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明 細 書 重合体、 共役ジェン重合体の製造法、 および触媒 技 術 分 野
本発明は、 シス結合が多く、 重量平均分子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) との比 (MwZMn) が小さなブタジエン系重合体、 共役ジェン重合体の製造方 法、 および高活性で新規な共役ジェン重合用触媒に関する。 技 術 背 景
エチレンまたはひーォレフインとブタジエンとの共重合について、 Ma k r o mo し C h em. , Ma c r omo 1. Symp. 、 1986年、 第 4巻 、 103〜 1 18頁、 Ma k r omo 1. Ch em. , 1991年、 第 192 巻、 2591〜 2601頁、 および特表平 1— 501633号公報には、 第 I V 族遷移金属のメタ口セン化合物が触媒成分として用いられることが開示されてい る。 また、 特開平 7— 1 12989号公報には希土類元素のトルエン錯体が触媒 成分として開示されている。 し力 しながら、 これらの触媒をブタジエン、 イソプ レンなどの共役ジェンの単独重合に用いた場合には重合活性が不充分であり、 ま た重合体の立体制御も困難である。
M a k r o m o 1. Ch em. , Ma c r o m o 1. Symp. 、 199 5年、 第 89巻、 383〜392頁にはメタ口セン化合物として (C5H5) T i C l3、 (C5H5) T i (〇Bu) 3、 (C5H5) T i C l2' 2THF、 [ (C5 H5) T i C 12] „の各々を、 メチルアルミノキサンと組み合わせて用い、 各種 の 1, 3—ジェンを重合することが開示されている。 また、 特開平 1— 2547 13号公報、 特開平 3— 188109号公報および特開平 4一 331213号公 報にはアルミノキサンと遷移金属化合物との組合せからなる 1, 3—ジェンが重 合可能な触媒の例が開示されている。 これらの触媒によりブタジエンを重合する と、 比較的高いシス結合含量を有する重合体が得られるが、 高分子量のものを得
ることは困難である。
特開平 9一 7 7 8 1 8号公報には、 高活性であって、 重合体の立体規則性の制 御に優れた下記一般式 I Iで示される周期律表第 I V族遷移金属化合物とアルミ ノキサンなどとの組み合わせからなる共役ジェン重合用触媒が開示されている。 この触媒によるブタジエンの重合は高活性で進行し、 シス結合含量が 9 6 %の重 合体が得られたことが開示されている。 しかし、 その重合体の分子量および分子 量分布の規制については記載されていない。
一般式 I I :
(式中、 Mは第 I V族遷移金属、 Xは水素原子、 ハロゲン、 炭素数 1から 1 2の 炭化水素基、 または炭素数 1から 1 2の炭化水素ォキシ基、 Y ' は炭素数 1から 2 0の炭化水素基であってそれ自体シクロペン夕ジェニル基と環を形成していて もよく、 Zは水素原子または炭素数 1から 1 2の炭化水素基である。 )
さらに、 C o系、 N i系、 T i系および N d系の典型的配位重合触媒を用いて 重合した、 分子量が高く、 シス結合含量が 9 0 %以上のハイシス一ブタジエン重 合体が知られている。 しかし、 この重合体は重量平均分子量 (Mw) と数平均分 子量 (M n ) との比 (MwZM n ) が 2 . 0より大きなものであった。 一方、 有 機リチウム触媒を用いれば、 高分子量で分子量分布の狭い (MwZM n比が小さ い) ブタジエン重合体が得られるが、 そのシス結合含量は 4 0 %以下に留まる。 このように、 従来技術では、 共役ジェン単量体を高活性で重合させ、 高分子量で 分子量分布が狭く、 しかも、 シス結合含量の高い重合体を得ることは困難である
なお、 下記構造式 Γ で示される周期律表第 I V族遷移金属化合物からなるメ 夕口セン触女某力 Mak r omo l . Ch em. , Ma c r omo 1. S y mp. 、 1997年、 第 1 18巻、 55〜60頁に記載され、 知られている。 し かしながら、 これを共役ジェン単量体の重合に用いた例は知られていない。 構造式 I ' : Me 0 (CO) CH2 C pT i C 13 発 明 の 開 示
本発明は、 シス結合が多く、 MwZMnが小さなブタジエン系重合体、 高活性 の触媒を用いた共役ジェン重合体の製造方法、 および、 高活性で重合体の立体規 則性の制御に優れ、 さらに分子量分布の小さな新規な共役ジェン重合体の製造に 有用な触媒を提供することを目的とする。
本発明によれば、 主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単量体の単独重合体、 または該共役ジェン単量体と、 共重合可能な単量体との共重合体であって、 該共 役ジェン単量体に由来する全単位中シス結合した単位が 50%以上、 重量平均分 子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) との比 (MwZMn) が 1. 9以下、 Mw が 1, 000〜 10, 000, 000であることを特徴とするブタジエン系重合 体が提供される。
上記ブタジエン系重合体は、 下記式 (1) を満足することが好ましい。
1 o g (MwZMn) <0. 162 X 1 o g (Mw) - 0. 682 (1) さらに、 本発明によれば、 (A) 置換基としてカルボニル基またはスルフォニ ル基をもつシクロペン夕ジェニル骨格を有する周期律表第 I V族遷移金属化合物 と、 (B) アルミノキサン、 または該遷移金属化合物 (A) と反応してカチオン 性遷移金属化合物を生成できるイオン化合物とからなる触媒の存在下に共役ジェ ン単量体、 または、 共役ジェン単量体およびそれと共重合可能な単量体を重合す ることを特徴とする共役ジェン重合体の製造方法が提供される。
さらに、 本発明によれば、 (A) 置換基としてカルボニル基またはスルフォニ ル基を持つシクロペン夕ジェニル骨格を有する周期律表第 I V族遷移金属化合物 と、 (B) アルミノキサン、 または該遷移金属化合物 (A) と反応してカチオン
性遷移金属化合物を生成できるイオン化合物とからなることを特徴とする、 共役 ジェン重合用触媒が提供される。 発明を実施するための最良の形態
〈重合触媒〉
本発明の共役ジェン重合用触媒は、 (A) 置換基としてカルボニル基またはス ルフォ二ル基をもつシクロペン夕ジェニル骨格を有する周期律表第 I V族遷移金 属化合物と、 (B ) アルミノキサン、 または該遷移金属化合物 (A) と反応して カチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン化合物とからなる。
上記の置換基にカルボニル基またはスルフォニル基をもつシクロペンタジェ二 ル骨格を有する周期律表第 I V族遷移金属化合物 (A) は、 好ましくは下記一般 式 Iで示される周期律表第 I V族遷移金属化合物である。
一般式 I :
(式中、 Mは第 I V族遷移金属、 X1、 X2、 X3は水素原子、 ハロゲン、 炭素数 1から 1 2の炭化水素基、 または炭素数 1から 1 2の炭化水素ォキシ基、 Yは水 素原子、 または炭素数 1から 2 0の炭化水素基であって、 それ自体シクロペン夕 ジェニル基と環を形成していてもよく、 z Z 2は水素原子または炭素数 1から 1 2の炭化水素基、 Aは酸素原子または硫黄原子、 R 1は水素原子、 炭素数 1〜 1 2の炭化水素基または炭素数 1から 1 2の炭化水素ォキシ基であり、 nは 0か ら 5の整数である。 )
一般式 Iで表される遷移金属化合物は、 より好ましくは、 ただ一個のシクロべ
ン夕ジェニル基、 アルキル、 ァリール、 シクロアルキル基などの置換基を有する シクロペン夕ジェニル基、 または複数の融合した環状置換基を配位子としてもつ いわゆるメタ口セン化合物であり、 かつ該配位子のシクロペン夕ジェニル基は〉 C =〇構造、 または >C = S構造を有する原子団を置換基として有している。 ま た、 周期律表第 I V族遷移金属 (式中の M) は、 好ましくは T i、 Z rまたは H f 、 より好ましくは T iである。 好ましい X1、 X2、 X3は、 ハロゲンとしては フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子および沃素原子、 好ましくは塩素原子、 炭化水 素基としてはメチル、 ネオペンチルなどのアルキル基、 ベンジルなどのァラルキ ル基、 炭化水素ォキシ基としてはメトキシ、 エトキシ、 イソプロポキシなどのァ ルコキシ基、 ベンジルォキシ基などのァラルキルォキシ基などが挙げられる。 炭 化水素ォキシ基としてはアルコキシ基が好ましい。 Yには、 例えば、 水素原子、 および、 メチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロピル、 プチル、 t一ブチルなどの アルキル基、 フエニルなどのァリール基、 ベンジルなどのァラルキル基などのほ か、 トリメチルシリル基などの珪素原子を含有する炭化水素基も含まれる。 シク 口ペン夕ジェニル環に結合した Yは、 このシクロペン夕ジェニル環とともに、 例 えばインデニル基、 フルォレニル基のような多環状基を形成していてもよい。 Z Z2としては、 例えば、 水素原子、 メチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロピル
、 プチル、 t—ブチルなどのアルキル基、 フエニルなどのァリール基、 ベンジル などのァラルキル基などが挙げられる。 R1としては、 例えば、 水素原子、 炭化 水素基としては、 メチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロピル、 ブチル、 t一プチ ルなどのアルキル基、 フエニルなどのァリール基、 ベンジルなどのァラルキル基 、 炭化水素ォキシ基としてはメトキシ、 エトキシ、 プロボキシ、 イソプロポキシ 、 ブトキシ、 t一ブトキシなどのアルコキシ基、 フエニルォキシ基などのァリー ルォキシ基、 ベンジルォキシ基などのァラルキルォキシ基などが挙げられる。 こ れらの中では炭化水素ォキシ基が好ましく、 アルコキシ基が特に好ましい。 nは 好ましくは 1または 2、 より好ましくは 1である。
一般式 Iで表わされる周期律表第 I V族遷移金属化合物 (A) の具体例として は、 Me〇 (CO) CH2 CpT i C l3、 Me O (CO) CH (Me) CpT i
C I 3、 {3- [MeO (CO) CH2] } (1— Me) CpT i C l3などが例 示される。
一般式 Iで示される周期律表第 I V族遷移金属化合物の調製方法は特に制限さ れない。 例えば、 Me〇 (CO) CH2 C pT i C 13を調製するのであれば、 M a c r omo 1. S ymp. 、 1997年、 第 1 18巻、 55〜 60頁の記載 に基づいて調製すればよい。
上記周期律表第 I V族遷移金属化合物 (A) と組み合わせて用いるアルミノキ サンは、 下記一般式 I I Iで表される直鎖状または環状重合体であり、 有機アル ミニゥムォキシ化合物である。
一般式 I I I : (一 A 1 (R2) 〇—) „
(R2は炭素数 1〜10の炭化水素基であり、 その具体例としては、 メチル、 ェ チル、 プロピル、 イソブチルなどのアルキル基が挙げられ、 中でもメチル基が好 ましい。 R2はハロゲン原子および Zまたは R30基で置換されたものであっても よい。 R3は炭素数 1〜10の炭化水素基であり、 その具体例としては、 メチル 、 ェチル、 プロピル、 イソブチルなどのアルキル基が挙げられ、 中でもメチル基 が好ましい。 nは重合度であり、 5以上、 好ましくは 10以上である)
遷移金属化合物 (A) と反応してカチオン性錯体を形成できるイオン性化合物 としては、 テトラキス (ペン夕フルオロフェニル) ボレー卜のァニオンと、 例え ば (CH3) 2N (C6H5) H+のような活性プロトンを有するアミンカチオン、
(C6H5) 3 C+のような三置換カルボニゥムカチオン、 カルボランカチオン、 メ タルカルボランカチオン、 遷移金属を有するフエ口セニゥムカチオンとのイオン 化合物を用いることができる。
本発明においては、 さらに、 水素化金属化合物、 周期律表第 1〜 1 I I族主元 素金属の有機金属化合物、 有機金属ハロゲン化合物、 水素化有機金属化合物など を併用して共役ジェン単量体を重合してもよい。 水素化金属化合物としては、 例 えば、 NaH、 L i H、 C aH2、 L i A 1 H4、 N a B H4などが挙げられる。 主元素金属の有機金属化合物としては、 例えば、 メチルリチウム、 プチルリチウ ム、 フエニルリチウム、 ジブチルマグネシウム、 トリメチルアルミニウム、 トリ
ェチルアルミニウム、 トリイソブチルアルミニウム、 トリへキシルアルミニウム 、 トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。 有機金属ハロゲン化合物として は、 例えば、 ェチルマグネシウムクロライド、 ブチルマグネシウムクロライド、 ジメチルアルミニウムクロライド、 ジェチルアルミニウムクロライド、 セスキエ チルアルミニウムクロライド、 ェチルアルミニウムジクロライドなどが挙げられ る。 水素化有機金属化合物としては、 例えば、 ジェチルアルミニウムハイドライ ド、 セスキエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
本発明においては、 遷移金属化合物および/またはイオン性化合物を担体に担 持して用いることができる。 担体としては、 無機化合物または有機高分子化合物 が挙げられる。 無機化合物としては、 無機酸化物、 無機塩化物、 無機水酸化物な どが好ましく、 少量の炭酸塩、 硫酸塩を含有したものでもよい。 好ましいものは 、 シリカ、 アルミナ、 マグネシア、 チタニア、 ジルコニァ、 力ルシアなどの無機 酸化物、 および、 塩化マグネシウムなどの無機塩化物である。 これらの無機化合 物は、 平均粒子径が 5〜 1 5 0 m、 比表面積が 2〜8 0 0 m2 / gの多孔性微 粒子が好ましく、 例えば 1 0 0〜8 0 0 °Cで熱処理して用いることができる。 有 機高分子化合物としては、 側鎖に芳香族環、 置換芳香族環、 またはヒドロキシ基 、 カルボキシル基、 エステル基、 八ロゲン原子などの官能基を有するものが好ま しい。 有機高分子化合物の具体例としては、 エチレン、 プロピレン、 ポリブテン などの化学変成によつて導入された官能基を有する α—才レフィン単独重合体、 α—ォレフィン共重合体、 アクリル酸、 メ夕クリル酸、 塩化ビニル、 ビニルアル コール、 スチレン、 ジビニルベンゼンなどの単独重合体、 共重合体、 さらにそれ らの化学変成物を挙げることができる。 これらの有機高分子化合物は、 平均粒子 径が 5〜2 5 0 mの球状微粒子が用いられる。 遷移金属化合物および Zまたは イオン性化合物を担持することによって、 触媒の重合反応器への付着による汚染 を防止することができる。
〈単量体〉
本発明に用いる主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単量体の具体例としては 、 1, 3—ブタジエン、 2—メチル一 1 , 3—ブタジエン、 2, 3—ジメチル—
1, 3—ブタジエン、 2—クロ口 _ 1 , 3—ブタジエンなどが挙げられる。 また 、 本発明に用いる共役ジェン単量体の具体例としては、 これらの主骨格の炭素数 が 4である共役ジェン単量体のほか、 1 , 3 —ペン夕ジェン、 1, 3—へキサジ ェンなどが挙げられる。 共役ジェンの中でも 1, 3—ブタジエン、 2—メチル— 1, 3 —ブタジエンが好ましく、 1, 3—ブタジエンがより好ましい。 これらの 共役ジェン単量体は、 それぞれ単独で、 または 2種以上を組み合わせて用いるこ とができる力 特に 1, 3—ブタジエンを単独で用いることが好ましい。
また、 共役ジェン単量体と共重合可能な単量体としては、 スチレン、 0—メチ ルスチレン、 p —メチルスチレン、 m—メチルスチレン、 2, 4—ジメチルスチ レン、 ェチルスチレン、 p— t e r t—プチルスチレン、 α —メチルスチレン、 α —メチルー Ρ—メチルスチレン、 ο—クロルスチレン、 m—クロルスチレン、 p —クロルスチレン、 p—ブロモスチレン、 2—メチルー 1, 4—ジクロルスチ レン、 2, 4 _ジブ口モスチレン、 ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル、 ェチ レン、 プロピレン、 1ーブテンなどのォレフィン、 シクロペンテン、 ジシクロべ ンタジェン、 2—ノルボルネン、 5 —ェチリデンー 2 —ノルボルネンなどの環状 ォレフィン、 1 , 5 _へキサジェン、 1 , 6—へブタジエン、 1, 7—才ク夕ジ ェンなどの非共役ジェン、 アクリル酸メチル、 メタクリル酸メチル、 ァクリロ二 トリル、 メタクリロニトリル、 アクリルアミド、 メ夕クリルアミドなどが含まれ る。
〈共役ジェン重合体の製造方法〉
本発明において共役ジェン単量体を単独で、 または、 共役ジェン単量体および それと共重合可能な単量体とを重合するには、 上記遷移金属化合物 (A) と、 ァ ルミノキサンおよび Zまたは上記イオン性化合物 (B ) とを用いて、 以下のよう な方法 (1 ) 〜 (6 ) で重合する。 なお、 特に記載しない限り、 (A) 成分も '( B ) 成分も、 それぞれ、 溶液、 スラリーのいずれの状態であってもよく、 互いに 異なる状態であってもよい。 また、 溶液またはスラリーとして調製するために用 いる溶媒としては、 炭化水素溶媒またはハ口ゲン化炭化水素溶媒が用いられる。
( 1 ) (A) 成分と (B ) 成分を予め接触させた後、 さらに単量体と接触させ
て重合を行う。
(2) (A) 成分と単量体とを予め接触した後、 さらに (B) 成分と接触させ て重合を行う。
(3) (B) 成分と単量体とを予め接触した後、 さらに (A) 成分と接触させ て重合を行う。
(4) (A) 成分溶液と (B) 成分溶液を混合し、 担体と接触させ、 生成した 担持触媒を分離して、 担持触媒と単量体とを接触させて重合を行う。
(5) (A) 成分溶液と担体を接触させた後、 さらに (B) 成分溶液と接触さ せ、 生成した担持触媒を分離して、 担持触媒と単量体とを接触させて重合を行う
(6) (B) 成分溶液と担体を接触させた後、 さらに (A) 成分溶液と接触さ せ、 生成した担持触媒を分離して、 担持触媒と単量体とを接触させて重合を行う なお、 (A) 、 (B) 各成分を溶解、 スラリー化するための炭化水素溶媒とし ては、 ブタン、 ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタン、 シクロへキサン、 ミ ネラルオイル、 ベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの不活性炭化水素が挙げられ る。 ハロゲン化炭化水素溶媒としては、 クロ口ホルム、 メチレンクロライド、 ジ クロロェ夕ン、 クロ口ベンゼンなどが挙げられる。
上記重合反応において、 成分 (A) 、 (B) および単量体の接触は、 通常一 1 00〜10 Ot:にて 1秒〜 180分行う。 触媒の使用量は、 通常、 単量体 1モル 当り上記遷移金属化合物 (A) 100〜0. 001ミリモル、 好ましくは 10〜 0. 01ミリモル、 より好ましくは 5〜0. 1ミリモルの範囲である。 各成分の 使用量は、 アルミノキサン Z遷移金属化合物のモル比が通常 10〜 10, 000 、 好ましくは 100〜 5, 000、 イオン性化合物 Z遷移金属化合物のモル比が 、 通常 0. 01〜100、 好ましくは 0. 1〜10である。 さらに有機金属化合 物を共用する場合には、 有機金属化合物/遷移金属化合物のモル比は通常 0. 1 〜10, 000、 好ましくは 1〜1, 000である。
本発明における共役ジェン単量体の単独重合、 または、 共役ジェン単量体およ
びそれと共重合可能な単量体との共重合には、 通常不活性炭化水素系溶媒中での 溶液重合法、 スラリー重合法、 モノマーを希釈剤とするバルク重合法などが採用 できる。 その他、 気相攪拌槽、 気相流動床での気相重合法も採用できる。 これら の重合法は、 例えば、 温度一 1 0 0〜+ 1 1 0 °C、 時間 1秒〜 3 6 0分、 圧力が 常圧〜 3 0 k g Z c m2にて行なわれる。 なお、 使用される不活性炭化水素系溶 媒は前述と同様のものである。
また、 重合活性の向上、 生成重合体の固体触媒の形状保持、 本重合反応容器へ の触媒導入の容易さ、 重合反応容器への触媒付着防止、 気相反応容器中での流動 性向上などを目的として、 共役ジェンを前記の各種重合方法に従って、 予め予備 重合したものを本重合で触媒として使用してもよい。
重合体の分子量を調節するために、 連鎖移動剤を添加することもできる。 連鎖 移動剤としては、 シス一 1, 4一ポリブタジエンゴムの重合反応で一般に使用さ れるものが用いられ、 特に 1, 2—ブタジエンなどのアレン類ゃシクロォク夕ジ ェンなどの環状ジェン類が好ましく使用される。
重合反応の停止は、 通常、 所定の転化率に達した時点で、 重合系に重合停止剤 を添加することによって行われる。 重合停止剤としては、 例えば、 メタノール、 エタノール、 プロパノール、 ブ夕ノール、 イソブ夕ノールなどのアルコール類が 用いられる。
重合反応停止後、 重合体を回収する方法は特に限定されず、 例えば、 スチーム ストリツピング法などを用いればよい。
〈ブタジエン系重合体〉
本発明の共役ジェン重合体は、 用いる触媒が高活性であることから、 効率よく 製造できるが、 本発明の製造方法により得られる共役ジェン重合体のうち、 下記 のブタジエン系重合体は、 構造の新規な重合体である。
この新規なブ夕ジェン系重合体は、 主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単量 体、 好ましくは 1 , 3—ブタジエンに由来する繰り返し単位が 5 0 %以上、 好ま しくは 7 0 %以上、 より好ましくは 8 0 %以上、 特に好ましくは 9 0 %以上の共 重合体、 または主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単量体、 好ましくは 1 , 3
一ブタジエンの単独重合体であり、 最も好ましくは 1, 3—ブタジエンの単独重 合体である。 主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単量体に由来する繰り返し単 位が少なすぎると、 本発明のブタジエン系重合体のシス結合が多いことに基づく 好ましい特性が損なわれる。
本発明のブタジエン系重合体は、 その主骨格の炭素数が 4である共役ジェン単 量体に由来する全繰り返し単位中シス結合が 50%以上、 好ましくは 80%以上 、 より好ましくは 90%以上である。 シス結合が少な過ぎると引張強度の低下な どの問題が生じ、 ゴムとして好ましい特性を失う。 なお、 ここでいうシス結合と は 1, 4一シス結合のことである。
本発明のブタジエン系重合体の重量平均分子量 (Mw) は 1, 000〜10, 000, 000、 好ましくは 5, 000〜5, 000, 000、 より好ましくは 10, 000〜3, 000, 000である。 分子量が小さすぎると機械的強度が 低いなど高分子としての物性が不十分になり、 逆に、 分子量が大きすぎると成形 が困難になるという問題を生じる。 なお、 ブタジエン系重合体の分子量は、 標準 ポリブタジエン試料を用いて作成した検量線に基づき、 ゲルパーミエーシヨンク 口マトグラフィ一 (GPC分析) により求めた。
また、 本発明のブタジエン系重合体の重量平均分子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) の比 (MwZMn) は、 1. 9以下、 好ましくは 1. 8以下、 より好ま しくは 1. 7以下である。 この比 (MwZMn) が大きすぎると、 架橋した場合 に耐摩耗性などの架橋物の物性の低下という問題が生じる。 さらに、 本発明のブ 夕ジェン系重合体の重量平均分子量 (Mw) と分子量分布 (MwZMn) との間 では、 下記式 (1) が満されることが好ましい。
1 o g (MwZMn) く 0. 162 X 1 o g (Mw) - 0. 682 ( 1 ) 以下に実施例を挙げて、 本発明を具体的に説明する。
実施例 1
(2—メ卜キシカルボニルメチル) シクロペン夕ジェニルトリクロ口チタン [M e〇C〇CH2 CpT i C l3] の合成
トリメチルシリルシクロペン夕ジェニルナトリウム (32 g, 20 Ommo 1
) の 40 Om 1テトラヒドロフラン溶液にアルゴン雰囲気下— 78 °Cでメチルブ 口モアセテ一ト (30. 6 g, 20 Ommo 1 ) の 1 00m lテトラヒドロフラ ン溶液をゆっくりと滴下した。 滴下終了後、 さらに一 78 °Cで一晩攪拌を続けた 。 その後、 減圧下でテトラヒドロフランを溜去し、 生成した固体をろ別した後真 空蒸留 (65 _ 66tZ3mmHg) により約 30 g (70%) の (2—メトキ シカルボニルメチル) 卜リメチルシリルシクロペン夕ジェン [丁 MSCpCH2 COOMe] を得た。 生成物の構造は1 H— NMRから確認した。
Ή-NMR (p pm, TMS, CDC 13) 6. 55 - 6. 20 (m, r i n g H on C s p 2) , 3. 5— 3. 35 (m, r i n g H on C s p 3) , 3. 1 5 - 2. 98 (m, r i n g H o n C s p 3) , 3. 69 (s, 2 H) , 3. 67 (s, 3H) , —0. 22 (s, 9 H)
(2—メトキシカルボニルメチル) トリメチルシリルシクロペン夕ジェン 4.· 2 g (2 Ommo 1 ) の 1 00m 1乾燥塩化メチレン溶液にアルゴン雰囲気下 0 °Cで 3. 8 g (2 Ommo 1 ) の四塩化チタンを加え、 室温で 3時間攪拌を続け た。 反応溶液を一 30°Cに冷却して析出したオレンジ色結晶 (4. 0 g、 70% ) を得た。 生成物の構造は1 H— NMRから確認した。
1 H-NMR (p pm, TMS, CDC ") 7. 05 (s, 4H) , 3. 92
(s, 2H) , 3. 76 (s, 3H)
ブタジエンの重合 (1)
内容積 1 5 Om 1の密封型耐圧ガラスアンプルに、 窒素雰囲気下で、 トルエン 52. 4 gとブタジエン 5. 5 gを仕込み、 — 25°Cに冷却した。 メチルアルミ ノキサン (東ソ一 ·ァクゾ社製) 1 2. 3 mm o 1と上記遷移金属化合物 (Me OCOCH2 C T i C 13) 0. 0 123mmo 1のトルエン溶液を上記アンプ ルに添加して、 一 25°Cにて 20分間重合させた。 その後、 少量の酸性メタノー ル溶液で重合反応を停止し、 次いで重合溶液を大量の酸性メ夕ノールに注ぎ込み 、 析出した白色固体をろ取、 乾燥し、 ブタジエン重合体を得た。 重合体収率は 3 8 %であった。
重合反応に使用された遷移金属化合物中の遷移金属 lmmo 1当り、 1反応時
間当りの重合体収量として表わした 「重合活性」 は 510 g/mmo 1一 M · h であった。
重合体中の立体構造 (シス結合含量) は NMR分析により求めた。 すなわち、 'H— NMR分析 (1, 4_結合 5. 4-5. 6 p pm、 1, 2—結合 5. 0. - 5. 1 p pm) から算出した重合体中の 1, 4一結合の中のシス含量を13 C— NMR (シス 28 ppm、 トランス 33 ppm) から算出し、 全重合体中のシ ス含量とした。 そのように求めたシス含量は 92 %であった。
ゲルパーミエ一シヨンクロマトグラフィー (GPC) 分析により測定した重量 平均分子量 (Mw) は 212万、 分子量分布 (MwZMn) は 1. 63であった 。 なお、 G PC分析には、 カラムとして東ソ一社製 G— 7000と G— 5000 を連結したものを用い、 標準ポリブタジエン試料 (ポリマ一ラボラトリーズ社製 ) を用いて作成した検量線に基づいて重量平均分子量 (Mw) と分子量分布 (M w/Mn) を求めた。 この重合体では、 l og (MwZMn) = 0. 212 お よび 0. 162X 1 og (Mw) — 0. 682 = 0. 343であり、 前記式 (1 ) が満たされることがわかる。
比較例 1
(2—メトキシェチル) シクロペン夕ジェニルトリクロ口チタン [ (MeOCH 2CH, CpT i C 13] の合成
トリメチルシリルシクロペン夕ジェニルナトリウム 32 g ( 200 mm o 1 ) の 400m 1テトラハイド口フラン (THF) 溶液に、 アルゴン雰囲気下一 78 °Cでクロ口ェチルメチルエーテル 18. 9 g (20 Ommo 1 ) の 100m 1 T HF溶液をゆっくりと滴下した。 滴下終了後、 一晩加熱還流した。 その後、 減圧 下に THFを溜去し、 生成した固体をろ別した後、 真空蒸留 (80°C, ImmH g) により約 33 g (85%) の [ (2—メトキシ) ェチル] トリメチルシリル シクロペン夕ジェン [TMS C p CH2 CH2 OMe] を得た。 生成物の構造は1 H— NMRから確認した。
1 H-NMR (ppm, TMS, CDC 13) : 6. 55 - 6. 20 (m, r i ng H on C s p 2) , 3. 5— 3. 35 (m, r i ng H on C s p 3
) , 3. 15 -2. 98 (m, r i ng H on C s p 3) , 3. 61 (m, 2H) , 3. 40 (s, 3H) , 3. 02 (m, 2H) , 0. 22 (s, 9 H) 得られた TMS C p CH2 CH2 OMe 0. 50 g (2. 5mmo l ) の 20m 1乾燥塩化メチレン溶液に、 アルゴン雰囲気下、 一 78T:で四塩化チタン 0. 2 5m l (2. 2mmo 1) を加え、 室温で 3時間攪拌を続けた。 次いで反応溶液 を— 78 °Cに冷却して析出したオレンジ色結晶 0. 4g (70%) を得た。 生成 物が (2—メ卜キシェチル) シクロペン夕ジェニルトリクロ口チタン [ (MeO CH, CH2 C pT i C 13] であることを1 H— NMRから確認した。
Ή-NMR (p pm, TMS, CDC ") : 6. 91 (s, 4H) , 3. 7 0 ( t, 2 H) , 3. 37 (s, 3H) , 3. 10 ( t , 2 H)
ブタジエンの重合 (2)
遷移金属化合物として Me〇COCH2CpT i C 13の代わりに M e〇 C H2 CH, CpT i C 13を用い、 重合時間を 20時間とした他は実施例 1のブ夕ジェ ンの重合 (1) と同様に、 ブタジエンを重合した。 重合体収率は 12%、 重合活 性は 2. 7 gZmmo l—M ' h、 シス結合含量 96%、 重量平均分子量 (Mw ) 348万、 分子量分布 (MwZMn) 3. 66であった。 この重合体では、 l og (MwZMn) = 0. 563および 0. 162 X l o g (Mw) —0. 6 82 = 0. 378であり、 前記式 (1) が満たされないことがわかる。 産業上の利用可能性
本発明の触媒は、 高活性で重合体の立体規則性の制御に優れている。 この触媒 を用いて得られるブタジエン系重合体は、 シス結合が多く、 分子量が大きく、 分 子量分布 (Mw/Mn) が小さいことを特徴としている。
本発明のブタジエン系重合体は良好な耐摩耗性、 強度特性などの特性を有して いる。