JP2001078772A - Lunx遺伝子及び癌微小転移の検出法 - Google Patents

Lunx遺伝子及び癌微小転移の検出法

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JP2001078772A
JP2001078772A JP25318699A JP25318699A JP2001078772A JP 2001078772 A JP2001078772 A JP 2001078772A JP 25318699 A JP25318699 A JP 25318699A JP 25318699 A JP25318699 A JP 25318699A JP 2001078772 A JP2001078772 A JP 2001078772A
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lunx
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Morihito Kadota
守人 門田
Yoshiyuki Fujiwara
義之 藤原
Takashi Watanabe
隆司 渡邉
Koichi Ozaki
浩一 尾崎
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】例えば癌の微小転移を検出するためのマーカー
などとして有用な癌関連遺伝子を提供。 【解決手段】(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配
列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび
(b)上記ポリヌクレオチドに対して少なくとも95%
の相同性を持つポリヌクレオチドを含む遺伝子;該遺伝
子によりコードされる蛋白質、その特異抗体;該抗体を
有効成分とする医薬組成物;上記遺伝子を利用した癌診
断剤、癌微小転移診断剤、それらのキット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肺組織に特異的に
発現している新規遺伝子、より詳しくは、正常肺組織よ
りも腫瘍肺においてその発現量が高く、また正常末梢血
または正常リンパ節においては発現が認められず、従っ
て肺ガンリンパ節内の微小転移を高感度に検出すること
ができる新しい遺伝子に関する。
【0002】また、本発明は、かかる遺伝子によってコ
ードされる新規な蛋白質及びその特異抗体;該抗体を有
効成分とする医薬組成物、特に抗腫瘍剤または癌転移抑
制剤;上記遺伝子またはそのcDNA断片を利用した癌
診断剤、癌微小転移診断剤、それらのキット;およびこ
れらを用いる癌の悪性度の判定法にも関する。
【0003】更に、本発明は、上記遺伝子のポリヌクレ
オチド配列、これを有効成分とする医薬組成物、癌診断
剤にも関する。
【0004】
【従来の技術】癌細胞は原発巣部位から放出され、血流
やリンパ系を経由して広がり、遠方の臓器に微小転移の
貯蔵所を形成する。従って、癌は一般に全身性疾患と考
えられている。またそれ故に、原発腫瘍の根治的切除に
もかかわらず、疾患の再発と逆戻りがみられ、これが臨
床腫瘍学の分野における主要な問題となっている。
【0005】肺非小細胞癌を例にとれば、そのステージ
Iの疾患をもつ患者(組織検査でリンパ節転移が認めら
れない患者)のおよそ四分の一は、根治的手術後の腫瘍
再発によって死亡する(Martini,N., et al., J. Thora
c. Cardiovasc. Surg., 109,120-129 (1995))。この事
実は、外科手術時に微小転移の発生は通常の組織学的な
分析では検出することができないことを示している。
【0006】最近の研究より、PCR技術の利用を伴う
分子診断が、種々のタイプの癌患者における分子レベル
での微小転移の検出のための、最も可能性のある方法で
あるということができる(Raj-GV., et al., Cancer, 8
2, 1419-1442 (1998))。
【0007】しかしながら、PCR分析は、現在、特に
肺癌のような特異的な癌細胞を検出するためのマーカー
遺伝子の検出に限定利用されるのみである。それゆえ
に、特異的な癌型と密接に関連したマーカー遺伝子の解
明乃至特定は、選択性と特異性をもつ可能性のある分子
診断技術の確立に大きく貢献することが予測される。
【0008】ディファレンシャルmRNAディスプレイ
技術は、種々の細胞や細胞株の間で異なって発現した遺
伝子の特定のためのユニークで力強いツールである(Pen
g, L. and Pardee, A.B.,Science, 257, 961-971 (19
92))。このアプローチによって、本発明者らはある特定
の組織に限局して発現する幾つかの新規な遺伝子を既に
単離している(Ozaki, K., Genomics, 36, 316-319 (199
6): Ozaki, K., et al., Cancer Res., 58, 3499-3503
(1998): Ozaki, K., et al., Genes Chrom. Cancer, 2
2, 179-185 (1998): Fukuda, S., et al., Jpn. J. Can
cer Res., 88, 725-731 (1997))。
【0009】近年、RT−PCR分析が、循環血液中に
おいて、または腫瘍がある患者のリンパ節において、癌
細胞を検出できる超高感度な方法として広く研究されて
きている。特異的な臓器や癌細胞中に限定されるmRN
Aの発現物としての分子マーカーは、癌の種々のタイプ
をもつ患者における微小転移の存在を試験するためのR
T−PCR増幅の標的として利用できる。かかる転移を
予測するための複合マーカー−RT−PCR分析の開発
及び腫瘍に対するより厳密な特定のマーカーまたは組織
特異的形態において厳密に発現される特定マーカーの発
見、開発が、当業界で所望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
癌の微小転移を検出するためのマーカーとして有用な新
しい癌関連遺伝子を提供することにある。
【0011】本発明者らは、ディファレンシャル・ディ
スプレイ分析によって、その遺伝子の発現が肺と肺非小
細胞癌組織に限局されている新規なヒト遺伝子の単離、
同定に成功した。また、本発明者らは、上記遺伝子の転
写体が肺非小細胞癌をもつ患者の微小転移を検出するた
めのRT−PCR分析の標的(マーカー)分子として評
価できることを見出し、更に、このマーカーを利用した
上記RT−PCR分析が、肺非小細胞癌をもつ患者にお
いて、転移により広まった癌細胞の検出のための可能性
ある診断ツールとして有用であることを確認した。本発
明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の
(a)または(b)のポリヌクレオチドを含む遺伝子が
提供される: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド、(b)配列番号:
1で示されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドに対して少なくとも95%の相同性を
持つポリヌクレオチド。
【0013】また、本発明によれば、以下の(a)また
は(b)のポリヌクレオチドからなる遺伝子が提供され
る。 (a)配列番号:2で示される塩基配列、(b)上記
(a)の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチ
ド。
【0014】殊に、本発明によれば、配列番号:1で示
されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを含む遺伝子、特にヒト遺伝子である当該遺
伝子が提供される。本発明遺伝子の一例の塩基配列は、
配列番号:3に示されるとおりであり、以下、この配列
番号:3で示される塩基配列の本発明遺伝子を「LUN
X」遺伝子という。
【0015】更に、本発明によれば、上記本発明遺伝子
の発現産物;該遺伝子を有する組換え体発現ベクター;
該組換え体発現ベクターを有する宿主細胞;本発明遺伝
子の少なくとも10または30の連続するヌクレオチド
配列を含むポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチド
・プローブ;本発明遺伝子またはその少なくとも10ま
たは30の連続するヌクレオチド配列を含むアンチセン
ス鎖ヌクレオチド;該オリゴヌクレオチド又はこれを保
有するベクターを有効成分とする遺伝子治療剤特に癌転
移抑制剤、または医薬組成物、特に抗腫瘍剤;上記ヌク
レオチド・プローブを有効成分とする癌診断剤、癌微小
転移診断剤;かかる診断剤のための上記プローブを含む
キット;および上記プローブを用いて癌の悪性度を判定
する方法が提供される。
【0016】更に、本発明によれば、本発明遺伝子を用
いるアゴニスト、アンタゴニスト、インヒビターのスク
リーニング方法が提供される。
【0017】更に、本発明によれば、本発明遺伝子の相
同物であって、イヌ、サル、マウス、ラット、ウマ、ブ
タ、ヒツジ及びネコから選ばれる哺乳動物の遺伝子相同
物が提供される。
【0018】更に、本発明によれば、本発明遺伝子の発
現産物に結合性を有する抗体又はその断片、およびこれ
らを有効成分とする医薬組成物、特に抗腫瘍剤および癌
転移抑制剤が提供される。
【0019】以下、本明細書におけるアミノ酸、ペプチ
ド、塩基配列、核酸等の略号による表示は、IUPAC
−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biologi
calNomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (198
4)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作
成のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該分野に
おける慣用記号に従うものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明遺伝子の一具体例として
は、後述する実施例に示される「LUNX」と名付けら
れたPCR産物のDNA配列から演繹されるものを挙げ
ることができる。その塩基配列は、配列番号:3に示さ
れるとおりである。
【0021】該遺伝子は、配列番号:1に示される25
7アミノ酸配列の新規な肺特異的蛋白質(LUNX蛋白
質という)をコードするヒトcDNAであり、全長10
15塩基からなっている。
【0022】PROSITEデータベース(Bairoch,
A., PROSITE: 蛋白における部位とパターンの辞書(Nucl
eic Acids Res., 19, 2241-2245 (1991)を用いて推定さ
れたLUNX蛋白質に対するモチーフ検索は、該LUN
X蛋白質がN末端でシグナル・ペプチド(1-19番目の配
列)を含んでいることを示した。本発明LUNX遺伝子
でコードされる推定されたLUNX蛋白質は、BLAS
TによるGenBank/EMBLデーターベースの検索(Altschul,
S.F., et al., J. Mol. Biol., 215, 403-410(1990))
の結果、Mus musclusの未知蛋白質(accession number;
AAB63256)に対して66%の高い相同性を有することが確
認された。
【0023】前記したようにRT−PCR分析が循環血
液中又は腫瘍がある患者のリンパ節において癌細胞を検
出することができる超高感度な方法として広く研究され
ており、特異的な臓器に対してや癌細胞の中に限定され
るmRNAの発現である分子マーカーは、種々のタイプ
の癌患者における微小転移の存在を試験するためのRT
−PCR増幅の標的とされている。
【0024】肺非小細胞癌に対してと同じく、MUC1
またはCEAmRNAに対して特異的なRT−PCR
が、患者のリンパ節や末梢血標本における微小転移を検
出可能とするという2、3の報告がなされている(Casta
ldo, G., et al., J. Clin. Oncol., 15, 3388-3393 (1
997): Salerno, C.T., et al., Chest, 113, 1526-1532
(1998))。しかしながら、CEAとMUC−1転写物に
対する特異的なプライマーを使用するRT−PCRアッ
セイの特異性は、PCR増幅の上昇した感受性をもつ正
常リンパ節と正常血液細胞における偽陽性の存在がある
ので制限される(Bostick,P.J., et al., J. Clin. Onco
l., 16, 2632-2640 (1998))。さらに遺伝子発現と単一
遺伝子マーカーをもつRT−PCRアッセイにおいて、
ヘテロジナスであることが示されている腫瘍が、異なる
腫瘍の微小転移に対する安定な検出感受性をもつには、
不十分であると考えられる(Hoon, D.S., et al., J. Cl
in.Oncol., 13, 2109-2116 (1995))。これらの証拠よ
り、転移を予測するための複合マーカー−RT−PCR
アッセイの開発は非常に重要であり、また特定の腫瘍に
対するより厳格なマーカーまたは組織特異的形態におい
て厳格に発現したマーカーが要望される。
【0025】本発明者らは、12の異なった種類のヒト
組織からのRNAとディファレンシャル・デイスプレイ
分析によって、mRNAの発現が肺組織に厳密に限定さ
れるLUNXと命名した新規な遺伝子を単離した。
【0026】また、31例の原発性肺非小細胞癌につい
てRT−PCRアッセイを行って、LUNXmRNAの
発現を確認した。
【0027】さらに、半定量的RT−PCRアッセイに
よって、LUNXの発現が対象とした正常肺組織におい
てより、腫瘍の多くにおいてより高まることを確認し
た。発現の欠失が、16例の正常リンパ節と31例の正
常末梢血リンパ球において確認された。これらの結果
は、LUNXmRNAが肺非小細胞癌における微小転移
を検出するための、RT−PCRアッセイのひとつの分
子マーカーであることを指摘している。
【0028】本発明LUNX遺伝子の全部または一部
は、本発明遺伝子の発現産物(LUNX蛋白質)に結合
性を有する抗体の製造、並びに該抗体を用いる診断に利
用できる。
【0029】更に本発明遺伝子の提供によれば、遺伝子
配列のアンチセンス断片またはこれを含むベクターを得
ることができ、これらの利用によれば、癌微小転移の抑
制や癌の進展を抑制することもできる。
【0030】本発明遺伝子の全部または一部は、またプ
ローブとして利用できる。該利用により、癌の診断、特
に肺非小細胞癌の微小転移の診断が実施できる。また該
プローブは、かかる診断用キットの一部として利用でき
る。
【0031】本発明遺伝子またはその発現産物の利用に
よれば、LUNX蛋白質に対するアゴニスト、アンタゴ
ニスト、インヒビターのスクリーニングを行うことがで
きる。
【0032】本発明において、遺伝子とは、2本鎖DN
Aのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセン
ス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨である。ま
たその長さは何ら制限されない。従って、本発明の遺伝
子(DNA)には、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNA
を含む2本鎖DNA及びcDNAを含む1本鎖DNA
(センス鎖)並びに該センス鎖と相補的な配列を有する
1本鎖DNA(アンチセンス鎖)およびそれらの断片の
いずれもが含まれる。
【0033】本発明遺伝子(DNA)は、またリーダ配列、
コード領域、エキソン、イントロンを含むことができ
る。ポリヌクレオチドには、RNA、DNAが包含され
る。該DNAは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA
が含まれる。ポリペプチドには、その断片、同族体(ホ
モログ)、誘導体、変異体が含まれる。上記変異体に
は、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変
異体、欠失、置換、付加、および挿入によって改変され
たアミノ酸配列を有する変異体、同一の機能を有する改
変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。
【0034】尚、これらアミノ酸配列の改変(変異な
ど)は、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾
等により生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例え
ば本発明の具体例遺伝子)を利用して人為的にこれを行
なうこともできる。
【0035】上記変異体は、変異のないポリペプチド
と、少なくとも70%、好ましくは80%、より好まし
くは95%、さらにより好ましくは97%相同なもので
あることができる。
【0036】また、上記ポリペプチドは、変異体、ホモ
ログなどを含めていずれも共通に保存する構造的な特徴
があり、本発明遺伝子発現産物の生物活性、例えば癌転
移促進活性(腫瘍転移促進活性)を有している。なおポリ
ペプチドの相同性は配列分析ソフトウェア、例えばFA
STAによるSWISSPROTデータベースの検索に
よって確認することができる。
【0037】上記変異体をコードする遺伝子は、アミノ
酸置換についてサイレントまたは保存されている。即
ち、塩基配列によってコードされるアミノ酸残基は変ら
ない。保存的な置換アミノ酸残基、即ち、元のアミノ酸
残基を他のアミノ酸残基に置換しても元のアミノ酸残基
のポリペプチドの活性が保存されているであろう置換ア
ミノ酸残基は、以下に示されているとおりである: 元のアミノ酸残基 保存的な置換アミノ酸残基 Ala Ser Arg Lys Asn Gln, His Asp Glu Cys Ser Gln Asn Glu Asp Gly Pro His AsnまたはGln Ile LeuまたはVal Leu IleまたはVal Lys Arg, Alnまたは Glu Met LeuまたはIle Phe Met, LeuまたはTyr Ser Thr Thr Ser Trp Tyr Tyr TrpまたはPhe Val IleまたはLeu また、システィン残基(Cys)は、これを他のアミノ酸残
基、例えばセリン残基(Ser)、アラニン残基(Ala)、バリ
ン残基(Val)などに置換することが可能である。
【0038】ポリペプチドを構成するアミノ酸残基の置
換の際に、該置換によって得られるポリペプチドの特性
が好ましく変化すると一般的に期待されるものは、例え
ば以下のものである: a) 親水性残基、例えばSerまたはThrの疎水性残基、例
えばLeu、Ile、Phe、ValまたはAlaへの置換、 b) CysまたはProの、他の各種アミノ酸への置換、 c) 電気的陽性側鎖を有しているアミノ酸残基、例えばL
ys、Arg、Hisの、電気的陰性残基、例えばValまたはAsp
への置換、 d) 大きな側鎖を有している残基、例えばPheの、Glyの
ような側鎖を有しないアミノ酸残基への置換。
【0039】以上のとおり、本発明遺伝子及びその遺伝
子産物の提供は、肺、結腸、食道、肝細胞等の各種癌、
特に肺ガン、なかでも肺非小細胞癌の解明、微小転移把
握、微小転移の診断、予防及び治療等に極めて有用な情
報乃至手段を与える。また、本発明遺伝子は、上記各種
癌の処置に利用される本発明遺伝子の発現を抑制する新
薬の開発の面でも好適に利用できる。更に、個体或は組
織における本発明遺伝子の発現又はその産物の発現の検
出や、該遺伝子の変異(欠失や点変異)乃至発現異常の
検出は、上記各種の癌の解明や診断において好適に利用
できる。
【0040】本発明遺伝子は、具体的には配列番号:1
で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号:2の塩
基配列を含む遺伝子、例えば配列番号:3で示される塩
基配列を有する遺伝子(LUNX遺伝子)、または該配列
番号:2で示される塩基配列またはその相補鎖を含むポ
リヌクレオチドからなる遺伝子として示されるが、特に
これらに限定されない。例えば、本発明遺伝子は、上記
特定のアミノ酸配列において一定の改変を有するアミノ
酸配列をコードする遺伝子や、上記特定のアミノ酸配列
と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝
子や、これら遺伝子の塩基配列と一定の相同性を有する
塩基配列の遺伝子であることができる。上記特定のアミ
ノ酸配列や塩基配列に対して、一定の相同性とは、例え
ば少なくとも70%以上、好ましくは90%以上、より
好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上の相
同性であることができる。本発明はかかる相同性を有す
る相同物(遺伝子相同物及び蛋白相同物)を包含する。
【0041】本発明遺伝子には、また「配列番号:1に
示されるアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ
酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列(改変さ
れたアミノ酸配列)からなるポリペプチドをコードする
遺伝子」も包含される。ここで、「アミノ酸の欠失、置
換または付加」の程度およびそれらの位置などは、改変
されたアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号:1で
示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(LUNX
蛋白質)と同様の生物学的な機能を有する同効物であれ
ば、特に制限されない。ここで「同様の機能」とは、癌
転移促進活性または腫瘍転移促進活性を例示できる。ま
た、上記改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
をコードする遺伝子は、その利用によって改変前のアミ
ノ酸配列をコードする本発明LUNX遺伝子が検出でき
るものであってもよい。
【0042】さらに本発明のLUNX遺伝子の相同物
(および該遺伝子産物の相同物)とは、本発明LUNX遺
伝子(またはその遺伝子産物)と配列相同性を有し、構造
的特徴、遺伝子発現パターンにおける共通性、上記した
ようなその生物学的機能の類似性などにより、ひとつの
遺伝子ファミリーと認識される一連の関連遺伝子(およ
びその発現産物)を意味する。これには本発明LUNX
遺伝子のアレル体(対立遺伝子)も当然含まれる。
【0043】前記アミノ酸配列の改変(変異)は、天然
において、例えば突然変異や翻訳後の修飾などにより生
じることもあるが、天然由来遺伝子(例えば本発明LU
NX遺伝子)に基づいて人為的に改変することもでき
る。本発明遺伝子にはかかる改変遺伝子の全てが包含さ
れる。かかる改変のための人為的手段としては、例え
ば、サイトスペシフィック・ミュータゲネシス〔Method
s in Enzymology, 154, 350, 367-382 (1987);同 100,
468 (1983);Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);
続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会
編, p105 (1986)〕などの遺伝子工学的手法、リン酸ト
リエステル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段
〔J. Am. Chem. Soc., 89, 4801 (1967);同 91, 3350
(1969);Science, 150, 178 (1968);Tetrahedron Let
t., 22, 1859 (1981);同 24, 245 (1983)〕およびそれ
らの組合せ方法などが例示できる。
【0044】より具体的には、DNAの合成は、ホスホ
ルアミダイト法またはトリエステル法による化学合成に
よることもでき、市販されている自動オリゴヌクレオチ
ド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片は、相補
鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニーリングさ
せるか、または適当なプライマー配列と共にDNAポリ
メラーゼを用い相補鎖を付加するかによって、化学合成
した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0045】本発明遺伝子の具体的態様としては、配列
番号:3に示される塩基配列を有する遺伝子を例示でき
る。この塩基配列中のコーディング領域は、配列番号:
1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を示すコド
ンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺伝子は、
かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限らず、各アミ
ノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選択した塩基
配列を有することも可能である。コドンの選択は、常法
に従うことができ、例えば利用する宿主のコドン使用頻
度などを考慮することができる〔Ncleic Acids Res.,
9, 43 (1981)〕。
【0046】また、本発明遺伝子は、前記のとおり、配
列番号:2に示される塩基配列と一定の相同性を有する
塩基配列からなるものも包含する。
【0047】上記相同性は、配列番号:2に示される塩
基配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なく
とも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%
の同一性を有するポリヌクレオチドおよびその相補鎖ポ
リヌクレオチドを言う。
【0048】かかる遺伝子としては、例えば、0.1%
SDSを含む0.2×SSC中50℃又は0.1%SD
Sを含む1×SSC中60℃のストリンジェントな条件
下で配列番号:2に示される塩基配列からなるDNAと
ハイブリダイズする塩基配列を有する遺伝子を例示する
こともできる。
【0049】本発明遺伝子は、本発明により開示された
本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、
一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得するこ
とができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring H
arbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子
研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0050】具体的には、本発明遺伝子が発現される適
当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調
製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当
なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択すること
により実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 7
8, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
【0051】上記において、cDNAの起源としては、
本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに
由来する培養細胞などが例示される。また、これらから
の全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの
取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実
施することができる。また、cDNAライブラリーは市
販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライ
ブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.In
c.)などより市販されている各種cDNAライブラリー
などを用いることもできる。
【0052】本発明の遺伝子をcDNAライブラリーか
らスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の
方法に従うことができる。
【0053】具体的には、例えばcDNAによって産生
される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した
免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローン
を選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合する
プローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コ
ロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せな
どを例示できる。
【0054】ここで用いられるプローブとしては、本発
明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合
成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得
された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。ま
た、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセン
ス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリー
ニング用プローブとして用いることもできる。
【0055】前記プローブとして用いられるヌクレオチ
ド配列は、配列番号:2に対応する部分ヌクレオチド配
列であって、少なくとも10個の連続した塩基、好まし
くは20個の連続した塩基、より好ましくは30個の連
続した塩基、最も好ましくは50個の連続した塩基を有
するものもであることができる。また、配列番号:2で
示されるオリゴヌクレオチド配列を有する陽性クローン
それ自体をプローブとして用いることもできる。
【0056】本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR
法〔Science, 230, 1350 (1985)〕によるDNA/RN
A増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから
全長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE
法〔Rapid amplification ofcDNA ends;実験医学、12
(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohma
n, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998
(1988)〕などの採用が好適である。
【0057】かかるPCR法の採用に際して使用される
プライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の
遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法
に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断
片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例
えばゲル電気泳動法などによればよい。
【0058】また、上記で得られる本発明遺伝子或いは
各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサ
ム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499
(1980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエン
スキットなどを用いて、その塩基配列を決定することが
できる。
【0059】このようにして得られる本発明の遺伝子に
よれば、例えば該遺伝子の一部又は全部の塩基配列を利
用することにより、個体もしくは各種組織における本発
明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することができ
る。
【0060】かかる検出は常法に従って行うことがで
き、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polyme
rase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplif
ication of RNA. In PCR Protocol, A Guide to method
s and applications, AcademicPress,Inc.,SanDiego, 2
1-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティ
ング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor La
b. (1989)〕、in situRT−PCR〔Nucl. Acids Re
s., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situ ハイブリダイ
ゼーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NAS
BA法〔Nucleicacid sequence-based amplification,
Nature, 350, 91-92 (1991)〕及びその他の各種方法を
挙げることができる。好適には、RT−PCRによる検
出法を挙げることができる。
【0061】尚、ここでPCR法を採用する場合に用い
られるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的
に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限
はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定する
ことができる。通常プライマーとして10〜35程度の
ヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度
の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを
挙げることができる。
【0062】このように、本発明の遺伝子には、本発明
にかかるLUNX遺伝子を検出するための特異プライマ
ー及び/又は特異プローブとして使用されるDNA断片
もまた包含される。
【0063】当該DNA断片は、配列番号:2に示され
る塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規
定することできる。ここで、ストリンジェントな条件と
しては、プライマー又はプローブとして用いられる通常
の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、例
えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×S
SC中50℃の条件または0.1%SDSを含む1×S
SC中60℃の条件を例示することができる。
【0064】本発明のLUNX遺伝子によれば、通常の
遺伝子工学的手法を用いることにより、該遺伝子産物
(LUNX蛋白質)またはこれを含む蛋白質を容易に大
量に、安定して製造することができる。
【0065】従って本発明は、本発明遺伝子によってコ
ードされるLUNX蛋白質などの蛋白質を始め、該蛋白
質の製造のための、例えば本発明遺伝子を含有するベク
ター、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該
宿主細胞を培養して上記本発明蛋白質を製造する方法な
どをも提供するものである。
【0066】本発明蛋白質の具体的態様としては、配列
番号:1に示すアミノ酸配列を有するLUNX蛋白質を
挙げることができるが、本発明蛋白質には、該LUNX
蛋白質のみならず、その相同物も包含される。該相同物
としては、上記配列番号:1に示されるアミノ酸配列に
おいて、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が欠失、置
換又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つLUNX
蛋白質と同様の機能を有するポリペプチドを挙げること
ができる。
【0067】また、本発明LUNX蛋白質の相同物に
は、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のLUNX蛋
白質と同一活性を有する、哺乳動物、例えばウマ、ヒツ
ジ、ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマや、マウス、ラッ
ト、ウサギなどのげっ歯類動物の蛋白質も包含される。
【0068】本発明のポリペプチドは、本発明により提
供されるLUNX遺伝子の配列情報に基づいて、常法の
遺伝子組換え技術〔例えば、Science, 224, 1431 (198
4) ;Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (198
5);Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (1983)
など参照〕に従って調製することができる。
【0069】該蛋白質の製造は、より詳細には、該所望
の蛋白質をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現できる
組換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿主細
胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、次い
で得られる培養物から回収することにより行い得る。
【0070】上記宿主細胞としては、原核生物及び真核
生物のいずれも用いることができ、例えば原核生物の宿
主としては、大腸菌や枯草菌といった一般的に用いられ
るものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけエシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含まれ
るものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞には、
脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、前者としては、例え
ばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 175 (198
1)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞及びそのジヒ
ドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Acad. Sc
i., USA., 77: 4216(1980)〕などが、後者としては、サ
ッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられる。勿
論、これらに限定される訳ではない。
【0071】原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主
細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中
に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプ
ロモーター及びSD(シャイン・アンド・ダルガーノ)
塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン(例え
ばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利用でき
る。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来のプラス
ミド、例えばpBR322、pBR325、pUC1
2、pUC13などがよく用いられるが、これらに限定
されず既知の各種のベクターを利用することができる。
大腸菌を利用した発現系に利用される上記ベクターの市
販品としては、例えばpGEX−4T(Amersham Pharm
acia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P2
(New England Biolabs社)、pET21,pET21
/lacq(Invitrogen社)、pBAD/His(Invi
trogen社)等を例示できる。
【0072】脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベク
ターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の
上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部
位、ポリアデニル化部位および転写終了配列を保有する
ものが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有し
ていてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的に
は、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕等が例
示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクターを用
いることができる。動物細胞を利用した発現系に利用さ
れるかかるベクターの市販品としては、例えばpEGF
P−N,pEGFP−C(Clontrech社)、pIND(I
nvitrogen社)、pcDNA3.1/His(Invitroge
n社)などの動物細胞用ベクターや、pFastBac
HT(GibciBRL社)、pAcGHLT(PharMi
ngen社)、pAc5/V5−His,pMT/V5−H
is,pMT/Bip/V5−his(以上Invitrogen
社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられる。
【0073】また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベ
クターの具体例としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺
伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示で
きる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpP
ICZ(Invitrogen社)、pPICZα(Invitrogen
社)なとが包含される。
【0074】プロモーターとしても特に限定なく、エッ
シェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトフ
ァン(trp)プロモーター、lppプロモーター、lac
プロモーター、recAプロモーター、PL/PRプロ
モーターなどを好ましく利用できる。宿主がバチルス属
菌である場合は、SP01プロモーター、SP02プロ
モーター、penPプロモーターなどが好ましい。酵母
を宿主とする場合のプロモーターとしては、例えばpH
05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモ
ーター、ADHプロモーターなどを好適に利用できる。
また、動物細胞を宿主とする場合の好ましいプロモータ
ーとしては、SV40由来のプロモーター、レトロウイ
ルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、
ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプ
ロモーター、SRαプロモーターなどを例示できる。
【0075】尚、本発明遺伝子の発現ベクターとして
は、通常の融合蛋白発現ベクターも好ましく利用でき
る。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現
させるためのpGEX(Promega社)などを例示でき
る。
【0076】また、成熟ポリペプチドのコード配列が宿
主細胞からのポリペプチドの発現、分泌を助けるポリヌ
クレオチド配列としては、分泌配列、リーダー配列が例
示でき、細菌宿主に対して融合成熟ポリペプチドの精製
に使用されるマーカー配列(ヘキサヒスチジン・タグ、ヒ
スチジン・タグ)、哺乳動物細胞の場合はヘマグルチニン
(HA)・タグを例示できる。
【0077】所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿
主細胞への導入法及びこれによる形質転換法としては、
特に限定されず、一般的な各種方法を採用することがで
きる。
【0078】また得られる形質転換体は、常法に従い培
養でき、該培養により所望のように設計した遺伝子によ
りコードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細
胞内、細胞外または細胞膜上に発現、生産(蓄積、分
泌)される。
【0079】該培養に用いられる培地としては、採用し
た宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利
用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施で
きる。
【0080】かくして得られる本発明の組換え蛋白質
は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利
用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、
1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社
東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (198
6); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)など参照〕に
より分離、精製できる。
【0081】該方法としては、具体的には、通常の再構
成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、
浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロ
マトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これ
らの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、本
発明蛋白質に対する特異的な抗体を結合させたカラムを
利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示す
ることができる。
【0082】尚、本発明蛋白質をコードする所望の遺伝
子の設計に際しては、配列番号:2に示されるLUNX
遺伝子の塩基配列を良好に利用することができる。該遺
伝子は、所望により、各アミノ酸残基を示すコドンを適
宜選択変更して利用することも可能である。
【0083】また、LUNX遺伝子でコードされるアミ
ノ酸配列において、その一部のアミノ酸残基ないしはア
ミノ酸配列を置換、欠失、付加などにより改変する場合
には、例えばサイトスペシフィック・ミュータゲネシス
などの前記した各種方法により行うことができる。
【0084】本発明蛋白質は、また、配列番号:1に示
すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製
造することができる。該方法には、通常の液相法及び固
相法によるペプチド合成法が包含される。
【0085】かかるペプチド合成法は、より詳しくは、
アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐
次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエ
ロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメン
トを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング
反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包
含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよ
い。
【0086】上記ペプチド合成に採用される縮合法も、
常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水
物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPP
A(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物
(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
サクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法
などを例示できる。
【0087】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミ
ド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸
エチルなど及びこれらの混合溶媒などを挙げることがで
きる。
【0088】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メ
トキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル
などのアラルキルエステルなどとして保護することがで
きる。
【0089】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル
基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基など
で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要
はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基
は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシ
カルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダ
マンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により
保護することができる。
【0090】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及
び最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護基
の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還元
法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化
水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタ
ンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施するこ
とができる。
【0091】かくして得られる本発明蛋白質は、前記し
た各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグ
ラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などの
ペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精
製を行うことができる。
【0092】本発明LUNX蛋白質は、その特異抗体を
作成するための免疫抗原としても好適に利用でき、この
抗原を利用することにより、所望の抗血清(ポリクロー
ナル抗体)及びモノクローナル抗体を取得することがで
きる。
【0093】該抗体の製造法自体は、当業者によく理解
されているところであり、本発明においてもこれら常法
に従うことができる〔例えば、続生化学実験講座「免疫
生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
【0094】かくして得られる抗体は、例えばLUNX
蛋白の精製及びその免疫学的手法による測定ないしは識
別などに有利に利用することができる。より具体的に
は、本発明遺伝子の増幅および発現亢進が癌細胞または
癌患者のリンパ節において確認されていることから、該
抗体を用いて癌の診断、癌転移の発見または、癌の悪性
度の判定に利用することができる。
【0095】更に、LUNX蛋白質に結合する抗体また
はその断片を有効成分とする癌の治療剤または癌転移抑
制剤として利用できる。
【0096】上記で得られた本発明LUNX蛋白質に結
合する抗体またはその断片は、これを有効成分とする医
薬品として医薬分野において有用である。従って、本発
明は本発明LUNX蛋白質に結合する抗体またはその断
片を有効成分とする医薬組成物をも提供するものであ
る。
【0097】該医薬組成物において有効成分とする抗体
またはその断片には、その医薬的に許容される塩もまた
包含される。かかる塩には、当業界で周知の方法により
調製される、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、
カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウムな
どの無毒性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アン
モニウム塩などが包含される。更に上記塩には、本発明
蛋白質に対する抗体またはその断片と適当な有機酸ない
し無機酸との反応による無毒性酸付加塩も包含される。
代表的無毒性酸付加塩としては、例えば塩酸塩、塩化水
素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、蓚
酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、硼酸
塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−トルエンスル
ホン酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マレイン酸塩、
フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、グ
リコール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、ベン
ゼンスルホン酸塩及びナプシレートなどが例示される。
【0098】上記医薬組成物は、本発明抗体またはその
断片を活性成分として、その薬学的有効量を、適当な無
毒性医薬担体ないし希釈剤と共に含有するものが含まれ
る。
【0099】上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる
医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用さ
れる、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面
活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示で
き、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜
選択使用される。
【0100】特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋
白製剤などに使用され得る各種の成分、例えば安定化
剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整
剤、界面活性剤などを適宜使用して調製される。
【0101】上記安定化剤としては、例えばヒト血清ア
ルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導
体などを例示でき、これらは単独で又は界面活性剤など
と組合せて使用してもよい。特にこの組合せによれば、
有効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
【0102】上記L−アミノ酸としては、特に限定はな
く例えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのい
ずれでもよい。
【0103】上記糖としても特に限定はなく、例えばグ
ルコース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖
類、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの
糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖
類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コン
ドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類など及びそ
れらの誘導体などを使用できる。
【0104】界面活性剤としても特に限定はなく、イオ
ン性及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用でき、例
えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキル
エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系、
ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリド系
などを使用できる。
【0105】セルロース誘導体としても特に限定はな
く、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウムなどを使用できる。
【0106】上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り
約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜
10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤
の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg
程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程
度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの
添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度
以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲
とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当
り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。
また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当
り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0
01〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
【0107】本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量
は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.0000
1〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程
度の範囲とするのが適当である。
【0108】また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、
例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加する
ことができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン
酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミ
ン酸及び/又はそれらに対応する塩(例えばそれらのナ
トリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)などを
例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示でき
る。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウ
ム、クエン酸などを例示できる。
【0109】本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用で
きる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした
後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解
して適当な濃度に調製した後に使用することも可能であ
る。
【0110】本発明の医薬製剤の投与単位形態として
は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表
的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒
剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、
乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含ま
れ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、
経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類さ
れ、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製す
ることができる。
【0111】例えば、錠剤の形態に成形するに際して
は、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリ
ウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カ
オリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなど
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキ
シメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウ
ム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、
炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ス
テアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ス
テアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
などの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿
剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸
塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤な
どを使用できる。
【0112】更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した
錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィ
ルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ない
しは多層錠とすることもできる。
【0113】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビア
ゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結
合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用で
きる。
【0114】カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有
効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質
ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整さ
れる。
【0115】経口投与用液体投与形態は、慣用される不
活性希釈剤、例えば水、を含む医薬的に許容される溶
液、エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなど
を包含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ま
せることができ、これらは常法に従い調製される。
【0116】非経口投与用の液体投与投与形態、例えば
滅菌水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへ
の調製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアル
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ
化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル及びオリーブ油などの植物油など
を使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオ
レイン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常
の溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存
剤、分散剤などを添加することもできる。 滅菌は、例
えばバクテリア保留フィルターを通過させる濾過操作、
殺菌剤の配合、照射処理及び加熱処理などにより実施で
きる。また、これらは使用直前に滅菌水や適当な滅菌可
能媒体に溶解することのできる滅菌固体組成物形態に調
製することもできる。
【0117】坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際
しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチン及び半合成グリセライドなどを使用で
きる。
【0118】ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の
形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色
ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導
体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
シリコン、ベントナイト及びオリーブ油などの植物油な
どを使用できる。
【0119】経鼻又は舌下投与用組成物は、周知の標準
賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
【0120】尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色
剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品な
どを含有させることもできる。
【0121】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、
液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与
され、注射剤は単独で又はブドウ糖やアミノ酸などの通
常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単
独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤
は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤は鼻
腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は経皮
的に局所投与される。
【0122】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量及びその投与量は、特に限定されず、所望の治療効
果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件
などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的には、
該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約0.0
1μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg〜1m
g程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜数回に分け
て投与することができる。
【0123】以下、本発明遺伝子のアンチセンス鎖およ
びこれを利用する遺伝子治療につき詳述する。
【0124】本発明によれば、また、アンチセンス医薬
およびこれを利用した癌の遺伝子治療法が提供できる。
即ち、本発明遺伝子のアンチセンス鎖の利用によれば、
LUNX遺伝子が発現する細胞において、細胞内mRN
Aに対して相補的配列を持つRNAを作り出し、翻訳を
阻害し、当該LUNX遺伝子の発現を抑制することがで
きる。該治療法によれば、例えば本発明遺伝子のアンチ
センス鎖を製造し、これを標的細胞に供給することによ
って、該アンチセンス鎖がLUNX遺伝子を有する癌細
胞本来のmRNAと結合するか、或いは該アンチセンス
鎖がDNA二重螺旋の間に入り込み三重鎖が形成され、
LUNX遺伝子の転写或いは翻訳の過程が阻害され、か
くして標的遺伝子の発現が抑制される。
【0125】かかるLUNX遺伝子の発現機能を抑制す
る作用を細胞に供給するための、LUNX遺伝子のmR
NAと相補的なアンチセンス・オリゴヌクレオチドの導
入は、例えば当該アンチセンス・オリゴヌクレオチドを
含有するベクターまたはプラスミドを染色体外に維持さ
せることによって行うことができる。かくして、受容細
胞/標的細胞における新生物の増殖を抑制することがで
きる。
【0126】上記アンチセンス・オリゴヌクレオチドを
用いた癌遺伝子治療によれば、レトロウイルス、アデノ
ウイルス、AAV由来のベクターに該アンチセンス・オ
リゴヌクレオチドを組み込み、これを癌細胞に感染させ
てアンチセンス・オリゴヌクレオチドを過剰発現させる
ことにより、所望の癌転移抑制効果または抗腫瘍効果を
得ることができる。
【0127】このようにLUNX遺伝子を有する細胞に
アンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入してLUNX
蛋白質の発現を抑制させる場合、当該アンチセンス・オ
リゴヌクレオチドは対応するLUNX遺伝子の全長に対
応するものである必要はなく、例えば該LUNX遺伝子
の発現機能を抑制する機能と実質的に同質な機能を保持
する限りにおいて、前記した改変体であっても、また特
定の機能を保持した一部配列からなる遺伝子であっても
よい。
【0128】かかる組換え体及び染色体外維持の双方の
ための所望遺伝子の導入のためのベクターは、当該分野
において既に知られており、本発明ではかかる既知のベ
クターのいずれもが使用できる。その例としては、例え
ば発現制御エレメントに連結したLUNXのアンチセン
ス・オリゴヌクレオチドのコピーを含み、かつ目的の細
胞内で当該アンチセンス・オリゴヌクレオチド産物を発
現できるウイルスベクターまたはプラスミドベクターを
挙げることができる。かかるベクターとしてはまた、前
述した発現用ベクターを利用することもできるが、好適
には、例えば起源ベクターとして、米国特許第5252
479号明細書及びPCT国際公開WO93/0728
2号明細書に開示されたベクター(pWP−7A、pw
P−19、pWU−1、pWP−8A、pWP−21及
び/又はpRSVLなど)又はpRC/CMV(Invitr
ogen社製)などを用いて、調製されたベクターを挙げる
ことができる。より好ましいベクターは、後述する各種
ウイルス・ベクターである。
【0129】なお、遺伝子導入治療において用いられる
ベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患
の治療対象となる患部組織に固有のものを好適に利用す
ることができる。
【0130】その具体例としては、例えば、肝臓に対し
ては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−アン
チトリプシン、トランスフェリン、トランススチレンな
どを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アンヒド
ラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示でき
る。子宮及び胎盤に対しては、エストロゲン、アロマタ
ーゼサイトクロームP450、コレステロール側鎖切断
P450、17アルファーヒドロキシラーゼP450な
どを例示できる。
【0131】前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91
−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを
例示できる。乳房に対しては、erb−B2、erb−
B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質
などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウロ
グロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−1
4−ケラチン、ヒトケラチン1又は6、ロイクリンなど
を例示できる。
【0132】脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白質、
成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン、チロシンヒ
ドロキシラーゼ膵臓ヴィリン、グルカゴン、ランゲルハ
ンス島アミロイドポリペプチドなどを例示できる。甲状
腺に対しては、チログロブリン、カルシトニンなどを例
示できる。骨に対しては、α1コラーゲン、オステオカ
ルシン、骨シアログリコプロティンなどを例示できる。
腎臓に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホス
フォターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対して
は、アミラーゼ、PAP1などを例示できる。
【0133】前記アンチセンス・オリゴヌクレオチド導
入用ベクターの製造において、導入されるアンチセンス
・オリゴヌクレオチド(LUNX遺伝子配列に対応する
相補配列全部又は一部)は、本発明のLUNX遺伝子の
塩基配列情報に基づいて、前記の如く、一般的遺伝子工
学的手法により容易に製造・取得することができる。
【0134】かかるアンチセンス・オリゴヌクレオチド
導入用ベクターの細胞への導入は、例えばエレクトロポ
レーション、リン酸カルシウム共沈法、ウイルス形質導
入などを始めとする、細胞にDNAを導入する当該分野
において既に知られている各種の方法に従って行うこと
ができる。
【0135】また前記アンチセンス・オリゴヌクレオチ
ドで形質転換された細胞は、それ自体単離状態で癌の抑
制ないしは癌転移の抑制のための医薬や、治療研究のた
めのモデル系として利用することも可能である。
【0136】遺伝子治療において、上述のアンチセンス
・オリゴヌクレオチド導入用ベクターは、患者の腫瘍部
位に局所的にまたは全身的に注射投与することにより患
者の腫瘍細胞内に導入することができる。この際、全身
的投与によれば、他の部位に転移し得るいずれの腫瘍細
胞にも到達させることができる。形質導入された遺伝子
が各標的腫瘍細胞の染色体内に恒久的に取り込まれない
場合には、該投与を定期的に繰り返すことによってこれ
を達成することができる。
【0137】本発明の遺伝子治療方法は、前述するアン
チセンス・オリゴヌクレオチド導入用の材料(アンチセ
ンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクター)を直接体内
に投与するインビボ(in vivo)法と、患者の体内より
一旦標的とする細胞を取り出して体外で遺伝子を導入し
て、その後、該細胞を体内に戻すエクスビボ(ex viv
o)法の両方の方法を包含する。
【0138】またアンチセンス・オリゴヌクレオチドを
直接細胞内に導入し、RNA鎖を切断する活性分子であ
るリボザイムによる遺伝子治療も可能である。
【0139】後述する、本発明LUNX遺伝子に対応す
る配列のアンチセンス・オリゴヌクレオチド全部もしく
はその断片を含有する遺伝子導入用ベクター及び該ベク
ターによりヒトLUNX遺伝子のアンチセンス・オリゴ
ヌクレオチドが導入された細胞を有効成分とする本発明
の遺伝子治療剤は、特に癌をその利用対象とするもので
あるが、上記の遺伝子治療(処置)は、癌以外にも各種
の遺伝性疾患やAIDSのようなウイルス疾患の治療、
並びに遺伝子標識をも目的とすることができる。
【0140】上記アンチセンス・オリゴヌクレオチドを
導入する標的細胞は、遺伝子治療(処置)の対象により
適宜選択することができる。例えば、標的細胞として
は、癌細胞や腫瘍組織以外に、リンパ球、線維芽細胞、
肝細胞、造血幹細胞の如き細胞などを挙げることができ
る。
【0141】上記遺伝子治療におけるアンチセンス・オ
リゴヌクレオチド導入方法には、ウイルス的導入方法及
び非ウイルス的導入方法が含まれる。
【0142】ウイルス的導入方法としては、例えば、ア
ンチセンス・オリゴヌクレオチドが正常細胞に発現する
外来の物質であることに鑑みて、ベクターとしてレトロ
ウイルスベクターを用いる方法を挙げることができる。
その他のウイルスベクターとしては、アデノウイルスベ
クター、HIV(human immunodeficiency virus)ベク
ター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV,adeno-as
sociated virus)、ヘルペスウイルスベクター、単純ヘ
ルペスウイルス(HSV)ベクター及びエプスタイン−
バーウイルス(EBV,Epstein-Barr virus)ベクター
などが挙げられる。
【0143】非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、
リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソーム
と予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイ
ルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と
直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソ
ーム法〔Kato,K., et al. ,J. Biol. Chem., 266, 2207
1-22074 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして
高圧放電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方
法〔Yang,N.S. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,87, 9568-
9572 (1990)〕;プラスミドDNAを直接インビボで臓
器や腫瘍に注入するネイキッド(naked)DNA法〔Wol
ff,J.A., et al., Science, 247, 1465-1467 (199
0)〕;多重膜正電荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞
に導入するカチオニック・リポソーム法〔八木国夫, 医
学のあゆみ, Vol.175, No.9, 635-637(1995)〕;特定細
胞のみに遺伝子を導入し、他の細胞に入らないようにす
るために、目的とする細胞に発現するレセプターに結合
するリガンドをDNAと結合させてそれを投与するリガ
ンド−DNA複合体法〔Frindeis, et al., Trends Bio
technol., 11, 202 (1993); Miller, et al., FASEB
J., 9, 190 (1995)〕などを例示することができる。
【0144】上記リガンド−DNA複合体法には、例え
ば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白レセプターをターゲ
ットとしてアシアロ糖蛋白をリガンドとして用いる方法
〔Wu, et al., J. Biol. Chem., 266, 14338 (1991); F
erkol, et al., FASEB J., 7, 1081-1091 (1993)〕や、
腫瘍細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプ
ターを標的としてトランスフェリンをリガンドとして用
いる方法〔Wagner, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., U
SA., 87, 3410 (1990)〕などが含まれる。
【0145】また本発明で用いられる遺伝子導入法は、
上記の如き各種の生物学的及び物理学的な遺伝子導入法
を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる方
法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAをア
デノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン抱
合抗体と組合せる方法を例示できる。該方法によれば、
得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合し、か
くして得られる三分子複合体を細胞に感染させることに
より本発明アンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入を
行い得る。この方法では、アデノアイルスベクターにカ
ップリングしたDNAが損傷される前に、効率的な結
合、内在化及びエンドソーム分解が可能となる。また、
前記リポソーム/DNA複合体は、直接インビボにて遺
伝子導入を媒介できる。
【0146】以下、具体的な本発明アンチセンス・オリ
ゴヌクレオチド導入用ウイルスベクターの作成法並びに
標的細胞又は標的組織へのアンチセンス・オリゴヌクレ
オチド導入法のいくつかについて詳述する。
【0147】例えば、レトロウイルスベクター・システ
ムは、ウイルスベクターとヘルパー細胞(パッケージン
グ細胞)からなっている。ここでヘルパー細胞は、レト
ロウイルスの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造
蛋白質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白
質)などの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子
を生成していない細胞を言う。一方、ウイルスベクター
は、パッケージングシグナルやLTR(long terminal r
epeats)を有しているが、ウイルス複製に必要なga
g、pol、envなどの構造遺伝子を持っていない。
パッケージングシグナルはウイルス粒子のアセンブリー
の際にタグとなる配列で、選択遺伝子(neo,hy
g)とクローニングサイトに組込まれた所望の導入アン
チセンス・オリゴヌクレオチド(LUNXに対応する全
アンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはその断片)が
ウイルス遺伝子の代りに挿入される。ここで高力価のウ
イルス粒子を得るにはインサートを可能な限り短くし、
パッケージングシグナルをgag遺伝子の一部を含め広
くとることと、gag遺伝子のATGを残さぬようにす
ることが重要である。
【0148】所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチド
を組込んだベクターDNAを、ヘルパー細胞に移入する
ことによって、ヘルパー細胞が作っているウイルス構造
蛋白質によりベクターゲノムRNAがパッケージされて
ウイルス粒子が形成され、分泌される。組換えウイルス
としてのウイルス粒子は、標的細胞に感染した後、ウイ
ルスゲノムRNAから逆転写されたDNAが細胞核に組
み込まれ、ベクター内に挿入されたアンチセンス遺伝子
が発現する。
【0149】尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法
として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリ
ン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法
〔Hanenberg, H., et al., Exp. Hemat., 23, 747 (199
5)〕を採用することもできる。
【0150】上記レトロウイルスベクター・システムに
おいて用いられるベクターとしては、例えばマウスの白
血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLachlin,
J.R., et al., Proc. Natl. Acad. Res. Molec. Bio
l., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができる。
【0151】アデノウイルスベクターを利用する方法に
つき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、
バークネル〔Berkner, K. L., Curr.Topics Microbiol.
Immunol., 158, 39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Seto
guchi, Y., et al., Blood,84, 2946-2953 (1994)〕、
鐘カ江裕美ら〔実験医学, 12, 28-34 (1994)〕及びケナ
ーら〔Ketner, G., et al., Proc. Natl. Acad. Sci.,
USA., 91, 6186-6190(1994)〕の方法に準じて行うこと
ができる。
【0152】例えば、非増殖性アデノウイルスベクター
を作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE
1及び/又はE3遺伝子領域を除去する。次に、目的と
する所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入アンチ
センス・オリゴヌクレオチド、即ち本発明に係わるアン
チセンス・オリゴヌクレオチド、該アンチセンス・オリ
ゴヌクレオチドを転写するためのプロモーター、転写さ
れた遺伝子の安定性を賦与するポリAから構成)及びア
デノウイルスゲノムDNAの一部を含むプラスミドベク
ターと、アデノウイルスゲノムを含むプラスミドとを、
例えば293細胞に同時にトランスフェクションする。
この2者間で相同性組換えを起こさせて、遺伝子発現単
位とE1とを置換することにより、所望のLUNX ア
ンチセンス・オリゴヌクレオチドを包含する本発明ベク
ターである非増殖性アデノウイルスベクターを作成する
ことができる。また、コスミドベクターにアデノウイル
スゲノムDNAを組み込んで、末端蛋白質を付加した
3’側アデノウイルスベクターを作成することもでき
る。更に組換えアデノウイルスベクターの作成には、Y
ACベクターも利用可能である。
【0153】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの
製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養
系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。こ
れには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず
宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘ
ルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存
在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の
細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲ
ノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからな
り、その両端の145塩基がITR(inverted terminal
repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在してい
る。このITRの部分が複製開始点となり、プライマー
の役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや
宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必
須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの
左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調
節蛋白質のRepをコードしている。
【0154】組換えAAVの作成は、AAVが染色体D
NAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、か
くして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この
方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の
両端のITRを残し、その間に所望の導入用アンチセン
ス・オリゴヌクレオチド(LUNX アンチセンス・オ
リゴヌクレオチド)を挿入したプラスミド(AAVベク
タープラスミド)を作成する。一方、ウイルス複製やウ
イルス粒子の形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別
のヘルパープラスミドにより供給させる。この両者の間
には共通の塩基配列が存在しないようにし、遺伝子組換
えによる野生型ウイルスが出現しないようにする必要が
ある。その後、両者のプラスミドを例えば293細胞へ
のトランスフェクションにより導入し、さらにヘルパー
ウイルスとしてアデノウイルス(293細胞を用いる場
合は非増殖型のものでもよい)を感染させると、非増殖
性の所望の組換えAAVが産生される。続いて、この組
換えAAVは核内に存在するので、細胞を凍結融解して
回収し、混入するアデノウイルスを56℃加熱により失
活させる。更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠
心法により組換えAAVを分離濃縮する。上記のように
して所望の遺伝子導入用の組換えAAVを得ることがで
きる。
【0155】EBVベクターの製造は、例えば清水らの
方法に準じて行うことができる〔清水則夫、細胞工学,
14(3), 280-287 (1995)〕。
【0156】本発明の係わるアンチセンス・オリゴヌク
レオチド導入用EBVベクターの製造につき概略する
と、EBウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)は、196
4年にエプスタイン(Epstein)らによりバーキット(Burk
itt)リンパ腫由来の培養細胞より分離されたヘルペス
科に属するウイルスである〔Kieff, E. and Liebowitz,
D.: Virology, 2nd ed. Raven Press, New York, 1990,
pp.1889-1920〕。該EBVには細胞をトランスフォー
ムする活性があるので、遺伝子導入用ベクターとするた
めには、このトランスフォーム活性を欠いたウイルスを
調製しなければならない。これは次の如くして実施でき
る。
【0157】即ち、まず、所望の外来遺伝子を組込む標
的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そこ
に外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込み、
組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当な制
限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベクタ
ーをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクトす
る。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面免
疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生型
AkataEBVとともに回収できる。これをEBV陰
性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選択
することにより、野生型EBVが共存しない所望の組換
えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ることが
できる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞にウ
イルス活性を誘導することにより、目的とする大量の組
換えウイルスベクターを産生することができる。
【0158】組換えウイルスベクターを用いることなく
所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に
導入する、非ウイルスベクターの製造は、例えば膜融合
リポソームによる遺伝子導入法により実施することがで
きる。これは膜リポソーム(脂質二重膜からなる小胞)
に細胞膜への融合活性をもたせることにより、リポソー
ムの内容物を直接細胞内に導入する方法である。
【0159】上記膜融合リポソームによるアンチセンス
・オリゴヌクレオチドの導入は、例えば中西らの方法に
よって行うことができる〔Nakanishi, M., et al., Ex
p. Cell Res., 159, 399-499 (1985); Nakanishi, M.,
et al., Gene introduction into animal tissues. In
Trends and Future Perspectives in Peptide and Prot
ein Drug Delivery (ed. by Lee, V.H. et al.)., Harw
ood Academic Publishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.
337-349〕。
【0160】以下、該膜融合リポソームによるアンチセ
ンス・オリゴヌクレオチドの導入法につき概略する。即
ち、紫外線で遺伝子を不活性化したセンダイウイルスと
所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドや発現蛋白質
などの高分子物質を封入したリポソームを37℃で融合
させる。この膜融合リポソームは、内側にリポソーム由
来の空洞を、外側にウイルス・エンベロープと同じスパ
イクがある疑似ウイルスともよばれる構造を有してい
る。更にショ糖密度勾配遠心法で精製後、標的とする培
養細胞又は組織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で
吸着させる。次いで37℃にするとリポソームの内容物
が細胞に導入され、所望のアンチセンス・オリゴヌクレ
オチドを標的細胞に導入できる。ここでリポソームとし
て用いられる脂質としては、50%(モル比)コレステ
ロールとレシチン及び陰電荷をもつ合成リン脂質で、直
径300nmの1枚膜リポソームを作製して使用するの
が好ましい。
【0161】また、別のリポソームを用いてアンチセン
ス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入する方法とし
ては、カチオニック・リポソームによるアンチセンス・
オリゴヌクレオチド導入法を挙げることができる。該方
法は、八木らの方法に準じて実施できる〔Yagi, K., et
al., B.B.R.C., 196, 1042-1048 (1993)〕。この方法
は、プラスミドも細胞も負に荷電していることに着目し
て、リポソーム膜の内外両面に正の電荷を与え、静電気
によりプラスミドの取り込みを増加させ、細胞との相互
作用を高めようとするものである。ここで用いられるリ
ポソームは正荷電を有する多重膜の大きなリポソーム
(multilamellar large vesicles: MLV)が有用であ
るが、大きな1枚膜リポソーム(large unilamellar ve
sicles: LUV)や小さな1枚膜リポソーム(small un
ilamellar vesicles: SUV)を使用してプラスミドと
の複合体を作製し、所望のアンチセンス・オリゴヌクレ
オチドを導入することも可能である。
【0162】プラスミト包埋カチオニックMLVの調製
法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-
(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate
chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholin
e)及びDOPE(dioleoyl phosphatidylethanolamin
e)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホル
ム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総
量1μmolの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリ
ーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄
膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去
し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラス
ミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩
液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分間
ボルテックスミキサーにより攪袢して、所望のアンチセ
ンス・オリゴヌクレオチドを含有するプラスミド包埋カ
チオニックMLV懸濁液を得ることができる。
【0163】上記で得られたプラスミド包埋カチオニッ
クMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、
例えば発現目的アンチセンス・オリゴヌクレオチドを組
み込んだ発現プラスミドを上記カチオニックMLVにD
NA量として0.6μg、リポソーム脂質量として30n
molになるように包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理
食塩液に懸濁させて患者より抽出した標的細胞または患
者組織に対して隔日投与する方法が例示できる。
【0164】ところで、遺伝子治療とは「疾病の治療を
目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒト
の体内に投与すること」と厚生省ガイドラインに定義さ
れている。しかしながら、本発明における遺伝子治療と
は、該ガイドラインの定義に加えて、前記した標的細胞
にLUNX アンチセンス・オリゴヌクレオチドの癌抑
制アンチセンスDNAとして特徴付けられるアンチセン
ス・オリゴヌクレオチドを導入することによって癌を始
めとする各種疾患の治療のみならず、更に標識となる遺
伝子または標識となる遺伝子を導入した細胞をヒト体内
に導入することも含むものとする。
【0165】本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子
の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的に
は2種類の方法が含まれる。
【0166】その第1法は、治療対象とする患者から標
的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロ
イキン−2(IL−2)などの添加の下で培養し、レトロ
ウイルスベクターに含まれる目的とするLUNX をア
ンチセンス・オリゴヌクレオチド導入した後、得られる
細胞を再移植する手法(ex vivo法)である。該方法はA
DA欠損症を始め、欠陥遺伝子によって発生する遺伝子
病や癌、AIDSなどの治療に好適である。
【0167】第2法は、目的アンチセンス・オリゴヌク
レオチド(LUNX アンチセンス・オリゴヌクレオチ
ド)を直接患者の体内や腫瘍組織などの標的部位に注入
する遺伝子直接導入法(直接法)である。
【0168】上記遺伝子治療の第1法は、より詳しく
は、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から
採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取
し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地など
の適当な培地で72時間程度培養し、導入すべきアンチ
センス・オリゴヌクレオチド(LUNX アンチセンス
・オリゴヌクレオチド)を含有するベクターを加える。
アンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入効率をあげる
ために、プロタミン存在下に32℃で1時間、2500回転
にて遠心分離した後、37℃で10%炭酸ガス条件下で
24時間培養してもよい。この操作を数回繰り返した
後、更にIL−2存在下にAIM−V培地などで48時
間培養し、細胞を生理食塩水で洗浄し、生細胞数を算定
し、アンチセンス・オリゴヌクレオチド導入効率を前記
in situ PCRや、例えば所望の対象が酵素活性であれ
ばその活性の程度を測定することにより、目的アンチセ
ンス・オリゴヌクレオチド導入効果を確認する。
【0169】また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイ
コプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの
安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測さ
れる効果用量のアンチセンス・オリゴヌクレオチド(L
UNX アンチセンス・オリゴヌクレオチド)が導入さ
れた培養細胞を患者に点滴静注により戻す。かかる方法
を例えば数週間から数カ月間隔で繰り返することにより
遺伝子治療が施される。
【0170】ここでウイルスベクターの投与量は、導入
する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価
として、例えば標的細胞 1×108細胞に対して1×1
3cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採
用することが好ましい。
【0171】上記第1法の別法として、目的アンチセン
ス・オリゴヌクレオチド(LUNXアンチセンス・オリ
ゴヌクレオチド)を含有するレトロウイルスベクターを
含有するウイルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培
養して、目的とする細胞へアンチセンス・オリゴヌクレ
オチド(LUNX アンチセンス・オリゴヌクレオチ
ド)を導入する方法を採用することもできる。
【0172】遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当
たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子
導入法によって、実際に目的アンチセンス・オリゴヌク
レオチド(LUNX アンチセンス・オリゴヌクレオチ
ド)が導入されるか否かを、予めベクター遺伝子cDN
AのPCR法による検索やin situPCR法によって確
認するか、或いは目的アンチセンス・オリゴヌクレオチ
ド(LUNX アンチセンス・オリゴヌクレオチド)の
導入に基づく所望の治療効果である特異的活性の上昇や
標的細胞の増殖増加や増殖抑制などを確認することが望
ましい。また、ウイルスベクターを用いる場合は、増殖
性レトロウイルスなどの検索をPCR法で行うか、逆転
写酵素活性を測定するか、或は膜蛋白(env)遺伝子をP
CR法でモニターするなどにより、遺伝子治療に際して
アンチセンス・オリゴヌクレオチド導入による安全性を
確認することが重要であることはいうまでもない。
【0173】本発明遺伝子治療法において、特に癌や悪
性腫瘍を対象とする場合は、患者から癌細胞を採取後、
酵素処理などを施して培養細胞を樹立した後、例えばレ
トロウイルスにて所望のアンチセンス・オリゴヌクレオ
チドを標的とする癌細胞に導入し、G418細胞にてス
クリーニングした後、IL−12などの発現量を測定(i
n vivo)測定し、次いで放射線処理を施行し、患者腫瘍
内または傍腫瘍に接種する癌治療法を一例として挙げる
ことができる。
【0174】本発明はまた、本発明のアンチセンス・オ
リゴヌクレオチド導入用ベクター又は目的アンチセンス
・オリゴヌクレオチド(LUNX アンチセンス・オリ
ゴヌクレオチド)が導入された細胞を活性成分とし、そ
れを薬学的有効量、適当な無毒性医薬担体ないしは希釈
剤と共に含有する医薬組成物又は医薬製剤(遺伝子治療
剤)を提供する。
【0175】本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用で
きる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使
用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、
表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0176】本発明医薬製剤の投与単位形態としては、
前記したLUNX蛋白質抗体製剤の製剤例を同様に挙げ
ることができ、治療目的に応じて各種の形態から適宜選
択することができる。
【0177】例えば、本発明のアンチセンス・オリゴヌ
クレオチド導入用ベクターを含む医薬製剤は、該ベクタ
ーをリポソームに包埋された形態あるいは所望のアンチ
センス・オリゴヌクレオチドが包含されるレトロウイル
スベクターを含むウイルスによって感染された培養細胞
の形態に調製される。
【0178】これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH
7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合
した形態などに調製することもでき、またプロタミンな
どの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるよう
な形態に調製することもできる。
【0179】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。
【0180】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量及びその投与量は、特に限定されず、所望の治療効
果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件
などに応じて広範囲より適宜選択される。
【0181】一般には、医薬製剤としての所望アンチセ
ンス・オリゴヌクレオチド含有レトロウイルスベクター
の投与量は、1日当り体重1kg当り、例えばレトロウ
イルスの力価として約1×103pfuから1×1015
pfu程度とするのがよい。
【0182】また所望の導入用アンチセンス・オリゴヌ
クレオチドが導入された細胞の場合は、1×104細胞
/bodyから1×1015細胞/body程度の範囲から選ばれ
るのが適当である。
【0183】該製剤は1日に1回又は数回に分けて投与
することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与する
こともできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝子
導入効率を高める物質またはこれを含む製剤と併用投与
することができる。
【0184】本発明に従う遺伝子治療を癌の治療に適用
する場合は、前記した種々の遺伝子治療を適宜組合わせ
て行う(結合遺伝子治療)こともでき、前記した遺伝子
治療に、従来の癌化学療法、放射線療法、免疫療法など
を組合わせて行うこともできる。さらに本発明遺伝子治
療は、その安全性を含めて、NIHのガイドラインを参
考にして実施することができる〔Recombinant DNA Advi
sory Committee, Human Gene Therapy, 4, 365-389 (19
93)〕。
【0185】本発明によれば、癌、特に肺癌の微小転移
細胞中に発現しているLUNX遺伝子の存在を検出する
ために、血液、血清またはリンパ球のごとき生物学的試
料を調製し、所望により核酸を抽出し、LUNX遺伝子
が存在する否かについて分析することが可能である。ま
た、本発明によれば細胞または組織における癌の転移、
または予後指標としての存在を検出するためには、組織
細胞、リンパ節などの生物学的な試料を調製し、LUN
X遺伝子が存在するか否かについて分析できる。この方
法を用いることにより細胞または組織における癌の転
移、または予後指標としての存在を検出することが可能
となり、これらの診断、例えば癌の診断、癌転移の発
見、癌治療効果の判定、予後の予測が可能となる。
【0186】該検出方法は、例えば、予め腫瘍を有する
患者サンプルから得られたLUNX遺伝子に関する情報
を基に、該DNA断片を作成し、LUNX遺伝子のスク
リーニング及び/またはその増幅に用いられるように設
計される。より具体的には、例えばプラークハイブリダ
イゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、サザ
ンブロット法、ノーザンブロット法などにおけるプロー
ブとしての性質を有するもの、核酸配列をポリメラーゼ
で増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、増
幅したLUNXの全部または一部のDNA断片を得るこ
とができるためのプローブとしての性質を有するものを
作成できる。そのためにはまずLUNXと同じ配列を持
つプライマーを作成し、スクリーニング用プローブとし
て用い、生物学的試料(核酸試料)と反応させることに
より、当該LUNX配列を有する遺伝子の存在を確認す
ることができる。該核酸試料は、標的配列の検出を容易
にする種々の方法、例えば変性、制限消化、電気泳動又
はドットブロッティングで調製してもよい。
【0187】前記スクリーニング方法としては、特にP
CR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、
LUNX断片をプライマーとして用いる方法であればと
くに制限されず、従来公知の方法(Science, 230, 1350-
1354 (1985))や新たに開発された、或いは将来使用され
るPCR変法(榊 佳之、ほか編、羊土社、実験医学、増
刊, 8(9)(1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増刊、共立
出版(株), 35(17)(1990))のいずれも利用することが可
能である。
【0188】プライマーとして使用されるDNA断片
は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴD
NAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合
成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus: ファルマ
シア社製)を使用して合成することができる。合成され
るプライマー(センスプライマー又はアンチセンスプラ
イマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好ま
しく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプロ
ーブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識で
あってもよく、直接的又は間接的に標識したリガンドと
の特異的結合によって検出してもよい。適当な標識、並
びにプローブ及びリガンドを標識する方法は、本発明の
技術分野で知られており、ニック・トランスレーショ
ン、ランダム・プライミングム又はキナーゼ処理のよう
な、既知の方法によって取り込ませることができる放射
性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵素、抗体
などがこれらの技術に包含される。
【0189】検出のために用いるPCR法としては、例
えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いら
れる種々の変法を適応することができる。
【0190】また、本発明の測定方法は、試料中のLU
NX遺伝子の検出のための試薬キットを利用することに
よって、簡便に実施することができる。
【0191】故に本発明は上記LUNX DNA断片を
含有することを特徴とするLUNX遺伝子の検出用試薬
キットが提供される。
【0192】該試薬キットは、少なくとも配列番号:2
に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部
又は全てにハイブリダイズするDNA断片を必須構成成
分として含んでいれば、他の成分として、標識剤、PC
R法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラー
ゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、プライマーなど)
が含まれていてもよい。
【0193】標識剤としては、放射性同位元素又は蛍光
物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA断
片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていてもよ
い。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のため
に適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反応
停止液などが含まれていてもよい。
【0194】更に本発明は、前記測定方法を用いる癌の
診断方法及び該方法に用いる診断剤並びに診断用キット
をも提供するものである。
【0195】また、前記方法を用いることにより、被検
試料中から得られたLUNX遺伝子の配列を直接的若し
くは間接的に決定することにより、野生型LUNX遺伝
子と相同性の高い相同物である新たなLUNX遺伝子に
関連する関連遺伝子を見出すことができる。
【0196】従って、本発明はかかる測定と被検試料中
のLUNX DNAの配列決定により、被検試料中のヒ
トLUNX遺伝子に関連する関連遺伝子のスクリーニン
グ方法をも提供するものである。
【0197】また、ヒトLUNX遺伝子によりコードさ
れるポリペプチド(配列番号:1で示されるアミノ酸配
列のポリペプチド)または該配列番号:1において1も
しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加された
アミノ酸配列のポリペプチド或いはこれらの断片を利用
し、またこれら各蛋白質に対する抗体を利用すれば、野
生型LUNX蛋白質および/または変異LUNX蛋白質
の測定が可能となる。
【0198】従って、本発明は、野生型LUNX蛋白質
および/または変異LUNX蛋白質の抗体測定法、抗原
測定法を提供するものである。該測定法によって新生物
状態の障害の程度、転移部位或いは悪性腫瘍の悪性度を
野生型LUNX蛋白質の変化に基づいて検出することも
可能である。かかる変化は、この分野における前記慣用
技術によるLUNX蛋白質のアミノ酸配列分析によって
も決定でき、更に好ましくは、抗体(ポリクローナル又
はモノクローナル抗体)を用いて、LUNX蛋白質中の
相違、又はLUNX蛋白質の有無を検出することができ
る。本発明の測定法の具体的な例示としては、LUNX
抗体は、血液・血清、リンパ球などのヒトより採取した
生体材料試料含有溶液からLUNXポリペプチドを免疫
沈降し、かつポリアクリルアミドゲルのウェスタン・ブ
ロット又はイムノブロット上でLUNXポリペプチドと
反応することができる。また、LUNX抗体は免疫組織
化学的技術を用いてパラフィン又は凍結組織切片中のL
UNXポリペプチドを検出することができる。抗体産生
技術及び精製する技術は当該分野においてよく知られて
いるので、これらの技術を適宜選択することができる。
【0199】野生型LUNX蛋白質またはその突然変異
体を検出する方法に関連するより好ましい具体例には、
モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体
を用いるサンドイッチ法を含む、酵素結合イムノソルベ
ントアッセイ(ELISA)、放射線免疫検定法(RI
A)、免疫放射線検定法(IRMA)及び免疫酵素法(IE
MA)が含まれる。
【0200】また、本発明は、LUNXポリペプチドに
対するLUNX結合活性を有する細胞膜画分又は細胞表
面上に存在するLUNXレセプターをも提供することが
可能である。該LUNXレセプターの取得は、細胞膜画
分を含む生体材料試料中において標識したLUNXポリ
ペプチドをコンジュゲートさせ、LUNX結合反応物を
抽出・単離、精製し、単離物のアミノ酸配列を特定する
ことによって達成され、該LUNXレセプター蛋白質の
取得並びに配列決定は、この分野の当業者にとり自明で
ある。
【0201】また本発明は、LUNXレセプター結合反
応物またはその結合断片を種々の薬剤をスクリーニング
する技術に用いることによって、化合物(LUNXレセ
プター反応物:化合物は低分子化合物、高分子化合物、
蛋白質、蛋白質部分断片、抗原、または抗体など言う)
をスクリーニングすることに利用可能である。好ましく
は、LUNXレセプターを利用する。かかるスクリーニ
ング試験に用いるLUNXレセプターポリペプチドまた
はその断片は、固体支持体に付着するかまたは細胞表面
に運ばれている溶液中の遊離物であってもよい。
【0202】薬剤スクリーニングの一例としては、例え
ば、LUNXポリペプチドまたはその断片を発現する組
換え蛋白質で安定して形質転換した原核生物または真核
生物の宿主細胞を、好ましくは競合的結合アッセイにお
いて利用することができる。また遊離の、または固定し
た形態のかかる細胞を標準結合アッセイに用いることも
できる。より具体的には、LUNXレセプターポリペプ
チドまたはその断片と、試験する物質との間の複合体の
形成を測定し、LUNXレセプターポリペプチドまたは
その断片とLUNXポリペプチドまたはその断片との間
の複合体の形成が試験する物質によって阻害される程度
を検出することによって化合物をスクリーニングするこ
とが可能である。
【0203】かくして、本発明は、当該分野で既知の方
法によって、かかる物質とLUNXレセプターポリペプ
チドまたはその断片とを接触させ、次いで、該物質とL
UNXレセプターポリペプチドまたはその断片との間の
複合体の存在、またはLUNXレセプターポリペプチド
またはその断片とリガンドとの間の複合体の存在につい
て測定する、薬剤のスクリーニング方法を提供する。
【0204】さらに、LUNXレセプター活性を測定し
て、かかる物質がLUNXレセプターを阻害でき、かく
して上記定義されたLUNXの活性、例えば細胞の成長
を調節できるかどうか或いは蛋白−蛋白相互結合の調節
または複合体形成能の調節ができるかどうかを判断でき
る。
【0205】かかる競合結合アッセイは、より具体的に
は、まずLUNXレセプターポリペプチドまたはその断
片を標識する。遊離のLUNXレセプターポリペプチド
またはその断片を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するも
のから分離する。遊離(複合体未形成)標識の量は、各
々、試験される因子のLUNXレセプターに対する結合
またはLUNXレセプター:LUNXポリペプチド結合
の阻害の尺度となる。LUNXポリペプチドの小さなペ
プチド(ペプチド疑似体)をこのように分析し、LUNX
レセプター阻害活性を有するものを測定できる。
【0206】本発明に包含される薬剤スクリーニングの
ための他の方法は、LUNXレセプターポリペプチドに
対して適当な結合親和性を有する化合物についてのスク
リーニング法である。この方法は、該略すると、多数の
異なるペプチド試験化合物をプラスチックのピンまたは
他の物質の表面のごとき固体支持体上で合成し、次いで
ペプチド試験化合物をLUNXレセプターポリペプチド
と反応させ、洗浄する。次いで既知の方法を用いて反応
結合LUNXレセプターポリペプチドを検出する(例え
ばPCT特許公開第WO84−03564号参照)。
【0207】精製されたLUNXレセプターは、直接、
前記薬剤スクリーニング技術で使用するプレート上に被
覆することができる。ポリペプチドに対する非−中和抗
体を用いて抗体を補足し、LUNXレセプターポリペプ
チドを固相上に固定することができる。
【0208】さらに本発明によれば、競合薬剤スクリー
ニングアッセイの使用を提供される。これによれば、L
UNXレセプターポリペプチドまたはその断片に対する
結合性につき、LUNXレセプターポリペプチドに特異
的に結合できる中和抗体と試験化合物とを競合させる。
抗体による該競合によって、LUNXレセプターポリペ
プチドの1またはそれ以上の抗原決定部位を有するいず
れのペプチドの存在をも検出することが可能である。
【0209】また、薬剤スクリーニングに関し、更なる
方法としては、非機能性LUNX遺伝子を含有する宿主
真核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主細胞系
または細胞を薬剤化合物の存在下において一定期間増殖
させた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該化合物
が例えば、細胞の成長を調節できるかどうか或いは蛋白
−蛋白相互結合の調節または複合体形成能の調節できる
かどうかを確認する。増殖速度を測定する1手段とし
て、LUNXレセプターの生物活性を測定することも可
能である。
【0210】また本発明によれば、より活性または安定
した形態のLUNXポリペプチド誘導体または例えばイ
ン・ビボ(in vivo)でLUNXポリペプチドの機能を高
めるかもしくは妨害する薬剤を開発するための、それら
が相互作用する目的の生物学的に活性なポリペプチドま
たは構造アナログ、例えばLUNXアゴニスト、LUN
Xアンタゴニスト、LUNXインヒビターなどが作製、
提供できる。
【0211】該構造アナログの利用によれば、例えばL
UNX蛋白質と他の蛋白質との複合体の三次元構造をX
線結晶学、コンピューター・モデリングまたはこれらを
組合せた方法によって決定することができる。また、構
造アナログの構造に関する情報は、相同性蛋白質の構造
に基づく蛋白質のモデリングによって得ることも可能で
ある。
【0212】また、活性または安定した形態のLUNX
蛋白質誘導体を得る方法としては、例えばアラニン・ス
キャンによる分析方法を挙げることができる。該方法は
アミノ酸残基をAlaで置換して、ペプチドの活性に対す
るその影響を測定する方法であり、ペプチドの各アミノ
酸残基をこのように分析することによって、当該ペプチ
ドの活性や安定性に重要な領域を決定することができ、
更に、該方法によって、より活性なまたは安定なLUN
X誘導体を設計することができる。
【0213】また機能性アッセイによって選択した標的
−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析する
ことも可能である。原則として、このアプローチによ
り、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmac
ore)を得ることができる。機能性の薬理学的に活性な抗
体に対する抗−イディオタイプ抗体を生成させることに
よって、化学的または生物学的に生成したペプチドのバ
ンクより、ペプチドを同定したり単離したりすることが
可能である。故に選択されたペプチドもファーマコアと
して作用すると予測される。
【0214】かくして、改善されたLUNX活性もしく
は安定性またはLUNX活性のインヒビター、アゴニス
ト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設
計・開発することができる。
【0215】本発明によれば、更に、LUNX遺伝子含
有ノックアウト・マウス(変異マウス)を作成でき、これ
によってLUNX遺伝子配列のどの部位が生体内で上記
したような細胞または組織の変化に影響を与えるか、即
ちLUNX遺伝子産物並びに改変LUNX遺伝子産物が
生体内でどのような機能を有するかを確認することがで
きる。これは、遺伝子の相同組換えを利用して、生物の
遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、その具体例と
してはマウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いる方法を例
示できる(Capeccchi, M. R., Science, 244, 1288-129
2 (1989))。
【0216】尚、上記変異マウスの作製技術は当業者に
とって既知であり、その改変技術(例えば、野田哲生
編、実験医学,増刊, 14 (20) (1996)、羊土社参照)に、
本発明のヒト野性型LUNX遺伝子及び変異LUNX遺
伝子を適応することによって、容易に変異マウスを作製
し得る。従って、該技術の適応により、改善されたLU
NX活性もしくは安定性またはLUNX活性のインヒビ
ター、アゴニスト、アンタゴニストなどとしての作用を
有する薬剤を設計・開発することができる。
【0217】
【発明の効果】本発明によれば、、肺組織に特異的に発
現している新規遺伝子が提供される。該遺伝子は、正常
肺組織より肺の腫瘍においてその発現量が高く、また正
常末梢血または正常リンパ節においてはその発現が認め
られず、それ故、該遺伝子の利用によって、肺癌リンパ
節内の微小転移を高感度に検出可能な癌微小転移検出法
が提供できる。
【0218】また、本発明によれば、上記遺伝子により
コードされる新規なポリペプチド及びその特異抗体また
はその断片およびこれらを有効成分とする医薬、例えば
抗腫瘍剤、癌転移抑制剤などが提供できる。
【0219】更に本発明によれば、上記遺伝子またはそ
のcDNA断片を利用する癌診断剤、癌微小転移診断剤
およびその診断方法並びにそれらのキットが提供でき、
これらの診断剤を用いる癌の悪性度の判定方法も合わせ
て提供できる。
【0220】また本発明によれば、LUNX遺伝子のポ
リヌクレオチド配列またはその部分配列に対するアンチ
センス鎖オリゴヌクレオチドおよびこれを保有するベク
ターが提供され、更にこれらを有効成分として含有する
遺伝子治療剤、遺伝子治療法、医薬組成物、例えば癌転
移抑制剤、抗腫瘍剤が提供できる。
【0221】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。
【0222】
【実施例1】(1-1) 〔γ-33P〕ATPで標識した表出
方法 組織特異的な手法において発現したヒト遺伝子を確認す
るために〔γ-33P〕ATPで標識した表出方法を用い
た。該方法の手順は本質的に以下に示すリアングの方法
(Liang P., et al., Science, 257, 967-971 (1992))に
よった。
【0223】増幅されたcDNA断片のサブクローニン
グと精製は、オザキらの方法をいくらか修飾して行った
(Ozaki, K., Genomics, 36, 316-319 (1996))。
【0224】バックグラウンドからの標的バンドの精製
のために再増幅した産物をビスベンズイミド−PEG複
合体(H.A.Yellow:Hanse Analytik GmbH,ドイツ)を含む
3%アガロースゲルで分離した。該複合体は、DNA断
片のアデニン/チミン(A/T)塩基−リッチ領域に対して
結合し、適当なDNA断片をより正確に分離することが
できる。
【0225】核酸配列は、ABI377自動シークエン
サー(パーキン・エルマー・アプライド・バイオ・シス
テムズ社製)によって決定した。
【0226】即ち、13のヒト組織(成人脳、肺、肝
臓、膵臓、心臓、骨格筋、乳腺、前立腺、胃、脾臓、甲
状腺、腎臓及び脂肪組織:クローンテック社製)の各々
から単離したポリAmRNA(0.2μg)を、ジエチ
ルピロカーボネート処理された水8μl中で、3’-アン
カード・オリゴdTプライマーG(T)15MA(Mは
G、A及びCの混合液である)の25pmolと混合し、6
5℃で5分間加熱した。この溶液に4μlの5×ファー
スト・ストランド緩衝液(BRL社製)、2μlの0.
1M DTT(BRL社製)、1μlの250mM dN
TPs(BRL社製)、1μlのリボヌクレアーゼ・イ
ンヒビター(40単位;TOYOBO社製)及び1μl
のスーパースクリプトII逆転写酵素(200単位;BR
L社製)を加えた。各反応液の最終容量は20μlとし
た。各溶液を37℃で1時間培養した後、30μlの蒸
留水の付加により2.5倍までに希釈し、使用時まで−
20℃で貯蔵した。
【0227】cDNAは、〔γ-33P〕ATPで標識し
た(アマシャム社製)3’−アンカード・プライマーの
存在下でのPCRにより増幅させた。このcDNAのP
CR増幅は、以下のとおり実施された。
【0228】即ち、各20μlのPCR混合液は、2μ
lのRT反応混合液、2μlの10×PCR緩衝液(タ
カラ社製)、4μlの2.5mM dNTPs、0.2
5μlのEx Taq DNAポリメラーゼ(5単位/m
l:タカラ社製)、〔γ-33P〕ATPで標識した25p
molの3’−アンカード・オリゴ−dTプライマー(配
列番号:4)及び25pmolの5’−プライマー(配列番
号:5)を含んでいた。また、PCR反応は以下の条件
で行なった。即ち、95℃で3分間、40℃で5分間及
び72℃で5分間を1サイクルとして行い、それから9
5℃で0.5分間、40℃で2分間及び72℃で1分間
を40サイクル行い、最後に72℃で5分間反応させ
た。
【0229】PCR反応サンプルをエタノールで抽出
し、フォルムアミド・シークエンシング染料中に再懸濁
して、ビスベンズイミド−PEG複合体を含む3%アガ
ロースゲル上で反応させた。ゲルは固定することなしに
乾燥させ、一晩オートラジオグラフィーを実施した。 (1-2) 増幅されたcDNA断片のサブ・クローニング 予め乾燥ゲルを載せた3MM濾紙上にラディオアクティ
ブインクで印を付けておき、これとオートラジオグラム
をあわせることにより、目的のcDNAを含むバンドが
含まれるゲルを、3MM濾紙ごと切り出した後、300
μlのdH2Oにて1時間攪袢した。ポリアクリルアミ
ド・ゲルと濾紙を取り除いた後、cDNAを担体として
1μlの10mg/mlグリコーゲンと0.3M Na
OAcの存在下に、エタノール沈澱によって再回収し、
10μlのdH2Oに再溶解した。再増幅のために、5
μlのこの溶液が用いられた。PCRの条件とプライマ
ーは最初のPCRに対してと同じとした。適当な大きさ
の再増幅産物を第一のPCR産物として再回収し、それ
からそのPCR産物をpUC118ベクター(タカラ社
製)のHinc II部位にクローンニングした。核酸配列はA
BI377自動シークエンサー(パーキン・エルマー・
アプライド・バイオ・システムズ社製)によって決定し
た。
【0230】上記方法にて、13のヒト組織から単離し
たmRNAを用いて異なる表出パターンを比較した結
果、肺に特異的に発現した一つの206塩基のcDNA
からなるPCR産物を確認した。 (2)組織における発現 ディファレンシャル・ディスプレイ・ プロファイルに
おいて観察された発現パターンを確認するために、プロ
ーブとして上記で得られたcDNA断片を使用して、以
下のとおりノーザンブロット分析を実施した。
【0231】ノーザン・ブロツト分析には、ヒトMTN
(Multiple-Tissue Northern)ブロットIとII(クロー
ンテック社製)を使用した。
【0232】上記で得られた遺伝子cDNA断片をLU
NX(肺特異的X-蛋白質)と命名した。該cDNA断片
は、ランドム・プライムドDNA標識キット(ベーリン
ガー・マインハイムGmbH社製)によって〔α-32P〕
−dCTPで標識した。増幅産物を含むメンブランをプ
レハイブリダイズ(条件は製品のプロトコールに従っ
た)し、それから製品のプロトコールに従い、ハイブリ
ダイゼーションを行った。
【0233】ハイブリダイゼーション後、洗浄した膜を
−80℃で16時間オートラジオグラフに露光した。ヒ
ト組織として、心臓(Heart)、脳(brain)、胎盤(Pl
acenta)、肺(Lung)、肝臓(Liver)、骨格筋(Skele
tal muscle)、腎臓(Kidney)、膵臓(Pancreas)、脾
臓(Spleen)、胸腺(Thymus)、前立腺(Prostate)、
精巣(Testis)、卵巣(Ovary)、小腸(Small intesti
ne)、結腸(Colon)及び末梢血白血球(Peripheral bl
ood leukocyte; P.B.L.)を用いて得られた結果より、
LUNX遺伝子に相同する1キロ塩基のバンドからなる
転写体は、肺(Lung)にのみ特異的に観察された。 (3)5’−cDNA末端のラピッド増幅:5’−レー
ス法(5'-RACE) LUNX遺伝子のオープン・リーディング・フレームを
得るために、5’−cDNA末端のラピッド増幅(5’
−レース法)を、以下のとおり行った(Frohman,F.A., et
al., Ptoc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 8, 8998 (198
8))。
【0234】即ち、1μlのヒト肺マラソン−レディc
DNA(クローンテック社製)と、配列番号:6に示す塩
基配列のアダプター・プライマー1および配列番号:7
に示す塩基配列の遺伝子特異的プライマーを製品のプロ
トコールに従い作成し、cDNAを増幅した。
【0235】PCRは、95℃で30秒、60℃で30
秒、72℃で1分を1サイクルで30サイク行い、最後
に72℃で7分間伸長させた。それから、50μlの第
一のPCR産物の1μlを、配列番号:8に示す塩基配
列のネスティド・プライマーと配列番号:9に示す塩基
配列の第2のアダプター・プライマー2を製品のプロト
コールに従い作成し、これらを用いて第2のPCRによ
って増幅した。
【0236】第2のPCRは、アニーリング温度の62
℃を除いて、第1のPCRと同じ条件で実施した。
【0237】レース産物は1%アガロー電気泳動によっ
て分析され、1.0キロ塩基対の断片が精製され、pU
C118ベクターにサブクローニングし、配列決定し
た。
【0238】その結果、256アミノ酸の新規な蛋白質
をコードする768塩基のオープン・リーディング・フ
レームを含む1015塩基配列が、LUNX遺伝子とし
て特定された。該蛋白質の計算された分子量は、26.
7キロダルトンであった。
【0239】PROSITEデータベース(Bairoch, A.
PROSITE: Nucleic Acids Res., 19, 2241-2245 (199
1))を用いたLUNX蛋白質に対するモチーフ検索は、
該LUNX蛋白質がN末端でシグナル・ペプチド(1番目
から19番目の配列)を含んでいることを示した。
【0240】GenBanck/EMBLのBLAST
検索(Altschul, S. F., et al., J.Mol. Biol., 215, 4
03-410 (1990))は、推定されたLUNX蛋白質が、マウ
スの機能の知られていない蛋白のMus musculus (access
ion number; AAB63256)に対して66%の高い相同性を有
することを示した。 (4)ラディエーション-ハイブリッド・マッピング LUNXcDNAの3’−UTRから産生されたプライ
マーを用いて、ジーン・ブリッジ−4ラディエーション
ハイブリッド・パネル(GeneBridge-4 Radiation Hybri
d Panel: リサーチ・ジェネティクス社製:Walter, M.
A., Spillett,D. J., Nat. Genet., 7, 22-28 (1994))
の93のラディエーション ハイブリッド・クローンに
対して、187塩基の増幅したバンドを分析した。
【0241】用いたプライマーの塩基配列は、配列番
号:10(フォワード・プライマー)および11(リバ
ース・プライマー)に示すとおりである。
【0242】以下のデータ・ベクターが作製された。
【0243】 10010 10000 00010 10110 10011 11001 00010 00001 11102 10100 00110 11111 11001 11100 00110 11100 00001 10000 001。
【0244】上記データー・ベクターをラディエーショ
ン ハイブリッド・マッパー・サーバーを通してゲノム
リサーチに対してザ・ホワイトヘッド研究所(the White
head Institute)/MITセンターでツーポイント・マキ
シマム−ライクリホッド(two-point maximum-likelihoo
d:2点間最尤度法)分析ソフトウェアによって分析した
(http://www-genome. wi.mit.edu/cgi-bin/contig/rhm
apper.pl)。
【0245】その結果、20p11.1−q12にLU
NX遺伝子の染色体局在を特定した。
【0246】LUNX遺伝子の染色体の局在部位は、乳
がん、白血病、膵臓癌、大腸癌などの種々の癌において
染色体異常が報告されている20番染色体のセントロメ
ア周辺であった(Concannon, J. P., et al., Cancer, 3
4, 184-192 (1974): Santabarbara, P., et al., Int.
J. Biol. Markers, 2, 113-122 (1985): Sculier, J.
P., et al., J. Clin. Oncol., 3, 1349-1354 (1985):
Ariyoshi, Y., et al.,Gann, 74, 219-225 (1983))。 (5)ヒト組織標本と細胞株 (A) 試験において使用された肺ガン患者からの標本は、
大阪成人病センター・外科部門で外科的切除から得たも
のである。
【0247】104のリンパ節の全ては、20例(男子
14名、女子6名)の肺非小細胞癌から集められ、その
内訳は、15名の腺癌と5名の扁平上皮癌で、以下に示
されるUICCのTNM分類に分けられた。
【0248】ステージIA が9例、ステージIBが2
例、ステージIIBが6例、ステージIIIAが1例、ステ
ージIIIBが1例およびステージIVが1例(Sobin, L.
H., Witedkind Ch, UICC TNM classification of malig
nant tumours edited, 5th ed. 93-97 (1997)) 。
【0249】更に15例の肺ガンと対応する正常肺組織
もまた、外科的切除によって得られた(合計35例)。
【0250】また、大阪大学医学部第二外科の癌患者か
ら得られた86の腫瘍(結腸癌10例、乳癌9例、胃癌
14例、食道癌12例、肝細胞癌19例および胆管癌2
2例)についても試験した。
【0251】16個のコントロールのためのリンパ節を
非癌患者(摘脾術、胆嚢切除術、急性虫垂炎、腹部大動
脈瘤)から得た。外科的切除によって得られたヒト組織
標本は、RNA抽出まで−80℃でTRIZOL試薬(モレキ
ュラー・リサーチ・センター社製)を含んでいるチュー
ブに保存した。
【0252】肺非小細胞癌患者から取り出されたリンパ
節と原発腫瘍の全ては標本間のクロスコンタミネーショ
ン(cross contamination)を防ぐために無菌条件下に
半分に切り分けた。リンパ節の半分は、10%緩衝液ホ
ルマリンに固定し、ヘマトキシリン−エオジン(H-E)染
色のためにパラフィン包埋した。残りの半分は、上記と
同様にRNA抽出まで−80℃でTRIZOL試薬を含んでい
るチューブに保存した。
【0253】正常及び癌由来の肺組織を起源とする6つ
の細胞株を製造元によって提供されたプロトコールを使
用して培養し、RNA抽出の対象とした。 (B) 血液の調整:1mlの血液を31人の健康ドナー・ボ
ランティアと、20人の肺非小細胞癌をもつ患者から収
集し、集めたサンプルを1mlのDEPC(ジエチル・ピ
ロカルボネート)処理された水と希釈し、6mlのTRIZOL
LS(モレキュラー・リサーチ・センター社製)で混合し
た。該混合物をRNA単離まで−80℃で保存した。 (C) RNA抽出:組織および細胞株は、RNAの減成を
避けるためにTRIZOL試薬中で使い捨て可能なホモジナイ
ザー(IEDATM)で細かく裁断した。RNA抽出は前述(Cho
mczynski, and Sacchi, (1987))したようにシングル-ス
テップ法においてTRIZOL試薬と共に実施した。血液混合
物からのRNA抽出に対してはTRIZOL LSが使用され
た。 (6)RT−PCRと電気泳動アッセイ 相補鎖DNAをAMV(avian myeloblastosis virus)逆
転写酵素(プロメガ社製)で製品説明書に従い製造した。
【0254】即ち、1μgのRNAを5分間70℃でイ
ンキュベーションした後、オリゴ(dT)15プライミング
とRT反応試薬の添加前に氷上に静置した。 RT反応
試薬を42℃で90分間加え、続いて95℃で5分間加
熱した。PCRは、2μlのcDNA鋳型、1xパーキ
ン・エルマーPCR緩衝液、1.5mM MgCl2、0.8mM
デオキシヌクレオチド三リン酸、0.2μMの各プライ
マー及び1単位のTaqDNAポリメラーゼ(AmpliTaq
GoldTM、ロッシュ・モレキュラー・システムズInc.社
製)を含む25μlの反応混合液で実施した。
【0255】LUNX遺伝子に対するPCRの反応条件
は以下のようにして実施した:1サイクルの95℃で1
2分間変性に続いて、72℃10分間の最終伸長の前に
95℃1分間、62℃1分間、72℃1分間の40サイ
クルを行なった。すべてのRNAサンプルの品質は、β
−アクチンまたはGAPDHに代えて、ポルホビリノー
ゲン・デアミナーゼ(PBGD)mRNAの発現に対してRT
−PCRを実施することによって確認された。
【0256】この方法はこれらのハウス−キーピング遺
伝に対する偽遺伝子の可能性ある存在に負うゲノムDN
A汚染からの偽陽性シグナルを避けるために行われた。
PBGDに対するPCR条件は、LUNXの場合と同じ
であった。これらのPCRの条件はGeneAmp PCR System
9600(パーキン・エルマー社製)において設定されてい
た。
【0257】最適のプライマー配列はオリゴ・プライマ
ー分析ソフトウェア・バージョン5.1(NBI/Genovus,Inc
社製)を使用して、特異的なLUNXmRNA検出のた
めに作製した。該プライマーの塩基配列は、配列番号:
12および13に示すとおりである。
【0258】得られたcDNA産物は、396塩基対で
あった。PBGDcDNA検出のために使用されたPC
Rプライマーは、フィンクらの方法(Finke, J., et.a
l., J.Clin. Oncol., 11, 1668-1673 (1993))に順じて
合成し、そして増幅された産物は、127塩基対であっ
た。PCR産物は、2%アガロースゲル上で電気泳動に
よって分析し、エチジウム・ブロマイドで染色した。
【0259】上記(5)(A)で得られた標本におけるL
UNXmRNAの発現頻度を本方法により調べた結果を
下記表1に示す。
【0260】
【表1】
【0261】35例全ての肺非小細胞癌にはLUNXm
RNAの発現が確認された。
【0262】LUNX遺伝子のまれな発現が結腸癌3/
10例、食道癌2/12例、肝細胞癌4/19例および
乳癌1/9例において検出されたが、胃癌、胆管癌およ
び胆嚢癌組織には発現は検出されなかった。
【0263】LUNX遺伝子発現のために試験した異な
った肺組織を起源とする5つの独立した細胞株(ABC-1,
PC-3; 腺癌、IMR-90; 胎児肺の二倍体線維芽細胞、LC-1
Sq;鱗状細胞癌、Lu-99; 巨大細胞癌、SBC-3;ミエリン
の小細胞癌、CCD16Ln; 正常肺)においては、一つの腺癌
細胞株(PC-3)のみにLUNXmRNAの発現が認められ
た。
【0264】また、RT−PCRアッセイは、非癌手術
下の患者(脾摘出、胆嚢切除、急性虫垂炎、腹部動脈
瘤)から得られた16の正常リンパ節と正常ボランティ
ア・ドナーからの31の末梢血リンパ球(PBLs)において
は、LUNX転写体は認められなかった。 (7)複合RT−PCRでの半定量的分析 (A) 肺非小細胞癌と周囲の腫瘍のない組織との間のLU
NXmRNAの量を比較するために、ウェイらによって
記載された方法(Wei, et al., Cancer Res., 21,5025-5
029 (1995); Nagel, S., et al., Nucl. Acids Res., 2
4, 4102-4103 (1996))を若干修飾させた複合のRT−P
CR技術を使用して、半定量的分析を行なった。PCR
混合液は、LUNX遺伝子とPBGDcDNAに対して
2つのプライマー(配列番号:12および13、LUN
X遺伝子に対して各0.2μM、PBGDに対して各0.1μ
M)を含んでいて、増幅された産物はLUNX遺伝子に対
して396塩基対であり、PBGDに対して127塩基
対であった。複合PCRの反応条件は、1サイクルの9
5℃で12分間変性に続いて、35サイクルの95℃1
分間、62℃1分間、72℃1分間を行い、最後に72
℃で10分間伸長反応させるものとした。
【0265】遺伝子発現の関連するレベルを定量化する
ために、電気泳動されたPCR産物はデンシトメーター
を用いて定量化された。ピークの範囲をFMBIO II
Multi-View(タカラ社製)のデンシトメトリック分析によ
って計算した。
【0266】LUNX遺伝子に対する相対的な値を計算
するために、試験サンプルの基準線遺伝子発現として、
各反応における内部標準(PBGD)を用いることによってL
UNX遺伝子の発現量を比較した。もし、腫瘍と正常組
織との間の違いが、2倍以上ならば、LUNX蛋白質は
腫瘍組織において過剰発現していると考えられた。
【0267】上記(5)で得られたサンプルを用いて、
上記2つのプライマーを用いて半定量的分析を行った結
果、肺非小細胞癌の周囲の正常組織におけるLUNX遺
伝子の発現に比して、31例中25例(84%)におい
て肺非小細胞癌のLUNXmRNA発現が上昇してい
た。 (B)LUNX RT−PCRアッセイの検出感度 LUNXmRNAの検出の感度を評価するために、肺非
小細胞癌から抽出した全RNAを、10-0(1)から10-6
μgの所定の癌RNA/1μg正常リンパ節RNAの比
率となるように、正常リンパ節から抽出した全RNAと
混合した。
【0268】上記で調製した各混合液およびコントロー
ルとして正常リンパ節RNA1μgのみを用いて、前記
(6)と同様にしてRT−PCRアッセイを行った。そ
の結果を図1に示す。図1において、上段はLUNXm
RNA(396bp)のバンドを、下段はコントロール
としてのPBGDのバンド(127bp)をそれぞれし
めす。
【0269】該図より、LUNXmRNAは、1μg正
常リンパ節RNAに対して10-4μg以上の濃度で検出さ
れることが明らかである。 (C)肺非小細胞癌患者のリンパ節と末梢血標本における
LUNXmRNAの検出 外科で解剖された20例の肺非小細胞癌患者のすべての
リンパ節における臨床的・病理学的な試験を、前記組織
学的な試験に付け加えて、LUNX RT−PCRアッ
セイにより分析した。
【0270】その結果を表2に示す。
【0271】
【表2】
【0272】LUNX PCR産物は、組織学的な試験
によって癌転移のために陽性および陰性と診断されたリ
ンパ節のいずれにおいても検出された(図2参照)。
【0273】LUNX RT−PCRアッセイによって
組織学的に陰性のリンパ節において付加的に陽性のリン
パ節が20例の患者のうち12例に検出された。組織学
的試験とRT−PCR分析の両者の結果は、6例の患者
において完全に一致していた。
【0274】表2は、RT−PCRアッセイと組織学的
な試験の比較の結果を示している。
【0275】20例の組織学的に陽性のリンパ節中の16例
(80%)と、84例の組織学的に陰性のリンパ節中の21例(2
5%)において、LUNXmRNAが検出された。一方、
LUNXmRNA発現がステージIIBの疾患を有する患
者から得られた一つの血液標本にのみにおいて検出され
た。
【0276】上記各結果は、LUNX遺伝子の発現は、
肺非小細胞癌の検出及び診断に有用な指標となり得ると
共に、肺非小細胞癌における微小転移を検出するために
RT−PCRアッセイのためのひとつの可能性ある分子
マーカーであることを指示している。
【0277】LUNXmRNAに対するこのアッセイの
感度を正常のリンパ節標本からの1μgの全RNAにお
ける一つの腫瘍から抽出され、段階的に希釈された全R
NAによって評価した。
【0278】LUNXmRNAは、1μgの正常のリン
パ節RNAにおいて10-4μg癌RNAの濃度で検出され
た。肺非小細胞癌の微小転移に対する検出マーカーとし
てのLUNXmRNAの有用性を評価するために、肺非
小細胞癌をもつ患者から摘出されたすべてのリンパ節を
LUNX RT−PCRアッセイと組織学的な試験の両
者によって試験した。
【0279】得られた結果はLUNXmRNAが高感度
のRT−PCRアッセイによる肺非小細胞癌をもつ患者
のリンパ節における癌細胞の広がりの検出とモニターリ
ングのためのよい分子マーカーであることを証明した。
【0280】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> LUNX gene and a methof for detection of micrometatic cancer <130> 15D9JP <140> <141> <160> 13 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 256 <212> PRT <213> human lung Marathon-Ready (TM) cDNA library <400> 1 Met Phe Gln Thr Gly Gly Leu Ile Val Phe Tyr Gly Leu Leu Ala Gln 1 5 10 15 Thr Met Ala Gln Phe Gly Gly Leu Pro Val Pro Leu Asp Gln Thr Leu 20 25 30 Pro Leu Asn Val Asn Pro Ala Leu Pro Leu Ser Pro Thr Gly Leu Ala 35 40 45 Gly Ser Leu Thr Asn Ala Leu Ser Asn Gly Leu Leu Ser Gly Gly Leu 50 55 60 Leu Gly Ile Leu Glu Asn Leu Pro Leu Leu Asp Ile Leu Lys Pro Gly 65 70 75 80 Gly Gly Thr Ser Gly Gly Leu Leu Gly Gly Leu Leu Gly Lys Val Thr 85 90 95 Ser Val Ile Pro Gly Leu Asn Asn Ile Ile Asp Ile Lys Val Thr Asp 100 105 110 Pro Gln Leu Leu Glu Leu Gly Leu Val Gln Ser Pro Asp Gly His Arg 115 120 125 Leu Tyr Val Thr Ile Pro Leu Gly Ile Lys Leu Gln Val Asn Thr Pro 130 135 140 Leu Val Gly Ala Ser Leu Leu Arg Leu Ala Val Lys Leu Asp Ile Thr 145 150 155 160 Ala Glu Ile Leu Ala Val Arg Asp Lys Gln Glu Arg Ile His Leu Val 165 170 175 Leu Gly Asp Cys Thr His Ser Pro Gly Ser Leu Gln Ile Ser Leu Leu 180 185 190 Asp Gly Leu Gly Pro Leu Pro Ile Gln Gly Leu Leu Asp Ser Leu Thr 195 200 205 Gly Ile Leu Asn Lys Val Leu Pro Glu Leu Val Gln Gly Asn Val Cys 210 215 220 Pro Leu Val Asn Glu Val Leu Arg Gly Leu Asp Ile Thr Leu Val His 225 230 235 240 Asp Ile Val Asn Met Leu Ile His Gly Leu Gln Phe Val Ile Lys Val 245 250 255 <210> 2 <211> 768 <212> DNA <213> human lung Marathon-Ready (TM) cDNA library <400> 2 atgtttcaaa ctgggggcct cattgtcttc tacgggctgt tagcccagac catggcccag 60 tttggaggcc tgcccgtgcc cctggaccag accctgccct tgaatgtgaa tccagccctg 120 cccttgagtc ccacaggtct tgcaggaagc ttgacaaatg ccctcagcaa tggcctgctg 180 tctgggggcc tgttgggcat tctggaaaac cttccgctcc tggacatcct gaagcctgga 240 ggaggtactt ctggtggcct ccttggggga ctgcttggaa aagtgacgtc agtgattcct 300 ggcctgaaca acatcattga cataaaggtc actgaccccc agctgctgga acttggcctt 360 gtgcagagcc ctgatggcca ccgtctctat gtcaccatcc ctctcggcat aaagctccaa 420 gtgaatacgc ccctggtcgg tgcaagtctg ttgaggctgg ctgtgaagct ggacatcact 480 gcagaaatct tagctgtgag agataagcag gagaggatcc acctggtcct tggtgactgc 540 acccattccc ctggaagcct gcaaatttct ctgcttgatg gacttggccc cctccccatt 600 caaggtcttc tggacagcct cacagggatc ttgaataaag tcctgcctga gttggttcag 660 ggcaacgtgt gccctctggt caatgaggtt ctcagaggct tggacatcac cctggtgcat 720 gacattgtta acatgctgat ccacggacta cagtttgtca tcaaggtc 768 <210> 3 <211> 1015 <212> DNA <213> human lung Marathon-Ready (TM) cDNA library <220> <221> CDS <222> (68)..(835) <400> 3 cgcccgggca ggtggagacc aggacagctg ctgagacctc taagaagtcc agatactaag 60 agcaaag atg ttt caa act ggg ggc ctc att gtc ttc tac ggg ctg tta 109 Met Phe Gln Thr Gly Gly Leu Ile Val Phe Tyr Gly Leu Leu 1 5 10 gcc cag acc atg gcc cag ttt gga ggc ctg ccc gtg ccc ctg gac cag 157 Ala Gln Thr Met Ala Gln Phe Gly Gly Leu Pro Val Pro Leu Asp Gln 15 20 25 30 acc ctg ccc ttg aat gtg aat cca gcc ctg ccc ttg agt ccc aca ggt 205 Thr Leu Pro Leu Asn Val Asn Pro Ala Leu Pro Leu Ser Pro Thr Gly 35 40 45 ctt gca gga agc ttg aca aat gcc ctc agc aat ggc ctg ctg tct ggg 253 Leu Ala Gly Ser Leu Thr Asn Ala Leu Ser Asn Gly Leu Leu Ser Gly 50 55 60 ggc ctg ttg ggc att ctg gaa aac ctt ccg ctc ctg gac atc ctg aag 301 Gly Leu Leu Gly Ile Leu Glu Asn Leu Pro Leu Leu Asp Ile Leu Lys 65 70 75 cct gga gga ggt act tct ggt ggc ctc ctt ggg gga ctg ctt gga aaa 349 Pro Gly Gly Gly Thr Ser Gly Gly Leu Leu Gly Gly Leu Leu Gly Lys 80 85 90 gtg acg tca gtg att cct ggc ctg aac aac atc att gac ata aag gtc 397 Val Thr Ser Val Ile Pro Gly Leu Asn Asn Ile Ile Asp Ile Lys Val 95 100 105 110 act gac ccc cag ctg ctg gaa ctt ggc ctt gtg cag agc cct gat ggc 445 Thr Asp Pro Gln Leu Leu Glu Leu Gly Leu Val Gln Ser Pro Asp Gly 115 120 125 cac cgt ctc tat gtc acc atc cct ctc ggc ata aag ctc caa gtg aat 493 His Arg Leu Tyr Val Thr Ile Pro Leu Gly Ile Lys Leu Gln Val Asn 130 135 140 acg ccc ctg gtc ggt gca agt ctg ttg agg ctg gct gtg aag ctg gac 541 Thr Pro Leu Val Gly Ala Ser Leu Leu Arg Leu Ala Val Lys Leu Asp 145 150 155 atc act gca gaa atc tta gct gtg aga gat aag cag gag agg atc cac 589 Ile Thr Ala Glu Ile Leu Ala Val Arg Asp Lys Gln Glu Arg Ile His 160 165 170 ctg gtc ctt ggt gac tgc acc cat tcc cct gga agc ctg caa att tct 637 Leu Val Leu Gly Asp Cys Thr His Ser Pro Gly Ser Leu Gln Ile Ser 175 180 185 190 ctg ctt gat gga ctt ggc ccc ctc ccc att caa ggt ctt ctg gac agc 685 Leu Leu Asp Gly Leu Gly Pro Leu Pro Ile Gln Gly Leu Leu Asp Ser 195 200 205 ctc aca ggg atc ttg aat aaa gtc ctg cct gag ttg gtt cag ggc aac 733 Leu Thr Gly Ile Leu Asn Lys Val Leu Pro Glu Leu Val Gln Gly Asn 210 215 220 gtg tgc cct ctg gtc aat gag gtt ctc aga ggc ttg gac atc acc ctg 781 Val Cys Pro Leu Val Asn Glu Val Leu Arg Gly Leu Asp Ile Thr Leu 225 230 235 gtg cat gac att gtt aac atg ctg atc cac gga cta cag ttt gtc atc 829 Val His Asp Ile Val Asn Met Leu Ile His Gly Leu Gln Phe Val Ile 240 245 250 aag gtc taagccttcc aggaaggggc tggcctctgc tgagctgctt cccagtgctc 885 Lys Val 255 acagatggct ggcccatgtg ctggaagatg acacagttgc cttctctccg aggaacctgc 945 cccctctcct ttcccatcag gcgtgtgtaa catcccatgt gcctcaccta ataaaatggc 1005 tcttcttctg 1015 <210> 4 <211> <212> DNA <213> Primer <400> 4 tttttttttt ttttva 16 <210> 5 <211> <212> DNA <213> Primer <400> 5 ctgatccatg 10 <210> 6 <211> 25 <212> DNA <213> Gene-specific primer <400> 6 catgggccag ccatctgtga gcact 25 <210> 7 <211> 27 <212> DNA <213> Adaptor primer <400> 7 ccatcctaat acgactcact atagggc 27 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Nested primer <400> 8 catgggccag ccatctgtga gcact 25 <210> 9 <211> 27 <212> DNA <213> Adaptor primer <400> 9 ccatcctaat acgactcact atagggc 27 <210> 10 <211> 23 <212> DNA <213> Forward primer <400> 10 cggactacag tttgtcatca agg 23 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Reverse primer <400> 11 attaggtgag gcacatggga 20 <210> 12 <211> 25 <212> DNA <213> Primer <400> 12 ctcattgtct tctacgggct gttag 25 <210> 13 <211> 21 <212> DNA <213> Primer <400> 13 ctttatgccg agagggatgg t 21
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(7)(B)に従うRT−PCR分析に
よる検出感度を求めた図面代用写真である。
【図2】実施例1(7)(C)に従うRT−PCR分析に
よる分析結果を示す図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 4C084 5/10 C12Q 1/68 A 4C085 C12Q 1/68 G01N 33/15 Z 4C086 G01N 33/15 33/50 Z 4C087 33/50 33/566 4H045 33/566 33/574 A 33/574 A61K 31/713 // A61K 31/713 35/12 35/12 35/76 35/76 39/395 E 39/395 T 48/00 48/00 A61P 35/00 A61P 35/00 35/04 35/04 C12P 21/08 C12P 21/08 C12N 5/00 A (72)発明者 尾崎 浩一 徳島県徳島市南末広町2−67 リバーサイ ド南末広7番館606号 Fターム(参考) 2G045 AA26 BB01 BB07 BB20 BB24 BB46 BB48 BB51 CB01 CB17 DA12 DA36 FA34 FB02 FB05 FB09 GC12 4B024 AA01 AA12 BA36 BA45 CA04 DA06 EA04 FA03 GA11 GA19 HA01 HA12 HA15 HA17 4B063 QA01 QA19 QQ02 QQ53 QR08 QR62 QS14 QS25 QS36 4B064 AG27 CA20 CC24 DA05 DA14 4B065 AA26X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA13 NA14 ZB261 ZB262 ZC012 4C085 AA08 AA13 AA14 AA19 BB11 CC03 CC23 CC29 DD21 DD32 DD61 EE01 HH13 JJ01 KA03 KA04 KB82 KB92 LL09 LL18 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 FA03 MA01 MA04 NA14 ZB26 ZC01 4C087 AA01 AA02 AA03 BC83 CA12 NA05 NA14 ZB21 ZB26 4H045 AA11 AA30 CA41 DA76 DA86 EA28 EA51 FA72

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)または(b)のポリヌクレオ
    チドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
    チドをコードするポリヌクレオチド、(b)配列番号:
    1で示されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードする
    ポリヌクレオチドに対して少なくとも95%の相同性を
    持つポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】以下の(a)または(b)のポリヌクレオ
    チドからなる遺伝子: (a)配列番号:2で示される塩基配列、(b)上記
    (a)の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
    ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    ド。
  3. 【請求項3】配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチドである請求項
    1に記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】配列番号:2で示される塩基配列のポリヌ
    クレオチドである請求項2に記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の遺伝子を発現させてなる
    遺伝子発現産物。
  6. 【請求項6】請求項1または2に記載の遺伝子を有する
    組換え体発現ベクター。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の組換え体発現ベクターを
    有する宿主細胞。
  8. 【請求項8】配列番号:2で示される塩基配列からなる
    ポリヌクレオチド・プローブ。
  9. 【請求項9】配列番号:2で示される塩基配列中の少な
    くとも10の連続するヌクレオチド配列を含むポリヌク
    レオチド・プローブ。
  10. 【請求項10】配列番号:2で示される塩基配列中の少
    なくとも30の連続するヌクレオチド配列を含むポリヌ
    クレオチド・プローブ。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれかに記載のポリ
    ヌクレオチド・プローブを有効成分とする癌診断剤。
  12. 【請求項12】請求項8〜10のいずれかに記載のポリ
    ヌクレオチド・プローブを有効成分とする癌微小転移診
    断剤。
  13. 【請求項13】請求項8〜10のいずれかに記載のポリ
    ヌクレオチド・プローブを含有する癌診断用キット。
  14. 【請求項14】請求項5に記載の遺伝子発現産物に結合
    性を有する抗体またはその断片。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018126595A1 (zh) * 2017-01-04 2018-07-12 合肥瑞达免疫药物研究所有限公司 能够结合肺特异x蛋白的抗体或抗体片段及其用途

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US10919978B2 (en) 2017-01-04 2021-02-16 Immunopharmaceutic Institute Of Hefei Ruida Co., Ltd. Antibody or antibody fragment capable of binding to lung-specific X protein and use thereof

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