明 細 書 研磨体、 研磨装置、 半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法 技術分野
本発明は、 内部に半導体回路等が形成されたウェハ等の半導体ウェハ などの被研磨物の研磨に用いられる研磨体、 この研磨体を用いた研磨装 置、 この研磨装置を用いた半導体デバイスの製造方法、 及び、 半導体デ バイスに関するものである。 背景技術
半導体集積回路の高集積化、 微細化に伴って、 半導体製造プロセスの 工程は、 増加し、 複雑になってきている。 これに伴い、 半導体デバイス の表面は必ずしも平坦ではなくなってきている。 半導体デバイスの表面 における段差の存在は、配線の段切れ、局所的な抵抗の増大などを招き、 断線や電気容量の低下などをもたらす。 また、 絶縁膜では耐電圧劣化や リークの発生などにもつながる。
一方、 半導体集積回路の高集積化、 微細化に伴って、 光リソグラフィ に用いられる半導体露光装置の光源波長は短くなり、 半導体露光装置の 投影レンズの開口数、 いわゆる N Aは大きくなつてきている。 これによ り、 半導体露光装置の投影レンズの焦点深度は、 実質的に浅くなつてき ている。 焦点深度が浅くなることに対応するためには、 今まで以上に半 導体デバイスの表面の平坦化が要求されている。
内部に半導体回路等が形成されたウェハ等のプロセスウェハなどの被 研磨物の研磨技術として、 大きな (ダイサイズレベルでの) エリアの効 率的な平坦化技術として注目を集めているのが、 化学的機械的研磨であ
る 。 こ れは、 C M P ( Chemical Mechanical Polishing 又 は Planarization) と呼ばれる研磨工程である。 C M Pは、 物理的研磨に、 化学的な作用を併用して、プロセスウェハの表面層を除いていく工程で、 グロ一バル平坦化及び、 電極形成のための重要な技術である。 具体的に は、酸性、 アル力リ性などの研磨物の可溶性溶媒中に、研磨粒(シリカ、 アルミナ、 酸化セリウムなどが一般的) を分散させたスラリーと呼ばれ る研磨剤を用い、 更に、 研磨パッ ドを有する研磨工具の前記研磨パッ ド で、 ウェハ表面を加圧し、 相対運動で摩擦することにより研磨を進行さ せる。
ところで、ブランク状態のウェハと異なり ターンウェハの表面は、 平坦ではなく、 特にチップが形成されている部分と形成されていない部 分とでは段差があるのが普通である。 よって、 このようなパターンゥェ ハを研磨する場合には、 ウェハ基板の大きな周期の凹凸 (うねり) に倣 つて、 すなわち凹凸 (うねり) に沿って一様に研磨 (これを、 「グローバ ル ' リムーバル均一性」 と呼んでいる。) を行いながら、 局所的な凹凸を なくす (これを、 「口一カル ·パターン平坦性」 と呼んでいる。) ことが 求められている。
このような要請に応えるべく、 従来は、 研磨工具において、 研磨体と して硬質研磨パッ ドと軟質パッ ドとを貼り合わせたいわゆる 2層パッ ド を用い、この 2層パッ ドを、硬質研磨パッ ドが被研磨物側となるように、 剛性体からなる研磨定盤の表面に貼り付けていた。 前記硬質研磨パッ ド として、 口デ―ル社製の I C 1 0 0 0 (商品名) が用いられ、 その表面 には研磨剤の供給及び排出のための溝が形成されていた。 この硬質研磨 パッ ドでは、 溝が形成されていない箇所の厚さが 1 . 2 7 m m、 溝の深 さが約 0 . 6 m m、溝が形成されている箇所の残り厚さが約 0 . 6 7 ( = 1 . 2 7 - 0 . 6 ) m mであった。 また、 前記軟質パヅ ドとして、 スポ
ンジ状の口デ一ル社製の S u b a 4 0 0 (商品名) が用いられていた。 このような 2層パッ ドからなる研磨体を用いれば、 硬質研磨パッ ドと 研磨定盤との間に軟質パッ ドが介在しているため、 軟質パッ ドが比較的 に圧縮変形し易いことから、 硬質研磨パッ ドがパターンウェハの大きな うねりに倣って変形する。 よって、 パターンウェハのうねりに沿って研 磨量を一定とした研磨を行うことができる。 一方、 局所的な凹凸に対し ては、 硬質研磨パッ ドが比較的に変形し難いので、 局所的な凹凸は研磨 により除去することができる。
しかしながら、 これまで以上に半導体集積回路の集積度を高めること が要請され、 より細かい配線ルールを適用することが要請されている。 また、 システム L S Iを研磨する需要が増加しているが、 システム L S Iにおいては、 パターンの疎密度の分布が激しくなつている。
このように、 細かい配線ルールで決定されるパターンや、 疎密度の分 布が激しいパターンが内部に形成されたパターンウェハを研磨する場合、 前述したような従来の研磨体を用いても、 「グローバル ·リム一バル均一 性」 と 「口一カル 'パターン平坦性」 を共に満足させることが困難であ つた。 すなわち、 これらのウェハにおいては局所的な凹凸が大きくなる 傾向にあり、 前述したような従来の研磨体を用いた場合には、 局所的な 凹凸が増大するに伴って、 軟質パッ ドが圧縮変形し、 硬質パッ ドもそれ に倣って変形する結果、段差解消性が低下し、 「ローカル 'パターン平坦 性」 を確保することが困難となる。
そこで、 本発明者は、 表面に溝が形成された研磨パッ ド、 硬質弾性部 材、 及び軟質部材をこの順に積層した構造を持つ研磨体を、 案出した。 ここで、 硬質弾性部材は、 例えば、 ヤング率が 10000 k g /m m 2以上 の弹性部材である。 軟質部材は、 例えば、 1 . O k g Z c m 2で加圧し た時の圧縮率が 1 0 %以上の部材である。
この研磨体を用いれば、 研磨パッ ドと軟質部材との間に硬質弾性部材 が挟み込まれているため、 「グローバル · リムーバル均一性」を確保しな がら、 段差解消性を高めて、 「ローカル ·パターン平坦性」 を向上させる ことができる。
この硬質弾性部材を挟み込んだ研磨体において用いる研磨面側の研磨 パッ ドとしては、 硬質パッ ドを用いることが好ましい。 そこで、 この研 磨体の研磨面側の研磨パッ ドとして、 前記従来の研磨体の硬質パッ ドと 同じく、 溝が形成されていない箇所の厚さが 1 . 2 7 m m、 溝の深さが 約 0 . 6 m m、溝が形成されている箇所の残り厚さが約 0 . 6 7 ( = 1 . 2 7 - 0 . 6 ) m mの、 口デール社製の I C 1 0 0 0 (商品名) をその まま用いることが考えられる。
しかし、 本発明者の研究の結果、 この場合には、 硬質弾性部材を挟み 込んだ研磨体では、 段差解消性の点では研磨面側の研磨パッ ドが本来的 に長い寿命を持っているにも拘わらずに、 当該研磨パッ ドの溝の深さに よる制約を受けて、 当該研磨パッ ドの寿命が短くなつてしまうことが判 明した。
すなわち、 硬質弾性部材を挟み込んだ研磨体の研磨面側の研磨パッ ド の厚さは、 被研磨物の研磨に伴う消耗やドレッシング (研磨面の目詰ま り等を除去する処理であり、 コンディショニングとも呼ばれる。)に伴う 消耗により、 薄くなつていく。 一方、 研磨パッ ドの表面の溝は、 研磨中 の研磨剤の供給及び排出のために不可欠であり、 溝が消失又は所定深さ 以下になってしまうと、 所望の研磨特性を得ることができない。 したが つて、 前記厚さや溝深さを持つ I C 1 0 0 0を用いる場合には、 溝が消 失するまで寿命が尽きないと仮定した場合でも、 溝が不可欠であるとい う制約から、 溝が形成されていない箇所の厚さが 0 . 6 7 ( = 1 . 2 7 — 0 . 6 ) m mまで薄くなつた時点で、 寿命が尽きることになる。 とこ
ろが、 本発明者の研究の結果、 硬質弾性部材を挟み込んだ研磨体におい て、 研磨面側の研磨パッ ドの厚さが 0 . 6 7 ( = 1 . 2 7 - 0 . 6 ) m mより薄くなつても、 当該研磨体による段差解消性が低下するどころか 逆にわずかに向上することが判明した。
このように、 硬質弾性部材を挟み込んだ研磨体において、 従来の研磨 パッ ドをそのまま用いると、 溝の深さの制約を受けて、 無駄に寿命が低 下してしまうのである。
なお、 前述した 2層パッ ドからなる研磨体の場合、 そもそも前述した 硬質弾性部材を挟み込んだ研磨体に比べて段差解消性が劣る上に、 研磨 面側の研磨パッ ドの溝が形成されていない箇所の厚さが薄くなるに従つ て段差解消性が低下してしまい、 前記厚さや溝深さを持つ I C 1 0 0 0 を用いても、 溝が消失する前に、 段差解消性の点から制約を受けて寿命 が尽きてしまう。 したがって、 2層パヅ ドからなる研磨体の場合、 研磨 面側の研磨パッ ドの溝をより深く しておいても、 何ら寿命を延ばすこと はできない。 発明の開示
本発明は、 前述したような本発明者の研究により新たに見出された事 情に鑑みてなされたもので、 「グローバル · リム一バル均一性」を確保し ながら、 段差解消性を高めて 「口一カル 'パターン平坦性」 を向上させ ることができ、 しかも寿命の長い研磨体、 及びこれに用いることができ る研磨パッ ドを提供することを目的とする。
また、本発明は、被研磨物を効率良く研磨することができるとともに、 ランニングコス トを低減することができる研磨装置を提供することを目 的とする。
さらに、 本発明は、 従来の半導体デバイスの製造方法に比べて、 歩留
りが向上ししかも効率良く低コストで半導体デバイスを製造することが できる半導体デバイスの製造方法、 及び低コス トの半導体デバイスを提 供することを目的とする。
前記目的を達成するための第 1の発明は、 研磨体と被研磨物との間に 研磨剤を介在させた状態で、 前記研磨体と前記被研磨物との間に荷重を 加えつつ、 前記研磨体と前記被研磨物とを相対移動させることにより、' 前記被研磨物を研磨する研磨装置に用いられる研磨体であって、 ( a)研 磨面側に溝が形成された研磨パッ ド、 硬質弾性部材、 及び軟質部材をこ の順に積層した構造を持ち、 (b)前記研磨パッ ドにおける前記溝の箇所 の残り厚さ が、 O mm< d≤ l . 6 mmの条件を満たすことを特徴と するものである。
前記第 1の発明において、 硬質弾性部材は、 例えば、 ヤング率が 1 0 0 0 0 k gZmm2以上の弾性部材であり、 典型的な例として金属板を 挙げることができる。 硬質弾性部材として、 例えば、 ステンレス板を用 いることができ、 その厚さは例えば 0. l mn!〜 0. 9 4mmとするこ とができる。 前記軟質部材は、 例えば、 1. O k g/c m2で加圧した 時の圧縮率が 1 0 %以上の部材であり、 典型的な例として、 気泡を内包 するウレタン弾性部材、 不織布などを挙げることができる。
また、 前記第 1の発明において、 例えば、 前記被研磨物が、 内部に半 導体集積回路が形成されたウェハなどのパターンウェハであり、 前記硬 質弾性部材は、 前記パターンウェハの研磨中にかけられる研磨荷重にお ける変形量が、 前記パターンウェハにおけるパターンの最大間隔間にお いて、 前記パターンウェハに許容される L T Vより小さく、 1チップに 相当する間隔間において、 前記パターンウェハに許容される T T Vより 大きくなるように構成されたものでもよい。 ここで、 L T V (Local Thickness Variation) とは、 ウェハの 1チップ内の局所的な凹凸のこと
であり、 T TV (Total Thickness Variation) とは、 ウェハ全体での 凹凸のことである。
前記目的を達成するための第 2の発明は、 前記第 1の発明であって、 前記残り厚さ dが、 d≤ 0. 2 7mmの条件を満たすことを特徴とする ものである。
前記目的を達成するための第 3の発明は、、研磨体と被研磨物との間に 研磨剤を介在させた状態で、 前記研磨体と前記被研磨物との間に荷重を 加えつつ、 前記研磨体と前記被研磨物とを相対移動させることにより、 前記被研磨物を研磨する研磨装置に用いられる研磨体であって、 ( a)研 磨面側に溝が形成された研磨パッ ド、 硬質弾性部材、 及び軟質部材をこ の順に積層した構造を持ち、 (b)前記研磨パッ ドにおける前記溝の箇所 の残り厚さ dは、前記研磨パッ ドにおける前記溝以外の箇所の厚さが 2. 5 mm以上 5 mm以下である場合には 0 mmく d≤ 1. 6 mmの条件を 満たし、 前記溝以外の箇所の厚さが 0. 9 mm以上 2. 5 mm未満であ る場合には 0 mm< d≤ 0. 6 mmの条件を満たし、 前記溝以外の箇所 の厚さが 0. 9 mm未満である場合には 0 mm< d≤ 0. 2 7 mmの条 件を満たすことを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第 4の発明は、 前記第 1の発明から第 3の 発明のうちのいずれかであって、 前記残り厚さ dが、 0. l mm≤ dの 条件を満たすことを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第 5の発明は、 前記第 1の発明から第 4の 発明のうちのいずれかであって、 前記研磨パッ ドの、 1. 0 k g/ c m 2で加圧した時の圧縮率が、 1 0 %以下であることを特徴とするもので める。
前記目的を達成するための第 6の発明は、 前記第 3の発明である研磨 体に用いられる研磨面側に溝が形成された研磨パッ ドであって、 前記溝
の箇所の残り厚さ dは、 前記溝以外の箇所の厚さが 2. 5 mm以上 5 m m以下である場合には 0 mm< d≤ 1. 6 mmの条件を満たし、 前記溝 以外の箇所の厚さが 0. 9 mm以上 2. 5 mm未満である場合には 0 m m< d≤ 0. 6 mmの条件を満たし、 前記溝以外の箇所の厚さが 0. 9 mm未満である場合には 0 mmく d ^ 0. 27 mmの条件を満たすこと を特徴とするものである。
前記目的を達成するための第 7の発明は、 研磨面側に溝が形成された 研磨パッ ドであって、 前記溝の箇所の残り厚さ dは、 前記溝以外の箇所 の厚さが 2. 5 mm以上 5 mm以下である場合には 0 mm< d≤ 1. 6 mmの条件を満たし、 前記溝以外の箇所の厚さが 0. 9mm以上 2. 5 mm未満である場合には 0 mm< d≤ 0. 6 mmの条件を満たし、 前記 溝以外の箇所の厚さが 0. 9 mm未満である場合には 0 mm< d≤ 0. 27 mmの条件を満たすことを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第 8の発明は、 前記第 6の発明、 又は第 7 の発明であって、 1. 0 kgノ cm2で加圧した時の圧縮率が、 1 0% 以下であることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第 9の発明は、 研磨体と被研磨物との間に 研磨剤を介在させた状態で、 前記研磨体と前記被研磨物との間に荷重を 加えつつ、 前記研磨体と前記被研磨物とを相対移動させることにより、 前記被研磨物を研磨する研磨装置であって、 前記研磨体が前記第 1の発 明から第 5の発明のうちのいずれかの研磨体であることを特徴とするも のである。
前記目的を達成するための第 10の発明は、 前記第 9の発明である研 磨装置を用いて、 半導体ウェハの表面を平坦化する工程を有することを 特徴とする半導体デバイスの製造方法である。
前記目的を達成するための第 1 1の発明は、 前記第 1 0の発明である
半導体デバイスの製造方法により製造されることを特徴とする半導体デ バイスである。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の一実施の形態である研磨装置を模式的に示す概略構 成図である。
図 2は、 図 1中の A— A ' 矢視の一部拡大図である。
図 3は、 図 2中の B— B, 線に沿った概略断面図である。
図 4は、 解析モデルを模式的に示す概略断面図である。
図 5は、 他の解析モデルを模式的に示す概略断面図である。
図 6は、 図 4及び図 5に示すモデルの解析結果を示す図である。
図 7は、 半導体デバイス製造プロセスを示すフローチヤ一トである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明である研磨体、 研磨装置、 半導体デバイス及び半導体デ バイス製造方法について、 図面を参照して説明する。
図 1は、 本発明の一実施の形態である研磨装置を模式的に示す概略構 成図である。 図 2は、 図 1中の A— A ' 矢視の一部拡大図である。 図 3 は、 図 2中の B— B ' 線に沿った概略断面図である。
本実施の形態である研磨装置は、 研磨工具 1 と、 研磨工具 1の下側に 被研磨物としてのウェハ 2を保持するウェハホルダ 3と、 研磨工具 1に 形成した供給路 (図示せず) を介してウェハ 2 と研磨工具 1 との間に研 磨剤(スラ リー) を供給する研磨剤供給部(図示せず) と、 備えている。 研磨工具 1は、 ァクチユエ一夕として電動モー夕等を用いた図示しな い機構によって、 図 1中の矢印 a , b, cで示すように、 回転、 上下動 及び左右に揺動(往復動)できるようになっている。ウェハホルダ 3は、
ァクチユエ一夕として電動モー夕等を用いた図示しない機構によって、 図 1中の矢印 tで示すように、 回転できるようになつている。
研磨工具 1は、 研磨体 4と、 研磨体 4における研磨面 (図 1中の下面) と反対側の面 (図 1中の上面) を支持する基材 5とを有している。 本実 施の形態では、 研磨体 4の径がウェハ 2の径より小さくされ、 装置全体 のフッ トプリントが小さくなつているとともに、 高速 ·低荷重研磨が容 易となっている。 もっとも、 本発明では、 研磨体 4の径はウェハ 2の径 と同じかそれより大きくてもよい。 研磨体 4 (特に研磨パッ ド 6 ) の平 面視での形状は、 例えば、 回転中心の付近の部分が除去されたリング状 としてもよいし、 円板状としてもよい。
研磨体 4は、 図 1及び図 3に示すように、 研磨パッ ド 6、 硬質弾性部 材 7、 及び軟質部材 8を、 研磨面側からこの順に積層した構造を持って いる。 研磨パッ ド 6と硬質弾性部材 7との間、 硬質弾性部材 7と軟質部 材 8との間、 軟質部材 8と基材 5との間は、 例えば、 接着剤や両面接着 テープを用いた接着等により、 接合することができる。 研磨パッ ド 6の 寿命が尽きた場合には、 研磨体 4の全体を交換してもよいし、 研磨パッ ド 6のみを交換してもよい。
研磨パッ ド 6は、 硬質パッ ドであることが好ましく、 例えば、 1 . 0 k g / c m 2で加圧した時の圧縮率が 1 0 %以下であることが好ましい c 具体的には、 研磨パッ ド 6として、 例えば、 口デ一ル社製の I C 1 0 0 0 (商品名)を用いることができるが、これに限定されるものではない。 研磨パッ ド 6の研磨面側には、 図 2及び図 3に示すように、 格子状の パターンで溝 6 aが形成されている。 もっとも、 溝 6 aのパターンは、 格子状に限定されるものではなく、 種々のパターンを採用し得る。
研磨パヅ ド 6における溝 6 aの箇所の残り厚さ dは、 0 m m < d≤ 0 . 6 m mの条件を満たすように設定されている。 研磨パッ ド 6における溝
6 aの箇所の残り厚さ dは、 例えば、 0mm<d≤ 0. 27 mmの条件 を満たすように設定してもよい。
あるいは、 研磨パッ ド 6における溝 6 aの箇所の残り厚さ dは、 研磨 パヅ ド 6における溝以外の箇所の初期の厚さ d 0が 2. 5 mm以上 5 m m以下である場合には 0 mm< d≤ 1. 6 mmの条件を満たし、 溝 6 a 以外の箇所の初期の厚さ d 0が 0. 9 mm以上 2. 5 mm未満である場 合には 0mm<d^ 0. 6 mmの条件を満たし、 溝 6 a以外の箇所の初 期の厚さ d 0が 0. 9 mm未満である場合には 0 mm< d≤ 0. 27m mの条件を満たすように、 設定してもよい。
なお、 研磨パッ ド 6における溝 6 aの箇所の残り厚さ dは、 0mmを 越える値であれば、 溝 6 aで分離していないので、 研磨パッ ド 6を硬質 弾性部材 7に貼り付ける際の取り扱いが容易となる。 残り厚さ dが 0. 1 mm以上であれば、 不用意に溝 6 aの箇所で分離してしまうようなお それがなくなり、 より好ましい。
硬質弾性部材 7は、 例えば、 ヤング率が 10000k gZmm2以上の弾 性部材であり、 典型的な例として金属板を挙げることができる。 具体的 には、 硬質弾性部材 7として、 例えば、 ステンレス板を用いることがで き、 その厚さは例えば 0. lmm〜0. 94 mmとすることができる。 なお、 硬質弾性部材 7は、 ウェハ 2の研磨中にかけられる研磨荷重に おける変形量が、 ウェハ 2におけるパターンの最大間隔間において、 ゥ ェハ 2に許容される L T Vより小さく、 1チップに相当する間隔間にお いて、 前記パターンウェハに許容される TTVより大きくなるように構 成されたものでもよい。
軟質部材 8は、 例えば、 1. 0 k gZcm2で加圧した時の圧縮率が 10 %以上の部材であり、 典型的な例として、 気泡を内包するウレタン 弾性部材、 不織布などを挙げることができる。 具体的には、 軟質部材 8
として、 口デール社製の S u b a 4 0 0 (商品名) を用いることができ o
ここで、 本実施の形態であるウェハ 2の研磨について説明する。 研磨 工具 1は、 回転しながら揺動つつ、 研磨工具 1の研磨体 4がウェハホル ダ 3上のウェハ 2の上面に所定の圧力 (荷重) で押し付けられる。 ゥェ ハホルダ 3を回転させてウェハ 2も回転させ、 ウェハ 2と研磨工具 1と の間で相対運動を行わせる。 この状態で、 研磨剤が研磨剤供給部からゥ ェハ 2 と研磨体 4との間に供給され、 その間で拡散し、 ゥ: ハ 2の被研 磨面を研磨する。 すなわち、 研磨工具 1 とウェハ 2の相対運動による機 械的研磨と、 研磨剤の化学的作用が相乗的に作用して良好な研磨が行わ れる。 このとき、 研磨体 4の研磨パッ ド 6の溝 6 aは、.研磨中の研磨剤 の供給及び排出の作用を担う。
本実施の形態によれば、 研磨体 4が、 研磨パッ ド 6、 硬質弾性部材 7 及び軟質部材 8の積層体として構成されており、 研磨パヅ ド 6と軟質部 材 8との間に硬質弾性部材 7が挟み込まれているため、 硬質弾性部材 7 を介在させない場合 (すなわち、 研磨体を、 硬質研磨パッ ドと軟質パッ ドとを貼り合わせた従来の 2層パッ ドで構成する場合)に比べて、 「グロ 一バル · リム一バル均一性」 を確保しながら、 段差解消性を高めて、 「口 —カル ·パターン平坦性」 を向上させることができる。
研磨パッ ド 6の溝 6 a以外の箇所の厚さは、 ウェハ 2の研磨に伴う消 耗ゃドレッシングに伴う消耗により、 薄くなつていく。 本実施の形態で は、 従来の 2層パッ ドからなる研磨体の硬質パッ ドと異なり、 研磨体 4 の研磨パッ ド 6における溝 6 aの箇所の残り厚さ dが前述したように設 定されているので、 溝 6 aの深さの制約が緩和され、 無駄に研磨パッ ド 6の寿命が低下してしまう事態が低減され、寿命が延びる。したがって、 本実施の形態によれば、 ウェハ 2を効率良く研磨することができるとと
もに、 ランニングコストを低減することができる。
この点について、 本発明者は、 図 4に示すモデル及び図 5に示すモデ ルについて、 有限要素法を用いた解析を行い、 図 6に示す解析結果を得 た。 図 4及び図 5において、 図 1及び図 3中の要素と同一又は対応する 要素には、 同一符号を付している。 図 4及び図 5は解析モデルを模式的 に示す概略断面図である。
図 4に示すモデルでは、 基材 5は完全な剛体であるものとした。 軟質 部材 8は、 口デ一ル社製の S u b a 4 0 0 (商品名) とし、 荷重をかけ ないときのその厚さを 1 . 2 7 m mとした。硬質弾性部材 7は、厚さ 0 . 2 m mのステンレス板とした。 研磨パッ ド 6は、 口デ一ル社製の I C 1 0 0 0 (商品名) とし、荷重をかけないときのその厚さを d 0 ' とした。 研磨パヅ ド 6は溝 6 aを有していないものとした。 ウェハ 2に代わるも のとして、 平面からなる上面を有し上面側に平面視で 4 X 4 m m角の十 分深い孔 1 0 aを有する完全な剛体 1 0を想定し、 基材 5に上方から 2 0 0 g f / c m 2の荷重をかけたときの、 研磨パッ ド 6の孔 1 0 a内へ のめり込み量 Δ hを、 研磨パッ ド 6の厚さ d 0 5 をそれそれ変えて各厚 さ d 0 5 について、 有限要素法を用いて算出した。 このようにして得た 図 4に示す解析モデルの解析結果を、 図 6中にライ ン Cで示す。 図 4に 示す解析モデルは、 前述した実施の形態の研磨体 4に相当している。 図 5に示すモデルが図 4に示すモデルと異なる所は、 硬質弾性部材 7 が除去されている点のみである。 図 5に示すモデルの他の条件は、 図 4 に示すモデルと場合と全く同一として、 研磨パ ヅ ド 6の孔 1 0 a内への めり込み量 A hを、 研磨パッ ド 6の厚さ d O 3 をそれそれ変えて各厚さ d 0 5 について、 有限要素法を用いて算出した。 このようにして得た図 5に示す解析モデルの解析結果を、 図 6中にライン Dで示す。 図 5に示 す解析モデルは、 前述した 2層パッ ドからなる従来の研磨体に相当して
いる。
図 4及び図 5に示すモデルにおいて、 めり込み量 Δ hの大きさはゥェ ハ 2等の被研磨物の段差解消性の指標となり、 めり込み量 Δ hが大きい ほど段差解消性は低く、 逆に、 めり込み量 Δ ΐιが小さいほど段差解消性 が高いことを意味する。
図 6からわかるように、 前述した実施の形態の研磨体 4に相当する図 4に示すモデルの場合、 研磨パッ ド 6の各厚さ d 0, に渡って、 めり込 み量 Δ ΐιが十分に小さくて段差解消性が高く、 しかも、 厚さ d O ' が薄 くなるに従って段差解消性が低下するどころか逆にわずかに向上する。 これは、 研磨パッ ド 6が薄くなるに従って硬質弾性部材 7の影響が支配 的になるためであると、 考えられる。 なお、 図 6中の Cに示すように、 研磨パヅ ド 6の厚さ d 0, が 0 . 6 7 ( = 1 . 2 7 - 0 . 6 ) m mより 薄くなつても、 段差解消性が向上している。
これに対し、 前述した 2層パッ ドからなる従来の研磨体に相当する図 5に示すモデルの場合、 研磨パッ ド 6の各厚さ d 0 ' に渡ってそもそも めり込み量 A hが大きく段差解消性が低い上に、 厚さ d O ' が薄くなる に従って、 急激にめり込み量 Δ hが増大し、 段差解消性が急激に大きく 低下することがわかる。
したがって、 図 6に示す解析結果から、 前述した 2層パヅ ドからなる 従来の研磨体の場合には、 段差解消性の点から研磨パッ ド 6の寿命に制 約が生じてしまうのに対し、前述した実施の形態の研磨体 4の場合には、 段差解消性の点から研磨パッ ド 6の寿命が制約されてしまうようなこと がない。
このため、 前述した実施の形態の研磨体 4の場合には、 研磨体 4の研 磨パッ ド 6における溝 6 aの箇所の残り厚さ dを可能な限り薄く し、 当 初の研磨パヅ ド 6の溝 6 aの深さを深く しておくほど、 溝 6 aによる寿
命の制約が緩和され、 研磨パッ ド 6の寿命が延びることがわかる。 した がって、 本実施の形態では、 研磨体 4の研磨パッド 6における溝 6 aの 箇所の残り厚さ dが前述したように設定されているので、 既存の溝付き の口デ一ル社製の I C 1 0 0 0 (商品名) を研磨パッ ド 6としてそのま ま用いる場合に比べて、 研磨パッ ド 6の寿命を延ばすことができる。 なお、 前述した 2層パッ ドからなる従来の研磨体の場合には、 段差解 消性の点から研磨パッ ドの寿命が制約されてしまうので、 溝の箇所の残 り厚さをいく ら薄くしても、 研磨パッ ド 6の寿命を延ばすことは不可能 である。
次に、 本発明に係る半導体デバイスの製造方法の実施の形態について 説明する。 図 7は、 半導体デバイス製造プロセスを示すフローチャート である。 半導体デバイス製造プロセスをスタートして、 まずステップ S 2 0 0で、 次に挙げるステップ S 2 0 1〜S 2 0 4の中から適切な処理 工程を選択する。 選択に従って、 ステップ S 2 0 1〜S 2 0 4のいずれ かに進む。
ステップ S 2 0 1はシリコンウェハの表面を酸化させる酸化工程であ る。 ステップ S 2 0 2は C V D等によりシリコンウェハ表面に絶縁膜を 形成する C V D工程である。 ステップ S 2 0 3はシリコンウェハ上に電 極膜を蒸着等の工程で形成する電極形成工程である。 ステツプ S 2 0 4 はシリコンウェハにイオンを打ち込むイオン打ち込み工程である。
C V D工程もしくは電極形成工程の後で、 ステップ S 2 0 9に進み、 C M P工程を行うかどうかを判断する。 行わない場合はステヅプ S 2 0 6に進むが、 行う場合はステップ S 2 0 5に進む。 ステップ S 2 0 5は C M P工程であり、 この工程では、 本発明に係る研磨装置を用いて、 層 間絶縁膜の平坦化や、 半導体デバイスの表面の金属膜の研磨によるダマ シン (damascene) の形成等が行われる。
C M P工程または酸化工程の後でステップ S 2 0 6に進む。 ステップ S 2 0 6はフォト リソ工程である。 フォトリソ工程では、 シリコンゥェ ハへのレジス トの塗布、 露光装置を用いた露光によるシリコンウェハへ の回路パターンの焼き付け、露光したシリコンウェハの現像が行われる。 さらに次のステップ S 2 0 7は、 現像したレジスト像以外の部分をエツ チングにより削り、 その後レジスト剥離を行い、 エッチングが済んで不 要となったレジス トを取り除くエッチング工程である。
次にステップ S 2 0 8で必要な全工程が完了したかを判断し、 完了し ていなければステップ S 2 0 0に戻り、 先のステップを繰り返して、 シ リコンウェハ上に回路パターンが形成される。 ステップ S 2 0 8で全ェ 程が完了したと判断されればェンドとなる。
本発明に係る半導体デバイス製造方法では、 C M P工程において本発 明に係る研磨装置を用いているため、 ウェハ 2を高い精度で平坦に研磨 することができる。 このため、 C M P工程での歩留まりが向上し、 従来 の半導体デバイス製造方法に比べて低コス トで半導体デバイスを製造す ることができるという効果がある。 また、 研磨体 4の研磨パッ ド 6の寿 命が長いので、 ウェハ 2を効率良く平坦に研磨することができ、 この点 からも低コス トで半導体デバイスを製造することができる。
なお、 前記の半導体デバイス製造プロセス以外の半導体デバイス製造 プロセスの C M P工程に本発明に係る研磨装置を用いても良い。
本発明に係る半導体デバイスは、 本発明に係る半導体デバイス製造方 法により製造される。 これにより、 従来.の半導体デバイス製造方法に比 ベて低コストで半導体デバイスを製造することができ、 半導体デバイス の製造原価を低減することができるという効果がある。
以上、 本発明の実施の形態について説明したが、 本発明はこの実施の 形態に限定されるものではない。