遺伝子発現解析方法 技術分野
本発明は、 複数の遺伝子の発現解析をまとめて行う遺伝子発現解析方法、 その ために用いられる遺伝子発現解析キット等に関する。 また、 本発明は、 その遺伝 子発現解析方法およびその解析キットを用いた疾患関連遺伝子の特定方法に関す る。 さらに、 本発明は疾患関連遺伝子の発現量と変異の解析による特定疾患の診 断方法、 及びその特定された遺伝子 D N Aまたはその遺伝子産物を含む医薬品に も関する。 さらに、 本発明は、 ヒト由来の Gタンパク質共役型レセプタータンパ ク質 (dj 287G14. 2レセプ夕一) およびそれをコードするポリヌクレオチドの用途 に関する。 さらに、 本発明は、 マウス由来の新規な Gタンパク質共役型レセプ夕 —タンパク質 (dj 287G14. 2レセプター) 、 それをコードするポリヌクレオチドお よびそれらの用途に関する。 さらに、 本発明は E D G— 1レセプ夕一ァゴニスト ·アン夕ゴニストまたは E D G— 2ァゴニスト ·アンタゴニス卜のスクリ一ニン グ方法に関する。 背景技術
Gタンパク質共役型レセプタータンパク質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表 面に存在し、 それら細胞や臓器の機能を調節する分子、 例えばホルモン、 神経伝 達物質および生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を担っている。 レ セプターは生理活性物質との結合を介してシグナルを細胞内に伝達し、 このシグ ナルにより細胞の賦活ゃ抑制といった種々の反応が惹起される。 各種生体の細胞 や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、 特異的レセプタータンパク質、 G夕 ンパク質共役型レセプ夕一タンパク質との関係を明らかにすることは、 各種生体 の細胞や臓器の機能と密接に関連した医薬品開発に非常に重要な手段を提供する ものであり既存の医薬品の約 4 5 %が細胞膜上のレセプタータンパク質に作用し 、 その中で Gタンパク質共役型レセプタータンパク質が大きな割合を占めている ことも知られている (Drews, J. , Sc i ence 287, 1960 (2000) ) 。
一方、 イオンチャネルは細胞膜を貫通する膜タンパク質で、 イオンの膜透過を 調節して細胞応答を担っている。 イオンに対する選択性があるために、 N a +、 K+、 C a 2 +、 C 1—チャネル等と呼ばれ、 チャネルの開閉機構によって、 電位 依存型 (N a +、 K +、 C a 2 +) と、 レセプター依存型 (ニコチン性ァセチルコ リンレセプ夕一、 GA B Aレセプ夕一) に分類される。 これらのイオンチャネル は、 生体内において多くの生理的機能を有する。 例えば、 K+イオンを選択的に 透過させる膜タンパクである Κ+チャネルは、 生体内で、 細胞の静止膜電位形成 、 再分極、 活動電位発生頻度の調節など重要な生理機能に密接に関わっている。 また、 C 1—チャネルは神経筋の興奮性調節、 細胞容積調節、 上皮細胞膜におけ る電解質 ·水分の輸送など多様な生理機能を示す。 このように、 各種イオンチヤ ネルは、 種々の生理機能を有するので医薬品の標的となる。
また、 生体のレセプ夕一には酵素活性を有するものも存在し、 例えば、 チロシ ンリン酸化酵素型レセプターなどが挙げられる。 その酵素活性が種々の生理的機 能を奏するために、 チロシンリン酸化酵素型レセプターも多くの医薬品の標的と なっている。 さらに、 その他にも、 転写因子、 トランスポーター、 プロテインキ ナーゼ、 プロティンフォスファタ一ゼ、 プロテアーゼ、 熱ショックプロテイン、 A T P a s eまたは D N A結合プロテイン等の遺伝子ファミリ一が存在し、 それ ぞれが数十から数百種類のファミリ一をなし医薬の標的となっている。
現在までにそれぞれ多種類の遺伝子 (Gタンパク質共役型レセプター約 4 0 0 種、 チロシンリン酸化酵素型レセプター約 1 0 0種、 イオンチャネルのファミリ 一約 1 5 0種) が同定、 クローニングされている。 しかし、 それら全ての遺伝子 についてその機能が明らかとなったわけではなく、 機能不明のタンパク質が多数 存在している。 これらのタンパク質の機能を解明すること力 新規医薬品の開発 への第一段階となる。
生体内で発現している遺伝子を解析する方法として、 ノーザンプロット法、 デ ィファレンシャルディスプレイ法、 R T— P C R法などが用いられてきた。 しか し、 一度に解析できる遺伝子数は限られ、 多くの遺伝子を含む試料の処理は困難 であった。 また定量性についても、 その感度は低いものであった。
近年、 生体内で発現している全ての遺伝子を解析する手段として開発されたマ
イクロアレイ法は、 スライドガラスなどのチップ上に数千ないし数万個の DNA 情報を合成またはスポッ卜し、 解析する RNAに由来する標的 DNAをハイプリ ダイズし、 生成されたハイブリッドを指標として、 遺伝子の転写量を測定する方 法であるが、 定量性についての感度は高いものではなかつた。
一方、 特定の mRNAを定量する方法としては、 T a qMa n法等が知られて おり、 例えば、 特許公開第 200 1— 204483号公報には、 h T E R T m RNAを定量する方法が開示されている。 さらに T a QMa n法は、 SNP解析 を行う方法の一つとしても知られており S N Pを認識するプライマーとプローブ を設計し、 それを用いることにより発現量だけでなく疾患に関連する変異を解析 することもできる。
本発明で用いられる dj 287G14.2レセプ夕一と同一のアミノ酸配列を有するタン パク質およびそれをコードする DNAが記載されている (W〇2001/182 07) 。 しかしながら、 これらの Gタンパク質共役型レセプタータンパク質の機 能およびその生理的リガンドは解明されていなかった。
また、 EDG— 1レセプ夕一 (Biochem Biophys Res Commun 1997 Nov 26:240 (3) :737-41) 、 EDG—2レセプ夕一 (Biochem Biop ys Res Commun 1997 Feb 24 ;231 (3) :619-22) 、 EDG— 3レセプター (Cell 1999 Oct 29;99 (3) :301-12) 、 EDG— 5レセプ夕一 (J Biol Chem 1999 Dec
10;274 (50) :35343-50) 、 EDG— 8レセプ夕一 (Biochemistry 2001 Nov 20:40(46) :14053- 60) が記載されており、 これらレセプターが血管組織に発現し ていることが記載されている。 しかし、 各レセプターが血管のどの細胞にどの程 度発現しているか解明されていなかった。 EDG_4、 EDG— 6、 EDG- 7 については血管組織での明確な発現は知られていない。
しかしながら、 ある特定のファミリーに属する多くの遺伝子の発現を高感度に 、 しかも一度に定量するという思想およびそれを実現するための定量システムは これまでには全く知られていなかった。 したがって、 ある特定のファミリーに属 する多くの遺伝子の発現を高感度に、 かつ一度に定量できるシステムがあれば、 ある疾患細胞等で特異的に高発現している遺伝子を相対的かつ定量的に同定する ことができるので、 疾患遺伝子の特定、 特定疾患の診断、 その疾患の治療等の分
野で有用である。 発明の開示
すなわち本発明は、 以下に示す、 遺伝子発現解析方法、 診断方法、 それらの方 法に用いられる定量キット、 それらの方法又はキットによって機能が解明される タンパク質もしくはその用途などを提供する。
(1) 複数の遺伝子個々の発現量をまとめて定量解析することにより、 ある細胞 または組織においてその発現が特徵的に亢進または減少している遺伝子を同定す ることを特徴とする遺伝子発現解析方法。
(2) 特定の遺伝子ファミリーに属する複数の遺伝子の発現解析をまとめて行う ことにより、 その遺伝子ファミリ一の中で、 ある細胞または組織においてその発 現が特徴的に亢進または減少している遺伝子をその発現量の絶対値を算出するこ とで同定する上記 (1) 記載の方法。
(3) 複数の各反応場所で、 複数の標的 mRNAを含み得る mRNA試料と、 そ れぞれの標的 m RNAに対応するプラィマ一対をそれぞれ含んでなる各増幅試薬 とを接触させることにより、 増幅反応を行い、 得られた増幅生成物の生成量を測 定することによって遺伝子の発現解析を行う上記 (1) 記載の方法。
(4) 複数の反応場所を有する反応器具の各反応場所で、 複数の標的 mRNAを 含み得る m R N A試料と、 それぞれの標的 m RNAに対応するプライマ一対をそ れぞれ含んでなる各増幅試薬とを接触させることにより、 増幅反応を行い、 得ら れた増幅生成物の生成量を測定することによって遺伝子の発現解析を行う上記 ( 1) 記載の方法。
( 5 ) 前記特定の遺伝子ファミリ一が Gタンパク質共役型レセプター遺伝子ファ ミリ一である上記 (2) 記載の方法。
(6) 前記特定の遺伝子ファミリーがチロシンリン酸化酵素型レセプ夕一遺伝子 ファミリーである上記 (2) 記載の方法。
(7) 前記特定の遺伝子ファミリーがイオンチャネル遺伝子ファミリーである上 記 (2) 記載の方法。
(8) 前記特定の遺伝子ファミリーが転写因子、 トランスポー夕一、 プロテイン
キナーゼ、 プロテインフォスファタ一ゼ、 プロテア一ゼ、 ヒートショックプロテ イン、 ATP a s eまたは DN A結合プロテインのいずれかに関連する遺伝子フ アミリーである上記 (2) 記載の方法。
(9) 上記 (1) 〜 (8) のいずれかに記載の方法によって特定される、 ある細 胞ゃ組織において特徴的に発現が亢進または減少している遺伝子またはその遺伝 子産物を含む医薬。
(10) 前記反応器具が反応場所としての複数の穴を有するプレートである上記 (3) または (4) 記載の方法。
(1 1) 前記プレートが 96穴または 384穴プレートである上記 (10) 記載 の方法。
(12) 10〜800個のプライマ一対を用いる上記 (3) または (4) 記載の 方法。
(13) 10〜300個のプライマ一対を用いる上記 (3) または (4) 記載の 方法。
(14) 前記増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応である上記 (3) 、 (4) 、 (1 2) または (13) 記載の方法。
(15) SNPの解析を行う前記 (14) 記載の方法。
(16) 増幅生成物の生成量の測定が、 該増幅生成物に相補的又は実質的に相補 的であるプローブを用いて行われる上記 (3) または (4) 記載の方法。
(17) 前記プローブが、 mRNAにハイブリダィズするプローブである上記 ( 16) 記載の方法。
(18) 前記プローブが蛍光標識されたプローブである上記 (17) 記載の方法
(19) 前記 mRNA試料として、 正常ヒト由来の mRNA試料および特定の疾 患患者由来の mRNA試料とを用いる上記 (3) または (4) 記載の方法。
(20) 前記疾患患者由来の mRNA試料中で発現が亢進または減少している m RNAを特定し、 該 mRNAをコードする遺伝子を該疾患関連遺伝子であると特 定する上記 (19) 記載の方法。
(21) 前記特定の遺伝子ファミリーがヒト Gタンパク質共役型レセプ夕一タン
パク質遺伝子フアミリーであり、 癌患者由来の m R N A試料を用いることによつ て癌関連遺伝子を特定する上記 (20) 記載の方法。
(22) 標的遺伝子配列のェクソン領域の一方の鎖に相補的又は実質的に相補的 である第 1のプライマーおよび該標的遺伝子配列のェクソン領域の他方の鎖に相 補的又は実質的に相補的である第 2のプライマーから成るプライマー対を 2対以 上含んでなるプライマー対キット。
(23) 前記標的遺伝子がヒト Gタンパク質共役型レセプタータンパク質遺伝子 、 チロシンリン酸化酵素型レセプ夕一遺伝子またはイオンチャネル遺伝子である 上記 (22) 記載のプライマー対キット。
(24) 10〜800個のプライマ一対で構成される上記 (23) 記載のプライ マー対キット。
(25) 10〜300個のプライマー対で構成される上記 (23) 記載のプライ マー対キット。
(26) 疾患関連遺伝子を特定するための上記 (23) 記載のプライマ一対キッ 卜の使用。
(27) 複数の反応場所を有する反応器具の各反応場所に、 標的 mRNAに対応 するプライマー対をそれぞれ含む各増幅試薬を充填してなる mRNA定量キット
(28) さらに蛍光プローブを含んでなる上記 (27) 記載のキット。
(29) さらに T t h DN Aポリメラーゼを含んでなる上記 (28) 記載のキ V卜。
(30) 上記 (1) 〜 (4) のいずれかの方法または上記 (27) の定量キット を用いて、 患者から採取した m R N A試料に含まれ得る複数の標的疾患遺伝子の mRNAを定量することにより、 あるいはその mRNAの変異量を測定すること によりその患者の疾患を診断する方法。
(31) 癌関連ヒト Gタンパク質共役型レセプタータンパク質遺伝子を同定する ことによって癌を診断する上記 (30) 記載の診断方法。
(32) 上記 (30) 記載の診断方法によって同定された遺伝子の遺伝子産物に 対するァゴニスト、 アン夕ゴニストもしくは抗体、 またはその遺伝子産物をコー
ドする DN Aを含んでなる医薬。
(33) 癌治療剤である上記 (32) 記載の医薬。
(34) 上記 (30) に記載の診断方法によって同定された遺伝子の遺伝子産物 に対するァゴニスト、 アン夕ゴニストもしくは抗体、 またはその遺伝子産物をコ —ドする D N Aを投与することによってその遺伝子が関与する疾患を治療する方 法。
(35) 前記疾患が癌である上記 (34) 記載の治療方法。 また、 本発明の遺伝子発現解析方法を用いた結果、 dj287G142レセプターが前 立腺癌細胞において高発現していること分かった。 本発明は、 この知見に基づい て、 レセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩 (dj287G14.2 レセプ夕一) 、 該レセプタ一タンパク質またはその部分ペプチドをコードするポ リヌクレオチド (DNA、 RN Aおよびそれらの誘導体) 、 該レセプタータンパ ク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体などの新規用途を提供 する。 さらに、 新規なマウス由来の dj287G14.2レセプター、 該レセプタータンパ ク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド (DNA、 RNAお よびそれらの誘導体) 、 該レセプ夕ータンパク質もしくはその部分ペプチドまた はその塩に対する抗体などを提供する。
すなわち、 本発明は
(36) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するレセプ夕一夕ンパク質もしくはその部分べプチドまたはそ の塩を含有してなる医薬、
(37) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤で ある上記 (36) 記載の医薬、
(38) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (37) 記載の医薬、
(39) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対す
る抗体を含有してなる診断薬、
(40) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の診断薬である上記 (39) 記載の診断薬、
(41) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対す る抗体を含有してなる医薬、
(42) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防およびノまたは治療剤、 または分娩誘発剤で ある上記 (41) 記載の医薬、
(43) (1) 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質、 その 部分ペプチドまたはその塩および (2) 糖鎖に親和性を示すタンパク質を用いる ことを特徵とする該レセプタータンパク質またはその塩と糖鎖に親和性を示す夕 ンパク質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリ一ニング方法、 (44) 糖鎖に親和性を示すタンパク質がァスパラギン結合型糖鎖またはセリン •スレオニン結合型糖鎖に親和性を示すタンパク質である上記 (43) 記載のス クリーニング方法、
(45) 糖鎖に親和性を示すタンパク質がレクチンである上記 (43) 記載のス クリーニング方法、
(46) 糖鎖に親和性を示すタンパク質がコンカナバリン 、 レンズマメレクチ ン、 エンドゥマメレクチン、 チョウセンアサガオレクチン、 ィヌェンジユレクチ ンまたはフイ トへマグルチニンである上記 (43) 記載のスクリーニング方法、 (47) (1) 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質、 その 部分ペプチドまたはその塩および (2) 糖鎖に親和性を示すタンパク質を含有す ることを特徴とする該レセプタータンパク質またはその塩と糖鎖に親和性を示す タンパク質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キッ 卜、
(48) 上記 (46) 記載のスクリーニング方法または上記 (47) 記載のスク
リ一ニング用キットを用いて得られうる、 糖鎖に親和性を示すタンパク質と配列 番号: 9で表わされるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列 を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質またはその塩との結合性を 変化させる化合物またはその塩、
( 4 9 ) 上記 (4 8 ) 記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
( 5 0 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防及び/又は治療剤、 または分娩誘発剤である 上記 (4 9 ) 記載の医薬、
( 5 1 ) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (5 0 ) 記載の医薬、
( 5 2 ) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質またはその部分 ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを用いるこ とを特徴とする、 当該 Gタンパク質共役型レセプタータンパク質の発現量を変化 させ、 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変 、 肝炎、 肝不全または結石を予防及び/又は治療する化合物またはその塩、 また は分娩誘発薬のスクリ一二ング方法、
( 5 3 ) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその部分 ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有して なる、 当該 Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質の発現量を変化させ、 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝 不全または結石を予防及び Z又は治療する化合物またはその塩、 または分娩誘発 薬のスクリーニング用キット、
( 5 4 ) 上記 (5 2 ) 記載のスクリーニング方法または上記 (5 3 ) 記載のスク リ一ニング用キットを用いて得られうる、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列 と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセ プ夕ータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ、 癌、 前立腺肥大 症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または
結石を予防及び/又は治療する化合物またはその塩、 または分娩誘発薬、
(55) 上記 (54) 記載の化合物またはその塩を含有してなる癌、 前立腺肥大 症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または 結石の予防及び/又は治療剤、 または分娩誘発剤、
(56) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (55) 記載の剤、
(57) 糖鎖に親和性を示すタンパク質を含有してなる配列番号: 9で表される ァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有する G夕ンパク 質共役型レセプ夕一タンパク質のシグナル伝達作用増強剤、
( 58 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防及び/又は治療剤、 または分娩誘発剤である 上記 (57) 記載の剤、
(59) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (58) 記載の剤、
(60) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタ一タンパク質またはその部分 ぺプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有して なる癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または結石の予防及び/又は治療剤、 または分娩誘発剤、
(61) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (60) 記載の剤、
(62) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその部分 ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有して なる癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または結石の診断薬、
(63) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (62) 記載の診断薬、
(64) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ
ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質またはその部分 ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な 塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンス ·ポリヌクレオチドを含有 してなる癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防及び/又は治療剤、 または分娩誘発剤、
( 6 5 ) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (6 4 ) 記載の剤、
( 6 6 ) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその部分 ぺプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な 塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンス ·ポリヌクレオチドを含有 してなる癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の診断薬、
( 6 7 ) 癌の診断薬である上記 (6 6 ) 記載の診断薬、
( 6 8 ) 癌が前立腺癌、 非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌または大腸癌である上記 (6 7 ) 記載の診断薬、
( 6 9 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプタータンパク質もしくはその部 分ペプチドまたはその塩の有効量を投与することを特徴とする癌、 前立腺肥大症 、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、'肝硬変、 肝炎、 肝不全または結 石の予防および Zまたは治療方法、 または分娩誘発方法、
( 7 0 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチド またはその塩に対する抗体の有効量を投与することを特徴とする癌、 前立腺肥大 症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または 結石の予防および Zまたは治療方法、 または分娩誘発方法、
( 7 1 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータン パク質、 その部分べプチドまたはその塩と糖鎖に親和性を示す夕ンパク質との結
合性を変化させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝 不全または結石の予防及び/又は治療方法、 または分娩誘発方法、
( 7 2 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータンパ ク質の発現量を変化させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴と する癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療方法、 または分娩誘発方法、 ( 7 3 ) 哺乳動物に対して、 糖鎖に親和性を示すタンパク質またはその塩の有効 量を投与することを特徴とする癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早 産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療方 法、 または分娩誘発方法、
( 7 4 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のァミノ酸配列を含有する夕ンパク質またはその部分べプチドを コードするポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなる アンチセンス ·ポリヌクレオチドの有効量を投与することを特徴とする癌、 前立 腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全 または結石の予防および Zまたは治療方法、 または分娩誘発方法、
( 7 5 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタータンパ ク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌク レオチドの有効量を投与することを特徴とする癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能 障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および /または治療方法、 または分娩誘発方法、
( 7 6 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドま たはその塩の使用、
( 7 7 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩 に対する抗体の使用、
( 7 8 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質、 その 部分ペプチドまたはその塩と糖鎖に親和性を示すタンパク質との結合性を変化さ せる化合物またはその塩の使用、
( 7 9 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 —のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質の発現量 を変化させる化合物またはその塩の使用、
( 8 0 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 ^:硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および Zまたは治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための糖鎖に親和性を示すタンパク質またはその塩の使用、
( 8 1 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 ffF硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および Zまたは治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチドをコードするポ リヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンス ·ポリヌクレオチドの使用、
( 8 2 ) 癌、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬 変、 肝炎、 肝不全または結石の予防および/または治療剤、 または分娩誘発剤を 製造するための配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプ夕一タンパク質またはそ
の部分べプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドの使 用、
(83) 配列番号: 13、 配列番号: 15、 配列番号: 17、 配列番号: 19、 配列番号: 21、 配列番号: 23、 配列番号: 25または配列番号: 27で表わ されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有する G夕 ンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩、
(84) 配列番号: 13、 配列番号: 15、 配列番号: 17、 配列番号: 19、 配列番号: 21、 配列番号: 23、 配列番号: 25または配列番号: 27で表わ されるァミノ酸配列からなる Gタンパク質共役型レセプタ一タンパク質またはそ の塩、
(85) 上記 (81) 記載の Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコード するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(86) 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列番号: 18、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26または配列番号: 28で表わ される塩基配列からなる DNA、
(87) 上記 (83) 記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、 (88) 上記 (87) 記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体、 (89) 上記 (88) 記載の形質転換体を培養し、 上記 (83) 記載の Gタンパ ク質共役型レセプタータンパク質を生成せしめることを特徴とする上記 (83) 記載の Gタンパク質共役型レセプ夕一夕ンパク質またはその塩の製造法、
(90) 上記 (83) 記載の Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはそ の塩に対する抗体、
(91) 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列番号: 18、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26または配列番号: 28で表わ される塩基配列からなる DN Aとハイストリンジェントな条件下でハイプリダイ ズする DNA、
(92) 上記 (85) 記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一 部を含有してなるポリヌクレ才チド、
また、 本発明の遺伝子発現解析方法を用いた結果、 EDG— 1受容体が血管内 皮細胞において、 EDG— 2受容体が血管平滑筋細胞において高発現しているこ と分かった。 本発明は、 この知見に基づいて、 血管内皮細胞または血管平滑筋細 胞を用いる EDG— 1受容体ァゴニスト ·アン夕ゴニストまたは血管平滑筋細胞 を用いる EDG— 2受容体ァゴニス卜 ·アン夕ゴニス卜のスクリーニング方法を 提供する。
(93) 血管内皮細胞を用いることを特徵とする EDG— 1レセプ夕一ァゴニス 卜またはアンタゴニス卜のスクリーニング方法、
(94) EDG- 1レセプターが配列番号: 38で表わされるァミノ酸配列と同 —もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有する G夕ンパク質共役型レセプ夕 一タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩である上記 (93) 記載のスクリ 一二ング方法、
(95) 血管内皮細胞を含有することを特徴とする EDG— 1レセプ夕一ァゴニ ス卜またはアン夕ゴニストのスクリーニング用キット、
(96) 上記 (93) 記載のスクリーニング方法または上記 (95) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られる EDG— 1レセプ夕一ァゴニストまたはァ ン夕ゴニス卜、
(97) 上記 (93) 記載のスクリーニング方法または上記 (85) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られる EDG— 1レセプ夕一ァゴニストを含有し てなる動脈硬化症、 心筋梗塞、 脳梗塞または虚血性疾患の予防及びノ又は治療剤
(98) 血管平滑筋細胞を用いることを特徴とする EDG— 2レセプターァゴニ ストまたはアン夕ゴニス卜のスクリーニング方法、
(99) EDG— 2レセプ夕一が配列番号: 40で表わされるアミノ酸配列と同 一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する Gタンパク質共役型レセプタ 一タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩である上記 (98) 記載のスクリ 一二ング方法、
(100) 血管平滑筋細胞を含有することを特徴とする EDG— 2レセプターァ ゴニス卜またはアン夕ゴニス卜のスクリーニング用キッ卜、
(101) 上記 (98) 記載のスクリーニング方法または上記 (100) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる EDG— 2レセプ夕一ァゴニストまた はアン夕ゴニスト、
(102) 上記 (98) 記載のスクリーニング方法または上記 (100) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる EDG— 2レセプターァゴニストまた はアン夕ゴニストを含有してなる動脈硬化症、 心筋梗塞、 脳梗塞または虚血性疾 患の予防及び/又は治療剤、
(103) 哺乳動物に対して、 上記 (93) 記載のスクリーニング方法または上 記 (95) 記載のスクリーニング用キットを用いて得られる EDG— 1レセプタ 一ァゴニスト、 または上記 (98) 記載のスクリーニング方法または上記 (10 0) 記載のスクリーニング用キットを用いて得られる EDG— 2レセプ夕一アン タゴニストの有効量を投与することを特徴とする動脈硬化症、 心筋梗塞、 脳梗塞 または虚血性疾患の予防および Zまたは治療方法、
(104) 動脈硬化症、 心筋梗塞、 脳梗塞または虚血性疾患の予防及び Z又は治 療剤を製造するための上記 (93) 記載のスクリーニング方法または上記 (95 ) 記載のスクリーニング用キットを用いて得られる EDG— 1レセプターァゴニ スト、 または上記 (98) 記載のスクリーニング方法または上記 (100) 記載 のスクリーニング用キッ卜を用いて得られる EDG— 2レセプターアン夕ゴニス 卜の使用等を提供する。 図面の簡単な説明
図 1は、 各種細胞株における d j 287G14. 2の発現を示す。
図 2は、 ヒト各種組織での d j 287 G 14. 2レセプター mRNAの発現分 布を示す。
図 3は、 dj 287G14.2レセプ夕一のアミノ酸配列を示す。 .
図 4は、 dj 287G14.2レセプターのアミノ酸配列を示す。 図 3の続きである。 図 5は、 dj 287G142レセプ夕一をコードする DNAの塩基配列を示す。
図 6は、 dj 287G14.2レセプ夕一をコードする DNAの塩基配列を示す。 図 5の 続きである。
図 7は、 dj287G14.2レセプタ一をコードする DNAの塩基配列を示す。 図 6の 続きである。
図 8は、 dj 287G14.2レセプ夕一をコードする DNAの塩基配列を示す。 図 7の き ある。
図 9は、 dJ287G14.2-GFP融合タンパク質を発現した CHO細胞内の c AMP産 生量に対するレクチンの影響を調べた結果を示す。 横軸はレクチン濃度を、 縦軸 は c AMP産生量を表す。 C o n Aはコンカナパリン Aを、 L e n t i 1はレン ズマメレクチンを、 P e aはエンドゥマメレクチンを、 FSKはホルスコリンを 示す。 平均値士標準偏差(n= 2)。
図 10は、 mock CH0細胞内の cAMP産生量に対するレクチンの影響を調べた 結果を示す。 横軸はレクチン濃度を、 縦軸は c AMP産生量を表す。 n=2の平均 値である。 C o n Aはコンカナバリン Aを、 Len t i Iはレンズマメレクチン を、 P e aはエンドゥマメレクチンを、 F SKはホルスコリンを示す。 平均値土 標準偏差(n = 2)。
図 11は、 CH〇細胞に発現させた dJ287G14.2- GFP融合タンパクの GFPの蛍 光像を共焦点顕微鏡 (ライカ社) で観察した結果を示す。
図 12は、 CHO細胞に発現させた dJ287G14.2— GFP融合タンパク質にコンカ ナパリン Aを添加した時の GFPの蛍光像を共焦点顕微鏡 (ライカ社) で観察し た結果を示す。 . 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
本発明においては、 複数の遺伝子個々の発現量をまとめて定量解析することに より、 ある細胞または組織においてその発現が特徴的に亢進または減少している 遺伝子を同定することを特徴とし、 さらには特定の遺伝子ファミリーに属する複 数の遺伝子の発現解析をまとめて行うことにより、 その遺伝子フアミリーの中で 、 ある細胞または組織においてその発現が特徴的に亢進または減少している遺伝 子を、 その発現量の絶対値を算出することで同定することを特徴とする。 ここで 、. 「遺伝子の発現が特徴的に亢進または減少している」 とは、 正常細胞または組
織における遺伝子の発現と比較して、 生理学的有為さがある程度に大量にまたは 少量に発現していることをいう。 本発明において標的とする遺伝子ファミリ一は 、 特に限定されないが、 例えば、 Gタンパク質共役型レセプター遺伝子ファミリ ―、 チロシンリン酸化酵素型レセプター遺伝子ファミリー、 イオンチャネル遺伝 子ファミリ一、 または転写因子、 卜ランスポーター、 プロテインキナーゼ、 プロ ティンフォスファターゼ、 プロテア一ゼ、 ヒートショックプロテイン、 A T P a s eもしくは D NA結合プロテインのいずれかに関連する遺伝子ファミリーなど から選択される。
複数の遺伝子とは、 2個以上の遺伝子を意味し、 上限は実施可能な限り、 特に 限定されないが、 通常 2〜数万個、 好ましくは 2〜1 0 0 0個、 より好ましくは 1 0〜8 0 0個、 さらに好ましくは 1 0〜3 0 0個の遺伝子である。
より具体的には、 本発明の遺伝子の発現解析は、 複数の各反応場所、 好ましく は複数の反応場所を有する反応器具の各反応場所で、 複数の標的 m R N Aを含み 得る mR NA試料と、 それぞれの標的 m R N Aに対応するプライマー対をそれぞ れ含んでなる各増幅試薬とを接触させることにより、 増幅反応を行い、 得られた 増幅生成物の生成量を測定することによって行う。 以下、 この方法について説明 する。
(mR N A試料)
本発明の一態様は、 m R N A試料に含まれ得る複数の標的遺伝子の m R N Aを 定量すことによって遺伝子の発現解析を行う方法である。 ここで、 「mR NA試 料」 とは、 mR NAを含有する試料であって、 その試料中に含まれる mR NAの 種類や量を測定する対象となる試料のことをいう。
より具体的には、 本発明において対象となる mR N A試料は、 その試料中の特 定遺伝子の発現レベルを解析する対象となる試料であり、 例えば、 ヒトまたはそ の他の哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ 、 ィヌ、 サルなど) の組織あるいはその培養細胞株から採取した mR NA試料、 である。 このような組織として、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁頭核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 視床下核、 大脳皮質、 延髄、 小脳、 後頭葉 、 前頭葉、 側頭葉、 被殻、 尾状核、 脳染、 黒質) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 臈臓、 腎
臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例 、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 末梢血球、 前立腺 、 睾丸、 精巣、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋などが挙げられる。 このよ うな m R NA試料を用いて、 その試料中に含まれる標的 m R NAを定量すること によって、 mR NA試料を採取した部位における標的遺伝子の発現レベルを解析 することができる。
すなわち、 本発明においては、 複数の mR NAを含有する m R NA試料から、 一度の処理で、 標的 m R NAの産生の有無及びその産生量を測定することができ る。 特に、 ある特定の疾患を罹患している患者由来の m R NA試料を用いれば、 その疾患に関与している遺伝子 (例えば、 G P C R遺伝子) の特定が容易となる 。 特に、 複数の遺伝子が関与しているといわれる癌などの多遺伝子関与疾患に関 与する Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリン酸化酵素型レセプター、 ィ オンチャンネル遺伝子を特定する場合は、 本発明によれば、 各遺伝子の発現レべ ルを一度の定量操作で調べることができるので、 関与遺伝子 ·タンパク質の特定 が容易となる。 .
遺伝子発現量の定量または遺伝子発現量の絶対値の算出は、 後述する標的 m R NAの定量法に従って行うことが出来る。
(複数の反応場所を有する反応器具)
複数の反応場所とは、 2つ以上の反応場所であれば特に限定さればいが、 通常 2〜数万個、 好ましくは 2〜1 0 0 0個、 より好ましくは 1 0〜8 0 0個、 さら に好ましくは 1 0〜3 0 0個の反応場所である。
本発明においては、 m R N A試料中に含まれ得る標的 m R N Aを増幅するため に、 その標的 mR N Aに対応するプライマー対をそれぞれ含む各増幅試薬とを一 度に反応させる。 このために、 本発明では、 好ましくは複数の反応場所を有する 反応器具が用いられ、 mR NA試料と各増幅試薬との反応は、 各反応場所で行わ れる。 本発明で用いる反応器具は、 mR NA試料と各増幅試薬とを一度に反応さ せることができるように、 2つ以上の反応場所を有している限り、 反応器具の構 成及び構造は限定されない。 好ましくは、 本発明において用いられる反応器具と
して、 例えば、 複数の穴を有するプレート、 複数のスライドグラスを備えてなる 反応器具、 複数の試験管を備えてなる反応器具などが挙げられる。 実験スペース 、 操作性等を考慮した場合は、 複数の穴を有するプレートを好ましく用いること ができる。 これらのプレートは、 使用するプライマ一対の数によって決められる が、 市販されている 9 6穴または 3 8 4穴プレートが好ましく用いられる。 しか し、 プライマー対の数に応じて所望の数の反応場所を設けた反応器具を使うこと ができる。 また、 市販されている 9 6穴または 3 8 4穴プレートを 2個以上使用 することにより、 本発明の方法を実施することもできる。 (増幅試薬)
本発明において用いられる各増幅試薬は、 例えば、 標的 mR N Aに対応する一 対のプライマ一対、 標的 mR N Aに対応するプローブ、 D N Aポリメラーゼ、 緩 衝液等を含む。
ここで、 本発明において用いられる 「標的 mR NAに対応するプライマ一対」 とは、 標的 mR NAをコードする標的遺伝子配列のェクソン領域の一方の鎖に相 補的又は実質的に相補的である第 1のプライマーおよび該標的遺伝子配列のェク ソン領域の他方の鎖に相補的又は実質的に相補的である第 2のプライマーから成 るプライマーの一対をいう。 本発明においては、 これらのプライマー対を少なく とも 2対以上使って、 一度に、 mR NA試料中の標的遺伝子から転写される mR N Aの有無及びその転写量を検出できる。 したがって、 使用するプライマー対の 数は、 多ければ多いほど、 本発明の定量方法の効率が上がることになる。
本発明の定量方法において、 使用されるプライマ一対群は、 標的 mR N Aの数 に応じて調整すればよいので特に限定されないが、 例えば、 1 0〜8 0 0個のプ ライマー対から構成される。 本発明の他の態様によれば、 使用されるプライマー 対群は、 1 0〜3 0 0個のプライマー対から構成される。 プライマ一対の数が多 い場合は、 異なるセットの増幅試薬を複数枚のプレート (例えば、 2〜1 0枚の プレート) に分けてセットしておき、 定量反応を複数回に分けて行うこともでき る。
本発明における好ましい態様によれば、 標的遺伝子は、 Gタンパク質共役型レ
セプ夕一、 チロシンリン酸化酵素型レセプタ一、 イオンチャネルなどをコードす る遺伝子であり、 ゆえに標的 mRN Aは Gタンパク質共役型レセプター、 チロシ ンリン酸化酵素型レセプター、 イオンチヤンネルなどのファミリーに属する遺伝 子 mRNAである。 この場合、 標的 Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリ ン酸化酵素型レセプ夕一、 イオンチャンネルなどのファミリ一に属する遺伝子 m RN Aに対応するプライマー対を含んでなる各増幅試薬と mRN A試料とを、 反 応器具の各反応場所において接触させることにより、 増幅反応させ、 mRNA増 幅生成物を定量することによって、 その mRNA試料中に含まれていた Gタンパ ク質共役型レセプ夕一、 チロシンリン酸化酵素型レセプター、 イオンチャンネル などのフアミリーに属する遺伝子の発現量を測定する とができる。
本発明のより好ましい態様によれば、 全ての公知の G夕ンパク質共役型レセプ ター、 チロシンリン酸化酵素型レセプ夕一、 イオンチャンネルなどのファミリ一 に属する遺伝子 m RNAに対応するプライマー対を全て準備し、 そのプライマー 対をそれぞれ含む増幅試薬を各反応場所にセットしておけば、 一度の定量作業で 、 mRNA試料中において、 どの Gタンパク質共役型レセプター、 チロシンリン 酸化酵素型レセプ夕一、 イオンチャンネルなどのファミリーに属する遺伝子 mR N Aがどの程度産生していたかを知ることができる。 勿論、 必要に応じて、 異な るセッ卜の増幅試薬を複数枚のプレートに分けてセットしておき、 定量反応を複 数回に分けて行うこともできる。
なお、 現在、 Gタンパク質共役型レセプ夕一 (または遺伝子) として次のもの が公知である。
(1) アセチルコリンレセプター: Μ,; Μ2; Μ3; Μ4; Μ5
(2) アデノシンレセプター: A A2A; A2B; A3
(3) アドレノセプ夕ー (Adrenoceptors) : αΙΑ; αΙΒ; alD; α2Α; α2Β;
(4) アンギオテンシンレセプター: ATI; AT2
(5) ボンべシン (Bombesin) レセプ夕一: BB1; BB2; bb3
(6) ブラジキニンレセプ夕一: B】; B2
(7) カルシトニン ·アイ二リン ' CGRP及びァドレノメヅリン (
adrenomedullin) レセプ夕一:
(8) カンナピノイドレセプ夕一: CB1;CB2
(9) ケモカインレセプ夕一: CCR1; CCR2; CCR3; CCR4; CCR5; CCR6; CCR7; CCR8; CCR9; CCRIO; CXCRl; CXCR2; CXCR3; CXCR4; CXCR5; CX3CR1; XCR1;
(10) ケニオタクチックペプチド (Cheniotactic) レセプター: C3a; C5a;_ fMLP
(11) コレシストキニン及びガストリン (Cholecystokinin and gastrin) レ セプター: CCK CCK2
(12) コ一チコトロピン放出因子 (Corticotropin-releasing factor) レセプ 夕一: CRF,; CRF2
(13) ド一パミンレセプ夕一: Dl; D2; D3; M; D5
(14) エンドセリンレセプター: ETA; ETB
(15) ガラニンレセプター (Galanin receptors) : GAL1; GAL 2; GAL3
(16) クリレ夕メートレセフ夕一: mglU mglu2; mglu3; mglu4; iglu5;
iglu6; mglu7; mglu8
(17) グリコプロテインホルモン (Glycoprotein hormone) レセプター: FSH; LSH; TSH
(18) ヒスタミンレセプ夕一: Η,; Η2; Η3;
(19) 5— ΗΤレセプ夕一: 5 - ΗΤ1Α; 5 - HT】B; 5-HT1D; 5- t1B; 5- t1F;5-HT2A; 5-HT2F; 5-HT2C; 5 - HT3; 5-HT 5-ht5A; 5-ht5B; 5- HT6; 5-HT7
(20) ロイコ卜リエンレセプ夕一: BLT; CysLT,; CysLT2
(21) リソフォスフオリピッド (Lysophospholipid) レセプター: edgl; edg2; edg3; edg4
(22) メラノコ一リン (Melanocorlin) レセプ夕一: MC,; MC2; MC3; MC MC5 ズ 23) メラトニンレセプター: ΜΤ,; Τ2; ΜΤ3
(24) ニューロペプチド Υレセプター: Υ1; Υ2; Υ4; Υ5; Υ6
(25) ニューロテンション (Neurotension) レセプ夕一: NTS1; NTS2
(26) ォピオイド: DOP; KOP; MOP; NOP
(27) P2Y レセプター: P2Y,; P2Y2; Ρ2Υ P2Y6; P2YU; P2Y12
(28) パーォキシゾームプロリフェレ一夕 (Peroxisome prol iferator) 活性 化レセプタ―: PPAR- ; PPAR- j3; PPAR- r
(29) プロスタノイド (Prostanoid) レセプター: DP; FP; IP; TP; ΕΡ,; ΕΡ2; ΕΡ3; ΕΡ4
(30) プロテアーゼ活性化 (Protease- activated) レセプター: PARI; PAR2; PAR3; PAR4
(3 1) ソマトス夕チン (Somatotatin) レセプ夕一: sst!; sst2; sst3;
sstd, S S t
(32) 夕チキニン (Tachykinin) レセプター: ΝΚ ΝΚ2; ΝΚ3
(33) チロ卜口ピン放出ホルモン (Tliyrotrop in-releasing hormone) レセプ 夕一: TRH TRH2
(34) ゥロテンシン - II (Urotensin-II) レセプ夕一:
(35) バソァクティブインテスティナルぺプナド (Vasoactive intestinal peptide) 及びピチュイタリアデニレートサイクラーゼ活性ペプチド (pituitary adenylate cyclase activating peptide) レセプター: VPAC,; VPAC2; PAC,
(36) バソプレシン (Vasopressin) 及び ォキシ卜シン (oxytocin) レセプ夕
―: la; V]b; V,; 0T
また、 現在、 チロシンリン酸化酵素型レセプター、 イオンチャンネル遺伝子な どのファミリ一に属する遺伝子として、 次のものが公知である。
(37) イオンチャネル: Na+チャネル (タイプ I; タイプ II /タイプ IIA; タイプ III; SCLll/NaG; PNl; NaCh6; NaDRG; SkMl/^l, SkM2) 、 K+チャネル (Kv; EAG; KQT; IRK; ROMK; GIRK; KATP等) 、 C a2+チャネル (ひ 1G; a IE; a IS: alC; a ID; a IB; alA; IP3; リアノジンレセプターなど) 、 C 1ーチ ャネル (GABAA; GABAC; グリシンレセプター; C1C0; C1C1; CFTRなど) 、 非選択 性カチオンチャネル (nACM; 5-HT3; 匪 DA; AMPA; P2XATP; CNGなど) など
(38) チロシンリン酸化酵素レセプ夕一:インスリンレセプ夕ー; EGFレセプ ターなど 本発明の他の態様によれば、 ある一群の Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロ
シンリン酸化酵素型レセプ夕一、 またはイオンチャネルのファミリーに属する遺 伝子の mRN Aに対応する一群のプライマ一対を用いることにより、 一度の定量 操作で、 その一群の Gタンパク質共役型レセプター、 チロシンリン酸化酵素型レ セプ夕一、 またはイオンチャネルなどのファミリーに属する遺伝子のなかで高発 現している Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリン酸化酵素型レセプター 、 またはイオンチャネルなどのファミリ一に属する遺伝子を特定することができ る。
例えば、 創薬のターゲットは、 (1) 低分子物質を結合するタンパク質 (GP CR、 核内レセプ夕一、 イオンチャネルなど) 、 (2) 低分子あるいは高分子の 基質に対して触媒活性をもつ酵素、 (3) タンパク質や核酸や多糖類などの高分 子に結合するタンパク質の 3種類に分類することができる。 したがって、 この分 類にしたがつて、 以下のような遺伝子のグルーピングをすることもできる。
(1) 低分子物質を結合する下記タンパク質関連遺伝子
ァドレナリンレセプター;ァセチルコリンレセプ夕ー; ヒスタミンレセプター ; ドーパミンレセプ夕一;セロトニンレセプター;グルタミンレセプター;ェン ドセリンレセプター;バソプレシンレセプタ一;セロトニン卜ランスポーター; ダルココルチコィドレセプ夕一;エストロゲンレセプター; C a2+チャネル; N a+チャネル: C 1 _チャネル
(2) 低分子あるいは高分子の基質に対して触媒活性をもつ下記酵素関連遺伝子 HMG— Co A還元酵素;アンジォテンシン転換酵素; トロンボキサン合成酵 素; プロトンポンプ;アルド一ス還元酵素; シクロォキシゲナ一ゼ;ホスホジェ ステラ一ゼ;タンパク質リン酸化酵素;タンパク質脱リン酸化酵素; H I V逆転 写酵素;真菌スクワレンエポキシダーゼ; DNAジャィレース ; β—ラクタマー ゼ
(3) タンパク質や核酸や多糖類などの高分子に結合する下記タンパク質関連遺 伝子
ィンスリンレセプ夕一:エリスロポエチンレセプター; G— CSFレセプター ;成長ホルモンレセプター;ィンターフェロンレセプタ一;増殖因子レセプ夕一 HER 2 ;腫瘍壊死因子 TNFレセプ夕一;血小板インテグリン GP I I b/I
W
25
I I a
なお、 標的 mRNAを増幅させるためのプライマー対は、 その標的 GPCR遺 伝子の配列に基づいて当業者であれば容易に設計することができる (例えば、 Genome Res. 1996 Oct ;6 (10) :986- 94参照) 。
本発明において用いられる mRNAの定量方法は、 hGPCRの機能解析以外 にも種々の用途に用いることができる。 例えば、 判明している疾患遺伝子が産生 する mRNAを検出するプライマー対を含んでなる複数の増幅試薬のセットを用 いることにより、 特定疾患の診断をすることができる。 本発明によれば、 各遺伝 子の発現レベルを正確に測定することができるので、 公知の方法と比較して、 よ り正確な診断ができるという利点がある。 次に、 本発明において用いられる標的 mRNAに対応するプローブは、 標的配 列に応じて当業者に容易に設計できる (例えば、 Genome Res. 1996 Oct; 6 (10): 986-94参照) 。 本発明において用いられる適当なオリゴヌクレオチドプローブは 、 好ましくは約 1 5〜約 50ヌクレオチドの長さを有し、 より好ましくは約 25 〜約 35ヌクレオチドの長さを有する。 オリゴヌクレオチドプローブは、 生化学 的、 免疫化学的、 又は化学的な手段によって検出可能な化学物質等を組込むこと によって標識することができる。 有用な標識としては、 32P等の放射性同位元 素、 フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネート等の蛍光物質、 ルミ ノール、 ルシフェリン等の発光物質、 jQ—ガラクトシダーゼ、 パーォキシダ一ゼ 、 アルカリフォスファタ一ゼ等の酵素、 ピオチン、 及び抗体等があげられる。 本発明において用いられる D N Aポリメラーゼとしては、 逆転写活性および 5 ' →3 ' ェキソヌクレァ一ゼ活性を有する耐熱性 DN Aポリメラーゼ、 例えば、 r T t h DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
本発明においては、 公知のあるいは市販されている緩衝液が用いられる (例え ば、 PE Biosystems社製緩衝液; Genome Res. 1996 Oct ;6 (10) :986- 94参照) 。
(mRNAの増幅)
本発明の解析法において、 mRNA試料中に含まれ得る標的 mRNAは、 その
標的 mRNAを増幅させるためのプライマー対を含む増幅試薬を用いて増幅され る。 本発明の好ましい態様によれば、 標的 mRNAの増幅は公知のポリメラ一ゼ 連鎖反応 (PCR) を用いて行われる (米国特許第 4, 683, 195号;第 4 , 683, 202号;第 4, 965, 188号など参照) 。
mRNAの増幅は、 最初に、 例えばウィルスの逆転写酵素を用いて、 標的 mR NAを逆転写し、 生じた cDNAを増幅することによって行うことができる。 さ らに好ましい態様において、 mRNAの増幅は、 逆転写一ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR) を用いて行われる (米国特許第 5, 310, 652号;第 5, 322, 770号;第 5, 561, 058号;第 5, 641, 864号; 5, 6 93, 517号等参照) 。
なお、 本発明においては、 前記ポリメラーゼ連鎖反応以外にも種々の mRNA 増幅法が用いられる。 そのような増幅法として、 例えば、 鎖置換アツセィ法 (米 国特許第 5, 455, 166号など参照) 、 転写に基づく増幅法 (TAS) (米 国特許第 5, 437, 990号;第 5, 409, 818号;第 5, 399, 49 1号等参照) 、 自立配列複製法 (3 SR) (W092ノ08800等参照)などが 挙げられる。
これらの増幅反応の反応条件は、 使用する試薬の種類等に応じて、 当業者によ つて容易に設定することができる。 (標的 mRNAの定量法)
次に、 本発明の解析方法においては、 前記の mRNA増幅生成物の生成量を定 量する。 増幅生成物の定量は、 好ましくはプローブを使用する方法によって行わ れる。 好ましい態様によれば、 蛍光物質により標識したプローブを用いた方法に よって行われる。
本発明のより好ましい態様によれば、 標的 mRNAの定量は 「TaqMan法 」 又は 「5' ヌクレアーゼアツセィ法」 を用いて行われる (プロシージングズ · ォブ ·ザ.ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ユーエスェ 一、 第 88巻、 第 7276- 7280頁 (1991年) ; 米国特許第 5, 210, 015号;第 5, 487, 972号;第 5, 804, 375号など参照) 。 T a q M a nアツ
セィ法において、 5' 末端を標識したプローブが用いられる。 また、 このブロー ブは、 プローブが DNA合成のためのプライマ一として働くことを防ぐために 3 ' 末端が修飾される。 この修飾として、 リン酸基、 蛍光物質等の末端への付加が あげられる。 標的 mRNAの増幅は、 5' →3' ェキソヌクレア一ゼ活性を有す る DNAポリメラ一ゼ、 例えば T t h DNAポリメラ一ゼを用いて行われる。 前記プライマ一の下流の標的 m R N Aにハイブリダィズするプロ一ブは、 増幅反 応の間、 DN Aポリメラーゼの 5' —3' ェキソヌクレア一ゼ活性によって分解 される。 新規に標的領域が増幅されるたびに、 プローブが分解され、 標識物質が 遊離される。 この遊離される標識物質を定量することにより、 標的 mRNA量が 間接的に測定される。
遊離される標識物質を定量的に検出するためには公知の方法が用いられる。 好 ましい方法において、 前記プローブは、 2つの蛍光物質で 5' および 3 ' 末端が 標識され、 このうちの一方が、 他方の物質の蛍光を消光することができる。 この プロ一ブは錶型 D N Aにハイブリダィズしている間は 2つの蛍光物質の相互作用 により蛍光が消光されているが、 DNAポリメラーゼが有する 5 ' →3' ェキソ ヌクレアーゼ活性により分解されることにより蛍光を発するようになる。 増幅反 応の進行に伴い蛍光が増大し、 この蛍光の増大がモニタ一される。
標的 mRNAを含む試料の定量は、 予め知られている量の標的 mRNAを含む 試料を用い、 これを増幅させて作製した 「標準曲線」 に基づいて行われる。 標準 曲線は、 増幅の間に生じたシグナル由来の、 投入したコピー数を計算するために 使用される。 従って、 試料中の、 未知の標的配列のコピー数は、 前記の標準曲線 を用いて、 あらかじめ観察されるものに等しいシグナルを生じることが決定され たコピー数を計算することによって推計される。 次に、 前記試料中の標的配列の 濃度を、 反応前に決定する投入コピー数及び試料のサイズから計算することがで きる (特許公開第 2001— 204483号公報など参照) 。
実験上の誤差を排除するために内部標準を用いることができる。 内部標準を用 いる、 増幅を基にした定量法は、 米国特許第 5, 2 19, 717号、 第 5, 47 6, 774号などに記載されている。 増幅反応の特異性を増大させるための種々 の方法が知られており、 例えば、 欧州特許出願第 0 866, 071号などに記
載されている。 (プライマー対キット及び定量キッ卜)
また、 本発明は、 本発明の方法を実施するために用いられる、 プライマー対キ ット及び m R NA定量キットに関する。
本発明のプライマ一対キットは、 標的遺伝子配列のェクソン領域の一方の鎖に 相補的又は実質的に相補的である第 1のプライマーおよび該標的遺伝子配列のェ クソン領域の他方の鎖に相補的又は実質的に相補的である第 2のプライマーから 成るプライマー対を 2対以上含んでなるキットである。 このようなキッ卜が事前 に準備されていれば、 本発明の定量方法を迅速に行うことができる。 本発明の好 ましいプライマー対キットは、 ヒト Gタンパク質共役型レセプタータンパク質遺 伝子から転写される m R N Aに対応するプライマー対を有する。 本発明の一態様 によれば、 プライマー対キットは、 1 0〜8 0 0個のプライマー対あるいは 1 0 〜3 0 0個のプライマ一対で構成されるプラマー対群を含む。
本発明のより好ましい態様によれば、 複数の反応場所を有する反応器具の各反 応場所に、 標的 mR NAに対応するプライマー対をそれぞれ含む各増幅試薬を充 填してなる m R N A定量キットが提供される。 好ましくは、 そのキットにおける 標的遺伝子は疾患関連遺伝子である。 より好ましくは、 そのキットは、 さらに蛍 光プローブを含んでなり、 またさらに好ましくは、 T t h D NAポリメラーゼ を含んでなる。 · これらのキットは、 必要に応じて、 例えば、 プライマー伸長生成 物の合成を触媒する薬剤、 基質のヌクレオシド三リン酸塩、 標識に使用する手段 (例えば、 標識がピオチンならば、 アビジン一酵素抱合体及び酵素の基質及び色 素原) 、 P C R又はハイブリダィゼ一シヨン反応に適した緩衝液などを含むこと ができる。
(疾患の診断方法およびその疾患を治療する医薬)
次に、 本発明の上記 (3 0 ) による方法によれば、 患者から採取した mR NA 試料を用いて遺伝子発現解析を行い、 特定疾患関連遺伝子の特徴的発現を検知す ることによってその患者が罹患している疾患を診断することができる。 本発明に
よれば、 特定疾患関連遺伝子ファミリー (特に、 特定疾患関連 G P C R遺伝子フ アミリー) に属する遺伝子の発現をまとめて解析することにより、 複数の特定疾 患関連遺伝子のなかで、 どの遺伝子の発現が特徴的であるかを一度の操作で特定 することができる。
したがって、 このようにして特定された遺伝子の遺伝子産物に対するァゴニス ト、 アン夕ゴニストもしくは抗体、 またはその遺伝子産物をコードする D N Aを 含む医薬は、 その診断対象の患者に対して特に有効である。 本発明においては、 複数の異常発現遺伝子を特定することができ、 かつその遺伝子の発現レベルまで をも正確に定量することができる。 したがって、 その患者に適当な処方として、 複数のァゴニスト、 アン夕ゴニストまたは抗体を選択し、 その処方量についても 、 疾患関連遺伝子の発現レベルに応じて調製することができる。 すなわち、 本発 明によれば、 その患者のみに処方される、 いわゆるテーラーメード医薬の調製が 可能となる。
より詳細に述べると、 例えば、 生体内においてあるレセプタータンパク質が減 少しているためにリガンドの生理作用が期待できない (該レセプタータンパク質 の欠乏症) 患者がいる場合に、 (1 ) そのレセプタータンパク質を該患者に投与 し該レセプタータンパク質の量を補充したり、 (2 ) (ィ) 本発明のレセプ夕一 タンパク質をコードする D NAを該患者に投与し発現させることによって、 ある いは (口) 対象となる細胞に本発明のレセプタ一タンパク質をコードする D NA を揷入し発現させた後に、 該細胞を該患者に移植することなどによって、 患者の 体内におけるレセプタ一タンパク質の量を増加させ、 リガンドの作用を充分に発 揮させることができる。
本発明の医薬は、 特定された遺伝子が関与する疾患の予防または治療に有効で あり、 例えば、 中枢疾患 (例えば、 アルツハイマー病、 痴呆、 摂食障害など)、 内 分泌疾患 (例えば、 高血圧症、 性腺機能異常、 甲状腺機能異常、 下垂体機能異常 など)、 代謝疾患 (例えば、 糖尿病、 脂質代謝異常、 高脂血症など)、 癌 (例えば 、 非小細胞肺癌、 卵巣癌、 前立腺癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌 、 直腸癌等) などの予防および/または治療に有用である。
本発明で特定された遺伝子の遺伝子産物 (例えば、 レセプタータンパク質) 、
それに対するァゴニスト、 アン夕ゴニス卜もしくはその抗体、 またはその遺伝子 をコードする D NAを上記予防及び 又は治療剤として使用する場合は、 常套手 段に従って製剤化することができる。
一方、 D NA (以下、 本発明の D N Aと略記する場合がある) を上記予防及び /又は治療剤として使用する場合は、 その D NAを単独あるいはレトロウイルス ベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノウイルスァソシェ一テツドウィルス ベクタ一などの適当なベクタ一に挿入した後、 常套手段に従って実施することが できる。 その D NAは、 そのままで、 あるいは摂取促進のための補助剤とともに 、 遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。 例えば、 本発明で用いられる医薬は、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセ ル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤などとして経口的に、 あるいは水もし くはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注 射剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、 本発明の医薬を、 生理学的に認めら れる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤などとと もに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによつ て製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適 当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル ロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのような膨 化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカリ ンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリ一のような香味剤な どが用いられる。 調剤単位形態が力プセルである場合には、 上記タイプの材料に さらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物 は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油などのような天然産 出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ とができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他 の補助薬を含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マンニトール、 塩化ナ トリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、
エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレンダリ コール) 、 非イオン性界面活性剤 (例、 ポリソルベート 80TM、 HCO-50 ) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用い られ、 溶解補助剤である安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどと併用して もよい。
また、 上記予防および Zまたは治療剤は、 例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩 緩衝液、 酢酸ナトリウム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロ力インなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレング リコールなど) 、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸 化防止剤などと配合してもよい。 調製された注射液は通常、 適当なアンプルに充 填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトやその 他の哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
本発明の予防および/または治療剤の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 癌患者 ( 60k gとして) においては、 一日につき約 0. lmg〜l 00mg、 好ましく は約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omgである。 非経口的に 投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに よっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 癌患者 (6 O kgとし て) においては、 一日につき約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは約 0. 1〜 2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与す るのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与す ることができる。
本発明の DNAの投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより 差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 癌患者 (6 O kgとして) に おいては、 一日につき約 0. lmg〜l 0 Omg、 好ましくは約 1. 0〜50m g、 より好ましくは約 1. 0〜20mgである。 非経口的に投与する場合は、 そ の 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、
例えば、 注射剤の形では通常例えば、 癌患者 (6 0 k gとして) においては、 一 日につき約 0 . 0 1〜3 O m g程度、 好ましくは約 0 . l〜2 0 m g程度、 より 好ましくは約 0 . 1〜1 O m g程度を静脈注射により投与するのが好都合である 。 他の動物の場合も、 6 0 k g当たりに換算した量を投与することができる。 上記の本発明の遺伝子発現解析方法を用いた結果得られる、 例えば配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する レセプ夕一タンパク質の新規用途について、 以下に説明する。
(レセプタ一タンパク質)
本発明で用いられるレセプタータンパク質は、 配列番号: 9で表わされるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプ夕一タン パク質 (以下、 本発明のレセプタータンパク質ともいう) である。 なお、 配列番 号: 9で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質は、 ヒト由来 dj287G14. 2レ セプ夕一タンパク質である。 ヒト由来 dj 287G14. 2レセプ夕一は、 WO 2 0 0 1 / 1 8 2 0 7に記載されているタンパク質と同一のアミノ酸配列を有する。
本発明者らは、 ァスパラギン結合型糖鎖ゃセリン ·スレオニン結合型糖鎖など の糖鎖に親和性を示すタンパク質 (例えば、 、 ConA (コンカナパリン A)、 Lent i l lect in (レンズマメレクチン)、 Pea lect in (エンドゥマメレクチン)、 Datura lect in (チヨゥセンアサガオレクチン)、 Maackia Amurensis lect in (ィヌェンジ ユレクチン)、 フイ トへマグルチニンなどのレクチン) が、 dj 287G14. 2レセプタ 一のリガンドの 1つであることを初めて確認した。 本発明のレセプタ一タンパク 質は、 例えば、 ヒトやその他の哺乳動物 (例えば、 モルモット、 ラット、 マウス 、 ゥサギ、 ブタ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) のあらゆる細胞 〔例えば、 網膜細胞 、 脾細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 膝臓 3細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細胞、 内皮細胞、 繊維芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マクロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチユラ ルキラー細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球、 白血球) 、 巨核球 、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞もしく は間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくは癌細胞 (例、 乳癌細
胞株 (G I— 101) 、 結腸癌細胞株 (CX— 1、 G I - 1 12) 、 肺癌細胞株 (LX— 1、 G I - 1 17) 、 卵巣癌細胞株 (G I— 102) 、 前立腺癌細胞株 など) など〕 、 またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の 各部位 (例、 嗅球、 扁頭核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 視床下核、 大 脳皮質、 延髄、 小脳、 後頭葉、 前頭葉、 側頭葉、 被殻、 尾状核、 脳染、 黒質) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 膝臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺 、 末梢血、 末梢血球、 前立腺、 睾丸、 精巣、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格 筋など、 または血球系の細胞もしくはその培養細胞 (例えば、 MEL, Ml, C TLL- 2, HT- 2, WEH I - 3, HL- 60, J OSK— 1, K 562 , ML- 1 , MOLT- 3 , MOLT-4, MOLT— 10, CCRF— CEM, TALL- 1, J u r k a t, CCRT-HS B- 2, KE - 37, SKW- 3 , HUT- 78, HUT- 102, H9, U 937 , THP - 1, HEL, J K — 1, CMK, KO- 812, MEG— 01など) に由来するタンパク質であつ てもよく、 また合成タンパク質であってもよい。
本明細書において、 「実質的に同一のアミノ酸配列」 とは、 比較するアミノ酸 配列に対して、 例えば、 約 50%以上、 好ましくは約 60%以上、 より好ましく は約 70%以上、 さらに好ましくは約 80%以上、 なかでも好ましくは約 90 % 以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列をいう。 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有 するタンパク質としては、 例えば、 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列と実 質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。 実質的に同質の活性としては、 例えば、 リガンド結合活性、 シグナル情報伝達 作用などが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの活性が性質的に同質である ことを示す。 したがって、 リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性 が同等 (例、 約 0. 01〜100倍、 好ましくは約 0. 5〜20倍、 より好まし くは約 0. 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの活性の程度やタンパク 質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、 公知の方法に 準じて行なうことができるが、 例えば、 後に記載するリガンドの決定方法ゃスク リ一二ング方法に従つて測定することができる。
また、 本発明のレセプ夕一タンパク質としては、 (1) 配列番号: 9、 配列番 号: 1 3、 配列番号: 1 5、 配列番号: 1 7、 配列番号: 1 9、 配列番号: 2 1 、 配列番号: 2 3、 配列番号: 2 5または配列番号: 2 7で表わされるアミノ酸 配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が欠失したァミノ 酸配列、 ( 2 ) 配列番号: 9、 配列番号: 1 3、 配列番号: 1 5、 配列番号: 1 7、 配列番号: 1 9、 配列番号: 2 1、 配列番号: 2 3、 配列番号: 2 5または 配列番号: 2 7で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1 〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5 個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (3) 配列番号: 9、 配列番号: 1 3、 配列番号: 1 5、 配列番号: 1 7、 配列番号: 1 9、 配列番号: 2 1、 配列 番号: 2 3、 配列番号: 2 5または配列番号: 2 7で表わされるアミノ酸配列中 の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個 程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ れたアミノ酸配列、 または (4) それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する タンパク質なども用いられる。
本明細書におけるレセプ夕一タンパク質は、 ペプチド標記の慣例に従って、 左 端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) である。 本発明 のレセプタータンパク質は、 C末端が力ルポキシル基 (-COOH) 、 カルボキ シレート (一COO一) 、 アミド (一C〇NH2) またはエステル (一 COOR ) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル 、 イソプロピルもしくは n—ブチルなどの アルキル基、 例えば、 シクロべ ンチル、 シク口へキシルなどの C 3— 8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 a 一ナフチルなどの C6_12ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフ ェニル一 C】 _ 2アルキル基もしくはひ一ナフチルメチルなどの α—ナフチルー C
^ 2アルキル基などの C 7— 14ァラルキル基のほか、 経口用エステルとして汎用 されるピバロィルォキシメチル基などが用いられる。
本発明のレセプ夕一タンパク質が C末端以外にカルボキシル基 (またはカルボ キシレート) を有している場合、 カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ れているものも本発明のレセプタータンパク質に含まれる。 この場合のエステル としては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明のレセプ夕一タンパク質には、 上記したタンパク質において、 N末端のメチォニン残基のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチルな どの C 2 _ 6アルカノィル基などの C _ 6ァシル基など) で保護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成したダルタミル基がピログルタミン酸化したもの 、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば、 一 OH、 _SH、 アミノ基、 ィ ミダゾール基、 インドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホ ルミル基、 ァセチルなどの C 2— 6アルカノィル基などの C; _ 6ァシル基など) で 保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合 タンパク質なども含まれる。
本発明のレセプタータンパク質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 9で表 わされるアミノ酸配列からなるヒト由来 dj287G14.2レセプ夕一タンパク質、 配列 番号: 1 3、 配列番号: 1 5、 配列番号: 1 7、 配列番号: 1 9、 配列番号: 2 1、 配列番号: 23、 配列番号: 25または配列番号: 27で表わされるァミノ 酸配列からなるマウス由来 dj287G14.2レセプタ一タンパク質などが挙げられる。 なお、 配列番号: 13、 配列番号: 1 5、 配列番号: 17、 配列番号: 19、 配列番号: 2 1、 配列番号: 23、 配列番号: 25または配列番号: 27で表わ されるアミノ酸配列からなるマウス由来 dj 287G14.2レセプタータンパク質は新規 なタンパク質である。
本発明のレセプタータンパク質またはその塩は、 上記したヒトゃ哺乳動物の細 胞または組織から公知のレセプタータンパク質の精製方法によって製造すること もできるし、 後に記載する本発明のレセプタータンパク質をコードする DNAを 含有する形質転換体を培養することによつても製造することができる。 また、 後 に記載するタンパク質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトゃ哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトゃ哺乳動物の組織ま たは細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行ない、 該抽出液を逆相クロマ トグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み 合わせることにより精製単離することができる。
(レセプタータンパク質の部分ペプチド)
本発明の部分ペプチド (以下、 単に 「部分ペプチド」 と略記する場合がある) としては、 上記した本発明のレセプタータンパク質の部分アミノ酸配列を有する ペプチドであれば何れのものであってもよいが、 例えば、 本発明のレセプ夕一夕 ンパク質の分子のうち、 細胞膜の外に露出している部位であって、 本発明のレセ プタ一タンパク質と実質的に同質のレセプター結合活性を有するものなどが用い られる。
具体的には、 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列を有する本発明のレセプ 夕一タンパク質の部分ペプチドとしては、 疎水性プロット解析において細胞外領 域 (親水性 (Hydrophi l ic) 部位) であると分析された部分を含むペプチドであ る。 また、 疎水性 (Hydrophobic) 部位を一部に含むペプチドも同様に用いるこ とができる。 個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、 複数のドメイ ンを同時に含む部分のぺプチドでも良い。
本発明の部分べプチドのアミノ酸の数は、 上記した本発明のレセプタ一タンパ ク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも 2 0個以上、 好ましくは 5 0個以上、 より好ましくは 1 0 0個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。 実質的に同一のアミノ酸配列とは、 これらアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ま しくは約 6 0 %以上、 より好ましくは約 7 0 %以上、 さらに好ましくは約 8 0 % 以上、 なかでも好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性 を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、 「実質的に同質のレセプター結合活性」 とは、 上記と同意義を示す。 「実質的に同質のレセプター結合活性」 の測定は上記と同様に行なうことができ る。
また、 本発明の部分ペプチドは、 上記アミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好
ましくは、 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が 欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜2 0 個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好まし くは、 1〜1 0個程度、 より好ましくは数個、 さらに好ましくは 1〜5個程度) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、 本発明の部分ペプチドは C末端が力ルポキシル基 (_ C O O H) 、 カル ボキシレート (- C O O") 、 アミド (一 C O NH 2) またはエステル (一 C O O R) であってもよい。
さらに、 本発明の部分ペプチドには、 上記した本発明のレセプタータンパク質 と同様に、 N末端のメチォニン残基のァミノ基が'保護基で保護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成した G 1 nがピログルタミン酸化したもの、 .分子 内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは 糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの塩としては、 酸また は塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、 とりわけ生理学的に許容される 酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リ ン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロ ピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚 酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられ る。
本発明の部分ペプチドまたはその塩は、 公知のペプチドの合成法に従って、 あ るいは本発明の G P C Rを適当なぺプチダーゼで切断することによって製造する ことができる。 ペプチドの合成法としては、 例えば、 固相合成法、 液相合成法の いずれによっても良い。 すなわち、 本発明の G P C Rを構成し得る部分ペプチド もしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護 基を脱離することにより目的のぺプチドを製造することができる。 公知の縮合方 法や保護基の脱離としては、 例えば、 以下の a ) 〜e ) に記載された方法が挙げ られる。
a) M. Bodanszkyおよび M.A. Ondetti, ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis) , Interscience Publishers, New York (1966年)
b) Schroederおよび Luebke、 ザ ペプチド(The Peptide) , Academic Press, New York (1965年)
c) 泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年) d) 矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977年)
e) 矢島治明監修、 続医薬品の開発 第 14巻 ペプチド合成 広川書店 また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 ·蒸留 ·カラムクロマトダラ フィー ·液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて本発明の部分ぺプ チドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分べプチドが遊離体で ある場合は、 公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩で 得られた場合は、 公知の方法によつて遊離体に変換することができる。 (ポリヌクレオチド)
本発明のレセプ夕一タンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、 上記 した本発明のレセプタータンパク質をコードする塩基配列 (DNAまたは RNA 、 好ましくは DNA) を含有するものであればいかなるものであってもよい。 該 ポリヌクレオチドとしては、 本発明のレセプ夕一タンパク質をコードする DNA 、 mRNA等の RNAであり、 二本鎖であっても、 一本鎖であってもよい。 二本 鎖の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA: RNAのハイブリツド でもよい。 一本鎖の場合は、 センス鎖 (すなわち、 コード鎖) であっても、 アン チセンス鎖 (すなわち、 非コード鎖) であってもよい。
本発明のレセプ夕一タンパク質をコ一ドするポリヌクレオチドを用いて、 例え ば、 実験医学増刊 「新 PC Rとその応用」 15(7)、 1997記載の公知の方法または それに準じた方法により、 本発明のレセプ夕一タンパク質の mRNAを定量する ことができる。
本発明のレセプ夕一タンパク質をコ一ドする DNAとしては、 ゲノム DNA、 一、 上記した細胞または組織由来の cDNA、 上記した
細胞または組織由来の cDNAライブラリー、 合成 DNAのいずれでもよい。 ラ イブラリーに使用するベクターは、 パクテリオファージ、 プラスミド、 コスミド 、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 上記した細胞または組織より total RN Aまたは mRN A画分を調製したものを用いて直接 Reverse
Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— PCR法と略称する ) によって増幅することもできる。
具体的には、 本発明のレセプタ一タンパク質をコードする DN Aとしては、 例 えば、 配列番号: 8、 配列番号: 10、 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列 番号: 1 8、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 2 6または配列番号: 28で表わされる塩基配列を含有する DNA、 または配列番 号: 8、 配列番号: 10、 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列番号: 18、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26または配列 番号: 28で表わされる塩基配列を含有する DNAとハイストリンジェントな条 件下でハイブリダィズする DNAを有し、 配列番号: 9で表わされるアミノ酸配 列を含有するレセプタータンパク質と実質的に同質の活性 (例、 リガンド結合活 性、 シグナル情報伝達作用など) を有するレセプ夕一タンパク質をコードする D N Aが挙げられる。
配列番号: 8、 配列番号: 1 0、 配列番号: 14、 配列番号: 1 6、 配列番号 : 1 8、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26ま たは配列番号: 28で表わされる塩基配列を有する DNAとハイストリンジェン 卜な条件下でハイブリダィズする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 8、 配列 番号: 1 0、 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列番号: 18、 配列番号: 2 0、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26または配列番号: 28で 表わされる塩基配列と約 70%以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ましくは 約 90 %以上、 さらに好ましくは約 95 %以上の相同性を有する塩基配列を含有 する D N Aなどが用いられる。
ハイブリダィゼ一シヨンは、 公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー ·クローニンク (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうこと
ができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載 の方法に従って行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェン卜な 条件に従って行なうことができる。
「該ハイストリンジェン卜な条件」 とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 1 9〜 4 0 mM、 好ましくは約 1 9〜 2 0 mMで、 温度が約 5 0〜 7 0で、 好ましくは 約 6 0〜6 5 °Cの条件を示す。 特に、 ナトリウム濃度が約 1 9 mMで温度が約 6 5 °Cの場合が最も好ましい。
本発明の 「レセプ夕一タンパク質をコードする D N Aの塩基配列の一部、 また は該 D N Aと相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチド」 とは、 下記の本発明の部分ペプチドをコードする D NAを包含するだけではなく、 R N Aをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、 レセプ夕一タンパク質遺伝子の複製または発現を阻害するこ とのできるアンチセンス ·ポリヌクレオチド (核酸) を、 クローン化した、 ある いは決定されたレセプタータンパク質をコードする D N Aの塩基配列情報に基づ き設計し、 合成しうる。 そうしたポリヌクレオチド (核酸) は、 レセプタータン パク質遺伝子の R N Aとハイブリダィズすることができ、 該 R N Aの合成または 機能を阻害することができるか、 あるいはレセプ夕一タンパク質関連 R NAとの 相互作用を介してレセプ夕一タンパク質遺伝子の発現を調節 ·制御することがで きる。 レセプタータンパク質関連 R NAの選択された配列に相補的なポリヌクレ ォチド、 およびレセプ夕一タンパク質関連 R NAと特異的にハイブリダィズする ことができるポリヌクレオチドは、 生体内および生体外でレセプタータンパク質 遺伝子の発現を調節 ·制御するのに有用であり、 また病気などの治療または診断 に有用である。 用語 「対応する」 とは、 遺伝子を含めたヌクレオチド、 塩基配列 または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する 。 ヌクレオチド、 塩基配列または核酸とペプチド (タンパク質) との間で 「対応 する」 とは、 ヌクレオチド (核酸) の配列またはその相補体から誘導される指令 にあるペプチド (タンパク質) のアミノ酸を通常指している。 レセプ夕一タンパ ク質遺伝子の 5, 端ヘアピンループ、 5, 端 6—ベースペア ' リピート、 5, 端 非翻訳領域、 ポリペプチド翻訳開始コドン、 タンパク質コード領域、 O R F翻訳
終止コドン、 3 ' 端非翻訳領域、 3 ' 端パリンドローム領域、 および 3 ' 端ヘア ピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、 レセプタータンパク質遺伝 子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド (以下、 包括的に本発 明のレセプタータンパク質と略記する場合がある) を完全にコードする D NAの クローニングの手段としては、 本発明のレセプタータンパク質の部分塩基配列を 有する合成 D NAプライマーを用いて P C R法によって増幅するか、 または適当 なべクタ一に組み込んだ D N Aを本発明のレセプタータンパク質の一部あるいは 全領域をコードする D NA断片もしくは合成 D NAを用いて標識したものとのハ イブリダィゼーシヨンによって選別することができる。 ハイブリダィゼ一シヨン の方法は、 例えば、 モレキュラー ·クロ一ニング (Molecular Cloning) 2 nd ( J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法な どに従って行なうことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添 付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
(アンチセンス ·ポリヌクレオチド)
目的核酸と、 対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係 は、 対象物とハイブリダィズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、 「 アンチセンス」 であるということができる。 アンチセンス ·ポリヌクレオチドは 、 2—デォキシー D—リポ一スを含有しているポリヌクレオチド、 D—リポース を含有しているポリヌクレオチド、 プリンまたはピリミジン塩基の N—グリコシ ドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、 あるいは非ヌクレオチド骨格を有 するその他のポリマー (例えば、 市販のタンパク質、 核酸および合成配列特異的 な核酸ポリマ一) または特殊な結合を含有するその他のポリマー (但し、 該ポリ マ一は D NAや R NA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許 容する配置をもつヌクレオチドを含有する) などが挙げられる。 それらは、 二本 鎖 D NA、 一本鎖 D NA、 二本鎖 R NA、 一本鎖 R NA、 さらに D NA : R NA ハイブリッドであることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾 オリゴヌクレオチド) 、 さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野
で知られた標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個 以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾の されたもの、 例えば非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネート、 ホスホトリエス テル、 ホスホルアミデート、 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合 または硫黄含有結合 (例えば、 ホスホロチォェ一ト、 ホスホロジチォエートなど ) を持つもの、 例えばタンパク質 (ヌクレア一ゼ、 ヌクレアーゼ ·インヒビ夕一 、 トキシン、 抗体、 シグナルペプチド、 ポリ一 L—リジンなど) や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を有しているもの、 イン夕一力レート化合 物 (例えば、 ァクリジン、 ゾラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例えば 、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化性の金属など) を含有するもの、 ァ ルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの (例えば、 ひァノマー型 の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌクレオチド」 およ び 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、 修飾され たその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。 こうした修飾物は 、 メチル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化されたプリンおよびピリミ ジン、 あるいはその他の複素環を含むものであってよい。 修飾されたヌクレオチ ドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、 例えば、 1個以上の水酸基がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されていたり、 あるいは エー ル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンス ·ポリヌクレオチド (核酸) は、 R NA、 D NA、 ある いは修飾された核酸 (R NA、 D NA) である。 修飾された核酸の具体例として は核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフェート誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミド やオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、 それに限定 されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設 計されうる。 すなわち、 細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、 目標とするセンス鎖に対する親和 性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性 をより小さなものにする。
こうした修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば J. Kawakami et al.,
P arm Tech Japan, Vol. 8, pp. 247, 1992 ; Vol. 8, pp. 395, 1992 ; S. T. Crooke et al. ed. , Ant isense Research and Appl icat ions, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結 合を含有していて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与 されたり、 遺伝子治療により適用されたり、 付加された形態で与えられることが できうる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を 中和するように働くポリリジンのようなポリカチォン体、 細胞膜との相互作用を 高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド、 コ レステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂 質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステリルクロ口ホルメ 一卜、 コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付着 させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に特 異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレア一ゼ、 R N a s eなどのヌ クレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こうしたキヤップ用 の基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレングリコールなどのダリ コールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それ に限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、 本発明の形質転換体、 本発明の生体内や生体 外の遺伝子発現系、 あるいはレセプ夕一タンパク質の生体内や生体外の翻訳系を 用いて調べることができる。 該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。 本発明のアンチセンス ·ポリヌクレオチドは、 生体内における本発明のタンパ ク質または本発明のポリヌクレオチド (例、 D NA) の機能を抑制することがで きるので、 例えば、 本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の 予防および Zまたは治療剤として用いることができる。 さらに、 本発明のアンチ センス ·ポリヌクレオチドは、 組織や細胞における本発明の D NAの存在やその 発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用すること もできるので、 本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の診断
に用いることができる。 (部分ペプチドをコードする DNA)
本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 上記した本発明の部分べ プチドをコ一ドする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよ レ^ また、 ゲノム DNA、 ゲノム DNAライブラリ一、 上記した細胞または組織 由来の cDNA、 上記した細胞または組織由来の c DNAライブラリー、 合成 D NAのいずれでもよい。 ライブラリ一に使用するベクターは、 バクテリオファー ジ、 プラスミド、 コスミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 上 記した細胞または組織より mRNA画分を調製したものを用レ ^て直接 Reve r s e Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— PCR法と略称する ) によって増幅することもできる。
具体的には、 本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、
(1) 配列番号: 8、 配列番号: 1 0、 配列番号: 14、 配列番号: 1 6、 配列 番号: 18、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 2
6または配列番号: 28で表わされる塩基配列を含有する DNAの部分塩基配列 を有する DNA、
(2) 配列番号: 8、 配列番号: 10、 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列 番号: 18、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 2 6または配列番号: 28で表わされる塩基配列を含有する DN Aとハイストリン ジェントな条件下でハイプリダイズする DNAを有し、 配列番号: 9で表わされ るアミノ酸配列を含有するタンパク質ペプチドと実質的に同質の活性 (例、 リガ ンド結合活性、 シグナル情報伝達作用など) を有するタンパク質をコードする D N Aの部分塩基配列を有する D N Aなどが用いられる。
配列番号: 8、 配列番号: 10、 配列番号: 14、 配列番号: 16、 配列番号 : 1 8、 配列番号: 20、 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26ま たは配列番号: 28で表わされる塩基配列を含有する DN Aとハイストリンジェ ントな条件でハイブリダィズする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 8、 配列 番号: 10、 配列番号: 14、 配列番号: 1 6、 配列番号: 1 8、 配列番号: 2
0、 配列番号: 2 2、 配列番号: 2 4、 配列番号: 2 6または配列番号: 2 8で 表わされる塩基配列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは 約 9 0 %以上、 さらに好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する塩基配列を含有 する D N Aなどが用いられる。
(抗体)
本発明のレセプ夕一タンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対す る抗体は、 本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分べプチドまたはその 塩、 あるいは本発明のレセプ夕一タンパク質を含有する細胞を認識し得る抗体で あれば、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の何れであってもよい。 本発明のレセプ夕一タンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩 (以下 、 本発明のレセプ夕一タンパク質等と略記する場合がある) に対する抗体は、 本 発明のレセプ夕一タンパク質等を抗原として用い、 公知の抗体または抗血清の製 造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクローナルモノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のレセプ夕一タンパク質等は、 哺乳動物に対して投与により抗体産生が 可能な部位にそれ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して 抗体産生能を高めるため、 完全フロイン卜アジュバントや不完全フロイントアジ ュバントを投与してもよい。 投与は通常 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計 2〜 1 0回程 度行なわれる。 用いられる哺乳動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モ ルモット、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギが挙げられるが、 マウスおよびラット が好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原を免疫された温血動物、 例えば、 マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜5日後に脾 臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合 させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリドーマを調製することがで きる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化レセプタータンパク質
等と抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定することに より行なうことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケ一ラーとミルス夕 インの方法 〔ネィチヤ一 (Nature) 、 256卷、 495頁 ( 1975年) 〕 に従 い実施することができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコ一 ル (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGが用い られる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 N S— 1、 P 3 U 1、 S P 2 / 0などが挙げら れるが、 P 3 U 1が好ましく用いられる。 用いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1〜20 : 1程度であり、 PEG (好 ましくは、 PEG1000〜PEG6000) が 10〜80 %程度の濃度で添加 され、 約 20〜 40 °C、 好ましくは約 30〜 37 °Cで約 1〜 10分間ィンキュベ —トすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノク口一ナル抗体産生ハイプリドーマのスクリーニングには種々の方法が使 用できるが、 例えば、 レセプタータンパク質等の抗原を直接あるいは担体ととも に吸着させた固相 (例、 マイクロプレート) にハイブリド一マ培養上清を添加し 、 次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体 (細胞融合に用い られる細胞がマウスの場合、 抗マゥス免疫グ口ブリン抗体が用いられる) または プロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免 疫グロプリン抗体またはプロティン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ培養上 清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したレセプタ一タンパク質等を加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 公知あるいはそれに準じる方法に従って行なう ことができるが、 通常は HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。 選別および育種用培地と しては、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い 。 例えば、 1〜20%、 好ましくは 10〜20%の牛胎児血清を含む RPMI 1640培地、 1〜 10 %の牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) またはハイプリドーマ培養用無血清培地 (SFM— 101、 日水製薬 (株) ) などを用いることができる。 培養温度は、 通常 20〜40° (:、 好ましくは約 37
°Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なうことができる。 ハイプリドーマ培養上清の 抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
( b ) モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 通常のポリクローナル抗体の分離精製と同 様に免疫グロブリンの分離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿 法、 電気泳動法、 イオン交換体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲ ルろ過法、 抗原結合固相またはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸 着剤により抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従 つて行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 公知あるいはそれに準じる方法にしたがって 製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (本発明のタンパク質等の抗原) とキ ャリア一タンパク質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製造法と 同様に哺乳動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発明のレセプタータンパク質 等に対する抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行なうことにより製造でき る。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複 合体に関し、 キヤリア一タンパク質の種類およびキヤリア一とハプテンとの混合 比は、 キヤリア一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体力効率良くできれ ば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アル ブミン、 ゥシサイログロブリン、 キーホール · リンぺット ·へモシァニン等を重 量比でハプテン 1に対し、 約 0. 1〜 2 0、 好ましくは約 1〜 5の割合で力プル させる方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できるが、 ダルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チ オール基、 ジチォゼリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。 縮合生成物は、 温血動物に対して、 .抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全
フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバン卜を投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜1 0回程度行なうことができる。 ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクロ一ナル抗体価の測定は、 上記の血清中の抗体価の測定と同 様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナル 抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行なうことができ る。 [レセプ夕一タンパク質、 D NAなどの用途]
ァスパラギン結合型糖鎖ゃセリン ·スレオニン結合型糖鎖などの糖鎖に親和性 を示すタンパク質 (例えば、 コンカナパリン A、 レンズマメレクチン、 エンドゥ マメレクチン、 チョウセンアサガオレクチン、 ィヌェンジユレクチン、 フイトへ マグルチ二ンなどのレクチンなど) は本発明のレセプタータンパク質のリガンド の 1つである。
従って、 本発明のレセプタータンパク質、 それをコードするポリヌクレオチド (以下、 本発明のポリヌクレオチドと略記する場合がある) 、 本発明のレセプタ —タンパク質に対する抗体 (以下、 本発明の抗体と略記する場合がある) 、 本発 明の D NAに対するアンチセンスポリヌクレオチド (以下、 本発明のアンチセン スポリヌクレオチドと略記する場合がある) などは、 以下の用途を有している。
( 1 ) 本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および/ または治療剤
本発明のレセプ夕一タンパク質は前立腺 (癌)、 胎盤、 肝臓で発現が見られるこ とから、 a ) 本発明のレセプ夕一タンパク質または b ) 本発明のレセプ夕一タン パク質をコードするポリヌクレオチド (例、 D NA) を、 本発明のレセプタ一タ ンパク質の機能不全、 特に前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等)、 前立腺肥大症 、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石の 予防および Zまたは治療剤、 または分娩誘発剤などの医薬として使用することが
できる。
例えば、 生体内において本発明のレセプタータンパク質が減少しているために 、 リガンドの生理作用が期待できない (本発明のレセプタータンパク質の欠乏症 ) 患者がいる場合に、 a ) 本発明のレセプタータンパク質を該患者に投与し該レ セプタータンパク質の量を補充したり、 b ) (ィ) 本発明のレセプタ一タンパク 質をコードする D NAを該患者に投与し発現させることによって、 あるいは (口 ) 対象となる細胞に本発明のレセプ夕一タンパク質をコードする D NAを挿入し 発現させた後に、 該細胞を該患者に移植することなどによって、 患者の体内にお ける該レセプ夕一タンパク質の量を増加させ、 リガンドの作用を充分に発揮させ ることができる。 すなわち、 本発明のレセプタータンパク質をコードするポリヌ クレオチドは、 安全で低毒性な該レセプタータンパク質の機能不全、 特に前立腺 癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産 、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石の予防および/または治療剤、 また は分娩誘発剤として有用である。
本発明のレセプタ一タンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドを上 記医薬として使用する場合は、 常套手段に従って製剤化することができる。
( 2 ) 本発明のポリヌクレオチドまたはアンチセンスポリヌクレオチドを用いる 診断剤及び診断方法
本発明のポリヌクレオチド (例、 D NA) およびアンチセンスポリヌクレオチ ド (例、 アンチセンス D NA) は、 プローブとして使用することにより、 ヒトま たは哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) における本発明のレセプタータンパク質またはその部分べプチ ドをコードする D NAまたは mR NAの異常 (遺伝子異常) を検出することがで きるので、 例えば、 該 D NAまたは mR NAの損傷、 突然変異あるいは発現低下 や、 該 D N Aまたは m R N Aの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として 有用である。
本発明のポリヌクレオチドまたはアンチセンスポリヌクレオチドを用いる上記 の遺伝子診断は、 例えば、 公知のノーザンハイブリダィゼーシヨンや P C R—S
S C P法 (ゲノミックス (Genomics) , 第 5巻, 8 7 4〜 8 7 9頁 (1 9 8 9年 ) 、 プロシージングズ.ォブ *ザ*ナショナル .アカデミー ·ォブ ·サイェンシ ィズ ·ォブ ·ユーエスェ一 (Proceed ings of the Nat ional Academy of
Sci ences of the Uni t ed Stat es of Ameri ca) , 第 8 6巻, 2 7 6 6〜2 7 7 0 頁 (1 9 8 9年) ) などにより実施することができる。
例えば、 ノーザンハイブリダイゼ一シヨンにより本発明のレセプ夕一タンパク 質の発現低下または発現過多が検出された場合は、 例えば、 本発明のレセプ夕一 タンパク質の機能不全または過剰発現に起因する疾患、 特に前立腺癌、 およびそ の他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直 腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症
、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石に罹患している可能性が高いまたは将来罹患する 可能性が高いと診断することができる。
( 3 ) 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含有してなる医薬
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 本発明のレセプタータンパク質の 過剰発現などに起因する疾患 (例えば、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞 癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝 不全、 結石などの疾患) の予防及び Z又は治療剤、 または分娩誘発剤として用い ることができる。
例えば、 該アンチセンスポリヌクレオチドを用いる場合、 該アンチセンスポリ ヌクレオチドを単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター 、 アデノウイルスァソシエーテツドウィルスベクターなどの適当なベクターに掙 入した後、 常套手段に従つて実施することができる。 該アンチセンスポリヌクレ ォチドは、 そのままで、 あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認め られる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイド口ゲルカテーテルのようなカテ 一テルによって投与できる。
さらに、 該アンチセンスポリヌクレオチドは、 組織や細胞における本発明の D N Aの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブと して使用することもできる。
( 4 ) 本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化さ せる化合物のスクリ一ニング方法
本発明の D NAは、 プローブとして用いることにより、 本発明のレセプター夕 ンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング に用いることができる。
すなわち、 本発明は、 例えば、 (i ) 非ヒト哺乳動物の (1 ) 血液、 (2 ) 特 定の臓器、 (3 ) 臓器から単離した組織もしくは細胞、 または U 形質転換 体等に含まれる本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分ペプチドの mR N A量を測定することによる、 本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分ぺプ チドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
本発明のレセプ夕一夕ンパク質またはその部分べプチドの m R N A量の測定は 具体的には以下のようにして行なう。
( i ) 正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラット、 ゥ サギ、 ヒッジ、 プタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど、 より具体的には担癌マウス など) に対して、 薬剤 (例えば、 抗癌剤など) あるいは物理的ストレス (例えば 、 浸水ストレス、 電気ショック、 明暗、 低温など) などを与え、 一定時間経過し た後に、 血液、 あるいは特定の臓器 (例えば、 脳、 肺、 大腸、 前立腺など) 、 ま たは臓器から単離した組織、 あるいは細胞を得る。
得られた細胞に含まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部分べプチ ドの m R NAは、 例えば、 通常の方法により細胞等から mR NAを抽出し、 例え ば、 T a q M a n P C Rなどの手法を用いることにより定量することができ、 公 知の手段によりノザンプロットを行うことにより解析することもできる。
( i i ) 本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する 形質転換体を上記の方法に従い作製し、 該形質転換体に含まれる本発明のレセプ タータンパク質またはその部分ペプチドの mR NAを同様にして定量、 解析する ことができる。
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる 化合物のスクリーニングは、
( i ) 正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、 薬剤あるいは物理的
ストレスなどを与える一定時間前 (30分前〜 24時間前、 好ましくは 30分前 〜 12時間前、 より好ましくは 1時間前〜 6時間前) もしくは一定時間後 (30 分後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2日後、 より好ましくは 1時間後〜 24時 間後) 、 または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、 投与 後一定時間経過後 (30分後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2日後、 より好ま しくは 1時間後〜 24時間後) 、 細胞に含まれる本発明のレセプ夕一タンパク質 またはその部分べプチドの m R N A量を定量、 解析することにより行なうことが でき、
( i i) 形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ 、 一定時間培養後 (1日後〜 7日後、 好ましくは 1日後〜 3日後、 より好ましく は 2日後〜 3日後) 、 該形質転換体に含まれる本発明のレセプタータンパク質ま たはその部分べプチドの mRNA量を定量、 解析することにより行なうことがで ぎる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 本発明 のレセプタータンパク質またはその部分べプチドの発現量を変化させる作用を有 する化合物であり、 具体的には、 (ィ) 本発明のレセプタータンパク質またはそ の部分べプチドの発現量を増加させることにより、 レセプ夕一を介する細胞刺激 活性を増強させる化合物、 (口) 本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分 ペプチドの発現量を減少させることにより、 該細胞刺激活性を減弱させる化合物 である。
細胞刺激活性としては、 例えば、 (1) ァラキドン酸遊離、 (2) ァセチルコ リン遊離、 (3) 細胞内 Ca2+遊離、 (4) 細胞内 CAM P生成、 (5) 細胞 内 c GMP生成、 (6) イノシトールリン酸産生、 (7) 細胞膜電位変動、 (8 ) 細胞内タンパク質 (例、 MAPキナーゼ) のリン酸化、 (9) c— f o sの活 性化、 (10) pHの低下、 (1 1) Rho, R a c, R a sなどの低分子量 G タンパク質の活性化、 (12) 転写因子 CRE (c AMP r e s p o n s i v e e l eme n t) 、 AP 1、 NFAT、 SRE (s e r um r e s pon s i v e e l eme n t) などの下流につないだレポーター遺伝子 (例、 ルシ プエラ一ゼなど) の活性化などが挙げられ、 特に細胞内 cAMP生成の促進活性
などが好ましい。
該化合物としては、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物 、 発酵生産物などが挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。
該細胞刺激活性を増強させる化合物は、 本発明のレセプタータンパク質等の生 理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、 本発明のレセプタ一タンパク質等の生 理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
上記したとおり、 本発明のレセプタータンパク質のリガンドの 1つは、 糖鎖に 親和性を示すタンパク質 (例、 レクチンなど) である。 したがって、 上記スクリ 一二ング方法で得られる本発明のレセプ夕一タンパク質の発現量を変化させる化 合物は、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳 癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障 害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石などの予防および Z または治療剤、 または分娩誘発剤として用いることができる。
( 5 ) 本発明のレセプ夕一夕ンパク質またはその部分べプチドの発現量を変化さ せる化合物を含有する各種疾病の予防およびノまたは治療剤
本発明のレセプ夕一タンパク質は上記のとおり、 例えば、 中枢機能など生体内 で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。 したがって、 本発明のレセ プタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物は、 本発 明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療 剤として用いることができる。
該化合物を本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防お よび/または治療剤として使用する場合は、 常套手段に従って製剤化することが できる。
( 6 ) 本発明のレセプ夕一タンパク質とリガンドとの結合性を変化させる化合物 (ァゴ二スト、 アン夕ゴニストなど) のスクリーニング方法及びスクリーニング キッ卜
本発明のレセプ夕一タンパク質等を用いるか、 または組換え型レセプタ一タン
パク質等の発現系を構築し、 該発現系を用いたレセプ夕一結合アツセィ系を用い ることによって、 リガンドと本発明のレセプタ一夕ンパク質等との結合性を変化 させる化合物 (例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合 物、 発酵生産物など) またはその塩を効率よくスクリ一二ングすることができる 。
上記したとおり、 本発明のレセプ夕一タンパク質に対するリガンドの 1つとし て、 糖鎖に親和性を示すタンパク質 (例えば、 レクチン) が挙げられる。
さらに、 リガンドとしては、 糖鎖に親和性を示すタンパク質と本発明のレセプ 夕一夕ンパク質との結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることもでき る。 この糖鎖に親和性を示すタンパク質と本発明のレセプ夕一タンパク質との結 合性を変化させる化合物またはその塩は、 例えば、 リガンドとして糖鎖に親和性 を示すタンパク質を用いて、 本発明のスクーニング方法を実施することによって 得ることができる。
糖鎖に親和性を示すタンパク質と本発明のレセプ夕一タンパク質との結合性を 変化させる化合物またはその塩としては、 低分子合成化合物が好ましく、 新規ま たは公知の何れの化合物であってもよい。 特に、 本発明のレセプタータンパク質 に対するアン夕ゴニストをスクリーニングする場合には、 糖鎖に親和性を示す夕 ンパク質に代えて、 ァゴニスト活性を有する低分子合成化合物を用いるのが好ま しい。
低分子合成化合物は、 糖鎖に親和性を示す夕ンパク質に比べて標識が容易であ るため、 スクリーニングに適している。 以下、 これらの糖鎖に親和性を示すタン パク質や低分子合成化合物をまとめてリガンドと記載する。
リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結合性を変化させる化合物には 、 (ィ) レセプ夕一を介する細胞刺激活性などを促進する活性または抑制する活 性など) を有する化合物 (いわゆる、 本発明のレセプ夕一タンパク質に対するァ ゴニスト) 、 (口) 該細胞刺激活性を有しない化合物 (いわゆる、 本発明のレセ プタータンパク質に対するアン夕ゴニスト) 、 (ハ) リガンドと本発明の Gタン パク質共役型レセプタータンパク質との結合力を増強する化合物、 あるいは (二 ) リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結合力を減少させる化合物など
が含まれる (なお、 上記 (ィ) の化合物は、 上記したリガンド決定方法によって スクリーニングすることが好ましい) 。
細胞刺激活性としては、 例えば、 (1) ァラキドン酸遊離、 (2) ァセチルコ リン遊離、 (3) 細胞内 C a 2+遊離、 (4) 細胞内 cAM P生成、 (5) 細胞 内 cGMP生成、 (6) イノシトールリン酸産生、 (7) 細胞膜電位変動、 (8 ) 細胞内タンパク質 (例、 MAPキナーゼ) のリン酸化、 (9) c一 f o sの活 性化、 ( 10 ) p Hの低下、 (11) Rho, R a c, Ra sなどの低分子量 G タンパク質の活性化、 (12) 転写因子 CRE (c AMP r e s pon s i v e e l emen t) 、 AP I, NFAT、 S RE (s e r um r e s p o n s i v e e 1 eme n t) などの下流につないだレポ一タ一遺伝子 (例、 ルシ フェラーゼなど) の活性化などが挙げられ、 特に細胞内 cAM P生成の促進活性 などが好ましい。
すなわち、 本発明は、 ( i) 本発明のレセプタ一タンパク質もしくはその部分 ペプチドまたはその塩と、 リガンドとを接触させた場合と (i i) 本発明のレセ プ夕一タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と、 リガンドおよび試 験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発 明のレセプタータンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩との結合性を 変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、 ( i) と (i i) の場合における、 例えば、 該レセプ夕一タンパク質等に対するリガンドの結合量、 細胞刺激活性な どを測定して、 比較することを特徴とする。
より具体的には、 本発明は、
( i ) 標識したリガンドを、 本発明のレセプ夕一夕ンパク質等に接触させた場 合と、 標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセプ夕一タンパク質等に 接触させた場合における、 標識したリガンドの該レセプター夕ンパク質等に対す る結合量を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター夕 ンパク質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
( i i) 標識したリガンドを、 本発明のレセプ夕一タンパク質等を含有する細 胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、 標識したリガンドおよび試験化合
物を本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞または該細胞の膜画分に接 触させた場合における、 標識したリガンドの該細胞または該膜画分に対する結合 量を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプタータンパク 質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
( i i i ) 標識したリガンドを、 本発明の D NAを含有する形質転換体を培養 することによって細胞膜上に発現したレセプ夕一タンパク質等に接触させた場合 と、 標識したリガンドおよび試験化合物を本発明の D NAを含有する形質転換体 を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプタータンパク質等に 接触させた場合における、 標識したリガンドの該レセプ夕一タンパク質等に対す る結合量を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプタ一タ ンパク質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
( i v ) 本発明のレセプタータンパク質等を活性化する化合物 (例えば、 リガ ンドなど) を本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞に接触させた場合 と、 本発明のレセプタータンパク質等を活性化する化合物および試験化合物を本 発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞に接触させた場合における、 レセ プターを介した細胞刺激活性を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本 発明のレセプタ一タンパク質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス クリーニング方法、 および
( V ) 本発明のレセプタータンパク質等を活性化する化合物 (例えば、 リガン ドなど) を本発明の D N Aを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜 上に発現した本発明のレセプ夕一タンパク質等に接触させた場合と、 本発明のレ セプタータンパク質等を活性化する化合物および試験化合物を本発明の D NAを 含有する形質転換体を培養することによつて細胞膜上に発現した本発明のレセプ 夕一タンパク質等に接触させた場合における、 レセプ夕一を介する細胞刺激活性 を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプタータンパク質 等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する 本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、 本発明のスクリーニング方法に用いる本発明のレセプ夕一タンパク質等
としては、 上記した本発明のレセプ夕一タンパク質等を含有するものであれば何 れのものであってもよいが、 本発明のレセプ夕一夕ンパク質等を含有する哺乳動 物の臓器の細胞膜画分が好適である。 しかし、 特にヒト由来の臓器は入手が極め て困難なことから、 スクリーニングに用いられるものとしては、 組換え体を用い て大量発現させたヒト由来のレセプタータンパク質等などが適している。
本発明のリセプタータンパク質を製造するには、 上記の方法が用いられるが、 本発明の D N Aを哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好まし レ^ 目的とするタンパク質部分をコードする D NA断片には相補 D NAが用いら れるが、 必ずしもこれに制約されるものではない。 例えば、 遺伝子断片や合成 D NAを用いてもよい。 本発明のレセプ夕一タンパク質をコードする D NA断片を 宿主動物細胞に導入し、 それらを効率よく発現させるためには、 該 D NA断片を 昆虫を宿主とするバキュロウィルスに属する核多角体病ウィルス (nuclear polyhedros is virus; N P V) のポリヘドリンプロモータ一、 S V 4 0由来のプ 口モー夕—、 レトロウイルスのプロモーター、 メタ口チォネインプロモーター、 ヒドヒートショックプロモーター、 サイトメガロウィルスプロモータ一、 S R α プロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。 発現したレセプターの量と質 の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。 例えば、 文献 〔Nambi, P. ら 、 ザ ·ジャーナル ·ォブ'バイオロジカル 'ケミストリー (J. Biol. Chem. ) , 267卷, 19555〜19559頁, 1992年〕 に記載の方法に従って行なうことができる。 なお、 本発明のスクリーニング方法において、 本発明のレセプタータンパク質 等を含有するものとしては、 公知の方法に従って精製したレセプタータンパク質 等であってもよいし、 該レセプ夕一夕ンパク質等を含有する細胞を用いてもよく 、 また該レセプ夕一タンパク質等を含有する細胞の膜画分を用いてもよい。 本発明のスクリーニング方法において、 本発明のレセプ夕一タンパク質等を含 有する細胞を用いる場合、 該細胞をダルタルアルデヒド、 ホルマリンなどで固定 化してもよい。 固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞としては、 該レセプタータン パク質等を発現した宿主細胞をいうが、 該宿主細胞としては、 大腸菌、 枯草菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細胞などが好ましい。
細胞膜画分としては、 細胞を破砕した後、 公知の方法で得られる細胞膜が多く 含まれる画分のことをいう。 細胞の破碎方法としては、 Potter—Elvehj em型ホモ ジナイザーで細胞を押し潰す方法、 ヮ一リングプレンダーゃポリ トロン ( Khiemat ica社製) のよる破砕、 超音波による破砕、 フレンチプレスなどで加圧し ながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。 細胞 膜の分画には、 分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法 が主として用いられる。 例えば、 細胞破砕液を低速 (5 0 0 r p m〜3 0 0 0 r p m) で短時間 (通常、 約 1分〜 1 0分) 遠心し、 上清をさらに高速 (1 5 0 0 0 r p m〜3 0 0 0 0 r p m) で通常 3 0分〜 2時間遠心し、 得られる沈澱 ¾膜 画分とする。 該膜画分中には、 発現したレセプタータンパク質等と細胞由来のリ ン脂質ゃ膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
該レセプ夕一夕ンパク質等を含有する細胞や膜画分中のレセプタータンパク質 の量は、 1細胞当たり 1 0 3〜1 0 8分子であるのが好ましく、 1 0 5〜1 0 7分 子であるのが好適である。 なお、 発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合 活性 (比活性) が高くなり、 高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばか りでなく、 同一口ットで大量の試料を測定できるようになる。
リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性を変化させる化合物を スクリーニングする上記の (1 ) 〜 (3 ) を実施するためには、 例えば、 適当な レセプ夕一夕ンパク質画分と、 標識したリガンドが必要である。
レセプタータンパク質画分としては、 天然型のレセプタータンパク質画分か、 またはそれと同等の活性を有する組換え型レセプ夕一タンパク質画分などが望ま しい。 ここで、 同等の活性とは、 同等のリガンド結合活性、 シグナル情報伝達作 用などを示す。 , 標識したリガンドとしては、 標識したリガンド、 標識したリガンドアナログ化 合物などが用いられる。 例えば 〔3 H〕 、 〔1 2 5 I〕 、 〔1 4 C〕 、 〔3 5 S〕 など で標識されたリガンドなどが用いられる。
具体的には、 リガンドと本発明のレセプ夕一タンパク質等との結合性を変化さ せる化合物のスクリーニングを行なうには、 まず本発明のレセプタータンパク質 等を含有する細胞または細胞の膜画分を、 スクリーニングに適したバッファーに
懸濁することによりレセプタータンパク質標品を調製する。 バッファ一には、 P
H4〜10 (望ましくは pH6〜8) のリン酸バッファー、 トリス一塩酸バッフ ァ一などのリガンドとレセプタ一タンパク質との結合を阻害しなぃバッファ一で あればいずれでもよい。 また、 非特異的結合を低減させる目的で、 CHAPS、 Tween-80™ (花王—アトラス社) 、 ジギ卜ニン、 デォキシコレートなどの 界面活性剤をバッファーに加えることもできる。 さらに、 プロテア一ゼによるレ セプ夕一やリガンドの分解を抑える目的で PMSF、 ロイぺプチン、 E— 64 ( ペプチド研究所製) 、 ぺプスタチンなどのプロテア一ゼ阻害剤を添加することも できる。 0. 01m l〜; L Om lの該レセプタ一溶液に、 一定量 (5000 c p m〜500000 c pm) の標識したリガンドを添加し、 同時に 10— 4M〜1 0一 1 QMの試験化合物を共存させる。 非特異的結合量 (NSB) を知るために大 過剰の未標識のリガンドを加えた反応チューブも用意する。 反応は約 0°Cから 5 0°C、 望ましくは約 4°Cから 37°Cで、 約 20分から 24時間、 望ましくは約 3 0分から 3時間行う。 反応後、 ガラス繊維濾紙等で濾過し、 適量の同バッファ一 で洗浄した後、 ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレ一ションカウ ン夕ーまたはァ—カウンタ一で計測する。 拮抗する物質がない場合のカウント ( B0) から非特異的結合量 (NSB) を引いたカウント (BQ— NSB) を 10 0%とした時、 特異的結合量 (B— NSB) ifi、 例えば、 50%以下になる試験 化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性を変化させる化合物を スクリーニングする上記の (4) 〜 (5) の方法を実施するためには、 例えば、 上記したレセプター夕ンパク質を介する細胞刺激活性を公知の方法または市販の 測定用キットを用いて測定することができる。
具体的には、 まず、 本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞をマルチ ゥエルプレート等に培養する。 スクリーニングを行なうにあたっては前もって新 鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、 試験化合物 などを添加して一定時間インキュベートした後、 細胞を抽出あるいは上清液を回 収して、 生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。 細胞刺激活性の指標 とする物質 (例えば、 ァラキドン酸など) の生成が、 細胞が含有する分解酵素に
よって検定困難な場合は、 該分解酵素に対する阻害剤を添加してアツセィを行な つてもよい。 また、 c AM P産生抑制などの活性については、 フオルスコリンな どで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検 出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、 適当なレセプ夕一タン パク質を発現した細胞が必要である。 本発明のレセプ夕一タンパク質等を発現し た細胞としては、 天然型の本発明のレセプタータンパク質等を有する細胞株、 上 記の組換え型レセプタータンパク質等を発現した細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などが用い られ、 これら化合物は新規な化合物であつてもよいし、 公知の化合物であっても よい。
また、 試験化合物としては、 本発明のレセプタ一タンパク質の活性部位の原子 座標およびリガンド結合ポケッ卜の位置に基づいて、 リガンド結合ポケットに結 合するように設計された化合物が好ましく用いられる。 本発明のレセプ夕一タン パク質の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケッ卜の位置の測定は、 公知 の方法あるいはそれに準じる方法を用いて行うことができる。
リガンドと本発明のレセプタ一タンパク質等との結合性を変化させる化合物ま たはその塩のスクリーニング用キットは、 本発明のレセプタータンパク質等、 本 発明のレセプ夕一タンパク質等を含有する細胞、 または本発明のレセプタータン パク質等を含有する細胞の膜画分を含有するものなどである。
本発明のスクリーニング用キッ卜の例としては、 次のものが挙げられる。
1 . スクリーニング用試薬
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Bal anced Sal t Solut ion (ギブコ社製) に、 0. 0 5 %のゥシ血清アル ブミン (シグマ社製) を加えたもの。
孔径 0. 4 5 i mのフィルターで濾過滅菌し、 4 °Cで保存するか、 あるいは用 時調製しても良い。
(2) Gタンパク質共役型レセプ夕ー標品
本発明のレセプ夕一タンパク質を発現させた CHO細胞を、 12穴プレートに 5 X 105個/穴で継代し、 37で、 5%C02、 95 % a i rで 2日間培養し たもの。
(3)標識リガンド
市販の 〔3H〕 、 〔125I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで標識したリガンド 水溶液の状態のものを 4°Cあるいは一 20°Cにて保存し、 用時に測定用緩衝液 にて 1 Mに希釈する。
(4)リガンド標準液
リガンドを 0. 1%ゥシ血清アルブミン (シグマ社製) を含む PBSで ImM となるように溶解し、 一 20°Cで保存する。
2. 測定法
(1) 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセプ夕一タンパク質発 現 CHO細胞を、 測定用緩衝液 1 m 1で 2回洗浄した後、 490 1の測定用緩 衝液を各穴に加える。
(2) 10一3〜 10— 1GMの試験化合物溶液を 5 /i 1加えた後、 標識リガンドを 5 1加え、 室温にて 1時間反応させる。 非特異的結合量を知るためには試験化 合物の代わりに 10一3 Mのリガンドを 5 21加えておく。
(3)反応液を除去し、 1 m 1の洗浄用緩衝液で 3回洗浄する。 細胞に結合した 標識リガンドを 0.2 N NaOH— 1 %SDSで溶解し、 4 m 1の液体シンチ レーター A (和光純薬製) と混合する。
(4)液体シンチレーションカウンター (ベックマン社製) を用いて放射活性を 測定し、 Percent Maximum Binding (PMB) を次の式で求める。
PMB= [ (B-NS B) / (B„-NS B) ] X 100
PMB: Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB: Non-specific Binding (非特異的結合量)
B0 :最大結合量 リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性を変化させる化合物ま
たはその塩がァゴニス卜であるかアンタゴニストであるかの具体的な評価方法は 以下の ( i ) または (i i) に従えばよい。
( i ) 前記 (1 ) 〜 (3 ) のスクリーニング方法で示されるバインディング'ァ ッセィを行い、 リガンドと本発明のレセプ夕一タンパク質等との結合性を変化さ せる (特に、 結合を阻害する) 化合物を得た後、 該化合物が上記した本発明のレ セプ夕一タンパク質を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。 細胞 刺激活性を有する化合物またはその塩はァゴニストであり、 該活性を有しない化 合物またはその塩はアンタゴニストである。
(i i) (a)試験化合物を本発明のレセプタ一タンパク質を含有する細胞に接触さ せ、 上記した本発明のレセプタ一タンパク質を介する細胞刺激活性を測定する。 細胞刺激活性を有する化合物またはその塩はァゴニストである。
(b)本発明のレセプ夕一タンパク質を活性化する化合物 (例えば、 リガンドまた は本発明のレセプタータンパク質に対するァゴニストなど) を本発明のレセプタ 一タンパク質を含有する細胞に接触させた場合と、 本発明のレセプタ一タンパク 質を活性化する化合物および試験化合物を本発明のレセプタータンパク質を含有 する細胞に接触させた場合における、 上記した本発明のレセプタータンパク質を 介する細胞刺激活性を測定し、 比較する。 本発明のレセプタ一タンパク質を活性 化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る化合物またはその塩はァンタゴ ニストである。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 化合物またはその塩は、 リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性 を変化させる作用を有する化合物であり、 具体的には、 (1 ) 上記した本発明の レセプタータンパク質を介する細胞刺激活性を有する化合物 (いわゆる、 本発明 のレセプタータンパク質に対するァゴニスト) 、 (2 ) 該細胞刺激活性を有しな い化合物 (いわゆる、 本発明のレセプ夕一夕ンパク質に対するアンタゴニスト) 、 ( 3 ) リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結合力を増強する化合物 、 あるいは (4 ) リガンドと本発明のレセプ夕一タンパク質との結合力を減少さ せる化合物である。
該化合物としては、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物
、 発酵生産物などが挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。
本発明のレセプ夕一タンパク質等に対するァゴニストは、 本発明のレセプ夕一 タンパク質等に対する上記リガンドが有する生理活性と同様の作用を有している ので、 該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のレセプ夕一タンパク質等に対するアン夕ゴニストは、 本発明のレセプ 夕一タンパク質等に対する上記リガンドが有する生理活性を抑制することができ るので、 該生理活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のレセプ夕一タンパク質との結合力を増強する化合物は、 本 発明のレセプ夕一タンパク質等に対する上記リガンドが有する生理活性を増強す るための安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結合力を減少させる化合物は、 本発明のレセプ夕一タンパク質等に対する上記リガンドが有する生理活性を減少 させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
具体的には、 本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用 いて得られるリガンドと本発明のリセプ夕一タンパク質との結合性を変化させる 作用を有する化合物またはその塩は、 例えば、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非 小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌 等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝 炎、 肝不全、 結石などの疾患に対する予防及び/又は治療薬、 または分娩誘発薬 として有用である。
( 7 ) 本発明のレセプター夕ンパク質とリガンドとの結合性を変化させる化合物 (ァゴ二スト、 アンタゴニストなど) を含有する各種疾病の予防および Zまたは 治療剤)
本発明のレセプ夕一タンパク質とリガンドとの結合性を変化させる化合物 (7 ゴニスト、 アン夕ゴニス卜) や本発明のレセプタータンパク質に対する上記リガ ンドは、 本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患、 例えば、 前 立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸 部癌、.結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、
早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石などの疾患に対する予防および /または治療剤、 または分娩誘発剤として用いることができる。
該化合物やリガンドを本発明のレセプ夕一タンパク質の機能不全に関連する疾 患の予防および/または治療剤として使用する場合は、 上述したような常套手段 に従って製剤化することができる。
( 8 ) 本発明の抗体を用いるタンパク質などの定量、 本発明の抗体を含有する診 断薬およびそれを用いる診断方法
本発明の抗体は、 本発明のレセブタ一タンパク質等を特異的に認識することが できるので、 被検液中の本発明のレセプ夕一タンパク質等の定量、 特にサンドィ ッチ免疫測定法、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどによ る定量などに使用することができる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件 、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のレセプタ一タンパク質ま たはその塩の測定系を構築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細につい ては、 総説、 成書などを参照することができる 〔例えば、 入江 寛編 「ラジオィ ムノアツセィ」 (講談社、 昭和 4 9年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアツ セィ」 (講談社、 昭和 5 4年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書 院、 昭和 5 3年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 2版) (医学書院 、 昭和 5 7年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 3版) (医学書院、 昭和 6 2年発行) 、 「メソッズ ·イン ·ェンジモノジ一 (Methods in
ENZYMOLOGY) Vol. 70 (Immunochemical Techni ues (Part A) )、 同書 Vol.
73 (Immunochemical Techniques (Part B) ) 同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniaues (Part C) )、 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniaues (Part D : Selected Immunoassays) ) ¾ 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniaues (Part E: Monoc lonal Ant ibodies and General I腿漏 assay Methods) )、 同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I :Hybridoia Technology and Monoclonal Ant ibodies) ) (以上、 アカデミックプレス社発行)、 WO 0 0 / 1 4 2 2 7号公報 第 39頁第 25行〜第 42頁第 8行、 E P 1 1 1 1 0 4 7 A 2号公報段落 [G115]第 19頁
第 35行〜第 20頁第 47行など参照」 。
以上のように、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明のレセプタータン パク質またはその塩を感度良く定量することができる。
さらに、 本発明の抗体を用いて、 生体内での本発明のレセプ夕一タンパク質ま たその塩を定量することによって、 本発明のレセプ夕一タンパク質の機能不全に 関連する各種疾患の診断をすることができる。
例えば、 本発明の抗体を用いて本発明のレセプタータンパク質の濃度を定量す ることによって、 該レセプ夕ータンパク質の濃度の増加または減少が検出された 場合、 例えば、 該レセプタータンパク質の機能不全または過剰発現、 特に前立腺 癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌 、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産 、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石に罹患している可能性が高い、 また は将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、 本発明の抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在する本発明のレセプ タータンパク質等を特異的に検出するために使用することができる。 また、 本発 明のレセプタータンパク質等を精製するために使用する抗体カラムの作製、 精製 時の各分画中の本発明のレセプタータンパク質等の検出、 被検細胞内における本 発明のレセプタータンパク質の挙動の分析などのために使用することができる。
( 9 ) 細胞膜における本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分べプチドの 量を変化させる化合物のスクリーニング方法
本発明の抗体は、 本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分べプチドま たはその塩を特異的に認識することができるので、 細胞膜における本発明のレセ プタ一タンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリー二 ングに用いることができる。
すなわち本発明は、 例えば、
( i ) 非ヒト哺乳動物の a ) 血液、 b ) 特定の臓器、 c ) 臓器から単離した組 織もしくは細胞等を破壊した後、 細胞膜画分を単離し、 細胞膜画分に含まれる本 発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドを定量することによる、 細 胞膜における本発明のレセプタータンパ々質またはその部分ペプチドの量を変化
させる化合物のスクリーニング方法、
( i i ) 本発明のレセプタ一タンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する 形質転換体等を破壊した後、 細胞膜画分を単離し、 細胞膜画分に含まれる本発明 のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドを定量することによる、 細胞膜 における本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させ る化合物のスクリーニング方法、
( i i i ) 非ヒト哺乳動物の a ) 血液、 b ) 特定の臓器、 c ) 臓器から単離し た組織もしくは細胞等を切片とした後、 免疫染色法を用いることにより、 細胞表 層での該レセプタータンパク質の染色度合いを定量化することにより、 細胞膜上 の該タンパク質を確認することによる、 細胞膜における本発明のレセプタータン パク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を 提供する。
( i v ) 本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する 形質転換体等を切片とした後、 免疫染色法を用いることにより、 細胞表層での該 レセプタータンパク質の染色度合いを定量化することにより、 細胞膜上の該夕ン パク質を確認することによる、 細胞膜における本発明のレセプ夕一タンパク質ま たはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する 細胞膜画分に含まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド の定量は具体的には以下のようにして行なう。
( i ) 正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラット、 ゥ サギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど、 より具体的には担癌マウス など) に対して、 薬剤 (例えば、 抗癌剤など) あるいは物理的ストレス (例えば 、 浸水ストレス、 電気ショック、 明暗、 低温など) などを与え、 一定時間経過し た後に、 血液、 あるいは特定の臓器 (例えば、 脳、 肺、 大腸、 前立腺など) 、 ま たは臓器から単離した組織、 あるいは細胞を得る。 得られた臓器、 組織または細 胞等を、 例えば、 適当な緩衝液 (例えば、 トリス塩酸緩衝液、 リン酸緩衝液、 へ ぺス緩衝液など) 等に懸濁し、 臓器、 組織あるいは細胞を破壊し、 界面活性剤 ( 例えば、 トリトン X 1 0 0 TM、 ツイ一ン 2 0 TMなど) などを用い、 さらに遠心
分離や濾過、 カラム分画などの手法を用いて細胞膜画分を得る。
細胞膜画分としては、 細胞を破砕した後、 公知の方法で得られる細胞膜が多く 含まれる画分のことをいう。 細胞の破砕方法としては、 Potter— Elvehj em型ホモ ジナイザーで細胞を押し潰す方法、 ワーリンダブレンダーゃポリトロン ( Kinemat ica社製) のよる破砕、 超音波による破砕、 フレンチプレスなどで加圧し ながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。 細胞 膜の分画には、 分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法 が主として用いられる。 例えば、 細胞破砕液を低速 (5 0 0 r p m〜3 0 0 0 r p m) で短時間 (通常、 約 i分〜 1 0分) 遠心し、 上清をさらに高速 (1 5 0 0 0 1- p m〜3 0 0 0 0 r p m) で通常 3 0分〜 2時間遠心し、 得られる沈澱を膜 画分とする。 該膜画分中には、 発現したレセプタ一タンパク質等と細胞由来のリ ン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプ夕一タンパク質またはその部分ペプチド は、 例えば、 本発明の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法、 ウェスタンブロッ ト解析などにより定量することができる。
かかるサンドィツチ免疫測定法は上記の方法と同様にして行なうことができ、 ウエスタンプロットは公知の手段により行なうことができる。
( i i ) 本発明のレセプ夕一タンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する 形質転換体を上記の方法に従い作製し、 細胞膜画分に含まれる本発明のレセプタ 一タンパク質またはその部分べプチドを定量することができる。
細胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を 変化させる化合物のスクリーニングは、
( i ) 正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、 薬剤あるいは物理的 ストレスなどを与える一定時間前 (3 0分前〜 2 4時間前、 好ましくは 3 0分前 〜 1 2時間前、 より好ましくは 1時間前〜 6時間前) もしくは一定時間後 (3 0 分後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2日後、 より好ましくは 1時間後〜 2 4時 間後) 、 または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、 投与 後一定時間経過後 ( 3 0分後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2日後、 より好ま しくは 1時間後〜 2 4時間後) 、 細胞膜における本発明のレセプタータンパク質
またはその部分ペプチドの量を定量することにより行なうことができ、
( i i ) 形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ 、 一定時間培養後 (1日後〜 7日後、 好ましくは 1日後〜 3日後、 より好ましく は 2日後〜 3日後) 、 細胞膜における本発明のレセプタ一タンパク質またはその 部分べプチドの量を定量することにより行なうことができる。
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプタ一タンパク質またはその部分ペプチド の確認は具体的には以下のようにして行なう。
( i i i ) 正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラット 、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど、 より具体的には痴呆ラ ット、 肥満マウス、 動脈硬化ゥサギ、 担癌マウスなど) に対して、 薬剤 (例えば 、 抗痴呆薬、 血圧低下薬、 抗癌剤、 抗肥満薬など) あるいは物理的ストレス (例 えば、 浸水ストレス、 電気ショック、 明暗、 低温など) などを与え、 一定時間経 過した後に、 血液、 あるいは特定の臓器 (例えば、 脳、 肺、 大腸など) 、 または 臓器から単離した組織、 あるいは細胞を得る。 得られた臓器、 組織または細胞等 を、 常法に従い組織切片とし、 本発明の抗体を用いて免疫染色を行う。 細胞表層 での該レセプタ一夕ンパク質の染色度合いを定量化することにより、 細胞膜上の 該タンパク質を確認することにより、 定量的または定性的に、 細胞膜における本 発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を確認することができ る。
( i v) 本発明のレセプ夕一タンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する 形質転換体等を用いて同様の手段をとることにより確認することもできる。 本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 細胞膜 における本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させ る作用を有する化合物であり、 具体的には、 (ィ) 細胞膜における本発明のレセ プ夕一タンパク質またはその部分ペプチドの量を増加させることにより、 レセプ ターを介する細胞刺激活性を増強させる化合物、 (口) 細胞膜における本発明の レセプター夕ンパク質またはその部分べプチドの量を減少させることにより、 該 細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
該化合物としては、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物
、 発酵生産物などが挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。
該細胞刺激活性を増強させる化合物は、 本発明のレセプタータンパク質等の生 理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、 本発明のレセプ夕一タンパク質等の生 理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
( 1 0 ) 細胞膜における本発明のレセプタ一タンパク質またはその部分ペプチド の量を変化させる化合物、 及びその化合物を含有する各種疾病の予防および/ま たは治療剤
本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、 例えば、 生体内で重要な役割 を果たしていると考えられる。 したがって、 細胞膜における本発明のレセプ夕一 タンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物は、 本発明のレセプ 夕一タンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および zまたは治療剤として用 いることができる。 例えば、 このような化合物は、 該レセプタ一タンパク質の過 剰発現などに起因する疾患 (例えば、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌 、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前 立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不 全、 結石などの疾患) の予防及び 又は治療薬、 または分娩誘発薬として用いる ことができる。
該化合物を本発明のレセプ夕一タンパク質の機能不全に関連する疾患の予防お よび Zまたは治療剤として使用する場合は、 上述した常套手段に従って製剤化す ることができる。
( 1 1 ) 本発明のレセプ夕一タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩に 対する抗体を含有する医薬
本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対す る抗体の、 それらレセプタ一タンパク質などに対する中和活性とは、 該レセプタ 一タンパク質の関与する活性、 例えばシグナル伝達機能を不活性化する活性を意 味する。 従って、 該抗体が中和活性を有する場合は、 該レセプ夕ータンパク質の 関与するシグナル伝達、 例えば、 該レセプタータンパク質を介する細胞刺激活性
(例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 Ca2+遊離、 細胞 内 c AMP生成、 細胞内 c AMP抑制、 細胞内 cGMP生成、 イノシトールリン 酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など、 特に細胞内 c AMP生 成の促進活性) を不活性化することができる。 したがって、 このような抗体は、 該レセプ夕一タンパク質の過剰発現などに起因する疾患の予防および/または治 療に用いることができる。 例えば、 本発明のレセプタータンパク質に対する中和 抗体は、 該レセプ夕ータンパク質の過剰発現などに起因する疾患 (例えば、 前立 腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部 癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早 産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石などの疾患) の予防及び/又は治 療薬、 または分娩誘発薬として用いることができる。
本発明の医薬の製剤化、 投与量、 投与方法等は前述のものが採用できる ( 「疾 患の診断方法およびその疾患を治療する医薬」 の項参照) 。
(12) 本発明の DN A導入動物の作製
本発明は、 外来性の本発明の DN A (以下、 本発明の外来性 DN Aと略記する ) またはその変異 DN A (本発明の外来性変異 DN Aと略記する場合がある) を 有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
〔1〕 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物、 〔2〕 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 〔1〕 記載の動物、
〔3〕 ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第 〔2〕 記載の動物、 および 〔4〕 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを含有し、 哺乳動物において 発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物 (以下、 本発明の DNA転移動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始 原細胞を含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生におけ る胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般 に 8細胞期以前) に、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リポフエクシヨン法
、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DEAE—デキ ストラン法などにより目的とする DNAを転移することによって作出することが できる。 また、 該 DNA転移方法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織細胞などに 目的とする本発明の外来性 DN Aを転移し、 細胞培養、 組織培養などに利用する こともでき、 さらに、 これら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融 合させることにより本発明の DN A導入動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブタ、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ 、 ネコ、 モルモット、 八ムスター、 マウス、 ラットなどが用いられる。 なかでも 、 病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 また、 繁殖が容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として、 C57 BLZ6系統, DBA2系統など、 交雑系として、 B 6 C 3 系統, BDF,系 統, B6D2F,系統, BALBZc系統, I CR系統など) またはラット (例 えば、 Wi s t a r, SDなど) などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける 「哺乳動物」 としては、 上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性 DN Aとは、 非ヒ卜哺乳動物が本来有している本発明の DN A ではなく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DNAをいう。
本発明の変異 DNAとしては、 元の本発明の DNAの塩基配列に変異 (例えば 、 突然変異など) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基への 置換などが生じた DNAなどが用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。
該異常 D N Aとしては、 異常な本発明のレセプタータンパク質を発現させる D N Aを意味し、 例えば、 正常な本発明のレセプ夕一タンパク質の機能を抑制する レセプタータンパク質を発現させる D N Aなどが用いられる。
本発明の外来性 DNAは、 対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳 動物由来のものであってもよい。 本発明の DNAを対象動物に導入するにあたつ ては、 該 D N Aを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した D N A コンストラクトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明のヒト DN Aを導入する場合、 これと相同性が高い本発明の DN Aを有する各種哺乳動物 ( 例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムス夕一、 ラット、 マウスなど)
由来の DNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、 本発明のヒト DNAを 結合した DNAコンストラクト (例、 ベクターなど) を対象哺乳動物の受精卵、 例えば、 マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明の D N Aを高発現する D N A導入哺乳動物を作出することができる。
本発明のレセプ夕一タンパク質の発現べクタ一としては、 大腸菌由来のプラス ミド、 枯草菌由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージなどのバク テリオファージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウイルス、 ワクシニアゥ ィルスまたはバキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。 なかでも 、 大腸菌由来のプラスミド、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミ ドなどが好ましく用いられる。
上記の DN Α発現調節を行なうプロモーターとしては、 例えば、 ①ウィルス ( 例、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J C ウィルス、 '乳癌ウィルス、 ポリオウイルスなど) に由来する DN Aのプロモータ 一、 ②各種哺乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラ ット、 マウスなど) 由来のプロモ一夕一、 例えば、 アルブミン、 インスリン I I 、 ゥロプラキン I I、 エラス夕一ゼ、 エリスロポエチン、 エンドセリン、 筋クレ ァチンキナーゼ、 グリア線維性酸性タンパク質、 ダル夕チオン S—トランスフエ ラーゼ、 血小板由来成長因子 ]3、 ケラチン K 1 , 1:1 0ぉょび1^ 1 4、 コラーゲ ン I型および I I型、 サイクリック AMP依存タンパク質キナーゼ j3 Iサブュニ ット、 ジストロフィン、 酒石酸抵抗性アルカリフォスファタ一ゼ、 心房ナトリウ ム利尿性因子、 内皮レセプターチ口シンキナーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナトリウムカリウムアデノシン 3リン酸化酵素 (Na, K-ATP a s e) 、 ニューロフィラメント軽鎖、 メタ口チォネイン Iおよび I I A、 メタ口プロティ ナーゼ 1組織インヒビ夕一、 MHCクラス I抗原 (H- 2 L) 、 H_ r a s、 レ ニン、 ドーパミン] 3—水酸化酵素、 甲状腺ペルォキシダ一ゼ (TPO) 、 ぺプチ ド鎖延長因子 1ひ (EF- 1 ) 、 /3ァクチン、 aおよび jSミオシン重鎖、 ミオ シン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク質、 チログロブリン、 Thy_ l、 免疫グロブリン、 H鎖可変部 (VNP) 、 血清アミロイド Pコンポーネント、 ミ オダロビン、 トロポニン(:、 平滑筋 aァクチン、 プレブ口エンケフアリン A、 )
ソプレシンなどのプロモータ一などが用いられる。 なかでも、 全身で高発現する ことが可能なサイトメガロウィルスプロモーター、 ヒトペプチド鎖延長因子 1ひ (EF- 1 ) のプロモーター、 ヒトおよびニヮトリ i3ァクチンプロモーターな どが好適である。
上記べクタ一は、 DNA導入哺乳動物において目的とする mRNAの転写を終 結する配列 (一般にターミネタ一と呼ばれる) を有していることが好ましく、 例 えば、 ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各 DN Aの配列を用いることがで き、 好ましくは、 シミアンウィルスの SV40夕一ミネタ一などが用いられる。 その他、 目的とする外来性 DNAをさらに高発現させる目的で各 DNAのスプ ライシングシグナル、 ェンハンサー領域、 真核 DNAのイントロンの一部などを プロモーター領域の 5 ' 上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域 の 3 ' 下流に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のレセプタータンパク質の翻訳領域は、 ヒトまたは各種哺乳動物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 八ムスター、 ラット、 マウスなど ) 由来の肝臓、 腎臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 DN Aおよび市販の各種ゲノ ム DN Aライブラリーよりゲノム DNAの全てあるいは一部として、 または肝臓 、 腎臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 RNAより公知の方法により調製された相 補 DN Aを原料として取得することが出来る。 また、 外来性の異常 DN Aは、 上 記の細胞または組織より得られた正常な本発明のレセプ夕一タンパク質の翻訳領 域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうる DNAコンストラクトとして、 前記 のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常の DN A工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの導入は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。 DNA導入後の作出動 物の胚芽細胞において、 本発明の外来性 DN Aが存在することは、 作出動物の後 代がすべて、 その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを保持 することを意味する。 本発明の外来性 DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを有する。
本発明の外来性正常 D NAを導入した非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 D NAを安定に保持することを確認して、 該 D N A保有動物として通常の飼育環境 で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 D NAの導入は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。 D NA導入後の作 出動物の胚芽細胞において本発明の外来性 D NAが過剰に存在することは、 作出 動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過 剰に有することを意味する。 本発明の外来性 D NAを受け継いだこの種の動物の 子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過剰に有する 導入 D N Aを相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄 の動物を交配することによりすべての子孫が該 D N Aを過剰に有するように繁殖 継代することができる。
本発明の正常 D NAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の正常 D NAが高発現 させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を促進することにより最終的に本発 明のレセプター夕ンパク質の機能亢進症を発症することがあり、 その病態モデル 動物として利用することができる。 例えば、 本発明の正常 D NA導入動物を用い て、 本発明のレセプ夕一タンパク質の機能亢進症や、 本発明のレセプタ一タンパ ク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行 なうことが可能である。
また、 本発明の外来性正常 D NAを導入した哺乳動物は、 遊離した本発明のレ セプ夕一夕ンパク質の増加症状を有することから、 本発明のレセプタータンパク 質に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。 一方、 本発明の外来性異常 D NAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外来 性 D N Aを安定に保持することを確認して該 D NA保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 D NAを前述のプラス ミドに組み込んで原科として用いることができる。 プロモーターとの D NAコン ストラク卜は、 通常の D NA工学的手法によって作製することができる。 受精卵 細胞段階における本発明の異常 D N Aの導入は、 対象哺乳動物の胚芽細胞および
体細胞の全てに存在するように確保される。 D N A転移後の作出動物の胚芽細胞 において本発明の異常 D NAが存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚芽 細胞および体細胞の全てに本発明の異常 D N Aを有することを意味する。 本発明 の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動物の子孫は、 その胚芽細胞および体細胞 の全てに本発明の異常 D NAを有する。 導入 D NAを相同染色体の両方に持つホ モザィゴ一ト動物を取得し、 この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫 が該 D N Aを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常 D NAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の異常 D NAが高発現 させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を阻害することにより最終的に本発 明のレセプ夕一夕ンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モ デル動物として利用することができる。 例えば、 本発明の異常 D N A導入動物を 用いて、 本発明のレセプタータンパク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明 およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、 本発明の異常 D N A高発現動物は、 本発 明のレセプタータンパク質の機能不活性型不応症における本発明の異常レセプ夕 —タンパク質による正常レセプタータンパク質の機能阻害 (dominant negat ive 作用) を解明するモデルとなる。
また、 本発明の外来異常 D N Aを導入した哺乳動物は、 遊離した本発明のレセ プタ一タンパク質の増加症状を有することから、 本発明のレセプタータンパク質 の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。 また、 上記 2種類の本発明の D N A導入動物のその他の利用可能性として、 例 えば、
①組織培養のための細胞源としての使用、
②本発明の D N A転移動物の組織中の D N Aもしくは R N Aを直接分析するか、 または D N Aにより発現された本発明のレセプタータンパク質を分析することに よる、 本発明のレセプタータンパク質により特異的に発現あるいは活性化する本 発明のレセプタータンパク質との関連性についての解析、
③ D N Aを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらを使用し て、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
④上記③記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリ 一二ング、 および
⑤本発明の変異レセプタータンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考え られる。
さらに、 本発明の D N A導入動物を用いて、 本発明のレセプ夕一タンパク質の 機能不活性型不応症などを含む、 本発明のレセプ夕一タンパク質に関連する疾患 の臨床症状を調べることができ、 また、 本発明のレセプタ一タンパク質に関連す る疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、 新しい治療方 法の開発、 さらには、 該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献すること ができる。
また、 本発明の D NA導入動物から各臓器を取り出し、 細切後、 トリプシンな どのタンパク質分解酵素により、 遊離した D NA導入細胞の取得、 その培養また はその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本発明のレセプ夕 一タンパク質産生細胞の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関連性、 またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べることなど ができ、 本発明のレセプター夕ンパク質およびその作用解明のための有効な研究 材料となる。
さらに、 本発明の D N A導入動物を用いて、 本発明のレセプタータンパク質の 機能不活性型不応症を含む、 本発明のレセプタータンパク質に関連する疾患の治 療薬の開発を行なうために、 上述の検査法および定量法などを用いて、 有効で迅 速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。 また、 本発 明の D N A導入動物または本発明の外来性 D N A発現ベクターを用いて、 本発明 のレセプ夕一夕ンパク質が関連する疾患の D N A治療法を検討、 開発することが 可能である。
( 1 3 ) ノックァゥト動物
本発明は、 本発明の D NAが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞および本 発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
〔1〕 本発明の D NAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
〔2〕 該 D NAがレポ一夕一遺伝子 (例、 大腸菌由来の ;8 —ガラクトシダーゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化された第 〔1〕 項記載の胚幹細胞、 〔3〕 ネオマイシン耐性である第 〔1〕 項記載の胚幹細胞、
〔4〕 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 〔1〕 項記載の胚幹細胞、 〔5〕 ゲッ歯動物がマウスである第 〔4〕 項記載の胚幹細胞、
〔6〕 本発明の D N Aが不活性化された該 D N A発現不全非ヒ卜哺乳動物、 〔7〕 該 D NAがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の /3—ガラクトシダ一ゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化され、 該レポ一ター遺伝子が本発明の D N Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる第 〔6〕 項記載の非ヒト哺乳動物
〔8〕 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 〔6〕 項記載の非ヒト哺乳動物、 〔9〕 ゲッ歯動物がマウスである第 〔8〕 項記載の非ヒト哺乳動物、 および 〔1 0〕 第 〔7〕 項記載の動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発 現を検出することを特徴とする本発明の D N Aに対するプロモータ一活性を促進 または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の D NAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒ卜哺乳 動物が有する本発明の D NAに人為的に変異を加えることにより、 D NAの発現 能を抑制するか、 もしくは該 D NAがコードしている本発明のレセプタ一タンパ ク質の活性を実質的に喪失させることにより、 D N Aが実質的に本発明のレセプ タ一タンパク質の発現能を有さない (以下、 本発明のノックアウト D NAと称す ることがある) 非ヒト哺乳動物の胚幹細胞 (以下、 E S細胞と略記する) をいう 非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の D NAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学的 手法により該 D NA配列の一部又は全部の削除、 他 D NAを挿入または置換させ ることによって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コドンの読 み取り枠をずらしたり、 プロモータ一あるいはェクソンの機能を破壊することに より本発明のノックアウト D NAを作製すればよい。
本発明の D N Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の D
NA不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の具体 例としては、 例えば、 目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の DNAを単離 し、 そのェクソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子 を代表とする薬剤耐性遺伝子、 あるいは l a c Z (i3—ガラクトシダーゼ遺伝子 ) , c a t (クロラムフエニコ一ルァセチルトランスフェラーゼ遺伝子) を代表 とするレポ一夕一遺伝子等を挿入することによりェクソンの機能を破壊するか、 あるいはェクソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させる DNA配列 ( 例えば、 polyA付加シグナルなど) を挿入し、 完全な mRNAを合成できなくす ることによって、 結果的に遺伝子を破壊するように構築した DN A配列を有する DNA鎖 (以下、 ターゲッティングベクターと略記する) を、 例えば相同組換え 法により該動物の染色体に導入し、 得られた ES細胞について本発明の DNA上 あるいはその近傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ一シヨン 解析あるいは夕ーゲッティングベクター上の DNA配列と夕ーゲッティングべク 夕一作製に使用した本発明の DN A以外の近傍領域の DN A配列をプライマーと した PCR法により解析し、 本発明のノックアウト ES細胞を選別することによ り得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の DNAを不活化させる元の ES細胞とし ては、 例えば、 前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、 また公知の Evansと Kaufmanの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの ES細胞の場合、 現在、 一般的には 129系の ES細胞が使用されているが、 免 疫学的背景がはっきりしていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背 景が明らかな ES細胞を取得するなどの目的で例えば、 C 57 BLZ6マウスや C 57 BLZ6の採卵数の少なさを DBAZ2との交雑により改善した BD マウス (C 57 BL/6と DBAZ2との F を用いて樹立したものなども良 好に用いうる。 BDF,マウスは、 採卵数が多く、 かつ、 卵が丈夫であるという 利点に加えて、 C 57 BLZ6マウスを背景に持つので、 これを用いて得られた ES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C 57 BLZ6マウスとバックク ロスすることでその遺伝的背景を C 57 BL/ 6マウスに代えることが可能であ る点で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3. 5日目の胚盤胞を使用す るが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率 よく多数の初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの ES細胞を用いてもよいが、 通常雄の ES細胞の方が生殖 系列キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減するため にもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の性 決定領域の遺伝子を増幅、 検出する方法が、 その 1例としてあげることができる 。 この方法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 106個の細胞数を要し ていたのに対して、 1コロニー程度の E S細胞数 (約 50個) で済むので、 培養 初期における E S細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能で あり、 早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減 できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンディング法による染色 体数の確認等により行うことができる。 得られる ES細胞の染色体数は正常数の 100%が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細 胞の遺伝子をノックアウトした後、 正常細胞 (例えば、 マウスでは染色体数が 2 n = 40である細胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体発 生できる能力を失いやすいので、 注意深く継代培養することが必要である。 例え ば、 S TO繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F (1- 1000 OU/ml) 存在下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 5%炭酸ガス、 95%空 気または 5%酸素、 5%炭酸ガス、 90%空気) で約 37 °Cで培養するなどの方 法で培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン/ EDTA溶液 (通常 0. 001 一 0. 5 %トリプシン Z 0. 1— 5 mM EDTA, 好ましくは約 0. 1 %トリプシ ン ZlmM' EDTA) 処理により単細胞化し、 新たに用意したフィーダ一細胞 上に播種する方法などがとられる。 このような継代は、 通常 1一 3日毎に行なう が、 この際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその 培養細胞は放棄することが望まれる。
E S細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または細 胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、 頭頂筋、 内臓筋、 心筋などの種 々のタイプの細胞に分化させることが可能であり 〔M. J. Evans及び M. H.
Kaufman, ネイチヤー (Nature) 第 292巻、 154頁、 1981年; G. R. Mart in プロ シーディングス ·オフ、、 ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス ·ユーエス エー (Pro Nat l. Acad. Sci. U. S. A. ) 第 78巻、 7634頁、 1981年; T. C.
Doetschman ら、 ジャーナル ·ォブ ·ェンブリオロジ一 ·アンド ·ェクスぺリメ ンタル ·モルフォロジ一、 第 87巻、 27頁、 1985年〕 、 本発明の E S細胞を分化さ せて得られる本発明の D NA発現不全細胞は、 インビト口における本発明のレセ プ夕一タンパク質または本発明のレセプタータンパク質の細胞生物学的検討にお いて有用である。
本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物は、 該動物の mR N A量を公知方法を 用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別する ことが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製し たターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、 導 入によりターゲッティングベクターの本発明の D N Aが不活性化された D N A配 列が遺伝子相同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の 本発明の D NAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の D NAを ノックアウトさせることができる。
本発明の D NAがノックアウトされた細胞は、 本発明の D NA上またはその近 傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはター ゲッティングベクター上の D NA配列と、 ターゲッティングベクターに使用した マウス由来の本発明の D N A以外の近傍領域の D NA配列とをプライマーとした P C R法による解析で判定することができる。 非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた 場合は、 遺伝子相同組換えにより、 本発明の D NAが不活性化された細胞株をク ローニングし、 その細胞を適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒト哺乳動物胚ま たは胚盤胞に注入し、 作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮
に移植する。 作出された動物は正常な本発明の D NA座をもつ細胞と人為的に変 異した本発明の D N A座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。 該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明の D N A座をもつ場合、 この ようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全ての 組織が人為的に変異を加えた本発明の D N A座をもつ細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラーの判定等により選別することにより得られる。 このように して得られた個体は、 通常、 本発明のレセプタータンパク質のヘテロ発現不全個 体であり、 本発明のレセプ夕一タンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、 それらの産仔から本発明のレセプ夕一夕ンパク質のホモ発現不全個体を得ること ができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション法 で D N A溶液を注入することにより夕ーゲッティングベクターを染色体内に導入 したトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトランスジ エニック非ヒト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の D NA座に 変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明の D N Aがノックアウトされている個体は、 交配により 得られた動物個体も該 D NAがノックアウトされていることを確認して通常の飼 育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不活化 D N Aの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 D N Aを 相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得しうる。 得られたホモザィゴ ート動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1, ホモザィゴート複数になるような 状態で飼育することにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴート動物の 雌雄を交配することにより、 該不活化 D N Aを有するホモザィゴートおよびへテ ロザィゴート動物を繁殖継代する。 .
本発明の D N Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D NA 発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明のレセプ夕一タンパ ク質により誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明のレセプター夕
ンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これ らの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
( 1 4 a ) 本発明の D NAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防 効果を有する化合物のスクリ一二ング方法
本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D NAの欠損や損傷など に起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物のスクリーニングに用い ることができる。
すなわち、 本発明は、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を 投与し、 該動物の変化を観察 ·測定することを特徴とする、 本発明の D NAの欠 損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物またはその 塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明の D NA発現'不全非ヒト哺乳 動物としては、 前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合 成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿などが あげられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。
具体的には、 本発明の D NA発現不全非ヒ卜哺乳動物を、 試験化合物で処理し 、 無処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状などの変化を 指標として試験化合物の治療 ·予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注射 などが用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質などにあわせて適宜選択す ることができる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質な どにあわせて適宜選択することができる。
該スクリーニング方法において、 試験動物に試験化合物を投与した場合、 該試 験動物の血糖値が約 1 0 %以上、 好ましくは約 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上低下した場合、 該試験化合物を上記の疾患に対して治療 ·予防効果を有 する化合物として選択することができる。
該スクリ一二ング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物から選
ばれた化合物であり、 本発明のレセプタータンパク質の欠損や損傷などによって 引き起こされる疾患 (例えば、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣 癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥 大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結 石などの疾患に対する予防及び Z又は治療薬、 または分娩誘発薬など) に対する 安全で低毒性な治療 ·予防剤などの医薬として使用することができる。 さらに、 上記スクリ一ニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いること ができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸など) や塩基 (例
、 アルカリ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸 付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン 酸、 臭化水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プ ロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸など) との塩などが用 いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のレセプ夕一タンパク質とリガンドとの結合性を変化させる化合物を 含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまた は哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥ シ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またほその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 該化合物を経口投与する場合、 一般的に例えば、 前立 腺癌患者 (6 0 k gとして) においては、 一日につき約 0 · l〜1 0 0 m g、 好 ましくは約 1 . 0〜5 O m g、 より好ましくは約 1 . 0〜2 0 m gである。 非経 口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法 などによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 前立腺癌患者 ( 6 O k gとして) においては、 一日につき約 0 . 0 1 ~ 3 0 m g程度、 好ましく
は約 0. 1〜2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射 により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 6 O kg当たりに換算し た量を投与することができる。
(14 b) 本発明の DNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化 合物をスクリーニング方法
本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポ一ター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の DNAに対するプ 口モーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方 法を提供する。
上記スクリーニング方法において、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物と しては、 前記した本発明の DNA発現不全非ヒ卜哺乳動物の中でも、 本発明の D NAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポーター遺伝 子が本発明の D N Aに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられ る。
試験化合物としては、 前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 ]3—ガラクトシダ —ゼ遺伝子 (1 ac Z) 、 可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子まだはルシフ ェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明の D N Aをレポ一夕一遺伝子で置換された本発明の D N A発現不全非ヒ ト哺乳動物では、 レポーター遺伝子が本発明の DNAに対するプロモーターの支 配下に存在するので、 レポ一ター遺伝子がコードする物質の発現をトレースする ことにより、 プロモータ一の活性を検出することができる。
例えば、 本発明のレセプ夕一タンパク質をコードする D N A領域の一部を大腸 菌由来の ;3—ガラクトシダ一ゼ遺伝子 (1 a c Z) で置換している場合、 本来、 本発明のレセプ夕一タンパク質の発現する組織で、 本発明のレセプタータンパク 質の代わりに /3—ガラクトシダーゼが発現する。 従って、 例えば、 5—プロモー 4一クロ口一 3—インドリル一 /3—ガラクトピラノシド (X— g a l) のような i3—ガラクトシダ一ゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、 簡便に本 発明のレセプ夕一タンパク質の動物生体内における発現状態を観察することがで
きる。 具体的には、 本発明のレセプタータンパク質欠損マウスまたはその組織切 片をダルタルアルデヒドなどで固定し、 リン酸緩衝生理食塩液 (P B S ) で洗浄 後、 X— g a 1を含む染色液で、 室温または 3 7 付近で、 約 3 0分ないし 1時 間反応させた後、 組織標本を I mM E D T AZP B S溶液で洗浄することによ つて、 /3—ガラクトシダ一ゼ反応を停止させ、 呈色を観察すればよい。 また、 常 法に従い、 1 a c Zをコードする mR NAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した試 験化合物から選ばれた化合物であり、 本発明の D N Aに対するプロモーター活性 を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸など) や塩基 (例、 有機酸 など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし レ。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸 、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フ マル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸 、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸など) との塩などが用いられる。 本発明の D N Aに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、 本発明のレセプタータンパク質の発現を促進し、 該レセプタータンパク質の機能 を促進することができるので、 例えば、 本発明のレセプ夕一タンパク質の機能不 全に関連する疾患などの予防及び Z又は治療薬などの医薬として有用である。 本発明の D N Aに対するプロモータ一活性を阻害する化合物またはその塩は、 本発明のレセプ夕一タンパク質の発現を阻害し、 該レセプタ一タンパク質の機能 を阻害することができるので、 例えば、 本発明のレセプタ一タンパク質の発現過 多に関連する疾患などの予防及び/又は治療薬などの医薬として有用である。 具体的には、 本発明の D N Aに対するプロモータ一活性を促進または阻害する 化合物は、 例えば、 前立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性 性腺機能障害、 不妊、 早産、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石などの予 防及び/又は治療薬、 または分娩誘発薬として有用である。
さらに、 上記スクリ一ニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に 用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のレセプタータンパク質またはその塩とリガンドとの結合性を変化さ せる化合物を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒ卜また は哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥ シ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 本発明の DNAに対するプロモーター活性を促進また は阻害する化合物を経口投与する場合、 一般的に例えば、 前立腺癌患者 (60 k gとして) においては、 一日につき約 0. 1〜10 Omg、 好ましくは約 1. 0 〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜20mgである。 非経口的に投与する場 合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異 なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 前立腺癌患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1~1 Omg程度を静脈注射により投与するの が好都合である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与するこ とができる。
このように、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の DNAに対 するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリ一二 ングする上で極めて有用であり、 本発明の DN A発現不全に起因する各種疾患の 原因究明または予防及び Z又は治療薬の開発に大きく貢献することができる。 また、 本発明のレセプタータンパク質のプロモー夕一領域を含有する DN Aを 使って、 その下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、 これを動物の 卵細胞に注入していわゆるトランスジエニック動物 (遺伝子導入動物) を作成す れば、 特異的にそのレセプタータンパク質を合成させ、 その生体での作用を検討 することも可能となる。 さらに上記プロモーター部分に適当なレポ一夕遺伝子を 結合させ、 これが発現するような細胞株を樹立すれば、 本発明のレセプタータン
パク質そのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ 低分子化合物の探索系として使用できる。
さらに、 上記の本発明の遺伝子発現解析方法を用いた結果、 EDG— 1レセプ ターが血管内皮細胞で高発現していること、 および EDG— 2レセプ夕一が血管 平滑筋細胞で高発現していることが明らかになった。 したがって、 血管内皮細胞 は EDG— 1レセプ夕一ァゴニストまたはアン夕ゴニスト、 特に動脈硬化症、 心 筋梗塞、 脳梗塞または虚血性疾患の予防及び 又は治療薬となる EDG— 1レセ プ夕ーァゴニストのスクリーニングに有用であり、 血管平滑筋細胞は EDG— 2 レセプ夕一ァゴニス卜またはアンタゴニスト、 特に動脈硬化症、 心筋梗塞、 脳梗 塞または虚血性疾患の予防及び/又は治療薬となる EDG— 2レセプ夕一アン夕 ゴニス卜のスクリーニングに有用であることが分かつた。
以下に、 本発明の EDG— 1レセプタ一ァゴニスト ·アンタゴニストまたは E DG- 2レセプターァゴニスト ·アン夕ゴニス卜のスクリーニング方法について 説明する。
本発明で用いられる EDG— 1レセプ夕一は、 配列番号: 38で表わされるァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプ夕一で ある。 なお、 配列番号: 38で表わされるアミノ酸配列を有する EDG— 1レセ プタ一は、 (Ge nb ank a c c e s s i on 番号 AAA52336) に記載されているタンパク質と同一のアミノ酸配列を有する。
本発明で用いられる EDG— 2レセプ夕一は、 配列番号: 40で表わされるァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプターで ある。 なお、 配列番号: 40で表わされるアミノ酸配列を有する EDG— 2レセ プ夕一は、 (Ge nb ank a c c e s s i on 番号 U80811) に記 載されているタンパク質と同一のアミノ酸配列を有する。
「実質的に同一のアミノ酸配列」 とは、 比較するアミノ酸配列に対して、 例え ば、 約 50%以上、 好ましくは約 60%以上、 より好ましくは約 70%以上、 さ らに好ましくは約 80%以上、 なかでも好ましくは約 90%以上、 最も好ましく は約 95 %以上の相同性を有するアミノ酸配列をいう。
配列番号: 38で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するタンパク質としては、 例えば、 配列番号: 3 8で表わされるアミノ酸配列 と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 3 8で表わされるアミノ酸 配列を含有する E D G— 1レセプターと実質的に同質の活性を有するタンパク質 などが好ましい。
配列番号: 4 0で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含 有するタンパク質としては、 例えば、 配列番号: 4 0で表わされるアミノ酸配列 と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 4 0で表わされるアミノ酸 配列を含有する E D G— 2レセプターと実質的に同質の活性を有するタンパク質 などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 リガンド結合活性、 シグナル情報伝達 作用などが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの活性が性質的に同質である ことを示す。 したがって、 リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性 が同等 (例、 約 0 . 0 1〜1 0 0倍、 好ましくは約 0 . 5〜2 0倍、 より好まし くは約 0 . 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの活性の程度やタンパク 質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、 公知の方法に 準じて行なうことができるが、 例えば、 後に記載するリガンドの決定方法ゃスク リーニング方法に従つて測定することができる。
また、 E D G— 1レセプ夕一としては、 (1 ) 配列番号: 3 8で表わされるァ ミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましく は 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が欠失した アミノ酸配列、 (2 ) 配列番号: 3 8で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個 以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好 ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (3 ) 配列番 号: 3 8で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (4 ) それらを 組み合わせたァミノ酸配列を含有する夕ンパク質なども用いられる。
E D G— 2レセプ夕一としては、 (1 ) 配列番号: 4 0で表わされるアミノ酸
配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜 10個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が欠失したァミノ 酸配列、 (2) 配列番号: 40で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個以上 ( 好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましく は数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (3) 配列番号: 4 0で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程 度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のァ ミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (4) それらを組み合 わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質なども用いられる。
EDG— 1レセプターおよび EDG— 2レセプ夕一は、 ペプチド標記の慣例に 従って、 左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (力ルポキシル末端) であ る。 本発明のレセプタータンパク質は、 C末端がカルボキシル基 (_COOH) 、 カルボキシレート (一 C〇〇— ) 、 アミド (_CONH2) またはエステル ( -COOR) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル 、 イソプロピルもしくは n—ブチルなどの アルキル基、 例えば、 シクロべ ンチル、 シクロへキシルなどの C3— 8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 0; —ナフチルなどの C6_12ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフ ェニルー C卜 2アルキル基もしくは α—ナフチルメチルなどの 一ナフチルー C ト 2アルキル基などの C7_14ァラルキル基のほか、 経口用エステルとして汎用 されるビバロイルォキシメチル基などが用いられる。
EDG- 1レセプターおよび EDG— 2レセプターが C末端以外にカルボキシ ル基 (またはカルポキシレート) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化 またはエステル化されているものも EDG— 1レセプターおよび EDG— 2レセ プ夕一に含まれる。 この場合のエステルとしては、 例えば上記した C末端のエス テルなどが用いられる。
さらに、 EDG— 1レセプターおよび EDG— 2レセプターには、 上記した E DG— 1レセプ夕一および EDG— 2レセプターにおいて、 N末端のメチォニン 残基のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチルなどの C2_ 6アルカノ
ィル基などの C^ eァシル基など) で保護されているもの、 N端側が生体内で切 断され生成したグルタミル基がピ口グルタミン酸化したもの、 分子内のアミノ酸 の側鎖上の置換基 (例えば、 _OH、 — SH、 アミノ基、 イミダゾール基、 イン ドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル などの C2 6アルカノィル基などの 6ァシル基など) で保護されているもの 、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含 まれる。
EDG- 1レセプターの具体例としては、 例えば、 配列番号: 38で表わされ るァミノ酸配列からなるレセプター夕ンパク質などが挙げられる。
EDG- 2レセプターの具体例としては、 例えば、 配列番号: 40で表わされ るァミノ酸配列からなるレセプ夕一夕ンパク質などが挙げられる。
本発明の EDG— 1レセプ夕ーァゴニスト ·アン夕ゴニス卜のスクリーング方 法では、 他の細胞または組織と比較して、 EDG— 1レセプ夕一を極めて高発現 している血管内皮細胞を用いることを特徴とする。
一方、 EDG— 2レセプ夕ーァゴニスト ·アンタゴニス卜のスクリーング方法 では、 他の細胞または組織と比較して、 EDG— 2レセプターを極めて高発現し ている血管平滑筋細胞を用いることを特徴とする。
EDG- 1レセプターに対するリガンドとしては、 EDG— 1レセプターに結 合する化合物であれば特に限定されないが、 例えば、 Sphingosine-1-phosphate (S 1 P) などが用いられる。 以下、 EDG— 1レセプ夕一に結合する化合物を 単に EDG— 1と略載する。
EDG- 2レセプ夕一に対するリガンドとしては、 EDG- 2レセプターに結 合する化合物であれば特に限定されないが、 例えば、 lysophosphatidic acid ( LPA) などが用いられる。 以下、 EDG— 2レセプ夕一に結合する化合物を単 に EDG— 2と略載する。
具体的には、 本発明のスクリーニング方法は、
(1) (i) EDG— 1と血管内皮細胞を接触させた場合と (ii) EDG— 1と 試験化合物を血管内皮細胞とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とす る EDG— 1レセプターァゴニス卜またはアンタゴニス卜のスクリーニング方法
A、 および
(2) (i) EDG— 2と血管平滑筋細胞を接触させた場合と (ii) EDG-2 と試験化合物を血管平滑筋細胞とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴 とする EDG— 2レセプ夕一ァゴニストまたはアン夕ゴニス卜のスクリーニング 方法 Bを提供する。
本発明のスクリーニング方法 Aにおいては、 (i) と (ii) の場合における、 例えば、 血管内皮細胞のァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a2 +遊離、 細胞内 cAM P生成、 細胞内 cAMP抑制、 細胞内 c GMP生成、 イノ シトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭素産生、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 Rh oや Ra cの活性化、 ホスファチジルイノシトール (P I ) 3キナーゼ活性、 p Hの低下などを促進する活性または抑制する活性などを測定して、 比較すること を特徴とする。
本発明のスクリーニング方法 Bにおいては、 U) と (ii) の場合における、 例えば、 血管平滑筋細胞のァラキドン酸遊離、 ァセチルコリン遊離、 細胞内 Ca 2+遊離、 細胞内 c AMP生成、 細胞内 c AMP抑制、 細胞内 c GMP生成、 ィ ノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭素産生、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 R h oや R a cの活性化、 ホスファチジルイノシ 1 ル (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下などを促進する活性または抑制する活性などを測定して、 比較するこ とを特徴とする。
より具体的には、 本発明のスクリーング方法 Aは、
(1 a) 試験化合物を血管内皮細胞に接触させた場合における血管内皮細胞の細 胞内 cAMP抑制、 細胞内 cGMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位 変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭 素産生、 遊走活性、 低^^子量 Gタンパク質 R hoや R a cの活性化、 ホスファチ ジルイノシトール (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下を測定し、 上記活性が例 えば 10%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましくは 50%以上上昇してい る試験化合物を選択することを特徴とする EDG— 1レセプタ一ァゴニストのス
クリーニング方法、
(l b) ED G— 1を血管内皮細胞に接触させた場合に比べて、 EDG— 1およ び試験化合物を血管内皮細胞に接触させた場合における血管内皮細胞の細胞内 c AMP抑制、 細胞内 c GMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭素産生 、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 Rhoや Racの活性化、 ホスファチジルイ ノシトール (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下を測定し、 上記活性が例えば 1 0%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましくは 50%以上上昇している試験 化合物を選択することを特徵とする E D G— 1レセプターァゴニス卜のスクリー ニング方法、 または
(1 c) EDG— 1を血管内皮細胞に接触させた場合に比べて、 EDG— 1およ び試験化合物を血管内皮細胞に接触させた場合における血管内皮細胞の細胞内 c AMP抑制、 細胞内 c GMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭素産生 、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 Rhoや R a cの活性化、 ホスファチジルイ ノシトール (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下を測定し、 上記活性が例えば 1 0%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましくは 50%以上減少している試験 化合物を選択することを特徴とする EDG— 1レセプターアンタゴニス卜のスク リーニング方法である。
—方、 本発明のスクリーング方法 Bは、
(2 a) 試験化合物を血管平滑筋細胞に接触させた場合における血管平滑筋細胞 の細胞内 cAM P抑制、 細胞内 cGMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜 電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c— f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸 化炭素産生、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 Rhoや Racの活性化、 ホスフ ァチジルイノシトール (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下を測定し、 上記活性 が例えば 10%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましくは 50 %以上上昇し ている試験化合物を選択することを特徵とする EDG_ 2レセプターァゴニスト のスクリーニング方法、
(2 b) EDG— 1を血管平滑筋細胞に接触させた場合に比べて、 EDG— 1お
よび試験化合物を血管平滑筋細胞に接触させた場合における血管平滑筋細胞の細 胞内 c AMP抑制、 細胞内 c GMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位 変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 一酸化炭 素産生、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 R hoや R a cの活性化、 ホスファチ ジルイノシトール (P I) 3キナーゼ活性、 pHの低下を測定し、 上記活性が例 えば 10%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましくは 50 %以上上昇してい る試験化合物を選択することを特徴とする EDG— 2レセプターァゴニストのス クリーニング方法、 または
(2 c) EDG— 2を血管平滑筋細胞に接触させた場合に比べて、 EDG— 2お よび試験化合物を血管平滑筋細胞に接触させた場合における血管平滑筋細胞のァ ラキドン酸遊離、 細胞内 C a2+遊離、 細胞内 cAMP抑制、 細胞内 cGMP生 成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 細胞増殖、 遊走活性、 低分子量 Gタンパク質 Rh oや R a cの活性化、 ホスファチジルイノシトール (P I ) 3キナーゼ活性、 p Hの低下 を測定し、 上記活性が例えば 10%以上、 好ましくは 30%以上、 特に好ましく は 50%以上減少している試験化合物を選択することを特徴とする EDG— 2レ セプ夕一アンタゴニス卜のスクリーニング方法である。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などが用い られ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であっても よい。
また、 スクリーニング方法 Aの試験化合物としては、 EDG— 1と EDG— 1 レセプ夕一との結合性を変化させる化合物を用い、 本発明のスクリーニング方法 Aを該化合物の 2次評価系として使用するのが好ましい。
一方のスクリーニング方法 Bの試験化合物としては、 EDG— 2と EDG— 2 レセプターとの結合性を変化させる化合物を用い、 本発明のスクリーニング方法 Bを 2次評価系として使用するのが好ましい。
EDG- 1と EDG— 1レセプ夕一との結合性を変化させる化合物または ED G— 2と EDG— 2レセプ夕一との結合性を変化させる化合物のスクリーニング
は、 前述した dj287G14.2レセプタータンパク質とそのリガンドとの結合性を変化 させる化合物のスクリ一二ング方法に準じて実施することができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
血管内皮細胞または血管平滑筋細胞は、 ヒトやその他の哺乳動物 (例えば、 モ ルモット、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ブタ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) の血管か ら自体公知の方法に準じて調製することができる。
血管内皮細胞の培養は、 例えば、 (Ce l l 1999 Oc t 29 ; 99 (3) : 301-12) に記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って行うこ とができる。
または血管平滑筋細胞の培養は、 例えば、 (Ca r d i ov a s c Re s 1996 S e p ; 32 (3) : 516— 23 ) に記載の方法あるいはそれに準 じる方法に従って行うことができる。
具体的には、 本発明のスクリーニング方法を実施するためには、 血管内皮細胞 または血管平滑筋細胞のァラキドン酸遊離、 ァセチルコリン遊離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 CAM P生成、 細胞内 cAM P抑制、 細胞内 cGMP生成、 イノ シトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質のリン酸化、 c _ f o sの活性化、 pHの低下などを促進する活性または抑制する活性などを公知の方 法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。
具体的には、 まず、 血管内皮細胞または血管平滑筋細胞をマルチウエルプレー ト等に培養する。 スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地ある いは細胞に毒性を示さない適当なバッファ一に交換し、 試験化合物などを添加し て一定時間インキュベートした後、 細胞を抽出あるいは上清液を回収して、 生成 した産物をそれぞれの方法に従って定量する。 細胞刺激活性の指標とする物質 ( 例えば、 ァラキドン酸など) の生成が、 細胞が含有する分解酵素によって検定困 難な場合は、 該分解酵素に対する阻害剤を添加してアツセィを行なってもよい。 また、 c AMP産生抑制などの活性については、 フオルスコリンなどで細胞の基 礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することが できる。
EDG- 1レセプ夕一ァゴニスト .アン夕ゴニストまたは EDG— 2レセプ夕
ーァゴニス卜 ·アン夕ゴニス卜のスクリーニング用キットは、 血管内皮細胞また は血管平滑筋細胞を含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、 次のものが挙げられる。
1. スクリーニング用試薬
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution (ギブコ社製) に、 0.05%のゥシ血清アル ブミン (シグマ社製) を加えたもの。
孔径 0.45 /xmのフィルタ一で濾過滅菌し、 4°Cで保存するか、 あるいは用 時調製しても良い。
(2)血管内皮細胞または血管平滑筋細胞
血管内皮細胞または血管平滑筋細胞を 12穴プレートに 5X 105個/穴で継 代し、 37°C、 5%C02、 95 % a i rで 2日間培養したもの。
(3)リガンド標準液
EDG— 1または EDG— 2を 0. 1 %ゥシ血清アルブミン (シグマ社製) を 含む PBSで ImMとなるように溶解し、 一 20°Cで保存する。
本発明のスクリーニング方法 Aまたはスクリーニング用キットを用いて得られ る EDG— 1レセプ夕一ァゴニストは、 EDG— 1が有する生理活性と同様の作 用を有しているので、 該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である 本発明のスクリーニング方法 Aまたはスクリーニング用キットを用いて得られ る E D G— 1レセプ夕一アン夕ゴニストは、 E D G— 1が有する生理活性を抑制 することができるので、 該生理活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用で' ある。
本発明のスクリーニング方法 Aまたはスクリーニング用キットを用いて得られ る EDG— 2レセプターァゴニストは、 EDG— 2が有する生理活性と同様の作 用を有しているので、 該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である 本発明のスクリーニング方法 Bまたはスクリーニング用キットを用いて得られ る EDG— 2レセプ夕一アンタゴニストは、 EDG— 2が有する生理活性を抑制
することができるので、 該生理活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用で ある。
具体的には、 本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用 いて得られる EDG— 1レセプ夕一ァゴニストと EDG— 2レセプターアン夕ゴ 二ストは、 例えば、 動脈硬化、 心筋梗塞、 脳梗塞、 虚血性心疾患などの疾患に対 する予防及び/又は治療薬として有用である。
EDG- 1レセプ夕ーァゴニスト .アン夕ゴニス卜または EDG— 2レセプ夕
—ァゴニスト ·アン夕ゴニストを上記疾患の予防および zまたは治療剤として使 用する場合は、 前記した dj287G14.2レセプ夕一タンパク質とリガンドとの結合性 を変化させる化合物を含有する医薬と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまた は哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥ シ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
EDG— 1レセプターァゴニス卜または EDG— 2レセプ夕一アン夕ゴニス卜 の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどにより差異はあるが、 例えば 、 EDG- 1レセプ夕ーァゴニス卜または EDG— 2レセプタ一アンタゴニス卜 を経口投与する場合、 一般的に例えば、 動脈硬化患者 (60 k gとして) におい ては、 一日につき約 0. l〜100mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 より 好ましくは約 1. 0〜20mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投 与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 動脈硬化患者 (60 kgとして) においては、 一日 にっき約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは約 0. l〜20mg程度、 より好 ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。
(略号の表示)
本明細書において、 塩基、 アミノ酸、 化合物等を略号で表示する場合、 IUPAC- IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野にお ける慣用略号に基づき表示を行い、 その例を以下に記載する。 またアミノ酸が光
学異性体を取りうる場合、 特に明示しなければ L体を表す。
DNA デォキシリポ核酸
cDNA 相補的デォキシリポ核酸
aまたは A アデニン
tまたは T チミン
gまたは G グァニン
cまたは C
uまたは U ゥラシル
RNA リポ核酸
mRNA —リポ核酸
dATP '三リン酸
dTTP デォキシチミジン三リン酸
dGTP デォキシグァノシン三リン酸
d CTP デォキシシチジン三リン酸
ATP アデノシン三リン酸
G 1 y
A 1 a ァラニン
Va 1 バリン
L e u
l i e
S e r セリン
Th r スレオニン
Cy s
Me t メチォニン
G 1 u ダル夕ミン酸
As ァスパラギン酸
L y s リジン
A r g アルギニン
H i s ヒスチジン
P h e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
T r p トリプ卜ファン
P r o プロリン
A s n ァスパラギン
G 1 n ダル夕ミン
p G 1 u ピログルタミン酸 本明細書の配列表記載の配列は以下のとおりである。
[配列番号: 1] h OR L 1の塩基配列を表す。
[配列番号 2] 実施例 1で用いた上流プライマ一 M— 572 Fの塩基配列を 表す。
[配列番号 3] 実施例 1で用いた下流プライマー M_ 714 Rの塩基配列を 表す。
[配列番号 4] 実施例 1で用いたプローブ M— 658 Tの塩基配列を表す。
[配列番号 5 ] 実施例 2および 3で用いたプライマーの塩基配列を表す。
[配列番号 6 ] 実施例 2および 3で用いたプライマーの塩基配列を表す。
[配列番号 7 ] 実施例 2および 3で用いたプロ一ブの塩基配列を表す。
[配列番号 8] ヒ卜型 d j 287 G 14. 2レセプターをコードする DNA の塩基配列を表す。
[配列番号 9] ヒト型€1〗 287014. 2レセプターのアミノ酸配列を表 す。
[配列番号 10] 実施例 2で得られた cDNAの塩基配列を表す。
[配列番号 1 1] 参考例 1の PC Rに用いたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号 12] 参考例 1の PC Rに用いたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号 13] マウス型 d j 287 G 14. 2レセプター Aのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号 14] マウス型 d j 287 G 14. 2レセプター Aをコードする
DN Aの塩基配列を表す。
ほ己列番号: 15] マウス型 d 287 G 14 2レセプター Bのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 16] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Bをコードする DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 1 7] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Cのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 1 8] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Cをコードする DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 19] マウス型 d 287 G 14. 2レセプター Dのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 20] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Dをコードする DN Aの塩基配列を表す。
己列番号: 21] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Eのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 22] マウス型 d 287 G 14. 2レセプター Eをコードする
DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 23] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Fのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 24] マウス型 d 287 G 14. 2レセプター Fをコードする DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 25] マウス型 d 287 G 14. 2レセプター Gのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 26] マウス型 d 287 G 14. 2レセプ夕一 Gをコードする DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 27] マウス型 d 287 G 14. 2レセプタ一 Hのアミノ酸配 列を表す。
[配列番号: 28] マウス型 d 287 G 14. 2レセプター Hをコードする DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 29] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 30] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 31] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 32] 実施例 6で用いたプライマ —の塩基配列を表す。
[配列番号 33] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 34] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 35] 実施例 6で用いたプライマ —の塩基配列を表す。
[配列番号 36] 実施例 6で用いたプライマ一の塩基配列を表す。
[配列番号 37] 実施例 6で用いたプライマ —の塩基配列を表す。
己列番号 38] ヒト EDG— 1レセプ夕一のアミノ酸配列を表す。
[配列番号 39] ヒト EDG— 1レセプ夕一のアミノ酸配列をコ一ドする c
DN Aの塩基配列を表す
[配列番号: 40 ヒト EDG— 2レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 41 ヒト EDG— 2レセプターのアミノ酸配列をコードする c
DN Aの塩基配列を表す。
己列番号: 42 ヒト EDG— 3レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 43 ヒト EDG— 3レセプターのアミノ酸配列をコードする c
DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 44 ヒト EDG— 4レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 45 ヒト EDG— 4レセプターのアミノ酸配列をコードする c DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 46 ヒト EDG— 5レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 47 ヒト EDG— 5レセプ夕一のアミノ酸配列をコードする c
DN Aの塩基配列を表す
[配列番号: 48 ヒト EDG— 6レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 49 ヒト EDG— 6レセプ夕一のアミノ酸配列をコードする c DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号:' 50 ヒ卜 EDG— 7レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 51 ヒト EDG— 7レセプ夕一のアミノ酸配列をコードする c
DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 52 ヒト EDG— 8レセプターのアミノ酸配列を表す。
[配列番号: 53 ヒト EDG— 8レセプ夕一のアミノ酸配列をコードする c DN Aの塩基配列を表す。
[配列番号: 54 実施例 7で用いたヒト EDG— 1レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 55 実施例 7で用いたヒト EDG— 1レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 56 実施例 7で用いたヒト EDG— 1レセプター用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 57 実施例 7で用いたヒト EDG— 2レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 58 実施例 7で用いたヒ卜 EDG— 2レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 59 実施例 7で用いたヒト EDG— 2レセプ夕一用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 60 実施例 7で用いたヒト EDG— 3レセプ夕一用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 61 実施例 7で用いたヒト EDG— 3レセプ夕一用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 62 実施例 7で用いたヒト EDG— 3レセプ夕一用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 63 実施例 7で用いたヒト E D G— 4レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 64 実施例 7で用いたヒト E D G— 4レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 65 実施例 7で用いたヒト EDG— 4レセプター用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 66 実施例 7で用いたヒト EDG— 5レセプ夕一用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 67] 実施例 7で用いたヒト ED G— 5レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 68] 実施例 7で用いたヒト E D G— 5レセプター用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 69] 実施例 7で用いたヒト EDG— 6レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 70] 実施例 7で用いたヒト EDG— 6レセプ夕一用プライマ一 の塩基配列を表す。
[配列番号: 71] 実施例 7で用いたヒト EDG— 6レセプター用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 72] 実施例 7で用いたヒト EDG— 7レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 73] 実施例 7で用いたヒト EDG— 7レセプ夕一用プライマ一 の塩基配列を表す。
[配列番号: 74] 実施例 7で用いたヒト EDG— 7レセプター用プローブの 塩基配列を表す。
[配列番号: 75] 実施例 7で用いたヒト EDG— 8レセプター用プライマ一 の塩基配列を表す。
[配列番号: 76] 実施例 7で用いたヒト EDG— 8レセプター用プライマー の塩基配列を表す。
[配列番号: 77] 実施例 7で用いたヒト EDG— 8レセプ夕一用プローブの 塩基配列を表す。 実施例
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、 これは本発明の範囲を 限定するものではない。 実施例 1
この実施例においては、 ヒト成人正常脳由来の mRNA試料を用い、 TaQM
an法によって、 この試料中の、 標的 Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシン リン酸化酵素型レセプター、 イオンチャネルなどのファミリ一に属する遺伝子由 来 m R N Aの有無及びその産生量を定量し、 標的 G夕ンパク質共役型レセプ夕一 、 チロシンリン酸化酵素型レセプター、 イオンチャネルなどのファミリ一に属す る遺伝子の発現レベルを解析する。 本例においては、 384穴プレートを用いて 、 1 9 2種の標的 Gタンパク質共役型レセプター、 チロシンリン酸化酵素型レセ プター、 イオンチャネルなどのファミリーに属する遺伝子の発現を解析する。 標 的 GPCR遺伝子として、 例えば ORL; M M2; M3; M4; M5; A" A2A; A2B; A" αΙΑ; a IB; a ID; a2A; o;2B; a2C; ;81; /32; /33 ; ATI; AT2; BB1;
BB2;bb3; Β,; B2; CB1;CB2; CCR1; CCR2; CCR3; CCR4; CCR5; CCR6; CCR7;
CCR8; CCR9; CCRIO; CXCRl; CXCR2; CXCR3; CXCR4; CXCR5; CX3CR1; XCR1; C3a; C5a; fMLP; GCK,; CCK2; CRF,; CRF2; Dl; D2; D3; D4; D5; ETA; ETB; GAL1; GAL2; GAL3; mglu,; mglu2; mglu3; mglu mglu5; mglu6; mglu7; mglu8; FSH; LSH; TSH; Hj; ¾; H3; H4; 5-HT1A; 5-HT1B; 5-HT1D; 5-ht]B; 5-ht1F;5-HT2A; 5- HT2F; 5- HT2C; 5 - HT3; 5- HT4; 5-ht5A; 5 - ht5B; 5-HT6; 5-HT7; BLT: CysLT,; CysLT2 ; edgl; edg2; edg3; edg4; MC,; MC2; MC3; MC4; MC5; MT^ MT2; MT3 ;Y Y2; Y4; Y5; Y6; NTS1; NTS2; DOP; KOP; MOP; NOP; P2Y,; P2Y2; P2Y4; P2Y6; P2Y„; P2Y12; PPAR- ; PPAR-/3; PPAR-r ; DP; FP; IP; TP; EP!; EP2; EP3; EP4; PARI; PAR2; PAR3; PAR4 ; sst sst2; sst3; sst4; sst5 ;魔 NK2; NK3; TRH,; TRH2; VPAC,; VPAC2; PAC,; Vla; Vlb; V2; OT; Na+チャネル (タイプ I; タイプ 11/タイプ IIA; タイプ III; SCLll/NaG; PN1; NaC 6; NaDRG; SkMl/^l, SkM2) ; K+チャネル (Kv; EAG; KQT; IRK; ROMK; GIRK; KATP等) ; Ca2+チャネル ( alG; a IE; alS: alC; a ID; a IB; alA; IP3; リアノジンレセプ夕一など ) ; C 1—チャネル (GABAA; GABAc; グリシンレセプター; CICO; C1C1; CFTRな ど) ;非選択性カチオンチャネル ( ChR; 5-HT3; NMDA; AMPA; P2XATP; CNGなど ) などから選択される。 '
(1 ) 試料
増幅は、 以下の試料を用いて行う。
まず、 hORLl mRNA (配列番号 1 : hGPCR mRNAの一種、 G e nB ankァクセッション番号 X77130) 用試料の調製について記載す る。
(hORLl mRNA定量用試料)
hORL 1ポジティブコントロール cDN Aの連続希釈溶液。
25 n gのヒト成人正常脳由来の全 RNA。
本件のヒト成人正常脳は、 hORLl mRNAを発現することが知られてい る。
(hORL 1 mRNA定量用増幅プライマーおよび検出プローブ)
hORL 1 mRNAの領域の増幅は、 上流プライマー M— 572 F (配列番 号: 2) および下流プライマー M— 714R (配列番号: 3) を用いて行った。 上流プライマー M— 572 Fは、 hORLl mRNA内の 749— 771位の 相補配列にハイブリダィズし、 下流プライマ一 M— 714Rは、 hORLl m RNA内の 869 - 891位の配列にハイブリダィズする。 これらのプライマー により、 完全長の hORL 1 mRNA配列の一部を含む、 143塩基対の生成 物が増幅される。
検出は、 M— 658 T (配列番号: 4) を用いて行う。 このプローブは、 hO RL 1 mRNA内の 835— 860位の相補配列にハイブリダィズする。
T a QM a n形式での検出を可能にするために、 前記プローブ M— 658 Tは 、 5' 端をフルォレセイン型の蛍光色素 (FAM:リポーター) で、 3' 端を口 ーダミン型の蛍光色素 (TAMRA:クェンチヤ一) で標識する。
標識したプローブは、 ハイブリダィズしない状態の場合には、 蛍光共鳴エネル ギ一の移動現象により、 リポーターの蛍光は抑制される。 DNAポリメラーゼに よる前記プローブの伸長を、 増幅の間防ぐために、 前記プローブの 3' 末端はリ ン酸ブロックで合成する。
(hORL 1 mRNA以外の標的 mRNA定量用試料)
上記 hORLl mRNAの場合と同様にして、 残りの 191種の標的 mRN A定量用試料を調製する。
(2) 増幅
各々の PCR増幅は、 TaqMan (商標) EZ T-P CR K i t (ァ プライドバイオシステムズジャパン株式会社) を用いて、 20 1の合計反応液 量で行う。 最終試薬濃度を以下の様にする:試料遺伝子、 5 OmM B i c i n e、 pH8. 2、 115mM K〇Ac、 0. 01mM EDTA、 60 nM R OX、 8 % (W/V) グリセロール、 3mM Mn (OAc) 2、 300 d ATP, dGTP, dCTP、 600 iM dUTP、 900 nM 各プライマ一 、 250 nM プローブ、 0. 5ユニット Amp E r a s e UNG、 5ュニッ ト rT t h DNAポリメラーゼ。
増幅反応は、 AB I PR I ZM (商標) 7900 HT配列検出システム (ァ プライドバイオシステムズジャパン株式会社) を用い、 下記のような温度周期プ ロフアイルで増幅反応を行う。
サーマルサイクリングの時間及び温度
反応前のインキュベーション: 50°Cで 2分間、 逆転写: 6 Ot:で 30分間、 不 活性化: 95 で 5分間、 変性 ·ァニール/伸長: 40サイクル: 94°Cで 20 秒間、 62でで1分間。
(3) 定量的 TaQ Man解析
T a QMa n反応において、 増幅の間に、 前記 D N Aポリメラーゼの 5, →3 ' ェキソヌクレア一ゼ活性により、 前記標的配列にハイブリダィズするプローブ は 5' 末端から加水分解される。 その結果、 リポーター蛍光色素は遊離し、 蛍光 強度が増加する。
増幅生成物の蓄積は、 反応液中のリポーター蛍光色素の蛍光強度の増加を測定 することによって測定する。 また同時に、 反応液の実験誤差補正用の蛍光リファ レンス (蛍光色素: ROX) の蛍光強度も測定する。 各々の増幅サイクルの間、 前記リポーター蛍光色素およびリファレンス蛍光色素は、 その最大の励起に近い 波長の光で励起し、 そして前記リポーター蛍光色素およびリファレンス蛍光色の 発光は、 その発光の最大付近で測定される。 これらの周波数は、 AB I PR I ZM (商標) 7900HT配列検出システムであらかじめ決定され、 別の検出機
器を使用したならば、 適当な周波数を選択すべきである。
蛍光測定値は、 7900HT SDSソフトウェア (アプライドバイオシステ ムズジャパン株式会社) により解析した。 まず、 リポーター蛍光色素の蛍光強度 をリファレンス蛍光色素の蛍光強度で標準化し、 標準化リポーターシグナル (R n) を算出した。 更に、 Rnから PCR初期サイクルのサイクルの間で比較的一 定な Rnの平均値 (ベースライン) を差し引いた値を ARnとする。 サイクル数 に対して ARnをプロットした増幅曲線上で、 増幅産物の指数関数的増幅に相当 する蛍光シグナル (ARn) の増加を解析アルゴリズムが初めて検出したサイク ル数を丁11 € 3110 1 1 Cyc l e (CT) とする。 具体的には、 この CTを 決定するために、 増幅産物の指数関数的増幅に至っていないと考えられる PCR 初期サイクル (3— 15サイクル) をベースラインとして、 このサイクル内の平 均 ARnの標準偏差を計算した。 次にこの標準偏差を 10倍した値を Th r e s h o 1 dと定義し、 各増幅曲線上でこの Th r e s h o 1 dの値に相当するサイ クル数を CTとする。
増幅産物の指数関数的増幅期の間、 CTは最初の標的コピー数の対数に比例す る。 後期のサイクルにおける増幅生成物の蓄積は反応を阻害し、 そしてついには 反応のプラ 1 ^一をもたらす。
(5) 結果
hORL lmRNA定量用の各試料から、 例えば、 次のような CT値が得られ る。 各 CT値は、 複数回 (例えば 4回) の反応から得られる平均値を表わす。
(コントロール試料) (CT値)
106コピーの h OR L 1ポジティブコントロール 2 1. 1、
105コピ一の h OR L 1ポジティブコントロール 24. 4、
104コピーの h OR L 1ポジティブコントロール 27. 5、
103コピーの h OR L 1ポジティブコントロール 30. 8、
102コピーの h〇RL 1ポジティブコントロール 33. 9、
0 コピーの hORL 1ポジティブコントロール 40. 0。
(ヒト成人正常脳由来の試料) (CT値)
25 n gのヒト成人正常脳由来の全 RNA 27. 2 検量線は、 既知量の hORL l cDN Aポジティブコントロールの鎳型 (標 準サンプル) の増幅から得た CT値から導かれる。 具体的には標準サンプルの初 期既知量 (対数値) に対して CTをプロットし、 検量線を作成する。 近似曲線に は CT= (Lo [DNA] τ一 Log [DNA] 0) /Lo g (1 + e) (ここで 、 [DNA] 。は標的テンプレートの初期濃度であり、 [DNA] τは CTサイクル 時の増幅産物の濃度であり、 eは平均増幅効率であり、 そして Lo g (X) は X が 10の底を表す対数である) の一次方程式を用い、 7900HT SDSソフ 卜ウェアにより、 パラメーターを定める。
前記のコントロール試料から得た CT値から、 以下の検量線が得られる: CT=40. 83 -3. 307 * L o g [DNA] 。
前記ヒト成人正常脳由来の試料の投入時のコピー数の計算は、 既知のコント口 一ルの錶型から作製した検量線を用いて行う。 mRNAの濃度は、 計算したコピ —数を試料のサイズで割ることで得られる。
上述した標準曲線を用いて、 hORL l mRNAの濃度 (全 RNAの ng当 たりの hORL l mRNAのコピー数) を、 前記の組織試料に対して計算する と、 次の結果が得られる。 計算した hORL l濃度 (コピー数ノ ng)
(試料) hORL 1濃度
25 n gのヒ卜成人正常脳由来の全 RNA 1. 04 * 103 以下、 同様にして、 他の標的 Gタンパク質共役型レセプター、 チロシンリン酸 化酵素型レセプター、 イオンチャネルなどのファミリ一に属する遺伝子 mRNA の産生量が定量される。 そして、 全ての標的 Gタンパク質共役型レセプター、 チ 口シンリン酸化酵素型レセプ夕一、 イオンチャネルなどのファミリーに属する遺
伝子 mRNAの産生量を比較することによって、 ヒト成人正常脳における各標的 Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリン酸化酵素型レセプター、 イオンチ ャネルなどのファミリーに属する遺伝子の発現量を解析する。 実施例 2 前立腺癌細胞における d j 287 G 14. 2の発現解析
(細胞および培地)
P r ECは宝酒造から購入した。 LNC aP— FGCは大日本製薬から購入し た。 PC— 3および Du 145細胞は AT CCから購入した。 Pr ECは前立腺 上皮細胞培地キット (宝酒造) を用いて培養した。 LNCaP— FGCは 10% FC Sを含む RPM I— 1640 (Invitrogen社) で、 PC— 3および Dul 4 5細胞はそれぞれ 10% FCSを含む Hams F 12 K (Invitrogen社) 、 10% FCS、 2mM L一グルタミン、 Eag l e BSS、 非必須アミノ酸 をカロえた Mini mum essential medium Eagle (レずれも Invitrogen社) で培養した
(RNAの抽出および c DNA合成)
それぞれの細胞をプレコンフルェントになるまで培養した。 細胞を 0. 25% トリプシン— ImM EDTA (Invitrogen社) ではがし細胞数を測定した後、 RNeasy mini KIT (QIAGEN社) のマニュアルに従って全 RNAを抽出精製した。 抽出した RNAは Superscript II (Invitrogen社) のマニュアルに従って first strand cDNAを合成し、 エタノール沈殿後下記のように溶解して用いた。
(T a qMa nを用いた定量)
合成した c DNAは 1 OmgZm 1 RNA相当になるように TEに溶解した 後、 50 g/m 1の酵母 t RNAを含む TEに 6. 67ng// lになるよう に希釈した。 希釈した cDNA溶液 3. 75^ 1 (25 n gの RNAに相当) に 対し、 増幅反応試薬は、 TadMan (商標) Universal PCR Master Mix (アプライド バイオシステムズジャパン株式会社) 、 TaQMan (商標) Probe Kit (アプライドバ ィォシステムズジャパン株式会社) を用い、 15 ^ 1の合計反応液量に調製した
。 各プライマー、 プローブはヒト型 d j 287G14. 2レセプターの塩基配列 からソフトウェア Primer Express (アプライドバイオシステムズ社) を使用して デザインした配列番号: 5— 7で表されるものを用い、 最終濃度はマニュアルに 従った。
TaaMan (商標) PCRは、 ABI PRISM (商標) 7900HT配列検出システム (アプライ ドバイオシステムズジャパン株式会社) で行い、 使用した温度周期は TaqMan (商 標) Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズジャパン株式会社 ) のマニュアルに従った。
増幅生成物の定量的 T a QM an解析は、 7900HT SDSソフトウェア (アプライ ドバイオシステムズジャパン株式会社) を用いて行った。 コピー数はヒト型 d j 287 G 14. 2レセプ夕一の塩基配列 (配列番号: 8) をもとに設計したブラ イマ一増幅領域を含む配列番号: 10で表される cDNAを standardとして求め た。
図 1にそれぞれの細胞株における d j 287G14. 2の発現を示す。 実施例 3 d j 287 G 14. 2レセプターの mRNAのヒト組織での発現量 mRNAの発現量の定量には ABI PRISM 7900HT (アプライドバイオシステムズ 社) を使用した。 ヒト型 d j 287G14. 2レセプターの塩基配列から定量に 用いるプライマーとプローブは、 実施例 2と同じものを使用した。 サンプルとし て使用する cDNAは、 ヒト各種組織由来の polyA+RNA (クロンテック社) 1 gからランダムプライマ一を用いて逆転写反応した。 逆転写酵素 SuperScriptll (GIBCO BRL社) を使用し、 添付のプロトコ一ルにしたがって反応させ、 ェタノ —ル沈殿して 100 1の TEに溶解した。 定量のための反応液は TadMan Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ社) のプロトコールに したがって、 プライマー (0. 9 M) 、 プローブ (0. 2 5 M) 、 サンプル cDNAを 0. 5 1を反応液に加えて 1ゥエルあたり 20 1として調製した 。 ABI PRISM 7900HTでの反応は、 50°C (2分) 、 95°C (10分) 後、 95°C (15秒) 、 6 O : (1分) のサイクルを 40回行なった。
ヒト各種組織での d j 287 G 14. 2レセプター mRNAの発現分布を図 2
に示す。 胎盤、 肝臓などで高い発現量が観察された。 参考例 1 ヒト前立腺ガン由来細胞株 LNCAPの cDNAからの PCR法によ る d j 287G14. 2レセプター遺伝子の取得
ヒト前立腺ガン由来細胞株 LNCAPの cDNAを铸型として、 以下の 2種類 の合成 DNAを用いて、 PCRによる増幅を行った。
F 1: 5'-CTCGAGATGATGTTTCGCTCAGATCGAATGTGG-3' (配列番号: 11)
R 1: 5'-GCTAGCTCAGCATGGGCCAGTTTTGACAAGGAC-3' (配列番号: 12)
PCRの反応液は cDNA溶液 1 X 1、 0. 5 1 F 1 (10 ^Μ) , 0. 5 i l Rl (10 / M) , 2. 添付の 10 X反応液、 2. 5 1 d Ν
TP (10 mM) 、 0. 5 1 ExT a q (宝) 、 17. 5 1 大塚蒸留水を 加えて合計 25 1にした。 反応液を、 ThermalCycler960Pを用いて PCR反応 にかけた。 ?〇1 の条件は95 :、 2分の変性の後、 98°C ' 10秒、 63°C · 20秒、 72°C · 180秒のサイクルを 35回繰り返した。 PCR産物の一部を 用いて電気泳動で約 3700 b pの P CR産物の増幅を確認した後、 P CR産物 を QIAGEN PCR purification Kitを用いて精製し、 T Aベクター (pCR2.1T0P0) にサブクローニングした後、 配列決定を行ったところ図 3〜4で示す配列 (配列 番号: 8) が得られた。 図 3〜4の DNA配列から予測されるアミノ酸配列は図 5〜8 (配列番号: 9) に示すものであった。 実施例 4 植物レクチンによる、 d j ZGFP発現 CHO細胞の c AMP産生上 昇活性
参考例 1で得た (1J287G142と GFPの融合タンパク質を安定的に発現する CH 0細胞株である CHO- dJ287G14.2-GFPを実験に用いた。 CH0_dJ287G14.2-GFP細胞ま たは pAKKO- 111Hをトランスフエクシヨンした mock CHO細胞を 2 X 10ゾ w e 1 1の濃度で 96ゥエルプレートに徴いて一晩培養後、 c AMP産生量の測定に用 いた。 アツセィ用バッファ一として HB S S (Hank' s balanced salt solution, Gibco) に 0. 1%ゥシ血清アルブミン、 0.2mM 3-Isobutyl-l-methylxanthine ( IBMX, Sigma) を添加したものを用いた。 アツセィバッファーで細胞を 2回洗浄
し、 37 で 30分プレインキュベーションした。 細胞を 2回洗浄した後、 アツ セィバッファ一に希釈したレクチンなどのサンプルを細胞に添加して 30分間ィ ンキュベ一シヨンした。 培養上清を捨てて、 cAMP Screen System (AB I) によ つて c AMP産生量を測定した。 その結果、 図 9に示す通り CHO- (1J287G14.2- GFP において Co nA (コンカナパリン A, Wako) 、 Lentil Lectin (レンズマメレ クチン, Wako) 、 Pea Lectin (エンドゥマメレクチン, Wako) を添加することに より濃度依存的な cAM P産生上昇が認められた。 一方、 図 10に示す通り、 コ ントロールとなる mock CHO細胞においては上記のレクチン添加によって c AMP 産生上昇は認められなかった。 実施例 5 CHO細胞に発現させた dJ287G14.2— GFP融合タンパク質のコンカナ バリン A添加による細胞内への移行
(3J287G14.2の C末端に翻訳のフレーム合わせてォワンクラゲより単離された Green Fluorescent Protein (GFP) c DNAをつないだ融合タンパクを発現 させるための発現プラスミドを構築した。 その際 GFP cDNAには GFPの 発現ベクター PQB I 25 (宝酒造) から切り出した断片を用いた。 (3J287G14.2 は PCR法によりその終止コドンを制限酵素 Xb a Iの認識配列に修正し、 ここ に GFP断片を連結して、 実施例 1に記載の発現べクタ一 pAKKO— 111H に挿入した。 その結果、 (1J287G14.2と GFPの融合タンパク(以下、 dJ287G14.2 - GFP)発現ベクターのプラスミド が構築できた。 次にこの dJ287G14.2-GFP 発現べクタ一のプラスミドを、 ジ一ントランスファー (和光純薬) を用いて CH Odh f r—細胞に導入した。 その 2日後に選択培地に置き換えて増殖してきた 形質転換体から G F Pの発現を指標として細胞を選別し、 (3J287G14.2と G F Pの 融合夕ンパク発現 C H O細胞株 C H 0-dJ287G14.2-GFPを樹立した。
(3J287G14.2— GFP融合タンパク質の細胞内での発現局在は、 この CHO—
(1J287G14.2— GFPを L ab— Te kllカバ一グラスチェンバー (N a 1 g e n Nun c社) にまき、 37° (:、 5 %C02条件下で一晩培養した後に、 共焦点顕 微鏡観察用培地 [Hank s' B a l an c e d S a l t S o l u t i on ( G I BCO BRL社) ] に置き換え、 共焦点顕微鏡 (ライカ社) で GFPの蛍
光像を観察した。 また共焦点顕微鏡観察用培地にナタマメ由来のレクチン、 コン カナパリン A (Con A, 和光純薬) を 6 Ο g/mlの濃度で添加した培地に 置き換え 37 °C条件下で 2時間反応させた細胞も観察した。 その際、 GFPの励 起は 488 nMで行った。
その結果、 dJ287G14.2— GFP融合タンパクが細胞膜に発現していることが観察 された (図 11) 。 この細胞を Co nAを添加した培地で 2時間培養すると、 G FPの蛍光が細胞膜ではなく、 細胞質に移動していることが見出された (図 12 ) 。 これらのことは (1J287G14.2が細胞膜に発現する Gタンパク質共役型のレセプ ターであるとともに、 287614.2が( 011八に反応して細胞質へ移行、 すなわち C o n Aによりインタナリゼ一シヨンしたことを示していた。 実施例 6 マウス d j 287G14. 2 カウンタ一パートのクローニング セレラ■マウスゲノムデータベースを用いて、 マウス d j 287 G 14. 2を コードしているェクソンを探しだし、 この配列を元にして翻訳領域を増幅するプ ライマ一、 5' RACE用、 3, RACE用プライマーを作製した。 翻訳領域の 増幅はプライマ一 (配列番号 29, 30, 31, 32) と铸型としてマウス脾臓 、 肺、 14日目胎児 cDNA (Ma r a t hon- r e ady cDNA, C l on t e c h社) 、 Py r oBEST DNA p o 1 yme r a s e (TA KARA) を用いて PC Rを行った。 3, RACEの増幅は遺伝子特異的プライ マー (配列番号 33, 34) と鐯型としてマウス脾臓 c DNA (M a r a t h o n— r e ady c DNA; 、 Adv an t ag e— 2 p o l yme r a s e mi x (C 1 o n t e c h社) を用いて行った。 5 ' RACEの増幅は o 1 i g o— c a p法を用いて遺伝子特異的プライマー (配列番号 35, 36, 37) と 鍩型としてマウス胎盤 cDNA (Cap s i t e cDNA dT Mou s e P l a c en t a, NI PPON GENE 社) 、 Ge ne T a q NT (N I PPON GENE社) を用いて行った。 これらの結果から、 マウ ス d j 287 G14. 2は第 1ェクソンのドナー部位からから第二ェクソンのァ クセプター部位へのつながり方によって N末端の配列が異なる二種類が存在し、 さらに第六ェクソンをスキップしているもの、 第 2
末端のアミノ酸配列が変化しているものが存在し、 総アミノ酸残基数 1 1 65〜 1258アミノ酸残基からなるマウス d j 287 G 14. 2 (配列番号: 13、 15、 17、 1 9、 2 1、 23、 25、 27) をコードする OR F (配列番号: 14、 16、 1 8、 20、 22、 24、 26、 28) が得られた。 実施例 7 血管細胞における Gタンパク質共役型レセプター E D Gファミリーの mRNAの発現
定量のヒト正常冠状動脈血管内皮細胞、 ヒト正常冠状動脈血管平滑筋細胞、 ヒ ト正常大動脈血管内皮細胞、 ヒト正常大動脈血管平滑筋細胞 (旭テクノグラス社 より購入) から、 I s o g e n (二ツボンジーン社) のマニュアルにしたがって t o t a l RNAを調製した。 RNA1 gから逆転写酵素として S u p e r S c r i p t I I逆転写酵素 (G I BCO BRL社) を用い、 添付のマ二ユア ルに従って 42°Cで反応を行い、 反応終了後にエタノール沈殿して TEに溶解し た (RNA 100 n g/ l相当) 。 ED Gファミリ一の mRNA発現量は S e q u e n c e De t e c t i on Sy s t em P r i sm 7900 H Tシステム (アプライドバイオシステムズ社) を用いて定量した。 それぞれのレ セプター発現量定量のために、 それぞれのレセプ夕一を特異的認識する T a QM a nプローブおよびプライマーを P r i me r Exp r e s s (PE App 1 i e d B i o s y s t e m s社製ソフトウェア一) を用いて設計し合成した 。 EDG— 1の検出用には 5'- CCACCGACCCATGTACTATTTT -3' (配列番号: 54) , 5'-TGTAGGCTACTCCTGCCAACAG -3' (配列番号: 55 ) および TadMan probeとし T5' - (Fam) - TTGGCAATCTGGCCCTCTCAGA - (Tanira) -3' (配列番号: 56) を、 ED G— 2検出用には 5'- ACTGTCAGCACATGGCTCCTT -3' (配列番号 : 57) , 5'- ACCGTAATGTGCCTCTCGATT -3' (配列番号: 58 ) および TatiMan probeとして 5' - (Fam) - ATTGACACCAGCCTGACGGCAT -(Tamra) -3' (配列番号: 59) を、 EDG- 3検出用には 5'- CCGTGCTCTTCTTGGTCAT - 3' (配列番号 60) , 5'- CCAGATGGCAATCAAAACC -3' (配列番号: 6 1) および TaqMan probeとして 5' - (Fam) - TGCAGCTTCATCGTCTTGGAGAACCT - (Tamra) -3' (配列番号: 62) を、 ED G— 4検出用には 5'- CCTGGTCAAGACTGTTGTCATC-3' (配列番号: 63) , 5' -
CAGGACATTGCAGGACTCA -3' (配列番号: 64) および TaaMan probeとして 5' - (Fam)- TGGTACTGCTCCTGGATGGTTTAGGCT - (Tamra) -3' (配列番号: 65) を、 ED G— 5検出用には 5'- CCAACMGGTCCAGGAACA - 3' (配列番号: 66) , 5'- AGGTTTTCCACCACAATGG -3' (配列番号: 67 ) および TaaMan probeとして 5' - (Fam) - AATTATACCAAGGAGACGCTGGAAACGC - (Tamra) -3 ' (配列番号: 68) を、 E DG— 6検出用には 5'- GAACTGCCTGTGCGCCTTT-3' (配列番号: 69 ) , 5'- CCATAGAGGCCCATGATGGT -3' (配列番号: 70 ) および TaaMan probeとして 5' - (Fam) - TCTGCCCCTCTACTCCAAGCGCTACATC- (Tamra) -3' (配列番号: 71) を、 ED G— 7検出用には 5'- TGACTGCTTCCCTCACCAA - 3' (配列番号: 72) , 5'- GCATCCTCATGATTGACATGTG -3' (配列番号: 73 ) および TaqMan probeとして 5' - (Fam) - TTGCTGGTTATCGCCGTGGAGA- (Tamra) -3' (配列番号: 74) を、 また EDG 一 8検出用には 5'- CTTGCTCCACTGTCTTGCC-3' (配列番号: 75) , 5'- TAGAGTGCACAGATCGCGG -3' (配列番号: 76 ) および Ta an probeとして 5' - (Fam) - CTCTACGCCAAGGCCTACGTGCTCTTCT- (Tamra) -3' (配列番号: 77) をそれぞ れ使用した。
定量のための反応液は T a qM a n Un i ve r s a l PGR Ma s t e r M i x (アプライドバイオシステムズ社) のマニュアルに従い、 それぞれ の Gタンパク質共役型レセプターのプライマー (0. 9 LtM) 、 プローブ (0. 25 μ,Μ) 、 cDNAを t o t a l RNA25 n g相当加えて調製した。 PCR 反応は 50°C · 2分、 95 °C · 10分の後、 95°C · 15秒、 60°C · 1分のサ イクルを 40回繰り返した。 その結果、 ヒト正常冠状動脈血管内皮細胞、 ヒト正 常大動脈血管内皮細胞では E D G一 1がそれぞれ 1, 676, 305コピー Z 2 5 n g t o t a l RNA, 1 , 0 17, 396コピー/ " 25 n g t o t a 1 R NAと定量した 354種の Gタンパク質共役型レセプターのうちで最も高い発現 量を示した。 一方ヒト正常冠状動脈血管平滑筋細胞トヒト正常大動脈血管平滑筋 細胞では EDG— 2がそれぞれ 148, 922コピー/25118 t o t a 1 R NA、 310, 544コピーノ 25 ng t o t a 1 RNAとやはり定量した 3 54種の Gタンパク質共役型レセプターのうちで最も高い発現量を示した。 ED G— 3, 4, 5, 6, 7および 8は EDG— 1あるいは EDG— 2に比べるとか
なり発現量が少なかった。 これらの結果は E D G— 1に対するァゴニスト, アン 夕ゴニス卜のスクリーニングには血管内皮細胞を、 また E D G— 2に対するァゴ ニスト, アン夕ゴニス卜のスクリーニングには血管平滑筋細胞を用いるのが適し ていることを示すものであった。 産業上の利用可能性
本発明の解析方法及び定量キットによれば、 多種類の mR NAを含む試料につ いて、 標的 mR NAの有無及びその転写量を一度の処理で高感度で検出すること ができるシステムが提供できる。 したがって、 本発明によれば、 標的遺伝子の発 現解析を高感度で迅速に行うことができるシステムを提供することができる。 また、 標的 mR NAとして複数の Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリ ン酸化酵素型レセプター、 イオンチャンネルなどのファミリーに属する遺伝子 m R NAを選択することによって、 Gタンパク質共役型レセプ夕一、 チロシンリン 酸化酵素型レセプター、 イオンチヤンネルなどのファミリーに属する遺伝子等に 関連する疾病遺伝子の特定を迅速かつ高感度に行うことができる。
また、 本発明の診断方法によれば、 患者から採取した mR NA試料を用いて、 患者が罹患している疾患を高精度に診断することができる。
本発明のレセプタ一タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩、 または本発 明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドをコードする D N Aは、 前 立腺癌、 およびその他の癌 (非小細胞癌、 卵巣癌、 胃癌、 膀胱癌、 乳癌、 子宮頸 部癌、 結腸癌、 直腸癌、 大腸癌等) 、 前立腺肥大症、 男性性腺機能障害、 不妊、 早産、 分娩誘発剤、 子宮内膜症、 肝硬変、 肝炎、 肝不全、 結石などの予防及び z 又は治療薬として有用である。
また、 本発明のレセプタータンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩とリガ ンドの 1つである糖鎖に親和性を示すタンパク質 (例、 レクチン) とを用いるこ とによって、 該リガンドと本発明の dJ287G14. 2レセプター、 その部分ペプチドま たはその塩との結合性を変化させる化合物を効率良くスクリーニングすることが できる。
さらに、 血管内皮細胞を用いることにより E D G 1レセプターァゴニスト ·ァ
ン夕ゴ二ストを、 血管平滑筋細胞を用いることにより EDG 2レセプ夕一ァゴニ スト ·アン夕ゴニストを効率良くスクリーニングすることができる。