WO2000070615A1

WO2000070615A1 - Cassette a ruban magnetique et procede de traitement antistatique de feuilles utilisees pour celle-ci

Info

Publication number: WO2000070615A1
Application number: PCT/JP2000/003071
Authority: WO
Inventors: Takanobu Nakane; Kiyoo Morita; Kazuo Hiraguchi
Original assignee: Fuji Photo Film Co., Ltd.
Priority date: 1999-05-14
Filing date: 2000-05-12
Publication date: 2000-11-23
Also published as: EP1182658A1; CN1350687A; JP2000322864A; KR20020000644A

Description

明細書磁気テープカセットおよびこれに用いられるシートの帯電防止処理方法技術分野

本発明は、磁気テープカセットに係り、特に磁気テープの走行位置を確実に規制する磁気テープカセット、また磁気テープの走行位置を調整するために磁気テープの巻取ハブを改良した磁気テープカセット、また磁気テープの巻取ハブへの巻回位置規制を定めた磁気テープカセット、またカセッ卜サイズを変えずに磁気テープの巻き込みエリアを拡大した磁気テープカセッ卜に関する。

また、本発明は、複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填使用するのに適した磁気テープカセッ卜の構造に関する。

さらに、本発明は、磁気テープカセットに用いられるカセットケースと磁気テープとの間に介在させるシート（フリクションシート）の帯電防止処理方法に関する。背景技術

従来より、デジタル信号を高密度で記録することができる小型軽量の磁気テープカセットが知られている。例えば、コンピュータのデジ夕ルデ一夕を記録するための小型の磁気テープカセットとして D D S (デジタルデータストレージ）が知られているし、音楽などをデジタルデータとして記録するための小型の磁気テープカセットとして D A T (デジタルオーディオテープ）が知られている。

周知のように、磁気テープカセットは、長尺の磁気テープを巻取ハブに巻回し (巻き掛け）、この磁気テープを巻回した巻取ハブを回転可能にカセットケース内に収納しているものである。なお、フランジなしリールを使用した磁気テープカセット、特にオーディオテープカセットのようなカセット両面使用構造ではなレ例えば上述した D A T、 D D S等の磁気テープカセットは、上ハーフと、該上ハーフに結合されてケース本体を構成する下ハーフと、下ハーフの底面および側面に沿って摺動自在に嵌装されたスライダとを有し、カセットケース本体内に磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを回転可能に収納している。このような磁気テープカセッ卜において、磁気テープには高密度の記録が行われることから、特に磁気テープに対して手指が接触することや塵埃が付着することを防止するため、ケースの密閉性を向上させる必要がある。そのため、上ハーフには、磁気テープを露出する前面側を覆うために前蓋が設けられいるし、下ハーフの下面側はスライダによって覆われている。

例えば、 2リールタイプの磁気テープカセットの場合は、長尺の磁気テープの両端部をそれぞれ一対の巻取ハブに固定して、磁気テープを両端部からそれぞれの巻取ハブに巻回し、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合することにより構成したカセットケース内にこの磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを回転可能に収納して、この一対の巻取ハブの間の磁気テープを所定の経路を通って張架し、この一対の巻取ハブの間に張架された磁気テープの部分をテープデッキ等の記録再生装置（以下、記録再生装置という）の磁気ヘッドに対応する位置の磁気テープを張り出させ、この張り出し部分の磁気テープのみが外部に露出可能となるように構成されている。

このカセットケースから露出可能となる張り出し部分の磁気テープには、磁気テープの磁性層面に手指が接触したり塵埃が付着するのを防止するために、磁気テープを覆う閉位置と磁気テープを露出させる開位置との間を揺動し、閉位置に向かってばね付勢されている前蓋が上ハーフに設けられている。さらに、この磁気テープの張り出し部分の下側には、記録再生装置に磁気テープカセットを装填する際に記録再生装置のテープローディング装置が挿入されて磁気テープを磁気へッドに当接させるための開口部が下ハーフの前方下側に設けられており、この開口部を閉塞するスライダが下ハーフの底面に外側から前後方向に摺動可能に設けられており、このスライダによって、下ハーフの底面に設けられたリール軸揷入孔も同時に開閉可能となっていて、スライダは、常時、カセットの開口部およびリール軸挿入孔を閉塞する方向（前方向）にばね付勢されている。

このような磁気テープカセットを記録再生装置に装填する際には、磁気テープカセットを記録再生装置に装填する動作に連動して、記録再生装置内の機構により、スライダが後方に摺動するとともに前蓋が開位置に移動（回動）し、記録再生装置のテープローディング装置によって磁気テープの張り出し部分が、カセットケースから露出され、記録再生装置のテープ引き出しガイドで引っ張られ、磁気へッドに当接して、磁気テープが記録または再生可能な位置に配置される。そして、巻取ハブに底面から挿入された記録再生装置のリール軸（スピンドル）が回転して一方の巻取ハブに磁気テープを巻き取ることによって、他方の巻取ハブから繰り出された磁気テープが磁気へッドに当接して走行し、磁気テープに情報を記録し、あるいは磁気テープから情報を再生するようになっている。

ところで、磁気テープの走行時に磁気テープが上下動すると、磁気ヘッドに正しく当接せず、適正な記録 ·再生が行われず、また、他の故障の原因となる虞がある。従って、磁気テープの走行時における上下動を抑制し、磁気テープの走行位置の規制精度を向上させ、走行性の安定を図ることが重要である。

そこで、従来、磁気テープの走行位置を規制または調整するために、磁気テ一プカセットにおいても様々な工夫がなされている。

図 3 3に、このような磁気テープカセットの概略を斜視分解図で示す。

磁気テープカセットでは、図 3 3に示すように、主に、上ハーフ 3 1 0および下ハーフ 3 1 2とが蓋合わせ状に結合されてカセッ卜のケースとなる筐体を形作り、その間に一対の巻取ハブ 3 1 4 , 3 1 4に巻回され、張架された磁気テープ 3 1 6が上下にフリクションシート（以下、単に、シートともいう） 3 1 8、 3 2 0を介して収容される。

また、図示しないが、下ハーフ 3 1 2の外側下面には、カセットケースの防塵のため密閉性を高めるために、スライダが設置される。

上ハーフ 3 1 0には、カセット非使用時において、一対の巻取ハブ 3 1 4、 3 1 4間に張架された部分の磁気テープ 3 1 6 aを保護するため上ハーフ 3 1 0の前面に前蓋 3 1 0 aが支軸 3 1 0 bの回りに回動可能に設けられている。

シート 3 1 8、 3 2 0は、それぞれカセットの長手（図中左右）方向に 2本の賦形部 3 1 8 a、 3 2 0 aを有している。シート 3 1 8、 3 2 0は、巻取ハブ 3 1 4、 3 1 4が回転する際の摺動抵抗を下げ、回転を滑らかにするとともに、賦形部 3 1 8 a、 3 2 0 aにより磁気テープ 3 1 6を巻回した巻取ハブ 3 1 4 , 3 1 4を支えて、その高さ規制をする役割を果たしている。

下ハーフ 3 1 2の底面.3 1 2 aの長手方向（図中左右）の両端は、前方に突き出て、テープ出口部 3 1 2 bとなっており、そこには、磁気テープ 3 1 6を張架するように円筒状のテープガイド 3 1 2 cが立設されている。

図 3 3に示すように、磁気テープ 3 1 6を巻回した巻取ハブ 3 1 4、 3 1 4と上、下ハーフ 3 1 0、 3 1 2との間にシート 3 1 8、 3 2 0を介して磁気テープ 3 1 6を走行させる、フランジなしリールを用いた磁気テープカセットにおいては、磁気テープ 3 1 6の走行位置の高さ方向の位置規制をする方法として、従来以下のような方法が考えられている。

例えば、巻取ハブ 3 1 4、 3 1 4への磁気テープ 3 1 6の巻き付け位置で規制する方法やシート 3 1 8、 3 2 0の賦形部 3 1 8 a、 3 2 0 a (特に、デッキ側の磁気テープカセットを受け入れるドライブが平置きタイプの場合には、下ハーフ 3 1 2との間に配置されるシート 3 2 0の賦形部 3 2 0 a ) の賦形高さによつて位置規制をする方法がある。

また、以下のように磁気テープカセットの磁気テープの出口において位置規制をする方法もある。すなわち、例えば下ハーフ 3 1 2の底面 3 1 2 aの全面を肉厚にして、テープ出口部 3 1 2 b、 3 1 2 bのハーフ底面を肉厚にしたり、テープ出口部 3 1 2 b、 3 1 2 bにテープ位置規制用のリブ（凸形状）を設けたりして、これらの高さによって位置規制をする方法、あるいは磁気テープの出口からやや内側、例えば下ハーフ 3 1 2のテープ出口部 3 1 2 b、 3 1 2 bのテープガイド 3 1 2 cより内側にリブを設けたり、もしくは上ハーフ 3 1 0内側の対応する部分にリブを設けたり、上ハーフ 3 1 0内側に設けられている磁気テープ 3 1 6の端部検出用の部材であるプリズムの位置決め用リブ等を用いたりして、磁気テープ位置規制をする方法がある。

しかしながら、これら従来の磁気テープ位置規制方法には、次のような問題がある。

すなわち、巻取八ブの磁気テープ巻き付け位置で規制する方法では、巻取ハブの位置は設定できるが、磁気テープは巻取ハブ規制範囲外まで移動してしまい、正確に位置規制ができない。

また、シートの賦形高さで位置規制する方法では、もともとシートの賦形高さの製造上のバラツキが大きく、また衝撃により賦形部が変形する可能性が高く、やはり正確な位置規制ができない。

また、ハーフの肉厚で位置規制をする方法では、下ハーフ全体を肉厚にすると重量アップにつながり、それほど肉厚にできないため、低めの設定値となり、あまり位置規制の効果はない。また、もともと巻回された磁気テープの最外周は卷の固さを維持しにくいため弛みやすい。従って、シート厚み、賦形高さとの差から生じる段差で最外周テープが若干でも弛んだ場合、テープ、力蛇行した状態から、デッキのテープ引き出しガイドで引っ張られるため、テープ引き出しガイドに対しテープが平行に位置し得ない。その結果、磁気テープが損傷を受けることともなり得る。

さらに、テープ位置規制用のリブで部分的に高さ位置規制をする方法では、リブの高さを種々選定することができるが、上のようにテープが若干でも弛んだ場合、シート領域とリブ間で上記と同様の事が発生する。また、リブ端にテープのェッジが接触することでテープが損傷を受けることもある。特に、落下や振動が加わった場合には、大きな重力加速度が加わり、リブ端とテープエッジはほとんど点接触であるので一層その損傷が大きくなる。

また、従来の磁気テープの走行位置を調整するための磁気テープカセットにおける様々な工夫として、さらに、以下のようなものもある。

例えば、従来、フランジ無しタイプの巻取ハブを使用した磁気テープカセットにおいて、磁気テープの走行位置（高さ）を規定するために、巻取ハブを受ける下ハーフの部分を肉厚にしたり、リブ（凸状肉厚）を設けたり、あるいは磁気テープを巻回した巻取ハブと下ハーフの間にシートを介し、シートに陚形部 (しぼり）を設け、該陚形部の高さで規定したりしていた。あるいは、巻取ハブと下ハーフがシートを介さずに直接当接する部分において、下ハーフまたは巻取ハブを肉厚にしている。

ところで、このシート（フリクションシート）は、通常高密度 P E (ポリェチレン）で形成されており、それ自体の電気抵抗は非常に大きく、おおよそ 1 0 ^{1 6} オーム程度である。従って、シート自体帯電し易く、シートとカセット内壁面、磁気テープまたは巻取ハブとの接触ゃ摺接によって容易にシートが帯電し、ゴミが付着し易い。これはさらに、磁気テープや巻取ハブがシートに摺接し、剥離帯電が発生することにより一層問題となっている。

図 3 4に従来の磁気テープカセッ卜の一例を断面図で示す。図 3 4に示すように、上ハーフ 3 3 0と下ハーフ 3 3 2の間に巻取ハブ 3 3 4に巻回された磁気テープ 3 3 6が収容されている。この例では、巻取ハブ 3 3 4が当接する下ハーフ 3 3 2の部分 3 3 8が肉厚になっている。なお、磁気テープ 3 3 6の巻回された巻取八ブ 3 3 4の上下にはそれぞれシート 3 4 0が配置され、シート 3 4 0には賦形部 3 4 2が設けられ、これによつても磁気テープ 3 3 6の位置規制が行われている。

また、図 3 5に従来の磁気テープカセットの別の例を断面図で示す。図 3 5に示す例では、上ハーフ 3 5 0と下ハーフ 3 5 2の間に巻取ハブ 3 5 4に巻回された磁気テープ 3 5 6が収容され、巻取ハブ 3 5 4と下ハーフ 3 5 2はハブ穴の部分 3 5 8で当接している。また、巻取ハブ 3 5 4の上下にそれぞれシート 3 6 0 が配置され、シート 3 6 0に設けられた賦形部 3 6 2によって巻取ハブ 3 5 4が位置規制されている。

しかしながら、前記従来のような巻取ハブの位置規制方法には以下のような問題がある。

すなわち、巻取ハブの受け部となる下ハーフの部分の肉厚を増したり、リブ（凸状肉厚）を設けたりする等の部分的肉厚増加をすると、肉厚変化による樹脂流動変化や成形収縮差から、反りやひけ等の変形が生じる。また、下ハーフはハブ受け部以外にも、スライダのばね受け部、スライダロック部、防塵壁、テープガイド等々その他の機能付加のため非常に複雑な形状をしており、局部的な肉厚変化は下ハーフ全体の成形バランスを崩す要因となる。しかし、下ハーフ全体の厚みを上げると、冷却時間を要し、製造サイクルが延びるとともに、材料コス卜が増加し、全体コストに占める比率が大きくなる。

また、シートを介在させ、シートに賦形部を設け、該賦形部の高さで位置規制する場合には、賦形高さに限界がある上、この高さが高過ぎると賦形部で磁気テープの重量を支えきれず、落下衝撃や輸送時の振動等で変形をきたし、位置規制が困難になるという問題がある。また、下ハーフと巻取ハブが直接当接する場合には、カセット内で巻取ハブを保持する径が小さく、ドライブ走行が衝撃や振動に対して不安定となる。さらにこのとき、樹脂どうしが直接面接触するため、摺動抵抗が増したり、樹脂削れの要因となるという問題がある。

また、フランジなしリールを使用した従来の磁気テープカセットにおいて、卷取ハブは、上ハーフおよび下ハーフを結合することにより構成されたカセットケース内に回転可能に収納されるが、この巻取ハブは、巻取ハブと下ハーフとを当接させることにより巻取ハブの下端限界位置を規制する方法が提案され、実施されている。

図 3 6は、従来の磁気テープカセットを、巻取ハブの軸方向に巻取ハブの軸を含むように巻取ハブを除いて切断し、一方の巻取ハブの一部を含む部分断面図である。以下、巻取ハブの下端限界位置を規制する従来の方法について、図 3 6を参照して説明する。

巻取ハブの下端限界位置を規制する方法としては、従来、磁気テープが巻回される巻取ハブ 3 7 6の巻芯 3 7 6 aの下端面と、下ハーフ 3 7 2または下ハーフ 3 7 2の内面に備えたシ一ト 3 7 4 bとを当接させることにより、巻取ハブ 3 7 6の下端限界位置を決める方法、例えば、図 7のように、巻取ハブ 3 7 6の巻芯 3 7 6 aの下端面に下方向に設けられた突出部と下ハーフ 3 7 2の内面に備えたシート 3 7 4 bとを当接させる方法、あるいは、巻芯 3 7 6 aの下端面に突出して形成された、巻芯 3 7 6 aより小径かつ巻芯 3 7 6 aと同軸の下端部 3 7 6 cの下端面と、下ハーフ 3 7 2または下ハーフ 3 7 2の内面に備えたシート 3 7 4 bとを当接させることにより、巻取ハブ 3 7 6の下端限界位置を決める方法などが取られている。

一方で、巻取ハブ 3 7 6の上端限界位置に関しては、記録再生装置のリール軸が巻取ハブに挿入され、巻取ハブと係合して、巻取ハブを確実に回転できるように、カセットケースの上下ハーフの反りや記録再生装置の精度を考慮して、巻取ハブがカセットケース内で上下方向に動けるように充分な遊動距離が設定され、空間（クリアランス）が保持できるようになつている。

即ち、巻芯 3 7 6 aの上端面と、上ハーフ 3 7 0に下方に立設され、巻取ハブ 3 7 6を回転可能に支持するハブ保持部 3 7 0 bの下端面との間、および巻芯 3 7 6 aの上端面に突出して形成された、卷芯 3 7 6 aより小径かつ巻芯 3 7 6 aと同軸の上端部 3 7 6 bの上端面と上ハーフ 3 7 0との間には、巻取ハブ 3 7 6の上下方向のクリアランスが設定されており、これは、磁気テープ力セットを平置き状態で使われることを前提として設計されたものである。

つまり、巻取八ブ 3 7 6の上下方向の動きを規制する、即ち上端限界位置を規制する方法はいまだ確立されていない。更には巻取ハブ 3 7 6の動きを規制し、一定のテープ高さでテープ走行させ、あるいは保管することができない。

従来のリールの上下端にフランジを有しない磁気テープカセットの設計で採用されている巻取ハブの上下方向のクリアランスは、巻取ハブの水平方向に設けてあるクリアランスと相まって、巻取ハブにカセットケース内で遊動可能な遊び（ガ夕）を与える。このガ夕による衝撃に対し、従来の磁気テープカセットは何ら手当てを施しておらず、ガ夕による衝撃は巻取ハブにダメージを与えるばかりでなく、磁気テープの上下エッジにダメージを与え、充分なテープの性能を得ることができない。近年の磁気テープカセットの高密度化に伴い、幅がより狭く、厚さもより薄い磁気テープが形成され、使用されるようになってきているため、磁気テープの剛性がますます低くなつてきており、このガ夕がテープに与えるダメージの問題はもはや無視できない問題となってきている。

また、巻取ハブの位置が安定しないため、磁気テープの高さも安定せず、記録再生装置側のテープ引出 ·走行ガイドとの平行 ·垂直性が損なわれ、安定したテープ走行に支障をきたしていた。

この問題は、最近、磁気テープカセットの記録再生装置として縦置きタイプのもの、即ち磁気テープカセットを任意の向きに 9 0度傾けて使用する装置が使われだしてきているため、一層顕著なものとなってきている。

また、上述したように、従来の磁気テープカセットにおいて、巻取ハブは上ハーフおよび下ハーフを結合することにより構成されたカセッ卜ケース内に回転可能に収納されるが、記録再生装置のスピンドルが巻取ハブに確実に挿入され、巻取八ブとしつかり係合し、巻取ハブを確実に回転できるように、カセットケースの上下ハーフの反りや記録再生装置の精度を考慮して、巻取ハブがカセットケース内で水平 ·上下方向に動けるように充分な遊動距離が設定され、空間（クリアランス）が保持できるようになされている。

図 3 7は、従来の磁気テープカセットを卷取ハブの軸方向に、卷取ハブの軸を含むように卷取ハブを除いて切断し、一方の巻取ハブのみを含む部分断面図を示したものである。

図 3 7において、巻取ハブ 3 8 6の水平方向に保持されるクリアランスとは、磁気テープが巻回される巻芯 3 8 6 aの上部に突出して形成された上端部 3 8 6 bと、巻取ハブ 3 8 6を上ハーフ側から回転可能に支持し、上ハーフ 3 8 0に下方向に垂直に立設されたハブ保持部 3 8 0 bとの間、および巻芯 3 8 6 aの下部に突出して形成された下端部 3 8 6 cと、巻取ハブ 3 8 6を下ハーフ側から回転可能に支持し、下ハーフ 3 8 2に設けられたリール軸揷入孔 3 8 2 bの壁を形成するハブ保持部 3 8 2 f との間をいう。

巻取ハブ 3 8 6の水平方向のクリアランスは、巻取ハブ 3 8 6に巻回された磁気テープ最外周の保護が充分にできる範囲に定められ、記録再生装置側との干渉 •余裕度も含めて 1 mm超に設定されている。

また、一方、巻取ハブ 3 8 6の上下方向に保持されたクリアランスとは、下ハーフ 3 8 2を下にして磁気テープカセットを載置した際に生じる、巻芯 3 8 6 aの上端面と、上ハーフ 3 8 0に立設されたハブ保持部 3 8 0 bの下端面との間、および上端部 3 8 6 bの上端面と上ハーフ 3 8 0との間をいう。

巻取ハブ 3 8 6の上下方向のクリアランスは、上下ハーフ 3 8 0および 3 8 2 の反りや、記録再生装置の精度を考慮して、 0 . 7〜； . 3 mmに設定されている。

近年、小型化された磁気テープカセットが種々開発され、コンパクトな空間内により多くの情報を記録する必要が生じてきた。このため、幅がより狭く、厚さもより薄い磁気テープが形成され、使用されるようになってきている。

従来の磁気テープカセッ卜で採用されている巻取ハブの上下 ·水平方向のクリァランスは、巻取ハブにカセットケース内で遊動可能な遊び（ガ夕）を与える。このガ夕による衝撃は、 D ATや D D Sのようなリ一ルの上下端にフランジを有さない卷取八ブを使用するカセッ卜においては、上述したようにますます剛性の弱くなつてきた磁気テープのエッジおよびテープの最外周部にダメージを与え、テープの性能を劣化させ > 記録再生装置内での安定したテープ走行を損わせるという問題がある。

また、上述したガ夕により、磁気テープカセットを記録再生装置に装着した時に巻取ハブが上下ハーフ内で傾くことがあり、磁気テープの高さが安定せず、ハブー記録再生装置間のテープの引出しおよび走行に悪影響を与えることがある。この問題は、最近、磁気テープカセットの記録再生装置として縦置きタイプのもの、即ち磁気テープカセットを任意の向きに 9 0度傾けて使用する装置が多く出回りつつあるため、一層顕著なものとなってきている。

また、狭幅かつ薄厚の磁気テープにより多くの情報を記録するためには、記録密度を高める記録方式を検討することはもちろんのことであるが、一方で、カセットケースの限られた空間内に磁気テープをより長く納めることが求められてきている。

従来の磁気テープカセッ卜において、巻取ハブに巻回される磁気テープの長さは、巻取ハブの水平方向に設けられたクリアランスの分だけガ夕が生じることを考慮してカセットケース内に納まる磁気テープ長に限られており、これはより長く磁気テープを巻くという上述の要求に十分に応えるものではない。

ところで、スライダは、下ハーフの底面を下から覆い、前後方向に摺動するとともに、上下ハーフ側壁間に摺動面を形成し、嵌合する構造となっている。そのため、下ハーフ側壁の、防塵を行うための壁の外側にスライダ側壁が配置され、その上方、外側に上ハーフ側壁が配置されることとなる。

また、テープ卷面の最外周は、下ハーフおよびスライダのハブ孔の同心円上に位置し、カセット側面においては、下ハーフ側壁までの寸法が限界点となっており、それ以上はテープを巻くことはできないという問題がある。

しかし、近年の技術革新に伴い、より大容量の記憶容量が要望されている。そのため、従来のような方式で、より大きな巻径のテープを収納するには、下ハーフの外形を大きく形成し、それに合わせて、スライダ、上ハーフを更に大きく形成しなければならず、磁気テープカセット自体、大きくなつてしまい、コストや重量の問題がある。さらに、場合によっては、磁気テープカセットを使用するデッキ等の設計変更を必要とする等の問題もある。

また、上述したように、各種記録再生装置で使用される磁気テープカセットとして、カセットケース内の左右に磁気テープを巻き付けた巻取ハブを収容し、このケースの前面部にはテープ引出用の開口が形成され、この開口を開閉する前蓋がケース前部に揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスラィダが設けられたものがある。

一方、前記記録再生装置内又は外部に、複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置を設け、磁気ヘッド部分に対して磁気テープカセットを連続的に自動供給し得るように設けることが考えられている。

このカセット自動搬送装置 4 0 0は、図 3 8に示すように、全体として箱状に形成された枠体 4 0 2の上段部に磁気カセットテープ 2 0 0を挿入し、下段部から送出されるように設けられている。図示の場合は、全体として 7個の磁気テープカセット 2 0 0が収容できるものであり、側壁にレール状に形成された上段のガイド部材 4 0 4の上には 2個の磁気テープカセット 2 0 0が載置可能で、奥部収納部 4 0 6には 3個の磁気テープカセット 2 0 0が積み重ね状態で収納可能であり、下段の搬送部 4 0 8には 2個の磁気テープカセット 2 0 0が収納可能である。上段のガイド部材 4 0 4上に挿入された磁気テープカセット 2 0 0は、次の磁気テープカセット 2 0 0の押し込みに伴い奥部収納部 4 0 6に移動して自重で落下し、順に積み重ねられるもので、図示しない搬送機構により奥部収納部 4 0 6の最下段の磁気テープカセット 2 0 0が矢印の方向に奥部から手前側に搬送されるもので、下段搬送部 4 0 8を順送りに移動して送出される。下段の搬送路 4 0 8においては、送出される磁気テープカセット 2 0 0は前蓋 2 1 6と反対側のケース 2 0 2の後部を搬送方向の前側にして押し出すように移動される。なお、搬送機構及びこの搬送機構が出没する枠体 4 0 2の開口部等の詳細は、図示を省略している。

上記循環式のカセット自動搬送装置 4 0 0においては、下段搬送部 4 0 8の上面部の上壁 4 1 2には、送出される磁気テープカセット 2 0 0を位置決め停止する押圧係合部材 4 1 0を備えている。この押圧係合部材 4 1 0は、図 3 9にも示すように、下面側に細いローラ 4 1 0 aを備えた板バネ 4 1 0 bで構成され、板バネ 4 1 0 bの一端が上壁 4 1 2に固着されている。上記ローラ 4 1 0 aは板バネ 4 1 0 bの付勢力で磁気テープカセット 2 0 0のケース 2 0 2の上面に押圧接触する。そして、この磁気テープカセット 2 0 0には、ケース 2 0 2の上面の前部側に凹部 2 2 0が形成され、この凹部 2 2 0にローラ 4 1 0 aが係合して位置決めを行うようになっている。

なお、磁気テープカセット 2 0 0の基本構造は、後述の図 2 6および 3 1に示したものと同一であり、同一構造には同一符号を付しているのでその説明を参照されたい。

しかして、上記のようなカセット自動搬送装置 4 0 0に磁気テープカセット 2 0 0を装填して順次搬送するについて、その搬送移動に応じて位置決め用の押圧係合部材 4 1 0のローラ 4 1 0 aが磁気テープカセット 2 0 0の上面を押圧状態で移動する際に、このローラ 4 1 0 aが前蓋 2 1 6に引っ掛かって安定した搬送動作を得るについての障害となると共に、前蓋 2 1 6に無理な力が作用して押し開かれるような湾曲変形を生じさせたり、破損の原因となる問題を有する。

つまり、図 3 9に示すように、板バネ 4 1 0 bの付勢力で押し付けられているローラ 4 1 0 aが磁気テープカセット 2 0 0のケース 2 0 2の上面の凹部 2 2 0 に係合している状態から、搬送機構によって磁気テープカセット 2 0 0が図の右方（矢印 bの方向）に搬送されると、ローラ 4 1 0 aは凹部 2 2 0からケ一ス 2 0 2上面を前方側に相対的に移動することになり、鎖線で示すように、ケース 2 0 2の上面前端部と前蓋 2 1 6の上部後端部との間に形成された隙間 2 1 8 に入り、前蓋 2 1 6の上部後端に引っ掛かり、搬送力によって前蓋 2 1 6のリツド部 2 2 2の中央部分が前方に湾曲するように弾性変形し、押し開かれるカを受ける場合がある。特に、上記前蓋 2 1 6の中央部分は剛性が低く、弱い力でも変形して隙間 2 1 8が広がり上記ローラ 4 1 0 aが引っ掛かりやすい。

なお、ローラ 4 1 0 aの押圧力は 1〜2 N程度の力であり、小型の磁気テープカセット 2 0 0を押し付けて位置決めするのには十分であるが、上記のように前蓋 2 1 6に引っ掛かり、押し開く力をも生じる原因になっている。このローラ 4 1 0 aの押圧力を小さくすると、前蓋 2 1 6への引っ掛かりの発生は少なくなるが、位置決め力が不足して不安定となる。

また、上記のようなカセット自動搬送装置 4 0 0に磁気テープカセット 2 0 0 を装填して順次搬送するについて、その搬送移動に応じて奥部収納部 4 0 6の最下段の磁気テープカセット 2 0 0が下段搬送路 4 0 8に搬送され、上部の磁気テープカセット 2 0 0が最下段に移動する際に、この下降移動する磁気テープカセット 2 0 0の下面後端部の段部が下段搬送路 4 0 8に搬送される磁気テープカセット 2 0 0の前蓋 2 1 6に引っ掛かって安定した搬送動作を得るについての障害となると共に、前蓋 2 1 6に無理な力が作用して押し開かれるような変形を生じさせたり、破損の原因となる問題を有する。

つまり、図 4 0に示すように、磁気テープカセット 2 0 0のケース 2 0 2の前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋 2 1 6が揺動自在に設置され、ケース 2 0 2の下面側には前後方向に移動可能なスライダ 2 1 4が設置されており、このスライダ 2 1 4はケース 2 0 2の底面に形成された凹部 2 3 6を摺動し、この凹部 2 3 6の後端部には段部 2 3 8が形成されている。そして、カセット自動搬送装置 4 0 0における奥部収納部 4 0 6で積み重ねられている状態から、下段の磁気テープカセット 2 0 0が水平方向に搬送されるのに応じて、上部の磁気テープカセット 2 0 0は前端部が下壁面に接触した斜めの状態となり、その後端の段部 2 3 8が下の磁気テープカセット 2 0 0における前蓋 2 1 6の上部後端に引っ掛かり、搬送力によって前蓋 2 1 6が前方に押され、押し開かれるカを受ける場合がある。特に、ケース 2 0 2の上面前端部と前蓋 2 1 6の上部後端部との間には隙間 2 1 8 (図 2 6、図 3 1参照）が形成されており、この部分に前記段部 2 3 8が引っ掛かる。発明の開示

本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その第 1の課題は、磁気テープの高さ方向の位置、特にカセットのテープ出口における位置を正確に規制することのできる磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の第 2の課題は、前記従来の問題に鑑みて、巻取ハブの高さ方向の位置を規制し、磁気テープの走行高さの設定、調整を簡単に行うことのできる磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の第 3の課題は、これらの従来技術の問題点に鑑みて、巻取ハブの上下方向に遊動する距離を規制し、巻取ハブの位置および巻取ハブに巻回された磁気テープの高さを安定させると同時に、磁気テープカセットの輸送時等に巻取八ブのまわりに設けたクリアランスゆえに生じるガタによる衝撃から巻取ハブおよび磁気テープを保護することを可能とする磁気テープカセットを提供することにある。

さらに、本発明のもう 1つ別の課題は、上述の第 3の課題と併せて、巻取ハブを一定方向に付勢することを可能とし、巻取ハブの位置および磁気テープの高さをさらに安定させ、安定したテープ走行を可能とする磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の第 4の課題は、これら従来技術の問題点に鑑みて、巻取ハブの水平方向の動きを規制し、磁気テープカセットを記録再生装置に装着した時に巻取ハブを記録再生装置のスピンドル等に精度良く装着させると共に、巻取ハブに巻回した磁気テ一プの最外周部とカセット内壁との干渉を防ぐことができる磁気テープカセットを提供することにある。また、本発明のもう 1つ別の課題は、巻取ハブの上下方向の動きを規制し、巻取ハブ—記録再生装置—卷取ハブ間の磁気テ一プの引出しおよび走行を安定させる磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の第 5の課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、上下ハーフとスライダから構成される磁気テープカセッ卜のカセットサイズを大きくすることなく、磁気テープの巻き込みエリアを拡大し、より大きな記憶容量を有する磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の第 6の課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、前蓋にローラが引っ掛からないようにして、カセット自動搬送装置における搬送時に前蓋が押し開く力を受けないようにした磁気テープカセットを提供することにある。また、本発明の第 7の課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、斜めになつた上部の磁気テープカセットの後端段部が下方の磁気テープカセットの前蓋に引つ掛からないようにしてカセット自動搬送装置における搬送時に前蓋が押し開く力を受けないようにした磁気テープカセットを提供することにある。

また、本発明の別の課題は、磁気テ一プカセットにおいて磁気テープの円滑な走行を確保するために、カセットケースと磁気テープとの間に介在させるシート (フリクションシート）の帯電防止効果を損なうことなく帯電防止剤量を低減でき、必要以上の帯電防止剤による副作用を防止して、磁気テープカセットに用いられるシートに帯電防止処理を行うことができる帯電防止処理方法を提供することにある。

上記第 1の課題を解決するために、本発明の第 1の態様は、上ハーフと下ハーフを蓋合わせ状に結合して形成されたカセットケース内に、磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを、その上下にシートを介して収容した磁気テープカセッ卜であって、前記下ハーフの、前記シートが装着された部分より外側の面で、カセッ卜のテープ出口近傍までの全面に厚肉部を設けたことを特徴とする磁気テープ力セットを提供するものである。

ここで、前記厚肉部とシートとの間や、前記下ハーフのテープ出口の端部に凹部を設けたことが好ましい。

また、上記第 2の課題を解決するために、本発明の第 2の態様は、上ハーフと下ハーフを蓋合わせ状に結合して形成されたカセットケース内に、磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収容した磁気テープカセットであって、前記巻取八ブの外周側面に磁気テープ巻面を有するテープ巻取リングの、下ハーフの底面と対向する底面に、該卷取ハブ径の中心と同心円上に連続的または離散的に、該卷取ハブの高さ方向の位置規制をするためのリブを設けるとともに、該巻取ハブと前記下ハーフの間にシートを介在させたことを特徴とする磁気テープカセットを提供するものである。

ここで、前記シートが、いずれか一方の面に帯電防止剤を含浸してなるシートであることが好ましい。また、前記シートが、前記いずれか一方の面に、部分的に量の異なる帯電防止剤を含浸させたシートであることが好ましい。

また、本発明の別の態様は、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合して形成された筐体状のカセットケースと、前記カセットケース内に回転自在に保持される、磁気テープを巻回する巻取ハブとを備えた磁気テ一プカセットの前記上ハーフおよび下ハーフの少なくとも一方の内壁面と前記巻取ハブに巻回される前記磁気テープとの間に介在するシートに帯電防止処理を施す方法であって、前記シートのいずれか一方の面に帯電防止剤を含浸させることを特徴とする帯電防止処理方法を提供することもできる。

ここで、前記いずれか一方の面が、前記下ハーフと接触する側の面であることが好ましい。また、前記シートのうち、前記帯電防止剤を含浸させない側の面を予めマスキングすることが好ましい。また、前記いずれか一方の面にうち、部分的に含浸させる帯電防止剤の量を変えることが好ましい。また、浸漬法により前記シートの原反に帯電防止剤を含浸させることが好ましい。また、前記シートの原反から前記シートの形状への打抜き工程時に前記シートに帯電防止剤を含浸させることが好ましい。また、プラズマ処理、コロナ放電処理および紫外線処理からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法により前記シートに前処理を施すことが好ましい。

本発明者は、上記第 3の課題およびそのもう 1つ別の課題を解決するために、鋭意研究した結果、巻取ハブおよび上ハーフの少なくとも一方の当接部に弾性体を備えることにより、巻取ハブの上端限界位置を規制できると同時に、磁気テ一プカセット輸送時等に生じるガ夕から磁気テープを効果的に保護することができること、また、巻取ハブおよび上ハーフの少なくとも一方の当接部に弾性体を内挿させた部材を備えることで、巻取ハブを一定方向に付勢でき、巻取ハブの位置および磁気テープの高さが更に安定することを見出し、本発明に至ったものである。

すなわち、本発明の第 3の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセットは、磁気テープを巻回した巻取ハブを回転可能に収納し、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合することにより、カセットケースを形成する磁気テープカセッ卜であって、互いに当接する前記上ハーフおよび前記巻取ハブの少なくとも一方の当接部を弾性体で構成したことを特徴としている。

また、本発明の第 3の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットは、磁気テープを巻回した巻取ハブを回転可能に収納し、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合することにより、カセットケースを形成する磁気テープカセットであって、互いに当接する前記上ハーフおよび前記巻取ハブの少なくとも一方の当接部を弾性体を内挿させた部材で構成したことを特徴としている。

この際、前記当接部を前記弾性体を内挿する部材で構成し、この当接部の前記上ハーフと前記巻取ハブとの当接面を、前記上ハーフまたは前記巻取ハブと同材質の材料により構成することもできる。

また、本発明者は、上記第 4の課題およびそのもう 1つ別の課題を解決するために、鋭意研究した結果、記録再生装置側の精度が向上し、装置間の個体差が減少しつつあること、記録再生装置側の精度が上がることで、巻取ハブー上下ハーフ間の水平 ·上下方向のクリアランスをより厳しく規制することが可能となること、および前記クリアランスを規制することで、上記従来技術の問題点を一気に解決できることを見出し、本発明に至ったものである。

即ち、本発明の第 4の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセットは、磁気テープが巻回される巻芯と、この巻芯の両端側に突出する、巻芯より小径の同軸の上端部および下端部とを備えた巻取ハブと、この上端部の外周面と当接する円筒内周面を持つハブ保持部を備える上ハーフと、前記下端部の外周面と当接する円筒内周面を持つハブ保持部を備える下ハーフとを備え、磁気テープを巻回した前記巻取ハブを回転可能に収納し、前記上ハーフと前記下ハーフとを蓋合わせ状に結合することによりカセッ卜ケースを形成する磁気テープカセッ卜であって、前記上ハーフの八ブ保持部の内径と前記巻取ハブの上端部の外径との差および前記下ハーフのハブ保持部の内径と前記巻取ハブの下端部の外径との差が、共に l mm未満であることを特徴とするものである。

ここで、前記磁気テープの幅が 6 . 5 mm以下であり、かつその厚みが 7 z m 以下であることが好ましい。

また、本発明の第 4の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットは、磁気テープが巻回される巻芯と、この巻芯の両端部に突出する、巻芯より小径の同軸の上端部および下端部とを備えた巻取ハブと、磁気テープを巻回した前記巻取ハブを回転可能に収納するカセットケースを構成し、蓋合わせ状に結合された上ハーフおよび下ハーフとを備えた磁気テープカセッ卜であって、前記下ハーフを下にして載置した際に生じる、前記巻取ハブの前記巻芯の上端面と前記上ハーフとの隙間および前記上端部の上端面と前記上ハーフとの隙間のいずれか一方が 0 . 5 mm以下であることを特徴とするものである。

ここで、前記磁気テープの幅が 6 . 5 mm以下であり、かつその厚みが 7 z m 以下であることが好ましく、また、前記巻芯の上面と前記上ハーフとの隙間が、前記上端部の上面と前記上ハーフとの隙間より小さいことが好ましい。

また、上記第 5の課題を解決するために、本発明の第 5の態様は、磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収容するカセットケースを構成し、前記一対の巻取ハブの間に張架された部分の磁気テープのみを露出するよう蓋合わせ状に結合される側壁を有する上ハーフおよび下ハーフと、長方形状の底面と、その左右長手方向両端に沿って底面に垂直に立設された側壁を有し、カセッ卜ケース前方側に設けられたガイド挿入部および下ハーフの底面のリール軸挿入孔を開閉可能に、該下ハーフの底面に沿って前後方向摺動自在に、該下ハーフの外側下面に装着されたスライダとを備えた磁気テープカセッ卜であって、前記下ハーフの左右両端に設けられた側壁の、前記卷取ハブに巻回された磁気テープの最大巻径外周に相当する一定範囲の部分を切り欠くとともに、前記スライダの側壁でカセットケースの防塵壁を形成したことを特徴とする磁気テープカセットを提供するものである。

上記第 6の課題を解決した本発明の第 6の態様による磁気テープカセットは、複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセットであって、ケース上面には、前記カセット自動搬送装置に設置された位置決め停止用のローラとパネとによる押圧係合部材が係止する凹部が設けられ、ケース前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋が揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスライダが設置されてなり、前記前蓋の上壁部における少なくとも前記凹部に対応する部分の上面位置がケース上面より低く形成され、該前蓋の両側壁の上面はケース上面と略同位置としたことを特徴とするものである。

また、本態様の他の磁気テープカセットは、ケースにおける少なくとも凹部より前方で、前蓋の上壁部との隙間に臨む部分に、上面が前端部側が徐々に高くなるスロープ部が形成されたことを特徴とするものである。

さらに、本態様の他の磁気テープカセットは、前蓋の上壁部における少なくとも凹部の前方部分の底面に、該上壁部の変形を抑制する補強リブが形成されたことを特徴とするものである。その際、前記補強リブはケースの一部に当接可能に設けるのが好ましい。

また、本態様の他の磁気テープカセットは、前蓋の上壁部の後端部とケース上面の前端部との隙間が小さく設定されると共に、該前蓋の開閉移動におけるケースとの干渉部分が除去されたことを特徴とするものである。

また、上記第 7の課題を解決した本発明の第 7の態様による磁気テープカセットは、複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセッ卜であって、ケース前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋が揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスライダが設置されてなり、前記ケースの底面には前記スライダが摺動する凹部を有し、該凹部の後端部の段部が斜面または曲面で形成されたことを特徴とするものである。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の一実施形態に係る磁気テープカセッ卜の一実施例の概略構成を示す斜視分解図である。

図 2は、図 1に示す磁気テープカセット内に収納される、巻取ハブに卷回された磁気テープと、間に介在されるシートを示す一実施例の斜視分解図である。図 3は、図 1に示す下ハーフに図 2に示す磁気テープおよびシ一トを組み込んだ様子を示す平面図である。

図 4 Aは、図 3に示す下ハーフの正面図であり、図 4 Bは、図 4 Aの中の円で囲まれた部分 Bを拡大して示す正面図である。

図 5 Aは、シート原反を完全に帯電防止剤に漬ける浸漬法の概略を示す説明図であり、図 5 Bは、シート原反の片面のみを帯電防止剤と接触させる方法を示す説明図である。

図 6は、図 1に示す下ハーフに図 2に示す磁気テープおよびシートを組み込んだ様子を示す平面図である。

図 7は、図 6に示す下ハーフにさらに上ハーフを組合せた磁気テープカセットを、図 6に示す W— W線で切断した部分断面図である。

図 8は、本実施形態の卷取ハブを下ハーフ側から見た平面図である。

図 9は、図 8の IX— IX線に沿う断面図である。

図 1 0は、本実施形態の他の例を図 7と同様に示す部分断面図である。

図 1 1は、本発明に係る磁気テープカセッ卜の別の一実施形態の概略の構成を示す分解斜視図である。

図 1 2は、図 1 1に示す磁気テープカセット全体を II— II線で切断した一実施例の部分断面図である。

図 1 3は、図 1 2に示す第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜の一実施例の構成を示す A部拡大断面図である。

図 1 4は、図 1 2に示す第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜の他の実施例の構成を示す A部拡大断面図である。

図 1 5は、図 1 2に示す第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜の他の実施例の構成を示す A部拡大断面図である。

図 1 6は、図 1 2に示す第 2の形態に係る磁気テープカセッ卜の他の実施例の構成を示す A部拡大断面図である。

図 1 7は、図 1 1に示す磁気テープカセッ卜全体を Π— II線で切断した別の実施例の部分断面図であり、本発明の第 4の態様の第 1の形態に係る磁気テープ力セットを説明する図である。

図 1 8は、図 1 7に示す磁気テープカセットの C部拡大断面図であり、本発明の第 4の態様の第 2の形態の磁気テープカセッ卜の一例を説明する図である。図 1 9は、図 1 7に示す磁気テープカセッ卜の C部拡大断面図であり、本発明の第 4の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットの他の例を説明する図である。

図 2 0は、図 1に示す下ハーフの平面図である。

図 2 1は、図 1に示す下ハーフとスライダを組み合わせた状態を示す斜視図である。

図 2 2は、本発明の一実施形態に係る磁気テープカセッ卜の下ハーフの一実施例を示す平面図である。

図 2 3は、図 2 2に示す下ハーフの斜視図である。

図 2 4は、図 2 3に示す下八ーフにスライダを組み込んだ状態を示す斜視図である。

図 2 5 A、図 2 5 Bおよび図 2 5 Cは、それぞれ下ハーフの側壁の切り欠き部の他の例を示す側面図である。

図 2 6は、本発明の第 6の態様の第 1の実施の形態による磁気テープカセットの概略斜視図である。

図 2 7は、図 2 6に示す磁気テープカセッ卜の前端中央部分の内部構造を省略した断面図である。

図 2 8は、本態様の第 2の実施の形態による磁気テープカセットの上ハーフ前端部および前蓋の上部の内部構造を省略した中央断面図である。

図 2 9は、本態様の第 3の実施の形態による磁気テープカセッ卜の上ハーフ前端部および前蓋の上部の内部構造を省略した要部断面斜視図である。

図 3 0は、本態様の第 4の実施の形態による磁気テープカセッ卜の上ハーフ前端部および前蓋の上部の内部構造を省略した要部断面図である。

図 3 1は、本発明の一つの実施の形態による磁気テープカセットの上面側の斜視図である。

図 3 2 Aは、図 3 1に示す磁気テープカセッ卜の下面側の斜視図であり、図 3 2 Bは、図 3 2 Aの X— X線に沿う内部構造を省略した断面図である。図 3 3は、従来の磁気テープカセットの概略構成を示す斜視分解図である。図 3 4は、従来の巻取ハブの位置規制の様子を示す部分断面図である。

図 3 5は、同じく、従来の巻取ハブの位置規制の様子を示す他の例の部分断面図である。

図 3 6は、従来技術の磁気テープカセットー例の部分拡大断面図である。図 3 7は、従来技術の磁気テープカセットの一例の部分拡大断面図である。図 3 8は、カセット自動搬送装置の一実施例の概略断面図である。

図 3 9は、カセット自動搬送装置における磁気テープカセッ卜の位置決め状態を示す内部構造を省略した要部断面図である。

図 4 0は、カセット自動搬送装置における従来の磁気テープカセッ卜の搬送状態を示す要部正面図である。発明を実施するための最良の形態本発明に係る磁気テープカセッ卜およびこれに用いられるシートの帯電防止処理方法を添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。まず、図 1〜図 4を参照して、本発明の第 1の態様に係る磁気テープカセットについて詳細に説明する。

図 1は、本発明の第 1の態様に係る磁気テープカセットの一実施形態の概略構成を示す斜視分解図である。本実施形態の磁気テープカセットは、蓋合わせ状に結合されカセットのケースとなる筐体を構成する上ハーフ 1 0、下ハーフ 1 2および下ハーフ 1 2の外側下部に前後方向摺動可能に装着されるスライダ 1 4とから主に構成される。

上ハーフ 1 0と下ハーフ 1 2とで構成されるカセッ卜のケース内には、後述するように一対の卷取ハブに巻回され張架された磁気テープが収容される。カセット非使用時において、巻取ハブが回転して磁気テープが弛まないように、巻取ハブの回転を禁止するブレーキ部材 1 6が上ハーフ 1 0に設けられている。ブレーキ部材 1 6は、 2つの制動片 1 6 a、 1 6 aを有し、該制動片 1 6 a、 1 6 &カ巻取ハブに設けられた歯車と係合するようになつている。カセット非使用時においては、ブレーキ部材 1 6は、前記制動片 1 6 a、 1 6 aが前記歯車に係合するように、ねじりコイルばねを用いたブレーキばね 1 8によって付勢されている。

また、上ハーフ 1 0には、カセット非使用時において、一対の巻取ハブ間に張架された磁気テープの部分を保護するため上ハーフ 1 0前面に前蓋 2 0が設けられている。

下ハーフ 1 2は、長方形状の底面 1 2 aに、カセット使用時においてカセットケース内にリール軸を挿入するためのリール軸揷入孔 1 2 b、 1 2 bを有し、底面 1 2 aの長手方向（図中左右方向を指し、以下単に左右という）の両端は前方に伸びるテープ出口部（以下、張出部ともいう） 1 2 c、 1 2 cとなっている。このリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bの周囲には段差が設けられ巻取ハブ受け部 1 2 h、 1 2 hとなっている。また、左右のテープ出口部 1 2 c 、 1 2 c には、磁気テープをガイドするための円柱状のリブ 1 2 d、 1 2 dが設けられている。この左右のテープ出口部 1 2 c、 1 2 cの間の空間は、当該磁気テープ力セットが装填される記録再生装置（デッキ）側に設けられているいわゆるテープローディング装置が進入するための空間である。

また、下ハーフ 1 2の底面 1 2 aには、 2つの割り筒型のリブを連続して八の字状に設けた壁状の部材 1 2 eが立設され、その前方中央に柱状のリブ 1 2 fが設けられている。そして、この柱状のリブ 1 2 f と前記壁状の部材 1 2 eとの間に V字状の板ばね 2 2が挿入される。

また、下ハーフ 1 2の後方および両側方には、底面 1 2 aに垂直にそれぞれ側壁 1 2 iおよび 1 2 j 、 1 2 jが設けられ、上ハーフ 1 0に設けられた同様の側壁と蓋合わせ状に結合し、防塵のためケース内の密閉性を高めるとともにケースの強度を確保している。

スライダ 1 4は、下ハーフ 1 2の底面 1 2 aに下側から接してカセット前後方向に摺動するが、前方に位置するときは、前記下ハーフ 1 2の左右のテープ出口部 1 2 c、 1 2 cの間の空間およびリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bをスライダ 1 4の底面 1 4 aにより防塵のため塞ぐようになつている。また、スライダ 1 4が後方に位置するときは、前記下ハーフ 1 2の左右のテープ出口部 1 2 c、 1 2 cの間の空間を解放するとともに、スライダ 1 4の底面 1 4 aに設けられた 2つの孔 1 4 b、 1 4 bが前記下ハーフ 1 2のリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bと一致するようになっている。スライダ 1 4は、カセットがデッキに装着されたときは、デッキ内の装置の作用により自動的に後方に位置されるが、カセット非使用時には、前記 V字状の板ばね 2 2によって前方に位置される。この V字状の板ばね 2 2の付勢力を受けるためにスライダ 1 4の前方に壁状のリブ 1 4じが設けられている。

また、スライダ 1 4は、その左右両側壁 1 4 d , 1 4 dの上端内縁に、上ハーフ 1 0の左右側壁と下ハーフ 1 2の左右側壁 1 2 j , 1 2 j との間に形成された摺動溝に嵌挿される係合摺動部 1 4 e， 1 4 eを有する。係合摺動部 1 4 e， 1 4 eは、下ハーフ 1 2の左右側壁 1 2 j， 1 2】の上面に係合 ·摺接する下面を有する直方体状の部材である。

上ハーフ 1 0と下ハーフ 1 2の間には、一対の巻取ハブに巻回された磁気テ一プが、その上下両側にフリクションシート（以下、単にシートともいう）を介在して、収納される。一対の巻取ハブに卷回された磁気テープおよびシートを図 2 に斜視図で示す。

図 2に示すように磁気テープ 2 4は、一対の巻取ハブ 2 6、 2 6に巻回されている。巻取ハブ 2 6は、外周にテープ巻取リング 2 8が設けられ、その側面が磁気テープ巻面 2 8 aとなっている。また、巻取ハブ 2 6の内周側上部には、歯車 3 0が設けられており、前述したブレーキ部材 1 6の制動片 1 6 aが、この歯車 3 0に係合することにより巻取ハブ 2 6の回転が規制される。

なお、テープ巻取リング 2 8の一部は、磁気テープ 2 4の端部を固定するための取り外し可能な小片 3 2となっている。

また、磁気テープ 2 4を巻回した巻取ハブ 2 6をカセットに収納する際、その上下にシート 3 4、 3 6が、介在される。

このシート 3 4、 3 6は、それぞれ孔 3 4 a、 3 6 aを、図 1の下ハーフ 1 2 の符号 1 2 gで示すリブに通すことによって位置決めされる。このときシート 3 4に設けられた 2つの孔 3 4 b、 3 4 bは、下ハーフ 1 2の孔 1 2 b、 1 2 bと一致し、ここに巻取ハブ 2 6 、 2 6が配置され、シート 3 6に設けられた 2つの孔 3 6 b、 3 6 bは巻取ハブ 2 6、 2 6の位置に対応し、そこから歯車 3 0、 3 0が出るようになつている。また、シート 3 4、 3 6は、それぞれ力セット左右方向に 2本の賦形部 3 8および 4 0を有している。シート 3 4、 3 6 は、巻取ハブ 2 6が回転する際の摺動抵抗を下げ、回転を滑らかにするとともに、前記賦形部 3 8、 4 0により磁気テープ 2 4を巻回した巻取ハブ 2 6を支えて、高さ規制をする役割をも果たしている。

以上が、本発明の一実施形態に係る磁気テープカセッ卜の概略構成である。図 3は、下ハーフ 1 2にシート 3 4および巻取ハブ 2 6、 2 6 (磁気テープ 2 4は省略）を配置した状態を示す平面図である。

本実施形態は、磁気テープの高さ方向の位置規制を正確に行うために、下ハーフ底面のシートが装着される部分の外側からテープ出口部までの部分の全面に凸部を設ける（該部分を厚肉にする）ようにしたものである。

すなわち、図 3において、下ハーフ 1 2の左右両端のテープ出口部 1 2 c、 1 2 cのハッチングを付した部分を厚肉部 5 0、 5 0としたものである。

図 3に示すように、本実施形態では、厚肉部（凸部） 5 0は、下ハーフ 1 2のシート 3 4が装着される部分の外側からテープ出口部 1 2 cまでの全面に設けられている。そして、テープ出口部 1 2 cの出口端 5 2は、磁気テープの引っ掛かりを防止するため、厚肉とはせずに、低く（すなわち凹部として）形成するのが好ましい。ただし、厚肉部 5 0との間にあまり段差が形成されるようであると、テープのエッジが当たりテープが損傷する虞があるので、厚肉部 5 0から出口端 5 2に向かって低くなつて行くようにテ一パを設けてもよい。

また、シート 3 4の外周に沿って同心円状に形成されたシート 3 4との境界線部には、隙間（凹部） 5 4が設けられている。これは、シート 3 4の傾きや磁気テープの移動可能範囲、製造時の寸法バラツキを考慮したものであり、このように、シート 3 4と厚肉部 5 0との間に、隙間 5 4を設けることが好ましい。しかし、隙間 5 4を設けずに、厚肉部がシート 3 4の外周部と接するようにして、意識的にシート 3 4の位置規制に利用するようにしてもよい。

図 3の下八ーフ 1 2の正面図を図 4 Aに示す。また、図 4 Aの円 bで囲まれた部分を拡大して図 4 Bに示す。図 4 Aあるいは図 4 Bに示すように磁気テ一プ（図示せず）はテープガイド 1 2 d、 1 2 dにガイドされて走行するのであるが、厚肉部 5 0をテープ出口部 1 2 cの全面に設けたことにより、テープ巻玉からカセット出口までの間におけるテープ位置規制を確実に行うことができ、テープ走行時以外でも最低限必要な下限高さに位置規制される。

前記厚肉部 5 0の厚みの増分（凸量）は、シート 3 4の厚み（0 . l mm) 同等以下、あるいは、シート 3 4の賦形部 3 8の賦形高さ以下とするのがよいが、他の部品構成や形状設計等により適宜選択可能である。

このようにして、本実施形態では、カセットのテープ出口におけるテープの高さ方向の位置規制が正確に行われ、未使用時から、また種々異なる記録 · 再生デッキに使用した後に生じるテープの巻高さ変化 ·バラツキ発生後に再度別デッキに使用する場合でも、いかなるデッキのテープ引き出しガイドに対しても、引き出しガイドの高さにバラツキがあっても、テープの最外周のテープ高さが略直線状に保たれ、デッキの引き出しガイドに直角に接して、引き出す事が出来、テープに損傷を与える事がない。

本実施形態によれば、テープに若干弛みが生じていても上記と同様に、テープの位置規制が正確に行われる。また、テープが張っていて、ハーフに接していない場合には、従来通り問題はない。

以上説明したように、本実施形態によれば、下ハーフのシート装着部の外側の面でカセットのテープ出口近傍までのテープの移動可能範囲の略全面に厚肉部（凸部）を設けたので、カセットのテープ出口での高さ方向の位置規制を正確に行うことができる。

本発明の第 1の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

次に、図 1、図 2および図 5 A〜図 1 0を参照して、本発明の第 2の態様に係る磁気テープカセットおよびこれに用いられるシートの帯電防止処理方法について詳細に説明する。

まず、磁気テープカセッ卜に用いられるシートの帯電防止処理方法について説明する。

ところで、巻取ハブ 2 6と下ハーフ 1 2との間に介在されるシート 3 4は、高密度 P Eで形成されており、前述したように、それ自体の電気抵抗が大きく ( 1 0 ' ⁶オーム程度）、帯電によるゴミ付着の問題がある。そこで、シート 3 4 に、例えば 4級アンモニゥム塩を含む混合物等の帯電防止剤を含浸させることで、電気抵抗を 1 0 ⁹ オーム〜 1 0 ' ²オーム程度に下げることが望ましい。シート 3 4に帯電防止剤を含浸させる方法としては、様々なものが考えられるが、例えば高密度 Ρ Εで形成されたシート 3 4が多孔質であることを利用して、浸漬法や、シート 3 4に帯電防止剤を吹き付けたり、コ一夕等を使って塗り付ける塗布法で行うことが考えられる。このうち、浸漬法は、例えば図 5 Αに示すように、シート 3 4の長尺の原反 6 0を、ガイドローラ 6 2、 6 4、 6 6を介して搬送する間に帯電防止剤 6 8に完全に漬け、シート全面を帯電防止剤浴に晒すようにしたものである。

しかしながら浸漬法ゃ塗布法では、帯電防止剤 6 8はシート原反 6 0自体に予め形成されている微小孔の中に入り、乾燥され、付着しているだけであるので、わずかな衝撃で欠落してしまう場合がある。従って、シート原反 6 0を完全に帯電防止剤 6 8に漬ける浸漬法や、吹き付けたり塗り付けたりする塗布法では、シート 3 4の両面に帯電防止剤 6 8が含浸されるため、磁気テープと摺接する側では、より帯電防止剤 6 8の欠落が生じ易い。この欠落物は、磁気テープのエッジ部に付着し、汚染等の原因となり、外観や製品性能を損なう可能性がある。

また、シート 3 4として、シート材中に帯電防止剤 6 8を練り込んだものを使用するという方法も考えられる。しかし、テープ走行によるシートの磨耗、傷、削れの起こりにくいシートの強度および磁気テープとの摺動特性等の観点から、シート 3 4の材料として、帯電防止剤 6 8を練り込むことができない材料、例えば超高分子量 P E等の材料を使用するケースが増えてきている。このように、シート材への帯電防止剤 6 8の練り込みができないと、同じあるいは、シートの材料によってはそれ以上の帯電防止効果を上げるために、帯電防止剤 6 8の含浸または塗布量を上げることが必要となってきている。

このため、塗布方式で帯電防止剤をシ一ト 3 4に付与する場合、帯電防止剤量を上げるため、シート全体に帯電防止剤を塗布する結果となり、帯電防止剤が必要な部分以外の部分にも帯電防止剤が塗られることとなり、不要な部分に塗布された帯電防止剤が磁気テープに転写するなどの問題が生じていた。

そこで、帯電防止効果を損なわずに、帯電防止剤量を低減させ、例えば、帯電防止剤 6 8の磁気テープへの転写等の帯電防止剤 6 8による副害を改善することが望まれている。

本発明者は、帯電防止剤 6 8の含浸させる面を目的により、必要最小限にすることで上記問題を解決できることを見出した。

例えば、シート 3 4のいずれか一方の面に帯電防止剤 6 8を含浸させることが好ましい。ここで、いずれか一方の面とは、シート 3 4のうち、巻取ハブ 2 6に巻回された磁気テープ 2 4と摺接する面または磁気テープ 2 4と摺接しない面を指す。磁気テープ 2 4に帯電防止剤 6 8を転写させない観点から、シート 3 4のうち、磁気テープ 2 4と摺接しない面に帯電防止剤 6 8を含浸させることが最も好ましい。

この際、シート 3 4のいずれか一方の面にのみ帯電防止剤 6 8を含浸させ、浸透やシート原反を卷取るためのローラ上等での転写等により、帯電防止剤を塗る必要のない面に帯電防止剤 6 8が付着することのないように、シート 3 4のうち帯電防止剤 6 8を含浸させない方の面に予めマスキングを施すことが好ましい。マスキングをする方法としては、例えばシート原反 6 0のうち、帯電防止剤 6 8 を含浸させないほうの面に公知のマスキングテープ、合い紙を貼る方法、あるいは公知のマスキングコンパウンドを塗布する方法等を挙げることができる。また、帯電防止剤 6 8を必要な箇所に的確に含浸させ、帯電防止剤量の低減を図るため、シート 3 4のいずれか一方の面のうち、帯電防止剤 6 8を含浸させる量を前記面の領域ごとに変えることが好ましい。該領域は、シート 3 4のうち、磁気テープ 2 4や巻取ハブ 2 6、下ハーフ 1 2と摺接する頻度が高い領域であるか否かにより適宜判断する。例えば、シート 3 4が賦形部 3 8を有する場合は、賦形部 3 8とそれ以外の領域とで帯電防止剤 6 8の含浸させる量を変えることができ、賦形部 3 8以外の領域には帯電防止剤 6 8の含浸させる量を減らすこともできるし、含浸させないこともできる。逆に陚形部 3 8の領域のみ帯電防止剤 6 8の含浸させる量を減らすこともできるし、含浸させないこともできる。以上、シート 3 4に帯電防止剤 6 8を含浸させる箇所について説明した。続いて、上記箇所に帯電防止剤 6 8を含浸させる方法について説明する。

シ一ト 3 4に帯電防止剤 6 8を含浸させる方法としては、シート 3 4の原反 6 0の片面に帯電防止剤 6 8を含浸させる方法、例えば、図 5 Bに示すように、シート原反 6 0の全面ではなく、片面、例えば磁気テープと摺接しない面 6 0 aのみを帯電防止剤浴に晒す方法を挙げることができる。この場合には、シ一ト原反 6 0の片面 6 0 aと帯電防止剤 6 8の液面 6 8 aとがちようど接するように、ガイドローラ 6 4あるいは液面 6 8 aを調整する必要がある。また、シート 3 4の形状に打ち抜く際にシー卜 3 4のいずれか一方の面に帯電防止剤 6 8を塗布する方法を挙げることができる。この方法は、上述した帯電防止剤 6 8を含浸させる量を面の領域ごとに変える場合に特に好ましい。

また、公知のプラズマ処理、コロナ放電処理および紫外線処理からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法により、シート 3 4のいずれか一方の面に前処理を施して、本来化学的親和性の低いシート 3 4と帯電防止剤 6 8とが良好に密着できるようシート 3 4を予め改質させておくことも効果的である。このようなコロナ放電処理をした場合には、上述した浸漬法だけでなく、いわゆるコ一夕で帯電防止剤を塗布するという方法を用いてもよい。

上記例では、シート 3 4の帯電防止処理の方法について説明しているが、本発明においては、これに限定されることはなく、上ハーフ 1 0と巻取ハブ 2 6との間に介在されるシート 3 6にも適用することができる。

次に、磁気テープの走行位置を調整するために磁気テープ巻取ハブを改良した磁気テ一プカセットについて説明する。

図 6は、下ハーフ 1 2に、シート 3 4と、一対の巻取ハブ 2 6、 2 6に巻回された磁気テープ 2 4を組み込んだ様子を示す平面図である。図 6に示すように磁気テープ 2 4は、リブ 1 2 d、 1 2 dにガイドされてカセット前面側（図の左側）に露出される。

また、図示はしないが、この上にさらにシート 3 6および上ハーフ 1 0を組み合わせて、その組み合わせた磁気テープカセッ卜の全体を下ハーフ 1 2の切り口が W— VII線となるように切断したときの部分断面図を図 7に示す。図 7では、シート 3 4、 3 6は破線で示し、磁気テープ 2 4は二点鎖線で示している。図 7に示すように、磁気テープ 2 4を巻回した巻取ハブ 2 6は、蓋合わせ状に結合された上ハーフ 1 0と下ハーフ 1 2の間に収容される。また、上ハーフ 1 0 には、磁気テープ 2 4の状態が外部から観察可能なように透明な窓 1 1が設けられており、該窓 1 1には、巻取ハブホールド用のリング状リブ 1 1 aが設けられている。そして、巻取ハブ 2 6は、巻取ハブ 2 6の下部が下ハーフ 1 2の卷取ハブ受け部 1 2 h内に納まるとともに、巻取ハブ 2 6の上部に設けられた歯車 3 0 が前記上ハーフ 1 2のリング状リブ 1 1 a内に納められるように配置される。図 7に示すように、本実施形態では、巻取ハブ 2 6のテープ巻取リング 2 8の下ハーフ 1 2の底面 1 2 aと対向する底面にリブ 2 8 bを設ける。リブ 2 8 bの断面形状は、このように丸みをもたせて円形状または楕円形状などにしてもよいし、長方形状や矩形状や台形状などでもよい。

リブ 2 8 bを設けたことにより、リブ 2 8 bがシート 3 4を介して下ハーフ 1 2の底面 1 2 aに当接する。これにより、巻取ハブ 2 6の下部が、下ハーフ 1 2 のリール軸揷入孔 1 2 bの周囲の巻取ハブ受け部 1 2 hに接することはなく、巻取ハブ 2 6の高さ調整がなされ、滑らかな回転が保証されるとともに、樹脂同士が接触して削れることもない。

また、図 7に、破線で示すようにシート 3 4に設けられた賦形部 3 8が、巻取ハブ 2 6に巻回された磁気テープ 2 4を下から支え、同時に磁気テープ 2 4の高さ規制をしている。

このように、巻取ハブ 2 6にリブ 2 8 bを設けたことおよび賦形部 3 8を有するシート 3 4を介在させたことにより、磁気テープ 2 4の走行高さが適正に規制されるとともに、滑らかなテープ走行が実現される。図 8に、巻取ハブ 2 6を下ハーフ側から見た模式的平面図を示す（但し、リブ 2 8 bの断面形状は、矩形状として示されている）。また、図 8において、 IX— IX線に沿う断面図を図 9に示す。図 8では、磁気テープの端部を固定するための小片 3 2は省略されており、その部分がテープ巻取リング 2 8が途切れて空間 2 8 cとなっている。

図 8に示す巻取ハブ 2 6では、リブ 2 8 bは、テープ巻取リング 2 8の底面に巻取ハブ 2 6の中心と同心円上に連続して設けられているが、適当な間隔をおいて離散的に設けてもよい。また、図 9にその断面を示すように、リブ 2 8 bの断面形状は、長方形状でも、あるいは先に述べたように丸み（R) を持たせてもよいし、所定の間隔をもって離散的に設ける場合には球状にしてもよく、特に限定されるものではない。

また、この位置規制のためのリブ（突起部）は、巻取ハブ 2 6側でなく、下ハーフ 1 2側に設けるようにしてもよい。しかし、下ハーフ側に該リブを設けるようにすると、成形時における全体の冷却の問題や他の様々な設計を検討する必要があるため、巻取八ブ側に設ける方が好ましい。

該リブを巻取ハブ側に設けるようにした場合には、高さの設定および調整が簡単であり、寸法精度も出しやすい。また、高さ設定を変更する場合にも、該リブを巻取八ブ側に設けるようにしてあれば、成形金型の部品形状を入れ子として簡単にでき、加工も簡単にできるという利点がある。

なお、デッキ側の磁気テープカセットを受け入れるドライブは、平置きタイプばかりでなく、縦置きタイプもあるため、係る場合には、必ずしも下面側が位置規制の基準とは成り得ず、巻取八ブが上方（上ハーフ側）に移動し過ぎないようにするため、下ハーフ側ばかりでなく、上ハーフ側でも位置規制をする必要が生じる。

そこで、図 1 0に示すように、巻取ハブ 2 6のテープ巻取リング 2 8の上方にも前記リブ 2 8 bと同様のリブ 2 8 dを設けて、上ハ一フ 1 0の窓 1 1に設けられたリング状リブ 1 1 aの下面に、シート 3 6を介して当接させるようにすることで、この場合にも巻取ハブの位置規制が適正に行われる。

また、この場合前記上ハーフ 1 0のリング状リブ 1 1 a側に位置規制用のリブ (凸部）を設け、リング状リブ 1 1 aの高さを上げることは、成形上、離形不良の問題や、窓部であるため透明性が必要であり、 A Sや P S等の樹脂材を用いるため強度上の問題もあり現実的でない。

以上説明したように、本実施形態によれば、巻取八ブにリブを設けることで、巻取ハブの高さ位置規制を簡単に行うことができ、磁気テープの走行高さを適正に調整することができるとともに、磁気テープの円滑な走行が確保される。また、シートに所定の帯電防止処理を行うことにより、帯電防止効果を損なうことなく帯電防止剤量を低減でき、必要以上の帯電防止剤による副作用を防止することができる。

本発明の第 2の態様に係る磁気テープカセッ卜およびこれに用いられるシートの帯電防止処理方法は、基本的に以上のように構成される。

次に、図 1 1〜図 1 6を参照して、本発明の第 3の態様に係る磁気テープカセットについて詳細に説明する。

図 1 1は、本発明の第 3の態様に係わる磁気テープカセットの一実施形態である 2リールタイプの磁気テープカセッ卜の概略の構成を示す分解斜視図であり、図 12は、図 11に示す磁気テープカセット全体を巻取ハブのみを除いて II— II 線に沿って切断し、一方の巻取ハブのみを含む部分断面図である。

図 11に示すように、本発明の磁気テープカセットは、蓋合わせ状に結合されて筐体を構成し、磁気テープのケース（カセットケース）となる上ハーフ 110 と下ハーフ 112、下ハーフ 112の底面に外側から接して設けられ、前後方向に摺動可能に装着されたスライダ 1 14、および両端部を巻取ハブ 116に巻回された磁気テープ 118とから主に構成されている。

本発明の磁気テープ力セットは、上ハーフおよび下ハーフを蓋合わせ状に結合して構成したものであり、その内部に磁気テープを巻回し、リールの上下端にフランジを有さない巻取ハプを回転可能に収納した磁気テープカセットであればなんでもよく、例えば DDS、 DAT等の磁気テープカセット、 1リールタイプの磁気テープカセットであってもよい。

磁気テープカセットは、長尺の磁気テープ 1 1 8の両端部を一対の卷取ハブ 116， 116の巻芯1 16 &， 1 16 aに固定して磁気テープ 1 18を両端部からそれぞれの巻芯 116 a， 116 aに巻回し、この磁気テープ 1 18を巻回した一対の巻取ハブ 1 1 6, 1 1 6を回転可能に上ハーフ 1 10と下ハーフ 112とを蓋合わせ状に結合したカセットケース内に収納して、この一対の巻取ハブ 116， 116の間の磁気テープ 1 18を所定の経路を通って張架し、図示しない記録再生装置の磁気へッドの位置に対応する磁気テープの張り出し部分 118 aのみが外部に露出可能となるように構成されている。

このカセットケースから露出可能となる張り出し部分の磁気テープ 118 aの磁性層面に手指が接触したり塵埃が付着するのを防止するために、上ハ一フ 1 1 0には、ピンによって軸支された前蓋 1 2 2が張り出し部分の磁気テープ 1 1 8 aを覆う閉位置と露出させる開位置との間を揺動するように設けられている。

カセットケースは、それぞれ長方形に形成された上ハーフ 1 1 0と下ハーフ 1 1 2とを蓋合わせ状に結合して形成され、前述したように、磁気テープ 1 1 8を巻回した一対の巻取八ブ 1 1 6 , 1 1 6を回転可能に収納するように構成されており、以下に詳述するように、磁気テープ 1 1 8を保持し、所定の機能を達成するための各種の構成が収納、保持されている。

巻取ハブ 1 1 6には、図 1 2に示すように、磁気テープ 1 1 8を巻回する巻芯 1 1 6 aと、巻芯 1 1 6 aの上端面に突出して歯車状に形成された、巻芯 1 1 6 aより小径かつ巻芯 1 1 6 aと同軸の上端部 1 1 6 と、巻芯 1 1 6 aの下端面に突出して形成された、巻芯 1 1 6 aより小径かつ巻芯 1 1 6 aと同軸の下端部 1 1 6 cとが設けられている。このような卷取ハブ 1 1 6の巻芯 1 1 6 aに巻回された磁気テープ 1 1 8の両側には、上ハーフ 1 1 0および下ハーフ 1 1 2との間にそれぞれ介在するシート 1 2 4 aおよび 1 2 4 bが配置される。巻取ハブ 1 1 6の上端部 1 1 6 bは、歯車となっており、その歯（図示せず）が上ハーフ 1 1 0に組み込まれたブレーキ部材 1 2 0の制動片 1 2 0 aと係合して磁気テープ 1 1 8の巻き緩み方向への回転を係止し、非使用時の磁気テープカセッ卜の取り扱いや運搬における振動や衝撃等によって磁気テープ 1 1 8にたるみが生じるのを防止するものであって、一対の制動片 1 2 0 a， 1 2 0 a力それぞれ対応する巻取ハブ 1 1 6， 1 1 6の上端部 1 1 6 b， 1 1 6 bの歯車の歯と係合し、上ハーフ 1 1 0に設けられた図示しないブレーキばねによって、ブレーキ部材 120が巻取ハブ 116に向かって後方にばね付勢されている。

このブレーキ部材 120は、磁気テープカセットの非使用時には、ブレーキばねの付勢力によって、制動片 120 aが上端部 1 16 bの歯車の歯に係合して巻取ハブ 116の回転を制止する制止位置にあり、記録再生装置に装填したときには、前蓋 122が記録再生装置によって回動させられて、ブレーキ部材 120の左右両端から前方に細長く伸び、前蓋 122に係合するように設けられたブレーキア一ム 120 bが前方に引かれて、制動片 120 aが上端部 116 bより離脱して、巻取ハブ 116の回転が可能となる解除位置に移動する。

上ハーフ 110は、長方形の形状をした天面 110 aを有し、この天面 1 10 aには、巻取ハブ 1 1 6を回転可能に支持する一対のハブ保持部 1 10 b， 110 bが下方向に垂直に立設されている。

下ハーフ 112は、長方形の形状をした底面 112 aを有しており、この底面 112 aには、記録再生装置に磁気テープカセットを装填した時に、記録再生装置から図示しないリール軸を巻取ハブ 1 16に揷入し、巻取ハブ 116を回転駆動するためのリール軸挿入孔 112 b, 112 bと、このリール軸挿入孔 112 b， 1 12 bの壁を形成し、巻取ハブ 1 16を回転可能に支持するハブ保持部 112 f , 112 f とを有している。さらに、下ハーフ 112の底面 112 a は、左右両端から前方に伸びる張出部 112 c, 1 12 cを有しており、左右の張出部 112 c, 112 cには、一対の巻取ハブ 116， 116の間に張架された磁気テープ 118を所定の経路を通ってカセットケース前面に案内するための円柱状のテープガイド 112 d， 1 12 dが、底面 112 aから垂直に立設されている。この左右の張出部 1 12 c， 1 12 cの間は下ハーフ 1 1 2の底面 1 1 2 aのない空間となっていて、カセットケースの開口部を形成している。このカセットケースの開口部は、記録再生装置に磁気テープカセットを装填する際に、記録再生装置に設けられている図示しないテープローディング装置が進入するための空間となっている。

スライダ 1 1 4は、下ハーフ 1 1 2の底面 1 1 2 aに下側から接して設けられた薄い平板状の底面 1 1 4 aと、この底面 1 1 4 aに設けられた一対のリール軸揷入孔 1 1 4 b , 1 1 4 bとを有しており、下ハーフ 1 1 2の側壁 1 1 2 eに案内されて前後方向に摺動可能となっている。図示しないスライダばねに付勢されて前方に移動することによって、底面 1 1 4 aで下ハーフ 1 1 2に設けられた力セットケースの開口部およびリール軸挿入孔 1 1 2 b， 1 1 2 bを防塵のために閉塞し、後方に移動することによってカセットケースの開口部を開放し、下ハーフ 1 1 2の底面 1 1 2 aに設けられたリール軸挿入孔 1 1 2 b， 1 1 2 bとスライダ 1 1 4の底面 1 1 4 aに設けられたリール軸揷入孔 1 1 4 b， 1 1 4 との位置が一致して、記録再生装置のテープローディング装置およびリール軸が挿入可能となる。

磁気テープカセッ卜が記録再生装置に装填する際には、磁気テープカセットを記録再生装置に装填する動作に連動して、スライダ 1 1 4の前面に設けられたリブが押圧されて、自動的に後方に移動し、下ハーフ 1 1 2の左右の張出部 1 1 2 C 1 1 2 cの間の開口部が開放されて、記録再生装置のテープローデイング装置が挿入可能となり、下ハーフ 1 1 2のリール軸揷入孔 1 1 2 b， 1 1 2 bとスライダ 1 1 4のリール軸挿入孔 1 1 4 b， 1 1 4 bの位置が一致して、記録再生装置のリール軸が挿入可能となる。巻取ハブ 1 1 6の下端部 1 1 6 cには、記録再生装置に設けられたリール軸を挿入して連結し、それぞれの卷取ハブ 1 1 6を回転駆動するリール軸連結孔が設けられている。このリール軸は、前述したように、スライダ 1 1 4および下ハーフ 1 1 2に設けられたリール軸挿入孔 1 1 4 b， 1 1 2 bを貫通して巻取ハブ 1 1 6のリール軸連結孔に挿入され、巻取ハブ 1 1 6と連結して、これを回転駆動し、一方の巻取ハブに磁気テープ 1 1 8を巻き取ることによって他方の巻取ハブから繰り出された磁気テープ 1 1 8が、磁気テープの張り出し部分 1 1 8 a において記録再生装置の磁気へッドに当接して移動し、磁気テープに情報を記録し、あるいは磁気テープから情報を再生する。

次に、本発明の特徴である巻取八ブ 1 1 6の上端限界位置の規制について、図面に基づいて詳細に説明する。

図 1 3から図 1 6は、図 1 2の磁気テープカセットの断面図のうち、 Bで示す部分の拡大図である。

本発明の第 3の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜において、互いに当接する巻取ハブ 1 1 6および上ハーフ 1 1 0の少なくとも一方の当接部が弾性体で構成されている。

以下、図 1 3から図 1 5を用いて本態様の第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜について詳細に説明する。

本態様において、「互いに当接する卷取ハブおよび上ハーフの当接部」とは、下ハーフ 1 1 2を下にして磁気テープカセットを載置した時に巻取ハブ 1 1 6が位置する場所から、上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2を動かさずに巻取ハブ 1 1 6 のみを上方向に動かした際に、最初に巻取ハブ 1 1 6と上ハーフ 1 1 0とが直接当接する、または上ハーフ 1 1 0の内面に備えてあるシート 1 2 4 aを介して巻取ハブ 1 1 6と上ハーフ 1 1 0とが当接する、巻取ハブ 1 1 6および上ハーフ 1 1 0の一部分をいう。

また、本態様において、上ハーフ 1 1 0には、その一部分に窓を形成している上ハーフ 1 1 0も含まれ、巻取ハブ 1 1 6と窓とが当接する場合も当然含む。また、この当接部には、巻取ハブ 1 1 6を上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2内で水平方向に動かした際に巻取ハブ 1 1 6と上ハーフ 1 1 0とが当接する部分も含まれる。

上述のような方法で巻取ハブ 1 1 6と上ハーフ 1 1 0とが当接する場合に、互いに当接する巻取ハブ 1 1 6および上ハーフ 1 1 0の表面を当接面という。即ち、図 1 3および図 1 4においては、上ハーフ 1 1 0側の当接部 1 1 0 eとはハブ保持部 1 1 0 bを指し、巻取ハブ 1 1 6側の当接部 1 1 6 eとは巻芯 1 1 6 aの上部あるいは巻芯 1 1 6 aの上部に設けた突起部 1 1 6 d、および円筒形をなす上端部 1 1 6 bの外周部を指すことになる。また、上ハーフ 1 1 0側の当接面 1 1 0 f とは、ハブ保持部 1 1 0 bの下端面、および円筒形をなすハブ保持部 1 1 0 bの内周面を指し、巻取ハブ 1 1 6側の当接面 1 1 6 f とは、巻芯 1 1 6 aの上端面あるいは巻芯 1 1 6 aの上部に設けた突起部 1 1 6 dの上端面、および上端部 1 1 6 bの外周面を指す。

図 1 3においては、弾性体 1 3 0は、上ハーフ 1 1 0側の当接部 1 1 0 eであるハブ保持部 1 1 0 bの一部に当接面 1 1 0 f も含むように設けられているが、弾性体 1 3 0は、ハブ保持部 1 1 0 bの全体に設けられていてもよく、上ハーフ 1 1 0の天面 1 1 0 aおよび上ハーフ 1 1 0の外面まで及んでいてもよい。図 14において、弾性体 130は、巻取ハブ 1 16側の当接部 116 eである突起部 1 16 dに当接面 1 1 6 f も含むように設けてられているが、弾性体 130は突起部 1 16 dの一部に設けられていても良く、また、巻芯 1 16 aにまで及んでいてもよく、また巻芯 116 aにのみ設けられていてもよい。また、巻芯 116 aに突起部 116 dが設けられていない場合は、巻取ハブ 1 16側の当接面 1 16 fである巻芯 116 aの上端面を含むように卷芯 116 aに弾性体 130が設けられていてもよい。

また、当接面 110 fおよび 1 16 f間には図 13および図 14に示すようにシート 124 aを介在させてもよい。

弾性体 1 30は、図 1 3の状態のように、磁気テープカセットを下ハーフ 112を下にして載置し、巻取ハブ 116が下端限界位置にいる状態で、当接面 110 fおよび 1 16 f間のクリアランスが 0. 5mm以下となるように設けられていることが好ましい。

図 15においては、上ハーフ 110側の当接部 110 eとは円筒形をなすハブ保持部 1 10 bに囲まれた上ハーフ 110の一部、およびハブ保持部 1 10 bの内周部を指し、巻取ハブ 116側の当接部 1 16 eとは上端部 116 bの上部、および上端部 116 bの外周部を指すことになる。また、上ハーフ 110側の当接面 110 f とは、ハブ保持部 110 bに囲まれた天面 110 aの一部、および円筒形をなすハブ保持部 1 10 bの内周面を指し、巻取ハブ 1 16側の当接面 116 f とは、上端部 1 16 bの上端面、および上端部 116 bの外周面を指す。

図 15においては、弾性体 130は、上ハーフ 110側の当接部 110 e、即ち、ハブ保持部 1 1 0 bに囲まれた上ハーフ 1 1 0の一部に、当接面 1 1 0 f を含むように設けられている。弾性体 1 3 0は、ハブ保持部 1 1 O bに囲まれた上ハーフ 1 1 0の一部に限られず、上ハーフ 1 1 0全体に及んでいてもよい。また、弾性体 1 3 0は、巻取ハブ 1 1 6側の当接部 1 1 6 e、即ち、上端部 1 1 6 bの上部に当接面 1 1 6 f を含むように設けられてもよい。この際、前述したように、上端部 1 1 6 bの歯車の図示しない歯が、上ハーフ 1 1 0に組み込まれたブレーキ部材 1 2 0の制動片 1 2 0 aと係合して磁気テープ 1 1 8 の巻き緩み方向への回転を係止するという機能を損なわない範囲で、弾性体 1 3 0は、上端部 1 1 6 bの上部のみならず、上端部 1 1 6 bの中心部、巻芯 1 1 0 a、下端部 1 1 6 cにまで及んでいても良い。

弾性体 1 3 0は、巻取ハブ 1 1 6が下端限界位置にいる状態で、当接面 1 1 0 fおよび 1 1 6 f間のクリアランスが 0 . 5 mm以下となるように設けられていることが好ましい。

次に、本発明の第 3の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットについて図 1 6を用いて説明する。

本態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットは、互いに当接する巻取ハブ 1 1 6および上ハーフ 1 1 0の少なくとも一方の当接部が弾性体を内挿させた部材で構成されている。

なお、「互いに当接する巻取ハブおよび上ハーフの当接部」の意味、および「当接面」の意味は、本態様の第 1の形態において説明したのと同様の意味を有する。上ハーフ 1 1 0には、その一部分に窓を形成している上ハーフ 1 1 0も含まれることも、本態様の第 1の形態と同様である。図 1 6のように、弾性体 1 3 0は当接部 1 1 0 eに当接面 1 1 0 f を含まないように設けられるが、ここで、弾性体 1 3 0の設け方は、当接面 1 1 0 f を含まないという点以外は、第 1の形態で説明したと同様である。即ち、弾性体 1 3 0 は、上ハーフ 1 1 0側の当接部 1 1 0 eおよび巻取ハブ 1 1 6側の当接部 1 1 6 eの少なくとも一方に、当接面 1 1 0 ίまたは 1 1 6 f を含まないように設けられていればよく、当接面 1 1 0 f または 1 1 6 f を含まないように設けられているという点を除けば、弾性体 1 3 0の設け方は第 1の形態で説明したと同様である。

ここで、上ハーフ 1 1 0および卷取ハブ 1 1 6の当接面 1 1 0 fおよび 1 1 6 f間の摩擦、またはシート 1 2 4 aを介した当接面 1 1 0 fおよび 1 1 6 f間の摩擦が最小限になるように、当接面 1 1 0 f または当接面 1 1 6 f を含む部分は上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6と同材質の材料により構成されていることが好ましい。

また、巻取ハブ 1 1 6が下端限界位置にいる状態で、当接面 1 1 0 f および 1 1 6 f間のクリアランスは 0 . 5 mm以下であることが好ましく、更に好ましくは 0 . 2 mm以下、もっとも好ましくは当接面 1 1 0 fおよび 1 1 6 f を接触させ、または当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eに内挿させた弾性体 1 3 0により、当接面 1 1 0 fおよび 1 1 6 f を互いに付勢させ、クリアランスを 0とすることができる。

本態様の第 1および第 2の形態に係る磁気テープカセットにおいて、巻取ハブ 1 1 6の左右方向のクリアランスを規制するため、ハブ保持部 1 1 6 bの内周部である当接部 1 1 0 eを弾性体により構成してもよく、また弾性体を内挿させた部材により構成させてもよい。

本態様の第 1および第 2の形態に係る磁気テープ力セットにおいて、弾性体 1 3 0として、弹性のある材料であれば何でも使用することができ、例えば、ポリウレタン等のウレタン系、発泡ポリスチレン等のスチレン系、ポリエステル系、フッ素系、ォレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマ一等を好ましく使用することができる。

巻取ハブ 1 1 6と上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2と間のガ夕による衝撃から、巻取ハブ 1 1 6および磁気テープ 1 1 8を効果的に保護するという観点から、また、本態様の第 2の形態においては、上ハーフ 1 1 0および巻取ハブ 1 1 6間の付勢力を適切にするという観点から、弾性体 1 3 0は、 l〜 1 0 g f程度のばね力を有していることが好ましい。

本態様の第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜において、当接部 1 1 0 eおよび 1 1 6 eの少なくとも一方が弾性体 1 3 0により構成されていれば、弹性体 1 3 0の設け方に制限はなく、当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eそのものを弹性体 1 3 0とすることにより構成することもでき、上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6を成型する際に弾性体 1 3 0を含ませて成型することもできる。また、弹性体 1 3 0を上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6に接着剤等を介して貼り付けることにより当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eを構成することもでき、また、弾性体 1 3 0を上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6と係合させることにより当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eを構成することもできる。

本態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットも同様に、当接部 1 1 0 eおよび 1 1 6 eの少なくとも一方は弾性体 1 3 0を内揷させた部材により構成されていれば、弾性体 1 3 0を内挿させた部材の設け方に制限はなく、当接部 1 1 0 e または 1 1 6 eそのものを弾性体 1 3 0とし、当接面 1 1 0 f または 1 1 6 f を含む部材を接着剤等により貼り付けることで構成することもでき、上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6を成型する際に弾性体 1 3 0を含ませて成型することもできる。また、弾性体 1 3 0を内挿させた部材を上ハーフ 1 1 0または巻取ハブ 1 1 6に接着剤等で貼り付けることにより当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eを構成することもでき、また、弾性体 1 3 0を内挿させた部材を上ハーフ 1 1 0または卷取ハブ 1 1 6と係合させることにより当接部 1 1 0 eまたは 1 1 6 eを構成することもできる。

本発明の第 3の態様の第 1および第 2の形態に係る磁気テープカセットにおいて、磁気テープカセットの使用 ·保管 ·輸送に際し、巻取ハブ 1 1 6が上ハーフ 1 1 0に当接しても、巻取ハブ 1 1 6および上ハーフ 1 1 0の少なくとも一方の当接部に設けた弾性体 1 3 0により衝撃を和らげることができる。

本発明の第 3の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットにおいて、巻取ハブ 1 1 6と上ハーフ 1 1 0とが互いに付勢することにより、巻取ハブ 1 1 6の位置が安定し、それに伴い、磁気テープ 1 1 8の高さも安定する。

本発明の第 3の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

次に、図 1 1および図 1 7〜図 1 9を参照して、本発明の第 4の態様に係る磁気テープカセットについて詳細に説明する。

図 1 7は、図 1 1に示す磁気テープカセット全体を Π— II線で切断した別の実施例の部分断面図であり、本発明の第 4の態様の第 1の形態に係る磁気テープ力セットを説明する図である。

図 1 7は、図 1 1に示す 2リールタイプの磁気テープカセッ卜全体を巻取ハブのみ除いて II一 II線に沿って切断し、一方の巻取ハブのみを含む、本発明の第 4 の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセットを説明するための別の実施例の部分断面図である。

ここでは、まず、図 1 7を参照して、巻取ハブ 1 1 6と上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2間の上下 ·水平方向に設けたクリアランスの詳細について説明する。本態様において、巻取ハブの水平方向のクリアランスとは、上ハーフ 1 1 0のハブ保持部 1 1 0 bの内径ひと巻取ハブ 1 1 6の上端部 1 1 6 bの外径ァとの差 a - r , および下ハーフ 1 1 2のハブ保持部 1 1 2 f の内径 /3と巻取ハブ 1 1 6 の下端部 1 1 6 cの外径 δとの差 j3— δ、より詳しくは、上ハーフ 1 1 0に立設された円筒形のハブ保持部 1 1 0 bの内径 αと巻取ハブ 1 1 6の上端側に設けられた円筒形の上端部 1 1 6 bの外径了との差 α—ァ、および下ハーフ 1 1 2に設けられたリール軸挿入孔 1 1 2 bの壁をなすハブ保持部 1 1 2 f の内径 i3と卷取ハブ 1 1 6の下端側に設けられた円筒形の下端部 1 1 6 cの外径 5との差 /3— δ を指す。

即ち、図 1 7中では、差 α—ァおよび差 — δが巻取ハブ 1 1 6と上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2間の水平方向のクリアランスを示す。

本態様において、巻取ハブ 1 1 6の水平方向のクリアランス、即ち差 α—ァぉよび差 3 _ δのいずれも 1 mm未満である必要がある。

また、本態様において、上ハーフ 1 1 0には、その一部分に窓を形成している上ハーフ 1 1 0も当然含まれ、ハブ保持部 1 1 0 bがその窓の一部分である場合も含まれる。

従来の磁気テープカセッ卜の設計において採用していた巻取ハブ—上下ハーフ間の水平方向のクリアランスに比べて、本態様の磁気テープカセッ卜が採用する巻取ハブ 1 1 6—上下ハーフ 1 1 0および 1 1 2間の水平方向のクリアランスをより厳しくすることで、巻取ハブ 1 1 6の水平方向の遊動が少なくなり、その分だけ磁気テープ 1 1 8をより多く巻取ハブ 1 1 6に巻けることになる。

ここで、磁気テープ 1 1 8の幅は 6 . 5 mm以下であることが好ましく、 4 mm以下であることが更に好ましい。また、磁気テープ 1 1 8の厚みは 7 z m 以下であることが好ましく、更に好ましくは 4 πι以上、 7 m以下である。このような狭幅かつ薄厚の磁気テープに本態様の磁気テープカセットを適用することにより、より高い効果をあげることができる。

次に、本発明の第 4の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットについて説明する。ここで、本態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットは、巻取ハブの上下方向のクリアランスに関するものであるため、図 1 7中において Cで示す部分を拡大して示す図 1 8および図 1 9を参照して以下に説明する。

本態様において、巻取ハブの上下方向のクリアランスとは、下ハーフ 1 1 2を下にして載置した際に生じる、巻取ハブ 1 1 6の巻芯 1 1 6 aの上端面 1 1 6 d と上ハーフ 1 1 0との隙間 ε、および上端部 1 1 6 bの上端面 1 1 6 eと上ハーフ 1 1 0との隙間 ζを指す。

より詳しくは、下ハーフ 1 1 2を下にして磁気テープカセットを載置した際に生じる、巻取ハブ 1 1 6の巻芯 1 1 6 aの上端面 1 1 6 dと上ハーフ 1 1 0に立設された八ブ保持部 1 1 0 bの下端面 1 1 0 cとの隙間 ε、および巻取八ブ 1 16の上端部 1 16 bの上端面 1 16 eと上ハーフ 1 10の下端面 1 10 dとの隙間 ζを指す。

図 18および図 19のように、上ハーフ 1 10の内側には通常シート 124 a が備えられているため、本発明において、隙間 εには、巻芯 1 16 aの上端面 1 16 dと、上ハーフ 1 10の内側に備えられたシート 124 aとの隙間 εも含まれる。

また、本態様において、上ハーフ 1 10には、その一部分に窓を形成している上ハーフ 1 10も当然含まれ、ハブ保持部 1 10 bがその窓の一部分である場合も含まれる。

本態様において、巻取ハブの上下方向のクリアランス、即ち，隙間 εおよび隙間 ζのいずれか一方が 0. 5 mm以下である必要がある。また、上ハーフ 1 10 の樹脂と巻取ハブ 1 16の榭脂とが直接接触し、樹脂が削れて磁気テープ 1 18 の走行不良を発生させないように、上ハーフ 1 10と巻取ハブ 1 16とはシート 124 aを介して接触することが好ましく、巻芯 1 16 aの上端面 1 16 dと上ハーフ 1 10に立設されたハブ保持部 1 10 bの下端部 1 10 cとの隙間 εが、巻取ハブ 1 1 6の上端部 1 1 6 bの上端面 1 1 6 eと上ハーフ 1 1 0の下端面 1 10 dとの隙間 ζより小さいことが好ましい。

ここで、本態様の第 2の形態においても、本態様の第 1の形態に係る磁気テープカセットと同様の理由から、磁気テープ 1 18の幅は 6. 5mm以下であることが好ましく、 4mm以下であることが更に好ましい。また、磁気テープ 1 18 の厚みは 7 以下であることが好ましく、更に好ましくは 4 m以上、 7 以下である。なお、巻取ハブ 1 1 6の下方向の限界位置、即ち下端限界位置を決める方法として、図 1 8のように、下端部 1 1 6 cの下端面と下ハーフ 1 1 2とを当接させる方法、あるいは、巻取ハブ 1 1 6の巻芯 1 1 6 aの下端面と下ハーフ 1 1 2とを当接させる方法等を採用することができる。

また、図 1 9のように、巻芯 1 1 6 aまたは下端部 1 1 6 cと、下ハーフ 1 1 2の内側に備えたシート 1 2 4 bとを当接させることにより巻取ハブ 1 1 6 の下端限界位置を決めてもよい。

本発明の第 4の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

次に、図 2 0〜図 2 5 Cを参照して、本発明の第 5の態様に係る磁気テープ力セッ卜について詳細に説明する。

上下ハーフとスライダから構成される磁気テープカセッ卜において、カセットサイズを大きくすることなく、磁気テープの巻き込みエリアを拡大し、より長い磁気テープを収容して、より大きな記憶容量を得ようという強い要望があることは前述した通りである。ところで、図 1に示す磁気テープカセットにおいても、このような試みがなされている。

図 1に示す磁気テープカセッ卜の下ハーフ 1 2の平面図を図 2 0に示す。同図に示すように、下ハーフ 1 2の後方側壁 1 2 iおよび左右両側壁 1 2 j 、 1 2 j には、卷取ハブに巻回された磁気テープと接触しないように、また、より多くの磁気テープが巻けるように、磁気テープの最外周に合わせて丸みを持たせた肉盗み部 Rが形成され、磁気テープの巻回エリアを少しでも拡大し、記憶容量の増大を図っている。また、この下ハーフ 1 2にスライダ 1 4を組み合わせた状態を図 2 1に斜視図として示す。スライダ 1 4の左右側壁 1 4 d、 1 4 dは、下ハーフ 1 2の左右側壁 1 2 j、 1 2 jに外側から接して、係合摺動部 1 4 e、 1 4 eの下面は該側壁 1 2 iの上面に摺接する。このように、スライダは、下ハーフの底面を下から覆レ前後方向に摺動するとともに、上下ハーフ側壁間に摺動面を形成し、嵌合する構造となっている。そのため、下ハーフ側壁の、防塵を行うための壁の外側にスライダ側壁が配置され、その上方、外側に上ハーフ側壁が配置されることとなる。

また、テープ巻面の最外周は、下ハーフおよびスライダのハブ孔の同心円上に位置し、カセット側面においては、下ハーフ側壁までの寸法が限界点となっており、それ以上はテープを巻くことはできなかった。そこで、従来は、前述したように、下ハーフ側壁肉厚のテープ最外周に位置する部分に丸みを持った肉盗み部を形成し、少しでも多くのテープが巻けるようにしている。

しかし、この方法では、収納可能な磁気テープの長さの増大、従って記憶容量増大には限界がある。そこで、本発明者は、磁気テープの防塵をスライダによつて行うことにより、磁気テープの卷径を制限している下ハーフの左右両側壁の一部を切り欠くことにより、さらに長い磁気テープを収容可能としている。

図 2 2は、本発明に係る磁気テープカセットの下ハーフの一実施例の平面図である。

下ハーフ 1 2は、長方形状の底面 1 2 aに、カセット使用時においてカセットケース内にリール軸を挿入するためのリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bを有し、底面 1 2 aの左右両端は前方に伸びる張出部（テープ出口部） 1 2 c、 1 2 c となっている。左右の張出部 1 2 c 、 1 2 cには、磁気テープをガイドするための円柱状のリブ 1 2 d、 1 2 dが設けられている。この左右の張出部 1 2 c , 1 2 cの間の空間は、当該磁気テープカセッ卜が装填される記録再生装置（デッキ）側に設けられている、いわゆるテープローデイング装置が進入するための空間である。

また、下ハーフ 1 2の底面 1 2 aには、 2つの割り筒型のリブを連続してハの字状に設けた壁状の部材 1 2 eが立設されている。下ハーフ 1 2の後方および両側方には、底面 1 2 aに垂直にそれぞれ側壁 1 2 iおよび 1 2 j 、 1 2 jが設けられている。これらの側壁 1 2 i 、 1 2 jは図示しない上八ーフに設けられた同様の側壁と蓋合わせ状に結合し、防塵のためケース内の密閉性を高めるとともにケースの強度を確保している。

下ハーフ 1 2上の、前記壁状の部材 1 2 e、および側壁 1 2 i 、 1 2 jで囲まれた領域に、巻取ハブに巻回された磁気テープが配置される。図 2 2の破線状の円がテープの最大卷径を表す。前記壁状の部材 1 2 eは、これに合わせた曲率を有しており、後端部の側壁 1 2 iのテープの最大巻径に相当する部分にもこれに合わせた丸みを有する肉盗み部 Rが形成されている。

ここで、本態様のボイントは、下ハーフ 1 2の左右両端の側壁 1 2 j 、 1 2 j のテープ最大卷径に相当する部分、すなわち図 2 2の符号 Pで示す部分を切り欠いて、その分テープの卷き数を増やしたことである。

この下ハーフ 1 2の斜視図を図 2 3に示す。このように、下ハーフ 1 2の左右の側壁 1 2 j 、 1 2 jの略中央部の、テープ最大巻径に相当する部分に切り欠き部 Pが形成されている。したがって、このままの状態では、テープ巻玉の一部が切り欠き部 Pから露出することとなる。そこで、いままで下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jによってなされていた防塵効果を、スライダの側壁によって達成することとする。

図 2 4に、下ハーフ 1 2にスライダ 1 4を組み込んだ様子を斜視図で示す。スライダ 1 4は、下ハーフ 1 2の底面 1 2 aに下側から接してカセット前後方向に摺動するが、図 2 4のように前方に位置するときは、前記下ハーフ 1 2の左右の張出部 1 2 c、 1 2 cの間の空間およびリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bをスライダ 1 4の底面 1 4 aにより防塵のため塞ぐようになつている。また、スライダ 1 4が後方に位置するときは、前記下ハーフ 1 2の左右の張出部 1 2 c、 1 2 cの間の空間を解放するとともに、スライダ 1 4の底面 1 4 aに設けられた 2つの孔が前記下ハーフ 1 2のリール軸挿入孔 1 2 b、 1 2 bと一致するようになつている。スライダ 1 4は、カセットがデッキに装着されたときは、デッキ内の装置の作用により自動的に後方に位置されるが、カセット非使用時には、ばねの付勢力によって前方に位置される。ばねの付勢力を受けるためにスライダ 1 4の前方に壁状のリブ 1 4 cが設けられている。

また、スライダ 1 4の底面 1 4 aの左右両端には、底面 1 4 aに垂直に側壁 1 4 dが立設され、該側壁 1 4 dの上端内縁には、直方体状の係合摺動部 1 4 eが設けられている。この係合摺動部 1 4 eの下面は、下ハーフ 1 2の左右側壁 1 2 j 、 1 2 jの上面に係合 ·摺接する。

このスライダ 1 4の左右両端の側壁 1 4 d、 1 4 dによって、前記下ハーフ 1 2の側壁 1 2 j 、 1 2 jの切り欠き部 Pを塞ぐようにする。結局、スライダ 1 4の側壁1 4 、 1 4 dで防塵壁を形成する。なお、上に説明した下ハーフ 1 2とスライダ 1 4以外、上ハーフやブレーキ等の部材については、図 1に示した磁気テープカセットと同様であるので説明を省略する。

このように、本態様によれば、テープ最大巻径外周に相当する、下ハーフの左右両側壁の中心点を含む一定範囲の側壁部（従来、テープ最大巻径外周に合わせて丸みをもって形成された肉盗み部）を切り欠き、スライダ側壁で防塵壁を形成するようにしたため、上ハーフと同等の巻径エリアを下ハーフ側で形成でき、力セットサイズ（特に、カセット左右方向のサイズ）を増大させることなく、テ一プ卷径エリアを拡大できる。その結果、テープの巻数を増やすことができ、磁気テープカセットの記憶容量を大きくすることが可能となる。

ところで、下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jの一部を切り欠いたことにより、側壁 1 2 jの強度が低下することも考えられるが、これについては、例えば、以下述べるようなものが考えられる。

図 2 5 A〜図 2 5 Cにこれらの実施例を示す。図 2 5 A、図 2 5 Bおよび図 2 5 Cは、それぞれの例を、下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jの切り欠き部 Pの側面図で示したものである。

まず、図 2 5 Aに示すものは、下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jの切り欠き部 Pの付近に補強リブ 7 0、 7 0を設けたものである。補強リブ 7 0の形状については、特に限定はなく、テープ巻玉に接しない範囲で適宜設定すればよい。

また、図 2 5 Bに示すものは、下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jの切り欠き部 Pに、テープ巻玉に影響しない範囲でテ一パ 7 2を設けたものである。

さらに、図 2 5 Cに示したものは、下ハーフ 1 2の側壁 1 2 jに切り欠き部 P を設ける際、完全に下ハーフ 1 2の底面 1 2 aの部分まで切り欠いてしまうのではなく、磁気テープと下ハーフの間に介在されるシートの高さの分 7 4は残して切り欠こうというものである。

本発明の第 5の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

次に、図 2 6〜図 3 0を参照して、本発明の第 6の態様に係る磁気テープカセッ卜について詳細に説明する。

図 2 6は、本発明の第 6の態様の第 1の実施の形態における磁気テープカセットの概略斜視図であり、図 2 7は、その前端中央部分の内部構造を省略した断面図である。なお、この説明での前後方向は、磁気テープカセット 2 0 0の装填方向 aに対応して表している。

磁気テープカセット 2 0 0は、上ハーフ 2 1 0 (上ケース）と下ハーフ 2 1 2 (下ケース）とが結合されてなる扁平箱状のケース 2 0 2と、このケース 2 0 2 の前端部に開閉揺動自在に取り付けられた前蓋 2 1 6と、下面側に摺動自在に装着されたスライダ 2 1 4とを備えている。

このケース 2 0 2の内部には、図示してないが、磁気テープが両側の巻取ハブに巻き付けられて収容され、ケース 2 0 2の前面部分及び前部底面部分は除去されて、記録再生装置に対するテープローディング用の開口が形成されている。ケース 2 0 2の前面部のテープ引出用の開口を開閉する前蓋 2 1 6は、記録再生装置への装填に伴って前記スライダ 2 1 4が後退移動するのに応じてロックが解除されて開閉作動される。また、前記スライダ 2 1 4は装填方向 aに沿った進退摺動に伴って下ハーフ 2 1 2の底面開口部を開閉する。なお、下ハーフ 2 1 2及びスライダ 2 1 4には、駆動軸押入孔が両側に開口されている。さらに、前記スライダ 2 1 4を開位置と閉位置とでそれぞれロックするロック機構が設置され、記録再生装置への装填に伴ってロック機構が解除されてスライダ 2 1 4を後方に移動させて底面開口部を開き、後退位置で開放位置をロックする。開かれた開口部にテープローデイング装置が挿入されてテープを前方に引き出し、前蓋 2 1 6を開作動して記録再生を可能とするようになつている。このような磁気テープカセット 2 0 0において、上ハーフ 2 1 0の上面の前方部分には、略中央部分に凹部 2 2 0が形成され、図 3 8に示すような、カセット自動搬送装置 4 0 0における位置決め用の押圧係合部材 4 1 0のローラ 4 1 0 a が係合する。

前蓋 2 1 6は、ケース 2 0 2の前面部分を覆うリッド部 2 2 2と、その両端部に前後方向に延びて連接された側壁 2 2 4とを有し、両側壁 2 2 4の枢支部 2 2 6が上ハーフ 2 1 0の側面に対して回動自在に支持されている。リツド部 2 2 2は上端部に後方に屈曲された上壁部 2 2 8を有し、図示の閉状態において、上壁部 2 2 8が上ハーフ 2 1 0の上面と連続するように設けられている。なお、上ハーフ 2 1 0の上面前端部は上部が除去された段部 2 3 0に設けられ、この段部 2 3 0上に前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8が位置する。また、この前蓋 2 1 6は枢支部 2 2 6に配設された捩りパネ（図示せず）により閉方向に付勢されている。

上ハーフ 2 1 0の上面前端と段部 2 3 0の後端とは傾斜面で接続され、前蓋 2 1 6の開閉揺動において、前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の先端と上ハーフ 2 1 0の上面先端とが干渉しないように設けられている。これに伴い、上ハーフ 2 1 0の上面先端と前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の後端との間には隙間 2 1 8が形成され、前述のローラ 4 1 0 aが引っ掛かる恐れがある。

そして、前記前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の上面の高さが、上ハーフ 2 1 0の上面の高さより低くなるように上壁部 2 2 8が形成されている。例えば、これは、上壁部 2 2 8の厚みを周囲の厚みより薄く形成することなどによる。一方、前記両側壁 2 2 4の上面位置は上ハーフ 2 1 0の上面位置と略同一であり、上壁部 2 2 8の上面位置より高く形成されている。

なお、前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8における上面を低く形成する領域は、図 2 6 のように両側壁 2 2 4を除いたリツド部 2 2 2の全体とするほか、少なくとも前記凹部 2 2 0に対応してローラ 4 1 0 aが接触通過する領域に設ければよい。本実施形態によれば、前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8における上面位置をケース 2 0 2の上面より低く形成したことにより、隙間 2 1 8があっても、上壁部 2 2 8の上面後端の角部が低くローラ 4 1 0 aが引っ掛かり難くなり、ローラ 4 1 0 aは上ハーフ 2 1 0の上面から上壁部 2 2 8の上面にスムーズに移行して、カセット自動搬送装置 4 0 0における搬送時に前蓋 2 1 6が押し開かれるような力を受けることがない。さらに、両側壁 2 2 4の上壁部 2 2 8は切り欠くことなく大きく設けてその強度を確保し、信頼性を高めている。

次に、図 2 8は第 2の実施の形態における上ハーフ 2 1 0の前端部及び前蓋 2 1 6の上部の内部構造を省略した中央断面図である。

この実施の形態においては、上ハーフ 2 1 0の上面に形成された凹部 2 2 0の前方における前記隙間 2 1 8に臨む部分に、前部側で高くなるスロープ部 2 3 2 が形成されている。このスロープ部 2 3 2は、前記隙間 2 1 8を介して前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の後端に隣接する部分が他の上ハーフ 2 1 0の上面より高くなるように、後部側から前端部側となるに従って徐々に高くなるように設けられ、曲面又は斜面で形成される。なお、前記前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8は、上面位置が上ハーフ 2 1 0の上面と同じ高さに設けられている。

このスロープ部 2 3 2の形成範囲は、少なくとも前記ローラ 4 1 0 aが接触通過する範囲に設けてあればよい。また、スロープ部 2 3 2の形成は上ハーフ 2 1 0の肉厚を大きくすることで設けるほか、上ハーフ 2 1 0の上壁を反らせるように成形してもよい。

本実施形態によれば、ケース 2 0 2の上面の前端部に前端部側が徐々に高くなるスロープ部 2 3 2を形成したことにより、隙間 2 1 8があっても、ローラ 4 1 0 aはこのスロープ部 2 3 2を越える際に前蓋 2 1 6の上面より高い位置からジャンプするように隙間 2 1 8を越えて、上ハーフ 2 1 0の上面から上壁部 2 2 8の上面に移行して前蓋 2 1 6に引っ掛かることなく、カセット自動搬送装置 4 0 0における搬送時に前蓋 2 1 6が押し開かれるような力を受けることがない。

次に、図 2 9は第 3の実施の形態における上ハーフ 2 1 0の前端部及び前蓋 2 1 6の上部の内部構造を省略した要部断面斜視図である。

この実施の形態においては、上ハーフ 2 1 0の上面に形成された凹部 2 2 0の前方における前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の底面に、この上壁部 2 2 8の変形を抑制する補強リブ 2 3 4が形成されている。また、補強リブ 2 3 4の下面は前蓋 2 1 6の閉状態で、前記上ハーフ 2 1 0の段部 2 3 0の上面に重なる位置に設けられ、ローラ 4 1 0 aによる押圧時又は他の外力による変形時に該段部 2 3 0 に接触して、前蓋 2 1 6の変形を抑制する。

この補強用リブ 2 3 4の形成範囲は、少なくともローラ 4 1 0 aが接触通過する範囲に設けてあればよい。なお、この補強リブ 2 3 4の形状は、特に限定されないが、左右方向に延びる凸リブなど、上壁部 2 2 8の厚みを増大して曲げ強度を高める構造が採用される。

本実施形態によれば、前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の底面に補強リブ 2 3 4を形成したことにより、前蓋 2 1 6の剛性が高く変形しにくく隙間 2 1 8が広がらずに、ローラ 4 1 0 aが前蓋 2 1 6に引っ掛かることなく上ハーフ 2 1 0の上面から上壁部 2 2 8の上面に移行し、カセット自動搬送装置 4 0 0における搬送時に前蓋 2 1 6が押し開かれるような力を受けることがない。

次に、図 3 0は第 4の実施の形態における上ハーフ 2 1 0の前端部及び前蓋 2 1 6の上部の内部構造を省略した要部断面図である。

この実施の形態においては、上ハーフ 2 1 0の前端部と前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の後端部との間の前記隙間 2 1 8の幅 dが狭く形成されている。また、この隙間 2 1 8の幅 dを狭くするのに伴い、上壁部 2 2 8後端の下面角部 2 2 8 aが C面状に除去され、前蓋 2 1 6の枢支部 2 2 6を中心とした開閉移動における上ハーフ 2 1 0の上面前端部との干渉が発生しないようにしている。

この隙間 2 1 8の幅 dを小さくするのは、上ハーフ 2 1 0の上面先端部の位置を前部側に設定する力前蓋 2 1 6の上壁部 2 2 8の後端位置を後部側に設定することで行い、前蓋 2 1 6の枢支部 2 2 6を中心とした開閉移動における上壁部 2 2 8の下面後端角部 2 2 8 aの移動軌跡が、上ハーフ 2 1 0の上面先端角部に干渉しない範囲に、この角部 2 2 8 aを除去する。本実施形態によれば、前蓋 2 1 6の後端部と上ハーフ 2 1 0の上面前端部との隙間 2 1 8の幅 dを小さくしたことで、ローラ 4 1 0 aは前蓋 2 1 6に引っ掛かることなくこの隙間 2 1 8を上ハーフ 2 1 0の上面から上壁部 2 2 8の上面へ移行し、カセット自動搬送装置 4 0 0における搬送時に前蓋 2 1 6が押し開かれるような力を受けることがない。また、前蓋 2 1 6の開閉移動におけるケース 2 0 2との干渉部分を除去して、前蓋 2 1 6の開閉動作を確保している。

本発明の第 6の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

次に、図 3 1〜図 3 2 Bを参照して、本発明の第 7の態様に係る磁気テープ力セットについて詳細に説明する。

図 3 1は、本発明の第 7の態様の一実施形態における磁気テープカセッ卜の上面側の斜視図であり、図 3 2 Aは，図 3 1に示す磁気テープカセッ卜の下面側の斜視図であり、図 3 2 Bは、図 3 2 Aの X— X線に沿う内部構造を省略した断面図である。なお、図 3 1に示す磁気テープカセット 2 0 0の基本構造は、前述の図 2 6に示したものと同一であり、同一構造には同一符号を付しているのでその説明を参照されたい。

本態様の磁気テープカセッ卜において、下ハーフ 2 1 2の下面側に摺動自在に設置されるスライダ 2 1 4は、底壁部 2 4 0及び側壁部 2 4 2を有し、下ハーフ 2 1 2の底面及び側面に形成された凹部 2 3 6を摺動するように組み付けられている。このスライダ 2 1 4は装填方向 aに沿った進退摺動に伴って下ハーフ 2 1 2の底面前部の開口部を開閉する。なお、スライダ 2 1 4には、駆動軸挿入孔 2 4 4が両側に開口され、後退位置に移動した際に下ハーフ 2 1 2に開口されている駆動軸入孔（図示せず）と一致する。さらに、スライダ 2 1 4を開位置と閉位置とでそれぞれロックするロック機構 2 4 6が設置され、記録再生装置への装填に伴ってロック機構 2 4 6が解除されてスライダ 2 1 4を後方に移動させて底面開口部を開き、後退位置で開放位置をロックする。開かれた前部開口部にテープローデイング装置が挿入されてテープを前方に引き出し、前蓋 2 1 6を開作動して記録再生を可能とするようになつている。

このような磁気テープカセット 2 0 0において、前蓋 2 1 6は、ケース 2 0 2 の前面部分を覆うリッド部 2 2 2と、その両端部に前後方向に延びて連接された側壁 2 2 4とを有し、両側壁 2 2 4の枢支部 2 2 6が上ハーフ 2 1 0の側面に対して回動自在に支持されている。リツド部 2 2 2の上部後端と、上ハーフ 2 1 0 の上面先端との間には隙間 2 1 8が形成されている。

一方、下ハーフ 2 1 2の底面におけるスライダ 2 1 4が摺動する凹部 2 3 6の後端部には、前蓋 2 1 6のリツド部 2 2 2の下端位置と略同じ高さになる段部 2 3 8が設けられ、この段部 2 3 8が凹部 2 3 6の底面に対して斜めに連接する斜面で形成されている。この段部 2 3 8の斜面は、開位置に移動したスライダ 2 1 4の後端部とは接触しない位置に設けられている。

なお、上記段部 2 3 8は曲面で形成するようにしてもよく、この段部 2 3 8における斜面又は曲面に形成する範囲は、図 3 2 Aのように下ハーフ 2 1 2の底面の全体とするほか、部分的であってもよい。

また、上ハーフ 2 1 0の上面の前方部分の略中央部分には、図 3 8に示すようなカセット自動搬送装置 4 0 0における位置決め用の押圧係合部材 4 1 0のローラ 4 1 0 aが係合する凹部 2 2 0が形成されている。本実施形態によれば、下ハーフ 2 1 2底面のスライダ 2 1 4が摺動する凹部 2 3 6の後端段部 2 3 8を斜面又は曲面で形成したことにより、隙間 2 1 8力あっても、この隙間 2 1 8上を斜めになつた段部 2 3 8がその斜面又は曲面により引っ掛かり難くなり、段部 2 3 8は上ハーフ 2 1 0の上面から前蓋 2 1 6の上面にスムーズに移行して、カセット自動搬送装置 4 0 0における奥部収納部 4 0 6で斜めになつた状態でも、搬送される下方の磁気テープカセット 2 0 0の前蓋 2 1 6が押し開かれるような力を受けることがない。

本発明の第 7の態様に係る磁気テープカセットは、基本的に以上のように構成される。

以上、本発明の磁気テープカセットおよびこれに用いられるシートの帯電防止処理方法について、種々の実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、以上の実施例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や設計の変更を行ってもよいのはもちろんである。産業上の利用可能性

以上説明した通り、本発明の第 1の態様によれば、下ハーフのシート装着部の外側の面でカセッ卜のテープ出口近傍までのテープの移動可能範囲の略全面に厚肉部（凸部）を設けたので、カセットのテープ出口での高さ方向の位置規制を正確に行うことができる。そして、未使用時から、また種々異なる記録 ·再生デッキに使用した後に生じるテープの巻高さ変化 ·バラツキ発生後に再度別デッキに使用する場合でも、いかなるデッキのテープ引き出しガイドに対しても、弓 Iき出しガイドの高さにバラツキがあっても、テープの最外周のテープ高さが略直線状に保たれ、デッキの引き出しガイドに直角に接して、引き出す事が出来、テープに損傷を与える事がない。

また、本発明の第 2の態様によれば、巻取八ブの外周側のテープ巻取リングの下ハーフ側底面に高さ方向の位置規制用のリブを設けたため、簡単に磁気テープの走行高さを設定し、調整することができるとともに、磁気テープの円滑な走行を確保することができる。

また、本発明の別の態様によれば、シートの電気抵抗を下げることができ、シートへのゴミの付着等を防止することができるとともに、帯電防止剤のシートへの含浸量を低減でき、必要以上の帯電防止剤による副作用が解消され、外観を維持することができ、製品性能を損なわせることがない。

また、本発明の第 3の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜によれば、カセットケース内の巻取ハブの遊動距離を最小限に設定することができ、磁気テープカセットの使用時、輸送時および保管時等におけるテープ保護が確実にできる。

また、本発明の第 3の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセットによれば、上記の効果に加えて、巻取ハブの位置および卷取ハブに巻回された磁気テープの高さを安定させることができ、これにより記録再生装置内での安定したテープ走行を確保できる。また、巻取ハブの位置を安定させることにより、巻取ハブの水平方向のガ夕が減少するため、より多くの磁気テープを卷取ハブに巻くことが可肯 gとなる。

また、本発明の第 4の態様の第 1の形態に係る磁気テープカセッ卜によれば、巻取ハブの水平方向のクリアランスを小さくできるため、巻取ハブのカセットケース内での遊動可能な遊びが小さくなり、記録再生装置への装着精度が上がり、不安定な状態でのテープ走行が避けられ、磁気テープカセットの装着および排出時に磁気テープにダメージを与えることがなく、記録再生装置内での安定したテープ走行を提供することができる。

また、カセット内での磁気テープの遊動距離を最小限にできるため、カセット内でのテープ保護がし易くなり、より長く磁気テープを卷取八ブに巻き込むことが可能となる。

また、本発明の第 4の態様の第 2の形態に係る磁気テープカセッ卜によれば、巻取ハブの上下方向のクリアランスを小さくできるため、巻取ハブのカセット内での遊動可能な遊びが小さくなり、磁気テープのエッジに与えるダメージを軽減でき、巻取ハブの位置を安定させ、安定した磁気テープの高さを保持できることにより、磁気テープカセッ卜の記録再生装置への装着および排出時のテープ引出しおよび収納を精度良く行え、安定した状態でのテープ走行が可能となる。また、本発明の第 5の態様によれば、テープ最大巻径外周に相当する、下ハ一フの左右両側壁の中心点を含む一定範囲の側壁部（従来、テープ最大卷径外周に合わせて丸みをもって形成された肉盗み部）を切り欠き、スライダ側壁で防塵壁を形成するようにしたため、上ハーフと同等の巻径エリアを下ハーフ側で形成することができ、カセットサイズ（特に、カセット左右方向のサイズ）を増大させることなく、テープ巻径エリアを拡大できる。その結果、テープの卷数を増やすことができ、磁気テープカセットの記憶容量を大きくすることが可能となる。また、上記のような本発明の第 6の態様の磁気テープカセットによれば、前蓋の上壁部におけるローラが接触する部分の上面位置をケース上面より低く形成したことにより、この前蓋の上壁部にローラが引っ掛かるのが防止でき、搬送時に前蓋が押し開かれるような力を受けることなく変形の発生が防止でき、良好な搬送が行えると共に、磁気テープカセットに破損等が発生することがない。また、前蓋の両側壁の上面はケース上面と略同位置としたことにより、前蓋の大幅な強度低下を抑制できる。

また、本態様の他の磁気テープカセットによれば、ケースの凹部より前方の前蓋の上壁部との隙間に臨む部分に上面が前端部側が徐々に高くなるスロープ部を形成したことにより、ローラはこのスロープ部を乗り越える際に前蓋の上面より高い位置からジャンプするように隙間を越えることになり、前蓋に引つ掛かるのが防止できる。

さらに、本態様の他の磁気テープカセットによれば、前蓋の上壁部の底面に補強リブを形成したことにより、前蓋の剛性が高く変形しにくく、ローラが引っ掛かり難くなると共に、補強リブがケースの一部に当接するように設けると、ケ一スの剛性も作用してさらに前蓋の変形が抑制できる。

また、本態様の他の磁気テープカセットによれば、前蓋の上壁部の後端部とケース上面の前端部との隙間を小さく設定すると共に、前蓋の開閉移動におけるケースとの干渉部分を除去したことにより、前蓋へのローラの引っ掛かりを防止できると共に、前蓋の開閉動作は確保するようにしている。

上述したように、本発明の第 6の態様によれば、カセット自動搬送装置による搬送時において押圧係合部材のローラがケース上面の凹部に係合して良好な位置決めによる安定した搬送が行える一方、このローラが前蓋に引っ掛かることによる不具合の発生を防止でき、カセット自動搬送装置に供するのに適した磁気テ一プカセットを得ることができる。

また、上記のような本発明の第 7の態様の磁気テープカセットによれば、ケースの底面におけるスライダが摺動する凹部の後端部の段部を斜面又は曲面で形成したことにより、上部の磁気テープカセッ卜がめになったときでもその後端段部が下方の磁気テープカセッ卜の前蓋に引っ掛かるのが防止でき、搬送時に前蓋が押し開かれるような力を受けることなく変形の発生が防止でき、良好な搬送が行えると共に、磁気テープカセッ卜に破損等が発生することがない。

上述したように、本発明の第 7の態様によれば、カセット自動搬送装置による搬送時において、奥部収納部での自重落下時の斜め状態で上部カセッ卜の後端段部が下部カセッ卜の前蓋に引っ掛かることによる不具合の発生を防止して安定した搬送が行え、カセット自動搬送装置に供するのに適した磁気テープカセットを得ることができる。

Claims

請求の範囲

1 . 上ハーフと下ハーフを蓋合わせ状に結合して形成されたカセットケース内に、磁気テープを卷回した一対の巻取八ブを、その上下にシートを介して収容した磁気テープカセットであって、

前記下ハーフにおいて、前記シートが装着された部分より外側の面で、カセッ卜のテープ出口近傍までの全面に厚肉部を設けたことを特徴とする磁気テープ力セッ卜。

2 . 前記厚肉部と前記シートとの間および前記下ハーフのテープ出口の端部の少なくとも一方に凹部を設けた請求項 1に記載の磁気テープカセッ卜。

3 . 上ハーフと下ハーフを蓋合わせ状に結合して形成されたカセットケース内に、磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収容した磁気テープカセットであつて、

前記巻取ハブの外周側面に磁気テープ卷面を有するテープ卷取リングの、下ハーフの底面と対向する底面に、該卷取ハブ径の中心と同心円上に連続的または離散的に、該巻取ハブの高さ方向の位置規制をするためのリブを設けるとともに、

該巻取ハブと前記下ハーフの間にシートを介在させたことを特徴とする磁気テ一フカセット。

4. 前記シートが、いずれか一方の面に帯電防止剤を含浸してなるシートである請求項 3に記載の磁気テープカセット。

5 . 前記シートが、前記いずれか一方の面に、部分的に量の異なる帯電防止剤を含浸させたシートである請求項 4に記載の磁気テ一プカセット。

6 . 磁気テープを巻回した巻取ハブを回転可能に収納し、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合することによりカセットケースを形成する磁気テープカセッ卜であって、

互いに当接する前記上ハーフおよび前記巻取ハブの少なくとも一方の当接部を弾性体で構成したことを特徴とする磁気テープカセッ卜。

7 . 磁気テープを巻回した巻取ハブを回転可能に収納し、上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合することによりカセットケースを形成する磁気テープカセッ卜であって、

互いに当接する前記上ハーフおよび前記巻取ハブの少なくとも一方の当接部を弾性体を内挿させた部材で構成したことを特徴とする磁気テープカセット。

8 . 前記当接部を前記弾性体を内挿する部材で構成し、この当接部の前記上ハーフと前記巻取ハブとの当接面を、前記上ハーフまたは前記巻取ハブと同材質の材料により構成する請求項 7に記載の磁気テープカセット。

9 . 磁気テープが巻回される卷芯と、この巻芯の両端側に突出する、巻芯より小径の同軸の上端部および下端部とを備えた巻取ハブと、この上端部の外周面と当接する円筒内周面を持つハブ保持部を備える上ハーフと、前記下端部の外周面と当接する円筒内周面を持つハブ保持部を備える下ハーフとを備え、磁気テープを巻回した前記巻取ハブを回転可能に収納し、前記上ハーフと前記下ハーフとを蓋合わせ状に結合することによりカセットケースを形成する磁気テープカセットであって、

前記上八ーフの八ブ保持部の内径と前記巻取ハブの上端部の外径との差および前記下ハーフのハブ保持部の内径と前記巻取八ブの下端部の外径との差が、共に 1 mm未満であることを特徴とする磁気テープカセット。

1 0 . 前記磁気テープの幅が 6 . 5 mm以下であり、かつその厚みが 7 /z m以下である請求項 9に記載の磁気テープカセット。

1 1 . 磁気テープが卷回される巻芯と、この巻芯の両端部に突出する、巻芯より小径の同軸の上端部および下端部とを備えた巻取ハブと、磁気テープを巻回した前記巻取ハブを回転可能に収納するカセットケースを構成し、蓋合わせ状に結合された上ハーフおよび下ハーフとを備えた磁気テープカセットであって、前記下ハーフを下にして載置した際に生じる、前記巻取ハブの前記巻芯の上端面と前記上ハーフとの隙間および前記上端部の上端面と前記上ハーフとの隙間のいずれか一方が 0 . 5 mm以下であることを特徴とする磁気テープカセット。

1 2 . 前記磁気テープの幅が 6 . 5 mm以下であり、かつその厚みが 7 xi m以下である請求項 1 1に記載の磁気テープカセット。

1 3. 前記巻芯の上面と前記上ハーフとの隙間が、前記上端部の上面と前記上ハーフとの隙間より小さい請求項 1 1または 1 2に記載の磁気テープカセッ卜。

1 4. 磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収容するカセットケースを構成し、前記一対の巻取ハブの間に張架された部分の磁気テープのみを露出するよう蓋合わせ状に結合される側壁を有する上ハーフおよび下ハーフと、

長方形状の底面と、その左右長手方向両端に沿って底面に垂直に立設された側壁を有し、カセットケース前方側に設けられたガイド揷入部および下ハーフの底面のリール軸挿入孔を開閉可能に、該下ハーフの底面に沿って前後方向摺動自在に、該下ハーフの外側下面に装着されたスライダとを備えた磁気テープカセットであって、

前記下ハーフの左右両端に設けられた側壁の、前記卷取ハブに巻回された磁気テープの最大巻径外周に相当する一定範囲の部分を切り欠くとともに、

前記スライダの側壁でカセットケースの防塵壁を形成したことを特徴とする磁気テープカセッ卜。

1 5 . 複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセットであって、ケース上面には、前記カセット自動搬送装置に設置された位置決め停止用のローラとパネとによる押圧係合部材が係止する凹部が設けられ、ケース前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋が揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスライダが設置されてなり、

前記前蓋の上壁部における少なくとも前記凹部に対応する部分の上面位置がケース上面より低く形成され、該前蓋の両側壁の上面はケース上面と略同位置としたことを特徴とする磁気テープカセッ卜。

1 6 . 複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセッ卜であって、

ケース上面には、前記カセット自動搬送装置に設置された位置決め停止用のローラとパネとによる押圧係合部材が係止する凹部が設けられ、ケース前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋が揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスライダが設置されてなり、

前記ケースにおける少なくとも前記凹部より前方で、前記前蓋の上壁部との隙間に臨む部分に、上面が前端部側が徐々に高くなるスロープ部が形成されたことを特徴とする磁気テープカセット。

1 7 . 複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセットであって、

前記前蓋の上壁部における少なくとも前記凹部の前方部分の底面に、該上壁部の変形を抑制する補強リブが形成されたことを特徴とする磁気テープカセッ卜。

1 8 . 複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセッ卜であって、

前記前蓋の上壁部の後端部とケース上面の前端部との隙間が小さく設定されると共に、該前蓋の開閉移動におけるケースとの干渉部分が除去されたことを特徴とする磁気テープカセット。

1 9 . 複数の磁気テープカセットを収容し、搬送機構により順に搬送するカセット自動搬送装置に装填する磁気テープカセッ卜であって、

ケース前面部にはテープ引出用の開口を開閉する前蓋が揺動自在に設置され、ケース下面側には前後方向に移動可能なスライダが設置されてなり、

前記ケースの底面には前記スライダが揺動する凹部を有し、該凹部の後端部の段部が斜面又は曲面で形成されたことを特徴とする磁気テープカセット。

2 0 . 上ハーフと下ハーフとを蓋合わせ状に結合して形成された筐体状のカセットケースと、前記カセットケース内に回転自在に保持される、磁気テープを巻回する巻取ハブとを備えた磁気テープカセッ卜の前記上ハーフおよび下ハーフの少なくとも一方の内壁面と前記巻取ハブに巻回される前記磁気テープとの間に介在するシ一卜に帯電防止処理を施す方法であって、前記シートのいずれか一方の面に帯電防止剤を含浸させることを特徴とする帯電防止処理方法。

2 1 . 前記いずれか一方の面が、前記下ハーフと接触する側の面である請求項 2 0に記載の帯電防止処理方法。

2 2 . 前記シートのうち、前記帯電防止剤を含浸させない側の面を予めマスキングする請求項 2 0または 2 1に記載の帯電防止処理方法。

2 3 . 前記いずれか一方の面は、その面内で、部分的に含浸させる前記帯電防止剤の量を変える請求項 2 0〜2 2のいずれかに記載の帯電防止処理方法。

2 4 . 前記帯電防止剤の含浸は、浸漬法により前記シートの原反に前記帯電防止剤を含浸させることによって行う請求項 2 0〜2 3のいずれかに記載の帯電防止処理方法。

2 5 . 前記帯電防止剤の含浸は、前記シートの原反から前記シートの形状への打抜き工程時に前記シートに前記帯電防止剤を含浸させることによって行う請求項 2 0〜2 3のいずれかに記載の帯電防止処理方法。

2 6 . 前記シートに前記帯電防止剤を含浸させる前に、プラズマ処理、コロナ放電処理および紫外線処理からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法により前記シートに前処理を施す請求項 2 0〜 2 5のいずれかに記載の帯電防止処理方法。