明細書
アンテナダイバシティ方式のデジタル無線受信機
技術分野
本発明は、 デジタル無線受信機に関し、 特にアンテナダイバシティ方式のデジ タル無線受信機に関する。
背景技術
ダイバシティ方式の受信機は、 移動しながら送信する送信源からの電波を、 デ ッドポイントの影響を軽減して、 良好に電波を受信するためのものである。 この ような送信源としては、 例えばワイヤレスマイクロホンがある。 ダイバシティ方 式には、 種々のものがある。 その中で、 最もコストメリットが期待できるものと して、 アンテナダイパシティ方式がある。 これは、 複数の受信アンテナと 1台の 受信部とを使用するものである。 アンテナダイバシティ方式では、 通信エリア中 の異なる位置に受信アンテナが設置されている。 これらアンテナでの受信信号の うち 1つをアンテナ切換部を介して受信部に供給する。 この受信部における受信 レベルが大きくなるように、 ァンテナ切換部を切換えていく。
送信源からアナログ伝送が行われている場合、 これを受信するアナログ受信機 において検波された瞬時値が、 そのまま復調出力の一部となる。 しかし、 送信源 からデジタル伝送が行われている場合、 これを受信するデジタル受信機において 受信された瞬時値は、 デジタルデ一夕列を構成するデジタルデータの一部でしか ない。 デジタルデ一夕列は、 複数のデジタルデ一夕からなり、 デジタルデータは、 音声信号や映像信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして、 各サンプ リング値を量子化したものである。 デジタル受信機において、 最終的に音声また は映像とするためには、 随時検波されたデジタルデ一夕の一部をサンプルごとに 正しい配列に集めなければならない。 即ち、 サンプルごとにデータの同期を取る 必要がある。 さもないと、 復調された音声出力や映像出力がデジタルデータ列に 対応したものであることを保証できず、 再生された音声出力に異音を生じたり、 元の映像と異なる映像が再生されたりする。
デジタル無線受信機において、 上述したようなアンテナダイバシティ方式を採 用している場合、 アンテナを切換えるごとに、 新たに切換えられたアンテナの受
信信号を基に、 サンプルごとに同期を合わせる必要がある。 携帯電話やデジタル コードレス電話のように、 デジタル無線であっても時分割多重方式 (1つの無線 周波数チヤンネルを時間で区切り、 時間単位ごとに様々な受信機用のチヤンネル を割り当てるもの) では、 デジタル無線受信機は、 自分に割り当てられている受 信機用のチャンネルを受信しているときのみ、 同期を合わせればよい。 従って、 他の受信機用のチャンネルを受信しているときに、 アンテナを切り換えることが できる。
ところが、 時分割多重方式でなく、 1つの無線周波数チャンネルを 1組の送信 機と受信機とが占有する、 例えばワイヤレスマイクロホンと専用の受信機とから なるシステムのような単方向通信方式では、 専用の受信機は、 常に 1つの無線周 波数チャンネルを受信しており、 アンテナが切換えられるごとに、 同期を合わせ る必要がある。
本発明は、 単方向デジタル通信用のアンテナダイバシティ方式の受信機におい て円滑に同期を合わせることを目的とする。
発明の開示
本発明によるアンテナダイバシティ方式のデジタル無線受信機は、 複数の受信 アンテナを有している。 これら受信アンテナは、 例えば通信エリアの異なる位置 にそれぞれ配置することが望ましい。 これら受信アンテナは、 同一送信源、 例え ばワイヤレスマイクロホンからのデジタル変調信号を受信する。 このデジタル変 調信号は、 連続的に生成されるデジタル信号列によって搬送波信号を変調したも のである。 これらアンテナのうち 1つを、 選択信号に応動してアンテナ選択手段 が選択する。 このアンテナ選択手段によって選択された 1つの前記アンテナによ つて受信された前記デジタル変調信号を受信復調手段が受信復調する。 デジタル 変調信号の受信レベルを表す受信レベル信号をレベル検出手段が生成する。 レべ ル検出手段は、 受信復調手段に設けることが望ましい。 前記受信レベル検出信号 を少なくとも 1つの閾値と比較して、 その比較結果に基づいて前記選択信号を制 御手段が変更する。 前記デジタル信号列は、 連続する複数のフレームからなる。 各フレームは、 情報データと、 この情報データの同期を確立するために前記情報 デー夕に先行して設けられたプリアンブルと、 前記情報デー夕に後続するガード
ビットとを、 具備している。 情報データは、 量子化された 1つのサンプリング値 を少なくとも含んでいる。 プリアンブルは、 このサンプリング値を構成する各ビ ットの組み立てに関する情報である。 ガードビットは、 適当なビット数を有する ものである。 制御手段による選択信号の変更及び前記アンテナ選択手段によるァ ンテナ選択が、 前記ガードビッ卜の受信ごとに行われる。
本発明によるアンテナダイバシティ方式のデジタル無線受信機では、 アンテナ の切換は、 各フレームにおいてガードビットの受信時に行われている。 ガ一ドビ ットは、 このアンテナの切換専用に設けたものであり、 ガードビットの受信時に アンテナを切換えても、 各フレームにおいて情報デ一夕の同期を合わせるのに障 害となることはない。 しかも、 ガードビットによるアンテナの切換を行うと直ち に、 次のフレームのプリアンブルと情報デ一夕とが受信されて、 次のフレームで 同期が合わされるので、 継続して受信復調がなんら支障なく行える。
前記閾値は、 予め定めたビットエラーレートに対応する受信レベルに設定する ことができる。 この場合、 受信レベル信号が前記閾値よりも小さいとき作動する ミュ一卜手段が設けられている。
このように構成した場合、 各フレームにおいてガードビッ卜を受信するごとに アンテナの切換が行われる。 しかも、 予め定めたビットエラ一レートに対応する 受信レベルよりも受信レベルが小さいときには、 ビットエラ一の数が多いと考え られ、 データ情報が例えばデジタル音声信号に基づくものであるような場合、 復 調された音には異音が含まれる可能性が高い。 そこで、 ミュート手段を作動させ て、 異音のような不要な出力の送出を停止している。 アンテナの切換は、 各フレ —ムのガ一ドビットごとに行われているので、 ビットエラーレートが小さくなる 受信レベルが得られるアンテナを選択した状態では、 ミュー卜動作は自動的に解 除される。
前記閾値は、 第 1及び第 2の閾値から構成することができる。 この場合、 第 1 の閾値は、 予め定めたビットエラーレートに対応する受信レベルに設定されてい る。 第 2の閾値は、 第 1の閾値よりも大きな値、 例えば前記予め定めたビットェ ラ一レートよりも小さい値のビットエラーレートになると予測される受信レベル に設定されている。 制御手段は、 前記受信レベル信号が第 1の閾値よりも小さい
とき、 ミュート手段を作動させ、 受信レベル信号が第 2の閾値よりも大きいとき、 選択信号をそのときの値に固定する。
このように構成した場合、 第 1及び第 2の閾値によって、 第 1の閾値よりも小 さい第 1領域、 第 1及び第 2の閾値間の第 2領域、 第 2の閾値よりも大きい第 3 領域が受信レベルに対して構成される。 受信レベル信号が第 1及び第 2の領域に 属している間には、 各フレームのガ一ドビッ卜が受信されるごとに制御手段にお ける判定及びアンテナの切換が行われる。 さらに、 第 1の領域に受信レベルが存 在する場合には、 ミュー卜手段が作動している。 受信レベル信号が第 3の領域に 属している場合、 ビットエラーが少ない受信レベルにあると考えられるので、 ァ ンテナの切換は行われていない。 但し、 ガードビットごとに制御手段における判 定は行われている。
前記受信レベル検出信号及び前記閾値はアナログ信号とすることができる。 こ の場合、 制御手段は、 受信レベル検出信号と閾値とを比較するアナログ比較手段 を有している。 閾値は変更可能とすることができる。 また、 アナログ比較手段は、 ヒステリシス特性を持つものとすることもできる。
このように構成した場合、 アナログ信号での比較を行っているので、 デジタル 変換の時間やデジタル値での比較のための処理時間が不要になり、 高速な処理が 可能な上に、 コストを低減することができる。
前記情報データは、 誤り訂正符号化が施されたものとすることができる。 この 場合、 前記受信復調手段において誤り訂正が行われると共に、 ビットエラーレー 卜が算出される。 前記制御手段は、 算出されたエラ一ビットレートが予め定めた ビットエラ一レート用閾値よりも大きいとき、 ミュート手段を作動させ、 かつ、 前記制御手段による選択信号の変更及び前記アンテナ選択手段によるアンテナ選 択を、 前記ガードビットの受信ごとに行う。
このように構成した場合、 受信レベルだけではなく、 実際のビットエラ一レー 卜が予め定めた値よりも大きくなつたときには、 受信レベルが不適切であると判 断して、 アンテナの切換を行い、 同時に不適切な出力が送出されることを防止す るために、 ミュー卜手段が動作している。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の 1実施形態のデジタル無線受信機のブロック図である。
図 2は、 図 1のデジタル無線受信機において受信されるデジタル信号の構成を 示す図である。
図 3は、 図 1のデジタル無線受信機における受信レベルとビッ卜エラ一レート 及び受信強度指示信号との関係を示す図である。
図 4は、 図 1のデジタル無線受信機のダイバシティ判定部の動作フローチヤ一 トを示す図である。
図 5は、 図 4のフローチャートの一部の詳細なフローチャートを示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の 1実施形態のアンテナダイバシティ方式のデジタル無線受信機は、 例 えばデジタルワイヤレスマイクロホン用の受信機である。 この受信機は、 図 1に 示すように、 複数、 例えば 2つの受信アンテナ 2 a、 2 bを有している。 これら 受信アンテナ 2 a、 2 bは、 デジタルワイヤレスマイクロホンが使用される通信 エリァの異なる位置に配置されている。
これら受信アンテナ 2 a、 2 bは、 アンテナ選択手段、 例えばアンテナ切換ス イッチ 4の接点 4 a、 4 bに接続されている。 切換スィッチ 4は、 接点 4 a、 4 bの他に接触子 4 cを有している。 接触子 4 cは、 後述するダイバシティ判定部 2 8からの選択信号、 例えば切換信号によって指定された接点 4 aまたは 4 bに 接続される。 従って、 受信アンテナ 2 a、 2 bのいずれかによつて受信された受 信信号 (デジタルワイヤレスマイクロホンから送信されたデジタル変調信号) が、 接触子 4 cに供給される。
この接触子 4 cは、 受信復調手段、 例えば受信部 6の高周波 ¾5 8に接続されて いる。 高周波部 8は、 高周波増幅器、 周波数変換器、 中間周波増幅器等を有する スーパーヘテロダイン方式のもので、 高周波増幅部 8に入力された受信信号を所 定周波数の中間周波信号に周波数変換する。
この中間周波信号は、 復調部 1 0に供給される。 復調部 1 0は、 この中間周波 信号を復調する。
デジタルワイヤレスマイクロホンでは、 マイクロホンで集音されたアナログ音 声信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングし、 各サンプリング値を量子
化したデジタル音声信号を順に生成している。 これらデジタル音声信号をシリア ルに伝送するために、 フレームが構成されている。 例えば図 2に示すように、 各 フレームには、 少なくとも 1つのデジタル音声信号をシリアルに配置した情報デ 一夕が含まれ、 それに先行してプリアンブルが配置されている。 プリアンブルは、 情報データを処理してデジタル音声信号を再構成する、 即ち同期を合わせるため の情報である。 この実施の形態のフレームでは、 更に情報データに後続して複数 ビットからなるガードビットが配置されている。 図示していないが、 各フレーム において、 情報デ一夕には誤り訂正符号化用のデータが付加されている。 このよ うにして、 フレームごとにデジタル信号列が生成される。 このデジタル信号列に よって所定の周波数の搬送波信号が変調されて、 デジタル変調信号が生成されて いる。
従って、 受信部 6で受信されたデジタル変調信号から生成された中間周波信号 を、 復調部 1 0で復調することによってデジタル信号列が復調される。 同時に、 復調部 1 0では、 このデジタル信号列から、 各フレームに同期したクロックを再 生している。
このデジタル信号列と再生クロックとが、 復号手段、 例えば復号部 1 2のプリ アンブル同期回路 (pre Sync) 1 4に供給されている。 プリアンブル同期回路 1 4は、 再生クロックにデジタル信号列を同期させ、 フレームのプリアンブルを 検出し、 このプリアンブルに基づいて情報データ、 ガードビットを検出する。 こ の情報データが、 誤り訂正部 1 6に供給され、 ここで情報データに含まれている 誤り訂正符号を用いて誤り訂正が行われて、 デジタル音声信号に復号される。 復 号されたデジタル音声信号は、 デジタル ·アナログ変換部 2 0に供給され、 アナ ログ音声信号に変換され、 スピーカ 2 2から放音される。 なお、 アナログデジ夕 ル変換部 2 0には、 ミュート回路 (図示せず) が設けられている。 このミュート 回路は、 後述するダイバシティ判定部 2 8からミュート信号が供給されたとき、 作動し、 アナログ音声信号の出力を停止する。
ところで、 高周波部 8には、 受信レベル検出手段、 例えば受信強度指示信号発 生器 8 aが設けられている。 この受信強度指示信号発生器が発生する受信強度指 示信号 (R S S I ) 信号は、 アナログ信号、 例えば直流電圧であって、 例えば図
3に示すように第 1の受信レベル、 例えば約 10 dB Vから、 第 2の受信レべ ル、 例えば約 70 dB zVまでの間では、 受信レベルに比例して増加し、 第 2の 受信レベルを超えると飽和する特性を持っている。
この RSS I信号は、 制御手段の一部をなすアナログ比較器 24 a、 24bに 供給される。 アナログ比較器 24 aには、 第 1の閾値発生器 26 aから第 1の閾 値が供給されている。 この第 1の閾値発生器 26 aは、 第 1の閾値を任意に変更 可能なものである。 第 1の閾値は、 例えば受信再生された音声信号の保証品位か ら定められるビットエラ一レート (BER;)、 例えば l e— 4 (1万ビット当た り 1ビットの誤り) を得るために必要な受信入力レベルに対応する RS S I信号 の値が設定されている。 例えば図 3で言えば、 1 e— 4のビットエラ一レートに 対応する受信レベルは、 20 dB xVであり、 これに対応する RS S I信号の値 は約 0. 8 Vであるので、 第 1の閾値として 0. 8 Vが設定されている。 アナ口 グ比較器 24 aは、 例えば RS S I信号が第 1の閾値以下のとき、 第 1の状態、 例えば Hレベルの出力信号を発生する。
一方アナログ比較器 24 bには、 第 2の閾値発生器 26 bから第 2の閾値が供 給されている。 第 2の閾値発生器 26 bも、 第 2の閾値を任意に変更可能なもの である。 第 2の閾値は、 第 1の閾値よりも大きく、 例えば第 1の閾値と、 RSS I信号が飽和する値との中間付近に設定されている。 アナログ比較器 24 bは、 例えば R S S I信号が第 2の閾値以上のとき、 第 1の状態、 例えば Hレベルの出 力信号を発生する。
このように第 1及び第 2の閾値を設定し、 RSS I信号を第 1及び第 2の閾値 とアナログ比較器 24 a、 24 bにおいて比較しているので、 アナログ比較器 2 4 a、 24 bがどのような信号を出力するかによって、 RSS I信号が、 図 3に 示すように第 1及び第 2の閾値によって規定される H領域、 M領域及び L領域の いずれに位置するか判定することができる。 H領域は、 第 2の閾値よりも RS S I信号が大きい領域である。 M領域は、 RSS I信号が第 1及び第 2の閾値の 間にある領域である。 L領域は、 RSS I信号が第 1の閾値よりも小さい領域で ある。 このような判定は、 アナログ比較器 24 a、 24 bの出力信号が供給され るダイバシティ判定部 28においてなされる。
例えば H領域では、 受信レベルが強く、 ビットエラーレートも小さい値となる と予測され、 かつ電波伝搬による変動にも比較的安定した領域である。 M領域は、 ビットエラ一レ一トも比較的少なく安定している力 受信レベルは比較的変動し やすい領域である。 L領域は、 受信レベルも小さく、 ビットエラーレー卜が大き い領域である。
ダイバシティ判定部 2 8は、 アンテナ切換スィッチ 4に切換信号を生成するも のである。 ダイバシティ判定部 2 8によって、 H領域に R S S I信号が存在する と判定されたときには、 現在選択されたアンテナの高周波部 8への接続を維持す るように切換信号を供給する。 また、 M領域に R S S I信号が存在すると判定さ れたときには、 アンテナの切換が行われる。 切換後に H領域または M領域と判定 されると、 そのアンテナの高周波部 8への接続を維持し、 再び信号強度の判定を 行う。 ダイバシティ判定部 2 8によって、 L領域に R S S I信号が存在すると判 定されたときには、 受信状況不良であるので、 デジタル ·アナログ変換部 2 0に 設けたミュート回路を、 ダイバシティ判定部 2 8は作動させる。 但し、 ダイバシ ティ判定部 2 8はアンテナの切換を行い、 再び R S S I信号がいずれの領域存在 するかを判定し、 再び L領域と判定されると、 ミュート回路を作動させたままと し、 かつアンテナを切換えるように切換信号を切換スィツチ 4に供給する。
このようなダイバシティ判定部 2 8における判定及び切換スイッチ 4における アンテナの切換は、 各フレームのガードビットを復号部 1 2が検出したときに行 われる。 従って、 各フレームのガードビットごとに、 少なくともアンテナ切換の ための判断がダイバシティ判定部 2 8において繰り返される。 このガードビット は、 各フレームの最後尾に配置されているので、 このガードビット中にアンテナ の切換が行われると、 その切換の終了後に、 次のフレームのプリアンブルを用い た同期の確立が行われる。 従って、 例えば M領域において頻繁にアンテナが切り 換えられたとしても、 同期確立処理に支障は生じず、 異音の発生等の問題は生じ ない。
例えば R S S I信号をデジタル化して、 ダイバシティ判定部 2 8においてデジ タル化した第 1及び第 2の閾値と比較することも考えられる。 しかし、 図 3に示 すビットエラ一レートと受信レベルとの関係から明らかなように、 受信入カレべ
ルが或るレベル、 例えば約 2 2 d B ^ V以上になると、 ビットエラーレー卜は殆 ど 0となる。 このような場合、 R S S I信号をデジタル化して厳密な比較を行う よりも、 いずれの領域に属するか判断する方が、 R S S I信号をデジタル化する ための時間や、 ダイバシティ判定部 2 8における判定処理に要する時間が不要に なり、 高速な処理が行えるし、 コストを低減させることもできる。
但し、 このような受信レベルの比較だけでは、 例えば受信レベルが妨害波の影 響によって大きくなつており、 良好な受信が行われていない場合を検出できない。 そこで、 誤り訂正部 1 6内には、 ビットエラ一レート計測部 3 0が設けられてい る。 このビットエラ一レート計測部 3 0によって、 ビットエラ一レートが算出さ れ、 ダイバシティ判定部 2 8に供給されている。 ダイバシティ判定部 2 8は、 こ のビットエラーレートが、 予め定めたビットエラ一レート、 例えば l e— 4より も大きくなつた場合、 ビットエラ一が大きいと判断して、 ガードビットの検出時 に、 L領域における処理と同様な処理を行う。 即ち、 ミュート回路を作動させて、 アンテナを切換える。
なお、 ビットエラー計測部 3 0は、 この受信機に電源が供給された直後には、 プリアンブル同期回路 1 4において同期が取れていないので、 ビットエラ一レ一 卜の計測を行えない。 そのため、 ビットエラーレート計測部 3 0では、 それが備 えるバッファに初期値としてエラ一無しのデータを保持している。 プリアンブル 同期検出回路 1 4において同期が取れると、 ビットエラ一レート計測部 3 0は、 ビットエラ一レートの計測を開始し、 ビットエラーレ一卜の計測ができるごとに、 計測値をバッファに書き込むことによって、 計測値を更新する。 受信信号が小さ くなつたり、 ビットエラーレートが大きくなつたりすると、 プリアンブル検出回 路 1 4にリセットがダイバシティ判定部 2 8からかけられ、 プリアンブル検出回 路 1 4は同期を取り直す。 再び同期が取られるまでの間、 ビットエラーレート計 測部 3 0は、 ビットエラ一レートの計測を行えないが、 最後に計測されたビット エラーレートをバッファに保持している。
以下、 ダイバシティ判定部 2 8が行う処理を、 図 4及び図 5に示すフローチヤ ートを参照して、 説明する。
ダイバシティ判定部 2 8は、 電源がこの受信機に供給された直後には、 図 4に
示すように、 まずミュート回路を作動させて、 不要な雑音が発生しないようにす る (ステップ S 2)。 次に、 初期アンテナの設定を行う (ステップ S4)。 即ち、 アンテナ 2 a、 2 bのいずれかが高周波部 8に接続されるように切換スィッチ 4 を切換える。
そして、 信号強度の判定を行う (ステップ S 6)。 即ち、 RS S I信号が H、 M、 L領域のいずれにあるか判定する。 この判定時点では、 まだ復調、 復号が行 われていないので、 同期は取れていない。 そこで、 この判定のタイミングは、 任 意のタイミングに行われる。
判定の結果、 RSS I信号が Mまたは L領域に存在すると判定されると、 アン テナ切換が行われる (ステップ S 8)。 即ち、 受信アンテナを現在受信している アンテナから別のアンテナに切換えるように切換信号が切換スィッチ 4に供給さ れる。 これによつてアンテナが切換えられる。 アンテナ切換後に RSS I信号が 安定するまでの僅かな時間待機し (ステップ S 10)、 信号強度の判定が行われ る (ステップ S 12)。 上述したように、 ステップ S 2から S 12が実行されて いる間、 同期が取れていないので、 プリアンブル、 情報データ及びガードビット は検出されていない。 そこで、 とにかく信号強度が大きいアンテナを探している。 ステップ S 12において RSS I信号が Hまたは M領域に存在すると判定され た場合、 或いは、 ステップ S 6において RSS I信号が H領域に存在すると判定 された場合、 動作 1が行われる (ステップ S 14)。
ステップ S 14における動作 1では、 図 5に示すように、 まずプリアンブル同 期検出回路 14において同期が取れているか判定される (ステップ S 14 a 同期が取れていると判断されると、 ミュート回路の作動を停止させて、 ミュート を解除する (ステップ S 14b)。 なお、 上述したようにビットエラ一算出部 3 0において、 ビットエラ一レ一卜の算出が行われているが、 これには、 複数のフ レームを検出する必要があるので、 ステップ S 14 bにおけるミュート解除は、 このビットエラーレートの算出が終了した後に行われることが望ましい。 そこで、 ミュート解除の指令が供給されてから複数のフレームの経過後に、 ミュート解除 が実際に行われるように、 ミュート解除は遅延させている。 次に、 ガードビット が検出されるまで待機する。 一方、 ステップ S 14 aにおいて同期が取れていな
いと判断されると、 所定時間だけ待機する (ステップ S 14 d)。 この所定時間 については、 後述する。
次に、 図 4に示すように、 算出されたビットエラ一レートと予め定めたビット エラ一レート閾値とを比較して、 エラー判定を行う (ステップ S 16)。 算出さ れたビットエラ一レートがビットエラーレート閾値よりも小さいと判断されると、 正常と判定して、 信号強度の判定を行う (ステップ S 18)。 この判定の結果、 RSS I信号が H領域に存在すると、 ステップ S 14に戻る。 従って、 RSS I 信号が H領域にある間には、 アンテナは切換えられず、 ビットエラーレートの判 定が繰り返される。
ステップ S 18での判定の結果、 RSS I信号が M領域にあると判定されると、 ダイバシティ判定部 28は、 RSS I信号が H領域にあるようにすることを目指 して、 現在接続されているアンテナと異なるアンテナが高周波部 8に接続される ように、 切換信号をアンテナ切換部 4に供給して、 アンテナ切換を行う (ステツ プ S 20)。
ステップ S 20でのアンテナの切換後、 RS S I信号が安定するまで僅かな時 間待機し ((ステップ S 22)、 信号強度を再び判定する (ステップ S 24)。 こ の結果、 RS S I信号が Hまたは M領域にあると判定されると、 ステップ S 14 に戻る。 ステップ S 14において同期が確立していると判定された場合、 ステツ プ S 16のエラー判定、 ステップ S 18の信号強度判定、 ステップ S 20のアン テナの切換、 ステップ S 22の待機及びステップ S 24の信号強度判定は、 ガ一 ドビットが検出されている期間中に終了する。
エラー判定が正常であっても、 RS S I信号が M領域にあるときには、 アンテ ナが切換えられ、 切換後に再び信号強度の判定が行われる。 その結果、 RSS I 信号が Hまたは M領域にあると、 アンテナの切換は行わずに、 再びエラー判定と 信号強度の判定とが行われる。
ステップ S 12において、 RSS I信号が L領域に存在すると判定された場合 には、 同期リセットが行われる (ステップ S 26)。 即ち、 プリアンブル同期検 出回路 14にリセット信号が供給され、 再度同期の取り直しが行われる。 なお、 ステップ S 16においてエラ一と判定された場合、 ステップ S 18または S 24
において R S S I信号が L領域に存在すると判定された場合には、 ミュー卜回路 を作動させ (ステップ S 2 8 )、 その後に、 ステップ S 2 6が実行される。 ここ で、 ミュート回路を作動させるのは、 R S S I信号の低下またはビットエラーレ —トの増大に基づくノイズの発生を防止するためである。 ステップ S 2 6におい て同期をリセットするのは、 ビットエラ一レートの増大が同期外れに基づく可能 性があるからである。
その後、 所定時間の待機が行われる (ステップ S 3 0 )。 このステップ S 3 0 での所定時間の待機及びステップ S 1 4 dにおける所定時間の待機は、 共に同期 が確立されていないときに行われるものであり、 その所定時間は、 例えば数フレ ーム乃至数十フレームに相当する時間に選択されている。 即ちステップ S 1 0、 S 2 2における待機よりも長い時間の待機である。 アンテナ切換動作を行うと、 僅かながら信号欠落が生じる。 同期がとれていない状態で、 待機の所定時間があ まり短いと、 アンテナ切換による信号欠落が頻繁に起こり、 それがプリアンブル 部分で起こると、 同期確立動作に支障を生じる。 できるだけ同期確立に必要なプ リアンブル部分でアンテナ切換が繰り返し起こらないような切換タイミングにし て、 プリアンブル部分を早く検出し、 同期を確立させる必要がある。 待機の所定 時間を余り長くすると、 同期確立はしゃすくなるが、 アンテナ切換の頻度が減り、 信号状態の改善が遅くなる。 そこで、 数フレーム乃至数十フレームのうちで適切 な時間を選択している。 ステップ S 1 4 dと S 3 0における所定時間は、 同一の 時間とすることもできるが、 異ならせることもできる。 ステップ S 1 4 dでは、 信号強度は Hまたは M領域にあり、 充分であるので、 同期確立を優先して、 所定 時間を長めに設定する。 ステップ S 3 0では、 R S S I信号が L領域にあり、 信 号強度が足りない、 或いはビットエラーレートが高く、 信号状態が悪いので、 信 号状態の改善を優先するために、 所定時間を短めに設定し、 アンテナ切換を速く する。
このステップ S 3 0の待機に続いて、 アンテナの切換が行われる (ステップ S 3 2 )。 次に、 R S S I信号が安定するまでの僅かな時間だけ待機し (ステップ S 3 4 )、 その後に信号強度の判定を再び行う (ステップ S 3 6 )。 この判定の結 果、 R S S I信号が依然として L領域にあると、 再びステップ S 2 6から実行し
て、 アンテナの切換を行う。 この判定の結果、 RS S I信号が Hまたは M領域に あると、 ステップ S 14が実行される。
従って、 ステップ S 16でのエラ一判定の結果、 異常と判断された場合には、 アンテナが切換えられるが、 その後、 RS S I信号が Hまたは M領域ある場合に は、 再ぴステップ S 16でのエラー判定が行われる。 また、 ステップ S 12、 S 18または S 24において RSS I信号が L領域にあると判定された場合、 アン テナが切換えられ、 その後に信号強度の判定が行われ、 RSS I信号が L領域に まだある場合には、 再びアンテナの切換が行われるが、 RSS I信号が Hまたは M領域にある場合には、 ステップ S 16のエラ一判定が行われる。
上記の実施の形態では、 受信アンテナの数は、 2本としたが、 これに限ったも のではなく、 2本以上の受信アンテナを使用することができる。 上記の実施の形 態では、 RS S I信号に基づく受信強度の判定を行う他に、 ビットエラーレ一卜 に基づくエラ一判定を行ったが、 エラ一判定は場合によっては除去することもで きる。 上記の実施の形態では、 受信強度の判定では、 2つの閾値を設け、 RS S I信号が H、 M、 L領域のいずれの領域に存在するか判定したが、 1つの閾値を 設け、 RSS I信号が L領域、 M領域のいずれに存在するか判定してもよい。 上 記の実施の形態は、 デジタルワイヤレスマイクロホン用デジタル無線受信機に本 発明を実施したものであるが、 これに限ったものではなく、 単方向のデジタル無 線受信機であれば、 種々のものに実施することができる。