明 細 書
皮ふの老化の予防、 治療剤 技術分野
こ の発明は ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有する 物質を有効成分 と する皮ふの老化の予防、 治療剤に関す る も のであ る。
背景技術
皮ふの老化は 30歳代か ら始ま る と 言われて い る。 皮ふ の老化の所見 と しては、 表面的には潤い、 つや、 なめ ら か さ 、 は り 等の減少、 さ ら に、 しわの増加が挙げ られ る。 これ ら は皮ふを構成 して い る器官 · 組織の形態的お よ び機能的変化に基づ く も の と 考え ら れ る 。 具体的に は、 加齢に伴い表皮では表皮厚の菲薄化等が、 真皮では 真皮乳頭部の弾性線維 ( oxytalan f iber) の消失等が認 め られる。
皮ふの老化、 例えば しわは と く に女性の美容上の大き な問題であ るが、 現在未だ満足のい く 薬剤は少ない。
こ の発明者は、 ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有 す る物質が皮ふの老化の予防、 治療に有効であ る と い う 新知見を得、 こ の発明を完成 した。
発明の開示
こ の発明は、 ヒ ト 白血球エラス タ ーゼ阻害活性を有す る物質を有効成分 と する皮ふの老化の予防、 治療剤であ る。
こ の発明の皮ふの老化の予防、 治療剤において有効成
分 と して使用でき る ヒ ト 白血球エラス タ 一ゼ阻害活性を 有する物質は、 ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有す る物質であればいずれで も よ い。 ま た、 こ の発明で使用 可能な ヒ ト 白血球エラ ス タ ーゼ阻害活性を有す る物質に は、 直接的な阻害のみな らず、 白血球の浸潤の抑制ゃェ ラ ス タ 一ゼ産生阻害に よ り 間接的に白血球エ ラ ス タ一ゼ 活性を阻害す る物質 も含まれる。 すなわち、 その よ う な 活性を有す る物質は種々知 られて い る が、 それ ら公知の 物質を使用する こ と ができ るのみな ら ず、 ヒ ト 白血球ェ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有す る も のであれば、 新規物質も 使用可能であ る。 これ らの う ち、 特に好適な化合物を以 下に例示す る。
(1 ) WS7622 A モ ノ も し く は ジ硫酸エス テルお よ びそれら の医薬 と して許容される塩類 : それ らの う ち、 WS7622A ジ硫酸エス テ ルのニナ ト リ ゥ ム塩お よ び WS7622Aジ硫酸 エ ス テ ルの二力 リ ゥ ム塩はそれぞれ下記の物理化学的 性質 を有す る 公知物質であ る (特開平 4 一 279600号公 報) 。
WS7622 A ジ硫酸エス テルのニナ ト リ ゥ ム塩 (以下 FR 134043と 略す場合があ る。 ) :
外観 : 無色の結晶
溶解性 : 可溶 : 水、 メ タ ノ ール
不溶 : ク ロ ロ ホノレム、 n ^ キ サ ン
融点 : 257〜 263°C (分解)
比旋光度 : [ a ] 2 3 D + 37.5° (01、 メ タ ノ ール)
分子式 : C 4 7 H 6 1 N 90 1 9 S 2N a 2 元素分析 : 計算値 : ( C4 7H6 N s O i 9S2Na2 · 6Η20と して ) : C 44.30, Η 5.77, Ν 9.89, S 5.03, Na 3. 61 I 実測値 : C 44.98, H 5.90, N 10.06, S 5.00, Na 3.98 1 分子量 : FAB - MS m/z 1188 (M + Na) + 薄層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー : 表 1 固定相 展開溶媒 Rf値 シ リ カ ゲル CHC13 - CHつ 0H― H20 0. 11 ( メ ノレ ク Art 5715) ( 65 : 25 : 4 )
n —ブタ ノ一ノレ 一醉酸 0.29 —水 ( 4 : 2 : 1 ) 赤外吸収ス ぺ ク ト ル
Κ B 3360, 2960, 1735, 1660, 1640, 1530,
1500, 1380, 1250, 1200, 1060, 1030,
940, 890 cm— 1
H核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル
(400MHz, D20)
7. 50 (1H, s) 7.27 (1H, s)
7.33-7.24 (3H, m) 6.94 (1H, q, J=7Hz)
6. 85 (2H, r d, J=8Hz) 5. 53 (IH, m)
5. 37 ( 1H, ra)
4. 80 (lH. br s )
4. 63-4. 57 (2H, m)
4. 53 ( IH, m)
4. 06 (IH, m)
3. 99 ( 1H, d, J = 10Hz )
3. 56 ( 1H, br d, J = 14Hz )
3. 46 (IH, m)
2. 97 (3H, s )
2. 97-2. 88 (2H, m)
2. 72 (IH, m)
2. 59 ( IH, m )
2. 51-2. 38 (2H, m)
2. 09-1. 91 (4H, m)
1. 82-1. 60 (3H, m)
1. 77 (3H, d, J=7Hz ) 1. 50 (3H, d, J = 6. 5Hz ) 1. 40 (IH, m )
1. 11 (6H, d, J=7Hz )
0. 99 (3H, d, J=6. 5Hz )
0. 97 (3H, d, J=6. 5Hz )
C核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル :
CM X X
3
00 ∞ CO 00 LO LO O o o o CO o CO σ¾
r-i 00 ! .
CO CO O f LO O 1 in
00 C O CO CO CO O ι O
O O L
LO O o L
< 1
55.9 (d)
54.9 (d)
51.9 (d)
41.9 (t)
37.2 (d)
36.9 (t)
34.1 (q)
32.3 (d)
31.9 (t)
31.8 (t)
31.2 (t)
27.5 (t)
23.7 (t)
21.7 (q)
21.4 (q)X2
21.3 (q)
21.1 (q)
15.5 (q)
ア ミ ノ 酸分析 :
WS7622 A ジ硫酸エ ス テルのニナ ト リ ウ ム塩 ( 1 mg) を 6 規定塩酸 ( 1 ml ) 、 110°C 、 20時間の条件で加水分解 し、 減圧乾固 し て得た混合物 を 日 立 835型 自動車ァ ミ ノ 酸分析計に よ り 測定 した。 ア ミ ノ 酸ス タ ン ダー ド標品 と し て、 和光純薬工業 ( 株 ) の タ イ プ H (和光コ ー ド 013 — 08391 ) と タ イ プ B ( 016 - 08641 ) を使用 し た。
そ の結果、 ト レオニ ン 、 ノ リ ン 、 フ エ ニ ノレ ア ラ ニ ン 、 オル二 チ ン、 ア ンモニア と 数種の未知ニ ン ヒ ド リ ン陽性 成分が検出 された。
WS7622 A ジ硫酸エス テルのニナ ト リ ゥ ム塩の部分化学 構造式 と して、 次の よ う な式が提案される。
WS7622 A ジ硫酸エス テルの二力 リ ゥ ム塩 :
外観 : 無色無定形粉末
溶解性 : 可溶 : 水、 メ タ ノ ール
不溶 : ク ロ ロ ホゾレム、 n —へキサ ン 融点 : 230- 237°C (分解)
比旋光度 : [ a ] 2 3 D + 34° (C = l、 メ タ ノ ール)
分子式 : C 4 7 H 6 1 N 90 1 9 S 2 K 2
元素分析 :
計算値 : ( C4 7H6 1N901 9 S2K2 - 6 H20と して )
C 43.21, H 5.63, N 9.65, S 4.91,
K 5. 99 ¾
実測値 : C 43.96, H 5.44, N 9.97, S 5.09.
K 4.49 %
分子量 : FAB - MS m/z 1236 (M + K)
薄層 ク ロ マ ト グラ フ ィ ー :
表 2
固定相 展開溶媒 Ri値 シ リ 力 ゲル CHC13-CH 0H-H20 0.13 (メ ノレ ク Art 5715)
赤外吸収ス ぺ ク ト ル
3360, 2960, 1735, 1660, 1640, 1530,
1500, 1405, 1380, 1250, 1200, 1050,
1030, 940, 890 cm一 1
H核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル
(400MHz, D20)
7.52 (1H, s)
7.28 (IH, s)
7.34-7.25 (3H, m)
6.96 (1H, q, J=7Hz)
6.87 (2H, br d, J=8Hz)
5.56 (IH, m)
5.40 (IH, m)
4.84 (1H, br s)
4.70-4.55 (3H, m)
4.10 (IH, m)
4.03 (IH, m)
3.60 (1H, br d, J = 14Hz)
3.50 (1H, m)
3.00 (3H, s)
3.00-2.85 (2H, tn)
2.76 (1H, m)
2.62 (1H, m)
2.55-2.40 (2H, m)
2.12-1.95 (4H, m)
1.90-1.65 (3H, m)
1.79 (3H, d, J=7Hz)
1.53 (3H, d, J = 6.5Hz)
1.45 (1H, m)
1.14 (6H, d, J=7Hz)
1.02 (3H, d, J=6.5Hz)
1.00 (3H, d, J = 6.5Hz)
ア ミ ノ 酸分析 :
WS7622 A ジ硫酸エス テルの二カ リ ウ ム塩 ( 1 mg) を 6 規定塩酸 ( 1 ml ) 、 110°C 、 20時間の条件で加水分解 し、 減圧乾固 して得た混合物を 日 立 835型 自動ア ミ ノ酸 分析計に よ り 測定 した。 ア ミ ノ 酸ス タ ン ダー ド標品と し て 、 和光純薬工業 ( 株) の タ イ プ H (和光コ ー ド番号 013 - 08391 ) と タ イ プ B ( 016 - 08641 ) を使用 した。
そ の結果、 ト レオニ ン、 バ リ ン、 フ エ ニノレア ラ ニ ン、 オル二 チ ン、 ア ン モ ニア と 数種の未知のニ ン ヒ ド リ ン陽 性成分が検出された。
WS7622 A ジ硫酸エス テルの二力 リ ゥ ム塩の部分化学構
造式 と し て、 次の よ う な式が提案さ れる
WS7622 A モ ノ も し く は ジ硫酸エ ス テ ルの医薬 と して許 容 さ れ る 塩 と し て は 、 例 え ばア ルカ リ 金属塩 ( た と え ば、 ナ ト リ ウ ム塩、 カ リ ウ ム塩な ど ) 、 アルカ リ 土類金 属塩 ( た と えばカ ル シ ウ ム塩な ど ) 、 ア ン モ ニ ゥ ム塩、 エ タ ノ ーノレア ミ ン塩、 ト リ エ チノレア ミ ン塩、 ジ シ ク ロ へ キ シ ルァ ミ ン塩、 ピ リ ジ ン塩な ど の、 無機塩基あ る いは 有機塩基 と のモ ノ も し く は ジ塩を挙げる こ と がで き る。
上記 WS7622 A モ ノ も し く は ジ硫酸エス テ ルの合成のた め の 出発物質で あ る WS7622A物質 も ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有 し、 しわの予防、 治療剤 と して使用 で き る 。 該物質は次の よ う な物理化学的性質を有する物 質 と し て知 ら れて い る (特開平 3 — 218387号公報、 特開 平 4 — 279600号公報) 。
WS7622A物質の物理化学的性質 :
外観 : 無色プ リ ズム晶
物質の性質 : 酸性
呈色反応 : 陽性 : 硫酸セ リ ゥ ム反応、 沃素蒸気反応、 塩化第二鉄反応
陰性 : ニ ン ヒ ド リ ン反応、 モ ー リ ッ シ ュ反 応、 ド ラ ーゲ ン ド ノレ フ反応
溶解性 : 可溶 : メ タ ノ ール、 エ タ ノ ール、 n —ブタ ノ一
ノレ
微溶 : ク ロ 口 ホ ルム 、 ア セ ト ン 、 酢酸ェチル 不溶 : 水、 η —へキサ ン
薄層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( TLC) :
ク ロ ロ ホ ノレム 一 メ タ ノ ーノレ ( 5 : 1 、 V V
R f値 0.51
ア セ ト ン ー メ タ ノ 一ノレ ( 10 : 1 ) Rf値 0.62
( キ ーゼルゲル 60 F 2 5 4シ リ 力 ゲルプ レ一 ト
メ ル ク 社 )
融点 : 250〜 252°C (分解)
比旋光度 : ] 2 3 D +36° (C=l、 メ タ ノ ール )
UVス ぺ ク 卜 ノレ : Me 0H m a x 287 nm ( ε =3600 )
λ Me 0H-HC I m a x 287 nm
M e O H - N a O 298 nm
分子式 : C 4 7 H 63N 90 1 3
元素分析 :
計算値 : ( C4 7H6 aNsCh 3 · 2H20) :
C 56.56, H 6.77, N 12.63 I 実測値 : C 56.65, H 6.62, N 12.27 1
分子量 : FAB - MS ra/z 984 (M + Na ) +
外吸収ス ぺ ク ト ル :
V KB t ma x 3400, 3300, 3060, 2980, 2940, 1735,
1710, 1690, 1670, 1660, 1640, 1540, 1520, 1470, 1380, 1330, 1300, 1260, 1220, 1200, 1160, 1130, 1090, 1000, 980, 940, 920 cm" 1
H核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル :
7.22-7.09 (3Η, m)
6.88-6.77 (3H, m)
6.74 (1H, s)
6.46 (IH, s)
5.46 (IH, m)
5.18 (IH, s)
4.85 (IH, s)
4.77 (IH, m)
4.65 (IH, m)
4.50 (IH, m)
3.96 (IH, m)
3.91 (IH, d, J=9Hz)
3.60-3.47 (2H, m)
3.03 (IH, m)
2.90 (3H, s)
2.86 (IH, m)
2.59-2.49 (2H, m)
2.39 (IH, m)
2.29-2.16 (2H, m)
2.00 (IH, m)
1.84 (IH, m)
1.74 (3H, d, J=6Hz)
1.72-1.53 (4H, m) 1.44 (3H, d, J = 6Hz ) 1.12 (IH, m)
1.10 (6H, d, J = 6Hz)
0.99 (3H, d, J=6Hz)
0.94 (3H, d, J=6Hz) C核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル :
(100MHz, CD30D) (5-
179.7 (s)
176.3 (s)
174.7 (s)
173.3 (s)
172.4 (s)
171.4 (s)
170.3 (s)
165.8 (s)
160.2 (s)
145.7 (s)
145.6 (s)
-a 3
ο 00 ∞ 00 o 00 σ f o σ ! · σ oo
o in in
ο o o L
25.2 (t)
22.3 (t)
20.2 (q)
20.0 (q)X2
19.7 (q)
19.5 (q)
13.3 (q)
ア ミ ノ 酸分析 :
WS7622 A ( 1 mg) を 6 規定塩酸 ( l ml ) 、 110°C、 20 時間の条件で加水分解 し、 減圧乾固 して得た混合物を 日 立 835型 自動ア ミ ノ 酸分析計に よ り 測定 した。 ア ミ ノ酸 ス タ ン ダー ド標品 と して、 和光純薬工業 (株) のタ イ プ H (和光コ ー ド番号 013— 08391 ) と タ イ プ B ( 016— 0864 1 )を使用 した。
その結果、 ト レォニ ン 、 ノ リ ン 、 フ エ ニ ノレ ア ラニ ン 、 オ ル二チ ン 、 ア ン モ ニ ア と数種の未知ニ ン ヒ ド リ ン陽性 成分が検出 された。
WS7622 Aの部分化学構造式 と して、 次の よ う な式が提 案される :
WS7622 A物質の塩 と して は、 アルカ リ 金属塩 (た と え ば、 ナ ト リ ウ ム塩、 カ リ ウ ム塩な ど ) 、 アルカ リ 土類金 属塩 ( た と え ば、 カ ノレ シ ゥ ム塩な ど ) 、 ア ン モ ニ ゥ ム 塩、 エ タ ノ ールア ミ ン塩、 ト リ ェチルァ ミ ン塩、 ジシク 口 へキ シルァ ミ ン塩な ど の、 無機塩基 ま たは有機塩基 と の塩が挙げ ら れ る 。
同 様 に ヒ ト 白 血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性 を 有す る WS
7622 B 、 C お よ び D物質、 な ら びにそれ ら の誘導体 (特 開平 3 — 218387号公報) も しわの予防、 治療剤 と して使 用で き る 。
上記 WS7622A物質(WS7622B 、 C お よ び D物質 も 同様) は 例 え ば ス ト レ プ ト ミ セ ス · レ シ ス ト ミ シ フ ィ ク ス ( Streptomyces resistomyci f icus; No.7622株の培 (こ よ っ て製造す る こ と がで き 、 該菌株はブダペス ト 条約に 基 く 国際寄託機関であ る 工業技術院生命工学工業技術研 究所 に 、 寄託番号 FERM BP— 2306の下に寄託 さ れて い る 。
(2) 式 :
X-CONHCHCO-Y-CONHCHCOCF
[式中、 R 1 はカノレボキ シ、 エス テル化さ れたカノレボキ シお よ びジ ー 低級アルキル力ルバモ イ ルか ら選ばれた 1 ま たは 2 の置換基を有す る 低級アルキル基 ; フ ニル部 分にハ ロ ゲ ン、 ァ ミ ノ ま たはニ ト ロ、 アルキル部分に力 ルポキ シ ま たはエス テル化さ れたカルボキ シ を有 してい て も よ レ、 フ ヱ ニル (低級) アルキノレ基 ; ハ ロ フ ヱ ニル基
; モノレホ リ ノ 基 ; ま たはモルホ リ ノ (低級) アルキル基 を、 R 2 お よ び R 3 はそれぞれ低級アルキル基を、 X は — ま たは 一 NH— を、
を それぞれ意味す る ] で示 さ れる ト リ フルォ ロ メ チルケ ト ン誘導体お よ びそ の医薬 と して許容さ れ る塩。
(3) 式 :
2
R
R1— CONHCHCONs
CONHCHCOCF
( 式 中、 R 1 〜 R 3 は上記 (2)) の化合物 と 同 じ意味) で示 さ れ る ト リ フルォ ロ メ チルケ ト ン誘導体お よ びその
医薬 と し て許容さ れ る塩。
(4) 3 ( RS) - [ [ 4 — ( カ ノレ ポキ シ メ チ ルァ ミ ノ カル ボニ ノレ ) フ エ 二ノレカ ノレボニノレ ] 一 L —ノ リ ノレ _ L —プロ リ ノレ ] ァ ミ ノ 一 1 , 1 , 1 — ト リ フ ルォ ロ _ 4 — メ チノレ 一 2 — ォ キ ソ ペ ン タ ン ま たはそ のナ ト リ ウ ム塩 (以下、 こ のナ ト リ ウ ム塩を FK706と 略す場合があ る )
上記 ( 2 )〜 ( 4 )に 記載の化合物は、 例 え ば特開平 4 — 297446号公報 に 記載 さ れて い る 公知化合物であ る 。 ま た、 (2)〜 (3)の化合物の医薬 と し て許容 さ れ る塩 と して は、 アルカ リ 金属塩 ( た と えばナ ト リ ウ ム塩、 カ リ ウム 塩な ど ) 、 ア ルカ リ 土類金属塩 ( た と えばカ ル シ ウ ム塩 な ど ) 、 ア ンモ ニ ゥム塩、 エ タ ノ ールア ミ ン塩、 ト リ エ チルァ ミ ン塩、 ジ シ ク ロへキ シルァ ミ ン塩な ど の無機ま た は有機塩基 と の塩お よ びメ タ ン ス ル ホ ン酸塩、 塩酸 塩、 硫酸塩、 硝酸塩、 燐酸塩な ど の有機ま たは無機酸付 加塩 を挙げる こ と がで き る 。
前記定義の好適な例を以下に詳細に説明す る 。 「低級」 と は、 特記な い 限 り 、 炭素原子数 1 な い し 6 を 意味す る 。 好適な 「ハ ロ ゲ ン 」 の例 と して は弗素、 塩素、 臭素 お よ び沃素が挙げ られる 。 好適な 「低級アルキル基」 と して は、 炭素原子 1 ない し 6 個 を有す る 直鎖お よ び分枝 ァノレカ ン の残基、 た と えばメ チノレ、 ェチル、 プロ ピル、 イ ソ プ ロ ピノレ、 ブチノレ、 イ ソブチノレ、 t ー ブチル、 ペ ン チル、 ネ オペ ン チル、 へキ シルな ど 、 好 ま し く は炭素原 子 1 な レ、 し 4 個を有す る も の を挙げる こ と がで き る。 好
適な 「エス テル化さ れたカルボキ シ基」 と し て は、 アル キノレエス テノレ 、 すなわ ち、 ァノレコ キ シカノレボニノレ 、 た と えば低級ァノレコ キ シ力ノレボニル ( た と えばメ ト キ シカル ボニノレ、 エ ト キ シカノレボニノレ 、 プロ ポキ シカノレボニノレ、 ブ ト キ シ カ ノレ ボニ ノレ、 t e r t — ブ ト キ シ カ ノレ ボニ ノレな ど ) お よ びフ ヱ ニ ル (低級) アルキノレエス テル、 すなわち、 フ エ 二 ノレ (低級) ア クレコ キ シカ ノレ ボニ ル、 た と えばベ ン ジ ルォ キ シカノレ ボニル、 な ら びにベ ン ゾィ ノレ (低級) ァ ル キ ノレ エ ス テ ノレ、 すなわ ち、 ベ ン ゾ ィ ル (低級) ァ ノレ コ キ シ カ ノレ ボ ニ ノレ、 た と え ばベ ン ゾ イ ノレ メ ト キ シ カ ノレ ポ二 ルな ど を挙げる こ と がで き る 。
好適な 「低級アルキ レ ン基」 と して は、 メ チ レ ン、 ェ チ レ ン、 プロ ピ レ ン、 イ ソプロ ピ レ ンな ど を挙げる こ と がで き る 。 好適な 「 ジ低級アルキル力ルバモ イ ル基」 と し て は、 N , N — ジメ チノレカノレ ノ モ イ ノレ、 N, N — ジェチ ルカ ノレ バモ イ ノレな ど を挙げる こ と がで き る 。
( 5 ) 下記の物理化学的性質を有す る FR 901451物質お よび そ の医薬 と し て許容 さ れる塩 :
外観 : 白色粉末
呈色反応 : 陽性 : 硫酸セ リ ウ ム 、 ヨ ウ素蒸気、 エ ール リ ツ ヒ、 ニ ン ヒ ド リ ン
陰性 : モ ー リ ッ シ ュ
溶解性 : 可溶 : 水、 メ タ ノ ー ル ジメ チノレ ス ノレホキ シ ド 難溶 : ア セ ト ン
不溶 : 酢酸ェ チ ル
融点 : 243- 245°C (分解)
比旋光度 : [ α ] 2 3 D-15° (C = 0.65, H20) 紫外線吸収ス ぺ ク ト ル : λ M e 0H m a nm( ε ) 275 (4300)
281 (4500), 290 (3900) 分子式 : C 6。 H 7 9 N 1 30 1 8 元素分析 : C6。H7 9N1 301 8 ' 10H20と しての
計算値 : C 49.68, H 6.88, N 12.55 実測値 : C 49.95, H 6.28, N 12.42 分子量 : FAB- MS m/z 1270 (M + H) +
薄層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー : 表 3 固定相 展開溶媒 Ri値 シ リ 力 ゲル CHC1 leOH : ΝΗ Η 0.60 ( メ ノレ ク ) ( 15 = 11 = 5 )
RP - 18 70%含水メ タ ノ ール 0.32 ( メ ノレ ク )
FT赤外線吸収ス ぺ ク ト ル : 3390, 3070, 2970, 2880, 1740, 1660,
1530, 1450, 1410, 1380, 1350, 1250,
1190, 1110, 1080, 1010, 750, 700, 670, 660, 620, 600 cm" 1
H核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル
(400MHz, D20)
7.70 (IH, d, J=7Hz)
7.52 (1H, d, J = 7.5Hz )
7.44-7.23 (7H, m)
7.22 (1H, s)
5.59 (1H, q, J = 7Hz)
4.94 (1H, t, J=4.5Hz)
4.85-4.74 (3H, m)
4.58 (IH, dd, J=6Hz, 10Hz)
4.45-4.35 (3H, m)
4.30 (IH, dd, J=4Hz, 7Hz)
4.07 (IH, m)
3.99 (IH, dd, J = 10Hz, 4.5Hz )
3.66-3.50 (3H, m)
3.44- 3.25 (4H, m)
3.16-2.93 (4H, m)
2.87 (IH, d, J = 18Hz)
2.80-2.68 (2H, m)
2.56-2.48 (2H, m)
2.08 (IH, dd, J=16Hz, 4Hz)
1.87-1.53 (9H, m)
1.43 (3H, d, J = 7Hz)
1.30 (3H, d, J=6.5Hz)
1.45- 1.17 (4H, m)
0.95 (3H, d, J=6Hz)
0.84 (3H, d, J=6Hz)
C 核磁気共鳴ス ぺ ク ト ル :
(100MHz. D20)
177.2 (s) 130.0 (d)X2 56.0 (d) 31.4 (t)
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170. 3 (s) 62. 1 (d) 35. 3 (t)
137. 2 (s) 60. 9 (d) 34. 8 (t)
136. 0 (s) 57. 1 (d) 31. 7 (t)
上 已 FR901451物質は フ レ キ シバク タ一 (Flexibacter) 属の FR901451物質生産菌が生産す る物質 と し て知 られて い る (例 え ば、 国際公開番号 : W093Z 02203号公報) 。 ま た該生産菌の 1 株フ レ キ シバク タ一 · spNo.758株はブ ダぺス ト 条約に基 く 国際寄託機関であ る 工業技術院生命 工学工業技術研究所に、 寄託番号 FERMBP- 3420と して寄 託 さ れて い る 。
ま た、 上記 FR901451物質の医薬 と して許容 さ れる塩 と し て は、 前記(2)〜(3)に記載の化合物の医薬 と して許容 さ れ る塩 と し て例示 した塩がそ の ま ま 例示さ れ る。
上記のほか、 エラス タ 一ゼ阻害活性を有する物質の例 と し て、 α ΐ — ア ンチ ト リ プシ ン、 SLP 1 ( Secretory Leukocyte Protease Inhibi tor) ( Ame ri can Review of Respi ratory D i ease Vol. 147、 1993、 P 442 - 446) 、 ゥ リ ナス タ チ ン、 コ ノレ ヒ チ ン、 エ リ ス ロ マイ シ ン、 ク ラ リ ス ロ マイ シ ン、 ICI200、 880、 0N0 - 5046 ( Ame r i can Journal of Respi r tory and し ri tical Care Medicine Vol. 153、 P 391 - 397 ) 、 抗エ ラ ス タ ーゼ抗体等が挙げ ら れ る 。
こ の発明においては、 皮ふの老化全般の予防、 治療に 対 して ヒ ト 白血球エラ ス タ 一ゼ阻害活性を有す る物質が 有効であ り 、 適用可能であ る。 具体的には、 皮ふの潤い 、 つや、 なめ ら かさ、 は り 等の減少、 さ ら には、 しわの 増加の予防、 治療、 皮ふのた る みの予防、 治療に適用可 能であ る。 これ らの皮ふの老化現象は皮ふを構成 してい る器官 · 組織の形態お よび機能的変化に基づ く も の と考 え られ、 具体的には、 加齢に伴い表皮では表皮厚の菲薄 化等が、 真皮では真皮乳頭部の弾性線維 ( oxytalan f iber) の消失等が認め られる。
これ ら皮ふの老化の う ち、 と く に しわの消失、 減少、 あ る いは しわの増加の予防、 治療、 皮ふのテ ク ス チ ャ 一 ( き め、 手触 り ) の改善、 皮ふ色調 ( く すみ) の改善等 に ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有する物質の効果 が顕著であ る。
ま た、 真皮乳頭部の弾性線維の新生、 表皮直下の真皮
部位での微細な膠原線維の新生、 表皮厚の増加等におい て顕著な効果があ る。
こ の ほか、 ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有する 物質は、 強皮症、 象皮病、 はんこ ん、 ス テ ロ イ ドによ る 表皮のひは く 化、 ケ ロ イ ド、 じ ょ く そ う 、 創傷、 難治性 かい よ う 、 乾癬、 しみ、 そばかす、 老人斑、 はだあれ、 はたけ等の皮ふ疾患に も有効であ る。
次のこ の発明の試験例を示す。
実験 目的 : 好中球エ ラ ス タ ーゼ阻害剤の 「皮ふの老化」 に対す る治療効果をへア レ ス犬を用いて評価 す る。
使用動物 : メ キ シカ ンへア レス ド ッ グと ビー グル犬の交 配に よ っ て作出された実験用へア レ ス犬の成 犬 (老齢犬) 2 頭を使用。
若齢犬には認め られない、 加齢に伴う 微細な
「 しわ」 の形成が体表面に見 られる老齢犬を 対象 と した。
No.8807 ( 10歳、 雄 )
No.8808 ( 10歳、 雌 )
被検薬剤 : 1) FK706 - 0.1%
2) FK706 - 0.02%
3) FR134043 - 0.2%
4) FR134043 - 0.02%
5) ポ リ エ チ レ ング リ コ ール ( PEG ) (溶媒、 コ ン ト ロ ーノレ ) ( 1 〜 4 の薬剤の溶媒は PEG)
薬剤投与 各犬の背部 ( 5 X 5 cm) に各薬剤を 1 個所ず つ (計 5 個所) 塗布
塗布量は約 4 ;u LZ Cm2と し、 一 日一回 (土、 日 、 祝 日 は除 く ) 3 ヶ月塗布。
評価項 目 1) 皮膚性状 : 肉眼観察及びビデオマク ロス コ ープに よ る観察
2) 組織学的検査 : H — E ( へマ ト キ シ リ ン ー ェォ ジ ン ) 染色 (一般的染色) 、 ワ ン ギ一 ソ ン染色(コ ラ 一ゲ ン線維の染色)、 ワ イ ゲル ト 染色(エ ラ ス チ ン線維の染色) に よ る生検サ ンプルを用 いた組織学的変 化の観察
3) 表皮の厚さ : H — E 染色組織標本を用い た表皮の厚さ (角質層 を除 く ) の変化を 検討 (特に皮膚症状の改善が顕著であつ た FK706 0.2%塗布部位のみ検討) 試験結果
1) 皮膚性状 ( しわの改善、 緩和)
(肉眼観察)
No.8807 : FK706-0.2¾>FK706-0.02%>FR134043- 0.2% = FR134043'0.02%の順で、 しわ の消失、 減少が認め られた。 ま た、 こ の所見は texture (き め、 手触 り ) の改善を伴い、 さ ら に皮膚の美白化 ( 白色 · 淡紅色化す る等) も伴って
いた
No.8808 : FK706- 0.2%>FK706 - 0.02% >FR 134043 - 0. 2 FR134043 - 0. 02%の順 で あ つ た。
なお、 いずれの犬において も 副作用は認め られ なかっ た。
( ビデオマク ロ ス コ ープに よ る観察)
肉眼所見 と ほぼ同様の結果が認め られた。
No.8807 : FK706 - 0.2¾>FK706 - 0.02%>FR134043 - 0. 2%>FR134043 · 0. 02%の J噴 に効果か、 あ っ た。
No.8808 : FK706 - 0.2¾ = FK706 - 0.02 >FR 134043 ·
0. 2% = FR134043 - 0. 022の順で あ つ た。
組織学的所見
ワ ン ギー ソ ン染色 : FK706 ' 0. 2%塗布例に、 表皮と 真皮の境界部に層状の薄い コ ラーゲ ン線維の新 生像が観察された ( 8807の犬) 。
ワ イ ゲル ト 染色 : FK706 ' 0. 2%に表皮 と 真皮の境界 部に微細なエ ラ スチ ン線維 (加齢 と 共に消失す る と 言われる oxy ta 1 an f iberと考え られる ) の 増殖像が認め られた ( 8807の犬) 。
) 表皮厚の検討
有意な表皮厚の増加が認め られた ( 8807, 8808の 犬、 共に ρ < 0· 05) 。
8807 : 17.0 土 1.9//m → 26.8 土 5.9 /i m ( ψ i^J f直土 SD )
8808 : 24.6 土 3.6//m → 42.0 土 9.0/itn
こ の発明の皮ふの老化の予防、 治療剤は、 通常は外用 剤 (例えば、 ロ ー シ ョ ン剤、 軟膏剤、 貼付剤、 リ ニメ ン ト 剤、 エア ゾ一ル剤、 憑濁剤、 扎剤等) 、 外用の散剤 ( 例えば、 酵素洗顔剤) と して使用 さ れ る が、 こ の ほか散 剤、 細顆粒剤、 顆粒剤、 錠剤、 糖衣錠、 注射剤、 吸入 剤、 マ イ ク ロ カ プセ ル剤、 カ プセ ル剤、 坐剤、 液剤、 シ ロ ッ プな ど の慣用の医薬製剤の形で使用可能であ り 、 す ら に は洗顔剤、 メ イ ク 落 と し (浸潤剤) 、 入浴剤 と して も 使用可能であ る 。 必要な場合、 希釈剤ま たは崩解剤 ( た と えば庶糖、 乳糖、 澱粉、 結晶性セ ル ロ ー ス 、 低置換 ヒ ド ロ キ シプロ ピルセ ル ロ ー ス 、 合成ケ ィ 酸ア ル ミ ニゥ ムな ど ) 、 結合剤 ( た と えばセ ル ロ ー ス 、 メ チ ルセル口 ー ス 、 ヒ ド ロ キ シプロ ピノレセ ノレ ロ ー ス 、 ヒ ド ロ キ シプロ ピルメ チ ノレセ ノレ ロ ー ス 、 ポ リ プ ロ ピノレ ビ ロ リ ド ン、 ポ リ ビ ニノレ ピ ロ リ ド ン 、 ゼ ラ チ ン 、 ア ラ ビ ア ゴム 、 ポ リ ェチ レ ン ダ リ コ ールな ど ) 、 着色剤、 甘味剤、 滑沢剤 (た と えばス テ ア リ ン酸マグネ シ ウ ムな ど ) そ の他を分散配合 す る こ と がで き る 。
こ の発明の皮ふの老化の予防、 治療剤の使用量は、 使 用化合物、 症状等に も よ る が、 一般に、 外用剤において は ヒ ト 白血球エ ラ ス タ ーゼ阻害活性を有す る 物質ま たは そ の 医薬 と し て 許容 さ れ る 塩 と し て 0.001〜 20%程度、 好 ま し く は 0.01〜 10%程度の範囲で使用す る のが適当で
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