明細書
光学活性 3—ハロー 1, 2—プロパンジォ -ル誘導体の製造法 技術分野
本発明は、 医薬品中間体として有用な光学活性 3—ハロー 1, 2- オール誘導体、 とりわけ光学活性 3—クロロー 1, 2—プロパンジオールの製造 法に関する。 より詳細には、 安価に入手可能な 2 _クロロアリルアルコールから、 簡便な方法によりハロヒドロキシアセトン誘導体を合成し、 そのカルボ二ル基を 不斉水素化触媒と水素を用いて不斉水素化することを特徴とする、 光学活性 3— ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体、 とりわけ光学活性 3—クロ口一 1, 2
'ジオールの製造法に関する。 背景技術
従来、 光学活性 3 _ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体の製造法としては、 以下の様な方法が知られている。 .
1) 微生物を用いて、 ラセミ体の 3—クロ口一 1 , 2—プロパンジオールの一方 の光学異性体のみを資化分解することにより、 (S) 又は (R) —3—クロロー 1, 2—プロパンジオールを残存させる方法 (化学と工業、 1 997年、 7 1卷、 482〜 489頁) 。
2) ラセミ体の 3—クロロー 1, 2—プロパンジオールを、 チオール化合物存在 化下、 微生物で処理することにより、 (R) — 3—クロロー 1, 2—プロパンジ オール及び (S) —チォグリセリンに変換した後、 (R) — 3_クロロー 1, 2 一プロパンジオールを分離精製する方法 (特開昭 62- 122596号公報、 特 開昭 62- 1 225 97号公報) 。
3) 1ーァセトキシ一 3—クロ口一 2—プロパノンを、 微生物を用いて立体選択 的に還元した後、 リパーゼを用いて脱ァセチルイ匕することにより、 光学活性 3— クロロー 1, 2—プロパンジオールを取得する方法 (特開平 1 1— 103878 号公報) 。
4) ラセミ体のェピクロルヒドリンを (R, R) — J a c o b s e n触媒存在下、
不斉開環することにより、 (S) 一ェピクロノレヒドリン (収率 44%、 光学純度 96 % e e ) 及び (R) — 3—クロ口一 1, 2—プロパンジオール (収率 50%、 光学純度 96% e e) に変換した後、 (R) — 3—クロ口 _ 1, 2—プロパンジ オールを分離精製する方法 (WOO 0/00946 3) 。
しかしながら、 1) の方法では光学分割法である為、 理論収率は 50%以下で あり、 また原料の仕込濃度が低い為、 生産性が悪い。 2) の方法では、 含硫化合 物等の廃棄物が多量に副生する。 3) の方法では、 基質が極めて入手困難であり、 またリパーゼを用いて脱ァシルする必要がある為、 煩雑な製法となる。 4) の方 法では、 高価な不斉触媒が必要であり、 得られる光学活性 3—クロロー 1, 2— プロパンジオールの光学純度も低い。 このように、 いずれの方法においても工業 的に利用するには大きな課題を有している。
一方、 プロキラルな化合物であるハロヒドロキシアセトン誘導体を、 不斉水素 化触媒と水素を用いて不斉水素化することにより、 光学活性 3—ハロー 1, 2— プロパンジオール誘導体を得る方法については、 全く報告されていない。
ハロヒドロキシアセトン誘導体の製造法としては、 以下の製造法が知られてい る。
5) α—クロ口ピルビン酸を硫酸存在下、 オルト蟻酸メチル /メタノールで処理 した後、 リチウムアルミニウムハイドライドを用いて還元することにより 3—ク ロロ一 2, 2—ジメチルォキシ一 1—プロパノールを合成し、 これを酸で処理し て 1一クロロー 3—ヒドロキシァセトンを水溶液として得る方法 ( J . O r g. C h e m. , 1 982, 47, 2355〜 2358) 。
6) 2—クロロアリノレアノレコールを N—プロムスクシ二ルイミ ド (NB S) で処 理することにより、 1—プロモ一3—ヒドロキシアセトンを得る方法 (T e t r a h e d r o n L e t t. , 1 993, 34, 1 73 3〜 1 736) 。
7) クロ口プロパルギルアルコールを炭酸カリ存在下、 ホルムアルデヒ ドと反応 させることにより 1_クロロー 2, 3—メチレンジォキシプロペンに変換した後、 これを酸で処理して 1一クロロー 3—ヒドロキシアセトンを得る方法 (J u s t u s L i e b i g s Ann. C h e m. , 1 969, 724, 128— 13 6) 。
8) 2—クロロアリルアルコールを次亜塩素酸 (C 1 OH) で処理することによ り、 1一クロロー 3—ヒ ドロキシアセトンを得る方法 (J. Ch em. S o c. (B) , 1 96 9, 421) 。
しかしながら、 5) の方法では、 高価な還元剤を使用しなければならず、 また、 工程数が長くて煩雑であり、 6) の方法では、 出発原料が入手困難であり、 高価 な N B Sが必要であり、 7 ) の方法では、 出発原料が高価であり、 操作が煩雑で あり、 8) の方法では、 入手困難な次亜塩素酸を用いる等、 工業的製法としては、 改善すべき点を有している。
また、 1 _クロ口一 3—ヒドロキシアセトン、 又は、 その二量体である 2, 5 ージクロロメチ — 2, 5—ジヒドロキシ一 1, 4 _ジォキサンの単離精製法に ついては全く報告されていない。 発明の要約
上記に鑑み、 本発明の目的は、 医薬品の中間体として有用な光学活性 3—ハロ — 1, 2 _プロパンジオール誘導体、 中でも光学活性 3—クロ口 _ 1 , 2—プロ パンジオールを、 安価で入手容易な原料から簡便に製造できる方法を提供するこ とにある。
本発明者等は上記に鑑み、 鋭意検討を行った結果、 安価に入手可能な 2—クロ ロアリルアルコールから、 簡便な方法にてハロヒ ドロキシアセトン誘導体を合成 し、 そのカルボ二ル基を不斉水素化触媒と水素を用いて不斉水素化することによ り、 光学活性 3—ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体を簡便に製造できる方 法を見出した。
さらに、 上記製造法で副生する不純物を水と共沸除去する、 又は、 有機溶剤を 用いてハロヒドロキシアセトン誘導体を晶析することにより、 高純度のハロヒド ロキシアセトン誘導体を取得できることも見出し、 本発明を完成するに至った。 即ち、 本発明は、 下記式 (1) ;
(1)
で表される 2—クロロアリルアルコールを、 酸性条件下、 次亜ハロゲン酸塩又は ハロゲンと反応させることを特徴とする、 下記式 (2 ) ;
(式中、 Xはハロゲン原子を表す) 、 又は、 下記式 (3 )
(式中、 Xは前記と同じ) で表されるハロヒドロキシアセトン誘導体の製造法に 関する。
また、 本発明は、 前記式 (1 ) で表される 2—クロロアリルアルコールを、 酸 性条件下、 次亜ハロゲン酸塩又はハロゲンと反応させて、 下記式 (4 ) ;
で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体とし、 次いで共存する 2, 2, 3- トリクロ口プロパノールを水と共沸除去することを特徴とする、 前記式 (4) 又 は (5) で表されるクロロヒ'ドロキシアセトン誘導体の製造法に関する。
また、 本発明は、 前記式 (1) で表される 2—クロロアリルアルコールを、 酸 性条件下、 次亜ハロゲン酸塩又はハロゲンと反応させて得られた、 前記 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体を、 有機溶剤を用いて晶 析することにより、 当該誘導体に混入している不純物を除去し、 前記式 (5) で 表される化合物の結晶として取得することを特徴とする、 前記式 (5) で表され るクロロヒドロキシァセトン誘導体の製造法に関する。
また、 本発明は、 前記式 (2) 又は (3) で表されるハロヒドロキシアセトン 誘導体を、 遷移金属と光学活性ホスフィン配位子より調製される不斉水素化触媒 と水素を用いて不斉水素化することを特徴とする、 一般式 (6) ;
(式中、 Xは前記と同じ、 *は不斉炭素原子を表す) で表される光学活性 3—ハ 口— 1, 2—プロパンジオール誘導体の製造法に関する。 発明の詳細な開示
以下に本発明を詳細に説明する。
前記式 (2) 、 (3) 及び (6) において、 Xは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭 素原子、 ヨウ素原子等のハロゲン原子を表し、 好ましくは塩素原子である。 また、 前記式 (6) において、 *は不斉炭素原子を表す。
前記式 (1) で表される 2—クロロアリルアルコールは、 工業廃棄物として安 価に入手可能である。 また、 より安価な 1, 2, 3—トリクロ口プロパン又は 2, 3—ジクロ口プロペンを、 炭酸カリゥム等を用いて加水分解することにより製造 することもできる (US 2285329) 。 本発明においては、 上記加水分解反 応によつて製造した 2—クロロアリルアルコールを、 単離精製して使用してもよ
いし、 単離精製することなく加水分解反応液をそのまま、 あるいは、 反応液を蒸 留して得られる 2—クロロアリルアルコールと水の混合物として用いることもで きる。
次に、 本発明における光学活性 3—ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体の 製造法について説明する。
まず、 本発明における前記式 (2 ) 又は (3 ) で表されるハロヒドロキシァセ トン誘導体の製造法について説明する。 前記式 (1 ) で表される 2—クロロアリ ルアルコールを溶媒に加え、 酸性条件下にて次亜ハ口ゲン酸塩又はハロゲンを添 加することにより、 前記式 (2 ) 又は (3 ) で表されるハロヒ ドロキシアセトン 誘導体を製造することができる。
上記次亜ハロゲン酸塩又はハロゲンとしては、 例えば、 次亜塩素酸ナトリウム (N a O C 1 ) 、 サラシ粉 (C a ( C I O) 2 · C a C 1 2 ■ 2 H 2 0 ) 、 高純度 サラシ粉 (C a ( C 1 O ) 2 · 3 H 2 0) 、 サラシ液 (C a ( C 1 O) 2) 、 塩素、 臭素、 ヨウ素等が挙げられる。 好ましくは、 次亜塩素酸ナトリウム又は塩素が挙 げられる。
次亜ハ口ゲン酸塩又はハ口ゲンの使用量は、 2—クロロアリルアルコールと、 次亜ハロゲン酸塩又はハロゲンのモル比として、 5 : 1〜1 : 5、 好ましくは 1 : 1〜1 : 5、 より好ましくは 1 : 1〜1 : 2である。
本反応に使用できる溶媒としては、 水、 又は、 水を含む混合溶媒である。 混合 溶媒に用いる溶媒としては、 例えば、 へキサン、 ヘプタン、 ベンゼン、 トルエン 等の炭化水素系溶剤;ジェチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 1, 4一ジォキ サン、 t e r tーブチルメチノレエーテノレ、 ジメ トキシェタン等のエーテル系溶剤 ;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 1, 1一トリクロロェタン等のノヽロゲン系 溶剤; ジメチルホルムアミ ド、 ァセトアミ ド、 ホルムアミ ド、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリル等の含窒素系溶剤;ジメチルスルホキシド、 N—メチルピロリ ドン、 へキサメチルリン酸トリアミ ド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、 エタノール、 n—プロパノール、 n—ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げ られる。 上記溶媒は単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。 好ましく は水である。
本反応においては、 生成物であるハロヒドロキシアセトン誘導体が中性〜アル カリ性では不安定な為、 反応を酸性条件下にて行う必要がある。 例えば、 本反応 の好適な p H範囲としては、 p H 5以下、 好ましくは] H 3以下である。 また、 本反応において次亜ハ口ゲン酸塩を用!/ヽる場合は、 反応系がアル力リ条件になる のを防ぐ為に、 予め対応する量の酸を添加しておく力 \ あるいは、 酸を用いて p Hコントロールしながら反応させることが望ましい。
上記酸としては、 例えば、 塩酸、 硫酸、 燐酸等の無機酸、 蟻酸、 酢酸、 クェン 酸等の有機酸が挙げられ、 好ましくは硫酸である。 酸の使用量は、 酸と次亜ハロ ゲン酸塩の当量比として、 5 : 1〜1 : 5、 好ましくは 5 : :!〜 1 : 2、 より好 ましくは 2 : 1〜1 : 2である。
本反応の反応温度としては、 好ましくは一 2 0〜6 0 °C、 より好ましくは 0〜 4 0 °Cである。 本反応の反応時間としては、 好ましくは 1時間〜 7 2時間、 より 好ましくは 1時間〜 1 0時間である。
本反応の後処理としては、 反応液から生成物を取得するための一般的な後処理 を行えばよい。 例えば、 ハロヒドロキシアセトン誘導体を含む反応液から、 一般 的な抽出溶媒、 例えば、 酢酸ェチル、 ジェチルエーテル、 塩化メチレン、 トルェ ン、 へキサン等を用いて抽出し、 減圧加熱等の操作により反応溶媒及び抽出溶媒 を留去すると目的物が得られる。
上記方法により前記式 (4 ) 又は (5 ) で表されるクロロヒドロキシアセトン 誘導体を製造する場合 (前記式 (2 ) 又は (3 ) において Xが塩素原子の場合) 、 製造過程における分解や副反応のため、 ァセトール、 1, 1ージクロ口 _ 3—ヒ ドロキシアセトン、 2 , 5—ジ (ジク口ロメチノレ) 一 2 , 5—ジヒドロキシー 1 , 4—ジォキサン、 1 , 3—ジクロ口アセトン、 1, 3—ジヒドロキシアセトン、 2, 2 , 3—トリクロ口プロパノール等の各種不純物を含有しやすい。 とりわけ、 上記反応においては、 ァセトール、 1, 1ージクロロー 3—ヒドロキシアセトン、 2 , 5—ジ (ジクロロメチル) 一 2, 5—ジヒドロキシー 1 , 4 _ジォキサン、 又は 2, 2 , 3 _トリクロ口プロパノール等を副生する傾向があり、 高品質の目 的物を得るためには、 これらの不純物を除去することが好ましい。
一般に、 構造の類似した不純物 (類縁物質) の除去は難しく、 これらの不純物
を除去して高品質の目的物を得るためには、 優れた精製、 単離方法が必要である。 本発明者らは鋭意検討の結果、 前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロ キシアセトン誘導体及び不純物を含有する水溶液から、 不純物を水と共沸除去す ること、 又は、 不純物を含有する前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒド ロキシアセトン誘導体を有機溶剤から晶析することにより、 高純度の目的物を効 率よく取得できる方法を開発するに至った。
前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体に含まれ る不純物、 特に 2, 2, 3_トリクロ口プロパノールは、 水との共沸混合物とし て留去することが好ましい。 水との共沸除去は、 例えば前記反応液を減圧加熱下 に濃縮する等、 常法により行うことができる。 この方法により、 目的物であるク ロロヒ ドロキシアセトン誘導体をほとんどロスすることなく、 2, 2, 3_トリ クロ口プロパノール等の不純物を除去することができる。 また、 加熱温度は減圧 度に依存するが、 40〜 80 °C、 好ましくは 40〜 60 °Cであり、 濃縮後液量の 反応液量に対する比率は 1/5〜 1/2、 好ましくは 1/3〜1/2である。 この様にして得られた反応液から、 一般的な抽出溶媒、 例えば酢酸ェチル、 t e r t一プチノレメチノレエーテノレ、 ジェチノレエーテノレ、 塩化メチレン等を用いて抽 出した後、 溶媒を留去することにより、 化学純度の高い目的物を効率よく取得す ることができる。
以上の操作を行って得られたクロロヒドロキシアセトン誘導体をさらに高品質 化 (化学純度を高める) する為には、 晶析を行うことが好ましい。
前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体の晶析は 必ずしも容易ではないが、 好適な晶析溶媒を利用することにより、 驚くべきこと に極めて容易に、 前記式 (5) で表される 2量体、 2, 5—ジクロロメチル一 2, 5—ジヒドロキシ _1, 4一ジォキサンの結晶として採取し得ることを見い出し た。 また、 当該晶析前に、 前述の不純物の共沸除去操作を行うとより好ましい。 本晶析は、 前記式 (4) で表される 1—クロロー 3—ヒドロキシアセトンの 2 量化反応と、 その 2量体の結晶化により成り立つている。 即ち、 上記方法により 前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体を製造する 場合 (前記式 (2) 又は (3) において Xが塩素原子の場合) 、 反応後は、 前記
式 (4 ) 及び (5 ) で表されるクロロヒドロキシアセトン誘導体は平衡状態で存 在しているが、 前記式 (4 ) で表される 1—クロロー 3 —ヒドロキシアセトン ( 油状物) は、 適当な溶媒中にて冷却されることにより 2量化して、 より安定な前 記式 (5 ) で表される 2, 5—ジクロロメチル一 2 , 5—ジヒ ドロキシ _ 1, 4 一ジォキサン (結晶性化合物) に変換され、 その後、 2 , 5—ジクロロメチルー 2, 5—ジヒ ドロキシー 1, 4—ジォキサンが結晶化して析出することにより、 目的化合物が結晶として得られる。
本発明においては、 不純物として 1 , 1—ジクロロー 3—ヒ ドロキシアセトン、 2, 5—ジ (ジクロロメチノレ) - 2 , 5—ジヒ ドロキシ一 1 , 4 _ジォキサン等 を含有するクロ口ヒドロキシァセトン誘導体を、 有機溶剤を用いて晶析すること により、 上記不純物を除去し、 高純度の 2 , 5—ジクロロメチル一 2 , 5—ジヒ ドロキシー 1 , 4—ジォキサンを取得することができる。
本工程において使用される有機溶剤として、 湿結晶からの溶剤の乾燥や溶剤の 回収再利用 (蒸留回収) 等の点を考慮すると、 比較的沸点の低い有機溶剤が好ま しく、 一般には、 1気圧以下で沸点が約 1 0 0 °C以下の有機溶剤が挙げられる。 前記有機溶剤としては特に限定されず、 具体的には例えば、 蟻酸ェチル、 酢酸 メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸 n —プチル、 酢酸 t e r t—プチル、 プロピオン酸メチル、 プロピオン酸ェチル、 γ —プチロラク トン等のエステル系 溶剤; t e r t—ブチルメチノレエ一テル、 ジェチルエーテゾレ、 ジイソプロピルェ 一テル、 ジプチルエーテル、 ジメ トキシェタン、 ジエチレングリコーノレジメチル エーテル、 テトラヒドロフラン、 1, 4一ジォキサン、 ァニソール等のエーテル 系溶剤;アセトン、 メチルェチルケトン、 ジェチルケトン、 シク口ペンタノン、 シク口へキサノン等のケトン系溶剤;ァセトニトリル、 プロピオェトリル等の二 トリル系溶剤;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 四塩化炭素、 1, 2—ジクロロェ タン、' 1 , 1, 1一トリクロロェタン、 クロ口ベンゼン等のハロゲン系溶斉 lj;ベ ンゼン、 トノレェン、 o—キシレン、 m—キシレン、 ーキシレン、 ェチノレべンゼ ン、 プロピノレベンゼン、 タメン、 n —プチノレベンゼン、 1 , 3, 5—メシチレン 等の芳香族炭化水素系溶剤; メタノール、 エタノール、 n —プロパノール、 イソ プロパノール、 n—プタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
好ましくは、 酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸 n—プチル、 酢酸 t e r tーブチル、 プロピオン酸メチル、 t e r tーブチノレメチノレエーテゾレ、 ジ ェチルエーテノレ、 ジイソプロピルエーテル、 ジブチルエーテル、 テトラヒ ドロフ ラン、 1, 4一ジォキサン、 ァニソール、 アセトン、 メチルェチルケトン、 ジェ チルケトン、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリル、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 四塩化炭素、 1 , 2—ジクロロェタン、 クロ口ベンゼン、 ベンゼン、 トノレェン、 o—キシレン、 m—キシレン、 : —キシレン、 ェチノレベンゼン、 プロピノレべンゼ ン、 タメン、 n一ブチルベンゼン、 1 , 3, 5—メシチレン、 メタノ一ノレ、 エタ ノール、 11—プロパノール、 ィソプロパノール、 n—プタノール等が挙げられる。 より好ましくは、 ベンゼン、 トルエン、 o—キシレン、 m—キシレン、 p—キシ レン、 ェチノレベンゼン、 プロピノレベンゼン、 クメン、 11—プチノレベンゼン、 1 , 3 , 5ーメシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤であり、 溶剤コストゃ取り扱い性 の総合的観点から、 トルエン、 キシレン等がさらに好ましい。 これらは単独で用 いてもよく、 2種以上併用してもよい。
前記有機溶剤を使用すると、 前記化合物 (5 ) の高い精製効果、 即ち、 各種不 純物、 とりわけ前記化合物 (5 ) の類縁物質の効果的な除去が達成される。 前記 有機溶剤の使用量は、 前記化合物 (5 ) の結晶化のための操作終了時において、 取得物の流動 ¾Ξが維持できる量であるのが好ましく、 例えば、 前記化合物 (5 ) に対し、 好ましくは約 3 0倍重量以下であり、 より好ましくは約 0 . 5〜 1 0倍 重量である。
本発明において、 前記化合物 (5 ) の結晶化の際には、 反応晶析、 冷却晶析、 濃縮晶析等の晶析方法、 又は、 これらの晶析方法を組み合わせて用いることがで きる。 なお、 前記濃縮晶析は、 前記有機溶剤以外の他の溶剤からなる溶液を、 前 記有機溶剤からなる溶液に置換していく晶析法であってもよい。 また、 結晶化に 際しては、 種晶を添加してもよい。
本発明において、 結晶化に際しては、 前記有機溶剤の他に、 前記化合物 (5 ) の収量、 処理濃度、 液性状及び得られる結晶の物性のうちの少なくとも 1っを改 善するために、 さらに補助的な溶剤を用いることができる。 前記補助的な溶剤は、 必要に応じて、 前記有機溶剤に添加してもよく、 予め補助的な溶剤と前記有機溶
剤の混合溶液に前記化合物 (5 ) を加熱溶解させ、 冷却晶析することもできる。 前記補助的な溶剤としては、 特に限定されず、 例えばペンタン、 石油エーテル、 ネオペンタン、 へキサン、 シク口へキサン、 メチノレシク口へキサン、 ヘプタン、 シク口ヘプタン、 オクタン、 ィソオクタン、 ノナン、 デカン等の脂肪族炭化水素 系溶剤が挙げられる。 これらは単独で用いてもよく、 2種以上併用してもよい。 好ましくは、 ペンタン、 へキサン、 シク口へキサン、 メチノレシク口へキサン、 へ ブタン、 オクタン、 イソオクタン等である。 なかでも、 湿体からの溶剤の乾燥、 溶剤の回収再利用 (蒸留回収) 、 '溶剤コス トや取り扱い性等の総合的観点から、 へキサン、 ヘプタン等がより好ましい。
前記補助的な溶剤の適切な使用量は、 簡単な実験により設定できる。 収量や結 晶スラリーの流動性の観点からは、 前記化合物 (5 ) の結晶化のための操作が終 了した時点において、 前記有機溶剤と前記補助的な溶剤との容量比は、 補助的な 溶剤/前記有機溶剤として、 2 0以下となる量が好ましい。 より好ましくは、 1 0以下となる量が用いられる。
本発明の精製、 単離方法は、 室温付近で実施することができる。 必要に応じて、 加温又は冷却をすることができ、 例えば、 約 6 0 °C以下、 好ましくは一 3 0 °C〜 5 0 °Cで行う。 また、 晶析時間は、 温度、 溶媒量等に依存するので一概に言えな いが、 1〜 4 8時間程度であり、 好ましくは 2〜 2 4時間である。
このようにして得られた前記化合物 (5 ) は、 固液分離を行い、 必要に応じて、 さらにケーキ洗浄し、 乾燥することもできる。 前記固液分離の方法としては特に 限定されず、 例えば、 加圧濾過、 減圧濾過、 遠心分離等の方法が挙げられる。 ま た、 前記乾燥の方法としては、 例えば、 熱分解や溶融を避けて、 約 6 0 °C以下で 減圧乾燥 (真空乾燥) するのが好ましい。
次に、 本発明における光学活性 3—ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体の 製造法について説明する。
本発明では、 前記式 (2 ) 又は (3 ) で表されるハロヒドロキシアセトン誘導 体を、 不斉水素化触媒と水素を用いて不斉水素化し、 前記式 (6 ) で表される光 学活性 3—ハロー 1, 2—プロパンジオール誘導体を製造する。 なかでも、 医薬 品中間体としては光学活性 3—クロロー 1 , 2—プロパンジオールが好ましく、
従って、 本発明においては、 前記式 (4) 又は (5) で表されるクロロヒドロキ シアセトン誘導体 (前記式 (2) 又は (3) において Xが塩素原子の場合) を不 斉水素化するのが好ましい。
高純度の光学活性 3—クロロー 1, 2—プロパンジオールを製造するためには、 上記の水との共沸により不純物を除去した化合物 (4) 又は (5) を不斉水素化 するのが好ましく、 さらに、 上記晶析法によって精製された化合物 (5) を不斉 水素化するのがより好ましい。
本発明で用いる不斉水素化触媒は、 遷移金属と光学活性ホスフィン配位子より 調製される錯体である。
遷移金属としては、 特には限定されないが、 例えばルテニウム、 ロジウム、 パ ラジウム、 イリジウム、 白金、 ニッケル等が挙げられる。 好ましくは、 当該化合 物に対する反応性の点からルテニウムである。
ルテニウム一光学活性ホスフィン錯体としては、 下記式 (7)
Pヽ
(式中、 は光学活性ホスフィン配位子を表し、 Yはハロゲン原子、 ァセ トキシ基、 メチルァリル基、 又は、 ァセチルァセトナート基を表す)
で表される錯体、 下記式 (8).
(式中、 P— Pは光学活性ホスフィン配位子を表し、 a r e n eは芳香族配位子 を表し、 Yは前記と同じ) で表される錯体、 又は、 下記式 (9)
(式中、 pz は前記と同じ、 Zはハロゲン原子を表す)
で表される錯体等が挙げられる。
上記式 (7) 、 (8) 、 (9) において、 光学活性ホスフィン配位子としては、 光学活性なビスホスフィンであり、 例えば、 光学活性 2, 2' 一ビスジァリール ホスフィノー 1, 1' —ビナフチル (B I NAPと称す) 、 光学活性 1, 2—ビ ス (t r a n s— 2, 5—ジアルキルホスホラノ) ベンゼン (Du P h o sと称、 す) 、 光学活个生 1, 2—ビス ( t r a n s _ 2, 5ージアルキルホスホラノ) ェ タン (B P Eと称す) 、 光学活性ビス ( t e r t—ブチルメチルホスフイノ) ェ タン (B i s P*と称す) 等が挙げられる。 好ましくは、 光学活性 2, 2, 一ビ スジァリールホスフイノー 1, 1 ' 一ビナフチル、 光学活性ビス ( t e r t—プ チルメチルホスフイノ) ェタンであり、 立体選択性、 反応性の点から、 光学活性 2, 2 ' —ビスジァリールホスフィノー 1, 1 ' ービナフチルがより好ましい。 光学活性 2, 2, 一ビスジァリールホスフィノー 1, 1, ービナフチルにおけ るァリール基としては、 例えば、 フエニル基、 o—メチルフエニル基、 m—メチ ルフエ二ル基、 p_メチルフエエル基、 o—メ トキシフエニル基、 m—メ トキシ フエニル基、 p—メ トキシフエ二ル基、 ナフチル基、 アントラセニル基、 2—フ リル基、 2—チオフェニル基、 2—ピリジル基、 3—ピリジル基等が挙げられ、 好ましくはフエニル基である。
光学活性 1, 2—ビス (t r a n s _2, 5—ジアルキルホスホラノ) ベンゼ ン及び光学活性 1, 2—ビス ( t r a n s— 2, 5 -ジアルキルホスホラノ) ェ タンにおけるアルキル基としては、 例えばメチル基、 ェチル基、 η—プロピル基、 イソプロピル基、 n—ブチル基、 イソプチル基、 t一ブチル基、 n—ペンチル基、 へキシル基、 シクロへキシル基等が挙げられ、 好ましくはメチル基である。 上記式 (7) 、 (8) において、 Yは、 ハロゲン原子、 ァセトキシ基、 メチル ァリル基、 又は、 ァセチルァセトナート基を表す。 このうち、 ヨウ素原子、 臭素 原子、 塩素原子等のハロゲン原子が好ましく、 臭素原子がより好ましい。
上記式 (8) において、 a r e n eは芳香族配位子を表し、 特には限定されず、 例えばベンゼン、 トノレェン、 キシレン、 クメン、 シメン、 メシチレン、 ァエソー ル、 ナフタレン等が挙げられる。 触媒の調製の容易さから、 好ましくはベンゼン、 メシチレン、 シメンである。
上記式 (9) において、 Zはハロゲン原子を表し、 ヨウ素原子、 臭素原子、 塩 素原子等が挙げられる。 好ましくは塩素である。
上記式 (7) で表されるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体の調製法として は、 次のような方法が知られている。
(一) 入手容易な [R u (COD) (me t h y l a l l y l) J (式中、 C ODはシクロォクタ一 1, 5—ジェンを表す) と光学活性ビスホスフィンを混合 加熱することにより、 式 (7) において Yがメチルァリル基であるルテニウム— 光学活性ホスフィン錯体とするか、 若しくは、 さらに HB r溶液と反応させて式 (7) において Yが臭素原子であるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体とする 方法 (T e t r a h e d r o n A s y mm e t r y (1 994) 5卷、 655 頁) 。
(二) [RuC l 2 (COD) ] nと光学活性ビスホスフィンをトリェチルアミ ン存在下で反応させ、 次いで酢酸ナトリウムを作用させることにより、 式 (7) において Yがァセトキシ基であるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体とする力、、 さらに、 これにハロゲン化水素水溶液を加え、 式 (7) において Yがハロゲン原 子であるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体とする方法 (J. Am. C h em. S o c . (1 986) 108卷、 7 1 1 7頁) 。
(三) Ru (a c a c) 3 (式中、 a c a cはァセチルァセトナート基を表す) と光学活性ビスホスフィンを反応させ、 式 (7) において Yがァセチルァセトナ ート基であるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体とする方法 (Or g a n om e t a l l i c s . (1 993) 1 2卷、 1467頁) 。
なかでも、 好ましくは上記 (一) に記載の方法である。
また、 上記式 (8) で表されるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体の調製法 としては、 [RuY2 (a r e n e) ] 2 (式中、 Y、 a r e n eは前記と同じ ) と光学活性ビスホスフィンをジメチルホルムアミド中で加熱することにより、
R u (P- P) Y2 (a r e n e) とする方法 (J . O r g. Ch em. (1 9
92) 57卷、 4053頁) が知られている。
さらに、 上記式 (9) で表されるルテニウム一光学活性ホスフィン錯体の調製 法としては、 [RuC l 2 (COD) ] nと光学活性ビスホスフィンをトリェチ
ルァミン存在下で反応させる方法 (O r g a n ome t a l l i c s (1 996 ) 1 5巻、 1 5 21頁) が挙げられる。
なお、 遷移金属がルテニウム以外の場合においては、 例えば 「合成化学者のた めの実験有機金属化学」 (講談社刊、 1 58頁) に記載の方法等により、 COD や NBD (2, 5—ノルボルナジェン) が配位した金属錯体と光学活性ビスホス フィンを反応させて調製する方法等により、 当該錯体を製造することができる。 上記式 (7) 、 (8) 及び (9) で表される錯体のなかでも、 本発明の不斉水 素化反応に用いる触媒としては、 高立体選択性、 高収率、 かつ比較的低い水素圧 で反応を実施できる点で、 好ましくは、 式 (7) で表される錯体において、 Yが 臭素原子であり、 光学活性ホスフィン配位子が光学活性 2, 2' —ビスジァリー ルホスフィノー 1, 1 ' —ビナフチル (B I NAP) である Ru B r 2B I NA P錯体である。
次に、 上記触媒を用いた不斉水素化反応に関して説明する。
上記不斉水素化触媒の使用量としては、 反応が +分に進行する量であれば特に 制限されない。 好ましい触媒使用量は、 触媒や溶媒の種類、 及び反応条件等によ つて異なるが、 反応速度及び経済性を考慮すると、 上記式 (2) 及び (3) で表 される化合物に対して 1/50〜: LZ100000当量が好ましく、 lZl 00 〜 1/10000当量がより好ましい。
不斉水素化反応における水素圧は、 好ましくは 1〜1 00 k g/ cm2であり、 より好ましくは 1〜; L 0 k g/cm2である。
反応溶媒としては、 例えばジクロロメタン、 クロロホルム、 トルエン、 ベンゼ ン、 テトラヒドロフラン、 ジェチルエーテル、 酢酸ェチル、 N, N—ジメチルホ ルムアミド、 ホルムアミ ド、 アセトン、 ブタノール、 イソプロパノール、 ェタノ ール、 メタノール、 水等が挙げられる。 また、 上記溶媒を単独で用いても良いし、 混合して使用してもよい。 好ましくは、 水;メタノール、 エタノール、 イソプロ パノール等のプロトン性極性溶媒;プロトン性極性溶媒と水の混合溶媒であり、 より好ましくはプロトン性極性溶媒一水混合溶媒であり、 さらに好ましくはメタ ノールと水の混合溶媒である。
上記プロトン性極性溶媒一水の混合溶媒における各溶媒の混合比率は任意に選
択できるが、 好ましくはプロトン性極性溶媒/水として 100Zl〜l/lであ り、 より好ましくは 20/1 ~4ダ1である。
上記反応は、 例えば上記溶媒中、 反応温度一 50 °C~ 150°Cの穏和な条件か ら選択できる。 収率向上の点から、 反応温度は、 好ましくは 0°C〜80°Cである。 また、 反応時間は、 反応温度、 触媒量、 溶媒等に依存するので一概に言えないが、 5分間〜 48時間程度であり、 好ましくは 30分間〜 24時間である。
上記反応の後処理としては、 反応混合物を、 シリカゲルクロマトグラフィーあ るいは蒸留等により精製することによって、 目的の光学活性化合物を取得するこ とができる。 発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を挙げ、 本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明はこれら実 施例に限定されるものではない。
(実施例 1) 1—クロロー 3—ヒドロキシアセトンの製造
2 , 3—ジクロロプロペン 22. 19 g、 炭酸カリウム 30. 41 gを水 10 0 m 1に溶解させた後、 48時間還流した。 得られた加水分解反応液 ( 2—クロ ロアリルアルコールを含有する) を氷冷し、 濃硫酸 24. 5 g添加した後、 13 °/0次亜塩素酸ナトリウム溶液 133m lをゆっくりと滴下し、 さらに 2時間攪拌 した。 反応液を約 1/2容量まで減圧濃縮した後、 酢酸ェチルにて抽出し、 酢酸 ェチルを留去して薄黄色油状の濃縮物 13. 9 g (化学純度 80%、 2, 2, 3 —トリクロ口プロパノール 1%未満:下記条件にて分析) を得た。 得られた濃縮 物をシリカゲルカラムにて精製することにより、 表題化合物を透明油状物として 得た。
(GC分析条件)
カラム: PEG— 20M 10% Ch r oms o r bWAW DMC S 80 /100 (ジーエルサイエンス株式会社製)
H2 : 1. 5 k g / c m2
N2 : 0. 5 k g/c m2
A i r : l. O k g/cm2
検出: F I D (水素炎イオン化検出器)
カラム温度: 1 50°C (実施例 2) 1—クロロー 3—ヒドロキシアセトンの製造
1, 2, 3—トリクロ口プロパン 147. 4 g、 炭酸ナトリウム 235. 5 g を水 100 Om 1に溶解させた後、 48時間還流した。 得られた加水分解反応液 を蒸留することにより、 沸点 95〜100°Cの留出画分 212 gを得た (2—ク 口ロアリルアルコールを含有する) 。 濃硫酸 59 gを水 10 Omlに添加し、 氷 冷下にて上記留出各分を加えた後、 1 3%次亜塩素酸ナトリゥム溶液 633m l をゆつくり滴下し、 さらに 2時間攪拌した。 反応液の一部を酢酸ェチルにて抽出 し、 酢酸ェチルを留去して薄黄色油状の濃縮物 1. l g (純度 57. 1%、 2, 2, 3—トリクロ口プロパノール 15. 6%:実施例 1記載の条件にて分析) を 得た。
(実施例 3) 1—クロロー 3—ヒドロキシアセトンの製造
2 _クロロアリルアルコール 925mgを 20 %硫酸 2. 08m 1に溶解した 後、 氷冷下にて 1 3%次亜塩素酸ナトリウム溶液 6. 67m lをゆっくり滴下し、 さらに 2時間攪拌した。 反応液を酢酸ェチルにて抽出し、 酢酸ェチルを留去して 薄黄色油状の濃縮物 1. 21 g (純度 64. 4%、 2, 2, 3—トリクロ口プロ パノール 1 1. 6 %:実施例 1記載の条件にて分析) を得た。
(実施例 4) 1一クロロー 3—ヒドロキシアセトンの製造
2—クロロアリルアルコール 925mgを水 5m 1に溶解した後、 氷冷下にて 塩素ガスを吹きこ込み、 さらに 2時間攪拌した。 反応液を酢酸ェチルにて抽出し、 減圧濃縮することにより、 薄黄色油状の濃縮物 1. O l g (純度 58. 3%、 2, 2 , 3 _トリクロ口プロパノール 1 9. 5%:実施例 1記載の条件にて分析) を 得た。
(実施例 5) 2, 5—ジブ口モメチルー 2, 5—ジヒ ドロキシー 1, 4ージォ キサンの製造
2—クロロアリルアルコール 925 rti gを水 5 m 1に溶解した後、 氷冷下にて 臭素 1. 6 gを添カ卩し、 さらに 2時間攪拌した。 反応液を塩化メチレンにて抽出 し、 減圧濃縮した後、 濃縮液を冷却晶析することにより、 表題化合物の白色結晶 20 Omgを得た。
(実施例 6) 1—クロ口— 3—ヒ ドロキシアセトンの精製
実施例 2で得られた 1—クロロー 3—ヒ ドロキシァセトンを含有する反応液を 1Z2容量まで減圧濃縮した後、 酢酸ェチルにて抽出、 減圧濃縮することにより、 薄黄色油状の濃縮物 85 g (純度 67. 9 %、 2, 2, 3—トリクロ口プロパノ ール 1 %以下:実施例 1記載の条件にて分析) を得た。
(実施例 7) 2, 5—ジクロロメチル一2, 5—ジヒ ドロキシー 1, 4ージォ キサンの精製
上記実施例 6で得られた濃縮物をトルエン 6 Om lに溶解させた後、 氷冷下に て 1 2時間攪拌することにより晶析した。 晶析溶液 (スラリー状) にへキサン 6 Om lをゆつくりと滴下した後、 濾過することにより、 表題化合物を白色結晶と して得た (純度 9 9%以上:実施例 1記載の条件にて分析) 。
(実施例 8) 2, 5—ジク口ロメチル一 2, 5—ジヒ ドロキシー 1, 4ージォ キサンの精製
実施例 3で得られた濃縮物をトルエンに溶かした後、 氷冷下にて 1 2時間攪拌 することにより晶析した。 晶析溶液 (スラリー状) にへキサンをゆっくりと滴下 した後、 濾過することにより、 表題化合物を白色結晶として得た (純度 9 9%以 上:実施例 1記載の条件にて分析) 。
(実施例 9) (R) — 3—クロ口一 1, 2—プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチルー 2, 5—ジヒドロキシー 1, 4一ジォキサン (10
8. 5mg、 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (S) — B I NAP (4. 4mg、 0. 005 Ommo 1 ) (B I NAPは 2, 2, 一ビスジフエ二ルホスフイノー 1, 1' ービナフチルを表す) に、 メタノーノレー水 (10/1) 溶液を 2 m L加 え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 70°Cまで昇温さ せた後、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放棄 した後、 シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、 表題化合物を 102. 6 m g (収率 9 3 %) 得た。
ここで得られた 3—クロ口一 1, 2_プロパンジオール (33. 2mg、 0. 3 Omm o 1 ) と、 ρ _トノレエンスノレホン酸クロ リ ド (57. 3mg、 0. 30 mm o 1 ) 、 N、 N—ジメチノレアミノビリジン (3. 7 m g、 0. 03 mm o 1 ) をピリジン (1. OmL) に溶解させ、 室温で 1時間反応させた。 反応溶液に 塩酸を加え、 酢酸ェチルで 2回抽出し、 硫酸マグネシウムで乾燥、 濃縮した。 得 られた残渣を薄層クロマトグラフィーにより精製し、 1—クロ口 _3_p—トル エンスルホニルォキシ一 2—プロパノーノレを得た。 このものの光学純度は、 HP LC分析 (キラルセル AD、 へキサン/イソプロパノール = 9ノ1、 1. OmL Zm i n、 235 nm) により、 79. 0%e eであった (保持時間 (S) 体 1 8. 7分、 (R) 体 21. 1分) 。
(実施例 10) (R) — 3—クロ口一 1, 2—プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチノレ一 2, 5—ジヒ ドロキシ一 1 , 4—ジォキサン (10 8. 5mg、 0. 50 mm o 1 ) 、 R u B r 2 (S) —B I NAP (4. 4mg、 0. 005 Ommo 1 ) (B I NAPは 2, 2 ' 一ビスジフエニルホスフイノ一 1, 1 ' ービナフチルを表す) に、 メタノール一水 (10/1) 溶'液を 2 m Lカロ え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 50°Cまで昇温さ せた後、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放棄 した後、 シリカゲルク口マトグラフィ一により精製し、 表題化合物を 108. 5 m g (収率 98 %) 得た。
実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロロー 1, 2—プロパンジ ォーノレを 1一クロロー 3— ρ—トノレエンスゾレホニノレオキシ一 2一プロノヽ0ノールと
した後、 光学純度を HPLC分析にて測定したところ、 75. 8°/。e eであった。
(実施例 1 1) (R) _ 3—クロロー 1, 2 _プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチル一 2, 5—ジヒ ドロキシー 1 , 4一ジォキサン ( 10 8. 5mg、 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (S) 一 B I NAP (4. 4mg、 0. 005 Ommo 1 ) (B I NAPは 2, 2, _ビスジフエニルホスフイノ一 1, 1 ' ービナフチルを表す) に、 メタノール一水 ( 1 0/1) 溶液を 2 m L加 え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 水素置換を行い、 室温で、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放棄した後、 シリカゲルク 口マトグラフィ一により精製し、 表題化合物を 18. 5mg (収率 1 7%) 得た。 実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロ口一 1, 2—プロパンジ オールを 1—クロロ一 3— p—トルェンスルホニノレオキシー 2—プロパノールと した後、 光学純度を HP LC分析にて測定したところ、 71. 4%e eであった。 (実施例 1 2) (R) — 3—クロ口一 1, 2—プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチルー 2, 5—ジヒ ドロキシ一 1, 4一ジォキサン ( 10 8. 5mg、 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (S) —B I NAP (4. 4mg、 0. 005 Ommo 1) (B I NAPは 2, 2, 一ビスジフエニルホスフイノー 1, 1, -ビナフチルを表す) に、 エタノール一水 (10/1) 溶液を 2 m Lカロ え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 100°Cまで昇温 させた後、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放 棄した後、 シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、 表題化合物を 62. 4 mg (収率 57%) 得た。
実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロロー 1, 2—プロパンジ オールを 1—クロロ一 3— ρ—トルエンスルホ -ルォキシ一 2—プロパノールと した後、 光学純度を HP LC分析にて測定したところ、 67. 8%e eであった。
(実施例 1 3) (R) — 3—クロロー 1, 2—プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチル一 2, 5—ジヒドロキシー 1, 4一ジォキサン (10
8. 5mg、 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (S) 一 B I NAP (4. 4 m g、 0. 005 Ommo 1 ) (B I NAPは 2, 2 ' —ビスジフエ-ノレホスフィノー 1, 1, ービナフチルを表す) に、 イソプロパノール一水 (10/1) 溶液を 2 mL加え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 100°Cま で昇温させた後、 水素圧 (3. O k g/ cm2) で 20時間反応させた。 水素ガ スを放棄した後、 シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、 表題化合物を 9. 9mg (収率 9%) 得た。
実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロ口一 1 , 2—プロパンジ ォーノレを 1ークロロ一 3— ρ _トノレエンスノレホニノレオキシ一 2—プロノ ノールと した後、 光学純度を HP LC分析にて測定したところ、 67. 5°/oe eであった。
(実施例 1 4) (S) — 3—クロロー 1, 2 _プロパンジオールの製造
2 , 5—ジクロロメチノレー 2, 5—ジヒドロキシ一 1 , 4一ジォキサン ( 10 8. 5mg、 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (S, S) — B i s P* (2. 5 mg、 0. 005 Omm o 1 ) (B i s P *はビス ( t e r t—プチノレメチノレホ スフイノ) エタンを表す) に、 メタノール一水 ( 10/1) 溶液を 2 m L加え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 70°Cまで昇温させた 後、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放棄した 後、 シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、 表題化合物を 26. 2mg ( 収率 24%) 得た。
実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロロー 1, 2—プロパンジ ォーノレを 1—クロ口一 3— p—トノレエンスノレホニノレオキシ一 2一プロノヽ。ノーノレと した後、 光学純度を HP LC分析にて測定したところ、 52. l%e eであった。 (実施例 1 5) (S) _ 3—クロロー 1, 2 _プロパンジオールの製造
2, 5—ジクロロメチルー 2, 5—ジヒドロキシー 1, 4ージォキサン (10 8. 5 m g N 0. 5 Ommo 1 ) 、 R u B r 2 (R) —B I NAP (4. 4mg、 0. 005 Ommo 1 ) (B I NAPは 2, 2, 一ビスジフエニルホスフイノー 1, 1 ' ービナフチルを表す) に、 メタノール一水 (10/1) 溶液を 2 m L加
え、 窒素雰囲気下で完全に溶解させた。 室温で水素置換を行い 70°Cまで昇温さ せた後、 水素圧 (3. 0 k g/cm2) で 20時間反応させた。 水素ガスを放棄 した後、 シリカゲルク口マトグラフィ一により精製し、 表題化合物を 101. 0 mg (収率 9 1 %) 得た。 . 実施例 9と同様の方法にて、 ここで得られた 3—クロロー 1, 2 _プロパンジ オールを 1ークロロ一 3— ρ _トルエンスルホニルォキシ一 2—プロパノールと した後、 光学純度を HP LC分析にて測定したところ、 78. 0°/0e eであった。 産業上の利用可能性
本発明の方法により、 医薬品中間体として有用な光学活性 3—ハロー 1, 2— プロパンジオール誘導体を、 安価な原料から簡便に製造することができる。