明糸田 :
技 術 分 野
本発明は、 耐久性を維持しつつ、 乗心地性を高めると共に、 いっそう の軽量化を可能にした空気入りラジアルタイヤに関する。 背 景 技 術
近年、 ますますタイヤに対する軽量化の要求が強くなつてきている。 軽量化するには、 カーカス層等のタイヤを構成するタイャ部品がスチ一 ルコードをコートゴム (ゴム組成物) に埋設してなる場合、 そのスチ一 ルコード又はコートゴムの使用量を減らせばよい。 し力、し、 スチールコ ードの使用量を減らすとタイヤとしての剛性が不足し、 タイヤ性能、 特 に耐久性が大きく低下してしまう。
そこで、 コートゴムの使用量を減らす工夫が種々なされている。 例え ば、 特開平 8— 3 2 5 9 6 2号公報では、 スチールコ一ドをコ一ド長手 方向にスパイラルにくせ付けされたコアフィラメントの廻りに N本のシ —スフイラメントを燃り合わせた 1 + N構造の偏平ォープン構造にし、 スチールコ一ドをコ一トゴムに埋設したときのゴムゲージ (ゴムの厚さ) を薄くしてゴムの使用量を減ずると共に、 スチールコード内部へのゴム 浸透性を高めて水の浸入によるスチールコ一ドの発靖を防止するように している。
しかしながら、 このような 1 + N構造の偏平オープン構造のスチール コードでは、 単にコアフィラメントの外側にシースフィラメントを巻き 付けた横断面 3層構造であるため、 偏平状にコ一ドの厚さを薄くするこ
とに限界があり、 さらなるタイヤ軽量化および乗心地性の向上は期待し 得ないという問題があった。 発明の開示
本発明の目的は、 カーカス層、 ベルトカバー層、 ビ一ド部補強層、 又 はサイド補強層などのタイヤ部品に使用するスチールコ一ドの超偏平化 を可能にすることにより、 乗心地性を高めると共に、 さらなる軽量化を 可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
この目的を達成するため、 本発明は、 スチールコードからなるタイヤ 部品を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記スチールコードが、
(a)コ一ド長手方向にスパイラル状にくせ付けされたコアフィラメントの 廻りに N本のシースフィラメントが撚り合わされた 1 + N構造であり、
(b)コ一ド横断面形状が偏平であり、 (c)該コ一ド横断面において前記シ一 スフィラメントが隣り合うフィラメント間に空隙をもつオーブン構造で あって、 (d)該フィラメント間に前記コアフィラメントを食い込ませてお り、 (e)該コアフィラメントのスパイラル方向と前記シースフィラメント の燃り方向とが同一であることを特徴とする。
このようにスチールコードの構成を、 シースフィラメントにおける隣 り合うフィラメント間にコアフイラメントを食い込ませるようにしたた め、 スチールコードが横断面 2層構造となり、 単にコアフィラメントの 外周にシ一スフイラメントが取り囲むようにした横断面 3層構造のもの に比し上下方向にいっそう偏平に押しつぶし易くなる結果、 従来、 大量 の工業ベースでの生産規模では不可能とされていた偏平比 0 . 7以下の 超偏平スチールコードを実現可能にする。 したがって、 このスチールコ —ドの偏平面をコートゴムに埋設してタイヤ部品を構成すれば、 その夕 ィャ部品の厚さをいつそう薄くでき、 さらなるタイヤ軽量化をはかるこ
とが可能となる。
また、 このようにタイヤ部品の厚さを薄くできるため、 そのタイヤ部 品の面外剛性 (タイヤ部品の面に直交する方向の曲げ剛性) が低下する のでさらなる乗心地性の向上をはかることが可能となる。
さらに、 シースフィラメントのフィラメント間にコアフィラメントが 食い込むことにより、 シースフィラメントは長手方向の引張り張力に対 してコアフィラメントの抵抗力を受けるようになるため、 シースフイラ メントの撚り形態が長手方向に安定化するようになる。 この特性は、 夕 ィャ成形、 加硫時にコード長手方向に付加される引張応力に対し、 コ一 ドが変形されることを防止し、 コード形状を安定に保つ効果があり、 夕 ィャュニフォ一ミティの悪化を防止する。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の空気入りラジアルタイヤのタイヤ部品であるカー力 ス層およびビード部補強層の配置構造の一例を示すタイヤ子午線方向半 断面図である。
図 2は、 本発明の空気入りラジアルタイヤのタイヤ部品であるベルト カバ一層の配置構造の一例を示すタイヤ子午線方向半断面図である。 図 3は、 本発明の空気入りラジアルタイヤのタイヤ部品であるサイド 補強層の配置構造の一例を示すタイヤ子午線方向半断面図である。 図 4は、 本発明の空気入りラジアルタイヤのタイャ部品を構成するシ ―ト状物の要部横断面図である。
図 5は、 本発明の空気入りラジアルタイヤのタイャ部品に用いるスチ —ルコ一ドの一例の横断面図である。
図 6は、 図 5の要部を取り出して示す説明図である。
図 7は、 本発明のゴム補強用スチールコードの一例を示す側面図であ
る。 発明を実施するための最良の形態
本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を図 1〜図 3に示す。 図 1で は、 左右一対のビード部 1において力一カス層 2の端部がそれぞれビ一 ドコア 3の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられてお り、 トレッド 4におけるカーカス層 2の外側に 4枚のベルト層 1 B、 2 B、 3 B、 4 Bがタイヤ周方向にタイヤ 1周に亘つて配置されている。 図 2では、 図 1に示すタイヤ構造に加えて、 ベルト層 5の幅方向端部 を覆うようにその幅方向端部の外側にタイヤ 1周に直ってベルトカバー 層 1 0が配置されている。 このベルトカバ一層 1 0は、 タイヤ走行中に ベルト層 5の幅方向端部が遠心力によりせり上がってその幅方向端部で セパレ一シヨン (ベルト層 5を構成するコードとコ一トゴムとの間の剝 離) が生じるのを防止するために配置される。 その配置は、 少なくとも ベルト層 5の幅方向端部の外側をベルトカバ一層 1 0で覆えれるように すればよい。 また、 少なくともベルト層 5の幅方向端部の外側を十分に ベルトカバー層 1 0で抑えるために、 ベルトカバー層 1 0のタイヤ周方 向に対するコード角度はほぼゼロ度 (0 ° ) としている。
図 1では、 ビ一ド部 1においてカーカス層 2およびビードコア 3の廻 りにタイャ内側から外側にビ一ド部補強層 (フィニッシング) 2 0を配 置することができる。 ビ一ド部補強層 2 0を配置するのは、 通常、 高荷 重のかかるトラック .バス等の大型タイヤの場合が多い。
図 3では、 ビ一ド部からサイド部にかけて力一カス層 2の外側にサイ ド部補強層 (レインフォース) 3 0をを配置している。 このサイド部補 強層 3 0は、 リムフランジ対応位置付近からタイャ最大幅位置付近に亘 つて配置すればよい。 このようなサイド部補強層 3 0が配置されるのは、
P T JP
主に操縦安定性を高めるためで、 乗用車用夕ィャの場合が多い。
本発明では、 上記のような力一カス層 2、 ベルトカバー層 1 0、 ビー ド部補強層 2 0、 又はサイド補強層 3 0などのタイヤ部品を、 図 4に示 されるような横断面形状が偏平の複数本のスチールコード 4 0をコート ゴム 4 1に埋設してシート状にし、 このシート状物の面方向に、 スチー ルコード 4 0の偏平面を沿わせることにより構成する。 すなわち、 図 4 において、 横断面においてスチールコード 4 0の長軸がシート幅方向に 平行になるようにする。
スチールコード 4 0の横断面の詳細を図 5に示す。 図 5において、 ス チールコード 4 0は、 コード長手方向にスパイラルにくせ付けされたコ ァフィラメント 5 0の廻りに N本のシースフィラメント 5 1が撚り合わ された 1 + N構造であり、 かつフィラメント間に隙間を形成するように したオープン構造になっており、 しかも、 コード横断面形状が偏平に押 し潰された形状になっている。 Nは 3〜1 8本であるとよい。 なお、 力 —カス層 2では Nは 4〜1 8本がよく、 ベルトカバー層 1 0では Nは 3 〜1 2本がよく、 ビ一ド部補強層 2 0では Nは 4〜1 8本がよく、 サイ ド補強層 3 0では Nは 4〜 1 2本がよい。 N本のシースフィラメント 5 1は、 コード横断面において隣接するフイラメント間の少なくとも 1箇 所に空隙を有し、 その空隙内にコアフィラメント 5 0が食い込んでいる c このようにコアフィラメント 5 0が食い込んでいるため、 シ一スフイラ メント 5 1の層と実質的に同化した状態になることによりスチールコー ドの横断面が 2層構造となり、 偏平断面の短径方向を小さく し、 スチー ルコードを超偏平化することができる。
コアフィラメント 5 0が隣り合うシースフィラメント 5 1のフイラメン ト 5 1 a、 5 1 b間に食い込む割合としては、 次のように定義される食 い込み率で示される。
すなわち、 本発明において 「食い込み率」 は、 図 6に示すコードの要 部拡大図において、 コアフィラメントを挟むように両側に位置するシ一 スフィラメント 5 1のフィラメント 5 1 a、 5 1 bの内側共通線 Aと外 側共通線 Bとの距離を D (シースフィラメント 5 1の怪に相当) とし、 コアフィラメント 5 0が内側共通線 Aから食い込む距離を L。 とすると、 式 (L。 /D) X 1 0 0%によって定義される。
スチールコード 4 0の横断面における長径 Dw と短径0, との比で定 義される偏平比 Dt ZDW は、 0. 25〜0. 70の範囲にあればよい。 偏平比が 0. 25未満では過度の偏平化により偏平両端部でのフィラメ ントの折り返しが過酷になり、 フィラメントのダメージが大きく、 耐疲 労性の低下ひいてはワイヤ折れが生じ易くなる。 一方、 0. 70超では、 本発明によらずとも従来のコード構造でも得ることができる。 しかし、 偏平比が高いため、 本発明で達成可能な乗心地性、 軽量化などを工業規 摸で得ることは難しくなる。 なお、 力一カス層 2、 ベルトカバー層 1 0、 又はビ一ド部補強層 2 0では、 偏平比 Dt /D„ は 0. 25〜0. 7 0 の範囲にあるとよいが、 サイ ド補強層 3 0では偏平比 Dt /Dw は 0. 25〜0. 6 0であるのが好ましい。
本発明に使用する上述した構成のスチールコード 4 0によれば、 偏平 比を 0. 7以下にしても、 コアフィラメント 5 0のシースフィラメント 5 1に対するアンカー効果 (引っ掛かり効果) により、 コードの形態を 弓 I張り張力に対して安定させることができる。 このようなコ一ド形態の 安定化効果は、 1 +N構造においてシースフイラメント数 Nが少ないほ どコアフィラメント 5 0の食い込みを生じやすく、 多レ、ほど生じにく く なる傾向があるため、 N数に応じて最適範囲を次のようにすることが好 ましい。
すなわち、 タイヤ中のタイヤ部品から所定の長さスチールコ一ドを周
辺ゴムを付けたままサンプリングし、 これを長手方向に 1 c mずつ等間 隔に 5 0箇所を切断して得た 5 0個のコード断面において、 一定以上の 食い込み率を有するコ一ド断面が存在する割合によつてコ—ド形態の安 定化効果に最適な範囲を定めると、 N数が 3〜5本の場合は、 食い込み 率 4 5 以上のコード断面を 5 0 %以上含むこと (食い込み確率) 、 N 数が 6〜 9本の場合は、 食い込み率 3 5 %以上のコード断面を 4 0 %以 上含むこと (食い込み確率) 、 また、 N数が 1 0〜1 3本の場合は、 食 い込み率 2 5 %以上のコード断面を 3 0 %以上含むこと (食い込み確率 ) 、 N数が 1 4〜1 8本の場合は、 食い込み率 2 0 %以上のコード断面 を 2 0 %以上含む (食い込み確率) ようにすることである。 食い込み確 率が上記未満では (N数が 3〜 5本の場合にコード断面 5 0 %未満、 N 数が 6〜 9本の場合にコ一ド断面 4 0 %未満、 N数が 1 0〜 1 3本の場 合にコード断面 3 0 %未満、 N数が 1 4〜1 8本の場合にコード断面 2 0 %未満) 、 コアフィラメント 5 0が実質的に食い込まないこと同じで あるためスチールコードの横断面が実質的に 3層構造と同じになり、 超 偏平化することが難しくなる。 この食い込み率および食い込み確率をみ るには、 加硫後のタイヤからスチールコ一ドを周辺ゴムを付けたまま取 り出して切断することにより調べればよレ、。
本発明に使用されるスチールコ一ドフイラメントでは、 コアフィラメ ント 5 0のスパイラル方向とシ一スフイラメント 5 1の撚り方向は同一 になっている。 逆方向の場合には、 コアフィラメント 5 0とシースフィ ラメント 5 1 とが完全にクロスする関係になり、 隣り合うシ一スフィラ メント 5 1 a、 5 1 b間にコアフイラメント 5 0が食い込むことができ "、なる。
また、 図 7に例示するように、 コアフィラメント 5 0のスパイラルピ ツチ P c は、 シースフィラメント 5 1の撚りピッチ P s よりも短くする
P T
ことが好ましい。 さらに好ましくは、 スパイラルピッチ Pc の燃りピッ チ Ps に対する比 Pc /Ps を 0. 1 0〜0. 5の範囲にするとよい。 このような関係にすることにより、 コアフィラメン卜の食い込みをいつ そう良好にすることができる。
コアフィラメント 5 0およびシースフィラメント 5 1のそれぞれの径 は、 0. 1 0〜0. 3 0mmの範囲にするのがよい。 0. 1 0mm未満 では、 フィラメントが細くなりすぎてタイャ部品の剛性が不十分になり、 また、 側素線が動き易くコード形状が不安定になりやすい。 一方、 0. 3 0mmを超えるとコ一ド径が太くなりすぎるためタイヤ部品の厚さが 大きくなる。 面外方向の曲げ剛性も大きくなるため乗心地も低下してし まう。 さらに、 ワイヤの耐疲労性が低下するので、 タイヤ耐久性も低下 するおそれがある。 コアフィラメント 5 0およびシースフィラメント 5 1のそれぞれの径は、 互いに同じでも異なっていてもよい。 なお、 力一 カス層 2では各フィラメントの径は 0. 1 5〜0. 25 mmがよく、 ベ ルトカバ一層 1 0では 0. 1 0〜0. 25 mmがよく、 ビ一ド部補強層 2 0では0. 1 2〜0. 2 5 mmがよく、 サイド補強層 30では 0. 1 5〜0. 3 0mmがよい。
ところで、 1 +N構造の超偏平オープンコード (偏平比 Dt /Dw = 0. 2 5〜0. 70) では、 このコードの複数本を互いに平行に配列し てコートゴムに埋設し、 得られるシート状物を圧延してカーカス層 2、 ベルトカバ一層 1 0、 ビード部補強層 20、 又はサイド補強層 3 0など のタイャ部品に使用する場合、 夕ィャ耐久性が著しく低下する恐れがあ る。 すなわち、 コードをコートゴムに埋設して得られるシート状物の圧 延時にシート状物にエンド乱れ (コードの配列乱れ) が発生し、 このェ ンド乱れ部分が原因となってタイヤ耐久性が低下することになる。 そこ でこのような問題が生じるのを避けるために、 本発明では、 N= 3〜8
のときコアフィラメント 5 0の素線径 , とシ一スフイラメント 5 1の 素線径 d2 との比 (c /d2 ) = 1. 0 4〜1. 1にし、 N= 9〜l 8のときコアフィラメント 5 0の素線径 】 とシ一スフィラメント 5 1 の素線怪 d2 との比 (d! /d2 ) = 1. 04〜1. 0 8にすると共に、 互いに隣り合う 2本のコードにおける中心間距離 d, とコード長径 c (長径 Dw に同じ) との比 (d,. /dL ) = 0. 25〜0. 5 5にする のが好ましい。
比 (d! Zd2 ) を上記の範囲にするのは、 張力負荷時においてコア フィラメント 5 0とシ一スフイラメント 5 1 との張力バランスを図るた めである。 また、 比 (d,. /dL ) を上記の範囲にするのは、 この比が 小さすぎると (換言すれば、 コード間隔が狭くなりすぎると) カーカス 層 2等のタイヤ部品において耐セパレーシヨン性が低下し、 一方、 この 比が大きすぎると (換言すれば、 コード間隔が広くなりすぎると) 操縦 安定性等のタイヤ運動性能が低下したり、 コード折れが生じたりして夕 ィャ耐久性が低下したりするからである。
また、 図 5に例示したスチールコード 4 0のオープン構造は、 その横 断面においてフィラメント同士が少なくとも 1 ケ所で接触していて、 全 部のフィラメン卜が接触することのない不完全オープン構造になってい る。 し力、し、 本発明に使用するスチールコード 4 0は、 このような不完 全オープン構造に限定されるものではなく、 その長手方向のいずれの箇 所でも全てのフィラメントの相互間が離隔した完全オープン構造である のが理想的である。
上述した特性を有するスチールコードの製造方法は、 先ず、 コード長 手方向にスパイラル状にくせ付けされたコアフィラメントを用意し、 こ のコアフィラメントの廻りに該コアフィラメントをガイドにしながら N 本のシースフィラメントをゆるく撚り合わせる。 次いで、 このコードを
数個の矯正ローラ間に通過させ、 強い圧力で押し潰して偏平化する。 こ のときの偏平化作用は、 シースフィラメントのフイラメント間にコアフ イラメントの一部が食い込むような強圧を与える必要がある。
【実施例】
① タイヤ構造を図 1とし (ただし、 ビード部補強層 2 0の配置はな い) 、 タイヤサイズを 11R22. 5 とする点を共通にし、 表 1および表 2に 示す諸元のように異ならせたスチールコ一ドを力一カス層に用いて空気 入りラジアルタイヤを製作した (実施例 1〜7、 従来例し 比較例 1〜 7 ) 。 ここで、 従来例 1とは、 特開平 8— 3 2 5 9 6 2号公報に記載の コードを使用したものである。 すなわち、 従来例 1で用いるスチールコ ―ドは、 コ一ド長手方向にスパイラルにくせ付けされたコアフイラメン トの廻りに N本のシ一スフイラメントを撚り合わせた 1 + N構造の偏平 オープン構造にしただけのものである。
これらのタイヤにつき、 下記に記載した測定法により耐疲労性、 タイ ャ外周成長、 軽量化、 およびコードの形状安定性を評価した。 この結果 を表 1および表 2に示す。
耐疲労性:
1 0万 k m走行後のタイヤから取り出したワイヤを回転曲げ疲労試験 機にて疲労試験を実施し、 破断までの回転数で評価した。 保持率 (%) = (走行後のタイヤから取り出したワイャの破断までの回転数 Z未走行 のタイヤから取り出したワイヤの破断までの回転数) X 1 0 0。 指数は 従来例 1の保持率を 1 0 0とする指数を示す。 指数数値の大きい方が耐 疲労性に優れている。
タイヤ外周成長:
1 9 9 8年版の J A TMAの正規リム、 正規荷重でドラム耐久試験を 速度 5 5 k m/ h rで 4 7時間実施し、 走行前の外周に対する成長量を
従来例 1を 1 0 0として指数評価した (指数値が小ほど良好) 。
軽量化:
力一カス層に使用するスチールコ一ドと、 そのスチールコ一ドとの接 着性を付与するコートゴムよりなる力一カス層の 1タイヤ当たりの重量 を測定し、 従来例を 1 0 0とする指数で表わす。 指数値の小さい方が軽 量化に優れる。
コードの形状安定性:
実体顕微鏡にてスチールコード 1 m当りの燃り不良の箇所を測定し ( ランダ厶採取、 N = 5本測定し、 平均化する) 、 従来例 1を 1 0 0とす る指数で表わす。 指数値の小さいほどコード形状安定性に優れる。
表 1 実 施 例 1 実 施例 2 比 車交 例 1 従 来 例 1 実 施例 3リ 比 較 例 2 比 铰 例 3 コ ー F 構 造 1+11x0. 22 1 + 11x0. 22 1 + 11x0. 22 1+11x0. 22 1+11x0. 22 1+11x0. 22 1+11x0. 22 超偏平オープン 超偏平オープン 超偏平オープン 超偏平オ-プン 超 (扁平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 食 い 込 み ¾ 率 54 40 20 0 54 54 54 β平比(短 ¾ /長径) 0. 5 0. 5 0. 5 0. 5 0. 35 0. 8 0. 2 コア /シースピッチ比 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3
J Α ϋ $ ( ¾ ) 167 167 1 9 100 167 167 167 ゴ ム 浸 透 率 ( /¾ ) 100 100 85 60 100 100 100
B 疲 労 性 ( 指 数 ) 158 150 108 100 150 158 108 耐疲労性 (保待率, ¾ ) 95 90 65 60 90 95 65 夕 ίャ外周成長(指数) 63 70 85 100 58 70 55 錢 (力-カス材) (指数) 100 100 100 100 93 115 85 コ-ドの形状安定性 (指 §) 15 25 90 100 15 35 15
(芯飛び出し) (非常に悪い)
表 2 実施例 4 実施例 5 比铰例 4 比較例 5 実施例 6 実施例 7 比較例 6 比較例 7 コ ー ド 構 造 1+4x0.25 1 + 17x0.18 1+3x0.25 1+20x0.16 1+11x0.22 1+11x0.22 1 + 11x0.22 1+11x0.22 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 食 い 込 み 確 率 64 30 58 38 30 32
(Silt (§(1/1(1) 0.5 0.35 偏 ァ 0.5 0.5 0.5 0.5 コア/シースビツチ比 0.3 0.3 平 ゥ 0.15 0.4 0.05 0.6 ゴム浸透率 (指数) 167 167 タ 167 167 133 133 ゴ ム 浸 透 率 ( % ) 100 100 1 1 100 100 80 80 安 ド 成 シ
s g労 性 ( 指 数 ) 133 158 定 と 形 1 158 158 100 117 耐疲労性(保持率 80 95 し し 不 ス 95 95 60 70 タイヤ外周成長(指数) 70 63 な て 可 の 70 65 85 80 量化 (力-カス材) (指数) 100 80 い 能 100 100 100 100 コ-ドの眯安定性 (指数) 20 20 20 35 90 85
(芯飛び出し)
表 1および表 2において、 比較例 1は食い込み確率が小さすぎる場合 であり、 比較例 2は偏平比が大きすぎる場合であり、 比較例 3は偏平比 が小さすぎる場合である。 比較例 6はコア Zシースピッチ (Pc /Ps ) が小さすぎる場合であり、 比較例 7はコア/シースピッチ比 (Pc /Ps ) が大きすぎる場合である。 実施例 1〜7は、 従来例 1および比 較例 1 〜7に比し、 耐疲労性、 タイヤ外周成長、 軽量化のいずれかにお いて 優れている。
② タイヤ構造を図 2とし、 タイヤサイズを 205/55 R16とする点を共 通にし、 表 3および表 4に示す諸元のように異ならせたスチールコ一ド をベルトカバ一層に用いて空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 8〜1 4、 従来例 2、 比較例 8〜1 6) 。
これらのタイヤにつき、 下記に記載した測定法により高速耐久性、 高 周波ロードノイズ、 乗心地性、 ベルト部耐久性 (耐ワイヤ折れ性) 、 お よびコードの形状安定性を評価した。 この結果を表 3および表 4に示す。 高速耐久性:
試験タイヤを空気圧 20 O kP aで 1 6 X 7 J Jのリムにリム組みし、 直径 1 70 7 mmのドラム上を 1 9 9 8年版の J ATMAで規定された 空気圧条件に対応する荷重の 8 8 の荷重を負荷して 1 2 1 km/h r の速度で 30分間走行し、 その後 3 0分間経過毎に走行速度 8 kmZh rずつ増加させて走行を続け、 タイヤに故障が発生するまでの走行距離 を以て評価した。 従来例 2を 1 0 0とする指数で示す (指数大ほど良) 。
高周波ロードノイズ
試験タイャを空気圧 2 0 0 k P aとして排気量 25 0 0 c cの乗用車 に装着し、 粗い路面を速度 5 O kmZh rで走行し、 車室内の運転席窓 側耳位置における周波数 0〜4 0 0 Hzのオーバーオールの口一ドノィ ズを測定した。 高周波口一ドノイズは特に 3 0 0 H z前後の測定域の値
を指し、 従来例 2のタイヤを基準値とし、 この基準値からの相対値で示 した。
乗心地性:
目地を施したテスト路面を時速 5 0 kmZhで走行し、 体感する乗心 地性を従来例 2を 1 0 0とする指数で表わす。 指数値の大きい方が乗心 地性に優れる。
軽量化:
ベルトカバ一層に使用するスチールコ一ドと、 そのスチールコ一ドと の接着性を付与するコ一トゴムよりなる力一カス層の 1タイヤ当たりの 重量を測定し、 従来例 2を 1 00とする指数で表わす。 指数値の小さい 方が軽量化に優れる。
ベルト部耐久性 (耐ワイヤ折れ性)
試験タイヤを空気圧 1 7 O kP aで 1 6 x 7 J Jのリムにリム組みし、 70 °C X 9 8%RHの雰囲気中に 3 0日間放置することにより湿潤した 後、 直径 1 70 7 mmのドラム上をスリップ角 0 ± 5 ° で 1 9 9 8年版 の J ATMAで規定された空気圧条件に対応する荷重の 7 3±4 7%の 変動荷重条件下に荷重とスリップ角を 0. 0 6 7 Hzの矩形波で変動さ せて 3 0 0 km走行させた。 走行後に試験タイヤを切開し、 ベルト部の ヮィャ折れの有無をしらベて評価した。
コードの形状安定性:
実体顕微鏡にてスチールコード 1 m当りの撚り不良の箇所を測定し ( ランダム採取、 N= 5本測定し、 平均化する) 、 比較例 9を 1 0 0とす る指数で表わす。 指数値の小さいほどコ一ド形状安定性に優れる。
表 3 実施例 8 実施例 9 比較例 8 従来例 2 比較例 9 実施例 10 比較例 10 比較例 1 1 コ ー ド 構 造 115x0. 15 1+5x0. 15 1+5x0. 15 66N1260d/2 115x0. 15 1+5x0. 15 1+5x0. 15 1+5x0 15
I JjZオープン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏苹オープン 食 い 込 み 確 率 64 54 40 ο 64 64 64
S平比(短 2/長 2 ) 0. 5 0. 5 0.5 0. 5 0.35 0.8 0.2 コア/シースビツチ比 0. 25 0 25 0 0 2S 0 25 0 25 0 ? 高 速 « 久 性 155 130 105 100 105 160 125 160 高周波ロー ドノイズ -3dB - 2. 5dB - 2. 3dB 基準 -l. OdB - 3. 3dB -2.謹 -3. 3dB 乗 心 地 性 95 95 80 100 70 105 70 110 軽量化 (ベルト M-材)(指数) 97 97 97 100 97 91 114 87 ベ ル ト 部 fi 久 性 折れ無 折れ無 折れ有 折れ無 折れ有 折れ無 折れ無 折れ有 (ベル バ- ャ折れ性) に闘) コ-師状安定性 (指数) 15 25 100 100 10 40 15 は飛び出し) (脚、)
表 4 実施例 11 実施例 12 比較例 12 比較例 13 実施例 13 実施例 14 比較例 14 比較例 15 比較例 16 コ ー ド 構 造 1+4x0. 17 1+11x0. 15 1+3x0. 18 1+14x0. 14 1+5x0. 15 1+5x0. 15 1+5x0. 15 1+5x0. 15 1x6x0. 15 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-ブン 超偏平オ-プン 偏平オ-プン 食 い 込 み 確 率 70 50 60 56 50 52 ―
0. 5 0. 35 偏 ァ 0. 5 0. 5 0. 5 0. 5 0. 75 コア/シースピプチ比 0. 25 0. 25 平 ゥ 0. 15 0. 45 0. 05 0. 65
タ
高 速 » 久 性 140 160 1 1 135 135 115 115 105 高周波ロー F'ノ イズ -2. 5dB -2. 8dB 安 ド 成 シ -2.4dB -2. 3dB - 2. 3dB - 2. 4dB -l. OdB 乗 心 地 性 90 120 定 と 形 1 95 95 95 95 65 鼸 (ベルトか HI) (指数) 100 95 し し 不 ス 97 97 97 97 111 ベ ル ト 部 « 久 性 折れ無 折れ無 な て 可 の 折れ無 折れ無 コ-隱 (ベ 折れ有 折れ有
(ワイヤ折れ性) い 能 ル バ-にも折れ
コ-晴安定性 (指数) 30 15 20 20 あり) 40 40
(芯飛び出し)
表 3および表 4において、 従来例 2は 1 2 6 0デニール · 2本撚りの 6 6 —ナイロンコード (6 6 N 1 2 6 0 dZ 2 ) をベルトカバー層に用 いた場合であり、 比較例 8は食い込み確率が小さすぎる場合であり、 比 較例 9は食い込み確率がゼロの場合である。 比較例 1 0は偏平比が大き すぎる場合であり、 比較例 1 1は偏平比が小さすぎる場合である。 比較 例 1 4はコア/シースピッチ比 (P c / P s ) が小さすぎる場合であり、 比較例 1 5はコア Zシースピッチ比 (P c /P s ) が大きすぎる場合で ある。 比較例 1 6は従来の偏平オープン構造を用いた場合である。
実施例 8〜 1 4は、 従来例 2および比較例 8〜 1 6に比し、 高速耐久 性、 高周波ロードノイズ、 乗心地性、 軽量化、 ベルト部耐久性のいずれ かにおいて優れている。
③ タイヤ構造を図 1 とし、 タイヤサイズを 11R22. 5 とする点を共通 にし、 表 5、 6に示す諸元のように異ならせたスチールコードをビ一ド 部補強層に用いて空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 1 5〜2 1、 従来例 3、 比較例 1 7〜 2 3 ) 。
これらのタイヤにつき、 下記に記載した測定法により荷重耐久性、 軽 量化、 成型加工性およびコード形状安定性を評価した。 この結果を表 5、 6に示す。
荷重耐久性:
1 9 9 8年版の J A TMAの正規リムにリム組みし、 1 9 9 8年版の J A TMAで規定された最大荷重に対応する空気圧に設定した後、 1 7 0 7 mmのドラム上を時速 4 5 k m/ h rで最大荷重で 2 h r、 次いで 最大荷重の 1 4 5 %で 1 2 h r、 その後 4 8 h r毎に 1 0 %ずつ荷重を 増加し、 タイヤが破壊するまでの走行距離を従来例 3を 1 0 0とする指 数で表わす (指数大ほど良) 。
軽量化:
ビ一ド部補強層に使用するスチールコードと、 そのスチールコードと の接着性を付与するコードゴムよりなるビード補強層の 1タイヤ当たり の重量を測定し、 従来例 3を 1 0 0とする指数で表わす。 指数の小さい 方が軽量化に優れる。
成型加工性:
タイヤ成型時に必要なビード部でのターンナップ (折り返し) のし易 さをビード部の故障等を以て評価した。 従来例 3を基準とし、 ◎は非常 に良好、 〇は比較的良好、 Xは不良を示す。
コードの形状安定性:
実体顕微鏡にてスチールコ一ド 1 m当りの燃り不良の箇所を測定し
(ランダム採取、 N = 5本測定し、 平均化する) 、 従来例 3を 1 0 0と する指数で表わす。 指数値の小さいほどコード形状安定性に優れる。
表 5 実施例 1 5 実施例 16 比較例 17 従来例 3 実施例 17 比較例 18 比較例 19 実施例 18 コ ー ド 構 造 1+8x0. 20 1+8x0. 20 1+8x0. 20 118x0. 20 1+8x0. 20 1+8x0. 20 1+8x0. 20 1+4x0. 22 超偏平オ-プン 超偏平オープン 超偏平オープン 超偏平ォ-プン 超偏平オ-プン 超偏平ォ-プン 超偏平オ-プン 超偏平オープン 食 い 込 み 接 率 58 44 30 0 58 58 58 64
H平比(短 2 /長 S ) 0. 5 0. 5 0. 5 0. 5 0. 3 0. 8 0. 2 0. 5 コア/シースピッチ比 0. 25 0. 25 0. 25 0. 25 0. 25 0. 25 0. 25 0. 25 ゴ厶 ( 1 W D E1 !( ) 154 154 108 100 154 154 154 154 ゴ ム 浸 ¾ 率 ( % ) 100 100 70 65 100 100 100 100 荷 重 耐 久 性 155 145 100 100 145 130 70 140
(ワイヤ折れ)
g量化(カ-カス材)(INDEX) 100 100 100 100 92 116 85 100 成 型 加 工 性 〇 〇 〇 ◎ X ◎ 〇 コ-ドの形伏安定性 15 25 95 100 15 25 15 25 飛び出し) (非常に悪い)
表 6 実施例 19 比較例 20 比較例 21 実施例 20 実施例 21 比較例 22 比較例 23 コ 一 ' 構 造 1+17x0.14 1+3x0.25 1+20x0.13 1+8x0.20 1+8x0.20 1+8x0.20 1+8x0.20 超偏平オープン 超偏平オ-プン 超偏平オープン 超偏平才-プン 超偏平オ-プン 超偏平オ-プン オープン 食 い 込 み 確 率 30 60 52 40 44
0.35 了 0.5 0.5 0.5 0.5 コア/シースピッチ比 0.25 平 ゥ 0.15 0.4 0.05 0.6 ゴム浸透率(INDEX) 154 夕 154 154 115 115 ゴム浸 透率 ( % ) 100 1 1 100 100 75 75 安 ド 成 シ
荷 重 B 久 性 145 定 と 形 1 155 155 105 110 軽量化 (力-カス材)(INDEX) 79 し し 不 ス 100 100 100 100 成 型 加 工 性 〇 な て 可 の 〇 〇 〇 〇 コ-師伏安定性 (指数) 25 い 能 15 25 95 90
(芯飛び出し)
表 5、 6において、 従来例 3は従来例 1におけると同様に、 コード長 手方向にスパイラルにくせ付けされたコアフィラメン卜の廻りに N本の シースフィラメントを撚り合わせた 1 + N構造の偏平オープン構造にし ただけのスチールコ一ドを用いた場合であり、 比較例 1 7は食い込み確 率が小さすぎる場合であり、 比較例 1 8は偏平比が大きすぎる場合、 比 較例 1 9は偏平比が小さすぎる場合であり、 比較例 2 2は、 コア/シ一 スピッチ比 ( P c / P s ) が小さすぎる場合であり、 比較例 2 3はコア Zシースピッチ比 (P c / P s ) が大きすぎる場合である。 実施例 1 5 〜2 1は、 従来例 3、 比較例 1 7〜2 3に比し、 荷重耐久性、 軽量化、 成型加工性のいずれかにおいて優れている。
④ タイヤ構造を図 3とし、 タイヤサイズを 205/55 R16とする点を共 通にし、 表 7に示す諸元のように異ならせたスチールコードをサイド補 強層に用いて空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 2 2〜2 4、 比較例 2 4〜2 7、 従来例 4 ) 。
これらのタイヤにつき、 下記に記載した測定法により操縦安定性、 乗 心地性、 軽量化、 荷重耐久性、 およびコードの形状安定性を評価した。 この結果を表 7に示す。
操縦安定性:
空気圧 2 0 0 k P a、 荷重 4 k N、 スリップアングル 1 ° の測定条件 にて、 コーナリングパワー (C p ) を測定することによつた。
従来例 4を 1 0 0とする指数で表わす。 この指数値の大きいほど C p が大きく、 操縦安定性に優れる。
乗心地性:
目地を施したテスト路面を時速 5 O k mZ hで走行し、 体感する乗心 地性を従来例 4を 1 0 0とする指数で表わす。 指数値の小さい方が乗心 地性に優れる。
軽量化:
サイド補強層に使用するスチールコードと、 そのスチールコードとの 接着性を付与するコートゴムよりなるサイド補強層の 1タイヤ当たりの 重量を測定し、 従来例 4を 1 0 0とする指数で表わす。 指数値の小さい 方が軽量化に優れる。
荷重耐久性:
試験夕ィャを空気圧 1 8 0 k P aで 1 6 X 7 J Jのリムにリム組みし、 直径 1 7 0 7 mmのドラム上を速度 8 1 k m/h rで一定とし、 1 9 9 8年版の J ATMAで規定された空気圧条件に対応する最大荷重の 8 5 %で 4 h r、 次レ、で最大荷重の 9 0 %で 6 h rで、 次レ、で最大荷重で 2 4 h r走行する。 故障がなければさらに最大荷重の 1 1 5 %で 4 h r、 次レ、で最大荷重の 1 3 0 %で 2 h r、 さらにそこで故障がなければ再度 最大荷重の 1 3 0 %で 2 h r、 次いで最大荷重の 1 4 5 %で 4 h r、 さ らに最大荷重の 1 6 0 %で走行し、 破壊するまでの走行距離を従来例 4 を 1 0 0とする指数で表わす。
コードの形状安定性:
実体顕微鏡にてスチールコード 1 m当りの燃り不良の箇所を測定し (ランダム採取、 N = 5本測定し、 平均化する) 、 従来例 4を 1 0 0と する指数で表わす。 指数値の小さいほどコード形状安定性に優れる。
表 7
表 7において、 従来例 4は従来例 1におけると同様に、 コード長手方 向にスパイラルにくせ付けされたコアフィラメン卜の廻りに N本のシ一 スフイラメントを撚り合わせた 1 + N構造の偏平オープン構造にしただ けのスチールコードを用いた場合であり、 比較例 2 4は偏平比が小さす ぎる場合であり、 比較例 2 5は食い込み確率が小さすぎる場合である。 比較例 2 6は、 全部のフィラメント同士が互いに接触した 1 X 6クロ一 ズド構造のスチ一ルコ一ドを用いた場合である。 比較例 2 7は、 1 X 6 オープン構造のスチールコ一ドを用いた場合である。
実施例 2 2〜 2 4は、 比較例 2 4〜 2 7、 従来例 4に比し、 操縦安定 性、 乗心地性、 軽量化、 荷重耐久性のいずれかにおいて優れている。
⑤ コアフィラメント 5 0の素線径 , とシースフィラメント 5 1の 素線径 d 2 とを互いに異ならせると共に、 諸元を表 8に示すように異な らせたスチールコ一ドを前 Ϊ己①におけると同様に力一カス層に用いて空 気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 2 5〜2 9、 従来例 1 ) 。 こ こで、 従来例 1は、 前言己①における従来例 1 と同じである。
これらのタイヤにつき、 前記①におけると同様に耐疲労性、 タイヤ外 周成長、 軽量化、 およびコードの形状安定性を評価すると共に、 下記に より耐夕一ンアップセパレーション性 (力一カス層のビードコアの廻り の折り返し巻き上げ端における耐セパレーシヨン性) および圧延時ェン ド乱れの発生の有無を評価した。 この結果を表 8に示す。
耐ターンァップセパレ一ション性:
トレッ ドを一定量研磨したタイヤに空気と酸素を 3 7 . 5 : 6 2 . 5 の比率で封入し、 このタイヤを 1 9 9 8年版の J A TM Aで規定された 正規リムにセッ トし、 最大荷重の 1 4 0 %でドラム耐久試験により速度 4 5 k mZ h rで一定距離を走行したときのセパレ一シヨン量を従来例 1を 1 0 0とする指数で示す。 指数値の小さい方が耐ターンアップセパ
レーション性に優れている。
圧延時ェンド乱れの発生の有無:
コードを複数本引き揃え、 これにゴムをコ一ティングして圧延材とな し、 この圧延材を X線装置にて観察した際に、 1本以上のコードの並び に必ず不整列があったり、 燃り乱れ (燃り不良) が発生する場合を 「ェ ンド乱れ発生」 とし、 発生しない場合を 「なし」 で示す。 なお、 「△」 はエンドが不安定である場合 (発生したり、 しなかったりする場合) で ある。
表 8 実施例 25 実施例 26 実施例 27 実施例 28 実施例 29 従来例 1 コ ー ド 構 造 1x0.24+11x0.22 1x0.23+11x0.22 1x0.245+11x0.22 1x0.23+11x0.22 1x0.23+11x0.22 1+11x0.22
¥ オープン 超 偏 平 才 -プン ® ィ扁 ¥ オープン ϋ ¥オープン ί§ ¥オープン 超 偏 平 オ -プン 食 い 込 み 確 率 54 54 54 54 54 0 ϋ平比(§8/長 8) 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 コア/シースピッチ比 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 ゴム浸透率(指数) 167 167 167 167 167 100 ゴ ム浸透' ( % ) 100 100 100 100 100 60 素樣徑比(コア/シ-ス) 1.08 1.04 1.11 1.04 1.04
dr/dL (コ- F闢 /
コ- ¾) 0.3 0.3 0.3 0.2 0.6 ί}疲労性 (指 ) 163 163 117 163 100 100 if疲労性(保 ) 98 98 70 98 60 60
63 63 63 63 80 100 軽量化 (力-カス材) (指 » 100 100 100 100 85 100 コ-ドの形伏安定性 (指数) 25 15 45 15 15 100
は瞧) - (非常に悪い) ίίタ-ンアップセバレ-シヨン 70 70 120 110 70 100 麵)
圧延時エ ン ド乱れ なし なし エンド乱れ発生 なし なし Δ
表 8から判るように、 実施例 25〜 2 9は、 従来例 1に比し、 耐疲労 性、 タイヤ外周成長、 軽量化、 コードの形状安定性、 耐夕一ンアップセ パレーシヨン性、 および圧延時ェンド乱れの発生の有無のいずれかにお いて優れている。 なお、 実施例 27は、 比 (d, /d2 ) が 1. 04〜 1. 0 8の範囲外であり ( 1. 1 1 ) 、 実施例 2 6〜 27のそれぞれに 比し、 耐疲労性 (保持率%) および耐ターンアップセパレ一シヨン性に 劣る。 実施例 2 8は、 比 (dr ZcK ) が 0. 25〜0. 5 5の範囲外 であり (0. 2) 、 実施例 2 6〜27のそれぞれに比し、 耐ターンアツ プセパレーション性に劣る。 実施例 2 9は、 比 ( d , Z dし ) が 0. 2 5〜0. 55の範囲外であり (0. 6) 、 実施例 2 6〜 27のそれぞれ に比し、 耐疲労性 (保持率%) およびタイヤ外周成長に劣る。
表 1および表 2に示される実施例 1〜 7、 比較例 1〜 7につレ、ては、 耐ターンアツプセパレーション性が比較例 4〜 5および実施例 5を除レ、 て全て " 1 0 0" であり (実施例 5では 1 1 0 ) 、 圧延時ェンド乱れの 発生の有無が比較例 4〜 5を除いて全て "△" である。
⑥ コアフィラメント 5 0の素線径 , とシースフィラメント 5 1の 素線径 d2 とを互いに異ならせると共に、 諸元を表 9に示すように異な らせたスチールコードを前記②におけると同様にベルトカバ一層に用い て空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 3 0〜3 5、 従来例 2) c ここで、 従来例 2は、 前記②における従来例 2と同じである。
これらのタイヤにつき、 前記②におけると同様に高速耐久性、 高周波 ロードノイズ、 乗心地性、 軽量化、 ベルト部耐久性 (耐ワイヤ折れ性) 、 およびコ一ドの形状安定性を評価すると共に、 前記⑤におけると同様に 圧延時ェンド乱れの発生の有無を評価した。 この結果を表 9に示す。
表 9
表 9から判るように、 実施例 3 0〜3 5は、 従来例 2に比し、 高速耐 久性、 高周波ロードノイズ、 乗心地性、 軽量化、 ベルト部耐久性 (耐ヮ ィャ折れ性) 、 およびコードの形状安定性のいずれかにおいて優れてい る。 なお、 実施例 3 3は、 比 ( d , / d 2 ) が 1 . 0 4〜 1 . 1の範囲 外であり ( 1 , 1 7 ) 、 実施例 3 0〜 3 2のそれぞれに比し、 高速耐久 性およびコードの形状安定性に劣る。 実施例 3 4は、 比(d ,. / ( ) が 0 . 2 5〜0 . 5 5の範囲外であり ( 0 . 2 ) 、 実施例 3 0〜 3 2の それぞれに比し、 高速耐久性に劣る。 実施例 3 5は、 比 (d r Z c ) 力 0 . 2 5〜 0 . 5 5の範囲外であり ( 0 . 6 ) 、 実施例 3 0〜 3 2の それぞれに比し、 高速耐久性に劣る。
表 3および表 4に示される実施例 8〜1 4、 比較例 8〜1 6について は、 比較例 1 2〜1 3および比較例 1 6を除いて、 圧延時エンド乱れの 発生の有無が全て "△" である。
⑦ コアフィラメント 5 0の素線径(1 , とシースフィラメント 5 1の 素線径 d 2 とを互いに異ならせると共に、 諸元を表 1 0に示すように異 ならせたスチールコ一ドを前記③におけると同様にビード部補強層に用 いて空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 3 6〜4 K 従来例 3 ) 。 ここで、 従来例 3は、 前記③における従来例 3と同じである。
これらのタイヤにつき、 前記③におけると同様に荷重耐久性、 軽量化、 成型加工性およびコード形状安定性を評価すると共に、 前記⑤における と同様に圧延時エンド乱れの発生の有無を評価した。 この結果を表 1 0 に示す。
m
、 .
表 10 実施例 36 実施例 37 実施例 38 実施例 39 実施例 40 実施例 41 従来例 3 コ ー ' 構 造 1x0.208+8x0.20 1x0.22+8x0.20 1x0.215+8x0.20 1x0.23+8x0.20 1x0.125+8x0.20 1x0.125+8x0.20 1+8x0.20 超 偏 平 ォ -プン 超 偏 平 オ-プン 超 偏 平 ォ-プン 超 偏 平 ί-プン 超 偏 平 才-プン 超 偏 平 ォ -プン 超偏平オ-プン 食 い 込 み 接 率 58 58 58 58 58 58 0
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 ゴム浸 (INDEX) 154 154 154 154 154 154 100 ゴ ム 浸透率 ( % ) 100 100 100 100 100 100 65 素線 ϋ比(コア/シ-ス) 1.04 1.1 1.08 1.15 1.08 1.08
df/dL(3- F間隔/ 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.6
コ-ド ) 荷 重 ί! 久 性 165 150 165 130 130 125 100 化 (ビ-卜 ¾iti) 100 100 100 100 100 90
(INDEX)
成 型 Jo ェ 性 〇 〇 〇 〇 〇 〇
コ-ドの 安定性 (指 δ) 15 25 15 45 15 15 100
(芯飛び出し) (非常に悪い) 圧 廷 時 エ ン ド乱れ なし なし なし エンド乱れ有り なし なし Δ
表 1 0から判るように、 実施例 3 6〜4 1は、 従来例 3に比し、 荷重 耐久性、 軽量化、 成型加工性、 コード形状安定性、 および圧延時エンド 乱れの発生の有無のいずれかにおいて優れている。 なお、 実施例 3 9は、 比 (di /d2 ) が 1. 0 4〜1. 1の範囲外であり ( 1. 1 5 ) 、 実 施例 3 6〜 38のそれぞれに比し、 荷重耐久性およびコードの形状安定 性に劣る。 実施例 4 0は、 比 (d,. Z K ) が 0. 25〜 5 5の範 圏外であり (0. 2) 、 実施例 3 6〜38のそれぞれに比し、 荷重耐久 性に劣る。 実施例 4 1は、 比 (dr Zc ) が 0. 25〜 5 5の範 囲外であり (0. 6) 、 実施例 3 6〜3 8のそれぞれに比し、 荷重耐久 性に劣る。
表 5および表 6に示される実施例 1 5〜2 1、 比較例 1 7〜2 3につ いては、 比較例 20〜2 1を除いて、 圧延時エンド乱れの発生の有無が 全て "△" である。
⑧ コアフィラメント 5 0の素線径(1! とシ一スフイラメント 5 1の 素線径 d2 とを互いに異ならせると共に、 諸元を表 1 1に示すように異 ならせたスチールコードを前記④におけると同様にサイド補強層に用い て空気入りラジアルタイヤを製作した (実施例 4 2〜4 7、 従来例 4) c ここで、 従来例 4は、 前記④における従来例 4と同じである。
これらのタイヤにつき、 前記④におけると同様に操縦安定性、 乗心地 性、 軽量化、 荷重耐久性、 およびコードの形状安定性を評価を評価する と共に、 前記⑤におけると同様に圧延時ェンド乱れの発生の有無を評価 した。 この結果を表 1 1に示す。
表 11 実施例 42 実施例 43 実施例 44 実施例 45 実施例 46 実施例 47 従来例 4 コ ー ト ' 構 造 1x0.26+5x0.25 1x0.275+5x0.25 1x0.265+5x0.25 1x0.285+5x0.25 1x0.265+5x0.25 1x0.265+5x0.25 1+5x0.25
超 偏 平 t-ブン 超 偏 平 オ-プン 超 偏 平オ-プン 超 偏 平 オ-プン 超 偏 平 プン 超 偏 平 ί-プン 超偏平才-プン 食 い 込 み 率 74 74 74 74 74 74 0 握平比(短 g/長径) 0.35 0.35 0.35 0.35 0.35 0.35 0.6 コ了/シースピ ·ノチ比 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
画 it (コ了ハン-ス) 1.04 1.1 1.06 1.14 1.06 1.06
dr/dL(]- F問 / 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.6
コ- r径) 操 «安定性 ( Cp ) 120 120 120 115 140 110 100 乗 心 地 性 130 130 130 130 130 130 100 化 (サイ隱(指数) 85 85 85 85 90 80 100 荷 重 耐 久 性 120 110 120 90 100 95 100 コ-ドの 安定性(指数) 10 25 10 45 10 10 100
(謂い (非常に悪い) 圧廷時ェ ン ト'乱れ なし なし なし ェント '乱れ有り なし なし Δ
表 1 1から判るように、 実施例 4 2〜4 7は、 従来例 4に比し、 操縦 安定性、 乗心地性、 軽量化、 荷重耐久性、 およびコードの形状安定性、 および圧延時ェンド乱れの発生の有無のいずれかにおいて優れている。 なお、 実施例 4 5は、 比 ( Zd2 ) が 1. 04〜1. 1の範囲外で あり ( 1. 1 4) 、 実施例 4 2〜4 4のそれぞれに比し、 操縦安定性、 荷重耐久性、 およびコードの形状安定性に劣る。 実施例 4 6は、 比 (dr / K ) が 0. 25〜0. 5 5の範囲外であり (0. 2) 、 実施例 4 2 〜4 4のそれぞれに比し、 軽量化および荷重耐久性に劣る。 実施例 4 7 は、 比 ( d Z ) 力 0. 25〜 0. 5 5の範囲外であり ( 0. 6 ) 、 実施例 4 2〜44のそれぞれに比し、 操縦安定性および荷重耐久性に劣 な。
表 7に示される実施例 22〜24、 比較例 24〜27については、 比 較例 2 6〜27を除いて、 圧延時ェンド乱れの発生の有無が全て "△" める。
表 1〜表 1 1における食い込み確率は、 下記のように定義される。 す なわち、 1 + 1 1構造のコードにおいては、 所定の長さのスチールコー ドを長手方向に 1 cmずつ等間隔に 5 0箇所を切断したコード横断面に おいて、 食い込み率 25%以上のコ—ド断面が存在する確率、 1 + 5構 造のコードにおいては、 所定の長さのスチールコードを長手方向に 1 c mずつ等間隔に 5 0箇所を切断したコード横断面において、 食い込み率 4 5%以上のコード断面が存在する確率、 および 1 + 8構造のコードに おいては、 所定の長さのスチールコードを長手方向に 1 cmずつ等間隔 に 5 0箇所を切断したコード横断面において、 食い込み率 3 5%以上の コード断面が存在する確率である。
以上説明したように本発明では、 スチールコードからなるタイヤ部品 を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記スチールコードが、 (a)
コード長手方向にスパイラル状にくせ付けされたコアフィラメントの廻 りに N本のシ一スフイラメントが撚り合わされた 1 + N構造であり、 (b) コード横断面形状が偏平であり、 (c)該コード横断面において前記シース フィラメントが隣り合うフィラメント間に空隙をもつオープン構造であ つて、 (d)該フィラメント間に前記コアフィラメントを食い込ませており、 (e)該コアフィラメントのスパイラル方向と前記シースフィラメントの撚 り方向とが同一であるために、 カーカス層、 ベルトカバ一層、 ビ一ド部 補強層、 又はサイド補強層などのタイヤ部品に使用するスチールコード の超偏平化を可能にすることにより、 乗心地性を高めると共に、 さらな る軽量化をはかることが可能となる。