明 細 書
ヒ ト ρ 5 1 遺伝子及びその遺伝子産物 技術分野
本発明は、 新規ヒ ト遺伝子に関する。 よ り 詳細には、 癌抑制遺伝子と して知られている、 ヒ ト ρ 5 3 遺伝子及 びヒ ド ρ 7 3 遺伝子と類似性を有する新規な ヒ ト遺伝子 及びその遺伝子産物に関する。 背景技術
Ρ 5 3 蛋白は D N A型腫瘍ウ ィ ルス S V 4 0 の大型 Τ 抗原と結合する核内蛋白 と して発見され、その遺伝子( ρ 5 3 遺伝子) がク ローニ ングされている。 当初 ρ 5 3 遺 伝子は、 ras遺伝子と共に細胞に導入する こ とによ っ て胚 由来細胞が ト ラ ン ス フ ォ ー ムされる こ とから、 癌遺伝子 と考え られていた。 しか しその後の研究によ り 当初得ら れた p 5 3 遺伝子のク ロー ンは変異型であ り 、 野生型は むしろ変異型の ト ラ ン ス フ ォ ーム能を抑制する こ とが明 らかにな つ た。 今では p 5 3 遺伝子の欠失若 し く は異常 が多 く の ヒ ト の癌において検出 されてお り 、 また高発癌 性遺伝病と して知 られる Li Fraumeni症候群において p 5 3 遺伝子の配偶子変異が発見されたこ と等から、 p 5 3
遺伝子は重要な癌抑制遺伝子と考え られ る に至 っ てい る
[ Baker, S. J. , et al. , Science, 244, 217-221 (19 89): Nigro, J. M. , Nature, 342, 705 - 708 ( 1989 ) ] 0 ヒ ト p 5 3 蛋白 は、 3 9 3 個のア ミ ノ 酸カヽ らな り 、 大 き く N末端 ドメ イ ン(1〜 101番 目 のア ミ ノ 酸領域)、 コ ア ドメ イ ン(102〜 292番 目 のア ミ ノ 酸領域)、 及び C末端 ド メ ィ ン(293〜 393番 目 のァ ミ ノ 酸領域)の 3 領域に分け ら れる 。 N末端 ド メ イ ンは、 酸性ア ミ ノ 酸や高プロ リ ン領 域な どの転写制御に必要な領域を含んでお り 、 転写活性 ィ匕 ドメ イ ンであ る と考え られる 。 中央の コ ア ドメ イ ンは、 3 力所の疎水性部位を含んでお り 、 塩基配列に特異的な D N A結合に関与する ドメ イ ンであ る 。 ま た C末端 ドメ イ ンは、 多 く の塩基性ア ミ ノ 酸及び四量体形成に必要な 領域を含んでお り 、 非特異的 D N A結合や D N A損傷の 認識並びに ト ラ ン ス フ ォ ー ム抑制な どの役 目 を担つ てい る と考え られてい る。
ヒ ト癌細胞に検出 さ れる p 5 3 遺伝子の異常の多 く が ミ スセ ン ス変異で、 そ の殆どが N末端か ら 1 0 0 〜 3 0 0 ア ミ ノ 酸の部位に相当する コ ア ドメ イ ン、 特に種を越 えて保存さ れたホ ッ ト ' スポ ッ ト ( Hot Spot) と称さ れ る領域に集中 している。 かかる コ ア ドメ イ ン 中のホ ッ ト • スポ ッ ト領域は p 5 3 蛋白 と D N A と の結合に関与す
る領域であ り 、 実際、 当該領域の変異によ っ て D N A と の特異的結合が障害される。
以上のこ とから、 p 5 3 蛋白は、 他の遺伝子に特異的 に結合 して当該遺伝子の発現を調節する転写制御因子と しての役割を もつこ とが明 らかとな っ た。
p 5 3 蛋白によ っ て転写が誘導される遺伝子と して は、 p 2 1 遺伝子 〔 W A F 1 或いは C I P 1 、 或いは S D I 1 と言われる ( EI -Dairy, W. S. , et al. , Cell, 75, 81 7 (1993)) ; M D M 2 (Wu. X. , et al. , Genes Dev. , 7, 112 6 (1993)) ; C K (Weintraub. H. , et al. , Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA, 88, 4570 ( 1991 ) : Zambetti. G. P. , et al. , Ge nes Dev. , 6, 1143 (1992))〕、 G A D D 4 5 [ Kastan, . B. , et al. , Cell, 71, 587 ( 1992 )〕、 サイ ク リ ン G [ Cycl in G:0kamoto, K. , EMBO J. , 13, 4816 ( 1994 )〕、 B A X 〔 M iyashita, T. , et al. , Cell, 80, 293 ( 1995 )〕ヽ 及びィ ン ス リ ン様成長因子結合蛋白 3 ( I G F - B P 3 : Buckbind er, L. , et al. , Nature, 377, 646 ( 1995 )] などを例示する こ とができ る。
p 2 1 遺伝子がコ 一 ドする蛋白質は、 サイ ク リ ン依存 性キナーゼ( C D K )の阻害蛋白質であ り 、 野生型 p 5 3 蛋白が P 2 1 を介 して細胞周期を抑制的に調節する こ と 力 判明 している [ Harper, J. W. , et al. , Cell, 75, 805 (19
93) : Xiong, Y. , et al. , Nature, 366, 707 ( 1993 ) : Gu, Y. , et al. , Nature, 366, 701 ( 1993 )〕。 ま た p 2 1 遺伝子は、 増殖細胞核抗原 ( P C N A ) に結合 して、 直接 D N Aの 複製を抑制する こ と も報告さ れてい る 〔 Waga, S. , et al. , Nature, 369, 574 ( 1994 )〕。 更に ρ 2 1 遺伝子は、 細胞の 老化を誘導 し、 D N A合成を抑制する作用を有する S D I 1 遺伝子と 同一の遺伝子であ る こ とが判明 してい る 〔 Ν oda, A. , et al. , Exp. Cell Res. , 211, 90 ( 1994 ) ] 0
M D M 2 は、 p 5 3 蛋白 に結合 して該蛋白の転写制御 活性を不活性化する こ とか ら、 負の フ ィ ー ドバ ッ ク 調節 因子と して作用 している と推測さ れている 。
I G F — B P 3 は I G F シ グナル化の負の調節因子で あ る 。 こ のため p 5 3 蛋白 に よ る I G F — B P 3 遺伝子 の増加は、 結果と して、 p 5 3 蛋白力 I G F依存性細胞 の成長抑制を導 く 可能性を示唆する 。
ま た、 野生型 p 5 3 蛋白 は、 骨髄性白血病性細胞のァ ポ ト ー シスを誘導する こ とが報告さ れてい る 〔 Yonish- R ouach, E. , et al. , ature, 352, 345 ( 1991 )] 0 放射線照身す によ る胸腺細胞アポ ト ー シスの誘導は P 5 3 欠損マ ウ ス には起こ らず C Lowe, S. W. , Nature, 362, 847 ( 1993 ) : Cla rke, A. R. , et al. , Nature, 362, 849 ( 1993 )〕、 ま た p 5 3 蛋白 は、 水晶体、 網膜、 脳において正常網膜芽腫遺伝子
( R B遺伝子) 活性を失 っ てい る細胞のァポプテ ィ ッ ク な死 ¾:誘導する 〔 Pan, H., and Griep, A. E. , Genes Dev. , 8, 1285 (1994) : Morgenbesser, S. D. , et al. , Nature, 371, 72 ( 1994 ) : Howes, I (丄, Genes Dev. , 8, 1300 ( 1994 ) : S ymonds, H. , et al. , Cell, 78, 703 (1994) ] 0 ホ ワ イ 卜 氏 は、 p 5 3 蛋白 は R B遺伝子変異の探索に有用であ り 、 ま た R B遺伝子変異を含む細胞のアポ ト ー シ スを誘導す る だろ う と提言 している 〔 White, E., Nature, 371, 21 (19 94)〕。
ま た、 温度感受性を持つ p 5 3 遺伝子のみが発現 して いる マ ウ ス赤芽球性白血病細胞系では温度の下降で変異 P 5 3 遺伝子が野生型に戻 り 、 アポ ト ー シ スを誘導 し、 そ こ か ら取 り 出 した変異 P 5 3 遺伝子を p 5 3 欠損線維 芽細胞系が軟寒天培地内で増殖でき る 能力を付与する (a nchorage - i ndependeiicy ¾r与ん る [ Xu et a 1. , J pn. J . C ancer Res.86:284- 291 ( 1995 ) ; Kato et al. , Int. J. One ol.9:269 - 277〕。
B A Xはア ポ ト ー シスの抑制因子であ る b c 1 一 2 に 結合する こ とができ 、 アポブテ ィ ッ ク な細胞死を促進す る C Oltvai, Z. M. , et al. , Cell, 74, 609 ( 1993 )] ο ρ 5 3 蛋白 によ る Β A X遺伝子の増加 と b c 1 — 2 の減少は、 マウ ス 白血病細胞株 M 1 のアポ ト ー シ ス に関連 してお り
[ Miyashita, T. , et al. , Oncogene, 9, 1799 ( 1990〕ヽ ま たアポ ト ー シ スに対する シ グナル ' ト ラ ンスデュ ーサ ー の一つであ る F a s が、 非小細胞肺癌 と赤白血病におい て増カロ してい る と い う 報告力 あ る 〔 Owen-Schaub, L. B. , e t al. , Mol. Cell Bioll. , 15, 3032 ( 1995 )〕。
以上述べて き たよ う な多 く の研究に よ り 、 p 5 3 蛋白 は P 2 1 遺伝子に限 らず様々 の遺伝子の転写を亢進或い は抑制する こ とが明 ら力、にな っ て き てい る 。 ま た、 転写 調節機能が欠落 した変異型 P 5 3 蛋白 において も、 細胞 内の他の蛋白質と相互作用 して シ グナルを伝達する 能力 や D N Aの損傷修復機能があ る こ とが示さ れている 。
今ま でわか っ ている P 5 3 蛋白の機能と しては、 例え ば、 転写調節機能、 他の細胞内蛋白質 と結合する こ と に よ る シ グナル伝達機能、 D N A複製に関する蛋白質複合 体の構成要素、 D N A結合能、 ェキ ソ ヌ ク レアーゼ活性 が挙げ られ、 こ れ らの機能が複合的に作用する結果、 細 胞の細胞周期停止、 アポ ト 一 シ ス誘導、 D N A修復、 D N A複製調節及び分化誘導を引 き起こ す も の と考え られ o
さ ら に p 5 3 蛋白の機能は、 遺伝子に損傷が生 じた と きのみに働 く わけではな く 、 例えばウ ィ ルス感染、 サイ ト カ イ ン刺激、 低酸素状態、 ヌ ク レオチ ドプールの変化、
薬物による代謝異常等の各種のス ト レスが生体組織に及 ぶと、 その刺激を引き金と して、 p 5 3 蛋白の量的若 し く は質的な変化が起こ る と言われている。 量的 · 質的調 節を受けた P 5 3 蛋白は、 他の蛋白質との相互作用によ る シグナル伝達や他の遺伝子の転写制御な どの機能を発 現 し、 生体ス ト レ スを受けた生体組織の細胞の D N Aを 複製調節 した り 、 細胞周期を停止させて細胞を修復 した り 、 アポ ト ー シ ス によ っ て細胞を排除 した り 、 或いは細 胞の分化を促進 した りする こ とで生体組織をス ト レ スか ら防御するのに寄与 している と考え られている〔 Ganman, C. E. , et al. , Genes Dev. , 9, 600 -611 ( 1995 ): Graeber, T. Gリ et al. , ature, 379, 88 - 91 ( 1996 ): Linke, S. P. , et al. , Genes Dev. , 10, 934- 947 ( 1996 ) : Xiang, H. , et a 1. , J. Neurosci. , 16, 6753 - 6765 ( 1996 )30
ヒ ト腫瘍の半数に p 5 3 遺伝子の変異が存在する こ と から、 近年腫瘍の診断や治療に対 して、 P 5 3 遺伝子及 びその蛋白の臨床的応用が検討されている。 p 5 3 遺伝 子の変異部位を特異的に認識するプラ イ マ 一を用いて P C Rを行い、 リ ンパ節や体液中に浸潤 した腫瘍細胞を検 出する方法は、 腫瘍の浸潤範囲或いは再発な どを予測す るための有効な診断方法とな り う る 〔 Hayashi, H., et a 1. , Lancet, 345, 1257 - 1259 ( 1995 )〕。
更に p 5 3 蛋白 には、 アポ ト ー シス誘導能があ る こ と か ら、 ウ ィ ルス · ベク タ 一を用いて腫瘍細胞に野生型 p 5 3 遺伝子を導入する遺伝子治療が米国で行われてお り 、 その有効性が報告さ れてい る 〔 Roth, J. A., et al. , Nature Med. , 2, 985 - 991 ( 1996 )30 ま た最近、 曰 本 ίこお ヽ て も数力所で当該遺伝子治療が開始さ れている。
その一方で、 ヒ ト腫瘍の半数以上は ρ 5 3 遺伝子の変 異を有 してお らず、 こ の こ とか ら Ρ 5 3 蛋白 に類似する 腫瘍形成抑制機能を有す る他の蛋白が存在する可能性が 指摘されている。
本発明者 ら は、 先に ρ 5 3 の遺伝子変異が非ホ ジキ ン 型悪性 リ ンパ腫 ( N H L ) の前兆指標にな らない こ とを 見 し 7こ。
ま た、 近年、 上記の ρ 5 3 遺伝子と高い相同性を有す る ρ 7 3 と命名 さ れた新規な遺伝子が確認さ れた 〔 Kagh ad, M. , et al. , Cell, 90, 809 -819 ( 1997 )〕。上記本発明者 らの知見に よ る と、 p 7 3 蛋白 は、 転写活性化 ドメ イ ン ( 1 〜 4 5 番 目 のア ミ ノ 酸領域)において ヒ ト 5 3 蛋白 と 2 9 %の相同性を示 し、 6 つの変異のあ る ホ ッ ト · ス ポ ッ ト と 呼ばれる相補的な保存領域を持つ D N A結合 ド メ ィ ン(113〜 290番 目 のァ ミ ノ 酸領域)における相同性は 6 3 %で、 オ リ ゴメ リ ゼ一 シ ョ ン領域(319〜 363番 目 のァ
ミ ノ 酸領域)の相同性は 3 8 %であ る 。 しカヽ しなが ら、 C 末端 ドメ イ ン に関 しては P 7 3 蛋白 と p 5 3 蛋白 と の間 に有意な相同性は認め られていない。
p 7 3 蛋白の過剰発現によ っ て、 神経芽腫細胞株や S A O S 2 細胞(骨肉腫細胞株)の成長が抑制 さ れる こ と、 ま た P 7 3 蛋白の一時的な発現によ っ て S A O S 2 細胞 とべ ビー · ハムス タ ーの腎細胞のアポ ト ー シスが促進さ れる こ と力 報告さ れてい る 〔 Bruce Clurman and Mark G roudine, Nature, 389, 122 - 123 ( 1997 ): Christine, A. , e t al. , Nature, 389, 191 - 194 ( 1997 )) 0
し力、 しなが ら、 p 7 3 蛋白は、 正常組織においては低 い レベルで しか発現 しな い点で p 5 3 蛋白 と少々 異な つ ている 。 さ ら に、 神経芽腫細胞株にお け る P 7 3 蛋白の 発現は、 紫外線照射や低用量のァ ク チ ノ マイ シ ン D によ つ ては誘導さ れない点において も p 5 3 蛋白 と異な っ て いた。
こ の よ う に p 7 3 蛋白 は、 p 5 3 蛋白 と全 く 同一の機 能を保有する も のではな く 、 今後の更な る研究が待たれ てい る のが現状であ る 。 今ま での観察か ら、 こ の p 7 3 は神経芽腫におけ る推定的な腫瘍抑制因子と して位置づ け られる との報告 も あ る 。
本発明は、 ヒ ト 腫瘍の形態形成に関連する新たな遺伝
子及びその遺伝子産物に関する情報を提供する こ とを目 的とする。 よ り 詳細には、 本発明は前述する よ う に癌抑 制遺伝子と して公知の P 5 3 遺伝子と類似性を有する新 規な遺伝子並びにその遺伝子産物を提供する こ とを 目的 とする。
更に本発明は、 該遺伝子の部分 D N Aからなるプライ マ一やプローブ、 該遺伝子を含むベク タ 一、 該ベク タ 一 が導入された形質転換体、 該形質転換体を培養する こ と からなる、 上記遺伝子産物の製造方法を提供する こ とを 目的とする。 図面の簡単な説明
図 1 は、 p 5 1 A蛋白の構造的な ドメ イ ンの特徴を、 p 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白 と と もに示 した図である。 図中、 「 T A」 は転写活性化領域、 「DNA bindingj は D N A結合領域、 及び 「oligo」 はォ リ ゴメ リ ゼーシ ョ ン領域 をそれぞれ示す。
図 2 は、 ヒ ト p 5 1 A遺伝子でコー ドされるア ミ ノ 酸 配列を P 5 3 蛋白及び p 7 3 蛋白の各ア ミ ノ 酸配列と 比較 し、 三者間の相同性をみた図である。 三者が同一で あるァ ミ ノ 酸を四角で囲んで示す。
図 3 は、 ヒ ト p 5 1 B遺伝子でコー ドされるア ミ ノ 酸
配列を p 7 3 ひ 蛋白の各ア ミ ノ 酸配列 と比較 し、 両者の 相同性をみた図であ る 。 両者が同一であ る ア ミ ノ 酸を四 角で囲んで示す。
図 4 は、 5 1 蛋白の alternative splicing variant (p51Aヽ p51B) の構造をヽ p 7 3 蛋白の alternative sp
1 icing variant ( p73 a 、 p73 3 ) の構造と模式的に比較 した図であ る 。
図 5 は、 種々 の ヒ ト組織におけ る p 5 l m R N A発現 状況を、 ノ ーザ ンブロ ッ テ イ ング ( ク ロ ー ンテ ッ ク 社の フ ィ ルタ ー使用 ) に よ る 電気泳動像で示す図面に代わ る 写真であ る。 各 レー ン は、 1 : 心臓、 2 : 脳、 3 : 胎盤、
4 : 肺、 5 : 肝臓、 6 : 骨格筋 7 : 脾臓、 8 : 脾臓の結 果を示す。
図 6 は、 種々 の ヒ ト 組織におけ る p 5 l m R N A発現 状況を、 ノ ーザ ンブロ ッ テ イ ング ( ク ロ ー ンテ ッ ク 社よ り 購入 した R N Aを用いて作製 した フ ィ ルタ 一使用 ) に よ る電気泳動像で示す図面に代わ る写真であ る 。 各 レー ンは、 1 : 孚 L腺(mammary gland)ヽ 2 : 前立腺(prostat e)ヽ 3 : 唾液腺(salivary gland 4 : 胃( s tomach )ヽ 5 : 胸腺(thymus)、 6 : 甲状腺( thyroid)、 : 7 : 気管(tr achea)、 8 : 子宮( uterus )の結果を示す。
図 7 は、 p 5 1 A遺伝子の コ ロニー形成抑制能を示す
図面に代わ る 写真であ る 。 具体的には、 p 5 1 A発現プ ラ ス ミ ド ( p51A)、 p 5 3 発現プラ ス ミ ド (p53)、 H Aタ グの付いた p 5 1 A発現プラ ス ミ ド ( HAp51A) 及びべク タ ーのみ ( RcCMV) で形質転換 した各細胞の コ ロニー形成 能を比較 した図面に代わ る 写真であ る 。
図 8 は、 実験例 2 に用 いた リ ポー タ ー構築物を模式的 に示す図であ る 。 図中、 WAF- 1 promoter lucは、 二つの p δ 3 調節エ レ メ ン ト を残 してい る野生型 ρ 2 1 W A F 1 プロ モー タ 一構築物、 del 1は一つの上流エ レ メ ン ト 力、' 取 り 除かれてい る構築物、 及び del 2は 両エ レメ ン ト 力 取 り 除かれてい る構築物をそれぞれ示す。
図 9 は、 図 8 に示 した種々 の リ ポー タ ー構築物を有す る各 p 5 1 A発現プラ ス ミ ド (p51A)、 p 5 3 発現プラ ス ミ ド(p53)ま たは コ ン ト ロ ール · べク タ 一(Rc/CMV)を、 S A 0 S 2 細胞に導入 した際の transactivation活性を示す 図であ る (実験例 2参照)。
図 1 0 は、 p 5 3 応答性が実験的に示 さ れている P G C リ ポー タ ー構築物を有する各 p 5 1 A発現プラ ス ミ ド (p51A)、 H A標識 した p 5 1 A発現プラ ス ミ ド ( HAp5 1A)、 p 5 3 発現プラ ス ミ ド (p53) ま たは コ ン ト ロ ー ノレ • ベク タ 一(RcCMV)を、 S A O S 2 細胞に導入 した際の t ransactivation活性を示す図であ る (実験例 2 参照)。
図 1 1 は、 実験例 4 において、 ヒ ト p 5 1 A遺伝子を 含む 1 C 1 細胞及び 4 B 1 細胞、 及び p 5 1 A遺伝子を 含ま ない 1 - 2 - 3 細胞について、 3 2 °C及び 3 7 °Cの異 な る 温度下で培養 した場合の D N Aの断片化を調べた結 果を示す図面に代わる写真であ る (ァ ガロ ー ス電気泳動 のェチ ジ ゥ ムブ口 マイ ド染色像)。
図中 「 1 - 2 - 3 細胞」 と はべク タ 一だけを導入 し、 p 5 1 A遺伝子を含ま ない対照の細胞であ り 、 「 1 C 1 細 胞」 又は 「 4 B 1 細胞」 と は、 p 5 1 A遺伝子を含む発 現ベク タ ー ( p R c C M V / p 5 1 A ) で形質転換 した p 5 1 A導入 1 - 2 - 3 細胞であ る。 ま た ; I Z Hind mは ; フ ァ ー ジ D N Aの制限酵素 Hind mに よ る分解物であ り 、 D N Aのサイ ズマーカ 一であ る ( New England Biolabs. ind.製)。 ま た、 lOObp ladderと は 100 b p の整数倍のサ ィ ズを有する D N A断片か ら な る サイ ズマー カ一であ る ( GIBCO- BRし製 ) o
図 1 2 ~ 1 4 は、 ヒ ト p 5 1 B遺伝子の コ ー ド領域の 塩基配列 (下段) とマ ウ ス ホモ ロ グ ( マ ウ ス p 5 1 B遺 伝子) の当該配列 (上段) とを比較 した図面であ る 。 な お、 両者間で同一の塩基には図中★印を記 している 。
図 1 5 は、 図 1 2 ~ 1 4 で示す ヒ ト p 5 1 B遺伝子及 びマ ウ ス p 5 1 B遺伝子でそれぞれコ ー ドさ れる ヒ p
5 1 B蛋白及びマウス p 5 1 B蛋白のア ミ ノ 酸配列を比 較 した図面である。 なお、 両者間で同一のア ミ ノ 酸には 図中★印を記 している。 発明の開示
前述するよ う に、 ヒ ト腫瘍組織の半数以上は癌抑制遺 伝子である P 5 3 遺伝子の変異体を有 していないこ とか ら、 従来から p 5 3 蛋白以外に も腫瘍形成抑制機能を果 た している遺伝子産物 (蛋白) が存在 している可能性が 示唆されている。
こ のため、 本発明者らは、 かかる腫瘍形成抑制機能に 関連する新規遺伝子並びにその遺伝子産物を探索すべく 鋭意研究を重ねていたと こ ろ、 上記 P 5 3 蛋白 と同様な 活性を有する蛋白をコ一 ドする ヒ ト 由来の新規遺伝子を 見いだし、 該遺伝子又はその遺伝子産物がアポ トー シス に有意に関連 している こ とを確認 した。 本発明はかかる 知見に基づ く ものである。
すなわち、 本発明は下記 1 〜 8 に掲げる ヒ ト p 5 1 遺 伝子及びそれに関連する遺伝子である。
1 . 以下の ( a ) 又は ( b ) の蛋白質をコー ドする遺伝 子 :
( a ) 配列番号 1 に示すア ミ ノ 酸配列を有する蛋白質
( b ) 配列番号 1 に示すア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加さ れたア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ p 5 1 活性を有 する蛋白質。
以下の ( a ) 又は ( b ) の D N Aを有する遺伝子 : ( a ) 配列番号 2 に示 さ れる塩基配列において、 塩基 番号 1 4 5 ~ 1 4 8 8 に示さ れる塩基配列か ら な る D N A
( b ) 配列番号 2 に示 さ れる塩基配列において、 塩基 番号 1 4 5 ~ 1 4 8 8 に示さ れる塩基配列カヽ ら な る D N A と ス ト リ ン ジ ェ ン ト な条件下でハイ ブ リ ダィ ズ し、 且つ p 5 1 活性を有する蛋白質 を コ ー ドする D N A。
. 配列番号 2 に示さ れる塩基配列を有する 上記 2 記載 の遺伝子。
. 以下の ( a ) 又は ( b ) の D N Aを有する c D N A
( a ) 配列番号 2 に示 される塩基配列において、 塩基 番号 1 4 5 〜 1 4 8 8 に示さ れる塩基配列か ら な る D N A
( b ) 配列番号 2 に示さ れる塩基配列において、 塩基 番号 1 4 5 〜 1 4 8 8 に示さ れる塩基配列力、 ら
な る D N A と ス ト リ ン ジ ェ ン ト な条件下でハイ ブ リ ダィ ズ し、 且つ p 5 1 活性を有する蛋白質 を コ ー ドする D N A。
5 . 配列番号 2 に示さ れる塩基配列 と ス ト リ ン ジ ェ ン ト な条件下でハイ プ リ ダイ ズする こ とを特徴とする D
N A。
6 . 配列番号 2 の塩基番号 1 4 5 〜 1 4 8 8 に示さ れる 塩基配列 と ス ト リ ン ジ ェ ン ト な条件下でハイ プ リ ダィ ズする こ とを特徴とする D N A。
7 . プラ イ マー と して用 い られる上記 5 記載の D N A。 8 . プロ ーブと して用い られる上記 5 記載の D N A。
さ ら に本発明 は、 下記 9 〜 1 4 に掲げる ヒ h p 5 1 蛋 白及びそれに関連する蛋白質若 し く は ( ポ リ ) ペプチ ド であ る。
9 . 以下の ( a ) 又は ( b ) に示す蛋 白質 :
( a ) 配列番号 1 に示すァ ミ ノ 酸配列を有する蛋白質 ( b ) 配列番号 1 に示すア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は複数のァ ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加 さ れたア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ p 5 1 活性を有 す る蛋白質。
1 0 . 配列番号 1 において、 少な く と も ア ミ ノ 酸番号 1 〜 5 9 、 ア ミ ノ 酸番号 1 4 2 〜 3 2 1 及びア ミ ノ 酸
番号 3 5 9 〜 3 9 7 で示さ れる ア ミ ノ 酸 配列を 有する上記 9 記載の蛋白質。
1 . 配列番号 1 において、 転写活性化機能、 D N A結 合性及びオ リ ゴメ リ ゼー シ ョ ン機能よ り な る群か ら 選択さ れる少な く と も 1 種の機能を有する ア ミ ノ 酸 配列を有する ポ リ ペプチ ド。
2 . 以下の ( a ) 又は ( b ) に示すポ リ ペプチ ド :
( a ) 配列番号 1 においてア ミ ノ 酸番号 1 〜 5 9 で示 さ れる ア ミ ノ 酸配列を有する ポ リ べプチ ド ( b ) ( a ) に示すア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は複数のァ ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加さ れた ァ ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ転写活性化機能を有 す る ポ リ ペプチ ド。
3 . 以下の ( a ) 又は ( b ) に示すポ リ ペプチ ド : ( a ) 配列番号 1 においてア ミ ノ 酸番号 1 4 2 ~ 3 2
1 で示さ れる ァ ミ ノ 酸配列を有する ポ リ べプチ ド、
( b ) ( a ) に示すア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は複数のァ ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加 さ れた ア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ D N A結合性を有す る ポ リ ペプチ ド。
4 . rの ( a ) 又は ( b ) に示すポ リ ペプチ ド :
( a ) 配列番号 1 においてア ミ ノ 酸番号 3 5 9 〜 3 9 7 で示されるァ ミ ノ 酸配列を有する ポ リ べプチ K
( b ) ( a ) に示すア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加された ア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つオ リ ゴメ リ ゼー シ ョ ン機能を有する ポ リ ペプチ ド。
更にま た本発明は、 前述する P 5 1 遺伝子を含有する ベク タ ー、 該ベク タ ーで形質転換された宿主細胞、 並び に該宿主細胞を培地中で培養 し、 得られる培養物か ら蛋 白質を回収する こ とを特徴とする、 P 5 1 蛋白の製造方 法にかかる ものである。 なお、 本発明における 「 p 5 1 」 という称号は、 単に 本明細書において便宜上使用する ものであ っ て、 本発明 の遺伝子及びその遺伝子産物 (蛋白質) 等をなん ら限定 する ものではない。
また、 本発明において遺伝子 ( D N A ) とは、 2 本鎖 D N Aのみな らず、 それを構成するセ ンス鎖及びア ンチ セ ンス鎖とい っ た各 1 本鎖の D N Aを包含する趣旨であ り 、 またその長さ に何ら制限される も のではない。 従つ て、 本発明の遺伝子 ( D N A ) には、 特に言及 しない限
り 、 ヒ トゲノ ム D N Aを含む 2 本鎖 D N A、 及び c D N Aを含む 1 本鎖 D N A (セ ン ス鎖)、 並びに該セ ンス鎖と 相補的な配列を有する 1 本鎖 D N A (ア ンチセ ン ス鎖)、 およびそれらの断片のいずれもが含まれる。
以下、 本明細書における ア ミ ノ 酸、 ペプチ ド、 塩基配 列、 核酸等の略号によ る表示は、 I U P A C 、 I U B の 規定、「塩基配列又はァ ミ ノ 酸配列を含む明細書等の作成 のためのガイ ドライ ン」 ( 日本、 米国及び欧州の三極特許 庁) 及び当該分野における慣用記号に従う ものとする。
( 1 ) p 5 1 遺伝子及びその同効物
本発明は、 p 5 3 蛋白の作用又はその機能と同様若 し く は同等の作用又は機能を有する蛋白質をコ一 ドする ヒ ト 由来の新規遺伝子に関する。
本発明の遺伝子は、 従来公知の p 5 3 遺伝子及び p 7
3 遺伝子の配列から鋭意探索して選択された特定領域を 利用 して創意工夫の う え、 新たに創設 したプライ マ一を 用いて P C Rを行う こ とによ っ て得られた ものであ る。 具体的には、 後記実施例で示すよ う な創設プライ マーを 用いて P C Rを行う こ とによ っ て p 5 3 遺伝子及び p 7
3 遺伝子とは同一ではないが、 両者に類似する遺伝子断 片を得た。 こ の D N A断片をプローブと して使用する こ
と によ り 、 ヒ ト 骨格筋 c D N A ラ イ ブラ リ 一か ら任意に 選択 した c D N A ク ロ ー ン 中に、 p 5 3 蛋白のア ミ ノ 酸 配列 と高い相同性を有する新規蛋白を コ ー ドする c D N A ク ロ ー ンを単離する こ と に成功 した
得 られた c D N Aか ら演繹さ れたア ミ ノ 酸配列の計算 分子量は約 5 0 , 8 9 4 D a であ っ たので、 本発明者 ら は、 便宜上該 c D N A ( D N A ) を 「 ヒ ト p 5 1 A遺伝 子 (若 し く は単に p 5 1 A遺伝子)」 と命名 し、 さ ら に該 遺伝子によ っ て コ ー ドさ れる ァ ミ ノ 酸配列を有する蛋白 質を 「 p 5 1 A蛋白質 (若 し く は p 5 1 A蛋白 )」 と称 し ノ o
その後の研究によ り 、 p 5 1 c D N A ク ロ ー ン力 コ 一 ドする遺伝子には、 選択的スプラ イ シ ン グ変異体 ( alte rnat ive splicing variant ) 力 あ る こ と力 分力、 つ た。 ま た種々 の ヒ ト 組織におけ る 当該遺伝子転写産物の発現産 生状況を調べた結果、 当該産物 (蛋白質) には主に短い フ ォ ー ム と長いフ ォ ーム と にスプラ イ ス さ れた形態が存 在する こ とが明 らかとな っ た。
これ らのス プラ イ シ ン グ変異体にかかる P 5 1 c D N Aか ら演繹 したア ミ ノ 酸情報によ る と 、 短いフ ォ ー ムの スプラ イ シ ン グ変異体は、 前述する 4 4 8 ア ミ ノ 酸 (分 子量約 5 0 . 9 k D a ) を有する蛋白質 ( p 5 1 A蛋白)
をコ一 ドする遺伝子 ( p 5 1 A遺伝子) であ り 、 ま た長 いフ ォ ー ムの スプライ シ ング変異体は 6 4 1 ア ミ ノ 酸 (分子量約 7 1 . 9 k D a ) を有する蛋白質をコー ドす る遺伝子であ っ た。 本発明において、 便宜上、 当該後者 の遺伝子を 「 ヒ ト p 5 1 B遺伝子 (若 し く は単に p 5 1 B遺伝子)」 と称する こ とに し、 ま た該遺伝子によ っ てコ 一 ドされるァ ミ ノ 酸配列を有する蛋白質を 「 p 5 1 B蛋 白質 (若 し く は p 5 1 B蛋白)」 と称する。
また本発明においては、 前記 P 5 1 A遺伝子及び p 5 1 B遺伝子を総括 して 「 p 5 1 遺伝子」 と呼び、 p 5 1 A蛋白及び p 5 1 B蛋白を総括して 「 p 5 1 蛋白」 と呼 、 とにす る。
なお、 p 5 1 遺伝子のスプライ シ ング変異体には、 T A領域の一部を欠損 している もの等、 複数の存在が確認 されている。
これらの p 5 1 遺伝子の発現産物を調べたと こ ろ、 本 発明の p 5 1 遺伝子産物 ( p 5 1 蛋白) は、 p 5 3 蛋白 と類似の転写活性化作用、 細胞の成長抑制活性、 及びァ ポ ト ーシ ス誘導活性を示 した。 また p 5 1 遺伝子の ヒ ト 組織における発現は、 p 5 3 遺伝子の発現よ り も組織限 定的であ り.、 また同様に組織限定的に発現する p 7 3遺 伝子の組織分布と重複する ものの、 その組織分布よ り も
広範囲にわた る も のであ っ た。 更に、 ヒ ト 腫瘍組織又は 腫瘍細胞株において P 5 1 遺伝子の変異が確認さ れた。
こ れ らの知見か ら、 本発明の ヒ h p 5 1 遺伝子は、 p 5 3 腫瘍抑制遺伝子フ ァ ミ リ ーの新たな メ ンバ一であ る こ とが強 く 示唆さ れた。 本発明の p 5 1 遺伝子の具体例 と しては、 後述する実 施例 1 に示さ れる ク ロ ー ン ( p 5 1 A、 p 5 I B ) が有 する D N A配列を有する も のを挙げる こ とができ る 。
p 5 1 A ク ロ ー ンが有する遺伝子と しては、 後記配列 表中、 配列番号 1 に示さ れる 4 4 8 ア ミ ノ 酸残基か らな る蛋白質を コ ー ドする遺伝子 ( 1 3 4 4 ヌ ク レオチ ド) を挙げる こ とができ る。 具体的に は、 配列番号 2 におい て、 オープ ン リ ーデ ィ ン グフ レ ー ム に相当する 1 4 5 - 1 4 8 8位に示さ れる塩基配列を有する遺伝子であ る。 なお、 当該 p 5 1 A c D N A ク ロ ー ン の全長塩基配列 は、 配列番号 2 に示すとお り 2 8 1 6 ヌ ク レオチ ドであ る。 本発明の p 5 1 A遺伝子には、 当該配列番号 2 で示 さ れる塩基配列を含む遺伝子が含ま れ る 。 なお、 配列番 号 2 に示す塩基配列において、 開始コ ド ン ( A T G ) は 塩基番号 1 4 5 - 1 4 7 番 目 に位置 してお り 、 ポ リ アデ 二 レ ー シ ン シ グナノレ ( A A T A A ) は、 2 7 8 6 - 2
7 9 1 に位置 している 。 なお、 p 5 1 A遺伝子でコ ー ドさ れ る 4 4 8 個のア ミ ノ 酸を有する P 5 1 A蛋白のァ ミ ノ 酸配列を配列番号 1 に示すが、 当該蛋白 は、 ア ミ ノ 酸番号 1 〜 5 9 位で示さ れる転写活性化領域、 ア ミ ノ 酸番号 1 4 2 - 3 2 1 位で 示さ れる D N A結合領域及びア ミ ノ 酸番号 3 5 3 - 3 9 7 位で示さ れる オ リ ゴメ リ ゼー シ ョ ン領域を有する 。 該 p 5 1 A蛋白の各領域のア ミ ノ 酸配列について、 公 知蛋白質 P 5 3 及び p 7 3 それぞれの相当領域に対する 相同性を G C G ソ フ ト ゥ ヱ ァ ( ウ ィ ス コ ン シ ン ' 配列分 析パ ッ ケ ー ジ 、 ジ エ ネ テ イ ク ス · コ ン ピ ュ ー タ 一 · グル —プ製) を使用する F A S T Aプロ グラ ムを使用 して (P erson, W. R. and し ipman, D. J . , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 85, 1435 - 1441 ( 1988 ))調べた結果、 表 1 に示す結 果が得 られた (図 1 、 図 2 参照)。 参考のため、 同 じ測定 方法に よ っ て求めた P 5 3 蛋白質と p 7 3 /3蛋白質 との 相同性を併記する。 < 表 1 〉 全配列 転写活性 DN A ォリコ、、
化領域 結合領域 Jセ'、 - -シヨン p51A^>p53 36 % 22 % 60 % 37 %
P51A P73/8 42 % 30 % 87 % 65 % p53 ^p73 28 % 27 % 63 % 83 %
一方、 p 5 I B ク ロ ー ンが有する遺伝子と しては、 後 記配列表中、 配列番号 4 に示さ れる 6 4 1 ア ミ ノ 酸残基 か らな る蛋白質を コ ー ドする遺伝子 ( 1 9 2 3 ヌ ク レオ チ ド) を挙げる こ とができ る。 具体的には、 配列番号 5 において、 オープン リ ーディ ン グフ レ ー ムに相当す る 1 4 5 〜 2 0 6 7 位に示さ れる塩基配列を有する遺伝子で あ る 。
なお、 当該 p 5 1 B c D N A ク ロ ー ンの全長塩基配列 は、 配列番号 5 に示すと お り 2 2 7 0 ヌ ク レオチ ドであ る。 本発明の p 5 1 B遺伝子には、 当該配列番号 5 で示 さ れる塩基配列を含む遺伝子が含ま れる。
P 5 1 B遺伝子でコ ー ドさ れる 6 4 1 個のア ミ ノ 酸を有 する p 5 1 B蛋白のア ミ ノ 酸配列を配列番号 4 に示すが、 当該蛋白は、 ァ ミ ソ 酸番号 1 〜 5 9 位で示 さ れる転写活性 化領域、 ア ミ ノ 酸番号 1 4 2 - 3 2 1 位で示 さ れる D N A 結合領域及びア ミ ノ 酸番号 3 5 3 - 3 9 7 位で示さ れる ォ リ ゴメ リ ゼ一 シ ョ ン領域を有 し、 更にア ミ ノ 酸番号は特定 でき ないが C末端側の領域に付加的配列 ( S A M ドメ イ ン) を有 している 。 こ こ では、 当該 S A M ドメ イ ンを含む ア ミ ノ 酸番号 3 5 3 〜 6 4 1 位の領域を広義のオ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン領域とする。
該 P 5 1 B蛋白の各領域のァ ミ ノ 酸配列について、 P
5 1 A蛋白 と同様に、 公知蛋白質 p 7 3 の相当領域に 対する相同性を G C G ソ フ ト ウ ヱ ァを使用する F A S T Aプロ グラ ムを使用 して調べた結果、 図 3 に示す結果が 得られた。 図 3 において、 四角のボッ ク スで囲まれた部 分が、 p 5 1 B蛋白と p 7 3 蛋白 とが共通するァ ミ ノ 酸配列であ り 、 これから本発明の p 5 1 B蛋白のァ ミ ノ 酸配列は広範囲にわたっ て P 7 3 ひ蛋白の配列と相同性 力 ある こ と力 わ力、る。
このよ う に本発明の P 5 1 遺伝子には、 配列番号 1 に 示されるア ミ ノ 酸配列か らなる蛋白質をコー ドする塩基 配列を有する ヒ p 5 1 A遺伝子、 及び配列番号 4 に示 されるア ミ ノ 酸配列からなる蛋白質を コ一 ドする塩基配 列を有する ヒ ト 5 1 B遺伝子が含まれる。 ただし、 本 発明の P 5 1 遺伝子は特にこれらに限定される こ とな く 、 当該ヒ ト p 5 1 遺伝子の相同物を も包含する も ので の 。
こ こ で 「 ヒ ト 5 1 遺伝子の相同物」 とは、 前述する p 5 1 A遺伝子または p 5 1 B遺伝子と配列相同性を有 し、 上記構造的特徴並びに遺伝子発現パタ ー ンにおける 共通性、 及び上記 したよ う なその もの若 し く はその遺伝 子産物 (蛋白質) の生物学的機能の類似性によ り ひとつ の遺伝子フ ァ ミ リ ーと認識される一連の関連遺伝子を意
味する も のであ り 、 ヒ p 5 1 遺伝子のスプラ イ シ ン グ 変異体やア レル体 (対立遺伝子) も 当然含ま れる。
かかる相同物と しては、 例えば配列番号 1 で表さ れる 特定のア ミ ノ 酸配列において、 一乃至は複数の改変を有 する蛋白質であ っ て、 且つ該配列を有する p 5 1 A蛋白 と 同様な作用又は機能を有する蛋白質を コ ー ドする遺伝 子を挙げる こ とができ る 。 当該遺伝子 と しては、 好適に は配列番号 1 で表さ れる ァ ミ ノ 酸配列 と一定の相同性を 保持 したア ミ ノ 酸配列を コ ー ドする も のを挙げる こ とが でき る 。
上記ア ミ ノ 酸配列にお け る相同性は、 前述する G C G ソ フ ト ウ エ アを使用する F A S T Aプロ グラ ムを使用 し た測定において、 通常、 ア ミ ノ 酸配列の全体で約 4 5 % 以上、 好ま し く は約 5 0 %以上であ る こ とができ る 。 好 ま し く は転写活性化領域、 D N A結合領域ま たはオ リ ゴ メ リ ゼー シ ョ ン領域のいずれか少な く と も一つ領域にお いて一定以上の相同性を有する こ とが好ま し く 、例えば、 転写活性化領域におけ る 相同性と して約 3 5 %以上、 好 ま し く は 4 5 %以上、 D N A結合領域におけ る相同性と して 8 8 %以上、 好ま し く は約 9 0 %以上、 オ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン領域における相同性と して約 7 0 %以上、 好 ま し く は約 8 0 %以上のいずれかを挙げる こ とができ
る o
即ち、 本発明の遺伝子には、 上記性質を満たす限 り 、 例えば配列番号 1 に示されるァ ミ ノ 酸配列において 1 又 は数個乃至複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加された ア ミ ノ 酸配列からなる蛋白質をコ一 ドする塩基配列を含 む遺伝子が包含される。
こ こ で、 「ァ ミ ノ 酸の欠失、 置換又は付加」 の程度及び それ らの位置等は、 改変された蛋白質が、 配列番号 1 ま たは 4 で示されるア ミ ノ 酸配列からなる蛋白質 ( p 5 1 A蛋白または p 5 1 B蛋白) と同様の機能を有する 同効 物であれば特に制限されない。 すなわち、 本発明におい て 「 p 5 1 活性」 とは、 p 5 1 A蛋白ま たは p 5 I B蛋 白で代表される P 5 1 蛋白が有する活性並びに機能を意 味し、 具体的には、 腫瘍細胞成長抑制活性、 アポ ト ーシ ス誘導活性、 細胞における転写調節機能等を挙げる こ と ができ る。
本発明の P 5 1 蛋白は、 細胞増殖抑制因子と して知ら れている p 5 3 蛋白 と同様な作用を有 している と思われ る。 こ のため本明細書において、 p 5 1 蛋白の作用又は 機能と して表わされる 「 P 5 1 活性」 とは、 公知の p 5 3 蛋白の様々 な作用又は機能によ つて定義する こ と も可 能である。
こ こ で p 5 3 蛋白の作用又は機能と しては、 細胞にお ける 転写調節機能、 他の細胞内蛋白質 と結合する こ と に よ る シ グナル伝達機能、 D N A複製に関する蛋白質複合 体の構成要素と しての働き 、 D N A結合能及びェキ ソ ヌ ク レアーゼ活性等、 ま た こ れ らの機能が複合的に作用す る こ と に発揮さ れる細胞の細胞周期停止機能, アポ ト ー シ ス誘導作用, D N A修復機能, D N A複製調節又は分 化誘導作用等を挙げる こ とができ るが、 本発明の p 5 1 蛋白 も こ れ らの作用又は機能を、 一部 も し く は全て有 し ている もの と考え られる 。
ア ミ ノ 酸配列の改変 (変異) 等は、 天然において、 例 えば突然変異や翻訳後の修飾等によ り 生 じ る こ と も あ る が、 天然由来の遺伝子に基づいて人為的に改変する こ と もでき る 。
本発明は、 こ のよ う な改変 · 変異の原因及び手段等を 問わず、 本発明の p 5 1 蛋白 にかかる 上記特性を有する 蛋白を コ ー ドする全ての改変遺伝子を包含する ものであ o
上記の人為的な改変手段と しては、 例えばサイ ト スべ シ フ ィ ッ ク · ミ ュ ー タ ジ エ ネ シ ス 〔 Methods in Enzymol ogy, 154, 350, 367-382 (1987) ; 同 100, 468 (1983) ; Nucleic Acids Res., 12, 9441 ( 1984 ) ; 続生化学実験講
座 1 「遺伝子研究法 II」、 日 本生化学会編, plQ5 (198 6)〕 等の遺伝子工学的手法、 リ ン酸 ト リ エステル法ゃ リ ン酸ア ミ ダイ ト 法等の化学合成手段 〔 J. Am. Chem. So c., 89, 4801 ( 1967 ) ; 同 91, 3350 ( 1969 ) ; Science, 1 50, 178 (1968) ; Tetrahedron Lett. , 22, 1859 (1981) ; 同 24, 245 ( 1983 )〕 及びそれ らの組合せ方法等が例示 でき る 。 よ り 具体的には、 D Ν Αの合成は、 ホスホルァ ミ ダイ ト 法ま たは ト リ エステル法に よ る化学合成に よ る こ と も でき 、 市販さ れてい る 自動オ リ ゴヌ ク レオチ ド合 成装置上で行 う こ と もでき る。 二本鎖断片は、 相補鎖を 合成 し、 適当な条件下で該鎖を共にアニー リ ン グさせる か、 ま たは適当なプラ イ マ一配列 と共に D N Aポ リ メ ラ ーゼを用 い相補鎖を付加するかによ っ て、 化学合成 した 一本鎖生成物か ら得る こ と もでき る 。
本発明の遺伝子の具体的な態様と して、 配列番号 2 に 示さ れる塩基配列において、 塩基番号 1 4 5 〜 1 4 8 8 に示さ れる塩基配列を有する遺伝子、 ま たは配列番号 5 に示さ れる塩基配列において、 塩基番号 1 4 5 〜 2 0 6 7 に示さ れる 塩基配列を有する遺伝子を例示でき る 。 こ れ らの塩基配列は、 前述の配列番号 1 ま たは 4 に示さ れ る ア ミ ノ 酸配列の各ア ミ ノ 酸残基を コ ー ドする コ ド ンの 一つの組合せ例で も あ る 。 こ のため、 本発明の遺伝子は
これ ら特定の塩基配列を有する遺伝子に限 らず、 各ア ミ ノ 酸残基に対 して任意の コ ド ンを組合せ、 選択 した塩基 配列を有する こ と も可能である。 コ ド ンの選択は、 常法 に従う こ とができ、 例えば利用する宿主のコ ド ン使用頻 度等を考慮する こ とができ る 〔 Ncleic Acids Res. , 9, 43 ( 1981 ) 3 ο
更に、 本発明の遺伝子は、 前記のとお り 、 配列番号 2 に示される塩基配列において、 塩基番号 1 4 5 〜 1 4 8 8 (以下、 単に塩基配列( 145- 1488)と もいう 。) に示され る塩基配列と一定の相同性を有する塩基配列からなる も のも包含する。
かかる遺伝子と しては、 例えば、 0 . 1 % S D S を含 む 0 . 2 X S S C 中 5 0 °C又は 0 . 1 % S D S を含む 1 x S S C 中 6 0 °Cのス ト リ ンジ ェ ン 卜 な条件下で塩基配 列( 145- 1488 )からなる D N A とハイ プ リ ダイ ズする塩基 配列を有する遺伝子を例示する こ とができ る。
本発明の遺伝子は、 本発明によ り具体的に教示された 配列番号 2 の配列情報に基づいて、 一般的遺伝子工学的 手法によ り容易に製造 · 取得する こ とができ る 〔 Molecu lar Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press (1989) ; 続生化学実験講座 「遺伝子研究法 I 、 Π、 m」、 日本生化学会編 ( 1986 ) 等参照〕。
具体的には、 本発明 p 5 1 遺伝子が発現さ れる適当な 起源よ り 、常法に従 っ て c D N Aラ イ ブラ リ 一を調製 し、 該ラ イ ブラ リ ーか ら、 本発明の p 5 1 遺伝子に特有の適 当なプロ ー ブや抗体を用いて所望ク 口 一 ンを選択する こ と によ ^ 実施でき る C Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 78, 6613 ( 1981 ) ; Science, 222, 778 ( 1983 )等〕。
上記において、 c D N Aの起源と しては、 本発明の遺 伝子を発現す る各種の細胞、 組織や こ れ ら に由来する培 養細胞等が例示さ れる 。 ま た、 こ れ らか らの全 R N Aの 分離、 m R N Aの分離や精製、 c D N Aの取得と その ク ロ ーニ ング等はいずれ も 常法に従っ て実施する こ とがで き る 。 ま た、 c D N Aラ イ ブラ リ 一 は市販さ れて もお り 、 本発明 においてはそれ ら c D N Aラ イ ブラ リ ー、 例えば ク ロ ー ンテ ツ ク 社 ( CI on tech Lab. Inc. ) 等よ り 市販さ れ ている 各種 c D N Aラ イ ブラ リ 一等を用い る こ と も でき ο
本発明の遺伝子を c D N Aラ イ ブラ リ ーか ら ス ク リ ー ニ ングする 方法も 、 特に制限さ れず、 通常の方法に従う こ とができ る 。
具体的には、 例えば c D N Aに よ っ て産生さ れる蛋白 質に対 して、 該蛋白質特異抗体を使用 した免疫的ス ク リ 一二 ングに よ り 対応する c D N A ク ロ ー ンを選択する 方
法、 目 的の D N A配列に選択的に結合する プロ ーブを用 いたプラ ー ク ノヽイ ブ リ ダィ ゼー シ ョ ン、 コ ロ ニ ー ノヽイ ブ リ ダイ ゼ― シ ョ ン等ゃ こ れ らの組合せ等を例示でき る 。 こ こ で用い られる プロ ーブと しては、 本発明の遺伝子 の塩基配列に関する情報を も と に して化学合成さ れた D N A等が一般的に例示でき る が、 既に取得さ れた本発明 遺伝子その も のやその断片 も良好に利用でき る。 ま た、 本発明の p 5 1 遺伝子の塩基配列情報に基づき設定 した セ ン ス · プラ イ マ ー、 ア ンチセ ン ス · プラ イ マ一 を ス ク リ ーニ ン グ用 プロ ーブと して用 いる こ と もでき る。
本発明の遺伝子の取得に際 しては、 P C R法 〔 Scienc e, 230, 1350 ( 1985 )〕 ま たはその変法に よ る D N A若 し く は R N A増幅法が好適に利用でき る 。 殊に、 ラ イ ブラ リ 一か ら全長の c D N Aが得 られ難い よ う な場合には、 R A C E法 〔 Rapid amplification of cDNA ends; 実験 医学、 12(6), 35 ( 1994 )〕、 特に 5 ' - R A C E法 〔 M. A.
Frohman, etal. , Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 8, 8998 ( 1988 )3 等の採用が好適であ る 。
かかる P C R法の採用 に際 して使用 さ れる プラ イ マ 一 は、 本発明に よ っ て明 らかに さ れた p 5 1 遺伝子の配列 情報に基づいて適宜設定する こ とができ 、 こ れは常法に 従っ て合成でき る 。 尚、 増幅さ せた D N A若 し く は R N
A断片の単離精製は、前記の通 り 常法に従う こ とができ 、 例えばゲル電気泳動法、 ハイ ブ リ ダィ ゼ一 シ ヨ ン法等に よ る こ とができ る 。
ま た、 上記の方法で得 られる p 5 1 遺伝子或いは p 5 1 遺伝子の各種 D N A断片は、 常法、 例えばジデォキ シ 法 C Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 74, 5463 ( 1977 )] やマキ サム ー ギノレノく一 卜 法 [Methods in Enzymology, 65, 499 ( 1 980 )〕 等に従 っ て、 ま た簡便には市販の シー ク ェ ン スキ ッ ト 等を用 いて、その塩基配列を決定する こ とができ る 。
本発明の p 5 1 遺伝子によれば、 例えば該遺伝子の一 部又は全部の塩基配列を利用する こ と によ り 、 ヒ ト な ど の個体 も し く は各種組織におけ る本発明 P 5 1 遺伝子の 発現の有無を特異的に検出する こ とができ る 。
かかる検出 は常法に従 っ て行 う こ とができ 、 例えば R T — P C R し Reverse transcribed- Polymerase chain r eaction; E. S. Kawasaki , et al. , Amplification of R NA. I n PCR Protocol, A Guide to methods and app 1 i c ations, Academic Press, Inc. , SanDiego, 21-27 (1991)] によ る R N A増幅やノ ーザ ンプロ ッ テ ィ ン グ解析 〔 Mole cular Cloning, Cold Spring Harbor Lab. (1989)〕、 in situ R T - P C R [ Nucl. Acids Res., 21, 3159-316 6 ( 1993 )〕 や in situ ハイ ブ リ ダィ ゼ一 シ ヨ ン等を利用
した細胞 レベルでの測定、 N A S B A法 〔 Nucleic acid sequence - based amplification, Nature, 350, 91 - 92 (1991)〕 及びその他の各種方法を挙げる こ とができ る 。 好適的には、 R T — P C R — S S C P によ る検出法を挙 げる こ とができ る 。
尚、 こ こ で P C R法に用い られる プラ イ マー と して は、 本発明 P 5 1 遺伝子 (部分 D N Aを含む) を特異的に増 幅でき る該遺伝子特有の ものであ る 限 り 、 特に制限はな く 、 本発明の p 5 1 遺伝子の配列情報に基いて適宜設定 する こ とができ る 。 通常プラ イ マ一 と して 1 0 〜 3 5 程 度の ヌ ク レオチ ド、 好ま し く は 1 5 〜 3 0 ヌ ク レオチ ド 程度の長さ を有する本発明の P 5 1 遺伝子の部分配列を 有する も のを挙げる こ とができ る。
こ のよ う に、 本発明の遺伝子には、 本発明にかかる ヒ ト p 5 1 遺伝子を検出す る ための特異プラ イ マ一及び Z 又は特異プロ ーブと して使用 さ れる D N A断片 も ま た包 含さ れる も のであ る 。
当該 D N A断片は、 塩基配列( 145- 1488 )か らな る D N Aと ス ト リ ン ジ ェ ン ト な条件下でハイ ブ リ ダイ ズする こ とを特徴とす る D N A と して規定する こ とでき る。 こ こ で、 ス ト リ ン ジ ニ ン ト な条件と しては、 プラ イ マー又は プロ ーブと して用 い られる通常の条件を挙げる こ とがで
き、 特に制限はされないが、 例えば、 前述する よ う な 0 .
1 % S D S を含む 0 . 2 X S S C 中 5 0 °Cの条件又は 0 . 1 % S D S を含む 1 X S S C 中 6 0 °Cの条件を例示する こ とができ る。
本発明の ヒ ト p 5 1 遺伝子によれば、 通常の遺伝子ェ 学的手法を用いる こ とによ り 、 該遺伝子産物 ( p 5 1 蛋 白) を含む蛋白質を容易に大量に、 安定 して製造する こ とができ る。 ( 2 ) p 5 1 蛋白
ゆえに、 本発明は前述する本発明の遺伝子によ っ てコ ー ドされる P 5 1 蛋白を提供する。
本発明の蛋白質の具体的態様と しては、 配列番号 1 に 示されるァ ミ ノ 酸配列を有する P 5 1 A蛋白及び配列番 号 4 に示される ア ミ ノ 酸配列を有する p 5 1 B蛋白 と称 される蛋白質を挙げる こ とができ るが、 本発明の蛋白質 は、 当該特定の P 5 1 A蛋白及び p 5 1 B蛋白に限定さ れる こ とな く それら と相同物であればよい。 相同物と し ては、 上記各蛋白質のア ミ ノ 酸配列において、 1 若 し く は数個乃至複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加された ア ミ ノ 酸配列を有 してお り 、 且つ前述する p 5 1 活性を 有する蛋白質を有する ものを挙げる こ とができ る。 具体
的には、 前述する p 5 1 遺伝子の相同物 ( スプラ イ シ ン グ変異体及びア レル体を含む p 5 1 関連遺伝子) の遺伝 子産物を挙げる こ とができ る。
本発明の蛋白質は、 本発明で提供する ヒ ト p 5 1 遺伝 子の配列情報に基づいて、 常法の遺伝子組換え技術 〔例 えば、 Science, 224, 1431 ( 1984 ) ; Biochem. Biophys.
Res. Co鼠 , 130, 692 (1985) ; Proc. Natl. Acad. Sc i., USA. , 80, 5990 ( 1983 )等参照〕 に従 っ て調製する こ とができ る 。
( 3 ) p 5 1 蛋白の機能的領域を含むポ リ ペプチ ド さ ら に本発明 は上記 P 5 1 蛋白の一部領域を含むポ リ ぺプチ ドに関する 。
当該ポ リ ペプチ ドは、 p 5 1 蛋白を構成する各種機能 的領域のいずれかのア ミ ノ 酸配列を有する も のであ る こ とが好ま し く 、 具体的には p 5 1 蛋白が有する転写活性 化領域、 D N A結合領域及びオ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン領域 よ り な る群か ら選択さ れる少な く と も 1 つの領域のア ミ ノ 酸配列を有する ポ リ べプチ ドであ る 。
前述する よ う に P 5 1 A蛋白の転写活性化領域、 D N A結合領域及びオ リ ゴメ リ ゼー シ ョ ン領域は、 それぞれ 配列番号 1 で示さ れる P 5 1 A蛋白のア ミ ノ 酸配列にお
いてア ミ ノ 酸番号 1 〜 5 9 位、 ア ミ ノ 酸番号 1 4 2 〜 3 2 1 位及びア ミ ノ 酸番号 3 5 9 〜 3 9 7 位に位置す る 。 従っ て、 本発明のポ リ ペプチ ドには下記の ものが含ま れる 。
(i) 配列番号 1 のア ミ ノ 酸番号 1 〜 5 9 で示さ れる ア ミ ノ 酸配列 (以下、 単にァ ミ ノ 酸配列 1 (1-59)とい う 。 ) を 有する ポ リ ぺプチ ド並びにその同効物。
なお、 当該同効物にはァ ミ ノ 酸配列 1 (1-59)において、 1 若 し く は複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加さ れた ア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ転写活性化機能を有する ポ リ ペプチ ドを挙げる こ とができ る 。 ア ミ ノ 酸配列の改変の 程度は、 転写活性化機能を有する 限 り 、 特に制限さ れな いが、ア ミ ノ 酸配列 1 (卜 59)との相同性が約 3 5 %以上、 好ま し く は 4 5 %以上保持さ れてい る も のであ る こ と力 望ま しい。
(ii) 配列番号 1 のア ミ ノ 酸番号 1 4 2 〜 3 2 1 で示さ れる ァ ミ ノ 酸配列 (以下、 単にァ ミ ノ 酸配列 1 ( 142 - 321 ) と い う 。 ) を有する ポ リ ペプチ ド並びにその同効物。
なお、 当該同効物にはァ ミ ノ 酸配列 1 ( 142 -321 )におい て、 1 若 し く は複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加さ れたア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つ D N A結合性を有する ポ リ ペプチ ドを挙げる こ とができ る 。 ア ミ ノ 酸配列の改変
W /5 1
38 の程度は、 D N A結合性を有する 限 り 、 特に制限さ れな いが、 ァ ミ ノ 酸配列 1 ( 142 - 321 )との相同性が約 8 8 %以 上、 好ま し く は 9 0 %以上保持さ れてい る も のであ る こ とが望ま しい。
(iii) 配列番号 1 のア ミ ノ 酸番号 3 5 3 〜 3 9 7 で示さ れる ァ ミ ノ 酸配列 (以下、 単にァ ミ ノ 酸配列 1 ( 353 - 397 ) と い う 。) を有する ポ リ ペプチ ド並びにその同効物。
なお、 当該同効物にはァ ミ ノ 酸配列 1 ( 353 - 397 )におい て、 1 若 し く は複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換又は付加さ れたア ミ ノ 酸配列を有 し、 且つオ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン機 能を有する ポ リ ペプチ ドを挙げる こ とができ、 例えば P 5 1 B蛋白の広義のオ リ ゴメ リ ゼ一 シ ョ ン領域 (配列番 号 4 のア ミ ノ 酸番号 3 5 3 - 6 4 1 位) を包含する 。 ァ ミ ノ 酸配列の改変の程度は、 オ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン機能 を有する 限 り 、 特に制限さ れないが、 ア ミ ノ 酸配列 1 (3 53- 397 )との相同性が約 7 0 %以上、 好ま し く は 8 0 %以 上保持さ れている ものであ る こ とが望ま しい。
なお、 本発明は、 上記ア ミ ノ 酸配列 1 (1-59)若 し く は その同効物、 ァ ミ ノ 酸配列 1 (142-321)若 し く はその同効 物、 ア ミ ノ 酸配列 1 ( 353 - 397 ) 若 し く はその同効物のい ずれか一つのァ ミ ノ 酸配列を一領域に含むポ リ べプチ ド であ っ て も、 ま た当該任意の二以上の ア ミ ノ 酸配列を連
続的ま たは非連続的な領域 と して含むポ リ ぺプチ ドであ つ て も よい。
更に本発明 には、 こ れ ら のポ リ ペプチ ドを コ ー ドする 塩基配列を有する遺伝子 ( D N A ) が含ま れる 。 具体的 には、 前述のア ミ ノ 酸配列 1 (1-59)を コ ー ドする塩基配 列 と しては配列番号 2 において塩基番号 1 4 5 - 3 2 1 で示さ れる塩基配列を、 ァ ミ ノ 酸配列 1 ( 142- 321 )を コ 一 ドする塩基配列 と しては配列番号 2 において塩基番号 5 6 8 〜 1 1 0 7 で示され る塩基配列を、 ア ミ ノ 酸配列 1 ( 353 - 397 )を コ ー ドする塩基配列 と しては配列番号 2 にお いて塩基番号 1 2 0 1 〜 1 3 3 5 で示 さ れる塩基配列を 挙げる こ とができ る 。
( 4 ) p 5 1 蛋白の製造法及び製造に使用する もの ま た本発明は、 該 p 5 1 蛋白の製造方法、 並びにその 製造に用い られる 、 例えば上記遺伝子を含有するべク タ 一、 該ベク タ 一によ っ て形質転換さ れた宿主細胞を提供 する も のであ る。
該蛋白質の製造は、 よ り 詳細には、 該所望の蛋白を コ ー ドする遺伝子が宿主細胞中で発現でき る よ う に組換え D N A (発現ベク タ ー) を作成 し、 こ れを宿主細胞に導 入 して形質転換 し、 該形質転換体を培養 し、 次いで得 ら
れる培養物か ら所望の蛋白質を回収する こ と によ り 行な われる 。
こ こ で宿主細胞と して は、 真核生物及び原核生物のい ずれを も用 い る こ とができ る。
真核生物の細胞には、 脊椎動物、 酵母等の真核微生物 の細胞が含ま れる 。 脊椎動物細胞と しては、 例えばサル の細胞であ る C O S 細胞 〔 Cell, 23, 175 (1981)〕、 チ ヤ ィ ニーズ · ハムス タ ー卵巣細胞及びそれ らの ジ ヒ ド ロ葉 酸 レダク タ —ゼ欠損株 [ Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 77, 4216 (1980)〕 等が通常よ く 用い られる が、 こ れ ら に限定 さ れる 訳ではない。 ま た、 真核微生物 と しては、 酵母が 一般に よ く 用 い られ、 中で もサ ッ カ ロ ミ セス属酵母が有 利に利用でき る 。
原核生物の宿主と しては、 大腸菌や枯草菌が一般によ く 用い られる 。 大腸菌のなかで も 、 特にェシエ リ ヒ ア · コ リ ( Escherichia coli) K 1 2 株等力 よ く 用い られ る 。
発現ベク タ ー は、 本発明の遺伝子を含んでお り 且つ該 遺伝子を発現す る こ とができ る も のであれば特に制限さ れず、 一般に宿主細胞との関係か ら適宜選択さ れる 。
宿主細胞と して脊椎動物細胞を使用する場合、 発現べ ク タ 一 と して は、 通常発現 し ょ う とする本発明の遺伝子 の上流に位置する プロ モー タ 一、 R N Aのスプラ イ ス部
位、 ポ リ アデニル化部位及び転写終了配列等を保有する ものを使用でき、 こ れは更に必要によ り 複製起点を有 し ていて も よい。 該発現べ ク タ 一の例 と しては、 例えば、
S V 4 0 の初期プロモー タ 一を保有する p S V 2 dhf r[ M ol. Cell. Biol. , 1, 854 ( 1981 )〕 等を例示する こ とが でき る。
宿主細胞と して酵母等の真核微生物の細胞を使用する 場合、 発現ベク タ ー と しては、 例えば酸性ホス フ ァタ 一 ゼ遺伝子に対する プロ モー タ ーを有す る P A M 8 2 [ Pr oc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 80, 1 ( 1983 )〕 等を禾 lj用 でき 、 本発明のベク タ 一は該プロ モー タ ーの上流域に本 発明の遺伝子を挿入する こ と によ つ て調製する こ とがで き る。 好適には、 原核生物遺伝子と融合 した融合べク タ —を挙げる こ とができ 、 該ベク タ ーの具体例 と しては、 例えば分子量 2 6 0 0 0 の G S T ドメ イ ン ( S. japonicu m由来) を有す る p G E X — 2 T Kや p G E X — 4 T — 2 等が例示さ れ る 。
宿主細胞と して原核生物の細胞を使用する場合、 発現 ベク タ 一 と しては、 例えば該宿主細胞中で複製可能なプ ラ ス ミ ドベク タ ーであ っ て、 こ のべク タ 一 中に所望遺伝 子が発現でき る よ う に該遺伝子の上流にプロ モー タ ー及 び S D ( シャイ ン · ア ン ド · ダルガー ノ ) 塩基配列、 更
に蛋白合成開始に必要な開始コ ド ン (例えば A T G ) を 付与 した発現プラ ス ミ ドを挙げる こ とができ る。 特に大 腸菌 (例えばェ シエ リ ヒ ア ' コ リ K 1 2 株等) を宿主細 胞を して用い る場合は、 発現ベク タ ー と しては一般に p B R 3 2 2 及びその改良ベク タ ーがよ く 用い られる 。 た だ し こ れ ら に限定さ れず公知の各種の菌株及びべク 夕 一 を も利用でき る 。 なお、 上記プロ モー タ ー と しては、 例 えば ト リ プ ト フ ァ ン(t rp )プロ モー タ 一、 1 p p プロ モー タ ー、 l a c プロ モー タ ー、 P L / P R プロ モー タ ー等 を使用でき る 。
かかる本発明の発現べク タ ーを宿主細胞に導入する方 法並びに こ れに よ る形質転換方法は、 特に限定さ れず、 一般的な各種方法を採用する こ とができ る。
ま た得 られ る形質転換体は、 常法に従い培養でき 、 該 培養によ り 所望の よ う に設計 した遺伝子によ り コ ー ドさ れる本発明の 目 的の蛋白が、 形質転換体の細胞内、 細胞 外又は細胞膜上に発現、 生産 (蓄積、 分泌) さ れる 。
該培養に用 い られる培地と しては、 採用 した宿主細胞 に応 じて慣用 さ れる各種の も のを適宜選択利用でき 、 培 養も宿主細胞の生育に適 した条件下で実施でき る。
斯 く して得 られる本発明の組換え蛋白 は、所望によ り 、 その物理的性質、 化学的性質等を利用 した各種の分離操
作 〔「生化学デー タ 一ブ ッ ク I I」、 1175 - 1259 頁、 第 1 版 第 1 刷、 1980年 6月 23日 株式会社東京化学同人発行 ; Bi ochemistry, 25(25), 8274 (1986); Eur. J. Biochem. , 163, 313 ( 1987 ) 等参照〕 によ り 分離、 精製でき る 。 該方法と しては、 具体的には、 通常の再構成処理、 蛋 白沈澱剤によ る処理 (塩析法)、 遠心分離、 浸透圧 シ ョ ッ ク 法、 超音波破砕、 限外濾過、 分子篩 ク ロ マ ト グラ フ ィ 一 (ゲル濾過)、 吸着ク ロ マ ト グラ フ ィ ー、 イ オ ン交換ク 口 マ ト グラ フ ィ ー、 ァ フ ィ 二テ ィ ク ロ マ ト グラ フ ィ ー、 高速液体ク ロ マ ト グラ フ ィ ー ( H P L C ) 等の各種液体 ク ロ マ ト グラ フ ィ ー、 透析法、 こ れ ら の組合せが例示で き 、 特に好ま しい方法と しては、 本発明の蛋白質に対す る特異的な抗体を結合さ せたカ ラ ムを利用 したァ フ ィ 二 テ ィ ク ロ マ ト グラ フ ィ 一等を例示する こ とができ る 。
尚、 本発明の蛋白質を コ ー ドする所望の遺伝子の設計 に際 しては、 配列番号 2 において塩基配列( 145- 1488)で 示さ れる ヒ ト p 5 1 A遺伝子の塩基配列ま たは配列番号 5 において塩基配列 ( 145-2067) で示 さ れる ヒ p 5 1 B遺伝子の塩基配列を良好に利用する こ とができ る 。 該 遺伝子は、 所望によ り 、 各ア ミ ノ 酸残基を示すコ ド ンを 適宜選択変更 して利用する こ と も可能であ る 。
ま た、 ヒ ト p 5 1 A遺伝子又は ヒ ト p 5 1 B遺伝子で
コ ー ド さ れる ア ミ ノ 酸配列において、 その一部のァ ミ ノ 酸残基ない し はア ミ ノ 酸配列を置換、 欠失、 付加等によ り 改変する場合には、 例えばサイ ト スべ シ フ ィ ッ ク · ミ ユ ー タ ゲネ シ ス等の前記 した各種方法によ り 行う こ とが でき る 。
本発明の蛋白質は、 ま た、 配列番号 1 に示さ れる ア ミ ノ 酸配列ま た は配列番号 4 に示さ れる ァ ミ ノ 酸配列に従 つ て、一般的な化学合成法によ り 製造す る こ とができ る 。 該方法には、 通常の液相法及び固相法によ る べプチ ド合 成法が包含さ れる 。
かかる ペプチ ド合成法は、 よ り 詳 し く は、 ア ミ ノ 酸配 列情報に基づいて、 各ア ミ ノ 酸を 1 個ずつ逐次結合させ 鎖を延長さ せてい く 所謂ステ ッ プワ イ ズェ ロ ンゲー シ ョ ン法と、 ア ミ ノ 酸数個か らな る フ ラ グメ ン ト を予め合成 し、 次いで各 フ ラ グメ ン ト をカ ツ プ リ ン グ反応させる フ ラ グメ ン ト · コ ンデ ンセ一 シ ヨ ン法と を包含 し、 本発明 ペプチ ドの合成は、 そのいずれに よ っ て も よ い。
上記べプチ ド合成に採用 さ れる縮合法 も、 常法に従う こ とができ 、 例えば、 ア ジ ド法、 混合酸無水物法、 D C C 法、 活性エ ス テル法、 酸化還元法、 D P P A ( ジ フ エ ニルホ スホ リ ルア ジ ド) 法、 D C C + 添加物 ( 1 ー ヒ ド ロキ シベ ン ゾ ト リ ァ ゾ一ノレ、 N — ヒ ド ロ キ シサク シ ンァ
ミ ド、 N — ヒ ド ロ キ シ 一 5 — ノ ノレボノレネ ン 一 2 , 3 — ジ カルボキ シィ ミ ド等) 法、 ゥ ッ ドヮ ー ド法等を例示でき る o
こ れ ら各方法に利用でき る溶媒 も、 こ の種ペプチ ド縮 合反応に使用 さ れる こ と のよ く 知 られてい る一般的な も のか ら適宜選択する こ とができ る。 そ の例 と しては、 例 えばジ メ チルホルムア ミ ド ( D M F )、 ジ メ チルスルホキ シ ド ( D M S 0 )、 へキサホスホ ロ ア ミ ド、 ジォキサ ン、 テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン ( T H F )、 酢酸ェチル等及びこ れ ら の混合溶媒等を挙げる こ とができ る 。
尚、 上記ペプチ ド合成反応に際 して、 反応に関与 しな いア ミ ノ 酸乃至ペプチ ドにおけ る カルボキ シル基は、 一 般にはエステル化によ り 、 例えばメ チルエステル、 ェチ ルエステル、 第 3 級ブチルエステル等の低級アルキルェ ス テ ル、 例 え ばべ ン ジ ノレエ ス テノレ、 p — メ ト キ シ ベ ン ジ ノレエ ス テノレ、 p — 二 ト 口 べ ン ジ ノレエ ス テ ノレ等の ァ ラ ノレキ ルエステル等 と して保護する こ とができ る 。
ま た、 側鎖に官能基を有する ア ミ ノ 酸、 例えばチ ロ シ ン残基の水酸基は、 ァセチル基、 ベ ン ジル基、 ベ ン ジル ォキシ カ ルボニル基、 第 3 級ブチル基等で保護さ れて も よいが、 必ず し もかかる保護を行な う 必要はない。 更に、 例えばアルギニ ン残基の グァニ ジ ノ 基は、 ニ ト ロ基、 ト
シル基、 P — メ ト キ シベ ンゼ ン スノレホニル基、 メ チ レ ン
_ 2 — スノレホニル基、 ベ ン ジルォキ シ カ ノレボニル基、 ィ ソ ボルニルォキ シ カ ルボニル基、 ァダマ ンチルォキ シ カ ルポニル基等の適当な保護基によ り 保護する こ とができ る。
上記保護基を有する ァ ミ ノ 酸、 ぺプチ ド及び最終的に 得 られる本発明蛋白質におけ る こ れ ら保護基の脱保護反 応 も ま た、 慣用 さ れる 方法、 例えば接触還元法や、 液体 ア ンモニア /ナ ト リ ウ ム、 フ ッ 化水素、 臭化水素、 塩化 水素、 ト リ フ ルォ ロ酢酸、 酢酸、 蟻酸、 メ タ ン スルホ ン 酸等を用いる 方法等に従 っ て実施する こ とができ る。
斯 く して得 られる本発明の蛋白質は、 前記 した各種の 方法、 例えばイ オ ン交換樹脂、 分配ク ロ マ ト グラ フ ィ 一、 ゲルク ロ マ ト グラ フ ィ ー、 向流分配法等のペプチ ド化学 の分野で汎用 さ れる方法に従っ て、 適宜精製を行な う こ とができ る 。
本発明の蛋白質は、 P 5 1 蛋白の特異抗体を作成する 為の免疫抗原 と して も好適に利用でき 、 こ れ ら抗原を利 用する こ と に よ り 、 所望の抗血清 (ポ リ ク ロ 一ナル抗体) 及びモ ノ ク ロ ーナル抗体を取得する こ とができ る 。
該抗体の製造方法自体は、 当業者に よ く 理解さ れてい る と こ ろであ り 、 本発明 において も こ れ ら常法に従 う こ
とができ る 〔続生化学実験講座 「免疫生化学研究法」、 日 本生化学会編( 1 98 6 )等参照〕。 か く して得 られる抗体は、 例えば P 5 1 蛋白の精製及びその免疫学的手法に よ る測 定ない しは識別等に有利に利用する こ とができ る。
ま た、 本発明の蛋白質は、 こ れを有効成分とする 医薬 品と して医薬分野において有用であ る。
( 5 ) p 5 1 蛋白を含む医薬組成物
従 っ て、 本発明は前述する本発明の蛋白質を含む医薬 に関する。
該蛋白質に は、 その医薬的に許容さ れる塩 も ま た包含 される 。 かかる塩には、 当業界で周知の方法に よ り 調製 さ れる 、 例えばナ ト リ ウ ム、 カ リ ウ ム、 リ チウ ム、 カル シ ゥ ム、 マグネ シ ウ ム、 ノ リ ウ ム、 ア ンモニゥ ム等の無 毒性アルカ リ 金属塩、 アルカ リ 土類金属塩及びア ンモニ ゥ 厶塩等が包含さ れる 。 更に上記塩には、 本発明べプチ ドと適当な有機酸ない し無機酸との反応によ る無毒性酸 付加塩 も包含さ れる。 代表的無毒性酸付加塩と して は、 例えば塩酸塩、 塩化水素酸塩、 臭化水素酸塩、 硫酸塩、 重硫酸塩、 酢酸塩、 蓚酸塩、 吉草酸塩、 ォ レイ ン酸塩、 ラ ウ リ ン酸塩、 硼酸塩、 安息香酸塩、 乳酸塩、 リ ン酸塩、 p — ト ルエ ンスルホ ン酸塩 ( ト シ レー ト )、 ク ェ ン酸塩、
マ レイ ン酸塩、 フ マル酸塩、 コハ ク 酸塩、 酒石酸塩、 ス ルホ ン酸塩、 グ リ コ ール酸塩、 マ レイ ン酸塩、 ァス コル ビ ン酸塩、 ベ ンゼ ン スルホ ン酸塩及びナプシ レー ト 等が 例示さ れる 。
ま た本発明 には、 上記本発明の蛋白質を活性成分 と し て、 それを薬学的有効量、 適当な無毒性医薬担体ない し 希釈剤 と共に含有する医薬組成物又は医薬製剤が含ま れ o
上記医薬組成物 (医薬製剤) に利用 でき る 医薬担体と しては、 製剤の使用形態に応 じて通常使用 さ れる 、 充填 剤、 増量剤、 結合剤、 付湿剤、 崩壊剤、 表面活性剤、 滑 沢剤等の希釈剤或は賦形剤等を例示でき 、 こ れ ら は得 ら れる製剤の投与単位形態に応 じて適宜選択使用 さ れる。
特に好ま し い本発明医薬製剤は、 通常の蛋白製剤等に 使用 さ れ得る 各種の成分、 例えば安定化剤、 殺菌剤、 緩 衝剤、 等張化剤、 キ レー ト剤、 p H調整剤、 界面活性剤 等を適宜使用 して調製さ れる 。
上記安定化剤 と しては、 例えば ヒ ト 血清アルブ ミ ンゃ 通常の L 一 ア ミ ノ 酸、 糖類、 セルロ ー ス誘導体等を例示 でき 、 こ れ ら は単独で又は界面活性剤等と組合せて使用 でき る 。 特に こ の組合せに よれば、 有効成分の安定性を よ り 向上さ せ得る 場合があ る 。
上記 L 一 ア ミ ノ 酸と しては、 特に限定はな く 例えばグ リ シ ン、 システ ィ ン、 グルタ ミ ン酸等のいずれで も よ い。 上記糖と して も特に限定はな く 、 例えばグルコ ー ス、 マ ン ノ ー ス、 ガラ ク ト ー ス、 果糖等の単糖類、 マ ンニ ト 一ノレ、 イ ノ シ ト ーノレ、 キ シ リ ト ーノレ等の糖アルコ ール、 シ ョ 糖、 マル ト ー ス、 乳糖等の二糖類、 デキス ト ラ ン、 ヒ ド ロキ シプロ ピルスタ ーチ、 コ ン ド ロ イ チ ン硫酸、 ヒ アル口 ン酸等の多糖類等及びそれ らの誘導体等を使用で さ る 。
界面活性剤 と して も特に限定はな く 、 イ オ ン性及び非 イ オ ン性界面活性剤のいずれ も使用でき 、 例えばポ リ オ キシエチ レ ン グ リ コ ールソ ル ビ夕 ンァノレキノレエステノレ 系、 ポ リ オキ シエチ レ ンァノレキノレエ 一 テノレ系、 ソノレ ビ夕 ンモ ノ ァ シルエステル系、 脂肪酸グ リ セ り ド系等を使用 でき る 。
セルロ ース誘導体と して も特に限定はな く 、 メ チルセ ノレ ロ ー ス 、 ェ チ ノレ セ ノレ ロ ー ス 、 ヒ ド ロ キ シ ェ チ ノレセ ノレ 口 ース、 ヒ ド ロ キ シプロ ピノレセルロ ー ス、 ヒ ド ロ キシ プロ ピルメ チルセノレロ ース、 カノレポキ シ メ チノレセルロ ー スナ ト リ ウ ム等を使用でき る 。
上記糖類の添加量は、 有効成分 l ^ g 当 り 約 0 . 0 0 O l m g 程度以上、 好ま し く は約 0 . 0 1 〜 1 0 111 8 程
度の範囲 とす る のが適当であ る 。界面活性剤の添加量は、 有効成分 l // g 当 り 約 0 . O O O O l m g程度以上、 好 ま し く は約 0 . 0 0 0 1 〜 0 . O l m g程度の範囲 とす る のが適当であ る 。 ヒ 卜 血清アルブ ミ ンの添加量は、 有 効成分 l g 当 り 約 0 . 0 0 0 l m g程度以上、 好ま し く は約 0 . 0 0 1 〜 0 . l m g程度の範囲 とする のが適 当であ る 。 ア ミ ノ 酸は、 有効成分 l ^ g 当 り 約 0 . 0 0 1 ~ 1 O m g 程度 とする のが適当であ る 。 ま た、 セル口 ー ス誘導体の添加量は、 有効成分 1 g 当 り 約 0 . 0 0 O O l m g程度以上、 好ま し く は約 0 . 0 0 1 〜 0 . 1 m g程度の範囲 とする のが適当であ る 。
本発明医薬製剤中に含ま れる有効成分の量は、 広範囲 か ら適宜選択さ れるが、 通常約 0 . 0 0 0 0 1 〜 7 0 重 量%、 好ま し く は 0 . 0 0 0 1 〜 5 重量%程度の範囲 と する のが適当であ る。
ま た本発明の医薬製剤中 には、 各種添加剤、 例えば緩 衝剤、 等張化剤、 キ レー ト 剤等を も添加する こ とができ る 。 こ こ で緩衝剤 と しては、 ホ ウ酸、 リ ン酸、 酢酸、 ク ェ ン酸、 £ 一 ア ミ ノ カ プロ ン酸、 グルタ ミ ン酸及び /又 はそれ ら に対応する塩 (例えばそれ らのナ ト リ ウ ム塩、 カ リ ウ ム塩、 カ ルシ ウ ム塩、 マ グネ シ ウ ム塩等のアル力 リ 金属塩やアルカ リ 土類金属塩) 等を例示でき る 。 等張
化剤 と しては、 例えば塩化ナ ト リ ウ ム、 塩化カ リ ウ ム、 糖類、 グ リ セ リ ン等を例示でき る 。 ま たキ レー ト剤 と し ては、 例えばェデ ト 酸ナ ト リ ウ ム、 ク ェ ン酸等を例示で き る o
本発明の医薬製剤は、溶液製剤 と して使用でき る他に、 こ れを凍結乾燥化 し保存 し得る状態に した後、 用時水、 生埋的食塩水等を含む緩衝液等で溶解 して適当な濃度に 調製 した後に使用する こ と も可能であ る 。
本発明の医薬製剤の投与単位形態と しては、 各種の形 態が治療 目 的に応 じて選択でき、 その代表的な もの と し ては、 錠剤、 丸剤、 散剤、 粉末剤、 顆粒剤、 カ プセル剤 等の固体投与形態や、 溶液、 懸濁剤、 乳剤、 シ ロ ッ プ、 エ リ キシル等の液剤投与形態が含ま れ、 こ れ ら は更に投 与経路に応 じて経口剤、 非経口剤、 経鼻剤、 経膣剤、 坐 剤、 舌下剤、 軟膏剤等に分類さ れ、 それぞれ通常の方法 に従い、 調合、 成形乃至調製する こ とができ る 。
例えば、 錠剤の形態に成形する に際 しては、 上記製剤 担体と して例えば乳糖、 白糖、 塩化ナ ト リ ウ ム、 ブ ドウ 糖、 尿素、 デンプン、 炭酸カルシ ウ ム、 カオ リ ン、 結晶 セルロ ース、 ゲイ 酸、 リ ン酸カ リ ウ ム等の賦形剤 ; 水、 エタ ノ ーノレ、 プロノヽ °ノ ール、 単シ ロ ッ プ、 ブ ドウ糖液、 デンプン液、 ゼラ チ ン溶液、 力ノレボキ シ メ チルセルロ ー
ス、 ヒ ド ロ キ シ プロ ピノレセノレロ ース、 メ チノレセノレロ ー ス、 ポ リ ビニル ピ ロ リ ド ン等の結合剤 ; カ ルボキ シ メ チルセ ノレ ロ ー ス ナ ト リ ゥ ム 、 カ ノレ ボキ シ メ チ ノレセ ノレ ロ ー ス 力 ノレ シ ゥ ム、 低置換度 ヒ ド ロ キ シプロ ピルセルロ ー ス、 乾燥 デ ンプン、 アルギ ン酸ナ ト リ ウ ム、 カ ンテ ン末、 ラ ミ ナ ラ ン末、 炭酸水素ナ ト リ ウ ム、 炭酸カ ルシ ウ ム等の崩壊 剤 ; ポ リ オキ シエチ レ ン ソノレ ビタ ン脂肪酸エステル類、 ラ ウ リ ノレ硫酸ナ ト リ ウ ム、 ステア リ ン酸モ ノ グ リ セ リ ド 等の界面活性剤 ; 白糖、 ステア リ ン、 カ カオバタ 一、 水 素添加油等の崩壊抑制剤 ; 第 4 級ア ンモニゥ ム塩基、 ラ ゥ リ ル硫酸ナ ト リ ウ ム等の吸収促進剤 ; グ リ セ リ ン、 デ ンプ ン等の保湿剤 ; デ ンプ ン、 乳糖、 カオ リ ン、 ベ ン ト ナイ ト 、 コ ロ イ ド状ゲイ 酸等の吸着剤 ; 精製タ ルク 、 ス テア リ ン酸塩、 ホ ウ酸末、 ポ リ エチ レ ン グ リ コ ール等の 滑沢剤等を使用でき る 。
更に錠剤は必要に応 じ通常の剤皮を施 した錠剤、 例え ば糖衣錠、 ゼラ チ ン被包錠、 腸溶被錠、 フ イ ノレム コ 一テ ィ ング錠とする こ とができ 、 ま た二重錠ない しは多層錠 とする こ と も でき る 。
丸剤の形態に成形する に際 しては、 製剤担体と して例 えばブ ドウ糖、 乳糖、 デ ンプン、 カ カ オ脂、 硬化植物油、 カオ リ ン、 タ ノレク 等の賦形剤 ; ア ラ ビア ゴム末、 ト ラ ガ
ン ト末、 ゼラ チ ン、 エタ ノ ール等の結合剤 ; ラ ミ ナラ ン、 カ ンテ ン等の崩壊剤等を使用でき る 。
カ プセル剤は、 常法に従い通常本発明の有効成分を上 記で例示 した各種の製剤担体と混合 して硬質ゼラ チ ン力 プセル、 軟質カ プセル等に充填 して調整さ れる。
経口投与用液体投与形態は、慣用 さ れ る不活性希釈剤、 例えば水、 を含む医薬的に許容さ れる溶液、 ェマルジ ョ ン、 懸濁液、 シ ロ ッ プ、 エ リ キ シル等を包含 し、 更に湿 潤剤、 乳剤、 懸濁剤等の助剤を含ませる こ とができ 、 こ れ ら は常法に従い調製さ れる 。
非経口投与用の液体投与投与形態、 例えば滅菌水性乃 至非水性溶液、 ェマルジ ヨ ン、 懸濁液等への調製に際 し ては、 希釈剤 と して例えば水、 エチルアルコ ール、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ノレ、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ 一 ノレ、 エ ト キ シ ィ匕イ ソ ス テ ア リ ノレア ノレ コ ー ノレ、 ポ リ オ キ シ 化 イ ソ ス テ ア リ ノレア ノレ コ 一 ノレ、 ポ リ オ キ シ エ チ レ ン ソ ノレ ビ タ ン脂肪酸 エ ス テ ル及びオ リ ーブ油等の植物油等を使用でき 、 ま た 注入可能な有機エ ス テ ル類、 例えばォ レ イ ン酸ェチル等 を配合でき る 。 こ れ ら には更に通常の溶解補助剤、 緩衝 剤、 湿潤剤、 乳化剤、 懸濁剤、 保存剤、 分散剤等を添加 する こ と もでき る。
滅菌は、 例えばバク テ リ ア保留フ イ ノレタ ーを通過さ せ
る濾過操作、 殺菌剤の配合、 照射処理及び加熱処理等に よ り 実施でき る 。 ま た、 こ れ ら は使用直前に滅菌水や適 当な滅菌可能媒体に溶解する こ とのでき る滅菌固体組成 物形態に調製する こ と も でき る 。
坐剤や膣投与用製剤の形態に成形する に際 しては、 製 剤担体と して、 例えばポ リ エチ レ ン グ リ コ ール、 カ カオ 脂、 高級アル コ ール、 高級アル コ ールのエステル類、 ゼ ラ チ ン及び半合成グ リ セ ラ イ ド等を使用でき る。
ペー ス ト 、 ク リ ー ム、 ゲル等の軟膏剤の形態に成形す る に際 しては、 希釈剤 と して、 例えば白色ヮセ リ ン、 パ ラ フ ィ ン、 グ リ セ リ ン、 セルロ ー ス誘導体、 プロ ピ レ ン グ リ コ 一ノレ、 ポ リ エチ レ ン グ リ コ 一ノレ、 シ リ コ ン、 ベ ン ト ナイ ト 及びオ リ ーブ油等の植物油等を使用でき る 。 経鼻又は舌下投与用組成物は、 周知の標準賦形剤を用 いて、 常法に従い調製する こ とができ る 。
尚、 本発明の医薬製剤中には、 必要に応 じて着色剤、 保存剤、 香料、 風味剤、 甘味剤等や他の医薬品等を含有 させる こ と も でき る。
上記医薬製剤の投与方法は、 特に制限がな く 、 各種製 剤形態、 患者の年齢、 性別その他の条件、 疾患の程度等 に応 じて決定さ れる。 例えば錠剤、 丸剤、 液剤、 懸濁剤、 乳剤、 顆粒剤及びカ プセル剤は経口投与さ れ、 注射剤は
単独で又はブ ドウ糖ゃァ ミ ノ 酸等の通常の補液 と混合 し て静脈内投与さ れ、 更に必要に応 じ単独で筋肉内、 皮内、 皮下 も し く は腹腔内投与さ れ、 坐剤は直腸内投与さ れ、 経膣剤は膣内投与 さ れ、 経鼻剤は鼻腔内投与さ れ、 舌下 剤は口腔内投与さ れ、軟膏剤は経皮的に局所投与さ れる 。
上記医薬製剤中に含有さ れるべき本発明の蛋白質の量 及びその投与量は、 特に限定さ れず、 所望の治療効果、 投与法、 治療期間、 患者の年齢、 性別その他の条件等に 応 じて広範囲よ り 適宜選択さ れるが、 一般的には、 該投 与量は、 通常、 1 日 当 り 体重 l k g当 り 、 約 0 . 0 1 g〜 1 0 m g 程度、 好ま し く は約 0 . l g〜 l m g 程 度とする のがよ く 、 該製剤は 1 日 に 1 〜数回に分けて投 与する こ とができ る。 ( 6 ) 遺伝子治療
ま た、 本発明 は、 本発明の ヒ p 5 1 遺伝子を利用 し て行 う 遺伝子治療法を提供する 。 該治療法は、 例えば変 異 P 5 1 遺伝子を有する 細胞に、 野生型 p 5 1 機能を供 給する 方法と して と らえ る こ とができ る 。 かかる野生型 p 5 1 遺伝子若 し く はその遺伝子産物が本来的に有する 正常な機能を細胞に供給すれば、 受容細胞 /標的細胞に おけ る新生物の増殖を抑制する こ とができ る 。 上記野生
型 P 5 1 遺伝子は、 当該遺伝子を染色体外に維持する よ う なベク タ ー ま たはプラ ス ミ ドを用 いて 目 的の細胞に導 入する こ とができ る 。 こ の場合、 当該遺伝子は、 染色体 外か ら発現さ れる 。
こ のよ う に変異 p 5 1 遺伝子を有す る細胞に野生型 p 5 1 遺伝子を導入 して正常な p 5 1 蛋白を発現させる場 合、 当該 p 5 1 遺伝子はその全長であ る必要はな く 、 例 えば該遺伝子の所望機能 と実質的に同質な機能を保持す る 限 り において、 前記 した改変体であ っ て も、 ま た特定 の機能を保持 した一部配列か らな る遺伝子を使用する こ と もでき る。 後者の例 と しては細胞の非腫瘍的増殖 (細 胞増殖抑制) に必要な p 5 1 蛋白の一部を コ ー ドする遺 伝子を挙げる こ とができ る 。
野生型 p 5 1 遺伝子又はその一部分は、 細胞に存在す る 内因的な突然変異 p 5 1 遺伝子との間で組換えが起こ る よ う に突然変異細胞に導入する こ とが好ま しい。 こ の よ う な組換えには、 p 5 1 遺伝子突然変異が修正さ れる 二重組換えの発生が必要 と さ れる 。
かかる組換え及び染色体外維持の双方のための所望遺 伝子の導入のためのベク タ 一は、 当該分野において既に 知 られてお り 、 本発明ではかかる既知のベク タ ーのいず れ もが使用でき る 。 例えば、 発現制御エ レメ ン ト に連結
した p 5 1 遺伝子の コ ピーを含み、 かつ 目 的の細胞内で 当該遺伝子産物を発現でき る ウ ィ ルスベク タ ー ま たはプ ラ ス ミ ドベク タ ーを挙げる こ とができ る 。 かかる ベク タ 一 と して、 通常前述する 発現用ベク タ ーを利用する こ と もでき るが、 好適には、 例えば起源べ ク タ 一 と して、 米 国特許第 5 2 5 2 4 7 9号明細書及び P C T国際公開 W 0 9 3 / 0 7 2 8 2 号明細書に開示さ れたベク タ ー ( p W P - 7 A p w P - 1 9 、 p W U - 1 、 p W P - 8 A、 p W P - 2 1 及び Z又は p R S V Lな ど) 又は p R C Z C M V ( Invitrogen社製) 等を用いて、 調製さ れたべク タ ーを挙げる こ とができ る 。 よ り 好ま し く は、 後述する 各種ウ ィ ルス · ベク タ ーであ る。
なお、 遺伝子導入治療において用い られるベク タ ーに 使用 さ れる プロ モー タ ー と しては、 各種疾患の治療対象 とな る患部組織に固有の も のを好適に利用する こ とがで き る o
その具体例 と しては、 例えば、 肝臓に対 しては、 アル ブ ミ ン、 ひ 一 フ エ ト プロ テ イ ン、 α ΐ -ア ンチ ト リ プシ ン、 ト ラ ン ス フ ェ リ ン、 ト ラ ン ス ス チ レ ンな どを例示で き る。 結腸に対 しては、 カルボ ン酸ア ン ヒ ドラ 一ゼ I 、 カルシ ノ エ ンブロ ゲ ンの抗原な どを例示でき る。 子宮及 び胎盤に対 しては、 エス ト ロ ゲ ン、 ァ ロ マタ ーゼサイ ト
ク ロ ー ム P 4 5 0 、 コ レ ス テ ロ 一 ノレ側鎖切断 P 4 5 0 、 1 7 ァノレフ ァ ー ヒ ド ロ キ シ ラ ーゼ P 4 5 0 な どを例示で き る。
前立腺に対 しては、 前立腺抗原、 g p 9 1 — フ ォ ッ ク ス遺伝子、前立腺特異的力 リ ク レイ ンな どを例示でき る 。 乳房に対 しては、 e r b — B 2 、 e r b — Β 3 、 β — 力 ゼイ ン、 yS — ラ ク ト グロ ビ ン、 乳漿蛋白質な どを例示で き る。 肺に対 しては、 活性剤蛋白質 C ゥ ロ グロ ブ リ ンな どを例示でき る 。 皮膚に対 しては、 K 一 1 4 — ケラ チ ン、 ヒ ト ケ ラ チ ン 1 又は 6 、 ロ イ ク リ ンな どを例示でき る。
脳に対 して は、 神経膠繊維質酸性蛋白質、 成熟ァス ト 口サイ ト特異蛋白質、 ミ エ リ ン、 チ ロ シ ン ヒ ドロ キ シ ラ ーゼ脬臓ヴ ィ リ ン、 グルカ ゴ ン、 ラ ンゲルハ ンス島ア ミ ロ イ ドポ リ ペプチ ドな どを例示でき る 。 甲状腺に対 して は、 チ ロ グロ ブ リ ン、 カノレシ ト ニ ンな どを例示でき る。 骨に対 しては、 a 1 コ ラ ーゲ ン、 ォステオカルシ ン、 骨 シァ ロ グ リ コ プロ テ イ ンな どを例示でき る 。 腎臓に対 し ては レニ ン、肝臓 Z骨 Z腎臓アル力 リ 性ホス フ オ タ ーゼ、 エ リ ス ロ ポェチ ンな どを、 脬臓に対 して は、 ァ ミ ラ ーゼ、 P A P 1 な どを例示でき る 。
なお遺伝子導入用ベク タ ーの製造において、 導入さ れ る遺伝子 (全部又は一部) は、 本発明の p 5 1 遺伝子の
塩基配列情報に基づいて、 前記の如 く 、 一般的遺伝子ェ 学的手法によ り 容易に製造 · 取得する こ とができ る 。
かかる遺伝子導入用ベ ク タ ーの細胞への導入は、 例え ばエ レ ク ト 口 ポ レー シ ヨ ン、 リ ン酸カノレシ ゥ 厶共沈法、 ウ ィ ルス形質導入な どを始め とする 、 細胞に D N Aを導 入する 当該分野において既に知 られている各種の方法に 従っ て行う こ とができ る 。 なお、 野生型 p 5 1 遺伝子で 形質転換さ れた細胞は、 それ 自体単離状態で癌の抑制な い しは癌転移の抑制のための医薬や、 治療研究のための モデル系 と して利用する こ と も可能であ る。
遺伝子治療においては、 上記の遺伝子導入用ベク タ ー は、 患者の腫瘍部位に局所的にま たは全身的に注射投与 する こ と によ り 患者の腫瘍細胞内 に導入する こ とができ る 。 こ の際全身的投与に よれば、 他の部位に転移 し得る いずれの腫瘍細胞に も到達さ せる こ とができ る。 形質導 入さ れた遺伝子が各標的腫瘍細胞の染色体内に恒久的に 取 り 込ま れない場合には、 該投与を定期的に繰 り 返すこ と によ っ て達成でき る 。
本発明の遺伝子治療方法は、 前述す る遺伝子導入用の 材料 (遺伝子導入用ベク タ ー) を直接体内 に投与する ィ ン ビボ ( i n v i vo ) 法と、 患者の体内 よ り 一旦標的 とする 細胞を取 り 出 して体外で遺伝子を導入 して、 その後、 該
細胞を体内に戻すェ ク ス ビボ ( e x v i v o ) 法の両方の方法 を包含する 。
ま た ヒ ト p 5 1 遺伝子を直接細胞内 に導入 し、 R N A 鎖を切断する 活性分子であ る リ ボザィ ム によ る遺伝子治 療 も可能であ る 。
後述する 、 本発明 ヒ p 5 1 遺伝子若 し く はその断片 を含有する遺伝子導入用べク タ 一及び該べク 夕 一 に よ り ヒ b p 5 1 遺伝子が導入さ れた細胞を有効成分とする本 発明の遺伝子治療剤は、 特に癌をその利用対象とする も のであ る が、 上記の遺伝子治療 (処置) は、 癌以外に も 遺伝性疾患、 A I D S の よ う な ウ ィ ルス疾患の治療、 並 びに遺伝子標識を も 目 的 と して行 う こ とができ る。
ま た、 遺伝子を導入す る標的細胞は、 遺伝子治療 (処 置) の対象に よ り 適宜選択する こ とができ る 。 例えば、 標的細胞と して、 癌細胞や腫瘍組織以外に、 リ ンパ球、 線維芽細胞、 肝細胞、 造血幹細胞、 如 き細胞な どを挙げ る こ とができ る 。
上記遺伝子治療におけ る遺伝子導入方法には、 ウ ィ ル ス的導入方法及び非ウ ィ ルス的導入方法が含ま れる 。
ウ ィ ルス的導入方法と しては、 例えば、 ヒ ト P 5 1 遺 伝子が正常細胞に発現する外来遺伝子であ る こ と に鑑み て、 ベク タ ー と して レ ト ロ ウ イ ノレスベ ク タ 一を用い る方
法を挙げる こ とができ る 。 その他の ウ ィ ルスベク タ ー と しては、 アデノ ウ イ ノレスべク タ 一、 H I V ( human imrau nodef iciency virus) ベ ク タ ー、 アデノ 随伴ゥ イ ノレスべ ク タ 一 ( A A V , adeno-associated virus)、 へノレぺス ゥ ィ ルスべク タ 一、 単純へルぺス ウ ィ ルス ( H S V ) べク タ ー及びェプス タ イ ン ーノ 一 ウ イ ノレス ( E B V, Epstei n-Barr virus) ベク タ ーな どがあ げ られる 。
非ウ ィ ルス的な遺伝子導入方法と しては、 リ ン酸カル シ ゥ ム共沈法 ; D N Aを封入 した リ ボ ソ ーム と予め紫外 線で遺伝子を破壊 した不活性化セ ンダイ ウ ィ ルスを融合 させて膜融合 リ ボ ソ ー ムを作成 し、 細胞膜と直接融合さ せて D N Aを細胞内に導入する膜融合 リ ボ ソ ーム法 〔 Ka to, K. , et a 1. , J. Biol. Chem. , 266, 22071-22074 ( 1991 )〕 ; プラ ス ミ ド D N Aを金で コ ー ト して高圧放電によ っ て物 理的に細胞内 に D N Aを導入する 方法 〔 Yang, N. S. et a 1. , Proc. Natl. Acad. Sc i . , 87 , 9568 - 9572 ( 1990 )] ; プラ ス ミ ド D N Aを直接イ ン ビボで臓器や腫瘍に注入する ネィ キ ッ ド ( naked) D N A法 〔 Wolff, J. A., et al. , Science, 247, 1465 - 1467 (1990)〕 ; 多重膜正電荷 リ ボ ソ ー ムに包埋 した遺伝子を細胞に導入する カ チォニ ッ ク · リ ボ ソ ーム 法〔八木国夫, 医学のあゆみ, Vol.175, No.9, 635 - 637 (1 995 )〕 ; 特定細胞のみに遺伝子を導入 し、他の細胞に入 ら
ないよ う にする ために、 目 的 とする細胞に発現する レセ プタ ーに結合する リ ガ ン ドを D N A と結合さ せてそれを 投与する リ ガ ン ド — D N A複合体法 〔 Frindeis, et al., Trends Biotechnol. , 11, 202 (1993); Miller, et al. , FA SEB J. , 9, 190 ( 1995 )〕 な どを使用する こ とができ る 。
上記 リ ガ ン ド - D N A複合体法には、 例えば肝細胞が 発現する ァ シァ 口糖蛋白 レセプ夕 一を タ ーゲ ッ ト と して ァ シァ 口糖蛋白を リ ガン ドと して用い る 方法 〔 Wu, et a 1. , J. Biol. Chem. , 266, 14338 ( 1991 ) ; Ferkol, et al. , FA SEB J. , 7, 1081 - 1091 ( 1993 )〕 や、 腫瘍細胞が強 く 発現 し てい る ト ラ ンス フ ヱ リ ン · レセプタ ーを標的 と して ト ラ ン ス フ ェ リ ンを リ ガ ン ド と して用 い る 方法 〔 ffagner et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 87, 3410 (1990)〕 な ど力 含ま れる 。
ま た本発明で用い られ る遺伝子導入法は、 上記の如き 各種の生物学的及び物理学的な遺伝子導入法を適宜組合 せた も のであ っ て も よ い。該組合せに よ る 方法と しては、 例えばあ る サイ ズのプラ ス ミ ド D N Aをアデノ ウ イ ルス • へキ ソ ン蛋白質に特異的なポ リ リ ジ ン抱合抗体と組合 わせる 方法を例示でき る 。 該方法に よれば、 得 られる複 合体がアデノ ウ イ ルスベク タ ー に結合 し、 か く して得 ら れる 三分子複合体を細胞に感染さ せる こ と によ り 本発明
遺伝子の導入を行い得る 。 こ の方法では、 アデノ アィ ル スベク タ 一 に カ ツ プ リ ン グ した D N Aが損傷さ れる 前 に、 効率的な結合、 内在化及びェ ン ド ソ ー ム分解が可能 とな る 。 ま た、 前記 リ ボ ソ ーム D N A複合体は、 直接 イ ン ビボにて遺伝子導入を媒介でき る 。
以下、 具体的な本発明の遺伝子導入用 ウ ィ ルスベク タ 一の作成法並びに標的細胞又は標的組織への遺伝子導入 法について述べる 。
レ ト ロ ウ イ ノレスベク タ ー · シ ステム は、 ゥ イ ノレスべク タ ー とヘルパー細胞 (パ ッ ケー ジ ング細胞) か らな つ て い る 。 こ こ でヘルパー細胞は、 レ ト ロ ウ イ ルスの構造蛋 白質 g a g ( ウ ィ ルス粒子内の構造蛋白質)、 p o 1 (逆 転写酵素)、 e n v (外被蛋白質) な どの遺伝子を予め発 現 してい るが、 ウ ィ ルス粒子を生成 していない細胞を言 う 。 一方、 ウ ィ ルスベク タ ーは、 ノ ッ ケ一 ジ ングシ グナ ノレや L T R (long terminal repeats)を有 している 力 、 ゥ ィ ルス複製に必要な g a g 、 p o 1 、 e n v な どの構造 遺伝子を持 っ ていない。 パ ッ ケー ジ ン グシ グナルはウ イ ルス粒子のアセ ンブ リ 一の際にタ グと な る配列で、 選択 遺伝子 ( n e o , h y g ) と ク ロ ーニ ン グサイ ト に組込 ま れた所望の導入遺伝子( P 5 1 遺伝子ま たはその断片) がウ ィ ルス遺伝子の代 り に挿入さ れる 。 こ こ で高力価の
ウ ィ ルス粒子を得る にはィ ンサー ト を可能な限 り 短 く し、 ノ、。 ッ ケー ジ ン グシ グナルを g a g遺伝子の一部を含 め広 く と る こ と と 、 g a g遺伝子の A T Gを残さ ぬよ う にする こ とが重要であ る 。
所望の p 5 1 遺伝子を組み込んだベ ク タ ー D N Aをへ ルパ一細胞に移入する こ と によ っ て、 ヘルパー細胞が作 つ てい る ゥ イ ノレ ス構造蛋白質によ り べ ク タ 一ゲノ ム R N Aがパ ッ ケー ジ さ れて ウ ィ ルス粒子が形成さ れ、 分泌さ れる。 組換え ウ ィ ルス と しての ウ ィ ルス粒子は、 標的細 胞に感染 した後、 ウ イ ノレスゲノ ム R N Aか ら逆転写され た D N Aが細胞核に組み込ま れ、 ベク タ ー内に挿入され た遺伝子が発現する。
尚、 所望の遺伝子の導入効率を上げる 方法と して、 フ イ ブロ ネ ク チ ンの細胞接着 ドメ イ ン とへパ リ ン結合部位 と接合セ グメ ン ト とを含む断片を用 い る 方法 〔 Hanenber g, H. , et al. , Exp. Hemat. , 23, 747 ( 1995 )] を採用する こ と もでき る。
なお、 上記 レ ト ロ ゥ イ ノレスべク タ 一 · システムにおい て用い られる ベク タ ー と しては、 例えばマ ウ スの 白血病 ウイ ノレスを起源 とする レ ト ロ ウ イ ノレス 〔 McLachlin, J. R., et al. , Proc. Natl. Acad. Res. Mo lec. Biol. , 38, 91
- 135 ( 1990 )〕 を例示する こ とができ る 。
アデノ ウ ィ ルスべク タ ーを利用する 方法につき詳述す れば、 該アデノ ウ イ ルスベ ク タ ーの作成は、 ノくー ク ネル Berkner, K. L. , Curr. Topics Microbiol. Immunol. , 158, 39 -66 ( 1992 )〕、 瀬戸 口康弘 ら 〔 Setoguchi, Y., et al. , Blood, 84, 2946 - 2953 ( 1994 )〕、 鐘カ江裕美 ら 〔実験医 学, 12, 28- 34 (1994)〕 及びケナ一 ら 〔 Ketner, G., et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. , USA. , 91, 6186-6190 (1994)] の方 法に準 じて行 う こ とができ る 。
例えば、 非増殖性アデノ ウ イ ルスベ ク タ 一を作成する には、 まずアデノ ウ イ ルスの初期遺伝子の E 1 及び /又 は E 3 遺伝子領域を除去する 。 次に、 目 的 とする所望の 外来遺伝子発現単位 ( 目 的 とする導入遺伝子、 本発明に おいては p 5 1 遺伝子、 その遺伝子を転写する ためのプ 口 モー タ ー、 転写さ れた遺伝子の安定性を賦与する ポ リ Aか ら構成) 及びアデノ ウ イ ルスゲノ ム D N Aの一部を 含むプラ ス ミ ドベク タ 一 と、 アデノ ウ イ ルスゲノ ムを含 むプラ ス ミ ド とを、 例えば 2 9 3 細胞に同時に ト ラ ン ス フ エ ク シ ヨ ンす る。 こ の 2 者間で相同性組換えを起こ さ せて、 遺伝子発現単位と E 1 とを置換する こ と によ り 、 所望の p 5 1 遺伝子を包含する本発明ベク タ ーであ る非 増殖性アデノ ウ ィ ルスベ ク タ 一を作成する こ とができ る。 ま た、 コ ス ミ ドベク タ ー にアデノ ウ イ ソレスゲノ ム D
N Aを組み込んで、 末端蛋白質を付加 した 3 ' 側アデノ ウ ィ ルスベク タ ーを作成する こ と も でき る 。 更に組換え アデノ ウ イ ルスベク タ ーの作成には、 Y A Cベク タ 一 も 利用可能であ る。
アデノ 随伴ウ ィ ルス ( A A V ) ベク タ 一の製造につき 概略する と、 A A Vはアデノ ウ イ ルスの培養系に混入 し て く る小型の ウィ ルス と して発見さ れた。 こ れには、 ゥ ィ ルス複製にヘルパー ウ ィ ルスを必要 とせず宿主細胞内 で 自律的に増殖するパルボウ イ ルス属 と、 ヘルパー ウ イ ルスを必要とする ディ ベ ン ドウ ィ ルス属の存在が確認さ れてい る 。 該 A A Vは宿主域が広 く 、 種々 の細胞に感染 する あ り ふれた ゥ イ ノレスであ り 、 ウ イ ノレスゲノ ムは大き さ 力 4 6 8 0 塩基の線状一本鎖 D N Aか らな り 、 その両 端の 1 4 5 塩基力 I T R (inverted terminal repeat)と 呼ばれる特徴的な配列を持 っ て存在 している 。 こ の I T Rの部分が複製開始点 と な り 、プラ イ マ一の役割をなす。 更にウ ィ ルス粒子へのパ ッ ケー ジ ン グや宿主細胞の染色 体 D N Aへの組込みに も 、 該 I T Rが必須とな る 。 ま た、 ウィ ルス蛋白質に関 しては、 ゲノ ムの左半分が非構造蛋 白質、 即ち複製や転写をつかさ どる調節蛋白質の R e p をコ ー ド している。
組換え A A Vの作成は、 A A Vが染色体 D N Aに組み
込ま れる性質を利用 して行 う こ とができ 、 か く して所望 の遺伝子導入用ベ ク タ ーが作成でき る 。 こ の方法は、 よ り 詳 し く は、 まず野生型 A A Vの 5 ' と 3 'の両端の I T Rを残 し、 その間に所望の導入用遺伝子 ( ヒ p 5 1 遺 伝子) を挿入 したプラ ス ミ ド ( A A Vベク タ 一プラ ス ミ ド) を作成する。 一方、 ウ ィ ルス複製やウ ィ ルス粒子の 形成に必要と さ れる ウ ィ ルス蛋白質は、 別のへルパープ ラ ス ミ ドによ り 供給さ せる 。 こ の両者の間には共通の塩 基配列が存在 しないよ う に し、 遺伝子組換えに よ る野生 型ウ ィ ルスが出現 しないよ う にする必要があ る 。 その後、 両者のプラ ス ミ ドを例えば 2 9 3 細胞への ト ラ ンス フ エ ク シ ヨ ン によ り 導入 し、 さ ら にヘルパー ウ ィ ルス と して アデノ ウ イ ルス ( 2 9 3 細胞を用い る 場合は非増殖型の もので も よ い) を感染さ せる と、 非増殖性の所望の組換 え A A Vが産生さ れる。 続いて、 こ の組換え A A Vは核 内に存在する ので、 細胞を凍結融解 して回収 し、 混入す る アデノ ウ イ ルスを 5 6 °C加熱によ り 失活さ せる 。 更に 必要に応 じて塩化セ シ ウ ムを用 いる超遠心法によ り 組換 え A A Vを分離濃縮する 。 上記の よ う に して所望の遺伝 子導入用の組換え A A Vを得る こ とができ る 。
H I Vベク タ 一の作成は、 例えば島田 らの方法に準 じ て 亍 ぅ こ と力 でき る 〔 Shimada, T. , et al. , J. Clin. In
vest., 88, 1043 - 1047 ( 1991 )〕。
H I Vウ イ ノレス は C D 4 を レセプ夕 一 と しヘルパー T 細胞に特異的に感染する ので、 その利用 に よれば、 ヒ ト C D 4 陽性細胞に特異的に遺伝子導入の可能な組織特異 的遺伝子導入ベク タ ー と しての H I Vベク タ ーを作成す る こ とができ る 。 該 H I Vベク タ ーは、 A I D S の遺伝 子治療に最適 と いえ る 。
組換え H I Vベク タ 一の作成は、 例えばま ずパ ッ ケ一 ジ ン グプラ ス ミ ドであ る C G P E を g a g、 p o l 、 e n v の構造遺伝子と こ れ らの発現に必要な調節遺伝子( t a t 、 r e v な ど)をサイ ト メ ガロ ウ イ ノレス ( C M V ) の プロ モー タ 一 と ヒ ト グロ ビ ン遺伝子のポ リ A シ グナル(p oly A)によ り 発現する よ う に作成する 。 次にベク タ 一プ ラ ス ミ ド H X Nを、 H I Vの両 L T Rの間に、 標識遺伝 子と してチ ミ ジ ンキナーゼ ( T K ) のプロ モ一 夕 一を も っバク テ リ ァのネオマイ シ ン耐性遺伝子(neoR)を挿入 し、 さ ら に基本 とな る プラ ス ミ ドベク タ 一 に S V 4 0 の 複製機転を挿入する こ と によ り 、 C O S細胞内で効率よ く 増殖でき る よ う に構築でき る。 こ れ ら のパ ッ ケー ジ ン グプラ ス ミ ドであ る C G P E とベク タ ープラ ス ミ ド H X Nを同時に C O S細胞に ト ラ ンス フ エ ク シ ョ ン させる こ と によ り 大量の n e o R遺伝子が組み込ま れた所望の組
換えウ ィ ルスを作成 し、 培養培地中に放出 さ せる こ とが でき る 。
E B Vベ ク タ ー の製造は、 例えば清水 らの方法に準 じ て行う こ とができ る 〔清水則夫 ら、 細胞工学, 14(3), 2 80 - 287 ( 1995 )〕。
本発明の遺伝子導入用 E B Vベク タ 一の製造につ き概 略する と、 E B ウ イ ノレス ( Epstein— Bar r virus: EBV) は、 1964年にェプス タ イ ン(Epstein)ら に よ り ノく一キ ッ ト ( B urkitt) リ ンパ腫由来の培養細胞よ り 分離さ れたヘルべ ス科に属する ゥ イ ノレスであ る 〔 Kieff, E. and Liebowit z, D. : Virology, 2nd ed. Raven Press, New York, 19 90, pp.1889- 1920〕。該 E B Vに は細胞を ト ラ ン ス フ ォ ー ムする活性があ る ので、 遺伝子導入用べク タ 一 とする た めには、 こ の ト ラ ンス フ ォ ー ム活性を欠いた ウ イ ノレスを 調製 しな ければな らない。 こ れは次の如 く して実施でき o
即ち、 まず、 所望の外来遺伝子を組み込む標的 D N A 近傍の E B Vゲノ ムを ク ロ ーニ ン グする 。 そ こ に外来遺 伝子の D N A断片 と薬剤耐性遺伝子を組込み、 組換え ゥ ィ ルス作製用ベク タ ー とする。 次いで適当な制限酵素に よ り 切 り 出 さ れた組換え ウ ィ ルス作製用べク タ ーを E B V陽性 A k a t a 細胞に ト ラ ンス フ ヱ ク 卜 する 。 相同組
換えに よ り 生 じた組換え ウ ィ ルスは抗表面免疫グロ プ リ ン処理によ る ウ ィ ルス産生刺激によ り 野生型 A k a t a E B V と と も に回収でき る 。 これを E B V陰性 A k a t a 細胞に感染 し、 薬剤存在下で耐性株を選択する こ と に よ り 、 野生型 E B Vが共存 しない所望の組換え ウ ィ ルス のみが感染 した A k a t a 細胞を得る こ とができ る 。 さ ら に組換え ウ ィ ルス感染 A k a t a 細胞に ウ ィ ルス活性 を誘導する こ と によ り 、 目 的 とする大量の組換え ウ ィ ル スベク タ 一を産生する こ とができ る。
組換えウ ィ ルスベク タ ーを用い る こ と な く 所望の遺伝 子を標的細胞に導入する 、非ウィ ルスべ ク タ ーの製造は、 例えば膜融合 リ ポ ソ 一ムによ る遺伝子導入法に よ り 実施 する こ とができ る。 こ れは膜 リ ボ ソ ー ム (脂質二重膜か らな る小胞) に細胞膜への融合活性を も たせる こ と によ り 、 リ ボ ソ ー ムの内容物を直接細胞内 に導入する方法で あ る 。
上記膜融合 リ ボ ソ ーム によ る遺伝子の導入は、 例えば 中西 らの方法によ っ て行 う こ とができ る 〔 Nakanishi, M. , et al. , Exp. Cell Res. , 159, 399 -499 ( 1985 ) ; Nakanish i, M., et al. , Gene introduction into animal tissues. I n Trends and Future Perspectives in Peptide and P rotein Drug Delivery ( ed. by Lee, V. H. et a 1. ) . , H
arwood Academic Publishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.337 - 349 ]。
以下、 該膜融合 リ ボ ソ ー ムに よ る遺伝子の導入法につ き概略する 。 即ち、 紫外線で遺伝子を不活性化 したセ ン ダイ ウ ィ ルス と所望の遺伝子や蛋白質な どの高分子物質 を封入 した リ ボ ソ ームを 3 7 °Cで融合 させる。 こ の膜融 合 リ ボ ソ ー ムは、 内側に リ ボ ソ ー ム由来の空洞を、 外側 に ゥ イ ノレス · エ ンベ ロ ープと 同 じスパイ ク があ る疑似ゥ ィ ルス と も よ ばれる構造を有 している 。 更に シ ョ 糖密度 勾配遠心法で精製後、 標的 とする培養細胞又は組織細胞 に対 して膜融合 リ ボ ソ ー ムを 4 °Cで吸着させる。 次いで 3 7 °Cにする と リ ボ ソ ー ムの内容物が細胞に導入さ れ、 所望の遺伝子を標的細胞に導入でき る 。 こ こ で リ ポ ソ 一 厶 と して用い られる脂質と しては、 5 0 % (モル比) コ レ ステ ロ ール と レ シチ ン及び陰電荷を もつ合成 リ ン脂質 で、 直径 3 0 0 n mの 1 枚膜 リ ボ ソ ー ムを作製 して使用 する のが好ま しい。
ま た、 別の リ ボ ソ ー ムを用 いて遺伝子を標的細胞に導 入する 方法と しては、 カ チォニ ッ ク · リ ボ ソ ームに よ る 遺伝子導入法を挙げる こ とができ る。 該方法は、 八木 ら の方法に準 じて実施でき る 〔 Yagi, K. , et al. , Β. Β. R. C. , 196, 1042 - 1048 (1993)〕。 こ の方法は、 プラ ス ミ ド も細胞
も負に荷電 してい る こ と に着目 して、 リ ボ ソ ー ム膜の内 外両面に正の電荷を与え、 静電気によ り プラ ス ミ ドの取 り 込みを増加 させ、 細胞 と の相互作用 を高めよ う とする ものであ る 。 こ こ で用い られる リ ボ ソ ー ムは正荷電を有 する多重膜の大き な リ ボ ソ ーム (multilamellar large vesicles: M L V ) が有用であ る が、 大き な 1 枚膜 リ ポ ソ ー ム ( large unilamellar vesicles: L U V ) や / Jヽさ な 1 枚膜 リ ポ ソ 一 ム ( small unilamellar vesicles: S U V ) を使用 してプラ ス ミ ドとの複合体を作製 し、 所望 の遺伝子を導入する こ と も可能であ る 。
プラ ス ミ ト 包埋カ チォニ ッ ク M L Vの調製法について 概略する と、 こ れはまず脂質 T M A G ( N-( a -trimethy lammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate chloride 、 D L P C ( dilauroyl phosphatidylcholine) 及び D O P E ( dioleoy 1 phosphatidylethanolamine) をモ ノレ比力、' 1 : 2 : 2 とな る 割合で含むク ロ 口 ホルム溶液 (脂質濃度と して 1 m M ) を調製する 。 次いで総量 1 molの脂質をス ピ ッ ツ型試験管に入れ、 ロ ー タ リ ーエノくポ レー タ ーでク ロ ロ ホルムを減圧除去 して脂質薄膜を調製する。 更に減 圧下に ク ロ 口 ホルムを完全に除去 し、 乾燥さ せる 。 次い で 2 0 gの遺伝子導入用 プラ ス ミ ドを含む 0 . 5 mlのダ ルべ ッ コの リ ン酸緩衝生理食塩液 一 M g , C a 含有を添
加 し、 窒素ガス置換後、 2 分間ボルテ ッ ク ス ミ キサーに よ り 攪袢 して、 所望の遺伝子を含有する プラ ス ミ ド包埋 カ チォニ ッ ク M L V懸濁液を得る こ とができ る。
上記で得 られたプラ ス ミ ド包埋カ チォニ ッ ク M L Vを 遺伝子治療剤 と して使用する一例 と しては、 例えば発現 目 的遺伝子の c D N Aを組み込んだ発現プラ ス ミ ドを上 記カ チォニ ッ ク M L Vに D N A量と して 0 . 6 /z g、 リ ポ ソ ーム脂質量 と して 3 0 nmolにな る よ う に包埋 し、 こ れ を の リ ン酸緩衝生理食塩液に懸濁させて患者よ り 抽 出 した標的細胞ま たは患者組織に対 して隔 日 投与する方 法が例示でき る 。
と こ ろで、 遺伝子治療と は 「疾病の治療を 目 的と して、 遺伝子ま たは遺伝子を導入 した細胞を ヒ ト の体内に投与 する こ と」 と 日 本国の厚生省ガイ ドラ イ ンに定義さ れて いる 。 しか しなが ら、 本発明における遺伝子治療と は、 該ガイ ドラ イ ンの定義に加えて、 前記 した標的細胞に ヒ p 5 1 遺伝子等の癌抑制遺伝子と して特徴付け られる 遺伝子を導入する こ と に よ つ て癌を始め とする各種疾患 の治療のみな らず、 更に標識 とな る遺伝子ま たは標識と な る遺伝子を導入 した細胞を ヒ ト体内 に導入する こ と も 含むもの とする 。
本発明の遺伝子治療において、 所望遺伝子の標的細胞
ま たは標的組織への導入方法には、 代表的には 2 種類の 方法が含ま れる 。
その第 1 法は、 治療対象とする 患者か ら標的細胞を採 取 した後、 該細胞を体外で例えばイ ン タ 一 ロ イ キ ン — 2 ( I L — 2 )な どの添加の下で培養 し、 レ ト ロ ウ イ ルスべ ク タ 一 に含ま れる 目 的 とする P 5 1 遺伝子を導入 した 後、 得 られる細胞を再移植する 手法(e x v i vo法)であ る 。 該方法は A D A欠損症を始め、 欠陥遺伝子によ っ て発生 する遺伝子病や癌、 A I D S な どの治療に好適であ る 。
第 2 法は、 目 的遺伝子 ( ヒ ト p 5 1 遺伝子) を直接患 者の体内や腫瘍組織な どの標的部位に注入する遺伝子直 接導入法(直接法)であ る 。
上記遺伝子治療の第 1 法は、 よ り 詳 し く は、 例えば次 のよ う に して実施さ れる 。 即ち、 患者か ら採取 した単核 細胞を血液分離装置を用 いて単球か ら分取 し、 分取細胞 を I L - 2 の存在下に A I M— V培地な どの適当な培地 で 7 2 時間程度培養 し、 導入すべき遺伝子 ( ヒ h p 5 1 遺伝子) を含有するベク タ ーを加え る 。 遺伝子の導入効 率をあ げる ために、プロ タ ミ ン存在下に 3 2 °Cで 1 時間、 2500回転にて遠心分離 した後、 3 7 °Cで 1 0 %炭酸ガス 条件下で 2 4 時間培養 して も よい。 こ の操作を数回繰 り 返 した後、 更に I L 一 2 存在下に A I M— V培地な どで
4 8 時間培養 し、 細胞を生理食塩水で洗浄 し、 生細胞数 を算定 し、 遺伝子導入効率を前記 i n s i t u P C Rや、 例 えば所望の対象が酵素活性であればその活性の程度を測 定する こ と に よ り 、 目 的遺伝子導入効果を確認する 。
ま た、 培養細胞中の細菌 · 真菌培養、 マイ コ プラ ズマ の感染の有無、 エ ン ド ト キ シ ンの検索な どの安全度のチ ニ ッ ク を行い、 安全性を確認 した後、 予測さ れる効果用 量の遺伝子 ( ヒ ト p 5 1 遺伝子) が導入 さ れた培養細胞 を患者に点滴静注によ り 戻す。 かかる 方法を例えば数週 間か ら数力月 間隔で繰 り 返する こ と に よ り 遺伝子治療が 施さ れる 。
こ こ でウ ィ ルスベク タ ーの投与量は、 導入する標的細 胞によ り 適宜選択さ れる 。 通常、 ウ ィ ルス価と して、 例 えば標的細胞 1 X 1 0 8細胞に対 して 1 X 1 0 3 c ί u か ら l x l 0 8 c f u の範囲 とな る投与量を採用する こ とが 好ま しい。
上記第 1 法の別法と して、 目 的遺伝子 ( ヒ ト p 5 1 遺 伝子) を含有する レ ト ロ ウ イ ルスベク タ 一を含有す る ゥ ィ ルス産生細胞と例えば患者の細胞と を共培養 して、 目 的とする細胞へ遺伝子 ( ヒ ト p 5 1 遺伝子) を導入する 方法を採用す る こ と も でき る 。
遺伝子治療の第 2 法 (直接法) の実施に当た っ て は、
特に体外にお け る 予備実験によ っ て、 遺伝子導入法によ つ て、 実際に 目 的遺伝子 ( ヒ ト p 5 1 遺伝子) が導入さ れる か否かを、 予めベク タ ー遺伝子 c D N Aの P C R法 によ る検索や in situP C R法によ っ て確認する か、 或い は 目 的遺伝子 ( ヒ ト 5 1 遺伝子) の導入に基づ く 所望 の治療効果であ る特異的活性の上昇や標的細胞の増殖増 加や増殖抑制な どを確認する こ とが望ま しい。 ま た、 ゥ ィ ルスベク タ ーを用い る場合は、 増殖性 レ ト ロ ウイ ノレス な どの検索を P C R法で行 う か、 逆転写酵素活性を測定 するか、 或は膜蛋白(env)遺伝子を P C R法でモニタ ーす る な どに よ り 、 遺伝子治療に際 して遺伝子導入によ る安 全性を確認する こ とが重要であ る こ と はい う ま で も な い。
本発明の遺伝子治療法において、 特に癌や悪性腫瘍を 対象とする場合は、 患者か ら癌細胞を採取後、 酵素処理 な どを施 して培養細胞を樹立 した後、 例えば レ ト ロ ウ イ ルス にて所望の遺伝子を標的 とする癌細胞に導入 し、 G 4 1 8 細胞にてス ク リ ーニ ン グ した後、 I L — 1 2 な ど の発現量を測定(in vivo)測定 し、 次いで放射線処理を施 行 し、 患者腫瘍内ま たは傍腫瘍に接種する癌治療法を一 例 と して挙げる こ とができ る。
ヘルぺス単体 ウ ィ ルス — チ ミ ジ ンキナ ーゼ ( H S V —
T K ) 遺伝子は、 特に ヌ ク レオチ ドアナ ロ グであ る ガ ン シ ク ロ ビル ( G C V ) を毒性中間体に転換 して、 分裂性 細胞の死を も た らす こ とが報告さ れ、 該遺伝子を腫瘍に 対 して用い る遺伝子治療が知 られてい る 〔米国特許第 5 6 3 1 2 3 6 号明細書 ; 特表平 9 一 5 0 4 7 8 4 号公報 参照〕。該方法は 自殺遺伝子と いわれる前記 H S V 一 Τ Κ 遺伝子を組み込んだ レ ト ロ ウ ィ ルスベ ク タ 一産生細胞を 注入 して 1 週間後に抗ウ ィ ルス剤 と して知 られてい る G C Vを投与する と、 遺伝子導入細胞では G C Vが リ ン酸 化を受けて活性化さ れて遺伝子導入細胞を 自殺に導 く と 同時に、 ギ ャ ッ プ ' ジ ャ ン ク シ ョ ンを介 した細胞接触に よ り 、 周囲の非導入細胞に も細胞死を も た らすこ と を利 用 した遺伝子治療法であ る 。 本発明の遺伝子導入べク タ 一も し く は該ベク タ 一を含む細胞は、 上記遺伝子療法に も利用する こ とができ る 。
別の遺伝子治療法と しては、 標的細胞表面に結合する 抗体を結合さ せた遺伝子 ( ヒ p 5 1 遺伝子) 含有ィ ム ノ リ ポ ゾ一ムを作製 し、 包埋 した c D N Aを選択的に効 率よ く 標的細胞に導入さ せる方法があ げ られる。 ま た、 前記 したサイ ト 力 イ ン遺伝子含有ウ ィ ルスベク タ ー と 自 殺遺伝子含有アデノ ウ ィ ルス と を同時に投与する結合遺 伝子療法 も可能であ る 。 こ れ らの方法は当該分野におけ
る 当業者の技術 レベルあ る 。
( 7 ) 遺伝子治療用医薬組成物
本発明はま た、 本発明の遺伝子導入用ベ ク タ ー又は 目 的遺伝子 ( ヒ ト 5 1 遺伝子な ど) が導入さ れた細胞を 活性成分と し、 それを薬学的有効量、 適当な無毒性医薬 担体ない しは希釈剤 と共に含有する 医薬組成物又は医薬 製剤 (遺伝子治療剤) を提供する 。
本発明の医薬組成物 (医薬製剤) に利用でき る 医薬担 体と しては、 製剤の使用形態に応 じて通常使用 さ れる、 充填剤、 増量剤、 結合剤、 付湿剤、 崩壊剤、 表面活性剤、 滑沢剤な どの希釈剤ない し賦形剤な どを例示でき、 これ ら は得 られる 製剤の投与単位形態に応 じて適宜選択使用 でき る 。
本発明医薬製剤の投与単位形態 と しては、 前記 した p 5 1 蛋白製剤の製剤例を同様に挙げる こ とができ 、 治療 目 的に応 じて各種の形態か ら適宜選択する こ とができ 。
例えば、 本発明の遺伝子導入用ベク タ ーを含む医薬製 剤は、 該ベク タ ーを リ ボ ソ ー ム に包埋さ れた形態あ る い は所望の遺伝子が包含さ れる レ ト ロ ウ イ ノレスベク タ 一を 含むウ ィ ルス に よ っ て感染さ れた培養細胞の形態に調製
される 。
こ れ ら は、 リ ン酸緩衝生理食塩液 ( p H 7 . 4 )、 リ ン ゲル液、 細胞内組成液用注射剤中 に配合 した形態な どに 調製する こ と もでき、 ま たプロ タ ミ ンな どの遺伝子導入 効率を高め る物質と共に投与さ れる よ う な形態に調製す な こ と も でさ 。
上記医薬製剤の投与方法は、 特に制限がな く 、 各種製 剤形態、 患者の年齢、 性別その他の条件、 疾患の程度な どに応 じて決定さ れる。
上記医薬製剤中に含有さ れるべき本発明有効成分の量 及びその投与量は、 特に限定さ れず、 所望の治療効果、 投与法、 治療期間、 患者の年齢、 性別その他の条件な ど に応 じて広範囲よ り 適宜選択さ れる 。
一般には、 医薬製剤 と しての所望遺伝子含有 レ ト ロ ゥ ィ ルスべク タ 一の投与量は、 1 日 当 り 体重 l k g 当 り 、 例えば レ ト ロ ウ ィ ルスの力価 と して約 1 X 1 0 3 p f u か ら 1 X 1 0 1 p f u 程度 とする の力 よ い。
ま た所望の導入用遺伝子が導入 さ れた細胞の場合は、 1 X 1 0 4細胞 Z bodyか ら 1 x 1 0 1 5細胞 / body程度の範 囲か ら選ばれる のが適当であ る 。
該製剤は 1 日 に 1 〜数回に分けて投与する こ と も で き 、 1 か ら数週間間隔で間欠的に投与す る こ と も でき る。
尚、 好ま し く は、 プロ タ ミ ンな ど遺伝子導入効率を高め る物質又はこれを含む製剤と併用投与する こ とができ る
本発明に従う遺伝子治療を癌の治療に適用する場合 は、前記した種々 の遺伝子治療を適宜組合わせて行う (結 合遺伝子治療) こ と もでき、 前記 した遺伝子治療に、 従 来の癌化学療法、 放射線療法、 免疫療法な どを組合わせ て行う こ と もでき る。 さ らに本発明の遺伝子治療は、 そ の安全性を含めて、 N I Hのガイ ドライ ンを参考に して 実施する こ と力 でき る C Recombinant DNA Advisory Com mittee, Human Gene Therapy, 4, 365 - 389 ( 1993 ) ] 0
( 8 ) 腫瘍診断への応用
本発明によれば、 人の細胞の腫瘍形成を促す P 5 1 変異 遺伝子の存在を検出するために、 血液又は血清のごとき 生物学的試料を調製 し、 所望によ り核酸を抽出 し、 P 5 1 の感受性変異遺伝子が存在する否かについて分析する こ とが可能である。 ま た、 本発明によれば細胞叉は組織 における新生物、 悪性の前駆障害への進行、 または予後 指標と しての存在を検出するためには、 障害を有する生 物学的な試料を調製 し、 p 5 1 の新生物変異遺伝子が存 在するか否かについて分析でき る。 この方法を用いる こ
と に よ り 細胞叉は組織におけ る新生物、 悪性の前駆障害 への進行、 ま たは予後指標と しての存在を検出する こ と が可能とな り 、 こ れ らの診断、 例えば癌の診断並びに癌 治療効果の判定並びに予後の予測が可能とな る 。
該検出方法は、 例えば、 予め腫瘍を有する患者サ ンプ ルか ら得 られた P 5 1 変異遺伝子に関する情報を基に、 例えば p 5 1 遺伝子の変異部位及びその変異配列情報に 基づき 、 該変異 D N A断片を作成 し、 変異遺伝子のス ク リ 一二ング及び Z又はその増幅に用い られる よ う に設計 さ れる 。 よ り 具体的には、 例えばプラ ー ク ハイ ブ リ ダィ ゼー シ ヨ ン、 コ ロ ニーハイ ブ リ ダィ ゼー シ ヨ ン、 サザ ン ブロ ッ ト法、 ノ ーザ ンブ ロ ッ ト 法等において用い られる プロ ーブ、 P C R によ り 変異 D N A断片を増幅する ため のプロ ーブを作成する こ とができ る。 その為にはま ず変 異と 同 じ配列を持つプラ イ マーを作成 し、 ス ク リ 一ニ ン グ用プロ ーブと して用 い、 生物学的試料 (核酸試料) と 反応させる こ と によ り 、 当該 p 5 1 遺伝子の変異配列を 有する遺伝子の存在を確認する こ とが出来る 。 該核酸試 料は、 標的配列の検出を容易にする ために、 例えば変性、 制限消化、 電気泳動ま たは ド ッ ト ブロ ッ テ イ ング等の種 々 の方法を用 いて調製す る こ とができ る 。
前記ス ク リ ーニ ング方法と しては、 特に P C R法を用
いる のが感度の点か ら好ま し く 、 該方法は、 P 5 1 変異 断片をプラ イ マー と して用 い る 方法であればと く に制限 さ れず、 従来公知の方法(Science, 230, 1350 - 1354 ( 198 5))や新たに開発さ れた、 或いは将来使用 さ れる P C R変 法(榊 佳之、 ほか編、 羊土社、 実験医学、 増刊, 8(9)(1 990 ); 蛋白質 · 核酸 · 酵素、 臨時増刊、共立出版(株), 3 5 ( 17 )( 1990 ))のいずれ も利用する こ とが可能であ る 。
プラ イ マー と して使用 さ れる D N A断片は、 化学合成 したオ リ ゴ D N Aであ り 、 これ らオ リ ゴ D N Aの合成は 自動 D N A合成装置等、 例えば D N A合成装置(Pharmac iaLKB Gene Assembler Plus: フ ァ ノレマ シ ア社製)を使用 して合成する こ とができ る 。 合成さ れる プラ イ マ ー (セ ン スプラ イ マ ー叉はア ンチセ ンスプラ イ マ一 )の長さ は約 1 0 〜 3 0 ヌ ク レオチ ド程度が好ま し く 例示でき る 。 上記 ス ク リ ーニ ン グに用 い られる プロ ーブは、 通常は標識 し たプロ ーブを用いる が、 非標識であ っ て も よ く 、 直接的 叉は間接的に標識 した リ ガ ン ド と の特異的結合によ っ て 検出 して も よ い。 適当な標識、 並びにプロ ーブ及び リ ガ ン ドを標識する方法は、 本発明の技術分野で知 られてお り 、 ニ ッ ク · ト ラ ンス レー シ ョ ン、 ラ ンダム ' ブラ イ ミ ングム又はキナーゼ処理の よ う な、 既知の方法によ っ て 取 り 込ませる こ とができ る放射性標識、 ピオチ ン、 蛍光
性基、 化学発光基、 酵素、 抗体な どがこ れ らの技術に包 含さ れる 。
検出のために用 いる P C R法と しては、 例えば R T — P C R法が例示さ れるが、 当該分野で用 い られる種々 の 変法を適応す る こ とが出来る 。
P C R法を用いて、 野生型 p 5 1 遺伝子及び 又は変 異 P 5 1 遺伝子の存在と こ れ ら遺伝子の D N Aを定量す る こ と も可能であ る 。 該方法と しては、 M S S A法の如 き競合的定量法(Kinoshita, M. , et al. , CCA, 228, 83 - 90 ( 1994 ))、 ま たは一本鎖 D N Aの高次構造の変化に伴 う 移動度の変化を利用 した突然変異検出法と して知 られ る P C R — S S C P法(Orita, M ., et al., Genomics, 5, 874-879 ( 1989 ))を例示でき る 。
上記例示さ れた分析法において、 例えば P 5 1 の変異 (例えば癌患者な どか ら得 られた部位変異情報を基に し た変異配列)を含む 1 乃至は複数のブラ ィ マ一を調製 し、 生物学的試料か ら得 られた D N A とハイ プ リ ダイ ズさせ た後、 P C R増幅断片 と p 5 1 野生株の D N A断片をス タ ンダー ドの S S C P解析に よ り 測定さ れた移動度及び ピー ク 領域と前記プラ イ マー によ り 増幅 した増幅産物と しての被検試料におけ る 移動度及び ピー ク 領域とを対比 する こ と によ り 、 p 5 1 の特定領域におけ る変異の検出
と 当該変異産物の定量と を同時に行う こ とが可能と な る
前記において、 測定対象とな る 変異 p 5 1 遺伝子を含 む被検試料は、 該遺伝子を含む も のであれば特に限定な く 使用でき 、 例えば、 血液、 血清、 尿、 切除組織な どの 生体生物材料を例示でき る 。 変異 p 5 1 遺伝子は、 こ れ ら被検試料よ り 常法に従い抽出、 精製及び調製でき る 。 従っ て、 本発明にかかる 上記ス タ ンダー ド と しての D N A断片について、 予め測定さ れた移動度と p 5 1 変異プ ラ イ マー対を用いる被検試料中の p 5 1 D N Aの P C R 増幅工程にお け る増副産物 と しての被検試料におけ る移 動度とを対比する こ と に よ り 、 P 5 1 D N Aの特定領域 におけ る変異の検出を簡便かつ良好に行 う こ とが出来 。
さ ら に既知段階量に設定 したス タ ン ダー ドを用いた場 合には、 その ピー ク 領域 と前記方法の p 5 1 変異プラ イ マー対を用い る被検試料中の P 5 1 D N Aの P C R増幅 工程におけ る 増副産物と しての被検試料におけ る ピー ク 領域との対比によ り 、 被検試料中の p 5 1 変異体の定量 を同時に行 う こ とができ る 。 該方法において使用 さ れる プラ イ マ一対、 ス タ ンダー ド、 P C R — S S C P解析及 びその検出手段等の改変等は、 こ の分野の 当業者に と り
適宜な し得る ものであ り 、 本発明は勿論それ らの改変等 を も野生 P 5 1 遺伝子及び変異 p 5 1 遺伝子の配列を用 い る 限 り 包含さ れる ものであ る 。
上記本発明の測定方法を、 よ り 具体的に例示する と、 ま ず癌患者血清か ら アルカ リ 、 酸処理等の常法によ っ て D N Aを抽出 し、 得 られた D N A溶液に、 配列番号 1 に 示さ れる塩基配列(145 - 1488)の一部を含む特定の長さ か らな る マイ ナ ス鎖部分配列、 及び蛍光標識 した該塩基配 列( 145 - 1488 )の一部配列を含む、 特定長さ か らな る ブラ ス鎖部分配列のプラ イ マ一対とを耐熱性 D N Aポ リ メ ラ ーゼと作用 さ せて、標識さ れた D N A断片を増幅させる。 一方では、 癌患者な どか ら得 られた p 5 1 部位変異情報 を基に して化学合成 した変異配列を含む 1 叉は複数の D N A断片を、 プラ ス ミ ドベク タ ー にそれぞれ組み込み、 大腸菌に形質転換 して大量培養後、 精製 した組換え体プ ラ ス ミ ドを用いて、 例えば 1 0 3コ ピー、 1 0 4コ ピー、 1 0 5コ ピー、 1 0 6コ ピー、 1 0 7コ ピー及び、 1 0 8コ ピーのス タ ン ダー ドを調製 し、 こ れに上記の塩基配列( 1 45-1488)の一部の特定配列を含むマイ ナス鎖部分配列及 び蛍光標識 した塩基配列( 145 - 1488 )の一部の特定配列を 含むプラ ス鎖部分配列のプラ イ マー対 と を耐熱性 D N A ポ リ メ ラ ーゼ と作用 さ せて、 標識さ れた D N A断片を増
幅させる 。 前記で増幅さ れた D N A溶液を、 9 5 °C程度 で 5 分間程度加熱 し、 直ち に氷中で冷却 し、 A L F 自動 シ ー ク ェ ンサ一(フ ア ルマ シア社製)等の 自動 シー ク ェ ン サ一によ る S S C P解析を行 う こ と に よ り 、 蛍光 ピー ク を検出する こ とができ る 。 尚、 該 S S C P解析にお ける 泳動は、 好ま し く は約 3 0 °C土 1 °Cにて行われる。
か く して患者血清よ り 得 られた D N Aの ピー ク (移動 度)をス タ ン ダー ドの ピー ク (移動度)と比較 し、 その泳動 時間か ら ス タ ンダー ド と一致する ピー ク を確認する こ と によ り 、 患者の p 5 1 の変異のタ イ プ(種類)を判定する こ とが出来る 。 ま たス タ ン ダー ドの ピー ク 領域を算出 し、 こ れよ り 標準曲線を作成する こ と によ り 、 患者 D N Aに おけ る ピー ク 領域の計算値よ り 、 当該 P 5 1 D N Aの定 量を行 う こ とができ る 。
( 9 ) p 5 1 遺伝子の変異検出法、 及び各種測定法
従 っ て、 本発明はかかる 測定によ り 、 被検試料中の P 5 1 D N Aの特定領域の変異の検出 と その定量方法を同 時に行う 簡便な検査方法を も提供する も のであ る 。
ま た、 本発明の測定方法は、 試料中の野生型 P 5 1 遺 伝子及び変異 p 5 1 遺伝子の検出のための試薬キ ッ ト を 利用する こ と によ っ て、 簡便に実施す る こ とができ る 。
故に本発明 は上記野生型 P 5 1 D N A断片及び変異 p 5 1 D N A断片を含有する こ とを特徴 とする野生型 p 5 1 及び変異 P 5 1 の検出用試薬キ ッ 卜 が提供さ れる 。
該試薬キ ッ ト は、 少な く と も配列番号 2 に示さ れる塩 基配列( 145- 1488 )も し く はその相補的塩基配列の一部ま たは全てにハイ ブ リ ダィ ズする D N A断片、 又は塩基配 列( 145 - 1488 )の変異配列 も し く はその変異配列に相補的 塩基配列の一部又は全てにハイ プ リ ダイ ズする D N A断 片を必須構成成分と して含んでいれば、他の成分と して、 標識剤、 P C R法に必須な試薬 (例えば、 T a q D N A ポ リ メ ラ ーゼ、 デォキシ ヌ ク レオチ ド三 リ ン酸、 プラ イ マ ー等) が含ま れていて も 良い。 ま た、 上記配列番号 2 に示さ れる塩基配列(145 - 1488)に代えて、 配列番号 5 に 示さ れる塩基配列 ( 145-2067) を用い る こ と ものでき る 。
標識剤 と しては、 放射性同位元素叉は蛍光物質等の化 学修飾物質等が挙げ られるが、 D N A断片 自身が予め該 標識剤でコ ン ジ ュ ゲー ト さ れていて も よ い。 更に当該試 薬キ ッ ト には、 測定の実施の便益のために適当な反応希 釈液、 標準抗体、 緩衝液、 洗浄剤、 反応停止液等が含ま れていて も よ い。
更に本発明は、 前記測定方法を用い る癌の診断方法及 び該方法に用 いる診断剤並びに診断用 キ ッ ト を も提供す
る も のであ る 。
ま た、 前記方法を用い る こ と によ り 、 被検試料中か ら 得 られた p 5 1 変異配列を直接的若 し く は間接的に配列 決定する こ と によ り 、 野生型 p 5 1 と相同性の高い相同 物であ る新たな p 5 1 遺伝子に関連する 関連遺伝子を見 出すこ とができ る 。
従っ て、 本発明はかかる 測定と被検試料中の変異 P 5 1 D N Aの配列決定によ り 、 被検試料中の ヒ ト p 5 1 遺 伝子に関連する 関連遺伝子のス ク リ ーニ ン グ方法を も提 供する も のであ る 。
ま た、 本発明の配列番号 1 で示さ れる ヒ ト P 5 1 A遺 伝子で コ ー ド さ れる蛋白質、 又は配列番号 1 において 1 若 し く は数個乃至複数のア ミ ノ 酸が欠失、 置換、 又は付 加さ れたア ミ ノ 酸配列、 又は こ れ らの断片か ら蛋白を合 成 し、 若 し く は該蛋白 に対する抗体を合成する こ と によ つ て、 野生型 p 5 1 及び /ま たは変異型 p 5 1 の測定が 可能と な る 。 ま た、 上記 ヒ ト p 5 1 A遺伝子でコ ー ドさ れる蛋白質に代えて、 配列番号 4 で示 さ れる ヒ ト p 5 1 B 遺伝子でコ 一 ドさ れる蛋白質を用い る こ と もでき る 。
従っ て、 本発明は、 野生型 p 5 1 及び Zま たは変異型 p 5 1 の抗体測定法、抗原測定法を提供する ものであ る 。 該測定法によ っ て新生物状態の障害の程度、 或いは悪性
腫瘍の悪性度を野生性型 P 5 1 蛋白の変化に基づいて検 出する こ と も 可能であ る 。 かかる変化は、 こ の分野にお け る前記慣用技術に よ る P 5 1 配列分析に よ っ て も決定 でき る が、 更に好ま し く は、 抗体(ポ リ ク 口一ナル叉はモ ノ ク ロ ーナル抗体)を用いて、 p 5 1 蛋白 中の相違、 又は P 5 1 蛋白の有無を検出する こ とが出来る 。 本発明の測 定法の具体的な例示 と しては、 p 5 1 抗体は、 血液 , 血 清な どの ヒ ト よ り 採取 した生体材料試料含有溶液か ら p 5 1 蛋白質を免疫沈降 し、 かつポ リ ア ク リ ルア ミ ドゲル のウ ェ スタ ン , ブロ ッ ト 又はィ ム ノ ブ ロ ッ ト 上で p 5 1 蛋白質 と反応する こ とができ る 。 ま た、 p 5 1 抗体は免 疫組織化学的技術を用 いてパラ フ ィ ン叉は凍結組織切片 中の P 5 1 蛋 白を検出する こ とが出来 る 。 抗体産生技術 及び精製する 技術は当該分野において よ く 知 られている ので、 これ ら の技術を適宜選択する こ とができ る。
野生型 p 5 1 叉はその突然変異体を検出する方法に関 連する よ り 好ま しい具体例には、 モノ ク ロ ーナル抗体及 び /又は、 ポ リ ク ロ ーナル抗体を用い る サ ン ドイ ッ チ法 を含む、 酵素結合ィ ム ノ ソルベ ン ト ア ツ セィ ( E L I S A )、 放射線免疫検定法( R I A )、 免疫放射線検定法( I R M A )、 及び免疫酵素法( I E M A )が含ま れる。
ま た、 本発明は、 P 5 1 蛋白 に対す る p 5 1 結合活性
を有す細胞膜画分又は細胞表面上に存在する P 5 1 レセ プ夕 一を も提供する こ とが可能であ る 。 該 P 5 1 レセプ タ ーの取得は、 細胞膜画分を含む生体材料試料中 におい て標識 した P 5 1 蛋白を コ ン ジ ユ ゲー ト さ せ、 p 5 1 結 合反応物を抽出 · 単離、 精製 し、 単離物のア ミ ノ 酸配列 を特定する こ と によ っ て達成さ れ、 該 P 5 1 レセプタ ー 蛋白の取得並びに配列決定は、 こ の分野の 当業者に は容 易に達成でき る 。 ( 1 0 ) 薬剤ス ク リ ーニ ン グへの応用
ま た本発明 は、 p 5 1 レセプタ ーポ リ ペプチ ド叉はそ の結合断片を種々 の薬剤のいずれかをス ク リ ーニ ン グす る技術に用い る こ と によ っ て、 化合物( P 5 1 レセプタ ー 反応物 : 化合物は低分子化合物、 高分子化合物、 蛋白質、 蛋白質部分断片、 抗原、 又は抗体な ど言 う )をス ク リ ー二 ングする こ と に利用可能であ る。 好ま し く は、 p 5 1 レ セプ夕 一を利用する。 かかる ス ク リ ーニ ン グ試験に用い る p 5 1 レセプタ 一ポ リ ペプチ ド叉は、 その断片は、 固 体支持体に付着する か、 又は細胞表面に運ばれてい る溶 液中の遊離物であ っ て も よい。 薬剤ス ク リ ーニ ン グの一 例 と しては、 例えば、 ポ リ ペプチ ド叉はその断片を発現 する組換えポ リ ぺプチ ドで安定 して形質転換 した原核生
物叉は真核生物の宿主細胞を、 好ま し く は競合的結合ァ ッ セィ において利用する こ とができ る 。 ま た遊離の又は 固定 した形態のかかる細胞を標準結合ア ツ セィ に用 い る こ と も 出来る 。 よ り 具体的には、 p 5 1 レセプ夕 一 ポ リ ぺプチ ド叉はその断片 と試験する物質 との間の複合体の 形成を測定 し、 p 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド叉はその 断片 と P 5 1 ポ リ べプチ ド叉はその断片 との間の複合体 の形成が試験する物質に よ っ て阻害さ れる程度を検出す る こ と に よ っ て化合物をス ク リ ーニ ン グする こ とが可能 であ る 。
か く して、 本発明は、 当該分野で既知の方法によ っ て、 かかる物質 と P 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド又は、 その 断片 とを接触させ、 次いで、 該物質と P 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド又は、 その断片 との間の複合体の存在、 ま たは p 5 1 レセプタ ーポ リ ペプチ ド叉は、 その断片 と リ ガ ン ドとの間の複合体の存在について測定する こ と を特 徴とする 薬剤のス ク リ ーニ ン グ方法を提供する こ とがで き る 。 さ ら に、 p 5 1 レセプ夕 一活性を測定 してかかる つ物質が P 5 1 レセプタ ーを阻害でき 、 か く して上記定 義さ れた p 5 1 の活性、 例えば細胞周期を調節でき るか どう か、 或いはアポ ト ー シ ス誘導の調節ができ るかどう か判断する 。 かかる競合結合ア ツ セィ において、 よ り 具
体的には、 p 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド叉は、 その断 片を標識する 。 遊離の P 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド叉 は、 その断片を、 蛋白質 : 蛋白質複合体で存在する もの か ら分離 し、 遊離 (複合体未形成) 標識の量は、 各々 、 試験さ れる 因子の p 5 1 レセプタ ー に対する結合ま たは p 5 1 レセプ夕 一 : p 5 1 ポ リ ペプチ ド結合の阻害の尺 度とな る 。 p 5 1 ポ リ べプチ ドの小さ なぺプチ ド(ぺプチ ド疑似体)を こ の よ う に分析 し、 P 5 1 レセプタ ー阻害活 性を有する も のを測定でき る。
本発明 において、 薬剤ス ク リ ーニ ン グのための他の方 法は、 p 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ドに対 して適当な結 合親和性を有する化合物についてのス ク リ 一二ング法で あ っ て、 該略する と、 多数の異な る ペプチ ド試験化合物 をプラ スチ ッ ク の ピ ン ま たは他の物質の表面の ごと き 固 体支持体上で合成 し、 次いでペプチ ド試験化合物を P 5 1 レセプタ ー ポ リ ペプチ ド と反応さ せ、 洗浄する 。 次い で既知の方法を用 いて反応結合 P 5 1 レセプタ ーポ リ べ プチ ドを検出する 方法 も例示でき る ( P C T特許公開番 号 : W 0 8 4 — 0 3 5 6 4 号)。精製さ れた p 5 1 レセプ タ ー は、 直接、 前記の薬剤ス ク リ ーニ ン グ技術で使用す る プレー ト 上に被覆する こ とができ る 。 しか しなが ら、 ポ リ べプチ ドに対する 非 - 中和抗体を用いて抗体を補足
し、 p 5 1 レセプタ ー ポ リ べプチ ドを固相上に固定する こ とができ る 。 さ ら に本発明は、 競合薬剤ス ク リ 一ニ ン グア ツ セィ の使用を も 目 的 と し、 p 5 1 レセプ夕 一 ポ リ ペプチ ド又は、 その断片 に対する結合性につき 、 p 5 1 レセプタ ーポ リ べプチ ドに特異的に結合でき る 中和抗体 と試験化合物 とを競合さ せる 。 抗体に よ る該競合に よ つ て、 p 5 1 レセプタ ー ポ リ べプチ ドの 1 叉はそれ以上の 抗原決定部位を有する いずれのぺプチ ドの存在を も検出 する こ とが可能であ る 。
ま た、 薬剤ス ク リ ーニ ン グに関 し、 さ らな る 方法と し ては、 非機能性 p 5 1 遺伝子を含有する宿主真核細胞系 ま たは細胞の使用が挙げ られる 。 宿主細胞系ま たは細胞 を薬剤化合物の存在下において一定期間増殖させた後、 該宿主細胞の増殖速度を測定 して、 該化合物が例えば、 アポ ト ー シ スや細胞周期を調節でき る かどう かを確認す る 。 増殖速度を測定する 1 手段と して、 p 5 1 レセプタ 一の生物活性を測定する こ と も可能であ る 。
ま た本発明 に よれば、 よ り 活性叉は安定 した形態の P 5 1 ポ リ ペプチ ド誘導体、 ま たは、 例えば、 イ ン ' ビボ ( i n v i v o )で p 5 1 ポ リ ペプチ ドの機能を高め る か若 し く は妨害する薬剤を開発す る ために、 それ らが相互作用す る 目 的の生物学的に活性な ポ リ べプチ ド叉は構造アナ 口
グ、 例えば p 5 1 ァ ゴニス ト 、 p 5 1 ア ン タ ゴニス ト 、 p 5 1 イ ン ヒ ビタ ー、 等を作製する こ とが可能であ る。 前記構造アナ ロ グは例え ば P 5 1 と他の蛋白の複合体の 三次元構造を X線結晶学、 コ ン ピュ ー タ ー ' モデ リ ン グ 又は、 こ れ ら の組み合わせた方法に よ っ て決定する こ と が出来る 。 ま た、 構造アナ ロ グの構造に関する情報は、 相同性蛋白質の構造に基づ く 蛋白質のモデ リ ン グに よ つ て得る こ と も可能であ る 。
ま た上記よ り 活性叉は安定 した形態の P 5 1 ポ リ ぺプ チ ド誘導体を得る方法と しては、 例えばァ ラニ ン · スキ ヤ ン によ っ て分析する こ とが可能であ る 。 該方法はア ミ ノ 酸残基を A l aで置換 し、 ぺプチ ドの活性に対する その影 響を測定する 方法でぺプチ ドの各ァ ミ ノ 酸残基を こ の よ う に分析 し、 当該ペプチ ドの活性や安定性に重要な領域 を決定する方法であ る 。 該方法によ っ て、 よ り 活性な、 ま たは安定な P 5 1 誘導体を設計する こ とができ る 。
ま た機能性ァ ッ セィ に よ つ て選択 した標的 一特異的抗 体を単離 し、 次いでその結晶構造を解析する こ と も可能 であ る。 原則 と して、 こ のアプロ ーチによ り 、 続 く 薬剤 の設計の基本 とな る フ ァ 一 マ コ ア(pha rraa c o r e )を得る。 機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗 - ィ デ ィ オタ イ ブ抗体を生成さ せる こ と によ っ て、 化学的ま たは生物
学的に生成 したぺプチ ド のノく ン ク よ り ぺプチ ドを同定 し た り 単離 した り する こ とが可能であ る 。 故に選択さ れた ぺプチ ド も フ ァ ーマ コ ア と して作用する と 予測さ れ る 。
か く して、 改善さ れた p 5 1 活性、 若 し く は安定性、 ま たは p 5 1 活性のイ ン ヒ ビタ ー、 ァ ゴニス ト 、 ア ンタ ゴニス ト 、 な どと しての作用を有する 薬剤を設計 · 開発 する こ とが出来る 。
ク ロ ー ン化 p 5 1 配列によ っ て、 十分な量の p 5 1 ポ リ ペプチ ドを入手 して、 X線結晶学の よ う な分析研究を も行う こ とができ る。 さ ら に、 本発明の配列番号 1 に示 さ れる ア ミ ノ 酸配列よ り な る P 5 1 蛋白の提供によ り 、 X線結晶学に代え るか、 ま たは加えて、 コ ン ピュ ー タ ー モデ リ ン グ技術に適応可能であ る 。
ま た本発明 によれば、 ヒ h p 5 1 遺伝子含有ノ ッ ク ァ ゥ ト ·マ ウ ス (変異マウ ス )を作成する こ と によ っ て ヒ ト p 5 1 遺伝子配列の どの部位が生体内で上記 したよ う な多 様な p 5 1 活性に影響を与え る かどう か、 即ち P 5 1 遺 伝子産物、 並びに改変 p 5 1 遺伝子産物が生体内で どの よ う な機能を有する かを確認する こ とができ る。
該方法は、 遺伝子の相同組換えを利用 して、 生物の遺 伝情報を意図的に修飾する技術であ り 、 マウ スの胚性幹 細胞( E S 細胞)を用 いた方法を例示でき る ( Ca pe c cch i ,
M. R. , Science, 244, 1288 - 1292 ( 1989 ))0 尚、 上記変異マ ウ スの作製方法は こ の分野の 当業者に と っ て既に通常の技術であ り 、 こ の改変技術(野田哲生 編、 実験医学,増刊, 14 ( 20 ) ( 1996 )、 羊土社)に、 本発 明の ヒ ト 野性型 p 5 1 遺伝子及び変異 p 5 1 遺伝子を適 応 して容易に変異マ ウ スを作製 し得る 。 従っ て前記技術 の適応に よ り 、 改善さ れた P 5 1 活性、 若 し く は安定性、 ま たは ρ 5 1 活性のイ ン ヒ ビタ ー、 ァ ゴニス ト 、 ア ン タ ゴニス ト 、 等と しての作用を有する 薬剤を設計 · 開発す る こ とが出来る。 なお、 本発明 には、 以下の も のが含ま れる :
1 . ρ 5 1 遺伝子を腫瘍細胞に移す こ とか らな る腫瘍形 成抑制方法。
2 . ρ 5 1 蛋白を腫瘍細胞に移す こ とか らな る腫瘍形成 抑制方法。
3 . ρ 5 1 遺伝子又はその同効物、 及び薬学的に許容さ れる担体を含む医薬組成物。
4 . ρ 5 1 蛋白又はその 同効物、 及び薬学的に許容さ れ る担体を含む医薬組成物。
5 . ρ 5 1 遺伝子又はその同効物を有効成分 とする遺伝 子治療剤。
6 . p 5 1 遺伝子又はそ の同効物を含有する癌診断剤。
7. p 5 1 蛋白又はその同効物を含有する癌診断剤。
8 . p 5 1 遺伝子又はそ の同効物を用 い る p 5 1 又は p 5 3 関連遺伝子のス ク リ 一二 ン グ方法。
9 . p 5 1 遺伝子又はそ の同効物を用 いて、 細胞の腫瘍 形成を抑制作用物をス ク リ ーニ ン グする 方法。
1 0 . p 5 1 遺伝子ま た はその同効物を用いる p 5 1 遺 伝子の誘導及び /又は阻害物質のス ク リ ーニ ン グ方法。
1 1 . 上記ス ク リ ーニ ン グ方法よ り 収得さ れる p 5 1 遺 伝子の誘導及び Z又は阻害物質の p 5 1 遺伝子発現異常 に起因する疾患治療への利用。 発明を実施する ための最良の形態 以下、 本発明を更に詳 し く 説明する ため実施例及び実 験例を挙げる 。 ただ し、 本発明はかかる実施例及び実験 例によ り 何 ら 限定さ れる も のではない。
実施例 1 ヒ ト p 5 1 遺伝子の単離
( 1 ) ヒ ト p 5 1 遺伝子の ク ロ 一ニ ン グ及び D N Aシー ク ェ ン シ ング
( a ) 本発明者 ら は、 次に掲げる P73-F1セ ンスプラ イ マ —及び p73- R1ア ンチセ ン スプラ イ マ一を用 いて P C R を 行い増幅 し、 次いで p73- F2セ ン スプラ イ マ一及び p73- R2
ア ンチセ ンス プラ イ マーで N e s t して増幅を行っ た
P73-F1 : 5'
P73-R1 : 3' 5' P73-F2 :5' 3' p73-R2 : 3' 5' 具体的には、 ヒ ト 骨格筋ポ リ A + R N A ( ク ロ ー ンテ ッ ク 社製) よ り ラ ンダムプラ イ マーお よ びオ リ ゴ d Tプ ラ イ マ一を用 いて c D N Aを合成 し、 λ ZipLox (ギブコ BRL社製) をべク タ 一 と して構築 した約 1 0 7プラ ー ク か らな る c D N Aラ イ ブラ リ 一を増幅 し、 D N Aを抽出 し た。 その c D N A O . 2 // g を铸型 と して上記プラ イ マ — p73 - Π及び p73 - R1を用 いて Tag Polymerase (ギブコ B R L社製) の説明書に従 っ て、 9 4 °Cで 3 0 秒、 4 5 °C で 3 0 秒、 7 2 °Cで 3 0 秒を 2 5 サイ ク ルで増幅 し、 次 いでその 1 0 0 分の 1 を铸型と して上記プラ イ マー p73- F2及び p73- R2を用いて同様の反応によ つ て増幅 した。
p 5 3 遺伝子の構造か ら推測 さ れる 1 7 2 b p のバン ドが得 られたので、 そのバ ン ドの制限酵素地図を作成 し た と こ ろ、 p 5 3 遺伝子以外の遺伝子があ る こ とが判明 した。 そのノく ン ドを p G E M 7 (Promega社製)にサブク 口 一二 ン グ し、 A B I 377自動 シー ク ェ ンサ一 ( A B I 社
製) を用いて、 常法に従っ て塩基配列を決定 した と こ ろ、 p 5 3 遺伝子に類似する も のの、 異な る新規塩基配列を 有する新規遺伝子に由来する D N A断片であ っ た。
なお別途、 他の臓器 (脳等) 由来の c D N A ラ イ ブラ リ ー に対 して、 同様の解析を行 っ た と こ ろ、 更に別個の p 5 3 遺伝子に類似性を有する新規遺伝子由来の D N A 断片が検出 さ れたが、 それは p 7 3 遺伝子由来の も ので め つ 7こ o
こ のサブク ロ ー ン さ れた D N A断片を切 り 出 し、 BcaB est labeling kit (宝酒造製)を用 いて標識プロ ーブを作 成 した。 オ リ ゴ d t プラ イ マーのみを用い る以外は上記 c D N A ラ イ ブラ リ 一 と 同様に して構築 した未増幅のラ イ ブラ リ ー 2 . 4 X 1 0 6プラ ー ク をプラ ー ク ハイ ブ リ ダ ィ ゼー シ ヨ ン によ っ てス ク リ ーニ ン グ した結果、 8 個の ポ ジテ ィ ブク ロ ー ン力 得 られた。 ; I ZipLoxは Cre- LoxPの 系を用いて、 容易にプラ ス ミ ドに変換でき る ので、 変換 プラ ス ミ ドを L I C O R社の 自動シー ク ェ ンサ一 と A B I 3 7 7 自動 シー ク ェ ンサ一 ( A B I 社) を用いて、 常 法に従っ て塩基配列を決定 した。
次いで、 得 られた遺伝子の塩基配列 と P 5 3 遺伝子及 び P 7 3 遺伝子の塩基配列 と の相同性を、 G C G ソ フ ト ウ ェ ア ( ウ ィ ス コ ン シ ン · 配列分析パ ッ ケー ジ、 ジ エ ネ
テ ィ ク ス · コ ン ピュ ー タ 一 · グループ製) を使用する F A S T Aプロ グラ ムを用 いて ( Person, W. R. and Lipman, D. J. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 85, 1435 - 1441 ( 198 8 ) )、 探索 した。
かかる相同性検索の結果、 上記の方法に よ っ て選択さ れ、 塩基配列が決定さ れた ク ロ ー ンの う ち 2 つが ρ 5 3 遺伝子およ び ρ 7 3 遺伝子と高い相同性を有 してい る こ とを見出 した。 こ れ ら 2 つの ク ロ ー ンが有する遺伝子の 配列に よ り コ ー ドさ れる推定ア ミ ノ 酸か ら分子量を掲載 した と こ ろ、 それぞれ 5 0 , 8 9 4 D a 及び約 7 1 , 9 0 0 D a であ っ た。 本発明者 ら は、 こ れ らの ク ロ ー ンを それぞれ p 5 1 A及び p 5 1 B と命名 した。
上記で得 られた P 5 1 A ク ロ ー ンが有する遺伝子 ( p 5 1 A遺伝子) の全塩基配列を配列番号 2 に、 ま た p 5 1 B ク ロ ー ンが有する遺伝子 ( p 5 1 B遺伝子) の全塩 基配列を配列番号 5 に示す。
p 5 1 A ク ロ ー ンは、 配列番号 2 に示すよ う に、 配列 番号 1 で示さ れる ア ミ ノ 酸配列 ( 4 4 8 ア ミ ノ 酸) を コ ー ドする塩基配列 ( 1 3 4 4 ヌ ク レオチ ド) を、 オーブ ン . リ ーデ ィ ン グ . フ レーム と して 1 4 5 〜 1 4 8 8 位 に有する遺伝子を有 していた。 ま た、 こ の ク ロ ー ンが有 する遺伝子の塩基配列に よ り コ ー ドさ れる推定ア ミ ノ 酸
配列において、 転写活性化領域は 1 〜 5 9 位、 D N A結 合領域は 1 4 2 〜 3 2 1 位、 及びオ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン 領域は 3 5 9 〜 3 9 7位であ っ た。
一方、 p 5 1 B ク ロ ー ン は、 配列番号 5 に示すよ う に、 配列番号 4 で示さ れる ア ミ ノ 酸配列 ( 6 4 1 ア ミ ノ 酸) を コ ー ドする塩基配列 ( 1 9 2 3 ヌ ク レオチ ド) を、 ォ —プン · リ ーディ ング ' フ レーム と して 1 4 5 ~ 2 0 6 7 位に有する遺伝子を有 していた。 ま た、 こ の ク ロ ー ン が有する遺伝子の塩基配列によ り コ ー ドさ れる推定ァ ミ ノ 酸配列において、 転写活性化領域は 1 〜 5 9 位、 D N A結合領域は 1 4 2 〜 3 2 1 位、 及びオ リ ゴメ リ ゼー シ ヨ ン領域は 3 5 3 〜 3 9 7 位であ り 、 こ れは更に、 C末 端側の領域に付加的配列 ( S A M ドメ イ ン ) を有 してお り 、 当該付加的配列を含む 3 5 3 - 6 4 1 位の領域を広 義のオ リ .ゴメ リ ゼー シ ヨ ン領域とみる こ とができ る 。
本発明の p 5 1 A遺伝子でコ ー ドさ れる ア ミ ノ 酸配列 を P 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白のア ミ ノ 酸配列 と比較 し、 三者間の相同性を調べた (図 2 )。 なお、 図 中、 三者 間で同一のァ ミ ノ 酸を四角で囲んで示す。
ま た図 1 に、 p 5 1 A蛋白の構造的な ドメ イ ンの特徴 を、 p 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白 と と も に、 シ ェ ー マ的 に示す。 図中 「 T A」 は転写活性化領域、 「DNA bindin
g」 は D N A結合領域、 「oligo」 はォ リ ゴメ リ ゼ一 シ ヨ ン 領域をそれぞれ示す。 尚、 P 5 1 蛋白 と p 7 3 蛋白の 構造的特徴は P 5 3 蛋白の構造的な特徴から推測 した。
これ らの結果、 全配列、 転写活性化領域、 D N A結合 領域及びオ リ ゴメ リ ゼー シ ヨ ン領域における、 それぞれ の P 5 1 A蛋白、 p 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白の推定ァ ミ ノ 酸配列の相同性は、 p 5 1 A蛋白及び p 5 3 蛋白間 では、 それぞれ 3 6 %、 2 2 %、 6 0 %、 3 7 % ; p 5 1 A蛋白及び p 7 3 蛋白間では、 それぞれ 4 2 %、 3 0 %、 8 7 %、 6 5 % ; 更に p 5 3 蛋白及び p 7 3 蛋白間 では、 それぞれ 2 8 %、 2 7 %、 6 3 %、 8 3 %であ つ た (表 1 参照)。
また、 p 5 1 A蛋白の 4 4 8 ア ミ ノ 酸残基は、 p 7 3 α蛋白の 6 3 6 ア ミ ノ 酸残基よ り 短い も のの、 ρ 5 1 Α 蛋白の全構造は ρ 7 3 のカルボキシ末端部位が割裂 した 部分が類似 していた。
これ らの結果から、 ρ 5 1 Α蛋白の推定ア ミ ノ 酸配列 は、 p 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白のいずれと も類似 して いる ものの、 p 5 3 蛋白のア ミ ノ 酸配列よ り も P 7 3 /3 蛋白のア ミ ノ 酸配列に相同性が高 く 、 ま た p 5 1 A蛋白 と P 7 3 /S蛋白 との相同性は、 オ リ ゴメ リ ゼー シ ヨ ン領 域以外の領域で、 p 5 3 蛋白 と p 7 3 /3蛋白の相同性よ
り も 高い こ とが判明 した。 更に P 5 1 A蛋白及び p 7 3 /3蛋白 間では、 p 5 3 蛋白及び p 7 3 /3蛋白 間又は p 5 3 蛋白及び p 5 1 A蛋白 間で相同性がない領域において も、 相同性が認め られた。 こ れ らの こ と力、 ら p 5 1 A蛋 白 は、 ア ミ ノ 酸配列 レベルにおいて p 5 3 蛋白 よ り も P 7 3 ;3蛋白 に よ り 近似 している と いえ る 。
ま た、 同様に本発明の p 5 1 B遺伝子で コ ー ドさ れる ァ ミ ノ 酸配列を p 7 3 ひ 蛋白のァ ミ ノ 酸配列 と比較 し二者間 の相同性を調べた (図 3 )。 なお、 図において二者間で同 一のァ ミ ノ 酸を四角で囲んで示す。
ま た、 図 4 に p 5 1 ( A及び B ) 遺伝子によ っ て コ ー ド さ れる スプラ イ シ ン グ変異体の構造的な ド メ イ ンの特徴 を、 P 7 3 蛋白 及び /3 ) と と も に、 シ ェ ーマ的に示す。 ρ 5 1 A蛋白 と p 5 I B蛋白の分岐点はイ ン ト ロ ン 1 0 で 始ま っ てい る のに対 し、 ρ 7 3 α蛋白 と p 7 3 /3蛋白 の分 岐点はイ ン ト ロ ン 1 3 で始ま っ ていた。 実施例 2 正常 ヒ ト組織におけ る p 5 l m R N A発現の 確認
( 1 ) ノ ーザ ンプロ ッ ト 分析
正常 ヒ ト組織における P 5 l m R N Aの発現を、 ラ ン ダム · オ リ ゴヌ ク レオチ ド · プラ イ ミ ン グ法によ っ て標
識 した ヒ ト c D N A ク ロ ー ンをプロ ー ブとする ノ ーザ ン ブロ ッ ト 法に よ り 評価 した。
ノ ーザ ンブ ロ ッ ト 分析は、 製品使用法に従い、 ヒ ト M T Nブロ ッ 卜 (Human Multiple Tissue Nothern blot ; ク ロ ー ンテ ッ ク 社製、 ノ、0 口 ' ァノレ ト 、 カ リ フ オ ノレニァ、 米国) を用いて実施 した。
即ち、 実施例 1 で得 られた D N A ク ロ ー ン の P C R増 幅産物の E c o R I 断片 ( 6 0 0 b p : c D N Aの 5 ' 端に相当する ) を 〔 32 P 〕 — d C T P ( ラ ンダムプラ イ ム ド D N Aラ ベ リ ン グキ ッ ト 、 ベー リ ンガーマ ンノヽ ィ ム 社) によ り 標識 してプロ ーブと した。
なお、 ブロ ッ テ ィ ン グは、 ExpressHyb Hybridization Solution ( ク ロ ー ンテ ッ ク 社製) を用 いて、 使用説明書 に記載さ れて い る条件に従っ て行い、 BAS2000 ( FUJI ) を 用いて検出 し た。
結果を図 5 及び図 6 に示す。
なお、 図 5 は ク ロ ー ンテ ッ ク 社よ り フ イ ノレタ ーを購入 して行 っ た ノ ーザ ンハイ ブ リ ダィ ゼー シ ヨ ン、 図 6 は ク ロ ー ンテ ッ ク 社よ り R N Aを購入 して 自分でフ イ ノレタ ー を作製 して行 っ た ノ ーザ ンハイ ブ リ ダィ ゼ一 シ ヨ ン の結 果であ る。 図 5 は各 レー ン 2 g のポ リ A + R N A、 図 6 は各 レ ー ン 0 . 5 z g のポ リ A + R N Aを付 して泳動
した も のであ る 。
図 5 の各 レ ー ンは、 1 : 心臓、 2 : 脳、 3 : 胎盤、 4 : 肺、 5 : 肝臓、 6 : 骨格筋、 7 : 脾臓、 8 : 脬臓につ いての結果をそれぞれ表わす。 図 6 の各 レー ンは、 1 : 乳腺(mammary gland) ^ 2 : 前立腺( pros ta te )、 3 : 唾液 腺(salivary gland)、 4 : i (stomach), 5 : 胸腺(thym us)、 6 : 甲状腺(thyroid)、 7 : 気管(trachea), 8 : 子 宮(uterus)についての結果を示す。
その結果、 ヒ b p 5 1 遺伝子と命名 さ れた本発明の遺 伝子の m R N A ( 4.4kb) の発現は、 いた る と こ ろ に発現 する p 5 3 m R N Aの発現パタ ー ン と は対照的に、 む し ろ限定的であ り 、骨格筋において最 も高 く 発現 してお り 、 それに続いて胎盤ヽ tracheaヽ mammary glandヽ prostateヽ salivary gland、 thymus、 uterus、 stomach、 月 、 脳、 及 び心臓の順で高 く 発現 している こ とがわか っ た。 その他 の組織 (例えば、 adrenal gland, small intestine, sp inal cord, spleen) では p 5 1 m R N Aの発現は検出で き な力、 つ た。
p 7 3 遺伝子の発現 も組織限定的であ る 。 しか し、 p 5 1 遺伝子の発現は、 p 7 3 遺伝子の発現と重複 してい る ものの (同 じ組織で発現が見 ら れる )、 p 7 3 遺伝子よ り も広い範囲 に発現 してい る こ とがわか っ た。
こ の よ う に ヒ ト p 5 1 遺伝子、 p 5 3 遺伝子及び p 7 3 遺伝子は、 組織の発現分布に相違があ る こ とか ら 、 こ れ らの遺伝子は互いに類似 した生物活性を有 してい る に も係わ らず、 生体内において組織に応 じて異な る機能を 有 してい る可能性 も示唆さ れた。
ま た、 更な る研究によ っ て、 種々 の ヒ ト 組織にお ける p 5 1 m R N Aには、 p 7 3 蛋白 と 同様に、 p 5 1 A蛋 白を コ ー ドする短い フ ォ ー ム と p 5 1 B蛋白を コ 一 ドす る よ り 長いフ ォ ー ムの、 選択的スプラ イ ス さ れた形態 (a lternative splicing variant) 力 存在する こ と力、'わ力、つ た。 なお、 後者の p 5 1 B を コ ー ドする 長い フ ォ ー ム は、 舌のグルタ ミ ン酸 レセプタ ーに対する サーチによ っ て偶 然見つか っ た k e t と名づけ られ も の に相同性を有 して いた。 骨格筋におけ る 主な転写物であ る 3 k b の m R N Aが、 調べた全組織に観察さ れた最 も多い m R N Aであ つ た。 短いフ ォ ー ムの c D N A ク ロ ー ンは、 こ の転写物 に由来する も の と思われる 。 興味深い こ と に、 正常組織 で観察 さ れる m R N A と は対照的に、 腫瘍細胞系の多 く では こ の短い フ ォ ーム ( p 5 1 A ) の p 5 l m R N Aが 発現 していた。
p 5 1 蛋白 と p 7 3 蛋白の各 alter native splicing v ariantの構造の比較を シ ュ 一マ的に示す図を図 4 に示
す。 こ の p 5 1 B の m R N Aは、 p 7 3 ひ と類似する分 子量 (計算) を持つ蛋白質を コ ー ド していた。
p 5 1 A及び p 5 1 B の両方間の機能的な違いについ ては不明であ る 。 実施例 3 p 5 1 遺伝子の染色体マ ツ ビ ン グ
ラ ジェ一 シ ョ ン ノヽイ ブ' リ ッ ド ノヽ0ネノレ ( GeneBridge 4 R adiation Hybrid Panel; Research Genetics社リ を用い て、 p 5 1 遺伝子を ヒ ト 染色体上にマ ッ プ した。 その結 果、 p 5 1 遺伝子は、 マー カ 一 A F B M 3 2 7 Y D 9 と W I - 1 1 8 9 の間 (前者マー カ 一カヽ ら 5 . 6 6 c R )、 3 q 2 8 - terに局在 した。 実施例 4 種々 の ヒ ト癌細胞株と ヒ ト 腫瘍におけ る p 5 1 変異
p 5 1 遺伝子について最 も興味があ る の は、 p 5 3 腫 瘍抑制遺伝子が有する特徴を該 P 5 1 遺伝子が有する か どう か、 ま た該遺伝子の変異と ヒ ト腫瘍の形態形成 との 関係であ る 。
そ こ で、 各種腫瘍細胞株を用 いて、 p 5 1 遺伝子の変 異の有無を検索 した。 なお検索方法には、 以前本発明者 らが P 5 3 変異を決定する 際に用 いた、 酵母の独立ァ レ
ィ体の機能分析法(FASAY) を採用 した ( Ishioka et al.,
Nat. Genet.5, 124 - 129 ( 1933 )) 0
ヒ ト p 5 1 A遺伝子をコー ドする全配列に及ぶ相補的 な D N A断片を、 先の測定に使用 した P C Rによ っ て増 幅して、 p 5 1 A遺伝子をコー ドする全配列をカバーす る増幅断片の塩基配列を取得 し、 この塩基配列を直接配 列決定法によ り 決定し変異の有無を検出 した。
腫瘍細胞は 5 % C 0 2条件下で 1 0 %ゥ シ胎児血清添加 ダノレ べ ッ コのィ 飾,必須培地 ( Dulbecco' s Modified Esse ntial Media) 中で培養 した。 p 5 1 A c D N Aの全て は、 先の分析において p 5 3 c D N Aを増幅する こ と力 可能であ っ たので、 これによ つ て細胞株の c D N Aの品 質は保証された。
1 0 2 の細胞株の中から分析された 6 7 株が p 5 1 A D N A断片の増幅が可能であ っ た。 その う ちの 3 5 株に ついて、直接配列決定法によ っ て塩基配列が決定された。
頭頸部の癌細胞株の H o - 1 - u - 1 ( J C R B 0 8 2 8 )、 と頸部癌細胞株の S K G - IIIa( J C R B 0 6 1 1 ) の二つの細胞株に変異が認め られた。
前者は S e r 145から L e u 、 後者は G l n 1 65から L e u の変異であ っ た。 p 5 3 蛋白に関 しては、 前者は変 異型、 後者は ヒ トパピ口 一マウィルス感染によ っ て、 P
5 3 蛋白の正常機能が失われている こ とが推測さ れる。 ま た、 腫瘍細胞に由来する m R N Aには種々 の splicing ,a r i a n t力 存在 していた。
ヒ ト 原発腫瘍に関 して、 S S C P法及び R T — P C R 法によ り 得 られる D N A増幅産物の塩基配列を直接塩基 配列決定法に よ っ て決定 し、 p 5 1 A遺伝子変異を検索 した o neuroblastoma 8 fj ^ colon cancer8 例、 breast cancer 8 ^ lung cancer8 例、 brain tunior8例、 esop hagea 1 cancer8 例、 hepatocellular cancer8 例、 ane reas cancer 6例、 rena 1 cancer 4 例の計 6 6 例の ヒ 卜腫 瘍の う ち、 肺ガ ン 1 例において A 1 a 148力、 ら P r o への 変異を検出 した。
こ れ ら 3例の解析はいずれ も c D N Aの解析であ り 、 単一の染色対座か ら発現 してい る こ と は明 らかであ つ た。 実験例 1 5 1 形質転換によ る コ ロ ニー形成の抑制 p 5 3 蛋白 は G 1 期におけ る細胞をブロ ッ ク する 、 或 いはアポ ト 一 シ スを誘導する能力を持 っ てい る。
本発明の p 5 1 蛋白 について、 コ ロ ニー形成抑制能力 を調べる ために S A O S 2 骨肉腫細胞株 (寄託番号 : A T C C H T B 8 5 ) 中 にプロ マイ シ ン抵抗性の発現プ
ラ ス ミ K (pBABEpuro : Morgenstern J. Nuc. Acids Ru, 1 8, 3587, 1990)と共に p 5 1 A発現コ ン ス ト ラ ク ト 、 p 5 1 Aに H A標識 した発現コ ン ス ト ラ ク ト ( !! 標識 ー八丁 GTATCCATATGATGTTCCAGATTATGCT : ァ ミ ノ 酸配歹 lj MYPYDVPD YAを コ ー ドする )、 P 5 3 発現コ ンス ト ラ ク ト及びべク タ ーを コ · ト ラ ン ス フ ヱ ク ト し コ ロニー形成能を調べた。
なお各発現ベク タ ーは、 p 5 1 A D N Aの コ ー ド領域 断片 ( 2 8 1 6 塩基、 配列番号 2 において塩基番号 1 〜 2 8 1 6 番め)、 前記 5 1 八 c D N Aに H Aタ グを付 けた断片、 及び p 5 3 c D N Aの コ ー ド領域断片 ( 1 6 9 8塩基、 塩基番号 6 2 〜 1 7 6 0 番 目 ) を ク ロ ーニ ン グする こ と に よ っ てそれぞれ構築 した。 次いで、 骨肉腫 細胞株であ る S A O S 2 細胞を 5 % C 0 2条件下で 1 0 % ゥ シ胎児血清添加ダルべ ッ コ の修飾必須培地中で培養 し た。 6 c mシ ャ ー レ ( 1 X 1 0 6細胞 Zシ ャ ー レ ) に上記 S A 0 S 2 細胞を捲いて、 2 4 時間後に p 5 1 A c D N A鎖を含む野生型 p 5 1 発現べク タ 一 ( p R c C M V Z p 5 1 A ) で形質転換さ せた。 同様に p 5 1 A c D N A に H Aタ グを付けた H A p 5 1 A、 及び野生型 p 5 3 遺 伝子並びに、 コ ン ト ロ ーノレと して p R c C M V発現べク タ ーのみを形質転換さ せた。
1 g 0 pBABEpuro ·¾: Mamma 1 ian transf ection Kit ( ύ
trategene社 ) を用いて細胞に導入 した。 得 られた細胞を 固定 し、 ク リ ス タ ル ·バイ オ レ ツ ドで染色 した。 染色 した 細胞の コ ロ ニーを写真撮影 した。 各形質転換は各々 2 回 実施 し、 こ の よ う に して コ ロニー形成を分析 した。
その結果、 コ ロニー数の有意な減少が p 5 3 遺伝子並 びに P 5 1 遺伝子で形質転換 した細胞を培養 した皿内で 観察さ れ、 それ と は対称的にベク タ ーのみで ト ラ ンス フ ェ ク ト した細胞を培養 した皿には数多 く の コ ロニーが育 ていた。 こ の よ う に p 5 1 遺伝子に は コ ロニー形成を 抑制する能力が認め られたが、 P 5 3 遺伝子の能力 よ り もやや劣 っ ていた。 その一方で、 H Aタ グの付いた p 5 1 遺伝子は、 p 5 3遺伝子と 同等の コ ロ ニー抑制能力を 持 っ ていた (図 7 )。 実験例 2 p 5 1 蛋白の転写活性化機能試験
G 1 期にお け る細胞の阻止又はアポ ト ー シ ス の誘導に 対する P 5 3 蛋白の能力は p 5 3 蛋白の転写活性化機能 に依存 してい る こ と力ヽ ら、 p 5 1 蛋白 について、 それが そ の活性を発揮するかど う か試験 した。
p 5 3 転写活性化機能に よ っ て調節さ れる こ とが知 ら れている W a f 1 プロ モー タ ー と R G C (ribosomal gen e c 1 u s t e r )配歹 IJの下流にノレシ ラ ーゼ · リ ポー タ ー · プラ
ス ミ ド と共に p 5 1 A遺伝子の発現構築物を実施例 5 の 方法に準 じて導入 した。 具体的に は、 S A O S 2 細胞を、 上記ルシ フ ヱ ラ ーゼ · リ ポー タ ー ' プラ ス ミ ド と 、 p 5 1 A発現べク タ 一, p5 3 発現ベク タ ー又は コ ン ト 口 一ノレ ' ベク タ 一の いずれかと一緒に コ ' ト ラ ン ス フ ヱ ク ト し、 得 られた形質転換体か ら調製 した 1 y s a t e について ルシ フ ヱ ラ ーゼ活性を測定 した。 ノレ シ フ ヱ ラ 一ゼ活性は デュ アル — ノレ シ フ ェ ラ ーゼ ' リ ポ ー タ ー測定 シ ス テ ム (プ ロ メ ガ社製)を用いて形質転換効率を考慮 して算出 した。
図 8 に、 実験に用いた リ ポー タ ー構築物を シ ェ ー マ的 に示す。 該図 中に、 種々 の p 2 1 W A F 1 プロモー タ ー 下流に調節さ れた 3 つの蛍光ルシ フ ニ ラ ーゼ遺伝子構築 物力 示 さ れる 。 図中、 「WAF- 1 promoter luc」 は、 二つ の p 5 3 調節エ レ メ ン 卜 を残 している 野生型 p 2 1 W A F 1 プロ モー タ 一構築物、 「del 1」 は一つの上流エ レ メ ン ト が取 り 除かれてい る構築物、 及び 「del 2」 は 両ェ レメ ン ト が取 り 除かれてい る構築物をそれぞれ示す。 結果を図 9 及び図 1 0 にそれぞれ示す。 縦軸の Re la ti ve activityは、 デュ アノレ ー ノレ シ フ ェ ラ 一ゼ ' リ ポ ー タ ー 測定シ ス テ ムを用いて形質転換効率を考慮 して換算さ れ たルシ フ ヱ ラ 一ゼ活性であ る 。
図 9 は、 図 8 に示 した種々 の リ ポー タ ー構築物を有す
る各 p 5 1 発現プラ ス ミ ド ( p51A)、 p 5 3 発現プラ ス ミ ド(p53)ま た はべク タ ーのみ(Rc/CMV)のそれぞれを S A O S 2 細胞に導入 した際の transactivation活性を示す。 そ の結果か ら、 p 5 1 蛋白 には、 p 5 3 蛋白 と 同様に p 5 3 反応性配列の数依存的な発現を誘導する活性を有する こ とが示さ れた。
図 1 0 は、 p 5 3 反応性が実験的に示さ れている P G C リ ポー タ ー構築物を用 いて、 該 リ ポ ー タ ー構築物を有 する各 p 5 1 A発現プラ ス ミ ド ( p51A)、 p 5 1 Aに H A 標識 した発現プラ ス ミ ド ( HAp51A)、 p 5 3 発現プラ ス ミ ド (p53) ま たはべク タ 一 (RcCMV) を用 いて同様な実験 を行 っ た結果を示す。 その結果か ら、 図 9 に示 した実験 結果と 同様に、 p 5 1 A及び HAp51Aはいずれ も p 5 3 と 同 じ よ う に P 5 3 反応性配列の数依存的な発現を誘導す る 活性を有す る こ とが示 さ れた。 p 5 1 A発現プラ ス ミ ドを用いた場合に活性 弱いのは、 leader sequenceを付 加 したま ま発現ベク タ ー に組み込んだため、 発現量が少 ない も の と推定さ れる 。
その後の実験で leader sequenceを欠失させた と こ ろ、 p 5 1 A蛋白 は、 p 5 3 蛋白 よ り も強い発現誘導能を有 し、 前出の コ ロニー形成抑制能の点で も 強い活性を有す る こ とが判明 した。
上記の結果か ら 、 p 5 1 蛋白 は、 その転写調節領域を 通 して転写を誘導する能力を保有 していた。 該エ レ メ ン ト におけ る 変異誘導によ っ て転写活性が消失する こ と力、 ら P 5 1 蛋白 も p 5 3 蛋白 と 同一の認識配列を利用 して いる 可能性が示唆さ れた。
次に こ の転写関係が、 in V i voについて も言え る か どう かを確認 した。 H A付加工 ピ ト ープを持つ p 5 1 A遺伝 子の発現構築物を S A O S 2 細胞に短期に導入 した。 細 胞が p 5 1 A遺伝子を取 り 込むこ と力ヽ ら、 p 5 1 Aが核 内に局在する こ とが明 らかとな り 、 それ ら細胞全てが p 2 1 W a f 1 の レベルを上昇させる こ とが分力、 つ た。 こ の こ と は、 p 5 1 蛋白 も ま た、 p 5 3 蛋白 に よ っ て コ ン ト ロ ーノレさ れ る こ とが知 られてい る P 2 1 W a f 1 を誘 導でき る こ と を示唆する 。 実験例 3 初生腫瘍におけ る p 5 1 遺伝子変異
p 5 1 遺伝子の変異を 6 6 名の患者の初生癌細胞( 8 名 の神経芽腫、 8 名の大腸癌、 8 名の乳癌、 8 名の肺癌、 8 名の脳腫瘍、 8 名の食道癌、 8 名の肝細胞癌、 6 名の 脬臓癌、 及び 4 名の腎癌)を対象と して、 逆転写一 P C R 一本鎖構造ポ リ モルフ ィ ズム(R T — P C R — S S C P ) 法及び D N A配列決定法を用いて調べた。
1 12
115
( 1 ) R N Aの調製
新鮮腫瘍サ ンプルを外科的に摘出後、 直ちに凍結 し、 使用する まで一 8 0 °Cで保存 した。 R N Aはナカガワ ら の文献記載(Nakagawa, A., et al. , N. Engl. J. Med. , 328, 8 47 - 854( 1993 ))の方法で抽出 した。
( 2 ) R T - P C R - S S C P及び D N A配列決定
全 R N Aの 5 μ g を Superscript I I逆転写酵素(ギブコ — B R L社製)と ラ ンダム · プライ マ一を用いて c D N A に転写させた。 c D N Aの第 2 0 番目 の一つの c D N A を P C R 増幅のために使用 した。 P C R — S S C P はマ シャマ らの方法 ( Mashiyama S. et al. , Oncogene, 6 , 1 313-1318 (1991))に従っ て実施 した。 よ り 具体的には P C R産物を p 5 1 A c D N Aに対 して 3 つのプラ イ マー で増幅 した。
P C R に使用 したプライ マ一の塩基配列を以下に示 す。
P51-F1 : 5' -AAAGAAAGTTATTACCGATG-3'
P51-R1 : 5' -CGCGTGGTCTGTGTTATAGG-3'
P51-F2 : 5' -CATGGACCAGCAGATTCAGA-3'
p51-R2 : 5' -CATCACCTTGATCTGGATG-3'
P51-F3 : 5' -CCACCTGGACGTATTCCACT-3'
P51-R3 : 5' -TGGCTCATAAGGTACCAG-3'
P51-F4 : 5* -CATGAGCTGAGCCGTGAAT-3'
P51-R4 : 5' -TATCTTCATCCGCCTTCCTG-3'
P51-F5 : 5' -ATGAACCGCCGTCCAATT-3'
P51-R5 : 5' -GTGCTGAGGAAGGTACTGCA-3
P51-F6 : 5' -TGAAGATCAAAGAGTCCCTG-3
P51-R6 : 5' -CTAGTGGCTTTGTGCCTTTG-3 ついで、 ロ ーデ イ ン グ緩衝液で 1 : 1 0 に 3 2 P d C T P をに希釈 した。 更に 9 8 °Cで 5 分間変性させて、 室 温で 1 2 力、 ら 1 4 時間の間 2 0 0 ボノレ ト にて 5 % グ リ セ ロ ーノレと 5 % ポ リ ア ク リ ノレア ミ ド ·ゲル上にて分離 した。 電気泳動後、 ゲルは、 乾燥させて、 移動 したバ ン ドが具 体的に見え る よ う にな る ま で X線フ ィ ノレムに一晩露光さ せた。 変異の存在又は不存在を確認す る ために、 P C R 産物を p G E M— T イ ー ジー ' ベク タ ー(プロ メ ガ社 製)の中にサブ · ク ロ ーニ ング し、 続いて A B I 3 7 7 D N A シ ー ク ェ ンサ一を用いて配列決定を行 っ た。
その結果、 高度に分化 した扁平上皮細胞癌の系統に属 する肺癌の組織において、 p 5 1 A蛋白の推定 D N A結 合領域がア ミ ノ 酸置換 した点変異( 1 4 8 位の A 1 a が P r o に置換)が見つか っ た。 その腫瘍は、 前気管の リ ンパ 節転移 と胸膜の浸潤を示 していた。 無作為に選択 した 5
つの ク ロ ー ンの全てが同 じ変異を有 していた こ とか ら、 こ の腫瘍細胞が有する P 5 1 遺伝子は、 単一対立性遺伝 子であ るか又は単一対立性遺伝子的に発現さ れた も ので あ る可能性が示唆さ れた。 実験例 4 p 5 1 c D N A導入によ る ア ポ ト ー シ ス の誘 導作用
p 5 1 蛋白が、 p 5 3 蛋白 同様に、 細胞のアポ ト 一 シ スを誘導する かどう かについて検索 した。
p 5 1 蛋白 のアポ ト ー シ ス誘導試験は、 前述の本発明 者 らの方法、 つま り 細胞株を 3 2 °Cで培養 した時、 アポ ト 一 シ スの典型的な特徴を呈する ト ラ ン ジ ヱ ニ ッ ク ·マウ ス赤白血病細胞株( 1 一 2 - 3 細胞株)を用い る 方法に準 じて行 っ た ( Kato, M. V. , et al. , Int. J. Oncol. , 9, 269 (1 996))。
なお、 マ ウ ス赤白血病細胞株( 1 一 2 — 3 細胞株)は、 Friend spleen focus forming virus gp55;j 伝ナの 卜 フ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス 由来の erythroleukemia力、 ら樹立さ れ 〔 Xu et al. , Jpn. J. Cancer Res.86 :284-291 (1995) ; Kato et al. , Int. J. Oncol.9:269 - 277 温度感受性 ( t s) 変異 p 5 3 蛋白 ( Ala 1353 Val : 点変異) のみを発現す る細胞株であ る 。 当該 t s —変異 p 5 3 蛋白 は、 通常の
培養温度であ る 3 7 °Cでは細胞質内に局在 し、 p 5 3 分 子が本来核内で果たすべき制御機能が発揮さ れないが、 3 2 °Cでは核内に移行 して p 5 3 の活性が誘導 さ れる 〔 L evine, A. J. et al. , Nature 351: 453-456 (1991)〕。 こ の 細胞株では、 3 2 °Cで緩慢なアポ ト ー シスが誘導さ れる こ とが既に報告さ れてい る。
1 一 2 — 3 細胞を、 5 % C 02条件下で 1 0 %仔ゥ シ胎 児血清添加 R P M I 1 6 4 0 培地中 にて培養 した。 次 いで、 該細胞に p R c / C M Vを発現ベク タ ー と して、 p 5 1 A遺伝子を導入 し、 選択培地で培養 してネオマイ シ ン耐性 ( N e 0 r ) に基づいて、 G 4 1 8 耐性細胞を選 択 し、 p 5 1 A発現細胞でのアポ ト 一 シスについて検討 した。
すなわ ち、 p 5 1 A遺伝子を含む発現べク タ 一 ( p R c C M V / p 5 1 A ) で形質転換 した 2 つの p 5 1 A導 入 1 — 2 — 3 細胞 (以下 「 1 C 1 細胞」 及び 「 4 B 1 細 胞」 と い う )、 及び対照 と してべク タ 一だけを導入 し、 P 5 1 A遺伝子を含ま ない 1 一 2 - 3 細胞 (以下、 「 1 一 2 一 3 細胞」 とい う ) を、 それぞれ 1 X 1 0 5/ m 1 の濃度 で 1 0 c m径のプ レー ト に植え、 3 7 °( と 3 2 °( の 2 っ の条件下で、 2 4 時間培養後、 細胞を回収 した。 該細胞 を Proteinase K及び R NaseA処理によ っ て D N Aサ ンプ
ノレと し、 得 られた D N Aサ ンプルをァ ガ ロ ー ス電気泳動 した。 そのェチ ジ ゥ ムブ口 マイ ド染色像を図 1 1 に示す。
図力、 らゎ力、る よ う に、 3 7 °Cでの培養では、 1 — 2 — 3 細胞については D N A断片を検出する こ と はでき なか つ た ( レー ン 1 ) が、 p 5 1 A遺伝子が導入さ れた 1 C 1 細胞及び 4 B 1 細胞については、 1 8 0 b p オ リ ゴマ —への D N A断片化が検出でき た ( レ ー ン 2 及び 3 )。
3 2 °Cでの培養では、 1 — 2 — 3 細胞の D N A断片化 が検出 さ れる と と も に ( レー ン 4 )、 1 C 1 細胞及び 4 B 1 細胞での D N A断片化が促進さ れた ( レー ン 5及び
6 )。 こ の結果は、 以下の述べる アポ ト ー シスの形態観察 の結果及び P 5 1 導入細胞の増殖抑制 ( 3 2 °C、 3 7 °C ) の結果と一致する ものであ っ た。
細胞のァポプテ ィ ッ ク な形態的変化の有無は、 各細胞 をグラ ス · ス ラ イ ドに固定 し、ギムザ染色にて染色 して、 細胞形態及び染色の程度を顕微鏡で観察する こ と に よ り 行っ た。 なお、 細胞の生存数は、 ト リ ノ、。ンブルー染色に て染色 し、 細胞の生存数カ ウ ン ト して求めた。
その結果、 3 2 °Cで培養 した細胞は、 細胞表面上の突 起物を持ち、 縮み、 歪曲又は く びれた形態を呈 していた。 ま たギムザ染色細胞標本において、 核膜の周囲又は細胞 内の集塊内のいずれかに ク ロ マチ ン凝縮が観察さ れた。
一方、 3 7 °Cで培養 した細胞について は、 こ の よ う な形 態変化は観察さ れなかっ た。
ま た、 3 2 °Cでの培養 2 4 時間内ではアポ ト 一 シ ス に よ り 死滅する細胞と 、 セルサイ ク ルを継続 して増殖する 細胞が混在 し、 p 5 1 発現細胞の 2 4 時間後の細胞数は 1 0 5Z m l で、 1 — 2 — 3 細胞の細胞数は 1 . 7 x 1 0 5 / m 1 でめ っ た。
以上の こ とか ら、 温度 3 2 °Cで処理 した p 5 1 遺伝子 含有細胞は、 p 5 3 と共同 して急激なアポ ト ー シ スを起 こ した こ とが確認さ れた。 こ の こ と力、 ら p 5 1 蛋白 は、 P 5 3 蛋白 同様、 有意にアポ ト ー シスを誘導する こ とが 確認さ れた。 実験例 5
ヒ ト p 5 1 B蛋白の C末端領域 (ア ミ ノ 酸配列の 5 7 0 〜 6 4 1 位の領域) の特異抗体を作成 し、 ヒ ト細胞の 免疫染色を行 っ た。
すなわち、 ヒ ト p 5 1 B D N Aの当該コ ー ド領域 (塩 基配列 1 8 5 1 - 2 0 6 位の領域) を G S T融合蛋白発 現べク タ 一 p G E X — Ι λ Τ ( フ ァ ノレマ シア社) に連結 し、 大腸菌にて融合蛋白を合成 した。 こ の融合蛋白 を用 いて、 常法に従い、 B A L B Z C マ ウ スを用いて抗血清
(ポ リ ク ローナル抗体) を調製 し、 G S T蛋白で吸収 し て、 p 5 1 B蛋白の C末端領域の特異抗体を取得 した。
上記抗体を ヒ ト皮膚組織凍結切片と第 1 次反応させ、 次いで蛍光標識ャギ抗マウス I g G抗体と第 2 次反応さ せた。
その結果、 当該抗体は、 ヒ ト皮膚の棘細胞層から基底 層にかけての細胞の核を特異的に染色 した。 こ の特異性 は、 上記融合蛋白によ る処理がこの反応を消去 し、 G S T蛋白によ る前処理ではこの反応を消去 し得なかっ たこ とで確認された。 産業上の利用可能性
本発明の遺伝子は、 腫瘍抑制遺伝子と して知られてい る P 5 3 遺伝子の関連遺伝子と位置づけ られる。 これら の遺伝子によれば、 各細胞での発現レベルや機能を解析 でき、 またその発現物の解析等によ っ て、 これらが関与 する疾患 (例えば悪性腫瘍等) の病態解明や診断、 治療 等が可能にな る ものと考え られる。
また、 本発明遺伝子は神経系で発現される P 7 3 と対 比して、 腺組織 (前立腺、 乳腺)、 筋組織、 並びに胸腺な どの免疫系に発現し、 これらにおける異常に関与する可 能性があ り 、 これ らの制御物質の開発に貢献する ものと
考元 られる 。
本発明に よれば、 細胞増殖抑制遺伝子 と して有用な新 規 ヒ ト P 5 1 遺伝子が提供さ れる 。 本発明の新規遺伝子 は、 p 5 3 蛋白又は p 7 3 蛋白を コ ー ドする遺伝子と類 似性を有する 。 こ のため、 解析さ れた こ れ らの関連遺伝 子の機能と各種疾患 との係わ り についての研究に利用で き、 各種疾患への遺伝子診断並びに該遺伝子の医薬用途 への応用研究に用い る こ とが可能であ る 。 ま た、 本発明 の遺伝子を利用する こ と に よ り 、 各種 ヒ ト組織での該遺 伝子の発現状況が調べ られ、 ヒ ト 生体内 におけ る その機 能を解析する こ とが可能 とな る 。
ま た、 該遺伝子によれば、 該遺伝子がコ ー ドする ヒ ト P 5 1 蛋白を遺伝子工学的に大量に製造する こ とができ る 。 すなわち本発明の遺伝子の提供に よれば、 その遺伝 子及び遺伝子断片を発現ベク タ ーに組み込み、 リ コ ン ビ ナ ン ト ヒ ト P 5 1 蛋白を作製 し、 p 5 1 蛋白活性や p 5 1 蛋白の結合活性等の機能を調べる こ とができ る 。
ま た p 5 1 蛋白 は、 P 5 1 遺伝子及びその産物が関与 する疾患 (例えば、 細胞の転写活性に関連する疾患や、 アポ ト ー シス に関連する 各種疾患等、 特に癌) の病態解 明や診断、 治療等に有用であ る 。
p 5 1 蛋白 は、 p 5 3 と 同様な生理学的作用又は機能
を有 し、 例えばウ ィ ルス感染、 サイ ト カ イ ン刺激、 低酸 素状態、 ヌ ク レオチ ドプールの変化、 薬物に よ る代謝異 常等と い っ た各種生体ス ト レ スが生体組織に及ぶと 、 他 の蛋白質 との相互作用 に よ る シ グナル伝達や他の遺伝子 の転写制御な どの機能を生ぜ しめ、 生体ス ト レ スを受け た生体組織の細胞の D N Aの複製を調節 した り 、 細胞周 期を停止さ せて細胞を修復する か、 ア ポ ト ー シスに よ り 細胞を排除するか、 或いは細胞の分化を促進 した り する こ とで生体組織をス ト レ スか ら防御す る こ と に寄与 して い る と予想さ れる 。
本発明 によれば、 ヒ ト p 5 1 遺伝子又はそのア レル体 を含有する遺伝子治療に有用な遺伝子導入用べク タ 一, 該 P 5 1 遺伝子又はそのア レル体が導入さ れた細胞及び 該ベ ク タ ー又は細胞を有効成分 とする遺伝子治療剤、 並 びにその利用 によ る遺伝子治療法等が提供さ れる 。
ま た本発明 によれば、 各種癌細胞の成長抑制作用を有 し、 該作用 に よ る各種癌の疾患及び病態の処置等に使用 さ れる P 5 1 蛋白を有効成分 とす る 医薬 も提供する こ と ができ る 。
なお、 ヒ 卜 の p 5 1 遺伝子とマ ウ スの 当該遺伝子の機 能的領域は、 T A領域の 3 個のア ミ ノ 酸以外の全て同一 で、 高度の保存性を示 してお り 、 その重要性が示唆さ れ
る (両者の塩基配列の対比を図 1 2 〜 1 4 並びに図 1 5 に示す。)。