WO2004039523A1 - 金属粉末の製造方法およびこれに使用する原料または希釈塩の評価方法 - Google Patents

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  • the attached water is heated to 100 to 150 ° C and vaporized.
  • the water content is measured by the Karl Fischer water vaporization method, and then the sample is heated to 600 ° C. or more, and the amount of ice generated there is similarly measured by the Karl Fischer water vaporization method.
  • the amount of water brought into the reduction reaction step can be accurately grasped.

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Abstract

反応容器に由来するFe、Ni、Cr、Mo等の不純物の溶出・混入を、タンタルまたはニオブの特性に影響を与えない範囲に抑えた、タンタルまたはニオブ粉末の製造方法を提供する。本発明の金属粉末の製造方法は、タンタルまたはニオブを含有する金属塩を希釈塩中で還元して、タンタルまたはニオブを生成させる方法において、前記金属塩と前記希釈塩は、その合計水分含有率が、該金属塩と該希釈塩とを600℃に加熱して発生した水の量からカールフィッシャー法で求めた場合、0.2質量%以下である。

Description

明 細 書
金属粉末の製造方法およびこれに使用する原料または希釈塩の評価方法 技術分野
本発明は、 電解コンデンサの陽極体等に用いるタンタルまたはニオブの粉末の 製造に関するもので、 それらの粉末に混入する不純物を最低限に抑えたタンタル またはニオブ粉末の製造方法およびこれに使用する原料または希釈塩の評価方法 に関するものである。 背景技術
近年、 電子集積回路は、 より低電圧での駆動、 高周波化、 低ノイズ化が求めら れている。 コンデンサにも、 低 E S R、 高容量といった優れた特性の要求が高ま つている。
上記コンデンサとしては、 アルミニウム電解コンデンサが主流である。 しか し、 低 E S R、 高容量等の優れた特性から、 タンタル、 ニオブをコンデンサの陽 極体として用いるタンタル、 ニオブコンデンサがその代替品として注目されてお り、 それら金属粉末の製造技術が開発のターゲットになっている。
現在行われているタンタルおよぴニオブ粉末の製造方法は、 フッ化タンタルカ リゥム、 フッ化ニオブカリウム等のタンタルまたはニオブを含有する金属塩を希 釈塩中でナトリウム、 カリゥム等を用いて 7 0 0 °C以上の高温で還元する方法が 一般的である。 そして、 この還元反応は、 通常、 ニッケル合金製やステンレス製 の反応容器内で行われている。
ところが、 この際、 原料であるタンタルまたはニオブを含有する金属塩や希釈 塩に水分が含まれていると、 これらの水分と反応容器とが反応してしまう。 反応 容器に由来する F e、 N i、 C r、 M o等の不純物が、 得られたタンタルまたは ニオブに混入する。 これら不純物が混入したタンタルまたはニオブを陽極体原料 に使用した場合、 コンデンサの性能を低下させてしまうという問題がある。 その ため、 これら原料や希釈塩は乾燥されてから使用されていた。 そして、 これら原 料や希釈塩が十分に乾燥されているかどうかは、 塩化カリウムにおいては J I S — 8121による乾燥減量、 フッ化カリゥムにおいては J I S-8815の強熱 減量、 金属塩については J I S— 0068— 5による乾燥減量に準拠して判断す るのが一般的である。
塩ィ匕カリウムの乾燥減量は試料 2. 0 g (0. lmgの桁まではかる) を用い、 110°Cで 2時間乾燥し、 減量 2mg以下であるか否かを測定する。 フッ化カリ ゥムの強熱減量は試料 1. 0 g (0. lmgの桁まではかる) を白金るつぼには かりとり、 500 °Cで 1時間乾燥し、 減量 10 m g以下であるか否かを測定す る。 金属塩については、 試料を約 105°Cで恒量になるまで加熱乾燥し、 乾燥後 の減量を量り、 その量を水分とする。
なお、 本発明に関連する先行技術文献は見あたらなかった。 発明の開示
し力 しながら、 これらの測定に基づく水分量が非常に少なレヽ原料およぴ希釈塩 を使用しても、 不純物を多く含むタンタル、 ニオブ粉末が得られる場合があつ た。
よって、 本発明の目的は、 原料や希釈塩に含まれる水分と反応容器とが反応す ることによる、 タンタルまたはニオブへの不純物の混入を最低限に抑え、 コンデ ンサ陽極体として優れた特性を有するタンタルまたはニオブ粉末を安定に製造す る方法と、 原料または希釈塩が、 タンタルおよびニオブの製造に適しているかど うかを評価する方法を提供すると共に、 不純物の混入を抑えるための条件を提供 することにある。
本発明の金属粉末の製造方法は、 タンタルまたはニオブを含有する金属塩を希 釈塩中で還元して、 タンタルまたはニオブを生成させる方法において、 前記金属 塩と前記希釈塩は、 その合計水分含有率が、 金属塩と希釈塩とを 600°Cに加熱 して発生した水の量からカールフィッシャー法で求めた場合、 0. 2質量%以下 である方法である。
また、 上記希釈塩は、 フッ化カリウム又はそれを含む混合物であり、 フッ化力 リウム単独の水分含有率が、 前記カールフィッシャー法で求めた場合、 0. 15 質量%以下であることが望ましい。 また、 上記希釈塩は、 塩ィヒカリウム又はそれを含む混合物であり、 塩化カリゥ ム単独の水分含有率が、 前記カールフィッシャー法で求めた場合、 0 . 0 5質 量%以下であることが望ましい。
また、 上記金属塩はフッ化タンタルカリウムであり、 その水分含有率が上記力 ールフィッシャー法で求めた場合、 0 . 1質量%以下であることが望ましい。 また、 上記金属塩はフッ化ニオブカリウムであり、 その水分含有率が、 上記力 ールフィッシャー法で求めた場合、 0 . 1質量%以下であることが望ましい。 本発明の製造方法で製造された金属粉末は、 電解コンデンサ陽極体に好適に用 ヽられる。
本発明の金属塩の評価方法は、 タンタルまたはニオブの製造に用いるタンタル またはニオブを含有する金属塩を評価する方法であって、 その金属塩を 6 0 0 °C 以上に加熱して発生した水の量から、 金属塩の水分含有率を求めることを特徴と する。 "
本発明の希釈塩の評価方法は、 タンタルまたはニオブの製造に用いる希釈塩を: 評価する方法であって、 希釈塩を 6 0 0 °C以上に加熱して発 '生した水の量から、 希釈塩の水分含有率を求めることを特徴とする。 以下、 本発明を詳しく説明する。
本発明は、 タンタルまたはニオブを含有する金属塩を希釈塩中で、 還元剤を用 いて約 7 0 0 °C以上の高温で還元して、 タンタルまたはニオブ粉末を生成する方 法において、 原料となる金属塩および希釈塩を 6 0 0 °C以上の温度で加熱し発生 した水の量から水分含有率を求め、 それらがタンタルまたはニオブ粉末の製造に 使用するのに、 適しているかどうかを予め評価することによって、 金属塩や希釈 塩に含まれる水分と反応容器との反応で生じる不純物の混入を最低限に抑え、 純 度の高い金属粉末を安定に製造しうる金属塩および希釈塩を確実に提供すること を可能にした。
本発明の金属塩及ぴ希釈塩の評価方法は、 それらを 6 0 0 °C以上に加熱し発生 した水の量から、 金属塩おょぴ希釈塩の水分含有量を求めることである。
金属塩おょぴ希釈塩を加熱すると、 まず、 約 2 5 0 °Cまでの温度範囲で金属塩 および希釈塩の表面に吸着している吸着水分が脱離して気化する。 そして、 更に 加熱を続けて約 5 0 0 °Cになると、 金属塩や希釈塩の結晶内に、 何らかの形で取 り込まれた結晶水が脱離して気ィ匕しはじめ、 6 0 0 °C未満の温度でこれら結晶水 の脱離が終了する。 すなわち、 金属塩および希釈塩は、 6 0 0 °C以上に加熱され ることによって、 吸着水だけでなく、 結晶内に取り込まれた結晶水も気ィ匕させる ことができる。
従って、 金属塩および希釈塩のより正確な水分含有率を求め、 金属粉末の製造 に使用する金属塩およぴ希釈塩に適しているかどうかを評価するためには、 金属 塩および希釈塩を 6 0 0 °C以上に加熱して発生した水の量から、 水分含有率を求 める必要がある。 また、 より好ましくは、 6 0 0 °Cからそれぞれの融点までの範 囲で金属塩およぴ希釈塩を加熱して発生した水の量から、 それらの水分含有率を 求め、 金属粉末の製造に適しているかどうかを評価する。
これは、 以下の理由による。
金属塩おょぴ希釈塩を加熱する温度が 6 0 0 °C未満では、 結晶水の脱離が不十 分となり、 正確な水 有率が求められない。 金属塩および希釈塩を加熱する温 度が融点以上になると、 測定装置機材との反応が生じる危険性が増加し、 測定結 果にばらつきが生じ、 正確な水分含有率が求められない。
金属塩おょぴ希釈塩の測定方法の一例としては、 J I S - K O 0 6 8 (化学製 品の水分測定方法) の 4 . 5による方法がある。
まず、 サンプル重量 1力 ら 3 gを精秤した後、 カールフィッシャ一法水分測定 器に直結した気化器にセットする。 気化器温度を 6 0 0 °C以上から融点未満にコ ントロールして水蒸気を発生させ、 アルコール等に吸収させる。 その後、 この水 分をカールフィッシヤー試薬を用いて滴定する。
このようにして、 カールフィッシヤー法等の簡単な方法で 6 0 0 °C以上の加熱 で発生した水の量から水分含有率を求め、 金属粉末の製造に適しているか評価す ることができる。
従来技術において、 金属塩や希釈塩を 2 5 0 °C以下の温度で加熱してから、 こ れらを金属粉末の製造に使用していた。 し力 し、 2 5 0 °C以下の加熱では結晶水 は脱離せず、 また 2 5 0 °C以下の加熱で発生した水の量からでは、 それらの水分 含有率を正確に把握することもできない。 実際に金属粉末を製造して、 金属粉末 の水分含有に起因する不純物を分析するまでは、 得られた金属粉末がどのくらい の不純物を含有して Vヽる力 \ 電解コンデンサ陽極体の原料に適しているかどうか の判断ができなかった。
し力 しながら、 本願のような評価方法によれば、 金属塩や希釈塩を 6 0 0 °C以 上に加熱して発生した水の量から、 カールフィッシヤー法などの簡単な方法で測 定するだけで、 それらの水分含有率を正確に把握できる。 これにより、 電解コン デンサ陽極体の原料に適した金属粉末が得られるかどうかを判断することができ る。
また仮に、 その水分含有率が高くても、 再晶出させることによって低水分ィ匕を はかることが可能なため、 電解コンデンサの陽極体に適した高純度の金属粉末を 安定に製造しうる金属塩および希釈塩を確実に提供することができる。
本発明の金属粉末の製造方法は、 前記評価方法によって、 金属粉末の製造に適 していると判断された金属塩おょぴ希釈塩を用いて、 タンタルまたはニオブ粉末 を生成させる方法である。
タンタルまたはニオブを含有する金属塩としては、 特に制限はなく、 フッ化力 リウム塩、 ハロゲン化物等を例示できる。
フッ化カリウム塩としては、 フッ化タンタルカリウム、 フッ化ニオブカリウム 等が挙げられる。 また、 ハロゲン化物としては、 五塩ィ匕タンタル、 低級塩化タン タル、 五塩化ニオブ、 低級塩化ニオブやヨウ化物、 臭化物等が挙げられる。 ま た、 特にニオブを含有する金属塩としては、 フッ化ニオブカリウム等のフッ化二 ォブ塩が挙げられる。
これらタンタルまたはニオブを含有する金属塩の中で、 特にフッ化タンタル力 リウム、 フッ化ニオブカリウムが、 化学的に安定で、 吸湿性が少ないため好適に 用いられる。
上記還元反応に用いる希釈塩としては、塩ィ匕カリゥム、フッ化力リゥム、 塩ィ匕ナ トリウム、 フッ化ナトリウム等が挙げられる。 これらを単独で使用しても、 2種 類以上を混合して使用してもよい。 これら希釈塩の中でも、 塩化カリウム若しく はフッ化カリウム、 又はこれらの混合物を使用すると、 高品質のものが手に入り やすいため好ましい。
還元反応に用いる還元剤としては、 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 力 ルシゥム等のアルカリ金属おょぴアル力リ土類金属、 及ぴアルカリ金属おょぴァ ルカリ土類金属の水素化物、 すなわち水素化マグネシウム、 水素化カルシウムや 水素含有ガス等の還元性の気体が挙げられる。
次に、 金属粉末を製造する具体的な方法を、 タンタル粉末の製造方法の例を挙 げて説明する。
まず、 ニッケル合金、 ステンレスなどからなる反応容器を 1 3 0 °C程度で乾燥 した後、 これに希釈塩として塩化力リゥム、 フッ化力リゥム等の混合塩を投入す ' る。 ついで、 反応容器に原料の金属塩であるフッ化タンタルカリウムを投入し、 反応容器に蓋をした後、 反応容器内をアルゴンなどの不活性ガスで十分に置換す る。 その後、 これを攪拌しながら 8 0 0から 9 0 0 °Cまで加熱して溶融させた 後、 還元剤であるナトリゥムを先に投入したフッ化タンタル力リゥムの還元に必 要な量論の量程度、 添加して下記式 ( 1 ) の還元反応を行う。
K2TaF7 + 5Na→ 2KF + 5NaF + Ta…(1)
- ここで、 本発明においては、 金属塩及ぴ希釈塩は、 6 0 0 °Cに加熱して発生し た水の量から水分含有率をカールフィッシヤー法で求めた場合、 合計水分含有率 が 0 . 2質量%以下である金属塩および希釈塩を使用して金属粉末を製造する。 なお、 カールフィッシャー法とは、 水の定量用試薬であるカールフィッシャー 試薬を使用して、 水の量を求める方法であり、 カールフィッシャー試薬とは、 ョ ゥ素と二酸化硫黄とピリジンとを、 I 2: S 0 2: ピリジン = 1 : 3 : 1 0 (モ ル比) となるように混合した試薬である。 この試薬中の I 2 1モルと H 2 O 1モルとが反応することを利用して、 水を溶解させたアルコールなどの被検溶液 をカールフィッシヤー試薬で滴定することより、 被検溶液中の水の量を精度よく 求めることができる。
滴定の終点の確認は、 視覚法のほかに異種金属電位差滴定法、 定電圧分極電流 滴定法等の方法により行うことができる。
合計水分含有率の具体的な測定方法としては、 1から 3 g程度の試料を枰量 し、 ブローボックス內にある気化器に試料をセットする。
まず、 サンプリング段階で、 付着した水分を 1 0 0から 1 5 0 °Cに加熱し気化 させる。 その水分量をカールフィッシャー水分気化法で測定し、 その後、 6 0 0 °C以上に試料を加熱し、 そこで発生した氷分量を同様に、 カールフィッシャー 水分気化法で測定する。 この測定法により、 還元反応工程に持ち込まれる水分量 を正確に把握することができる。
金属塩や希釈塩の結晶中に取り込まれた結晶水が脱離する高温条件下にお Vヽ て、 それらの合計水分含有率が 0 . 2質量%以下のとき、 希釈塩中で金属塩を還 元しても、 希釈塩おょぴ金属塩から発生する水の量が少ない。 その結果、 この水 と、 還元反応に使用する反応容器とが反応することにより生成する F e、 N i、 C r、 M o等の不純物量を少なく抑えることができ、 これら不純物のタンタルま たはニオブ粉末への混入を 2 0 p p m以下まで低減することができる。
また、 このように不純物の混入が少ないタンタル粉末やニオブ粉末を陽極体原 料に使用することによって、 漏れ電流が少なく、 耐圧が高い優れたコンデンサを 製造することができる。
一方、 上記の評価方法で求めた合計水分含有率が、 0 . 2質量%を超えた金属 塩および希釈塩を使用してタンタル粉末やニオブ粉末を製造すると、 還元反応中 に金属塩および希釈塩から発生する水の量が多く、 生成するタンタルやニオブの 粉末に F e、 N i、 C r、 M o等の不純物が多く混入してしまう。
これら不純物を多く含むタンタル粉末やニオブ粉末を陽極体に使用すると、 コ ンデンサの漏れ電流が多く、 耐圧特性が低下してしまうので、 得られたタンタル やニオブ粉末は、 コンデンサの陽極体原料として適さない。
本発明のより好ましい具体例としては、 希釈塩として、 6 0 0 °Cに加熱して発 生した水の量から、 カールフィッシャ^ "法で求めた水分含有率が、 0 . 1 5質 量%以下であるフッ化カリウム、 又はそれを含む混合物を使用する方法が挙げら れる。
また、 希釈塩が塩化カリウム、 又はそれを含む混合物であり、 塩化カリウムの 水分含有率が、 6 0 0°Cに加熱して発生した水の量から、 カールフィッシャー法 で求めた場合、 0 . 0 5質量%以下であることが望ましい。
また本発明において、 タンタル粉末を製造するときは、 金属塩としてフッ化タ ンタルカリウムを用い、 その水分含有率が、 6 0 0 °Cに加熱して発生した水の量 から、 カールフィッシャー法で求めた場合、 0 . 1質量%以下であることが好ま しい。
また、 ニオブ粉末を製造するときは、 金属塩がフッ化ニオブカリウムで、 その 水分含有率が、 6 0 0 °Cに加熱して発生した水の量から、 カールフィッシャー法 で求めた場合、 0 . 1質量%以下であることが好ましい。 特に、 希釈塩おょぴ金 属塩として、 このようなものを使用すると、 不純物の混入が少ない陽極体原料が 得られ、 電気特性に優れたコンデンサとすることができる。
なお、 還元反応の具体的な形態としては、 上記で説明した方法の他に、 原料の 金属塩と還元剤とを少量ずつ小分けにして反応させることを繰り返し、 還元反応 を終了させる方法でもよい。 または、 還元剤として水素含有ガス等の還元性の気 体を反応容器内に導入する方法でもよい。
還元反応が終了した後、 内容物を冷却する。 得られた集塊を水、 弱酸性水溶液 等で繰り返し洗浄して希釈塩を除去し、 金属粉末を得る。 この場合、 必要に応じ て、 遠心分離、 濾過等の分離操作を組み合わせても、 フッ酸と過酸化水素が溶解 している溶液等で粒子を洗浄し、 精製してもよい。
上記方法によって得られたタンタルまたはニオブの金属粉末に、 熱凝集、 脱酸 素、 徐酸化安定化処理等の前処理を行つう。 その後、 この金属粉末を成形、 焼結 して多孔質焼結体を製造する。 以下、 その具体的な方法を述べる。
熱凝集は、 金属粉末を真空中で加熱して凝集させて、 粉末中に存在する極微細 な粒子を比較的粒径の大きな 2次粒子とするため行う。 比較的大きな 2次粒子を 成形、 焼結して得られた多孔質焼結体は、 極微細な粒子から得られた多孔質焼結 体よりも大きな空孔を有する。 この空孔により、 電解コンデンサ陽極体として使 用する場合に、 電解質溶液が多孔質焼結体の内部まで浸透し、 高容量ィ匕をはかる ことができる。 また、 真空中で加熱することによって、 希釈塩由来のナトリウ ム、 マグネシウム等の不純物を除去することができる。 熱凝集は、 通常、 金属粉末を真空中 1 0 0 0から 1 6 0 0 °Cで、 0 . 5から 2 時間加熱して行う。 熱凝集の前には、 金属粉末に振動を与えながら、 粉体全体が 均一に濡れる量の水を添加する予備凝集を行うこともできる。 また、 金属に対し て 1 0から 3 0 0 p p m程度のリン、 ホウ素等を予め添加しておくことによつ て、 一次粒子の融合成長を抑え、 高表面積を維持しながら熱凝集させることがで さる。
ついで、 熱凝集で得られたケーキ状の粉体を、 大気中または不活性ガス中で解 碎する。 これにマグネシウム等の還元剤を加え、 粒子中の酸素と還元剤を反応さ せ、 脱酸素を行う。 脱酸素はアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で、 還元剤の融点 以上の温度で 1から 6時間行う。
そして、 その後の冷却中に、 アルゴンガスに空気を導入して金属粉末の徐酸ィ匕 安定化処理を行った後、 粉末中に残留しているマグネシウム、 酸化マグネシウム 等の還元剤由来の物質を酸洗浄して除去する。
このようにして熱凝集、 脱酸素、 徐酸化安定化処理を行った金属粉末に、 パイ ンダ一として 3から 5重量%程度のショウノウ (C 1 0H 1 6 O) 等を加えて、 プ レス成形する。 この成形体を 1 1 0 0から 1 8 0 0。じで 0. 3カゝら 1時間程度加 熱して焼結し、 多孔質焼結体を製造する。 なお、 焼結温度は、 金属の種類や粉末 の表面積に応じて適宜設定できる。
この多孔質焼結体を電解コンデンサ陽極体として使用する場合には、 金属粉末 をプレス成形する前に、 この粉末中にリード線を埋め込んでプレス成形し、 焼結 して、 リード線を一体化させる。 そして、 これを例えば温度 3 0から 9 0 °C、 濃 度 0 . 1質量0 /0程度のリン酸、 硝酸等の電解溶液中で、 4 0から8 0 111八 §の 電流密度で所定電圧まで昇圧して 1から 3時間処理し、 ィヒ成酸化を行って、 電解 コンデンサ用陽極体に使用する。 更に具体的には、 公知の方法で二酸化マンガ ン、 酸化鉛や導電性高分子等の固体電解質層、 グラフアイト層、 銀ペースト層を 多孔質焼結体上に順次形成し、 ついでその上に陰極端子をハンダ付けなどで接続 した後、 樹脂外被を形成して、 電解コンデンサ陽極体として使用する。
このようにして製造された電解コンデンサ陽極体は、 漏れ電流が少なく、 耐圧 が高いといった非常に優れた特性を有する。 実施例
以下、 本発明を実施例により具体的に説明する (実施例 1 )
ニッケル合金製の反応容器を 1 3 0 °Cにおいて乾燥した後、 希釈塩として、 水 分含有率が、 0 . 1 5質量%のフッ化カリウムと 0. 0 3質量%の塩化力リウム を重量比 1 : 1になるように反応容器に充填した。 この反応容器に、 原料の金属 塩として、 水分含有率が 0 . 2質量%のフッ化ニオブカリウムを投入し蓋を閉じ て、 十分にアルゴンガスで置換した。 これを 8 0 0 °Cに昇温して溶融した後、 ナ トリゥムをフッ化ニオブ力リゥムが還元されるのに必要な化学量より 1質量%過 剰になるように添加して、 フッ化ニオブカリウムの還元を行った。 これを冷却し た後、 蓋を開いて生成物を水洗し、 さらに混酸を用いて洗浄したところ表 1に示 すような不純物を含んだニオブ粉末が得られた。
なお、 希釈塩おょぴ金属塩の水分含有率の測定は、 次のようにして行った。 1 から 3 g程度の試料を秤量し、 プロ一ボックス内にある気化器に試料をセットし た。 まず、 サンプリング段階で付着した水分を 1 0 0から 1 5 0 °Cに加熱し気ィ匕 させた。 その水分量をカールフィッシャー水分気化法で測定し、 その後、 6 0 0 °C以上に試料を加熱し、 そこで発生した水分量を同様に、 カールフィッシャー 水分気化法にて測定した。
また、 ニオブ粉末,中の不純物含有量は、 フッ酸溶液に試料を溶解'させ、 I C P 質量分析法で測定した。 測定方法は以下である。
試料をビーカ一にはかりとつて、 フッ化水素酸 8 m 1を加えた後、 時計皿で覆 い、 硝酸 2 m lを少量づっ加えて、 加熱分解した。 放冷した後、 時計皿の下面及 ぴビーカーの内壁を水で洗浄し、 時計皿を取り除いた。 溶液を 1 0 0 m lの全量 フラスコに水を用いて移しいれ、 水で標線まで薄めた。 この溶液の一部を I C P 発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中へ噴霧し、 各定量元素ごとに得られる相 対標準偏差から求められる定量下限域再現性基準及び定量上限域再現性基準に基 づいた測定条件 (濃度) によって、 定量元素に適切な波長における各定量元素の 発光強度を測定した。 検量線作成用試料を使用して空試験を上述の試験と平行し て行つた。 検量線作成用の試料 1. 0 00 gを上述のようにフッ化水素酸及ぴ硝 酸にて分解した後、 定量元素の標準溶液をこれに加えた。 分析成分添加量 5 00 μ gにっき標準溶液添加量は 5. Om lであった。 得た各定量元素の発光強度と 検量線用溶液中の量との関係線を作成し、 検量線とした。 試料溶液と空試験で得 た発光強度と、 検量線とから、 各定量元素量を求め、 試料中の定量元素含有量を 次の式によって算出した。
E= Al-(A2-A3)x
m
ここに、 E:定量元素の含有率 [% (m/m) ]
A :試料溶液中の定量元素検出量 (g)
A2:空試験液中の定量元素検出量 (g)
A3:検量線作成用試科 1. 000 gに含まれる定量元素量
(g)
m:試料はかり取り量 (g) 表 1
Figure imgf000012_0001
(実施例 2から 7、 比較例 1から 3)
ニッケル合金製の反応容器を 1 3 0°Cにおいて乾燥した後、 実施例 1と同様に して求めた水分含有率が表 2の値の希釈塩および金属塩を使用して、 実施例 1と 同様に還元を行った。 その結果、 表 2に示すような不純物を含んだタンタル粉末 が得られた。
ここで使用した希釈塩と金属塩を 2 00°Cに加熱して発生した水の量も、 カー ルフィッシャ一法で測定した。 この結果も表 2に示す。 希釈塩 金 希釈塩と金属塩の 希轵塩と金属塩の 得られナ=金厲扮
200°Cにおける 水分含有率 水分含有率 合計水分含有率 末中の不 物;!
種類 種類 水分含有率
(質量%) (質 %》 (質量%)
(S量%) 塩化 ίΐリウム
実施例 2 0.03 フツ化タンタル 1)リウム 0Λ2 0.05 13 0.03 +フッ化カリウム
塩化 ίΐリウム
実施例 3 0.1 フ 化:^フ リウム 0.05 0.15 18 0.03 +フ 化 ftリウム
塩化 ftリウム
実施例 4 0.03 フツ化タンタル: 6リウム 0.02 0.05 14 0.08 +フ 化 ίΐリウム
塩化 リウム
実施例 5 Λ 0.1 フッ化二わ' Jbリウム 0.05 0.15 17 0.08 +フタ化 ίιリウム
塩化:リウム
実施例 δ 0.03 フ 化タンタルカリウム 0.02 0.05 16 0.13 +フッ化 リウム
塩化か Jゥム
実施例 7 0.1 フッ化二オフ'; bリウム 0.05 0.15 2D 0.13 +フッ化カリウム
塩化 ίιリウム
比較例 1 0.2 フ 化タンタルか Jゥム 0.05 0.25 58 0.03 +フッ化カリウム
塩化 ίιリウム
比較例 2 0·2 フク化タンタルか■!ゥム 0.05 0.25 88 0.08 +フッ化 リウム
比較例 3 塩化 リウム 0.2 フク化タンタル ίιリウム 0.05 0.25 110 0.13 +フッ化か Jゥム
表 1より、 実施例 1で得られたニオブ粉末は、 不純物量が少なく、 コンデンサ の陽極体に用いるのに十分な純度を有していた。
表 2から、 合計水分含有率が 0 . 2質量%未満の希釈塩および金属塩を使用し て得られた金属粉末は、 純度が高いことが明らかである。 また、 2 0 0 °Cにおい て発生する水分量が等しい試料どうしにおいても、 6 0 0 °Cに昇温した場合に、 発生した水分量、 すなわち本発明における水分含有率が異なった。 タンタル中に 含まれる不純物の量は、 6 0 0 °Cで発生した水の量から求めた水分含有率に相関 し、 2 0 0 °Cで発生した水の量から求めた水分含有率とは相関しないことがわか つた。
したがって、 従来行われていた 2 5 0 °C以下の温度による乾燥では、 十分に乾 燥が行われない。 その結果、 金属塩および希釈塩の結晶内に残存していた水分と 反応容器とが反応してしまう。 よって、 反応容器に由来する F e、 N i、 C r、 M o等の不純物が、 得られたタンタルまたはニオブ粉末に、 本願の方法による場 合と比較して多く混入してしまうことがわかった。 産業上の利用可能性
本発明の金属塩および希釈塩の評価方法、 並びに金属粉末の製造方法によれ ば、 '予め金属粉末の製造に適した金属塩および希釈塩を使用できる。 従って、 反 応容器と水分との反応で生じる不純物の溶出 ·混入を最低限に抑え、 安定に高純 度の金属粉末を得ることができる。 また、 その金属粉末を原料にした多孔質焼結 体は、 漏れ電流が少なく、 耐圧が高いといった優れた特性を有する電解コンデン サの陽極体として好適に用いることができ、 工業的に有益である。

Claims

請 求 の 範 囲
1 . タンタルまたはニオブを含有する金属塩を希釈塩中で還元し
て、 タンタルまたはニオブを生成させる方法において、
前記金属塩と
前記希釈塩は、
その合計水^ ^有率が、 該金属塩と該希釈塩とを 6 0 0 °Cに加熱して発生した水 の量からカールフィッシヤー法で求めた場合、 0 . 2質量%以下である 金属粉末の製造方法。
2 · 前記希釈塩は、
フッ化カリウム
又はそれを含む混合物であり、
フッ化カリゥム単独の水分含有率が、 前記カールフィッシヤー法で求めた場合、 0 . 1 5質量%以下である
請求項 1記載の金属粉末の製造方法。
3 . 前記希釈塩は、
塩化カリゥム
又はそれを含む混合物であり、
塩化力リゥム単独の水分含有率が、 前記カールフィッシヤー法で求めた場合、
0 , 0 5質量%以下である
請求項 1記載の金属粉末の製造方法。
4. 前記金属塩はフッ化タンタルカリゥムであり、 その水分含有率が、 前記力 ールフィッシャー法で求めた場合、 0 . 1質量%以下である
請求項 1に記載の金属粉末の製造方法。
5 . 前記金属塩はフッ化ニオブ力リウムであり、 その水分含有率が、 前記力一 ルフィッシャー法で求めた場合、 0. 1質量%以下である請求項 1に記載の金属 粉末の製造方法。
6 . 請求項 1に記載の製造方法で製造された金属粉末を用いる電解コンデンサ 陽極体。
7 . タンタルまたはニオブの製造に用いるタンタルまたはニオブを含有する金 属塩を評価する方法であって、 該金属塩を 6 0 0 °C以上に加熱して発生した水の 量から、 該金属塩の水分含有率を求める金属塩の評価方法。
8 . タンタルまたはニオブの製造に用いる希釈塩を評価する方法であって、 該 希釈塩を 6 0 0 °C以上に加熱して発生した水の量から、 該希釈塩の水分含有率を 求める希釈塩の評価方法。
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