明 細 書 ビアリ一ルジカルボン酸ォキソアルキレンエステルの製法 技術分野
本発明は、 医薬の合成中間体として有用なビアリールジカルボン酸ォキソアル キレンエステルおよびその合成中間体の新規な製造法、 さらに詳しくは、 ビアリ ールジカルボン酸ジハライドとォキソアルカンジオールまたはその 2量体とを反 応させて、 ビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステルを製造する方法、 合成中間体であるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸の製法お よびキラルな 1, 1 '—ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸をラセミ化する方法に 関する。
背景技術
ジャーナル ·ォブ 'アメリカン 'ケミカル ·ソサイエティー(The Journal of American Chemical Society)第 1 18卷第 491〜 492頁(1996年)には、 式:
( * *は軸性キラリティ一があることを表す)
で示されるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 2—ォキソトリ メチレンエステルおよびォキソンく化学組成: 2KHS05 · KHS04 · K2S 04、 デュポン社製 >を用いて、 室温下、 トランススチルベンの二重結合を不斉 エポキシ化することにより、 短時間に高収率で、 高光学純度のォキシラン化合物 が得られることが報告されている。
また、 ジャーナル ·ォブ 'アメリカン 'ケミカル ·ソサイエティ一、 第 1 18 卷、 1 131 1〜 1 131 2頁(1996年)には、 上記キラルなジカルボン酸ォ キソアルキレンエステルは、 式:
( * *は前記と同一意味を有する)
で示されるジォキシラン化合物となって、 不斉エポキシ化が生じることが示唆さ れており、 化学第 51卷第 7号 460頁(1 996年)には、 キラルな 1, 1,一ビ ナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステルの各種不斉酸 化反応への応用が期待されていることも記載されている。
し力 し、 ジャーナル ·ォブ ·ァメリカン ·ケミカル ·ソサイエティー(The Journal of American Chemical Society)第 1 18卷第 491〜 492頁(1 99 6年)のサプルメンタリー 'マテリアル(Supplementary Material)には、 式:
( * *は前記と同一意味を有する)
で示されるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(BNDC)と、
1 , 3—ジヒドロキシァセトン(BNDCの 1 5 Omo 1 %)とを、 無水ァセトニ トリル (沸点: 81.6°C ; 100000m l /BNDCmo 1 )中、 トリェチル ァミン(BNDCの 60 Omo 1 %)および 2—クロ口一 1—メチルピリジニゥム ョージド(BNDCの 24 Omo 1 %)の存在下、 12時間加熱還流して、 収率 2 5%でキラルな 1, 1'ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸 2—ォキソトリメチ レンエステルを得ることが記載されている。
また、 同サプルメンタリー ·マテリアルには、 式:
( * *は前記と同一意味を有する)
で示されるキラルな 3, 3'—ジクロロー 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボ ン酸と、 3—クロ口一 2—クロロメチル一 1—プロペンとをジメチルホルムアミ ド中、 炭酸セシウムの存在下に反応させ、 生成物を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化 して、 キラルな 3, 3'—ジクロロ一 1, 1 '—ビナフチルー 2, 2,ージカルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステルを得ることも記載されている。
さらに、 同サプルメンタリー ·マテリアルには、 式:
で示されるラセミ型 1, 1 '一ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸の光学分割方法 として、 ジャーナル ·ォブ ·ザ ·ケミカル · ソサイエティ一(Journal of the Chemical Society) 1 242〜 1 251頁(1 955年)およぴブレティン ·ォ ブ ·ザ ·ケミカル · ソサイエティ一 ·ォブ .ジャパン(Bulletin of the
Chemical Society of Japan)第 61卷、 1032〜 1034頁(1 988年)が引 用されている。
前者には、 4つの不斉中心を有し、 分子量の大きいアルカロイドである式:
H
MeO
で示される無水キュンと、 ラセミ型 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 とをエタノーノレ中、 等モル反応させ、 反応液にエーテルを添加し、 ジァステレオ マー塩の溶解度差により分割する方法が記載されているが、 この工程は長く煩雑 であった。
また、 後者には、 6つの不斉中心を有し、 分子量の大きいァノレ力ロイドである 式:
で示される無水ブルシンと、 ラセミ型 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン 酸とをアセトン中、 等モル反応させ、 反応液を冷却して溶解度の低い塩を取得し、 この塩をメタノールに溶解し、 更に熱アセトンを添加して冷却することにより、 ジァステレオマー塩を取得する方法が記載されている力 無水ブルシンは毒性が 強く、 工業的製造に使用することはできない。
更に、 ジャーナル .ォブ .ザ .ケミカル ·ソサイエティ一(Journal of the Chemical Society) 1 24 2〜: I 2 5 1頁(1 9 5 5年)には、 光学活性 1 , 1 ' - ビナフチル— 2, 2,一ジカルボン酸を N—メチルホルムアミド中、 1 7 5°Cに 8 時間加熱しても、 テトラリン (沸点: 206. 5〜20 7. 5°C)中で 2時間加熱還 流してもラセミ化しないことが記載されており、 光学活性 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸の対掌体をラセミ化することができないため、 原料として ラセミ体を使用する場合、 目的とする光学異性体を 50%以上の収率で得ること は困難と考えられていた。
発明の開示
本発明は、 ビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステルを効率的に製造 する方法を ίΙ^するものである。 さらに、 その合成中間体であるキラルな 1 , 1 ' —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸の工業的に有利な製法およびキラルな 1 , 1 '―ビナフチルー 2, 2,ージカルボン酸をラセミ化する方法を提供するもので
ある。
本発明者らは、 鋭意研究の結果、 ビアリールジカルボン酸の酸ノヽライドをォキ ソアルカンジオールまたはその 2量体と反応させれば、 少ない溶媒量で反応を行 うことができると共に、 1工程で収率よく、 ビアリールジカルボン酸ォキソアル キレンエステルを製造できることを見出し、 本発明を完成した。
即ち、 本発明は、 一般式:
(但し、 環 A rは置換ベンゼン環または置換もしくは非置換ナフタレン環を表し、 Xはハロゲン原子を表す)
で示されるビアリールジカルボン酸ジハライドと一般式:
(但し、 A 1 kはアルキレン基を表す)
で示されるォキソアルカンジオールまたはその 2量体とを反応させることにより
(但し、 A rおよび A l kは前記と同一意味を有する)
で示されるビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステルを製造する方法に 関する。
本発明の方法において、 環 A rは置換ベンゼン環または置換もしくは非置換ナ フタレン環を表し、 ベンゼン環またはナフタレン環の置換基としては、 例えば、
フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子の如きハロゲン原子、 メチルスル ホニル基、 p—トルエンスルホニル基の如き置換スルホニル基、 ニトロ基、 トリ フルォロメチル基、 シァノ基、 メ トキシカルボニル基、 メチルスルホキシド基、 スルホニルアミ ド基、 ァセチルァミノ基等の電子吸引性基;メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 ブチル基の如き低級アルキル基、 シクロプロピル基、 シクロへキシ ル基の如きシクロアルキル基、 ベンジル基、 フエネチル基の如きァラルキル基、 ジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基の如き置換ァミノ基等の電子供与性基をあ げることができる。 これらのうち、 非置換ナフチル基;ハロゲン原子またはニト 口基で置換されたナフチル基が好ましく、 とりわけ非置換ナフチル基が好ましい。 また、 2つの環 A rの結合手の位置は、 ビアリールジカルボン酸ジハライド
( 1 )、 ビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I )が軸性キラリ ティーを生じるものであれば特に制限されないが、 2つの環 A rの間を結ぶ結合 手に対してオルト位にハロカルボ二ル基を有しているのが好ましレ、。
A 1 kとしては、 置換されていてもよい炭素数 1〜6の直鎖または分枝鎖アル キレン基をあげることができる。 直鎖または分枝鎖アルキレン基としては、 メチ レン基、 エチレン基、 トリメチレン基、 テトラメチレン基、 メチノレメチレン基、 メチルエチレン基、 ェチルエチレン基等をあげることができ、 置換基としてはフ ッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子の如きハロゲン原子、 スルフィエル 基、 スルホニル基、 ヒドロキシ基、 ニトロ基、 二トリル基等をあげることができ る。 これらのうち、 非置換アルキレン基、 とりわけ、 メチレン基が好ましい。 本発明の方法は、 ビアリールジカルボン酸ジハライド( I )とォキソアル力ンジ オール(I I )またはその 2量体とを適当な溶媒中で反応させることにより、 実施 することができる。
溶媒としては、 反応に影響しない溶媒であれば制限なく使用することができる 力 ハロゲン化されていてもよい芳香族炭化水素系溶媒 (例えば、 トルエン、 キ シレン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン)、 ハロゲン化されていてもよい脂 肪族炭化水素系溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 1 , 2—ジクロロェタン、 クロロホ ルム、 四塩化炭素)、 エーテル系溶媒 (例えば、 1 , 4一ジォキサン、 テトラヒド 口フラン)、 二トリル系溶媒 (例えば、 ァセトニトリル)等を好適に使用すること
ができ、 所望によりアミド系溶媒 (例えば、 ジメチルホルムアミド、 ジメチルァ セトアミド、 N—メチルピロリドン)等を適宜添加してもよいが、 とりわけ、 ト ルェン、 1, 2—ジクロロエタンを使用するのが好ましい。
反応溶媒は、 ビアリールジカルボン酸ジハライド(I) 1 g当たり、 5〜50m 1の範囲で使用すれば充分である。
ォキソアルカンジオール(I I)またはその 2量体は、 ォキソアルカンジオール (I I) (単量体)換算で、 ビアリ一ルジカルボン酸ジハライド( I ) 1 m o 1当たり、 1.0〜2.0mo l、 とりわけ、 1.2〜: 1.6 m o 1の割合で使用するのが好ま しい。 ォキソアルカンジオール( I I)の 2量体は、 単量体と平衡関係にあり、 ま た、 2量体自体も次の平衡関係にあるが、 本発明の方法においては、 これらを単 独でもまたは混合物としても使用することができる。
上記化合物( I )と化合物( I I )またはその 2量体との反応は塩基の存在下に実 施するのが好ましく、 塩基としては有 m¾基 [例えば、 アルキノレアミン(トリエ チルァミン、 トリメチルァミン、 N, N—ジイソプロピル一 N—ェチルァミン、 N—メチルモルホリン等);芳香族ァミン(ピリジン、 4— (N, N—ジメチルアミ ノ)ピリジン等) ;ァリールァミン(ァニリン、 N, N—ジェチルァニリン等)] お よび無機塩基 [例えば、 炭酸アルカリ金属 (炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム等); 炭酸水素アルカリ金属 (炭酸水素ナトリゥム、 炭酸水素力リゥム等) ;水酸化アル カリ金属 (水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム等)] をいずれも好適に使用するこ
とができるが、 有 [基、 とりわけアルキルアミンを使用するのが好ましく、 特 に、 トリェチルァミンを使用するのが好適である。 塩基はビアリールジカルボン 酸(I ) 1 m o 1当たり、 2〜4 m o 1の範囲で使用するのが好ましい。
反応は加温下で実施することができ、 3 0〜1 0 0 °C、 とりわけ、 5 0〜7 0 °Cの範囲で好適に進行し、 反応は 1〜 3時間以内に完了することができる。 生成するビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル(I I I )は、 これ を含む反応生成物から、 カラムクロマトグラフィー法、 結晶化法等によって効率 的に取得することができる。
カラムクロマトグラフィー法による場合、 例えば、 反応生成物から水溶性物質 を除去後、 溶媒を留去し、 残渣をシリカゲルカラム等に導通し、 溶出時間の差を 利用してビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I )を取得する ことができる。 また、 結晶化法による場合には、 例えば、 反応生成物から水溶性 物質を除去後、 溶媒を留去し、 残渣に溶媒を添加し、 ビアリールジカルボン酸ォ キソアルキレンエステル(I I I )を析出させて取得することができる。
シリカゲルカラムに導通する際の溶媒としては、 ハロゲン化されていてもよい 脂肪族炭化水素系溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 1, 2—ジクロロェタン、 クロ口 ホルム、 四塩化炭素、 へキサン)、 エステル系溶媒 (例えば、 酢酸ェチル、 酢酸メ チル)、 エーテル系溶媒 (例えば、 ジェチルェ一テル、 テトラヒ ドロフラン)、 ハ ロゲン化されていてもよい芳香族炭化水素系溶媒 (例えば、 トルエン、 クロ口べ ンゼン)等を必要に応じて混合の上、 使用することができる。
結晶化法に使用する溶媒としては、 ケトン系溶媒 (例えば、 アセトン、 メチル ェチルケトン)、 アルコール系溶媒 (例えば、 メタノール、 エタノール)、 エステ ル系溶媒 (例えば、 酢酸メチル、 酢酸ェチル)、 アミド系溶媒 (例えば、 N,N—ジ メチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチル一 2—ピロリ ドン)、 ハロゲン化された脂肪族炭化水素系溶媒 (例えば、 クロ口ホルム、 塩化メ チレン)、 エーテル系溶媒 (例えば、 ジェチルエーテル、 ジメ トキシェタン)、 ノヽ ロゲン化されていてもよい芳香族炭化水素系溶媒 (例えば、 トルエン、 クロ口べ ンゼン)等を必要に応じて混合の上、 使用することができ、 ケトン系溶媒、 とり わけ、 アセトンを用いるのが好ましい。 結晶化は反応混合物を一- JJII温して結晶
化に使用する溶媒に残渣を溶解後、 ビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンェ ステル(I I I )のみを選択的に析出させてもよく、 また、 加温することなく、 残 渣中のビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I )以外の成分を 結晶化に使用する溶媒に選択的に溶解させてもよい。
反応生成物からビアリ一ルジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I )を 取得した後、 一般式:
(但し、 環 Arは前記と同一意味を有する)
で示される化合物などの副生成物を加水^?することにより、 一般式
(伹し、 環 A rは前記と同一意味を有する)
で示されるビアリールジカルボン酸を取得することができ、 後述の通り、 これを ハロゲン化剤で処理することにより、 原料化合物であるビアリールジカルボン酸 ジハライド(I )の大半を回収することができる。 したがって、 該原料化合物の回 収により、 本発明のビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I ) 製法の実質的収率を大幅に向上させることができる。
副生成物は、 結晶化法による場合にはビアリールジカルボン酸ォキソアルキレ ンエステル(I I I )を取得した後の母液から、 また、 クロマトグラフィー法の場 合にはビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I I )を含まない溶 出液から取得することができる。
副生成物の加水 は、 一般にエステル類ゃラクトン類の加水 に用いられ
ている常法に従って行うことができ、 例えば、 ビアリールジカルボン酸ォキソァ ルキレンエステル(I I I )を取得した後の母液から必要に応じて溶媒を留去した 後、 含水有機溶媒および塩基を加え、 加熱することによって実施することができ る。
含水有機溶媒における有機溶媒としては、 エーテル系溶媒 (例えば、 ジェチル エーテル、 1 , 4—ジォキサン、 テトラヒドロフラン、 1 , 2—ジメトキシエタ ン)、 アルコール系溶媒 (例えば、 メタノール、 エタノール)を使用することがで さる。
塩基としては、 水酸化アルカリ金属 (水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム)、 炭 酸アルカリ金属 (炭酸ナトリウム、 炭酸力リウム)、 炭酸水素アルカリ金属 (炭酸 水素ナトリウム、 炭酸水素力リウム)、 水酸化アル力リ土類金属 (水酸化バリゥ ム)等を好適に使用することができる。
本発明の方法では、 軸性キラリティ一を保持したまま進行するため、 (R)の軸 性キラリティーを有するビアリールジカルボン酸ジハライド( I )を用いれば(R) の軸性キラリティーを有するビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンエステル
( I I I )を、 (S )の軸性キラリティーを有するビアリールジカルボン酸ジハライ ド( I )を用いれば( S )の軸性キラリティ一を有するビアリールジカルボン酸ォキ ソアルキレンエステル(I I I )を、 製造することができる。
こうして得られる軸性キラリティーを有するビアリールジカルボン酸ォキソァ ルキレンエステル(I I I )は、 種々の炭素一炭素二重結合の不斉酸化反応に幅広 く使用することができ、 例えば、 ォキソン等の酸化剤の存在下、 ケィ皮酸誘導体 に適用すれば、 光学活性 1, 5—ベンゾチアゼピン誘導体の合成中間体として有 用な光学活性フエニルダリシッド酸誘導体を製造することができる(WO 9 8— 5 6 7 6 2号) Q
本発明の方法において使用するビアリールジカルボン酸ジハライド( I )は、 ジ ヤーナル ·ォブ ·ザ ·ケミカル ·ソサイティー(Journal of the Chemical Society)第 1 2 4 2頁(1 9 5 5年)および 1 5 7 9頁(1 9 4 9年)、 ブレティ ン ·ォブ ·ザ ·ケミカル ·ソサイエティ一 ·ォブ ·ジャパン(Bulletin of the Chemical Society of Japan)第 6 1卷第 1 0 3 2頁(1 9 8 8年)およびジャーナ
ル ·ォブ 'アメリカン 'ケミカル ·ソサイエティー(The Journal of American Chemical Society)第 1 18卷第 491〜 492頁(1 996年)のサプルメンタ リ一 'マテリァノレ(Supplementary Material)、 ケミ力ノレ 'アンド ' ファ一マシュ 一ティカノレ ·ブレティン(Chemical and Pharmaceutical Bulletin) 2207頁 (1989年)、 ジャーナル'ォブ 'アメリカン 'ケミカル · ソサイティ一 (The
Journal of American Chemical Society)第 1 14卷、 9309頁(1992年)、 WO 98-56762号等に記載された方法またはこれらに準じて得られるビア リールジカルボン酸( I V)をハロゲン化剤で処理することにより、 得ることがで さる。
ビアリールジカルボン酸(I V)とハロゲン化剤との反応は、 適当な溶媒中、 塩 基の存在または非存在下で、 実施することができ、 ハロゲン化剤としてはチォニ ルクロリ ド、 ォキサリルクロリ ド、 ォキシ塩化リン、 五酸化リン、 三酸化リン、 ジフエ二ルリン酸クロリ ド等の慣用のハロゲン化剤をいずれも好適に使用するこ とができる。
溶媒としては、 反応に影響しない溶媒であれば制限はないが、 ノ、ロゲン化され ていてもよい脂肪族炭化水素系溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタン)、 ノ、ロゲン化されていてもょレ、芳香族炭化水素系溶媒 (例え ば、 トノレェン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン)、 ェ一テ /レ系溶 媒 (例えば、 1, 4—ジォキサン、 テトラヒドロフラン)、 二トリル系溶媒 (例えば、 ァセトニトリル)を好適に使用することができ、 所望によりアミ ド系溶媒 (例えば、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド、 N—メチルピロリ ドン)等を適 宜添加してもよいが、 とりわけ、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロ ロェタン、 トルエンを使用するのが好ましい。
塩基としては、 例えば、 ピリジンを使用することができる。
反応は冷却乃至加温下で進行し、 室温下で好適に進行させることができる。 ビアリールジカルボン酸(I V)のハロゲン化剤による処理は、 軸性キラリティ 一を保持して進行するため、 (R)の軸性キラリティーを有するビアリールジカル ボン酸( I V)を使用すれば(R)の軸性キラリティーを有するビアリ一/レジ力/レポ ン酸ジハライド(I)を、 (S)の軸性キラリティーを有するビアリールジカルボン
酸( I V)を使用すれば( S )の軸性キラリティ一を有するビアリールジカルボン酸 ジノ、ライド(I)を、 得ることができる。
また、 ビアリ一ルジカルボン酸ジハライド( I )のうち、 一般式:
( * *は軸性キラリティがあることを表し、 Xは前記と同一意味を有する) で示されるキラルな 1 , 1 '一ビナフチルー 2, 2 '—ジカルボン酸ジハライドは、 式:
で示されるラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸またはその塩 式:
(本はキラリティーがあることを表す)
で示されるキラルな 1ーシクロへキシルェチルァミンまたはその塩を作用させ、 生成する 2種のジァステレオマ一塩の溶解度差を利用して、 一方のジァステレオ マー塩を分離 ·採取することにより、 キラルな 1, 1,一ビナフチルー 2 , 2 '—ジ カルボン酸(I V' **)を得、 ついで該化合物をハロゲン化剤で処理することに より、 得ることができる。
こうして得られたキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸ジハラ イド(Γ **)とォキソアルカンジオール(I I)またはその 2量体とを反応させ ることにより、 一般式:
(**および A l kは前記と同一意味を有する)
で示されるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸ォキソアルキレ ンエステルを製造することができる。
ラセミ型 1 , 1 'ービナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸( I V')の塩としては、 カルボン酸についての慣用の塩をいずれも使用することができ、 アル力リ金属塩 (例えば、 ナトリウム塩、 カリウム塩)、 アルカリ土類金属塩 (例えば、 マグネシ ゥム塩、 カルシウム塩)、 有機アミン塩 (例えば、 ベンジルァミン塩、 メチルアミ ン塩、 ェチルァミン塩)、 アンモニゥム塩等をあげることができるが、 一般的に はラセミ型 1 , 1 '—ビナフチルー 2, 2 '—ジカルボン酸( I V' )を遊離酸の形で 使用するのが好ましい。
キラルな 1ーシクロへキシルェチルァミン(V*)としては、 式:
で示される(R)—体および式
で示される(S)—体が存在するが、 いずれの異性体も市販されており、 これらの いずれか一方を使用することにより、 ラセミ型 1, 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジ カルボン酸( I V' )の光学分割を行うことができる。
更に詳しく説明すると、 (R)— 1—シクロへキシルェチルァミン(V— R)また
はその塩を使用すれば、 (R)— 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( I V,一R)が ϋ¾性のジァステレオマー塩を形成し、 (S )— 1—シクロへキシルェ チルァミン(V— S )またはその塩を使用すれば、 ( S )— 1, 1 '—ビナフチル一 2 , 2 '—ジカルボン酸( I V'—S )が難溶性のジァステレオマー塩を形成する。
このため、 所望のキラリティーを有するキラルな 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2,
—ジカルボン酸( I V, * * )は、 キラルな 1—シク口へキシルェチルァミン(V * )のキラリティーを適宜選択することにより、 効率的に取得することができる。 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン( V * )の塩としては、 アミン化合物 についての慣用の塩をいずれも使用することができ、 例えば、 鉱酸塩 (例えば、 塩酸塩、 硝酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩、 臭化水素酸塩)、 有機酸塩 [例えば、 有機 スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、 ρ—トルェンスルホン酸塩等)、 有機カルボ ン酸塩 (酢酸塩、 フマル酸塩、 フタル酸塩) ] 等をあげることができるが、 キラル な 1—シク口へキシルェチルァミン(V * )を遊離の形で使用するのが好ましい。 また、 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V *)またはその塩は、 光学 的に純粋なものであるのが望ましいが、 光学純度が 9 0 %以上のもの、 とりわけ 光学純度が 9 5 %以上のものであれば、 本発明の目的に好適に使用することがで さる。
本発明の光学分割方法において、 ラセミ型 1, 1,ービナフチル一 2, 2,一ジカ ルボン酸( I V,)またはその塩に、 キラルな 1ーシク口へキシルェチルァミン(V *)またはその塩を作用させるには、 両化合物を適当な溶媒中で作用させること により行うことができる。
上記溶媒としては、 ラセミ型 1 , 1 'ービナフチル一 2 , 2,ージカルボン酸(I V' )またはその塩と、 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V * )またはそ の塩の一方または双方を溶解する溶媒であればよい。
一方のみを溶解する場合には、 固一液 (懸濁液を含む)での作用となり、 双方を 溶解する場合には、 溶液中での作用となる。 作用効率の面からは双方を溶解し、 溶液中での作用を生じる溶媒を用いるのが好まし 、。
溶液中で作用させるのは、 1つの溶媒相にラセミ型 1, 1 '—ビナフチルー 2, 2 '—ジカルボン酸( I V' )またはその塩とキラルな 1ーシク口へキシルェチルァ
ミン(V * )またはその塩とを溶解し、 単一相で作用させる場合に限らず、 2つの 溶媒相にラセミ型 1, 1 'ービナフチル一 2 , 2 '—ジカルボン酸(I V' )またはそ の塩とキラルな 1—シクロへキシルェチルァミン( V * )またはその塩とをそれぞ 解し、 その界面で作用させてもよい。
また、 界面で作用させる場合、 相間での作用を促進する目的で界面活性剤 (例 えば、 アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、 相間移動触媒 (例えば、 テトラ ェチルアンモニゥムクロリ ド、 テトラプチルアンモニゥムブロミド等の第 4級ァ ンモニゥム塩、 1 8—クラウン一 6等のクラウンエーテル)を添加してもよい。 力、かる溶媒の具体例としては、 水、 アルコール系溶媒 (例えば、 メタノール、 エタノール、 プロパノール、 イソプロパノール)、 ケトン系溶媒 (例えば、 ァセト ン、 2—ブタノン、 メチルイソブチルケトン)、 エステル系溶媒 (例えば、 醉酸ェ チル)、 芳香族炭化水素系溶媒 (例えば、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン)、 ハロ ゲン化炭化水素系溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 クロ口ホルム)、 飽和脂肪族炭化 水素系溶媒 (例えば、 へキサン、 シクロへキサン)、 アミ ド系溶媒 (例えば、 ジメ チルホルムアミ ド、 ジェチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド)、 エーテル 系溶媒 (例えば、 ジェチルェ一テル、 テトラヒ ドロフラン、 1 , 4一ジォキサン)、 スルホキシド系溶媒 (例えば、 ジメチルスルホキシド)等があげられる。
これらの溶媒は、 単独で、 また必要に応じて二種類以上の溶媒を適当な比率で 混合して使用してもよく、 とりわけ、 水とアルコール系溶媒(メタノール、 エタ ノール等)を混合して用いるのが好ましい。
本発明で使用されるキラルな 1ーシク口へキシ /レエチルァミン(V *)またはそ の塩の量は、 特に限定されないが、 生成するジァステレオマー塩は、 使用するキ ラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V * )またはその塩の量により異なり、 具体的には、 キラルな 1 , 1 'ービナフチル一 2 , 2 '—ジカルボン酸( I V' * *) 1モルに対し、 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V *) 1〜 2モルの割 合の塩が生成される。
いずれの塩も、 光学分割に使用することができるが、 とりわけ、 キラルな 1, 1 'ービナフチルー 2, 2 '—ジカルボン酸(I V' * *) 1モルに対し、 キラルな 1 —シク口へキシルェチルァミン(V *) 2モルの割合で形成された塩が好ましいた
め、 ラセミ型 1, 1'ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V')またはその塩 1モルに、 キラルな 1—シク口へキシルェチルァミン(V*)またはその塩を 0. 8〜2.5モル、 とりわけ 1.0〜2.0モル作用させるのが好ましい。
また、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V')またはそ の塩 1モルに、 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V*)またはその塩 2 モル以下を作用させる場合には、 必要に応じて、 アキラルな塩基を添加してもよ レ、。
力かるアキラルな塩基としては、 慣用の塩基を使用することができ、 例えば、 無機塩基 [例えば、 水酸化アルカリ金属 (水酸化リチウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化力リゥム)、 水酸化アルカリ土類金属 (水酸ィ匕マグネシウム、 水酸化カルシ ゥム、 水酸化バリウム)] 、 有機塩基 [例えば、 有機アミン(ジメチルァミン、 メ チルァミン、 ェチルァミン等)] を使用することができるが、 有機アミンを使用 するのが好ましく、 とりわけ、 ジメチルァミンを使用するのが好適である。 本発明において、 生成するジァステレオマ一塩の分離は、 2種のジァステレオ マー塩の溶解度差を利用して行うことができる。 即ち、 溶媒から一方のジァステ レオマ一塩を析出させることにより、 他方のジァステレオマ一塩から分離する。 かかる分離は、 ラセミ型 1, —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V') またはその塩と、 キラルな 1—シクロへキシルェチルァミン(V*)またはその塩 とを作用させる際に使用した溶媒と同一の溶媒中で行ってもよく、 又一旦溶媒系 を変更した後、 行ってもよい。
溶媒系を変更する方法としては、 慣用の方法であればよく、 例えば(a)ラセミ 型 1, 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V')またはその塩にキラルな 1—シク口へキシルェチルァミン(V *)またはその塩を作用させる場合に使用し た溶媒に、 更に、 溶媒を添加する方法、 (b)—旦溶媒を完全に留去した後、 溶媒 を新たに加える方法、 (c)ジァステレオマ一塩を溶解しやすい溶媒で抽出し、 必 要に応じて、 溶媒を更に添加する方法等があげられる。
2種のジァステレオマー塩を分離させる溶媒としては、 一方のキラリティーを 有する 1, ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸のジァステレオマー塩と、 他 方のキラリティーを有する 1, —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸のジァス
テレオマー塩の溶解度の差が大きい溶媒であればよい。
とりわけ、 一方のキラリティーを有するジァステレオマ一塩の高温時と低温時 の溶解度の差が、 他方のキラリティーを有するジァステレオマー塩の高温時と低 温時の溶解度の差よりも、 格段に大きい溶媒を使用すれば、 溶液の ί¾¾変化のみ により分割を効率的に行うことができ好ましい。
このような溶媒としては、 アルコール系溶媒 (例えば、 メタノール、 エタノー ル、 プロパノール、 イソプロパノール)等のジァステレオマー塩を溶解させやす レ、溶媒と、 水等のジァステレオマ一塩を溶解しにくい溶媒との混合溶媒を使用す ることができ、 とりわけアルコール系溶媒 (例えば、 メタノール)と水とを 4 : 1 〜: I : 4で混合した溶媒を使用するのが好ましい。
溶媒の量は、 一方のキラリティ一を有するジァステレオマー塩を分離できる量 であれば特に制限はないが、 析出するジァステレオマー塩 1モルに対し 3〜2 0 リットルであるのが好ましく、 とりわけ、 4〜1 2リットルであるのが好ましい。 なお、 ラセミ型 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( I V )の塩、 キ ラルな 1ーシク口へキシルェチルァミン(V *)の塩を使用した場合には、 必要に 応じ、 溶媒に対する分配係数の相違を利用した分液等により、 副生する塩、 酸、 塩基等を除去した後、 ジァステレオマー塩の分離'採取を行ってもよい。
本発明において、 ジァステレオマー塩溶液から菊!^性のジァステレオマ一塩を 析出させる方法としては、 ジァステレオマー塩溶液の を変化させることによ り実施する方法があげられる。
具体的には、 適当な温度でジァステレオマ一塩溶液を作った後、 温度を下げる ことにより、 難溶性ジァステレオマー塩を析出させることができる。
本発明の光学分割方法における温度条件に特に制限はなく、 使用する溶媒の凝 固点から沸点の温度範囲が挙げられるが、 好ましい実施例をあげるとすれば、 ラ セミ型 1 , ービナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( I V' )またはその塩と、 キ ラルな 1—シク口へキシルェチルァミン(V *)またはその塩とを常温〜加熱下で 作用させた後、 ¾1 ^を下げ、 冷却〜加温下で難溶性ジァステレオマー塩を析出さ せるものである。
また、 雌性ジァステレオマー塩を析出させる際には、 溶液を静置してもよく、
撹拌してもよいが、 撹拌下で析出を行えば、 溶液内の各部分での温度差を最小に することができるため、 比較的速く溶液の温度を下げても、 純度の高いジァステ レオマー塩を析出させることができる点で工業上好まし!/、。
なお、 他方の溶解度の高いジァステレオマー塩についても、 溶液状態で取り出 した後、 溶媒を留去し、 または当該ジァステレオマー塩にとって溶解度の低い溶 媒を添加して析出させることにより分 ¾ rることができ、 他の塩 (例えば、 塩化 アンモニゥム)を添加してジァステレオマー塩の析出量を向上させることもでき る。
更に、 本発明では、 反応液から難溶性ジァステレオマー塩は容易に析出するの で、 接種の必要はないが、 析出をより容易にするため、 要すれば適当な温度条件 下で、 目的とするジァステレオマー塩と同種の結晶を接種してもよい。
反応液から析出した難溶性ジァステレオマー塩の結晶の採取は、 慣用の方法で 行うことができ、 例えば、 デカンテーシヨン、 ろ過、 遠心分離等の固液分離法に より、 容易に採取することができる。
得られた難溶性ジァステレオマー塩の結晶はそのままでも十分純度が高いが、 必要に応じて再結晶することによりその純度を更に高めることができる。
力べして分離'採取されたジァステレオマー塩は、 塩 により、 遊離酸とし、 または塩交換により、 ジァステレオマー以外の塩とすることができる。 即ち、 公 知の方法 (例えば、 酸処理)により遊離酸とすることができ、 また、 公知の方法 (例えば、 塩基処理)によりジァステレオマー塩以外の塩に変換することができる。 このような塩としては、 例えば、 ナトリウム塩、 カリウム塩の如きアルカリ金属 塩;アンモニゥム塩;メチルアンモニゥム塩、 ベンジルアンモニゥム塩の如き有 等があげられる。
また、 光学分割剤であるキラルな 1—シク口へキシルェチルァミン(V *)また はその塩は、 塩^^後の母液から通常の方法により回収して再利用することがで さる。
得られたキラルな 1, 1 '—ビナフチルー 2 , 2 '—ジカルボン酸( I V' * *)と ハロゲン化剤との反応おょぴキラルな 1 , 1,一ビナフチル—2 , 2 '—ジカルボン 酸ジハライド(Γ * *)とォキソアルカンジオール( I I )またはその 2量体との
反応は、 前記ビアリールジカルボン酸( I V)とハロゲン化剤との反応おょぴビア リールジカルボン酸ジハライド( I )とォキソアル力ンジオール( I I )またはその 2量体との反応と同様に行うことができる。
更に、 キラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V, **)また はその塩のジハライド(Γ **)への変換、 およびこのジハライド( **)とォ キソアルカンジオール(I I)またはその 2量体との反応とは、 同一反応系内で行 うこともでき、 キラルな 1, 1'—ビナフチルー 2, 2,一ジカルボン酸(I V, * *)またはその塩、 ォキソアルカンジオール( I I)またはその 2量体、 慣用の活 性化剤、 および塩基を溶媒中に添加して加熱するだけで反応を進行させることが できる。
こうして得られるキラルなジカルボン酸ォキソアルキレンエステル( I I Γ *
*)は、 種々の炭素一炭素二重結合の不斉エポキシ化反応に幅広く使用すること ができ、 例えば、 ォキソン等の酸化剤の存在下、 ケィ皮酸誘導体に適用すれば、 光学活性 1, 5—ベンゾチアゼピン誘導体の合成中間体として有用な光学活性フ ェニルダリシッド酸誘導体を製造することができる(WO 98— 56762号)。 更に、 上記光学分割法で得られるキラルな 1, 1'—ビナフチルー 2, 2'—ジカ ルボン酸( I V **)は、 酸無水物とした後、 加熱処理し、 生成物を加水分解す ることによりラセミ化することができるため、 上記光学分割法で得られる所望の キラリティーと逆のキラリティーを有するキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2' —ジカルボン酸(I V' **)をラセミ化後、 光学分割する操作を繰り返すことに より、 対掌体 (所望のキラリティーを有する)に全て変換することができる。
即ち、 ( キラルな1, —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V **) を、 対応する酸無水物とした後、 加熱処理し、 生成物を加水^ して、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V, )を得、
(i i)該化合物(I V')を光学分割することにより、 キラルな 1, 1'—ビナフチ ル— 2, 2'—ジカルボン酸(I V' **)の対掌体を単離、 取得し、
( i i i)この際得られるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 (I V' **)を上記工程(1)に付して、 ラセミ型 1, -ビナフチル— 2, 2'— ジカルボン酸(I V')を得、
( i v )上記工程(i 1 )ぉょぴ(1 i i )を繰り返すことにより、 キラルな 1 , 1 '— ビナフチルー 2 , 2 '—ジカルボン酸(I V' * * )の対掌体を高純度で得ることが できる。
キラルな 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( I V, * *)から対応す る酸無水物を製造するには、 適当な溶媒中、 脱酸剤の存在下に脂肪酸、 リン酸も しくはスルホン酸の反応性誘導体またはハロゲン化剤を反応させることにより行 うことができる。
この方法で用いられる脂肪酸、 リン酸もしくはスルホン酸の反応性誘導体とし ては、 酸ハライ ド (p—トルエンスルホユルクロリ ド、 ベンゼンスルホン酸クロ リ ド、 メタンスルホン酸クロリ ド、 ァセチルクロリ ド、 ジフエ-ルリン酸クロリ ド) 等が挙げられ、 ジフエ二ルリン酸クロリ ドが特に好ましい。 ハロゲン化剤と しては、 チォエルク口リ ド、 オギザリルクロリ ド、 ォキシ塩化リン、 五酸化リン、 三酸化リン等が挙げられ、 特にチォニルク口リ ド、 オギザリルク口リ ドが好まし い。
また、 脱酸剤としては、 水酸化アルカリ金属 (水酸化ナトリゥム、 水酸化力リ ゥム)、 水酸化アルカリ土類金属 (水酸化カルシウム、 水酸化マグネシウム、 水酸 化バリウム)、 有機塩基 [ァ キルァミン(トリェチルァミン、 Ν, Ν—ジイソプ 口ピル一 Ν—ェチルァミン)、 芳香族ァミン(ピリジン、 ルチジン、 4— Ν,Ν— ジメチルァミノピリジン)、 ァリ一ルァミン(ァニリン、 Ν, Ν—ジェチルァユリ ン)、 架橋アミン(1, 4ージァザビシクロ [ 2, 2, 2 ]オクタン、 1 , 8—ジァザビ シクロ [ 5, 4 , 0 ]ゥンデカー 7—ェン)] が挙げられ、 トリェチルァミンが特に 好ましい。
用いられる溶媒としては、 エーテル系溶媒(ジェチルエーテル、 ジイソプロピ ルエーテル、 t -ブチルメチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 1 , 4—ジォキ サン)、 ハロゲン化されていてもよい脂肪族炭化水素系溶媒 (へキサン、 塩化メチ レン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタン、 四塩化炭素)、 ノヽロゲン化されて いてもよい芳香族炭化水素系溶媒 (ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベン ゼン、 ジクロロベンゼン)、 エステル系溶媒 (酢酸メチル、 酢酸ェチル)、 二トリ ル系溶媒 (ァセトニトリル)、 ケトン系溶媒 (アセトン、 2—ブタノン、 メチルイ
ソブチルケトン)、 アミド系溶媒(ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド)等が挙げられ、 塩化メチレンが特に好ましい。
酸無水物を製造するための別法は、 キラルな 1 , 1 '—ビナフチルー 2 , 2 '—ジ カルボン酸(I V' * *)に、 適当な溶媒中、 脱水剤を作用させる方法である。
この方法で用いられる脱水剤としては、 N, N' -ジシク口へキシルカルボジィ ミド(以下、 D C C)、 D C Cと 1—ヒドロキシベンゾトリァゾール、 ァゾジカル ボン酸ジエステル (ァゾジカルボン酸ジェチル)、 酸無水物(無水酢酸、 無水プロ ピオン酸)等が挙げられ、 無水酢酸が好ましい。
また溶媒としては、 酸無水物 (無水酢酸、 無水プロピオン酸)、 エーテル系溶媒 (ジェチルェ一テル、 ジイソプロピルエーテル、 t—ブチルメチルエーテル、 テ トラヒドロフラン、 1 , 4—ジォキサン)、 ハロゲン化されていてもよい脂肪族炭 化水素系溶媒 (へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタン、 四塩化炭素)、 ハロゲン化されていてもよい芳香族炭化水素系溶媒 (ベンゼン、 ト ルェン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン)、 エステル系溶媒(酢酸 メチル、 酢酸ェチル)、 二トリル系溶媒 (ァセトニトリル)、 ケトン系溶媒 (ァセト ン、 2—ブタノン、 メチルイソプチルケトン)、 アミ ド系溶媒(ジメチルホルムァ ミド、 ジメチルァセトアミ ド)等が挙げられるが、 無水酢酸が特に好ましい。
上記いずれの方法によっても製造される酸無水物としては、 例えば、 式:
( * *は軸性キラリティーがあることを表す)
( * *は軸性キラリティーがあることを表す)
で示されるように分子間で酸無水物を構成する場合があり、 いずれの酸無水物も、 また、 これらの混合物も以下の工程において同様に用いられる。
こうして得られる酸無水物の加熱処理は、 適当な溶媒中又は無溶媒で、 加熱す ることにより行うことができ、 この加熱処理により、 酸無水物のラセミ化が進行 する。
溶媒としては、 沸点が 1 3 0 °C以上の溶媒が好ましく、 例えば、 芳香族有機溶 媒(メシチレン、 ナフタレン、 テトラリン、 キシレン等)、 スルホキシド系溶媒
(ジメチルスルホキシド等)、 アミド系溶媒(ジメチルホルムアミド、 ジメチルァ セトアミド等)、 酸無水物系溶媒 (無水酢酸、 無水プロピオン酸等)、 カーボネー ト系溶媒 (エチレンカーボネート等)、 シリコンオイル等を好適に使用することが でき、 沸点が 1 3 0 °C以下の溶媒を用いる場合には、 加圧下で加熱処理を行うの が好ましい。
加熱処理は酸無水物が分解しない温度で行うことができ、 通常、 1 0 0〜 3 0 0 °Cで行うのが好ましく、 とりわけ、 1 5 0〜 2 5 0 °Cに加熱するのが好ましい。 加熱処理は処理 が高い程短時間に行うことができるが、 ラセミ化が進行する に従って、 ラセミ化速度が低下するため、 所望のラセミ化の程度に合わせて、 加 熱処理温度及び処理時間を調整すればよい。 加熱処理は通常、 3〜 2 5 0時間、 とりわけ、 5〜 5 0時間行うのが好ましい。
加熱処理工程で得られる生成物の加水分解は、 通常の酸無水物の加水^?に従 つて行うことができ、 生成物を水又は含水有機溶媒中、 酸又は塩基の存在下又は 非存在下で行うことができる。
含水有機溶媒に使用する有機溶媒としては、 エーテル系溶媒(ジェチルエーテ ル、 テトラヒドロフラン、 1 , 4—ジォキサン、 ジグリム、 1 , 2—ジメトキシェ タン等)、 ハロゲン化されていてもよい脂肪族炭化水素系溶媒 (塩化メチレン、 四 塩化炭素、 へキサン等)、 アルコール系溶媒(メタノール、 エタノール、 n—プロ パノール、 i一プロパノール等)、 ケトン系溶媒(アセトン、 2—ブタノン等)、 アミド系溶媒(ジメチルホルムァミド、 ジメチルァセトアミド等)等を使用するこ とができる。
加水分解に使用する酸としては、 無機酸 (塩酸、 臭化水素酸、 硝酸、 硫酸、 リ ン酸等)および有機酸 (酢酸、 トリフルォロ酢酸、 プロピオン酸、 メタンスルホン 酸、 エタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 p—トルエンスノレホン酸等)をい ずれも使用することができ、 とりわけ、 塩酸、 硫酸を使用するのが好ましい。 一方、 塩基としては、 無 基 [水酸化アルカリ金属 (水酸化ナトリウム、 水 酸化カリウム等)、 炭酸アルカリ金属 (炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、 水酸 化アルカリ土類金属 (水酸化カルシウム、 水酸化マグネシウム、 水酸化バリウム 等)、 炭酸アルカリ土類金属 (炭酸カルシウム、 炭酸マグネシウム、 炭酸バリウム
等)をいずれも使用することができ、 とりわけ、 水酸化アルカリ金属を使用する のが好ましい。
加水分解に使用する酸または塩基は、 酸無水物を形成するのに使用した光学活 性ビアリールジカルボン酸 1モル当たり、 2〜10モル、 とりわけ、 2〜3モル 使用するのが好ましく、 加水分解は使用する酸又は塩基の種類にもよるが、 通常、 0〜: 150°C、 とりわけ、 30〜: 100°Cで行うのが好ましい。
例えば、 S型 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2,—ジカルボン酸( I V'— S)から、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチル— 2, 2'—ジカルボン酸(I V')を得、 該ラセミ型 化合物を光学分割することにより、 R型 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボ ン酸( I V'— R)を製造することができ、 また、 R型 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( I V'— R)から、 ラセミ型 1 , 1 'ービナフチル— 2, 2'—ジカ ルボン酸(I V')を得、 該ラセミ型化合物を光学分割することにより、 S型 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V'— S)を製造することができる。 こ のため、 ラセミ化方法をくりかえすことにより、 所望のキラリティーを有する 1, 1,ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V, **)の対掌体を所望のキラリテ ィーを有する 1, 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(I V' **)に全て変 換することができる。
こうして得られるキラルな 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V' **)を、 前述と同様にハロゲン化剤で処理することにより、 キラルな 1, 1'一 ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸ジハライド(Γ **)を製造することができ、 前述の反応に使用することができる。
なお、 本発明の明細書において、 (R)および(S)の軸性キラリティ一を有する とは、 それぞれ、 次式の部分構造を有する場合を主として有することを意味し、 ( R)または( S )—方の軸性キラリティーを有する異性体が 50 %を越えて存在し ていることを表し、 必ずしも(R)または(S)の一方の軸性キラリティーを有する 異性体が 100%である場合に限定されない。
(R) (S)
(R)
(太線はその部分が手前に出ている立体配置であることを示す)
また、 ラセミ型 1, 1'ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V')は、 式
で示される(S)—体とを含むものであればよく、 (R)—体と(S )—体とを等!^ むものだけでなく、 (R)—体または(S)—体よりもキラリティーが低いものであ ればいかなる比率で(R)—体と(S)—体とを含むものであってもよいが、 化学合
成により入手し易い(R)—体と(S)—体とを等! ^むものを用いるのが好ましい。 発明を実施するための最良の形態
以下実施例により具体的に説明するが、 本発明はこれによって限定されるもの ではない。
実施例
実施例 1
(1)ラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(685mg、 2 mm o 1 )および(R)— 1—シクロへキシルェチルァミン(509mg、 4mmo 1 ) をメタノール(5m 1 )に加熱溶解し、 反応液に水(5m 1 )を加え、 撹拌下放冷す る。 25°C迄冷却後、 更に 1時間同温で撹拌して、 結晶を析出させる。 析出晶を ろ取し、 少量の 50 %メタノ一ルで洗浄後、 60 °Cで送風乾燥することにより、 (R)— 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸 ·ジ(R)— 1—シク口へキシ ルェチルァミン(449 mg、 37.6%)を得る。
m. p. : 169-172 °C
[a] D 25 : +1 30. 1° (c = 1.0、 メタノール)
ジァステレオマー過剰率(HP LC) : 99. 1 % d e
I R(c m-1) : 2925, 1580, 1550, 1390
^-NMR S (DMSO— d6、 p p m) : 0.8 - 1.3 (m, 12 H) , 0. 9 9 (d, 6H), 1.5— 1.8 (m, 1 OH), 2. 75 (m, 2H), 6. 71 (d, 2H), 7. 23 (t, 2H), 7.46 (t, 2H), 7.65 (d, 2H), 8.02(t, 4H)。
なお、 ジァステレオマー過剰率(%(1 e)は、 次の条件での高速液体クロマトグ ラフィー (H P L C)により測定した (以下、 光学純度にっレヽても同様)。
カラム: DA I CEL CHI RALCEL OD 4.6 x 25 Omm
移動相: n—へキサン/エタノール Zトリフルォロ酢酸 =9 OZl ΟΖΟ.1 流速: 1.0ml Z分
検出波長: UV— 254 nm
温度: 35 。
(2) (R)-1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸'ジ(R)— 1—シクロへ キシルェチルァミン(298mg, 0.5 mm o 1 )を酢酸ェチル( 5 m 1 )に懸濁し、
0.5 N塩酸(5 m 1 )を加えて酢酸ェチル層を分取する。 得られる酢酸ェチル層 を水洗後、 濃縮し、 さらに濃縮残さを 80°Cで乾燥することにより、 (R)— 1, 1 ' -ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン酸( 1 71 m g、 定量的)を得る。
[a] D 25 : +39.5° (c = 1.0、 メタノール)
光学純度(HP LC) : 99. 1 %e e
I R(c m_1) : 3065, 1695, 1250
:H-NMR 6 (DMSO-d 6> p p m) : 6.88 ( d, 2 H), 7.28 ( t, 2 H), 7.55 (t, 2H), 8.05 (d, 2H), 8.09(s, 4H)。
実施例 2〜 3
実施例 1 (1)、 (2)の方法に準じ、 表 1に示す条件で、 ラセミ型 Ι, —ピナ フチルー 2, 2'—ジカルボン酸を、 キラルな 1—シクロへキシルェチルアミンを 用いて光学分割する。
得られたそれぞれのジァステレオマ一塩の、 上記 H P L C条件で分析した結果 も表 1に示す。
a) 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2' -ジカルボン酸 1モルに対し、 2モル使用 b) 1, 1'ービナフチル一 2, 2' -ジカルボン酸 1 g当たりの溶媒量
c) ラセミ体に対する収率
d) HP LCによる分析結果
実施例 4
ラセミ型 1, 1,一ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸(10.3 g, 3 Ommo 1 )、 50%ジメチルァミン水溶液(2.44 g, 27mmo 1 )および(R)— 1 - シクロへキシルェチルァミン(4.58 g, 36mmo 1 )をメタノール(22m l ) に加熱溶解し、 反応液に水(5 Oml)を加え、 撹拌下放冷する。 25°C迄冷却後、 更に 1時間同温で撹拌して、 結晶を析出させる。 析出晶をろ取し、 40%メタノ ール(2 Om 1 )で洗浄後、 60°Cで送風乾燥することにより、 (R)— 1, 1,一ビ ナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 ·ジ(R) - 1—シク口へキシルェチルァミン (6.85 g, 38.3%)を得る。
m. p. : 169-1 72 °C
[c ] D 25 : + 1 34. 6° (c = 1. 0、 メタノール)
ジァステレオマ一過剰率(H P L C) : 99.3 % d e。
なお、 (R)— 1, 1 'ービナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 ·ジ(1 — 1—シク 口へキシルェチルァミンを実施例 1—(2)と同様に処理することにより、 (R)— 1, ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸を得ることができる。
実施例 5
(R)— 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸(60 g, 0. 175mo 1 ;光学純度: 98. 8 % e e)を塩化メチレン(1リットル)に溶解する。 この溶 液に室温下、 ジメチルホルムアミド(0.2m 1 )およびォキサリルクロリ ド(38. 2m 1 , 0.438mo 1 )を滴下し、 混合物を同温にて 4時間攪拌する。 反応液 力 ら溶媒を留去することにより、 定量的に(R)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'— ジカルボン酸ジクロリ ドを結晶として得る。
この結晶を 1, 2—ジクロロエタン(60 Om 1 )に溶解し、 この溶液およびト リエチルァミン(73m 1 , 0.525mo 1 )C 1, 2—ジクロロェタン(600m 1)溶液を、 55°Cにて、 それぞれ、 1, 3—ジヒドロキシアセトン 2量体(3.7 8 g, 0.021 mo 1 )の 1, 2—ジクロロェタン(1.8リツトル)懸濁液に、 1. 5時間かけて滴下する。 この間に、 1, 3—ジヒドロキシァセトン 2量体(3.7 8 g, 0.021 mo 1 )を 18分毎に 4回添加する。 滴下終了後、 55 にて 3 0分間攪拌した後、 反応液に室温にて飽和食塩水を添加し、 有機層を分取する。
水層をクロ口ホルムで再抽出し、 先の有機層と併せて無水硫酸マグネシウムで乾 燥後、 溶媒を減圧留去する。 残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフ ィ— [溶媒:クロ口ホルム(30)— n—へキサン(3 0)—醉酸ェチル(1)] で精 製し、 得られる結晶をエタノールで洗浄後、.減圧乾燥することにより、 (R)— 1 , 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステル(4 8.
1 5 g)を無色結晶として得る。 収率: 6 9. 4%
M. p . 3 0 0°C ( )
[a] D 27+ 1 0. 9° (C= 1. 0 2,クロ口ホルム)
実施例 6
(1) (R)- 1 , 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(60 g, 0. 1 7 5mo
1 ;光学純度: 9 8. 8 % e e)を塩化メチレン(1リットル)に溶解する。 この溶 液に 2 5 °Cで、 ジメチルホルムァミ ド( 1 20 m g )およびォキサリルクロリ ド (3 8. 2m 1, 0. 43 8mo 1 )を滴下し、 混合物を同温にて 4時間攪拌する。 反応液から溶媒を減圧留去することにより、 定量的に(R)— 1 , 1,ービナフチル — 2, 2'—ジカルボン酸ジク口リドを結晶として得る。
この結晶を 1, 2—ジクロロェタン(60 Om 1 )に溶解し、 この溶液およびト リエチルァミン(73 m 1 , 0. 5 2 5mo \ )( 1 , 2—ジクロロェタン(60 Om 1 )溶液を、 5 5°Cにて、 それぞれ、 1, 3—ジヒドロキシアセトン 2量体(3. 7 8 g, 0. 02 1 mo 1 )の 1 , 2—ジクロロエタン(1. 8リツ トノレ)懸濁液に、 1. 5時間かけて滴下する。 この間に、 1 , 3—ジヒドロキシァセトン 2量体(3. 7
8 g, 0. 0 2 1 mo 1 )を 1 8分毎に 4回添加する。 滴下終了後、 5 5 °Cにて 3 0分間攪拌した後、 反応液に室温にて飽和食塩水を添加し、 有機層を分取する。 水層をクロ口ホルムで 出し、 先の有機層と併せて水洗し、 無水硫酸マグネシ ゥムで乾燥後、 溶媒を減圧留去する。 得られる粗生成物にアセトン(1 80m l ) を加えて室温で 20分間攪拌晶析する。 析出結晶をろ取後、 アセトン(5 Om 1 ) で洗浄、 ffi乾燥することにより、 (R)— 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2,一ジカル ボン酸 2—ォキソトリメチレンエステル(40. 9 g)を無色結晶として得る。 収 率: 5 9. 0%
物性値は実施例 5と同じであつた。
(2)(R)— 1, —ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレン エステルを濾取した濾液を減圧濃縮し、 残渣を 1, 4—ジォキサン(20 Om 1 ) に溶解し、 水酸化カリウム(24 g、 0.364mo 1 )を水(36m 1 )に溶解し た液を加えて 2時間加熱還流する。 溶媒を減圧留去し、 残渣に水( 200 m 1 )を カロえて齚酸ェチルで洗浄する。 水層に濃塩酸( 29m l )を加えて とし、 酢酸 ェチルで抽出する。 有機層を合わせて水洗し、 無水硫酸マグネシウムと活性炭を 加えて濾過後、 溶媒を減圧留去する。 析出結晶にへキサンを加えて濾取後、 9 0 °Cで 1終夜送風乾燥することにより、 (R)— 1 , 1 '—ビナフチノレー 2, 2 '—ジ カルボン酸(20.4 g)を淡褐色結晶として得る。 回収率: 34.0%
また、 回収を考慮した場合の(R)— l, 1,一ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン 酸 2—ォキソトリメチレンエステルの収率は 89.4%であった。
実施例 7
(R)— 1 , 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(50 Omg, 1.42mm o 1 ;光学獻: 97.4% e e)をクロ口ホルム(10ml )に溶解する。 この溶 液に室温下、 ピリジン(0.02m 1 )およびチォニルクロリド(0.4 lm 1 , 5.
68mmo 1)を滴下し、 混合物を同温にて 2時間攪拌する。 反応液から溶媒を 留去することにより、 定量的に(R)— 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2 '—ジカルボン 酸ジクロリドを結晶として得る。
この結晶をトルエン(1 Om 1 )に溶解し、 この溶液及ぴトリエチルァミン(0. 59m 1 , 4.26mmo 1 )のトルエン(5m 1 )溶液を、 60°Cにて、 それぞれ、
1 , 3—ジヒドロキシァセトン 2量体(30. 7mg, 0. 17mmo 1 )のトルエン (15m l)懸濁液に、 1.5時間かけて滴下する。 この間に、 1, 3—ジヒドロキ シァセトン 2量体(30. 7mg, 0. 1 7mmo 1 )€r 18分毎に 4回添加する。 滴下終了後、 60°Cにて 30分間攪拌した後、 反応液に室温にて飽和食塩水を添 加し、 有機層を分取する。 水層をクロ口ホルムで 出し、 先の有機層と併せて 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去する。 残渣をシリカゲルフラッ シュカラムクロマトグラフィー [溶媒:クロ口ホルム(30)— n—へキサン(3 0)—酢酸ェチル(1)] で精製し、 得られる結晶をエタノールで洗浄後、 減圧乾 燥することにより、 (R)— 1, 1,一ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸 2—ォキ
ソトリメチレンエステル(344 mg)を無色結晶として得る。 収率: 61.0% 物性値は実施例 5と同じであった。
実施例 8
(1) (R)— 1 , 1 '—ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸(5.0 g, 14.6mmo 1 ;光学純度: 99. 7<½e e)をクロ口ホルム(100m l)に溶解する。 この溶 液に室温下、 ピリジン(0. 2ml )およびチォニリルクロリド(4. 26m 1 , 58. 4mmo 1 )を滴下し、 混合物を同温にて 2時間攪拌する。 反応液から溶媒を減 圧留去することにより、 定量的に(R)— 1 , 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボ ン酸ジク口リドを結晶として得る。
この結晶をトルエン(10 Om 1 )に溶解し、 この溶液及びトリェチルァミン
(6. 1 m 1 , 43.8mmo 1 )のトルエン(5 Om 1 )溶液を、 60°Cにて、 それ ぞれ、 1, 3—ジヒ ドロキシァセトン 2量体(306mg, 1. 7mmo 1 )のトル ェン(1 5 Om 1 )懸濁液に、 1. 5時間かけて滴下する。 この間に、 1, 3—ジヒ ドロキシァセトン 2量体(306 mg, 1.7mmo 1 )を 18分毎に 4回添加する。 滴下終了後、 60°Cにて 30分間攪拌した後、 反応液に室温にて飽和食塩水を添 加し、 有機層を分取する。 水層をクロ口ホルムで S%出し、 先の有機層と併せて 水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去する。 得られる粗生成 物にァセトン(15m 1 )を加えて室温で 20分間攪拌晶析する。 析出結晶を濾取 後、 アセトン(5 m l X 2)で洗浄、 減圧乾燥することにより、 (R)— 1, 1,一 ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステル(3.47 g)を無色結晶として得る。 収率: 60.0%
物性値は実施例 5と同じであった。
(2) (R)- 1 , 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレン エステルを濾取した濾液を減圧濃縮し、 残渣をメタノール(6 Om 1 )に溶解し、 水酸化カリウム(6.0 g、 90. 9mmo 1 )を水(3 Om 1 )に溶解した液を加え て 2時間加熱還流する。 溶媒を減圧留去し、 残渣に水(50m l)を加えて酢酸ェ チルで洗浄する。 水層に濃塩酸(8 ml)を加えて酸性とし、 酢酸ェチルで抽出す る。 有機層を合わせて水洗し、 無水硫酸マグネシウムと活性炭を加えて濾過後、 溶媒を減圧留去する。 析出結晶にへキサンを加えて濾取後、 90°Cで 1終夜送風
乾燥することにより、 (R)— 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( 1.6 2 g)を淡褐色結晶として得る。 回収率: 32.4%
また、 回収を考慮した場合の(R)— 1, 1 '—ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン 酸 2—ォキソトリメチレンエステルの収率は 88.8%であった。
実施例 9
酸無水物二量体
(1) (R)— 1 , 1 'ービナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸(645mg、 2. 76m mo l、 99.8%e e)を塩化メチレン(14m 1 )に懸濁し、 氷冷下、 トリェチ ルァミン(0.85m l , 6.07mmo 1 )を加え、 ついでチォニルクロリド(3 94mg、 3.3 lmmo 1)を塩化メチレン(3.3 m 1 )に希釈した液を 1時間 かけて滴下したのち、 室温にて 2時間攪拌する。 反応液をクロ口ホルムで希釈し、 10%クェン酸、 飽和重曹水及び飽和食 ¾ kで順次洗浄し、 無水硫酸マグネシゥ ムで乾燥する。 乾燥後、 濃縮し、 残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液;クロ口ホルム)で 4回精製することにより、 無色結晶の酸無水物二量体 ( 261 m g、 収率: 29 %)および二量体以外の酸無水物( 1 18 m g、 収率: 13%)を得る。
[無水物二量体の物性値]
m. p. : 227-243 °C
[a] D 22 : +771° (c = 0. 104、 クロ口ホルム)
I R(KB r、 cm-1) : 3050, 1775, 1730, 1712, 1614, 1 594
JH-NMR S (CDC 13、 20 OMH z): 6. 96 (d, J = 7.9Hz, 4 H), 7.23-7.31 (m, 4H), 7.50-7.61 (m, 8H), 7.88(d, J = 8.6Hz, 4H), 7. 95 (d, J =8. lHz,4H)。
13C-NMR S (CDC 13、 200MHz) : 126. 1, 127.3, 127. 6, 128. 1, 1 28.7, 132.7, 135.4, 139.3, 163.3
[二量体以外の物性値]
m. p. : 260-265 °C
[a] D 22 : +225° (c = 0. 102、 クロ口ホルム)
I R(KB r、 cm-1) : 3050, 1 789, 1 718, 161 2, 1594 H— NMR δ (CDC 13> 20 OMH z) : 6. 96(d, J = 8.4Hz, 2
H), 7.23 (d, J = 7.7Hz, 2H)) 7.26 (d t, J = l. l, 6.8Hz, 2 H), 7.57 (d t , J = 1. l, 6.8Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8. 7Hz, 2 H), 7.90 (d, J = 8. l Hz, 2H)。
(2— 1)(R, R)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸無水物二量体(5 Omg, 0.077mmo 1 )をメシチレン( 10 m 1 )中にて 3日間加熱還流する。 メシチレンを留去し、 テトラヒドロフラン(0.8m 1 )、 1 N水酸化ナトリゥム (0.8ml)を加え、 8時間加熱還流する。 テトラヒドロフランを留去し、 水層 をクロ口ホルムで洗浄後、 水層を 10 %塩酸で とし、 クロ口ホルムで 3回抽 出する。 クロ口ホルム層を水、 飽和食塩水で洗浄後、 無水硫酸マグネシウムで乾 燥する。 乾燥後、 濃縮し、 無色結晶の 1, 1,ービナフチル一 2, 2,一ジカルボン 酸(46. Omg, 収率: 87%)を得る。
得られた化合物をキラル HP LCを用いて分析したところ、 一部ラセミ化が進 行しており、 (R)_l, —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸のェナンチォ過 剰率は 31.6 % e eであつた。
なお、 HPLCは、 次の条件により測定した。
カラム:キラノレセノレ ODカラム
移動相: n—へキサン エタノール Zトリフルォロ酢酸 = 90/10/0.0 流速: 1.0ml 分
検出波長: 220 n m
温度: 40°C
(2— 2)(R, R)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸無水物二量体(1 Omg, 0.01 54mmo 1)をテトラリン(10m l )中にて 6日間加熱還流す る。 テトラリンを留去し、 テトラヒドロフラン(0.8ml)、 I N水酸化ナトリ ゥム(0.8m 1 )を加え、 8時間加熱還流する。 テトラヒドロフランを留去し、 水層をクロ口ホルムで洗浄後、 水層を 10%塩酸で酸性とし、 クロ口ホルムで 3 回抽出する。 クロ口ホルム層を水、 飽和食塩水で洗浄後、 無水硫酸マグネシウム で乾燥する。 乾燥後、 濃縮し、 無色結晶の 1, 1 '一ビナフチル一 2, 2 '—ジカル ボン酸( 5.9 m g、 収率: 56.0%)を得る。
得られた化合物を( 2 - 1 )と同様の条件にてキラル HP L Cを用いて分析した ところ、 ラセミ化が進行しており、 (R)— 1, 1'ービナフチル一 2, 2'—ジカル ボン酸のェナンチォ過剰率は 16.6。/。e eであった。
(3)(R,R)—1, -ビナフチル— 2, 2'—ジカルボン酸無水物二量体以外の 酸無水物(1 Omg, 0.0308mmo 1 )をメシチレン(4m 1 )中にて 3日間加 熱還流する。 メシチレンを留去し、 テトラヒドロフラン(0.3m 1 )および 1 N 水酸化ナトリウム( 0.3 m 1 )を加え、 3時間加熱還流する。 反応液をエーテル で洗浄後、 水層を 10%塩酸で酸性とし、 酢酸ェチルで 3回抽出する。 酢酸ェチ ル層を水、 飽和食塩水で洗浄後、 無水硫酸マグネシウムで乾燥する。 乾燥後、 濃 縮し、 薄褐色結晶の 1, 1'—ビナフチル一 2 , 2 '—ジカルボン酸( 10. 9 m g、 定量的)を得る。
得られた化合物を( 2— 1 )と同様の条件にてキラル H PLCを用いて分析した ところ、 一部ラセミ化が進行しており、 (R)— 1, 1'—ビナフチルー 2, 2'—ジ カルボン酸のェナンチォ過剰率は 52.2 % e eであった。
実施例 1 o
(R)— 1 , 1,一ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(1 g、 2. 92mmo 1、 99. 1 % e e)を塩化メチレン(20 m 1 )に懸濁し、 トリエチルァミン(0.90 m 1、 6.42mmo 1 )を加え、 ついで 5 °Cでオギザリルクロリ ド(0. 2.8m 1、 3.2 lmmo 1 )を加えた後、 5。Cで 1時間、 25 °Cで 1時間攪拌する。 反応液 を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 濃縮する。 濃縮残渣にメシチレン (2 Om l )を加え、 48時間加熱還流する。 反応液を減圧濃縮後、 濃縮残渣にテ トラヒドロフラン(2m l)、 水(lml)、 水酸化ナトリウム(350mg、 8.7 6mmo 1 )を加え、 室温で 1 7時間攪拌する。 反応液に塩酸を加えて p H 1.0 とした後、 生成物を酢酸ェチルで抽出する。 得られた齚酸ェチル溶液を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 減圧濃縮する。 濃縮残渣にジイソプロピルエーテル を加え、 結晶化することにより、 1 , —ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸 ( 740 m g、 収率: 74 %)を得る。
得られた化合物を実施例 9— ( 2— 1 )と同様の条件にてキラル H P L Cを用い て分析したところ、 一部ラセミ化が進行しており、 (R)— 1, 1'ービナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸のェナンチォ過剰率は 34%e eであった。
実施例 1 1
(S)— 1, 1 '—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(103 Omg、 3 mm o 1、 〉99%e e)を塩化メチレン(2 lm 1 )に氷冷下に懸濁し、 トリェチルァ ミン(668mg、 6.6 mm o 1 )を加えて溶解する。 この溶液に同温でオギザ リルクロリド(41 9mg、 3.3 mm o 1 )を加えた後、 25°Cで 2時間攪拌す る。 反応液を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 减圧濃縮する。 濃縮残渣にテ トラリン( 21 m 1 )を加え、 210 °Cで 40時間加熱攪拌する。 反応液を減圧濃 縮後、 濃縮残渣にテトラヒドロフラン(6m l)、 水(6 m l)および水酸化ナトリ ゥム(480mg、 1 2mmo l)を加え、 50°Cで 4時間攪拌する。 反応液に塩 酸を加えて p HI.0とした後、 生成物を酢酸ェチルで抽出する。 得られた酢酸 ェチル溶液を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 減圧濃縮する。 濃縮残渣をカ ラムクロマトグラフィー [溶媒: n~ ^キサン(1) :酢酸ェチル(1)および 1% 酢酸水溶液] で精製することにより、 1, —ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン
酸( 850 m g、 収率: 82.5 %)を得る。
得られた化合物をキラル H PLCを用いて分析したところ、 ラセミ化が進行し ており、 (S)— 1, 1,一ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸のェナンチォ過剰率 は 1 2%e eであった。
なお、 HPLCは、 次の条件により測定した。
カラム:キラ/レセル ODカラム
移動相: n—へキサン/エタノール Zトリフルォロ酢酸- 90/10/0. 1 流速: 1.0m lノ分
検出波長: 254 nm
温度: 35°C
実施例 1 2
(S)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(684mg、 2mmo 1、 > 99 % e e )を塩化メチレン( 14 m 1 )に氷冷下に懸濁し、 トリェチルァミン (446mg、 4.3mmo 1 )を加えて溶解する。 この溶液に同温でオギザリル クロリ ド(280mg、 2.2mmo 1 )を加えた後、 室温で 2時間攪拌する。 反 応液を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 減圧濃縮する。 濃縮残渣を 200°C に 41時間加熱する。 反応物にテトラヒドロフラン(5m l )、 水(5ml)および 水酸化ナトリウム(320mg、 8mmo l )を加え、 50°Cで 4時間攪拌する。 反応液に塩酸を加えて p H 1.0とした後、 生成物を齚酸ェチルで抽出する。 得 られた化合物を H PLCを用いて定量したところ、 1, 1,一ビナフチル一 2, 2' —ジカルボン酸(626mg、 収率: 92%)が含まれていた。
また、 実施例 9— ( 2— 1 )と同様にキラル H PLCを用いて分析したところ、 一部ラセミ化が進行しており、 (S)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン 酸のェナンチォ過剰率は 68 % e eであった。
実施例 13
(S)— 1, —ビナフチル _ 2, 2'—ジカルボン酸(684mg、 2mmo 1、 〉99%e e)を塩化メチレン(14m 1)に氷冷下に懸濁し、 トリェチルァミン (446mg、 4.4mmo 1 )を加えて溶解する。 この溶液に同温でオギザリル クロリド(280mg、 2.2mmo 1)を加えた後、 室温で 2時間攪拌する。 反
応液を水洗し、 硫酸マグネシウムで乾燥後、 減圧濃縮する。 濃縮残渣にメシチレ ン(7m 1 )を加え、 165°Cで 64時間加熱攪拌する。 反応液を ί¾Ε濃縮後、 濃 縮残渣にテトラヒドロフラン(2m 1)、 水(2 m 1)および水酸化ナトリゥム(1 60 m g、 4mmo 1 )を加え、 50でで 4時間攪拌する。 反応液に塩酸を加え て p H 1.0とした後、 生成物を酢酸ェチルで抽出する。 得られた化合物を HP LCを用いて定量したところ、 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸(2 86mg、 収率: 84%)が含まれていた。
また、 実施例 9一( 2— 1 )と同様にキラル H PLCを用いて分析したところ、 一部ラセミ化が進行しており、 (S)— 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボン 酸のェナンチォ過剰率は 58 % e eであった。
参考例 1
トランス一 4ーメトキシ桂皮酸メチルエステル(192mg, 1. Ommo 1 )を 1, 2—ジメトキシェタン(1 5m 1 )に室温で溶解させた後、 4 X 10一4 Mェチ レンジァミン四酢酸ニナトリゥム: fek溶液( 10ml)を添加し、 次いで実施例 5、 6— (1)、 7または 8—(1)で得られる(R)— 1, 1,ービナフチル一 2, 2,一ジ カルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステル(4 Omg, 0. 1 mmo 1 )を添加し、 0°Cに冷却する。 その後、 ォキソンく化学組成: 2KHS05 · KHS04 · K2 S04>(6. 14 g, 1 Ommo 1 )と炭酸水素ナトリゥム(2.6 g, 31 mmo 1)との混合物を 6回に分けて 1時間ごとに添加する。 添加終了後、 さらに 2時 間攪拌を行なった後、 得られる反応混合物を半飽和食塩水にあけ、 エーテルで抽 出する。 有機層を飽和食塩水で洗浄し、 次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥させ る。
乾燥後、 無水硫酸マグネシウムを濾別し、 濾液から溶媒を留去する。 得られる 残渣に、 酢酸ェチルと n—へキサンの 1 : 8 (容量比)の混合物(9m 1 )を添加し、 室温で 1時間攪拌する。
析出する白色粉末を濾取し、 減圧下で乾燥し、 前記(R)— 1, 1'—ビナフチル —2, 2,一ジカルボン酸 2—ォキソトリメチレンエステル(32 mg)を回収する (回収率: 80重量。 /0)。 一方、 得られる濾液(H PLCでの(2 R, 3 S)— 3— ( 4—メトキシフエニル)グリシッド酸メチルエステルの収率: 91 %)をシリ力
ゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸ェチル: n—へキサ ン =1 : 8 (容量比))で精製することにより、 (2R, 3 S)— 3— (4—メトキシ フエニル)グリシッド酸メチルエステノレ( 135mg,光学純度: 81 <½ e e、 単 離収率: 65%)を得る。
参考例 2
光学活性 1, 1,一ビナフチル一 2, 2,ージカルボン酸化合物をメシチレン中で 3 Θ間加熱還流後、 キラル HP LCで分析したが、 ラセミ化は観察されなかった。 産業上の利用の可能性
本発明の方法によれば、 少ない量の溶媒中で、 ビアリ一ルー 2, 2 '—ジカルボ ン酸ジハライドとォキソアルカンジオールまたはその 2量体とを反応させること ができ、 短時間に反応を終了させることができると共に、 生成物の収率も高く、 軸性キラリティーも保持されるため、 種々の炭素一炭素二重結合の不斉酸化反応 に有用な軸性キラリティ一を有するビアリールジカルボン酸ォキソアルキレンェ ステルを工業的スケールで効率よく製造することができる。 また、 ビアリールジ カルボン酸ォキソアルキレンエステルを取得した後、 副生成物を加水分解するこ とにより、 ビアリールジカルボン酸を取得し、 該化合物をハロゲン化剤で処理す ることにより、 原料化合物であるビアリーノレ一 2, 2 '—ジカノレボン酸ジハライド 未反応分に相当する量の大半を回収することができるため、 所望のビアリ一ルジ カルボン酸ォキソアルキレンエステルを高収率で得ることができる。
また、 本発明の方法によれば、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカル ボン酸(I V')の光学分割を、 低分子量であると共に不斉中心が 1つしかない、 市販のキラルな 1 -シクロへキシルエチ^^アミン(V*)を用いることにより、 煩 雑な工程を経ることなく行うことができ、 高収率、 高光学収率で所望のキラリテ ィ一を有する 1 , —ビナフチル一 2, 2,一ジカルボン酸( I V' **)を製造す ることができ、 これをハロゲン化後、 上記と同様に反応させて、 1, 1'—ビナフ チル一 2, 2'—ジカルボン酸ォキソアルキレンエステルを効率的に製造すること ができる。 また、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチルー 2, 2,一ジカルボン酸(I V') の光学分割において、 毒性の高い光学分割剤を用いないため、 安全性の面でも優 れた方法である。
さらに、 従来ラセミ化が困難と考えられていたキラルな 1, 1'—ビナフチルー 2, 2'—ジカルボン酸(I V' **)を酸無水物とした後、 該酸無水物を加熱処理 し、 加水分解することにより、 ラセミ型 1, 1'—ビナフチル一 2, 2'—ジカルボ ン酸(I V' **)とすることができるため、 不要な光学活性体から、 所望の光学 活性体を製造することができ、 ラセミ型 1 , 1 '一ビナフチル一 2, 2,一ジカルボ ン酸(I V' **)の光学分割法を組み合わせることにより、 ラセミ体に含まれる キラルな 1, 1'ービナフチル一 2, 2'—ジカルボン酸( I V, **)の対掌体の全 てを所望の光学活性体の形に変換して取得することができる。