WO2004001089A1 - アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Nagasaka
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Abstract

金属、セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた粉末3が、ニッケル基合金、コバルト基合金及び鉄基合金から成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた外皮2で被われたアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ1である。複合ワイヤは、このような粉末に、ボロン又はボロン化合物、シリコン又はシリコン化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた粉末を添加し、自溶性化した点に特徴を有する。

Description

明 細 書
アーク溶射用耐摩耗材複合ヮィャ及びその製造方法
技 術 分 野
本発明は、 アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤに関し、 詳しくは、 ポンプ、 水 車、 コンプレッサーなどの回転機械の部材であって、 耐サンドエロージョン性又 は耐スラリーエロ一ジョン性などが要求される羽根車、 ケーシング、 ブレード、 軸受及びシールなどの金属部材の表面に耐摩耗性コーティングを施すために使用 するのに適したアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ及びその製造方法、 アーク溶射 用耐摩耗材複合ワイヤにより溶射処理された羽根車及びその羽根車を備えた流体 機械に関するものである。
背 景 技 術
ポンプ、 水車、 コンプレッサーなどの回転機械では、 高速、 大容量化のニーズ に伴い、 粒子混入によるサンドエロージョン及び流水中への土砂の混入によるス ラリーエロージョンなどによって金属材料の損傷が問題となる。 回転機械に利用 される材料には、 高靭性と共に優れた耐サンドエロージョン性及び耐スラリーェ ロージヨン性が要求されるため、 金属基材に溶射技術が多用されるようになって きた。 サンドエロージョンあるいはスラリーエロージョンは部位の特定な位置に 部分的に発生するため、 予めその損傷が起こると予測される部位にあらかじめ耐 摩耗性コ一ティングを施工することできる。 また、 一定の稼動後に、 サンドエロ —ジョン又はスラリーエロ一ジョン等で損傷した箇所にアーク溶射で補修するこ とで、 回転機械の長寿命化を図ることができる。
このようなアーク溶射処理に使用される耐摩耗材の複合ワイヤは、 図 1で全体 が 1で示されるように、 管状の金属製外皮 2の内部に W C又は W2 C等からなる セラミックスの粉体 3を充填して構成されるワイヤである。 かかる複合ワイヤは、 —般的に、 帯状の金属板を横断面が樋状又は U字状になるように湾曲させてでき た凹部内にセラミックスの粉体を供給し、 これを折り曲げ加工しながら内部にセ ラミックス粉末を巻き込ませて管状に成形し、 更にそれを伸線加工することによ つて製造されるか、 或いは、 予め作製さ^た管状体内にセラミックスの粉体を振 動させながら充填し、 その後伸線加工することによってされている。 かかる耐摩耗材の複合ワイヤを使用したアーク溶射法の概念図を示せば、 図 2 のようになる。 同図からわかるように、 アーク溶射法は、 複合ワイヤ (直径 1 . 5〜3 . 2 mm) 1を 2本一対として使用し、 先端で斜めに交叉するようにして 図示しない送り機構により連続的に供給すると共に、 両複合ワイヤ 1に所定の電 圧を印加し、 その先端間でアークを発生させてそれによつて複合ワイヤを溶融さ せ、 溶融された金属とセラミックス粒子をノズル 5から噴出する空気ジエツ卜で、 基材 Bに吹き付けて金属及びセラミックス粒子の皮膜を形成するように、 行われ る。 このように、 一対の複合ワイヤ 1間でアーク放電を生じさせることにより複 合ワイヤの両先端部を溶融させ、 ノズル 5からのキヤリァガスであるエアにより 溶融物を溶射領域に溶着させることで溶射領域に耐摩耗材の皮膜 6を形成する。 アーク溶射においては、 ェアジエツ卜で複合ワイヤの溶滴及び未溶融のセラミ ックス粒子を吹き飛ばす機構になっているため、 セラミックスが炭化タンダステ ンである場合、 粒子径が 5 m以下であると、 セラミックス粒子が周辺に飛散し てしまうため、 炭化タングステン粒子の溶射効率が極端に小さくなつて溶射皮膜 層内の炭化タングステン粒子の含有率が小さくなり、 所望の耐摩耗性被) が得ら れない問題がある。 アーク溶射における複合ワイヤに充填した硬質粒子 (W2 C ) と溶射効率との関係を図 3に示す。 この図からもわかるように、 限られた範囲で はあるが、 硬質粒子の粒径が増加すれば溶射効率が増加する。 また、 従来の複合 ワイヤでは、 比較的融点の高い N i基合金、 C o基合金又は F e基合金等の金属 をフープすなわち外皮の材料として用いているため、 溶射層内の空隙が多くて緻 密な溶射層が得られていないため、 過酷なスラリーエロ一ジョンが起こるポンプ 部材に従来のアーク溶射を適用した場合、 要求される耐スラリーエロージョン性 が得られない問題がある。
本発明者は、 上記のような従来のアーク溶射用複合ワイヤの問題点に鑑み研究 を重ねた結果、 複合ワイヤを構成している粉末又は外皮に特定の成分を加えるこ とによって複合ワイヤの自溶性化が可能なことを見出し、 そのような自溶性化さ れた複合ワイヤを使用して溶射処理することによって、 耐スラリーエロージョン 性を向上できることを見出した。 また、 外皮内に充填される粉末を所望の大きさ に造粒することによつてもアーク溶射時における硬質粒子の飛散を抑制し、 溶射 効率の向上を図れることを見出した。
発 明 の 概 要
したがって、 本発明の目的は、 耐スラリーエロージョン性を向上できるアーク 溶射用耐摩耗材複合ワイヤを提供することである。
本発明の他の目的は、 複合ワイヤを構成する粉末にボロン又はボロン化合物、 シリコン又はシリコン化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択される 少なくとも一種の材料でできた粉末を添加し、 アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ を自溶性化し、 それによつて複合ワイヤの溶射効率を増大させて耐摩耗性を向上 することである。
本発明の別の目的は、 複合ワイヤを構成する外皮の材料に、 ボロン、 シリコン 及びリンから成る群から選択される少なくとも一種の元素を添加し、 アーク溶射 用耐摩耗材複合ワイヤを自溶性化し、 それによつて複合ワイヤの溶射効率を増大 させて耐摩耗性を向上することである。
本発明の別の目的は、 外皮の中に充填される粉末を所望の大きさの粒子に造粒 することによって複合ワイヤの溶射効率を増大させて耐摩耗性を向上することで ある。
本発明の更に別の目的は、 上記のようなアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤの製 造方法、 複合ワイヤを使用して溶射処理された羽根車、 及びそのような羽根車を 備える流体機械を提供することである。
本発明によれば、 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択され る少なくとも一種の材料でできた粉末が、 ニッケル基合金、 コバルト基合金及び 鉄基合金から成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた外皮で被われ たアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記粉末に、 ボロン又はボロン化 合物、 シリコン又はシリコン化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択 される少なくとも一種の材料でできた粉末を添加し、 自溶性化したアーク溶射用 耐摩耗材複合ワイヤが提供される。
上記金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくとも 一種の材料でできた粉末と、 前記ボロン又はボロン化合物、 シリコン又はシリコ ン化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択される少なくとも一種の材 料でできた粉末とを粒径が 1 5 mないし 1 5 0 mとなるように造粒してもよ い。
本願の他の発明によれば、 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から 選択される少なくとも一種の材料でできた粉末が、 ニッケル基合金、 コバルト基 合金及び鉄基合金から成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた外皮 で被われたアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記外皮の材料に、 ポロ ン、 シリコン及びリンから成る群から選択される少なくとも一種の元素を添加し、 自溶性化したアーク溶射用耐摩耗材複合ワイャが提供される。
上記アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 セラミックスが炭化物及び酸 化物のいずれかであってもよく、 セラミックスが W C又は W2 Cであってもよい。 更に、 W C又は W2 Cを主成分とする粉末の一次粒子径が 以上、 150 m以 下であってもよい。
本願の別の発明によれば、 ハブと、 前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り 付けられた複数の翼とを備えた羽根車であって、 前記羽根車の表面の少なくと も一部が、 前記アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理されている羽 根車が提供される。
本願の更に別の発明によれば、 ハブと、 前記ハブの周りに円周方向に隔てて 取り付けられた複数の翼とを備えた羽根車と、 前記羽根車を回転可能に収容 する室を画定するケーシングと、 を備え、 た流体機械であって、 前記羽根車の 表面の少なくとも一部及び/又は前記ケーシングの内面の少なくとも一部が、 前 記アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理されている流体機械が提供 される。
図面の簡単な説明
図 1は、 複合ワイヤの一般的構造を示す拡大横断面図である。
図 2は、 アーク溶射の原理を説明するアーク溶射方の溶射概念図である。
図 3は、 アーク溶射における複合ワイヤに充填した硬質粒子と溶射効率との関 係を説明する図である。
図 4 Aは、 本発明の一実施例による複合ワイヤを使用したアーク溶射による皮 膜の断面性状及びピツカ一ス硬さと従来の複合ワイヤを使用した場合の断面性状 及びビッカース硬さとの比較を示す図である。
図 4 Bは、 本発明の他の実施例による複合ワイヤを使用したアーク溶射による 皮膜の断面性状を示す図である。
図 5は、 基材及び各種アーク溶射材におけるビッカース硬さとスラリーエロー ジョン損傷深さ速度との関係を示す図である。
図 6は、 アーク溶射条件と耐摩耗性との関係を示す図である。
図 7は、 本発明のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理された羽 根車の一例を示す断面図である。
図 8は、 図 7の羽根車を備えるポンプの断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施形態について説明する。
本実施形態によるアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ (以下単に複合ワイヤ) も、 図 1に示される従来の複合ワイヤ 1と同様に、 管状の外皮 (フープ) と、 その外 皮内に充填されている粉末とで構成されている。 本実施形態においては、 外皮の 材料及び/又は粉末の材料が改良されている。 一つの実施形態による複合ワイヤ において、 外皮がニッケル基合金、 コバルト基合金及び鉄基合金から成る群から 選択される少なくとも一種の合金材料でつくられている。 外皮内に充填される粉 末の材料は、 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少な くとも一種の材料でできた粉末に、 ボロン (B ) 又はボロン化合物、 シリコン ( S i ) 又はシリコン化合物及びリン (P ) 又はリン化合物から成る群から選択 される少なくとも一種の材料でできた粉末を添加混合してつくられている。 外皮 は、 従来と同様に、 前記合金材料製の板材又はストップ材を横断面が樋状又は U 形状に形成され、 その中に混合された粉末を充填した後外皮を管状に成形し、 伸 線して複合ワイヤにしている。 本発明者は、 管状の外皮内に充填される金属及び /又はセラミックス (炭化タングステン (W C、 W2 C ) ) の粉末に上記のよう な材料を添加することで複合ワイヤを低融点化、 すなわち自溶性 (自己溶融性) 化させることが可能になり、 複合ワイヤを低融点化することで、 アーク溶射施工 時に、 セラミックス (例'えば W2 C ) 等の硬質材料でできた粒子の飛散を低減さ せることができることを見出した。 したがって、 基材に溶射された皮膜層内には それだけ多くの耐摩耗性の硬質材料の粉末が含まれていることになる。 耐摩耗性 皮膜としての有効に機能することになる。 複合ワイヤを自溶性化することにより すなわち融点を低くすることによりセラミックス等の硬質材料の粉末の飛散を減 少させることができるのは、 溶融した金属層にセラミックス等の硬質粒子が捕捉 され易くなるためと思われる。
上記の場合において、 セラミックスの粉末としては WC又は W2Cの炭化物の 粉末であっても、 或いは酸化アルミ二ユウム (A 1203)、 酸化ジルコ二ユウム
(Z r〇2)、 酸化チタン (T i〇2) 等の酸化物の粉末であってもよい。 セラミ ックスとして WC又は W2Cを使用する場合、 WC又は W2Cを主成分とする粉 末の一次粒子径は好ましくは 5 m以上で 1 50 ^m以下であり、 最も好ましく は 5 m以上で 65 m以下である。 また、 A l 23、 Z r〇2、 T i〇2等の酸 化物の粉末の一次粒子径は好ましくは 1 m以上で 1 50 ζπι以下であり、 最も 好ましくは 1 m以上で 50 m以下である。
更に、 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくと も一種の材料でできた粉末と、 ボロン又はボロン化合物、 シリコン又はシリコン 化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択される少なくとも一種の材料 でできた粉末とを混合してつくり、 それらの粉末を、 好ましくは、 粒径が 5 z^m ないし 1 50 ΠΙ、 最も好ましくは、 5 mないし 65 / mとなるように造粒し てもよい。 造粒は公知の方法で行えばよい。
本発明の他の実施形態において、 外皮の材料は、 ニッケル基合金、 コバルト基 合金及び鉄基合金から成る群から選択される少なくとも一種に、 ボロン、 シリコ ン及びリンから成る群から選択される少なくとも一種の元素を添加してつくられ ている。 外皮はこのような材料を使用して前記実施形態と同様にしてつくられ、 その中に充填される粉末は、 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から 選択される少なくとも一種の材料でできている。
本発明者は、 この実施形態のように、 管状の外皮の材料の中に上記のようなボ ロン、 シリコン及びリンから成る群から選択される少なくとも一種の元素を添加 することでも複合ワイヤを低融点化、 すなわち自溶性 (自己溶融性) 化させるこ とが可能になり、 複合ワイヤを低融点化することで、 アーク溶射施工時に、 セラ ミックス (例えば W2 C ) 等の硬質材料の飛散を低減させ、 溶射効率を向上させ ることができることを見出した。 したがって、 基材に溶射された皮膜層内にはそ れだけ多くの耐摩耗性の硬質材料の粉末が含まれていることになる。 耐摩耗性皮 膜として有効に機能することになる。
上記のようにしてつくられた耐摩耗材複合ワイヤは、 図 2に示される公知のァ ーク溶射法により基材の表面に溶射され、 基材に耐摩耗性の皮膜を形成する。 か かる耐摩耗性の皮膜が形成される基材の例としては、 ポンプ、 水車、 コンプレツ サーなどの回転機械の部材、 より具体的には、 耐サンドエロ一ジョン性又は耐ス ラリーエロージョン性などが要求される羽根車、 ケーシング、 ブレード、 軸受及 びシールなどがあげられる。 このような基材に耐摩耗性の皮膜を形成することに より、 このような基材の耐摩耗性を向上させ、 そのような基材を使用した機械、 例えば、 ポンプ、 水車、 コンプレッサー等の寿命を延ばすことが可能になる。
[実施例 1 ]
外皮を N i C r合金で前述のようにつくり、 充填粉末 (外皮内に充填される粉 末) として、 W2 Cから成る硬質粒子の粉末 (粒径 4 4 mないし 6 5 x m) に、
N i B合金の粉末 (粒径 4 4 i mないし 6 5 m) 及び F e S iの粉末 (粒径 4
4 mないし 6 5 x m) を、 W2 Cが 5 5重量%、 N i Bが 2 0重量%及び F e
S iが 2 5重量%になるように添加混合して複合ワイヤをつくった。 これにより 複合ワイヤは全体的として自溶性化 (低融点化) させることが可能になる。 この ようにしてつくられた複合ワイヤの化学組成は表 1の実施例 1に掲げる通りであ る。 発明者らは、 W2 C硬質粒子から構成される粉末に N i B化合物粉末及び F e S i化合物粉末を添加して、 前記複合ワイヤを自溶性合金化すると、 溶射層自 体が高硬度化することを見出した。 N i基合金からなる複合ワイヤにボロン
( B ) 及びシリコン (S i ) を添加することで溶射層である皮膜内に硬質粒子で ある W2 C粒子を効率よく分散させることが可能となり、 合金のマトリックス相 自体が高硬度化するため、 被膜内の気孔率が小さくなつて緻密性が向上し、 高品 質で、 耐摩耗性等に優れた被膜を形成することが可能になるのである。
この実施例 1の複合ワイヤをアーク溶射法により基材の表面に溶着させた耐摩 耗材の皮膜の断面の状態及びビッカース硬度の測定結果を従来の複合ワイヤの皮 膜のそれと比較して示すと、 図 4に示されるようになる。 断面を示す電子顕微鏡 写真からも明らかなように、 従来例の溶射層断面は、 比較的大きな空隙 (黒くな つている部分) が多く、 幾つかの溶着金属が重なり合った多層状の組織になって いる。 一方、 本発明の溶射層断面は、 空隙が少なくまた境界層も少なく、 緻密な 溶射層になっている。 ボロン及びシリコンを添加したことで、 ビッカース硬度が 向上することも分かる。
表 1 . 複合ワイヤの構成および化学組成 複合ワイヤ構成 複合ワイヤ 大ノ JtiiT7リ
充填パウダー 外皮材料 Ni Cr C Si
(フープ材料) 従来例 1 w9c NiCr合金 31.7 8.0 2.7 0.4 従来例 2 w 1, 2,c NiCr合金 31.4 7.8 2.7 0.4 従来例 3 W9C NiCr合金 35.2 9.4 2.2 0.4 実施例 1 W2C+NiB+FeSi NiCr合金 51.2 13.4 1.7 3.1 実施例 2 WC-20CrC-7Ni造粒粉 NiCr合金 47.7 19.9 2.8 0.7D
実施例 3 CrC-Co造粒粉 NiCr合金 62.4 33.6 2.6 0.8 実施例 4 WC+TiC+NiB+FeSi SUS304 5.0 15.0 2.5 1.0 実施例 5 WC-8%Co-2%Cr+NiB+FeSi NiCr合金 51.2 11.6 1.8 2.4 実施例 6 CrC造粒粉 +NiB+FeSi NiCr合金 56.5 Bal. 2.8 3.1 実施例 7 w2c Ni基自溶性合金 Bal. 4.6 1.0 1.3 実施例 8 W2C Co基自溶性合金 5.3 7.8 1.0 1.3 実施例 9 W2C+BC+FeSi Ni基合金 Bal. 9.32 2.39 2.64 実施例 10 W2C+BC+FeSi Co基合金 0.35 16.0 1.33 1.53
[実施例 2 ]
外皮を N i C r合金で前述と同様につくり、 充填粉末として、 WCから成る硬 質粒子の粉末 (粒径 1 xmないし 5 xm)、 炭化クロム C r C (粒径 l ^mない し 5 zm) の粉末及び N iの粉末 (粒径 1 mないし 5 /m) を、 重量比で 1 : 20 : 7の割合で混合し、 その粉末を公知の方法で造粒した。 造粒した粒子の粒 径は平均 6 であった。 この造粒粉を使用して前述と同様な方法で複合ワイ ャをつくった。 このようにしてつくられた複合ワイヤの化学組成は表 1の実施例 2に掲げる通りである。
■ この実施例 2の複合ワイヤでは外皮内に充填される充填粉末を造粒して所望の 大きさの粒状体としたので、 アーク溶射時における硬質粒子の飛散を抑制できて、 溶射効率を向上させることが可能である。 また、 被膜内の気孔率が小さくなつて 緻密性が向上し、 高品質で、 耐摩耗性に優れた被膜を形成することが可能になる。
[実施例 3 ]
外皮を N i C r合金で前述と同様につくり、 充填粉末として、 炭化クロム C r C (粒径 1 / mないし 5 βτη) の粉末及び C οの粉末 (粒径 1 mないし 5 n m) を、 表 1の実施例 3に示される組成になるように調整して混合し、 その混合 粉末を公知の方法で造粒した。 造粒した粒子の粒径は平均 65 mであった。 そ して、 この造粒粉を使用して前述と同様に複合ワイヤをつくった。 このようにし てつくられた it合ワイヤの化学組成は表 1の実施例 3に掲げる通りである。
この実施例 3の複合ワイヤでも前記実施例 2と同様に、 充填粉末を造粒して所 望の大きさの粒状体としたので、 アーク溶射時における硬質粒子の飛散を抑制で きて、 溶射効率を向上させることが可能である。 また、 被膜内の気孔率が小さく なって緻密性が向上し、 高品質で、 耐摩耗性に優れた被膜を形成することが可能 になる。
[実施例 4]
外皮をステンレス (SUS 304) で前述と同様につくり、 充填粉末として、
WCから成る硬質粒子の粉末 (粒径 1 imないし 5 m)、 炭化チタン (T i
C) の粉末 (粒径 1 / mないし 5 ^m)、 N i B合金の粉末 (粒径 44 xmない し 65 ^m) 及び F e S iの粉末 (粒径 44 mないし 65 /zm) を、 表 1の実 施例 4に示される組成になるように調整して混合して複合ワイヤをつくった。 こ れにより複合ワイヤは、 実施例 1と同様に全体的として自溶性化 (低融点化) さ せることが可能になる。 このようにしてつくられた複合ワイヤの化学組成は表 1 の実施例 4に掲げる通りである。
この実施例 4の複合ワイヤでもボロン (B) 及びシリコン (S i ) が添加され ることで、 実施例 1の複合ワイヤと同様に、 溶射層である被膜内に硬質粒子であ る WC粒子を効率よく分散させることが可能となり、 合金のマトリックス相自体 が高硬度化するため、 被膜内の気孔率が小さくなつて緻密性が向上し、 高品質で、 耐摩耗性等に優れた被膜を形成することが可能になるのである。
[実施例 5 ]
外皮を N i C r合金で前述と同様につくり、 粉末として、 WCから成る硬質粒 子の粉末 (粒径 44 ないし 6 5 /im)、 C oの粉末 (粒径 44 mないし 6 5 m), C rの粉末 (粒径 44 zmないし 6 5 πι)、 N i B合金の粉末 (粒径 44 zmないし 6 5 m) 及び F e S iの粉末 (粒径 44 mないし 6 5 ^m) を、 表 1の実施例 5に示される組成になるように調整して混合して複合ワイヤを つくった。 これにより複合ワイヤは、 実施例 1と同様に全体的として自溶性化
(低融点化) させることが可能になる。 このようにしてつくられた複合ワイヤの 化学組成は表 1の実施例 5に掲げる通りである。
この実施例 5の複合ワイヤでも、 N i基合金から成る複合ワイヤにボロン
(B) 及びシリコン (S 1 ) が添加されることで、 実施例 1の複合ワイヤと同様 に、 溶射層である被膜内に硬質粒子である WC粒子を効率よく分散させることが 可能となり、 合金のマトリックス相自体が高硬度化するため、 被膜内の気孔率が 小さくなつて緻密性が向上し、 高品質で、 耐摩耗性等に優れた被膜を形成するこ とが可能になるのである。
[実施例 6 ]
外皮を N i C r合金で前述のようにつくり、 粉末として、 C r Cから成る粉末 の造粒粉 (粒径 1 5 xmないし 1 2 5 m) に、 N i B合金の粉末 (粒径 44 mないし 6 5 m) 及び F e S iの粉末 (粒径 44 mないし 6 5 m) を、 表
1の実施例 6に示される組成になるように調整して混合し、 その混合した粉末を 公知の方法で造粒した。 その混合粉末を公知の方法で造粒した。 造粒した粒子の 粒径は平均 6 5 x mであった。 そして、 この造粒粉を使用して前述と同様に複合 ワイヤをつくった。 これにより複合ワイヤは、 実施例 1と同様に全体的として自 溶性化 (低融点化) させることが可能になる。 このようにしてつくられた複合ヮ ィャの化学組成は表 1の実施例 6に掲げる通りである。
この実施例 6の複合ワイヤでも、 N i基合金から成る複合ワイヤにボロン ( B ) 及びシリコン (S i ) が添加されることで、 実施例 1の複合ワイヤと同様 に、 溶射層である被膜内に C r C粒子を効率よく分散させることが可能となり、 耐摩耗性等に優れた被膜を形成することが可能になる。 しかも、 充填粉末が造粒 されているため溶射効率を向上させることが可能である。
なお、 上記実施例ではセラミックスの粉末に B、 S i等の添加物を添加する方 法として N i. B、 F e S i等の粉末を加えて混合する場合に付いて説明したが、 湿式メツキの手法で添加することも可能である。 例えば、 W C又は W2 Cなどの 硬質粒子を B及び S iを含むメツキ液中で無電解メツキする方法、 或いは外皮、 フープを連続的に B及び S iを含むメツキ遮中で無電解或いは電解メツキするこ とも有効な方法である。 更に、 上記湿式メツキ法の他に、 セラミックスの粉末或 いは外皮の外面に B及び/又は S iを蒸着させる物理蒸着法或いは化学気相法も 有効である。
[実施例 Ί ]
外皮の材料として、 表 1の実施例 7に示される組成になるように調整して混合 したものを使用した。 このような材料で外皮を前記実施例と同様につくり、 中に W2 Cの粉末 (粒径 4 4 mないし 6 5 m) を充填して複合ワイヤにした。 この実施例 7の複合ワイヤでは外皮の材質自体に B及び S iを添加することで 外皮を低融点化し、 それによつて複合ワイヤ全体として自溶性化している。 した がって、 この実施例の複合ワイヤでも実施例 1の複合ワイヤと同じ効果を奏する ことが可能になる。 この実施例の場合外皮自体に B、 S i等と混入させてあるた め、 管状の外皮内に入れる粉末にこれらの材 1·を入れる必要がなくなり、 その分 複合ワイヤ単位長さ当たりの W C、 W2 C等のセラミックスの含有量を多くでき、 セラミックスの溶射効率を向上させることができる。 [実施例 8 ]
外皮の材料として、 表 1の実施例 8に示される組成になるように調整して混合 'したものを使用した。 このような材料で外皮を前記実施例と同様につくり、 中に W2Cの粉末 (粒径 44 imないし 65 zm) を充填して複合ワイヤにした。
この実施例 8の複合ワイヤでも実施例 7と同様に外皮の材質自体に B及び S i を添加することで外皮を低融点化し、 それによつて複合ワイヤ全体として自溶性 化しているが、 外皮が Co基自溶性合金である点で実施例 7とは異なる。 この実 施例の複合ワイヤでも実施例 1の複合ワイヤと同じ効果を奏することが可能にな る。 この実施例の場合外皮自体に B、 S i等と混入させてあるため、 管状の外皮 内に入れる粉末にこれらの材料を入れる必要がなくなり、 その分複合ワイヤ単位 長さ当たりの wc、 W2C等のセラミックスの含有量を多くでき、 セラミックス の溶射効率を向上させることができる。
[実施例 9 ]
外皮を N i基合金で、 前述のようにつくり、 充填粉末 (外皮内に充填される粉 末) として、 W2Cからなる硬質粒子の粉末 (粒径 44 zmないし 65 m) に、 BC粉末の粉末および Fe S iの粉末を添加して複合ワイヤを作製した。 これに より複合ワイヤは全体として自溶性化 (低融点化) させることが可能となる。 こ のようにして作製した複合ワイヤの化学組成は表 1の実施例 9の通りである。 発 明者らは、 W2C硬質粒子から構成される粉末に BC化合物粉末および F e S i 化合物粉末を添加して、 前記複合ワイヤを自溶性合金化すると、 溶射層自体が高 硬度化することを見出した。 N i基合金からなる複合ワイヤにボロンおよびシリ コンを添加することで溶射層内に硬質粒子である W2 Cを効率良く分散させるこ とが可能となり、 合金のマトリックス相自体が高硬度化するため、 被膜内の気孔 率が小さくなり緻密性が向上し、 耐摩耗性に優れた被膜を形成することが可能と なる。
[実施例 10 ]
外皮を Co基合金で、 前述のようにつくり、 充填粉末 (外皮内に充填される粉 末) として、 W2Cからなる硬質粒子の粉末 (粒径 44 ^mないし 65 zm) に、
B C粉末の粉末および F e S iの粉末を添加して複合ワイヤを作製した。 これに より複合ワイヤは全体として自溶性化 (低融点化) させることが可能となる。 こ のようにして作製した複合ワイヤの化学組成は表 1の実施例.9の通りである。 発 明者らは、 W2 C硬質粒子から構成される粉末に B C化合物粉末および F e S i 化合物粉末を添加して、 前記複合ワイヤを自溶性合金化すると、 溶射層自体が高 硬度化することを見出した。 C o基合金からなる複合ワイヤにボロンおよびシリ コンを添加することで溶射層内に硬質粒子である W2 Cを効率良く分散させるこ とが可能となり、 合金のマトリックス相自体が高硬度化するため、 被膜内の気孔 率が小さくなり緻密性が向上し、 耐摩耗性に優れた被膜を形成することが可能と なる。 '
[効果確認試験]
発明者らは、 基材及び各種アーク溶射材における耐スラリーエロージョン性を 調べるため、 清水中に S i 0 2を主成分とした砂を混入させたスラリーェロージ ヨン試験を実施した。 実験条件は、 砂の平均粒子径が 5 / m、 砂の濃度が l k g / 砂の衝突角度が 1 5 ° 以下、 砂の相対衝突速度が 5 5 m/ sで行った。 基材及び各種ァーク溶射材におけるピツカ-ス硬さとスラリーエロージョン損傷 速度との関係を図 5に示す。 ピツカ-ス硬さが増すほど耐スラリーエロージョン 性が向上することが分かる。 従来の W2 C硬質粒子含有 N i基合金と比較すると、 本発明の実施例 7の W2 C硬質粒子含有 N i基自溶性合金 (外皮自体が自溶性合 金になっている場合) は、 ピツカ-ス硬さが増し、 耐スラリーエロージョン性が 向上することが分かる。 また、 一般に溶射層の硬質粒子径は、 河川水中に含まれ る砂の粒子径と同等であることが望ましい。 一方、 アーク溶射においては、 空気 ジェットで複合ワイヤの溶滴及び未溶融のセラミックス粒子を吹き飛ばす機構に なっているので、 セラミックス粒子径が 1 5 0 m以下であると、 セラミックス 粒子が周辺に飛散するため、 溶射層内のセラミックス粒子の溶射効率が低くなる。 また、 複合ワイヤに充填する炭化物、 例えば、 W C、 W2 Cなどの硬質粒子径を
5 m以下とすると、 溶射効率が極端に小さくなることは前項で述べた。 更に、 炭化物などの粒子径を小さくすると、 アーク溶射施工時に炭化物粒子自体が高温 酸化する。 一方、 発明者らは、 空気ジェットでなく、 還元性ガスあるいは窒素あ るいは不活性ガスを用いたジェットで複合ヮィャの溶滴及び未溶融のセラミック ス粒子を吹き飛ばす機構にすれば、 炭化物の粒子径を 5 ^ m以下でも溶射時に酸 化することを防止できるものと考えている。 通常の空気ジエツトを用いたアーク 溶射に用いる W C、 W2 Cなどの炭化物の粒子径は、 5 / m以上、 1 5 0 m以 下であることが望ましい。
前記セラミックス粒子径が 1 5 以下であると、 セラミックス粒子が周辺 に飛散するため、 溶射層内のセラミックス粒子の溶射効率が低くなり、 所望の耐 摩耗性被膜が得られないことを既に述べた。 本発明の自溶性合金化による手法を 用いても、 硬質粒子径が数十 m程度の場合、 溶射効率が低くなるので、 金属又 は合金或いは自溶性合金となる粉末などので造粒化することで、 溶射効率を高め ることが可能である。 本発明の自溶性合金による低融点化、 更に造粒化による 2 次粒子径を 4 0 m以上とすることが望ましい。 但し、 酸化物粒子径は、 アーク 溶射時における酸化物の変質が起こらないので、 粒子径を河川水の砂の粒子径に 合わせた粒子で施工することが望ましい。
種々のアーク溶射条件で、 作製した複合ワイヤについて、 荒田式溶射皮膜評価 試験によるブラストエロージョン試験を下記の条件で行った。 得られた各種ァ一 ク溶射材の耐摩耗性を調べた結果を図 6に示す。 従来の複合ワイヤでは、 溶射施 ェ条件によって、 耐摩耗性が大きく影響することが分かる。 本発明の複合ワイヤ では、 溶射施工時におけるエアー圧力の条件を変えても、 ほぼ一定の良好な耐摩 耗性を示すことが分かる。 ポンプなどの羽根車への適用を考えた場合、 複雑形状 の対象物でもほほ一定の耐摩耗性を示すことは実用上、 有効な効果でもある。 荒田式溶射皮膜評価試験によるブラストエロージョン試験条件
噴射剤 A 1 2 O 3 (粒度: 6 0 M e s h )
噴射角度 3 0。
噴射距離 9 0 mm
噴射圧力 B 3 . 1 k g / c m 2
噴射ノズル 5 . 2 mm
上記のようにしてつくられたアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤは、 アーク溶射 法により基材の表面に溶射され、 基材に耐摩耗性の皮膜を形成する。 かかる耐摩 耗性の皮膜が形成される基材の例としては、 ポンプ、 水車、 コンプレッサーなど の回転機械の部材、 より具体的には、 耐サンドエロージョン性又は耐スラリーェ ロージヨン性などが要求される羽根車、 ケーシング、 ブレード、 軸受及びシール などがあげられる。 このような基材に耐摩耗性の皮膜を形成することにより、 こ のような基材の耐摩耗性を向上させ、 そのような基材を使用した機械、 例えば、 ポンプ、 水車、 コンプレッサー等の寿命を延ばすことが可能になる。
より具体的には、 図 7に示されるように、 羽根車 3 0は、 回転軸を受ける軸穴 3 1が形成されたハブ 3 2と、 そのハブ 3 2から半径方向外側に放射上に広がる 円板状の主板 3 3と、 主板 3 3から軸方向 (図 7において上下方向) に隔てられ た環状の側板 3 4と、 主板 3 3と側板 3 4との間において円周方向 (軸穴の軸線 0— 0回りの円周方向) に等間隔に隔てて配置され所望の曲面に沿って湾曲して 側板及び主板と一体的に形成された複数の翼 3 5とで構成されていて、 主板 3 3、 側板 3 4及び翼 3 5により流体の流れる流路 3 6を画定している。 流路 3 6の半 径方向内側の部分 3 7が入口部となり、 半径方向外側の部分 3 8が出口部となる。 また、 環状の側板 3 4は、 円周方向内側の軸方向に伸びる部分 3 4 aと、 半径方 向外側に伸びる部分 3 4 bとを有し、 軸方向伸長部分 3 4 aによって羽根車 3 0 の入口 3 9を画定している。 このような羽根車 3 0を回転させて流体を送り出す 場合、 例えば、 羽根車を土砂を含む水中で回転させると、 水中の土砂の粒子が羽 根車 3 0の表面、 特に羽根車 3 0内の流路 3 6を画定する主板 3 3の内面 4 1、 側板 3 4の内面 4 2及び翼 3 5の両面、 すなわち圧力面 4 3、 負圧面 4 4に当た つてこれを擦り、 それらの表面が摩擦により極端に摩耗することになる。
そこで、 羽根車 3 0の上記流路 3 6を画成する内面 4 1及び 4 2、 圧力面 4 3 及び負圧面 4 4、 入口 3 9の内面 4 5、 側板 3 4の外側面 4 6及び主板 3 3の裏 面 4 7のうち所望する面、 例えば、 流路を画成する内面 4 1、 4 2、 圧力面 4 3 及び負圧面 4 4に、 上記アーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理を施 し被膜を形成する。
上記のようにアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理された本発 明の羽根車 3 0は、 水車或いはポンプのような流体機械に使用される。 図 8に おいて、 このような流体機械の一例として立形ポンプ 5 0が断面で示されてい る。 同図において、 ポンプ 5 0は、 本発明による羽根車 3 0を収容するポンプ 室 5 2を画成するケーシング 5 1と、 軸線を鉛直にして配置されていて下端に 羽根車 3 0が固定された主軸 5 7と、 ケーシングの上方に取り付けられたてい て主軸 5 7をケーシングに関して回転自在に支持する主軸受け 5 8と、 ケーシ ング 5 1と主軸 5 7との間からの流体の漏れを防止するシール装置 5 9と、 を 備えている。 ケ一シング 5 1は管状の支持台 6 0の上に公知の方法で固定され ている。 ケーシング 5 1は、 上側の円盤状の端板 5 3と、 渦巻き状の出口室 5 5を画成するケーシング本体 5 4と、 管状のカバー 5 6とを備えている。 カバ —5 6の下端には筒状の吸出し管 6 1が接続されている。
上記ポンプにおいて、 主軸 3 7を回転させることによってその下端に固定さ れた羽根車 3 0を回転させると、 流体が吸出し管 6 1内で矢印 Xで示されるよ うに羽根車の入口 3 9に吸い込まれ、 羽根車 3 0の流路 3 6を通って出口 3 8 側から半径方向に押し出され、 出口室 5 5内に流入する。 出口室内の流体は、 図示しない出口から吐き出される。 なお、 ケーシングの内面の少なくとも一部 をアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理してもよい。
[発明の効果]
本発明によれば、 次のような効果を奏することが可能である。
(ィ) 溶射処理中における硬質粒子の飛散を抑制し、 溶射被膜中のそのような粒 子の量を増加させて耐摩耗性を向上させることができる。
(口) 硬質粒子の飛散を抑制することで溶射効率を増大させることができる。 (ハ) 溶射層である皮膜内に硬質粒子を効率よく分散させることが可能となり、 合金のマ卜リックス相自体が高硬度化するため、 被膜内の気孔率が小さくなって 緻密性が向上し、 高品質で、 耐摩耗性等に優れた被膜を形成することが可能にな るのである。
(二) 耐スラリーエロージョン性の優れた溶射皮膜を形成することが可能である。

Claims

請求の範囲
1 . 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくとも 一種の材料でできた粉末が、 ニッケル基合金、 コバルト基合金及び鉄基合金から 成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた外皮で被われたアーク溶射 用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記粉末に、 ボロン又はボロン化合物、 シリコ ン又はシリコン化合物及びリン又はリン化合物から成る群から選択される少なく とも一種の材料でできた粉末を添加し、 自溶性化したことを特徴とするアーク溶 射用耐摩耗材複合ワイヤ。
2 . 金属、 セラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくとも 一種の材料でできた粉末が、 ニッケル基合金、 コバルト基合金及び鉄基合金から 成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた外皮で被われたアーク溶射 用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記外皮の材料に、 ボロン、 シリコン及びリン から成る群から選択される少なくとも一種の元素を添加し、 自溶性化したことを 特徴とするアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ。
3 . クレーム 1に記載のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 金属、 セ ラミックス及びその組合せから成る群から選択される少なくとも一種の材料でで きた粉末と、 ボロン又はボロン化合物、 シリコン又はシリコン化合物及びリン又 はリン化合物から成る群から選択される少なくとも一種の材料でできた粉末とを 粒径が 1 5 ないし 1 5 0 mとなるように造粒したことを特徴とするアーク 溶射溶耐摩耗材複合ワイヤ。
4 . クレーム 3に記載のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記一種 の材料でできた粉末の粒径が 5 z mないし 6 5 /i mあることを特徴とするァ一ク 溶射用耐摩耗材複合ワイヤ。
5 . クレーム 1ないし 4のいずれかに記載のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ において、 前記セラミックスが炭化物及び酸化物のいずれかであることを特徴と するアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ。
6 . クレーム 1ないし 4のいずれかに記載のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ において、 前記セラミックスが W C又は W2 Cであることを特徴とするアーク溶 射用耐摩耗材複合ワイヤ。
7 . クレーム 6に記載のアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤにおいて、 前記 W C 又は" W2 Cを主成分とする粉末の一次粒子径が 以上、 150 / m以下であるこ とを特徴とするアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤ。
8 . ハブと、 前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼と を備えた羽根車において、
前記羽根車の表面の少なくとも一部が、 クレーム 1ないし 7のいずれかに記 載されたアーク溶射用耐摩耗材複合ワイヤを用いて表面処理された羽根車。
9 . ハブと、 前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼と を備えた羽根車と、
前記羽根車を回転可能に収容する室を画定するケーシングと、
を備え、
前記羽根車の表面の少なくとも一部及びノ又は前記ケーシングの内面の少なく とも一部が、 クレーム 1ないし 7のいずれかに記載されたアーク溶射用耐摩耗材 複合ワイヤを用いて表面処理された流体機械。
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