JP2001025389A - Tsa7005遺伝子 - Google Patents

Tsa7005遺伝子

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JP2001025389A
JP2001025389A JP11201279A JP20127999A JP2001025389A JP 2001025389 A JP2001025389 A JP 2001025389A JP 11201279 A JP11201279 A JP 11201279A JP 20127999 A JP20127999 A JP 20127999A JP 2001025389 A JP2001025389 A JP 2001025389A
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tsa7005
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cells
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Takeshi Ogawara
剛 大河原
Mikio Suzuki
幹生 鈴木
Koichi Ozaki
浩一 尾崎
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Reg蛋白質と相同性を有し、膵β細胞増殖活
性因子または降血糖因子としての膵臓、小腸、大腸、精
巣特異的遺伝子を提供。 【解決手段】(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配
列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは
それらの相補鎖および(b)配列番号:1で示されるア
ミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドに対して少なくとも95%の相同性を持つポリヌクレ
オチドから選ばれる遺伝子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膵臓、小腸、大
腸、精巣に特異的に発現している新規遺伝子TSA70
05、より詳しくは、再生膵β細胞でその発現が見ら
れ、イン・ビトロで膵β細胞の増殖促進が知られている
ヒト(J. Biol. Chem.,263(5) 2111-2114 (1988))、マウ
ス(J. Biol. Chem.,268(21) 15974-15982 (1993))およ
びラット(J. Biol. Chem.,263(5) 2111-2114(1988))の
Reg蛋白質とそれぞれ32%、32%および34%の
相同性を有し、膵β細胞増殖活性因子または降血糖因子
(抗糖尿病因子)として働くと考えられる、新規な膵臓、
小腸、大腸、精巣特異的遺伝子に関する。
【0002】また、本発明は、該遺伝子断片、該遺伝子
によってコードされる蛋白質、その特異抗体、該遺伝子
またはその断片を有効成分とする医薬組成物にも関して
いる。
【0003】
【従来の技術】分子生物学や発生工学による糖尿病研究
の近年の進歩は著しく、インスリン分泌、インスリン作
用機構の解明に始まり、最近、特に膵β細胞におけるグ
ルコース代謝とATP産生などの過程を説明する生理的
機能の解明に向けて、研究が進められている。また、分
子遺伝学とヒトゲノムプロジェクトの進展により、イン
スリンとインスリン受容体遺伝子の異常が、糖尿病を惹
起するのではないかといわれた10年位前に比べると、
現在は、糖尿病の発生に係る多くの疾患原因遺伝子が単
離、解明されてきている。
【0004】しかしながら、糖尿病治療の現況は、病態
や合併症に対する対処療法が行われているに過ぎず、そ
の根本的予防および治療法の創出が望まれている。
【0005】上記糖尿病の根本的予防および治療法の確
立のためには、インスリン分泌作用機構や膵β細胞の生
理的メカニズムの解明に基づく糖尿病のインスリン分泌
異常・抵抗性の解明および膵β細胞の破壊のメカニズム
の解明と共に、これら糖尿病発症の分子機構に関与する
新たな因子およびこれをコードする遺伝子の発見、単
離、それらの作用機序の解明が望まれる。
【0006】現在、上記糖尿病関与因子としては、膵β
細胞再生因子、例えばReg蛋白、INGAP(islet n
eogenesis-associated protein)、ニコチンアミド(nico
tinamide)、BTC(Betacellulin)などが報告されてい
る。上記ニコチンアミドおよびReg蛋白については、
例えば、90%膵切除を行ったラットにおいてポリAD
Pリボース合成酵素の抑制剤であるニコチンアミドの投
与により、糖尿病が軽快することが見出され(Yomemura,
H.,et al., Diabetes, 33, 401 (1984))、該ニコチン
アミド投与ラットの残存膵ランゲルハンス氏島は肥大
し、インスリンを産生する細胞で占められ、このβ細胞
の増加によって耐糖能が改善するものと考えられた。こ
のニコチンアミド投与ラットにおいて、発現が増加する
遺伝子として、Reg遺伝子が単離された(Terazono,
K., et al., J. Biol. Chem.,263(5)2111-2114 (198
8))。該Reg遺伝子は、正常膵では主に外分泌細胞に
発現しているが、再生膵においては、ランゲルハンス氏
島にも発現する。
【0007】INGAPは、ラットReg蛋白とアミノ
酸配列で約40%の相同性を有し、ハムスターを用いた
セロファン・ラッピング・モデル(cellophane wrapping
model:膵導管結モデルに似ているが、炎症細胞浸潤が
起こらず、導管細胞の増殖と共に膵臓細胞の新生が起こ
るモデル)の膵組織から抽出され、膵ランゲルハンス氏
島細胞新生誘導作用を有すると考えられている(Rafaelo
ff, R., et al., J. Clin. Invest., 99, 2100-2109(19
97))。
【0008】BTCについて、これはマウスインスリノ
ーマ細胞株βTC−3培養液中に見出されたEGFファ
ミリーに属する増殖因子であり、膜貫通ドメインを有す
る178個のアミノ酸からなるプロBTCとして合成さ
れ、プロセッシングを受けて成熟型BTCとして細胞外
に分泌されると報告されており(Shing, Y., et al.,Sci
ence,259, 1604−1607 (1993))、胎生期膵組織の膵上皮
細胞に発現がみられ、膵β細胞を破壊した糖尿病マウス
では周囲の膵組織で発現が増強することから、膵内分泌
細胞の発生や分化機構に関与していると推測されてお
り、BTCによる膵β細胞新生促進作用および耐糖能改
善効果が報告されている(宮川潤一郎、花房俊昭、医学
のあゆみ, Vol.188, No.2,121-125 (1999))。
【0009】これらの各因子は、上記のように膵β細胞
再生促進作用を有することより、糖尿病治療に利用でき
ると考えられる。これらの利用によって、非β細胞から
の分化を伴うβ細胞新生機構やβ細胞特異的増殖促進機
構がさらに解明され、それらを促進するような新規な因
子が同定されれば、β細胞の容積を増加させることに基
づく新たな糖尿病治療法の開発が可能となり、該新規な
遺伝子の同定が当業界で所望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記膵
β細胞増殖活性または血糖降下作用を有し、ヒト、ラッ
トおよびマウスのReg蛋白とそれぞれ相同性を有する
新規な蛋白相同物をコードする遺伝子を提供することを
目的とする。
【0011】上記目的より、本発明者らは、各種ヒト組
織由来の遺伝子について検索を重ねた結果、上記目的に
合致する新しい膵臓、小腸、大腸、精巣特異的遺伝子の
単離、同定に成功し、ここに本発明を完成するに至っ
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
以下の(a)または(b)のポリヌクレオチドを含む遺
伝子が提供される。 (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補
鎖、(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なく
とも95%の相同性を持つポリヌクレオチド。
【0013】また本発明によれば、以下の(a)または
(b)のポリペプチドをコードする遺伝子が提供され
る。 (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チド、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もし
くは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミ
ノ酸配列からなり且つ膵β細胞増殖活性または血糖降下
作用を有するポリペプチド。
【0014】また本発明によれば、以下の(a)または
(b)のポリヌクレオチドからなる遺伝子が提供され
る。 (a)配列番号:2で示される塩基配列、(b)上記
(a)の塩基配列のポリヌクレオチドとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係る上記遺伝子の具体例
には、配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド、特に、配列番号:
2で示される塩基配列のポリヌクレオチドが包含され
る。
【0016】更に本発明によれば、以下に示す組換え体
発現ベクター、宿主細胞およびポリヌクレオチドが提供
される。 (1) 前記遺伝子のいずれかを有する組換え体発現ベクタ
ー。 (2) 上記組換え体発現ベクターを有する宿主細胞。 (3) 配列番号:2で示される塩基配列中の少なくとも1
0の、より好ましくは少なくとも30の連続するヌクレ
オチド配列を含むポリヌクレオチド。
【0017】更にまた本発明によれば、以下に示す遺伝
子治療剤、ポリヌクレオチド・プローブ、ポリペプチド
(遺伝子発現産物)、医薬組成物、抗体およびスクリーニ
ング方法が提供される。 (4) 上記ポリヌクレオチドまたはこれを保有するベクタ
ーを有効成分とする遺伝子治療剤。 (5) 配列番号:2で示される塩基配列からなるポリヌク
レオチド・プローブ。 (6) 配列番号:2で示される塩基配列中の少なくとも1
0の、より好ましくは少なくとも30の連続するヌクレ
オチド配列を含むポリヌクレオチド・プローブ。 (7) 以下の(a)または(b)のポリペプチド: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプチ
ド、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もしくは
複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸
配列からなり且つ膵臓β細胞増殖活性または血糖降下作
用を有するポリペプチド。 (8) 本発明遺伝子を発現させてなる遺伝子発現産物。 (9) 上記ポリペプチド(遺伝子発現産物)を有効成分とす
る医薬組成物、特に膵β細胞増殖活性剤、血糖降下剤、
抗糖尿病剤。 (10)上記ポリペプチド(遺伝子発現産物)に特異結合性を
有する抗体またはその断片。 (11)本発明遺伝子または遺伝子発現産物を用いる、該遺
伝子に対するアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニ
ング方法。 (12) 本発明遺伝子または遺伝子発現産物を用いる、該
遺伝子のインヒビターのスクリーニング方法。
【0018】上記(5)および(6)に示すプローブは、例え
ば本発明遺伝子の検出特異的プローブとして有用であ
る。
【0019】本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩
基配列、核酸などの略号による表示は、IUPAC−I
UBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological
Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、
「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のた
めのガイドライン」(特許庁編)および当該分野におけ
る慣用記号に従うものとする。
【0020】本発明遺伝子の一具体例としては、後述す
る実施例に示される「TSA7005」と名付けられた
PCR産物のDNA配列から演繹されるものを挙げるこ
とができる。その塩基配列は、配列番号:3に示される
とおりである。
【0021】該遺伝子は、配列番号:1に示される15
8アミノ酸配列の新規な膵臓、小腸、大腸、精巣特異的
蛋白質(「TSA7005蛋白質」という)をコードす
る、配列番号:2に示される474塩基配列のオープン
・リーディング・フレームを含む、全長1060塩基
(配列番号:3に示す)のヒトcDNAである。
【0022】本発明遺伝子TSA7005によりコード
されるTSA7005蛋白質は、FASTAプログラム
(Person W. R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., US
A.,85, 2444-2448 (1988))を利用したGenBank
/EMBLデーターベースの検索の結果、再生膵β細胞
においてその発現が認められ、膵β細胞の増殖を促進す
ることが知られているReg蛋白質と相同性を有するこ
とが確認された。
【0023】上記Reg蛋白質は、膵β細胞の増殖を促
進すること、および該Reg蛋白質とリノマイド(linom
ide)をNODマウスに投与することにより、糖尿病が改
善することが報告されている(Endocrinology, 139(5) 2
369-2374 (1998))ことから、本発明遺伝子は再生膵β細
胞の増殖因子として機能して糖尿病の進展に抑制的に働
くものと考えられる(前記各文献参照)。
【0024】ところで癌の発生には、癌遺伝子の過剰発
現が関与していることが知られており、ヒトReg遺伝
子は、膵臓、胃粘膜、腎臓で発現しており、さらにヒト
Reg遺伝子は、大腸癌と直腸癌において異所的に発現
が認められることが知られている(J. Biol.Chem., 265
(13) 7432-7439 (1990))ことを考慮すると、本発明に係
るTSA7005遺伝子は、それがコードするアミノ酸
配列の蛋白質のReg蛋白質との相同性より、TSA7
005遺伝子の発現もまた癌組織では変化すると予測さ
れる。
【0025】本発明遺伝子は、正常膵臓、小腸、大腸、
精巣組織に特異的に発現し、その発現蛋白質の構造上の
特徴より、これらの組織の癌組織においては発現が見ら
れないと予想されることから、膵臓、小腸、大腸、精巣
組織における癌のマーカーとしての有用性が期待でき
る。
【0026】本発明TSA7005遺伝子の全部または
一部を発現させて得られる発現産物は、本発明遺伝子に
結合する抗体の製造並びに抗体を用いる診断に利用でき
る。
【0027】更に本発明遺伝子、特に該遺伝子のセンス
鎖断片、これらの発現産物の利用によれば、前記膵β細
胞の再生促進作用による糖尿病の進展抑制や癌の進展抑
制を行うことができる。
【0028】本発明TSA7005遺伝子の全部または
一部は、またこれらをプローブとして利用でき、該利用
により膵β細胞の生理的状態の把握が可能となる。従っ
て係るプローブは癌の診断並びに診断用キットの一部と
して利用することができる。
【0029】本発明TSA7005遺伝子またはその発
現産物は更に、TSA7005蛋白質相互作用物のスク
リーニングに利用することもできる。
【0030】本発明において遺伝子は、2本鎖DNAの
みならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス
鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨であり、その
長さに何ら制限されるものではない。従って、本発明遺
伝子(DNA)には、特に言及しない限り、ヒトゲノム
DNAを含む2本鎖DNAおよびcDNAを含む1本鎖
DNA(センス鎖)並びに該センス鎖と相補的な配列を
有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)およびそれらの
断片のいずれもが含まれる。
【0031】本発明遺伝子(DNA)は、またリーダ配
列、コード領域、エキソン、イントロンを含むことがで
きる。ポリヌクレオチドには、RNAおよびDNAが包
含される。該DNAには、cDNA、ゲノムDNA、合
成DNAが含まれる。ポリペプチドには、その断片、同
族体(ホモログ)、誘導体、変異体が包含される。上記変
異体には、天然に存在するアレル変異体、天然に存在し
ない変異体、欠失、置換、付加および挿入によって改変
さたアミノ酸配列を有する変異体、同じ機能を有する保
存的アミノ酸置換により改変されたアミノ酸配列を有す
る変異体が包含される。
【0032】尚、これらアミノ酸配列の改変(変異な
ど)は、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾
などにより生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例
えば本発明の具体例遺伝子)を利用して人為的にこれを
行うこともできる。
【0033】上記変異体は、変異のないポリペプチドと
少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは
95%、さらにより好ましくは97%相同なものである
ことができる。
【0034】また、上記ポリペプチドは、変異体、ホモ
ログなどを含めて、いずれも共通に保存する構造的特徴
があり、本発明遺伝子発現産物の生物活性、例えば膵β
細胞の再生促進活性または抗糖尿病活性を有している。
なおポリペプチドの相同性は、配列分析ソフトウェア、
例えばFASTAプログラムを使用した測定(Clustal,
V., Methods Mol.Biol.,25, 307-318 (1994))で、或い
はSWISSPLOTSで解析することができる。
【0035】上記変異体をコードする遺伝子は、アミノ
酸置換についてサイレントまたは保存されている。即
ち、塩基配列によってコードされるアミノ酸残基は変ら
ない。
【0036】保存的な置換アミノ酸残基、即ち、元のア
ミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換しても、元のアミ
ノ酸残基を有するポリペプチドの活性が保存されている
であろう置換可能なアミノ酸残基は、各アミノ酸残基
(元のアミノ酸残基)に対して以下に示されるとおりであ
る。 元のアミノ酸残基 保存的な置換アミノ酸残基 Ala Ser Arg Lys Asn Gln, His Asp Glu Cys Ser Gln Asn Glu Asp Gly Pro His Asn またはGln Ile Leu またはVal Leu Ile またはVal Lys Arg, Aln, または Glu Met Leu またはIle Phe Met, LeuまたはTyr Ser Thr Thr Ser Trp Tyr Tyr Trp またはPhe Val Ile またはLeu システィン残基(Cys)は、これを他のアミノ酸残基、例
えばセリン残基(Ser)、アラニン残基(Ala)、バリン残基
(Val)などに置換することが可能である。これによれ
ば、一般に特定ポリペプチドのジスフィド結合に影響を
与えることができる。
【0037】所望のポリペプチドの特性に好ましい変化
を与えると一般に考えられる置換は、例えば、以下のも
のである。 a)親水性残基、例えばSerまたはThrの疎水性残基、例え
ばLeu、Ile、Phe、ValまたはAlaへの置換、 b) CysまたはProの、他の各種アミノ酸への置換、 c)電気的陽性側鎖を有しているアミノ酸残基、例えばLy
s、Arg、Hisの電気的陰性残基、例えばValまたはAspへ
の置換、 d)大きな側鎖を有する残基、例えばPheのGlyのような側
鎖を有しないアミノ酸残基への置換。
【0038】以上のとおり、本発明遺伝子TSA700
5およびその遺伝子産物の提供は、膵β細胞における該
遺伝子の発現の検出による膵β細胞の機能の解明、把
握、糖尿病の診断、予防および治療などに極めて有用な
情報乃至手段を与える。
【0039】本発明遺伝子は、上記膵β細胞の再生作用
によって改善される糖尿病の処置に利用される本発明遺
伝子の発現を誘導する新規薬剤の開発(スクリーニン
グ)の面でも好適に利用できる。
【0040】また、本発明遺伝子TSA7005および
その遺伝子産物の提供は、膵臓、小腸、大腸および精巣
における各種癌の解明、把握、診断、予防および治療な
どに極めて有用な情報乃至手段を与える。また、本発明
遺伝子は、上記各種癌の処置に利用される本発明遺伝子
の発現を誘導する新規薬剤の開発(スクリーニング)の
面でも好適に利用できる。
【0041】更に、個体或は組織における本発明遺伝子
の発現またはその産物の発現の検出や、該遺伝子の変異
(欠失や点変異)乃至発現異常の検出は、上記再生膵β
細胞に対する機能解析や各種の癌の解明や診断において
好適に利用できる。
【0042】本発明遺伝子は、具体的には配列番号:1
で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号:2の塩
基配列を含む遺伝子、例えば配列番号:3で示される塩
基配列を有する遺伝子(TSA7005遺伝子)または配
列番号:2で示される塩基配列またはその相補鎖を含む
ポリヌクレオチドからなる遺伝子として示されるが、特
にこれらに限定されない。例えば、本発明遺伝子は、上
記特定のアミノ酸配列において一定の改変を有するアミ
ノ酸配列をコードする遺伝子や、上記特定のアミノ酸配
列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードする遺
伝子や、これら遺伝子の塩基配列と一定の相同性を有す
る塩基配列の遺伝子であることができる。上記特定のア
ミノ酸配列や塩基配列に対して、一定の相同性とは、例
えば少なくとも70%以上、好ましくは90%以上、よ
り好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上の
相同性を有するものであることができる。本発明はかか
る相同性を有する相同物(遺伝子相同物および蛋白相同
物)を包含する。
【0043】本発明遺伝子には、また「配列番号:1に
示されるアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ
酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列(改変さ
れたアミノ酸配列)からなるポリペプチドをコードする
遺伝子」も包含される。ここで、「アミノ酸の欠失、置
換または付加」の程度およびそれらの位置などは、改変
されたアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号:1で
示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(TSA7
005蛋白質)と同様の生物学的機能を有する同効物で
あれば特に制限されない。好ましくは保存的なアミノ酸
残基の置換もしくは十数個のアミノ酸配列の改変された
アミノ酸配列、更に好ましくは数個のアミノ酸配列の改
変されたアミノ酸配列、からなるポリペプチドをコード
する遺伝子が包含される。ここで「同様の機能」とは、
膵β細胞増殖活性または血糖降下作用を例示できる。ま
た、上記改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
をコードする遺伝子は、その利用によって改変前のアミ
ノ酸配列のポリペプチドをコードする本発明TSA70
05遺伝子が検出できるものであってもよい。
【0044】さらに本発明TSA7005遺伝子の相同
物(および該遺伝子産物の相同物)とは、本発明TSA7
005遺伝子(またはその遺伝子産物)と配列相同性を有
し、構造的特徴、遺伝子発現パターンにおける共通性、
上記したようなその生物学的機能の類似性などにより、
ひとつの遺伝子ファミリーと認識される一連の関連遺伝
子(およびその発現産物)を意味する。これには本発明T
SA7005遺伝子のアレル体(対立遺伝子)も当然含
まれる。
【0045】前記アミノ酸配列の改変(変異)のための
人為的手段としては、例えばサイトスペシフィック・ミ
ュータゲネシス〔Methods in Enzymology,154, 350, 36
7-382 (1987);同 100, 468 (1983);Nucleic Acids Re
s., 12, 9441 (1984);続生化学実験講座1「遺伝子研
究法II」、日本生化学会編, p105 (1986)〕などの遺伝
子工学的手法、リン酸トリエステル法やリン酸アミダイ
ト法などの化学合成手段〔J. Am. Chem. Soc.,89, 4801
(1967);同91, 3350 (1969);Science,150, 178 (196
8);Tetrahedron Lett.,22, 1859 (1981);同24, 245
(1983)〕およびそれらの組合せ方法などが例示できる。
【0046】より具体的には、DNAの合成は、ホスホ
ルアミダイト法またはトリエステル法による化学合成に
よることもでき、市販されている自動オリゴヌクレオチ
ド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片は、相補
鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニーリングさ
せるかまたは適当なプライマー配列と共にDNAポリメ
ラーゼを用いて相補鎖を付加するかによって、化学合成
した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0047】本発明遺伝子の具体的態様としては、配列
番号:3に示される塩基配列を有する遺伝子を例示でき
る。この塩基配列中のコーディング領域は、配列番号:
1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を示すコド
ンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺伝子は、
かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限らず、各アミ
ノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選択した塩基
配列を有することも可能である。コドンの選択は、常法
に従うことができ、例えば利用する宿主のコドン使用頻
度などを考慮することができる〔Ncleic Acids Res.,9,
43 (1981)〕。
【0048】また、本発明遺伝子は、前記のとおり、配
列番号:2に示される塩基配列と一定の相同性を有する
塩基配列からなるものも包含する。
【0049】上記相同性は、配列番号:2に示される塩
基配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なく
とも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%
の同一性を有するポリヌクレオチドおよびその相補鎖ポ
リヌクレオチドを言う。
【0050】かかる相同性遺伝子としては、例えば、
0.1%SDSを含む0.2×SSC中50℃または
0.1%SDSを含む1×SSC中60℃のストリンジ
ェントな条件下で配列番号:2に示される塩基配列から
なるDNAとハイブリダイズする塩基配列を有する遺伝
子を例示することもできる。
【0051】本発明遺伝子は、本発明により開示された
本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、
一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得するこ
とができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring H
arbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子
研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0052】具体的には、本発明遺伝子が発現される適
当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調
製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当
なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択すること
により実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 7
8, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
【0053】上記において、cDNAの起源としては、
本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに
由来する培養細胞などが例示される。また、これらから
の全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの
取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実
施することができる。また、cDNAライブラリーは市
販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライ
ブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.In
c.)などより市販されている各種cDNAライブラリー
などを用いることもできる。
【0054】本発明の遺伝子をcDNAライブラリーか
らスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の
方法に従うことができる。
【0055】具体的には、例えばcDNAによって産生
される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した
免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローン
を選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合する
プローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コ
ロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せな
どを例示できる。
【0056】ここで用いられるプローブとしては、本発
明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合
成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得
された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。ま
た、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセン
ス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリー
ニング用プローブとして用いることもできる。
【0057】前記プローブとして用いられるヌクレオチ
ド配列は、配列番号:2に対応する部分ヌクレオチド配
列であって、少なくとも10個の連続した塩基、好まし
くは20個の連続した塩基、より好ましくは30個の連
続した塩基、最も好ましくは50個の連続した塩基を有
するものもであることができる。また、配列番号:2で
示されるオリゴヌクレオチド配列を有する陽性クローン
それ自体をプローブとして用いることもできる。
【0058】本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR
法〔Science,230, 1350 (1985)〕によるDNA/RNA
増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから全
長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE法
〔Rapid amplification of cDNA ends;実験医学、12
(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohma
n, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., USA.,8, 8998 (19
88)〕などの採用が好適である。
【0059】かかるPCR法の採用に際して使用される
プライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の
遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法
に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断
片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例
えばゲル電気泳動法などによればよい。
【0060】また、上記で得られる本発明遺伝子或いは
各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサ
ム−ギルバート法〔Methods in Enzymology,65, 499 (1
980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエンス
キットなどを用いて、その塩基配列を決定することがで
きる。
【0061】このようにして得られる本発明の遺伝子に
よれば、例えば該遺伝子の一部または全部の塩基配列を
利用することにより、個体もしくは各種組織における本
発明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することができ
る。
【0062】かかる検出は常法に従って行うことがで
き、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polyme
rase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplif
ication of RNA. In PCR Protocol, A Guide to method
s and applications, AcademicPress,Inc.,SanDiego, 2
1-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティ
ング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor La
b. (1989)〕、in situRT−PCR〔Nucl. Acids Re
s., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situハイブリダイゼ
ーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NASB
A法〔Nucleic acid sequence-based amplification, N
ature,350, 91-92 (1991)〕およびその他の各種方法を
挙げることができる。好適には、RT−PCRによる検
出法を挙げることができる。
【0063】尚、ここでPCR法を採用する場合に用い
られるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的
に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限
はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定する
ことができる。通常プライマーとして10〜35程度の
ヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度
の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを
挙げることができる。
【0064】このように、本発明の遺伝子には、本発明
にかかるTSA7005遺伝子を検出するための特異プ
ライマーおよび/または特異プローブとして使用される
DNA断片もまた包含される。
【0065】当該DNA断片は、配列番号:2に示され
る塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規
定することできる。ここで、ストリンジェントな条件と
しては、プライマーまたはプローブとして用いられる通
常の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、
例えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×
SSC中50℃の条件または0.1%SDSを含む1×
SSC中60℃の条件を例示することができる。
【0066】本発明遺伝子はこれを通常の遺伝子工学的
手法を用いることにより、該遺伝子の発現産物(ポリペ
プチド)またはこれを含む蛋白質を容易に大量に、安定
して製造することができる。
【0067】従って本発明は、本発明遺伝子のコードす
るアミノ酸配列のポリペプチド(本発明遺伝子の発現産
物)をも提供するものであり、また該ポリペプチドの製
造のため、例えば本発明遺伝子を含有するベクター、該
ベクターによって形質転換された宿主細胞、該宿主細胞
を培養して本発明ポリペプチドを製造する方法などをも
提供するものである。
【0068】本発明ポリペプチドの具体的態様として
は、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のポリペプチ
ド(TSA7005蛋白質)を挙げることができるが、本
発明ポリペプチドには、該TSA7005蛋白質のみな
らず、その相同物も包含される。該相同物としては、上
記配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、1も
しくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたア
ミノ酸配列からなり、且つTSA7005蛋白質と同様
の機能を有するポリペプチドを挙げることができる。具
体的には、前記TSA7005遺伝子の相同物(アレル
体を含むTSA7005同等遺伝子)の遺伝子産物を挙
げることができる。
【0069】また、本発明TSA7005蛋白質の相同
物には、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のポリペ
プチドと同一活性を有する、哺乳動物、例えばウマ、ヒ
ツジ、ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマ、マウス、ラッ
ト、ウサギなどのげっ歯類動物の蛋白質も包含される。
【0070】本発明のポリペプチドは、本発明により提
供されるTSA7005遺伝子の配列情報に基づいて、
常法の遺伝子組換え技術〔例えば、Science,224, 1431
(1984) ; Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1
985);Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (198
3)など参照〕に従って調製することができる。
【0071】該ポリペプチドの製造は、より詳細には、
該所望の蛋白をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現で
きる組換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿
主細胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、
次いで得られる培養物から回収することにより行われ
る。
【0072】上記宿主細胞としては、原核生物および真
核生物のいずれも用いることができ、例えば原核生物の
宿主としては、大腸菌や枯草菌といった一般的に用いら
れるものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけエ
シェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含ま
れるものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞に
は、脊椎動物、酵母などの細胞が含まれ、前者として
は、例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 17
5 (1981)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞および
そのジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Ac
ad. Sci., USA., 77: 4216 (1980)〕などが、後者とし
ては、サッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられ
る。勿論、これらに限定される訳ではない。
【0073】原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主
細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中
に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプ
ロモーターおよびSD(シャイン・アンド・ダルガー
ノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン
(例えばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利
用できる。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来の
プラスミド、例えばpBR322、pBR325、pU
C12、pUC13などがよく用いられるが、これらに
限定されず既知の各種のベクターを利用することができ
る。大腸菌を利用した発現系に利用される上記ベクター
の市販品としては、例えばpGEX−4T(Amersham P
harmacia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P
2(New England Biolabs社)、pET21,pET2
1/lacq(Invitrogen社)、pBAD/His(In
vitrogen社)などを例示できる。
【0074】脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベク
ターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の
上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部
位、ポリアデニル化部位および転写終了配列を保有する
ものが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有し
ていてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的に
は、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕な
どが例示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクタ
ーを用いることができる。動物細胞を利用した発現系に
利用されるかかるベクターの市販品としては、例えばp
EGFP−N,pEGFP−C(Clontrech社)、pI
ND(Invitrogen社)、pcDNA3.1/His(In
vitrogen社)などの動物細胞用ベクターや、pFast
BacHT(GibciBRL社)、pAcGHLT
(PharMingen社)、pAc5/V5−His,pMT/
V5−His,pMT/Bip/V5−his(以上In
vitrogen社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられ
る。
【0075】また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベ
クターの具体例としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺
伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示で
きる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpP
ICZ(Invitrogen社)、pPICZα(Invitrogen
社)なとが包含される。
【0076】プロモーターとしても特に限定なく、エッ
シェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトフ
ァン(trp)プロモーター、lppプロモーター、la
cプロモーター、recAプロモーター、PL/PRプ
ロモーターなどを好ましく利用できる。宿主がバチルス
属菌である場合は、SP01プロモーター、SP02プ
ロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。酵
母を宿主とする場合のプロモーターとしては、例えばp
H05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロ
モーター、ADHプロモーターなどを好適に利用でき
る。また、動物細胞を宿主とする場合の好ましいプロモ
ーターとしては、SV40由来のプロモーター、レトロ
ウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモータ
ー、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイル
スプロモーター、SRαプロモーターなどを例示でき
る。
【0077】尚、本発明遺伝子の発現ベクターとして
は、通常の融合蛋白発現ベクターも好ましく利用でき
る。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現
させるためのpGEX(Promega社)などを例示でき
る。
【0078】また、成熟ポリペプチドのコード配列が宿
主細胞からのポリペプチドの発現、分泌を助けるポリヌ
クレオチド配列としては、分泌配列、リーダ配列が例示
でき、細菌宿主に対して融合成熟ポリペプチドの精製に
使用されるマーカー配列(ヘキサヒスチジン・タグ、ヒス
チジン・タグ)、哺乳動物細胞の場合はヘマグルチニン(H
A)・タグを例示できる。
【0079】所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿
主細胞への導入法およびこれによる形質転換法として
は、特に限定されず、一般的な各種方法を採用すること
ができる。
【0080】得られる形質転換体は、常法に従い培養で
き、該培養により所望のように設計した遺伝子によりコ
ードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細胞
内、細胞外または細胞膜上に発現、生産(蓄積、分泌)
される。
【0081】該培養に用いられる培地としては、採用し
た宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利
用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施で
きる。
【0082】かくして得られる本発明の組換え蛋白質
は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利
用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、
1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社
東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (198
6); Eur. J. Biochem.,163, 313 (1987)など参照〕によ
り分離、精製できる。
【0083】該方法としては、具体的には、通常の再構
成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、
浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロ
マトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これ
らの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、本
発明蛋白質に対する特異的な抗体を結合させたカラムを
利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示す
ることができる。
【0084】尚、本発明ポリペプチドをコードする所望
の遺伝子の設計に際しては、配列番号:2に示されるT
SA7005遺伝子の塩基配列を良好に利用することが
できる。該遺伝子は、所望により、各アミノ酸残基を示
すコドンを適宜選択変更して利用することも可能であ
る。
【0085】また、TSA7005遺伝子でコードされ
るアミノ酸配列において、その一部のアミノ酸残基ない
しはアミノ酸配列を置換、欠失、付加などにより改変す
る場合には、例えばサイトスペシフィック・ミュータゲ
ネシスなどの前記した各種方法により行うことができ
る。
【0086】本発明ポリペプチドは、また、配列番号:
1に示すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法に
より製造することができる。該方法には、通常の液相法
および固相法によるペプチド合成法が包含される。
【0087】かかるペプチド合成法は、より詳しくは、
アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐
次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエ
ロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメン
トを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング
反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包
含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよ
い。
【0088】上記ペプチド合成に採用される縮合法も、
常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水
物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPP
A(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物
(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
サクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法
などを例示できる。
【0089】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミ
ド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸
エチルなどおよびこれらの混合溶媒などを挙げることが
できる。
【0090】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メ
トキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル
などのアラルキルエステルなどとして保護することがで
きる。
【0091】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル
基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基など
で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要
はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基
は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシ
カルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダ
マンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により
保護することができる。
【0092】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドお
よび最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護
基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還
元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭
化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メ
タンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施する
ことができる。
【0093】かくして得られる本発明蛋白質は、前記し
た各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグ
ラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などの
ペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精
製を行うことができる。
【0094】本発明ポリペプチドは、その特異抗体を作
成するための免疫抗原としても好適に利用でき、この抗
原を利用することにより、所望の抗血清(ポリクローナ
ル抗体)およびモノクローナル抗体を取得することがで
きる。
【0095】該抗体の製造法自体は、当業者によく理解
されているところであり、本発明においてもこれら常法
に従うことができる〔例えば、続生化学実験講座「免疫
生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
【0096】かくして得られる抗体は、例えばTSA7
005蛋白の精製およびその免疫学的手法による測定な
いしは識別などに有利に利用することができる。より具
体的には、本発明遺伝子が相同性を有するReg蛋白が
再生膵β細胞において発現が亢進し、膵β細胞の増幅促
進が見られることから、該抗体を用いて糖尿病の病態診
断、進展度の判定に利用することが出来る。更に、該抗
体はTSA7005蛋白質に結合する抗体またはその断
片を有効成分とする糖尿病の病態診断剤として利用でき
る。
【0097】本発明ポリペプチドは、これを有効成分と
する医薬品として医薬分野において有用である。従っ
て、本発明は本発明ポリペプチドを有効成分とする医薬
組成物をも提供するものである。
【0098】本発明ポリペプチドの上記医薬組成物の有
用性は、前記したように本発明の遺伝子が膵臓、小腸、
大腸、精巣の組織において発現しており、特にその発現
が膵臓において高く、また本発明遺伝子が相同性を有す
るReg蛋白が再生膵β細胞において発現が亢進し、膵
β細胞の増幅促進が見られることから、これら組織特異
的ポリペプチド、即ち、本発明のポリペプチドが有する
膵β細胞増殖活性または血糖降下作用にある。
【0099】これらの活性を確認する方法としては、例
えば以下の各方法を挙げることができる。(1)ランゲル
ハンス島の初代培養を行い、リコンビナントTSA70
05蛋白質を添加して更に数日間培養を行い、その後、
BrdUを添加して24時間培養し、固定後、抗Brd
U抗体と抗インスリン抗体で二重染色を行い、蛍光顕微
鏡で抗BrdU抗体と抗インスリン抗体で染色された細
胞数を数え、BrdUを取り込んだβ細胞の割合を調べ
る。(2)NODマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbo
r, ME.)もしくは90%膵切除を行ったラットに0.1
〜50mg/kgの範囲でリコンビナントTSA700
5蛋白質を毎日、腹腔内注射し、10日後に血中グルコ
ース濃度を測定する。
【0100】本発明医薬組成物において有効成分とする
ポリペプチドまたはその一部には、その医薬的に許容さ
れる塩もまた包含される。かかる塩には、当業界で周知
の方法により調製される、例えばナトリウム、カリウ
ム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、
アンモニウムなどの無毒性アルカリ金属塩、アルカリ土
類金属塩、アンモニウム塩などが包含される。更に上記
塩には、本発明ポリペプチドと適当な有機酸ないし無機
酸との反応による無毒性酸付加塩も包含される。代表的
無毒性酸付加塩としては、例えば塩酸塩、塩化水素酸
塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、蓚酸
塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、硼酸塩、
安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−トルエンスルホン
酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマ
ル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、グリコ
ール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼン
スルホン酸塩およびナプシレートなどが例示される。
【0101】上記医薬組成物は、本発明ポリペプチドを
有効成分として、その薬学的有効量を、適当な無毒性医
薬担体ないし希釈剤と共に含有するものが含まれる。
【0102】上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる
医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用さ
れる、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面
活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示で
き、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜
選択使用される。
【0103】特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋
白製剤などに使用され得る各種の成分、例えば安定化
剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整
剤、界面活性剤などを適宜使用して調製される。
【0104】上記安定化剤としては、例えばヒト血清ア
ルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導
体などを例示でき、これらは単独でまたは界面活性剤な
どと組合せて使用してもよい。特にこの組合せによれ
ば、有効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
【0105】上記L−アミノ酸としては、特に限定はな
く例えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのい
ずれでもよい。
【0106】上記糖としても特に限定はなく、例えばグ
ルコース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖
類、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの
糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖
類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コン
ドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類などおよび
それらの誘導体などを使用できる。
【0107】上記界面活性剤としても特に限定はなく、
イオン性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用で
き、例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンア
ルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テ
ル系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセ
リド系などを使用できる。
【0108】セルロース誘導体としても特に限定はな
く、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウムなどを使用できる。
【0109】上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り
約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜
10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤
の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg
程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程
度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの
添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度
以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲
とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当
り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。
また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当
り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0
01〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
【0110】本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量
は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.0000
1〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程
度の範囲とするのが適当である。
【0111】また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、
例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加する
ことができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン
酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミ
ン酸および/またはそれらに対応する塩(例えばそれら
のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)な
どを例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示でき
る。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウ
ム、クエン酸などを例示できる。
【0112】本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用で
きる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした
後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解
して適当な濃度に調製した後に使用することも可能であ
る。
【0113】本発明の医薬製剤の投与単位形態として
は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表
的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒
剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、
乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含ま
れ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、
経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類さ
れ、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製す
ることができる。
【0114】例えば、錠剤の形態に成形するに際して
は、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリ
ウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カ
オリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなど
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキ
シメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウ
ム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、
炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ス
テアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ス
テアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
などの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿
剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸
塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤な
どを使用できる。
【0115】更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した
錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィ
ルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ない
しは多層錠とすることもできる。
【0116】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビア
ゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結
合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用で
きる。
【0117】カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有
効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質
ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整さ
れる。
【0118】経口投与用液体投与形態は、慣用される不
活性希釈剤、例えば水を含む医薬的に許容される溶液、
エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなどを包
含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ませる
ことができ、これらは常法に従い調製される。
【0119】非経口投与用の液体投与形態、例えば滅菌
水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへの調
製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イ
ソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルおよびオリーブ油などの植物油などを
使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオレ
イン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常の
溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存
剤、分散剤などを添加することもできる。
【0120】滅菌は、例えばバクテリア保留フィルター
を通過させる濾過操作、殺菌剤の配合、照射処理および
加熱処理などにより実施できる。また、これらは使用直
前に滅菌水や適当な滅菌可能媒体に溶解することのでき
る滅菌固体組成物形態に調製することもできる。
【0121】坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際
しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチンおよび半合成グリセライドなどを使用
できる。
【0122】ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の
形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色
ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導
体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
シリコン、ベントナイトおよびオリーブ油などの植物油
などを使用できる。
【0123】経鼻または舌下投与用組成物は、周知の標
準賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
【0124】尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色
剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品な
どを含有させることもできる。
【0125】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、
液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投
与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖やアミノ酸など
の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応
じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、
坐剤は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤
は鼻腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は
経皮的に局所投与される。
【0126】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的に
は、該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約
0.01μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg
〜1mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜数回
に分けて投与することができる。
【0127】本発明の医薬製剤の投与は、単独または他
の糖尿病に対する治療剤、例えばインスリン、SU剤、
ビクアナイド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、インスリン
抵抗性改善薬、あるいは食事療法など併用することがで
きる。併用投与は、糖尿病管理において、血糖管理を中
心に他の指標、例えばグリコヘモグロビン、グリコアル
ブミン、血漿1,5AGなどを糖尿病患者個々の糖尿病
の病態によって設定された目標値に到達あるいは近づく
ように行うようにするればよい。
【0128】上記の各糖尿病薬との併用により、これら
併用される糖尿病併用薬の投与量を減少させることもで
きるし、これらの併用薬に起因するかもしれない副作用
を軽減することもできる。また、併用により早く糖尿病
管理目標値に到達することができるかもしれない。
【0129】以下、遺伝子治療につき、詳述する。
【0130】本発明は、本発明TSA7005遺伝子の
発現する細胞において、mRNAを作り出し、翻訳を促
進し、TSA7005遺伝子の発現量を高めるためのセ
ンス医薬の提供による糖尿病の遺伝子治療法をも提供す
る。
【0131】該治療法は、例えばTSA7005遺伝子
を有する膵β細胞においてmRNAへの転写或いは翻訳
の過程を促進することによって、目的とする遺伝子の発
現を高める方法である。そのためには遺伝子のmRNA
と相補的なセンス・オリゴヌクレオチドを製造し、該セ
ンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に供給する。かか
るTSA7005遺伝子の発現機能を促進する作用を標
的細胞に供給すれば、受容細胞/標的細胞における新生
物の増殖を促進することができる。当該センス・オリゴ
ヌクレオチドの標的細胞への供給は、例えば該オリゴヌ
クレオチドを含有するベクターまたはプラスミドを、目
的細胞の染色体外に導入、維持することにより実施でき
る。この場合、当該遺伝子は染色体外から細胞により発
現される。また、TSA7005遺伝子の発現が認めら
れない膵臓、特に膵β細胞、あるいは小腸、大腸、精巣
組織細胞およびそれらの周辺組織細胞に遺伝子を導入し
て発現させることもでき、この場合、当該遺伝子は細胞
の増殖に必要なTSA7005蛋白質の一部分をコード
していてもよい。
【0132】上記センス・オリゴヌクレオチドを用いた
糖尿病遺伝子治療によれば、レトロウイルス、アデノウ
イルス、AAV由来のベクターに該センス・オリゴヌク
レオチドを組込み、これを膵β細胞に感染させてセンス
・オリゴヌクレオチドを発現させることにより、所望の
膵β細胞増殖効果または血糖降下作用を得ることができ
る。
【0133】このようにTSA7005遺伝子を標的と
する膵β細胞にセンス・オリゴヌクレオチドを導入して
TSA7005遺伝子の発現を促進させる場合、当該セ
ンス・オリゴヌクレオチドはTSA7005遺伝子の全
長である必要はなく、例えば該TSA7005遺伝子の
発現機能を促進する機能と実質的に同質な機能を保持す
る限りにおいて、前記した改変体であっても、また特定
の機能を保持した一部配列からなる遺伝子であってもよ
い。
【0134】かかる組換えおよび染色体外維持の双方の
ための所望遺伝子の導入のためのベクターは、当該分野
において既に知られており、本発明ではかかる既知のベ
クターのいずれもが使用できる。該ベクターとしは、例
えば発現制御エレメントに連結したTSA7005のセ
ンス・オリゴヌクレオチドのコピーを含み、かつ目的細
胞内で当該センス・オリゴヌクレオチドを発現できる、
ウイルスベクターまたはプラスミドベクターを挙げるこ
とができる。かかるベクターとしては、通常前述する発
現用ベクターそのものを利用することもでき、好適に
は、例えば起源ベクターとして、米国特許第52524
79号明細書およびPCT国際公開WO93/0728
2号明細書に開示されたベクター(pWP−7A、pW
P−19、pWU−1、pWP−8A、pWP−21お
よび/またはpRSVLなど)またはpRC/CMV
(Invitrogen社製)などを用いて調製されたベクターを
利用することができる。より好ましくは、後述する各種
ウイルス・ベクターを利用できる。
【0135】なお、遺伝子導入治療において用いられる
ベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患
の治療対象となる患部組織に固有のものを好適に利用す
ることができる。
【0136】その具体例としては、例えば、肝臓に対し
ては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−アン
チトリプシン、トランスフェリン、トランススチレンな
どを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アンヒド
ラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示でき
る。子宮および胎盤に対しては、エストロゲン、アロマ
ターゼサイトクロームP450、コレステロール側鎖切
断P450、17α−ヒドロキシラーゼP450などを
例示できる。前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91
−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを
例示できる。乳房に対しては、erb−B2、erb−
B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質
などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウロ
グロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−1
4−ケラチン、ヒトケラチン1または6、ロイクリンな
どを例示できる。脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白
質、成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン、チロシ
ンヒドロキシラーゼ膵臓ヴィリン、グルカゴン、ランゲ
ルハンス島アミロイドポリペプチドなどを例示できる。
甲状腺に対しては、チログロブリン、カルシトニンなど
を例示できる。骨に対しては、α1コラーゲン、オステ
オカルシン、骨シアログリコプロティンなどを例示でき
る。腎臓に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性
ホスフォターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対し
ては、アミラーゼ、PAP1などを例示できる。
【0137】なおセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベ
クターの製造において、導入されるセンス・オリゴヌク
レオチド(TSA7005遺伝子配列全部または一部)
は、本発明のTSA7005遺伝子の塩基配列情報に基
づいて、前記の如く、一般的遺伝子工学的手法により容
易に製造・取得することができる。
【0138】かかるセンス・オリゴヌクレオチド導入用
ベクターの細胞への導入は、例えばエレクトロポレーシ
ョン、リン酸カルシウム共沈法、ウイルス形質導入など
を始めとする、細胞にDNAを導入する当該分野におい
て既に知られている各種の方法に従って行うことができ
る。なお、TSA7005のセンス・オリゴヌクレオチ
ドで形質転換された細胞は、それ自体単離状態で糖尿病
の抑制ないしは糖尿病の病態改善のための医薬や、治療
研究のためのモデル系として利用することも可能であ
る。
【0139】遺伝子治療においては、上記のセンス・オ
リゴヌクレオチド導入用ベクターは、患者の膵臓組織部
位に局所的にまたは全身的に注射投与することにより患
者の膵β細胞内に導入することができる。形質導入され
た遺伝子が標的膵β細胞の染色体内に恒久的に取り込ま
れない場合には、該投与を定期的に繰り返すことによっ
て達成できる。
【0140】本発明の遺伝子治療法は、前述するセンス
・オリゴヌクレオチド導入用の材料(センス・オリゴヌ
クレオチド導入用ベクター)を直接体内に投与するイン
ビボ(in vivo)法と、患者の体内より一旦標的とする
細胞を取り出して体外で遺伝子を導入して、その後、該
細胞を体内に戻すエクスビボ(ex vivo)法の両方の方
法を包含する。
【0141】またTSA7005のセンス・オリゴヌク
レオチドを直接細胞内に導入し、RNA鎖を切断する活
性分子であるリボザイムによる遺伝子治療も可能であ
る。
【0142】後述する、本発明TSA7005遺伝子配
列のセンス・オリゴヌクレオチド全部もしくはその一部
を含有する遺伝子導入用ベクターおよび該ベクターによ
りヒトTSA7005センス・オリゴヌクレオチド導入
された細胞を有効成分とする本発明の遺伝子治療剤は、
特に糖尿病をその利用対象とするものであるが、上記の
遺伝子治療(処置)は、糖尿病以外にも本発明遺伝子が
発現している膵臓、小腸、大腸および精巣組織における
癌や遺伝性疾患、AIDSのようなウイルス疾患の治
療、並びに遺伝子標識をも目的として行うことができ
る。
【0143】また、センス・オリゴヌクレオチドを導入
する標的細胞は、遺伝子治療(処置)の対象により適宜
選択することができる。例えば、標的細胞として、特に
膵臓β細胞、膵β細胞以外に腫瘍組織細胞、リンパ球、
線維芽細胞、肝細胞、造血幹細胞、如き細胞などを挙げ
ることができる。
【0144】上記遺伝子治療におけるセンス・オリゴヌ
クレオチド導入方法には、ウイルス的導入方法および非
ウイルス的導入方法が含まれる。
【0145】ウイルス的導入方法としては、例えば、T
SA7005のセンス・オリゴヌクレオチドが正常細胞
に発現する外来の物質であることに鑑みて、ベクターと
してレトロウイルスベクターを用いる方法を挙げること
ができる。その他のウイルスベクターとしては、アデノ
ウイルスベクター、HIV(human immunodeficiencyvi
rus)ベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AA
V,adeno-associated virus)、ヘルペスウイルスベク
ター、単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターおよび
エプスタイン−バーウイルス(EBV,Epstein-Barr v
irus)ベクターなどがあげられる。
【0146】非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、
リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソーム
と予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイ
ルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と
直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソ
ーム法〔Kato,K., et al. ,J. Biol. Chem.,266, 22071
-22074 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして
高圧放電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方
法〔Yang,N.S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.,87, 9
568-9572 (1990)〕;プラスミドDNAを直接インビボ
で臓器や腫瘍に注入するネイキッド(naked)DNA法
〔Wolff, J.A., et al., Science, 247,1465-1467 (199
0)〕;多重膜正電荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞
に導入するカチオニック・リポソーム法〔八木国夫, 医
学のあゆみ, Vol.175,No.9,635-637 (1995)〕;特定細
胞のみに遺伝子を導入し、他の細胞に入らないようにす
るために、目的とする細胞に発現するレセプターに結合
するリガンドをDNAと結合させてそれを投与するリガ
ンド−DNA複合体法〔Frindeis, et al.,TrendsBiote
chnol.,11,202 (1993); Miller,et al.,FASEB J.,9,190
(1995)〕などを使用することができる。
【0147】上記リガンド−DNA複合体法には、例え
ば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白レセプターをターゲ
ットとしてアシアロ糖蛋白をリガンドとして用いる方法
〔Wu, et al.,J. Biol. Chem.,266, 14338 (1991); Fer
kol, et al., FASEB J., 7,1081-1091 (1993)〕や、腫
瘍細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプタ
ーを標的としてトランスフェリンをリガンドとして用い
る方法〔Wagner, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., US
A., 87, 3410 (1990)〕などが含まれる。
【0148】また本発明で用いられる遺伝子導入法は、
上記の如き各種の生物学的および物理学的な遺伝子導入
法を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる
方法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAを
アデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン
抱合抗体と組合わせる方法を例示できる。該方法によれ
ば、得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合
し、かくして得られる三分子複合体を細胞に感染させる
ことにより本発明センス・オリゴヌクレオチドの導入を
行い得る。この方法では、アデノアイルスベクターにカ
ップリングしたDNAが損傷される前に、効率的な結
合、内在化およびエンドソーム分解が可能となる。ま
た、前記リポソーム/DNA複合体は、直接インビボに
て遺伝子導入を媒介できる。
【0149】以下、具体的な本発明のセンス・オリゴヌ
クレオチド導入用ウイルスベクターの作成法並びに標的
細胞または標的組織へのセンス・オリゴヌクレオチド導
入法について述べる。
【0150】レトロウイルスベクター・システムは、ウ
イルスベクターとヘルパー細胞(パッケージング細胞)
からなっている。ここでヘルパー細胞は、レトロウイル
スの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造蛋白
質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白質)な
どの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子を生成
していない細胞を言う。一方、ウイルスベクターは、パ
ッケージングシグナルやLTR(long terminal repeat
s)を有しているが、ウイルス複製に必要なgag、po
l、envなどの構造遺伝子を持っていない。パッケー
ジングシグナルはウイルス粒子のアセンブリーの際にタ
グとなる配列で、選択遺伝子(neo,hyg)とクロ
ーニングサイトに組込まれた所望の導入センス・オリゴ
ヌクレオチド(TSA7005の全配列センス・オリゴ
ヌクレオチドまたはその断片)がウイルス遺伝子の代り
に挿入される。ここで高力価のウイルス粒子を得るには
インサートを可能な限り短くし、パッケージングシグナ
ルをgag遺伝子の一部を含め広くとることと、gag
遺伝子のATGを残さぬようにすることが重要である。
【0151】所望のTSA7005のセンス・オリゴヌ
クレオチド組み込んだベクターDNAをヘルパー細胞に
移入することによって、ヘルパー細胞が作っているウイ
ルス構造蛋白質によりベクターゲノムRNAがパッケー
ジされてウイルス粒子が形成され、分泌される。組換え
ウイルスとしてのウイルス粒子は、標的細胞に感染した
後、ウイルスゲノムRNAから逆転写されたDNAが細
胞核に組み込まれ、ベクター内に挿入されたセンス遺伝
子、即ちTSA7005遺伝子が発現する。
【0152】尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法
として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリ
ン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法
〔Hanenberg,H.,et al.,Exp.Hemat.,23, 747 (1995)〕
を採用することもできる。
【0153】なお、上記レトロウイルスベクター・シス
テムにおいて用いられるベクターとしては、例えばマウ
スの白血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLa
chlin, J.R., et al., Proc. Natl. Acad. Res. Molec.
Biol., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができ
る。
【0154】アデノウイルスベクターを利用する方法に
つき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、
バークネル〔Berkner,K.L.,Curr.Topics Microbiol.Imm
unol.,158, 39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Setoguch
i,Y.,et al., Blood, 84, 2946-2953 (1994)〕、鐘カ江
裕美ら〔実験医学, 12, 28-34 (1994)〕およびケナーら
〔Ketner,G.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA.,91, 61
86-6190 (1994)〕の方法に準じて行うことができる。
【0155】例えば、非増殖性アデノウイルスベクター
を作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE
1および/またはE3遺伝子領域を除去する。次に、目
的とする所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入セ
ンス・オリゴヌクレオチド、即ち本発明TSA7005
のセンス・オリゴヌクレオチドそのセンス・オリゴヌク
レオチドを転写するためのプロモーター、転写された遺
伝子の安定性を賦与するポリAから構成)およびアデノ
ウイルスゲノムDNAの一部を含むプラスミドベクター
と、アデノウイルスゲノムを含むプラスミドとを、例え
ば293細胞に同時にトランスフェクションする。この
2者間で相同性組換えを起こさせて、遺伝子発現単位と
E1とを置換することにより、所望のTSA7005の
センス・オリゴヌクレオチドを包含する本発明ベクター
である非増殖性アデノウイルスベクターを作成すること
ができる。また、コスミドベクターにアデノウイルスゲ
ノムDNAを組み込んで、末端蛋白質を付加した3’側
アデノウイルスベクターを作成することもできる。更に
組換えアデノウイルスベクターの作成には、YACベク
ターも利用可能である。
【0156】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの
製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養
系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。こ
れには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず
宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘ
ルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存
在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の
細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲ
ノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからな
り、その両端の145塩基がITR(inverted terminal
repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在してい
る。このITRの部分が複製開始点となり、プライマー
の役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや
宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必
須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの
左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調
節蛋白質のRepをコードしている。
【0157】組換えAAVの作成は、AAVが染色体D
NAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、か
くして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この
方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の
両端のITRを残し、その間に所望の導入用アンチセン
ス・オリゴヌクレオチド(TSA7005のセンス・オ
リゴヌクレオチド)を挿入したプラスミド(AAVベク
タープラスミド)を作成する。一方、ウイルス複製やウ
イルス粒子の形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別
のヘルパープラスミドにより供給させる。この両者の間
には共通の塩基配列が存在しないようにし、遺伝子組換
えによる野生型ウイルスが出現しないようにする必要が
ある。その後、両者のプラスミドを例えば293細胞へ
のトランスフェクションにより導入し、さらにヘルパー
ウイルスとしてアデノウイルス(293細胞を用いる場
合は非増殖型のものでもよい)を感染させると、非増殖
性の所望の組換えAAVが産生される。続いて、この組
換えAAVは核内に存在するので、細胞を凍結融解して
回収し、混入するアデノウイルスを56℃加熱により失
活させる。更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠
心法により組換えAAVを分離濃縮する。上記のように
して所望の遺伝子導入用の組換えAAVを得ることがで
きる。
【0158】EBVベクターの製造は、例えば清水らの
方法に準じて行うことができる〔清水則夫、細胞工学,
14(3), 280-287 (1995)〕。
【0159】本発明の係わるセンス・オリゴヌクレオチ
ド導入用EBVベクターの製造につき概略すると、EB
ウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)は、1964年
にエプスタイン(Epstein)らによりバーキット(Burkit
t)リンパ腫由来の培養細胞より分離されたヘルペス科
に属するウイルスである〔Kieff, E. and Liebowitz,
D.: Virology, 2nd ed. Raven Press, New York, 1990,
pp.1889-1920〕。該EBVには細胞をトランスフォー
ムする活性があるので、遺伝子導入用ベクターとするた
めには、このトランスフォーム活性を欠いたウイルスを
調製しなければならない。これは次の如くして実施でき
る。
【0160】即ち、まず、所望の外来遺伝子を組み込む
標的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そ
こに外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込
み、組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当
な制限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベ
クターをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクト
する。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面
免疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生
型AkataEBVとともに回収できる。これをEBV
陰性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選
択することにより、野生型EBVが共存しない所望の組
換えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ること
ができる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞に
ウイルス活性を誘導することにより、目的とする大量の
組換えウイルスベクターを産生することができる。
【0161】組換えウイルスベクターを用いることなく
所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入す
る、非ウイルスベクターの製造は、例えば膜融合リポソ
ームによる遺伝子導入法により実施することができる。
これは膜リポソーム(脂質二重膜からなる小胞)に細胞
膜への融合活性をもたせることにより、リポソームの内
容物を直接細胞内に導入する方法である。
【0162】上記膜融合リポソームによるセンス・オリ
ゴヌクレオチドの導入は、例えば中西らの方法によって
行うことができる〔Nakanishi,M., et al., Exp.Cell R
es.,159, 399-499 (1985); Nakanishi,M., et al., Gen
e introduction into animaltissues. In Trends and F
uture Perspectives in Peptide and Protein DrugDeli
very (ed. by Lee, V.H. et al.)., Harwood Academic
Publishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.337-349〕。
【0163】以下、該膜融合リポソームによるセンス・
オリゴヌクレオチドの導入法につき概略する。即ち、紫
外線で遺伝子を不活性化したセンダイウイルスと所望の
センス・オリゴヌクレオチドや発現蛋白質などの高分子
物質を封入したリポソームを37℃で融合させる。この
膜融合リポソームは、内側にリポソーム由来の空洞を、
外側にウイルス・エンベロープと同じスパイクがある疑
似ウイルスともよばれる構造を有している。更にショ糖
密度勾配遠心法で精製後、標的とする培養細胞または組
織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で吸着させる。
次いで37℃にするとリポソームの内容物が細胞に導入
され、所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に
導入できる。ここでリポソームとして用いられる脂質と
しては、50%(モル比)コレステロールとレシチンお
よび陰電荷をもつ合成リン脂質で、直径300nmの1
枚膜リポソームを作製して使用するのが好ましい。
【0164】また、別のリポソームを用いてセンス・オ
リゴヌクレオチドを標的細胞に導入する方法としては、
カチオニック・リポソームによるセンス・オリゴヌクレ
オチド導入法を挙げることができる。該方法は、八木ら
の方法に準じて実施できる〔Yagi,K., et al., B.B.R.
C.,196, 1042-1048 (1993)〕。この方法は、プラスミド
も細胞も負に荷電していることに着目して、リポソーム
膜の内外両面に正の電荷を与え、静電気によりプラスミ
ドの取り込みを増加させ、細胞との相互作用を高めよう
とするものである。ここで用いられるリポソームは正荷
電を有する多重膜の大きなリポソーム(multilamellar
large vesicles: MLV)が有用であるが、大きな1枚
膜リポソーム(large unilamellar vesicles: LUV)
や小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar vesicl
es: SUV)を使用してプラスミドとの複合体を作製
し、所望のセンス・オリゴヌクレオチドを導入すること
も可能である。
【0165】プラスミド包埋カチオニックMLVの調製
法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-
(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate
chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholin
e)およびDOPE(dioleoylphosphatidylethanolamin
e)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホル
ム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総
量1μモルの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリ
ーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄
膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去
し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラス
ミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食
塩液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分
間ボルテックスミキサーにより攪袢して、所望のセンス
・オリゴヌクレオチドを含有するプラスミド包埋カチオ
ニックMLV懸濁液を得ることができる。
【0166】上記で得られたプラスミド包埋カチオニッ
クMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、
例えば発現目的センス・オリゴヌクレオチドを組み込ん
だ発現プラスミドを上記カチオニックMLVにDNA量
として0.6μg、リポソーム脂質量として30ナノモ
ルになるように包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理
食塩液に懸濁させて患者より抽出した標的細胞または患
者組織に対して隔日投与する方法が例示できる。
【0167】ところで、遺伝子治療とは「疾病の治療を
目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒト
の体内に投与すること」と厚生省ガイドラインに定義さ
れている。しかしながら、本発明における遺伝子治療と
は、該ガイドラインの定義に加えて、前記した標的細胞
にTSA7005のセンス・オリゴヌクレオチドの膵β
細胞増殖センスDNAとして特徴付けられるセンス・オ
リゴヌクレオチドを導入することによって糖尿病疾患の
治療のみならず、更に標識となる遺伝子または標識とな
る遺伝子を導入した細胞をヒト体内に導入することも含
むものとする。
【0168】本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子
の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的に
は2種類の方法が含まれる。
【0169】その第1法は、治療対象とする患者から標
的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロ
イキン−2(IL−2)などを添加して培養し、レトロウ
イルスベクターに含まれる目的とするTSA7005の
センス・オリゴヌクレオチド導入した後、得られる細胞
を再移植する手法(ex vivo法)である。該方法はADA
欠損症を始め、欠陥遺伝子によって発生する遺伝子病や
癌、AIDSなどの治療に好適とされている。
【0170】第2法は、目的センス・オリゴヌクレオチ
ド(TSA7005のセンス・オリゴヌクレオチド)を
直接患者の体内や腫瘍組織などの標的部位に注入する遺
伝子直接導入法(直接法)である。
【0171】上記遺伝子治療の第1法は、より詳しく
は、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から
採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取
し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地など
の適当な培地で72時間程度培養し、導入すべきアンチ
センス・オリゴヌクレオチド(TSA7005のセンス
・オリゴヌクレオチド)を含有するベクターを加える。
センス・オリゴヌクレオチドの導入効率をあげるため
に、プロタミン存在下に32℃で1時間、2500回転
にて遠心分離した後、37℃で10%炭酸ガス条件下で
24時間培養してもよい。この操作を数回繰り返した
後、更にIL−2存在下にAIM−V培地などで48時
間培養し、細胞を生理食塩水で洗浄し、生細胞数を算定
し、センス・オリゴヌクレオチド導入効率を前記in sit
u PCRや、例えば所望の対象が酵素活性であればその
活性の程度を測定することにより、目的センス・オリゴ
ヌクレオチド導入効果を確認する。
【0172】また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイ
コプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの
安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測さ
れる効果用量のセンス・オリゴヌクレオチド(TSA7
005のセンス・オリゴヌクレオチド)が導入された培
養細胞を患者に点滴静注により戻す。かかる方法を例え
ば数週間から数カ月間隔で繰り返することにより遺伝子
治療が施される。
【0173】ここでウイルスベクターの投与量は、導入
する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価
として、例えば標的細胞1×108細胞に対して1×1
3cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採
用することが好ましい。
【0174】上記第1法の別法として、目的センス・オ
リゴヌクレオチド(TSA7005のセンス・オリゴヌ
クレオチド)を含有するレトロウイルスベクターを含有
するウイルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培養し
て、目的とする細胞へセンス・オリゴヌクレオチド(T
SA7005のセンス・オリゴヌクレオチド)を導入す
る方法を採用することもできる。
【0175】遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当
たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子
導入法によって、実際に目的センス・オリゴヌクレオチ
ド(TSA7005のセンス・オリゴヌクレオチド)が
導入されるか否かを、予めベクター遺伝子cDNAのP
CR法による検索やin situPCR法によって確認する
か、或いは目的センス・オリゴヌクレオチド(TSA7
005のセンス・オリゴヌクレオチド)の導入に基づく
所望の治療効果である特異的活性の上昇や標的細胞の増
殖増加や増殖抑制などを確認することが望ましい。ま
た、ウイルスベクターを用いる場合は、増殖性レトロウ
イルスなどの検索をPCR法で行うか、逆転写酵素活性
を測定するか、或は膜蛋白(env)遺伝子をPCR法でモ
ニターするなどにより、遺伝子治療に際してセンス・オ
リゴヌクレオチド導入による安全性を確認することが重
要であることはいうまでもない。
【0176】本発明遺伝子治療法において、特に糖尿病
を対象とする場合は、患者から膵β細胞を採取後、酵素
処理などを施して培養細胞を樹立した後、例えばレトロ
ウイルスにて所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的
とする膵β細胞に導入し、G418細胞にてスクリーニ
ングした後、IL−12などの発現量を測定(in vivo)
し、次いで放射線処理を施行し、患者膵β細胞内または
傍膵β細胞にセンス・オリゴヌクレオチド導入細胞を接
種する糖尿病治療法を一例として挙げることができる。
【0177】本発明はまた、本発明のセンス・オリゴヌ
クレオチド導入用ベクターまたは目的センス・オリゴヌ
クレオチド(TSA7005のセンス・オリゴヌクレオ
チドど)が導入された細胞を活性成分とし、それを薬学
的有効量、適当な無毒性医薬担体ないしは希釈剤と共に
含有する医薬組成物または医薬製剤(遺伝子治療剤)を
提供する。
【0178】本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用で
きる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使
用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、
表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0179】本発明医薬製剤の投与単位形態としては、
前記したTSA7005ポリペプチド製剤の製剤例を同
様に挙げることができ、治療目的に応じて各種の形態か
ら適宜選択することができる。
【0180】例えば、本発明のセンス・オリゴヌクレオ
チド導入用ベクターを含む医薬製剤は、該ベクターをリ
ポソームに包埋された形態あるいは所望のセンス・オリ
ゴヌクレオチドが包含されるレトロウイルスベクターを
含むウイルスによって感染された培養細胞の形態に調製
される。
【0181】これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH
7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合
した形態などに調製することもでき、またプロタミンな
どの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるよう
な形態に調製することもできる。
【0182】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。
【0183】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。
【0184】一般には、医薬製剤としての所望センス・
オリゴヌクレオチド含有レトロウイルスベクターの投与
量は、1日当り体重1kg当り、例えばレトロウイルス
の力価として約1×103pfuから1×1015pfu
程度とするのがよい。
【0185】また所望の導入用センス・オリゴヌクレオ
チドが導入された細胞の場合は、1×104細胞/body
から1×1015細胞/body程度の範囲から選ばれるのが
適当である。
【0186】該製剤は1日に1回または数回に分けて投
与することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与す
ることもできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝
子導入効率を高める物質またはこれを含む製剤と併用投
与することができる。
【0187】本発明に従う遺伝子治療を糖尿病の治療に
適用する場合は、前記した種々の遺伝子治療を適宜組合
わせて行う(結合遺伝子治療)こともでき、前記した遺
伝子治療に、従来の糖尿病治療法、食事療法などを組合
わせて行うこともできる。さらに本発明遺伝子治療は、
その安全性を含めて、NIHのガイドラインを参考にし
て実施することができる〔Recombinant DNA Advisory C
ommittee, Human GeneTherapy, 4, 365-389 (1993)〕。
【0188】本発明によれば、膵臓、小腸、大腸、精
巣、特に膵β細胞中に発現しているTSA7005遺伝
子の存在を検出するために、これら組織における生物学
的試料を調製し、所望により核酸を抽出し、TSA70
05遺伝子が存在する否かについて分析することが可能
である。また、本発明によれば細胞または組織における
膵β細胞活性化の程度、糖尿病の病態、または糖尿病の
予後指標としての存在を検出するためには、組織細胞、
リンパ節などの生物学的な試料を調製し、TSA700
5遺伝子が存在するか否かについて分析できる。この方
法を用いることにより細胞または組織における膵β細胞
活性化の程度、糖尿病の病態、または糖尿病の予後指標
としての存在を検出することが可能となり、これらの診
断、例えば膵β細胞活性化の程度の診断、膵β細胞機能
低下の発見、糖尿病治療効果の判定、予後の予測が可能
となる。
【0189】該検出方法は、例えば、予め糖尿病を有す
る患者サンプルから得られたTSA7005遺伝子に関
する情報を基に、該DNA断片を作成し、TSA700
5遺伝子のスクリーニングおよび/またはその増幅に用
いられるように設計される。より具体的には、例えばプ
ラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイ
ゼーション、サザンブロット法、ノーザンブロット法な
どにおけるプローブとしての性質を有するもの、核酸配
列をポリメラーゼで増幅するポリメラーゼ連鎖反応(P
CR)により、増幅したTSA7005の全部または一
部のDNA断片を得ることができるためのプローブとし
ての性質を有するものを作成できる。そのためにはまず
TSA7005と同じ配列を持つプライマーを作成し、
スクリーニング用プローブとして用い、生物学的試料
(核酸試料)と反応させることにより、当該TSA70
05配列を有する遺伝子の存在を確認することができ
る。該核酸試料は、標的配列の検出を容易にする種々の
方法、例えば変性、制限消化、電気泳動またはドットブ
ロッティングで調製してもよい。
【0190】前記スクリーニング方法としては、特にP
CR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、
TSA7005断片をプライマーとして用いる方法であ
ればとくに制限されず、従来公知の方法(Science, 230,
1350-1354 (1985))や新たに開発された、或いは将来使
用されるPCR変法(榊佳之、ほか編、羊土社、実験医
学、増刊, 8(9), (1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増
刊、共立出版(株), 35(17), (1990))のいずれも利用する
ことが可能である。
【0191】プライマーとして使用されるDNA断片
は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴD
NAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合
成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus:ファルマシ
ア社製)を使用して合成することができる。合成される
プライマー(センスプライマーまたはアンチセンスプラ
イマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好ま
しく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプロ
ーブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識で
あってもよく、直接的または間接的に標識したリガンド
との特異的結合によって検出してもよい。適当な標識、
並びにプローブおよびリガンドを標識する方法は、本発
明の技術分野で知られており、ニック・トランスレーシ
ョン、ランダム・プライミングムまたはキナーゼ処理の
ような、既知の方法によって取り込ませることができる
放射性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵素、
抗体などがこれらの技術に包含される。
【0192】検出のために用いるPCR法としては、例
えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いら
れる種々の変法を適応することができる。
【0193】また、本発明の測定方法は、試料中のTS
A7005遺伝子の検出のための試薬キットを利用する
ことによって、簡便に実施することができる。
【0194】故に本発明は上記TSA7005DNA断
片を含有することを特徴とするTSA7005の検出用
試薬キットが提供される。
【0195】該試薬キットは、少なくとも配列番号:2
に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部
または全てにハイブリダイズするDNA断片を必須構成
成分として含んでいれば、他の成分として、標識剤、P
CR法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラー
ゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、プライマーなど)
が含まれていてもよい。
【0196】標識剤としては、放射性同位元素または蛍
光物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA
断片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていても
よい。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のた
めに適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反
応停止液などが含まれていてもよい。
【0197】更に本発明は、前記測定方法を用いる糖尿
病の診断方法および該方法に用いる診断剤並びに診断用
キットをも提供するものである。
【0198】また、前記方法を用いることにより、被検
試料中から得られたTSA7005遺伝子の配列を直接
的若しくは間接的に配列決定することにより、TSA7
005遺伝子の野生型と相同性の高い相同物である新た
なTSA7005遺伝子に関連する関連遺伝子を見出す
ことができる。
【0199】従って、本発明はかかる測定と被検試料中
のTSA7005遺伝子の配列決定により、被検試料中
のヒトTSA7005遺伝子に関連する関連遺伝子のス
クリーニング方法をも提供するものである。
【0200】また、本発明ヒトTSA7005遺伝子に
よりコードされる蛋白質(配列番号:1で示されるアミ
ノ酸配列のポリペプチド)または該配列番号:1におい
て1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加
されたアミノ酸配列のポリペプチド或いはこれらの断片
を利用し、またこれら各蛋白質に対する抗体を利用すれ
ば、野生型TSA7005および/または変異TSA7
005の測定が可能となる。
【0201】従って、本発明は、野生型TSA7005
および/または変異TSA7005の抗体測定法、抗原
測定法を提供するものである。該測定法によって糖尿病
状態の障害の程度あるいは糖尿病の悪性度を野生型TS
A7005ポリペプチドの変化に基づいて検出すること
も可能である。かかる変化は、この分野における前記慣
用技術によるTSA7005配列分析によっても決定で
き、更に好ましくは、抗体(ポリクローナルまたはモノ
クローナル抗体)を用いて、TSA7005ポリペプチ
ド中の相違、またはTSA7005蛋白質の有無を検出
することができる。本発明の測定法の具体的な例示とし
ては、TSA7005抗体は、血液・血清、リンパ球な
どのヒトより採取した生体材料試料含有溶液からTSA
7005ポリペプチドを免疫沈降し、かつポリアクリル
アミドゲルのウェスタン・ブロットまたはイムノブロッ
ト上でTSA7005ポリペプチドと反応することがで
きる。また、TSA7005抗体は免疫組織化学的技術
を用いてパラフィンまたは凍結組織切片中のTSA70
05ポリペプチドを検出することができる。抗体産生技
術および精製する技術は当該分野においてよく知られて
いるので、これらの技術を適宜選択することができる。
【0202】野生型TSA7005またはその突然変異
体を検出する方法に関連するより好ましい具体例には、
モノクローナル抗体および/または、ポリクローナル抗
体を用いるサンドイッチ法を含む、酵素結合イムノソル
ベントアッセイ(ELISA)、放射線免疫検定法(RI
A)、免疫放射線検定法(IRMA)および免疫酵素法(I
EMA)が含まれる。
【0203】また、本発明は、TSA7005ポリペプ
チドに対するTSA7005結合活性を有する細胞膜画
分または細胞表面上に存在するTSA7005レセプタ
ーをも提供することが可能である。該TSA7005レ
セプターの取得は、細胞膜画分を含む生体材料試料中に
おいて標識したTSA7005ポリペプチドをコンジュ
ゲートさせ、TSA7005結合反応物を抽出・単離、
精製し、単離物のアミノ酸配列を特定することによって
達成され、該TSA7005レセプター蛋白の取得並び
に配列決定は、この分野の当業者にとり自明である。
【0204】また本発明は、TSA7005レセプター
結合反応物またはその結合断片を種々の薬剤のいずれか
をスクリーニングする技術に用いることによって、化合
物(TSA7005レセプター反応物:化合物は低分子
化合物、高分子化合物、蛋白質、蛋白質部分断片、抗
原、抗体など言う)をスクリーニングすることに利用可
能である。好ましくは、TSA7005レセプターを利
用する。かかるスクリーニング試験に用いるTSA70
05レセプターポリペプチドまたはその断片は、固体支
持体に付着するかまたは細胞表面に運ばれている溶液中
の遊離物であってもよい。
【0205】薬剤スクリーニングの一例としては、例え
ば、TSA7005ポリペプチドまたはその断片を発現
する組換え蛋白質で安定して形質転換した原核生物また
は真核生物の宿主細胞を、好ましくは競合的結合アッセ
イにおいて利用することができる。また遊離のまたは固
定した形態のかかる細胞を標準結合アッセイに用いるこ
ともできる。より具体的には、TSA7005レセプタ
ーポリペプチドまたはその断片と、試験する物質との間
の複合体の形成を測定し、TSA7005レセプターポ
リペプチドまたはその断片とTSA7005ポリペプチ
ドまたはその断片との間の複合体の形成が試験する物質
によって阻害される程度を検出することによって化合物
をスクリーニングすることが可能である。
【0206】かくして、本発明は、当該分野で既知の方
法によって、かかる物質とTSA7005レセプターポ
リペプチドまたはその断片とを接触させ、次いで、該物
質とTSA7005レセプターポリペプチドまたはその
断片との間の複合体の存在、またはTSA7005レセ
プターポリペプチドまたはその断片とリガンドとの間の
複合体の存在について測定する、薬剤のスクリーニング
方法を提供することができる。さらに、TSA7005
レセプター活性を測定して、かかる物質がTSA700
5レセプターを阻害でき、かくして上記定義されたTS
A7005の活性、例えば細胞の成長を調節できるかど
うか、或いは蛋白−蛋白相互結合の調節または複合体形
成能の調節ができるかどうか判断する。かかる競合結合
アッセイにおいて、より具体的には、TSA7005レ
セプターポリペプチドまたはその断片を標識する。遊離
のTSA7005レセプターポリペプチドまたはその断
片を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離
し、遊離(複合体未形成)標識の量は、各々、試験され
る因子のTSA7005レセプターに対する結合または
TSA7005レセプター:TSA7005ポリペプチ
ド結合の阻害の尺度となる。TSA7005ポリペプチ
ドの小さなペプチド(ペプチド疑似体)をこのように分析
し、TSA7005レセプター阻害活性を有するものを
測定できる。
【0207】本発明において、薬剤スクリーニングのた
めの他の方法は、TSA7005レセプターポリペプチ
ドに対して適当な結合親和性を有する化合物についての
スクリーニング法であって、該略すると、多数の異なる
ペプチド試験化合物をプラスチックのピンまたは他の物
質の表面のごとき固体支持体上で合成し、次いでペプチ
ド試験化合物をTSA7005レセプターポリペプチド
と反応させ、洗浄する。次いで既知の方法を用いて反応
結合TSA7005レセプターポリペプチドを検出する
方法も例示できる(PCT特許公開番号:WO84−0
3564号)。精製されたTSA7005レセプター
は、直接、前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプ
レート上に被覆することができる。ポリペプチドに対す
る非−中和抗体を用いて抗体を補足し、TSA7005
レセプターポリペプチドを固相上に固定することができ
る。
【0208】さらに本発明は、競合薬剤スクリーニング
アッセイの使用をも目的とする。これによれば、TSA
7005レセプターポリペプチドまたはその断片に対す
る結合性につき、TSA7005レセプターポリペプチ
ドに特異的に結合できる中和抗体と試験化合物とを競合
させる。抗体による該競合によって、TSA7005レ
セプターポリペプチドの1またはそれ以上の抗原決定部
位を有するいずれのペプチドの存在をも検出することが
可能である。
【0209】また、薬剤スクリーニングに関し、更なる
方法としては、非機能性TSA7005遺伝子を含有す
る宿主真核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主
細胞系または細胞を薬剤化合物の存在下において一定期
間増殖させた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該
化合物が例えば、細胞の成長を調節できるかどうか、或
いは蛋白−蛋白相互結合の調節または複合体形成能の調
節できるかどうかを確認する。増殖速度を測定する1手
段として、TSA7005レセプターの生物活性を測定
することも可能である。
【0210】また本発明によれば、より活性または安定
した形態のTSA7005ポリペプチド誘導体または例
えば、イン・ビボ(in vivo)でTSA7005ポリペプ
チドの機能を高めるかもしくは妨害する薬剤を開発する
ために、それらが相互作用する目的の生物学的に活性な
ポリペプチドまたは構造アナログ、例えばTSA700
5アゴニスト、TSA7005アンタゴニスト、TSA
7005インヒビターなどを作製することが可能であ
る。前記構造アナログは例えばTSA7005と他の蛋
白質の複合体の三次元構造をX線結晶学、コンピュータ
ー・モデリングまたは、これらの組み合わせた方法によ
って決定することができる。また、構造アナログの構造
に関する情報は、相同性蛋白質の構造に基づくポリペプ
チドのモデリングによって得ることも可能である。
【0211】また上記より活性または安定した形態のT
SA7005ポリペプチド誘導体を得る方法としては、
例えばアラニン・スキャンによって分析することが可能
である。該方法はアミノ酸残基をAlaで置換し、ペプチ
ドの活性に対するその影響を測定する方法でペプチドの
各アミノ酸残基をこのように分析し、当該ペプチドの活
性や安定性に重要な領域を決定する方法である。該方法
によって、より活性な、または安定なTSA7005誘
導体を設計することができる。
【0212】また機能性アッセイによって選択した標的
−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析する
ことも可能である。原則として、このアプローチによ
り、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmac
ore)を得る。機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗
−イディオタイプ抗体を生成させることによって、化学
的または生物学的に生成したペプチドのバンクよりペプ
チドを同定したり単離したりすることが可能である。故
に選択されたペプチドもファーマコアとして作用すると
予測される。
【0213】かくして、改善されたTSA7005活性
もしくは安定性またはTSA7005活性のインヒビタ
ー、アゴニスト、アンタゴニストなどとしての作用を有
する薬剤を設計・開発することができる。また本発明に
よれば、TSA7005遺伝子含有ノックアウト・マウ
ス(変異マウス)を作成することによってTSA7005
遺伝子配列のどの部位が生体内で上記したような細胞ま
たは組織の変化に影響を与えるかどうか、即ちTSA7
005遺伝子産物、並びに改変TSA7005遺伝子産
物が生体内でどのような機能を有するかを確認すること
ができる。
【0214】該方法は、遺伝子の相同組換えを利用し
て、生物の遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、マ
ウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いた方法を例示できる
(Capeccchi, M. R., Science,244, 1288-1292 (198
9))。
【0215】尚、上記変異マウスの作製方法はこの分野
の当業者にとって既に通常の技術であり、この改変技術
(野田哲生編、実験医学,増刊, 14 (20) (1996)、羊土
社)に、本発明のヒト野生型TSA7005遺伝子およ
び変異TSA7005遺伝子を適応して容易に変異マウ
スを作製し得る。従って前記技術の適応により、改善さ
れたTSA7005活性もしくは安定性またはTSA7
005活性のインヒビター、アゴニスト、アンタゴニス
トなどとしての作用を有する薬剤を設計・開発すること
ができる。
【0216】
【発明の効果】本発明によれば、膵β細胞増殖活性また
は血糖降下作用を有する新規なTSA7005遺伝子が
提供される。本発明遺伝子は、Reg蛋白と類似性を有
し、膵臓、小腸、大腸、精巣組織に特異的に発現し、特
に膵臓においてのその発現量が高く、また正常末梢血ま
たは正常リンパ球において発現が認められないことよ
り、膵臓の膵β細胞における膵β細胞増殖活性または血
糖降下作用を有すると考えられる。 また、本発明遺伝
子の提供によれば、該遺伝子がコードするポリペプチド
を遺伝子工学的に大量に製造することができ、該ポリペ
プチドの提供によれば、TSA7005活性やTSA7
005ポリペプチド結合活性などの機能を調べることも
できる。
【0217】またTSA7005ポリペプチドは、本発
明遺伝子およびその発現産物が関与する疾患(例えば膵
臓、小腸、大腸、精巣における発現遺伝子構造に関連す
る疾患や癌や糖尿病、特に糖尿病)の病態解明や診断、
治療などに有用である。
【0218】更に本発明遺伝子は該遺伝子の発現を所望
の膵β細胞において高める遺伝子治療法に、または遺伝
子治療剤として有用である。即ち、本発明によれば、さ
らにTSA7005遺伝子のセンス・オリゴヌクレオチ
ド(ポリヌクレオチド)、これを含有する遺伝子治療のた
めの遺伝子導入用ベクター、該センス・オリゴヌクレオ
チドを導入された細胞および該ベクターまたは細胞を有
効成分とする遺伝子治療剤、並びにその利用による遺伝
子治療法が提供される。
【0219】また、本発明は、かかる遺伝子によってコ
ードされる新規なポリペプチドに対する特異抗体または
その断片およびこれらを有効成分とする診断剤も提供す
ることができる。
【0220】また本発明によれば、膵臓の膵β細胞にお
ける膵β細胞増殖活性または血糖降下作用による糖尿病
の処置に使用されるTSA7005遺伝子のポリヌクレ
オチド配列または部分配列のセンス・オリゴヌクレオチ
ドまたはこれを保有するベクターを有効成分として含有
する医薬も提供できる。
【0221】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。
【0222】
【実施例1】(1-1) 〔γ-33P〕ATPで標識した表出
方法 組織特異的な手法において発現したヒト遺伝子を確認す
るために〔γ-33P〕ATPで標識した表出方法を用い
た。該方法の手順は本質的に以下に示すリアングの方法
(Liang P., et al., Science, 257, 967-971 (1992))に
よった。
【0223】増幅されたcDNA断片のサブクローニングと
精製は、オザキらの方法をいくらか修飾して行った(Oza
ki, K., Genomics, 36, 316-319 (1996))。バックグラ
ウンドからの標的バンドの精製のために再増幅した産物
をビスベンズイミド−PEG複合体(H.A.Yellow:Hanse
Analytik GmbH,ドイツ)を含む3%アガロースゲルで分
離した。該複合体は、DNA断片のアデニン/チミン(A
/T)塩基−リッチ領域に対して結合し、適当なDNA断
片をより正確に分離することができる。核酸配列は、A
BI377自動シークエンサー(パーキン・エルマー・
アプライド・バイオ・システムズ社製)によって決定し
た。
【0224】13のヒト組織(成人脳、肺、肝臓、膵
臓、心臓、骨格筋、乳腺、前立腺、胃、脾臓、甲状腺、
腎臓および脂肪組織:クローンテック社製)の各々から
単離したポリAmRNA(0.2μg)を、ジエチルピ
ロカーボネート処理された水8μl中で、3’-アンカ
ード・オリゴdTプライマーG(T)15MA(Mは
G、AおよびCの混合液である)の25pmolと混合し、
65℃で5分間加熱した。この溶液に4μlの5×ファ
ースト・ストランド緩衝液(BRL社製)、2μlの
0.1MDTT(BRL社製)、1μlの250mMd
NTPs(BRL社製)、1μlのリボヌクレアーゼ・
インヒビター(40単位;TOYOBO社製)および1
μlのスーパースクリプトII逆転写酵素(200単位;
BRL社製)を加えた。各反応液の最終容量は20μl
とした。各溶液を37℃で1時間培養した後、30μl
の蒸留した水の付加により2.5倍までに希釈し、使用
時まで−20℃で貯蔵した。
【0225】cDNAは、〔γ-33P〕ATPで標識し
た(アマシャム社製)3’−アンカード・プライマーの
存在下でのPCRにより増幅させた。このcDNAのP
CR増幅は、以下のとおり実施された。
【0226】即ち、各20μlのPCR混合液は、2μ
lのRT反応混合液、2μlの10×PCR緩衝液(タ
カラ社製)、4μlの2.5mMdNTPs、0.25
μlのEx TaqDNAポリメラーゼ(5単位/ml:
タカラ社製)、〔γ-33P〕ATPで標識した25pmol
の3’−アンカード・オリゴ−dTプライマー(配列番
号:4)および25pmolの5’−プライマー(配列番
号:5)を含んでいた。
【0227】また、PCR反応は以下の条件で行った。
即ち、95℃で3分間、40℃で5分間および72℃で
5分間を1サイクルとして行い、それから95℃で0.
5分間、40℃で2分間および72℃で1分間を40サ
イクル行い、最後に72℃で5分間反応させた。
【0228】PCR反応サンプルをエタノールで抽出
し、フォルムアミド・シークエンシング染料中に再懸濁
して、ビスベンズイミド−PEG複合体を含む3%アガ
ロースゲル上で反応させた。ゲルは固定することなしに
乾燥させ、一晩オートラジオグラフィーを実施した。 (1-2) 増幅されたcDNA断片のサブ・クローニング 予め乾燥ゲルを載せた3MM濾紙上にラディオアクティ
ブインクで印を付けておき、これとオートラジオグラム
をあわせることにより、目的のcDNAを含むバンドが
含まれるゲルを、3MM濾紙ごと切り出した後、300
μlのdH2Oにて1時間攪袢した。ポリアクリルアミ
ド・ゲルと濾紙を取り除いた後、cDNAを担体として
1μlの10mg/mlグリコーゲンと0.3MNaO
Acの存在下に、エタノール沈澱によって再回収し、1
0μlのdH2Oに再溶解した。再増幅のために、5μ
lのこの溶液が用いられた。PCRの条件とプライマー
は最初のPCRに対してと同じとした。適当な大きさの
再増幅産物を第一のPCR産物として再回収し、それか
らそのPCR産物をpUC118ベクター(タカラ社製)
のHinc II部位にクローンニングした。核酸配列はAB
I377自動シークエンサー(パーキン・エルマー・ア
プライド・バイオ・システムズ社製)によって決定し
た。
【0229】上記方法にて、ヒト膵臓組織から単離した
mRNAを用いて異なる表出パターンを比較した結果、
膵臓、小腸、大腸、精巣に特異的に発現した一つの29
5塩基のcDNAからなるPCR産物を確認した。これ
をTSA7005DDと命名した。
【0230】FASTAプログラム(Person W. R., et
al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 2444-2448 (1
988))を使用するGenBank/EMBLデータ・ベ
ース中のDNA配列と、このヌクレオチドのデータとの
比較より、このPCR産物が他の如何なる公知のDNA
配列とも相同性を有しないことが明らかとなった。(1-
3) cDNAのスクリーニングTSA7005DDに相
同する集合したcDNA配列(TSA7005)は、計
算された分子量18.2kDaを有する158アミノ酸
の蛋白をコードする474ヌクレオチドのオープン・リ
ーディング・フレームを含む1060ヌクレオチドを含
んでいた。
【0231】一次配列からこの遺伝子の産物(TSA7
005蛋白質)は、N末端にシグナルペプチド様の配列
があり、分泌蛋白であることが明らかとなった。
【0232】また、本発明遺伝子TSA7005は、ヒ
ト、マウスおよびラットのReg蛋白質とそれぞれ32
%、32%および34%のホモロジーを有していた。膵
β細胞はインスリンを産生し血糖レベルを一定に保つ働
きをしており、膵β細胞の破壊性病変により1型糖尿病
が発症することが知られている。Reg蛋白質は再生膵
β細胞で発現が認められ、イン・ビトロ(in vitro)では
膵β細胞の増殖を促進することが知られている。さらに
Reg蛋白質とリノマイド(linomide)をNODマウスに
投与することにより糖尿病が改善することが報告されて
いる。これらのことから、TSA7005遺伝子発現産
物またはTSA7005蛋白質は、膵β細胞の増殖を促
進すると考えられ、糖尿病の新規治療剤または治療法の
開発に役立つと考えられる。 (2) 組織における発現 組織におけるTSA7005の発現プロファイルを調べ
るため、各種のヒト組織を用いたノーザンブロット分析
を行った。
【0233】ノーザン・ブロツト分析には、ヒトMTN
(Multiple-Tissue Northern)ブロットIとII(クロー
ンテック社製)を使用した。cDNA断片は、ランダム
プライマーDNAラベリングキット(random primer DN
A labeling kit, ベーリンガーマンハイム社製)を用い
て、32P−dCTPで標識した。プローブを含むメンブ
ランをプレハイブリダイズ(条件は製品のプロトコール
に従った)し、それから製品のプロトコールに従い、ハ
イブリダイゼーションを行った。
【0234】ハイブリダイゼーション後、洗浄した膜を
−80℃で24時間オートラジオグラフに露光した。そ
の結果は図1に示すとおりである。
【0235】該図において、用いたヒト組織は、心臓
(Heart)、脳(brain)、胎盤(Placenta)、肺(Lun
g)、肝臓(Liver)、骨格筋(S. muscle)、腎臓(Kid
ney)、膵臓(Pancreas)、脾臓(Spleen)、胸腺(Thy
mus)、前立腺(Prostate)、精巣(Testis)、卵巣(O
vary)、小腸(Small intestine)、結腸(Colon)およ
び末梢血白血球(Peripheral blood leukocyte; P.B.
L.)である。
【0236】該図より、TSA7005に相同する1.3
5キロ塩基のバンドからなる転写体が膵臓(Pancrea
s)、小腸(Small intestine)、結腸(Colon)および
精巣(Testis)において特異的に観察された。
【0237】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> TSA7005 gene <130> 1869JP <140> <141> <160> 5 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 158 <212> PRT <213> Unknown <400> 1 Met Ala Ser Arg Ser Met Arg Leu Leu Leu Leu Leu Ser Cys Leu Ala 1 5 10 15 Lys Thr Gly Val Leu Gly Asp Ile Ile Met Arg Pro Ser Cys Ala Pro 20 25 30 Gly Trp Phe Tyr His Lys Ser Asn Cys Tyr Gly Tyr Phe Arg Lys Leu 35 40 45 Arg Asn Trp Ser Asp Ala Glu Leu Glu Cys Gln Ser Tyr Gly Asn Gly 50 55 60 Ala His Leu Ala Ser Ile Leu Ser Leu Lys Glu Ala Ser Thr Ile Ala 65 70 75 80 Glu Tyr Ile Ser Gly Tyr Gln Arg Ser Gln Pro Ile Trp Ile Gly Leu 85 90 95 His Asp Pro Gln Lys Arg Gln Gln Trp Gln Trp Ile Asp Gly Ala Met 100 105 110 Tyr Leu Tyr Arg Ser Trp Ser Gly Lys Ser Met Gly Gly Asn Lys His 115 120 125 Cys Ala Glu Met Ser Ser Asn Asn Asn Phe Leu Thr Trp Ser Ser Asn 130 135 140 Glu Cys Asn Lys Arg Gln His Phe Leu Cys Lys Tyr Arg Pro 145 150 155 <210> 2 <211> 474 <212> DNA <213> Unknown <220> <221> CDS <400> 2 atggcttcca gaagcatgcg gctgctccta ttgctgagct gcctggccaa aacaggagtc 60 ctgggtgata tcatcatgag acccagctgt gctcctggat ggttttacca caagtccaat 120 tgctatggtt acttcaggaa gctgaggaac tggtctgatg ccgagctcga gtgtcagtct 180 tacggaaacg gagcccacct ggcatctatc ctgagtttaa aggaagccag caccatagca 240 gagtacataa gtggctatca gagaagccag ccgatatgga ttggcctgca cgacccacag 300 aagaggcagc agtggcagtg gattgatggg gccatgtatc tgtacagatc ctggtctggc 360 aagtccatgg gtgggaacaa gcactgtgct gagatgagct ccaataacaa ctttttaact 420 tggagcagca acgaatgcaa caagcgccaa cacttcctgt gcaagtaccg acca 474 <210> 3 <211> 1060 <212> DNA <213> Unknown <220> <221> CDS <222> (67)..(540) <400> 3 ttcaaagaag cgctagtaag gtctctgaga tccttgcact agctacatcc tcagggtagg 60 aggaag atg gct tcc aga agc atg cgg ctg ctc cta ttg ctg agc tgc 108 Met Ala Ser Arg Ser Met Arg Leu Leu Leu Leu Leu Ser Cys 1 5 10 ctg gcc aaa aca gga gtc ctg ggt gat atc atc atg aga ccc agc tgt 156 Leu Ala Lys Thr Gly Val Leu Gly Asp Ile Ile Met Arg Pro Ser Cys 15 20 25 30 gct cct gga tgg ttt tac cac aag tcc aat tgc tat ggt tac ttc agg 204 Ala Pro Gly Trp Phe Tyr His Lys Ser Asn Cys Tyr Gly Tyr Phe Arg 35 40 45 aag ctg agg aac tgg tct gat gcc gag ctc gag tgt cag tct tac gga 252 Lys Leu Arg Asn Trp Ser Asp Ala Glu Leu Glu Cys Gln Ser Tyr Gly 50 55 60 aac gga gcc cac ctg gca tct atc ctg agt tta aag gaa gcc agc acc 300 Asn Gly Ala His Leu Ala Ser Ile Leu Ser Leu Lys Glu Ala Ser Thr 65 70 75 ata gca gag tac ata agt ggc tat cag aga agc cag ccg ata tgg att 348 Ile Ala Glu Tyr Ile Ser Gly Tyr Gln Arg Ser Gln Pro Ile Trp Ile 80 85 90 ggc ctg cac gac cca cag aag agg cag cag tgg cag tgg att gat ggg 396 Gly Leu His Asp Pro Gln Lys Arg Gln Gln Trp Gln Trp Ile Asp Gly 95 100 105 110 gcc atg tat ctg tac aga tcc tgg tct ggc aag tcc atg ggt ggg aac 444 Ala Met Tyr Leu Tyr Arg Ser Trp Ser Gly Lys Ser Met Gly Gly Asn 115 120 125 aag cac tgt gct gag atg agc tcc aat aac aac ttt tta act tgg agc 492 Lys His Cys Ala Glu Met Ser Ser Asn Asn Asn Phe Leu Thr Trp Ser 130 135 140 agc aac gaa tgc aac aag cgc caa cac ttc ctg tgc aag tac cga cca 540 Ser Asn Glu Cys Asn Lys Arg Gln His Phe Leu Cys Lys Tyr Arg Pro 145 150 155 tagagcaaga atcaagattc tgctaactcc tgcacagccc cgtcctcttc ctttctgcta 600 gcctggctaa atctgctcat tatttcagag gggaaaccta gcaaactaag agtgataagg 660 gccctactac actggctttt ttaggcttag agacagaaac tttagcattg gcccagtagt 720 ggcttctagc tctaaatgtt tgccccgcca tccctttcca cagtatcctt cttccctcct 780 cccctgtctc tggctgtctc gagcagtcta gaagagtgca tctccagcct atgaaacagc 840 tgggtctttg gccataagaa gtaaagattt gaagacagaa ggaagaaact caggagtaag 900 cttctagmcc ccttcagctt ctacaccctt ctgccctctc tccattgcct gcaccccacc 960 ccagccactc aactcctgct tgtttttcct ttggccatrg gaaggtttac cagtagaatc 1020 cttgctaggt tgatgtgggc catacattcc tttaataaaa 1060 <210> 4 <211> 16 <212> DNA <213> Unknown <400> 4 tttttttttt ttttha 16 <210> 5 <211> 10 <212> DNA <213> Unknown <400> 5 cctgtatcga 10
【図面の簡単な説明】
【図1】組織におけるTSA7005の発現プロファイ
ルを調べるために実施例1(2)に従い行われた各種のヒ
ト組織を用いたノーザンブロット分析結果を示す図面で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 A61K 31/00 603N // A61K 31/00 603 48/00 38/00 C12P 21/02 C 48/00 C12N 5/00 A C12P 21/02 A61K 37/02 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 CA09 DA01 DA02 DA05 DA11 GA11 HA13 HA14 4B064 AG01 CA01 CA19 CC01 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA58X AA72X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA43 CA44 CA46 4C084 AA07 AA13 BA01 BA22 DB52 DC50 MA17 MA22 MA23 MA35 MA37 MA41 MA43 MA44 MA52 MA66 ZC352 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 EA20 EA50 FA74

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)または(b)のポリヌクレオ
    チドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
    チドをコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補
    鎖、(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリ
    ペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なく
    とも95%の相同性を持つポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】以下の(a)または(b)のポリペプチド
    をコードする遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
    チド、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もし
    くは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミ
    ノ酸配列からなり且つ膵β細胞増殖活性または血糖降下
    作用を有するポリペプチド。
  3. 【請求項3】以下の(a)または(b)のポリヌクレオ
    チドからなる遺伝子: (a)配列番号:2で示される塩基配列、(b)上記
    (a)の塩基配列のポリヌクレオチドとストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチドである請求項
    1に記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】配列番号:2で示される塩基配列のポリヌ
    クレオチドである請求項3に記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子を
    有する組換え体発現ベクター。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の組換え体発現ベクターを
    有する宿主細胞。
  8. 【請求項8】配列番号:2で示される塩基配列中の少な
    くとも10の連続するヌクレオチド配列を含むポリヌク
    レオチド。
  9. 【請求項9】配列番号:2で示される塩基配列中の少な
    くとも30の連続するヌクレオチド配列を含む請求項8
    に記載のポリヌクレオチド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6962779B1 (en) 1998-10-02 2005-11-08 Diadexus, Inc. Method of diagnosing, monitoring, staging, imaging and treating gastrointestinal cancers

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