明 細 書 パルプモールド成形品の製造方法 技術分野
本発明は、 例えば粉粒体や液体等の如き収容物を収容するのに適した パルプモールド成形品の製造方法及びパルプモールド中空容器に関する。 背景技術
例えば、 蓋を有する容器やボトル等の如き包装容器には、 成形性に優 れると共に生産性の面でも有利なことから、 一般的にプラスチックが使 用されている。 しかし、 プラスチック容器は廃棄処理上種々の問題があ ることから、 これに代わるものとして、 パルプモールド法により成形し たパルプモールド容器が注目されつつある。 パルプモールド容器は、 廃 棄処理が容易であることに加え、 再生紙を使用して製造することが可能 であることから、 コスト的にも優れている。
上記特性を有したパルプモールド容器を製造するには、 例えば特公昭
5 1 - 3 4 0 0 2号公報に開示されるように、 成形体の形状に応じて形 成したすき網をパルプスラリ一中に浸漬し、 該すき網を真空ポンプ等に よりバキュームして該網の表面にパルプ繊維を堆積させた後、 乾燥炉内 に該すき網を搬送させパルプ繊維を乾燥させることにより、 パルプモー ルド容器を得る。
しかしながら、 上記の方法では、 すき網に付着した抄造カス等の除去 が困難であると共に、 パルプ繊維がすき網に抱着してしまい、 抄造後及 び乾燥後の離型及び取出しが困難となり、 製品デザィン上の制約を受け る。
この他、 特開昭 5 5 — 7 1 9 0 0号公報には、 連続したフラッ トな多 孔性織布を型の表面に接触介在させて、 該多孔性織布面に該型の表面形 状に倣ったパルプ繊維を堆積させた後、 積層されたパルプ積層体を脱水 乾燥後に該型及び該多孔性織布より離脱させることにより、 パルプモー ルド成形品を製造する方法が開示されている。
しかし、 上記の方法においては、 多孔性織布を型表面に単に接触させ ているために、 製品の深さが 6 O m m以上のものや、 突起物、 段差等を 有する複雑な形状を持つ製品を製造するには、 型の形状に沿つて多孔性 織布を接触させることは困難である。 また、 かかる方法では、 型及び多 孔性織布を搬送させる搬送機構が複雑であると共に、 設備が大きくなり コストがかかる。
従って、 本発明の目的は、 大型の設備を必要とせず、 且つ型から容易 に成形体を取り出すことができ複雑な形状のパルプモールド成形品を均 一な肉厚で製造することのできるパルプモールド成形品の製造方法及び パルプモールド中空容器を提供することにある。 発明の開示
本発明は、 外部より内部に連通する複数の連通孔が形成された一組の 抄紙用分割型の各分割型表面にパルプ積層体を形成させた後、 一組の該 分割型を突き合わせて該パルプ積層体を貼り合せることを特徴とするパ ルプモールド成形品の製造方法を提供することにより、 上記の目的を達 成したものである。 図面の簡単な説明
図 1は分割型をパルプスラリー中に浸漬させる状態を示す断面図であ る。
図 2は分割型によって抄紙する状態を示す断面図である。
図 3は一組の分割型をパルプスラリー中で突き合わせる状態を示すも のであり、 図 3 ( a) は分割型を突き合わせる前の状態を示す分割型の 横断面図、 図 3 (b ) は分割型を突き合わせた状態を示す分割型の横断 面図である。
図 4は一組の分割型をパルプスラリーから引き上げた後に突き合わせ る状態を示すものであり、 図 4 ( a) は分割型を突き合わせる前の状態 を示す分割型の横断面図、 図 4 (b) は分割型を突き合わせた状態を示 す分割型の横断面図である。
図 5 ( a) 、 図 5 (b) 、 図 5 ( c) 、 図 5 ( d) 及び図 5 ( e ) は それぞれ、 中空容器中間体内に中空状の弾性体を挿入し、 該弾性体を膨 らませて膨張した弾性体により該中空容器中間体を加熱型内面に押圧し て該中空容器中間体を乾燥させてパルプモールド中空容器を製造するェ 程を順次示す断面図である。
図 6 ( a) 、 図 6 (b) 及び図 6 ( c ) はそれぞれ、 突き合わされた 分割型内に中空状のコールドパリソン (いわゆるプリフォームドパリソ ン) を揷入し、 該コ一ルドパリソンを膨らませて膨張したコールドパリ ソンによりパルプ積層体を型内面に押圧して該パルプ積層体を乾燥させ てパルプモールド中空容器を製造する工程を順次示す断面図である。 図 7 (a) 及び (b ) はパルプ積層体の突き合わせ部の肉厚を厚く し て、 該パルプ積層体同士を貼り合わせる状態を示すものであり、 図 7 ( a) は分割型を突き合わせる前の状態の横断面図、 図 7 (b) は分割 型を突き合わせた状態の横断面図であり、 図 7 (c ) は、 パルプ積層体 の突き合わせ面側を外側に張り出させてパルプ積層体同士を貼り合わせ る状態を示すものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を適用した具体的な第 1の実施形態について図面を参照 しながら詳細に説明する。
図 1は分割型をパルプスラリー中に浸漬させる状態を示す断面図、 図 2は分割型によって抄紙する状態を示す断面図、 図 3及び図 4は一組の 分割型を突き合わせる状態を示すものであり、 図 3 ( a ) 及び図 4
( a ) はそれぞれ分割型を突き合わせる前の状態の横断面図、 図 3
( b ) 及び図 4 ( b ) はそれぞれ分割型を突き合わせた状態の横断面図、 図 5は中空容器中間体内に中空状の弾性体を挿入し、 該弾性体を膨らま せて膨張した弾性体により該中空容器中間体を加熱型内面に押圧して該 中空容器中間体を乾燥させてパルプモールド中空容器を製造する工程を 順次示す断面図である。
本実施形態のパルプモールド中空容器の製造方法は、 分割型の外側面 よりキヤビティに連通する複数の連通孔を有する一組の分割型それぞれ をパルプスラリ一中に浸漬させ、 該連通孔ょりバキュームしてパルプ繊 維を該分割型内面に堆積させることによりパルプ積層体を形成させた後、 一組の該分割型を突き合わせてそれぞれの該パルプ積層体同士を貼り合 わせることを特徴とするものである。
さらに、 本実施形態のパルプモールド中空容器の製造方法について、 図面を参照しながら具体的に説明する。
先ず、 図 1に示すように、 分割型の外側面よりキヤビティに連通する 複数の連通孔 1を有する一組の分割型 2, 3 (図 1では、 一方の分割型 3は図示を省略する) を用意する。 本実施形態では、 容器の形状に応じ たキヤビティ形状をそれぞれの分割型 2 , 3の分割型内面 2 a , 3 aに 付与してある。
なお、 図示は省略してあるが、 各連通孔 1はそれぞれ吸引管 1 0に連
通されており、 該吸引管 1 0を通して真空ポンプ等によりバキューム可 能とされている。
次に、 図 2に示すように、 一組の上記分割型 2, 3それぞれを、 容器 5内に満たしたパルプスラリ一 6中に浸漬させる。 パルプスラリー 6中 に浸漬させるに際しては、 一組の分割型 2 , 3を同時に浸漬させてもよ く、 または別々に浸漬させるようにしてもよい。
パルプスラリーは、 パルプ繊維を水に分散させて形成したものである。 これらパルプ繊維の濃度は、 0 w t%超6. 0 セ%以下が好ましく、 更に 0. 1 ~3. 0 w t %とするのがより好ましい。 また、 パルプ繊維 は、 針葉樹または広葉樹等の木材パルプや竹、 わら等の非木材パルプで あるのが好ましい。 また、 パルプ繊維の長さと太さは、 それぞれ 0. 1 〜 1 0. 0mm、 0. 0 1 -0. 1 0 mmであるのが好ましい。
そして、 上記連通孔 1よりバキュームしてパルプ繊維を、 それぞれの 分割型内面 2 a, 3 aに堆積させる。 その結果、 図 3 (a) に示すよう に、 それぞれの分割型内面には、 パルプ積層体 7 , 8が形成される。 こ こでの抄紙時間は、 2〜 1 0秒が好ましい。 また、 バキュームする真空 度は、 成形品の表面性や、 パルプ積層体 7, 8の加工性の観点から、 1 0 0〜6 0 0 T o r rとするのが好ましい。 また、 パルプ積層体 7, 8 の厚みは、 0. 5〜 1 0. 0 mmとするのが好ましい。
次に、 図 3 (b) に示すように、 パルプ積層体 7, 8を形成した直後 に、 一組の上記分割型 2, 3をパルプスラリー 6中において突き合わせ てそれぞれのパルプ積層体 7 , 8同士を貼り合わせる。 この貼り合わせ 方法によれば、 得られる中空容器の内面における、 貼り合わせ部 9に対 応する部分に段差が生じず、 肉厚が均一となる。 貼り合わせの際に、 各 分割型 2 , 3をそれぞれバキュームすると、 貼り合わせが一層良好に行 われ、 一層均一な肉厚の中空容器が得られる。
上記分割型 2, 3の突き合わせには、 次に示す方法を用いることもで きる。 即ち、 図 4 ( a ) に示すように、 各分割型 2, 3の内面 2 a, 3 aにパルプ積層体 7, 8を形成した後、 両分割型 2 , 3をパルプスラリ —6中から引き上げる。 この場合、 一方の分割型 2には、 図 4 ( a ) に 示すように、 他方の分割型 3 との突き合わせ部分に取り外し自在とされ た一対の補助型 4, 4が設けられている。 かかる補助型 4, 4は、 後ェ 程で形成されたパルプ積層体同士を貼り合わせるに際しての貼り合わせ 部を形成する役目をするものであり、 キヤビティ形状が付与された分割 型内面 2 aよりもその先端を若干突出させている。 従って、 パルプ繊維 は、 補助型 4, 4の上にも堆積するため、 図 4 ( a ) に示すように、 一 方のパルプ積層体 7の突き合わせ側には、 内側に突出した重ね合わせ部
(貼り合わせ部) 9が形成される。
上記分割型 2, 3を引き上げた状態下に、 図 4 ( b ) に示すように両 分割型 2 , 3を突き合わせてそれぞれのパルプ積層体 7, 8同士を貼り 合わせる。 分割型 2, 3を突き合わせるに際しては、 一方の分割型 2に 設けられた補助型 4 , 4を取り外しておく。 これにより、 パルプ積層体 7 , 8の貼り合わせにおいては、 一方のパルプ積層体 7の突き合わせ面 に貼り合わせ部 9が形成されるため、 他方のパルプ積層体 8の突き合わ せ面がこの貼り合わせ部 9と重ね合わされる。 パルプ積層体 7, 8同士 を貼り合わせるに際しては、 貼り合わせ易さの点から貼り合わせ部分の 含水率を 4 0〜 9 5 w t %、 特に 6 0〜 9 0 w t %とするのが好ましい。 パルプ積層体 7, 8同士を貼り合わせた後、 上記分割型 2, 3を開い て、 湿潤した状態の中空容器中間体を取り出す。 取り出された中空容器 中間体は次に加熱 ·乾燥工程に付される。 加熱 ·乾燥工程においては、 先ず、 図 5 ( a ) に示すように、 一組の加熱型 2 2 , 2 3を突き合わせ ることにより、 成形すべき中空容器の外形に対応した形状のキヤビティ
が形成される金型内に湿潤した状態の上記中空容器中間体 (以下、 単に 中間体という) 3 0を装塡する。 この加熱型 2 2, 2 3には、 その外側 面から上記キヤビティに連通する複数の連通孔 2 1を有している。 次い で、 図 5 ( a) に示すように、 加熱型 2 2, 2 3内を減圧すると同時に、 弾性を有し伸縮自在で且つ中空状をなす中子 1 1を、 上記中間体 3 0の 内部に揷入させる。
上記中子 1 1は、 引張強度、 反発弾性及び伸縮性に優れた天然ゴム、 合成ゴム又は熱可塑性エラストマ一等により形成されるのが好ましく、 最も好ましくはウレタン、 フッ素、 シリコーン等により形成する。
次に、 図 5 (b ) に示すように、 上記中子 1 1内に加圧流体を供給し て該中子 1 1を膨らませ、 膨張した該中子 1 1により上記中間体 3 0を 加熱型内面 2 2 a, 2 3 aに押圧させる。 すると、 上記中間体 3 0は、 膨張した中子 1 1によって加熱型内面 2 2 a, 2 3 aに押し付けられ、 該加熱型内面 2 2 a, 2 3 aの形状が転写される。
このために、 該加熱型内面 2 2 a, 2 3 aの形状が複雑な形状であつ ても、 精度良く該加熱型内面 2 2 a, 2 3 aの形状が該中間体 3 0に転 写されることになる。
上記流体には、 例えば空気、 窒素、 アルゴン等の気体や、 シリコーン 系油、 炭化水素系油、 パラフィン等の液体、 或いはガラスビーズ、 アル ミナビーズ、 砂等の固体が使用される。 流体を中子 1 1に供給するに際 しての圧力としては、 0. 0 1〜 5 MP a、 特に 0. 1〜 3 M P aが好 ましい。 0. 0 1 MP a未満では、 該流体により上記中間体 3 0を加熱 型内面 2 2 a、 2 3 aに押圧できない場合があり、 5 MP a超では、 該 流体により該中間体 3 0が押しつぶされる場合がある。
次に、 上記中間体 3 0を加圧 ·脱水 '乾燥させる。 そして、 図 5 ( c ) に示すように、 上記中子 1 1内の流体を抜く。 弾性体で形成され
た中子 1 1が弾性力で縮んで元の大きさに戻る。 次いで、 図 5 ( d ) に 示すように、 縮小した中子 1 1を加熱型 2 、 2 3より取出し、 該加熱 型 2 2 , 2 3を開いて一体化されたパルプモールド中空容器 1 2を取り 出す。 かかるパルプモールド中空容器 1 2は、 図 5 ( e ) に示すように、 貝占り合わせ部 9の厚みが厚く強度的にも強いものとなる。
上述の実施形態によれば、 一組の分割型それぞれによって抄紙した後、 抄紙したパルプ積層体同士を、 パルプスラリー中で、 又はパルプスラリ —から引き上げた後に少なく とも貼り合わせ部分の含水率を上記のよう に調整してゥエツ 卜な状態で貼り合わせているので、 該パルプ積層体同 士の貼り合わせを容易に行うことができる。 また、 型を分割しているた め複雑なキヤビティ形状を形成することができ、 そのため、 デザインに 制約を受けない種々の複雑な形状を有するパルプモールド中空容器の製 造ができる。 また、 従来技術のようなすき網を必要としなく とも分割型 から成形体を容易に取り出すことができると共に、 大型の設備も必要と しない。
尚、 パルプ積層体 7 , 8同士の貼り合わせは、 該パルプ積層体 7 , 8 を形成した直後に行ったが、 該パルプ積層体 7, 8を形成し乾燥した後 に行うようにしてもよい。 その場合でも貼り合わせ部分の含水率は、 4 0〜 9 5 w t %とすることはもちろんのことである。
また、 上述の実施形態では、 弾性体の中子 1 1を使用したが、 中子 1 1 として中空状の袋を使用してもよい。 この場合、 図 5 ( c ) に示すよ うに、 上記流体を抜いた後、 該袋内を減圧にすることで袋を萎めてから 加熱型より取り出す。 又は該袋を取り出さずに上記中間体 3 0に内装し てもよい。 これにより防水性、 防湿性及びガスバリア性に優れたパルプ モールド中空容器とすることができる。 また、 中子 1 1 を介さずに、 直 接上記中間体 3 0内に上記加圧流体を供給してもよい。
また、 中子 1 1 として予め成形された熱可塑性樹脂からなるコ一ルド パリソン (いわゆるプリフォームドパリソン) を使用してもよい。
コールドパリソンを用いた場合の製造例を以下に簡単に説明する。 な お、 抄紙するまでの工程は、 先の実施形態と同じであるため、 ここでは その説明は省略する。
図 6 ( a ) に示すように、 ノズル部にネジ部 1 2を形成した中空状の コールドパリソンを中子 1 1 として、 上記加熱型 2 2, 2 3のキヤビテ ィ内に挿入する。 その際、 コールドパリソンを加熱流体の吹込みにより 膨張し得るように加熱しておく。
熱可塑性樹脂としては、 例えばポリエチレン (P E ) 、 ポリプロピレ ン (P P ) 又はポリエチレンテレフタレ一ト (P E T ) 等が好ましい。 コールドパリソンの加熱温度は、 P Pを使用した場合には 1 2 0〜 1 4 0 °C、 P E Tを使用した場合には 1 0 0〜 1 3 0 °Cとするのが好ましい。 次に、 図 6 ( b ) に示すように、 上記中子 1 1内に加圧流体を供給し て該中子 1 1を膨らませ、 膨張した該中子 1 1により上記中間体 3 0を 加熱型内面 2 2 a , 2 3 aに押圧させて、 該中間体 3 0を加圧 ·脱水 · 乾燥させる。 中子 1 1内に吹き込む加圧気体としては、 上記した実施形 態と同一のものが使用できる。
すると、 図 6 ( b ) に示すように、 上記中間体 3 0は、 膨張した中子 1 1によって加熱型内面 2 2 a , 2 3 aに押し付けられて、 該加熱型内 面 2 2 a , 2 3 aのキヤビティ形状が転写されると共に脱水及び乾燥さ れる。 また、 上記中間体 3 0の内面には、 膨張したコールドパリ ソンか らなる熱可塑性樹脂フィルム 1 3が密着形成される。 かかる方法では、 熱可塑性樹脂フイルム 1 3の内装化が上記中間体 3 0の乾燥 ·脱水と同 時にできるため、 製造工程が簡略化でき生産性の向上が図れると共に低 コスト化が図れる。
そして、 図 6 ( c ) に示すように、 上記中子 1 1内の加圧流体を抜い た後に、 上記加熱型 2 2 , 2 3を開いて上記中間体 3 0の内面に熱可塑 性樹脂フィルム 1 3が形成されたパルプモ一ルド中空容器 1 4を取り出 す。
このようにして製造されたパルプモールド中空容器 1 4は、 ボトル内 面に熱可塑性樹脂フィルム 1 3が内装されているため、 防水性、 防湿性 及びガスバリァー性に優れ、 ボトル内に粉粒体や液体等も収容すること ができる。
次に、 第 2の実施形態について説明する。 第 2の実施形態については、 上述した第 1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、 同じ点につい ては特に説明しないが、 第 1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適 用される。
本実施形態においては、 抄紙用分割型 2, 3の各分割型表面に粗と密 のネッ ト層を被せた後に、 パルプ繊維を該ネッ ト層に堆積させる。 詳細 には、 該ネッ ト層として、 第 1ネッ ト層と該第 1ネッ ト層より目の細か い第 2ネッ ト層とにより構成されたネッ ト層を用い、 第 1ネット層を分 割型 2, 3に密着させて被せると共に、 第 2ネッ ト層を第 1ネッ ト層の 上に被せる。 又は、 該ネッ ト層として、 第 1ネッ ト層と、 該第 1ネッ ト 層より目の細かい第 2ネッ ト層とにより構成されたネッ ト層を用い、 第 1ネッ ト層を分割型 2, 3に密着させて被せると共に、 第 2ネッ ト層を 第 1ネット層の上に形成させる。 このように、 目の粗い第 1ネッ ト層の 上に目の細かい第 2ネッ ト層を被せた構成、 又は目の粗い第 1ネッ ト層 の上に目の細かい第 2ネッ ト層を形成した構成とすることで、 分割型 2, 3に開ける連通孔 1の数を減らせることができ、 且つパルプ積層体 7 , 8を均一な厚みに抄造することができる。 また、 該パルプ積層体の内壁 及び外壁を平滑な面にすることが可能となり、 パルプ積層体が分割型 2,
3より取出しゃすくなる。
上記第 1ネッ ト層及び第 2ネッ ト層は、 粗と密のネッ ト層とされてお り、 上記分割型 2, 3に被せた際に、 該分割型 2 , 3の表面形状に沿つ て密着するようになされている。 例えば、 第 1ネッ ト層及び第 2ネッ ト 層には、 天然素材、 合成樹脂、 又は金属からなる単数又は複数が組合わ せて用いられる。 さらにネッ ト層の滑り性、 耐熱性、 耐久性をアップさ せる表面改質コ一トを行うことも可能である。
天然素材としては、 植物繊維、 動物繊維等があり、 合成樹脂としては、 熱可塑性樹脂、 熱硬化性樹脂、 再生樹脂、 半合成樹脂がある。
また、 第 1ネッ ト層の平均最大開孔幅は 1〜 5 O m m、 特に 5〜 1 0 m mが好ましい。 開孔幅は、 第 1ネッ ト層の線間距離を指す。
また、 上記第 1ネッ ト層の平均開孔面積率は 3 0〜 9 5 %、 特に 7 5 〜 9 0 %が好ましい。
一方、 第 2ネッ ト層の平均最大開孔幅は 0 . 0 5〜し 0 m m、 特に 0 . 2〜0 . 5 mmが好ましい。 開孔幅は、 第 2のネッ ト層の各線の内 径寸法を指す。
また、 第 2ネッ ト層の平均開孔面積率は 3 0〜 9 0 %、 特に 5 0〜 8 0 %が好ましい。
本実施形態では、 第 1ネッ ト層には、 上記分割型 2, 3に装着した状 態において、 平均最大開孔幅が 3〜 6 mm、 平均開孔面積率が 8 0〜 9 2 %、 線幅が 0 . 3 mmであるネッ トを用いた。 かかる第 1ネッ ト層は、 分割型 2、 3に装着する前の状態においては、 それぞれ平均最大開孔幅 が 0 . 0 8〜0 . 2 5 m m、 平均開孔面積率が 4 6 %、 線幅が 0 . 1 2 m mであな。
第 2ネッ ト層には、 上記分割型 2, 3に装着した状態において、 平均 最大開孔幅が 0 . 2 2〜 0 . 3 5 mm、 平均開孔面積率が 5 8〜 6 9 %、
線幅が 0. 0 6〜0. 0 7 mmであるストッキングを用いた。 かかる第 2ネッ ト層は、 分割型 2、 3に装着する前の状態においては、 それぞれ 平均最大開孔幅が 0. 3 8〜 0. 4 2 mm、 平均開孔面積率が 7 5〜 7 5 %、 線幅が 0. 0 5〜0. 0 6 mmである。
第 2ネッ ト層は、 分割型内部をバキュームすることによって、 第 1ネ ッ ト層開孔を通り、 該分割型表面に接触しない程度の剛性があればよい。 以上、 本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、 本発 明は、 上述した実施形態に制限されることなく、 例えば、 図 7 ( a) 及 び (b ) に示すように、 各パルプ積層体 7, 8の突き合わせ部 1 5 , 1 6を、 他の部分よりも肉厚となるようにしてもよい。 突き合わせ部 1 5, 1 6の肉厚を厚くするには、 かかる部分を他の部分に比べてより強くま たは長い時間バキュームすればよい。 また、 図 7 ( c ) に示すように、 パルプ積層体 7, 8の突き合わせ面側 1 5 , 1 6を外側に張り出させて パルプ積層体 7 , 8同士の突き合わせ面積を増やすようにしてもよい。 張り出した部分 1 5 , 1 6の厚みは、 パルプ積層体 7, 8の厚みより薄 くてもよい。 この場合には貼り合わせ後にトリミングを行う。 これらの ようにすれば、 各パルプ積層体 7 , 8の貼り合わせが容易に行え接合強 度も増す。
また、 必要に応じて貼り合わせ部分を所定の手段でトリミングして、 得られる中空容器の外観が一層良好になるようにしてもよい。
また、 中空容器中間体 3 0を、 加熱型 2 2 , 2 3によって加圧 ·脱水 -乾燥することに代えて、 該中間体 3 0を、 所定形状のキヤビティを有 し且つ加熱されていない金型の内面に押圧させて加圧脱水させた後、 該 中間体 3 0を別途加熱乾燥させてもよい。
また、 それぞれの分割型 2 , 3で抄紙した後、 これらの分割型 2, 3 を突き合わせてそれぞれのパルプ積層体 7, 8同士を貼り合わせるよう
にしたが、 抄紙して形成されたパルプ積層体 7, 8を分割型 2 , 3より 取出し別の加熱加圧型に移した後に、 これら加熱加圧型同士を突き合わ せてパルプ積層体 7, 8同士を貼り合わせるようにしてもよい。
また、 分割型 2, 3をそれぞれ一つのキヤビティが形成されたものと したが、 それぞれの分割型に所定間隔を置いてパルプ積層体 7, 8を複 数形成するための型を用いて、 複数のパルプ積層体を一つの型で抄紙す るようにしてもよい。
或いは、 二つのキヤビティの一部が連設するように一つの型に並べて 形成し、 連設された部分で型を折り畳んでそれぞれのパルプ積層体を貼 り合わせ可能な型を用いて抄紙するようにしてもよい。 この型を用いれ ば、 一側縁が連結された半割形状の一対のパルプ積層体が得られる。 また、 上述の一方の分割型 2には、 取り外し自在とされた一対の補助 型 4, 4が設けられているが、 分割型 2, 3の双方に取り外し自在とさ れた一対の補助型 4 , 4を設けてもよい。
また、 上述した実施形態では、 抄紙用分割型を 2つで一組として用い たが、 成形すべき成形品の形状に応じて 3つ以上の抄紙用分割型を一組 として用いてもよい。 図 5及び図 6に示す加熱型に関しても同様である。 また、 上述した実施形態は、 ボトル状の中空容器の製造に関してのも のであるが、 本発明の製造方法は他の形状の容器、 例えば箱形のカート ン容器等の製造にも適用できる。 産業上の利用可能性
以上の説明からも明らかなように、 本発明によれば、 大型の設備を必 要とせず、 且つ型から容易に成形体を取り出すことができ複雑な形状の パルプモ一ルド中空容器を均一な肉厚で製造することのできるパルプモ ールド中空容器の製造方法及びパルプモールド中空容器を提供できる。