明 細 書 導波管形偏分波器 技術分野
この発明は、 主として VHF帯、 UHF帯、 マイクロ波帯およびミリ波帯で用 いられる導波管形偏分波器に関するものである。 背景技術 図 13は、 例えば、 特開平 1 1一 330801号公報に示された従来の導波管 形偏分波器の構成を示す斜視図である。 また、 図 14は、 図 1 3に示す導波管偏 分波器における水平偏波入力時の基本モードの電界分布を説明する分岐部側面図 である。 更に、 図 15は、 図 1 3に示す導波管偏分波器において水平偏波入力時 に発生する不要高次モードの電界分布を説明する主導波管断面図である。
図 13〜 1 5において、 31は垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝送す る方形主導波管、 32 aおよび 32 bは主導波管 31の管軸に対して直角かつ対 称に分岐する 2つの方形分岐導波管、 33 aおよび 33 bは主導波管 61内に挿 入され、 かつ、 円弧状の切り欠きが左右対称に施されている金属薄板、 P 1は主 導波管 31の入力端子、 P 2は主導波管 31の出力端子、 P 3および P 4は分岐 導波管 32 aおよび 32 bの出力端子、 Hは水平偏波の電波、 Vは垂直偏波の電 波である。
次に動作について説明する。 いま、 主導波管 3 1の端子 P 1から入力された水 平偏波の電波 Hの基本モード (T E 01モード) は、 主導波管 31の上側壁と金 属薄板 33 aの間隔、 金属薄板 33 aと 33 bの間隔および金属薄板 33 bと主 導波管 31の下側壁の間隔が使用周波数帯の自由空間波長の半分以下となるよう に設計されている。 このため、 それらの遮断効果により主導波管 3 1の端子 P 2 側へほとんど漏れることはない。 ·
また、 図 14に示すように、 金属薄板 33 aおよび 33 bは円弧状の切り欠き
が左右対称に施されているため、 水平偏波入力時には等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面円弧状ベンドが左右対称に分岐部に置かれた状態の電界分 布となる。 従って、 端子 P 1から入力された水平偏波の電波 Hの基本モードは、 端子 P 1への反射および端子 P 2への漏洩を抑えつつ、 端子 P 3および P 4へ効 率的に出力される。
更に、 2枚の金属薄板 3 3 aおよび 3 3 bは同一形状であり、 主導波管 3 1内 において上下対称となり、 かつ、 中央付近より離れた位置に装荷されている。 こ のため、 図 1 5に示すように水平偏波入力時には金属薄板 3 3 aと 3 3 bの間の 領域では上下対称面が磁気壁となり、 反射特性劣化の原因となる高次モードであ る T E 2 0モードは原理的に発生しない。 従って、 水平偏波入力時の反射特性劣 化を水平偏波 Hの基本モード (T E 0 1モード) の遮断周波数の 2倍に当たる付 近の周波数帯域まで抑制できる効果がある。
一方、 主導波管 3 1の端子 P 1から入力された垂直偏波の電波 Vの基本モード ( T E 1 0モード) は、 分岐導波管 3 2 aの幅広面の側壁間隔および分岐導波管 3 2 bの幅広面の側壁間隔が使用周波数帯の自由空間波長の半分以下となるよう に設計されている。 このため、 それらの遮断効果により分岐導波管 3 2 aおよび 3 2 bの端子 P 3および P 4側へほとんど漏れることはない。
また、 金属薄板 3 3 aおよび 3 3 bは主導波管 3 1内において板面が垂直偏波 Vの電界方向に対し直交するように装荷されており、 かつ、 金属薄板 3 3 aおよ び 3 3 bの厚みは使用周波数帯の自由空間波長に比べて十分小さく設計されてい る。 このため、 電波 Vの基本モードは金属薄板 3 3 aおよび 3 3 bではほとんど 反射しない。 従って、 端子 P 1から入力された垂直偏波の電波 Vの基本モードは 、 端子 P 1への反射および端子 P 3および P 4への漏洩を抑えつつ、 端子 P 2へ 効率的に出力される。
従来の導波管形偏分波器では、 方形主導波管 3 1と、 主導波管 3 1の管軸に対 して直角かつ対称に分岐する 2つの方形分岐導波管 3 2 aおよび 3 2 bと、 主導 波管 3 1内に挿入された金属薄板 3 2 aおよび 3 2 bとから構成し、 主導波管 3 1の入力端子 P 1より入射される垂直偏波と水平偏波を、 主導波管 3 1の出力端 子 P 2と分岐導波管 3 2 a、 3 2 bの出力端子 P 3、 P 4とから各々出力してい
る。 このため、 主導波管 3 1の管軸方向に対して小形化および短軸化が困難であ るという問題点があった。
また、 一般に、 垂直偏波および水平偏波の基本モード (T E 1 0モードおょぴ T E 0 1モード) の遮断周波数付近の周波数帯域では管内波長の周波数変化が激 しく、 これに伴い方形導波管 3 1の分岐部におけるインピーダンス不連続の周波 数変化も急激である。 このため、 従来の導波管形偏分波器では遮断周波数付近の 周波数帯域における両偏波の反射特性劣化を抑制することが困難であった。 この発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであり、 小形化 、 短軸化および広帯域化が可能で、 かつ、 高性能な導波管形偏分波器を得ること を目的としている。 発明の開示
この発明に係る導波管形偏分波器は、 第 1の方形主導波管と、 前記第 1の方形 主導波管に対して直角に分岐する第 1〜第 4の方形分岐導波管と、 前記第 1の方 形主導波管の一方の端子に接続された短絡板と、 前記短絡板上に設けられた金属 突起と、 前記第 1の方形主導波管の他方の端子に接続された方形導波管ステップ と、 前記方形導波管ステップに接続された第 2の方形主導波管とを備えたもので ある。
また、 他の発明に係る導波管形偏分波器は、 第 1の方形主導波管と、 前記第 1 の方形主導波管に対して直角に分岐する第 1〜第 4の方形分岐導波管と、 前記第 1の方形主導波管の一方の端子に接続された短絡板と、 前記短絡板上に設けられ た金属突起と、 前記第 1の方形主導波管の他方の端子に接続された円形一方形導 波管ステップと、 前記円形一方形導波管ステップに接続された円形主導波管とを 備えたものである。
さらに、 さらに他の発明に係る導波管形偏分波器は、 第 1の方形主導波管と、 前記第 1の方形主導波管に対して直角に分岐する第 1〜第 2の方形分岐導波管と
、 前記第 1の方形主導波管内の対称な位置に対をなして装荷された第 1〜第 2の 導体薄板と、 前記第 1の方形主導波管の他方の端子に接続され、 かつ、 前記第 1
〜第 2の方形分岐導波管に対する前記第 1の方形主導波管の分岐部に向かって開
口径が狭まる方形導波管ステップと、 前記方形導波管ステップに接続された第 2 の方形主導波管とを備えたものである。 図面の簡単な説明
図 1は、 この発明の実施の形態 1による導波管形偏分波器の斜視図、 図 2は、 電波の分波の動作を示す説明図,、
図 3は、 この発明の実施の形態 2による導波管形偏分波器の斜視図、 図 4は、 この発明の実施の形態 3による導波管形偏分波器の斜視図、 図 5は、 この発明の実施の形態 4による導波管形偏分波器の平面図、 図 6は、 この発明の実施の形態 4による導波管形偏分波器の側面図、 図 Ίは、 この発明の実施の形態 5による導波管形偏分波器の概略構成図、 図 8は、 この発明の実施の形態 6による導波管形偏分波器の斜視図、 図 9は、 電波の分波の動作を示す説明図、
図 1 0は、 不要高次モードが抑圧される原理を示す説明図、
図 1 1は、 この発明の実施の形態 7による導波管形偏分波器の斜視図、 図 1 2は、 この発明の実施の形態 8による導波管形偏分波器の斜視図、 図 1 3は、 従来の導波管形偏分波器の斜視図、
図 1 4は、 電波の分波の動作を示す説明図、
図 1 5は、 不要高次モードが抑圧される原理を示す説明図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態 1 .
図 1は、 この発明の実施の形態 1による導波管形偏分波器の構成を示す斜視図 である。 また、 図 2は、 図 1に示す導波管形偏分波器における水平偏波入力時の 基本モードの電界分布を説明する分岐部側面図である。
図 1および図 2において、 1は垂直偏波の電波おょぴ水平偏波の電波を伝送す る第 1の正方形主導波管、 2 a〜2 dは正方形主導波管 1の管軸に対して直角か つ対称に分岐する第 1〜第 4の方形分岐導波管、 3は正方形主導波管 1の一方の
端子を塞ぐ短絡板、 4は正方形主導波管内 1に、 つ、 短絡板 3上に設けられた 四角錘状の金属プロック、 5は正方形主導波管 1の一方の端子に接続され、 かつ 、 第 1〜第 4の方形分岐導波管 2 a〜2 dに対する正方形主導波管 1の分岐部に 向かって開口径が広がり、 かつ、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長に比べ て十分小さい正方形導波管ステップ、 6は正方形導波管ステップ 5に接続され、 かつ、 垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝送する第 2の正方形主導波管、 P 1は正方形主導波管 6の入力端子、 P 2〜 P 5は方形分岐導波管 2 a〜 2 dの 出力端子、 Hは水平偏波の電波、 Vは垂直偏波の電波である。
次に動作について説明する。 いま、 水平偏波の電波 Hの基本モード (T E 0 1 モード) が端子 P 1から入力されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 5、 正方形主導波管 1、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 bを伝搬して端子 P 2およ び P 3から各分岐導波管の基本モード (T E 1 0モード) として出力される。 ここで、 電波 Hは、 方形分岐導波管 2 cおよび 2 dの上下の側壁間隔が使用周 波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により端子 P 4および P 5側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属プロック 4および短絡板 3に沿って変えら れるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状ベンドが 対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入力され た電波 Hは、 端子 P 1への反射おょぴ端子 P 4、 P 5への漏洩を抑えつつ、 端子 P 2、 P 3へ効率的に出力される。
更に、 正方形導波管ステップ 5は、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長に 比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Hの基本モー ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度 高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に類 似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導 波管ステップ 5による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステップ 5を 設置することにより、 電波 Hの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波数 帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域における 反射特性劣化を抑制することが可能となる。
一方、 垂直偏波の電波 Vの基本モード (T E 1 0モード) が端子 P 1から入力 されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 5、 正方形主導波管 1、 方形 分岐導波管 2 cおよび 2 dを伝搬して端子 P 4および P 5から各分岐導波管の基 本モード (T E 1 0モード) として出力される。
ここで、 電波 Vは、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 bの上下の側壁間隔が使用周 波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により端子 P 2および P 3側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属ブロック 4および短絡板 3に沿って変えら れるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状ベンドが 対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入力され た電波 Vは、 端子 P 1への反射および端子 P 2、 P 3への漏洩を抑えつつ、 端子 P 4、 P 5へ効率的に出力される。
更に、 正方形導波管ステップ 5は、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長に 比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Vの基本モー ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度 高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に類 似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導 波管ステップ 5による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステップ 5を 設置することにより、 電波 Vの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波数 帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域における 反射特性劣化を抑制することが可能となる。
前記の動作原理は、 端子 P 1を入力端子、 端子 P 2〜P 5を出力端子とした場 合についての記述であるが、 端子 P 2〜P 5を入力端子、 端子 P 1を出力端子と し、 端子 P 2および P 3からの入力波を逆相かつ等振幅とし、 端子 P 4および P 5からの入力波を逆相かつ等振幅とした場合についても同様である。
以上のように、 この実施の形態 1によれば、 第 1〜第 2の正方形主導波管と、 第 1〜第 4の方形分岐導波管と、 正方形主導波管の一方の端子を塞ぐ短絡板と、 短絡板上に設けられた四角錘状の金属プロックと、 第 1の正方形主導波管と第 2 の正方形主導波管に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が広がる正方形
導波管ステップとから偏分波器を構成している。 このため、 正方形主導波管の基 本モードの遮断周波数近傍を含む広い周波数帯域において良好な反射特性および アイソレーション特性を実現できるという効果が得られる。
また、 4つの方形分岐導波管を正方形主導波管の管軸に対して直角かつ対称に 分岐させているため、 正方形主導波管の管軸方向に対して小形化を図ることがで きるという効果が得られる。
更に、 金属薄板や金属ポストを用いない構成となっているため、 加工難易度を 低くでき、 結果的に、 低コスト化を図ることができるという効果が得られる。 なお、 実施の形態 1では、 図 2に示すような電界の向きを変える金属突起とし て、 四角錐状の金属ブロック 4を設ける場合について説明したが、 これに限らず 、 階段状または円弧状の切り欠きをもつ金属プロックを設けても同様の効果を得 ることができる。 実施の形態 2 ·
図 3は、 この発明の実施の形態 2による導波管形偏分波器の構成を示す斜視図 である。 図 3において、 7は第 1の正方形主導波管 1の一方の端子に接続され、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が狭まる正方形導波管ステップ、 8は正方形 導波管ステップ 7に接続され、 かつ、 垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝 送する第 2の正方形主導波管、 9は第 2の正方形主導波管 8に接続された円形一 正方形導波管ステップ、 1 0は円形一正方形導波管ステップ 9に接続され、 かつ 、 垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝送する円形主導波管、 P 1は円形主 導波管 1 0の入力端子、 P 2〜 P 5は方形分岐導波管 2 a〜 2 dの出力端子、 H は水平偏波の電波、 Vは垂直偏波の電波である。
次に動作について説明する。 いま、 水平偏波の電波 Hの基本モード (T E 0 1 モード) が端子 P 1から入力されたとすると、 この電波は円形一正方形導波管ス テツプ 9、 正方形主導波管 8、 正方形導波管ステップ 7、 正方形主導波管 1、 方 形分岐導波管 2 aおよび 2 bを伝搬して端子 P 2および P 3から各分岐導波管の 基本モード (T E 1 0モード) として出力される。
ここで、 電波 Hは、 方形分岐導波管 2 cおよび 2 dの上下の側壁間隔が使用周
波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により端子 P 4および P 5側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属ブロック 4およぴ短絡板 3に沿つて変えら れるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状ベンドが 対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入力され た電波 Hは、 端子 P 1への反射および端子 P 4、 P 5への漏洩を抑えつつ、 端子 P 2、 P 3へ効率的に出力される。
更に、 円形一正方形導波管ステップ 9、 正方形主導波管 8、 および、 正方形導 波管ステップ 7は円形一方形導波管多段変成器として動作する。 このため、 円形 主導波管 1 0の直径、 正方形主導波管 8の径、 および、 正方形主導波管 8の管軸 長を適当に設計することにより、 多段変成器の反射特性として電波 Hの基本モー ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度 高い周波数帯域では反射損が非常に小さく出来る。 これは、 前記分岐部の反射特 性に類似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正 方形導波管ステツプ 7および円形一正方形導波管ステップ 9による反射波とが打 ち消し合う位置に正方形導波管ステップ 7および円形一正方形導波管ステップ 9 を設置することにより、 電波 Hの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波 数帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域におけ る反射特性劣化を抑制することが可能となる。
—方、 垂直偏波の電波 Vの基本モード (T E 1 0モード) が端子 P 1から入力 されたとすると、 この電波は円形一正方形導波管ステップ 9、 正方形主導波管 8 、 正方形導波管ステップ 7、 正方形主導波管 1、 方形分岐導波管 2 cおよび 2 d を伝搬して端子 P 4および P 5から各分岐導波管の基本モード (T E 1 0モード ) として出力される。
ここで、 電波 Vは、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 bの上下の側壁間隔が使用周 波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により端子 P 2および P 3側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属プロック 4および短絡板 3に沿って変えら れるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状ベンドが
対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入力され た電波 Vは、 端子 P 1への反射および端子 P 2、 P 3への漏洩を抑えつつ、 端子 P 4、 P 5へ効率的に出力される。
更に、 円形一正方形導波管ステップ 9、 正方形主導波管 8、 および、 正方形導 波管ステップ 7は円形一方形導波管多段変成器として動作するため、 円形主導波 管 1 0の直径、 正方形主導波管 8の径、 および、 正方形主導波管 8の管軸長を適 当に設計することにより、 多段変成器の反射特性として電波 Vの基本モードの遮 断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度高い周 波数帯域では反射損が非常に小さく出来る。 これは、 前記分岐部の反射特性に類 似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導 波管ステップ 7および円形一正方形導波管ステツプ 9による反射波とが打ち消し 合う位置に正方形導波管ステップ 7および円形一正方形導波管ステップ 9を設置 することにより、 電波 Vの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波数帯域 での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域における反射 特性劣化を抑制することが可能となる。
前記の動作原理は、 端子 P 1を入力端子、 端子 P 2〜P 5を出力端子とした場 合についての記述であるが、 端子 P 2〜P 5を入力端子、 端子 P 1を出力端子と し、 端子 P 2および P 3からの入力波を逆相かつ等振幅とし、 端子 P 4および P 5からの入力波を逆相かつ等振幅とした場合についても同様である。
以上のように、 この実施の形態 2によれば、 第 1〜第 2の正方形主導波管と、 1つの円形主導波管と、 第 1〜第 4の方形分岐導波管と、 第 1の正方形主導波管 の一方の端子を塞ぐ短絡板と、 短絡板上に設けられた四角錘状の金属プロックと 、 第 1の正方形主導波管と第 2の正方形主導波管に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に 向かって開口径が狭まる正方形導波管ステップと、 第 2の正方形主導波管と円形 主導波管に挟まれた円形一正方形導波管ステップとから偏分波器を構成している 。 このため、 正方形主導波管の基本モードの遮断周波数近傍を含む広い周波数帯 域において良好な反射特性おょぴアイソレーション特性を実現できるという効果 が得られる。
また、 4つの方形分岐導波管を正方形主導波管の管軸に対して直角かつ対称に
分岐させているため、 正方形主導波管の管軸方向に対して小形化を図ることがで きるという効果が得られる。
また、 入力端子の導波管開口形状が円形となっているため本偏分波器と円形ホ ーンァンテナー次放射器とを合わせて使う場合にはこれらのコンポーネント間の 整合性が良い。 従って、 通常偏分波器とアンテナ一次放射器と間に設けられるィ ンピーダンス変成器の削減を図り、 更なる小形化を図ることができるという効果 が得られる。
更に、 金属薄板や金属ポス トを用いない構成となっているため、 加工難易度を 低くでき、 結果的に、 低コス ト化を図ることができるという効果が得られる。 実施の形態 3 .
前記実施の形態 2では、 短絡板 3上に、 金属突起として四角錘状の金属プロッ ク 4を設けたものを示したが、 図 4に示すように、 金属ブロック 4に代えて、 短 絡板 3上に円弧状の切り欠きをもつ 2枚の金属薄板 2 4 aおよび 2 4 bを直交さ せて設ければ、 広帯域化および小形化の効果を損なうことなく更に偏分波器の軽 量化を図ることができるという効果が得られる。 また、 金属突起として、 円弧状 の切り欠きをもつ金属薄板に代えて、 直線状または階段状の切り欠きをもつ金属 薄板を直交させて設けても良い。 実施の形態 4 .
図 5は、 この発明の実施の形態 4による導波管形偏分波器の構成を示す平面図 である。 また、 図 6は、 この発明の実施の形態 4による導波管形偏分波器の構成 を示す側面図である。 図 5および図 6において、 1 1 a〜l 1 dは第 1〜第 4の 方形分岐導波管 2 a〜2 dに各々接続され、 かつ、 管軸がその H面において湾曲 し、 かつ、 その開口径が方形分岐導波管 2 a〜2 dから離れるに従って小さくな る第 1〜第 4の方形導波管多段変成器、 1 2 aは第 1の方形導波管多段変成器 1
1 aおよび第 2の方形導波管多段変成器 1 1 bに接続された第 1の方形導波管 E 面 T分岐回路、 1 2 bは第 3の方形導波管多段変成器 1 1 cおよび第 4の方形導 波管多段変成器 1 1 dに接続された第 2の方形導波管 E面 T分岐回路、 P 1は第
2の正方形主導波管 6の入力端子、 P 2は方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 aの出 力端子、 P 3は方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 bの出力端子、 Hは水平偏波の電 波、 Vは垂直偏波の電波である。
次に動作について説明する。 いま、 水平偏波の電波 Hの基本モード (T E 0 1 モード) が端子 P 1から入力されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 5、 正方形主導波管 1、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 b、 方形導波管多段変成器 1 1 aおよび 1 1 bを伝搬し、 方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 aにて再び合成さ れて端子 P 2から各分岐導波管の基本モード (T E 1 0モード) として出力され る。
ここで、 電波 Hは、 方形分岐導波管 2 cおよび 2 dの上下の側壁間隔が使用周 波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により方形導波管 2 cおよび 2 d側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属ブロック 4および短絡板 3に沿って 変えられるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状べ ンドが対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入 力された電波 Hは、 端子 P 1への反射および方形導波管 2 cおよび 2 dへの漏洩 を抑えつつ、 方形導波管 2 aおよび 2 bへ効率的に出力される。
また、 正方形導波管ステップ 5はその段差が使用周波数帯の自由空間波長に比 ベて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Hの基本モード の遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度高 い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に類似 している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導波 管ステップ 5による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステツプ 5を設 置することにより、 電波 Hの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波数帯 域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域における反 射特性劣化を抑制することが可能となる。
更に、 方形導波管多段変成器 1 1 aおよび 1 1 bは管軸が湾曲し、 力つ、 上側 壁面に複数の段差が設けられ、 かつ、 各段差の間隔が導波管中心線について管内 波長の約 1 / 4となっている。 このため、 結局、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 b
に分離された電波 Hを、 方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 aにて合成し、 かつ、 反 射特性を損なうことなく端子 P 2へ効率的に出力することができる。
一方、 垂直偏波の電波 Vの基本モード (T E 1 0モード) が端子 P 1から入力 されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 5、 正方形主導波管 1、 方形 分岐導波管 2 cおよび 2 d、 方形導波管多段変成器 1 1 cおよび 1 1 dを伝搬し 、 方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 bにて合成されて端子 P 3から各分岐導波管の 基本モード (T E 1 0モード) として出力される。
ここで、 電波 Vは、 方形分岐導波管 2 aおよび 2 bの上下の側壁間隔が使用周 波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それ らの遮断効果により方形導波管 2 aおよび 2 b側へほとんど漏れることはない。 また、 図 2に示すように、 電界の向きが金属ブロック 4および短絡板 3に沿って 変えられるので、 等価的に反射特性に優れた 2つの方形導波管 E面マイター状べ ンドが対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このため、 端子 P 1から入 力された電波 Vは、 端子 P 1への反射および方形導波管 2 aおよび 2 bへの漏洩 を抑えつつ、 方形導波管 2 cおよび 2 dへ効率的に出力される。
また、 正方形導波管ステップ 5は、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長に 比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Vの基本モー ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度 高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に類 似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導 波管ステップ 5による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステップ 5を 設置することにより、 電波 Vの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周波数 帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域における 反射特性劣化を抑制することが可能となる。
更に、 方形導波管多段変成器 1 1 cおよび 1 1 dは管軸が湾曲し、 かつ、 下側 壁面に複数の段差が設けられ、 かつ、 各段差の間隔が導波管中心線について管内 波長の^ 1 Z 4となっている。 このため、 結局、 方形分岐導波管 2 cおよび 2 d に分離された電波 Vを、 方形導波管多段変成器 1 1 a、 1 1 bおよび方形導波管
E面 T分岐回路 1 2 aとの干渉を避けて方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 bにて合
成し、 かつ、 反射特性を損なうことなく端子 P 3へ効率的に出力することができ る。
前記の動作原理は、 端子 P 1を入力端子、 端子 P 2〜P 3を出力端子とした場 合についての記述であるが、 端子 P 2〜P 3を入力端子、 端子 P 1を出力端子と した場合についても同様である。
以上のように、 この実施の形態 4によれば 第 1〜第 2の正方形主導波管と、 第 1の正方形主導波管の管軸に対して直角かつ対称に分岐させた第 1〜第 4の方 形分岐導波管と、 第 1の正方形主導波管の一方の端子を塞ぐ短絡板と、 短絡板上 に設けられた四角錘状の金属プロックと、 第 1の正方形主導波管と第 2の正方形 主導波管に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が広がる正方形導波管ス テツプと、 第 1〜第 2の方形分岐導波管に接続され、 かつ、 管軸が湾曲し、 かつ 、 上側壁面に複数の段差が設けられた第 1〜第 2の方形導波管多段変成器と、 第 3〜第 4の方形分岐導波管に接続され、 かつ、 管軸が湾曲し、 かつ、 下側壁面に 複数の段差が設けられた第 3〜第 4の方形導波管多段変成器と、 第 1〜第 2の方 形導波管 E面 T分岐回路とから偏分波器を構成している。 このため、 正方形主導 波管の基本モ一ドの遮断周波数近傍を含む広レ、周波数帯域において良好な反射特 性およびアイソ 1^ ^一シヨン特性を実現できるという効果が得られる。
また、 4つの方形分岐導波管により分離された水平偏波の電波 Hと垂直偏波の 電波 Vを各々合成する合成回路部を含めた偏分波器全体について正方形主導波管 の管軸方向に対し小形化を図ることができるという効果が得られる。
更に、 金属薄板や金属ポストを用いない構成となっているため、 加工難易度を 低くでき、 結果的に、 低コスト化を図ることができるという効果が得られる。 実施の形態 5 .
前記実施の形態 4では、 第 1の正方形生導波管 1と、 第 2の正方形主導波管 6 と、 正方形主導波管 1の管軸に対して直角かつ対称に分岐させた第 1〜第 4の方 形分岐導波管 2 a〜 2 dと、 正方形主導波管 1の一方の端子を塞ぐ短絡板 3と、 短絡板 3上に設けられた四角錘状の金属プロック 4と、 正方形主導波管 1と正方 形主導波管 6に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が広がる正方形導波
管ステップ 5と、 方形分岐導波管 2 aに接続され、 かつ、 管軸が湾曲し、 かつ、 上側壁面に複数の段差が設けられた第 1方形導波管多段変成器 1 1 aと、 方形分 岐導波管 2 bに接続され、 かつ、 管軸が湾曲し、 かつ、 上側壁面に複数の段差が 設けられた第 2方形導波管多段変成器 1 1 bと、 方形分岐導波管 2 cに接続され 、 かつ、 管軸が湾曲し、 かつ、 下側壁面に複数の段差が設けられた第 3の方形導 波管多段変成器 1 1 cと、 方形分岐導波管 2 dに接続され、 つ、 管軸が湾曲し 、 かつ、 下側壁面に複数の段差が設けられた第 4の方形導波管多段変成器 1 1 d と、 第 1〜第 2の方形導波管 E面 T分岐回路 1 2 a〜l 2 bとを設けたものを示 したが、 この実施の形態 5では、 図 7に示すように、 これらの全てのコンポーネ ントを、 第 1〜第 3の金属プロック 1 3〜 1 5を掘削加工し、 その後、 組み合わ せることにより構成する。 なお、 金属ブロック 4以外は、 図 7において破線で示 した部分が図 6において実線および破線で示した部分に対応する。
従来、 導波管回路を構成する場合、 各コンポーネント同士をフランジで接続す る必要があり、 このフランジ部分の占有面積は導波管の大きさよりもかなり大き いため、 コンポーネントの数が増大すれば、 この数に比例してフランジの数も增 大し、 その分フランジの占有面積も増大する。 し力 し、 この実施の形態 5によれ ば、 掘削加工した各コンポーネントを組み合わせるだけなので、 各コンポーネン ト間の接続に必要なフランジ等の接続支持機構が大幅に削減され、 正.方形主導波 管の管軸方向に対して大幅な小形化を図ることができるという効果が得られる。 また、 軽量化を図ることができるという効果が得られる。 実施の形態 6 .
図 8は、 この発明の実施の形態 6による導波管形偏分波器の構成を示す斜視図 である。 また、 図 9は、 図 8に示す導波管形偏分波器における水平偏波入力時の 基本モードの電界分布を説明する分岐部側面図である。 更に、 図 1 0は、 図 8に 示す導波管形偏分波器において水平偏波入力時に発生する不要高次モードの電界 分布を説明する主導波管断面図である。
図 8 ~ 1 0において、 1 6は垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝送する 第 1の正方形主導波管、 1 7 a〜 1 7 bは正方形主導波管 1 6の管軸に対して直
角かつ対称に分岐する 2つの第 1〜第 2の方形分岐導波管、 1 8 a〜 1 8 bは正 方形主導波管 1 6内に挿入され、 かつ、 円弧状の切り欠きが左右対称に施されて いる金属薄板、 1 9は正方形主導波管 1 6の一方の端子に接続され、 かつ、 前記 分岐部に向かって開口径が狭まり、 かつ、 その段差が使用周波数帯の自由空間波 長に比べて十分小さい正方形導波管ステップ、 2 0は正方形導波管ステップに接 続され、 かつ、 垂直偏波の電波および水平偏波の電波を伝送する第 2の正方形主 導波管、 2 1 a ~ 2 1 bは方形分岐導波管 1 7 a〜 1 7 b内に、 かつ、 正方形導 波管 1 6との接続部に近いところに設けられた第 1〜第 2の金属柱群、 2 2 a〜 2 2 bは方形分岐導波管 1 7 a〜 1 7 bに接続され、 かつ、 前記分岐部に向かつ て開口径が狭まり、 かつ、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長に比べて十分 小さい第 1〜第 2の方形導波管ステップ、 2 3 a〜2 3 bは方形導波管ステップ 2 2 a ~ 2 2 bに接続された第 3〜第 4の方形分岐導波管、 P 1は第 2の正方形 主導波管 2 0の入力端子、 P 2は第 1の正方形主導波管 1 6の出力端子、 P 3〜 P 4は第 3〜第 4の分岐導波管 2 3 a〜2 3 bの出力端子、 Vは垂直偏波の電波 、 Hは水平偏波の電波である。
次に動作について説明する。 いま、 水平偏波の電波 Hの基本モード (T E 0 1 モード) が端子 P 1から入力されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 1 9、 正方形主導波管 1 6、 金属柱群 2 1 a〜 2 1 b、 方形分岐導波管 1 7 aお よび 1 7 b、 方形導波管ステツプ 2 2 aおよび 2 2 b、 方形分岐導波管 2 3 aお ょぴ 2 4 bを伝搬して端子 P 3および P 4から各分岐導波管の基本モード (T E 1 0モード) として出力される。
ここで、 電波 Hは、 正方形主導波管 1 6の上側壁と金属薄板 1 8 aの間隔、 金 属薄板 1 8 aと 1 8 bの間隔、 および、 金属薄板 1 8 bと主導波管 1 6の下側壁 の間隔が各々使用周波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されてい る。 このため、 それらの遮断効果により正方形主導波管 1 6の端子 P 2側へほと んど漏れることはない。 また、 図 9に示すように、 電界の向きが金属薄板 1 8 a 〜1 8 bに沿って変えられるので、 等価的に反射特性の非常に優れた 2つの方形 導波管 E面円弧状ベンドが対称に置かれた状態の電界分布となっている。 このた め、 端子 P 1から入力された電波 Hは、 端子 P 1への反射および端子 P 2への漏
洩を抑えつつ、 端子 P 2、 P 3へ効率的に出力される。
また、 2枚の金属薄板 1 8 a〜 1 8 bは同一形状であり、 正方形主導波管 1 6 内において上下対称となり、 かつ、 中央付近より離れた位置に装荷されている。 このため、 図 1 0に示すように、 水平偏波入力時には金属薄板 1 8 aと 1 8 bの 間の領域では上下対称面が磁気壁となり、 反射特性劣化の原因となる高次モード である T E 2 0モードは原理的に発生せず、 従って、 水平偏波入力時の反射特性 劣化を水平偏波 Hの基本モード (T E 0 1モード) の遮断周波数の 2倍に当たる 付近の周波数帯域まで抑制できる効果がある。
更に、 正方形導波管ステップ 1 9はその段差が使用周波数帯の自由空間波長に 比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Hの基本モー ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程度 高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に類 似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導 波管ステップ 1 9による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステツプ 1 9を設置することにより、 電波 Hの基本モードの遮断周波数よりある程度高い周 波数帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域にお ける反射特性を改善することが可能となる。
同様に、 方形導波管ステツプ 2 2 a〜 2 2 bはその段差が使用周波数帯の自由 空間波長に比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 H の基本モードの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よ りある程度高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反 射特性に類似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波 と方形導波管ステップ 2 2 a〜2 2 bによる反射波とが打ち消し合う位置に方形 導波管ステップ 2 2 a〜2 2 bを設置することにより、 電波 Hの基本モードの遮 断周波数よりある程度高い周波数帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断 周波数近傍の周波数帯域における反射特性を更に良く改善することが可能となる 一方、 垂直偏波の電波 Vの基本モード (T E 1 0モード) が端子 P 1から入力 されたとすると、 この電波は正方形導波管ステップ 1 9、 正方形主導波管 1 6を
伝搬して端子 P 2から正方形導波管の基本モード (T E 1 0モード) として出力 される。
ここで、 電波 Vは、 方形分岐導波管 1 7 aおよび 1 7 bの上下の側壁間隔が使 用周波数帯の自由空間波長の半分以下となるように設計されている。 このため、 それらの遮断効果により端子 P 3および P 4側へほとんど漏れることはない。 ま た、 金属薄板 1 8 a〜l 8 bの幅広面は、 電波 Vの基本モードの電界方向と直交 しており、 かつ、 各金属薄板の厚みは自由空間波長に比して十分に小さいので電 波 Vの反射特性を損なうことはない。 このため、 端子 P 1から入力された電波 V は、 端子 P 1への反射および端子 P 3および P 4への漏洩を抑えつつ、 端子 P 2 へ効率的に出力される。
また、 金属柱群 2 1 a〜2 1 bにより垂直偏波の電波 V入射時に分岐部で発生 した不要高次モードの方形分岐導波管分岐部 1 7 a〜 1 7 b側への漏れこみが遮 断されるため、 分岐部付近での電磁界の乱れが抑圧され、 結局、 広帯域に渡って 良好な反射特性が得られる。
更に、 正方形導波管ステップ 1 9は、 その段差が使用周波数帯の自由空間波長 に比べて十分小さく設計されている。 このため、 その反射特性は電波 Vの基本モ 一ドの遮断周波数近傍の周波数帯域では反射損が大きく、 遮断周波数よりある程 度高い周波数帯域では反射損が非常に小さい。 これは、 前記分岐部の反射特性に 類似している。 従って、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形 導波管ステップ 1 9による反射波とが打ち消し合う位置に正方形導波管ステップ 1 9を設置することにより、 電波 Vの基本モードの遮断周波数よりある程度高い 周波数帯域での良好な反射特性を損なうことなく遮断周波数近傍の周波数帯域に おける反射特性劣化を抑制することが可能となる。
前記の動作原理は、 端子 P 1を入力端子、 端子 P 2〜 P 4を出力端子とした場 合についての記述であるが、 端子 P 2〜P 4を入力端子、 端子 P 1を出力端子と し、 端子 P 3および P 4からの入力波を逆相かつ等振幅とした場合についても同 様である。
以上のように、 この実施の形態 6によれば、 第 1〜第 2の正方形主導波管と、 第 1の正方形主導波管の管軸に対して直角かつ対称に分岐させた第 1〜第 2の方
形分岐導波管と、 第 1の正方形主導波管内に挿入され、 かつ、 円弧状の切り欠き が左右対称に施されている 2枚の金属薄板と、 第 1の正方形主導波管と第 2の正 方形主導波管に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が狭まる正方形導波 管ステップと、 第 1〜第 2の方形分岐導波管内に各々装荷された第 1〜第 2の金 属柱群と、 第 3〜第 4の方形分岐導波管と、 第 1〜第 2の方形分岐導波管と第 3 〜第 4の方形分岐導波管に挟まれ、 かつ、 前記分岐部に向かって開口径が狭まる 第 1〜第 2の方形導波管ステップとから偏分波器を構成している。 このため、 正 方形主導波管の基本モードの遮断周波数近傍、 および、 同遮断周波数の 2倍に当 たる付近を含む非常に広い周波数帯域において良好な反射特性およびアイソレー シヨン特性を実現できるという効果が得られる。 実施の形態 7 .
前記実施の形態 1では、 正方形主導波管 1の一方の端子に接続され、 かつ、 前 記分岐部に向かって開口径が広がり、 かつ、 その段差が使用周波数帯の自由空間 波長に比べて十分小さい正方形導波管ステップ 5を設けたものを示したが、 図 1 2に示すように、 正方形導波管ステップ 5に代えて前記分岐部に向かって開口径 が狭まる正方形導波管ステツプ 7を設ければ、 正方形導波管ステツプ 7での反射 波の反射位相が正方形導波管ステップ 5を設けた場合の反射位相と異なるため、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と正方形導波管ステップ 7による 反射波が打ち消し合う位置が正方形導波管ステップ 5を設けた場合の打ち消し合 う位置よりも分岐部に近くなることがあり、 この場合、 更に偏分波器の小形化を 図ることができるという効果が得られる。 ' 実施の形態 8 .
前記実施の形態 1では、 正方形主導波管 1の一方の端子に接続され、 かつ、 前 記分岐部に向かって開口径が広がり、 かつ、 その段差が使用周波数帯の自由空間 波長に比べて十分小さい正方形導波管ステップ 5を設けたものを示したが、 図 1
1に示すように、 正方形導波管ステップ 5および第 2の正方形主導波管 6に代え て円形一正方形導波管ステップ 9および円形主導波管 1 0を設ければ、 円形一正
方形導波管ステップ 9での反射波の反射位相が正方形導波管ステップ 5を設けた 場合の反射位相と異なるため、 遮断周波数帯近傍において分岐部からの反射波と 円形一正方形導波管ステップ 9による反射波が打ち消し合う位置が正方形導波管 ステップ 5を設けた場合の打ち消し合う位置よりも分岐部に近くなることがあり 、 この場合、 更に偏分波器の小形化を図ることができるという効果が得られる。 産業上の利用の可能性
以上のように、 この発明によれば、 小形化、 短軸化および広帯域化が可能で、 かつ、 高性能な導波管形偏分波器を得ることができる。