JP2008118989A - Pca2501遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】精神分裂病患者末梢血中に高発現している新規遺伝子PCA2501、該遺伝子のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、および該遺伝子の発現産物、該遺伝子を用いた遺伝子診断法並びに新しい治療法の提供。
【解決手段】特定の塩基配列の少なくとも15の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、体液または組織検体中のPCA2501遺伝子または遺伝子発現物を検出することを特徴とする精神分裂病の判定方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、精神分裂病患者末梢血中に高発現している新規遺伝子PCA2501に関する。更に本発明は、該遺伝子のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、および該遺伝子の発現産物、該遺伝子を用いた遺伝子診断並びに新しい治療法の開発に利用可能な新規ヒト遺伝子に関する。
生物の遺伝情報は、細胞の核内に存在するA、C、GおよびTの4種の塩基の配列(DNA)として蓄積され、この遺伝情報は個々の生物の系統維持と個体発生のために保存されている。ヒトの場合、その塩基数は約30億(3×109)といわれ、その中に5〜10万の遺伝子があると推測されている。これらの遺伝情報は遺伝子(DNA)からmRNAが転写され、次に蛋白質に翻訳されるという流れに沿い、調節蛋白質、構造蛋白質あるいは酵素が作られ、生命現象を維持している。上記遺伝子から蛋白質翻訳までの流れの異常は、細胞の増殖・分化などの生命維持システムの異常を惹起し、各種疾患の原因となるとされている。これまでの遺伝子解析の結果から、G蛋白結合受容体、インスリン受容体やLDL受容体、5−HT受容体、ドーパミン受容体などの各種受容体や細胞の増殖・分化に関わるものやチロシンキナーゼ、ヒスチジンキナーゼ、アルギニンキナーゼ、プロテアーゼ、ATPase、スーパーオキシドディスムターゼ、ヒスチジンキナーゼ、p450のような代謝酵素などの疾患の診断や医薬品開発にとって有用な化合物のスクリーニングのための素材となると思われる遺伝子が多く見つかっている。
その中で特に精神分裂病、双極性/単極性障害などの神経性障害に係わる遺伝子として、Frizzled−3(特許文献1)、Frizzled−4(特許文献2)、Wnt−4(特許文献3)、Wnt−6(2000−60575号)などの遺伝子が近年見つかっている。 ヒトFrizzled−3は8p12−p21にマップされ、ほとんど脳および中枢神経系でのみ発現している。ケンデラー(非特許文献1)は、精神分裂病と265アイルランド人ファミリーの8p21との間に非常に顕著な関連を見出している。
しかしながら、ヒト遺伝子の解析とそれら解析された遺伝子の機能および解析遺伝子と各種疾患との係わりについての研究は、まだ始まったばかりであり、特に精神神経領域において特に不明な点が多く、更なるこの領域における新しい遺伝子の解析、それらの遺伝子の機能の解析、解析された遺伝子と疾患の係わりの研究、惹いては解析された遺伝子の利用による脳・神経領域の遺伝子診断、該遺伝子の脳・神経領域にかかる医薬用途への応用研究などが当業界で望まれている。
上記脳・神経領域、特に精神分裂病の領域のかかる新たなヒト遺伝子が提供できれば、脳・神経などの各細胞での遺伝子発現レベルやその構造および機能を解析でき、またその発現物の解析などにより、脳・神経領域、特に精神分裂病の領域に関与する疾患、例えば、精神分裂病の病態解明や診断、治療などが可能となると考えられ、本発明は、かかる新たな精神分裂病に関連するヒトの遺伝子を提供することを目的とする。
特開平11−253183号 2000−93186号 特開平11−75872号 Kendler, et al.,Am. J. Psychiatry.153(12):1534-1540, 1996)
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、精神分裂病患者血液中に高発現している遺伝子PCA2501及びPCA2501ポリペプチドの解析、並びにこれらが神経系障害、特に精神分裂病と密接な関係にあり、これらの疾患の診断や治療薬の開発に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(a)または(b)のポリヌクレオチド:
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補鎖、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも90%の相同性を有するポリヌクレオチド、
また、本発明は次の(c)、(d)または(e)のいずれかのポリヌクレオチド、
を含む遺伝子を提供するものである。
また、本発明は、次の(c)、(d)または(e)のいずれかのポリヌクレオチド:
(c)配列番号2で示される塩基配列またはそれらの相補鎖、
(d)上記(c)の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2で示される塩基配列のポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の相同性を有するポリヌクレオチド、
からなる遺伝子を提供するものである。
さらに本発明は、次の(f)または(g)のポリペプチド:
(f)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(g)上記(f)のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、且つPCA2501活性を有するポリペプチド、
をコードする遺伝子を提供するものである。
さらに本発明は、上記の遺伝子の遺伝子発現産物、上記の遺伝子を有する組換体発現ベクター、当該発現ベクターを有する宿主細胞、並びに遺伝子PCA2501を発現するクローン化cDNA及びその断片、その誘導体およびその相同物を提供するものである。
さらに本発明は、次の(f)または(g)のポリペプチド:
(f)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(g)上記(f)のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、且つPCA2501活性を有するポリペプチド、
を提供するものである。
さらに本発明は上記の遺伝子の塩基配列の少なくとも15または30の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマーを提供するものである。
さらに本発明は上記オリゴヌクレオチド・プローブを用いて、該オリゴヌクレオチド・プローブと結合する体液又は組織検体中のPCA2501遺伝子または遺伝子発現産物を検出することを特徴とする精神分裂病患者体液又は組織の検出方法を提供するものである。
さらに本発明は上記遺伝子または遺伝子発現産物を用いることを特徴とする当該遺伝子または遺伝子発現産物と相互作用する薬物のスクリーニング方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は上記遺伝子発現産物またはその部分に結合性を有する抗体を提供するものである。
さらにまた、本発明は上記オリゴヌクレオチド・プローブまたはプライマーを含有する精神分裂病診断剤を提供するものである。
さらに本発明は、PCA2501遺伝子の少なくとも15また30の連続するヌクレオチド配列を含んでいるアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する遺伝子治療剤および/またはPCA2501活性抑制剤又は抗精神分裂病剤を提供するものである。
さらに本発明は、抗PCA2501抗体またはその部分を有効成分として含有するPCA2501活性抑制剤または抗精神分裂病剤を提供するものである。
さらに本発明の遺伝子の相同物であって、ヒト、イヌ、サル、ウマ、ブタ、ヒツジおよびネコから選ばれる哺乳動物の遺伝子相同物を提供するものである。
さらに本発明は、PCA2501ポリペプチドまたはPCA2501遺伝子発現産物の機能を刺激または抑制する化合物を同定するためのスクリーニング法であって、
(a)候補化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、該候補化合物に直接または間接的に結合させた標識により測定する方法、
(b)候補化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、標識競合物質の存在下で測定する方法、
(c)候補化合物が該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物の活性化または抑制により生ずるシグナルをもたらすか否かを、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞または細胞膜に適した検出系を用いて調べる方法、
(d)候補化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を含有する溶液とを同時に混合して混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物の活性を測定し、該混合物の活性をスタンダードと比較する方法、および
(e)候補化合物が細胞における該ポリペプチドをコードするmRNAおよび該ポリペプチドの産生に及ぼす効果を検出する方法よりなる群から選択される方法を含んでなるスクリーニング法を提供するものである。
また本発明は、上記オリゴヌクレオチド・プローブまたはプライマーの精神分裂病診断剤製造のための使用を提供するものである。
さらにまた本発明は、上記オリゴヌクレオチド・プローブまたはプライマーを用いて、体液または組織検体中のPCA2501遺伝子または遺伝子発現物を検出することを特徴とする精神分裂病の診断方法を提供するものである。
本発明によれば、精神分裂病患者に特異的に高発する新規なPCA2501遺伝子が提供される。本発明によれば、PCA2501オリゴヌクレオチドをプローブとして用いて、該オリゴヌクレオチド・プローブと結合する検体中のPCA2501 遺伝子または遺伝子産物を検出することによって、精神分裂病を検出する検出方法および検出用キットが提供される。
本発明遺伝子の利用によれば、遺伝子発現産物を抗原とする抗体を製造することが出来る。本発明によれば、該抗体による精神分裂病の診断および該抗体を有効成分とする精神分裂病に対する医薬組成物並びに医薬が提供される。
また、PCA2501遺伝子の提供によれば、該遺伝子がコードするPCA2501蛋白質を遺伝子工学的に大量に製造することができ、該蛋白質の提供によれば、PCA2501蛋白質活性やPCA2501蛋白質の結合活性などの機能を調べることもできる。
またPCA2501蛋白質は、PCA2501遺伝子およびその産物が関与する疾患(例えば、精神分裂病、および精神分裂病合併症)の病態解明や診断、治療などに有用である。
本発明によれば、更にPCA2501アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含有する遺伝子治療に有用な遺伝子導入用ベクター、該PCA2501アンチセンスセンス・オリゴヌクレオチド導入された細胞および該ベクターまたは細胞を有効成分とする遺伝子治療剤、並びにその利用による遺伝子治療法などが提供される。
本発明によれば、PCA2501遺伝子または遺伝子発現産物を用いる相互作用物のスクリーニング方法が提供される。
本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基配列、核酸等の略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、「塩基配列またはアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。
本発明遺伝子の一具体例としては、後述する実施例に示される「PCA2501」と名付けられたPCR産物のDNA配列から演繹されるものを挙げることができる。その塩基配列は、配列番号3に示されるとおりである。該遺伝子は、配列番号1に示される718アミノ酸配列の新規な精神分裂病関連蛋白(PCA2501蛋白質という)をコードするヒトcDNAであり、全長3910塩基からなっている。
本発明遺伝子PCA2501でコードされるPCA2501蛋白質は、FASTAプログラム(Person W. R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 85, 2444-2448 (1988))を利用したGenBank/EMBLデーターベースの検索の結果、ヒト・プロト癌遺伝子(BCL3)遺伝子のエクソン3−9および完全コード配列(ACCESSION U05681)あるいはヒトB細胞リンパ腫3−エンコーデッド蛋白(bcl3)mRNAの完全コード配列(ACCESSION M31732)にアミノ酸レベルで31%の相同性が検出されたが、その機能については、未だ明らかにされていない。
また、本発明において、遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨であり、またその長さに何ら制限されるものではない。従って、本発明の遺伝子(DNA)には、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、およびcDNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)、並びに該センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)、およびそれらの断片のいずれもが含まれる。
本発明において遺伝子(DNA)とは、リーダ配列、コード領域、エキソン、イントロンを含む。ポリヌクレオチドとしては、RNA、DNAを例示できる。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAを含む。特定アミノ酸配列を有するポリペプチドは、その断片、同族体、誘導体、変異体を含む。変異体は、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、欠失、置換、付加、および挿入された変異体;コードされるポリペプチドの機能を実質的に変更しないポリヌクレオチド配列を意味する。
尚、これらアミノ酸配列の改変(変異等)は、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾等により生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例えば本発明の具体例遺伝子)を利用して人為的にこれを行なうこともできる。上記ポリペプチドは、アレル体、ホモログ、天然の変異体で少なくとも90%、好ましくは、95%、より好ましくは98%、さらにより好ましくは99%相同なものを含む。
また、共通に保存する構造的な特徴があり、本発明遺伝子発現産物は、生物活性、例えばPCA2501遺伝子の過剰発現に基づく、PCA2501活性、または脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生活性、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性、これら神経伝達物質の伝達障害活性を有している。なおポリペプチドの相同性は配列分析ソフトウェア、例えばFASTAプログラムを使用した測定(Clustal,V., Methods Mol.Biol., 25, 307-318 (1994))において、或いはSWISS−PROTで解析することが出来る。
変異体DNAは、アミノ酸置換についてサイレントまたは保存変異体を意味し、塩基配列によってコードされるアミノ酸残基が変らない塩基配列の変異のことを表わす。
保存的なアミノ酸置換の数は以下に示されているとおりである:
加えて、一般にシスティン残基をコードする1またはそれ以上のコドンは特定のポリペプチドのジスフィド結合に影響を与えるのでシステイン残基の欠失又は置換することが可能である。
置換基を選択することによって作られる機能における実質的な変化は、上記アミノ酸のリストに記載されたものより少し保存性が劣っている。例えば、
a)置換基の領域におけるポリペプチドの構造背景、
b)標的部位のポリペプチドの電荷または疎水性、
c)アミノ酸側鎖の大きさ(容積)。
蛋白の特性に最も大きな変化を生み出すと一般的に期待される置換は、以下のものである:
a) 親水性残基、例えばセリルまたはスレオニンが疎水性残基例えば、ロイシル、イソロイシル、ファニルアラニル、ヴァリル、またはアラニイルに対して置換される、
b) システィンまたはプロリンは、いかなる他の残基に対して置換される、
c) 電気的陽性側鎖を有している残基、例えば、リジル、アルギニリル、ヒスタジルは電気的陰性残基、例えば、バルタアミルまたはアスパルチルによって置換されるが、
d) 非常に大きな側鎖を有している残基、例えば、フェニルアラニンはグリシンのような側鎖を有しないものと置換できる。
以上のとおり、本発明遺伝子PCA2501およびその遺伝子産物の提供は、精神分裂病の解明、把握、診断、予防および治療等に極めて有用な情報乃至手段を与える。また、本発明遺伝子は、上記精神分裂病の処置に利用される本発明遺伝子の発現の誘導を抑制する新規薬剤の開発の上でも好適に利用できる。更に、個体或は体液や組織における本発明遺伝子の発現またはその産物の発現の検出や、該遺伝子の変異(欠失や点変異)乃至発現異常の検出は、上記各精神分裂病の解明や診断において好適に利用できる。
本発明遺伝子は、具体的には配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号2の塩基配列を含む遺伝子、または該配列番号2で示される塩基配列の全部またはその相補鎖を含むポリヌクレオチドからなる遺伝子であるが、特にこれらに限定されることなく、例えば、上記特定のアミノ酸配列において一定の改変を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子や、上記特定のアミノ酸配列や塩基配列と一定の相同性を有する遺伝子であることができる。前記特定のアミノ酸配列や塩基配列と一定の相同性は、例えば少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、更に好ましくは99%以上の相同性を有するものであり、これら相同物を含む。
本発明遺伝子改変体については、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列(改変されたアミノ酸配列)をコードする塩基配列を含む遺伝子もまた包含される。 ここで、「アミノ酸の欠失、置換または付加」の程度およびそれらの位置などは、改変された蛋白質が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる蛋白質(PCA2501蛋白)と同様の機能を有する同効物であれば特に制限されないが、好ましくは1から十数個、更に好ましくは1から数個程度が、PCA2501蛋白と同様の機能を有するうえで好ましく例示される。
ここで「同様の機能」とは、精神分裂病の原因が脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生、交感神経伝達物質受容体の受容体異常、これら神経伝達物質の伝達障害など様々原因により中脳−皮質・辺縁系に異常を来し、精神病の出現や精神機能異常を発症し、黒質−線条体系は錐体外路系の運動機能障害を、視床下部-下垂体系は内分泌系の障害にを起こすとされていることから、これらのPCA2501の有する活性と同様の活性ということができる。
従って該PCA2501活性としては、PCA2501遺伝子の過剰発現に基づく、脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生活性、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性、これら神経伝達物質の伝達障害活性を引き起こす活性を例示できる。
かくしてPCA2501は精神分裂病関連神経系障害の強力な病因候補である。これらの特性を以後「PCA2501活性」または「PCA2501ポリペプチド活性」または「PCA2501の生物学的活性」という。これらの活性の中には、前記PCA2501ポリペプチドの抗原性および免疫原性活性、特に配列番号1のポリペプチドの抗原性および免疫原性活性も含まれる。本発明のポリペプチドはPCA2501の少なくとも1つの生物学的活性を示すことが好ましい。
また、上記改変されたアミノ酸配列をコードする遺伝子は、その利用によって改変前のアミノ酸配列をコードする本発明PCA2501遺伝子が検出できるものであってもよい。
さらに本発明のDNA分子としては、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする塩基配列を有するPCA2501遺伝子を挙げることができるが、特にこれに限定されることなく、当該PCA2501遺伝子の相同物も包含される。
ここで「PCA2501遺伝子の相同物」とは、本発明PCA2501遺伝子(またはその遺伝子産物)と配列相同性を有し、上記構造的特徴並びに遺伝子発現パターンにおける共通性、および上記したようなその生物学的機能の類似性によりひとつの遺伝子ファミリーと認識される一連の関連遺伝子を意味し、PCA2501遺伝子のアレル体(対立遺伝子)も当然含まれる。
上記アミノ酸配列の改変(変異)などは、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾などにより生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例えば本発明のヒトPCA2501またはヒトPCA2501遺伝子)に基づいて人為的に改変することもできる。本発明は、このような改変・変異の原因および手段などを問わず、上記特性を有する全ての改変遺伝子を包含する。本発明の遺伝子(ヒトPCA2501遺伝子)には、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする遺伝子の対立遺伝子(アレル体)もまた包含される。
上記の人為的手段としては、例えばサイトスペシフィック・ミュータゲネシス〔Methods in Enzymology, 154, 350, 367-382 (1987);同 100, 468 (1983);Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会編, p105 (1986)〕などの遺伝子工学的手法、リン酸トリエステル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am. Chem. Soc., 89, 4801 (1967);同 91, 3350 (1969);Science, 150, 178 (1968);Tetrahedron Lett., 22, 1859 (1981);同 24, 245 (1983)〕およびそれらの組合せ方法などが例示できる。より具体的には、DNAの合成は、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法による化学合成によることもでき、市販されている自動オリゴヌクレオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用い相補鎖を付加するかによって、化学合成した一本鎖生成物から得ることもできる。
本発明遺伝子の具体的態様としては、配列番号2に示される塩基配列を有する遺伝子を例示できる。この塩基配列中のコーディング領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を示すコドンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺伝子は、かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限らず、各アミノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選択した塩基配列を有することも可能である。コドンの選択は、常法に従うことができ、例えば利用する宿主のコドン使用頻度などを考慮することができる〔Ncleic Acids Res., 9, 43 (1981)〕。
また、本発明DNA分子は、前記のとおり、配列番号2に示される塩基配列と一定の相同性を有する塩基配列からなるものも包含する。
上記相同性は、配列番号2に示される塩基配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドおよびその相補鎖ポリヌクレオチドを言う。
かかる遺伝子としては、例えば、0.1%SDSを含む0.2×SSC中50℃または0.1%SDSを含む1×SSC中60℃のストリンジェントな条件下で配列番号2に示される塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする塩基配列を有する遺伝子を例示することもできる。
本発明遺伝子は、本発明により開示された本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得することができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参照〕。具体的には、本発明遺伝子が発現される適当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択することにより実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 78, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
上記において、cDNAの起源としては、本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに由来する培養細胞などが例示される。また、これらからの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実施することができる。また、cDNAライブラリーは市販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.Inc.)などより市販されている各種cDNAライブラリーなどを用いることもできる。
本発明の遺伝子をcDNAライブラリーからスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の方法に従うことができる。具体的には、例えばcDNAによって産生される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローンを選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合するプローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せなどを例示できる。
ここで用いられるプローブとしては、本発明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。また、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセンス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリーニング用プローブとして用いることもできる。
前記プローブとして用いられるヌクレオチド配列は、配列番号2に対応する部分ヌクレオチド配列であって、少なくとも15個の連続した塩基、好ましくは20個の連続した塩基、より好ましくは30個の連続した塩基、最も好ましくは50個の連続した塩基を有するものも含まれる、或いは前記配列を有する陽性クローンそれ自体をプローブとして用いることも出来る。
本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR法〔Science, 230, 1350 (1985)〕によるDNA/RNA増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから全長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE法〔Rapid amplification of cDNA ends;実験医学、12(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohman, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998 (1988)〕などの採用が好適である。
かかるPCR法の採用に際して使用されるプライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例えばゲル電気泳動法などによればよい。
また、上記で得られる本発明遺伝子或いは各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499 (1980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエンスキットなどを用いて、その塩基配列を決定することができる。
このようにして得られる本発明の遺伝子によれば、例えば該遺伝子の一部または全部の塩基配列を利用することにより、個体もしくは各種組織における本発明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することができる。
かかる検出は常法に従って行うことができ、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polymerase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplification of RNA. In PCR Protocol, A Guide to methods and applications, Academic Press,Inc.,SanDiego, 21-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Lab. (1989)〕、in situ RT−PCR〔Nucl. Acids Res., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situ ハイブリダイゼーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NASBA法〔Nucleic acid sequence-based amplification, Nature, 350, 91-92 (1991)〕およびその他の各種方法を挙げることができる。好適には、RT−PCRによる検出法を挙げることができる。
尚、ここでPCR法を採用する場合に用いられるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定することができる。通常プライマーとして10〜35程度のヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを挙げることができる。
このように、本発明の遺伝子には、本発明にかかるPCA2501遺伝子を検出するための特異プライマーおよび/または特異プローブとして使用されるDNA断片もまた包含される。
当該DNA断片は、配列番号2に示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規定することできる。ここで、ストリンジェントな条件としては、プライマーまたはプローブとして用いられる通常の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、例えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×SSC中50℃の条件または0.1%SDSを含む1×SSC中60℃の条件を例示することができる。
本発明のPCA2501遺伝子によれば、通常の遺伝子工学的手法を用いることにより、該遺伝子産物(PCA2501蛋白)またはこれを含む蛋白質を容易に大量に、安定して製造することができる。
従って本発明は、本発明遺伝子によってコードされるPCA2501蛋白質などの蛋白質を始め、該蛋白質の製造のための、例えば本発明遺伝子を含有するベクター、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養して上記本発明蛋白質を製造する方法などをも提供するものである。
本発明蛋白質の具体的態様としては、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するPCA2501蛋白質を挙げることができるが、本発明蛋白質には、該PCA2501蛋白質のみならず、その相同物も包含される。該相同物としては、上記配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、且つ前記PCA2501活性を有する蛋白質を挙げることができる。ここで前記PCA2501活性とは、PCA2501遺伝子の過剰発現に基づく、脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生活性、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性、これら神経伝達物質の伝達障害活性を引き起こす活性を例示できる。具体的には、前記PCA2501遺伝子の相同物(アレル体を含むPCA2501同等遺伝子)の遺伝子産物を挙げることができる。
また、本発明PCA2501蛋白質の相同物には、配列番号1に示されるアミノ酸配列のPCA2501蛋白質と同一活性を有する、哺乳動物、例えばヒト、ウマ、ヒツジ、ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマ、ラット、ウサギなどのげっ歯類動物の蛋白質も包含される。
本発明の蛋白質は、本発明により提供されるPCA2501遺伝子の配列情報に基づいて、常法の遺伝子組換え技術〔例えば、Science, 224, 1431 (1984) ; Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985);Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (1983)など参照〕に従って調製することができる。
該蛋白質の製造は、より詳細には、該所望の蛋白をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現できる組換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、次いで得られる培養物から回収することにより行なわれる。
上記宿主細胞としては、原核生物および真核生物のいずれも用いることができ、例えば原核生物の宿主としては、大腸菌や枯草菌といった一般的に用いられるものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含まれるものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、前者としては、例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 175 (1981)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞およびそのジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 77: 4216 (1980)〕などが、後者としては、サッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられる。勿論、これらに限定される訳ではない。
原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプロモーターおよびSD(シャイン・アンド・ダルガーノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン(例えばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利用できる。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来のプラスミド、例えばpBR322、pBR325、pUC12、pUC13などがよく用いられるが、これらに限定されず既知の各種のベクターを利用することができる。大腸菌を利用した発現系に利用される上記ベクターの市販品としては、例えばpGEX−4T(Amersham Pharmacia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P2(New England Biolabs社)、pET21,pET21/lacq(Invitrogen社)、pBAD/His(Invitrogen社)等を例示できる。
脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベクターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終了配列を保有するものが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有していてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的には、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpSV2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕等が例示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクターを用いることができる。動物細胞を利用した発現系に利用されるかかるベクターの市販品としては、例えばpEGFP−N,pEGFP−C(Clontech社)、pIND(Invitrogen社)、pcDNA3.1/His(Invitrogen社)などの動物細胞用ベクターや、pFastBac HT(GibcoBRL社)、pAcGHLT(PharMingen社)、pAc5/V5−His,pMT/V5−His,pMT/Bip/V5−his(以上Invitrogen社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられる。
また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベクターの具体例としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示できる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpPICZ(Invitrogen社)、pPICZα(Invitrogen社)なとが包含される。
プロモーターとしても特に限定なく、エッシェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトファン(trp)プロモーター、lppプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、PL/PRプロモーターなどを好ましく利用できる。宿主がバチルス属菌である場合は、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。酵母を宿主とする場合のプロモーターとしては、例えばpH05プロモーター、pgkプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどを好適に利用できる。また、動物細胞を宿主とする場合の好ましいプロモーターとしては、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどを例示できる。
尚、本発明遺伝子の発現ベクターとしては、通常の融合蛋白発現ベクターも好ましく利用できる。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現させるためのpGEX(Promega 社)などを例示できる。
また、成熟ポリペプチドのコード配列が宿主細胞からのポリペプチドの発現、分泌を助けるポリヌクレオチド配列としては、分泌配列、リーダ配列が例示でき、細菌宿主に対して融合成熟ポリペプチドの精製に使用されるマーカー配列(ヘキサヒスチジン・タグ、ヒスチジン・タグ)、哺乳動物細胞の場合はヘマグルチニン(HA)・タグを例示できる。
所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿主細胞への導入法およびこれによる形質転換法としては、特に限定されず、一般的な各種方法を採用することができる。
また得られる形質転換体は、常法に従い培養でき、該培養により所望のように設計した遺伝子によりコードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細胞内、細胞外または細胞膜上に発現、生産(蓄積、分泌)される。
該培養に用いられる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施できる。
かくして得られる本発明の組換え蛋白質は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (1986); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)など参照〕により分離、精製できる。
該方法としては、具体的には、通常の再構成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交感クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、本発明蛋白質に対する特異的な抗体を結合させたカラムを利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示することができる。
尚、本発明蛋白質をコードする所望の遺伝子の設計に際しては、配列番号2に示されるPCA2501遺伝子の塩基配列を良好に利用することができる。該遺伝子は、所望により、各アミノ酸残基を示すコドンを適宜選択変更して利用することも可能である。
また、PCA2501遺伝子でコードされるアミノ酸配列において、その一部のアミノ酸残基ないしはアミノ酸配列を置換、欠失、付加などにより改変する場合には、例えばサイトスペシフィック・ミュータゲネシスなどの前記した各種方法により行うことができる。
本発明蛋白質は、また、配列番号1に示すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製造することができる。該方法には、通常の液相法および固相法によるペプチド合成法が包含される。
かかるペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよい。
上記ペプチド合成に採用される縮合法も、常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシサクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法などを例示できる。
これら各方法に利用できる溶媒も、この種ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている一般的なものから適宜選択することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルなどおよびこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メトキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステルなどのアラルキルエステルなどとして保護することができる。
また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基などで保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により保護することができる。
上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドおよび最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施することができる。
かくして得られる本発明蛋白質は、前記した各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などのペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精製を行うことができる。
本発明PCA2501蛋白質は、その特異抗体を作成するための免疫抗原としても好適に利用でき、この抗原を利用することにより、所望の抗血清(ポリクローナル抗体)およびモノクローナル抗体を取得することができる。
該抗体の製造法自体は、当業者によく理解されているところであり、本発明においてもこれら常法に従うことができる〔例えば、続生化学実験講座「免疫生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
かくして得られる抗体は、例えばPCA2501蛋白の精製およびその免疫学的手法による測定ないしは識別などに有利に利用することができる。より具体的には、本発明遺伝子の増幅および発現亢進が精神分裂病の患者血液サンプル中において確認されていることから、該抗体を用いて精神分裂病の診断叉は、精神分裂病の進行度の判定に利用することが出来る。
上記で得られた本発明PCA2501抗体は、これを有効成分とする医薬品として医薬分野において有用である。従って、本発明は本発明PCA2501抗体を有効成分とする医薬組成物をも提供するものである。
本発明PCA2501抗体の医薬としての有用性は上記したようにその精神分裂病患者の特異的ポリペプチドが有する交感神経刺激物質の過剰産生作用、交感神経伝達物質受容体の受容体異常刺激作用、および神経伝達物質の伝達障害作用により生じる障害を抑制または減少されせる活性作用を例示することができる。
これら抗体活性の確認は、通常の免疫学的抗原抗体反応試験によって確認することができる。
該医薬組成物において有効成分とする蛋白質には、その医薬的に許容される塩もまた包含される。かかる塩には、当業界で周知の方法により調製される、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウムなどの無毒性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが包含される。更に上記塩には、本発明蛋白質と適当な有機酸ないし無機酸との反応による無毒性酸付加塩も包含される。代表的無毒性酸付加塩としては、例えば塩酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、硼酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびナプシレートなどが例示される。
上記医薬組成物は、本発明蛋白質を活性成分として、その薬学的有効量を、適当な無毒性医薬担体ないし希釈剤と共に含有するものが含まれる。
上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋白製剤などに使用され得る各種の成分、例えば安定化剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤などを適宜使用して調製される。
上記安定化剤としては、例えばヒト血清アルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導体などを例示でき、これらは単独でまたは界面活性剤などと組合せて使用できる。特にこの組合せによれば、有効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
上記L−アミノ酸としては、特に限定はなく例えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのいずれでもよい。
上記糖としても特に限定はなく、例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖類、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類などおよびそれらの誘導体などを使用できる。
界面活性剤としても特に限定はなく、イオン性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用でき、例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリド系などを使用できる。
セルロース誘導体としても特に限定はなく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを使用できる。
上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.00001〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程度の範囲とするのが適当である。
また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加することができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミン酸および/またはそれらに対応する塩(例えばそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)などを例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示できる。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸などを例示できる。
本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用できる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解して適当な濃度に調製した後に使用することも可能である。
本発明の医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含まれ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類され、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製することができる。
例えば、錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。
更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ないしは多層錠とすることもできる。
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整される。
経口投与用液体投与形態は、慣用される不活性希釈剤、例えば水、を含む医薬的に許容される溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなどを包含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ませることができ、これらは常法に従い調製される。
非経口投与用の液体投与投与形態、例えば滅菌水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへの調製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびオリーブ油などの植物油などを使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオレイン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常の溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、分散剤などを添加することもできる。
滅菌は、例えばバクテリア保留フィルターを通過させる濾過操作、殺菌剤の配合、照射処理および加熱処理などにより実施できる。また、これらは使用直前に滅菌水や適当な滅菌可能媒体に溶解することのできる滅菌固体組成物形態に調製することもできる。
坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチンおよび半合成グリセライドなどを使用できる。
ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイトおよびオリーブ油などの植物油などを使用できる。
経鼻または舌下投与用組成物は、周知の標準賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品などを含有させることもできる。
上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖やアミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤は鼻腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は経皮的に局所投与される。
上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的には、該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約0.01μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg〜1mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜数回に分けて投与することができる。
また、後記実施例において示されるように本発明遺伝子は、精神分裂病患者の末梢血液中において高発現していることから、本発明PCA2501遺伝子の全部または一部のアンチセンス鎖を包含する任意の遺伝子発現ベクターを作成し、該発現ベクターをこれら組織において強制的に発現させることにより、PCA2501遺伝子の過剰発現に基づく、脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生活性作用、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性作用、或いはこれら神経伝達物質の伝達障害活性作用を引き起こす活性を抑制し、結果として精神分裂病患者の精神神経症状、運動機能や内分泌機能、など機能所見の改善または症状進行抑制することが可能な抗精神病活性または抗PCA2501活性を有する遺伝子治療用組成物として、或いは遺伝子治療剤として利用できると考えられる。
従って、本発明は、PCA2501遺伝子の全部または一部のアンチセンス鎖を含有する遺伝子治療用ベクターおよび該ベクターによりPCA2501遺伝子のアンチセンス鎖を導入した細胞を有効成分とする医薬を提供しようとするものである。
即ち、本発明によれば、配列番号2で示される塩基配列の全部または一部を含むPCA2501遺伝子のアンチセンス鎖を含有する遺伝子治療用導入用ベクターおよび該ベクターによりPCA2501遺伝子アンチセンス鎖を導入した細胞、並びに該遺伝子治療用導入用ベクターおよび該ベクターによりPCA2501遺伝子アンチセンス鎖を導入した細胞を有効成分とする遺伝子治療剤が提供される。
また、本発明によれば、配列番号2で示される塩基配列の全部または一部のアンチセンス鎖を含むPCA2501遺伝子アンチセンス鎖を含有する遺伝子治療用導入用ベクターおよび該ベクターによりPCA2501遺伝子アンチセンス鎖を導入した細胞を精神分裂病症患者の脳内または患者の血管組織部位に投与することによってこれら組織における交感神経刺激物質の過剰産生活性作用、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性作用、或いはこれら神経伝達物質の伝達障害活性作用を抑制し、あるいはこれら細胞におけるPCA2501遺伝子の発現量を抑制することを特徴とする精神分裂病の治療およびPCA2501活性抑制剤または抗精神病薬を提供することができる。
更にまた、本発明によれば、上記PCA2501遺伝子アンチセンス鎖を含有する遺伝子治療用導入用のウイルスベクターを有効成分として含有する医薬、特に、PCA2501活性または交感神経刺激物質の過剰産生活性作用、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性作用、或いはこれら神経伝達物質の伝達障害活性作用を抑制するための処置等に使用される当該医薬が提供される。
以下、かかる遺伝子治療につき詳述する。尚、以下の遺伝子治療の実施においては、特記しないかぎり、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学、および免疫学の慣用的な方法を用いることができる。これらは、例えばマニアティス(Maniatis,T., et al., Molecular cloning: A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York (1982))、サムブルック(Sambrook,J., et al.,Molecular cloning: A laboratory manual, 2nd Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York (1981))、アウスベル(Ausbel,F.M., et al., Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons, New York, New York,(1992))、グローバー(Glover,D., DNA Cloning,I and II(Oxford Press)(1985))、アナンド(Anand,Techniques for the Analysis of Complex Genomes,(Academic Press(1992))、グスリー(Guthrie,G., et al., Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, (Academic Press)(1991))およびフィンク(Fink,et al., Hum. Gene Ther., 3, 11-19(1992)に記載されている。
本発明は、本発明PCA2501遺伝子の発現する細胞において、細胞内のmRNAに対して相補的配列を持つRNAを作り出し、翻訳を阻害し、PCA2501遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンス医薬の提供によるPCA2501活性抑制または交感神経刺激物質の過剰産生活性作用、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性作用、或いはこれら神経伝達物質の伝達障害活性作用を抑制の遺伝子治療法を提供する。該治療法は、例えばPCA2501遺伝子を有するPCA2501発現細胞本来のmRNAと結合させるか、あるいはDNA二重螺旋の間に入り込み三重鎖を形成させることによって、転写或いは翻訳の過程を阻害することによって、標的とする遺伝子の発現を抑制する方法である。そのためには遺伝子のmRNAと相補的なアンチセンス・オリゴヌクレオチドを製造し、該アンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に供給する方法としてとらえることができる。
かかるPCA2501遺伝子の発現機能を抑制する作用を供給すれば、受容細胞/標的細胞におけるPCA2501活性を抑制することができる。当該アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含有するベクターまたはプラスミドを用いて染色体外に維持し、目的の細胞に導入することができる。
上記アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた抗精神分裂病の遺伝子治療によれば、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV由来のベクターに該アンチセンス・オリゴヌクレオチドを組み込み、これをPCA2501活性発現細胞に感染させてアンチセンス・オリゴヌクレオチドを過剰発現させることにより、所望の抑制効果を得ることが出来る。
このようにPCA2501遺伝子を有する細胞にアンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入してPCA2501蛋白の発現を抑制させる場合、当該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは対応するPCA2501遺伝子の全長に対応するものである必要はなく、例えば該PCA2501遺伝子の発現機能を抑制する機能と実質的に同質な機能を保持する限りにおいて、前記した改変体であっても、また特定の機能を保持した一部配列からなる遺伝子を使用することもできる。
かかる組換えおよび染色体外維持の双方のための所望遺伝子の導入のためのベクターは、当該分野において既に知られており、本発明ではかかる既知のベクターのいずれもが使用できる。例えば、発現制御エレメントに連結したPCA2501 のアンチセンス・オリゴヌクレオチドのコピーを含み、かつ目的の細胞内で当該アンチセンス・オリゴヌクレオチド産物を発現できるウイルスベクターまたはプラスミドベクターを挙げることができる。かかるベクターとして、通常前述する発現用ベクターを利用することもできるが、好適には、例えば起源ベクターとして、米国特許第5252479号明細書およびPCT国際公開WO93/07282号明細書に開示されたベクター(pWP−7A、pwP−19、pWU−1、pWP−8A、pWP−21および/またはpRSVLなど)またはpRC/CMV(Invitrogen社製)などを用いて、調製されたベクターを挙げることができる。より好ましくは、後述する各種ウイルス・ベクターである。
なお、遺伝子導入治療において用いられるベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患の治療対象となる患部組織に固有のものを好適に利用することができる。
その具体例としては、例えば、肝臓に対しては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−アンチトリプシン、トランスフェリン、トランススチレンなどを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アンヒドラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示できる。子宮および胎盤に対しては、エストロゲン、アロマターゼサイトクロームP450、コレステロール側鎖切断P450、17アルファーヒドロキシラーゼP450などを例示できる。
前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを例示できる。乳房に対しては、erb−B2、erb−B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウログロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−14−ケラチン、ヒトケラチン1または6、ロイクリンなどを例示できる。
脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白質、成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン塩基性蛋白質、チロシンヒドロキシラーゼなどを例示できる。膵臓においては、ヴィリン、グルカゴン、ランゲルハンス島アミロイドポリペプチドなどを例示できる。甲状腺に対しては、チログロブリン、カルシトニンなどを例示できる。骨に対しては、α1コラーゲン、オステオカルシン、骨シアログリコプロティンなどを例示できる。腎臓に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホスフォターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対しては、アミラーゼ、PAP1などを例示できる。
なおアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクターの製造において、導入されるアンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501遺伝子配列に対応する相補配列全部または一部)は、本発明のPCA2501遺伝子の塩基配列情報に基づいて、前記の如く、一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得することができる。
かかるアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクターの細胞への導入は、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈法、ウイルス形質導入などを始めとする、細胞にDNAを導入する当該分野において既に知られている各種の方法に従って行うことができる。なお、PCA2501 でアンチセンス・オリゴヌクレオチドで形質転換された細胞は、それ自体単離状態でPCA2501活性を抑制のための医薬や、治療研究のためのモデル系として利用することも可能である。
遺伝子治療においては、上記のアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクターは、患者の対象とする組織部位に局所的にまたは全身的に注射投与することにより患者の標的細胞内に導入することができる。この際全身的投与によれば、他の部位にPCA2501mRNAが発現し得るいずれの細胞にも到達させることができる。形質導入された遺伝子が各標的細胞の染色体内に恒久的に取り込まれない場合には、該投与を定期的に繰り返すことによって達成できる。
本発明の遺伝子治療方法は、前述するアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用の材料(アンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクター)を直接体内に投与するインビボ(in vivo)法と、患者の体内より一旦標的とする細胞を取り出して体外で遺伝子を導入して、その後、該細胞を体内に戻すエクスビボ(ex vivo)法の両方の方法を包含する。
またPCA2501 をアンチセンス・オリゴヌクレオチドを直接細胞内に導入し、RNA鎖を切断する活性分子であるリボザイムによる遺伝子治療も可能である。
後述する、本発明PCA2501 に対応する配列のアンチセンス・オリゴヌクレオチド全部もしくはその断片を含有する遺伝子導入用ベクターおよび該ベクターによりヒトPCA2501 がアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入された細胞を有効成分とする本発明の遺伝子治療剤は、特に精神分裂病患者をその利用対象とするものであるが、上記の遺伝子治療(処置)は、精神分裂病患者以外にも 精神分裂病合併症の治療、並びに遺伝子標識をも目的として行うことができる。
また、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入する標的細胞は、遺伝子治療(処置)の対象により適宜選択することができる。例えば、標的細胞として、特に脳・神経組織、脳細胞、脳神経細胞の他、PCA2501発現が認められる組織の細胞、心臓、胎盤、肺、肝臓、膵臓、脾臓、小腸、末梢血組織以外に、神経細胞、リンパ球、線維芽細胞、肝細胞、造血幹細胞、如き細胞などを挙げることができる。
上記遺伝子治療におけるアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入方法には、ウイルス的導入方法および非ウイルス的導入方法が含まれる。
ウイルス的導入方法としては、例えば、PCA2501 がアンチセンス・オリゴヌクレオチドが正常細胞に発現する外来の物質であることに鑑みて、ベクターとしてレトロウイルスベクターを用いる方法を挙げることができる。その他のウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター、HIV(human immunodeficiency virus)ベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV,adeno-associated virus)、ヘルペスウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターおよびエプスタイン−バーウイルス(EBV,Epstein-Barr virus)ベクターなどが挙げられる。
非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソームと予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソーム法〔Kato,K.,et al.,J.Biol.Chem.,266,22071-22074 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして高圧放電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方法〔Yang,N.S. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,87,9568-9572 (1990)〕;プラスミドDNAを直接インビボで臓器や腫瘍に注入するネイキッド(naked)DNA法〔Wolff,J.A.,et al.,Science,247,1465-1467 (1990)〕;多重膜正電荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞に導入するカチオニック・リポソーム法〔八木国夫, 医学のあゆみ, Vol.175,No.9,635-637 (1995)〕;特定細胞のみに遺伝子を導入し、他の細胞に入らないようにするために、目的とする細胞に発現するレセプターに結合するリガンドをDNAと結合させてそれを投与するリガンド−DNA複合体法〔Frindeis,et al.,Trends Biotechnol.,11,202 (1993); Miller,et al.,FASEB J.,9,190 (1995)〕などを使用することができる。
上記リガンド−DNA複合体法には、例えば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白レセプターをターゲットとしてアシアロ糖蛋白をリガンドとして用いる方法〔Wu, et al.,J.Biol.Chem.,266,14338 (1991); Ferkol,et al.,FASEB J.,7,1081-1091 (1993)〕や、腫瘍細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプターを標的としてトランスフェリンをリガンドとして用いる方法〔Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 87,3410 (1990)〕などが含まれる。
また本発明で用いられる遺伝子導入法は、上記の如き各種の生物学的および物理学的な遺伝子導入法を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる方法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAをアデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン抱合抗体と組合わせる方法を例示できる。該方法によれば、得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合し、かくして得られる三分子複合体を細胞に感染させることにより本発明アンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入を行い得る。この方法では、アデノウイルスベクターにカップリングしたDNAが損傷される前に、効率的な結合、内在化およびエンドソーム分解が可能となる。また、前記リポソーム/DNA複合体は、直接インビボにて遺伝子導入を媒介できる。
以下、具体的な本発明のアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ウイルスベクターの作成法並びに標的細胞または標的組織へのアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入法について述べる。
レトロウイルスベクター・システムは、ウイルスベクターとヘルパー細胞(パッケージング細胞)からなっている。ここでヘルパー細胞は、レトロウイルスの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造蛋白質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白質)などの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子を生成していない細胞を言う。一方、ウイルスベクターは、パッケージングシグナルやLTR(long terminal repeats)を有しているが、ウイルス複製に必要なgag、pol、envなどの構造遺伝子を持っていない。パッケージング・シグナルはウイルス粒子のアセンブリーの際にタグとなる配列で、選択遺伝子(neo,hyg)とクローニングサイトに組込まれた所望の導入アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 に対応する全アンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはその断片)がウイルス遺伝子の代りに挿入される。ここで高力価のウイルス粒子を得るにはインサートを可能な限り短くし、パッケージングシグナルをgag遺伝子の一部を含め広くとることと、gag遺伝子のATGを残さぬようにすることが重要である。
所望のPCA2501 をアンチセンス・オリゴヌクレオチド組み込んだベクターDNAをヘルパー細胞に移入することによって、ヘルパー細胞が作っているウイルス構造蛋白質によりベクターゲノムRNAがパッケージされてウイルス粒子が形成され、分泌される。組換えウイルスとしてのウイルス粒子は、標的細胞に感染した後、ウイルスゲノムRNAから逆転写されたDNAが細胞核に組み込まれ、ベクター内に挿入されたアンチセンス遺伝子が発現する。
尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法〔Hanenberg,H.,et al.,Exp.Hemat.,23,747 (1995)〕を採用することもできる。
なお、上記レトロウイルスベクター・システムにおいて用いられるベクターとしては、例えばマウスの白血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLachlin, J.R., et al., Proc. Natl. Acad. Res. Molec. Biol., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができる。
アデノウイルスベクターを利用する方法につき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、バークネル〔Berkner,K.L.,Curr.Topics Microbiol.Immunol., 158,39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Setoguchi,Y.,et al., Blood, 84,2946-2953 (1994)〕、鐘カ江裕美ら〔実験医学, 12,28-34 (1994)〕およびケナーら〔Ketner,G.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA., 91,6186-6190 (1994)〕の方法に準じて行うことができる。
例えば、非増殖性アデノウイルスベクターを作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE1および/またはE3遺伝子領域を除去する。次に、目的とする所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入アンチセンス・オリゴヌクレオチド、即ち本発明PCA2501、アンチセンス・オリゴヌクレオチドそのアンチセンス・オリゴヌクレオチドを転写するためのプロモーター、転写された遺伝子の安定性を賦与するポリAから構成)およびアデノウイルスゲノムDNAの一部を含むプラスミドベクターと、アデノウイルスゲノムを含むプラスミドとを、例えば293細胞に同時にトランスフェクションする。この2者間で相同性組換えを起こさせて、遺伝子発現単位とE1とを置換することにより、所望のPCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチドを包含する本発明ベクターである非増殖性アデノウイルスベクターを作成することができる。また、コスミドベクターにアデノウイルスゲノムDNAを組み込んで、末端蛋白質を付加した3’側アデノウイルスベクターを作成することもできる。更に組換えアデノウイルスベクターの作成には、YACベクターも利用可能である。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。これには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからなり、その両端の145塩基がITR(inverted terminal repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在している。このITRの部分が複製開始点となり、プライマーの役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調節蛋白質のRepをコードしている。
組換えAAVの作成は、AAVが染色体DNAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、かくして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の両端のITRを残し、その間に所望の導入用アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチド)を挿入したプラスミド(AAVベクタープラスミド)を作成する。一方、ウイルス複製やウイルス粒子の形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別のヘルパープラスミドにより供給させる。この両者の間には共通の塩基配列が存在しないようにし、遺伝子組換えによる野生型ウイルスが出現しないようにする必要がある。その後、両者のプラスミドを例えば293細胞へのトランスフェクションにより導入し、さらにヘルパーウイルスとしてアデノウイルス(293細胞を用いる場合は非増殖型のものでもよい)を感染させると、非増殖性の所望の組換えAAVが産生される。続いて、この組換えAAVは核内に存在するので、細胞を凍結融解して回収し、混入するアデノウイルスを56℃加熱により失活させる。更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠心法により組換えAAVを分離濃縮する。上記のようにして所望の遺伝子導入用の組換えAAVを得ることができる。
EBVベクターの製造は、例えば清水らの方法に準じて行うことができる〔清水則夫、細胞工学, 14(3), 280-287 (1995)〕。
本発明のアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用EBVベクターの製造につき概略すると、EBウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)は、1964年にエプスタイン(Epstein)らによりバーキット(Burkitt)リンパ腫由来の培養細胞より分離されたヘルペス科に属するウイルスである〔Kieff, E. and Liebowitz, D.: Virology, 2nd ed. Raven Press, New York, 1990, pp.1889-1920〕。該EBVには細胞をトランスフォームする活性があるので、遺伝子導入用ベクターとするためには、このトランスフォーム活性を欠いたウイルスを調製しなければならない。これは次の如くして実施できる。
即ち、まず、所望の外来遺伝子を組み込む標的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そこに外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込み、組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当な制限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベクターをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクトする。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面免疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生型AkataEBVとともに回収できる。これをEBV陰性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選択することにより、野生型EBVが共存しない所望の組換えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ることができる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞にウイルス活性を誘導することにより、目的とする大量の組換えウイルスベクターを産生することができる。
組換えウイルスベクターを用いることなく所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入する、非ウイルスベクターの製造は、例えば膜融合リポソームによる遺伝子導入法により実施することができる。これは膜リポソーム(脂質二重膜からなる小胞)に細胞膜への融合活性をもたせることにより、リポソームの内容物を直接細胞内に導入する方法である。
上記膜融合リポソームによるアンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入は、例えば中西らの方法によって行うことができる〔Nakanishi,M.,et al.,Exp.Cell Res.,159,399-499 (1985); Nakanishi,M.,et al.,Gene introduction into animal tissues.In Trends and Future Perspectives in Peptide and Protein Drug Delivery (ed. by Lee, V.H. et al.)., Harwood Academic Publishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.337-349〕。
以下、該膜融合リポソームによるアンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入法につき概略する。即ち、紫外線で遺伝子を不活性化したセンダイウイルスと所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドや発現蛋白質などの高分子物質を封入したリポソームを37℃で融合させる。この膜融合リポソームは、内側にリポソーム由来の空洞を、外側にウイルス・エンベロープと同じスパイクがある疑似またイルスともよばれる構造を有している。更にショ糖密度勾配遠心法で精製後、標的とする培養細胞または組織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で吸着させる。次いで37℃にするとリポソームの内容物が細胞に導入され、所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入できる。ここでリポソームとして用いられる脂質としては、50%(モル比)コレステロールとレシチンおよび陰電荷をもつ合成リン脂質で、直径300nmの1枚膜リポソームを作製して使用するのが好ましい。
また、別のリポソームを用いてアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入する方法としては、カチオニック・リポソームによるアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入法を挙げることができる。該方法は、八木らの方法に準じて実施できる〔Yagi,K.,et al.,B.B.R.C.,196,1042-1048 (1993)〕。この方法は、プラスミドも細胞も負に荷電していることに着目して、リポソーム膜の内外両面に正の電荷を与え、静電気によりプラスミドの取り込みを増加させ、細胞との相互作用を高めようとするものである。ここで用いられるリポソームは正荷電を有する多重膜の大きなリポソーム(multilamellar large vesicles: MLV)が有用であるが、大きな1枚膜リポソーム(large unilamellar vesicles: LUV)や小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar vesicles: SUV)を使用してプラスミドとの複合体を作製し、所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入することも可能である。
プラスミド包埋カチオニックMLVの調製法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholine)およびDOPE(dioleoyl phosphatidylethanolamine)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホルム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総量1μmolの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラスミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分間ボルテックスミキサーにより攪袢して、所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを含有するプラスミド包埋カチオニックMLV懸濁液を得ることができる。
上記で得られたプラスミド包埋カチオニックMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、例えば発現目的アンチセンス・オリゴヌクレオチドを組み込んだ発現プラスミドを上記カチオニックMLVにDNA量として0.6μg、リポソーム脂質量として30nmolになるように包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理食塩液に懸濁させて患者より抽出した標的細胞または患者組織に対して隔日投与する方法が例示できる。
ところで、遺伝子治療とは「疾病の治療を目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒトの体内に投与すること」と厚生省ガイドラインに定義されている。しかしながら、本発明における遺伝子治療とは、該ガイドラインの定義に加えて、前記した標的細胞にPCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチドのPCA2501発現抑制アンチセンスDNAとして特徴付けられるアンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入することによって精神分裂病疾患の治療のみならず、更に標識となる遺伝子または標識となる遺伝子を導入した細胞をヒト体内に導入することも含むものとする。
本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的には2種類の方法が含まれる。
その第1法は、治療対象とする患者から標的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロイキン−2(IL−2)などの添加の下で培養し、レトロウイルスベクターに含まれる目的とするPCA2501 をアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入した後、得られる細胞を再移植する手法(ex vivo法)である。該方法はADA欠損症を始め、欠陥遺伝子によって発生する遺伝子病や動脈硬化症、癌、AIDSなどの治療に好適であると報告されている。
第2法は、目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチド)を直接患者の脳内や肺、肝臓、小腸組織などの標的部位に注入する遺伝子直接導入法(直接法)である。
上記遺伝子治療の第1法は、より詳しくは、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地などの適当な培地で72時間程度培養し、導入すべきアンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチド)を含有するベクターを加える。 アンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入効率をあげるために、プロタミン存在下に32℃で1時間、2500回転にて遠心分離した後、37℃で10%炭酸ガス条件下で24時間培養してもよい。この操作を数回繰り返した後、更にIL−2存在下にAIM−V培地などで48時間培養し、細胞を生理食塩水で洗浄し、生細胞数を算定し、アンチセンス・オリゴヌクレオチド導入効率を前記in situ PCRや、例えば所望の対象が-本発明のようにPCA2501活性であればその活性の程度を測定することにより、目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド導入効果を確認する。
活性の程度は前記PCA2501活性すなわち、PCA2501遺伝子の過剰発現に基づく、脳内ドーパミン1、ドーパミン2、ノルアドレナリン、セロトニン(5-HT)、アセチルコリンなどの交感神経刺激物質の過剰産生活性、交感神経伝達物質受容体の受容体刺激活性、これら神経伝達物質の伝達障害活性を引き起こす活性の程度を測定すればよい。
また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイコプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測される効果用量のアンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501アンチセンス・オリゴヌクレオチド)が導入された培養細胞を患者に点滴静注により戻す。かかる方法を例えば数週間から数カ月間隔で繰り返することにより遺伝子治療が施される。
ここでウイルスベクターの投与量は、導入する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価として、例えば標的細胞1×108細胞に対して1×103cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採用することが好ましい。
上記第1法の別法として、目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501アンチセンス・オリゴヌクレオチド)を含有するレトロウイルスベクターを含有するウイルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培養して、目的とする細胞へアンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501アンチセンス・オリゴヌクレオチド)を導入する方法を採用することもできる。
遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子導入法によって、実際に目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチド)が導入されるか否かを、予めベクター遺伝子cDNAのPCR法による検索やin situPCR法によって確認するか、あるいは目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501 アンチセンス・オリゴヌクレオチド)の導入に基づく所望の治療効果である特異的活性の上昇や標的細胞の増殖増加や増殖抑制などを確認することが望ましい。また、ウイルスベクターを用いる場合は、増殖性レトロウイルスなどの検索をPCR法で行うか、逆転写酵素活性を測定するか、あるいは膜蛋白(env)遺伝子をPCR法でモニターするなどにより、遺伝子治療に際してアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入による安全性を確認することが重要であることはいうまでもない。
本発明遺伝子治療法において、特に精神分裂病や精神分裂病合併症を対象とする場合は、患者から例えば末梢血細胞(PCA2501発現細胞)を採取後、酵素処理などを施して培養細胞を樹立した後、例えばレトロウイルスにて所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的とする末梢血細胞(PCA2501発現細胞)に導入し、G418細胞にてスクリーニングした後、IL−12などの発現量を測定(in vivo)し、次いで放射線処理を施行し、患者末梢血、や肺、肝臓、小腸組内または脳内に接種する精神分裂病およびその合併症治療法を一例として挙げることができる。
本発明はまた、本発明のアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクターまたは目的アンチセンス・オリゴヌクレオチド(PCA2501アンチセンス・オリゴヌクレオチド等)が導入された細胞を活性成分とし、それを薬学的有効量、適当な無毒性医薬担体ないしは希釈剤と共に含有する医薬組成物または医薬製剤(遺伝子治療剤)を提供する。
本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用できる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用できる。
本発明医薬製剤の投与単位形態としては、前記したPCA2501蛋白質抗体製剤の製剤例を同様に挙げることができ、治療目的に応じて各種の形態から適宜選択することができる。
例えば、本発明のアンチセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベクターを含む医薬製剤は、該ベクターをリポソームに包埋された形態あるいは所望のアンチセンス・オリゴヌクレオチドが包含されるレトロウイルスベクターを含むウイルスによって感染された培養細胞の形態に調製される。
これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合した形態などに調製することもでき、またプロタミンなどの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるような形態に調製することもできる。
上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。
上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件などに応じて広範囲より適宜選択される。
一般には、医薬製剤としての所望アンチセンス・オリゴヌクレオチド含有レトロウイルスベクターの投与量は、1日当り体重1kg当り、例えばレトロウイルスの力価として約1×103pfuから1×1015pfu程度とするのがよい。
また所望の導入用アンチセンス・オリゴヌクレオチドが導入された細胞の場合は、1×104細胞/bodyから1×1015細胞/body程度の範囲から選ばれるのが適当である。
該製剤は1日に1回または数回に分けて投与することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与することもできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝子導入効率を高める物質またはこれを含む製剤と併用投与することができる。
本発明に従う遺伝子治療を精神分裂病の治療に適用する場合は、前記した種々の遺伝子治療を適宜組合わせて行う(結合遺伝子治療)こともでき、前記した遺伝子治療に、従来の向精神薬療法、作業療法、などを組合わせて行うこともできる。さらに本発明遺伝子治療は、その安全性を含めて、NIHのガイドラインを参考にして実施することができる〔Recombinant DNA Advisory Committee, Human Gene Therapy, 4, 365-389 (1993)〕。
また本発明によれば、PCA2501遺伝子の存在を検出するために、組織又は体液(例えば血液または血清)のごとき生物学的試料を調製し、所望により核酸を抽出し、PCA2501遺伝子が存在する否かについて分析することが可能である。 該検出方法は、例えば、PCA2501DNA断片を作成し、PCA2501遺伝子のスクリーニングおよび/またはその増幅に用いられるように設計される。より具体的には、例えばプラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、サザンブロット法、ノーザンブロット法などにおけるプローブとしての性質を有するもの、核酸配列をポリメラーゼで増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、増幅したPCA2501の全部叉は一部のDNA断片を得ることができるためのプローブとしての性質を有するものを作成できる。そのためにはまずPCA2501と同じ配列を持つプライマーを作成し、スクリーニング用プローブとして用い、生物学的試料(核酸試料)と反応させることにより、当該PCA2501配列を有する遺伝子の存在を確認することができる。該核酸試料は、標的配列の検出を容易にする種々の方法、例えば変性、制限消化、電気泳動またはドットブロッティングで調製してもよい。
前記スクリーニング方法としては、特にPCR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、PCA2501断片をプライマーとして用いる方法であればとくに制限されず、従来公知の方法(Science, 230, 1350-1354(1985))や新たに開発された、或いは将来使用されるPCR変法(榊 佳之、ほか編、羊土社、実験医学、増刊, 8(9)(1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増刊、共立出版(株), 35(17)(1990))のいずれも利用することが可能である。
プライマーとして使用されるDNA断片は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴDNAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus: ファルマシア社製)を使用して合成することができる。合成されるプライマー(センスプライマーまたはアンチセンスプライマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好ましく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプローブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識であってもよく、直接的または間接的に標識したリガンドとの特異的結合によって検出してもよい。適当な標識、並びにプローブおよびリガンドを標識する方法は、本発明の技術分野で知られており、ニック・トランスレーション、ランダム・プライミングムまたはキナーゼ処理のような、既知の方法によって取り込ませることができる放射性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵素、抗体などがこれらの技術に包含される。
検出のために用いるPCR法としては、例えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いられる種々の変法を適応することができる。
また、本発明の測定方法は、試料中のPCA2501遺伝子の検出のための試薬キットを利用することによって、簡便に実施することができる。
故に本発明は上記PCA2501 DNA断片を含有することを特徴とするPCA2501の検出用試薬キットが提供される。
該試薬キットは、少なくとも配列番号2に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部または全てにハイブリダイズするDNA断片を必須構成成分として含んでいれば、他の成分として、標識剤、PCR法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、プライマーなど)が含まれていてもよい。
標識剤としては、放射性同位元素または蛍光物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA断片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていてもよい。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のために適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反応停止液などが含まれていてもよい。
更に本発明は、前記測定方法を用いる精神分裂病の診断方法および該方法に用いる診断剤並びに診断用キットをも提供するものである。
また、前記方法を用いることにより、被検試料中から得られたPCA2501配列を直接的若しくは間接的に配列決定することにより、野生型PCA2501と相同性の高い相同物である新たなPCA2501遺伝子に関連する関連遺伝子を見出すことができる。
従って、本発明はかかる測定と被検試料中のPCA2501 DNAの配列決定により、被検試料中のヒトPCA2501遺伝子に関連する関連遺伝子のスクリーニング方法をも提供するものである。
また、本発明の配列番号1で示されるヒトPCA2501遺伝子でコードされる蛋白質、または該配列番号1において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列、またはこれらの断片から蛋白質を合成し、もしくは該蛋白質に対する抗体を合成することによって、野生型PCA2501および/または変異PCA2501の測定が可能となる。
従って、本発明は、野生型PCA2501および/または変異PCA2501の抗体測定法、抗原測定法を提供するものである。該測定法によって精神分裂病の障害の程度、或いは精神分裂病の進行の度合を野生型PCA2501ポリペプチドの変化に基づいて検出することも可能である。かかる変化は、この分野における前記慣用技術によるPCA2501配列分析によっても決定できるが、更に好ましくは、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル抗体)を用いて、PCA2501蛋白質中の相違、またはPCA2501蛋白質の有無を検出することができる。本発明の測定法の具体的な例示としては、PCA2501抗体は、血液・血清などのヒトより採取した生体材料試料含有溶液からPCA2501蛋白質を免疫沈降し、かつポリアクリルアミドゲルのウェスタン・ブロットまたはイムノブロット上でPCA2501蛋白質と反応することができる。また、PCA2501抗体は免疫組織化学的技術を用いてパラフィンまたは凍結組織切片中のPCA2501蛋白質を検出することができる。
抗体産生技術および精製する技術は当該分野においてよく知られているので、これらの技術を適宜選択することができる。
野生型PCA2501またはその突然変異体を検出する方法に関連するより好ましい具体例には、モノクローナル抗体および/または、ポリクローナル抗体を用いるサンドイッチ法を含む、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、免疫放射線検定法(IRMA)、および免疫酵素法(IEMA)が含まれる。
また、本発明は、PCA2501蛋白に対するPCA2501結合活性を有する細胞膜画分または細胞表面上に存在するPCA2501レセプターをも提供することが可能である。該PCA2501レセプターの取得は、細胞膜画分を含む生体材料試料中において標識したPCA2501蛋白をコンジュゲートさせ、PCA2501結合反応物を抽出・単離、精製し、単離物のアミノ酸配列を特定することによって達成され、該PCA2501レセプター蛋白の取得並びに配列決定は、この分野の当業者には容易に達成できる。
また本発明は、PCA2501レセプター蛋白質またはその結合断片を種々の薬剤のいずれかをスクリーニングする技術に用いることによって、化合物(PCA2501レセプター反応物:化合物は低分子化合物、高分子化合物、蛋白質、蛋白質部分断片、抗原、または抗体など言う)をスクリーニングすることに利用可能である。好ましくは、PCA2501レセプターを利用する。かかるスクリーニング試験に用いるPCA2501レセプターポリペプチドまたはその断片は、固体支持体に付着するか、または細胞表面に運ばれている溶液中の遊離物であってもよい。
薬剤スクリーニングの一例としては、例えば、PCA2501蛋白質またはその断片を発現する組換え蛋白質で安定して形質転換した原核生物または真核生物の宿主細胞を、好ましくは競合的結合アッセイにおいて利用することができる。また遊離のまたは固定した形態のかかる細胞を標準結合アッセイに用いることもできる。より具体的には、PCA2501レセプター蛋白質またはその断片と、試験する物質との間の複合体の形成を測定し、PCA2501レセプター蛋白質またはその断片とPCA2501蛋白質またはその断片との間の複合体の形成が試験する物質によって阻害される程度を検出することによって化合物をスクリーニングすることが可能である。
かくして、本発明は、当該分野で既知の方法によって、かかる物質とPCA2501レセプター蛋白質またはその断片とを接触させ、次いで、該物質とPCA2501レセプター蛋白質またはその断片との間の複合体の存在、またはPCA2501レセプター蛋白質またはその断片とリガンドとの間の複合体の存在について測定することを特徴とする薬剤のスクリーニング方法を提供することができる。さらに、PCA2501レセプター活性を測定して、かかる物質がPCA2501レセプターを阻害でき、かくして上記定義されたPCA2501の活性、例えばドーパミンなどの交感神経刺激作用、ドーパミンレセプターなどのレセプターの刺激作用、或いはノルアドレナリンなどの交感神経の伝達刺激作用などを調節できるかどうか、或いは蛋白−蛋白相互結合の調節または複合体形成能の調節ができるかどうか判断する。かかる競合結合アッセイにおいて、より具体的には、PCA2501レセプター蛋白質またはその断片を標識する。遊離のPCA2501レセプター蛋白質またはその断片を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離し、遊離(複合体未形成)標識の量は、各々、試験される因子のPCA2501レセプターに対する結合またはPCA2501レセプター:PCA2501蛋白質結合の阻害の尺度となる。PCA2501蛋白質の小さなペプチド(ペプチド疑似体)をこのように分析し、PCA2501レセプター阻害活性を有するものを測定できる(後記b)。
本発明において、薬剤スクリーニングのための他の方法は、PCA2501レセプター蛋白質に対して適当な結合親和性を有する化合物についてのスクリーニング法であって、該略すると、多数の異なるペプチド試験化合物をプラスチックのピンまたは他の物質の表面のごとき固体支持体上で合成し、次いでペプチド試験化合物をPCA2501レセプター蛋白質と反応させ、洗浄する。次いで既知の方法を用いて反応結合PCA2501レセプター蛋白質を検出する方法も例示できる(PCT特許公開番号:WO84−03564号)。精製されたPCA2501レセプターは、直接、前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプレート上に被覆することができる。しかしながら、ポリペプチドに対する非−中和抗体を用いて抗体を補足し、PCA2501レセプター蛋白質を固相上に固定することができる。さらに本発明は、競合薬剤スクリーニングアッセイの使用をも目的とし、PCA2501レセプター蛋白質またはその断片に対する結合性につき、PCA2501レセプター蛋白質に特異的に結合できる中和抗体と試験化合物とを競合させる。抗体による該競合によって、PCA2501レセプター蛋白質の1またはそれ以上の抗原決定部位を有するいずれのペプチドの存在をも検出することが可能である。
また、本発明のPCA2501活性を阻害する薬剤の候補化合物をスクリーニングする方法において、例えば、PCA2501遺伝子発現産物またはPCA2501蛋白質(以下、PCA2501蛋白質と併せて称する)、またはそれらの断片に対する抗体と、被検液および標識化されたPCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化されたPCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩の割合を測定することを特徴とする被検液中のPCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩を定量するスクリーニング方法も可能である(後記b)。
また被検液と担体上に不溶化した前記抗体および標識化された別の異なるPCA2501蛋白質に対する抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のPCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法も可能である。
さらに、PCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩に基質を接触させた場合とPCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩に基質および試験化合物を接触させた場合における、PCA2501蛋白質、PCA2501蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩の活性を測定して、比較することによってPCA2501蛋白質またはその塩の活性(例、PCA2501活性)を阻害する化合物またはその塩をスクリーニングすることも可能である(後記d)。
本発明によれば、PCA2501ポリペプチドまたはPCA2501遺伝子発現産物の機能を刺激または抑制する化合物を同定するためのスクリーニング法であって、(a) 候補化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、該候補化合物に直接または間接的に結合させた標識により測定する方法、(b) 候補化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、標識競合物質(PCA2501抗体またはPCA2501レセプター)の存在下で測定する方法、(c) 候補化合物が該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物の活性化または抑制により生ずるシグナルをもたらすか否かを、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している細胞または細胞膜に適した検出系を用いて調べる方法、(d) 候補化合物と、請求項1に記載のポリペプチドまたは遺伝子発現産物を含有する溶液とを同時に混合して混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物の活性を測定し、該混合物の活性をスタンダードと比較する方法、および(e) 候補化合物が細胞における該ポリペプチドをコードするmRNAおよび該ポリペプチドの産生に及ぼす効果を検出する方法よりなる群から選択される方法を含んでなるスクリーニング法が提供される。
また、薬剤スクリーニングに関し、さらなる方法としては、非機能性PCA2501遺伝子を含有する宿主真核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主細胞系または細胞を薬剤化合物の存在下において一定期間増殖させた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該化合物が例えば、細胞の成長を調節できるかどうか、或いは蛋白−蛋白相互結合の調節叉は複合体形成能の調節できるかどうかを確認する。増殖速度を測定する1手段として、PCA2501レセプターの生物活性を測定することも可能である。
また本発明によれば、より活性または安定した形態のPCA2501蛋白質誘導体または例えば、イン・ビボ(in vivo)でPCA2501蛋白質の機能を高めるかもしくは妨害する薬剤を開発するために、それらが相互作用する目的の生物学的に活性な蛋白質または構造アナログ、例えばPCA2501アゴニスト、PCA2501アンタゴニスト、PCA2501インヒビターなどを作製することが可能である。前記構造アナログは例えばPCA2501と他の蛋白質の複合体の三次元構造をX線結晶学、コンピューター・モデリングまたは、これらの組み合わせた方法によって決定することができる。また、構造アナログの構造に関する情報は、相同性蛋白質の構造に基づく蛋白質のモデリングによって得ることも可能である。
また上記より活性または安定した形態のPCA2501蛋白質誘導体を得る方法としては、例えばアラニン・スキャンによって分析することが可能である。該方法はアミノ酸残基をAlaで置換し、ペプチドの活性に対するその影響を測定する方法でペプチドの各アミノ酸残基をこのように分析し、当該ペプチドの活性や安定性に重要な領域を決定する方法である。該方法によって、より活性な、または安定なPCA2501誘導体を設計することができる。
また機能性アッセイによって選択した標的−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析することも可能である。原則として、このアプローチにより、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmacore)を得る。機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗−イディオタイプ抗体を生成させることによって、化学的または生物学的に生成したペプチドのバンクよりペプチドを同定したり単離したりすることが可能である。故に選択されたペプチドもファーマコアとして作用すると予測される。
かくして、改善されたPCA2501活性もしくは安定性またはPCA2501活性のインヒビター、アゴニスト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設計・開発することができる。
また本発明によれば、PCA2501遺伝子含有ノックアウト・マウス(変異マウス)を作成することによってPCA2501遺伝子配列のどの部位が生体内で上記したような多様なPCA2501活性に影響を与えるかどうか、即ちPCA2501遺伝子産物、並びに改変PCA2501遺伝子産物が生体内でどのような機能を有するかを確認することができる。
該方法は、遺伝子の相同組換えを利用して、生物の遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いた方法を例示できる(Capeccchi, M. R., Science, 244, 1288-1292 (1989))。
尚、上記変異マウスの作製方法はこの分野の当業者にとって既に通常の技術であり、この改変技術(野田哲生編、実験医学,増刊, 14 (20) (1996)、羊土社)に、本発明のヒト野生型PCA2501遺伝子および変異PCA2501遺伝子を適応して容易に変異マウスを作製し得る。従って前記技術の適応により、改善されたPCA2501活性もしくは安定性またはPCA2501活性のインヒビター、アゴニスト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設計・開発することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
<ディファレンシャル mRNAディスプレー法による遺伝子の単離>
(1)患者特異的な手法において発現しているヒト遺伝子を確認するため〔γ−33P〕ATPで標識した表出法を用いた。該方法の手順は本質的にリアングの方法を用いた(Liang, P. et al., Science, 257, 967-971 (1992))。
精神分裂病患者のうち投薬治療群(7例)と未投薬治療群(3例)および健常者(11例)の末梢血単核球より常法により抽出したmRNAのそれぞれ13μl(1μg)に、ジエチルピロカーボネート処理された水8μl中で、25pmolの3’-アンカード・オリゴdTプライマーG(T)15MA(MはG、AおよびCの混合液である)の1μlと混合し、72℃で2分間加熱処理した。
次いで、この溶液に4μlの5×ファースト・ストランド緩衝液(BRL社製)、2μlの0.1M DTT(BRL社製)、1μlの250μMdNTPs(BRL社製)、1μlのリボヌクレアーゼ・インヒビター(40単位;TOYOBO社製)および1μlのスーパースクリプトII逆転写酵素(200単位;BRL社製)を加え、42℃で1時間反応させてcDNAを合成した後、30μlの蒸留した水の付加により2.5倍までに希釈し、使用時まで−20℃で貯蔵した。
合成したcDNAは、〔γ−33P〕ATP(アマシャム社製)で標識した3’−アンカード・プライマーの存在下でのPCRにより増幅させた。このcDNAのPCR増幅は、以下のとおり実施された。
即ち、1μlのcDNAに対して各25μlのPCR混合液は、2μlのRT反応混合液、2μlの10×PCR緩衝液(タカラ社製)、4μlの2.5mM dNTPs、0.25μlのEx Taq DNAポリメラーゼ(5単位/ml:タカラ社製)、1μlの〔γ−33P〕ATPで標識した25pmolの3’−アンカード・オリゴ−dTプライマーおよび1μlの25pmol5’−アービタリープライマー(プライマー数29、配列番号4:5’−CTGATCCATG−3’に示す配列の任意配列を有する10−merデオキシオリゴヌクレオチド・プライマー)および10.25μlの蒸留した水を含んでいた。また、PCR反応は以下の条件で行なった。即ち、95℃で5分間の後、95℃で3分間、40℃で5分間および72℃で5分間を1サイクルとして行ない、それから95℃で0.5分間、40℃で2分間および72℃で1分間を25サイクル行ない、最後に72℃で5分間反応させた。
PCR反応サンプルをエタノールで抽出し、フォルムアミド・シークエンシング染料中に再懸濁して、6%アクリルアミド、7.5Mウレア・シークエンシング・ゲル上にアプライし電気泳動をお行なった。ゲルは固定することなしに乾燥させ、一晩オートラジオグラフィーを実施した。
予め乾燥ゲルを載せた3MM濾紙上にラジオアクティブインクで印を付けておき、これとオートラジオグラムをあわせることにより、目的の健常者では発現せず分裂病患者群(投薬群,未投薬群の両方)で発現したcDNAを含む特異バンドを乾燥ゲルを、3MM濾紙ごと切り出した後、300μlのdH2Oにて1時間攪袢した。ポリアクリルアミド・ゲルと濾紙を取り除いた後、cDNAを担体として1μlの10mg/mlグリコーゲンと0.3M NaOAcの存在下に、エタノール沈澱によって再回収し、10μlのdH2Oに再溶解した。再増幅のために、5μlのこの溶液を用い、初回と同一の条件でのPCRによる目的フラグメントの再増幅を行なった。次いで、電気泳動後、同様にゲルから切り出したバンドからPCR産物を精製し、さらに3回目のPCRを同一条件で行なった。このPCR産物をpUC118ベクター(タカラ社製)のHinc II部位にサブクローニングし、ABI377自動シーケンサー(ABI377 auto-sequencer: アプライド・バイオシステムズ社製)により、塩基配列を決定した。
この産物は、98ヌクレオチドからなっており、これをPCA2501と命名した。
FASTAプログラム(Person W. R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 2444-2448 (1988))を使用するGenBanck/EMBLデータ・ベース中のDNA配列とこのヌクレオチドのデータとの比較により、このPCR産物が他の如何なる公知のDNA配列と相同性がないことが明らかとなった。
(2)cDNAの全長単離
ヒト正常心臓cDNAライブラリー(ストラタジーン社製)は、オリゴ(dT)+ランダムヘキソマー−プライムド・ヒト正常心臓cDNAとUni−ZAPtmXR(ストラタジーン社製)を用いて、構築した。1×106個のクローンの全体を上記DD法により得られた遺伝子断片を〔γ−33P〕dCTPで標識したcDNA断片をプローブとして、スクリーニングを行なった。陽性クローンを選択し、それらの挿入cDNA部をpBluescript II SK(-)中のイン・ビボに切り出した。
その結果、本発明者らは、PCA2501に対して約5個のプラークを確認した。この結果により、全RNA間の転写量は、およそ0.00001 %である計算された。
次いで、遺伝子断片の塩基配列を基にプライマーを設計し,5’−RACE(Rapid Amplification of cDNA End)法(M.A. Frohman, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998 (1988))によりcDNAの全長の単離を行なった。
即ち、本発明遺伝子の5′部分を含むcDNAクローンの単離・解析は、製品使用プロトコールの一部修飾させ、市販キット(5'-Rapid AmpliFinder RACE Kit,クローンテック社)を用いた5′レース法により、以下の通り単離した。
ここで用いた遺伝子特異的プライマーP1およびプライマーP2は常法に従い合成されたものであり、その塩基配列は下記表2(P1は配列番号5およびP2は配列番号6に示す)に示す通りである。またアンカー・プライマーは、市販キットに付属のものを用いた。
ヒト正常心臓および肺のcDNAライブラリー(Marathon-Ready cDNA:クロンテック社製)を鋳型として用いて、これをP1プライマーおよびP2プライマーを用いたPCR反応によりcDNAを増幅させた。PCRの反応条件は、95℃2分間、次いで95℃30秒、68℃4分のサイクルをあえサイクル行なった。PCR産物は、1.5%アガロース・ゲル電気泳動により分析した。
アガロース・ゲル電気泳動により、およそ1000塩基の大きさを示すバンドを検出し、このバンドの産物をpT7BlueTベクター(ノバゲン社製)に挿入し、適当なサイズの挿入がみられる複数のクローンを選別した。
PCR反応物から得られた5’レース・クローンの5つが同じ配列を有しているが、異なる長さであった。 PCA2501−5−1 とPCA2501−15−1の2つの重なりを持つcDNAクローンをシークェンシングすることによって、蛋白質をコードしている配列と、5’と3’フランキング配列と全長3910塩基の配列を決定し、該遺伝子を精神分裂病関連遺伝子(PCA2501遺伝子)と命名し、 かくして得られたDNA配列をPCA2501と命名した。
このPCA2501cDNAは、計算された分子量77972Daを有する配列番号1で示される718アミノ酸配列からなる蛋白をコードする配列番号2で示される2157ヌクレオチド配列のオープン・リーディング・フレームを含む配列番号3で示される3910ヌクレオチド全長配列を含んでいた。配列番号3で示される配列中、開始コドンの位置は、該配列番号の99番目−101番目のATGであり、停止コドンの位置は、2253番目−2255番目のTAGであった。
完全長cDNAより予測されるアミノ酸配列(718アミノ酸残基)よりEMBLのSMART(Simple Molecular Arthitecture Research Tool V3.1)を用いて構造解析を行なった。
解析の結果、C末端側の443−472番目、479−508番目、512−543番目、551−581番目、612−641番目、および648−681番目のアミノ酸残基に6つのアンキリン反復配列(ankyrin repeats)のモチーフが認められた。
(3)ホモロジー検索
FASTAプログラム(Person W. R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 2444-2448 (1988))を使用するGenBanck/EMBLデータ・ベース中のDNA配列とこのヌクレオチドのデータとホモロジー検索を行なった比較により、このPCR産物は、Human proto-oncogene (BCL3) gene, exons 3-9 and complete cds.(ACCESSION U05681)あるいはHuman B-cell lymphoma 3-encoded protein (bcl-3) mRNA, complete cds.(ACCESSION M31732)にアミノ酸レベルで31%のホモロジーが検出されたが、その機能については現在のところ明らかにされていない。
実施例2
<ノーザンブロット解析および染色体の局在の決定>
(1)ノーザンブロット解析により発現量に差のあるmRNAに由来しているかの確認をおこなった。
組織におけるPCA2501の発現プロファイルを調べるため、各種のヒト組織を用いたノーザンブロット分析を行った。
ノーザン・ブロツト分析には、ヒトMTN(Multiple-Tissue Northern)ブロットIとII(クローンテック社製)を使用した。cDNA断片は、T3とT7プロモーター配列のプライマー・セットを用い、PCRによって〔γ−33P〕−dCTPで標識した上記実施例1で得られたPCR増幅産物を含むメンブランをプレハイブリダイズ(条件は製品のプロトコールに従った)し、それから製品のプロトコールに従い、ハイブリダイゼーションを行なった。
ハイブリダイゼーション後、洗浄した膜を−80℃で24時間オートラジオグラフに露光した。用いたヒト組織は、心臓(Heart)、脳(brain)、胎盤(Placenta)、肺(Lung)、肝臓(Liver)、骨格筋(S. muscle)、腎臓(Kidney)、膵臓(Pancreas)、脾臓(Spleen)、胸腺(Thymus)、前立腺(Prostate)、精巣(Testis)、卵巣(Ovary)、小腸(Small intestine)、結腸(Colon)および末梢血白血球(Peripheral blood leukocyte; P.B.L.)である。
その結果、PCA2501に相同する4kbの転写体が心臓、胎盤、肺、肝臓、膵臓、脾臓、小腸、末梢血リンパ球に発現していたが、発現の強弱はそれほど認められなかった。
(2)ラディエーションハイブリットパネルを用いて染色体ラディエーション・ハイブリッド・マッピング(Radiation Hybrid Mapping)
ラディエーション・ハイブリッド・マッピングによって、PCA2501のクローンの染色体の局在を決定した(Cox, D.R., et al., Science, 250, 245-250 (1990))。
即ち、DD法により得られた遺伝子断片の塩基配列より2種類のプライマーを設計し、ジェンブリッジ−4−ラディエーションハイブリットパネル(GeneBridge4;リサーチジネティックス社製(Research Genetics))を購入し、製品の使用説明書に従い、これをテンプレートとして、配列番号5および配列番号6に示す塩基配列のP1プライマーとP2プライマーを用いてPCR(30サイクル)を行い、染色体マッピング分析のためのPCR反応を実施した。
得られた結果をインターネット上で使用可能なソフトウェアによって分析した(Boehnke, M., et al., Am. J. Hum. Genet., 46, 581-586 (1991))。
その結果、PCA2501遺伝子はマーカーAFM126ZC5に位置していた。このマーカーは染色体上の3q11−q12に局在したマーカーであることから、PCA2501は染色体位置3q11−q12に局在されていることが確認された。
実施例3
<RT−PCRによるスクリーニング>
DD法により得られた遺伝子断片の各塩基配列より、プライマーを設計後、患者および健常者の末梢血単核球より抽出したmRNAを用い、競合的逆転写PCR(Competitive RT-PCR法)を行なった。
(1)DNA コンペティターの作製
まず、競合的DNA構築キットを用いてPCA2501およびGAPDH(ハウスキーピング遺伝子)のDNAコンペティターを作製した。
DNAコンペティターの作製には、競合的DNA構築キット(Competitive DNA Construction Kit:タカラ社製:TaKaRa)を用いて、λDNAを鋳型DNAとしてPCRを行ない、SUPREC−2(タカラ社製)を用いてPCA2501およびGAPDH(ハウスキーピング遺伝子)のDNAコンペティターをそれぞれ精製した。
即ち、PCA2501DNAコンペティター作製には、25μlの2×プレミックス液(Premix solution)、配列番号7で示される0.5μlの20pmol/μlDNAコンペティター作製用センス・プライマー、配列番号8で示される0.5μlの20pmol/μlDNAコンペティター作製用アンチセンス・プライマーおよび24μlの水からなる最終量50μlとした。また、GAPDHのDNAコンペティターは、配列番号9で示されるDNAコンペティター作製用センス・プライマー、および配列番号10で示されるDNAコンペティター作製用アンチセンス・プライマーを用いて同様の溶液にてPCR反応を行なった。PCR反応は、それぞれ94℃30秒、次いで60℃30秒、72℃30秒のサイクルを30サイクル行なった。
PCR産物を1.5%アガロースゲルで分離し、エチジウム・ブロマイド染色した。目的のPCA2501コンペティター(116bp)とGAPDHコンペティター(400bp)をSUPREC−2(タカラ社製)を用いてゲルより回収した。
(2)DNAコンペティターのコピー数の計算
精製したDNAコンペティターの吸光度(OD260)を測定し,下記の計算式よりコピー数を算出した。
(3)競合的PCRによるPCA2501遺伝子発現の定量
そして精製したDNAコンペティターと患者全RNAより合成したcDNAを用いて競合的PCRを行った(健常者(n=21)、 精神分裂病患者(n=27)、その他の精神病患者(n=20))。
即ち、ISOGEN(和光社製)を使用して健常者、精神分裂病患者、その他の精神病患者の末梢血単核球のそれぞれから、全RNAを単離した後、10単位のRNaseフリーDNase I(ベーリンガー・マインハイム社製)で30分間処理し、クロロフォルムで2回抽出し、エタノールで沈澱させた。次いで精製して得られた全RNA5μgから一本鎖cDNAをオリゴd(T)を使用してSuperscript IITM RNaseH-逆転写酵素(ライフ・テクノロジー社製)によって合成し、得られた各cDNA産物を競合的PCR増幅のために用いた。
検体からのcDNAと作製したDNAコンペティターを混合して競合的PCRを行い、この際、標的とするPCA2501遺伝子のコピー数を算出するための検量線を作成するため、コンペティターの濃度を振った。
PCR反応は、25μlの最終容量からなる2.5μlの50ng/μl上記各検体からのcDNA、2.5μlのDNAコンペティター(103、104、105、106、107、108コピー/2.5μl)、2.5μlの10×緩衝液(TOYOBO社製)、2.5μlの2.5mM dTNPs(TOYOBO社製)、0.5μlの10μM PCA2501センス・プライマー(配列番号11)、0.5μlの10μM PCA2501アンチセンス・プライマー(配列番号12)、0.25μlのピロコッカスKOD1株由来DNAポリメラーゼのKODdash(2.5単位/μl:TOYOBO社製)、および蒸留水(ニッポンジーン社製)の反応液を調製した。
PCR反応条件は、95℃、2分、続いて95℃、0.5分、60℃、0.5分、75℃、0.5分を30サイクルの条件で反応させた。増幅された産物はPAC2501遺伝子に対して98 塩基対であった。
尚、対照として用いられたGAPDHに対しては、GAPDHセンス・プライマー(配列番号13)、およびGAPDHアンチセンス・プライマー(配列番号14)が用いられ、該GAPDH対するPCR反応条件は、95℃、2分、続いて95℃、0.5分、55℃、0.5分、75℃、0.5分を30サイクルの条件で反応させた。増幅された産物はGAPDHに対して497 塩基対であった。
かくして得られた各PCR産物を5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し,ゲルドライヤーを用いてろ紙上に乾燥させた.乾燥後イメージプレートに露光し、モレキュラー・イメジャーGS−525(Molecular Imager GS-525:バイオ・ラド社製)を用いて画像データを取り込み、モレキュラー・アナリスト(Molecular Analyst:バイオ・ラド社製)を用いてデータ解析を行った。
発現量は単位GAPDHコピー数あたりの発現PCA2501コピー数(発現量=PCA2501コピー数/GAPDHコピー数)で算出した。
その結果を図1に示す。
図1に示されるように候補遺伝子PCA2501が、健常者あるいは精神分裂病以外の精神病患者群に比べ有意に精神分裂病患者で有意に発現していた。
上記の結果から、本発明の単離されたPCA2501遺伝子は、精神分裂病患者で特異的に高発現しており、精神分裂病患者の診断に有用である。
実施例4
精神分裂病患者(22例)における精神症状とPCA2501遺伝子発現量との関係を検討した。
精神症状は、採血時の患者の精神症状をPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale; Schizophr. Bull., 13, 261-276(1987))による構成尺度により評価した。構成尺度とは、PAVSSによる陽性症状尺度から陰性症状尺度を引いた値である。PCA2501遺伝子発現は、採血した末梢血単核球中の発現量(PCA2501/GAPDH)を前記実施例3に従い測定することにより行った。
結果を図2に示す。
図2において、縦軸はPCA2501遺伝子の発現量を、横軸PANSSの構成尺度をそれぞれ示す。
図2より、構成尺度が高くなる(陽性症状がドミナントになる)につれてPCA2501遺伝子の発現量が増加しており、両者には相関関係が認められた(R2=0.2318)。
以上より、PCA2501遺伝子が精神分裂病の症状と密接な関係にある遺伝子であり、またその発現測定が精神分裂病の精神症状の判断においても有用であることがわかる。
実施例5
<ヒスチジンタグ標識蛋白質の作製および抗体の作製>
健常者末梢血単核球細胞より合成したcDNAを鋳型DNAとして、PCA2501遺伝子より設計した以下に示す配列番号15から配列番号28に示す各プライマーを合成し(A:配列番号15とB:配列番号16、C:配列番号17とD:配列番号18、E:配列番号19とF:配列番号20、G:配列番号21、とH:配列番号22、I:配列番号23とJ:配列番号24、K:配列番号25とL:配列番号26、M:配列番号27とN :配列番号28)、これらを用いてPCRを行った。F1−、F2−、F3−、N1−、N2−、N3−、およびC−PCA2501(2173, 2098, 1876, 1300, 1225, 1003, 911塩基対)遺伝子断片を得た。得られた遺伝子断片をpCR2.1(インビトロゲン社製:Invitrogen)にサブクローニングした。制限酵素BamHIとPstIで消化し、発現ベクターpQE31(F1-, F2-, F3-, N1-, N2-, N3-PCA2501)およびpQE30 (C-PCA2501)(QIAGEN社製)に組み込んだ。得られたベクターを大腸菌M15に遺伝子導入した。遺伝子導入した大腸菌をIPTG存在下で4時間培養し大腸菌を回収した。回収後、Ni−NTAアガロース(QIAGEN社製)用いたアフィニティークロマトグラフィーによりF1−、F2−、F3−、N1−、N2−、N3−、およびC−PCA2501(730, 705, 631, 447, 422, 348, 310アミノ酸配列数)のそれぞれを精製した。これらを免疫原として、常法により抗PCA2501抗体の作製を行なった。
以下にプライマー配列と得られたDNA断片の長さをそれぞれ示す:
A : 5'-TAGGATCCATGATTGTGGACAAGCTGCTGG-3' (F1-PCA2501 Foward)2173bp
B : 5'-TGCTGCAGCTAATACGGTGGAGCTCTCTG-3' (F1-PCA2501 Reverse)

C : 5'- TAGGATCCATGACCAGCCCGCTCAACCT -3' (F2-PCA2501 Foward)2098bp
D : 5'-TGCTGCAGCTAATACGGTGGAGCTCTCTG-3' (F2-PCA2501 Reverse)

E : 5'-TAGGATCCCATATGGGGGTTGGCAGGCA-3' (F3-PCA2501 Foward)1876bp
F : 5'-TGCTGCAGCTAATACGGTGGAGCTCTCTG-3' (F3-PCA2501 Reverse)

G : 5'- TAGGATCCATGATTGTGGACAAGCTGCTGG -3' (N1-PCA2501 Foward)1300bp
H : 5'-TGCTGCAGTTTGCTTTCTTCCTGCTCCACC -3' (N1-PCA2501 Reverse)

I : 5'- TAGGATCCATGACCAGCCCGCTCAACCT -3' (N2-PCA2501 Foward)
J : 5'-TGCTGCAGTTTGCTTTCTTCCTGCTCCACC -3' (N2-PCA2501 Reverse)1225bp

K : 5'-TAGGATCCCATATGGGGGTTGGCAGGCA-3' (N3-PCA2501 Foward)
L : 5'-TGCTGCAGTTTGCTTTCTTCCTGCTCCACC -3' (N3-PCA2501 Reverse)1003bp

M : 5'-TAGGATCCGGTGGAGCAGGAAGAAAGCAAA-3' (C-PCA2501 Foward)911bp
N : 5'-TGCTGCAGCTAATACGGTGGAGCTCTCTG-3' (C-PCA2501 Reverse)
かくして得られたこれら抗PCA2501抗体の利用によれば、患者検体から得られた試料とこれら抗PCA2501抗体を反応させることにより、精神分裂病の診断に利用できる。
また、本発明PCA2501遺伝子の利用によるPCA2501に対する抗体およびアンチセンスDNAを用いる精神分裂病の治療が可能となるかもしれない。
また,TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR(ABI PRISM(tm) 7700 Sequence Detection System User's Manual:5.10.5.13(1996)、特許登録番号第2825976号など)などの市販されている測定機器(PEバイオシステムズ社製)を用い、簡便な方法でPCA2501の発現量測定も容易に行ない得、これを用いて、精神分裂病の診断に利用できる。
健常人、精神分裂病患者及び他の精神病患者間におけるPCA2501遺伝子発現量の比較を示す図である。 精神分裂病患者におけるPCA2501遺伝子の発現量と患者の精神症状との関連性を示す図である。

Claims (6)

  1. 配列番号2で示される塩基配列の少なくとも15の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、体液または組織検体中のPCA2501遺伝子または遺伝子発現物を検出することを特徴とする精神分裂病の判定方法。
  2. 配列番号2で示される塩基配列の少なくとも30の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを用いるものである請求項1記載の判定方法。
  3. 配列番号2で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを用いるものである請求項1又は2記載の判定方法。
  4. 配列番号2で示される塩基配列の少なくとも15の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを含有する精神分裂病診断剤。
  5. 配列番号2で示される塩基配列の少なくとも30の連続するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを含むものである請求項4記載の診断剤。
  6. 配列番号2で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド・プローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを含むものである請求項4又は5記載の診断剤。
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