 本出願人によって提案され ている。 （例えば、 日本国特許公開 2 0 0 2 — 1 7 8 3 2 8号公 報参照） 。

上記する よ う なチゼルポイ ン トのない ドリルビッ トを回転ハ ンマー ドリルに取着して、 コンク リ ー トや石材 に穿孔する際の 穿孔作用について考察する と、 軸心方向の振動的な打撃力 、 すな わち、 刃先が ドリル孔の切削面に対し、 衝擊的に打当するこ と に よって実施される切削 （打撃切削） では 、 ド、ジ ル孔の切削面に破 砕が生じ、 引き続さ 、 ビッ トが回転して先の打撃切削で脆弱化し た ドリル孔の切削面を切削 （回転切削） する形 で、 穿孔は進行 する。

この場合の打撃による ドリ ル孔の切削面の破碎の程度は、 各切 刃の内端が集中する尖端形状をなす刃先中心部において大き く なる。

しかし 、 ビッ トの回転による切削を考 K.る と 、 刃先中心部では周 速がほとんどないために切削性が劣る 。 加免て、 ドリ ル孔の切削 面中心部からの切り屑の排出性が悪いこ とに起因して、 円錐状に 窪む ドリ ル孔の切削面中心部に切 り屑が残留し、 この残留した切 り屑に刃先中心部が繰り返し打当するこ と になって 、 打撃切削に よる切削能率を低下させる

そこで、 本発明は、 刃先部を改良して ドリノレ孑しの切削面の中央 部に残留する切り屑を軽減し、 切削能率の向上を図るこ とができ る ド、リルビッ トを提供するこ と を 目的とする

〔発明の開示〕

上記技術的課題を解決すべく 本 明に係る ド リ ルビ ク トは、 金製のブロ ック体カゝらなる切刃チップに、 周方向に複数の切 刃部を形設し、 各切刃部に形成した切削面と逃げ面の接合綾線を 切刃 と し、 各切刃の延長線が刃先中心で接合する ド ルビッ トに おいて、 刃先中心部に切込み溝を削成して各切刃の内端部を力 ク 卜 し 、 該切込み溝に接する各切刃内端に尖端部を形成したこ と を 特徴とする。 このよ う に構成された ド リ ルビッ トによれば、 刃先中心部で切 込み溝によってカ ツ ト された各切刃の内端には、 相互に接近して それぞれが尖端部を形成する。 従って、 回転ハンマー ドリ ルにこ の ド リ ルビッ ト を取着してコ ンク リ ー トゃ石材等に穿孔する場 合、 該 ド、リルビッ トが衝擊的に ドリル孔の切削面に打当 しておこ なわれるが、 その際 、 近接する各切刃内端の尖端部が ドリ ル孔の 切削面に同時的に打当する。 このため、 ド、 Vル孔の切削面の中心 部では 、 切込み溝に対応する部分 （刃先中心部） まで破砕が波及 し、 ド、 V ル孔の切削面の中心部に発生する切 り屑は 、 そのまま切 込み溝内に収容される この状態から引さ さ、 ビッ 卜が回転し て、 続 < 回転切削ではヽ 各切刃内端の尖端部のと ころも周速を生 じるので 、 各切刃による回転切削では、 切刃全体 (全長 ) で先の 打撃切削で脆弱化した ドリル孔の切削面を切削する。 また、 先の 打擊切削で切込み溝内に入り込んだ切り屑は、 切込み溝部が回転 してほとんど抵抗なく切込み溝の外へ排出される。 こ う して ドリ ル孔の切削面の中心部に残留する切 り屑は削減される結果、 切削 効率が向上する。

また、 本発明に係る ドリルビッ トにおいて、 切込み溝をビッ ト 軸心 （ ドリルビッ トの軸長手方向に延びる軸心） に直交またはそ れに近い角度で交わるよ う に形成し、 且つ、 切込み溝面を側面視 が円弧面状になる よ う に形成し、 各切刃内端の尖端部を、 切込み 溝の最深部から溝幅を広げて立ち上がる切込み溝面の途中に形 成した構成にする と、 切刃内端の尖端部から切込み溝の円弧面を 見て、 円弧面は刃先中心部向けに傾斜し、 切刃内端の尖端部は、 実質的に、 切刃を形成する切削面、 逃げ面及び切込み溝の円弧面 の 3つの傾斜面の頂点と して形成される形態となる。 このため、 耐衝擊性が向上する。 従って、 ドリル孔の切削面に対する打撃切 削が繰り 返し行われても、 切刃内端の尖端部に対する変形や損耗 が軽減される結果、 安定した切削性能を発揮する。 また、 切込み 溝面を円弧面に形成したこ と によ り 、 切込み溝内で切り屑は動き 易く なって、 切込み溝からの切 り屑の排出性が良く なる。

また、 本発明に係る ドリ ルビッ トでは、 その切刃部の数につい ては、 特に、 制限されるものではないが、 切刃部が、 周方向に 1 2 0度の角度を採って等配的に形設した 3つの切刃部からな り 、 1 つの切刃部の切刃内端の尖端部を切込み溝の一方の端部に形 成し、 残る 2つの切刃部の切刃内端の尖端部を切込み溝の中間部 に形成し、 切込み溝の他方の端部を、 対応する 2つの切刃部間で 切削面と逃げ面で形成される谷部に解放した構成にする と、 切込 み溝の端部が解放される谷部は、 そのまま両方の切刃部間に形成 した凹部を経て ビッ ト本体の外周に設けた切 り 屑排出溝に連続 させられる o のため、 切込み溝からの切 り屑の排出性が向上す o

また、 刃先中心部に切込み溝を削成した形態の ド、 ノレビッ トは、 製作面に いて 、 各切刃内端を刃先中心で接合させて刃先中心を 小

大端形状にした後で、 刃先中心部に切込み溝を削成する簡単なカロ ェで製造でき る 。 こ のため、 生産性に優れ、 且つ刃先全体の仕上 げ精度の高い高品質の ド リ ルビッ ト （製品） が提供できる o

C図面の簡単な説明〕

図 1 は 、 本発明の実施の形態を示す ドリ ルビ V 卜の一部を省略 した要部の側面図である。

図 2 は 、 図 1 に示す ドリ ルビッ トの底面図である 0

図 3 は 、 切刃部が周方向に不均等な間隔で配 されてレ、る本発 明の別の実施形態にかかる ド リ ルビッ トの構成を示す底面図で ある。

図 4 は、 切刃部を 2つ有する本発明の別の実施形態にかかる ド リ ルビッ トの構成を示す底面図である。

図 5 は、 切込み溝が底面視においてダンベル状になった本発明 の別の実施形態にかかる ド リ ルビッ ト の構成を示す底面図であ る。

図 6 は、 切込み溝が底面視において三葉状になった本発明の別 の実施形態にかかる ド リ ルビッ トの構成を示す底面図である。

図 7 は、 切込み溝の溝底面が一方の方向に傾斜した本発明の別 の実施形態にかかる ドリルビッ トの要部の側面図である。

図 8 は、 切込み溝の溝底面が両方向に傾斜して尖端形状になつ た本発明の別の実施形態にかかる ド リ ルビッ トの要部の側面図 である。

〔発明を実施するための最良の形態〕

以下、 本発明にかかる ドリ ルビッ トの実施例を、 図面に基づいて 説明する。

(実施例 1 )

図 1 、 図 2 において、 1 は鋼製のビッ ト本体で、 その上方に回 転ハンマー ド リ ルの駆動軸に連結するシャ ンク （図示せず） が延 設されている。 また、 ビッ ト本体 1 の外周に切 り屑排出溝 2 が設 けられている。 さ らに、 ビッ ト本体 1 の先端に超硬合金製のプロ ッ ク体からなる切刃チップ 3 がろ う 付けや溶接等で固着されて いる。 この切刃チップ 3 に対し、 この実施例では、 周方向に 3つ の切刃部 3 a， 3 b , 3 c が形設され、 各切刃部 3 a , 3 b , 3 c 間に、 ビッ ト本体 1 の切 り屑排出溝 2 に連続する凹部 5 が形成 されている。 そして、 各切刃部 3 a , 3 b , 3 c には、 切削面 6 と逃げ面 7 の両面の接合稜線によつて切刃 4 が形成されている。

本発明においては、 各切刃部 3 a， 3 b , 3 c に切刃 4 を形成 するに当たって、 先ずは、 各切刃 4 の内端を突き合わせて刃先頂 点をチゼルポイ ン トのない尖端形状とする。 そして、 各切刃 4 を 形成した後に、 刃先中心部に、 ビッ ト本体 1 の軸心に直交して切 込み溝 8 を削成して各切刃 4 の内端部をカ ツ ト し、 各切刃内端に 尖端部 9 を形成する。

この実施例では、 切込み溝 8 の溝面を円弧面に形成し、 各切刃 内端の尖端部 9 を、 切込み溝 8 の最深部から溝幅を広げて立ち上 がる よ う な形態の切込み溝面に形成している。

具体的には、 図 2 に示すよ う に、 切刃部 3 b の切刃内端の尖端 部 9 を切込み溝 8 の一方の端部に形成し、 残る 2つの切刃部 3 a , 3 c の切刃内端の尖端部 9 を切込み溝 8 の中間部に形成する。 切 込み溝 8 の他方の端部 8 a を、 対応する 2つの切刃部 3 a ， 3 c 間で切削面 6 と逃げ面 7で形成される谷部 5 a に解放する。 この 谷部. 5 a は、 そのまま両方の切刃部 3 a ， 3 c 間の凹部 5 を経て ビッ ト本体 1 の外周に設けた切り屑排出溝 2 に連続させる。

上記構成において、 前記した構成の他の、 ド リ ルビッ トの基本 的な構成は、 周知のこの種の ドリルビッ ト と同じく よ う に構成し ている。 従って、 この ドリルビッ トを使用する場合、 周知の ドリ ルビッ ト と交換するこ と によって、 同様に穿孔に使用できる。

しかして、 本発明に係る ドリルビッ トによれば、 ドリ ル孔の切 削面に対して打撃切削が行われる際に、 各切刃 4が衝撃的に ドリ ル孔の切削面を打当する と、 各切刃 4が ドリル孔の切削面を破砕 して ドリル孔の切削面に切 り 込む。 この際、 各切刃内端の尖端部 9 は相互に近接していて ドリ ル孔の切削面を打当するので、 尖端 部 9付近での ドリ ル孔の切削面の破砕は、 切込み溝 8 に対応する 刃先中心部まで波及する。 そして、 この時生じる切り屑の一部は そのまま切込み溝 8 内に収容された状態となる。 引き続いて ドリ ルビッ トが回転する と、 各切刃内端の尖端部 9 にも周速を生じる ので、 この尖端部 9 を含めて切刃 4 は全体で、 先の打撃切削で脆 弱化した ドリ ル孔の切削面を回転切削する。 そして、 この際、 切 込み溝 8 も回転し、 この回転によって該切込み溝 8 内の切り屑の 大部分は、 ほとんど抵抗なく切込み溝 8 から谷部 5 a を経て切 り 屑排出溝 2 に排出される。 この結果、 ドリ ル孔の切削面に残留す る切り 屑は軽減し、 円滑な穿設が実行されるこ と になる。

前記実施例では、 切刃部が 3箇所均等に配置されている形態の ドリルビッ トについて説明 したが、 該切刃部 3 a， 3 b， 3 c は 図 3 に図示する よ う に不均等の間隔で配置しても良い。 また、 前 記切刃部は、 図 4 に図示するよ う に 2箇所に均等 （図 4 の切刃部 3 a， 3 b参照） にあるいは不均等の間隔で設けても、 あるいは、 図示しないが 4箇所あるいはそれ以上の数、 均等にあるいは不均 等の間隔で設けても良い。

また、 前記切込み溝 8 は、 図 2 に図示する よ う に底面視が両端部 が半円形の長孔状のものであっても、 図 5 に図示するよ う に底面 視がダンベル状の形態であっても、 あるいは図 6 に図示する よ う に底面視が三葉状のものでも、 あるいは図示しないがその他の形 態のものであってもよい。 また、 前記切込み溝の溝底 8 c はビッ ト軸心に対して直交していても、 あるいは図 7 に破線で図示する よ う に傾斜していても、 あるいは図 8 に破線で図示するよ う に両 方に傾斜した尖端形状であっても よい。 また、 底面視において、 切刃の長手方法に対して切込み溝の長手方向が、 一致した形態で あっても、 あるいは交角を有するよ う な形態であっても良い。 な お、 図 3 〜図 8 において、 図 1 〜図 2 に対応する主な構成につい ては同じ符号を付す。

本 ドリルビッ トによれば、刃先を構成する複数の切刃内端力 S、 刃先中心部に形成した切込み溝に接して尖端部を形成するので、 各切刃を衝撃的に ドリ ル孔の切削面を打当 させる打撃切削では、 ドリル孔の切削面の破砕が、 切込み溝に対応する部分まで波及し て、 従来の ドリ ルビッ ト同等以上の破碎作用が得られる。 また、 各切刃を ドリ ル孔の切削面に食い込ませて回転させる回転切削 では、 各切刃内端にも周速を生じて効果的な切削作用が得られる。 しかも、 切込み溝によって ドリル孔の切削面中心部からの切 り屑 の排出が良好になるので、 ドリル孔の切削面に残留する切 り屑を 軽減し、 切削能率の向上が図られる。 また、 ドリルビッ トを製作 する面からは、 刃先中心部に切込み溝を削成する簡単な加工で済 むので、 生産性に優れた、 刃先全体の仕上げ精度の高い高品質の ド リ ルビ ッ ト （製品） を容易に提供できる。

〔産業上の利用の可能性〕

本発明にかかる ド リ ルビッ トは、 コ ンク リ ー トや石材等に穿孔 するのに好適な ドリルビッ ト と して、 利用できる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 超硬合金製のブロ ック体からなる切刃チップに、 周方向に 複数の切刃部を形設し、 各切刃部に形成した切削面と逃げ面の 接合綾線を切刃と し、 各切刃の延長線が刃先中心で接合する ド リノレビッ トにおいて、

刃先中心部に切込み溝を削成して各切刃 の内端部をカッ ト し、 切込み溝に接する各切刃內端に尖端部を形成したこ と を特 徴とする ド リ ルビッ ト。

2 . 前記切込み溝をビッ ト軸心に直交または.それに近い角度で交 わる よ う に形成し、 且つ、 切込み溝面を側面視が円弧面状にな る よ う に形成し、 各切刃内端の尖端部を、 切込み溝の最深部か ら溝幅を広げて立ち上がる切込み溝面の途中に形成したこ と を特徴とする請求項 1 記載の ドリルビッ ト。

3 . 前記切刃部が、 周方向に 1 2 0度の角度を採って等配的に形 設した 3つの切刃部からな り 、 1 つの切刃部の切刃内端の尖端 部を切込み溝の一方の端部に形成し、 残る 2つの切刃部の切刃 内端の尖端部を切込み溝の中間部に形成し、 切込み溝の他方の 端部を、 対応する 2つの切刃部間で切削面と逃げ面で形成され る谷部に解放したこ と を特徴とする請求項 1 又は 2記載の ド リ ルビ ッ ト。